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1973-10-09 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十月九日(火曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       臼井 莊一君    江藤 隆美君       塩谷 一夫君    竹中 修一君       旗野 進一君    増岡 博之君       上原 康助君    木下 元二君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   加野久武男君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁総務         部長      河路  康君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         外務省条約局長 松永 信雄君         通商産業省通商         政策局長    和田 敏信君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 十月九日  辞任         補欠選任   伊能繁次郎君     増岡 博之君   越智 伊平君     塩谷 一夫君   三塚  博君     臼井 莊一君 同日  辞任         補欠選任   臼井 莊一君     三塚  博君   塩谷 一夫君     越智 伊平君   増岡 博之君     伊能繁次郎君     ————————————— 九月二十七日  一、国土総合開発庁設置法案内閣提出第二三   号)  二、内閣法等の一部を改正する法律案内閣提   出第二七号)  三、靖国神社法案橋本登美三郎君外十名提出、   衆法第三二号)  四、行政機構並びにその運営に関する件  五、恩給及び法制一般に関する件  六、国の防衛に関する件  七、公務員の制度及び給与に関する件  八、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤尾正行君。
  3. 藤尾正行

    藤尾委員 昨年の十一月以来問題になっておりまして、特に前国会におきましては、二月二日の予算委員会あるいは三月二十九日、四月十二日の当委員会におきまして、共産党の不破君あるいは社会党の大出君、共産党の東中君等々から、いろいろと各方面から詳しくお調べの上、質疑をせられましたミッドウェーが、いよいよ私ども横須賀に入ってまいったわけであります。したがいまして、本日は、このミッドウェーが入ってきた、横須賀ホームポーティングしたということばを使っておりますけれども母港化したという問題を中心にいたしまして、安全保障条約第六条、あるいはこれと関連をいたしまする地位協定、またわが国非核三原則等々とも関連をいたしまする事前協議に関する交換公文等々の見地からこの問題を取り上げてみたい、かように思うのでございます。  最初に、私どもは自由民主党といたしまして、日本の安全を保障する上で日米安全保障条約が絶対に必要である、そういう立場をとっておりまするので、今回のこのミッドウェー横須賀母港化と申しますか、その概念がきわめてあいまいでございまするけれども、こういった問題が、私ども日本安全保障にとりまして、より効果的になっておるのか、あるいは日米安全保障条約の運営上、これは両国安全保障条約の目的を達成する上により大きな意義を持っておるかどうか、こういう問題について、これはせっかくおいででございまするから、防衛庁長官のほうからの防衛上の見地、あるいは外務省からの安全保障上の見解をひとつお賜わりを願いたい、かように考えるのでございます。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 私どもは、外務省のほうで外交折衝をされて、それで政府の意思として、ミッドウェー横須賀いわゆる母港化と俗にいわれておりますが、そういうことについては、われわれとして、日米両国において合意されたものは、それを私どもとして受け入れる立場をとっておることは当然でございますが、かといって、ミッドウェー母港化したからといって、日米安全保障条約に基づいてのわが国防衛基礎の問題で大きく変化があるかといえば、それは第七艦隊というものが、主として極東それから東南アジア水域を遊よくしている、アメリカの強烈な機動隊というものがいままでも存在しておったわけでありますし、そのことについては変わっておりませんし、空母ミッドウェー母港化されたからといって、安全保障条約わが国防衛体制とに特段の変化があるというふうには考えておりません。
  5. 大河原良雄

    大河原説明員 ミッドウェー横須賀に入港いたしまして、いわゆる母港化という形で問題にされているわけでございますが、ミッドウェーのいわゆる母港化という問題につきましては、一昨年から米側のほうから、空母一隻を横須賀寄港さして、その乗り組み員を周辺居住さしたいという非公式な意向連絡がございまして、自後、日米間において非公式に意見の交換が行なわれておった経緯があるわけでございますが、昨年の十一月になりまして、米側のほうから正式に、通常型空母一隻を横須賀寄港さして、その乗り組み員の家族横須賀周辺居住さしたい、こういうことについて日本側意向を問い合わせてきたわけでございます。  それに対しまして政府といたしましては、地元の意向も確かめました上で、安全保障条約並びにその関連取りきめ上は問題がないという立場から、米側に対しまして、この計画に異議はないということを回答した経緯があるわけでございます。  このミッドウェー横須賀寄港、いわゆる母港化という問題につきまして、安全保障上どういう意義があるかということにつきましては、ただいま山中長官から御答弁がありましたとおりに私ども考えておるわけであります。
  6. 藤尾正行

    藤尾委員 ミッドウェー自体装備あるいはその能力といいますものが変わっていない、そういったことから、別にこれが横須賀家族を置いても、その意義というものは従来とあまり変わりがないのだ、こういうお話でございます。この点は実は非常に重要な点でございまして、本年四月十二日の当委員会におきます大出委員との質疑の中で詳しく論ぜられておるわけでありますけれどもアメリカ戦略体制といいまするものが、ベトナム戦を境にいたしまして、ベトナム戦遂行中の第七艦隊の持っておる意義というものと、ベトナム戦が終了いたしました今日、第七艦隊が同じく持っておる意義というものが全く同じであるかいなかという点が、今後の自由世界と申しまするか、特にアジア安全保障上の問題との関連で非常に大きな点でございまして、その点まるきり変わりがないという考え方というものは、必ずしも厳正な解釈ではないのではないか。たとえてみれば、第七艦隊自体が持っておりました攻撃型空母というものの隻数、規模、こういったものがベトナム戦争中の規模と今日とではその間にかなりの開きができておるということ、そういったものとの関連におきまして、ただいまの横須賀基地の利用と申しますか、いわゆる兵員家族横須賀定着、そうしていわゆる母港化というものがそれを補っておるという役割を果たしておるのじゃないか。それらの総合的な対比におきましてこの問題をとらえてまいりませんと、正しいこういった問題の検討はできないのではないか、こういう感じがいたすのでございます。  はなはだしつこいようでございますけれども、そういった観点からはたしてその戦力において、その任務において変わりがないのかどうかということを、いま一ぺんお答えを願いたいと思います。
  7. 山中貞則

    山中国務大臣 私が答弁いたしましたのは、わが国防衛に対して変化があるかという問題で、わが国立場からすれば、安保条約の範囲内でございますから変化はない。しかし米軍極東軍事戦略的なものからいえば、それはベトナム戦後の新しい体制というものが当然考えられていいでありましょうし、また小さな問題ではありますが、実際はウェートの大きいアメリカのドルあるいは予算等の削減に伴う緊縮措置、こういうようなものとは関係があるかもしれませんが、わが国防衛といわゆる安保条約基礎に立つ米軍との間において、ミッドウェー一隻が母港化されたことによって、わが国安保体制のもとにある自衛力というものが変わるかということについては、私は変わるほどのものじゃないし、変わっていない、そういうことを申し上げたのです。
  8. 藤尾正行

    藤尾委員 そこで問題になってまいりまするのは、その点変わりはないというお答えでございまするから、そのとおり承るのでございまするけれども極東戦略体制、こういった自由陣営側戦略体制の総合的な体系といいまするものと、わが国安全保障というものはまるきり切り離されたものではない。わが国安全保障というものも、そういったものの中に入っておるところに日米安全保障条約というものの意義があるのではないか、私はかように考えるのでございまして、この点変わりはないという長官の御答弁でございますから、まあ、それはそのとおり了承はさしていただきまするけれども、私はその間に相互の関連がないとは言い切れないということを申し上げておきたいのでございます。  そこで次の問題に入りまするけれども、現在このホームポーティング母港化ということが非常にいろいろな内容を含んだ概念といたしまして国民の間に受け取られておるわけであります。それだけに私は、国民にも非常に誤解を招く面もあるのではないか、そういう心配をいたすのでございますが、このホーム・ポーティング・オーバーシーズという、アメリカの言っておりまする、特にレアード長官指摘、それに基づきます米海軍当局のいろいろな方々のこれに対する中身の定義、そういったものがなされており、それが一般的に母港という日本訳にして新聞、マスコミ等に報ぜられておるわけでありまするけれども、この母港化というその母港意義をここではっきりいたしておきませんと、いろいろな面で誤解を生ずるおそれがあると私は考えるのであります。  そこで、ひとつその母港というもの、あるいは根拠地というもの、あるいは寄港というもの、そういった非常に似たような概念、それの定義をここで明らかにしていただいて、国民皆さま方の疑念をお晴らしをいただいたらどうだろうかと思っておりますが、その点について外務当局並びに防衛庁の御当局はどのようにお考えをいただいておりますか、お伺いをいたします。
  9. 大河原良雄

    大河原説明員 まず母港定義につきまして御答弁申し上げます前に、米海軍がこの計画を実施するにあたってどういう考えを持っておったかということから御答弁させていただきたいと存じます。  昨年の二月にレアード国防長官国防報告を議会に提出いたしておりますけれども、その際にレアード国防長官が言っておりますことといたしまして、海軍が考慮しているもう一つ措置として、新しい問題として、前方展開の艦艇の海外におけるホームポーティングがあるということを言っておりますと同時に、この措置によって、米国としましては平時において家族との離別という好ましくない影響をこうむることなしに、戦力水準をより有効に利用することが可能となるかもしれない、こういうことをレアード国防長官が当時言っているわけでございまして、いわゆる母港化の問題につきまして米側から話がありました際に、米側が言っておりますことは、海軍艦船展開地域に近い外国に乗り組み員の家族居住させることによって、その艦船本国への帰投回数を減少させ、それによって艦船の効率的な運用と国防費の節減をはかり、あわせて別居期間を短くすることによって乗り組み員の士気の高揚をはかることである、こういうことを言っているわけでございまして、レアード国防長官が昨年の二月に国防報告で言っております考え方をふえんして申しますと、そういうことになるかと思うわけでございます。  そこで母港とはどういうことかということになるわけでございますが、マザーポートといい、あるいはホームポートといい、そのことばの使い方につきましては必ずしも一定しておらないといえるわけでございまして、その使う際の目的なり使う状況において、必ずしも明確な定義がないように承知いたしております。その艦船在籍港でありますとか登録港でありますとか、そういう観点に立って母港ということばが使われている場合もございますし、そういうことでなくして、その艦船の行動の根拠となる場所、こういうふうな意味で使われている場合もあるように考えるわけでございます。したがいまして、一般的に申しますならば、母港といいますのは、そういうふうな趣旨において、その艦船が主として活動の本拠とする、あるいは連絡地点とする、家族居住地とするということで指定されておる場合が多いというふうに考えられるわけでございます。  そこで、寄港とはどういうことかと申しますと、これはことばのとおりにその艦船が港に入ってくるということでございまして、従来とも七艦隊米国の軍艦が日本の港に入ってくるという形が随時行なわれているわけでございまして、そういう意味では寄港と申しますのは、普通の一般的に艦船が港に出入港する、そういう趣旨におとりいただきたいと思うわけでございます。
  10. 藤尾正行

    藤尾委員 防衛庁よろしゅうございますか。
  11. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、防衛庁の意志というものが主になって横須賀母港化というものがミッドウェーに関して行なわれたわけではありませんで、外交の結果それを受け入れるということでありますから、私どもがしいて何かがあるとすれば、それは厚木における基地周辺人たちへの事前の御連絡のお手伝いをする、あるいはそれらの苦情に対して処理をする、あるいはまたタッチ・アンド・ゴーを予定しておる三沢等について今日までも問題があるわけでありますから、漁業組合等の御意向等もいろいろあるようでありますし、そういう点は私どものほうが処理しなければならない事柄となってくるということで、母港化をどうするかという問題は、私どもの直接タッチしているところではありません。
  12. 藤尾正行

    藤尾委員 その問題を詰めていきますと、いろいろな問題があるわけでありますけれども、現在ホーム・ポーティング・オーバーシーズというものでアメリカが大体外部に公表をいたしておりますものは、ペルシャ湾のバーレイン、ギリシアのアテネ、イタリアのジャエタ、イタリアのラ・マダレーナ、イタリアナポリ日本の佐世保、日本横須賀マリアナ諸島のグアム、スコットランドのホリーロック、スペインのロタ、フィリピンのスビック湾、こういったもののようでございます。この中でいろいろな問題が関連をしてくると思いまするけれども、たとえばナポリの場合には地中海艦隊航空部隊がおり、第二十一哨戒隊がおり、第八護衛隊がおり、第六支援隊がおり、第八潜水戦隊がおる。こういった意味かなり規模のものでございまするけれども、しかしながら、それにいたしましても、海軍支援基地海軍航空施設海軍通信所というような施設が主でございまして、横須賀の第七艦隊支援基地艦隊基地海軍通信所艦船修理施設海軍病院等々と比べましたときに、横須賀規模といいまするものがやはり非常に大きい。そこにただ単なる兵員家族居住内容として、その家族居住によって本国に帰る利便を代替をするんだということだけでは説明のしきれないものがあるのではないか、そういう印象が国民の間にやはり否定できないものである、私はかように考えるのでございまするけれども、それでもなお横須賀ホーム・ポーティング・オーバーシーズというものの意義が他の諸地域ホーム・ポーティング・オーバーシーズというものとその内容において異なるところはないんだという外務省側のいままでのお考え、そういったものは変わりませんか。その点はいかがですか。
  13. 大河原良雄

    大河原説明員 御指摘横須賀には、在日米海軍司令部がございますほかに、通信所病院あるいは艦船修理部というふうな施設があるわけでございますが、このほかに六八年以降七艦隊旗艦でありますオクラホマシティー家族横須賀周辺居住いたしておりますし、七一年の秋からは、第十五駆逐隊の乗り組み員の家族が同じく横須賀周辺居住しておるということがあるわけでございまして、そういう意味から申しますと、横須賀におきましては、六八年以来七艦隊艦船の乗り組み員の家族居住ということがすでに行なわれてきておる。今回、空母ミッドウェーにつきまして、昨年十一月の話し合いに基づきまして、空母ミッドウェーの乗り組み員の家族居住現実に始まった、こういうことになるわけでございます。ミッドウェーそのものは、今回初めて横須賀寄港するわけではもちろんないわけでございまして、先年来随時横須賀寄港しておるという事実があるわけでございます。したがいまして、こういう事実をもとに、これが七艦隊の機能上どういう意味を持つかということについてはいろいろな考え方があろうかと存じます。もちろん米側といたしまして、ニクソンドクトリンの適用という観点から、アジアに対していかなる兵力配置考えるか。抑止力の効果を発揮しつつ、しかも友好国に対する条約上の約束を守っていくというニクソンドクトリン現実に実施します際に、いかなる兵力展開考えていくかという問題は当然あろうかと存じます。
  14. 藤尾正行

    藤尾委員 そこで一つの問題が出てまいるわけであります。非常に時期を違えまして、同じ横須賀に第七艦隊旗艦でありますオクラホマシティー家族が来ておる。いわゆるあなたの言われる母港化というものが行なわれておる。またそれと違った時期に第十五駆逐隊といいますものの家族横須賀並び横浜周辺に来ておる。今回さらにこれに加えて、第七艦隊攻撃型空母の三隻のうちの一隻でありますミッドウェーが、同じような形でその家族横須賀並び横浜地区居住をしてきた。こういったさみだれ式になっておりますから、ある時点ではオクラホマシティーが問題になり、ある時点では第十五駆逐隊が問題になり、ある時点ではミッドウェーが問題になるというようなことにはなりますけれども、こういったものを総合して、横須賀にそういったホームポーティングと申しますか、母港化的な一つ方式を定着させるということになった場合に、これは私ども地位協定非核三原則、そういったものとも関連をいたします交換公文の中の事前協議の中にうたわれております配置変更とか転換とかいうような条章にこれはぴっしゃりと当たるのではないか、こういう感じが非常に強くなってまいるわけであります。この配置変更とか転換とかいうものの規模につきまして、通常陸の場合には一個師団とか、あるいは海の場合には一機動部隊であるとか、あるいは空の場合には一飛行師団であるとかいうことがいわれておるわけでありますけれども、こういったことになってきた場合に、オクラホマシティーミッドウェーあるいは第十五駆逐隊その他特務隊、そういったものの集積といいますものが、さみだれ方式で、その時間を一々異にしておりますけれども横須賀母港化する、基地化するという場合に、これが一つの単位として考えられて、これ自体全体を考えて、これは当然——たとえばバングラデシュの独立のときに起こりました、インド洋に派遣せられましたエンタープライズ等の、その周辺駆逐艦といいますもので編成をせられた機動部隊、そういったものとその規模においてあまり変わらない、こういうことが問題になってまいるわけで、もしこれが、さみだれ方式にはなっておりますけれども、全般的に見て機動部隊とこれは考えられるんだということになれば、このミッドウェー母港化ということを終局といたしまするこの一連の横須賀基地の使用、こういったものが当然交換公文事前協議に当っていなければならない、こういう見方もできるわけであります。この点、きわめて重大な問題であり、後々野党の皆さま方からの御質問一つ中心点にもなる、かように思いまするので、この点について概括的なお話をしていただきたい。
  15. 大河原良雄

    大河原説明員 ただいまの御質問は、安全保障条約上の事前協議関連いたしまして、今回のミッドウェー寄港がいわゆる事前協議対象となるべき配置に該当するかどうか、こういう点であろうかと存じます。日米安全保障条約上の事前協議対象となるべき事項につきましては、ただいま御指摘がございましたように、配置における重要な変更の場合が事前協議対象一つになる項目でございますが、配置における重要な変更につきまして、海軍の場合は政府はかねて一機動部隊程度配置、こういうふうに御説明いたしておるわけでございます。  そこで先ほど来御答弁申し上げておりますように、今回ミッドウェー横須賀に入ってまいりましたのは、いわゆる母港化という形で乗り組み員家族居住が行なわれることになったわけでございますが、先ほどこれも御答弁申し上げましたように、オクラホマシティー家族居住が行なわれ始めましたのは一九六八年であり、第十五駆逐隊の乗り組み員家族居住が行なわれましたのは七一年秋でございまして、形の上であるいはミッドウエーとさみだれ的なつながりを持っておるという御指摘があるかと存じまするけれども、その点につきましては、たまたまそういう形で家族居住計画が行なわれているというふうに私ども承知いたしております。したがいまして、ミッドウエーの場合には、いわゆる配置安保条約上の事前協議対象となるやき配置には該当しないものである、こういうふうに考えているわけでございます。
  16. 藤尾正行

    藤尾委員 この問題は、まだ論じておればきわめて長い時間を要すると思いまするので、一応ここでとどめておきまして、次にその核装備の問題、この問題についても、これは触れておかなければなりませんので、この問題について御質問をいたしたいと思うのであります。  何と申しましても、ミッドウエーは、ジェーンの海軍年鑑にも指摘をせられておりますように、一九四五年に就航いたしまして以来、改装を加えまして、現実には今日の時点では核装備をいたしておる、そういう可能性を持っておる、そういうことがはっきりと明記をせられておるわけであります。ミッドウエー自体にも、あるいは核に対する装備があるかもしれない、あるいはミッドウエーに積んでおりまするF4とかあるいはA6とかA7とかいうような攻撃機等々、こういった搭載航空機といいますものも、いずれも核装備が可能な航空機でございます。したがいまして、こういった航空機を持ち、そうしてミッドウエー自体もそういった装備の可能な航空母艦である。それが入ってくるという場合に、これは何回も何回も論議をせられた問題でございまするけれども、当然これまた非核三原則の一項でございまする核の持ち込みという問題とこれは必然的に結びついていくのではないかというおそれが国民間に起こってくるということも私はいわれなしとしない、かように考えるのでございます。もちろん装備が可能である、できるということと現に核装備をしておるということとの間には、厳密なことばの上で、現実の上でこれは非常に大きな相違があるわけでありますから、おそらくこれは事前協議もなすっておられないようだし、現在入っておりますミッドウエーにはそのようなおそれは万々ない、私はかように信ずるのでございまするけれども、重ねて、国民のこの不安を除去する意味におきまして、この問題についての現状をひとつ御説明をいただきたい。
  17. 大河原良雄

    大河原説明員 御指摘のとおりに、ジェーンの海軍年鑑には、ミッドウエーは核兵器を貯蔵、組み立て、装置するという能力を持っているということが記載されてございます。その意味におきまして、核装備可能性は否定、排除できないわけでございますが、核兵器のわが国への持ち込みにつきましては、日米安保条約が締結をされましたとき以来、すべて事前協議対象となっているものでございます。空母ミッドウエーわが国との事前協議なしに核兵器を搭載してわが国寄港するということはない、こういうふうに政府考えているわけでございます。空母ミッドウエー寄港があるからといって、それが直ちに核兵器の一時持ち込みとなるということはないということでございます。事前協議に関する交換公文に示されております約束を順守することは、アメリカにとりまして安保条約実施上のきわめて厳粛な義務であるわけでありまして、この条約日米両国の信頼関係に基づいているという以上、政府としては米国がこのような重大な約束を履行することについて疑いを持っておらないということをたびたび申し上げておるところでございます。
  18. 藤尾正行

    藤尾委員 この問題をさらに論じていけば、これまた非常に限りのないことでございますけれども、ここで非常に重要なことは、あなたがいま御指摘になられました、言及をせられました日米間の相互信頼という問題でございます。日米安全保障条約といいますものは、これはその本質におきめに非常に片務的な条約であったわけであります。それが一九六〇年の改定によりまして、これが双務的なものに大きく変わってきた。現実にはこの日米安全保障条約というものは、日米双方がお互いにその義務を負っておる、こういうことでございますけれども、その義務というのは、アメリカ日本並びに日本周辺の安全を保障する義務を負っておる。これに対して、それじゃ日本側は一体どういう義務を負っておるのかということになりますと、これは私ども施設、区域というものを出す、こういうことでありまして、その施設、区域を十二分に私どもは使わせる、そういう利便の供与をする。その条件といたしまして、非核三原則というものがここで働いておるわけであります。したがいまして、これはあなたがおっしゃっておられるように、またいままで何回か議論がございましたように、お互いの相互の信頼がない。たとえば相手側が、われわれはそういうこ之はない、核装備などというものは持っていないんだということを言っておりましても、あるいは持っておるかもしれないではないかというような疑惑がそこに存在をしておるということでございましたならば、その日米間の安全保障条約を構成いたしておりますすべての要素、そういったものが非常に脆弱になる。またあるいは日米安全保障条約というもの自体がその評価を非常に低下させる。それに信頼できないではないかという感じも一方に起こってくる可能性があるわけでございまして、私どもはこの際、日米双方がお互いに相手方の言い分というものを信頼し、またその信頼をすることにこたえて、相手側が十二分に約束を守るということで初めて安全保障条約地位協定もまた交換公文もいずれもが生きてくる、かように考えるのでございまして、その点を私はこの際、あらためてひとつ御確認をちょうだいし、日本国民に対しまして、われわれはアメリカを信頼することがどれほど大切なのか、またアメリカがわれわれを信頼し、約束を守ることがどれだけ大切なのかという点をひとつ明確に御報告願うことがこの際大切であろう、かように思いますので、あえて御答弁を要求するものであります。
  19. 大河原良雄

    大河原説明員 地位協定六条に関連いたしまして、日米安保条約に基づく日本の負っておる義務について言及がございました。御指摘のとおり、安保条約第六条に基づきまして、日本といたしましては米軍に対しまして、日本の安全に寄与するために、並びに極東における国際の平和、安全の維持に寄与するために、施設、区域の使用を認めるという義務を負っておるわけでございますが、他方、米側といたしましては、第五条に規定されておりますように、武力攻撃に対する措置を約束しておるということでございます。日米安保条約は、かねて政府がいろいろな機会に明らかにいたしておりますように、日米友好関係の礎石ともなるべき重要な条約でございまして、日米それぞれこの条約に基づきましてお互いに権利義務の関係を明確に定めているわけでございます。したがいまして、日本といたしましては、この信頼関係に立ちまして、米側との約束の履行が厳重に確保されるということを考えておりますし、また米側といたしましては、日米友好関係がきわめて大事なものであるということは、ニクソン大統領そのものがあらゆる機会に明らかにしているところでございまして、この信頼関係をますます固めていくことが最も望ましいことであるということは、ただいま御指摘のとおりでございます。  一つ、先ほどの私の御答弁の中で若干誤解を与えるおそれがあります点を訂正させていただきたいと存じます。ジェーンの年鑑に関連いたしまして、ミッドウエーが核の装備をしておる可能性を排除しないということを申し上げましたけれども可能性と申しますよりは機能的にそういう能力を持っておるということに訂正させていただきたいと存じます。
  20. 藤尾正行

    藤尾委員 この問題はこれで最後にいたしますけれども、十月六日の東京タイムズに、自衛隊がミッドウエー横須賀への母港化を機会に日米合同演習を計画しておるのだ、私はこれは報道でございますから、当てにならぬと思いまするけれども、そういう記事がでかでかとこのように出ておるわけであります。まさかそんなことはない、私はかように考えまするが、こういった問題について、それを思わせるような動きが一体自衛隊の中にあったのかどうかということを一点お聞きいたしておきます。
  21. 山中貞則

    山中国務大臣 そのような事実は存在しませんし、また将来ともそういうことは考えておりません。
  22. 藤尾正行

    藤尾委員 これで私のミッドウエーに関する御質問は終わらしていただきまして、最後に、ちょっと二つの問題に簡単に触れさせていただきたいと思うのであります。  一つは、先日、東富士の演習場で米軍の誤射事件がございました。民家の近くに米側の砲弾が落ちてまいった。幸いにしてけが人はなかったようでございまするけれども、こういったことが東富士の演習場あるいは北富士の演習場等々で今後も起こるということになりますると、この問題についての地域住民の不安といいまするものはきわめて大きくなりまするし、したがって、この演習場自体の存続という問題とも関連をして考えていかなければならぬ非常に重要な問題にも発展しかねない、私はかように考えるのでございまするが、この誤射事件のあった後、一体防衛庁ではどのような措置をおとりになり、あるいは今後の地元の方々に対する補償措置といたしましては、どのようなことをお考えになっておられるかということが一点。  それからもう一つは、これまた非常に飛躍をいたすのでございまするけれども、先般チリでクーデターが行なわれました。これに関連をいたしまして、サンケイ新聞の十月八日付に「成田社党委員長に問う」という東大の西教授の議論が掲載をせられておるわけであります。この中で成田委員長がそういうことばをお使いになったのか、あるいは西さんがそのような表現を使われたのか知りませんけれども、このチリのクーデターをとらえまして、「しかしこのクーデターは、武装集団であるわが国の自衛隊の本質がなんであるか、国民に知らせるよい教訓になった」というような奇妙なことを言っているわけであります。これはきわめて重大な問題でございまして、私どももなかなかこいつを見過ごすというわけにはいかない問題であろう。この際、明確にシビリアンコントロールというものがどういう役割りを果たしておるか、あるいはわが国の自衛隊の場合には、チリの軍隊のようなものは絶対に起こさせないのだ、そういう自信は十二分にあるという御言明をこの際願いまして、国民の不安にお答えをいただきたい、かように思います。
  23. 山中貞則

    山中国務大臣 まず先に、東富士演習場の米軍の発射したものと思われる、最終的にこれは米側も認めたわけでありますが、一〇五ミリりゅう弾砲が六郎塚の砲座から発射されて、それがはるかに演習場を飛び越えて道路あるいは電線等を切断等の、人間には被害ありませんでしたが、演習場外における被害を生じたという問題は、考えられない、常識外のことでありまして、したがって、われわれとしては、直ちに東富士の富士学校長から米側の司令官に対して申し入れをいたしました。それは直ちに一〇五ミリ以上の発射は取りやめる。これは自衛隊もやっておりませんから同じであります。並びに六郎塚の砲座というものは、飛び越して危険性のないもの、その方角を設定して、砲座を六郎塚においては一〇五ミリ以上のものは使わせないということ、そういうことについては米側も了承をいたしました。  なお、外務省は御本人がここに参っておりますから、米側に対しても正式な外交ルートを通じてそういう意見を、日本側の演習場を使用する以上、そういうことがあってはならないということできちんと申し入れをしておるようでありますから、後ほどお答えがあると思いますが、なお自衛隊のほうは着弾観測等も、米側の演習の場合にもいたしておりましたが、今回の場合は見えずということで、いわゆる不発弾等の観測をしていたものでありますから、その着弾地が全然はるかかなたであったために観測ができなかったということで、ある意味では不可抗力であると思いますが、どうしてそういうことになったかといえば、結局は薬包を、一号から七号までのいろいろなランクのあります場合に、日本側のほうにおいては、そんなに遠くへ飛ばない状態にして、装薬を抜いて点検をして、しかも手に現物を持って抜いたことを確認した後に発射を行なうということをやっておりますので、アメリカ側は若干その点大まかなところがありますので、こういうことが今後起こる可能性がありますから、われわれと同じような基礎動作というものをアメリカ側もとってもらいたいということで、これらの点は米側も了承しておるところであります。  なお被害の問題については、これは民間の電力会社の電線の切断並びにそれによって送電がとまったことによる日本ランドの、直接に収入減と申しますか、あるいはそういうことが今後も起こったらということで心配して入場者が減ったというようなこと等がありましたので、電力会社を通じて、電力会社の補償の問題をいま折衝しておりますし、日本ランドについては、直接の被害があったと思われる金額、その後の不安であるということによって来る人が少なくなるおそれがあるという問題については、会社側の要望どおりに印刷物をつくりまして、それを日本ランドに出入りをする関係とおぼしき方面のほうに配付をいたしまして、今後はこのようにしたからだいじょうぶでございますという処置をとっておりますし、その補償についても要求があれば応じなければならないと考えております。もっとも米日の相互負担の率については、別途定められているところがございますので、明らかにこれは米軍のすべての責任による発射でございますから、米側の七割五分負担ということになると思います。  なおチリのクーデターに関して、成田社会党委員長の発言等を引用しながら、わが国の自衛隊は衛隊は完全なシビリアンコントロールのもとに置かれており、しかも政府の、総理大臣の指揮監督のもとに置かれておるわけでありますから、その指揮監督しておる政府あるいはシビリアンコントロールを果たしておる政府というものを転覆することがクーデターでありましょうから、そういうことが行なわれないだけのチェックはきちんとされておりますし、またわが国の自衛隊がそのような不穏当な動きなり、あるいは不穏当な考え方なりを持っておるものでもありません。したがってチリで軍のクーデターが起こったからといって、わが国の自衛隊のあり方というものを議論するということは、直結するのには少しふさわしくないのではないかということを考えておりますが、そうでなくとも、われわれ自衛隊はどうだと言われれば、そのような心配は全くない、完全に統制を保っておるということであります。
  24. 藤尾正行

    藤尾委員 すでにお約束の時間を五分経過いたしておりますので、私の質問はこれで終わります。
  25. 三原朝雄

    三原委員長 大出俊君。
  26. 大出俊

    大出委員 きょうはミッドウエー寄港をめぐりまして、さっきもお話がありましたが、いままで何回かにわたりまして外務大臣その他関係の方々と詰めてまいりましたが、いよいよ入ってまいりましたから、その問題についての質問中心にいたしたいと思っているわけであります。  かつ金大中氏の拉致事件に関しまして、これまた自衛隊の当時現職にあった方、また退職をした方々が関与していた現実もございますから、また法務大臣の先般の御答弁を受けまして確かめておきたい点もございます。  この問題をもう一点承りたいわけでありますが、さらにもう一つ、先般、これまた私この席で少しこまかく質問をいたしました沖繩の米軍雇用員である四種の方々についての——旧四種でございますが、この点も政治的にものをお考えをいただかなければならない段階に来ていると思いますので、時間の許す範囲でこれまた承りたいのであります。  御出席いただきました法務大臣並びに警察庁の皆さんの御都合がおありのようでございますから、順序を変えさしていただきまして、皆さんの御都合に合わせて、金大中関係の問題から質問をさせていただきたいのであります。  そこでまず第一に、法務大臣が先般の私の質問に答えられまして、繰り返して、この事件は某国のCIAのやったことである、こういう趣旨のことを、第六感ということをつけ加えて私にもお答えになりました。何が一番ポイントかといえば、拉致事件が起こる前の状態に返す、これが大事なんだ。そのためには、金大中氏はじめ三人の方々の再来日が必要である。梁一東氏あるいは金敬仁氏を含むのだと思いますが、このことが基本的な立場である。以前の状態に戻す。そうでなければ捜査当局の責任が果たせないし、負えない。また、国際間の現状に照らしてみて当然なことである。この主張を変えない。こういうお話を実はなさいまして、かつ金大中氏が再来日をするということが、私の考えからすれば刻々近づいている、こう私は判断をしている、こういう話がございました。  二つに分けて承りますが、このときに私がKCIA、こういうことばを使いましたら、それは大出さん、あなた重大なことをおっしゃる、そう言ってしまえば、これは韓国のCIAだということになってしまうじゃないかというお話がございました。しかし第六感を交えておっしゃった某国のというのは、だれが受け取っても、これはKCIAにつながる。だから、世論は、法務大臣がはっきりものを言ってまことにけっこうだ、日本の主権侵害を含めて重大問題だから、ということになっているわけです。ただしかし、あの席でははっきりあなたはおっしゃらなかった。その後の警察庁の捜査の裏づけ、金東雲氏の問題等が出てまいりました。明らかにこれは一等書記官であることに間違いはない。だとすれば、もうこの段階まで来ればはっきり某国ではない、韓国がと、CIAがと、ここまで、あるいはCIAが言い切れなければ韓国がでもよろしゅうございますけれども、やったことである、拉致事件というのは、金大中氏を連れていったのは。これは、もうここまで来ればはっきりしている。この一点まずどうでございますか。
  27. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 私も先生の御意見と同様でございます。私が第六感ということばを使って発言をいたしました当時と事情は全く違ってきた。その事情の変わってきた根拠は、ただいまお話しになりました金東雲一等書記官の行動というものが指絞によって証明されたということが明瞭になり、日本の捜査当局がこれを公式に発表いたしました。この発表をいたしました瞬間から私は先生と同様の考えを持っておる。いまや某国ではない、KCIAというか国家機関だ。韓国国家機関だということを政治的に限定して差しつかえがないのだ。  政治的とはどういう意味か、こういうことでございますが、政治的ということは、法律的、国際法的という意味に対して言うておることばで、政治的、常識的にはまさに韓国の国家機関の行動ということは間違いはない。この限度で十分だ、こう判断をいたします。  政治的でなくて国際法的にはどうかというと、金一等書記官は国家機関ではあるけれども、本来、一等書記官というものはそういう権限は持っていない。本来持っていない国家機関がやったんだということになるのでありますから、何か権限ある国家機関から指示を受けたとか、そそのかされたとか、黙示の命令を受けたとか、あるいは事実上韓国のCIAたる任務を一等書記官が兼任をしておったとか、そういう職務行為の証明というものを国際法的にはせねばならぬ。国際法的にこの証明をいま一段やり上げなければ、国際法上責任があるではないか。原状回復をやれ、何を言っておるかという態度には出がたい。  そういうふうに政治的な判断と、もう一つは、国際法上の法律的な判断と区別をいたしまして、時間をかけてくどい答えをして今日に及んでおるのでございます。そういう事情でございます。  常識的、政治的には一体それで十分なのか、議論の余地がないのか、こういいますと、政府機関でなくてやれる犯罪ではないではないか。恋がたきが人を殺した事件と違う。物取りが物を取ったという事件と違うじゃないか。この犯罪は政府機関でないものが起こし得る犯罪かどうか。この条理を背骨に通して事態の判断をいたしましたら、条理の上からは、指紋が発見されたという事実だけで十分である。韓国政府機関が責任を負うべき問題である。言いのがれは許さないんだ、こういうふうに私はいまも考えるに至っております。  金東雲の指紋が発見されたという公式発表がありました瞬間以後は、いま申しておりますとおりに、二つに分けて考えておるのでございます。
  28. 大出俊

    大出委員 警察庁、きょうは警備局長さんがお見えになっておられますが、この指紋というものでございますが、いろいろ仄聞はいたしておりますが、都内で一つの犯罪行為が行なわれた、その指紋を照合するというふうな作業、いろいろケースが違いましょうが、どのくらいかかるのでございますか。それから全国的にいったら、指紋照合というのはどのくらい時間がかかるのでございますか。技術的な点でございますが、ひとつこの際承っておきたい。  あわせて、その指紋照合の結果だれだれの指紋である、こういう結果が明確に出た、山本さんが御発表になったとおりであります。その場合に、どこか相手の国は、それでもなおかつそんなことはないと言う。それほど指紋照合というものは非科学的なものかどうか。この点、確信のほどをあわせて明らかにしていただきたい。いかがですか。
  29. 山本鎮彦

    ○山本説明員 一般的にいって指紋確認のための時間は、指紋の鮮明度なりいろいろな条件によって左右されますけれども、この場合は警視庁の長年の経験を持つ専門家が判断しまして絶対に間違いないということでございまして、われわれはこれについて確信を持っております。
  30. 大出俊

    大出委員 そこまで確信をお持ちであるとすれば、まさに法務大臣おっしゃるように、その瞬間から韓国国家機関あるいはKCIAかもしれない、そういうものが行なった犯罪行為であったというふうに捜査当局立場からすれば断定をして差しつかえない。つまり金東雲氏の指紋であったという点は断定できる。となれば、金東雲氏の身分は一等書記官でございますから、重要な時点において一等書記官がかかわり合っていた、この点だけは明確にできますか。
  31. 山本鎮彦

    ○山本説明員 そのとおりでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 韓国の国会でも、三尺の童子でもこの件はKCIAであることを知っているという趣旨の表現、読み上げませんから多少違いましょうが、こういう発言が出ている、わが国の新聞の報ずるところによれば。  そこでもう一点、念のために承りたいのですが、新聞の報ずるところによると、田中法務大臣はいまちょっと口にされ、ましたが、恋のうらみじゃあるまいし、外交官の私的な犯罪であるわけがない、こういうふうにお述べになっている新聞記事があります。いままでの第六感とおっしゃっていたことが現実に照らして正しかったということをお話しになっている。だとすれば、これはもう断定できるわけでありますから、そうすると私はどうもわからないことがあるので、ここで外務省の側へ聞きたいのですが、九月の五日の時点の新聞等によりますと、後宮大使が金鍾泌首相と会談されておる。この会談の中で金大中氏、梁一東氏あるいは金敬仁氏、三人の再来日の問題について何か条件についてのお話を持ってこられたのかという質問が韓国の首相からあった、この旨が明らかになっている。ここには何回も後宮大使がお話しになっていることが書かれている。そういうふうに「「何か条件についての話をもってきたか」との質問があった。」これは大使自身がおっしゃった。この記事からすると、再来日は条件で詰めに入っている、こういうふうに受け取れるいきさつがここに書いてある。この点は外務省の側は一体どういう判断をこの時点でなさっておったわけでございますか。
  33. 中江要介

    ○中江説明員 御指摘の新聞記事が出ましたころに、金大中氏を含む三氏の再来日について条件の話し合いになったのではないかということがしばしば方々でいわれたわけでございますけれども外務省として承知しております限りでは、そういう話が後宮大使と金鍾泌国務総理との間であったという報告は受けておりません。その段階において後宮大使が申しておりましたことは、先ほど来お話がありましたように、まだこれが法的に、特に国際法上韓国にいろいろ話を申し入れる前提となる日本の主権侵害行為があったかどうかということについて国際法的に断定し得る段階でなかったわけでございますので、当時の後宮大使の申し入れといいますのは、日本の捜査活動に協力してもらって、日本の捜査が進展して真相が糾明されるためには、三氏の再来日が非常に役立つのだということで、そういう観点から、日本における捜査活動への協力要請という観点から、三氏の再来日をお話をしていた、こういうのが九月五日前後の状態でございます。
  34. 大出俊

    大出委員 外務省の側からもう一ぺん。国際法上とおっしゃっているのは、法務大臣から抽象的なお話がございましたが、ずばり言うとどういうことになれば国際法上この事件はあなたの国がおやりになったのだと言えるのか、そこのところはどうなっているのですか。具体的に言ってください。
  35. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 これは私の発言に関連のある先生のお尋ねでございますから、私からお答えをいたします。  外務省は、職務行為の立証を力を入れてやり上げようという考えを持っておる。私は、職務行為の証明が行なわれなければ、国際法上、国際法に基づく外務省が原状回復の主張をなさることはむずかしいのではないかという意見は先ほど言うたとおりであります。しかし、私的な犯罪であろうはずがないという見解から申しまして、指紋一致の発表が行なわれた瞬間以後においては韓国の国家機関がやった行動であるということを、私は、政治的常識的にはこれを信ずるのだ。この政治的、常識的に力を入れておりますのが私の立場、国際法上の交渉をしていく上にはいま一段職務行為の立証が要るのだという立場外務省立場、これは何も違ったところが一つもない。同じことを両面から言っておるわけでございます。  そこで先生お尋ねの、犯罪上どういう証拠が明瞭になれば国際法上も原状回復の主張ができるのかと申しますと、たとえばこの国家機関、金一等書記官という国家機関が捜査当局あるいは情報部当局から資格を兼任しておったとか、あるいはやれという示唆を受けたとか、一口に言うそそのかされたとか、こういう関係が存在をする場合、資格を兼任しておったとか、そそのかされたとか、やれと言われてやったとかいうその関係がいま一押しで出てくるのではなかろうか。この関係が出てまいりましたときに、初めて国際法上原状回復の主張ができる。これに苦心中である。幾らか時間がかかっておる。こういう状況でございます。
  36. 大出俊

    大出委員 幾らかの時間じゃないのです。これはだいぶ時間がかかり過ぎているのです。  そこであなたが言うように職務行為の中でKCIAの身分を兼務していたとか、あるいはやれという示唆を受けたとか、そそのかされたとか、この主体は韓国政府自体であり、あるいは韓国CIAそのものです。そうでしょう、向こう側です。韓国政府がいまの現状で、そう簡単に示唆をしたとか、そそのかしたとか、あるいはKCIAの部長李厚洛氏が実は兼務させていたとか、そんなことを言えるはずはないじゃありませんか。そんなことはそれこそ常識でわかるじゃありませんか。それをもう一押しで出てくるかもしれぬとあなたはおっしゃるのだが、何を根拠にもう一押しで出てくるとあなたはお思いになるのですか。
  37. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 捜査の具体的内容は私の所管でありませんから、具体的捜査の内容に言及するわけではありませんけれども、事件を中心として関係者の捜査に手を尽くしていけば、示唆を受けてやったものだ、命令を受けてやったものだ、表向き辞令はもらってはおらぬけれども、韓国のそういう関係にあった者はどの限度において事実上CIAの任務を兼任しておったというようなことは、捜査技術に全力を尽くせばわかるのじゃないでしょうか。一人や二人のことじゃございますまいから、私はわかるものと思う。世界に冠たる日本の警察の腕にかけてこれぐらいのことがわからぬはずはない。時をかけて人間をシラミつぶしに調べていけばわかる、こう考えております。
  38. 大出俊

    大出委員 警察庁の皆さんに聞きたいのですが、いろんな捜査の過程、経過が新聞等に載っております。いまいみじくも法務大臣が言われたように、いまの韓国と日本の関係で向こう側から示唆をした、そそのかした、あるいは表には出ていないけれども、KCIAの任務をあわせて兼ねていたなどということを言うとは思えない。これは常識でしょう。だとすると、こちら側の警察の捜査能力の範囲で、こちら側で捜査し得る範囲で職務行為についての一つのポイントが出てくる。もう一押しでそれが出るかもしらぬという発言まで法務大臣からあった。そうすると、その方向であなた方のほうは調査をなさっているのですか。捜査をされているのですか。その展望はどうお持ちなんですか。いかがでありますか。
  39. 山本鎮彦

    ○山本説明員 そういうことで直接金東雲氏の任意出頭を求めたわけでございます。これが外交特権ということでこちらに来れない、よこさないということで、そういうことはいまのところちょっと望めないわけですが、しかしこの点は、さらに外務省を通じてお願いをしていく。さらに関係者、これらの捜査は、いまいろいろと徹底して各方面からやっておりますので、そういう方面についても絶対に可能性はないというわけじゃございませんが、非常にむずかしいということは御承知のとおりでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 念を押しますが、非常にむずかしいが、可能性はないわけじゃないとおっしゃるのですから、裏返せば、非常にむずかしいが、いま法務大臣がお答えになったポイントについて、職務行為というものをある程度証拠あるいは人によって——関係者かいるのですから、人によって確認し得る、つまりその可能性をお持ちである、こうなりますな。非常にむずかしいが、可能性がないわけじゃないとおっしゃるのですから、非常にむずかしいが、法務大臣がおっしゃる人あるいは状況というふうなものを中心に捜査当局は捜査を進めていけば、裏づける可能性はある、こう考えてよろしゅうございますな。
  41. 山本鎮彦

    ○山本説明員 そういう形でいろいろな方面からやっていけば、絶対に可能性がないというわけではないというふうに考えております。
  42. 大出俊

    大出委員 もう一点聞いておきます。外務省アメリカの側か——ここにまとめて書いたのかありますから申し上げるのですが、八月の二十日に韓国向けのVOA、これを中止をする。同時にロジャーズ国務長官が記者会見をする。「アメリカは金大中氏の身の安全と事件の国際的影響を懸念している。アメリカとしては、KCIA(韓国中央情報部)の違法な活動にかねがね反対していた」これは日本の新聞にも紹介され、載りました。アメリカ側はここまでずいぶんはっきりしたことを言い切っている。  さらに当時のワシントン・ポストなんかもそうですけれども、事件をKCIAの犯行とほぼ断定した論調で書いている。実態を特集している。  さらに二十六日にハビブ駐韓米大使が急速アメリカ本国に帰国をする。すぐそのあとポパー国務次官補、これは日本にも参りましたが、国際機構担当、ベネット国連次席代表のソウル乗り込みと、アメリカ側の動きというのはこう続いたわけですね。ポパー氏は日本にも寄りました。そのあと、後宮大使が金大中氏に会うというふうに発展していったわけですね。ずいぶんはっきりしている。  そこへもってきて、最近公式見解ということで、これは一カ月ばかり確かにアメリカは新聞を見る限り何も言っていない。ところがちょうど今月の二日、ポーター国務次官が米国の見解という意味で日韓両国の問題を取り上げて、こういう状況の中で金大中事件というふうなものが起こったことはまことに遺憾だという前提で、もし身分上の安全を含めましてこの問題の解決を韓国側がはからなければ、アメリカは黙ってはおれないということをアメリカから韓国側に言うてあるという趣旨のことを公にしている。ここまでのことがアメリカ側で、当事国の日本でないアメリカの側でものがいえる。にもかかわらず、どうも日本外務省のやっておりますことを見ておりますと、まことにそこのところがどうも、腰抜けというのは腰がまだあるのですけれども、腰抜け以前で腰がないのじゃないかという世の中の意見まであるくらいに、とにかく結果待ち。これしかものを言わない。ここらのところは、一体外務省はそんなに韓国と仲がよ過ぎるのですかな。どうなっているのですか。いかがでございますか。
  43. 中江要介

    ○中江説明員 本件につきまして日本政府、特に外務省当局がとっております立場は、いままで何度も繰り返して申し上げておりますように、真相を究明した上で、それを踏まえて内外に納得のいく解決をするのだ、筋を通した解決をするのだ、ということで、まず真相がはっきりすることがすべての先決問題だ。真相がはっきりしないうちに、まさしくいま先生がおっしゃいましたように、なれ合いだとか適当にごまかすとかそういうことは許さないということでいままで臨んでおるわけでございまして、時間がかかっているために真相の究明をないがしろにしているような印象をもしお持ちいただいているといたしますれば、それは私どもの意図するところと違うわけでございます。アメリカ政府は、本件は全く日本と韓国との間の問題であるので、第三国たるアメリカとして介入する意図は毛頭ないにいたしましても、この極東における日本と大韓民国という友好国の間で起きた事件でありますので、当然のことながら米国といたしましても関心を示し、またその成り行きを注目している。現在までのところ、日本政府はもっぱら韓国政府との間で、まず本件の真相の究明ということに努力しておるのが現状でございます。
  44. 大出俊

    大出委員 時間がきょうだいぶおくれておりますから、そういう意味で先を急ぎますが、金山前大使が韓国に行っておりますね。これはどういうことでおいでになったのですか。
  45. 中江要介

    ○中江説明員 金山前駐韓国大使は、退官されましてから、御自分で国際問題に関する研究所をつくっておられまして、その仕事で退官後も何度か韓国に行っておられるわけですが、最近、最も最近ソウルに渡っておりましたけれども、数日前御帰国になったと聞いております。いずれにいたしましても、前駐韓国大使の金山さんの行動につきましては、私どもといたしましては、その研究所のメンバーとしての御活動でございますので、とやかく言うということはもちろんないわけでございますけれども、何ぶんにも元外交官でおられたわけですし、また韓国との間に友人知己も多い方でございますので、日本政府がどういう考えで本件に臨んでおるかということは、おりに触れて非公式に外務省首脳との間で相談はして、意見は体して韓国に行っておられると思いますけれども、この金山前大使の動きを、政府のいまやっている日韓間の話し合いの正式の一つのルートに乗ってやっていただくというようなことは、いままでもやっておりませんし、目下のところ、そういうことは考えられていないということでございます。
  46. 大出俊

    大出委員 それに関して二、三点承りたいのですが、一つは、日韓定期閣僚会議を十月下旬に開くよう日本側に要請してきた、こう言っている、金山さんが。これは事実でございますか。十月下旬に開くように要請してきた。あわせて岸信介さんあるいは石井光次郎さんがおいでになっているようですけれども、こちらの側にも、朴大統領から直接、つまり日韓閣僚会議等をめぐる経済援助の問題を急いでもらいたい、切り離してこれは急いでくれという意味の要請があった、このことを記者会見で明らかにされておりますね。そこまで、金山さんもそういうことをはっきり言っておられる。また議会の大先輩お二人がそういうふうに言っておられる。これはないはずはないと思うのですね、そこまで来れば。現地に行っておられるのですから。そこのところは一体日本政府はどう受けとめて、どういうふうにお考えなのか。政治というのは、相関連する問題が多くございますから当然だと思うのですが、そういう前提を一つとらえて、金山さんのおっしゃっているのは、田中総理が帰国をされたら金大中事件、この問題は動き始めるだろうというのですね。事態の進展があるだろうということです。そういうニュアンスのものを言っておられるわけですね。こちらのところは一体外務省側はどういうふうに受けとっておられますか。
  47. 中江要介

    ○中江説明員 まず金山前大使のお話しになっておりますことは、新聞その他では承知しておりますけれども、まだ御帰国の上私どもの耳には正式に直接のお話は承っておりませんので、何とも申し上げられないわけでございます。  それから日韓協力委員会のために韓国に行かれました岸元総理御一行のお話につきましても、たしか日本政府首脳が外遊から帰られたら、自分でいろいろ報告するというふうにおっしゃっておるというふうには聞いておりますけれども、われわれ事務当局は何ら報告を承る機会をいままで持っておりません。
  48. 大出俊

    大出委員 そうすると外務省としては、この金大中問題は今後どういうふうに動いていくというふうに見通しておられますか。  あわせて法務大臣に承りたいのですが、金大中氏再来日は刻々近づきつつあるということを先般、私におっしゃっておる。いまはもう一押し押せば、つまりこちら側の手持ちの捜査という形の中で、職務行為の裏づけその他を含めておられるかもしれませんが、そこらの問題は先ほど出てまいりました。そこらを総合的に考えて、刻々近づいている。なお近くなった。この間刻々と言ってからだいぶになりますね。あのころから刻々だというと、いまごろはもう何とかなっていなければなりませんけれども、そこのところは法務大臣どのようにお考えになりますか。あなたのたいへんぴたりと科学的に計算をされておるのじゃないかと思うぐらい当たる六感を含めて、ひとつこれはお答えを願いたい。
  49. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 おだてられても、この問題はなかなかてきぱきものの言える材料がないのですね。ありのままに申し上げますと、いまわが国捜査当局が全力をあげて苦労をしてくれておりますが、職務関係というものに基づく行動であるということが立証された。立証されますと、外務省を通じまして、外務省もここに御苦心があるわけでありますが、外務省を通じまして、正式に原状回復の国際法上の要求をする、こういう段階になります。  ところが、その段階に至るまでほっておくことはないじゃないか。本人の意思によって韓国へ本人が帰っておるものなら話は別であります。本人の意思によらずして拉致されて韓国へ帰る結果になっておるのだ。これが事実であるとするならば、犯罪捜査のために再来日ということをさせてくれていいじゃないか。何でそんなことができぬのか。事件が起こったのは日本である。この事件の出発点である日本というものに関係者が協力をしないで、事の真相が明白になることはないではないか、こういう立場から、さらに進んでは、一体それだけの事情がある場合においては、韓国は日本に対して協力をしてくれるだけの責務があるじゃないか。どんな責務かというと、日韓両国という関係を反省してみたらよかろう。日韓両国というこの緊密な間柄を韓国は反省したらよかろう。それを反省すれば、本人の意思に基づかずして拉致されたものをもとに返して、そして捜査に協力をするということは当然のことではないか、こう理を詰めていく。そんなことさえ聞かぬというように日本をなめてかかるのならば考えがあるぞ、日本にも打つ手はあるのだぞということが、こちらのほうにもあるわけでございますから、私はこれを推し進めていけば、損得、利害の点から考えてみても、一応原状回復ということが行なわれるか行なわれぬかがきまるまでに、再来日ということには応じなければなるまいということに、条理の上からなるのではないか。両国の緊密な関係から、それに応じてくださる韓国さんのほうに責任がある、責務がある。こういうところから私は必ず帰るということを言っておる。いまも思っておる。外務省にも激励をしております。しっかりやれ、腰を強くしっかりやれ、こういうことをやっていけばきっと戻る。いまもそれを思っております。ただ時間がかかっておるということが申しわけがないのでありますけれども、そう考えております。
  50. 大出俊

    大出委員 私もへっぴり腰ということばをこの間使ったら、うしろのほうからへっぴり腰は腰があるんだ、外務省のやっているのは腰がないんだからへっぴり腰以前だという話が出ましたが、ほんとうにここまで来ると、先ほど一番最初に法務大臣答えておりますが、私、全く同感で、ここまで来て何で外務省がそう弱くならなければならぬのか解せぬわけです。したがいまして、いまの御発言にありましたように、国民の大きな疑惑であり、大きな不満であり、ふんまんやる方ない人もいるわけでありますから、早急に主権国家日本立場ということを考えて——かつ政府ペースで援助をするといえば、これは国民の税金です。そこまで一生懸命援助をして、それでこんなことをされて黙っていなければいけないのかという、これは世の中の方々の一般的な常識ですよ。世論です。そのことを踏まえて問題解決を進めていただかないと政治不信が起こりますよ。ぜひ、これはそういうことで進めていただきたい。  ついては、何でこういう事件に自衛隊の諸君がからんでいるのかという点について、これは責任がないというような、かってなことを担当の自衛隊のえらい方はおっしゃっている。私は新聞の談話を見て何とも腹立つ限り。ここにございますけれども、目的を知らずに見張りをやったのだから、倉重さんという方ですか、この方が陸上自衛隊としてそう問題はないのじゃないかと考えている、こういうのですが、これは手続の問題が残っていたのだから、実際には退職していたのだと言ってみたって、当時籍があったことは間違いない。そうだとすると、たまたま戸塚の原田マンションを見張っていた。そのときに金大中氏が出てこなかった。だから、問題はない。そこに問題があるのじゃない。では、一体出てきてそこでトラブルが起こったらどうするんだということになる。二日ないし三日張ったけれども金大中氏が出てこなかった、何もなかった。だからやめた。何でもない。そういう筋合いの問題じゃない。これはこの国の国民考えてごらんなさい。自衛隊も一枚かんだんじゃないかという気持ちはみんなの頭にある。それをそう簡単に、その責任はないんだということで事が済む筋合いのものじゃない。  では、承りたいのですが、実は、新聞等に二回ばかり調査隊等についての、あるいは小平の調査学校等についての質問が国会であったということが書いてありますが、その一回は私なんです。これは私がアメリカのCIAをずっと追いましたときに、いまの副長官後藤田さんが警察庁長官ですが、CICとの関係をみんなお認めになった。私はそのときに、この席にたくさんの方においでをいただいた。実は時間の関係がありますからあまり詰められませんが、そのときには、内閣調査室の室長さんから、警察庁の方々から、長官にもお見えいただいた場面もございました。公安調査庁の方々からみんな出ていただいた。私はここで長い質問をしている、具体的に事件をあげて。CICだと言ってきた、軍だと言ってきた。そうすると、これは軍である限りは警察に責任がある。いろいろ話をし、お手伝いしなければならぬ面が出てくる、地位協定その他ございますから。ところが、その方がいつの間にかCIAであったというても、これは実はわからぬという発言まで当時は出てきている。後藤田さん自身がそうだ。しかも講和発効以前というのは、言うとおりやっていた。その慣行はいまだに残っておる。ローランズ事件にしても、ボクロフスキー事件にしても残っている。だから、これを機会に、CIAの問題であっても警察当局は、そこに中心を置いて捜査をする、こういうふうに言われてケリをつけたいきさつがある。実はこのときに自衛隊との関係もたくさん出てきている。知らないわけではない。だが、残念ながらここでこまかく申し上げている時間がない。  そこで幾つか承りたいのですけれども、最近、新聞はもちろんのこと、方々のいろいろなものに陸士の五十三期松本重夫さんという方の件が出ている。どうしてこれが出てくるかというと、これは防衛庁長官に確認をしたいのでありますけれども、このミリオン資料サービスなる飯田橋の事務所はたいへんなところにあります。それは私ならずとも、だれが行ってみたって、あんなところはそう簡単にわかるところじゃない。記者の諸君に聞いてみても、六人聞いたがわからなかった。それだけわからぬところにぽかりあらわれて、佐藤という名前でものを言うような都合のいい場所じゃない。そうだとすると、だれかがそこに介在をしている。まず第一に、旧来からKCIAの方々なりKCICの方々なり、いずれかと相当な関係がなければ常識がおさまりませんよ。したがって坪山さんという方、またここで仕事をしておられた江村菊男さんという方ですか、この方々について一体警察当局、捜査当局は——坪山晃三さん、ミリオン資料サービスの所長さん。これは開所が八月一日ですか。江村菊男さん、これは会ってお調べになりましたですか、聞かれましたですか。  あわせて金東雲氏なり、あるいは黄さんという書記官がおいでになりますね。これは新橋の渋谷さんという方のほうとの関係がおありのようでございますけれども、二等書記官の方。ここらのところは一体どういうことになっているのですか。  あんまりだくさんの方々出ていましてね。これはやはり黒白をはっきりつけていただきませんと……。そうでないのに、松本重夫さんという人が人がと、こういうふうに一ぱい世の中乗っかっちゃったんじゃ、御本人の立場もある。しかもある新聞によれば、捜査当局は松本さんが韓国に行っちゃっておられないから調べようがないというようなことを言っている中身もある。ここのところは一体どうなっておるのですか。私どもの党のほうの側からも、まずひとつ御調査を願いたいということをあなた方に申し入れているはずであります。松本重夫さんなり、江村さんなり、そこの所長の坪山晃三さんなり、あるいはその前から調査機関をおやりになっておられる渋谷さんなり、そこらのところは、捜査当局は一体どういうことになったのですか、お調べの結果は。ここで明らかにしていただきたい。
  51. 山本鎮彦

    ○山本説明員 お答えいたします。  その私立探偵社の二人の方ですが、この方は自発的に、金大中事件が起きてから捜査当局に、金大中氏を原田マンションのところで数回にわたって見張りをした、そういうような形の申告がございまして、御本人からその間の事情については承っております。  それから松本さん、これは韓国へ行っておられたのですが、この間帰ってこられて、先週の土曜日、捜査本部のほうで十分その間の事情を伺いました。御本人のお話によると、金大中さんも全然知らないし、それから私立探偵社の二人の方も知らない、今度の事件については私は全く関係がない、こういうようなお話を詳しく聞かせていただいております。  それから渋谷さんですね。この方はいま、こちらのほうに来て話をしてもらいたいと連絡をしているのですが、いろいろな都合でまだこちらのほうにあらわれておらないのですが、遠からずいろいろとお話を聞けるものというふうに考えております。
  52. 大出俊

    大出委員 それだけじゃ困るのですよ。つまりだれかが頼まなければ原田マンションの見張りはしないでしょう。この坪山晃三さんという方と江村菊男さん。もう一人おられるようですな。これはお名前のほうは間違いないですか。坪山晃三さんでいいのですか。江村菊男さんでいいのですか。この方々ですな、つまりどちらの方が直接見張りに立っておられたか知りませんけれども、原田マンションの張り込みに当たった方は。どちらの方がどうなっておるのですか。しかも、これはだれが一体依頼して、金銭的にはどうなっておるのですか。
  53. 山本鎮彦

    ○山本説明員 そのお二人の方は、名前は絶対に言ってもらっちゃ困るということで捜査に協力していただいたわけなんで、名前は私ども確認できませんが、その二人の方は直接——その佐藤という方は、どういう理由か知らないけれども、たずねてきて依頼をされた。それで依頼に従って原田マンションのところで個人タクシーの自動車を借りて、金大中さんが来るか来ないか、そういうことを見張っておったという事情でございます。  それから契約については、これは私的な契約なものでございますので、やはり私立探偵社としてそういう内容については秘密にわたることであり、申し上げられないということでございますので、私のほうでも詳しくは聞いておりません。
  54. 大出俊

    大出委員 もう一つ、続けて承りますが、つまりこの江村さんという方ですかね、坪山晃三所長を通じて江村菊男さんとともに目黒区の個人タクシーをチャーターした。羽田の国際線到着ロビーの玄関前にこの個人タクシーをとめて、一人の男がここで乗り込んだ。それから金書記官ら五人は税関口ロビーに散って、監視の目を光らせていた。これは原田マンションよりもまだ前。原田マンションは二十六、七、八ですよ。これより前の七月二十三日。ここで張り込んだ相手の人は、張勉内閣の時代の国連大使をやっておられた林昌榮という方ですね。この林昌榮氏は二十三日以降に張り込んだんだけれども、おりてこなかった。ところが数日前に先に着いてしまっていた。都内のホテルを、連日宿泊所を変えて転々とされた。この林昌榮という人は、七月十七日に来られて八月十七日までおいでになった。八月の二日の日に、場所もわかっておりますし、連絡もとってみましたが、ある料亭で歓迎会があった。その帰りに尾行されて、やっとこさっとこ逃げた。運転した人の名前もわかっておる。こういういきさつになっておりますが、この林昌榮氏を二十三日に羽田で張っていた。これも実際にやっておるのですよ。そうすると二十六、七、八日にとにかく頼まれたという簡単なものじゃない。そこのところはどうなっておるのですか。
  55. 山本鎮彦

    ○山本説明員 その私立探偵社の方に伺いますと、二十三日にほかの用事で羽田へ行って、ほかの仕事をしておった。その関係で、たまたまいたところの個人タクシーの人に頼んで、その中で監視活動をしたんだ。そしてその運転手さんが非常に気に入ったというか、非常にいい人なので、今度のときにまた頼もう、そういうふうにきめて、そしてさっき話したような形の仕事をあとでお願いしたということで、二十三日は全然そういう形で行ったんじゃないというふうに本人は申しております。   〔委員長退席、奧田委員長代理着席〕
  56. 大出俊

    大出委員 いまのお話では、行ったんじゃないが、たまたまそこに行ったから車の中で監視をしたとあなたはおっしゃる。目的はどうあれ、監視していたことは間違いないじゃないですか、あなたのいまの答弁では。そうあなたいいかげんなことを言っちゃいかぬですよ。事実であればある、ないならないと言ってくれなきゃ。これだけ新聞に出ておるものを。そうでしょう。あなたはそんなことを言ったって、この新聞に出ておったとおりじゃないですか。あなたは、そこでたいへん気に入ったからということで、この個人タクシーをまた頼むといってまた頼んだというんだから。あとで二十六日からこのタクシーを頼んだんだから。そうでしょう。このタクシーをチャーターして、このタクシーの中で監視をしたんだ。何であなたそこまで妙なことを言うのですか。
  57. 山本鎮彦

    ○山本説明員 私の申し上げたのは、二十三日はほかの仕事で飛行場へ行ったというケースです、ほかの頼まれた別の仕事で。そしてそのタクシーがたまたまいたので、その中で見ておった。全然違う仕事であるということでございます。さっきお話しになった張何とかという方とかそういう方ではなくて、私的の、その探偵社の契約したほかの仕事のために羽田へ行ったということであります。
  58. 大出俊

    大出委員 この新聞には——新聞かでたらめを書くのだという前提にお立ちになるのならば別だ、先ほどの質問のように。それは、記者の方だって専門にみんなやっておられるのですから、そんなにいいかげんなことをそこらの新聞に書きやしない。これだけ明確に時間的なことまでちゃんと全部書いてある。しかもこれは、この金大中事件に出てくる五人の方と直接一緒になって監視をしたというのは、これは初めての目撃者だ。しかもこれはエレベーターその他例のグランドパレスホテルのときのいきさつの方々と、この目撃した方の証言は一致する。この中からAという人物が浮かんできた。さっき法務大臣が言っていましたが、一人でやっているのじゃないのだから、属人的にこの人というので調べていけば、職務行為の裏づけができるという。この記事の中には、その浮かんできたAという人の捜査を進めている。ここまで明らかにされているじゃありませんか。それでもあなたのほうは、この新聞記事は全くでだらめだとおっしゃるのですか。
  59. 山本鎮彦

    ○山本説明員 私のほうは、その私立探偵社の方に詳しく事情を聞いたところ、先ほど申し上げましたように、別の用件、別の仕事で羽田へ行っておって、そしていま申し上げたようなことであって、ほかのほうのことは私ども一切彼からは聞き出すことはできませんでした。
  60. 大出俊

    大出委員 それじゃこの記事がでたらめだということになるですな。  そこで時間がございませんので、長官に承りたいのでございますが、こういう事件が起こり、自衛隊には調査隊という一つの組織があり、こういう問題が起こったことについて、ただ単にこれらの方々が退職願いを出していた、あるいは退職をされていたというふうなことだけで事は済まぬと私は思うのですよ。特に身分のあった方もおる。ここらの点は、きょうは時間がありませんから深く立ち入ることは避けますけれども、この席で、担当の委員会ですから、長官のほうから、一体今日どう考え、将来どういうふうにお考えになるかという点をはっきりさせておいていただきたい。すっきりしませんから……。
  61. 山中貞則

    山中国務大臣 私も調査隊の組織としてそのようなことに関与するということがあれば重大な問題だと思いましたから、詳細な調査を私自身がいたしました。しかし陸上自衛隊の調査隊としての組織的な行動というものは、韓国側の機関と一緒になってやったとはとても受け取れませんし、またそのようなことはだれも知っておりません。でありますから、やはりこの二人が何らかの理由によって接触を持っていた。したがって除隊をして、自分たちの調査隊によって、ある程度自分たちでもできるような仕事である興信所というようなものを開いた。そういうことで、おそらく何らかの問題で知り合っていたことが、彼らをしてその見張り等につかしめたのではないか。  そこで在職中に知り合って何かやったかという問題でありますが、これはまず本人たちに聞いてみたい。上司のほうはわかりませんし、同僚もわかりませんから。そのようなことはないと言っておりますから。ところが一ぺんやめておりますので、警察のように出頭させることはうちはできません。そこで陸幕長に命じて、協力を願っていろいろと教えてくれということを言ったのですが、どうしても連絡がつかないまま今日に至っておるということが実情であります。したがって辞表は出して、七月十三日に決裁は方面総監がしていたにしても、八月一日付の退職でありますから、本人の気持ちがどうあろうと、いわゆる公務員としての身分がなお残る期間内において行なった行動というものはきわめて遺憾であると思いますし、今後このようなことが起こり得る素地がないかどうか、これについては私の手元でいま相当な時間をかけて議論しておりますし、私自身も調査隊がそのような体質を持っているのではないかという問題に、少し自信を、自分がこれはだいじょうぶだという自信を持ちつつありますけれども、もう少し究明をしてみたいというのが残っておりますが、今回の事件には組織として関係はしていなかったということであります。
  62. 大出俊

    大出委員 最後に、念のために承っておきますが、これは四十四年六月二十四日の私の質問です。このときに私のほうから、小平の陸上自衛隊の調査学校、これの卒業生は何人ぐらいいますかと、設立年月日を申し上げて承った。六千人をこしているのじゃないですか、そのうちで純粋な情報関係というのは三千五百人でしょうというところから、戦略情報分析というコースその他ずっとあげまして、私はここで聞いている。どうもこのときの卒業した人たちの数は間違いなかったようであります、御答弁からすると、宍戸さんが答えていますが。いまどのくらいになっていますかな、卒業された方々は。あわせて中央の機構からいきまして、陸上幕僚監部第二部長さんがおいでになって——中央調査隊かここにあります。斎藤念一佐さんですか、この下に西部方面、中部方面、東部方面、東北方面、北部方面とこうあるわけでありますが、このほかに別班というのもございます。別班というのは一体何だという点含めていまどのくらいおられるのですか、六百何名とおっしゃっておるのだけれども。そうすると、その差は一体どこへ行っちゃったのか。そこらのところちょっと答えてください。
  63. 大西誠一郎

    ○大西説明員 調査学校の卒業生について申し上げます。昭和二十九年に創設されましてから現在まで約二十年間に調査学校の課程を修了いたした者は、累計約八千五百名でございます。
  64. 久保卓也

    ○久保説明員 新聞、雑誌に別班ということばが出ておりますけれども、私ども別班というものを持っておりません。陸幕二部で総括班、保全班、地誌班、情報一班、二班といったような、もう一班くらいあるかもしれませんが、そういったような通常の組織以外には持っておりません。
  65. 大出俊

    大出委員 あとから、これはまたあらためてやりますが、これは総括班、国内班、国外班、保全班、地誌班等々ございますが、この中身についてもあとで時間を見てやります、きょうは時間がありませんから。  先ほど長官お答えになりましたように、これだけの問題が起こり、国内的にだれ知らぬ人がない事件になっている。しかも主権侵犯という大きな問題まで起こっている。そういう中でこれは非常に不明朗きわまる。だれが考えてもおかしくはないかということになる。何で一体八月の一日に開所するこういうところを——とういう名前を名のっていたにしろ、韓国の機関の方々が知っているはずはない。だれかが中に入らなければそんなことはない。だれが考えたってそうです。常識が通らぬ。そういう意味で、あってはならぬことが行なわれたということについては、まことに遺憾のきわみであります。再びこんなことがあってはえらいことになるという心配をいたします。その点は厳にひとつ長官の責任において善処を願いたいところであります。はっきりしておきたい。  そこで最後に、この問題の締めくくりに、通産省にお見えいただきましたから外務省と両方で……。目下韓国に政府援助あるいは民間ベース等に分けまして、この資料をいただきましたが、総額でどのくらいの援助が行なわれているのか。そこらのところを明らかにしていただきたい。   〔奧田委員長代理退席、委員長着席〕  それから麗水と日本流には読むのでしょうが、韓国のここに十五万バーレルの石油の精製所をつくる、あわせてコンビナートができる、こういう問題がございます。数千億かかりましょう。これをめぐって七月末日締め切りでいろんな日本の企業、商社、石油会社等を含めまして申し込みがいっている。どういうところが申し込んでいるのか。韓国の朝陽財閥なりあるいは現代財閥なり幾つかの韓国の財閥の関係もある。この中にもいろいろ実は承りたいことがあるのでありますが、これまた時間がありません。ありませんから、あらためてこれは別な機会に通産大臣でも御出席をいただき質問いたしますが、とりあえずそこらがどうなっているのかを御説明願いたい。
  66. 和田敏信

    ○和田説明員 先般、衆議院決算委員会のほうからの御要望に従いまして、経済企画庁、外務省、大蔵省、農林省、通商産業省五庁の責任において提出申し上げました資料によりますと、無償資金協力援助といたしまして七百七十七億三千七百万、有償資金援助といたしまして八百二十八億七千一百万、そのほか技術協力関係といたしまして十四億二千三百万、合計千六百二十億三千一百万という数字を実行額として御報告申し上げております。  なお、このほかに米穀、米の関係でございますが、米の貸し付け及び延べ払い輸出といたしまして六十三万三千トン及び七十五万トン、合計百三十八万三千トンの米穀援助を実施いたしております。  以上が対韓経済協力関係の数字でございます。  麗水地域に対します韓国への石油精製業の進出についてのお尋ねでございますが、現在われわれの調査で存じておりますところを申し上げますと、現在韓国において計画の具体化が伝えられているプロジェクトは次のとおりでございます。  オン山製油所プロジェクト、これは十五万バーレル・パーデー三基、計四十五万バーレル・バーデーの規模で製油所の建設の話がございます。五グループ申請中でございますが、三グループを大統領了承の形で選定したというふうに聞いております。選定されたグループは次のとおりでございます。  ハン洋専用船。これは韓国側でございますが、これに対しましてアラビア石油、富士石油グループ。第二が朝ヨウ商船。韓国側関係に対しまして、CFP、フランスでございますが、これと大協石油、丸紅グループの案件が第二でございます。第三といたしましては鮮京繊維。韓国側でございますが、これに対しまして帝人、伊藤忠グループが対応いたしております。  なお計画の具体的な進め方につきましては、現在までのところ、われわれは詳細なデータを持っておりません。
  67. 大出俊

    大出委員 詳細なデータがないとおっしゃられれば、あらためて少し詳細に承ります。ただ、きょうはほかの問題がございまして時間がございませんから、承るだけにいたしておきますが、ひとつあらためて聞かしていただきたい。それまでに御検討おきをいただきたいと思います。  それでは金大中問題につきましては、外務省がおいでになりますから申し上げておきますが、先ほど、十月という時点で日韓閣僚会議みたいなものをやってくれという話があるそうでありますけれども、この金大中問題が解決つかないうちにそういう動きがあるとすれば、これはやはり相当大きな問題になると私は思っております。黙っているわけにはまいらない、そういうふうに思います。したがって、そこらのところは軽々しく事務的になんというようなことでお運びいただかぬように申し上げておきたいのでありまして、国家機関のやったことであるということが政治的には、あるいは常識的には明確になっているという段階で、国民の税金に基づく援助ですから、そういうふうなことの話し合いが行なわれること自体が間違いだというふうに私は思っております。したがって、これはひとつ厳にお慎みをいただきたい。明確な結論が出ないうちにということには不賛成でありまして、念のために申し上げまして、この問題は終わりたいと思います。  次に四種の問題につきまして、総務長官の時間がおありのようでございますから、できるだけ簡潔に承ってまいります。  旧四種、この問題は実は非常にお気の毒な方々が多数でございます。雇用の形態が特殊でございますので、旧来から日本の国内でやっておりましたような、つまり臨時措置法的な法律に基づいて予告期間が三カ月あるわけでもなければ、あるいは補給金があるわけでもない。臨時の給付金をもらうわけでもない。たいへんに気の毒な状態でございます。したがいまして、復帰に際しまして、たまたま軍港湾の方々が長期のストライキにお入りになったということをとらえまして、私、何べんか質問を重ねて、結果的に御処置をいただきましたが、これも実は言うならば、そのストライキを長くおやりになったそれなりの理由がありました。そのときのいわば立ち上がり資金みたいなものであります。ただ旧四種が多岐にわたる関係で、あとで問題が起こった場合に、沖繩、当時の琉球政府が責任を負うかという問題がございましたから、責任を負うという意味の一札を屋良知事が入れたいきさつがございます。それは、そういういきさつででき上がったものでございまして、それ以外の何ものでもない、こう私どもは当時のいきさつで、直接やっておりました関係で理解をいたしております。  そういうわけでございますので、実はきょうは山中さんがおいでにならぬとぐあいが悪いのでございますけれども、時間の関係がございますから、総務長官に承りたいのでありますが、そこで苦心をして、今日まで沖繩の皆さんが再三上京をされてお願い申し上げたわけであります。  で、三つに分けてお考えを願いたいのでありますが、一つは、いまこの軍港湾の方々は、当時間接雇用で日本側が、本土側が受け取れば、その後首になる、やめさせられるという場合に、予告期間その他ございまして、それなりの措置ができる。ところがそうではなくて、一般免許の形で、アーミーカーゴーだけじゃない、ほかのものまでやるという形で復帰しておりますために、ベトナム戦争の結果でございましょうが、三十万トンございましたカーゴーが三万トンに減ったというようなことで、経営者の國場さんのほうが投げてしまった。これも私どもにすると無責任な話だと思うのでありますが、それをその後、関係者、私ども含めまして苦労をして、ようやく琉球港運に六百五十ばかりの方々が行けるようになる。残り三百余の方々、四百近い方々が残っている。またメスホール関係でも八百六十幾つかございました。時間がありませんから、こまかく数字を読み上げませんが、これらの方々あるいは金の持ち逃げをされまして、ダニエル・バックというのでありますが、いろいろ問題がございました。こういうふうな当面やらなければならぬところをどう片づけるか、金銭的なものをお考えをいただいてひとつ処理をするというのが当然の筋であろうというふうに私は考えておりますが、そこのところの処置が第一の点。  第二番目に、なお五千人からの方々が旧四種の雇用形態でお残りになっている。この方々については、次の問題として、まずこの本土法の中に制度的に入れる努力をすべきではないのか。臨時措置法なら措置法の中にかかえていく。つまり間接雇用として受け取れるものは、防衛施設庁、防衛庁長官の御配慮等をいただいて、これを入れていく、そういう形を考えていただきたい。山中長官おいでになりませんが、先般、個人的にお目にかかりました際に、長官から拾えるものは拾いたいというお話が個人的にはございましたが、そういう拾い方をしていただいて、本土並みというふうに考えられるものはそういう分け方をしていただく。そして最後に残る方々については、これは基準法上の当然な予告期間というのはあたりまえでありまして、きわめて不安定な雇用状態で今日まで続けてきているわけでありますから、経営者が一年ごとにかわるということになっておるわけでありますから、あるいは一括金を持ち逃げするというような人々が出てくるわけでありますから、そういうふうなことにならぬように米側に厳重に申し入れるとともに、何とかこれを制度的に解決する方法をお考え願いたい。  たとえば臨時措置法にいうところの三カ月の予告期間を設ける。さて特別給付金を云々という場合に、一〇〇%ということは申し上げませんけれども、比率を設けてやはり何がしかそこに考えるところを明らかにしていただくという制度的な処置。これは実は沖繩の本土復帰にかかわるあと処理でございまして、一番どん底にある方を引き上げてあげようということでありますから、その意味では水平運動です。だから、そういう考え方で処理を願いたい。  ときに総務長官に力強い御発言等いただきましたが、以後、そこに岡田さんお見えになりますし、労働省の遠藤さんもお見えになっておられると思うのでありますけれども、それぞれ関係の方々が事務的にずっとお詰めをいただいた。お詰めをいただいた段階で、私が申し上げましたようなアウトラインは幾つかある、それがいいか悪いかというようなことを含めて。しかしそこまで来ると、そこから先は、私は政治的にどう判断をして決着をつけるかというところに来ている気がするのであります。  そういう意味で再度取り上げたわけでございますから、以上申し上げた経過を踏まえて、現状、これから先どういうふうに御処置をいただけるか、お答えを願いたいのであります。
  68. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま大出議員御指摘になりました第四種の問題は、非常に重要な問題でございますので、政府も、これに対する対策につきましては等閑に付せられない重要な問題である、こういうような考え方から、せんだって官房長官、私、また労働大臣等を含めまして、防衛庁長官と四者でいろいろと協議をいたしてまいり、知事その他関係現地当局意向も十分聴取いたし、また与党、野党を越えての議会関係者の皆さんの御要望、また現地の代表等の御意見も私ども十分聞きまして、そしてさらに、事重要なことであろうかとも思われましたので、幸い国会が終了いたしました段階において、去る二日から三日間にわたりまして沖繩の現地に参りまして、関係者の御意向も十分把握いたして、これは誠意をもって配慮すべきであるという私の心情的な結論を出しておるようなわけでございます。したがって関係事務当局も、政府の意のあるところを体しながら、たとえば昨日も関係の事務次官、副長官等も集まりまして、事務的にどうこれを煮詰めていくべきであるかというような協議をいたしまして、その報告も昨晩聞いておるということでございます。  第一に重要な問題は、御指摘のとおりに間接雇用のいわゆる移行の問題でございます。これは非常に重要な問題でもあり、なかなか困難な問題であることは、もう私申し上げるまでもございません。御了承のとおりでございます。間接雇用の移行をできるものがあれば、できるだけ移行させたいという方向で検討いたしておるという点。  また第二番目に、大出先生おっしゃった制度上の措置をどう講ずべきであるかという点などの御指摘も、私は全く同感でございます。これらにつきまして、こうした一連の解雇問題から判断しまして、米軍のいわゆる受け入れ業者の選定あるいはその契約内容等の問題があると思うので、これらの改善をはかるために米側に善処を強く求めてまいりたい。たとえば受け入れ業者は沖繩県の選択した業者の中からこれを米軍に選んでもらうというような問題でございます。  それからまた、米軍がやむを得ず契約を解除する場合等においても、間接雇用労働者の取り扱いに準じ、できる限り、九十日間あるいは少なくとも三十日間という法定のいわゆる解雇予告ができるような、事前の通告が行なえるようなこと等も米軍に要請してまいりたい。どうしてそうした制度上の措置が裏づけできるかというような点をいまいろいろと事務的に、きのうも長時間にわたって協議しておるという事態で、政府は前向きの姿勢で取り組んでまいりたい。これだけはひとつ御信頼願いたい、こう思っております。
  69. 大出俊

    大出委員 これは沖繩開発庁の岡田さん、特に労働省の遠藤さん等にたいへんなお骨折りをおかけいたしました。事務的に詰めていただいているわけでありますが、長官がいま大筋でお話しになりました。  私はもう一つだけ承っておきたいのですが、軍港湾で仕事が見つかって何とか生活ができる方は、それで私もほっとしているのですが、残った方々について、現地の沖繩総合開発局の岡部局長さんなり富田運輸部長さんなりとも、現地に私行って話しましたけれども、できればどこかへという気持ちが現地にもおありになる。だが、なかなかこれまたそれなりの事情もからんでいる。したがって、何とか最終的な金銭的な処理なり、それからまた、せっかくユニホームまでしたくしているところを無通告でぽかり切られておる人もいる。こういうふうな問題についても、これは最後の措置になると思うのでありますが、ぜひひとつ政治的な御判断をいただきますようにあわせて申し上げて、御回答いただいて、せっかくの御努力中でございますので、質問はこの辺で終わりたいと思いますが、最後にひとつお答えいただきたいと思います。
  70. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 大出委員が最後に御心配になった、いわゆる支給金の問題等を含めての御質問だろうと思います。私も、過般、沖繩の屋良知事と現地で会いましたときに、いろいろと問題のあることが巷間伝えられたり、新聞にも報ぜられておるというようなことを通じて、私は着きましたときの新聞記者会見にも申しましたように、心情的には屋良知事の心理といいますか、そのときのお気持ちは十分理解できる。それだから、それをとやかくお互いが不信感を持って、取りかわした問題等を含めて、それを論議するというようなことは私はやはり避けたい。屋良知事のまじめな気持ちだけは私は買ってあげたい、こういうような気持ちで新聞記者の皆さんにも私の心境を申し上げたような次第でございますので、どうして、どういうような方法で、どういうような内容でこれらの方々に支給して喜んでいただけるか、そういうようなことも、きょう閣議前に、大蔵大臣も帰ってこられましたので、そうした問題点を申し上げて、ひとつ財政当局と十分事務的に煮詰めて、その上であなたと一ぺん政治的に判断しようじゃないか、こう申し上げておりますので、もうしばらく時間をかしてほしい、こう思っております。
  71. 大出俊

    大出委員 私も現地の皆さんは知っておりますだけに、たいへんお気の毒な、谷間に入ってしまった方々だということを感じておりますので、いまの御答弁、前向きにいただきましたので、それ以上申し上げることはないと思いますが、どうかひとつ関係の皆さんにもう一段の御努力をお願いいたしまして、言うならば、沖繩復帰にかかわる事後処理でございますので、決着がつくように要望さしていただきまして、この問題の決着にさしていただきます。たいへんどうもありがとうございました。  それでは、委員長、あとミッドウェー問題が残りましたが……。
  72. 三原朝雄

    三原委員長 それでは午後二時十五分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十二分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  73. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  74. 大出俊

    大出委員 先ほどもちょっとお話がありましたが、これまでに何回かこのミッドウェー寄港問題は私も詰めてまいりまして、事の起こりは昨年四月十一日でございますか、アメリカの下院の歳出委員会レアード国防長官質問に答えて、証言ということになりましょうか、二つのことを言っておりますことが明らかになりました。その一つは、日本にもっと安保条約に基づいて防衛という問題についてその責任を負ってもらう、そういう観点で、横須賀母港化という問題をすでに日本側に通告をしてある。あわせて、ペルシア湾からインド洋、マラッカ海峡というたいへん長大な燃料の輸送路を日本は持っている。これに対して日本はもっと軍事的な寄与をすべきである、こういう表現を当時いたしております。その記録もここにございますけれども、この記録によって私が外務大臣に質問をいたしまして、初めて、米側からさような申し出があり、母港化ということについての検討をしている。それは断わるという検討ではなくて、安保条約のワク内ということでの検討をしているのかと言ったら、そういうことである、こういう答弁が出てまいりました。このことではっきりしたいきさつが実はあります。  そこで、まず問題は母港化であります。先ほどのやりとりを聞いてはおりましたが、母港化ということについて、もっとはっきりしていただきたい。つまり、行動の根拠となる場所だというお話が先ほどありました。それから主として活動の根拠、また居住地、つまり連絡地点家族居住地、こういうふうなものだ。私はこの母港化というのは、さらにもう一歩進んで考えなければいけないんではないか。つまり戦闘作戦行動までつながる——これは軍艦ですから、戦争するためにあるのですから、あるいは守るためにあるのですから。その根拠地なんだ、戦闘作戦行動一切の根拠地、こういうふうに考えなければならぬ、こう私は思っているわけであります。この点、まずはっきりしていただきたい。いかがでございますか。
  75. 大河原良雄

    大河原説明員 ミッドウェー母港化という問題に関しましては、けさほど藤尾先生の御質問に対して御答弁申し上げましたように、現実にある形は、ミッドウェー横須賀寄港いたしまして、従来に比べますと当然寄港の頻度はもっとしげくなってまいることになりますが、従来と変わっておりますのは、乗り組み員の家族横須賀周辺居住させる、こういう新しい措置がとられたわけでございます。その限りにおきまして、母港化ということに伴いまして家族横須賀周辺居住しておる。したがいまして、七艦隊の麾下に配属されております空母ミッドウェー随時横須賀に入港し、補給、休養その他の目的を果たした上で、また洋上に出かけていく、こういう形が繰り返されることになろうと思います。これが現実に行なわれる行動の態様である、こういうことでございます。
  76. 大出俊

    大出委員 家族まで含めて横須賀に拠点ができた。つまり冒頭にあなたがお答えになった行動の根拠地ができた。そこで補給なり休養なりをして、それからまた出かけていく、また帰ってくる、しごくひんぱんに出入をすることになる、こういうわけであります。一体何のためにそれをやるか。それは目的があってやる。これはやがて明らかにいたしますが、つまり、まさかの場合の戦闘目的を持っている。だからやっている。つまり、そのための根拠地ということになる。これは明確なことでありまして、しかも大平外務大臣は私に何と答えたかというと、船でございますから年じゅう港にいるわけじゃございませんで、入ってはきても、それはすぐ出ていくんだから、兵員家族計画ですからと、これは大平さんが一貫して言っていたことです。家族計画家族計画に尾ひれがつけば、能率化である。士気の高揚である。能率化の中には経費の節約がある、こういう答弁になっております。これは議事録何冊もあります。ところが今度は、現地側でものを言っております中身というのはどうかというと、一年のうちおおむね半分は西部太平洋をパトロールするというわけです。あと半分は横須賀にいる。そして艦載機その他が三沢を使う、厚木を使うということで、これはタッチ・アンド・ゴーまでやるかどうか、それはわかりませんが、やる予定を組んでいます。そういう訓練をやっている、実弾演習まで含めて。こういうことが明らかになっておる。  だからこそ、池子の弾薬庫でも二千トンもの弾薬を運び込んだ。私は現地に行ってみました。行って、案内をするあそこの司令官にいろいろ聞いてみた。将来に向かってどのくらい入れられるんだと言ったら、十万トン入ると言う。いま、じゃ何をやっているんだ。第七艦隊の支援だ。支援だといったって戦争もないのに。いや演習をやる。そこまで考えている。支援後拠ということばを使っている、ここに当時の発表の原文がございますが。つまりそういう性格を持っているもの。それは何を意味するかといえば、これは明確に基地の強化であります。ミッドウェー母港化ということは、横須賀基地米軍にとってはたいへんな強化をされたもの。だから、連動して厚木、大和、綾瀬にわたりますが、三市町村は大きな騒ぎがいま起こっております。あとからこれまた申し上げます。池子弾薬庫にも御存知のとおり次々弾薬が運び込まれています。これまた大きな騒ぎであります。それからこの周辺、上瀬谷の通信基地にいたしましても、ミッドウェーの入港に備えた措置がとられている。あるいは三沢にしても同様であります。おまけに戦車隊も入ってまいりますから——これもあとで言いますが、家賃が高くなったという騒ぎまである市町村では起こっておる、こういう状態になっておる。これはたいへんな基地の強化であります。  これは軍事的に基地の強化であることをお認めになりますか。いかがでございますか。
  77. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほどレアード国防長官の議会における証言を御引用ございましたけれども米国政府自身が言っておりますように、国防の一つ考え方として、前方展開ということを考えていることは事実でございます。ただ、それに関連いたしまして、この空母ミッドウェーにつきましては、艦船の効率的運用をはかりつつ国防費の節減をはかる、さらにこれに伴って乗り組み員と家族との別離の期間を短くすることによって、乗り組み員の士気の高揚をはかる、こういう目的を持っての措置であるということでございまして、その限りにおきまして、米側兵力運用の立場から見ますと、艦船の効率的運用がこれによってはかられるということにはなるわけでございます。  ただ日本施設、区域の使用との関連におきましては、ミッドウェーが従来も横須賀なり佐世保に寄港いたした事例はあるわけでございますし、あるいは七艦隊麾下の航空母艦が日本施設、区域を使う形で入港した事例は多々あるわけでございますが、従来に比べますと、ミッドウェー家族横須賀に置いております関係で、かなりひんぱんに出入りが行なわれる、こういうことになるというふうに考えておるわけでございます。
  78. 大出俊

    大出委員 もっと端的に答えていただけませんか、国民がたいへんに大きな疑惑を持っておるわけでありますから。どうも、できるだけ逃げよう逃げようというふうに受け取れる答弁は、この際は避けるべきであろう。事実は事実で率直にお答えいただきたい。  これはミッドウェーに乗っておった水兵さんがたくさん横須賀の町で遊んでいます。記者の諸君は次々につかまえて聞いている。私も何人か聞いてみました。今回の母港化を何と言っているかといいますと、太平洋作戦の基地をハワイから横須賀に移しただけだ、こう答えているのですよ。端的に言うとそのとおりなんです。十一日かかる、たいへんだから帰らない、横須賀家族を連れて来て置いておく。太平洋作戦の基地は確かに横須賀に移った。何かあればすぐ出ていかなければならない、そういう任務を持っている。だから、あなたさっきいみじくも答えたでしょう。友好国との関係を保っていこうというアメリカ側の目的がある、アメリカ側から見ればそういうことだとあなたはおっしゃった。友好国と日本との間だって、安保条約五条で共同戦闘作戦行動をやることになっている。そういう意味で移した。つまり日本にとってみればたいへんな基地の強化じゃないですか、横須賀は。間違いないでしょう。その点いかがでございましょうか。家族計画じゃないのです。明らかに、これはポストベトナムという時点におけるアメリカの前進基地というものを強化している。空の横田、海の横須賀、こういうことですよ。明らかな話であります。いかがでございますか。
  79. 大河原良雄

    大河原説明員 従来も、米側といたしましては七艦隊麾下の空母の運用の形としまして、前方海面におきまする行動をある程度行ないました上で、年間何カ月かは本国の港に帰して、そこで修理、補給、兵員の交代、こういうふうなことを行なっております。その限りにおきまして、その交代時期あるいは本国に帰っております時期につきましては、前方展開という形はとり得ておらない。しかし、今回のように横須賀家族を置くことによりまして、毎年本国へ当該の空母を送り帰して、そこで補給、休養というふうなことを行なう必要がなくなってくる。そういう意味では、先ほど来申しておりますように、艦船の効率的な運用をはかりながら、なお国防費の削減をはかるという米側一つの目的に沿っている形であることは間違いございません。一方また、ミッドウエー横須賀にひんぱんに帰港させるということとの関連におきまして、艦載機を厚木なり三沢に揚陸いたしまして、そこで十分の訓練を積むという形も現にあるわけでございます。
  80. 大出俊

    大出委員 それじゃミッドウエーは一年のうちどのくらい横須賀にいるのですか。どんなかっこうになるのですか。西部太平洋のパトロールがあるのでしょう。そういっているじゃないですか。それと、あとは横須賀にいるのでしょう。一年を通して考えたら、これはどうなるのですか。あっさりでいいですからはっきり答えてください。
  81. 大河原良雄

    大河原説明員 米側説明によりますと、洋上で任務についている期間がおそらく半年程度であろう、残りは帰港という形になるようでございますが、その帰港というのが、横須賀にいわば張りついているという形になるのかどうか、そこらについてはつまびらかにいたしておりません。
  82. 大出俊

    大出委員 それはいままでどおり帰ってくるなら、何も横須賀母港を移すことはない。なるのかどうかわかりませんといったって、そう言っているんじゃないですか。じゃ、そんなところまでわからぬで入れたのですか。ずいぶん無責任な話じゃないですか。アメリカ側と、母港とはどうなんだ、一年間でどういうふうに運用するのだというふうなことをあなたは全く話をしないのですか。それはまたずいぶん無責任じゃないですか。そこはどうなんですか。
  83. 大河原良雄

    大河原説明員 空母の行動につきまして、米側は一々の行動をそのつど日本側に通報するということはいたさないということでございますが、先ほど御答弁いたしましたように、実際の運用の形として年間半分程度は外、半分程度は帰港という形になるだろうということは言っておるわけでございます。
  84. 大出俊

    大出委員 それじゃはっきりしたわけで、大体半分くらいは西部太平洋をパトロールする、あと半分は帰港——帰港というなら母港横須賀になったのだから横須賀に帰ってくる、あたりまえのことじゃないですか、半分程度ずつ。はっきりしてくれればいいのです。  そこで、次に承りたいのですが、第七艦隊の守備範囲、これはどういうことになっておりますか。防衛庁の久保さん、ひとつお答えください。
  85. 久保卓也

    ○久保説明員 西太平洋からインド洋のマダガスカル島の大体西の線を結ぶ線であります。緯度はちょっと——書類を見るとわかると思いますので、あとでお答えいたします。
  86. 大出俊

    大出委員 こういう席ですから、またミッドウエー横須賀にいるのですから、少しはっきりしておいてください。  御確認を願いたい。まず北はべーリング海、南は南極大陸、東は中部太平洋のグアム島の東九百六十キロ、東経百六十度、西はインド洋、いまマダガスカル島とあなたはおっしゃいましたが、これは東経六十度の線、そこらを正確にひとつお答  えいただきたい。
  87. 大河原良雄

    大河原説明員 七艦隊の行動の範囲につきまして、米側の資料によりますと北はオホーツク海でございます。オホーツク海から南は南極、東はグアムの東方、東経百六十度、西側はインド洋のペルシア湾口、東経六十二度、こういうのが行動範囲というふうにされております。
  88. 大出俊

    大出委員 それではたいしてちがいないじゃないですか。私がベーリング海と言ったら、あなたはオホーツク海、片一方、今度西部太平洋のほうは、私は六十度と言ったらあなたは六十二度と言った。二度がどれくらい違うかわからぬけれども……。今度東はと言ったら、グアム島の東九百六十キロと私は言った。百六十度。百六十度は合っているようでございます。これは私も米軍の資料ですが、間違いないことになる印そうすると第七艦隊の守備範囲というのは、地球の海の五分の一を持っておるんですね。ここに何と世界の人口の半分以上の十五億をこえる人口が住んでおる。しかもこの中に、第二次大戦後の分裂国家四つのうち三つある。中国にしてしかり、ベトナムにしてしかり、朝鮮にしてしかり、三つある。  そこで第七艦隊はみずからPRしておりますけれども、反共のとりでということを言っておる、明らかにしておる。みずから第七艦隊説明書、米軍の資料に書いてある。反共のとりで、そういうかっこうで平和を維持する、こういうのです。そうなると、第七艦隊は、大体どこどこの国を対象にしてこれだけの守備範囲を持っておるのかという点が明らかになっていいはずであります。久保さん、さっきの確認にあわせてひとつお答え願います。
  89. 久保卓也

    ○久保説明員 これは格別どこの国ということを対象にしておるわけではありませんで、西太平洋及びインド洋におきまして、沿岸各国において紛争が起こらないようにといういわば抑止力として哨戒をしておる、そういう意味でのプレゼンスとしての意義を持っておるということだと思います。
  90. 大出俊

    大出委員 抑止力として、起こらないようにしている。だがしかし、三十幾つかありますが、数多く結んでおる条約からすれば、日本安保条約とほとんど同じ形態であります。米比条約にしても、米韓条約にしてもみなそうです。同じ形態。そういうコミットをしているわけであります。起こらないようにしているのだが、起こればそれに対処する、こういう任務を持っておる。だから、戦闘作戦行動を予定している基地である、根拠地である、行動の拠点である、こういうことに横須賀はなる、こういうわけであります。  そこでその沿岸の国のどこかに何かが起こればと、こういうのだが、反共のとりでということを第七艦隊みずからがみずからの資料の中で明らかにしている限りは、主敵、主たる対象国、これはソビエトであり、中国であり、北朝鮮であり、北ベトナム。間違いない。あとは自由諸国、こう一口にいわれるところ。その中には民族的な争いもあり、いろいろなことがある。あるけれども、大きくいえばそういうこと、軍事力からいってもそういうこと、そうなりませんですか。
  91. 久保卓也

    ○久保説明員 いまや東西の対立を脱しつつある、米ソ、米中はきわめて接近しつつあるということは、一般の認識であります。したがってそういった反共という立場での認識ということは、われわれも当然でありますけれども、米政府といえどもそういう立場には立っていないのではなかろうかと思います。しかしながら、どういう地域であれ、いまの太平洋あるいはインド洋の沿岸地域において紛争が起こるということは、ソ連であれ、あるいは中国、アメリカにとっても好ましいことではありません。そういう意味で、現実に力のあるものとして第七艦隊を太平洋及びインド洋に存在させておくということは、地域各国におけるいわば紛争の抑止としての意義を依然として持っておるものというふうに考えます。
  92. 大出俊

    大出委員 それだけ国際情勢が変化したならば、新聞の論調でいずれも書いておるように、国際的な平和への方向に逆行することになりはせぬかということ、あたりまえなことです。ベトナム戦争というものに実力介入する前から計算すると、アメリカは十三年間、トンキン湾の実力介入から計算して八年間、この間に日本にはどこにもアメリカ母港はなかったはずです。それをなんだって今回認めなければならぬのですか、それならば。そうでしょう。先ほどのいろいろのお話の中にもありますが、ソビエトの艦船の最近の動きその他から見て、約束している条約上のアメリカの同盟国、これらに対する約束を果さなきゃならぬということをアメリカ考えている。そういうアメリカ側の立場もあることを大河原氏は言っておられた。それじゃ一体、何のためにそういう条約があるかといえば、対象国が明らかだからなんだ。だから、そうでない、情勢が変わったんだというならば、なおのこと日本の場合も、冷戦の時代につくられた安保条約というものを、いまの世の中でそのまま当てはめて、そのワク内でございます、だから、横須賀母港を認めます、この論理は成り立たない、あなたがおっしゃる理論なら。そこに問題がある。六八年のアメリカの選択というものは、ソビエトに対抗するための選択だ。だから、ミクロネシアの群島に基地をつくろうという大計画を持っておるわけじゃないですか。そこにミッドウエー母港化ということが出てきている。明らかな事実です。どうですか久保さん、そこのところは。
  93. 久保卓也

    ○久保説明員 自由圏でありましても、あるいは共産圏でありましても、それらの国における思想といたしましては、緊張の緩和あるいは平和の維持というものは何らの努力なくしてできるものではない。平和外交に伴って力というものをやはり必要とする。そういうもののもとに、緊張緩和を推進し、平和を維持しようという発想に立っているものと私は思っております。そういう観点考えますると、ニクソンドクトリンに基つきましてアジア地域から米軍が地上兵力中心にして撤退するにしましても、最終的な抑止力というものは第七艦隊の存在であるということは言えようかと思います。  ところで、いま緊張緩和の中で、横須賀をなぜいわゆる母港にするか、そういうものは矛盾するではないかという御質問でありましたが、ミッドウエーあるいは横須賀から発想するのではなくて、いまのアジアの平和の維持というものは、米軍のプレゼンスというものを必要とするという発想に立ちますると、従来第七艦隊は通常三隻の空母アジア周辺に遊よくさせておりました。したがって今後もそういった平和の維持、緊張緩和の推進という意味においては、アジア諸国の安心と安全を得るために米軍の二隻ないし三隻の空母群を必要とするという発想に、米側もおそらくまた地域各国も立っていると思います。  そこでいま、米側としましては、士気の問題も先ほど出ましたが、空母を、国防費の節減上、将来は漸減してまいりたいという発想があるようであります。そういたしますると、空母を効率的に運用しませんと、二隻なり三隻の空母アジアに維持できない。そこで効率的に維持するためには、アジア地域において最もよろしいのは横須賀である。そこを母港として、一々本国に帰らないでも艦艇を維持し得るという体制に置くことによって、従来からいわれておりまするアジアにおける米軍のプレゼンスとしての第七艦隊の勢力を、経費を節減しながら温存し得るという発想になるわけで、そういった立場から横須賀の問題を見るべきではなかろうかというふうに思います。
  94. 大出俊

    大出委員 この論議を少ししませんと、お互いの考え方がはっきりしませんからいたしますが、その間に、山本警備局長さんに決算委員会の時間がありますのにお呼び立ていたしまして、忘れて入ってしまいました。たいへん恐縮でございました。  実は七日に、現地で県会議員が一人逮捕されるという事件がございました。私も詳細に調べてみましたが、たまたまある労働組合の部隊がゲート前等でとまっていた。これはそこでシュプレヒコール等をやるのは慣行でございますから、当然でございます。何とかこれを動かしてくれという警察側の要望もあった。そこで宣伝車でものを言って前に進んでくれ、その組織出身の県会議員がものを言って進みました。進み始めたところを警察官が、話し合っていた線を越えた、越えないというようなことでうしろからたてで突き飛ばした。前へ進めてくれというからこっちが協力してやっているのに、何ということをするんだといって割って入った。雨が降っておりますからかさがぶつかった、そうしたら暴力行為だからといって逮捕したという事情がある。私は、これは話せばわかる、たくさんの人が見ていましたから。したがって、これは現地で解決すべきであるという見解で、現地はさっそく九日に衆議院の委員会があるから、そこで事の理非曲直を明らかにさせたいということを新聞記者諸君に言うたようでありますが、私のほうから、それは現地解決が望ましい、みんなが見ているところで、事の経緯がはっきりしているからということを申しましたが、その後ずいぶん時間がかかりましたが、昨日一ぱいかかりまして、皆さんのほうの現地当局との間で現地解決をしようということで話が進んできている、こういう報告を受けましたので、私もこの種の問題は、現場にいた方々相互にわかっているんですから、そこで解決するのが一番問題が残らない、こう思いまして、極力現地解決をわがほうとしてはしろ、なお重ねてそう申しておりますが、そういう方向で皆さんのほうも動いたやに承りますが、重ねてひとつ皆さんのほうからも、この種のことは現地の皆さんがわかっているわけですから、そこで解決するのがいいので、そういう方向でこれは御努力願いたい、こう思いますので、そこのところを一言念のために申し上げておきたいと思いましたのでお尋ねしたわけであります。聞いておられるかどうか知りませんけれども、できればお答えをいただきたいわけであります。
  95. 山本鎮彦

    ○山本説明員 ただいまのお話、私報告を受けております。この事件、やはり本部長の判断と見識によって適正に処理すべきものだと思います。先生の御意見、これも私のほうから本部長に十分お伝えいたしておきます。
  96. 大出俊

    大出委員 わかりました。それではそれをひとつお願いします。  久保さんの、もとの問題に戻りますけれども、この問題を詰めます前に少し明らかにしておきたいことがございます。  と申しますのは、先ほどのアメリカ局長答弁ともからんでまいりますが、まず安保条約六条に基づく数々の問題がある。いまの久保さんとの問題は、あとからそこらを明らかにした上でもう一ぺん承りたいのでありますが、六条は、日本並びに極東の安全と平和の維持に寄与するためにアメリカ合衆国はその陸海空三軍が日本施設区域を使用することを許される、これは安保条約六条の表現です。ここに岸・ハーター交換公文がくっついておりまして、この中で先ほど質問に出ました配置変更装備変更、戦闘作戦行動、三つの事項がございます。ここで海はどのくらい、空はどのくらい、さて陸はどのくらい、こういうことが口頭了解である。寡聞にして私は口頭了解というものを文書でいただいたことがない。  そこでタスクフォースということばを使っておられましたが、これは藤山外務大臣のときでございますけれども、マッカーサー大使でございましたか、そこらもはっきりしていただきたいのでありますが、どこでどういうことできまったのか。つまりタスクフォース、こういうのでありますが、それはかっちりしたものではないはずであります、口頭了解というものは。このくらいをさしている、ここのところを文書がございましたら、文書をお出しいただきたい、口頭了解の。で、正確にひとつ口頭了解の中身をお読みいただきたい、いかがでございますか。
  97. 大河原良雄

    大河原説明員 安保条約第六条に関連いたしまして、岸・ハーター交換公文がございまして、その中に事前協議対象となるべき事項が三つ記載されてございます。その中の一つに「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更」というものが事前協議対象となっております。この配置における重要な変更につきまして、昭和三十四年でございますが、現行日米安保条約の交渉が行なわれました際に、当時の藤山外務大臣とマッカーサー米国駐日大使との間に口頭了解がございまして、配置における重要な変更とは、陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度配置、こういうことが了解されているわけでございまして、これは口頭了解でございますので、文書と申しますものがないわけでございます。
  98. 大出俊

    大出委員 文書がない、率直に申し上げると、それくらいこれはラフなものです。口頭了解であっても、普通ならば口頭了解と書いたものがなければならぬ。それもない。私は前にこれを質問したことがございますが、とうとう文書が出てこない。ないといまはっきりおっしゃった。それなら全くの口頭なんです。一機動隊程度、こういうことです。必ずしも一機動隊というてない。なぜか。同じ一機動隊といってもたくさん規模が違うものがあるからです。  そこで承りたいのですが、いまの第七艦隊に一体幾つの機動隊があるのですか、タスクフォース。ついでに承りますが、タスクグループと称するものは一体幾つあるか。それは具体的にどういうタスクフォースであり、どういうタスクグループであるかをはっきりしてください。
  99. 久保卓也

    ○久保説明員 第七艦隊のもとにタスクフォースは七十一から七十九まで九あります。そしてタスクグループと申しますのは、それぞれのタスクフォースの中で——このタスクフォースはもちろん、たとえば航空母艦を中心にするものでありますとか、それから両用戦部隊でありますとか、それから後方支援部隊でありますとか、そういった任務によって異なっているわけでありますが、それぞれの任務の中でタスクグループがあるわけであります。たとえば後方支援部隊で申しますれば、機動修理支援任務群とか移動任務群、機動後方支援任務群その他でありますが、ここで問題になっておりまするのは、いわゆる攻撃空母打撃部隊、タスクフォースでありまして、この中で現在ありますのは、水上活動任務群とそれから空母打撃任務群が三つあります。つまり空母三隻を中心にするそれぞれのグループが三つあるということであります。なお、私いま九つと申しましたが、部隊としては九つありまするけれども、現在二つのタスクフォースは編成上ありましても、実際の部隊は持っておりません。編成上あるだけであります。ですから、実際上は七つ存在するということになっております。
  100. 大出俊

    大出委員 七つといいますと、七十九は確かにありますよ。七十九はありますけれども、実際には五つですよ。あなたは七つなんて言うけれども、とんでもない。よけいなものがあっては困りますよ。TF77、タスクフォース七十七、これが一つ。それから哨戒部隊TF72、補給支援部隊TF73、上陸作戦部隊TF76、海兵部隊TF79。あなたのおっしゃる七十九というのは、海兵隊、五つに分かれている。これがタスクフォースの、七艦隊の全部です。それから、ここでいうタスクグループというのは、直轄というかっこうになっている。直轄がある。これは旗艦一つのタスクグループです。いまならばオクラホマシティー、ミサイル巡洋艦。二つ目が対潜掃海任務群。三つ目が巡洋艦、駆逐艦任務群。四つ目が潜水艦任務群、これは潜水艦がおおむね十隻です。潜水母艦二隻。それから五つ目が航空早期警戒部隊、これは旗艦中心としております。それから対機雷船、機雷掃海その他含めまして機雷船、掃海艇隊第四隊で構成され、佐世保、スビック湾、これが基地になっております。これが対機雷船任務群、これだけになっております。これが第七艦隊の編成です。間違いない、アメリカが明らかにしておりますから。  そこで問題は、先ほどの一機動隊程度、なぜそうなっているかというと、ずいぶんこれはいいかげんなものですけれども、七十七といわれる攻撃空母打撃部隊と称するものは、他のタスクフォースに比べて巨大過ぎる。TF72というのは南シナ海及び台湾海峡のパトロール部隊で、水上哨戒任務群と航空哨戒任務群からなっている。前者は重巡一隻が旗艦で、基隆が基地です。駆逐艦が四隻、これが常時台湾海峡をパトロールし、これを後者の対潜索敵航空機P2V、P3V、対潜飛行隊、P5M索敵哨戒飛行隊など数隊、一隊十二機ですが、支援している。航空基地は岩国、那覇、フィリピンのスビックベイ、こうなっている。七十二は重巡一隻なんです。駆逐艦が四隻なんです。これだけで一機動隊なんです。そうでしょう。ところが七十七というのは、これは大き過ぎる。これは三つも空母中心とするグループに分かれている。これはベトナム戦争なんかになりますと、それがふえる、こういうしかけです。三グループに分かれてパトロールしている。その三グループのおのおの空母に駆逐艦が数隻くっついている、こういうかっこうになっている。これはたいへん大きなものです。おのおの飛行機を載っけているわけですから。一空母には六十機から百機です、大きさによって違いますから。こうなっているわけです。これはたいへん大きなものです。そうすると一機動隊程度。いままでの答弁を聞いておりますと、一機動隊に当たらないからという言い方をする。だから、事前協議対象にならないんだという言い方をする。冗談言っちゃいけませんよ。そんなことを言ったら、七十七機動隊、TF77、タスクフォース七十七というのがそっくりそのまま日本に入ってくるなんということはできやしないですよ、こんなことは初めから。日本のどこの港であろうと理由ないですよ、そんなものは。そうでしょう。そうすると、もしも第七十七といわれるタスクフォース、機動隊、これを対象にして、この程度のものでなければ事前協議対象にならぬのだとするならば、初めから事前協議のしょうがないんだ。こんなことが起こることはない。断じてない。ところがあなたの先ほどの答弁を聞いていると、大河原さん、あなたは一機動隊、今度入ってきているミッドウエーというのは、空母に輸送艦がくっついている、駆逐艦がくっついている程度のものだ、だから、これはタスクフォースにならない、そういう答弁に聞こえる。一体このタスクフォース程度というのはどのくらいをさすのですか。あなたはどう理解していますか。いかがですか。
  101. 大河原良雄

    大河原説明員 私先ほど御答弁申し上げましたように、海軍の場合は一機動部隊程度、こういう了解になっておりまして、政府が従来国会で明らかにいたしておりますように、海軍の一機動部隊程度と申しますのは、三ないし五個機動タスクグループ、これをもって編成されるものである、こういう説明をいたしておるわけでございます。
  102. 大出俊

    大出委員 そうなると、台湾海峡を哨戒しているTF72なんというのは、これはきわめて規模が小さいものです。片っ方七十七というのは、きわめて巨大なものです。二、三グループ程度なら七十七機動隊全部ですよ、これは。三グループしかないのです、通常は。こんな三グループ、これが全部日本の港に配置変更で入ってくるなんということは予測できやしないじゃないですか。そうなると、だから機動隊程度になってくるのであって——七十二のような機動隊もある、以下機動隊はみんな小さい。そうすると、そこのところに中心を置いて、一機動隊でなければ事前協議対象にならぬというなら、七十七機動隊——いまあなたは三つと言うんだから、七十七機動隊全部です、これは。そうでなければ、全部でなければ対象にならぬと、こういうことですか。そうならば事前協議意味が全くない。海については事前協議の必要がない、対象になるものがないんだから。そこのところはどうなんですか。いかがですか。
  103. 大河原良雄

    大河原説明員 海軍における一機動部隊程度配置をもって配置における重要な変更として安保条約上の事前協議対象とする、こういう了解に基づいて今日まで及んできておるわけでございますが、過去におきまして、この趣旨事前協議が行なわれたことはなかったわけでございます。  そこで事前協議につきましては、岸・ハーター交換公文にうたわれておりますように、配置における重要な変更のほかに、装備における重要な変更わが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設、区域の使用、これがいずれも対象となっていることは御承知のとおりでございまして、そういう意味におきまして、事前協議という仕組みがきわめて重要な意味を持ってきているというのが政府の理解でございます。
  104. 大出俊

    大出委員 もう少しはっきり言ってください。三つとあなたはおっしゃるんだけれども、そうするとこの三つという意味は、航空母艦の三隻なんですか。そして一隻の航空母艦に駆逐艦をどのくらいくっつけているとあなたはお考えなんですか。つまり艦船の数でいってどのくらいが事前協議対象になる一機動部隊なんですか。具体的に言ってください。
  105. 大河原良雄

    大河原説明員 ここにいいます一機動部隊、すなわちタスクフォースを構成いたしますものとして通常三ないし五タスクグループというものがあるわけでございまして、その一タスクグループを編成するものといたしましては、空母に五、六ぱい程度の駆逐艦が付随する、こういう形が考えられていると思います。
  106. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん念を押しますよ。三ないし五のタスクグループ、その一つ空母一つと五ないし六隻の駆逐艦、もちろん空母だから飛行機は乗っていますね。これをさす一それだけじゃありません。いまの表現でいけば、たとえばミッドウエーでいうならば、ミッドウエーの三百マイル前方をE2ホークアイが哨戒しています。そしてその内側はヘリコプターが巡回しています。潜水艦索敵をやっている。それから潜水艦も十隻ございますが、これはひっついてきて、もぐって哨戒をしている。こういうかっこうになりますね。駆逐艦も五、六隻くっついている。それにこれは通常型空母ですから、輸送艦がくっついている。これだけのものが一つのグループなんですね。これが五つないし六つなければならぬ、そうでなければ事前協議対象のタスクフォース程度でない、こう言う。そうならば空母一隻に六隻の駆逐艦で七隻、七隻か三つか五つなければならぬ。三つのグループがあったにしても、三、七、二十一の巨大な軍艦、五万トン以上の空母中心にしてべらぼうな軍艦が二十一隻、そんなものが配置変更で海から日本に入ってくることなんかありはしないじゃないですか。いかがでございますか。  まして五つだということになれば、三十五隻もの大船巨砲を並べたものが一緒に入ってくる、そんなことはあり得ないじゃないですか。そんなら事前協議なんというのは全く要らないじゃないですか。あなたの論理ならば最低三つのグループ、七隻ずつにしたって三、七、二十一隻じゃないですか。これに輸送艦がくっつく、潜水艦がくっつく、そんなもの、あなた配置変更日本に入りようがないじゃないですか。外務省がいっていることは初めから事前協議じゃない。これはいかがでございますか。
  107. 大河原良雄

    大河原説明員 昭和三十五年の安保国会当時以来、この問題については国会で随時御議論があった点でございます。当時以来、政府といたしましては一貫して、配置における重要な変更と申しますのは、陸上部隊の場合を例にとれば一個師団程度、海軍の場合は一機動部隊程度、こういうことをさすのである、こういうことで随時説明が行なわれてきているわけでございまして、今日もその考え方は変わっておらないわけでございます。もちろん一機動部隊がいかなる形で編成され、その下に構成部隊となりますタスクグループなるものがいかなる編成をもって行なわれるかということにつきましては、あるいはそのときどきの考え方によって編成が異なる場合があり得ると思います。七艦隊の場合は、先ほど御指摘がございましたし、また防衛局長からも御答弁ございましたように、空母打撃部隊その他の任務を持った部隊が配属されておるわけでございますし、その任務の編成もタイプコマンドという形で駆逐隊あるいは潜水隊、哨戒部隊というふうな任務のタイプに応じた部隊の編成が行なわれ、これをもとに七艦隊というものが編成されるということでございますので、政府の従来の配置における重要な変更というものにつきましては、海軍の場合はただいま御説明しているような形でずっときておる次第でございます。
  108. 大出俊

    大出委員 話にならぬじゃないですか。  じゃ、一つ聞きますが、第七艦隊には今日空母が何隻あって、何という名前でございますか。
  109. 大河原良雄

    大河原説明員 現在七艦隊に配属されております空母は、ミッドウエーのほかにコーラルシーとハンコックというふうに承知いたしております。
  110. 大出俊

    大出委員 そうだとすると、いま三ないし五と言ったのは、五はどういう意味ですか。
  111. 大河原良雄

    大河原説明員 ベトナム戦争が非常にまだ戦火が激しい時代におきましては、七艦隊にはたしか一番多いときで七はいの空母が配属されておったことがあると思います。したがいまして、同じ七艦隊におきましても、任務の状況によりまして配属される空母の数も異なってきておるというのが実情であるというふうに考えております。
  112. 大出俊

    大出委員 これは六隻ございましてね、エンタープライズ、レインジャー、コンステレーション、コーラルシー、ミッドウエー、オリスカニー、これにハンコックが加わった場合かあります。いまあなたの御説明によると、平時であれ戦時であれ——平時の場合は三クループになります。あなたがいまおっしゃったとおり空母が三隻。ベトナム戦のときには六から七隻になったことがある。そうすると平時であれ戦時であれ、七十七機動部隊に関する限りは、七十七機動部隊一つがタスクフォースなんですから、七十七機動部隊が一ぺんに日本に入ってくることはない。なぜならば、おのおのグループ、グループで任務が違うのだから、哨戒区域が違うのだから。そうだとすると母港化しようと何をしようと、これは事前協議対象は海に関する限りは一切ならない。ならないでしょう。いかがでございますか。
  113. 大河原良雄

    大河原説明員 配置における重要な変更というものはこうであるという理解を、政府は従来国会に対して申し上げておるわけでございまして、その内容は、先ほど来申し上げておりますように、海軍の場合一機動部隊程度、こういうことであるわけでございますが、現実の問題として、七艦隊に現在配属されております三ぱいの空母を含めました七十七空母打撃部隊がタスクフォースとして全部日本配置されることがあるかどうかという問題につきましては、いかなる場合にそういうことがあり得るかということについては、私は想像を避けさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、事前協議制度と申しますものは、結局わが国から、行なわれる戦闘作戦行動について事前協議米側に義務づけておる、こういうふうな形でわが国安全保障上の立場を維持確保するということに主眼があるというふうに考えておるわけでございます。
  114. 大出俊

    大出委員 違うならあなた御訂正願いたいですよ。あなた空母とおっしゃっておるでしょう。タスクフォースとは何だ。三ないし五のタスクグループが一緒にならなければいけない。そしてその中身は、空母一隻と五、六ばいの駆逐艦だという。間違ってはいけませんよ。空母があるのは一体どこにあるのですか。七十七機動部隊だけじゃないですか。そのほかにありますか。さっき私が例にあげたじゃないですか。空母があるのは七十七機動部隊だけですよ。TF77だけです。ほかに空母は一隻もありませんよ。そんなにアメリカ空母の安売りしているわけじゃないんだから。だから、先ほどのTF72というのは、重巡一隻に駆逐艦四隻ですよ。台湾海峡を哨戒している。それからTF73というのは、補給支援部隊ですよ。空母なんか一隻もありませんよ。TF76、これもあなたがおっしゃる空母なんて一つもありませんよ。海兵部隊、どれももちろんありません。そうなると、空母のあるのは七十七だけじゃないですか。空母一隻に五、六隻の駆逐艦が取り巻いている。それが三つから五つでなければ事前協議対象にならぬとあなたはおっしゃる。そうなれば、そのほかには空母がないんだから、全部対象にならぬじゃないですか。対象になる可能性があるのは七十七だけじゃないですか。そうでしょう。空母が三隻もあるなんていうのは七十七だけでしょう。そうすれば事前協議対象になるのは、まず七十七機動隊だけ。正確には攻撃空母打撃部隊だけ。これは第七艦隊の主力です。主力だけ。そしてこの主力も三ないし五。三といったら、第七十七機動隊は三つで全部なんだ。空母が三つ入ってきてごらんなさい、全部これにくっついているんだから。七十七機動隊全部だよ。七十七機動隊全部が日本に入ってくる。そんなばかなことはないじゃないですか。  久保さんにひとつ承りますが、アメリカ艦隊というのは幾つありますか。
  115. 久保卓也

    ○久保説明員 四つあると思います。地中海とそれから大西洋それから太平洋の東、ハワイにありますが、それからいまの第七艦隊です。
  116. 大出俊

    大出委員 そのとおりでしょう。第二艦隊、第六艦隊、これは地中海、大西洋。第一艦隊、第七艦隊は太平洋。それしかない。四つしかない。しかも第一と第二というのは留守部隊ですよ。第七、第六が実働部隊ですよ。七艦の交代期だけ第一がかわるという場合があり得ても、あとは全部本国に両方ともひっついている。アメリカ本国を守っている留守部隊です。七艦と六艦しかな、その七艦の主力部隊というのは七十七機動部隊しかない。空母はこれしかない。  あなたのいまの説明によると、空母一つに駆逐艦五、六隻、そのグループが三つないし五つなければ事前協議対象にならぬ。ならぬ限りは、七十七しか日本の太平洋岸にはいないんだ。大西洋岸の第六が入ってくるはずがない、まさか軍艦が陸を横断して来るんじゃないんだから。そうでしょう。そうなれば太平洋岸というのは七十七機動部隊しかいない。その七十七機動部隊の中で三隻から五隻の空母、これが入ってこなければ事前協議対象にならぬというなら、第七十七機動部隊の全部が入ってこなければ対象にならぬのですよ。明確じゃないですか。いかがですか、大河原さん。
  117. 大河原良雄

    大河原説明員 配置における重要な変更との関連におきまして、私先ほど申し上げましたように、海軍の場合は一機動部隊程度配置ということを申し上げたわけでございますが、これは陸上部隊の場合につきまして、個師団程度ということになっておりまして、それに見合う兵力量といたしましては、海軍の場合には一機動部隊程度、こういうふうに了解されておったということを申し上げたいわけでございます。
  118. 大出俊

    大出委員 それをあなたさっき答えなかった。議事録と違う。そんなでたらめな答弁ではだめですよ。陸上は一個師団、空はそれに見合う程度、海は一機動隊程度、あなた一機動隊とちゃんと言っているじゃないですか。陸上に見合うのじゃないですよ。あなたさっき一機動隊程度とちゃんと言ったじゃないですか。空は陸上の一個師団に見合う程度とあなたは言った。海は一機動隊程度、ちゃんとあなた答えている。そしていま、そのあとのあなたの答弁は、航空母艦一隻に五、六隻の駆逐艦が取り巻いている、それが三つないし五つ、そうでなければ事前協議対象にならぬとあなたははっきり言っている。それならば、空母はほかの機動隊にはないのだから、七十七機動隊しかないじゃないですか。それが主力の打撃部隊ですよ。じゃ、主力の打撃部隊はどうなっているんだといったら、航空母艦が三つという。戦時中は七つあったことがあるという。三つないし五つといったら第七十七機動隊全部が入ってこなければ事前協議対象にならぬじゃないか。そんないいかげんなものなら、何のための事前協議なんですか。歯どめもへったくれもないじゃないですか。六条の岸・ハーター交換公文は第五条を除いているのですよ。それはなぜか。日本に関係のない紛争に日本が巻き込まれないために歯どめとしてこしらえたのだ。だから、ノーと言いますと岸さんは答えている。はっきりしているじゃないですか。それじゃ海における事前協議なんというものは全く意味ないじゃないですか。七十七機動部隊が一ぺんに入ってくる、そんなばかなことがありますか。そんなことはできやしないじゃないですか。事前協議対象になるものは一つもないじゃないですか、あなたの答弁でいけば。観念論ではなくて、第七艦隊の七十七機動部隊現実の数までわかっているんじゃないですか。名前までわかっているんじゃないですか。はっきりしてくださいよ。そんなことで審議はできませんよ。
  119. 大河原良雄

    大河原説明員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度、こういうことを言っているわけでございます。陸海空を並べてみますと、それぞれそれに見合う程度の兵力量をとらえて、陸上の場合は一個師団海軍の場合はこれに大体見合う兵力量として一機動部隊程度、こういうことを言っているわけでございまして、先ほど来御指摘のように、七艦隊の中でたとえばTF73後方支援部隊というものがございますけれども、この後方支援部隊はタスクフォースという名前を持っておりますけれども現実には補給、サルベージ、曳航、工作、こういうふうなことでございまして、打撃戦力というものを持っておりません。したがって、このようなタスクフォース七十三という後方支援部隊を、機動部隊という名前を持っているがゆえに、ここでいう一機動部隊ということで配置における重要な変更対象考えるということは、これもまた実際的じゃないだろうと思います。
  120. 大出俊

    大出委員 そうなれば大河原さん、いよいよ私の言うとおりその対象は七十七機動部隊しかないじゃないですか。そうでしょう。そうすると七十七機動部隊の中であなたがどういうことが対象になるのかということに答えて、空母が三隻ないし五隻とおっしゃる。その一空母に五隻ないし六隻の駆逐艦が取り巻いている。これが三つないし五つとあなた答えている。三つなら平時における第七艦隊の七十七機動部隊全部である。そんなものが入れっこないじゃないですか。七隻ずつにしたって二十一隻ですよ。そのほかに潜水艦がいますよ。そうでしょう。そんなものが入ってこられやしないじゃないですか。第一艦隊というのはアメリカの太平洋岸に張りついている。みんな入ってきちゃった日には穴になってしまう。軍事的にそんなことができるはずはない。そうなりませんか。  久保さんどうですか。少しあなたの識見豊かなところで答えてくださいよ。だから、事前協議というものは空文なら空文でいいんだ。
  121. 久保卓也

    ○久保説明員 口頭了解ができましたときにどういう発想があったか、もちろん私は存じませんけれども、その場合の中心的な観点は、いまアメリカ局長説明されましたように、空母群を中心にした発想であったろうと思うのです。したがいまして、事実問題は、タスクフォースということばを使った部隊は、編制上は現実にはございますけれども、そのとき問題になったのは、やはり実力部隊としての空母群が中心になったものであろうと思います。そこで単位になったものだろうと思います。  そこで、それではそういった三ないし五のグループが日本に入るかどうかということは、現実にはおっしゃるようになかなかそういった事態はありにくいだろうと思いますが、ただ観念的と申しますか法律的と申しますか、そういった思想を整理する意味で口頭了解ができたのじゃなかろうかと私は思います。
  122. 大出俊

    大出委員 観念的に思想整理のために口頭了解ができた。観念的に思想整理ならこれを称して空文という。空文であることを認めなさいよ。観念的に思想整理のためにこしらえたんだ。七十七機動隊全部が入ってくるなんということはないですよ。私が言っていることは、大地を打つつちが狂っても間違ってない。これじゃこれより前に進みませんがね。あなたは具体的なことを言えば、一生懸命観念的に逃げるけれども、幾ら繰り返したって一緒なんだ、あなたの言っていることは現実的にそんなことはないのだから。まさに観念的に思想整理のために使っているだけだ。まさにこれを称して空文の典型という。——それじゃこうしてください委員長。大河原さんの言うのが、いま理事さんとのお話し合いによりますと、戦時と平時とを分けてみて、平時には入ってくる必要がないから平時はおそらく予測しなかったのではないか、口頭了解をこしらえるころに。戦時を予測するそのときには、入ってくる場合があるかもしれない、こういうことだったのだろうという発想だというのですね。それならそれでいいのですが、大河原さん、あなたに直接聞かぬでこっちから聞いて悪いけれども、時間がないからですけれども、いまの御発想ならそれでわかるのですよ、私は。わかるのだけれども、それならばそれで、いま行なわれているのは、平時にどんどん入ってきているのですから。一昨年の十一月に第十五駆逐船隊が入ってきているでしょう。今回また平時にミッドウエーが入ってきているでしょう。隣の自衛隊の第一護衛隊群、ここにだって七隻日本の自衛艦がいるでしょう。最近、「はるな」が本年一月の二十五日に就航して入ったでしょう。これは四千七百トンですよ。三次防の中心艦ですよ。それが横須賀にそろっているわけだ。わがほうの自衛隊の七隻の護衛艦も第十五駆逐船隊の六隻の駆逐艦も。そこへ一年間百五十日にわたって原潜が入ってきているわけでしょう。そこに空母ミッドウエー母港化ということで入ってきたわけでしょう。これは平時ですよ、戦時じゃない。それならば、一体事前協議対象になるのかどうか、すべきではないのかというのが新聞のほとんどの論調であり、国民ひとしく疑念に思うところでしょう、日本の将来の平和と安全を考え立場に立てば。思想的な考え方は久保さんと私のように違っても、お互い専門屋同士で違っても、それは戦略、戦術を見る見方の相違だからしかたがないとして、現実に行なわれているこの問題については、大河原さん、国民が心配しているのだから、そうだとするならば、旧来の事前協議というものは、事海に関してはこうこういうことであったということをはっきりしてもらいたいのです。私はいままで長いこと、十年間質問してきていますが、戦時、平時の使い分けが出てくるとすれば、それは初めてのことです。あなた一人の見解じゃ困る。そうならば、いままで私は歴代の防衛庁長官にも、外務大臣にもくどいように質問してきているのだから、この際、あなた方がそういう考え方なら考え方でいいのだから、あなた方で御相談をいただいて、はっきりしたものを統一した見解としてお出しを願いたいのですよ。それで国民の疑問は解いてもらいたい。私がさっき申し上げたように、安保条約それ自体が冷戦時代の産物です。いつ戦争が起こるかわからぬという意識の中で間違いなくつくられたものです。だが、さっき久保さんのおっしゃるように、国際情勢は変わってきている。反共のとりでということばをもう第七艦隊は使わないかもしれない。これは七艦のPR文章の中にあるのです。久保さんのように変わったんだということになるのなら、そこで問題はかみ合います。それならば、それでいい。そうならば、こういう現象について国民が納得をしないのだから、あらためてアメリカと話し合って、福田外務大臣のときじゃありませんけれども事前協議というものはどういうものなのかということを問い直してみる必要がある時期に来ている、こう私は申し上げたい。  そこでこれは事前協議対象にならぬのだとすれば、なぜならぬのかという——さっき藤尾さんから承る限り、冷戦時代の発想で平時と戦時に分けているというならそれでもいい。今回入ってきたのは、さみだれ的に入ってきたから対象にならぬのか、本来対象にならぬのか、そこらを明確にしていただいてお出しを賜わりたい。この辺で一ぺんお答えください。
  123. 大河原良雄

    大河原説明員 昭和三十五年に現行安保条約が締結されました段階におきまして、事前協議制度が非常に問題になりましたのは、結局日本米軍の駐留を認めることによって周辺地域の紛争に巻き込まれるおそれがあるのではないか、それに対する歯どめはどうするんだ、こういう御議論であったように私記憶いたしております。したがいまして、事前協議制度の対象となる事項が何であるかということにつきましては、日本が、日本の意に反して周辺の武力紛争に巻き込まれないことを確保するということにあったはずでございまして、そういう考え方を推し進めていきますと、結局事前協議制度というものはいかなる状況において考えられるかということになりますと、平常の状態においてはまずないであろう、平常でない事態に対処するための方策である、こういうふうに考えてよろしいかと思います。従来国会における議論におきまして、事前協議の問題につきまして平時、非平時という分け方はされてないように思いますが、背景といたしましては、あるいは考えといたしましては、平常でない事態において事前協議の問題が発生してくる、こういう考え方であったろうと思います。  そこで現在七艦隊は、ベトナム戦争時代と異なりまして、先ほど来御指摘がございますように、現に三ばいの空母の配属を受けておるという状況でございまして、これが平時なのかどうなのかということについては、またいろいろな見方があり得るかもいたしませんけれども、少なくとも異常な事態に対処するための編成であるとは考えられないと思います。  そこでそういう状況におきまして、今日、先ほど来御議論がありますように、三個ないし五個のタスクグループをもって編成された空母打撃部隊というものが一時日本配置というかっこうで入ってくるという事態は、さしあたり想定しにくいということは言い得ると思われます。それならば、そういう事態は一切ないかと申しますと、配置における重要な変更という事前協議制度の対象としては一応考えられておる、こういうことが言えるわけでございます。  もう一つ、六八年以来さみだれ的に配置が行なわれた、したがってこれは事前協議制度の対象になるのかならないのか、こういう御指摘でございますが、私どもといたしましては、七艦隊旗艦でありますオクラホマシティーが六八年にその乗り組み員の家族横須賀居住させ始めた、七一年に十五駆逐隊の乗り組み員の家族が同じく横須賀周辺居住し始めた、今回ミッドウエーの乗り組み員の家族が同じく横須賀居住し始めたということでございまして、この点について事前協議制度の対象となる配置における重要な変更というふうには考えておりませんけれども一つの議論として、あるいは考え方としてそういうなしくずし的な、あるいはさみだれ的なやり方をかりに米側がとる場合に、それはどうかということになりますならば、これは政府は従来からなしくずしでのろうと、さみだれであろうと意図をもって結果出にそういう形がとられる場合は、事前協議対象になる、こういうことを言っているわけでございます。その点についての考え方は、今回の場合も変わっておらないのであります。
  124. 大出俊

    大出委員 大河原さん、平時、戦時という観念、考え方というのは、いままで私も何べんも聞いていますが、一ぺんも出ていない。それから内閣委員会専門調査室等がおつくりになったものをずっと読んでみましても、この件について政府の見解の中には平時、戦時の分け方をしていない。だから、あなたが初めてそのことを明らかにされたわけですけれども、そこのところは正式に私は文書で回答をいただきたいのですよ。そうしていただきませんと、この種のことは非常に大切なことで、国民の皆さんがこのミッドウエー母港化をめぐって相当大きな——これは新聞もたくさんお書きになっているとおりなんです。だから、そういうところは、旧来私どもが長い皆さんとのやりとりの中で観念統一をしてきたことと全く違うので、私も各タスクフォースを全部七艦について調べてみて、これはいまの皆さんの論法でいうなら事前協議対象ではないな、そこで、その壁にぶつかっているから聞いているのです。だから、そこのところは、私は、大臣もいないことでございますから、きょうは二階堂さんにお出かけをいただきたいと申し上げたのですが、かんべんしてくれというお話なんだから、私もその点は了解しましたが、それだけに、これは山中さんもおいでになりますが、この席においでになる大臣は山中さんしかおいでにならないので、山中さんお聞きになっておって、ここのところ、やはり私ははっきりしておくべきである、こう思います。いかがでございますか、そこのところ。
  125. 大河原良雄

    大河原説明員 私先ほど御答弁申し上げましたのは、三十五年の安保条約交渉当時の発想はこうであったろう、あるいは背景はこうであったろう、こういうふうな推定を、推測を申したわけでございますが、いずれにしましても、平時、戦時という分け方は、あまりにも直線的な分け方でございまして、もし考えられるとするならば、平常な事態、平常でない事態、こういうふうなことではむしろないだろうかと思います。いずれにいたしましても、その問題につきましては、もう少し内部的に十分また相談させていただきたいと思います。
  126. 藤尾正行

    藤尾委員 いまの問題について。これは私はこの場で大河原局長の責任においてはなかなか文書にしにくい問題があると思いますから、いずれあらためて、十一日以降、大臣の御出席の際に、正式な外務省見解として大臣を通じて御表明を願いたい、そう思いますので、そのようにひとつ御承知を願いたいと思います。
  127. 大出俊

    大出委員 いま藤尾理事お話しになっている件でよろしゅうございますか、委員長は。よろしければ、このことでこれ以上時間をとっても意味がございませんので、先ほど久保さんから端的に、観念的な思想統一だというお話も出まして、実際にいまのこの文章なら、そうならざるを得ぬのですよ、率直に言って。それではこれはまた意味がない。国民は不安を感ずるのみです。平時であってもたいへんなものが入ってきた、そのことが脅威を増大させることはあり得るわけです。核の例をとったってそうです。だから、そこらはぜひひとつ、いまそういう御発言ございましたから、この議論はさっきの答弁のままにここでしておいていただいて、変わった新しい見解を聞きましたから、ぜひこれは大臣がおられるときに……。
  128. 三原朝雄

    三原委員長 機会をあらためて審議を続けます。
  129. 大出俊

    大出委員 たいへんこれで時間をとって、他の党の皆さんに申しわけないのですが、出た話でございましたから、お許しをいただきたいのでございますが、あとできるだけ簡潔に聞いてまいります。また簡潔にお答え願います。  第一は、第十五駆逐戦隊なるものの六隻の名前、どういう船が入ってきていますか。   〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
  130. 大河原良雄

    大河原説明員 第十五駆逐隊に所属いたしておりまする駆逐艦は六隻ございまして、ウォーデン、パーソンズ、ローアン、グルク、リチャード・B・アンダーセン、バウゼル、この六隻であります。
  131. 大出俊

    大出委員 そこでいまの限界からいきますと、駆逐艦が六隻、空母ミッドウェー一隻、あと潜水艦が入ってきておりますが、ここら全部ひっくるめても、これはあなたの御見解でいうと事前協議対象にはならない、こういうことですか。
  132. 大河原良雄

    大河原説明員 事前協議対象となる配置には相当しないということでございます。
  133. 大出俊

    大出委員 言い回しはどっちでも同じことだ。  そこでひとつ承りますが、そういうことでは国民の心配や疑惑はとれない。そこで先ほど来くどいように申し上げている冷戦時代の産物であり、先ほどあなたの答弁も旧来とは変わってきている。だとすると、あらためて、この件に関する事前協議の持ち方、あり方について、米側と当然このことを議題に話し合って、再検討の必要がある、こう私は考える。なぜならば、もっとすなおに国民の心配や疑念に政府はこたえていただきたい。それは時の政府の責任だと私は思っている。新聞の論調、どれを見ても、まず社説、主張、すべてそこに触れられている。安保条約のワク内であるとはいっても、国民がこれだけ心配する。国際情勢緩和の方向の中に、何で一体いまになって横須賀空母を入れてこなければならぬのか。それによって連動して混乱を起こす各基地がたくさんある。だとすれば、政府アメリカにものをいって再考すべきではないかという社説も出ている。そういう時期だという気がするのでありますが、ここのところはいかがでございますか。
  134. 大河原良雄

    大河原説明員 事前協議の問題につきましては、沖繩国会当時以来、国会でいろいろ御論議がございました。そういうものを受けまして、ことしの一月に第十四回安保協議委員会が開かれました際、事前協議制度のワク組みの問題について日米間で話し合いが行なわれた。その結果、日本安保協議委員会といたしましては、事前協議のワク組みに関する日米間の基本的な了解で確認されたわけでございますが、一方、委員会としまして、さしあたりいまの国際情勢のもとにおいて事前協議を必要とするような情勢は想定されない、こういうことについての留意をしたわけでございまして、したがいまして、現在の国際情勢のもとにおいて、事前協議制度といういささか物騒な感じを与える事態は想定されておらない、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、この時点におきまして事前協議制度ということをあらためて洗い直すということについてはいかがであろうか、こういうふうに考えておるわけであります。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕
  135. 大出俊

    大出委員 他の党の皆さんからもおそらく問題が出ると思いますから、私は私の意見だけ、いまのように申し上げておきます。また御回答等あらためて大臣御出席の上いただくときに詰めたいと思います。  ここでこれまた簡単に承りますが、先ほど私が質問をいたしましたときにお答えになった第七艦隊の守備範囲、たいへん広範にわたります。三つのタスクグループがある中の一つミッドウエー中心とするタスクグループでございまして、これは西部方面を受け持っている。西のほうの太平洋。そうなると、マダガスカル島というお話がございましたけれども、ペルシャ湾というお話もございましたが、たいへん広範囲な守備範囲を持っております。  そうするとこれは極東の範囲との関係が当然出てくる。さっき私が申し上げましたが、第六条で、日本並びに極東の安全と平和の維持に寄与するためにというふうにうたってある。アメリカ合衆国は陸海空三軍をして区域、施設を使用することを許される、こうなっている。そうすると極東の範囲というのはどこからどこまでか。これは私のほうから申し上げるまでもなくお答えをまずいただきたいのと、さてそうなると、極東の範囲ということよりはるかに遠いところまでの守備範囲を持っているミッドウエー、それにこの際、単なる寄港ではない、拠点、根拠地、戦闘作戦行動に連動する根拠地を与えることになる。先ほどえんきょくに、その意味では強化だという意味のことになったわけでありますけれども、つまりそういうミッドウエーが入ってきた。極東の範囲というものとからんで、久保さんの言う沿岸諸国、これに対する抑止力——抑止力というのは、相手に脅威を与えなければ抑止にならぬ。何かあったら対抗しなければ抑止にならぬ。対抗手段を講ずる。つまりそうなれば戦闘です。その可能性が十二分にある。大河原局長答弁でも、条約の相手国、そこらの国に対するアメリカの責任という意味で入ってきたという側面もあるとおっしゃっている。そうならば、何かあれば対応する、こういうわけであります。そうすると、まず極東の範囲という問題との関連で、そこまでの守備範囲を持っているものをはたして認められるのか。  もう一つ、当然戦闘作戦行動が予測できる。あなたは、条約の相手国に対するアメリカの義務を果たすという側面を持って入ってきたミッドウエー、そういう面がアメリカ側からすればあるという。ある限りは、責任を果たさなければならぬ限りは、何かがこの沿岸地域で起これば、とたんにミッドウエーは出港する。それは戦闘作線行動になる。そこらのところはどう考えていますか。極東の範囲とともにお答えください。
  136. 大河原良雄

    大河原説明員 極東の範囲につきましては、昭和三十五年の衆議院の安保特別委員会提出されました政府の統一見解がございます。極東の範囲ということにつきましての政府考えは、その統一見解そのままでございまして、何ら変わりはないわけでございます。  そこでただいまの御質問は、極東の範囲は政府の統一見解どおりであるとして、ミッドウエーの行動が極東の範囲外にはみ出るではないか、こういう点であろうと伺いましたが、七艦隊の守備範囲あるいは七艦隊の持っております任務の範囲というものは、先ほど御答弁申し上げましたとおりでございますが、ミッドウエーそのものが、この水域のどの部分において行動するのかということについて、私ども必ずしもつまびらかにいたして  それからもう一つは、極東の範囲という考え方は、安保条約にうたわれておりますように、日米両国が、条約にうたわれておりますとおりに、共通の関心を持っている極東における平和と安全の維持ということに関連しまして考えられる観念であるわけでございます。したがって米軍は、日本を含む極東における平和と安全の維持に寄与するためにわが国施設、区域を使用することが認められているわけでございまして、米軍がこのような目的のために施設、区域を使って行動します際の現実の行動範囲というものは、極東地域に対する武力攻撃を含め、この地域の平和と安全に対する脅威の性質がどういうものであるかということにかかわるものであって、必ずしも極東の範囲というものに限定されるわけではないというのが政府考え方でございます。
  137. 大出俊

    大出委員 私もこれは何べんも質問してきましたが、簡単に言うとこういうことです。フィリピン以北、日本周辺である。露領沿海州は含んでいない。韓国、台湾の周辺を含む、極東の範囲というのは。それじゃ一体ベトナムというのはどこにあるんだ。いや極東ではございません、極東のちょっと隣でございます、こういう答弁を時の外務省条約局長は私にいたしました。ちょっと隣ってどのくらい隣なんだ。いやすぐ隣なんだ。すぐ隣ってどこまでがすぐだ。いや、そこまでわからないと言う。すぐ隣でございますから、極東の範囲に影響があるからとか言う。その論法でいったら、インド洋までいったって、ペルシャ湾までいったって、これは全部影響がある。これじゃ極東の範囲も、何のためにフィリピン以北、日本周辺ということにしたのか。その拡大解釈もすでに許されないときに来ている。そうするとミッドウエーが入ってきた。ミッドウエーは一体どれだけの作戦区域を持つのか。あなたはわからぬと言うのだから、私の言うことを認めざるを得ない、あるいは黙って聞いていなければしょうがない。三つのグループに分かれていて、おのおの任務が違う。ミッドウエーの守備範囲というのは南西太平洋、西はどこまでいくかといえばマダガスカル島の先まで、六十度までです。これしかないのです、ミッドウエーの範囲というのは。あとの二グループはもっと向こうのほう。そうなるとこれはインド洋の向こうのほうまでいっちゃう。そんなところまで極東の範囲だというのなら、これはもうナンセンス。これまた安保条約、冷戦の産物でございまして、もうそんなことを言ったって世の中通らない。極東の範囲についても、この辺でほんとうにどこまでが極東の範囲なのかという点をはっきりさせる必要がある。そうお考えになりませんか。アメリカの言うとおり、適当に、それはいま極東のすぐ隣ですとか、そのまた向こうですとか言うていれば済みますというのじゃ、もう国民は納得しないのですよ。そこはいかがでございますか。なるべく早く終わりたいので、ひとつはっきりお答えください。
  138. 大河原良雄

    大河原説明員 極東の範囲と申しますのは、米軍わが国施設、区域を使う際の基本的な使用目的を限定したものであるというのが政府考え方でございます。したがいまして、補給なり哨戒というふうな目的のために米軍機なり米国の軍艦が極東の範囲外で行動するようなことがありましても、その行動が極東における平和及び安全の維持に寄与するもの認められる性質のものであるならば差しつかえない、こういう考え方をとっておるわけでございます。現実問題としまして、ぺルシャ湾の近くまで、あるいはペルシャ湾まで、日本施設、区域を使って戦闘作戦行動に米軍が出ていくことを認めるかということになりますと、おのずから限界が出てくると思います。
  139. 大出俊

    大出委員 日本の石油というのは、ペルシャ湾からインド洋を通って、マラッカ海峡を通って日本に来ます。その積み出すところは主としてぺルシャ湾です。しかしそのペルシャ湾までというのは、幾ら何でも極東じゃない。これはよろしゅうございますね。いかがでございますか。
  140. 大河原良雄

    大河原説明員 極東の範囲に関連いたしまして、政府として従来、極東周辺地域ということについても御説明したことがございます。しかしながら、常識的に考えまして、また日本の安全という見地に立ちまして考えました場合にも、インド洋の西の端はるかまでというふうなことには当然ならないだろうというふうに考えております。
  141. 大出俊

    大出委員 はっきりしたのですが、それじゃ極東周辺とインド洋のはずれまでの間のどの辺まででございますか。
  142. 大河原良雄

    大河原説明員 これは地域的にどこまでということを限定するになじまない性質のものだろうと考えます。
  143. 大出俊

    大出委員 なじまない、なじまないと言っているうちにペルシャ湾のすぐそばまでいっちゃったなんということになりませんですか。
  144. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほども答弁申しましたように、おのずから限界が出てくるものである、こういうふうに考えます。
  145. 大出俊

    大出委員 それはずいぶんあぶない限界だ。そこで、これもまたどうせあなた一人ではお答えになれぬでしょうけれども、そうなればやはりこの極東の範囲もアメリカ側ともう一ぺん詰める必要のあることですよ。そんないいかげんなことで事は済みやしない。しかしあとに譲ります。あらためて承ります。  最後に、核の問題だけちょっと承っておきたいのでありますが、このミッドウエー核装備——核装備能力を持つわけですね。あなた方、この岸ハーター交換公文等の関係からいって、日本政府の意に反することはしないということを信ずるというわけですから、幾ら核を必要とする船が入ってきても、あるいは積んでいても、積んでないはずだということになるわけですから、そこで核能力という意味で、このジェーン年艦には——あなたのほうに私質問をいたしましたら文書で御回答いただきました。それによれば、貯蔵、組み立て、積載、三つ書いてある。これは皆さんがよこしたのですよ。いや防衛庁ですな。久保さんのところだ。外務省じゃありません。これは防衛庁お答えになったから防衛庁に聞きましょう。  これを見ると、同艦の核搭載能力については、ジェーン海軍年艦は次のように記載している。ミッドウエー空母は、一九四九年から核兵器を貯蔵、組み立て、積載できるよう改装され、核攻撃能力を有する世界最初の戦闘艦である。」こういう御回答です。あなた方の回答に書いてある。何項目か項目がありますけれども……。そうするとここでいう核積載能力なり貯蔵能力なり組み立て能力というものは、どういう兵器が対象になっておりますか。
  146. 久保卓也

    ○久保説明員 ミッドウエーの核兵器関係については具体的な知識を持っておりません。ただこのジェーン年艦から推測いたしますれば、航空機で核兵器を持ち得るものとしてはF4、それからA6というものがあります。そこでそれらが搭載するであろうミサイルもしくは爆弾について貯蔵、ミサイルなどはおそらく組み立てをやる場合がありますから組み立て、それから積載と申しますのはおそらく航空機ということであろうかと思います。
  147. 大出俊

    大出委員 そうするとミッドウエーは、艦対空のミサイルであるタロス、テリアというふうなものは積んでいますか、いませんか。それから対潜魚雷アスロックみたいなものは積んでおりますか、おりませんか。あるいはターターなどは一体持っておりますか、おりませんか。いかがでございますか。
  148. 久保卓也

    ○久保説明員 アスロックはあるいは積んでおるかと思いますけれども、艦対空ミサイルについては私どもの資料に書いてありません。したがって、ないのではないかと思いますけれども、これはもう一度調べてみないとわかりません。
  149. 大出俊

    大出委員 外務省はどうですか、いまの点は。タロス、テリア、ターター、アスロック、積んでおりますか、おりませんか、第二次改装のときに。
  150. 大河原良雄

    大河原説明員 ジェーン年艦によります限りは積んでいないのではなかろうかというふうに考えておりますけれども、確かめたことはございません。
  151. 大出俊

    大出委員 どうもジェーン年鑑によります限りはと言って、久保さんのところも大河原さんのところも優秀な人材をおそろえで、ジェーン年鑑によればという回答をおよこしになる。御答弁がまたシェーン年鑑によればという答えが返ってくるというんじゃ、いささかどうも心もとない限りでございまして、入ってくるのがミッドウエーであって、国民がこれだけ心配する、新聞が書くということであれば、なぜアメリカ側ともう少し遠慮なく——あなた方は、いまお話しになっているのは、いろいろ話をして、内に何かあってものを言っておるのじゃない。そうでしょう。そこらのところは、なぜもう少し、軍事的に責任を持たなければならぬ防衛庁もおいでになるわけですから、お調べいただけぬのですかね。アメリカ側とものを言い合うことはできませんですか。いかがでございますか。いまのじゃ、だって御答弁にならぬでしょう。ジェーン年鑑に書いてございませんから、ないかあるかわからぬというんじゃ、これはわからぬじゃないてすか。——これはほんとうに困ったな。人が一生懸命調べているのに、あなた方は全くしょうがない。まあいいです。それじゃひとつお調べください。  ところでA6イントルーダー、あとF4ファントム。ファントムはブルパップ、空対地のミサイル、これも非核両用でございます。それからイントルーダーのほうは海の言うならば爆撃機です、はっきり言えば。核積載を予定してつくってあるところがある。そういうものです。つまりいま具体的にあげたのは、積載している飛行機、これが核の搭載能力がある。ここまでがいまやりとりの中で出てきた。あとはわからないというわけです。したがってお調べをいただいて後ほどお答えをいただきたいのであります。  後ほどお答えをいただくときに、あわせて申し上げておきますが、本来ならばハリネズミのようになっているのです。エンタープライズはじめそうです。ベインブリッジに乗っかったある軍事専門家がおりましたが、聞いてみましたら、私は、海上ですから、海ですからナイキハーキュリーズみたいなものがあろうはずはないと思っていたところが、舷側を押すと出てくる。それで三十キロ上がっていって九十キロ回る。現にそれを見てきている人がいる。なるほどと思って感心したことがある。調べてみなければわからぬものだなという気がする。そこで、そういう状況ですから、そこから先は皆さんおわかりにならぬと言うからしようがありませんが、あわせて、もしもミッドウエーが積んでいないんだとすれば、それならばその周辺で積んでいなければ即応できない。撃沈されてしまいますよ、これは。三百マイル先にE2ホークアイ、これが哨戒している。内側はヘリコプターが飛んでいる。原潜が走っている。駆逐艦がいる。輸送艦がいる。こういう配置です。いずれもソーナーならソーナーを飛ばしてスクリューの音を探知して潜水艦をさがす。一生懸命やっているわけですね。だが、それらを突破されて入られることを考えなければならぬ。その際に一体何をもって守るのか。ならば、駆逐艦のターターなりテリアなりタロスなりというものを当然使わなければならぬことになる。いま、非核両用といっても、ほとんど核でなければ使いものにならぬ時代が来ている。このことは何も皆さんが言わなくたって常識です。だから、そこまでのこともあわせてお調べおきをいただきたい。よろしゅうございますか。
  152. 久保卓也

    ○久保説明員 あとのほうはちょっといまここでお答えいたしますと、われわれの護衛隊群の理想タイプが、DDH二隻にDDGがあることは御存じのとおりでございますが、この場合、先ほど六隻の艦名の御紹介がありましたが、第十五駆逐隊の中でウォーデンというのがテリアを持っております。それからパーソンズというのがターターを持っております。したがいまして、ミッドウエーに搭載しているかどうかは調べてみますけれども護衛隊群の中でそういう機能を持っているということが言えようと思います。
  153. 大出俊

    大出委員 そうしますと、テリアにしても、アスロックにしても、ターターにしても、タロスにしても、いずれも非核両用ですから、その意味では、いま最後に申し上げましたように、いまの近代戦の世の中になって、核兵器を搭載しなければ抑止力にもならない。はっきりしている。だから、あわせて、このグループは核の搭載能力を多分に持っているグループである。そうなるとどうしてもそこに大きな国民的な疑問がわく。  そこで先ほどの藤尾さんに対する答弁を聞いていますと、大河原さんの答弁は、アメリカ日本と約束をしている、きわめて重大な約束をしている、厳粛にそれを守る責任がある、だから積んでいないはずだ、こう言う。それを逆にひっくり返すと、アメリカ事前協議を申し込んでこないのだから積んでないのだということになる。積んでいれば、これは装備の歯どめにひっかかる。アメリカ事前協議を言ってこないのだから核は積んでいないのだ、約束を守っているのだ、こうなるわけです。  そこでこれは結論ですけれども、私は前から何べんも原潜の問題で質問を実は続けてきている。きょうも実はそれをはっきりもう少し一歩進めてものを言いたいのですが、時間がありません。やめますが、横須賀に今回入ってきました原潜をもって百隻になる、日本に入ってきた原潜は。そこで百隻の原潜の中でサブロックを搭載する能力を持っている原潜は何隻入ってきておりますか。横須賀に入ってまいりましたのは七十三隻、それから佐世保に入っておりますのが十八隻、沖繩に入っているのが九隻、これで合計百隻だ、こういうわけです。横須賀にフラッシャーが入りまして、これで百隻、こういうわけでありますが、横須賀は四十二年の五月にソードフィッシュが入港して以来七十三隻、こういうわけです。これは三つに分けていただいてもけっこうですけれども、原潜のサブロックを積んでおるもの——サブロックと申しますものは、全部核であることを海原防衛局長がかつて確認したままになって今日に至っておる。久保さんにも一ぺん確かめましたら、久保さんも、ここに議事録がございますが、そのことはお認めになっている。当時の久保さんの答弁は、四十七隻攻撃型原子力潜水艦がある、SSNがある、そのうちで三十四隻はサブロック、核弾頭を搭載している、こういうことでございましたから、残り十三隻しか、積んでないのはない。ところが途中で訂正をされまして、二隻、隻数をおふやしになりましたが、それでも十五隻しか、積んでないのはないことになる。このままになっている。一体この七十八隻のうちで、あるいは百隻のうちで、どのぐらい核弾頭を積んでいるはずの潜水艦が、SSNが入ってきておりますか。
  154. 大河原良雄

    大河原説明員 まずサブロックでございますが、サブロックは核非核両用というふうに私ども承知いたしております。  原子力潜水艦の日本の港への入港は、現在まで百三回になっておりまして、佐世保が十八回、横須賀七十五回、ホワイトビーチ十回でございます。そのうち、サブロックを搭載できますパーミット型、スタージョン型、これを分けますと、パーミット型が二十七回、スタージョン型が四十二回、こういう入港回数を示しております。
  155. 大出俊

    大出委員 ここに三十九年九月一日の議事録がございます。三十九年九月一日というのは、横須賀に原潜が入ってきたときであります。ここで時の海原防衛局長が、非核両用である、ところがサブロックを搭載しない原子力潜水艦、通常の攻撃型、つまりサブロックは核でないものは無意味である、こういうことになった。したがって、読みますと、「海軍省におきまして、」これはアメリカですが、海軍省におきまして、先ほどお話がありましたように、いろいろ研究開発の途中におきまして、通常のものであれば、五十キロとか八十キロとかいわれておりますが、それだけの距離を飛びまして、しかも高性能の相手の原子力潜水艦を破壊するには不十分であるということがわかりまして、現在におきましては、サブロックであれば、これは全部弾頭は核魚雷でございます。このことは昨年の米海軍省の発表にもそのとおりでございます。こう答えておる、三十九年九月一日に。二つあることは間違いなくある。二つあることは間違いなくあるけれども、三十九年九月一日に、弾頭は核魚雷である、六十キロも八十キロも飛んで役に立たない、通常弾頭ではと、そのことを明らかにしている。役に立たないものを積んでくるはずはないじゃないですか。まずあなたの認識が間違い。いまさらこれを取り消すわけにいかぬでしょう。そうなると、いま申し上げた、回答がありましたように、パーミット型、スタージョン型がそれだけ、二十七回、四十七回も入ってきておるとすれば、これはどこかに置いてこなければしょうがないでしょう。私がこの点を詰めましたら何と言ったかというと、木村俊夫官房副長官いわく、重大なことだから、さっそくこれはアメリカ側と相談をいたします。ここに回答を持ってきた。それでサブロックを搭載し得るものが二十一回、パーミット型が十五回、スタージョン型が六回、こういうふうに持ってまいりまして、それじゃ核でなければ役に立たないのだから、一体積んでいるそれはどうなっちゃうのだ。発射して、水を入れればちゃんと走るようになっておるのだ、日本に来るときに発射するなり置いてくるなりしてくることになった。そこらじゅうに魚が一ぱいいるときに核弾頭をいきなり発射しちゃってきたのではえらいことになっちゃう。そういう質問をしたら、今度は愛知外務大臣が答弁できない。愛知外務大臣が答弁できないでどうなったかというと、ここにございます。「きょうのサブロック問題に対しまして、大出委員からたいへんおしかりをいただいて恐縮に思いますけれども、これはやはり国民的な疑惑の問題ですから、政府といたしましては、米側によく照会をし、また申し入れをいたしまして、慎重に扱い、かつ報告をいたしたいと思います。」これは昭和四十六年五月十五日、答弁できなくなりまして、こうなった。伊能さんが理事だった。昭和四十六年五月十五日、こういうわけですよ。この回答をいまだに外務省はしない。だから、核を積んでいるか積んでいないかわからぬままに今日に至っておる、国会の議論の上で。そこへミッドウエーを入れてきて、これだけ核能力を持っていて、それで向こうさんが言いますから、約束だからそんなことはございません、信じます、事前協議を言うてこないのだから積んでいるはずはございませんで済まされたのでは、国民の疑惑が解けるどころの騒ぎじゃないです。これはあなた方はきわめて無責任きわまる。当時の回答もしていない。愛知さんの食言なんだ。現在でも大臣なんですから、お答えいかんによっては、この次は愛知さんに出ていただく。いかがでございますか。
  156. 大河原良雄

    大河原説明員 サブロックにつきましては、先ほど私申し上げましたように、核、非核両用のものであるというふうに承知いたしております。  それで原潜の入港、原子力艦船の入港、また今回、核装備を機能的には持ち得ると称せられております空母ミッドウエーの入港、こういうふうなことに関しまして、政府といたしましては、非核三原則をとっております立場からもちろんきわめて重大な関心を持っておるわけでございますが、米側といたしましては、昭和三十五年の安保条約締結当時以来、日本の核問題に関する、核の持ち込みに関するきわめて重要な関心に対しまして、日本国民の意思に反することはしない、また核の持ち込みは事前協議対象とするという約束をずっとしてきているわけでございまして、その限りにおきまして、けさほど藤尾先生の御質問お答えいたしましたように、日米のきわめて基本的な重要な問題について米側の言明を信頼している、こういうことでございます。
  157. 大出俊

    大出委員 そんなことを言ってもだめですよ。昭和四十六年五月十五日、もう一ぺん言いますから書いてください。昭和四十六年五月十五日、衆議院の内閣委員会の議事録でございます。二十六号、四〇ページの下から二段目、「愛知外務大臣きょうのサブロック問題に対しまして、」つまりこれは久保さんもお答えになっているが、とうとう核を積んでいるか積んでないかというのがはっきりしなくなった。お読みいただけばわかります。これは久保さんが核の問題について、いまのSSNの中でサブロックを、つまりサブロックは核弾頭である、このことをお認めになった。積んでいるのは何隻で、積んでないのはどのくらいあるかという質問をしたら、積んでいるのはこれこれだというお話があった。そうすると積んでいるというのは一体どういう型かと言ったら、三回変えておりますけれども、スタージョン型、パーミット型である。それが横須賀に入ってきた隻数を計算すると、算術計算でもどれかが積んでいることになるというやりとりになって、答弁できない。そこでアメリカ側と相談をする、国民のたいへんな関心事だから。もう一ぺん読み上げますが、「きょうのサブロック問題に対しまして、大出委員からたいへんおしかりをいただいて恐縮に思いますけれども、これはやはり国民的な疑惑の問題ですから、政府といたしましては、米側によく照会をし、また申し入れをいたしまして、慎重に扱い、かつ報告をいたしたいと思います。」こうなっている。四十六年から二年間、四十八年でございますが、ついに回答がない。その場限りでものを言われたままになっている。しかしこれは、いやしくも国会の議事録にはっきり残っているのですから、これを一ぺんお読みいただいて、いまあなたがそういうことを言ってもだめですから、当時の回答をすると言ったのは一体どういうことになったのか。さっき申し上げましたが、官房副長官木村さんの話は、彼、しろうとだから私はがまんするとして、ここのところははっきりしてください。いかがでございますか。私はいまだに回答をいただいていない。
  158. 大河原良雄

    大河原説明員 核の持ち込みに関します政府の態度は、たびたび明らかにされておるとおりでございます。当時の愛知外務大臣の御答弁につきましては、もう一回速記録を調べさしていただきます。
  159. 大出俊

    大出委員 これは私は二年間回答をいただいてないのですから回答も出さぬでおいて、今度入ってきたミッドウエーに核は積んでないと思うと言ったって、これは信用できない。これは順序ですよ、ちゃんと原潜についての回答をいただいて、その上でおっしゃっていただかないと。したがってこれは、議事録をお読みいただけばわかりますから、ちゃんとお調べいただいて御回答いただく。大臣のさっきの懸案もございます。あわせてそのときに御回答いただきたい、その点を申し上げておきます。
  160. 三原朝雄

    三原委員長 中路雅弘君。
  161. 中路雅弘

    ○中路委員 防衛二法の際の再質問の問題も保留して残っているわけですけれども、私はきょうは時間も限られていますから、ミッドウエー問題にしぼって御質問したいと思います。  午前中の答弁の中で、山中長官も大河原局長も、このミッドウエーの入港が安保体制日本防衛変化があるとは考えないということをお話しになっているわけですけれども、私は大河原局長が引用になった文書も非常にすりかえてお読みになっているのじゃないかと思うので、最初に一言確かめたいのですが、大河原局長が読まれた、いわゆるレアード国防長官の、米海軍が検討している新しい項目は、前方展開した艦艇部隊の海外母港である、この処置によって、われわれは家族別居の悪影響なしに、平時のわれわれの兵力水準を最もよく活用できることになろう——訳は若干違うと思いますけれども、このレアード国防報告を引用になっている。外務大臣もしばしばこの母港の問題について国会の答弁の中では、母港化である、活動の根拠地だということをはっきり認めておられない。家族に対する対策、乗り組み員の居住計画だということを主としていままで答弁されておるわけです。いまのレアード国防長官の報告もそういうふうに大河原局長は読んでおられるわけですけれども、これは普通に読めば、ここでいう家族対策、これは手段なわけですね。母港化の目的というのは、ここにも書かれてあるように、前方展開した艦隊部隊、いわゆる前進基地機能を強化していく、そしてこの艦隊の効果的な活用、いわゆる作戦の効率化、これが母港化の目的なんだ。家族対策自体は、この空母の作戦能力を、また前方展開したいわゆる前進基地機能の強化のための、その能力を効果的に高める手段だということがこのレアード国防報告で書かれているわけです。これを引用して、母港化というのは家族対策なんだ、これは全く目的と手段とをすりかえられている論議ではないか。何よりもアメリカ側自身が、たとえば最近では、グアムへ行った日本の新聞記者、報道陣に、太平洋艦隊のクレアリー司令官が述べているつどの新聞でも出ていますが、こう言っています。横須賀母港化は、乗り組み員の休養のためアメリカ本国へ行かなくても済むという家族対策だけではなくて、これは日米安保体制をサポートする、ささえ、強化するためであり、横須賀母港化することによって、西太平洋における米軍の大きな存在を維持することができ、全般的に米軍の力を強めることができるということを強調しているわけです。アメリカ側自身が、この母港化というのは、家族対策というだけではなくて、これは手段であって、日米安保体制をサポートするものだ、全般的に米軍のこの機能を一そう強めるものだ、基地を一そう強化していくということは、当のアメリカ側自身がはっきりと言っているじゃないですか。この点で、午前中お二人とも、この母港化によって直接日本の安保の体制あるいは防衛に全く変化があるとは考えないとおっしゃっていますが、時間もないので幾つも引用をしませんけれども、大河原さん自身が引用された文書でもそう読むのが当然じゃないですか。どうお考えですか。
  162. 大河原良雄

    大河原説明員 私、けさほどの御答弁で、レアード国防長官国防報告の個所を引用させていただきましたけれども、そこで御説明いたしましたように、米国といたしましては、兵力計画において種々な観点から新しい想を練ってきたわけでございますが、その一つといたしまして、艦船の効率的な運用と、それから国防費の削減という目的に沿うと同時に、あわせて乗り組み員の士気の高揚をはかる、こういう計画があるわけでございます。それを、ミッドウエーの乗り組み員の家族横須賀居住させるという具体的な形をもってこの目的の達成をはかりたい、こういうことについて米側からの話がございまして、日本政府といたしましては、安保条約並びに関連取りきめに照らしまして、それについて差しつかえない、こういう回答をした経緯があるわけでございまして、その意味におきまして、私、けさほど御答弁申し上げましたように、実質的には、艦船の効率的運用と経費の削減ということが乗り組み員の士気の高揚とあわせてはかられておるということは言えるわけでございます。
  163. 中路雅弘

    ○中路委員 ここでいう前方展開という、いわゆる前進基地の機能をもっと効率的に高める、いわゆる提供している在日米軍基地の機能を強化していくということは、アメリカ側自身の当事者が言っているわけですから、この太平洋艦隊司令官だとか、あるいはレアード国防報告そのものについては、否定はされないですね。そうではないのだ、母港化の目的というのはそうじゃないのだということじゃないですね。これ自身はお認めになりますね。
  164. 大河原良雄

    大河原説明員 ミッドウエーの乗り組み員の家族の受け入れということが日本側との関係において問題があるわけでございますが、米側は、乗り組み員、家族居住のための施設としては、米側に現に提供されている横須賀施設、区域内の建物を使い、また足らない分については施設、区域外の民家を米軍の費用において借り上げる。したがってその点について、日本側に対して一切経費的な負担をかけることはない、こういうことをはっきり言ってきたわけでございます。  そこでレアード国防長官国防報告に、先ほど来言及されております個条があるということは、私どもも承知いたしております。またその効果といたしまして、先ほど来私が御答弁申し上げているような効果が生まれるということも事実だと思います。
  165. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの問題と関連して、母港化という概念についてもう少しはっきりさしていただきたいと思うのですが、これはいま久保さんがおいでになりますから、久保局長が四月十二日の内閣委員会で、同僚の東中議員の質問に答えて、母港化の問題についてこう答弁されております。「一般的な艦艇の主たる寄港地といいますか、そういうもの。それから乗員が上陸をし休養をする、しかも家族がいるといったようなところを、通常の場合、根拠地あるいは母港と言っていると思います。なおその際に、ある程度の修理ができ、それから若干の補給物資をそこで積み取れるというようなところを含めて、そういう場所であろうというふうに思います。」というふうに答弁をされています。先ほどからの質疑ですでに出ていますが、横須賀米海軍司令部がある。補給処もある。しかも最近は、二年間遊休にしていた池子弾薬庫も再開をされた。弾薬も積み込まれてきている。艦船修理部がある。これも一度全部返す、返還するということを約束されたところです。二転三転してアメリカが引き続いて使う、自衛隊が共同使用するという艦船修理部もあります。あるいは艦載機を訓練する三沢飛行場、修理の厚木航空基地もある。空母の修理、補給、こういったものの機能は備わっているわけです。今度は一千世帯が横須賀周辺に住むわけですから、乗員が上陸して家族とともに居住する、休養する場所でもある。また先ほどの答弁で、おそらく横須賀は一年のうち半分ぐらいの程度は停泊するだろう。こういうように横須賀の機能を見た場合に、久保局長の言われた、これが根拠地あるいは母港だと言われたその条件は全部整っているわけですね。ここにミッドウエーが二年ないし三年間常駐するわけですから、横須賀が文字どおり活動の根拠地。これは先ほどおっしゃいましたけれども、いま私が言った意味母港であり、活動の根拠地だ、これははっきりとお認めになったほうがいいのではないか。先般、私が質問したときも外務大臣は、いや、これは家族の移住計画なんだと操り返し言っておられますけれども、それではミッドウエー母港はどこなんだ、根拠地はどこなんだということになってくるわけですから、これからは、五日からは横須賀ミッドウエー母港なんだ、主たる活動の根拠地なんだ、これははっきりお認めになりますか。
  166. 大河原良雄

    大河原説明員 これもまた繰り返しの答弁で恐縮でございますが、母港とは一体何かということにつきまして、人により、目的により、いろいろな使い方がされていると思います。すなわち艦船なり船舶の在籍港あるいは登録港というふうな形でいわれている場合、連絡の地点、家族居住場所というふうなことでいわれている場合、あるいはまた活動の上の本拠というふうな形でいわれている場合、いろいろさまざまでございます。  問題となっております空母ミッドウエーとの関連で申し上げますならば、日本政府として、米側の申し出を受けまして、空母ミッドウエーの乗り組み員の家族約千世帯が横須賀並びにその周辺地区に居住することになるということについて、安保条約並びに関連取りきめの上で何ら異議は唱えないということを回答した経緯があるわけでございます。ミッドウエー横須賀に入港してまいる態様、これは従来に比べますと、年間かなりの頻度で出たり入ったりということは当然出てまいりますけれども横須賀施設、区域の使い方自体としては従来と特に変わったことはない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  167. 中路雅弘

    ○中路委員 前の国会で外務省自身が、第七艦隊の中の、いまのミッドウエーですが、これまではアメリカの西海岸が母港だったんだというお話をされておる。たとえばこれは六九年四月二十四日の参議院外務委員会で東郷アメリカ局長が、母港の問題についての質疑の中で、「たとえば第七艦隊に属する艦艇でもアメリカ西海岸に一年のうち半年はおる。そこでは、いわゆるオーバーホールと申しますか、その間そこに半年ぐらいおりまして、家族もそこにおるというようなことで、第七艦隊に属する艦艇の大部分は西海岸にいわゆる母港というものを持っておる。それから常に半年なら半年極東水域に回ってくる。回ってくれば、そこで第七艦隊の指揮下に入る、こういう動き方をしております。いわば母港と申せば、軍事的には、海軍ことばとしてはいろいろ定義もあろうかと思いますが、常識的に申せば、いま申したような意味で、いわゆる本拠地としている港、こういうふうに考えております。」というふうに答弁をして、母港ということと根拠地ということと同じかという続いての質問に対して、「いま私の申しました意味では、同じとお考えくだすってけっこうでございます。」という答弁をされておりますけれども、これを見ても、ミッドウエーは、いままでアメリカの西海岸ですね。あの港が母港だ。今度は横須賀へ移ってくるわけですから、常駐するわけですから、当然横須賀母港になる、根拠地になるということでなければ——それではミッドウエーは五日からどこが根拠地なんですか。どこがミッドウエー母港なんですか。いままでアメリカの西海岸が母港だった。まさか、これからまだアメリカ母港だということにならないでしょう。横須賀ミッドウエー母港になるんだ、根拠地になるんだということは、はっきりしているんじゃないですか。どうしてこの明白なことをいろいろすり抜けて答弁をされるのですか。横須賀母港でない、おもな活動の根拠地でないとすれば、それでは私は、ミッドウエーはどこが根拠地なのかということについてお尋ねしたいと思います。
  168. 大河原良雄

    大河原説明員 御指摘ありました当時の東郷アメリカ局長の御答弁は、当時の米国空母の行動の態様についての御説明であったと思います。すなわち、その当時におきまして、第七艦隊摩下の空母は一年のうち約半年程度を西太平洋水域において行動をし、一年のうち約半分程度を本土の西海岸でオーバーホールその他の目的のために滞泊するという形がとられたわけでございまして、その際におきましては、本土の西海岸のいわゆる母港におきまして、まさに定着をしておったわけであります。しかし今度のミッドウエーの場合には、横須賀に定着ということではございませんで、一年の半分程度は西太平洋の洋上において行動し、残りの半分程度は随時横須賀に入ったり出たり、こういう行動をひんぱんに繰り返すことになるであろうということであるわけでございます。
  169. 中路雅弘

    ○中路委員 だから、もう一度聞きますけれどもミッドウエー横須賀が主たる根拠地、いわゆる母港といって間違いないのではないかということを端的にお聞きしているわけです。
  170. 大河原良雄

    大河原説明員 政府といたしましては、いわゆる母港化と申しますのは、特定の艦船の乗り組み員の家族わが国の港に、あるいはわが国施設、区域に居住せしめることをさすものだ、こういうふうに考えているわけでございまして、ミッドウエーが乗り組み員の家族横須賀周辺居住させるということをもって、すなわちミッドウエーはもっぱら横須賀を活動上の根拠にしているということにはならないと考えているわけでございます。
  171. 中路雅弘

    ○中路委員 久保局長にお聞きするのですけれども、先ほど私が久保局長答弁を引用して、これが母港だ、根拠地だというお話、それと横須賀の関係でお話ししましたけれども、当然この点では横須賀母港であり、根拠地に当たると思うのですが、それは変わりありませんね。
  172. 久保卓也

    ○久保説明員 もともと母港ということばは非常にあいまいな表現であろうと思います。定義が明確にきまっておるわけではございません。したがいまして、東郷さんあるいは私が理解する範囲で申した場合に、そういう母港ということが当たる場合もありましょうし、いま明確にアメリカ局長から定義的なことが言われた場合に、そういった使い方の区別をすることも可能であろうというふうに思います。
  173. 中路雅弘

    ○中路委員 あなたがこの前「いわゆる」とつけられたわけは、こう言っているのですね。「日本の海上自衛隊では、たとえば根拠地とかあるいは母港ということばを使っておりませんので、アメリカで正確な定義があればその定義に反しているのではないかという懸念を申し上げた」から「いわゆる母港」だと、「いわゆる」をつけたのだという話。アメリカのほうはこのことを明確にしているのです。たとえば先ほどの大河原局長が引用されたレアード国防報告の引用の前後を見ても、ニクソンドクトリンに基づいた総合戦力計画の中の新しいイニシアチブとして、海洋関係の項目の重要な項目が海外母港化構想だということを明確にしているわけです。たとえばギリシアのピレウスにつくられるわけですけれども、これについても、アメリカの議会の中で、ギリシアに第六艦隊母港を設けることは、地中海で優位を維持する上で重要な措置であるということを述べているのです。アメリカのほうは、これが母港化構想なんだ、母港なんだという定義を明確にされていますから、久保さんが「いわゆる」というふうにつけたのは、アメリカ定義に反してはいけないから、自衛隊のほうにはそういうあれがないからというお話ですけれどもアメリカ定義ははっきりしているわけです。しかも久保さんはこういうのが母港だという話をされて、それに当たるわけですから、これはアメリカ側から見ても、あるいはこの前久保さんが答弁された中身で見ても、当然横須賀母港だ、主たる活動の根拠地なんだということは明白なわけですね。なぜ大河原さんがなかなかこれをはっきり認められないのか。主たる活動の根拠地だということは、先ほどの答弁の中で何回かおっしゃっていたわけです。中身を明確にされるということは、配置の問題があるから明確にされないのだと思うのですが、あとの質問関連してもう一度この問題をあとでお聞きしたいと思う。  最初にひとつ、先ほどの大出議員の質問関連ですけれども、これは統一した見解を出されるというのですが、私はこの問題でもう少しはっきり聞いておきたい。先ほどの答弁のように、事前協議対象となる配置変更について、岸内閣当時、陸軍は一個師団海軍は一機動部隊という基準を示された。その際に、陸軍の一個師団でも、数回に分かれて入っても、これは事前協議対象となるという説明もしておられます。口頭了解があるんだという話もされているわけですけれども、それに続いて、当時の海原防衛局長が、六三年当時ですが、ここでいう「一機動部隊の勢力がどの程度かということの具体的なお尋ねでございますが、通常空母一隻ないし二隻、これを基幹といたしまして、これを護衛いたしますところの駆逐艦、これも六隻ないし十隻、」という具体的な答弁をされているわけですね。一機動部隊の編成基準が、「程度」ということですから、はっきりきまっていないのですけれども空母一隻ないし二隻を基幹とし、これを護衛する駆逐艦六隻ないし十隻を含むものが一機動部隊と判断するのが常識的だという答弁をされているわけですが、きょうの局長答弁は、それを三倍にしたような数で一機動部隊の勢力がどれくらいだという答弁をされているわけです。いままでの政府の見解は、それでは撤回されたのですか。変わったのですか。まずそれをお尋ねしたい。
  174. 大河原良雄

    大河原説明員 海原防衛局長の御答弁を引用でございますが、私の手元に持っております資料によりますと、たとえば昭和三十八年の三月十八日の内閣委員会での答弁におきまして、海原政府委員はこのように答弁しておられます。第七艦隊の編成に関連して、「編成上は、これらのものが五つのタスクフォース、五つのタスクグループ、こういうものに区分されて、それぞれ任務を与えられております。」こういうふうに当時答弁をしておられます。
  175. 中路雅弘

    ○中路委員 三月十八日でしょう、私もそれを使っておるのです。そしてさっき私が言った一機動部隊の勢力がどの程度かということについては答えられてないのですが……。
  176. 大河原良雄

    大河原説明員 昭和四十三年になりますけれども、三木国務大臣が答弁をされておられまして、タスクグループといわれております五つのグループには、航空母艦と、これを護衛するための駆逐艦あるいは攻撃機、偵察機、戦闘機など六十機ないし百機、こういうタスクグループが五つ寄っていわゆる一機動部隊ということになっている、こういう御答弁があるわけでございまして、私の了解しておりますところは、三ないし五のタスクグループをもってタスクフォースが編成されている、こういうことを申しておるわけでございます。
  177. 中路雅弘

    ○中路委員 具体的に一機動部隊の勢力がどの程度かという質問について、いま私が述べたような、空母一隻ないし二隻、これを基幹として、これを護衛いたしますところの駆逐艦六隻ないし十隻という答弁をされている。これは先ほどは、このちょうど約三倍ですね、三倍からもっと多いわけですね。三倍ないし五倍というのが事前協議対象になる一機動部隊なんだという答弁ですから、拡大されているということは事実ですね。だから、この当時の答弁と、一機動部隊の勢力の内容は変えられたわけですね。見解を変えられたわけですね。
  178. 大河原良雄

    大河原説明員 事前協議対象となります海軍における一機動部隊、これは機動部隊ということばを使っておりますが、英語に直しましてタスクフォース、そのタスクフォースの下にタスクグループ、こういうものがあるわけでございまして、答弁によりましては、そこらの点、必ずしもタスクフォース、タスクグループを十分区別して使ってないと思われるものもあるように考えます。
  179. 中路雅弘

    ○中路委員 三月十八日は、それを明確にしているのですよ。当時の編成は、第七艦隊に五つのタスクフォース、それから五つのタスクグループがあるということを明確にして、「五つのタスクフォースに分かれるわけでございます。そこで通常空母一ないし二というものが基幹になって、そのときの状態によって編成される、」ということからあと、いま私が言いましたことを言っているわけなんで、明らかにこれは非常な拡大解釈をさらにしておられるわけです。  そこで私はもとへ戻ってお聞きしたいのですけれども、この配置変更についての事前協議対象となる基準というものについて、当時藤山・マッカーサーの口頭了解が、先ほど大出委員が貸問されましたが、あるとしてこられたわけです。なぜ、こうくるくるそのときに応じて解釈が拡大され、変わってくるかという問題と関連して、この口頭了解そのものは存在していない、一方的に日本の見解を述べた、米軍日本における配置の自由を保障するために、そのときどきに国会で見解を述べてきた。先ほど文書にもないとおっしゃったわけですけれども、その口頭了解そのものもなかったのじゃないですか。そういう口頭了解ははっきりあったわけですか、一機動部隊あるいは陸軍は一個師団という。
  180. 大河原良雄

    大河原説明員 安保条約上の事前協議の問題につきまして、三つの項目が事前協議対象となる。その点は岸・ハーター交換公文に合意されているとおりでございますが、その一つといたしましての配置における重要な変更ということについては、陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度、こういうふうなことを藤山、マッカーサー大使間において口頭で了解されているわけでございますが、この海軍の一機動部隊程度と申しますのは、陸上部隊の一個師団程度という兵力量にほぼ見合うものとして当時観念された兵力量、こういう観点から一機動部隊というものが出てきており、当時の観念といたしまして、一機動部隊すなわち三ないし五タスクグループ、こういうことになっておるわけでございます。
  181. 中路雅弘

    ○中路委員 これはアメリカのサイミントン委員会、七〇年の一月二十六日のサイミントン委員会の議事録を見ますと、ジョンソン次官が、事前協議に関する部隊の規模について答弁しているところがあります。これを見ますと、こう書いておるのです。一部分だけ引用しますと、そのような基準はない。「日本との間で事前協議対象になる配置変更部隊はどの程度の基準かという、そういう基準はないのだ。種々の声明がなされている。私の記憶によれば、ある時期にこの問題について日本政府及び日本の国会が声明を幾つか行なったと思う。指摘しておきたいが、日本には師団規模の部隊を収容する施設がないことははっきりしている。現状では、もし一個師団を配備しようとすれば明らかに施設がもっと必要になるであろうし、事前協議事項の問題を離れても、施設の問題で日本側と協議する必要があるだろう。」ということを述べておる。これで言えることは、陸軍においても一個師団師団規模の部隊を収容する施設がない。事前協議対象となる一個師団の部隊を配置しようとすれば、事前協議の前にいわゆる基地の新しい提供、その問題の話にならざるを得ないのだということを言っているわけです。そうしてそういう口頭了解とか、そういう基準はないのだ。日本の国会でいろいろ日本政府が声明を幾つか行なっておるけれども、そういうものはないのだと、アメリカのサイミントン委員会の中でジョンソン次官が言っているわけです。  きょうの海軍の問題の答弁でも、先ほど明らかになったように、結局それだけの艦隊、部隊が入ってくるということは常識で考えられないわけですね。もともと部隊の配置の問題で事前協議があるのだ、こういう口頭了解があるのだといっても、この陸軍の一個師団についての議事録を見ても、きょうの海軍の問題の答弁を見ても、そういう事前協議なんということの全く対象にならない。そういうものを設定しておいて、何か重要な部隊の配置には事前協議があるのだ、日本側が一方的にそういう見解を述べて、米軍配置の自由を保障してやる、こういうことしか私には考えられないと思うのですけれども、このジョンソン次官が、種々の声明はなされているけれども、そのような基準はないのだと言っているわけです。先ほどは口頭了解で文書にされたものは何もないというわけですけれども、もう一度お聞きしますけれども、この口頭了解そのものが、アメリカとはっきりそういうものがなかったというふうに考えざるを得ないのですが、この点はどうです。
  182. 大河原良雄

    大河原説明員 私の記憶しておりますところでは、ジョンソン国務次官がサイミントン委員会におきまして証言をいたしておりますのは、たしか一九七〇年であったと思います。当時の状況におきまして、ジョンソン国務次官は、日本施設、区域の状況から見て陸軍の一個師団を直ちに展開できるような施設がない、こういうことを証言しているのであろうというふうに考えますが、一九六〇年当時以後、施設、区域の整理統合が逐次進められまして、十年間に日本における施設、区域の状況は著しく変わっておったという歴史的な事実が一つ指摘できるだろうと思います。  また先ほど来御説明申し上げております事前協議に関する口頭了解と申しますのは、安保条約の改定交渉の際におきまして、当時の藤山外務大臣とマッカーサー米大使との間における口頭の了解でございまして、それは岸・ハーター交換公文にうたわれております三つの事前協議対象につきまして一特に配置における重要な変更の問題については、先ほど来御説明申し上げている程度のものを重要な配置変更考える、こういう了解があったわけでございます。
  183. 中路雅弘

    ○中路委員 私は午前中からの局長答弁を聞いていて、全くこれは欺瞞するものだと思うのです。いままでの国民のいろいろの疑惑に対する欺瞞だと思うのです。いろいろ答弁されているのは、これが事前協議のいわゆる配置の重要な変更にかからないようにごまかしていこう、これに終始をされている。  配置変更について、私は二つ条件があると思う。一つは、規模の問題ですね。たとえば海軍でいえば、一機動部隊という規模の問題をいままで主張してこられた。もう一つは、配置という場合に、これは大平外務大臣がことしの三月十二日の衆議院予算委員会でこういう答弁をされている。「事前協議対象となる船舶の日本国への配置という場合は、施設、区域をもっぱら活動上の根拠地として使う場合をいう」わけで、今回の措置ミッドウエーですが、それに該当するとは考えられないと答弁されている。  先ほどから質問しておりますように、今度の措置横須賀母港にする、もっぱら活動の根拠地にするということを認めるならば、当然この外務大臣の言う配置の問題も一つの条件になります。そして一機動部隊が、いままでのように空母一隻、駆逐艦六隻ないし十隻ということで認めていくならば、さみだれであったって、空母を護衛することを任務とした六隻の駆逐艦隊ですね。母港にしている第十五駆逐隊オクラホマシティー旗艦も入っている。原潜は先ほどから出ているようにほとんど常駐化し、母港のように使っている。ミッドウエーが入ってくれば、これで総仕上げになる。いままでの海原局長の話していた規模、大体一機動部隊横須賀配置が総仕上げになるわけです。そういうところから、事前協議対象に当然ならざるを得ない。これを避けるために母港であるとか活動の根拠地であるとかいうことをあいまいにする。明確にされない。一機動部隊についても、全くあり得ないような規模をきょう答弁される。これはいま大きな関心になっているこの事前協議対象になるんじゃないか。当然こういう国民の疑惑をのがれるために、ごまかすためにきょうずっと答弁はつくられてきているとしが考えられない。これでは事前協議というのは、全く意味がないじゃないですか。いままでつくられた事前協議の中の三つの条項の少なくとも第一項の事前協議対象となる配置の重要な変更ということは空文にひとしいと私は考えるのですけれども、この点についていままでの見解が明らかにそういう点で拡大されているということはお認めになるわけですか。
  184. 大河原良雄

    大河原説明員 配置における重要な変更とは何だということに関しまして、先ほど来私は昭和三十四年の日米安保条約改定交渉当時以来の政府考え方を繰り返し御答弁申し上げているわけでございます。  そこでさみだれという、あるいはなしくずしという趣旨の御発言があるわけでございますが、第十五駆逐隊そのものが横須賀で乗り組み員の家族居住を始めましたのは一昨年の秋からでございます。レアード国防長官国防報告で報告をいたしております前方展開考え方を述べておりますのは、昨年の二月でございます。また米側からかねて非公式にはいろいろな形の申し出がございましたけれども日本政府に対しまして正式に空母ミッドウエーの乗り組み員家族居住について申し出がありましたのは昨年の十一月であり、在日米海軍がこの計画を発表いたしましたのは昨年の十二月でございます。一連の事実関係をたどってまいりまして、米側が意図的にさみだれを実施したというふうには考えられないわけでございますが、いずれにいたしましても、政府考えといたしましては、万が一陸上部隊なりあるいは海軍機動部隊なり、それがさみだれのような形でなしくずしに、これのそういうレベルになる程度の配置現実に行なわれます場合には、それが一度でなくても何度かに分けて来た場合にも、当然これは重要な配置変更というふうに考えるべきだという立場をとっておるわけであります。
  185. 中路雅弘

    ○中路委員 いまおっしゃった意図が明確ならば、現在母港にしている、いわゆる家族居住しているこのオクラホマシティー旗艦であり、六隻の第十五駆逐艦隊がいる。それからミッドウエーが入ってきた。これもはっきり意図的にそれがさみだれに入ってきた場合には、当然対象になるということですか。
  186. 大河原良雄

    大河原説明員 私が最後に申し上げましたのは、一般論としてのことでございまして、ミッドウエー並びに第十五駆逐隊との関係におきましては、それがさみだれであるのかどうかという事実関係の認定が、まず問題であろうかと思いますけれども、先ほど私は歴史的な事実の移り変わりを御説明いたしました。いずれにいたしましても、ミッドウエーの今回の家族居住につきましては、安保条約上の事前協議対象となるべき配置における重要な変更とは考えない、こういう立場でございます。
  187. 中路雅弘

    ○中路委員 この一個師団という見解を、基準を示された陸軍の場合でも、一個師団以上のものが数回に分かれて入っても事前協議対象になると当時説明されているのですね。これは当然艦艇でも全然任務の違うものじゃないのですから、この駆逐隊というものは空母を護衛することを主要な任務にしているわけですから、いまおっしゃったように、一ぺんで来なくても数回に分かれて来る、これでも当然これで総仕上げが完成するわけですから、対象にしなければならない。これは調べてみなければ意図がわからないとか、こういうことでごまかされるのは、私は誰弁じゃないかと思うのです。  これも衆議院の外務委員会で六九年の四月二十三日ですけれども、当時の愛知外務大臣は、「一時的な寄港でない、あるいはばらばらの艦艇の寄港ではない、まとまって一機動部隊といわれている機動艦隊以上のものが常時駐留する、しかもそこがいわゆる根拠地である、こういうことになりますれば、当然事前協議対象になります。」ということを当時答弁されている。私は今回のこの六八年以降のミッドウエーの入港、母港化によってつくり出されたこの部隊の配置というのは、ここで愛知外相も言っている一機動艦隊以上のものが常時駐留する、しかもそこがいわゆる根拠地である、こういうことになりますれば、当然事前協議対象になる。この六九年の四月二十三日の衆議院外務委員会における愛知外相の答弁に照らしても、これは配置変更として事前協議対象にならざるを得ないというふうに考えます。この愛知外務大臣の答弁は、そのまま訂正はされてないわけでしょう。
  188. 大河原良雄

    大河原説明員 一機動部隊以上の海軍の部隊が、もっぱら活動上の根拠地として横須賀なら横須賀という施設、区域を使うために日本に入ってくるということになりますならば、これは重要な配置変更ということで、当然事前協議対象になるべきものと思います。
  189. 中路雅弘

    ○中路委員 一機動部隊がどういう編成かということは、先ほど大出議員の質問の中で統一した見解を出すというお話ですから、あらためてその時点でもう少しいまの問題は論議をしてみたいと思います。  次に核の問題ですが、これも先ほどの答弁あるいはいままでの、八月三十一日の私の質問に対する大河原局長のまとまった答弁がありますが、これで一貫しているのも、核の問題については、アメリカを信頼しているから、いわゆる対米信頼感というのがただ一つの根拠になっている。いろいろ言い方はあります。日本非核三原則を尊重してアメリカは核を持ち込まないだろう、核兵器の持ち込みは国際信義、安保条約あるいはその事前協議の信義上あり得ないとか、あるいはきょうもアメリカの信頼関係を話をされたわけですけれども、これもいままでたびたび論議をされていますし、政府自身が認められているように、ミッドウエーが核兵器を貯蔵、組み立て、積載できるように改造された能力を持つ艦艇であるということは明らかです。そうして戦術核兵器を搭載できる航空機を積んでいる、F4Eファントムをはじめとして積載されているということ、これもすでにいままでの質問の中でも明確になっているわけですね。  先ほどの国防報告の中でも強調しているのですが、七三年の国防報告の中で、アメリカ空母などの保有する核戦力について詳しく述べているところがあります。そしてその能力が非常に強まっている。空母の保有する核戦力の能力が非常に強まっているということも強調しています。国防報告は、この核の能力がアジアの抑止効果を強めている、しかもその能力がいつでも自由に使用できることを強調しているわけです。軍事的な面で、防衛庁の久保局長は、その点についても、七二年の四月八日の参議院予算委員会で、核兵器を持つだけではなくて、常に使用し得る態勢にあることが核抑止力になるのだということを答弁されているところがあります。「そもそも抑止力といたしましては、核兵器を持っているだけではいけませんので、それを常に使用し得る態勢にあること、あるいはそれを使用し得る意思があるということ、そういう姿勢にあることによって核戦争が回避されている、抑止力になっている。」ということを久保局長答弁されている。これは軍事的に見れば、私は常識だと思うのです。アメリカ自身も、この空母中心とした核の能力がいつでも自由に使用できるということ、これが抑止効果を強めているのだということを強調しているわけですけれども、いわゆるアメリカアジアにおける即戦即応勢力である第七艦隊所属の中心空母が、しかも核兵器を積載できる能力を持っている、軍事的な常識になっている空母が、母港にする、主たる根拠地にする横須賀に入ってくるときだけ核兵器だけをどこか他のところに置いてくる、こういうことは国民だれも信じられないことだと私は思うのです。第一、空母というのは、戦略的に見た場合、固定した陸上の核基地と違って、自分の位置を敵側に知られる公算が少ないということが、軍事的に見てもその能力を高めているわけです。核を必要に応じてどこかに積んだりおろしたりする、こんなことは軍事的に私は常識としてとうてい考えられないと思うのですが、久保局長がこの前答弁された、核というのは常に使用し得る態勢にあることが核抑止力になるという答弁、この点については、久保局長、変わりはないわけですね。
  190. 久保卓也

    ○久保説明員 一般論として申し上げますれば、その答弁に間違いないと思います。ただし、現実論としてどういうことかと申しますと、ヨーロッパで戦争が起こるとすれば、おそらく核戦争にエスカレートする可能性が非常に大きい。したがってそれに対する抑止力としては、常に核兵器そのものがすぐに使える態勢になければならないというふうに思います。しかしアジアについては、ヨーロッパとはだいぶ事情を異にいたします。もし核戦争を抑止するためには、いま私が申し上げた一般論が妥当するわけでありますけれどもアメリカアジアにおいては核戦争をおそらく予期はしていないだろう。少なくともかりにその可能性考えているといたしましても、より多い可能性というものは、言うまでもなく、第二次大戦後起こっております通常型の戦争あるいは紛争であります。したがってアジアにおけるアメリカ軍というものは、核戦争に対する準備は持っていなければなりませんけれども、それでは現実に所在する部隊が核兵器を持っていなければならないかどうかということになりますと、やはり搭載能力には制約があるわけでありますから、これは私でなくて各幕僚監部の専門家に言わせれば、やはりアジアにおける個々部隊そのものは核装備をしておらない、現実には核兵器を持っておらない。しかしながら核兵器を使用し得る態勢ということは、たとえばそういった訓練をやるとか、あるいは核兵器を搭載すればすぐそれを使用し得るようにするとか、そういったことは考えるであろうけれども、個々の部隊、たとえば艦艇などについては、限られた搭載能力の範囲内であれば、やはり通常型の装備あるいは兵器を搭載しているであろうというのが私どもの専門家の意見でありますし、私もそうであろうと思います。
  191. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの御発言でも、少なくもいつも使用し得る態勢でなければならない。日本に入るときは、根拠地に来るときは持っていないと信じるというならば、どこかにおろしてくるわけですね。必要なときに取りに行かなければならない。ミッドウエー寄港し入港できる港というのは、行動の範囲にどれだけあるのですか。
  192. 久保卓也

    ○久保説明員 これはミッドウエーといいますか、アメリカ空母が通常使用しておりまする米側基地としましては、横須賀のほかにスビック湾でありまして、寄港する場所はほかにもありますけれども、したがって私は、いま申し上げた筋は、当初から核弾頭などを搭載をしておらないであろう、もし核戦争の危険性というものの可能性を信ずるならば、その時点において装置をするかもしれませんけれども、今日あるいは見通し得る将来においては、通常型の戦闘であるから当初から持っておらない、したがって場所については、いろいろ情報でいわれますけれども、太平洋にあるいくつかの島に核弾頭を貯蔵しているであろうというふうに思います。
  193. 中路雅弘

    ○中路委員 横須賀基地は、核を貯蔵する能力はあるわけですか。いまあるということでお聞きしているのではなくて、いまスビック湾横須賀とあげられましたね。横須賀基地は核を貯蔵し、あるいはそれを保管し格納しておく、そういう能力を持っているわけですか。
  194. 久保卓也

    ○久保説明員 私は横須賀米軍基地を詳細に存じておりませんが、おそらく横須賀ではそういった施設はないのではなかろうかというふうに思います。
  195. 中路雅弘

    ○中路委員 これはやはりサイミントン委員会の資料ですが、七〇年一月ですね。横須賀海軍兵器施設NOFの任務についてきわめて詳細にあげているのがあります。外務省の資料ですと、これが書かれてある基地関係の資料は全部省略されている。別の翻訳で私は見たのですけれども、ちょっと続みますと、横須賀海軍兵器施設NOFの任務についてこう書いてあります。「NOFの任務はあらゆる種類の弾やくを受入れ、貯蔵し、更新し、監査し、払出しすること、機雷をテストし、調整し、組立て、整備すること、音響型魚雷を修理し、解体修理し、保存し、なんどきでも払出しできるようにしておくこと、基準在庫を指令どおりにととのえておくこと」それからあと「(削除)」になっていますね。「(削除)を積み替えし、中間貯蔵すること、使用不能または危険な弾やくを処分すること、艦船修理部SRF行きの艦艇の爆発性兵器を一時預りすること、」云々という任務が書いてあるのですが、この削除された部分は、前後の文章でずっと読んでみますと、どう考えても核弾頭と読むより方法がないんじゃないか。核の格納、処理機能を持っているという疑いはあるわけですね、この文章から見ても。外務省の資料では、サイミントン委員会の付録のこの基地関係の資料は省略されているわけですけれども、私はこの文章の資料を外務省のほうからいただきたいと思うのです。とっていただけますか。
  196. 大河原良雄

    大河原説明員 サイミントン委員会の報告書そのものは公刊されておりますが、公刊されました資料の中で削除部分があります。したがいましてその削除部分につきましては、私ども内容は全く承知できないわけでございます。
  197. 中路雅弘

    ○中路委員 いま読みました部分でも、削除された部分は、普通常識で見れば核の疑いというのが非常に強く出てきています。いま久保局長が言われたように、核抑止力の中核部隊で初めから積んでこないで三年間極東を遊泳し、一年の半分くらいは横須賀にいる、こんなことは考えられないですね。これじゃ核抑止力にならない。そうだとすれば、横須賀に入るときにはどこかへおろしてくる。その場所が、いま言われたようにないわけです。では、具体的にどこへおろしていくか。そういう港があるのか。いまあげた文章からいっても、横須賀にそういう能力があり、また貯蔵されるという疑いも非常に濃い。私はあるといまいっているわけじゃない。疑いが非常に濃いということは、これは国民のだれもが疑わぬ問題だと私は思うのです。  もう一つお聞きしますけれども、特にこの核の問題で、七〇年ですか、中曽防衛庁長官レアード国防長官と会談した際の中曽根訪米報告というのがありますね。この中でレアード長官が非常に強調しているのは、核の能力について言って、アジアでこの能力が抑止効果を非常に強めているということに触れているわけですけれども、そこで核抑止力にたよるものは、核がどこにあるかということを聞くなということを非常に強調しております。核は隠しておくことに効果がある、あるといえば核抑止力でなくなるんだということまで、時間がないので引用しませんけれども、述べている。これは私は軍事的に見て当然のことだと思うのです。  日本安保条約というのは、アメリカの核抑止力にたよる安保条約だということは、いままで国会の中でも皆さんがしばしば強調されているところです。たとえばこのアメリカの核抑止力にたよるということが安保の重要な内容だということは、佐藤総理が六八年の三月二日、これも衆議院予算委員会ですが、「アメリカ軍とすれば、軍の使うその自由な行動があるだろうと思いますので、それを拘束することは、これは安全保障条約にならないし、私どもが言うアメリカの核の抑止力にたよるという、そういうことにならないことになるのです。」というふうに、明らかに日本安保条約というのは、アメリカの核抑止力にたよるということを前提にして言われているわけですね。  そしてそのアメリカは、核抑止力にたよるものは、核がどこにあるかということを言うなということを強調しているわけですけれども、このレアード長官の見解について、それをお認めになるのですか、どうですか。
  198. 大河原良雄

    大河原説明員 日米安保条約によりまして、日本日本安全保障について米国抑止力に依存する部面が非常に大きいわけでございますが、十分な抑止力と申します場合に、それは通常戦力、核抑止力、両方含まれていることは当然のことでございます。一般的に申しまして、たとえばことしの三月のリチャードソン国防長官国防報告の中でも、アメリカといたしまして、十分な核抑止力と、適切に展開配置された通常戦力、それから強力な研究開発、こういうことに重点を置いた報告をいたしておるわけでございまして、そういう意味アメリカが対外コミットメントを果たしていきます上において、核並びに通常戦力を含めた抑止力というものを非常に重視していることは間違いないわけでございます。  そこで核の抑止力の問題でございますが、米側といたしましては、核というものはどこにあるか言えない、また言わないことが抑止効果を発揮するんだということは、いろいろな機会に米国の当路者が明らかにしておるところでございまして、日本寄港いたしますアメリカ艦船が核を持っているか持っていないかということにつきまして、米側はイエスともノーともコメントしないというのが一貫した態度でございますけれども非核三原則というものを強く維持しております日本の持味な事情というものについては十分な理解を持っており、したがいまして、日本の意思に反して行動することはないということを、一九六〇年以来繰り返しあらゆるいろいろな機会に確言してきているところでございます。  一方、この三月三十日に、アメリカ海軍作戦部長ズームワルト大将がオフィシャルステートメントの中でこのようなことを言っております。それは前方展開部隊に関連しての発言でございますが、「概念的にいって、一般目的用の艦艇及び航空機は、次の二つの分野に分けられる。第一は、非核抑止力及びプレゼンスとしての前方展開部隊である。第二には、急速展開が可能で、高度に信頼性のある部隊で、米本国基地に属するものである。」こういうふうに言っておるわけでございまして、前方展開部隊につきましては、ズームワルト作戦部長非核抑止力ということを強調していることを申し上げておきたいと思います。
  199. 中路雅弘

    ○中路委員 しかし第七艦隊というのは、核抑止力の中核ですよ。核空母はまたその中心なわけですから、核抑止力の重要な部隊だということは明白なわけです。またもう一つ、ソ連が対象にあるとすれば、当然核を度外視して考えられない。アメリカのほうは、いまおっしゃったように、核がどこにあるかということを言わない。どこにあるかということを聞くなということもしばしば言っている。日本のほうは核を持ち込むなと言っている。その場合には、当然必ず持ってきていないという保証がはっきりしなければいけない。アメリカのほうから核がありますよということを事前協議で持ち出すことはないじゃないですか、言っておることからいえば。核がどこにあるかということは言わないことがいいんだということを言っている相手が、そのことについて向こうから言ってくるはずがないじゃないですか。そしてこちらがアメリカを信用しているからということで尋ねることもできないということになれば、事前協議といっても、これは事前協議は役に立たない。核についての国民の疑惑を晴らすために何らの処置にいまやっていない。   〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 少なくとも核に関する限り、この疑惑を晴らすために、あるかないかということをはっきりさせる必要がある。持っていないなら、必ず持っていないという保証を明確にさせるべきである。しかしそのアメリカは、核があるかどうかということは言わないということが大事なことだと一般的に言っているわけですね。しかし日本は、一持ち込んでもらっては困ると言っているのだから、だから、はっきりとアメリカのほうに持っていないんだという保証を明確にさせる必要がある。これは国民の疑惑を解く立場から当然のことじゃないですか。このこともできない、この処置もできないようでは、事前協議ということも全くこれは空文になってしまう。このことを明確にする処置はとることはできないのですか。
  200. 大河原良雄

    大河原説明員 でありますからこそ、安保条約上の事前協議対象一つとして、装備における重要な変更の場合があげられているわけでございまして、ここにいいます装備における重要な変更ということは、まさに核の持ち込みでございます。核の持ち込みに関しましては、米側日本側に対しまして事前協議をすることなしに持ち込むことはあり得ないわけでございまして、一方、また米国政府は、日本非核三原則という立場については十分これを認識し、理解しているわけでございますから、日本の意思に反して米側がこの問題について行動することはないということは、一九六〇年の岸・アイク共同声明以来、あらゆる機会に確認されているわけでございます。
  201. 中路雅弘

    ○中路委員 一貫しているのは、アメリカを信用しなさい、それ以外に根拠がないんじゃないですか。日本のほうからはっきりと持ち込まないんだという、あるのかないのかということを明確にさせることすらできない。私はこれでは核の問題についての国民の疑惑を晴らすことができないだろうと思うのですが、時間がもうなくなってきているので、この核の問題についてもあらためてお聞きをしたいと思いますが、ちょっとはしょって一、二さらにお聞きしたいのです。  これは先ほど大出議員が質問になった極東の範囲の問題ですけれども、先ほど質問のように、これが地球の五分の一の表面積を持つような広大な地域、インド洋にわたる広大な地域を行動の範囲にしているということは、先ほどの答弁でもはっきりしているわけですが、この場合に、初めからその行動の範囲がいわゆる極東の範囲、あるいは極東周辺と拡大されても、それよりもはるかに逸脱するところを主たる根拠地にして、母港にしている航空母艦に提供する。初めからこの条約あるいはその協議の中できめられた範囲を逸脱するところまで行動範囲を目的にしているというものに提供するということは、明白にこの極東の範囲といままでいわれた点からも逸脱するのではないかと思うのですが、もう一度この点で——この点では明らかに安保条約の実際的な拡大解釈、改悪になる。皆さんがきめられた安保の極東の範囲というこの目的ですらはるかに逸脱する、反するものだというふうに考えるわけです。  もう一つ、一緒に述べますけれども、これはしかも直接の戦闘作戦行動だけでない。極東の範囲ということで、これも六〇年の四月一日の衆議院安保特別委員会で岸総理の極東の範囲のところでの答弁です。「「行動」が戦闘行動だけを意味しておるものでないことは、ここで明らかになっていると思います。」「たとえば、そのために部隊が移動するとか、あるいは補給をするとかいうような、作戦行動以外のものもあろうと思います。」ということで、いわゆる極東の範囲に限らるべき米軍の行動とは、戦闘作戦行動だけでなく、すべての行動をさすのだということをこのとき答弁されております。第七艦隊、そしてミッドウエーは、少なくともいま言われたインド洋まで行動範囲にしている、作戦範囲にしているということは明白なのです。これを初めからこの目的を持った艦艇を主たる根拠地にするということは、明白に私はこの極東の範囲の解釈にも違反するものだと考えるわけですが、この点はどうですか。
  202. 大河原良雄

    大河原説明員 安保条約第六条の規定から明らかでありますように、極東といいますのは、この地域の平和と安全の維持という、米軍によって施設、区域の使用を認められる目的との関連において地域的な範囲が定められたものであるわけでございまして、極東の範囲ということにつきましては、昭和三十五年の統一見解があり、また今日政府考え方は全く変わっておらないわけでございます。それで米軍施設、区域を使用して行動する際の現実の行動範囲を規定したものではないというのが政府考え方でございまして、使用目的に照らして極東の範囲というものが考えらるべきものである、こういう立場でございます。そこで米軍極東の範囲外で行動することがありましても、その行動が安保条約第六条の目的に照らして認められる性質のものであるならば、行動範囲をそこで限定するということにはならないという立場をとっております。
  203. 中路雅弘

    ○中路委員 それじゃ全くこれも意味ないじゃないですか。極東の範囲をきめたって、安保の目的に沿うのだったら、極東の範囲でなくたっていいのだ、行動していいのだということになれば、なぜ極東の範囲ということで解釈を示されて、いままでたびたび論議してきたのか。どこまで行動しても安保の目的に反しないならばいいのだ、そういうことではもう行動の区域——初めはフィリピンから北はあくまでも行動の範囲としてこの極東の問題というのが論議されてきたわけでしょう。それがこの極東の解釈が、もう区域で全くなくなってきてしまう。これも非常に不当な拡大というか、改悪の解釈だと私は思うのです。これ以上この問題を御質問しても、答弁の繰り返しだと思いますからあれですけれども……。
  204. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほど私が御答弁申し上げました米軍の行動の範囲というものは、しかしながら基本的な制約があるわけでございまして、まず第一には、安保条約が国連憲章のワク内で締結された条約であるということの当然の結果といたしまして、米軍の行動は常に国連憲章の定める個別的または集団的自衛権の行使としてとられるものでなければならないということが第一。第二の制約は、先ほど来御議論いただいております事前協議制度でありますし、もう一つは、施設、区域の使用というものは、安保条約六条に基づく地位協定の規定によって規制される、こういう基本的な制約があるわけでございまして、もちろんこの基本的な制約は、平常の事態におきましては事前協議制度がかぶるというふうなことは考えられない、考えにくい、こういう状況にあることは、先ほど大出委員の御質問に対してお答えしたとおりでございます。
  205. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が来ていますのでもう一点だけにしますけれども、いまの極東の問題にしても、極東の平和と安全ということで、いままでベトナムの戦争に日本から第七艦隊や海兵隊、空軍が投入されて、在日米軍基地がこのベトナムの戦争と侵略のためにフル回転させられたということから見ても、いま安保条約趣旨に沿うということがどういう内容かということは、私は明白になっていると考えますが、最後に、いろいろお聞きしたいことがあったのですが、飛ばしまして、もう一点だけお聞きしたいのですが、厚木の海軍航空基地の問題ですが、この厚木の海軍航空基地の滑走路の使用の形態はどうなっていますか。
  206. 大河原良雄

    大河原説明員 厚木の基地の滑走路は、二条四項(b)による共同使用という形で米側が使用を認められております。
  207. 中路雅弘

    ○中路委員 地位協定の二条四項(b)でというわけですから、二条四項(b)という場合に、日本側のものであるけれども米側の使用が認められる、一定の期間を限って使用すべき施設、区域であるわけですね。この一定の期間を限って使用すべき施設、区域についても、これは七一年ですか、衆議院予算委員会で、この中に、米軍の専用する施設、区域への出入りのつど使用を認めるというような専用施設への出入りのつどというような新例も出されていますけれども、しかしこれから見ても、になると、二・四(b)のその出入りのつどの使用ということでなくて、事実上のアメリカの専用基地化になるのじゃないですか。日本側で持っていてアメリカに一定の期間貸すというような、そういう使用でなくなってしまう。ミッドウエーが半年なら半年常駐すれば、ここで修理をしたりやるわけでしょう、使用目的からいっても。しかももっと直接的には、ここから搭載機が直接戦闘作戦行動に出る可能性もある。そういうことになれば、私はこの厚木の航空基地の使用目的、使用の形態、これからいっても、今度の事態というのは全く反するものだと思うのですが、これについての御見解はどうですか。
  208. 大河原良雄

    大河原説明員 厚木には、米軍に対しまして二条一項(a)に基づく施設、区域を提供してございまして、米軍はこれを補給、修理、管理のために使用いたしております。その隣接区域にございます滑走路の使用につきましては、米軍の専用する施設、区域への出入のつど使用を認めるものという形態に属する二条四項(b)の共同使用の形をとっているわけでございます。万が一いま御指摘のとおりに、この厚木の施設、区域からミッドウエーの艦載機が戦闘作戦行動のために出撃するというふうな事態があり得ると仮定いたしますならば、全く仮定でございますが、その場合には、当然事前協議対象となるべき施設、区域の使用になるわけでございます。
  209. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、しかしその場合は、今度は提供している施設から飛ぶので——いま仮定の話でしたわけですけれども、二・四(b)ですから、日本の管理をしている基地から直接戦闘行動に出るということになりますから、アメリカに提供している施設から直接戦闘行動になる場合に、もちろん事前協議対象になりますけれども、いまの二・四(b)の形態の中でその問題が起きた場合に、日本施設の中から直接戦闘行動に飛び立つという、そういう事態が起きるのじゃないですか、もう一度その点はっきり……。
  210. 大河原良雄

    大河原説明員 二条四項(b)の使用の対象としまして、米軍の専用する施設、区域への出入のつど使用を認めるものという形に属するものでございます。(中路委員「常駐している場合はどうですか」と呼ぶ)そこでそういうふうな、もともと自衛隊が管理いたしております二条四項(b)の滑走路を、米軍がそういう目的のために、つまり戦闘作戦行動の出撃のために使っていいかという問題は、これは別の問題でございますが、法律論としては、戦闘作戦行動のための出撃という場合には、これは事前協議対象となるわけでございますが、そういう事態を現在全然想定いたしておりません。
  211. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、時間が来ましたので、残された問題はまたあらためて御質問したいと思います。  最後に、エンタープライズは横須賀に入港あるいは母港化、そういうことは話は一切ありませんか。
  212. 大河原良雄

    大河原説明員 エンタープライズが横須賀に来る、あるいは日本の港に来るという話は全く聞いておりません。
  213. 中路雅弘

    ○中路委員 終わります。
  214. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 鈴切康雄君。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ミッドウエー母港化に伴って事前協議の問題が大きくクローズアップされておりますけれども、参議院の予算委員会に福田前外務大臣が、事前協議の運用問題について再検討をするというふうに国会にお約束になったわけでありますけれども、その後何ら国会に対して明確な答弁がなされておりません。その点についてまず、どういう場所で検討をされ、そして従来から比べて事前協議の運用をどのようにお変えになったのか、また、どういう点が問題となり、どういう点が変更されたか、明快に御答弁を願いたい。
  216. 大河原良雄

    大河原説明員 昨年の春であったかと思いますけれども、当時福田外務大臣が国会での御質問に対して、事前協議制度の問題について米側と話をしてみる、こういうことを御答弁されたことがございます。その後、しかし適当の場がございませんで、ことしの一月二十三日に、第十四回の安保協議委員会が開かれました際に、施設、区域の整理統合の問題とあわせまして、事前協議制度の問題についても討議が行なわれました。その結果、この制度の運用上の基本的なワク組みについては、日米双方の考え方が一致していることを再確認いたしますと同時に、その具体的な運用については、日米間の相互信頼と現実の状況に即して密接な連絡協議によるべきであるという点で意見が一致したわけでございます。  なおその委員会におきましては、現在の国際情勢のもとにおいては、事前協議が必要とされるような事態は予想されないという点でも、日米間の意見が一致したということを留意したという次第があるわけでございます。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどからたいへんに事前協議の問題で論議をされておりまして、しかも事前協議の空文化にひとしいのではないかとまでこの場所でその問題点を指摘されているわけです。それにもかかわらず、福田前外務大臣は、その事前協議については、運用の問題にたいへんに問題があるからアメリカとも話し合ってみようというふうに言われて、結局は事前協議は全くもとのとおりでいいんだというような認識にお立ちになったということは、これは私は言うならば、まことに問題を残して話し合われたという以外に方法がないと思うのです。  そこで事前協議をするのにどういう方法でおやりになるのか、その際、国防会議とかあるいは閣議、国会等の関係についてはどのようになるでしょうか。
  218. 大河原良雄

    大河原説明員 安保条約が締結されまして以来、十数年たちました今日に至るまで事前協議制度が現実に発動されたことはないわけでございます。しかしながら事前協議のあり方といたしましては、米側がこの問題を日本側に提起してくるということになるわけでございまして、その現実のあり方といたしましては、おそらく政府首脳に対しまして外交チャネルで米側からの申し出があるということであろうと思います。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 事前協議については、むしろ米側のほうが、こういうことだから事前協議にかけてもらいたいというふうな一方的な向こうの申し出によってなされるというわけですが、それにもたいへんな問題があろうかと私は思いますが、もしそういうふうな事態が起こった場合に、国防会議それから閣議そしてまた国会、この関係というものはどういうふうになりましょうか。
  220. 大河原良雄

    大河原説明員 事前協議に関する事項は、政府が従来から明らかにいたしておりますように、本来政府の専管に属することであるわけでございます。したがいまして、国会の承認を必要とするというふうなことにはならないわけでございますけれども事前協議がありました際の状況いかんによっては、政府が国会に話をするということもあり得ることであろう、こういうふうに考えております。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはたしか佐藤総理大臣が——もちろん事前協議でノーということであれば、問題もないわけですけれども、イエスという場合、国会に対して報告をするということであります。しかしその報告のしかたなんですが、事前協議がかけられた場合において、国会にいち早くそれをかけられるのか、あるいは決断を下して、そして言うならばあとで国会に報告をされるのか、その点についてはどうなんでしょうか。
  222. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほど御答弁いたしましたように、本来政府政府の責任において処置すべきものであると考えるわけでございまして、国会の承認を必要とするようなことではないというふうに考えております。しかしながら状況いかんによりましては、国会のほうにお話を申し上げるということもあり得るわけでございまして、いかなる場合にそのお話をするのか、その時期はどうなのかというふうな点につきましては、その時点における諸般の状況を政府として十分判断した上で政府の責任においてこれを決定するということになろうと考えております。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 事前協議、これは非常に大切な問題であるわけでありますが、先ほど配置の重要な変更についてもいろいろ論議をされました。そこで事前協議対象になる三項目の再検討というものがもう必要ではないか、そのように私は思うのですけれども、先ほどお話がありましたように、たとえば陸軍の場合には一個師団程度以上のもの、あるいは空軍においてはそれに見合う一航空師団以上のもの、そしてまた海軍においては一タスクフォース以上のもの、こういうふうに簡単にあなたは言われたわけでありますけれども、実際にこのような簡単なことを口頭だけで、文書も取りかわさないで、言うならば事前協議の問題を取り扱う筋合いのものではないと私は思うのです。  そこで、一つ聞いてみたいと思うのですけれども、たとえば陸軍の一個師団程度以上というものの考え方、それにも御存じのように歩兵師団というものがあります。それから機甲師団というものもあります。あるいは空挺師団というものがある。それぞれ編成が異なるわけですけれども、こういう場合における兵員というものはどのようにお考えになりましょうか。
  224. 大河原良雄

    大河原説明員 藤山・マッカーサー了解によります重要な配置変更内容といたしまして、陸軍の場合には一個師団程度のものが配置変更に当たる、こういうふうに考えられてきているわけでございますが、それじゃその場合の一個師団兵力量いかんということになりますと、御指摘のとおりに機甲師団、空挺師団、歩兵師団、いろいろな形があり得ようかと思います。したがいまして、一がいにこれこれということを申し上げることはむずかしいわけでございますけれども、常識的には二万名程度ということがあるいは言えるかと存じます。しかし、この数字は、必ずしも絶対的な数字ではないと思います。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえば一個師団程度以上というものを二万名というふうに一応お考えになった基準というのはどこにあるんでしょうかね。一個師団二万名。ちょっと久保局長、一個師団というのは大体何名なんでしょうか。
  226. 久保卓也

    ○久保説明員 現在約二万名だと思います。普通科歩兵の部隊の場合です。
  227. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは結局一個師団。それを言うならば歩兵師団とかあるいは機甲師団、あるいは空挺師団混合に、もしその必要があって来た場合には、どういうふうなかっこうになるのでしょうか。
  228. 大河原良雄

    大河原説明員 現実にどういう編成の部隊がこの一個師団に該当するものかということは、一がいになかなかきめにくい点でございまして、混成師団的なものができ上がるといたしましても、おおむね兵力量としては二万名見当かなという程度のものと考えているわけでございます。
  229. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これについても米側と大体そんな程度だなというようことであっては、いざという場合には非常に相手方との考え方に差異を生じてくるわけですが、そういう点についても、言うならば非常に煮詰める必要もあろうかと思いますし、たとえば数回に分けて一個師団以上のものが入ってきた場合、これはどうなんでしょうか。事前協議対象になるのですか。
  230. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほど来御答弁いたしておりますように、何べんかに分けて入ってきた陸軍の部隊が、合わせてみれば一個師団程度以上のものになっているというふうな状況があるといたしまして、そのようないわばさみだれ式の入ってき方の場合にも、一個師団以上に相当する陸軍の兵力量が日本配置された場合には、重要な配置変更として事前協議対象考えるということでございます。
  231. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、さみだれ式に来たということなんですけれどもさみだれ式にしても、やはりいろいろ目的があろうかと思います。しかしその期間を大体どれくらいの間に、さみだれ式に来た場合においては、言うならば事前協議にかけるというふうにあなたはお考えになりましょうか。
  232. 大河原良雄

    大河原説明員 期間の幅について考えたことはないわけでございますが、先ほど来御説明いたしておりますように、事前協議の発動というふうな事態が考えられますのは、おそらく平常でない事態であろう、こういうふうに考えております。したがいまして、平常でない事態において、そう長い時間の幅をもってだらだらと入ってくるというふうなことにはならないんじゃなかろうかと考えております。
  233. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 空軍の場合、一航空師団以上のものということですけれども、一航空師団の編成規模というものは、どのようにお考えになりましょうか。
  234. 大河原良雄

    大河原説明員 一航空師団はおおむね二個ないし三個団をもって編成されるというふうに考えてよろしいと思います。
  235. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二個ないし三個団ということになりますと、大体機数にして何機でしょうか。
  236. 大河原良雄

    大河原説明員 これまた実際の編成がどうなるか区々であろうと思いますけれども、おそらく二ないし三個飛行隊というもので一航空団が編成されることになるだろうと思います。
  237. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 久保防衛局長にお聞きしますけれども、一航空団、大体機数は何機ぐらいですか。
  238. 久保卓也

    ○久保説明員 いまアメリカ局長から言われましたように、エアウイング、一航空団は二ないし三個の飛行隊、スコードロンから成ります。そこで一スコードロンの編成定数と申しますのは、場合によって違いますけれども、航空機十五機から二十五機の間であります。そこでこれは、たとえばF4ならF4というメーンの飛行機が十五ないし二十五その間に入るわけであります。結局二十機前後ということになりますが、それ以外に練習機、連絡用の飛行機、輸送機というようなものがありますから、一個スコードロンで二十数機から三十機程度、したがって二個スコードロンでありますと、五、六十機、もし三個スコードロンであれば、七、八十機というのが大体の見当であろうと思います。これはいろいろなケースによって違いますが、およその見当はそのぐらいでございます。
  239. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえばB52の場合はどうでございますか。
  240. 久保卓也

    ○久保説明員 B52とかC5という大型のものは、大体一個スコードロンが十五機前後であると思います。
  241. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど海軍の問題ではたいへんに問題点が指摘されまして、一タスクフォースという一つの例をとられて、七十七機動部隊、この場合においてはこれは全く空文にひとしい、こうまで実は話があったわけであります。それについて久保防衛局長は、観念的な思想の統一である、こんなことはとうていあり得ないんだというようなことで、もう事前協議というものは、そういう点においてはほとんどかかることはないというようなニュアンスの御答弁をされたわけでありますけれども、やはりこういう問題については、もう少し煮詰めてやると同時に、少なくともこれは陸海空たいへん大量な部隊あるいは大量な兵員それから規模ということになりますから、こういう問題はもっと格下げをして、少なくとも事前協議というものをもっと厳密にチェックするというような前向きの話し合いというものがなされて初めて、この間福田外務大臣が運用の問題とかあるいは事前協議について総点検をしてやりたいと言われた点に私は合致すると思うのですが、その点はどうなんですか。
  242. 大河原良雄

    大河原説明員 国会においていろいろ御論議がございまして、それをもとに福田当時の外務大臣は、米側と話し合ってみよう、こういうことであったわけでございまして、そのためにことしの一月、安保条約運用に関します一番高いレベルでの会議であります安保協議委員会の場におきまして、事前協議制度の問題についての討議が行なわれたわけでございます。この点は先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、したがいまして、日米安保条約に関しまして、条約で正式に設けられておりますこの安保協議委員会という高い場においてこの問題が日米間において十分話し合われた、この事実を申し上げておきたいと思うのであります。
  243. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ミッドウエーは大体三年ぐらいをめどだというふうにいわれておるのですが、実際に米側のほうからは、ミッドウエー母港化ということについてはどういう返事がきていましょうか。
  244. 大河原良雄

    大河原説明員 ミッドウエーがいよいよ入港するにあたりまして、日本側といたしましても、深い関心を持っているわけでございますから、米側に対しまして入港の態様その他を確かめましたところ、米側といたしましては、大体三年程度この水域にミッドウエーを行動させる。一年の単位をとって申しますと、一年のうち約半年程度は西太平洋の洋上において行動し、残りの期間を寄港するということになるであろうという程度のことを説明してきているわけであります。
  245. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三年程度ということですけれども、一応三年が終わった場合には、さらに新しい空母が来るというようなことは絶対ありませんか。
  246. 大河原良雄

    大河原説明員 三年程度の期間の行動が終わりますと、ミッドウエーアメリカの本土の西海岸に戻りまして、そこでオーバーホールということになるわけでございますが、米側から昨年言ってまいりましたのは、通常型空母一隻を、横須賀に乗り組み員の家族居住させてもらいたい、こういうことを言ってきたわけでございます。したがいまして、三年たちまして、ミッドウエーアメリカ本土へ戻りましたあとどういうことになりますのか、通常型空母一隻の家族居住ということ以外には、いまの段階では承知いたしておりません。
  247. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 通常型空母一隻を常駐したいということになれば、ミッドウエーは三年で一応オーバーホールで帰る、そのあとまた、言うならば新しい空母が来る、こういうふうなことに、いまあなたの解釈からいえば、また米側が言ってきておることから判断すれば、そのようにもとれるのですが、その点はいかがでしょうか。
  248. 大河原良雄

    大河原説明員 正式に言ってまいりました段階では、通常型空母一隻ということでございましたけれども、その後、通常型空母一隻というのは、具体的にはミッドウエーである、こういうことをまた言ってきたわけでございます。そこでミッドウエーが本土に帰りまして、オーバーホールされております期間どうなりますのか、あるいはオーバーホールを終わりますと、ミッドウエーがまた戻ってくるのか、あるいは別の通常型空母がこれに代替することになるのか、そこらについては、まだ承知いたしておりません。
  249. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま大河原局長から話があったとおり、やはりミッドウエーは一応三年間の期間を過ぎたらオーバーホールをして、さらにもう一度戻ってくるか、あるいは新しい空母が来るか。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 これはどちらか、いずれにしても通常空母が常に横須賀においては常駐をする、そういうふうな答弁のニュアンスに私は聞けたわけでありますけれども、そうなればまさしく空母母港化というものは恒久的になってしまうということになるわけです。そういうことから考えますと、空母母港化を通じて、言うならば動く基地化というものがそこに再現されるという状態を国民の方々はたいへんに心配をしておるわけです。  そこで山中長官、きょうはおすわりになっていて、何ら御答弁もなかったようでございますので、長官にお伺いをいたしますけれども、今度、ミッドウエー母港化されるについて、たいへんに地元の方々の抗議、そしてまた心配というものが、もう抗議の状態、そしてまた地元の状況をつぶさに見ると、たいへん大きな政治問題だと私は実は思うわけであります。確かに日米安保条約地位協定三条によって施設、区域を提供する義務があるにしても、それを上回る何か国民の不安が取り切れないのじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、そういう点について政治家である長官は、この国民の気持ちというものについては、どのような分析をされておられましょうか。
  250. 山中貞則

    山中国務大臣 分析というほど科学的なものではありませんが、横須賀の市長さんも、あまり騒がしい環境になってもらっては困るし、それに核の問題は非常に心配だということを言っておられますし、一応受け入れることについては了承されておるといえども、そのような心配がおありになるわけで、したがって外務省当局がいま答弁しておりますようなことが、国会の論議を通じ、報道等を通じて市長さんにも伝わるだろうと思いますし、地方自治体あるいは基地人たちに、これ以上の御迷惑をかけないようにしなければならぬというような気持ちでおります。
  251. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは防衛庁長官は、そういう点をつぶさに分析をした上において、なぜこのような抗議あるいはそれに対する反対の運動が行なわれているかということを、やはり知っておかなくてはならないのではないかと私は思うのです。  私は私なりに一応考えてみました。それは一つは、いまも言われましたように事前協議の問題、いまお話がありましたように核の問題、これが一向に疑惑が晴れないという点もあるでありましょう。また先ほど私、局長とあれしました、母港化による恒久的な基地になるのではないかという、そういう心配もあるのではないか。それから在日米軍基地を使用して訓練をすれば、航空公害というやつだってやはりこれは出てくるわけです。あるいはまさしくニアミス等による航空事故というものも考えられるのではないか。また今度多くの方々が、家族がこちらのほうに来られれば、犯罪というものにも当然つながるでしょうし、あるいは交通事故という問題にもつながるでしょう。そういうことで、たいへんにやはり国民の方々は心配をしている。また山中防衛庁長官は、少なくとも在日米軍基地については縮小ないし整理をするというふうに、強くそのことを国会において約束されておる。それにもかかわらず、ミッドウエー母港化によって、それは動く基地をさらに大きくつくるということにもなるわけです。  そういう観点、あるいはもう一つは、先ほど久保防衛局長が言われたように、少なくともベトナム平和協定の発効後というものは、アジアの情勢というものは緊張緩和の方向に動いてきている。そういう時期に、アメリカ極東戦略の一環としてミッドウエーを常駐する、母港化するということ、これは緊張を引っぱり出す要因になりはしないかというような、いろいろのそういう諸条件があって、かなり国民の方々は、言うならば不安になっておられるのではないか。私はこういうふうに思うのですけれども、私の考え方は間違っておりましょうか。
  252. 山中貞則

    山中国務大臣 あなたのお考えが間違っているとか、正しいとかということよりも、それらのもろもろの問題というものが、やはりミッドウエー母港化ということに伴って、国民各階各層で、立場はいろいろ違いましょうが、心配なりあるいは不安なりというものがある幾つかの原因のうちのそれぞれ一つだろうと思うのです。  ただこの基地の縮小ということとミッドウエー母港化ということは、ミッドウエー母港化させるために、特別にドッグあるいは岸壁というようなものを新しく提供したわけではありませんし、また艦載機が厚木並びに三沢等に訓練のために展開をするということについても、これまた既存の基地でございますから、その既存の基地であることによって、それが基地が縮小されないで拡大されたということは言えないわけですけれども、しかし基地周辺の人々については、先ほど申しました射爆撃を行ないます海面の漁協の方々とか、あるいは周辺の騒音に関係のある地域の人々にとっては、やはり基地の公害というような面においては、縮小の問題と逆に基地の公害はふえていくという現象が起こると思います。その点は今後十分に配慮してまいりたい、そう考えます。
  253. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 米側ミッドウエー横須賀に常駐させながら母港化するということについては、これは極東戦略の一環であり、言うならばそのことによって兵の士気が高揚されるのだというようなことを先ほど御答弁がありましたけれども、今度のミッドウエーに乗っておられる兵員は、士官、兵、それから航空部隊要員でどれくらいの人数になりましょうか。
  254. 大河原良雄

    大河原説明員 ミッドウエーの乗り組み員は、士官が百四十名、兵が二千四百七十五名でございますが、このほかに航空機関係の乗り組み員が約千八百名おりますので、合計いたしますと約四千四百名余になります。
  255. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それに伴って、こちらに移住される家族は大体何世帯、何人くらいの予定ですか。
  256. 大河原良雄

    大河原説明員 米側が言ってきておりますのは、約千世帯の家族居住が見込まれるということでございますけれども、今日までに現実に移転してまいりましたのは三百五十五家族でございます。
  257. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 千世帯ということになりますと、人数にして大体どれくらいでしょうか。
  258. 大河原良雄

    大河原説明員 家族構成がどうなりますか、子供一人といたしますと夫妻に子供一人、合計約三千人ぐらいということになると思いますけれども、これは多く見積もって千世帯ということでございまして、実際にはもう少し内輪の数字にあるいはなるかもしれません。
  259. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いままで、横須賀並び横須賀周辺米軍家族が現在住んでおるわけですけれども、そういう方々を合わせますと大体どれくらいになりましょうか。
  260. 大河原良雄

    大河原説明員 七艦隊旗艦でありますオクラホマシティーの関係の家族が三百八十世帯、それから十五駆逐隊の関係が約六百八十世帯ございます。
  261. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、大体二千世帯ということになりますけれども、私、それをお聞きするのは実は目的ではないわけでして……。
  262. 大河原良雄

    大河原説明員 失礼いたしました。いまのを六百に訂正させていただきます。
  263. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は米軍の軍人並びに軍属、そしてまたその家族等がいろいろの事件を起こしているわけです。たとえて言うならば、車両による事故、あるいは航空機による事故、あるいは刑事関係事故その他の事故等を起こしているわけでありますけれども米軍の軍人並びに軍属に対しては、当然公務上あるいは公務外ということがあるわけですが、昭和四十五年、四十六年、四十七年のデータによって大体何件あるでしょうか。
  264. 高松敬治

    ○高松説明員 四十五年は、公務上が六百五十一件、公務外が一千五百十五件、合計二千百六十六件、それから四十六年が、公務上が五百三十二件、公務外が一千五百三十九件、合計二千七十一件、それから四十七年が、公務上が八百十八件、公務外が三千七十件、合計三千八百八十八件、四十七年は、このうち本土関係が合計いたしまして千九百件、沖繩関係が千九百八十八件、こういうことでございます。
  265. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、米軍人あるいは軍属の家族によって惹起された犯罪というものは何件あるでしょうか。それは警察庁のほうから……。
  266. 加野久武男

    ○加野説明員 お尋ねいただきましたうち、交通人身事故に関しまして申し上げますならば、四十五年におきまして、その家族によって起こされました交通人身事故が百九十四件、四十六年が百七十件、四十七年が百十一件ということに相なっております。
  267. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 従来、地位協定による米軍人、軍属の公務上並びに非公務上の不法行為に基因する損害賠償については、どのようにして救済されていましょうか。
  268. 高松敬治

    ○高松説明員 地位協定の十八条に規定がございまして、その第五項には、「公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が」云々ということで、第五項が公務中の場合の救済と申しますか、その場合について規定をしております。それから第六項が公務外で、「日本国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行なわれたものでないものから生ずる」云々ということで規定がありまして、それぞれその規定に従って処理しているところであります。
  269. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地位協定第十八条の五項、これはいわゆる公務上の場合を規定してあるわけですね。その場合には、いわゆる公務上においてもしも作為、不作為によってその損害を与えた場合には、どちらが、アメリカが責任を持つのか、日本が責任を持つのか、その点はどうなりましょうか。
  270. 河路康

    河路説明員 地位協定十八条の五項の規定によりまして、五項の(a)に「請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」(b)項に、「日本国は、前記のいかなる請求をも解決することができるものとし、合意され、又は裁判により決定された額の支払を日本円で行なう。」ということで、日本政府が支払いを行なうという形になっております。
  271. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは、日本政府が支払いを行なうということでなくして、日本政府アメリカとが責任をもって支払うということなんですか。どうなんですか、それは。日本政府が全部払うのですか。
  272. 高松敬治

    ○高松説明員 手続としては、日本政府が支払いまして、後ほど(e)項のところにおきまして、日米両国の責任の分担がきまっておりますが、そこで日本政府が二五%、それから七五%をアメリカ政府が負担する、こういうことになっております。
  273. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたは間違っているのですよ。要するに日本政府アメリカ政府とがその分担をきめて、そして支払うということですよ。  それじゃ公務外の場合にはどうなんでしょうか。
  274. 河路康

    河路説明員 十八条六項の規定によりまして、「日本国の当局は、当該事件に関するすべての事情を考慮して、公平かつ公正に請求を審査し、及び請求人に対する補償金を査定し、並びにその事件に関する報告書を作成」して、その「報告書を合衆国の当局に交付し、合衆国当局は、遅滞なく慰謝料の支払いを申し出るかどうかを決定し、申し出る場合には、その額を決定する。」云々ということで、支払いはアメリカ政府が行ないます。
  275. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それも要するに自衛隊に準じて支払われておるわけですが、実際にそれじゃ、アメリカがそれだけのものを払っておりますか。いわゆる自衛隊がそういう問題等を取り扱うと同額の、言うならばそれに準じて支払うということなんですよ。実際にそのようにして支払われておりますか。
  276. 河路康

    河路説明員 実際の金額につきましては、日本政府が審査した金額をそのまま支払うという場合もございますし、支払い得ない場合もございます。
  277. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この公務上あるいは公務外の問題は、それぞれ問題があるにしても、一番大きな問題は、ミッドウエーの乗り組み員の家族の相当数が横須賀市並びにその周辺居住をされた場合、これらの家族が国内において、たとえば車両事故等によって国民の生命と財産を侵害した場合、その損害賠償はいかなる方途によって救済されるのですか。
  278. 高松敬治

    ○高松説明員 その場合、いままで申し上げましたように、大体その場合には公務外の場合が多うございましょうから、いまほど御説明申し上げました十八条六項の手続によって損害賠償の請求をする、こういうことになります。
  279. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 十八条六項で、いわゆる家族の損害賠償まで支払われるようになっておりますか。その個所を指摘してください。どうなんですか。施設長官がそんなでたらめを言ってどうなるんだ。
  280. 高松敬治

    ○高松説明員 家族につきましては、この規定の適用がございませんで、普通の民事の関係によって処理される、こういうことになるわけでございます。
  281. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうでしょう。あなたはいま、いわゆる十八条の六項において家族のほうもこれをやる、どこにそんな法令があるのですか。そういうでたらめなことを言っちゃいけませんよ。結局、私も伝え聞くところによりますと、過去における米軍人あるいは軍属の家族の不法行為すなわち過失行為または管理の瑕疵に基因して生じた損害については、日本政府または在日米軍は一切の責任を回避しているのじゃないですか。そのために泣き寝入りしているところが一ぱいあるじゃないですか。そのために泣き寝入りをしている人が一ぱいいるのですよ。あなたはその実態を御存じないですか。
  282. 高松敬治

    ○高松説明員 私のほうでは、この規定に従う事務を処理しておりまして、その他の問題につきましては、その実態はよく承知いたしておりません。
  283. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、いま私が指摘しましたように、家族がたくさん今度ミッドウエー横須賀に来られるわけですね。そうした家族が、たとえば交通事故とか、そういうことによって相手方を死傷さしてしまった場合における損害補償というものは、この地位協定によっては全く救われないということですね。全く救われない。ただしアメリカ家族が来られて、強制賠償保険に入った場合には、五百万円当然それに対しては出されるでしょう。しかしいま人の命を失った場合において、五百万円で事が済むはずがないのです。二千万もあるいは三千万も、もはやその額というものは大きくなっている。ところが家族というものは、実際においていつ何どきどこへ移転をしてしまうかわからないわけですよ。そうした場合に、裁判はどこで行なわれるのですか。日本の裁判で行なわれるのですか。
  284. 大河原良雄

    大河原説明員 在日米軍の構成員の家族について、地位協定上認められております特権等は限られたものしかないわけでございまして、たとえば米軍家族が交通事故を起こしたという場合には、これは何ら米軍構成員の家族であるがゆえの特権を持っているわけじゃございませんで、普通の一般の交通事故と同じに処理されるべき性質のものでございます。
  285. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 結局、家族アメリカへ行ってしまった場合どうするのですか。
  286. 大河原良雄

    大河原説明員 これは、普通の交通事故の場合と同じというふうに先ほど申し上げましたとおりに、在日米軍の構成員の家族が交通事故の主体でありました場合におきましても、通常の手続によりまして民事、刑事の手続が踏まれるべき性質のものであるわけでございます。  そこで事故を起こした米軍の軍人の家族日本を離れてしまった場合にどうなるかということでございますけれども、手続といたしましては、日本の裁判所に対する請求という手続が、まず踏まれるべきものであると考えます。
  287. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日本の裁判所が、いわゆる米軍家族のそういう問題について、一切取り立てをしてくれるという義務をしょっておりますか。結局、アメリカで裁判をしなければ事実こういう金は取れないのですよ。アメリカで裁判をしなければ、こういう問題は解決しない。ところが、こういうふうな問題で泣き寝入りをして、アメリカに行って裁判をするにもできないということで泣いている人がたくさんいるじゃないですか。そういう実態について、ただ単にミッドウエーの乗り組み員の家族をこちらへ移住させるということについて、政府のほうはアメリカと話し合ってやったけれども、大事なこういう問題について何にも手を打っていない。その点、防衛庁長官どうですか。これは私は一例を申し上げたわけですけれども、やはり国民の皆さん方が非常に心配しているという問題は、そういうこまかいところの実態を掌握をした上において解決をしなければ、これは一向にその不安というものがなくならない、私はそういうふうに思うのですけれども防衛庁長官、最後にひとつお伺いしましょう。
  288. 大河原良雄

    大河原説明員 ミッドウエー家族居住の問題が米側から出てまいります際に、私どもといたしましては、地元の方々に御相談をいたしまして、その際、地元横須賀市のほうは、ミッドウエー家族居住そのものについては異議を持たない。ただし、やはり社会的に問題を起こしてもらっては困るので、その点については十分な配慮を求めたい、こういう御要望に接しました。これを受けまして、私どもといたしましては、米側に対しまして、ミッドウエーの乗り組み員の家族居住については問題ないけれども、やはり地元との関係においては最大限の配慮をしてもらわなければ困るという趣旨のことを申し入れてあるわけでございまして、米側といたしましては、家族が気持ちよく日本において居住できますように、また日本国民感情に対しても十分な配慮を払われるよう、十分な措置を講じているというふうに考えております。
  289. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 乗り組み員が来られて、そういう気持ちはわからないわけはないのですよ。しかし、いざ現実にその問題が起きたときに、損害賠償を取るときにどうするかということを、ただ何とか米軍家族が地元の人たちとうまくやってくださいというような状態のそういう精神的、訓話的な、そんな問題を聞いているのでなくして、実際に、いま現実にこの問題については、米軍家族が起こした交通事故というものに対して、日本国民は全く迷惑をしているわけですよ。そういう問題は、この地位協定の中において何ら救われる場所がないわけですよ。そしてアメリカ軍のいわゆる家族が向こうに引っ越してしまえば、アメリカで裁判を起こさなくてはならない。アメリカの弁護士を頼んだって信用できるかどうか、実際においてわからないわけですよ。それを政府のほうでは、どこもこれを扱う場所がないんじゃないですか。そのために泣き寝入りをしておる人がたくさんいるというのを私は指摘しておるのですが、やはり防衛庁長官、私は一つの大きな問題点だと思うのですが、その点についてひとつ御答弁願いたいと思います。これはやはりミッドウエー母港化になるわけですから、これから三年という間、多くの方々がそこで居住されるとなれば、現実の問題として当然起こるべき問題ですから、これをもう少し私は煮詰めてもらいたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  290. 大河原良雄

    大河原説明員 いずれにいたしましても、地位協定上は米軍の軍人、家族は特権を持っておりませんけれども、またいまのような事故が生じました場合の救済措置地位協定上ではないわけでございますが、御指摘の点、まことに大事な点でございますので、米側に対しまして、十分善処方話をしてみたいと思います。
  291. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは、話し合われた結果は私に御返事をいただきたい。このことを要望いたしまして質問を終わります。
  292. 三原朝雄

    三原委員長 受田新吉君。
  293. 受田新吉

    ○受田委員 先ほどからの質疑応答を通じて、私、非常に遺憾の意を表明したいのは、極東条項の解釈、その周辺意義、きわめてあいまいもことなって、六〇年安保当時に、この国会で論議された当時、私の質問等にもお答えをいただいたころを顧みるのでございますが、当時とは非常にあいまいもことなった現象を拝聴しました。残念です。日本政府は、日米安保条約の本質的な意義を——アメリカニクソンドクトリン政策の、ばく然と極東周辺をどんどん広げていって、無限に拡大される方向へこれを持っていこうとされておるような危倶を抱かざるを得ません。この問題でまず質問をします。  安保協議委員会なる機能を発揮する機関ができておりますが、ここで安保条約の第四条の随時協議事項を審議するのかどうか、また第六条の事前協議事項もここで審議するのかどうか、お答えを願います。
  294. 大河原良雄

    大河原説明員 日米安保協議委員会は、安保条約に基づく交換公文によりまして設置された機関でございまして、日米安保条約関連します問題について、正式の協議の場でございます。  そこで交換公文に基づきます事前協議、また安保条約第四条に基づく随時協議、これが行なわれる場といたしましては、必ずしも安保協議委員会に限られることはないわけでございまして、先ほど事前協議につきまして御答弁申し上げました際に申しましたように、あり得る形は、通常の外交チャネルを通じてのものが比較的多いというふうに考えられます。また第四条の随時協議の場といたしましては、安保協議委員会の場に限られるわけではございませんで、たとえばことしの一月に創設を見ました安保運用協議会も、その協議の一つの場であるというふうに考えられるわけであります。
  295. 受田新吉

    ○受田委員 屋上屋を重ねる機関が運用協議会としてできたわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう機関が随時協議事項などをほんとうに扱っているのかどうか。局長さん、安保条約第四条の随時協議を実行されたことが何回あるのでございますか。
  296. 大河原良雄

    大河原説明員 第四条に基づく随時協議ということで銘を打ちまして行なわれました協議は、たしか昨年の六月に最後に開かれていると思います。しかしながら、実質的に随時協議に相当いたしますような形の日米間の協議というのは随時行なわれているわけでございまして、安保条約並びにその関連取りきめの運用に必要な個条につきまして、日米間で緊密な協議が絶えず行なわれてきているわけでございます。
  297. 受田新吉

    ○受田委員 今回のミッドウエー、いわゆる事件とあえて申しましょうか、この事件で国論がこれだけ沸騰している。国民は非常な不安を抱いている層が多いわけです。こういうときにこそ、交換公文による事前協議対象としては、アメリカさんから申し入れがない限りは取り上げられないのでございますから、随時協議によって、これはいずれから提案してもいいと条約に明記してあるのでございますから、そのミッドウエーの持つ条約違反的な実情とかいうようなものを国民が非常に不安を抱いているだけに、むしろこちらから、ミッドウエー寄港せしめ、母港化せしめることについて国民の不安がある、明確なあなたさまの意図をただしていきたいという意味の随時協議を、この機会にこそ発動されていいんじゃありませんか。
  298. 大河原良雄

    大河原説明員 昨年の十一月に、米側からミッドウエーの乗り組み員の家族居住について話がありました際にも、日本側といたしましては、十分米側考えの把握につとめたわけでございまして、それをもとに、米側に対しまして日本側としては異存はないという返事をいたした経緯がございます。また、いよいよこの秋にミッドウエー横須賀に入港するようであるという新聞報道、あるいはいろいろな報道等もございました際以来、日本側といたしましては、米側と緊密な連絡をとりまして、できる限りの情報の入手、またミッドウエー入港の際に考えられまするいろいろな問題点につきましても、米側と話し合いを行なってきたわけでありまして、そういう意味では、大事な問題につきまして日米間で絶えず緊密な連絡が行なわれ、協議が行なわれてきている、こういう状況でございます。
  299. 受田新吉

    ○受田委員 私は、安保条約第四条に基づく随時協議事項として、これを確定的にいたしまして交渉されるべきだと思うのです。これまで国論が沸騰する問題は、単に双方の下部機関の話し合いでなくして、安保条約第四条の発動による協議、この形式をとることができませんか。
  300. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私どもといたしましては、今回のミッドウエー寄港に伴いまして、安保条約にいいまする事前協議対象となるべき、配置の重要な変更が行なわれたというふうには考えておらないわけでございます。したがいまして、事前協議日本側の発意ではできないならば、日本側の発意で行ない得る随時協議をこの際行なうべきである、こういう御意見につきましては、御意見としてよく承るわけでございますけれども、緊密な連絡をとりながらこの問題について従来とも取り組んでまいりましたし、今後とも日米間で緊密な接触を保ち、協議をしつつ取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  301. 受田新吉

    ○受田委員 この問題の処理をもっと権威あらしめなければならない。単に末端機関の話し合いということでなくして、安保条約第四条の発動による協議できめるというぐらいの権威を持たしてほしいと思うのです。これだけ国論を沸騰せしめる問題の処理は、そこまでいって初めて実を結ぶと私は思うのです。いいチャンスです。この機会に、御意見は御意見として承っておくということでございましたが、ぜひ問題の処理を、もっと条約基礎的な背景のある話し合いに持っていくべきである。これは安全保障に関する基本問題でありまするので、山中先生も国務大臣として御答弁を願いたい。  そしてアメリカ局長さんは、六時四十分、カナダの首相の飛行機の到着が早くなったそうで、アメリカ局長はすぐ退席をいたしたいという御希望がここに出てきましたから、直ちに退席をお願いします。どうぞ。あとは参事官にお願いします。  これは山中長官の関与して差しつかえのない大事な問題ですから、私は、安保条約という権威ある条約、これを権威あらしめるためには、この機会にこそ、せっかく随時協議条項があるのですから、これによって正式の協議議題として扱っていくべきだと思うのです。  特にもうアメリカ局長帰られていいのですが、大臣、この問題があるわけです。このミッドウエーは、第七艦隊の行動範囲というのが非常に広い範囲にわたって行なわれていくことになると、極東条項を削除せよとうちの党は強く提案している政党でございますが、その日本の安全という主目的をはずれて、極東条項がやがてその周辺のほうへどんどん拡大強化されて、無限に広がっていく危険があるというような状態のときには、少なくとも随時協議事項として、交換公文による事前協議でこちらから持ちかけられない相談でございますだけに、四条の発動によってミッドウエー、もちろんこのあとに続くそうした有力なる軍艦のことも十分想定しながら、極東の範囲が、周辺の解釈がぐんぐん広がっていこうという段階で、この辺ですかっとその極東の範囲を明確にし、周辺を明確にしていく意味からいっても、拡大解釈される危険のあるミッドウエー問題の処理を、随時協議事項の対象とすべしと提案を申し上げます。敢然たる御答弁を願いたい。アメリカ局長、どうぞ御退席ください。
  302. 大河原良雄

    大河原説明員 いまの問題につきまして、後答弁させていただきましてから……。
  303. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは未練たっぷりとしておられる。お時間があるならどうぞやってください。
  304. 大河原良雄

    大河原説明員 随時協議ということにつきまして、これは一定の場がなければ随時協議ができないというわけのものでございませんので、実は私ども米側と絶えず協議をし連絡を保つというのも、一つは随時協議に当たる態様であろうというふうに考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、たとえば安保運用協議会というふうな場を通じましても、できる限り安保条約並びに関連取りきめの効果的な運用をはかっていきます上の緊密な協議を続けていきたい、こういうふうに考えておりまして、次回の安保運用協議会も比較的早い時期に開きたい、こういうふうに考えております。
  305. 受田新吉

    ○受田委員 せっかくですから、ついでに御答弁をもう一つお願いします。  ミッドウエーは、横須賀だけになぜ未練たっぷりとして、あそこだけを母港化しようとするのか。極東の範囲をわれわれが極力狭めたいと思っているときに、もし必要があってインド洋にまでも出動するということになるならば、フィリピンとアメリカ条約もあるのですから、フィリピンの港をお使いになればいいのです。グアム島もあるじゃないですか。横須賀の行動半径はここまで、その他はフィリピンやグアムにおまかせしましょう、またシンガポールその他のところもあるじゃありませんかと、こうおやりになればいいのです。事前協議でなくて、協議事項として随時協議の対象としては、まさに的確な答えが出ると思うのです。
  306. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、七艦隊には、ミッドウエーを含めまして三ばいの空母が配属されてございます。これも先ほど御答弁申し上げましたように、七艦隊の任務地域としては、確かにペルシャ湾入り口まで西のほうは広がっておりますけれども、具体的にミッドウエーがどの水域を行動範囲として受け持つことになるのかについては、私どもつまびらかにいたしておりません。したがいまして、残りの二はいの航空母艦が、これもまたどの水域を担当水域として受け持つことになりますのか、そこらとのいろいろな関連もあるいはあるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。
  307. 受田新吉

    ○受田委員 参事官おられますか。——それでは参事官でけっこうですから。カナダの総理に対する失礼が起こっては、外交上の失点をかせぐことになりますので、どうぞ。  私は、ミッドウエーの持つ任務というものから、横須賀だけに固執しているように思う。この横須賀は、それはいいところでしょう。しかし、あまりにもここへ執着、執念、我執というところまできておるんじゃないかと思うのです。フィリピンの港に適当なのがきっとあるはずだし、グアム島もあるはずだし、その他東南アジアに適当に、米国横須賀に肩がわりする港を発見できるはずですね。インド洋まで活動するそういう行動隊が、一機動部隊として日本を拠点に存在しておるような印象を国民に与えるところに問題がある。このあたりで明確に周辺を整理して、従来、六〇年安保のときに論議された極東の範囲内で、あいまいもこたるものを払拭して、からりとした秋晴れのような答えを出そうじゃないですか。そのための随時協議事項として、この際これを提示されたらいいと思うのです。
  308. 角谷清

    ○角谷説明員 ただいま御質問の前段の点につきましては、ただいま局長からお話を申し上げましたとおり、第七艦隊空母三ばい、ミッドウエーがどの地域を持つというようなことは、つまびらかにいたしておりません。  なぜ横須賀に参ったかということでございますけれども、これはミッドウエー家族の移住計画という観点からいたしまして、横須賀という地域が最も適当と考慮されたからと考えるわけでございます。  随時協議の点につきましても、ただいま局長が申し上げましたとおりでございまして、われわれといたしましても、随時おりおりアメリカ側とは話し合いをいたしておりますし、また、今後とも話を続けてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  309. 受田新吉

    ○受田委員 随時協議事項、事前協議事項というようなものの話し合いを、安保協議委員会それから運用協議会、そういうところで、四条の発動をどうするかとか事前協議をどうするかという話し合いを、引き続きやることになっておるんですね。いまの御答弁を伺うと、そういうものもやるんだと、この二つの委員会の性格を御答弁になったと思っておるのですが、これは間違いございませんか。
  310. 角谷清

    ○角谷説明員 御指摘の安保運用協議会その他の場におきまして、これは安保条約並びに地位協定関連いたします事項を討議する場でございますから、広い意味におきましては、条約の運用等を含めまして、随時かかる場を利用して話し合いをいたしておるわけでございます。
  311. 受田新吉

    ○受田委員 外務省は非常にあいまいもことしている。福田さんが、さっきも議論があったように、事前協議事項にして十分話し合いをしたい、こういうことであったのにかかわらず、最後にはそういう問題の処理はしりつぼみで、いまのままでもいいんだということになっておる。  ちょっと聞きますが、福田外相当時提案された、事前協議をどうしたらいいかという提案、その内容はどうだったのですか。福田外相は、事前協議を具体的にどうしたらいいかと提案されたんですか。日本側から提案された問題を御答弁いただきたい。事前協議を必要とするという提案はどういう提案であったのか。国民に知らすことのできない機密事項であるかどうかです。
  312. 角谷清

    ○角谷説明員 一月の二十三日でございましたか、安保運用協議会におきまして、事前協議に関しましてもいろいろ話し合いをしたわけでございます。
  313. 受田新吉

    ○受田委員 いたした日本側の提案は、何であったかを私がお尋ねをしておるわけです。
  314. 角谷清

    ○角谷説明員 これは従来の国会におきまして、いろいろ事前協議に関しまする政府答弁等がございまして、これに基づきましてわがほうから、わがほうとしてはこのように解釈しておるということを種々説明いたしまして、アメリカ側も、これについて納得いたしておるわけでございます。
  315. 受田新吉

    ○受田委員 その中に極東の範囲、周辺地域の討議が提案がありましたか、どうですか。
  316. 角谷清

    ○角谷説明員 その件につきましては、特に話し合いはございませんでした。
  317. 受田新吉

    ○受田委員 ここでミッドウエーが一機動部隊として行動する場合に、インド洋までも出かけていくというような長い行動半径を持つようになってくると、当然そこまで行く行動は、われわれとしては残念ですが、お断わりしたいことですから、こういうことは事前協議にしようじゃありませんか、極東の解釈、周辺の解釈、これについては当然事前協議対象にしてもらいたい、こういうことは当然要望しておくべきです。そういうことをやらぬから非常にあいまいなんです。さっきからの答弁を聞いておりましても、私、その質疑を繰り返しませんが、極東の範囲及び周辺の、特に周辺地域というのが非常にあいまいなんです。台湾は、極東条項の台湾条項が、現在台湾地域ということに変わっておる。こういうふうにことばが巧みに変えられて、非常にあいまいになってきた。これはやはり事前協議対象にする。そのためにまた随時協議の対象にする。アメリカの解釈でアメリカの軍隊が行動する範囲に無限の不安を抱かされるようなかかる事態が、いま国民にこうした不安を非常に与えているわけです。  したがって周辺地域はどこまでかというようなこと、それにアメリカの部隊が行動するということになるならば、これはわれわれが極東の範囲及び周辺と解釈することよりも非常に相違しますので、ぜひそういう問題は事前協議対象にしましょう、こういうものを提案せぬでおいたのでは、国会の論議でいろいろと言うたことを適当にごまかされて、向こうから、あなた方の言うとおりですというふうにやられて、うん、けっこうでございますと引き下がったのでは、これは福田外務大臣は顔がないですよ。次期総理を目ざしておられるお方にしては残念しごくだろうと思うのです。せっかくこうした事前協議の具体的な内容を、十分国会の要望にこたえてアメリカと話をすると言われた以上は、明確な答えを私はいただかなければならぬと思うのです。政府部内の事務当局としては、周辺地域というあいまいもこたる、アメリカの軍隊の行動に対してどういうブレーキをかけることができるのか、何かお答えをしていただけるならば……。
  318. 角谷清

    ○角谷説明員 事前協議につきましては、交換公文で明確な規定があるわけでございます。  他方、極東の範囲につきましては、政府の統一見解というものがございまして、国会にお出ししたわけでございまして、第六条の結果の米軍の行動範囲というものが、必ずしも極東に限定されるものではないということは、かねてより統一見解というものが存在いたしておるわけでございます。
  319. 受田新吉

    ○受田委員 偵察機がカンボジアなどに飛んでいく問題、この前も鈴切さんでしたか質問しておられたわけですけれども日本基地から出る高性能を持つ偵察機の偵察行動、こういうようなものに対しても非常に不安がある。このあたりで極東とは何か、そしてその周辺地域とは何か、そのときどきのアメリカの解釈をそのままうのみにするような日本政府では、これは日本の自主性どこにありやということを言いたいわけです。したがって私がいま提案した、具体的にお答え願いたいことは、横須賀母港化する米国の軍艦の行動範囲は、日本周辺といわゆる極東地域といわれる——周辺というのは、常識的に考えてフィリピンの以北に限界を持つというふうに、このあたりで明確にできますかどうかです。  それと、もう一つついでに。もしインド洋までも行動するような、そうした空母であるならば、フィリピンに母港化をお願いなさいませ。グアム島もお使いなさいませ。東南アジアにも適当な港がきっとあると思います。(「使っているんだ」と呼ぶ者あり)使っているわね。そういうところまで、日本横須賀にいる軍艦がそうした南太平洋地域からインド洋まで行動することは、まっぴらですということが言えるかどうかです。それさえはっきりすればいい。
  320. 角谷清

    ○角谷説明員 ミッドウエーの行動範囲についての御指摘でございますけれども、これは先ほども申し上げましたとおり、極東の範囲というものにつきまして第六条は、米軍日本施設、区域を使用して行動する際の現実の行動範囲というものを、必ずしも極東地域というものに限定しておるものではないのでございまして、極東地域に対する武力攻撃を含めまして、この地域の平和と安全に対する脅威の性質いかんにかかるものであるということは、従来よりしばしば申し述べさせていただいておる点でございます。  それからフィリピンでなく横須賀にという点でございますけれども、これも私、先ほど述べさせていただきましたとおり、本件家族居住計画という観点からいたしまして、アメリカ側といたしましては横須賀を最適の地として選んだものと考えられますし、わがほうといたしましても、この点につきましては何ら異議を差しはさむ次第がなかったわけでございます。
  321. 受田新吉

    ○受田委員 台湾地域極東の範囲に入るのですか。
  322. 角谷清

    ○角谷説明員 従来より御説明してございますとおり、入る次第でございます。
  323. 受田新吉

    ○受田委員 日中共同声明第三項で、中国の領土の一部ということになっている。(「そんなことになってないよ」と呼ぶ者あり)ちゃんと了承しておるのです。台湾は中国の領土の一部、こういうことを日中共同声明三項で言っておる。そして唯一の政権が中国にあるということも言っておる。どうですか、台湾は中国の領土の一部ということは了解してないですか。
  324. 角谷清

    ○角谷説明員 本件につきましては、日中国交正常化によりまして、かねて政府統一見解にございました中華民国の支配する地域、この表現を台湾地域と読みかえることといたしておる次第でございます。
  325. 受田新吉

    ○受田委員 その台湾地域は、中国の領土の一部とはなっていないのですか。中国の領土の一部となっていないならいないで、ちょっと答弁していただきたい。
  326. 松永信雄

    ○松永説明員 この点につきましては、先生御承知のとおり、日中国交正常化をいたしましたときに、台湾に対する中国の主張については、日本政府は理解するという立場をとっておるわけでございます。  ただ日米安保条約上の問題といたしましては、御承知のごとく、現在台湾地域については中国の実効的な支配管轄は事実としまして及んでおらないわけでございまして、その意味におきまして、ただいま角谷参事官からお答えいたしましたように、従来極東の範囲の中に中華民国の支配下の地域というのがございましたのは、現在は台湾地域と読みかえてこれを解釈するということにしているわけでございます。
  327. 受田新吉

    ○受田委員 台湾地域は、原則的には中国の領土の一部と、日本政府は理解しておるんじゃないですか。
  328. 松永信雄

    ○松永説明員 中国のその立場を理解するという立場をとっているわけでございます。
  329. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると中国の領土の一部である、原則論的にはそういう解釈に立っておる。ただ、いまそこに支配権がないということが現実である、こういうことですね。  そうすると日本は、台湾地域には何か特定の政権があるという前提に立っておるのですか、どうですか。
  330. 松永信雄

    ○松永説明員 御承知のごとく、日中国交正常化の結果、わが国は台湾との間では国交関係がなくなったわけでございます。したがいまして、あそこには国というものは存在していないという立場をとっている次第でございます。
  331. 受田新吉

    ○受田委員 台湾には政権はない、そういう立場をとっておる。しかし中国の支配権の及んでいない台湾地域ということになると、台湾地域に特定の政権が存在するということが前提として考えられるという解釈も成り立つんじゃないですか。
  332. 松永信雄

    ○松永説明員 国が存在しないという立場をとっておりますから、その国を代表する政府というものも存在し得ないという考え方でございます。
  333. 藤尾正行

    藤尾委員 関連して。非常に重大な問題で、これは条約局長、あなた腹を据えてお答えにならないと、えらい問題が起こりますよ。  というのは、日中共同声明では、台湾地域というのは中国の領土の一部であると、中華人民共和国の政府当局者が主張しておる、そういうことをおっしゃったということ、これを日本側は理解をした、あるいはこれを尊重するという立場に立っておりますけれども、台湾自体現実に中華民国という国があり、そしてそこに国民政府という政府がある、しかも世界の六十数カ国の国がこれを承認いたしておるという事実は、これを否定するものではないわけであります。その点をあなたは、誤解を招くような発言をされると、これはえらい問題になりますから、その点、しかとひとつ腹に据えて御答弁願います。
  334. 松永信雄

    ○松永説明員 先ほど来申し上げましたように、日中国交正常化に際しまして、中国が台湾について主張しております立場、これを日本政府としては、理解するという立場日本政府がとっているわけでございます。また他方、日中国交正常化の結果、それまで存在しておりました台湾の中華民国との国交関係というものは終了したという立場、それが現実の現在私どもの法律的な立場であるわけでございます。
  335. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、台湾地域にいずれかの国が攻撃を加えてきた、そのために在日米軍が飛び立っていくことを日本は了承する、こういうことになるのですね。
  336. 松永信雄

    ○松永説明員 その場合は、日米安保条約に基づきまして、当然日本施設、区域を使用しての戦闘作戦行動ということになりますでございましょうから、事前協議対象となってまいるというふうに了解いたしております。
  337. 受田新吉

    ○受田委員 そのときに、日本はイエスと言うかノーと言うか。どういうことになるわけですか。
  338. 松永信雄

    ○松永説明員 それは私といたしましては、法律的な立場からイエスとかノーとかということをお答えいたしかねる問題だと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  339. 受田新吉

    ○受田委員 台湾地域と中国本土とが戦闘を開始する、こういうような事態がもし起こったとしたならば、在日米軍が台湾へ支援に行く、こういうようなことがあり得るかどうか。内政干渉はしないという原則から、台湾に対して在日米軍が動くということはあり得ないという解釈に立ちますか、どうですか。
  340. 松永信雄

    ○松永説明員 中国のいわゆる本土と台湾との間に武力抗争、武力紛争の状態が発生するということは、私どもは、実は想定し得ないわけでございます。
  341. 受田新吉

    ○受田委員 極東条項の中に台湾地域が含まれるとすれば、極東の安全と平和のために在日米軍が動く、そのために事前協議が行なわれる。しかしその台湾と中国本土とがたとえば、これはあり得ないということであれば、それでもう何もかもおしまいですけれども、台湾が本土を反攻するというようなこと、また本土が台湾に武力蜂起があったのでこれをたたく、こういうような事態が全然あり得ないという想定は、極東条項を設けた意義がないじゃないですか。そういうようなことがあり得た場合に、極東条項の適用が考えられるということじゃないですか。
  342. 松永信雄

    ○松永説明員 台湾について申し上げますと、御承知のように米華条約があるわけでございます。その台湾に対する外からの武力攻撃というものが発生いたしました事態におきまして、米華条約の発動になって、アメリカ軍がおそらく行動を開始するということだろうと思うのでございます。  その際に、日本施設、区域を使用いたしまして、日本から戦闘作戦行動を開始するという事態が出ました場合に、当然私どもは、事前協議の制度によりまして、アメリカから日本政府に対しまして事前に協議が行なわれるであろう、こう考えておる次第でございます。
  343. 受田新吉

    ○受田委員 台湾地域と中国とが、いまのような状態が起こることは皆無ということであるならば、もう極東条項からはずしたらいいのです。日本の安全というところに日米安保条約の使命があるので、極東をあまり重んじ、このほうへ力を入れて——特に四十四年の日米共同声明には、日本を含む極東ということばに変えられておるですね。御存じのとおりです。日本を含む極東極東の中に日本は埋没しておるのですよ。その解釈をひとつ……。
  344. 松永信雄

    ○松永説明員 私は、ただいまの台湾地域側からの武力攻撃ということを申し上げたわけでございますが、いま先生の、もちろん仮定の御質問だろうと思いますけれども、中国から武力攻撃あるいは侵略行為が行なわれるということは、私どもといたしましては想定いたしかねるということを申し上げているわけでございます。  また逆に、今度は、では台湾が外部に対しまして何らかの武力攻撃をかける、侵略行動を起こすということがもし行なわれて、武力紛争の状態が発生するということになりました場合は、私は、米華条約というのはそういう場合を想定して発動されることはないであろう、こう申し上げざるを得ないわけでございます。と申しますのは、日米安保条約もそうでございますけれども、これはやはり日本のほうから侵略行動が開始されるということは、条約といたしましては全く想定いたしておりません。外からの武力攻撃があった場合ということに備えての安全保障条約であり、それが現在いろいろな国の間で結ばれておりますいわゆる安全保障条約というものの仕組みであろう、こう考えているわけでございます。
  345. 受田新吉

    ○受田委員 すでに日中の間の平和宣言、ソ連と日本との平和宣言、平和条約も締結されようという動きが、いませっかく総理が行ってやっておられる。いずれの国が日本に脅威を与えようとしておるのか。世界は緊張緩和の方向へ堂々と前進しておる。そういうときに、極東条項などというものは、もうこの際削除したほうがいい。日本の安全という立場条約の解釈ができるような、安保協議委員会とか安保運用協議会とかいうものがそういう問題にも触れて、極東の範囲、解釈、周辺地域とは何か、こういうようなものを当然協議すべき性質のものだと思うのです。いかがでしょう。
  346. 松永信雄

    ○松永説明員 その点になりますと、若干法律論を離れることになるかと存じます。(受田委員「大臣でなければ言えませんか」と呼ぶ)大臣が常々国会等でお答えになっておられますように、現在の日本政府立場、見解といたしましては、アジア、ひいては世界における緊張緩和の傾向というものは、安全保障条約を含みますところの政治的なワク組みというものを前提にして考えられているということであろうと存じます。
  347. 受田新吉

    ○受田委員 もう時間が超過しているそうです。それで私、いまえらい大事な問題に触れたので時間がかかったが、一つだけ残りを……。  アジアにおける韓国、台湾、さらにフィリピン、ベトナムから、米軍は漸次撤退していっておる。兵力においても撤退しておる。ところがベトナムから海兵隊が岩国にやってきておる。日本は逆に兵員の上では増員しておるのじゃないですか。アジアの国々の中で米軍兵力、人員においてどういうふうに減少しつつあり、また日本においては在日米軍兵員がどういうふうに動いているか。基地を整理して、集約化した強力なる基地日本は変えていっておるわけですが、アジアのいま申し上げた国々がニクソンドクトリンによって漸次兵員を撤退しておるときに、日本兵員が一体どうなっておるか、お答え願いたいです。
  348. 角谷清

    ○角谷説明員 まず、岩国の基地につきましてお話がございましたけれども、これはそもそも一時的に、昭和四十七年四月から六月にかけまして、岩国から南方に展開しておりました飛行部隊が、南方方面の事情の変更によりましてもとへ戻ってきたということでございまして、岩国の軍事力の増強というようなことでは全然ないわけでございます。  それから一般的な問題といたしまして、アメリカアジア地域から緊張緩和に伴って兵を引きつつあるということでございますけれども、これも、たとえばタイにおきまして若干の軍隊の撤収が行なわれましたけれども、これは一時的にタイに増強されておった部隊が、当該地域の事情の変更に伴いましてもとの状態に復したというような事情もございまして、必ずしも現時点におきまして、急速に撤退しつつあるとは言えないと思うわけでございます。  もちろんベトナムにおきまして、これは大きな部隊が撤収したわけでございますから、その意味におきましてはアメリカは引きつつある。それからもちろんニクソンドクトリンというものがございますから、その国際情勢の進展に伴いまして、米軍も徐々に撤退することもあり得ようかと思うわけでございます。しかしこれの詳細につきましては、もちろん、まだ何ともわれわれといたしましても申し上げる段階ではないと判断しております。
  349. 受田新吉

    ○受田委員 在日米軍
  350. 角谷清

    ○角谷説明員 それから在日米軍でございますけれども、これも特に増強とか特に撤退とかいう段階ではいまだないとわれわれは了解をいたしております。  それから基地の統合につきましてお話がございましたが、これは先生御存じのとおり、基地の整理統合、特に沖繩におきます基地の整理統合というものにつきましては、累次の日米最高首脳の会談におきまして話が行なわれておりまして、コミュニケも累次出ておりますところで、日米双方とも、これを安保条約の目的を逸脱しない範囲におきまして整理統合をさらに推し進めていくということは、両国政府の合意しておるところでござ意この整理統合を進めておるわけでございます。御承知のとおり、一月の協議委員会におきましても若干の整理統合を行ないました。また現時点におきましてもさらに整理統合を行なうべく、米側と鋭意話し合いを進めておる次第でございます。
  351. 受田新吉

    ○受田委員 おしまいにしますが、山中長官、いまニクソンドクトリンの施策を遂行するために、他の地域は、ベトナムでは大量に撤退してきた。韓国、台湾、フィリピンでも兵力は削減する方向にある。日本兵員は減っていない。こういうことになると、そのアジアの諸地域兵員削減を日本が肩がわりするというような形で国民一つの不安を与えても困るわけでございますので、日本の自衛隊というものは、米軍には原則としてお世話にならぬでも、少数精鋭の自衛措置で、日米安保条約は象徴的なシンボルのようなものにしておいて、あとは日本のいまの自衛隊の程度で、それを少数精鋭にこれを築き上げて、われわれ自衛隊でやっていけるんだ、こういう方向に自信があるかないか。むずかしいことでございますか。御答弁を願って質問を終了にします。
  352. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、言い回しはいろいろされましたけれども、有事駐留論だと思います。その御主張については、私どもも実際上は耳を傾けなければならない点はあると思いますし、現実に本土においては戦闘部隊というものは、空を除いてはほとんどいないという状態でもありますし、現実にはそういう形になりつつあると思いますが、しかし直ちにそれが有事駐留で、平時は、沖繩を含めて日本列島にアメリカは一機も一人もいないで済むという状態は、なかなか困難なことであろう。日本自体自衛力の限界というものはきわめて明白でありますから、その意味において、やはりわれわれの持たざる点の力を持っておる駐留という形態がある程度は必要である、そう考えます。
  353. 受田新吉

    ○受田委員 アジアの緊張は緩和された。周辺の大国との間ではそれぞれ条約が締結されようとしておる。いずれの国から侵略するという方向は、いま非常に薄くなり、むしろ皆無といってもいいという状態の中で、日米安保条約は、有事といえどもこれは駐留すべき性質のものでなくして、安保体制があるというだけで一つの精神的な安心感を持っていく、こういう形ぐらいの気持ちで防衛担当国務大臣として、日本を最小限の自衛措置で守るというそういう筋書き、自衛力をいまのままでくぎづけにしてでもそれがやれるという程度で、ひとつ緊張緩和の方向にあるアジアの情勢の中から、日本防衛任務をどうするかを考えていただくことを要望して、長時間御苦労さまでございました。  これで質問を終わります。
  354. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時七分散会