○近藤
委員 私は、
アジア・
太平洋地域の総合的な戦略というものをアメリカが立てて、そしてかりに
アジア・
太平洋地域でそういう不幸な
戦争状態が起こった場合に、アメリカがつくった戦略に基づいて
アジア・
太平洋地域において具体的な戦闘活動が
展開される、その中で
日本の自衛隊は、まさにアメリカの
アジア・
太平洋地域の戦略、戦術の中で
日本の国土の安全保障、防衛を加担するというかっこうだけだとすると、私はまさに、これは非常に対米従属的な防衛戦術、戦略、作戦行動にならざるを得ないと思うわけであります。まさに、どこをどういう形で守るか、どの島を捨てるかというようなことについても、これはもうそれぞれの国の利害がぶつかってくるわけでありますから、そういう意味で、全体のことはアメリカにまかせます、
日本は
憲法があり安保
条約も備わっているから、
日本のここしかありません、こういう
体制はたいへん従属的であり、きついことばを使えば国辱的でもある。まさに左翼陣営が言っているような、従属的であり、いわば下請的な
役割りしかになわないということにもなり得るわけであります。
やはり大事なことは、大もとをきめることに参加することだと思いますので、こういう問題について、
憲法の問題があることも私は十分わかりますが、しかし、
憲法の
解釈というものも、私はこれから
社会情勢の進展に伴ってある程度流動的に
解釈できると思いますし、ましていわんや安保
条約というものは、これ自身は
日本とアメリカの取りきめでありますから、この
形式が絶対不変であるというような前提に立って
お話をされることも、特に首脳会談の場合には私は穏当ではないというふうに思うわけであります。むしろ、まさにそういう根本的な問題について、腹を割って
ニクソン大統領と話をされることが、私は
田中総理の日米首脳会談に臨まれる本来の
あり方ではないか、かように
考えるわけであります。
この首脳会談をめぐっていろいろな論評が新聞、テレビ、雑誌その他で行なわれております。従来の
関係じゃなしに国際間の中の日米
関係とか、いろいろな美しいことばがたくさん書かれておりますし、そういう御意図を
政府の方々がお持ちだとも思いますけれ
ども、しかし、何か一番大事なところを真剣に取り組んでいないという感じを、私はそういったいろいろな論評を読みながら、聞きながら、どうしても感じざるを得ない。
先日も
日本に参りましたカリフォルニア大学の
政治学教授であるスカラピーノさんも、もうやっぱり
日本はそういうことを
考えないと、何か国際
社会の中でおとなのつき合いができなくなってくるのではないか、どうも何か大事なときはいつも
日本を除外してやるというようなことで、
ほんとうに
日本の国益のためになるのかなという話をしておりました。
伝えられるところによりますと、今度のワシントンの会談の中でも、さっきも
政務次官の
お話があったのですが、いわゆるキッシンジャーかニクソンの構想か知りませんが、新大西洋憲章の加盟の問題についてもいろいろ話がある、こういうことでありましたけれ
ども、たとえばこの新大西洋憲章に
日本が加盟するということになりましても、当然この安全保障問題というものが、やっぱりお互いヨーロッパ諸国でやっているわけでありますから、その中に
日本はどういうふうに入るのかということがある程度明確にならざるを得ない。
また今度は
総理が
訪ソされてブレジネフと会う。ブレジネフはいわゆる
アジア安保構想というものを持っているようでありますけれ
ども、この
アジア安保構想というものの
内容はよくわかりません。わかりませんし、これは
中国を追い出すためのアイデアだとかいろいろな
議論がありますけれ
ども、もしもこういった問題について
日本が真剣に
議論するということになるとしても、しからば具体的に安全保障をどうするのだ、
日本はどこを受け持つのだ、
日本は安保
条約がございますからここしか受け持てませんという形の中で、かりにブレジネフの
アジア安保構想というものに
日本がある程度
議論としてでも乗っかっていく場合、済むものかどうか。
ですから私は、やっぱりこういう問題を、先ほど防衛
局長の話もあったわけでありますが、これは
政府の分野ではないというような御意見もあるようであります。まさに私はこの問題については、われわれ
政治家が与野党で本気で真剣に
議論をしてみる必要がある。安保
体制のいろいろな問題、また
憲法の
解釈の問題、さらに進んで、いわゆる
憲法というものはあくまでも
日本の
国民のしあわせのための約束でありますから、したがって、そのために、現行の形の、現行の表現の
憲法が万古不易、永久不変のものであるということも、私はない。要は、
国民のしあわせのために、幸福のために、また繁栄のために変えるべきものは変えてしかるべきだ、かように私は
考えるわけであります。
これは実は、
政務次官御
出席でございますけれ
ども、最初に申しましたように、できれば
総理なり
大平外務大臣に直接担当最高責任者としての御意見を承りたい、かように私は
考えておったわけでございますけれ
ども、訪米を控えられてのお忙しい時間でございますから、そのお時間もないということは私としても十分に了といたしますが、最初に申しましたように、ひとつこの問題を含めて、
大平外務大臣御帰国のおりにはいろいろ御識見を承りたい、かように
考えるわけであります。
最後に
一つだけ御
質問したいと思うわけでありますが、先日の例のハイジャックで、私たち
国民は非常に、何十時間かちょっと忘れましたけれ
ども、毎日毎日夜おそくまでテレビを見て、
ほんとうにはらはらしておったわけでありますけれ
ども、幸い乗客全員が無事に救出されまして、
国民一人一人、大勢の
国民すべてが非常に安堵の胸をなでおろしたわけであります。
日本航空は貴重な飛行機を一機失ってしまったわけで、このことについては非常に残念でございますけれ
ども、今度のハイジャックが起こった地域、いわゆるアラブ、中近東、あの地域というのは、率直にいって、これまであまり
日本との
関係もなかった地域でございますが、先般、中曽根通産
大臣お見えになって、中近東と
わが国との経済的その他の友好
関係をこれから進めていこう、こういうことでございますし、さらに、いまの最大の問題の資源問題のまさに当事国でも地域でもあるわけでございます。そういうことも兼ねまして、
政府としてこの問題について、現地の
政府、また住民の皆さんその他にも、いろいろ心配をおかけをし御迷惑をおかけしたわけでございますので、何らかの形で感謝の気持ちをあらわしてしかるべきである、かように
考えているわけでございますが、その点について
政務次官の御意見を承りたいと思います。