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1973-07-14 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十四日(土曜日)    午前十時十二分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 木原  実君    理事 中路 雅弘君       伊能繁次郎君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       野田  毅君    旗野 進一君       三塚  博君    吉永 治市君       山原健二郎君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         警察庁刑事局長 田村 宣明君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君         日本ユネスコ国         内委員会事務総         長       西田亀久夫君  委員外出席者         国税庁税部長 田邊  昇君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 七月十四日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     野田  毅君   木下 元二君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   野田  毅君     越智 伊平君   山原健二郎君     木下 元二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山原健二郎君。
  3. 山原健二郎

    山原委員 文部省設置法の一部改正の問題ですが、これは大学局学術国際局というふうに分けるということで、その趣旨の説明によりますと、文部省の一定の積極性というものも見えるわけです。ただ、現在問われておるのは何かと申しますと、この背景にある文部行政あるいは大学行政というその基礎の部分だと思います。しかもその中で、現在起こっております福岡歯科大学の問題、これに文部省がどういう態度をとるかということ、これはきわめていま国民が関心を持っておるところでございますから、そのことについて主としてお聞きをいたしたい、こう思っております。  福岡歯科大の問題につきましては、もうすでに経過説明する必要はないと思います。本年の四月に開校いたしまして、大体、教官百名、定員一学年百二十人、実際に入学しておる生徒数は二百七十一名。昨日も文教委員会で、たしかこの問題について質問が出ておりましたが、定員百二十名に対して二百七十一名という生徒入学をいたしているわけです。そしてこの過程の中に、御承知のようにいろいろな経過がありまして、最近の新聞の報道を見ますと、この事件が連日エスカレートいたしております。  この経過を見てみますと、詳しくは申し上げませんけれども、大体新聞紙上によりますと、七月の五日に「福岡歯科大学の黒い霧」という記事が出ているわけです。これは土地購入問題についての贈賄事件として出ております。それから次には、いわゆる常務理事をしておりました大城という人物が逮捕されるという事件が起こっています。これは当大学経理担当理事でございます。これは数百万円の着服問題として七月の八日に報道されております。それから、七月十日に至りまして、さらに贈収賄問題が発展をいたしまして、私大審あるいは設置審議会文部省関係の九人の人に対して上野焼なる陶器が贈られるとかいう問題が起こっています。それからさらに、昨日の七月十三日になりまして、大学設置審議会桐野委員が逮捕されるという事件。そして関係者である贈賄側として福岡歯科大学理事長あるいは専務理事、あるいは設立準備委員などが逮捕される、こういう事件が発生をしておるわけです。そして本日の新聞によりますと、桐野氏がその収賄の事実をほぼ認めたというような記事が出ているわけです。  で、これらの経過を見ましたときに、まず文部省がどういう対応のしかたをしておるかということ、これを最初文部大臣に伺っておきたい。
  4. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 福岡歯科大学の問題の以前に、御承知のように、松本歯科大学について捜索を受け、起訴されるというような事件が起こったわけでございます。捜索を受けた時点で私なりに判断をいたしまして、やはりこういう問題が起こってくるのは、一つには医師歯科医師の不足、ぜひ養成機関を充実していきたい。特に医師歯科医師の方々の後継者の問題、ぜひ子弟を入れる学校をつくりたい、こういう大きな社会的な背景があったのじゃないかというふうに考えるわけであります。もう一つは、入学時に合格者に相当な寄付を求めている。この寄付によって、相当な大学をつくるための経費というものを数年で回収することができるというような事実に思い当たったわけでございまして、そういうようなところから、今後なお医科大学歯科大学を増設していかなければならないけれども、私立大学については認可を慎重にしていきたい、これを一つの原則に考えたわけであります。  二番目には、四十五年以後認可いたしました私立大学について、いろいろな問題がございますのであと追い調査をしたい、そういうことで積極的な調査をしたい。そういうことで積極的な調査を進めさせてまいったわけであります。  第三には、入学時の寄付金、これはぜひ抑制をしていきたい。抑制するについては、どういうふうな方策を立てるべきかということについての検討を深くしていきたい。  この三つについての考え方をきめまして、そしてそれなりの努力を続けてきているわけでございます。同時にまた、いまも御指摘になりましたけれども、認可を受けたときには定員は百二十人であって、認可を受けてしまえばすぐから二倍をこえる人を入学させて、これではたして教育の実をあげることができるのか、非常に問題があるわけでございます。そのほかいろいろな問題がございますので、私立の自主的な運営、これに干渉するようなことはできるだけ避けていかなければならないけれども、このように、認可したときとその直後からの運営とが全く違っているような姿、これはやはり放てきできないのではないだろうか。場合によっては立法措置をとらなければならないかもしれないが、とにかく、そういうことについての対応策をくふうしていきたいというようなことで、いろいろな問題をいま内部で議論をしているさなかでございます。  福岡歯科大学につきましても、私がいま申し上げましたような一連の考え方で解決していかなければならない性格の問題だろう、こう考えているわけでございまして、福岡歯科大学の問題が出ましてから、一そう文部省全体として責任を痛感しながら、いまおっしゃいました対応策を早急に進めていかなければならない。やはり予算にからむ問題もございますし、したがいまして法案のこともあり、新年度からそういう方法をとっていくということになるのではなかろうか、かように考えているわけであります。
  5. 山原健二郎

    山原委員 この問題は、私は事件追及をここでしょうとは思っていません。文部省姿勢について問いただすのが任務ですから。しかし、事件概要というのは明らかにしておかないとわかりませんので、最初にお尋ねしたいわけですが、きょうは国税庁のほうもおいでていただいておりますが、この学校の場合は、設立認可申請をする前にすでに入学予定者に対して一人三百万円程度寄付を要請をしております。それから、実際に本年入学した者の寄付金というのが約六百万から一千万。特別にはもっと多い金を出した者もいるのではないかと思いますが、大体約二十億の金が動いておる。しかし、その中で帳簿にあるのは六億円ということで、その裏工作費用として使途不明金があるということを福岡国税局のほうも発表しているわけですが、この経過につきまして、国税庁のほうから調査している結果をここで発表していただきたいのです。
  6. 田邊昇

    田邊説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話の件につきましては、現地の国税局から調査に着手したという報告は受けておりますが、その内容につきましてまだ詳細な報告を受けておらぬ段階でございます。その点、御了承いただきたいと思います。
  7. 山原健二郎

    山原委員 これだけの大きな事件、しかも連日新聞をにぎわしておる事件について、まだその程度報告しか来ていないという状態ですか。その辺、概要としてわれわれでもしろうとなりにつかめる状態でありますが、国税庁としては、ほとんどまだ状況はわからない、こういうお答えですね。
  8. 田邊昇

    田邊説明員 お話しのような給与その他の所得につきまして、課税漏れがございますれば適正な課税処分が当然行なわれることになると思いますが、何せまだ十分な報告を受けていない現段階で、この席で御報告申し上げるような段階に至っておりません。
  9. 山原健二郎

    山原委員 六千数百万円の追徴金追及をしておるという新聞記事が出ておりますが、そういう事実もありませんか。
  10. 田邊昇

    田邊説明員 ただいまの数字につきましては、一部の新聞で報ぜられていることは存じておりますが、その数字につきましてもまだ確たる報告を受けておりません。
  11. 山原健二郎

    山原委員 数字はともかくとして、追徴金の取り立てをしておるという事実もないわけですね。
  12. 田邊昇

    田邊説明員 源泉所得税課税漏れにつきまして、一部追徴いたした事実はございます。
  13. 山原健二郎

    山原委員 その金額はどの程度ですか。
  14. 田邊昇

    田邊説明員 その数字につきましては、一部の新聞に出た数字との若干のそごがございますので、ただいま報告を求めている段階でございます。
  15. 山原健二郎

    山原委員 数字の誤差はあるかもしれませんが、ほぼ似たような数字ですか。
  16. 田邊昇

    田邊説明員 やはり数字に関することでございますので、不正確なことを申し上げるのはいかがかと思いますので、金額につきましてはやはり数千万円程度ということで御了解いただきたいと思います。
  17. 山原健二郎

    山原委員 正確にわかるのはいつごろですか。
  18. 田邊昇

    田邊説明員 できるだけ早く調査内容報告するよう指示いたしてございますので、来週の適当な時期になれば概算の現段階内容はわかるかと思います。
  19. 山原健二郎

    山原委員 使途不明金があるというのは、国税庁としてはそういう確認ですか。
  20. 田邊昇

    田邊説明員 そこら辺の点につきまして、ただいま報告を求めておる段階でございますので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。
  21. 山原健二郎

    山原委員 それではもとへ戻りまして、いま文部大臣が言われましたが、実は文部省はいままで、前の高見文部大臣のとき、浪速医科大学のあの汚職問題が起こりまして、どういう方針を発表しておるかといいますと、この医師養成また歯科医養成のためにはどうしても国公立医師養成機関をふやさなければならない、特に国立医学部設置ということを強くしばしば主張してきているわけですね。ところが今度の場合は、こういう形で私学医学部が次々とできる。しかもそれが全部とは言いませんけれども、例をあげてみますと、まず一つは、有名になりました浪速医科大の問題、これは認可をされなかったという状態が起こっています。しかもこれは大阪では非常に困った問題になっているわけです。それから愛知医大の場合、これも新聞種になっております。それから松本歯科大学、これは文部省のかつての初中局長理事長としておさまって、そしてあの事件が起こっている。そして今度の福岡歯科大学、この場合も元文部省最高幹部であります文部大臣をしておった人も理事として関係しておる。それから自治医科大学の場合、これはモーターボートの、いわゆる競艇のテラ銭といいますか、上がり金、そういうものをもってまかなおうとした事件になって、これも問題になったわけです。それから北里医大の場合、これは各県に対して、県の医者をほしいならば二億円の金を持ってきなさいということを言って問題になっております。それから杏林の場合、これも週刊誌等にその中身が出されて問題になっています。こういうふうに次々と起こっているわけですね。杏林の場合は大体入学寄付金が四百万から一千万。最近は二千万ということを文部省も認める状態でありますから、まさに二千万円の寄付金というのが公然たる事実になってしまうというような場合ですね。これが起こっているわけです。こういう状態の中で、今度の福岡歯科大学認可しているわけですが、どうして福岡歯科大学を本年になって認可をしたのか。これは大学局長に伺っておきたいのですが、これはどういう理由ですか。
  22. 木田宏

    木田政府委員 福岡歯科大学につきましては、当初、昭和四十七年四月に開設する予定で、四十六年度申請が出たのでございますが、校地、校舎、設備整備が十分でなく、また就任予定教員就任につきましても、就任に関して若干疑義がある者が出てまいりました事情等がございまして、昭和四十七年三月の大学設置審議会では保留という取り扱いになることがきまりました。その後、開設年度昭和四十八年度として引き続き審査を行ないまして、施設、設備その他大学設置に必要な基準に合致する整備が行なわれ、また教官就任についても確認を得るに至りましたので、昭和四十七年の七月に同審議会から設置を可とするという御答申が出た次第でございます。
  23. 山原健二郎

    山原委員 この福岡の場合は、西日本歯科大学というのが設立準備会設置をされておりました。これは仮称でありますけれども。そして一方では福岡歯科大学設立準備会がつくられて、これが剱木元文部大臣のあっせんによって一本化するという経過をとっています。ところが福岡には幾つ歯科医師を養成する機関がございますか。
  24. 木田宏

    木田政府委員 福岡には国立九州大学歯学部がございます。また福岡市ではございませんが、北九州市に県立九州歯科大学という二校が申請前にはございました。
  25. 山原健二郎

    山原委員 そうすると、福岡には歯科医師養成機関三つできるわけですね。国立と、そして県立九州歯科大学と、それから今回できましたところの福岡歯科大学と。国立公立私立ですね。ところが全国を見てみますと東京だけなんですよ。東京には国立一つ私立三つあります。これで四つですね。あとは北海道は国立一つしかありません。宮城の場合も一つ。京都の場合は歯科医師養成機関がありません。大阪の場合が国立一つ私立一つですね。福岡だけなんですよ、三つもあるというのは。これは実際に、田中総理大臣施政方針演説の中で言われた、大学を都市に集中しないというような意見とは全く違うことが今回行なわれている。しかも今回の場合は、御承知のように、県立九州歯科大学と今度できました私立福岡歯科大学との教授奪い合いでしょう。県立九州歯科大学のほうは、教授私立のほうへ引き抜かれていくから、助教授教授になる、講師が助教授になるという状態。そういう教授陣の問題を含めまして大きな問題になって、学生諸君の間にも非常な不安が起こった、そういう経過があるわけですね。あるにもかかわらず、本年に入ってこれが認可をされるという事態、これは幾つかの点から見ましてもたいへん異常な状態なんですよ。それからまた、私が非常にふしぎに思うのは、たとえば亀井さん、県知事でありますけれども、この方は県立歯科大学設立した方でしょうね、おそらく県立ですから。その方が今度はまた、本年の五月までは私立福岡歯科大学理事をされておるという状態ですね。その間に教授の配分でたいへんな問題が起こる。これなんかも、学校教育の面から見るならば、たいへん異常なことがここでは発生しているわけです。だから、だれが考えましても、この間には何か問題がある、何かあるんだなということが予想されておったわけでございますけれども、たまたまこういう事件発展をしていくわけです。  文部省として、そういう認可を決定する場合に、なぜ、その辺のことを精密に検討し、また適正な医師養成機関の配置というような問題を考えなかったのか。むしろ、国立九州大学歯学部を強化するとか、あるいは福岡県立九州歯科大学を強化するとかいうことで問題を処理するほうが、こういう混乱を起こさせない行政上のやり方だと思うのですよ。それに、教授奪い合いまでやるところの私立大学をここへ突然発足をさすというようなことが一貫した文部省態度であろうか、その点についてどういうふうにお考えになっていますか。
  26. 木田宏

    木田政府委員 今日までの大学設置認可につきましては、申請を事前に抑制するというような制度は設けられておりません。国立あるいは公立ないしは学校法人によりまして学校設置が行なわれるわけでございますが、私立大学の場合に、学校をつくりたいという認可申請が出ますこと自体を押える方法はないわけでございます。また今日の学校教育法学校設置認可は、これは長い間文部省法律にのっとって運用してきた態度でございまするけれども、学校設置しようとする者が、監督庁の、文部大臣の定めた設備、編制その他に関する設置基準に充実したものを設けるならば、それについて認可するという方針をとってまいりました。ですから、これ以外に立地上の諸条件を考慮して、ここにはもう学校はつくらせないとか、そういう認可政策をとってこなかったのでございます。そのことにつきましてはいろいろと御批判があるかもしれません。そのために、今日大学東京近畿地区過密地帯に異常な集中をしておるという事態になっておることは、私どもも行政上の課題として考えておりますけれども、今日まで運用してまいりました法令上の規定では、申請がありました場合に、その申請設置基準に合致しておるかどうかということを審議いたしまして審査をしておる次第でございます。
  27. 山原健二郎

    山原委員 そういう中で申請がなされて、それに対する認可審議が行なわれるわけですが、これは文部省設置法によりましても、私学審議会あるいは大学設置審議会というこの二つ機関を通らなければ、これは認可にならないわけですね。だからこの二つ機関というのは、私学の創設にあたってはこの関所を通らなければならないというきわめて大きな権限を持っておるわけですね。しかも文部大臣諮問機関。その諮問機関の一員である桐野さんが今回このような事件名前を連ねておるわけですね。この私学審議会あるいは大学設置審議会調査その他はどういう状態でやっておるのですかね。  端的に言いましょう、時間がありませんから。桐野さんの場合は、いわば前科とまではいきませんけれども、そういう面で汚職の前歴があるわけでしょう。浪速医科大学の問題のときに、あの設立問題で、佐瀬さん、東洋短期大学学長が、昨年の六月のことでありますが、この方は正委員ですが、逮捕されるという事件が起こりましたときにも、桐野さんに対して疑惑が起こっておるわけです。浪速医科大設立理事長の寺中さんから現金並びに外国製時計が贈られたという問題が桐野さんにまつわる事件として起こっておる。そうしてそれは、証拠が不十分であるということでもちろん起訴にはなっておりませんけれども、そういう前歴が昨年の六月の時点で起こっておるわけですね。しかもあのときに相当深刻な衝撃をあの浪速医大事件は起こしておるわけです。世間を騒がせた。そういう中で、なおかつこの方が、また今回の私学福岡歯科大の問題についても非常に大きな役割りを果たしている。まさに私学審議会実力者としての役割りを果たしておる。そういう中で今度の事件が起こってきているわけですね。だから、前の浪速事件が起こりましたときに、文部省は反省をしておるということを言っておりましたけれども、実際には、私学審議会あるいは設置審議会中身について、何らそれに手を加えていないということが今回暴露されたのではないか。その点どうですか。
  28. 木田宏

    木田政府委員 浪速医科大学とこの福岡歯科大学とは、同じ四十六年度設置認可申請大学でございまして、大学設置審議会におきましては、このほか金沢医科大学松本歯科大学でございますが、それらとともに、またそのほかにも短大、学部の増設等を含めまして、同じ時期に、設置審議会といたしましては、第四部会で審査をいたした次第でございます。でございますから、浪速医科大学で問題を起こした人を引き続き福岡歯科大学審査に翌年充てたということではございません。同時期の審査でございました。
  29. 山原健二郎

    山原委員 そういう言いのがれをするかもしれないが、当時は桐野氏は正委員です。佐瀬さんも正委員として問題が起こって新聞にも出たわけです。そういう方でしょう。だから実際に文部省として、ほんとうにこういう問題に対して厳正な立場で処理されようとしておったのかどうか。途中でもやめていただかなければならぬ、そういう疑惑があれば。かりに起訴されなかったとしても、現金、あのときはたしか金額は少なくて一万円、そして外国製時計を贈られておる。そういうことが新聞にも出ているわけでしょう。その人がまた実力者として福岡歯科大認可申請の中心に立つというようなところに、まさに文部省姿勢のきびしさというのが全く欠けておるということを、私はこの際指摘をしておかなければならぬと思います。  それから、きょう刑事局長に来ていただいておりますので、実はこの膨大な裏金というものがどういうふうに使われているかということで、新聞その他によりますと、審議会委員、あるいは国会議員ら政治家、その人数、名前まで出ておるわけですね。それから文部省に対して、現金または美術品、そういうものが数千万円ばらまかれておる。あるいは福岡東京において料亭ホテル等でしばしば接待が行なわれておる。そういう方面に金が使われているということが福岡県警のほうからも出されているわけでございますが、この事件は現在どの程度捜査が行なわれているのか。あるいはこれからどういうふうに発展をしていくのか、その点について伺っておきたい。
  30. 田村宣明

    田村政府委員 福岡歯科大学設立をめぐります事件につきましては、現在、福岡県警察におきまして、贈収賄業務横領等疑いをもちまして、贈賄側を四名、収賄側を一名、業務横領疑いで一名、合計六名を逮捕いたしまして、関係個所を十数カ所捜索をいたしまして、ただいま捜査に着手をいたしておるところでございます。  贈収賄事件につきましては、先ほども御発言にございましたように、この大学設置許可申請に伴う審査について、当時のこの大学設置審議会委員でありました東京医科歯科大学桐野教授に対して、設立準備委員会委員長、現福岡歯科大学理事長穂坂恒夫ほか三名が、四十数万円相当の日本刀を一振りと現金を数十万円贈賄をしたという疑いでございます。  それから業務横領につきましては、準備委員会委員大城三春の約九百万円にわたる横領疑いということでございます。  それで、いま御指摘をいただきましたような事柄が新聞等で報道されておることは承知をいたしておりますけれども、福岡県警からの報告によりますと、現在、逮捕事実の解明、裏づけに全力をあげておりますところで、そのほかの件につきましては、まだ明確な事実は把握をしていないということでございます。  それから今後の事件発展と申しますか、そういう点はどうかということでございますが、御承知のように、このような事件はやはり相当流動的なものでございますので、予測はなかなかいたしがたいのでございますけれども、ただいま捜査に入ったばかりという段階でございますので、なお若干の進展はあるということは予測し得るというふうに考えております。
  31. 山原健二郎

    山原委員 私の聞きましたところでは、この七月十二日までに福岡県警がつかんだところによれば、一つ桐野氏への贈賄のほかに、福岡県選出の保守系代議士とか、あるいは県会議員らに、三百万円ないし五百万円ずつ、計千数百万円が渡されたということ。さらに審議会委員文部省関係計十数名に上野焼が配布されておる。それから文部省関係者、あるいは政治家審議会委員東京福岡等ホテル料亭でもてなしておるというようなことですね。それからさらに政治献金として六千三百万円、これは国会議員やあるいは政治家の数が出てくるわけでありますけれども、最高一人二千二百万円、あるいは残りの方には一千万円などということが出てくると、これは政治家われわれお互いにたいへん迷惑な話でございまして、事実は徹底的に明らかにしてもらわなければ困るわけですね。そういう意味で、警察庁として、こういう教育の問題に関し、しかもしばしばこういう問題が次々と発生してくる、こういう事態の中で、この問題に対して、真実を明らかにするために徹底的な捜査を行なうのかどうか、これを聞いておきたい。
  32. 田村宣明

    田村政府委員 捜査の進展に従いまして、いろいろな関係者と申しますか、そういうものが出てまいると思います。おっしゃいますように、警察といたしましては、当然犯罪の疑いのあるものについては捜査をするというのが責務でございます。したがいまして、本件につきましても、今後の捜査の過程におきまして犯罪の疑いが出てまいった場合におきましては、これらにつきまして厳正な捜査を進めるというのが基本的な態度でございます。
  33. 山原健二郎

    山原委員 えてしてこういう事件は竜頭蛇尾に終わって、結局、禍根を断つことができない場合が多いのですね。こういうことがないように、ほんとうに厳正な、しかも日本の教育がこういう形でいけば、これは全くどろ沼の中へ入っていくという可能性を持っているわけですから、そういう意味では、もちろん警察庁は教育とは関係ありませんけれども、事件の真実というものは徹底的に明らかにしてもらうように、私は強く要請をしておきます。  それから、こういう問題に関して文部省対応のしかたですけれども、これは木田大学局長のいままで新聞に発表されておること、あるいは昨日の文教委員会における社会党の小林議員に対する答弁の中で、どうも態度があいまいだと思うのですよ。その一部をちょっと申し上げてみますと、「物が贈られたがすでに返した」、「安心していた」、こういうことばがあるのですね。これは新聞に出ております。私、正確なことばはわかりませんけれども、そういうことばがあるのです。それからさらに、大学関係者から贈られたら注意を払ったであろうけれども、知事から贈られたということだったので、ということばがあるのですね。知事といってもこの知事は、いつまでこの福岡歯科大学理事をしておりましたか。これを正確にしていただきたいのです。  それからもう一つ、昨日の文教委員会では、「係官はいずれも受け取っている。大学から直接もらったものでないのでとくに問題はないと思うが、注意したい」、こういうあなたの発言なんですよ。大学からもらったものではないから特別に問題がないというような、この程度の感覚で受け取っておるとすれば、これはたいへんなことです。しかも生殺与奪の権を持っておる文部省であり、しかも私立大学審議会あるいは設置審議会という、全く私学にとっては生きるか死ぬるかの権限を持っているわけでしょう。そういう機関がこういう感覚でおるとするならば、これは大問題だ。あなたも審議会委員に入っておるわけでしょう。どうですか。
  34. 木田宏

    木田政府委員 福岡県の亀井知事は、この福岡歯科大学の役員には、理事としては入っておられなかったと思います。福岡県の当局者として、また北九州の県立歯科大学設置の責任者として、この問題につきましての関心は持っておられたと思いますけれども、役員そのものではなかった、そういう意味で昨日の衆議院での御答弁を申し上げた次第でございます。  事柄につきましては、いま捜査段階にあることでございまするから、設置審及び私大審委員並びに随行いたしました文部省の事務官に対しまして、知事及び副知事名をもって土地の焼きものが届いたということは確認し、そのものについても移動を禁じておりますけれども、調べました委員のお一人は、そのときに、これは四十六年の暮れでございますが、大学関係者にお返しをしたというふうに言っておられます。昨日も申し上げましたように、そのことの意味がどうであるかというのは、今後の事件の推移にもまって慎重に判断さるべきことでございまするから、私どもとして、そのこと自体がこの段階でかまわないことだ、こういうふうに申し上げるつもりもございません。今後の事態の推移とともに、当時の関係者のそのことに対する対応のしかたをあらためて問わなければならぬ時期が来るかと思いますが、今日の段階におきまして、直ちにこれが不正なものであった、こういうふうに即断をする時期でもなかろうと思って御答弁を申し上げておる次第でございます。
  35. 山原健二郎

    山原委員 この文部省の係官、それから審議会委員、これはしばしば福岡を訪問して調査をしているわけでしょう。福岡県の知事の名前で来たからといって、これはもう明らかにわかるじゃないですか。どういう意味で十万円もするところの上野焼を贈ってきたか、そんなことに対してそれほど敏感性を失っているのですか。北海道の知事から来たんじゃないですよ、おみやげ品として。サクランボをもらうとか、そんなことじゃないのですよ。しばしば調査に行って、ちゃんと福岡歯科大学設立の問題で行って帰ってくる、そして贈りものが来る、それに対して、名前が知事だからかまわない。しかも知事だって全く無関係な人物ではないわけですからね。先ほど言いましたように、九州歯科大学福岡歯科大学、この県立私学の問題で、教授のやりとりその他、もうたいへんな混乱が起こってきておる過程でしょう。何の問題もなくスムーズにいっていればまだ情状酌量の余地はありますけれども、そういう大紛争が起こって、そして設立問題が出てきておる。そして調査に行っておる、帰ってくればそういうものが贈られる。それに対して、これはいけないと直ちに上司にも報告して、これは返す、そういうことをしないのですか、文部省は。そんなものはもらっておけぐらいでいいんですか。
  36. 木田宏

    木田政府委員 焼きもののことでございまして、私どももまだそのものを見ておるわけでもございませんが、新聞では高価なようにいわれておりますけれども、一説には数千円になるだろうかというようなことを言う向きもございまして、これはちょっと、やはり関係者のお調べも進んで、そのことについての実態もはっきりいたしませんと、いまの段階で何とも軽率に言えません。関係者が出張いたしました際に、時によりますと、知事のみやげもの、あるいは副知事のみやげものということで、何がしかのものをちょうだいするということは往々にあることでございます。ですからこの場合も、それと同程度のものというふうに考えられる面もないわけでもございませんので、私どもとしては、もう少し事柄がはっきりいたしますまで、そのことについての当否を預かっておかなければならないのではないかというふうに考える次第でございます。
  37. 山原健二郎

    山原委員 この事件が発表せられましたのが、先ほど言いましたように、七月の五日ですからね。きょうは十四日でございます。あなたの文部省内の係官の問題なら、はっきりさしたらどうですか。現物も見て、返すものは返すとか、そういうことはもういけないことだというふうな、綱紀の粛正といいますか、そんなことはきちんとしたらどうですか。しかも捜査陣がいま捜査をしておる。世間の注目はこれに集まっておる。しかもみな非常に衝撃を受けておるわけでしょう。そういう中で十日もたって、まだのんびりかまえて、その金額は千円か——何かちょっと聞こえませんでしたけれども、新聞には十万円とかなんとか出ておるわけでしょう。その真偽をなぜ確かめないのですか。そんなところに、あなたの態度文部省態度はおかしいんじゃないですか。こんなうわさが新聞に出ておるんだが真実はどうだ、ということをなぜやらないのですか。そうすれば、あなただって疑惑を一部解く面が出てくるわけでしょう。それもしないで、まだわからぬという。きょうなんか文部省は、こんなことを聞かれることはもうわかっておるわけですからね。そういう対応する姿勢というものがない。そこらに私は、こういう事件を起こす可能性があると思うのですよ。そういうものはきちんとしてください。どうですか。
  38. 木田宏

    木田政府委員 当時関係者は、一年半も前のことでございまするが、知事、それからまた副知事は、かつて文部省に勤務しておった者でございますし、事務官とすれば、先輩筋に当たる人でございまして、その副知事から贈られてまいりましたつぼというものにつきましては、そうした疑惑を持たなかったと思うのでございます。今日、この問題が起こりましてから、そのつぼについての移動の禁止を事務官にはいたしまして、そのもの自体は移動しないようにさしてございます。しかし、そのことは関係者が、確かに副知事からもらったと、こう思っており、また、いまの段階では、副知事との連絡をとってみますと、記憶がはっきりしないというようなことなどございますので、この点につきましては、もう少し事柄の明らかになりますのを待って処置をすべきものというふうに考える次第でございます。  たとえば、調べておりますが、一人つぼを贈られてきた設置審の委員が、同僚の教官を通じて福岡大学に四十六年の暮れに返されました。預かってまいりました教官大学へ返したら、大学の当局は、知らぬ、これは関係ない、こういうことでございまして、行き場所がなくて、その返された教官が自分で持っているということを確認しておるわけでございます。でございますから、もう少しこの事柄の動きが明白になりまして、そうして返すべきところへ返す、始末をつける、こういうふうにしたいと思っておるところでございます。
  39. 山原健二郎

    山原委員 これは、この事件だけがぽかっと起こったなら、そういう対応のしかたがにぶいとか、あるいはとまどっておるとかいうことは、私はまだ理解できないものではないのですよ。しかし、先ほどあげましたように、私立医科大学あるいは歯科大学をつくる場合に、いままでもう幾つもそういう経験を積んでいるわけでしょう。好ましくない事件が次々に発生しているその過程でしょう。だからそういう点では、きびしい倫理性というものを持たなくてはならない。しかもこれは教育の問題ですよ。だからその点きちんとしていくのが文部省の仕事だと私は思うのですよ。  この問題にしましても、もらった、返したけれども、それは大学が出したものではないと言われるというのですけれども、じゃ、あなたの文部省のほうで預かってちゃんと保管をして、返すべきところへ返すとかいう手だてを講じないで、率直に言えば、いま何にもしていないということですよ。あなた方は何にもしていないのです。こういうところに問題がありますよ。  しかも、今度のこの事件だけでなく、時間がありませんから、他の事件のことをきょう申し上げることはできませんけれども、たとえば逮捕されました大城常務理事ですか、この人なんか、もうどういうふうに言っているかというと、一度認可がおりなかった時点、四十六年の九月に申請をして、四十七年の一月に認可が保留されたときがありますね。そのときなど、認可がおくれても設立資金とは別に三億五千万の持久戦費を持っているんだということを言っているのですよ。認可が保留になったって、おれのほうは金を持っているからまだやるんだ、そういう広言をしておる事実もありますね。だから、相当の金が流れる、そういう暗いものがうごめいているというこの状態の中で、身を潔白にしなければならない審議会委員文部省の係官、あるいは文部省当局が、それに対してきちんとした姿勢をなぜとらないのですか。普通では私、考えられないのですよ。普通の官庁であればどこでも、普通の常識であれば、この辺はもうみずからの力でそういう点は事実を明らかにしていく、また世間の疑惑を解くということをやりますよ。依然としてのんべんだらりと、まだ事件の進展を見るんだという。つぼのことなんか簡単なことですよ。警察の捜査がなくたってこれはできるわけですよ。もらっていますか、もらっていない、もらっているなら返しなさい、その金額はどの程度のものか、そんなことは文部省自体ができないことはないのです、警察当局の手をかりなくとも。そういうきびしい倫理性ですね、それがいま問われていると私は思うのです。  だから、きょうの各種の新聞を見ましても、もうごらんになったと思いますが、大体要約しますと、この事件については、まず第一番に問題になっているのは文部省姿勢だと言っているのですよ。私もまさにそうだと思うのです。それから、いままでの日本の医学界のもうけ主義が問題だ、これが二番目にあがっているのです。こういうことではまさに教育の名に値しないとまで社説で書いた新聞もあるわけですね。これに対して文部省がどうこたえていくかということが、いま問われていることだと思うのですね。  そのことに対して、いま私が質問していることはこまかいような問題ですけれども、そういう倫理性の欠如ということ。しかも、特に教育の問題において厳正でなければならない文部省が、その点については非常に態度をあいまいにしたり、あるいは鈍感な動きしか示していないということは、非常に遺憾です。この点について文部大臣の見解を伺っておきます。
  40. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 文部省が特に規律を厳正にする、綱紀につきましていささかの疑いもないような態度をとっていくこと、これがもう重要でありますことは言うまでもないことだと思います。  福岡歯科大学等の問題が起こりましたこと、たいへん不幸なことだと考えているわけでございます。先ほど私がちょっと申し上げましたように、それなりにいろいろな事情もあったようでございます。大学学術局長が触れましたように、大学設置基準に即している限りにおいては認可せざるを得ないんだというような態度をずっととってきておるわけでございます。そういう法的解釈もとってきておるわけでございます。おそらく占領軍時代からの継続であろうかと思うわけでございまして、そういう意味におきましても、私は、立法処置を考えざるを得ないのではないか、こうも申し上げておるわけでございます。同時にまた、大学の自主性を尊重するという意味において、文部省は監督的な権限をほとんど持っていないと私、申し上げていいくらいに、いろいろな点について教育の責任を負いながら私学の問題にタッチできないというかっこうになっておるわけでございます。設置もしくは取り消しというようなかっこうのことでございまして、この点につきましては将来ぜひ御相談させていただきたい、こういう気持ちも抱いておるわけでございます。  この福岡歯科大学の問題につきましては、たびたび申し上げますに、事件の解明を待たざるを得ないのじゃないかという点が多分にあるわけでございまして、たいへん率直な話をするわけでございますけれども、文部省の課長補佐と係長クラスの人二人が、現地での調査に際しまして、設置審の委員と一緒に向こうへ行っているわけでございます。その当時の福岡県の副知事から贈られたということでございますけれども、副知事は、文部省の課長から教育長に出、そして副知事になられた方なものでございますので、同時に、そのつぼなるものについて、文部省内で陶器に若干の知識を持っているような者が集まって評価をしたんだそうでございます。そうしましたら二、三千円、しかも課長補佐のもらっているのと係長のもらっているのとでは若干差があるだろう、こういうことのようでございます。  これはもちろん調査を待ちませんとわかりません。わかりませんが、おそらく贈られたつぼなるものがどういうものやら、一体だれが出しているのやら、いま局長が申しましたように、ちょっと不可解な点もあるわけでございます。文部省から出ました者としましては、副知事から贈られた、その副知事から贈られたものが単なるそういう程度のものであるということでありますと、普通のつき合いだということになるわけでございます。でございますので、文部省がこういう問題について、つぼを返していないじゃないかとか、処分をしていないじゃないかということで、山原さんが疑念に思われますことは私よくわかります。わかりますが、同時に、こういう事情があることについての御同情もいただきたい、かように考えるわけでございます。  今後とも、文部省自身が規律を正していく、綱紀を厳正にしていくという点につきましては、全く私もそのように進めてまいりたい、かように考えております。
  41. 山原健二郎

    山原委員 刑事局長に伺いますが、このつぼはだれから出ておりますか。
  42. 田村宣明

    田村政府委員 福岡県警では、まだその事実の明確な解明まで手が回っておりません。
  43. 山原健二郎

    山原委員 つぼの鑑定をしたとか言うが、上野焼というのは高いのですよ。安いものもあるかもしれませんけれども。そんな鑑定をするとかいうことじゃなくて、そんなものをぱっとなぜ処理しませんか。いつまでもかかえていて、こけざるのつぼでもあるまいし、そこいら辺の姿勢の問題ですよ。  それはおきますけれども、一つは、文部省設置法の二十七条によって私大審設置審議会がありますが、その名簿を昨日いただいたのでありますけれども、これを見ますと、やはりほとんど全部が経営者であり学長であり文部官僚によって構成されている。全員ですね。私はここに問題があると思うのです。しかも、この二つ審議会は非常に大きな権限を持っておるということを申しました。この二つを通らなければ私立大学はできないわけですから、そういう権限を持っておるところの構成。  私は、私学というものの振興のためには、実際の研究者とかあるいは学者の方々、単なる経営者とか学長とかいうことだけでなくして、そういう私学のほんとうに下積みの苦労をなめてきた人たち、あるいは職員団体の代表、そういうものを入れて、民主化していく必要があると思うのですよ。今度の場合も、桐野さんの名前が出ておりますけれども、この人はいわばボスなんですね。非常に大きな力を持っている人、そういう人が偏在をして調査をしていくというところから、この人に頼めばいいということで、そこへ誘惑の手が差し伸べられてきているわけですね。そういう点では、ほんとうにこの二つ審議会の民主化、あるいは構成の改組をする。この際あらためて、この二つ審議会というもの、文部省文部大臣諮問機関、これに対する改組といいますか、あらためてこの審議会をもっと公開のものにするといいますか、もっと公明正大なものにするとかいう立場で改組をされたらどうか。これほど事件が起こるのに、依然としてその人たちがこの審議会を構成しておるという形態はおかしいと思うのです。私はこの際、こういう禍根を断つためにも、この二つ審議会について構成上の検討をすべきではないかと思うのですが、この点、文部省のほうでは何かお考えになっていますか。
  44. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 当初に申し上げましたように、私立大学のあり方、特に医学、歯学のあり方につきましては、全体的に私、問題があると思うのでございまして、単に審議会だけの問題じゃないような気がいたしております。そういう意味で、場合によっては立法措置も御相談させていただきたいと思っております、こう申し上げているわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、設置審の委員の一人についてこういう問題が起こったわけでございますので、いままでの問題については、私としては十分経過をただしてみたい。そして委員の交代時期等につきましては、当然いままで問題になっております点の反省の上に立って考えていきたい、こう存じております。
  45. 山原健二郎

    山原委員 いままで過去五年程度を考えてみますと、私学設立申請が行なわれて、認可、非認可がやられているわけですね。たとえば拓殖大学の場合は、医学部設置申請を行なって、これは認可されていないとたしか思いますが、そういう点で大体どれぐらいありますか、内訳は。どの大学認可になり、どの大学認可されなかったか。これは医学部関係ですね、統計だけでけっこうですが、わかっておりましたら……。
  46. 木田宏

    木田政府委員 大体、数の上で不認可になりましたものが四校、医学、歯学でこれまでのところあったかと思っております。全般的に申しまして、大学設置認可は、認可申請がございまして、年によって増減ございますけれども、申請数の八割から八割五分見当が認可になる、こういう傾向かと考えております。
  47. 山原健二郎

    山原委員 これが全然わからないんですね。要するに審議会できめられるわけですけれども、認可されるところが八割ないし八割五分、年によって違うようですが、認可されないところもあるわけでしょう。そうしますと、その辺が、悪いことばで言うとやみからやみなんですよね。これは全部公表すべきですね。だから、審議会というものをガラス張りにするということ。おうちの学校申請をしたけれどもこうこういう理由でだめなんですよ、おうちの学校はこの点が充足されておるから認めますよ、というようなことが公開されるということが必要だと思うのです。そうでないから、一部の有力者、実力を持っておる方が権限を持って、認可するとか不認可になるとかいう生殺与奪の権を、この審議会の中でもなおかつ一部の人が持つということ。その方に、先ほど言ったように誘惑の手が差し伸べられる、そうして認可が決定していく、こういう経過があるんじゃないかと思うのですね。だから私は、文部大臣、そういう中であだ花が生じてくるわけですから、ほんとうに公開をしていく。大学設立認可、あるいは認可しないという問題ですが、秘密にすべきことは、経理上の問題はあるとしましても、ほとんどないわけですね。     〔笠岡委員長代理退席、委員長着席〕 だから、この辺はもっと公明正大な形の審議を行なっていく必要があるだろうと私は思います。この点はぜひ検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  48. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いまお話しのようなことも、実は立法の問題を検討している中で取り上げている一つの問題点でございます。
  49. 山原健二郎

    山原委員 この私学の問題は、法律的な規制をするということを文部大臣は言われておりますけれども、私はそれより大事なことがあると思うのです。これは私学に対する大幅の助成です。これがなければ、今日の私学問題、大学問題、日本の教育問題は、このままではほんとうにどろ沼の中に入っていくわけですから、これは大胆な政策をお立てになって、そうして私学に対する大幅な助成、それから私学の学生に対する授業料等の援助とか、そういうことをやっていくということ以外に、ただ規制措置だけを強化しても問題の処理にはならないと思います。そういう意味では、私学の財政の公開とか、あるいは私学運営の民主化こういうことがいま一番必要になってきたのじゃないか。この原則的な立場をとらなければ、問題の全面的解決にはならぬということを私は申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一つは、文部省はいままでは、既存の大学医学部設置するといういわゆる総合大学方式で来ました。これは高見さんの場合も、前の坂田文部大臣のときにも、そういう発言をされていることを私は聞いておるわけですが、最近文部省が出しておりますのは、単科医科大学方式ですね。そして国立はなるべくやめて公立にしていくとかいうような発表を至るところでされておるようですが、まだ国会の審議にかけてはいないこの単科大学形式というのは、おそらく筑波に見られるような新構想大学を予想されているのじゃないかと思うのですが、これは文部省が大きな政策の転換をしている。そういうことを国会にもかけないでずっとやられて、国立はもうだめだ、県立にしなさいというような動きが至るところに見られるのですが、そういう態度に変化しているかどうか、最後に伺っておきましょう。
  50. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 総合大学がいいか、単科大学がいいかは、それぞれの立地状況その他総合的に判断して考えればいいことじゃないか、かように考えているわけでございまして、どちらでなければならないというような考え方でございませんので、御理解をいただきたいと思います。  それから公立大学の問題につきましては、未医大県九つ残っているわけでございますけれども、国公立医科大学あるいは医学部でこれの解消をはかっていきたい、こう申しておるわけでございまして、日本の大学はとかく画一的に考えられやすいのでありますけれども、医学の問題につきましては、県が医療行政の責任を負っているわけでございまして、診療所のお世話をするとか、あるいは無医地区を解消していくとか、あるいは住民の医療についてもっと手厚い行き届いた行政を浸透させていくとかということになりますと、医療の中心センター的な役割りをするものを持ったほうがいいんじゃないだろうか。そういたしますと、県立医大があったほうが、それがセンターになりまして、いま申し上げますような行政の充実をはかっていくことができるわけでございます。でありますから私は、国立万能という考え方は捨てたほうがいいのじゃないか、こう思っているわけでございます。そういうこともございまして、いままで県立医科大学がございましたが、その医科大学国立移管に全部狂奔されてきたわけでございまして、ずいぶんたくさんな県立医大を国立に受け入れました。私はこれは適当でないと思います。そういうこともございまして、四十八年度は、県立医科大学に対しまして、国費で経常費助成の道をとらせていただいたわけであります。経常費について国もこれだけ負担をしていくんだから、将来医科大学をつくる場合に県立医科大学もお考えなさいよと、私は、国立医科大学をつくれということを申しにこられます知事さんたちに対しまして、いま申し上げますような意味において御検討をお願いするというような態度をとっているわけでございます。全部公立でいくんだという考え方はございません。あまり画一的にしないで、国立もあり県立もあるという姿のほうが望ましいんじゃないだろうか。それぞれ長短相補いながらお互いに刺激になっていくということが適当な姿じゃなかろうか、こう思っているところでございます。
  51. 山原健二郎

    山原委員 そういう政策をある意味で転換する場合には、やはり国会をはじめ国民的な合意を得るという立場をとっていただきたいと思います。  それからもう一つは、私学の問題について、文部省みずからが決定した、卒業生が出なければ経常費の補助をしない、助成をしないということですね。これは私は、文部省のつくられたいままでの規定でありますけれども、私学認可したならば、その設立した年から助成をしていくという態度をとるべきだと思うのです。大臣もそういうことを記者会見でたしか言われていると思いますが、この点をひとつはっきりお伺いしておきたいということですね。  それからもう一つは、医学教育の問題は人命の問題ですね。ほんとうに優秀な学生がそこで育てられて、そして日本の国民の生命あるいは健康を保持していくという、そういう任務があるわけですね。それらを金によって左右されるということ、これがいまの現状ですね。これは今日の教育の中で一番の恥部をなしているわけです。これをほんとうになくしていくという点では、これだけ何べんも何べんも事件を起こしてきておりますから、そういうことはないようにしなければならぬと同時に、私は文部省も相当の責任があると思います。この責任についてどういうふうにお考えになっておるか、最後に伺っておきます。
  52. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私学の経常費助成は、卒業生を出した学校、そこで初めてその学校の評価ができるというような態度で、認可を受けてからまだ卒業生を出さない学校に対しましては助成をしていないわけでございます。しかし医学、歯学の場合には、他の学部と違いまして莫大な経費を要するわけでございますので、私はやはり、認可をした以上は助成対象に取り上げていきたいという気持ちを持っておるわけでございます。予算にからむ問題でございますので、予算のときに決着を私の希望するような方向でつけられないものなのかなと、これもいま一つの課題としてかかえている問題でございます。  もう一つ入学時の莫大な寄付金、私はたびたび申し上げておりますが、これが純真な青年の気持ちを非常にむしばんでおると心配をしているものでございまして、ぜひこれにつきましても解決策を講じていきたいという決意を強く持っているものであります。  なお、責任を感じないかというお話がございましたが、教育界に起こっている問題すべてについて、文部省は常に自分の責任として努力していかなければならないことは当然のことだ、かように考えておるわけでございます。医学、歯学の不足そのことが今日このような事態にもなったんだろう、かように思っておるわけであります。
  53. 山原健二郎

    山原委員 どうもありがとうございました。終わります。
  54. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、来たる十六日月曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時二十四分散会