○大出
委員 お認めになりましたからそれはいいのでございますが、ここでいっておりますのは、
委員が五、五でございますから、三分の二ということになると、米軍の側が五人反対すれば過半数でございまして、つまり
事故調査をやった報告書——米軍のですよ。米軍の
事故が起こった、その場合に、日米合同
委員会の合意によりますと、投票権を有する同数の
委員を出す、つまり「手続」の第二項で、「在日米軍及び日本国政府は、おのおのの
航空機事故共同
委員会において、投票権を有する同数の
委員を出す」、こうなっているわけですね。これはそれでいいでしょう。五人なら五人、五人ずつ出した場合に、いま読み上げました四項では「三分の二によりなるものとする」。つまり「
航空機事故共同
調査委員会の運営に関する規則及び手続並びに同
委員会の作成する報告書の内容は、
委員の多数決によって決定する。多数決は、任命された投票権を有する
委員の三分の二によりなるものとする」、こういうわけですから、米軍側が反対である、こうなると三分の二にならない。ということになると、報告書は出ない、中身がきまらないのですから。そういうことになる。
そこで、これは横路君が取り上げた
趣旨もそうですし、私は
あと引き受けてきょう
質問をいたしておりますのもそうなんですけれ
ども、いま世の中で
航空機事故が起こって損害賠償その他で訴訟になるという場合に、
事故調査の報告書、これが賠償請求その他の訴訟案件の非常に大きなウエートを占めている。米軍の
事故でこちら側が損害を受けた。たとえば、あってはなりませんが、米軍の軍用機と日本の民間機が衝突するというようなことがあった場合に、補償問題が起こった。その場合に、日米合同
委員会で合意している日本側と米側の両方で
事故調査をやる。やった結果可否同数、
委員が半々出ているのですから。しかもこの合意書は三分の二でないと報告書の中身がきめられないのですから。米軍が反対なら半分しかないのですから、半数じゃきめられない。そうすると報告書は出ない。つまり論拠となるものがない。こういう結果になりかねない日米合同
委員会における合意ですね。そう見なければならない。
内村さん、そこが私
どもに言わせれば、せっかく
航空事故調査委員会設置法案という、いまのこの
法律をきめるにあたりまして、もう少し国民のために、米軍あるいは日本の民間機の
事故が起こったような場合であっても、明確な
事故調査が行なわれて、損害賠償なら賠償を請求するに足る論拠になるように、私
どもからすると、米軍機の
事故であっても当然
調査をし報告がなされなければならない。つまりせっかくつくる
事故調査委員会というものはその権限を持たねばならぬ。これは、前に議論をしている横路君もおりますから、深い議論をしたくないから、かいつまんで申し上げているのですけれ
ども、
航空法七十六条あるいは百三十二条との
関係等からいって、私は、七十六条が適用除外をされている、だから百三十二条の発動ができないという解釈をとるのが至当のような気がするのですけれ
ども、あなた方は、その前に国際法というものがあって、つまり相手が軍である、軍であるから、百三十四条のように立ち入り
調査をしなければならぬという
問題等も含めて、
調査の権能を本来有しない、こういう解釈をまずおとりになる。どちらであるにせよ
調査ができないことに変わりはない。米軍機の場合は
調査ができないということを前提にすればこそ、今日ここでつくろうとする
事故調査委員会はそっちに権限が及ばないのだから、それでは困る、及ぶようにしたいという考え方がぼくらにある。だから
質問している。そこで、時間の節約のために私のほうから申し上げましたが、もう
一つ論点を申し上げます。
地位協定に三項目、条文にしてわずか三条でございますが、これは私が例の相模原の戦車の問題のときに、外務大臣以下防衛庁長官、建設大臣ほか何人か大臣おいでになりましたが、ここで
質問をして明らかにした点なんです。
議事録にございますが、それは地位協定の十六条、「日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の
構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である」という条文がございます。これは
あとからの挿入条文です。この第十六条に基づいて、「日本国において、日本国の法令」、これを尊重することが「合衆国軍隊の
構成員」、軍人をさしております。軍人、軍属その他全部を含みます。「合衆国軍隊の
構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である」。つまりこれは日本国において日本国の法令を尊重することが義務なんです。これと、地位協定五条その他との協力義務、
一つの港から
一つの基地に物を
輸送する、そういう
意味での日本側の米軍に対する協力義務、この二つを対比して一体どう考えるかという点を詰めた。国内法尊重の原則をお認めになるかと詰めた。結果的に国内法尊重の原則を認める。木村
国家公安
委員長兼建設大臣も、大平外務大臣も、防衛庁の長官も、三人お並びになっておってお認めになった。
そこで、そのときの外務省の答弁はどうなったかというと、だから日米合同
委員会におけるこの種の合意というものは、でき得る限り国内法の原則に従って合意されている、こういうことになっている。たとえば検疫法でもそうです。あるいは植物防疫法でもそうです。検疫法だって、港へ入ってくる米軍の軍医が検疫をやる。検疫済みの旗を立てれば日本にはわからぬ。しかし米軍の軍医は、日本の国内法の検疫法の
趣旨に従って合意されているのだから、そのとおりやるはずです。全くそのとおりやっておれば、確かに国内法の尊重に通ずるところはある、国内法そのものを認めていなくても。だから私は、この十六条に基づく日本の国内法令の尊重、この大原則に従って合同
委員会で合意されたもの、こう解釈をしたいのだし、そう答えたはずなんだ、あなた方は戦車闘争のときには。だが、さっき
内村航空局長が答えたのは、国内法と全く
関係ない、適用にならない、本来軍だから。適用にならぬけれ
ども、
調査をしなければ困る場合があるからこういう合意をしたのでしょうという言い方をあなたはする。全くこれは一体何のために地位協定十六条があるのかということになる。国内法尊重の原則、米軍といえ
ども、あるいは軍属といえ
ども、その
構成員といえ
ども国内の法令を尊重する、この大原則に従って合同
委員会は運営されていなければならぬのですよ。そこをはずしたのでは、何のための合意
議事録かということになる。何のための合同
委員会の合意かということになる。日本の主権というものは存在するのだから。そうでしょう。そうすると、あなたの答弁というのは、戦車のときの、あれだけ長い、私はここで三回やっておるのですが、やりとりの答弁と全く違ったことになる。当時のものの考え方は、国内法がある、ぴたりそれが適用できない場合に日米合同
委員会で合意をしていく、この合意は国内法尊重の原則に従って合意がされている、できるだけそれを守っていくというふうに合意されている、こういう答えになっている。そこのところはどうなったのですか。百八十度違った答弁をいまになってされては困る。