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松本(忠)
委員 局長の御念のいった
答弁ですが、私は、公聴会といういま御説明があったのが、
アメリカの制度の中にあるということも知っておりますけれ
ども、どうも、
日本の私
たちがいま公聴会といっているものと、だいぶ違うような気もするのです。
日本の国情にはたしてなじんでいるかどうかというと、
航空事故の調査における公聴会というのは、ちょっとどうも疑問に思うのですね。私
たちがいままでとっている公聴会ということばなんかは、国鉄運賃値上げの場合なんかの公聴会というのは、要するに一方は値上げするのだ、一方は反対なんだという、こういう半々の公述人を出して、そこで
意見を聞く。この公聴会はそういうようなことと違うわけですよ。また、
事故調査
委員会というのは犯人をさがし出す機関ではないと私は思うのですよ。決してその犯人さがしのための機関であってはならないと思うのです。どうしてもこれはいろいろな
事故が出てくるでしょう。あってはならないわけですけれ
ども、軽微な
事故も、人身
事故を含んだ大きなものもあると思いますが、いずれにしても、その
事故を
一つの契機として、それを徹底的に、ふだんからの研究と、その
事故によって起きた現象をとらえて、今後そういった
事故を起こさないようにあらゆる原因の追及をしておくということで、ですから何も私は、前の727の
羽田沖の問題のような、原因不明というので片づけないで、これも
一つの原因だ、これも
一つの原因だ、これもそうだ、これもそうだ、いろいろな原因が出てきていいと思うのですよ。
一つに限る必要はないと思う。何でもかんでも
一つに締めてしまって、
パイロットが悪いのだとか機体が悪いのだとかいうことにしないで、これも
事故につながった、これも、これも、ずっとそういったいろいろなものがあって、そして確かに
事故になったのだと思うのですよ。だから、犯人捜査ではないのだから、
事故を今後起こさないために、いろいろな要素を取り上げて、それに対して十分な検討をするというのがこの
委員会の問題ではないかと思うのですよ。
私はこの
委員会に常時出ているわけではないものですから、いままでのいろいろな変わった点が、
政府としては、まだ確認というか、認めていないけれ
ども、要するにこういう御
意見がある、こういうわけですね。それがどう変わったか、どういうふうになったかということについて、最近のものを私はいただいたので、それが変わった段階というか、経過、そういうものを私、知ってないわけです。そういう点、私も十分な時間がとれなかったことを残念に思っているのですけれ
ども、そういうものですから、これは
政府としては認められないというけれ
ども、聞くところによりますと、いわゆるあなたのいう十八条です。訂正された十九条の「原因
関係者等の
意見の聴取」のところにさらに二つの
意見かあるというようなことも、私、情報を入手しております。これは
運輸省としてはまだ知らないことかもしれませんけれ
ども、
委員の中では
考えられている。
その
一つに、いまあなたが説明された公聴会の問題等も含んでいるように聞いております。私はそういう公聴会の問題を、むしろこの
委員会に公聴会という形で置くのがいいのか、あるいは公開の場所というようなことにして置くのがいいのか、その点もまだ詰めておりませんけれ
ども、ただ公聴会という字句がどうも
日本のいまの
事故調査においてはなじまないような気がするのですよ。だからこれはあんまり公聴会ということばにとらわれて、
アメリカでそうだから
日本でもそれをそのまま
日本の訳にして使うんだということでなくて、もっと新しいことを
考えたほうがいいんじゃないかと思うのですよ。要するに、いまのウオーターゲート事件の公聴会のような、ああいうものと、いままで私
どもが見聞きしている
日本の運賃値上げの場合の公聴会のようなものとは全く違うわけでありますから、ここで新しく
考えようというある一部の野党の
意見の中にある公聴会というものの字句、あるいはまた
関係者というようなばく然としたとらえ方、こういうものはよく研究しなければならないんじゃないかと私は思うのですね。
さらにことばを続けて言わしていただければ、参考に聞いたところによりますと、旅客の問題だけにこの公聴会を義務づけていく、一般的関心を有するものだけに義務づけていくというふうなお
考えがあるやにも聞いております。もちろん、これに対して
政府の
答弁を要求しているわけじゃありませんよ。あなたに答えてもらいたいと言っているわけじゃないのですけれ
ども、ただ私は、そういうことが出ていることを聞いておりますので、あなたから公聴会の話が出てきたので言うわけでありますが、とにかく旅客を輸送する場合の
事故だけは公聴会をやる、貨物の場合等はやらないんだとか、あるいは一般的関心を有するものについてはやるけれ
ども、そうでないものはやらないんだということじゃなくて、
航空事故の調査というものはあらゆる問題に対してやらなければいかぬと思うのですよ。旅客ばかりじゃなくて貨物の場合も当然だと思うのです。たいへん失礼な言い分ですけれ
ども、
事故が起きて死亡した人の数がわずかだった、こういう場合は一般的関心が薄いから取り上げないんだということじゃなくて、
事故となった以上はあらゆる
事故について取り上げ、研究する。特に公聴会というようなものは、野党の一部で
考えられているような、いわゆる参考というようなものであると、一部の者に限ってしまう、それを義務づけてしまう、それは全く
アメリカのやり方をそのまま取り入れたみたいな気がするのですよ。そうでなくて、
日本は
日本の独自の行き方があると思うのですよ。ですから私は、
事故一切についてあらゆる検討をし、公開の場所で
関係者にも来てもらって聞く、それから学識経験者にも聞くというような
方向をきめておかなければいけないと思うのです。
そこで、あなたのいうところの十八条、私のいうところの新しい十九条において、いわゆる公開の場において
意見を述べるということですが、この場所も限定し、しかも公開の場所というからには、私は報道
関係者だけは入れるべきじゃないかという
意見なんです。やはり報道
関係者を入れて、公開の場所というそこにはまた、ほんとうに
関係ある者、これは原因
関係者だけにするか、それとも遺族まで含むか、いろいろの問題があると思いますけれ
ども、こういう問題についても十分の討議をしないと、この問題もたいへん
あとに尾を引くようになるんじゃなかろうかと私は思うのですね。そういう点を私、
一言だけ申し上げておきたいわけでございます。
いずれにしましても、この
委員会をなるべく早い機会につくることについては、私はなるべく皆さん方の御同意を得たいと思います。私
たちのほうだけでただっくりたいと言っても、こういう問題のために、
政府のほうではこれはどうものめないということで、お互いに突っつき合っている、そのうちに
事故が起きた、こういうことでは困るので、なるべく譲れるものは譲り、いれるものはいれ、そして
合意を早く得てやるようにしたらいいと思うんですね。
大臣も非常に時間が
制限されているようでございますし、私この程度にとどめまして終わりにいたしたいと思いますが、ただ願わくは、今後
事故というものの絶滅を期す意味からも、ぜひとも完ぺきな
事故調査
委員会をつくってもらいたいと思うのです。そのためには、野党のわれわれも大いに
意見を言い、そしてまたその
意見もいれられるものはいれて最終的にりっぱなものをつくりたい、こういうふうに
考えております。
そこで最後に、大臣に
一言だけ、この
事故調査
委員会についての大臣としての所見、これを述べていただいて終わりにしたいと思います。