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1973-07-05 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月五日(木曜日)    午前十時八分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       伊能繁次郎君    江藤 隆美君       越智 伊平君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       丹羽喬四郎君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       吉永 治市君    上原 康助君       山崎 始男君    和田 貞夫君       木下 元二君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         法務政務次官  野呂 恭一君         法務大臣官房長 香川 保一君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省矯正局長 長島  敦君         法務省保護局長 高瀬 禮二君         法務省人権擁護         局長      萩原 直三君         法務省入国管理         局長      吉岡  章君         厚生政務次官  山口 敏夫君         厚生大臣官房長 曾根田郁夫君         厚生大臣官房審         議官      柳瀬 孝吉君         厚生省公衆衛生         局長      加倉井駿一君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省医務局次         長       信澤  清君         社会保険庁医療         保険部長    江間 時彦君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局国土調査         課長      大月洋三郎君         沖繩開発庁総務         局企画課長   亀谷 礼次君         厚生大臣官房統         計調査部長   石丸 隆治君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 七月五日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     林  大幹君 同日  辞任         補欠選任   林  大幹君     江藤 隆美君     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
  3. 中路雅弘

    中路委員 今度の厚生省設置法改正の第一番の問題は、「環境衛生局水道環境部設置する」ということで、提案理由の説明にもありますように、「水道国民生活に欠くことのできない基幹施設でありますが、近年における生活水準の向上、都市化の進展に伴い、水道用水需要は著しく増大し、このため新たな水道水源確保及び水道事業広域化が大きな問題となっております」というように述べられておりますが、私はきょう、短い時間でこの水道問題についてだけ御質問したいと思うのです。  この設題法改正水道課水道環境部に昇格させて、この面での行政機構強化をはかろうというのが中心の問題になっています。いま東京大阪神奈川、愛知、兵庫といった大都市では、住民の生活用水について、その水源確保やまた水質の保持、給水施設拡張、いずれも非常に緊急の対策を必要としているわけですが、厚生省で、この地方自治体水道行政に対する援助は、いまどのような施策考えられているのか。あとで私は、大阪と私の地元の神奈川の例で幾つか御質問したいと思うのですけれども最初に、特に生活用水の問題について、一般的にでけっこうですけれども、どのような強化対策考えられておるか。  きょう、ある新聞を見ますと、厚生省水道法改正案の素案をまとめられて、水道行政広域化中心にしたこの案を、ことしの秋までにまとめて、次期の通常国会に出されるというようなことを書かれている新聞報道もあるのですが、こういう点も関連して、水道行政について、特に生活用水確保について、どのような施策をいま考えられておるか、最初にお尋ねしたい。
  4. 浦田純一

    浦田政府委員 上水道に対するまず国の財政的な援助でございますが、上水道事業そのものは、公共性確保しながら独立採算制のもとに経営するということが、いわば根本的な考え方になっておりますが、近年の著しい水道用水に対する需要増加に伴いまして、ダムなどの建設による水資源開発、それから水の効率的利用長期投資の配慮など施設の合理的な配置、経営合理化などをはかるために、いま先生指摘水道広域化ということを積極的に推進することといたしまして、昭和四十二年度から新たに先行投資となるダム原水単価が著しく高くなるダム建設などにつきまして、あるいは大規模な広域水道施設整備につきまして国庫補助制度を創設いたしまして、以後毎年、この国庫補助の大幅な増額をはかってきているところでございます。数字で申しますと、四十二年度発足当時は予算額として七億円でございましたが、当初予算で四十七年度は百一億円、四十八年度は百七十八億円というふうな伸びを示しているところでございます。  それから、いま水道法改正というお話がございましたが、このような広域水道理念、あるいは将来ますます水需要というものがふえるにつれて新しい水源を開発していくといったようなことなどに対しまして、さらには、現在の水質汚濁の進行をこれ以上進めないように防止する等々のこともございまして、水道法は現代の情勢にかなり適合しにくくなっている面も出てきておりますので、現在、生活環境審議会の中の部会でもっていろいろとその辺の問題を御審議願っておりまして、その進捗状況ともあわせまして、できれば水道法改正ということまで持ってまいりたいということで、現在作業を進めておるところでございます。
  5. 中路雅弘

    中路委員 簡単にもう一つお聞きしておきますけれども、いま水道法改正を一応審議会作業と並行して進められているというお話ですが、いま検討されている水道法改正中心といいますか、骨子になる点だけでも、要点をもしあれでしたらお話し願いたいと思います。
  6. 浦田純一

    浦田政府委員 実はまだいろいろと御意見問題点を出されて、意見交換しているというのが審議会の現在の情勢でございますが、実はこれに先立ちまして、一昨年でございますが、新しい水道行政理念というものが打ち出されております。それまでは個々の自治体の判断にゆだねられておったという水道事業でございますが、これをいわゆるナショナルミニマムとしての角度からながめ直す。国が場合によってはもっと積極的に水道行政あるいは水道事業整備そのものに乗り出すという理念を打ち出してきております。それが一番の根本の考え方になりまして、その後起こってまいりましたいろいろの点、具体的には、先ほど申されました水道広域化考え方法律の中に盛り込む。あるいは水資源のだんだん逼迫してまいりますのに伴いますことに関して、国のもう少し積極的な関与ということを考える。あるいはまた、現在進行しております水質汚濁というものに対する対抗手段考えていくといったようなことが、いま議論の中心になっているのでございます。
  7. 中路雅弘

    中路委員 いま生活用水確保という問題が非常に深刻で、また緊急な問題になっているのは、主として東京、その周辺ですね。それから阪神、中京といった三大都市圏が最も深刻になっていると思うのですが、これらの地域では、産業と人口が非常に急速に集中して、生活用水需要が急激に増大しているという関係にあるわけです。この地域に対する施設拡張ですね、これについては非常に設備費用が増大している。料金収入一般財政からの補てんだけでは、どこの資料を見ましても、解決できない状態になっているわけですが、この現状の中で、地方自治体水道施設の、いま四十七年度、四十八年度をお話しになりましたが、拡張事業に対する国庫補助をもっとふやして援助することが必要ではないかと思うのですが、現在の拡張事業費に対する国庫補助数字がここにありますけれども上水道事業に対してはまだ非常に少ない補助しかされていないということですね。  地方自治体のこの水道施設拡張事業費を見ますと、ほとんど全額が起債によってまかなわれているわけです。この起債による資金確保が、逆に水道事業財政を圧迫しているような状態ですが、この起債依存事業費という施策を、国庫補助をもう少し重点にしていくというふうに改める必要が私はあると思うのですが、あと大阪神奈川の例で具体的に御質問したいと思いますけれども最初に、この点についてのお考えをもう一度お聞きしておきたいと思います。
  8. 浦田純一

    浦田政府委員 先生が御指摘のように、自治体における水道事業整備資金繰りは、主として起債によって行なわれているわけでございます。したがいまして、近ごろのようにだんだんに水源開発がむずかしくなってくると、ダム建設に非常に費用がかかってくるということになってまいりますと、どうしてもその辺の膨大な資金需要というものに対しまして、現在の苦しい経営の中からそれだけの施設設備に対する投資をするということが事実上むずかしくなりまして、また、かりにそれに応ぜられるにいたしましても、それのはね返りといたしましての水道料金の引き上げといったようなことを強行せざるを得ないということでございます。  したがいまして、先ほども申し上げましたが、ダム先行投資等の場合、あるいは広域化によって経営効率化をはかるといったような場合に、国庫補助制度というものを創設いたしまして、初年度、昭和四十二年度は補助実額としてわずかに七億円余りでございましたが、現在、昭和四十八年度では百七十八億円ということでございまして、これは決して額そのものはいまだ十分と申すわけにはまいりませんが、過去の伸び率をずっと振り返ってみますと、毎年ほぼ七〇%以上の伸び率を示してきておるということで、私どもといたしましても、この予算額要求につきましてはかなり努力もいたしてまいりましたし、また、全体の国の予算伸びの中では、その点は十分に配慮されてきたと思います。  しかしながら、まだまだこれから先非常に膨大な建設計画をかかえ、膨大な資金需要が見込まれます。御指摘神奈川県の企業団水道事業にいたしましても、あるいは大阪府にいたしましても、すでに具体的な計画としてかなり膨大な資金需要というものを持っております。これらに対処するためには、国庫補助というものを、絶対額も引き上げる、それからさらに実質的にも改善していくということが痛感されております。私どもは、さらに努力を重ねてまいりたいと考えております。
  9. 中路雅弘

    中路委員 これは厚生省からいただいた資料ですが、「水道建設事業費等の概要」という資料で見ますと、建設事業費関係上水道事業、この中には「用水供給事業を含む」とありますが、四十七年度実績見込みで四千百四十六億円、四十八年度が予定で四千八百六十億円となっています。国庫補助金関係で見ますと、上水道事業、この中には「水資源開発公団に対する補助も含む」とありますが、四十七年度が百六十九億円、四十八年度が二百四十億円となってます。これをパーセントで見ますと、国庫補助金が四十七年度約四%ですね。四十八年度で見ても五%という非常にわずかな補助しかない。少し数字が違うかもしれませんが、ほぼこの前後のパーセントにしかすぎないという状態なわけです。  私、一つは具体的に大阪府の例で資料をいただいて計算をしてみたのですが、たとえば大阪府営水道の場合、第六次拡張計画だけでも五年間に五百五十億円の資金が必要になっています。国の補助金は四十七年度でもわずか十一億九千万円にすぎません。一方、同じ第六次拡張計画実施期間に、既存の企業債元利償還だけで、四年間で約二百九十八億円が必要になっています。この二百九十八億円は、同じ期間内の料金収入で見ますと、料金収入は約二百八十九億円ですから、料金収入よりも約十億円さらに上回るという状態になっているわけですね。結局、ずっと数字計算してみますと、大阪府の水道は、第六次拡張計画事業費の中で、百五十二億円の資金が不足のまま実施せざるを得ない。したがって、ことしの初め、二月ですか、料金の一部値上げ、三一%ですか、せざるを得なくなったわけですが、これは公共料金値上げに反対だということで、二月の府議会ではこの案を否決しているわけですね。  その点では、こういう実例を見ても非常に深刻な事態になっているわけですが、国民の暮らしに一日も欠かすことができない生活用水確保の問題ですから、こういう現状を見ても、抜本的な改善策がとられなければならないのじゃないか。先ほどからも数字をあげていますが、国庫補助ワクをもっと積極的に広げる国の援助が必要ではないか、緊急になっているのじゃないかということを痛感するわけです。  そこで、もう一つ具体的に、私はその場合に現行水道法改正の問題について御質問したいのですが、いまの水道法を見ますと、国庫補助については明確な規定がないわけですね。工業用水下水道事業の場合のように、生活用水に対しては国庫補助率を明文化していないわけですが、私はこの点で、水道法改正をして生活用水の問題についても補助をはっきりと明文化する必要があるのではないかと思うのです。この水道法の中に、工業用水等補助率が明文化されていますが、生活用水等について明文化されていないのはどういう理由なのか、まずお尋ねしたいわけです。
  10. 浦田純一

    浦田政府委員 現行水道法規定によりますと、国庫補助規定は、簡易水道につきましては明文の定めがあるわけでございます。一般上水道につきましては、その成立の経過から見ましても、いわゆる公共事業といたしまして独立採算でもって経営していくというのが原則的な考え方でございます。現在それに対しまして、御承知のように、非常な水資源確保の困難とか、当時考えられなかったいろいろな新たな要素が出てまいりましたので、水道のそういった非常に先の長い先行投資あるいは異常な膨大な資金需要というものをまかなうのに、料金に対するはね返りといったような観点から見ますと、必ずしもいままでの独立採算経営の中でもってそういったような資金を捻出するということが、実情に合わなくなってきたという点もございます。  したがいまして、そういった新たな観点に立ちまして、国庫補助金あるいはその他の財政援助ということを考えることが問題として提起されたわけでございまして、いま、全般的な上水道経営という問題とあわせまして、将来の資金需要をどういうふうな形でまかなうかということを、審議会の御意見どもお聞きしているわけでございます。その辺の結論を待ちながら、私どもとしては将来の問題として検討いたしたいと考えております。しかし実質的には、せっかく創設された補助金制度でございますから、これをさらに拡充強化してまいりたいと考えております。
  11. 中路雅弘

    中路委員 先ほどお話しになりました生活環境審議会水道部会から四十六年十一月、中間答申が出ているわけですが、「水道未来像とそのアプローチ方策に関する中間答申」、これを読んでみましても、この中で「飲料水等生活用水確保は、国民生活の基盤であることはもとより、人間の生存にかかる問題であるので、その優先性を確立する」というふうに明記をされているわけですね。この中間答申を見ましても、いま読んだところにも、飲料水その他生活用水確保は、国民生存にかかわる水の問題ですから「優先性を確立する」ということが明記されているわけですし、こういう観点からも、私は、もっと積極的な姿勢でこの確保についての国の施策補助を拡充する、援助をするということが特に要請されているのじゃないかというふうに痛感するわけです。  同じ補助関係でもう一つお尋ねしますが、水質汚濁防止法の第二条二項あるいは施行令の別表を見ますと、これによって処理施設を義務づけられていますね。これは間違いありませんか。
  12. 浦田純一

    浦田政府委員 浄水場におきます排水の処理施設、これは、その設置を促進するために、補助対象として、私どもは現在整備を進めておる段階でございます。実際にこの設置が義務づけられるのは実は五十年度からのことでございまして、現在、それに間に合うように補助対象として取り入れまして、その整備を促進しているという段階でございます。
  13. 中路雅弘

    中路委員 やはり大阪の例を引きますと、汚水の処理施設をつくるのに、大阪府営水道事業費が総額八十六億八千万円になるわけです。四十七年から五十一年までの第六次拡張事業計画に組み入れてつくることにしているわけです。したがって、この六次拡張事業費の、先ほど言いました五百五十億の中に処理施設費の八十六億八千万円も含めているわけですね。これに対する国庫補助として、四十八年度は九・二%相当分がついていることになっていますが、別の資料工業用水の同様の施設を見ますと、二五%から二〇%ほどの補助がついているわけです。この点で、生活用水優先性確保するということも先ほど答申には明記されているわけですけれども生活用水のほうは九・二%しかつけない、工業用水同様施設については二五%あるいは二〇%の補助がついているという点で、私は、生活用水確保のための上水道汚染処理施設についても補助率をふやすようにしてほしいという、これは大阪府からも強い要望があるわけですが、補助率をふやすという点で考慮をすべきじゃないかと考えるのでありますけれども、この点についてもひとつお考えをお聞きしておきたいと思います。
  14. 浦田純一

    浦田政府委員 水道施設全体に対する補助の問題もございますが、このようないわば公害防止のための施設設備でございますので、この部分だけでもさらに補助の内容を充実するということもあわせまして、私どもは来年度の予算要求におきまして、その辺のところも踏まえながら、水道全体の補助金を、先ほど中間答申をいただきました精神に沿いまして、努力して増額につとめてまいりたいと考えております。
  15. 中路雅弘

    中路委員 この点は府議会のほうからも強い要望が出ているわけですが、生活用水補助が非常に低いということで、一方では生活用水の「優先性を確立する」という、こういう趣旨からいっても反するような施策がとられているわけですから、これはぜひ改善をしていただきたいと思います。  短い時間ですから、きょうはこまかくお尋ねするのはあれしますが、もう一つ、私の神奈川県の実情で、同じような問題でお聞きしたいのです。  御存じのように、神奈川県の場合は、昭和四十四年に県と横浜市、川崎市、横須賀市で合同して神奈川広域水道企業団をつくって水の確保のために努力しているわけですが、やはりこの企業団も、いま一番の問題は財源問題ですね。これで困り切っているわけです。四十四年から四十七年までの国庫補助金が、一番の大きい問題は、期待したよりもはるかに下回っている。そしてこの穴埋めのために非常に利息の高い資金を借りているので、これが結局消費者にかぶせざるを得ないというような状態にいま追い込められているわけです。  具体的な数字でこれを少し見てみますと、四十四年度、補助予定をしていました当初の予定が約一億八千万円、実際に来たのが六千万円です。四十四年度は一億二千万円のマイナス。四十五年度が、当初予定が二十五億円、実際が五億二千万円、マイナス分十九億七千万円。四十六年度が、当初予定が四十五億八千七百万円、実際に来ましたのが十六億九千二百万円、マイナス分が二十八億九千万円。四十七年度、当初予定が五十五億四千五百万円、実際来ましたのが四十七億九千九百万円。しかし四十七年度は、工事を早めるというために約二十億補正があとで入っていますから、四十七億になっているんですね。これが次の四十八年度にもし引かれるとするとたいへんなことになるのですが、しかしそれでとりましても七億四千六百万円のマイナスになる。だから、四十四年度から四十七年度まで見ますと、企業団で見込んだ国庫補助金よりも、全部合計しますと約七十億も少ないという状態になるわけです。そこで、その分を利息の高い縁故債を利用するということになりますから、これが水道料金値上げの一番大きな原因になっている。  いま実情を見ますと、川崎市でも、現在市民用一トン当たり三十六円くらいの水を、企業団の水が来る五十一年ころには一トン五十数円にせざるを得なくなるだろうということをいわれていますし、横浜市でも、いままで一トン三十八円くらいの水が、ことしから企業団の水が来ることを見込んで一トン四十四円ないし四十八円に値上げをしているというのが実情です。  そこで私は、こういう状態にどうしてなったのかということで調べてみました。四十二年の十二月二十七日に厚生事務次官通達が各知事あてに出ているわけですが、「水道水源開発等整備費国庫補助について」という通達が出ています。そして交付要綱というのがありますが、これを見ますと、「広域水道企業団をつくれば、水道広域化施設整備費補助金を、全国平均と各企業団差額の四分の一を補助する」ということがこの要綱の中に書かれているわけです。したがって、各県ではこの要綱に基づいて計算をしたわけですね。どのくらい国庫から補助がもらえるかということをみな計算をして当初予定を立てていた。しかし、実際にはこの通達、それに基づいた交付要綱どおりの四分の一の補助が来ていない。そしてその差額は、いま言いましたように、四十四年から四十七年度だけ合計しても七十億になるということで、神奈川県の場合も、企業団をつくってこの通達の四分の一の補助金計算して申請したわけですけれども、実際にはいま言ったような状態で七十億も削られた。そのために、当初一トン当たり四十二円五十銭の水が五十数円にならざるを得ないという状態になっているわけですけれども、私は、この通達を出されて、実際にこの通達どおりやられてないという点はどこに問題があるのか、お聞きしたいわけです。
  16. 浦田純一

    浦田政府委員 先生もこの通達をよくお読みいただければおわかりだと思いますが、この水源開発あるいは広域化事業に対しまする予算補助でございますが、補助金制度は、その交付の中身はいろいろと条件がございまして、結局、そっくりその事業全体にかかる費用の四分の一とかあるいは三分の一とかいうふうにはなっていないわけでございます。その点、私ども、さらに補助対象を広げるなり、あるいは実質を高めるというような努力をいたす所存でございますが、御指摘の、例にあげました神奈川県の企業団水道事業でございますが、確かに、昭和四十四年、事業発足当時は一億八千万円に六千万円といったようなことで、御要望に対して非常に下回った額しか実際上補助金交付するということができなかったわけでございますが、逐次私どものほうも、補助金ワク増加につれましてできるだけ御要望にこたえるという形で、昨年は、先生も御指摘のように、五十五億円の御要望に対して四十七億円余りというようなことで、逐次、まああとから追っかけるといったような形ではまことにおかしなことでございますけれども、私どもとしては、できるだけ将来に向かいまして、さらに、いままで実際上見るべくして見ていなかった部分がもしありとすれば、さらにその点は今後の問題として何とか考えていきたいというふうに存じております。
  17. 中路雅弘

    中路委員 そうしますと、四十七年度の五十五億四千五百万円について、この年は、いまおっしゃったように四十七億九千九百万円。いままでの四十四年、五年、六年に比べれば比較的近いのが出されているわけですが、これも、いまお話ししましたように、約二十億は補正で、工事を早めるというために出されているわけですね。県のほうでは、こういう性質のものですから、この分があとの四十八年度に引かれる可能性があるのじゃないかという心配もしているわけですが、その点は、四十八年度は四十八年度として検討していただくということになるわけですか。このあとで補正になった分は検討して、四十八年度にその分は引くというような、そういうことにはなりませんか。
  18. 浦田純一

    浦田政府委員 ただいままでのところ、企業団のほうからも、今年度の事業計画についてのこまかい、このようなことも含めました御相談はございませんが、いずれ近いうちに今年度のこまかい事業計画についての御相談があると思います。その段階でできるだけ御要望に沿うように努力いたしたいと考えております。
  19. 中路雅弘

    中路委員 いま言いましたように、たとえばこの二十億ですね。こういうものが差っ引かれてまた検討されるのじゃないかという心配も出ているわけですね。この点はひとつ、四十八年度は四十九億七千万円というのを見込んでいるわけですけれども要望に沿えるような形で努力をしていただきたいということもあわせてお話ししておきたいのです。先ほど言いましたように、県の企業団は、先ほど通達を正直に受けとめて計画を立てているわけですね。だから、いろいろ理由も述べられていますけれども国民生活に欠かせない水道の問題ですから、補助金を削ったり、事実上水道料金値上げせざるを得なくなるような、これは一そうまた住民に対する負担になってくるわけですから、その点ではひとつ、この水道広域化施設整備補助金について、県のほうは正直にそのまま受け取って、四分の一は補助がもらえるということで計画を立てているわけですから、そのように努力をしていただきたいというふうに思います。  それからこの財源の中で、神奈川の場合でも、企業債の中で非常に利息の高い縁故債が比率が高いわけですけれども、この点についても、運用部資金をもっとふやして、国として対策を立てていただく必要があるのじゃないか。神奈川県で企業団ができたときは、できるだけこの利子の高い借り入れは少なくしていく予定考えていたわけですが、四十七年度で企業債の中でのあれを見ますと、縁故債の割合が二〇%くらいになっています。そのための利息が非常にたいへんなんですね。この点でも、いまの国庫補助金通達で出されているとおり、十分こたえていただくとともに、運用部資金をもっとふやして水道料金値上げをしなくても済むような措置についても、いろいろ施策の上で配慮が必要ではないかというふうに思うのですが、この点についても一言お尋ねしておきたいと思います。
  20. 浦田純一

    浦田政府委員 何と申しましても、資金の中で一番比率が高いのは起債でございます。その起債の内容の充実といいますか改善、これは常に私どものほうからも自治省のほうにいろいろとお願いいたしまして、その改善につとめているところでございます。神奈川県のこの企業団お話でございますが、これにつきましても、これがいわば一つの新しい試み、試金石といったようなことでございますので、私どもも実はできるだけの御援助といいますか、お手伝いをさせていただいておるつもりでございますが、さらにその起債の内容の改善につきましても、今後、一そう自治省のほうとも相談いたしまして努力してまいりたいと考えております。
  21. 中路雅弘

    中路委員 これで一応終わりますが、私は最後に大臣にもお願いしたいのですが、今後のこの法改正水道環境部設置するということが第一番の問題になっていまして、水道用水需要に対する水資源確保水道事業の問題が大きい問題になっているわけですが、この行政の機構の強化とあわせてやはり行政の中身ですね。いま大阪神奈川の例だけあげましたけれども、特に大都市では生活用水確保についていまたいへんな状態になっているわけです。この点で一番の問題はやはり財源の問題ですし、国の行政の面における援助ですね。そういうものが強く求められているわけですから、私は、この水道環境部設置という機構の問題は提案されていますけれども、特にその中身の問題について、国のいま言いました、たとえば国庫補助率の問題にしても、十分のやはり努力が必要ではないかということを痛感しているわけですが、最後に一言その点について、大臣からもお話を伺って終わりたいと思います。
  22. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 すでにお述べになりましたように、最近の水資源の開発確保、これは非常に広域的にやっていかなければなりませんし、そういう非常にむずかしい問題をかかえるようになりましたので、今回機構を拡充し、計画的にそういう仕事をやっていきたいと考えておるわけでございますが、もとよりそれと相並んで、水道事業そのものの内容の改善、これをはかっていかなければならぬことは当然でございまして、必要に応じては水道法改正もいたさなければならぬと考えて検討しておるわけでございます。  それにいたしましても、最近の水資源確保ということになりますと、国家的要請に基づいた問題が非常に多いわけでございますから、どうしてもやはり国の財政負担を増額させるということが当然必要になってきておるわけでございます。私どもも今日までこうした水道補助金増額には努力をいたしてまいりましたが、今後さらに一そう努力をいたしまして、このむずかしくなった水資源確保のために力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 中路雅弘

    中路委員 これできょうは終わります。
  24. 三原朝雄

    三原委員長 上原康助君。
  25. 上原康助

    ○上原委員 提案されました厚生省設置法の一部を改正する法律案について若干の点と、それからその後沖繩の医療行政について二、三点お尋ねをしたいと思います。  すでに議論された点もあって、若干重複する面もあろうかと思うのですが、今回の改正案を見ますと、各種審議会の廃止統合ということがうたわれております。これを統合することによってどういう行政効果があらわれるのかという疑問を持つわけですね。したがって、その趣旨について若干理由などが述べられているんですが、「中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会及び伝染病予防調査会を廃止し、新たに公衆衛生審議会設置する」、このことによる行政面の、あるいはまたサービス面の改善効果が出るというお考えなのかどうか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  26. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 今回、四つの審議会を公衆衛生審議会に一本に統合することを御提案申し上げておるわけでございますが、それは、最近における疾病構造の変化等に伴いまして、公衆衛生関係の結核にいたしましても、栄養問題にいたしましても、個々の行政分野で判断するよりは、大きな公衆衛生施策全体の中で、栄養問題あるいは結核問題、そういったものを推進することが必要ではないかという考えでございまして、もちろん、統合はいたしますものの、それぞれ専門の部会は設けまして、従来の個々の審議会に相当するものはそれぞれ部会として運営してまいるつもりでございますけれども、そのほかに総合部会的なものを設けまして、そういった公衆衛生全体の流れの中で個々の具体的施策をいかにやるべきか、そういった点をねらいとしたものでございます。
  27. 上原康助

    ○上原委員 統合することによって運用効果なり医療行政改善に資するという御趣旨のようですが、まあ詳しいことはわかりませんが、むしろそれぞれの独立した審議会制度のもとでその機能を活用していく、効果的に運用していくということが、より国民にとって、あるいは行政上のたてまえからしてもいいんじゃないかという意見も強いわけですね。その点どうなんですか。特に最近の公害問題、いろんな面から考えても、むしろそれぞれの審議会というものを、ただ有名無実の形に置かずに活用していくということが、現在の状況からして好ましいのじゃないかという気もするわけですよ。
  28. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 ただいま御指摘のような御意見も確かにございまして、私どもの法案の内容につきましても、そのような立場からの意見もいろいろ伺っておるわけでございます。私どもとしましては、そういうことも踏まえまして実は御提案申し上げているつもりでございますが、私どもが原案を一応お出ししておりますけれども、そういうことを踏まえまして、今後の御審議の結果につきましては、また国会での御判断にまかせたいというふうに考えております。
  29. 上原康助

    ○上原委員 この点については、党の理事のほうからさらに突っ込んだ見解なり御意見等が出されると思うのですが、やはり四つの審議会を統合して一本化していくということに対しては、いろいろ問題が出るんじゃないかという気がするわけです。その点を指摘しておきたいと思うのです。  あと一点は、統計調査部から統計情報部へ改組をするということなんですが、これも実質的には名称の変更にしかならないんじゃないかという気もするのですが、この点についての御見解を承っておきたいと思います。
  30. 石丸隆治

    ○石丸説明員 従来、われわれの統計調査部で行なっておりました仕事は、定期的な統計の収集、集計、その報告の発表、あるいは随時行ないます各種実態調査等の集計またその発表、こういったことを行なっておったわけでございますが、近時の行政需要というものが、そのつどつど随時必要な資料要求する、こういう時代になっておりますので、一つ資料管理と申し上げましょうか、情報管理と申し上げましょうか、そういうふうに必要なつど必要な情報を得られるような体制を整備してまいりたい、こういうふうに考えております。
  31. 上原康助

    ○上原委員 確かに電子計算機を利用した各種の情報の整理、分析を迅速に行ない、その結果を行政面に反映をさしていくためだということですが、しかし実際には、いまの統計調査部を充実することによっても、この程度のことならしろうとで考えてもできることであって、必ずしも情報部へ改組する十分な重大な根拠にはならないんじゃないかという気もするのですね。その点いかがですか。
  32. 石丸隆治

    ○石丸説明員 すでにわれわれのほうにおきましても、使用いたしております電子計算機を、ただ単にその計算能力のみでなく、電子計算機の記憶能力を活用いたしましてある程度のそういった面の仕事も実施しておるわけでございますが、今後またそういう方面の仕事が非常に増大するであろうというようなことを考えまして、名が体をあらわすというような意味におきまして新しい体制をつくってまいりたい、こういうふうに考えて、この名称の変更をお願いしたわけでございます。
  33. 上原康助

    ○上原委員 これでも、どれだけの効果があるのか、あるいは改善されるのか予測できませんが、ただ名は体をあらわすというようなことでは、ちょっと疑問を持っているという点を指摘しておきたいと思うのです。  次に、これは最初に大臣にお尋ねしたいのですが、いろんな委員会でも取り上げられていることだと思いますが、厚生省が去る二十四日に、例の魚の水銀汚染問題で許容量の基準を発表したことによって、たいへんに社会的混乱を招いておるわけです。しかも、二十四日に発表して、二日後にはまた訂正をするというような行政上の混乱といいますか、かえって国民の公害、水銀汚染問題に対する不安というものを、かり立てたといったら語弊があるかもしれませんが、増大させた結果になっているし、そういう意味では、私はきわめて重大な問題だと思うわけです。厚生省として現在の国民の不安というものを一体どう除去していかれるのか、その点についての確固たるお考えなりをお聞かせいただきたいと思うのです。
  34. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 御承知のように、最近第三水俣病といったふうなことが指摘を受けたり、そのほか農林省においてPCBによる汚染の魚がたくさん出ているとかいう発表がございました。そういうようなことで魚に対する不安が出てまいりましたので、環境庁を中心にもろもろの施策を検討いたしてまいったのでございますが、魚の水銀含有についての安全基準をひとつ厚生省が引き受けてやってもらえぬか、こういうふうなことになりまして、私どものほうでは、椿博士その他水銀に関する大ぜいの専門の学者の諸君にお集まりいただいて、安全基準を設定することといたしました。アメリカなどよりも相当きびしい安全基準を設定いたしたわけでございます。すなわち、それが総量規制で申しますれば〇・一七ミリグラム、さらにまた魚についての濃度の規制ということになりますと〇・三PPM、こういうことにいたしたわけでございます。  そこで、魚の濃度についての〇・三PPMということは、非常に科学的、学問的な話でございますが、それはどういう意味かと申しますと、〇・三PPM以上に汚染されておる魚は市場に出さないことにしましょう。すなわち排除せらるべき汚染魚の濃度を〇・三PPMに置く。したがって、〇・三PPM以下の魚ならば国民は安心して食べてもいい、こういう排除せらるべき魚の汚染の度合いをきめ、同時にそれが、裏表で申しますれば、国民が安心して食べられる魚の濃度は〇・三PPMだ、こういうことがいわゆる基準というものの意味であります。  そこで、その当時の発表の際に、例のアジ何匹とかいう献立表を出したのですが、これは一応未定稿として局のほうでその資料をクラブのほうに配ったのでございますが、その意味は、〇・三PPM満度まで汚染されておる魚でもこれだけ食べてもけっこうなんです、安全なんですということの意味なんでございます。ところが、こちらの説明もあるいは不十分であったか、あるいは新聞の中ではそういう前提条件を大体文章の中には書いてくだすっているようですが、書いてない新聞もあるというふうなことで、見出しでばっとアジ何匹、こういうふうに出たものですから、何かもうアジはこれ以上食べてはならぬのだといったふうな誤解を与えた。その点については、私どもの説明が不十分であったことは反省をいたしておりますが、これは科学的な一つの前提を置いての数でございます。  ところが、その二、三日あとでございましたか、漁業関係者の団体が環境衛生局長のところに来たときに、魚はそんなによごれていませんよ、もっと食べられるのじゃございませんか、こういう話になったわけです。そこで実際の汚染度はどのくらいかということが問題なんです。すなわち、先ほどの基準というのは、〇・三PPMまでぎりぎり汚染されている魚でもこれだけ食べられるのですというのが、安全基準というものの科学的な説明なんです。ところが、その説明が十分でなかったという点もあります。そこで、実際はどの程度かといいますと、御承知のように、昭和四十五年から四十七年の三カ年にかけて、環境庁、厚生省でおもな海域の魚を調べたことがございます。それはもちろん完全な資料でないかもしれませんが、その実績を見ますと〇・〇八PPM、これが平均でございます。これは実績なんです。実績は〇・〇八PPM、こういうことなんです。ですから、そうなると〇・三PPMが限界でございますから、〇・〇八PPMきりよごれてないとすれば、魚はその四倍近い三十何匹食べても差しつかえない、これは実績の上の数値でございます。したがって、私どもは終始一貫——これは二転、三転とよくいわれますが、二転、三転何もしてないのです。ただ数字の説明のしかたが多少不十分であり、国民にその見出しだけがぱっと出るものですから、その見出しでアジは十二匹しか食べられないのか、とたんに今度は三十何匹食べられるようになったのかという誤解を生ぜしめたことは、私も遺憾といたしておるわけでございます。  しかし、そこで問題は、こういうことは科学的な問題でございまして、国民には、何PPMよごれていて、その魚を買うときに、〇・四PPMの魚なら青くなって〇・一PPMなら白くなるなんて、色を見たってわかりません。そこで、こういう科学的な議論は別として、今度はすなわち対策ですね。行政対策としては、こんなことばかり言ったって国民には一つもわからぬことでございますから、行政としてはどうするか、結局一言でいえば、汚染のおそれのある魚は市場に出さないということだと思うのでございます。汚染されておるおそれのある魚は市場には出さない、これ以外に方法はございません。そこで、この汚染されておる魚の問題についての国の施策としては、すなわちこういうことをやるのでございます。まずさしあたり汚染のおそれのあるといわれておる九水域でございますか、この水域について監視体制を厳格にしいて、そして検査をするためには、これは科学的なものでございますから、相当精密な機械を整備しなければなりません。そこで、その九水域についての産地市場において専門の人をそこに常駐せしめまして、そしてその検査をする機械も国の予算において整備してあげましょう、その九水域を所轄する県の衛生試験所にこういう機械を整備いたしましょう、そしてそういう県には専門の方々がまだ十分そろっておりませんから、たとえば東京とか大阪、そういう府県には相当専門家がおりまして、小さな県にはいない。そこで、それじゃよその県から専門家も応援してあげましょう、こういうものを計画して実施する。そうしてそこの地域において、〇・三PPM以上の汚染をされておる魚があれば市場には出しません、こういうことにすれば国民は安心して魚が食べられるということになるわけでございます。  そこで、いま申し上げましたような監視体制を厳格に行なうということについて、先週、関係府県の衛生課長を招集いたしまして、水産部と衛生部が十分に打ち合わせをした上で、汚染のおそれのある魚が今日までとれたといわれておる海域における産地市場について、この監視を厳格に行なうという措置をいま準備をいたしております。大体この十日から十五日の間に全国九地域一斉に汚染魚についての科学的な検討を加える、それによって汚染のおそれのある魚は市場には出さないということにいたしておるわけでございます。  それと同時に、東京大阪の魚市場におきましても、東京都、大阪府衛生試験所においていま専門的に検査をすることにいたしました。東京では、先般、東京市場に流れておる魚の検体をいたしましたところ、ほとんど〇・一PPM以下、あるいは〇・一をちょっとこしたものもある、こういうのが第一回目の検体の状況でございますから、もちろん、東京においてももっと検体を続けさせることにいたしておりますが、その実態を公表して、東京都の市場に入ってくる魚は心配ないならないということを明らかにしていく考えでございます。大阪においては、たぶんきょうあたりから魚市場における検体を開始しておるはずでございます。すなわち、PPMと言いましても国民にはわかりにくいわけでございますから、色でわかるわけでもなし、形でわかるわけでもございませんから、要するに国の責任において汚染されておる地域の監視体制を厳格に行なって、汚染の疑いのある魚は一匹も市場には出しません、こういうことを国の施策として行なっていくという考えでございます。  しかしながら、総合的に考えてみますと、私ども厚生省はそういう仕事を分担するわけでございますが、さらにまた、根本的に申しますならば、水銀関係工場については、水銀が海に流れないように汚染源を断ち切る、これがやはり一番大事なことでございます。これは環境庁が中心になって、通産省あるいはその他と連絡をとりながらクローズドシステム化を行なう、こういうことが大事になってくるわけでございます。あるいは今日まで売れなかったといったようなことの補償問題こういうことは農林省、水産庁が責任をもってやる、こういうことになろうかと思います。私どものほうとしては、汚染魚というものについて科学的な分析をいたしましてこの結果を発表いたします。想像でやっては国民は不安を持ちますから、数字を発表いたしまして、どこどこの海域ならばこういう状況です、こういうことによってやっていくことが一番適切である、かように考えておるわけでございます。
  35. 上原康助

    ○上原委員 いま大臣のほうからその経緯についていろいろ御説明があったわけですが、まあ実際にはそういうことかもしれません。もちろん、私も公害問題はしろうとですので、新聞に出ているいろいろなことでしか理解しておりませんけれども、ただ国民に与えたショックというのは、これはぬぐいがたいものがあるわけですね。そしてある意味では、反響が大きかったがゆえに数字をあわてて訂正をしたんだという批判のそしりも免れないと思うのです、率直に申し上げて、おことばを返すつもりじゃございませんが……。  いま新聞のことをだいぶ言っておられますが、新聞最初に十二匹と書いたわけじゃなくて、出された数字がそうだったから新聞がそういう報道をしたと私は思うのですね。そういうことは、事、公害に対してこれだけ問題になっている状況下で、二十四日の厚生省の発表というものは、あまりにもずさんじゃなかったかという気が私はするわけです。その点、いろいろまた厚生省としてのお立場もあろうかと思うのですが、ただ、そういった現象面のことだけでは、いまの国民の魚汚染あるいはその他の公害問題に対する心理的な不安、ショックというものは私は取り除くことはできないのじゃないかという気がするのです。  ちょっと余談になりますが、東京都内、実はいま選挙などもあってあちこち歩いているのですが、車をとめられて、お魚屋さんはほんとうにもう商売上がったりだ、一体どうしてくれるのだ、これは党派の別じゃない、生活の問題だということをきつくわれわれにもいろいろな意見を言いますし、強い口調で政府なりいまの政治のあり方、政治家に対する不信というものを述べておられるわけですね。そのことが昨日のいわゆる全国的な海産物を扱う大会ですか、そういうものに発展をしてきているんだと私は思うのです。  そこで、汚染のおそれのある魚、いわゆる環境庁と相談なさって指定した九地域からの魚については、汚染の疑いのあるものについては市場に出さないのだということですが、それを実際に検査していくというのもたいへんな陣容が要るでしょうし、あるいはその器具、科学的な装置の問題等もあると思うのですね。そういう面を早急に体制を整えて、いま大臣おっしゃるように、国民の不安というものを取り除かないとどうにもならないというのが当面の問題だと思うのですね。  いま一つは、これは厚生省だけのことじゃないと思うのですが、何といっても汚染した魚を消費者にいかないようにする、市場に出さないということも肝心なんですが、問題は、その魚を汚染している元凶は一体何かという、その元凶をなくしていくということが私は根本的な問題だと思うのです。そういう当面の問題と、あるいは中期的にやるべきこと、長期的に政策的転換というものをはかっていくことをまずやっていただかないと、国民の食主活というものがずたずたにされていく。この責任は私は大きいと思うのですね。ですから、十日あるいは十五日ごろには大阪東京中心に科学的な検査をやるのだということですが、はたして二十六日に訂正されたいわゆる献立表といいますか、これはだいじょうぶなんですか。間違いないという安全宣言といいますか、それを政府の立場で科学的にできるわけですか。
  36. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 訂正したわけでも何でもございませんで、最初の〇・三PPM限度まで汚染されている魚でも、お持ちの資料でございましたらおわかりいただけると思うのですが、限度まで汚染されている魚ならば十二匹までは安全だ、こういうことです。そこで、四十五年と四十七年の間の三年間の実績は〇・〇八でございました、それをこの安全基準に合わせますと何匹になります、こういうわけなんです。ですから、どっちもこれは正しいのです。そこは説明をよく読んでくださればよくわかるのです。〇・三PPM満度まで汚染されているならば何匹、実績はこうなっております、こういうわけですね。ですからそうなれば、〇・〇八きり汚染されていなければ四倍近い魚がいいということになるわけです。これは科学的な算数の問題です。しかしながら、こういう算数の話を議論していても国民はわかりません。それから四十五年から四十七年という二年ほど前の資料でございますから、その後変わっているかもしれません。そこで、現実に今度はもっと精密な、厳格な検査をいたしましょう、こういうことを申し上げているのです。私のほうは何も二転、三転をしているわけじゃないので、そういう科学的な数字でこうなっております、こういうわけなんです。ですから、きのうの朝でございますか、水銀の専門家である上田博士ははっきり言っております。一つ数字は間違っていないのです、〇・三PPMというそれが基準なんです、それならそうなるのです、ただ、そういう詳しい説明が新聞に書いてあるのもあり、書かぬのもありた、そこで見出しがちょっとまずかった、こうはっきり言っているのですね。見出しだけがばんと出ますから。そこで、国民はこまかくも読んでいませんでしょうし、それから、それを読んでもなかなか理解がしにくいと思うのです。ですから、そういう意味において、私どもも説明はまずかったという反省はいたしておるわけでございます。しかし、幾らPPMの議論をしましても、国民には形でわかりませんし、色でわかりませんから、一番いいことは監視体制を厳格にしく。これは行政の面です。  そこで、私がいま申し上げましたような機械の整備、あるいはいろいろな経費、それについてはいま大蔵省と予算の折衝をしておりまして、これは予備金支出をいたしましょうという話し合いをつけておるわけでございます。その金がもうすぐきまります。そしてこの金は一斉に関係府県に流しまして、十日から十五日の間に全国一斉に九地域の検査を始める、ここまで準備が整ってきたわけでございます。
  37. 上原康助

    ○上原委員 最近はフィーリング時代で、新聞も見出ししか読まないのですね。選挙だって、自民党が勝ったか社会が勝ったか、それだけしか読まない。あとの票数なんかあまり気にしないのです。そういうことがますます不安をかり立てている大きな原因だということ。これはしかし、いま大臣がおっしゃるように、四十五年から四十七年の三年の基準をとると二十六日に発表したようなかっこうになるわけですね。しかし、いま食べている、市場に出回っているお魚というのは、最近とったお魚なわけでしょう。それは先ほど東京大阪での検体の検査をしてみても〇・一PPMだった。もしそれが事実であるとするならば、そのことに対して、やはり科学的な安全宣言というものを即座にやるべきだったと思うのですね。やらないものだから、二十四日にああいう発表をされて、二十六日にまたこうだ、しかもそれは去年から過去三年の安全基準を基礎にしたということになると、そこにやはり国民の不安というものが取り除かれない一つの原因というものがあろうと思うのですね。その点について、ぜひ早急にもう一度政府の確たる安全宣言というものをやる必要があるということです。  それと、あと一点お尋ねをしておきたいのですが、これは報告でいいのですが、マグロをはずしたのはどういうわけですか、最初段階においてもあとのほうも。むしろマグロのほうが水銀の含有量は高いのだというのがいろいろな面で報道され、いわれているのですが……。
  38. 浦田純一

    浦田政府委員 マグロはすっかりはずしているということではございません。先ほど大臣から申し上げました、いわゆる許容摂取量一週間〇・一七ミリグラムの範囲内で考えるということは、これははっきりしているわけでございます。しかしながらマグロは、確かに先生指摘のように水銀をかなり含んでおります。この水銀はいわば天然に由来すると申し上げてもよろしいものでございまして、百年前のマグロを分析された結果も出ておりますが、そのときの水銀量も現在のマグロの水銀量もほとんど変わっていないということでございまして、これは特定の汚染源、人工汚染に由来するというよりも、天然に含有されているというふうに見るのがいいのではないかというふうに考えられます。そして日本人も古来何百年とマグロを愛好してきているわけでもございますし、そういった点から申しまして、むしろ規制値というもので取り締まるよりも、総量規制の〇・一七ミリグラムの範囲内で、各自この点は食生活の上で御注意いただくということで十分でないかということは、これは専門家の会議のほうの御意見もございまして、私どもはその考えに従ったのでございます。
  39. 上原康助

    ○上原委員 そういう専門家の意見もお聞きになって、マグロを、除外というよりも〇・一七ミリグラムですか、までの限度ならいいのだということですが、しかし実際には、もうマグロを食べるのを遠慮するという現実なんですね。そこをどうするかというのが、もうこれは科学的な数字をどうのこうのということではなくして、国民の不安除去というものが現段階における行政当局として最もやるべきことだと思いますので、そういった面を含めて、先ほど指摘しましたように、魚の汚染度の危険に対する安全性というもの、科学的な根拠のある発表なりをやらないと、ますます国民の不安というものは除去されない。そして、単に国民の消費的な面だけではなくして、これから波及してきている経済的な混乱も大きいわけです。そういうことを考えるならば、いま御答弁あるように、国民に与えた影響、ショックというものはそう簡単なものではないと私は思うのですね。その点をぜひ十分御理解をいただいて、私が申し上げる以上にやっておられるかもしれませんが、あらためてその不安の解消ということと同時に、汚染の根源をなくしていくという対策をやるべきだということを申し上げておきたいと思うのです。  それで先ほど、先週水産部と衛生関係者の全国会議を持ったという御答弁でしたが、この会議には沖繩県からも参加したのですか。
  40. 浦田純一

    浦田政府委員 先月の二十九日に環境庁で全国の担当の課長会議を行なっております。それに引き続きまして、厚生省としては食品衛生の担当の課長会議を行なっておりまして、それは全国の課長さんを呼んでおりますので、沖繩も当然入っております。あと引き続き行なわれました関係県の担当課長会議におきましては、いわゆる問題の水域を中心とした課長さん方にお集まりいただきましたので、この際は沖繩の課長さんは含まれておりません。
  41. 上原康助

    ○上原委員 お魚の汚染の問題は、ある意味ではいま本土のほうがむしろ不安というのは強いかもしれませんが、しかし沖繩現地においても、いろいろ報道されている面からしますと、水銀が検出をされたということもあるわけですね。さらにマグロにしても、沖繩のほうで直接加工しているのもある、保存しているのもある、そういう面に対しての検査体制というのがどうなっているかということ。もちろん第一義的には県側の仕事であるということは理解をします。しかし、魚はほとんど本土から、冷凍ものにしても、移出といいますか、相当量移入されている現状なんですね。で、懸念されることは、先ほど大臣もおっしゃるように、しろうと目に見ては、それは汚染されているのかどうなのかわかりませんよね、これは実際に検体調査をやってみないと。ややもすると汚染されたものが冷凍になり、沖繩だけじゃなくして地方に流れていく危険性も、私は十分あると思うのですね。そういった面の防御対策といいますか、対策も必要じゃないかと思うのです。その点について、特にいま対策をお立てになったことがあるのか、あるいはまたどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 浦田純一

    浦田政府委員 汚染されているおそれのある魚のとれる海域は、実は私どもの過去の調査でございますと、かなり限られておる海域、水域になっております。したがいまして、今回検査体制をしいて、汚染された魚の市場へ出回ることを防ぐというその体制は、いわば水ぎわ作戦と申しますか、産地の市場における魚介類を検査して、そして水ぎわでもって汚染されておる魚は排除していく。さらにこれを追ってまいりまして、これは水産庁のほうにお願いしなくてはならないことでございますが、特定のそういった水域というものをだんだんに詰めていく、そして抜本的には、工場の排水、あるいは工場の工程そのものまで水銀に関係のないようにしていただくということになるわけでございますが、こちらのほうといたしましては、その水ぎわで、汚染された魚があがらないようにしていく。またさらに、これはいわばダブルチェックという考え方でございますが、消費者のほうの市場、東京あるいは大阪等、そういった主要な市場における検査は、いま現に東京はもうやっておるわけでございますが、この検査をすることによって最後のチェックをするということでございまして、したがいまして、これから先、消費者の方々、国民の方々は、この魚は水銀が何PPM入っておるとかいったようなことを全然考えなくて安心して買える、安心してまた食卓にのぼせることができるというふうにする、その体制を確立しようということで、先ほど、六月二十九日に具体的に指示し、現在準備を進めているということでございます。
  43. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、現在の段階では、いま水ぎわ作戦という、いわゆる大手の魚市場における検体をやって、それが消費者のところにいかないようにする対策考えている、各都道府県なり地域における検体調査といいますか、実験というのはそれぞれの県で、地方でやらせる、そういう対策を講じさせるというのが、先ほど二十九日に開かれた全国関係会議ということですか。
  44. 浦田純一

    浦田政府委員 原産地と申しますか、関係の水域、そこからあがってまいります魚、その行くえをずっと追いまして、すべてその魚が市場に出回らないようにするにはどうすればいいかという作戦を立てます。それは産地市場、たとえば有明海なら有明海の沿岸に何カ所かそういった市場がございます。そこに水揚げされるわけでございます。そういった水揚げされた段階で検査をするということでございますから、それ以外の海域からあがってくる魚につきましては、これは御心配ないわけです。したがいまして、これは常時の検査ということを産地市場でする必要はございません。問題の海域における検査を確実に行なうということによりまして、沖繩県も含めまして一般市場に出回ります魚からは、水銀のことに関して全然御心配いただかなくてもいいという体制をとったということでございます。用心のために、さらに消費者の市場でもってダブルチェックといいますか、そこでも検査をいたします。これは用心のためでございます。
  45. 上原康助

    ○上原委員 一般の市場に出回るのは全然心配がないという御答弁ですが、やはり沖繩県でも冷凍魚から水銀が検出をされたという報告もあるわけですよ。いまおっしゃるように、そう国民というのは、地方を含めて、だいじょうぶだ、汚染されていないんだということだけで魚に手を出すという状況じゃないと思うのですね。ただ、指定された九地域の魚だけが汚染されている、それさえチェックをすればいいんだということではいかないと思うのです。そういった魚に対する不安というのは、もう全国的に深刻なものがあると思うのですね。そういう意味でも、特に地域に対しても、ある意味では、中央は科学的に分析をしチェックをする対策は整えられるかもしれませんが、場合によっては抜け穴があるわけですからね。そういう面から地方に汚染された魚が出回らないとも限らない。私は、その対策も含めて考えるべきだと思うのですよ。     〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 その点に対する対策というのは、全然いまの段階では考えていらっしゃらないわけですか。
  46. 浦田純一

    浦田政府委員 いま出回っておる魚自体がどういう状況にあるかということは、先ほど大臣が申し上げましたように、実は最近のデータは東京都の調査結果以外にはないわけです。四十五年から四十七年までの過去のデータで申し上げているわけでございます。したがいまして、私どもは、この魚が安全である、この魚が基準以下であるということを申し上げるのには、実は証拠が要るわけでございます。そういったことで、とりあえずは問題水域の産地市場における検査をやる、そしてその結果を公表することによって、実際に消費者の皆さまにおわかりいただく形でもって、基準値以下である、安心して魚が食べられる、こういうふうなことをはっきりといたしたい、申し上げたいと思っておるわけでございます。  それから、ただそれだけで終わりかというと、そうじゃございませんで、実は問題水域につきましては、これは環境庁が中心になって進めております水銀等汚染対策推進会議におきましてきめられたことでございますが、問題水域は九月末までに徹底的に調査をするわけでございます。さらに、これと並行いたしまして、全国的に微量重金属あるいはPCB等の調査をやりまして、その結果に基づきまして抜本的な浄化作戦といいますか、そういったものを進めていこう、こういったことになっておるわけでございます。したがいまして、とりあえず、実は問題水域の環境調査の結果がまとまりますのは九月末でございます。それまでの間待っておれませんので、厚生省の立場からは、産地市場における検査体制を早急に発足させる、そして証拠をもって国民の皆さま方に御安心いただく、こういうことでございます。
  47. 上原康助

    ○上原委員 九月末というとまだかなり期間がありますし、いずれにしても、当面は汚染水域を重点的に対策を講じて、全国的な対策も並行して進めていかれるお考えだというふうに受け取っていいわけですね。
  48. 浦田純一

    浦田政府委員 環境庁の水質保全局長も来ておられますので、そちらのほうからお答えいただいたほうが適当かと思いますが、私も対策推進会議の一員でございますので、便宜お答えいたしますが、全国的な調査は並行して進めるわけでございます。別途に、魚の問題は別でございますから、御安心いただくように産地市場の検査、流通市場における検査、これを早急にやっていく。現在すでにこちらのほうからの指示で東京都はそれを始めたわけでございますが、これを問題水域、さらに主要な市場、流通市場におきましての検査を進めていく、こういうことでございます。
  49. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ早急にそういった体制といいますか、科学的な調査なり国民の不安を取り除くことを進めていかないと、私は最初にも申し上げましたように、そうなまやさしい状況じゃないのじゃないかということを感じますので、その点あらためて御要望申し上げておきたいと思います。  次に、これは沖繩県の問題になるのですが、これまでも何回か、沖特あたりでも、あるいは本委員会でもお尋ねをしてきたのですが、復帰後の医療行政、医療体制がきわめて不十分といいますか、県民に大きな不利益、不便を与えている。そのことについてはもうあまり多く申し上げるまでもなく御理解をいただいているかと思うのです。最近の状況はどうとらえておられるのか。せんだって沖特でしたかでお尋ねした場合も、救急医療の医療体制の問題を含めて、政府としてもできるだけの努力をなさるということを四月二十日でしたかの委員会で御答弁をしておられるわけですね。現在の状況に対する認識というものは、厚生省としてはどういうとらえ方をしておられるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  50. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 沖繩の復帰後の医療の問題につきまして、たいへんわれわれは大きな問題を感じておりますが、その主たる原因は、復帰後いわゆる国民皆保険の本土並みの実施が、国保その他を含めまして県民の九十%に健康保険制度が急速に普及いたしましたことに伴いまして、従来、県民が医療を受けるのに経済面その他からいろいろ配慮があったものが、確かに率直にいって、健康保険の実施によりまして医療が受けやすくなる、こういうことで、最近沖繩の衛生部長あるいは医師会長ともお会いしまして実情をお聞きしますと、復帰前の数倍の患者が押しかけて、各医療機関は朝から行列をなしておるというようなお話を聞きまして、各個人の医療機関がほとんど公的な救急医療その他にタッチできていない、それに携わることができないという非常に困難な状況である。そのときにたまたま、先生も御存じのように、日赤あるいは那覇の県立病院等が運営方針が変わったために、中部病院に救急患者が集中して集まるということで、あすこにインターンあるいはレジデントの若いお医者さんも相当おるのですけれども、ほんとうに音をあげてしまったというような状態がございまして、実は四十七年度予算で、沖繩県の御要望によって、旧那覇の県立病院のあと地、いわゆる琉大の付属病院に移ったあとの那覇病院のあと地を救急医療のセンターにするということで、補助金を約五千万用意いたしましてその設置を急いでいただいておりましたけれども、ようやくそれが本年の六月一日から業務を開始することができるようになりまして、市民の大部分が期待する内科的、一般的な、特に子供の病気が多いわけでございますが、そういう一次救急医療が開業医ではほとんどできなかったので、全部中部病院に集まっておったその一次救急が、ようやく那覇の救急センターの六月一日からの店開きによってやや整理がついて、そして重い二次救急患者だけが中部病院に回されるというふうなことで、やや落ちついたというふうに私たちも判断いたしております。しかしながら、開業医の先生方の状況は、保険の請求事務の不なれその他からたいへんな状況にございますし、また琉大の付属病院も、現地の御要望によりまして救急診療部を設けまして、週一回だけは救急時間外の診療に応じておるというようなのが、現在われわれが理解しておる、特に救急医療に象徴されます沖繩医療の実態でございます。  しかしながら、このようなことは、沖繩の医療機関あるいは医療従事者の数が本土の香川県等と比較しても約二分の一という状況でございますので、全くこの沖繩の医療問題は、本土からの応援、派遣医師等を含めましても、まだまだ体制の整備はこれからの問題でございまして、近く国会が終了次第私のほうの担当の総務課長を沖繩に派遣いたしたいというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、医療機関の設備もまだまだ増強しなければなりません。したがって、県立の公益救急センターあるいは僻地医療担当の県立病院を、さらに中部病院以外に新たに設置する意向を承っておりますので、これをできるだけ促進すると同時に、国立の医療機関についても設置方を検討いたしたい。従来、国立については結核、精神等を受け持つという方針でまいりましたが、それも当然のことでございますけれども、看護婦の養成を含めた一般の医療機関としての国立の設置についても検討いたしたいというふうに考えておりまして、要約的なお答えでございますけれども、現在の沖繩の医療に対する認識は、以上のようにわれわれは考えておる次第でございます。
  51. 上原康助

    ○上原委員 いまお答えありましたように、確かに去る六月一日から一番問題になっておりました救急医療体制が、旧那覇病院に一時的に民営公設というような形でできているわけです。それはあくまで当座のしのぎでありまして、これで事足れりということではないわけです。もちろん政府もそうはお考えになっていないと思うのです。  そこで、沖繩のいまの医療行政、医療供給体制というものを本土並みに持っていくのには、全体が僻地であるというようなことを考えてみると、本土並みに持っていくにはそう簡単にはいかないと思うのです。なぜならば、アメリカのああいう軍事優先政策のもとで、確かに県側の医療行政に対する取っ組みもいろいろ指摘をされなければいけませんし、私はすべてが日本政府だけの責任だとは申しません。しかし、基本的な問題というものをどう政府が手当てをしていくか、対策を立てていくかということを、もう少し真剣にお考えになっていただかないといけないと思うのです。これも公害対策も、すべての問題そうでしょうが、やはり、当面の問題あるいは中期的にできる問題、長期的な十年計画なり七、八年計画、そういう基本政策というアプローチというのが残念ながらあまりないのではないかという気がするわけです。  ですから私がお伺いしたことは、確かにいま御答弁ありましたように、一番問題になっておった救急医療体制は、これもまだ一次患者だけ那覇でやって、あとの二次、三次患者というのは収容する施設はないわけですね。依然として中部病院に運んでいる現状なんですね。ことばの上でいうと、ただ応急手当てをするだけが救急かもしれません。しかし患者によっては、どうしてもその場で入院加療をしなければいけない者もあるわけでしょう。そういう施設は、人口の七%を擁する宜野湾から那覇南部にかけてないわけでしょう。しかも那覇からにしても中部病院までは五十キロある。糸満からですと六十五キロぐらいある。当面そういうことがあったので、ようやく那覇医師会なりあるいは県当局、そして政府などとも話し合って救急医療体制というものは整備されたわけですが、これだけで事が済んだわけでないわけです。しかも医師会との契約というのは一年でしょう。この一年に県としても国としても抜本策を打ち出さないならば、また問題を蒸し返す結果になるということは医師会も強く指摘しているわけです。ですから、当面どうするかということ、それには医師の問題があるし、看護婦の問題もあります。これはまた長期的に養成をしていかなければいけない問題でしょう。そういうようなことをいろいろ考えました場合に、政府が沖繩の医療行政に対する基本施策というものをどう立てるかというのが私は一番大事だと思うのです。  これは、いみじくもけさの朝日新聞にも社説で「医療供給体制の整備を急げ」ということで、ざっと読んでみたんですが、何か厚生省が五カ年計画をまとめた、救急医療体制あるいは夜間の救急医療、そして祝祭休日の医療は東京都でも問題があるのだ、僻地、山間地に行くとまだ五〇%にも足りない面もあるということなんですね。そういう全国的な視野から考えると、沖繩だって一県じゃないのか、同じじゃないのかということになるのかもしれませんが、しかし、ここで指摘をしている五〇%の半分しか沖繩の医療供給体制は備わっていないということ、まずそれをどう整備をしていくかということを考えなければいけないと思うのです。ですから、私はぜひ大臣にもお尋ねしたいのですが、一体、本土並みに持っていくとか、そういういろいろなことが指摘をされて強調されてきたわけですが、具体的に政府としてどういうふうに医療供給体制、医療行政というものを、大きくいえば社会保障全般の問題になると思うのですが、それをやっていかれる計画があるのかどうか。その点をまず明らかにしていただいて、若干具体的な問題にも触れてみたいと思うのです。
  52. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 医療供給体制を整備することは目下緊要な問題でございます。この医療供給体制を確立するにあたりましては、病院と診療所というものの責任分担を明らかにすることを前提といたします。それを分担を明らかにし、その基礎の上に立って国公立病院等と総合病院を中核とし、それに付属的に専門病院、がん、成人病あるいは小児医療、こういったふうな専門的な病院を総合的な病院に惑星的に配置をして、そしてそれが本土で申しますれば、広域市町村圏を単位としたそういうものを整備いたしまして、一つの医療広域地域、こういうものを中心として、いま申し上げましたような医療施設の体系的整備をはかり、同時に、問題になっておりまする救急医療の問題、無医地区の問題こういう問題に取り組んでいこう、こういう考え方が基本的な考え方でございます。すなわち、広域的な医療地域というものの中における病院、診療所等の責任分担というものを基礎の上に立てた、総合的病院を中核としたそれぞれ必要な専門的な病院を配置し、そしてあわせて救急医療の問題夜間、休日の医療の問題、さらに無医地区医療の問題、こういう問題を広域地域ごとに具体的にきめていく、こういうやり方をいたそうというのが今日までの考え方でございまして、これは日本の全土にわたりまして地域的な計画一つ一つ立てていく、その計画を今後五カ年の間に整備しましょうということで、先般きめられました経済社会基本計画、その中で御承知のように、振替所得を六%のものを八・八%まで上げる、こういうふうな予算の裏づけをもちまして年次別な計画厚生省が責任をもって立てよう。いまその懇談会をつくりまして、各界の代表にお集まりいただいて、この具体的な年次別計画を御審議いただく、こういうことの段階になっておるわけでございまして、この案がおそらく八月一ぱいくらいまでにはでき上がるでございましょうから、それに基づいて昭和四十九年度においてやるべきものは何、五十年度にやるべきものは何、こういうふうに年次別な計画をきめていく。それによって、今日までおくれてまいりました医療供給体制の整備を体系的につくっていきたい、こんなふうに考えておるわけでございまして、沖繩ももちろんその中で十分考えていかなければならぬ問題でございます。
  53. 上原康助

    ○上原委員 この基本計画で体系的に全国的に整備をしていかれる。その中に沖繩ももちろん包含されると思うのですが、それは一応前提としても、具体的には沖繩に国立総合病院の設立、設置というものをお考えになっているのかどうか。いま県側としても、県立の総合病院をどうしても宜野湾以南に設立したいという計画も準備をしているということも聞いているわけですが、私は、現在の沖繩の財政状況なり医療行政からして、やはり国立の総合病院があってしかるべきではないかと思うのですね。ああいう救急医療体制さえできない状態においては、県側の責任というものももちろんあるでしょうが、国で抜本的に医療供給体制を整備していくという施策を打ち出さないと、結局県側だけではどうにもならない、ますますおくれをとるんじゃないかと思うのです。  先ほど答弁ありましたように、なぜ民間医療が救急医療なり夜間医療ができなくなったかといいますと、従来は現金給付であったものが現物給付に変わって、多くの人々が潜在患者であったわけですが、現物給付に変えた今年の一月から急激に病院を訪れる、あるいは診療所を訪れる患者がふえたというのが大きな原因なんです。そういう医療の需給度が高い地域において国としてどう対策を立てていくのか、医療サービスをしていくかということを考えた場合に、当然、いま大臣の御答弁がありました基本構想の中に、国立総合病院の設置ども含まれてしかるべきじゃないのかという気もするのですが、その点についての具体的なお考えなり方針はお持ちじゃないんですか。
  54. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題につきましては、実は本土復帰の際に医療機関を国立に移しましたのは、ハンセン氏病の二つの療養所と、県立の結核と精神の療養所が金武にございますが、あの二つを国立に移しました。そして金武にございます結核と精神の療養所を、宜野湾のほうに敷地を確保いたしまして、そして移転して増床し、若干一般病院を加えて国立施設にしようということで、四十七年度で敷地の買収がほぼ完了いたしました。宜野湾に当初二万坪程度ほしかったのでございますが、やはり実際に買収してみますと、地元の御協力もだいぶいただきましたが、約一万五千坪程度の確保ができたわけでございます。  ところが一面、金武村にございますところの結核療養所あるいは精神療養所は、実は民有地を借り上げておるというような実態でございまして、それが県立のものが国立に移ったわけでございますが、地元の皆さま方、村民の方々が、あそこに医療機関があること、あるいはそういう土地を貸借している関係もあり、総合的に、かなり政治的にも結核療養所、精神療養所は金武村に残してくれという声が非常に強い。また一面、いま先生の御指摘のように、国立の総合病院というものがむしろ沖繩の医療体制を充実する上には必要じゃないか、しかも教育病院的な機能まで持たせるべきだという声も起こり、また私自身も医務局を担当してから、むしろそのような気持ちのほうに強く傾いておるわけでございまして、当初の計画の結核、精神の問題を金武村においてどういうふうに充実し、そして宜野湾の一万五千坪を総合病院として方針を変えて整備するか、この問題については、最終的な大蔵省との折衝その他問題をまだ残しておりますけれども、基本的にはそのような方向を踏まえてこの問題は検討いたしたいというふうに思っておる次第でございまして、若干の時間は要すると思いますけれども、御指摘のような方向で総合病院を、むしろ国立のものを新たに設置することについて検討を加えたい、こういうふうに思っております。
  55. 上原康助

    ○上原委員 いまの点は、大臣にも確認をしておきたいわけですが、確かに金武の結核療養所あるいは精神療養所を統合して中部に移転をしたいという、復帰前からそういう構想があったということも聞いております。いろいろ方々に分散をさしておくよりも、総合的にまとめていくのがあるいはいいかもしれませんが、ただ結核とか精神病院という場合は、本来の医療供給体制とは受益者のほうからいうと若干違うわけですね。そういう面で、やはり国立の総合病院というものを建てて、先ほど大臣おっしゃったように、体系的に整備していくという方向づけがなされないといかないと思うのです。そのことは同時に、県が考えている県立病院との競合の問題もあるでしょうし、やはりそこに政策的なタイアップといいますか、受益者が医療サービスを十分受けられるのか、どう医療水準を引き上げていくのかということが基本ですから、そういう基本的な面を早急に確立をしていただきたいし、多くの県民の要望としては、県の五カ年計画でいろいろいうよりも、この際国で国立総合病院というものを設置をして十分やっていったのがいいのじゃないかというのが、私はいまの強い要望だと思うのです。そういう面について早急に結論を出していただきたいし、またいま検討していきたいと言われるが、一部は敷地も確保されているわけですからね。そういう面で、四十九年度の予算問題もそろそろ始まる時期ですから、ぜひ方向づけとしてやっていかれる大臣の決意といいますか、その面をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  56. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 医務局長からお答え申し上げてありますように、総合的な国立病院をつくるという方向を目ざして用地の取得もいたしておるわけでございますから、県立の総合病院設立計画、そういうものの計画と調整しながら十分そうした方向で努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 上原康助

    ○上原委員 それと、琉大の医学部の問題につきましては、せんだってもお尋ねしましたので触れません。これはいろいろ専門の方々の御意見なり書いてあるのを拝見しても、やはり県の受け入れ体制なり協力体制というのも重要だという指摘がされておりますし、そういう面で促進期成会なども全体でつくっていま進めつつありますから、そこいらも長期的な医療従事者の養成という立場で特段の御配慮をいただきたいと思うのです。そのことと、一方において、将来琉球大学に医学部を設置し、いわゆる研究機関としての医療機関としたいというのが琉大医学部の構想ですね。  いま一つは中部病院ですが、ここでは御承知のように研修制度が現在行なわれているわけですね。これはハワイ大学の援助で一九六七年から現在まで続けられて、非常に特色ある研修だということで評価されているわけです。そこで研修を受けたお医者さんというのは、ほとんどが公共の機関にずっと医療従事者として協力をしているということで、県としても持続していきたいということで、たしか去年でしたか、沖繩の中部病院で行なわれている研修制度は高く評価ができるものだ、むしろ日本全体にそういった制度を普及させたいということも、武見医師会長でしたか、言っておられたような記憶もあるのですが、それについては政府としては今後も継続していくお考えだと思うのです。同時にまた、財政的な措置もあわせてやっていかなければ、県の事業だけではとてもむずかしいんだということも聞いているのですが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 中部病院は、先生指摘のように、ハワイ大学と関連して教授を導入して、本土復帰前の中部病院の活動というものは非常に注目すべきものがございました。本土復帰後、先ほどお話に出ましたような救急医療その他の問題等で研修制度そのものも若干変わったようでございますが、しかしながら、国立の病院等からただいま中部病院に相当優秀な医師を派遣しておりますが、帰ってきましてみんなが口をそろえて、中部病院の研修制度をほめております。そういう内容のいい研修制度は今後とも本土でもむしろ実施したいと考えておりまして、教育病院群制度というものを構想いたしておりまして、本土の各県の主要な病院を教育病院として資本を投下して強化いたし、また運営の面でも、従来の研修生の予算その他も強化してまいりたいというふうに考えておりますので、当然沖繩の唯一の研修病院である中部病院につきましては、同様に強化をはかっていくということで県と御相談して具体的にしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  59. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと早めに結論を急いでくれという御要望ですが、あとしばらく時間をいただきたいと思います。なるべくまとめたいと思います。  あと一点、看護婦の問題も、医療行政を進めていく供給体制、医療体制の中でこれは見のがせないことなんですね。復帰後、沖繩のほうがむしろ看護婦不足で、本土の類似県と比較しても、半分ないしちょっとそれを上回る六〇%程度だというわけですが、逆に本土のほうがいろいろ労働条件なりがいいものですから、たとえば那覇の場合ですと、定員が大体千六百から千四百のようですが、復帰後どんどん本土にひっこ抜かれて、現在では千名前後になっている。もちろん、どこでつとめようが職業選択の自由ですから、そういう逆現象もまた出ているわけですね。したがって、看護婦養成についても、県でもいま二つの看護学校と、それから那覇医師会が昨年から准看護婦養成学校一つ設置したわけですね。いま一つは愛楽園に四十名程度養成の国立のものがある。そういうことで、もう少し看護婦養成についても、先ほどの基本行政の中で、これは沖繩で養成しようが本土に来てもいい、また本土で養成して沖繩に行ってもいいのですから、養成人員をふやしていく。本土では募集してもなかなか人員的に満たないという面もあるようですが、沖繩では応募者は多いんだという数字になっているわけですね。それに対してどういう御方針なのか、現状どおりでいいというお考えなのか、もし見解がありましたら承りたいと思います。
  60. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題は、看護婦養成にはどうしても実習病院等を含めた親元の付属病院——付属と申しますか、看護婦が付属になりますけれども、親元病院が必要でありますし、そういう意味で、先ほど来お答えしている宜野湾地区の国立あるいは県立のものに看護婦養成所を設置することで強化していきたいと思いますと同時に、一つは、やや大型の療養所を九州あたりに設置いたしまして、それに何名か沖繩からの募集を試みてはどうかという見解もございます。     〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 そして沖繩に帰っていただく。ところが、それが先生の御指摘のように、職業の自由選択から本土にとまってしまうということになっては目的を達しないということで、これには実は悩んでおりますが、一応検討の方向としては、本土看護婦養成所に一部沖繩の養成を兼ねて実施し、沖繩に帰っていただこうという考え方も持って検討いたしておる、こういうことでございます。
  61. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそういった面も、当面の不足を充足していくということと将来の養成の問題。国立病院あるいは県立病院その他現在ある施設においても定員を増加していくということは、これは予算の問題ですからできないことではないと思いますので、それを含めて対策をお立ていただきたいと思います。  それで、最後といったらちょっとあれなんですが、愛楽園、いわゆるハンセン氏病対策についてお尋ねをしたいのです。御承知のように、本島北部にある愛楽園あるいは宮古島にある南静園は、先ほどの御答弁のように、復帰後国立に移管されたのですが、これも、ほかの医療面もそうですが、やはり本土と比較して、医師の数、職員数、施設設備を含めてかなり不備なんですね。これまで何回か関係者からの強い要望も出されて、逐次改善はされてきておりますけれども、まだ雨漏りのする療養所があるとか、いろいろな面で強い改善要求が出されておるわけです。御承知のように 本土の各療養所は、職員数が入所者、いわゆる療養者三・五名に対し一人の平均のようですが、沖繩では五・三名に一人ぐらいしかいないんだという数字になっているようです。医師の問題にしましても、これは愛楽園ですが、八名の定員に対して三名しか配置されていない。五名が不足だという状況ですね。さらに職員全体の面からしますと、二百十六名の定員に対してわずかに八十九名しか現在いないという実情で、きわめて深刻な問題だと聞いているわけです。これは愛楽園もそうですし、南静園も含めてですが、そういうことに対しても、確かに本土でも、こういったハンセン氏病対策は、医師の確保とか看護婦の確保、職員の確保というのはむずかしい面もあると思うのですが、極度に悪いことは、やはり国立ですから国の立場で改善をしていただかないといかないと思うのです。それに対しての改善策はどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  62. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 愛楽園の職員、施設設備は、本土並みの定員、規模の療養所に比較いたしますと、確かに先生おっしゃるような数字になろうかと思うのでございます。ただ定員確保、特に医師の場合など、定員を多くいたしましても医師の確保がきわめて困難でございますので、この点につきましては、御要望は、むしろ行政にというような、現場で具体的に仕事をする職員の御要望も強いわけでございまして、この定員の増加につきましては、復帰後三十名沖繩に定員の増をいたし、四十八年度では六名いたしたわけでございますが、逐次本土並みになりますように定員の増加をはかってまいりたいと思っております。  施設につきましては、一見外から見ますと鉄筋コンクリートの建物で整備されているように見えますけれども、当時の工事の関係その他からか、雨漏り等の実態も私、拝聴いたしておりますし、その点につきましても、むしろ見た目は沖繩のよりも本土のハンセン氏病療養所が非常に住居その他が老朽いたしておりますので、これらの点を総合的に見ながら 沖繩の施設についても、職員あるいは患者からの御要望もございますし、逐次並行して整備をいたしてまいりたい。  また医療内容につきましては、必要に応じて本土からの専門医の派遣ということも従来やっておりますので、これらの点につきましても、ただいまりっぱな所長が二人、宮古と愛楽園に行ってくれておりますので、その所長とも相談しながら、具体的には本土のらい療養所からの派遣、あるいは国立病院等からの派遣を考慮しながら将来の充実に備えてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 上原康助

    ○上原委員 ですから、先ほども申し上げましたように、何も沖繩だけを特別扱いしなさいという論は私はしてないわけですよ。それは本土の療養所だってもっと改善をしなければいかぬ問題もあるでしょうし。ただ定員さえも確保できない状態。歯科医師とか外科医、そういうのがほとんど南静園の場合はいないわけでしょう。眼科などもちろん、すべて内科のお医者さん一人、院長含めて二人でやっているという状態ですよね。  それと、いま外観から見たあれはどうかもしれませんが、たとえば四十八年度予算ですか、愛楽園の場合も一億円程度かけて施設設備ということでやったようですが、それが看護婦養成所をつくる、そういった公共施設に充てられて、実際には、そこにいる療養者のための設備改善はなされていないという状況だと思うのですよね。ですから、そういう公共施設ももちろんやるべきなんですが、実際療養しておられる方々の施設改善ということもやらなければいかぬし、現に雨漏りをする面もあるということがいわれているわけですから、そういったものは、実情を調査すれば、私が言っていることが間違っているのか、あるいは実際なのかわかるわけですから、私はそういう状況にまだあると思いますので、ぜひひとつ、医師の確保、看護婦あるいは職員の配置。定員をただふやしてと言っているわけじゃないのです。せめて定員だけでも確保していただきたい、そういうことですから、その点早急にお考えになっていただきたいと思うのです。  もう一つ、これは私の資料によりますと、何か療養者の作業賞与金というのがありますね。それが本土よりも査定額が少ないという不満が出ているのですが、実際に格差があるのかどうか。その点、本土の場合と沖繩の場合、どうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  64. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 作業賞与金の問題については、私はいままで、復帰後、沖繩との間に格差はないというふうに思っておりますが、ただ、退所時の支度金その他社会復帰のための政策については、当時、琉球政府時代のほうが金額が多くて、本土復帰後これを逆に補償していくというような問題がございましたが、作業賞与金については、あるいはそのこまかい作業、職員がやっております作業と、あるいは患者がやっております作業との種類が、本土と違うために若干の違いがあるかもしれませんが、手元に作業賞与金のこまかい資料は持ち合わせておりませんので、的確なお答えができませんけれども、もしそういう面で当然直すべきものが数字上も明らかになりますれば、これは至急に直します。
  65. 上原康助

    ○上原委員 これは私の手元の資料によりますと、昭和四十七年度の作業賞与金一人平均月額が、本土の場合が四千六百九十七円、沖繩が三千五百七十四円で、差額が千百二十三円、約七六%だという数字が出ているわけですね。もちろん内容がいろいろあろうかと思うんですが、もしもこういうふうに実際に同等であるべきものが差額があったとすると、これはやはり困りものなんですね。そういう面は早急に実情をお調べになって是正をしていただきたいということ。  あと一点は、医師の確保、そういった面との関連もありますけれども、療養者がかなり高齢化しているということと、いわゆる人の手当てといいますか、看護を受けなければ療養できないという重患といいますか、そういう者も非常にふえているというわけですね。ですから、ますます職員とか看護婦の手間がかかるというような実情のようですから、そういった点などについても御調査の上で、やるべき点についてはひとつ早急に対策をお立ていただきたいと思います。  そこで最後に、時間たってしまいましたので、大臣にきょうもう少しいろいろお尋ねしたかったんですが、私も不勉強でこれでとめたいんですが、要するに沖繩の医療行政というのは、御承知のように、復帰をすれば医療面、社会保障の面についてはよくなるであろうという期待を県民は非常に持っておったわけですね。制度面は改善されても、実際の医療供給体制そのものが整備をされていないで制度だけが先行していっても、受益者には利益にならないというのが、これは本土でも老人ホームの問題等もいろいろ問題が持ち上がっておりますが、そういう実情が現在沖繩にもかなりあるわけですよ。ですから、最初に申し上げましたように、根本的に解決をしていかなければいかない基本政策というものをこの際お考えになっていただいて、救急医療の問題なり看護婦確保、あるいは医師の養成等々、ぜひ四十九年度においては具体的にそれが施策としてあらわれるということでなければいかないと思うんです。繰り返して申し上げますけれども当座の問題当面する救急体制の問題なり医師確保の問題、あわせて早急にせめてそういった医療行政、医療供給体制だけでも本土並みに引き上げていく、それにはかなり思い切った国の姿勢と政策的な配慮、財政的な裏づけというものが私は必要だと思うんです。たいへんいろいろな問題をかかえて、本土でもいろいろの御要望があると思うんですが、私は、沖繩の医療体制というものを整えていくには、本土の倍以上の姿勢で、心づもりでやっていただかないと、なかなか隔たりは広くなっていっても縮まることはないんじゃないかという懸念さえ持つわけです。そういう面で、いま私が最初から申し上げた問題含めて、大臣の今後積極的にやっていかれるというお答えをいただいて、質問を閉じたいと思うんです。
  66. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 沖繩における医療供給体制の整備の問題、すなわち医療担当者の確保の問題、あるいは施設の問題、さまざまあるわけでございますが、一日も早く本土並みに引き上げるということが非常に大事なことでありましょう。そうした救急医療体制のほかに、社会福祉施設整備の問題等々もございますので、私どもは、県当局とも十分相談しながら、一日も早く本土並みになるように最大の努力をいたしたいと考えておりますし、来年度の予算におきましても、大幅に実現するように努力をいたしたいと考えております。
  67. 三原朝雄

    三原委員長 鈴切康雄君。
  68. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 厚生省設置法の一部を改正する法律案が提案されておりますけれども、この中で機構の改革並びに名称の変更がございますが、その中で公衆衛生局の結核予防課が成人病対策課と変更されましたけれども、それはどういう意図でそのようになされたのでしょうか。
  69. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 御指摘の結核予防課を成人病対策課に名称を変更するべく検討いたしている段階でございますが、その理由といたしましては、わが国の結核事情が、御承知のように急速に改善されてまいりまして、患者数等が非常に減少を来たしております。それから、特に近年におきましては、患者が中高年齢層に偏在する傾向が見られております。罹患率や有病率の指標で見ましても、四十歳以上の者は非常に高率になっております。現に結核病棟あるいは結核病院等に入っております患者の平均年齢をとってみましても、約五十歳に達するというような状況を私ども報告を受けておるわけでございまして、したがって、今後の結核対策におきましては、中高年齢層、いわゆる成人病の多発する層に結核の重点を置かなければならないというふうに考えております。  したがって、結核の健康診断や患者管理等につきましても、成人病対策の一環といたしまして、これを総合的に効率的に実施することがより結核対策を推進するという観点に立ちまして、成人病対策課ということで一応検討いたしておる段階でございます。
  70. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、成人病対策について少々お伺いしたいのでありますが、いまもお話がありましたように、昔は結核が死亡原因のトップを占めておりましたけれども、いまは脳卒中、がん、心臓病の死亡順位で、しかも死亡百人のうち半数以上がこのような成人病でなくなっているのですが、一番新しい記録を御説明願った上で、その現状に対して大臣としてどのようにお感じになっているか、御所見をお伺いいたします。
  71. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 昭和四十七年の人口動態の概数について死亡者数を申し上げてみますと、第一位が脳血管疾患でございまして十七万六千百三十九名、第二番目が悪性新生物でございまして十二万七千二百三十二名、第三番目が心疾患でございまして八万五千六百七十一名、四番目が不慮の事故でございまして四万二千二名。それに引きかえまして全結核が一万二千五百四十九名というふうになっておりまして、いわゆる脳血管疾患、あるいはがん、それから心臓疾患、これが上位の一、二、三位を占めております。そういう現状でございます。
  72. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 いままでは、死亡の原因を調べますと結核が非常に多く、いわゆる国民病とまでいわれたのでございますが、最近における医学、薬学の進歩、国民の栄養の改善等によりまして結核が非常に減少してまいりましたことは、私は御同慶の至りでございますが、このかわりに、今度は成人病ということになってきたわけでございまして、がんとか脳卒中、心臓、こういうふうな成人病が増加いたしておりまして、その死亡というのがわが国の死亡順位の上位を占めるようになったという現状でございます。  したがいまして、私ども国民医療の観点から成人病問題に真剣に取り組んでいかなければならぬ。これを最重点の問題であると実は考えております。したがいまして、最重点を置かなければならない問題として考えまして、すでに御承知のように、がんにつきましては中央にがんセンターを設け、ブロック別にもがんセンター、府県ごとにもがんの専門病院をつくっていく、こういうやり方をしておるわけでございまして、さらにまた、心臓病あるいは脳卒中、こういう問題につきましても全力を尽くして解決をしていかなければならぬであろう、できるだけの予算をこういう方面に投入しなければならぬであろう、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  73. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 わが国の成人病の死亡の状況と諸外国の状態とはちょっと違うように思うのですけれども、その点とういうふうな状態なのか、比較をして御説明願いたい。
  74. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 諸外国におきます成人病の死亡原因から見ました違いを申し上げますと、諸外国におきましては心臓疾患が死亡原因の第一位を占めております。それに引きかえまして、わが国において高率を占めます脳卒中が第三位ということでございまして、わが国と若干成人病の構成が異なっております。
  75. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十八年度の厚生省予算ですけれども、結核対策費は幾らになっておりましょうか。それからまた、精神衛生対策費、成人病対策費、その中で国立がんセンターの経費等がその予算の中にありますけれども、幾らになっておりましょうか、まずお伺いいたします。
  76. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 四十八年度におきます結核対策費が五百六十五億八千万、それからがん対策費が……(鈴切委員「精神衛生対策費は」と呼ぶ)精神衛生はちょっといま資料が見当たりませんので、ほかのほうを申し上げますと、成人病対策費といたしましてその内訳を先に申し上げます。がん予防対策費といたしまして五億四千万、それから脳卒中対策費といたしまして三億五千万、それから国立がんセンター等の予算も含めまして成人病全体の対策費といたしまして七十九億八千万、それから精神衛生対策費が六百十五億でございます。
  77. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまお話がありましたように、結核の対策費が五百六十五億、精神衛生対策費が六百十五億、これが十分だとは私、決して思いません。成人病対策費が七十九億八千万円だということでありますし、また、がんの予防対策費がそのうち五億四千万円だ、こういうわけでありますけれども、いま厚生大臣は、少なくとも成人病は最重点に取り組みたいという姿勢からいうならば、まことに予算がお粗末だと私は思うのですけれども、そういう点で、まず来年度はどれくらいの大幅な成人病対策費としての予算をお考えになっているか。また、これに伴うところの外国のがん専門病院から比べると、日本の病院はまことにお粗末であるという現状をお考えになった場合、大臣はどのような認識に立っておられるか、その点についてお伺いします。
  78. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 ただいま申し上げました結核対策費並びに精神衛生対策費の大部分が医療費でございまして、たとえば結核対策費について申しますと、五百六十五億のうち医療費が四百八十九億でございます。したがって、大部分は医療費でございまして、成人病対策費の中で申し上げた七十九億のうち、がんセンターの予算が五十二億ではございますけれども、私どもといたしましては、成人病にかなり力を入れておるつもりでございます。
  79. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 精神衛生対策費、結核対策費は、いま公衆衛生局長からお話のありましたように、公費負担で強制入所されますね。そのほうの医療費の関係で非常に多くなっておるわけでございます。私どもの公衆衛生局のほうは、いろいろ検診をしたり、あるいは専門の技術者の養成をしたりといったふうな金だけでございまして、成人病に関しましては、そのほかにいろいろな病院施設のお金も実はあるわけでございます。たとえば医務局のほうの関係で申しますと、循環器センターを大阪でつくろう、これは七十億ほどの膨大な金をもって建てることにいたしまして、本年度は二十何億、こういうふうなことでございまして、さらにまた、がんのいろいろな施設等につきましては、今日まで、相当県なりあるいはブロック別にがんセンターをつくるというようなことで、施設整備をいたすというふうなことでございますから、私は必ずしもこれで少な過ぎるということはないと思いますが、しかし、私はやはり今後は、先ほどもちょっとよその方にお答えいたしましたが、医療供給体制というものを整備していかなければならぬ、そういうふうな考え方で申しますれば、国公立の総合病院、それに、こういうがんとか、あるいは成人病とかいった専門病院を今後整備をしていきたい、こう考えておりますので、もとよりこれだけで十分ではない、いなむしろもっともっと拡充していかなければならぬ、私はこういうふうに考えておる次第でございます。この金は公衆衛生局所管の金だけでございますから、その点をひとつ御理解いただきたいと思います。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 結核については、法定伝染病ということで、一応それなりの法律のもとに、医療については十分な処置がとられておるがゆえに、今日相当の大きな効果をあげ得た、そういう点については非常に望ましい方向である、こう私は思うわけでありますけれども、いま何といっても、厚生大臣が言われた成人病対策は、厚生省としては最重点政策に取り上げていきたいという考え方の中において言うならば、成人病対策費というものは、それから比べるとまだまだ充実をはかっていかなくちゃならない、そのように私は思うのです。  四十八年度にとられましたがん対策の具体的な諸施策はどのようになっておりますか。
  81. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 公衆衛生局関係につきまして申し上げますと、私どもといたしましては、従来がんの検診のための検診車の整備費及びそれに対する運営費、これを含めまして五億二千万円、それからがん関係の技術者の職員の研修等の委託費といたしまして千六百万、それからがんの思想普及費といたしまして六百五十二万、これがん関係の公衆衛生局関係予算でございます。  それからついでに申し上げますが、脳卒中等循環器対策費といたしまして、四十八年度に初めて循環器疾患等の健康診断費、これを二億九千万ばかり計上いたしております。そのほかに、健康管理指導車整備運営費といたしまして五千七百万、それから脳卒中予防技術職員研修費といたしまして二百七十七万、以上が公衆衛生局関係の成人病対策費でございます。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十八年度には、いわゆる農村健診センターということで農村を中心にしてつくるという考え方で、たしか何カ所か国の補助が出ていると思いますけれども、そういう意味において、公的な病院に対する国の補助率はどのようになっているか。それから厚生農業協同組合連合会の病院というのは全国に何カ所くらいありますか。
  83. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 私どもの所管いたしておりますいわゆる農村の健康管理の費用でございますが、健診センターといたしまして四カ所を一応予定いたしております。これの補助対象先といたしましては、主として都道府県立の病院または農協の病院が一応対象になっておりますが、都道府県立の場合には二分の一、それから農協の場合には三分の一の補助率をもって健診センターの補助予定いたしております。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十八年度は、健康管理の一環としまして、四十歳以上の人に多い成人病については、厚生省としては、年に一回は無料検診をしていきたいというような意向であろうかと思いますけれども、四十八年度に、いわゆる無料検診をするために、どのような措置がとられたか。またそれに対する予算はどれだけになったか。
  85. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 健康管理の対策といたしまして、従来企業に働いておられる労働者の方々、あるいは学校等の施設に働いておられる方々につきましては、労働安全衛生法によります健康診断が義務づけられております。それらの対象外のいわゆる一般住民の方々につきましては、結核等におきまして一応健康診断の義務づけがございますが、成人病につきましては法律的な義務づけがございません。したがいまして、こういう方々を一応対象といたしまして、尿、血圧等の簡単な検査をいたしましてスクリーニングを実施いたしまして、その中で異常が発見された方々につきまして、これは医療機関に受診を勧奨する、こういう体制を考えております。一応四十八年度の対象といたしましては百五十万人を予定いたしてございます。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その予算はどれくらいですか。
  87. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 その予算は、先ほど申し上げました二億九千万でございます。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十九年度、これから予算を組まれると私は思うわけでありますけれども、従来のがんの検診車、これも私はまた大幅にふやしていかなくちゃならないんじゃないか。どういう御構想があられるのか。また健康管理指導車、これもやはり大幅にふやしていかなくちゃならないんじゃないか。  それから、先ほど申し上げましたように、四十歳以上の方々、言うならば一年に一回の無料検診については、少なくともその検診車の増加とともに対象者もふやしていかなくちゃならない。それと同時に、たしか二億九千万は六カ月の予算だというふうに思っておりますけれども、そうなりますと、単純計算でいきますと六億でありますけれども、さらに最重点政策とするならば大幅にお考えにならなくてはならない問題ではないか。  それから農村健診センター等も、ことしは四カ所であるというふうにおっしゃったわけでありますけれども、これも少なくとも相当対象もふやしていかなくちゃならないんじゃないか、こういうふうに思うわけでありますし、また保健所の内容の充実等も当然考慮に入れるべき問題ではないかと思うのですが、四十九年度に厚生省としては、どのようなお考えを反映して予算として計上をされようとされておるのか、その点の具体的な……。
  89. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 健康診断の問題につきまして、これは疾病によりまして非常にその種類が異なってくると思います。ただ、いわゆる検診車によりまして健康診断をする場合には、非常に限られた項目になってまいるかと思います。したがって、先ほど申し上げましたような農村地帯を中心といたしました健診センター、こういういわゆる総合的に健康診断ができる施設も、検診車の増強とともに一方では考えなければならないというふうに考えております。  ただその場合に、このがんの問題をどうするかということでございますが、自動車によります検診の数には非常に限られたものがございますので、このがんのいわゆる検診というものにつきましては、これは医務局との御相談ではございますけれども、私どもといたしましては、がんの検診施設をむしろ増強すべきじゃないか。しかしながら、それを待つ時間もないわけでございまして、不満足ながらがんの検診車、主として胃がんではございますけれども、胃がんの検診車は並行してやはり従来にも増して増強するつもりでございます。  それから、いまお話がございました健診センターにつきましては、これは新たな構想に基づきまして、簡単な健診センターというよりは、むしろ総合的な検診ができる施設を増強すべきではないかというふうに考えて、この計画も一応検討中でございます。  それから、先ほど申し上げました循環器等の健康診断の費用につきましても、これはさらに対象をふやすとともに、さらにその上の、疾病によりましてはある程度の精密的な検査もこれにつけ加えるべきではないかということで、この対象も若干明年度におきましては予算要求をいたしたい、かように考えておりまして、それらをあわせまして、やはり全国的な健康診断、それを踏まえました健康管理体制というものを、この際、ある一定の計画のもとに全国的な網を張ってまいりたい、かように考えております。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 抽象的なお話にとどまったわけでありますが、実際にどういうふうにやっていかれるか。たとえばいま無料診断百五十万人対象、六カ月に二億九千万円の予算であるわけですけれども、これは単純計算でいけば六億ということになりますが、それを大体どれぐらいの予算に一応考えられておられるか。またいま、検診車とかそういうふうなことを言われたわけでありますけれども、私は少なくとも、いまの状態から言うならば、もっと検診車もふやさなくちゃならない。だから、今年度はこうであったけれども来年度は少なくともこれぐらいの検診車をふやしていきたいという、そういう御構想は煮詰まっていると私は思うのですが、その点具体的にお伺いしましょう。
  91. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 いま予算編成の最中でございまして、会計課と折衝の段階でございまして、まだ最終的な具体的な数字に固まった段階ではございません。しかし御指摘のように、私どもとしては、これはかなり大幅に増加させたいということでございます。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 お答えができなければ、それはそれとしまして、いま国立あるいは公的な医療施設で、がんを専門とするセンターあるいは病院はどれだけありますか。それに伴う専門ベッドは幾つありますか。
  93. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生お尋ねのがんの専門病院あるいは専門病床というのは、一応相当度のがんの診療が行なえるという観点でやりますと、専門病院が約五百ございまして、その中でがんの疑い患者等も含めまして約三万程度の病床があり、そこに三万人程度の入院患者がいるのではないかというふうに推定いたしております。
  94. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま五百ばかりそういうふうな施設があるというふうにおっしゃっておりますけれども、都道府県にもがんの専門センターというものもありますけれども、実際にはごく少数です。それはやはり地方財政では非常に金がかかるということがいわれているわけであります。だから、がんセンターをつくるということはむずかしい、こういうことではないかと思います。だから、地方財政を圧迫するという状態であるとするとなかなか踏み切れない、これが現状ではないかと思うのでありますが、やはり私は、思い切って都道府県あるいはブロック別に国立のガンセンターというものをつくっていく、そういう時代になってきたのではないかというように思うのですけれども、大臣、どのようにお考えですか。
  95. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生指摘の問題は、わが国の医療制度としては比較的珍しい、かなりピラミッド型の仕組みでがんの治療施設整備してまいっておりまして、まず築地のがんセンターを国として一カ所持ち、それから北海道から東北、各ブロックごとに国立で四カ所、公立で五カ所、計九カ所のブロック別にセンターを整備いたしております。これまでがいままでの状態でございます。それから各県に約百六十一カ所の都道府県のがんの診療、少なくともコバルトあるいはリニアック等の治療設備を備えたものを百六十一カ所用意いたしておりまして、そのうち五十四カ所を国立が担当いたしておるわけでございます。そのような、比較的わが国の成人病対策としては、医療制度の上でピラミッド型に全国各地に網を張った形をつくりましたけれども、この点についてさらに、先ほど公衆衛生局長から答弁ございましたように、もっと診断機能を的確にできる施設を増強する必要があるというので、私のほうとしては、今後五カ年計画でこのがんの診療施設、特に診断が確実にできる施設というものの整備計画的に進めてまいりたいというふうに思っております。したがって、結論的には、国立でブロック的にやるということは、都道府県とかね合いながら、それに助成金も国として出して、いま九カ所ブロック的にセンターはできた、しかしその都道府県単位のこまかい網の目をこれからやらなきゃならないというのが、大ざっぱにいって現状の姿というふうに思います。
  96. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまの五カ年計画でそれを遂行されようというようなお話でございますけれども、その五カ年計画の内容はどんなものでしょうか。
  97. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 五カ年計画の内容は、数字的にまだ申し上げる段階でございませんけれども、広域市町村圏単位に、少なくともそのような診断を確実にできる機能の病院を整備していきたい、これが大かたの構想でございます。約三百五十前後の広域市町村圏がございますし、それからいま百七十ばかりのセンターがありますから、その地域で機能を兼ねられるところは除きまして、まだないところに整備をするというような数字を詰めて五カ年計画でやりたいというふうに思っております。
  98. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 田中総理大臣も、円の切り上げの反省として、福祉を重点に方向転換をするというふうにお約束をされておりますし、厚生省としても、成人病対策についてはもっと力を入れていくというふうな姿勢を示されているわけでありますから、当然それに伴って、具体的な計画というものは年次計画をもって進めていかなくてはならない時代がやってきた、私はそのように思うわけでありますが、がんは何といっても早期発見が一番大切だといわれております。ゆえに、検診体制の充実と専門医の養成、あるいは医療従事者の訓練が必要だというふうに私は思いますけれども、その点はどのようにお考えになっていましょうか。
  99. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 確かに専門医の養成という問題は私は基本の問題だと思うのでございますが、その点ですでに数年来研修会を実施いたしております。先ほど申し上げた九カ所のうち約四カ所、築地あるいは北海道、広島にございます呉の国立、今度できました北九州の九州国立、こういうがんセンターを研修施設として指定いたしまして、四十八年度では約千四百万の予算をもちまして、医師百七十名、看護婦百二十名、レントゲン技師等も研修する必要がございますので、そのような対策をやっております。これは年次計画でどのくらいというよりは、どんどん若い医師が出てまいりますから、これはもう相当長期にわたってこの研修制度強化して続ける必要があるというふうに思っております。
  100. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国立がんセンターで全く専門的に医師として養成をされている数はどれくらいあるのか。またその計画はどうなのか。私はちょっと聞きますと、まだ数が非常に少ないというような話を聞いております。いまお話がありましたように、いわゆる開業医になる一歩手前の研修、がんに対する研修ということはなされていると思いますけれども、しかし、がん専門の医者というものは案外とまだまだ養成が少ないように聞いておるのですが、その点はどのようになっておりますか。
  101. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生おっしゃるようなことは確かにあろうと思いますが、いま申し上げた研修は、大体地方の都道府県のがん診療施設が新たに指定されて整備ができる、そうするとその中から医師を派遣してがんセンターで勉強させようということで、それが開業という程度ではなくて、地方のかなりの専門医になるための研修でございますけれども、がんセンター等でいわゆるわが国全体の専門医をもっと積極的に養成すべきではないかという御提案だと思うわけでございます。  これにはレジデント制度、たとえば、卒業後、医師国家試験を通って二年研修、さらに三年、四年レジデント制度というものをやることが最も望ましいわけでございますが、これに対する予算が、私、記憶で申し上げて恐縮でございますが、おそらくがんセンターにとっている予算はまだ数名分しかないと思います。そういう意味では、先生おっしゃるような、わが国全体の専門医の強化のためには、このような予算をもっと増強するということについて配慮いたしたいというふうに考えております。
  102. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま御答弁がありましたように、がんを専門的に取り組んでいく、そういう医師の養成がまだまだこれは足りない。確かにあなたのおっしゃるように、各地方における開業医としてがんの専門知識を修得するということで、養成あるいはその研修をされているのはあるにしても、私はやはり今後成人病の中にがんというものがかなり大きなウエートと同時に、言うならば国民の不安というものの問題がいつもつきまとっておると思うのです。もう年配になりますと、ちょっとからだのぐあいが悪いと、だれしもみな、あら、がんになったのじゃないかというふうに、ふと不安がつきまとうという状態。それは言うならば、原因がはっきりしていないというところに大きな問題があろうと思いますし、またそれに対して、実際に治療をしてもなおるかどうかという問題の不安。現在は、やはり手術をして摘出し、あるいはコバルトとかそういうふうな治療を受けるというような状態でないとなおらないという、非常に苦痛の伴う治療しかないわけでありますから、日本の場合においても、この成人病対策についてもっと前向きに取り組むために、その原因を究明するためにも、少なくとも専門医の養成ということと同時に、やはり私は、がんの専門医を養成する大学の設置ぐらいは、あるいは研究機関でもけっこうですけれども、そういうものの増設を今後はかっていく必要があるのではないかというふうに思うのですが、そのお考えはございませんでしょうか。
  103. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 がんの専門医を養成することの力のある病院が、現状ではまだきわめて少ないということでございますが、特に国立のがんセンターは、国際的に見てもそのレベルは高いものと思うわけでございまして、あそこに研修生を受け入れる宿舎等も整備してございますから、予算上研修の予算等をもう少し増強いたしまして対処いたしたいと思いますが、専門の病院というものはできましても、教育機関としての専門性というものは、医師の養成全体から見ますと、大学院その他の中で臨床の特定な専門医の養成という問題につながることでございまして、いわゆる大学教育との関係での専門医の養成というよりも、われわれの厚生省関係の、こういう対策に応じた病院の強化による専門医の養成を、循環器等を含めて今後やはり強化していく必要がある。それがまあ教育病院の強化という対策とつながるものと考えておるわけでございます。
  104. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、がんだけを取り上げなくても、成人病といえば、死亡率の大体半分以上はそれになっているわけですから、そういうものに真剣に取り組むという意味において、少なくとも専門の大学ぐらいはつくっていくべきが一つの方向性ではないか、こういうように思うのですが、本年度のがんの助成金ですけれども、幾らであったかということと、それから専門技術者の養成訓練費という項目があると思いますけれども、これは幾らになっていましょうか。
  105. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 がんの研究助成金は、例年のベースよりも四十八年度は大幅にふやしまして、約七億五千万ぐらいでございます。  それから研修の場合、公衆衛生局が、先ほどお話のございますような検診自動車を巡回させる、こういう意味の集団検診のための医師の研修をいたしております。ほかに医務局としては、先ほど御説明したようなことを実施いたしておるわけでございまして、人員にして、医務局担当の医師が百七十名、放射線技師が百二十名、臨床検査技師が八十五名、看護婦百二十名でございます。その予算につきましては一千四百万程度でございます。
  106. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 がんの研究助成金は、例年から比べますと、七億五千万でまあ幾らかふえていると思います。しかし、専門技術者の養成訓練費一千四百万、これはもう非常にお粗末ですね。お話にならぬわけです。研究助成金の応募状況、それに伴って研究費として実際に助成された実績というものは、必ずしもその応募をした研究の必要な額を十分に満たしていないというように思うのですけれども、その状況はどうなっていますか。
  107. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 その研究の応募の数と、実際に査定して研究費を差し上げるようになった数、この点は、資料がちょっと手元にございませんので、後ほどまとめまして先生にお届けしたいと思いますが、基本的には確かに、たとえば七億五千万の予算に対しまして十億以上の御要望があることは間違いございません。しかしながら、研究そのものは、やはり成果のあがる研究を認めていくという一つのチェックシステムというものもきわめて重要でございます。研究は必ず評価を伴いながら進めていきませんと、単なる研究費を投入することが研究成果があがるとは限りませんので、その点からは、研究費の運営の場合、たとえば委員会を設けまして無記名で投票制度を設けております。したがって、研究の発表会を二日間やりまして、それを全部で聞いて、それから委員が投票いたしまして、点数の低い者は翌年から落としていくというきびしい態度で、研究費というものを効果的に使うという一面も持っておるわけでございます。しかしながら、研究費はこれで十分だとは思いません。また要望も強いわけでございます。今後とも研究費の増額には努力いたしますが、やはり研究の成果があがるかあがらないか、あるいは特に重要な研究であがるものに重点的に資金を投入するということをことしからやりまして、プロジェクト化学療法という、がんを化学療法でなおすというだけに二億投入するという新しい試みもことしの配分からはいたしておりまして、そういうことで、研究の成果があがることと研究費の配分とを両面十分検討しながら進めたい、こういうふうに考えております。
  108. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 がんはいまのところ早期発見による治療以外に方法はない。そういうことから、厚生省といたしましても、公衆衛生局の企画課で発行されているパンフレットを見てみますと、がんをなおす道は定期検診である、できれば年二回が理想だが、少なくとも年一回は健康診断を受けるようにしよう、そのようにいわれておりますけれども、検診の義務づけを法的に規定をするという考え方をお持ちになっていないのか。そうして国と県との責任分野を明らかにして、がんの早期発見につとめるというような前向きの考え方はないかどうかということについてお伺いします。
  109. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 がんにつきましては、健康診断の受診義務を法的に義務づけるということ自体に私ども疑問を持っております。したがって、従来の健康診断を受けることを自発的に促すということに主眼を置いてまいりたい、かように考えておりまして、法的な義務づけにつきましてはいまのところ考えておりません。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 PR的な指導だけではこの問題はなかなか解決をしないというふうに私は思います。結核は法定伝染病であるということでありますが、国がそれに対処した姿勢というものが大きな効果を得ているわけでありますから、そういうことから言うならば、成人病の問題についても、原因が不明であるだけに、早期発見が必要であるだけに、やはり私は、検診については法的義務の方向性を模索しなくてはならないのじゃないかというふうに思うのですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
  111. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 私どもは、法的義務を課すというのは、ちょっとやはりまだ時期が尚早ではないかと考えております。問題は、やはり国民の死亡原因の中の相当上にあるものでございますから、このがんなり成人病なり、そういうふうな健康管理なりその他の施設整備に当面全力を尽くして、そうして国民のコンセンサスを得て、できるだけ多くの人が自発的に検診を受けるというふうにPRをしていく必要があるのではないか。国が一方的に、おまえは検診を受けなさいよということよりも、自発的に検診を受けるように考えていただくように指導をする、それがやはり一番いまのところ大事なことではないか、かように考えております。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私どもの同僚議員が、昭和四十七年三月九日の予算委員会で成人病の問題を取り上げておりますけれども、そのときに、なくなられた斎藤厚生大臣が、予防が一番大切だ、そのように考えている。「そこで立法の必要もあろうかとも思っておるわけでありますが、いまおっしゃいます各国の事例等も見まして、できるだけ現状に即したような予防対策を確立してまいりたい、かように思います」と、そういうふうな発言をされておるわけでありますが、その「立法の必要もあろうかとも思っておる」という内容はどういうものでしょう。
  113. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 当時、公衆衛生局でその問題を担当し、また予算委員会に出ておりました立場から、私からお答え申しますが、諸外国等におきましても、一般的には、伝染性の社会的な疾患以外を法制的に干渉するというようなものはございません。したがいまして、大臣のお答えの中の法制というようなことは、たとえば俗に文化立法といわれるように、国民に対してつとめるとか、あるいはそういうことをすすめるというような気持ちのものも、立法が可能であれば、わが国全体の循環器というようなものについて、ある程度そういうような問題の処理もあろうかということをお気持ちとして持っておられたわけでございまして、そういう意味で、先ほど先生のおっしゃったような御答弁が出たというふうに私、記憶いたしております。  しかしながら、わが国の立法というものの立場が、権利義務とかいろいろの規定をする以外、このような問題というものは立法によらざるも、やはり可能であればそういう方向に努力するということも必要ではなかろうかということで、総体的には、立法に対して厚生省が前向きに検討するというニュアンスではなくて、立法というものは、このような性格のものにはむしろ必要なかろう、しかし立法に相当するようないわゆる閣議——まあ大臣のお気持ちからいえば、閣議でそういう方針をきめたりして、国民のそういう健康の問題に対して積極的にやるというようなことも含めたお気持ちではなかろうかというふうに理解いたしております。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 アメリカではがんの制圧局というのを組織をしておりまして、いわゆるタスクフォースでスタートしているわけです。そういうことでがんについても非常に前向きな姿勢をとっているわけです。今度、結核予防課を成人病対策課というふうに改められて、成人病に本腰を入れていこうということでありますから、私は、ただ国民の前に名前だけのあり方であってはいけない、内容も十分に充実した方向性をやはり今後示していかなくてはならない、このように思うわけでありますけれども、がん等を含む成人病については、老人の医療も無料化によって、治療費は公費負担ということで発足をしているわけでありますけれども、これは評価できる問題ではありますが、むしろおそ過ぎたというような感をぬぐい去れないわけであります。しかし、御存じのように、大体三十五歳から六十歳くらいまでにかなり多くがんの罹病率があるということでありまして、そのことについては恩恵が非常にないわけであります。それで、大体あとは保険の中において処理をされていくという状態であろうかと思いますけれども、がん等の手術はかなり治療費がかさむものであるというように思うのですけれども、大体がんの手術費というものは平均どれくらいかかっておりましょうか。
  115. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生いま例を引かれてお話のように、ケース・バイ・ケースで非常に費用の問題がございますので、そういう調べ方でなくて、国立がんセンターの実態を調べた数字を申し上げますと、大体一日に一人当たり六千六百円程度かかっておりまして、これが平均五十四日在院しております。そうすると、在院中平均的には三十六方かかっておりますという数字だけ現段階では申し上げておきます。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三十六万というのはかなりの大きな負担だと私は思います。また、ちょうどがんにかかるのが、先ほどお話がありましたように、働き盛りの成人が不幸にしてがんにかかったということで、それはどうしても、がんの摘出、あるいはそれなりの処置をしなくてはならないということは、生命に対する不安と同時に、家族への負担がこれは非常に大きなウエートを占めてくると私は思います。結核のほうは、結核予防法に基づいて結核患者が公費負担で治療ができ、医療の技術の進歩等も同時にかなり進んできまして、あのようにきらわれた結核も、もはや話題に出なくなってしまったというような状態になっているわけでありますから、がん等の問題については、国として別ワクにお考えになって、そして責任をもって対処してあげるというようなことが、一番大きな福祉行政の一環として国民にも望ましい問題である、そのように私は思うのですが、厚生大臣、その点はどうお考えになりましょうか。
  117. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 がんの医療費が相当高額であることは、私も十分承知をいたしておりますが、そのがん等の医療費につきまして全額公費負担というふうな、自己負担を公費というところまで持っていくのは私はまだ時期が尚早ではないか、こういうふうに考えておりますが、実は今回すでに御承知のように、皆さん方の御協力もいただいて、さきに衆議院を通過させていただきました健康保険法等の改正法律案に、実は高額医療制度というものを設けたわけでございまして、すなわち、自己負担分については何十万円かかっても三万円どまりにいたします、こういう制度をつくったわけでございます。しかもこの制度は、中小企業を対象とする健康保険だけでなしに、国民健康保険にもこれを適用させる。すなわち、全国民対象として医療費は幾らかかっても三万円まで、それ以上の額は保険で見ましょう、こういう制度にいたしたわけでございますが、この制度考えましたのは、実はがんを対象として考えておったわけでございます。がんやその他の成人病を対象として、ほんとうにいま高額医療費で悩んでおられる方が非常に多いということから、実はこの制度考え出したわけでございまして、いまの段階では、今度この法律が成立すれば三万円どまりということになるわけでございますが、そういうふうな医療費の軽減ということで国は全面的に力をいたしていくべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。その三万円までも公費負担にしたがいいかどうか、これは私はまだもうちょっと考える余地があるのではないか、かように考えております。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後ですけれども、私も時間をお約束しました関係上、たいへんにはしょって質問をしてしまいましたけれども、私は、社会保障の充実ということは、まずこういうところから手をつけていく政府の姿勢が一番大切じゃないかと思うのですね。お互いに年輩にもなってきますと、やはり成人病という問題は、大臣もかなりこれについての不安もあろうかと思いますし、これは決して大臣ばかりじゃありません。国民のみんながそういうふうなことで非常に不安を持っているわけであります。ゆえに、私はどうしても、成人病対策というものを厚生省では一番大きな一つの重点政策として、内容においても、予算においても、なるほど国会で取り上げたことでその点が反映できたと国民に十分にわかるような、そういう姿勢を来年度の予算に盛り込んで、そして具体的な内容も十分に盛り込んでいかれるかどうかという問題について、最後に御決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  119. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 がんをはじめ成人病の問題は、国民医療上、目下最も重要な問題でございます。今日までできるだけの努力はいたしてまいったつもりでございますが、明年度の予算編成に際しましては、御趣旨のように全力を尽くして拡充に努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上をもって質問を終わります。
  121. 三原朝雄

    三原委員長 和田貞夫君。
  122. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 先ほどわが党の上原委員の質問でも触れたわけでありますが、今回この設置法の一部改正案の中で、審議会の廃止統合、四つの審議会一つに統合するという案であります。これはもう気持ちとしては、不必要な審議会をできるだけ統合していって付属機関を簡素化していこう、こういうあらわれであろうと思うわけなんですが、この四つの今回対象になっておる審議会というのは、それぞれの歴史があります。それぞれの対応する法律が異なっておるわけでありまして、いわばみそもくそも一緒にしてしまうというこの案であります。  したがいまして、まず冒頭に申し上げておきますが、われわれといたしましては、この審議会の統合につきましては反対せざるを得ない、こういう考え方でありますが、なおつけ加えて、皆さんのほうで私たちに理解を求められるような理由があるのであれば、この機会にまずお伺いしておきたいと思うのです。
  123. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 私どもといたしましては、この審議会を統合することによって、従来の審議会につきましてこれを軽視するという意思は毛頭ございません。もしこの審議会が統合される設置法がお認めいただけました暁におきましても、従来の審議会部会といたしまして十分その任務を活用してまいりたいと思いますし、またその段階におきましても、従来の審議会が疾病ごとの縦割りの審議会でございまして、今後の公衆衛生と申しますか、衛生施策の中には、総合的に共通的な問題も取り上げて、大きく健康の問題として私どもは対処しなければならぬ問題がございますので、この公衆衛生審議会という形におきまして、従来の問題は部会を継続いたしますと同時に、新たな問題が惹起いたしました場合には、それぞれやはり機動的に部会設置をしてまいりたい、そしてこの公衆衛生審議会というような大きな形で健康を総合的に審議していただく場をつくりたい、かように考えておるわけでございまして、従来の審議会を軽視するためにこれを統合するということでは毛頭ございませんので、その点はお断わり申し上げておきたいと思います。
  124. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いま御答弁ございましたが、従来も、厚生省の所管されておる付属機関の中で、たとえば医療審議会という審議会がある。これには、いま言われていると同じように、部会設置というのが審議会令で規定されておる。ところがその部会というものが現実的には設置をされておらない。設置をするということになっておるけれども、現実的には医療審議会には二つの部会設置されておらない。だから、いま言われておるように、軽視しないんだ、部会で処理していくんだということは言われながらも、いま指摘いたしておりますように、医療審議会自身が、審議会令で設置をするということになっておるにもかかわらず、現実の運営面では設置をされておらない、こういう例もあるわけなんです。したがいまして、いま言われたこのことばについては納得するわけいかないのです。さらにつけ加えて何かあったら、ひとつ承っておきたい。
  125. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ただいま医療審議会の問題が出ましたので、医務局長の私からお答え申します。  先生のおっしゃる医療審議会というのは、確かに今度の公衆衛生審議会のように統合したものじゃなくて、もともと医療審議会というのがございまして、その中に部会設置のあれもございます。ところが、実際には部会というのは、医療機関整備部会と診療報酬の関係規定した部会があるはずでございますが、これは実は、中医協ができ、国民皆保険で健康保険の問題が中央医療保険協議会で審議されるようになりまして以来、医療法の中で、公的病院等に診療報酬を別に定める場合、そこの部会にかけるような仕組みになっております。したがって、これは行政として現在必要がないと申しますか、具体的に生きていないものですから、医療審議会は即医療機関整備部会だけが活動しているというような形になっております。  今回御審議願っている公衆衛生審議会と似た仕組みで、すでに医務局が統合を実施したものに医療関係者の審議会がございます。これは昔は、医師審議会、看護婦の関係審議会等それぞれ分かれておったのです。それを今回の公衆衛生審議会のように医療関係審議会として統合いたしまして、そして医師部会、看護婦部会、あるいは理学療法士等の部会、視能訓練士の関係部会というふうに、医療関係者のそれぞれの部会を設けて、国家試験の問題その他重要問題を御審議願う、こういうふうになっておるわけでございます。
  126. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 とかくいわれておるように、各省庁の諮問機関というものが、大臣の私的諮問機関を含めまして確かに多過ぎる。有名無実なところもある。一回も開かれておらないというところもある。ここ数年来全く開かれておらないというような諮問機関もある。そういうような点については整理をしていかなくてはならないわけなんです。少なくとも今回対象になっておるこの四つについては、従来の運営よりもなお民主化して、住民の参加の場として保障していく、むしろこういう審議会強化発展をさせていかなくてはならないんじゃないか、こういうように私は思うわけなんです。そういうところから、今回この統合の発想について賛成することができないというように私たちは言っておるわけなんです。  たとえばいま言われた医療審議会にいたしましても、審議会令によりましたら、五十人の委員をもってということになっている。ところが実際のこの委員の任命は半分の二十五人しかなされておらない。そういうところが厚生省の付属機関ではもっとたくさんあるでしょう。三十人あるいは二十五人以内というようになっているが、まるまる二十五人、三十人という定数を配置して審議会が構成されておるということがないところも医療審議会以外にはあります。そういうようなこと等もあわせて、厚生省の付属機関の各審議会委員の構成メンバーを見てまいりますと、すべて消費者参加、住民参加という構成メンバーになっておらないわけなんです。  労働省の同じ種類の付属機関の例をとってみましたならば、厚生省と労働省とは歴史が違うんだといえばそれまでですが、たとえば労働省には、労働者災害補償保険審議会、あるいは中央最低賃金審議会、じん肺審議会、中央職業安定審議会、こういうような審議会があるわけなんですが、これらは、三分の一が労働者代表、三分の一が使用者代表、三分の一が公益代表、こういうようにすべてが三者構成をもって編成されておって、すべて消費者代表、労働者代表というものがこれに参加をすることが保障されておるわけなんです。ところが、厚生省の今度の対象になっておる四つの審議会をはじめ、厚生省に実に二十四に及ぶ付属機関があるわけです。その他大臣が私的の審議会も持っておられる。ところで、いま申し上げておりますように構成メンバーに消費者代表の参加、労働者代表の参加、住民の代表の参加、医療を受ける側の代表の参加というものが全く保障されておらないし、また選出にあたってそのような配慮もなされておらない、こういうのが実情であるわけです。  したがいまして私は、いま申し上げておりますように、そのところに眼を向けていただいて、むしろ統合していくということよりも、運営面をさらに強化をして、大事なそれぞれの審議会、付属機関でありますから、住民参加を保障しながら、消費者代表の参加を保障しながら、運営を根本的に改めて審議会強化発展させていく、こういう考え方に立つわけなんですが、その点についてのお考えをひとつお聞きしたい。
  127. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 いま御指摘になっております公衆衛生局所管の審議会につきましては、従来はやはり医学、医術の問題を中心にいたしまして、専門家の方々の御意見を伺っていろいろの施策を立てるということが主眼でございました。しかも、先生の御指摘のような医療を受ける立場ということになりますと、これは一つのケースの処理ということになるわけで、そういう問題につきましては、やはり別の制度におきまして対処すべきであるということではないかというふうに考えておりまして、その事例、事例につきまして、私ども一つの組み立てられました体制の中、施策の中で処理すべき問題でございまして、現在私どもが所管いたしております現行審議会におきましては、そこまで立ち入る必要がなかったというふうに理解しております。  特に、従来結核の問題につきましては、日本患者同盟、あるいは精神障害者につきましては精神病の家族の会というような方々の団体もございます。そのほかいろいろの難病等につきましても団体の構成がなされております。それらの方々の御意見につきましては、先ほど申し上げましたように、個々にケース的に処理すべき問題がございますので、そういうものは随時御意見を伺ってその処理に当たるのが、私どもといたしましてはより適切に処遇ができるのじゃないかというふうに考えております。
  128. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そういう考え方であるから、審議会が無用の長物になってしまうわけなんです。私が言うように、もちろん、専門的な学者なり、あるいは専門的な経験者なり専門的な担当者というのは必要であります。ところで、そうでなくて、それも必要であるけれども消費者の代表、あるいはそれぞれ業務、行政を担当しておる役人じゃなくて、そこに働いておる労働者の代表、このような二つの住民の代表と労働者の代表が参加することによりまして、それらの方々の発言の場というものが保障されて、より行政に対しまして、この付属機関を通じまして発言が保障され、行政に住民参加の機会を与えていく、こういうことになるわけなんですが、そういう考え方になってほしいというように私は思うのです。そういうような考え方になってもらえるかどうかということなんです。
  129. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 従来の結核予防審議会におきましては、いま先生の御指摘のように、学識経験者のほかに、やはり労働者の代表の方も、これは労働者の問題といたしまして、結核対策の検討等に御参加をいただいております。
  130. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 なるほどこの結核予防審議会委員には、総評の代表、それから農協の代表、確かに二人が入っておるわけです。しかし、たとえば結核予防審議会委員の定数というものは、いま任命されております者だけでも十九名なんです。これも言うならば三十名以内ということになっておる。三十名以内ということになっておるにもかかわらず十九名しか任命しておらないで、しかもその中に労働者代表あるいは消費者の代表というのは、いま申し上げていますように二名しか参加されておらない。ここらあたりが、先ほど例をあげましたところの労働省の各付属機関等の構成と見比べてみますと、全く雲泥の開きなんです。そういう点を私は、形式的に一人や二人参加するというんじゃなくて、たとえば、いま申し上げているように、三十名以内ということであれば十九名しか任命しておらないんだから、三十名一ぱいに委員を任命しようと思ったら、もっと消費者の代表を参加させるということはできるわけです。これは各委員会を通じて私はいえることだと思う。そういうような運営をはかるような必要に迫られておらないのかどうか。今日、この医療というものは、あるいは行政というものは、すべて国民のものだ、できるならば国民の参加というものを保障していくんだ、こういう観点に立たなければならないわけですが、なぜそういうような考え方に立たないのか、立てられないのか、もう一度お尋ねいたします。
  131. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 審議会全般の問題でございますので、私からお答えいたしますと、先ほど先生お述べになりましたように、厚生省設置法に基づく審議会二十四ございますけれども、この審議会を見てみますと、労働省所管の審議会等と多少趣を異にしておるものもかなり多いわけでございまして、もちろん、社会保険審議会、あるいは中央社会保険医療協議会、こういったものにつきましては、費用負担の労使折半、そういった問題もございますので、法律あるいは政令上、あるいは運営上、はっきりと労使の代表という形で審議会の構成等が定められておるものもございますけれども、大かたはやはり一般の学識経験ということになっております。しかしながら、その学識経験、あるいは国民代表、消費者代表等の場合であっても、運営のしかたによりまして、結果として労働関係の団体の代表の方に入っていただく、そういうような委員会も当然あるわけでございまして、いま先生が基本的にお述べになりましたような気持ちは、私どもも十分尊重し、これからの実際の審議会の運営にあたって、広く各層の意見を反映させるという意味で、そういう分野の審議会については積極的に努力してまいりたいというふうに考えております。
  132. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 なるほどこの審議会の性格上から、単純に住民が参加していくということにそぐわないものもありますよ。しかし労働省のほうでじん肺審議会というのがある。これはやはりかなり専門的でなくちゃいかぬ。この学識経験者がどうしても必要である。その場合でも、やはり学識経験者が三分の一であって、そして関係の使用者代表のほうから三分の一、関係の労働者代表から三分の一、こういうように、直接住民が参加するような性格でない審議会におきましても、必ず関係の労働者が三分の一参加する、こういうことが保障されておるわけです。そこの点を私は言うておるわけなんだ。こういう面の根本的な委員の選考にあたって、こういう角度から委員の選考をはかっていく考え方を取り入れていくということになりましたなら、もっと付属機関の活用というものが充実される、こういうように私は思うのですが、そういうような考え方に今後の運営についてなってもらえないかどうかということを、ひとつもう一度承りたい。
  133. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 ただいままで私どもが所管いたしておりました審議会は、先ほども申し上げましたように、主として学術的な問題のいろいろ御検討をいただいておったわけでございます。今度もし公衆衛生審議会というような立場で、たとえば具体的な例を申し上げますと、保健所の問題を御審議いただくということになりますと、今度は保健所をいかに利用すべきかというような、いわゆる消費者団体の立場から御発言をいただくような問題も出てくるかと思います。したがって、やはり審議していただく問題によりまして、その委員の方々の選定がおのずから違ってくるというふうに私ども考えております。  したがって、繰り返すようでございますが、従来の審議会は、やはり、主として学術、学問的な問題を御審議いただくということに私どもの方針が貫かれておりましたので、いま御指摘のような問題もあったかと思います。
  134. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、いま申し上げておりますようなことを、これから運営にあたりまして、もっと抜本的に頭の切りかえをしていただいて、ひとつこれを機会に、消費者の代表なり、あるいは使用されておる側の代表、これが参加することを保障するように配慮を願いたいと思うのです。  さらに、対象になっておるところの四つの審議会の中で、特に栄養審議会の場合なんかは、かなり活発に審議会が運営されておる。それが四つの審議会一つに統合して、むしろそのような活発に運営されておった審議会の運営が保障されないような結果になりはしないかと私は思うわけです。その点はどうですか。
  135. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 その点につきましては、私どもといたしまして、従来の運営の方向を変える意思は毛頭ございません。むしろさらに、たとえば具体的な、先ほど申し上げました保健所の問題とこの栄養審議会の中の、たとえば集団給食部会というような形で、これをいかに指導すべきかというような問題も出てまいりましょうし、あるいはさらに、病態栄養学というような問題につきまして、保健所の業務といかに結びつき、さらにこれを保健所を利用される方にどういうふうに還元すべきかというような、こまかい問題までも御審議いただける場をより広くつくれると思っておりまして、むしろこの部会の活用がより広くなるというふうに私ども考えております。
  136. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これもいまの御答弁では当たらないと思うのです。四つがそれぞれ別個に審議会を持っておるがために活発に開かれておった、これを一つにすることによってもっと活発になるのだというようなことには、これは算術計算からいってもならぬです。  それから、さらにつけ加えて言うならば、この審議会を開いて、そこで審議会で決定して、決定したことがそのまま生かされておらないというところにまた問題がある。たとえば今回の対象になっておる精神衛生審議会ですが、中央精神衛生審議会が、過去、昭和四十年一月の十四日に精神衛生法の改正答申して、それを受けて四十年の二月に法改正がなされておる。法第四十二条がそれであって、各保健所に精神衛生に関する相談員を置くことができるというこの四十二条をとって、厚生省のほうでは通達を各県に出されておる。にもかかわらず、今日、各保健所で精神衛生担当の相談員が完全に配置されておるか。そうじゃない。法律改正されたにもかかわらず、そのことが生かされておらない。厚生省から依命通達を出しておるにもかかわらず、各県がそのように実をあげるという努力をしておらない。その点検がなされておらない。多くのところは保健婦を精神衛生相談員だというように兼務をさして糊塗しておるこれが実情じゃないですか。そこらがやはり問題がある。権威がない。もう少し権威のある審議会にしていかなくてはならない、権威のある付属機関にしていかなくてはならない。ここが大事な問題でありますが、その点についてはどうでしょうか。
  137. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 精神衛生審議会から御答申いただきました精神衛生法の一部改正につきましての御意見につきまして、まだ実現、法改正段階に至っていない点もございます。また、改正をされたにもかかわらずそれが実現していないという御指摘、私どもといたしましても十分承知いたしております。  ただ、この精神衛生問題につきましては、やはり各県あるいは各保健所管内等におきましていろいろ事情もございまして、なかなか実現困難な点もあろうかと思います。これは社会的にも、あるいは学問的にもむずかしい問題がございまして、なかなかできない点もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、できるだけ第一線の場で働いております保健婦の教育、資質向上というようなことによりまして、専門家が得られないその中間の機関といたしまして、それをやむを得ず代行しているというような形をとらざるを得なかったというのが現状でございます。
  138. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いまお聞きになったように、付属機関を今回廃止統合の案を出されておるわけなんですが、それらの審議会の従来の運営の経過を見てみますと、何と言おうとも、やはり権威がないように、みずから権威を喪失しているような運営のしかたをなさったり、あるいは審議会の定数が一ぱい充足されておらない、あるいは審議会委員の選考にあたって、申し上げましたようなことが取り入れられておらない。そういうところにむしろ問題があるのであって、統合廃止をしていくということは、今後スムーズにこれらの付属機関が運営していくんだということは私は違うと思うのです。そういう点について、今回の改正案が出ておるわけですが、その改正案によるところの、付属機関というものをどうしても原案どおり廃止統合していくということに、大臣、いまの気持ちとしてなお固執されようとしておられるかどうか、御見解をひとつお聞かせいただきたい。
  139. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 この審議会の統合は、先ほど来いろいろ御説明申し上げましたように、公衆衛生の中の専門的なそれぞれの審議会を統合して総合的な公衆衛生の発展をはかるという観点から、こういう一本の審議会にまとめていただきたい、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。今日までのいろいろな審議会の運営等につきまして、先ほど来いろいろな問題を御指摘いただきました。そういう点については、改めるものは改めていかなければならぬでしょうと考えておりますが、今回の提案は、四つのそれぞれの専門に分かれてやるよりは、一本になって総合的にいろいろ公衆衛生という問題を高次元においてとらまえていったほうがいいのではないかという考え方で提案をいたしたわけでございますが、政府といたしましては、提案したとおりにひとつ御可決いただくようにお願いしたいというふうな気持ちは持っておることは当然でございますが、それはもうすべて、国会はやはり国権の最高機関でございますから、国会がその結論をお出しになれば政府としても従わざるを得ない、こういうことになろうかと考えております。政府側のほうからそういう統合案を引っ込めろ、こう言われましても、私どもはそれなりの理由を持って手配いたしておるわけでございますから、あとは国権の最高機関である委員会の御審議にまつべきものであると私は判断をいたしておるわけでございます。
  140. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 繰り返すようになりますが、廃止統合していってまとめたほうが、より合理的であり、より運営がスムーズにいくんだということであれば、ちょっとうしろで発言しておられましたように、厚生省審議会一本でよろしい。そうじゃなくて、それぞれ歴史がある、それぞれ設置をするための対応する法律が異なっておる、そこにやはり二十四の付属機関がつくられてきた経緯があるわけなんです。しかもいま申し上げましたように、この四つの審議会というものはそれぞれ重要な審議会で、もっと十分に活用してもらいたい、もっと住民参加の中で活用していただいて、ここを通じまして大事な民生行政、厚生行政に住民参加を保障していただく、そういう審議会のあり方に発展強化をしてほしい、これが私たちの希望であるわけなんです。原案を出されましたあなた方のほうと、幾ら論議しておったところでかみ合わないわけでありますが、私たちはいま申し上げましたような考え方に立っておりますので、この今回の廃止統合案につきましては賛成することができない、こういう考え方でありますので、そこらあたりもう一度再考できるようにひとつ御検討願いたいということを強く要望いたしまして、この件についての質問を終わりたいと思うわけです。  次に身分移管の問題であります。大臣が所掌されておられる事務を担当している職員の中で、厚生事務官じゃなくて地方事務官という身分の職員がおるということは御案内のとおりである。そこで、この間の社会労働委員会でわが党の田口委員が質問いたしまして、大臣が答弁しておる中で、これらの地方事務官という身分になっておる職員の問題についての解決については、来年度あたりを目途として決着をつけなければならないと思っておる、こういうように答弁されておるわけなんです。しかし、そのことはそのこととして、相前後しておることばの中には、この特別会計の仕事というものは国の完全なる事務であるために、そのまま地方に移すということがいいかどうかということも検討していかなくちゃならない、こういうようなことばも出ておるわけなんです。したがいまして、来年度あたりをめどとして何とか決着をつけなければならないという大臣の意思は、ありありとこの議事録を見てわかるわけなんですが、どちらの方向に決着をつけていこうとしておられるのかということについて明確じゃございませんので、ここであらためて大臣にもう一度その点についてのお考えをただしてみたいと思うわけであります。
  141. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 この問題は、古い久しく論議されてきた問題でございます。そこで、こうした問題が起こってまいりました背景は、結局、地方の県庁その他におります社会保険の事務に従事する地方事務官、それと同じ県庁の中に働いておる地方吏員、それとの待遇が非常に格差が出てきたというところから問題が発生してきていることは、私も十分承知をいたしております。     〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 地方公務員と国家公務員との待遇の格差、ここから出発しておるわけでございまして、今日まで自治省その他の大臣とのいろいろな話し合いのあったことも事実でございます。  そこで、私のほうでは、御承知のように、厚生年金あるいは社会保険、こういったふうな国家的な基準に基づいて一元的に運営をしていかなければならないという事務の性質がございます。これは一本で運営していかなければたいへんなことになります。そこで、そういうふうな一元的に運営していかなければならないという国家事務であることは、何人もこれは否定できないわけであります。そこで、この問題を解決するためには、そういう待遇の格差、これはもとより大事なことであります。また同時に一面、そうした国家の事務が、統一的に、全国的に、一元的に運営されなければならないという問題もそこに一つあるわけであります。それから国の会計というものについて、保険料の徴収、これは国の事務として国庫に入ってくるわけであります。そういうふうな保険料徴収という事務を地方吏員によって運営させるという例がいままであるであろうかという問題も、そこに一つあるわけであります。そういうふうな待遇の格差の問題、それからそういう法律を全国的、画一的に運営していかなければならない担保という問題があります。それから国の一つの特別会計の保険料徴収という非常に大きな事務を地方吏員によって行なわせることが適当であるかどうかという問題。これは不可能であるということを言うのではありません。法律でやればできるわけでありますが、そういうことが適当であるのかどうか、そういう問題、三つあるわけであります。  そこで、厚生省の健康保険なりあるいは厚生年金なりの事務というものを考えてみたときに、国と地方の権限の分配というのが私は一つ大きな問題だと思うのです。権限の分配がやはり私は基本だと思います。そういうようなことで、国と地方との権限の分配とからんでいる問題がそこにあるわけでございますから、軽々しく全部地方吏員にやってしまうんだとか、あるいは全部それはもう地方吏員には永久にしない、国家の公務員としていかなければならないんだ、こういうふうな割り切った考え方をいますることが適当であるかどうか、私はまだいま判断に迷っておるところでございます。私は率直に申しまして、いまの時点においてどういうふうにしたらいいであろうかということを迷っております。しかしながら、もう相当古い問題でございますし、行管長官が入って三大臣といろんな話し合いをした経緯等もございます。それから国会において皆さま方からのいろんな意見の提示もあるわけでございます。そういうふうな問題を踏まえて、いつまでもこの問題をこのままの状態に放置しておくということは、給与の格差が激しくなっておる現段階において、こうした事務に従事しておる職員の不安を増すだけではないか、この辺でやはりある程度の決着をつける必要があるのではないか、こういうことを私は考えておるわけでございます。したがって、国会が済みましたならば、行管長官、自治大臣、関係大臣とも十分相談しながら、この問題について来年度あたりをめどに決着をつけていかなければならないであろう、こう私は申し上げておるわけでございます。  したがって、この問題は、簡単なようで複雑であります。地方と国との権限の分配の問題、給与の格差の問題。それからもう一つの問題は、特別会計における保険料徴収の事務を全部まかすことができるか。すなわち、これはある意味からいうと国の税金でございますね。保険料というのは公租公課でございます。この公租公課を地方吏員に、いまのような国と地方の関係でまかすことが適当であるかどうか、これは一つ問題があると思うのです。たとえば御承知のように、国税を地方吏員にまかすことができるかどうか。これは、法律的にはまかせられないというものではないけれども、それが適当であるかどうか、こういう問題がそこにあるわけでございます。そういうわけで、この辺で慎重に考えなければなりませんが、いつまでもこの状態に置いておくことは、地方事務官として現在厚生省所管の業務に従事しておる方々の給与が、府県ごとに格差があり国との格差も激しくなっておる段階において適当であるかどうか、これが非常に大事な問題でございますので、そういう三つの要因を頭に描きながら私は慎重に対処し解決をしていきたい、こう考えておるわけでございます。いますぐこっち向きあっち向き、そういうことを私は申し上げることはできないと思います。これは慎重に考えてあげないと、何万人という方々でございますから、その方々の給与の問題もありましょう、それから将来の問題もありましょう、いろいろな問題がありますので、慎重に考えて、しかしいつまでも投げておくわけにはいきますまい、こういうことを私は申し上げておるわけでございます。
  142. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大臣、いま言われた一つは給与格差の問題。なるほどこの給与の問題も含まれてはおりますが、問題はやはり、これらの関係職員が言っておりますのは、地方自治法の附則八条で「当分の間」ということばが、今日地方自治法が制定されてから二十何年間そのまま放置されておって、そこで、この異質の身分を持ちながら地方庁では仕事をしておるという、そういう中で出てきている不満と要望なんです。単に、給与格差があるから、地方に行ったら給与が上がるからこうしてほしい、地方に行きたいということを決して言っておるんじゃない。その点ひとつ、単純に給与の差があるからこれらの関係職員がそういうふうに言っておるのだということは、それも一つの要素ではありますが、必ずしもそれだけではないということを、ひとつ大臣御自覚いただきたい。  それからもう一つ権限の問題であります。これは権限の問題でもありますが、なるほど今日の時点で、社会保険の事業というものは国の固有の行政事務ということになっておりますが、それでは、いま自治体がなされておる行政の中で、完全に国の事務でありながらも市町村に委託をしてやらしておる事務がないかどうか、地方公務員、市町村の職員にやらしておる仕事がないかどうかということを、これは大臣の所管じゃございませんが、国全般の行政の面から見てみますと、必ずしもそうではないわけなんです。たとえば統計事務がそうであります。統計事務は国の固有の事務でありますけれども、地方公務員である府県の職員がまるまるかかえてやっておるじゃないですか。権限はまるまる知事に移譲して地方公務員にやらしておるじゃないですか。あるいは戸籍事務はどうですか。これは国の固有事務じゃありませんか。今日市町村では、かなりの経費の負担をもって地方公務員が国の事務をまるまるかかえてやっておるわけです。  こういうことから見てまいりましたときに、この社会保険事業というものは、いつまでもこれは国の権限に属することだというようなことに、私はこだわる必要はないと思う。言うなれば、この際踏み切って府県の事務に移譲する、職員の身分だけじゃなくて行政事務全体を各府県の事務に移管する、こういうようなことも考えられるじゃないか。またそういうように考えられなくても、先ほど申し上げましたように、戸籍事務やあるいは統計事務と同じように、この事務を知事に委任をして地方職員にやらしていく、こういう方法もありはしないかと私は思うわけです。そういう点はどうですか。
  143. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 この問題は、確かにおっしゃるように、国の事務を府県知事なり市町村に委任をしたり、団体委任をしたり、あるいは機関委任をしたり、その例のあることは私も十分承知しております。問題は、この行政がどちらが効率的に運営できるかという観点から判断せらるべきものであると私は思います。どちらが能率的に、効率的に運営せられるものか。しかもそれはまた、保険料というものによって裏打ちされながら担保されていかなければなりません。しかもその保険料というものは公租公課でございます。こういうふうなことを考えて、そういうふうな公租公課によって裏打ちをされる行政、それが最も効率的に運営されるにはどうすればいいか、こういうことであろうと私は考えております。  実はこの自治法の附則ができました当時、私もちょうど役所におりましたから、労働省、厚生省で、なぜこういうふうな「当分の間」という規定を設けられたか。司令部によってこれが認められてできた制度でございます。そういういきさつ等私はよう知っているのです。それであの当時は、もう先生御承知だと思いますから申し上げぬでいいと思うのですが、この問題は解決するのは困難だ、国の機関と地方の機関とに分けろというのが根本であります。ところが、あの当時はローカルオートノミーという思想が非常に強かった時代でありますから、その機関を国の機関と地方の機関と二つに分けないで、むしろ一本にしておいたらどうだ、そしてしばらくたって、その行政が能率的にいくにはどうすればいいかというその時点において、国の機関に分けるものは分け、地方機関に分けるものは分ける、こういうやり方にしたらどうであろうかというので、あの当時、御承知のように、マッカーサー司令部における民政部局とガバメントセクションとの析衷案としてできたのはそういうものでございます。そういうわけで、この事務の性質というものが非常に国家的なものという色彩もありますが、これが大半でございましょうが、しかしローカルオートノミー的なものもある。こういうことは私は十分わかっているつもりです。そういうことを頭に描きながら、この問題についてはいつまでも投げておくわけにはいきますまい、何とか決着をつけてあげなくてはなるまい、こういうのが私の心境でございます。
  144. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは大臣も御案内のとおりに、四十年九月に地方制度調査会の答申で、事務は都道府県に移譲するべきであるというように答申しておりますね。また四十一年の七月には行政監理委員会が、職員の身分は都道府県に移管すべきである、こういうように勧告しておりますね。だから、大臣が、いま言われておったところの権限の問題、あるいは身分の問題、この二つが過去に勧告、答申ということで出ておるわけなんです。予算委員会の分科会で私、自治大臣に同じことを質問いたしましたら、自治大臣は、自治大臣になってはじめてわかった、これはもうけしからぬ話である、こういうことなんです。齋藤厚生大臣が今度自治大臣になったら、またいまの御答弁と逆の御答弁になってくる。これでは、役所の行政事務を官僚のなわ張り根性としていつまでも握っておる、こういうことが、長い間かかって今日に至るもなお解決できないという一番大きな要素になっておるんじゃないか、こういうように私は思うわけなんです。  そこで、実はきのうの参議院の本会議におきまして、わが党の和田静夫君が質問しておるわけです。その質問に対しまして総理大臣は、抽象的ではありますが、やはりいま厚生大臣が言われたと同じように、四十九年を目途に決着をつけていきたい考え方だ、こういうように言っておられる。その次に立ちました自治大臣は、いままでの自治大臣の御答弁や、いままでの各大臣の答弁からかなり前進をした、前向きになった御答弁がされておるわけなんです。どういうことかと申しますと、地方移管をするという方向によって関係各省に至急伝えていって、そして四十九年を目途にまとめ上げていきたいんだ、こういうように言うておる。方向を地方移譲、地方移管という表現がなされておる。そしてさらに自治大臣は、六月二十八日の参議院の地方行政委員会のときにも、身分移管関係閣僚協議会を設置して、行政管理庁長官をその責任者として、この八月から調整を急いでいって来年を目途に決着をつけていきたいと思っておる、こういうふうに答弁しておるわけなんです。またきのうの本会議で福田行政管理庁長官は、自治大臣の六月二十八日の委員会発言であった身分移管関係閣僚協議会、そういうようなものをつくらなくても、もっと積極的に行なっていく必要があると思う、こういうように答弁しておるわけです。ここで見られるところの、福田行政管理庁長官あるいは自治大臣の答弁の内容というものは、かなり前進をした、前向きになった御答弁になっておるわけです。いま厚生大臣の御答弁を聞いておりますと、厚生大臣のほうは若干うしろから追いかけているというような感じがあります。きのうのことであります。きのうもうすでに、こういうように行政管理庁長官なりあるいは自治大臣が発言しておるという時点に立って、大臣、私はもう一度お伺いしたいわけなんですが、来年を目途に決着をつけていきたい、こういうことであるならば、先ほどいろいろと権限の問題、あるいは徴収事務の問題、あるいは給与差の問題と言われましたけれども、給与差の問題と権限につきましては、私は先ほど、私なりの発言もしております。     〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 きのうの自治大臣、行政管理庁長官の答弁を踏んまえて、来年を目途にするならば、もうこの国会が終わりましたら、来月からこの調整に当たっていかないと間に合わないわけなんです。そういうことで、おくれはとらじという厚生大臣の決意のほどをひとつお聞かせ願いたい。
  145. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 これは私も、今日まで衆議院、参議院、予算委員会その他において御答弁申し上げてまいりましたが、国の事務と地方の事務との権限の分配という問題が大きな問題でございますから、その問題をはっきり決着をつけない限り身分の問題は解決しないわけでございます。そういうわけで、いろいろ私が申し述べましたような問題点考えながら決着をつけることが必要であると、私も考えております。その点については私も異存はございません。  ただ問題は、それは自治大臣はローカルオートノミーという考え方がありましょうが、私は私として、全国的な健康保険なり厚生年金法の施行については全国民に対して責任を負っておるわけでありますから、その事務が円滑に行なわれるかどうかという担保をどうするか、これは私としては当然考えるべきことだと思います。それからまた、その事務に従事しておられる方々も、そういう誇りを持って従事しておられるわけであります。その一万か二万の大ぜいの方々の将来の問題も考えなければなりませんから、右から左にこうだああだということをいま言うのはやっぱり時期は早い、私はかように考えております。したがって、いま申し述べましたようないろいろな問題を慎重に考えてこの問題に決着をつけたい。これは何べん御質問をいただきましても、終始一貫私はそう申し続けておるわけでございますから、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  146. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 念のために。一万何千人の従事しておる職員のことを非常に御心配なさっておるわけなんですが、地方におきまして社会保険事務所で働いておる、あるいは地方庁の保険課で働いておる、この保険行政の事務に当たっておられる一万何名かの職員は、どういう気持ちだというようにお考えになっておりますか。
  147. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 職員団体のほうからは、いろいろ移管といったふうな御意見を漏らされておるものもあると私は承知しております。しかし、私どももまた、現実にいろいろな方々に実は意見を聞くことがあるのです。私も昔は労働省の役人をしておったのですが、ここには一万何千人の職員がおるわけです。こういう方々によりますと、大ざっぱに言うて、いなかの方々はいまのほうがいいという人がおるのです。これは現実におるのです。東京のような大都市は、地方吏員になりたい、こう言っている人もいるのです。それはやはり、職員団体としては統一的な意見を出されておるように思いますが、個々人に当たってみますと、いろいろな意見を持っておる方々がおるわけです。一万何千人の職員というのは、厚生省の職員として、真剣になってほんとうに忙しいのに御苦労願っておるわけでございます。これは、そういう方々の将来というものを考えないというわけではありませんが、そういうことを十分に頭に描いて、そうしてそういう国の事務がりっぱに能率的に遂行されるかどうかという担保がはっきりしない限り、私は所管大臣として、右から左にああだこうだということを軽率に答えるべきものではない。これは慎重に考えて、そうして事務の効率的な運営、職員の将来の問題、そういうことについて誤りないような決着をつけていく。これは私は大臣として当然のつとめじゃないかと思いますので、これは同じことになるわけでございますから、どうか御理解をいただきたいと思います。
  148. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 理解をしてもらうために、大臣が先ほど言われて、私はそうでないというように否定したわけなんですが、給与差の問題から出発するならば、なるほどいま大臣が言われたように、大都市の国家公務員と県の職員と給与差がかなり大きいために、そういうところの職員は地方移譲に賛成だ、いなかの県に行けばそう格差がないので、むしろいまのほうがいいというように言うとおる。これは給与格差から発想した考え方であって、いまからもう十年も十五年も前のそういう職員の層の考え方なんです。今日はそうじゃない。申し上げましたように、単なる給与格差だけじゃない。同じように机を並べ、同じように建物の中におりながら、何か異質な思いをしてその中で働いておるという、こういう不安定な身分の中から出てきている、社会保険事務に従事しておる職員の気持ちなんです。考え方なんです。そういうところで、今日では、これらの職員の組織しておる労働組合、少なくとも労働省の同じ地方事務官の身分にあるこの職員、あるいは運輸省の地方事務官、陸運事務所の職員ですが、これらの職員と比べましたら、大臣御所管の社会保険に従事している職員の、一〇〇%とはいいませんが、九九%に近い職員層が一緒になって、地方自治体で働いておる労働者の結集体である自治労という組織に九九%までお入りになっておる。そういう自治労の組織を通じて請願運動がなされておる。請願行動がなされておる。われわれはそれを受けまして、この国会にも地方自治法の一部改正案というものを私たちが出しておるというのも、そこに由来するところなんです。したがいまして、社会保険事務に従事しておる職員の気持ちというものは、大臣のいま言われたように、小さいところと大きなところと格差がある、違いがあるというのじゃなくて、職員の九九%までは、地方に身分を移管してほしい、こういうことであるということをひとつ御理解いただきたい。  加えて、各県の県議会におきまして、それぞれ議会の議決として従来から厚生大臣に要望しておるところであります。全国の各県の知事会におきましても、知事会の決議として同様の要望をしておるところでありますので、きのう参議院の本会議におきまして自治大臣が出されましたように、地方移譲という方向を目ざして来年を目途に決着をつけていただく。そのためには、この国会が終了後直ちにその調整に当たっていただくということを、厚生省も積極的に、大臣を先頭に取り組んでいただきたい。こういうことを強く要望しておきたいと思うわけなんです。  最後に御質問いたしたいのは、産汚物の処置の問題について、この機会にひとつお聞かせ願いたいと思うわけなんです。  実は、清掃法が改正されまして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律ということで昭和四十五年十二月に公布されております。この結果どういう問題が起こっておるかといいますと、前の清掃法によりますと、産汚物というのは、一般のごみだとか、今回新しい法律のもとでいわれているところの一般廃棄物と同じような扱いをしておらなかった。なぜならば、産汚物というものは、その性格上、一つはその中には妊娠四カ月未満の胎児を含んでいる。あるいはいわゆるあと産といいますか、胞衣といいますか、胎盤、これを含んでおる。それからさらには、それに付着した布、綿、紙、これらを称して産汚物といっておるわけなんですが、申し上げましたように、妊娠四カ月未満の胎児あるいは胎盤、これを含んでおるわけでありますから、前の清掃法では、この処理のしかたについては、各県の条例でその処理についての条例がつくられて、そして条例に規定した内容によって処理していたのが実情でございます。ところが、今回の新しい法律によりまして、産業廃棄物以外のものは全部一般廃棄物だ、こういうことになりましたら、当然いま申し上げましたような産汚物も一般廃棄物でありますから、ごみと一緒に胎児も処理してしまう、こういう問題が起こってくるわけなんです。そういうように私は解釈するわけでありますし、また、そのように処理をされても、この法律では別段問題がないと思うわけなんですが、その点どうですか。
  149. 浦田純一

    浦田政府委員 先生の御案内のとおり、妊娠四カ月以上の死胎につきましては、これは墓地、埋葬等に関する法律に基づいて、一般の死体と同様に適正に、丁重に取り扱うということになっているわけでございます。この趣旨は、妊娠三カ月以内の死胎でございますが、こういったようなものにつきまして、では粗略に扱っていいかというと、決してそういうことではございませんで、墓地、埋葬等に関する法律では、これはいろいろと義務がかかってきております。そういった義務をかけるということはいろいろと技術上難点もあろうかとは思いますが、三カ月以内の死胎につきましても、これはやはり粗略に扱えということではございませんで、丁重に扱うということは申すまでもございません。病院、診療所、あるいは助産所等関係者の方々は、そういった意味から決して粗略に扱っているとは私は思いませんが、従来の清掃法上の取り扱いと今回の法改正によっての取り扱いの違いというふうなことでございますが、これはいささかも従来の清掃法の考え方というものを曲げておるわけじゃございません。私どもは、なおこの趣旨が徹底するように、また、かりに三カ月未満の死胎であれ、あるいは出産のときに付属して出てまいります汚物であれ、やはり国民感情というものを十分尊重いたしまして、万が一にも粗略に扱うことがないように、適正な措置が行なわれるように強力に指導してまいりたいと思っております。
  150. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私の質問しておるのは、そういうように、粗雑に扱われないようにすべきであるとか、指導すべきであるとかということじゃなくて、この法律では産業廃棄物以外は一般廃棄物なんだから、ちゃんと法律に明記されておるんだから、四カ月以上の死産児についてはもちろん、いま御答弁がありましたように、墓地、埋葬等に関する法律に基づいて処理しなくちゃいかぬ。四カ月未満の胎児についてはこの法律規定からは一般廃棄物じゃないですか。そうすると、一般廃棄物であれば、ごみと一緒にごみの焼却場で燃やしても法律違反だということにならぬでしょうということを私は質問しているんです。どうですか。
  151. 浦田純一

    浦田政府委員 法律違反になるかならぬかと言われると、法律違反にはならないわけでございますが、これは前の清掃法の解説書で、胎盤、胞衣あるいは産汚物等を廃棄物として扱うという旨の解釈が出ておりますが、実際上の運営といたしまして、今後、先ほど申しましたように、私どもはやはり、これは国民感情から考えましても、決して粗略に扱うべきものではないと思いますので、その旨が周知徹底できるように強力に指導してまいりたいと考えております。
  152. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 だから、お認めになったように、これは法律にはひっかからぬわけなんですよ。だからいま、どういうようにこれから指導していくと言うたところで、いますでに法律改正になったのだからということで、各県の衛生部ではそういう考え方に立っておるのですよ。また、従来この処理にあたっての委託をしたり、あるいは従事しておる処理の業者、収集の業者、この法律改正によってそういうようになったのだという観念が植えつけられておるわけなんです。そこに問題があるので、私はいま質問しておるわけなんです。だから、これからこれをしていく、していかぬということよりも、いま現実にそういうようになって、粗雑に扱われても問題にならぬようになっておる。ここらを問題にしておるわけなんですから、ひとつこの点、この法律によって解釈をするのならばそうであるのだから、できて間もない法律でありますが、行政上指導するとかということが問題じゃなくて、やはり問題があるとするならば、できて間もない法律であっても、この法律を適当な機会に改正をしておかないと、これはたいへんなことになるぞということを私は指摘しておるわけですから、その点どうですか。大臣にお聞きするまでもなく、改正する要があれば、これはすみやかに一番近い機会にこの法律改正する、こういう考え方にお立ちになるかどうか、ひとつ御答弁願いたい。
  153. 浦田純一

    浦田政府委員 先生の御意見、御趣旨、よくわかりましたので、私どもは早急に、とりあえずはこの解釈と指導ということを明確にいたしまして、国民感情に沿うような方向でもって強力に指導していきたい、行政指導でまいりたいと考えております。  それから、この法の定義の問題にかかわることでございますので、その辺、はたして解釈でいけるか、あるいは法改正を伴うものか、その点のところも十分に検討いたしまして、早い機会に、もしも改正する必要があるということでありますならば、このことも考えてまいりたいと思います。
  154. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そんなもの、あなた、検討しなくてもちゃんと書いてあるじゃないですか。産業廃棄物というのは施行令でちゃんと並べてあるでしょう。それで本法では、その産業廃棄物以外のものを一般廃棄物というと書いてあるじゃないですか。あなた、何を検討する必要があるのですか。そうでしょう。
  155. 浦田純一

    浦田政府委員 御指摘の点は、やはり国民感情に沿うようないわゆる処理、処分の方法であろうと思います。それで、廃棄物という名称がはたして適当かどうかという問題もございましょうけれども、私どもは決して、これを廃棄物として取り扱いましても、粗略に扱うという趣旨ではございませんので、その点は私どもは、行政指導でもってこちらの意図することを明確に伝えたいと考えております。
  156. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いま国民感情ということばがあったわけなんですが、古い話でありますが、先ほどは死産児の話をしましたけれども、この胎盤の回収につきまして、昭和二十六年の八月三日付で当時の長崎県の衛生部長から厚生省あてに照会が出ておる。これは長崎県だけでなくて大阪にもありました。製薬会社のほうから、胎盤を回収して薬にしていきたいんだ、飼料の材料に使っていきたいんだ、それでどうしたらいいだろうか、できるならばこれを製薬会社が一手に引き受けて回収したいと思うのだ、こういう申請か出ておるけれども、どうしたらいいだろうという照会文が県から出ておる。これに対しまして、当時厚生省は答えて、「一、国民感情から考えて胎盤を収集して肥料薬品並びに飼料として一括処理することは好ましくない」、それから「二、営業の自由を侵害するから特定の個人に処理させることは不可能である」、こういうふうに文書をもって通達をして行政処理をされてきた。それが五年たち、十年たち、十五年たち、二十年たった今日、どうですか。国民感情ということばで、胎盤を薬にしてはいけない、化粧品に使うようなことはいけない、飼料にもしてもらってはいけないというこれが、五年たち、十年たち、十五年たち、二十年たった今日、これが化粧品の材料になったり、薬の材料になったり、いつそんなに変わったのですか。国民感情がよくなったのですか。二十年前には、胎盤は薬にしたらいかぬ、しかものみ薬にすると国民感情がよくないからいかぬということを行政指導しておきながら、二十年後の今日では、胎盤はのみ薬に使用するようなことでもいいというような国民感情になったのですか。飼料に使ってもいいというような国民感情になったのですか。いつそういうふうに行政指導が変わったのですか、お答え願いたい。
  157. 浦田純一

    浦田政府委員 個々のいろいろな例外と申しますか、そういった例はあろうかと思いますが、私ども、旧清掃法、現在の廃棄物処理法の運用の精神からいきまして、昭和二十六年九月三日に出しました通牒の中身、それに対する考え方というものは、私どもは変えていないのでございます。
  158. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 変えてないということは、これはちょっと何ということを答弁するのですか。変えてないということは、それではもう一度お聞きしますが、産汚物の胎盤で薬をつくったり飼料をつくったりするような材料に充ててはいけないという考え方に変わりはないということですね。念を押しておきます。
  159. 浦田純一

    浦田政府委員 先ほど先生がお読みになりました通牒の趣旨でございますが、もう一度繰り返して読ましていただきますが、「一、国民感情から考えて、胎盤を収集して肥料薬品並びに飼料として一括処理することは好ましくない」。それから、「二、営業の自由を侵害するから特定の個人に処理させることは不可能である」。こういうことでございまして、やはり私ども清掃法の立場から、廃棄物処理法の精神から考えまして、それぞれ一括していわば十ぱ一からげと申しますか、そういったようなことで粗略に扱うといったようなことにつきましては、やはり好ましくないというふうに考えておったのでございまして、現在もそのような考え方については、私どもは変えていないのでございます。
  160. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 答弁になってないじゃないですか、それは。そうすると、これはどうなんですか。施行令ではこうなっておるのですよ。これはどうしますか。「一般廃棄物の処分を委託するときは、市町村において処分の場所及び方法を指定すること」ということになっておるのですから、それでは、一般廃棄物の一つである胎盤で薬をつくっておるところ、胎盤で飼料をつくっておるその製薬会社の前に、その製薬会社の看板の横手に、ごみの焼却炉あるいは産汚物の処理場、こういう看板をあげなければいかぬということになるのですよ。どうですか。
  161. 浦田純一

    浦田政府委員 この通牒の趣旨は、やはり適正に処分していただきたいということが趣旨でございますので、私どもは、廃棄物処理法のこういったたてまえから、一括処理されるといったようなことでは疎略にもなりかねないということでございますので、その適正な処置、処理方法ということにつきましては、現在までも指導してまいったつもりでおりますけれども、さらに関係者に強くその辺は行政指導して、間違いのないようにいたしたいと考えております。
  162. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 納得できぬな。胎盤を収集してきて、そして薬の材料にしても、胎盤全部がこれは飲み薬になりませんよ。そうでしょう。胎盤の何分の何かが薬になるのでしょう。そうでしょう。そうしてあとの残ったものは今度は産業廃棄物になるじゃないですか。産業廃棄物になったら、そこらへほってもいいということになってしまいますじゃないですか。ここらの問題について、そういうあいまいな答弁じゃなくて、もう少しやっぱりしかとした答弁をしてください。
  163. 浦田純一

    浦田政府委員 この胎盤等の処置につきましては、きちっと行なわれるように十分に基準なども設けまして、間違いのないようにいたしたいと思います。
  164. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、いままでしてなかったということですか。
  165. 浦田純一

    浦田政府委員 いままでも十分にその辺のところは行政指導をいたしておったつもりでございますが、さらにその徹底を期するために、明確に基準等を設けまして遺漏のないようにいたしたいという趣旨でございます。
  166. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いまのこれについては、この薬が胎盤だったのか、この化粧品が胎盤だったのか、この飼料の原料は胎盤だったのかということを国民が知ったときに、国民感情はいいことないと思うのですよ。私はやはりこの産汚物というものは、なるほどあなた方の見地から言うならば、捨てるのはもったいない、これはやっぱり活用するなら活用したらいいということも話がわかりますが、やはりあくまでもこの胎盤というものは汚物なんです。環境衛生の上からこれを処理していく、こういう観点に立たなくてはならないわけです。そばかすとりの化粧品になってみたり、子供のひきつけの飲み薬になってみたり、この材料が実は胎盤なんですよということを知ったら、これはどうなりますか。これはやはりあくまでも廃棄物の再生だということで、今後も厚生省としてはそのような活用を許していくというお考えなのかどうか、ひとつ御答弁願いたい。
  167. 浦田純一

    浦田政府委員 現在、人体の組織を用いましていろいろと薬をつくったりしておる事実はほかにもございます。血液製剤などがそうでございます。これは薬務局、薬務行政のほうの立場からどのように判断していくか、薬務局長のほうからお聞き願いたいと思いますが、ここで申しております通牒の趣旨は、あくまでもそういったようなものの最後に出てまいりまする汚物、いわゆる汚物としての措置をどのようにするかということを、私どもとしては考えているのでございます。これはやはり国民感情に沿うように、決して疎略に扱ってはならないということで、従来もその線に沿って指導してまいったわけでございますが、なお、徹底しない面もございまするようですから、処理の基準を設けまして、そして徹底を期してまいりたいと考えております。
  168. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間がありませんので、ひとつ要望になるかもわかりませんが、一つは、いまの行政指導をされる中にひとつ頭に入れてもらいたいのですが、産汚物、胎盤がそういうように材料になっていくがために、本来環境衛生の見地からこの汚物を処理するということよりも、製薬会社が材料に買ってくれるのだから、だからそこへ頭がいって、こんなぼろい商売はないということでおのずから独占していく。できるならば製薬会社が直接回収をしていく、こういうようなことになりがちなんです。そうすると、本来の環境衛生ということはもうおろそかになってしまう。ここらはやはり、あくまでも収集処理というのは、これは製薬会社の材料に使うということを第一義的に考えるのではなくて、やはり環境衛生の上から処理をしていく、収集をしていくということが第一義的なんだという考え方に徹してもらわなければいかぬ。これは県のほうの指導も、あるいは業者に対する心がまえもそうあってほしいと思うわけなんですが、そういう点について、あらためてひとつ大臣、こういう状態がありますので、知事のほうに厳重な行政指導をいただけるかどうか、お答え願いたい。
  169. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 私もうかつでございましたが、そういう例を存じておりませんでございました。しかし、いろいろな御質問を通しまして私も非常に理解を深めたわけでございまして、そういうものをやはり一般廃棄物として取り扱うのがいいのかどうか、やはり法律的に問題があると思いますね。でございますから、もう少し研究させていただきたいと思います。そして必要があったら法律改正を適当な機会にやるようにいたします。そういう法律改正を行なうまでの間は、厳重な基準を設けて、いやしくも国民感情に沿わないようなことのないように厳重に処置いたしたいと思います。
  170. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 加えてもう一つだけ言うておきますけれども先ほどちょっと申し上げましたように、従来、戦前は大体お産というのは各家庭が主であった。いまはもう一〇〇%まで病院や産院でお産するでしょう。そうすると、いま申し上げたような汚物というのは、病院、産院でストッカーに投げ込まれるわけなんです。そこに処理業者が収集しに行くわけです。そこで、胎盤だとか、あるいは布だとか紙だとか、そういうものだけであったらいいけれども、中にはやはり流産したり死産したりするわけでしょう。胎児が胎盤と一緒に入っておる、死産児がその中に入っておったという場合、収集の業者が見て、これは三カ月未満の胎児であった、だから処理したらいい、これは四カ月以上の死産児であるから埋葬しなければいかぬという判断が、そういう収集業者にいかぬでしょう。そうすると、かりに四カ月以上の死産児を不用意に処理するというようなことがあったら、人権問題として許しがたき問題が起こってくると私は思う。こういうような問題もあるということをひとつ念頭に置いていただきまして、いま大臣が言われましたように、一般廃棄物の中で処理するというようなことではなくて、法律改正を急いでいただくように御検討願いたい。  このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  171. 三原朝雄

    三原委員長 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  172. 大出俊

    ○大出委員 数々この法案にかかわる問題などもあるのでございますが、最初一つ承っておきたいのは、参議院の田英夫議員の質問等とからみまして、かつて、田中法務大臣が答弁をいたしました姿勢と、しまいには外務次官法眼さんの談話まで出まして、だいぶもめた時期がございました。私はあれをずっとノートに書いてみまして、当時、外務大臣に質問したことがあるのですけれども、未承認国との交流を積極的に進めるという趣旨の、大村あるいは横浜の入国者収容所長など全国十四人の入国管理事務所長をお集めになっての会合の席で、新聞にございますような法務大臣の訓辞がございましたが、これは、当時からの積極的かつ前向きな法務大臣の姿勢に私は賛同している一人でございますけれども、ここのところ、外務省とおそらくもう食い違いはないだろうと思うのでありますが、こういうふうにお話しになった趣旨を、できれば法務大臣の真意のほどを含めまして、ここでまずもって承っておきたいのでありますが、いかがでありましょうか。
  173. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 承認国と非承認国との間に幾らか区別のありますことは避けがたい。国際関係を見ましても、世界どの国もそのようでございます。しかし、承認国であろうが非承認国であろうが、事いやしくも人道問題戦災復興などということは人道以上の問題でもございます。人道並びに人道以上の問題というものについては国境を越えるべきものである。承認国はよろしい、非承認国はいけない、非承認国の中でもベトコンはいけないというようなことも言うべきものでない。ベトコンということばは、臨時革命政府ということばに取り消して訂正を申し上げますが、それはそういうことを言うべきものではない。日本が道義の国家というものを看板にあげるのならば、人道で来られる場合は国境を言わぬのだということに徹底しろということが私の意見で、漸次これを徹底しつつあるわけでございます。非常に極端なことを申しますと、この間入国の許可をいたしました実例のように、南ベトナム政府でなく、南ベトナム臨時政府でない、第三勢力ではない、何かというと南ベトナムの何々委員会と称する一団体、しかし内容的には臨時革命政府の人である、しかし形式は国家ならざる国家の中における一団体から御申請になった場合でも、人道ケースでおいでになる以上はこれをお受けするというその態度を貫いていかないと、道義国家ということの看板が泣くのではないかというように実は考えておるわけであります。  もう一口申し上げますと、それから人道以外の大事なものがあるのではないか。たとえば学術はどうだ、スポーツはどうだ、音楽はどうだというようなことが起こりました場合においては、それをどう取り扱うのかというと、これは人道問題に次いで大事なものとして積極的姿勢をもって考えていくのだが、これはケース・バイ・ケースで、その場合その場合で考えていく以外にはない。今日の段階ではその程度のことしか言えぬのです。人道問題は断固やる。人道以外の問題は、人道に次ぐ大事な問題については、これはケース・バイ・ケースだが、積極的姿勢で考えていく、こういうふうに実はただいまの段階考えております。まだ幾らか抵抗がございますが、大体いま申しました方向で推し進めてレールを敷いていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  174. 大出俊

    ○大出委員 これは長い経過がございまして、たしか賀屋さんが法務大臣をおやりになった時代がございます。このときに、玄海灘から朝鮮海峡には朝鮮公民の皆さんの歴史的な叫びが聞こえる気がするというところから、向こうの方々がお書きになった文書を引用して、当時、朝鮮民主主義人民共和国の方々の帰国の問題あるいは墓参の問題、つまり交流の問題を長い間ここで質問をしたことがある。そのあと、田中大臣がかつて法務大臣をおやりの時代がございました。そのときにまたこの問題を取り上げて、大臣に実は、元法務大臣の時代でありますが、賀屋さんに承ったと似たような角度での質問をしたことがある。いまのお話に出てくるまさに人道の問題であります。しかし、いま御答弁ございましたような、一つの基本が明確になっていての答弁は出てこなかったのであります。それはなぜかというと、やはり国際的な環境というものが当時いまとは違う環境にあったんだろう、こういう気がするのであります。  そこで、私はひとつここで、なぜこういうことを言い出したかという背景が一つあるのでありますが、きょうは時間がございませんから、外務省の方々の御出席はいただきませんでした。あらためてこれはやりますが、とは申しながらも、将来にわたる展望という意味で、国際緊張緩和の方向というのもあります。未承認国との交流という問題等をめぐって、外交的な一つの見通しの上に立って、つまり法務省は法務省の入管行政の立場でいまのようなお話が出てくる、こういうことになったのではないかという気が実はしておったのであります。人道とこうおっしゃるから、外務省の日本の外交の姿勢というものと離れていまのお話が出てきた気がする。そこらのところは、外務省との関係はどうとらえられておられますか。たとえば北朝鮮との交流というものについて、朝鮮民主主義人民共和国との関係というものについて、あるいは北ベトナムとの関係についてというふうな、日本の国の外交的な姿勢あるいは展望というものの中でいまの答弁が出てきているのかいないのか、そこらのところはどうですか。
  175. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 国際環境の激変、変化、そういう激変ということは、私は法務省でございますが、外務省のほうがむしろ早く敏感にお感じになる。そういう国際環境の大変化というものからだんだんと私たちの施策の方向が変わっていくわけでございますから、そういう意味では、特に会見をいたしまして、協議をして書いたものを取りかわしたという事情はございませんけれども、この法務省の考え方、外務省の考え方というものは、大体の線において合っておるのではないでしょうかね。そう理解をしております。
  176. 大出俊

    ○大出委員 まあ、かつてどうもたいへん合わないやりとりがございまして、そこらからいたしますと今回は合っていると、こういうわけでありますから、外務大臣も国会で答えておられるわけですから、おそらくそういう環境を踏まえているんだろうと思うのですけれども、WHOの例の北朝鮮に対する態度からいたしまして、国連の中における朝鮮に対する態度というものの変更と申しますか、練り直しを余儀なくされているという大きな国際環境もある。そうなると、そこらのものを一体どうとらえるかという、これは日本の国の問題ですね。一法務省の問題ではない。だが、新聞で見る限りは、実はそこまで突っ込んだ理解の上でお話しになっているようには表面的にはとれない。それがいま御答弁にあった人道の問題だ、こういうことなんですね。そこで、しかしそれは外務省とそう食い違いはない、合っているんではないか、こうおっしゃるわけですね。ということになると、私はここで、一つ条件をつけられてこれは審議に入っているわけです、法務委員会の、あるいは私どもの法務部会のほうから。まあ非常に微妙なところに来ている。南の革命政府の代表の方々も、グエン・チャン氏以下何人か八日日本へということで、いまおいでになる途上にある、こういう現実もありますね。  そこで、特に朝鮮問題、地域的な意味で朝鮮とこう申し上げておるわけでありますが、この問題について、一方出入国法が法務委員会に提案をされている。私ども部会がいろいろ相談をいたしましたが、そちらのほうとの関係がありまして、やはりこちらでこの設置法を審議するにあたっては、片一方に同じ法務省から出入国法案が出ている。この関係が、法案が違うんだとは言いながら切り離せない。そういう意味で、非常に大きく変わった国際環境が背景にある。非常に慎重な御答弁がいま出ています。そうすると、片一方の出入国法などについても、たいへん早い変化というものを背にしているのでありますから、慎重でなければならぬ、一言でいえばこう私ども実は考えているわけなんですが、そこらのところは、大臣、片方の態度のほうはそう外務省と違っていないということで、この新聞に載っております、「未承認国との交流 積極的に進める」云々という大臣の訓辞が出ている。一方、この法律は困るという相当広範囲にわたる反対意見もある。その限り、少し時期尚早だという感が私どもは出入国法についてする。やはり両方の姿勢が一致してくれないと困りますので、そういう意味で、無理をなさらぬほうがよかろうという気が私はするのでありますが、そういう意味でひとつ慎重にこれは対処をなさる、非常に大きな変化が目前にあったわけですから。そこらのところ、出入国法に対して聞くのは無理かもしらぬ気はするが、しかしこの法案は、取り扱いについて私どもの党の条件がついていますから、一言承っておきたいのです。
  177. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 頭の痛い質問で、この席でお答えをすることがどうかと思うのですけれども、しかし、答えをせよとのおことばでございますから申し上げますと、この出入国法につきましては、国際上の大変化に即応するつもりで実は内容をつくり上げておるのでございます。短期の旅行者をむずかしい手続を踏ますというようなことは、これはちょんまげ時代の法律でございます。船の時代につくった法律を、航空機、ジャンボ時代に適用しようなんで、そんなことはからっきし話が時代おくれです。それで、新しい時代に即応するためには、短期の旅行者というものは観光客同様に扱うんだ、ぱっぱっと判をついてやっちまうんだ、ちゅうちょしない、こういう行き方で、これはでき上がればたいへん好人気を博するもの。いま言ったように、日本は観光、観光と言っておるが、何が観光だ、手続ばかりむずかしくて入れないじゃないかということのおしかりが、全世界各国からこの非難が出てきております。それを時代に即応するように、ジャンボ時代に合うように大改正をしようというのでありますから、これは私は社会党さんといえども、他の野党の皆さんといえども、内容をごらんいただきますと御反対はないのではなかろうかと、かってにそう思っておるわけです。  問題になりますのは、政治活動の制限でございます。その政治活動の制限も、今日、国際情勢がこう進んでくるという見通しを持っておるから、私がこの政治活動についても大幅な譲歩をしたわけでございます。私が預かっております外国人は七十三万人おります。そのうち、十一万人を除きます六十二万人は朝鮮出身の人々でございます。その六十二万人のうちで五十九万までは全部政治活動自由、日本国生まれの日本人同様だ、思うようにやれ、そういう処置をいたしました。たった三万人余りだけについて、しばらく一定のクッションを置いて御遠慮を願う。これは一体どんな人なのかというと、南北朝鮮両国が独立せられた後にお入りになってきた新しい人々であります。もう一つは密入国者であります。それを同情して特に残しておいてやっておるという、この密入国で滞在が許されている者でございます。これを合わせますと三万人余りになるので、この三万人の人だけは政治活動自由というわけにいかぬ。それは行き過ぎたことだけはやるな。デモに参加することも自由、演説会に行くことも自由だが、自分で大演説をやって人を扇動したらいかぬ、自分でデモのリーダーになることは許さない、自分でビラを配ったり、自分でポスターを張ることはいけない、この四種類だけはいけないといって、そういうことをした場合においては、ちょっとお待ちなさいということを注意する。注意に応じてくれたらそれでおじゃんです。それでよろしい。その注意に応じないで引き続き同じ行為を繰り返す場合においては退去を命ずる。こういうクッションを置いておるという制度も世界の制度の中にないのですね。よっぽどお人のいい日本だということになるのではないかと思うのです。しかし、国際情勢の大変化ですからね。もうあなた、朝鮮の人々が日本へ来て政治運動をやるぐらいのことは、どうということはない。ことに、いままで日本とは深い関係にあった人々は自由にしたらよかろうということで、五十九万人の解除をしたのです。  この内容を私が責任を持って説明いたしますから、この私の説明を聞いてくださりさえすれば、ああ、だいぶん変わっておるんだなということはおわかりいただくのではなかろうか。つまり新時代の入管ですね。すばらしい変え方なんです、この変え方は。ひとりよがりのようにお聞きになるかもしれぬけれども、読んでいただいたらわかることです。  そういうことでございますので、この両方の事柄は抵触しないのです、先生。おまえのしゃべっていることは進んでおる、入国の許可は進んでおるけれども、入管法はおくれておるじゃないかということにはならぬ。どうも先生は、そういうおことばをいただいたように思って 私は気にしてこのお話を申し上げるのでありますけれども、決して時代おくれになっていない、新しい時代に即応するための改正である。どうぞ野党さんもよろしくお願いをいたします。
  178. 大出俊

    ○大出委員 なかなか担当の委員会のほうでいまのようにお話しになる機会がないと見えまして、大臣、なかなか欲求不満になっておられるようであります。私はこの席で入管法の審議をしようと申し上げているのではないのですけれども提案理由の説明以上のことをいまお話しになりましたが、これは私、雨の中、何人かの人と一緒に大臣のところへおたずねをして直接さしで承ったときに、ちょうどいまおっしゃったと同じことを、ちょうど時間も同じくらいお話しになりましたですね。だいぶこれはもう大臣の頭の中はできておるわいという気がして御無礼したのですけれども、それでもあのときに意見を三つ四つ申しましたように、非常に強い反対がございます。私はそう申し上げたが、反対をなさる意見を述べられる、それもそれなりにわからぬわけではないがと、これが当時大臣の答弁でございまして、非常に微妙な発言を当時大臣がなされました。出入国法なるものをどうしてもおやりになるのかと言ったときに、まあ委員会が違いますので、ここで審議しちゃうわけにまいりませんから、私が申し上げておりますのは、今回の大臣の姿勢、それから日教組が大会を開きますが、ここに代表団を送ったお礼の意味を含めて招請をした、それ相当な方々を。私も朝鮮民主主義人民共和国を歩いたこともございますが、当時、総評中央本部の代表団長で行ったこともございます。したがって、この顔ぶれを見るとわかるのでありますけれども、相当な方が来る。ところが、この中でも、旧来と違って政治活動のチェックなどというものは一切今度はなさらぬ。WHOがきめたあのいきさつ等もありまして、非常に大きく変わったなという印象を直接的に受けている。大臣は大臣で、十四人の所長さんを集めて話をされている。この中で短期旅行者について触れておられるのですね。ちょうどまた、いまおっしゃったと同じようなことを言っておられるのですね。  しかし、それが対象がきちっと、こっちだときまっているわけじゃない、いまの点は。こっちだとこうなる、ねらいはこうだと見られるところの方々は、それなりにやはり反対を続けることになる、焦点はそこにあるんだから。いま一般論としておっしゃることはわからぬわけではないが、焦点がそこにあるんだから、それがまたポイントなのだから、朝鮮民主主義人民共和国との関係も、今度の代表団の例に見られるように特に条件をつけないわけですから、だとすれば、出入国法、入管法といわれるものについても、これはもう少し時間的な間を持たせる必要があろう。そのくらい慎重であっていいのではないか。  つまり、国益ということがよく出てまいりますが、そういう意味で考えても非常に大きな変化でございますから、この際どうしても反対だというこちらの方々は、何も御自分のお国と無関係で反対だと言っているわけでないんですから、そこらのことを考えると、その辺をひとつだから慎重にと、こういうことばを私は使っているんですな。慎重にひとつお考えをいただけないか。いきなりここで、それが逆にたいへんいいもので、聞いていただけばわかるんだがという調子の、まさか御反対はないんだろうと思うがというPRになってしまうと、これはちょっと慎重ではなくなってしまうので、ひとつ慎重にこれは扱っていただけませんか、こう申し上げておるのです。そこらのところまで触れて申し上げないつもりだったのだけれども、大臣からお話が出ましたから重ねて申し上げるのですが、ひとつ慎重な御配慮をいただく必要があろう、こう思っているんですが、いかがですか。
  179. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 おことばまことにごもっとも、法案の前途を考えていただいてのおことばでよくわかりました。慎重にやっていきたいと思います。
  180. 大出俊

    ○大出委員 横浜に刑務所がございますが、何という名称でございましょうか。
  181. 長島敦

    ○長島政府委員 横浜刑務所でございます。
  182. 大出俊

    ○大出委員 横浜刑務所は、地域的に申しますとどういうところにございますか。
  183. 長島敦

    ○長島政府委員 港南区笹下町でございますが、町の中のようでございます。
  184. 大出俊

    ○大出委員 港南区笹下というところなんですが、この笹下というのは、いまいみじくもおことばにありましたが、町の中でございまして、実際いまお話なんですが、これは実はその笹下の横浜刑務所なるところ、いにしえはよかったんだと思うのですが、いまお話の、町の中と、こういうおことばが出るように、まさに周辺は家屋で全くびっしり一ぱいになってしまいまして、ここは、中でいろいろ仕事をしている方々の様子が、全部周辺の住宅から見える、こういう地域になってしまったわけであります。  この刑務所の警戒や監視をなさる方々が歩く警務道路というのですか、まわりに道路がございますね。これは側溝も何もないのですね。セメントを流しただけになっている。周辺の住宅に、やたら雨でも降りますと水が流入するので、非常にこれは周辺が騒ぎまして、数年前に私は刑務所長さんにお目にかかったことがあります。このときにちょうど中へ皆さんが新しい建物をお建てになっておった。で、そのときに、実はこの笹下刑務所をどけてもらいたい。笹下にありますから、通称笹下刑務所と言っているのですけれども、もうこんなところにあっちゃ困る、こういう周辺の方々のたくさんの御意見が出ておりました。しかし、まあせっかく建て始めちゃったのですから、それを金をかけているのに、どいてくれという話をいきなりするわけにもまいらぬという気がして、それならばしばらくの間はしかたがないとして、周辺の住居に迷惑をかけぬようにしてくれなければ困るじゃないかという話をいたしましたら、予算的になかなか法務省うんと言ってくれぬという所長さんの話です。だから、材料だけでも何とかしてもらえばわれわれがやります、側溝をつくってちゃんと近所の住宅に迷惑をかけぬようにしますというような話まで出てまいりまして、私も周辺の居住者の方々ともいろいろ相談をして、何とかその辺の配慮をしていただいておさめるというので、当時おさめたいきさつがある。  以来何年かたちました。最近はまたまたこの周辺は、もうこういうところに刑務所を置かれちゃ困るという。新しい建物なんか建てていろいろやっておりますけれども、全くまる見えになってしまう。穴になっちゃっているわけですよ、周辺のほうが高いですから。そしてみんな家になっちゃっている。あれはおかあさん何しているのと、こうくる。どうにもならぬ。  そこで、いまあそこの収容規模というのは、たしか未決の方などを入れておるところもありましたが、どうなっているのですか。どのくらいの規模で、どのくらいの方々が、どういう状況で入っておられるのですか。
  185. 長島敦

    ○長島政府委員 横浜刑務所の定員でございますけれども、受刑者が千八十名でございます。未決の被告人でございますが、これが五百八十七名でございます。合計いたしまして千六百六十七名の刑務所でございますが、現在員は、これはことしの五月末でございますが、千四百六十四名入っております。
  186. 大出俊

    ○大出委員 この方々がいろいろお仕事をなさる。私どもも、刑務所の所長さんになんか頼まれまして、印刷だとかやれ何だとかいって、できれば頼んでくれないかという話もあって、県会議員の方々なども年じゅうそこでお願いをしたりしている方々もおったりいろいろするのですけれども、ただ、周辺の状況から見まして、よく私も周辺を歩きますけれども、まわりはもともと山ですからね。裏側は山になっておったわけですから、それが宅造されて、みんな開発されて家になっちゃったわけですから、どなたか行ってみればわかりますけれども、刑務所の中がまる見えになっているわけですよ。だから、さすがに当時そういういきさつでまとめた形になっておりますけれども、もうこの辺でひとつこの刑務所をどこかに移してもらえぬか、そういう空気も非常に強い。そこらのところを皆さんが御存じかどうか。急に大きな運動になっても皆さんが御迷惑だろうと思いますから、あらかじめ、皆さんがあの地理的条件をどういうふうに受け取っておられるのか、ここのところを承っておきたいのですが、いかがでございますか。
  187. 長島敦

    ○長島政府委員 ここの移転の要請でございますか、その点は、先日、横浜地方の新聞にかなり大きく出たようでございまして、それを私ども拝見いたしまして察知したわけでございますが、まだ正式には私どものほうへ実は参っておりません。  一般的に、私ども考えでございますけれども、町の中になってまいりまして、ことに御指摘のように、中が見おろせるということはたいへんまずい状態でございます。そういう場合には、なるべく地元の御要望に応ずるという方向で原則は検討するわけでございますが、ここの問題は、先ほど申し上げましたように、未決の被告人がかなりの数入っておりまして、これを動かしますと裁判所、検察庁その他の関係がございまして、なかなかこの部分が動かしにくいという点と、それから移転いたします場合に、最近は移転先の土地のたいへんな反対がございまして、この説得がまた容易でないという問題がございまして、いまの状況はよくわかりましたので、私どもも十分に検討していきたいと存じます。
  188. 大出俊

    ○大出委員 実は横浜の法務局も非常に人口密集してきておりまして、人がふえるばかりですから事務もふえる。横浜市に対して、何とか法務局用地を見つけてもらえないかというお話どもあって、私なども市から相談をされて、何とかどこかに見つけてあげなければいかぬかなということでいろいろ相談し合った時期もあり、そういう経過もいまあるのですが、横浜というのは、私が昭和三十八年に衆議院選挙を初めてやりましたが、そのときに横浜市民百六十万ですからね。ところが、四十八年ですから十年たったわけですけれども、いま百六十万市民が二百四十万になってしまったのですね。この間、宮城県知事選挙に行ったところが、宮城県百八十万の県民諸君と、こう言うのですね。宮城県はずいぶん広いですけれども、全部で百八十万だというのですね。わが横浜は二百四十万あるのですから。十年間で百六十万が二百四十万をこえたということは、それだけ人が入ってきたわけです。至るところ山が坊主になり、宅地になった。だから周辺の方々は、子供さん無邪気なんですから、おかあさん、あれは何をしているんだ。あそこは工場があって、みんな働いているんだとはまさか言えぬというわけです。そうでしょう。それを毎日ながめていたのじゃ、率直な話どうにも困るというわけですね。  そういう家屋が一ぱいあるのですから、やはり横浜市の側も、そういう市民の要望がたくさんございますので、このままにも捨ておけぬというところにぼつぼつ来ておるわけでございまして、したがって、念のためにいま承っておきたいと思って取り上げたのですが、あそこの敷地総坪数はどのくらいございますか。
  189. 長島敦

    ○長島政府委員 十二万四千平米でございます。
  190. 大出俊

    ○大出委員 これは何も、むしろ旗立てて、どけと言って大運動を起こさせようと思っているわけじゃないんだけれども、できる限りこれは、やはり皆さんとの話し合いをしてもらいたい。いろんな御都合のあるのは、私もこの委員会で長らく審議をしてまいりましたから知っている。いろんな問題が年百年じゅうあるわけです。那須のある地域に新しいのをこしらえるというような騒ぎになったら、その土地の問題で大騒ぎがあったり、いろんなことを聞きました。だから、これはずいぶん苦肉の策をして用地確保なさっていることも知らないわけではない。だから短兵急にというわけにはまいらぬ点もこれまた知らなくはない。だが、ぽつぽつもう限界だということもまた事実でございまして、あの地域にこれだけの広い土地を刑務所用地にとってあるという、これだけの収容能力があるということだとすると、これはいつまでも放任はできない。  したがって皆さんのほうで何がしかの先の見通しをお持ちになって、計画をお立てになって、こういうふうなことを考えるという皆さんのほうの姿勢がまず出てこないと、これは未来永劫にあるのだとかなんとかになると、せっかく当時大きな問題になって、まわりにみぞをつくったりして、雨露はそこに流して住宅区域には入れないというようなことでまとめてあるわけですけれども、そのままでは済まなくなる。したがって、そこのところで皆さんのほうは、この刑務所の将来についてどうするか。周辺の私の知っている、差し入れだ何だと扱っているお店なんかもあります。そういうものを一括考えなければいかぬわけですからね。  それからもう一つお話のように、横浜地検なり地裁なりあるわけでありますから、それとの関係もまた密接にこれあり、そこらのところもあわせて考えてみたときに、皆さんのほうが漫然と、しようがないんだと言ってほうっておくのじゃなしに、私がこの問題に触れてもう何年にもなるのですから、したがって、もう何かここでお考えいただかぬと大騒ぎにぶつかることになってしまうことになるので、そこで私は皆さんに少しお考えを承っておきたいのですが、このくらいの刑務所を移転するとなると、通常予算的にはどのくらいのことが必要になってくるのですか。
  191. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいまの大ざっぱなところでございますけれども、収容受刑者一人につきまして建築費が約二百五十万かかるわけでございます。
  192. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、千六百六十七名という収容人員を持つとなると、概算どのくらいになりますか。
  193. 長島敦

    ○長島政府委員 概算いたしまして約四十三億でございます。
  194. 大出俊

    ○大出委員 これは用地費は入っておりますか、おりませんか。
  195. 長島敦

    ○長島政府委員 建築費だけでございます。
  196. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、用地費はあと地との関係で代替なり何なり考えられるという計算でございますな。そうすると、ここで考えなければならぬのは建築費だけでいいということになるわけでございますか。あとは何かございますか。
  197. 長島敦

    ○長島政府委員 一つのやり方は、特別会計がございますから、移転先の土地が、現在おります土地よりも安い場合にはそこに差額が出てまいりますから、その分は建築費へ回し得るわけでございます。ただいま申し上げました金額は、全部建築費だけの金額でございます。
  198. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、やはりこれはぼつぼつ皆さんのほうで先の計画を御検討いただかぬと……。  これは一般論として承りたいのですが、おそらく全国各所にお持ちなんですから、そういう意味では、これはいままでに幾つもあり、今度の法律にも幾つもございます。月形少年院その他まで今度の法律には入っているのかもしれません。そこらのことを含めまして、一般論として皆さんの行政事務の中で、結果的には都市開発の関係で人口稠密なところに位置するようになってしまった、そういうところはこうするとかああするとかいう、基準めいたものはないのでございますか。
  199. 長島敦

    ○長島政府委員 基準と申しますか、一応の考え方はございます。原則は、そういうふうな町のまん中になってまいりまして、行刑自体から見てもぐあいが悪い環境になりますと、できるだけ移るというのが原則でございます。  ただ、移りますには、移る職員の不便ということもございますし、受刑者自体もまた面会その他の不便がございます。ことに未決の場合は、裁判所、検察庁等にある程度近くになければなりません。そういうようなことと、あとは電気とか排水、あるいは給水でございますか、何しろたいへんな人数でございますから、そういう問題がございまして、そういう条件に合いますような土地、場所を御提示いただきますと話が進みやすいというような過去の実情でございます。
  200. 大出俊

    ○大出委員 その場合に、用地確保というようなことは、たとえば地域的には、つまり距離的に裁判所だの検察庁だのということになりますけれども、いま皆さんが所管なさっておる刑務所等の関係でどのくらいまで可能なんですか。たいへん離れたところもあり、あるいは近いところもあるのだろうと思いますが、たとえば横浜市なら横浜市がものを考えるとした場合に、さっき廃棄物の話が出ておりましたが、廃棄物の処分地などについても、もう爆発寸前なんですよ。一生懸命処分地をさがしてやっておるのです。けれども、線引きが行なわれて市街化区域、調整区域になった関係もあって、なかなかうんと言わない、四苦八苦の状態。それだけに、この種の土地をということになりますとえらいことだという気がするのでありますが、もう用地がございませんでね。どのくらいのところまで可能なんですか。
  201. 長島敦

    ○長島政府委員 拘置監と申しますか、裁判所、検察庁へ出頭する被告人を入れておるというところは、いままで一番遠いところで四十分程度でございます。
  202. 大出俊

    ○大出委員 四十分となると、四十分くらいの周辺というのは全部びっしり家ですからね。裁判所だ、あるいは何だというのを中心考えるわけでしょう。そうなると、横浜市のどまん中ですからね、裁判所だとかなんだというのは。その周辺というのは、四十分くらい走ったって、どっちへ行ったって似たような、それこそ交通渋滞でどうにもならぬ地域ですね。その地域にどこかを見つけようといったって、これはとてもじゃないが、どうも話のほかでございまして、そうすると、裁判所や何かまで一緒にどこかへ移すことを考えないと、とても刑務所の移転はできない、こういうことになりますか。
  203. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいま申しましたのは未決の入ります未決監のことでございまして、横浜について申しますと、大体それが六百名ほどになるかと思いますが、既決の受刑者につきましては、特に裁判所とか検察庁とかいうものと直接には関係ございませんから、もっと遠い距離ということも考えられるわけでございます。
  204. 大出俊

    ○大出委員 ほかに少年鑑別所みたいなところもあるわけですから、保土ケ谷駅裏なんかにございますが、ここも移らなければならないだろう。そうなると、そこらのところを考え合わせて、未決の処理は処理で、その種の方々を除く受刑者諸君の問題等ということになるとすれば、地域的には相当離れてもいい、こういうことになりますね、結果的には。
  205. 長島敦

    ○長島政府委員 距離だけから申しますと、そういうことになると思います。
  206. 大出俊

    ○大出委員 それじゃどうですか、これ大臣がちょうど席をはずしておられるので、その間にと思って承っておるのですけれども、皆さんのほうで一ぺんあそこをお調べいただいて、周辺も含めて、その上で一体どうするかということをひとつ御検討願えませんですかね。
  207. 長島敦

    ○長島政府委員 実は、ただいま全国の矯正施設につきまして総合的に検討を始めておるわけでございますが、各地に同じような問題が出てきておりますので、刑務所の規模と申しますか、そういうものを含めて全国的な再検討をチームもつくって始めておるところでございます。もちろんそれに加えまして検討いたしますし、私自身も一度見に参りたいと思っております。(木原委員「千葉にもあるよ」と呼ぶ)
  208. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ、いま木原委員のほうから、千葉にもあるんだという話でございますから、至るところそういうことになっているんだろうと思うんですが、しかし、これはあまり大きな騒ぎになってからというのは感心しないですよ、こういうことは。  野呂さんおいでになりますから、ひとつ大臣にかわってお答えをいただきたいのですけれども横浜市の側も、ぼしゃんとぶつけたからそれでいいというものじゃないので、新聞には確かに出ておりましたが、やはりそこのところは慎重に考えているわけでありますから、ひとつこの種のことをどういうふうに基本的に解決すればいいか。それは軍事基地じゃないですから、アメリカさんがというような話じゃないですから、そこのところはひとつ、政治的に国の機関が考えればいいわけでありまして、先ほどお話がございましたように、いろいろな影響でよくないということはお認めでございますから、そういう角度から御検討くださる、横浜市の意見ども十分聞いていただくということにしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  209. 野呂恭一

    ○野呂政府委員 こういう刑務所の移転問題、私も各地にいろいろ聞いております。実は三重県の刑務所、津の刑務所もいわれておりますが、まだ当局で話しておりません。そういう点から考えてまいりましても、お話しのように、激しい環境の変化、これに対応する法務省としての行政が必要ではなかろうか、こういう観点で積極的に、ただいろいろ陳情があった、あるいは移転の申請があったから、市が介入してきたのでちょうどこの機会に便乗して乗ろうというのではなくて、ひとつ前向きに総合検討のチームを十分に活用して、およそ何年間ぐらいに大体激しい変化に対応できる施設になるかどうか、こういったものを早急に検討する必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えますので、いずれ大臣とも御相談申し上げて、当局を鞭撻して、いろいろ激しい変化に対応できる矯正施設というものをつくることがたいへん大事だ、こう考えております。
  210. 大出俊

    ○大出委員 野呂さんが防衛庁の政務次官をおやりになっておるときに、立川問題をめぐって、基地を大所高所から全国的に調査をして、町の中に基地があるということについてはいろいろ問題がある、立川のように駅から五分だなんというのはぐあいが悪いというので、防衛局長あたりまで中心にして、そういう調査プロジェクトみたいなものをつくって一年ぐらいでというお話があったんですけれども、あれどうなったと聞いても、最近さっぱりうんだともつぶれたとも答えが出てこぬわけですから、また同じことをおっしゃられても、またこれ野呂さん十年も政務次官をやっておられるわけじゃないですから、これはいま政務次官お答えになったんですから、しかと聞いておいていただきまして、これはやってくれぬと困るんですが、いかがですか。
  211. 長島敦

    ○長島政府委員 先ほど申し上げましたように、実はそういうチームを局内につくりましたので、全力をあげてやるつもりでおります。
  212. 大出俊

    ○大出委員 それでは、できるだけ能率的に、懸案になっております沖繩の土地の所有権の確定にかかわる問題を承っておきたいのであります。  これは実は木村さんが経済企画庁長官をおやりの時代に、沖繩特別委員会でもそう突っ込んだ議論が行なわれていない件でございまして、中谷鉄也君が当時持ち出している程度でありまして、私が当時、経済企画庁長官木村さんの時代に、経済企画庁並びに総理府山中総務長官、こういうことで時間をかけて実は詰めてみた経緯があるのであります。  ちょうど大臣がお見えになりまして好都合でございますが、この沖繩の土地の所有権確定という問題は、どうしてもこれは早期に決着をつける必要のある問題でありまして、かつて私がこまかく詰めたときに、たまたま法務省御都合が悪くてお見えになりませんでしたので、そこらの問題もそっくり残った形に実はなっているわけでありまして、先般、当委員会で沖繩に参りましたときに、前からのかかわり合いもございまして、沖繩県の担当の諸君と話をしてみましたが、非常にこれは困っておりまして、何とかひとつこの問題は法務省にものを言ってくれ、こういうことであります。ごもっともだと思うのでありますが。  そこで、現地の諸君の意向を聞いてみますと、法務省の方々が沖繩の土地問題について実は相当御認識であるということでございまして、念のために最初に申し上げておきますが、法務省の方々で、これは廣木さんとおっしゃるのですかね、法務省民事局の第一課長さん。それから枇杷田さんとおっしゃるのですかな。現地では三課長さん、こうおっしゃっていましたが、この方々が比較的この沖繩の土地問題については御造詣深い方々である。いろいろ振興開発計画の進行に伴って、何をやるにしても所有権が確定をしていない限りは手の出しようがない、そういう問題である、こういうことであります。  私は、先般この問題を取り上げましたときに、いまある現行法律、どういうふうにこれをひねってみても、それで沖繩のこの土地問題は片づかないと断言して実は質問を始めたわけでありますが、木村経済企画庁長官は、国土調査法でやれますなんということをおっしゃった。促進法十年あるのだから、それでやればできます、費用も、なんというようなことをおっしゃっていた。だんだん詰めてまいりました結果として、現在の法律では絶対にできませんというふうに答弁が変わってしまいまして、絶対できないことになってしまった。こういう前後の経緯がある。  平井さん、お見えいただきましたが、特に軍事基地内のこれは、地ならしをしちゃったわけでありますから、かってにいいところを取って、ブルドーザーでならしちゃって基地を確保した合い間に、おまえさんここへ住めと収容所から出したわけですから、一体その軍事基地内の土地というのは、じゃどうするのだという問題もございます。ここらの問題について、ばくと申し上げてもしかたがないので、大臣にこれは聞いておいていただく形で論点をしぼって承っていきたい、こう思うわけであります。  そこでまず最初に、強制収用ということで、五年間というような押え方をしているところもありますけれども、このままでほっておいたんじゃ、五年たったって十年たったって片づかない。そこで、いま大体どのくらい調査が行なわれ、進んでいるのかということ。琉球政府の時代には土地調査法がございました。本土復帰以後は、この琉球政府の土地調査法というのは本土の国土調査法に相当するものだろうと思うわけでありますから、経済企画庁担当の国土調査法のワク内にある、こういうかっこうになるのだろうと思うわけでございますけれども、当時の進捗率が皆さんのほうは五七%とおっしゃっていた。私は、そうではない、六一%と現地では言うがというやりとりで、結果的に六一%ぐらいですということになったわけでありますが、そこらのところ、調査費を一千万でございましたか、つけてあられるわけでありますから、この一年間でどういうことをおやりになり、どういう状況で沖繩の土地調査を含む所有権確定に向かっての作業は進捗をしているのかという点をお答えをいただきたい。
  213. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 お答え申し上げます。  いま先生から御指摘がございましたように、昨年四十七年度の予算をもちまして、沖繩の復帰した直後でございますが、懸案になっておりました境界不明の土地の内容につきまして、全体といたしましてどの程度のそういう不明確な土地があるものであるかどうか、それからそれぞれについてどういう特殊のケースが介在しているかどうか、それから、当時いわれておりましたような公簿、公図その他関係の諸資料が全然ないものであるかどうか、こういった問題について、やはり政府としてもかいもく見当がついていなかったわけでございますので、先生の御指摘もございましたので、われわれとしましては、いまお話しのように、一千万円の予算をもちまして、これは当時、法務省、それから経済企画庁とも御相談をしたのでございますが、先生もよく御案内のように、結果としましては、国土調査法に基づく地籍調査にも必ずしも当てはまらないのだ、なお不動産登記の面でも必ずしもこれはストレートにはいきがたい、こういうこともございまして、当時、山中長官から御答弁しましたような経緯もありまして、私どものほうで三省庁と協議の上で一千万円の予算をもちまして、なおかつ、当時琉球政府が沖繩県にありましたときにございました土地調査庁が改組されまして、先生も御案内のように、土地調査事務所というものが県に残ったわけであります。いろいろ御相談しました結果、県も快くお引き受けいただきまして、国のほうから一千万円の予算をお渡しいたしまして、事実上、県の土地調査事務所がその機能を引き続きやっておりましたので、ここにお願いをいたしました上で、いま御指摘のございましたような、全般的にどの程度のそういった関係地域、私どもはこれを特殊地域といっておりますが、この特殊地域の所在地、全体の面積、それからそういった地域に、先ほど申し上げますようなどういうケースごとの問題があるか、それから関係資料がどの程度集められるか、こういう概査を昨年やったわけでございます。  ただいま集計中でございますので、正確には先生の御希望どおりのお答えにならないかと思いますが、われわれが調べました結果によりますと、いま申し上げましたような特殊地域と称せられます地域は、いま一番問題になっております与那原町ほか沖繩中南部が中心でございますが、十八市町村に分布しておりまして、面積で申し上げますと、現在の登記所に備えつけてあります台張面積でこれを換算しますと、九十三平方キロというふうに一応概査をいたしております。もちろんこの中には、先ほど先生指摘のように、相当部分基地がございまして、必ずしも短時日の間に基地内の立ち入り調査はできておらないわけでございますので、あくまで概査でございますが、そういった中で、ことに嘉手納の飛行場等はまだ積算面積には入れられかねる、立ち入り調査もできませんので。そういったところを除きまして、おおむね九十三平方キロという数字だけはつかんだのでございます。  なおその中で、余談でございますが、先生指摘のように、いわゆる軍用地と非軍用地があるわけでございます。われわれの調べたところでは、この中で約十五平方キロがいわゆる非軍用地である、こういうふうな一応の概査をいたしました。そのほか若干の資料収集を行なった、これが現状でございます。
  214. 大出俊

    ○大出委員 たとえば読谷なら読谷という場所がありますが、これは返還前に開放地域が相当ございました。現地を私、見ておりますけれどもね。これはDE、地区工兵隊といっておる米軍の機関でございますが、このDEの将校連中に話したりして、どこからどこまでが返してくれた土地なのだといって現地に連れていったのですね。いまでいえば沖繩県の渉外部の方々ですね。それで行ったところが、いや、この辺だろうと手を広げたというのですな。読谷の広大な原っぱのまん中で手を広げられたって、どこからどこだって言っても、どうにもしょうがない。だからこの辺から返したはずだというわけですね。この辺と言って手をあげただけだからわからぬというわけです。そうすると、開放されたのだからというので、みんな押しかけて畑をつくるの何のという。そうなると、人間欲がありますから、少しでも自分が既得権をふやして畑をやろうというわけですから、夜、夜中に行ってくいを打ってしまう。そうすると、その翌日は、打たれたなと思った人はがまんしていて、今度は夜中になるとそのくいをみんな引っこ抜いてしまう、そしてまた打ち直す。畑じゃないのですね、陣取り合戦で毎日やっている。一年たったのだが、その陣取り合戦はどうなったのだと言ったら、いまだにそうだという。大出さんが知らない人を二、三人連れてこの細い道を行ってごらんなさい、一人うしろへつながり、一人つながりで全部ずっとついてきちゃう、測量でもするのじゃないかというので。そういう状況だというのですね。  一年たってそれじゃ、これは私は日本政府なるものは無責任きわまりはせぬかというふうに思う。私は当時、現地でこまかく調べてずいぶん足を運んだのですから。それで、こまかい話をこの席で指摘をして、皆さんに御答弁を求めた。ほとんどチンプンカンプンですよ。経済企画庁長官は、国土調査法あるいは促進法で、促進法のごときは十年ございますから、これは沖繩のやつは、沖繩の地籍を調べてみても一%くらいなんですから、どうっていうことないというのです。政府の本土予算でこんなもの簡単にできますと、こう言う。うそばっかり言っているのですね。黙って聞いていて質問を始めてみると、全部違ってしまって、今度は本土の法律では絶対できませんという。そういうことじゃ困るのですね。一年たって何かやってくれたかと思ったら何にもしない。こんなふざけたことで、これで沖繩の振興開発といったって、道路を広げるったって、所有権が確定していないところに補償の払いようがないでしょう。ここらのところをもう少し積極的に皆さん取り組んでいただけませんですか。読谷なんかのこの地域がそのまま一年ほうり投げられているのじゃ、いささか私どもは腹に据えかねるのだが、なぜこういうことになるのですか。
  215. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 お答え申し上げます。  先ほど、ほぼ概査を行なったと御答弁を申し上げたのでございますが、先生、非常にお詳しい内容でございまして、恐縮でございますけれども、いま御指摘のように、そもそも国土調査法に基づく地籍調査、あるいは不動産登記の所定の手続がとれないという非常に困難な状況にある中で、できるだけ早く権利、権原を明らかにするためにはどうしたらいいのであろうか、こういうことで、まずもって、先ほどお答えしましたように、全体としてそういう特殊地域がどの程度あるのか、所在地がどういうふうになっているか、あるいは個々のケースでどういう事情があるのか。なおまた、その後関係地主間で、これを早急に解決するための強い意欲のもとで話し合いが持たれる可能性があるのかどうか、こういった問題も含めて調査をしたのでございます。  なおその際、特に地元のそういった熱意が非常に高くございまして、早急に解決したいために再三にわたって話し合い等を持たれ、現地でそういった問題の機運が高まっているところ、具体的にいいますと、与那原地域、あるいは具志川の返還された一部の非軍用地がございますが、そういったところにつきましては、四十七年度の予算をもちまして、地籍の確定の前提となります現況図の作成も一応した次第でございます。  なお昨年も、先生の御指摘がございましたように、先ほどお話がございましたが、DE、工兵隊等の航空写真等もその後収集をいたしまして、これが必ずしも全部に適用されるかどうかわかりませんが、中にはやはり相当精緻なものでございますので、これがある程度有効に利用できるという面もないわけではないということもわかってきたわけでございます。そういったことで、私どもとしましては、当時、先生お話もございましたけれども、具体的に言いますと、やはり地元のこういった紛争解決の問題でございますから、地元の地主間でやはりまとめたいという機運が非常に強いところは、できるだけそれに協力をいたしまして、何らかの解決できる方法があればそれにこしたことはないのではないか。  先生も御案内かと思いますが、実は琉球政府が復帰する時点で、琉球政府の土地調査庁時代の最後でございますが、読谷の軍用地が返還されました地域につきましては、土地調査法に基づきまして現地で再三にわたる話し合いを行ないまして、新たに出ました物的証拠等を参考に新しい公図の策定に成功している例もあるわけでございます。そういったこともございますし、先ほどちょっと触れました具志川のような事例も出てまいりましたので、私どもは、できるだけすみやかに、そういった関係の地主間の要望も強く、そういった機運の高いところは、当然のことで責任でございますので、なるべく早くそういったアプローチの中で実際の法律の手続に乗せやすいようにしていきたい、こういうことで鋭意やっているわけでございます。  そういうことでございますので、まあ先生のおしかりもございましたが、何ぶんにも政府としましても、直後からの作業でございまして、私ども自身のふなれな点もございますが、県の事務当局にお願いをしまして、できるだけすみやかにそういった最終的な見通しと申しますか、概査を終えた上で、このケース・バイ・ケースの解決につきましても、なお関係省庁と早急に取り組みたい、こういうことでございます。
  216. 大出俊

    ○大出委員 この筆界未定の土地なり境界不明の土地というふうなものを含めまして、これが問題の大多数でありますが、こういうものについて国土調査法でといういまのお話ですけれども、国土調査法の趣旨に沿うものかどうか。つまり国土調査法のワク内でやれる性格のものかどうかという点ですね。これはいまお話がありましたように、地元の地主の話し合いでと、こういうのですけれども、いかに話し合っても、それはだめなんですね。一つの問題があればこわれてしまう。たいへんな金をかけても何にもならない。それはなぜかというと、境界不明、筆界未定の土地なんだから。それを話し合いでどうきめても、これはだめなんです。根本に触れますが、国土調査法でできますか。
  217. 大月洋三郎

    ○大月説明員 お答え申し上げます。  国土調査法でやる方法といたしましては、法の中にありますものは、境界というものについては測量をするということになっております。したがいまして、きめられたもの、現地にあるもの、それを測量をするのが調査法の趣旨でございます。
  218. 大出俊

    ○大出委員 この国土調査法の趣旨というのは、関係地主さんが来て、ここを調査してくれい、測量をしてくれい。で、測量をする、これはこうなんです、こうなると、それが趣旨なんですね。そうすると、筆界未定である、あるいは境界不明であるというものをどう測量のしようもなければ、地主間に争いがあるものを裁定のしようがない。国土調査法にそんな権限は何もない。そうでしょう。そうなると、すべてが境界不明であり筆界未定であるものに対して、国土調査法のいかなる条項でそれを当てはめて決定ができますか。全くこれは権限がないです。つまり国土調査法のワク外、そういう結果になりませんか。いかがですか。
  219. 大月洋三郎

    ○大月説明員 おっしゃるとおりでございます。
  220. 大出俊

    ○大出委員 そうなると、さっきも話し合いとおっしゃるんだが、琉球政府の時代に地図の編さんというやり方がある。地図の編さん、これは机上でやるのです。通称はめ込み測量と、こう言っている。たとえば天願なら天願という地域、安慶名なら安慶名という地域でこれだけ返ってきた、返ってきたところを図上で広げて、この図面の中に、Aさんから始まって百五十八名なら百五十八名の地主さんをはめ込むわけです。測量も何もしていない。図上ではめ込む。だから、わからないんだからしかたがないから、架空のところにまずAと書いた。次にBと書いた。あなたは一体天願地域に何坪ぐらいあったんだ、おれのところは三百五十坪だ、そうか、じゃおまえさんCさんだからここへ書くと、全部書いてはめ込んだ。ところが、さて天願なら天願という地域、いまここに国道が、米軍がつくった道路がありまして、そこから上が安慶名になっている。ところが旧天願というのは安慶名地域まで入っていた。だから、それだけ道路があって、小字を自分がきめたんだから、天願というのはここからこっちです。古い土地でいえば向こう側へ入っているのだから、狭くなったのだから、どうはめ込んだってはめ込みようがない、これは。しかも欲があるから、百五十坪なかった人が自分は二百坪とか三百坪とか言うから、それで切っていってはめ込んだ、わいわい言いながら。という結果に実際にはなっているわけですね。そうするとこれは何にも測量してない。よしんばこれで地主が了解をしたとして、法的にこれ有効かどうかという問題が残りますね。ここのところはまずどうなりますか。
  221. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 不動産登記の有効性の問題は法的な問題でございますので、法務省さんのほうが御専門だと思いますが、先生もよく御案内のことで、私よりもお詳しいので非常に恐縮なんですが、先ほど私が申し上げましたように、実は先生が御指摘のように、琉球政府時代の土地調査庁の行ないましたいわゆる図上調査方式、これはまさにおっしゃるとおりに、これが確定的な、有権的な設定にはできないのである、こういうふうに思います。  ただ、当時そういった経緯の中で、復帰直前におきまして、旧軍の読谷飛行場の一部でございますところの喜名西原という地区がございまして、ここにつきましては昭和四十五年に返還されたのでございますが、他の特殊地域と同様に、各筆の筆界はもちろん返還地と未返還地の境界すら不明のままの状況であったわけでございます。しかし、これにつきまして地元の関係地主の非常に強い要望もあったものですから、当時の土地調査庁におきましては、旧道路その他の物証の発見に非常につとめました結果、相当数の物証を発見することができまして、それらをよりどころに、関係地主が位置取りあるいは形状等につきまして協議をいたしまして、その最終的な合意に基づいて筆界を順次きめて、これに基づく正確な測量図をつくりまして、復帰の直前に、正確にいいますと四十七年の四月でございますが、地籍を確定した経緯があるわけでございます。もちろんこれは、先生指摘のように、すべての場合にこれが適用されるということは考えることはできないわけでございますけれども、ケースとしては、全員のそういう要望と、所要の調整と、現地のくい打ち等も含めました最終決定のなされた、いわゆる登記の調整の行なわれた経緯もあるケースがあるわけでございます。  そういうこともございますので、私どもは、もちろんすべてが話し合いで完全に行なうことができると言い切るまでには、先生指摘のように、まだ調査不十分でございますけれども、基本的にはやはり土地の所有権の問題でございますので、法務省もおられることでございますが、いわゆる行政権と申しますか、行政権による調整あるいは確定ということに直ちに持ってまいりますには、先生御案内のようにまだいろいろ問題もありますし、慎重にこれを検討する必要があると思いまして、かたがた、いま申しましたような全面積にわたる悉皆調査を確定した上で、そういった地元における調整ができるものはどの程度解決できるのか、どうしてもできないものがどういう形で出るか。もちろんこれは、のんべんだらりとやるわけにはいきませんので、なるべく早い時期にそういった所要の調査、それから結論といいますか、そういったものを出したい、こういうことでございます。
  222. 大出俊

    ○大出委員 話を前に進めましょう。いまおっしゃったそれもだめなんですよ。全く効果がない。なぜ効果がないかといいますと、西原というところがございます。これは例の東洋石油のできたところです。あの西原村の場合には、いま話があったように、地主間で話はつけてある。線引きをやったのです。線引きをやって同意書をみんなもらった。ところが、不服申し立てがございまして、四十日の期間を置いて不服申し立てをとって、それでまたいろいろこうやって、ある意味では強制的に、まあそう言わずにというので確定さした。この間、旧米ドルでいうと何万ドルもかかっている。  ところが実は、東洋石油の工事をやったら、あそこで豚舎が出てきた。沖繩の豚小屋というのは石でつくるのです。だから、米軍がブルドーザーで埋めちゃった地域なんだけれども、東洋石油の工事をするので掘っていったら、豚舎の石組みが全部出てきた。そうしてこの石組みは何のたれ兵衛さんの豚舎であるということが一ぺんでわかってしまった。そうすると、それが全く他人の土地のところに出てきたわけですから、合意をしたものが全部御破算になりまして、一軒残らず全部御破算、未定。何にも言わないでもとに戻した。実際そこに、だれでもが認め得る井戸であろうと豚舎であろうと出てくれば、いまお話しの方法では一切がっさい登記無効ということになりますので、ここから先は法務省の分野ですけれども、一体、国土調査法でできるのかできないのか。できない、国土調査法のワク内に入らない、この問題は。  まず、登記の問題がいま再三出てまいりましたからちょっと申し上げますが、登記をするとなれば、登記官が行って測量をまずしますね。私は実測者問題でここで長い質問をしたことがございます。あなた方はこの趣旨に従って、あれ以上ふやさずにおやりになっているようですけれどもね。ところでその上に登記官が行って測量する。そうしなければ実際に登記はできない。抵当権なんというのはあるいはやれるかもしれない。しかし、表示関係の登記というのは、たとえば地籍の更正だとか、あるいは地目の変更だとか、これはどうにもしょうがない。そうでしょう。そうすると、いま話し合いで何がどうなったにしても、まず登記ができるか。さてやった場合に、いまのような豚舎というふうなものが出てきて、この土地はだれの土地というのが歴史的にわかってくるのですから否定できない。そうするとその場合に、かりにやったとしても、一体その登記は有効か。日本は法治国家なんでございますから、法律的にこの問題は一体どうしていただけるのですか。個人の所有権というものはいつになったって確定しない。十年たっても、強制収用で五年たったって片づかない。国土調査法のワクに入らない。それじゃこれは一体どうすればいいのだということになる。沖繩の振興開発もへちまもない。所有権のないところに、それを拡幅しても補償の払いようがない。どうにもならない。これは法務省はどうお考えになりますか。
  223. 川島一郎

    ○川島政府委員 私からお答えいたします。  せっかくいろいろ苦心をして測量をされても、あとでその境界が間違っておったという確実な証拠が出てくると、前の調査がひっくり返ってしまうではないかとおっしゃいます点は、まことにそのとおりであろうと思います。しかしながら、過去の事実を、一度おきめになりましたものを、現在それと同じ状態に再現するということも、これまた限界のある問題でありますし、したがいまして、御指摘の問題は非常にむずかしい問題でございます。これを防ぎますためにはどうしたらいいかということでございますが、一つ考え得る方法といたしましては、関係の地主が全部、いわばその調査の結果に対して合意をする、集団的な和解契約というような形をとるということが考えられるわけでございます。そういう方法もあるわけでございますけれども、それだけでうまく事が運ぶかどうかという点につきましては若干の問題がないわけではないと思います。もっときちっとやれということになりますと、何か立法でもいただきまして、所有権はこうなるのだということをきめてしまうほかはない。しかし、この立法をするということになりますと、事は個人の土地の所有権にかかわる問題でございますから、これまた非常に利害関係をいろいろ考えた上で慎重な配慮を加えなければならない。立法上もむずかしい問題がございます。  そこで、現在のところは、関係各機関が相寄りまして、できるだけ資料をさがし出して、そうして現状においてできるだけの努力をして正確な境界を発見していこう、こういうふうにやっておりますので、現在の段階ではこの成果をしばらく見守りまして、おっしゃるような問題が起こってきてどうにもならぬという場合には、また別途方法を考えるということではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  224. 大出俊

    ○大出委員 関係地主が十人集まって和解調書をこしらえた、ところが広大な地域ですから、字、小字その他みんな違うのですが、みんなそれは境を接しておるのです。それはあとからつくったのです。前はそうじゃなかったのですが、米軍が道路をつくって字、小字をつくれといってつくったのです。そうすると、この部落なら部落で話がついたとする。一人反対すれば和解調書はできませんよ。これは全部同じ条件にあるのですから。よしんばできても、その隣の字が変わってくると、もとは平垣な一緒の土地ですから、そうするとまた、これは全部くずれちゃう。そうでしょう、こっちは和解してないのだから。そこで、ここへ集まった人たちが合意して登記をしたにしても、さっき言ったようなことが出てくると、これは全部飛んでしまう。裁判所もそのことを否定できないです。そうなると、私もずいぶんこれは考えてみた。いろいろ聞いてみた。しかしこれは、いまある法律関係をどうひねくってみても、それでは解決しない。  そこで、ひとつ承っておきたいのですが、かつて私が取り上げた一〇・一〇空襲の前のDEが持っておる航空写真ですね。これは航空写真から地図にしたものです。琉球政府時代に米軍との土地裁判で、たった一件だけ伊江島で勝っている。宮良寛歳さんという方が弁護をやっている。一件だけで、あとは何千件やったが全部負けた。私これを見て実に感心するのは、原形がきわめて明確なんですね。これは、どれが宅地であり、どれが畑地であり、どれが何であるか全部わかっている。きわめて明確なものです。これは伊江島ですけれども、これが例の演習場になっている。空から爆弾を落としている。つまりこれがあると大筋の確定はできる。だから、復帰したんだから、これを詳細にアメリカ側に出させる。アメリカがやったんだから。そうでしょう。収容所をこしらえて、みんな住民をほうり込んじゃって、ブルドーザーでよさそうなところをみんな取っちゃって、つぶしちゃって、囲いをこしらえて基地にしちゃって、基地と基地との間に、収容所から出してきて、おまえたちはここへ住めというわけだから。だから米軍の責任なんだ。一〇・一〇空襲以前は山形は改まっていないんだ。改まっていないからわかるのであって、いまになって出したからといって、何もアメリカ側が困ることはないはずです。だから、これは前に私が指摘しましたが、それらが一体どこまで日本政府の側に入手できて、そしてそれがどの程度使えるか。現地のほうは、寄るとさわるとこの話を一年三百六十五日やっているのですから。これをまた、調査費の一千万だけで境界をなんというようなことを言って、調査さしてみますなんというようなのんきなことで済みはしない。現場の調査している諸君に聞いてみたら、やれないと言っているのです。どうしようもないと言っているのです。やはり金が幾らかかっても、国が全責任を負って、苦情が一ぱい出るだろう、出てもそれを端からつぶしていく努力をしなければできないと言うのです。ところが、国はそのための法律をつくる責任を負うという気は毛頭ない。いまお話しの中に、何か特別な立法をとおっしゃるんだが、皆さんわかっているんだから、そこのところをどうするのか。特別立法をつくるならつくるで、どういう角度からどういうものをつくるのか、そこのところは皆さんのほうでお考え願わぬと困るのですよ。  法務大臣、だいぶお疲れのようだから、あなたに無理は言いませんけれども、問題の責任は、私に言わせるとやはり法務省にある。登記のしようがないんだから、所有権の確定ができないのだから、それを土地調査法ということで、経済企画庁の分野なりと言っていたんじゃ問題は確定しない。法務省が知恵をしぼってもらわなければならぬ。おたくの民事局の課長さんあたりがいろいろ検討されて、現地に聞いてみると、それなりの意見を述べておられるという。いま私がここで言わぬでも、お見えになっている方がいるじゃないかと思うから言わぬのだけれども、ここまでたいへんな困難な問題になっている。それは、復帰後たいへんに物価も上がりまして、経済も変化しているでしょう。そうすると自分の所有権が確定すれば売りたい人もいる。抵当に入れて金を借りたい人もいる。しかし不確定なんですから、所有権の確定ができないのですから、経済行為は何もできない。金を借りて事業をやりたい人がいたって、自分の土地がはっきりしないのだから、抵当に入れようがない。銀行に話したって貸してくれないのだから。そういうものを一年ほっぽっておいて、まだこれから調査をまた一年やる。また調査費を二千万くらい組むのですか。また一年間調査費を組んで、今度は一千万の調査費を二千万にしても、現地の沖繩県の渉外課は泣いていますよ。私は直接やっておる方々に聞いてみたんだ。できないとわかっているのに、そういう無責任な話は私はないと思うのですよ。  皆さん全くお答えにならぬで、法務省の方々腕組んだきりですけれども、これは昨年の三月二十四日に事こまかに私はここで具体的な例まであげて申し上げた。そして木村経済企画庁長官、山中総理府総務長官お出になっておって、おわかりにならぬから一々説明したつもりです。これはほっておけないのですぞと念を押したはずです。そうしたら、あなた方きれいな答弁を一ぱいしているのだ。議事録を読み直してみたけれども、きれいなことを一ぱいおっしゃったが、あなた方は何もしない。調査費を一千万沖繩県にやっただけだ。そういう手はないでしょう、幾ら何でも。私もいささか中っ腹で腹が立つ。皆さんまだ黙っていますか。
  225. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 いろいろとおしかりを受けまして恐縮でございます。  先生が御指摘になりました航空写真の問題でございますけれども先ほどもちょっと触れたかと思いますが、実はあの直後から、米軍のDE及び法務省とも御相談をしまして、交渉いたしました。その結果、航空写真は約百三十枚程度入手いたしております。これは具体的に言いますと、名護市だけがないのでありますけれども、その他の町村は、先ほど私、十八市町村と申し上げましたが、それは全部含まれております。ただ、先生も御案内のように、米軍の写真といいますのは、終戦直前の十九年から二十一年のいわゆる戦争用の写真でございますから、そういう国土調査のための写真ではございませんので、これを縮尺しましてそのまますべて的確に地籍調査の前提として、あるいは登記の前提として使えるかどうか、その点やはり専門家の判定を待たなければなりませんので、国土地理院等の専門家に頼みましてこれを精査してもらうということにしているわけでございまして、そういう努力は逐次といいますか、早急に行なうということでございます。
  226. 大出俊

    ○大出委員 法務省どうされますか。これは全くテナシティーというんで、何年でもほっておきますか。
  227. 川島一郎

    ○川島政府委員 先ほども申し上げましたように、この問題は関係するところの多い問題でございます。もちろん法務省も非常に関心を持っておるわけでございますけれども、法務省が所管しております不動産登記の面から申しますと、登記のワクを越える面がかなり出てくる問題でございます。したがいまして、先ほどから実態調査あるいは特別立法というようないろいろなお話がございますけれども、これを考えます場合には、各関係機関が相互に連絡、協力して事に当たらなければなし遂げられないというふうに考えておりまして、現在、開発庁とか企画庁というところである程度計画を出してやっておられますので私どもも側面からそれに協力するという体制をとっておるわけでございますけれども、これは今後の成り行きを見た上で、と申しますのは、先ほど説明ありましたように、航空写真の問題もございますし、そういういろいろの資料をできる限り活用いたしまして、なるべく正確なものをなるべく早い期間につくり上げる、そういう方向をいま一生懸命研究しておるわけでございますので、もうしばらくその辺を見守ってまいりたいということでございます。
  228. 大出俊

    ○大出委員 ほんとうに真剣に研究しているのですか。へたな考え休むに似たりというんで、さっきから真剣に検討している様子が見えないから、研究しているなら、ちょっとは研究の成果に類するようなことが皆さんの口の端になければならぬのだけれども、寒ガエルは土の中ときまっているので、前には進まないのですよ。毎日困っていても、筆界も境界もきまらぬものを水路も道路もつけようがないでしょう。ほっぽっておくというのですか。そういうわけにいかぬじゃないですか。国有地に何かこしらえるといったって、たくさんあるけれども、民有地と国有地と境界のきまらぬものを、幾ら国有地だって建てようがないでしょう。そんなものをそのままおっぽらかしておって一年たっちゃって、また四月から七月までたっちゃった。それであなた、研究している、研究していると言ったって、それでは何を研究しているのですか。地図だってDE、地区工兵隊に行ってごらんなさい、上原君の傘下の皆さんがちゃんと見ているんだから。そういうものを知っていますか。知らないとあなた方おっしゃる。あるじゃないですか。ようやく百三十何枚出てきたというのですがね。これはもう少し皆さんにこの問題と取り組んでもらいたい。復帰して一年余になる沖繩県民の皆さんの個人の所有権なんですから、財産なんですから。経済活動の基礎なんですから。そうでしょう。それに対して、あなた方が手を入れてあげようとしないという手はないでしょう。調査しろと言って一千万沖繩県にやったら、事の済む筋合いのものじゃないのです。法務大臣、これは少し何かおっしゃる気はないですか。  まあいいわ。あなたは何もおっしゃらぬで、これは幾つ申し上げたって一緒だと思いますけれども、しかし、現地においでになって、現地の方々にお聞きになるとよくわかりますよ。これはもう、ほんとうに何とかしてくれという、まさに切実な現地の皆さんの声がある。みんな土地があるのですよ、大体の方は。土地があって、自分の所有権が確定しないから何もできないということでしょう。だから、そこら辺のところも皆さんがもう少し考えていただきまして、どこかが中心になっておやりにならなければ困るのだけれども、どこかがやっているから側面的になんていうことを片一方が言っているが、片一方は国土調査法をかかえているけれども、そのワク内に入りませんと言っているのでしょう。自分のほうのかかえている法律ワク内に入らないと片一方が言っていて、皆さんのほうは今度は、向こうがやっているから側面的に援助するつもりでいると言うが、まだ何にもきまっていないのだから、援助もしていないのでしょう。  ところで平井さん、基地内のやつはどうしますか、軍用地内のやつは。これも何かやる気はないのですか。
  229. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど来御指摘になっていますように、約四〇%に近い登記簿の再調査の不整備。基地そのものの面積は一三%弱でございますが、その四〇%の相当部分に基地があるがゆえにあわせて調査ができないということで、影響を及ぼしている部分もかなりあるやに私も聞いております。     〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 それも含めまして問題を解決するために、やはり基地の中の地籍を確定するための調査というものを早く進めなければならない。それがひいては、われわれのほうが施設、区域を提供するについて、それぞれの土地所有者との間に賃貸借契約その他の法律関係を結ぶにしましても、そういった面がはっきりしなければならないということは十分承知しております。したがって、いろいろ各省庁でこの問題に取り組んでいます一環で、われわれも一緒になりまして基地の中の調査もできるだけ早く進めたい。調査にあたってはいろいろ物理的に困難な面もあろうかと思います。そういったものを何とか克服しながら調査を進めていきたい、そういうふうに考えております。  また、先般発表になりましたように、八基地の返還等がございます。これもさしあたって、返還されてその土地を受け取っていただく所有者との関係においては、境界の設定をさっそくにもやらなければなりません。この点、県の土地調査事務所と現在連携をとりながら調査を進めつつあるところでございます。
  230. 大出俊

    ○大出委員 平井さん、基地の中の個々の土地、個人所有の土地がほとんど全部なんですが、たくさんある。それを先ほど私が申し上げたように、はめ込み測量、地図の編さんという形でA、B、Cで適当に割り当てたわけです。そうでしょう。そうすると、一部返還で返ってきて、図上で見ると、それはAさん、Bさん、Cさんとこうなっているのだけれども、その人に返した、返したら井戸が出てきて、その人のじゃなかった。しようがないから真の所有者に渡した。そこのAという人は、自分はほんとうの人にやっちゃったんだから、図上のAという地番は自分のじゃないと知っているのだから、まさかそこへ行って、どいてくれとは言えませんですよ、真の所有者が出てきたのだから。そうすると、自分は土地はなくなっちゃって、かわりにここでCという人が、Aさんの土地をおれの土地だというので、確定をさして自分のものにした。C君の土地は、まだ基地の中で返還されない部分にある、図面の上では。しかもこの方は地料をもらっているのだ。Aという人は地料ももらえない。返してもらった土地はCさんに行っちゃって何にもない。そうなっているのですよ、たくさんの地域で。そうでしょう。返してもらったら、やはり必死になって調べるからわかるんだけれども。だから、そういうことになっているままでは、これは放任はできませんよ。国土調査法ではどうしてもできない。だとすれば、あなたは法務大臣なんだから、それは人道問題ですとさっきあなたは言われたけれども、まさにこれは人道問題ですよ。そうじゃないですか、生きていけないんだから。自分の土地がなくなっちゃって、あるのだが、それがきまらないんだから。そうでしょう。そうだとすると、やはりそこのところは一体これはどこが責任を負うのですか。法務省が負うのですか、経済企画庁が負うのですか。真の責任は一体どこが負うのか。総理府なんですか。どこかが責任を負ってくれなければ困るじゃないですか。施設庁は基地の中は負えても、基地の外は負えないでしょう。国土調査法をかかえている経済企画庁が、いやこれはワク外ですと言うのじゃ、これじゃ所管がないじゃないですか。一体どういうことになるのか。どこが責任を負いますか。話にならぬじゃないですか。何とか言ってくださいよ。全く話にならぬね。——まあいいや。こういうのはのれんに腕押し、ぬかにくぎというのだ。  大臣、これどうですかな。田中さんの決断と実行じゃありませんけれども、同じ田中さんだが、ひとつ号令をかけて、法的に研究しようじゃないか、関係省庁みんな専門家出てこい。     〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 そして登記の責任は法務省にあるのだから、そうすると、さっき局長が言っておられたけれども、経済企画庁なんかにのんきなことを言ってまかしちゃおけないですよ。そうでしょう。法的にはこれは法務省のほうが詳しいと思うのですがなんてことばかり言ったってしようがない。総理府なんていうのは、事が済んだような顔してのんきなことを言っていて、全く総理府というのはあまりいろいろあり過ぎて、総理大臣じゃなくて掃除大臣だなんてあだ名があるくらい、無責任きわまることばかりやっている。どうですか、ひとつ法務省なら法務省が所管をして、関係者を全部集めてやる。返還後一年たって何ら前進しない。そうでしょう、四十八年度に入りましたが、これまた何ら前進の気配を見せない。これでいいことはないですよ。どこかで責任を負って手をつけてあげなければならぬじゃないですか。  法律の立て方は幾つもある。皆さんが何も言わぬので、私のほうから言ったってしようがないから黙っているのだけれども、苦情処理なら苦情処理の方法だってある。何か言う気はないですか、皆さんは。これじゃ私のほうも打ち切れなくて困るから、どこかで何か言ってくださいよ。皆さんがこれだけおいでになって何もおっしゃらぬというわけにいかぬじゃないですか。
  231. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 いろいろおしかりを受けて恐縮に思っております。実は私のほうも、昨年来この取り扱いにつきましては、先ほど来各省庁からお話がありましたように、全般としまして、やはり法務、経済企画庁、もちろん防衛庁、いろいろと関係がたくさんありますので、一がいに言えないのでございますけれども、さしあたり私のところで事務的に窓口といいますか、先ほどおしかりを受けましたけれども、所要の調査を県にお願いをいたしてやっております。一応一年たちまして、先生のほうから、おそいというおしかりを受けたのでございますけれども、新年度に入って何カ月かたっておりますが、四十九年度の関係もございまして、近くもう一度関係各省庁集まりまして、いままでの推移といままでに集めました資料の分析、それから今後の見通し等を十分協議をいたしまして、せっかく先生のそういうお話もございますので、なるべく早く解決する方向で検討したいと思います。
  232. 大出俊

    ○大出委員 大臣、これは法務省がどうしても大きくからまなきゃできないですよ。いま時間がありませんから長い質問をしなかったのですが、たしか昨年の三月の二十四日だと思いましたが、議事録をお読みいただければわかります。四十七年三月二十四日です。こまかくこの席で申し上げまして、そのとき法務省がしかるべき人がおられなくて、お見えになっていないので、皆さんの答弁は全部法務省に逃げた。経済企画庁は、みんな法務省で、法務省でと言う。だから今度は法務省、大臣以下みんな来ていただいて私が質問すれば、法務省は何も言わない。この議事録は、法務省でになっている。そういうことは法務省でと、みんな法務省。それで今度、法務省ちゃんと大臣以下置いておけば、法務省の皆さんはおっしゃらない。そうでしょう。いないところにしわ寄せて答弁を逃げてはいけませんよ。今度はちゃんと御大大臣以下おいでになるところで聞けば、法務省ということになっているのだけれども、法務省は何もおっしゃらない。それじゃ困る。だから大臣、これは経済企画庁が窓口でおやりになるというならば、早急に大臣からおたくの、さっき私、失礼だけれども名前まであげたのですけれども、現地の事情を知っておる方がおるのだから、その方々をひとつ中心にしていただいて、むしろやはり皆さんのほうが積極的に手伝って、この問題はどういうふうに特別立法をつくればやれるかという、結局そこに行くのです。これはそこへいかざるを得ない。特別立法を考えざるを得ないです、これは。だから、そこまでのことをやはりひとつ御検討いただく、こうしていただけませんですか。大臣、どうですか。
  233. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 検討いたします。
  234. 大出俊

    ○大出委員 これはのれんに腕押し、いつまでやってもしようがないのでやめますけれども、引き延ばそうと思ってやっているのじゃないですけれども、皆さん、答えないから悪いのだから。ひとつ現地を皆さんで、沖繩県だけまかせにしないで、一ぺん御調査願えませんですか。現地の地主さんというのは、みんなそれは頭にきているのですから。私が日曜日に天願の役場へ行ったって、日曜日だというのに三百人も集まっちゃうのですから。だから、そのぐらいのことは、やはり本土の所管官庁としてお互いに責任を持っていただけないですか。少し現地の調査をしてくださいよ。見てくださいよ。——やめましょう。
  235. 三原朝雄

    三原委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  236. 三原朝雄

    三原委員長 ただいま委員長の手元に、加藤陽三君より本案に対する修正案が提出されております。
  237. 三原朝雄

    三原委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
  238. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました法務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げます。  原案のうち、石巻市、金沢市及び加古川市の入国管理事務所出張所の設置に関する改正規定は、昭和四十八年四月一日から施行することとしてありますが、すでにその日を経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますようお願いいたします。
  239. 三原朝雄

    三原委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  240. 三原朝雄

    三原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、加藤陽三君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  241. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。
  242. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  243. 三原朝雄

    三原委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  244. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     —————————————
  245. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、明六日金曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十五分散会