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内村(信)
政府委員 大体、この秘密保持の
義務を置いたということは、先ほど申し上げたように、国家公務員法上から持ってきたということもございますが、むしろ
事故調査の本来の
考え方といたしまして、
事故調査というものはあくまでも真実を
探求しなければならぬということでございます。したがいまして、そのためには、たとえその
関係者はいかなる方がおられましても、あるいはその
関係者にとっては秘密のことであっても、真実を言ってもらいたい、そのかわり、秘密を知っても
委員の側としては秘密を絶対に漏らしません、そういうことによって初めて真実が発見できる、これが大きな
趣旨でございます。それによりまして初めて、いわゆる
関係者を保護し、それによって協力を得てはんとうの真実の
探求ができるというふうなことを考えての
趣旨でございます。したがいまして、これに申しておるいわゆる
職務上知り得た秘密と申しますのは、必ずしも公の秘密のみならず、個人的な秘密あるいはプライバシーというふうなものがございまして、当然これは秘密を守らなければならぬ、こういうふうに思います。
ただ問題は企業秘密でございますが、確かに企業の経理とか
内容とか、こういったようなものは企業秘密でございまして、これは外に漏らすべきではないと思います。しかし、直接
事故に関連いたしまして、たとえば、今回の
事故の場合にはエンジンがこうであったとか、あるいはそのほかの足回りがどうであったとか、こういうふうなことが
調査の結果出た場合には、これを企業秘密として保護するという
意味は毛頭ございません。これはむしろはっきりといたしまして、
調査の途中からでもそういう事実が明らかになれば、刻々と
関係者に知らせまして直していく、こういうふうな性質のものでございまして、こういったものは秘密とは考えておりません。少なくとも
事故調査に
関係すること、
事故の
原因に
関係すること、これは秘密として漏らしてはならぬというふうに私
どもは考えていないわけでございます。
それからもう
一つ、
先生おっしゃいましたように、
仕事に従事している間はともかく、その後やめてからいろいろな論文などを書く場合もあるでしょう、そういうようなことでございますが、その場合もやはり、秘密に対する
考え方はいま私が申し上げたところでございます。特にその場合には、これは何々会社がこうであるとかいうような表現をしなくても、こういうある
一つの例の場合にはこうである、こういう例もございますというような表現もあると思います。こういった点は、やはり個々の
委員の
方々の良識の
判断にまかせたいというようなことにいたしまして、秘密保持
義務というものはそういうふうな解釈でまいりますが、秘密保持
義務そのものは置くべきであろうというふうに私は考えております。