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大出委員 時間が残り少なくなりましたから、ここで三点ばかり簡単に承って、はっきりした御回答をいただきたい。
一つは、いまお話に出ましたが、この核防条約に調印を
日本がいたしましたのは四十五年の二月でございます。その前の年の十月に、
皆さんの党の総務会では賛否両論ありまして、きまっていなかった。この間に社会党からもいろいろ申し入れをした経過もございます。
そこで、三つ当時条件がございました。
一つは、核
兵器保有国が核軍縮を推進する、そういうことになる、これが批准の条件。もう
一つが、
日本など非核保有国の安全が保障されること、これが二番目の条件でございます。原子力平和利用で他の批准国と
日本の間に不平等があってはならない、これが三点目であります。今回の米ソの核戦争防止条約といわれておりますものは、帰りにブレジネフ氏はフランスのポンピドー氏に会いに行っておりますが、これを多国間のものにしたいというものの
考え方が
一つ中心になっている。ロジャーズ国務
長官の事後の発表等によりますと、似たようなことが言われておる。しかも緊急協議などをめぐって、核からさらに通常戦争というものにまで広げていこうという気があることが明らかにされておる。だから半年後に再開をしようということになった。私もこの限り評価をする一人であります。
反面、二国間の核
管理というものが他の中小国に与える影響という面では、インドにしても、あるいはフランスにしても、西ドイツにしても、いろいろな懸念を持っておりますが、同じ
考え方に立ちますけれども、それにしても評価をすべきである、こういう
考え方であります。そこで、そうならばもう核防条約は批准すべきであろう、むしろ積極的に踏み切るべき時期が来たのではないか、こういわざるを得ない気がするわけであります。それが一点、
お答えをいただきたい論点であります。
それからもう
一つは、この中ソ紛争という形のもので、せっかく米中接近なり日中国交回復なりという、アジア周辺における平和の方向へのたいへん大きな歴史的な動きが今日でございますが、これが中ソ紛争というような形の中でまた危険な段階に引き戻されるということはあってはならないわけであります。さっき
総理もちょっと触れておりましたが、アジアの平和的な雰囲気を定着をさせる
責任が特に
日本にありはせぬかという気がするわけであります。この際、安保条約の問題に触れませんけれども、そういう
意味では、このアジア集団安全保障構想というふうなもののイニシアチブを
日本がとるべきではないのか。ソビエトにおいでになっても、このことは十分話してくるべきではないのか。このことは向こうからも提案があるのでありますから、虚心たんかいに話し合われて、それがアジアの平和ムードの定着化をねらうものであるということである限りは、おそらく領土問題、北方領土の問題などというのも、総務
長官が視察に五回も行っている。現地不信。今度坪川さんが行っても、
新聞が書くところによると、不信の上塗りだなんと書いておりますけれども、そういう角度からものごとが語り合われなければ、アジアの集団安全保障構想というような
考え方から出発をしませんと、領土問題なかなか入りにくい歴史的な経過があるのではないかというふうに思うわけであります。このことは
総理が施政方針演説のところで、外務省が慎重論をとる中であえてお述べになったはずです。「アジア諸国をはじめ太平洋諸国を網羅した国際
会議の開催の
可能性を検討したいと
考えております」。これは
総理の一月二十七日の施政方針演説の中身です。そうでございましょう。
総理が意欲的にこれをあえて入れたというふうに時の
新聞は報じている。だとすると、つまり今日
日本の外交の
姿勢というもの、独自性というもの、自主性というもの、それを確立をするという
意味でも、私はやはりアジアのこの地域における安全保障構想というふうなものの
考え方を基本に置かれて、ということは、この地域に利害
関係のあるすべての国をいみじくも網羅するとおっしゃっておりますけれども、集まった約束でなければ安全保障はなりません。そういう
意味で、いまそのことを
考えてみなければならぬ時期であろう。どっちかに片寄り過ぎれば片方からたいへんな反発が来る国際環境に
日本の場合にはあります。
そこらのところに
日本の自主性が特に問われる時期ではないか、私はこういう気がするのであります。
総理の施政方針と関連をいたしますから、あわせて一体この辺はどうお
考えになるのかという点。
三点目に、今回の問題をめぐりましても、つまりニクソン・ブレジネフ会談をめぐりましても、特に二大国間のいろんな
意味の国際
管理。
一つは経済であり、
一つは通貨であり、
一つは安全保障である。核のかさ代という
議論がいま財界の中でもいろいろ出ております。こういう中ですから、かつて、この夏にハワイ会談をニクソン氏とおやりになったときに、このショッピングリストの中に、やれPXL、次期対潜哨戒機は、国産方針は十月の
国防会議で御破算になっておりますから、そうするとその影響ではないか。一機四十億もするんでありますから、合計一兆円にのぼる商戦でございましょう。あるいはAEWというものはC1を改造するといっていたんだけれども、どうもそうじゃないのじゃないか。だから、その
意味では今回の訪米は、経済問題が中心という以上に、安全保障の問題であり、核のかさ代の問題であり、そしてそれは
防衛という
意味における
兵器の買い取り等の問題になっていくのじゃないかという世の中の見方がある。そういう
意味で、とんでもない荷物をしょわされる
可能性さえ
——総理がおいでになるんで、私が行くわけじゃありませんからわかりませんが、そういう心配を持つ世論もある。
そこらのところをどういうふうにお
考えになっておいでになるのかという点、ぼつぼつ明らかにしておいていただきたい時期だと思いますから承りたい。