○大出
委員 先ほど私が遠慮いたしておりましたが、
理事会に出ました日米間のいろいろ話し合いをされた基礎になった文書、この中身を読みましたが、これはまずこうなっております。「
日本の周辺海域(数百海里ないし千海里
程度)を海上
自衛隊艦艇の主たる行動
範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと
考えている」。これは
日本側が出した文書でございますから、その
意味では、
日本側が
考えている、こういうことになる。念のためにもう一ぺん読んでおきますが、「
日本の周辺海域」、航路帯ではありません。「
日本の周辺海域(数百海里ないし千海里
程度)を海上
自衛隊艦艇の主たる行動
範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと
考えている」。
日本側が
考えている、こういうことであります。
こういうことになりますと、この
委員会における質疑、それに対する
答弁、特に
久保防衛局長の
答弁がたいへん食い違いがございます。それを先ほど関連で私、
質問をいたしましたが、つまりその要旨は、中曽根前
防衛庁長官は千海里、こういうふうに言うている。その後、江崎
防衛庁長官の時代には六百海里と言うている。
日本の周辺海域千海里、六百海里、こういう前二
長官の
発言が出ている。このことな
ども取り上げて、さらに表三百海里、裏百海里という
日本の周辺海域に対する
防衛範囲が云々されている。これは安保条約の五条、六条にからむたいへん基本的な問題である。
というのは、昨年の四月の十二日に
アメリカのレアード国防
長官が下院の歳出
委員会におきまして、沖繩の母港化の問題を
日本側に申し入れてある、あわせてペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡を経て
日本に入ってくる長大な海上輸送路、これに対して
日本側は軍事的寄与をすべきであろう、こういう言い方をしているということまであげまして、ということになると、これは安保条約五条、六条のからみが出てくる。五条は、
日本の領域における日米両方のどっちかが攻撃をされれば自動的に
戦闘作戦行動が始まる。そこで、六条の岸・ハーター交換公文というものを踏まえまして事前協議という問題がございますが、この中からは安保五条を除くということが明確になっている。その
意味は、
日本に全く
関係のないところにおける紛争、これに
日本が巻き込まれてはたいへんだということで、その歯どめとして事前協議という項目がある。だから海上千海里などという――つまり周辺
防衛の際、
防衛の
範囲がきまる、それが作戦行動の
範囲なんだから、そうなると、
専守防衛の
日本の憲法とまで関連してくるという趣旨で、事、基本的な問題だという趣旨のやりとりが長くあります。このときに
久保防衛局長の
答弁は、私は海里で聞いているのですが、終始マイルでお答えになっている。海里とマイルと一体どう違うかという問題もございます。この中で千マイルというふうなことがある。だが、そうではなくて、
防衛庁としては数百マイルなんだ、それがわれわれの
防衛の
範囲なんだということを答えた。中曽根、江崎
発言というものも否定をされた、こういうふうに言いましたら、
久保防衛局長は、そうではない、航路帯としては千マイル、こういうふうに言っているはずだという言い方をしておりました。
そこで、議事録を調べてみましたが、論点が三つあります。まず、この議事録のほうで、さっきやりとりをいたしましたように、
久保さんの答全が正しいのか、私
どもが聞いていることが正しいのか。楢崎さんの言っている、中曽根
発言も否定したという、もし間違っていたら私があやまりますとまで
質問者の楢崎氏は言っているわけでありますが、ここを調べてみました。
質問者は三人ございます。私と
中路さんと鈴切さん、私のほうから申し上げます。
たいへん長い言い回し、やりとりでありますから残念だけれ
ども一部分だけにいたしました。「
新聞に出たこともございます」、こういうふうに前のほうに言っておりますが、それは
日本海に面する側百海里。皆さんマイルと言うのだが、私は海里と言った。百海里、表太平洋側、これは三百海里、これは私が取り上げた
新聞に出ていたという件です。ここから続いているわけでありまして、これは
久保さんの
答弁であります。「一千マイルなら一千マイルは
日本の担当区域である、そのほかは、どこかの国、あるいは
アメリカがやりますというようなのも案外妙なものでありまして」というので、それを否定をされて、長くなりますから要点を申しますが、これが大意でございます。「やはりわれわれが従来から言っておりますように」、
久保さんの
答弁です。「われわれが」、つまり
防衛庁です。「やはりわれわれが従来から言っておりますように、ややあいまいではありますけれ
ども、数百マイルの
範囲内においては、
日本の
防衛ということで対潜作戦を行なうということで事足りるのであって、それ以外に、それを越えて、この分は
日本が絶対に守る、米側は何ら関与しなくてよろしい」というふうなことはないのだというふうな答え。もう一ぺん言いますが、「やはりわれわれが従来から言っておりますように、ややあいまいではありますけれ
ども、数百マイルの
範囲」、これが「
日本の
防衛ということで対潜作戦を行なうということで事足りるのであって」、こういうふうに言っております。
私はまた最後のほうで、念のためにもう一ぺん問題提起をいたしておきました。先ほどのレアードの問題等、全部この中に入っております。そうして、中曽根さんの問題等もここでずっと述べてまいりまして、安保とからむ云々と、いま言いましたが、そういうことを述べてまいりまして、「たとえば中曽根氏の
答弁の中には、ここにございますけれ
ども、本土を中心に千海里、こういう
範囲ですね。江崎さんの段になりましてから、江崎さんは、沖繩を含む
日本列島の周辺六百海里」、これは議事録によって明らかになっている。こういうふうになお念を押して聞いております。さらにここで、「ここにある
新聞には、
日本を表、裏に分けまして、表
日本が約三百海里、裏
日本が百海里」、ここでこの議事録は切れておりますが、これをつまり
訓練の対象海域として、これらとからんで、もう一ぺん念のために
答弁を求めるということかんですが、これに対する
答弁が全く同じでございますから、ここまでにいたしましたが、さっき申し上げましたように繰り返しております。「われわれが従来から言っておりますように、ややあいまいではありますけれ
ども、数百マイル」、こういうことでございます。繰り返して
防衛局長は答えております。つまり中曽根、江崎
答弁を否定をされて、あくまでも数百マイルである、こういうふうに答えております。
中路さんのほうの
質問、鈴切さんのほうの
質問の議事録は間に合いません。
中路さんのほうは
中路さんから申し上げますけれ
ども、さっき私がここで言い、楢崎さんが言いましたように、航路帯の千マイルということに触れていますが、航路帯について千マイルというものがある、あるけれ
どもそれは適当でないと言い切っておるわけです。航路帯、これも数百マイルです。それじゃ五百マイルか七百マイルかというようなことの
質問があるかもしらぬけれ
ども、そういうことはまだきめてない、こういうふうにあなたは答えておる。正確には
あと同議員からただすと思います。
そうだとすれば、さっき私が
防衛局長とやりとりしたという点は、
局長のほうが正しくない。議事録の結果として私
どもが指摘したとおりである。また楢崎氏が、間違っていればあやまると言った中曽根
発言の否定、これも間違いだ。そのとおりになっておる。そうしますと、事、重大でございまして、冒頭に私が読み上げました「
日本の周辺海域(数百海里ないし千海里
程度)を海上
自衛隊艦艇の主たる行動
範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと
考えている」、
日本側で
考えているということを、それはそこの私的なやりとりではありますけれ
ども、大河原さんのほうから先ほど楢崎氏が聞かれておりましたのは、日米会談の中で
日本側が資料として出したものである、その
意味でここでお出しするわけにまいらないのだ、こういう
お話でございました。しかも、そのものは赤ワクの取り扱い注意がありまして、メモという表現は一切ございません。そうなりますと、単なるこれは舌足らずでは済みません。資料として持っていっておる。御丁寧にそれを説明したとすればなおのこと。
したがって、まずいずれが、私
どもに答えたことが――
久保さん、別なことを言ったと言いますが、議事録の結果はっきりしておる。まず、私
どもが言っていたことが立証されたわけでありますが、その点をまずお認めになるのかどうか。お認めになるとすれば、向こう側に出した資料の
一つと言っている、このあなた方がメモと称するもの。私はメモだと思っておりません。文章で明確に書いてありますが、資料の
一つだというふうに認定をいたしますが、その中身との食い違いはいずれが正しいのか。もし向こうさまに出したものが正しいというならば、私
どもは全部ペテンにかかったことになります。そうなると、一体だれが責任を負っていただけるのか。ころころだまされて済む筋合いじゃない。事、内閣
委員会という公の場であります。
それからまた、ここでやりとりをした議事録にあることが正しいということをお認めになるなら、それが
防衛庁の
考えだというならば、何で
アメリカ側に、私
どもが
質問する以前に文書にして資料の
一つとして渡したのか。事たいへん重大な問題でございます。外務省、
防衛庁のこれに対する責任はどうされるのか。そういうことをしておいて、今度は二重に私
どもに違うことを言ったとすれば、さらにその間の責任はどうするのかという問題が出てくる。
最後に、海里と
質問すればマイルと答える。そこで、この衆議院手帖の一番最後のほうに、これは公明党の鈴切さんの御指摘をいただきまして、私も長年持っておりましたが初めて見たわけでございますが、ここに海里というのがございます。第一段目のところに海里、カッコいたしまして浬と書いてあります。米側に出したと称する文書の中には浬と書いてありますから、これは海里に間違いない、衆議院手帖が間違ってなければ。皆さんお持ちなんですから。海里、カッコして浬。米側に出した文書は浬と書いてあるのですから、衆議院手帖のいう海里に間違いない。海里と
質問したらマイルと答える、また海里と
質問したらマイルと答える。さっきも海里と
質問したら、またマイルと答える。これは一体どうなっているのか。
そこで中身でございますが、この衆議院手帖によれば、海里は千八百五十二メートル、約十七町。度量衡表という一番ラストの表です。十七町。ところが、
防衛局長答えているマイルならば、下のほうの「長さ」というところにマイルがございますが、マイルは十四町四十五間と書いてある。海里なら十七町、マイルなら十四町四十五間、だいぶこれ違います。二町何間か違います、一単位について。これが千ですから、これはたいへんな違いになります。
まあ、
久保さんは陸の上のことしかおやりになってこなかった経験がおありになると見えまして、海のことは御存じないのではないかと思うのですが、海里と聞いたらマイルと答えが続いているんですから、これも将来のために、
久保さん
防衛局長を長くおやりになるんだとすると、年じゅう、海里と聞いたらマイルと答えたら、これはおさまらぬですから、そこのところは、衆議院手帖に基づきまして明確に御訂正をいただきたいと思います。
いずれにいたしましても、その間の責任と、どういうふうになさろうとするのか、明らかにしていただきたいわけであります。
防衛庁並びに外務省。