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受田委員 私も一応この表を調べてみても、いま八七%で一三%の
格差があるということでございますが、その
格差は、実際の
年金額を受けている人の側の、今度
改善される四〇%というものを加えても、現在の
給与を受ける人の
退職時の
俸給を
基準にすると、その人がいままでそのままつとめておればという計算からいくと、六割から七割程度のものがずっと残されるわけです。なぜそういう
格差ができるか。あなたは八十何%までは追いついたとおっしゃるのに、なぜはずれておる人があるかというと、かつての地位が、いまの同種の
職務の地位と比べて、著しく社会的に低い地位にあったんですね。いまは、高等学校長にするならば、大体
公務員の課長クラスの最上位です。それから小学校長でもそれに準じている。ところが、かつては小学校長というものや警察官という職種の人は、判任官として最も低い
給与をもらっておったわけです。これは著しく低位水準にあったわけです。その
人々が、
昭和二十二年六月三十日以前に
退職した
人々が、今度を含めて六回の
改善がされたわけではありますが、にもかかわらず、いまやめていく
人々と比べるならば、六割程度しかもらわない人がたくさん残る。つまり
退職した当時の身分、
給与というものが、当時の社会情勢で著しく低い地位に置かれていたゆえに、そこを
基礎に
改善してきたから、たとえ六回の
改善をやったとしてもろくな
改善になってこないわけです。これはいま四十年つとめた学校長の
給与と、そうして
戦前にやめた学校長の
給与を比較してみていただけば、当時の
俸給表を比較するならば、判任官と高等官の差という著しい
給与差がそのままに残されて、途中で
恩給不均衡
是正の
措置をされても間に合わぬという声が出ておるわけです。
これをどう直していくかということですね。いま平均八七%追いついたという
改善率、さらにその中で、なお旧
制度の中における低い
処遇に甘んじた
時代の
給与制度がそのままに
改善された形で今日に来た。それを見のがしてはいけない。これは私、過去において何回かお尋ねを繰り返してきたのですけれども、
大蔵省の御
答弁を聞くと、
退職時の
俸給を
基礎にするのだからやむを得ぬという御
答弁でした。これはきびしいものです。
退職したときは哀れな地位にあった人だから、哀れな地位に相応する
処遇がそのまま
改善されるのは、これはやむを得ません、いまの地位にこれを引き直して
考え直すような形のものは
制度的にできませんと言っておるのです。ひとつ具体的な数字をここで例示しましょう。
私の郷里の山口県を例にとります。山口県のAという人は、一般行政職農林技手、勤務年数三十二年です。三十二年というから、これはいまでいえば、もう平均以上の勤務をした人の
恩給年額ですね。年額というのが三十万そこそこです。今度改定されて四十万ちょっといくわけですが、こういう
戦前にやめて苦労した農林技手というのは判任官です。いまはこういう立場の人は、三十二年もつとめてくると、県の少なくとも課長クラスには当然いっておる。悪くても課長補佐のクラスにいくわけです。その方々がいまやめていく場合に、三十二年勤続の県庁職員がやめてどれだけいくか。大体八万から九万はいくはずです。その間で、結局六割程度の
年金額、半分程度のものがまだ残っておるという異常な実例がここで出て来ておるわけですね。私、自民党の方も御存じの、日本
退職公務員連盟下河辺さんという事務局長さんがおる。あなたは
恩給を幾らもらっておりますかと言うと、私は十六万五千円ほどもらっておりますと言う。十七年勤務が十六万五千円、こんなのがまだあるかなと思って感じたんですが、
戦前に
退職した人の
退職年金というのは、その
意味においては、やめた当時の社会的な地位が非常に低い形に置かれた学校の
先生とか警察官というようなものは、そのままのかっこうで、途中の六回の
是正がされながらも、まだ半分からちょっと頭を出した程度にしか出ておらぬ。
これをどう
改善していくかという問題は、もう
一つやり方として、
審議会の答申にある
仮定俸給の三本立てを統一するという問題、
仮定俸給をもう少し近代的にこれをやり直すという必要がある。これも毎回問題になっておる
仮定俸給を、旧
体制のもとにつくったものが新
体制のもとに移行するのに、古いよろいを着て洋服をその上に着るようなものだから、
基本的な感覚の相違ができてきておるのです。その古い
観念の
仮定俸給というものがそのまま。きょうも大出さんが
質問されたといま承ったんですが、私からも、この問題は、よろいを着て洋服をちょっと上へ重ねるようなかっこうというようなものでは、すっきりした
生活はできませんよ。やはり洋服に着がえた
俸給表を
基準にして
年金をもらわなければいかぬ。
こういう
仮定俸給の抜本的改定、そして旧の官職と現官職を比較検討した新しい角度からの
給与改定というものをもとにした
格差是正でないと、
格差是正の根本的改革はできぬと
判断しますが、いかがでしょうか。