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1973-04-20 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十日(金曜日)     午前十一時四十四分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    伊能繁次郎君       越智 伊平君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    丹羽喬四郎君       旗野 進一君    林  大幹君       坂本 恭一君    山崎 始男君       横路 孝弘君    和田 貞夫君       木下 元二君    東中 光雄君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         経済企画庁長官         官房長     高橋 英明君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         厚生省医務局次         長       信澤  清君         林野庁長官   福田 省一君         通商産業大臣官         房長      和田 敏信君         通商産業省重工         業局長     山形 栄治君         通商産業省鉱山         石炭局長    外山  弘君  委員外出席者         大蔵省銀行局特         別金融課長   額田 毅也君         厚生省社会局生         活課長     田川  明君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         建設省計画局宅         地部長     河野 正三君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 四月十九日  靖国神社国家管理反対に関する請願岩垂寿  喜男君紹介)(第二九九八号)  同(坂本恭一紹介)(第二九九九号)  同外四件(八木昇紹介)(第三〇〇〇号)  同外一件(田口一男紹介)(第三〇九九号)  靖国神社法制定に関する請願荒舩清十郎君紹  介)(第三〇四一号)  官公労働者ストライキ権回復に関する請願  (正森成二君紹介)(第三〇九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二二号)  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横路孝弘君。
  3. 横路孝弘

    横路委員 今回の機構改革趣旨のところを見ますと、要するに通産省というのは、いままで行政重点産業発展貿易振興に置いてきた、しかし最近は環境保全問題とか消費者問題、物価問題等のいろいろの問題が生起した、それに対応するような行政機構をこれからつくっていきたいということのようでありますけれども、通産省としては、従来の重点産業発展貿易振興だったがこういう困難な問題が起きてきたのだと、こうさらりと機構改革趣旨の中で大臣も説明したわけでありますけれども、その辺のところをどう押えているのか、一体何が一番の原因なのかということについてどうお考えになっているのか、ひとつその辺のところからお伺いしたい。
  4. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 今回の機構改革のねらいといたしますところは、国民福祉の充実、確保及び国際的な経済政策における諸外国との調和という二点が最大眼目といたすところであります。従来の輸出振興生産力増強というのは、昭和二十七年に現在の通商産業省機構が定められまして以来、国民生活の内容を充実するという意味合いにおきまして一意相つとめてまいってきたわけでございますが、二十年を経過いたしまして、それはそれなりに一応、生活の、GNPの伸びは達成できましたが、反面、産業活動国民生活との間の摩擦が、公害あるいは過密というような形で大きく浮び上がってまいりましたので、そういう事態におきまして、新しい行政姿勢国民福祉に置くために今回の機構改革をお願いいたしておるわけでございます。それぞれの時代におきまして、産業振興ということは通産省の変わらぬ任務ではございますが、それぞれの時代におきます行政へのニーズは、また経済発展とともに変わってくるのではなかろうかと考えている次第でございます。
  5. 横路孝弘

    横路委員 いま機構改革趣旨についてお尋ねをしているのですけれども、この中で指摘をしているいろいろな問題が発生をしてきた、環境保全の問題とか、消費者問題とか、物価問題とか。それには、いままでの通産省の、重化学工業化というものを中心としてきた、あるいは輸出第一主義生産第一主義という形をとってきた産業政策というもの、あるいは産業育成政策と言っていいのかもしれませんが、やはり通産省行政指導としても、総括をきちんとすべき点というのがあるのじゃないか。その反省の上に立って今回機構改革が出てきた、こうなっているわけですから、その辺のところの、通産省産業政策として従来推し進めてきた点のどこに原因があったからこういう問題が出てきたのか。だから通産省でさえもそれに対応せざるを得ない、その姿勢機構改革という形でとらざるを得ない、その辺の基本的な皆さん方行政庁としての反省というのは一体どこにあるのか、大臣どうでしょう。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の機構改革によりまして、かなり大規模なその趣旨に沿った改革案を御審議願っておるわけでございます。産業政策局の中に流通商務課あるいは流通対策課というような課も特に設けて、消費経済課等においても消費経済問題を中心にやるようにやらしておりますし、それから通商産業審議官、この審議官の仕事というのは事務次官補みたいなものでございますけれども、特にそういう面について大局的に調整させようという考えでおります。  しかし、こういう機構をつくっても、一番大事なことは公務員の心がまえでございまして、この点につきましては、いままで御答弁申し上げましたような、通産政策の大きな転換という筋を体して誠実に行なうようにいろいろ指示しているところでございます。
  7. 横路孝弘

    横路委員 私がお伺いしたいのは、従来の政策についての反省というのはどこにあるかということなんです。たとえば一つだけ例をあげると、経済社会基本計画の中で、従来、産業政策というのは輸出競争力の強化を中心として重化学工業化政策だった、それを見直す必要がある、その見直すために、たとえば租税特別措置法の問題とか、あるいは政府系金融機関融資方針転換というような具体的な問題についてこれから検討していこう、というような問題提起があるわけですね。その辺のところが実は基本的に一番大きな問題じゃないかと思うので、いまの基本計画の中でいっている、たとえば祖税特別措置とか融資方針転換というのも、これはそのうちの一つ二つの例なんでしょうけれども、その例に限って言うと、具体的に通産省としては、こういう形でもって基本的に融資方針を変えなさいというようなことについて、皆さん方のほうではそれをどういうふうに受けとめて対応しようとなさるのか、通産省としてはどう考えているのか、やはりその辺の基本的なところの反省がなければいかないのじゃないかと思うのです。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 融資方針につきましては、たとえば開銀の資金等を見ますと、中小企業融資はかなりふえておりまして、鉄鋼とか電力という基幹産業に対する融資は非常に減っております。ほとんど取るに足らぬぐらいになっております。そのかわり、都市開発とか地域開発とか、そういう方面に対する率は非常にふえておるのであります。これは御要求があれば資料としてあとで提出させます。しかし、中小企業についてはますますふやしていかなければならない、こういう考えに立ちまして政策をやっているつもりです。  それから税制上の問題については、祖税特別措置法あるいは輸出振興におけるそういう例がございましたが、これも整理していくつもりで、輸出振興につきましては、開拓準備金積み立て金というようなものは中小企業にのみことしから認める、大企業のものはやめることにいたしました。それで輸出振興関係というものは大体残っておるものはないと思います。そういうふうにして一つ一つ手直しをやっているところでございますが、租税特別措置法上でまだ若干考えなければならぬことは、たとえば固定資産税とか何かで大企業に残っているかもしれません。そういう部面については検討を加えていきたいと思います。
  9. 横路孝弘

    横路委員 ほんとうは詰めて議論しなければならぬところなんですが、時間の都合があって、結局、問題は産業構造の変化といいますか、望ましい産業構造ということでこの基本計画の中では提起されているわけなんですが、一昨年ですか、産業構造審議会の「七〇年代の通商産業政策」とか、あるいはこの間出されました産業計画懇談会の「産業構造改革」ということで、結局、重化学工業というものが資源とか公害とかいう問題でいろいろ制約が出てきた。たとえば産業計画懇談会の場合は、いわば成長抑制というような形で公害資源制約に対して対応していこうというような問題提起があって、いろいろ具体的にこの問題が出されているわけなんです。つまり、公害あるいは資源の問題を含めていまの状況の中で、重化学工業中心としてやってきたいままでの産業政策というものを、知識集約産業という形でいわれておりますけれども、技術を主とした産業に変えていくんだというようなことがこの基本計画なり何なりの中でいわれている。一昨年の産業構造審議会答申も大体そういう方向だったと思うのですけれども、その辺のところ通産省としては、成長を抑制することによってある意味では公害資源の問題を越えていくんだというような問題提起については、どういうぐあいにお考えですか。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点は、成長型から福祉型に、それから輸出優先から均衡型に、そういう方向に、いま現に大きく転換しつつあるところでございます。今後もその線に沿って行政の執行をやっていきたい、こう考えております。
  11. 横路孝弘

    横路委員 知識集約化といってもどうも中身がよくわからないのですけれども、いま現在のところ、たとえば製造工業の中で皆さん方知識集約産業といっているやつというのは、現実にどのくらい比重を持っているのですか。いろいろ調査によると、もうすでに四〇%程度というような報告もあるようでありますけれども、通産省のほうではどういうふうに押えておりますか。
  12. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 七〇年代の通商産業政策に関する方針に関しまして産構審の答申をいただいております。知識集約型産業とは大体四つカテゴリーに分けて答申をいただいております。一つ研究費製品の価格の中に占めるシェアが非常に大きいもの、航空機とか電算機とかであります。第二審目高度組み立て型の産業でございまして、これは通信機その他の分野になろうかと思います。第三番目は高度の消費者ニーズに対応する一種のファッション製品と申しますか、そういうものでございますが、これに関しましては高級消費財等がございます。第四番目といたしましてはいわゆる情報産業でございます。従来のエネルギーを多く使い資源を多く使う形の産業を、申し上げましたような形の知識集約型のものに持っていくようにというのが答申趣旨でございます。通産省といたしましてもまた、その方向に今後の産業構造を持っていきたいと目下検討を進めております。  御指摘の、これらの分野に属する生産が全体の工業製品の中において占める比率については幾らの比率になるかという点に関しましては、目下のところ御報告申し上げるほどの数字シェア等を持ち合わせておりません。
  13. 横路孝弘

    横路委員 たいした比重を占めていないということなんですか。それとも数字をつかまえていないということなんでしょうか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 生産額からしたらまだたいした数字ではない。大体、知識集約型産業というのはどういうものであるかというのは、まだ確たる概念がはっきりきまっているわけではないので、正直に申し上げて大体気分的な表現が多いですね。それで全貌が露呈しているわけではないのです。だから、こういう方向であろうということで四つカテゴリーがあげられました。それは知識とか研究というものが中心になっておるところでございます。したがいまして、何といっても、いま生産のほうから見ますと、重化学工業の鉄とか自動車とか、ああいうようなものがまだ非常に大きな分野を占めている。しかし、これから電算機等中心にして大きく伸びていく可能性がある、そう思います。
  15. 横路孝弘

    横路委員 どうもその辺のところ、電算機とか航空機産業といったところで、たとえば航空機産業の、これからちょっとお尋ねしますが、YXならYXについての需要といってみても、いまの工業生産からいえば微々たるものですよ。そうすると、いまその定義をおっしゃいましたけれども、その定義に従って分析すると、ある調査では、四〇%程度がもうすでに工業生産の中であるのではないかという指摘もあるわけですね。その辺のところ、バラ色の幻想をふりまいて、ことばだけ知識集約産業型にかえるのだ、こう言いながら結局は重化学工業中心日本経済はこれからもいかざるを得ないのではないか。その辺のところに実はやはりまだまだ詰めていかなければならぬ大きな問題がありますし、皆さん方の見通しもどうも甘いのではないかという気が、公害の問題にしても、資源の問題にしても、するわけであります。  その辺のところで、ちょっと具体的な問題を二、三詰めていきたいと思うのですが、もう一つちょっと確認しておきたいのは、この公害重化学工業ということの関連の中で、資源加工型産業海外立地促進という問題が基本計画の中でも提起をされているわけです。発展途上国に新規の立地を求めるというのは、わが国にとっては確かに脱公害になるし、あるいは省資源ということにつながっていくだろうけれども、地球全体から見る場合にはそういうことにはならないわけですね。したがって、あとでちょっとYS11に関連して指摘したいのですが、たとえば飛行機YS11の部品ですね。アメリカに売っている部品アフリカあたりに売っている部品は値段が違う。アフリカあたりには高く売っている、アメリカには安く売っている。こういう姿勢がどうも公害資源という制約の中でやはり問題として出されてくる危険性があるのではないかと私は思いますので、この海外立地促進という点について、わが国という視点ばかりではなくて、もうちょっと広げた視点地球視点からこの問題を考えていく必要があるのではないか、私はそのように考えますが、大臣いかがですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のとおりであると思います。地球的スケールでものを考えなければならぬ時代で、ローマ報告等にも報告されておるとおりであります。ただ、各国家によって、人口とかロケーションとかによってどの程度汚染度を許容できるか、あるいは自然還元できるかというものはまた違ってきます。東京を中心とした場合、あるいはカリマンタン地域中心にした場合、おのおの条件が違いますから、自然還元力とかそういうようないろいろなファクターを考えてみて、その地域その地域に適合する基準というものはやはり出てきていいのではないかと思います。
  17. 横路孝弘

    横路委員 ただ、いま公害個別規制から総量規制時代に入っているのですね。個別の規制ではもうだめだ、総量規制で行こうじゃないか、こういう時代になってきているわけであります。政府のほうだってそれを認めておられる。四日市公害裁判等でもってそれは明確に出ているわけですね。だから、そういう観点に立つと、いまの大臣の御答弁の中にもある、いままでよごされていないところを少々よごしたっていいじゃないかという発想は、非常に危険な発想じゃないか。それをやったら、やはり発展途上国から手痛い反撃を受けることになるんじゃないかということを心配するわけでありまして、その点もう一度、やはり総量規制という観点に立った通産省のこれからの行政指導というものを私は期待をしたいと思うのです。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはやはりそれを設置する国の主権範囲内に従ってやることで、その国々の基準に適合してやるべきものである、そういうように思います。
  19. 横路孝弘

    横路委員 それだと、向こう規制がない、規制がないからいいじゃないかという発想になってしまうわけですよ。だから、それはそうじゃなくて、日本のいまの科学なり技術なりの中で、しかも日本でとらえられたと同じような観点に立ってやるべきじゃないか。そうすると公害企業輸出ということになって、いまタイそのほかでもっていろいろボイコット運動が起こっておりますけれども、そんなことに輪をかけてますますそういう運動を広げていくことになってしまうのじゃないかというように考えますが、いかがですか。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 カリマンタンの原野と四日市と同じ基準でやるということは、ちょっとこれはその国が迷惑に思うのではないかという気もいたします。やはりその国その国が主権範囲内できめる基準に従ってやるというのが第一義で、だといって無責任にたれ流していいというものではございません。これはやはり地球に共存している人間として、海洋の汚染とか大気への影響とか、そういうものも良心的に考えなければならぬことでありますから、おのずから基準はあるものだろうと思います。
  21. 横路孝弘

    横路委員 時間がないので、ちょっとYXの問題について質問をしたいと思いますけれども、民間財団法人民間輸送機開発協会というのができたようでありますけれども、YX日航製の問題もあり、この間提起されたC1の問題もこれあり、政府としては基本的な姿勢としてこれをどのように考えるか。国の補助金を相当出すわけでありますし、皆さんの展望としては、来年度以降のことは、来年度の予算折衝の中で大蔵ときめるということになっているようでありますが、何としてもやるということのようでありますけれども、その辺の基本的姿勢原則をどう立てられておるか。
  22. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 先ほど来出ておりましたように、今後の日本経済知識集約型に急速に転換しなければいかぬということが正しい方向だと思うわけでございますが、その場合の最も代表的な知識集約産業航空機であろうかと思います。ちなみに現在の日本航空機乗客数は非常な勢いで伸びておりまして、またこれに即応します世界民間輸送機生産活動も非常に急速な伸びを来たしております。現時点で全世界で約二兆五千億円の民間輸送機産業昭和六十年ごろには十兆円の大産業発展するのではないかといわれておりますので、われわれといたしましては、ぜひとも日本産業の中に民間輸送機産業というものを定着させたい、こう思うわけでございます。これが基本的な考えでございまして、現時点におきましてYX開発のための協会をつくっておるわけでございますが、これはYS反省も踏まえまして、民間の創意、くふうの活用と民間側における責任の体制の確立ということも含めまして、ぜひ民間主導型といいますか、民間が主体になって自信を持ってこれを進めるべきであるというかっこうで財団法人を結成さしたわけでございます。特に四十八年度は準備段階でございますので、四十九年度以降この本格的な開発姿等がどうなるかによりまして、この辺の組織につきましてはまたその時点で考えたいとわれわれのほうでは考えておる次第でございます。
  23. 横路孝弘

    横路委員 YX設立趣意書によると、百五十ないし二百人乗りジェット旅客機ということですが、いまのボーイング727とか737、あるいはDC9という航空機あたりシェアを見ると、アメリカが圧倒的で八三%・イギリス、フランスあたりでもって一四、五%くらいですか。そうすると皆さんのほうでは、一体この需要というのはどのくらいと見込まれるか。どのくらいのシェアをお考えになっているわけですか。
  24. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 先ほどもちょっと述べましたように、全体的な需要伸び率が非常に大きいようでございますが、いま御指摘のとおり、飛行機は、大型の飛行機、中型の飛行機、小型の飛行機と大体三つで、それぞれの需要の姿も違いまして、伸び率も違うわけでございますが、われわれのYX、百五十ないし二百人乗りの双発の騒音の少ないジェット機という概念で期待されるべき機数を申し上げますと、大体七百機見当、少なくて四百機見当、四百から七百くらいのことを期待しておるわけでございます。  若干補足でございますが、これは、日本だけでやります場合には、なかなかこの機数確保することはむずかしいわけでございまして、YS11の販売面におけるとんざというものもあるわけでございますので、今回はボーイングと組むことによりまして、ボーイング販売網を利用していま申し上げましたような販売機数確保につとめたいと考えております。
  25. 横路孝弘

    横路委員 いろいろ話を聞いてみると、結局、ボーイングのほうの要求は、技術を提供してやるから金を出せ、こういうことですね。日本側要求される最大のものは金になるわけですね。大体千三百億くらいである、こういわれておるわけですが、一体日本側として、その辺のところを、ボーイング下請にならない自主性をどうやって確保していくのか。これは国が大きなお金を費やすわけですから、補助金という形で出して、監督権というものは前の日航製よりなくなるわけですね。その辺のところを皆さんとしてはどういうようにお考えになっているのか。
  26. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 いま御指摘の点は、提携上の最も大きな問題でございますので、われわれボーイング側と折衝いたしますときの最大眼目でございます。  具体的に申し上げますと、飛行機につきましては、開発段階量産段階二つに分かれるわけでございますが、開発段階につきましては金額は原則として折半にいたす。それから自主性確保という意味におきましては、向こうから仕様書をもらって日本開発の作業をするのではなく、日本もみずから自主的に機体の設計仕様をやって、これを本年の末両方で持ち寄りまして、それぞれのニーズに即応してそれをまた総合的に手直しをする、そういう形をとりながら開発を進めていくことに基本的に合意がなされております。かつ、これは先の話でございますけれども、もしこれが本格的な量産段階になる場合には、アメリカだけに生産ラインをつくることなく、日本にも当然生産ラインをつくり、部品につきましてはそれぞれこれを共同で生産して相互に交換し合いながら、生産ラインはほぼ半々で日米両国生産をやるという点につきましても原則的な了解に達しておりますので、いま先生の御指摘のような下請に堕するというようなことは、私のほうとしては、あり得ないし、またそうあってはならないと考えおるわけでございます。
  27. 横路孝弘

    横路委員 YXの基本的な問題については来年度予算の中で明確に出てくるでしょうから、その時点でわれわれのほうも態度を明確にして議論をしたいと思いますが、ただ、YXの問題に関連いたしまして、やはり問題なのは、YS11のアフターサービスをどうするかという問題があるのです。これは、あの飛行機が飛んでいるうちは、製造した国としてやはり基本的にこちらに責任があることなんで、そのためのたとえば部品の供給の体制とか、それからSB等の責任というものをやはり明確に果たしていかなければならぬだろうと思うのです。  その体制がどうかということの中で、一つ問題にしなければならぬと思うのは、非常に部品が高いという不満があるように私どものほうで聞いているわけです。ちょっと調べてみると、今度の中でYS11の赤字というのは、日航製の会社の責任ももちろんありますし、監督権を持っておった皆さん方にもありますが、やはり機体の会社のほう、三菱重工業をはじめとする各会社はどう見たって損をしてないのではないかという気が私はするわけですね。その辺のところで、あとでちょっと三菱重工業あたりのいろいろなレートそのほかを、できればひとつ明らかにしてもらいたいというふうに考えるわけなんですが、一つ二つ部品の問題を指摘をして、これは皆さんのほうで総点検をしてもらいたいと思うのです。  たとえば部品番号〇一−九六〇〇号、飛行機の前脚の安全ピンというものがあるのですけれども、これは昭和四十年度に、機体会社、つまり三菱が製作をしておって、利益率二〇・五%の利益を見て、そして合計二万一千五百円ですね。これが最近、会社が京都機械という一般企業会社にかわったわけですけれども、かわって幾らになったかというと、これは一万七千四百円です。値段が安くなっているわけです。この昭和四十年度のときの三菱のレートというのは九百三十六円で、工数は一九・〇九ということなんです。それはいま三菱のレートの場合は二千七十円くらいです。相当高いレートになっていますね。そのレートにその工数をかけて計算してみますと、いまもし三菱にやらせていて要求してきたら幾らになるかというと、二〇%の利益に見込むと四万七千五百円になるわけです。つまり二倍以上になるわけです。二・七三倍ですね、ほかの部品みな点検していくと。そうやって三菱等の機体会社がつくっていた。そこからかえたという場合には、部品の価格差が明確になって出てくるわけですね。ところが、かわらないでいるところは、かわらないからどんどんとレートが上がるに従って上がっているわけです。もっともたくさんつくれば工数が下がるから、少しずつつくれば若干の変化はありますけれども、レートとの関係で言うと、そんなに変化というものはないみたいですね。たとえばもう一つ地上の支持棒というのがあるのですが、部品番号〇一−八九〇一−二一というものですが、昭和四十年に三菱が幾らでつくったかというと五万一千八百円です。京都機械がいま五万一千八百円なんですね。それをさっきのレートと工数をかけて三菱がいまつくったら幾らかというと、これは十万円をこえるのです。十万七千二百円。これもやはり二倍以上ですね。アメリカあたりの価格を調べてみたって、アメリカ部品価格の大体倍です。  だから、アメリカのほうからうるさく、まけろまけろと言ってくるからまけてやる。何も知らないアフリカのほうはずいぶん高いやつを買わされて、だんだんわかるに従ってクレームが出てくる。最近、日航製で売っている飛行機というのは、アフリカのいろいろな新興国家でありますが、そういうところはあまりよく知らないで買わされているわけですよ。調べてみると、やはり二〇%以上の利益を見込んで、何か防衛庁のやり方と同じやり方でやっておるわけでしょう。だからそういう不満がくるわけで、それもアメリカとアフリカとは、こっちはクレームがくるから安くて、こっちはわからないからそのままの高い値段で売ってやろうというようなことじゃなくて、ひとつこの辺のところを皆さんのほうで点検をされて、これから部品の供給というのは日航製に残された最大の仕事でありますし、そこのところをやらなかったら、これからYXだといってみたところで、信用を落としてしまったら日本でつくった飛行機を買う国なんてなくなるわけですから、ひとつその辺のところを点検されてきちんと掌握をしていただきたいというように思います。できれば、各メーカーのレートそのほか利潤率、どのくらいに見込んでやったのか。大体、防衛庁と同じだというように聞いておりますが、資料として出ていただければありがたいと思います。
  28. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 総体的に申し上げまして、現在、日本航空機製造株式会社の中に部品問題等を中心とした委員会を近く結成することにいたしておりますので、その辺の活動にも相まちまして、いま先生の御趣旨の点検等もやってみたいと思います。各社別のレート数、工数等につきましても、できる限り、われわれのほうといたしましてもこれを調べてみたい、こう思っております。  ただ、ちょっと一つ申し上げますと、防衛庁と全く同じやり方をやっておるわけでございませんで、簡単に言いまして、防衛庁よりもより民間的な色彩が強いという点を考慮いたしまして企業努力を各社に協力を仰いでおりまして、こまかくは省略いたしますけれども、防衛庁方式よりも低いGCPを採用いたしておりまして、民間企業の御協力を仰いでいるわけでございます。この点につきましては、いま御指摘のとおり、その内部にまた基本的にいろいろと御指摘の点もあろうかと思いますので、御不審の点は調査いたしたいと思います。  なお、アメリカとアフリカとの違い等につきましても、あわせて調査いたしたいと思いますが、これは一つだけ先生に御理解願いたいと思いますのは、飛行機をうんとまとめて買ってくれたところと一機しか買わなかったところでは、その後のアフターサービスの場合の部品の価格はおのずから違う点がございますので、そういう点も若干この中には入っておりますので、ピードモントに二十一機売りまして、アフリカのガボン、エアアフリカ等には一機、二機しか売りませんので、その辺の売りました機数との関係で部品価格の違いというものはございますので、その辺もあわせて調べたいと思う次第でございます。
  29. 横路孝弘

    横路委員 確かに経済的にはそうでしょうけれども、そのアフリカの一機とか二機とか買ってもらったところを、これからいろいろな意味でほんとうは大事にしていかなければならないわけでしょう。だからその辺のところを調査していただきたいと思います。  時間がないのですが、実はいろいろと皆さんのほうから日航製の営業報告書やなんかいだだいて検討してみて、これはあとで決算でやりたいと思うのですが、皆さんのほうで調べてもらいたいのは、佐藤さんという監査役の方がおられたでしょう。その佐藤さんという監査役の方が、昭和四十六年九月十二日に、これは内部資料なんでしょうけれども、「YS11の実績と反省」という分析を出されているのですが御存じですか。
  30. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 ちょっと存じ上げておりません。
  31. 横路孝弘

    横路委員 その分析を見ると、実は、会計検査院のほうに出されている資料とか営業報告書そのほかと、数字が全然違うのです。これは内部資料に基づいて分析したということになっているわけです。たとえば販売手数料の関係でも、表に出てきているのは、たとえば輸出等の販売手数料でしょう。ところがこの分析によると、特殊口銭という形でもって、国内でも裏金で出ている数字やなんかが全部出ているわけですね。しかも、この分析の中で明確に、みずからこれは会計検査院と数字が違いますなんということをやりながら、分析しているわけです。私は、これが正しいかどうか、これの分析のもとの資料を見ていないから何とも言えません。しかし少なくとも日航製の問題は、何回も何回も問題になってきて、いやになるくらい問題になってきているものなんですけれども、やはり国が今年度予算で金を出してこのしりぬぐいをこれからずっと税金で負担するのですから、やはりこれは、責任の問題を含めて、もうちょっと綿密な分析というものがどうしても必要じゃないかというように考えるわけなんです。したがって、皆さんのほうでそれをお読みになっていなければ、これ以上議論してもお答えがないと思いますから、ただ、その販売手数料の関係とか、基本的なところにおいて、どうも表に出てこないやつが非常に克明に分析されておって、その数字が会計検査院等の数字とも違うということになれば、これはまた皆さんのほうだっていろいろ問題が起きてくるのじゃないかと思いますから、ひとつそれを調査されて、できればその報告をしていただきたい。できればというか、決算なり商工なりのほうに移して議論してもいいわけですから、ひとつその調査要求をしたいと思います。
  32. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 その点につきましては、調査いたしまして御報告申し上げます。
  33. 横路孝弘

    横路委員 大臣、それはよろしいですね。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 けっこうです。
  35. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  36. 三原朝雄

    三原委員長 午後一時三十分より委員会を再会することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議
  37. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  38. 和田貞夫

    和田(貞)委員 設置法の改正内容についてですが、一つは、趣旨説明にもございますように、物価局を設置して物価に関する総合的な政策を強力に推進する、これが一つの理由であって、もう一つは、勧告の権限あるいは内閣法第六条に基づく措置を、従来はなかったのをとらすという、こういう内容の経済企画庁長官の権限を強化する、こういう二つの理由と改正の内容でありますが、率直に申しまして、との二つの骨子とする改正によって、物価が下がっていかないのか、下がっていくようになっていくのか。その点、ひとつ自信のほどを長官のほうからまずお聞かせ願いたいと思います。
  39. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 このたび経済企画庁に物価局をつくりたいということをお願い申し上げております趣旨は、物価の問題というのは非常に重要になっておりまして、ぜひ国民のために安い物価で潤沢な品物が提供されることが望ましいわけでございまするけれども、それには、やはり各省がそれぞれ生産現場を握っておるわけでありますから、その縦割り行政の中に、やはり全体の横の連絡を物価という観点から見る役所が必要であるということで、経済企画庁はそうした職能を一つ持っておるわけでございますが、今日までのところ、国民生活局というものの中に物価政策課というのがございまして、二十名ばかりの課員でやっておるわけでございます。しかし、このたびお願いいたしておりまするように、物価の問題は非常に重要であるから局にひとつ上げていただきまして、この物価政策課というのが二十名おりますが、そのほかに増員をしていただきまして、三十三名、三課でこの物価の問題をやってまいりたいと思っておるわけでございます。  それでは、それで下がるのかという御質問でございますが、私どもぜひ今日の物価情勢をもっと秩序あるものにいたしたい、今日のようなディスオーダーというものをぜひ解決いたしたいと考えております。それには、いろいろな現場を握っておられる省庁に対しまして、問題ごとに資料を出していただきたい、そして資料を拝見して、その後どうなっておりますかということを拝見して、それではこうなすったほうがよろしゅうございませんかという勧告を申し上げる、そういう権限をいただくことによりまして、もう少し物価の問題について強力な調整権を得たい。それによって、御指摘のように、ぜひ物価をもっと下げていく、そうした協力な機能を持たしていただきたい、こう思っている次第でございます。
  40. 和田貞夫

    和田(貞)委員 まず物価局についてですが、いままで二十名の課が、いま長官言われましたように、三十数名に陣容を整えて物価局を設置する。私は、そのことによって行政効果があがるのであれば、二十人の職員が五十人になろうが、百人になろうが、千人になろうが、国民の期待するところでありますのでいいわけなんですが、そのことによって、ただ機構がふくれるんだという結果だけが残って、従来と比べて何ら行政効果というのがあがらない、これじゃ、せっかくのこの機構改革というのが、何をしていることか、むしろ人件費が増大するというようなことだけに終わってしまって、かえってマイナスである、こういうことになる。いま長官が言われたわけなんですが、それでは、いままで課のほうでなされなかったのが、局になることによって、長官の権限は別として、行政としていままでと変わってこういうことをするんだということを、ひとつお聞かせ願いたい。
  41. 小島英敏

    ○小島政府委員 現在の物価政策課と申しますのは、課長以下二十名の世帯でございまして、最近のような物価の異常事態に対しまして、まことに戦闘状態のような毎日を送っているわけでございます。毎晩十一時、十二時までみな残っておるというような状況でございます。何ぶんにもこういう状態では、当面の対策にばかり追われまして、本来のもう少し長期的な観点から物価の問題を検討するとかいうようなことも、やりたくてもできない状態でございます。その意味から、人員をふやしていただきますことは、いままでやりたくてもやれないような問題、たとえば今度三つの課になりますと、物価政策課を中心にいたしまして、現在のところ、たとえば物価安定政策会議というものも、昨年の暮れに第四部会でレート調整の問題等に関する提言をしていただいたわけでございますが、ここは、主として長期的な問題について、いままでもずいぶんいろいろいい御提言をいただいておるわけでございますが、ことしになりましてから、安定政策会議はとてもフォローする時間もございませんので、開店休業になっておりまして、非常に遺憾に思っておるわけでございますが、安定政策会議を通じてそういう長期の問題をフォローすることができるということが一つの問題でございます。  それからもう一つは、たとえば公共料金にいたしましても、いまの陣容では非常に手薄でございまして、各省から出てまいりました案について、ほんとうに一〇〇%正確にわれわれの自信の持てることができているかというと、やはりややウイークな点もございます。これは今後、物価調整課という課ができまして、専門にそういう問題をフォローし、しかもそのときの値上げの問題だけでなくて、公共企業体のあり方その他、これも長期的な観点を常に踏まえながら、短期の問題に処理できるわけでございます。  それから物価調査課という課を予定しておりますけれども、ここも、先ほど申し上げましたように、たとえば物価モデルというようなものの開発、これが前から非常にやりたいわけでございますけれども、政府の見通しをつくります場合にも、長期的な計画なんかに織り込みます物価の水準の見通しとか、あるいは毎年やります物価の見通し、これもどうも、昨年度は幸い見通しのワク内におさまりそうでございますけれども、毎年、計画見通しの数字を上回って非常に不評を買っているわけでございます。この辺からも、短期の見通しの問題をもっとがっちりしたものをつくなければいけないということは常々思っているわけでございますけれども、これら長期、中期、短期を含めて、やはり物価モデルのがっちりしたものをつくっていくということが必要だと思います。  これらの点が、いままでどうもやりたくてもできなかった点でございまして、今後、もし本法案を成立さしていただきますならば、全力をあげてこれらのウイークな点をカバーいたしたいと思っております。
  42. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは説明がありましたけれども、できなかったというよりも、それであれば、やはりやらなかったというように私は思うわけです。算術的に、職員が二十人であったためにできなかった、三十人になったらできる、これは当たらないと私は思うのです。なるほど、今度のこの改正で、物価ということばが各条文にたくさん出てきておりますし、いままで明文化されてなかった企画庁の行政任務も明確になっておる、これはわかります。しかし、現行法におきましても、経企庁の権限としては「物価に関する基本的な政策を企画立案すること」、この一行あれば、いま言われておったようなことがやれなかったというのじゃなくて、やらなかった、こういうように言うたほうが正確なことばづかいだと私は思うのです。その点、課が局になり、二十人の職員が三十人になることによって、いままでできなかったことをやるのだ、これは私はどうもそのとおり受けとめるわけにはいかないわけです。二十人であればできなかったのを三十人になったらできるのだ、なぜできるのだ、課であればできないことが局になったらなぜできるのだ、課であればなぜできなかったのだ、こういうことをもっと具体的にお聞かせ願いたい。
  43. 小島英敏

    ○小島政府委員 いま国民生活局の中で、物価政策課と国民生活課、あるいは消費者行政課という三つの課を持っているわけでございますけれども、国民生活の問題あるいは消費者行政の問題というものも、これは非常に重要な問題でございまして、それらをあわせて物価の問題をやっておるわけでございますけれども、なかなかどうも十分手の回りかねる面がございます。  それから増員の問題に関しましても、先生のおことばではございますけれども、やはり人間の能力にも限度がありまして、そのときの仕事量が非常に膨大になりますと、いままで、私先ほど申しましたような長期の問題は、全然やらなかったというわけではございませんで、できるだけのことをやってまいったわけでございますけれども、どうも長期の問題がおろそかになるというような点がどうしても否定できないわけでございまして、この点はやはり増員をお認めいただくということが、そういうことを一歩、二歩、さらに五歩前進させるための基礎的な条件であるというように私は思っておるわけでございます。
  44. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、いままでこの物価対策について、抽象的じゃなくて、たとえば生鮮食料品については、農林省の食品流通局を通じてどういうようなことをしてきたか。あるいは最近の物価の異常な上昇については、これは予算委員会なりあるいは本会議で論議されたところでありますが、一般に通常の物価対策として、他の行政機関との間に協議をして具体的にどういうことをしてきたんだということをひとつ聞かしてもらいたい。
  45. 小島英敏

    ○小島政府委員 一つは、いまのおことばにございましたマクロ的な意味から、物価に関連しまして総需要政策というものが非常に重要でございまして、この間の閣僚協議会で御決定いただきました七本の柱も、第一の柱は財政、金融でございますけれども、これはやはり物価の観点から、常に現在の総需要がどういう動向でどうあるべきかということをフォローしておりまして、企画庁長官を通じましていろいろな場で御発言をいただき、実は今回の総需要政策一つ転換といいますのも、企画庁長官の御発言を契機に可能になってきたとわれわれ思っておるわけでございます。  それから、いまお話のございました予算の関係でございますけれども、これは実は各省が当然各省別に所管事項につきまして、八月末で大蔵省に概算要求をいたすわけでございます。その概算要求をつくります過程で、私のほうの重要問題につきましては各省の御相談に応ずるとともに、まとまりましたあとで、実は大蔵省が内示をいたします年末までの間に、各省からまたヒアリングをいたしまして、物価対策の観点から、各省から出ているものが重要性からいってどんなランクかということを、私のほうでランキングをいたすわけでございます。しかも、内示がありましたあと、また復活要求の過程でも同様の作業をいたしまして、結局、各省はどうしても予算の担当の人は、みな自分のところの予算を最優先ということでいたしますので、省内のバランスとか、あるいは各省間のバランスとか、そういう点を第三者の立場から、物価対策の観点にしぼって優先順位をつけるということが非常に重要であるわけでございまして、いままでもそういうことをやってまいっておりますし、大蔵省はその意見を尊重して各省に予算をつけていくということでございます。最近、特に流通問題で、低生産性部門の合理化と流通部門の近代化というものをわれわれ最重点考えておりまして、最近、野菜の価格というものが、相変わらず波は打っておりますけれども、数年前に比べますとかなり波が小さくなってまいりまして、野菜の価格が全体として二倍になったというようなことがなくなってまいりましたのは、昨年あたりから非常に天候がよかったということもございますけれども、やはり農林省の野菜対策がここ一両年の間に画期的に拡充されまして、指定団地の数もふえ、あるいは価格の保障と申しますか、いままでは一年おきに価格が暴騰、暴落を繰り返してきて、その結果、結局安くなったときに野菜の生産がペイしないということで翌年作付け面積を大幅に減らしてしまうというところに、翌年また価格が暴騰する原因があったわけでございまして、その意味から、現在の野菜対策においては、そういう場合でも必ず過去の平均的な価格の七割とか八割とか、これは野菜の重要度においてそういうランクがついておりますけれども、そういうものを保障するような形で制度ができております。こういうものを数年前から、企画庁の安定政策会議等の提言もございまして、農林省が予算化し、これが実現しているわけでございまして、流通におきましても、農林省も最近力を入れて、市場の近代化とか、あるいは小売センターの増設とか、あるいは各種の肉とか果実等についての個別の対策等についてかなり力を入れて、予算の規模も大幅にふえておるわけでございまして、こういう点が、まだなかなか一〇〇%所期の目的を達しているというところまではまいりませんけれども、数年前に比べますと著しく拡充されているということが言えると思います。  それから、もう一つは、公共料金の問題でございまして、これはいままででも法律的な権限はございませんけれども、公共料金の重要性に応じて幾つかのランキングができておりまして、一番重要なものは閣僚協議会に付議する。それで、閣僚協議会に付議するためには企画庁の協議を経ないといけないわけでございまして、各省がこの辺でよかろうという案をつくりました段階で、企画庁に協議をいたしまして、企画庁で原価計算その他をチェックをいたしまして、実質的に合意に達したところで閣僚協議会にかけるということになっております。それからその次のランキングになりますと、閣僚協にはかけませんけれども、企画庁の協議は必ず経なければいけない。この協議と申しますのも、単に、こういうことではありませんかということで話し合いをするということだけではなくて、企画庁の合意を必要とするような形で運営されておりますので、相当物質的には強い発言力を持っているわけでございます。新聞等世間に出ますときには、いまのたとえば運輸省が交通料金を認可したり、通産省が電力やガスを認可いたしたり、そういう形で表面化いたしますので、いかにも企画庁は何もしないようでございまするが、実は前の段階でかなり実質的に、値幅を縮めてもらったり時期を延ばしてもらったりということをやっているわけでございます。  それからもう一つは、先ほど申しました物価安定政策会議を通じまして、これは四つの部会に分かれておりますけれども、主として長期的な問題について御審議をいただくわけでございますが、事務方といたしまして、実質的に相当の仕事量を持っているわけでございまして、いままで非常にいいメンバーにお願いいたしております関係もございまして、いい御提言をいただいておるわけでございまして、世間は何となく、安定政策会議はいいことを言うけれどもちっとも実現しないではないかという御批判もあるようでございますけれども、これは必ずしもわれわれそうは思っていないのでございまして、やや時間がかかるものもございますけれども、昔からのものをずっと見ておりますと、かなり実現されているものが多い。一〇〇%実現しないにしても、そういう方向でかなり政策が進んでいるものが多いというふうに思っております。  それから最後に、今回のような物価の異常事態になりますと、総合的な物価対策というものを企画庁が立案いたしまして、これは各省といろいろまたその内容について、この間のものでも、大体一カ月以上いろいろな折衝があったわけでございますけれども、そういうものを取りまとめて、これは閣僚協におかけして内閣全体の合意として物価対策を推進する、そのための素案取りまとめの作業をやっているわけでございます。  大ざっぱに言いますと、以上のとおりでございます。
  46. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま言われた所掌事務についての説明ですが、そういう一般的なものの言い方じゃなくて、若干具体的なところが入っておりましたけれども、もう少しく具体的なところ、つまり、この分野にわたってできなかったことをこういうようにできるのだということがまだ理解できない。局になることによってそれが可能になるのだ、課だからできなかったのだ、二十名だったらできなかったのが三十名になったらできるのだということがわらない。  それはそれといたしまして、物価が上がる原因というのがあるのですが、最近の異常な物価の値上げというのは、これは明らかに大企業、大商社の買い占め、売り惜しみであったという原因が探究できて、不十分ながらその措置について政府も法案を提案されておりますし、また野党もわれわれとしては対案を出しておるわけなんですが、一般的に消費者物価が上がっていくという原因は、経済企画庁としては何が最もその原因にあるんだというように把握されておるのか、その点、明らかにしてください。
  47. 小島英敏

    ○小島政府委員 一般的に現在の消費者物価というものが趨勢的に上がってまいりまして、しかも卸売り物価が比較的安定しているのに消費者物価が上がるというのが、国際的に比較した場合の日本の物価の一つの特色でございますけれども、この原因というのは、やはり生産性上昇率の格差に基づく物価上昇というふうに理解しております。これは日本の一種の二重構造と申しますか、生産性の高い部門は、高成長のもとでその業種としても高い成長を遂げまして、その結果、かなり賃金が上昇いたしましても、生産性もその場合には賃金以上に上昇いたしますので、賃金コストとしては大きくならないわけでございまして、物価の値上げにならないわけでございますけれども、こういう生産性の高い部門で上昇いたしました賃金というものは、どうしても生産性の高くないいわゆる低生産性部門に対しても、賃金の伸びとしては波及せざるを得ないわけでございまして、そういうところはなかなか生産性が上昇いたしませんものですから、賃金のコストが高くなる。これがやはり、消費需要が比較的強いということによって消費者価格に転嫁される、その形で卸売り物価の安定にもかかわらず消費者物価が上昇してきたというふうに理解しております。ごく最近の動きは、それにさらに卸売り物価自身を上昇が加わっているというふうに思います。これは昨年の後半以来、国内の景気回復が予想以上に強かったということと、それに加えて海外の輸入インフレ。原材料も非常に上がり、穀物も不作で上がるというような関係で、輸入面からのインフレが加わって、それにさらに国内の過剰流動性を背景として一種の思惑的な仮需要が発生して、これがここ数カ月の卸売り物価の非常に記録的な上昇になってしまったわけでございまして、これがそのまま最近の消費者物価にはあまり時間をおかないで波及いたしてきている、そのために最近の消費者物価が非常な危機状態におちいっているということになっておるというふうに理解しております。
  48. 和田貞夫

    和田(貞)委員 低生産性部門では賃金の上昇というものに原因があるというように言われるわけですが、過去十年の間に、たとえば日用品のちり紙は十年の間に八倍に値上がりしておる。こういうようなものは、いま言われるように、低生産性部門の商品だ、こういうように理解できない。これはそれじゃ一体どういうのが理由だとお考えになりますか。
  49. 小島英敏

    ○小島政府委員 ちり紙が八倍という数字も、私どもの持っておる数字とややギャップがございまして、これは実は最近五年間ぐらいの数字でしかございませんけれども、CPIの数字でございますが、四十三年が一・九%、四十四年が一・六%。四十五年が七・四%、四十六年が六・四%、この二年間はかなり高うございます。四十七年が一・八%アップというようなところでございまして、ですから、これは数字の問題は別にございますけれども、ちり紙といいますのは最近やや形態が違って、洋風のいわゆるティッシュペーパー的なものが出ておりますけれども、この間までは、やはりこれは非常に中小企業的な製品であるというふうに私ども理解しております。そのために、かなり生産性の低い部門で生産されておりますから、やはり賃金の上昇というものが価格に転嫁されてきたのであろうというふうに理解しておるわけでございます。
  50. 和田貞夫

    和田(貞)委員 化粧品も、私はこれは確かに低生産性部門の商品じゃないと思うのですが、化粧水だとか、あるいはクリームだとかポマードだとか、これも大体ここ数年の間に三倍ないし五倍に上がっておるのですが、この原因はどうです。
  51. 小島英敏

    ○小島政府委員 化粧品と薬というようなものは、やや普通の商品の取引形態と違っていると思います。特に化粧品の場合は大メーカーの製品が多いわけでございますけれども、いわゆる再販問題というものがからんでいると思います。それから同時に、この間よくいわれることでございますけれども、原料のコストとしてはそう高くないのだけれども、非常にびん代などにお金を使ったり、あるいは広告等でコストを使ったりということで比較的高いものになっているわけでございますけれども、同時に、やはり消費者のほうにもやや考えるべき点があるように私は思います。とかく女性というものは美しくなるというのが至上命令みたいな感じがありまして、そのためには万金というと大げさですけれども、相当高いものであってもつい買ってしまう。しかも高ければより効果があるような一種の幻想もございまして、どうも高い価格が実現してしまうためにああいう高い価格が実際に可能になってしまうというところに原因があるように思います。
  52. 和田貞夫

    和田(貞)委員 薬に化粧品というのは、いまも御指摘のように、新聞、テレビ、ラジオ、広告塔、電車の中からバスのつり皮、ビルの階段に至るまでとにかく広告宣伝ですね。この広告宣伝費、それにメーカーのいわゆる交際費、これがこの商品に非常に大きなウエートをかけた価格の転嫁になってきておる、こういうように考えるのは間違いですか。合ってますか。
  53. 小島英敏

    ○小島政府委員 大筋においては私も同感に思います。
  54. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ、そういう理由がやはり大きな原因であるということであれば、いままで企画庁としては、そういう原因を除去するための税法の改正について関係行政機関に勧告というか、要請というか、そういうことをやったことがありますか。
  55. 小島英敏

    ○小島政府委員 これは、公式に勧告するとか要請するとかいうことでございせんけれども、企画庁は常々大蔵省の主税局あたり等に、交際費課税の問題などについては大いにシビアにやるべきだということはいろいろな機会に申しているわけでございまして、特に別に化粧品等を特定して言っているわけではございませんけれども、一般的にそういうことは常々申しているわけでございます。  それから、この化粧品等の問題はやはり再販の関係がございますので、これは現在公取のほうで、再販のマイナス面が出ませんように根本的に洗い直しております。根本的な再販制度のあり方も含めて検討いたしておりますので、これも企画庁といたしましては、物価対策の観点からはあまり好ましくないという感触を持っておりまして、これは前の物価懇談会以来そういうような結論も出ておりますので、常々そういう方向で公取の結論が早急にまとまることを期待しているわけでございます。
  56. 和田貞夫

    和田(貞)委員 検討したり期待しておったら、これはだめなんです。二十人の職員であるがために検討と期待しかできなくて、三十名になったら請求もし、行政機関に勧告するということになるのですか。
  57. 小島英敏

    ○小島政府委員 やはり程度問題でございまして、従来、ほんとうに勧告しようと思いましたら、一〇〇%自信のある結論を得ませんと、公式に勧告することはできないわけでございまして、そのためには、やはり人手の余裕がないとそういうことができないということが言えるかと思います。  それから企画庁の性格といたしまして、個々の物資についてとことんまで、こういう政策をとるということを一々やっているだけの能力はとてもございせんので、問題商品を洗い出して関係の省庁を通じて善処していただくようにするには、ただそれを単に抽象的に言っただけでは相手にされませんから、それなりの論拠を整理するためにはこまかい検討をいたすわけでありますが、あくまでもそれは各省を通じてやってもらうための作業というたてまえでございます。
  58. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま局長も認められておるように、少なくとも一般的な商品まで波及しなくても、薬九層倍どころか、薬九十倍も百倍も原価から比べたらするわけです。化粧品もやはり同じことです。現在百円化粧品というのが出回っておるでしょう。それでできるのに、百円の化粧品が千円も千五百円も二千円もする。これは局長も認められたように、かなりの広告宣伝費というのが大きく価格に波及していくわけです。そういうようなことについて、今度は物価の問題について関係官庁に資料を提出させることができる、あるいはそれによって原因が明らかになれば、その原因を除去するために長官が勧告する、こういう権限を行使することができる、こういうようになっておるのですが、物価という問題については従来も、そういう権限がなかったけれども、長官の権限として長期経済計画についての資料を関係官庁に求めることができる、あるいは勧告することができる、これは明らかに明文化されているわけです。そういうようなことについて、いままで関係官庁に資料を求めたり、あるいは勧告をするというようなことはあったのですか。
  59. 宮崎勇

    宮崎(仁)政府委員 法十一条に経済計画の立案及び推進について勧告権があるわけでございますが、前回もお答え申し上げましたように、いままでこの法律に基づく勧告権というのは行使したことはないわけでございます。それでは無意味ではないかという御指摘もございましたが、この経済計画というものは政府の計画として決定されるものでございまして、立案の段階から関係各省は全部参画をしてやっていくというやり方をいたしておりますし、そういう形で相互の意見の疎通というものは十分行なわれております。したがいまして、立案の段階での勧告というような問題が生ずる余地は普通はない、こういった形でございます。  推進の段階になりますと、ものによってはそういう事態も生ずることもあると思うのでございますが、従来はこういった場合に、経済審議会の場を通して意見を言うとか、あるいは経済企画庁を通じて関係各省に意見をお伝えして推進してもらう、こういうことで大体やっておりましたので、特に法律に基づく勧告権というようなことはやらなかったわけでございます。  しかし、今後の事態を考えてまいりますと、今回の計画もフォローアップ体制ということを非常に重視しております。そういうことからもわかりますように、やはりこういった法律に基づく権限というものも十分考えて、場合によっては行使していくという姿勢をとってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  60. 和田貞夫

    和田(貞)委員 経企庁の付属機関に国民生活審議会というのがある。この国民生活審議会の消費者保護部会というのがあって、この消費者保護部会が昨年の十二月に、「医療サービスに関する消費者保護について 問題点および対策の方向」ということで中間報告をなさっておる。この中間報告はたくさんございますが、たとえば「医療に関する消費者参加および消費者教育の推進」、この項を見てみますと、一つには、「公的病院の計画的整備と経営の安定のために、財政、金融等の面で助成措置を講ずべきである」。また「公的病院の設置、病床の増加等に関する規制」。医療法の第七条の二によって規制されておるわけですが、こういう公共的性格を持った医療サービスの供給について、私的病院を優先させるばかりでなく、公的病院の質の確保についても配慮に欠けておるから、ここに問題がある、この医療法の第七条の二については廃止すべきである、これがこの報告の一点です。二点目としては、国及び地方公共団体の運営について審議、実施する各種審議会、たとえば医療審議会というのがありますが、こういう審議会、協議会には、医療を施す立場の意見を聞くということよりも、医療を受ける立場にある代表者を少なくとも医療を供給する立場と同数参加させるべきである、これが中間報告に盛られた二つ目の事項です。  経済企画庁の付属機関としての国民生活審議会の一つの部会からこのような報告がなされておるのですが、現在の医療審議会の審議委員の構成は、まことにこれにさからっている内容です。たとえば医療審議会の委員の名簿を見ましても、いわば内閣総理大臣から国民全部が医療を受ける立場です。だから全部が医療を受ける立場だ、こうはならぬわけです。一体この中で医療を受ける立場というものはだれとだれなのか。不十分であれば、そういう中間報告があれば、早急にこの委員の更迭をはかるとか、あるいは、今回の国会ではこの医療法の改正ということが見受けられないわけですが、将来にわたってそういうような改正をしようというような考え方があるのかないのか、その点を含めてこの中間報告に基づく現在の厚生省の態度、この際ひとつ明らかにしていただきたい。
  61. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまお話ございましたように、消費者保護部会の中間答申もございますし、その後国民生活審議会そのものが部会の御意見を審議会の御意見として御答申いただいているわけでございます。したがいまして、私どもはたいへんこれは貴重な御意見というふうに承っているわけでございます。  具体的な問題といたしまして、ただいま医療審議会の構成についてお話がございました。確かに先生御指摘のような御意見がございましたし、中間報告が出ましたのは、先ほどお話しのように十二月でございましたが、やはり部会でそういう御意見があるということも私ども承知をいたしておりましたので、たしか昨年の十一月に現在の委員の改選をいたしたわけでございますが、その際にそういう意味の配慮をかなりいたしたつもりでございます。  ただ、いまお話のように、だれもが医療を受ける立場にありますので、一体だれが医療を受ける立場の代表であるかということになりますと、法律的には、医師、歯科医師の代表と、それから医療を受ける立場にある者、学識経験を有する者、こういう三者の中から大臣が任命をする、こういうたてまえになっておるわけでございます。この場合には、学識経験者と医療を受ける立場の者との境というものが、必ずしも判然といたしておりません。しかし、私どもなりに考えさせていただきますと、おおむねいまの構成で先生が御指摘のような条件は満たしているのではないかというつもりでおりますが、なお、こういうような御意見もありますので、今後改正の際に十分検討をいたしたい、このように考えておるわけでございます。  それから第二番目に御指摘になりました病床規制の問題でございますが、これは先生御承知でおっしゃっておられるはずでありますが、三十七年に議員立法で改正が行なわれたわけでございます。その改正の御趣旨は、一つはやはり医療機関が偏在をしている、具体的には僻地に医療機関がなかなかふえない、こういう問題がひとつございましたし、同時にまた反面、都会地にベッドが集中している。そこで、そういった集中している都会地に公的な資金を投入して、そして、公的な医療機関の整備をはかるよりはむしろベッドのないところにもつと公的医療機関をつくっていきたい、このためには確かにそういった規制をする必要があるのではないか、こういうたてまえでそういう改正をされたように承知をいたしておるわけであります。すでに十年たっておりますので、その効果についていろいろ議論がありますことは、実は私どもも承知をいたしております。この点につきましては、実は私ども単に数の上の規制だけでは不十分である、やはり今後の医療を考えました場合には、地域ごとに地域医療計画というものをつくって、その中で一体公的な医療機関というものは何を分担するか、私的医療機関には何を期待するのかということを地域地域の医療に応じて考えてまいる、そういう体制が必要ではないかと思っておるわけでございます。そのことは、私どもは、国民生活審議会の中にも、多少表現は違いますが同趣旨の御意見もあるわけでございますので、そういったことも踏まえまして現在医療審議会の中でも御検討いただいておる、こういうことでございます。
  62. 和田貞夫

    和田(貞)委員 一つ目の医療審議会のいまの委員ですね。任期は四十九年までですか、来年まであるのですよ。だからそのときにかえるということですが、この医療審議会の委員というのは公的にはもっと人数があるのです。ここに二十五人ですが、五十人以内ですか。そうでしょう。だから、次の改選の時期と言わぬで、こういう報告があれば直ちにそれを受けて、五十人以内になっておるのだから、少なくともこの中を見渡したら、医療を受ける立場の者というのは——それじゃ一体医療を受ける立場の者というのをどういうふうに理解しているのですか。それからお聞きしましょう。
  63. 信澤清

    信澤政府委員 医療を受ける立場ということについて、どういうふうな考えを持っているかというお尋ねでございますが、言ってみれば医療によって恩恵を受けると申しまするか、医療機関を利用する立場と申しまするか、そういうお立場を代表するような方々を委員の中に加えろ、こういう御趣旨であろうと思います。
  64. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ総理大臣から全部同じことだというんですよ。腹が痛くなったら医者に行くし、頭が痛くなったら医者に行く。そうじゃなくて、ここでいうところの医療を受ける側というのは、少なくとも消費者ですよ。そうなってくれば、消費者といったらみな消費者だけれども、少なくともやはり消費者運動をやっておる団体、たとえば、労働団体であるとか、生活協同組合の団体であるとか、あるいは地域の婦人団体であるとか、あるいは年齢層によって年寄りの老人クラブの代表であるとか、御婦人の代表であるとか、こういうような団体の代表というのが、少なくとも医療を受ける消費者の立場に立った代表だ、私はそういうように解釈するんですがね。これは少なくともそういうように消費者代表ということばもこの中に入っておる。医療を受ける立場ということは、言いかえて言うならば、消費者ということばが使われておるのですから、私はかくあるべきだ、こういうように思うんですがね。どうですか。
  65. 信澤清

    信澤政府委員 先生のお話のように、いわゆる消費者団体の代表の方も医療を受ける立場にあることは、仰せのとおりだというふうに考えます。ただ、その辺の理解の問題といたしまして、いまおあげになりましたような団体の方々の代表が入ること私ども拒んでいるわけじゃありませんが、事柄がやはり医療というかなり複雑な問題があるわけでございまして、そういう中で十分な御意見をいただきます場合には、やはりそういうお立場に立ちながら、かつまた専門的な事項についても御承知の方に入っていただくほうがベターであろう、こういう考え方で従来委員の選任を行なってきたわけでございます。   〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
  66. 和田貞夫

    和田(貞)委員 医療はやはり国民のもので、為政者の都合がよいような方向に向けていったり、医療を施す医師の便利のいいように向けていったり、こういうことにならぬためにも、現在の医療機関というものをどういうように感じておるか、どういうように感じ取っておるか、こういう立場に立つ層を代表する発言ができる、そういうものがなければだめですよ。評論家であったり、学識経験者であったり、いま言われるように、知識水準というのは確かにそのとおりでありましょう。しかし、国民の医療にするためには、いま申し上げたように、単純に現在の医療をどう感じておるか、現在の開業医にどういうような不満を持っておるか、病院に対してどういう要求を持っておるか、こういう立場に立つ消費者の代表というものをやはりメンバーに加える、委員の構成に加える、こういうことがなければ、本物の医療を受ける代表者の意見というもの、発言というものを保障することにならない、私はそう思いますがどうですか。
  67. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまお話がございましたように、現在、医療制度については多くの批判と不満がございます。これは私どもも率直に認めるところでございます。さような意味で、いま先生お話しのように、何が一体不満なのかという国民の身近な声を聞くことは一番大切なことだと思います。さような意味で、今回いただきました国民生活費議会の意見というものはたいへん貴重な御意見であるということは、冒頭申し上げたとおりでございます。  なお、委員の構成については、先生の御趣旨はよくわかりましたので、なお十分検討させていただきたいと思います。
  68. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ではひとつ早急に検討してもらいたいと思いますし、それから二番目の医療法の改正について、やはり十年後の今日、現実的にいま直ちに交通事故を受けた、いま直ちに急病人が出た、こういう場合に病床が足りないで投げているでしょう、この公立病院、公的病院というのは。満床であるからということで、救急車があっち行ったり、こっち行ったりで走っている間に、十分にコントロールできなくて、走っている間に救急車の中でそれが原因で命をなくしている、こういう場合もあるわけです。公的病院が十分に病床が確保されておらないために、この救急病院の中には、言うてはばかる話になろうと思いますけれども、比較的良識を持った、良心的に経営をなさっておらない病院もやはりある。そういうところはあき病床があるので、救急患者はそういうところへ連れていかれるということを現実的に耳にされているでしょう。そうすると、この医療法の改正というのは、規制を緩和するとか、規制するのが好ましくないというこの中間報告というのは、耳を傾けなければならぬと思う。今回の国会にそういう法案の改正の用意はないわけなんですか。そのようなことを検討する用意があるかどうか。
  69. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま御指摘になりました事例は、間々私ども耳にいたしております。ただ、先生御承知になっておっしゃっていることだと思いますので、よけいなことは申しませんが、病床規制といいますのは、単純な数字規制をいたしておるわけではございません。ただいま例におあげになりましたような、たとえば救急医療をやる、その場合に必要なベッド、あるいはガンのようにいわば高度の診療機能を有しなければできないようなベット、あるいは老人のリハビリの問題とか、こういった特殊な、ある意味では、国民生活審議会の御答申の中でも、国民が公的医療機関の機能として、私的医療機関には期待ができないのでそういうものこそやってほしいという、こういう医療をやる場合のベッドというものは制限の対象外になっているわけであります。ただ、実際問題として動いていないとか、ただいま御指摘のような例があるわけでありまして、ただ数だけで規制をしているというふうにとられているいまのやり方というものがはたして適当であるかどうか、こういう反省は私どもいたさなければならぬというふうに考えております。  ただ、具体的な問題といたしまして、医療法の改正につきましては、実は昨年、医療基本法案というものの御審議をお願いいたしまして、これは残念ながら国会で廃案になったわけでございます。その際いろいろ各党からも御意見が出ております。今回私ども一応提案をいたしたいということで準備を進めてまいりましたけれども、いろいろな御意見ございまするし、先生御案内のようにむずかしい問題がございますので、そういう問題も含めて少し突っ込んだ議論をさらにいたしまして、しかるべき機会に御審議をいただく、こういうことで予定したわけでございます。
  70. 和田貞夫

    和田(貞)委員 規制されていない、規制の対象にしてないベッドじゃなくて、規制の対象にしているベッドです。これはむずかしい問題がございます。いろいろとその地域地域において医師会の意見もあるし、それはよくわかっておりますけれども、やはり報告報告でしょう。だから、この報告というものは尊重するという立場に立って検討する、こういうことでなければ私はいかぬと思うのですがね。その点はあまりしつこく言いませんから、少なくともこれを尊重する、こういう立場になってほしいと思うのです。  企画庁長官、こういうように一つの例をとってみても、これから検討するということです。だから、あなたのほうの付属機関が、せっかく経費をかけてこういうようにまとめてやっても、受け入れる側の行政機関というのはなかなかそう簡単に進まないんです。そういうようなことを今度のこの長官の権限強化によって解決できますか。
  71. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 和田委員の非常に御熱意のある御忠告と申しますか、御批判、よくえりをただして伺っておるわけでございます。われわれとしても、できるだけ、国民全体に奉仕するお役所の立場といたしまして、消費者保護行政というものを十分にやらなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、十分御承知のことと思いますけれども、ちょっとくどいような話になりますが、いままでのことを振り返ってみたいと思うのでございます。  この経済企画庁の前身と申しますか、終戦後できました経済安定本部の中におきましては、たいへん人数が多かったのでございまして、私どもの手元にある資料でございますが、五千八百人おったわけです。経済安定本部の中に物価庁というのがございまして、これが昭和二十二年ごろ一番多かったのですが、このときの職員が千二百二十五人おったわけでございます。これがその後物価庁の八百五十八人くらいになって、だんだん衣がえしていったわけでございます。今日の経済企画庁というのはどのくらいの人員でおりますかというと、これも御承知と思いますけれども、念のために申し上げますと、五百五十三人でございます。その五百五十三人の中でいまいろいろな重要な機能をやっておりまして、その中でいまの物価庁の問題も出てきておるわけでございます。  そこで、重要な機能を少ない人数でどうしてやるかということでございますが、これは審議会というようなものをいろいろ活用して、外部の方にも参加していただきまして、国民全体としての立場からいろいろ審議会で建言していただくということが企画庁の大きな職能になってしかるべしと私は思っておるわけでございます。しかし、これはやはり、外部の方がいろいろ御参加いただきますことについても、根っこと申しますか、核になるものがなければいけない。そして企画庁が存分に統計を駆使しまして、資料を豊富に提供して皆さま方の御判断をいただく、そして審議会の御答申をいただくということがよろしいかと思っているわけなんです。  そこで、先ほどから、物価局というものができて、いま物価政策課の二十名が三十三名になって一体どうなんだ、こういうお話。私も全くそう思うのです。ごもっともだと思うのです。ただ、いままでそれがなかったのに、今度物価局という非常に物価に対して専門に打ち込んで、物価の問題を寝てもさめても考えるという局長ができるということは、確かに一つの進歩だと思います。その物価に対していろいろ考え方をまとめていく課が三つあって、それぞれ、モデルをつくったり、あるいは政策について建言したり、あるいは調整をしたり、そういうことも必要だと存ずるわけでございまして、そういうものは、まず局長ができて、それが大臣答申して、大臣が物価に関しての資料提出権を持ち勧告権を持つということが確かに一つでしょう。あとのものも、いま申し上げたようないろいろな専門的な見地でもっとよく資料を整理できる、この点もプラスだと思います。私の立場といたしましては、実はもっと人数をふやしていただきたい。率直に申し上げます。しかし、全体の内閣の方針もございますし、行政管理庁とのいろいろな折衝の結果こういうところに落ちつきましたわけで、私といたしましては、この人数をもって最大の努力をしてみたい、こう思っておりまして、もしこれでいけませんときには、また来年あるいはその次の年の問題として、できるだけこれを強化していただくようにお願いしたい、こう思っておる次第でございます。
  72. 和田貞夫

    和田(貞)委員 防衛力の限界じゃないけれども、何名の職員を確保したら物価が下がる、それまでは物価は下がらない、こういうようなことじゃないと私は思う。三十三名じゃもの足らない、五十名、せめて百名にしたら絶対に物価を下げてみせます、こういう自信のほどがあれば、百名でも二百名でもいいと私は思います。やはり行政効果をあげるというその自信のほどというのを私は知りたいわけです。  いま言われた中での、今度改正される長官の権限ですが、いま厚生省の医務局を例にとってみても、この審議会が答申をしても、あるいは長官が勧告をしたとしても、それに基づいて受け入れ側の行政官庁が聞くか聞かぬか、こういうことです。そこらは、やはり従来も勧告の権限はあったけれども勧告したことはなかった。今度の場合も、こういう法の改正はやっても結果的には勧告しなかった、こういうようにとどまってしまうような結果になるのじゃないかという点を懸念するわけです。なぜならば、この文章の表現についてけちをつける意味じゃありませんが、「資料の提出及び説明を求めることができる」「勧告することができる」「報告を求めることができる」、あるいは「意見を具申することができる」。やってもやらぬでもいい、こういうようにも解釈するわけです。その点は、今度の物価問題について、長官の権限が入れられている限りにおいては、やってもやらぬでもいいんやというような結果にならないように、必ずやるんだ、こういうことなんですか。どうなんですか。
  73. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 できるということは権利があるということでございまして、必要の場合は、私はその権利を十分に使わしていただく考えでございます。そして和田委員御期待のようなことをぜひやってみたいと思っております。先ほど御指摘の、設置法十一条にある、計画をつくるときの資料徴取権及び勧告権、これが今日まで発動されていないという点はどうしてだということに関連して申し上げますと、計画をつくる段階でございますと、経済企画庁に通産なり農林なり、あるいは大蔵省なりというものが非常によく協力してくれるわけでございまして、これは勧告権を用いるまでもなく、内閣一体としての実があげられまして、そして計画ができるわけでございます。しかし、いままでの計画というものは、どうも言いっぱなし、つくりっぱなしの傾向がある。今後はこれをひとつそこでフォローアップしようじゃないかということが、今度初めて経済社会基本計画というものの中に出てきたわけでございます。これはもうそういう計画自身に書いてあることでございますから、毎年フォローアップいたしますが、計画と実際はなかなか合うわけにはいかぬと思うのです。そのときに、どうしたんです、資料出しなさい、出さない場合は提出請求します、勧告します、こういう権利が当然生きてくるのじゃないか、こういうように思いますので、今後これが非常に活用される時期がある、かように思っております。
  74. 和田貞夫

    和田(貞)委員 勧告するとか、資料の提出を求めるとか、勧告の結果報告するということは、これはやはり物価という問題は、消費者の側に立っての資料の請求であり勧告であるというように受けとめていいでしょう。そうなんでしょう。
  75. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 さようでございます。
  76. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、この新しい長官の権限によってどのような内容の勧告を期待していいかということ、こういうような質問ではあまりに抽象的でありますので、たとえば運輸省が国鉄運賃を改正しようとした場合、消費者の立場に立ったら非常に困る。あるいは私鉄の経営者が私鉄の運賃値上げを申請してきた場合、運輸省がそれを認可しようというようなことを仄聞した場合、消費者が困る。あるいは厚生省が今回のように健康保険料を値上げしようとしておる、厚生年金の掛け金を値上げしようとしておる、国民年金の掛け金を値上げしようとしておる、消費者が困る。そういうような場合に、資料を求めて新しい長官の権限としてどのような勧告の内容をわれわれとしては期待したらいいか、ちょっと説明してください。
  77. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 もとより私どもは国民の立場に立って政治をしているわけでございます。物が消費者の手に妥当な価格で渡るということは、もう前提条件でございますから、その意味において消費者の立場に立つわけでございますけれども、やはり消費者が物を縛る場合に、低廉であると同時によい内容のものでなければいけない思うのでございまして、サービスがついて回る。たとえば国鉄の場合でございますと、国鉄運賃が安いほうがいいにきまっておりますけれども、そのために国鉄が老朽化してしまって使用する国民の足が十分納得し得ないものである、それに対する国鉄としてのサービスが欠けるようなものになるということではいけない、やはりそういう点を考慮しながらの勧告でなければいけない、かように考えております。
  78. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、消費者の立場ということだけじゃなくて、公社の立場、あるいは行政官庁の立場、そういうような立場のウエートのほうが高い内容の勧告になるのじゃないですか。
  79. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 いや、決してそうではございませんで、やはり消費者がよいサービスを得るためには、国鉄としても、いかにも非能率になってぐあいの悪い部門があれば、それを直していかなければならぬと思います。たとえば新幹線というものが非常に国民の要望に合っているということになれば、東海道に限らず、東北にも必要であり、上越にも必要であり、あるいは北回りも必要である、あるいは九州にもそういう工事を必要としている。あるいは老朽して困っているものについては必要な費用を出さなければならぬ。こういうことは認めながら、その上での国鉄運賃というものを、もっと全般的な考え方に立って、消費者としてもある程度の負担が必要であれば、そのことは認めなければならぬというふうには思っておるわけでございます。何が何でも高いほうがいいということでは決してないし、国鉄の理事者側に立つということでもない。たとえば国鉄だけを申し上げますと、国鉄に働く人たちが快適な国鉄を走らせるという意味から全般的に考えていく、それがまた消費者の問題でもあるという立場で考えるわけでございます。
  80. 小島英敏

    ○小島政府委員 いま先生おっしゃいます公共料金につきましては、実は勧告以上に強い権限を企画庁は実質的に行使しているわけでございまして、先ほど申しましたように、閣僚協議会に付議しなければいけないもの、及びその次のランクである閣僚協にはかけなくても企画庁との協議を経なければいけないものということになっております。公共料金については、実質的には、企画庁が同意いたしませんと、各省の独自の権限では認可できないわけでございます。したがいまして、国鉄運賃は政府案を固める段階で当然企画庁が協議に応じますし、私鉄につきましても閣僚協の付議事項でございますので、実質的に企画庁の同意を必要といたします。それから厚生省の関係では診療報酬、これは閣僚協型でございます。掛け金のほうは、これは消費者物価指数に対象品目として採用されておりませんので、これは別でございます。そういうようなことで、公共料金に関しましては一般に実質的に非常に強い勧告以上の権限を行使しているということが申せると思います。
  81. 和田貞夫

    和田(貞)委員 農林省が消費者米価を上げようとした場合はどうですか。
  82. 小島英敏

    ○小島政府委員 消費者米価自身は現在自由価格でございますけれども、そのもとになります米穀の政府売り渡し価格、これが閣僚協の付議事項になっておりまして、先ほど申しました普通の場合は、各省が認可をします場合に、その原案を企画庁に持ってまいりまして、企画庁が値切ったり時期を延ばしたりしまして、合意に達したところで表に出しますから、企画庁が全然陰に隠れて縁の下の力持ちをしているわけでございますけれども、米価に関しましても本来そういうことなんですけれども、これは実は昨年の場合に、農林省の案というものが一一%アップということで新聞に出てしまいまして、はからずも各省と企画庁の間にかなりギャップがあるということがわかりまして、その後いろいろ折衝をして、結果的には七・五%になった経緯がございますが、こういう場合はまさに実質的な調整というものが表にあらわれるわけでございますが、普通はそういう形ではあらわれなくて、水の中でいろいろ折衝しているということでございます。
  83. 和田貞夫

    和田(貞)委員 地方自治体が地方公営交通機関の料金の値上げを申請してきた場合、あるいは地方自治体が水道料金の値上げを議会に上程しようとした場合、こういう場合はどうですか。
  84. 小島英敏

    ○小島政府委員 地方団体が地方の交通機関、バス等に関しまして申請してまいりました場合には、運輸大臣の認可に法律的になっておりますが、しかしながらこれは企画庁に協議をするということで、実質的に企画庁の同意を必要といたしております。  それから水道の場合は、これは自治体の事務で、水道法上、厚生大臣に対する届け出制ということになっておりますので、これは企画庁は関与いたさないわけでございます。
  85. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、水道料金にいたしましても、地方公営交通機関の運賃にいたしましても、消費者に安く提供したいがどうも赤字でどうにもならぬという、独立採算制のワクの中で運営しているためにそういう問題が出てくるわけなんですが、その点について、関係省庁に意見を言うとか勧告するとかいう考え方はないですか。
  86. 小島英敏

    ○小島政府委員 やはり企画庁の協議にかかりますものにつきましては、勧告でございませんで、協議を受けた段階でいろいろ関係各省と御相談し、いままでの例で申しましても、運輸省なら運輸省が認可いたします場合に、関係の地方の公共企業体に対しまして、サービス面でこうこうしてくれというような条件をつけるということもやっております。  それから、おっしゃいますように、民間の交通機関以上に、公共団体の経営にかかるものにつきましては、一般に赤字傾向がなかなか顕著でございまして、しかもものによっては、地方の過疎地帯などにおいては確かに赤字になる必然性がある点もございますので、この辺はやはり、企業体自身の努力と、それから財政負担でどの程度カバーするかということ、それとまた最悪の場合にどれだけの利用者負担にするかというような点のかね合わせが非常にむずかしい問題でございまして、今後とも検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  87. 和田貞夫

    和田(貞)委員 独立採算制という点について検討するという考え方はないですか。たとえば、今度大阪の府議会のほうで、広域水道ですが、自治体に水源を供給しておる。直接の上水道じゃなくて水の卸屋です。市町村じゃ水源地がないために、大阪府の水の供給源がなければどうもこうもやっていけぬわけです。そういう性格のところで、これは府営水道が値上げするとたちまち市町村が値上げになる。卸売りが上がるんだから、これが上げなければしようがない、こういうふうになるわけでしょう。たまたま今度の場合は、満場一致で大阪府議会値上げ案否決、こういうことになっておるわけですね。そうすると、議会の議決に基づいてさらに赤字を、あるいはいままでの累積赤字をどういうふうにしていくかというと、財源を見出すところがないわけです。そういうような問題、これは単に値上げをするということに対する行政指導だけでなくて、住民の意向として、自治体が上げようと思っても反対だ、こういうことでこの値上げ案が否決になったときに、その財源の見出し方に困窮する、こういう場合に、やはり何らかの手を施してやらなければいかぬわけです。そういうようなときに、企画庁としては、これはおれのところと違うんや、おれのところと関係ないんやというのじゃなくて、やはりこの独立採算制というような問題について、それが災いし、それが原因してこういうようになってきておるわけですから、そこらあたり、この関係各省と協議をして、何らかの計画立案をするなり、話し合いするなり、行政指導するなり、こういう措置が当然とってもらえるべきだというように思うのですが、どうですか。
  88. 小島英敏

    ○小島政府委員 一般的にこの独立採算制の原則というものは、長期的なあり方としてはやはり正しい方向だと思いますけれども、国鉄の場合、現在でもすでにかなりの財政負担をするということも出てまいっておるわけでございまして、いわゆる公共企業体というもの、あるいは公共事業というものの公共負担は、国鉄なんかでもかなりの公共負担を実質的にしているということもございますし、それから反面、開発利益をいかに還元するかというような問題、これはやはり交通機関一般にとってのきわめて重要な問題でございますので、これらの点を加味して、今後、その独立採算制原則をどういう形で多少の修正を加えていくことが必要なのかどうかというような点は、やはり長期的に検討課題だと思っております。  水道に関しましては、どうもいままで企画庁に協議になっておりません。体制上そういうものでございますから、自治省のほうからも、特に水道の問題について企画庁に御相談があったこともございませんので、しかも私どもも、現段階で先ほどの具体的な問題についてお答えする材料もないわけでございますけれども、長期的に見ますと、やはり国民に非常に重要な水の問題でございますので、自治省等を通じまして今後検討してまいりたいと思います。
  89. 和田貞夫

    和田(貞)委員 建設省が公団を通して住宅の供給をしているわけですが、あるいは自治体に補助金を出して公営住宅の建設をしているわけですが、この公団にいたしましても、公営住宅にいたしましても、この建設費が毎年かさんでくるので、家賃がどんどん上がっていくわけです。公団にいたしましても、公営住宅にいたしましても、家賃というのは工事費を基礎に置いて算出されておる。そうすると、五年前、十年前、二十年前の収入と公営住宅、公団住宅の家賃の比率、これがいまはもう公団の場合は、民営のアパートやマンションとそう大差ないという、こんな家賃の上昇のしかたです。これは少なくとも、公団を通じて住宅を国が提供したり、あるいは自治体を通じて公営住宅を建設するという以上は、やはり低所得者に対する住宅の供給である以上は、機械的に工事費をもって家賃を算出するというようなやり方じゃなくて、政策家賃というものを設定さしていく必要があると思うのですが、このような点について、いままで建設省に対して何か意見を言ったというようなことがありますか。
  90. 小島英敏

    ○小島政府委員 公団住宅の家賃あるいは公営住宅の家賃につきましては、家賃の算定方式を変更するという重要なものにつきましては企画庁に付議することになっておりまして、同じ方式で計算をする場合には企画庁にはノータッチで行なわれているわけでございます。したがって、おっしゃるような点は、私どもも重々ごもっともだと思う点があるわけでございまして、数年前でございますか、この聞きまりました基本計画の前の新経済社会発展計画の中では、実は傾斜家賃制度というものをとっておるわけでございます。何十年均等償却というようなことで、この間までやっておりました一率の均等償却でございますと、おっしゃるように、入るときには所得に対して非常に高い家賃を払わなければいけない、しかも十年、二十年、三十年たってまいりますと、家賃のほうは均等でございますから、ちっとも上がらないで、一般の所得水準は非常に上がりますから、今度は古い住宅に入っている人は過当に安い家賃しか払わないということで、非常にアンバランスが生じるわけでございまして、その意味から、数年前から建設省においても傾斜家賃制度というものが導入されているわけでございますけれども、現在のやり方がベストであるかどうかはなお検討の余地があると思います。傾斜家賃制度自身、必要なやり方で年限とか傾斜のしかたというものをさらに合理的にしていく必要はあると思いますけれども、さらに建設省では、抜本的な家賃制度というものも検討課題としてやっておられるそうでございまして、家賃の問題というのは、やはりこれからの国民生活考える場合の非常に重要な問題だと思いますので、企画庁といたしましてもなお検討してまいりたいと思います。
  91. 和田貞夫

    和田(貞)委員 外国の公営住宅の家賃の中には、こういう工事費を基礎に置いて家賃を算出するというのではなくて、国や公共団体が住宅を提供する以上は、福祉施設という考え方に立って、建設費を基礎に置くのじゃなくて、使用する住民のそれぞれの収入によって家賃を算出していくという例もあるわけなんですね。そうすると、いまちょっと言われましたように、十年前は低かったけれども、十年後には収入が上がっておるために家賃が上がっておる。だから、同じ住宅に低所得者が入った場合には家賃が安くて、かなりの収入がふえてきたときには、同じ住宅に入っておっても家賃が高くなっていくという外国の例もあるわけです。そういうような点もひとつ検討調査されて、公営住宅なり公団の住宅については、もうウナギ登りに家賃が上がっていくので、家を建てるだけで入り手がない、こういう場所もやはりあるわけなんです。この点は十分ひとつ検討されるなり調査されるなりして、建設省と十分打ち合わせし、話し合いし、措置をとってもらいたいと思うのです。  それから、きのうもちょっと通産省設置法のときに出ておりましたけれども、長官どうですか、天下り人事と物価の関係というのは全然無関係ですか。どうですか。
  92. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 いわゆる天下り人事、すなわち国家公務員の離職後の私企業への就職については、国家公務員法で厳重に規制されておるところでございまして、物価行政を推進するにあたりましても、関連企業等に前国家公務員が在職しているからといって、その執行に公正を欠くようなことは絶対にないと確信いたしておりますが、万一ありますような場合には、これは厳重に処断いたしたいと思います。
  93. 和田貞夫

    和田(貞)委員 運輸官僚が私鉄の会社に下っていく。官僚が下っていっておる会社は、それ以外の会社よりもやはり運賃の値上げが非常にじょうずですよ。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 あるいは海運会社、運送会社、そういうようなところに運輸官僚が下っていく。運賃の問題について関係がないとは私は言えないと思う。あるいは厚生官僚の中には大手の製薬会社へ下っていく。医薬品の価格に非常に関係がある。建設省の官僚が大手の建設業者に下っていく。官公庁発注の工事が、談合とは言うことができませんが、話し合いの中で予定価格のほぼぎりぎりでそれぞれ落札する、こういうような傾向。あるいは大蔵官僚が土地会社や金融機関、酒造会社、そういうところへ天下っていく。こういうように、もろもろの各産業、各企業にそのようなことがあるわけなんですね。形式的に人事院の云々というのではなくて、この点での規制というものを何とかしないと、産業と官僚の癒着ということを国民のほうからいわれても言いのがれするわけにはいかぬと思うのです。予算委員会においても、あるいは各常任委員会においても、このことはしきりに言われておる問題でありますが、経企庁としては、物価とこの天下り人事との関係ということで、物価対策を推進する上において、それなりの立場に立ってこの点は十分検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  94. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 和田委員の仰せられるように、物価との関連において、役所ことに現業官庁との間のいわゆるひもがつくということがもしあるとすれば、これは非常にいけないことでございますので、十分さようなことのないようにいたしたいと考えております。ただ、これは私の個人的な見解でありますが、やはり役人も生活するわけでございますから、五十そこそこでやめてあと第二の人生はいままでの経験は全然無視してしまえというのも、これはお気の毒でございます。とかく日本の官僚には優秀な人が多いわけでございます。何かそういうこととの関連で、いまの御指摘の点はまことにごもっともなので、そういうことはいけませんけれども、そういうことがない方法で考えてあげなければならぬかというふうに思っております。
  95. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それはまた定年制の延長ということもあり得ることであって、少なくとも、いま申し上げましたようなそれぞれの具体例というのがあるわけですから、これはそう深く言いませんから、そういう疑惑の起こらないように、ひとつこの点について検討してもらいたいと思います。  それから、時間がもう経過しましたので、もう一点だけ申し上げておきたいと思うわけですが、物価対策というのは、やはり消費者の立場に立って考えられるのでしょう。あたりまえのことですが……。
  96. 小島英敏

    ○小島政府委員 消費者物価対策は明らかにそういうことだと思います。卸売り物価対策となりますと、そのほかにやはり経済全体の運営とか景気の動向ということもございます。しかし、いまのように非常に上がっているときには、これは卸売り物価対策といえども、全く消費者の立場に立っていかに下げるかということが最大の問題である、そういうふうに思います。
  97. 和田貞夫

    和田(貞)委員 住民が自発的に生活協同組織をつくって消費者活動をやってなさる消費生活協同組合というのがあるわけです。厚生省、この消費生活協同組合はいま全国に単協の数は幾らありますか。
  98. 田川明

    田川説明員 連合会も含めましてでございますが、全国で千二百四十八でございます。
  99. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それぞれの生活協同組合に加入なさっておる組合員の数は約何ぼですか。
  100. 田川明

    田川説明員 概算でございますが、先ほど申し上げました数字もやや古うございますが、四十六年の三月現在でございます。同じ時点で、組合員の数は千二百六十万余でございます。
  101. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その生活協同組合に対しまして、あなたのほうでどのような行政指導、どのような行政措置を行なっているか。現在行なわれておる行政の内容を説明してください。
  102. 田川明

    田川説明員 大部分のものは都道府県の行政区域の中にございますので、それは具体的に都道府県知事が指導監督しておるということでございます。厚生大臣直轄も含めまして、指導といたしましては、特に組合員への供給事業等につきましては、共同購入の方法でございますとか、あるいはそれに対します資金の問題でございますとか、そういう点を指導いたしております。具体的に金めとして申し上げますと、すでに先生御案内のように、税制面でその組合に税額の軽減等の措置がなされております。  それから、これは特別の単独法がございまして、消費生活協同組合には貸し付け金がございます。これは都道府県が貸し付けを行ないます際に、国がその都道府県に対しまして貸し付けを行なうという間接的なあれでございますが、それも年々需要もございますので、四十八年度におきましては、対前年度一千万円を加えました三千五百万円を計上いたしております。なお、このほかに住宅あるいは療養施設、こういったものに対しましては年金福祉事業団からの融資が行なわれ、かなり活発に活用されております。そのほか政府関係金融機関融資につきましても、しかるべきものを受けるように指導もいたし、また利用もされておるわけでございます。
  103. 和田貞夫

    和田(貞)委員 長官、いま言われるように、千二百万人の消費者が組織をなさって、物価高に悩んで、何とか自分たちの力で少しでも物価が下がるように、少しでも消費者に安く生活必需品が届くようにということで、同じ運動でも運動が、何やらせい、かにやらせいというのではなくて、自分たちみずからが共同購入をやって、安く手に入るように、届くように努力なさっておる。この消費者団体、生活協同組合、法律に基づいてつくられた生活協同組合の国の貸し付け金、都道府県に渡る金が、三千五百億円だったら話がわかりますが、三千五百万円なんですよ。そして組合の数が千二百四十八組合。各府県がこれと同額継ぎ足して、貸し付けの対象金額というのは年間七千万円。七千億円じゃないのですよ。七千万円ですよ。千二百の単協が全部とにかく資金を借りようと思ったら、一体何ぼ借りられるのですか。厚生省はこんなことしかしていないのです。どうですか長官、厚生省はあたりまえのことをやっていると思いますか。これでいいと思いますか。なっていないと思いますか。どうですか。
  104. 小島英敏

    ○小島政府委員 実は貸し付け金の額につきましては、二年ほど前までは一千万円だったと思いますが、非常にわずかなものでございました。それから厚生省も努力をされ、われわれもうしろからバックアップをいたしまして、三千五百万まで来たわけでございますが、われわれとしては、もうほんとうに画期的にふやしたいということで、厚生省ともども努力いたしているわけでございますけれども、どうもやはり予算と申しますものは、前年の実績というものがものをいって、一挙に何倍にもするというようなことが非常にむずかしい情勢でございまして、たいへんわれわれも遺憾に思っているところでございます。
  105. 和田貞夫

    和田(貞)委員 千二百六十万というのは、千二百六十万人じゃないのですよ。千二百六十万世帯なんですよ。千二百六十万世帯が、自分たちの力で、自分たちの努力によって少しでも生活必需品を安く、こういうようにみずからが運動をやっていなさる。行政官庁が十分な行政効果をあげてもらうならば、そういう運動がなくてもいいのです。それが不十分なために、自分たちの金を、労力を出してこれだけの運動をなさっておる。その団体を助成していくということは、これは消費者保護になる。物価対策の一環という形にはならぬですか。どうですか、長官。
  106. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私も仰せのとおりだと思いますし、また生活局長が申しましたようなことで考えておるわけで、従来の点についてはいろいろな問題がございましたわけですけれども、今後は大いに私としても努力をいたしまして、ただいま御指摘の点をふやすようにいたしたいと考えております。
  107. 和田貞夫

    和田(貞)委員 三千五百億というのだったら話はわかるけれども、三千五百万というようなばかげた答弁をするようなことにならぬようにひとつやってください。  さらに厚生省のほうで、何やらこういう仕事もあるのだというようなことでやっていなさるような、埋もれた仕事のように感じるわけなんです。厚生省全体の行政の中で、この生活協同組合の育成、助成というような行政をどの程度のウエートで考えておるのですか。
  108. 田川明

    田川説明員 ウエートといたしましては、特に国民生活の安定向上という観点でございますので、福祉をつかさどります厚生省といたしましては、おことばではございますけれども、埋もれた、あるいは片手間でということは、決していたしておらないつもりでございます。ただ、私ども生活課で所管しておりますが、生活課の所掌事務が非常に多うございますので、そういうような点からのあるいはいまの御意見かと存じますけれども、これはもちろん消費者物価に直接つながります日用品等の供給事業、これが相当な事業でございますが、そのほかにやはり、生活協同組合といたしましては、共済事業でございますとかあるいは医療事業、住宅事業、こういったものも、生活定安といった観点から、いま先生がおっしゃられましたように、皆さんが自主的に連帯をされましてやっておられます。そういう面で、広く国民生活の安定という面から厚生省は十分力をかしておるつもりでございます。
  109. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは行政のやり方として、ただ金を貸す、あるいは共同購入についてあっせんする、言うてこなかったらほったらかし、こうじゃなくて、積極面がほしいわけなんです、たとえば、こういう下町の、もうすでに商業活動をなさっておられる商売人が散在している地域行政乗り出していって、生活協同組合をつくりましょうかと、こうなったら直ちに袋だたきに合いますわ。それをやれとは言わぬけれども、たとえば東京の多摩の団地だとか、あるいは大阪における千里の団地だとか泉北の団地だとかいったように、そういう新しい団地ができてくるという場合に、商業活動をなさっている方がだれもおらぬのですから、せめてそこで行政乗り出していって、住民の皆さんに指導して、そしてその地域の協同組合をつくらすようなところまで手をかしてやる、指導してやる、援助してやる、助成してやる、育成してやる、このことの積極姿勢があってしかるべきだと私は思うのです。それがない限り、埋もれている行政だと言われてもしようがないのですよ。どうですか。
  110. 田川明

    田川説明員 確かに仰せのとおりでございまして、具体的にもう少し積極的な乗り出しが足りないと仰せられますと、その点については率直に反省をいたさなければならないと思います。いまも幸い非常に御熱心なお励ましをいただいておりますので、私どもといたしましても、特に従前に増しまして、具体的にどのようにしたらいいかということをすみやかに検討いたしまして、こちらから、金めでございますとか、そういうあれだけでなしに、そういう方々の自主的な力が育ち力がついて、ほんとうに消費者皆さん生活が安定向上いたしますように重ねて努力いたしたいと思っております。
  111. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、新しくできる団地というものには、ぜひともそういうものを何とかしてほしい。というのは団地をつくるのは技術者さんでしょう。だから、りっぱな建物が建っていったそこへトタン張りの八百屋さん、魚屋さんができるということを技術屋さんはいやがるのですよ。そうすると当然、商業活動をやる市場だとかあるいは店舗だかというのは、その住宅に見合った高級な店舗ができていくわけです。そこで、新しい団地でありますから、ほとんどの人は若い世帯の収入の低い人でしょう。そうあんまり買わぬでしょう、家族も少ないし。当然商売人としても食っていかなければならぬから、それだけの高い店舗を購入し、あるいは高い家賃を払っていこうと思えば、一般的な下町の商業活動をなさっておられる商売人さんよりも、それだけのものを償却していく費用を商品に転嫁していくわけなんですから、言うに言われず語らず、団地の中には団地の外よりも高い特有の団地価格というものができてくるわけです。筑波の学研都市においても同じことでしょう。先輩の大出委員が発言をなさっておられたけれども、もうすでに赴任なさっておる公務員が、売りに来てもらえる魚や野菜をちょっと家族がものにしなくては何もない。こんなようなことでしょう。だから、新しい団地の場合には、これは口先だけでなくて、これは各都道府県に行政指導をやって、その地域で住民がみずから生活協同組合がつくれるような、その生活協同組合の基地が置けるような土地を確保する。その土地購入については低利あるいは無利子でやる。こんな三千五百万というんじゃなく、一カ所の単協でも三千五百万か五千万要りますよ、その基地を買おうと思ったら。そうでしょう。そういうような手を施して積極的に消費者保護の活動をやっていく。こういうことをぜひとも私は希望するわけなんですが、前向きになって検討してもらえますか。どうですか。
  112. 田川明

    田川説明員 重ねまして、いまの御趣旨のとおり具体的に検討を進めまして、なお、具体策を立てて地方を指導いたしまして、御趣旨に沿えるように努力いたしたいと思います。
  113. 和田貞夫

    和田(貞)委員 長官、これこそ勧告せにゃいけません。厚生大臣に、消費者保護の立場から、物価対策の上からぜひとも必要だということを勧告せにゃいかぬですよ。私は、物価局がせっかく設けられるのですが、その中には残念ながら、消費者みずからが立ち上がっておるこの消費生活協同組合の問題については、何か触れられておらないわけなんですが、この点について、直接物価局がやっていくんじゃなくて、消費者活動としての助成、育成、こういうようなものを当然所掌事務の片すみにでも私は入れるべきだと思うのですがね。どうですかな。
  114. 小島英敏

    ○小島政府委員 これは現在、国民生活局の中に消費者行政課というのがございまして、今度の新しい組織ができますと、物価政策課ははずれますけれども、その他の国民生活課と消費者行政課をもって国民生活局がそのまま残るわけでございます。消費者行政課は、五年前に制定されました消費者基本法の原則にのっとって、先ほどの国民生活審議会の消費者保護部会の答申等もその一環でございますけれども、現在強力に行政を進めております。したがいまして、基本法の中には消費者組織の育成というものが非常に大きな柱としてうたわれておるわけでございまして、これはおっしゃるように極力その線に沿って努力いたすつもりでございます。
  115. 和田貞夫

    和田(貞)委員 時間がありませんので何ですが、長官、しつこいようでございますが、もう一度ひとつ私は申し上げたいと思いますが、従来のように、法文化されても勧告したことがないというようなことでないように、ひとつ十分長官の権限を生かして各省庁を督励してもらいたいと思いますし、去年の国会で三十三人にしてもらったのでこれだけ物価が下がったので、来年の国会ではもうあと二人ふやしてもらったら完全に物価が下がりますと、こういうような自信のほどを持って来年は国会にひとつ臨まれるように申し上げたいと思いますけれども、さらに、公共料金の問題、流通機構の問題、それだけじゃなくて、最後に申し上げたこの消費者のみずからが行なっておる消費者活動、これが育成、助成というのを、これは物価対策として、あるいは消費者問題としても、大きな行政の柱にしてもらいたい。ひとつ所管の厚生大臣なりあるいは関係各省庁とも十分話し合って、大きな行政の柱にしてもらいたい、こういうことを私は最後に申し上げておきたいと思いますが、何か長官のほうからその点の決意のほどでもあったらしてもらいたいと思います。
  116. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 まことに有益な御教示と数々の御注意でありますが、感銘して承っておきます。
  117. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ひとつ強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  118. 三原朝雄

    三原委員長 大出俊君。
  119. 大出俊

    ○大出委員 長官とは討論会でしばらくあれですので、きょうは少し突っ込んで率直な御意見をいただきたいと思っているわけであります。  設置法の中身が物価局をつくるというわけでありますが、たしか三十二、三名の局になって、たいへん貧弱な超ミニ物価局なんでございます。その反対に、総合開発局だと思いましたが、言ってみれば経済企画庁の主力でございまして、これが、離島対策その他含んでおりますし、企画庁における唯一の実施機関と言っていいのですが、それが、国土総合開発庁ができるとなりますと、ほぼそっちに行ってしまう、こういう相関関係を持っているわけでありまして、いまはここに九十数名の方がいるわけであります。したがって、皆さんの私の部屋にお見えになっての御説明では、国土総合開発庁設置法とは何ら関係がございません、こうしきりにおっしゃるわけでありますが、そのために行政管理庁もお呼びいたしましたが、実は大いに関係がございます。したがって、審議の成り行きいかんでは、国土総合開発庁設置法と一緒に審議をしていただきたい、実は私はこう思っているのであります。そうなりますと、まずこの会期の幕切れだろうということになるのでありますが、実はそこまで考えなければならぬ。  なぜならば、物価局というものが本腰が入ってできたものとは思えないからであります。機構をいじる必要がある場合もあります。ありますが、何よりもそれ以前に物価に対してどういう姿勢でものを考えるかというところにポイントがあると実は私は思っておるのです。これは、藤山愛一郎さんが経済企画庁長官のときに、国民生活局長がたしか中西さんでございましたか、実はここで物価そのものについてのずいぶん長い議論をしたことがあるのです。そこで、具体的なものを取り上げて申し上げませんとなかなか話が進みませんので、具体的な事例を一々あげて承りたいのであります。  まず、最近の生鮮食料品の値上がりというものはたいへんなものでありまして、昨晩もうちでものを読んでおりましたら、家内が、何をやるんだと言うので、物価について少し聞きたいのだと言ったら、田中さんになってからやたらに物が上がってしまって、あなただらしがないわねと女房にねじを巻かれました。何をやっているんだと言われてみれば、まさにそのとおりでございまして、上がらぬものはほとんどない。まあ、せめてものなぐさめに、小坂さんが下がったもののリストか何かを閣議に持ち込んで報告したら、皆さんたいへんにこにこしていたというのでありますが、ほほえましいくらいでありまして、それくらい苦労しているのだなということになるわけであります。  そこで、何としても納得いたしかねる問題がございます。しかも国民生活にとってこんなばかげたことをほっておけない、こう思っている問題があります。それは輸入牛肉に関する調整金の問題でありまして、この使途等について実はたいへんな問題があります。これはたいへんな額の金でありますから、しかもこれはすべて消費者が負担させられているのでありますから、そこで小坂企画庁長官のおいでになるところで、新しく物価局ができますと、旧来とは中身がたいへん変わった角度からものを見るようになるわけでありますから、そういう意味ではっきりさせたいと思ってこの問題の資料を要求しましたら、どうも何べん言ってもまともな資料をお出しにならぬ。  これは最初私のほうからは、輸入牛肉というものを四十五年あたりから年度別に見てどこからどのくらい輸入しているのかという資料をまずほしい。それから、その輸入牛肉というものがどういう経路で消費者のところに行っているかという資料がほしい。さてそこで、二五%の関税がくっついている上に調整金、差益金を取るのですから、それは一体どういうふうなルートを通じて——これは民貿と二つに分かれておりますが、畜産振興事業団というのもずいぶんいいかげんなものでありまして、小坂さん、さっき天下りの問題で妙なことをおっしゃいましたが、これはまるっきり完全な農林省の出先機関です。ここが関係を持っているところの全国食肉事業協同組合連合会なんというものがございます。まあ社団法人で、その意味では公の団体です。こちらのほうもてっぺんの常任理事がこれまた農林省の関係です。その二つがうまいこと話し合って適当に金をばらまかれたのじゃ、黙っているわけにいかない。だからそこがほしかった。  ところが、これを見ると、何のことはない、畜産振興事業団販売先別売り渡し数量、その次が畜産振興事業団と民貿分の割当数量、その次は畜産振興事業団輸入牛肉取り扱い量及び損益状況、その次は畜産振興事業団助成事業ということで、財源の内訳、輸入牛肉勘定より繰り入れ、この資料でいけばこれだけしか問題にならぬ。なぜならば、畜産振興事業団の助成事業、つまり牛肉、肉用牛関係という中で、財源としてはまず国の交付金があるわけです。これが絶対的な数字を占めている。そしてあとは利子その他がある。繰り回しているわけですから。そこで、四十五年は輸入牛肉勘定よりの繰り入れはないのです。四十六年から、しかたがない、少し入れる、こうなってきた。そこまでしかお出しにならない。使途の内訳も、これは主として国が金を出しているのですから、変なところに使われるはずがない。あたりまえの話です。変なところには使っておりませんという資料が出ている。そうすると民貿のほうは、民間のほうで末端の消費者にまで流して売っている。そっちのほうの調整金はどうなっているのか中身はない。それでさっき、しかも昼過ぎにいただきましたので、ちょっと私のほうからお願いしたことと違いやしませんか。民貿分、これが問題なんですから。つまり、国が予算化したものについて問題があっては、これはえらいことになってしまいますから、これに問題があるわけがない。ちゃんと使い道もきまっている。いいかげんなことに使えない。たった一つ、四十五年度以後変わっていることは、つまり輸入牛肉勘定から繰り入れたという、これだけ変わっている。四十五年はないのですから、ここだけが変わっている。わずかな金であります。そこで中心になっている。そうではなくて、民間の各種販売団体等々に流れている金が問題だ。これをお出しにならない。  念のためにそれを言ったら、またいまお持ちになりましたが、輸入牛肉調整金事業の事業区分別年度別実施状況。何て書いてあるかというと、肉畜生産増強対策、これが幾ら。規格取引推進対策ですか、食肉流通改善対策消費合理化対策、食肉産業人育成対策。妙なものですな、産業人を育成しちゃうんですか、これは。これだけみんな金がついている。おそらく、産業人育成対策ならば、食肉関係業者に金が行っているんでしょう。それを出してくれと初めから言っているのに、いまになってまだこれだけ。どうもうしろ暗いところがおありになるのかどうか知らぬけれども、そう心配されぬでもいい。私も持っているものは持っているのです、ものを言うからには。  そこで一つものを言います。その上で承りたいのですが、いま私がひっかかったものの言い方をしましたが、皆さんが、そうじゃないとおっしゃるんなら、具体的にどういう団体に幾らやっておるのかということをそこで答えてください。
  120. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  昭和四十六年度でございますが、日本食肉協議会、これが一億一千八百八十万円弱でございます。それから日本食肉卸売市場協会、これが七千九百三十万円、全国食肉事業協同組合連合会一億四千三十万円強でございます。日本ハムソーセージ工業協同組合五千百五十万円強、日本食肉缶詰工業協同組合二千五十万円でございます。中央畜産会が五百五十万円弱出ております。それから日本種豚登録協会、これが二十万円でございます。中央酪農会議、これが百八十万円、全国農業協同組合連合会二千四百五十万円、全国畜産農業協同組合連合会、これが二百三十五万円弱出ております。それから全国肉用牛協会八百八十七万円、日本冷凍食肉協会が二百五十六万円、大阪同和食肉事業協同組合、これが九百二十万円弱でございます。締めまして四億六千九百万円弱でございます。端数を省略いたしましたので、そのようになっております。  それから四十七年度について申し上げます。  日本食肉協議会一億一千三十万円強でございます。日本食肉卸売市場協会でございますが、二千八百五十万円弱出ております。全国食肉事業協同組合連合会八千五十万円、日本ハムソーセージ工業協同組合三千八百八十万円強、それから日本食肉罐詰工業協同組合でございますが、これが千五百五十万円、中央畜産会九百三十万円強でございます。中央酪農会議、これが千五百八十万円強、全国農業協同組合連合会六千三百万円、全国畜産農業協同組合連合会、これが百二十七万円でございます。それから日本冷凍食肉協会でございますが、二百五十三万円。それから三水会というのを飛ばしまして失礼申し上げました。これが四十六年三百四十万円強でございます。この三水会が三百十八万円ということになりました。四十六年度にございましたもので四十七年度にございませんものは、全国国用牛協会、それから大阪同和食肉事業協同組合、さらに日本種豚登録協会でございます。また、四十六年度にございませんでしたが、四十七年度に新しくできておりますのをちょっと申し上げますと、消費者団体一千万円。全国酪農業協同組合連合会、これが二百万円強でございます。それから肉用牛価格安定基金全国協会、これが四千七十万円弱、それから日本獣医師会一千六十万円弱、食品需給センターが三百二十万円強、こういうことに相なっておりまして、締めまして四億三千五百三十万円、こういうことに相なっております。
  121. 大出俊

    ○大出委員 これは小坂さんお聞きになったと思うのですが、もう少し皆さんにおわかりいただきたいのでありますが、いまアメリカでも牛肉は高くなって、たいへんな消費者パワーということで、一週間牛肉を食わない週間をつくったパンの間に本来ならば牛肉の中身を入れるやつを卵にして、ニクソン政策を皮肉ってニクソンバーガーといって、一週間肉を食わずにがんばった奥さんたちがたくさんいる。それくらい牛肉は高くなっている。そのことをさんざんたたかれたニクソン氏の言いわけが、国際的にアメリカの大都市に比較してどのくらいの価格で牛肉が売られているのかというのを調べてみたら東京はまだアメリカよりも高かった。全く唯一の言いわけの種になっている、日本の牛肉の値上がりの今日の状況が。つまり日本消費者も、日本人もここにおられる皆さんも含めて、だいぶ牛肉を食うということがむずかしくなってきているといういまの段階なんですね。これは牛の生産そのものにも大きな格差があり、需要伸びというものにも大きな格差がある。数字も私詳しく持っておりますが、調べましたが、そうすると当然これは対策を立てなければならないことになる。私に言わせれば、経済企画庁長官は関係閣僚協議会の席上で需給見通しの将来を展望して早く手を打っておかなければならなかったことである。今日、昨年に比べて牛の場合には百グラムで五十円は上がっている。詳しくあとから値段を申し上げますが……。  そこで、一番のネックになっているのは一体何か。つまり、輸入ができない、あるいは輸入というものをふやそうとしてもいろいろ問題がありますが、高くなっていることについて消費者の立場からして一番ネックになっているのは一体何だ、こう私は考えてみて、一つは関税ですよ。一つは調整金、この二つがネックです。そこで小坂さんに、牛肉の輸入が非常にむずかしいのは一体どこに原因があるのか、私はいま二つ三つ指摘をいたしましたが、そのことを含めて一体これはどうなっているのかということをまず御答弁をいただきたいのであります、国民のために。
  122. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 従来、日本の肉というのは非常にうまいということになっておりましたが、価格のほうでもべらぼうに高いということでございまして、この点は、アメリカが非常に従来からアメリカの肉を入れろということを言っておったわけでございます。ところが、なかなかこれができませんで、これはやはり国内においての食肉牛の飼育者に対する保護ということが非常に強かったわけだと思います。そこで、いま仰せのとおり、関税、調整金というもので、いろいろ話した結果、ふやして入ってくるであろう牛肉に対して、輸入牛肉が国内牛肉の価格よりも安くならぬような範囲の関税をかけたわけですね。それが非常に日本の肉を高からしめた一番大きな原因だったと私も思っております。これはなかなか政治的にむずかしかったのでございまして、私など微力でございますので、いろいろそういう主張をしておりましたけれども、なかなかできなかった。ところがこのごろは、いま御指摘のように、アメリカ自身が非常に上がってしまって、おそらく日本側輸出する力はあまりないのじゃないかと思います。先般、おととしでございましたか、小牛を入れて、そしてそれでややアメリカのほこ先をかわした時期もあったわけでございますが、今日では入れるといってもなかなか入らないと思います。今日入りますのは、オーストラリア、ニュージーランド、そちらのほうだろうと思いますけれども、それに対しまして、今度、先般の物価閣僚会議で上期の輸入額七万トンということで前年の三倍にいたしたわけでございます。昨年の全体が七万一千トンでございますから、今度はかなりふやしたわけでございますが、これの肉が入ってきてそれで下がるかというと、やはり国内の価格より上回る関税がついて入ってきたのではなかなかむずかしくはないかというふうな感じがございまして、この点、御指摘のようにまさに問題点である。  もう一つは、いま御指摘の後段の問題がございまして、これも発足当時いろいろ問題がございまして、もう少し力のある業者にこれを扱わせたらいいじゃないかということもございました。その点はだいぶ改善をされたと思いますけれども、その点もやはりこれからよほど改善しなければならぬ問題はたくさんあるかというふうに思っております。
  123. 大出俊

    ○大出委員 関税は何%でございますか。
  124. 小島英敏

    ○小島政府委員 二五%でございます。
  125. 大出俊

    ○大出委員 正式な名前をどうつけているのかわかりませんが、課徴金と言っている人もある。調整金と言っている人もある。差益金と言っている人もある。ものの本を見ましてもそうなっている。おたくのほうでお出しになったのは、調整金、こう言っているのですね。少し使っていることばが違うのも中にある。正式名称は何というのですか。国内価格との差、関税をかけてもなお輸入肉が安い。輸入肉が安いから二五%関税をかけた。なお安い。なお安いから、国内の市価に合わせて金を取る、こういうわけですかな。これは一体何という名称ですか、正式には。
  126. 下浦静平

    ○下浦説明員 特に正式に名づけたという名前はございません。調整金ということで御理解を願っていいと思います。
  127. 大出俊

    ○大出委員 調整金でいいんですな。差益金なんというのもありますけれども、調整金でいいんですな。そうするとその調整金というのは、結局、末端まで考えてだれが払うことになりますか。
  128. 下浦静平

    ○下浦説明員 先生御指摘のように、最終的にはやはり消費者の負担ということになろうかと思いますけれども、まあ、もしこれをかけませんという場合を想定いたしました場合には、やはり内外の格差がなおございますので、中間の流通過程で吸収されるということがございますので、その点は御理解願いたいと思います。
  129. 大出俊

    ○大出委員 よけいなことをお答えにならぬでもいいですよ。最終的にだれが一体負担するのか、消費者になろうと思いますというお答え。間違いなく消費者です。オーストラリアならオーストラリアから金を出して牛を買ってきたわけですから。入ってきたやつは牛の肉です。牛の肉をだれかが買うわけです。買わなければ金にはかわらぬのだから。そうすると、末端まで行って口に入れるのは、消費者が口に入れるのだから。それが百グラム以下で買うのだから。つまり、その価格が国内の牛の価格と調整されているわけだから、高いものを結局買わされている。そうでしょう。安く入ってきているんだが、二五%関税を取って、その上に調整金を取られて、それは全部消費者の負担である。こんなばかばかしい話があるか。そうして、とてつもない高い肉を毎日、量を減らして、町の奥さん方一生懸命、一切れの肉を四つに切って、それで足りなくて、こまかく切ってごった煮にして食べるなんということをやっているのでしょう。そんなばかげたことをほっておけやせんでしょう、これ。  そこで、あなた方の名前をおつけになっているこの調整金の幅というのは、一体何%でございますか。
  130. 下浦静平

    ○下浦説明員 これは、輸入肉には冷凍ものと冷蔵ものとがございまして、この点で異なるわけでございますが、冷凍ものにつきましては、キログラム当たり十円から三十円でございます。それから冷蔵ものにつきましてはキロ当たり四十円から六十円ということでございます。その幅がございますのは、部位によりまして価格が異なるということでございます。
  131. 大出俊

    ○大出委員 私のほうで申し上げましょう。私は昭和三十六年からのデータがありますが、この昭和三十六年三五%、三十七年三〇%、三十八年三〇%、四十年が五〇、四十一年が五〇、四十二年が六〇。そして四十三年から二〇、四〇、六〇、四十四年が二〇、四〇、六〇、四十五年が二〇、三〇、四〇、四十六年が一〇、二〇、三〇、こうなっている。  そこで、いま部位がありますからと言うから、これはやっぱり消費者のためにはっきりしておかなければいけませんが、四十三年度以降各部位に分けて——それまでは部位に分かれていない。そこで各部位に分けて整理をし、というよりは上げたのです。十円というのは、ブリスケット、シンフランク、フォークォーター、これは骨つきに限られている。シン、シャンク、アキレス、テール、ジョール、こういう下級部位なんですね。前四分体に含まれる部分、十円の部分を除いたもの。ハインドクォーター、骨つきに限る、これが二十円です。三十円が、うしろの四分体に含まれる部分、十円及び二十円に該当する部分の部位を除く、こういうきめ方なんですね、中身は。  結局、この調整金というのは下げられていない。だから当時の新聞を見ますと、こういうふうに書いてある。皮肉をいっている。これは四十六年十一月四日の朝日新聞によりますと、農林省が輸入牛肉の差益金——差益金ということばを使っている。これは輸入肉の差益金引き上げ。売れ過ぎを心配してだそうで、変な心配症だ。心配症というのは、農林省の省にかこつけて皮肉っているわけですね。売れ過ぎを心配して上げるというわけです、値が安く入っているんだから。これは総理府指定の、例のよく載っているところですが、こういう皮肉り方をしている。なぜこんなことを国民のためにするんだということですよ。  そこで、いまお話がございましたように、この二カ年分、昭和四十六年分、このつまり差益金をあなた方はやって、調整金、これが二〇%、八〇%に分けて、二〇%は赤字だ云々だというときのことを、変動を考えて蓄積をする。八〇%は分けちゃう。四十六年はこれはいわゆる公的なところに配布するところの金、つまり先ほど申し上げました畜産振興事業団助成事業、この中に、四十五年はないのですが、四十六年になってわずかに六千二百十五万円入れた。そうして四十七年度は三億七千三百五十六万七千円という予測なんです。こういう入れ方をした。そして四十五年はなかったのだが、なかなか世の中がうるさくなってきたからというので入れまして、あとまた四十六年の方式に近い形でこれを分けた。これは規制なしです。これは大臣国民皆さんから吸い上げて取った金です。取った金を適当に……。  これはいまお読みになったとおりで、一つずつ承りますが、日本食肉卸売市場協会というのは何ですか。その上の、社団法人のはずですが、日本食肉協議会というのはどういう形なんですか。その下の全国食肉事業協同組合というのは何ですか。ハムソーセージ工業協同組合というのは何ですか。日本食肉缶詰協同組合、これは何ですか。これはみんな一つのところから持っていく。かん詰めというのは、そこで生産をして、材料を使ってもうけている会社でしょう。みんなもうけてきたんでしょう、販売関係で。消費者から上がってきたものを、販売関係の金をもうけているところへ何でばらまかなければいけないのか。これだけのたいへんな金を消費者に還元するでもなし。あなた方は、四十六年のあるところのちょっとしたやりとりですが、議事録を見ると、まことしやかに答えている。この金は何に使う金ですか。農林省のほうの畜産局といたしましては、国内の生産体制の強化、だから生産者、こういう答え方なんです。それから流通対策、食肉業者の教育。食肉業者をどう教育するのですかね。それから改善策。これを見ると、先ほど最後にお出しいただいたのを見ると、食肉産業人育成対策。べらぼうな金でしょう、どう見たって。日本食肉協議会というのは一億一千三十万円だ。これはこの会長は、この間まで大石武一環境庁長官でしょう。こんなべらぼうな話ないじゃないですか。何でこういう利益団体にやるのか。  肉の流通は、あとから申し上げますけれども、非常に問題があるのですよ。国内の牛だって豚だってそうだけれども、箱根山の雲助と同じなんだ。こんな大きなそでのやつで、指をつかみ合ってきめる。生体取引だ。それを持ってきて屠場に出した人間が、ざるの中に金を入れてもらうんだけれども、自分で幾らかわからない。箱根山の雲助式ですよ。指でやるのです。お互いにでっかいそでのはんてんをつくって、そでの中で手を握り合って、押え合って幾らだと。いまだってそういうことをやっているのでしょう。市場だなんていうけれども、そうじゃない。みんな屠殺場と同じだ。そういう形になっている。たいへんむずかしい流通なんですよ。ほかにいままだたくさんある。そういうところに、何でこんなにたいへんな金をやってしまわなければいけないのですか。小坂さん、あなたは経済企画庁長官なんですから、ちっとはこの辺の企画は考えてくださいよ。いかがですか。
  132. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 よく承りましたが、これは農林省の管轄なものですから、私も実ははっきり言って存じませんでした。よく承りましたから、これからまた御趣旨に沿うようにいろいろ考えたいと思います。
  133. 大出俊

    ○大出委員 あなただって牛肉を食っているのでしょう。奥さんだって買うのでしょう。あなたもちゃんとこの調整金を払っているじゃないですか。そうでしょう。幾ら金がおありになったって、筋が通らぬものは通らぬのです。国民の名においてこれは許しがたい。ほっておけるものじゃないのですよ。  それで、多少消費者の側はどうするんだという声が出たということで、この二年切りかえた。新しいものを入れた。何を入れたと思います。話にも何にもならぬじゃないですか、獣医師会に入れた。これは一千六十万、獣医師会に出していますというようなことを、あなた方は言いたいのでしょう。そうかと思うと、これは消費者団体、こう言うのだが、消費者団体は一千万じゃないですか。四億三千五百三十万の金の中で消費者団体に一千万。これは消費者が払ったのですよ。そんなばかなことがありますか。この物価が上がっている世の中に、牛肉がこんなに上がっているのに、そんなことほっておけますか。全国の消費者にばらまきなさい。こんなことをやるならこんなものは返しなさい。四十六年が四億六千九百万、今度は四億三千五百三十万の中から、わざわざ消費者団体といったって一千万入れただけ。そんなばかげた話がありますか。  それは小坂さん、あなたは、農林省の所管だから私は知らぬと言うけれども、知らぬでこんな物価局をつくって何をやるつもりですか。だから、こんなくだらぬミニ物価局は必要ないとぼくは言うんだ。そうじゃなくて、物価に対する姿勢の問題だと私は言うのです。こんなばかなことをやって、肉が高い、何とかしましょうと首をかしげて、安いものだけ拾ってきて並べたって、そんなばかなことをやってもしようがない。そうでしょう。これはみんな、途中で中間的に設けている団体ばかりにこんなに大きな金を出す。だから、四十六年ではありませんけれども、みんな外国旅行をやっているでしょう。そうしたら、外国旅行はいわば牛のいろいろな視察に行ったんだという。視察に行ったって、こんなに金を使って農協さま以上のことをやっていれば世話はない。今度はおまけに農協さまにまで金を出している。この前は農協さまはそれでも幾らか少ない。何で農協さまにこんなに出したのですか。こういうことをやっていると、物価行政姿勢を問われますよ。  そこで、私はここで一つ質問をいたしますが、皆さんがよく御存じのダイエーというスーパーがございます。ここの社長さんは中内さんという方でございますが、私は実は個人的な知り合いであります。この中内さんがオーストラリアからお帰りになった。安売り王などというあだ名がつくくらい、いままでダイエーというのは、とうふ一丁二十五円で売っているのです。大豆が高い高いという世の中で、二十五円でがんばっている。まだやっている。さすがにぎりぎりの限界に来たと言うのです。幾ら消費者のためにがんばろうと思っても、さすがにくたびれたと中内さんは言っている。この方が牛の問題について相当興味を持って調べている。おそらくチルドビーフの話が出てくると思います。あとから私が質問いたしますが、このチルドビーフはオーストラリア肉ですが、昭和四十五年の暮れから冷凍でなくなった。冷凍でなくなって生鮮のままで輸入されるようになった。新しい技術開発をした。これは冷蔵肉といっているわけですけれども、生肉を真空包装し、マイナス一・二五度の状態でコンテナ輸送をする。冷凍肉に特有のにおいがない。肉の汁が出ない。冷凍肉というのはマイナス十七度から十八度になりますと、解凍の際に肉汁が出てしまうからまずいのです。それだけのことだ。なかなか消費者が買わない、そんなことがあって、販売に携わる連中を啓蒙するために、消費者にまずくないといわせるためにというけれども、これはまずくなくなっている。  そこで、中内さんはそこらを全部調べてここにこう言っている。いま三百キロの牛を一頭三万円くらいでオーストリアで買う。そうして生きたままで送ってくるとすると、運賃が一頭でちょうど買った価格と同じ三万円かかる。それにいまの関税と調整金等々が四万五千円かかるという。三万円で三百キロの牛を一頭オーストラリアで買って、生きたまま輸送してくると輸送費が三万円、それで六万円、これならば思い切って安い牛肉を提供できるというのです。いまのチルドビーフ方式で四十五年の改良でいけば、国内の牛肉と少しも変わらないという。そこに関税障壁という形で、合計四万五千円もの関税とその調整金だ何だと取る。これはそのほかにもございます。検疫料だとかその他の雑費があります。合計すると十四、五方になってしまう、三万円の牛が。ひょっとすると十五、六万円だ。じゃ一体関税障壁をなくしたら、あるいは調整金をなくしたらどうなりますか。一頭生きたままで持ってきても、りっぱに国内の消費者に去年以上に安い価格で売れます。そうだとすると、そこらは経済企画庁の仕事ですよ。幾つもの省にかかわるのだから、大蔵省の関税は一体どうなんだ、検疫は一体どうなんだということになっていかなければならぬ。あなた、経済企画庁の仕事でしょうが。いかがでございますか。
  134. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃるように、いま国際的に価格を比較してみますと、日本が非常に高いのはやはり住宅と食糧でございます。特に食糧の中の米と牛肉というのが圧倒的に高い。米はなかなか基本的な問題でございますのであれでございますが、牛肉の問題というものは、一見刷新というような機運もございますけれども、いまわれわれはほとんど牛肉は食べられません。昔は食べておりました。このごろは、世の中の基本的な物価問題のある意味でシンボルだと思うわけでございます。  そこで、実は一応昨年の暮れごろに考えておりましたのは、先ほど申しましたように、物価安定政策会議の中の第四部会で国際的な視野から物価問題を検討していただきまして、そのあと牛肉の問題と木材の問題、どちらかを実は検討したいと思って検討しかけておりましたけれども、どうもその後、物価問題が御承知のような状態になりまして、そちらに手が回りませんで、たいへん遺憾ながら牛肉の問題についての突っ込みが不足しているわけであります。前からそういう状況でございますので、将来の形としては、早く自由化をするということが非常に重要だと思いますし、といいましても、生産者の事情等もありまして、自由化問題が、いまおっしゃるようないろいろ不明朗な問題を一切解消する一番いい手ではあるということはわかっておりましても、これはなかなかそう簡単にまいらない。  そういうことで、現在の段階ではワクの大幅拡大ということを、牛肉に関する基本的な政策として農林省にお願いし、今度ある程度のワクの拡大が可能になったわけでございます。農林省にいろいろ聞いてみますと、確かにおっしゃるように、相当大幅な関税をかけ、さらに調整金で関係団体に配付しているわけでございまして、これはやはり牛肉のワクを拡大するということに対して、生産者団体その他からの反対が非常に強い。それをある程度緩和しながらふやしていくためには、ある程度そういうところに資金を出して近代化をはかってもらって、国内の生産コストも下げていく、そういう目的のためにやっているというふうに理解しているわけでございますけれども、ほんとうにそういう国内の生産コストを下げるために有効に使われているかどうかという点は、われわれももちろんチェックは十分でございませんし、いろいろ問題があると思います。そういう意味で、きょうは私どもの知らないことをこまかい点も含めていろいろ教えていただきましたので、今後十分検討してまいりたいと思います。
  135. 大出俊

    ○大出委員 知らなければ知らないと一言言ってくれればいいのです。そんなに長くしゃべったって時間がなくなるだけだ。あなたは自由化が一番必要だなんて言うが、この間あなた方は物価対策閣僚協議会できめたでしょう。小坂さんどうなんですか。あなたは現職の立場にあったのでしょう。何と書いてありますか。「輸入の積極的拡大等」「輸入自由化の促進」、何を自由化するなんて一つも書いてない。見てごらんなさい。何を自由化しようとするのか、それもわからぬ。積極的拡大の中心は何なのか、これも書いてない。何にもない。あなた、新聞にそのまま適当なことを発表なさるけれども、小坂さんも政調会長をおやりになったし、NHKでいろいろ討論しましたが、これはもうちょっとはっきりしているんだろうと思った。それが何もわからぬ方々が物価局をおやりになる。一体何をやるのですか。そういうばかげたことはいけませんですよ。
  136. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ある意味ではまことにお恥ずかしい点があると思います。それは認めますが、いろいろな立場の方がおられますものですから。自由化を進めるということは、資本の自由化の点については外資審議会の答申というものがございますし、これはようやく出ましたものですから、これからほんものの軌道に乗っていくと思うのでございます。それから他のものにつきましても、関係各省でいまいろいろ練っておりますから、あの時点ではできませんでしたが、今後月一回ずつ閣僚会議を開きまして、徐々に全貌が明らかになると思うわけでございます。ただ、物価局の問題は、そういう点であればあるだけにぜひつくっていただきたい、つくることをお許し願いたいと思っておるわけでございます。
  137. 大出俊

    ○大出委員 私は、いまの調整金の問題はこれでやめる気はないのです。これは決算委員会その他至るところでやろうと思うのです。何と言われてもこれはがまんならぬ。しかも、これはさっき天下りの話がありましたが、それとまたきわめて密接にからんでいる。これもまた放任できない。私は変えていただきたいのです。関税はやめていただきたい。調整金はやめていただきたい。何べんでも言うつもりでいる。  そこで、私は名簿を持っているのですが、まず、先ほどの話に出ました畜産振興事業団の役員、これは役員をおつくりになっている。さっき私が数字をあげましたように、これは国の予算を使っているんですよ。たいへんな国の予算を使っている。ここに予算額がございますから、念のために申し上げておきますが、これは単位は千円ですね。四十五年度は二億六千万円ですか、国の交付金が入っている。それから四十六年度同じく二億六千万円、四十七年度さらにふえて三億、これが畜産振興事業団に国の交付金として入っていっているわけですね。たいへんな金です。だから利子だけでもたいへんな利子です。四十七年度では六千六百四十三万三千円の利息がくっついている。四十六年度は七千八百八十五万円利子だけでくっついている。こんなにたいへんな利子がついている。四十五年度はもう少し多い。これは前からの引き継ぎでしょうけれども、こういう利息が入っている。これも、国の交付金が主になって生まれた利息ですから国民のものです。  この畜産振興事業団に農林省は輸入もすべてまかしてしまっている。この三十六年からのやつを見ますと、最初は、割り当てワクをきめても生産者団体や販売団体が押えているから、割り当てワクにほど遠い輸入しかしてないのです。これに非常にぶんまかしているんだけれども、農林省のOB集団みたいなものです。それから日本食肉協議会役員名簿、会長だけ大石武一さんがやっていて、今度は会長代理ができた。会長はいない。会長代理は田中良男さんという方です。この人はもとの農林省の畜産局だ。筆頭常務理事中沢寿三郎さん、一番権力がおありになる方です。この方もこれまた農林省関係。会長代理と常務理事の筆頭が農林省の中でばちっとまずきまっている。以下一々読み上げてもたいへんですからやめますけれども、この日本食肉協議会と農林省との間に畜産振興事業団がある。この畜産振興事業団はまさにオール農林省、これが実はすべてをやっておる。そして一番密接にやっておるのは日本食肉協議会との間なんです。農林省、畜産振興事業団、そしてあらゆる団体を入れているわけですから、日本食肉協議会はたいへん強力な団体です。全く農林関係の方々は選挙に強いはずだと私はしみじみ思いますよ。  それで、畜産振興事業団役員名簿によると、岡田覺夫さんという方が一番てっぺんにおいでになります。この方が理事長でございます。岡田覺夫さんという方はどこの方だと思ったら、農林省の畜産局長をおやりになったそのほうの専門屋じゃないですか。天下りは、そんなことは全く関係ないとかおっしゃるけれども、まことにうまくできている。それから副理事長、これはえらい方ですよ、黒岩裕さん。これも家畜改良課長さんなどおやりになった農林省の方。その次に今度は理事四人おいでになる。一番上の方は瀬戸國夫さん、この方も農林省。その次の阿部さんという方、この方も農林省。あともう一人阿部さんの次が田中卓也さん、この方も農林省。一番最後の理事、竹内勉さんですか、この方だけが大蔵省なんですね。これは一体どうなっているのですか、小坂さん。これじゃ業者団体全部ににらみがきいて、言うとおりに動かしておられるのは一体どこかと言えば、はっきり申し上げて、日本食肉協議会役員名簿に載っかっているこの方々。さっきの金を割り当てたほとんどの団体をがちっと握っている。そして今度、日本食肉協議会と農林省の間に入って、がちっとコントロールしているのはオール農林省、一人だけ大蔵省の畜産振興事業団、こういうことになっているのを放任はできませんよ。お手盛りじゃないですか、この金の配分だって。一体国民はどう考えればいいというのですか。そんなことになれば目付役もいやしない。  小坂さん、こういうことにしておいちゃいけませんですよ。それで肉が高い高いとそこらじゅう大騒ぎして、局長まで私は肉を食ってないなんて、うそばかり言って何だ。そういうことじゃいけませんよ。局長ともあろう方が、しかも、物価をやっている方は必ず食ってもらわなければいかぬ。何言っているんだ。いいですか長官、何とかする意思はないですか。——これはお答えがないからしようがないですが、私も公のところでしゃべっているのですから、ひとつ日本食肉協議会なるものの決算書、それから先ほど申し上げました畜産振興事業団の決算書、これがどういうことになっているのか、全部お出しいただきたいのです。その上でもう一ぺん聞かしてください。こんなばかげたことをほっておけないです。しかも、あるところの資料によりますと、外国へ行ったりいろいろなさっている。これらの金がこれだけあれば何ぼでも外国に行けますよ。そうでしょう。幾ら飲んじゃったってなくなりはしません、この金は。そうでしょう。だがしかし、突き詰めていけば国民のふところから出た金だから、そういうことは社会正義という意味で捨てておけないのです。やはりこんなに肉が高いのだから、国民の納得し得るようなことにしなければならない。消費者団体を含めて消費者が納得するようにしなければならない。わずか一千万ちょっと入れたと、言いわけにはなりませんよ。そうでしょう、消費者のものなんだから。だからそこらのところは、たださえもうかっているのだが、もうけさせる必要はない。どこからどこへどうなっているか、さっぱりわからぬようなことは困る。この点はひとつ出してください。これだけ保留さしてください。明確なお答えがないのだから、そうしてください。  ところで承りますが、肉というのは、まず牛肉、末端の消費者は幾らくらいのものをいま食っているかという点、昨年暮れから比べてどのくらいどうなったかという点、おわかりでございますか。
  138. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答えいたします。  牛肉の卸売り価格につきましては、昨年の秋ごろから上昇をしてまいったものでございますが、卸売り価格について申し上げますと……。
  139. 大出俊

    ○大出委員 卸は聞いてないのだ。末端の消費者価格は幾らだと言っているのだ。わからなければわからぬでいいですよ。
  140. 下浦静平

    ○下浦説明員 東京の小売り価格について申し上げます。昨年の三月、これは中肉でございますが、百グラム当たり百六十六円。これが本年三月は二百二十六円、こういうことになっております。
  141. 大出俊

    ○大出委員 きょうは、経済企画庁で物価局をつくる、中身をうんと改定して、意欲的に小坂さんは取り組むとおっしゃっているし、そう新聞記者発表もされておる。だから、もうちょっと実のある答えが返ってくると思って聞き始めたのだけれども、これでは物価論議にならぬじゃないですか。これは末端の消費者価格というのは、いろいろ取り方はありますよ。ありますが、まず三つか四つに分けなければいけませんよ。大体、昨年の十一月という段階と、本年のいま四月ですから、四月という段階、いま一体どのくらいになったかといいますと、牛の肉は一番最低のこま切れ、これが百グラム百五十円です。帰って奥さんに聞いてください。そしてその上に、並み、中、上、こうありますが、並みが二百二十円、中で二百六十円、上で二百八十円、すき焼き用は別でもっと高い、こうなっているわけです。これは去年と比べるといずれも、こま切れが三十円、その他が五十円値上がりです。安いところならば、昨年はこま切れを百円で売っていたところもある。これが現状ですよ。百グラム当たり五十円から上がっちゃっては、家庭の毎日のことですから、おさまりがつかぬですよ。豚が、これもまた下のほうからありますが、ひき肉で百グラム九十円、並みで百二十円、中で百三十円、上になりますと百五十円から上になります。これまた豚も昨年に比べれば三十円上がっている。だから、こういう状態になっているから、ニクソンさんじゃありませんけれども、いまアメリカが高い高いと言うけれども、東京はもっと高い、こんなことが出てしまうのです。世界じゅうで一番高いじゃないですか。一番高い牛を、どうなっているか全く御存じない経済企画庁長官がおられたり、物価局がどうのこうのと言っている方がおられたのじゃ、物価の話にも何にもなりはしないじゃありませんか。そうでしょう。それだけはひとつお考えいただきたいのですがね。せっかくもう少しお答えをいただこうと思ったんですが、なかなかそういうわけにいきそうもない。  いま、外で騒ぎが起こってわいわい言っていますが、春闘のさなかだから、具体的な消費者家庭の家計費、これをちょっと承りたい。一つの例をあげますが、Aという人の昨年の五月の家計薄。六人家族でございますけれども、御夫婦と子供さん二人、それとお年寄り二人、六人。こういうことで五月一カ月分の総収入が、家族みんなの収入が十七万七千六百円。この御主人Aさんの収入が税込みで、課長補佐の方ですが十二万一千百円、奥さんが洋裁で内職をやりまして、一カ月の収入が一万二千五百円、おとうさんが近くの魚屋に行ってまして、これが一カ月二万円、これでも足らなくなったというので、貯金から二万四千円をおろした。その総額が十七万七千六百円になるのです。  そこで、では一体この方の生活費は幾らかかるのか、これを申し上げますと、まず主食でございますが、主食は米とパンです。そこで承りたいのですが、この家族は一カ月に三十キロですが、三十キロで幾らになりますか。これは自主流通米ですが、幾らになりますか。少しは聞かなければいかぬでしょう。
  142. 小島英敏

    ○小島政府委員 自主流通米になりますと、十キロ当たりで、まず二千二百円から、高いので二千五百円くらいになりますから、それの三倍ということになると思います。
  143. 大出俊

    ○大出委員 十キロで自主流通米で二千二百円、標準価格ですが、いま上がりまして、去年の十月に値上げしたでしょう。これはあとからもう一ぺん聞きますけれども、去年の十年に上がりまして、二千二百円が二千四百円になっております。したがって、昨年の五月ならば六千六百円であったのが、昨年の十月に上がりましたので、十キロ当たり二百円上がったから六百円上がった。これだけ家計費がよけいふえることになる。ただこれはまだわからない。来月のことをいえばわからない。なぜかといいますと、一〇%上げるんだったんだけれども、一応七・五%に押えるというのが昨年の十月の上げ方なんです。これはまだ残っている。これが今年中に上がるとすれば、まだこれはふえる。  それから次にパン、原料は御存じのとおりに小麦粉です。これでいきますと、この家庭六人で昨年六月にパンを三十八斤買っている。いま一斤幾らぐらいですか。
  144. 小島英敏

    ○小島政府委員 五十円から六十円くらいじゃないかと思います。
  145. 大出俊

    ○大出委員 どこをさがしても六十円以下のパンはありません。一斤六十円でございまして、これが一番最低です。これは御近所でお聞きいただけばわかります。最低のもので一斤六十円。これは食管会計の中の麦ですね。これは農林省に関係ありますが、これが二十九年以来十九年ぶりの赤字になりました。したがって、六月に開かれる米価審議会で麦の売り渡し価格がきめられる。これはどのくらい上がるかといいますと、いまのおたくのほうの計算でいきますと、二十五キロ当たり三百円。そうすると、二十五キロでパンが一体幾つできるかというと九十斤できるのです。そうすると、一斤三円三十銭上がるのです。それは小売り値に直すと幾らになるかというと十円の値上げです。これはパン屋に聞いてみればすぐわかる。そうすると、ここで六十円のが最低十円上がる。三十八斤ですから三百八十円、これだけよけい家計費はふえる、こういうことになる。  それから、めん類をこの家庭では食べている。そうすると、このうどんの原料であるうどん粉、これも二十五キロ当たり百円上がる。そうすると一食当たり六十銭ぐらい上がります。そこへ今度国鉄の運賃が上がりますと、そのはね返りが出てまいります。これはまた上がる。そうすると、六十銭という端数はございませんから、そうなるとこれもまた十円の値上げ。いま、もりそばというのは、そこらで売っていますけれども、百五十円ですけれども、これは二年間据え置きなんです。これが国鉄運賃が上がりますと二十円上がります。小坂さんは予算委員会で北山愛郎さんの質問に、国鉄運賃というものはそんなにはね返らないと一生懸命言っておりましたけれども、具体的にはね返ります、かくのごとく。  時間短縮のために私のほうで申し上げますが、以上、簡単に中心になる主食を申し上げましたが、主食費は昨年五月に、この六人家庭で一万百三十八円でございましたが、全部上がってしまいますので、この五月には一千五百三十円の増になる。これは主食だけです。  次に副食費。この総計は、六人家庭で昨年五月に三万四百三十一円かかっているのです。一人当たり一カ月五千七十円です。一食五十六円です。五十六円ではろくなものは食えないわけで、これはずいぶん倹約しております。だから、全部入れて一日百六十九円が副食費なんですから、三食ですからぜいたくじゃない。昨年の五月は、生鮮食品の中の魚介類が五千百三十二円、これだけ家計簿ではかかっている。国鉄運賃の値上げ法案が通った場合は、貨物運賃が二四・一%のアップなんですから、この種のものは一体どのくらい上がるかということは想定できるはずであります。国鉄運賃が二四・一%上がりますと、生鮮魚介類の値上がりはどのくらいになるとお考えでありますか。
  146. 小島英敏

    ○小島政府委員 運賃の値上がりにつきましては、IO表を使いまして計算いたすわけでございますけれども、CPI全体に対する上昇率は〇・〇四%というふうに計算いたしております。
  147. 大出俊

    ○大出委員 だから、机上のプランと現実が違ってくる。国鉄運賃の等級、ここにございますが、これを見ると貨物運賃、これはいままで四等級に分類されておりまして、米、麦、野菜、生鮮魚介類は現在四等級なんです。これが一級上がります。一級上がると生鮮魚介類の国鉄運賃の上がり幅は三〇%になる。そうすると、これがどのくらい響くかというと、割り掛けをいたしますと、この家計薄の中で昨年五月魚介類に五千百三十二円使っている。したがって、三〇%の上げ幅になりますと、一千五百三十九円がこれに追加されなければ、生鮮魚介類の値上がりを見越した家計費は出てこない。だから、ここでも一カ月分一千五百三十九円、来月は上がると見なければならない。  そこで豚肉。豚肉は卸売り価格が一月中旬に一キログラム四百五十円です。これが二月に入って四百七十一円に上がりました。これは先ほどお話しの卸売りです。ごらんいただければわかります。ということになると、これはほんとうは二月に入って値上がりするということは、聞いてみると珍しいんだそうですが、これがさっき私が申し上げましたこま切れ、並みの安いところ、これは九十円、これが百二十円になります。肉は間もなくもう一ぺん上がります。そうすると、これまた家計費に計算をしなければなりません。牛肉を買えば、百グラム当たり百六十円から百八十円に上がったばかりなんですが、また来月上がりそうであります。  それから、じゃ今度は鳥肉を食おうということになった場合、鳥の場合飼料の値上げで、二月の下旬から三月上旬にかけて上がってきております。手羽、もも両方とも百グラム七十円から百円になる、こういうわけです。そうなると、肉は軒並みに百グラム二十円から三十円ここで上がる、国鉄運賃等とからんで。この家庭は肉の出費が九千九百六円。そういうことになりますと、この分で二千二百六十八円の出費増になる。  これは、飼料不足が卵にも反映いたしますから、卵は昨年暮れが一番高くて、十個入りで高いところ二百三十円、安いところ二百二十円。十個入りで二百二、三十円。だから一個に換算いたしますと二十二、三円というのが卵の相場です。これがここでまた来月にかけて上がりかかっている。したがって、この鶏卵のこの家庭の使用量は、十個入り百四十円のもの一カ月に五回買っております。これは百四十円が百八十円ぐらいに上がりそうです。そのあとで、今度は牛乳が二百cc、これが四円から五円上がります。さて、とうふが三十九円が五十五円になっている、昨年の五月に比べれば。そこへ持ってきて、しょうゆが本年二月から、一・八リットル二百六十円から三百二十円に上げた。六十円の上げ幅です。みそが一キログラム百三十三円のものが三十円上がる。こうなってくると、この一年、つまりこの五月の副食費が幾らふえるかというと、六千百十二円の増になる、年間を通じて計算すると。だから一年前の総合計は、副食費総額、さっき申し上げましたが三万四百三十一円、これが六千百十二円上がる、ことしの五月で去年に比べて。  そうすると、これはおやつだ何だ、いろいろそのほかに嗜好品、酒なんというのも上がっているのですよ。酒は、このAさんという方は私と一緒に酒飲みで、一升びんを月に十本飲むというのです。私も十本ぐらい飲みますけれどもね。そうすると、一体この酒はどうなっているのか。酒もみごとに上がりました。これは嗜好品だから飲まぬでいいという方もおありかもしれませんが、一級酒は九百円から千円に上がったのです。百円上がったのですから十本で千円。ここで、嗜好品でもう千円の支出増です。  このほかに洋服、これがまたいまたいへんに上がりかかっています。上がらないと通産省はおっしゃいましたが、これは調べてみましたが、だめです。私がいま着ているこれが二万八千円なんですよ。伊勢佐木町のつるしんぼうで色の変わったものを三着一緒に買って、これが二万八千円です。この洋服は、この秋にかけて一体幾らになるかと聞いたら三万一千円になるという。二万八千円が三万一千円になれば、間違いなく三千円上がるのですよ。靴はといったら、スタンダードの紳士靴は、昨年の春三千五百円のものが、ことし現在四千三百円で、九百円上がっております。げたはといったら、木材が足りないというのです。桐のまさ張りなんてげたははいたことはないけれども、この桐のまさ張りが三百円ばかり上がっておる。千五百円であったものが二百円上がって千八百円だ。四月に入学する新入生のランドセルはといったら、ポピュラー品というのですか、昨年の四月は八千円だったというのです。ことし四月の新入生がランドセルを買うと、これがちょうど二千円上がって一万円になっておる。  こういうことになってきておるのですが、この上に今度は公共料金が入るのですね。これは、おたくは何でまた公共料金には一言半句も触れなかったのですか。一言も触れてない。これはずいぶんふざけた話だ。もっとも考えてみれば、国鉄運賃の値上げを出しているんだから、やむを得ないことであったのかもしれぬと思いますけれども。  そうすると、昨年五月と本年五月の数字を家計簿で拾って、手取り収入が九万五千円の標準世帯に換算をすると、つまりどういうことかといいますと、昨年の五月から一年たったことしの五月の家計簿は、いま申し上げた総額で二万三千円ふえるのです。一カ月で家計簿のふえ方が二万三千円です。これに公共料金を入れると、六人の生活考えると、この御家庭は三万九千円前後のベース改定がないと昨年の五月並みにならない。今度は若い御夫婦と子供さん二人の四人世帯ですが、平均収入で九万五千円の標準世帯です。この家庭に換算すると、九万五千円の方は家計費で二万一千円不足する。そうすると、最低限度二万一千円ぐらいの賃金改定がここで行なわれなければとんとんにならない。五けた賃上げをなんてことをそこらじゅうで言っていますけれども、五けたでもなお半分足が出る。そうなればその分だけ生活費を切り詰めて、食いたい肉を減らしたり何かしなければならぬことになるという筋書きが現実に出てくる。これは家庭生活ですからいろんな違いがあります。ぜいたくする人も、嗜好品をよけいとる人もありましょう。ありましょうけれども、一日一万円の食生活というのはぜいたくじゃない。この家庭は一万円つかないのです。この人の食生活でいくとこれを節約し過ぎている。この家庭は六人です。一人の食生活で九千六十五円ですからね。一万円なきゃ食っていけない。  だからそうなると、これは例を申し上げただけで、この点について深く、四の五の言う気はありませんけれども、これは長官に申し上げたいんだが、どうもいまの異常な物価上昇についてはよほどここで、それこそ蛮勇をふるって、なりふりかまわず物価対策をやらなければ、数字の多少はどっちでもいいんですけれども、どうにもならない生活実態になってしまっている。片っ端から上がってしまっている。このことについてだけは間違いがない事実だ。  そうすると、いま物価局の話をしているわけでありますけれども、何としてもこれを提案するにあたって、経済企画庁長官の御意思としては、各省いろいろございましょうが、総合官庁としてやっていこうという限りは——本来小坂長官は、法律的にいえば主任の大臣じゃないのですよ。主任の大臣という法律上の用語でいえば、経済企画庁の主任の大臣というのは総理大臣なんですよ。だから本来主任の大臣の総理大臣の権限が機構上は及ぶことになっている。ところが、それはやっぱりまずいというのでここへ内閣法を持ってくる。しかし、わざわざ内閣法まで持ってくることはない。持ってこなくても内閣法はあるんだから。それまで持ってきて、やれ勧告だ何だということをお考えになるということについては、まずその政治姿勢として、なりふりかまわず物価対策に勇断をふるう、それこそ強引にやってのけるという腹がなければできません。この辺でその姿勢を承っておきたい。
  148. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 非常に豊富な資料をもってのお話、ありがたく拝聴をいたしましたのですが、いまのおこばのように、物価問題は非常に重要をきわめておりまして、私としましては、全力をふるってこの物価の異常なる状態に立向かわなければならないというふうに思っている次第でございます。  実はこの一月以来、金融の引き締め問題等につきましてもいろいろ申しまして、まあ最近、物価問題に対する一つの大波が去りつつあるような気が実はしておるのでございますが、いま仰せのように、この物価問題に対しては、蛮勇をふるっていくという考えをもって臨みたいというふうに考えておる次第でございます。
  149. 大出俊

    ○大出委員 そこであと、関係省庁においでをいただきましたから、蛮勇をふるっていただくということでずっと承ってまいりますので、御答弁をいただきたいと思うのであります。  そこで、まず行政管理庁の皆さんに伺いますが、二月ごろでございましたか、福田行政管理庁長官のおっしゃっていることをいろいろ承りますと、行管も監察その他の中心を物価対策に置くんだ、こういうふうなことを言っておられましたが、いろいろなやりとりの結果、ここに企画庁の機構をお認めになっておられたりする。そこらを含めて、行管の側から見て、まあ、行管の方にはしばらくおいでをいただいていないので、おれのところは物価問題とは縁が遠いのだといって腕組んでおられると困るので、何とかこの物価問題を一生懸命やるんだというお考えなら、大臣がそれに触れて新聞記者に発表しておられるんですから、行管のその姿勢について少し承っておきたいと思うのです。
  150. 大田宗利

    ○大田(宗)政府委員 行政管理庁では、ことしの一、二・四半期に宅地を中心にいたしまして監察を実施することにしております。それから三、四・四半期には、ただいまいろいろ言われました物価問題、特に流通機構中心として監察を実施することにしております。  以上でございます。
  151. 大出俊

    ○大出委員 いま宅地のお話が出ましたから、建設省の方に承りたいのですが、地価の公示制度というのはもういいかげんでやめたらどうですか。これはもう全く役に立たぬ。時間がありませんから詳しく中身を申し上げませんが、御答弁いかんでは申し上げますけれども。神奈川の例などを見ましても、からくりがございまして、上、中、下のランクできめておられますね。その中でいっているわけですね。そうすると、つまり地価というのは、そこから上があるということで公示価格はマル公だというわけだ。その何割増し、逆にそれが通ってしまう。そして地価が上がってくるとあとから追認をする、これしかない。これは固定資産税にも相続税にも何にも結びついていない。ただ宅地を売ってもうける方々の材料にしかならない。そういうものを、いつまでもここに置いておいたって意味がない。この国会に法律をお出しになってもう少し網の目のように広げると、そうおっしゃったって、全国で不動産鑑定士の数を見たって三千人足らずでしょう。そんな簡単に安易に行きやしませんよ。だから、こんないいかげんなことをするんなら、NHKの東京放送会館の土地は一体どうなるんだということになる。坪当たり、それはいろいろな理由がくっついていますが、悪くいえば千百十一万二千円。いや、あれは違うんだ、いろいろなものがある、建物も幾らか見ているんだということを言うけれども、それにしても異常な話だ。公示価格どころじゃない。だから、公示価格というのは、高く売る、あるいはマル公という足場にされる、そういう材料に使われるだけなので、またこの改正を出しておられますけれども、これは建設省に一ぺん承った上で、経済企画庁で、弊害のほうが多過ぎるから抜本的な検討をいただきたいという意味で、建設省の方おいでになったら、この地価の公示制度というものについて御答弁いただきたい。
  152. 河野正三

    ○河野説明員 先生の御意見ごもっともの点もございますが、かつて国会で地価公示法が制定されましたときのいきさつは、御承知のように、経済企画庁に置かれております物価問題懇談会というのがございました。そこで、公共用地の取得価格が非常に一般の地価を引き上げている作用を果たしている、これに対しまして何らか中心となるべき標準地の価格を公示する制度をつくり、これに基づいた公共用地の取得を実現すべきであるというような声から、地価公示法の制定が行なわれたわけでございます。その後、当時は確かに、東は成田空港、西は万博というような声もございましたが、公共用地の取得そのものが、公示地域におきましては一般の地価を誘導するというような働きが非常になくなってまいりました。そういう御批判も昨今承らないわけでございます。その点、多少われわれといたしましては効果があがってきたものではなかろうかというように感じているようなわけでございます。  ただ、お尋ねの一般の民間取引に対しまして果たす役割りということになってまいりますと、現在の地価公示法では取引の指標とするめどでございますが、という程度にとどまっておりまして、おっしゃるように、なかなか御期待に沿うような効果をあげていないわけでございます。ただ、今回国土総合開発法の改正案によりますと、地価公示地域につきましては、公示価格を著しく上回るような取引きに対しましては、一定の取引の中止勧告というような制度もしかれるような仕組みにも漸次なってきておりますし、また、公有地拡大推進法等におきましても、公共団体が土地を取得する場合の基準価格にもなっているような次第でございまして、漸次その用途が拡大しつつあるというような感じがするのでございます。当時、国会の衆参両院の建設委員会の地価公示法制定に際しましての附帯決議におきましては、今後とも拡充強化につとめ、それをはかった上で税制上の評価等との関連もつけるようにというような附帯決議も承っておるわけでございまして、われわれ政府といたしましては、その方向に漸次努力を傾注したいと考えております。  ただ、御意見にもございましたように、不動産鑑定士の養成その他もなかなか時間がかかる問題でございまして、当面の一万五千四百地点、いわゆる都市計画区域全体、市街化区域を越えて、今回国会で改正をお願いいたしております都市計画区域全体につきましては、三千名の不動産鑑定士で十分まかなえるかと存じておりますが、当時の附帯決議にありましたような趣旨を全面的に推進いたしますまでには、まだ一、二年かかるのではないかと考えております。
  153. 大出俊

    ○大出委員 この経済企画庁が物価問題、これは何べんも名前を変えましたけれども、中山さん等がやっておられたわけですけれども、中山さんが読売新聞に、幾ら問題提起をしたってさっぱりやらぬ、これではまるっきり物価対策らしき姿勢政府にないと、御自分で署名入りで書いておられる、その産物ですよ。あなたは最近そういう意見は目にしない。目にしないどころじゃない、どこの新聞を見たってこういうものはみんな書いてある。至るところ出ている。見てください、からくりと無力さ、限界にきた地価公示制度。目にしないどころじゃない、やたら目にしている。どこの新聞を見たってやたら書いてある。だから所管の省に言うのは酷な話で、問題は、一番初めに始めたのは経済企画庁なはずだから、この辺で一ぺん再検討してもらいたい。これはいろいろなことをおっしゃるけれども、地価は下がったためしはないんだから。建設省だってふざけた話で、一ぺんも下がったことはない。皆さん自身困っているのじゃないですか。  とにかく、東京証券市場に上場されている会社というのは千二百九十三社しかないのだけれども、これの持っておる土地の面積が日本列島の一・二六%です、有価証券報告書を見て調べて。市街地の総面積が一・二〇%です。これをこえている。三十七万平方キロの日本列島のうちの一・二六%を握っちゃっちゃどうにもならぬでしょう。だから、こんなことでもって地価が下げられたり押えられたりする性格のものじゃない。だから抜本的に考えなければならぬことになるということを企画庁に注文しておきたい、こういうわけです。御研究願えますか。
  154. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 われわれとしては、現在の地価がもう少し安定しまして、いわゆる庶民のものとして手に入るような、そういうものにしなければならぬ。それにはどうすればいいかということにいろいろ心を砕いておりますわけでございますが、ただいま大出先生の仰せのような点も頭に入れまして、なお関係の各庁との間にいろいろ検討いたしたいと思っております。
  155. 大出俊

    ○大出委員 きょうは注文を少ししておきたいと思って取り上げましたので、たくさんの理屈がありますが、いまの点は注文だけにしておきます。  そこで、公正取引委員会に承りたいのですが、この間、私が六日の日に質問いたしまして、私的独占禁止法のたてまえからいって、商社問題その他を含めて共同行動の疑い濃厚ではないか、だから、事実行為の認定ができていなくても、なぜ調査しないのかと言って詰めた。そうしたらあなた方は、答弁の際に、認定できないから独占禁止法のたてまえ上できないと言った。ところが何ですか、翌日の新聞にこんな大きな発表をしている。私の指摘したとおりのことを今度やるという。「商社の投機行為 公取委が調査 独禁法抵触の疑い “売惜しみ協定”の可能性」これはあなた、この間の答弁と違うじゃないですか。私にあんなことを言っておいて、何で急に気が変わったのですか、翌日になって。
  156. 三代川敏三郎

    ○三代川政府委員 お答えいたします。  その新聞の記事につきましては、見出しを見ますと、何ですか、公取委が新しく独禁法違反ということで審査を始めるように乗り出したというような印象を与えますが、中をお読みいただきましたらおわかりでございますように、従来私どもの委員長が各委員会、あるいは先日、局長がこちらで大出先生にお答えいたしました内容と、少しも違ってはいないわけでございます。そういう点で、ちょっと見出しがショッキングで、私どももショックを受けました。
  157. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、相変わらず旧態依然で、公正取引委員会はあるかないかわからぬということになるわけですな。  そこで、具体的に聞きたいのですが、この再販価格維持契約制度がございます。これは私は、いまの公取のあり方、やり方、いずれにも非常に問題がある。そこのところを少しはっきりしたお答えをいただきたい。  例をあげて申しましょう。化粧品だとかあるいは薬などというものは、この再販価格維持契約制度に基づくものが非常に多過ぎる。そこで公正取引委員会の側は、この制度はやむを得ぬと思っておられるのかどうか、あるいはいいと思っておられるのかどうか、そこらをまず承りたい。
  158. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 この再販制度そのものを、独禁法二十四条の二によりまして独禁法の適用除外ができるように規定をいたしております。ところが、原則として価格を拘束するということは独禁法上は適当でないわけでございますけれども、しかし再販の場合には、対象になります品目、これがおとり廉売の対象になりやすい、こういうこともございまして、立法の段階におきましてこれを適用除外とする、ただし、その品目は公正取引委員会が指定をする、こういうことになっておる経緯があるわけでございます。
  159. 大出俊

    ○大出委員 そんなこと、いまさら言わなくたって百も二百も承知の上ですよ。そうじゃなくて、あなたのほうで現状をとらえて、この再販制度というものが、高いものを消費者が買わされているという現実を直視してはずしたんですから、公正取引規約なんかいろいろこしらえてはずすことを認めたんですから、だからこの辺で考えてみる必要はないかと言っておる、高いものを買っているんだから。例をあげますよ。たとえば目薬、Vロートとかいろいろございます。これらのリベート、これは一体どういうふうになっておると思いますか。
  160. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 具体的に目薬のリベートということになりますと、ただいま資料を手元に持ち合わせておりませんので、ちょっとお答えできませんけれども、たとえば、医薬品全体から見ましてどういうふうになっておるかと申しますと、品目あるいはその会社によってリベートの出し方は違ております。ただ、その中で非常に累進度の高いリベートを出しておるという会社、これはございます、化粧品、医薬品を通じて見まして累進度が非常に高いものといいますのは、小売り価格に比較しまして一五%をこえるというような非常に高い累進度のリベートを出しておるものもございます。そういうような、業種の平均に比べまして非常に高い累進度のリベートを出しておるというような場合には、一般消費者の利益を不当に害するおそれがあるという点から、これを是正させなければいけないということで、公正取引委員会は昨年から、これを個別的に是正をさせるように指導いたしております。
  161. 大出俊

    ○大出委員 前から私は何べんも言っているんで、この前もリベートの話をした。公正取引を阻害するようなリベートを認めているけれども、チョコレートの問題にからんで聞いたときに、あなたはそうおっしゃった。そこで、目薬の例をあげますと、定価二百五十円ですよ。だいぶんになりますが、変わりません。年次をちょっと申し上げておきますと、四十二年ごろから変わっていないんです。私、少し物価から離れていましたから、けさ院内の薬局に寄って聞いてみた。ぽんぽんと値段を言ってみたら全部そのとおり、間違っていない。ただ、国会の場合は不特定多数の人に売るのでないという理由で五十円だけ価格を下げさせてもらっている。公正取引規約に違反すると、その店が三十万円罰金を取られますからね。この本来の趣旨というものは、正価、正札がある、Vロートなり、マイティア、みんな二百五十円ですよ。この二百五十円に、とにかくまけるにしても近い価格で売らせようというのがねらいですから、本来原価からすればうんと安いのですが、なるべく二百五十円に近い価格で売らせておる。そして小売り店を、公正取引規約で、違反したら三十万円の罰金と判をつかしておいて押えておる。あなた方はそれを認めておられるわけだから。そのかわり一生懸命売ってくれ、リベートを出すから、こういうわけです。こんなにリベートを出せるなら、なぜ価格を下げないのだということになる。そうでしょう。そんなことあなた方、公正取引委員会をやっておってわかるでしょう。だから中身は、定価二百五十円のVロート等の目薬、これの小売り店の仕入れ価格は百七十五円なんです。国会の薬屋に行って聞いてごらんなさい、百七十五円です。だから、二百五十円で売る場合の小売り店のマージンはこれだけで三〇%ある。ほかにリベートが十二円出るのですよ。だから利益は計八十七円でしょう。利益率に直すと三五%になる。高いですよ。そして売り上げが多かった場合には、累進性のリベート、これは年二回出る。これは総合型という再販指定の方式ですよ。これでいくと、二回の累進リベートが平均卸売り価格の三%、すなわち六円です。そうすると、百七十五円で仕入れて二百五十円に売るのだけれども、率が八十七円の利益なんだが、ちゃんと売っている店、つまり売れる店ならば、結果的に二百五十円の目薬を売ったら、累進リベートを入れると九十三円もうかる。そうなると、三七%の利益ですよ、利益率とすれば。これは幾らなんでも、薬九層倍といっても高過ぎる。こんなことは四十二年からやっているのだから、わからないことはないでしょう。私が調べてわかるんですからね。私は方々調べている。マイティア、最近のやつを調べてみた。原価なんかべらぼうに安いものですよ。あとから原価の話もしますがね。  だから、そうだとすると、この再販指定方式というのは三七%も小売り店に利益をあげさせている。百七十五円で仕入れて、リベートがたくさんつくわけですから。だからそうなると、三七%の利益率というのは許しがたい。だから、小売り店はそれで縛られて、安く売りたくても売れない。そうでしょう。つまり制度の問題ですよ。こういうものを独禁法からどけて平気で認めていく。この種のものはたくさんあるのだ。化粧品なんかもっとひどい。そういうことでは、公正取引委員会というものは、公正取引じゃなくて不公正取引の容認機関じゃないのかということになる。それでみんな高いものを買わされているわけですよ。そこらは、あなた方もう少し考えたらどうか、こういうことを聞いたのですが、いかがでございますか。
  162. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 先ほども申し上げましたように、そういうような弊害を是正するために、昨年から具体的に個別的な指導をやっておるわけでございます。先ほどの先生のお話だと、小売り店は三七%の利益であるということでございますけれども、それは純利益がそれだけあるということではございませんで、小売り店は三七%の荒利の中からいろいろな販売経費を使うわけでございますから、それがまるまる小売り店の利益ということではないわけでございます。大体、日用品の価格体系上のマージンと申しますか、そういうようなものは、二五%から三〇%くらいが普通であると思います。それにさらにリベートというものが加わってくるわけでございます。  いずれにいたしましても、公正取引委員会といたしましては、その他の日用品と比べまして非常に過大であるとか、あるいは化粧品、医薬品、同種の商品に比べまして著しく過大であるとか、そういうようなマージン、リベートの場合には、これを適正なところまで改善をさせようということで指導しておるわけでございます。
  163. 大出俊

    ○大出委員 そういうのんきなことを言っているから、物価というものは押えようがない。大体皆さんは、物を生産した場合の原価なんというものをお調べになったことがありますか。自分の足で歩いてみてですよ。私は国会に出てくる前に総評の副議長を長くやっていましたが、物価対策委員会をこしらえて、私が委員長を三年もやっておりまして、自分でパリからセイロンあたりまで行って調べてみた。生産原価なんというものを的確につかめなければ、公正取引委員会の仕事はできませんよ。何が公正かという基準なんだから。いまは暴利取り締まりといっている。暴利とは何だ。いまの世の中は、十円のものを千円で売ってもいいことになっている。昔から考えればそんなべらぼうなことがあるかというんだけれども、その会社の専務に言わせれば、世の中の方々が千円の価値があると思って買ってくれるのだから暴利ではない、こういう理屈なんです。公正取引委員会は、そこのところはもう少しはっきりしてくれぬと困る。  商社の問題だってそうです。あなたのほうはこういうことになっている。あなたのところは本来独占禁止法の番人ですよ。そこで、公正かつ自由な競争が行なわれるような産業界の監視が必要なんでしょう、あなたのところは。そこで、公正かつ自由な競争という目的に反する独占価格や寡占価格の形成を防止する、それを防ぐ。独占価格や寡占価格は公正な取引を阻害するんだから、それを防ぐ、これがこの法律のねらいでしょう。ところが現に独占価格も寡占価格も存在しているのだ。だれの目にも明らかですよ。ここにおいでの皆さん方はほとんど知っている。寡占価格あり独占価格あり。ところが、あなた方の態度というのは、その場合に、寡占価格が成立をする、独占価格が成立をする過程の中で協定がなされた、その事実があったかどうかということがすべていま中心になっている。現に寡占価格が存在をし、独占価格が存在をしても、その寡占価格、独占価格の形成過程に証拠が立証されなければ、あなた方は手を出さない。これが公正取引委員会のやり方でしょう。それじゃ、やみで行なわれた協定価格というものは幾らもあるけれども、一体どうすればいいんだということになる。  この間私は、チョコレートの建て値の話をいたしました。あとで通産省の方々が、私がこしらえてあげたボランタリーチェーンのお菓子の小売り店の代表に会いたいということで、理事長以下十六日にお会いになった。たいへん親切にしてやっていただいて感謝しているのですけれども、まず通産省中小企業庁の担当の総務課の方々に建て値がわからない。いや、先生驚きましたというのですが、建て値の説明からしてきた。建て値とは何か。何年も何年も二十円売りのチョコレートが六十個一つのボール箱に入って九百円。森永、明治、不二屋、グリコ、五番目が長崎屋。中小はあと六十ぐらいあるけれども、裏長屋で箱に詰めて駄菓子屋に出しているが、ものの数じゃない。森永、明治、不二家、グリコ、長崎屋は、二十円のを六十入りで九百円という建て値を長年維持してきた。そんなに簡単にどこの会社も九百円で押しつけていられやしない。ましてココアパウダーが自由化されて、キロ七百円の原料が五百四十三円に下がって、過当競争をたいへんやった。それでも九百円を維持している。これはやり方は幾つでもある。そういうことについては明確な寡占価格です。だけれども、あなた方はそれに手を入れようとしない。  ただ、カメラの例にほめ合い会というのがありますね。あなた方は、どういう風の吹き回しか知らぬが、おやりになったことがある。これは東京で、日本写真機工業会、ここでキャノンのキャノネットができるときです。キャノネットをほめ合い会に持っていって、一点部品を初めから説明した。いや、いいカメラおつくりになりましたね、キャノンさんというわけで一生懸命ほめた。それで、単価を積算していくと相当な価格になりましょう、幾らぐらいでなければ売れないでしょう、みんなの意見が。そこでキャノンは困った。これは協定価格をこしらえる方法だったわけだ。お互いそういうことで値をそろえた。競争原理をうまく使おうとした。ところがキャノンは、もっと大量生産しようと思ったから、いいカメラをつくったけれども、キャノネットはもっと安く売りたいやつを、みんな上げて低いのを認めない。内紛が起こった。あなた方はその内紛を探知したのだ。そして解散させたでしょう。例はある。だとすれば、もうちょっと公正取引委員会しっかりしてくださいよ。いかがですか。
  164. 三代川敏三郎

    ○三代川政府委員 お答えいたします。  ただいまカメラのほめ合い会の件御指摘でございました。それは私が当時審査長として取り上げましたものでございますが、たいへんなつかしい話でございます。そのほめ合いというふうなことが、一体はたして共同行為になるのかどうかという点につきまして、できるだけ広く広げて解釈して取り締まっていこうという意欲的な事件として、私も記憶に残っている問題でございます。私どもといたしましては、いつの場合でもそのようにできるだけ独禁法の運用をうまくいたしまして、経済事象に取り組んでいきたいと思っております。  ただ、最近の買い占めの問題というのは、どうも私ども、買い占めの段階で独禁法の射程の中に入ってくるということはむずかしいのではなかろうかという感じがいたしておりますが、絶対にそういうことはあり得ないということは考えられません。共同行為があるということもあり得ますから、厳重に調べております。そしてまた、最近のように、峠を越して下がってくるというときになりますと、早く売りに逃げてしまおうというものもおりましょうし、あるいは一緒になって何とかささえようとすることも考えられるかと思います。ですから、そういうようなことで独禁法の射程内に入ってくるような問題があれば、私ども、この問題についてはできるだけやっていきたい、そういうふうに考えております。
  165. 大出俊

    ○大出委員 ほめ合い会をおたくがおやりになったということならば、私も何か奇異なことになったわけでありますけれども、たいへん御苦労さまな話で、そういう形をどんどんやっていただければいい。長官おいでになりますけれども、つまり物価を下げていくという物価対策は幾つもございますが、ある意味で、制度的な意味での物価を押える役割りを果たすと私は思います。だから、疑わしきものであった場合に、それは立証がないからというのではなしに、明らかに寡占価格が存在するならば、なぜ存在するかということを、人も少ないでしょうけれども、経済企画庁に物価局をつくるなんということよりも、むしろ公正取引委員会をふやしたほうがよほどいい。あなた方のほうがそこらをみんなつかまえてくるんだから。のんきに机でプランを練っている人たちがいたってしようがない。  だからそういう意味で、たとえば商社にしても、ここに総合商社年鑑がございますよ。克明にお読みいただけばわかるんだけれども、木材単価でも商社は明らかに共同行為をやっている。東カリマンタンに森林開発株式会社をこしらえた。何をやったかといえば、森林を立ち木のままで買った。私は林野庁長官に電話をかけて、木材の買い占めがあったのではないかと言ったら、そんなでっかいもの倉庫に入れられませんよ。入れられませんといっても、森林を立ち木のまま買ってしまえば、でっかい倉庫でしょう。その間に共同行為がなければお互いにまとまらぬのだから、四十二年の損したこともあるんだから、そういうところはもうちょっと、公正取引委員会がないのならいい、あるんだから、考えていただかなければならぬ、こう私は思います。  そこで、次に承りたいのですが、まず原価、これを公正取引委員会はどこかで明らかにさせる努力をしなければいけない。はたして公正な取引であるかどうかわからぬのですから、理屈はどうでもつけられるんだから。  そこで、幾つか例を申し上げますが、ここに私きょう、なくなったのかと思ったらまだ売っているが、ハイシーAというのがある。テレビなんかでさんざん、しみがとれます、そばかすもとれますという黄色い丸いやつ。私の娘まで飲んでいる。調べてみたらこういうことなんです。中身は、ビタミンC五百ミリグラム、パントテン酸カルシウム十ミリグラム、ビタミンB6一ミリグラム、ビオチン十マイクログラム、こうなっている。ところが、これは主成分はビタミンCなんです。ビタミンCというのは幾らだ。そうすると、国内業者の取引相場はわかるわけだが、五百グラム千円なんです。輸出価格でいくと百三十万キロで十一億円。これを計算いたしますとどういうことになるかというと、一グラム二円。ところが、一グラムというビタミンCは、人間の体内の再生産に必要なビタミン摂取量の三年分あるのです。そうでしょう。こんなものをどんなによけい使ったって、それこそ一銭にもならないような入れ方。ほかのものは、そうなると、生産過程をどう考えたって、これは一円以下でできますよ。そうでしょう。それを幾らで一体売っているんです。一錠十五円ですよ。大体、いま幾らよけいかかるといったって、ほかのほうのやつを少し多く計算してみても二円ですよ。二円のものを十五円で売っている。二円のもので、そばかすはとれもしなければ、しみもなくなりゃしませんよ。ばかばかしい話。そうでしょう。さすがにどこかがものを言ったでしょう誇大広告で。最近あまりやらなくなったけれども、ハイシー、ハイシーといってやった。売ってないかと思ったら、まだ薬局で売っている。国会の議員会館で聞いてみたらちゃんとある。こういうことをなぜいつまでもほっておくんです。武田製薬のリポビタン、あれは一個十六円ですよ。リポビタンもパンビタンもみんな売っているのだ。ところが、あれを調べてみると、何とこれまた原価一円以内。十六倍ですよ。タケダ、タケダ、タケダなんて言っていて、十六倍で売られているのですから。これは、さっきもどなたかの筆法によれば、これは表街道であって、宣伝費もかかる、何も要るだろうと言っている。それにしても十六倍という手はない。そうすると、そこらのところは、あなたのほうも考えなければ。  それはジョニーウォーカーだって、ここにありますが、中身は三十円だ。早い話が、深山幽谷でオークの木のたるかなんかでこくこくと、なんていっているのだから、冗談じゃないですよ。それはそうでしょう、きまっているのですよ。特級酒というのは、原酒三〇%ないし四五%入っていなければ特級酒じゃないのです。一級酒というのは原酒が七%から一五%まで、二級酒が原酒五%以下、こうなっているのです。高いものですがね、中身というのが三十円。こういうことを放任してはいけないのです。これは公正取引委員会の仕事ですよ。  だからごらんなさい。私のほうの社会党の宣伝をするわけじゃないけれども、ハイムという化粧品がある。あれはいまだに百円ですよ。いまスーパーなんかでもハイムを売っているのですよ。こんな古い私の資料の中にもハイムがある。始めて十年か九年かたってもいまだに百円で売っている。いまだに百円で売って五円もうかる。基礎化粧品全部ありますよ。これは原価は、うちでやっているのだから公表できるのですが、原料代が十一円十銭。クリームだって、それはいろいろありますが、みんなこれは原料十一円十銭、製造代が十五円、びん代が八円、プリント代が六円、その他の一切がっさいの諸雑費が十四円九十銭、合計五十五円、これで始めたのです。ハイムというのは一本百円で売った。それでも四十五円もうかっている。ところが、ずっとやって値上がり値上がりで、百円で押えてきましたから最近は苦しい。それでも百円で売れる、こういうわけです。  そこで、化粧品というものを調べてみたら、女の人というのはばかなもので、これは原料はみんな一緒なんですよ。ほとんど輸入なんだからみんな一緒。それを端から並べて、三千円、二千円、千円、五百円なんていって、デラックスなムードで売る。そうすると、女の人は端から、いいものだ、きれいだとながめて、五百円のを買って三千円の化粧品をつけているつもりになっている。それでもうけているんだから、公正取引委員会がそこで黙っていてはいけない。ハイムを百円で売ると、こういうものは顔がおかしくなりはせぬかというので足につけた、足はだいじょうぶだ、手につけた、手もだいじょうぶだ、だからいよいよ顔につけた、こうでしょう。だから、あなた方はそれをやはりもうちょっと考えてくれなければ、公正取引委員会じゃないじゃないですか。いかがですか。
  166. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 化粧品とか、あるいは医薬品の原価の話でございますが、これはいずれも再販商品でございます。それで公正取引委員会が、一昨年の十二月時点におきまして、化粧品とか医薬品の損益計算の状況を調べておりますが、それによりますと、確かに、一般の製造業あるいは化学工業、この売り上げ原価に比べまして、ずっと原価は低いわけでございます。数字的に申し上げますと、化粧品が四二・一%、医薬品は四三・二%でございまして、製造業は、四十六年度におきまして、売り上げ原価が八一%、化学工業が七一・七%というふうになっておるわけでございます。  これは、なぜこういうふうになっておるかと申しますと、結局、販売費あるいは一般管理費が、化粧品、医薬品についてウエートが高いわけでございまして、その販売費の中でも、広告宣伝費とかあるいは販売促進費が多くかかっておるからでございます。先ほども申し上げましたように、過大なマージン、リベートを是正していきますと同時に、一方で、流通段階におきますいろいろな諸経費、これも過大であるものを是正をさせよう。化粧品でいえば美容部員とか、あるいは薬でいえば販売部員の経費とか、それから景品とかサンプル、こういうようなものまで含めまして過大なものを是正させようということで、昨年から個別指導をやっておるわけでございます。
  167. 大出俊

    ○大出委員 これは長官、私はずいぶん長らく物価をやってまいりましたが、ここのところ、どうもほかのが忙しいものですから手を放しておりますけれども、どこから考えても、やっぱり製品の原価というものは国民が納得し得るようにしてあげなければ、これは正しい商取引ではない。べらぼうにかせいで平気でいるということではいけない。商社が最近たたかれる理由というのは、自由経済の中でもうけるのはかってだということじゃやっぱりいけないということなんですから、形が大きかろうと小さかろうと、まずいものはまずい。だから、そういう意味で、一つは、原価というものは何らかの形で表示をさせる。そうすれば、そんなにむちゃくちゃにとれやしない。いま公正取引委員会がおっしゃるその資料を私いただきたいのですが、経費がかかるんならかかってもいい。これこれこういう経費がかかるのだ、なるほど、これは原価はこれだけでもこんなにかかるのか、それじゃしようがないと国民が納得すればいいのです。なぜこんなにこの費用がかかるのか。それはいまおっしゃるように、不当な宣伝をするからだというんなら、それは押えればいいのですから。だから、三十七年法でございましょうか、不当景品類及び不当表示防止法をおつくりになったでしょう。そうでしょう。景品なんかは一万円以下に切るとか、おやりになった。だから、そういうふうにしていけばいい。  したがって、薬なら薬という面をとらえても、これは厚生省の方々は所管のうちにある。やる気なら、一体どのくらいのことになっているかおわかりになる。通産省だって、自分の分野でいろいろな問題をお持ちになっているから、協力してやろうということならできないことはない。農林省だって、木材の話などしましたが、やろうと思ったらおできになるはずだ。ところが、世の中が大きな騒ぎになって、初めて需要を含めて、あるいは需給関係を含めてどうなっているのか調査します、そんなふざけた話はない。  実は私、この新聞を読んだ。この新聞記事を見ましたら、八代将軍吉宗公のことが書いてある、経済企画庁の記事の中に。お読みになったかどうか知りませんけれども、何だ、大騒ぎして物価局をつくる、こういうわけです。ところで、八代将軍吉宗が、どんどん物価が上がってしようがないんで、何とか物価対策のいい知恵を出せというので命令した。そうしたら、大岡越前守が献策したというところから書いてある。これはいまに始まったんじゃないんですね。物価の高いのを押えるのを、どうしたらいいかということは。  だから、この辺で長官に承りたいのは、何とか原価というものをつかまえる。そして、国民の納得し得るような、つまり流通過程その他を含めてものの考え方を持つ、それは総合的に企画庁がやるべきなんだ、こういう立場に実は立ってもらいたい。関係各省の方々がおいでになりますから、そういう意味で、物価という問題を中心に、何があってもこれは何とかしなければならぬ。国民生活のポイントですから。先ほど来秋は、公正取引委員会の方々を相手に、厚生省の所管であるもの、あるいはその他の省の所管であるものに触れましたが、ぜひひとつ各省の関係の方にあわせてお考えを承っておきたい。
  168. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 たいへん示唆に富むお話を承りましたのですが、いま原価から出ている考え方というのは、生産費所得補償方式というのをやっている米価ではないかと思うのであります。ところが、これが特殊な、それこそ世界で非常に高いところの価格になっているわけであります。そしてまた、その性格から、かなり政治的な見方をしなければならぬ商品だと思うのであります。他のものについては、むしろ市場メカニズムといいますか、競争原理から妥当のところにきまる、そういうふうなやり方をしているわけでございまして、この原価についてどうかというと、再販価格のようなものについて、それが妥当であるかどうかというようなことからいろいろ原価の問題が出ているわけで、他の点については、日本のいわゆる物価政策の中であまり取り上げられておらない部面のように思いまして、その点で、非常に私は啓示に富む御意見だと承っているわけであります。十分また研究させていただきます。  それから、大岡越前守の話も出ましたけれども、あれは、私も実はそういうことを大いに研究したいと思っておるのですが、全体の物量を非常に重く見ているのでございますね。やはり東京の——物価の美濃部さんがいるわけですけれども、東京の全体の、たとえば野菜の消費がどうであるとか、あるいは肉の消費がどうであるとか、そういう物の動きをつかんでないで、ただ高いとかというふうに言っているわけで、供給をどうするかということも全般に見直さなければならぬのではないかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、物価問題に対しまして、いままでは、足りないからつくればいいんだという考え方で戦後やってまいりましたのは一つの転機に来たと思いますわけで、十分検討させていただきたいと思います。  ただ、最後に一つお願いでございますが、そういうことの面からも、私は機構としては、三十三名なんというのははなはだ貧弱な機構でございまして、まことにもの足りないのでございますが、全体の調整からやむを得ないと思います。ぜひひとつ、大出委員の御見識にたよりまして、物価局をお認め願いまして、これをいいものに育ていくようにお願い申し上げたいと思っている次第でございます。
  169. 大出俊

    ○大出委員 私は、一番冒頭に申し上げた、牛肉なんというものは方法がないじゃないのです、あるじゃないかということを言っているので、予算委員会ならすわったきり動きはしませんが、自分の委員会ですから、そういうことで長引かせては皆さんに申しわけないからがまんしているのですが、これは長官、わからぬで済む筋合いじゃない。やれるだけやっておかなければならぬのだから。先ほど冒頭に申し上げた輸入の牛などの問題は、ほんとうに真剣に調べてくださいよ。そうして直してくださいよ。納得しかねる問題があり、それを何とかすれば何とかなると思われるのに、そういう姿勢にならないということでは困る問題で、これははっきりしておいていただけませんですか。
  170. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 今日、関税収入というものは、実は国家財政の中におけるそれほど大きな歳入ではないわけでございまして、いろいろな関係で肉の場合はああいう二五%というような高い関税をかけているわけですが、それに加えまして、調整金ですか、課徴金ですか、そういうものがあるわけで、この使途等について明快な分析をしていただきまして、私も、はなはだお恥ずかしいですが、初めて承りました。しかし、承りますと、どうしてもこれはよくトレースしてみなければいかぬという気がいたしますので、できるだけのことをしたいと思っております。
  171. 大出俊

    ○大出委員 ぜひそれはお願いしたいと思います。  そこで、もう一つの問題は流通経路なんですね。これは予算委員会で長官がお答えになっております、北山氏の質問を聞いておりましたら。ただ、これもそう簡単じゃないですね。  実は、愛知県の渥美半島には渥美キャベツというわせキャベツがありますが、これは東京に向かってのぼってくる。そして隣の町まで帰りまして、そこで売られている。荒舩さんの秩父じゃないけれども、秩父キュウリというものが神田市場に出てきている。出てきてまた秩父まで行って三倍で売られている。自分のところのキュウリが、東京まで旅行して帰ってきて三倍の価格で売られる。それを買っていたのではどうにもならぬ。流通システムのなせるわざですよ。レタス、セロリというものは長野県が主産地です。御存じでしょう、あなたは長野県だから。あのレタス、セロリがどういうふうになっているかというと、御存じのとおりだけれども、神田市場まで出てきて東北に行くのです。あなた東北に行くのに、わざわざ神田まで来て東北に行きますか。裏日本を通って行く。そうでしょう。これは遠くに運べば引き荷料という料金を取られるのです。荷いたみはひどい。三角形の二辺は他の一辺より長い、きまっているのです。そうでしょう。そんなばかみたいなことを平気でやらせているでしょう。これをやはり何とかしなければ消費者はたまったものではない、現実の問題として。  なぜかといえば、荷受けに問題があるのです。出荷団体にすれば、一括荷受けできなければ採算を頭にはじきますから、しようがないから、そこに出荷団体は全部出荷する。そこから引くんだ。引き荷料を含めてえらい高いものを食べさせられる。たいへん鮮度の落ちるものを食べることになる。なぜそういうことをいつまでもほっておかなければならぬのかということになる。そうでしょう。またあなたは、いま需給の関係で言うけれども、必ずしもそれだけじゃない。北海道からジャガイモを袋に入れて持ってきて、ある市場の場合は、万博があるからというので、そっくり同系同社の倉庫に入れて市場にまた再上場。ジャガイモは腐らないから、値上がりしてたいへんなかせぎ方をしている。そういうことをやっていたのじゃだめです。だから物が全くないのじゃない。ある場合に上がっている場合がたくさんある。せりそのものだってそうです。ただ、時間がかかるからこの辺にしますけれども、やはりそこのところは真剣に皆さんのほうで考えなければ……。  私は、パリのいわゆるレ・アールなんかに行って調べてみた。英国式の方法をとっているセイロンまで行ってみると、バンダラナイケが殺されて、その奥さんがやっている時代です。あそこはフリーマーケットがたくさんある。そのまん中に半官半民でやっているコオペラティブシステム、協同組合システムでやっている。ヒープルバンクという銀行をつくって金を入れているわけです。一般の自由マーケットの製品の価格が上がると、ピープルバンクから金を出して、現地から直接仕入れて、そうして協同組合市場に落とすわけです。これは安いのだから、中間が省けているのだから、半官半民なんだから。そうすると全体の価格が下がってくる。これは英国の影響下にある国だからそういう方式をとっている。  だから、やはり日本の場合だって、流通というのは経済の暗黒大陸だ、しかたがないといってほっぽっていたのでは、物価局をつくろう、これだけをお認めくださいといっても意味がない。何かこういうふうにしたいという構想が皆さんにあって、かくて物価局をつくるというなら私はわかりますよ。これだけ質問しているけれども、あなた方のほうで、いまこういう物価対策をやりたいから物価局をつくりたいのだというお話は一つも出てこない。そうなると、新聞が書いているように、国土総合開発のほうにみんな持っていかれるから、見返りに長官が泣きついた。しまいには幹事長のところまで出かけていって泣きついた。結果として二十名のところがわずかふえて三十何人かになる。総合開発局がかつて九十何人おられましたが、この中から開発局に八十七名行くのだ。さっき申し上げたように、これだけ大きなウエートを持っている唯一の行政の人員というのは、全部で五百五十三名おる。五百五十三名の中の九十六人ですよ、この総合開発局は。そうでしょう。これがそっくり行っちゃったら経済企画庁はなくなったということになる。官僚諸君の知恵としては何とかしなければならぬことになる。それじゃひとつこの際物価局をつくって、ときあたかも物価問題がたいへん問題になっているから通りやすい、などということでつくられたのじゃ意味がないのですよ。そうでしょう。そうではなくて、かくかくしかじかの物価対策をやりたいから、国民皆さんにこう明らかにしたいから、原価の問題は原価の問題でつかまえたいから、あるいは流通なら流通を総合調整してこうやりたいから、芝浦屠場というのは市場じゃないと申し上げましたが、かつてあそこから、肉切りぼうちょうでもっておどされた畜産局長さんだっているのだし、何とか手をつけようとすればおかしなことになる。確かにそれはあるけれども、やっぱり国民ということになってくるとすれば、変えるべきものは変えなければいけないのですよ。だから、そこいらがないままに言われてみても、これはだめだ、こう私は思うので、一体物価局をつくってどういうふうにして物価を押えようとするのか、抽象的ではなくて承りたいから具体的にものを言っているのですけれども、いかがでございますか。
  172. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 おっしゃるように、今日の行政組織というのは縦割りでございますわけで、物価というのは全般の経済政策の結果に関連するものですが、それを見ていく役所がないわけでございます。で、経済企画庁としては一応それをやっていることになっておりまするが、企画庁の中にそれ専門のものはない。そこで、それをやりますためには局を持って、しかも原局、主務省でございますね、農林、通産、そういうものに対して考える以上、もっと、どうなっていますかという質問を自由にでき、その結果をトレースできるような、そうした権限を持ちたいということでございます。  それからもう一つ、さっきちょっと触れましたような物流関係、物の流通関係について、もっとしっかりしたものを持って調査をする必要があると思います。それから、一体その価格がどうなっているかということを、あるいはまた、将来どうなるであろうかということを、電子計算機ではじくような一つのモデルをつくりたいという考えを持っておるわけであります。そういうのは、実はいま国民生活局の中に物価政策課というのがございまして、二十人の人でやっておりますが、実はたいへんな忙しさでございまして、ここに局長がおりますが、この人はからだがじょうぶで、肉を食わないでもやっておられるわけでありますが、(笑声)毎日十時過ぎまでほんとうのところやっておるわけでございまして、これじゃほんとうに一番大事な物価が、なかなか機構、人員等の点でうまくいかないんじゃないかというふうにおそれているわけでございまして、そういう点を勘案してひとつお願いしたいと思います。
  173. 大出俊

    ○大出委員 そこまでのお考えなら、具体的に数点承って終わりたいと思うのでありますが、非常にこれまた重要な問題でございまして、一つは、北海道の乳牛をやっているところで、生産規模を拡大するということで、乳をとる牛、そして大規模開発というので一千万円をこえる借り入れ金をみんな借りた。それでやってきた。ところが、いま食うのに精一ぱいでパンク寸前で、乳が出ている牛を屠殺している。乳牛の中で六割。枯れている牛じゃない、故障牛でもない、全部搾乳できる牛、これが現状です。なぜかというと、つまり原乳、しぼった乳を、これも公正取引委員会も少し考えてもらわなければ困るんだけれども、ある意味で買い入れるほうが独占化しているわけですね。そこしか売るところがない。そこで三年間でキロ当たり一円九十六銭しか上がっていない。だからキロ四十五円四十八銭、全くこれは超低廉な値段ですね。にもかかわらず、団地牛乳まで含めて牛乳はかくのごとく上がる。さっきも家計費のところで申し上げましたから言いませんが、こんなべらぼうな、アンバランスな、ふざけた話はない。  そこで、何をやっておるかというと、とたんに昨年の十、十一、十二月、この三カ月間に商社その他が入ってまいりまして、買い取り人、つまり牛を売ってくれという商人ですね。この数が部落の中に次々ふえてきた。場所は北海道の厚岸郡太田主畜農協同組合、斉藤昇さんという方が組合長、この管内の例がここにありますが、この家畜商の姿が急にふえてきた。最初のうちは、老廃牛や乳の出なくなった牛、あるいは事故の牛を買っていた。だんだん成牛まで買い占めてきた。手放す気はないのだけれども、苦しさのあまりつい手放すということで成牛は買われていった。さっきも申し上げたように、拡大のためにたいへんに借金が多い、食えない、肉になることはわかっていて売り始めた。そして十、十、十二月だいぶ買い占めた。ところが、さて一月以降になると、これは家畜商にしてやられた。肉の価格がどんどん上がったわけです。さっき私は昨年の十一月と一、二月の比較をいたしましたが、安いところで手放してしまった。これは泣くに泣けないわけですね。こういうことになっているのに、片一方では皆さんのところの牛乳が上がる。こういうふざけたことがある。これは国内のことですよ。遠い外国の話じゃない。これじゃ酪農の中心である北海道がおかしくなってしまいますよ。こういうことを放任するとは一体何だ、一体日本には政府はないのかと言いたくなる。昨年の乳の売り上げは約九百万円、そして七百万円の借り入れ金の元金を払って、生産費を払って、十一人家族で百四十万円の生活費を引くと売り上げの八%に当たる七十万円の赤字が出た。この赤字は借金として毎年積み上げられる傾向にある。拡大のための農機械だとか畜舎だとかその償却費は入っていない。これでも私の経営はまだいいほうですと鈴木さんは語る、こう書いてある。これでもまだいいほうならば、もうやっていけない乳牛農家というものは一体どれだけあるかわからない。屠殺されている牛が六割が乳がしぼれる牛であったのでは、日本という国の規模から見てこんな大きな損失はない。御存じでございますか、いまの話。
  174. 下浦静平

    ○下浦説明員 いままでの先生の具体的な事例につきましては承知をいたしておりませんが、一般的に申し上げまして、ここ二、三年ほど、四十五年の夏ごろからでございますが、生乳生産伸び悩みあるいは牛乳消費の伸び悩みという現象が出てまいりまして、それと牛肉価格がかなりよろしいという現象とからみまして、乳牛頭数の減少というような傾向が見られるということはあるわけでございます。したがいまして、本年度、四十八年度の加工原料乳の保証価格につきましては、その辺の事情もよく踏まえまして、一キロ当たり三円三銭の値上げということにいたした次第でございます。  なお、私どもも、北海道の酪農につきましては、かなり多頭化も進んでまいりましたし、草資源その他の観点から申しましても、今後日本の酪農のかなりのウエートをになうべきものであるという認識は持っておりますので、今後とも酪農振興につきましては、遺憾のないようにしてまいりたいと思います。
  175. 大出俊

    ○大出委員 そういうことを言っておられるから遠回り物価対策になってしまうんですね。さっき大岡越前守の話が出ましたが、これは学習院大学の教授である大石慎三郎さんが言っておられることなんですが、物価、こういう問題の研究家なんですが、八代将軍吉宗公が、物価が上がる、しようがないので江戸市中の物価上昇を何とか押えたい、至急対策を立てよと命じた。それで大岡越前守が対策を立てて意見書を出した。それは、江戸湾に関所をつくって、まず東京はおれのところでやる、大阪の奉行も大阪でやってくれ、そして物流関係を全部洗う。そして江戸と大阪の物価を押えれば全国的におさまるという建白をした。採用されてやったのです。いま皆さんがやっていることはそこまでもいってないのだ。こんなに世の中大騒ぎになって、初めてこれから腰をあげて調査しましょうとか、これから経済企画庁に物価局を新設いたしましょうとか、肉も食わぬで元気な局長がやりますとか、そんなことを言っているうちに、北海道の酪農家はだめになってしまいますよ。何とかする気はないのですか。  もう一ぺん言いますが、三年間でキロ当たり一円九十六銭しか原乳の買い入れ価格が上がってない。キロ四十五円四十八銭、しぼるほどかさむ借金だというわけです。各農家のおのおの一千万くらいの借金をして規模を拡大した。してくれなければ困るのだ、牛乳が上がるから。消費者の段階からすればそうでしょう。ところが、飼料も上がる、肥料も上がるということでかさむばかり。原乳の買い入れ価格はさっぱり上げてくれないから、したがって肉にして売るより手がない。それでも借金が返せない。だからこの農家の場合、鈴木さんという方は昨年の売り上げは約九百万円。その乳の売り上げの九百万円から七百万円元利を払って、生産費を払って、十一人家族の百四十万円の生活費を引くと、売り上げの八%に当たる七十万円の赤字が出た。借金として積み上げられていくことになる。百万円もあれば生活ができるんだがなと言って嘆いている。十一家族で百万円で生活していこうというわけですよ、一年間で。そういう状態になっていて、しかもこれは欠かせない北海道の中心地です。北海道の厚岸郡の周辺ですよ。こういうのは北海道の方々にございます。いま鈴木さんのを申し上げたのは根室地区ですけれども、方々に酪農地区があるのです。根室地区の例をいま申しましたが、これはほんとうに捨てておけないですよね。だからこれは、何とか皆さんのほうで手は打てないですか。これはいかがでございますか。
  176. 下浦静平

    ○下浦説明員 多頭化が進みますとともに、それに伴いまして資本投下もかなりかさむということでございまして、確かに負債問題があるように存じております。したがいまして、先ほども申し上げましたように、先生御指摘の三年間で一円九十六銭という加工原料乳の保証価格につきましては、本年度は三円三銭のアップということにいたしたわけでございますが、それとあわせまして、北海道につきましては、特に酪農関係で負債の低利資金への借りかえをいたそうということで、二年間に百五十億円のワクをもちましてそのような措置をとってまいりたい、こういう考えでおります。
  177. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係がありますから、あと三点ばかりでおしまいにいたしますか、もう一点承りたいのは紙なんです。  横浜の印刷業者の方々に紙がないのですよ。至るところないのです。ケント紙も全くないのです。大学ノートも、どうも三八ページくらいに減らしているのです。紙がない。上がっている。どうにもならない。まさに紙が神隠しにあった。ないのです。この原因は一体何でございますか。一ぺん紙をお調べいただきたいですね。時間がもったいないからさっき資料を要求いたしましたが、また片をつけて、上げるときにでも聞かしていただきます。  御存じない方に申し上げてもしようがないのですけれども、こういうことですよ。去年あたりまで上質紙がキロ当たり九十六円、百円を切っていた。ところが、最近は上質紙はキロ当たり百三十円に上がっている。値上げの足取りを追うと、百五十円くらいまでは間もなくいってしまう。だから一回こっきりの注文主にはお断わりをしている。また高い金を取っても、一回の場合ならやっていける。ところが、年百年じゅうのお得意さんに、上がったからといって、それぞれ予算が組まれている、官庁なんかもそうですが、だからそれだけよけいいただきますとは言えぬというわけです。そうなるとどうしても身銭を切ってしまう。それでも今度はあればいい。ない。紙が入手できるほうはまだいい。至るところそうですよ。私の事務所でやってもらっている印刷屋さんなんかもそうなんです。ない。こういう現状に対して、これは印刷業の組合が、紙の関係商事や製紙メーカー、神奈川県内の紙の販売業者と会合を持った。それで窮状を訴えた。お得意さんへは、値上げのビラその他を御理解していただくために配っている。しかし、いずれにしても紙のない現状、紙の神隠しと同じだ。まさにお手あげだ。ところが、これはどこも、政府も何もしてくれようとはしない。大学ノートを製造しているところが、五〇ページあったものを三八ページに下げている。だから、五〇ページあると思って買ったら三八ページに減っている。実はこういう実情になっている。これはデパートの包装紙や何かみんな減ってきているのですよ。小さくなっている。一般商店なんというのはみな切って使っているのですよ。そういうことになってきているのに、これは何ら手を打たないという手は、それこそないだろうと私は思うのですね。いかがですか、これは。いま物価局はまだできていないけれども、いままで物価をやってきているところはあったのでしょう。皆さんのところにはないの。
  178. 小島英敏

    ○小島政府委員 私ども、三月の東京の物価が一年前に比べてどのくらい上がっているかということを調べたときに、平均は九なんですけれども、物資別に二割、三割上がっているものがありますが、どんどん値上がりしているものはリストアップしましたが、紙は遺憾ながらその中には入っていなかったわけであります。そこで、どうもそういう事態はあまり認識しておりませんので申しわけございませんでした。通産省のほうに連絡いたしまして検討いたします。
  179. 大出俊

    ○大出委員 それじゃひとつ認識してくださいよ。この間、林野庁の皆さんに、箱根物産の問題を私は取り上げた、木材のたいへんな上昇で。箱根物産というのは、小田原を中心にして四百三十社あるのですよ。箱根のみやげものその他をつくっている。箱であるとか、パイプであるとか、皆さん行くとちょいちょいお買いになるものです。これが四百三十社ある。室内装飾品、箱もの、こけし、木製洋食器、おもちゃなど、年間生産額は約七十九億円あるのです。このうち二十億円が輸出されているのです。アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、これが市場です。  ところが、材料がケヤキ、ナラ、ホウ、ブナ、ミズキ、これらのものは東北地方が原産地なんですね。ところが、これが全部上がってしまって、ケヤキなんというものは去年の夏一石、三十三センチ角、長さ三・三メートル、これは一万八千円くらいだったのですね。これが大体四万円です。だからそうなると、これはどうにもならぬというので代替材を考えようというので、クリだとか、ケンボナシだとか、センだとか、桜だとか、シオジだとかを使って試作してみたが、どうしてもものにならぬ。商品化ができない。これは一体どうしてくれるのだということなんです。この間私、ちょっと承ろうと思ったら全くわからぬというわけです。これはそう言ったって現実はあるのですから、おわかりにならぬというのだが、あわせてひとつ答えてくださいよ。日にちがたったのだから。
  180. 福田省一

    ○福田政府委員 お答えいたします。  先般、私も御指摘受けまして、さっそく調査したのでございますが、いろいろ細工をなさっている業者は、家庭工業を入れまして確かに四百軒以上ございます。この前、先生から、箱根近辺には相当木があるから、それを切って出したらどうかと言われたのですが、実は箱根は、御承知だと思いますが、国立公園になっておりまして、鳥類その他動物を保存する禁伐林になっております。あの管内は平塚営林署でございますが、平塚営林署では、ちょっとむずかしいということでございますから、近辺の前橋の営林署、あるいは秋田、青森管内、これは昔薪炭を焼いておりまして、相当いい材がございます。その中から選び出して供給したいと思いまして、現在、神奈川県の商工部工業振興課のほうに相談しているのですが、四百軒に一々営林署が契約するのはたいへんでございますから、ひとつ荷受け組合のようなものをつくって、その上で供給するような体制を購じたい、かように考えております。
  181. 大出俊

    ○大出委員 これは私ども調べたのですが、関係のところございますので、ぜひひとつ連絡をとっていただきたい。この窮状はおわかりになったでしょう。私が申し上げたとおりでございましょう。違いますか。
  182. 福田省一

    ○福田政府委員 十分承知しておりますので、さっそくその実現に努力したいと思います。
  183. 大出俊

    ○大出委員 地場産業で、こういうようにほんとうに集団的に困っているところに何とか手を当てて、生活できるようにしてあげてください。これは政党政派の問題じゃありませんから、私のほうも連絡が必要ならいたします。したがってこれはお願いしたいと思います。  それからもう一つ、同じ地場産業で、スカーフの業界が特に横浜にたくさんございます。スカーフは女の方が首に巻く品物でございまして、これはたいへん盛んにやっておりましたが、いま実は深刻な状況にあります。半数はおそらく廃業をしなければならぬのではないかというところにいま来ております。  そこで、どういうことになっているかといいますと、スカーフというのは、昭和四十五年には百二十五億三千七百六十七万円の輸出額があって、たいへんな外貨をかせいでいた。ところが、昭和四十六年の円切り上げで非常に落ち込んだ。なぜかといいますと、香港だとか東南アジアとの競争になってまいります。そして、去年の輸出の総額は約八十九億八千六百七十万円に落ちた。そして今度はアメリカがドルを切り下げた。さあどうにもならぬというような現状であります。  このスカーフ業界というのは、横浜だけで現在日本のスカーフ業界の九〇%を占めております。おもに米国に輸出しています。生産構造は、製造業、捺染業、これが中心です。それに輸出の商社、各種関連下請業者など九種類の業界からなっております。まず商社が、製造業者を通じて指定図柄をデザイナーに作成させる。原反、もとの反物の仕入れ、捺染を委託する。製造業者はこの委託に基づいて捺染業に発注する。捺染業者は捺染のりの調製だとか印捺乾燥だとか、模様をつけて乾燥する、そういう工程をやって、あとは水洗い業者、整理業者という方々がいて、水洗いをし、つや出しをし、仕上げる、こういう工程なんです。そして、でき上がったものは、今度はほとんど手内職でございまして、ふち縫い、巻き縫いなどをやる。しかもこの各業者は、従業員がおおむね二十人くらいのところが七〇%を占めている零細企業です。零細企業の集団でございます。  そして、今回二つの問題があるのです。一つは、たとえば絹でやっているところなどは、中国産の輸入生地がたいへんに高くなるということでやりようがない。人絹を使わざるを得ないわけでありますが、そこらの原料の問題。それから、ドルの切り下げによってにっちもさっちもいかない。つまり香港、東南アジアと競争ができない。そして今度二〇%も円が切り上げられたら、これはまさに半数以上つぶれます。こういう円切り上げという問題は大蔵省ともからみますが、通産なり大蔵なりで、一体この辺はどういうふうに考えておられるのか承っておきたい。
  184. 額田毅也

    ○額田説明員 お答え申し上げます。  まず、先般、変動制に移行いたしましたあとの緊急中小企業対策といたしまして、御承知のようこ、政府関係の三機関、中小公庫、国民公庫、商工中金でございますが、それらに対しまして、前回は貸し出しワクは千五百億円の追加をいたしたわけでございますけれども、今回は二千二百億円の追加をいたしております。また融資条件も、前回は六・五%という特利でございましたが、今回は六・二%にいたしました。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 同時にまた、先ほどお話のございましたスカーフ、それから著名なものにクリスマス電球がございますが、こういう業界は前の借り入れ金が相当にあるので、その後新しい借り入れを受けることが困難であるということで、今度は、前回の融資の返済期限を一年以内延長するという措置をとって、まず返済期限の延長によって返済資金の負担を軽くし、同時に、新しい融資のためには、信用保証協会の保証限度を広げまして、担保がなくても信用保証協会の保証で借りられる、こういう体制をとったわけでございます。  その後、この緊急中小企業対策をやはり重点的なところに持っていかなければならないということで、御質問の横浜のスカーフは、約百十業種くらい指定いたしました中で、スカーフ、マフラーとしてその業種を指定いたしまして、現在緊急融資の対象になっておるわけでございます。前回はこの融資措置をとりまして、一カ月後に全国の中小企業者に対して六十億程度出しておりまして、全体としては千八百億出たわけでございますが、今回は貸し出しを促進いたしまして、三月十四日の閣議決定後三月末日までに、前回の倍の百三十億出しております。  御質問のスカーフ業界そのものの今後の問題につきましては、担当官庁が中小企業庁のほうでございますので、おそらく中小企業庁でその業界の今後についていろいろ検討されておると思いますが、聞き及んでおりますところでは、最近二度目のいわばドル・ショックを受けられたこの業界においての一番大きな問題は、やはり転換の問題であろうかと思います。将来ともに輸出に依存し得るところとそうでないところがございますが、おそらくスカーフ業界もその後者に入ろうかと思います。この緊急中小企業対策の資金は、御承知のように、滞貨、減産のみならず転換のためには融資することにいたしております。具体的な問題につきましては、県ないし中小企業庁に御相談いただき、われわれはその資金手当てに万全を期してまいりたい、こういうように考えております。
  185. 大出俊

    ○大出委員 変動相場制が続いておりますが、これはやがて、秋ごろまでにはどこかに落ちつくわけであります。そうなると円の切り上げ幅がはっきりきまってくるわけでありまして、おそらくどうにもならぬことになるだろうという見方を私もするのですけれども、では具体的にどうするのか、ここらあたりまで当然お考えいただきたいと私は思っているのですよ。きのうやきょうじゃないので、関係業種全部で十万人近くおるのですから、そういう集団的にあるもの、前に私が通産省に承ったときには、そういうおもちゃとか集団的にあるものに対しては、それなりの対策を立てるとおっしゃっておったのですが、そこらは、もう少し具体的な対策をお持ちじゃないのですか。
  186. 額田毅也

    ○額田説明員 具体的な業界の指導方針その他につきましては、通産省中小企業庁のほうが専門でございますので、お答えは控えさせていただきたいと思いますが、要は、今後どのように内需にスムーズに転換していくかということが問題かと思います。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕 内需転換の場合に問題になります金融面の措置といたしましては、まず一つは運転資金、そして内需転換のために設備をつくらなければなりませんが、その設備資金、これらにつきましては、いずれも政府三機関においてそのワクを持っておりますので、個々の業界の御要望に応じまして、できるだけ内需転換が円滑にいくように、われわれとしても努力してまいりたいと思っております。
  187. 大出俊

    ○大出委員 最後に長官に承りたいのですが、物価というのは、経済の基本政策をお立てになる通産省と根本的な面で直接関係していくというよりは、むしろそのものなんですね。経済企画庁がおやりになること自体、物価対策そのものといってもいいじゃないかと私は思うのです。たとえば、四十七年度経済運営とその見通しをお立てになる際に、あるいは四十八年度経済運営とその見通しをお立てになる際に、正式に言うと「昭和四十八年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」ですか、このときにすでに問題があるわけでありまして、四十八年度では卸売り物価二%、消費者物価五・五%上昇程度のことはやむを得まい。ときに一年もの定期の金利は五分二厘五毛でございましたから、それより高い消費者物価上昇もやむを得ないというのだから、ずいぶんふざけた話でございますけれども、しかし、そういう見通しをお立てになった。ところが勧告権をお持ちになっている。ただ、勧告権をお持ちになっているけれども、環境庁あたりは勧告権をお使いになったことがある。科学技術庁なんかも勧告権がありますが、一ぺんお使いになったことがある。経済企画庁は一ぺんもない。もっとも、お立てになった経済計画がころころ変わるのじゃ勧告もできないかもしれませんけれども、そこでその基本について、これは政策的に結果的にインフレになる、こういう傾向を持っていると思うのですが、これはそうお思いになりませんですか、小坂さん。
  188. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 大出委員御承知のように、わが国の戦後の財政を見てみますと、実は物価というものは当初は全然要素になっておらないと言っていいような扱いでございました。このごろになりまして、一応物価見通しを立てるというふうになってきたわけでございます。これはいま御指摘のように、むしろ物価のほうがあとからついていくということでございます。これはいろいろな点で問題がございますけれども、御承知のように、二月に国会のほうへ提出いたしました経済社会基本計画の中には、成長率と物価の先行きを一応想定しております。これはその点では非常に進歩であると言っていただきたいと思っておるわけでございます。ただ、これが変わったのではしようがないと言われれば、そのとおりでございます。私どもは何とかそれに追っつけるように持っていきたいと思っております。  まさに一月、二月、三月は異常な状況でございました。これは非常に困ったことといわざるを得ないわけでございますが、四十七年度については一応消費者物価五・三%の中におさまりましたし、それから卸売り物価が二・二%というのがちょっとずれまして三%ぐらいに上がっておりますが、まあまあでいっているわけでございます。これからひとつ財政、金融あるいは為替、そうしたものをいろいろ勘案いたしまして、何とか目標の中に入れようと考えているわけであります。  全体のトレンドとして、やはり物価というものを中心にものを考えていこうということになっておるわけでございまして、今度の七項目でも、第一番目に物価のことを考えまして、財政支出の時期の調整をしようじゃないか、鉄なりセメントなりというものは非常に高騰している、それに影響を及ぼすような公共事業の支出というものはある程度押えていこうというふうに、一つの例でございますが、そういう考え方になってきております。  それからもう一つ、金利の点でも、公定歩合を西欧諸国では非常に簡単に変えておるということは御承知のとおりでございまして、わが国は公定歩合を変えることをもうたいへんなことに考えておったわけでございますが、今度大幅に引き上げまして、情勢によってはまたこれを引き下げることもよろしいでございましょう。これはもう少しフレキシブルに考えていいのじゃないかというように思っております。もっと弾力的に全体の考え方を変えていく、適応させていく、しかしその根本は物価であるというふうな考え方にいたしたいと考えておりますが、そういう意味で、経済企画庁というものがいままでと相当違った役割りを演ずることになろうと思いますし、私などはそれがいいと思います。田中総理もそういうお気持ちでおられるようでございますが、そういう方向に行きつつあるということを申し上げておきたいと思います。
  189. 大出俊

    ○大出委員 これは基本問題ですから、意見が小坂さんと違っても、はっきりさせておきたいのです。物価上昇の理論的に考えて根本ですから申し上げたい。  昭和三十六年以後十年間で、ほとんど五ないし六%物価が上がってきているわけですね。これは三十五年以前を調べてみますとおおむね横ばい。落ち込んでいるときもある。だからこの十年間、五ないし六%上がり続けた。だから国民の側からすれば、三十五年の一万円というのは五千円に満たない、こういう認識を持つのはあたりまえであります。  そこで、なぜ一体こういうことになるかという基本です。つまり、日本企業の自己資金と借り入れ資金の比率、ここらあたりに非常に大きな根本的な原因一つある。簡単に公定歩合を変えないとおっしゃるけれども、一次、二次、三次、四次、五次、六次と、六次までやったのだから、簡単に変えたじゃないですか。一次から始まって六回やった。六次のときは、預金金利まで、五分七厘五毛の一年定期の、一般の国民の貯金をする貯金金利まで、五七五を五二五に下げた。そういうことまでやって動かした。これはやはり日本企業の一番基本的なところから出てくる政策なんですから、そこに問題がある。  そこで、大蔵省などもおいでになるので、少し承りたいのですが、四十六年は六・一%消費者物価は上がっているはずであります。まだ七年度の問題がいじれるところまで資料がそろっておりません。だから、四十六年度を基準に申し上げておきたいのでありますが、そのときに日本企業の総資本額がどのくらいあって、その中身の自己資本比率と負債の比率がどのくらいになっているかおわかりでございますか。——時間がおそくなって恐縮でございますから、私のほうで申し上げます。これは私が大蔵省その他で調べたのですから間違いありませんが、昭和四十六年の日本企業の資本の総額が百六十五兆五千六百八十億円、このうちで自己資本二十六兆一千三百四十億円、借り入れ金、つまり負債が百三十九兆四千三百四十億円。だから、これを比率に直しますと、百六十五兆五千六百八十億円なる総資本額を一〇〇とすると、自己資本の二十六兆一千三百四十億円は、その二五・八%に当たります。借り入れ資本の百三十九兆四千三百四十億円は七四・二%に当たります。つまり自己資本二五・八%、借り入れ金七四・二%という比率になる。これを諸外国と比較をいたしますと、資本構成の国際比較という統計がございますが、これによりますと、イギリスで自己資本が四五・一%、借り入れ資本が五四・九%、アメリカで自己資本が六一・九%、借り入れ資本が三八・一%、西ドイツで自己資本が七八・七%、借り入れ資本がわずかに二一・三%です。日本は自己資本が二五・八%、借り入れ資本が七四・二%、全く西ドイツあたりとは逆です。そうすると、この借金政策、つまり大型自転車操業を日本企業はやっていることになる。借金をこれだけかかえておりますと、何とかしなければならぬことになる。ここに日本経済の基本的な問題の一つが存在する。  そこでもう一つ、これも大蔵省ですが、四十七年三月末の国民の貯金総額、よく貯蓄をする国民といわれる日本人の貯蓄総額を調べてみましたら、総計五十八兆五千億ございます。内訳は、銀行に二十九兆四千億円、郵便局に九兆五千億円、生命保険に六兆二千億円。農協さまには驚いたのですが、農協が何と十三兆四千億円も持っている。昔何とやらいま農協というのも無理もないと思うのですけれども。端数整理をいたしますと五十八兆五千億円になります。これが国民の貯蓄総額であります。それで四十六年一年間の消費者物価上昇が六・一%だとすると、五十八兆五千億円の国民の貯蓄総額、この金は六・一%減価したことになる、よけい出さなければ買えないのだから。そうすると、五十八兆五千億円の六・一%というのは三兆五千六百八十億円になります。一億の国民で割りますと、一年間一人当たり三万五千円ばかり、正式にいえば三万五千六百八十円貯蓄が減価した、価値が下がった。逆に損をしたことになる、よけい出さなければ買えないのだから。数字は正直です。  ところが、五十八兆五千億円からどの程度大きな企業に貸し出されているか、これを調べてみましたが、五十八兆五千億円の国民総貯金額から三十五兆円の金が企業に貸し出されている。つまり三十五兆円、企業の借金です。そうすると、三十五兆円は企業の借金ですけれども、これは自己資本比率が少ないから貸りているのはあたりまえでありますが、借金は金でございますだけに、これも六・一%減価したことになる。そうすると、三十五兆円の借金の六・一%は二兆一千億円ですから、企業の借金は二兆一千億円軽くなったことになる。金の価値のあるときに借りて、価値のないときに返すのですから、あたりまえです。国民は全体で三兆五千六百八十億円減価したということで、貨幣価値が下がって損をしたのだけれども、企業のほうは二兆一千億円得をしたことになる、借金の価値が減ったのだから。言いかえれば、国民の財産を企業のほうに手つかずに移しかえた結果である。つまり、インフレ政策というものはそういう性格を持っているのではないか、端的にそう考えるわけであります。  そうすると、日本企業の性格、つまり経済の根本原理からいって、インフレ政策をどうしてもとらざるを得ない。だから結果的に、私のおります横浜の高島町には有名な三菱造船所、三菱ドックがありますが、あれは戦後資本金二十億円で始めた会社です。いま一千億円をはるかにこえました。二十億円の資本金で始めて一千億円をこえたのだが、戦後ずっとあそこにつとめている六千名からの従業員の生活はといったら、いまも戦後と一つも変わってない。相変わらず奥さんは内職をしている。やりくり算段をしている。つまりここに一つの現象があると私は思っているのです。  だからそういう意味では、企業を含めて福祉経済ということばを使われますけれども、そちらのほうに制度が変わってこなければ、いまの社会体制自体がもたないところにくる、こういう気が私はするのです。そういう意味で、特にできる物価対策というものはおやりをいただかなければならぬ。基本はここにある。つまり経済企画庁は経済の基本となる経済計画をお立てになるのですから、そういう意味で、やはりどうしても、少しというよりは大きく角度を変えた、四十八年度はできてしまいましたが、経済見通しと経済運営の基本的な態度をおきめになる必要がありはせぬかという気が私はする。そうしないと基本的な物価対策は進まない。つまり、局をつくることよりも姿勢の問題だと申し上げたいのは、そこなんです。そこらのところを、意見は違うかもしれませんけれども、数字というのはこれは厳粛なもので、あくまでも正直でございますから、そういう意味で、最後にあわせて物価対策というものについて、どういうふうにこれからお進めになるかという点での御決意のほど等を承っておきたいのであります。
  190. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 三十五年から高度成長政策というのを取り出して、その後安定成長というふうに切り変えて今日に至ったわけでございます。安定成長といえどもやはり高度であったというふうに、結果的に思うわけでございます。その間に、御指摘のように、CPIでいいますと八七%くらい伸びておりますから、まあ大ざっぱにいいますと、物価は倍になったといえるかもしれません。その間、賃金はどうなったかというと三・一倍で、国民所得が三・七倍でございますから、これも大ざっぱないい方をすると、所得は四倍になったじゃないか、まあこういうことになるわけでございますが、さて、そうした四倍になったという国民生活実感があるかというと、必ずしもそういえないというふうに率直に申し上げるわけでございます。  そこで、いま私どもは、先ほどから申し上げているように、何といっても福祉社会をつくっていく、そのためには物価安定というのが先行しなければならぬというふうに思っているわけでございまして、いま、この日本経済の直面するトリレンマということばを使っておりますけれども、すなわち、国際協調と福祉社会の建設と物価の安定と、この三つを一度にといいますけれども、やはり私は一番重要なのは物価安定であり、トリレンマといわずして、物価の安定こそがわれわれの攻撃しなければならぬ一番のターゲットであるというふうに思っているわけなんでございます。  そういう意味で、やり方にはいろいろ御批判もございましょう。これは党が違うのですから当然のことだと思いますけれども、しかし、その目的はそういう目的であるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  191. 大出俊

    ○大出委員 長い時間恐縮でございましたが、こういう時期は、私はやはり、田中さん率いる皆さんの党が、野党の要求する中心課題について思い切って近づく、あるいは妥協するということばは悪いけれども、ずばりそのくらいの腹がまえでないと、私は、この世の中というものはまともに進んでいかない気がするのです、国民生活というものをかかえていますだけに。だからそういう意味で、実はたまたま企画庁に物価局をおつくりになるということでございましたから、少し長くなって恐縮でございましたが、私の意見をまじえて質問をさしていただいたわけでございます。長い時間ありがとうございました。
  192. 三原朝雄

    三原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十七分散会