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小島政府委員 おっしゃるように、五・五%がなかなかきつくなっていることは事実でございます。最近、今度の消費者
物価の
上昇というものは、分析してみますと、やはり卸売り
物価からの波及というものが
上昇の基本的原因でございます。しかも卸売り
物価がこの間改定されまして、四十年基準から四十五年基準になったわけでございますけれ
ども、前の指数の場合は、消費者
物価の中で卸売り
物価との共通品目というものを洗い出してみますと、約三十数%くらいでございましたのですが、今度の四十五年基準の卸売り
物価の場合にはこれがかなりふえまして、四八%、CPIのウエートの中の約半分くらいは卸売り
物価と大体共通の品目になっているということでございます。したがって、卸売り
物価と消費者
物価の共通品目でありましても、理論的には、卸売り
物価が上がりましてから消費者
物価に同じ品目で波及するにも、若干のタイムラグがあるはずなんですけれ
ども、どうも最近、実情を見ておりますと、卸売り
物価が上がるようなときには末端価格のほうも上げてしまう傾向が非常に強うございます。そういう
意味で、最近の
一つの特徴は、いま申しました消費者
物価の中で卸売り
物価の共通品目が非常にふえているということが
一つ。
それからもう
一つ、非常に消費者
物価にとって遺憾な現象は、卸売り
物価といいましても、生産財的なものもあり消費財的なものもあるのでございますけれ
ども、最近、特にことしになりましてからの一、二、三月あたりの動きを見ますと、卸売り
物価の中で、最もCPIに
関係の深い繊維
関係とか食料品
関係、あるいは雑貨の
関係、そういうものの
上昇率が特に強いわけでございます。昨年あたりは、木材とか、特に前半は鉄鋼とかいうことでございましたけれ
ども、最近、そういうことで、卸売り
物価の上がり方の中が、消費者
物価にとって非常に影響の大きいようなものが上がっている。そういうような事情から、最近やはり消費者
物価に対して非常に波及が早くなってきておる。昔の分析ですと、大体一年から一年半くらいかかって最も相関性が高くなるという分析がございますけれ
ども、最近はかなりその
状況が変わってきておりまして、相当早目に卸売り
物価から消費者
物価に波及しているということであろうと思います。
したがいまして、今後消費者
物価をどう考えるかといいます場合に、やはり基本的には、一体卸売り
物価の動きがどうなるかということがまず重要な問題でございますけれ
ども、これは幸いというと語弊がございますけれ
ども、
金融引き締めが相当強力に行なわれて、四月に入りましてから、いままでの卸売り
物価上昇の基本原因でございました幾つかの問題品目につきまして、特に繊維原料等が中心でございますけれ
ども、ようやく反落の動きが見え始めてきております。したがいまして、おそらく卸売り
物価の動きの中におきましても、四月以降は、ほかにもまだじりじりと上がっているものがありますから、卸売り
物価全体が
総合として反落に転ずるかどうか、まだ予断を許しませんけれ
ども、少なくも、いままで非常に
上昇していたものがかなりの反落を見せておりますから、卸売り
物価全体としても次第に横ばいに近づいていく。
状況によっては多少弱含みに転ずるという
可能性もないわけではございません。卸売り
物価につきましては、どうやら四月を峠にいたしまして、いままでの急
上昇基調というものは相当大幅に鎮静化していくというふうに思います。したがいまして、これが多少のタイムラグを伴って消費者
物価にも反映していくということが予想されるわけでございまして、特にこの二月、三月あたりの消費者
物価の急
上昇というものは、全体的に、秋になると衣料が上がるというような、何となくもう先行き
物価高必至である、したがっていまのうちに買い込もうという、消費者の中にすらいわゆる買いだめ心理というものが働いて、それが消費者
物価の
上昇をさらに促進して、そういう価格の
上昇を可能にしたということもいなめないわけでございまして、この辺はやはり、卸売り
物価自身が落ちついてまいりますとそういうムードも鎮静いたしますし、二、三月のようなCPIの
上昇は——四月は、これは季節的に毎年かなり上がる月でございますし、特に今度のストの影響等もございますので、四月の
上昇は避けるわけにいかぬと思いますけれ
ども、それ以降は、卸売り
物価の
上昇に対して、多少のタイムラグを伴いながら、いままでのような
上昇率は鎮静していくというふうに期待しております。
あと、やや長期的には、やはり今後の賃金
上昇率の
関係とか全体の景気の動きとかいうものによって、本年度下期以降の動きは変わってくると思いますので、現段階は五・五%が非常にむずかしいことは事実でございますけれ
ども、何としても私
どもは、まだ年度に入ったばかりでございますので、あらゆる努力を払いましてこの
目標を達成いたしたいというふうに考えている次第でございます。