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1973-04-06 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月六日(金曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       伊能繁次郎君    越智 伊平君       大石 千八君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    丹羽喬四郎君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       和田 貞夫君    木下 元二君       東中 光雄君    有島 重武君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         警察庁刑事局保         安部長     斎藤 一郎君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         食糧庁長官   中野 和仁君         食糧庁次長   森  重弘君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君         水産庁次長   安福 数夫君  委員外出席者         林野庁林政部長 平松甲子雄君         通商産業省繊維         雑貨局繊維雑貨         政策課長    半沢 治雄君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     伊能繁次郎君   和田 貞夫君     佐野  進君   正木 良明君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   伊能繁次郎君     赤城 宗徳君   佐野  進君     和田 貞夫君   有島 重武君     正木 良明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 うっかりして行政管理庁においでいただくのを忘れましたので、機構の改革そのものについての質問を少し時間的にずらしていただきまして、とりあえず、問題山積しているのですけれども、私ども方針としても、いまの商社の問題なり、米の未検査米を代行買いしたとか、いろいろ問題かありまして、これをやり得る限りの委員会で、対国民という大きな問題ですから、取り上げていけという国対の方針でもございますので、最初に少しこの点について触れさせていただきたいと思います。  大臣にずばり承りますが、一体どこまでやる気があって、食管法に基づく告発法違反という形の告発をなさったのか。という理由は、どうも本気でやっているんじゃないんじゃないかという気がするのであります。警鐘を乱打する程度のことで、という腹があっておやりになっているんじゃないかという感じが幾つかの問題に触れてございますので、このところ、そうでないのならないということを、大きな国民の疑惑であり、こんなことかあってはならぬということでの一般の町の方の声もある、また商社に押しかける奥さんたちもある、こういうわけでありますから、何とかこれはとことん決着をつけなければならぬ問題だと、私は将来のためにも思うわけでありますが、ほんとうやる気があるのかないのか、しかとそこのところを、まず大臣にはっきりさしていただきたい。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 モチ米需給逼迫からモチ米が非常に暴騰した、そういう具体的な現象からこの問題に取りかかりましたので、この食管法による立ち入り調査によって懸念をいたしましたことは、そのことによってモチ米というものの流通か大きく阻害されて、そして一そうその価格の高騰を来たすようなことになってはいけないという配慮があったことは事実でございます。ですから、いま大出委員の御指摘のように、立場を変えてごらんいただくと、何かこう中途はんぱな、もの足りない面があったことは私もいなめないところではないかと思います。  そこで、八十九件、五千八百トンの未検査米調査の結果一応つかんだわけでございまするが、その場合に、実需者が手配をして、そうしてその倉庫に持っておるもの、これはその実需者のことを考えまして、また、量によっては告発ということを避けよう。しかし、明らかに流通段階にあって、場合にこれは投機の疑いも持たれるというような、数量といい、またその実需者が完全に握っておるものでない、疑問がある、こういうことであれば、これは調査の結果に基づき司直の手にゆだねる、告発をしようということで検討した結果、三件を告発をした。そしてその後は、一切はあげて司法当局にゆだねておるというのが現在の時点でございます。   一応、以上お答え申し上げます。
  5. 大出俊

    大出委員 大臣が、どうも記者会見でものをおっしゃったようなことをいま言うのですが、まず二つばかり確かめておきたいのですが、この立ち入り調査というのは食管法があるからできたのですな。そうでしょう。それからもう一つ、途中に商社が入ってくるなんということが可能になったというのは、これは自主流通米制度農林省考えた、つまり食管法抜け道一つ考えたわけですから、そこに端を発した問題である。これが二番目です。この二つはいかがでございますか。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 法律上の詳細は担当者から申し上げまするが、立ち入り検査食管法によってやった、これは事実でございます。  それから自主流通米の問題でございまするが、食糧需給が非常に緩和をしてまいった段階で、昭和四十四年、いまの生産調整をやる前二年、昭和四十四年に酒米モチ米については自主流通にしよう、こういうことで、その場合に実需者実情の十分な把握もできかねる場合もあろうということで代行者を認めた。その代行者が、今回の立ち入り調査の結果、商社の相当な活動があるという事実になるわけでございまするが、お話しのとおりに、自主流通米を認めたことが今回の一つの原因であるという御指摘は、否定をするわけにはいかないと思います。
  7. 大出俊

    大出委員 だとすれば、私は、まあこういう内閣という委員会でございますけれども、この十年間一貫してここなんですが、四十四年当時もずいぶん実はこの席で、坂田農林大臣でございましたか、そういうことがあってはならぬはずだということを言った。食管法を手直しをする、ゆるめるという考え方を持つだけで、おかしなことになりやせぬか、青田買い時代もあったのだし、米相場米騒動の起こった日本の国の歴史もあるなんということをずいぶん力説したことがある。将来それに類するようなことが起こらないとは保障できないじゃないか。食管法というのは、これは国際的に見ても、こういう制度というものは希有な制度であって、だから生産者あるいは消費者ともに保障されてきているんじゃないかと力説したわけですが、それでも、何でもかんでも、官僚知恵というようなものも加わりまして、こういう制度に持ち込んだ。ここに、これだけ大きな騒ぎ世間を巻き込んでしまう、それのみならず、大きな損失を各般にわたりまして市民一般国民がこうむっている。そういう結果になったということは、振り返ってこれは御反省をいただきたいことだと私は思う。この点は、だからその意味で言うなれば、幸いにまだ食管法があったから、ほかの各省の持ち分と違いまして立ち入り検査ができた。十三条でございますか、書いてあります。だから、一角を皆さんが押えて、国民にその責任の一端を示すことができた、こういうことになると思うのです、これは。この点をまず明らかにしていただいて、食管法という問題については、これはあくまでもこの趣旨を貫いていくのだということでないと、将来大きな不安が残ります。その点は明確にしていただきたい。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは食糧事情緩和をされた経緯の中で、酒米とかモチ米について自主流通をまず認めた、こういうことでございまするが、そういうふうな需給緩和状況の中におきましては、量よりも質、うまい米をというような当時の情勢のあったことは、これはやはり否定ができないと思うのでございます。そういうことに応じて一体どうするのかというときに、根本的な国民食生活の安定の上に大きな影響のない酒米モチ米についてはこれは考えられるではないかということ。また、いまの良質米の点から見て、それを奨励するようなことで自主流通ということを考えたらどうかというようなことで始まっておりまするので、現在の段階、すなわち、モチ米が六万トンも不足をするような、四十七年の下期から本年の上期にかけての状況からいたしますると、ここに問題が起きて非常なきびしい批判をちょうだいしておりまするが、四十四年、四十五年、四十六年と、こう考えてみまして、その当時の状況からいたしますると、これはそれぞれ御相談の結果が、酒米モチ米を中心にして自主流通米を認めようということになったことについては、当時の状況からしてはそういう考えも起きたのではないか、こういうふうに思う次第でございます。
  9. 大出俊

    大出委員 食管法ができたいきさつなどからいたしましても、これは日本の米に対する投機がたいへん激しかった時代が続いたわけですから、青田買いなんというのは、当時年じゅう耳にしたことばでございます。そういう日本歴史的な食糧に対する、特に米に対する、酒米モチ米を含めまして苦い経験があって食管法というものができているわけですね。だから、ときに食糧事情の変化があったにしても、先々この制度をはずすことによって起こる弊害というものを考えれば、歴史的にはずせないものだという考え方がそこにあった。あなた方は何とかこの辺で食管法それ自体をはずしてしまいたい。幾つ理由はあった。たいへん大きな食管会計における赤字になるからと、ずいぶんこれは議論したものです。本会議なんかにおいてもずいぶんと大演説にもなり、大質問にもなった。しかし、あなた方はしゃにむにはずそうとした。ところが、国民世論というものがあってはずし切れないというところで、まず自主流通米というものに踏み切って、食管法は置いておくのだがと抜け道考えた。ここにそもそも事の発端がある。今日の実情考えれば、大きく振り返って考え直さなければならないことです。食管法幾ら金がかかったって、それは国民食糧を将来に向かって保険をするのだという考え方になればいい。  八郎潟干拓だってそうなんです。私はヘリコプターで行って見てこようじゃないかとまで言って、あれだけ膨大な八郎潟国営事業干拓をすると言う。何をつくるのだと言ったら、米をつくると言う。とうとう足かけ三年ばかりかかって埋めた。第一次入植の募集をした。とたんに打ち切った。何で打ち切ったのだと言ったら、いや、米作を、今度作付面積を減らすのだ。膨大な国有地になっておって、それで今度はいつの間にか四次防の飛行場なんてばかなことを言い出したんですね。そういういいかげんなことじゃ困る。やはりそこらのところはきちっとして守らなければならないものは守っていく。そういう意味で、これは将来の展望に立って食管制度というものを維持していくならいくということを、明らかに私はこの際しておいていただきたい。当面の現象形態だけを追っかけたって、将来の歴史展望を持つ意味政治にはならぬのですから、そこのところをはっきりしておいていただきたい。いまそれは国民から批判があったにしても、それは食管制度というものを間違いなく維持していくということに結びつくなら、逆に国民にとっていい面でもある。そういう意味で私はやっぱりはっきりしていただきたい。いかがでございますか。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 自主流通米の場合も、いわゆる直接統制間接統制かということになりますると、流通経路をはっきりさせておることでございます。それが、今回そうでない、その経路からはずれておるということで調査ということになったわけでございまするが、そういう違反をするような事態になったのは何か。それはモチ米需給逼迫から起きてきておると思うのですね。そのモチ米の問題については、今回の苦い経験にかんがみまして、これを契約栽培に持っていこうということにいたしたわけでございます。そこで今後におきまして、私は繰り返し申し上げておるのは、ちょうど就任のときに、国際食糧事情も悪いし、きょう大出委員が言われているとおりに、へたをすると問題が起きるぞ、こういうことで食管制度に対する検討が前農林大臣以来行なわれてまいっております。中には傾聴すべき運営面改善どもございまするが、しかしこの際は食管制度をいじるということのほうが問題があるということから、もう就任早々から自分としては、いま食管制度は改正する考えを持たないということで、この点は、いま大出委員の言われるとおりの御趣旨で私も考えておるようなわけでございます。  ただ問題は、こういう自主流通制度というものがいいか悪いかというようなことが、おそらく御批判になられる問題点かと思いまするが、これは私どもとしては、いまのやり方を正しく生かしてまいりますれば、一方において私どものねらいといたしました国民の嗜好に合う良質米の奨励と、それから農家のある程度の収入増の上に寄与するというようなことで、この点は私としてはこのままでいいのではないかと、かように考えておるような次第でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 大臣のいまお話しになったお考えは、まあ私の考えている考え方にたいへん近いお考えのように承りました、食管制度それ自体につきましては。こういう席でございますから深追いいたしませんが、これは実は、モチ米のみならずウルチ米等につきましても、あとから、さっき流通経路が明らかになっているんだからとおっしゃるので、そこらもはっきりさしたいのですが、ここで民間ルートというものを一つこしらえますと、政府として食管法のワクからはずれていきたいという考え方を片方に持っている。そうすると二つルートができるわけだから、どっちにウエートがかかっていくかというと、これは行政官庁姿勢の問題ですがね。行政施策姿勢の問題だが、二つルートがあって、基本的に食管法をはずしていこうという気持ちがあるとすれば、どうしてもウエート民間のほうにいく。あたりまえだ、そんなことは。そこにたいへんルーズな運営になっていることは旧来から指摘されていた。たとえば全集連、わずか一割足らずしか持っていませんが、この二つの団体のいろいろないきさつなどをかって調べたこともありますけれども、やはりモチ米というもののいままでの経緯の中で、農林省自体がどうしてもつかめないという面がいにしえからいままであった。これはいまに始まったことではない。だからその間にいろいろな問題が起こっていた。今回の問題の発端は、つまり行政施策姿勢が一体どっち向いているかというところに一番大きな問題があると思っている。だから、念を押すようだけれども、将来に向かってそこのところをはっきりさせておかないと、とかく食管法ははずしたい、だが世論があってはずせない、だがはずしたい、こうなるととんでもない方向に行ってしまう。そんなことがないようにということを言いたいわけなんです、何もモチ米に限らず。  これはもう予算委員会でさんざっぱら指摘のあったことでございますから、そういう意味で、こまかく入る気はありませんけれども、そこのところは、大臣、お気をつけていただきたい、こう私は思うのです。基本の問題ですからね。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。本来、このモチ米にいたしましても、直接検査米商社が買いあさるというようなことには、制度上はなっておらないことは御承知のとおりだと思うのです。全農やあるいは指定集荷業者を通じて買うべきものを、それがたまたま、便宜、直接にあるいは未検査米に手が出たということが今回の立ち入り調査で明らかになったところでございまして、この辺ははっきり姿勢を正してまいりたいと思います。
  13. 大出俊

    大出委員 そこで、きょうは冒頭に、やる気がどこまであるのか、ないのか、端的に言えば。へっぴり腰で、どうも自分の頭に何か降ってきそうな、いまお答えをいただいて明らかなんですが、行政官庁政治姿勢に大きな問題があった。あったからこういうことになった。食管法をはずしたいが、世論の手前はずせない、はずせないから何とか逃げ道をという、さっき私は官僚知恵と申しましたが、そこらが出てきている、自主流通米ルート制度の中には。それが大きな災いになっている。これはお認めになっていますが、そうだとすると、みずからの責任をたなに上げておることになる。内心じくじたるものがあるということになると、はたして一体、国民がこれだけ大きな騒ぎになっていて、生活不安を持っている。まして商社活動なんというものに対しては、まともに働くのがいやになったという方は山のようにいる。主婦連だって、あるいは労働運動をやっているナショナルセンターだって、それぞれ意思表示をし始めている。何か一つ間違ったらえらいことが起こりかねないという情勢。まじめに働いたってしようがないじゃないかという気持ちがみんなにある。だれにもある。そういうときだけに、へっぴり腰でどうもぐあいが悪いというような調子のあなたの考え方は、逆にたいへん危険なことになる。こういうときは、行政官庁なのですから、歴代の官僚皆さんの中にいろんな腹があっても、それはそれとしてあえて踏み切って、徹底的にやるものはやるという姿勢にならないと政治信頼を失いますよ、与党、野党の問題ではなくて。そこのところを私はまず大臣に明確にしておいていただきたい。やるべきことはやる、中途半ぱなことを考えない。一番最初お話からすると、モチ米流通を阻害するなんということになっては困るからというようなことを考えたとか、そんなことを言ったって、未検査米というのはどうなんですか。これはあわせてお答えいただきたいのですが、明らかに未検査米を集めちゃった、買っちゃったということになってまかり通りますか。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 食糧事情がしばらく緩和をされておって、そのためにある程度ルーズな面があったことは、事実として認めざるを得ない点があると思うのです。それで、そういうことがあって、ここでいま姿勢を正す。その際に、その正し方で、実際上モチ米需給逼迫による暴騰という一方に問題をかかえておりながら姿勢を正すというところにむずかしさがあったということは、御理解をしていただけると思うのです。そこで、一方におきまして、海外から相当大量に供給をするというような手を打てば、それはもっと厳重にやれる。しかし御承知の、海外の特にタイの場合ですね。これはタイ自身食糧事情があまりよくない。それでこちらの希望どおりに買い付けられない。しかし、日タイ友好の上からこの際はひとつ協力してもらいたいという努力の結果が一万五千トンの契約ができ、現在五千トンの分が入荷しつつあるわけでございます。そこでモチ米価格趨勢も横ばいに転じ、おそらく近く下降状況をたどるのじゃないか。  それで問題は、ここのところはそういうことも考えながら渡るが、しかし、将来に向かってどうするかということになれば、これはもう先ほどもお答えしたとおり、ほんとう姿勢を正していくべきであって、また同時にわれわれのほうとしても、モチ米について契約栽培にして、かりに契約の上から余裕が出ても、その余裕ができた分を政府が買っていくという姿勢で、モチ米については今後の措置としては方針を明らかにしたわけであります。で、こういうようなことをもあわせ行ないながら、そして、お話のような姿勢を正すという方向で持っていく、その決意については、しっかりした決意をいたしております。
  15. 大出俊

    大出委員 だいじょうぶですか。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ええ。
  17. 大出俊

    大出委員 だいじょうぶだそうでございますから、承りたいのです。  これは通産省がお調べになって、それも商社皆さんを呼んで、情報を提供してくれという話をして提供してもらった、該当商社から。普通なら該当商社という方々は、自分の問題なんですから、やはりぐあいの悪いところは言わないとか、出したくないというのが人情。満足なものじゃない。それでも六千六百億ばかり過剰流動性があったのだ。  さて、各般にわたってこれだけの問題になっている木材についても、三倍利益をあげているのであります。そこらまでのところを明らかにされた。あるいは綿花、綿糸等にいたしましても、あるいはその他の生糸等繊維製品にいたしましても、こうこういう事情であるのだから、あわててお買いになっちゃいけませんよということを、通産省世論に押されてついに言わざるを得ないところにきた。そこで、そういういいかげんな発表じゃなくて資料に出してくれと言ったら、お出しにならぬから、われわれが、調べて苦労したらわかるじゃないか、商社には各期の決算という時期があるのですから、わかるじゃないか。あるいは通産省自体だって、資金面については統計数字を出しているじゃないか、だからなぜもっと明確にできないのかと言ったら、たった一つ理由がある。法的に調査をする、あるいは何をする権限が一切ございませんので、この一点に尽きるのです、はっきりできないというのは。そうでしょう。国民の側から見れば、木材から始まりましたが、木材にしろ大豆にしろ、七十円とうふで苦しんでも、あるいは繊維にしろ、腹が立ってしようがないけれども、取りつく島がない。だからせめて時の政府は、国民が納得するぐらいの明確な、それこそ決断と実行ですよ。やるべきなんだが、と言って見ておっても、さっぱりやれないという。ただ一つ食管法があるがゆえに立ち入り調査ができたのは食糧庁関係だけ。そうだとすれば、食糧庁は、いまあるこの買い占めだ、売り惜しみだという問題、非難ごうごうだ。ビッグビジネスをはじめ商社に対するたいへんな非難ごうごうたる時期なんですから、せめて政府を代表してきちっとやらなければいかぬ、私はこう思っている。  ところが、どうもそこのところが、見ていると、何かしらぬけれども、遠くのほうからちょっと触れてみたというような調子の、なでてみた、触れてみた、さわってみたという調子の話。これじゃ、政府姿勢を問われるのみならず、政治姿勢を問われる。だから、その意味で思い切って決断をして進めるということにしてもらわなければ困る、こういうことなんですよ。  そこで、何でこんなことを言うかといいますと、幾つか例があるのだが、あなた方はあなた方らしい理由をつけていると思う。それらしく言っているけれども、だけれども世間から見ると、そんなことじゃいかぬじゃないかという問題がある。  あなた方が手をつけた三カ所ほどございます。茨城、福島、北海道。この中で、茨城食糧事務所生出正也さんが事務所長でございましょう。これは農林省関係皆さんは、食糧を扱ういろいろなところに、いわゆる天下りということばはあまり好かぬけれども、いろいろな方が行っている。そういう中でやるというのはたいへんなことだと私は思う。おたくから参議院議員にお出になる方だって、ずいぶんそこらに世話になっているのだから。私は同じ神奈川県に、おたくのかつての高官が、参議院においでになって住んでいるのを知っているけれども、私の周辺にも、私のほうに来ているのもあるんだから、これはすぐわかる。ずいぶんそれで業者と農林省というのは仲がいい、そうなると。そういう中で決断するのはなかなかたいへんだったろうと私は同情するけれども、これは対国民ということから、やらなければいかぬ。  それで、茨城のそういう事情まで触れてもいいけれども、あまりえげつなくなるから差し控えますけれども、二月の下句から集荷倉庫やあるいは貯蔵庫を立ち入り検査をした。三月中旬までに未検査の陸モチ米、これは明確な未検査なんですから、やみです。はっきり法律違反です。やみである限りは、つまり未検査である限りはすべて違反。これが千七百二十二トン出てきた。袋にして約五万七千四百袋ばかり。これはもちろん一袋三十キロものです。これは皆さん食管法に基づく調査によって発見をされて、移動禁止の凍結措置をおとりになった。これはとれる。おとりになった。そしてこのうち、さっき大臣お話しになりましたが、四百三十三トン、一万四千四百三十袋、三十キロもの、袋詰めです。これを茨城県警原県警本部長に、食管法違反容疑で告発をなさった。  ところが、告発分よりも大口である違反米、未検査米、九百トンについて、きのう突然凍結解除をあなた方は指示をされた。そして二〇%を県内業者に放出をされた。八〇%を委託業者に放出をされた。この食糧事務所長さん生出さんは、新聞記者の方々その他に対して、食糧庁の指示で行なったと、これは明確にされておる。これは、告発はそれだけ、つまり四百三十三トンですが、残りの九百トンについても、茨城県警のほうの話によれば捜査対象になっていた。全部かどうか、それはわかりませんけれども、捜査対象になるならぬは別として、明らかにこれは未検査米である限りはやみなんです。あってはならないことです。そんなものを簡単に、あなたのほうで凍結を命じておいて解除をして、ルートに乗せてしまった。このことは、どう言い訳をされてみても、世間一般の見る目というものは、またどうも政府のやることはなれ合いみたいなものじゃないのか、こういうことになる。地元の新聞を見てごらんなさい。世論というものはこわいものですよ。これじゃおたくのほうが本腰を入れてやっているとはだれも思えぬじゃないですか。やっているとそこで百万べん言ったってだめです。これは一体どういうことなんですか。大臣から……。
  18. 中野和仁

    ○中野政府委員 経過でございますからちょっと私から……。  先ほど大臣から今度の調査の目的等お話がございましたとおりでございますが、われわれの方針としましては、モチ米につきまして従来からやみ米が非常に多い、それが投機的な動きというようなことがあって、中間段階に滞留していては問題だということでございまして、そこでわれわれのやり方といたしましては、一斉に調査をしたあと、できるだけ早く実需者のところに届ける。御指摘のように、確かに厳密に申しますればやみ米でございます。違反であると思いますけれども、やはりこの際は実需者に届ける以外にないと判断いたしまして、すでに三月中ごろ調査が終わりました段階に、関係所長を招集しまして、実需者の手にあると思われるものにつきましては解除するという指示を、すでにそのときにしております。  ただ、御指摘の九百トンにつきましては、非常に量が多いものですから、どういうものかということを見なければなりません。少し時間をかけまして調査をしたわけでございます。実体は、ほとんど大部分が規格外米あるいはくず米でございました。これは所長の承認を受けるなり、あるいはくず米の場合は自由流通になっております。そういうこともありましたので、三月の終わりごろ、現地の所長に解除を私が指示をしたわけでございます。
  19. 大出俊

    大出委員 これはあなた方のほうは、世間一般に、こうこうこういうわけでこうだということをあらかじめ明らかにしておやりになったんじゃない。突如としておやりになったことがわかって騒ぎになった。それで、いろいろ問い詰められて何を言ったかというと、おたくの茨城食糧事務所の生出出張所長さん、この方は、食糧庁が警察と話し合った上出された結論でございます、今度の告発の基準は大手商社の介入があったかどうかということであって、解除が出された以上この事実はなかったと思う、告発したのも、もともと警鐘を乱打する——乱打とまで言っておりませんが、警鐘という意味でやったわけでございます、解除の二社は始末書だけと言っております、あなた方は、もともと注意しておくという意味告発したのですという、これは一体どういうことですか。そういうふざけたことで問題片づきやしませんよ。
  20. 中野和仁

    ○中野政府委員 いまの御指摘でございますが、われわれとしましては、非常に大量の、五千五百の倉庫を調査しました結果、大部分は私申し上げましたような措置をいたしたわけでございますが、やはり大量にありまして、しかもよその県に置いてあるとかいうような実質的に流通過程にあると思われるもの、しかもその背後にあります前所有者として、あるいは金融の面等で自由米業者なり大手商社が介入しておると思われるものについて告発をしたわけでございまして、全部が全部注意をするというような趣旨でやったわけではございません。しかし、やはり先ほど申し上げましたように、モチ米需給逼迫しておりますし、これを全部告発ということになりますと、かなりそこで物がストップするというような配慮から、今回はこういう措置をとったわけでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 全部が全部注意するなんていう、そんなことを聞いているのではないのです。あなた方は、今回の告発はもともと警鐘の意味だった、世論がやかましいから、どうも農林省最初からわかってやっておって、商社が何をやっているかみんな知っている、がしかし、ここまで世の中いろいろな騒ぎになるとぐあいが悪い、ぐあいが悪いからとにかく形にして見せる、あとは適当にやるからという、こういうことじゃないですか。大臣、そういういいかげんなばかげた話ありますか。  これは私は現地の記者の方々にも確かめた。一人が聞いているんじゃない。上局からちゃんと指示があって、もともと今回の告発は警鐘の意味だった、だからこの二つは始末書ぐらいだと言っている。そういういいかげんなことでやられたんじゃ、一体国会というところは何を論議すればいいかわからぬ。だから冒頭にあなたに、その点をほんとうやる気があるのかないのかと聞いた。そうしたら、流通過程というものを考えてみると非常にむずかしいという。国民生活との関係があるから、これはわかりますよ。大臣の立場で行政長官なんですから、わからぬわけではない。わからぬわけではないが、しかし、やることはきちっとやらないと政治不信につながりますよと念を押したら、やることはきちっとやると大臣はおっしゃった。やるとおっしゃったのなら、いまの出先の御大将がこう言っていることについて、大臣、あなたはどういう責任を負うのですか。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御質問の前段のほうで御理解をちょうだいしての御発言でございました。今回の場合が非常にむずかしい問題である、食糧事情緩和の過程に出てきた問題である、そして今回のモチ米需給逼迫から起きておって、おっしゃるとおりに、私としてはここで姿勢を正すべきものとは思っているのです。それはここでちゃんとしたい。しかし、一方において、そのやり方に急なるがために一そうモチ米が暴騰する。それで、これに対処する意味においては、海外からの供給が潤沢に行なわれるならば、あるいはそれが杞憂に終わるであろう。一方では徹底的にやりながらそれで潤沢な供給の方法があれば、これはいけるのですが、どうしてもそれが非常に困難である。このモチ米問題の過程におきましては、政府におきましてもモチ米のある程度の量を持っておりました。だからそれも放出しながら、ほんとう国民に迷惑がかからないようにという配慮をしながらまいったわけでございます。これは最初にその経緯を正直に申し上げたのであります。  ただ、いま具体的なこの九百トンの問題、これが適切であったかどうかということにつきましては、私どもの立場からすれば、現にモチ米が不足しているおりで、事態が明白になったということであれば、凍結を解除して、そして実際に必要な面にモチ米が流動することもまた考えようの一つではないか。これは、ここにいまお話しのように、すでに処分も始末書だというようなことを書かれておるのですけれども、これは私、報告を受けておりません。しかし、いずれにしてもこの事態に対しての措置はやはりすべきだと思いますね。しかしながら、一方において、いまようやくタイからの五千トンが着くということでちょっと愁眉を開いて、価格も横ばいになった、こういう際でございますから、この量というものはわれわれとしては、一面のどから手が出るほど早く実際に必要な面に供給したい、こういう気持もあることだと思うのです。だからこの辺は御理解をいただきまして、先ほどから何べんもお答えするように、姿勢を正すという上におきまして、これらの措置については、いまここに長官もおるのでありますから、私としては、やはり国民が納得のいくような措置が講ぜられるべきだと思います。
  23. 大出俊

    大出委員 長官の問題じゃないですよ。政治姿勢の問題ですから、大臣、あなたなんです。長官がおるとかおらぬとか、そんなことは関係ないのです。  そこで、今回の告発という措置がもともと警鐘の意味だった。そうなら、仲のいい商社の諸君にあなた方は、世の中がうるさくてしようがない、たいへん世話になっているけれどもこの際ちょっとやるから、警鐘の意味だからそう心配するな、こういうサル芝居を見せられたのでは、世の中はどうすればいいのですか、そんなばかなことで。それを言っているのです、あなたに。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは私から訂正をさしていただきます。ただ、食糧庁長官の立場で、警鐘のためだということについては、いろいろと長官のお考えを述べたわけでございますけれども、しかし、そういう警鐘だけのことだということで、こういう八十九件からの摘発をして、そして世間を騒がしておるのでありますから、それを単純に、警鐘のためだけでやった、そういうものではない。やはり先ほどから御質問に応じてお答えするように、姿勢を正すということについては、私としてはそのとおりにやっているのであります。
  25. 大出俊

    大出委員 片一方で当の担当のほうは、警鐘の意味でやったんだと言っていて、あなたのほうは姿勢を正すんだ、これは一体どうなんですか。外務省でも、大平さんがものを言った。法眼次官が、とんでもない話でそんなことはできない、認めないということがあったけれども、そういういいかげんなことを世間は納得しやしないじゃないですか。与党、野党の問題じゃないですよ。政党政治なんですから、時の大臣がそんな歯切れの悪いことを言っていたんではしようがない。長官もおりますからなんて、大臣の上に長官があるのですか。そういういいくらかげんなことじゃ困るじゃないですか。どうなんですか。警鐘のためにやったのですか。それとも——中野君、待ちなさい。人がしゃべっているところで何だ。どうなんですか、大臣。あなたの政治責任において、警鐘のためにやったのか、それとも本気でやるのか、どっちなんですか。
  26. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま食糧庁長官が警鐘と言ったことについては、これはほんとうに軽率である、姿勢を正す、こういうことであると私は申し上げておるのであります。
  27. 大出俊

    大出委員 警察庁に承りますが、何で一体今回に限っては何回も何回も予告編みたいなことをおやりになるのでしょうか。ぼつぼつ丸紅を捜査しなければならぬだろうとか、来週はやらなければならぬだろうとか、コンピューターで帳簿が記載されているから専門家を一ぱい集めなければできないので、丸紅本社の捜査は来週の後半になるだろうなどなどということを、なぜ一々言わにゃいかぬのですか。あなた、いままでいかなる事件だって、こんなに次々に予告をしていって、コンピューターでやっているんだから、何か知らぬけれども来週の終わりのほうぐらいになりそうだ、人手も足りないから——人手が足りないなんてそんなことはよけいな話です。農林省農林省なら、警察庁も警察庁だ。それじゃまるっきり農林省も警察庁も、商社もツーカーみたいになってしまうじゃないですか。来週の後半には行きますよ、御用意くださいませじゃ、あなた、捜査じゃないですよ。調査じゃなくて捜査なんですから。調査ということばと捜査ということばは違うんだ。あなたは捜査と言っているんだから、告発があって捜査をされているんだから、その捜査をやろうというのに、食管法のたてまえからいけば、いきなり丸紅をできませんよ。当事者の農林省告発をする、そうなれば調査ではない。捜査に踏み切れる。踏み切って現地の集荷業者を調べて、そこで固まれば丸紅を、こうなるのがあたりまえじゃないですか。そうでしょう。何でこういう予告編を何回も何回もやるのですか。
  28. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま御指摘のとおり、警察では、今回の事件について、農林省告発に基づき捜査を始めております。現実の形にあらわれた捜査としては、告発等に基づく関係者を取り調べて、すでに十五カ所、捜索の許可令状をもらって捜査を開始しておるということでございます。ただいまの段階では、さらに関係者について調べておる。  そして問題は、告発があった、被告発人名義になっておる米がどういう流通過程にあって、そしてどういうぐあいに商社と結びつきがあるかということを明らかにしなければならない。それが私どもの義務であり使命であると思っておりますが、その過程において、ただいまも御指摘のように、捜査に当たる者が捜査上支障を来たすようなことをしてはならないという規定が、これは申し上げるまでもないことですが、刑事訴訟法にもございますので、私どもとしましては、この捜査に限らない、どんな捜査であっても、警察は捜査の支障になるような言動は差し控えて、やらないということは、これはもう捜査に携わる者の鉄則でございます。  ところが、先ほど申し上げたように、具体的に捜査活動が行なわれてまいりますと、たとえば実需者である何カ所かのところを捜索する、そういうことになると、報道関係でもって自主的な取材活動をされまして、そこからいろいろなことを聞いてきては、今度は警察の担当者に取材活動をなさる。この取材活動には、警察としては応ずるわけですが、その場合に、ただいま御指摘があったように、捜査上支障になる受け答えは鉄則としてしないことになっておりますけれども、その取材活動を踏まえて報道関係がいろいろ報道する。そういうことで、警察のほうでは、予告をするとかそういうことは毛頭ございませんが、結果的には、捜査の活動について、特に今後の成り行きについていろいろな見通し記事が出るということで、私どもも捜査上非常に困ることが多いのでございまして、そういうことにならないように努力いたしております。
  29. 大出俊

    大出委員 私もいろいろなことにかかわり合いを持ってきましたから、おたくの警察庁長官の高橋さんとだって、高橋さんが東京警視庁の警備部長時代から、夜が明けて明るくなってしまうまで、徹夜で話し合ったこともあるんだから、よく知っていますよ。おからだが悪いから、私はここへ呼んだことはないけれども。警察に行っておられる記者の方々は、私も知った方が何人もいますが、そんないいかげんな方じゃないんだ。警察の捜査に協力をする。あなた方が、何か入っても、それはオフレコだとはっきり言っておけば、そんなに不用意なことを書きやしませんよ。だから、何もかも出るもんじゃない。いつだって取材活動は自由にできる。記者の方々は社会的な意味で権利を持っているんだから、どこへ行って聞くことだってできますよ。できるが、ぴたっと出さないものは出さない。あなた方のだれかがしゃべらなければ出ないでしょう。やれコンピューターでできていて、コンピューターの技術者が要るんだ、それを集めなければならない、相当な人数が要る、二、三十人も要る、それを集めるのには時間がかかる、時間がかかるから、丸紅本社の捜査はどうも来週の後半から先になりそうだなんて、そんなところまで、あなた方言わないで、記者の方々にわかりますか。これまた姿勢の問題だ。農林省はああいうことを言い、あなたのほうはいまになって鉄則を破っておられる。そうなると、冒頭に承ったように、どこまでこれをやる気なんだということになるじゃないですか。あたりまえのことでしょう。あなた方は一体その責任をどう負うつもりなんですか。参りますよというようなことを何べんも何べんも言う。向こうだって、参りますよと言われれば、来られたら困るものはどこかへ持っていく。そうでしょう。あなた、そんな警察がありますか。一体だれが言ったんですか、コンピューターなんというのは。
  30. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもは、捜査内容が外にわかって、そして相手が予知をするということがあると非常にやりずらいので、できるだけ隠密のうちにやっておりますけれども、先ほど申し上げたとおり、新聞記者の取材活動というのがあって、それに対しては私ども受け答えをするということがございますので、それが集積されて、取材活動において捜査の進展を見通して、いわば見込み記事のようなものが出るということでございます。そういうことにならないように私ども非常に努力しておりますが、今回の場合なんかは、関係の県警も多いですし、あるいは関係の当事者もたいへん多いわけでございまして、その過程においていろいろと察知されるということでございます。そういうことは、私ども自身が捜査の公正を疑われ、あるいは捜査の将来の進展に支障があるということで、たいへん遺憾に存じ、そういうことのないように十分努力しておる次第でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 部長さん、私も議会に席があって、町の中におる人間ですから、知った人は非常に多い。おまけに、私は宿舎から通っているんじゃない。朝、駅のホームに立って電車で来るのですが、何人もの方に言われる。先生、これは一体何ですか、何べんも何べんも、丸紅の本社に手が入りそうだとか、いや帳簿はこうできているとか、何人集めなければできないとか、集まりぐあいからいっていつになりそうだとか、そんなことまで全部出てきちゃっている、これは本気でやっているんですかと言う。商社というのはとてつもなくでかいアミーバみたいなものだから、どうせやり切れないでしょうという言い方。そういう世間一般の方が考えられるようなやり方をすると、これは、政党政治の中で警察庁というのは動いているわけですから、非常にまずいですよ。ただ、そのことは御承知なんだから、鉄則は鉄則で法的にもあるのですから。だから、これは、その意味では、いまのお話で、たいへんまずいことなんだというお話があるのだから、わかっておられるのだからいい。やむを得ぬけれども。  そこで、それでは北海道あたりの例からいくと、やれ青田買いをやっているとか、あるいはまた未検査米商社の手がついている、いない、ダミーを使っているからはっきりわからないとか、いろいろずいぶん詳しく載っている。そこで、これだけ出ちゃっているわけですから、いろいろ出ているものをここで皆さんのほうで整理してほしい。つまり告発があった。あなたのほうは捜査に踏み切った。告発があったのだから、そこで、茨城、福島、北海道、こう手をおつけになった。三つの警察の本部が中心になって、今度は合議をなさった。こういう経過なんですね。そして、やれ、帳簿のコンピューターまでわかって、今度は陣容を整えていくところですね。そうすると、茨城はどういう事件であり、北海道はどういうものであり、福島はどういうことなのか。そこの経緯は、おたくのほうでいままとめているものはどういうことになっているのですか。御説明いただきたい。
  32. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほど来申し述べたように、いままでのところ十五カ所の個所について捜索をしたのでありますが、現にございますお米というのは、いろいろ名義人がございますが、これがどういう過程を通じて集荷され、現在のとこうにあるか、現在だれのものになっておるかというようなことを、それぞれ目下関係者について聞いております。ところが、関係者が多いし、それから、たとえば茨城にございますお米も、現に幾つかの倉庫に分かれておって、その一つ一つによって実態が違うように見られます。一回きりの取引でお米を入れた人もありますし、過去に何回か取引があって入れた人もあるし、それからその関係者の供述も、私どもが見て、すなおにお話しになっている方があるようにも思えるし、それから中には、いろいろ取りつくろってお話しになっている方もあるし、なかなかいまのところ実態か明確につかめないというのが実情でございます。  そこに持ってきて、先ほど来御指摘のあったように、事態がだんだん世人注視の、万人注視の事態でございますから、もう報道関係は捜査関係者の一人一人に、マン・ツー・マンでくっついておるような状態で、なかなか動きがむずかしい。それで、先ほど申し上げたように、取材活動をして、もう捜索が入るころだろうというような質問が出たり、まことに捜査がやりづらい面がございますが、私どもとしましては、告発があった以上、あるいは告発がなくても同じでございますけれども、この事件についてはあくまで事案の真相を明らかにして、そうして警察としてやるべきことを絶対にやらなきゃならぬというつもりでやっておりますけれども、何ぶん事件が複雑に込み入っておりますので、ここで一口にどこがどうなっておるという御説明もしかねるし、現に捜査中のものでございますので、その点について個々に、何の太郎べえがどうしたという御説明はしかねるのでございますが、大いに努力いたしております。
  33. 大出俊

    大出委員 じゃ、私のほうで明らかになっているものを二、三確かめてみたいのです。というのは、事の発端食管法に基づいて調査をなさった。この過程で丸紅の受け取りが一枚出てきたわけですね。東京あられに対する二億二千万でございますか。あそこに理事長の坊城さんがおいでになりますけれども、そこで、買ったのだから受け取りを出すのはあたりまえでしょう。商社の介入というのが初めて明確になった。そこのところは間違いないでしょう。
  34. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいま御指摘の、理事長について調べておるということは承知しておりますが、その具体的な内容については、私もただいま承知しておりません。
  35. 大出俊

    大出委員 だって、食糧庁のほうでそう言っているのに、あなたのほうで承知しないのですか。捜査の関係で言えないというわけですか。
  36. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねの件については茨城県警でやっておるので、捜査はもう刻々に私の耳に入るわけでなくて、ある段階になったときに、こういうことであるという入り方をするものですから、いまお尋ねの領収書が出ておるということについて、私ただいま承知しておりません。
  37. 中野和仁

    ○中野政府委員 食糧庁で言ったのではございませんで、新聞には、あの記事は私も見ましたが、下のほうに食糧庁というふうに書いてあります。食糧庁調査に基づくものについてのニュースではないかと思います。私のほうではそういうところまでとても確認ができておりません。
  38. 大出俊

    大出委員 そうなると、ここで言ってはいけないのでしょうね。だれから聞いたと言うわけにはいきませんな、これは。そこだけはっきりさせておきませんと、また途中でゆれが来まして……。  ぼくはもう一つのある件を調べているのだけれども、ぼくらが調べたり聞いたりしてはっきりしていることであっても、証拠整わずというので不起訴になったり何かしているものがたくさんあるのですよ。そうあってはならぬと思うことが。だから私は、せめてそのことの出発が、いま中野さんのおっしゃる、新聞に出ておった——出ておったから私はそれを聞いたんだ。だけれども、ばくとお答えいただけるつもりでいま質問したのだけれども、ばくとお答えいただければそれでいいのだが、それを食糧庁と新聞にも書いてあったから、そこのところをおたくのほうに聞いたけれども、何でその方が丸紅の名前入りの二億数千万のものをお出しになったかという背景の理由は伏せておられましたが、私は実は、その人のすぐ近い人に、なぜ出したかと理由は聞いている。聞いているけれども、そこのところは、私が冗談を言ったら伏せておられたけれども、それはそれでいい。だから名前をあげたわけでもない。だが、新聞に出たことだから、あなたのほうは、それも未確認だとおっしゃるなら、これをはっきりしませんと。食糧庁とちゃんと書いてあった。あなたはいまお認めになった。そうでしょう、新聞記事は。しかもそれは私は直接聞いているのですよ。それでもあなたのほうはそれを全然知らないですか。
  39. 中野和仁

    ○中野政府委員 私のことばが足りませんで恐縮でございましたが、あの新聞に出ましたときに、食糧庁と書いてありましたが、食糧庁が約束手形ですか、あれを確認したのではないということで終わってしまって、恐縮でございました。そのあと出ましたものですから、責任者に様子を聞いたわけです。そうしますと、あの出ておるようなことをやりました、こういうことは承知しております。ことば足らずで恐縮でございました。
  40. 大出俊

    大出委員 それは斉藤さん、一番の出発が、一枚出てきたわけですね、丸紅のが。それで、最初にそれが新聞記事になっておるわけですね。そうすると、その一枚が出てきたことについて、私個人の感覚で言えば、しぶしぶであっても何でも、ようやくやる気になったのだなと思った。出どころについて私は私なりに調べて知っておりました。だからそれを聞いたら、なぜそれを出したかという背景はともかく、その事実については食糧庁は御存じだった。ところが、あなたは知らないとおっしゃる。捜査上困るのだとおっしゃるならいいんだ。あなたは全然知らないとおっしゃる。新聞にも出たことだし、それが出発なんだ。あなたのほうでこれだけ新聞に書かしておいて、そこまでしらばっくれられると、私にするとまたまた心配なんだ。この問題は大騒ぎしてみたけれども、まさに「警鐘の意味だった」で終わってしまう。それでは時の政治に対する不信が起こりますよ。はっきりしたものはあるのに。だから、念のためにもう一ぺん聞きますが、あなたは全然知らぬですか。
  41. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 私から先生に申し上げるのはまことになんですが、ただいまの警察制度のもとでは、県警がやはり捜査の実質的な主体でございまして、茨城県警がこの捜査をやっておる。警察庁は中央官庁としての立場にある。そういう意味で、私の手元で捜査のすべてをやっておるわけではございませんものですから、茨城県警からの連絡を受けて、ある区切り区切りに捜査の内容を知るわけでございますが、そういう意味で、いまの坊城さんについて事情をお聞きしておるということは承知しておりますが、その中で、いまお尋ねのございました領収書のやりとり、あるいはどういうものがあったかということについての報告を私は受けておりませんし、それから遺憾ながら、  一生懸命見ておるつもりですが、その新聞記事を見のがしておったので、私その問題については、ほんとうにただいま知りません。ただ、そのことが捜査をいいかげんにすることにはならない、一生懸命やっておるし、今後、いま御指摘のようなことを含めていろいろなことを明らかにして、そして関係者の責任を明確にするということが私ども責任だというふうに思っております。
  42. 大出俊

    大出委員 あなたが調べていないことくらいは私も百も承知なんです。だから、この種のことはいままで何べんもありましたが、やはりこれだけの大きな事件、社会的に責任を負わねばならぬ事件であれば、かつこれだけ新聞が書き立てている事件であれば、事の発端に触れて私が聞いたことについても、知らないなどということになるとすれば、ほんとうに知らなければずいぶん怠慢な話で、ここに出てくるならば、地方行政にきのう出かけてくるならば、しかも三者の合同会議までやっているんだから、そのくらいのところはあなたのほうでかちっとしておかなければ、これはあなたの責任上、責任を負えぬじゃないですか。何のために出てきたんですか。私が調べてるんじゃないのだから何にもわからぬということでは、あなた自身ずいぶん無責任なことになりはしませんか。
  43. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほど来申し上げておるように、各県警で目下一生懸命捜査をやっておりまして、そうして事が非常に流動的でございますし、個々の事実について私どもが県警に、ああしろこうしろと言う立場でもないので、各段階において私どもが、三県の県警が関係があればこれを調整するというのが基本的な立場でございますし、これは捜査の区切り区切りというものがございまして、たとえば、捜索を入れる直前だとか、あるいは非常に重要な関係者について調べるときだとか、そういうかなめ、かなめがございます。その間に、私どもも心ははやるのでございますが、あれはどうだこれはどうだと一々聞くのも、かえって捜査の進展に支障を来たすこともありますので、御指摘のように、熱意は一生懸命持っておりますけれども、やはり捜査の進展というものに私どもが妨害を加えるという結果になってはまずいということもございまして、ただいまお尋ねのことについては、私ほんとう承知せずにまいっておりました。これは、ただいまのお尋ねもございましたし、その点については、捜査上十分にその問題も考慮して捜査の実効があがるようにやりたいと思っています。
  44. 大出俊

    大出委員 これは農林当局にしても、告発をする限りは、確たる証拠が出てこなければ告発できないですよ。そうでしょう。事、農林省といわれる行政官庁でしょう。そうだとすると、いかなる理由があるにせよ、一つの団体を告発をするということになるとすれば、あとで責任を問われるような告発のしかたはできないはずでしょう。あなた調べた云々というけれども、中野さんがさっきいろいろおっしゃっるけれども、問題は、あなたのほうも告発をする限りは、責任が負えない告発はできないでしょう。丸紅が介入をしている、この確証をあなたのほうは得たから告発をしたんでしょう。そうでないにしても、たとえば未検査米なら未検査米というものを途中でストックしている、あるいは買っている、あるいは資格のない人が買っているという確証がなければできないでしょう、これは。確証は何だったんですか。
  45. 中野和仁

    ○中野政府委員 今回は、先ほど申し上げましたような調査のやり方をやったものですから、現在の所有者が未検査米を持っておれば、これは確かに未検査米を正規のルートでなくて買っておりますから、食管法違反でございます。したがいまして、これは確実に食管法違反になるということで告発をいたしたわけでございます。ただ、申し上げましたように、そうすれば全部やらなければならぬということになろうかと思いますが、今回の場合は、その流通ルートに問題がありそうなものについて告発したわけでございまして、この際に流通ルートにこういうことがあるように思えるということを、あわせて警察には現地の所長から話をさせておる、こういうことでやったわけです。
  46. 大出俊

    大出委員 つまり、丸紅というものの証拠を提出してくれた人がかりにいるとすれば、それは、食糧庁としてその人に迷惑をかけないようにしなければならぬことは、私もわからぬわけではない。私もある人に聞いてみた。私もあられの加工関係にはいろいろな知り合いがあるのですよ。私がお世話した人もいるのです。だから私は、それらの方々から聞いてみたら、こうこうこういうことだったというわけです。だからそこのところを、雑談だから表に出しませんけれども、話してみたらやはりそうだった。だけれども、三回聞きましたが、あなたがおっしゃいませんからそれでいいですけれども、私がここでものを言っている中心は、あくまでもこの種のことを一番最初大臣に承ろうと思った姿勢の問題というとらえ方をして、いつの間にか消えてしまったんでは困る、やはり国民的に責任を、政治の分野でもあるいは官庁機構の分野でも、負わなければならぬことだ。だから、未検査米をぽんと九百トンも放してしまったり、いろいろなことを見ていると、あるいは、皆さんのほうからもいろいろの問題の記事が載っかってしまうことを見ておると、常の捜査とは違う。それは規模が違うのかもしれぬけれども。だからそうなると、そうであってはならないと言いたいわけですから、はっきりやってもらわなければ困ると言いたいわけですから。  商社というものをとらえても、確かに商社というものは、高度成長の過程で、それはとてもほかの団体でできる筋合いのものでないことをやってきた功績を、私は知らないわけではない。知らないわけではないけれども、これは櫻内さんだって、通産大臣も過去におやりになっているんだから、知らぬわけじゃない。お互い知らぬわけじゃないが、アメリカだって、ずいぶんアメリカに国益をもたらしたはずのITTだとかハインツだとか、たくさん国際企業があります。ありますけれども、チリのみずからの利権の関係で、百万ドル、ニクソン大統領傘下に払うからというので、キッシンジャーだとかCIAにまで働きかけまして、アジェンデ政権をつぶしてくれなんというような話になってくると、これは明らかに行き過ぎなんですよ。だから上院外交委員会は、二月二十日の日にわざわざ調査委員会までつくって、私の知っている上院議員が委員長になって、特別聴聞をやっているんです。事実が全部明らかになってしまったでしょう。ただニクソン政権はそのことを拒否していたわけですから、明らかにこれはITTの責任ですけれども、そういうことになると、これは明らかに行き過ぎなんですよ。アメリカの世論だって、この点を明らかにされたときに、あ然とした以上にこれはおこった。だからそこまで入らざるを得なかったわけですよ。だから日本の場合もそういうことになっては困る。まさにいま商社を見ているといささか行き過ぎですよ。だから、そういう点は皆さん責任をもって明確にしていただかぬと困る。ところが、その調査権限がないということのゆえに、いままでいろいろな問題が出ている中で、たった一つしか取り上げられない、食管法があったというおかげで。だから、せめてこの問題は明らかにすべきだ、私はこういう考え方なんです。ひとつこれはぜひそういう意味で、大臣決意のほどを再三明らかにされましたから、国民が納得するような決着をつけていただく。商社の全部が全部悪いんじゃない。だが、悪いことがあったことについてはまさに明確にしなければならぬ社会的な責任があるのですから、その点だけ最後に明らかに意思表示をしていただきまして、この点はここで終わりたいと思うのです。
  47. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほど来御説がございましたように、警察としては今度の事件が告発にかかって、そうして警察の手で事犯を明らかにしなければならぬ立場にございます。こういう事犯の実態を明らかにして、そして法廷なりの問題にして、しかるべく評価をしていただくということが私どもの警察に課せられた責務である、また国民の期待もそういうところにあるであろうということを私ども痛感して、できるだけの努力をして、そうして実態を明らかにするという覚悟をしております。また私のほうの大臣も、いまおられませんけれども、そういうことを私に指示しておられますし、大臣の立場でもおそらく同じことをお考えだろうと思います。
  48. 大出俊

    大出委員 どうもたいへん忙しいところ恐縮でございました。
  49. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど私が、食糧庁長官が警鐘云々と言ったようにお答えをしましたが、長官が言っているのではなく、食糧庁内部でそういう発言があったということでございますから、訂正をさせていただきます。
  50. 大出俊

    大出委員 これは皆さんの内部に御迷惑をかけては、趣旨ではございませんから、けっこうでございます。  ところで、行管庁の平井さんがお見えになっておりますので、ここで少し今回の設置法につきましての御質問を申し上げたいのでありますが、その前に、一口で言って、どうもカニ漁業等につきましても、ソ連は全面的にこれを禁止をする、こういう言い方ですね。捕鯨なんかにつきましても、国際的にずいぶん風当たりが強い。ここらのところ、まず今回のカニ漁業の問題につきまして、今日農林省の立場で、水産部門ということで、ソビエトの今回のものの考え方、出方をどういうふうにおとりになっておられますか。
  51. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 詳しくは水産庁長官のほうより御説明を申し述べさせますが、三月一日より東京では日ソ漁業委員会、モスクワにおきましては、農林省の代表が参りまして、政府間で交渉しておる。御承知のように、東京ではサケ、マス、ニシン、向こうでカニ、ツブ、こういうことでございまして、当初、両交渉とも資源調査を科学的にやるということで、小委員会を設けて、その点を徹底的にやってまいったのでありますが、日ソ両国間の意見が、一部一致を見たところもございますが、一致を見ておりません。そこで両論併記のままで、カニ、ツブにつきましては、ソ連側の規制措置というものが公表されました。また続いて東京におきましても、サケ、マス等についての規制措置が明らかにされたわけでございますが、日本側といたしましては、基本的には科学的な根拠、資源を中心として規制措置を考えるべきものが、全くソ連側の一方的な見解で終始しておるというのが現状でございます。  昨年あるいは一昨年、また日ソ漁業委員会はもう十四回目でございますから、過去の経緯から申しますと、特にいまこの段階でのソ連側の意思表示というものを、私どもとしてはそれほど重視はしておらないのであります。ソ連側の常套的な手段であるというふうに見ております。しかし、昨年でありますと四月中旬以降に妥結を見ております。一昨年でありますと五月にかかっておりますが、出漁期を控える最後の段階がそろそろ近づいておりますので、この交渉の促進をさせ、また日本側の真意も明らかにしなければならない、そういう段階を迎えつつあるのでございまして、ソ連側の姿勢については、われわれとしては全く不本意であって、それを容認することができないということを、まず明らかにしておきたいと思います。
  52. 大出俊

    大出委員 私も何回かこの問題に触れたことがかつてあるのですが、カムチャッカ水域におけるタラバガニの全面禁漁なり、東樺太水域におけるアブラガニの全面禁漁なんというのは初めてですね。これは科学的根拠云々という言い方を水産庁はされているわけですね。その科学的根拠云々ということに触れて、かつ、これはどういう背景があってこういう言い方をしてきたんだろうかという点が非常に疑問なんですけれども、将来のこともございましょう。つまり、その辺の皆さん方の分析、そこらまで触れてひとつお聞かせいただきたい。
  53. 荒勝巖

    荒勝政府委員 タラバガニ漁業の交渉につきまして、ソ連側が西カムのカニにつきまして、今回全面禁漁を非常にはっきり文書をもって申し出てきたということでございます。この地域は、タラバガニの漁場といたしましては、従来、日本が長いことかかって開発してきた水域でございます。日本側といたしましては、現在二母船を出漁させまして漁獲をいたしておりますが、日本側の資源調査なり評価方法からいきますと、毎年二母船出しまして、去年もそうですが、資源的には一応ノルマを十分に早く達成して母国へ帰っているわけでございます。したがいまして、日本側といたしましては、そんなに危険なゆゆしい状態にあるという科学者の資源評価ではございませんで、従来どおりの規制方法並びに取り方に慎重を要すれば、今後永続的な母船の出漁というものは可能ではなかろうか、こういう見解でありましたし、またモスクワでもそういう強い主張をいたしておるわけでございます。それに対しましてソ連側の見解といたしましては、タラバガニが非常に危険な段階にあるという見解をソ連側の技術者は持っておりまして、しかも、去年でございますが、全出漁期におきましてソ連側は自分自身のノルマというものがあまり達成できなかった、非公式でございますが半分くらいしかとれなかったということから始まりまして、どうもその辺に見解の相違があるのじゃなかろうか。これは純粋か技術論でございますが、そういうことでございます。  ただ去年までは、資源評価につきまして相当激しい長い時間をかけたいきさつがございますが、今回の交渉にあたりますと、その辺が少し事情が違いまして、ソ連側の技術的資源評価だけが一方的に話になりまして、日本側の資源評価については、これは大陸だな資源であって、ソ連の評価のみで数量の規制を行なってもいいんだという見解が前提に立ってスタートしておりまして、日本側の資源評価についてあまり慎重な分析評価が行なわれないままに一方的にこういう通告が行なわれてきたというふうに、私たちは理解しておる次第でございます。
  54. 大出俊

    大出委員 これは大体いつごろまでにまとめるおつもりですか。
  55. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど大臣からもお話がありましたように、従来の長い日ソの漁業交渉の経緯からいたしますと、日ソ間の漁業交渉があまり激しくない段階においては、カニについては四月十五日、サケ、マスにつきましては、B区域の部分につきましては四月三十日、それからA区域の母船式につきましては五月十五日という出漁期までに片づければいいという前提に立っておりますが、最近日ソ間の漁業交渉のきびしさがございまして、先ほど大臣からお話がありましたように、ともすればずれがちになって、四月十五日以降四月末日までにずれ込んで妥結しておるという情勢になっておりまして、ことしも、できますれば十五日までに妥結すれば出漁される方々はみんな安心されると思いますが、そういうふうになるように努力してまいりたいということにいたしております。
  56. 大出俊

    大出委員 毎年のことなんですけれども、私どもはいつも見ていて、もう少し長期にわたる何らかの方法を打ち出してあげなければならぬのじゃないか。ということは、そのつどそのつど業界その他からいろいろな陳情だとか、業界としてはたいへんショックであるとか、ずいぶん長い経過があるわけでありますから、一体ソビエトとの間において、これは日本側のとり過ぎだ云々ということは、鯨なんかの場合は国際的にたたかれたわけでございますけれどもそこらあたりを振り返ってみて、何が原因か、長期にわたる展望をどうすれば持てるのか、そこらのところはお考えないのですか、毎年毎年のことで。
  57. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私も、先輩河野先生以来、この日ソ漁業交渉については多少なりとも経過を知っておる一人でございますが、お話のとおりに、素朴に考えまして荷で長期の取りきめができないのかという疑問を持っておる一人でございます。  そこで、資源問題を中心に、また前提に交渉をやっておるというこの事実からいたしますと、私としては、ソ連側として資源保護という見地から心配のない環境をつくるということになれば、長期取りきめも可能になるということで、今回の交渉にあたっていろいろ検討してみますと、日本側としては、日ソ共同増殖事業をやろうという提案をしてまいっておりますが、なかなかこれに対する先方の理解が得られておりません。また日本自体といたしましては、北海道を中心とするところのサケ、マスのふ化事業などを相当積極的にやっておるのでございますから、でき得るならば、この日本側の資源保護に対する努力というものをよくソ連側に理解をしてもらい。毎年同じようなことを繰り返す交渉については、いかにも非近代的なように思います。この辺をぜひよい機会に、交渉の方法なども改める必要があると存じますが、しかし、そういうことよりも、本年の交渉におきましては、全く日本側として理解のできないような規制措置を両交渉とも提案してまいっておりますので、まずこの辺を、資源保護を前提として専門家同士の間でもう少しこなしてみたいというふうに見ておるようなわけであります。
  58. 荒勝巖

    荒勝政府委員 大臣からいまそういう御説明ございましたが、日本側といたしまして、当然にわれわれ事務当局といたしましても、安定的な漁獲を続けていくということが、それぞれの漁業者にとりましても、また日本にとりましても、非常に好ましいことであるということで、アメリカとの間で、ブリストルのタラバガニの保全につきまして漁業交渉をやっておりますが、これにつきましては、長期協定ということを日本側も提案いたしましたけれども、資源状態の評価方法がはっきりしないというような事情もございまして、一応二カ年間ということでアメリカとの間に合意に達しております。それと同様に、ソ連に対しましても、アメリカとでさえもできたんだからソ連ともやろうではないかということにつきましては、再三再四にわたりまして提案いたしております。  またサケ、マスにつきましても、豊漁年、不漁年という特殊な環境もございますので、豊漁年、不漁年を一体とした、せめて二カ年くらいの協定ではどうかということで、これは約八年ほど前になりますが、赤城大臣当時に、そのことだけでソ連へ赤城大臣に行っていただいたような事情もありますけれども、ソ連側といたしましては、どういうものか本件につきましては、単年度単位ということで、しかも年々きびしい話が出ておりまして、これにつきましては、われわれとしましても、できますならば長期協定という線で努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  59. 大出俊

    大出委員 私は、水産庁の今回の機構改革をながめておりまして、どうもこういう形の改正をしなければならぬものかなという気がするのです。審議官、二課、こういうことになっているのですが、この農林省側あるいは水産庁側の行管とのやりとりの最初は、一体どういうことだったのですか。
  60. 荒勝巖

    荒勝政府委員 要求当局といたしましては、こういう公式の席で申し上げるのはどうかと思いますが、多少欲目もございまして、また事務当局としてはぜひ実現いたしたいということで、極力希望を大きく出しておるわけでございますが、しかし、行政管理庁なり大蔵省なりという、全体の公平な立場から審査していただくそれぞれのセクションがございまして、そういう形で年末前後までに詰めました段階におきましては、正直申し上げますと、一審議官、それから一課という形に実はなりまして、その一課というのが漁場保全課という形で一応御了承いただいたように、研究開発部の漁場保全課の新設、そのかわり参事官を一つ提供する、スクラップ・アンド・ビルド、こういう原則でございました。  そのときに、私たちといたしましても、また行管といたしましても、予算が済まないと片づかない問題が実はあったわけでございます。と申しますのは、漁港の問題でございますが、四十八年度から新たに第五次漁港整備計画を出す。これは八千二百億円の五カ年計画という形で出しておったわけであります。それが予算の折衝で、関係方面の御努力もありまして、期待しておったとおりとまではいきませんけれども、七千五百億円という五カ年間の漁港整備計画が見通しが立った。そうなりますと、漁港部の強化ということもございまして、従来、漁港部は二課でやってきたのでありますが、組織的に非常にやりにくい、今後もっと拡大していきたいという、従来から漁港の関係者の間で要望がありましたので、それにつきまして、七千五百億円、さらに四十八年度の予算も非常によく今後期待されるということになりましたので、漁港の災害復旧と海岸の保全、だんだん海岸の保全がやかましくなってきておりますし、また海岸の保全事業に伴う予算も多くなってきておりますので、防災海岸課を新設いたしまして、ぜひこれは実現いたしたいということで、予算終了後——終了と言っては失礼ですが、ほぼ七千五百億円の見通しのついた段階で、あらためて行政管理庁と強い交渉を行ないまして、行政管理庁のほうでそれについて御理解をいただきまして、そのかわり参事官一つをつぶすということで、参事官を合計して二つつぶして、そのかわり防災海岸課一課、それから漁場保全課一課、こういう関係で終結したというかっこうでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 荒勝さん、あなた、新聞記者の方に、だいぶ分がいいじゃないかと言われて、「「天のとき、地の利、人の和と三拍子そろった」と多くを語らないが、言いえて妙」、その辺は分がいい結果を生み出したという意味で内部評価もあるということが書いてあるのですが、これはけだし言い得て妙であるということで、なるほど、こう見ると、「桂馬と銀の交換だ」というのです。これまた言い得てなかなか妙です。  そこで、行政管理庁にすると、いままで私も長いおつき合いだけれども、スクラップ・アンド・ビルドという方式、四部十四課一室、この水産庁を四部一審議官十六課一室、こういうことで行政管理庁はオーケーしている。このことは大蔵省の予算もついたわけですから、通れば発足する。去年の例の十一月の農林本省の機構改革から見ると、部長クラスの審議官ポストを一つ新設するのに、課長クラスの参事官ポストを二つやめた、去年の農林本省のやつは。これは行管のスクラップ・アンド・ビルドですね。ところが、外局の水産庁の場合には、まるまる審議官ポスト一つを獲得した。そして参事官ポストを二つ減らして新しい課が二つ認められた。こういうわけですね。ということになると、これはだいぶうまくいったことになる。参事官だなんていうのは課員がいませんからね。課長さんのポストなら十人か十五、六人の課員はいますけれども。そこで、行政管理庁の側はどういうところをお考えになって、旧来と少し毛色の変わった決着のつけ方をなすったのか、その点を承りたいのです。
  62. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 先ほどの御質問でございますが、いわゆる調査官と申しますか、参事官と申しますか、政令官職ポストにつきまして、それを課長に振りかえるという仕事は本年度初めてやったわけではございませんので、四十七年度におきまする査定におきましても、各省につきましてある程度認めているわけでございます。したがいまして、実態的に見てそういう必要性のある場合についてはそういう措置をとったわけでございますが、ただいまの御質問の中で、審議官一つの新設というのが確かにことしの新しい問題だと思いますが、これはいろいろな御議論がございますけれども農林省自体非常に大規模な機構改革を相当無理をしておやりになった現在の段階でございまして、なかなかこれ以上の振りかえポストというのもむずかしいという状況にもございましたし、また国際的な会議の増大というような客観的情勢もございまして、そういった意味で、水産庁長官なりあるいは海洋漁業部長なりだけでは国際会議に対処することはきわめて困難であろうということが推察されましたので、特にこれを認めた次第でございます。
  63. 大出俊

    大出委員 農林省で東大法学部をお出になって国家公務員上級試験に合格された方、これは旧来十二年ないし十三年くらいで本省の課長さんになっておられる。私も長いからよくわかっているのです。ところが最近はどうも十五、六年かかる。二、三年伸びた。これはポストの関係です。そこで部長クラスのポストが一つできるということは、たいへん階段上がるのに早くなる。だからその意味では、「桂馬と銀の交換」というのは言い得て妙になるのですね、長官に言わせれば。行政管理庁はそこまでお考えになったわけですか、仲間ですから。
  64. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 そういう点は考慮いたしておりません。
  65. 大出俊

    大出委員 考慮したなんて言ったらたいへんなことになりますから、考慮していないということになるのでしょうけれども、いままでの機構改革の中で、荒勝さんおっしゃっている「天のとき、地の利、人の和」と三拍子そろう場合がふとたまにある。そうなると、私はどうも筋論からして気になる。そういう意味の不公平が出てくると、どうも他に累を及ぼすことになる。私どもも非常にやりにくくなる。したがって、こちらのほうは、サケ・マス交渉なんてやったりするのにはそういうポストが必要だというけれども、ハイレベルでやっておられますから、もっと大きな政治的なレベルですから、何も直接的にそんなことにならぬという気がするのですが、何が一体必要だとお考えになってこういうことにしたのですか。
  66. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 確かに、ただいまのサケ・マス交渉自体、ハイレベルの問題であろうということもよくわかりますが、そのほか漁業関係の国際会議は、先生にいまさら申し上げるまでもないと思いますが、きわめて多種多様にわたっておりまして、本年度の予定として私どもいただいております限りにおきましても、約十五以上の会議が各地で開催されるような予定がございますので、そういった点から勘案いたしますと、国会の開会状況等から見ましても、やはりそういった官職がないとなかなかやりにくいだろうという事情でございます。
  67. 大出俊

    大出委員 ここから先に、皆さんが御存じの人の名前がぞろぞろと出てきて、まさに人の和になってくるわけですが、天の時というのは、サケ・マスをはじめ、七つの海のあみこちあちこちで日本の遠洋漁業は締め出されてくる。水産界でもたいへんそこのところを心配をする。そういうときに、さっきお話がございましたように、強力なスタッフをつくる、こういう言い方はまさに天の時を得たことになる。あわせて人の和をこしらえられたという。これはいずれの場合でも、何とか行政管理庁に認めさせようということになるとすれば、いろいろなことがあるのはわかりますけれども、あまりそういうことが表に出たり新聞の記事になりますと、とかくわれわれの立場からすると、記者の方々がお書きになったのだからといって黙って見過ごしたくない。したがって、ものを言っているわけです。だから、まず冒頭にサケ・マスと対比をしているところのカニ漁の問題を、タラバガニ、アブラガニしか触れませんけれども、そのほかいろいろカニの種類はありますけれども、ひとつ触れてみたわけなんです。  大臣に承りたいのですけれども、水産庁が天の時を得たに違いないかもしらぬけれども、そこまでの必要ありというふうに、大臣自身はどういうところをつかまえてそうお思いになるのですか。具体的にお願いしたい。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま行政管理庁のほうから、農林省の国際会議が本年十五もあるということを言っていただきました。実は私は就任してみて、農林省というのはただ国内のことを中心にと思っておったところが、なかなかその守備範囲の広いのに警いたのであります。特にいま各国の漁業規制あるいは領海についての見解というのを検討してまいりますと、一つ一つなかなか大きな影響のある問題ばかりでございます。今回予算折衝のときに、これからの開放経済下にある、国際協力をしなければならない日本として、何としても漁業面での果たす役割も非常に大きいということを痛感させられたわけでございます。これがため何らかの措置を講じなければならぬということで、公益法人を認めていただいたり、あるいは外務省において特に漁業協力のための特ワクを認めてもらったりいたしておりますが、この現実の状況を申し上げると御理解をいただけると思いますが、いまモスクワへ生産部長を行かしておる。それから東京で日ソ漁業委員会の代表を送っておる。そこへ海洋法の予備会議でアメリカにやらなければならないというふうに、次々とこの国際漁業関係の派遣の方々をどうしても必要としてくるわけであります。そういうようなことを考えてみまするときに、水産庁の従来の機構ではこれはまずいのじゃないかというところに、幸いにして今回の折衝の結果で海洋漁業部の設置ということになりました。  それで、もう一つ国内的な関係からいたしましても、水産庁長官が御説明をしたように、ただ単に漁港というものを考えるのではなくして、そこに沿岸一帯の工業化が進んでおる。あるいは海水汚染などを考えまするときに、水産庁関係の公害問題というものも非常に重大な問題になってきておる。そこに、漁港部の防災海岸課や、あるいは今回の研究開発部における漁場保全課というようなものが理解されたというようなことでございまして、国際関係ももとよりでございまするが、同時に国内の新しい水産関係の問題を考えまするときに、私としては、今回の機構をこれはぜひ実現させたいということで、水産庁長官を陣頭に立てて、いろいろやった結果が、まあわれわれとして満足する結果を得たということでございます。
  69. 大出俊

    大出委員 これはパーキンソンの法則というのがありまして、前に私、一省一局削減のときに、田中総務長官に、これを引き合いに出してやりとりしたことがあるのですけれども昭和二十七、八年ごろからの機構の移り変わりを、各省通じまして、一昨年、私、調べてみたことがある。国家行政組織法問題をあるいは手がけねばならぬと思ったものですから。そうすると、まさにパーキンソン氏の法則なるものがここに出てくるようになっている。つまり国家行政機構というのは、仕事がふえたからとか減ったからとかいうことに関係なく増殖をするものであるという原則だと言っているのですがね、パーキンソン氏は。で、「パーキンソンの法則」という本を書いておるのです。その中で一番最初に出てくる。確かにふえている。そのつど、はたしてどれだけ仕事がふえたからふやしたのかと思って見ると、仕事が減ってきたら逆に機構がふえたり、いろいろなことがある。だから私は、そういう意味で機構というものはもう一ぺんあらためて考えてみなければいかぬなという気がしながら、今度の皆さんの改革案を調べてみたのですけれども、時間も時間でございますから多くを申し上げる気はありませんけれども、せっかくおふやしになるということである限り、これは大臣、いま水産関係で問題があることは私も知っております。どうかひとつ精力的に問題解決をはかっていただいて、新聞関係の方々がお書きになったようなことでない、つまり新しい人材と能力を、そしてまた仕事を開発をしていただいて、水産関係の、ここには中部大洋漁業社長さんの名前だとか、あるいは鈴木善幸さんの名前だとか、安倍普太郎さんとか、愛知さんも地元の水産会社の会長をやっておるとか、幾つも書いてありますから、そうじゃないのだという仕事ぶりになっていっていただきますように、国際交渉のむずかしい問題もかかえておる際でございますから、お願いしておきたいと思うのでございます。  そこで、あと三点ばかり具体的な問題で承りたいのですが、時間があまりございませんので、先にこまかい問題から、といっても中身は重要なんでございますが、御見解をいただきたいのです。  一つは、昨年の市場法改正等とからむマグロの一般買いという問題ですね。市場流通のワクをはずした形になっている。たしかマイナス四十五度くらいのところを基準にされたと思いますけれども、つまり半永久的とまで言わぬにしても、一年なり二年なりはもつという、そういう冷凍魚につきまして、つまり相対買いが簡単にできる。確かに船社のほうからすれば、たとえば一隻三億のマグロであっても、港ですぽんと売り買いができたほうが、あるいは余剰な費用は省けるかもしれない。回転も早いかもしれない。しかし、そのことが、よって来たる価格へのはね返り、あるいは庶民一般に対する影響というものを考えると、はたして市場流通の、そこのポイントを抜いてしまっていいのかどうか。  私は実は横浜の中央市場というものをかかえておりますので、そこの仲卸の諸君その他知った人がたくさんおりますが、また横浜の市場というのは近くに三崎をかかえております。三浦三崎がございます。この三浦三崎は沼津、焼津にまた関係が出てくる。そういう関係で言うと、この辺でもう一ぺん考え直してみないと、とんでもないことになりはせぬかという気がする。横浜の市場にさっぱりマグロが入ってこない。中小の仲卸業者の方々は手をあげた時期がある。一般買いなんですね。ないはずはないのだといって騒ぐと、どこどこへ行けばあるという。ところが、それをさらに調べてみると、市場の中にダミー買いをさせている人があったり、あるいは場外でいろいろやっている方がある。この中に商社の名前が出てくる。こうなると丸京星の方々だけではない。いろいろと問題が出てまいります。  そこで、この問題は、一体、水産庁の皆さんの側から見てどうとらえたらいいのか。私には私の意見があります。案もあります。ありますが、このまま放置しておくことは非常にまずい。そうでなくても三崎の業界は、業者間で中小をかかえている小さい組合の中で役員がみんな辞表を出した。大騒ぎになりました。責任が負えないから、品がないから。一般買いでみんな買われちゃって、旧来の正規のルートで入ってくるものは全く入らない。手をあげてそれっ切り。そうなると、その団体を一生懸命まとめてきた人たちは責任が負えない。だから辞表を出した。これは業界内部の問題。転業を考えた人もいるが、転業をした人もいる、仲買いの中には。ところが、それが周辺庶民の一般にどうかということになると、横浜周辺のすし屋さんにはマグロがない。東京では及びもつかぬことでしょう、築地がありますから。こういう影響を持つのですね。ここにも商社の名が二つばかり出てくる。こういうことになると、マグロもかということになっちゃう。  これは大臣農林省責任問題だと私は思う。相対買いが認められるにしても、それが買い占めになる、あるいは価格のつり上げになるということをなぜほうっておくのか。水産庁の方に教えていただいて聞いたら、いろいろ調べてみましたけれども最初は、どうもよくわかりませんのでという。少し大きな声を出したら、あとでお見えになって、いや確たる証拠というものを持ち合わしていれば言えるんだが、そうでなかったからああいうふうにお答えしたのですという。しかし、御指摘のように、私に対して、あなたもそっちの一家言があるならばということで、つまり少し三崎から向こうに行きますと、商社の名前が出てきますという。あるところは場外でございまして ワク外だから手のつけようがない。場内に関する問題も確証がないから、買参権問題とからんだりするから、つかんでいなければ言えないというふうな話が出てくる。そうすると全く御存じないのではない。一体それはどういうふうにすればいいのですか。どういうふうに理解すればいいのですか。お考えを聞かせていただきたい。
  70. 荒勝巖

    荒勝政府委員 マグロの一船買いにつきましては、御承知のように、四十四年ころから始まりかけたというふうに私のほうは理解しております。それは一つには、四十四、五年前後からいわゆる凍結冷凍といいますか、マグロの冷凍の保管技術が非常に発達して、これがマイナス四十五度くらいで保管すれば相当長期間にわたって保管できるということが、まず第一前提になっていると思います。それとともに、その事実がマグロ船にも適用されまして、太平洋、あるいは遠く大西洋、あるいは南氷洋までマグロ船が出漁いたしまして、十カ月くらいの航海で帰ってくるわけでありますが、その関係で、その間も何ら荷いたみをしないということで、長期間かかって持って帰ってくる。その結果、マグロ船といたしましては、コストがかかる一方、持って帰ってまいります水揚げ額も、御存じのように、従来のような小さな三、四カ月航海で帰ってくるのと違いまして、大型化いたしまして、三億円、あるいはものによりましては四億円近い金額のものを持って帰ってくるわけであります。それが港へ入りまして水揚げいたすわけでありますが、従来の方法、スモールスケール、小型の荷であれば簡単にその日のうちに片づくものが、一ぺんにそれを陸揚げいたしますと市場に非常に撹乱作用といいますか、多少値を下げてしまう。しかも非常に時間がかかる。一週間も船をそこに係船しなければならないというようなこともありまして、どちらかというと、漁労者といいますか、マグロ船側のほうが強く希望しまして、何とか一日で水揚げして一日のうちにどこかへ保管してもらわなければ困る、こういうこともありまして、むしろマグロ船側の希望もありましてそういった一船買いの動向が始まったんではなかろうか、こういうふうに理解しております。  さらにそれが、清水とかあっちの西のほうの静岡県グループになりますと、輸出用のマグロということもありまして、冷凍のものを冷凍のまま直ちにまた輸出しなければならない。しかもそれは商社の方が清水で大量に買いつけいたしまして、これはさしみになりません、かん詰め用の分でございますが、マグロを買い取り、あるいは清水を中心とするパッカーにそれを渡しまして、さらに再輸出に回すということで、そういった一船買いの技術が非常に進んできた。そういう事実を踏まえて、それが逐次東のほうに、あるいは三崎なりというふうにだんだん回ってきたんではなかろうかというふうにわれわれ理解しております。  したがいまして、この比率から申しましても、清水では四十五年に、パーセンテージといたしましては、約七〇%前後の一船買いの経緯がすでに始まっております。それに対しまして、同じあれでも焼津では、やはり生魚用、なまもの中心でございますので、そちらのほうは四十五年、四十六年はほとんど行なわれていない。それから三崎につきましては、四十五年にはわずか一〇%程度だった一船買いの比率が、四十六年には三〇%になり、四十七年に六〇%にというふうに非常にふえてきておりまして、特に今回問題になりました一月前後には八〇%の多きにも達した。ところが、その後、わりあいに水揚げの量がふえてきたということもありました関係かとも思いますが、二月、三月というふうに多少でこぼこはありますが、三月には七〇%前後の比率というふうに、傾向的には多少下がってきておるものと私のほうは見ておるわけであります。  その過程におきまして、清水におきましては、私たちのほうでもいろいろ調べておりますが、明らかに一船買いが中心になりまして、これは工場にもだいぶ入れるということもありまして、相当多くではございませんが、もう初めから明らかに名前を出されて商社の方が出動され、かつまた大手水産会社も若干これには参画して、かん詰め用のマグロなり輸出用のマグロについては、相当積極的に事業活動をされておるやに聞いております。  それが三崎なりのほうになりますと、私のほうは何べんも担当官、係官を出して調べさせて、私も承知いたしておりますが、どうもやはり風聞程度にしかわれわれとしても確認できない。これにつきまして、いまのところやはり、一部の仲買いの方々が一船買いの手を非常に強く出されておるというふうに理解している。これは五人ないし十人くらいの方々が主として動いておられる。その仲買い人が、三崎の場合、百八十七名のうち五人ないし十人の方がこの件について大体動いておられる。この件の御指摘かとも思いますが、いろいろ調べているわけでありますが、冒頭申し上げましたように、どうしても小さな零細な仲買い人の方は、大型のマグロ船が入ってきた場合になかなか手が出ない。それに対しまして、仲買い人の中でも、多少資金的なバックのある、銀行に信用のあるというような方々は、相当大量にこの一船買いに手を出されておられるということで、仲買い人の間に相当格差が出てきておる、そういうふうに私たち理解しておりますし、またマグロの水揚げ側、漁船の側の意見を聞きましても、どうもやはり、初めは高く売れる、また産地直結といったらおかしいのですが、直接取引ができるので、価格も安心できるし、そしてまた、こういった川船買いの場合は価格が比較的安定しておるということも、漁労者のほうから見ますと非常に好ましいような状況でございまして、せりにかけると、一体幾らの値段でかかるかわからないので、そういったことで、いままで小さい仲買い人だから相手にしないというような姿勢であったようでありますが、水揚げ側、漁労のほうでも、仲買い人を、今後なるべく資金力、信用力をつけていただいて、大量の荷が揚がったときも値が下がらぬように、いろいろと役所のほうでも指導していただきたいというふうな希望が最近強く表明されている次第でございます。
  71. 大出俊

    大出委員 表明されているだけじゃ困るのですよ。これはこまかく流通経路を、私も横浜に行っていますからよく知っていますけれども、どういうふうに値がつけられてどう流れてくるかというのはわかっているんですが、大多数が委託販売で入ってきますね。だが三崎の例を言いますと、中小の仲買い人でこれまで十本、二十本という小単位で取引をしていた方々がいます。組合をつくっておられます。これは三崎水産物協同組合、久野又兵衛さんという方が理事長なんですが、そこに加盟しておられる百八十四人の仲買い人の方々、これはそのほとんどが扱えない。マグロが来ないのですから。そこで、港にはマグロが入っている。目の先見ているわけですから、何とかこれ、三分の一でもいいからこちらに回してもらえないかという。これは無理からぬことなんですね。中小仲買い人といったって、これはちゃんと免許を持ってやっているんですから。そうでしょう、山ほどマグロは入ってきていて一本も行かないんじゃ、これはまことにふざけた話ですよ。仲買い制度というものは何でつくったかという淵源にさかのぼらなければいかぬ、そうなると。仲買いがある限りは、買参権を持っている人が来て買うんだから、当然でしょう。お得意さんもあるわけですから、それなりに品選びをしながら、いい商慣行で売っているわけですね、小さければ小さいなりに。しかもその先にはまたルートがあって、これはどこから入ってきたんだからというようなことで、今度は庶民の口に入るところで売っているわけですね。そうすると、このルートがぴしゃっとととまってしまうような、大型な札びらによってぽんぽん買われて持っていかれる。それはどこへ持っていくかといえば、冷凍倉庫ですよ。冷凍倉庫を持っていなければ買えないんだから。だから、資金が相当なければそういう芸当はできない。倉庫へほうり込んじゃう。  桜の花の咲くころというのはマグロが一番売れるときなんですよ。だから、マグロ漁船もそこらをねらっては入ってくるけれども、そうすると、市価を見ていてマグロが上がっていった——一例をあげますと、横浜の市場ですが、大体四百九十円ということでさばかれたマグロが、この三崎の市場の仲卸を経て横浜に着く、四百九十円が横浜に着く。ここで卸売り会社が横浜中央卸売り市場に出荷して六百三十円、大体こういう値がついて出てくる。これは高いほうですが、高値の六百三十円。このマグロが、今度は横浜市場で卸売り会社の、これはほとんど委託品なんです。これが、その値がついたあと、さらに仲卸、小売り人の商人マージンが入ってきますから、さらに手数料を取られますから、そうするとこれは、最終価格は大体八百円ぐらいの計算になってしまうのです。そうすると、百グラムが八十円のマグロは、魚屋さんに行ってさて町並みに売られるさしみということになると、百グラム八十円の原価で入ってきたものが小売りは約三倍の二百四十円なんです。百グラム二百四十円にならなければ庶民の口に入らない。こういう仕組みになっているのです。それでも中小の仲買いというのは、長年のルートでありお得意関係だから生きていけるのですね。また喜んでそのルートで、高くなったなということでやっているわけです。  ところが、山ほど入ってきて、大資本、二つ商社が表に出ていますけれども、すぽんと八割持っていってしまう。三崎へ入ってくるマグロを押えるというのは、それを冷凍倉庫へ放り込んでしまう、そして品薄を見はからわなければこれはもう絶対出さない。腐らないのですから、二年ぐらい平気なんだから、入れたが最後、高値がつかなければこれは出さないのですから、これは確実にもうかる。そういうことを平気で水産庁がほっておくということになったのでは、これはずいぶん不公平な話で、そんなことでは、札びらでほっぺたはたかれれば何でもできる、そういうことになってしまう。そういうところはやはり、流通ルートというものをはっきりつけてあげなければ、行政官庁はあってもなくても一緒です。  この仲買いというのは歴史的にやっているわけだ。しかも、せがれから孫まで一緒になってやっているわけです。長ぐつはいて一生懸命やっていまして、それには、魚屋さん、すし屋さん、仕出し屋さんがくっついているのだから、そこをとめただけでいいのではないのですよ。だからそういうことを考えてみると、それこそ機構改革で人をふやすだけが能ではない。そういうところは、行政官庁があるのだからきちっとする。しかもマイナス四十五度を境に、零下でいえば六十度、六十五度です。みな相対買いできるようにしたのだから、市場法の改正の際に市場流通のワクをはずしたのだから、はずした責任は改正案を出した政府にあるのだ。そうでしょう。だから、問屋が買ってしまうのだから、形の上では委託販売しかあらわれてこない。その委託販売がなくなれば手をあげるのですから。だからそういう意味では、やはり皆さんのほうで打つべき手は打つ、その必要が私はどうしてもあると思うのですね。黙って見ていたらだいぶ入ってきたから、何とか値が落ちついた、なんということを言っていたのではだめだ。花見で桜が咲いたら、東京なら飛鳥山はじめ上野公園だなんというので、マグロか何か持っていってみな一杯やっているわけだ。そうでしょう、売れるのだから。しかし、このぐらい入ったからだいじょうぶだろうなんということを言っているうちに、一つの集団は全部手をあげて、食っていけなくなって、役員は全部辞表を出して転業してしまった。全部転業しているわけじゃないのですよ。もうこういうことになったのではわれわれ金のないものは仲買い人やってはいられない、おやじの代からの仕事だけれども、といってやめてしまっているわけでしょう。そういう気の毒なことにしたのでは……。  私は、きのうも通産省相手にいろいろ質問しましたが、百貨店法を改正するという。それは百貨店あるいはスーパー、いずれも消費者に安いものを売ってくれればいいのだけれども、それを変えては困るけれども、しかし、その中で小売り店舗の方々が生きられるようにしなければならぬ。一番弱いところなんだから、生きられるようにしなければならぬ。そういうところに行政がなければならぬ。これだって同じことですよ。だから、金があるから強いのだ、それでいいのだといって、片方、中小の十本、二十本を相手にしている、五本ぐらいをやっている仲卸もあるのです。そんなものは差がついたのですから、自然淘汰だからやめていけばいいなんということになると、それこそ行政官庁なんか要らない。そこを聞きたいのです。どうすればいいのだ。それは庶民一般とつながっているのだから、どうすれば店を維持できるのか。金だけでものがきまるのなら、この世の中は商社が一番えらいことになる。そうはいかないわけです。いかがでございますか。
  72. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど私、御説明のときに多少舌足らずでまことに失礼いたしましたが、われわれといたしましては、こういった市場の零細な方々につきまして今後指導を大いに強化いたしまして、こういった零細な方々でも十分にマグロが購入できるような、何らかの形で協同組合的な形での組織を育成いたしまして、銀行からの資金力の手当ても今後十分信用力がつけるように、そういった形でやっていったらいかがかということで、現在その方向で検討させていただいておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  73. 大出俊

    大出委員 検討させていただいておるなんという、なまぬるいことをやっていてはだめなんですよ。というのは、冷凍マグロの保存、計画出荷、あるいはコールドチェーンシステム、これを一体皆さんは一生懸命奨励した時期があるでしょう。そして一船買いが始まるでしょう。それはふえてきているでしょう。そうすれば、市場の中小の仲買い人は一体どうなるかということは、初めからわかっているじゃないですか。いま検討しているのではなくて、あわせて方法を出さなければいかぬじゃないですか。そうでしょう。それをいま検討していますなんて言ったのでは、やめてしまってから検討してもだめなんです。商社をもうけさせてから規制してもしようがない。やることなすこと、そういうことではだめなんです。いま、どういう案がありますか、どうやれば生きられますかと聞いている。それがなくては水産庁の存在価値はないのじゃありませんかと言っているのです。
  74. 荒勝巖

    荒勝政府委員 コールドチェーンの指導にあたりまして、われわれのほうといたしましては、もっとほかの魚種の、いわゆる日本列島の各地に点在いたします産地市場というものを中心といたしまして、それは主として漁業協同組合を中心とする市場でございますが、そういったところの水揚げの分につきまして、冷凍施設を助成し、またそれが大都市の市場と直結して、今後魚が安定的に流通できるようにということの観点で指導してまいった次第でございます。  ところが、こういった、ことにマグロについて、急速に一船買いが八〇%を占めるというふうな事態になるということにつきましては、あまり注意を払わなかったということにつきましては、これは行政上まことに問題がございますので、今後、こういうマグロとか遠洋漁業で持ち帰ります冷凍魚のあり方について、さらに、ただいまも申し上げましたように、大型化した荷物とバルクの荷物を中小の零細なる仲買い人がどうやって受けとめていけるかということにつきましては、資金的対策を含めまして、今後商業活動がしやすいように指導してまいりたいということをいま申し上げておるのですが、いま直ちに案があるかと言われますと、まだ実は結論的な持ち合わせは持っていないということでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 冷凍魚あるいは冷凍マグロの冷凍保存、それから計画出荷、こういうシステムをつくっていこうということをやってきたわけでしょう。ところが、それが生産者流通業者の二つのことが中心に考えられていたのでは困る。消費者がワク外になっていたのではだめだと実は言いたいのです。つまり仲買いは、業者を通じ商店を通じて消費者とタイアップしているわけですから、そうすると、この仲買いの方々が商況をながめていて、ほしいときに買えるようにしなければいかぬわけですよ。ほしいときというのは、だれがほしがるか、一般市民がほしがるのだ。桜の花が咲けばほしがるのだ。そうでしょう。そうすると、計画出荷というのは、冷凍しておけば保存ができるのだからいつもある。市民が食べたくても、荒れてますとか、やれちょうちんだとか品不足というので、ないのではだめなんだ。そうすると、国民一般市民一般がほしいという、それをつかんで、中小の仲買い業者がほしいと思うときに買えるシステムでなければいかぬ。消費者はワク外で、生産者流通業者との関係のコールドシステムをつくったのでは、いまのようなことになってしまう。また、そこのところをはずしてしまえば、中小仲買い人は死んでしまう。だから横浜周辺にマグロがないというようなことができる。だから、そこのところを中心にお考えいただかなければならぬのに、金のある生産、流通、ここだけをつないで考えるものの考え方では生きていけない。つまり切り捨てになってしまうのですよ。  だからこれは、極端なことをいえば、国がピープルバンクみたいなものをこしらえたらほんとはいいんだ。冷蔵システムを考えたのだったら、大きな倉庫をこしらえてそこに置いておけば、仲買いが買いたいときに安定的に買える。これはそういう構想を考えたっていい。これは、幾らおくれているセイロンだって、フリーマーケットがある。まん中にコオペラティブマーケットをつくっておく。フリーマーケットが値上がりをするとピープルバンクから金を出す、国民バンクから金を出す、政府が持ってくる、それを配給ルートを通じて配給をする、とたんに下がる、そうやっている国だってある。そこらのところは、皆さんのほうでもう少し考えておかなければ、片手落ちもいいところじゃないですか。だから、いまになって、案はない、何とか考えようなんていうことを言っていたんじゃいけませんよ。機構改革をなさるんだから、そこらのところも考えなければ、「天のとき、地の利、人の和」なんてことを言っていたってだめですよ。
  76. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいまの御要望の点につきまして、私たちもまことにその点につきましては、行政的に多少不備な点があったことは認めざるを得ないと思いますので、これにつきまして、マグロを中心といたしまして、こういった海外から入ってきます大量の冷凍魚の対策につきまして、消費者対策も含めまして十分に検討させていただきたいということで御理解願いたいと思います。
  77. 大出俊

    大出委員 どうかひとつ消費者をはずさぬでくださいよ。おたくじゃありませんが、これは百貨店法をつくるときだってそうです。消費者不在の百貨店法では困るんですよ。消費者不在のコールドチェーンでは困るんです。そこのところはぜひはずさぬでいただきたい。  もう一つ木材関係で、皆さん、箱根に行く方もおいでになると思うのですが、箱根には一つの業界があるんですよ。どういうものかといいますと、箱根でみやげ物を皆さんがお買いになる。いろいろな細工がございます。箱根物産と、こう言っている。これが、木材の高騰でどうにもならぬところに、これまたきている。これはどういうことかといいますと、まあ品不足だ、大手商社の買い占めだなどという騒ぎ木材が非常に上がった。そこで、小田原を中心とした地場産業である箱根物産業界、これは大体がたいへんな騒ぎだ。中には去年の夏に比べて二倍以上になっている材料もある。材料は一体何かといいますと、ケヤキ、ナラ、ホオ、ブナ、ミズキなどという機種が多い。ところが、これらの木材がどれもこれも上がってしまって、ケヤキなんていうのは、去年の夏に、一石三十三センチの角、長さ三・三メートル、これは一万八千円くらいであった。これが何と四万円ですよね。何とか落ちついたなんてことをきのう林野庁の方は言っていたけれども、高値で落ちついたんだから、これは実は落ちついたことにはならぬのですよ。それで、これはどうにもしようがない、どうしたらいいかという相談を一生懸命なさっておる。  そこで、この箱根物産というのはどういうふうになっているかといいますと、箱根の周辺、つまり小田原、足柄上、下郡を中心にして四百三十のつくっている会社がある。室内装飾製品であるとか、箱物であるとか、箱なんかに入ったものを箱根に行った方は買ってこられますけれども。あるいは、こけし、木製洋食器、おもちゃ、こういうようなものなんですね。年間生産量は約七十九億円あるというんですよ、これは。このうち二十億円が輸出されておる。七十九億のうち二十億輸出。ある意味での輸出産業。アメリカ、ヨーロッパ、カナダなどが市場です。ところが、今回のこの木材高騰でこういう結果になっている。こういうことが方々に、おそらく私の足元だけではなくあると思うのですが、皆さんのほうは単なる木材価格を云々しておりますが、それによって波及的に出てくるこの種の問題について、どの程度把握されておられますか。
  78. 福田省一

    ○福田政府委員 箱根のおみやげ品につきましては、私、ただいま初めて伺ったわけでございますけれども、最近、木材の問題につきましては、先生御承知のとおり、昨年の十一月以降急激な上昇を示したわけでございます。主として住宅用木材が原因ではございますが。これに対しまして、私たち、昨年の十一月以降、たとえば国有林材の放出であるとか、民有林材の早期出荷とか、あるいは外材の輸入などについてそれぞれ措置をとったのでございますが、十二月の中旬から、ただい先生お話のございましたように、下がってまいっております。合板につきましても、三月に入りまして初めて下がり始めたのでございますが、いずれにしましても、国内の木材資源というものは不足傾向でございます。これは住宅用の木材ばかりではございません。したがいまして、これは国内の資源の需要ということにつきましても、外材の供給につきましても対策を講じていかなければならぬと考えておるのでございますが、外材等につきましても、最近は、アメリカ等におきましてはなかなか需要が多く、国内でも不足しているということで、不足傾向でございます。したがいまして、基本的には私は、木材価格というものはどうしても大衆の用途に直結したものでございますので、急激に上がったり急激に下がったりということは望ましくないのでございます。ただいま、そういった点につきまして、消費者の関係、あるいは建築関係とか、各界の十七人の委員に集まっていただきまして、一月から検討いたしておりますけれども、やはり、安定した量と安定した価格をきめますために、政府が積極的に乗り出してまいりたいというふうに考えております。この対策につきましては早急に結論を出したい、このように考えております。
  79. 大出俊

    大出委員 いま建築用途とおっしゃいましたが、木材価格の足取りがここにあります。昨年の七月十日、ヒノキ、これは柱ですが、一立米当たり六万四千円ですね。ところが八月に七万八千円、十月に八万円、十一月に十一万円、同じく十一月に十四万円まで上がりました。十二月に十四万ちょっとこえている。これはヒノキの柱一立米当たりです。杉が七月に三万八千円、八月が四万三千円、十月が五万円、十一月は何と七万八千円。この七万八千円が十一月中に八万円になり、八万五千円になった。アメリカ産のツガなんかも、七月が二万四千五百円、八月が二万七千円、十月が三万二千円、十一月が四万円、同じ十一月に五万円になっている。ソ連のエゾマツなんかもありますけれども、やはり似たような上がり方をしている。七月に二万四千五百円が十二月には六万三千円になってしまった。  いま、主として建築用とおっしゃるなら、じゃ、いま私があげましたケヤキ、ナラ、ホオ、ブナ、ミズキなんというものは便乗値上げとでもおっしゃるのですか。それにしても異常な値上がりですね。そうすると、この種の四百何十社もあるところが仕事にならぬ。えらい高いものは売れないですよ。そうでしょう。いま全然御存じないとおっしゃるけれども、やはり林業政策全体をお考えになるときに、市民一般が箱根の山に行ってものを買う、おたくの子供さんなんか箱根に遠足に行くこともある、修学旅行で行くこともあるのだから、何を買ったって旧来のものの倍になるのだから、そういう全体をお考えおきいただかぬと、間違いが起きる。だから、そこらのところを、何か原因だということをお調べください。そうしてどうすればいいか。未利用材の開発ということでいろいろなものを持ってきたが、やはりだめだというわけですね。だから、代替材があるかないかというので、ずいぶん苦しんでおられるようだけれども、代替材がない。そうすると、具体的な策として、国有林の払い下げか何かを少し考える。箱根山なんだから、山じゃう木だらけなんだから、やはり皆さんのほうで少し考えて手を打つというようなことをしなければならぬと思う。地場産業というものについては、箱根のみならず、そこらのことまできめこまかく行政全般の中でお考えをいただくのが筋じゃないかという気がするのです。どうなっているか、一ぺんぜひお調べ願いたい。そして、会社の数を四百幾つと申し上げましたが、ここには従業員が一ぱいいるのですから、そこまでお考えになってやはりこういう時期には手を打つべきじゃないか。これは一例ですけれども、いかがでございましょうか。
  80. 福田省一

    ○福田政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、先ほどちょっと検討会の委員で検討してと申し上げましたが、その中に、従来私たちは、山林所有者とか加工業者とか技術関係だけの対策を考えたことに失したきらいがございます。末端の消費者層、あるいは加工業者なんかでも特に建築関係、いま先生御指摘のそういった方々のことも考えなければならぬと考えております。いまその委員の方々にもそれに入っていただいておるわけでございます。さっそく調査をいたしまして、早急に対策をいたしたいと思います。
  81. 大出俊

    大出委員 これは大臣がお見えになりましたら、最後に大臣に一問だけ承ってやめさせていただきたいと思っておりますが、大臣がお見えになるまでの間に二点ばかり承りたいのですが、一つは生糸でございますが、これは糸価安定のための法律がございますね。その糸価安定法というのは一体どういうことになっておりますか。
  82. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 繭糸価格安定法という法律がございます。これは生糸の価格は、標準糸価というものを定めまして、異常変動の幅を見ます。安定上位価格、安定下位価格という異常変動の幅を考えまして、異常変動が下位になりました場合には蚕糸事業団が買い上げるというようなことになっておりますが、その異常変動の間に中間安定制度というものがございまして、先ほどの標準糸価というものを中心にいたしまして、生糸の三万俵というものを対象に、製糸業者から生糸を買い上げ、また高い価格になった場合には製糸業者に対して生糸を売り戻すというような制度をつくっておりまして、そういうことを通じましてまゆの値段を安定させておる、そういうような制度になっております。
  83. 大出俊

    大出委員 かつて私は、蚕糸事業団を廃止したらどうかということを言ったことがある。臨調の答申が出たころです。そのときに調べてみてなるほどと思ったことがあるのであります。いまお話のありました糸価を安定させるというこの法律措置は、七千円を下回ると蚕糸事業団の買いが入るのですね。そして七千六百円を上回ると売りですね。また七千円を割った場合には輸入停止などという措置がある、当時のいきさつからすると。だから、昨年の七月以降の上げ相場のときにも事業団の放出などが行なわれておりますね。そして買いが入る。そこで、買うということのために蚕糸事業団には予算がついている。これは国民責任を負ったかっこうになっている。そういう法的措置があり、国民的な意味で蚕糸事業団などをつくって、そこにわざわざ国費をかけている。国民の税金をそこに使っている。  そういう性格の生糸などを買い占めるやからがおるとなると、これはただごとではない。こういうふざけた話はないのです。下がった場合にはわざわざ安定措置が講ぜられ、価格の保証をしている。しかも輸入停止の措置まである。そういうものを買い占めるなどということはやるべき筋合いでない。さきおとといですか、通産省事情聴取報告かどうか知りませんけれども、この中でも、商社の方々がそれでたいへんもうけていることをお認めになっている。そうだとすると、それに対して所管の農林行政の中でしかるべき手を打つ。もうけてしまったんだからしかたがないという筋合いのものじゃない。米の場合は先ほどやりとりをいたしましたから、これ以上申し上げませんけれども、制裁措置に類するくらいのことは考えなければならぬと私は思う。わざわざ国民の税金まで投入して蚕糸事業団をこしらえているのですから。その買いが入るようなシステムまでつくっている。それを買い占める、そういうふざけたことをやる。やるにはそれなりの応報措置があってしかるべきものと私は考えるのですが、あなた方は一体どう考えておられますか。
  84. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 最近における生糸の価格の高騰の問題でございますけれども、これは絹織物の採算がたいへん好調であるというようなことから、織物業者がその原糸の手当てを急いだというようなことで、かなり長期にわたって制約をいたしました。そういうようなことから、生糸に対する買い気がきわめて旺盛でございました。また一方では、輸入を含めまして生糸の供給というものが若干不足ぎみであるというようなことが主因になりまして、たいへん高いという値段が出てきた。一時は一万五千円近い値段も出たわけでございます。ただ、最近私どもが毎月調査をいたしております生糸の在庫数量というようなことでは、製糸及び流通の各段階とも在庫量はおおむね減少しておるというような報告になっております。そういうようなことで、だれかが買い占めておるというようなお話もございましたが、一応私どもが報告を受けております段階では、在庫量は減ってきておるというようなことに相なっておるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、生糸の値段が最近一万円台になってきまして、かなり落ちついてまいったわけでありますけれども、こういうかなり高い値段が出ましたことにかんがみまして、生糸を取り扱っておる業者に対しまして、生糸の在庫量を蚕糸業法に基づきまして調査をするということで、昨年の十二月末からことしの二月末ということで調査をいたしております。これには必要により立ち入り検査の権根もついておるわけでございますが、これもいま調査いたしまして集計中でございます。その結果を待ちまして判断をしなければならぬ、かように考えております。
  85. 大出俊

    大出委員 もう一つ通産省の方に、綿花、綿糸のほうについてですが、私は十大商社の取り扱いを調べてみましたら、ほとんど一〇〇%のシェアを持っているのですね。したがって、この価格変動というものに何がしかの関係が商社に関してはある。これは間違いないと私は思う。そこらのところは、調査結果とあわせて、綿花についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  86. 半沢治雄

    ○半沢説明員 綿花の取り扱い高につきまして、全商社の数字は把握してございませんが、いわゆる大手六社の数字によりますと、四百万俵に対して約百五十万俵が六社の取り扱い高になっております。
  87. 大出俊

    大出委員 商社はたくさんあるのですから、六社じゃしようがないので、これは旧来、三菱だとか三井だとか住友などという商社関係、つまり旧財閥系商社は、四十五年ころからの例を見ますと、それほど大きくないのですね。これらの商社の方々の立ちおくれ部門なんですね。したがって急速にこの部門がシェアを伸ばしていった。現地で買い付けた。その結果、トップ伊藤忠、次いで丸紅、そのあとに三菱が取り扱い量の三位に入ってきている。また三井物産もたいへん買いに入って、第五位に入ってきている。四位がトーメンですよ。だから、一位が伊藤忠、丸紅、三菱、トーメン、三井物産、こういうふうになってきているのです。これは四十五年から六年にかけてですね。このときに、兼松江商などが二・一%くらい減になっておったわけですね。それから日綿実業が四%減になったり、旧来のシェアを持っていたところが、片方に買いまくられてこう落ちたのですね。こういう数字がここにあります。なぜそうなったかも書いてあります。これはたいへんな激しい商社間の競争だった。  そういう歴史があって、綿花あるいは綿糸関係は今日に至っているわけでありますけれども、ここら、皆さんのほうでお調べになって、今回のこの異常な繊維製品の高騰というもの、さっきの生糸問題を含めまして、ものの本によりますと、結婚衣装の金糸まで買い占めたなんて書いてあります。ところが皆さんのほうは、どうもまだ調査中だ、こうおっしゃるわけですけれどもそこらのところ、この間のあなた方の調査なさったいきさつからすると、それはどうなっておりますか。
  88. 半沢治雄

    ○半沢説明員 例を綿製品に関して申し上げてみたいと思うのでございますが、綿花の買い付け量は、四十七年におきまして約六%増加しております。それから綿花からつくられます綿糸でございますが、綿糸につきましても生産が約四%ふえております。さらに輸入が急増いたしておりまして、四十六年に比べますと八三・七%。絶対量は二〇%程度でございますけれども、八〇%余の増加になっておるわけでございます。したがいまして、供給量総量といたしましては、約八%の増加に綿花はなっておるわけでございます。一方、需要のほうでは、これもいわゆる天然繊維ブームがございまして、約一割程度の需要増になってはございますけれども、在庫状況を見ますと、大体横ばいで推移しておりまして、データで見る限りにおきましては、品がすれ、あるいは需給の均衡がとれてないということは言えないと私ども見ているわけでございます。
  89. 大出俊

    大出委員 にもかかわらず異常な高値を呼んだということは、買い占めなり、あるいは売り惜みなりということがあったということになりますね、結果的に。そうでございましょう。
  90. 半沢治雄

    ○半沢説明員 御指摘のように、かなり上がっております。これは取引所を通ずる投機がかなりこれを誘発したということは言えるかと思います。ただ、御案内かと思いますが、三月の下旬に入りましてから争激に下降傾向を示しておりまして、大幅に現在では下がっておるわけであります。
  91. 大出俊

    大出委員 これは生糸関係のほうにつきましても、同じことが言えませんですか。
  92. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 生糸の問題につきましては、先ほど申し上げましたような需給事情でかなり取引所の価格が値上がりしたわけでございますが、これに対しまして、取引所に対する規制を数回にわたって強化をいたしまして、片や輸入の促進ということで、中国からの生糸に対する関税の引き下げ措置を断行いたしました。また外交ルートを通じまして、中国及び韓国からの輸入の促進をはかりまして、そういうようなことがございまして、ようやく価格もずっと鎮静化してきておりまして、ただいま一万一千円前後というふうになっておる次第でございます。
  93. 大出俊

    大出委員 大臣お見えになりましたから総括的に申し上げたいのですが、かつてたいへん日本の高度成長にその意味で貢献をしてきた商社なんでしょう。国際的にずいぶん、材木なんかでもそうでありますが、いろいろなその国その国の認可を得て会社をつくっておられる。パンインドネシア・インダストリーなどという会社がある。これなんかも商社がこしらえた会社です。あるいは東カリマンタン森林開発株式会社もある。これも商社がこしらえた会社です。地元との合弁の形をとっている。しかし七割ぐらいは全部商社の金が入っている。二ついま例をあげました。これは私の調べた限り二十何カ所ある、目に入っただけで。全部木材に関する会社。立木を森林ごと買ってしまっているわけですね。だからそういう意味価格操作をしようと思えば幾らでもできるシステムができ上がってしまっている。綿花にしても同様です。あるいは大豆にしても一諸です。国内シェアを調べてみると、大体商社の持つウエートというものは、価格変動はやろうと思えばいつでも操作ができる、それだけのシステムをつくり上げてしまっている。だから、これがある意味日本の国益に向かって作用するならば、それだけのことはあるでしょう。何しろ日本のものだけを売ったり買ったりしているのではない。英国の製品をアフリカに持っていって売ったり、逆にアフリカのものを英国に持っていったり、そこまでやっているのですから。だがアメリカと同じで、一つ間違うと、これはたいへんなことになる。特に、その商社が扱っている部分の非常に大きなものを握っている官庁である農林省のほうから、今回のこの問題を契機に、将来に向かってそれぞれの手をお打ちをいただく必要があると私は思っているわけであります。  そこでもう一点だけ、私は別に競馬が好きでも何でもないのですけれども、どうもやたら競馬馬まで買い占めてしまうようなことになると、これはどうも話がおかしいんじゃないかという気が私はする。史上最高ということで、四十七年度の主要商社別輸入頭数、サラブレッドを丸紅が百七頭買っているのですね。ラサ商事というのが六十六頭、ストック商会が四十二頭、こう並んでいきまして、トーメンなんかも十九頭買っているのですね。伊藤忠も十二頭買っている。三井物産も十一頭買っているということになってきますと、丸紅などというのは圧倒的に多いのですね。全部で三百三十九頭のうち百七頭買ってしまっている。そして北海道のえりも牧場と明和牧場という二つの問題が出ておりますけれども、四十六年九月に鉄鋼メーカーの神戸製鋼の子会社の神鋼商事、この商事会社は資本金二十八億、これが地元から一億円で買収し、去年四億円の種馬を輸入したというのですね。えりも牧場などというのは、どうもいろいろいきさつがあって、いつの間にか丸紅が背後にくっついていったということですね。  これらの問題をめぐって、競馬ファンの方々の代表の方が言っておりますが、競馬は本来、勝敗とは別にレースそのものをエンジョイするものだ、外国からとてつもない高い値段で種馬を輸入をして、勝つためには幾らでも札束を積むなどということになったのでは、まるきりばかげたことになってしまう。こんなことでは北海道の牧場もそのうちにみなつぶれてしまうだろう、趣味から投機になるなどという競馬はナンセンスだ、国は一体何をしているんだという。ここまでくると、これは話のはかなんですね。これらのことはやはり気にとめなければいかぬ問題の一つだと私は思うのですね。私は別に競馬をやるわけじゃありませんけれども、ひとつ大臣、この辺のところは、これは商社に対するものの考え方をやはりはっきりさせておく必要がある、こう思うのですが、いかがでございますか。
  94. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまのお話で私の感じますることは、商社がそういうふうにいわば投機的な、あるいは投機の疑いのあるような方向方向へと向いていくとするならば、いずれはきびしい批判を受けざるを得ない、また受けつつある状況にあるものと思います。そこで、皆さんのほうでは御不満の要素がございますが、この間うちからお願いしておる、買いだめ、暴利の場合一応立ち入り調査もする、公表するというようなこと、これが商社の反省の一助にでも役立てばというふうに思っておるわけでございます。皆さん方のほうからは、もっときびしい措置をということでございますが、いずれにしても国会での御論議は、大出委員の御指摘する方向で、いまや商社のあり方に対してのきびしい批判になっておるのでございますから、私どもの行政のあり方におきましても、国民の福祉を考え生活の安定を考えるという見地からいたしますならば、いま問題になっておるそのような方向というものはここで正していく必要がある、かように思います。
  95. 大出俊

    大出委員 最後に、きのうの質問の引き続きなんでございますが、公正取引委員会皆さんに、末端のお菓子の小売り商店の皆さんの窮状を実は私申し上げて、少しお考えいただけぬかということを申し上げたのですが、その中でたとえばチョコレートならチョコレートというものをつかまえてみましても、チョコレートは農林大臣の所管でございまして、そこで、リベートという問題を何とかならぬか、実はこういう問題提起をしたのです。  いまこの百円のチョコレートは、ボール箱に入っておりますから一ボールというのですが、これが十二個入っております。メーカーの指定しております建て値というものがございまして、建て値が、百円のチョコレート十二個、一ボール千八円でございます。これが問屋からの仕入れ値段は九百六十円。つまり一ボール九百六十円で仕入れて一個百円で売る、こういう勘定であります。ところで、これは三分から一割二分、高いところは一割三分あるようでありますが、リベートというものがあります。全部で六十幾つチョコレート業者があると思いますけれども、森永、明治、不二家、グリコというものが大手でございまして、長崎屋が中、ロッテが少しやっておりますが、その辺が中どころでございまして、あとは取るに足らない業者でありますが、建て値というのは、私はある意味の陰の協定価格ではないかと思っております。つまり一ボールと称するものを百なら百、百五十なら百五十買えば、それに従ってリベートがふえていく、メーカーからそれだけ金が返ってくる、こういうシステムであります。このリベートをどこかで押えるという考え方が必要ではないかという気がする。  時間がございませんから申し上げてしまいますが、昭和四十年の二月十日に公正取引委員会皆さんのほうで、「チョコレート業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」というものをおきめになっておる。このときにリベートを規制しようという考え方があった。そこで私は、この問題を提起をいたしまして、この競争規約の中でなぜリベートを規制しないのか、三分から一割二分の表に出ているリベートがあるではないか。だから、この規約の中で規制できる項目があるのではないか。第四条「景品的割戻しの禁止」の中になぜリベートを入れないかという議論もいたしました。当時はちょうどこの問題を取り上げられておりましたから、ここに書いてありますが、三分から一割二分前後のリベートがあることがわかっていた。ところが、この四条の中に入れなかったということでいろいろやりとりをした当時の速記録もございます。ここらのことを振り返って、今日なおその商慣行は続いている。この辺を改めていただかぬと——つまり改めるという意味は、リベートがなくなれば、その分だけはちょうどこの公正競争規約が提起しておりますように、こういうところに金をかけるならば価格を落とすか、そうでなければそれだけ質を高めるか、そっちのほうに持っていけという規約なんであります。だから規制をすれば結果的にそうなる。そこらのところ、きのう私、古いことを引き合いに出してものを言ったのですけれども、そこにさかのぼりまして、現在続いているのですから、もう一ぺんあらためて御見解を承っておきたい。
  96. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 リベートの問題は非常にむずかしい問題だと思います。景品表示法におきましては、景品類は規制をしておりますけれども、リベートは規制をしておらないわけでございます。これはどういうわけかと申しますと、大体、公正、自由な競争を確保していくという場合には、品質と価格の競争、これによるべきであるという考え方になっておりまして、景品の場合には、この価格競争以外の要素を持ち込むものであるということから景品を規制をしようという考え方になっております。ところが、このリベートはいわば値引きでございます。したがいまして、それは価格競争に反映をするものでございます。そういう基本的な考え方がございまして、リベートというものは景品表示法の規制の対象にもしておらない。したがいまして公正競争規約の対象にもなっておらないわけでございます。  先ほど先生おっしゃいましたチョコレートの公正競争規約の四条では、景品的割り戻しを禁止しておる。しかしこれは、リベートそのものを禁止したということではございませんで、あくまでも景品と同じものを規制をする、こういう考え方であるわけでございます。ただ、それならばリベートはどんな形のものでもいいかということになるわけでございますが、これはやはり経済的合理性のないような過度の累進度を持ったような、そういうようなリベートということになりますと、これは公正な競争を阻害するおそれも出てまいります。そういうような場合には、これは独禁法上の問題として規制をしていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  97. 大出俊

    大出委員 だから私が申し上げているのは、リベートを認めるなら認めるではっきりしてもらえばいい。しかし、そのリベートは一体どこからどこまで認められるものなのか、これを明確にしなければならぬ。きのう例をあげましたが、ハイクラウンだ、エリートだというチョコレートをつくるようになった。当時、赤城さんが農林大臣でありまして、皆さんチョコレートさっぱりおわかりにならない。とうとう、しまいまで説明をいたしまして御検討いただいたのですけれども、当時、原料のココアパウダーが自由化になった。その自由化のしかたも、日本の国内で三田食品以下が扱っているのは小さいかんの流通でございまして、大きなかんは流通していないからというので自由化した。ところが、向こうは企業が大きいですから、日本の国内に工場をこしらえてパックし直して流したわけですから、国内の原料の流通業者は全部つぶれた。だから、キロ当たり七百円もしていたものが三百五十四円くらいに下がりてしまった。しかしさっぱりそれは価格に反映しない。七十円売りのハイクラウン、エリートなどがどんどんできた。過当競争になりまして在庫が一ぱいになった。日本人は戦前に比べて二十倍もチョコレートを食べたのだけれども、そのときにたいへんなダンピングが行なわれて、メーカーがつくっておろす建て値が五十七円五十銭だが、東光ストアなんかに行くと五十五円で売られているのです、現に。隣のお菓子屋さんなんか、五十七円五十銭で仕入れてそのまま売ったって、東光ストアのほうが安いのです。なぜメーカーものがそんなばかなことになるのか。リベートのなせるわざだ。三分から一割二分のリベートで、一割二分全部吐き出してしまったんじゃ手元に残るものがないから、リベートのプラスアルファがつくから、プラスアルファはふところに入れて、一割二分のものを仕入れてディスカウントして流す。だから五十五円で売れる。公正な競争を阻害していますよ、このリベートは。  だからそういう意味で、リベートをどうしても消せないならばワクをきめなさい。なぜいれられないか。ここでいれられないとするならば、別の措置をなぜとらないかということを私は申し上げたことがある。議事録に残っております。だから私は、事情は百も承知でものを申し上げている。今日この商慣行が残っていて、リベートを認めるとしても、そのリベートはどこまでなのか。あなたがいま、異常なものは困ると言うが、それならばどこまでなのか。あなたのほうに考えがございますか。
  98. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 これは具体的なケースによりまして違ってくると思いますので、計数的に申し上げるわけにはいきませんが、それが独禁法によります差別的な取り扱いになるとか、あるいは差別対価になるとか、あるいは不当な顧客誘引効果を持つものになるとか、そういうような不当なものにつきましては独禁法上問題となる、こういうふうに考えるわけでございます。
  99. 大出俊

    大出委員 私はいま具体的な例をあげて言っているのですよ。百円売りのチョコレートを売ればいい。何も抽象的に言っているんじゃない。ただ、あなたのほうでいまこう言われてもおわかりにならぬだろうと思うから、基本的なものを聞いているのです。  そこで、大臣一つ注文があるのですが、私は実は、ボランタリーチェーンというものを、通産省のかつての方針に従って横浜につくった。お菓子屋さんと一緒になってこしらえた。みんなで一緒にやってきた。仕入れは二割から二割五分ぐらい下がっている。七年ばかりになる。当時、通産省方針は、問屋を入れない小売りのチェーンをつくれということだった。つくったところが、さてメーカーはこのチェーン組織に直接品物をよこさない。だから、このチェーン組織が買うならば、リベート抜きの買い方しかできない。ところが中間問屋は、このチェーン組織と同じ量のものを買ってもリベートはちゃんとつく。さっき申し上げた三分から一割二分というのは通常ですよ。一割三分ぐらいのものもあります。ところが、そういう共同仕入れの機構の中では、メーカーは直接タイアップしない、そういうことになっていたのでは困るじゃないか。だから、それができないならばリベートを押えなさい、押えてそれだけ下げさせなさい、それが筋ではないのかという話をきのういたしまして、中曽根大臣は、それに対しては通産省としては指導してきたんだから責任がある、あるから、そこのところはメーカーのほうに向いてものを言う、こういうふうなことになってきているのですが、所管はチョコレートに関しては農林大臣です。だから、農林省も、この点は私かつて聞いたことがありますけれども、やはりある意味責任は負ってくれなければ困る。農林省とも相談してという中曽根大臣の話でございますから、そのときに詳しく説明してありますので、その点は省略をいたしますけれども、お含みおき、お答えをいただきたいところであります。  これはたいへんな矛盾でございます。それでなければ、今回百貨店法の改正をしようということで提案がなされておりまして、振興法もその中についておりますけれども、百五十万全国にある末端の小売り商を助けることにはならない。単なる一例です。だから、そこのところは重々お考えをいただきたい、こう実は考えているわけでありますが、大臣がおられないところで申し上げてもと思って待ったのですけれども、したがって長い説明ができませんけれども、ポイントについてだけお願いしておきたいと思ったわけであります。
  100. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 通産大臣がお答えをしておるようでございまするので、そのお答えの趣旨と歩調を合わせまして、また、ただいまの大出委員の御所見を十分参考にして検討さしていただきたいと思います。
  101. 大出俊

    大出委員 たいへん長い時間になって恐縮でございましたが、要するに水産庁の機構改革にあたりましてかかえておられる幾つかの問題また幾つか私もものを申しましたが、ぜひひとつ前向きにお進めいただきたいと思います。また冒頭に申し上げましたように、せっかく調査をなさって一つのめどをおつかみになったモチ米問題等につきまして、農林省でございますから、やはりどういう関係が常日ごろあるにしても、つまり流通機構の面で役に立っている商社であっても、国民批判という前にきびしくものごとを対処するというのが、国民あっての政治でありますから、そういう意味で一番大事なんじゃないかと思うので、政治不信につながらないようにきちっとお進めいただきますようにお願いをいたしまして、終わらしていただきます。
  102. 三原朝雄

    三原委員長 午後四時十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十七分休憩      ————◇—————    午後四時三十八分開議
  103. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下元二君。
  104. 木下元二

    ○木下委員 本国会の農林水産委員会農林大臣所信表明におきまして、農林大臣は、わが国水産業をめぐる情勢は、国際規制、発展途上国による領海、漁業水域の拡大、あるいはまた公害による漁業の衰退などによって非常にきびしいものがある、こういうふうに指摘をされました。   〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 まさに日本漁業というのは内外ともに行き詰まり、四面楚歌の状態にあると思います。そこでまず、このようなきびしい情勢に至らしめた第一の原因、最も大きな原因、これは一体どういうところにあるのか、伺いたいと思います。
  105. 荒勝巖

    荒勝政府委員 わが国の漁業は、国民の消費する動物性たん白食糧の過半を供給するという重要な役割りを果たしております。したがいまして、昭和四十六年には約九百九十万トンという漁獲量をあげておるわけでございますが、それでもなお不足ぎみで需要が非常に逼迫しております。今後ともさらに魚の漁獲数量は何とかして努力して確保いたしまして、国民のたん白の供給源として実現できるように努力してまいりたいということが、水産業に課せられた大きな任務ではなかろうか、こういうふうに考えております。  ところが、その反面、国際的にこういう漁場の進出というようなことに対しまして、最近、経済発展途上国を中心といたしまして、距岸二百海里という、沿岸国の漁業専管区域の拡大というふうな風潮が非常にふえてまいりまして、かつてのように自由に世界じゅうの海で魚をとるということがなかなかきびしくなってきている。それだけでなく、かつ漁業条約を締結して行なっております漁場におきましても、ソ連をはじめとして各国とも、自国国民のために食糧を確保するという観点から、やはり排他的な傾向を示してこざるを得ないという段階に至っておりまして、こういった外国におきます漁場につきまして、競合する関係を今後協調関係に切りかえていかなければならないということが、なかなかこの問題がむずかしいと  いうふうに私たちは考えております。  また、国内的にもこの問題の反面といたしまして、公害問題等非常にやかましくなってきている現在におきまして、やはり海の汚染ということに伴いまして、国内の資源を確保していくということも非常にむずかしい。ただ、魚のように、一種の海況異変という一つの変化に伴う原因もありまして、こういったことに左右されながら、国内におきます漁場の確保とともに振興していかなければならぬ。この辺が、汚染問題とからみましてなかなかむずかしいのではなかろうか、このように考えておる次第であります。
  106. 木下元二

    ○木下委員 いま国際的な面と国内的な面と並列的に両方言われたのですが、私が聞いているのは、第一の原因は何かというふうに伺ったのです。その二つを言われるのでなくて、今日の問題の一番の焦点はどこにあるのか、これを聞いているのです。簡単に言ってください。
  107. 荒勝巖

    荒勝政府委員 その点につきまして、国際的な形で漁場を確保しておりますので、やはり内外という形で、ただ一つがむずかしい原因というふうにはなかなか申し上げにくいのではなかろうか、こう思います。
  108. 木下元二

    ○木下委員 けっこうです。私のほうは、今日の日本の漁業の行き詰まりの根本的な原因というのは、工業優先の高度成長政策、これによる漁場の破壊というふうに考えますけれども、それはともかくといたしましても、今回の法律の改正案の一つの柱が、従来の生産部を廃止して海洋漁業部を設置するということでありますが、これは結局、この逼迫した漁業問題の解決を外に求めて海外漁場を開発していくという政策でありますが、これは、他国の漁業水域との関連で、あるいはまた漁業資源との関連で、どうしても限界にぶち当たらざるを得ないと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  109. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 海洋漁業部においての事務のつかさどりにつきましては、第七十八条に「遠洋漁業及び沖合漁業について許可その他指導監督を行なうこと」、また「遠洋漁業及び沖合漁業に係る漁場の維持及び開発に関すること」、こういうふうにございます。そして二の二に、「水産庁の所掌事務に係る国際協力に関する事務を総括すること」、こういうことに内容が変わっていくわけでありますが、沖合い漁業と国際協力に関する事務を総括するということで、いまお話しのように、確かに国際関係というものにこれから重点を置かなければならないと思うのでありますが、この海洋漁業部そのものについては、いま申し上げたような、沖合い漁業との関係とか国際協力に関する事務を総括するという趣旨で、機構の生産部をそのように変えた、こういうことでございます。
  110. 木下元二

    ○木下委員 私は、その海洋漁業部が設けられた趣旨ではなくて、そういうふうに海洋漁業部を設けまして、この中に、国際課とか、あるいは遠洋漁業課とか、こういったものをつくって、結局、海外漁場を開発していくという政策を積極的に進めようとされている。ということは、ほかの国との漁業水域の問題で衝突をするということが起こるのではなかろうか、あるいはまた世界の漁業資源との関連で限界にぶつかるのではなかろうか、こういう角度から伺っているのです。
  111. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 おっしゃることはわかりました。私ども考え方としては、そういうこともございまするが、むしろ先ほど水産庁長官の御説明のように、一体これからの海外における漁業の協力体制をどういうふうに考えていくか、こっちが進出していってどんどんとるということでなく、現にそれぞれの国が、領海を二百海里といってみたり、あるいはその漁業水域を十二海里から二百海里のように大きくとろうという傾向があって、どちらかというと閉鎖的なそういう傾向を持ってきておるおりからでございまするので、日本側としても、そういう新しい情勢のもとに、どうやって協力してこれからの漁業をやっていくか、そのほうに重点があるわけでございまして、従来のただ漁獲しに行くということでは、これからの沿岸漁業というものはやり得ないのではないかと思うのでございます。
  112. 木下元二

    ○木下委員 とにかく日本の漁業を発展させていく道というのは、これは海外への進出ということもありましょうけれども、それよりも何よりも沿岸漁業の発展ということ、これを考えていくことが必要だと私は思うのです。特に日本列島の近海がいま非常に汚染をいたしておりますけれども、魚の住める環境をつくっていく、沿岸漁業の発展のために明確なプランをつくっていく、これが日本の漁業の発展の道だと私は思いますが、この点はどうでしょうか。
  113. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 このほうは、もう一つ調査研究部を研究開発部にいたすほうに、その構想を盛り込んでおるわけでございます。たとえば第八十条の四に「海洋水産資源の開発の促進に関すること」、五に「沿岸漁業に係る漁業の保全に関する事業の実施に関すること」というようなことで、今回新しい情勢考えて盛り込んだわけでございますが、先生のおっしゃるとおりに、確かにこの沿岸漁業の重要性は非常に逼迫しておると思うのです。一方におきまして工場の進出に伴う海水の汚染、それによる公害問題というようなものを起こしておりますから、これに対処していく必要がございましょうし、また沿岸漁業の資源につきましても、これからはただ単にとる漁業でなく、いわゆる裁培漁業ということを考えなければならないということで、瀬戸内海における裁培漁業をお願いしてまいりましたが、四十八年度におきましては、日本海筋におきましても裁培漁業をやろうということで、つくる漁業に移ろうということでございますから、先生の言われた御趣旨に沿ってのこれからの沿岸漁業のあり方を進めていきたいという次第でございます。
  114. 荒勝巖

    荒勝政府委員 大臣の申されたことを補足いたしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、日本の漁業の総生産量が約九百九十万トンでございまして、そのうちいわゆる沿岸漁業で捕獲しております数字が約二百五十万トンでございます。そのほか多少内水面漁業等もございます。あるいは養殖漁業というふうなものも多少ございますが一全体といたしまして、この二百五十万トンの漁獲量では、やはり国民に対して十分に供給ができませんので、海外におきましてもなお相当な量をとらなければ、日本国民食糧は確保できないという現状にあることは十分御理解願いたいと思います。
  115. 木下元二

    ○木下委員 それから、沿岸漁業の発展の具体的なプランというのはあるわけですね。簡単に一言で……。
  116. 荒勝巖

    荒勝政府委員 沿岸漁業の振興ということにつきましては、われわれといたしまして、まず生産の基盤をなします漁港の整備ということが何よりも大事ではなかろうか、こう思っております。この漁港の整備をいたすことによりまして、りっぱな漁船の出入りもできる、それで漁民も安心して漁労ができる、こういうふうになるわけでございます。そのほか、さらに裁培漁業の育成あるいは公害対策を今後十分に努力して解決していくということと、ほかに沿岸漁業の構造改善事業等を推進させるとともに、これらに必要な所要の補助金なり、公庫資金を含む融資のあっせん等を実行してまいりたい、こういうふうに考えております。
  117. 木下元二

    ○木下委員 裁培漁業の推進をこれからの沿岸漁業の大きな柱にしよう、こういうことのようですが、この裁培漁業であれ、あるいは増養殖場の増設であれ、沿岸漁業の発展にとりまして今日の死活問題は、沿岸の汚染の問題だと思うのです。高度成長政策によって日本の沿岸がたいへん汚染されておる、しかもこれが急速に進んでおる、こういうことでありますが、このことは水産庁のほうとしても十分御理解しておられるわけですね。
  118. 荒勝巖

    荒勝政府委員 沿岸漁業の振興にあたりまして、私たちが非常に突き当たっている問題というのは、公害による沿岸の海水面の汚染がいま一番われわれの困っているといいますか、今後、その汚染を解決をしなければならないという問題が一番重要ではなかろうか、こういうように思っております。
  119. 木下元二

    ○木下委員 その汚染がどうして生じたのか。結局、工場本位の高度成長政策によってそうした近海の汚染が生まれたということも、よく理解されているわけですか。
  120. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この沿岸におきます海水面の汚染の原因はいろいろあるわけでございますが、一つには、工場用水の廃棄物、工場から出てまいります問題が一つ。それから都市におきます都市用水といいますか、屎尿等の都市用水の廃棄がやはり一つの大きな原因ではなかろうか。さらに、船舶が非常にふくそうしてまいりまして、船舶のふくそうに伴う事故等もございまして、あるいはその他、タンカー等の運航の過程で海水面に流されます重油の汚染、油汚染というものが一つの大きな原因。そのほかに、そういったものが複合いたしまして、まだ十分に原因は究明されておりませんが、やはり複合した形で出てきている海水の汚濁ということに伴う漁業に対する悪影響というようなことが考えられておる次第でございます。
  121. 木下元二

    ○木下委員 そこで特に申し上げたいのは、瀬戸内海におけるあの赤潮による被害の問題でありますが、これは御承知のように、昨年の八月初めに瀬戸内海、播磨灘一帯を襲った赤潮によりまして、兵庫県、岡山県、香川県、徳島県、この周辺一帯で大きな被害が出ておりますが、たとえば、特に養殖ハマチに甚大な被害を与えております。この被害額はどのようにつかまれておりますか。
  122. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年七月中旬から八月にかけまして、瀬戸内海東部水域におきまして養殖ハマチの異常な大量の斃死が発生いたしましたが、この被害の総額は、兵庫県、香川県、徳島県、岡山県ということで、四県で、金額にいたしまして大体七十一億三千七百万円前後ではなかろうか、こういうふうに認定している次第でございます。
  123. 木下元二

    ○木下委員 それは私どものほうも大体そういうふうに理解しているのですが、農林省のほうでつくられているこの法律改正の資料、これによりますと、これの四三ページ、これは年度が書いてないのでわかりにくかったのですけれども、ここに区域を分けましていろいろ被害の状況が出ておりますが、瀬戸内海区としまして、金額で申しますと、養殖ハマチということでなく全般的なものを含めて、四十五億七千八百万となっておりますね。そうしますと、いまのその養殖ハマチは入ってないわけですか、これには。
  124. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この資料は、まことに申しわけございませんが、四十五年の資料でございまして、まだ最終的に四十七年の統計資料は全部確定いたしておりませんが、ただいま私が申し上げました瀬戸内海のハマチにつきましては、当時災害として特別に特掲して調査した数字でございまして、漁業被害の全体の被害統計はまだ集計されていない次第でございます。
  125. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、この四三ページに出ておりますのは、「継続的公害による漁業被害調べ」とあって、年度がなしに出ておるのですね。いまのお話によりますと、これは四十五年度だと、こう言われるんですが、それでは一体四十七年度はどうなのか、わかっている範囲で。あるいは四十六年度はどうなのか。そこをちょっと聞かしてもらいたい。
  126. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、この資料の四四ページのところをお聞き願いますと、「突発的公害による漁業被害調べ」というものは四十六年度で被害額が出ておりますが、四十七年度の分は、まだ現在ようやく三月末になったばかりでございますので、四十八年の終わりごろにならないと四十七年度分の統計は全部確定できないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  127. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、おおよそでもわかりませんか、四十七年度のは。今度の法律案改正の資料として古いものをお出しになっているから、しかも年度もお書きにならずに出しておりますので、非常にまぎらわしい点があって、しかも初めに言われた金額と違っているので伺ったわけなんです。そうすると、概算もわかりにくいということですか。
  128. 荒勝巖

    荒勝政府委員 まことに申しわけございませんが、農林省の統計は、統計調査部等も含めて非常に急いでやっておるわけでございますが、全国的な集計の確定的なものに、やはり一年おくれぐらいのなりまして、現在の時点で四十七年度の見込みをあやふやな数字で御報告することはどうかということで、国会におきます答弁資料ではあまり利用しないというたてまえで来ておるものでございますから、御了解願いたいと思う次第でございます。
  129. 木下元二

    ○木下委員 いずれにしましても相当金額がふえておることは間違いないと思うのです。いま言われた、この資料に載っております四十五年度の全国的な継続的公害による被害ですね。これだけ見ましても百二十八億、全国的な総額ということでありますから。それに比べて四十七年度は、瀬戸内海のハマチ養殖の被害だけで七十億から出ておる。こういう数字から見ましても、おそらく四十五年度に比べて数倍の被害が出ておるのではなかろうか、こう思われるわけなんです。  そこで、全体の問題はともかくとしまして、政府は、昨年の養殖ハマチの被害に対してどういう救済措置をとったのでしょうか。
  130. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年の夏に発生いたしましたハマチの被害発生期間といたしましては、四十七年の七月十二日から八月の二十五日までという期間を一応区切りまして、それを集計いたしましたところ、七十一億三千七百万というふうに、先ほど私が申し上げましたとおりの金額が一応確定いたしましたので、それに基づきまして、天災融資法の発動という形で救済することにしたわけでございます。その被害に基づきます天災融資法の発動は、金額といたしましては七億八千五百万円を一応のめどとして県別に融資の割り当てをいたした、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  131. 木下元二

    ○木下委員 天災融資法の発動といいますが、これは非常に救済措置としては不十分だと思うのです。特に融資のワクが個人の場合はたしか百万円だったと思うのですが、この程度の融資では、ハマチ養殖のほとんど壊滅的な被害に対して救済にならないと思うのですが、十分な救済措置がとられていない。まだ、この救済措置がとられましても、そもそも被害が起こってからこういう措置がとられてもおそいわけであります。何よりも大事なことは、被害を起こさないように、原因者を明らかにして発生源に対する取り締まり対策を徹底的にするということ、そうして安心して漁業ができるようにするということが第一だと思うのでありますが、そこでまず、赤潮の原因、これについてはどういうふうに水産庁としては考えられておるのですか。
  132. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この赤潮の発生ということにつきまして、政府といたしましても、これの原因の究明に各種研究機関を動員いたしまして、非常に検討しているのが実情でございます。  実はこの赤潮の発生は、先生も御存じのように、戦前からも発生しておったものでございますが、年々赤潮による被害というものがむしろ多くなってきている傾向は認めざるを得ない。したがいまして、原因がまだ不確定とは申し上げましたが、やはり海水の汚濁が一つの大きな原因ではなかろうか、こう考えておる次第でございますが、最近の考え方といたしましては、この直接的な原因といたしましては、同水域におきます異常な海の現象一つの基礎原因となっておる。それは、昨年、この赤潮の発生する寸前に関西方面を襲いました一つの大きな豪雨があって、上陸部から相当ないわゆる雨水が瀬戸内に流れ込んだというようなこと等が原因となりまして、多少瀬戸内の水がよごれるほかに、さらに塩分が薄くなったのではなかろうかというふうに、われわれとしては理解しておる次第であります。それが原因となりまして、有害なプランクトンというものが異常な増殖を起こした。プランクトンの中にもいろいろあるわけでありますが、魚にとって非常に有害なプランクトンが特に猛烈に発生したということが大きな原因であります。それらの原因につきまして、まだ十分に直接的な因果関係というものが研究所の段階で明確になっていないのでありますが、それらの原因を、世界的なスケールで世界じゅうの研究機関のデータもいただきまして、目下究明を急いでおるというのが真相でございます。
  133. 木下元二

    ○木下委員 まだ科学的には十分究明されていないということのようですけれども、何かいま世界的な規模で研究を進めておるかのように言われますが、現実の研究体制、調査体制はどうなっておるのか、簡単にお答えをいただきたい。
  134. 荒勝巖

    荒勝政府委員 現在この赤潮の研究に従事しております技術者関係、研究者につきましては、国の水産大学も含めまして、国の研究者としましては約四十人がこれに従事しておりまして、さらに国の研究所といたしましては、東海研究所、南西海研究所というふうなものがこの研究に従事しておる次第でございます。また一般の大学関係の教授陣にお願いして研究していただいているのが十人くらいでございまして、さらに県の水産試験場の方々にも、この赤潮の対策についていろいろと御研究願っているのでありますが、これが大体五、六十人、約百名を若干こえる程度の研究陣がこの赤潮の究明に現在従事している、こういうように御理解願いたいと思います。
  135. 木下元二

    ○木下委員 いま、東海研究所、南西海研究所と言われましたね。これは水産庁がやっておるのですか。
  136. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ちょっと舌足らずでございましたが、水産庁の直轄の研究所でございまして、東海区水産研究所、南西海区水産研究所、こういうふうに御理解願いたいと思います。正確に申し上げます。
  137. 木下元二

    ○木下委員 それでは赤潮対策、これについては、もうすぐまた赤潮の時期になるわけですが、対策はどのようにとられておるのか。
  138. 荒勝巖

    荒勝政府委員 去年も一部実験的に、むしろ漁業者の方が経験的におやりになったのでありますが、各行政機関も多少これには指導はいたしましたが、この赤潮が沖合いに発生してくる場合、これは御存じのように、流れに沿いまして猛烈に繁殖しながら移動してくるわけでございますが、ハマチの場合を例にとりますと、ハマチをビニールの袋に入れまして、そして移動さして避難させるということで、去年も非常に助かった例がございます。その例も考えまして、これは発生してしまってからあとの話でございますが、そういった避難の方法というものも、さしあたり、当分の間要るのではなかろうかというのがわれわれの一つの現実的な判断でございます。  問題は、そういうことが発生しないように、発生したときのその防除対策ということをどうするかということで、われわれといたしましてはいま非常に検討いたしておりまして、来年度予算におきましても、前年の約倍近い予算をいただきまして、こういう赤潮の情報機関をまず大いにやる、早期発見をするということがまず第一番でございます。  さらに、赤潮が発生した場合の防止対策でございますが、いま申し上げましたように、袋に入れまして、酸素を補給しながら魚を移動して、十分安全なようにするということが一つと、それから、赤潮が発生するであろうヘドロ地帯というもの、やはり一つの技術でございますが、それを吸い上げてどこかに隔離することによってこのヘドロ等によごれました海底の浄化を行ないたいということで、予算を仕組んでいる次第でございます。
  139. 木下元二

    ○木下委員 いまいろいろ対策らしきものを言われましたが、しかし、やはり一番根本は、赤潮というのは、さっきも言われましたように、海の汚水から生ずる。その汚水というのは、工場廃液とか都市排水とか、そういうことから汚水が生まれるわけですから、そういうふうな廃液や汚水、排出水を取り締まる、これがもう一番だと思うのですけれども、この点についての対策というものは、水産庁として十分だと思われますか。これは私は、私だけでなくて、だれが考えてもそうだと思うのですが、きわめて不十分だと思うのです。そうじゃないでしょうか。十分やられておる、赤潮はもう発生しない、そういう対策がとられておるのでしょうか。非常に不十分だということはお認めになるでしょうか。どうです。
  140. 荒勝巖

    荒勝政府委員 われわれといたしまして、水産を担当いたしております行政部局といたしましては、やはり海が汚れないことが一番われわれとしてはこいねがっていることでありまして、これにつきましては、場所をとらえ、機会をとらえまして、関係各省にも、また関係方面に要求いたしまして、海をこれ以上よごさない、また、よごれた海を美しくするということに全力をあげている次第でございますが、しかし、実際問題といたしまして、このように人口が非常にふえてくる過程で、都市用水の増加だけでも、完全に浄化するということがなかなかむずかしい段階にあるということは認めざるを得ませんが、なおこの問題については、そういった形で努力をいたしたいし、また、船舶の大量往復による油の汚染等につきましても、このことにつきましてはきびしく取り締まりを海上保安庁にもお願いをいたしまして、今後、海がこれ以上汚れないようにしていく、また汚れた海は少しでもきれいにしていくということで努力いたしてまいりたいと思っている次第でございます。
  141. 木下元二

    ○木下委員 この漁場の環境保全については十分な対策がとられていないということは、水産庁としても認めざるを得ないようでありますが、そのほかの問題としましても、たとえばPCBやカドミウム等による魚類の汚染、これもたいへんな問題であります。最近、広島県で、カキのカドミ汚染、これが起こりましたので質問したいと思うのでありますが、昨年の十一月の測定によりますと、広島県の松永というところですか、ここで二・一五PPM、それから安芸津で四・九五PPMというふうな高濃度のカドミが検出をされております。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 これは、近くに三井金属、東邦亜鉛、こういうふうな大きな工場があるわけでありますが、その汚染物の排出によってこういうことが起こっておるというふうに考えられるわけでありますが、この点はどうでしょうか。
  142. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年の暮れからことしの春にかけまして、広島でカキのカドミウム汚染というものが県の調査で明らかにされたわけでございますが、これにつきましても、県と私のほう、あるいは厚生省とも十分連絡をとりながら、その原因の追及の調査については検討をしている次第でございます。
  143. 木下元二

    ○木下委員 いま原因がどうかということを聞いているのですがね。こういう高濃度のカドミが検出をされたわけでありますが、それは近くにある工場排水、工場の汚水が原因ではないのかと聞いているのです。
  144. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年の暮れの調査では、カキのカドミウムの汚染率といいますか、PPMが高濃度のものが発生いたしましたので、さらに第二回目の調査、精密調査を二月ごろいたしましたところ、PPMが非常に減少しているというようなこともあったわけでございますが、われわれといたしましては、県との連絡並びにその後の調査によりますと、このカドミウムの汚染の原因はやはり広島県の周辺の工場から排出されたものではなかろうかというふうに、現在のところ推察している次第でございます。
  145. 木下元二

    ○木下委員 それは三井金属あるいは東邦亜鉛なども入っているわけですか。
  146. 荒勝巖

    荒勝政府委員 これは県からの報告でございますが、そういった工場も入っておるのではなかろうかというふうに判断しておる次第でございます。
  147. 木下元二

    ○木下委員 それから、最近調査したところによるとカドミが少なくなっておるということですが、去年の暮れにはかったのとことしの二月にはかったのと、わずかな期間の差で相当大きな開きがあるようですね。ことしの二月では、〇・二七PPMとか、あるいは〇・五とか八とか、こういうふうなPPMでありまして、昨年と非常に違う結果が生まれておる。これはどうしてでしょう。
  148. 荒勝巖

    荒勝政府委員 精密な検査をする過程で、こういった二回目の調査が高くなったり低くなったりする理由はあるわけでございますが、今回のカキの場合には、特に低く出てきましたというのが関係者の間で非常にいろいろ注目されまして、なお、その原因については非常に検討いたしておりますが、十一月ごろの、大きくなる前のカキは、やはりカドミウムが大量に吸収されやすい体質を持っておるのではなかろうか、そしてその後大きくなる過程でこういったものを逆に排出していく生理といいますか、そういうカキ独特の体質があるのではなかろうかというようなこともありまして、あるいは産卵期がこれにからんでくるのではなかろうかというようなこともありまして、これらにつきまして、さらに、関係学者の間でも、カキの体質につきましては、十分研究をしている最中、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  149. 木下元二

    ○木下委員 原因の究明がまだ十分終わっていないようでありますが、とにかくこの問題は、カキの業者に対してたいへんな不安を巻き起こしておるわけであります。このカキの業者に対する救済措置、これは簡単でけっこうですが、どうなっておりますか。
  150. 荒勝巖

    荒勝政府委員 県からもこういう報告を聞いておるわけでありますが、県といたしましては、最初にひどくPPMが出た段階におきまして、こういったカキの出荷の自粛を要請したということで、その当該地区の漁業者に対しまして無利子の融資措置等を行なうということで、県といたしまして相当な金額の救済対策をはかっておられるようでございます。
  151. 木下元二

    ○木下委員 昭和四十五年に安芸津湾ですでに一・一五PPMという高濃度を検出しておるのですが、このときに十分な対策が講じられておれば、その後こうした問題も起こらなかったのではなかろうかと思われます。四十五年のときにはほとんど対策らしい対策はとられなかったのではないかと思いますが、どうでしょう。
  152. 荒勝巖

    荒勝政府委員 まことにあれでございますが、四十五年の被害については、私、耳にいたしていないので、その結論についてはどうも十分わからないわけでございます。
  153. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、四十五年にそういう高濃度を検出したということは、水産庁としては御存じないというのですか。
  154. 荒勝巖

    荒勝政府委員 県からの報告をいただいてないのではなかろうかと思います。私は知らなかったと申し上げる以外にないと思います。
  155. 木下元二

    ○木下委員 そういうことでは困ると思うのです。さっきも言われましたが、公害対策というのは、水産庁としては、漁業対策として特に沿岸漁業の発展のために大きな柱になっておる、こう言われたのですけれども、四十五年に起こったその問題は水産庁としてはつかんでいない、こういうことでは、水産庁としては公害対策についてはほとんど何もやってこなかったのではないか、そういうことになると思うのです。公害問題、そういう沿岸の汚染の問題などあまり関心がなかった、こういうことを表明しておるみたいなものだと思うのですけれども、そうじゃないでしょうか。四十五年の安芸津湾で起こったというのは、これは御存じないではおかしいように私は思うのです。
  156. 荒勝巖

    荒勝政府委員 カドミウムを含めましていろいろな公害が出ておりますが、こういった公害について、水産庁で従来組織的に部局も十分整備されていなかったというきらいがございますので、今回設置法の改正をお願いいたしまして、公害並びにその対策を専門に解決する課の新設ということをお願いいたしているのが今回の設置法の改正の一つの大きな柱でございまして、四十五年の原因を十分私たちが知らなかったことにつきましては、あらためて早急に県と連絡をとりまして、データをいただいて検討させてみたいと思っております。  なお、今回、こういった公害を専門に担当し、かつその対策を行なうというのが、研究開発部に新しく設けました漁場保全課というのが新設の課でございますが、この課で、こういった公害対策につきまして、今後全力をあげて組織的に検討していくというふうに御理解願いたいと思います。
  157. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、今度法律を改正して公害対策をやるのだ、これはわかりますが、これまでは十分やってなかったということはお認めになるわけですね。これまでやってなかった、これではいけないからこれからやろうということでこの法改正に織り込む、こういうわけですか。
  158. 荒勝巖

    荒勝政府委員 全然やってなかったというわけではございませんが、従来の水産庁といたしましての公害に対する姿勢ということにつきましては、なお従来の体制では不備があるのではなかろうかということで、専任の担当課長を設けるとともに、職員等も定員を配置いたしまして、公害について十全の措置を講じてまいりたいという趣旨でございまして、従来からも、この公害につきましては神経を使っていろいろやっておりましたが、体制として水産庁が行なうかっこうにはなってなかったというふうに御理解願いたいと思います。
  159. 木下元二

    ○木下委員 いま日本近海の汚染はたいへん進行しているわけです。沿岸漁業は、はっきり言うならばもう風前のともしびになっているところさえあらわれておる、そういう状態が生まれております。そして、それに拍車をかけてきたのは、結局のところ抜本的な対策に欠けていたからであります。先ほども水産庁としては、これまでは公害対策については十分でなかったということは認められましたけれども、私は、この点について、これまでのやり方の問題について、十分な総括と反省が必要だと思います。また、それが今後の政策になり、あるいは法律を改正した後の新たな出発点でなければならないと思いますが、この点の所見を伺いたいと思います。
  160. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどからいろいろの角度からの御質問を承っておりまして、従来、農林省として公害問題に対する取り組み方がまだ不十分であるという御指摘については、私も正直にそのように認めます。環境庁も発足から間がないのでございますし、また、公害問題がほんとうに俎上にのぼってまいりましたのもここ二、三年のことでございますので、従来の経緯から見て、不行き届きの点は全く恐縮ながらやむを得なかったと思うのでありますが、本年度の予算におきましては、先ほど御指摘の赤潮対策につきましても、また漁業公害調査について、二十水域のPCB汚染の定期点検などをいたしましたり、あるいは漁業被害発生時の初動体制についての普及や啓蒙、あるいは漁業公害対策器具等の購入費の助成とか、漁場環境維持保全対策費の補助とかいうようなものを今回の四十八年度の予算でお願いをしておるわけでございまして、十分御趣旨を体しまして、これからの公害対策については積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  161. 木下元二

    ○木下委員 そこで、今度の改正案について伺いますが、その前に、これまでの機構でありますが、公害問題を扱うのは、長官官房に総務課というのがありまして、その中に公害班というのが設けられていたのですね。これは何名だったのですか。
  162. 荒勝巖

    荒勝政府委員 現在五人でございます。
  163. 木下元二

    ○木下委員 新しい機構のもとでは、さっきも言われたのですけれども、研究開発部というのがつくられて、この中に漁場保全課というものがつくられる。これは何名ですか。
  164. 荒勝巖

    荒勝政府委員 これは今回十一名になっております。
  165. 木下元二

    ○木下委員 これは十一名ですけれども、定員十一名のうち課長ほか職制が五名もおるというふうに聞いているのですが、実質的な担当者というのは六名という貧弱なものではないでしょうか。六名でしょう、その課長とか職制を除くと。
  166. 荒勝巖

    荒勝政府委員 職制ということにはなりますけれども、やはり常に公害の対策に専従するというふうに御理解願いたいし、また課長も当然公害問題に従事、担当する、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  167. 木下元二

    ○木下委員 それでは水産庁全体の人員は何名から何名になったのですか。
  168. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の水産庁の機構改正に伴います定員の配分につきましては、現在の七百十四名の定員が七百二十四名、十名の増員になっております。
  169. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、十名ふやしたそのうちの半分、五名を公害のほうの増員に回す、こういうことになるわけですね、実質的には。  それから予算のほうを伺いますが、さっきも予算のこと少し言われたのですけれども、これは法律案の資料の一〇ページに出ておりますが、これによりますと、この一〇ページの一番右の下の欄に漁場環境保全対策というのが出ておりまして、金額にしまして二億一千四百五十五万六千円、これがその漁場についての環境保全、つまり公害対策ということになるわけですね。
  170. 荒勝巖

    荒勝政府委員 いまの一〇ページのところ御指摘でございますが、これは増額分でございまして、まん中の欄に四十八年度要求額というのがございまして、一応、環境保全としては三億二千三百五十万円というふうに御理解願いたいと思います。
  171. 木下元二

    ○木下委員 これは要求額でしょう。要求額がそのまま通ったということになるわけですか。
  172. 荒勝巖

    荒勝政府委員 これは予算がまだ成立いたしておりませんので、国会に対して要求しておるという意味でございます。政府といたしましてはきまっておるということでございます。
  173. 木下元二

    ○木下委員 結局、漁場に対する環境保全、つまり公害対策の費用としてこの金額だということですか。
  174. 荒勝巖

    荒勝政府委員 これが純然たる保全対策の予算でございまして、そのほかに、先ほど申し上げました水産試験研究所の系統の予算の中に公害の純然たる試験研究費用が入っておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  175. 木下元二

    ○木下委員 どこに出ておりますか。
  176. 荒勝巖

    荒勝政府委員 これは一一ページでございますが、その中のまん中に水産庁試験研究所という欄がございまして、運営費で十九億四千六百万円というのがございますが、この中に、ちょっとこまかいことがわかりませんが、約一億円くらいの公害の分析をする予算が入っている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  177. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、結局、四十八年度の予算の総額というのは、最後のページに出ておりますが、八百五十億をこえておりますね。そのうちで公害対策というのは、結局のところ、三億余り、四億ほどということで、非常に少ないですね。人員にしても、今度の法改正によって十一名になった。わずかに六名ふえたきりですか。五名から十一名、六名ふえたという。一体これで本気で漁場の環境保全ということをお考えになっているんでしょうか。これはさっきから、法改正の趣旨一つには公害対策ということを言われる。そういうことを言われるからには、中身のあるものではないといかぬと思うのですけれども、公害対策をやるのだということを言われるから、よく調べてみると、わずか人員を五名ばかりふやす。これまで十分であったならともかくも、わずか五名であったものを六名ふやして十一名、しかも予算は三億か四億ふやす、あまりにも貧弱じゃないでしょうか。  しかも一方、この予算の関係で言いますと、水産資本の海外進出のためには、どんなにたくさんの予算が組まれておるか。これを指摘しますと、たとえば一一ページの国際漁業振興協力事業に十二億以上が組まれております。それからさらにそのページの右側の下の欄の経済開発等の援助、これも結局国が水産資本のために出す費用だと思うのです。こういうふうに、十億単位で水産資本の海外進出のためには金を出そうとしておる一方、公害対策については三億か四億、ここに私は水産庁のやろうとしておることの実体がはっきりあらわれておると思うのです。さっきも言われたんですけれども、これまでは非常に不十分であった、そういうことの反省の上に立ってこれからやろう、それが今度の法改正だ、こういうふうに私は伺ったのですけれども、これでは、ほんとうにまじめに公害問題というのをお考えになっているということでは通らぬと思うのですよ。依然として沿岸漁民を犠牲にして大資本本位の水産政策を進めていこう、こういうことだとしか考えられません。どうでしょう、この点についての所見を伺います。
  178. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど私が申し上げましたように、水産庁、これから公害対策に力こぶをいれていくという姿勢を示したものだということを御説明申し上げましたが、今回予算もわずか四億円そこそこでございます。これは私たちも認めざるを得ないと思いますが、昨年は約一億円ぐらいでございましたが、この試験研究さえまだ十分にできていない。赤潮の発生原因さえろくろくわかっていないというふうな現状を踏まえまして、まず試験研究に超重点を置いていって、こうして試験研究が進む過程で、初めて赤潮の防除はどうやったらいいかということが究明された暁におきましては、その防除対策としまして、事業予算をまた次の機会に出すという姿勢でございまして、現在、赤潮の分析をするということだけの予算でございまして、やがてこれが大きく事業予算へと変わっていくのではなかろうかと、こういうふうに私たちは考えておりますので、初動は非常に小さくございますけれども、今後大きく拡大していくものと私たちは考えておる次第でございます。
  179. 木下元二

    ○木下委員 この点は、あなた方がいかに弁明されましても、これは赤潮だけじゃないのですよ、この公害の問題、この漁業の問題はね。漁場をどうやって守っていくか。沿岸の工場からはどんどん廃液が出ておる。これによって、瀬戸内海にしましても一あるいはそのほかの近海、沿岸にしましても、どんどん海がよごれて死の海に近づいておる。これをどういうふうにして守るかというのは、これは私は沿岸漁業を発展させるためのこれからの第一のかぎだと思うのです。それに対して、八百億からの水産庁の予算のうち、三億か四億しかつぎ込まない。しかも人員は十一名。こういうことでは私は、あなた方がほんとうに公害問題をやる気でやろうというふうにはどうしても受け取れません。これは私だけじゃなしに、だれが考えてもそうだと思うのですよ。  だから、結局のところ、これは今度の法改正の趣旨の説明で三つほど言われました。一つは公害対策、それから国際漁業対策、あるいはまた栽培漁業対策、こういう何か三つの目玉があるかのように言われるけれども、この公害対策というものはもう単なる売りものと申しますか、この公害対策を隠れみのにして、ほんとうのねらいというのは、水産資本が海外進出を進めていく、これを促進しようということではないのか。あなた方は、ことばでは水産資本の海外進出ということは申しません。国際漁業対策と言われます。それでもけっこうですけれどもほんとうのところは、国際漁業対策というところに重点があるんではないのか。そうでしょう。そうとしかこれは考えようがない。お答えをいただきます。
  180. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま水産庁の関係のお話でございまするので、たとえば水産庁の関係の公害は何か。そこで水産庁の独自の立場でやる研究開発部の中に漁場の保全についてのことをやろう、それでまたそれに伴う予算のことを申し上げておるのでございまして、実は私、不用意に全般の予算書等持ってまいりませんでしたので、まあしかし御理解いただけると思うのですが、公害問題の専管の役所は環境庁でございます。環境庁に対して、いわば農林省の中のほんとうに独自のあということについて、この予算面でお願いしたり、あるいは水産庁の中の機構をお願いしておるわけでございまして、たとえば海水の汚染の場合は、先ほど長官からも申し上げたように、都市の下水であるとか、工場の排水であるとか、それらのものについては別途対応して、下水道事業などについては大幅の予算をお願いをしておるというわけでございますから、御指摘のことについては、私、十分理解しました。なお、われわれとしても、沿岸漁業を守る上において水産庁独自の各種の施策を大いにやるべきだという指摘については、それはよくわかましたが、全体の仕組みの中の私どもの担当するこの分野の、特に研究開発を中心にしてやっておるということについても、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  181. 木下元二

    ○木下委員 十分了承はできませんけれども、もう時間が来ましたので質問を終えたいと思います。  最後に申したいのでありますが、日本漁業の危機を招きましたのは、結局のところ、高度成長政策による沿岸漁業の破壊にあることは指摘したとおりでありますが、政府、水産庁は、こうした政策を積極的に推し進めてきたわけであります。あるいは抜本的な対策をとらずに手をこまねいて放置をしてきたのであります。その責任はまことに重大だと思います。しかもその上、これを反省もせず、依然として沿岸漁民を犠牲にする大資本優先の政策を進めるために今度の法案を提出をしてきた、その責任さらに一そう重大であることを指摘しまして、私は質問を終えます。
  182. 三原朝雄

    三原委員長 有島重武君。
  183. 有島重武

    有島委員 私は、数年来、都市の緑化を推進してまいりましたが、最近に至りまして、緑化への関心が国民全般に高まってまいりましたことは、喜びにたえないところであります。コンクリートと鉄とガラスに閉じ込められている日本の大都市を、緑と水と太陽の町へつくり変える大事業でありますが、これを実現するために調査しております中で、私は、わが国の林野行政の重要性についてあらためて考え直さなければならないのじゃないか、このように思っております。  国土の七〇%を占める山林原野が、いま新しい文明論的な意味合いの中で位置づけせられなければならないときがきているのじゃないか。ばく大な太陽のエネルギーと豊かな水と土壌、こうしたものが再び人間存在をささえる第一義的な生命環境として評価されなければならないのじゃないか。こうした発想に照らしてみまして、現在二百五十万世帯の人々が従事しておりますわが国の林業界、これが目先の経済成長第一主義、特に重化学工業を中心とする産業主義の政府の施策の陰に追いやられて不当に過小評価されていると私は考えます。  そこで、本日は林野行政にかかわる若干の問題を取り上げたいと思いますが、初めに苗木の焼却の問題それから次に雑誌「林野通信」の回収焼却の問題三番目に雑誌「現代林野」の回収焼却の問題、最後に森林法の抜本的改正と都市緑化の問題、以上四点にまとめて伺いたいと思います。  初めの苗木の焼却の問題でありますけれども、昨年の五月、青森の営林局が幼林の苗木六百万本を廃棄した。これについて私の調査では、そのうちの二百万本は焼却されたということがわかりました。まずこの詳細を林野庁から承りたい。
  184. 福田省一

    ○福田政府委員 お答えいたします。  昨年、青森営林局管内におきまして菓を焼却したのじゃないかということについての御質問でございます。  この青森営林局におきますところの苗木は、実は焼却いたしましたのは間引きしました苗でございまして、先生御承知かと思いますけれども、苗木は種をまきましてから、その年に出てきましたものがびっしりはえておりますので、普通の野菜類の間引きと同じように、一応それを間引きまして、たとえば、病気にかかったものであるとか、あるいは形質の悪いものは取って捨てるわけであります。その際に病気にかかったものは焼きますけれども、病気にかかっていない形質の悪いものは堆肥なんかにもいたします。それを今度は翌年床がえいたしまして、二年生の苗木としてこれを仕立てるわけでございます。そこでさらにもう一年据え置く場合もございますが、その際にもやはり、形質の悪いもの、あるいは病気にかかったものは、焼却、あるいはいま申し上げたような堆肥等に使うわけでございます。事実はそういう内容でございまして、決してただ焼却したというものではないように私は判断しているのでございます。
  185. 有島重武

    有島委員 いま林野庁長官のおっしゃったのは、私は考えておりますと言いましたけれども調査によれば、六百万本は廃棄したのですよ。その中に間引きは別にあるのです。二百万本は焼却したと、こうある。いまのお答えは間違いじゃないですか。
  186. 福田省一

    ○福田政府委員 詳細申し上げます。  青森営林局におきまして、管内全体で、いま申し上げました一年生の苗木、毛苗でございますが、これは三千二百五十万本養成されたわけでございます。そのうち内訳を申しますと、いま申し上げましたとおり、二年生にするために床がえしましたのが、二千百八十万本でございます。それからポット用としまして、つまり小さいうちに、紙でつくったはちがございますが、それに入れてすぐ山出しするのがございます。それが八十万本。それから据え置きましたものが四百五十万本。それから、そのままの状態で一年生の毛苗で売却しましたのが百二十万本でございました。残りましたのが不良苗として四百二十万本ございます。四百二十万本のうち、ただいま申し上げました理由によって焼却しましたのが二百万本、それから堆肥等にしましたのが二百二十万本でございます。
  187. 有島重武

    有島委員 さっきのお答えと違うんですよ。焼いたのが二百万本あるというわけですね。あるんでしょう。
  188. 福田省一

    ○福田政府委員 そのとおりでございます。
  189. 有島重武

    有島委員 さっきはそういうものじゃないとおっしゃったですね。
  190. 福田省一

    ○福田政府委員 ただいま申しましたように、二百万本は焼却したものでございます。
  191. 有島重武

    有島委員 この二百万本はほんとうに焼いたのか、これが次の問題です。
  192. 福田省一

    ○福田政府委員 これは実際に焼いたものでございます。
  193. 有島重武

    有島委員 二百万本と申しますと、これはばく大な量でございまして、たとえば天皇を迎えて行なわれます国土緑化推進委員会の植樹祭でも、一回につき一万本から五万本、こうした単位です。ある担当者から私が聞いたところによりますと、なま木をそんなに大量に焼けるわけはないというのです。第一、育てた現場の方々にとっては、わが子のようにかわいがって育てた苗だ、そんなむざんに焼却なんかなかなか情が移ってできないものだ、そのように聞いています。これはほんとうに焼却したのか、売却したのか。売り飛ばしたんじゃないですか。
  194. 福田省一

    ○福田政府委員 毛苗でございますので、大体大きさはこれくらいなものでございます。小さいものでございますから、先ほど申し上げましたように、病気にかかったようなもの、そういったようなものについては、二百万本、確かに焼いたものでございます。それから、先ほど申しましたように、百二十万本はそういったものでございませんで、売り払ったものでございます。
  195. 有島重武

    有島委員 ほんとうに焼いたとしたら、これはやはり問題ですね。もっと有効な処置をとることができなかったか。たとえば、学園の植林であるとか、公園その他公共施設の緑化ですね、こういうことに利用しなかったのはどういうわけなんですか。こうしたことは、林野庁としてやはり反省しなければならない点ではないですか。
  196. 福田省一

    ○福田政府委員 御指摘のように、確かにこれは焼いたものでございまして、病気等にかかったものをそのままにしておきますと、病気が蔓延いたします。そこで昔から、特に青森県は、去年だけではございません。こういった小さい苗木で病気にかかったものは必ず焼くことにいたしておりますので、その灰は一応また肥料にいたします。病気にかかってないものは、先ほど申しましたように、堆肥としてまた肥料に使うというふうにしているわけでございます。先ほど申しましたように、全体で毛苗が三千二百五十万本でございますので、そのうちの二百万本でございます。これは大体一割足らずでございまして、これは特に去年だけではございませんで、どこの営林署でも、どこの苗畑でも、悪いものはずっと焼却してくるという習慣になってございまして、灰にしてからまた肥料にするわけでございます。ですから、この二百万本を焼却したことは事実でございまして、先生御指摘のとおりでございます。
  197. 有島重武

    有島委員 林野庁長官、事実でございますとおっしゃいますけれども、現場に行ってお聞きになるとわかるのだが、これは小さい苗でございますけれども、それは全部が全部焼いたものではない。また全部が全部病気のものでもない。そういった実態をよくやっぱりお調べにならなければいけないと思います。こうした処置はまだまだこれは反省しなければならない。これからもっと重要視しなければならない問題じゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。
  198. 福田省一

    ○福田政府委員 御指摘のように、確かに私、現場を見ずにお答えして、現場からの報告によってお答えしているわけでございます。  実は私も、数十年前は苗畑等の主任をいたしておりまして、そういうこともしたことがございますけれども、ただ最近は、御承知のとおり、伐採量が減少いたしまして、自然保護重点の施業をいたしましたために、そこで造林業が減るわけでございます。そうしますと、そこへ持ってくる苗木が若干少なくなるという傾向になります。ところが、普通の蔬菜類と違いまして、この苗木を山に持っていくには二年ないし三年かかるわけでございますから、したがいましてズレがございますから、特に自然保護重点の施業をいたしましたのは四十七年度からでございまして、その前四十六年度あたりからだんだんにそういったような傾向が出ておりまして、苗木が若干余ってくる傾向にあることは事実でございます。ですから、二百万本を焼却したのが、従来の割合から見るならば少し多いかどうかという点につきましては、先生御指摘のとおり、あるいは問題があるかもしれません。事実をよく調査いたしまして、今後よくその点は気をつけてまいりたいと思っております。
  199. 有島重武

    有島委員 まず、最初に申しましたように、都市の緑化というところから出発しております。都市の緑化のことを考えますと、これはもう非常に大きな量であり、非常にもったいないことだ。それは、昔のお考えでもってこういうことであったというのと、いまの現在の段階でもって考えることは違う。これは反省していただきたい。もう一ぺん新しい視点に立ってその問題はよく調査していただきたい。いかがですか。
  200. 福田省一

    ○福田政府委員 御指摘のとおりよく調査してまいりたいと思います。
  201. 有島重武

    有島委員 ただいまの問題につきまして農林大臣の御見解はいかがでしょう。
  202. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お互いに砂漠のような大都会に住んでおるのでございまして、先生の言われる、都市緑化にもっと力を注いでいく、そういう見地から、かりにももし焼却しておる苗木の中で有効に使われるものがあるといたしますれば、それはできるだけ生かしていくことが常識的に判断のできるところでございまするが、ただいま林野庁長官から、よく実情調査し御趣旨に沿うと、こういうお答えを申し上げておる次第で、私としても、そのように今後方針をとってまいりたいと思います。
  203. 有島重武

    有島委員 では次の問題に参ります。  これまた焼却処分の話になりますが、国有林野事業の部内広報誌「林野通信」という雑誌があります。発行所は財団法人林野弘済会、電話は五八二の七四五一、内線九一六と書いてある。この「林野通信」という雑誌ですけれども、国有林野事業の管理経営に必要な法令、通達、方針、計画及び進捗状況等の解釈、説明及び現状の記事を中心として編集し、あわせて職員の資質の向上とコミュニケーションをはかることを重点に置いてといわれているわけです。この雑誌を林野庁が買い上げておりますけれども、この実績は昭和四十六年度でもって月に八千二十五部、年額にいたしますと六百九十三万三千六百円。昭和四十七年も四十六年と同じです。  この「林野通信」を回収して処分している。私は、この昭和四十七年の七月号、これが回収、焼却処分された、こういうことについて御質問したいのです。結論的に言って、いかなる理由にせよ、回収、焼却処分というこの前時代的な行為は許しがたいものであると私は思うのです。林野庁長官の御見解はどうですか。
  204. 福田省一

    ○福田政府委員 この「林野通信」につきましては、先生おっしゃいましたように、国有林野事業の管理、経営に必要な法令であるとか通達とか計画とか、そういうふうなもの、あるいはその進捗状況等についてこれを部内の広報誌として出しておるものでございまして、林野庁が編集いたしまして、御指摘のように、林野弘済会が印刷及び発送等の事務をやっておるものでございますが、これが八千二十五部、年額六百九十三万三千六百円というのは御指摘のとおりでございます。ただしこれは林野庁の職員以外には使わしておりません。全部林野庁の職員がいま申し上げた目的で使っておりまして、そのとおりでございますが、焼却はいたしておりません。実は事情がありまして回収したものでございます。
  205. 有島重武

    有島委員 私は、回収して焼いた、そういうことがいいのかと聞いておるのです。断固こういうことはよくないと私は思うのです。林野庁長官はどうなんですか。
  206. 福田省一

    ○福田政府委員 回収いたしました理由につきましては、御指摘の昨年の号の中に、同和対策特別措置法の趣旨に反する点がございまして、この点について指摘を受けた事実がございまして、そういう事情のもとにこれは回収したものでございます。そこで、その点以外についてのいろいろな法令等につきまして、必要なものにつきましては、次以降に出します「林野通信」の中でこれをまた出そうと考えているわけでございますが、実は、同和対策特別措置法に関連いたしましてぐあいが悪いという点で御指摘を受けたのが回収しました理由でございます。
  207. 有島重武

    有島委員 私は、その内容についてこれから議論してもいいのですけれども、そういった理由だからこれは焼いてもいいんだというのですか。それとも焼くのはまずかったとおっしゃるのですか。
  208. 福田省一

    ○福田政府委員 それは焼いたものではございません。回収はいたしましたけれども、焼却しておりません。
  209. 有島重武

    有島委員 それではその回収したものを見せてもらえますか。回収して焼却されたものと私は聞いている。
  210. 福田省一

    ○福田政府委員 焼却はしておりませんが、昨年の七月のものでございますので、大部分は回収している模様でございます。ですから、回収したものにつきましては、先生ごらんになりたいとおっしゃいますならば、いつでもこちらのほうから見ていただくようにいたします。焼却はいたしておりません。
  211. 有島重武

    有島委員 何冊残っているか知りませんけれども、雑誌を回収して処分してしまう、こういった行為がこのままでいいのか、まかり通るのか、そういうことを私はお聞きしたい。
  212. 平松甲子雄

    ○平松説明員 いま長官から御説明いたしましたように、「林野通信」につきましては、国有林野事業に従事する職員につきまして、国有林野事業に関連する知識の啓蒙という趣旨林野庁長官が国有林野の職員に頒布をいたしたものでございまして、その頒布をいたしたものが、同和対策事業等に照らしまして適当でないというふうに判断をいたしたものでございますから、回収をいたしたのでございまして、普通の雑誌の回収とは多少性格が違うというふうに私どもは理解をいたしております。
  213. 有島重武

    有島委員 内容の追及になりますと長くなりますから、先に行きます。  第三の問題に入りまして、これまた回収、焼却処分。「現代林業」という月刊誌がありますが、その四十八年の一月号、これです。これが回収、焼却されたといわれております。私ども調査では、これはどこにも出回っておりません。国会図書館から調査していただきましたけれども、やはり入手できませんでした。林野庁の方に聞いても、いままでは届いていた、読んでもいたけれども、一月号だけは専門の私たちもお目にかかっておりませんと言っています。これは私が特別のルートでもってやっと一冊入手したわけなんです。  この内容を見てみますと、「林業側からみた日本列島改造論」の特集というのが入っています。痛烈に日本列島改造論を批判しております。まま林業を心から大切に思うと同時に、国土の大部分を占めている山林原野、この林業問題を軽視する列島改造はナンセンスであるという意見が非常に多い。それで焼却処分されてしまった一月号にかわって発行配布されたのに一、二月合併号というのがございまして、これの中に編集後記があります。この編集後記のところを見みますと、執筆者である共同通信論説委員の今井幸彦さんという方から「発行が遅れるならば、時期を失するので辞退したい旨のお申し出があり、残念ながら掲載できませんでした。今井氏をはじめ、この企画に参画いただいた執筆者の方々にはご迷惑をおかけしたことをおわびします」、こんなおわびが合本のほうには出ております。何か暗い過程を経ときているような印象を強く受けるのは私ばかりではないと思います。この回収を命じたのは一体だれか、何でそのような処置をとったのか、これを林野庁長官からはっきり伺いたい。
  214. 福田省一

    ○福田政府委員 御指摘の「現代林業」という雑誌は、全国林業改良普及協会で発刊しているものでございますが、これは当協会の要求によりまして、林野庁監修といたしておったものでございます。この「現代林業」は、主として林業に関する造林なり、あるいは育苗なり伐採技術なり、そういった技術の問題を中心といたしまして、なお林業の経営に関する問題これを編集しておるものであります。  先生御承知と思いますけれども、森林経営者の後継者、つまりそれぞれの地方におきますところの林業に従事する青少年のグループ、これを県のAGなりSPが指導しているわけでございますが、それらが各県ごとに中心になりまして、林業教室というものをつくっているのでございます。その林業教室におきまして、各県の職員、つまりAGなりSPなりが、いま申し上げました青少年を教育いたします際の研修用の教材として従来使っておったものでございます。そこで、私たち林野庁の者は、やはりそういう教材として使う本でございますので簡違いがあってはならぬということから、特に林野庁監修になっておりますので、そういう点につきまして、記事の内容に間違いがないかどうか、あるいはその表現に誤謬がないかどうかということを従来よく監修という立場で検討しておったものでございます。  ところが、昨年の十二月、すでに一月号の編集の時期にかかったのでございますが、その際に、大体その内容、つまりいま御指摘のありました論文等につきましては監修は終わったのでございますけれども、その後、監修を完全に終わらないうちに雑誌ができ上がりまして、それを持ってきたといういきさつがございまして、係のほうから、そういったことでは従来の監修ということに欠ける点があるのじゃないか、だから林野庁監修というこのことばを取り消す何か措置をしてもらわなければ困るという強い要望を出したいきさつがございます。ところが、昨年の暮れでございますので、林業改良普及協会の発行人である責任者がまだ校閲をしていなかったという事実がございまして、発行者が、そういう注意を受けたので、よく研究いたしましたところ、これはやはり、先ほど申し上げました青少年の教育のテキストという点でいろいろまた問題が出ては困る、純真なそういう地方の林業後継者の子弟教育上問題があっては困るということで、これはやはり合併号としようということに決定したように聞いておるのでございます。しかし、合併号としまして刊行するために、それを回収さして、回収の段階で、場所も狭くてそれが置けなかったということから焼却したというふうに、その実情の報告を聞いておるのでございます。  しかし、こういったようなことでいろいろと御迷惑をおかけし、林野庁がいかにも、いまお話ししましたように、焼却を命じたというふうなことについて問題を起こしましたことについては、たいへん私も申しわけないと思っているのでございますが、そこで、この点につきましては、担当の係官等にも厳重に注意いたしまして、相当長年ここに勤務しておった職員でもございますので、発行所との関係も改善する意味におきまして、配置がえをしたわけでございます。なお、林業庁の監修ということばは、今後はこれを用いないように申し入れたものでございます。  経過については大体以上でございます。
  215. 有島重武

    有島委員 農林大臣、伺いますけれども、これは、回収、焼却、こういったことが林野庁をめぐって幾つも起こっておる、こういった事態について、大臣としてはどのように感じられますか。
  216. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農林省内部であろうが、あるいは農林省の関係でありましょうが、いま前段の御質問のほうは内部頒布用、それから後段のお話のほうは少なくとも林野庁の監修ということになっております。そういうことを念頭に置いて考えまするならば、この種の印刷物の発行については慎重を期さなければならない。回収とか、あるいは回収に伴う焼却の必要が起こるような事態ということは、これは慎重さに欠けたのではないか。この点は私も、農林省内のことでございまして、たいへん遺憾にも思い、また今後そのようなことを繰り返してはならない。言うまでもなく、そのことによって物心両面についていろいろと影響のあることでございまして、今後におきましては、農林省内の印刷物刊行について一そう細心の注意を払ってまいりたいと思います。
  217. 有島重武

    有島委員 重ねて林野庁に伺います。この本ですけれども、先ほど、こちらの本については回収しただけだ、焼いたものではない、現物はあるとおっしゃいましたね。私は、実は焼いたというふうに聞いていました。ですから、長官のほうのことがほんとうに正しいのかどうか、いまだに私は疑惑を持っております。ほんとうに現物はちゃんと残っているのかどうか、それは承ってもいいわけでありますけれども。  それでは、この内容の一体どこがまずかった、そういうことが問題になるわけですね。こちらのほうの「現代林業」の焼却された一月号の内容、それから新しくつくられて、このように配布された一、二月合併号の内容の違い、このこともお聞きしたいんですね。特に焼却された一月号の中でもって不穏当であるというふうにみなされてカットされた部分は一体どこなのか、そのタイトル、執筆者、ページ数、これらを発表していただきたい。
  218. 平松甲子雄

    ○平松説明員 「林野通信」の内容につきましては、巻頭言の中に先ほど長官から御説明をいたしましたように、同和対策推進のために不穏当な言辞があったということでございまして、そのことばをここで具体的に申し上げることは、また今後いろいろ問題が起こることもあろうかと思いますので、必要であれば先生にその文言をあとで持ってまいりまして、御説明をいたしたいと思います。  それから「現代林業」につきましては、長官から御説明をいたしましたように、林野庁が監修をするということでございましたが、ちょうど年末の予算の編成期でもございましたし、こちらも多忙であったということもございますが、私どものほうで十分事前に、従来監修としてやっておりましたような手続を踏まないままに刊行されたというようなことで、監修の手続を踏んでないということについての事後措置ということをお願いをいたしたということでございますので、別段事柄の中身について変更があったということはないわけでございますけれども、ただ、先生から御指摘の共同通信の今井先生でございますか、この方は時期が一カ月おくれるということは、その記事の内容について自分責任を持ってないからおりたいというお話がございまして、今井先生の記事だけはそれが落ちておるということでございます。  あと編集当局の編集に関する文言という点については、編集発行者のほうで変更いたしたようでございますが、そのことは、私どものほうでとやかく申し上げたということでなしに、私どもとしては、発行に至りますまでの監修の手続を十分済ましていなかったということから、監修の手続を十分済ましていなかったということがはっきりするように、ということを発行者のほうに申し入れたということでございます。
  219. 有島重武

    有島委員 私が伺っているのは、経緯を伺っているんじゃないんです。カットされた部分は一体どこなのか、変更された部分は一体どこなのか、そのタイトルと執筆者とページ数、これお伺いしましょうか。
  220. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ただいまお話を申し上げましたように、執筆者がおりられました共同通信の論説委員の今井幸彦さんの「工場導入で過疎は解消できるか」という論文が、これは執筆者の申し出によりまして、掲載の中から落とされておるということが一つございます。あと、目次の特集の囲み内のタイトルのところが、「林業への言及が欠ける日本列島改造論」とございましたのが、一、二月合併号では「林業への言及が乏しい日本列島改造論」ということになっておりますし、一、二月合併号の一七ページに相当する部分が、一月号では「林業への言及が欠ける日本列島改造論」というふうにございましたのが、一、二月合伴号では「林業への言及が乏しい日本列島改造論」ということになっておりますし、それから写真版の横の前書きが、一月号の場合と一、二月号合併号の場合では表現が変わっておるということでございます。
  221. 有島重武

    有島委員 林野庁長官、これは回収されて焼かれたことは事実ですね。
  222. 福田省一

    ○福田政府委員 普及協会におきまして回収し、それを焼却したというふうに報告を受けております。
  223. 有島重武

    有島委員 いまそちらからあげられました部分、ほかにもあるように思いますけれども、すべて日本列島改造論に対する批判的な記事ないしは文言です。先ほど自主的回収で焼却処分したような御説明であった。これについて私は疑惑を感じる。  この雑誌は、この道の専門家の方々の執筆によるものでありまして、昭和四十三年以来多くの読者に親しまれているすぐれた雑誌である。一般誌です。この雑誌の発行所は、社団法人全国林業改良普及協会、これは電話が五八四の六四三〇と、こうありますけれども、聞くところによりますと、この協会の会長は某衆議院議員です。このような社会的に定着した雑誌を、一編集長あるいは一課長補佐の権限において回収、焼却、こうした処分を命じることができるのかどうか。だれが見ても、政府要人の強力な何か発言があったとしか考えられないし、もしそうじゃなかったならばどうして回収するのか。いま、その担当者を厳重に注意して、それで何か処分をなすったそうだ。ことに焼却処分という非常に前時代的な行為、憲法に保障された表現の自由を抑圧するような、そういうような行動に走った。この点、林野庁長官の見解を承りたい。
  224. 福田省一

    ○福田政府委員 この「現代林業」は非常に内容が充実しておりまして、地方の林業教室の後継者育成用の副読本として使っておるということは申し上げたわけでございますが、そういう影響もありまして、林野庁の研究普及課の係官もこの内容の検討については非常に慎重を期しておったいきさつはございます。私も、詳細見るわけではございませんけれども、回ってきますと、ときどき目は通しておるのでございますけれども、確かにこれは評判のいい本でございまして、本来ならば、テキストにするなら、林野庁みずからこれを出版して、これを県に配付すべきだと思います。しかし、非常にいい雑誌でございますので、監修という名義を引き受けまして、十分に内容に間違いがないかどうかということを審査した上で、林野庁でもこれを三千部ぐらい買い上げましてそれぞれ都道府県にこれを配付して、林業の後継者の育成用の副読本としているわけでございます。ですから、研究普及課の係官が監修を完全にしなかったということについて注意をしたということにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、それを受けまして、普及協会の先ほど申し上げました責任者の発行人が留守でございまして、校閲もしていなかったということでございますが、内容を検討した結果、やはり青少年に与える問題等も配慮してこれを合併号とするということにしたのだという報告を受けたのでございます。したがいまして、改良普及協会等におきましてその内容の検討をした結果、そういう措置をとったという報告を受けております。  いずれにしましても、林野庁におきまして、そういうふうな疑惑を招き、そういう御指摘を受けたことにつきましては、たいへんお騒がせをして申しわけないと思っておりますので、監修という名義をやめまして、今後は十分この点につきましては気をつけてまいりたい、かように思っているところでございます。二月の十四日付で監修を取り消しております。
  225. 有島重武

    有島委員 だれが回収、焼却させたんですか。
  226. 平松甲子雄

    ○平松説明員 先ほど御説明いたしましたように、監修ということになっておりまして、監修の手続を経ないままに刊行されたということでございますので、監修の手続を経ないままに刊行されたものについて監修という活字があるということにつきまして、その訂正措置ということについて発行者のほうへ要望いたしましたところ、発行者のほうで検討してみるからということで、その席ではお別れになったわけでございますが、そのあと、今後の雑誌の信用の問題とかかれこれ考えると、回収して処分をするということが一番いいと思うので回収することにいたしましたという返事を受けたわけでございます。
  227. 有島重武

    有島委員 事情ばかりをいろいろおっしゃいますけれども、こうしたことについて農林大臣、これは私ども一課長補佐や一編集長だけでやったことではないように感じる。こういったことが一体あっていいのかどうか。農林大臣の御所見はいかがですか。
  228. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、少なくとも監修しておる書籍として、それがすでに発行された後にこれを回収するというような事態を惹起しておるということは、まことに慎重さを欠いておって、遺憾なことである。いま有島委員の御質問は、こういうような措置を講ずることが、省内の単なる担当課の検討の程度でこういう事態を起こすことがどうかというように受け取れたのでございますが、そのことにつきましては、林政部長のほうから、発行者との間で、監修せずに発行してしまっておるじゃないかという担当者との間の話し合いの結果が、発行者のほうがこれを自主的に回収という措置をとったというような説明をしております。私としては、それはそれなりの、やはり一つの未監修のものとしてそういう相談をしたということについては理解が持てるのでございますが、しかし、基本的なことについては、先ほどの答えと、いま前段に申し上げましたように、何としてもこういうような事態を起こすような軽率なことがあってはならないというように感じておる次第でございます。
  229. 有島重武

    有島委員 これについて法制局長官に御見解をただしておきたいと思います。  憲法第二十一条に「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とありますけれども、「現代林業」、それから「林野通信」の回収、焼却事件について、法制局の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  230. 吉國一郎

    吉國政府委員 憲法第二十一条は、ただいま御指摘のように、言論、出版その他一切の表現の自由を保障すると定めておりまして、言論、出版の自由を基本的人権の一つとして保障することを明らかにしておることは申すまでもございません。この規定の趣旨とするところに従いまして、政府といたしましては、国政の運営にあたっては、いやしくも国権の作用として国民の言論、出版の自由を不当に侵すことのないように常々細心の注意を払って行政を行なっているはずのものでございます。  本件のような具体的な事件について憲法第二十一条とのかかわりはどうであるかというお尋ねでございますが、けさほど某新聞紙上に記事が載っておりまして、まあただいまの質疑応答を伺っておった程度でございますので、はたしてその問題になるかどうかを法制局としてお答えをするわけにはまいりません。いずれにいたしましても、この言論、出版の自由は民主主義の基礎をなす重大なる基本的人権の一つでございますので、これを十分に尊重して行政の運営に当たるべきことは当然であるという抽象的なことを申し上げるにとどめさしていただきたいと思います。
  231. 有島重武

    有島委員 基本的によくないのです。林野庁長官おわかりですね。私はいまの質問に申し添えておきますけれども、この社団法人全国林業改良普及協会には二十二名の職員がいらっしゃるそうです。今後さらにこの分野において研究を進めていっていただきたいと私は思います。  それで、この事件があって以後、四十八年三月号からは林野庁監修という名義が取り消されるということになったそうですけれども、これは今後も復活させて、また委託費なんかも同じように、ないしは増額してあげるぐらいになすったほうがいいんじゃないかと私は思いますけれども、こういった事件があったからといって、そういうことを消極的にやめてしまうというその姿勢は私はよくないと思いますけれども林野庁長官いかがですか。
  232. 福田省一

    ○福田政府委員 実は先ほど申し上げましたように、予定数量三千数百部でございますけれども、副読本として使う姿勢には変わりありません。私は、監修ということばがあったことによっていろいろと疑惑を招いたことが遺憾でございますので、先生の御意見は十分尊重して検討いたしたいと思いますけれども、このために普及協会の買い上げる部数その他に影響を来たすとか、あるいは県の実施しております林業教室にそういった支障を起こすことのないようにしてまいりたいというふうに考えております。事実、三月号以降も、その点につきましては、テキストとして買い上げようとする予定も変えておりません。
  233. 有島重武

    有島委員 じゃ林野庁監修という名前は復活する方向考えておりますか。
  234. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ただいま長官からお答えを申し上げましたように、監修ということばを使って、雑誌に林野庁監修ということばを印刷するということでございますと、私どもが雑誌の内容についていろいろ口出しをするというふうな印象も与えるということがあると思いますし、今回の事案に照らしまして、私どもが口出しをするというふうな印象を与えるようなことについては、これを改めることのほうが今後の態度としてよかろうということで、林野庁監修ということばについては削除したままで続けてまいりたい。  ただ、先ほど長官から申し上げましたように、この雑誌の内容は、青年教育その他について非常に有効な雑誌でございますから、私どもとして、林業関係の青年の後継者の教育とか育成とかというものに使われるものとして、現在月約三千三百部購入いたしておりますけれども、そういうような形で購入をしていくという点については、従来と同じような態度で進みたいということでございます。
  235. 有島重武

    有島委員 きょうもいろいろ御質問しましたけれども、これは大ワクが林野庁しっかりしてもらいたいということなんですよ。林野庁が何か言われれば回収して焼く、ちょっと事件が起これば課長補佐を飛ばす。あるいは、いままで林野庁の監修という、そういったタイトルがあるからみんなも安心してこれを買っていた。そういう事件があったからということでそれがなくなれば、信用ががた落ちになるということも考えてあげなければならないと思うんですね。私は全然別にこの雑誌に義理があるわけではありません。だけども、そういうことが、いまあちらでおっしゃった言論の自由を圧迫することに、ストレートにではないけれども、間接的にその方向をやはり示唆する、それがまずいというわけです。だから、そういうことに対してあまりびくびくしないでやってもらいたい、そういった意味から申し上げている。この監修について、こういうようなことがあると、今度間違いが起こったときにまたこっちがおこられるといけないから、そういうようなお考えをやめていただきたい。おわかりになりますか。
  236. 福田省一

    ○福田政府委員 御注意ありがとうございました。今後は十分その点につきましては積極的にやってまいりたいと思います。
  237. 有島重武

    有島委員 じゃ、この監修のほうも考えてください。  最後に、森林法改正の問題についてお聞きします。  山林の乱開発を防止するために政府が森林法の一部改正をきめたと伺っておりますけれども、その概要について新旧の違いをお話し願いたい。
  238. 平松甲子雄

    ○平松説明員 森林法と森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を近いうちに国会に提案いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  その内容でございますが、まず二つの柱がございまして、森林法の一部改正と森林組合合併助成法の一部改正でございますが、先生のお尋ねは森林法の一部改正の内容であると思いますので、まず森林法の一部改正のほうについて御説明申し上げたいと思います。  第一番目の大きな柱は森林計画制度改善でございまして、御承知のように、森林計画制度の中には全国森林計画と地域森林計画がございます。その全国森林計画につきましては、いままで全国一本で計画事項を定めておったわけでございますけれども、今回の改正案によりまして、流域ごとに計画事項を定めていくということにいたしたい。そういうことによりまして、できるだけきめのこまかい計画にいたしたいということが第一点でございます。  それから、あとで申し上げます森林の開発規制の問題とからむわけでございますけれども、森林計画の計画事項といたしまして、森林の整備の目標なりあるいは土地の保全、つまり国土保全の観点から、傾斜がどうだとか土壌がどうだとかいう観点で、土地の保全についての観点を計画事項の中に入れるということにいたしたわけでございます。それから全国森林計画を定めるについて、配意事項といたしまして、森林の公益的機能を尊重するという形で考えるようにということを考えておるわけでございます。  以上が全国森林計画に関する改正事項でございます。  次に地域森林計画でございますが、御承知のとおり、全国を二百六十五の地域森林計画区に分けておるわけでございますが、全国二百六十五に分けております森林計画区につきまして、まず最初に、いままでは、地域森林計画の対象としては、すべての森林を対象としておったわけでございますけれども、新国土総合開発法案とのからみもございまして、新国土総合開発法案のほうでは、地域別の一つの種類として森林地域というものが設けられておりますが、その森林地域と平仄を合わせまして、地域森林計画の対象とする地区を大体その地区と考えるというふうにいたしまして、地域森林計画の対象地区は、だれが考えても森林として考えるのはおかしいという地域は落とすということにして、それ以外のところについて地域森林計画の対象区にするということでございます。  それから計画事項につきましては、先ほど全国で申し上げましたように、森林の整備の目標なりあるいは土地の保全に関する点を入れるということは同じでございます。それから公益的機能に対する配慮も同じでございます。  それから森林計画の作成手続につきまして、これは開発規制とからむものでございますから、森林計画の作成については、全国段階のものについては関係省庁の長と協議をする、地域森林計画につきましては関係市町村長の意見を聞くというようなことにいたしまして、取り運びを慎重にするということにいたしておるわけでございます。  次に、二本目の柱といたしまして、民有林における乱開発の規制ということを考えておるわけでございますが、森林の公益的機能を重視する、それに対する国民の要請が最近非常に高まってきておるわけでございますけれども、一方、森林の開発が無秩序に行なわれておるという世論でございますので、そういう点に対する配慮といたしまして、森林についての一定の規模を越える開発工事、まあ大体一ヘクタール以上というふうに考えておりますが、そういうものをする場合には都道府県知事の許可を受けなければならないというふうな内容にいたしておるわけでございます。その知事さんの許可を受ける際に、知事さんとして完全な裁量行為で、自由に許可したり許可しないというふうな形の態度がとれないようにということで、著しく災害を起こすような状態がないか、あるいは水源をからすようなことがないか、あるいは周囲の環境に悪影響を及ぼすようなことがないか、そういうようなことがない場合には許可をしなければならないというような形にしておるわけでございます。それから、そういうような開発行為に対する規制を守らないという場合には、守るように命令をする。あるいは、そういう命令を聞かないで、あるいは許可を受けないで開発行為をやった者については、復旧命令ができるというような規定を入れております。  それから次は、伐採の届け出制の実効を期するという点でございますが、現在森林の伐採については、都道府県知事に届け出ることが必要になっておるわけでございますけれども、その届け出の内容が地域森林計画に違反しておるとか、あるいは実際にやっておる伐採が届け出の内容と違うというような場合が起こり得ると思われますので、そういう場合に変更命令ができるというような規定を入れることにいたしております。  次は森林施業計画制度改善でございますが、全国森林計画、地域森林計画を受けまして、森林所有者が自分で森林施業計画というものをつくりまして知事さんの認定を受ける。そういう認定を受けたものについては、租税、金融措置等の特典を与えられておるわけでございますが、今回の改正では、一定の地域、大体三十ヘクタール以上というふうな規模になるような集団で、零細規模の森林所有者がその広さの地域について共同施業計画をやるというような形でやりたい場合には、それができるようにするというふうなことを考えておるわけでございます。  それから最後に、森林組合制度の改正を意図しておるわけでございますが、森林組合に関する制度が現在森林法の中に織り込まれておるわけでございますけれども、これは昭和二十六年に改正されまして、それ以後全然手を加えていないということでございますので、時代の進運に必ずしもマッチしていないということがございますので、森林組合の設置の目的なり、あるいは権能なり、あるいは管理運営のあり方なりというような点について所要の改正を加える。あるいは組合員の資格について拡大をする。員外利用についての規制について緩和をする。それに対応いたしまして、森林組合連合会についても同様の改正を加える。まあ以上のような改正の内容でございます。
  239. 有島重武

    有島委員 詳細に御説明いただきましたけれども、これでもって結論的に乱開発を防止できるか。これは、まるでできるような錯覚をちょっと起こしますけれども、二、三の点、やはり大きな問題があるんじゃないかということが指摘されておりますですね。  まず第一番に、この法の運用について知事の判断に全面的にゆだねられておる。過去に一般森林の規制よりもきびしくされていたはずの保安森の規制でも、ほとんど無視されてきた。こうした運用基準で買い占め、乱開発等が防止できるという保障が一体ほんとうにあるのかどうか。  それから第二番目に、都市近郊の森林地域ではほとんどもう買い占めが終わっているといわれております。大手民間デベロッパーが取得した森林を利用するために、運用の幅を広げる圧力があった場合に、これを食いとめていくことができるか。  それから第三番目に、この改正案は売買とか転用については全く触れていない。これでは日本列島改造論の先棒をかついで国土の荒廃に加担するんじゃないか。これはちょっとひどい言い方になりますけれども。知事の許可ということと企業の誘致ということが一体になる可能性が強い。森林保護よりも開発のための大義名分をつくることがねらいとされた場合に、一体これはどうなるのか。こういったことを一々伺いたかったのですけれども、もう時間がたいへんおそくなりましたから結論的に申しますと、これは改正には違いありませんけれども、やはり主要なところが骨抜きの改正になっている。こういったものをもう一ぺんこれは検討し直さなければならないんじゃないかというふうに思います。これはお答えはもう要りません。  最後に農林大臣から総括的にお話しいただきたいと思いますけれども、冒頭の苗木の焼却、それから「林野通信」「現代林業」の回収、焼却、それから最後に森林法の改正と、この一連の問題。いま質問させてもらいましたけれども、すべてこれは、政府の林業行政が非常に弱い、行政の欠陥である、あるいは林政がしっかりと位置づけられていないということを私は非常に感じるわけであります。この森林保護に対して積極的にこういうふうにやっていくんだという大臣の御決意を最後に承っておきたいと思います。
  240. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 有島委員は、きょうの御質問に先立ちましてこれからの林政のあり方についての御指摘がございました。私も、国土の七割をお預かりする林野行政でございまするし、また同時に、この林野が持っておるところの公益的な機能、特に最近における国土保全、自然環境の保護という見地に立って見まするときに、いま最も大事な行政分野であるということを深く認識する次第でございます。  また、具体的に幾つかの問題を取り上げての御指摘でございまして、本日は私をはじめ林野行政の一番の責任者がそろってまいっておるのでございまして、いろいろの御意見はこれからの私どもの行政の上に反映をいたしまして、おっしゃるように、林野行政についてもうひとつ積極的な真剣な取り組み方をしてまいることを申し上げたいと思います。
  241. 有島重武

    有島委員 田中総理は「日本列島改造論」の書き直しをするということを明言されました。今後農林大臣が、新しい列島改造、この中における林業の位置づけを、ただいま御決意を承りましたとおり、ひとつ責任をもって田中総理にアドバイスしていただきたい。また、緑が現に投機の対象とされかかっている、緑化産業が進出している、こういう中におきまして、都市の緑化を責任をもって推進していっていただきたい、私はこのように強く考えております。最後に農林大臣の御所見を承って終わりたいと思います。
  242. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま人間の将来ということを考えまするときに、この森林の持つ自然の浄化作用というものはきわめて重要なことだと思うのであります。公害問題が世界的にクローズアップしている中におきましても、この森林の持つ公益的な機能というものを十分発揮するようにつとめなければならないと深く感ずるところでございます。本日の有島委員の御意見は、われわれ十分参考にいたしまして、これからの林野行政にあらゆる面で最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  243. 有島重武

    有島委員 総理に言ってくださいますか。
  244. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 承知いたしました。
  245. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前六時五十二分散会