○斎藤(一)
政府委員 警察が、この覚せい剤事犯の最近の事態に対して、どういう取り締まりをし、あるいはどういうぐあいに
考えておるかということを概要だけ申し上げたいと思います。
御
指摘がありましたように、覚せい剤は一ころたいへん乱用事犯が多うございまして、一番ピークは、
昭和二十九年は、警察の資料によりますと、五万五千件を上回る事犯があったのでございます。それがその後ずっと下がってまいりまして、
昭和三十七、八年ごろから四十四年ごろまではおおむね年間七百件か八百件くらいのものでありました。ところが、先ほ
ども御
指摘があったように、四十五年を境に五、六、七と非常に数字がのぼってまいりまして、昨年は年間に四千七百九人の違反者を検挙しておるという
状況でございます。
そこで、この
状況は、一体どういうわけでこういうことになってきたのかということを、私
どもいろいろ
検討するのでございますが、いろいろな
事情があると思いますが、最も目立って著しいのは、やはり最近覚せい剤事犯に暴力団が関与しておる。先ほど申し上げました検挙の人員の内訳を見ますと、暴力団
関係の者が七割近く関与しております。そういうことで、暴力団
関係の者がこれに目をつけて、盛んにこれを密造し、密輸をし、そして流すのじゃないかというふうに主要な原因を
考えております。
そこで、私
どもとしては、これを告発するためには、いろいろ取締まるだけではできませんが、警察の立場から言いますと、まず元を断つ、外から持ってくる、あるいは中で密造するという供給面を何とかして断つ
努力をする。それから、これを用いる、乱用する使用者の側をやはり十分に断っていくということをしなければならないというふうに思っております。そのためには、一方において違反者を強力に取り締まるとともに、先ほど御
説明があったように、厚生省あるいは地方の、たとえば乱用する事犯の多い各府県の
関係の機関、そういうものと密接に協力をして、そうしてキャンペーンをすると同時に取り締まりをやっていくというふうにやってまいりたい。
それから一方、
法律的にも、暴力団が目をつける
一つの
理由は、私
ども承知した限りでは、たとえば韓国でこれを買いますと、グラム四千円ぐらいだそうです。それで、日本へ持ってきて末端に流しますと、それが一グラム二十万円ぐらいになる、五十倍ぐらいになるので、その間の利益に目をつけてやっておるんだと思うのですが、その反面、そういう経済的な事由のほかに、処罰がいかにも麻薬と比べて軽い。麻薬にうっかり手を出すと無期の懲役を受ける可能性があるが、覚せい剤では軽いんだ、したがって覚せい剤でつかまっても出てくれば金だけは残っておるというような
感じが一般に流れておるようでございますので、何とかそういう
法律的な面でも、厚生省と御相談して、そうして対策を立てていくというふうにやってまいりたい。いずれにしても、警察と
関係機関とよく協力をして取り締まりの
成果をあげてまいりたいというふうに思っております。