○久保(等)
委員 いま
大臣のせっかくの御答弁ですが、事態の早期収拾を願っておる、それは当然のことだ。問題は一体どういう姿勢で取り組み、どう具体的に収拾していくかが問題であると思うのです。私は、これは一郵政
大臣にだけ責任を追及するわけにはまいりませんが、特にスト権の問題です。今回のストはきわめて政治的なストだといわれておるのですが、スト権そのものが、もともと労働者の基本的権利なのですが、そういう問題になってまいりますると、私は経済問題以上に労働組合の諸君が問題にするのは当然だと思うのです。そのことについてストライキをかける、あらゆる実力をもって戦ってまいるということは、労働組合の
立場からすれば私は当然だと思うし、また今日世界の傾向なり流れを見ておりますと、少なくとも公務員といわず、とにかく働く人たちには労働基本権というのが与えられていくというのが、むしろ私は世界の趨勢だと思う。
たまたま昨日、最高裁の法廷で労働三権に対する大法廷での判決がありました。これも私は非常に遺憾に思います。日本の最高裁の大法廷における結論そのものが
一定の進歩を示しつつ前進をしておったと思うのですが、またきのうの判決によりまするとこれが逆転をして、世界の大勢のみならず、日本の国内における大勢に対する、流れに逆行するような判決が出た。このことが一体どういう形で今後発展してまいるか、私は非常に憂慮する一人です。やはり今日の時代の流れというものは、単に権力をもって押えようとしても押えられない。私は、正しい流れというものは阻止することはできないと思うのです。きのう出たあの判決、私もそれをこまかくは検討いたしておりませんけれ
ども、少なくとも私は、これは単にわれわれのみ、われわれの
立場から批判があるのではなくて、これは最高裁そのものの構成が一体どうなっているのだろうか、最高裁内部における個々の裁判官の判断が一体どうなんだろうか、こういうこともいろいろ伝えられております。そういうことの中で、きわめてきわどい一票の差をもって多数だということで、従来の最高裁の判決というものは逆にひっくり返る。こういうようなことを
考えてまいりますと、非常に重要な問題だと思うのです。これは郵政
大臣の問題として私は申し上げておるのじゃないのですが、しかしたいへんな問題だと思うのです。これはしかし、少なくとも
田中内閣そのものが裁判官の任命等を行ない、もちろん手続的には
国民の審判を受けるという問題もありまするけれ
ども、いずれにしろ、私はこういう
一つの動きを見ておりますると、まことに憂慮にたえない感を深くするのですが、決してこの問題を直接
大臣にとやかく申し上げるつもりはございませんが、しかし今回のスト権のストの問題についても、スト権回復という長い間の懸案問題が公制審の結論を待って政府が対処しようという従来から一貫した
立場がありますけれ
ども、その公制審の結論を待って対処しようというその
考え方の中に、前向きでもって、積極的にひとつこの事態を解決しようという
考え方よりも、何かとにかく公制審で出るであろうその結論というものは、おそらく否定的な結論が出るのじゃないだろうかというような気持ちで見ておられるような
感じがするのです。たまたまきのうの最高裁の大法廷における結論というものは、これはもう全く期せずしてではあろうけれ
ども——期しておったか、期しておらなかったかということは私はうかがい知ることはできませんけれ
ども、とにかくああいう
一つのことが出てまいる。こういうことになってまいりますと、政治不信、さらには、労使のこういった最高裁に対する不信、司法権に対する不信、こういったものさえ醸成されてくる危険を私は痛感するのです。こういう
状態にあればあるほど、私はやはりこの事態を単に、郵政
大臣にしても、経済問題なら話し合うけれ
ども、その他の問題については話し合わないのだといういまの政府の態度というものは、きわめて狭量だと思います。なぜ、たとえば
田中総理とトップ会談を持つことを一体敬遠せられるのか、一体回避されるのか、このこともわれわれにはわからないのです。郵政
大臣に、そのトップ会談のことについて総理
大臣の気持ちをお聞きしようとは思いません。しかし、私は郵政
大臣にお願いしたいのは、ぜひひとつ積極的に、トップ会談であろうと何であろうと、どんどん会って、とにかく解決する。郵政
大臣はただいま、何かこの十七日に全逓あるいは全郵政の諸君と会って忌憚のない
意見の交換をした、前例がなかったというようなことを言っておられますが、私は、そのこと自体をとらえるならけっこうだと思います。しかし問題は、さらに掘り下げて、どういう姿勢で
——今次春闘というものを収拾しようとするならば、一体どういう態度で取り組む必要があるのか、こういったようなことを真剣に
考える。しかも猶予を許されない時期に来ているのだ。それにしては、
久野郵政
大臣の動きは、いま単に全逓あるいは全郵政の諸君に会って懇談をしたという程度であれば、問題の処理にならぬ。しかも
意見は平行線だ。おそらくスト権の問題をめぐってのお話だろうと思うのです。しかしそのこと自体についても、これは長い問国際問題にもなっておるのですから、だからこういうことについて積極的に
努力しよう、自分としてもその点言われることはよくわかるというような気持ちで話をされるのと、いやもともと公務員諸君にスト権というものは認めるべきでないという
考え方で取り組まれるというのとでは、おのずから違うと思うのです。また、同じ公務員といってもそれはいろいろあると思うのですが、郵政
大臣の
立場からする
——やはり私はいま申し上げておる公務員のスト権の問題については、郵政
大臣は郵政
大臣として
一つのお
考えがあってしかるべきだと思うのですが、この問題については、どんなふうにお
考えになりますか。