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1973-04-26 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十六日(木曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 小澤 太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       内海 英男君    亀岡 高夫君       渡海元三郎君    中村 寅太君       楢橋  渡君    本名  武君       村岡 兼造君    村上  勇君       渡部 恒三君    大柴 滋夫君       金丸 徳重君    久保  等君       森井 忠良君    米田 東吾君       平田 藤吉君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君  委員外出席者         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     —————————————  委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   平田 藤吉君     諫山  博君 同日  辞任         補欠選任   諫山  博君     平田 藤吉君 同月二十六日  辞任         補欠選任   志賀  節君     村岡 兼造君   園田  直君     渡部 恒三君 同日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     志賀  節君   渡部 恒三君     園田  直君     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三三号)      ————◇—————
  2. 久保田円次

    ○久保田委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中昭二君。
  3. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、まず簡易生命保険の全体的な、一般的なことからお尋ねしてみたいと思います。  この簡易生命保険国営事業として行なわれておるわけでございますが、そのことにつきましては一応の説明はございましたけれども、ひとつ、いままでの質疑等を通しまして、これが国営事業としての基本的な当局のお考えはどのようにお考えになっておるのか、もう一回聞かしていただきたいと思います。
  4. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおり、簡易保険事業の運営の基本につきましては、簡易生命保険法第一条に書いてございますように、確実な経営によりまして、できるだけ安い保険料をもって簡易な手続で国民生命保険を提供する、これが目的でございます。御指摘国営ということの信用力全国にあります二万に及ぶ郵便局を先端とします販売網、完備しました外野組織、こういうものをフルに活用いたしまして、いま申し上げました簡易保険目的とする事業を営んでおり、このことによって国民経済生活の安定なり福祉の向上に資しておる、こういうことがいえようと思います。
  5. 田中昭二

    田中(昭)委員 ただいま当局から、法第一条の目的をお述べになると同時に、国民経済の安定と福祉の増進ということを考えなければならない、そういうことは一応わかったわけでございますが、現状としまして、この加入者状態を見ておりますと、当初の目的といいますか、だいぶんこの目的がくずれたといいますか、それは現実の面には民間保険会社との競合の問題があるかと思います。そういうことにつきましては、現状から見てどのようにお考えでしょうか。
  6. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおり、簡易生命保険大正五年に創業をいたしたのでありますが、戦前におきましては小口、無審査、月掛けの生命保険簡易生命保険独占でございました。終戦後昭和二十一年にこの独占規定が撤廃になりまして、民間保険小口の無審査集金保険が営業できるようになりまして、言うなれば、民間生命保険がある意味で簡易保険化してきたということがいえようかと思うのであります。  簡易生命保険の基本的な経営の指針といいますのは、先ほど申し上げました法律に規定されているとおりであります。  民間保険との競合関係でいきますと、この競合ということばから意味するものが私は日本の生命保険事業の伸展のために非常にいい効果をもたらしておる、このように考えております。と申しますのは、ただ民間保険簡易生命保険が無審査保険の分野におきまして無用な競争を行ないまして、いたずらなトラブル等々を引き起こすというようなことではなくて、簡易生命保険国営簡易生命保険としての特色を発揮し、民間生命保険はそれなりの機能を果たすということによりまして、国民に対する保険の提供あるいは保険の普及という点から、むしろ競争原理の上に立ってフェアな競合ということが行なわれておることは、いま申し上げましたようなことで私どもとしては非常にけっこうなことだ、このように判断いたしております。
  7. 田中昭二

    田中(昭)委員 けっこうなことでございますけれども、いまの御説明では、民保簡易保険のほうに平面化といいますか、そういう状態でかえっていいのだというようなお答えがあったと思いますが、国営事業として全国郵便局を持っておる郵政省事業として、その競合といいますか、民保が進出してくる中においても、国営事業としての特色を発揮していき、またその効率化というものがひいては加入者利益還元につながらなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、この問題はまた後ほどもう一回問題提起をしてお話をしてみたいと思います。  そこで、この簡易保険民間保険とを比較してみますと、いまの趣旨から申し上げましても、簡易保険のほうが民間保険よりも低廉で、いわゆる目的にありますように保険料でも安く、そうして有利な経営がなされなければならないと思いますが、具体的には、たとえば同一品種養老保険の十五年満期にとってみますと、保険金百万円、三十歳加入で、払い込み保険料簡保民保との場合は七万六千円の差がある。いわゆる簡保が高いのです。また二十年満期で百万円、三十歳で見た場合には、約十一万円も簡保のほうが保険料が高くなっておるという現状、こういうことを考えますと、当初の大正五年に創設されましたときのいわゆる低所得階層対象とした簡保加入者がたいへん不利な立場に立っておると思いますが、この点をどのようにお考えなのか、またそのように簡保のほうが高いというのはどこに原因があるのか、お答え願いたいと思います。
  8. 野田誠二郎

    野田政府委員 簡易保険保険料民間保険保険料比較につきまして、まず申し上げたいと思います。  簡易保険営業保険料民間保険比較をいたしますと、保険種類によって多少の差がございますけれども一般に申し上げますと、大体同水準かあるいは若干簡易保険のほうが低くなっている、このようにいえようかと思います。しかしながら先ほど指摘がございましたように、表定保険料といいますか営業保険料から、配当剰余が出ました分を配当利益剰余金として分配をいたすわけでございますが、この配当を差し引きました正味保険料におきましては、残念ながら簡易保険の場合はやや高目になっているわけでございます。ただ簡易保険民間生命保険との分配金分配のやり方その他によっていろいろ違うわけでございまして、いろいろ仮定条件がございます。ただいま先生が御指摘の十五年養老なりあるいは二十年養老等につきましても、これは十五年、二十年の満期保険金を受け取る場合の保険料比較でございます。現在の統計によりますと、はたして民間保険が、二十年満期養老保険において契約せられましたその目的の二十年まで、そのうちの何%が継続しておるかというような問題、簡易保険におきまして二十年養老保険満期保険金としてどのくらい保険金を受け取っておるか、こういう比較の問題もあろうかと思います一たとえば簡易保険ならば、二十年満期養老保険保険金を受け取る件数が当初の契約件数の何%を占めているか、あるいは民間保険におきましては、乗りかえあるいは途中の消滅というのが非常に多うございまして、計算どおりの形になっておるかどうか、そういう比較を別にいたしますと、まさに先生指摘のような正味保険料の差があることは事実でございます。これにつきましてわれわれ今後とも鋭意この改善の努力を重ねていかなければなるまい、このように考えております。  第二の御指摘の、原因でございます。なぜこのようなことになるかということでございます。いろいろな要件がございますけれども、端的に申し上げまして、簡易保険におきましては資金運用面に種々の制約がございまして、運用利回りにおいて民間保険との間に格差がある、このことがまず第一でございます。昭和四十六年度の民間保険運用利回り簡易保険積み立て金運用利回りにおきましても、約一・四%程度の差がございます。正味保険料におきましてこのような開きができます第一の原因は、資金運用利回りの差である、このように申してよかろうかと思います。
  9. 田中昭二

    田中(昭)委員 私はしろうとでございますし、当局専門家の方でございますが、いま私がお聞きしたことは、民保簡保とで実際に納める保険料が違うのじゃないか、こう言ったわけですよ。私はなるたけ簡単に、率直にお聞きしたつもりなんです。大臣、同一品種で、満期年限保険金額加入者の年齢も同じの場合に、納める保険料で八万円、十一万円の差があるというのですよ。いまの専門家の話を聞いていますと何のことなのかさっぱりわかりませんよ。表面は同じだと言う。そういうことは私も一応勉強して、表定保険料なんかは大体同じだということは聞いております。しかしそういう表面的なことじゃなくて、現実に低所得者保険料を納める場合に——この法第一条の目的を見ますとおかしいじゃないですか。第一条には「なるべく安い保険料で」とうたってあるわけです。それが実際は、なるべくどころか高くなる。民保のほうがかえって逆に十一万円、八万円安くなる。私は何もうそを言っているわけじゃございません。現在あります簡易保険の、商品ということばは私好きませんけれども現実加入して納める保険料が高くなっているということはどうでしょうか、こう聞いているのです。大臣の御所見を伺いたい。
  10. 久野忠治

    久野国務大臣 簡易保険法目的の第一条に、低廉な料金でということがうたわれておることは事実でございます。その特色を生かして運用でき得るように努力をいたしておるわけでございますが、運用利回りその他について制約がございまするために、その面から保険料の料率についていろいろ問題が生じておることであろうと思うのであります。その内容は数字にわたることでございますから、政府委員をもって答弁をさせていただきたいと思います。
  11. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは一応お聞きしたのです。私は、そういう法律の第一条に書いてある「安い保険料で」ということが、実は高くなっていることについて大臣はどのような感じがしますか、こうお聞きしたわけですよ、それじゃ繰り返しになりますから、これはまた時間があればやっていきたいと思います。  そこで、今度は具体的に数字の問題から考えられますことは、さっき大臣もおっしゃったように、事務当局もおっしゃったように、運用利回り関係が第一の問題だ、こういう御指摘です。これは長年積み立てた保険料に対していわゆる利益分配といいますか、配当金という問題も起こってきます。民保のほうは、ある年限が来ますと、その分配金である配当金保険料から差し引いて保険料を徴収します。簡保の場合には、満期が来るまでその保険料というものは別途積み立てられている、こういう問題ですね。簡保民保における配当支払い方法が違っております。民間の場合には月々支払い保険料の中から差し引いているわけですが、簡保の場合は満期において配当を支払うようになっております。どうして簡保はこのような方法をとっておられるのか。保険加入者にとっては民間保険のような方法がよい。特に生活関係物価が強力に低所得者を圧迫しておるこういうときには、月々保険料が安くなることは私はだれでも望むことだと思うのです。その辺、簡保配当金をそういうふうな月々保険料から引かないという理由はどこにございますか、お答え願いたいと思います。
  12. 野田誠二郎

    野田政府委員 お答えを申し上げます。  御承知のとおり、簡易保険は現在におきまして約四千六百万件に及びます大量の契約を保有しておるのでありますが、民間生命保険におきます剰余金分配方式と同じように、これを毎月の保険料から差し引くという方法をとりました場合、簡易保険におきましてこれら四千六百万件に及びます大量の契約につきまして、毎年一定の時期に保険料集金関係書類の訂正を行なわなければならないということが第一点でございます。  第二点といたしまして、剰余金支払い通知書を発行するというふうなばく大な手数を要する作業が必要でございます。  さらに第三点といたしまして、簡易保険契約の大部分が保険金額比較的に少額でございますので、剰余金を毎年分配することといたしますと、その分配額自体がまた非常に小額なものになるというようなことがございます。したがって、このことによって剰余金分配効果が減殺をされる、こういうことになろうかと思います。このことによりまして、ばく大な手数を要することによる事業費増加ということが考えられます。この事業費増加がどのくらいかという的確な数字は出ておりませんけれども目の子勘定で約五百億くらいかかろうかと思います。この事業費増加によってまた剰余金の発生が減少させられる、こういうことになると思います。  以上のようなことを勘案いたしまして、民間と異なりました現在の確定配当方式をずっと続けておる、こういうことでございます。
  13. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題もどうもすっきりしないですね。簡単に言ってしまえば、いまお述べになったように、もうたいへんな手数をかけるから、めんどくさいのでできないのだ。その次には、事業費が要るからだという御説明であったと思う。ところが保険料というものは、事業費というものもちゃんと付加保険料として計算をされて、そして法定予定利率といいますか、そういうものを一定限度で押えて、いわゆる保険の何とか総則というのがあるそうですが、それから見て収支相償うような関係事業費も組み込まれておる、そういう説明を聞いておるのですが、それと最初のめんどうくさいからやりたくないというようなことは——簡保が国の事業として全国津々浦々に郵便局を持っておって、国の事業であるという信用を得て保険集金なり募集なりに行く、そういう現状は私は民保にはないと思うのです。そうであるならば、そういうめんどうくさいというようなことについて、民保よりも有利な立場にある簡保がどうしてできないのか、私はこういう感じもするわけでございますが、いままでこの問題についても言われたこともございますから、また後ほど時間があればそのときに譲ることにしまして、次の問題に入ります。  ところで、保険制度は、先ほどから言いますように多数の国民生活設計と非常に深い関係にございますし、特に簡保の場合は、民間保険比較して加入者国民の大多数を占めております。いわゆる中産階級以下のものであるといってもよいわけであります。それゆえ、できる限りそれらの人々のためになるようにサービスをしなければならないと思います。そのためには、先ほどから言いますように、まず第一に保険料引き下げ、その他加入者負担実質的軽減をはかるべきである。二番目には資金運用合理化をはかりながら配当面国民に還元する、加入者に還元する、こういうこと。三番目には現行の保険金額最高限度額を引き上げるべきだ。この三点が重要であると思います。  まずその第一点であります保険料引き下げにつきましては、いまもお聞きしましたが、保険料算出基礎となっております中に、いわゆる死亡率予定利率事業費等がございますが、その中で予定利率は現在四%で算出されておると聞いております。そうしますと、国債応募利回り等が大体六分七厘ちょっとこえておりますし、一年定期預金にしましても金利が五・二五%ということを考えてみますと、その一番確実な国債等利回り定期預金利回りよりも低い予定利率で見ておるというのは、私はちょっと安全度の見過ぎじゃないか。ですから、保険料算出基礎となっております四%の予定利率をもう少し引き上げるべきではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  14. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど指摘のとおり、簡易保険運用利回り昭和四十一年以来六・五%をこえておりますけれども、六%をこえましたのは昭和三十六年以降でございまして、昭和三十五年以前は六%以下でございました。もう一つ要件としまして、昭和四十七年度の見込みでは、現在まで行なっておりました利回りより少し下がりまして、六・五%を若干下回るということが大体見込まれます。  以上申し上げましたような状況を考慮いたしますと、現状運用利回りに近い利率を直ちに予定利率に採用するということによりまして保険料引き下げるということは、保険契約が十年、二十年というような長期にわたります関係から、現在これに踏み切るということはいささか困難ではないかと考えております。しかしながら、先ほど来御指摘簡易保険保険料割り高であるというような関係からいたしまして、この予定利率を少しでも引き上げる、保険料引き下げるように検討を進めなければいけない、このように思います。
  15. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは当然検討すべきであると思います。前回引き上げたときには五%ですね、引き上げた状況とその後の運用利回り状況を見てみますと、いま三十年とおっしゃったけれども、二十八年の時代から見れば倍近く運用利回りは上がっておるじゃないか。ここでただことばのやりとりだけの遊戯みたいなことはやりたくありませんから、ひとつ実質的に検討して、将来の安全な利率をきめていただきたい、こういうふうに思います。  次に、二番目の簡保資金運用の件でございますが、簡保資金運用は当然確実であって有利でなければならないと思うのでございますが、民保比較しまして、先ほどから言いますように簡保利回りの差が多過ぎます。先ほど局長は一・四%とおっしゃったけれども、現在では一・五%近く差がある。そうしますと、簡保が一・五%も運用利回りにおいて下回っておるということは、それだけ簡保加入者が損をしておる。当然民保加入者と同じくらいの利益を受ける権利があり、それを保障してやるのが当然だと思いますが、この点はいかがでございますか。
  16. 野田誠二郎

    野田政府委員 簡易生命保険積み立て金運用は、積立金運用に関する法律によってその運用対象なり何なりの大綱がきわめられております。簡易保険がやはり国営保険であるというところから、その積み立て金運用につきましても公共のために運用するという一応のワクがございますので、民間生命保険におきます資金運用とは、この点いささか趣を異にする点はやむを得ないかと思いますが、私ども考えといたしましては、やはり積み立て金運用範囲はできるだけ広く、かつその利回りはできるだけ高くして、その利益加入者に還元すべきだ、このように考えまして努力を続けたいと思います。
  17. 田中昭二

    田中(昭)委員 すぐ、法律できめられておるからその中で努力しておるのだというお答えになっておるわけでございますが、そうしますと、簡保資金の許される範囲の有利な運用をしなければならないということにつきましては、現在運用が認められております資金運用法の第三条第二項の二によりますと、総額の五%くらいまでは電力債等にも運用してよろしいということになっておると思いますが、現在そういう面での運用はどのくらいなされておりますか。また公営企業等運用に加えるということがいいのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  18. 野田誠二郎

    野田政府委員 現在の簡易保険積み立て金運用電力債に回っております分は、市場の関係その他もございましてほとんど数えるに足りない数量でございます。  なお、二番目に御指摘になりました公益事業社債といいますか、社債等あるいは株式等につきましても、非常に公共性の強いものに進出したいということでわれわれ努力しておりますが、まだめどがついておりません。
  19. 田中昭二

    田中(昭)委員 簡保資金については全く国庫負担を受けておりませんし、独立採算経営されておりますから、運用面においても加入者利益を大きく考えるということは当然であります。それが一番大事であると思いますが、それと比較しまして厚生年金なり国民年金国庫負担もあるわけでございます。そしてこれは強制加入でございます。運用面においても、一般的な公共性というものが当然考えられなければならないと思いますが、任意加入簡易保険資金運用対象で安全、確実、有利であれば、加入者への利益還元ということで努力しなければならない。極端でありますが、有利な、安全な、株式であっても投資してかまわないかとも思いますが、運用資金対象範囲をもう少し拡大し、加入者に還元するお考えはないかどうか、御意見を伺いたいと思います。
  20. 野田誠二郎

    野田政府委員 先生の御意見のとおり、私どもも少なくとも非常に公共性の強い企業といいますか、そういう会社社債なり株式というものを保有しまして、できるだけ積み立て金を有利に運用いたしましてこれを加入者に還元すべきだ、このように考えておりまして、御支援を得まして今後も努力をしたいと思います。
  21. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に保険金額の問題でございますが、簡易保険加入者先ほどから言いますように国民の大多数を占めております。そして中産階級以下の者でございますから、したがって、保険金額はこの階層についての遺族生活保障費を基準として定められております現状におきましては、最近の物価上昇、インフレを考えますと三百万では遺族生活保障も五年ももたないというようにも思われますし、もっと最高限度額を上げるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
  22. 野田誠二郎

    野田政府委員 加入者保険金に期待いたします機能は、主たる生計の維持者がなくなりました場合の遺族の家計の維持一つ種類、もう一つとしましては満期保険金を受け取りまして老後の生活を保障する、大体保険金機能というのは個人生活におきましてはこの二つに分類できようかと思うのでございます。現在の社会経済情勢の進展その他からいきまして、御指摘のように現在の簡易生命保険の三百万の最高制限額ではいささか低きに失する、このように判断をいたしております。ただ、民間生命保険の無審査保険におきます最高制限額、農協の生命共済におきますそれらの額との均衡というようなことから、昨年の五月以降二百万から三百万に移したばかりでございます。まだ一年を経過いたしておりませんので、これらの推移を見ながら、今後この最高制限額の引き上げに努力していきたいと考えております。
  23. 田中昭二

    田中(昭)委員 ことしの二月でございましたか、国民生活審議会より発表されました保険サービスに関する消費者の保護についての中に、次のような問題点指摘されております。社会的変化に対応できる商品開発というところで、契約期間中に社会的変化あるいは消費者生活上の変化による影響を受けやすいが、一般に現在提供されている商品サービスはこうした変化に対する適応力が十分に備えられていない、特に物価上昇の傾向が強いことから、消費者契約時に期待した保障価格満期時に保障されない、消費者生活設計上十分な機能を果たしていないという結果となっております。これに対応すべく新種保険をつくるお考えはないかどうか、つくるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  24. 野田誠二郎

    野田政府委員 最近のような物価状況考えますとき、生命保険といたしましてもそういうインフレ等に対する対応策というものを一応考えなければいかぬと思っておりますが、御指摘の点、われわれ考えておりますのは、抜本的な対策とは考えませんけれども、死亡保障に重点を置きました保険を設けまして、必要に応じてその加入額を高めていく。この方法によりまして一応インフレ対策というようなものの一助にできるのではないかということで、特別養老保険ということで養老保険定期保険を付加いたしました保険を三年前から発売をいたしております。今回簡易生命保険法の一部改正をおはかりいたしておりますが、その中にあります定期保険も、死亡保障に重点を置いた安い保険料で高い保障を得られる、こういう新種であります。そのほか、現在われわれといたしまして、毎年発生します剰余金をもって保険を買い増ししていく、これを定期保険をもって上積みしていくわけでございますが、いわゆる保険金増額制度というものを検討しております。そのほか抜本的な対策といたしましては、保険金額物価にスライドする、いうところの変額保険制度というものにつきましても、これは非常にむずかしい問題でございますが、現在検討の段階に入っておる次第でございます。
  25. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは一般的にお尋ねしておきますが、生活変化、こういうような変動の時期におきまして、そういう生活変化関係加入者保険金額の増額を希望した場合には、その増額はできるというようになっておりますか、どうですか。
  26. 野田誠二郎

    野田政府委員 現在のところ新しく保険契約をいただきまして、保険金額を積み重ねて、買い増しをしていただく以外に、御指摘のような保険金を増額さしていくという保険というのは制度としてはございません。
  27. 田中昭二

    田中(昭)委員 それがないとすれば、私は、現在の簡易保険の制度そのものが、物価上昇、インフレというものにはたいへん弱い立場にあるということでありますが、実際の加入者は、先ほど言いましたように四千六百万件ですか、こういうふえ方をしている。また一件当たりの保険金額保険料もいままでにない相当の伸び率を示しております。そういうことを考えますと、私が当初申し上げました国の事業というものが、そういう行き方で大体いいだろうかというような疑問がどうしてもまた増してくるばかりでございます。特に加入者の実態等を見てみますと、先ほどの四千六百万件の加入者というものがどういうふうになっているのだろうかと思って、私いろいろ当局にお尋ねしてみますが、なかなかその実態というものが現実と合わないような面が多々あるように思うのです。ということは、具体的に申し上げますと、一世帯の中にいわゆる収入の主体者はその人一人しかいない場合に、その世帯の家族構成が十人ぐらいのところでございますが、一世帯で十数件の保険にかかって、本人の月収と簡易保険払い込み保険料等見てみますと、どうして生活していけるだろうかという実情があるのです。いまの簡易保険の募集並びに制度等見てみましていろんな問題があることは、この委員会でもこの法案審議につきましていろいろ指摘されておると思う。こういう面ひとつ今後——私の質問も中途半ぱな疑問を投げかけて、なっておりませんけれども、どうしても私は、現実加入者の保障とかいうところが、加入者に無理な生活設計といいますか生活のやりくりといいますか、そういうものを引き起こしているのは簡易保険の募集なりその制度にある、こう思われてしかたないわけでありますが、この点につきまして大臣の、いままでの質問を通してのお考えをちょっと聞いておきたいと思います。
  28. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘のとおり、いま経済社会は高度化、多様化しておるわけでございます。またインフレの様相も帯びておるわけでございます。それに対応するような新しい保険制度を確立すべきではないかという御意見でございます。それにふさわしいようにやはり最高限度額についても考えるべきではないか、保険料についても何らかのくふうが考えられるべきではないか、いろいろ具体的な点について御指摘をいただいたわけでございますが、そのような問題点につきまして今後研究をいたしまして、検討いたしてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  29. 田中昭二

    田中(昭)委員 一般的な問題の態度としまして、私ここで幼稚な質問になりますが、簡易保険契約をとりに行く現場の状況を一応想定してもらって、保険局長さんならば、未加入者に対してこの簡易保険の募集の中におきまして、簡易保険はこういう利点がありますから入ってくださいというような話にもなると思いますが、そういう面を一応仮定しながら、簡易保険加入すればどういう特典があるのか、その何点かをあげて、現場での募集する人たちの状況と同一のような状態で、ひとつ御説明願いたいと思います。
  30. 野田誠二郎

    野田政府委員 私も現実に募集に従事したことがございませんので、あるいは観念的なお答えになるかと思いますが、外務員の人たちが、見込み客と言っておりますが、そういう家庭を訪問しまして、保険契約にたどりつくまで、いろいろな話法があろうかと思います。簡易保険の場合、御承知のとおり、保険種類からいいましても貯蓄性向の強い短期のものが多いわけでございます。民間保険のような長い高額の契約というよりも、短い貯蓄性向の強い契約ということから、話法でも一番多く使われておりますのは貯蓄話法だと思います。出生の際、入学の際あるいは結婚の際等々を契機として保険加入していただく。子供さんが結婚する際にこれこれかくかく満期になりますよという形で、貯金にかわる貯蓄話法。いま申しましたようにいろいろあるわけでありますが、出生なり小学校の入学、結婚、こういう際の貯蓄話法。  もう一つは保障話法があります。御主人に万一のことがありました場合にかくかくしかじかの保険金がおりますという形での保障を得る話法。  そのほか、たとえば簡易保険におきましては、各地に加入者福祉施設等を設けておりますが、中小企業経営者等に対しましては、こういう保険に入りまして従業員の方々皆さん、そういう施設でゆっくりさしてあげるということも簡易保険の特典としてありますというような話法があります。あるいは税金の関係の話法、いろいろあろうかと思いますが、いま申し上げましたように、大宗は貯蓄話法と保障の話法、この二つだろうと思います。
  31. 田中昭二

    田中(昭)委員 保険局長も実際に募集の現場に当たったことがないというお話でございますから、私は率直でいいと思います。私もまたそういうことをやったことがございませんが、大体いまのお話で、そういうことが対話されると思います。  そこで、二番目の保障の問題とかそういう問題については、これは相対的な関係ですから、社会情勢も変わってきますしいろいろ問題があると思いますが、最後におっしゃいました税金の問題は、具体的にどういうふうな説明をして、有利ですというような意味で御説明になるのでしょうか。局長さんが御存じなければ、ほかの課長さんでもけっこうですからお答え願いたいと思います。
  32. 野田誠二郎

    野田政府委員 まず払い込みます保険料につきましては、一般に所得控除がございまして、現在年間払い込み三万七千五百円までが課税対象からはずされる、こういうシステムになっております。さらに受け取ります保険金につきましては、保険料をだれが負担するか、それから受け取る保険金がどこに所嘱するかによって税法上いろいろ違います。所得税法、相続税法、いろいろ違いがございます。こういうことによりまして、年額十万円までの保険料でしたらこれこれ税法上の特典がある、あるいは相続の場合における特典というようなことで、一般的に税金話法といっておりますけれども簡易保険におきましては、御承知のとおり最高制限その他であまり金額も多くございませんので、この税金話法が活用される余地は民間保険に比べましてあまり多くはない、このように考えております。
  33. 田中昭二

    田中(昭)委員 突然税金のことを出しましたから詳しいことはあれとしまして、私はなぜこれを問題にしたかといいますと、いまの、たとえば保険料を一年間払い込みますと、結局この分の保険料は税金が安くなりますよ、こういう説明がなされる。そうすると、加入者のほうは、大体所得者がそういう話を受ける場合もありましょうが、普通の場合は、家庭の主婦がそういう話を聞いて、ああなるほど簡保でも一年間三万七千五百円も税金が安くなりますか、それならばおとうさんにひとつ言って、簡保の一口ぐらい入って、それだけ税金が安くなるならばというようなことで現実加入していくというようなことがあるわけでございます。  その場合に、私は、いわゆる最高保険料、一年間納めた最高限度の三万七千五百円というのが安くなりますよということについては、何か加入をすすめる方法として考えなければならないことがあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 野田誠二郎

    野田政府委員 お話のように三万七千五百円の税金自体が引かれるわけでございません。一応所得控除になるわけでございますが、所得税法につきましても相続税関係の税法につきましても、なかなか難解でございますし、往々にして申し込みを受けた外務員と契約者との間にトラブルがございます。したがいまして、私のほうといたしましては、この税金話法につきましては十分細心に使うようにということ、かつ、簡易保険局の中に税金に関しますコンサルタントを置きまして、非常にその解釈が微妙な点もございますが、いずれにいたしましても契約者との間に無用な摩擦、トラブルを起こさないように、会議、指導文書、パンフレット等、それからいま申し上げましたコンサルタントも置きまして指導をいたしております。御指摘のような誤解が間々起きます。これは厳重に指導をいたしていきたい、このように思っております。
  35. 田中昭二

    田中(昭)委員 指導されることはいいのですけれども、三万七千五百円所得控除がありますと税金は幾らくらい安くなるのですか。税金が幾ら安くなるから入ったほうが得ですよ、こういうことしか加入者は、特に一家の奥さんとか、一般の人でも——おそらく大臣でも、どうですか。税金が安くなるといったら、ああそういう特典があるならと、こう思うでしょう。その辺の話法で加入者をだましたような結果が現場においては多々あるのです。といいますことは、先ほど言いましたように、いま簡保の全加入者が四千六百万件ありますが、一世帯で二、三件、二十件に近いような加入をしておるところもあるのです。そういうところにさらに、たとえば一件でも二件でもいいでしょう、その一年間の保険料が四、五万円ぐらいになりますと、もう税金とは関係ないのです。かりに、一件簡保に入っておって納める保険料が三万七千五百円以上になりますと、あとは税金と何の関係もないのです。そういう一件簡保に入っている加入者のところへ行って、また語って、税金が安くなりますよと言うのが現実の募集の対話なんです。どうですか。  まず、三万七千五百円の最高限度が所得税控除になりますと、平均でけっこうですが、幾ら税金が安くなりますか。
  36. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおり所得税法関係は非常に複雑でございますし、事例によっていろいろ違うと思いますが、具体的な計算例で申し上げます。  夫婦と子供二人のサラリーマンの家庭で年収二百万であって、社会保険料を六万八千六百円支払っておって、簡易保険保険料として年間五万円を支払う場合におきまして、簡易保険加入によって得ます減税額は、所得税だけでございますが、五千六百円という計算でございます。
  37. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、大臣、聞いておってもらいたいのですが、いまの例の中で、直接簡保に影響というのは、いまの簡易保険に一年間に五万円その世帯は払った、そのほかに社会保険に払っていますのは別です。生命保険料については、簡保保険料五万円払った。そして減税になるのは、大体最高限度額三万七千五百円の二割近いものです。二割に満たないものです。五万円払って、いまの五千六百円安くなる、こういう説明です。それでは、そういうふうに納めた保険料の大体一割五分か二割くらいの税金が安くなりますよと説明に行って加入してもらった場合に、いま言いますように、大体その世帯がもう簡保に前に加入しておれば、当然新しく加入してみても何の税金の恩典もないわけです。そうですね。そのほかに民間生命保険もかけているでしょう。簡保加入をすすめる場合に、国の事業であるならば当然、その世帯が生命保険等に加入している保険料等を聞いて、おたくはもう五万円払ってあるからこれ以上かけられても税金の特典はありませんよ、このくらい親切に教えて加入させるのが正当であり、それを言わないということは加入者をだましていることだと私は思いますが、いかがで旧しようか。
  38. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点はまことにごもっともだと思います。今後勧誘にあたりましては十分注意するように、そのことは指示をいたしたいと思います。  私も、実は今度大臣に就任をさしていただきました際に、就任と同時に外務員の方が私の宅へ二人そろっておいでになりました。大臣に就任をされた方は必ず簡易生命保険加入していただく先例になっております、ぜひ御加入いただきたい、こういうことでございました。最高は三百万円ということで十年満期でございましたが、加入の手続をいたしましたら、奥さんも同様に入っていただくことになっておりますと言う。なかなか熱心な方でございまして、ついほろりといたしまして、夫婦でともに入ったのでございます。ところが、それは給与のほうから差し引かせていただきます、こういうことでございまして、毎月大臣の給与のほうから差し引かれております。額を見まして実はびっくりいたしたのでございます。うちの奥さんもたいへんびっくりいたしまして、こんなにたくさん差し引かれてはとても、とこう言いましたから、まあそれは言いなさんな、入った以上はそれは言わないことにしましょうと、まあ二人で相談をいたしまして、どなたにも申し上げていないのでございます。  ただ、いまこの身近な問題について非常に適切な御発言がございましたので、つい私に関連したことを不用意に申し上げまして失礼ではございましたけれども、そういう点で間々加入者の方たちが不信感を抱くようなことがあるのではないかと私も想像いたしておる次第でございます。でありますから、今後適切な指導をいたしてまいりたい、かように御答弁申し上げる次第でございます。
  39. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣の人柄で、私はいま敬服して聞いておったわけでございますが、私はそういうことが話し合える委員会でなければいけないと思うのです。何もいままでの委員会が悪いわけじゃございません。とにかく私たちの質問に対して私は率直に答えるものは答えてもらいたいし、まあいまからもう一つ言いにくいことを言おうか思っておりますけれども大臣がそういうお答えをなさいますと言えなくなるのですけれども、まあ大臣がそういう経験をなさっておるならば、簡易保険局長以下郵政省の職員が簡易保険にどれだけ入っておるのだろうか。自分は保険の募集をしたこともない、ただ数字だけ扱っておるというと語弊がありますけれども、私はそういう点にどうしても——これは国民が納得するような方向での簡易保険制度というものが末端まで行なわれなければならない、そういう点に立たなければ、どんなに運用利回りがどうのこうのと言っても話がから回りするだけだということを強く言っておきまして、いまの問題につきましては指導するといいましても、私は実際は現場での募集にあたってはたいへんむずかしい問題があると思いますので、そういう点をよく考えていただきたいと思います。  最後に一つ、言いにくいことでございますが、私もこの簡保の法案を審議する委員会を聞いておりまして、いままで問題になりました超過契約の問題、募集の行き過ぎ、募集員が上司の言うことも聞かないというような特権的なふるまいをやっているという問題、いわゆる綱紀の紊乱というような問題と相互不信、これはどんな法律、どんなにりっぱな規定をつくっても、労使の人のそういう問題が解決しなければ、私はこれはたいへんな方向に行くということで、この前の団体扱いの実態等を聞きましてたいへん今後を憂えるものでございます。手数料だけの収入を目当てにリベートの会社みたいなものをつくってやっているとか、こういう問題、この団体取り扱い等についても、たいへん所々方々で聞きます。せっかく審議会等の答申も得て今度の新種保険ができるわけでございますが、これがまたいわゆる利子の追求だけの悪質な、悪知恵の多い者だけの利便になっていくということだけは許されない、私はこう思いますが、こういう点をまとめてもう一度、大臣からこの場でひとつ国民に向かって、今後の運営につきまして過去の反省——過去のあやまちを私はいろいろ取り立てるものではございません。過去のあやまちをよく反省の材料として、今後国民生活の安定と福祉増進になるりっぱな保険制度に進んでいくことのひとつ御決意を聞いておきたいと思います。
  40. 久野忠治

    久野国務大臣 本委員会におきまして委員の皆さんから熱心な、しかも具体的な問題について数多くの指摘をいただいたのでございます。私といたしましても、今後運用にあたりましても、あるいは保険の勧誘にあたりましても、あやまちのないように指導いたしていきたい、かように存じておるような次第でございます。
  41. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後に、提案されております法案の中で一つだけ聞いておきたいと思いますが、今度のいわゆる疾病傷害特約制度でございます。この中で、まあこまかい問題になりますが、この疾病傷害特約制度に加入して、そして不慮の事故等によりまして入院した場合には、その入院の期間が五日以上百二十日分を限度とする、また疾病につきましては入院は二十日以上百二十日分を限度とする、手術の場合は手術後二十日間に限る、こういう内容になっておるようでございますが、こういう問題も私は実際の加入者にとっては、こまかいことでございますけれども、大事な問題ではなかろうかと思いますから、いま私が申し上げたことが間違いがないかどうかを確認と同時に、これをそういうふうにされましたいわゆる背景といいますか理由といいますか、そういうものについて御説明願いたいと思います。
  42. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいま御質問の疾病特約あるいは傷害特約等につきまして、民間生命保険におきましてもすでにある程度営業いたしておりますが、私ども、傷害特約及び今回お願いをいたしております疾病傷害特約等につきましても、大体民間のそういう商品状況というものを参考にいたしておりますほかに、厚生省が健康保険あるいは資料というような関係を主管いたしておりますが、厚生省からいろいろな十分なる調査が発表せられております。大体こういうものをつかまえまして、傷害の場合も百二十日、それから疾病の場合も百二十日ということをきめたわけでございますが、百二十日を限度といたしました理由でございますけれども、現在、わかっております統計によりますと、入院患者は百二十日間で九三・六%が退院をいたしておるというような数字でございまして、これを限度といたしましても大部分の者がカバーできる、こういう判断のもとに百二十日といたしたのでございます。これ以上の日数を保障いたしますと、保険料をその分だけまたいただかなければならぬということで、百二十日ということで、この保険料計算いたしたということでございます。
  43. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの百二十日のことにつきましてはわかりましたが、たとえば具体的にはこういう問題も起こってくるのではないかと思うのです。  五日以上ということになりますと、それでは四日入院した場合にはだめですね。しかし病気によっては、自宅療養を医師から指示された場合、ほんとうならば病気次第によっては発病から十日間なら十日間かかった、しかしそのうち六日間は自宅療養しなければならないような病気だった、こういう場合は適用になりませんね。たとえば、脳卒中でからだを動かしてはいけない、その期間が一週間あった、ある時期が来て、医者の指示によって四日でも五日でも入院した、この場合には当然、私は通じてこの適用はなされなければいけないと思いますが、いかがでございますか、そういう場合は。
  44. 野田誠二郎

    野田政府委員 御指摘のような点は確かに現実の問題としてあるわけでございますけれども、現在、民間保険におきましても簡易保険と大体同じような制度をとっておりまして、医者から、入院するまで自宅療養というような指示がありました場合でも、その自宅療養をいたしました分につきましては、やはり保険金を支給しない、こういう形をとっております。特に簡易保険におきましては、非常に契約件数が多いし、零細であるというようなことから、要するに目で見てはっきりわかる基準というようなものを設けなければいかぬというような関係から、疾病、傷害ともに入院ということをやはり絶対の要件にいたしておるわけであります。確かに、情理の上からいいますと先生指摘のようないろいろな矛盾もありますし、また現実にはトラブルも起こっておる例もございますが、やはり、この線をくずしますと、今後の運営というのはほとんど不可能に近いような状態が予想せられますので、やはり入院に対して保険金を支払う、こういう制度を維持していかなければならない、このように考えております。
  45. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうことになりますと、この制度が血も涙もないような冷たい仕打ちになるというようなことを私たちは心配でならないんですよ。そうしますと、入院しなくてもよい病気でも入院したほうがよいということになりますよ。そうでしょう。ですから、私は、こういう法律をつくった場合に、ある限度を境にしてもうかる人と損する人と出てくると思いますけれども、やはりこの加入対象者が中産階級以下の人であれば、いまのわが国の医療制度の根本的な解決を迫られております問題とも匹敵して、さらに問題が大きくなり悪化するのではないか。結局、悪知恵のある人といいますか、そういう人たちだけがそういう適用を受けていくというようなことにならないともいえないし、そういう点で心配が残るわけでございますが、いずれにしろ、新しい保険をつくるということにつきましては、いままでいろいろ論議いたしました問題等をひとつ十分配慮をいただきまして、制度の運営につきまして最善をはかっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  46. 久保田円次

    ○久保田委員長 次に、久保等君。
  47. 久保等

    ○久保(等)委員 簡易保険法の一部改正法律案に対する質疑は大体終了したような段階になっておりますが、私もずっと質疑を伺っておって感じますことは、やはりこの制度そのものに対して、もう少し魅力のあるものにしていかなければならぬという問題があろうかと思うのですが、その方法としては、先般来の質疑の中でも言われておりますように、制度そのものをやはり魅力のあるものにしていかなければならぬ。ところが、それには一つの大きな矛盾があると思うのですが、政府の一般的な考え方としては、簡易保険積み立て金、非常にばく大な積み立て金があるわけですが、これを財投等の立場から十分に活用していきたい、そういうことがむしろねらいであって、ほんとうの被保険者に対する利益というものを一体どの程度考えておるのか、こういったところに根本的には問題がある。したがって、そういった問題についてはこれはもちろん単に郵政省独自でどうこうできる問題ではないのですが、要するに政府の簡易郵便保険制度に対する取り組み方が、少なくとも国民そのものの利益というものを考え、また福祉というものを考え立場に立って、やはり制度的に確立をしていかなければならぬという当面の問題があると思うのです。そういうことを痛感するのですが、ここでこまかい問題について質疑をすることは、時間の関係がありますから私は省略をいたします。今後、この制度改善のために、ぜひそういう立場で郵政大臣に御努力を願いたいと思うのですが、きわめて大ざっぱな私の提言ですけれども、私の言わんとするところは大臣もよく実際担当責任者として痛感をしておられると思うのですが、一言お答えを願いたいと思います。
  48. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど来の質疑等を通じまして、この簡易生命保険運用につきましていろいろの問題点があることは御指摘のとおりでございます。でありますから、今後この特色を十分生かしまして、国民の皆さんに喜んで加入していただけるような制度の改善を私は検討していくべきではないか、かように感ずるような次第でございまして、今後の問題として取り上げていきたいと思います。
  49. 久保等

    ○久保(等)委員 ところで、簡易郵便保険のこの問題に日夜非常に努力をしておられる従業員の方にはもちろん直接の関係のある問題でありますが、同時に、郵便にしろ、その他電波あるいは電信電話、そういった事業全般に従事をする労働者の諸君、特に本年の春を迎えて、春闘という形で非常に大きな闘争が今日展開せられておると思うのです。このことについては、現場機関を直接持っておられる郵政大臣、さらには監督をする立場におられる郵政大臣は、やはりこの春闘の渦中の最高責任者の一人であられると思うのですが、特にまた、本日より公労協の諸君がストに突入する、あるいは七十二時間にわたる長期ストをかまえておるというような非常な事態を迎え、また一昨日あたりから問題になっておりますように、公労協内における、特に国労あるいは動労等による順法闘争の非常な波紋、あるいは一般国民のたいへんなこれによる混乱、こういったような事態を迎えるに至ったのにはそれぞれ経過もあるし、またこれは唐突として起きた問題ではございません。それだけに、その衝に当たっておられる当局の方々はいろいろ御苦労されておると思うのですが、ここで特に最大の山場を迎えて、郵政大臣はこの最大の段階を迎えて一体どういうふうに御努力をされ、どういうふうにせられようとしておるのか。マスコミがいろいろ報道しておられますが、しかし残念ながらその中でもうかがい知ることができない。郵政大臣は非常に良識を持って、また非常な責任感の上に立って努力をしておられると思うのですが、私は、今回のこの春闘に対する問題に対して郵政大臣がどう対処せられてまいったのか、また当面の最大のこの段階を迎えて一体どう対処せれらようとしておるのか、そのお考えなり、またとってこられた経過について、ひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  50. 久野忠治

    久野国務大臣 今回のいわゆる春闘はまことに遺憾な事態に進展しつつあるわけでございまして、私自身も心を痛めておる次第でございますが、先般、この十七日に第一波の春闘を行ないまするに先立ちまして、組合側の最高幹部のお方に実は役所へ来ていただきまして、私はお会いをいたしたのでございます。これはあとで私は伺ってわかったことでございますが、いままで例のない異例のことであったようでございます。これは全逓の幹部のお方とそれから全郵政の幹部のお方、二度にわたりまして皆さんと約一時間余にわたりまして、今度の春闘に対する組合の関係者の皆さんの御要望については率直に私は意見を承ったのでございます。それに対しまする私の考え方も申し上げました。問題点はすれ違いでありまして、意見の一致を見ることはできませんでしたけれども、やはり今後話し合いによって問題を解決をしたいという私の考え方は、ごうまつも変わっていないわけでございます。でありますから、でき得べくんば話し合いによって、今回突入をいたしましたストが一日も早く終止符を打たれますることを期待をいたしておるような次第でございます。
  51. 久保等

    ○久保(等)委員 いま大臣のせっかくの御答弁ですが、事態の早期収拾を願っておる、それは当然のことだ。問題は一体どういう姿勢で取り組み、どう具体的に収拾していくかが問題であると思うのです。私は、これは一郵政大臣にだけ責任を追及するわけにはまいりませんが、特にスト権の問題です。今回のストはきわめて政治的なストだといわれておるのですが、スト権そのものが、もともと労働者の基本的権利なのですが、そういう問題になってまいりますると、私は経済問題以上に労働組合の諸君が問題にするのは当然だと思うのです。そのことについてストライキをかける、あらゆる実力をもって戦ってまいるということは、労働組合の立場からすれば私は当然だと思うし、また今日世界の傾向なり流れを見ておりますと、少なくとも公務員といわず、とにかく働く人たちには労働基本権というのが与えられていくというのが、むしろ私は世界の趨勢だと思う。  たまたま昨日、最高裁の法廷で労働三権に対する大法廷での判決がありました。これも私は非常に遺憾に思います。日本の最高裁の大法廷における結論そのものが一定の進歩を示しつつ前進をしておったと思うのですが、またきのうの判決によりまするとこれが逆転をして、世界の大勢のみならず、日本の国内における大勢に対する、流れに逆行するような判決が出た。このことが一体どういう形で今後発展してまいるか、私は非常に憂慮する一人です。やはり今日の時代の流れというものは、単に権力をもって押えようとしても押えられない。私は、正しい流れというものは阻止することはできないと思うのです。きのう出たあの判決、私もそれをこまかくは検討いたしておりませんけれども、少なくとも私は、これは単にわれわれのみ、われわれの立場から批判があるのではなくて、これは最高裁そのものの構成が一体どうなっているのだろうか、最高裁内部における個々の裁判官の判断が一体どうなんだろうか、こういうこともいろいろ伝えられております。そういうことの中で、きわめてきわどい一票の差をもって多数だということで、従来の最高裁の判決というものは逆にひっくり返る。こういうようなことを考えてまいりますと、非常に重要な問題だと思うのです。これは郵政大臣の問題として私は申し上げておるのじゃないのですが、しかしたいへんな問題だと思うのです。これはしかし、少なくとも田中内閣そのものが裁判官の任命等を行ない、もちろん手続的には国民の審判を受けるという問題もありまするけれども、いずれにしろ、私はこういう一つの動きを見ておりますると、まことに憂慮にたえない感を深くするのですが、決してこの問題を直接大臣にとやかく申し上げるつもりはございませんが、しかし今回のスト権のストの問題についても、スト権回復という長い間の懸案問題が公制審の結論を待って政府が対処しようという従来から一貫した立場がありますけれども、その公制審の結論を待って対処しようというその考え方の中に、前向きでもって、積極的にひとつこの事態を解決しようという考え方よりも、何かとにかく公制審で出るであろうその結論というものは、おそらく否定的な結論が出るのじゃないだろうかというような気持ちで見ておられるような感じがするのです。たまたまきのうの最高裁の大法廷における結論というものは、これはもう全く期せずしてではあろうけれども——期しておったか、期しておらなかったかということは私はうかがい知ることはできませんけれども、とにかくああいう一つのことが出てまいる。こういうことになってまいりますと、政治不信、さらには、労使のこういった最高裁に対する不信、司法権に対する不信、こういったものさえ醸成されてくる危険を私は痛感するのです。こういう状態にあればあるほど、私はやはりこの事態を単に、郵政大臣にしても、経済問題なら話し合うけれども、その他の問題については話し合わないのだといういまの政府の態度というものは、きわめて狭量だと思います。なぜ、たとえば田中総理とトップ会談を持つことを一体敬遠せられるのか、一体回避されるのか、このこともわれわれにはわからないのです。郵政大臣に、そのトップ会談のことについて総理大臣の気持ちをお聞きしようとは思いません。しかし、私は郵政大臣にお願いしたいのは、ぜひひとつ積極的に、トップ会談であろうと何であろうと、どんどん会って、とにかく解決する。郵政大臣はただいま、何かこの十七日に全逓あるいは全郵政の諸君と会って忌憚のない意見の交換をした、前例がなかったというようなことを言っておられますが、私は、そのこと自体をとらえるならけっこうだと思います。しかし問題は、さらに掘り下げて、どういう姿勢で——今次春闘というものを収拾しようとするならば、一体どういう態度で取り組む必要があるのか、こういったようなことを真剣に考える。しかも猶予を許されない時期に来ているのだ。それにしては、久野郵政大臣の動きは、いま単に全逓あるいは全郵政の諸君に会って懇談をしたという程度であれば、問題の処理にならぬ。しかも意見は平行線だ。おそらくスト権の問題をめぐってのお話だろうと思うのです。しかしそのこと自体についても、これは長い問国際問題にもなっておるのですから、だからこういうことについて積極的に努力しよう、自分としてもその点言われることはよくわかるというような気持ちで話をされるのと、いやもともと公務員諸君にスト権というものは認めるべきでないという考え方で取り組まれるというのとでは、おのずから違うと思うのです。また、同じ公務員といってもそれはいろいろあると思うのですが、郵政大臣立場からする——やはり私はいま申し上げておる公務員のスト権の問題については、郵政大臣は郵政大臣として一つのお考えがあってしかるべきだと思うのですが、この問題については、どんなふうにお考えになりますか。
  52. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見を交えていろいろの御発言がございました。その中にもございましたように、スト権の回復の問題につきましては公制審で目下審議をしていただいているさなかでございまして、この結論をもって政府としては対処していきたい、かように一貫して申し上げておるような次第でございます。これが政府のとっておりまする今日の態度でございます。  昨日の当委員会でも私は申し上げたのでございますが、日本は法治国家でございますから、やはりこの法令の定めるところに従って皆さんが秩序ある行動をとっていただきたい、そういうことがやはり日本の国として、国民のために奉仕しておられまする公務員並びに公共企業体の職員の皆さんの態度ではなかろうか、私はそういうふうに考える次第でございまして、どうか、この点につきましても、多少意見の食い違いがあるようでございますが、皆さんの正しい御批判と御理解を賜わりたいと存ずるような次第でございます。
  53. 久保等

    ○久保(等)委員 まあ法治国家であり、法を守らなければならぬということは当然だ。われわれも法が厳正に守られることをぜひ期待もしたいし、またそうでなければならぬ。その点で、郵政大臣と私との見解に、何らの寸毫の差もないと私は思います。法を守るという問題になってくると、これは、さかのぼれば憲法そのものも、なおさらこれは法の基本でありまするから、厳正に守らなければならぬが、最高裁の判決も、最高裁の判決となれば厳正に守らなければならぬと思う。ところが、最高裁そのものがはたして不動の、終始一貫した態度で取り組んできておるかどうかという問題になると、判事さんも大ぜいおられるわけですから、当然いろいろな意見はあるわけでしょうけれども、スト権の問題に対して今日までとってきた、ある程度前進し、ある程度柔軟な態度を見せておった最高裁の判決が、またひっくり返る。こうなってまいりますと、法律を順法しろ、違法な行為はするなといわれる政府なり、いまいう最高裁の権力者そのものが、一体どういう態度をとっておるか、こういうことに対して、みずから厳正に反省をしてしかるべきだと思うのです。特にあの経済問題であります大幅ベースアップの要求にしても、長い間の懸案で、御承知のように毎年毎年春闘で繰り返してきた。最高裁でもいわれておるように、一つの代償措置としてとられております人事院の勧告、あるいはまた公労委あたりで出された結論、そういうものが政府によって厳正に守られてきたかどうか。ほんとうに政府そのものが法律をまじめに、国民が納得するような形で守ってきたかどうかということになると、守ってきておりませんでした、ほとんど。最近になって実施期日の問題については、やっとどうやら勧告どおりの実施期日が行なわれる程度になったにとどまるわけであります。したがって、顧みて他を言うというけれども、権力者の立場になればなるほど、国民とは違った、より重要な責任があるわけです。より強い権力を持っている政府みずからが、えりを正さなければならない。このことが今日の日本において欠けておる最大の問題だと思っております。  そういう点からするならば、スト権の回復の問題にいたしましても、これは労働者に本来与えられるべきものだと私は思う。特に現業の全逓の場合、ほとんどの諸君が汗みどろになって働いています。こういう諸君に対して、おまえは公務員だからスト権は与えるべきものじゃないのだということを、理論的にも実際問題としても言えないと思うのですね。これこそ法律を改正して、何とか一日も早く労働基本権のスト権の回復をはかるべきだという良識が、むしろ与党の諸君の中に、政府の中にあっても当然だと思っているのです。この問題そのものが、いま言われておるような十ぱ一からげで、なお将来に対してほとんど希望が持てない、こういうことになってまいりますと、それこそどうすればいいのだということになってくると思うし、こういったことが今日の事態を招いている最大の原因一つだと思う。したがって、そういったことを言うなら、従来より以上に、従来と違って、思い切った相当真剣な態度をとってもらうことが必要だと思うのです。  郵政大臣、特に当面の問題として申し上げたいのは、また郵政大臣に可能な問題として申し上げたいのは、トップ会談にしろ何にしろどんどん持つように郵政大臣として進言され、またその実現を一これは時間の猶予を許されないほど緊急事態だと思うのです。だから、当委員会でのんびり法案の審議をしている以上に、私はこういった問題こそ、当面緊急な問題として取り組まれるべき問題だと思うのです。大臣の決意のほどをぜひひとつお伺いしたいと思う。
  54. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見の点につきましては、理解できる点も多々ございました。しかしさればといって、現在政府の態度を変えるわけにはまいりませんので、公制審にスト権の回復については諮問もいたしておるのでございますから、その結論をもって対処していきたい、かように考えております。
  55. 久保等

    ○久保(等)委員 答弁漏れ。大臣、トップ会談の問題について郵政大臣として最大の御努力を願って、ぜひ実現するようにお願いしたいという私のお尋ねに対してお答え願いたい。
  56. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点につきましては、私の所管外ではございますが、政府部内におる一員といたしまして、そのことは官房長官を通じて、久保委員から御意見のあったことを私はぜひ申し伝えたいと思います。
  57. 久保等

    ○久保(等)委員 終わります。
  58. 久保田円次

    ○久保田委員長 次に、平田藤吉君。
  59. 平田藤吉

    平田委員 きのう私が質問をいたしまして、まだ御返事をいただいていない部分がございますので、それを聞かしていただきたいと思うのですが、その前提となる簡易保険の勧誘にあたって、面接審査をすることになっているわけです。面接審査というのは、だれと会って審査するのか、その点について、ひとつお答え願いたい。
  60. 野田誠二郎

    野田政府委員 保険契約の被保険者となるべき者に面接する、こういうことでございます。
  61. 平田藤吉

    平田委員 被保険者となるべき者と面接してということなんですが、大体普通の家庭は、商人の方なんかはどうか知りませんけれども、つとめ人の方は家庭訪問をしても大体つとめ先に出かけておりますから、それじゃ東京まで行って面接しようかというわけにはまいらぬ。こういう点はどう措置されているのか。
  62. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまの御質問に対しましては、簡易保険としましては他局面接という制度を持っておりまして、基本契約の申し込みをしようとする者と被保険者となるべき者とがその所在を異にしております場合には、他の郵便局に依頼をいたしましてその被保険者となるべき者に面接をいたす、こういう制度を設けております。
  63. 平田藤吉

    平田委員 まず調べてみていただきたいのですけれども、大部分はそういうふうになっていないのですよ。結局、家庭を訪問して奥さんに話をして、そして奥さんが、じゃ、あとで主人と相談しておきますといって、そのあと行って、そして入れている。奥さんが代行しているというのが、つとめ人の場合の大部分の実態ですよ。そこにやはり一つの大きな問題がある。きのうも私が質問しましたように、きょうデータを持ってこなかったのですが、二千四百件ですか、四十六年度の契約解除の件数が出ております。この中に相当部分そういう事態のものが入っている。あなたのほうの指導要綱によると、会って顔色を見たり、からだかっこうを見ただけでも、ある程度感ずるものがあればかけるのだというようなことが書いてありますけれども、実際はそうできないような状況の中に、いざ最終段階で不幸な事態が起こったというときになると問題になって、契約解除ということになってきますね。ですから、そこのところをきちっと改善しておきませんと、ぐあいが悪いのじゃないかと思うのです。  きのうもお伺いしましたけれども、第一点で、石井さんという人の契約を解除して、そしてだいぶ石井さんから文句を言われて、納めたお金はお返しします、郵便局へ取りにきてください、こういう通知が、東京簡易保険局長という判こを押してここへ行っているのですよ。これ一本なんですね。どうもまことに御迷惑をおかけいたしましたも何もないのですよ。局長、どうお考えなのか。そういうことじゃ、本人は全く承知できないというのです。さんざっぱら苦労したあげくに、返すから金を取りにこいという通知しか行っていないのです。これはあなたから、石井さんもそうだし、その他の人々に対しても、まことに申しわけなかったぐらいの一言は言っておいてもらわなければ困ると思うのですが、どうお考えですか。
  64. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまの点につきましては、御指摘のように、地方簡易保険局長が既払い込み保険料をお返しいたしますという通知をして、契約者のところにお返しするわけでございます。ところが現実にその保険の申し込みを受理し、契約を管理いたしておりますのは郵便局でございますので、その間一日、二日のズレができたのかと思いますけれども、これはやはり即刻参上いたしまして、いろいろ遺漏の取り扱いがありました点等につきましては当然謝罪をすべき、あるいはごあいさつを申し上げるべきだと考えまして、そのようにすでに連絡をいたしました。
  65. 平田藤吉

    平田委員 きのうやはり質問しましたが、中国人を簡易保険にすすめている。しかもこれはたいへんな金額なんですね。契約高が一軒の家で一億、すでに払い込まれた現金が百八十九万七千六百円、一カ月の掛け金が七十万六千九百円、こういうことなんですよ。これで見ますと、先ほど局長は、コンサルタントをもって指導しているなんて田中さんの質問に対して答えておられたけれども、この中国人のお宅を訪問して勧誘したのは募集指導官というのですね。日本橋局から中野の局まで指導に出かけていっている指導官なんですよ。しかもヒデサダさんという人がいま住んでいるのはアメリカなんです。アメリカまで行って郵便局で調べるわけにはいかぬでしょうし、アメリカに郵便局があるわけはないでしょうし、全くこれはでたらめなんです。こういうことがやられている状況を見まして、これはこのお宅でもだまされたと言っておるわけですから、きちっとおわびを申し上げて、そして全額お返しするという措置をとるべきだと思うのですね。本人もそのことを希望しております。全く知らなかった、税金が安くなるとかいろいろ調子のいいことを言われて入っちゃった。何回も行って、そうやって入れておる。私もゼロックスで受け取り書なるものをとってきたのですが、三月十一日、十四日、二十二日とこの受け取り書が出ておるわけです。これが出ておることになっておるのだが、本人のところにいまだに届いてないのですよ。一枚につき一件ということになっておりますけれども、何件も書いてあるという状況ですから、これはひとつ調べて返してもらいたい。このことについて中国人であるということ、しかも向こうがだまされた、返してもらいたいと言っているのですから、返してやっていただきたい。  その点どうかということと、それからこの畑田という人はちょっとやり方がひど過ぎるのですね。一緒に行った人は遠藤という人だからどうかと思うのですけれども、この三年間の契約案件について、この人のやったものを全部調べてみてください。調べて後ほどその報告書を提出してもらいたい。実はこの人があちこち郵便局へ入り込んで、めちゃくちゃな指導をしているわけですよ。話術とかなんとかいってうそをつく指導をしているわけですよ。ですから、こういう人についてはいつまでもほったらかしにしないで、ちゃんと調べて、今後こういう事態の起こらないように一つ一つやっていってもらいたい。かせぎのある人は月に百万くらいふところに入るそうですから、驚くべきことなんです。それができるかどうか、どうお考えお答え願いたい。
  66. 野田誠二郎

    野田政府委員 御指摘の案件につきましては、昨日この委員会で御指摘がございましたので、さっそく事実関係を調査をいたしております。またその解決策につきましては、契約者の方と十分話し合いをいたしまして、御迷惑のかからないように措置をいたしたいと思います。  それから御要望のございました資料につきましては、十分調査をいたしまして提出いたします。  なお、これらの募集の態度につきまして、われわれ厳重に指導監督いたしおるわけでございますが、それこそ御指摘につきましては返すことばがないわけでございます。今後も厳重に指導をしていきたいと思います。
  67. 平田藤吉

    平田委員 いまおっしゃいましたように、指導しているという中でここのところひどくなってきているから、この委員会でも皆さんから一ぱい出ているのです。ここのところひどくなってきているこの事態について、やはり重視して全面的に検討し直す必要がある。ましてや新しい保険制度が新しく加えられて改善されていくという状況のもとにあって、やはり国民簡易保険に対する不信、不満を払いのけるためにもそういう態度で臨んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  68. 久保田円次

    ○久保田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  69. 久保田円次

    ○久保田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  70. 久保田円次

    ○久保田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  71. 久保田円次

    ○久保田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、羽田孜君外三名より附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。羽田孜君。
  72. 羽田孜

    ○羽田委員 簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を御説明いたします。  まず案文を朗読いたします。    簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、左記各項につき検討し、実現に努力すべきである。  一、簡易生命保険法及び保険約款の表現等は加入者にとつて難解な面もあるので、これを一そう平易化するとともに、加入者保護の徹底をはかること。  一、保険契約の団体取扱いについては、簡易生命保険事業目的に照らし、団体組成のあり方及び保険料集金等について、行き過ぎのないよう真に国の保険としての品位を確保するよう努力すること。  一、簡保年金積立金運用利回りの向上と、経営努力とによつて加入者への一そうの還元をはかるとともに、福祉施設の増強等の施策により加入者へのサービスの増大をはかること。   右決議する。  この決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかるものであります。また、この案文は、先日来の審査の動向を勘案して起草いたしたものでありますから、あらためて御説明するまでもないことであるとは存じますが、簡単にその趣旨を申し上げます。  まず第一は、保険法及び約款の表現等の平易化についてであります。現行の保険法及び約款の表現等は加入者にとって非常に理解しにくいものとなっております。国が国民のために行なう事業でありますから、これをもっと国民にも容易に理解しやすいように一そう平易化するとともに、加入者保護の徹底をはかられたいというのであります。  次に、保険契約の団体取り扱いについてであります。  同趣同好の会などの名称のもとに団体取り扱いをして、問題を起こしているケースが見られます。こういうことでは国が行なう保険というイメージを著しくそこなうおそれも十分考えられるので、政府においては、そもそも団体取り扱いを認めた法、約款の趣旨に基づいて団体を組成する場合の基準を定めるなどして、国民に対し、国の保険としての品格を疑わしめないよう指導する必要があると考えるのであります。  次に、政府は、加入者への利益還元をできるだけ厚くするために、現在資金運用部に預託している余裕金を直接郵政省運用するなど運用利回りの向上をはかるとともに、経営努力によってできるだけ付加益を増加するようつとむべきであるというのであります。  また、加入者へのサービスをより向上するために、加入者ホーム、保養センター等の施設をさらに増強して、簡易保険事業の健全な発展を期すべきであるというものであります。  以上、簡単に附帯決議案の趣旨を御説明いたしましたが、何とぞ全会一致御賛成くださるようお願い申し上げます。
  73. 久保田円次

    ○久保田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議に対し別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  羽田孜君外三名提出の動機のとおり、本案に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  74. 久保田円次

    ○久保田委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付するに決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 久保田円次

    ○久保田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  76. 久保田円次

    ○久保田委員長 この際、久野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。郵政大臣久野忠治君。
  77. 久野忠治

    久野国務大臣 このたびはたいへん御熱心な御審議をいただきまして、ただいま簡易生命保険法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。  当委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御論議されました点は、ことごとく私どもの深い教えとして拝聴いたしました。  また、ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後簡易生命保険事業を進めていく上におきまして、その御趣旨を十分尊重してまいりたい所存でございます。まことにありがとうございました。
  78. 久保田円次

    ○久保田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二分散会