○小野参考人 御下命の資料につきまして御
説明を申し上げます。
資料は三件あったと思います。まず第一点は、
先ほど田中先生にも
お答え申し上げました非世帯の契約
状況に関するものでございます。これは、
先ほどお答えを申し上げましたとおり、事業所といたしましては、百十八万四千件ございます。それに対して、現実に契約をいただいております数が四十一万でございます。四十八年度予算におきましては、これを三万ふやして四十四万を
予定いたしておりますが、現在の時点におきましては、四十一万の契約がございます。この事業所の数百十八万四千件と現実の契約台数四十一万件、これがあまりにかけ離れておるではないか、完全に把握しておらない、しかもその把握しておらない数、が非常に多いのではないか、こういう御疑念があったわけでございますけれ
ども、これは
先ほどお答えを申し上げましたとおり、百十八万四千件がすべて非世帯の契約対象として把握し得るものかどうか、こういうところに問題がございます。この中には、非常に小規模で、世帯とほんとうに壁一重で店先に事業所を持っておるものも入っております。そのようなものは、世帯でも契約をいただき、新たに壁一重隔てたそこの事業所で、これも非世帯だから御契約をいただきたい、これは非常に常識にも反する結果になろうかと思います。あまりに苛斂誅求に過ぎるではないかというような反撃も受けるおそれも多分にございます。そういう点は、われわれの徴収の取り扱いといたしましては、世帯に吸収をいたしまして、その世帯分のほかにさらに非世帯分として契約をしていただくことはやっておりません。そういうものを差し引きますと、非世帯として契約対象になりますものは二十七万三千件でございます。この中には非常に数多く持ったところもありますし、一台しか持っておらないところもございます。それをいろいろ勘案いたしまして、勘案と申しましても、私
どものそれは
NHKの直集並びに職員並びに委託の
関係で約五千名の人を持っておりますし、また特定局に委託をしたものも三千五百局ございます。これらの力を動員いたしまして、現在、立ち入り
調査権あるいは申告
制度、そういうものもない
状況を、これだけの人数によって最大限確保できるような最大の
努力をいたしております。そういう実績から見ますと、いまの非世帯の対象として把握すべきものの数二十七万三千件に対して、その対象台数は五十八万二千五百台と見ております。これに対して四十一万件の契約をいただいておるわけでございますので、その比率を申しますと、七〇%余の契約率、こういうことに相なっておるわけでございます。これが第一点でございます。
第二点は、今回、この予算の御
承認によってできます
放送文化基金の業務
内容と申しますか
計画内容、こういったことであったと思います。これにつきましては、いずれ四十八年の秋、十月以降におきまして現実に売買の
関係の実行が済んで金が入りました
あとにおきまして、いわゆる民法第三十四条に基づく公益法人としてこの基金は設立されるわけでございます。現在、この
関係につきましてはどういうような活動を
予定をしておるかと申しますと、大体四件ばかりございます。もちろんこの中には
NHKが
NHKとして必要業務あるいは任意業務として現在やっておりますこと、こういうものはどこまでも、この基金に依存するのではございませんで、
NHKが独自に当たっていくべき分野であろうかと思います。現在、必然の、当然やらなければならぬ業務でもなく、また現在任意にやっておる事業でもない、将来
放送界の発展に即応いたしましていろいろなニードが出てこようかと思いますけれ
ども、そういうような
状況にマッチした点についてこの基金を活用してまいりたい、こういうことでございます。
まず第一点は、僻地の学校あるいは社会福祉
施設等に対しまして受像機の寄贈等、こういったことを
考えております。
第二点は難
視聴解消に役立つ活動でございますけれ
ども、これは、難
視聴解消行為自体は
NHKが当然受けるべきものでございます。また民放さんのほうでは民放さんのほうがそれを実行せられなければならぬ
立場にございます。ここにいう
難視解消の
関係の活動と申しますのは、そういった
難視解消に役立つ解消行為の実行に着手する前に、その役立つ前提になりますいわゆる
技術開発、現在いろいろ
置局の方式とか有線共聴施設、こういったものを行なっております。またさらに、四十八年度におきましては、従来実験中でございました無線による共聴方式、これを取り入れることを
予定いたしておりますけれ
ども、そういうこと以外に、さらにいろいろな新しいくふうなり考案なり
技術の開発なり、そういった面で
難視解消に役立つような事柄があれば、そういった開発行為、研究行為、そういうものに対して助成をいたしたいというものでございます。
第三点は
放送に関する国際協力でございまして、現在世界の各ブロックごとにいろいろな国際協力の機構がございます。おそらく世界をあげてお互いに相互協力するような趨勢に向かっていくと思います。これには、あるいはその国におきます、地域におきます
放送施設の建設でございますとか、あるいは
放送事業に従事する職員の訓練の問題でございますとか、あるいは
番組の交流等に関するいろいろな貴重な打ち合わせ、そういったような面もあろうかと思いますので、そういった面の活動に資するような
方面における基金の活用をはかってまいりたいということでございます。
第四点は、広く
放送に関する研究開発というような行為も今後ますます盛んになってまいろうかと思います。そういったことに対する助成。
以上の四点を現在のところ
考えておりますけれ
ども、この文化基金は非常に永続する団体でございますし、時勢の移り変わりとともに、ますますいろいろなニードが出てまいりましょう。そういう事柄について有効な働きをすることを
予定しておるのでございまして、この運営はどこかの外郭団体式なあるいは人員の送り込みとか、いろいろな指揮系統による、いろいろな母体になる団体の利便に供するような
考えは毛頭持っておらないのでございまして、そういう面から起きますニードも出てまいりまし、よう。そういう面から独立して、やはり運営に対するいろいろな機構、
審議機関をもってやっていただくということでございますので、この四点のほかに、より
放送界全般の進歩発展に役立つようなことに対する貢献があり得るとすれば、またあり得ると思いますけれ
ども、そういう面が追加されてくるであろう、かように
考えております。
第三点は、将来三年間にわたりまして料金を改定しない。端的に言えば値上げは行なわない、こういうことをお約束いたしております。四年目以降につきましても、お約束した四年後には直ちに値上げをするとは毛頭
考えておりません。これは値上げするともしないとも、今日の
段階で変遷する世の中の情勢にかんがみまして、まだここで確約できる問題ではないと思います。協会としては、過去の歴史からもいろいろ料金の改定をいたしましたけれ
ども、やはり単純なる増収策というようには扱っておらないのでありまして、あるいは
ラジオ料金を全廃をいたしましたり、その前には
ラジオ料金の負担を軽減するとか、あるいは
ラジオ、テレビ両方を持っておるその料金の軽減をはかるとかいうようなことで、いろいろな措置をやってまいっております。この三年間を過ぎました
あとにおきましても、そのような
努力をいたし、
先ほど大臣からも
お話のありましたように、収入の確保、これを十分に、より一そう
考えますと同時に、支出の面では合理化を十分に
考えていくというようなことによって、できるだけ料金値上げの事態に至らないように、最大の
努力をしたいということでございますが、これは三年間料金を上げない、こういう計数根拠はどうかということになろうかと思うのでございますけれ
ども、これにつきましては、いろいろ過去に出しました長期の五カ年構想との対比において一体どうなるかというようなこともあるいはお求めになるかもわかりませんけれ
ども、これは
会長も
先ほど申しましたように、すでに難
視聴解消の数において非常な差異を生じております。これは社会の実相の変転に応じてそのような事態になったわけでございますし、そういう面から、この面は一応過去の構想にはこだわりなく、現在時点におきましていろいろマクロ的に
考えて、三年間はたして値上げせずにやっていけるかどうかを
検討したわけでございまして、そういう面から見ますと、やはり不動のものは収入であろう、その収入の範囲内で運営ができるかどうか、こういうことが一つのポイントであろうと思います。そういう面で収入の将来推移を
考えてみますと、四十八年度は四十七年度に対しまして受信料の収入では約七十五億の増収がございました。これにいろいろ売却代金の一部を考慮いたしまして、大体八十四億ばかり、こういうものによりまして、収支相償う結果になっております。四十九年度はどうかと申しますと、いろいろ受信料
関係につきましても最大の
努力をいたし、そういうことによって四十八年度に対して約八十八億の増収を得ることが見込まれております。五十年度につきましては、四十九年度に対して八十九億くらいの収入の増がはかれる、こういうようなことに見通せますので、では支出がその範囲にとどまり得るかどうかという点を
考えてみますと、おおよそ支出の面では年々七%
程度の上昇の範囲内で消化できれば、これは収支償うわけでございます。そういった面は今後いろいろな社会情勢の変化につれまして、かなりきつい面もございます。そういう面から従来
考えておりました建設工程と申しますか、この規模について質を落とさないように再
検討をいたしまして、この中で繰り延べあるいは節減のできるものはそのような措置をとってまいるということになりますと、約百二十三億の在来
考えておりました建設規模の縮小ができます。これは収支の均衡にずばりそのままで役立つものではございませんけれ
ども、そのような
努力をいたしますことによって、これによる借入金利子の支払い分の軽減、あるいはそういうものをつくる場合に必要な
技術運用経費、こういうものが不要になりますので、そういう面は直ちに収支均衡に役立つ節約分であろうと思います。これが約四十二億は見込まれます。さらに今回百八十億円の債務を一挙に返還いたしますことによりまして、在来百五十億見当を返すように
考えておりましたが、その差額三十億をよけいに返すことによって三年間にこの金利が約七億ぐらいと見込まれます。その他いろいろセンターへの機能の集中、一般の合理化等の
関係、もろもろのものを入れまして、四十二億くらいの節減は最大限に
努力すれば可能であろう、こういうように
考えますと、そこでざっと九十一億ぐらいの繰り延べあるいは節減は可能なわけでございます。こういうことから、七%の支出の増でございますけれ
ども、予算のこの収入の見込みの範囲内において収支償ってやれるであろう、こういう見通しを立てておるわけでございます。
以上、非常に簡単でございますが……。