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1973-03-08 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月八日(木曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 小澤 太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       内海 英男君    草野一郎平君       志賀  節君    中村 寅太君       宮崎 茂一君    村上  勇君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       久保  等君    森井 忠良君       米田 東吾君    平田 藤吉君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   三宅 正男君         日本電信電話公         社建設局長   中久保卓治君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   大村 三郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斎藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   保利  茂君     内海 英男君 同日  辞任         補欠選任   内海 英男君     保利  茂君 同日  理事土橋一吉君同月三日委員辞任につき、その  補欠として土橋一吉君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月七日  長崎地方貯金局整備促進等に関する請願(白  浜仁吉君外四名紹介)(第一一三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 久保田円次

    久保田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  理事土橋一吉君が去る三日委員辞任されました結果、理事が一名欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保田円次

    久保田委員長 御異議なしと認めます。それでは、土橋一吉君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 久保田円次

    久保田委員長 逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。森井忠良君。
  5. 森井忠良

    森井委員 おはようございます。  委員長理事の各先生方の御配慮をいただきまして、まず私は、逓信行政なかんずく電電公社について御質問申し上げたいと存じます。  先般の逓信委員会におきまして、米澤総裁から事業概況説明を受けたわけでありますが、その中で、四十五年八月に策定をいたしました電信電話拡充七カ年計画、これに伴ないまして昭和四十七年度も一兆九百四十三億円の建設工事予算を組んでおられまして、すでに十一月の末、九一・六%の進捗率を見ておるわけでありまして、これは支出の進捗状況六二・五%でございますから、建設工事はかなりテンポが早いと理解をするわけであります。さらにまた大きな眼目といたしまして、総裁説明によりますと新年度から始まる第五次五カ年計画、これによりますと建設投資額は七兆円にのぼる膨大な中身になっておるわけでありまして、たとえば加入電話は千五百三十万個あるいは電子交換機やデータ通信など多彩な新サービスが計画をされておるわけであります。  考えてみますと、いままでの電電公社建設工事テンポからいけばずいぶんたくさんな工事量になるわけでありますが、これだけの改定七カ年計画、さらに続きまして第五次五カ年計画等膨大な建設工事がやられるわけでありますが、最近の人手不足、なかんずく若年労働力不足等から考えてみました場合に、一体これが公社の予定どおりできるのかどうなのか、私はたいへんな危惧をするわけでありますが、まず総裁にお尋ねをいたしたいと思いますが、予定どおりできるとお考えでしょうか、承っておきたいと思います。
  6. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電話に対します国民の御要望が非常に高いのでございまして、現在まだ申し込み積滞が約二百万近くございます。公社は、国会その他の御要望もありまして、その積滞をなるべく早く解消するということで、さきに七カ年計画をつくりましたし、また昭和四十八年度からは、その七カ年計画の後の五年間を受けまして、総額建設投資額七兆円で千五百三十万の電話を架設する、それによりまして全国的規模において積滞を解消するということを計画いたしておるのでございます。  四十八年度予算につきましては、現在国会予算案として提出されておるわけでございますが、いまの御質問で、それで工事が完成できるかということでございますが、最近の工事伸び率、特にここ三、四年の間は毎年の建設工事量伸びが大体一七、八%から二〇%ぐらいと聞いております。それに対しましていろんな措置をとってまいりましたが、これからも確かに非常に大きな建設工事をやることになりますが、伸び率は幾らか鈍化する形になっております。それに対しまして、特に公社内の建設工事部隊あるいはまた公社からいろいろ外部に契約して建設請負をやっていただいておりますが、それらに対しましてなるべく計画そのもの事前にきめていくということと、それから工事そのものをなるべく平準化していくというような措置をとり、それからまた一方、その建設工事そのものもたとえば屋外工事等がいろいろございますが、そのやり方につきまして、これは予算に二年前から計上されてございますけれども筑波学園都市工事をやる、特に施工技術を改良するための開発センターというようなものをいまつくっておりまして、それらによりまして工法そのものをたとえばプレハブ式にするとか、そういうことも考えに入れまして、屋外工事そのものやり方をだんだん近代化していくということもやっていこうと思っております。それらの措置を総合的にやり、また請負会社等に対しましては、工事会社経営者責任者に対しまして十分建設をうまくやるような経営上の努力をやるようにいろいろ話し合っておりまして、そういうことを総合してこれをやり遂げていきたい、このように考えております。
  7. 森井忠良

    森井委員 工事量が急増しておることにつきましてはお認めになりました上でいろいろ努力を重ねていきたいということでありますが、何といいましてもやはり人手不足の問題は、これはぬぐうこともできないのではないかと思いますし、それだけ工事量がふえます割りには人間がふえていないし、また非常にむずかしいわざではないかと思うわけです。私が調べたところによりますと、現在建設関係公社職員がざっと八万九千人、それに対しましていわゆる元請といわれます約七十社の技術者を含めまして従業員が四万三千人、それからさらにその下請と申しますか、登録会社につとめている従業員が四万五千人、つまり合わせまして公社が八万九千人、それとほぼ同じくらいの下請で、いま説明をきれました工事をこれからやっていこうとされるわけであります。実際には登録業者以外にさらに、よくわかりませんけれども、ずいぶんたくさんの孫請あるいは曽孫請といった小さな会社の皆さんがこれに加わっておられるというふうに理解をいたしますが、これだけの陣容では非常に無理があるのではないだろうか。ざっと調べてみますと、昭和四十二年に元請、先ほど申し上げましたとおり七十数社あるそうでありますが、工事の発注は四十二年でざっと一千億円そこそこであったわけであります。それが四十六年になりますと三倍増しまして三千億円をこしておると私は思うわけでありまして、たいへんな伸び率であります。一方におきまして、それでは要員の充足はどうなっておるか。いま申し上げましたような数字はこの数年間ほとんど変わっていない。なかんずく私が心配をいたしますのは、若年労働力の問題であります。高等学校あるいは大学を卒業いたしました新規採用者、この採用状況を先ほど申し上げました元請等の関係から調べてみますと、四十二年には四千五百人の若い人が大学、高校からいま申し上げました七十数社に、これは電電公社にとりましてはきわめて大事な元請の従業員でありますが、それだけ入っておるわけであります。それが四十六年になってまいりますと、こういう労働市場を反映いたしまして、わずかに三千人そこそこしか入ってきておらないのですね。では、これは何でカバーしてきておるか。いわゆる出かせぎの人であるとか中高年齢の人が非常に多い。言うなれば、全くのしろうとであります。電電公社工事関係からいけば、全く理解のない人によってこれが行なわれようとしておる。総裁、こういった現実をどう見られますか。それでもなお予定どおりできるというふうにお考えでしょうか。
  8. 米澤滋

    米澤説明員 先ほども申し述べましたが、特にここ数年の伸び率というものが非常に高かったと思います。これは建設工事、いま特に請負関係を見た場合に、線路土木とそれから機械伝送無線と三つに分けて見まして、機械とか伝送無線等につきましては特に屋内でやる仕事が多いわけでございまして、これは技術力そのものが非常にものをいっておるわけでありまして、工事業界そのものもいろいろそういう若い人の訓練等に非常に力を入れておるということも事実でございます。それから屋外等に対しましては工事中身も最近だいぶ変わってまいりまして、たとえば金額等は非常にふえておりますけれども中身技術も、たとえば大都市等ではいわゆるオープンダクトといいますか、ケーブルをいけるのに道路を占有することができませんので、たとえばシールド工法をやるというようなこともいろいろやっております。しかし、いずれにいたしましても、電話を架設しなければならないという国民の御要望に対しまして公社は沿わなければなりませんので、先ほど申し上げました開発センターにおける技術、これらがだんだんまとまってまいりますので、それらをいわゆる知識として、ノーハウといたしまして工事業界――公社自身も使いますけれども工事業界にそれをフィードバックする。たとえばマンホール等でも、いままでは現場で全部コンクリートを打つというふうなことをやっておりましたけれども、ある程度工場等でそれをブロックに編成がえしておきまして、そしてそれを現場で短時間のうちにやるとか、あるいはまた電柱を立てるのに、いろいろな機械、自動車とかそういうものをつくって、いわゆる線路工事近代化をやるというようなこと。近代化委員会というものがここ数年以来発足されておりまして、いろいろそういうことを総合的にやる。しかも特にそういう若年の方に対しましては、ただ頭数をそろえるというばかりでなくて、そういう方の訓練等を十分にやっていくということにいたしたいと思います。その際特に問題になりますのは、屋外工事でございますので、その安全ということが非常に大事なのでございまして、公社といたしましてこの点は昨年もいろいろ措置をとりましたが、今後も安全問題につきましては十分配慮していきたい、このように思います。
  9. 森井忠良

    森井委員 もっともな御答弁でありまして、電電公社最高責任者としては無理もないと思うわけでありますが、たとえば、いまおっしゃいましたシールド工法そのものがやはりたいへんな問題をかかえておると思うのでありまして、最後のほうで言われました安全の問題については、私は、必ずしも総裁の思っていらっしゃるとおりに運んでいない、このことをたいへんに憂慮する一人であります。  ちょっとお伺いするのでありますが、最近電電公社技師長が、きょういらっしゃいませんが、大阪へ急遽行かれたということでありますが、何の御用ですか。――時間がありませんから、どうも知っていて聞くようで悪いので、私から明らかにしたいと思うのですが、近畿通建という会社がございます。会社名前をあげたくありませんので……。ともかく大阪近畿地方でたび重なる事故が起きておるわけであります。いま総裁がいろいろ言われました工法その他くふうをして、何とか第五次五カ年計画でいけば七兆円の建設関係予算は施行をしたいということのようでありますが、私は非常に危険なものを感じておるわけであります。いま私ここに新聞のファクスを何枚か持っておりますが、ちょっと読んでみますと、「左官、屋根までビューン マンホール爆発、飛ばされる」「また人間ロケット マンホール噴射四人吹っ飛ぶ、死亡二、負傷二、倉庫越え民家の屋根へ」これは京都であります。今度は「マンホール有毒ガス 作業員四人死ぬ」非常にたくさんあるわけでありまして、「マンホールガス爆発 四人が重軽傷」「また死者が! 爆発で即死 四国では正面衝突 正月気分ふき飛ばす 下請け含む四人」こういうふうになっておりまして、まだまだたくさんあるわけでありますが、いま私が読み上げましたものは、そのすべてが電電公社電話建設工事にかかる災害であります。私はたいへんに問題だと思うわけでありまして、昭和四十七年度、今年度でありますが、きょうまでの間に、電電公社それから通信建設会社を含めまして実に五十八人の人が死んでおるわけです。この五十八人という数字は私どもの把握でありまして、労働組合のないような小さい会社、先ほど言いました孫請曽孫請というふうなものは入っておりません。したがいまして、そういったものを推定いたしますと、まだ年度途中でありますから、それらを入れますと、へたをすると四十七年度だけで八十人も死亡者が出るんじゃないか、こういう危惧すらあるわけです。私さだかではございませんが、あの大工事でありました東海道新幹線の工事よりも、私は死亡者が多いんじゃないか、こういうように考えるわけです。年次別にとってみましても、先ほどの建設関係予算がふえてまいりましたものとある程度比例をするわけでありまして、昭和四十五年には一年間で五十一人死んでいるのです。四十六年にはそれが六十三人にふえておる。四十七年は先ほど申し上げましたようにさらに八十人が推定をされる。こういった非常に危険な仕事を次から次へとやっておるわけであります。特に先ほどちょっと名前を出しまして失礼をいたしましたが、工事量の多い近畿地方のある会社では、昨年の十一月に三件、ことしに入りましてこの二月以降で見ると、二月の五日、二月の八日、これは二人であります。さらに二月二十七日、三月三日、わずか二カ月の間に八人の死亡者を出しておるこの事実を、総裁、どう見ますか。
  10. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  ただいま建設工事に関連いたしまして、いろいろ人身事故死亡事故等が出ておりますことにつきまして、まことに遺憾に思っております。公社は、昨年の通信局長会議等におきましても、工事の安全あるいは交通事故を減らすということにつきましていろいろ打ち合わせをいたしましたが、またことしも、特に建設工事、これは直営と請負との両方がございますけれども、それらを含めて、建設工事でそういう事故をなくなすようにという方法を強く指示いたしましたやさきに、特に近畿地方におきまして、ただいま御指摘のありましたような近畿通建工事に関連いたしまして死傷事故が出ましたことをまことに遺憾に思っております。これに対しましては、さらにいろいろ技術やり方工法やり方とかそういうものをさらに徹底いたしますとともに、たとえばマンホール等をあけます場合に、そのマンホールの中にガスが充満しているというような例もございましたので、そういう場合には、そのガス事前に検査するような器具は十分行き渡っておるのでありますけれども、それがたまたま近畿通建下請工事であったために、下請の人に十分徹底してなかった。それで、本来ガス点検をしてマンホールに入るべきものでありましたのに、ガス点検しないでそのマンホールに入ったというようなために事故が起こっておりますし、それからまた、いろいろ工法上こういう措置をとれということをきめてあるその措置をとらないで、たとえば架線から落ちていろいろ事故を起こしたというようなこともございます。したがって、公社監督をさらに十分するとともに、業界に対しましても、特に安全委員会をつくらせるとかそういうことをさらに徹底いたしますとともに、また近畿通建等に対しましては、反省を求める意味におきまして新たにしばらくの間指名停止をするという措置をとりたいと思っております。
  11. 森井忠良

    森井委員 ガス探知をしなければならない。ガス探知器を便ってないということなんですが、使うことすら知らないような労働者を使っていらっしゃるんですよ。先ほど申し上げましたように、公社が八万九千人、元請と登録業者を入れて同じくらい、ざっと八万七、八千人、あとはそれ以下の第三次、第四次、第五次といった、下請下請下請といった人々によってこれがまかなわれておる。元凶はやはり、急に工事量がふえた、その割り要員、なかんずく技術者がふえてない、この辺に最大の問題があるわけであります。郵政大臣、いかがですか、いまの現実をごらんになって。しかもこれを見ますと、死亡率が最も高いのは孫請以下なのであります。その次に元請、やはり電電公社職員はさすがに技術その他すぐれておりますしするので一番死亡率は低い。それでも今年度すでにもう八人も九人も死んでいる。こういった中で、いまのままこの第五次五カ年計画を続けていくということについて、安全面から郵政大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  12. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘のような事故が相次いで発生しておりますことは、私もまことに遺憾に存じます。人命尊重ということは、私たちにとりまして一番大切なことでございます。であるだけに、今後かかる事故が二度と発生しないように、安全管理に十分留意するように指導監督をいたしていきたい、かように存じます。
  13. 森井忠良

    森井委員 割り当てられた時間もあるようでありますから、現実の上に立って幾つか御質問申し上げたいと思いますが、技術的なこともありますので、総裁でなくてもよろしゅうございます。  先ほどちょっと指摘をいたしましたように、たとえばマンホールガス爆発にとってみますと、もうすでにマンホール老朽化をして非常に危険なものが多い、あるいはまた、最近の都市化現象によって、いままで歩道もしくは道路の端にあったマンホールの入り口が、道路の拡幅によって車道のどまん中に入る、水道や都市ガスや、そのほか入り乱れて配管がしてある、こういった事実が非常に顕著にあらわれておるわけですね。したがって、直ちに電電公社は――いま読んだものの大部分はマンホール爆発事故であります。したがって、マンホールを直ちに再点検をされる必要があると思うけれども、この点いかがか。  それから、時間がありませんので続けてやりますが、二つ目は、たとえばすぐできるような安全対策があるわけです。たとえば電柱から落ちたというふうな事故を調べてみますと、脚梯の取りつけがない。つまり足場が、簡単なものですが取りつけてないということから、ずいぶんの人が落ちておるというようなこと。それから、たとえば電柱に登って作業をする。はしごをかけますと、ほんとうは見張りが要る、監視員が要るわけですが、人手不足でそれがされておらないというようなこと。これはあるいははしごつき作業車とでもいいますか、そういったものがあれば簡単に解決ができる、こういうようなもの。まだたくさんあるわけでございますが、そういった直ちにできるものを改善をしていく必要があると考えるわけであります。この点についてはいかがですか。
  14. 中久保卓治

    中久保説明員 お答え申し上げます。  先ほど来先生からいろいろ御指摘いただきました公社建設工事におきまして重大な人身事故の発生を見ましたことは、まことに遺憾に存じております。私、建設局長着任以来、日夜安全対策安全管理をいかにすべきかということに腐心しておりまして、これからもそういった対策につきましては十分意を尽くしてやっていきたいというふうに思っております。  ただいま御指摘マンホールにつきましては、先生指摘のように、これは都市ガスあるいは炭酸ガスその他メタン等貯留して危険なものという前提で作業に取りかからなければいかぬというふうに思っておりますし、電柱脚梯あるいはいまおっしゃいました柱上作業はしご等につきましても、そのほかいろいろ安全の面についての項目はたくさんございます。これらにつきましては、いま私ども建設局の中に安全対策推進会議を設けまして、できるものから早急に片づけていくという作業をやっております。でき上がりましたものからどしどし実施に移して万全を期したいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 森井忠良

    森井委員 公社の中にそういった会議を設けるということも必要かもしれませんが、私ずばり申し上げまして、やはり事故を起こしているのは公社だけではない、元請の人もおられる。それからさらに一次、二次、続いての下請の方もおられるわけであります。しかも、もちろんその中に労働組合も大きなウエートを占めておる。このことに着目をいたしますなら、いまあなたが言われた程度の会議でなくて、この際、安全についてはイデオロギーその他ないわけでありますから、公社あるいはすべての労働組合も含め、関係企業等も含めて、この際中央と、少なくともいまの実態から見ますと、各通信局ごとに、安全に関する推進のための労使合わせての交渉の場というふうなものを持って、そして安全推進についてお互いに協力し合うという立場を明確にしていただきたいと思うのです。それが一つです。  時間の関係で続けて申し上げます。  二つ目は、先ほど総裁も話しておられましたが、確かに技術者不足というのは非常に深刻なものがあるわけですね。あるいは技術者だけではありませんで、たとえば安全衛生管理者というふうなものも置かなければならないところが、かなりの部分で置いてない。いろいろな意味がありますから、せっかく公社の訓練機関があるわけですね、職員の。これは少なくとも公社仕事をさせるのでありますから、その種の公社の訓練機関を活用して、したがって、電電公社以外のそういった元請、下請の皆さんも入学をさして、そこで勉強させる、訓練をさせるということが必要だと思いますが、その御意思があるのかないのか。  それから三つ目には、とかく建設工事になりますと、いわゆる工事契約費だけを機械的に渡す。本来電電公社がやらなければならない仕事下請にやらせるわけでありますからとかく工事請負費だけなのでありますが、たとえばガス探知器一つをとってみましても、もう孫請以下ではとても買えるような金額ではない。そこで、工事の積算額以外に、この器具を必ず設備しなさいよという安全対策費等を別に措置をされる必要がある。少なくとも年間数十人の人が死んでいるわけでありますから、そういった措置をとるべきだと私は思いますが、そういった御意思があるのかないのか。  それから四つ目には、公社の責任です。何といいましても、もとは、先ほど申し上げました電電公社自身の仕事なのですね。それを代行さしているわけでありまして、起きた事故については電電公社が知らないというわけにはいかない。したがって、電電公社は第一義の責任を持つものとして積極的に、しかも誠意をもってこの補償の問題を考えられる必要があると思うのでありますが、その点のお考えを承っておきたい。  それから、やはり考えてみますと、あまり工事費をどんどんふやしていく、しかも端的に申し上げますと、元請や下請工事の能力以上のものをお渡しになる、ここに私はやはり問題があると思うのです。ですから、人が足りない電電公社で、言うならば、ちょうど万博をするときのあの膨大な工事量で一挙に日本じゅうの労務者を集めたようなかっこうになりましたけれども、あのときのものが常時続いておるというふうに私考えますので、この際そういった点についても十分配慮していただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、所見を承っておきたいと思います。
  16. 中久保卓治

    中久保説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生の御質問で、ちょっとことばが足りなかった点がございますので、お答えの前にちょっと補足さしていただきたいと思います。  公社だけの安全委員会ということだけを申し上げましたが、これはかねてから請負業界に対しても、各社ごとに安全委員会あるいは安全管理部門をつくりまして、安全対策について十分に意を尽くしていくということを指導いたしております。それにもかかわらず、今回御指摘のような事故が多発いたしましたことにつきましては、先ほど来申し上げましたように、今後十分意を尽くしていきたいというふうに考えております。  ただいま御質問がございました事故の再発防止につきまして、公社あるいは工事協会あるいは関係労組等を含めての対策会議等の点につきましては、いま申し上げましたように、それぞれの請負業者あるいは公社機関でも対策は進めておりますが、御指摘の点もございますので、今後十分前向きで積極的に方法等について考えて対処していきたいというふうに考える次第でございます。  それから技術者の不足についてでございますが、これにつきましては、公社といたしましては、学園等におきまして業界からの受託訓練をやっておりまして、これも年々相当数やっておるような次第でございます。なお、さらにこれについても強化をはかっていきたいというふうに考えております。  それから安全関係請負経費でございますが、これは現在のところ、直接工事費あるいは間接工事費、それぞれそういった安全関係の経費を組み込んでございます。しかしながら、御指摘のようにこれでは十分ということは言えません。そこで私どもも鋭意、別に安全関係の経費を別項目として積算するということを検討し、推進していきたいというふうに考える次第でございます。  工事能力につきましては、これは先ほど総裁からもお答え申し上げましたが、公社の五次五カ年計画等を勘案いたしまして、請負業界で能力のアップをはかるというようなことを指導しておりますし、さらにそれらについても強化していきたいというふうに考える次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上お答えいたします。
  17. 森井忠良

    森井委員 時間がないので、これくらいにしたいと思いますが、先ほど申し上げました、中央とそれから通信局単位ぐらいでは、労働組合も含めた関係機関で話し合いをされる御意思があるものと理解していいかどうか。それなら答弁は要りません。  それから要望でありますが、まあ技術革新の最先端を行く電電公社にすれば、安全対策あるいは安全対策のための機器と申しますか、そういったものの開発というものは、やはりおくれておるように思うのですね。これもやはり通研その他あるわけでありますから、これは十分開発していただくようにお願いしたいと思います。要望のとおりなら答弁は要りません。  以上で終わります。      ――――◇―――――
  18. 久保田円次

    久保田委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
  19. 森井忠良

    森井委員 持ち時間があまりありませんので、要点だけ御質問を申し上げたいと思います。  前田会長、私、きのう帰って、あなたの答弁をゆっくり吟味してみました。非常に気になる点がありますので、まず、その辺からお伺いをしたいと思います。  一つは、あなたの御答弁の中で、あれだけの高値で売ることになったけれども、これは時期的に悪かったという御答弁なんですね。時期的に悪かった。三百五十数億で売ったというのは、平時ならいいという意味なのか。そこのところをもうちょっと聞きたいのです、あなたのお気持ちを。たとえば、田中内閣が日本列島改造論というものを出されまして、国会でもあれだけの問題になる土地投機が盛んになってまいりました。郵政大臣はそれに対して、あの高値は土地騰貴の呼び水になったという御答弁を昨日もなさいました。あなたもそれをお認めになるのですか、どうですか。そこのところをお伺いしたい。
  20. 前田義徳

    ○前田参考人 結論を申し上げますと、あのことだけで呼び水になるとは、私自身はそういう印象を持っていないわけなんです。ただ、一般的な社会的フィーリングが、土地の問題に集中しておるときに、予定の計画であったとはいえ、そういう時期に際会したことは、御理解をいただく点で非常に困難であり、またフィーリング的にまことにむずかしい時期で、まことに残念であったという意味でございます。
  21. 森井忠良

    森井委員 私は、呼び水になったかどうかということは、これはこれから具体的な数字が出てくるのかと思いますが、それがNHKですよというふうには言わないのですよ。しかし、いままでどちらかというと、世論をリードしてこられたNHKの立場からすれば、私はきわめてまずいと思うわけですね。あなたはきのうやはり同じような答弁で、むしろ前田会長を激励をしてくれる手紙が来ておる、それは二十歳から六十歳前後にわたっておる、つまり国民各層から支持を得ておるというそういう意味だと私受け取ったわけです。逆に私どものほうへは、何であれだけの高値で亮らせるのだというような、むしろそういう意味ではあのままほっておいてよいのかという声があなた以上に届いておるわけであります。本来ですと呼び水になったのかどうか。私は、一つの提案でありますが、NHKの場合はこの世論調査、たとえば私どもの選挙の場合でも非常に正確な世論調査をなさる、動向調査というものをなさるわけでありますから、一ぺんおやりになったらどうです、そういうことでしたら。ただ私どものところへは、NHKですら坪一千百万円で売るのですからねというのがやはり私は率直な国民感情だというふうに思うわけです。特に私はNHKがいままで、私どもしばしば報告を受けましたように、事業概況を見てまいりましても、いままである意味で世論をリードしてこられたということは事実なんですね。たとえば、いままで老人問題にいたしましても麻薬の問題にいたしましても、それぞれキャンペーンを張ってこられました。そうして、ある場合にはやはりNHKの性格として国民世論を喚起をする、ある場合には、間違っている場合にはそれを正す、そういう何ものにも左右されないき然とした態度でNHKはやっていかれるべきだと思うのです。  そこで、たとえば、いま国民生活を圧迫しておるといわれます土地騰貴の問題について、NHKはキャンペーンが張れますか。これだけ土地が高くなって、何とかしろといえるのですか、そこのところをお伺いしたい。
  22. 前田義徳

    ○前田参考人 毎日の番組で強力にキャンペーンいたしております。
  23. 森井忠良

    森井委員 あなたの御答弁のとおりだとすれば、NHKが何を言うかというのが率直な気持ちではないか、私は率直なところを申し上げてそういうふうに感じます。  それから、昨日の答弁でもう一つ気になりますのは、よく二千四百万人の視聴者の利益を守るのだとおっしゃるわけです。そうでしたね。このことは、確かにそのとおりだと思うのでありますが、二千四百万人の視聴者の中には、いま家がなくてマイホームがほしくて、一日も早く安い土地がほしいと考えている、そういう視聴者もあることをお忘れになっては困ると思うのです。  それから、この際、私は郵政大臣にお伺いをしておきたいと思うのでありますが、「日本放送協会昭和四十八年度収支予算、事業計画および資金計画に付する意見」というのを郵政大臣は当然出してきておられるわけでありますが、この中でよく見ますと「昭和四十八年度収支予算、事業計画および資金計画は、おおむね適当である。」ということばが使ってあるわけですね。それで、きのうのわが党の米田委員の質問には、「おおむね」という意味は、下に書いてあるようなことなんだというようになっておるのですね。ところが、大臣の答弁は、土地騰貴の呼び水になったということが今回のあの高値について触れておられるわけでありますが、「おおむね」という意味は、大臣の率直な所感として、今回の高値についてはやはり遺憾であったというふうに私どもとしては受け取りたいと思うのでありますが、その点いかがですか。
  24. 久野忠治

    久野国務大臣 呼び水になったということを御指摘をいただきましたが、異常な高値を呼んだ、呼び水になったという世論のきびしい批判については私はよく承知をいたしております、かように申し上げたのでございます。この点に誤解があると、またあってはたいへんだと思いますので、繰り返して私は申し上げた次第でございます。  それから、私の意見書の中で「おおむね適当である。」ということを当初申し上げておるわけでございますが、私の法律上の権限の範囲内からいきますれば、やはり私は今回出されました収支予算、事業計画その他の内容をつぶさに検討いたしました結果、私の立場といたしましては「おおむね適当である。」、かように感じた次第でございまして、その点を冒頭に記載をいたしておるような次第でございますが、ただし、私は四点にわたって今後注意すべき点をあげておるのでございます。  その中で私が一番NHKに留意していただきたいことは、まず経費の節減であります。公共的な性格を持ったNHKでありまして、しかも多額の受信料によってそれが運営されておるわけでございます。であるだけに、ただ単にりっぱな、芸術的にもかおりの高い放送番組を幾ら金がかかってもいいからつくれというものでは私はないと思うのであります。施設に対しましても、やはりこれだけの資金があることであるから、りっぱな施設をつくれという意味でも私はないと思うのであります。やはり聴視者の皆さんに十分報いるような謙虚な態度があってしかるべきである、そういう観点から、今後運営にあたりましては経費の節減と、もう一つは法律上の規定もあることでございますから、収入の確保については十分留意をして努力をしていただきたい、こういう点を特に強調いたしまして、意見書の中で指摘をいたしておるような次第でございまして、どうかこの点を御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  25. 森井忠良

    森井委員 私はもう一度前田会長に申し上げるのでありますが、いままでNHKはその公共的性格からして、全国に散在をいたしますNHKの資産については無償もしくは原価に近い値段で譲渡してきたと言われました。それはきれいな伝統であると思うのです。それがいままで十年にわたって続いてきているとあなたはおっしゃいました。そういたしますと、今回の措置というものは、新聞によると合法的な商取引――これは言われたかどうか知りませんよ、新聞で読んだのでありますから。もしあなたが合法的な商取引だと言われたならば、私はNHKの性格そのものを疑うような、そういうふうに国民に疑惑を与えると思うわけであります。おっしゃったのかどうなのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。  それから二つ目は、十五社の入札をなさった。これは官庁、民間、社会福祉施設、それぞれ差別をしなかった、その結果、呼びかけたけれども十五社になったとおっしゃいました。そのときにあなたは、社会福祉施設では買えないでしょうということをおっしゃったわけです。それがNHKの意思だとすれば、ここにもきわめて遺憾な点がある。あれだけの文化施設に、全国の、たとえば肢体不自由児を年に一回なら一回集めて視聴覚のすばらしい教育をやったらどうなりますか。私はいいと思うのです。非常にこれはすばらしい活用のしかただろうし、国民はかっさいを送るでしょう。そのため、NHKが要るだけの予算で国が買い取らざるを得ないくらい私は全国の肢体不自由児を持つ親から強い突き上げがあると思うわけであります。あなたがおっしゃったその意味は、社会福祉施設のようなものという意味なのか、あるいはまたそういった金のないところは買えないという意味なのか。これは速記録を見ればわかると思うのでありますが、明らかに社会福祉施設は不適当であるということばを使っているわけでありますから、その真意について。  以上、二点をお伺いしたい。
  26. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもとしては、一定の原則を立ててあれを公開入札するという形でございますから、買い手がどこであろうと、買い手がつく場合には別に特別の感じ方を持っているわけではありません。ただ、NHK自体があれをそのように処理せよというような立場で申し上げる場合には、NHKは、きのうも申し上げたのですが慈善団体ではございませんから、NHK自体はできない。しかし、残念ながらいま御指摘のような団体なりあるいは国の関係なり、その方面ではあの会館に買い手はつかなかったという意味でございます。気持ちにおいては私は先生の御質問の趣旨ははっきり理解できると思います
  27. 森井忠良

    森井委員 時間の関係がありますから、はしょらしていただくことになるわけでありますが、さて、その十五社の中で、結果的に三菱地所が落礼をしたということになっております。一体この三菱地所という会社はどういう性格の会社ですか。私が理解をいたしますのは、やはり俗っぽいことばで申しますと、不動産業者だと思うわけです。違っておれば御訂正願いたい。しかも、漏れ承るところによりますと、あのあと地については、これはさだかではございませんけれども、丸ビルを建てかえる、そのためには、いまたな子がたくさん入っておるわけでありますから、たな子といいますか、あの事務所を使っておるわけでありますから、とりあえずそこに入っておられる人を移転をしてもらう、それ以降の使い方については処置をしていないというふうに私は聞いておるわけであります。そういたしますと、いま申し上げました丸ビル建てかえの作業が済んだら、文字通り不動産会社なら、今度は建物つきで一千二百万円はさらに利益を生んで他へ転売をされるおそれすらあるんじゃないかと私は思うわけでありますが、その点まで把握をしていらっしゃいますかどうか、お伺いをしたい。
  28. 前田義徳

    ○前田参考人 そこまでは私も把握いたしておりません。
  29. 森井忠良

    森井委員 私は問題があると思うのですよ。いままであの放送会館は、私が申し上げるまでもなくあなた方の城でした。日本の放送の文字通りセンターで、文化性の豊かなものであったわけです。わかりますか。それが不動産業者の手によってもうけの対象になるということで、NHKの会長としての良心は何ともないのですか。
  30. 前田義徳

    ○前田参考人 先ほどお答え申し上げましたように、あのあと地及び建物、それと関連する設備の入札については厳重な条件を付しており、その条件の一つには、転売を許さないという一項がはっきりと入っております。
  31. 森井忠良

    森井委員 釈然としませんが、時間の関係がございますので、最後に一点だけお伺いをしておきたいと思うのです。  この放送文化基金について昨日来いろいろ質問が出てきておりました。要は、予算は先に組んだけれども、具体的な使途はさだかでない、こういうことに尽きると思うわけであります。理事会において措置をされるということでありますけれども、私として非常に心配をしますのは、できればその使途を、計画があるものならもう一度おっしゃっていただきたい。  それとこの放送文化基金について、いわゆる放送文化基金というNHKと別の法人格を持つわけでありますけれども、たとえばここに書いてあります難視聴地区の解消とか、あるいは放送に関する国際協力であるとか、別に文化基金を使わなくても本来NHKでやらなければならないような業務が、放送文化基金としてNHKの業務から分かれるということについて、何か私は釈然としないものを感じる。もちろんこの百二十億については、そもそもが私はおかしいと思うわけでありまして、たとえば第四次長期経常構想というのが昨年度出されたようでありますけれども、それとこの放送文化基金との関係はどうなのか。あなたは三年間値上げをしないとおっしゃいましたけれども、この三年間の中には何といいますか、第四次長期構想から見ればどういうふうになるのか。少なくともいまの時点では五年ぐらい先の見通しを立てた説明を本委員会にしていただきたい、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  32. 前田義徳

    ○前田参考人 かいつまんで申し上げますと、放送文化基金の対象は、NHKが当然やるべき仕事を、それとは関連のない形で設立していただきたいと考えております。これは放送事業界全体のためで、NHKばかりでなく民放さんとの関連においても、これは自由に原則さえ合えば援助する資金として使い得るというように考えておるわけです。私どもが基金構想を郵政大臣に、こういう構想を持っているという御説明を申し上げた段階では、たとえば教育施設であるとか社会福祉と関連する受像機の問題であるとか、あるいはNHKばかりでなしに、いろんな意味での民放さんとも関連のある部分の難視解消、あるいは難視解消のための技術開発に対する援助、その他放送に関するあらゆる研究に対する援助、またわれわれがなし得る限度を越えた場合の、あるいはその意味での国際協力というようなものを考えたわけでございます。  第二点の御質問に対しましては、私どもとしては御指摘のとおり、昨年一応第四次構想というものを立てましたが、同時に、今年度御審議いただき、明年度予算との関係で少なくともこの構想を修正する必要が出てきたわけでございます。その修正の限度において非常にはっきりしていることは、少なくとも四十八年、九年、五十年度においては、社会経済の今日以上の大変化が起こらない限り聴視料に手をつける必要はないという確信でございまして、そのあとについては私どもとしては技術の開発に非常な期待を寄せているわけでございます。
  33. 森井忠良

    森井委員 不十分ですけれども、終わります。
  34. 久保田円次

    久保田委員長 次に、土橋一吉君。
  35. 土橋一吉

    土橋委員 昨日、自由民主党の議員から放送法第三十二条の規定についていろいろお話がございました。私は林委員からの質問についてまだ速記録などを見ておりませんので、私の受けた印象から申し上げますと、第三十二条は、受信契約を結んで、そして公共性を持った料金だというので、受信料という名前をつけたものを一般聴視者、つまりテレビなりあるいはそういうものを設置した者について一定の契約を結ぶような義務をここで規定しておるわけです。これは憲法の第二十一条の規定や憲法第三章の十一条以下の基本的な人権の問題から考えて、この規定は少なくとも強行したりあるいは聴視料を支払わせる義務を付与する、そういう内容のものではなくて、やはり基本的に現在の法文の状態においてやるべきではないか。もしこれを強行するような体制をとったり、あるいは三十二条第一項の規定によって立ち入り検査などを強要するようなことになれば、これは憲法の基本的な条章を侵す、いわゆる契約自由の原則に反するのであって、さようなことはすべきでないというふうに私は理解をしておるのですが、従来、放送法の改正とかあるいは電波法の改正などに伴ってさような傾向があるやにも聞いておりますので、郵政大臣は昨日はこういう問題もひっくるめてさらに十分検討したいというような答弁をされたように私は記憶しておるのですが、いま申し上げたような原則から、この法律の内容をいささかも、つまり契約義務を強要したりあるいは一般聴視者に対して立ち入り検査などを強要して、そして聴視料をどんどん吸い上げていくというようなことは、この法の三十二条の規定から見ると非常に行き過ぎではないかというふうに私は考えるが、郵政大臣はどう考えているのか、簡単に答えてください。
  36. 久野忠治

    久野国務大臣 三十二条の規定は、ただいま御指摘のとおりでございまして、強制的に立ち入り調査をしたり、あるいはまた受信料の徴収をする権限のないことは御指摘のとおりでございます。その点は私も理解をいたしておるところでございます。しかしながら、この電波法、放送法というのは、成立いたしました当初の事情と、今日の情報化社会の変転に伴いまする事情などから考えてみますと、いろいろの点で考えるべき諸点があるのではないかというふうに有識者の皆さんからお話を私は伺っておるのであります。でありますから、各方面の有識者の皆さんの御意見をも十分拝聴しつつ、将来これらをもとにいたしまして検討をいたしていきたい、かような意味で私は昨日御答弁申し上げた次第でございます。
  37. 土橋一吉

    土橋委員 もう一言。情報化時代だということで情報が怒濤のように、たとえば家庭に郵便あるいはテレビあるいはラジオその他の有線テレビジョンなどで大量の情報が入ってくるわけです。しかしながら、これは国民が持っている電波を利用して、NHKにいたしましても民放にしても、あるいはCATVにいたしましても、それをやってくるわけです。しかし国民の側から申しますれば、それを受ける受けないは自由でありまして、それがやってきたから立ち入り調査をしなければならないというのは、これは憲法の基本的な条章を侵すものであります。国民がそれを受けるか受けないかは自由な権利を持っておるので、したがって、その契約等においても契約自由の原則を認めなければならぬ。やってくるほうは自分の商業ベースやいろいろな都合からそういう情報を流してくるのであって、受けるほうは自由に選択する権利を持っておるのでありますから、こういう間違いがないようにお願いしたい、こういうことだけであります。私はその点を大臣が了解してくだされば――先ほど何か共同の、つまり情報を流してくることの分担の負担をしなければならぬじゃないかというような意味の発言があったように私は記憶しておるわけです。しかしそれは情報を流すほうがえてかってに自分でやるのであって、逆に情報は基本的に、どのような放送を受けようと、あるいはどのような郵便物を破棄してやろうとそれは本人の自由であって、そんなことまでもこの三十二条の一項の規定によって、あるいは第二項の規定によって制限をすべきではないということを私は確信しておりますが、郵政大臣はどうですか。
  38. 久野忠治

    久野国務大臣 現行法令のもとにおきましては御指摘のとおりでございます。さように理解をいたしております。
  39. 土橋一吉

    土橋委員 続いて、私はNHKの土地問題について郵政大臣に伺いたいと思うのであります。  田中総理は、かつて総理になる前に「日本列島改造論」なるものを著書によって天下に発表されました。ところがこの内容については、これはサンケイの山本雄二郎編集長でございますが、この方ですらも大きな批判を持っておるわけです。ましてやこの問題について、日本共産党の政策は、民主的であって同時に農業、工業の調和のとれたそして総合的な国土開発計画をすでにこの著書の出る前に発表して、国民の大方の賛成を得ておるわけであります。これは、選挙によってわが党が大きく躍進したという結果も、この日本共産党の総合的な民主的な、農業と工業との調和のとれた国土の開発ということに多くの方が賛成されたというふうにわれわれは考えておるわけであります。  そこで郵政大臣は、きのうからのお話を承ると――その一番の責任者である郵政大臣、これは憲法第六十六条の第三項の規定によっても明らかなように、あなたも田中政府のこの土地問題についての責任があるが、この点を一体どう考えているのか。これは単にNHKに意見書を出して済むというような簡単なことじゃない。いわゆる大資本あるいは大土地会社、あるいはその他の私鉄会社、こういうものが全国的にどんどん土地を買いあさって、日本列島改造に符節を合わせて、いまばく大な投機を行なっておるのであります。その端的な東京における集中的な表現が、NHKのあと地売却とこれを買い入れた問題であります。でありますから、基本はやはり、田中政府の土地政策あるいは日本列島改造によるところの不当きわまる――余分な負担を国民にかけ、インフレを促進するようなこの計画を、実際四十八年度予算においても彼は組んでおるということです。それは、交通通信のネットワークというわずかな文句でこれを進めるということをいっているわけです。表向きの看板は国民生活、福祉優先型であるとかいろいろなことを申しておりますけれども、佐藤内閣以来の政策を踏襲して生産第一主義、そして大企業に奉仕する政治をやって、その結末がNHKの土地のあと地売買問題に関係をしておるわけであります。こういう投機的な土地の売買、地価のつり上げについて、国務大臣である久野さんは一体どういうふうに憲法六十六条三項の規定による責任を負うのか、どういうふうにこの問題を見て善処しようとしておられるのか、簡単でいいですから答えていただきたい。
  40. 久野忠治

    久野国務大臣 土地の投機ということは、土地対策全般からいきましてまことに遺憾な現象であると私は思っております。国務大臣の一人といたしまして、やはりこうした問題を十分配慮しつつ、将来土地投機で異常に高値にならないような処置をすべきものである、かような観点に立ちまして、閣議の席上におきましてもいろいろ発言もし、また協議もいたしておるような次第でございます。
  41. 土橋一吉

    土橋委員 それならば、いま問題になっているところのNHKの問題についても、これは昨日あなたも仰せになりましたが、NHKは法律の規定によって公共放送として独立をして事業をやっておるものでありまするが、行政的な処置によってどうこうするとか干渉するとか、あるいはいちゃもんをつけてNHKだけをたたき込んでしまうような、そういう態度をとるべきでないことは言うまでもありません。これはもう当然であります。あなたのほうでなし得る権限は、予算の問題や事業計画あるいは資金計画について適切なあるサゼスチョンを与えるとか意見を発表するというだけであって、少なくともNHKを圧迫するようなことは断じて許すことはできないのであります。  そこで、最近のアメリカのドルの一〇%の切り下げ、さらに一〇%内外の輸入課徴金をかけておるということによって、御承知のように二回もドル危機が欧州と日本をおおいまして、いま為替市場は閉鎖をいたしております。この重大な責任の問題がやはり土地の投機の問題に深く関係をしておるわけです。でありまするから、あなたが単にNHKにあの四つの意見書を付して事足れるものではなくて、田中政府全体が、その重要な閣僚であるあなたが、この土地の投機あるいはこのような状態を進めてきたことについて、真に反省をしなければならない。ところが田中内閣全体がやらなければならないそれを、一郵政大臣の行政部門に全部まかしてしまって、田中総理は依然として四十八年度予算を強行することは、これはやってはならないことをやっておる。私が申し上げるまでもなく、予算の内容については野党がすでに五常でほぼ話し合いができまして、この問題についてあくまでも追及する、組みかえの予算を要求する、そうして土地の投機あるいは生活必需物資の買い占め、かようなことについては全面的にやめさせなければならぬというふうにわれわれは考えておるが、この土地問題を通じて、さらにあなたのほうの抜本的な、たとえば金融措置によって準備金の引き上げの問題であるとか、あるいは財政投融資の金などについてももっと国民生活を安定する方向に使うとか、あるいはまたそういう土地の投機をする、買い占めをするものについては法律の規定によってある程度の制限をするとか、こういうことをやらなければならぬと私は考えていますが、あなたの考えは、一体どういうふうに考えてこの問題を処理されようとしておるのか、簡単にお答えをいただきたい。
  42. 久野忠治

    久野国務大臣 土地政策の問題と、今回の東京放送会館いわゆるNHKのあと地売却問題とは別個の問題であると私は思うのでございます。そこで、土地政策の問題につきましては、ただいま田中内閣が真剣に取り組んでおるような次第でございまして、私自身といたしましては、政策の立案並びに制度の改善等につきまして、できる限り努力をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
  43. 土橋一吉

    土橋委員 いま久野国務大臣は別個だということを仰せになりましたが、土地問題の投機あるいは買い占め、特に三菱地所というものは、先ほどから質問がございましたが、日本の指折り数えるところの不動産業者のひとりであります。今度のNHKの問題については、一般のマスコミやあるいは報道機関など、特に自由民主党を支持する新聞などでは、一切NHKだけを攻撃する姿勢をとっております。これはまことに筋違いだと私は思うのです。責められるべきは田中内閣の土地政策であり、このことによって責任を負わなければならない国務大臣である久野大臣がまず責任を負わなければならないし、その問題について善処しなければならない。第二番目には、やはり土地ブローカーなり土地の買い占めをやっておる三菱地所に対して国民の批判が高まらなければならぬ。ところがどういう関係か知らぬが、一般の報道機関やその他の諸君は、三菱地所を黙って見ておるだけだ。なぜああいう不届き千万な不動産業者について追及しないのか。私はそれをやらなければいかぬと思うのですよ。ところが、あなたはいま関係ないと仰せになりました。関係あるじゃありませんか。あなたの所管事項である郵政省関係のNHKがこういう問題を引き起こして、そして国民からNHKが総攻撃を受けておるような中において、あなた自身が責任を負わなければならない問題、大手業者であるところの三菱地所あるいは土地会社、そういうものが責任を負わなければならない問題、そこをただNHKだけを攻め込むような態度は、これは現在の自由民主党の政策というものが何かいびつであって、間違っておるということを証左している一つの証拠だと私は思います。これは関係がありますよ。関係ないことございませんよ。どうして関係がないのですか。あなた国務大臣でしょう。その国務大臣が、自分の管轄の郵政におけるNHKの問題について、責任がないとか関係がないとかというわけはないでしょう。私はそういう無責任な答弁はまことに、しごく残念といわなければなりません。あなたが責任をもってこの問題を善処すべきでございましょう。特に三菱地所がどういうことをねらって、何を目的としておったか、私はだれでも推定にかたくないと思う。いまの発言を見ましても、また彼が大手町からずっと有楽町、そこいらの土地を全部持っておるということは公知の事実であります。このことによって、貸しビルの値段を上げたり地価を上げる張本人といわなければなりません。ところが、世論はこれに対して黙って見ておる。法との関係からいうならば、一番郵政大臣指導監督を受けるNHKに攻撃が集中されておる、こういうでたらめなやり方について、あなたは一体どう考えておるのか。私は関係がないなんというものじゃない、大いに関係があるわけです。私はもっとまじめなあなたの答弁を、土地問題、土地買い占め問題、特に三菱地所あるいは三井不動産、そういう諸君のこういうやり口ということについては、究明すべき反社会的な行動だと私は考えておるのであります。いかがでしょうか。
  44. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この御指摘の二つの問題につきましては、これは別個の観点から処置すべきものである、私はさように考えておるのでございます。でありますから、私は所管大臣として、NHKのあと地の処置の問題につきまして、私の権限の範囲内において何らかの処置をとり得ないものかということでいろいろ検討をいたしました結果、ただいまお話のございましたように、収古予算、事業計画等の審議の過程におきまして、意見書として私の考えを申し述べた次第でございます。
  45. 土橋一吉

    土橋委員 それではやはり関係がある。国務大臣としてもこの問題について関係があるし、また片方の面においては郵政大臣として、行政の責任者として、あなたはこの問題についていわゆる意見書という形において事を処理したということをいま仰せになりました。それがいかぬのです。そんな簡単なことで、この問題のとうとうたる――国民全体がいまマイホームであるとか土地がほしいとか、土地が買えないという問題について、この大資本が土地を買い占める、投機をするようなことに水を向ける、あるいは露払いをすることについて、あなたがただNHKに四つの意見書を付してこれで事足れりというのは、国務大臣として責任は一体どうですか。そんなことであなた済むと思っておられるのですか。これは行政庁の郵政大臣としては問題が解決するかしらぬけれども、他面あなたが持っておられる国務大臣として総合的な日本列島改造につながるような政策をやっておいて、事態は東京へこれは上がってきた、その問題について四つの意見書を付しておいたから事が済むなんて考えて、国務大臣として一体あなたは済むかどうか。私は済まないと思う。そんな安易な考えで四つの意見書を出して事足れりということは、結局大資本家の土地の投機、買い占めに水をあけてやって、むしろこれを奨励する形を郵政大臣、同時に国務大臣がとったといわざるを得ないのであります。でありますから、その責任はあくまでも追及せられなければならぬと私は考えておるのであります。  さて、次はNHKの会長にお尋ねいたします。先ほどからいろいろ質問が出ております。あなたの仰せになりましたことも私はよくわかる。それはNHKサイドではなるほどそういうこともあなたの立場としては万やむを得ないことはわかるわけですよ。しかしながら、あなたは公共放送を担当して、文化、経済、社会問題、あらゆる問題について国民の真に考えておることを放送し、これをやらなければいかぬという立場に立っているわけです。したがって、あなたの発言によりますと、三十数件の問題については無償かあるいは原価程度で払い下げをした、まことにりっぱなことです。これは今後ともさようにやっていただきたいと思うのですが、あなた方の計画のうち三百十四億もかけてあそこに膨大なセンターをつくった。何とか借金を早く返してしまわなければいかぬ。また放送料金もあまり上げちゃ郵政省からも文句を言われ、国民からも糾弾をされる。そこで乗っかったのは公開入札制度じゃございませんか。現行の資本主義体制下においてあなたのおとりになった公開入札制度、これは適当であります。何ら責める筋はございません。法律的に見ても当然のことであります。しかし、三菱地所が、そんなに世間がやかましくなったならば解約してもいいじゃないかということを、新聞紙上から見るならば発言をしております。三菱の幹部諸君は言っております。そのときあなたは渡りに船でなぜ乗っかって、そしてこの問題を白紙還元をして――違約金を取るなんということは、これはちょっとあなたが後悔したように思うですけれども、それはちゃんと公開入札制度をとっておればいいわけですから、そのことについてあなたを責める何ものもないわけです。しかし、向こうがそう出たときに、これは公共に使ってもらいたい、あるいは借金だけ返済すればいいのですからして政府が買い上げてもらいたい、東京・美濃部知事に買ってもらいたい、こういう意思を表明して、あくまでもいままでやったような三十数件にわたる無償、原価で渡したような方法をなぜ講じなかったのか。ここにやはりあなたに責任がある問題であります。いまあなた方に対して世間が非常に攻撃を加えておるのは、NHKの放送内容やあるいはいままでとってきた行動について、土地問題を契機としていまNHKに矢が向いておるわけです。聡明なあなたがここを反省できなかったというのは、結局ああいう膨大なものをつくり上げて、そしてあなたの説明によると二百十七億が節約になったからいいじゃないか、こういう説明をしておりますけれども、そんなことで済まされる問題ではないのであります。とうとうたるこの土地の値上がり、土地の騰貴、大資本によるところの要するに高度経済成長政策を進めておる田中政府のやり方、これにあなたは真に抵抗していくという考えがあるならば、NHKの公共性をさらに高める意味において、少なくとも向こうから出してきた問題について、渡りに船というのであの借金だけ返済すればよいという考えにどうしてなれなかったのか、これはやはり前田会長、第三番目に、どうしてもあなたが公共放送の責任者としてとるべき道がちょっとひん曲がったのじゃないかというふうに私は考えざるを得ないのであります。ですから、他の諸君がすべてあなたのほうに攻撃を向けていることについても、私はいやそれは筋違いである、第一は田中政府を責めるべきである、その主管大臣である久野郵政大臣が全責任を負うべきである、次いでそういうことをやっておる三菱地所にこの責任を追及する。そういうことをやってはいかぬ、それをあなた方はやめなさいと行政指導すべきである。ところが四項目の意見書を出したことでこの問題のしりぬぐいをやっておいて、そしてこの土地騰貴の問題については野放しにしてそのままいかせる、こういう姿勢について私は反対しておる。したがって、あなたとしてはこの問題について公共性の立場から、単なる文化とか芸術とかあるいは時局放送をするとかいう問題ではなくて、もし逆にほかの放送局でこんなことをやったら、おそらくあなたのところはすかさず取り上げて座談会を開いたりキャンペーンするでしょう。あなたのところは一回もやってないじゃないですか。自分のところのNHKの土地の売却問題について世論に訴えて、共産党土橋も来て意見を述べてくれと一回も言ったことがない。自分のところになってくると黙っておる。こういうようなことをやることについて、あなたの責任はどうか、御意見はどうか、これを私はお聞きしたいと思うのであります。
  46. 前田義徳

    ○前田参考人 まことに含蓄の深い御質問でございまして、簡単に申しますと、あの土地と関連する社会的フィーリング、その中での個人の幾つかの目的意識の中で私の立場を率直に申し上げれば、たとえばシェークスピアのハムレット的、あるいはまた「草枕」の冒頭数行のことばのような気持ちでございます。一般的フィーリングからいえば、持ち家を持ちたいというようなことを一つの目的意識と考えるならば、これはその面で取り上げられる、かなり痛烈な御批判をいただいているわけです。しかし、今度私の立場に立って聴視者というものを中心として聴視者の目的意識を考えますと、聴視料は安いほうがよろしいという部面が出てくるわけです。しかも、この聴視者の総数は、これでまたおしかりをいただくかもしれませんけれども、私どもの事業は一般に考えられる三公社五現業とは異なりまして、聴視者を中心として営まれている企業体であり、この総数は、御審議いただいておるように世帯にして明年度末には二千四百六十万世相になります。そのほかにいろいろな社会福祉的な政策で聴視料の減免をしている総数は明年度の推定では合計七十三万世帯になるわけでございます。この見地に立ちますと、日本人全体とは申せませんけれども、その大多数と密着する企業体であり、その面ではやはり私としてはそちらの人々の利益も考えなければならない、こういう意味でございまして、先生の御趣旨については非常な感銘を持って伺いましたけれども、私の立場は以上申し上げたとおりでございます。
  47. 土橋一吉

    土橋委員 なるほど二千何百万世帯という膨大なものを持っております。そのことも私はよくわかります。しかし、たとえば電電公社がいま千五百三十万台電話をつけるといっておりますが、電電公社は今日もう二千万世帯の電話を持っております。また、国有鉄道も不特定多数であるけれども、一億何百万という国民の足を確保しております。そういう点については同じです。ただ、いまあなたが三公社五現業ということを仰せになりましたから、ちょっと私はひっかかりますけれども、三公社五現業のやっておる仕事の内容と、放送局の内容は違うことは百も承知です。たとえば、電電公社電話加入組合というものをつくっておりますが、これと電電の関係は二千万です。だから、そういう問題についてはあなたのほうと本質的にはそんなに変わっておりません。問題の中心はどこにあるかというと、あなたのほうは日に何十時間という放送をいたします。たとえば、電報を打たないときがあっても、電話をかけない日があっても、汽車に乗らない日があっても、テレビは皆毎日見ている。したがって、国民の目から見ると、なるほど予算関係ではおたくのは電電公社の十分の一です。しかし、世間的なものから見ると、電電公社総裁米澤さんやあるいは国鉄の磯崎総裁と同じように、あなたは社会的な点からいうときわめて重要な位置を占めておるわけです。予算面から見たら十分の一だけれども、社会的な面からいうと、むしろ前田会長は四六時中国民の目の届くところで仕事をしている。しかも小さい子供までチャンネルをひねるほどあなたに親しい関係に立っておるわけです。そういたしますと、あなたの行動というものは三菱地所という大土地会社、日本で指折りでございますから、それと日本の公共事業を代表していくような米澤総裁とか前田会長というものが手を結んで、公開入札制によって坪一千一百万で土地を売ったなんということは、国民の目から見るとのがされない。あなたの地位からいうと、国民にとっては非常に公共的な立場に立って重要な地位を占めている。まことに言いにくいことですが、久野郵政大臣を知らないけれども前田さんを知っている人があるかもしれない。そういう立場に立っている人です。法的な規定によって公開入札制は許されている。違約金を取ることも許されている。売ったって何にも問題はない。そういうところで問題を処理しようとしたところに問題があるのじゃないかということを私は言っておるわけです。同時に、あなたのいまの御発言を聞いておりまして、とにかくやむにやまれなかった、こういうようなことで御説明になっておりますけれども日本放送協会が自由民主党の田中政府の閣僚である久野さんからああいう条件をつけられたことについて、水を向けられたことについてどう考えているのですか。土地の買い占めを大資本家がやっておる。その土地の買い占めにあなたが乗っかられて――日本で指折り数える公共事業関係の大責任者だ、それを国民が反撃をし、前田さん、けしからぬじゃないかという攻撃をするのは当然といわなければなりません。でありますから、私はぜひそういうことについてあなたが重大な責任を感ずべきだ、こういうふうに考えておるのです。決してあなたをいじめる考えじゃない。これは土地投機問題、土地の買い占め問題、この憎むべき大独占資本のよごれた手、それに手をかすかのような田中政府の日本列島改造を徹底的に究明しなければならぬ。こういう観点に立って、先ほども申し上げたようにりっぱな芸術放送をやってくださることも必要だけれども、この面においてなぜ戦わなかったか。国民がそれだけあなたに期待を持っておる。それに背を向けたような態度で、このもうかった金、入った金のうち百二十億はいわゆる放送文化基金としてやるのだとか、あるいは借金を払ってしまうとか、あるいは三年間放送料金の据え置きをするというような面だけでこの土地騰貴という国民全体の大問題を解消してしまうということは、まことに遺憾といわなければならない。ここのところを私は言っておるのです。私の言わんとする趣旨は了解できると思うのです。いままで自由民主党のあらゆる宣伝に対してもあなたは戦ってこられた。これはベトナム侵略戦争の報道についても私たちはいろいろな意見を持っておる。あるいは田中総理が中国を訪問したときのNHKの放送内容もよく私たちはいろいろな問題から見ておるわけであります。それだけあなたががんばっておられたというならば、放送法四十四条やその他の規定によって、もっと不偏不党の立場から、この土地の騰貴の自由民主党の政治に対してなぜ戦わなかったのかという点であります。答弁を願います。
  48. 前田義徳

    ○前田参考人 非常に含蓄のある御質問で、端的にお答えすることはきわめてむずかしいかと思いますが、簡単に申し上げて、先ほどの気持ちを繰り返す結果になるかもしれませんが、戦いかつ現実の処理としてこのような結果になったわけでございますので、その点は現行社会体制の中での最善の努力をしたということで、御理解をいただきたいと思います。(「いい答弁だ」と呼ぶ者あり)
  49. 土橋一吉

    土橋委員 いま声ありて、いい答弁だというようなことをおっしゃっているけれども、先ほどから何回も言うように、公開入札制というものは資本主義体制では認められておる。それにただ乗っかっただけだということであって、この自由民主党田中政府の土地投機を許し、あるいは地価の高騰を呼び起こすような政策のもとにそういう体制をとらざるを得なかったという、この内容が私は非常に遺憾であるし、NHK前田会長の今後の政策と申しましょうか運営といいましょうか、これについても一まつの暗影を投げたといわざるを得ないのであります。  そこで私はもう一つ伺いたいのですが、あなたの御説明では、十四社はこの三菱地所と大体土地をさら地にした値段ではとんとんだったというような御説明があったように記憶している。それで三菱地所が上物だけを七十一億か何か乗っけたと説明をされました。私はここに大問題があると思うのです。つまり三菱地所だけが二百八十何億の要するにさら地の値段をつけて、上物だけは、いまあなたもおっしゃったように、電話もあるし、冷暖房設備もあるし、講堂もあるのだ、それを七十一億で買った。つまり十四社がそういうような土地の最高の二百八十億とか二百九十億になるような体制をとっておったというところが問題なんですよ。NHKが三菱地所に、上物を乗っけたものだけ七十一億か何か加えたからこれを落札して買ってもらったという、こういう説明をあなたはしようとしていたけれども、ここに問題があるわけだ。つまりおたくの建物と土地を買おうという業者が、二百何十億するような土地を買うものが、この東京では十四人も十五人もいる。しかも上のせした建物だけが七十一億だったというものをひっくるめて三百五十億で買ったというような人が十四人も十五人もおるということが問題なんですよ。一体こういう体制に対して、田中政府が――これは最高の価格を上げるような、土地の騰貴を認めるような、そういう態度を建設省がとっておるところに問題があるわけですよ。それに前田会長として気づかなかったのか。前田会長はどうしてここのところを食いとめて、いわゆる公共放送にふさわしい土地の処分をして、そして借金を返すような体制をとらなかったかということを私は重ねて残念に思うわけなんですよ。これが、三菱地所だけ突出して、そして三百五十億で買ったというならこれだけを締めなければいかぬですけれども、そういう三菱地所に匹敵するようなものが、おたくのあと地と建物を買うために十四人も十五人もおったというところに問題があるわけですよ。そうでしょう。ですから、こういう事態に対してなぜ国務大臣である久野さんは目を光らせて、そういうことについて田中総理に進言をして、この問題を法律的な措置や、あるいは準備金の引き上げや、あるいはその他の金融措置あるいは租税措置によってこれをとめなかったか。ここですよ。あなたは四つの条件だけつけてこの問題に水をあけたということは、国務大臣としての久野さんの責任は免れることはできないというふうに私は考えているのです。時間もございませんので、私は十二時三分までですからこれ以上詰めませんけれども、あらゆる機会を通じてこういう田中政府のいわゆる高度経済成長政策――それならば直ちに電電の五カ年計画をやめさせるべきですよ。先ほどどなたか発言がございました。マンホールでたくさん死んでいる。結局要りもしないような仕事を強行して、そして道路災害を引き起こし、交通災害を引き起こし、公害を起こしておいて、そして千五百万台の電話をつけようというようなむちゃなことをして、広域時分制をやってみたり、あるいはまた債券を十五万円に引き上げてみたり、こういうでたらめないわゆる高度経済成長政策をやめさせなければこの問題は解決しないのであります。あの問題については電電の米澤さんだけ責めたって問題は解決しない。問題は国務大臣であるあなたがいわゆる電電の五カ年計画というまことにずさんな、しかも大衆から資金を集めておいて、おまけにデータ通信などに金をつぎ込むような、住宅電話で将来先行きの不安だというようなものについて金をどんどん投資をする、そうすると減価償却もしなければいかぬ、借金の回収もしなければいかぬ、あらゆる方法で、国有鉄道がやったと同じような赤字で、要するに電話料金を上げることを中心とする一種の企業体になってしまう、こういう結果になるわけです。ですから、あなたとしてはあの質問に対しましても、あなた自身が全責任をもって、いわゆる田中政府の日本列島改造をめぐるところの、四十八年度予算をめぐるところのあの施政演説の中にも書いてございますね、通信ネットワークを完成するといっておる。その内容を受けて、御承知のように米澤総裁はさらに五カ年でこれをつけようとしておる。そういう無謀なことをあなたはとめなければならないし、やめさせなければならぬということを私は考えておる。郵政大臣、どうですか。
  50. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見は御意見として承っておきます。
  51. 土橋一吉

    土橋委員 意見として承るなんというそういう冷たい、全く無責任な答弁で済まされるものじゃありません。これはわが国の今後の動向をどう決定するかという、福祉優先、国民生活優先の基本問題であります。あなたはそれを看板にしておいて、依然として高度経済成長政策を進めるという、いわゆる通信ネットワーク、あるいは交通ネットワークの一路線を歩もうとしておるから、そういうような答弁になってくる。真に国民のために物価高を押える、重税を押える、四十八年度予算を再編成して国民の期待にこたえる、あるいはまた公害、交通災害、重い税金の問題について真剣に考えるならば、そういう答弁はできないはずです。意見の違うどころの問題じゃありません。あなた自身が責任を負う問題でありますよ。意見が違うからおれは知らぬなんというべきことじゃないのです。私も日本国民、あなたも日本国民です、個人的には。それが物価高で苦しんでおる。土地騰貴で苦しんでおる。あるいは食品に至るまで買い占めをしておる。こういう反社会的な行動を断たなければ解決しないじゃありませんか。所見が違うということで済まされる問題じゃございませんよ。もう一回誠意のある答弁をしなさい。
  52. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見はまことに貴重な御意見もございます。理解できる面もございます。しかし所見を異にする点もございます。でございますから、私は土橋委員の御意見を承っておきます、かように御答弁申し上げた次第でございます。
  53. 土橋一吉

    土橋委員 きわめて不満で、お聞きの皆さんもわかりますように、まことに皆さんのたらい回しになるような傾向にあるので私は遺憾に思いますけれども、率直に申しまして、日本共産党が主張しておる民主的にして、しかも農業、工業、住宅が調和のとれた総合的な国土開発を祈願しておるから私は申し上げておるのであって、その点は御了承願いたいと思うのであります。  さて、いまUHFの波とVHFの波の問題について、この間度瀬元郵政大臣の御説明によると、何かちょっと足踏みしたような話を承っておるわけです。これは御承知のように、国民の電波をえてかってに一郵政大臣が閣議決定と称してUの波に変えたわけです。これはあくまで追及しなければなりません。郵政大臣はかってにそんなことができる権限を持っておりません。国民全体の公聴会、特にNHKさんをはじめとする業界がどういう損害を受けるのか、また受信者である二千何百万の諸君がコンバーターとかオールチャンネルのテレビを買わなければならぬという事態についてどういう責任を負うかという問題と兼ね合わせて、この問題について久野郵政大臣は一体これはこのまま併存をしてやるのか、UHFの波はやめてVHFに依然としてやるのかどうか、あるいはこれに対してどういう態度をとろうとしておるのか、明確な御答弁を願いたいと思うのであります。
  54. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 テレビジョン放送のVからUへの移行の問題でございますが、これは廣瀬大臣当時、たしか、この基本的な方針は変わらないけれども、移行の方法等についてなお検討すべき問題があるというぐあいに申し上げたように記憶しております。  それで現在、テレビジョン放送周波数をVからUに移行するということにつきましては、その基本的な方針は変えておりません。ただ、いろいろな問題があるわけでございますので、それの究明を目下行なっているところでございます。  まず受信者につきましては、国民のUHF放送の受信体制というものが完備しなければなりません。そのためにはオールチャンネル受像機というものの普及が必要だと思います。それから……
  55. 土橋一吉

    土橋委員 そんなことを聞いているのじゃない。あなた何を勘違いしておるのですか。郵政大臣として、国務大臣としてUHFの波をあくまでもやる考えか、併存するのか、それともやめて従来のVHFの波でやるのかということを聞いておるんですよ。あなたのは答えになっていないですよ。郵政大臣はどう考えておるのか。
  56. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 いまお答え申し上げましたとおり、Vの波をやめてUに移行するという基本的な方針は変えておりません。ただ、移行の方法等につきましては問題がございますので、目下検討中でございます、こういうことを申し上げたわけでございます。
  57. 土橋一吉

    土橋委員 久野大臣も日が浅いので、これ以上私も責めようとは思いませんけれども、ここらでもうやめたらどうですか。小林郵政大臣のときそういう無法なことをやって、NHKさんだって九百億とか一千億円の金がかかるようなことをやっておるんですよ。しかも多くの放送業者はこれによって非常に困っておる。もうかった者は通信メーカーだけ。テレビを売り込んでもうけたのですよ。そういうことはもうおやめになって、Vの波が特に都市の難視聴の問題に対して――プラザホテルとか住友ビル等が大きな問題を起こしているわけですから、ここらで郵政大臣は勇断をふるって、そういう誤った、小林、井出、三池、廣瀬各大臣の轍を踏まないで、あなたはきちっとVの波をおやりになるように私は要望する。あなたの所見をほんとうは聞きたいんです。聞きたいんですが時間もございませんし、あとでまたゆっくり聞かしていただきます。  第二番目の問題は、前田会長にお尋ねいたします。いままでベトナム侵略戦争についていろいろ放送していただきました。しかし、この問題については、当初NHKはUPとかAPとかあるいは外国の報道をしたことによって、事実を報道したといって国民を欺瞞をしてまいりました。しかしながら、ふたをあけてみれば、あの和平協定で示されておるように、南方においてグエン・チュー政府に匹敵する解放臨時革命政府がちゃんと当事者となって、しかも北は御承知のようにベトナム民主共和国として発展をしておる。この和平協定の内容から見るならば、明らかにアメリカが侵略的な軍隊であって、彼らが無法なことをしたということについてはもはや全世界の人がはっきり知ったわけであります。それに対してあなた方のいままでの放送は一体何であったか。なるほどある面においては解放民族戦線の、いわゆる解放軍のことも最近おやりになった。私も見ております。また北ベトナムのことについてもドキュメンタリーとしていろいろおやりになった功績は多とするものですけれども、それにつながるところの佐藤政府や田中政府の戦車輸送の問題、こういう問題に対して、あなた方が報道だ報道だと国民に与えてきたこのニュースやあるいは解説が、この和平協定のふたをあけてみたら国民はあ然とせざるを得ないようなことになっておった。この放送についてあなたはどういう経験、教訓を学び取って、今後日本放送協会としてどういうふうにこういう問題について善処すべきかという貴重な――いい点もございます、しかし教訓はどういうふうにくみ取っておるのか、これを私はどうしても聞いておかなくてはいけない。事と次第によっては――この問題についてあなた方のやられた放送の中には、これは十四、五年続いた内容でございますから全部責めるわけにはいかぬけれども、放送の真実を伝える、事実を国民に知らせる、うそは伝えない、この基本的な内容から見ると一体どういう反省をしておるのか。どういう経験、教訓を真に学び取っておるのか、私は聞きたいのであります。
  58. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもはたてまえとして、放送法の第三条にも第一条にも明快な原則が示されておるわけでございますが、それに従って不偏不党の放送をするということがたてまえでございます。しかし、ただいま御指摘の地域の問題については、われわれとしては従来からもいわゆる不偏不党のニュースの収集を必要と考えまして、あらゆる努力をしたことも事実でございます。しかし、現在の国際社会体制の中で、すべてにフリーアクセスと申しますか、ニュース源に自由に近づけるという状態は必ずしも現存していない。その中で、しかしなるべくこれを客観的に伝えたいという努力をしてきたことはお認めいただけると思います。ただ、アメリカが勝ったのかアメリカが負けたのかという点については、これはNHKがみずから判断すべき問題というよりは、客観的に社会が判断する問題ではないかと考える次第でございます。  たとえば、相模原から出ていく戦車の補修後の現地への輸送等については、純粋なニュースそのものは連日放送しておりますし、私どもとしては原則に最も忠実な努力をしたと考えております。そういう意味では、いろいろな意味でニュース源に接触する可能性が世界共通にフリーになることを私は強く期待いたしたいと思います。
  59. 土橋一吉

    土橋委員 それ以上はなかなか言いにくいでしょうから私もよくわかりますけれども、とにかくこの十数年間にわたるアメリカのインドシナ半島を中心として、特にベトナム侵略戦争、それに対して解放民族戦線なりあるいは北ベトナムのとった正当な行動がはっきりと和平協定にあらわれておるわけです。したがって、アメリカが明らかに侵略者であったことも、和平協定の内容、特に南方における解放民族戦線の条約上における地位などを見るならば、もうきわめて明瞭です。  ですから、私は、そういうことについて誤ったことだけを責めておるのじゃなくて、将来もこういうことが国内問題にしても外交上の問題についても起こる可能性が十分ある。それで、今後、あなたがいま仰せになった放送法の第四条あるいはまた四十四条の規定なりその他の規定をもってほんとうに真実を国民に伝える、この問題についてどういう教訓をくみ取っていただいたかということを聞いておるのであります。ですから、そうむちゃな注文じゃございませんので、安心をして答弁をしていただきたいのであります。
  60. 前田義徳

    ○前田参考人 私が先ほどお答えしたことに尽きるかと思いますけれども、せっかくの御質問でございますので私の気持ちを申し上げますと、戦争にもいろいろありまして、私が記者としての経験によりますと、単純な国際的な戦争あるいは内乱と関連する国際的角逐、そういうような面につきましては、私も若い時代から世界各国のそういう現場に従軍もしております。しかし、これを結論的にどっちが勝ちどっちが負けたと判断するかという意味での御質問でありますと先ほどの点に要約されると思いますが、しかし私どもとしては、失礼でございますが、私の過去の経験ではできるだけ両方の立場を明らかにしていきたいという努力をいたしてまいりましたし、NHKとしても放送法の原則、これが実感と一体化する道を今後もさぐるべきであるという印象を深くいたしております。
  61. 土橋一吉

    土橋委員 時間が参りましたが、最近私は平沢和重さんのベトナム問題についての解説を拝聴いたしました。いろいろ克明に分析されておったし、傾聴に値する全くいい解説でございましたけれども、ただ、ベトナムのいわゆる臨時革命政府の問題についての解説は残念ながら非常に古い。いままでのNHKの報道のからがどうもついておるような感じを受けて解説を承ったわけです。ですから、和平協定が結ばれ、しかもパリにおいてこれは調印をされておりますので、世界平和のため、またアメリカにかようなことを今後二度と再びやらせないためにも、ぜひこういう点ははっきりさしておくということと、いま一つは、田中政府の第四次防という防衛二法案といわれるこういう問題と関連をしまして、われわれ共産党・革新共同は反対です。こういう事態において、七千名も増員したり、あるいは他国攻撃用のC1とかT2高等練習機を入れるとか、こういう全く軍国主義的な方向、これについてはわれわれは反対ですが、こういうことについても政府答弁を十分反映さして、われわれの意見が反映できないような処置ではなくて、やはりいま仰せになったように公平に、自由民主党の立場あるいは共産党・革新共同あるいは社会党その他の野党の意見もちゃんとわかるように、ひとつ今後とも一そうの努力をお願いいたしまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  62. 久保田円次

    久保田委員長 次に、田中昭二君。
  63. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 NHK予算案につきまして質問申し上げます。  昨日から、各委員の質問なり、郵政大臣をはじめ前田会長のそれに対応する御答弁を聞いておりまして、私は、この四十八年度のNHK予算案に対しまして一般国民が寄せておりますものの一つの重要な論点というのは、やはりこのNHKのあと地売却問題、これが重要な要素になっておる、このように思いますし、これに関連いたしまして起こりました世論というもの、並びに選挙後のいわゆるこの問題のクローズアップ、またこれに対する各関係者のいろいろな努力、また特に昨日から聞いておりましても、郵政大臣もたいへんこの問題についてはほんとうのところ心配されておった、このように私はまず理解しておるわけでございます。そこで、その心配も、それぞれの努力郵政大臣としてなされて、いわゆる本年度郵政大臣の意見書とは違った、久野郵政大臣としてのいままでにない意見書をつけられた、このようにも思うわけであります。この意見書が、どのような形で政府がNHK予算に対して当たるかということについても、また国民の眼はそこにあった、このように思うわけであります。でありますから、この久野郵政大臣の意見書につきましてまずお尋ねしたいのであります。  四十七年、当年度と四十八年度のこの意見書を見てみまして、当初からたいへん当年度とは違った意見が付されておる、このことについては昨日からいろいろ論議もされております。なるべく重複を避けたいと思いますけれども、私は先ほど言いましたように、大臣もたいへん心配された、そういう点についてはもう少し聞きただしておかなければならない点がある、こう思います。そこで時間も制約されておりますから、私簡単にその個所を指摘しながらお聞きしますので、どうかひとつ具体的かつ簡略でもけっこうでございますから、率直にお答え願いたい。  まず最初に、先ほどから問題になっておりますこの予算案は、「おおむね適当である。」ということでございますが、四項目についております意見書の中で、三番目に「受信料については、」云々とこうございます。ここで問題になるのは、国民が一番聞きたいことは、こういう売却益を国民に還元するということならば、この受信料については長期に値上げはしてもらいたくない、そういう国民要望に対して、この極力長期にわたっての受信者の負担を増さないようにということばが出てきた、こう思うのです。この時期というのはいつまでを郵政大臣としては適当とお考えになっておるのか。私はただ通り一ぺんのことでは済まされないと思うのです。私は郵政大臣がこれだけの意見をつける以上は、はっきりしたものを持っておかなければならないと思いますから、そういうことを前提に入れながらお答え願いたいと思います。
  64. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘の点はたいへん貴重な御意見でございます。私自身といたしましては、この受信料の問題につきましては、意見書を書きます際に非常に意を用いた点でございます。ただいま御指摘のとおり「極力長期にわたって受信者の負担増をきたさないように努めるべきである。」その意味はどうか、こういうことでございます。期間はどうかということでございますが、私は期間は明示いたしておりませんが、私は、経営者自身が経費の節約それから収入の確保、こういう点についての経営努力をするならば、必ずや長期にわたって受信料を値上げすることは避けられるのではないか、かように考えまして、「長期にわたって」というふうに表現をいたしたような次第でございます。
  65. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 「極力長期」ということについては、それでは大臣のお考えはただばく然と「極力長期」ということしかないわけですか。私は、それではほんとうに心配されて大臣がこういういままでにない意見をつけられたということについて少し納得がいかないのですが、はなはだもの足りないのですが、いかがでしょうか。
  66. 久野忠治

    久野国務大臣 伝えられるところによりますと、昨日以来関係者の皆さんあるいはまた委員の各位から、受信料の値上げは三カ年間はやらないとかあるいはやるべきでないとか、いろいろの日限が示されたように私はここでお聞きをいたしておるのでございます。しかし、このようなきめられた年月というものについてはこだわらない。そういうことではなく、先ほど申し上げましたような経営努力によって、聴視者の皆さんにお報いできるような努力を積み重ねるべきである、かような意味で私は長期ということばを用いたのでございますので、その点を御理解願いたいと存じます。
  67. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 一方はわかったような気持ちがするのです。理解できるような気持ちもするのですけれども、「極力長期」ということをおっしゃる以上は、私はそれを考えますと、やはりどうしても何か一つの目標があると思うのです。そういう点を御答弁できないならば、これはまたいままでどおりただ意見書――意見書というのはもう過去何十年も私も見てきました。大体同じような字数であまり変わってない。ただ、ことばが変わっているのは何カ所かくらいしかありませんよ。私はさっきから、土地問題についていろいろ御意見がここで述べられて、ああほんとうにそうだというような気持ちがしてならないのです。ですから、それにこたえるための意見書であるならば、たいへん足りない。そういう確信のないことじゃ国民は納得できないということで一応この期間的な問題については終わりたいと思います。  そこで、いま大臣もお述べになりました第一項目に、「極力経費の節減と収入の確保」云々、このようにあります。この経費の節減と収入の確保ということは、私はおそらく大臣がNHKの経営状態を全部把握して――ほんとうはこういうことばは、きちっと把握しなければ言えない問題ですよ。たとえば一〇〇なら一〇〇の経費が出ておるならば、これはこうこうこういう理由によってその一〇〇のうち同割経費が節減できるかというような認識を持たなければ言えません。収入確保についてもそうです。たいへんいままでにない、NHKの予算の中の受信料の収納についても、やれ不払いがある、やれ未契約がある、そういうものをいままで発表しなかったじゃないか、そういう問題もありますならば、収入確保ということについても具体的に大臣がお知りになった上での経費節約であり、収入確保でなければならないと私は思うのですが、常識的にどうでしょうか。
  68. 久野忠治

    久野国務大臣 NHKの四十八年度の収支予算によりますると、経常事業収支におきましては九億八千六百万円の支出超過となっておりまして、前年度に比べますと一億六千六百万円の増となっておるのでございます。したがいまして、私といたしましては、やはりNHKの事業というのは主として受信料収入を財源として運営をされておるものでございますから、経営収支での支出超過には特に関心を払って慎重に配慮すべきではなかろうか、これが私が申し上げておりまする経費の節約という意味でございます。先ほど御質問に対してお答えを申し上げましたように、具体的な私の考え方の一つとして、ただ単に金をかけさえすれば聴視者にこたえるりっぱな番組ができるのだという性質のものだけではないと思うのであります。それから、大きな放送センターをつくったからそれでNHKとしての使命が達成できるというものでもない、私はそういう認識を持っておる一人でございます。やはり公共的な性格を持ったNHKであるだけに、十分そういう点等についても配慮して、でき得る限り経常収支につきましても赤字を出さないように努力をするということが必要ではないか、かように考えまして、具体的な一、二の私の考え方の一端を申し上げたような次第でございます。
  69. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 おことばを返すようでございますけれども、経常収支で九億の赤字が出ているということは私も予算書を見ましてわかっておるのですよ。その経常収支の問題でも、当然どこをどう節約すればいいということを考えなければ経費の節減なんということは言えない。これはどうしても大臣と私の数字的な問題についての見解の相違でございますから、もうそれ以上取り上げません。時間の関係で、私はまだまだ問題が、あと地の問題に続き受信料の問題、受信料の未契約未払いの問題、それから難視聴対策の問題、衛星打ち上げに関する問題、その他施行細則の改正に関する問題等、たくさんあります。ですからそこはもう簡単に、ひとつ要領よくお答え願いたいと思います。  そこでもう一つ大臣に聞いておかなければならないことですが、きのうの答弁を聞いておりまして、先ほどもちょっとこの問題に触れられた方もありましたが、私は先ほどから言いますように、NHKの経営の将来について収入の確保並びに経費の節減という問題についてはいろいろたいへんな問題を含んでおると思います。ですから、そういう問題については大臣みずからも将来のことをたいへん心配しておる、そういうお話があったと思います。これも簡単に、その大臣が心配しておられる点は具体的にどういうことか、お答え願いたい。
  70. 久野忠治

    久野国務大臣 御質問の要旨は事業収入のことであろうと思うのでございますが、この事業収入確保につきましては、いろいろ法令上の制約もあり、問題のあるところでございます。しかしながらその現在の制約の範囲内においてNHK当局はできる限りの努力を傾注してほしい、こういうことを私は意見書の中で指摘したような次第でございます。
  71. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いや、それはきのうからずっと聞いておるのですよ。きょうもだいぶん御答弁があって、聞いております。私は、その収入の確保と経費の節減で心配しておるとするならばもう少し――それでは、NHKの現在の予算の中のどういう具体的なものを心配しておるのだというようなことが全然なくておっしゃったのですか。きのうの答弁を私聞いておりまして、たいへん心配しておるからというようなお話があったと思うのです。その心配しておるところは具体的にどこですか、どういう面ですか、こう聞いておるのです。もう一度お答え願いたい。
  72. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど申し上げましたように、四十八年度予算で赤字を出しておるわけでございますから、そうした点等を含めて私は心配をいたしておる、そういう意味でございます。
  73. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうも私の思っておることと大臣のお答えになることがかみ合わないようです。先ほどちょっと触れられました収入の確保――いまおっしゃったことは経費の問題ですよ。収入の確保の問題についても御心配なんでしょう。心配ということは、NHKがこういう面について努力をするならば可能であろうというような面もあろうと思うのです。しかし、その努力をすることが郵政大臣としてはどのように心配だろうかということを聞いておるのです。もう少し具体的に、こまかい問題でもいいですから取り上げて、お答えいただけませんか。
  74. 久野忠治

    久野国務大臣 事務当局をもって答えさせます。
  75. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 御承知のように、四十七年度のNHKの収支予算におきましては八億二千万円の赤字が出ております。これは経常収支における支出超過でございます。それがいまNHKの経営努力によりまして相当程度赤字が縮まるというようなお話も伺っております。したがって、四十八年度におきましても同様な趣旨で、九億八千六百万円の赤字をできるだけ縮小していただきたい、こういう趣旨でございます。
  76. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私はそういうことを聞いてないのですよ。さっきから言っておるでしょう。この貴重な時間をそんなことに費やしたくありませんから、あとでまた時間があればこれは問題にしていきたいと思います。大臣もう少し――いいんですよ、みんながこのNHK予算についていままでこれだけいろんな意見の開陳をやっておる中で、ほんとうにもう少し率直に答えてもらわなければいけないと私は思うのです。そうでしょう。  それでは次に移ります。あと地の売買については、たいへん高い値段で売買されたということは、もう私がここでくどくど述べる必要もないと思いますが、そこで昨日からの郵政大臣なり会長さんの御答弁を聞いておりますと、いろんなことばの使い方はどうにしましても、現段階においては合法的でもあり、やむを得なかった、経営者の立場からもそういうふうに思うというような御回答があったと思います。国民に利益金を還元するということについても、その償いとしてやっておるのだ。またそういうことについても今度は監督官庁の郵政大臣も大体そのようなお考え、だから「おおむね適当」というようなことばをお使いになったと思うのですが、私は、かりに合法的であったとしましても、常識的に言いまして、法律の前提には社会体制なりそこに生まれてくる秩序というものが、社会秩序といいますか、みんなが納得し、みんなが合意をするというようなものでなければならない、そういうものがあって初めて法律を守り、そして問題が解決される、こういうふうに私は思うのですが、いまの土地の投機に対しましての競争入札というような合法的な問題の根底にあるものは、大臣どのようにお考えになっておるか、社会通念的なものでもけっこうでございますから、御意見があればお聞きしておきたいと思います。
  77. 久野忠治

    久野国務大臣 この入札の経過あるいは方法などにつきましては、皆さんにいままでいろいろとお答え申してきたとおりでございまして、その措置そのものは私は合法的であったと存じます。しかしながら現在のように土地政策の問題が大きく世論に取り上げられまして、そうして異常騰貴の呼び水になったという世間の批判については私自身十分承知をいたしておるところでございますから、何らかの形において、この売り上げました三百五十四億の使途について、聴視者の皆さんにお報いするような方法はないものか、そういう観点から内容をいろいろ検討をいたしたような次第でございます。
  78. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その国民に還元する使い道の内容については、まだまだ何にもわからないのですよ、そうおっしゃるけれども。そうでしょう。百二十億にしても百八十億の返済にしましても、安定資金にしましても、そういえばいろいろ問題はございます。私はどうもいままでのお話を聞いておりましても、まず政府部内もNHK当局も持っておりますところのいわゆる法律以前の前提といいますか、こういうことを論議していいかどうかわかりませんけれども、結局こういうことを論議しなければこの問題の核心に触れないというところに私は問題があると思うのです。先ほど土橋委員のお話でも、皆さん聞いておって確かにそういう問題があるわけですから、その認識をどうするかということが大事でなかろうか。いわゆる法律以前の前提の、何か常識といいますか慣例といいますか、それは何だろうか、こう見ていきますと、いま言いましたように政府部内もNHK当局も同じ観念に立っておられる。そうですね。そうしますと国民の批判する世論というのはどうなりますか。政府並びにNHK当局の方がお考えになっておることと、国民の高いというその批判の原点というものは違うのでしょうか、どうでしょうか。
  79. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほども申し上げましたように、現行法令上のもとにおいては、正当な手続を経て公開競争入札が行なわれたわけでございます。でありますから、その手続そのものにつきましては、私は、何ら違法性はない、かように存ずる次第でございます。しかし、そのことと土地対策の問題とにつきましては、先ほど土橋委員にお答え申し上げましたように、私の所管外の問題と、国務大臣としての立場で考える問題と、二つに分かれておると私は思うのでございます。でありますから、今回のNHKのあと地の処置の問題につきましては、私は所管大臣として処置すべきものである、かような観点に立ちまして、ただいま御指摘のような意見書その他を付しまして、そうして皆さんの御審議をいただいておるような次第でございます。
  80. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは大臣、そこをもう一歩私は問題に踏み込んでもらわなければいけないと思うのですよ。大臣も、大臣として一自分の生活を考えてみましても、個人的な私人的な生活もあるんじゃないですか。それでは、いままで答弁なさったようなことと、国民のその持っておる高いという通念と違うということですかと私は聞いておるのです。これはNHKの会長さんもひとつお答え願いたいと思います。あなたたちが持っておる合法的であり、また社会通念の上からいってもこうせざるを得なかったというそういう原点と、国民が持っておる高いという考え方は違うということですね。どうでしょうか。
  81. 久野忠治

    久野国務大臣 法治国家である以上は法令の定むるところに従ってまず処置をすることが妥当な措置である、私はかように考えます。
  82. 前田義徳

    ○前田参考人 やはり法治国家としての意味での民主主義の社会では、公人、私人を問わず使い分けるべきではなく、やはり法治主義の原則に従って前進すべきだ、このように考えております。
  83. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私もそのことは一応理解しわかっておるつもりですよ。その法治国家の上でのあなたたちのそのお考え方が、国民の持っておる――きのうは二千八百万の聴視者と直結しておる庶民の何のかんのというお話もありましたけれども、そういう人たちの考えと違いはしませんか。違わないなら違わないでいいです。もう一ぺんお答え願いたいと思います。
  84. 久野忠治

    久野国務大臣 世論の動向については私たち政治家は十分配意すべきであると思います。また、所管大臣といたしましてもそういう点等については十分配慮すべきであると私は認識はいたしております。しかし私といたしましては、ただいま申し上げましたように、法令の定むるところに従ってこれを処置するということが私に与えられた権限でございますから、その権限内において処置をしたということでございますので御理解を賜わりたいと存じます。
  85. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣はきのう、いま土地の騰貴しているときに、このあと地の売却問題は呼び水にならないというような御発言をされたというように私聞いたのですけれども、先ほどその問題も出ましたが、その大臣の御真意はどういうことですか。
  86. 久野忠治

    久野国務大臣 私がこの点を何度も繰り返し皆さんに申し上げておりますのは、このNHKのあと地の売却の処理価額が異常な土地騰貴の呼び水になったという世論のきびしい批判に対しては私はよく承知をいたしております、かように申し上げておるのでございます。それに対して、私、所管大臣としていかにこれを処置すべきか、いろいろ苦慮いたしたわけでございます。何らかの措置すべき方策はないものか、そういう点等についてもいろいろ考えたのでございます。しかし、私は法令上の定むるところに従って、なし得る最大限の措置を講じたつもりでございまして、それが意見書となってあらわれてきたわけでございますから、どうかこの点を御理解の上、十分な御審議を賜わりたいと存じます。
  87. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 呼び水になったという批判は理解しておる、こういうことですね。
  88. 久野忠治

    久野国務大臣 理解ではございません。そういう世論のきびしい批判があることは承知をいたしております、こういうふうに申し上げておるのでございます。
  89. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いや、それは承知しておるから、その呼び水にならないようにしなければならない責任が大臣にあるのじゃないですか。
  90. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほども繰り返し御答弁申し上げましたとおり、現行法令上のたてまえから何らかの措置はでき得ないものか、その点について、私自身も検討いたした次第でございます。しかし、現状におきましては、私のでき得る範囲内というものも法令で定められておるのでございますので、ただいま申し上げましたとおり、意見書をもって皆さんに御審議をいただいておるような次第でございます。
  91. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうも一歩も出られないようですね。そういうことであるならば、この土地問題、また先ほどから、批判されるべきものはほんとうは土地対策の無策だと何べんも繰り返されているのです。では、国民の立場に立てばどうなりますか。批判があることは承知している、それが政治ですか。その批判に対してこたえようというものは何もないのでしょうか、どうでしょう。
  92. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘のような批判があればこそ、その使途について私自身もいろいろと考えました。またNHK当局からも案が示されたのであります。その示された案について、私は意見書を付しまして、皆さんに御審議をいただいておるような次第でございます。
  93. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 前田会長にお尋ねしたいことは、きのうの御発言で、先ほどもありましたが、入札の時期がたいへん悪くて遺憾であったというような御発言がありました。そうしますと、入札の時期が悪いとすれば、入札の時期はいつならばいいのでしょうか。
  94. 前田義徳

    ○前田参考人 入札の時期はやはりあの時期でなければ、NHKとしては処置のしようはなかったと思います。  ただ、御質問の趣旨と関連して申し上げれば、一般的な社会フィーリングが土地問題に集中しておる時期と、われわれが最終的に処分しなければならない時期が一緒だったことは遺憾であるという意味でございます。
  95. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 会長さんにもう少しお尋ねしますが、このNHKあと地が売却されることにつきまして、いままでの経過、国会の論議等を私いろいろ調べてみました。そうしますと、端的に申し上げますが、きのうの御発言では、新しい放送センターをつくるために三百十六億ですか何がしかの金が要ったというお話がありましたが、これは当初からそういう御計画であったのですか。どうも私は、このあと地を売ってその売却代金で新しい放送センターをつくるということ、このことにつきましても、いかにその関係者の配慮といいますか、裏を返せばいいかげんなことがなされておるような気持ちがしてならないのです。時間もございませんので、これはもう過去の事実でありますから私から申し上げますから、私の質問の趣旨をくんで、まとめてお答え願いたいと思います。  端的に申し上げますと、前田会長さんは昨年のちょうどいまごろの時期、このあと地の売却は百五十億程度だと考えておる――この議論は四十三年からなされております。一貫して、この新放送センターの建設費用は百億から百五十億という御説明になっております。もう一回繰り返します。一年前は百五十億といったものが、一年後には三百十六億という。こういうことになれば、私は当初の計画を云々することはできませんけれども、はなはだ残念です。一年前百五十億とおっしゃったものが、一年後には三百十六億の建設費用になった。このことについてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
  96. 前田義徳

    ○前田参考人 御指摘のとおり、四十三年度以来の数次の当委員会において御質問をいただき私の所見を述べた、その金額の最高が百五十億であったということは事実でございます。しかし、土地問題は別といたしましても、過去五年間に私ども経営上の必要で計算した一般物価の値上がりは三〇%でございます。公共料金の値上がりは二〇%になっております。これが社会の現状ではないかと考えております。私どもは、したがって土地の売却については三社に鑑定を頼みまして、その鑑定に基づいてそれをミニマムの予定価格という気持ちを持ったわけでありますが、この三社の鑑定によりますと平均して百五十一億で、さらに公開入札の場合には二割ないし三割幅の値段がつくかもしれないというのが、簡単に申しましてこの鑑定三社の平均した数値でございます。したがいまして、これは私どもの責任というよりは、社会情勢一般がその方向に向いた結果であって、きのうも御質問に答えて申し上げたように、私自身としても驚いたことは事実でございます。
  97. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、どう思われますか。
  98. 久野忠治

    久野国務大臣 私もただいま御指摘の過去の速記録も繰り返し読んでみました。その中に前田会長の、ミニマム百五十億ということばが出てまいります。そのことも私は承知をいたしておる次第でございます。しかし、今回のあと地の処置の入札はあくまでも業者の申し出に基づきまして、そうして公開競争入札で行なわれたわけでございますから、その結果につきましては私は合法的であった、現行法令上これは責めることはでき得ない、かように思う次第でございます。
  99. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、簡単に聞きましたから……私の聞いていることのお答えがないのですよ。一年前にこのあと地の売却は百五十億を予想したということは、会議録を見れば全部わかると言っているのです。それが一年後には――その土地の代金だけではありません、それは建設費用もいろいろあったと思いますけれども、新放送センターを建設する費用が当然百五十億前後であったとその時点までは考えられたものが、きのうは三百十六億という建設費用だとおっしゃったから、それとの兼ね合いはどうなっておるのですかと、こう聞いておるわけですよ。
  100. 前田義徳

    ○前田参考人 放送センターの建設そのものの費用は、きのう申し上げましたように三百十六億であります。三百十六億のうち、すでに聴視者に負担をかけないで消化した部分が、これはただいま数字を記憶しておりませんが、かなりの部分がございます。その残額のうち、今度御審議いただいている予算書に明らかなように、売却益金の中から百八十億の最終的負債を支払うというのでございまして、三百十六億と、売却益は三百十億余りになるわけですが、これは直接の関係がございません。  それから、私自身が国会で百五十億と申し上げた当時は、われわれの事務的計算によりますと、昭和四十三年には九十二、三億であろうという試算が出ております。昨年におきましてもせいぜい百十億前後であろうという試算が私どもの内部では出ておりました。
  101. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 三百十六億の建設費用の中に、すでに国民に還元したものがあるというような御発言がございましたが、このことについては私もまだ勉強の足りなかった点があったと思いますから、これはまたあとでよく伺うことにしまして、私は先ほど意見書の問題で申し上げましたように、国民の多数から受信料を取って、その受信料を取ったものの中から経営していく場合には、このように新放送センターの建設費用につきましても、それでは受信料を払っている人たちは、その受信料が経費として出ていく場合にどこでチェックすればいいか、だれの承認を受ければこの問題が解決できるのかということを考えてみますと、四十五年の新放送センターが建設されるときからの予算についても、私はただ国会承認を得るというこの場以外にないとするならば、あまりにもこの新放送センターについては承認できないようなことが多過ぎる。いまこの土地の問題を一つの契機としてこういう問題が出てきましたけれども、たいへん問題があろうと思うのです。いわゆるNHKが受信料のワクにおいて収支の計画を立てたものをだれが承認し、だれがそれに注文をつけるかという問題については、これは残された問題であろうと思うのです。この問題はまた別に行なうことにしまして、次に私はNHKの受信料についてお尋ねしたいと思います。  先ほどから話があったものを聞いておりましても、受信料を納めるというのは、法的根拠によりましても払うということが義務づけられておりますけれども、それは強制的に取り上げるものでない、この理解はそれでよろしゅうございますね。
  102. 前田義徳

    ○前田参考人 放送法で明記してありますように契約を結ぶわけでありまして、この契約は民法上の性格にかかわるわけでございます。したがいまして、契約した以上はお金をちょうだいするというのがたてまえでございます。
  103. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、受信料を納めない人があってもいいことでしょうか。
  104. 前田義徳

    ○前田参考人 契約した限りにおいては、いけないことでございます。
  105. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 テレビを見るという現実は、契約をした、せぬにかかわらずテレビを見ておるのです。私はそういう実際の現場のテレビを聴視するということをひとつ考えながらお答えを願いたいと思うのです。契約してない人でもテレビを見ておりますね。契約した人もテレビを見ております。その事実は一つも変わらない、いかがでしょうか。
  106. 前田義徳

    ○前田参考人 ただいまの御指摘の点につきましては、重大な相違がございます。ただいままで契約しておられる方と、将来契約してごらんになる方と、いわゆる時間的ギャップというものをお考えいただきたいと思うのです。たとえば、現在のNHKの仕組みとしては領月集金ではございません。二カ月に一回でございます。したがいまして、この予算書にもはっきりしておるように、明年度末の契約者増は、一方において、カラーを中心にして考えますと三百二十万の増になっております。しかし、料金制度は二種類ございまして、一方では白黒の料金がございます。したがって、カラーがふえるということは、きわめて世俗的に申し上げますと、白黒の部分がカラーにかわるという部分も非常に多いわけでございます。したがいまして、総合しての聴視者の増はどうなるかといいますと、新しい契約を三百二十万件と予定して、しかし白黒で二百六十万件の契約が解消されるという意味で、いわゆる純増は六十万件という数字を御審議願っているわけでございます。往々にして、年度ごとに捕捉される契約、達成される契約と不払いという問題とがことばの区別なく使用されるという点で誤解がかなり大きくなっているのではないかというように考えるわけでございまして、いわゆる契約のしかた、それから世帯の増加もございますし、そういう意味での時間的、過程的な意味での未契約世帯というものが残るわけでありまして、この未契約世帯は当然、順を追うて契約の対象となるものでございます。
  107. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は簡単に質問申し上げておるので、答弁も簡単にしていただきたいと思う。なぜかといいますと、私がいま申し上げましたように、現場の事情を見るなら――会長さんですから現場の事情知らないはずはないと思うのです。あなたは一つの重大な事実をお隠しになってお答えになったというのかどうか知りませんが、私の指摘しようとする点をことさら避けてお答えになったように感ずるので申し上げますが、いま契約している人と今後契約する人だけが問題でありません。いいですか。おたくのほうのことばで言えば、未払いとかなんとかいうようなことをたいへんおきらいのようでございますけれども、受信料を滞納している契約者、こういうことばでそれじゃ表現させてもらいますが、この人たちは、テレビを見ることについてもNHKさんには受信料を払わぬでいい、これは庶民も含まれておりますが、世間の有識者といわれる著名人もその中に含まれている。それでは、まずその受信料の滞納契約者というのはどのくらいございますか。
  108. 前田義徳

    ○前田参考人 数字は事務的に担当から答えることをお許し願いたいと思いますが、契約者の滞納部分というものも事実上出てまいります。それは留守であって、二カ月に一ぺんの集金に遭遇しなかった場合、あるいは移動という問題がございます。現在国勢調査の最後の調査の平均でも、全国の世帯移動数は平均一二%をこえており、札幌市のごときは二七%になっております。これは全国組織でございますから、それを地域的に捕捉していきますと滞納という事実も出てまりいますが、この数字はきわめて小さい数字であります。  それから御指摘の著名人でも払わぬのがいるというのはおそらく契約もしてくださっていないのじゃないかと思いますが、その辺についても担当から答えさせていただきたいと思います。
  109. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 時間がないからいいです。その数は私も聞き及んだことがございますからあとに回します、時間がございませんから。  いま会長さんおっしゃいましたけれども、いまも私なりに御注意申し上げたわけですが、契約しておる者と今後契約する者とに分かれるという御答弁がございましたね。それから未払い者というものがたいへん多いということで誤解を受けておる、こういう御発言だった。私はこの誤解を受けておるようなことをなぜNHKは放置しているのだろうか、こう思うのです。受信料を善意によってNHKの公共性、独自性を考えて聴視者が納めておるとするならば、まじめに受信料を納めておる人に対しても、NHKに対して不満や無理解等によって受信料を払わない人たちに対しても、受信料というものはこういうものでございます、NHKはこういう認識の上に立って受信料を国民の皆さんからいただいております、そういうことについては当然――先ほどもちょっと出ましたが、NHKさんは報道機関としてりっぱな機関でございますし、マスコミの専門家でもございますから、いま言いましたように納めない人、納めておる人に対しても受信料というものはこういうものでございますという認識を周知徹底させた上で、正直に納めておる人と比較して、いわゆる誤解や不満を持っている人に対して、納めなければならない状態になっておるということをNHKさん自体がどのように努力されたかということが問題ではなかろうか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  110. 前田義徳

    ○前田参考人 御指摘のとおりでありまして、放置しておくという御発言はわれわれにとっては実は賛同いたしかねる御発言でございまして、われわれは放置しておりません。それからまた、御指摘になりました契約をしたがらない人に対しても全力をあげて、継続的に訪問し、かつ御理解をいただく努力を続けております。
  111. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 会長は、私が幼稚でありますからなかなかはっきりしたお答えをなさるようですけれども、本質はもう少し冷静になってお答え願いたいと思うのです。  それは契約しない人に対して積極的に努力をしていただいていることは認めますよ。しかしそれだけでは、いま言いましたように受信料の根本的な問題から考えれば、受信料をただばく然と、というとおかしゅうございますけれども、善意によって納めておる人にも周知徹底するという努力もすべきではなかろうか、私はこう言っておるのです。努力しておるとおっしゃいますが、私はいままでNHKのテレビなり見まして、受信料というものはこういうもので、こういう法的根拠で、こうやって払ってもらわなければ困りますという御説明を見たことがないのですが、いかがでしょうか。
  112. 前田義徳

    ○前田参考人 テレビでもときどきやっております。ごらんにならなかったかもしれませんが、カラー契約はお済みですかとか、いろいろな特別の、一種のインフォーメーションとしてもやっておりますし、年延べ一日数回になりますが、全国的にそういう話し合いの場もつくりまして努力いたしております。先生の御指摘の点については、全力をあげていることを御理解いただければまことに幸いだと思います。
  113. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 理解しようと思って、いろいろ私なりに勉強したつもりなんです。ところが現状は、いま払わないということについて私発言したことに対して御注意がございましたけれども、事実受信料を納めないという人はおそらく減少してないと私は思うのです。とするならば、ただすなおに善意をもって納めている者との公平さをたいへん欠く結果になる。いままで努力されたということだが、NHKが努力されたとするならば一応それを認めます。しかし、その努力のしかたがたいへん公平さを欠く結果になって、先ほど新聞等にも出ましたように、NHK当局で発表なさった、不払いが二百六十万ですか二百八十万ですかあるというような誤解が出てくるのは、こういう問題をはっきりしないからではなかろうかと私は思うのです。  もう時間がございませんが、まだまだ残った問題がたいへん多いのです。本会議の時間もございますが、あとにも難視聴の問題とかこういう問題がございますので、ひとつ委員長、保留させていただきたいと思います。  受信料の未払いについてはきのうから論議になっておりました。いわゆる非世帯といいますか事業所等の契約云々の問題につきましても、常識で考えてみてたいへん納得のいかない点がある。NHKの幹部の皆さんもいろいろと旅行された場合にホテルにお泊まりになることがあると思います。あるホテルでは部屋の一つ一つにテレビが置いてある。そのテレビを見ようとすればお金を入れなければなりません。私はほんとうなら全部聞いてみたいですね。そういう現実がありながら、立ち入り検査ができないからどうのこうのというようなことはあまりにも知恵がなさ過ぎる。収入確保をどうするとか収納がどうであるとかというようなことをおっしゃるようであるならば、この受信料を公平に納めていただくという立場に立つならば、私たちの日常生活の中には当てはまらないような人たち、当てはまらないような状態がたくさんありながら放置されておることはございませんか。まずホテル等でテレビが各部屋にあって、時間をきめて料金を取っておる、こういう現場に当たられた場合は、そういうものをどう――実際、ホテルとの受信料の契約はどうなっておるかということを伺いたい。
  114. 前田義徳

    ○前田参考人 先生のおっしゃる意味はよくわかります。ただいま担当から説明させたいと思います。よろしくお願いします。
  115. 吉田行範

    ○吉田参考人 簡単にお答えいたします。  実は、昨日米田先生の御質問に対してたいへん舌足らずの答弁をいたしまして、たいへん恐縮に思っておりますが、いま先生から非世帯関係並びにコインテレビの御質問がございましたので、きのうの答弁に加えてごく簡単にお答え申し上げたいと思います。  私どもはできる限りの努力はいたしておるわけでございますが、たとえば、昨日もいろいろお話がございましたいわゆる非世帯、事業所などにおけるテレビ受信機の設置の台数につきましては、いろいろな入手し得る諸統計による事業数をもとにいたしまして、そうしてその内容のホテルとか、旅館とか、会社とか、飲食店とか、喫茶店とか、そういうふうな項目別に区分いたしまして、それぞれの受信機の設置の態様を勘案いたしまして、その台数を推定いたしております。これによりますと推定受信機の設置台数は、今年度末で、昨日も申し上げましたけれども五十八万でございます。この推定台数は、これもきのう申し上げましたように、私どもの全国の網でとらえた数とほぼ一致するという結論になっております。  そこで、さらにこれについてごく簡単に申し上げますと、対象事業所の数は大体百十八万でございまして、その中で、小規模世帯契約になっておりますものが約三十八万でございます。それからテレビを持っておりません事業所の数が五十三万でございまして、これを差し引きますと残りが二十七万ということになりまして、これがテレビを持っている事業所の推定数でございます。これらに対しまして、きのうも御報告いたしましたけれども、約七〇%の契約率を持っているということに相なります。  もう時間がございませんので簡単に申し上げますが、ただいま御指摘のホテルにつきましては、東京の代表的なホテルについても、その部屋数の九〇%はテレビを持っているというふうに考えまして、その九〇%の台数のうち、さらに九〇%は私どもと契約をしているというのが実情でございます。  それから最後に、コインテレビにつきましては、当然そのコインテレビを導入しておりますホテルがその分について契約をし、それから支払うことになっております。以上でございます。
  116. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 本会議の時間が来ましたからこれでやめますが、売却益の使用の問題等については、まだまだ難視の問題もございますし、そういう点にも振り向けなければなりません。そういう大事な問題が残っておりますが、一応そのあとの問題は保留いたしまして、きょうの質問は終わらしていただきます。
  117. 久保田円次

    久保田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三分散会