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1973-03-07 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月七日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 小澤 太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君       草野一郎平君    志賀  節君       楢橋  渡君    長谷川四郎君       林  義郎君    宮崎 茂一君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       久保  等君    森井 忠良君       米田 東吾君    土橋 一吉君       平田 藤吉君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   大村 三郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斎藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   内海 英男君     保利  茂君 同月三日  辞任         補欠選任   土橋 一吉君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     土橋 一吉君 同月五日  辞任         補欠選任   宮崎 茂一君     野田 卯一君 同日  辞任         補欠選任   野田 卯一君     宮崎 茂一君 同月六日  辞任         補欠選任   志賀  節君     山崎  拓君   宮崎 茂一君     福田  一君   小沢 貞孝君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   福田  一君     宮崎 茂一君   山崎  拓君     志賀  節君   小平  忠君     小沢 貞孝君 同月七日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     林  義郎君 同日  辞任         補欠選任   林  義郎君     木村 武雄君     ————————————— 三月二日  日本放送協会昭和四十六年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 久保田円次

    ○久保田委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 ただいま議題になりました日本放送協会昭和四十八年度収支予算等につきまして、私は質問をいたしたいと思います。  まず最初郵政大臣から、このNHKから出されました四十八年収支予算等に付されました郵政大臣意見趣旨をごく簡単に御説明いただきたいと思います。
  4. 久野忠治

    久野国務大臣 結論といたしましては、おおむね適当であると私は認めたわけでございます。しかしながら、予算の執行、事業計画の実施にあたりましてはなお配意すべき点が多々あると存じまして、四点にわたりまして私は指摘をいたしました。  まず第一点は経費の節減と収入確保でございます。第二点は難視聴地域解消であります。第三点は極力長期にわたる受信者負担増抑制でございます。第四点につきましては、放送文化基金設立につきましては、その設立目的がそこなわれないように慎重な配意を求めてほしい、こういう意味意見書を私はつけた次第でございます。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 まず最初の問題であります収入確保の問題であります。  新聞報道によりますと、たいへんなことが書いてある。意見書が出される前に、ここにコピーをとってまいりましたけれど、「大口契約目こぼし郵政省実態調査へ」「二百六十八万台が末契約バカみる?一般家庭」「大口に甘くて個人に厳しい NHK受信契約」「NHK予算また“欠陥” 事業所分あいまい」こういう見出しでいろいろと出ております。その辺につきまして多少私はお尋ねをしたいのですが、昨年の予算のときでもお話があったのですが、契約者とそれに対する収納率というのは大体九九%くらいであるというお話を承りました。そういたしますと、設置台数契約台数との間で相当な開きがあるのではないかとか、あるいは事業所について、たとえば大きなホテルの中で一つしか契約をしてないとかなんとかという問題があるのではないだろうか、率直に言ってこういうふうな疑問がこの新聞等からうかがえるわけであります。これは契約条項を見ますと、当然に取らなければならない。またたくさんの集金人を使ってやっておられるわけでありますが、この辺につきまして、どういうふうになっておるのか、NHK会長からひとつ率直に説明していただき、また今後の対策はどうするのだ、こういうことがあればお話を聞かしていただきたい、こう思っております。
  6. 前田義徳

    前田参考人 いろいろな報道がありましたが、私たちの立場報道の中身を検討いたしますと、まず第一に、きわめて率直に申し上げて、報道は事実と関連のない理解のしかたであるということを申し上げたいと思います。二百六十八万という数字は、簡単に申しまして今後契約対象となる数字でございます。それから事業所百十何方というのは、登録されているいわゆる法人的な形での事業所各省関係数字を大体総合したものでございます。  御承知のように、戦後、この事業所については中小企業あるいは個人企業もある意味では法人の形をとっております。したがいまして、小さな八百屋さんでもあるいは喫茶店でもやはり形式上は事業所という形になりますけれども、実際上はその大部分個人経営でありまして、したがって事業所と住居というものはほぼ一致しているわけでございます。これらの部分を差し引いて、いわゆる大会社であるとかホテルであるとかという問題になるわけですが、これを差し引きますと大体五十八万件と推定されます。この五十八万のうち明年度事業計画では大体四十四万を捕捉することになっております。したがいまして、その捕捉の率は、われわれが推定する五十六万に対して明年度末までに八〇%には達しませんけれども、と申しますのは、いろいろな事業所に私どもとしては立ち入り検査をする権限を持っておりません。したがいまして、いろいろな形での情報収集と、できればその事業主からお話を伺えればこれに越したことはないのでありますが、しかしそれらの問題を除外して見ても、ただいま申し上げるのが実情でございます。  それから、二百六十八万というのは、明年度中に捕捉される契約対象となる数字でございまして、これは不払いとは全く関係がございません。御承知のように、NHK集金あるいは聴視者との接触の方法は二カ月に一回というのが原則でございます。したがいまして、その間に、四十八年度末までにその二百六十八万を対象としてどれだけ捕捉するかという事実上の問題でございます。この予算案をごらんいただければきわめて明瞭でございますが、カラー新規契約としてわれわれは二百六十一万を予定しております。これは契約から生ずる収入総額の六・八%の増でございます。これと並行して、白黒からカラーに変わる場合がございますので、この場合は白黒が減ってカラー契約がふえるというものでございますので、それらを差し引いて、総契約の増は大体六十三万という想定で立てておるわけでございます。しかし、いま申し上げましたように、昭和四十五年の国勢調査でも大体全国世帯移動数は平均して一二%をこえておりますので、したがいまして、この移動捕捉と、それからまた二カ月ごとの集金ということの関連で、この二百六十八万という数字不払いではなくて、明年度中に払っていただく対象数字である、こういうことを申し上げたいと思います。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、事業所については、大口に甘いというような記事とかいろいろありますが、そうではなくて、事業所の中でも小さなところがある、零細企業法人になっているところもたくさんあります。そういったところについては、世帯と同じであるから、世帯のほうで考えたら大体よろしい、こういうふうな考え方であるし、それからもう一つは、いま申しました二百六十八万という数字については、これは人口の移動がありますから、人が動く、ですから二カ月間ずつこう取っていくんですから、そこのズレがありますから、これは必ず取れるものである、たまたま経過的にいうとそういったものになる、こういうふうに大ざっぱな形で理解してよろしゅうございますか。
  8. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりでございます。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 郵政大臣にお尋ねしますが、いまのお話のようなことでありますが、私は、これから情報化時代になってくると、やはりテレビというのはいろいろな情報を伝えるための一つの非常に大きな手段だろうと思います。いまのたてまえでは、受信契約制度というものになっておりますが、やはり車の中でテレビを見る、つとめる先で、事業所テレビを見る、家庭テレビを見る、また家庭の中でも一台だけではない、二台、三台と持つという時代が私は来ると思います。情報化時代におきましては、情報をできるだけ早く、かつたくさんとるということについてはこれは非常にメリットがある。それから、一台しか持ってないような人は情報を少なくとる。私は、当然に情報化時代におきましては、その間において社会的コストの支払いについて差があってしかるべきだろう、こう思うのです。その問題と同時に、NHKというものは文化的な団体であります。国民全体の受信料、しかも国民自発的意思に基づく受信料制度ということになっております。きわめて特異な性格税金で取るわけでもなし、強制的な料金でもないわけであります。そういった制度とのギャップというものがある。このいまのような制度ができましたのもずいぶん前のことであります。新しい情報化時代に入るわけでありますから、そういったことを前提にして、やはりこの受信料問題についてはそろそろ検討していかなければならないのではないか、こう思います。と申しますのは、もう一つの問題がある。  あとお話し申し上げますけれども、今度土地売却がありました。いろいろ利益が出たから受信料は三年間は上げない、こういうような話が出ておる。しかしながら、やはり三年間上げないということは、それじゃ三年後においてはどうするのだ、これはわからないとおっしゃるか、上げるとおっしゃるか知りませんけれども、そういった問題がある。そういったことに対して、この受信料制度というのはきわめて基本的な問題でありすすので、もういまの段階からでも、私は郵政当局におかれてもまたNHKにおかれてもそろそろ検討をしていく段階に来ているのではないか。たいへんこれは基本的な問題であります。情報化社会における基本的な問題でありますから、その問題の一環として私は検討していただくことを郵政大臣に御提案申し上げたい。郵政大臣どういうふうにお考えになりますか。
  10. 久野忠治

    久野国務大臣 NHKというのはきわめて公共的な性格を持った機関であると私は認識をいたしております。それから社会的にも相当私は大きな責任を負わされておると思うのです。それは重要な言論報道機関であるからであります。そのような性格を持っておる機関であるだけに、その運営にあたりましては非常な慎重さが必要であると私は思うのであります。ところが、ただいま御指摘のありましたように、現在の法律制度のもとにおきましてはある程度制約があるわけでございます。放送法の三十二条の規定によりまして、協会受信をするような設備をした場合には、協会との間に契約を結ばなければならない、こういう項目があるだけでございまして、これには罰則規定がないのであります。そのために、税金と同じように強制徴収することが不可能である。さような意味から、林委員の御指摘は、そのような点をある程度考慮の中に入れて、将来放送法なりあるいは電波法なり——電波法のことについてはお触れになったかどうか私ちょっといま忘れましたが、そうした法改正についての考え方いかんという御質問であったやに私は記憶するのでございますが、しかしこれは目下非常に重要な課題でございますから、各方面の意見を聴取しつつ検討いたしていきたい、かように考えておるような次第でございまして、いま直ちにこの問題について手をつけようというふうには考えておりません。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 私はいますぐに手をつけてもらいたいということではない。三年後において必ず問題になるような事態を想像して、まさに大臣おっしゃっておるいろいろな人意見を聞かなければならない、政治家だけではない、文化人、いろいろな方々の意見を聞いてこの問題というのは解決すべき大問題であります。それがゆえにこそ相当早くから手回しよくやっていただきたい、こういうことをお願いしたい次第であります。
  12. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいまの御発言の中に、もう三年後には受信料が値上げになるような意味のことをおっしゃったように思いますが、そういうふうには私は考えていないのです。意見書の中にも申し上げておりますように、長期にわたる受信者負担増抑制について配慮しなさい、こういっておるのでございます。そのためには、やはりNHK自身経営合理化それからもちろん経費の節約、こうした点についても十分配慮をして、そうして三年とは限らずに、やはり長期間にわたってこの受信料聴視者負担増にならないように配慮すべきである、こういうことを私はこの意見書の中で指摘をしておるような次第でございまして、三年間とはきまっていないのでございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 よくわかりました。ただ受信料問題というのは、いろんな問題があるにせよ、やはり相当にいろいろなことを議論をしていかなければならない。情報化時代になれば、当然私は問題になってくると思いますから、大臣、いみじくも御指摘になりましたけれども電波法の問題にも関連いたしまして、電信電話という通信網もありますし、テレビもありますし、あるいは今後対話テレビとか端末機とかいろいろなものが出てきます。そのときのコストをどういうふうな形で持ったらいいかという基本問題が私はあると思うのです。この問題は郵政当局でやられるか、NHKがやるか、あるいは電電公社がやるか、あるいはもう少し広いところの形でやっていかなければ、情報産業基本法におけるところの大問題である、こう思っておりますから、そういったおつもりで御検討いただきたい、こう思っております。NHK受信料につきましては、よくわかりました。  そこで、たいへん新聞紙上を騒がせました問題でありますが、東京放送会館土地建物売却につきまして、競争入札の結果、高値に落ちたということが出ております。この問題につきまして、私は、当委員会であるいは参議院の逓信委員会でいろいろ議論されておったものを調べてみたのです。そうしますと、どうも委員会の空気では、いままであった東京放送会館土地評価が非常に安いではないか、この辺は時価で評価をして収支決算等にあげるべきではないかという御意見もありました。それから、ほんとうに高く売れるのかいな、こういう御意見もありました。いろいろな御意見があった。それで、いままで昭和四十五年ぐらいからの話では、ほんとうに移っちゃって、しかも代々木にたいへんりっぱな建物を建てられる、こちらの建物を売ったくらいの金で一体出るのかねというくらいの危惧が一般にあったことは事実だと思うのです。ところが、こういった土地建物売却につきまして、ああいうふうに新聞紙上を騒がすほどのたいへんな価格で落ちたということにつきましては、一般企業であるならば、安いよりは高く売ったほうがいい、これは企業としては当然のことなのであります。しかしながら、NHKとして、先ほど来申し上げましたようにやはり一つの公共的な性格がある。こういった線で考えまして、一体NHK会長は、こういったものにつきましてどういうふうに基本的に考えておられるのか。新聞報道等も出ておりまして、NHK会長の姿勢はきわめて高姿勢であるというようなお話もどこかでちらちら出ておりました。私は、そういったことは抜きにしまして、この機会に率直にNHK会長は、この問題についてどういうふうに考えておられるのか。NHKは公共的な性格を持った特別な企業体であります。この性格からしてどうであるかということについて、率直な御意見をいただきたいと思います。
  14. 前田義徳

    前田参考人 御質問の御趣旨は私にもよく理解できますし、端的に言って、内幸町の土地建物とその付属施設入札価格が、ときあたかも土地問題その他が国民生活の中で一番大きな問題になっているときに、あれが入札をしなければならなかったという、この期間的な遭遇については、まことは遺憾だと思っております。  しかし、過去十年間を簡単に申しますと、私どものたてまえは、御承知のように全国会館を建てかえておりますが、大体公共団体あるいは市、県、こちらから買い入れたり、あるいはあっせんをいただいたものについては、大体無償か最低の価格全国的にこれを差し上げております。その意味では、あるいは内幸町問題は、三十件余りある処分の方法に対して一つ例外をつくったかもしれません。しかし、この例外は、かねて当委員会においてもいろいろな御審議をいただいて、要するにNHK立場からしますと、二千四百万世帯が零細な聴視料を払っていただいて、現在の放送センターを建設するわけでありますから、しかもこれは土地の問題から入れますと十二年目でございます。あの建設によって、さらに聴視料あるいは聴視者負担を増さないという原則であれを推し進めてきたわけであり、それが完成の時期に当たりましたので、したがって、いろいろな厳密な入札の条件をつけて、そして十五社の入札になったわけでございます。したがいまして、結果は御承知のとおりでありますが、これが、NHK土地問題と関連して、全くNHK公共的性格を無視したものだと御批評をいただくことは、私どもとしてはこの点でも遺憾だと思っております。いま申し上げたように、全国的にごらんいただけば、ほぼ無償かあるいは原価に近いものでお返ししております。  ただ東京会館の場合は、将来の聴視者負担にしないためにこの土地を処理するということを前提として行なったものでありまして、しかも私ども考えでは、実は土地だけの値段が一千万円をこえるというような表現になっておりますが、対象となったものは、土地建物付属設備でございます。土地につきましては、大体十五社のうち四社の評価はほぼ同じであります。建物評価につきましては、十四社は、おそらく建物をこわして、さら地にするというたてまえの評価だと思います。これに対して、落札した社は、現在の建物を使うという考え方での入札でございます。現在の建物は、御承知かと思いますが、設備から申しましても、たとえば地下駐車場千二百坪、常時二百台を置ける設備があり、それからエレベーターも十二基あって、冷暖房も完備しておる。電話回線も三千回分が設備されておる。しかもそのほかに、六百名の定席を持つ大ステージを持ったホールがある。こういうような評価から、最終入札者は七十一億強の評価をしたわけでございます。そういう意味では、土地評価においては、簡単に申しまして、四社の評価はほぼ同じであります。そしてその基礎となったものは大体昭和四十七年一月一日に、いわゆる特定地域公示価格がございますが、この公示価格の約二倍というところが四社の入札価格でございます。しかもあの地域は、御承知のように、あそこに住宅を建てるとか、そういう地域ではございません。これはほんとうに、あそこだけを利用して仕事をしたいという社が目標とする土地でありまして、先ほど申し上げたように、われわれの立場公共機関として、土地の売買が目的でございませんので、全国的に見れば、過去十年間でもこれは実証できますが、大体無償もしくは原価譲り渡しでございます。そういう意味でも、私はいろいろな御非難をいただくことは当然かと思っておりますけれどもNHK最高責任者としての考え方は必ずしも同調できない面がある。同時にNHKは、少し長くなりましたがもう一言申し上げさせていただきますと、現状においてすら二千四百万世帯契約をしております。現在おそらく二千八百万世帯あるいは核家族を入れてそれ以上の世帯はあると思いますけれども、そういう意味一般に概念的な公共機関というばかりでなく、われわれは庶民に直結している機関である、この点をあらためて考慮に入れていただきたい、そういう性格公共機関であるということを御理解いただきたい、このように考えます。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 この辺は少し議論をすれば相当に議論をしなければならないと思います。いろいろと議論もしたいのですが、与えられた時間もありませんからまた別の機会でも議論が当然出てくるだろうと思いますからそちらに譲りまして、大臣にお尋ねしますが、今度この売却代金の中から百二十億円を投じて放送文化基金設立するという形であります。率直に申しまして、全国で難視聴地域というのはまだ相当残っておる。今度のNHK予算を見ましても、たしかいままで六十五万世帯とかなんとかというような説明であったわけですが、今度の資料を見ますと百三十万世帯ぐらいが残っておるのだというような話である。これはどうなっておるのか、あとNHKのほうからその辺について事務的に副会長からでも御説明をいただきたいと思いますが、やはり最大にやらなければいかぬのは難視聴解消であります。それをやるというのを第一義に置かなければならない。国民に広く還元するというのであれば、やはり難視聴解消であります。そういった点につきまして、この放送文化基金をつくって——難視聴解消もおやりになるでしょう、ですが、国際協力であるとか技術開発であるとかいろいろなことに充てられる、こういうふうな話も出ておる。放送文化基金ということになれば当然に郵政大臣の許可されるところの財団法人という形になるのだろう、こう思います。放送文化基金というものについては一体大臣はこれをどう考えておられるのか。私は、難視聴解消というものは国民文化の向上ということからすれば第一義に考えてやるべきだろうと思いますし、これは本来ならばNHKそのものの仕事でありますから、NHKがもう少しその辺でやったらいいじゃないか。五年計画などというが一体いつまでたったら解消できるのか。何か聞きますと技術的に非常に無理があるなんという話であります。これはどうもよくわかりませんが、もう少し早く難視聴解消してもらいたいというふうに思うのです。大臣はこの放送文化基金について一体どういうふうな考え方を持っておられるか、それがまず一点。  NHKのほうからは難視聴解消についての対策についてお答えをいただきたい、こう思います。
  16. 久野忠治

    久野国務大臣 放送文化基金につきましてはあとでちょっと申し上げますが、その前に一言つけ加えさせていただきたいことがございます。  今回の東京放送会館土地建物売却について、異常な土地騰貴の呼び水になったという世論のきびしい批判については私はよく承知をいたしておる次第でございます。しかし、現在の法律、制度のもとにおきましては、これについて私には関与する権限もございませんし、命令をする権限もないわけでございます。このことは林さん御承知のとおりでございまして、そのために私は今回出されました収支予算事業計画につきまして意見書の中で一部そのことを指摘をいたしておるような次第でございます。  その項目の中に出てきておりますのが文化基金の制度でございます。これにつきましては実はNHK側から私はその使途についての報告は聞きました。その中に重要な部門として難視聴対策という項目が加えられておることも事実でございます。しかし、この放送文化基金の使途それから構成、そうした問題につきましては各界の有識者によりまする設立準備委員会を設けまして、その検討の結果を待ちたいと私は考えておる次第でございまして、ただいま御意見のとおりに難視聴対策にこれを全部充てたらいかがかということは、これは御意見として私は十分傾聴いたしますが、これは将来の問題として委員会のほうで御検討いただきたい、かように考えておる次第がございます。
  17. 前田義徳

    前田参考人 御質問にお答え申し上げます。  従来の計算方式もしくは従来の原則に基づくいわゆる難視世帯は大体六十一、二万ございます。明年度予算の中でもその中で十九万世帯解消するという対策を立てております。これに要する費用は七十億をこえるものと思います。人件費関係を入れれば百二十億程度に達すると思います。しかし、最近の生活環境の変化によりまして、従来方式で考え規定した難視地域というものは、同時に全国的な変革を生んでおります。都市の難視などはその最も大きなものでございますが、それと過疎過密の問題があります。そういう点から概算いたしますと、われわれが将来善処しなければならない難視という意味での問題は、その総数は当面大体百三十万前後という計算をいたしております。  これに対して文化基金に予定する百二十億を投じたら直ちに解消できるのかということになりますと、これは不可能でございます。と申しますのは、金によって解消するだけではもうだめでございまして、技術の新しい開発と新しい方式による難視解消ということが必要になってくると思います。そういう意味で私どもは難視解消事業計画の第一の柱といたしておりますけれども、具体的にそれを解消していくためには数年間の特別の計画が必要であろう、このように考えている次第でございます。
  18. 林義郎

    ○林(義)委員 技術開発の問題が出ましたが、おそらく言われんとするところは衛星の問題だろうと思います。衛星によって難視聴解消というのは私は技術開発一つの方向としてはあると思います。しかし、やはり現在ずっと進めておりますことはひとつできるだけ早くやっていただきたい。衛星というのはなかなか時間がかかるわけでありますから、やはりいままでのものを、現在の技術水準、いろいろな形でやっておられるものをできるだけ早く進めていただく。衛星は衛星としてのいろいろな使い方があるだろうと思いますから、その点はぜひそういった形で進めていただくことを私は要望しておきます。  時間もありませんからもう一つお尋ねしたいのですが、予算総則の七条第二項というのがあります。予算総則の第七条では、収入が増加したと弐には借入金の返済その他のものに充てることができる、第二項では、能率向上によって収支がよくなったときには職員の特別給与に充てることができるという規定があります。これは、たとえば四十四年、四十五年ぐらいの収支予算と決算を見ますとたいへんな差異が出ている。予算のときに考えておったものよりは、決算のほうで見れば受信料収入がはるかに上がっているということであります。この第七条第二項だけ読みますと、これは全部職員の特別の給与という形でやれるというふうに読めるんです。もちろん「経営委員会の議決を経て」ということでありますが、私はその点を調べてみますと、他の公共企業体も同じような規定を置いております。アルコール専売、郵政事業、印刷局、それぞれみな同じような規定を置いています。しかし、私はその辺も考えていかなければならないと思う。いま申しました五現業というのとNHK性格というのはおのずから違うわけであります。取っているのは受信料という形で取っておる。国民の同意を得た上で取っているものでありますから、その職員の給与についてもやはりひとしくなければならぬ。特にNHKはほかの事業体と違いまして、政府の監督をあまり受けておらない。国会の予算承認権だけであるというおうなたてまえからいたしまして、何か一くふう要るのではないか。この辺につきましては、全く法律だけで見ますと、受信料がふえたならば全部給与に充てることができる、しかも「経営委員会の議決」という形において、そこのクッションだけだ。そういったことでは、この予算案を国会で審議するのはどうだろうかという気がするのであります。ここは郵政当局におきましてもひとつ御検討いただきたい。それからNHKにおきましても、執行部じゃない、むしろNHK経営委員会としても検討していただきたい。あえて言うならば、経営委員会としても、中で特別に立法の問題としてどういうふうにするのか、われわれももちろん検討しなければならない問題でございますが、ひとつ検討していただきたい。いますぐ直せ——おそらく来年、再来年、予算で立てておる受信料収入とあまり違わないと私は思います。四十七年ぐらいが大体合ってきておりますから、そんなに違わないと思う。ただし法律論として、たてまえ論として、とにかくそういう形になっているということ自体が私は非常におかしいのじゃないか。われわれ法律でなくて予算の審議をいたします。法律でそう書いてある。書いてあるけれども、この規定をそのまますっと読みますと、これは全部経営委員会に持っていくというふうに読める。そういうような規定になっていること自体が非常におかしい。実態問題じゃありません。実態問題がどうだということは私は申しません。法律論、たてまえ論として検討に値する問題じゃないか。この問題を検討してもらいたい。これはほかの五現業その他との関係もありますから、ひとつ検討してもらいたいということが一点であります。この点について大臣NHK会長からお答えいただきたいと思います。  同時に、NHKがこういうふうな形でたくさんの金を取得した。この金はやはり国民のすべてに還元すべき金である。今度基金ができますが、基金につきましては、私は、どこかに金を預けてその預金利息で運営をされるのだろうと思うのです。この運営につきましてはあまり人件費がかさばらないようなことを考える。利息でおそらく八億円か何か入るでしょう。その中で人件費をどっとふやしてやるということはいささかもないように、できるだけ人の数は少なくして、国民に還元されるようなシステムを考えてもらいたいのが第一点。  それからもう一つは、国民に還元するというのは、百二十億円という金で私は国債を買うべきであると思います。現在これだけ過剰流動性が高まってきているときにおいて、一番のいい方法は国債を買ってもらうことであります。金がほかに流れないような形でやってもらうということを御提案しておきます。これは放送基金ができましてからの話でありますから、いまここでどうだこうだという問題ではないかもしれませんが、やってもらいたい。  それからもう一つは、非常にりっぱな建物ができますが、NHKの監督につきましては経営委員会というものがしっかりして、経営の指導をやってもらわなければいかぬ。郵政当局もやはり十分な監督をしてもらわなければならない。だんだん企業が大きくなってきますと、とかく非能率という問題が出てまいるのでございますから、その点につきましては、郵政当局もまたNHK経営委員会もいまに増した監督なり指導をしていただくことを私ば心からお願いしたいのであります。その点につきまして大臣及びNHK会長から御答弁いただきたいと思います。
  19. 久野忠治

    久野国務大臣 第一点の御質問につきましては、検討事項として将来十分研究させていただきたいと存じます。  それから第二点の、放送文化基金の今後の運営のあり方につきまして、まことに貴重な御意見の開陳がございました。そうした点等につきましても十分配慮されて、聴視者の皆さんにこれが還元でき得るよう、そういうような措置が講ぜられることを私は希望いたしておるわけでございまして、そうした点を含めて設立準備委員会において検討されるものと期待をしておるような次第でございます。  それから第三点は……。
  20. 前田義徳

    前田参考人 予算総則の第七条二項の法律的な御意見に対しましては、基本的には私も理解はできますけれども、三公社五現業と異なりまして、NHKの場合には執行機関が当事者責任を与えられているわけでございます。三公社五現業は、御承知のように国家予算を基礎としての運営でございます。しかし、われわれの場合には自主的運営でございますので、事実上この項目が当事者責任を果たすためにはかなり重要な項目になっておるということを御理解いただきたいと思います。同時に、この項目の運営につきましては、国会の御審議の際いろいろな附帯決議もいままでもちょうだいいたしておりますし、それからまた決算報告においても、大臣意見書とこれと関連する国会の御意見もございますわけで、この項目があるからといって、経営委員会におきましても執行機関におきましても、自由にやっているということはございません。それから事実上前年度は約四百万円の収入増でございます。おそらく今年度も明年度収入増はほとんどなくなってくると考えます。しかし、これは私ども立場でお答え申し上げますので、客観的にはわれわれも検討すべき点だと考えております。  それから基金につきましては、お説のとおりこの基金はNHKの金だから使ってしまってはどうかという御意見もあることも承っております。しかし、NHKとしてだけでなく、いまの社会経済の情勢の中で、入った金すべてを使うということについては、われわれはその意味では公共企業体としての一つ考え方を固めなければいけないという考え方を持っております。御審議いただけばおわかりになると思いますが、明年度予算との関連で人件費、事業費についてはこの売却代金は一切繰り入れておりません。そういう考え方で、この百二十億というものが、少し口幅ったい言い方になりますけれども、多少でもNHKを中心としたインフレ阻止に役立つならばという考え方でございます。  これをどう使うかについては、大臣が御説明くださいましたように、今後特別委員会あるいは専門家の御意見などを伺ってその骨格ができ上がることと思いますが、この基金そのものについては、私どもも御指摘のとおり、運営のためのあるいは組織をつくるための費用をミニマムにいたしたいと考えております。それからまた第一点で申し上げましたように、この基金の運営については、はなはだ口幅ったい申し方をいたしましたが、そういう観点からしても国債を中心として運営すべきである、このように考えております。
  21. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま第三点について失礼をいたしました。  極力厳重な監督をせいという御指摘のようでございます。まことにごもっともなことだと思うのでございます。  私が今回の収支予算の中で指摘をいたしましたとおり、経費の節減、収入確保ということに重点を置きましたのもこれでございまして、最初に申し上げましたように、NHKは非常に社会的な大きな責任を負荷されております公共的な機関でございますから、やはりその事業の運営に当たりましては極力経費の節減をはかるべきであると私は思うのでございます。ただ単に膨大な収入があるから、制作についてもかなりの経費をかけてりっぱな作品をつくって、そうして聴視者にお報いする、これも一つ考え方であろうと私は思うのでございますが、ただ単に制作費にその金を投入するということは私はたいへん問題があろうと思うのでございます。そういうことが事業運営に将来非常にいろいろな問題点を投げかけてくることになるわけでございますし、将来は受信料にもまた響く場合もあるわけでございますし、ぜひひとつこの事業運営に当たっては経費の節減に極力つとめてほしい、こういうことを私自身としては考えておるような次第でございまして、さような考え方に立って今後とも指導をしていきたい、かように考えております。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 まだいろいろと御意見もあるだろうと思います。ですが、時間ですから私は最後に締めくくりますが、たいへんなインフレムードということになってきております。私はインフレは単に一部局だけの問題ではない、やはり国民すべてが考えていかなければならない。政府の無策を責めるのも一つ方法かもしれませんけれども、それだけでとどまらない。やはり一つ一つのものでインフレに対して立ち向かっていくということをしないと、国民全体の生活の破滅になるだろうと思うのです。そういった意味で、私が先ほど申し上げましたように国債を買ってもらいたい、過剰流動性をやめるためであります。経費の節減をはかってもらいたい、これもやはりインフレをやめるためであります。ひとつこういう形で努力されることを切に希望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  23. 前田義徳

    前田参考人 先ほどの答弁の中で、ただいまの最終御意見とそれから郵政大臣の御説明との関連部分を忘れましたので、一分間で御説明申し上げますと、放送センターに移行することによって今後三年間の経費の節約は二百十億をこえることになると思います。それは第一に建設費でかなり大幅に節約できますし、それからまた技術運営費でその他を含めて約四十一億の節約ができます。それからまた債務の償還が促進されますので、この点で利子だけで七億の節約ができます。その他これと関連する事業運営費で約四十一億。総額二百十億をこえる節約ができると思っております。
  24. 久保田円次

    ○久保田委員長 次に、米田東吾君。
  25. 米田東吾

    ○米田委員 私はまず大臣にお聞きをいたしたいのでございますが、問題は放送会館売却問題からひとつ質問をしていきたいと思います。  新聞報道によって私理解をしておりますので、間違いがあれば御指摘いただきたいと思いますが、この放送会館売却問題で田中総理の指示によって郵政大臣NHK会長その他関係者から事情聴取を始めるということで乗り出してまいったというふうに理解をいたしております。そこで、田中総理の御指示というのは、郵政大臣、一体どういう御指示があったのか、そしてあなたはどういう御見解でこの事情聴取なり指導をされたのか、まずこの点からお聞きしていきたいと思っておりますので、お答えをいただきたいと思います。
  26. 久野忠治

    久野国務大臣 田中総理から私は何らの指示も受けておりません。そういう事実はございません。どうかひとつその点は御訂正を賜わりたいと思います。私といたしましては協会を監督する権限があるわけでございます。しかし東京放送会館土地建物売却につきましては法令上の制約があるのでございます。その制約の範囲内において私自身といたしましては処置をいたしたわけでございます。以上でございます。
  27. 米田東吾

    ○米田委員 大臣、そうしますと新聞が誤報しているということにしかならないわけであります。私の手元にある一月八日付、これは東京各紙そういう取り扱いをしております。閣議のあとで、田中総理は官房長官を通しまして久野郵政大臣とそれから金丸建設大臣に、どうもこれは高過ぎる、国会対策あるいは土地投機をあおることになるから、長として何とか処置しなさいという指示があった。記者会見であなたのほうでも言われておられるように報道されているわけでありますけれども、そうしますと、特に総理大臣から指示があったのではない、新聞の誤報である、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  28. 久野忠治

    久野国務大臣 誤報であるかどうかは私は存じません。存じませんが、しかし私自身に対しまして、先ほど申し上げたとおり、田中総理自身が指示されたことはございませんし、また、ただいま御指摘のございましたように官房長官を通じて何らかの措置をするようにというような指示も、それはございませんでした。しかも私自身は、この東京放送会館売却問題が世論のきびしい批判を受けておりますることは、先ほども申し上げましたとおりよく承知いたしておりますために、私自身が各方面の方々といろいろお会いをいたしますと誤解を招くおそれがございますので、私はそれ以来閣議の席上以外で総理にお会いしてないのでございます。会っていないということは、要するに総理自身とこの問題について話し合ったことはないということでございますので、どうかこの点を御理解いただきたいと思います。
  29. 米田東吾

    ○米田委員 まあその問題はそうたいして重要な問題でございませんので、ただ、大臣がこの問題に、監督の責任から事情をお調べになったということでありますけれども、少なくとも田中内閣の有力な閣僚でいらっしゃる大臣でありますし、しかもNHKに対する監督権、指導その他権限もお持ちの大臣であります。したがって事務屋の調査とは違うわけであります。相当な御方針と御見識を持って事情聴取なさったのじゃないかと思いまして、大臣はどんな方針でございましたか。簡単に言えば、高過ぎるから、ひとつ世論の批判もあるし白紙に戻したらどうかというような御見解がかりにおありだったのか、それともほかに、売却するにしても他の方法もあろうし、あるいはあの会館の用途その他NHK収入も含めまして第二、第三の方法等を検討なさって、そういうようなものを持って事情聴取なりNHK会長お話をなさったのか、私は大臣のその姿勢を実は聞きたいわけなんでありまして、その点いかがでございましょう。
  30. 久野忠治

    久野国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘の点につきましては、私は二回にわたりまして会長から経過の説明を受けました。それは従来の過去の経過、それから東京放送会館売却するに至った経過、それから売却の際の入札の経過、こういう点について私は報告を受けました。それは報告を受けただけでございまして、私自身の意見は一言も申し上げませんでした。それは二回ともさようでございます。このことは、ひとつここに会長がお見えになりますから、会長からもお聞きくださればよくおわかりいただけることだと思うのでございます。その報告を受けました際の私の印象を率直に米田委員に申し上げますが、NHKというのは、先ほども申し上げましたように非常に公共的な性格を持っておるものであり、しかも多数の聴視者聴視料によってまかなわれておるわけであります。であるだけに、やはり聴視者にお報いするような経営方針で今後これをやっていただくことが一番重要ではないか。さような意味から、今回の放送会館土地売却問題のあとの処置につきましても、やはりあくまでも基本方針は聴視者にお報いをするという考え方に立って措置すべきものである、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  31. 米田東吾

    ○米田委員 大臣の御答弁わかりましたが、意見を述べなかったということについては私は非常によかったんじゃないかと思いますけれども、しかし必要な意見が出ても一向差しつかえない問題でもあろうかと思います。ただ、大臣が気を使われたことはこれはどういうことでありますか、やはりあるいは公共の報道関係にあるNHKの放送あるいは事業そのものに対して介入をしたという非難を警戒されて慎重に意見を述べないで、聞いただけで終わったということでございますか、その点はいかがなものでございますか。非常に重要な問題だと思うのでありますが、私は少なくとも大臣は、これは新聞の取材に応じられた態度はどうだかわかりませんけれども、相当能動的にこの問題につきましては報道関係とお会いになって、所信を披瀝されておられるように新聞には見えておるわけでありますので、大臣も相当の見識なり方針を持っての上だと実は理解をしておったのでありますけれども、そうでなくて、ほとんど意見は述べなかったということでございますから、それはどういう大臣の配慮であったか、今後のためにもちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  32. 久野忠治

    久野国務大臣 この放送会館売却のやり方について、これが適正であったどうか、またこれは適法であったかどうか、こういうような点などもやはり私自身の判断の資料にしたい。そういう際に、現行法上、放送法上のたてまえからいって、どういう介入の権限があるかどうか、そういう点なども私としてはよく検討いたしてみたのでございます。それから世論のきびしい批判に対しましては、私はこれを何らかの措置によって、この批判にこたえる道はないものかどうか、そういう点も私自身は考えたことは事実でございます。しかしながら現在の放送法上の規定によりますると、三十七条の規定以外には私はNHKの収支予算事業計画に介入する権限はないのでございまして、そういう意味から今回意見書をもって私の意見を述べたような次第でございます。
  33. 米田東吾

    ○米田委員 率直に言って大臣のお気持ちは、三・三平方メートル当たり一千百万といわれておりますが、この取引はやはり適法であって合法であったとしても、庶民感情を理解できますか。高過ぎるのじゃないかという見方ですね、非難。大臣のお気持ちはどうでございますか。私は、適法であり自由な契約によって、あるいは入札によってなされたものであったとしても、一般的に不当に高い、不当に安いというものについては、ある程度の批判が出てくるのはこれは当然だと思うし、これにはまた政治的にも道義的にもこたえて、いかなければならないものがあるのじゃないか。不当に安い場合はこれは法律で背任罪とかその他いろいろな方法がありますけれども、自由競争を行なう自由主義、資本主義の場においては、売り手、買い手の関係で不当に高いというものについてはこれは野放しのような関係がありまして、それがいまの土地投機をあおっておるような状態でありますけれども、それにしても不当に高いというものもあるはずなんであります。そういうものについては何らかのものがあってもいいじゃないかという世論は私はあったと思うのであります。そういうような問題について大臣はどのような御見解を持っておられましたか。
  34. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほどの林委員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、異常な土地騰貴の呼び水になったのではないかという世論のきびしい批判があることを私はよく承知をいたしておるわけでございます。そのためにこそ私は何らかの措置でこの世論にこたえる道はないものかいろいろ検討をいたしてみたのでございますが、私の権限の範囲内におきましては、これに勧告をしたり、あるいは介入をしたり、あるいはこれに対して修正を求めたり、そういうような権限はございませんので、そこで私といたしましては、先ほど申し上げましたとおりの措置をいたしたような次第であります。
  35. 米田東吾

    ○米田委員 不当に高い、安いの関係の御見解はどうです。大臣の御見解を聞かしてもらいたい。
  36. 久野忠治

    久野国務大臣 私は公的な立場にある者といたしまして、これが高いとか安いとかいうことを申し上げることは適切ではないのではないかと思います。しかも、この入札は非常に公正な方式でもって、公開入札で行なわれたのでございますから、私はそういう公正な方法で行なわれただけに、私自身の見解を申し上げることは適切ではないと存じます。
  37. 米田東吾

    ○米田委員 やはり新聞報道で私わかったのでありますけれども、この問題について大臣は、衆参——参が入っているかどうかわかりませんが、逓信委員の方々を呼ばれて意見を聴取されておられるようであります。そこまで非常に慎重に御配慮なさったのじゃないかと思うのでありますが、それは私、大臣がおやりになったことでありますから別にどうこうありませんけれども、その種の場合はある意味では、国会の意向を聞くとすれば逓信委員会意見を聞くということだってあっていいと思いますし、別に差しつかえないと私思うのでありますけれども、そういう場合においては正規の理事会とか、あるいは理事会にかけるのが不適当であれば理事懇とか、やっぱり権威のあるそういうものをもって意向を聴取をされることが適切でなかったかと思うのでありますけれども、どういう関係の方々に集まってもらって、どういうつもりで意見聴取をなさったのか、今後のこともありますので——簡単に大臣が呼んで、おいどうだい、ちょっと意見を聞かせてくれというようなことがあって、それがまた新聞報道によって、国会の意向がそうであった、あるいは政党の意見がこうであったというふうにとられても困るわけです。したがって、一月二十七日の新聞にありますのはどういうことであったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  38. 久野忠治

    久野国務大臣 この問題に限って私は逓信委員の皆さんをお呼びしてお話を申し上げたようなことはないように記憶をいたしておりますが、おそらく、私が逓信委員の皆さんを慣例に従いまして小宴をしたことがございました。いろいろ皆さん御意見もございましたが、私といたしましては、第一議員会館の地下にあります食堂の一角をお借りいたしまして、まことにいままで例のないことでございましたけれども、皆さんをお招きをいたしまして小宴をしたわけでございます。その小宴をいたしました際に、このNHKの問題につきまして一言触れたことは事実でございます。その際に、内容についてことこまかに申し上げたようには記憶いたしておりません。どうかひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  39. 米田東吾

    ○米田委員 私の希望的意見は、いま前段の質問の最後に申し上げましたが、私はそういうふうに折り目をつけてもらったほうが、政府対国会、政党間の関係ではよろしい、それが真意でありますから、この新聞では懇談会が持たれたというふうになっておるものでありますから、郵政大臣と衆議院逓信委員会との懇談会では、とこうなっておるものでありますから、それでそういう理解をしたわけであります。
  40. 久野忠治

    久野国務大臣 御注意の点は、今後私は十分配慮して慎重を期したい、かように存じます。
  41. 米田東吾

    ○米田委員 最後に大臣にもう一回お聞きしたいのでありますけれども、この問題は実は大臣がしばしば答弁されておりますように、要するに世論の批判、非難というものは、正当な商行為であっても、ちょっと値段がべらぼうに高過ぎるじゃないか、それから、しかもその売り手がNHKであるとは一体何だ、こういう素朴な意見だと私は思う。そして世論は、そういう高値の土地の取引ができる状態になっている政治の無策というものについての批判はないわけであります。私は、問題にしなければならぬのは実はその点だと思うのでありますけれども大臣ずっとこの問題を取り扱われまして、土地対策あるいは政策というものがいかに緊急に必要であるかということを御理解なさったのじゃないかと私思うのであります。いま国会で土地譲渡の関係の税制が議論されておりますけれども、これはまだ実は不完全であります。現実にこのNHK土地売買後、さらに土地騰貴はひどいものがある、そういうふうにもいわれておるわけでありますが、田中内閣の大臣とされまして土地政策、特に大都市の土地政策というものについて、緊急に政策的に、あるいは立法措置等を含めて対策をしなければならぬということについて、御理解なさったのじゃないかと思うのでありますけれども、そういう関係についてのあなたのお考えをお聞きしたいし、できれば、それが田中内閣の土地政策というものについて重要な参考になっている、現にそういう方向で取り組んでおるというような状態があれば、そういうものを含めてお聞かせをいただきたい。あえて私は建設大臣に来ていただいておりませんが、それはまた別の問題でございまして、郵政大臣が取り扱われました関係から、土地政策というものについてどうそれがはね返って現在進行しているのかということはこれは郵政大臣から聞けばけっこうだと思いまして、以上御質問するわけでありますからお答えいただけませんか。
  42. 久野忠治

    久野国務大臣 私の所管事項外でございます。しかし私は国務大臣の一人として、いま土地の異常騰貴について国民世論が非常にきびしい批判を加えており、国民の皆さんに安い土地を大量に供給でき得るような制度は設けられないものか、あるいはまた法律的に何らかの制約を設けて異常な土地騰貴を押えることはでき得ないものか、そのような不当な業者に対しては税制上の面から制約することはでき得ないものか、このようなことで、いろいろの検討がなされておることは事実でございます。私も田中内閣の国務大臣の一人といたしまして、これらの重要課題と取り組んで、皆さんの御期待に沿い得るように努力をいたしたい、かように思う次第でございます。
  43. 米田東吾

    ○米田委員 建設大臣でございませんので、そう明快な答弁もできないと思います。わかりました。  NHK前田会長に御質問したいのでございますが、NHKとしては今度の会館売却の問題につきまして、先ほどの御答弁でも会長の見解が披瀝されておるようでありますけれども、どのような御見解をお持ちでございましょうか。要するに正当な競争入札でやったのだからそれでいいんだ、非難は当たらないということで一体通るかどうか。先ほどの御答弁を私は聞いておりまして、だいぶ高姿勢、自信過剰というような感じを持って聞いておりましたけれども、やはり世論の批判というものは率直に受ける部分というものはあってしかるべきじゃないかというような感じもしないわけではないわけであります。会長からひとつあらためてお聞きをしたいと思うのであります。ただ私はさっきの会長の答弁を聞いておりまして、やはり会長は、き然としてNHKの自主性というものについては、たとえこのような問題であろうとも政府なりあるいは権力の介入を認めないで自主的に措置をするのだ、確信を持って私は措置しますというその確信のほどが答弁の中にあったように思います。それは私は高く買いますけれども、それだけでは済まされないような感じがするわけでありますので、お聞きをしておきたいと思います。
  44. 前田義徳

    前田参考人 先ほども林先生の御質問に答えて、この会館の処置の時期がきわめて不適当であったという印象を持ったことについては私は遺憾に思っております。  それから第二の問題としては、前国会あるいは前々国会等でも御質問をいただいて、一体どのくらいで売る方針かというところまで私は私の所見を述べておりまして、その意味では予想外に高くなったという印象を持っていることも事実でございます。ただ、一般的傾向から申しまして、御指摘の世論というものの構成が何であるかという問題にも触れるかもしれませんが、簡単に申し上げて、二十歳前後の方から、あるいはまた六十歳くらいまでの方々から、聴視者として直接間接に手紙、電報その他で私に与えてくれた御激励もまたかなり多かったということを申し上げたいと思います。ただ時期的に見て、実は十年前から計画していた処置でございましたけれども、時期としてまことに不幸であったという印象を持っております。
  45. 米田東吾

    ○米田委員 そこで会長、利用方法いろいろ考えられたのだろうと思うのでありますし、国会の意向というものは——いま御答弁ありましたように、むしろおそれたのは不当に安く売りはせぬか——。さっきあなたの答弁では、全国の地方の会館は大体原価もしくは安い値段で、しかも公共施設その他に提供するようなかっこうで処分をしておる、例外だという御答弁でございますけれども、過去の逓信委員会等でいろいろ注意を喚起し、また希望を述べたのは、不当に安く処分をするのじゃないか、それでは受信料を納めておる聴視者にはね返ってくるし、その利益に反することになる、こういう懸念が強かったと私は思うのであります。いままでそうであったわけであります。このような例外は予想してなかった、私はそう思うのでありまして、それを逆にとって、あなたの記者会見の中でも、あるいは御答弁の中でも、しばしば国会の御意向もそうなんだというふうに使われておるのはちょっと私は筋違いじゃないかという気がするわけであります。しかしそれはとにかくとして、結果的に正当な商行為によってあの値段がきまったことは、私はそれでやむを得ないと思っておりますし、いまさらここでどうこう申し上げてもこれはもう手おくれだと実は思います。ただあなたは最初に、処分の方法として、あの会館一般土地商社に売るというようなことよりも、場合によれば公共施設あるいは福祉施設あるいはあなたが記者会見で発表されておりますように、買い手さえあれば国でも自治体でもいいのだということを言われておりましたが、そういう方向でこれを処理されるということについてはお考えにならなかったかどうか、この点はいかがでございましょう。
  46. 前田義徳

    前田参考人 まずきわめて高姿勢だという点、あるいは国会の示唆を誤解しているのじゃないかという御印象の上に立った御質問からお答え申し上げてまいりたいと思いますが、NHKは御承知のように普通の公共企業体、いわゆる政府の権力を代行する企業体ではございません。これははっきり申し上げて二千四百万世帯の一種の組合拠金的な形において成立している企業体でございます。したがいまして直接の問題は、政治的には別でありますが、われわれがこの企業体の執行最高責任者としてまず考えなければならないことは、いろいろな建設によって聴視者負担をふやすという方法はとるべきでないという考え方でございます。これはしたがってわれわれの企業体性格は、地下鉄とかあるいはその他全く異なる不特定を対象としたものではございません。したがってその意味では私どもは、まあこれもおこがましいとおっしゃられるかもしれませんが、そういった意味での国民的な背景を考えながら私としては適当な値段で売りたかったということは事実でございます。しかし、どこが買ってくれるかという問題は、私は御指摘のように国であっても公共機関であっても差別をする気はございませんでしたし、今日でもございません。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕 しかし国がこれを買うというようなこと、あるいはいろいろな社会施設がこれを買うというような状態にはなっておりませんでした。そうすればやはり原則に従う処置よりほかに方法はないというように考えざるを得ないわけなんです。そういうような環境から、私としても率直に言って予想を越えたということは事実であり、時期がきわめて不幸であったということも事実でございますが、私はただ高く売れればいいということだけを考えてこの処置はいたしておりません。
  47. 米田東吾

    ○米田委員 率直に言って私どもの感じは、いま会長も答弁されましたように非常に高く売れた、それがまた政府がいろいろ介入といっては悪いでしょうが、何だかんだ言うもので、なおさらそれがマスコミをあおって、さらに国民にアピールするようになって、NHKの売買について非常な非難を含めて世論が高まった、これはこのままではどうにもならぬ、そうかといって契約を破棄することはできない、そこでこの利益は受信料を納めておられる聴視者にひとつお返ししましょう、国民の側に返しましょうということで還元の方法が出てきた、したがって、悪くいえば、お返しします、それも三本の柱を立てまして別ワクにして国民の皆さんにお返ししますということで逃げ切ったという感じを実は持っておるわけなんでありまして、この私の感じが、あるいはちょっと失礼な感じかもしれませんけれども、実はそんなような気がするわけでありますが、賢明な会長でありますから、初めからあの施設についてはみんな注目の場所であり、そうしてまたNHKの処分等について前々から注目されておるところでありますから、やはり天下のNHK、そうしてあなたは組合的なものだとおっしゃいましても、やはり日本の言論報道機関の大メッカなんですね。私はその一つのプライドもあると思うし、国民が持っておるイメージもよごしたくないと思うわけなんでありまして、そういう点からいって、公共施設あるいは福祉施設等にこれは有効に還元されて、生かされて、そうしてNHK自身も相当な予想の利益々得るような賢明な方法というものは一体なかったのかという気がするわけでありますけれども、そういう方法はなかったですか。さっきそれ以外に方法がなくて入札でやったのだという御答弁でありますけれども、いかがでございますか。
  48. 前田義徳

    前田参考人 そういう御印象も強いかと思いますが、先ほど申し上げましたように、NHK自体が福祉施設に使うわけにもまいりません。したがって、私としては処分については非常に厳格な条件をつけております。その条件の範囲内であるいは公共的なところも参加してくだされば当然——ただ原則入札ですから、その入札の中で処理することもあり得たかと思っております。しかし、そういうところは一つもこれに応じておられません。私が申し上げたいのは、そういう現象的な問題については先ほどから何回も時期とその他との関連でこの金額で入札されたということについてはまことに遺憾だという表現をしているわけですが、それだからといってこれを——NHKとしては放送が任務でございますし、今度の放送会館では総額三百十六億の建設費を投じているわけでございます。しかもNHKは過去五年間値上げなどはいたしておりません。聴視料は五年前にきめたままでございます。これから逆算しましても、この五年間に、合計的なパーセンテージをとりますと、一般物価は三〇%上がっております。公共的な料金についても二〇%上がっております。これらをすべて吸収しながら、しかも三百十六億の建設費を聴視者負担にしなかったという点で、逆の言い方になりますけれども、われわれの立場を御理解いただければこれにこしたことはないと考えます。
  49. 米田東吾

    ○米田委員 受信料関係について次に御質問したいと思います。  最初に、これも大臣にまた御答弁いただきたいのでありますが、大臣は二月十六日に記者会見をされまして、これは記者の質問によって答えられたのか、大臣最初に言われたのかわかりませんが、いずれにしてもNHKのことしの予算の問題に触れられまして、受信料収入関係あるいは収支の関係が非常に甘い。新聞の記者によりますと、逆粉飾の疑いすらあるという趣旨の発言をされまして、したがって事務当局をしてNHK側を十分調査をする、そういう措置をさしたという記者会見の席での御発言が新聞に載っているわけであります。私これを見まして、また大臣出たなという感じを実は持ったわけであります。受信料の問題というのは、この委員会では、毎年のNHK予算ではしばしば議論になるところでありまして、率直に言えば、われわれの側はやはり甘いという見方はしておりましたけれども、ずばり逆粉飾というような表現を使ってNHKを責めたことはいままでなかったのであります。そういう趣旨の記事で私そんな感じを持ったのでありますけれども、このときの大臣のお気持ちをあらためてひとつ本委員会を通してはっきりさしてもらいたいと思います。どういうお気持ちであったのか。大臣NHK予算を見られて、意見書じゃなしに、率直な受信料関係についての御見解はどうであったのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘の逆粉飾云々というおことばがございましたが、そのような発言をした記憶は私はないのでございます。(米田委員「みんな新聞の誤報か」と呼ぶ)誤報とは申しませんが、私自身の口からそのような発言をした記憶はないように私は思います。
  51. 米田東吾

    ○米田委員 それはとにかくとして、NHK予算を見られまして、受信料関係については、たとえば聴視者捕捉率とかあるいは大臣が見解として持っておられる受信料の収納の基準、この数字等についてどんなお考えがあったのでございますか、お聞かせいただきたい。事務当局に調査をさしたということについてはどういうことであったのかですね。
  52. 久野忠治

    久野国務大臣 最初事務当局がこの問題について記者会見をなさったようであります。その際に、たまたまただいま御指摘のような問題点について話題が出たようでございます。そこで私は新聞報道されました記事を拝見をいたしまして、私といたしましてもこれは十分に注意をする必要がある、こう感じまして、事務当局にその内容について検討をするようにということを指示をいたした次第でございます。
  53. 米田東吾

    ○米田委員 あなたの意見書に「おおむね適当である。」という見解を示しておられるわけであります。私が推測するにこの「おおむね適当」ということばは、放送会館の買収問題あるいは受信料捕捉率の関係、その他一連のことにあなたのほうは関心を持たれ、かつ調査をされたその結果等も含めて、ことしの予算の組み方あるいは執行等についてはまあまあおおむねこれでよろしいという見解になったのじゃなかろうかと実は思っておるわけでありますけれども、この「おおむね適当」ということはそういうことじゃなかったのでありましょうか。
  54. 久野忠治

    久野国務大臣 「おおむね適当である。」とは申し上げております。それは意見書最初に申し上げておりますが、しかしさらにその意見書の中には、つけ加えられた幾つかの事項があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、四点について私はその指摘をいたしておるわけでございますが、その中で私がNHKに対して最も強く指摘をいたしておりますのは、経費の節約と収入確保でございまして、これについては万全の措置を講じてもらいたい。そうでないと今回いろいろ世間の批判があったのでございますから、公共的な性格を持ったNHKの今後の運営につきましても、いろいろ問題点を投げかけてくることに私はなろうかとひそかに心配をいたしておる一人でございます。であるだけに、やはりただいま申し上げましたような点につきまして十分NHK側が配慮するように、こういうことで意見書の中でつけ加えておるような次第でございます。
  55. 米田東吾

    ○米田委員 郵政省局長おいでですね。この受信料関係につきましてあなたのほうでNHK説明を求め、かつあなたのほうでもいろいろ調査をされたと思いますが、NHKはことし年度内の増加六十三万六千件、年度末二千四百六十九万三千件と予定をされておる。この根拠についてひとつ説明してくれませんか。
  56. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 NHKから説明を聴取いたしましたところでは、四十八年度の日本における世帯の総数が三千百五万、これは厚生省の人口問題研究所の推計値だそうでございますけれども、(米田委員「いつのものですか」と呼ぶ)最新のものだということでございまして、毎年出ておるわけでございません。そのうちでテレビの所有世帯数が二千七百十四万、これは総世帯数三千百五万から生活困窮者、テレビを買っても受信料免除になる方々、こういうのを差し引きまして二千七百十四万、それから、いままでの実績でもってそれの捕捉率を九〇%、こう踏みまして、四十八年度末の世帯者の契約見込みが二千四百二十五万、したがいまして、推定の世帯数二千七百十四万と実際に契約する見込みの数二千四百二十五万、これの差が先ほどから問題になっております数字の二百八十九万でございます。この数は四十九年度以降においてほとんど大部分契約してもらう数、  こういうことに説明されておるわけでございます。  それから非世帯関係、これは事業所関係でございまして、これは総計百十八万四千という数でございますが、いろいろな推計値を出しまして、テレビを持っていると推定される数、これは受像機の数と同じでございますが、これが六十一万というぐあいに推定されております。それで、年度末の契約の見込み、これが四十四万契約してもらう、それで年度内の契約が未了の数、六十一万から四十四万差し引いた十七万、これが四十九年度以降に契約してもらう数でございます。したがいまして、両方合わせますと二千四百六十九万という数、これが四十八年度末の契約総数、こういう説明を受けておりまして、おおむね妥当な数字であると判断したわけでございます。
  57. 米田東吾

    ○米田委員 NHKのほうから、これはやはり御答弁いただくのに関連が出てきますから答えていただきましょう。  いま局長から説明いただきましたけれども、これはNHK説明された数字でございまして、NHKの持っておられる数字だと思うのでありますが、そうなってまいりますと、一般世帯関係につきましては九〇%を見ておられるということでありますので大体私は妥当じゃないかとは思いますが、事業所関係、非世帯関係がやはり新聞なんかで一番指摘をしておるのであります。やはりこの説明ではどうも甘いのじゃないか、不十分じゃないかというような感じがするのでありますけれども、このことについてはNHKのほうからひとつ説明をしていただきまして、納得がいくように説明があれば私も了解できますが、そうでなければ私はこの予算を認めるわけにいかぬので、ひとつ説明をしていただきたいと思います。
  58. 吉田行範

    ○吉田参考人 お答えいたします。  先生がただいま御指摘になりましたいわゆる非世帯というものについて、契約の数が世帯に比べて低いのじゃないか、そういう御指摘でございますので、それに関連してまずお答え申し上げたいと思います。  いわゆる非世帯という問題につきましては、毎々国会でもいろいろ御意見をいただいておりまして、私どももそのつど御答弁申し上げております。いま私が申し上げたいと思っておりますことは、いわゆる非世帯つまり事業所などであって住居以外に設置した受像機についての契約ということでございまして、これについてはただいまお話がございましたようにいろいろ御意見が出ているようでございますが、私どものほうの説明も必ずしもあるいは十分でなかったのではないかということもあると思います。私がいま申し上げたいことは、基本的にこれについては三つの問題がある。その一つは、この事業所について甘い辛いということでなくて、事業所というものに設置された受像機の捕捉というものはきわめてむずかしいのだ、これは毎度申し上げている点でございます。世帯の場合はアンテナによりあるいは周囲の聞き込みによって比較的捕捉しやすいわけでありますけれども、大きな企業になればなるほどそういうふうな方法ではわからない、それがまず第一点でございます。それから第二点は、先ほども会長からもお話がございましたが、非世帯といわれているものの中で、世帯と非常にまぎらわしくて、小さな規模の世帯契約として入っているものがきわめて多いということが第二点にあるわけでございます。それから第三点は、あるいはホテルとかあるいは官公署とか新聞社、そういうふうな事業所は比較的多く受像機をお持ちでありますけれども一般的にいって、事業所において受像機を持っておられることは、普通考えますよりもはるかに少ないという実態がある、この三点について、私は事業所契約ということの前提としてまず申し上げたいと思うのであります。  先ほど電波監理局長からも御説明がございましたが、私どもは、現在そういう事業所で設置している受像機のよるべき数というものが、世帯のようにある程度の確実性のある推定ができる資料がございません。私どもが一番信用しておりますのは、私ども全国に持っている八千の集金人が、自分の区域内で毎日歩いていて、そうして現場感覚と自分たちが交渉した経験をもとにして出した数字ということが、私どもにとっては現在事業所において設置されている受像機の推定の一番大きな根拠になるわけでございます。その以外はそういうものはないわけでございます。そういうことで、先ほど監理局長から御説明がありましたように、四十一万が契約されており、そしてそれから考えてたぶん五十八万ぐらい、これはきわめて確実とは申し上げられませんけれども、まだ取ってないものを含めて五十八万件ぐらいあるであろうという推計でございます。そういう意味から申しますと、五十八万件の中で四十一万件、来年度は六十一万件の中で四十四万件ということで、七〇%以上の契約をしております。  御指摘のとおり、世帯契約に比べては低いわけでありますけれども、以上申し上げたような理由で、今後も努力は精一ぱいいたすつもりでありますし、そのためにいろいろ計画も進めておりますけれども、現状においてはそういうことであって、そういう事業所契約に対して甘いのだという御指摘は、ちょっと私どもとしては無理ではないか、そういうふうに感じる次第であります。
  59. 米田東吾

    ○米田委員 私はこのNHKの一番大事な受信料の徴収というものについて、皆さんから再確認をしていただきたいと思います。これがあいまいだという非難を受け、それに対してあなたのほうで積極的に説得できるだけの資料、調査をやっておらないということは、これはNHKの怠慢だと私は思う。単に立ち入り検査権がないとか、あるいはいま説明されましたが、集金人だけの感触でしかわからないとか言われますけれどもNHKとしてはそれでは済まされないのじゃないか。私はやはり尽きるところは、いままで世帯についてはあなたのほうは厳正に徴収努力をされてこられたけれども、非世帯関係についてはほとんどいままで調査もしなければ対策なしということが、今日このような批判になって出ているのじゃないかというような気がするわけであります。いまのあなたの御答弁だけではNHK責任ある答弁にはならないし、ましてや本委員会を通して国民に納得をしてもらうということは不可能じゃないかと私は思うのであります。しかし、私どもにもあなたのほう以外からこのことについての資料が出てくるルートもありませんし、実際上わからぬ、審議できないということになる。したがって、この関係につきましては、私は理事会等でどういう方法をもっとやっていただくか検討していただきまして、少なくとも本委員会としても、審議をして承認する以上は責任を持たなければならぬ。もっと明確な根拠を示してもらって、本委員会理事会等で検討された上で妥当であるという判断が出るまでは、なおあなたのほうも努力をしてもらいたいし調査をしていただいて、そうして資料を出してもらいたい。新聞等によりますと相当追跡調査をされて、たとえばあなたのほうが根拠にしておる事業所のとり方等についても、きわめてデータがあいまいだ、古いデータを使って事業所の計算を出しておられるとか、そういうことまで具体的に指摘をしておるような新聞もあります。したがって、そういうものに対しても答えていただかなければならぬと私は思う。そして一般世帯には強いけれども、非世帯、その中でも事業所、といってもやはり官公庁あるいは一般企業の大企業、そういうようなものはどちらかといえばNHKもなかなか相手にしにくいものだと私は思いますけれども、そういうことで手を抜いておいて、そして世帯のほうにだけ取り立てをせめるような印象を与えたのでは、私はNHKとしても致命的なものになるんじゃないかと実は思うものでありますから、ひとつそういうことのないようにしていただきたいと思いますし、今後どんな方法考えられるか、ひとつ事務当局から説明をもらって、これはいずれまた会長さんからも見解をお聞きしたいと思っております。
  60. 吉田行範

    ○吉田参考人 ただいまの御質問で、先ほど私が若干申し足りなかった点を補足さしていただきます。  そういう調査はやってないのか、もっとやるべきじゃないかということに関連してでございますが、私どももそれはやっておるわけでございます。一例をあげますと、千代田区において、資本金が一千万円以上で年間の純利益が三十万円以上のそういう事業体四千余りを対象にアンケート調査をやっております。その結果は、非常に簡単に申し上げますと、受像機を持っているパーセンテージが一五%でございます。それから違う例で申し上げますと、新宿地区において約四百のそういう事業所について、これは大きな建物の中に雑居しているものでございますが、それを対象にして昨年やった統計がございまして、その調査によりますと、結論は約二〇%近くでございます。そういうふうなデータも持っているわけでございます。  それからこまかいことで恐縮でございますけれども、先ほど集金人その他で、そういうことをもとにしていると申し上げましたけれども、それは一番基本がそうだということを申し上げたわけでございまして、それら以外に、あるいは文書による調査とかあるいは電話による問い合わせとか、あるいは大きな企業につきましては部課長みずからがそこに当たって実際の数の確認をやっている、そういうふうな幾つかの、幾つかのといいますか、それは全国でやっているわけでございますけれども、ただ先ほど申しましたように、いわゆる非世帯というものの中にホテルもあり船もあり、いろいろなものがありますので、その対応については画一的な対応ではやれない。たとえば船については、全部の船について当たったという実績もございます。
  61. 米田東吾

    ○米田委員 あなたの答弁ちょっと私わからないのですが、さっき郵政省局長さんの答弁では、事業所関係の調査によると百十八万四千カ所、これに対して受信装置があるのじゃないかと推定している推計値が六十一万。そうすると、いまのあなたの説明によると、大体二〇%程度は持っているという説明ですね。昨年調査をやられた結果によると二〇%といまあなたの説明では言いました。二〇%近くということばを使った。そうすると、あなたのほうの推計値というものは一体どういう関係があるんですか。全くこれは当たらないじゃないですか。あなたのほうの調査の結果二〇%程度あるというのはどういうことなんでありますか。
  62. 吉田行範

    ○吉田参考人 どうもまたお答えが不十分で恐縮でございました。  先ほど申しました二〇%と申しますのは事業所の所有率、さっき御説明申し上げましたように資本金何がしとか、それから新宿におけるそういう事業所の調査の結果のテレビの所有率が一五%であり、二〇%であるということを申し上げたわけでございます。  それからもう一点、初めにもお話がございました、先ほど電波監理局長からの御説明にありますような百十八万というのは、現在の諸資料からいわゆる非世帯といわれるものを全部抽出した数がそうであって、そこで私が先ほど申し上げましたように、中にはホテルもあり船もあり、それから喫茶店もあり工業所もあるというものでありまして、そしてその中で所在契約として、所在契約か非世帯契約かきわめてまぎらわしいものが非常に多くある、それは所在契約の中に世帯契約として入っているのだ、そういうふうに申し上げたわけでございます。
  63. 米田東吾

    ○米田委員 この受信料の徴収については、NHK前田会長は非常に過去も努力をされておられると思いますし、これからも苦労されると思うのでありますが、とにかく新聞等を通しまして、ことしの予算関連して受信料に対する批判が強いわけです。で、ひとつ会長から、この批判に対してどうこたえていくか、あなたの見解をこの際お聞かせいただけませんか。
  64. 前田義徳

    前田参考人 先ほど電監局長からも御説明がございましたが、大体昭和四十八年度末、すなわち昭和四十九年三月末までに世帯数を先ほどの説明の分類に従って二千七百万世帯、この世帯テレビを持つという考え方でございます。そしてこれは過去四十八年にわたる、まあ戦争前は同じ形ではございませんでしたが、われわれの経験からいってもそう大きな狂いのない数字でございます。その中で、明年度予算関連して二千四百万世帯以上を捕捉する予定でおるわけでございます。したがいまして、これは年度計画で申しますと、やはり予算全体の中で人員、給与、それから手数料、コストの問題と関連して毎年度単年度予算で御審議をいただくわけですから、それは毎年毎年その二千七百万世帯を目標とするものに対しての成果が単年度予算の中であらわれてくるわけです。そういった意味から考えますと、一般に観念的にNHK受信料の徴収が甘いとか手ぬるいとかいうことは、実際に仕事をしている私ども立場から申し上げますと、この御批判は受けますけれども、しかし順序と時間をかけなければその成果ははっきり申し上げられないということは御理解いただきたいと思います。  ただいま事業所の問題については、私も林先生の御質問に答えたわけですけれども明年度対象となるいわゆる事業所は五十八万を予定しているわけでございます。そして明年度末にはその中で四十四万を契約するという予定でございます。なぜそれじゃ百十八万に対して五十八万ということを考えるかという、逆にいえば問題だと思います。これは先ほど私も申し上げましたように、終戦後のいわゆる法人的な事務所あるいは店というものには幾つかの種類がありまして、その零細なものは事務所と店——店すなわち事所務という場合もあり得るわけですが、これはすなわちまた住居そのものと連結しているという場合もあるわけですが、ことに零細な事業はすべてそうでございます。そういう点では事業所という形で捕捉しておりませんが、世帯契約という形で捕捉しているわけです。一般に概念的に問題になりますのはホテルであるとか、それからたとえば新日鉄のような大事務所あるいは官庁、世俗的に言えばそれらはどうしているかという問題だと思います。たとえば新日鉄等をごらんいただけば、どの部屋にもテレビがあるわけではありません。社員食堂であるとかあるいは社長室というようなものであって、その数はきわめて少数であります。各役所におかれてもあらゆる部屋にテレビあるわけではございません。国会等におかれても、テレビのあるのは食堂くらいでございます。そういう意味で、この実数と事務所の数というものの中には大きな誤差が観念的にはあるわけでございます。そういう意味で私ども捕捉がむずかしいというのは、ある事務所はいままでなかったところに一台ふやすかもしれません。したがって現在あるというのは事務所の部屋数とは全く関係ないということでございます。大部分の零細事務所あるいは店舗は、住居と一緒であるという点でございます。こう御理解いただいて、われわれの現実に経験と実際に基づいて申し上げるこの数字とその捕捉のパーセンテージを御理解いただきたい、このように考えるわけであります。
  65. 米田東吾

    ○米田委員 私も持ち時間がありますので、これ以上こまかく各事業所別、あるいは各官庁といいましても、たとえば建設省なら建設省はどの程度の捕捉をしておるかとか、これは出先機関を持つ役所と持たない役所との違いも出てまいりますし、なかなかそういうものをここで質問してお答えいただく余裕はないと思いますから、他の同僚委員も、これは各党ともこの受信料関係についてはこれからの質疑で出てくると思いますけれども、できればひとつ理事会等で善処していただきまして、NHK当局なりあるいは郵政省当局からもっと詳細に納得のいく説明を求めて、そして国民に対してもやはり逓信委員会の審議を通して明らかにしてもらう、理解をしてもらう、そういう努力をすべきではないかと思いますので、そういう措置をひとつ委員長にお願いしておくことにいたします。
  66. 宇田國榮

    ○宇田委員長代理 了承いたしました。
  67. 米田東吾

    ○米田委員 次に、私、放送会館の売り渡しの利益金の使途について一、二聞いておきたいのであります。  大体三つに分けて、借金の返済に充てる、これは放送センター等の返済に充てるということ、それから文化基金、それと放送の安定資金、大体そういうふうに大ざっぱに三つの柱を立てられまして、三百五十四億の使途をきめておられるわけでありますが、その中で特に私が聞きたいのは、まず放送文化基金百二十億、これはさっきもいろいろ御質問があったのでありますけれども、なお私はこれからこれがだんだんはっきりしてくるように思いますから、今日の段階で十分の質問が意を尽くすかどうか、お答えいただけるかどうかわかりませんけれども、基本的なものとして聞いておきたいことは、この放送文化基金というのは、さっきの答弁等にもありましたが、NHKとは別人格の制度になるということが一つあったようであります。それからこの基金は、どうもさっきの答弁によりますと百二十億というものは固定される基金になって、その利子でいろいろな事業をやろうという構想のようでありますが、そういうことで間違いないのかどうか。それから設立については、これから準備委員をあげて十分検討されるということであります。それはぜひそうしてもらわなければならぬと思いますが、その準備委員等についてはどういう範囲でいま構想が練られておるのか。これはNHKが準備をされておるのか、大臣が準備をされておるのか、私はよくわかりませんけれども、準備されておる側でひとつ御答弁願いたいと思います。さしむきそこらあたりひとつ答弁を願います。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 久野忠治

    久野国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま放送文化基金制度、それから基金の扱い方、こういうものについての御質問でございますが、これは私の考え方を率直に申し上げますと、郵政大臣の認可する公益法人にいたしたい、かように考えております。そして先ほど御質問の中に、この基金による利息いわゆる利子を何らかの形で聴視者にお報いするような形でこれを使いたい、こういうような、これは質問者の側から意見が出たように私は拝聴いたしましたが、そうした点等につきましては、まだ何も考えていないのであります。これはあくまでも民法第三十四条による財団法人設立するのでありまして、これにつきましては、各界の有識者によって設立準備委員会というものをつくりまして、そこで検討していただきたいということでございます。内容についてはその結論を待った後に決定をいたしたい、——かように思う次第であります。
  69. 米田東吾

    ○米田委員 予算審議の段階で、こういうきわめて重要な百二十億、しかもこれは聴視者の財産に属するような売益金でありますから——さっきの御答弁にあったと私思います。そのとおりだと思いますが、その百二十億の金の使途なり文化基金制度というものがきわめてまだ固まらない、あいまいな状態で提案されたのは、どうも予算審議のわれわれとしては、ほんとうは審議はできないのですね、もう少しはっきりしてもらいませんと。だけれども、これは今度の会館売却問題から出てきたのでありますけれども、少なくともこの程度の準備はNHKなり郵政省のほうでやっておられなければならないはずではないかと私は思うのであります。そうでないと、これはさっき私が質問いたしましたように、悪いけれども全く思いつきに、あまり非難があったものだから、国民の側に還元します、それには拙速であるけれどもこの程度でひとつ理解してもらいましょう、あとから骨組みあるいは部屋づくりは考えてみましょうということになってしまったのではないですか。そういうことではないだろうと私は思うのでありますが、失礼でありますけれども、そうだとすればもう少し固まったものがなければならない。一体大臣、これは郵政省が大体この発想をされたのですか、それともNHKのほうで自主的に放送基金制度というものを発想されて、問題として柱に据えられたのですか、これはどっちなんです。
  70. 久野忠治

    久野国務大臣 お答えを申し上げます。  NHK側から私は説明を聴取したのであります。それで、その中には具体的に各項目にわたっていろいろございまして、それは説明を私は聞いたにとどまったわけでございます。私自身といたしましては、やはりこれは聴視者の皆さんにお報いするような使い道にしなければならないという考え方に立ちまして、できる限り、この収支予算事業計画が皆さんにお認めをいただけるならば、私は直ちに学識経験者によります設立準備委員会設立いたしまして、そこで最終的な結論を得たいと存じておるような次第でございます。
  71. 米田東吾

    ○米田委員 会長、還元につきましていまの段階では先ほど御答弁いただきました範囲を越えることはできないのですか、どうでしょう。この放送文化基金構想等について、あるいは準備の段階等について説明することがありましたら、もう少し補足してお答えをいただきたいと思います。
  72. 前田義徳

    前田参考人 この売却益の一部を、百二十億相当額を基金として永劫の形で聴視者に還元したいという考え方は、実は落札が決定した翌週に、私どもで今後のNHK経営の実態と勘案しながら、私自身が決定した問題でございます。したがいまして、新聞等の攻撃が始まってから考えたものではございません。これはもう率直に申し上げておきます。ですから、落札直後三日か四日で私は原案を指示して事務当局につくらせ、そしてその結果私が決定した金額であります。そのことは四十八年度予算関連する問題ですから、当然郵政大臣予算意見をつけるべき立場にございますから、私は土地売却の経過と結果、それと関連して、四十八年度予算との関係でこの基金をつくりたいという御説明をしに郵政大臣にお会いに行ったわけです。  したがいまして、私としてはこの物価騰貴とインフレの時代に、百二十億円を直接事業にのみつぎ込むことは——社会的、客観的な立場に立ってみても金のあることは歓迎すべきことですが、これが雲散霧消するようなことがあってはいけないという基本的な考え方を私としては持っております。  それじゃ、百二十億円というのは一体どこから計算したかという問題にもからんで、私の考え方を申し述べなければおそらくはっきりしてこないと思いますけれども、劈頭林先生にお答え申し上げたように、私どもがこの金の処理で当面目標としたものは、いわゆる代々木の放送センターの借金を全くなくすということです。これは先ほどちょっと申し上げましたが十年間でその前の土地代を含めまして、総額三百十六億かかっております。そのうちの一部は、すでに御審議をいただいて実行したわけですが霞が関の一部を処分しております。これらを総合しますと、売った時点で、契約した時点で残っていた借金の総額は五百二十億をこえておりました。そのうち百億が放送債券でございます。放送債券というのは、甘は引き受け会社あるいは銀行などが全額引き受けた時代もございましたが、現在では九〇%近くが聴視者個人消化でございます。したがいまして、部内でも一部には放送債券の償還も考えたらいいじゃないか。しかし、繰り上げ償還ということは、ある意味聴視者の利益、すなわち債券を持っておられる聴視者の利益を制限することになると思いました。したがいまして、金融機関からの借り入れ金を返すことに重点を置くべきだと考えました。その結果、御審議いただいております明年度予算の中では、放送債券百億を加えて五百億をこえておった借金の総額は三百二十億に減ります。その点で約百八十億を借金の返済に充てるという考え方を持ったわけです。  それからまた、今年度予算の審議で、私自身審議の途中で非常に波乱を起こした発言をいたしましてまことに失礼いたしましたが、本年度予算は、御承知のように昨年五月の沖繩復帰に伴って沖繩の沖繩放送協会の債権債務を引き継ぎ、かつ五年以内に本土と同じ施設をしなければならないという前提のもとで、資本収支から八億二千万円を経常収支に繰り入れております。これが実は今年度予算御審議の際の最大の問題でございました。それで、安定資金五十五億のうち、沖繩関係を除きますと三十四億余りが残るばかりでございます。率直に言って、今年度のあと始末もその中に含まれているわけです。したがいまして、約十九億余りが沖繩に投資される金でございます。  そう考えてまいりまして、しかも今後三年間くらい値上げをしない方法があるかどうかを検討したわけでございます。この検討の結果、今年度予算御審議の前から、私は四十八年度までは聴視料に手をつける気はないということを申し上げておりましたが、大体四十九年度、五十年度くらいまでいけるのじゃないかという見通しを持ったわけです。それは先ほど林さんの御質問にお答えしたように、放送センターに移って中央機能がセンターに集中される場合、その時点での、すでに御審議をいただく四十八年度でも明らかになっておりますが、減価償却費が百六十五億円になります。明年度の建設費は百七十五億円余りになっているかと記憶しておりますが、これを今後三年のスパンで、経過で考えたときにどのような結果になるかと申しますと、当初われわれが検討したいわゆる第四次構想の三年間の建設費の総額と、明年度予算御審議をいただくのを初年度とする今後三カ年間の建設費の総額とを考えますと、約百二十六億の節約ができます。この施設の建設の節約に伴いまして、技術運営の日常節約費が大体四十一億円になります。それで先ほど申し上げ金融機関からの借金返済によって年間七億の利子支払いが不必要になってまいります。それから同時に、これと関連して中央機能が向こうに一元化されるという点で、移っただけで年間六億の管理費、運営費が節減されます。そしてこれと関連する事業費も節減されますので、合計二百十億以上が節減されるわけです。  したがって、いわゆる売却益を計算しなくても社会経済上の革命的な変化がない限りは、私どもの計算としては、四十八年はすでに皆さんにお約束していた年でありますが、四十九年、五十年にわたっても値上げの必要はないという、大体の計算が出たわけです。  したがって、残りの百二十億、これを永久に固定して聴視者に還元していくという方法考えたわけでありまして、この意味で百二十億という数字が出ました。しかし私としては、この百二十億はスタートであって、これがゴールではないという考え方を持っております。いろいろな社会の変化によってこの基金がいろいろな社会的協力をもいただいてふえることになるならば、これにこしたことはないと考えておりますが、当面このようなことを期待しているわけではございません。  それでは、この運営をどうするかということになりますと、やはり元金は残すべきであるという考え方です。と申しますのは、建設にいたしましても、借金の主たる内容は将来の聴視者のための借金でございます。現在の聴視者のためではございません。したがって、事業費では借金は一つもないわけなんです。そういうことを考えますと、私は将来の聴視者の利益のためにもこの百二十億という基金そのものは減らすべきではないという考え方に立つわけでございます。  百二十億というのがいつ入るかという問題になりますと……。
  73. 米田東吾

    ○米田委員 もういいです。簡単にひとつ……。
  74. 前田義徳

    前田参考人 御承知のとおり、十月以降です。決済は九月三十日ですから、したがって、それまでに皆さんの御意向も承りながら、私としてはいろいろな方々と、あるいは郵政大臣とも御相談申し上げて、客観的な委員によってその目標と運営を審議していただきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。
  75. 米田東吾

    ○米田委員 会長から長々説明をいただきましたけれども、これは数字をずっと説明されましても、もう覚えておられません、実際問題として。百二十億の根拠だけでもこの程度の説明数字が必要になっているわけなのでありますが、そうなってまいりますと、これはあなたのほうから資料として、長期構想的なNHKの今後の経営事業を含めましてそういうようなものを出していただきませんと、三百五十四億からこの百二十億を割愛して基金を設定するそのことの可否にも触れて問題になるわけなんですね。ただ、私どもはこの提案をそのまま認めて、そういうNHKの今後の経営、そういうようなことについて全く審議も、説明資料等もいただかないままきめるということは、これもまたかなえの軽重を問われるのではないかというくらいの気がいましておるのです。したがって、私は、いま会長説明されましたような数字を含めてひとつ資料として、本委員会のこの審議に必要でありますから出していただきますようにお願いしたいと思うのです。  そこで、時間ももうあれですから、私は心配する点だけ申し上げておきますと、いずれにしても、これが大臣がおっしゃるように大臣認可の公益法人になっても、あるいはなればなおさらでありますが、百二十億満額支出の法人になるわけですね、NHKから見れば。そうだとすれば、放送文化基金、そうしてその事業、こういうようなものはまるまるNHK聴視者に私は返ってくるものでなければならぬと思うのですね。それが放送文化という高い次元の研究や開発やいろいろな事業の推進をされるとしても、私はそういうふうになっていかないといかぬと思う。国が金を分担するわけでもない。他の企業機関が分担するわけでもない。満額NHK出資である。そうなってくると、疑問は、これはNHKと何ら変わるところないじゃないかという気もするわけだし、NHK自身がこれからやろうとするそのことと重複してくるのじゃないかという気もするわけです。そういう点はまだ固まっておらない。まだこれからですということになると、これまたなかなか審議が尽くせないことになる。いろいろそういう心配がありますので、そういうことについてももう少し具体的に構想をまとめていただいて、この点についても理事会等でひとつ取り扱いを検討していただきたいと私は思います。質問答弁を通してやっておりますと時間かかってしょうがないですし、しかも大事なところにいけば、まだ固まっておりませんからということになってしまうと、せっかく審議をしても身が入らぬ。こういうことになりますので、そういう取り扱いをお願いいたします。委員長にもお願いしておきます。  最後ですが、大臣に一言お聞きしておきますが、昨年の予算委員会の審議でも私お聞きしたのでありますが、放送法の改正、電波法の改正関係であります。ことし郵政省から出る予定法案の中にも放送法の改正その他出ておりません。そうしてまた、いままでの所信表明の中でも触れられておりませんし、おそらく今日の段階ではこの放送法の改正等の問題については郵政省はまだ着手しておられないというふうに思うのですが、昨年私が質問したときの議事録を読んでみましても、やはり郵政省としてはこの問題については検討されておるはずだし、まだ宿題になっておる。したがって、現在の状況はどうなっておるのか、これはひとつ大臣からぜひ御答弁をいただきたいと思う。
  76. 久野忠治

    久野国務大臣 放送法の改正問題はここ十年来の電波行政における最も大きな課題でありまして、省内においても種々検討を進めておるわけでありますが、事は言論に関する立法であり、またこの問題に関する各方面の御意見の方向が必ずしも適当でない情勢になっておる。そこで、いましばらく各方面の御意見をお聞きしまして改正の内容等について確信を得たい、かように考えておる次第でございます。
  77. 米田東吾

    ○米田委員 それでは放送法電波法含めて相関連して、いま大臣の御答弁で了承してよろしゅうございますか。
  78. 久野忠治

    久野国務大臣 そのとおりでございます。
  79. 米田東吾

    ○米田委員 終わります。
  80. 久保田円次

    ○久保田委員長 次回は明八日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十七分散会