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1973-02-28 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月二十八日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 小澤 太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       亀岡 高夫君    志賀  節君       中村 寅太君    長谷川四郎君       本名  武君    宮崎 茂一君       村上  勇君    大柴 滋夫君       金丸 徳重君    久保  等君       森井 忠良君    米田 東吾君       平田 藤吉君    大野  潔君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  舘野  繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君  委員外出席者         郵政大臣官房資         材部長     田所 文雄君         電波研究所長  河野 哲夫君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   井上 俊雄君         日本電信電話公         社営業局長   玉野 義雄君         日本電信電話公         社計画局長   清水 通隆君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   志賀  節君     野原 正勝君 同日  辞任         補欠選任   野原 正勝君     志賀  節君     ————————————— 二月二十七日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号) 同月二十三日  有線音楽放送許可制に関する請願石田博英  君紹介)(第三七二号)  同(小川平二紹介)(第三七三号)  同(越智伊平紹介)(第三七四号)  同(笠岡喬紹介)(第三七五号)  同(黒金泰美紹介)(第三七六号)  同(小平久雄紹介)(第三七七号)  同(佐藤文生紹介)(第三七八号)  同(谷垣專一君紹介)(第三七九号)  同(坪川信三紹介)(第三八〇号)  同(福田一紹介)(第三八一号)  同(村山達雄紹介)(第三八二号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三八三号)  同(渡部恒三紹介)(第三八四号) 同月二十六日  郵便物の遅配、欠配解消に関する請願床次徳  二君紹介)(第五八四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 久保田円次

    ○久保田委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何といっても国政の最高機関議論をするわけでございますから、歯に衣を着せずに質問をさせてもらいたいと思いますので、失礼がありましたらひとつお許しを願いたいと思います。実は、私も長年逓信の畑で仕事をいたしてまいりまして、逓信行政については非常な愛着を感じてもおりますので、その点もひとつ御了解をいただきまして、大臣にお伺いさせてもらいたいと思います。  まず第一点ですが、さきに大臣から郵政大臣所管事項説明をお受けしたわけでございます。書いてありますように、郵政大臣からは所管事項説明ということで承ったわけでございますけれども、同じ国務大臣の中で大臣所信表明として提起をされてあるものもあるわけでございます。おそらく私は、大臣就任をされて逓信行政に対する多くの抱負経編があるだろうと思います。それを表明をされるのが大体所信表明ともいうべきものではないかと私は思うのですが、事務当局でおつくりになったとは思いますが、所管事項説明という考え方大臣所信表明という考え方の中にはどういう違いがあるのか、お伺いしたいわけです。
  4. 久野忠治

    久野国務大臣 御質問所管事項説明所信表明との違いでございますが、所管事項説明というのは従来の慣例に従ったまででございます。私自身、初めて郵政大臣就任をいたしまして以来、私は私としての所信があるわけでございまして、その所管事項説明の中には幾多の私の所信についても加えられておるわけでございます。そこで、私の率直な所信表明についての重点項目について二、三申し上げてみたいと存じます。  まず第一は、就任以来私が皆さんに力説をしておりますることは、職場環境整備でございます。私自身各地郵便局舎などを視察し、あるいは慰問に参りまして見せていただきましたのでございますが、現在の郵便局舎の設備というのはあまり完ぺきなものであるとは思われません。何といたしましてもこういう環境整備することが労使間が円満に協調していく道を開くゆえんではないか、かように考えておるような次第でございまして、ただいま御審議を願っておりまする四十八年度の予算の原案の中には、この郵便局舎改善につきまして大幅に予算を計上いたしまして皆さんの御審議をいただいておるような次第でございます。  第二番目に私が考えておりますることは、宇宙開発でございます。現在、宇宙衛星の打ち上げにつきましては世界各国が盛んに事業を進めておるような次第でございます。そういう際に、わが国といたしましても、この放送並びに通信需要の拡大に伴いまして、この需要にこたえるためには何といたしましても早期宇宙衛星を打ち上げる必要があるというので、五十一年度打ち上げを目途にいたしまして四十八年度予算要求をいたしたような次第でございます。これに対しまして、初めて放送衛星通信衛星につきましては八億七千万円という予算折衝過程で認められまして、ただいま国会審議をしていただいておるような次第でございます。  第三番目に私が考えておりますることは、近隣諸国との間の通信網整備でございます。これにつきましては、従来から日韓海底ケーブル敷設について交渉が行なわれておりました経緯がございます。それから、日中間海底ケーブル敷設につきましては、ぜひこれを早期にひとつ実現をいたしたいというので、先般十一名の調査技術団がKDDの招請によりまして日本に来られまして、その際に私もいろいろ話し合いをいたしたような次第でございます。近くおそらく三月の中旬ごろになろうかと思いますが、中国の電信総局長鍾夫翔氏を団長といたしまする十三名の団員が訪日される予定に相なっておるような次第でございます。来日されまするならば、関係者一同協議をいたしまして、一日も早く日中間海底ケーブル敷設実現いたしたい。その計画なりあるいはまた交渉について話し合いを進めたい、かように存じておるような次第でございます。  第四番目は放送関係でございますが、皆さんからかねていろいろ御要望のございます難視聴解消、これにつきましては郵政省といたしましても、あるいはNHKあるいはあらゆる関係機関を通じまして、放送があらゆる地域でまんべんなくこれを受信できるように難視聴解消を一刻も早く実現をしたい。  この四つの項目が、私の就任いたしました際に私自身ぜひ早期実現をいたしたいと考えております事項でございます。  以上が所信表明一端でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣所信についてはただいま承りました次第でございますけれども、まず第一点は見出しでございますが、同じ国務大臣がなさるのに、一つ所信表明であり、一つ所管事項説明である。この違いは一体どこからくるのか、これが私はまず手続上の問題として理解ができません。  二点目は、なるほどいま大臣お話の中で、所管事項説明の中にもそのようなことが記載をされております。しかし、この所管事項説明を読んで何よりもまず頭に一番先に来ますのは、数字の羅列、特に予算からこちらに転記をしたものが三分の二を占めております、私勘定しましたところ。こちらの環境庁長官所信表明は、そのような予算数字を引っぱり出して説明をするという項は一つもございません。言うならば、非常にこれは格調の高い内容になっております。しかし考えてみますと、郵政省というのはいわば官庁の中ではしにせでございまして、こちらのほうが私は所信表明をする筋合いのものだと思うのです。内容も、いま申し上げましたように環境庁のほうは格調が高いが、残念ながら、この郵政大臣所管事項説明の三分の二までは予算案を引用して数字を羅列されたような内容にしかなっていない。したがって、せっかくの大臣所信がその中に埋没をしておるような感さえ受けるのでございます。そこに私は何か今日の郵政省の体質のようなものが感じられてならないのでございます。いま大臣は、その所信の中の第一項として局舎改善をお取り上げになって、環境整備が非常に大切だ、こういうようにおっしゃられましたけれども、たとえば郵政事業は本来八〇%が人件費に充てられる、そういう非常に人手を大切にする事業です。その働いておる職員に対してどういう思いやりと申しましょうか、貯金が何兆円になりました、保険契約は何兆円になりました、郵便事業はうまく動いておりますというけれども、それはほとんどそこに働く職員の血のにじむような努力によって、私はその事業が運営されておると思うのです。その職員に対して、たとえば休暇の状態がどうなっておるのか。これは小さな問題かもわかりませんけれども、文部省では、何でも義務教育学校職員給与を一〇%引き上げるという予算措置が講ぜられたやに聞いております。御列席の電電公社でも、たとえば隔週に週休二日制がとられておるやに聞いております。膨大な人手を擁しておる郵政職場において、そういう労働条件——たとえば週休二日制の問題について、労働大臣はすでにそれを高らかに打ち出しておる。ところが同じ官庁の中で郵政省は、それに対する考え方さえも大臣からここに出されていない。八〇%という予算を占める職員処遇問題等について、いま局舎の問題はお伺いをしましたけれども、そのほかについて——実行が可能になるかならないかは、これは政府全体の問題があろうと思います。しかし、申し上げましたように、すでに労働省でも週休二日制の問題を打ち出しているならば、それについて一体郵政大臣がどうお考えになっておるのか、そういう点が、私は、特に郵政省特殊性からもっと所信の中で明らかにされてしかるべき問題ではなかったかと思うのですが、どうでございましょうか。大臣のお考えを二点にわたってひとつ……。
  6. 久野忠治

    久野国務大臣 数字を羅列した所管事項説明というのは他の省庁の所信表明と違うではないかという御指摘でございます。御指摘の点はまことにごもっともだと存じます。先ほど申し上げましたように、私は従来の慣例に従ったまででございますが、私といたしましても、ただいま御指摘の点は十分理解ができるところでございまして、御指摘のとおり、所信表明という形で大臣考え方を明らかにしていくのが妥当ではないか、今後そのような形式に改めることを私自身としては考えてみたい、かように望んでおるような次第でございます。  第二点につきましてはお説のとおりでございまして、現在人手を多く使っておる役所でございます。特に郵政業務に携わっておられまする現業の職員お方たちは三十一万有余といわれておるのでありますが、これらの方たち処遇改善ということは非常に大切だと私は思うのでございます。そういう意味から、その処遇改善一端として、先ほど私が申し上げましたように、局舎の改築をまず環境整備の一部としてやるべきであると申し上げたのでございます。  それから給与改善並びに週休二日制等についての御意見がございましたが、これは政府全体としてひとつこの問題に取り組んでみたいというので、ただいま皆さん御存じのように公制審その他で検討が進められておるような次第でございまして、私もその進捗の度合いを見ながら私自身考え方を明らかにしていきたい、かように存ずるような次第でございます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この問題について、郵政省姿勢としてもっと前面に持ち出すべきではないかとの意見を私は持っておりますけれども、きょうは所信表明についてでございますから、大臣のお気持ちはわかりましたので、この問題については一応了承いたしまして、次の質問に移らしてもらいたいと思います。  ここに一世を風靡した本がございます。「日本列島改造論」と書かれておりまして、田中角榮さんはただいま内閣総理大臣をなさっておられまして、先般の国会における所信表明施政方針等で述べられておりますが、日本過疎過密解消をして公害のない日本列島を築くのには、この日本列島改造論を推し進めるのだということを、単なる著者ではなくて、今日政治の姿勢として総理大臣は明らかにされております。これは大臣も御案内のとおりと思いますが、そういう日本の基本的な計画になるこの本の中に、もしあやまちがあった、特にそれが郵政大臣所管をする事項の中にたいへんなあやまちがあったとするならば、大臣はどうお考えになりますか。
  8. 久野忠治

    久野国務大臣 どういう点が誤っておるか、私まだ詳細に存じませんが、誤っておる点があるならば、著者に対して私は率直に意見を申し上げてみたいと思います。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは誤っておるところをちょっと指摘させてもらいます。電電公社がお見えですから、もし私のほうが間違っておったら公社のほうから指摘を願いたいと思いますが、この本の一五九ページ、「通信コスト合理化も大きな課題である。現在、東京では二十三区、五百八十平方キロメートルのなかにある二百五十万台の電話が十円でいくらでもかけられる。ところが、地方では十円でかけられる電話がわずか一千台ぐらいしかない地域もある。これでは東京情報交換コストがはるかに安いことになる。」まだずっと続いておりますが、私が問題にするのはこの十円です。この十円という数字は一体どこから出てきておるのか。特にこれは役所の方々もお読みになったと思うのですが、読んで気がつかなかったのか、気がついても総理大臣になったからこわくて何も言えなかったのか。こういう重大な——われわれ逓信委員会はまだ度数の基本料を十円にした覚えはないわけでございますが、これはどうでしょう。
  10. 久野忠治

    久野国務大臣 お読み上げになりました部分は初めて耳にいたしました。私はたいへんな間違いだと思います。それは十円ではございません、七円の誤りであると私は思います。おそらくこれは公衆電話、いわゆる赤電話の料金と間違われたのではないかと存じます。私は著者にお会いをいたしまして、その点率直に訂正方を申し入れていきたいと考えております。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 専門家もお見えになりますが、赤電話なら十円で何ぼかけられますか、いま赤電話だという御意見がありますが。
  12. 牧野康夫

    牧野政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる赤電話公衆電話と申しておりますが、これにつきましては三分で十円、こういうことになって、三分以上幾らでもかけられるという仕組みには現在のところなっておりません。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ですから、赤電話だなどというのは私は詭弁だというのです。これは明らかに田中総理が七円と十円の勘違いをしておると私は思うのです。まさか総理大臣赤電話は使わぬと思いますけれども、これは七円でかけられる区域なのに十円というふうに勘違いされたんでしょう。電電公社としては総理大臣から十円と認められたわけですから、これはたいへんうれしいでしょうけれども、逓信委員会としてはそう簡単に認めるわけにはいかぬ問題でございます。  そこで、いま大臣から著者に話して訂正を求めたいというお話でございましたが、やはりこれだけ大きな問題でありますから、どういう方法で国民にこれが誤っておるということをお伝えになるのか、少し具体的にしておいてもらいたいと思います。
  14. 久野忠治

    久野国務大臣 直接お会いをいたしまして、私からその誤りの点を指摘をし、訂正されてはどうかと意見を具申してみたいと思います。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 たいへん正直な大臣のお答えですから、大臣をこれ以上責めるのは酷だと思います。この本が出されたころは、実は大臣はまだ大臣でも何でもなかったのです。しかし電電公社総裁なりあるいは電電公社皆さんなり、電監局長なり通信監理官なり、みんな知っておったはずなんです。そういう事務当局皆さん方は、これを知っておって放置しておったわけです。このことの責任は、いまになれば大臣責任でしょう。しかし当時から言うならば、いまの久野大臣ではなくて当時の大臣であり、事務当局責任だったと思うのです。これを放置しておいたのはどういう意味ですか。事務当局からひとつ……。
  16. 牧野康夫

    牧野政府委員 お答え申し上げます。  確かに発行されました当時、この点が誤っておることは認識しておりましたし、そのことを著者にどういうふうに伝えるかということにつきましては苦心しておりましたけれども、その時期を得ないまま今日に至ったことはまことに遺憾であったと思います。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 すなおにあやまれれば私もそれ以上言いようがないと思うけれども、率直に言って、総理にすぐなられた、七月に総理になられた。これは六月に出たんですから、総理になられる前ならともかく、総理になられたら行政最高責任者ですから、当然これはあなた方が御忠告申し上げるなりして、あとからもずっと出ておるのですから、これが増刷されたのはずっと後ですから、増刷されるころまでには改訂といいますか、訂正ぐらいはなさっておくというのが私はお仕事ではなかったかという気がするわけです。  そこで、何といってもあやまちはあやまちでございますから、これは大臣お話にありましたように、ひとつ総理に話していただいて、その方法については、後日どういう方法でこれを訂正をされるかお知らせを願いたいと思います。これは逓信委員会責任だと思います。いかがでございますか。
  18. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど申し上げましたとおりの手続措置をいたしたいと思います。その後の結果につきましては、後刻また御報告を申し上げたいと存じます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、先ほどの大臣所信一つの大きな柱でございます通信衛星放送衛星計画について、これを大きく推し進めていきたいという所信の御披瀝もありましたし、所管事項のほうにもそれが載せられておるわけでございますけれども、郵政省計画をする通信衛星並びに放送衛星計画と、科学技術庁宇宙開発委員会との間にいろいろ意見のそごを来たして、とりわけ四十八年度予算の編成にあたって、大蔵省との折衝過程ではまことに見苦しいといえば失礼でございますけれども、同じ国の機関の中で、意見の不一致のために予算がついたり削られたり、またついてまた削られるというふうな変なかっこうがうかがえたわけですが、この科学技術庁宇宙開発委員会郵政省との考えの基本的な違いについて、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  20. 久野忠治

    久野国務大臣 所管事項予算折衝過程においていろいろの数字が示されたことは事実でございます。それはあくまでも折衝過程でございまして、最終的にはただいま皆さんに御審議をいただいております数字が案でございます。八億七千万円でございまして、どうか皆さんの御協力でこの案が成立をいたしまするようによろしくお願いをいたしたいと思います。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、これは私は時間をとってもう一ぺんじっくり、宇宙開発委員会の御出席も願って、その考え方の違いについて徹底的な議論をしなければならないと思っております。ですから、これはきょうはあまり深く突っ込んで質問する意思はありませんけれども、いまの大臣の御答弁の程度ならばこれは新聞でも私は承知しておりますし、予算というものがいろいろな経過を踏んで最終的に決定するものだということも承知しております。しかし、その過程で食い違った意見、たとえば郵政省は五十二年にアメリカに頼んで打ち上げたいというような計画をもって予算折衝を行なってきた。宇宙開発委員会のほうではあくまでも自力開発といいますか国産でいきたい、そういうふうな意見があったということを仄聞しておるわけですが、その大きい意見の食い違い、なぜ予算がついたり削られたりしたか。結論を言うのじゃありません。郵政省宇宙開発委員会意見の違いを私はお伺いしておるんです。それは専門家でもいいですよ。
  22. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 通信衛星放送衛星開発につきましての郵政省考え方を大ざっぱに申し上げますと、昭和五十一年度を目途に二百五十キロないし三百キロの放送衛星通信衛星を打ち上げたいというのがわれわれの希望でございます。それに対しまして科学技術庁、あるいは宇宙開発委員会と申し上げたほうが正確かもしれませんが、その見解といたしましては、郵政省見解にほぼ同意する、ただ五十一年度に打ち上げるということを明記することはいかがであろうか、五十年代のできるだけ早期に打ち上げるという考え方には同調いたしますということでございます。  それで、なぜ五十一年度打ち上げと明記することに消極的かと申しますと、アメリカからの技術導入の問題、それからミッション機器開発の問題、それから研究開発体制の問題、こういうことで五十一年度は少し無理ではないだろうか、あるいは勉強すればできるかもしれないけれども、いまから明定することはいかがであろうか、こういうような考え方でございます。それに対しまして郵政省としては、以上の三点については十分自信があります、したがって、五十一年度にぜひ打ち上げたい、そういうような計画を進めたいということでございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 五十一年と五十二年に若干の違いはあったとしても、大体意見は一致しておるようでございます。確かに、おっしゃるように宇宙開発委員会のほうではアメリカからの技術導入がこっちが期待するとおりにいくかどうか、おたくのほうでは大体いくだろう、そういう意見交換があったことについては大体承知をしておるのですが、それならなぜ郵政省があれだけ苦労して二十億の予算をつけてもらったのが、一夜にして、一日のうちの午前と午後かくらいでひっくり返ったか。なぜ一ぺんつけてもらった予算がもう一ぺん削られるようなぶざまなかっこうになったのか。これは外から見ますと、どう見ても意見の一致を見てない——五十一年か五十二年か、アメリカ技術がうまく入るか入らぬかというようなことではない、もう少し変わった意見の違いを感ずるわけです。郵政大臣のお骨折りで予算が一ぺんつけられたと聞いておりますが、なぜそれがまた瞬時にして大蔵省の手によって削られるというようないきさつになったのですか。
  24. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 予算関係につきましては最終的には八億七千三百万円ということでございますけれども、その過程におきまして、大蔵省からある程度それを上回った数字が示されたことは事実でございます。ただ、それは宇宙開発委員会見積もりがそうあるべきだ、そういう見積もりを前提とした大蔵省見解でございましたけれども、その見積もりが実は科学技術庁関係から同意が得られなかったものでございますから、結局は宇宙開発委員会見積もりどおりという結果になったわけでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、郵政省宇宙開発委員会との間の話し合いが煮詰まってなかった。そうなれば郵政省が独走しておったというそしりを免れない。一月十四日の第二次予算復活折衝大臣たいへんお骨折りになって、新聞報道に間違いがなければたしか二十億です。あなた何かたいへん奥歯にもののはさまったようなお話でありますが、新聞にも二十億とちゃんと出ておる。だから、この委員会で隠す必要はありませんよ。二十億なら二十億を一ぺん認められた、しかし最終的なものではなく、条件つきで、宇宙開発委員会の同意が得られなかったなら得られなかったでけっこうですよ。そう隠さずにものを言ってください。これが一つ。  いま申し上げたように、一月十四日に大臣がせっかく大蔵省との折衝に当たられたのに、なぜその前に宇宙開発委員会との間に予算についての十分な合意を得るような折衝が行なわれてなかったのか、その点私にはふに落ちないのです。
  26. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 その点は一番最初に御説明申し上げましたように、五十一年度を目途に打ち上げるか、あるいは五十年代のできるだけ早期に打ち上げるかということの意見の相違に帰するわけでございまして、私たちの考え方では五十一年度を目途に打ち上げるとするならば、四十八年度に私たちが要求しております額は四十一億五千万円でございますけれども、ある程度の額が必要でございます。しかし、五十一年度ということで明定いたしませんと、若干の額が、われわれの要望に満たない額がつくことも考えられるわけでございます。その点が大きな相違だと思います。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、五十一年度にやるか、五十二年度にやるかという基本的な計画について、宇宙開発委員会郵政省との間に意見の一致を見ていなかったのでしょう。そうして予算の要求をしたからこういう結果になってきたわけです。なぜ一体五十一年度か五十二年度か、あるいはもっと掘り下げて言うならば、国内開発か、アメリカ技術アメリカに頼んで打ち上げるか、あるいは搭載機器についてはアメリカのものを借りるか、日本で完全な開発をするか、いろいろあったと思うのですけれども、要は五十一年度に試験実験をやるか、五十二年度にやるかというこの点について、宇宙開発委員会郵政省との間に意見の一致を見ないままに予算折衝に入ったからこういうぶざまなかっこうになったと私は思うのだ。だから、これについて五十一年か、五十二年に試験実験をやるかということの意見の一致を見ることができなかったのでしょうか。意見の一致が見られないなら見られないままに、また私はいろいろ手だてがあったんじゃないかと思うのですけれども、そこに私はどうも問題の基本のすれ違いがあるような気がしますが、どうですか。
  28. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 繰り返して申し上げますようですけれども、郵政省考え方といたしましては、五十一年度を目途に打ち上げる衛星の開発計画というものは、何年度なら何年度ということで明定しないと計画ができません。したがいまして、私たちとしては五十一年度目途という事柄を強く主張したわけでございますが、宇宙開発委員会は五十一年度も含む五十年代のできるだけ早期にと、こういう少し幅のある、開発計画としましてはちょっとあいまいな表現をおとりになっておる、そこのところが根本的な差異だと思うのです。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だからこれはもう大臣、要約すれば、結局宇宙開発委員会郵政省との間に明確に五十一年か五十二年かという意見の一致を見ないままに、郵政省が五十一年にぜひやりたいという意欲に燃えてやった。それが結果的には宇宙開発委員会の同意を得ることができなくて、一応は復活しそうになった予算が結局削られた、こういう経緯になるわけでしょう。なぜそこのところはもう少し詰めて、はっきりして大臣のお骨折りを願うような手続をとらなかったのか、どうも私はふに落ちないのですが、大臣はその点は釈然としておわかりになっておるならば、私にわかるようにひとつ説明してくれませんか。
  30. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、関係機関の十分な了解を得られるような努力の至らなかった点を私は反省をいたしておるような次第でございます。しかし、最終的に関係省庁の間で、省庁と申しますと大蔵大臣、私、科学技術庁長官、三者で会談をいたしました際に、五十一年度を目途にして打ち上げるという基本方針については三者は確認をいたしました。そこで、私といたしましては、その努力の至らなかった点については反省をいたしておりますが、この目標が理解をされた以上は、私といたしましてはこの八億七千万円という額に、ことばは過ぎるかもしれませんが減額をされたことにつきまして、これを認めたというのが現状でございます。しかし、今後とも私は努力を続けていきたい、かように存ずる次第でございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはもう少し私は、宇宙開発委員会も呼んで、放送衛星なり通信衛星のあり方について、もっと抜本的な論議をしなければならないと思いますから、きょうはその辺でとめておきますが、ただ私どもが新聞等を通じて、一ぺん二十億がついた、予算復活段階でついたのが、また削られたということについて、どうも率直に言って私はいまでも釈然としておりませんので、これはもう一ぺんあらためて議論さしてもらいたいと思いますから、問題を保留して次に移りたいと思います。  次に郵政省のほうに、今年度の予算で百三十三億かの赤字計上になっておったと思いますけれども、この前の郵便料金の値上げをいたしましたときに、大体四十八年度までは何とかやっていけるであろう、ただ見通しとしては、あの当時二百億余りの赤字が出るという見通しではあったと思うのですけれども、それが百三十三億でとまったとすれば、これは案外その意味では赤字が少なくて済んだということになるのかもしれませんが、しかし大体郵便料金の値上げをやって四十六年から始めた。そして四十八年でこういう赤字が出てくるということになると、これから先一体郵政事業はどうなるのか、私は非常に気になりますが、郵政事業全体の予算についての見通し、今年度予算だけでなく、これからの見通しについてもひとつ含めて、内容説明をいただきたいと思います。
  32. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 おっしゃるとおり、百三十三億余の歳入不足になっておりまして、これもお話しいただきましたように、前回値上げの際に見通しを立てました額に比しますと少な目になっておるわけでございます。てまえみそのようでございますが、若干経営努力が反映していると思いますが、それにしましても四十九年度以降の見通しはどうかということに相なるわけでございますが、実は完全に前回お認めいただきました料金で年間を過ごしましたのは四十七年度が初めてでございまして、年度の前半が非常に心もとない状況にございました。ところが昨年の十一月あたりから非常に収入が上がってまいりまして、そういう最近の状況からいたしますと、今後の景気の動向なりあるいは四十八年度におきます給与ベースの問題等もございますけれども、なおしばらく様子を見させていただきまして、数カ月後に四十九年度以降の郵政財務に関しまして基本的な考えを固めてまいりたい、かように考えております。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 われわれも郵政会計の、特に四十九年度以降については非常に気になるところでございます。率直に言ってどうなるのだろうかというような気もいたしますが、とりあえず四十八年度予算の中で、給与改定についての見通しがどのくらいになるか。四十七年度の場合がたしか七・一%プラス二千五百円ですか、これで四百八十億くらいですかの財源を必要としたと私は思うのですが、いまの予算にこういう財源は載っていない。幾らか見込んであるかもしれませんが、どのくらいいま見込まれておるのか。かりに四十七年と同じ給与の改定が仲裁裁定によって行なわれるとするならば、これは膨大な赤字になってくるという気がいたします。しかも大臣のお考えからすれば、当然他の省庁に劣らない——給与の改定については当然仲裁裁定をおのみになる、こう私は判断をするわけですが、そうすればこの生ずるであろう五百億前後の——五百億以上になると思いますが、大きい赤字についてはどう処置をされるおつもりなのか、ちょっと聞かしてもらいたい。
  34. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 おっしゃるように五百億余の金が要るわけでございますが、四十八年度当初予算には、このうち五%相当のアップ分を見込んでございます。それから予備費が二十億組んでございまして、あとはやはり年間の増収あるいは物件費の節減等の経営努力によりまして、来たるべきベースアップに対処いたしたいというふうに考えております。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経理局長、そういうことになりますと大体去年ないし去年よりも若干上回るベースアップが行なわれても、郵政の経理上特に心配をすることはない、そう理解をしてよろしゅうございますか。
  36. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ただいまのところ何とか経営努力によりまして乗り切りたい、かように考えております。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、お聞きのように大体財政的にはあまり無理はないようでございますので、郵政職員の賃金の引き上げについては積極的にひとつ御努力を願いたいと思います。  それから次に、新聞記事で見たのであまりはっきりしないのですが、電監局長、群馬県の前橋ですか、電電公社のポケットベルの電波と警察の無線電波が、何か電波が一緒になってハムの電信に入ってくる。ちょっと調べたところではポケットベルの周波数が一四六・七七メガヘルツですか、警察無線電波が一四八・九五メガヘルツ、この二つの電波が相互変調を起こしてアマチュア無線の一四四・六〇メガヘルツの受信機に入ってくる。それで警察と電電公社の間でいろいろ問題が起こって、新聞によれば、電電公社はポケットベルを売っているから警察のほうが周波数を変えてくれ、警察のほうは電電公社に変えてくれと、何か問題になっているように聞いておりますが、こういういわゆる相互変調を起こすような電波があるのかどうか、あるならばどういう措置をされたのか、ちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  38. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ただいまあげられました例は、群馬県の渋川市内のポケットベルの局の近くにアマチュア局が約百局ほどございまして、そのアマチュア局にポケットベルの局及び渋川市の近辺の群馬県警、これは警察の基地局、これが赤城山と榛名山にございますけれども、それから発射される電波によりまして、いま先生がおっしゃった妨害の現象が起こったわけでございます。このように混信は相互変調といわれるものでございますが、VHF帯か非常に過密でございまして、周波数を使用する通信が非常にこみ合っておりますので、ある程度の相互変調ということは避けられないような状態になってきております。  運用上の対策といたしましては、ハムの受信機にフィルター——大体一万円相当のものだそうでございますけれども、これを装入することによりまして混信の除去が可能であるということでございますので、ポケットベルの無線局の免許人である電電公社では警察と力を合わせて、混信を受けるアマチュア局に対しまして早期にフィルターを装入して混信の除去につとめるということで現在対策を講じておる最中でございます。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 電波の相互変調というものはVの波ですね。Vの波の場合にも非常に周波数帯が少ないからそういうことが起こるのはやむを得ない。これは何か科学的に、これとこれとをこうするとこうなるという定義みたいなものがあるのではございませんか。
  40. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 おっしゃるとおり一応あるわけでございますが、この場合におきましては、ポケットベルが一四六・七七メガヘルツ、これの二倍の周波数、これから警察の波一四八・九五というものを引きますと一四四・五九、こうなりまして、これがアマチュアバンド内に入ります。したがって、すべての要素を検討いたしますと混信がありそうだという一応の見当はつくわけでございますが、非常にこみ合っておる現状でございますので、必ずしもそこまで調査が行き届かないということでございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が聞きたかったのは、あらかじめ想定ができたのになぜそういう電波の波を免許したか、これが一点です。  それから二点目は、フィルターをつける、これは強制的につけさせることができるのかどうか。私はアマチュア無線家を疑うわけではありませんけれども、警察無線なんかのは私はわりあいにおもしろいものだと思うのですよ。そうすると、わざとフィルターをつけずにそれを聞きたいという人だって、百のアマチュアがあれば、その中にはへそ曲がりがおって、私はつけませんというのが出るかもわからない。つけておっても、警察無線を聞きたいときにはフィルターをはずして聞くことができるのではないか。そういうことを考えてみると、それだけの措置で十分なのかどうか、非常に疑問を持つのですが、どうなんでしょうか。
  42. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 第一点につきましては、今後技術的な調査をできるだけ詳細にやりましてこういうような混信が起こらないようにひとつ配慮したいということを考えております。  それから第二番目のほうは、おっしゃるとおり強制する力はございません。フィルターを装入すべしという強制力はございませんけれども、アマチュア無線といたしましてもこれを入れないと自分たちの楽しみ——楽しみと申しますか業務が行なえないわけでございますので、何とか了解を得てひとつつけていただくということで指導してまいりたいと思っております。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が警察のことまでいろいろ心配せぬでも一いいのですが、まず警察のほうがそれで了解がつくのかどうか。いま私が申し上げましたような懸念があるわけでしょう。たとえばアマチュア無線家が、あれは一日じゅうやっておるのじゃなくて大体時間をきめてやるとかいろいろあるはずですから、ひまなときにはよそから来ないわけですから、そのときは警察無線でも聞いてみようかということにならないかどうか、非常に心配です。しかも強制力がないとすれば、これは社会的にかなり問題じゃないでしょうか。どうですか。電監局長、電波の監理をされる方としても気になると思うのですが、あなたはこれで絶対安心だというぐあいにお考えでございますか。
  44. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 確かにおっしゃるような危惧はあるわけでございますけれども、無線通信一般につきまして、うっかり受信機を備えつけますと、これは通信の秘密ということがなかなか保ちにくい、本来そういう性質のものでございます。しかし、この際は警察無線でもございますので、できるだけ指導いたしまして善処してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 とりわけ専門的というわけではないのですが、大臣、大体お聞きのような内容になるわけでございます。電波を監理される最高責任者として、警察無線が自由に、というと失礼がありますけれども、やろうと思えば傍受できるというような状態に置かれていることについて大臣はどうお考えになりますか。
  46. 久野忠治

    久野国務大臣 いろいろ問題点があるようでございますので、そうした点を十分勘案しつつ協議を進めて検討していきたい、かように考えております。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはよく警察と話し合って、あまり行き違いのないようにやってもらわないと、後日また問題が起こるようなことになるとたいへんだと思いますので、念のために御注意を申し上げておきたいと思います。  その次にお伺いしたいのですが、郵政省の資材部長、お見えでしょうか。——この前の国会からたいへん問題が起こった例のいわゆるポリ塩化ビフェニール、PCBの問題ですけれども、御承知のように三菱モンサントとそれから高砂の鐘淵化学のカネクロールですか、これがいわゆるノーカーボン紙に使われて、この委員会でもその処理等については問題が出て、たしかこの前資材部長さんのほうも処理はやったというお話があったのです。私がどうしても納得できないのは——PCBそのものは鐘化なり三菱モンサントが一ぺん売ったものをまた買い戻しをしておるわけですね。それを使ってつくったノーカーボン紙が郵政省の消耗品として納入をされた、買い取られた。これは使えないものであるということが明らかになったのならば、それを納入した業者はその責任において、郵政省に売りつけた使えない式紙について回収をする義務があるのではないか。商法上どうなるかわかりませんが、道義的に私はそういう気がしてならないのです。その点について資材部長のほうはどうお考えか、聞かしてもらいたいのです。
  48. 田所文雄

    ○田所説明員 ただいま問題のPCBの式紙は郵政省の資材部の倉庫に厳重に保管しておるわけでございます。この処理の方法につきましては、通産省を中心といたしましたPCB入り感圧紙処理技術研究会というところで検討しておりますが、その結論を待ちまして処理するわけでございますし、また、ほかの問題もその結論の後に考えてみたいと考えております。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 くどくなって恐縮なんですけれども、ただPCBを含んでおるノーカーボンの処置については、これはなかなかむずかしいと思うのです。千三百度以上の高熱か何かで焼却しても、これはなお残るのではないかといわれておるわけですね。処理は非常にむずかしいのです。私がいま部長にお伺いしたいのは、郵政省が買い受けたわけですね、しかし、買い受けた品物が使えないということが明らかになったわけでございますから、当然納入した業者はそれを買い戻さなければならないのではないか。たとえばPCBそのものを売った、油を売ったところの鐘化なり三菱モンサントは、一ぺん売った油をお金を出して回収しておるわけですね。それならば、このカーボン紙についてもそういう措置をとるべきではないか。もう売ったのだから私のほうは知りませんということになって、郵政省は買ったのだからしかたがありませんといって、使えない式紙をあとの処理までしなければならないのか、その業者に買い戻す責任はないのだろうか、そこのところでございます。
  50. 田所文雄

    ○田所説明員 御指摘のような問題はあるわけでございますが、この式紙を売り買いいたしました時点におきましては、だれもそういう問題があるということは知らなかったわけでございますので、簡単にと申しますか、いますぐに買い戻せということも必ずしも言えるかどうか問題でございますので、法律的にもいろいろ検討をしてみたいと考えております。そういう段階でございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一点だけ。そのために使えなくなったノーカーボンを郵政省は金額にしてどのくらい持っておるわけでございますか。
  52. 田所文雄

    ○田所説明員 ただいま資材部の倉庫に保管してございますものは、金額で一億一千五百万円でございます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  その問題は検討の結果を待つことにさせてもらいまして、次に電電公社総裁にお伺いをしたいのですけれども、所管事項説明を承りましたのですが、テレビ電話というのですか、電話で話しながら画像が映るようなものをいまごく一部試験的におやりになっておられますか。
  54. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  いま試行サービスとしまして一年間ということで、いわゆるクローズドシステム、だれでもということでなくて特定の方の御要求に対しましてやる、その範囲も、たしか距離はたとえば五百メートルとかある距離を限定いたしましてやるというふうになっております。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま幾つぐらいあるのでございますか。
  56. 玉野義雄

    ○玉野説明員 一システムでございます。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その一システムはどことどことの間にございますか。
  58. 玉野義雄

    ○玉野説明員 総理官邸と自民党本部の間にございます。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の聞き違いでなければ、総理官邸と自民党の本部でございますか。間違いございませんか。
  60. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  いま制度といたしましてやっておりますのは、先ほど申し上げましたようにそういう試行サービスをどなたからも申し出があればお受けするというふうになっております。ただ、同軸ケーブルを引っ張るわけにいきませんので、いわゆるペアケーブルを使ってやるということでございますので、相互の距離が限定されております。どなたでも、申し込みがあればそれに応ずるというふうにいまなっております。  それから、いま現在動いておりますのは、総理官邸の中の一つと、それから自民党の中の三つと、四つがぶら下がっているというきわめて小規模なものでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その料金はどのくらいになるのですか。まだ一般国民にはあまり知らされてないようでございますが、システムの料金、使用料と申しますか、それはどういうことになりますか。
  62. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答えいたします。  月一万三千円でございます。それからそのほかに電話の通話がございますが、これは電話料として別にいただくということになっております。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 たとえば設備料などについてもう少し詳しく……。設備をするために設備料がどのくらいかかるのか、債券はどのくらい負担をするのか、そうして使用料はいまわかりましたが一万三千円である、電話料はもちろん別でしょう。
  64. 玉野義雄

    ○玉野説明員 いま手元に資料がございませんので、すぐ調べまして御返答いたしたいと思います。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういうきわめて新しいシステム、しかもいまシステムとしてはたった一つ。ぶら下がっておるのは一つと三つぶら下がっているかわかりませんが、そういうわずかなものであるのに、その設備料が大体どのくらいなのか、債券引き受けが何ぽか、その程度のこともおわかりになりませんか。
  66. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  おそれ入りますが、もうすぐわかると思いますので、調べさしていただきたいと思います。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 金を取っていないのでしょう、いま試験的にやっておるから。第一、一つ総理官邸ですから、どういう支出になるか、どっちがどういう負担をしているのか私も詳しくわかりませんが、いま試験的にやっておって、お金を取っていないのでしょう。あまり隠さずにはっきりおっしゃったほうがいいのじゃないですか。
  68. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  料金を取っております。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、あわせて債券の引き受け額なり設備料についてはっきりしてください。  それを調べておる間に次の質問をさしてもらいますが、総裁、この前広域時分制に移行いたしまして、去年から試験実行というのですか、何か北海道からずっと九州まで、四カ所ぐらい広域時分制をすでにおやりになりましたね。ことしの六月ごろが大体最高潮になると思うのですが、この広域時分制を試行実施をされた結果、一般の加入者からの声をどういうふうに把握をしておられますか。
  70. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  先行実施は昨年の六月ごろいたしまして、本実施を、これは公衆法の手続に従いまして十一月十二日ごろからいたしました。いままでそれらの得た結果というものにつきまして、私たちも新聞世論とかあるいは電話局の窓口に出てくるいろいろな利用者の、国民の御要望というものをつぶさに検討しております。しかしいまのところ、特別にこの方式がどうとかというあれはございません。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで二点ほどお伺いしたいのですが、大体いま実施したところは非常に加入の少ない地域で、しかも広域時分制によって単位加入区域の広がるところでございますから、これはわりあいにうまくいったんではないか。東京都の場合なんかになりますと、これは二十三区の場合三分で打ち切られる、あるいは三分で料金が加算されるだけのことで、一向にメリットがない。その辺で文句が出てくるのではないかと思いますが、いま先行実施したところについての料金収入は従来に比べて上がったか下がったか、これが一点目。  それから二点目に、たいした問題ではないというお話でしたけれども、時分計と呼ぶか何と呼ぶかわかりませんけれども、ストップウォッチみたいなものを押して十五分間回るのがございますね。それが二十秒くらい狂うんだということで、新聞でもちょっとたたかれたようでございますが、そういう事実があったのでございますか。
  72. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  広域時分制実施後、先行実施のところとそれから本実施に入りました部分とがございますが、先行実施の部分につきましては基本料をそのままにしておりますので、その収入が正確に出ないわけでございます。したがいまして、本実施に入りました十一月十二日に七十五単位料金区域をやったわけでございますが、その分で見ますと若干収入が落ちております。しかし、これは十一月の十二日からでございまして、全体の七割くらいでございますので、まだ正確な数字は把握できないわけでございます。したがいまして、十一月段階のものではそういう傾向が出ております。  それから二番目の、俗称テレマーといっておりますが、十五分はかれるようになっておるわけでございます。これは電話を貸す人等があるわけでございますが、借りに来た人とか、それから旅館とかそういうようなところで電話を貸す場合に、広域時分制が始まりますと単位料金区域内が三分七円になりますので、借りた人からお金をもらうという場合に多少不便だというお話もございましたので、そういう点初めてのことでもございますので、そういう他人に電話を貸すとかいうことも考えまして、御希望のあります方にはこれを、簡単な時分計といいますか、これで一応見ていただくという意味で、無料で配布するということにしたわけでございます。したがいまして、精度はおっしゃるように、たとえば三分で二十秒とかそういう誤差が出るようになっておりますが、しかしこの場合、おくれるほうで誤差が出ますと、貸した人が料金を少なく取るかっこうになって損をするということでトラブルが起こるおそれがございますので、進むことはあってもおくれることはないという前提でこれをつくっております。ところが、簡易なものでございますので、どうしても正確なものがほしいとおっしゃる方には別に正確な度数計をつくっております。これは非常に値段が高うございますので無料というわけにはいきませんので、七千円で実費をいただきまして三年間は保証をするということで考えております。  以上でございます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは貸してあげる人のほうはもうかるかもわからぬが、借りた人にとってはこれはたいへんなことで、二分五十秒しかかけないのに倍の料金を取られることになりますね。二十秒狂っておったと仮定をすれば、二分五十秒しかかけていないのにこの時分計は三分十秒のところをさす。二十秒狂っておった場合そういう結果になりますから、借りた人にとってこれはたいへん気の毒な状態が起こる。私は、これはその意味では電電公社たるものがそういうあいまいなものを町に持ち出したということは非常に残念に思います。  それからもう一つ、いまおっしゃった、精巧なものについては金を取るということなんですが、あのときのお話では金を取らずに砂時計というような意見もあったと思うのですけれども、何か考えたいという公社お話でしたが、七千円といえば電話を貸す加入者にとってはかなり大きな負担になりますね。何かほかに方法はないですか。やはり金を取りますか。二点です。
  74. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答えを申し上げます。  簡易な時分計のことにつきまして、まず簡単にお答え申し上げたいと思いますが、ただいま精度の問題でちょっとお話がございました。大体三分で二十秒進むじゃないかというお話がございましたが、そういうケースというのは非常にレアなケースでございまして、大体一〇%程度、約十八秒以内におおむね入ってしまうわけでございまして、二十秒なんというのはきわめてまれなケースでございまして、そもそもこれは市販品を使っておる。市販品で最も使いやすくて、値段も手ごろで、それから精度もよろしいというところを物色をいたしまして、去年の一月に商品名でテレマーというものを採用いたしました。公社が無料で御希望の向きに差し上げることにいたしたわけでございます。この採用のときに、市販されておりますところのあらゆる類似のタイマーを比べまして、そしてそのうちから四品選びまして、その上でこれが一番適当である。他のタイマーはおおむね精度の面でプラスマイナス一〇%ないし一五%、つまりばらつきの面におきまして二〇%から三〇%くらいのものに一般の市販のタイマーは入っております。工業用、学術用になりますと、これは非常に精度が高いものでございますから、これは非常に高い。こういうことがございまして、したがってお客さまには、三分ごとに十五分まで時間の経過も含めまして、おおむね三分ごとに目安が得られるというところで一番精度の高いものを選んだのでございまして、公社が現在採用しておりますのは、あの種のタイマーでは市販の類似のものに比べまして精度は非常に高いのだということなのでございます。  それから、これに関しましての苦情でございますが、一月末現在約六十万個ばかり配布されておりますけれども、時間が不正確だという苦情は、数字で申しますと正確には全国で三十七件ありますけれども、これは一万分の一以下でございまして、目下のところはそんなに苦情をいただいておるということでもないのではなかろうか、こういうふうに思います。  それから、もう一つの接続型の時分計でございますが、これは非常に正確を御要求なされる方、これは非常に高いものでございますし、あとの保守も伴うということでございますので、これにつきましては、先ほど営業局長が申し上げましたように、まずお客さまに七千円で買っていただきまして、そしてそれを一定期間公社で保守をして差し上げる、そういう仕組みにいたしております。この精度は非常に高うございます。ですからどちらでも御希望の方にはその道が開かれておるということでございまして、現在接続型時分計は全国で約五千余り、六千近くのものがすでに出ておる、こういうことでございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総裁通信衛星を打ち上げようかという電電公社でございます。何億分の一の違いがあってもたいへんなことになるといわれておるのですが、その電電公社が対公衆サービスの面において、たとえ何万分の一か知りませんけれども、であれ、一つでも納得できないような利用者の苦情があるならば、これはやはり解消していくという基本的な姿勢公社にあるべきだと私は思うのです。三十何件だからわずかなものだとかそういう筋のものではなかろうし、また正確なものだから金を出さなければならない、そういう筋のものでもなかろう。広域時分制をとるときからそのことはすでに懸念されておった問題なんですから、これはひとつ公社責任をもって、たとえ一件でもあやまちがあるならば、それが納得のいくような是正を行なうべきだと思うのですが、総裁のお考えはどうでしょうか。
  76. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  二年前に広域時分制の実施を含む法案をきめていただきましたときにも、砂時計等という話が出まして、いま井上総務理事が答えましたけれども、砂時計よりも今度の回るほうが確かに正確なのだそうでございます。私も専門家じゃございませんが、砂時計というのは、こう見るといかにもあれなんですが、温度で非常にその容器が変わったり、それから外側の加工というものはわりあいにできるのだそうですが、あの内側の加工というものはなかなかむずかしい。ですから、砂時計よりは確かにいまのほうがいい。ところで、七千円のものを御希望される方には接続してできるわけですが、しかしこれは高いので、まあ砂時計よりは確かにいい。あのとき砂時計という話が出ましたので、それよりはいいということで、それから、値段の高いものもやはり数が多いものですから……。それからもう一つは、時間のネガチブのほうにいくとまずい。ネガチブというのは、結局使う方に損をかけてはいけないということでなっておるわけであります。しかし、この問題につきましては、なおもっといい方法があるかどうか、もう時間も迫っておりますから直ちに方法は見つからないのでありますけれども、そういうことで御了解願いたいと思います。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 やはり私が申し上げましたように、公社が加入者に対するサービスというものを基本に置いて考えるならば、もっと正確なものについて、りっぱなものはあるのだが金がかかるから困るのだというふうな考えを捨てて、正しいサービスをやっていただくように要望をしておきます。  その次に、今度四十八年から電信電話拡充第五次五カ年計画というものが出されておるようでございますが、一昨年私どもは昭和四十六年度に始まって昭和五十二年度に終わる拡充七カ年計画というものについて議論をしてまいりました。それから二年たったわけですからそれは五カ年計画になるのでしょうか。公社は、一年たつごとに一年ずつ計画年次を縮めて、来年は第五次四カ年計画か何かに変わっていくものかどうか。なぜ七カ年計画を五カ年計画に変更をしたのか、しなければならなかったのか、その内容に変わりがあるかどうかをお伺いしたい。
  78. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  七カ年計画につきましては、一昨年並びに昨年の国会におきましてその基本的な考え方を御説明いたしました。今度の五カ年計画は、その当時七カ年計画を御説明するときにも、これは二年プラス五年のものだ、二年につきましてはこまかい数字を固めます、残りの五年につきましては、その五年の時期になお固めます、こういうことを御説明いたしました。基本的には七カ年計画の精神を受けておりますが、その後の需要の変化等を考えましたり、それからまた、農村、過疎地帯等における国民の皆さん電話に対するいろいろ御要望等も組み入れまして、第五次五カ年計画というものをまとめた次第でございます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あのときたしか、拡充法について十カ年というのは長過ぎるではないかという意見もありまして、拡充法は十カ年でも長過ぎない。ところが、こっちの計画のほうは、七年では長過ぎるので、二年だけは大体見通しが立つが、あとの五年は必ずしも見通しがさだかでないということだったのですが、そうすると、私が申し上げたように、来年はまた来年で第五次四カ年計画というようなものになるのかどうか。その次は第五次三カ年計画になるのかどうか。一年ごとの経過を踏まえまして、次に残された年次の計画を立てていくことになるのか、やはり五年間は変わらないのか、これはどういうことになりますか。
  80. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま申し上げましたが、基本的な長期計画でありますから、問題は毎年毎年の予算事業計画がきまるような仕組みになっておりますけれども、来年になったら四カ年計画にするかという御質問に対しましては、そうでなくて、この五カ年計画というものを大体標準にしていく、こういうふうに考えております。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでちょっとお伺いしたいんですが、経済社会基本計画これはやはり公社といえどもこの計画に基づいての五カ年計画が想定されておると思うのですけれども、数字がちょっと違うわけでございまして、この経済社会基本計画の四九ページに、電気通信関係の設備投資を六兆五千百億というふうに数字が上がっております。こっちの五カ年計画では、大体所要資金が八兆三千二百億というふうに上がっております。だいぶ数字が違っているようですが、ことさらに基本計画にとらわれるものではないとは思いますけれども、この関連はどんなふうになっておりますか。
  82. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  詳しくは計画局長から御説明いたしますが、この年度の単金のとり方のベースが違っておるのでありまして、この経済社会基本計画の中に盛られておる数字電電公社のこの五カ年計画数字とは合っておるわけでございまして、結局電電の要望がそのまま入っているというふうに御了解願いたいと思います。
  83. 清水通隆

    ○清水説明員 ただいま総裁が申し上げましたように、数字としては全く一致いたしております。総裁はベースが違うというふうに申し上げましたけれども、別な言い方をいたしますと、私どものつくりました七兆円の内訳は、毎年度その時価で計算をいたしましてそれを積み上げて足したものが七兆円になっております。今度の国の計画でつくりましたものは、それらをすべて四十七年度に換算をいたしまして、原価に持ってまいっております。その時価と原価の違いが先ほどの四千九百億の差になってまいっておりますので、内容は完全に一致いたしております。
  84. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、総裁所管事項説明の中で、電話料金の合理化を検討したいというふうなお考えのようでありますが、この電話料金の合理化という構想はどういうものでございますか。
  85. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  五カ年計画の中に実は書いてあるのでございますが、電話料金の合理化について検討する、これは「昭和四十六年五月、公衆電気通信法の改正により、広域時分制を採用し、電話料金体系の合理化をはかることとなり、目下その準備を進めている」、なお「長距離通話料金低廉化の要請もあり、今後さらに電話料金の合理化について検討する。」まだ公社として政府あるいは国会にお願いするということをきめておるわけではございません。四十八年度は法定料金について公社がそういう要望を出すことは考えておりません。ですから四十九年、五十年になってどうするかはまだだいぶ先のことでございますから、今後公社の収入状況あるいはまた支出のぐあい、あるいはまた増収等における今後の努力等も考えに入れまして検討したい、こういうことでございます。
  86. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 四十八年にその構想がないことは大体理解ができますが、その五カ年計画の問題をそのまま受け取らせてもらいますと、たとえば「長距離通話料金低廉化の要請もあり、」こうなりますと、どうも長距離のほうは少し安くなるという方向で検討されるのではなかろうか、長距離が安くなるということは、単一加入区域の料金の七円が十円に上がるのではなかろうか、これが冒頭質問をしました田中総理の十円説と非常に関連を持ってくる。これは少しうがっておりますが、よしんばそうでなかったとしても、なぜそれならここに特段に「長距離通話料金低廉化の要請もあり、」ということをうたうのか。これをうたうと、どうもそういうふうに見るほうは受け取るのですが、そういうお考えは全然ないかどうかです。
  87. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  なおこの五カ年計画の中の一一ページのところに少し詳しく書いてあるのでございますが、ちょっとつけ加えますと、「電話料金体系の合理化をはかることとなり、」これは広域時分制が採用されていまやっておるわけでございますが、「目下その準備を進めているところであるが、地域振興、都市政策、流通機構の整備等の見地から長距離通話料金低廉化の要請もあり、今後さらに電話料金の合理化について検討する。」公社は独立採算ということになっております。これは公社としてぜひこの独立採算を堅持したいと思います。ところで現在の状態を申し上げますと、収支とんとん、第五次五カ年計画の投資につきましてはただいま御質問でお答えいたしましたが、収支につきましてはこれは見込みということになっておるわけでありますが、大体収支とんとんという状態でございます。したがって、いろいろこれからも新技術導入をはかったり、あるいはその他近代化をはかる等、これは近代化の場合には労働組合ともいろいろ話し合う必要があるのですが、そういうことを進めていく際に、また一般電信電話を利用するユーザーの方の御要望というものも考えなければならぬ、国民の御要望も考えなければならぬ、そういうことを総合いたしまして、これからどんなふうにやるか。かつて、これは昭和四十五年の暮れですか、井出大臣のときに、公社も長距離を下げて、そして七円を十円にしたいという要望を出した時期がございましたが、これは政府がお認めにならないで、その案は撤回されたわけでございますけれども、今後この問題は検討事項でありますが、いまどうするかというのはちょっとまだ時期が早いので、われわれとしてはいろいろな角度からこの問題を研究したい、こういうことでございます。
  88. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長距離の料金が安くなることについてはたいへん賛成でございますけれども、加入区域内の料金が上がることについては反対でございますから、その点を十分お含みの上で御検討を願いたいと思います。  もう一つお伺いしたいのですが、この前の委員会でも私はこれは問題にしたのですが、政府引き受け債がパーセンテージからいえば、今度は四百二十億ですか、だいぶ上がっておるようでございますけれども、当初計画では一千億くらいは公社政府引き受け債、いわゆる財投を期待しておったように思うのですが、これはどうしてこんなに減ったわけでございますか。
  89. 好本巧

    ○好本説明員 お答えします。  御指摘のように、四十八年度の電電公社予算の資金計画予算概計におきましては、政府保証債その他政府資金の借り入れ等を含めまして、いわゆる純粋の政府の財政投融資計画の中から資金調達をお願いした額が一千二百億円をこえておったと思います。結論は、現在の政府原案は四百二十億円と相なったわけでございます。
  90. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはまた一ぺん大蔵省に出向いてもらって議論をしなければならぬ問題だと思いますけれども、いまのところ、いわゆる社債ですか、保証のない社債等でもってまかなっていくというお考えのようでございますが、この国会議論をした問題がなおざりにされることについて、きわめて不満なんです。実は当時、おたくのことばの中で財政投融資等ということばをすぐ使う、ところが財投は一兆何千億円の中のわずかに二百億なり四百億にすぎないではないか、ほんとうは部内の社債なり縁故債なりが多いじゃないか、それならば財投等というのはちょっとおかしいのじゃないかということをお話しをして、そのことばについては総裁もこれは考えましょうというお話があったわけです。大体何々等というときには中心になるものがやはり大きいものであって、「等」のほうが小さいものにならなければならないというふうに、これはへ理屈ですが、私はそう思っております。そのことについて総裁も大体あのときに了解をされたように思っておりますが、今日なおやはり財政投融資等というふうに依然として使われておりますが、国会でその場だけの御答弁で、あと何ら検討されないとするならば私どもは非常に残念でありますので、その点はどういうお考えか、ひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  91. 好本巧

    ○好本説明員 たしか昨年の四月の委員会でその点を御指摘いただきまして、私どもといたしましては昭和三十八年度から政府保証債のほかに縁故債の発行を認められましたので、それをくくりまして政府保証債等というようなヘッディングあるいは財政投融資等というヘッディングでまいりましたが、確かに御指摘のように本体のほうが小さくて「等」のほうが大きいということは改めるべきであるというふうに総裁からも御答弁いたしまして、もちろん政府からの予算案といいますか、いわゆる白表紙の中にはそういうことばは入っておりませんが、電電公社のほうでつくりました部外の方々に対する御説明用の電電公社予算案というプリントに十何年前からやっております項もございまして、われわれ俗称ABと言っておりますが、そのAの中にそういうふうな表現がありましたのを改めまして、四十八年度からは財政投融資等ということばではなくて、政府保証債、政府引き受け債、特別債というふうに羅列しておりまして、項もそういうふうに直しております。ただ、公社予算説明の正式な文書にはそう改定しておりますが、まだその他いろいろ御説明用のパンフレット等にあるいはそういうものが残っておるかもしれませんが、私どもといたしましては阿部委員指摘のとおりに直したつもりでございます。
  92. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは先ほどお伺いしましたテレビ電話のなにがわかったそうですから、それを知らせてもらう。  それともう一つは、最後に大臣、各官庁等でその事業の実態を国民に広く知ってもらうために白書というふうなものが出されております。逓信関係についても逓信白書と申しますか、あるいは郵政関係についても郵政白書といいますか、私は逓信白書くらいの幅の広いものがほしいと思うのですが、そういう計画をお持ちかどうか、この二点だけお伺いして質問を終わりたいと思います。
  93. 玉野義雄

    ○玉野説明員 調査がおくれまして申しわけありません。  先ほどの点でございますが、債券につきましては百六十五万をいただいております。それから設備料といたしまして二十万いただいております。それから使用料といたしましては月額定額にいたしまして先ほど一万三千円と申しましたが、ちょっとけたが違っておりましてはなはだ申しわけございませんでした。十四万八千円いただいております。
  94. 久野忠治

    久野国務大臣 いわゆる通信白書につきましては、来年度の秋、いわゆる昭和四十八年度の秋を目標に提出をいたしたい、かように考えております。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  96. 久保田円次

    ○久保田委員長 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時八分休憩      ————◇—————    午後一時十九分開議
  97. 久保田円次

    ○久保田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。久保等君。
  98. 久保等

    ○久保(等)委員 私は、きょうは特に郵政関係だけについて若干の質問をいたしたいと存じます。すでに予算審議過程にありますし、昭和四十八年度の予算重要施策等が郵政当局のほうから示されておりますが、その四十八年度の予算重要施策の問題を若干についてお尋ねをいたしたいと思います。  プリントをちょうだいいたしておりますので、このプリントの順序に従ってお尋ねをいたしたいと思うのですが、最初に、一般会計の中に海洋開発のための通信方式の研究ということで二つばかりございます。「レーザーによる海中情報伝送の研究」それから「海中作業基地におけるヘリウム音声改善装置の研究」、こういう二つの項目を重要施策の中に取り上げて明年度やられる予定になっておるようです。海洋開発の問題については比較的真新しい問題だと思いますが、今後海洋開発を非常に重視をしてまいらなければならないということ、これはだれしも否定する方はおられないと思うのです。そういう点で、郵政当局がこの海洋開発に関連する問題について、担当の部門についての研究をされることけっこうだと思うのですが、金額にいたしまするときわめてわずかの、レーザー関係予算額が四千二百万円、海中作業基地におけるヘリウム音声の改善装置の研究が二千三百万円ですか、こういうふうになっておるんですが、これはいつごろから研究を始められて、今後の研究開発の見通し、こういったようなことを担当局長のほうから最初にお尋ねいたしたいと思うのです。
  99. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 お答えいたします。  レーザーの関係の研究は四十六年度から開始しております。それからヘリウム関係は四十七年度初めて予算がついたわけでございます。
  100. 久保等

    ○久保(等)委員 いつから始めたかというだけじゃなくて、本年度の内容をさらに具体的に説明を願いたいことと、何カ年計画になっておるのか、四十八年度でこの項についての研究は一応終わる予定なのか、今後のそういった計画等についてもあわせてひとつ説明願いたいと思います。
  101. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 レーザーにつきましては一応三カ年計画考えております。この内容は、四十八年度はレーザー光の海中伝播特性の研究、これを継続いたしますとともに、海中で用いる場合に避けることができない散乱光などの影響、こういうものを受けないようなレーザースコープ、レーザー発信機、受信機でございますが、それを入れる箱の研究開発、それからあわせて海中汚染モニター、こういうものについても研究を進めていくという内容のものでございます。  それからヘリウム音声でございますが、これは御案内のように、海中で作業いたします場合には空気の中にヘリウムを詰めてそれを人間が吸う、こういうことでございますが、そういたしますと、箱の中に入っております人のしゃべる声が、ヘリウム音声といいましてアヒルに似たようながあがあしたような声になる、はなはだ了解度が悪い、こういうことでありますので、これを明瞭な音声に復元する機能を持つ装置の研究開発を行なうわけでございまして、具体的には磁気録音機というようなものの研究を行なう、こういうことでございます。
  102. 久保等

    ○久保(等)委員 いつごろまでですか。
  103. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 四十八年度で一応終了するということでございます。
  104. 久保等

    ○久保(等)委員 この最初のレーザーの研究は主として具体的にはどういう目的でこういう技術開発をやるのか。どういうところに使うのですか。具体的な使用目的というものがあるだろうと思うのです。ただ研究して、何でも技術向上をはかればいいということじゃなくて、たとえば、水産関係の具体的な何らかの目的に使用するものだろうと思うのです。単なる研究じゃなくて、実用的な研究を意味するのだろうと思うのですが、どういうことを具体的に目標にしているのか、もう少し説明願いたいと思います。
  105. 河野哲夫

    ○河野説明員 お答えいたします。  レーザーの研究は海中のレーザーの通信の問題もございますし、さしずめ目標にしておりますことは、海中で、非常に水が濁っております場合、前方が肉眼ではなかなか見えません。これをレーザーを使いまして前方の状況を見よう、つまり電波で申しますとレーダーのようなもの、そういうものを一応開発の目標にしております。またこれは将来海中の通信というような問題等も出てまいります。そういう面でもレーザーの研究は進めたいと思っております。さしずめのとこそろはレーザースコープの研究をおもに考えております。四十八年度完成の予定でございます。
  106. 久保等

    ○久保(等)委員 どうもあまり説明がよくわからないのだけれども、当然郵政省だけが独自にこの問題に取り組んで研究されておるのじゃなくて、たとえば水産関係あるいは電波関係関係もありますから、実用化についてもう少し横との連絡、研究等もはかりながら、何か一つの目的に向かって研究するということでなければならぬと思うのですが、いまのお話を聞く限りではどうもそのあたりがよくわからないのと、それから四十八年度で一応研究は終わるということですから、それならそれで研究成果をどういった形で現実には生かしていくのか。単なる技術開発ということだけではきわめて目的がはっきりしないと思うのです。もちろん金を使ってやることですから、具体的にどういう方面に使っていこうとしている技術なのか、ただ伝播力をよくする、伝送機能を高める、それから高めて具体的にどういう技術に結びつけて、どういう方面で利用していくのか。郵政省だけが単独にこういう研究をやっておるのか、そういった横との関係、それから具体的にどういう目的でやっておるのか。いまの説明ではきわめて抽象的だと思うのですが、説明できませんか。
  107. 河野哲夫

    ○河野説明員 将来どういうものにこれを使うかということでございますが、現在のところは郵政省単独でこれをやっておりますけれども、将来はたとえば海洋の中のいろいろ土木工事がございます。そういう場合に、濁った水の中でいろいろ作業をやる場合に、前方の様子がわかるということは非常に必要なことでございます。現在のところはそういうものに対する基礎研究をやっているところでございます。この研究の結果、成果があがりました場合には、これを実際に使えるようなものに持ち上げていく。その場合にはいろいろまた他の実用面の関係機関との間でも連絡をとりながら研究を進めるということでございます。
  108. 久保等

    ○久保(等)委員 いま説明をお聞きすると、政府にもいろいろ研究機関があるし、それから海洋開発関係は特に科学技術庁が最近非常に大きく力を入れてやり始めた部門なんです。それからまた、資源開発の面からいっても海洋開発というのは非常に重要な問題だと思うのです。そういう立場から、郵政省所管する範囲内における問題として技術開発に大いにつとめられることけっこうだと思うのでありますが、ただ、それが郵政省独自にやっておるのだという程度では、せっかくの研究そのものも生かされないだろうし、それからまた研究そのものも何か目的がなくて漫然とやっている研究では、私はやはり効率が高まらないと思うのです。  次の、二つ目の海中作業基地の問題これは当然科学技術庁でやっているあの海中基地の問題に直接利用せられる問題であると思うのですが、少なくともそういうふうな形で結びついて十分に生かされるような研究でなければならぬと思うのですよ。二番目の問題は当然申し上げるまでもなく、技術庁と十分に連絡をとってやられている問題だと思うのですが、一のほうは単独にやっている、二のほうは、科学技術庁関係は十分に緊密な連絡のみならず、共同研究をするような部面も出てくると思うのですね。実際、海中基地の中にもぐって一緒に研究したり、合同研究というような形にもなっていくと思うのです。前者の場合も、やはり私は研究というものはそういうものだと思うのですね。郵政省所管はここまでです、科学技術庁はここまでというような限界になりますと、非常にむずかしいデリケートな問題もあると思うのですが、そういう点で前者のほうは、どうも当面具体的にどういう目的のために研究しておるのかはっきりしないと思うのですが、そういうことしか説明できませんか。
  109. 河野哲夫

    ○河野説明員 前者も後者も、これはもちろん海洋開発審議会にかけまして、そういうところの諮問に答えるための研究ということでやっておるわけで、性質としましてはどっちも同じでございます。私申し上げましたのは、研究を担当しておるのが郵政省がその問題を担当しておるということを申し上げましたので、研究テーマそのものはもちろん、科学技術庁の中に海洋科学技術開発推進連絡会議というのがございます、この中のテーマとして取り上げてやっております。
  110. 久保等

    ○久保(等)委員 いまそれ以上に深い説明もできないのでしょうが、何か説明を伺う限りでは、もう少し目的を明確にしながら、やはり研究をやるからには積極的に取り組むべきだと思うのです。もちろんそういう開発審議会みたいなところでのテーマで研究はしているのでしょうけれども、思いつきで研究しているのではないのでしょうけれども、しかしそれがやはり生かされていくためにはどうするかということになると、共同研究なり、科学技術庁そのものの当面利用するところは一体どこに利用するのか、あるいは水産関係となると科学技術庁だけの分野でなくて、これが現実に生かされて研究されていくとなると、また科学技術庁とは違った分野に当然利用されていかなければならぬと思うのですね。だから、科学技術庁とだけの連絡なり共同研究だけでは済まされない問題だと思うのです。それからまた、電気通信なんかにも十分今後生かされていかなければならぬ問題だと思うのです。だから、そういう点でのもう少し横の連絡なりそういったことも考えながら、私は取り組んでいってもらいたいと思うのです。中身のことについては、あまりまた専門的になりますし、お伺いすることをやめますが、四十八年度中に一応完了する目途で研究せられておるとするならば、ある程度のまとまった研究成果というのが出るのだろうと思うのですが、その成果というのがいま申し上げたような方向でひとつ十分に活用せられるように、連絡あるいは共同研究等をやってもらいたいと思います。  それからその次に「総合的電気通信施策の強化」というのがございます。その中に最近の斬新なテーマがいろいろあげられております。生活情報システムだとかあるいは行政情報通信ネットワークに関連する技術開発だとか、そのほか農林漁業に関係するシステム開発だとか、先ほど大臣のほうからお話があった東南アジアケーブル建設計画の推進、こういったようなことがあるのですが、一々聞いておりますと時間がございませんから省略します。  そこで「農林漁業地域における総合情報通信システムの開発調査等」となっているのですが、これは具体的にどういうことですか。
  111. 牧野康夫

    牧野政府委員 お答え申し上げます。  農林漁業地域における総合情報通信システムの開発調査というテーマにつきましては、御案内のように、農林漁業地域におきましては有線放送電話、それから電電公社の行なっておりますところの地域集団電話、もと農集と称していたものであります。それから、このごろ新しく同軸型の電線、普通同軸ケーブルと申しますが、これによりますところの映像的な情報をやろう、こういうような企てもございます。事実ありますものは数は少ないようでございます。わが国におけるところの電気通信の一つの問題点といたしまして、そういう農林漁業地域、こういう、いわばこのごろいいますところの過疎地域における電気通信の設備というものが多種多様にいろいろ入り組まってくるような形になるのは、今後の情報の重要なる手段としての電気通信が複雑になって、利用する住民の方々に対して非常に過度な負担をかける結果になりはしないかということをわれわれは非常におそれるわけでございます。そこでそれらをどういうふうに整理——整理というと語弊があるかもしれませんけれども、どういうふうに将来持っていくべきかということを、有線放送をやっておられます農業協同組合を主体とする多くの方々あるいは地方自治体の方々、あるいは電電公社の方々あるいはそのほか学識経験者を交えて、じっくりこの問題を討議して、今後のあり方ということについて検討してまいりたい、こういう問題が内容でございます。つけ加えて申し上げますが、「等」と加えてありますが、「等」の字につきましては、主として先ほど大臣からお話しございました通信白書等を起案するための経費その他でございます。
  112. 久保等

    ○久保(等)委員 これは研究調査となっているのですが、技術的な研究調査が主たるものですか。むしろ、そういった技術的な調査研究よりも、その他の、技術的な以外の研究調査のほうが多いのですか。これはどういう中身ですか。
  113. 牧野康夫

    牧野政府委員 お答え申し上げます。  開発調査とございますのは、広い意味における開発調査で、技術的なものもございますが、主としては先ほど申し上げましたような、このごろのことばで申しますとソフトウエア的な調査、どういう利用形態が一番望ましいかというようなことを見出していきたいという調査でございます。
  114. 久保等

    ○久保(等)委員 それで、私総括的にただいままでの質問でお聞きしたいと思うのは、要するにいま最後にお尋ねした点は、技術的な部面が少ないようなお話ですが、それ以外の、先ほど来お尋ねをいたしております点は、特に技術研究、そういったことに関連すると思うのです。  ところで、郵政省には電波研究所というものが昔からあるわけなんですが、この電波研究所自体で、新しい先ほど来若干お尋ねしたような問題、それ以外に、もちろん私のお尋ねしておらない問題もたくさんあるわけですが、そういった電波研究所そのものが一体どういう形で研究せられ運営せられておるのか、あまり私もつまびらかにしないのですが、この郵政要覧をちょっとけさほど拝見したのです。この郵政要覧にも電波研究所のことについては触れておらないのですが、これはどういうことなんですか。
  115. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 従来の編集方針では、付属機関につきましてあまり詳しく触れておりません。そういう意味でいま先生御指摘のような問題があろうかと思います。現在のように電波関係が非常に重要性を持っております時期には、むしろそういった面についてさらに詳しく触れる必要があろうかと思っております。今後先生の御指摘のような面について検討いたしてまいりたいと思っております。
  116. 久保等

    ○久保(等)委員 少し蛇足かもしれませんが、郵政要覧を拝見すると、実にいろいろとこまごましたことまで膨大に記述をしてあるのです。それはけっこうなんですが、ところがいま申し上げた電波研究所に関する限りこれは一言半句も書いてないのです。図表にはそういう機関が付属機関として載っておるのですが、一言半句も触れてない。何か特別に抜いてあるのかどうか知りませんが、だから電波研究所というのは組織の中でも比較的重要視されておらないというような印象を持つわけなんです。実際現在の電波研究所というものがどういう組織なりどういう人員か、この要覧には全然出てないものですから、ちょっとひとつ所長のほうからでも御説明願いたいと思うのです。
  117. 河野哲夫

    ○河野説明員 組織でございますが、事務部門を含めまして八部から成っておるのでございます。地方に二つの支所がございます。それから五つの観測所、これだけが全組織でございます。  人員は四十七年度の定員は四百四十九人でございます。  予算でございますが、四十七年度が約十七億でございます。  それから業務でございますが、主たる業務は電離層の観測、それからその電離層の観測の結果を利用しまして電波の予報あるいは警報というようなことをやっております。電波の伝わり方がどういうふうになるかというふうなことをあらかじめ天気予報のように予報をする業務と、それからたとえば台風予報のように、太陽の爆発なんかございますと電波通信が通じなくなりますので、そういうことをあらかじめ予報する、警報を出すというような業務が一つございます。それから人工衛星によりまして宇宙空間の研究をやろうということで、これも力を入れてやっておる仕事でございます。それから宇宙通信の研究、実験をやっております。これはアメリカで上げておりますATSという通信衛星がございますが、これを利用いたしまして宇宙通信の研究を過去十年続けてやっております。それから人工衛生の研究でございますが、これは日本で五十二年度に上げようとしておりまする通信衛星、あるいは五十年度に上げようとしておりまする電離層観測衛星、こういう衛星の基本的な研究をやっております。衛星そのものをつくりますのは宇宙開発事業団がつくるわけでございます。そして衛星の打ち上がりました暁には、これを利用いたしまして所期の研究を実施するのは電波研究所でやるということになるわけでございます。  それから先ほどもちょっとお話が出ましたレーザーの研究、これは海洋開発にレーザーを利用する研究もございますが、そのほかにいろいろレーザーの利用は非常に各方面にございますので、そのレーザー関係の研究を進めております。  それからそのほかの業務といたしまして、標準電波の精度を上げる研究、それからこれを放送する業務がございます。  それからそのほかに、電波行政関係いたしまして、無線機器の型式検定あるいは測定器の較正を依託を受けてやっております。またその業務をうまく運営するための研究も同時にやっております。  大体そういうことが研究の内容でございます。
  118. 久保等

    ○久保(等)委員 四十八年度の人員は何人ですか。
  119. 河野哲夫

    ○河野説明員 四十八年度は四百五十一名でございます。
  120. 久保等

    ○久保(等)委員 そこで、ちょっとあとのほうの「要員の確保」というところに増員が三十六名ばかり四十八年度に予定されておりますが、これはどういうところに配属になりますか。三十六人の内訳をちょっとお聞かせ願いたい。
  121. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 先生のほうのは三十六名になっておりますが、その後一名組みかえがございまして三十七名になってございます。  この三十七名の内訳を申し上げますと、郵政参事官一、通信政策課事務要員九、放送部有線放送課設置三、電気通信監理事務要員七、電離層観測衛星用地上管制要員十一、有線テレビ監理要員三、通信衛星放送衛星開発要員三、以上でございます。
  122. 久保等

    ○久保(等)委員 そうすると、先ほどの研究所のほうは二名程度しかふえないのですか。
  123. 河野哲夫

    ○河野説明員 減員が約九名ございますので、差し引きいたしますと二名でございます。
  124. 久保等

    ○久保(等)委員 その減員はどういう減員ですか。
  125. 河野哲夫

    ○河野説明員 要するに定員の削減でございます。
  126. 久保等

    ○久保(等)委員 それはどういう——一般の……。
  127. 河野哲夫

    ○河野説明員 はい、一般のでございます。
  128. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの減員というのはおそらく一般の、政府行政全体の何割減とか何分減とかいう方針に基づいて、郵政の場合もその適用を受けて減員になるという意味だろうと思うのです。したがって事業内容いかんにかかわらず画一的に減員になったものだろうと思うのです。  ところで、電波研究所自体のいま言った要員の増加は明年度には二名になるようですが、先ほどからお尋ねいたしておりまする範囲内においても、いろいろ研究はやっておられるのでしょうが、何かどうも集中的に効率的に研究をされるという部面が非常に少ないと思うのです。まあ従来から研究をせられておるような部門、たとえば電離層の研究だとか電波の予報警報に関する事項だとか、従来からやっております面はそれはそれでいいと私は思うのですが、ただ新しくこの時代に即応して研究をせられる部門、たとえば人工衛星の問題まあ大臣も非常に重点施策としてあげられた問題だと思うのですが、こういう問題はしかし一面研究にあたって、私が先ほど申し上げたように各方面で非常にそれぞれに研究がなされておる。したがってダブった研究をされることはきわめてロスですし、好ましくないことですから、横との連絡を十分とりながら研究を進めていくことが必要だと思うのです。ロケットの研究、通信衛星の問題を取り上げてもそれぞれ部門が分かれるわけですから……。ところがえてして基礎研究というようなことになりますると、どの部門でもやはりある程度の基礎研究もやらなければならぬということになってきて、非常に非経済的な研究になる場合が往々にしてあるのですが、これは十分にひとつ、共同研究といったような形でそういったむだのないような研究をやってもらいたいと思いますが、それにしても郵政の場合の範囲内における研究体制も、予算の面を見ましても要員の面を見ましても、現在の情勢にはたして即応できるのかどうか、こういう点については若干どうも疑問に感じます。先ほどの研究にいたしましても、四十八年度でレーザーの関係の研究にいたしましても打ち切るような話ですけれども、はたしてそれで研究がどの程度の成果をあげて完了するのか知りませんけれども、やはりせっかく研究するなら、それが実用化されるところまで、共同研究というようなところまで研究を持っていく必要があるのじゃないかと思うのですが、はたして四十八年度でそこまでいけるのかどうか。これは先ほどのお話を聞いておって、いささか心もとない気がするのですが、この研究部門について——何も形式的なこまかいことをあげ足をとるような意味で申し上げるのじゃないのですけれども、この郵政要覧にも一言半句もその中身の説明も何もない。そして、非常にこまかくいろいろな小さな審議会あたりまで説明が載っているのですが、電波研究所の問題については全然載っておらないというようなところにも、電波研究所の扱いについて、ほんとうに重要な部門だとして考えておるのかどうか。この郵政要覧をちょっとべっ見しても、そういう感じが強いのです。だから、私はこの際、電波研究所所管の研究問題について、一ぺん、いまの時代に即応した電波研究所の運営が一体なされておるのかどうか、こういったようなことを見直す必要があるのじゃないかという感じがいたします。もちろん、私はただいたずらに、電波研究所をただ拡大して充実しろということを申し上げておるわけではありません。いま申し上げたように、他にいろいろ研究機関があります。電通関係にしても、もちろん電電公社にもありますし、国際電電にもありますし、NHKにもあります。また、科学技術庁方面はもちろんのことでありますし、いろいろ各機関でそれぞれ研究所を持ってやっておるわけですから、それの総合的な研究、運営ということを考えていかなければならぬのですが、これはある程度科学技術庁所管だろうと思うのですけれども、そういう連絡調整——科学技術庁には研究調整局という局もあるぐらいですから、そういったことは科学技術庁で主としてやられる問題だと思うのですが、郵政省としても、特に監督官庁という立場もあるだけに、あまりダブった研究機関になってはもちろんいけないと私は思うのですが、そういう全体的な調整なりあるいは運営等についても、電波研究所の問題はもちろんのこと、そういう総合的なものについても一応この際十分に検討せられる必要があるのじゃないかという感じがします。おひざ元の電波研究所にしてもしかりですが、そういう点で郵政大臣に、こまかい技術的な問題は別として、いま私のほんのわずかの時間の間でのやり取りの中から、郵政大臣のお考えになっておられる点があればひとつ承りたいと思いますし、それから、私がいま申し上げたような趣旨で、ぜひ郵政の電波研究所そのものについても検討を願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
  129. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見はまことに重要な意味を含んでおると思うのであります。  最初に取り上げられました海洋開発につきましても、資源開発等を一つ取り上げてみましても、たいへん重要な課題だと思うのであります。そこで、海洋開発審議会が設けられまして、これがこの開発課題を取り上げ、検討が進められておるわけでございますが、ただいま御指摘の電波研究所の件につきましても、私が一つの政策として申し上げました宇宙開発、この宇宙開発の中における通信衛星放送衛星等に搭載をいたします電波機器、こういうものにつきましての研究は、非常に研究所でもって検討を進めておるのでございます。でありますから、私は将来この電波研究所がさらにその目的を十分達成でき得るような措置を講じたい、かように考えておるような次第でございまして、そのためには各省庁間の十分な連携を保つ必要があると思うのであります。そのことについて私は十分検討いたしてまいりたい、かように存ずるような次第でございます。
  130. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは次に特別会計のところに入ってまいりたいと思うのですが、特別会計の中では何といっても郵政事業特別会計、これが一番大きななんですが、例の郵便事業、これについてはすでに一昨年から昨年あたりにかけて郵便料金の値上げも行なった。しかしこれは長期的な展望に立った料金改定ではなかったと思いますが、しかしこの現状を考えてみますと、昭和四十八年度の予算でも、拝見をしますと、すでに百三十三億二千五百万円の支出超過が見込まれており、したがって四十八年度はさしあたって前年度の持ち越し現金で充当するのだというふうに説明がなされております。もちろん四十八年度自体をとって考えてみましても、物価騰貴の問題やらあるいは人件費等におきましては、今日当然これは大幅の給与改善等がなされなければならぬような客観情勢に置かれておると私は思うのですが、そういうことを考えてみますと、四十八年度の予算だけでもはたして予算どおりいくかどうか、これはむずかしい問題だと思うのです。ましてや明後年度、四十九年度あたりになってまいりますと、一体どうやってまいるのであろうか。これは非常に大きな、郵政事業特別会計というよりも、郵政省自体にとってたいへんな問題だと思うのです。このことについて郵政大臣はどんなふうに今後の問題としてお考えになっておるのか、その点をひとつ大臣からお聞きいたしたいと思うのです。
  131. 久野忠治

    久野国務大臣 郵政事業の特別会計につきましては、いま問題点を御指摘になったわけでございますが、この運営等につきましては、十分合理化並びに将来会計の扱い等につきましても検討を進めて、国民の皆さんの御理解と納得のいただけるようにいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  132. 久保等

    ○久保(等)委員 大臣の御答弁もその域を出ないのかもしれませんが、答弁としてはこれは中身が何もないし、はなはだどうも将来に対する展望は何もない。しかし現実的には非常に異常な状態になりつつあることだけははっきりしていると思うのです。したがって、それはそのときの話だというわけには済まされないほど大きな問題だと思うのです。少なくとも、四十八年度の予算が通れば四十八年度はそれて終わりだというわけには——先ほども申し上げたように、いまのような物価騰貴なり、あるいはまた諸般の価格が非常に暴騰しております状態を考えますと、人件費にしても物件費にしても非常にかつてないたいへんな情勢に置かれておると思うのです。そういうことを考えますと、四十八年度そのものもはたしてこれでいけるかどうか。少なくともこれが正真正銘の予算としてでき上がっておるならば、私はやはり相当問題があると思うのです。しかしなかなかこの予算というものは弾力性があるのだといえばこれはまた別ですが、しかしそういう予算ではないはずですから、今後なかなか苦しい財政状態になってまいると思うのです。そういう問題もありますし、同時に明後年度、いまもお尋ねしたように四十九年度一体どうするのだという問題になりますと、これはここのところはそっとして、とにかく予算さえ通ればいいのだという御配慮からかもしれませんが、しかしとにかく四十八年度において次年度のことをこれは当然考えてまいらなければならぬわけですから、一体どうして郵政の財政を確立してまいるか、一年か二年か三年程度の暫定的な見通しばかりつけてやっておったのでは、これは私は重要なこの公共事業である郵政事業というものが、それこそ健全な発展をしていくことは非常に無理だと思うのです。したがって、現実は現実として大胆に見詰めながら長期的な展望を持ってまいらなければならぬと思うのですが、いま大臣の言われるように国民の理解と納得、御協力、これは当然のことですし、なければならぬと思うのです。それがためには一つ考え方というものをはっきり持って、そして理解と協力を求めなければ、そのときになってお手あげになりましたからひとつよろしくということでは、それこそ納得なり協力を求めることはできないと思うのです。そういう問題について、もちろん具体的にどうこうしようという案がいま直ちに大臣から御説明があるとは思わないのですが、しかしいずれにしろ、これはもう緊急の課題だと私は思うのです。そうのんびりしておられる状態ではないように思うのですが、のんびりしていてもいいのでしょうか。
  133. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 四十八年度予算案をごらんのように百三十三億余でございまして、お説のように四十九年度以降私ども決して楽観はいたしておりません。ただ昨年の十一月からかなり郵便物数も回復してまいりました。したがいまして、郵便事業収入も上がってまいりました。御承知のように歳出予算を組みます場合に、その他の事業につきましては貯金事業特別会計、保険事業特別会計、あるいは電信電話につきましては日本電信電話公社から、人件費のアップがありますればそれ相応の費用ということで入ってまいりますので、もっぱら財務上の問題点は郵便事業に相なります。この点に関しまして、先ほど申し上げましたように見通しがやや明るくなりつつあるという傾向がございます。この四十八年度予算の歳出を組みます場合にも、人件費のアップのみならず、物件費につきましても概算要求あるいは以後の情勢にかんがみましてのアップというものを大蔵省との折衝におきまして見込んでおりますので、もうしばらく収入状況を見きわめながら、四十九年度に対するあり方を考えてまいりたいというふうな現状でございます。
  134. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの経理局長お話を聞いても、そんなことが増収にもちろんつながっていくようなほどの問題じゃないのでして、去年の十一月といえばちょうど総選挙もあったりするから、私は物数もふえるのは当然だと思うのです。去年の春ごろからずっと一年間、過去急激に需要が伸びてきたといったような好材料でもあれば別ですけれども、去年の十一月あたりのデータでは、総選挙があったりしてあまり当てになるわけじゃない。また郵便物数が少しばかりふえたからといって、何百億円収入がふえるような、そういうけっこうな財政状態にあるようなわけじゃありませんから、経理局長お話が私の質問に対する十分な御説明にはなっておらないと思います。それ以上の答弁ができないとすれば、これもこの場の質問としてはやむを得ないと思います。しかし、ぜひひとつ今後の展望について、考え方をできるだけ早急にまとめて対処していかなければならない今日の情勢ではないかと思います。したがって、大臣にそれこそその点の検討をお願いを申し上げたいと思うのですが、どうですか。
  135. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘のとおりでございまして、十分研究課題として検討を進めていきたいと思いますが、一面経営努力によりまして増収をはかりながら、さらに経費の節約等もはかりながら、経営の健全化をはかりたい、かように存ずるような次第でございます。
  136. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは若干特別会計の中身についてお尋ねしたいと思うのですが、最初に郵便局舎改善。これについては長い間従来からの懸案の問題で、せっかくいろいろ努力をせられておることは私も承知いたしております。大臣お話にもけさほどあったように、職場環境をよくしようということで局舎の新築あるいは改築等を、前年度といいますか四十七年度に比べれば、四十八年度は相当前進のあとが見られるではないかというようなお話がありました。なるほど普通局の場合を例にとって見ますると、前年度に比べてだいぶ四十八年度は局数も多くなっておるようです。しかし特定局の場合には、前年度も四十八年度も百局あるということで同じようになっておるのですが、局舎改善は特に特定郵便局に非常に多いわけですし、したがって数も多いわけです。この点では特定局に関する限りは四十七年度、四十八年度であまり規模が大きくなったとは見受けられないのですが、局舎改善について従来から私もそういうことを申しておったのですが、やはり長期的な計画をつくって思い切って局舎改善をはかってまいりませんと、なかなか解決しないと思うのですが、一体年次計画をつくってやっておられるのかどうか、それから四十八年度あたりが大体どの年次に当たるのか、そこらの局舎改善計画があれば御説明願いたいと思うのです。
  137. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵便局舎改善が緊急を要することは先生おっしゃったとおりでございまして、過去におきましても一応五カ年計画を、これは一応のめどでございますが、内部においてつくってまいりました。今回も四十六年度から五十年度までの一応の内部の計画をつくってございます。それによりますと、大体郵便局関係で五年間に二千億が必要であろうという考え方で設定をいたしました。ところが五年でいきますので大体一年四百億くらいは必要になるわけでございますが、四十六年度はすでに予算の編成が終わっておったような関係もこれあり、四十六年度は百八十七億しか充当できなかった。以後四十七年度そして今年度四十八年度においていろいろ御苦労願いまして、四十七年度は三百十六億、四十八年度は三百八十八億という形でいま進捗しております。これを三年間で推計してみますと、その計画目標に対してまだ四四%、したがいまして、確かに五年のめどに対してはいささか進捗の度合いがおくれておりますが、しかしことしの三百八十八億あたりで一応一年四百億の目標に近づいたということで、今後の見通しは非常に明るくなったという感じはいたしております。  それから特定局関係でございますが、御承知のように特定局につきましては国費で改善する分、それから私有局舎が多いので、いわゆる私費で改善する、それから第三者改善としていわゆる互助会による改善、こういったものでやっておりまして、私どもの方針としては要するに特定局でも大きな局は国費で改善していきましょうという方針でございまして、五カ年計画でも特定局は毎年百局ずつやっておれば大体一応国費改善はそれでいいのじゃないかということでございまして、あとのほうは私費改善あるいは互助会の改善という形でかなり特定局の改善が進んでいく、こういうふうな実情でございます。
  138. 久保等

    ○久保(等)委員 この局舎改善についてはやはり最近の物価高、特に建築材料等の非常な高騰ではたしてこれが実施できるかどうか危ぶまれるのですが、その点はどんなふうになっていますか。
  139. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 御意見のように私ども今後この予算単価でやっていけるかどうか、最近の木材の値上がりその他の値上がりによって非常に苦慮しておりますが、一応四十八年度においては、建築費等においてはこの予算単価でやっていけるだろうという見通しでございます。したがって今後五年のめどをつけておりますが、四十九年度、五十年度になりますと、局舎改善しようとすると、はたしていまの予算規模でできるかどうかという問題は出てこようかと思いますが、現段階においては一応四十八年度予算単価で予定の局舎はできるものというふうに考えております。
  140. 久保等

    ○久保(等)委員 特定局の場合について、国費でやるものは、改善を要する局舎についてはこの五カ年計画でほぼ片づくのじゃないかというお話があったと思うのですが、私有局舎、互助会の関係、こういったものもこの五カ年計画でほぼ完了するというふうに理解していいのでしょうか。
  141. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 実は先ほど申し上げましたのは、国費で新築するものの一応五カ年計画ということを申し上げたわけでございまして、私費、互助会等を含めての五カ年計画は実はつくってございません。ただ、われわれいろいろの実情をお聞きして、郵便局等で非常にひどい郵便局があると、そこをとにかく重点的に早くやらせるという方向で、特に計画的なものをつくっておらないのが実情でございます。
  142. 久保等

    ○久保(等)委員 その国費によるものは局数からいってどの程度のパーセンテージになるのですか。
  143. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 いま特定局の数が非常に多うございますが、たとえば四十六年度で特定局の改築をしたものが約六百二十局ばかりになっております。その六百二十局の中で国費新築が百局程度で、あとは互助会、私費という形になってございます。
  144. 久保等

    ○久保(等)委員 郵便局舎は、国費でやろうと、私有局舎であろうと、あるいは互助会でやるものにいたしましても、同じ郵便局舎なんで、そうあまり区分けをして、何か特別扱いをされること自体がおかしいと思うのですが、やはり五カ年計画なら五カ年計画というものは、郵便局舎全部を含めての計画としてつくっていかなければおかしいじゃないかと思います。  それから私有局舎で、なかなか改築できないというのなら、それこそ国費局舎という形でむしろできるだけどんどんやっていくとか、あるいはまた互助会のほうで金が借りられるならば借りてでも早急にやるべきだと私は思うのですが、それを区別して扱っておるところは、考え方としても不自然じゃないかと思うのです。五カ年計画がその面についてはないと言われたのですが、そうなればそうなるほど、何か漫然と改善がおくれていくということに結果的になると思うのですが、局舎改善の問題について、もう少し、総点検というよりも、特定局の局舎そのものをよくしていこうという場合に、いまの御説明だとほんの一部について五カ年計画——一部といってはなにかもしれませんが、国費局舎だけについての話をしておられるようですが、もう少し全体的に計画を立てて強力に推進をしていく必要があるのじゃないですか。
  145. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいま現段階の実情を申し上げたのでございますが、御説のとおり、過去におきましても、特定局舎改善計画というものを何年前でしたかつくりまして、しかも局舎の狭隘、老朽度合いを、各郵政局からそれぞれの郵便局に対して、個別にその郵便局の改善を処置する、そのためにはどうしたらいいかということで処置してまいりました。いまの段階では、そういった五カ年計画というものを特につくってございませんが、おっしゃるとおり、ここまでくれば、ある程度特定局の進捗状況と老朽、狭隘度を見て、当然何らかの計画を立てる必要があろうかと思います。
  146. 久保等

    ○久保(等)委員 窓口環境整備改善をはかるという立場で、この予算の中にも公衆室の冷暖房だとかあるいは冷水器、いろいろ具体的な施策を考えてやっていこうとしておられるようですが、それはそれで私はけっこうだと思うのです。しかし、最低限の、局舎そのものが使用にたえないといったような問題は緊急に解決すべきものだと思うのです。  そこで、現状はいまお話があったようなことでわかりますけれども、今後の問題として、非常に老朽化しておる局舎についてはもう少し積極的に早急に新築、改築等を行なっていかなければならぬと思うのです。これはもちろんきのうきょうの問題ではなくて、ずっと昔からの懸案ですから、私がお尋ねいたしたいのは、もう少し計画を立ててきちっと強力に局舎の新築、改築等をやっていくことに踏み切るべきだと思うのですね。その点、このことについてせっかく大臣職場環境をよくしようということを重点施策の中に取り入れていこうと言われておるのですから、いま申し上げたことは、申し上げるまでもなく大臣も賛成だと思うのですけれども、ただ単にここでのやりとりではなくて、そういう計画をぜひ明年度あたりにおつくりになって、単に国費局舎だけじゃなくて全局舎について、普通郵便局はもちろんのことですが、ぜひひとつ局舎改善計画を年次的につくってやっていくということに踏み切ってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  147. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘のとおりだと私は思います。全く御意見には賛成でございまして、私は就任以来、先ほども申し上げましたように、まず労使間の円満な協調関係を保つためには生活環境をよくしなければだめだ、環境整備することが第一だ、かように考えまして、局舎の改築等を含めましたいろいろの環境整備につきましては重点的に予算でも取り上げたのでございます。  ただいま国費の建設庁舎の予算についてお話がございましたが、全体を含めますと四十八年度では建設予算は五百三十四億円でございまして、前年度よりも百億円増額されておるのでございます。その中で特に私が力を入れましたのは、久保委員御存じのとおり、冷房装置の取りつけられていない局舎がまだたくさん取り残されておるのでございます。私は特に中央郵便局を視察いたしましたときに感じたのでございますが、丸の内かいわいで冷房装置の取りつけられていないビルは、あの東京中央郵便局一つだけだそうでございます。その話を聞きましてたいへんびっくりいたしまして、この四十八年度予算でこれを実行に移したいということで予算要求をいたしました。  そして全体として取り上げてみますと、四十七年度冷房関係予算は二十億円でございましたが、四十八年度は六十億円、約三倍に増額をされて案が策定されておるような次第でございます。かような考え方から、ただいまの御意見、私はまことに適切な御意見であろうと思いますので、将来何らかの機会に私はさらにこれらの問題解決のために検討し、努力をしていきたい、かように考えるような次第でございます。
  148. 久保等

    ○久保(等)委員 それから次に「集配、運送諸施設の整備拡充」こういったことで、これまた前年度に比べて四十八年度に予算面でも増額になっております。この問題にも若干関係するかもしれませんが、公務員の公務災害、特に郵政の場合には外務員が非常に多いわけですし、今日の交通戦争といわれるような非常に交通災害の多い時期に、この公務災害がどういう情勢にあるのか、私も非常に関心を持っておるわけです。四十六年度の郵政要覧の発表の数字によりますと、八千七百七十九件の公務災害認定件数があがっているのですが、この公務災害がどういう傾向にあるのか、ここ二、三年ないしは四、五年くらいの災害傾向を御説明願いたいと思うのです。
  149. 北雄一郎

    ○北政府委員 最近五年間の数字を申し上げます。  発生件数を見ますと、四十二年度から四十六年度まで逐年申し上げますと、四十二年度が五千百七十件、四十三年度が六千三百八十一件、四十四年度が七千百四十二件、四十五年度が七千九百八十四件、四十六年度はただいま先生おっしゃいました八千七百七十九件でございまして、それぞれ対前年度増加率におきまして一〇%ないし二〇%上がっておる、こういう状況でございます。
  150. 久保等

    ○久保(等)委員 はなはだ残念だと思うのですね。経済成長じゃないですけれども、こういう交通災害までが年々増大をしておることは非常に遺憾に思うのですが、どういう対策を郵政省ではお考えになってやっておられるのですか。これは十分にいろいろ対策を立てることによって——完全にゼロにして絶無にするというようなことは不可能かもしれませんけれども、一年度といえども下がったことはないので、毎年ふえていっているのですが、一体どういう安全対策なり措置をとって.おられるのか、お伺いしたいと思います。
  151. 北雄一郎

    ○北政府委員 基本的には安全ということにつきましての体制を強めておるということでございます。なかんずく、昨年御承知のように労働安全衛生法というものができました。これによりまして、各局に総括安全衛生管理者をはじめ、それぞれそういった組織というものをわがほうでも確立をいたしました。また、それ以前からでございますが、安全関係の講習会、あるいはそれを各局で徹底するようなスライドをつくりますとか、あるいは関係資料を配布するとか、あるいは安全管理者必携というものをつくるとか、あるいは車両を運転する人々に対しまして安全運転というような冊子を配っていろいろ教育をするとかというような、安全につきましての教育と、それから教育体制というものをとっておるわけであります。  また具体的な施策といたしましては、先ほど申し上げました災害の一番大きな分野を占めますものが転倒転落事故及び交通事故でございます。転倒転落と申しますのは、歩いておってもどこかに落ちるというようなものでございますが、その両方合わせますと全体の六割以上を占めるわけでございます。したがいまして、こういった関係につきましては、すでに以前から、たとえば交通災害に関連いたしまして車両を扱う人々につきましては、そういった作業に出発しますとき、あるいは帰ってきたときの点検をする、あるいは車両自体の保守整備につとめるとか、あるいは車両技術指導研究会を各局で開催するとか、あるいは安全運転講習会、これも同様に各局で地元の警察署を招きましてやるとか、あるいは各局に安全運転技術指導者というようなものを指定いたしまして、その講習会をやりますとか、そういう施策をやっております。むろんヘルメットの配付着用等につきましても十分配意をしておるつもりでございます。  そのほかいろいろなことを講じておりますが、交通事故等につきましては、ただいま申し上げましたような具体的な施策を講じて、こういう事故の激増を防ぎたいということで努力をしておる次第であります。
  152. 久保等

    ○久保(等)委員 この五年間の数字をながめて、年々ふえる一方だというところを見ると、やはりこれは単に、できるだけのことはやっておるけれどももう最低限やむを得ないのだという数字ではないと思うのですね。これはやはり安全に関する対策そのものが十分でないと思うし、それから、こういう事故が起きるのにはやはり職場のいろいろな環境というか条件によっても違ってくると思うのです。たとえば、朝、外務員の方々が出ていくときに、とにかく十分に気をつけてやってくれぬかというようなことで、管理者の諸君たちがそういったことにこまかい配慮をして注意するかしないかによってだいぶ違うと私は思うのです。そういう点から考えても、やはり郵政の労使関係の問題が非常に従来からうまくいっていない、言いかえれば、一言にして言えば非常に職場が暗い。そういったこと等も私はこういう災害の起こる一つの遠因だろうと思うのですが、私はこの数字は全然予想もしなかったので、いまお尋ねして年々数字かふえているということは非常に憂慮すべき事態だと私は思います。これは単にその当事者が不注意だったという問題だけではなくて、私はそれこそ管理運営の立場にある諸君たちの責任は非常に重大だと思います。  死亡者なり重傷者、そういったようなものが数字的にわかりますか。わかれば、ひとついまの五年間について教えてもらいたいと思うのです。
  153. 北雄一郎

    ○北政府委員 実は正確な数字がただいま手元にございませんので、数字につきましてはこの場で  はちょっと御容赦願いたいと思うのでございます。
  154. 久保等

    ○久保(等)委員 その数字的なことはまた別途、後ほどひとつ私に出してもらいたいと思うのです。  結論といいますか、いまの数字を伺って非常に私も驚くのですけれども、これはぜひひとつ郵政省大臣はじめ幹部の諸君にも私は申し上げたいのですが、こういう災害が年々増加しておること、しかも数字的にはきわめて多いわけです。郵政省だけで年間に約一万人近い職員がけがをするというような問題はゆゆしい問題だと思うのです。こういったところにも、私はやはり職場の空気がこういう事故にも関連があると思うのです。直接的に関係はないにしても、間接的には十分に関係があると思います。そういう点でひとつ職場の明朗化ということの確立、それは要するに、一言にして具体的に言えば労使関係改善、これはもう非常に緊急な問題だと私は思うのです。こんなに事故を出しているなんというのはまことに驚くべきことだと私は思います。したがって、何もこじつけて大臣質問するわけじゃないのですが、やはり職場の明朗化について、これはぜひひとつ格段の努力をすべきだと思うのです。私は従来から郵政省の各現場の職場等へ行って痛感をするのは、ひとり私だけではありませんが、十人中十人の方々が、職場が非常に暗い……。この原因は、一つ局舎が非常に悪いということ、これもあります。ところが、局舎か悪いだけならまだいいのですが、人間関係がもう非常に陰湿なような感じがいたします。これはもうあげて当局の責任だと私は思います。特にそういう職場が暗い、こういう問題について、職場の明朗化をはかることについて鋭意努力をすべきだと思うのです。こういうことが一般的な事業のいろいろな悪い面に具体的な問題として出てくるのだと私は思うのですが、この公務災害の数字を聞いて私も非常にびっくりしたのですが、しかもそれが年々増加の一途をたどっておる。本人そのものはまさかけがをしようとか何かしようとはさらさら思ってないと思うのです、気をつけているつもりだと思うのです、お互い自分のことですから。しかし、それでもなおかつこれだけの事故が起こるということは、私はやはり管理者なり、あるいは職場責任者にも相当な責任があると思うのです。その一つの例として私がいま言った労使関係改善の問題、こういった問題を聞くにつけても、これはもう非常に重要な課題だと思うのですが、ひとつその重要な基本的な問題について大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  155. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見は非常によく私としても理解できるところでございます。私が就任以来この点につきましては十分留意をしておるつもりでございます。私ごとを申し上げましてたいへん失礼でございますが、年賀郵便の配達出発式に恒例として郵政大臣が加わることになっておるのでございます。ことしは神田の郵便局で行なわれたのでございますが、私がその職場へ参ります際に皆さんがおっしゃいましたことは、慣例としてモーニングを着て出ていただきたいということでございました。私はお断わりをいたしました。職場の方がお互いにこれから配達に出ていこうというのに大臣がモーニングを着て麗々しくその式典に出るということは私の気持ちとしては許されぬというので、実はその出発式のときには皆さんと同じジャンパーを着まして、その式に私は参列をいたしまして皆さんを激励をいたしたのでございます。  職場の明朗化という点につきましては全くお説のとおりだと思います。でありますから、今後この労使関係を円滑に進めていくためには、やはり組合員の各位、職場職員の各位と率直に話し合うことが大切だと私は思います。そこで、先般組合の幹部の諸君とも私はお会いをいたしました。そうしていろいろお話し合いをいたしました。もう一度そういう機会を持ちたいと思っております。もう一度というよりも、でき得る限り数多くそういう機会を持ちまして、皆さんの意のあるところをお聞かせをいただき、私自身も判断をいたしまして、関係者皆さんとよく協議をいたしまして、改善すべき点があればこれを改め、あるいは職場の明朗化のために資する点があるとするならば努力をしていくべきではないか、かように存じておるような次第でございます。ただいま非常に貴重な御意見を拝聴いたしまして、私もその点今後とも十分注意をいたしていきたい、かように存ずるような次第でございます。
  156. 久保等

    ○久保(等)委員 いま大臣の率直な御心境なりお考えを承って私も全く同感ですし、ぜひひとつそのお気持ちでやってもらいたいと思うのです。特に膨大な役所の官僚機構というものを考えますと、大臣がずっと長く郵政大臣をやっておるわけには実際問題としていかないわけですし、率直に言って大臣はしょっちゅうかわるわけです。したがって、私は郵政当局の特に幹部諸公に切望したいと思いますのは、いま大臣の言われたようなお気持ち、そういった気持ちを皆さん持っていただければ、いろいろなつまらないトラブルを労使関係で起こすということはなくて済むだろうと私は思うのです。私も国会で参議院のほうに十数年間席を持っておりましたが、どうもきのうきょうの問題ではないのです。私の記憶するところ、少なくとも七、八年ないし十年くらい前から特に非常に悪い。そうして中央でいろいろ話をして解決をしたと思うのですが、やはり実は根が深くて一向によくならない。大臣との話である程度うまく話がついたような形でも、必ずしもそのとおり下部の現場の諸君までが徹底した形で協力しない、こういったようなことが長く続いてまいっているのです。久野郵政大臣が着任せられて、いまおっしゃられたような気持ちでやられることは私も敬意を表しますし、全幹部の諸君がそういう気持ちになってもらいたいと思うのです。これはいろいろそれぞれの理由はあると思うのです。しかしそんなことを言っておったら、いつが来ても解決しないと思うのです。だから、私は前々にも言ったことがあるのですけれども、一ぺんだまされたと思って、ひとつ一歩、二歩退いてでも話をしたらいいじゃないか。それで、もしほんとうにだまされるというような関係だったら、これはまたその非がいずれにあるかは明々白々であるしするから、ざっくばらんにひとつ話をしたらどうかという話まで私は申し上げたことがあるのです。ごく最近の事情は私もつまびらかにいたしませんが、しかしいずれにしても職場がそう明朗化したというふうには確認できないのです。  その一つの大きな原因は、何といっても労使関係だと思うのですが、その人間関係について、私はやはり職場の明朗化をはかることが一番重要な問題だと思います。それで、財政的にもあまり恵まれない、仕事は非常に重労働的な仕事が多い、人にあまり好かれるような仕事でないということになりますと いろいろなマイナス要素なり 職場が不明朗になる要素は幾多あると思うのです。だからせめてひとつお互い気持ちの面でもそういったことをなくしていくように努力することは当然だと私は思うのですが、これはなかなかどうも言うべくして実行されておらない。別に郵政大臣にあげて責任があるとして私は申し上げておるわけではございませんが、従来の経過等も含めて申し上げまして、郵政大臣をはじめ幹部の諸公が過去に対する問題も振り返りながら、ぜひひとつ前向きでもって解決をするように努力してもらいたいと思います。そうすれば、この交通事故の問題も必ずや逆に好転してくると私は信じます。いろいろな事情等も知っておるものですから、大臣のそのお気持ちで各郵政の幹部諸君に私はぜひひとつ指示、指導をしてもらいたいと思うのです。
  157. 久野忠治

    久野国務大臣 行政官庁というところは法規、慣例を中心にして動いていくところだと私は思います。慣例が非常に尊重されるところでございます。私自身一つ慣例をつくったと思うのでございます。でありますから、その慣例によって私は職場の明朗化は進んでいくのではないかと期待をいたしておるような次第でございます。かりに私が郵政大臣辞任いたしたといたしましても、そんなに長くは在任することは困難でございましょうが、しかし政治家としてはまだ今後とも私はがんばっていくつもりでおるのでございますから、政治家である限りは、私がただいま申し上げましたような心境で、郵政業務が円満に、労使間の協調のもとに、国民の皆さん理解と協力が深められるような体制をつくり上げていきたい、かように私は考えておるような次第でございます。  ただいまこの職場環境が明るくないという御指摘がございましたが、私はそうは思わない一人でございます。私は今日までに二カ所しかまだ職場をおたずねいたしておりません。一カ所は、年末でございましたから慰問のためにおたずねいたしました。これは東京中央郵便局でございます。名古屋の中央郵便局は視察をいたしました。ところが若い職場方たちも、私が参りましたら、皆さん手を差し伸べて私に握手をしてくださいました。手をあげて遠くから私に向かってあいさつをしてくださいました。この人間的な結びつきというものが必ずや労使間にあたたかい雰囲気というものをかもし出すものである、私はそう信じておるのでございます。でありますから、私自身在任中に至らないところも十分あるでございましょう、行き届かない点もあると思います。そうした点があれば皆さんがどんどん私に注意を喚起していただきまして、私も努力をいたしますが、皆さん政府の当局やわれわれを責めるだけでは事終われりではないと思うのであります。でありますから、どうかこうした点につきましても十分貴重な御意見をお述べいただきまして、相協力し合って、ただいま申し上げました目的達成のために微力を尽くしたい、かように思っておるような次第でございまして、今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  158. 久保等

    ○久保(等)委員 大臣職場が決して暗くはないのだというお話なので、そうであればけっこうなんですけれども、いまおいでになったところは東京中央郵便局と名古屋の中央郵便局、これはいずれも大局です。したがって、そのことをもって全国の郵政職場がこうなんだという判断をせられることは、私はいささか早計だと思うのです。大臣のお人柄がありますから、おいでになったら若い諸君が手を振ったり握手をしたりということもあると思います。私もまことにそのことはけっこうだと思います。大臣のその気持ちは、大臣説明を伺ってよく私もわかるのですが、いま申し上げたように大きな人の機構ですし、官庁機構という機構ですから、やはりその機構全体の、特に管理者の諸君が打って一丸になって大臣がいま言われたような気持ちでやられないと、大臣一人がいかにさか立ちをしてみてもそううまくいくわけではございません。だから私は、大臣のそういうお気持ちをぜひひとつ幹部の諸君に十分に浸透するような御努力もあわせてお願いしたいと思うのです。大臣みずからがジャンパーを着ておいでになる、まことにけっこうだと思います。しかし大臣一人がジャンパーを着ることも大事だけれども、やはり全管理者の諸君がジャンパーを着たつもりで、外務員の諸君が苦労していると同じような気持ちで、その職場で、君、とにかく気をつけてやってくれよと毎朝毎朝うるさいくらいに、自分のほんとうのかわいい子供を見るような気持ちで言うとするならば、おそらく外に出ていく外務員の気持ちだって、私は非常に明るくなると思うのです。ろくに職場で口もきかない、あいさつもし合わない、こういう状態だったら、人間の気持ちというのは何かくしゃくしゃしたような気持ちで外に出ていく。したがって、あわなくてもいいような交通事故にあうというようなこともあり得ると思うのですね。したがって、決して私は大臣に追及的な意味で御質問しているのではなくて、現在の郵政職場を私もある程度承知しておるものですから、それで、もちろん私の申し上げておることが杞憂であるならば、これはまことにけっこうなことで、それこそ郵政事業万々歳と言いたいところですが、そう簡単にはよくなっていないと思います。私はそこで、ぜひひとつ大臣にそういう大臣のお気持ちが浸透するように御尽力をいただきたい、このことをくどいようですが申し上げておきます。これは郵政大臣のみならず、他の幹部諸君もおるのですから、よく——私の言うことが杞憂であるならばまことに幸いで、私にもし言い過ぎがあるならば私は幾らでもみずからの発言を取り消してもけっこうなんですが、残念ながらそんなことはないと私は思わざるを得ません。  ところで、次の問題は若干性格が違うのですが、簡易保険の問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、もう時間もぼつぼつ来たようでありますから、五分か十分で打ち切ります。地方簡易保険局の機械化が着々と進んでおりまして、現在、特に明年度といいましてももう四月一日ですから、四月一日実施を目途にしていろいろと具体的に要員の配置の問題等を中心にして話し合い、あるいは団体交渉等もなされておると思うのですが、この簡保の機械化に伴う要員配置の問題についての現在の状況について、ひとつ簡単に御説明を願いたいと思います。
  159. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 それではお答え申し上げます。  地方簡易保険局の機械化につきましては、昭和四十二年度に京都地方簡易保険局を皮切りにいたしまして、四十六年度までに全七局、全部実施をいたしております。その結果、コンピューターにより事務処理能率の向上によりまして相当の余剰人員が生じてまいったのであります。これの解消策につきましては、日常の人事措置すなわち普通の退職なり、自然退職といいますか、それなり、配置転換等ではなかなかまかなえなくなってきたのでありまして、昭和四十七年度から優遇退職あるいは近隣の郵便局等への配置転換というような特別な措置を講ずることによりまして、これらの余剰人員の解消といいますか、これの措置を講ずることにいたしたのであります。来年度につきましても、四月一日からこの措置を実施をいたしたい、このように考えておりまして、目下関係の労働組合と話し合いを続けておる最中でございます。
  160. 久保等

    ○久保(等)委員 やはり四月一日配転を実施する予定で現在もいるわけですか。しかも、その間に十分に団体交渉なりその他話し合いをして妥結できる確信がありますか、もう三月に入ろうとしておりますが。
  161. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 先ほど申し上げましたように四十七年から実施をいたしておりまして、昨年度もいろいろの紆余曲折がございましたけれども、結局は四十七年の四月一日の時点におきましては、関係の労働組合との間に十分話し合いがつきまして、これが円満な実施を見たわけでありまして、昨年度に比べますと、四十八年度の分につきましては、一応人員も約半数程度に減っておりますし、われわれいままでの話し合いの経過から見まして順調に進んでおり、かつこの解決は円満に進むものとかように考えております。
  162. 久保等

    ○久保(等)委員 あまりこまかいことはお尋ねいたしませんが、大綱的にお伺いしておきたいと思うのは、話がつくというか、交渉で妥結しなければ強行することはあり得ない、そういうように理解してよろしいですか、端的にお尋ねします。
  163. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 また昨年の実例を申し上げて恐縮でございますが、昨年も実は百五十人の過員の解消を目ざして組合と話し合いを進めたのでございまして、結果的には一名の積み残しといいますか、こちらの計画どおりいきませんでした者が一名おりました。これは結局話し合いがつかなかった結果であります。  ただ制度的には、話し合いがつかなかったらこれを実施に移さないという考え方には立っておりません。これは制度の問題と実際の処理の問題と分かれようかと思います。基本的な考え方としましては、関係の組合あるいは配置転換をされる人あるいは優遇退職にあたる人との間に十分に了解が成立をした、そのことに基づいて措置を進めていきたい、このように考えております。
  164. 久保等

    ○久保(等)委員 前年度百五十名で今回はそれよりもだいぶ数が少なくなってきて半分ぐらいだというお話ですが、それは前年度は百五十名で今度は八十名ぐらいですから約半数ですが、局所によってはほとんど変わらないところもあるわけです。だから私がお尋ねしておるのは、前年度がうまくいったから今年度もうまくいくだろうということには必ずしもならぬと思うのです。前年度の場合にはある程度希望者がだいぶあって、希望する者はほとんどそのときに申し出た。ところがあとに残っておるのは、あまり希望しない諸君が、想像するところ、多数残っておるのではないかと思うのです。そうすると数は少なくなっておるが、前年度に比べればむしろスムーズな配転ということが非常に困難じゃないかというふうにも考えられるのですね。だから単に数が少なくなったからということだけでそう楽観的な見通しは立たないと思うのです。  それから制度的にやることになっておるのだから話が妥結しなくてもどうとかこうとかと言っているのですが、やっぱり当該の御本人にとってみればこれは重要な労働条件の問題で、強制的に移されるか移されないかということは非常に大きな問題だと思うのですが、そのことがさっき私が申し上げた労使関係の問題にも関連する。これは単に管理運営事項という問題だけではなくて、その当人にとっては重要な問題ですから、労使の間で話し合って——話し合ってというか正式には交渉ですが、交渉によってきちっと話をまとめて、妥結をしたところで実施をするということがこれは常道だろうと思うのですが、しかし中身としては個々人のそれぞれの事情があるでしょうから、いろいろな事情を参酌するということになろうと思うのですが、正面から参れば当然そうあるべきだと思うのですが、局長いかがですか。
  165. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、人数が昨年よりだいぶ減っておることだけで、われわれ今度の四月一日を目ざしてのいろいろな作業なり措置について確信なり自信を持っておるわけではありませんで、実は昨年の夏ごろから組合とも正式の話し合いではないにしてもいろいろ折衝を進めておるわけでありまして、これらの折衝の経過を踏まえまして、一応順調にいくであろうという希望的な確信といいますか、自信を持っておるわけでございます。  なお、最終的に個人も反対するあるいは職員の団体も反対するというようなこともあるいは予想されるのであります。いずれにいたしましても、われわれがこの措置を行ないます根拠につきましては、当然公務員法なり何なりに根拠を置いておるわけでございまして、関係の労働組合との間におきましては、配置転換に関する協約、これは「簡易保険のEDPS化計画の実施に伴う配置転換協約はできるだけ早く締結するよう努力するが、それまでの間は、郵便事業施設改廃計画の実施に伴う配置転換等に関する協約を準用する。」という旨の確認が組合との間にあるわけでございます。いずにいたしましても、この確認を基礎といたしまして話し合いを進めておるわけでございます。この確認事項を踏みはずしてわれわれが先に進む、こういうことは絶対にないわけでございます。
  166. 久保等

    ○久保(等)委員 だから大臣にも伺っておきたいと思うのですが、そういう従来からの労使関係における取りきめなんかもあると思いますし、それにのっとって交渉もやっておられると思いますが、したがって、そういう組織と役所の間の労使のいわゆる交渉等によって円満に問題が解決するようにされることについては最大限の努力を払い、少なくともそういったことの妥結の上に立ってこの措置をとるということだけは最低限の問題としてお考え願いたいと思うし、これはぜひひとつ大臣もそういう立場でこの機械化の問題についてはスムーズにいくように御配慮を願いたいと私は思うのですが、どうしても四月一日が動かせないんだというようなものじゃないんで、やはり話していく中に、だんだんと時間をかけていけばまた解決もしていくでしょうし、したがって、何か前提をきちっときめてしまって、それまでに何が何でもやってしまうんだというやり方をするところにこれまた労使関係の問題にしてもうまくいかない不信感の生まれてくる一つの原因が出てくると思うのですが、ぜひひとつこの問題についてはそういうことのトラブルが起こらないように善処してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  167. 久野忠治

    久野国務大臣 私も強行すべきではないと思います。でき得る限り円満な話し合いによって妥結することを期待いたし、また努力もいたしたい、かように存ずる次第でございます。
  168. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは時間がきたようですから、これで終わります。
  169. 久保田円次

    ○久保田委員長 次に土橋一吉君。
  170. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は時間が短いのでありますから、答弁はごく簡単にお願いをしたいと思っております。  質問をする内容は、宇宙開発に関する問題。それから最近の、ここ数年にわたる電電公社のいろいろな事業内容を中心とする政策について郵政大臣はどう考えておられるのか。第三番目は、最近の物価値上がりに関係しまして、全逓及び全電通の労働者は非常に生活に苦しんでいるわけです。特に最近の物価値上がりはひどいのでありますが、そういう中に加えて依然としてマル生運動といわれる労働者に対するあらゆる攻撃が特に郵政において熾烈に行なわれておるのであります。その具体的な例が郵政大学校のいわゆる二名の特訓による死亡であるとか、あるいは芝郵便局におけるベトナム支援センターに対する郵便物の故意に基づくところの滞留の問題であるとか、あるいは最近の国際郵便局あるいは京橋郵便局あるいは福生郵便局、特に石神井郵便局などもそうなんですが、中央郵便局もそのらち外ではないわけです。さらに関西方面においては大阪中央郵便局あるいは福島郵便局などに見られるようなマル生運動に対する郵政大臣所信を聞くことを中心とするわけですから、あらかじめこの三つについて質問をいたします。  さて、郵政大臣就任早々、所信として、第一の問題は郵便局を中心とする環境整備の問題である、二番目は宇宙開発である、三番目については近隣諸国との間における通信の要するに改善と復活の努力をする、そして四番目に、お話がございましたようなきわめて高次な理想を持っておられますが、いま郵政省が提出をしておるところの宇宙開発の問題ですけれども、打ち上げようとする人工衛星は一たま一体幾らくらいの金がかかると郵政大臣考えておりますか。たとえば通信衛星でかりに二百五十キロくらいのものを打ち上げるとすれば、費用は一体どれくらいかかるというように考えて予定を組んでおられるでしょうか。
  171. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 五十一年度打ち上げを予定しております通信衛星放送衛星につきましては、その総所要経費、これが両方で三百十億円、それから地上施設六十二億が加わりまして、合計して三百七十二億ということになっております。それからこれを通信衛星放送衛星に分けますと、通信衛星は百四十六億、それから放送衛星が若干これを上回りまして百六十四億、合わせて三百十億、それから地上施設を加えまして大体三百七十二億という数字になるわけでございます。
  172. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういたしますと、あなたのほうでお示しになりましたこの八ページに書いてありますところの五十一年度打ち上げるであろうと予定をされておる人工衛星はいわゆる放送衛星とそれから通信衛星である。そのほかに五十二年度に打ち上げの実験用静止通信衛星は幾らかかるのですか。
  173. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 五十二年度打ち上げ予定の実験用静止衛星、これは百三十キロでございまして、たまが小さいわけでございます。約五十億円を見込んでおります。
  174. 土橋一吉

    ○土橋委員 たった五十億円。——郵政大臣にお尋ねをいたしますが、それだけの膨大な費用がかかるものを、ほかのいわゆる科学技術庁を中心とする宇宙開発事業団とかいうところである程度負担をすると思いますけれども、郵政省で、いまお話があったたった八億七千数百万円しか出さない。前年度は金を出していないわけです。その程度の金で、五十一年に打ち上げられる三百何ぼかかるとか、一つ上げるのに百四十四億もかかるというものを一体どうして上げることができるのですか。郵政省はどの程度の権限を持って、どういうことをしようとしてこの問題について努力をされておりますか。
  175. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま局長から説明のありましたように、通信衛星放送衛星で三百七十二億円であります。これを五十一年度を目途にして打ち上げるわけでございますが、御指摘のとおり本年度の予算は八億七千万円でございます。しかし関係機関の協力を得た上で、私は五十一年度を目途に打ち上げることは可能である、かように考えております。
  176. 土橋一吉

    ○土橋委員 たとえば、いま四十八年でございますね。そうすると、四十九年、五十年、五十一年、ことしを入れましてあと四年でございますね。予算関係から見て、そんな膨大にかかるものをいまの予算では八億七千万というようなことでは、これは最後になってたいへんな支出をしなければならない、そういう支出をすることについてどれだけのメリットを持っておるかという問題でありますが、打ち上げてくださるのはけっこうだし、これは大いにやらなければならぬと私も思っておるのですよ。ただ、問題はこのことによって、マイクロウエーブの問題であるとか、ケーブルの問題が一体どういうふうになるのかというような点が、非常に私は研究してみなければならぬ問題であるというふうに考えますけれども、しかし、これでもし打ち上げました放送衛星が全国的にこれを利用して、カナダのようにやるという事態が想定されるということになると、どういう利益、打ち上げての結果はどういう成果を生むものかということについて、ちょっと見通しを聞かしていただきたいわけです。
  177. 久野忠治

    久野国務大臣 本年度は概念設計から基本設計までいきたいというのが当初の私たちの願いでありました。そのために四十一億数千万円という予算要求をいたしたのでございます。予算折衝過程におきましていろいろな経過はございました。先ほどお話を申し上げたとおりでございます。その結果、八億七千万円になったわけでございますが、これだけでは、当初予定をいたしておりました基本設計という段階まで進むことは非常に困難であるわけでございます。しかしながら、これらの衛星——通信衛星放送衛星の打ち上げについては、各関係機関でも検討を進めておるのでございまして、それらの関係機関の協力を得れば、順調に五十一年度打ち上げの目的を達成することは可能ではないか、かように存ずるような次第でございます。
  178. 土橋一吉

    ○土橋委員 計算上の関係から見ると、非常にあぶなっかしいような、どこでどういうふうな最後のけじめをするかというふうな点がはっきりいたしておりませんけれども、とにかくあなたの御尽力によって、また郵政当局の御努力によってこれが打ち上げられることについては私はけっこうだと思うわけです。しかし、従来の宇宙開発であるとか、あるいはまた原子力の開発であるとか、あるいは電波の開発という問題については、これは非常に大切な問題であるし、科学を進歩させる上においてもまことに重要な問題であります。ところが、それを最後になって利用する側が、一体どういう人が利用するかということを見ると、残念ながら、原子力の問題についてもアメリカの戦争屋さんがこれを利用する、また宇宙開発についても同じようにこれを利用する。多くの国民の方々の税金をちょうだいしてやった結果は、やはり兵器生産あるいは他国侵略の体制にそれを利用してしまう、こういうことがいままでの歴史によって明確であるわけです。したがって、あなたの御尽力で一生懸命で放送衛星を打ち上げて、これで放送がまんべんなく難視聴解消するであろうし、また全国的にそういうマイクロウエーブの欠陥を直していくだろうと考えておっても、実はそれを利用しようとする者が結局アメリカ軍であったりあるいは自衛隊であったり、あるいは警察隊などが利用するというようなことがよその国では十分にあったわけです。日本でも、そういう轍を進むのじゃなかろうかという懸念が私は非常に多いのではないかというふうに思うのですが、たとえば通信衛星にしてさようなことがない、郵政大臣として責任をもって国民のためにこれが開放されて、国民が従来の通信問題についてほんとうによかったというような結果が必ず保証できるかどうか、この点をひとつ明確に答えていただきたいと思います。
  179. 久野忠治

    久野国務大臣 お答え申し上げます。  日本のこのたび打ち上げます二つの実験衛星は、全く平和目的のために打ち上げるのでございます。ただいま御指摘のような懸念はみじんもございません。このことははっきり申し上げておきます。
  180. 土橋一吉

    ○土橋委員 たいへん明確に答えていただきましたので、これは速記録に二重まるで——要するに、今後自衛隊であるとか在日米軍がこれを利用するとかいうことがないことを、私は日本民族の独立のため、通信が国民大衆のために活用されるという観点から、言いにくいことでありましたけれどもあなたに明確にしておかないと、郵政省が一生懸命努力した、最後になって使うときにはアメリカ軍が使ってしまうとかあるいは大資本家たちが金もうけのためにこれを利用してみたり、あるいは自衛隊や機動隊がそういう自分の管理システムを強化するためにこれを利用するというようなことがあってはならないということを私は言っている。だからあなたと同じ考えなんですから、どうかその点は間違えないで、その点を明確にしておきませんと、あとあとこれがまた機動隊に利用された——そのいい例は、あなたも御承知のようにVHFという波を、国民全体の電波として、要するに放送局が使っておったわけですね。自由民主党の小林さんという方が郵政大臣になって、国民に相談もしない、聴視者にも相談しない、業者にも相談をしないでそれをUHFの波にかえたわけですね。そのために、テレビの受像機を持っている全国民は、UHFの電波を受けるような、そういう受像機を買わなければいかぬとかあるいは中の機械をかえなければいかぬとかいうことになった。そういうことを平気で自由民主党政権のもとにやったわけですよ。一郵政大臣が電波をかってにそんなことをできるものじゃないわけです。これは国民の電波です。郵政大臣の電波ではないわけです。そういう不心得な者がたまたま自由民主党から出るわけなんです、郵政大臣という地位を占めまして。この問題については、久野さんに限ってはさようなことはないと思うけれども、私は、そういう点を厳重にしておかないと、大資本家のためやアメリカ軍のためやあるいは自衛隊が使うということが非常に懸念される。極端に言えば郵政省はあて馬みたいになりまして、努力はしたけれどもその成果はほかの者がみな奪ってしまう、こういうことにならないように、この点を本委員会においても明確にしておきたいという点が私の念願でございますので、御了承願いたいと思います。  次は、米澤総裁は非常に博学な方でございまして、特に電気通信科学についてはわが国においても指折り数えられる学者でございます。したがって、米澤総裁のお書きになったものを私はじっくりと玩味さしていただいておりますけれども、非常に勉強に相なっておるわけです。ただ、この逓信委員会におきまして私は申し上げたのですが、米澤総裁——ここではしなくも「電電20年の歩み」というので、通信興業新聞社という一外郭の新聞社の要請に従って、各幹部の方々がみな論文を書いていらっしゃる。私はこれは全部拝見いたしました。米澤総裁のおっしゃっていることを引用いたしますと、これは郵政大臣に聞いていただきたいのですが、ここにこういうことを書いていらっしゃる個所がございます。これはちょうど四ページの三番目のパラグラフでございまして、「広域時分制の採用は、明治・大正以来のわが国の電話料金制度に根本的な改正を加えるものである。社会・経済圏の広域化という時代の要請にこたえ、同時に、公衆電話網を民間のコンピュータに開放するという要請に応ずるための改正であり、現在および今後の社会情勢に即応できる近代的な料金制度であるといえる。」こういう名文句をお書きになっているわけです。  さて私はお尋ねをしたいのですが、これは広域時分制、つまり三分打ち切りをする、その基本的な内容は、データ通信制度の拡充強化にあるという結論なんですよ。つまり電信電話の中心的な業務をやっておるのは電電公社であるわけです。現在の収入関係から見るならば、電電公社の最も重要なことは、いわゆる電話の積滞を解消して、すべての国民に電話があまねく安い料金で享受できる体制をとるというのが公社の基本的な方針でなければならぬと思うわけです。  ところが最近は、米澤総裁が常におっしゃっておりますように、今日はいわゆるマス・チャンネル・ソサエティーの時代だ、したがってポスト・インダストリアル・ソサエティーはもはや十年前のある教授が説明した遺物である、今日は大量情報化時代である、それに即応するためにはどうしても電話で長い話をしてもらっては困るので、要するに広域時分制に移行したのだということを言われておるわけです。私たちは本委員会においてこれを追及しました。これはデータ通信制度のために広域時分制をやるのじゃないかといかほど追及しても、電電公社の幹部諸君は、いやそんなことはない、三分間あれば話ができるのだから、統計によっても、しかるべき内容で三分以上になるものは少し長話の内容であるから、私たちは七円を増して十四円ちょうだいして、五分間でもお話しになれましょう、こういう内容であったわけです。私たちは、それはデータ通信制度をやるために、要するに大衆の迷惑を省みないで広域時分制、三分で打ち切りをやるものじゃないか、これは公共料金の引き上げにも該当するじゃないかということで追及してまいりました。これらの事実に見られるように、最近電電公社は非常に膨大な投資をいたしております。たとえば今度の五カ年計画では御承知のように七兆円を投資いたしました。債券償還か一兆三千億をこえている。そして、これが要するに千五百三十万台の電話を開設する膨大な基礎を持っておるわけです。ところが、実際業務の内容を見ますと、もうすでに電電の書類によって明確でありますように、ばく大な投資をしておる関係上、いわゆる減価償却というものが非常にきびしくなっておるわけです。借り入れた債券の償還という問題も非常に大きくなってきておる。これからまた、いわゆる自由民主党田中政府の政策によって、御承知のようにドルの一〇%切り下げと変動相場制の中において、きょうきのうの新聞でも書いておるように、この自由化を強行すれば電子計算機とICが日本にどうっと入ってくるのだ、これに対してどういう防禦をするかということでいろいろ業界その他で苦慮しております。この方が盛んに、それは特別扱いでやるんだということで新聞なんかに発表されて、ここの部屋にかかっている絵の方が盛んにやっていらっしゃる。はたして一体、現在の状況におきましては、そういう体制下において、しかも高いコンピューターを買い入れたり、あるいはいま申し上げたように物価がどんどん上がってきますから人件費もどんどん上がってくるわけですね。そうすると、将来これから住宅電話——かりにいまの比率でございますと八割近いものが住宅電話をつける。業務電話のようにしょっちゅう電話をつけっぱなしでやってくれないわけですから、ラーメン一丁とかあるいはお友だちに電話をかける、こういうような、いわば電話の収入面から見るならば、どちらかというとビジネス電話より収入面が少ない、度数料が少ない、こういうものがだんだんふえてくる傾向にあるわけです。そこへもってきてデータ通信のほうにどんどん金をつぎ込んでいく、そのデータ通信も一体見込みがあるのかどうか、はたしてどういうシステムがほんとうに採算に乗るようなシステムであるかというようなことについても五里霧中の状態である。そうなってくると、ばく大な投資をして減価償却して、物価が上がって労働者の賃金を上げなければいかぬという事態と、また債券を償還しなければいかぬ、こういうことになってくると、電電の論文にもはっきり言っているように、将来この問題については相当研究しなければいかぬということが叫ばれておるわけです。ところが、一方の論文を読むと、電電公社というのはもう日本の業界においては新日本製鉄の上を行っているんだとか、あるいはトヨタ自動車の上であるとか国鉄ととんとんのような、日本の企業としては大きなものになっておるというようなことを盛んに宣伝をする、そういう電電の幹部もおるわけです。  そうなってまいりますと、いま申し上げましたように、将来電電というものが国鉄と同じように、どうしてもまた払い切れない借金や減価償却や物価の値上がりによって、たいへん困るんじゃないか。いままでのような調子でいくならば、電電の将来というものはきわめて暗いというふうに私は考えて見ておるのですけれども、それ以外に、もうける口が電電は一体あるのか。あるとすれば、テレマーに見られるように、きょう、先ほどどなたかから質問が出たように、テレマーだって出ておりますね。これによって二十七億円損をしておるのです。五社に注文したものが御承知のように三分間じゃなくて二分五十秒とか四十秒で時間を合しておる、こういうものを買い込んでおる事態でございます。これはテレマーの問題でございますね。三分で打ち切りのやつをただで貸しておるというのですけれども、新聞はこう言っておるのです。公社予算は一兆二千億、そのうち〇・二%ちょっとに当たる費用だから、月給十万円の人が二百数十円を費やした程度だと公社の人は説明した、というようなことをいって、二十七億ばかり損害が出ておるように書いておる。これから買い入れる機械、そういうようなものについても、開発途上でございますから、いろいろそういうものが出てくることはテレマーだけじゃないわけです。そうすると、電電というのは将来一体やっていけるのかどうか、これについて郵政大臣はお考えになったことがございましょうか、それとも現在の公社のこういう時の勢いに乗ったといいましょうか、こういうやり方でいって将来は収支が、きちっと帳簿じりが合うようなことができるかどうか、こういう点についてあなたのお考えをお尋ねしたいと思います。
  181. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘の点は技術的な問題でございますから、これは電電公社のほうからお答えさしていただきたいと思います。  それから経営の改善の問題でございますが、今後とも冗費の節約あるいは経営努力等によりまして、その事業がりっぱに運営でき得まするように、私も指導していきたい、かように考えております。
  182. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  最初の「電電20年の歩み」でございますが、私もときどき序文を頼まれまして、自分で書く場合もありますが、自分で書かないでざっと目を通してやる場合もあります。公社の人が書いた本なんかでも、大体そこで書いてくるものをなるべく目を通しているつもりでございますが、ただいま御指摘のものは実はあまりよく目を通しておらなかった。  私は前々から広域時分制につきましては、公社としてはとにかく電話事業を運営することが最大の仕事でありますし、今度の五カ年計画におきましても、これは国会でしばしば御質問がありましたように、とにかく早く積滞をなくなしてほしいという御要望がありました。幸い、積滞は昭和四十五年が最高でございまして、四十五年、六年、七年と——七年はいま七年度でありますか、大体五十万くらい積滞が減ってまいりました。そこでこの積滞を毎年五十万くらい減らしまして、昭和五十年度末にはとにかく全国的規模において積滞をゼロにする、これをぜひやりたい。おそらく昭和五十年末になりましたならば、大体県庁所在地級の都市では——最近都市が非常に広がっておりますから、都市の非常にへんぴなところは別にいたしまして、大体都市化しているところは、昭和五十年末にはほぼ申し込んだらすぐつけるようになるのではないかというふうに考えております。そのようにして五カ年計画を推進することを当面の目標にしておりまして、この五カ年計画の中では、加入電話を千五百三十万つける。その中で住宅電話が約千二百万を占めております。ビジネス電話が約三百万です。これからは大体一般庶民の方につける電話というものは千二百万ぐらいつけてビジネス電話が三百万ですから、この五カ年計画というものはそういう面で国民の皆さまのために相当役立つのではないかというふうに考えております。  それからもう一つ、この五カ年計画の中に出てまいります問題は、たとえば地方におきまして加入区域が非常に狭い場所がございます。これらの中で加入区域の外側に特別加入区域というのがございますが、これは一ぺんにやるわけにいきませんが、大体五年ぐらいのうちに特別加入区域というものをだんだん一般加入区域に編入がえするということをやって、そういう地方における格差問題の解消につとめたいというふうに考えております。  それからデータ通信につきましては、これは何といいますか、マスコミやその他いろんな方面からも、ある程度民間にも開放したほうがいいんじゃないかということで、これは従来は一企業内だけは自由にやれるようになっていたのでありますが、そうじゃなくて、複数の企業あるいはまた公社自身がデータ通信をやって、一般の国民の方——あるいは特に中小企業の場合には自分でコンピューターを持つことができないわけであります。これはプログラムをつくらなければなりませんし、いろいろそういう要員を置かなければならない。したがってそういうプログラムをつくる際に公社のコンピューターを皆さまが共同でお使いになる、そういうタイムシェアリングシステムを、一昨年の公衆法の改正によって公社の電信電話業務と並んで認めていただきました。しかし、それは公社としてはとにかく独立採算でやりたいというふうに考えております。したがって、何といいましても最大の目標はとにかく電話を拡充するということでありまして、今度の五カ年計画の最大の眼目はそのようになっておるというふうに考えております。
  183. 土橋一吉

    ○土橋委員 なぜ私が郵政大臣質問したかと申しますと、郵政省と電電とは、いろいろな関係で深い関係を持っているわけですが、このまま突っ走らしていくと、電電は国鉄と同じような轍を踏まざるを得ない結果になってくるわけですよ。なぜかといいますと、あなたも御承知かと存じますが、日本電電公社というのは、これは普通われわれはそう申しておりますけれども、世間ではそう申してはいない。これは日電公社ともいわれておるわけですね。つまり住友財閥と深いつながりを持って、そうして多くの電気通信メーカーと関係があるわけです。そういうことで、ちょうど国鉄があの計画をやるときにあたりまして車両業者とかいろいろな関係で、要するに設備改善をしまして、そうして背負い切れないような事態でいま赤字を出している、そういう状態なんです。電電もこのまま突っ走らしていくと、日本の通信メーカーの、まあ俗なことばでいえば、いいえじきになってしまうのですね。そういうことで、電電がこのままの状態で突っ走っていくということは、新しいものをどんどん開発してロスを出すとかいろいろなことになってくる。そういうもののほかに今度は膨大な借金、減価償却、そうして物価が上がってきて賃金が上がってくる、こういう形態の中ではさみ打ちを食うことはわかっておるのですよ。久野さん、私の言うことはわかっているでしょう。ですから、そういうようなことをやらせないために、国鉄のような轍を踏まさないようにするために、ここで相当手綱を締めてかかりませんと、今後の状況ははっきりしておるわけですよ。たとえば、いい例をちょっとあなたに申し上げますと、こういうことに来ておるわけなんですよ。これはもうあなたも十分研究なすっていらっしゃると思いますが、この第五次五カ年計画主要整備水準というので、十三ページにこういう概要を書いて電電公社でお出しになっておるのですよ。これがいまお話がありましたように、全国で三千六百三十五万の電話がつくわけです。けっこうなことなんですよ。ところがここに書いてあるように、これから住宅電話が多いわけです。事業電話のような度数制によって成績をあげるということが困難なそういう電話をたくさんつけていくわけですね。そうしてテレマーに見られるような、こういういろいろな機械を業者が売り込んでくるわけですから、そういうものをどんどん買い込んでいく。そこへもってきてデータ通信でも、いまお話しございましたようにこの五カ年の計画を見ると最後にデータ通信という項がございます。これをごらんになると、千が単位でございまして、端末が、要するに五十二年計画で二万六千端末機器しか備えつけられないような計画をしておる。ところが、事業所というのは全国で百八十万カ所あるわけです。この百八十万カ所の事業所に端末機器がたった二万六千台しかつかないような状態のところに金をどんどんつぎ込んでくるわけですから、そうなってくると、一体どういう事業をやろうとしているのか。常識では考えられないようなことをやって——この資料だけでもわかる。二万六千端末機器にしか変えない状態の想定をしておるわけです。ですから私は、そういうことを郵政大臣はどうごらんいただいておるかということなんです。決して意地の悪い質問をしておるのではないのです。要するに電電公社がこのまま突っ走ると——日電公社といわれるほど通信メーカーの食いものになるような状態が現にあらわれている。それは小さいことですが、これによってあらわれておるわけです。つまり砂時計より悪いようなものを買わされて、それで二十七億も損をするようなことを電電はやっているわけですよ。これからますますそれがひどくなってくる。それがいま申し上げたようにアメリカからコンピューターや集積回路がどっさり入ってくるということになりますと、なおさらそういうことが重なってくるという情勢下において電電の経営をどうするかということが問題になってくる。こういう点で言っておるので、御了承願いたいと思うのです。では、あとでこの問題についていろいろ教えてもいただきますけれども、第三番目の本論に入っていきたいと思います。  こういうことは郵政大臣はよく御承知のことでございますので、たとえば憲法第十八条によって、奴隷労働の苦役からの解放をしなければならないということは憲法の規定に書いてございます。これはもう御承知だと思います。それから憲法第十九条によって思想、信条の自由を認めなければならない、これまた当然のことだと私は思います。特にこれから問題にしようとするILOにおける二十九号の強制労働に関する条約に日本が批准をしておるわけでありますね。この点も大臣大体御承知だと思うのですよ。さらに憲法第二十五条によって日本国民は健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利を持っておる。社会保障や社会福祉についても、また社会環境についても十分な整備をしてもらう権利を持っておる。こういうことがうたわれておるわけです。ですから、大臣がおっしゃっておるように局舎環境整備をするということは、この憲法第二十五条の第二項の、末項の規定にちゃんと当たることをあなたがおやりになるから、それはけっこうです。しかし労働賃金の問題、労働条件の問題あるいは退職金の問題、社会保障の問題は非常に重大な問題であるわけです。そういう問題について私はこれから話を進めていきたいと思っておるわけです。  憲法第二十七条においては、勤労者は、御承知のように勤労の権利を持っております。また憲法二十八条においては、御承知のように労働三権といわれるストライキ権、団体交渉権、同時にいわゆる組織権というものを持っておるわけですね。これも大臣お認めになるわけでしょうね。いかがです。こういう権利があることは御承知だと思いますが、お認めになりますか、これはわが国の法制下においては。
  184. 久野忠治

    久野国務大臣 承知をいたしておりますが、しかしILOの八十七号条約の批准の際に、スト権の問題につきましては公的機関であります三者構成によります公制審によって最終的な結論を出すことになっておるのでございまして、この結論を待った後において処置をいたしたい、かように考えております。
  185. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、ことしの初め、去年の暮れからILOの事務局長のジェンクスさんが声明したことについて御承知ですか。
  186. 北雄一郎

    ○北政府委員 ことしの初めでございましたか。
  187. 土橋一吉

    ○土橋委員 ええ、そうです。ジェンクスが声明を発しておりますね。
  188. 北雄一郎

    ○北政府委員 失礼でございますが、ことしの初めと申されますと……。
  189. 土橋一吉

    ○土橋委員 あるいは去年の暮れでございましたか。
  190. 北雄一郎

    ○北政府委員 去年の暮れでございますね。これは承知をいたしております。
  191. 土橋一吉

    ○土橋委員 どういう内容だと思いますか。
  192. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは、当時総評等がILOに提訴をいたしまして、その関係につきましてジェンクス事務局長が提訴側と日本政府側、三者で話がございまして、その席上、こういった問題につきましてなお政府と総評の間でハイレベルでできるだけ定期的に話し合いをしたほうがよいのではないだろうかという趣旨の示唆、サゼスチョンをなさったということを承知いたしております。
  193. 土橋一吉

    ○土橋委員 久野大臣もお聞きのように、ジェンクス氏はそういう提言をいたしております。昨年以来、田中総理もいわゆる三者会談として総評であるとかあるいは労働組合幹部とトップ会談をすることによって事態の——要するにストライキの問題であるとかあるいは特に公務員、公共企業体のストライキ権を奪っておるわけですね。問題はそこが一番中心なんです。この奪った経過については、あなたもよく御承知のように、これは芦田内閣のときに社会党の加藤勘十さんというのが労働大臣で、そして政令二百一号というので奪ったわけです。それまでは憲法二十八条の規定によって官公庁労働者も公企体労働者もみんなストライキ権を持っていたのです。これはアメリカの軍事占領下のいわゆる軍事的な支配のもとでこれを奪ったわけです。つまり異常な事態でこれをやったわけです。ところが、日本が平和条約を結んで独立国家になったというならば、軍事占領下における法規は全部御破算にして、当然憲法二十八条の規定に準拠しなければならないというのが原則なんです、平和国家でございますから。それをやらないでそのままずっと来ちゃったわけです。これが要するに公務員のスト権を奪っておる具体的な事実の内容であります。これが総評から提訴されまして、御承知のようにジェンクスさんも三者の会談をして、その問題についてはいまわが国においても公務員制度審議会において、スト権を公企体労働者には認めるべきではないかという意見がいま多く占めようとしておる、こういう状況なんです。そういう中において、たとえば電電公社はたしかことしか去年の暮れでございましたか、一万四千名の処分を出したわけです。また全逓もそういう大量の処分を出しておるわけですね。これは、何と申しましても公務員あるいは公共企業体関係労働者が当然持っておるストライキ権がそういう異常な事態のもとに奪われて、そして物価は五%上がれば人事院の勧告に従って、あるいは公共企業体等労働関係法の調停によって賃金を上げる、こういう約束のもとに浅井という方が初代の総裁でした。そしてフーバーという男がアメリカから来まして、これが職務職階制賃金を入れたわけです。だからいまの賃金体系というのは職務職階賃金に年功序列型の賃金を加えておるわけですね。そのために一定のランクまで来ると上がれないわけですよ。昔の判任官補が八十五円以上は努力してもどうしても上がれなかった。また奏任官も、末端の奏任官はあるところまで行くと上がれない。勅任官にならなかったら、ランクが変わらなかったら、上がれない。こういう仕組みに明治政府でもやっておったが、それ以上のランクをつけておるわけですよ。  そこで私は聞きますけれども、それでは郵政において——要するに国家公務員ですよ、ただ労働法規を適用するときに公企体の労働法規が適用されておるだけだ。要するに郵政皆さんは国家公務員であることは間違いない。そうすると、いま十年勤続で大体平均賃金を何ぼ出しておるのか、十五年勤続で平均賃金を何ぼ出しておるのか、ちょっと聞かしてください、正確な数字を。うそ言っちゃいけませんよ。基本給ですよ。家族手当や勤務地手当やいろんな手当を入れちゃいけませんよ。基本給を何ぼ出しておるんですか。十年と十五年、二十年くらいのランクで言ってください。
  194. 北雄一郎

    ○北政府委員 十年勤続とおっしゃいましたけれども、実は十年というのでとってございませんので、七年ないし十年勤続、これで基本給が四万九千四百四十六円でございます。十年ないし十五年というところで五万四千六百九十一円、十五年ないし二十年というところで六万四千二百九十七円、なお二十年ないし二十五年というところで七万四千四百二十三円、かく相なっております。
  195. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま委員皆さんもお聞きになったでしょう。それから郵政大臣もお聞きになったでしょう。一体こんな賃金で、たとえば十五年つとめて五万四千六百九十一円。十五年もつとめれば、二十で入ったら三十五歳でしょう。子供さんが三人ぐらいおるでしょう。それで一万何千円もする家賃で入って、おばあちゃんの一人ぐらいめんどう見て、いまの賃金で一体食っていけますか。郵政大臣、食っていけると思うのですか。十五年勤続で五万四千六百九十一円ですよ。(「食っていけるようにほかの手当も入れてある」と呼ぶ者あり)基本給で聞いておるのです。いろんな手当や家族手当、そんなものはあたりまえでしょう。大臣、基本給これて食っていけると思うのですか。——私は大臣に聞いておるのですよ。一体こんなことで食っていけると思うのか。二十年で六万四千二百九十七円で一体食っていけるのかね。東京なんかではとうふ一丁七十円もするんですよ。
  196. 北雄一郎

    ○北政府委員 先生御承知のように、ただいま申し上げましたのが基本給でございまして、そのほか通常超過勤務手当あるいは特殊勤務手当——特殊勤務手当にはいろいろなものがございます。作業自体に伴うもの、あるいは貯金、保険の募集に伴うもの等々いろいろございますし、それから扶養手当、一部には住居手当等もある次第でございます。なお全体といたしまして、御承知のように昨年の場合もそうでございますけれども、賃金改定がこれまでは毎年ございまして、そのつど結果的には仲裁裁定というものを権威ある第三者機関であるところの公労委が出しております。これを忠実に私ども履行しておるわけでございます。その公労委の裁定という中で、公労委自体が民間賃金その他と均衡がとれておる、こういうことでございまして、私どももさように考えておる次第でございます。
  197. 土橋一吉

    ○土橋委員 公労委裁定の、峯村さんという会長が出しておるいろいろな資料も私拝見しました。ああいう諸君の出したあんなでたらめなことをあなた方まともに受けて信用しておるのですか。たとえば新宿郵便局におけるこの間の事件について、彼が下した裁定というものはなってないじゃないですか。東京地裁で却下されておるじゃないですか。  いま皆さんもお聞きのように、委員長もお聞きのように、大臣もお聞きのように、十年つとめて四万九千円ですよ。かりにこれに勤務地手当だ、家族手当だ、いろいろなものが加わったとしても、たかだか十年勤続なら二万円前後でしょう。十五年勤続だってたかだか二万円こすかどうかという程度のことです。いま民間では十年未満の人でもみんな七、八万もらっているわけです。ちょっとした七、八百人使っておるところでは、昨年の暮れのボーナスでも大体四十万から五十万出ておるのですよ。この基本給でかりに三カ月分出たって知れたものじゃございませんか。十五年の五万四千円で三カ月分出たって十五万そこそこ。こういう低賃金にあることを解決しないでおいて、日本の全日自労と電電公社とこの全逓の低賃金を打ち破ることなくして、どうして一体事業が促進できますか。この食うや食わずで通ってきておる人に働け働けと言ってみたって、働けっこないじゃないですか。いまどういう会社につとめたって、少なくとも二年ぐらいたてば六、七万ぐらいもらえる。婦人労働者でもそうですよ。いまボーナスを大体二十万ぐらい婦人労働者の方でも昨年の暮れはもらっているのですよ、一年しかつとめない方でも。比率でいくとそのくらい少ない。こういう状態で、業務だけ盛んにいろいろなことをおやりになっているけれども、一体ほんとうにまともに仕事ができるかということです。つまり日本の低賃金構造の一番足を引っぱるのは全日自労と全逓の労働組合の賃金体系じゃないですか。電電公社の賃金体系じゃありませんか。そういうことをほおかむりしておって、幾らここに書いてあるような高度の理論を説いてみたって、宇宙開発でどうだこうだと幾ら皆さん計画されましても、実際働く人は、いまお話をするように、ここで十五年の例をとると五万四千六百九十一円の基本給で働いている人がそういうことをやっているわけです。こういう賃金体系をなぜ打ち破らないか、なぜ自由民主党はこういうことを放任しておるのか、これが問題であるわけですよ。これをやらないでおいて、いかにうまいことを幾ら言ってみたってだめなんですよ。それは田中政府の政策が悪いからだ。そういうわけでありますので、この電電と、それから国際電電もございましょうけれども、この賃金体系を逓信委員会としては大幅にやはり世間並みの賃金に上げてやるという基本的な態度をとらずして、いまいろいろお話を、これからもいたしますけれども、そういう問題を解決することはできないわけですよ。局舎に暖房が通った、冷房が通った。給料は聞いてみると十年つとめて四万幾ら。こんなことで嫁になり手がありますか。これが実態なんですよ。ですから私は、この賃金を上げるという問題、労働条件の真の改善をするという問題が最も重要であるということを主張するわけです。郵政大臣どうですか、明確な答弁をしてください。
  198. 久野忠治

    久野国務大臣 他の省庁間との関連性もございます。でありますから、御指摘の点につきましては十分配慮いたしながら検討いたしてみたい、かように考えます。
  199. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、久野さんをいじめるわけではございません。あなたもこの間おなりになってほんとうにお気の毒ですよ。実態はこういう実態で、いままで押してきておるわけですよ。私もかつてはその一員であったわけです。ですから、いま少なくともこれは国家公務員全般にわたる問題であるわけですよ。少なくともいま春闘で二万以上の賃金要求が総評のきのうの大会でも大体決定をしておるわけです。あたりまえですよ。あなた。ところがランクの点から見ると、二万円かりに上がったといたしましても、この十年勤続の人なんかは二万円なんかはもらえないのですよ。まあ計算してみなければよくわかりませんけれども、せいぜい上がっても三千円上がるかどうかというところなんですよ。それに家族手当だ、勤務地手当だ、超過勤務手当だ、住宅手当だ、何かいろいろつきましても、そんなものは全部引かれる内容のものです。そこへもってきて共済費用だあるいは労働組合の費用であるとか、ちょっとした買いものを引くということになると、まともにこの金を持って帰る人は珍らしいわけですよ。ですから、私は基本的な賃金体系を上げてやるということ——ごまかしの、要するにそういう勤務地手当だとかいろいろな家族手当とか、そういうみみっちいことでこの問題をカバーするような体制ではなくて、基本給をぎゅっと上げてやる。食っていける体制をとっていく。そして物価が上がればそれにスライドして上げてやる、こういう体制をとらなければならぬ。これは道理にもかなっておるし、それをやらない電電公社の米澤総裁も重大な欠陥を持っておるわけです。歴代の自民党の郵政大臣も重大なこの問題について欠陥を持っているというふうに思うわけです。ですから、ぜひこの問題について善処をしてもらうことをまず最大の前提として、これからいろいろな問題について質問を展開していきたいと思っておるわけです。  これは昨年の九月二十八日の事件でございますけれども、武蔵野郵便局というのが東京都下にございます。この武蔵野郵便局において、東京郵政局の能条彬という東京郵政局郵務部長、それから松井寿郎さんという次長さんが、無頼漢のような者を約七十名近く連れてきて、そして、武蔵野郵便局で配達をしようという人々が自分の受け持ち区域について区分をするわけです、ばっと郵便物が来ますから、配達の順序を区分していくわけですね。そうすると、タイムウォッチを持っておって、早いとかおそいとか、スピードがのろいとか文句を言うわけです。そして一号便で配達に出るというと——ここは別府さんというのが局長さんですが、局全体の幹部も、つまり主任以上の者は何名といるわけですが、そうすると、配達区域は五十七であったと記憶しておりますが、それがみんな自転車に乗ってあとを追っかけて、階段の登り方はどうだとか、郵便物のやり方が悪いとか言って、監視労働、奴隷労働を強要しておった事実がはっきりしておる。写真は追ってあなたにお見せしますけれども……。五十六、七名の配達のところに六十二名東京郵政局がやってきて、そして武蔵野郵便局でも幹部諸君が二十名近く動員をして、そういう強制労働をやることは、先ほど私が読み上げたように、郵政大臣も認めておる。そういうことがあってはならぬと言いましたね。一体あなたはどうしてこういう問題について、処分なり——東京郵政局長及び能条彬、こういう不当な労働行為をやっておるのです。これはやってはならぬことなんです。こういうことが行なわれておるわけです。あなたはどう思いますか。
  200. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいまのお話は、武蔵野郵便局において、昨年能率調査をするために東京郵政局の郵務部の人々がおもむいた問題だと思います。  これは御承知のように最近いろいろ東京都周辺の郵便局等に地域発展が非常に著しいところがございます。したがいまして、配達区域が非常に変わったり、配達個所数がふえたりいろいろございまして、特にそういうところに適正な定員配置をするためには能率調査をするということで、これは全国的に局を指定してやっているものでございます。たまたま去年の九月二十五、六日に、お話のように少し短時間にこの仕事をしようということで、いささか人数が多かったわけでございますが、おもむきまして、作業量、作業工程別の作業時分、それから走行距離、どのくらい外勤が郵便物を持って歩くかとか、そういったようなことを個別に調査するために行なったものでございまして、これも組合と話をして臨んだわけでございまして、最初少し人数が多かったことからくるいろいろの誤解等もありまして、その後両者で話し合った結果、後日また組合と十分話がついて平穏裏にこの調査は終了したわけでございます。
  201. 土橋一吉

    ○土橋委員 溝呂木局長はそういうでたらめを言ってはいかぬ。あなたはそんなことを百も承知の上で、そういう白々しい答弁をしておるのですよ。これは明らかに、当時入ったのは六十二名の東京郵政局、ジャンパーを着て、ならずもののようなかっこうをして、片方は全部制服を着て配達の準備をして、区分をしておる裏で、うしろ手をしたり、ポケットに手を入れて、そして全く世間にも見られない——杉並郵便局だってあんなことはやっていなかったよ。そういうでたらめなことをして、一体作業調査とは何事ですか。五十七の配達区域については、三つか四つおもなところを指定して回ってみればけっこうじゃありませんか。このことは明らかに武蔵野郵便局における進歩的なあるいは正義を、ほんとうのことを言う人を押えつける目的をもってあなた方はやっておることは明瞭な事実なんですよ。そういうことを繰り返し繰り返しあなた方はやろうとしているわけです。  これだけじゃありませんのですよ。たとえばたばこは全然吸わせない——職場の労働者の声ですよ。トイレにも制限ををする。ポケットに手を突っ込むな、仕事をしろと言ってどなる。トイレへ行けば、早くしろ。からだでぶつかってきて、こういう形をとって、文句があったらすぐ賃金カットだというような、そういうことを現にやっておるのですよ。これはこの委員会で何回も私は説明しておるように、あなた方はそういうきれいごとを言って、さも調査をしておるようなかっこうをして、武蔵野郵便局の労働組合に重大な打撃を与える目的をもってそういうことをしている。これは明らかに不当労働行為ですよ。あなたはそういうそらぞらしい答弁をしているのですけれども、当時の状況をあなた知らないから——ジャンパーを着て、薄ぎたないかっこうをして、それこそどこのならずものか——いま町だってあんなならずものはちょっと見ることができないようなかっこうをさして、そして六、七十人も配達をするところの集配の人たちのところへ行って、タイムウォッチを持ったり、あとを自転車に乗って……。私はとめた。あなた、よしなさい、そういうみっともないかっこうをして、片方はちゃんと制服を着て自転車に乗っていくのに、君、何というかっこうをしているのだ。ジャンパーのよれよれ、そういうものをわざわざ着させて出張させておるわけです。薄ぎたない者があとについてきて、配達をする人だって迷惑している。そういうでたらめなことを東京郵政局はやっている。それをあなた方は、いまのような答弁をしてごまかそうとは何事ですか。私は郵政事業についてはプロですよ。私はしろうとじゃないですよ。そんなでたらめを言ってこの委員会を過ごせると考えているのですか。私は、そういうでたらめなことを言うと、あなたの責任を追及しますよ。それから調布の郵便局をやるとか町田の郵便局をやるなどと言ってこの能条君が大みえを切ったじゃありませんか。こういうことは直ちにやめるよう……。  郵政大臣、どう思いますか。これをまともな調査だと思うのですか。
  202. 久野忠治

    久野国務大臣 私は初めてお話を伺いましたので、事実の報告をまだ私は受けておりません。調査をした上で検討させていただきます。
  203. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま申し上げましたように、非常に低い賃金で、しかもここにおれば退職金もいただけるし、何とかしのげる、そういうせつない思いでつとめている人に対して、奴隷労働を強要したり強制労働を強要したりするような体制をとることはもってのほかといわなければなりません。したがって、まず給与を上げて、そのあとでそういうことを文句があったらしてください。給与も上げないでおいて、生活の保障もしないでおいてそういうことをやるとは何事ですか。まさに奴隷労働を強要するといわなければならぬですね。  さて、マル生運動につきましては、ずっといままでたくさん出ておりますので、郵政大臣大体御承知かと思うのですよ。つまり、言いにくいけれども、ここにおられる元東京郵政局長をされておった浅見喜作さんが考え出しましたいわゆるブラザー制度などを中心としまして、北さん、その前の郵政労務担当をした中田正一君なんかがでっち上げたところの要するにマル生運動である。それはどういうことをやっておるかというと、つまり、あなたも御承知のように、労働組合、全逓を破壊する目的を持って第二組合をつくらせたわけですね。その第二組合の人には昇給もさせるし、あるいは栄転もさせるし、あるいは主任とか主事にしてやるとか、郷里のほうへの配置転換もしてあげましょうということで、全逓労働組合を切りくずすわけですよ。その中心的な者が、たとえばいま向島郵便局の中野銀造君ですよ。立川の郵便局におった男ですよ。そういう者を至るところで養成をしておってやっておるわけですよ。これは労働法違反です。明らかに不当労働行為ですよ、国鉄の場合にもはっきりあらわれておりますように。いま全国で全郵政というのは一体何名くらいいるのですか。
  204. 北雄一郎

    ○北政府委員 約六万名でございます。
  205. 土橋一吉

    ○土橋委員 それごらんなさい、事実を認めたでしょう。第二組合を六万もつくらせておったわけです。それで東京中央だ、大阪中央だ、あるいは福島だ、愛媛の松山中央郵便局だ、あらゆるところにそういうものをつくらせておる。そしてけんかをさせ、暴力をふるったとか暴力を加えられたとかいって、第二組合を指導しておる政党がいるわけです。それを盛んに支持をしている同盟系という労働組合の幹部がいる。これが郵政官僚と結託して、あらゆるところで第二組合をつくらせておる。あなたはこんな不当労働行為を認めますか、いかがですか。久野郵政大臣はこんな行為を認めますか。これは先ほども言ったようにILO八十七号その他の批准から見ても、あるいは労働関係法規その他から見ても不当労働行為であることはきわめて明瞭である。これは新宿の加藤君という局長がやった事件も出ております。これは明らかに東京地裁判決で不当だということになった。見てください。加藤君というよくない男です、おとなしそうな顔しておるけれども。東京地裁で判決が出ている。この争議行為が正当であると言ったのが、さっき名前をあげた峯村という東京大学を出た公労協の会長なんです。こういう情勢にあることを、大臣はぜひ知っていただきたいと思う。そしてこの監禁騒ぎであるとか、たとえば名古屋の守山の局の問題もございます。あるいは酒田の郵便局の問題もございます。至るところでこういうことをやっておるわけです。その総元締めといっては失礼かもしれぬけれども、それが北雄一郎人事局長である。  郵政大臣は先ほど、名古屋の中央郵便局へ行ったら握手をしたとおっしゃった。それはあなたの人徳のいたすところ、けっこうだと思いますけれども、末端においてはこういう状態で非常に第二組合がつくられて、それで第二組合は主事あるいは課長代理あるいは副課長へ栄進をしてくる。片方は何年つとめてもしてやらぬ。特に私が指摘したいのは共産党員であります。あるいは赤旗を読む人、民青同盟に対しては、御承知のように昭和二十四、五年のレッドパージ以来ずっと——これは電電の米澤さんも聞いてください。あなたのほうもこういう不当労働行為、共産党員を座敷牢に入れるようなことをやってみたり、村八分で遮断するようなことをやってみたり、あらゆる方法で、最も誠実でまじめな日本共産党の党員、しかも仕事もよくやる、勉強もしておる、そういう者に対して見せしめのようなことをいまだにやっておるわけです。郵政大臣、これをどう思いますか。憲法十四条に照らして認めるかどうか、ひとつ明確な答弁を聞きましょう。
  206. 久野忠治

    久野国務大臣 具体的な事例を一々おあげになりまして御質問になりましたが、私は具体的な事例についてまだ報告を受けておりません。報告を受けた後にいろいろと検討をいたしてみたい、かように存じます。
  207. 土橋一吉

    ○土橋委員 久野郵政大臣は異なることを言われますね。いま私が申し上げたことは新聞紙上その他によってもちゃんと事実としてみな掲げられている。一般新聞ですよ。したがって、あなたにそんなことを言われましたといって北雄一郎君が、私が第二組合をつくるために狂奔をいたしましたとか、私が全逓の中における共産党員をマル生で徹底的にやっつけてきましたとどうして報告しますか。そういう事実を私は資料を貸してあげますから、こういうでたらめをしないようにこの逓信委員会においてあなたがきちっと約束をしてくださることを私は要求したいと思います。先ほど申し上げた憲法第十九条の思想、信条の自由を認めるとか、奴隷労働とかそういうことをしてはならぬということをおっしゃったのでしょう。それならば当然その大命題に従ってこれは約束してもいいじゃありませんか。どうしてできないのですか。もう一回重ねて答弁を求めます。
  208. 北雄一郎

    ○北政府委員 私どももとより憲法の各条章というものにつきましては忠実にこれを履行するという立場にあるわけでございまして、決して思想、信条の自由を押えるというようなことはしたこともでございませんし、もちろんしてはならないということは明らかでございます。また不当労働行為というもののいけないということも、これは労働組合法にはっきり書いてあることでございまして、当然そのことは下部にも浸透させてまいっております。  先生御指摘の事案というものは、おおむね四十五年以前の事案であると思うのでございますが、先生もよく御承知いただいておりますように、当時われわれも先生あるいは労働組合等からいろいろ御指摘を受けました。私どもはそういったことがもちろん本意ではないというので、御承知のように四十五年の暮れに一二・一四確認というものを組合との間にかわしまして、以来これを忠実に履行する、あるいは下部への定着をはかるということで努力を続けてきたつもりでございます。結果といたしまして、最近におきましては、これはてまえみそかもしれませんが、事態は非常に好転しておるというふうに認識をしておる次第でございます。今後とも、憲法はもとより法律、そういったことにつきましてこれを順守するのはもちろん、そういった精神にのっとって労使関係の明朗化につとめてまいりたいということで大いに努力をしておる次第であります。
  209. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま委員長もお聞きになりましたし大臣もお聞きになりましたので、私は、少なくとも久野郵政大臣が在任中私が再びこういうことの質問をやらないように、また米澤総裁にもお願いしますけれども、またこの問題を持ち出してこの委員会で大きな声を張り上げてとやかく言わせないような体制をきちっととっていただきたいと思うのですよ。これはよろしいでしょうね、総裁大臣も。こういうことが起こってくれば私のほうで言わざるを得ないわけだし、現にいま例をあげたり説明をしなければならない。こういうふうに出ておりますから、二度と再びこういうことが起こらないように、そういう不当労働行為や差別をしないということを重ねて私はここではっきり確認をしておきたいと思います。  そこで昨年の七月二日に、これは終わったことですから、そうたくさん私は責めませんけれども、国立にございます郵政大学校で、三十六歳になる主事課程のいわゆる講習を受けておるところの倉沢さんという人がマラソンをやっておって死んだわけです。それからまたすぐあと、たしか岡山出身の貯金局の方でありましたか、大体同年輩の人が朝のマラソンか体操をやらせられておって死んだ。ここで問題になることは、この前北雄一郎君のほうから釈明がありましたからいろいろ追及しませんけれども、私が問題にしたい点は、鈴木という高等部第一科部長はこういうことを言っておるのです。記者さんが、これは一体学科ですかと聞いたらば、鈴木誠雄高等部第一科部長の話では、「マラソンはこの研修の体育授業の一つとして一日行なわれ、」というふうに言っておるわけですね。郵政省は、たまたまそういうことをやっておるのだ、しょっちゅう授業時間のうちに入っていないというような説明をしたけれども、この鈴木さんは私がお会いしたときにちゃんと言っている。体育の時間、訓練です。これは死んでしまったわけですよ。おもな原因がこれだけだったとは私も思いませんけれども、こういう事態を引き起こすほど、郵政省は中堅幹部養成のために、つまり根性を植えつけるのだということで、末端の配達とか区分員を先ほど申し上げたように、便所にも行くなとかあるいはたばこを吸うなといったようなことを、こういうところで盛んに教育をして、これを授けているわけですよ。つまり奴隷労働や強制労働をいわば教育する機関郵政大学校というかっこうになっている。こういうけしからぬことが七三年の今日、依然として行なわれておるわけですよ。それだけではない。たとえば芝郵便局に、ついせんだってもありました。ベトナム支援センター、中央にあるセンターに、ベトナム戦争を早く終わらせようというので全国から多くの郵便物が来ました。その中に、郵便事情を詳しく知らないために金を送ってきた、あるいは為替を入れたけれども書留にしなかったとか、いろいろな問題があった。私は芝の郵便局に行って、受信人がタックスならタックスの料金を払う、書留料金も法定の二倍を払うからこれをお渡ししたらどうかと言ったら、これはその受け取り人に渡せない郵便物だと言って主張した。一体、郵便物を逓送することを中心業務とする郵政官署において、受け取り人に渡すことのできないという郵便物、つまり郵便法の五十二条の二項の郵便物以外にどんなものがあるか説明してごらんなさい。官署が権限を振り回して受信人に送達ができないという種類の郵便物はどういう種類のものか。
  210. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 先生御承知と思いますが、郵便法上においていろいろ禁止している条項がございます。この法律に違反したものについては、やはり郵便の送達を完全にすることはできないというやり方になっております。  それで過般起きました問題は、十九条で、現金はこれを書留にしなければならないということは法律に明定されてございます。そこで、もし中に現金があると疑われるときは、差し出し人または受け取り人にその開示を求めるということが法律の四十一条の一項にございます。したがって、これは相手方の人にひとつ開いてみてくださいというふうにお願いしているわけでございます。この前の問題も一応開いていただきまして、中に現金があるものにつきましては、今度は五十二条のほうで、明らかに法律の規定に違反したものはこれを差し出し人に還付するということで還付いたしまして、それで開いていただいた中に現金でなかったものはお渡ししたわけでございます。  それからもの一つは、開示を求めたところ、これは開くわけにはいかないというふうに拒否された問題がございました。この扱いが非常にもめまして、先生御承知のように、こちら側がいろいろ要望した——これは現金が入っていると疑われる、その疑わしいという条項の判断についてもめまして、私どもでいろいろ検討した結果、これは明らかに現金が入っている、たとえば硬貨のような、これは皆さんが見てもおわかりになるわけでございますので、これはひとつお開き願いたい。しかし、これも拒否されましたので、四十一条の二項のほうで、開かないでこれを差し出し人に還付するという、要するに開示を求めましたが開示拒否をされましたので、それは信書の秘密がございますので、郵政省は開かないで、これを差し出し人に還付するという形になっておるわけでございます。  そこで、ほかの郵便物ですと、たとえばこの規定の中でも料金未納郵便物等につきましては、受け取り人がもしその所定の料金を払えば受け取っていいという形になっております。ところが、との十九条関係のものは、現行法におきましては受け取り人に渡さないであくまでも差し出し人に還付するという法体系をとっているわけでございます。これは現行法上の立法の理由でございます。なぜそういう立法理由に立ったかということになりますと、やはり郵便物の中に現金を入れられますと郵便職員が非常に困るわけでございます。差し出し人と受け取り人との間で、送った、送らない、また郵便局でなくなったのだろうということで、まじめに一生懸命郵便物を送達いたしましても、そこでトラブルが起きるので、やはり書留にしてほしいという私どもとしては強いお願いでございます。したがいまして、その強いお願いを十分に守っていただくためには、差し出し人に返して、そしてこの次からははっきり書留にしていただくという立法政策論でこういう立法をしたものというふうに考えておるわけでございます。
  211. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政大臣もお聞きになったでしょう。つまり郵便物が違法な郵便物であって、たとえば中に劇薬であるとか爆薬であるとか、他の郵便物や従業員に多大の損害を加えるであろうという場合には、これは禁制品として発送しないというのが原則でしょう。しかし為替を入れた、ちょっと金を入れたという場合に、書留にすべものを書留にしないで郵送しました。それで受け取り人が、その書留料を払いましょう、またタックスの未納料金もちゃんと払いましょうといったときに、なぜこれを拒んで配達しないのか。郵便というものは、そんなにいばり散らしていいものか。通信業務として一定の書信をAからBに送達して安全に到着させる。その技術の中で、いま話したように、禁制品とか爆薬物とか、あるいは他の郵便物に損害を加えるというようなものは、これは禁制品として除外していい。たまたま、たとえば千円札を入れておった、あるいは知らないで百円玉二つ入れておったという場合に、それを配達過程でどんどんとってしまった。到達局に聞いてみたところが、これは硬貨が入っておったというので、受信人に話をして、こういうわけですから郵便料金が足りませんよ、しかも書留料金は入っておりません、入れてください、と言って渡して、何の損害があるか。受信人がそういう状態にしてくれというのに、なぜ、それはいかぬ、発信人に返すのだといって、また逓送業務をやって発信人に返す必要がどこにあるのかね。あなた方はそういうでたらめな法律をつくっているのか。
  212. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 御説明申し上げましたように、現行法上ではただいま申し上げたとおりになっておるわけでございます。いま先生のおっしゃるのは、そういう法律を改正せよ、そしてそれも受け取り人に渡せという、一つの立法政策論というふうにお伺いいたします。その点につきましては、最近いわゆる現金の封入事件がどのくらいあるか、そういったものを見ながら——これは大体国民の皆さん方がそのことを知っていただいて、要するに現金が通常郵便物の中に封入されないという事態になってくれば、私はほんとうにそういう立法政策論をお聞きする価値があると思いますが、やはり私のほうは、現段階においては相当現金が入っているという訴えがあちらこちらにございますので、いまの段階ではこの現行法でもってやらしていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  213. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま申し上げたように、他の郵便物に損害がない。しかと書留にすべきものを書留にしなかったとか、あるいは千円札をちょっと入れておったとか、その郵便物は平穏無事に到達人のところに配達された。さわってみたところが、どうも硬貨が入っておった、あるいは千円札が入っておったというので、本人が、それは私のほうにちょうだいします、そのかわり書留料も払いましょう、あるいはあなたのほうの要求する二倍の料金も払いましょうといったものまでも拒否をして、また発信人のところまで返すのか。発信人が死んでしまっていなくなったら、郵便物はまた向こうに行くわけであります。こういうまことに不都合な事態があるので、そういう場合には、受信人がちゃんとタックス料金を払い、あるいはその法規の規定に従った倍額の料金も払うといえば、渡してもいいじゃないですか。どこに損害があるか。
  214. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいま御説明いたしましたように、現金を封入していただかないように法律は規定されておるわけでございます。したがいまして、やはり法律に違反した扱いのものにつきましては、いろいろその間に問題がございましょうが、やはり差し出し人にお返しして、こういった事件を少しでもなくしたいという現行法の立法趣旨に基づいて私どもはやっているわけでございます。
  215. 土橋一吉

    ○土橋委員 これが土台になっているのですね。このことが土台になって、そしてベトナム支援センターにどんどん郵便物が送られる。ところが、そのベトナム支援センターはどうも何とかだ、そこにいく郵便物は全部押えなければならぬというので押えたのが、芝郵便局の事件であったわけです。だから総括的に、ベトナム支援センターであるがゆえにこの郵便物はそういう疑いが濃厚であるというので、調べもしないで郵便物をとめちゃった。そこに問題がある。いま話したように、禁制品であるとか危険物であるとか、従業員に損害を与え、他の郵便物に損害を与えるのならば、これは禁制しなければならぬ。しかしたまたま十六歳の少女が書留にすべきことを知らないで送った、郵便物は平穏無事に到達局まで達した、そこで、向こうの支援センターのほうは、タックス未納料金も出しましょう、賠償も出しましょうといっても、一々またもとへ返して、本人が死んじゃった、またその郵便物は向こうへ来る、こういうようなことがあってはいかぬということをまず前提として、そういう不都合なことをなぜやるのか。つまり、さわってみて、これは確かに硬貨が入っている、あるいは郵便法の規定によるところの四十一条の規定とか、十九条の規定に違反しておるということならまだしものこと、一括ベトナムセンターへ来るのがけしからぬということでとめたわけです。なぜそういうことをするのか、どうしてそういう権限を郵政官庁が持っているのか、はっきりしてくださいよ。
  216. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 これは芝郵便局に起こった事件でございまして、やや詳しく御説明申しますと、第一回目におきましては、やはり法規を御説明いたしまして開示を求めたわけでございます。それには応じていただきまして、あけましたところ、約八割がたが現金が入っておりました。そしてそれを返しまして、中には現金だと思いましたが非常に現金に似た為替であった。これは開いていただいて、確かに現金でございませんのでそのまま配達したわけでございますが、その後そう見ますと、やはり長年郵便に携わった人から見て、資金カンパとして入ってくる郵便物に相当の現金が入っているということを職員が申し立てますので、そこでいろいろな郵便物を分類いたしまして、そしてこれは確実である、これはやや入っていそうだ、これはどうかわからぬというように分類しまして——それでその辺につきましてはいろいろあの場において郵便局長とそれからそちらの方との間の応答等にいささか問題があったようでございます。これはその問題として後ほど私のほうでそれを検討いたしまして、明らかに疑わしい、要するに皆さんから見てもこれは現金が入っていると思うものは還付いたしまして、そのほかのものは配達したわけでございます。その間のいきさつが、あるいは特定の団体に対して何かそういった思想的な問題でこれを押えたかのごとき誤解を与えたとすれば非常に私ども遺憾でございます。芝のほうに聞きましても、決してそういうことではございませんので、ただ資金カンパをいたしますとどうしてもそういうところに集中的に現金封入のものが入ってくるという客観的、一般的な判断のもとに、その郵便物について分類したということでございまして、もしそれが特定の団体に対する問題であればまことに申しわけないことでございまして、もし誤解を与えたとすればその誤解のないように今後指導したいというふうに私は思っておるわけでございます。
  217. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間も来ましたので、私はさっき申し上げましたように、送達人に還付できない郵便物なんていう規定の内容は、それは受けたほうも迷惑するとか、あるいは本人がいなくなってしまうとか特別の事由——あるいは本人がたとえが未納の料金もちゃんと払いましょう、賠償金も払いましょうといえば、何もそれを拒んで発信人まで持っていかなくたって便法としていいのじゃないか。特に最近小包などについて書状を入れることについても考慮しなければならぬという問題がアメリカあたりでも起こっているわけですからね。これはあなたもよく御承知だと思うのです。そういうところでベトナムの問題が起こっていまのような状態であるから、私たちは、事実を調べた上でこの郵便物はだめですと言うならば話はわかるけれども、一括これはいけませんというようなことを言っているから私はおこったわけです。わかるでしょう。そういうことも、つまり郵政大学校でこういうことをやるから、事情がわからなくなってしまって、出世主義を中心に、特訓で根性をつくるのだとか魂をつくるのだとか、優秀な逓信官吏になるのだとかいうようなことに頭を奪われてしまって現実が見えない、こういう者を養成する事態が現在起こっているからして私たちはこういうことは賛成できないということを言っておるのであります。私の言おうとしたことがおわかりになったと思います。これはすべてそういうところに関連をしておるので、今後さようなことがないように厳重に——アカ攻撃とか全逓組合破壊の工作であるとか、あるいはブラザー制度なんか、これはもう根本的に間違いです。わが国の法制においてブラザー制度なんというものは——稲川組とか山口組なんかなら別ですよ。官庁内においてブラザーだ、ヤングブラザーだなんてつくって、郵政省がブラザーに金を与えて言うことをきかせるような制度をつくって何事ですか。近代法を無視して新しい身分制度を創設するものじゃありませんか。しかもそれが第二組合をつくる先兵になって、ブラザーとかヤングブラザーなんてもってのほかじゃありませんか。近代法違反だ。また憲法第十四条や二十一条その他の規定の違反であるから、直ちにブラザー制度はやめなさい。そんな新しい身分制度を創設することは憲法は認めておりませんよ。これは稲川組や山口組と同じことを逓信部内でやるから、さっき久保さんが言ったように暗いのはあたりまえだ。それが第二組合と一緒になってあらゆる策謀をやっているわけですから、こういうでたらめな従業員の中における労働運動は直ちに停止するように厳重に委員長を通じて監督もしなければいけませんけれども、直すようにお願いをして私の質問を終わります。
  218. 久野忠治

    久野国務大臣 ちょっと土橋委員に一言申し上げたいと思う。私の思い違いかもしれません、思い違いであれば幸いだと思いますが、ただいま土橋委員の御発言中、奴隷運動行為ですかを私が認めたかのごとき御発言がございました。そういうふうに私は聞き及びました。私はそういうことを認めた覚えはないので、まだ事実の報告を受けておりませんので、報告を受けた後調査検討をいたしまして何らかの措置を講じたいと思いますと私は申し上げたのです。そういうことを認めた記憶はないように私は思いますので、そういうことばがあったといたしますれば、どうかひとつ御訂正をいただきたい。
  219. 土橋一吉

    ○土橋委員 これはILOの百五号の規定で奴隷労働というふうに書いておるわけです。それ以外のところはそうたくさん書いておりません。日本の憲法では、御承知のように意思に反して拘束をするとか強制をするということばを使っております。憲法では奴隷と書いてありません。また労働法規でも、ILOの規定だけはそういうことを書いておりますが、その点は……。
  220. 久保田円次

    ○久保田委員長 次回は明三月一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十七分散会