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1973-05-31 第71回国会 衆議院 懲罰委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年五月三十一日(木曜日) 午前十時三十七分
開議
出席委員
委員長
早
稻田柳右エ門
君
理事
稲村 利幸君
理事
木部 佳昭君
理事
田邊 誠君
理事
東中 光雄君 小渕 恵三君 梶山 静六君 小島 徹三君 野田 毅君 羽田 孜君
羽田野忠文
君
中村
茂君 山本 幸一君
坂井
弘一
君 玉置 一徳君
委員外
の
出席者
議 員
小林
政子
君
—————————————
委員
の異動 五月三十一日
辞任
補欠選任
石橋
政嗣君
井岡
大治
君 佐々木更三君
中村
茂君
成田
知巳
君
山口
鶴男
君
坂井
弘一
君
竹入
義勝
君 同日
辞任
補欠選任
井岡
大治
君
石橋
政嗣君
中村
茂君 佐々木更三君
山口
鶴男
君
成田
知巳
君
竹入
義勝
君
坂井
弘一
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
委員派遣承認申請
に関する件
議員小林政子
君
懲罰事犯
の件 ————◇—————
早稻田柳右エ門
1
○
早稻田委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
委員派遣
に関する件についておはかりいたします。
議員小林政子
君
懲罰事犯
の
件審査
のため、現地に
委員
を派遣し、実情を調査いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
早稻田柳右エ門
2
○
早稻田委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、
派遣委員
の員数及びその人選、
派遣地
、
派遣期間
並びに
議長
に提出する
申請書
の
提出手続
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
早稻田柳右エ門
3
○
早稻田委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
早稻田柳右エ門
4
○
早稻田委員長
議員小林政子
君
懲罰事犯
の件を議題といたします。 この際、
本人小林政子
君から
身上弁明
をいたしたいとの申し出がありますので、これを許可いたします。
小林政子
君。
小林政子
5
○
小林
(政)
議員
私の
一身上
の
弁明
は、去る十
日本会議
において述べましたとおりですが、その要旨を申し述べます。 去る四月二十六日、私が
物価問題特別委員会
で行なった
田中総理
に対する
質問
の
趣旨
は、
上越新幹線上毛高原
駅の
決定
並びにその
周辺
の
土地買収
をめぐって起きている
疑惑
を取り上げ、このような
疑惑
を持たれていては
商社
の不当な
投機
の規制をすることができないのではないかと、
田中総理
の
政治姿勢
を
国民
の前に明らかにするよう求めたものであります。 自民党の
動議提出者
は、その
趣旨説明
で、この私の
質問
が
推測
に基づいた事実に反するものだとし、
個人
の名誉、院の
品位
を傷つけたなどの
理由
をあげています。 私の
質問
は
推測
によって行なったものではなく、まして
総理
を誹謗し中傷するために行なったものでもありません。
国会議員
が事実を調査し、調査した事実に基づいて、
国民
の
疑惑
を
国会
で
総理
に
質問
し、その
政治姿勢
を問うことは、
国会議員
としての当然の
責務
であり権利であると
確信
しています。私の
質問
のどこが院の
品位
をそこなうと言われるのか、何をさして
個人
の名誉を傷つけたと言われるのですか。
疑惑
をただすのがなぜ
懲罰
に値するのかとうてい理解することができません。 私のこの
質問
が
懲罰
に値するというのならば、
国会
はもはや
国民
が抱いているさまざまな疑問や
不満
を
発言
することさえできなくなるでありましょう。私の
発言
は絶対に
懲罰
に付されるようなものではありません。気に食わない
発言
であるからといって、多数の力で
懲罰
にかけ、
議員
の
言論
を封殺しようとすることは、みずから
言論
の府を否定するものであり、絶対に容認することはできません。
上毛高原
駅の
決定
と同
駅予定地周辺
における
土地買収
には、幾つかの
疑惑
がからんでおります。 私は、以下その要点を指摘したいと思います。
上越新幹線
の
上毛高原
駅は、
昭和
四十六年十月
決定
されました。それは、群馬県利根郡
月夜野
町であります。当時、渋川、
沼田
、水上など
誘致運動
が起きていましたが、
月夜野町長
、
町議会議長
及び副
議長
も
新幹線
新
沼田
駅
設置促進運動
に参加していたほどで、
上毛高原
駅が
決定
されることは、地元の
予想
もしないところでありました。
地域住民
のおおかたの
予想
を裏切って、人口もまばらな
山峡
の地、近くに
温泉旅館
はおもなもの二軒しかないという、かつて
田中総理
が
取締役
をしていたことのある、そして現在
総理
が刎頸の友と言っている
入内島
氏が
経営
している
株式会社上牧荘
の近くに駅が
決定
されたのであります。当然ながら、
政治的疑惑
は
周辺住民
の中に広がってきたのであります。 また、
上毛高原
駅
発表
前後から、その
周辺地域
、従来はほとんど
不動産
の移動がなかったこの
地域
で、
山林原野
を中心に相当広範な
土地
の
買収
、
買占め工作
が
不動産業者
によって始められ、地価が高騰しています。こうしたときに、
総理
がかつて役員であった
株式会社上牧荘
が事業を拡大し、
土地
を
買収
していることについても、
周辺住民
の
疑惑
が生まれてきているのであります。
上牧荘
は、
昭和
三十五年に現在の
田中総理
が当時の
経営陣
に加わって後、急速に増資を重ね、前
経営者
当時と比較して、
昭和
三十九年までわずか数年の間に、
資本金
は四十八倍に増資されました。
昭和
四十二年五月には、
入内島夫人
が
取締役
に就任するとともに、六月には
定款
を変更して、新しく
営業目的
にも「
土地建物
の
売買
並びに斡旋」「
ビル
の
経営
並びに管理」が追加されたのであります。そして七月には、
資本金
はさらに二倍半にふやされているのであります。この
地域
では
土地
の
売買
などあまり行なわれない時期であり、また、この
山峡
の地に
一体ビル
が建つのか、
土地建物
の
売買あっせん
ができるのかという疑問が起こるのは当然のことであります。 ところが、
定款変更
が行なわれてから二カ月後の四十二年八月末、
国鉄当局
が
上越新幹線
を含む
全国新幹線網構想
を新聞
発表
したのであります。そして
昭和
四十三年から四十六年にかけて、
上牧荘
が
登記簿
上明白なものだけでも、
山林原野等合計
六千五百八十四平米を
買収
しております。 こうした中で、
昭和
四十六年十月、
上毛高原
駅の
決定
が正式に
発表
されたのであります。 また、御承知のように、
昭和
四十七年一月、当時の衆議院副
議長
であった
荒舩清十郎
氏の
発言
の問題であります。
荒舩氏
は、
上越新幹線
をつくる問題については、
通産大臣
をやっている
田中角榮
氏、
外務大臣
の
福田赳夫
氏と副
議長
の
荒舩清十郎
氏のこの三氏が、どこにとめるのか、どう通していくのかというようなこともきめたのだと
発言
をされているのであります。
上牧荘
の
定款変更
や、この
地域
でのあれこれの
土地買収
、そして
上毛高原
駅の
決定
、これらについて
疑惑
が持たれるのは当然の成り行きではないでしょうか。 ところで、
提案理由説明
では、
上毛高原
駅から一・五キロ以内には
上牧荘
の
土地買収
の事実はない、私の
質問
は事実無根だと言っています。しかし、私が指摘したのは、
石倉地区
という
地域
の
土地
の
買収
であります。一・五里を一・五キロと言い違えましたけれども、
石倉地域
における
土地買収
の事実はあるのであります。 私は、この言い違えを訂正するにやぶさかではありません。しかし、
買収土地
が
駅周辺地域
であることに何ら変わりはないのであります。 また、
駅予定地
に接し、
上牧荘
の横を通って北上する従来の
いなか道
が、
上毛高原
駅
決定
の
発表
に先立ち、
昭和
四十五年に
国道
二百九十一号線に昇格をされ、今日ではその大半が舗装されております。この
国道
によって、
買収地
と新駅との距離は、車では時間的に大いに短縮をされております。 したがって、
買収地
が
駅周辺地域
であることに何ら変わりはないのであります。 また、
提案理由
で、
買収地
の一部は
従業員
の
福利厚生施設
の
建設用地
だと言われています。しかし、
上牧荘
の買ったこの
土地
は、
上牧温泉
から
奈女沢温泉
に通ずる道路の入り口の要所に位置し、高さ約十メートル近くの滝に接する
土地
であります。 また、すでに
上牧荘
は
昭和
四十年、二階
建て寄宿舎
を新築しており、さらにその上、
従業員
の
福利厚生施設用地
として四千六百平米以上もの広大な
土地
を必要とすることは、常識ではとうてい考えられないのであります。しかし、この問題についても、
質疑
の中で解明すれば済むことであります。 私は、以上述べましたように、事実に基づいて、
上越新幹線上毛高原
駅の
決定
と
上牧荘
の
土地買収
問題をめぐる
疑惑
に関連して、
田中総理
の
政治姿勢
をただしたのであります。
提案理由説明
で
大村議員
は、私の
質問
が、
総理
の
政治的地位
を利用して「
土地
の
買占め
に加担しているがごとく事実を歪曲し」たと言われていますが、私は、事実を歪曲したことは全くありません。いままで述べてきた事実から見ても明らかなように、
国民
の
疑惑
をただしたものであって、
国会議員
として当然のことだと
確信
をいたしております。 私は、以上述べましたように、事実に基づいて、
上越新幹線上毛高原
駅の
決定
と
上牧荘
の
土地買収
問題をめぐる
疑惑
と関連して、
田中総理
の
政治姿勢
をただしたのであります。事実に基づいて
国民
の中にある
疑惑
をただすことが、なぜ
懲罰
に値するのでしょうか。 もし、
田中総理
がみずからの
政治姿勢
にいささかの疑点もないならば、堂々と答弁し、
国民
の
疑惑
を晴らすべきであります。これこそ、
主権者
たる
国民
に対する
総理
のとるべき当然の
態度
だと私は思うのであります。 ところが、
動議提出者
は筋違いにも、
質問
をした私を
懲罰
に付せと要求し、しかも、その
趣旨説明
は事実に基づかず、かってな
推測
や
仮定
の事実を想定し、また故意に私の
発言
を歪曲して不当な
理由
をつくり上げて、私の当然の
質問
、
国会
における
言論
を
懲罰
をもって抑圧しようとしているのであります。 たとえば
趣旨説明
は、私の
発言
を、
上毛高原
駅から一・五キロメートル以内で大規模の
土地
を買いあさっているかのごとき
発言
をしたものだときめつけ、事実に反するものと断ぜざるを得ないとしています。しかしながら、私の
質問
にはこのような
発言
はどこにもありません。かってに事実を歪曲して、事実に反するものだと断定するというやり方は、一種のトリックを用いて
言論
を抑圧する卑劣な
発言
だといわざるを得ません。 さらに
趣旨説明
は、「もし、
小林
君の
発言
が、同君の意思のみに基づくものにあらずして、周囲に動かされての
発言
であるとすれば、事は一そう重大であるといわねばなりません。」としています。一体これは私に対する
懲罰理由
の
説明
でしょうか。
発言者自身
、もしそうだとすればと
仮定
の事実を想定し、
国会議員
の人格を傷つけ、さらに
仮定
の事実に対して、「
言論
の自由に名をかりて、
国会
を一
党一派
の宣伝の具に供しようとするものであり、」「
議会制民主主義
の崩壊につながるもの」とまで非難しているのであります。 ところで、
動議提出者
は
趣旨説明
の冒頭で、
小林発言
は「
推測
に基づき事実に反する
発言
によって、
個人
の名誉をはなはだしく傷つけ、院の
品位
を失墜させる部分があった」としているのであります。
動議提出者
の論理をそのまま適用すれば、いま例示した、
仮定
、
推測
に基づく
趣旨説明
は、それ
自体懲罰
の対象になるのではないでしょうか。 私に対する
懲罰要求
は、単にその
理由
がないだけではなく、
議員
の
言論
に対する多数による弾圧を意図するものであり、
議員
の
審議権
に対する抑圧であり、
国民
に対する挑戦といわざるを得ません。
国会
は
国政審議
の場であり、
言論
の府であります。
国民
の
疑惑
をただす
質問
には、こまかに意を尽くしこれに答えるのが
為政者
のとるべき当然の
態度
であります。たとえ
為政者
にとって不愉快であろうとも、いやしくも
私的感情
をまじえるべきものではないと思います。
個人的感情
のおもむくままに、
国民
の
疑惑
をただす
質問
を一方的に抑圧しようとすれば、これはまさに
言論
の自由に対する侵犯であり、
国会
の
自殺行為
であり、
憲法違反
の暴挙といわなければなりません。 いま、
田中内閣
の
政治
のもとで、大
資本
、大
商社
の
土地投機
や
商品買占め
などの反
社会的行為
が全国的にわたって横行し、各地でさまざまな
疑惑
を生み出す事件が相次いで起こっております。また、
国民生活
の破壊を顧みない大
資本本位
の
政治
に対する
国民
の不信や
疑惑
が今日いよいよ深まっていることは、最近の新聞の
世論調査
の結果を見るまでもないことであります。このような状況のもとで、
国民
の抱く
疑惑
や
不満
に積極的にこたえ、これをただすことこそ
国会
と
国会議員
に課せられた重要な
責務
であると思います。私は、まさにこのような
確信
のもとに
質問
をしたのであります。 この私の
質問
が、
個人
の名誉を傷つけ、
国会
の
品位
をそこなうものであるとして
懲罰
に付すなら、一体
国会
は
国会議員
の
言論
に対して何を保障しているといえるのでしょうか。もし私の
発言
が多数の力によって
懲罰
にかけられるなら、
国会
はもはや民主的な
言論
の府としての
権威
を失い、その歴史に重大な汚点を残すことになるでしょう。 私の
発言
は、絶対に
懲罰
に付されるようなものではありません。私に対する
懲罰動議
は、決して私
個人
に対する
懲罰動議
ではありません。
国会議員
としての
言論
、
国民
に対し責任を持とうとする
国会議員
に対する
懲罰
といわなければなりません。 私は、
国会
の
権威
を守り、
言論
の自由、
議会制民主主義
を断固として守り抜くために、
同僚議員
の皆さんが党派を越えてこの
懲罰動議
に反対されることを心から期待して、
一身上
の
弁明
を終わります。(拍手)
早稻田柳右エ門
6
○
早稻田委員長
これにて
小林
君の
身上弁明
は終わりました。 次回は、来たる六月六日水曜日、午前十時より
理事会
、午前十時三十分より
委員会
を開会し、
動議提出者
に対する
質疑
を行なうことといたします。 本日は、これにて散会いたします。 午前十時五十三分散会