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1973-09-18 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十八日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君    理事 吉田 法晴君 理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    渡辺 紘三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       山田 芳治君    三谷 秀治君       小川新一郎君    小濱 新次君  出席政府委員         建設省都市局参         事官      國塚 武平君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省行政局長 林  忠雄君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 岩佐キクイ君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       棚橋 正治君         林野庁指導部林         道課長     岩崎 成嘉君         建設省都市局街         路課長     中野 三男君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治に関する件  地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより、会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について、調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大臣がお見えになりませんので、政務次官局長にお尋ねしたいと思いますが、地方自治体の重要な財源地方税につきましては、地方税法改正の際にいろいろ審議を尽くしてまいったわけでございますが、ことしは、総理諮問機関である税制調査会がすでに開かれておりまして、四十九年度の予算関連して、国、地方税制改正についての審議が進められておるようであります。この機会に自治省の見解を承りたいと思っております。   〔委員長退席中村(弘)委員長代理着席〕  まず、地方税法審議の際も私は御質問申し上げたのでありますが、従来から、国税地方税配分問題というのは、行政事務配分関連いたしましていろいろ論議もしてまいったわけでありますが、今回は非常に大きな改正ではないか。ことに、東京都議選中心にいたしまして、政府も、自民党も、所得税中心とする大幅減税法人税引き上げ等につきまして非常に宣伝をしておられまして、一兆円減税、五千億の法人税引き上げというふうなことをやっておられますので、この基本線は変わらないと考えておるわけでありますが、大臣がお見えになりませんので、政務次官あるいは税務局長のほうにお考えがありますれば、この大きな改正の際にあたりまして、国税地方税配分関係をどういうふうにお考えになっておるか、承りたい。これは税だけではないと思うわけで、交付税関連いたしますし、国庫資出金関連してまいると思いますが、いわば自主財源としての地方税国税との配分関係をどういうふうに来年以降お考えになっておるか、その点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  4. 武藤嘉文

    武藤政府委員 細部にわたりましては、後ほど税務局長からお答えをいただくとしまして、いま先生の御指摘の問題に対しまして、私ども考え方というものを申し上げてみたいと思います。  私どもといたしましては、いま先生指摘のように、行政事務配分をしっかりいたしまして、それに伴い国が負担する分、また、地方が持たなければならない分——こういう点からいたしまして、その地方行政事務で持たなければならない分の裏づけの財源というものをしっかり確保するというのが私ども自治省としての役目だと思います。その意味において、いま御指摘がございましたように、国庫支出金なり、そのほかいろいろの問題がございますけれども、当面、来年度の税制改正にあたりましては、そういう面とあわせて、いまお話し大幅減税というものとがからみ合っておりますので、その辺においてなかなか容易でない点もあろうと思っております。たとえば減税の面では、住民税国税所得税を受けまして、特に、四十九年度で大幅な所得税減税がございますれば、それを受けて五十年度には相当減収になるわけでございますから、その辺をかみ合わせて今度の住民税減税というものには対処しなければならないと思います。あるいは、都議会選挙当時から与野党ともお話しのございました小規模住宅に対する固定資産税の減免というようなことも、これは与野党ともにおっしゃっておられますので、どうしてもやらなければならない問題だろうと思います。それに引きかえて、行政事務といたしましては、ますます複雑多岐になると申しますか、多様化するといいますか、福祉関係あるいは社会資本充実関係、あるいは公害対策等、いろいろ各地方団体負担させられるものが多いわけでございますから、そういう減税のことばかりやっておりましたのでは、地方財政はとても立ち行かなくなるだろうと思います。  そこで考えなければならないのは、たとえば、いま、国税で、法人税税率引き上げの問題が出ておりますが、自治省といたしましても、それに伴って、住民税のいわゆる法人税割り引き上げ、また、場合によっては、法人事業税その他をどうするかという問題もあろうと思いますけれども、こういう問題とあわせて、特に、大都市中心といたしまして、事務所事業所税というものをぜひ今度はひとつやりたい。特に、昨年は、大都市で集まった金を地方にも配分するというような構想がありまして、その辺で少し蹉跌を来たしたようでございますので、今度は、事務所事業所税は、大都市で集めたものは、大都市都市整備に充てるという形でやりたいと思っております。その他、道路の整備に伴いましての、いろいろの自動車あるいは燃料関係の税をどうするかとか、あるいは、公害対策に伴いまして、たとえば重油消費税というようなことが言われておりますけれども、そういうものをどうするかとか、あるいは、電気ガス税その他のいわゆる非課税措置、こういうものも非常に時代に合っていないものが正直あるわけでございますので、そういうものはできる限り整理をするとか、そういうような方向で一応やっていったならば、行政事務配分がより多く地方自治体に参りましても、それはある程度カバーできるのではないか。しかし、それでもなおかつカバーできないというときは、正直、交付税率引き上げ検討せざるを得ないというところまで追い込まれるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 政務次官から、ただいま、問題になる地方税あり方についての方向お話しがありましたが、毎年各税目別の問題が税調で問題になるわけですね。私がまずお聞きしたいのは、福祉行政を推進するといいますか、関連公共事業あるいは福祉施設充実社会保障の前進といった一連の問題は、これから地方自治体中心にならなければならない。それから、もう一つは、今日の大都市問題ですね。いろいろな機能が大都市に集中する。それに伴いまして人口が集中する。これの分散ということは、地方府県市町村に大きく権限を委譲いたしまして、そして、東京に来なければ用が足せないというような事態を解消しない限りは大都市問題は解決つかないのじゃないかと思っておるのですが、その意味から言いまして、行政事務の思い切った再配分と、これに伴う財源の裏打ちということが必要ではないかということは、従来、今国会におきましても、審議の過程でいろいろ申し上げたところであります。  そういった従来の惰性から、地方自治体あり方というものをほんとう検討する上において問題になりますのは、税源の偏在ということもありますが、まず、自主財源確保ということが中心をなさなければならないと私は思います。そのために、今回の税調等におきまして問題になるのは、負担の公平を期するとか、あるいは所得配分の適正を期するとかということと関連して、そういった流れに沿って、国税地方税——いま大体七、三と言われていますね。国が七割取って、三割が地方の税金だと言われているわけですが、こういった国税地方税配分ということを今回の税調では問題にして、自主財源確保ということについて自治省は強く主張をなさるのか、やはり、従来と同じように、個々税制についての論議で終わるのか、そういう基本的な問題を自治省はどう対処していかれようとしておるのか、その点を私はお聞きしたいわけです。
  6. 武藤嘉文

    武藤政府委員 正直、七、三の割合をここで思い切って変えるというところまで、いまのところはまだ詰めておりません。これは、先ほども触れましたように、交付税というものもあるわけでございますので、その配分をやりながら、どうしても合わないときには、今度交付税にまで手をつけるという形で、財源確保は何としてでもしなければいけないという考え方でおるわけでございます。もちろん、もっと根本的に、先生指摘のように、税体系の中で国税地方税、そして国と地方行政事務、こういう形でしっかりとしたほうがいいんじゃないかというお考え方、よくわかるのでございますが、いまのところまだそこまでいっていないと私は判断いたしております。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 税務局長、何かお考えはないのですか。やはり、政務次官と同じような事務的なお考えですか。
  8. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在の社会経済情勢というものが、いまは非常に変動期になっているというふうに考えておるわけでございます。そして、今後、財政の中での租税収入の占める割合というものは、おそらく、国の財政にとりましても、あるいは、地方財政にとりましても、このままの制度を継続する限りは、財政収支の面から言って、租税収入比率が下がってくる情勢になるだろうということが考えられるわけであります。もちろん、昨今のような非常に異常な経済情勢の場合にはまた別でありますけれども、長期的に見た場合には、今後、租税負担率というものについては、ある程度これを引き上げざるを得ない情勢になるのではないだろうかという感じがいたしているわけでございます。  そういう意味におきまして、それでは、新たな財源をどの部分からどういう取得をするか、あるいは、国民のどの部分から新たな負担を求めていくかということになりますと、やはり、現在の租税負担状況から言いますならば、法人に対する負担というものについて新たな増加負担を求めざるを得ないという形になるだろう。そういう意味におきまして、国税におきましても、法人税率引き上げの問題、あるいはその他の租税収入増加を期待はしておりますけれども、やはり、基本的には、法人に対する租税負担増加を求めていくということの姿勢がとられているわけであります。地方税におきましても同じような考え方であります。結局は、今後租税負担増加を求めていく場合に、その増加分について、国と地方とでどういう分け方をしていくかというのが、現在私ども検討している最大の問題になっているわけです。そういうことから、一つ住民税における法人税割り引き上げの問題、それから、大都市税制としての事務所事業所税、これはいずれも法人に対する税負担増加を求めていく、こういう考え方でございます。  なお、もう少し長期的にながめませんと、今後の財政収支の見通しがどういうふうになるかということが、いまの変動期におきましては直ちには判断することが困難であろうというふうに考えますので、税制調査会におきましても、これらの問題につきましては、おそらく、来年度問題というよりも、もう少し長い目で見た検討になるのではないだろうかというふうに考えております。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 重ねてお伺いいたしますが、この十二日の知事会議等におきましても、田中総理は、これはいつも言われておることですけれども地方財源充実をはかっていくのだと言っておられますね。しかし、それは、具体的には、実際は、従来の行き方に多少の手直し減税をやるというようなことで来ているのですね。それで、重ねてお聞きしたいのですけれども経済情勢が流動的な過渡的な時代といいましても、自治省としては、地方自治体あり方につきまして、どのくらいの自主財源確保するのだという目安をもうぼつぼつつけて、税全体の国、地方配分考えなければならぬ時期ではないのかと私は思うのです。ことに、行政重点地方自治体に非常にウエートがかかっていくということは、もう必至なわけなんですね。そのときに、自主財源確保するという意味で、地方に対して、いままでの国の下請機関的な存在から、いわゆる自主的な団体として育成強化をはかっていくということであれば、やはり、自主財源の問題を考えていかなければならぬではないかと思うのですが、今回の税調では、そういった将来の根本的な税制あり方、その中での地方、国との配分関係——これは大蔵大臣にも質問したのですけれども行政事務配分が先行して、それに伴って税源配分をやるんだというような御答弁があったのですが、おそらく、自治省も、行政事務配分については、地方事務官制の廃止その他に関連して熱心に討議をされておられると思うのですけれども行政事務の再配分も進まないわけですね。これは問題にされながら、もう十何年進んでいないんですね。それも話を進めていかなければならぬと思うのですけれども、それに関連しての税源配分も、もう根本的に考えていくべき時期じゃないんだろうかと思うのですが、政務次官大臣補助者として、思い切って強くそういうことを今回の税調あたりで要求するようなことを早急に作業する意思はおありになりませんか。
  10. 武藤嘉文

    武藤政府委員 たいへん御激励をいただきましたが、正直、いまの税制調査会作業を私ども承っておりますと、予算編成を非常にことしは急ぐというようなこともあるようでございまして、四十九年度の税制改正というものを主体に考え、いまの先生の御指摘のような、非常に大きな立場に立って、今後の、また、現実の地方行政事務というものが非常に複雑多岐にわたり、ほんとうに膨大にふえつつあるということを踏まえて、なぜ地方財源をしっかりと確保しないのかということ、これは私もよく理解できるのでございますけれども、残念ながら、いまのところ、一つのいままでのベースの上で非常に論議がなされておるようでございまして、そうなってまいりますと、そういう従来の一つ流れと相当違った形でのものは時間的になかなかむずかしいというような感じを私は受けるわけでございます。しかしながら、せっかくほんとうにありがたいおことばをちょうだいいたしましたので、できる限りそういう観点に立ってやっていきたい。しかし、私は先ほども触れましたけれども、どうしてもそういう形がまだできないときには、地方の各行政事務のこれだけの量はどうしても要るんだ、それに伴ってこれだけの財源確保しなければならないんだということは出てまいるわけでございますから、それに伴って、交付税で何か借金をしてやるというようないままでのやり方じゃなくして、どうしても財源確保するだけ地方税収入でまかなえないのだという最悪の事態のときには、交付税税率引き上げということも、四十九年度の問題として、ほんとうに真剣にやらなければならぬじゃないかと考えておるわけでございます。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 どうも私不満なんですけれどもね。地方自治体は、いまの情勢から言いますと大きく変わっていかなければならぬというときに、税調国税地方税を通じての論議が、いつも国税中心に行なわれているわけですね。これに関連して、地方税の問題について、いまこそ真剣に自治省考えられることは当然であると同時に、国との関連におきましても、いわゆる税体系の問題を将来の展望に立って検討する時期に来ているんではないか、その場限りの税の改正ではいけないのではないかと私は思うのですが、この点は、重ねてよく大臣とも御相談を願って、基本的な問題について早急に作業に入っていただきたいと考えておりますけれども、そうすると、いまのところではそういうことは考えていないのだ、当面、個々の税についての問題を検討しながら地方自治体財源確保に努力していくんだと、こういう情勢であると理解していいわけですか。
  12. 武藤嘉文

    武藤政府委員 私ども地方財政というものをしっかりとしなければならないのだという点においては、当然でございます。ただ、それを税だけでまかなうのかということは、先ほどから議論がなされておりますように、国庫支出金の問題もございますし、その他非常に広い範囲にわたってやらなければなりませんし、いま税調が開かれているから、税調の中で論議をして、ということだけでもなかなかむずかしいのではないかと思います。   〔中村(弘)委員長代理退席中山(利)委員長代理着席〕 しかも、その税調が、いま、長期的というよりも、どちらかといえば、短期的な当面の問題をとらえてやっておりますので、そういうところでございますけれども、しかし、私どもといたしましては、今後そういう前向きの形で十分検討する。これは税のあり方だけじゃなくて、超過負担の問題なんかも実際おかしな形でございますので、そういうような行政事務配分に伴う地方財源確保にはどういう形でやったらいいのかという根本的な問題から、それでは地方税というものはどうあるべきなのか、それは国税との関連においてどうあるべきなのかという、こういう方向でぜひ早急に検討することを私どももお約束させていただきます。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私も、地方税のみが財源でないということはよくわかっているわけなんですね。交付税自主財源と言われておるわけなんですが、いまのような交付税でありますと、補助金的な存在になりつつあるわけですし、それに国庫支出金の問題もありますし、それから起債をどうするか、地方債をどう考えていくかという問題もありますから、それは自主財源だけにこだわるわけじゃないですが、しかし、いまの地方自治体を自主的に運営するという体制を強化するということから言いますと、いまの税制はあまりにも国税中心である。しかも、税は法律でみなきめるという法定主義でありますので、地方公共団体はいろいろな事情があって——私は、もっと思い切ったことを、それぞれの地方団体が自主的にその実情に即応して考えていいのじゃないかと思うわけですけれども、そういう裁量の余地はないわけですね。大体において法律できめてしまうということであれば、いままでのパターンを変えない限りは、地方自治の確立という方向に向かわぬのじゃないかという感じがするものですから、強くこの点を要請しておきたいと思うのであります。来年度の参議院選挙があるとかなんとかということは、これは十分政党関心事ではありますけれども国民に最も密接な関係のある地方自治体あり方という問題は、これは最も優先的に考えなければならない問題なわけですから、この点は、地方公共団体あり方について最も関心を持っておる自治省が熱心に考えていかなければならぬのではないかと私は考えます。そこで、この点に真剣に取っ組んでいただきますことを重ねて要請いたしておきます。  そこで、少し個々の問題につきましてお伺いいたしますが、何といいましても、個人住民税減税の問題と、それから法人税引き上げの問題だろうと思うのでありますが、所得税は、政府自民党も、課税最低限標準世帯で百五十万——どもが多年要望あるいは主張をしてまいりました百五十万という線をもうすでに打ち出しておられるわけですが、これは私ども主張しておりますところですから、百五十万に早急に引き上げるということについて異議はないわけでありますが、これに関連いたしまして、住民税をどういうふうにお考えになっておるか。かりに、所得税が百五十万ということになれば、住民税をどういうふうにお考えになっておるのか、それを聞かせていただきたいと思うのです。
  14. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 住民税課税最低限というものは、所得税との比較においてどの程度にすべきかという問題も一つの大きい検討の課題であろうと思います。ただ、一面、住民税性格は、地域社会費用というものを住民所得に応じて分担をするという性格を持っておる税でございます。そういう意味におきまして、最近の行政を見ますと、課税最低限引き上げというものは、特に、地方町村におきまして、所得割り納税義務者を激減させているというような状況もございまして、住民税は、その地域社会費用所得に応じて分担をするというような性格が失われつつあるという点も、住民税にとっては非常に大きい問題でございます。  従来私どもがとってまいりましたのは、住民税課税最低限は、所得税のおおむね八割程度というものを目標としてこれまでとってまいったわけでございます。そういたしますと、ここで、所得税が、百五十万というところまで課税最低限引き上げが行なわれるといたしますれば、一応の目標といたしましては百二十万程度ということになるかと思いますけれども、こうした課税最低限引き上げが各市町村ごとにどういう影響を与えることになるであろうかということをいまいろいろ調査いたしております。そうした結果に基づきまして、私ども課税最低限というものについての考え方をまとめていきたいというふうに考えておるのでございますけれども、ただ、所得税課税最低限引き上げ方法というものが、給与所得控除引き上げというものに重点を置いてやるのか、一般の所得控除引き上げ重点を置いてやるのか、その辺の具体的な方式というものがまだ検討段階でございますので、住民税に対する影響というものがどうも的確に見通されない状況でございます。  給与所得控除引き上げが非常に大幅になりますというと、それだけでも、課税最低限が、場合によっては百二十万くらいになってしまうおそれがあるわけであります。所得税のこれからの検討の内容と、それから各市町村に対する影響の度合いというようなものを勘案をしながら私どもの方針をきめていきたいというように思っております。
  15. 山本弥之助

    山本(弥)委員 かりに、税務局長の言われる百二十万ということに来年なりますと、市町村所得割り納税義務者はどのくらいになりますかね。  どう御質問したらいいか……。富裕団体と中間の団体と、それから貧弱団体とに分けてみた場合に、最も貧弱団体では、均等割り以外に、百二十万の課税最低限で、納税義務者というのはどのくらいの比率になりますか。
  16. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 その辺のところを現在調査しているところでございまして、現在の住民税、現行の課税最低限におきまして、所得割り納税義務者人口の二〇%以下という町村が四七、八%くらい。これが昭和四十九年度におきまして、もしも所得税と同じ課税最低限——ことしの場合百十二万でございまして、百十二万円まで引き上げをいたしますれば、その四七、八%の市町村というものが七五%程度までに上がってまいりますが、それがさらに所得税が四十九年で百五十万ということを受けて、昭和五十年の段階で百二十万になった場合にどうなるかという点は若干の推計が必要になりますので、そういうものは、もう少し具体的な調査の結果を待ちましてその結論が出されるだろうと思いますけれども、いま申し上げましたように、おそらく七五%前後、約四分の三の市町村というものは、納税義務者が相当減ってくるだろうということは想像にかたくないわけであります。
  17. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いまの七五%になるというのは、所得割り均等割りを納めている人に対して、二〇%の納税者と見た場合に、そういう町村が全体の七五%になるということですか。
  18. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 その調査がまだできておりませんが、現在は、人口に対する所得割り納税義務者比率ということで計算をいたしております。それが二〇%以下の市町村が約七五%……。
  19. 山本弥之助

    山本(弥)委員 人口……。
  20. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 市町村人口に対する割合で計算いたしております。
  21. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私もこの点は非常に心配しているわけなんですが、私ども主張も、所得税と同じように、課税最低限負担の軽減を——どの地域に住もうとも、住民税負担は全国ある程度まで画一でなければならぬというのが最近何年かの趨勢なんですね。昔は、それぞれ負担が違っておったわけです。その場合に、地域住民の、その地域をよくしていこうという意欲から言いますと、納税者がごく一部に限られておる、大部分が納税をしないということは——ほかの税金を納めている者もあるでしょうが、その点が町村の悩みで、ことに、自主的な運営をするという意欲に燃えておる町村ほど悩みになると私は思います。これは、何らかの方法で他の行政水準の向上その他と関連して、その地域の実情に即した運営が好ましいと思うわけであります。いずれ私どももこの点は十分検討しなければならぬ問題ではあると思いますけれども所得税の課税低最限の引き上げに伴いまして住民税負担の軽減もはかるということは当然のことだろうと私は考えておりますが、その場合の地域のあり方ですね。これは、私どもも十分検討しますが、また自治省でも、それぞれの地域団体の実情に即した行政水準の向上との関連において税負担考えていくか、あるいは他の負担その他で考えていくかということについては十分検討を願いたいと考えております。  これらの一兆円減税と言われております個人所得関連といたしまして、法人税引き上げということが相当議論になる。税調の中でも、大蔵省から示された中では、法人住民税の問題も検討一つになっておると承知いたしておるわけでありますが、この場合の法人税の国と地方との配分関係については、自治省ではどういうふうにお考えになっておりますか。
  22. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 法人税負担引き上げの問題は、実は、内容がやや複雑でございまして、まだ方向が出ておりませんけれども、大きく分けまして、三つの問題があるわけであります。  一つは、法人税の基本税率でございます。三六・七五%の税率を四〇%程度に上げたい。この点は、総理なり大蔵大臣ども前から言明されておるところでございまして、大体その方向は出ておると思うのでございますけれども、実は、法人税税率——いま申しました税率は留保所得に対する税率でございまして、配当に充てられました所得部分についての税率は二六%の軽減税率でございます。この税率をどう調整していくのかという問題が一つあるわけございます。  それから、もう一つの問題は、さらに技術的になりますけれども法人相互間におきまして配当所得がありました場合には、その配当所得は益金不算入ということになっております。こういう益金不算入という方式を継続するのか、やめるのか、この問題があるわけでございます。これが検討事項の第二番目の問題でございます。  さらに大きい問題としましては、法人所得に対する実効税率というものをどの程度まで持っていくのか、その点が大問題としてあるわけでございます。  これらの問題でございますけれども、たとえば、配当軽課部分税率を基本税率の四〇%に合わせるということになりますと、おそらく実効税率は五〇%前後になってしまうという形になってまいりますので、結局、もしも実効税率を五〇%程度で押えるということになりますと、法人税引き上げ分が全部国税にいってしまうという形になってしまう。その点が、私どもとしまして、いま非常に問題にしておるところでございまして、これらの法人税検討がどういう方向で進むか、非常に関心を持っておるところでありますが、少なくとも、私どもとしましては、国税地方税で、法人税引き上げ分を適当な割合配分するということを前提にしながら、法人税の扱い方をきめていただきたいということを申し上げておるわけでございます。
  23. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうしますと、法人住民税の府県あるいは市町村の標準税率引き上げ問題については、まだ具体的に自治省では検討していないわけですか。
  24. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 一応考え方としましては、法人所得課税が地方税においてふえた場合には、そのふえた部分市町村住民税のほうに配分をしていきたいということは考えておりますけれども、具体的に税率をどの程度まで引き上げるかという点は、まだ結論を得ておりません。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 都市財源として、法人課税の引き上げについては、これは附帯決議等でも強く要望しておったところなんですが、新聞でしか承知いたしていないのですが、これは都道府県のほうにお聞きしなかったのですが、地方税を含めて法人税を五〇%限度に引き上げることを検討しているんだと総理が言われておりますね。これはどうなんでございますか。
  26. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 総理が言われましたのは、いわゆる欧米先進国と言われております諸国の実効税率の平均が五〇%でございますが、大体その辺をめどにして引き上げるということをおそらく言われたものだろうというふうに考えております。
  27. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間がありませんのではしょりますが、都市財源としての法人課税の引き上げについては、これまた本委員会の多年の要望でございますので、これがきまりますと、当分なかなか改正がめんどうなことになるのではないかと思います。あるいは経過措置をとられるかもわかりませんが、都市財源として重要な財源でありますので、標準税率改正その他当然はね返ってまいりますけれども、この標準税率改正等につきましても、自治省としては、主として都市財源確保という意味で、今回の税調では強く主張を願いたいと考えております。  それから、固定資産税ですね。これは、過般の地方税法改正の際は、税務局長から、大体五十年度中に評価額の改定をめどに検討を加えるというふうに御答弁がありましたね。固定資産税の問題、ことに住宅の宅地の固定資産税の問題は、来年度はどういうふうにお考えになっておりますか。小規模の問題については、早急にある程度まで結論を出すようにお考えになっておりますか。
  28. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 前の委員会等で申し上げたことでございますが、昭和五十一年度が次の基準年度でございますので、さらに評価がえの作業が行なわれるわけでございます。したがいまして、その段階におきまして、さらに固定資産税負担状況等も考え合わせながら検討したいということを申し上げておったのでございますけれども、当委員会におきましての附帯決議等もございますし、いろいろ各市町村の実情等をいま聴取いたしておるわけでございますが、実務的にも可能であるならば、昭和四十九年度中に実施をするということを目標にして、現在、相当前向きの姿勢で検討作業を続けております。
  29. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうしますと、小規模住宅用の宅地について、非課税もしくは免税点を高めるという線で検討しておるということですか。
  30. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在の住宅用地の分布が、大都市都市市町村ごとにどの程度の分布状況になっておるかということを確かめながら、一応の目標としましては、二百平方メートル以下の住宅用地につきまして、今回の税制改正で住宅用地についてとられました軽減措置、この軽減措置後の負担に対して、おおむね二分の一程度になるような軽減措置というものを目標にして、いま、検討しております。
  31. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、現行によりますと、五十年に二分の一になるわけですね。それのさらに二分の一になるということですか。あるいは、四十九年、五十年で経過的にかかるものの固定資産税の二分の一ずつという考え方でいっているわけですか。
  32. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 その辺がまだはっきり詰まっておりませんけれども、私ども考え方としましては、二百平方米以下の住宅用地について、評価額のいわば二五%で税負担が頭打ちになるような方式でやっていったらどうだろうか。そういたしますと、平均的な住宅用地の場合には、来年度は二五%ということになりますから、来年度から軽減措置が適用になるということになるだろうと思います。  それから、さらに、非常に地価の高騰しているような地域で、評価額と課税標準額との間に相当まだ開きがあるような土地につきましては、昭和五十年度の段階で二五%のところになるという方式がいいのではないだろうかということで、いま検討いたしております。
  33. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間がありませんので、これはまたあとでけっこうですが、固定資産税の問題は、自治省も、自民党の圧力もあったと思いますけれども、私ども主張してまいりましたように、地価の高騰の趨勢から言いますと、これは当然四十九年度から考えなければならぬものでありますので、検討すること、また軽減措置を講ぜられることについて、私どもも異議がありません。それがどういうふうな姿になるかが問題だろうと思います。  次に、約束の時間が参りましたけれども、いま問題になっております都市財源としての事務所事業所税、あるいは道路財源としての目的税、これらについてどういうふうにお考えになっておるか。  それから、森岡審議官もお見えになっておりますが、地方交付税について、そのあり方検討されるというふうなことを聞いておるのですが、どういうふうな地方交付税についての検討をされておるのか。あるいは税率の是正について、あるいは引き上げについて、ですね。相当思い切って強く重点的に大蔵省と折衝されるのかどうか、この点もお聞かせ願いまして、質問を終わります。
  34. 武藤嘉文

    武藤政府委員 いまの事務所事業所税並びに道路財源の問題についてお答えさしていただきますが、事務所事業所税は、先ほどちょっと私が触れましたように、税率その他は、決定というか、方向もまだしっかりはいたしておりません。ただ、大体私ども考え方は昨年は、大都市で吸い上げましたものを地方へある程度は還元をする分も含めておりましたけれども、最近の大都市のいろいろの財源というものが、先ほどのようなことで相当かかるものでございますから、今度は、事務所事業所税で入りましたものはその都市財源に充てたい、こういうことでおります。  それから、地方道路の関係の税でございますけれども、これも正直、社会資本充実として、将来とも、特に市町村道などはおくれておるわけでございますから、その市町村道の整備のためには、もちろん国庫の支出金との関連もありますけれども、何らかの形で税を引き上げなければ、この場合やむを得ないのではないかというふうに考えております。
  35. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほど来の御質疑でもございましたように、地方財源充実強化を考えます場合に、やはり、何と申しましても、自主財源でございます地方税の拡充、これが基本であろうかと思います。ただ、御案内のように、財政力の貧弱な団体もございますし、税源も均等ではございませんので、税とあわせまして地方交付税充実ということを考えてまいらなければならないことは当然のことでございます。その場合に、大きく分けままして、現在、交付税につきましては、その総額をどのように確保するかという問題が第一かと思います。第二は、年度間を通じまして、長期的に安定的な財源付与をしていくということが必要だろうと考えます。第三点といたしましては、基準財政需要額の算定方法がやや複雑に過ぎるではないかという御指摘がかねがねあるわけでございます。私どもは、その三点につきまして、これから少し詰めて議論をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  総額の確保につきましては、先ほども申しましたように、地方税の拡充によりまして、財源をできるだけ確保する。それでも、たとえば国税の大幅な減税がありますとか、あるいは教育制度、あるいは社会保障制度等の制度改正がありまして、恒久的に財源が不足いたします場合には、交付税率を含めまして、交付税の所要額を確保する措置を考えてまいらなければならない。また、年度間調整につきましては、いままで御指摘、御批判のありました貸し借りという措置が行なわれたり、あるいはもっと恒久的に、その特別会計直接繰り入れを行なってルール的に年度間調整措置を講ずべきであるという御意見もあったりしまして、これもなかなかたいへんな問題ではございますが、やはり、地方財源の安定確保という面から申しますと、これは議論を詰めて検討してまいらなければならぬと思います。  それから、基準財政需要額の算定方法の簡素化の問題でございますが、これにつきましては、一面においていろいろ複雑多様な財政需要をもっと的確に捕捉しろという御意見もあるわけでございます。そうなりますとさらに複雑化せざるを得ない、いわばジレンマがあるわけでございます。基本的な方向といたしましては、これ以上複雑化することは避けたい、しかし、的確な財政需要の捕捉は引き続き努力をしてまいりたい、こんなふうなことでいま議論を尽くそうと考えておるわけでございます。
  36. 中山利生

    中山(利)委員長代理 三谷秀治君。
  37. 三谷秀治

    ○三谷委員 先ほど、大阪府の摂津市長が地方財政法第二十条の二の規定によりまして意見書を提出いたしましたことに対する内閣の意見が発表されております。この意見書を読んでみますと、概括的で非常に抽象的です。摂津市があげております法令根拠や実施費用等に対して、何ら具体的に答えておりません。ですから、市の主張と国の意見とが十分にかみ合っておりませんから、この国の意見では、国の主張というものが非常に不明確になっている。なぜこういうあいまいなものをお出しになったのか、お尋ねしたいと思います。
  38. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御指摘の摂津市の意見書でございますが、その内容は、保育所の超過負担に関する意見書でございます。したがいまして、直接的には厚生省の所管に属する事項でございますが、政府各省それぞれの立場で意見を持ち寄りましてまとめたわけでございます。確かに、意見書の内容は非常に具体的な意見でございますけれども、それぞれの立場で意見を調整いたしました結果、御批判のように、やや抽象的ということになろうかと思いますが、このような意見でまとめたという経緯でございます。
  39. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは答えになりませんがな。摂津市のほうが根拠になる法令を明らかにして、何法何条何項によってと、自己の主張を展開しているわけですから、これに対して、政府は、答える場合においては、当然、その根拠法令をあげて、問題を具体的にかみ合わせていくという手法をとりませんと、こういう意見書を国会のほうに回してもらいましても、国が一体何を主張しているのか、摂津市の主張のどこに誤謬があるのか、あるいは法令解釈における誤断があるのか、わかりません。あるいは、摂津市の主張が正当であり、当然であるという判断に立つものか、この点もきわめて抽象化されまして、不分明になっておりますが、どうしてその具体的な意見をお出しにならないのかということをお尋ねをしておる。
  40. 森岡敞

    ○森岡政府委員 表現は抽象的でございますが、意見書で申し述べられております事項につきましての回答といたしましては、明確に答えておると私ども考えておるわけでございます。  まず、第一に、保育所の設置、運営に要する費用につきましての国庫負担につきましては、地方財政法及び児童福祉法の関係規定によるべきことは言うまでもないということを明確にいたしております。したがって、また、保育所の施設整備費にかかる国庫負担金につきましては、従来必ずしも完全でなかった。したがいまして、そういう意味合いで、毎年度その充実につとめてきましたし、また、四十七年度の調査に基づいて、補助金の算定方法などについても、いままでの一定の類型方式による概括的な算定方式を改めまして、定員なり面積あるいは基準単価というものを定めてやってまいるというふうに四十八年度で是正をいたしたということを明らかにいたし、さらに、今後も、これらの超過負担につきましては改善に努力をしたいということを申し述べておるわけでございます。運営費についても同様でございます。  そこで、摂津市の主張の第二点でございますところの、既応の国庫負担金のいわば追加交付の申請でございますけれども、これにつきましては、すでに、関係法令ないしは厚生省の補助要綱に基づきまして所定の手続を済ましておるものでございますから、すでに、昨年度においての手続は完了しておるというふうに考えるということで、表現の問題はともかくといたしまして、意見書に対する政府の見解といたしましては明確にいたしておるもの、かように考えておるわけでございます。
  41. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたがおっしゃいます御意見のようなことも、補足して説明すれば言えると思いますけれども、この意見をそのまま一読しまして、一体、この摂津市の市長の具体的な指摘に対して的確に答えておるかと申しますと、あいまいもことしたものにしてまっておる。そういう内容の意見になっておる。それが特徴なんです。  それで、国の意見の一つは、「保育所の設置及び運営に要する費用に対する国庫負担については、地方財政法及び児童福祉法の関係規定によるべきことはいうまでもない。」ということで、これはもちろん摂津市と意見がひとしいものであります。これはことさら強調する必要はないのですけれども、しかし、そこで、地方財政法並びに児童福祉法というものを根拠にして、国の不当性を指摘しておるわけですね。この摂津市の市長に錯誤があるのかどうか、その点はどうなんです。つまり、法令違反を認めるという内容になっておると思いますけれども、そこはほおかぶりしたままで、将来における努力というものが強調されている。今日まで法令違反をして、損失をかけてきた、このことについての責任は一体どうなのかというようなことにつきましては、全然ここでは触れていない。ただ、今後努力する、あるいは改善してきたというだけのことです。問題は、法律に違反する処置によりまして、明らかな損害が生じてきている。それに対して国が責任を明確にするということが必要であるにかかわらず、そこは全然触れていない。ここら辺は、なぜもう少し明快な態度をおとりにならないのか。  それから、国の意見のもう一つの点では、国庫負担につきましては、毎年度改善につとめておる、四十八年度におきましても、定額制を改めて、定員、基準面積、構造別基準単価方式に改めて、超過負担の解消につとめておるとおっしゃっている。ここにおきましても、超過負担を明確に確認してきているわけです。超過負担というのは、法令の定めに従った処置をしていなかったわけです。そのことによりまして、地方公共団体に対して損失を与えたということをちゃんと認めているわけです。認めておるとしますと、その認めました損害につきましてはどう考えていくか、手続上の問題じゃなく、内容の問題としてどうするかという責任を明確にするという点が全然ありません。  それから、もう一つは、今後におきましても必要な部分、合理的な基準と規模、単価、規格を定めるという立場に立って改善に努力するという、つまり、今後の改善をうたっておるのです。しかし、現行においてもなお十分でないことを認めておる。現行におきましても法令違反があることを認めている内容なんです。それを認めながら、そのことによって与えました損害については、何ら触れようとしない。それから、現行におきましてもなお不十分であることを認めながら、抜本的な改善処置をとろうとしない。少しもそういう立場に立っておりません。これは一体どういうわけなんですか。  これは摂津市の市長が言っておりますけれども、法治国におきまして、国が法を守らないというようなことがあっていいのか。法治国ということばがよく使われますけれども、法治国というのは、いかなる権力者といえども、法の定めに従って行動するということなんです。これは法治国の基本的な精神なんです。その点から照らしましても、国のとっております処置というものは合点のいくものじゃない。しかも、その点をこの意見書で明確にするという点は少しもやられていない。そこら辺は全然さわらずに、今後の努力によって問題をごまかしてしまう、そういう態度で、この問題に対する国の責任を果たせるというお考えでしょうか。
  42. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いままでの経緯を顧みます場合に、しばしば当委員会でも御指摘がございましたように、保育所の建設に関する超過負担が著しい、その結果、地方公共団体財政に不当なしわ寄せが行なわれておる、この事実は私どもは否定できないと思います。そういう意味合いでは、政府といたしましては、この点の改善というものを積極的に考えてまいらなければならぬと私どもは思います。ただ、その場合に、政府といたしまして今後とります措置というものは、将来にわたりましてこのような超過負担を生ずることのないように措置をすること、これが行政といたしましての限界ではなかろうかと、かように私としては考えるわけでございます。そういう意味合いで、この国会に送付いたしました意見書におきましては、そういう行政上の立場に立ちまして、今後の超過負担の解消というものを明確に考えてまいりたい。また、先ほども申し上げましたが、四十八年度におきましても、その点をかなり改善いたしました、引き続きその点を推進してまいりたい、かように言っておるわけでございます。  法治国であります以上、御指摘のように、政府あるいは国民すべてが法律を順守することは当然のことでございますので、そういう意味合いにおきまして、行政の立場からどのような考え方をとるかということを意見書として申し上げた、かようなことでございます。
  43. 三谷秀治

    ○三谷委員 国が法律違反を認めまして、その法律違反によって生じた損害、これをどうするかという問題をオミットして責任を明確にすることはできはしませんよ。今後こうします、今後こうします、かなり改善しました、そんなことでは責任を果たしたとは言えませんでしょう。あなた方は、法律違反という問題をそのように的確に位置づけされていない。これは任意の行為がやや不十分であった、これは少し手直しすればいいのだという程度考え方なんです。厳格さが足りぬわけです。だから、これにつきましては、法律違反を認めますならば、それによって生じた損害はどうするのがという点は、法律論を別にして考えていく必要があるが、その点はどうか。  それから、もう一つは、四十八年度におきまして改善したという基準額の実態についてお尋ねしたいと思うけれども、大阪B地区の例で言いますと、四十七年度の基準額は、ブロック建築千八十万円で、九十人収用の保育所の建設が可能だという立場をおとりになっておった。四十八年度では、これが定額制でなしに、定員基準面積、構造別基準単価方式に変わりましたが、これで計算してみますと、ブロック建築九十人収容で一千八百七十六万五千円に改定された。千八百万円で九十人定員の保育所が建設できる根拠がどこにあるのか。そういう事例がB地区等におきましてあるわけです。この建築費の積算の根拠を示しながらお答えいただきたい。
  44. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまお尋ねの保育所の施設整備費の四十八年度の単価の積算基礎でございますが、保育所につきましては、従来の方式を改めまして、個々の保育所の定員に、基準面積、それから構造別の基準単価をかけまして、それで補助額を決定をいたしたわけでございますが、いま御指摘のB地区につきましては、国庫補助額が、九十人定員の鉄筋構造といたしました場合に、一千八十二万二千円でございますのは御指摘のとおりでございます。これが二分の一補助額でございまして、これにプラスをいたしまして、都道府県から四分の一の補助がなされるわけでございます。したがいまして、これを合算いたしますと、事業費の四分の三にかかる分が補助として支弁され、負担されるということになっておるわけでございまして、四分の一は自己負担になるというところでございます。しかし、これが、最近の物価高騰の実情等もございまして、今後さらに大幅な補助額の充実をはかる必要もあろうかと思うわけでございます。そこで、今後の問題として、増額についてはさらに努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  45. 三谷秀治

    ○三谷委員 質問と答弁とのピントが合っちゃおりませんわ。政府の補助、国の補助、それぞれあるのは知っておりますけれども、私の言っておりますのは、二分の一負担をするたてまえになっております国の負担金、その内容についてお尋ねしたのです。それで、これが基準価格千八百万円ですね。千八百万円で保育所が建つかどうかということです。そんなものは建ちやしません。この計数は一平米当たり四万一千七百円になるのですね。これが基準単価として割り出されているわけです。ところが、摂津市では、四十四年度、つまり四年前ですが、別府保育所というのを建てましたが、これは平米当た五万九千百八十四円についているわけです。四十五年度、三年前ですけれども、香露園保育所というのは、平米当たり五万六千四百十六円についている。四十六年度、二年前ですが。正雀保育所というのは、平米当たり七万一千四百八十円の実施額になっている。で、今日改定をされまして、平米当たり四万一千七百円するとおっしゃっている。三年前、四年前の実施額にはるかに及ばない、そういう額をおきめになっている。その額は一体どこから出てきたのか、どこから計算されましたのかということをお尋ねしたわけです。
  46. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまの一平米当たりの基準単価の問題でございますけれども、ブロックは、B地区におきましては四万一千七百円ということになっておるわけでございますが、従来の福祉施設、それから社会福祉施設の基準単価というものがありまして、それに最近の物価上昇の率をかけましたものがただいまの御指摘の四万一千七百円になるというものでございまして、前年の平均一五・四%のアップをいたしておるわけでございます。
  47. 三谷秀治

    ○三谷委員 その、従来の基準単価というものが実情に合わなくて、超過負担が累増してきている。そこで、これを改善しなくちゃならないということで、改善をしましたとおっしゃっている。改善しました額がどうかといっていまお尋ねしますと、従来の基準単価に対して物価上昇率を加乗したものだとおっしゃっている。そうしますと、それじゃ一体どこを改善しましたかということになってきますでしょう。つまり、従来の基準単価というものは実情に合わないから問題になってきたんです。そうでしょう。だから、それをどのようにして改善をされましたのか、そうして、今度の四万一千七百円というのは何を根拠にしてお出しになったのか、これをお尋ねしたのです。
  48. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 四万一千七百円につきましての単価のきめ方でございますが、それは先ほど申し上げましたとおりでございまして、従来の基準単価というものに物価上昇の率をかけたものでございますが、保育所につきましては、確かに、まあ定型化した形で、定額的な補助を行なってまいりましたわけでございますが、保育所以外の社会福祉施設につきましては、基準単価というものが設定されておったところでございまして、それを根拠にいたしまして上昇率をかけたというふうに申し上げたわけでございます。  ただ、この単価のきめ方につきましては、まあ、地域によりまして若干の高下があるわけでございまして、いまのB地区につきましては、四十八年度もその単価を一応根拠にいたして積算をいたしたわけでございます。で、今後さらにいろいろな問題を配慮いたしまして充実をはかってまいりたい、このように考えております。
  49. 三谷秀治

    ○三谷委員 いろいろおっしゃっておりますけれども、それは問題の解決にはならぬことなんです。問題を解決しようとされていない。たとえば、いま摂津市を言いましたけれども、摂津の隣に守口という市がありますが、ここで、四十七年度、昨年度ですけれども、金田保育所というのをつくりました。九十人定員なんですね。これは平米当たり五万一千二十円についた。比較的安くできた。それでも、あなた方が今度改定されました四万一千七百円よりははるかに上回っているわけなんでしょう。そうしますと、今日のこの資材や労賃の暴騰、あるいは公共事業の入札不調が頻発しております状況の中におきまして、昨年度よりはるかに安い基準単価をきめているということは、一体どういうあなた方の頭脳構成になっているのですか。そんなことでどうして超過負担がなくなりますねん。超過負担をどうしてなくするかという問題を論議しているのです。そうして訴訟が出ているわけなんです。   〔中山(利)委員長代理退席委員長着席〕 それに対して、実情を全然無視した架空単価をおきめになっているわけです。こんな単価で仕事ができるわけがないです。仕事ができない単価できめて、それで、改善した、改善したとおっしゃっている。どこが一体改善になるわけですか。超過負担というのは、これは当然出るべきものであって、その幅を大きくするか、小さくするか、それだけのことでいいんだというお考えなんですか。
  50. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまの、単価が低いという問題につきましては、保育所だけの問題ではございませんで、社会福祉施設整備費全般にかかわる問題でございますので、その点につきましては、私どもも、本年度の分につきましては、いまのように、従来からも超過負担の御指摘等のございました問題を解決するということが非常に急でございましたために、この単価でいたしておるわけでございます。したがいまして、それが低いということを認めまして、さらに今後改善をしていきたいというふうに考えておるところでございますので、御了承いただきたいと思います。
  51. 三谷秀治

    ○三谷委員 単価の低いのは保育所だけではない、社会福祉全般だとおっしゃっている。それはますます大問題です。要するに、あなた方が社会福祉事業を非常に重視して福祉優先とおっしゃっている、その福祉優先のかけ声のもとにおきまして、社会福祉全般につきまして、全然問題にならない数字が押しつけられてきておるということをみずから立証されましたけれども、そういうことでいいわけですか。要するに、超過負担というものが依然として続いているんだということをあなたみずからおっしゃったわけですけれども、そういう態度でこの意見書というものは発表されたというふうに理解してもいいものですか。課長さん、どうも、あなたのお答えは、私の質問に対してのお答えになっておりません。こちらの次官からでも、もう少し次元の高い説明をしてもらわぬと、このままじゃ審議になりませんでしょう。
  52. 武藤嘉文

    武藤政府委員 先生御承知のとおり、この問題は、すでに、訴訟事件として裁判所にもいっておるわけでございまして、ここで私どもが行政府としてあまり意見を明確に申し上げることは、三権分立のたてまえからまいりますと、かえって非常に問題でございますので、明確な意見は差し控えたいと思うのでございますが、自治省といたしましては、正直、地方超過負担が相当ある、そして、それがそれぞれの自治体の財政に重大な影響を及ぼしておるということにおいては、しっかりした認識を持っております。その意味で、従来とも、各省とよく協議をしながら、そういうことのないように努力をしてきたわけでございますけれども、現実にそういう問題があるという点については、遺憾ながら、私どもとして認めざるを得ないわけでございます。特に、先生指摘のように、昨年までの基準単価というものが実勢に合わなかった、それで改正をしたんだ、ところが、またそれに加えて、いま資材その他が急激に上がって、工事費が現実に上がっておるじゃないか、こういうようなことを御指摘いただきますと、どうも、従来の国のとってまいりました基準単価のきめ方というものが正直後手後手にわたっておるということは否定できない点があるのではないかと私は思うのでございます。そういう点を思いますけれども先ほど申し上げましたように、裁判にもなっておることでございますので、はっきりしたことが申し上げられないことをまことに残念に思います。
  53. 三谷秀治

    ○三谷委員 裁判は、損害の補償、要するに、超過負担分のさかのぼっての支弁を要求しておるわけでありまして、それにつきましては法廷で論議したほうがいいと思います。しかし、私ども行政問題として、裁判所の決定とは別にこの問題を審議するということは必要なことですから、それは別に拘束される必要はないと思います。国の立場、裁判所で述べられる国の立場をここで述べてもらえばいいわけであって、それは別個に御判断いただきませんと、裁判に提訴したものは全部議論ができないというふうになって、これはまた本末転倒になってしまう。  それで、いま、昨年までの基準単価が実情に合わなかった、それを改善したところが、物価の騰貴によってさらにこれが実情に合わなくなったと、こうおっしゃいましたけれども、私が先ほどから言うておるのはそうやおまへん。昨年までの基準単価が実情に合わなかった。そして、本年改定されました。改定されましたものが、昨年、一昨年、一昨々年の実施額にはるかに及ばない。三年前、四年前の建築単価というものに本年度の基準単価が及ばない。それに加えて物価の上昇という問題がある、こういう深刻な状態になってきておるということを申し上げたわけなんです。  これでいきますと、当然超過負担というものが引き続き出てくる。そうしますと、超過負担の改善について努力するとか、今後さらに一そうの改善をはかるとかいうこの内閣の意見書というものは、一体どういう事実を根拠にしておっしゃっておるのか。実際の状態と内閣の意見が全く遊離してしまっておる。ここら辺のところはどう解釈すればよろしいのか、お尋ねしたい。
  54. 森岡敞

    ○森岡政府委員 四十八年度におきまして改善をいたしたということは、先ほど来御説明いたしておりますように、四十七年度までの積算がいかにも概括的でございまして、児童福祉法のたてまえから言ってまことにいかがかと、こういうことを私ども指摘してまいったわけでございます。したがいまして、類型的に定型化したような、基準額を一発できめてしまうというようなことはもうやめる。定員によりまして、また、構造別に積算をきちんとするというふうにいたしましたこと、これはやはり総体的というおしかりを受けるかもしれませんが、改善ではなかろうかと私は思います。今後さらに改善いたしたいと申します意味は、物価も上がるわけでございますので、また、施設の内容も高度化を求められてまいるわけでございますので、面積あるいは単価につきまして、そのような事情に対応いたしまして内容を充実していくという努力を政府としては推進してまいりたい、かような意味合いで意見書は書かれておるものと考えます。
  55. 三谷秀治

    ○三谷委員 負担金ですから、固定額を支出するという性質のものじゃない。これは当然積み上げ計算すべきものであって、今度の計算のしかたにつきましては若干の改善があった、これは確かにそうなんです。しかし、一番根本は、その計算のしかた、様式のいかんにかかわらず、実際にそれで市町村が事業ができるかどうかということなんですよね。そこに超過負担が生まれるか生まれないかという一番の基礎的な条件があるわけなんです。ところが、さっきから言っておりますように、なるほどそういう様式は改善されましたけれども、内容というものは一向に変わっていない。一昨々年の実績にも及ばない。それでは改善になりやしません。形式だけ改善したかて、内容が変わらなければ改善になりやしません。こういう実情に合わない数字というものを押しつけるところから超過負担が生まれてくるのです。だから、もっと実情に即した数字がなぜ出せないのか。そこら辺は一体どういう考えなんでしょう。
  56. 森岡敞

    ○森岡政府委員 これはまたおしかりを受けるかもしれませんが、四十七年度は、たとえば、先ほどお話しがございましたように、九十人から百十九人までの定員のもので、鉄筋、ブロックを通じまして一千八十万ということになっております。それが新しい計算方法によりまして、鉄筋の場合には二千百六十四万、ブロックの場合には千八百七十六万ということでございますから、この金額の比較におきましては改善しておるということはお認めいただけるのではないか。ただ、いまお話しのように、最近の物価上昇などを考ええ合わせますと、四万一千七百円でブロックが建つのか。その辺のところになりますと、率直に申しまして、かなり問題はあろうかと思います。そういう意味合いで、引き続き厚生省に、適切な補助単価によって積算して補助金を交付していただくように申し入れもし、努力もしていただくように推進してまいりたいと思っておるわけであります。
  57. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたは、いまこの基準単価ではブロック建築は建たないということを言っているのです。建たない基準単価をきめてきて、それで改善をしました、それで超過負担をなくしますと言ったところで、そんなことは論理が通りやしません。これでいまとにかく建ちますのだという数字を出さなければ、改善したとか、するとか、いつでも将来の問題になってしまう。いつでも将来の希望的な意見になってしまう。いつもあと追いになってしまう。だから、いつになりましても超過負担が解消しない。そういう態度を根本から改めていくということが、いま緊急の課題になってきている。それをしなければ、超過負担の問題は解決しやしません。国の負担金の額が相体的に若干大きくなったとか、小さくなったとか、そんな相体論じゃありません。絶対額が足りないということなんです。そこのところはどうされますか。これを解決しなければ超過負担は解決しないということなんです。そうでしょう。そのことは百も御承知なんだ。御承知で、これじゃ建たぬとおっしゃっている。建たぬ額をきめて、それを市町村に支弁すれば、市町村が建てようとすれば、当然超過負担をしなければならぬ。そういう結果になってしまいやしませんか。そこのところを、何となしに矛盾したことばかりおっしゃっておって、一つも抜本解決をやろうとしない。立つべき立場に立たない。これはどういうことでありましょうか。
  58. 森岡敞

    ○森岡政府委員 抜本的な解決をすることを、私ども念願としておるつもりでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、いままでの補助金額が、実態から申しまして、いかにも非常に低過ぎるということで改善を進めてまいったというわけでございますが、何と申しましても、最近の物価の上昇、資材費の上昇を考えますと、一そうそれが苦しくなってきておるということは否定できないと思うわけでございます。そういう意味合いで、それに対応できるような措置を厚生省にもぜひ御研究を願いたいということを私どもはお願いいたしておるということでございます。
  59. 三谷秀治

    ○三谷委員 何か、わけのわからぬことをおっしゃっている。いままでが低過ぎたんだと言う。確かに低過ぎた。いま改善した分も低過ぎる。いままでじゃない、いまも低過ぎる。これをどうするのか。厚生省に改善を研究願っていると言うが、厚生省の課長さんに聞きますと、これはもうどだい私が理解に苦しむことをおっしゃっている。結局、この問題につきましては、解決しようとする具体的な方策はない。もう、泣く子と地頭に勝てぬ。そういう法律違反を繰り返してやっていくという結果になってしまいます。政務次官さん、これじゃいかぬのと違いますか。何とかひとつ根本解決をはからぬことには、このままじゃ困るのじゃないですか。
  60. 武藤嘉文

    武藤政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども自治省の立場としては、地方の各自治体が超過負担によって財政的圧迫を受けるということは極力避けなければならないという立場に立っておるわけでございます。その意味からも、私ちょっと先ほど申し上げましたが、こうなっておるのじゃなかろうかというのは、去年までの基準単価が低過ぎた。ですから、確かに先生は改善といったってけしからぬとおっしゃいますけれども、比較論としては、今度はそれよりもよくなっているということは事実だと思います。ただ、それが、現在の時点に立って見た場合に、いまの資材費の高騰その他で工事費が上がっているじゃないか、そうすると、その実態から見ればまだ低いじゃないか、こういうことだろうと思うのでございます。それは、私が先ほど申し上げたように、どうも国のやり方が後手後手に回っていることは感ぜられるわけでございまして、そういうことはよくない。しかし、先ほど内閣の意見書について御指摘もございましたけれども、この意見書の中には「また、目的に即した合理的な基準、規模において能率的に事業が行われるよう単価、規格を定めるという立場に立って、その改善に努力してまいりたい。」と書いてあるわけでございますので、私どもは、この観点に立ちまして、先ほど申し上げましたように、地方財政負担を受けることにならぬよう、今後においては超過負担の起こることのないようぜひ努力してまいりたいと思いますので、よろしく御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  61. 三谷秀治

    ○三谷委員 いつお尋ねしても同じような形式のことをおっしゃっておって、さて、出てきたものを見ると、一向に改善になっていないということが反復して反復して今日まで行なわれてきております。しかし、時間の関係がありまして、もう繰り返してお尋ねできません。運営費につきましても問題がありますが、時間の関係できょうは触れません。触れませんけれども、おわかりでしょう。十分の八負担すべきこの運営費の実態が、これまたたいへんな超過負担になってきているということだけは指摘しておきます。  もう一つ、国の意見で一番問題になる点ですけれども市町村の国庫負担金の交付申請に基づいて、申請どおり国庫負担金の交付決定をしたものであり、各年度に所定の手続を完了しておる、だから差額は払わないと、こういう内容になっておりますが、ここに大きな欺瞞があるんです。国がみずから超過負担を認めながら、法令に反する負担額であることを百も承知しながら、市町村の申請に基づくものであるから、その申請を尊重して決定したとおっしゃっておる。これこそ論理のマジックなんです。市町村の申請がそうであったとしても、内容が法令に違反するものでありますならば、交付におきましてチェックするというのが、これが法治国家の当然の責任なんです。いわんや、市町村がみずからのんで超過負担を生ずる負担金の申請をした、そういうお考えなんですか。この内閣の意見書はそういう内容になっています。
  62. 森岡敞

    ○森岡政府委員 負担金の交付手続の問題は厚生省で所管いたしておられますので、具体的には厚生省のほうでお答えいただくことが適当かと思いますが、いま御指摘の、国庫負担金の市町村の交付申請に基づき交付決定をしたということは、これは補助金適正化法に基づきますところの、その手続を経てやっておるということでございまして、お話しのように、求めて超過負担をするような交付申請をしたんだからいいじゃないかという、そういう趣旨では毛頭ないと私は考えます。
  63. 三谷秀治

    ○三谷委員 ここの4の項につきましては、要するに、所定の手続に従って、市町村の交付申請に基づいて、申請どおりの国庫負担金の交付決定をしたものだというわけでしょう。申請どおり、つまり、申請額どおりきめたものだ、だから問題はないんだ、こういうことなんでしょう。そうしますと、いま超過負担が出てとやかく言っておるけれども超過負担が出ることを承知の上で申請したんじゃないかということですね。この申請の過程というものは、これは厚生省は、御承知でしょうけれども整備計画の協議を始める、そして、それに基づいて選別をして、内示をする、そして、その内示に基づきまして正式に申請をする、そして交付の決定をする、そして実績報告をする、確定通知が出る、そして請求手続をとる、こういう順序になっている。そこで交付決定という段階ですね。ここの段階ですよ。ここの段階におきまして、要するに、国の基準額に基づく交付決定があるわけだ。そのときに、三十日以内に異議の申請をせいというのが補助金適正化法による政令十五条の規定になっている。そこでしなかったから、これは問題がないのだと、つまり、こういう内容になっている。内容をふえんするとそうなる。そこが問題じゃないですか。つまり、ここは、市町村超過負担——みずから望んで不当に安い申請をするわけはない。これはだれが考えたってわかることだ。しかし、そういう申請をしなければ認めないのでしょう。認めないから、やむを得ずそういう申請を、これは府県が指導しているのだけれども、府県が指導して書かせる。ですから、これは、問題は、市町村が交付申請をしたのではないのです。不当な交付申請を心ならずもさせられておる。国がそれをやらしてきたのだ。こういう基準になっているのだ、だから、この交付決定はこれだけの額なんだ、それに基づいて手続をしろと、こういうことになっているでしょう。そうしますと、この市町村の国庫負担金の交付申請に基づきまして、申請どおり国庫負担金の交付決定をしたものだから、過去においての費用負担はできないということには大きなごまかしがあるということなんです。そこは違いますか。
  64. 森岡敞

    ○森岡政府委員 補助金の交付手続あるいはその方式につきましては、御指摘の補助金適正化法によりまして、一定のルールが定めてあります。また、各省の補助金の交付要綱でありますとか、場合によれば、省令によりまして、各省ごとにそれぞれの手続が定められております。したがいまして、過去の補助金が、法令の規定から見て問題があるかどうか、それについて、いま意見の中で申し述べておりますように、追加支出をすべきかどうかという問題は、まず、行政の立場から申しますと、その適正化法なり、あるいは各省の省令ないしは交付要綱によりまして手続を進め、また、それによって完結するというふうにこれは考えざるを得ないというのが各省のそれぞれの判断だろうと思います。そういう意味合いでここの第四項は書かれておるものと私どもは思うわけでございます。  それにつきまして、一体、根本的にそういうことがいいか悪いかということになりますと、これは、先ほど政務次官がお答え申し上げましたように、すでにその件につきましては訴訟にもなっているわけでございますので、裁判所における判断を待ちたい、かように考えるわけであります。
  65. 三谷秀治

    ○三谷委員 裁判所の問題をいま言っておるのと違うわな。内閣の意見書を言うとるのや。この四の項目の一番の眼目は、市町村の国庫負担金の交付申請に基づいて、その申請どおり国庫負担金の交付決定したものであるから問題はないとなっておるが、その申請どおりの国庫負担金というのが問題だ。この申請というのが、協議、内示、申請、決定という手続の間におきまして、市町村の実態に基づく申請ではなしに、国の基準に基づく申請に変わってしまう、それでなければ認められない、こういう実態になってしまっている。要するに、国の一種の強制権によりまして申請内容が変わってきている。ここに問題がある。ですから、一つの問題というのは、国が負担する施設を選別しているんでしょう。ここはする、ここはしない、ここは認める、ここは認めない、こういう態度をとっている。この選別を行なっている。これは明らかに法令の違反だ。なぜ違反か、これはあとで質問しますが、こういう処置をとっている。そこで、交付決定に異議を唱えますと、負担対象から除外をされるという危険性、可能性が存在している。そこで、不合理な決定であると思いながらも、除外をされちゃ困るから、国の基準に基づく申請をするということになってきている。これがいまの実情なのです。だから、国が定めました申請を不本意でもやらざるを得ない、府県がそれを指導しているという、こういう負担の申請の実情になってきている。そういうことをしておきながら、市町村が自主的な申請を行なったものである、だから問題はないと、こういう内閣の意見になってきている。実態とここのたてまえとは全然食い違っているということなのです。この点については、どうお考えですか。
  66. 森岡敞

    ○森岡政府委員 お話しでございますが、補助金を適正化法では、不服の申し出の規定が法律上明定されておるわけでございますし、また、政令でもその期間を定めて、手続も書いているわけでございますから、やはり、不服があります場合には、その法令に基づいて不服の申し出をする、その結果、不服を申し出たら補助対象からカットしてしまうなんというのは、政府としてとるべき態度ではないし、また、することはあり得ないというふうに私は考えます。市町村の立場に立ちますと、補助金をもらうという立場ですから、いまお話しのような、いわば心情と申しますか、そういういろいろな面があることはもちろん否定できないと思いますけれども行政の運用としてそういうことがまかり通るということでは、やはりおかしいというふうに考えます。
  67. 三谷秀治

    ○三谷委員 おかしいことが実際の状態になっている。そこに問題があると言っているのです。いま、補助金適正化法の二十五条、政令十五条のことをおっしゃっていますけれども、そんなことはここに一つも書いておりはしませんよ。四項で言っておりますのは、市町村が申請したものを国が出したのであって、これに文句があるかと、こんなことになっている。よう読みなさい、この意見書を。その市町村の申請というのは、いま言いましたように、実態に即して申請ができない。第一、これは、次官通達によりまして、府県がチェックしているわけだ。だから、国の基準に基づく申請しかこれは認めない、府県が経由を認めない、それが実態なんです。そうしますと、この四項なんというのは、全く牽強付会の、てまえかってなことを述べているわけであって、実態を無視した論をここに張っているわけなのです。そういうことについては、決して首肯ができるものじゃありません。これは、あなたは閣議に出ておったわけでもないし、とやかう言ったところで、どうも正確な答弁ができそうにないわけだけれども、次官はどうでしょうか。この点につきましては、直接か間接か知りませんけれども、協議に参加されておりまして、どういうふうに理解されておるか、お尋ねしたい。
  68. 武藤嘉文

    武藤政府委員 私も直接には参画をしておりませんのであれでございますが、これは政府全体の意見書に対する意見でございますのでお答えをするわけでございますけれども、実態は、いま先生の御指摘のようなこともあるかもしれませんが、正直、私ども正確にそこまで把握をいたしておりません。これは各省でおやりをいただいておることでございますから、私ども、正確に把握をいたしておらないわけでございますが、しかし、事実が、万が一にもそういうことであるならば、先ほど森岡審議官から申し上げましたように、私どもとしてはそれは行政上たいへん好ましいことではないわけでございます。その辺の指導が各省でどう行なわれているか、私ど実態を承知いたしませんけれども、少なくとも、自治省といたしましては、今後そういうことのないように、申請というものはあくまで実際に法に基づいて補助の申請をし、それに対しては、いわゆる行政指導でそれが曲げられて、減額して、申請をし直さなければならないということのないように、ぜひ指導をしてまいりたいと思います。
  69. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう一つだけ聞いておきます。  保育所の建設につきまして、選別をされている。ここは負担金を出す、ここは出さないという、その選別をされます法的な根拠と、それから基準、これをお尋ねしたい。  私の判断では、保育所などの建設につきましては、おしなべて負担をするというのがたてまえになっているというふうに理解しておりますが、これをお尋ねしたい。
  70. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまの、市町村が設置いたします保育所の補助の決定でございますけれども、これにつきましては、要望もかなりございまして、私どもといたしましても、市町村が必要とする保育所につきましては補助をするように考えておるところでございますけれども、法令的に申しますと、市町村の設置するもののすべてについて国庫負担をしなければならないというふうには解されないと思うわけでございます。それは、児童福祉法の三十五条に児童福祉施設の設置の項がございまして、その中におきまして、市町村は都道府県知事の認可を受けて児童福祉施設を設置することができるというように規定されておりまして、任意の設置になっておるところでございます。したがいまして、他の社会福祉施設全般のバランスとか、さらには児童福祉全般のバランスを考えながら、その保育所の補助を決定するというような方式で限定をしておるわけでございます。
  71. 三谷秀治

    ○三谷委員 児童福祉法の三十五条の三項で「設置することができる。」となっていることを根拠にされているようです。だから任意規定だと言うが、確かに、設置するかしないかは任意規定なんです。しかし、設置しました保育所に対しては一定の補助をしなければならぬということは、地方自治法におきましても、地財法におきましても、これははっきり規定しておる。ですから、設置するかしないかという任意規定があるので、補助するかしないかということも任意なものなんだと、そんなお考えに立ちますと、これはたいへんな間違いになってきます。特に、地方自治法におきます都道府県と市町村の事務の分担の問題から判断しまして、あるいは児童福祉法の二十四条で、措置義務は市町村にあるわけなんです。「児童の保育に欠けるところがあると認めるときは、それらの児童を保育所に入所させて保育しなければならない。」という義務規定がちゃんと市町村に課されておる。そして、付近に保育所がない場合には、「その他の適切な保護を加えなければならない。」と、市町村長に対してはっきりと措置義務を課しておるわけなんです。その措置義務を果たすために保育所を建設する。そうしたら、それは任意だから補助の対象にならないなんて、そんな議論は通用しません。児福法の三十五条の、そこの一カ所だけのあいまいなところだけを取り上げて、全面的な負担の必要はないというふうな論を立てられますと、これはたいへんな間違いになってくる。他の自治法、地財法、あるいは児福法の他の章におきましても、明らかに、保育所に対しては国が負担義務を負うものであるということが明確になっている。これは時間がありませんから言うだけにしておきますが、厚生省のほうも、もう少しここのところは論理を統一して、合点ができる見解が示せるようにやってほしいと思います。  それでは、時間ですから終わります。
  72. 上村千一郎

    ○上村委員長 小濱新次君。
  73. 小濱新次

    ○小濱委員 前回に引き続いて、質問を残しましたので、その点をお伺いをしていきたいと思います。  それは、旧軍隊などが戦時中に、その施設内及び周辺に築造した防空壕がいまだ残存しているという問題について、参考にと思いまして、陳情書と藤沢の図面を持参いたしましたのでごらんをいただきたいと思いますが、委員長、ここでちょっと記録をとめていただきたいと思います。
  74. 上村千一郎

    ○上村委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 上村千一郎

    ○上村委員長 速記を始めて。
  76. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、まず農林省、林野庁、建設省の方がおいでになっているかと思いますので、建設省から、この都市内の防空壕の実態調査について、それから農林省にも同じことをお伺いしていきたいと思いますが、いろいろと経緯もあり、また、調査の内容から多少数字の誤差もあるようでございますが、お調べになった内容でけっこうですから、御報告をいただきたいと思います。
  77. 國塚武平

    國塚政府委員 防空壕の調査でございますが、建設省におきましては、いわゆる都市部と申しますか、都市計画区域内の市街化区域につきましてはひとつ建設省が調査しよう、それ以外の部分は農林省に調査を願うということでございまして、都市部の防空壕の残存状況調査を、今年五月末日現在で、全国都道府県に調査を依頼いたしまして、残存状況の把握をいたしております。  その結果をまず申し上げますと、対象県は、神奈川県ほか三十八都道府県でございまして、その個所数は二千百三十九カ所、概算復旧の見込み額は約百四十一億円。このうち、宅地が陥没するとか、あるいは人身事故等の危険度が高いために早急に工事を要すると判断いたします個所が二百八十三カ所、これに要します概算復旧見込み額が約九十八億円。それから、現状のまま放置をいたしますと将来危険が予想されると考えられます個所が千八百五十六カ所、概算復旧額は約四十三億円と相なります。  調査の方法でございますが、私ども調査書をつくりまして、まず、対象区域といたしましては、先ほど申し上げましたように、都市計画区域内の市街化区域を対象にする。ただ、先生御承知のとおりに、新都市計画法の市街化区域がきめられていないようなところでは、用途地域がきまっているところでは用途地域、それから、用途地域もないようなところでは、おおむね五十五年までに市街化が予想される区域というものを対象にいたしておりまして、そういう地域内での旧軍隊あるいは軍需工場、あるいはこれに準ずるものが築造いたしました防空壕を対象といたしておるわけでございます。ただし、従来とも内務省及び建設省で昭和二十四年まで実施いたしております特殊地下土木整備事業で行なったもの、それから、昭和二十五年以降は都市災害復旧事業により実施いたしておりますので、都市災害復旧事業により実施したもの、これは除外をいたしております。  それから、調査の内容でございますが、まず所在地、それから調査の方法と申しますか、実測できない場合には実測できなかった、あるいは十分調査できなかったところは調査できなかったという、調査の内容も書かせることにいたしております。それから規模、特に入り口の数、あるいはその延長、それから構造でございますが、素掘りであるとか、あるいはコンクリート巻きをしているとかいうような防空壕の構造、土かむり、内部の状況、冠水をしておるか、あるいはどういうふうになっておるかという内部の状況、それから築造主体、現在だれが管理をしておるかという現在の管理者、それから上部の土地の所有の態様、あるいは利用状況、それから現在の壕の利用状況、それから事故、災害のいままでの有無、それから危険度、それから、埋め戻し工事に要する費用あるいは今後の処理予定、あるいは住民のこれに対する意見というような内容でございまして、かなり詳細な調査をいたしました結果、先ほど申し上げましたような数字が把握できたわけでございます。
  78. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 農林省といたしましては、建設省と連絡を密にいたしまして、ただいま建設省のほうからお答えになりました区域以外の、いわゆる農村漁村を対象にいたしまして調査いたしました結果、全体で約千六百カ所、事業費にいたしまして約二十億ございます。このうち、陥没等の危険が目前にありまして、早急に対策を要するもの約二百五十カ所でございます。その調査の方法、内容につきましては、建設省と全く一緒の方法でやっております。
  79. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんな数にのぼるわけですが、そこで、建設省にもお伺いしたいのですが。その他町内会等でつくった数があることになりますか。その点はどうですか。あれば、数字を示してもらいたいと思います。
  80. 國塚武平

    國塚政府委員 ただいま、全国で二千百三十九カ所という数字を申し上げたわけでございますが、この中には、先生がいま御指摘になりましたように、町内会が当時要請を受けまして、当時の時代の特殊性から、町内会等が築造したものも含まれておるわけであります。特に、神奈川県下におきます分につきましては、横須賀市等の町内会等が築造されましたものが数多うございますが、それが含まれておるわけでございます。
  81. 小濱新次

    ○小濱委員 私の調査ですと、その後また報告がふえているようであります。それから、自衛隊その他米軍基地内のこういうところにも相当あるように見受けられますが、その点はどういうようになっておりましょうか。
  82. 國塚武平

    國塚政府委員 私ども調査を、五月末日現在と申し上げましたが、その後の調査は実施いたしておりませんが、当初、私ども調査書では、旧軍隊あるいは軍需工場等のみならず、これに準ずるような防空壕も報告するようにという調査命令をいたしたわけであります。当初、神奈川県当局からの数字ではそれが入っておりませんでしたが、ただいま申し上げましたように、この数を含めて報告をしかえさしております。したがいまして、先生が仰せになりましたようなものは大体網羅されておると考えております。
  83. 小濱新次

    ○小濱委員 その後、戦後三十年近い年月を経過しているわけでして、そこに、陥没とか、人身事故だとか、犯罪等々がいろいろ起こっておりますが、そういう問題について、こまかい具体的な内容は要りませんが、そういう内容までも調査をされ、どれほどに把握をしておられるのか、御存じならばお答えいただきたいと思います。
  84. 國塚武平

    國塚政府委員 都市部におきます防空壕問題につきましては、私ども都市局の街路課というところで所掌いたしておるわけでございまして、現地からこまかい調査票をとりまして、詳しくヒヤリングをいたしておりますほか、現地にも調査に出かけております。先ほど先生がお示しになりましたところの代表的な善行地区等も、現地を見まして、この復旧をする場合にどういう方法でやるのがいいのかという点もあわせまして、内々の相談もいたしておるわけでございまして、その工法あるいはやり方、時期等いろいろな面がございますが、十分現地と調整をしながら、できるだけ早く仕事が進むように努力をいたしておるつもりでございます。
  85. 小濱新次

    ○小濱委員 初年度予算として、この対策についていろいろと私も伺っておりまして、その数字がまことに少ない数字のように伺っているわけですが、そこまでわれわれは伺っておりますので、この際、関係の方から、その計画なり見越しをお答えいただきたいと思います。
  86. 國塚武平

    國塚政府委員 ただいま申し上げましたように、全国的にこの個所が数多くあるわけでございまして、これを、緊急度の高いものから、できるだけ早く復旧をしていく必要があるわけでございますが、私どもは、調査をいたしましたものを分類いたしまして、その危険があるから早急に対策工事をやる必要があるもの、これをAと言っております。それから、現状のまま放置すれば将来危険が予想されるもの、これをBと言っておりますが、それぞれあるわけでございます。来年度の建設省の要求といたしましては、このAの中から、すなわち、陥没または人身事故の危険がありまして早急に対策工事が必要なものの中から、特に危険度の高いものを、来年度重点的に要求するという方向にいたしておりまして、これが来年度の要求になっておるわけでございますが、全体的な問題といたしましては、ただいま申し上げましたところの特に緊急度の高いものは、四十九年度、五十年度の二カ年で完成をさせていきたい、復旧を完了したい。それから、Aと申しますか、危険度があるものでございますが、これは五十年度及び五十一年度の二カ年度で、それから、Bという比較的緊急度の低いものでございますが、これは五十二年度で完了する。したがいまして、この全国二千百三十九カ所の復旧は、四十九年から五十二年まで、四年で完了したいという考え方でございます。  先生が仰せになりましたように、ちょっと四十九年度の要求額が少ないというふうな御感触もあろうかと思いますが、私ども、四十九年度を皮切りにスタートいたしますれば、事業費のベースもかなりあるわけでございますから、四十九年度で工法その他大体のことがきまってまいりますれば、五十年以降はかなり進捗を早めてやることができると思います。四十九年度は初年度で少ないというわけでもございませんので、各府県から聴取いたしましたものの中から、一番優先度の高いものを、工事費の少ないものは四十九年度内に完成させ、それから、工事費の大きいものにつきましては二カ年で完成する、こういう考え方で進めておるわけでございます。
  87. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに、農林省、林野庁からも、いまの点の御説明をお願いします。
  88. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 農林省におきましても、建設省と同じ考えでございまして、現在陥没等が起こっているとか、起こる寸前で特に危険なものが約二百五十カ所でございますが、これを選びまして、そのうち約半数の百二十六カ所を四十九年度の予算要求の中に織り込んでおります。  ただ、いま建設省からもお話しがございましたように、その規模におきましてもまちまちでございますし、それから、工法におきましても、初年度においてある程度検討してまいり、遺憾のないようにしなければいけないということで、若干試験的なことも含めまして、必要量の半分少しは要求はしておりますが、初年度で全部終わるという考えでございませんで、二カ年で終わるということで予算要求をしております。
  89. 岩崎成嘉

    ○岩崎説明員 林野庁といたしましても、建設省、それから構造改善局と同じような考え方をもちまして、来年度は七十一カ所、一億四千七百万円の予算を要求いたしております。
  90. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、自治体からの要求額もたいへんな数字になっていると思います。そういう点で、四年あるいは二年という見越しで対策を講じていこうということでございますけれども、さて、その間に事故がなければいいわけですが、危険視されているそういう防空壕でございますので、これを何とか早く対策を講じていかなければならないと思いますが、自治体のこれに対する対策費の見越し額は幾らぐらいになっているか。どなたか御答弁いただけるでしょうか。まとまっていませんか。
  91. 國塚武平

    國塚政府委員 先生ただいまお尋ねの、各府県ごとにどういうふうに事業費を見積もっておるかということでございますが、北海道から沖繩に至りますまで、私ども、各府県ごとに数字を持っております。この数字につきましては、県から申請されました数字をほとんどそのまま採用いたしておるわけでございますが、一番多いのは神奈川県でございまして、神奈川県以外に川崎市、横浜市もございますけれども、神奈川県の県下で申し上げますと、A、緊急に工事を要するものが九十二億一千七百万円、それから、B型が二十六億七千二百万円。  川崎、横浜につきましても同様の数字が出ておるわけでございますが、府県のほうではこの調査書に基づいて積算しておりますものですから、それぞれ数字を掌握いたしております。数の多いものから申し上げますと、一番多いのが神奈川県、それから広島、大分、東京、長崎、千葉、鹿児島というような順序でございまして、いずれも旧軍施設が多かったところが個所も多く、また、事業費も多いということになっております。
  92. 小濱新次

    ○小濱委員 國塚事官にお尋ねしたいのですが、先ほど、神奈川県ほか都道府県三十八を対象にという御答弁をいただいたかと思いますが、その他はないということですか。それとも、調査を進めていないということですか。
  93. 國塚武平

    國塚政府委員 調査は全国的に実施いたしました。その結果、対象がない、残存防空壕がないという府県も相当数ございまして、それらを除きますと、防空壕がある都道府県の数は三十九ということになっております。
  94. 小濱新次

    ○小濱委員 今後まだあとから報告書が追加されていくであろうことをわれわれは見込んでおるわけですけれども、この地下壕の埋め戻しに関する事務の所属をやはり明確にしてあげないと——自治体としてはいろいろと思惑を持ちながら、指示に従って動いているようでございますが、この委任事務の所属をどういうふうにされていくのか。この前、ここの御答弁では、所管は自治省になるであろうというような御答弁でございました。したがって、それならそのように、早く明確にその態度を示してやるべきが親切ではないかと思うわけですが、その点についての御答弁は、政務次官からお願いいたします。
  95. 武藤嘉文

    武藤政府委員 都市部は建設省、また、農村部は農林省で、それぞれやっていただくわけでございますが、直接の仕事というものは、これは当然地方自治体にお願いをしなければならぬということになるだろうと思います。そういう面において、自治省といたしましても、各省と十分連絡をとりながら、地方自治体がスムーズに、また、いっときも早くその仕事をやっていただけるようにしたい、また、これはやらなければならないと考えております。
  96. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、国の補助率というものについて、これがまた財政上自治体としてはたいへんな負担になると思いますので、この点についてもいろいろと意見が出ているようでありますが、建設省として、あるいは農林省として、この補助率についての考え方をまず伺いたいと思います。
  97. 國塚武平

    國塚政府委員 防空壕と埋め戻し事業の国庫補助率の問題でございますが、私ども都市局が所管をいたします防空壕埋め戻し事業の国庫補助率を考えます場合には、いろいろと内部でも相談し、各種の事例あるいは既往の制度等々も調べまして検討したつもりでございますが、建設省の所管をいたしております道路、河川、あるいは都市施設等の中で、その整備に要します経費の補助の体系の中で一番高い補助率ということで、四分の三という補助率を考えるに至ったわけでございます。
  98. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 農林省も、既往の類似の例等を参考にいたしまして検討いたしました結果、十分の九ということで、現在予算要求中でございます。
  99. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどの示された対策費の総ワクは大体百六十一億になりますね。そうなりますと、その四分の三国で補助をする、あるいは、農林省関係のほうでは一〇%自治体のほうで負担をしてもらう、こういう形になります。ちょっと計算してみても、もう四十億以上の金になるわけです。その個所と、その他にある町内会等でつくった個所が、これはまた町内会だけでつくったんじゃないのですね。軍の指示によって、町内会はこっちから掘ってこい、軍はこっちから掘っていくということで、途中で正面にお互いが突き当たっていくような形で掘られた防空壕の数がたくさんあるわけです。その数が、大体概算で、県内だけで見てみましても三分の二くらいの数字があるわけです。そういうことになりますと、今度は、百六十一億の対策費が、そのまた何倍かになっていくという形になるわけですね。そういう点で自治省の見解も承っておかなくちゃなりませんが、自治省としては、そのことについてはいろいろ対策をお考えになっているかと思いますが、まず、その点について、政務次官からお答えいただきます。
  100. 武藤嘉文

    武藤政府委員 いま議論の中にございましたように、この個所数は、先生指摘のようにふえる可能性もあろうと思います。建設省、農林省も積極的に、これは何としてでも早く処理をしなければならないという姿勢を打ち出してきていただいておるわけでございます。私自身も、いまお話しを聞いておりまして、戦後二十何年たっておるのに、いまなおこんなことが行なわれておっていいのかという反省をいたしておるわけでございますけれども財政的な面におきましては、農林省、建設省、それぞれ九〇%あるいは四分の三の補助をしていくということになりますと、地方自治体があとの残りをどうするかということになるわけでございます。これについては、私のほうといたしまして、地方債で見るとか、場合によっては交付税というような考え方考えなければならぬかと思いますが、いずれにしても、これは国の責任でやらなければならない問題でございますので、その辺をよく考えて、財政的にも、地方自治体に迷惑のかからないようにやっていきたいと考えております。
  101. 小濱新次

    ○小濱委員 戦後処理の問題の中に、不発弾処理というのがあります。これは、せんだっても内閣委員会等でだいぶ御論議の的になったはずでありますが、その扱いについては、これに総理府でいろいろと論議がいまなおかわされているという話を伺っております。これは当然全額国の委任事務ということで、一〇〇%国で見るべき性格のものではないのかというふうに言われておりますが、この不発弾処理についての自治体の負担はどういうふうになっているか、御存じならば自治省からお答えいただきたいと思いますが、おわかりでしょうか。
  102. 森岡敞

    ○森岡政府委員 不発弾の処理につきましては、お話しのようにいろいろ議論がございます。最終的には国が二分の一、地方が二分の一というふうな負担を持ち合ってやるということにほぼきまっているというふうに承知いたしております。ただ、いまお話しのように、戦争のいわば落とし子、でありますから、国の責任において全面的にこれを措置すべきであるということは、私どもは終始主張し続けてまいったわけでございます。しかし、そのように二分の一ずつの負担ということできまりました以上は、地方負担につきまして地方債交付税、あらゆる財政措置を適切に講じまして、地方団体が困ることのないように措置をしてまいりたいと考えております。
  103. 小濱新次

    ○小濱委員 政務次官にお尋ねしたいと思いますが、基本的な問題ですが、不発弾処理費が、二分の一地元負担ということです。どう考えてみてもこれは、政府の責任において、国の委任事務ということで全額負担が当然じゃないのかと私ども考えるわけですね。いまもその不発弾の上に民家があるとか、あるいはまた、手のつけられないような、コンクリートを流してしまって、その下に不発弾があるとか、いろいろとそういうめんどうなことが一つ一つあるようですけれども、どちらにしても、どう予算が加わっていこうとも、この問題の処理は、一にかかって政府にあると私は思いますよ。それがいまのような扱いで補助されていく、あとは自治体が負担をしていくというような姿は、自治省は少し弱腰ではないのかと思います。自治省にはもう少し積極的に政府と折衝してもらい、閣僚とも話し合っていただいて、そういう問題をやっていただかなければならぬと思いますね。したがって、この防空壕の処理費にしましても、当然これは国の委任事務として一〇〇%補助があってしかるべきだと私ども考えます。全部の個所についてそうあるべきだと思っております。しかし、内容によってはいろいろ異なった壕があろうかと思いますので、一がいには言えないかと思いますけれども、そういう点で、どうしても一〇〇%そうあるべきだとわれわれは考えますが、この点についてのお考え、御意見を伺いたいと思います。
  104. 武藤嘉文

    武藤政府委員 先生指摘のお気持ちはほんとうに私もよくわかるのでございますが、不発弾の処理を含めまして、この防空壕の処理につきましても、先ほど申し上げましたように、それぞれ建設省、農林省と、これはいろいろ国のルールというものも正直あることは先生御承知のとおりでございまして、そういう点で、各省両方ともなかなか苦労しながら、補助率を何とか確保するというところまで来たのじゃなかろうかと私は推測をいたします。しかしながら、まだ今後の問題でございますので、私といたしましても、建設省、農林省それぞれ、大臣はじめ皆さんとよく協議をいたしまして、でき得るならば、先生がおっしゃいますように一〇〇%の補助率にしてしまえば一番いいわけでございますけれども、どうしてもそれが不可能である場合には、先ほど来お答えをいたしておりますように、場合によれば交付税の中で見ていくということになれば、財源として、地方自治体は実質的には負担がなくて済むわけでございますし、あるいは、場合によれば、不交付団体のところでございますれば、地方債である程度見さしていただくというようなことも考えていけば、当面その団体にも御迷惑をかけなくて済むわけでございますので、何らかそういう処置をとっていきたいと思っておるわけでございます。
  105. 小濱新次

    ○小濱委員 ひとつ、御努力をお願いしたいと思います。  建設省にお尋ねしてみたいと思いますが、私はそこに示しました防空壕に入りましたが、約二キロ以上にわたっているわけですね。私が行ったときには、中は湿っけもありませんでした。真夏の盛りでしたが、非常に涼しいのですね。これは何か利用価値があるんじゃないかなというふうにも感じました。聞きますというと、シイタケの栽培にも使っているという地域もあるようです。この防空壕をどうやって埋め戻しをするのであろうかなと、私はいろいろ考えてみたのですが、入り口からどろを運んでも、これはとても満ぱいになるわけはない。どこかにボーリーグでもして流し込むようないろいろな形を考えるのだろうと思うのでありますが、大体その方法と技術的な面があろうかと思いますがその問題と、立米どのくらいの予算を見込んでおられるのか。あるいは、これからの用途変更といいますか、利用度といいますか、そういう点の考え方をお持ちならばひとつこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  106. 國塚武平

    國塚政府委員 先生が仰せになります藤沢市善行の例で申し上げますと、仰せになりますように二千百メートルの延長を持った、ずいぶん長い構造の防空壕でございます。ただ、この地域は、御案内のように、上部は市街化されつつございますし、また、私どもが聞いておりますところでは、宅地の開発だとか、あるいは住宅の分譲というものが行なわれまして、将来市街化をしていきます場合に何としても不安が残るということであれば、これは回復しなければならぬということで、来年度からの事業計画でも取り上げておるわけでございますが、確かに、その地域地域によりましては、必ずしも全部埋め戻しをしなくても、一部的には残す手もあろうかと存じます。また、しかるべき利用方法もあろうかと思いますが、原則といたしましては、埋め戻しをしていくという方向で進めてまいりたいと思います。  復旧の方法でございますが、土量がかなり多くなるものでございますから、どの程度まで土砂を入れるかという問題もありますけれども、やはり壕の中に土砂を入れまして、そして、壕のふちを強固にふさぐということが本来的な復旧方法であろうと考えます。砂利あるいは骨材の比較的多い、セメント量の少ないようなコンクリートを注入してやっていくという方法も検討しておるわけでございますが、逆に、凝結いたしました場合に、あとで建築物とかが上に建ちます場合に、それが工事のじゃまにならないかというような問題もございますので、コンクリート注入というのは、方法によっては不適当な場合も出てこよう。また、過去の例といたしましては、発泡スチロール等を使った例もございますが、必ずしも好結果であったようにも思えませんので、この辺のところは、私のほうの土木研究所に命じまして、経済的でしかも危険性が防止できる工法というものはどういうものがあるかということを調べさせ、さっそくに研究所と相談して研究を始めたいということでございます。  なお、土砂を中へ入れます場合の単価は、神奈川県の例で申し上げますと、一立米一万円を想定いたしております。
  107. 小濱新次

    ○小濱委員 これは技術指導という問題ですが、いまの立米一万円くらいの予算で埋め戻しをする。大きな都市では、技術面がすぐれている。また、町村等においては、その点は非常に不安に思っている。そういう点で、いろいろと地元では頭をかかえておる。そういう内容になっているようでありますから、これは、ぜひひとつ建設省と農林省で本腰を入れて、これが事故のないうちに対策を完了するような、そういう方向に一そう努力をしていただかなければならないと思いますし、そういう技術の面で非常に不足がちな小さな町村については、また何らかの方法を指導してもらわなくてはならないのではないかと考えておるわけです。きょうは政務次官が来ておられますが、私は政務次官に強く要望したいのですけれども、実は、建設省と農林省がその気になっていただければ大半が完成するような見込みになっておりますので、お帰りになりましたならばぜひその点の御相談を願って、これが促進をお願い申し上げたいと思います。  それから、最後に政務次官にお尋ねをしておきたいのですが、財政負担の問題で、きょうは超過負担の問題が出ております。きょうは超過負担をみんなでやろうということでございましたけれども、その問題についてはたくさんございます。そういう中で、こうやって一つ一つ地元の負担額がふえていくということの問題点をよく御理解いただきたいと思うわけです。そういう点で、これからも地方ぜひ自治大臣にお骨折りをいただいて、国の委任事務ということで、全額を国でめんどうを見るような方向に一そう努力をしていただきたいと思います。そして、自治体も安心して、真剣に、早目にその問題と取り組めるような方向づけというものをしていただきたいと思います。そして、一日も早いこの問題についての完成を心から念願をしておるわけでありますが、これについての御答弁をひとつ伺いたいと思います。
  108. 武藤嘉文

    武藤政府委員 けさほど来の論議の中にもありましたが、先生の御指摘のように、地方の事務量がいろいろな面からふえていくが、それに伴っての財政の裏づけというものが必ずしもしっかりしていないために地方自治体がみな困っているじゃないかというのが、きょうずっと、けさからの議論であったと思います。私ども自治省といたしまして、その点は、今後の方向としては、ほんとうに率直に十分従来を分析し、その上に立ってしっかりした考え方でいかなければならない。そして、それは、けさほども申し上げましたが、やはり、行政事務配分というものを国がどれだけやるのか、あるいは、地方がどれだけそれじゃ引き受けるのか、そして、それによってその財政的裏づけをどうするのか、そこからの税というものはどうあるべきなのか、交付税というものはどうあるべきなのかという、こういうようなしっかりしたものをほんとうに打ち立てないと、何となくいままでこう来て、それに何となくいろいろなものがのっかっていくというだけでは、地方自治体がますます財政的に窮屈になるだけだと思いますのでその点は、けさほどもお約束をいたしましたが、私ども自治省といたしましては十分検討する。こういうことははっきりいたしたいと思います。
  109. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに、もう一点だけ要望しておきたいと思いますが、建設省で国の負担額を四分の三、それから農林省では九〇%出していく、これがはたして大蔵折衝の段階においてそうなるかどうかということ——それ以上にこちらはしてもらいたいと念願しておるわけですね。その点の御努力について、これはたってひとつ自治大臣にも言っていただいて、この点の確約を達成できるような方向への御努力を一そうお願いをしたいと思いますので、御要望申し上げておきます。
  110. 武藤嘉文

    武藤政府委員 これは建設省並びに農林省でおやりをいただくことになるわけでございますけれども、もちろん、私どもも側面的に、全面的に努力をいたします。
  111. 小濱新次

    ○小濱委員 ありがとうございました。
  112. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十二分散会