○吉田委員 この前のときに、時間がなくて、ちょっとお尋ねをして、否定をされましたけれ
ども、
日本における
韓国人の人たちで、
居留民団に属しておろうとも、多少朴政権に対して批判的な意見を持っておる人たちが
日本から拉致をされ、あるいは逮捕されていった、こういうことは今日に始まっているわけではないということを、私は事例をあげて申し上げたが、全部、
韓国を訪問をして、向こうでとらえられたのだという
説明でした。そうでない者がございましたが、きょうは資料を持ってきておりません。
ただ、ここに、こういうことを話しておられる人がある。
金大中先生救出
対策委員会の鄭在俊さんという人が、「
日本の保護のもとに生活しているにもかかわらず、毎日不安におののきながら生きていかねばなりません」……(「スパイだから」と呼ぶ者あり)いま、声をなす人があって、スパイだということでありますが、それは、
韓国側から、あるいは情報部から流しておる情報でしょう。それを、青嵐会に属しておられるかどうか知りませんけれ
ども、自民党の一部でもそういうことが言われることが、
警察の
態度あるいは
政府の
態度に影響することを私は心配いたします。そして、これは、
国家公安委員長として、その点についてはおそらく異議はないと思いますけれ
ども、国籍選択の自由あるいは亡命の自由等は、国際的に認められている。それに対する戦前の
日本の
政府の
態度は弱かった、あるいはあいまいであったということは言えます。しかし、今日、国際的な
日本の地位から言いまして、そういう点について、いささかも、
韓国に準ずるような、あるいは
日本の戦前のようなことがあってはならぬと、おそらく、公安
委員長としても思っておられるでしょうが、もし、中央情報部の行為か、あるいは
韓国の公権力の行使としてか、
日本におる人が領土内から不法に拉致されるということになると、それは出入国の法を犯したということだけでなくて、
日本に対する期待――これは主権もですけれ
ども、それが裏切られ、
日本に生活をしておるけれ
ども、毎日不安におののきながら生活していかねばならぬ。こういうことを言わせるようなことは、私は、
日本の
政府としては、あるいは
警察としては、なさるべきではなかろうと思いますが、それにかかわらず、今度の問題については、
警察の
態度もたいへんわからぬところがある。
そこでお尋ねをするわけでありますが、抽象的に申し上げましてもお答えがございませんでしたから、
初動捜査のおくれに関連してお尋ねをするのですが、私
どものようなしろうと、民間の人間が多少聞いただけでも、
ホテル・
グランドパレスでの
経緯については、たいへんわからぬところがあります。特に、二二一一
号室の前があけられていたことは、これは
経緯でわかります。ところが、隣の二二一五
号室というのは、フランス人か、さっき聞きましたらドイツ人だと言われますが、外国人が泊まっておる。それがあいたら、
あとから入った人の話によると、シーツがりっぱにおおってあった、掃除がしてあったということですが、普通ならば、それはあかない部屋だ。自動的にロックをされる部屋だ。かぎがなければあかないところ、それがあけてあったということ。それから、車が地下から出たということでありますが、地下には、
ホテル・
グランドパレスの従業員で車の世話をする人がいる。ところが、その車に乗っていった人が、初めは三人であるとか、みんな含んで三人以上の人はいなかったとか、とにかく、証言がすぐに得られなかったということを先ほ
ども報告された。それから、電話ですが、これは、
金大中氏の身を心配をして行って、
あとで
新聞記者諸君が赤電話へ全部飛びついておりますから、フロントで電話を受けて
連絡しようとしたところが、フロントで電話を借りることができなかった。こういう点から言って、これは
グランドパレスの社長であるのか、あるいは支配人であるのか知りませんけれ
ども、
グランドパレスの協力なしには、この
金大中氏の誘拐
事件というものは起こらなかったと考えられる。そして、また、さらに、高橋
警察庁長官は右翼にはたいへん強いといわれる。これは
警備局長もそうだと思うのですが、われわれが聞いた範囲内でも、いわば、これは、
韓国関係についても有力な大もの、名前もあげてもかまいませんが、その系統であったということが聞かれる。私
どもが聞き得るのでありますが、私
どもが聞き得るんだから、
警察の諸君が、このふしぎさに、あるいはおかしさに気がつかぬはずがない。あるいは、アメリカなり、
日本の
新聞に載る。何名か、アメリカからも来た。あるいは、
韓国からも来た。そして、情報部員と思われる者が三十人近く来て、次々に中継をしていった。
日本から出ていったのも、あるいは
韓国に入ったのも、何らの抵抗なしに入ったについて、
韓国のほうは、これは
捜査の範囲内ではありませんからわかりませんでしょうけれ
ども、
日本の中で、白昼公然と相当の人物が拉致されて、そして、翌日夕方には、船で国外に
連れ去られた。こういうことを許すような
警察ではないとはみんな思っている。それがなぜできるのか。
ホテル・
グランドパレスの協力ということもございますけれ
ども、
警察が、あるいは公安
当局が全部であるかどうか知りませんが、おそらく、
江崎国家公安委員長はよく御存じなかったと思われるけれ
ども、
日本の
警察のどこかで――あるいは、それは後藤田さんであるのか、あるいは
警備局長であるのかどうか知りませんけれ
ども、何らかの了解があったと考えなければ、こういうことはできないと考えるのはふしぎでしょうか。常識的には、みんなそう考えておる。
ホテル・
グランドパレスの経営者との
関係あるいは……(「推理小説の読み過ぎじゃないのか」と呼ぶ者あり)いや、読み過ぎではございません。名前をあげてもかまいませんけれ
ども、
警備局長がもし御存じなければ教えてあげますけれ
ども、これらの点について御存じなのかどうか。あるいは、
捜査の
状況がどうなっておるのか。