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江崎国務大臣 先ほど来御
説明申し上げておりまするように、
地震の
予知体制の
強化、それから
火災の防止、
避難の
訓練——ところが、これは、私
ども中央防災会議に出ましても、
図上訓練の域を出ないのですね。
東京都では、各区で、明日も相当実地的な
訓練をするようでありますが、
東京都でもっと大きな
訓練をしなければならぬ。
図上計画なんというものは、
ゴルフの
プロゴルファーの本を読むようなものでして、読んで玉が飛ぶならば、みんな
プロになる。私は
ゴルフをやりませんが、最近、人にすすめられて本を読んでおりますが、本は頭に入りますけれども、さあ、やってみたら、やっぱりだめなんでしょうね。それが、
図上訓練というものと実際の演習との大きな開きだというふうに私は考えまして、そこで、明日は、
坪川総務長官を先頭に立てて、
建設大臣や私なども現地をつぶさに視察する。しかし、視察というようなことは、われわれが一時間や二時間見たところでどうなるものでもありませんが、
地震対策なり
火災対策というものについての、国家的な、国民的な気持ちをかき立てるのには大いに役に立つと思うのです。それで、これを契機にしまして、実際問題としての
訓練をもっともっと
ほんとうに行なうべきではないか。特に、
関東大震災の場合と違いまして、自動車が激増いたしております。自動車そのものは、
火災対策から言うならば、危険物であります。そればかりか、
避難を活発ならしめるのを妨害する。ですから、
消防庁においては、
避難のときは身一つで、まさに、命からがらという形で単身逃げるように、荷物に執着はあろうが、荷物を持ったりするということがかえって大事を、連鎖反応を起こさせるもとになるという
指導をもうすでにしておるわけでありまするが、特に、
東京都の
震災対策として言うならば、好むと好まざるとにかかわらず、
消防はもとより、警察ももとよりですが、自衛隊も、図上作戦参加というかっこうだけでなしに、一体
ほんとうに何をやってくれるのか——
災害出動というのは自衛隊の任務条項にもあるのですから、要請があれば出られることになっておるのですから、自衛隊が存在する以上、イデオロギーに反するから、そんなものに助けてもらわぬでもいいというようなことは、私は、
行政をあずかる責任者としては、これは言い過ぎじゃないかと思うのですね。ですから、そういう
防災体制、
避難体制というものに日本のあらゆる装備を思い切って集中して、そして実際にやってみる必要がある。これは、あらかじめ予告をしておけば、必ずできることだと思うのです。これを
中央防災会議において取りまとめておられる
坪川総務長官に強く要請しておるような次第でございます。
それから、
消防庁として、直接の
地震対策や何かの
予算措置がいささか少ないではないかということは、御
指摘の点は私も認めます。しかし、この間うち、
予算を取りまとめておるときに、たとえばこの間退任しました降矢次官も、
消防庁長官から次官になった。宮澤
長官も、
消防庁長官から今度次官になりた。有能な
鎌田長官も、おそらく将来次官になるでしょう。ですから、考えてみるというと、ここのところ、数代、とにかく
消防庁長官から次官になるということは、ただ人事のバランスをとる上の便宜措置であってはならぬ。少なくとも、これくらい
地震対策のことが言われ、しかも、
地震の周期が来たというような声がささやかれておるときに、これはまことに打ってつけの人事であるから、
予算措置等においても、大蔵省では二五%増ということを言っておりますが、いままでの
消防庁自体の
予算が少なかったのだから、これはひとつ大いに
予算を伸ばしてもらうべく、大蔵省には私も折衝するし、また、
地方行政委員会の御
協力も当然得なければなりませんが、ひとつ、もっともっと
予算の裏づけをしようじゃないか、そして近代化をしよう、科学化をしようということで進めておるわけでございます。まあ、一々あげられる数字は決して多いとは私も思っておりませんが、在来の積み重ねもあることでございまして、来
年度予算二五%増というのを、
消防庁の場合は一九〇・四%ということで
要求をしようということで、まあ、ここらあたりに私どもの
決意を御了察いただければたいへんありがたいと思っておりますが、また、今後にかけてぜひ御
協力を願いたいと思います。