運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-08-31 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年八月三十一日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    山田 芳治君       多田 光雄君    三谷 秀治君       小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         自治省財政局長 松浦  功君         消防庁長官   鎌田 要人君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         厚生省医務局総         務課長     金田 一郎君         建設省都市局都         市計画課長   野呂田芳成君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    金岡  登君         建設省住宅局建         築指導課長   佐藤  温君         消防庁消防課長 辻  誠二君         消防庁安全救急         課長      矢筈野義郎君         日本国有鉄道運         転局長     関川 行雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 八月二十九日  辞任         補欠選任   折小野良一君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   永末 英一君     折小野良一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防に関する件      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議を開きます。  消防に関する件について調査を進めます。  この際、地域防災計画作成状況等について、消防当局から説明を求めます。鎌田消防庁長官
  3. 鎌田要人

    鎌田政府委員 お手元に資料をお配りしてございますが、地域防災計画作成状況等について、御報告を申し上げます。  御案内のとおり、災害対策基本法によりまして、都道府県及び市町村は、それぞれ都道府県地域防災計画及び市町村地域防災計画をつくらなければならないことに相なっておるわけでございますが、この作成機関といたしましては、都道府県地域防災計画都道府県防災会議市町村地域防災計画市町村地域防災会議または市町村長——これは御案内のとおり、市町村地域防災会議設置法律によりまして免除されておりまして、この団体につきましては、市町村長作成するということに相なっておるわけでございます。  なお、都道府県防災会議設置状況でございますが、沖繩県を除きまして、全部設置されております。沖繩県につきましても、現在、防災会議設置条例を定めまして、近いうちに設置の運びに相なっております。  また、市町村防災会議設置状況は、次の表にございますように、その全市町村三千二百八十六。四十八年六月九日現在でございますが、そのうちで、設置免除になっております団体が三十二ございますので、差し引き三千二百五十四というものが防災会議設置しなければならない団体に相なっておるわけでありますが、この中で、三千百七十二が設置をいたしておりまして、残り八十二というものが未設置でございます。その比率は九七・五%ということに相なっております。  それから、次に、地域防災計画作成状況でございますが、これにつきましても、都道府県段階におきます地域防災計画につきましては、沖繩県以外の全都道府県作成済みでございます。各団体とも、平均年一回程度の修正を行なっておるところでございます。  また、市町村地域防災計画作成状況でございますが、これは、先ほど申し上げました三千二百八十六市町村の中で、三千百八十一が作成をいたしておりまして、いまだにつくっておらない団体が百五ございます。団体比率といたしましては九六・八%、約九七%ということになっております。  なお、地域防災計画内容でございますが、これにつきましては、法律の定めるところによりまして、都道府県市町村)及び防災関係機関事務、業務の大綱、それから、都道府県市町村)の地勢及び風土、過去の災害の記録、都道府県市町村)の災害対策本部設置に関する事項、災害予防に関する計画災害応急対策に関する計画災害復旧計画、こういうものを内容といたしておるわけでございます。  今後の課題といたしましては、まず、地域防災会議、あるいは地域防災計画をいまだに設置しない、あるいは計画をつくっておらない、こういう団体に対する設置または作成指導でございます。未設置団体なり、あるいは計画作成団体を見ておりますというと、地域的にやや片寄りがあるようでございまして、たとえば未設置団体の場合でございますと、沖繩県を除きますと、秋田県、鳥取県、福岡県、こういったところに比較的未設置団体が多いようでございます。また、市町村地域防災計画におきましても、沖繩県は、これは時間的な関係でやむを得ないといたしまして、そのほかにおきましては、秋田県、それから都下、和歌山、鳥取、鹿児島、こういったところがまだ計画作成に至っておらない、こういうことでございます。  もとに戻りまして、特に、沖繩県については、復帰して間もないので、全団体が未設置、未作成であるが、特別の配慮を行ないたい。なお、復帰前及び本年六月には、当庁より職員を派遣いたしまして、この防災会議設置について、あるいは防災計画作成について指導をいたしておるところでございます。  それから、従来の地域防災計画は、主として風水害中心でございましたが、本年度横浜市におきましては、風水害編のほかに地震編作成いたしております。また、東京都におきましても、地震編作成中でございます。今後は、風水害にとらわれず、地震等、他の災害につきましても、地域特性に応じた災害対策をすみやかに樹立するように指導いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  4. 上村千一郎

    上村委員長 以上で説明は終わりました。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山田芳治君。
  5. 山田芳治

    山田(芳)委員 九月一日は、御承知のように、関東大震災の五十周年に当たるわけであります。その記憶のなまなましい方もだんだん減ってまいるわけでありますけれども、しかし、最近では、御承知のように、山形県の酒田付近であるとか、あるいは琵琶湖周辺地区であるとか、あるいは房総半島、これは消えたという話もございますが、根室周辺等々においては、大地震の前兆ともいうべき地殻隆起等状況が発見をされているというふうに、私ども新聞などで聞いておるところであります。その中でも、超過密であるところの東京においては、都民が非常な不安を持っているということは、ここに、私、最近の週刊誌をちょっと持ってきましたけれども、どの週刊誌にもその震災のことが載っておるという一事をもってしてもわかるであろうというふうに思います。南関東地区においては、特にマグニチュード六ないし七のクラス、大体関東大震災クラスでありますけれども、そういうものが起こっても当然というように地殻構造がなっているというふうに最近非常に言われているわけであります。  そこで、政府としては、これらの予想に対して、具体的にどのような措置を考えているかということを聞きたいわけでありますが、いまの消防庁長官報告にもございましたが、今後の問題として、地震災害についても、地域特性に応じた災害対策を樹立するというようなことが問題点として入っているわけであります。したがって、いままでこういう点が考えられていなかったということは、はなはだ残念なことと言わなければならないのではないだろうが、しかし、問題点として、早急にその問題を取り上げていくということは必要であり、緊急を要することだと思うわけであります。そこで、具体的な質問をしたいわけでございますが、本年の八月に、東京都においては、「東京震災予防計画概要」というものを発表されたわけでありますが、その内容を誌みますと、あまりこまかくは申し上げませんけれども、いま言った条件の中で、東京都としては、これだけ過密になった都市に、もしマグニチュード程度地震が起こったとすれば、一体どうなるかということを子想をいたしております。それを読んでみますと、想定を、マグニチュード七・九、震度六、風速八メートルという想定をした場合に、特に、墨田、江東、葛飾、江戸川等の非常に低い地域、いわゆるゼロメートル地帯においては、非常な災害が起こるんではないかというふうに考えております。地震に伴って当然火災が起こるということで、出火の想定を七百三十件というふうに考えておりますし、人的な被害は、このもとでは十七万人というふうにしております。ただ、この場合、マグニチュード七・九、震度六という想定でありますけれども、真下でマグニチュード七・九のものが起こった場合には、約五十七万人の人が死ぬのではないかというふうな想定もなされているわけであります。関東大震災においては、東京におきましては、約二・五%の人がなくなられたわけでありますが、横浜においては、五%の人命を失っているわけであります。東京都約一千万、五%とすると、約五十万の方々が人的な被害を受けるんではないかということが盛んに最近言われているわけであります。特に、御承知のように、最近の建物については、非常に有毒ガスを発生するところの新建材等が使用されております。将来に向かっては、そういうものに対する対策を立てておられますけれども、既往のものに対しては、何ら規制が行なわれていないわけでありまして、そういう点については、非常な問題点がある。また、煙ですね。それに伴うところの窒息死というのは、千日デパートの火災その他においても明らかなように、非常な問題が起こっているわけであります。  そこで、こういうふうな形における、いろいろの具体的な震災対策概要というものが発表されておりますので、まず、第一は、大臣は、これをごらんになられておられるかどうか。ごらんになっておられるとするならば、この東京都の震災予防計画についての考え方に対してどういうふうにお考えになっておられるか、ひとつ、お答えをいただきたいというふうに思います。
  6. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先に、専門家から……。
  7. 鎌田要人

    鎌田政府委員 東京都の震災予防計画については、実は、私、着任早々東京都から説明を詳細に聴取いたしました。内容は、先生御案内のとおり、まず、第一は、ただいまお述べになりましたような事態を想定いたしまして、東京都として、現在の行政財政システムの中でできる最高限のことをやろうということでございまして、金めで申しますと、一兆二千億というものでございまして、重点といたしましては、まず、一つは、都が持っておりますところの警察庁舎あるいは消防庁舎学校、こういった公共建築物というものの耐震化ということを徹底してやる。それから、第二には、防災見地からの早急な町づくり、ということでございまして、特に、避難道路というものを中心にいたしまして、その一帯の不燃化をはかっていく、避難道路並びに避難地区というものを中心にしての不燃化防災化をはかっていく。こういったことを主たる柱としておられるわけでありまして、私ども、率直に申しまして、この計画というものを早急に実施に移していただきたい、そのために必要な財政的な見地からの手当てというものは十分にやるべきだと考えております。また、政府各省におきましても、これは建設省にも所管がございますし、厚生省にも関係がございますし、むろん、通産省にもあるわけでございますし、われわれにもあるわけでございますが、そういう政府各省施策といたしましても、この都の計画というものを援助するという姿勢が必要ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  8. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は、感想を大臣にお伺いをして、詳細を長官にお伺いしようと思っておったのですが、どうも、逆になったようでありますが、けっこうでしょう。  それでは、一兆二千億の問題について、ちょっとこれから長官にお伺いしたいと思いますが、いまお話しのありました総額一兆二千億、五カ年計画で、四十八年から五十二年まで、そして、その内容としては、都市施設強化防災都市づくり火災予防避難場所等安全確保都民協力というような項目が含まれております。しかし、一兆二千億という内容を五年間でやるということになりますと、一年間二千億をこえるということになります。東京都の予算は、大体国の予算の約一割であります。十四兆なら、一兆四千億であります。一兆四千億の中から新たに毎年二千億の経費を出していくというようなことは、これは地方財政を担当した者として、私は、とうてい独力でやれるものではないだろうというふうに思うのであります。ですから、財政的に言うならば、いま長官が言われたように、各省がこれに協力をしていくということが何よりも必要だというふうに思うわけでありますけれども、それでは、具体的にお伺いをするわけでありますけれども、学校とか、病院、警察、消防署、堤防、橋などの公共施設を、関東大震災級地震に耐えられるように改修するというようなことが、ほんとう現実にできるのかどうか。やればできるのだということでありますけれども、現在ある建物を、関東大震災マグニチュード程度のものに耐え得るように改修をするというようなことができるのかどうかということであります。  次に、いま、東京都が、その中で考えておる防災拠点江東地区のようなところを、全部建物をこわして、さら地にして、新しい都市の再開発をして、防災建物を建てて空地を置くのだという考え方、これは非常にけっこうなんですけれども、いまの政府考え方発想の方法の中で、東京都の言われた五カ年の中で、また、毎年二千億をこえる財源を使って東京都がこういうことをやろうとしても、現実に、政府各省当局ほんとう意味発想の転換の中の協力がない限り、とうていでき得ないというふうに私は思うわけでございます。そういう点で、東京都の提案は、大胆で、かつ非常に緊急必要なものだと思うのでありますが、この点について、長官決意をもう一度お伺いしたい。
  9. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私は、率直に申しまして、東京都の今度の地震に対しまする防災計画の立案に対しては、非常な敬意を払っておるわけであります。これにつきましては、都として、今後少なくとも大地震の発生というものが予知せられる危険期に入ってきておるわけでありますから、都の行財政施策重点をこの一点に指向される、重点的な投資配分をやっていかれるということは当然だろうと思うわけでございまして、そうなりますと、当然、公共事業採択といった面で行なわれるものもございましょうし、あるいは、都がみずからの財源で行なわれる、いわゆる単独事業というもので行なわれる、こういうものの組み合わせによって事業推進されるであろう。そういうことになりますと、やはり、公共事業優先採択といった面で、当然、政府としても協力をすべきであると思います。単独事業ということになりますれば、これは、当然、都のいわゆる自主財源と起債ということに相なるわけでございますから、この点につきましては、幸いと申しますか、四十七年度後半から、地方税、特に法人関係税中心にいたしました自然増収もかなり大幅なものが期待をできるという状況でもございますので、都として計画的に重点的にやっていかれるという姿勢に対して、私、財政を離れましたけれども、少なくとも、自治省として、地方財政を預かる立場としては、都民一千万の生命と財産を守るという見地から、これは優先的に配分を行なっていくべきだというふうに考える次第でございます。
  10. 山田芳治

    山田(芳)委員 ぜひ、そういう姿勢に立って、東京震災予防計画がコンクリートに——年次計画あるいは具体的な各省にまたがる改修計画であるとか、新しい町をつくる形において、東京都において、具体的に年次別にやられる際には、財政局長の経験を豊富に持っておられる新長官として、この大きな仕事にぜひ協力をしてやっていただきたい。また、自治大臣にも、消防庁を所管する大臣として、各省の中でこの問題について十分やっていただいて、東京都民が安心をして、地震が起こってもまくらを高くして寝られるような体制に持っていくということをひとつお願いいたしておきたいと思います。  具体的な年次計画が出た場合、それに広じてやれるかどうか、ひとつ、長官決意を聞かしていただきたいと思います。
  11. 鎌田要人

    鎌田政府委員 都の計画説明伺いましたときにも、都のほうからお話しがあったわけでございますが、あの計画は、ある意味において、応急暫定計画である。いま、別途、東京消防庁中心にいたしまして、都内火災危険度、あるいは火がどんどん延びていく場合の、その延焼の予想といったようなもので、東京都内を大体二百五十メートルのメッシュで切りまして、危険度の高いところから優先的に対策をやっていく、こういうこともこの秋ぐらいにはその調査がまとまるということで、ある程度ローリング・システムで考えておられるようでございます。  この計画というものにつきましては、もちろん、まだ、もっと構想を詰めるべき点も多々あろうかと思いますので、そういう点も含めまして、政府として、先ほど申し上げましたような基本的な観点に立ちまして、促進方について協力、応援をしてやるべきだというふうに考えておる次第でございます。
  12. 山田芳治

    山田(芳)委員 ただいまのは東京都の震災予防計画でありますが、先ほど私が触れましたように、山形県の酒田地区であるとか、琵琶湖周辺であるとか、あるいは房総の付近は、地震危険性が非常に高いということを学者指摘をしているわけであります。先ほどの新しい地域防災計画の策定にもありますように、地震災害に対する対策については、ぜひ、もっと早く、もっと積極的に、学者意見等消防庁において十分聴取されて、地域の実態に応じた地震対策というものを、政府全体としても、各地方公共団体と一緒になって立ててもらいたい。最近地震の問題というものが巷間非常に心配をされている状況でありますので、東京都だけでなしに、その他の地域で、特に、地殻構造が変動を起こしているという地域については、科学的に、かつ具体的に、積極的な防災計画指導し、早急に打ち立てていただきたい。明日の関東大震災五十周年にあたって、私たちとしては、ぜひそれをお願いしたいと思うのでありますが、その点についてはどうでありましょうか。
  13. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御案内のとおり、昭和四十五年でございますか、消防審議会から関東地方南部大震火災対策に対する答申というものをいただき、あるいはそういったことを前提に置きながら、中央防災会議におきまして、四十六年五月二十五日に、震災対策推進要綱というものを立てまして、それに基づきまして、事前の地震予知防災体制避難体制、防火、あるいは不幸にして災害が発生しました場合の応急対策といったもろもろの問題につきまして、十三の分科会を設けまして、中央防災会議において現在取りまとめ中でございます。  政府といたしましては、そういう基本的な姿勢で、早急にこの分科会の結論を得まして、震災の総合的な対策というものを立てるというスケジュールに相なっておるわけでございますが、ただいま御指摘になりましたような地域的な問題の点につきましても、先ほど、地域防災計画作成状況についての御説明あとに申し上げましたように、私ども、いま、御趣旨の点も体しながら、指導に遺憾なきを期したいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 山田芳治

    山田(芳)委員 中央防災会議事務局からおいでいただいておりますので、この際、地震対策に対する決意をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  15. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答え申し上げます。  ただいま、消防庁長官が、政府地震対策につきまして、震災対策推進要綱から、十三分科会の経緯につきまして説明をされましたので、それについては省略いたしますが、四十六年に震災対策要綱をつくりまして、鋭意検討中でございますけれども、最近の地震、特に、根室沖地震等がございまして、政府におきましても、地震対策ということで、先般、七月の六日でございますが、中央防災会議を開催いたしまして、いろいろな地震対策のうち、特に重要な地震予知推進につきまして、関係省庁に、非常に多岐にわたる地震予知組織を強力な組織にして、しかも、予算等も強力につけて、地震予知実用化が一日も早くできるように推進したいということを申し合わせております。  それから、もう一点は、都市防災化でございますが、これも、先ほどからの御質疑にございましたように、非常に大事でございまして、建設省あるいは消防庁といったところが中心になりまして、江東地区等都市防災化推進するということを申し合わせております。  それから、第三点でございますが、地震が起こった場合の必要な防災体制でございますけれども、救急避難、警備、その他地震が起こったときのいろいろな救急体制を強力化するということで、関係省庁がそれに対して必要な連絡をとって行なうという三点について、特に、関係省庁の間で推進してまいるという中央防災会議の申し合わせをしたばかりでございます。政府といたしましては、これに基づきまして、さらに強力に震災対策について推進してまいりたいと考えております。
  16. 山田芳治

    山田(芳)委員 大臣に対する質問は三十分と申しますので、もう一問大臣決意を伺って、あと、こまかい点は、午後、長官以下に伺いたいと思います。  そこで、大地震が起こったときの、それに対する対策並びに——火災か当然起こるであろうと予想されるわけでありますが、そういう場合に、今後そういう地震対策を積極的にやっていかれるわけでありますが、いま、ちょうど、八月の末をもって、自治省としては、来年度予算要求をされているわけであります。先般自治省の発表をされた予算要求を見ますと、大震火災対策費五億九千六百万円というわけであります。で、これは読売新聞でありますが、「「震災」たった六億円」という表示があるわけであります。六億円が少ないか多いかという議論は第二として、こういう問題に対して、この予算を含めて、明年度地震の起きたときにどうするかということについての大臣の基本的な方針をひとつお伺いをいたしたいというふうに思います。
  17. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど来御説明申し上げておりまするように、地震予知体制強化、それから火災の防止、避難訓練——ところが、これは、私ども中央防災会議に出ましても、図上訓練の域を出ないのですね。東京都では、各区で、明日も相当実地的な訓練をするようでありますが、東京都でもっと大きな訓練をしなければならぬ。図上計画なんというものは、ゴルフプロゴルファーの本を読むようなものでして、読んで玉が飛ぶならば、みんなプロになる。私はゴルフをやりませんが、最近、人にすすめられて本を読んでおりますが、本は頭に入りますけれども、さあ、やってみたら、やっぱりだめなんでしょうね。それが、図上訓練というものと実際の演習との大きな開きだというふうに私は考えまして、そこで、明日は、坪川総務長官を先頭に立てて、建設大臣や私なども現地をつぶさに視察する。しかし、視察というようなことは、われわれが一時間や二時間見たところでどうなるものでもありませんが、地震対策なり火災対策というものについての、国家的な、国民的な気持ちをかき立てるのには大いに役に立つと思うのです。それで、これを契機にしまして、実際問題としての訓練をもっともっとほんとうに行なうべきではないか。特に、関東大震災の場合と違いまして、自動車が激増いたしております。自動車そのものは、火災対策から言うならば、危険物であります。そればかりか、避難を活発ならしめるのを妨害する。ですから、消防庁においては、避難のときは身一つで、まさに、命からがらという形で単身逃げるように、荷物に執着はあろうが、荷物を持ったりするということがかえって大事を、連鎖反応を起こさせるもとになるという指導をもうすでにしておるわけでありまするが、特に、東京都の震災対策として言うならば、好むと好まざるとにかかわらず、消防はもとより、警察ももとよりですが、自衛隊も、図上作戦参加というかっこうだけでなしに、一体ほんとうに何をやってくれるのか——災害出動というのは自衛隊の任務条項にもあるのですから、要請があれば出られることになっておるのですから、自衛隊が存在する以上、イデオロギーに反するから、そんなものに助けてもらわぬでもいいというようなことは、私は、行政をあずかる責任者としては、これは言い過ぎじゃないかと思うのですね。ですから、そういう防災体制避難体制というものに日本のあらゆる装備を思い切って集中して、そして実際にやってみる必要がある。これは、あらかじめ予告をしておけば、必ずできることだと思うのです。これを中央防災会議において取りまとめておられる坪川総務長官に強く要請しておるような次第でございます。  それから、消防庁として、直接の地震対策や何かの予算措置がいささか少ないではないかということは、御指摘の点は私も認めます。しかし、この間うち、予算を取りまとめておるときに、たとえばこの間退任しました降矢次官も、消防庁長官から次官になった。宮澤長官も、消防庁長官から今度次官になりた。有能な鎌田長官も、おそらく将来次官になるでしょう。ですから、考えてみるというと、ここのところ、数代、とにかく消防庁長官から次官になるということは、ただ人事のバランスをとる上の便宜措置であってはならぬ。少なくとも、これくらい地震対策のことが言われ、しかも、地震の周期が来たというような声がささやかれておるときに、これはまことに打ってつけの人事であるから、予算措置等においても、大蔵省では二五%増ということを言っておりますが、いままでの消防庁自体の予算が少なかったのだから、これはひとつ大いに予算を伸ばしてもらうべく、大蔵省には私も折衝するし、また、地方行政委員会の御協力も当然得なければなりませんが、ひとつ、もっともっと予算の裏づけをしようじゃないか、そして近代化をしよう、科学化をしようということで進めておるわけでございます。まあ、一々あげられる数字は決して多いとは私も思っておりませんが、在来の積み重ねもあることでございまして、来年度予算二五%増というのを、消防庁の場合は一九〇・四%ということで要求をしようということで、まあ、ここらあたりに私どもの決意を御了察いただければたいへんありがたいと思っておりますが、また、今後にかけてぜひ御協力を願いたいと思います。
  18. 山田芳治

    山田(芳)委員 地震に対する恐怖というか、地震に対する不安というのは全国民の中に広がっておるわけでありますから、もちろん、消防庁だけではなくて、中央防災会議の主管である総理府総務長官をはじめ、全閣僚一致して、地震対策については、明日の関東大震災五十周年という時期を一つのポイント、チャンスとして努力をし、的確に取り組んでいただくことを要望して、大臣に対する質問は終わりまして、あとは、午後、長官以下に質問をいたしたいと思います。
  19. 上村千一郎

    上村委員長 三谷秀治君。
  20. 三谷秀治

    ○三谷委員 大臣に対する質問と、長官に対する質問と、どこで区別していいか、よくわかりません。ですから、特に、大臣が御承知ないような点について、ついていきたいと思います。  いま、大臣が、明年度予算の問題を言われましたが、その予算をどう使われるのか。従来、消防力の基準というふうなものがありまして、器材の整備に非常に力点を置いていらっしゃる。器材はふえたけれども、人が足らない。だものですから、七人定員の消防車に、三人か四人しか乗っていない。したがって、二本あるホースが一本しか使えないというのがいまの自治体消防の現状なんですけれども、この人員の不足などについては、どのようにお考えになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  21. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御案内のとおり、わが国の消防の実態は、百二十万の消防団員、それから、常設消防によりますところの八万の消防職員、これによって行なわれておるわけでございますが、特に、最近におきまして、たとえば、十年間に消防団員が三十五万人も減るというようなこともございまして、一方において消防団員の確保をはかりながら、常備消防強化というものをはかってまいっておるわけでございまして、地方財政計画におきましても、ここ数年来、毎年千五百人ないし千九百人の増員をはかっておるところでございます。  御案内のとおり、消防力基準というものがございまして、これを目標にいたしまして施設の整備をはかってまいっておるわけでございますが、御指摘のとおり、この人員の増加というものにつきましては、これに現実が伴っておらないといううらみがございます。この点につきましては、実は、率直に申しまして、市町村の中にも非常にむずかしい問題があるようでございまして、たとえば、人口十万人の標準団体におきまして、基準財政需要の計算におきます消防職員の程度は、ことしで七十九名にいたしておりますが、現実は、十万程度都市の平均をとりますと七十一人という状況でございまして、現実に基準財政需要で見込んでおります額と決算額というものを比較いたしますと、決算額のほうがそれを下回っておる。こういう状況もございまして、この辺のところを、市町村の中における消防力の、特に人的な整備の面についても、市町村長さん以下もう少し御認識を願わなければならないのではないだろうかという感じが、着任いたしましてちょうど一月でございますが、私、率直にいたしておるのでございます。そういう自治体面での努力、それから、私どものレベルでの努力というものを合わせまして、この人的整備という面並びに、後ほどまたお尋ねがあろうかと思いますが、勤務条件の面、こういった面についての改善をはかりながら、優秀な職員の確保というものをはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまの答弁で万事尽きるわけでありますが、大体、人員は、八〇%程度は充足しておる。そこで、普通の火災等々には十分対応できるという形で、地方と合意をしておるわけです。しかし、いま消防庁長官も言いましたように、やはり、地方公共団体の長にもっと熱意を持っていただいて、災害というものは忘れたころに来るわけですから、十分充足されることが望ましいというように感じております。
  23. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま、長官の答えを聞きましたが、幾つかの問題があるのです。まず、消防力の基準ですね。これはおもに器材の問題ですけれども、その基準と交付税の基準人員、これが全く食い違っているわけなんですね。ですから、器材の整備は、消防力の基準でやかましく言っている。しかし、それを整えるためには人員が要る。その人員をそろえるための交付税の算定は、消防力の基準と全く懸隔があり過ぎる。この矛盾を一体どうするかという問題ですね。  それから、もう一つは、あなたもいまおっしゃいましたけれども、決算額と需要額が非常に差があるとおっしゃっておる。これは、地方財政の矛盾を象徴的に示しているのですよ。つまり、消防という問題は、大きな災害などに対する重要な課題ですけれども、住民の日常ふだんの要求じゃない。そこで、保育所とか幼稚園というふうな日常要求というものが市町村を突き上げている。交付税は特定財源じゃないから、消防の需要ワクをそこに流していく。これが決算額の減少する大きな原因になっているわけであって、これは、市町村長をとやかく言うよりも、地方財政全体の問題の改善をはかっていく中で解決しなければいけない問題なんですよね。そういう問題がありますが、たとえば、いま、大臣が、八〇%充足しているとおっしゃったけれども、何を基準にしてそれをおっしゃっておるのかお尋ねしたい。  私は、幾つかの例をあげましょう。例をあげぬと、抽象論になってしまうからね。  東大阪市という市があるのですね。私の住んでいる市ですけれども、ここでは、消防力基準に基づく人員というのは千百七十五名要るわけなんですが、交付税の基準人員が四百三人なんですね。そして、現在員が三百七十三人しかいないという状態になっておる。また、この間大火の起きました釧路におきましては、消防力の基準人員というのは六百人になっている。交付税の基準人員が百五十八人になっている。現在員が二百三十三名。こういう状態になってきておりますね。ですから、これは、あなたがおっしゃいますように八割充足というふうなものじゃないのですが、その八割というのは、消防力の基準からおっしゃっておるのか。交付税の基準人員からおっしゃっておるのか。何を基準にしておっしゃっておるのか。
  24. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、あなたがいま消防職員が足りないがどうするという冒頭の御質問でしたから、要するに、設備、器材に対する人員比が八〇%であるということですが、これは決して多くございません。まあ、しかし、消防士の旺盛な士気、責任感といったものでおおむね事足りておる、しかし、今後にかけては、地方公共団体の長も、もっと熱意を傾けて充足してもらわなければならぬ、こう申し上げたわけです。
  25. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま、大臣が八割と申されましたのは、現在市町村が保有しております消防施設に対しまする人員の充足状況ということでございます。
  26. 三谷秀治

    ○三谷委員 現在の消防力の基準による器材に対する人員が八〇%というわけですか。交付税の基準じゃないわけですか。交付税の基準に対しては何%になりますか。
  27. 鎌田要人

    鎌田政府委員 交付税の基準について、直接私のほうで調査をいたしたものはございませんが、一つの御参考として申し上げますと、いわゆる標準団体におきまする交付税の基準財政需要で見込んでおりますのが、消防ポンプ自動車でございますと六台、それに対しまして、現実の保有状況は五・六台、あるいは化学車、はしご車で、合わせまして二台でございますが、それに対しまして、現実の保有状況が一台、あるいは、救急自動車につきましては、基準財政需要で二台、それに対しまして、現実の保有状況は一・八台、こういうことでございまして、交付税の基準財政需要に見込んでおりますものと、現実の保有状況からしますと、交付税の基準財政需要で見込んでおるものはやや上目であるということは言えようかと思います。
  28. 三谷秀治

    ○三谷委員 消防力の基準に対して、現在、充足率というのは四割程度ということが言われておりますし、私が調べてきました東大阪市では、三・三四割という程度に終わっているわけです。ですから、国がきめました消防力基準の四割程度しかいまは充足していない。それに対して八割の人員しかいないというふうになってきますと、これはたいへんな問題だと思いますけれども、こういう状況にあるということですね。これについては、どのようにお考えになっているのか。それで、八割だから、とにかく間に合っているんだというふうな意味のことをおっしゃいましたが、そうしますと、消防力基準の四割の充足であって、その八割の人員しかいないという現状ですね。消防力の基準なんというものは何ですか。架空な数字にすぎないというわけですか。
  29. 鎌田要人

    鎌田政府委員 こういうことになろうかと思います。消防力基準に定めておりますところの施設基準に対しまして、現実の充足状況は、消防ポンプ自動車で申しますと約六割でございます。でございますから、消防力基準に対して、この現実の施設の保有状況が六割だ、その六割に対して、人間の充足状況というものが八割だ、こういうことでございますから、その点につきましては、私ども、決して満足すべき状態ではないと考えていることはもちろんでございます。  ただ、一言つけ加えさせていただきますと、現在の消防力基準は、たしか昭和三十六年でございましたか、きめたかと思いますが、その後におきまして、施設の内容につきまして、消防の実態というものから見まして、ある程度見直しを行なうべき面もかなり出てまいっております。そういったこともございまして、消防力の基準について、ある程度改定をしなければならない。そういう作業も一方で行ないながら、それに対する充足割合というものを高めてまいりたい。ただ、御案内のとおり、いままでの非常に長い間のおくれというものを一ぺんに取り戻そうということになりますと、かなりの財源というものを短期的に、集中的に使わなければならないということにどうしてもなりますので、やはり、ある程度年次計画によって充足をはかっていく、こういうことを基本に置いて考えてみたいというように考えておる次第でございます。
  30. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまいろいろおっしゃっておりますけれども、実際の状況というものが、あなたの説明ですと、器材六割充足ですとおっしゃっておる。六割なら六割としておきましょうか。六割の器材が満足に稼働しない。つまり、七人乗り消防車に三人か四人しか乗っていない。それだけ乗って走っているんだというのが、大阪市や東大阪市消防関係者の説明なんです。ポンプが二本ありますけれども、一本は使えない。だから、器材が一〇〇%の効率を発揮しないという状況になってきている。それがいまの消防の状態なんですよ。そういう消防の実態を等閑視しておいて、災害対策だ、震災対策だと言ったところで、基本になるところは一つもこれは解決していない。これは一体どう解決するかという問題が何といいましても急がれなくてはいけませんよ。  もう一つは、さっき言いましたけれども、消防の費用。交付税の基準にしましてもそうですけれども、これは特定財源じゃありませんから、一般財源として渡すわけですから、地方財源が枯渇してきますと、消防の交付税というものを、住民の要求のきわめてきびしい方面に流用せざるを得ないという矛盾がある。これについてどう解決するのか。この問題を含めて考えていかなくてはいけませんから、これは、消防庁長官じゃちょっと無理なんですね。そうすると、やはり、自治大臣がこの問題の根本策を考えてもらわぬと困る。
  31. 江崎真澄

    江崎国務大臣 したがって、私ども、さっきも山田委員質問にお答えしたように、本年度はいろいろな制約はありまするが、各省一二五%に対して、一応一九〇%を上回る予算要求をしていこうということは、これは決意のあらわれです。それは、二〇〇でも、三〇〇でも、要求してできないものではありませんが、御承知のように、予算要求も、例年の積み重ねの上になされるわけですから、それをにわかに一挙にというわけにもまいりませんが、少なくとも、別扱いで予算措置を充足させて、いま御指摘のような点は、すみやかに解消をはかりたいと考えております。
  32. 三谷秀治

    ○三谷委員 数字だけあげて、すみやかに解消とおっしゃいますけれども、この数字というのは、いろいろな方面に災害対策震災対策があるわけですから、消防のほうにどのように使っていかれるのか、消防のどの点を改善されるのか、これをお尋ねしたいわけですよ。たとえば、国庫補助金につきましても問題があります。消防施設器材については、消防施設強化促進法によりまして、国の補助を定めていらっしゃる。二分の一とか、三分の一とか、補助のたてまえになっている。ところが、基準額が実情に合わぬわけなんですよ。ですから、二分の一とか三分の一とか言いながら、実は、五分の一とか六分の一にすぎない。たとえば、これは全国共通した問題でしょうけれども、ガソリンエンジンのホイールベース二メートル級の政府の基準額は百九十五万だというのです。ところが、百九十五万じゃ、こんな車は絶対買えませんよ。三百万から三百五十万しております。そうしますと、あなたのほうが三分の一補助というたてまえでお出になりますのが、六十五万ですよ。しかし、実際に使います額というのは三百万ないし三百五十万ですから、補助額が一九%、一五%、この程度に終わっている。それで、三分の一補助だとおっしゃっている。つまり、超過負担が出てくるのですね。はしご車にしてもそうでしょう。三十八メートル級で、政府の基準額というのは二千七百六十九万円になっておりますね。ところが、これは、実際価格というのは四千三百万なんです。二千七百六十九万という基準をつくりまして、その三分の一ですから、九百二十三万しか出さない。そういう状態になっているのですね。これは、化学車、小型動力ポンプ、無線電話機、防火水槽、すべてそういうふうになっている。全然実情に合わない基準単価をきめてしまっている。その実情に合わないものの三分の一、二分の一補助ということになってきているのですね。たてまえはそうじゃないでしょう。実際価格の三分の一であり、二分の一でなければならぬわけですよ。そうなっていないものですから、消防力基準をつくりましても、実際は充足できない。こういう問題がありますね。こういう問題についてはどうでしょうか、大臣。いまたくさん予算比率をおっしゃっていましたから、こういうことは解決するんだという、つまり、その計算に立ってその予算の請求をなされておられるのか、どうか、そういう点を具体的にお聞かせ願いたいと思う。
  33. 江崎真澄

    江崎国務大臣 あなたの御質問のポイントも、ちょっと違うのは、消防というものは、本来、自治体の責任というところから問題が始まっておるわけです。したがって、政府が自治体に全部補助をしてやってもらおうということでは、これは自治消防ということになりません。したがって、いままでの制度の上から言いますと、消防は自治体の責任において行ない、政府はこれを奨励する意味で補助をしていくという仕組みになっておりまするから、奨励ですから、これは、やはり、なかなか地方の要請どおりにとはまいりません。したがって、超過負担ということばとはちょっとこの場面は違うわけでございます。しかし、補助制度としては、実勢価格に見合った単価であるべきです。したがって、毎年その改善に努力をしてまいったところでありまするが、この補助単価等の是正については、言うまでもなく、今後とも努力をしていきたいというふうに考えます。
  34. 三谷秀治

    ○三谷委員 大臣、あなたのお答えが少し私は合点がいかぬのですけれどもね。消防が自治体の消防であるとおっしゃっている。たてまえはそうなっている。間違いない。それは、地方自治行政そのものがそうなんですよね。地方自治行政そのものが、要するに地方自治の行政になっている。それは、たてまえとしては、地方自治は当然自主的にやるべきものだということから言いますと、地方財政における超過負担なんというものは存在しないという論理になってくるのですよ。私がここで聞きましたのは、消防施設強化促進法という法律によりまして国の補助が規定されているが、その規定に従って金を出さないから、この規定を基本にして計算していきますと、国が出すべきものを地方が負担するようになっている、超過負担だ、こう言っているわけなんです。ですから、たてまえ論というのはおいておきましょう。たてまえ論というのは、いまにおきましては、地方自治なんと言ったって、三割自治と言いまして、どだい、たてまえなんというのは言うだけであって、実態がそうなっていない。実態に基づいて論議しませんと、事実に基づいた議論になっていきません。  そういう点からしまして、いまのようなこういう消防の器材にまで超過負担が出る。計算はごく単純なものですよ。政府が調べたって、自治体が調べたって、はしご車やポンプ車の価格が違うというようなことはあり得ない。だから、これは、基準というのは基準として明確にしていく、それに対してきめられた比率の補助を出していくということをやっていく責任がやはりあります。そういうたてまえに立っておやりになるのかどうか、お尋ねをしたい。
  35. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういう、おっしゃるようなたてまえに立ってやろうとしておるわけです。そこで、また、自治体にしましても、これはたいへんけっこうな傾向ですが、超過負担というような気持ちでなしに、基準よりも艤装を増加させ、余分なものを付して便益に供するというか、一そう効率化をはかるという傾向があるわけです。したがって、その分にまで補助と言われても、これは困る場合もありますが、お互いによくしようと思って努力をしておられるのですから、そういうことは、国の財政も豊かになればなるほど行き届くように是正していくことは当然必要ですから、ひとつ、大いにそういう方向で努力してまいりたいと思います。
  36. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、一般論で努力するというのでなしに、変えなければいけませんがな。摂津市みたいに、また訴訟を起こして、裁判所で争うというようなことを繰り返しても意味がない。当然やるべき義務があるものをやっていく。あなた方は行政上の恩恵だと思っていらっしゃるが、恩恵じゃない。義務なんですよ。法制上の義務なんです。そこをやはり明確にしていく必要がある。  もう一つお尋ねしておきたいのは、消防救急業務を押しつけるのですね。この人が足りない。機材も足りない。非常に無理な状況になっている。消防救急業務の責任を持っているのですね。そして、ことしの七月などは、気温の上昇で暑気当たりが続出しまして、東京では、七月十五日には、救急車が延べ千回出動したというのですね。こういう状態が、消防に対するたいへんな労働の負荷といいますか、過重になっていく大きな原因になっておりますが、政令によりますと、救急自動車一台について、救急隊員三人以上という編成をやるということになっておりますね。ところが、実際には、救急隊の専任隊員はそないにはいないし、また、つくれない。それが実際の状態になっている。そして、救急技術や知識のない隊員がほとんどである。しかも、災害の激増に伴いまして、救急自動車の出動回数が年々増加してきている。救急車には医者や看護婦は乗っておりませんから、道路の閉塞で車が走れない中で、緊急の処置もやれない。そうしますと、救急車には医師と看護婦を乗せる必要があるのですよ。この救急業務は、消防に属するのでなしに、医療業務に付随すべきものだ。これを消防業務にくっつけるのが不自然だ。ソ連などのように、保健所ごとに救急医療センターもつくりまして、救急医療活動はここに移管すべきだというふうに思いますが、この点はどうでしょうか。
  37. 鎌田要人

    鎌田政府委員 救急業務は、消防法あるいは消防組織法で明示しておりますように、非常災害の場合に、国民の生命、身体というものの安全をはかるという消防の基本的な業務の一つに入るというふうに考えるわけでございまして、この救急業務というものを消防から離して病院に持っていく、あるいは保健所に持っていくということは、現在の段階では、私どもの考えておらないところでございます。  ただいま、基本的な姿勢はそうでございますが、救急業務の実態というものにつきましては、やはり、非常に問題がございます。まず、火災救急だけの業務でございますと、全体の業務量の半分に満たない。結局、急病人、お産というようなことにも、市民サービスとしてやっておるわけでございまして、その結果が、昭和四十六年で、二十七秒に一回出るという、こういう非常な激務になっているわけでございますが、それに加えまして、せっかく救急隊員が走って送り届けましても、お医者さんに断わられる、たらい回しになる、そういう意味の医療体制の受け入れの不備という問題がこれに輪をかけて、非常に救急業務に負担になっていることは事実でございます。そういったことがございまして、救急医療という面とこの消防救急体制というものをどういう形でうまくドッキングさせるか、いわゆる救急医療の指定病院というもののあり方という問題をむしろ解決すべきではないだろうか、そっちのほうがうまくいかないから、救急業務と離して病院にくっつけたら、こういうことになりますと、今度は、また、医療行政それ自身の問題として問題があるのではないだろうか。何よりも、やはり、迅速な機動力を持っておりますところの消防隊員というものがこの救急業務に従事する、あとは、その受け入れの円滑化をはかっていく、そういった方向で解決をすべきではないだろうかというふうに考えまして、せっかく、これも、明年度予算におきまして、厚生省なり、あるいは自治省財政局なりといったところとも連携をとりながら予算要求をいたしておるところでございます。
  38. 三谷秀治

    ○三谷委員 指定医療病院が少ないという問題も重要な問題になっている。指定病院に対する国の補助が少ないから救急設備ができないとか、看護婦や医師が充足できないとか、そういう問題があるわけです。この救急問題というのは、主として医療体制の問題である。ですから、これは、大都市におきましては、医療センターというふうな新しい機能を設ける、そういう問題につきまして検討すべき段階に来ておるという状況、私はそういうようにも考えておりますけれども、研究をお願いしておきまして、時間が来ましたから、午前中の質問はこれで終わり、たいと思います。
  39. 上村千一郎

    上村委員長 小濱新次君。
  40. 小濱新次

    ○小濱委員 防災に関連して御質問をしていきたいと思いますが、関東大震災から、明日はちょうど五十年になります。私どもも記憶に多少残っておるわけでありますけれども、したがって、あす一日は、防災の日として、災害に対する心がまえを確かめ合う日、記念をする日になっておるわけであります。おりしも、二十九日には、メキシコで大地震か発生しております。また、きのうは、NHKのテレビで、「地震と大都市」という主題で、一時間半にわたって報道されまして、これは見る人のいい勉強になったと思います。それから、けさの報道ですと、南米のコロンビアでもまた地震発生のニュースが発表されておりました。そういうわけで、マスコミの間でも大地震の危険を取りざたした論議が最近目立っておるわけでございますが、一口に言って、われわれは大地震からのがれることはできない、これは日本人の宿命だ、こういうふうにあきらめ切っている向きがあるようでございます。ゆうべ、池上周辺の方々が大ぜいテレビに出席しておりまして、最後には、私も死ぬのではないだろうかというふうに思わざるを得ない、戦慄を覚えましたという話がございましたが、これはたいへんな問題であり、また、これに対する対応策を急いで取り行なっていかなければならないというふうに考えるわけでございます。  そこで、戦後三十年近い年月を経過した昨今、旧軍隊等が、戦時中に、その施設内やその周辺に築造した防空壕がいまだに残存しておるわけでありますが、これらの防空壕による危険を除去するためにこれからお尋ねをしていきたいと思うわけでありますが、戦時中に掘さくした防空壕の残存しておる現況を、まず建設省、それから農林省の御出席の方から……。たとえば、全国でそのままになっている防空壕の数はどのくらいあるのか。これは、大臣がわきまえておっていただければ話は早いわけで、結論をお聞きしてもそれでいいわけでありますが、ただ、順序として、その数字を示されませんと、その内容がわからないんじゃないかと思ってお話しをしておいたわけでありますが、大臣からひとつお考えをお尋ねをしていきたいと思います。
  41. 江崎真澄

    江崎国務大臣 前段の、明日の関東大震災五十周年について、防災体制を十分盛んならしめよ、十全を期せという御注意は、よく承りました。明日は、何でも、十一時五十八分の、あの大震災の発生時間にサイレンを鳴らすそうで、東京都民に対しては、中央防災会議東京都の消防庁との話し合いで、まず火のもとに気をつけるという注意喚起をしておるもののようでございます。私ども、あのときの状況を聞きましても、地震による直接の圧死といいますか、これは千から二千名程度ということを聞いております。あとの死者は、いわゆる火災による焼死者、これが数万に及んだわけでございまして、この間、「東京消失」という映画も見まして、これは閣僚にもぜひ見てもらうべきだと思って、消防庁の慫慂で見せてもらってから、閣議のあと全閣僚もこれを見ました。また、警察庁でも、特にこれを見て反省したわけでありまするが、対策には、今後十分留意して推進してまいりたいと思っております。  戦時中の防空壕が三十年近くも放置されておる、一体これはどういうことになっておるのかということは、建設省からあらかじめ御質問の要旨を承っておりましたので、聞き及んでおりますが、建設省の所管では約千四百カ所、農林省の所管では千六百カ所ということでございます。
  42. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣にお尋ねしていきたいことは、建設省、農林省のいま示された数字、その大きく開きのある数字が、全国からいろいろと資料が提供されているわけでありますが、それによって、地域住民が、三十年間もたいへんな悩みをかかえているわけです。ということは、戦時中、その当時は森林、山林であったもの、あるいは田畑であったものが最近では宅地になって、そして、その防空壕の上にたくさんの住宅が並んでいるというところから、地震が来たならばどうなるのか、その危険度が非常に高いので、そういう点で、地方自治体では、いろいろと独自の費用を使って、いままでに補強、埋め戻し等をやってきたようでありますが、とにかく、内容が数限りなくたくさんありますので、そういう点で、国への呼びかけを行なってきたけれども、いまなお何ら手を打っていただけない。しかも、地方行政をあずかる自治省として、この責任はやはり大きかろうというふうに思うわけで、自治大臣として、今後どういうふうにこの問題の処理に当たられるのか、それを私は伺っていきたいと思ったわけであります。どうか、ひとつ、防空壕に関する今後の対策、それからお考えをお示し願いたい、こういうことでございますので、いま一度お伺いしたいと思います。
  43. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ごもっともな御質問で、今日まで、防空壕そのものの建設の経緯とか事情等が違いますために、これを専管する省がなかったということで、ちょうど埋設砲弾の処理等と同じですね。実は、その埋設の砲弾については、私が防衛庁長官当時に、しきりに委員会で問題になりまして、ことしの予算に、わずかではあるが予算措置をして、総理府が窓口になるということで、このほうはまず一つ前進したわけなんです。  この防空壕につきましては、いま申し上げましたように、設置の経緯であるとか、形であるとか、処理経費の金額も一様でないというようなことで、いろいろ検討することが多いわけであります。しかし、これはじんぜんとほうっておいていいものではありませんので、明年度建設省と農林省で——これはとうしても両方にまたがるかといいますと、山林とか農地とかといったような、農林省所管のところにある防空壕は農林省にやってもらうことがよかろう、道路敷地とか公共施設とか、建設省関連の地域内にある防空壕は建設省の処置ということで分け合うがよかろうということで、それぞれ別途予算要求をしておるというふうに聞いております。自治省としては、地方公共団体が経費をこのことのために要したということになれば、交付税で見ていくということにしなければならぬと思います。そのあたりは、両省とも十分詰めまして、万全を期してまいりたいというふうに考えます。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員 ことしに入ってから、防空壕に対する調査の対象が示されて、そして進められてまいったわけですが、所管が建設省と農林省に分けられた。いわゆる市街化、あるいは森林、そういうふうに大体線引きをされて調査をしたということになっておりますが、そのことは、最終的にそのような決定をはっきりと認められたのかどうか、ただ、調査のために、便宜上そういうふうに分担をきめたのかどうか、私としては非常に心配な面があるわけであります。  それから、もう一つは、さあ調査ができた、その、今後の対策はどういうふうにするのであろうかという問題それから、その事業主体はどうなっていくのであろうかという問題こういうふうになるわけですね。したがって、その所管がはっきりしたかどうかという問題と、その対策はどうするのかという問題と、その事業主体はどこになるのかという問題、そういう点が煮詰まっていきませんと、来年度計画にも大きな影響があるだろうと思うわけですが、そういう点についてお答えをいただきたい。
  45. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま大臣から御説明がございましたように、明年度予算について、農林、建設から、それぞれ防空壕対策費の要求をいたしておるように聞いております。その場合におきましては、補助率を定めておりますので、地方公共団体に高率の補助率で補助金を交付する、事業主体は地方公共団体、こういうことになるのではないかというふうに私どもとしては考えております。
  46. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、そこのところをはっきりしなくちゃならぬと思いますよ。それで、八月ももう終わりであります。各省議も行なわれまして、すでに概算要求の段取りもできたかと思いますが、これはやはり大臣説明を申し上げて、その承認も得なければならぬだろうと思いますが、そういう点で、建設、農林、自治省とも、どういうふうな省議になっていったのか、その辺をはっきりしていきませんと、来年度ははたしてどういう形になって、この問題の——新規事業ということでこれは予算化されていくだろうと思いますけれども、その進めぐあいが私は心配でございますのでお尋ねしていきたいと考えておるわけですが、その点、局長のほうから、経過について伺いたい。全然手をつけていないのかどうか。
  47. 松浦功

    ○松浦政府委員 当省といたしましては、建設省、農林省のほうで御要求いただいた予算が、かりにそういう形ででき上がったといたしますと、地方負担の問題が出てまいります。その問題については、明年度地方財政計画なり、あるいは交付税措置なり、そういったもので対処するという基本原則は、すでに大臣もおっしゃったとおりであります。それ以外のことにつきましては、各省の省議の様子は、私どもとしてはちょっとわかりません。
  48. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、これは陳情書の神奈川県のやつですが、防空壕の個数が各市町別にこまかく出ておりますが、数字的には千五百六十カ所と出ているわけです。この間の新聞によりますと、危険度の一番高い防空壕をかかえている県は、やはり、神奈川県が第一位になっていました。こういう数字からいきますと、先ほどの建設省、農林省の数字から見ると、大きな開きがあるわけです。ですから、来年度予算も、建設省で調べたその範囲内、それだけの予算要求をされるのか。各都道府県市町村から出ているこの数字を合わせますと、たいへんな数字になるわけですが、こういう問題についての処理もしなければならないわけですね。たとえば、町内会等が指示を受けて防空壕をつくったというような個所もたくさんあるわけですが、それをどの程度処置しようとされるのか、そういう実態をよくつかんでいただいて、その上での概算要求というなら私も納得するわけですけれども、先ほど示された数字では、あまりにも低いので、そういう点で、あと残った防空壕の処理はどういうふうにしようとする考えなのかという疑問が出てくるわけですね。自治省としては、まだあまり手をつけていないような感じを、いまの御答弁の中から受けますが、自治大臣、これは危険度が非常に高い地域がたくさんあるわけです。私はここに写真を持ってきておりますが、でっかい自動車が入っていくような防空壕がたくさんあるわけです。それがいつくずれるかわからないという危険がいま起こっているわけです。そういうことですから、この対策をどうするのか。自治体の独自の予算では、とてもやりきれない。これはやはり国にお願いする以外にはないということでの陳情でありますが、この点、せっかく建設省も農林省もやる気になって調査に入ったわけですが、調べてみたら、自治大臣は、まだ、どこでも、この問題について発言しておられないようですね。御質問がなかったのじゃないかと思うのですけれども、建設省では、四分の三の国庫補助率を大蔵省に要請をしていきたいと言っておりました。農林省でも、考え方を私は伺いました。しかし、これは内々にしておいてくれということですから、ここで言うわけにはいきませんが、とにかく、すばらしい補助率の要求の率になっている。自治省も、残った分の処理をどうするかということになると、交付税ということですが、まあ主体ということになるのか、どういうふうになるかわかりませんが、そういうことですから、その点もよくひとつ大臣に御説明を申し上げ、承認をいただいておいてもらいたい。これはどうしても真剣に取り組んでもらわなくちゃならない問題でございますので、ぜひよろしくその点をお願いしたいと思いますよ。そういう点で、何かお答え願いたいと思います。
  49. 松浦功

    ○松浦政府委員 私どものほうで建設省関係についてきのういろいろ調べてみました。神奈川県には、民間の、町内会等でつくりましたものを含めて、千二百五十四あるという報告の写しをもらいました。そのうち、四百八が旧軍等でつくられたもので、残りの八百四十六は町内会がつくったもののようでございます。建設省予算要求をしようとしておりますのは、この、四百八の、旧軍等がつくりましたもののうち、危険なもの二百九十一カ所について予算要求をしておるようでございます。危険のないものにつきましては、別におくといたしまして、こういう形でございますと、町内会等のつくりましたものの中にも危険なものが相当あり得るということを推察をしなければならないと思います。この点については、建設省調査をいたしました意図とやや反した形で数字を各県のほうが報告をしたというような、経緯の食い違いがあるようでございます。建設省のほうで、この分についても検討をしたいという気持ちでおるやに聞いております。もちろん、それ以外に、国の対象としないで、地方公共団体がどうしてもやるといったものにつきましては、先ほど大臣お話しいたしましたように、起債なり、あるいは交付税なりということで、必要な財政需要に適切な処置をしていくということは、自治省の責務として当然であろうと考えます。
  50. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまの答弁で事足りておるわけですが、これは、御指摘になりますように、戦後三十年近くなりまして、こういうことを議論しなければならぬほど、日本は、実際問題として、いま経済的に困っておるわけじゃないですね。これは、景気過熱を鎮静させるという致上命令もありますが、少なくとも、国が責任をもって地方公共団体と話し合ってこの埋め戻しをするという努力をいたしますように、私、閣僚レベルでもよく話し合いを詰めたいと思います。
  51. 小濱新次

    ○小濱委員 私のほうの資料は、八月現在のやつをいただいてまいりましたが、建設省のほうのものを調べてみたら、何か、五月ごろをめどにして調査を続けたようでありまして、これは違いがあるのですね。これは当然だと思いますよ。ただ、あとから調べたものが、こういうふうにどんどんとふえてくるわけですね。ですから、新聞で発表された数字だけではなくして、その他これに準ずるものが相当あるということ、この考え方も、これからの対策の中に織り込んでいただきませんと、だいぶ食い違いがございますので、その点もよろしくお願いしたいと思います。  大臣もお忙しいようでありますから、これでやめますが、この問題につきましては、全国的な傾向であります。全国の都道府県からも、市町村からも、国会へ陳情の足を運んできております。この問題については、確信ある御答弁をいただきました。これは自治省で真剣に取り上げていかなくちゃならない問題であろう、主体としては、やはり自治省がならざるを得ないだろうという先ほどの御答弁でございましたけれども、そうだと思います。地方行政をあずかる自治省といたしまして、当然これはそうならなければならぬと思いますが、建設省、農林省も積極的に動きを起こしたようでありますので、来年度予算にもぜひ織り込んでいただきたい、そうして、これが完全処置ができますように特段の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  52. 上村千一郎

    上村委員長 この際、午後から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後十一時五十九分休憩      ————◇—————    午後一時五分開議
  53. 中村弘海

    ○中村(弘)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、出席できませんので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  消防に関する件について質疑を続行いたします。今井勇君。
  54. 今井勇

    ○今井委員 私は、消防、なかんずく、最近の火災によります被害の中で、炎によりまして焼死するという方よりも、むしろ、煙にまかれてなくなられる方が非常に多いという事例から、煙の問題を、各方面から少し突っ込んで御質問をいたしたいと思います。  まず、最初に、消防庁長官が見えておりますので、消防庁としては、煙に対してどのような対策をお持ちであるのか、まず、それを概括的にお話しを願いたいと思います。
  55. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、最近の火災は、煙による原因のほうが約五〇%で、炎による影響よりも、従来に増して重視される段階に入ってきているのが実情でございます。したがいまして、まず、建物自体の不燃化建設省に強く申し入れまして、内装制限、防煙区画等の強化によって、火災時の煙の発生をできるだけ極限する。それから、一方、可燃性のものについての防炎強化を徹底させることによって煙の発生を抑制するという、物的面からの規制を強化してまいっておりますが、一方、一たん火災になりますと、煙が拡散充満いたしますので、この排煙設備の義務設置、あるいは、避難口からできるだけ安全に人間が避難できるための措置等につきまして、煙対策強化してまいっております。  それから、現実消防隊が到着したときに、やはり、煙によって視程が非常に障害となっておりまして、逃げ惑うというケースがございますので、誘導の適切な指示というものについては、自衛消防の徹底をはかることによって強化さしておりますけれども、現場に消防隊が到着したときには、できるだけ排煙の効果のある救助対策を講ずるようにしております。  なお、設備につきましては、排煙方式がまだ具体的にはっきりしておりませんけれども、排煙車あるいは高発泡車を整備することによって、これらの排煙上有効な消防車を使いながら、具体的に人命の救助に当たっておる状況でございまして、煙対策というものは、いまや、火災における重大な関心事でございます。  さらに今後は研究を積み重ねて、できるだけ排気口から空気を送り込みながら煙を排気させる等の対策を講じつつ、火災による煙からの死者をできるだけ少なくする方向で努力してまいる所存でございます。
  56. 今井勇

    ○今井委員 概括的なお話しはそれでよろしいのでありましょうが、もうちょっと突っ込んでお話しを聞きたいと思います。  具体的に質問いたしますが、排煙と、いま御説明がありましたが、排煙車といいましょうか、普通消防といいますと、水をかけて火を消すということを連想されますが、むしろ、そのこととは別に、煙を早く吸い取るなり、あるいは煙を早く追い払うなりするような機動力を持った機械というものが開発されてしかるべきであろうと私は思いますし、また、そのような研究もされておるというふうに理解をいたしておりますが、では、消防庁では、どのような機械をいま研究開発されておるのか、あるいは、すでにあるならば、どの程度のものがどのくらいあるのかということを具体的に御答弁願いたい。
  57. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 昭和四十七年の三月現在におきまして、現地の消防で、排煙車を所有しておる台数が十台、高発泡車と申しまして、あわを押し込みながら排煙機能を発する消防車が二十台でございますが、実は、もう少し足りませんので、さらに、来年度は、十五台の予算要求で、補助金対象として高発泡車を要求いたしております。  いま申し上げましたように、自動車そのものの排煙機能というものは、まだまだ研究途上の問題が多々ございますが、この前も、厚生省のビル及び建築研究所のビルで、開口部をあけた場合、あるいは締めた場合に、下の出入口から空気をどの程度供給したらどの程度の濃度の煙が排出されるものか等について、具体的に研究を進めております。この結果が近々まとまる予定でございますが、そういう方式も今後はひとつ研究を煮詰めながら開発をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  58. 今井勇

    ○今井委員 そうしますと、ただいま常備されております排煙車十台、発泡車二十台、これは東京及び大阪というふうな大都会であろうと思いますが、どの程度の町までいま配備されておるのか。こういう火事というのは、必ずしも大都会だけに限らないのであります。いまの配備の状況と、今後配備されるような計画があれば、どの程度まで配備されるつもりなのか、たとえば、その年次計画等があればひとつ御答弁を願いたい。
  59. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 排煙車の整備状況につきましては、ただいま手元に詳しい資料を持っておりませんけれども、今後は、先ほど申し上げました高発泡車をできるだけすみずみの町村に至るまで配備することによって、排煙効果のあるものを配備していく所存でございますが、いま先生御指摘のとおり、東京横浜等の大都市において現在整備されておる状況でございますが、その具体的な効用の成果も見詰めながら、もう少し研究の結果を待って、その結果をどう具体的に近代化に結びつけるかということについて検討してまいりたいと思います。
  60. 今井勇

    ○今井委員 その問題はそのくらいにいたしておきますが、私の希望といたしましては、将来、少なくとも、県都といわれるような都会くらいまでには、そういうあわを出すことによって、いまおっしゃるようなことがもしうまくできるならば、そういうものを早急に配備するという方向で、これは早急に御検討を願いたいと思います。  建築基準法等によりましても、煙の出ないような、特に有害ガスの出ないようなものを使おうとする措置がいろいろと着々と構ぜられておる。また、ダクトあるいはエレベーターのシャフトが、その炎の、あるいは煙の、煙突にならないような形のためのいろいろな措置が講ぜられておりますが、そういうふうにいたしましても、全然煙の出ないというふうなことにはならないはずであります。煙に巻かれてなくなる事故を少しでも軽減するという態度が必要であろうと思うのです。そういう意味では、いまの課長の御答弁のとおりに、研究がはなはだおくれておるんではないかと思います。  そこで、これは鎌田長官伺いますが、長官の立場として、火を消すということと同時に、煙を早く除去するという態度を消防庁としてもお持ちになるべきだと私は思いますが、長官の御決意のほどを承っておきたいと思います。
  61. 鎌田要人

    鎌田政府委員 新米でありまして、課長に答弁をさせてはなはだ恐縮であったわけでございますが、いま、私も、質疑応答を伺いながら、いま御指摘になりましたところの、煙による被害を最小限度に食いとめるための事前事後の措置というものは必要であろうと思っておるのでありますが、特に、消防のサイドといたしまして、排煙あるいは高発泡車による制圧ということにつきまして重点を置いて、今後、消防施設の整備に進んでまいりたいというふうに考える次第でございます。
  62. 今井勇

    ○今井委員 そこで、建設省にお伺いをいたしたいのですが、最近の雑居ビル等の火事にかんがみまして、建築基準法の改正をされておるようでありますが、まず、その煙という面に焦点を当てて、建築基準法の中でどのような配慮をし、どのように具体的な改善措置をしておられるのか、まず、その御説明を願いたいと思います。
  63. 佐藤温

    ○佐藤説明員 最近の火災におきましては、おっしゃいますように、煙による被害が非常に多くなってまいりまして、建築基準法で、建物自体が燃えないようにすることはもちろん、煙の発生を極力押えていくような方向で改善検討を進めてまいっておるわけでございます。  これをちょっと体系的に概略を申し上げますと、従来から、建築基準法では、建築物の耐火性の確保ということが第一で、これとともに、煙の発生を極力少なくするという観点から、内装に用います材料等も、煙、それから有毒ガスの発生をきびしくチェックしたものを防火材料として使用させるようにしてまいっておるのでございます。それから、火災が発生いたしました場合にも、避難上に支障がないように防煙区画を設けさせること、それから、機械力によって煙を強制的に排出するような施設を設けるように義務づけておる。それからまた、当然避難の問題がございますので、避難上でも、重要な避難の経路になっているようなところに煙が流れていかないように、先ほど長官がおっしゃいましたような、階段とかエレベーター、それからダクト等につきましては、それぞれ防火戸、ダンパー等を設けて、煙がここから流れないようにするようなことをやっておるわけでございます。  最近の実例にかんがみましても、今回政令を改正いたしまして、第一点で申し上げました特殊建築物の内装につきましては、天井においてはすべて準不燃材料以上を使わせようということに改正をしたわけでございます。それから、避難の場合の経路となります階段等に用います防火戸につきましても、煙によって自動的に閉鎖をするような構造のものを設置するように義務づけてまいっておるわけでございます。  以上の二点を今回改正をいたしまして、煙の対策を、建築基準法の観点から強化をしてまいっているようなわけでございます。
  64. 今井勇

    ○今井委員 建設省の御努力は、それなりにわかりますが、私、寡聞にして知らないので、御説明を願いたいのですけれども、そのような改正をしておくというのは、今後建てられるべきものに対して適用されるのはもちろんでありましょうが、在来ありますビル等のものに対してさかのぼってやることはどうなのか。むしろ、それをしないと実効を得られないと考えますが、その点はどうなんですか。
  65. 佐藤温

    ○佐藤説明員 法律のたてまえから、基準法も、遡及して適用するような形をとっておりません。おっしゃいますように、御指摘の点が非常に問題であるわけでございますが、既存の建築物の中で、特に、大ぜいの人が出入りいたしますような劇場、ホテル、病院といったものにつきましては、新しい政令の観点からこれをチェックしてまいりまして、できるだけ現行の規定に合致するように指導をしてまいりたいと思っております。  これにつきましては、まず、第一に、どういう状況にあるかということを調査いたしまして、それから、ポイント、ポイントを一番有効的に改善できるような基準をつくっていこう、こういう考え方で現在進んでおります。
  66. 今井勇

    ○今井委員 これからは私の意見でございますが、少なくとも、公共的な建物につきましては、さかのぼって、いま申されたような、煙が入らないようにするような諸設備と申しましょうか、そういうものはやはり強力に進めるべきである。指導だけでなくて、させなければいけない。それは、たとえば一定の区域をきめるのも一つの方法でありましょう。全国一律というわけにはまいらぬでありましょう。それから、その建物の古さにもよりましょう。したがって、一定の基準、一定の限度は設けてもやむを得ないと思いますが、今後のものだけ適用するのであって、在来のものについてはやむを得ないんだという態度では、これはやはり非常に危険であると思います。また、そういうもののほうが、私のいままでの質問のような趣旨の危険が大いにある。また、再度同じような事故を引き起こす確率も高いというふうに私は思います。  そこで、いま申し上げたように、一定の限度を設けることはやむを得ないが、そういう限度の中において、さかのぼってこれを実施させるということをすべきだと私は思います。これについてはいろいろ問題もあろうと思いますが、そういうことについて、建設省課長として、御答弁しにくい点もあろうかと思いますけれども、どのような態度で臨まれるのか。もし、答弁できるならば答弁をしておいていただきたいと思います。
  67. 佐藤温

    ○佐藤説明員 遡及の問題につきましては、非常にむずかしい問題でございますので、先生のおっしゃる点をよく承っておきます。  それから、私ども、先ほど申し上げましたように、一定の限度を設け、現在の政令に合致するように指導してまいることにつきましては、強力にこれを推し進めてまいりたいと考えております。
  68. 今井勇

    ○今井委員 いまのようなことで、基準法では予防措置を着々講じようとしておるようでありますが、実は、私、そこで疑問に思いますのは、構造上あるいは内装の面で防火、防煙というものを考えていこうということですが、消防法第八条の三によりますと、「キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。」としておりまして、その防炎対象物品とは「どん帳、カーテン、展示用合板その他」云々と書いてあります。  そこで、私が御質問したいのは、たとえば、デパートであるとかスーパーであるとかという店の中で売っておりますもの、これはまあ商品であるわけでありますが、その中には、火がつきますと煙を出す、有毒ガスを出すというようなものもあると私は思うのです。そういうものが少量である場合にはさして問題にならないかもしれませんが、それがある一定量ストックされておるとか、あるいはそれが展示されておるとかというふうな場合には、それが即危険物たり得ると私は思うわけです。これは、規制をするといっても、事商行為の中の一部分ですから、なかなかむずかしいと思います。たとえば、店舗の内装をどうしろということとはおのずから問題が違うかと思います。しかし、これにメスを当てませんと、せっかく入れものはりっぱになっているけれども、中のものが燃えやすかったり、中のものが煙を出す、有毒ガスを出すということでは、仏つくって魂入れずではないかと思う。このような中で売られております内容物の規制、これに対しては、消防庁は基本的にはどう考えておられるのか、見解を承りたいと思います。
  69. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま先生が御指摘になられましたように、建物不燃化を進めてまいりますと、局限して考えますれば、物の可燃性をどの程度不燃化するのかというところに落ちつくのでございまして、可燃性物品の制限ということを何らかの形で考えざるを得ないのではなかろうか。それも、一般的にあらゆる対象物にというわけではございませんけれども、それが集積されることによって危害を不特定多数人に与えるという施設については、場所を指定して考えていく必要があるのではなかろうか。その他、いろいろございますけれども、はなはだ具体的な問題になりますとむずかしい問題がございますが、われわれのほうでは、前向きに検討していこうという姿勢でおります。
  70. 今井勇

    ○今井委員 実は、いまの御答弁では、必ずしも私は満足しないのですが、これはできないから、むずかしいからといって放置すべき問題ではないと私は思うのです。やってやれないことはないのです。何も、それを売るなと言っているのじゃないのですから、たとえば売る場所、売る方法、売る量、これに一定限度の制限を加えることが、いまの自由な商行為を制限するものとは必ずしも思わないですね。なぜ、そういう問題について、もうちょっと真剣にお考えにならないのか。  これはひとつ長官にお聞きしましょうか。この問題については、ただ検討するというんじゃなくて、具体的にその問題を一歩進める、そういうふうな御所存があるのかないのか、それをお聞きしましょうか。
  71. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私も、着任早々でございますので、いま課長から答弁いたしましたような内容——御趣旨こもっともだと思うわけでございますが、役人特有の逃げことばととられては困るのでありますけれども、おそらく、いろいろな現実上の問題があるのだろうと思います。と申しますのは、どの程度の可燃性の物品ということで区分けをしてそういう規制をかけるのか、こういう技術的な判定基準の問題がございましょうし、さらに、それから進みまして、具体的に、いま御指摘になりましたような販売の方法、場所、あるいは量といったものにどういう有効な規制を加えていけばいいのかということについて、まだ、こちらとして、十分に案を出すまでに詰まり切っておらないということが実情ではないかと思う次第でございまして、そういうことで検討という御答弁を申し上げたわけでございますけれども、この問題につきましては、ただいま申しましたように、私自身が、明確な認識をもってこういたしますということを申し上げるまでの蓄積をまだ持っておりませんので、早急に勉強いたしまして、前向きの方向で処理をするということで御了解いただきたいと思う次第でございます。
  72. 今井勇

    ○今井委員 いま、長官が、前向きで検討をするということでございますから、長官のお人柄からして、言いっぱなしではないだろうと私は思いますので、この問題は、また、おりを見まして、その後の状況等について問いただすことにいたしまして、御検討をぜひお願いいたしたいと思います。  そこで、ちょっと教えていただきたいのですが、よく、消防の方々が、家あるいは店舗をお回りになって点検をされますね。防火の状況はどうかというふうな点検をされますが、私は、ものの考えとしては、そういうときに、もし、法なりあるいは規則で規制できないにしても、絶えずチェックをする、勧告をするというくらいなら、少なくもできると思う。これは、見えるということが事前にわかって、そのときだけやって、あとは知らぬ顔では困るのですが、やろうと思えば、いまからでもできる部門があると私は思うのですよ。それを、そういうものをさておいて、抜本的にできないからやらないのだというものの考え方であっては困るということを私は申し上げておきたいと思います。  それから、次に、私は、防火という面から見て、地下街の問題をちょっと触れてみたいと思いますが、最近、各地で公共用地の地下に店舗等をかまえる、いわゆる地下街というものがたくさんできておりますが、これは、実は、考えようによっては非常にあぶない、危険なところであろうと思います。言ってみれば、モグラのようにたくさんの人が集まり、そこでいろいろな人の商行為なりが行なわれておる。万が一、ここで火事でもあるというようなことになりますと、これはいわゆるパニック状況を呈することであろうと思うのです。  そこで、この問題については、すでに何人かの先生方が指摘されておりますが、その議事録を拝見いたしまして、私もこれから質問いたしたいと思いますが、各省にこの問題がたいへんまたがっておりますので、連絡協議会的なものをつくるべきであるという問いに対して、政府のほうから、連絡協議会的なものをつくりますということに御答弁が相なっておるようでありますが、まず、きょうは、建設省の方が見えておるようでありますが、その連絡協議会的なものがどのように発足をしておるのか、その活動状況いかんということからお聞きをいたしたいと思います。
  73. 野呂田芳成

    ○野呂田説明員 御指摘のとおり、全国の地下街はいま五十五カ所ございまして、約三十六万平方メートル開設されております。御指摘のように、これらの地下街は、防火、衛生上の観点から非常に問題が多いばかりではなくて、設置された公共施設の管理上、あるいは将来の公共施設の利用に非常に支障になるおそれがございますので、この地下街につきましては、極力抑制をしてまいったわけでございますが、去る四月九日の参議院予算委員会第三分科会の席上、大臣から、質問に対する答弁の中で、できれば、地下街の規制に関する特別立法を検討したいという意味の意向表明がなされたわけでございますが、この点につきまして、事務当局におきまして検討を進め、また、関係各省とも十分協議を行なった結果、ただいま御指摘がございましたように、当面、中央と地方に、関係行政機関による地下街に関する連絡協議会を設けまして、この連絡協議会におきまして、地下街の設置等について連絡調整を行なっていきたいという方針を出したわけでございます。この通達は、去る七月の三十一日に、建設次官、消防庁長官、警察庁次長、運輸次官の共同通達で関係団体に示達したところでありますが、この通達を受けまして、去る八月一日に地下街中央連絡協議会というものを設置いたしまして、目下、地下街の基本方針の策定等の作業を進めているところでございます。
  74. 今井勇

    ○今井委員 そこで、重ねてお伺いしておきたいのですが、現実にいま、地下街が許可をされて、ありますね。そうすると、許可するからには、一定の基準なり条件なりがおありだろうと思う。それが法文化されたものであろうと、なかろうと、あると思うのですが、一体、そういった許可基準というようなものは、いま、建設省では、あるのか、ないのか。また、もしないとするならば、いま御答弁のあった中央の協議会等で早急につくられるつもりがあるのか、どうなのか。その二点をまずお伺いをいたしたいと思う。
  75. 野呂田芳成

    ○野呂田説明員 地下街の設置基準といたしましては、一般的には、消防法とか、建築基準法とか、ただいま御答弁のありましたような、一般的な規制は受けるわけですけれども、特に、許可基準といたしまして、現在、建設省関係のものといたしましては、二つございまして、一つは、道路地下に道路を占用させる場合の建設省道路局の基準でございまして、これは、四十一年の十一月十七日にできております。他の一つは、駅前広場における地下施設の設置に関する建設省と国鉄の申し合わせでございまして、四十四年の八月十五日にできております。  この基準のうち、特に、ただいま先生から御指摘のありましたところの、防火の面から見た基準といたしましては、たとえば、卸売り業とか、家具小売り業のように、非常にがさばりまして、それが公共的地下施設とか駅施設の一般的歩行者の利用に支障を来たす場合、一たん事故が起こった場合に非常に困りますので、こういうものは地下街に厳に設置しないというふうに、厳格に扱っております。それから、石油販売業とか、その他燃えやすい、易燃性のもの、もしくは爆発性の物件の保管、設置というものにつきましては、厳重に規制をするというふうにいたしております。
  76. 今井勇

    ○今井委員 私は、実は、それだけでは足りないと思うのです。何とならば、八月三十日のある新聞に出ておりますが、東京駅の八重洲口、新宿駅の西口の地下街の商店主四百二十九人、通行人、八百五十七人を対象に、地下街の危険の度合い等についてアンケートをしたものの結果が新聞に報ぜられております。それによりますと、通行人の五四%、商店主の六二%が、「地下街が不安だ」という不安感を訴えております。しかも、その原因を見ますと、通行人の二六・八%は、「生き埋めになるから」と答え、トップでありますが、次いで、「火事で煙に巻かれる」、あるいは「人なだれがこわい」というふうなのがあります。  そこで、いまの危険物等、これはもちろん当然なことでありまして、地下街にそういうものを置いてはいけないということは子供でもわかるのですが、私の意見として申し上げたいのは、少なくも、地下街では、料理店と申しましょうか、火を使って調理をするというふうなものは排除するべきであるということ、私はそういう意見を持っております。確かに、お客さまには便利であるのかもしれませんが、ああいう地下街で、火を使って煮たり焼いたりして、お客さまにそのものを供するというふうなことは、これはほんとうに火種を地下街に置いておくことになるわけですね。そういうことは地上で行なうべきであって、何も、地下でもって行なわなければならぬという筋合いのものじゃないと私は考えますが、この私の見解に対して、まず建設省の意見を、それから御担当の消防庁の意見をそれぞれお伺いいたしたいと考えます。
  77. 野呂田芳成

    ○野呂田説明員 先ほど、防火という点から申し上げたわけでございますが、現在あります基準の中に、多少ふえんしてお話し申し上げますが、風俗営業等で地下街に置くことがふさわしくないものとか、あるいは、騒音、臭気等を発しまして、利用者に不快感を与えるものとか、あるいは、公衆衛生上必要な衛生設備を設けず、または措置を講じないものとか、そういう地下街の利用上非常に不適切なものは認めないという基準がさらにございまして、こういう基準から見ますと、いま先生から御指摘がありましたように、火を使うもの全部ということから見ますと、多少まだ足りないわけでございます。ただ、実態を見ますと、国鉄の地下等で、あるいは駅前広場の地下街等で、旅客の利便のために喫茶店とか飲食店をやっているというのは、これは、バー、キャバレーのたぐいとは違いまして、旅客の利益ということがかなり高いわけでありまして、こういうものを一切排除するかどうかということにつきましては、お客の利益との調整上若干の問題があるのではないかというような気がいたしますが、この問題の深刻さを考えますと、先生の御指摘もわかるわけでございまして、私どもは、この協議会をつくったゆえんのものは、従来、この地下街に関しましては、都市計画法とか、建築基準法とか、消防法とか、道路法とか、非常に所管が分かれておりまして、個々の立場からだけチェックをしてきたということに問題があったわけでございますから、この協議会で、一元的に、いま御指摘ありましたような問題も含めまして、この地下街の適切な運営をやっていきたい。しかも、先ほど話がありましたように、既設のものにつきましても厳重な安全性のチェックをやっていきたい。これは先ほど建築指導課長から答弁しました趣旨とは違いまして、私どもの場合は、公共施設の地下を占用させているわけでございますから、既設のものにつきましても十分遡求をしてチェックができる、改善命令が出せるという性格を多分に有しておりますので、この協議会では、既設のものも含めて、いま御指摘いただきましたようなことを含めて、厳正な運営基準をつくってまいりたいというふうに考えております。
  78. 今井勇

    ○今井委員 消防庁、いかがですか。
  79. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま建設省のほうから答弁がありましたように、協議会の場で、消防庁として、出火防止に関する具体的な問題を積極的に提案してまいる所存でございます。
  80. 今井勇

    ○今井委員 確かに、いまの建設省の御答弁のように、一律というわけにはいかないという事情もわからぬではありませんが、しかし、少なくとも、その店舗の割合なり、その場所、旅客の便宜というものの度合い、緊急度合いというようなものを勘案すれば、おのずから基準ができるはずだと思う。したがって、原則としては、やはり、火を使うものはそういうふうなあぶないところには置かないのだというようなことが、まず、先決として認識になければいけないと思うのですよ。それから、しからば、やむを得ざる場合はいかなるものかというふうに、だんだんにいかなければいけないのであって、最初からノーズロではいけないと思います。いまのお話しだと、そういう御答弁ではないようですが、これ以上は繰り返しませんが、再度申し上げておきますが、少なくとも地下街等におきましては、特に地下街におきましては、防火、防煙ということを十分念頭に置いて、その運営なり占用の許可というものをしていただきたい。これはぜひ実行されるようお約束を願いたいと思います。課長のお立場でありましょうから、御答弁の限度がありましょうが、そのお覚悟のほどを再度伺っておいて、私の質問を終わります。
  81. 野呂田芳成

    ○野呂田説明員 協議会にはかりまして、御趣旨が貫かれますように、十分前向きに検討いたしたいと思います。
  82. 今井勇

    ○今井委員 最後に、もう一つお伺いしておきたいのは、煙の問題に関連しましての、列車事故の問題でございますが、皆さんの御記憶にもあろうと思いますが、昨年の十一月、北陸のトンネルで火災事故を起こしまして、炎と煙のために、三十人の死者と多数の負傷者を出しました事故がございました。  そこで、国鉄の御当局にお伺いをしたいのですが、こういう列車の火災事故に対しまして、その後どのような御研究が進み、どのような対策が進み、具体的にそれがどのように実行に移されたか、概略を、手短でけっこうですから、御報告を願いたい。
  83. 関川行雄

    ○関川説明員 それでは、概略御説明を申し上げたいと思います。  北陸での火災でたいへんな御迷惑を皆さまにおかけいたしまして、申しわけないと思っておりますが、その後、国鉄の技術だけではなくて、部外の権威者も含めた鉄道火災対策技術委員会というものを設けまして、また、部内的にも、火災研究室という研究室を新たに設置いたしまして、トンネルの火災事故対策に対応しておるわけでございます。この火災対策としましては、一つは、火種をなくするというサイドからの勉強でございまして、これには発火源の排除としまして、車両の、たとえば主抵抗器というようなものがございますが、これの容量増大とか、ブレーキ装置の改良とか、絶縁検査の徹底とか、そういうような車両改造という点からの、火種をなくする処置をとっております。また、いわゆるソフトの面からしますと、乗務員の車内の巡回とか、たばこの火についてのお客さまへの協力の依頼というようなことをしておるわけでございます。また、一たん火種ができましても、それが大きな火事にならないようにするために、車両の不燃化、難燃化というようなことにつとめております。また、一つには、たとえば客室の出入り口だとか、便、洗面所の天井板をアルミの化粧板にするとか、そういったようないろいろなことをやっておりますし、また、消火器の整備などについても、トンネルの中に消火器を設けるというようなことを処置しております。  まだいろいろと技術的に問題がございますので、先般来、御存じのように、狩勝線で実際に車両を燃焼させましたり、いろいろな試験をやっております。その試験に基づいて、また、これからいろいろな対策を立ててまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  84. 今井勇

    ○今井委員 国鉄の御努力のほどはわかりますが、そういう勉強の結果が出ましても、ただ勉強の結果が出ただけでは火災事故はなくならないわけで、それをわれわれが乗っております車両に当てはめて改造をしていくということがなければいけないわけですね。  そこで、そういう難燃化をするということが、あるいは、先ほどの電気回路等の改良をするということが、今度の国鉄の再建の計画の中で、一体どういうふうに位置づけられているのか、それをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  85. 関川行雄

    ○関川説明員 先ほど申し上げましたことは、いわゆるハードのほうの件につきましては、これは、実は、実行する項目のことでございまして、それについて、工事の規模については、いま、どのような形で、どれくらいのことを考えておるのかと申しますと、大体、四十七年度、四十八年度の二年間で、地上設備関係で約五十億程度、それから、車両関係で約六十億程度の経費を使って対策を立ててまいりたいと思っております。これは、一応項目的にはっきりしたものについてのものでございまして、なお、これからいろいろな試験がございますので、その結果を見て、またいろいろな対策をこれから考えていかなければならないというふうに考えております。
  86. 今井勇

    ○今井委員 いまの御答弁ですが、四十七年度、四十八年度というと、現在ですね。それと狩勝の試験とはどう結びつくのですか。狩勝の試験をやってわかったものをすぐやるということですか。そうすると、四十八年一年で終わればけっこうなことなんですが、それは予算的には斉合性がとれているんだというふうに理解してよろしいのですか。
  87. 関川行雄

    ○関川説明員 狩勝の試験の一つの目的は、いま対策として考えておりまして、また、実行しておる問題の確かめがございます。たとえば、おととい行ないましたいわゆる難燃車というのは、私たちがいままで考えてきておりましたいろいろな諸対策を実行した車両でございます。それについての試験結果というか、確かめをやっておるわけでございます。また、きょう、それからあさっての両日にわたって行なう試験の中では、いわゆる車両端部の難燃化というような問題これも確かめの問題でございます。
  88. 今井勇

    ○今井委員 そうしますと、こういうふうに理解してよろしいのですか。四十七年度、四十八年度の両年度にまたがって車両の改造等を行なうのだ、したがって、この両年度が済めば、少なくとも、車両そのものは非常に燃えにくくなるし、そういう火種を内蔵したまま走るような汽車はなくなるのだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  89. 関川行雄

    ○関川説明員 完全になくなるとまでは申し上げられませんが、かなりの改造、改良ができたというふうに御理解いただきたいと思います。
  90. 今井勇

    ○今井委員 そこで、続けてお伺いしたいのですが、そういう火災というものは、いかなる場所で起こっても、決して歓迎すべきことではないのですが、特に、トンネルの中で起こりますと、非常に被害が大きくなります。そこで、これは私のしろうと考えですが、トンネルごとに、このトンネルならば、もしそういう事故が起こったら早く通り抜けろとか、あるいは、このトンネルならば、直ちにとまって、火事の起こった車を切り離して何とかしろというふうに、個々のそれぞれのトンネルの特性に応じてマニュアルをつくって、それを国鉄の全職員に徹底させるということが必要であるように思いますが、その点に対して、国鉄はどういう手を打っておられますか、御説明願いたい。
  91. 関川行雄

    ○関川説明員 いまの先生の御指摘のように、トンネル内で起きた場合のいろいろなマニュアルをきめております。たとえて申しますと、いまの先生の御指摘のように、五キロ以下のトンネルの場合には通り抜けなさいとか、それから、五キロ以上の長大トンネルでは、トンネルの入り口で火災がわかった場合とか、トンネルの中央部でも、火勢が非常に大きいときとかいうような判断のもとでは、直ちに列車を停止して旅客の誘導をやりなさいとか、また、これ以外の場合には運転を継続してトンネルを出なさいというような、マニュアルを現在作成しております。  また、先生が先ほど御指摘のように、線区線区でいろいろな場面がございます。避難場所の問題だとか、トンネルを出ていったところが、橋梁があって、そこはなかなかとめづらいとか、いろいろな条件があります。その辺も具体的に一々調査させまして、マニュアルをつくって、現在、そういった個々のトンネル、トンネルでマニュアルをつくっておりますが、さらに、そのマニュアルに基づいて教育する、また、チェックリストをつくって、そのチェックリストで教育するとかいうようなことをわれわれ考えております。  また、こういったマニュアルも、先ほど申しました鉄道火災対策技術委員会のほうでいろいろと御審議いただきまして、知恵を拝借してマニュアルの改良につとめていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  92. 今井勇

    ○今井委員 いまの御答弁でだいぶ安心はいたしましたが、私は、二つの方法があると思うのです。一つは金のかかる方法、もう一つは金のかからない方法と、二つあるわけで、いまのマニュアル等の作成及びその周知徹底というのは、どちらかといえば、金がなくても、周知徹底をすればいいわけですね。だから、これは、ただつくりっぱなしではいけないのであって、車掌全部が頭の中にたたき込んで、とっさの判断ができなければだめなんです。そのときに、さてどうだったかと一々教科書を出すようなことでは、とっさの判断ができませんね。したがって、マニュアルをつくる以上は、これを徹底的にたたき込んで、少なくとも、その線を走る車賞、運転手等については、そらで覚えるような形のものにしなければいかぬ。これは、金のかからない、わりに効果のあるものであろうと私は思うのです。  もう一つ、金のかかる方法としては、不燃化、難燃化と同時に、トンネルの中に、異状発生の場合のいろいろな機器、器具を備えつけるということであろうと思いますが、そういうトンネルの中の機器あるいは器具の配備ということについては、どう考えておられますか。
  93. 関川行雄

    ○関川説明員 トンネルの中に、先ほども申しましたように、一つは、消火対策のための消火器の整備をするということがございます。それから、もう一つは、旅客の誘導のための照明設備でございますが、これの整備をいま考えて、これはもうほぼ実行が終わっております。そういったいろいろな改善をこれからやっていきたいと思います。  もう一つは、救援のための連絡設備といいますか、駅または、いわゆる司令といいますか、そういうところへの連絡設備などの整備も行なって、救援体制といいますか、それと結びつけるような、早い救援ができるような処置を現在考えて、実行しております。
  94. 今井勇

    ○今井委員 最後に、いまいろいろ考えておられる処置がいつ完了するのかという、タイムスケジュールを念を押しておきたいと思いますが、まず、マニュアルですね。いまの、個々のトンネル、具体のトンネルについてどうすればいいのかというようなマニュアルは、いつつくって、いつから徹底させるのかということがまず第一点。それから、第二点としては、トンネルに対するいまの御説明のあった器具あるいは装置の設備、これは全国にたくさんあろうと思いますが、一体、どのようなタイムスケジュールでそれをなさるのか。その二点だけを明確に御答弁願っておいて、私の質問を終わります。
  95. 関川行雄

    ○関川説明員 マニュアルについては、もうほぼ完成の時期に達しております。そして、また、このマニュアルの主要な項目については、もうすでに指導、教育につとめております。  それから、いまのはソフトの問題でございますが、ハードのほうの、トンネル内のいろいろの対策でございますが、たとえば、トンネルの難聴対策としての無線及び漏洩同軸ケーブルの設置ということは、ことしの七月に終わっております。それから、長大トンネルというのは十三あげてございますが、それの携帯電話用端子に、沿線電話を直接設けるということでございますが、これはことしの二月。  こういったように、実は、いろいろな項目に対しまして、毎月実行をトレースしております。これは、国鉄の中に、事故防止対策委員会という委員会が定例的に行なわれておりまして、毎月全幹部が集まりまして議論をしております。そこで毎月進行状況をチェックしておりますが、必ずや、早い時期にいろいろな対策を完成したいというふうに考えております。
  96. 今井勇

    ○今井委員 わが国鉄は、時間の正確さと、事故が非常に少ないということで、世界に有名であると私は思います。非常に名誉なことなんでありますが、そういう先人の築き上げた名誉を今後とも傷つけないように、万全の措置をやっていただくことがあなた方の任務であろうと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。  以上で、終わります。
  97. 中村弘海

    ○中村(弘)委員長代理 山田芳治君。
  98. 山田芳治

    山田(芳)委員 先ほどの話の若干の補足をして質問をいたしたいと思います。  地震の場合、何が一番問題になるかといいますと、やはり、情報の問題だというふうに私は思います。地震が起こった場合には、おそらく火災も起こるだろうし、電気が停電をするし、ガス管が破壊をされる。そういうような場合に、情報というものが住民に的確に伝わらないと、たとえば、昔、戦争中にあったように、B29が二機飛んできたというのでも、知らぬ間に二十機になるというようなことになるわけであります。   〔中村(弘)委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕 たとえば携帯ラジオがあって、無線が動いているという可能性があるのかどうかということでありますが、それも、そのもとが破壊をされるということになると、情報が収集できない。情報が不足するということは、人心に非常な不安を与えて、災害をますます大きくするという可能性が起こるわけでありますが、そういう点について、今後災害対策を立てる場合の基本的な問題として、情報の問題ということについては、はっきりした計画なり、あらかじめの予防措置というものを考えておいていただきたいというふうに思いますが、消防庁長官はいかがですか。
  99. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この点につきましては御指摘のとおりでございまして、先ほど、午前中も申し上げました中央防災会議におきます大震火災発生時の措置要綱におきまする検討事項でも、これを取り上げておるわけでございます。私ども、消防の面におきましては、これまで、先生方のお力も得ながら、都道府県市町村との間、それから都道府県と国との間、これの防災無線網の整備ということを逐年行なってきておるわけでございますが、特に、大都市に大震火災が起こったという場合でございますと、地上からの情報収集ということには限度があろうということで、私ども、明年度の新規要求事項といたしまして、空中からの情報の伝達、端的に申しますと、ヘリコプターを利用いたしまして、ヘリコプターにテレビの発信装置をつけまして、地上の司令装置と結びつけまして、それと同時に、空からの拡声装置によりまする避難誘導、こういうものを明年度どうしても実現いたしたいということで、予算要求をきょういたしたところでございます。
  100. 山田芳治

    山田(芳)委員 それは、おそらく、東京都のヘリコプターにつけられるのだろうというふうに思いますので、東京都とよく相談の上、的確な措置をしていただきたいと思います。  そこで、次に、私は、消防財政の問題を取り上げたいと思うのでありますが、先ほど、三谷委員からも若干話があったわけでありますが、まず、第一には、補助ワクの拡大という問題について申し上げたいのであります。  消防自動車のはしご車は、現在は、四十メートルまでは補助対象に本年度からされたようでありますが、——三十メートルですか、現在は、霞が関ビルをはじめとして、各所に非常に高いビルが建っておるわけであります。そういう点について、来年度以降どういうふうにお考えになっておられるか、お答えをいただきたい。課長でけっこうです。
  101. 辻誠二

    ○辻説明員 ただいまのはしご車の問題でございますけれども、四十七年度までは、三十メートルグラス以下につきます基準額しか規定をしていなかったわけでございますが、実態に即しまして、四十八年度からは、三十八メートル級という基準を新たに追加いたしまして、三十メートルないし四十メートル程度のはしご車を整備する団体につきまして、補助基本額を引き上げるという措置をとったわけであります。今後の問題といたしましては、将来とも、改善の方向で実態に即していきたいと思っております。
  102. 山田芳治

    山田(芳)委員 それから、先ほども三谷委員から話があったことですが、私は、大臣の答弁はちょっとおかしいと思います。と申しますのは、いかに市町村自治体に固有的な行政であるという消防行政においても、消防の補助金というものが現実に合っていない限り、これを直していくというのがやはり筋であろうと思うのであります。本年の五月十一日に、公明党の小濱委員の愛知大蔵大臣に対する質問に対して、大蔵大臣でさえ、消防というものは市町村が主体だから、補助率の問題については若干問題があるとは言っておりますけれども、基準額については、実情に合わないところがあるならば、これは十分検討して、来年度はもっと合理的なものになるようにいたしたいという発言をしているわけでありまして、大蔵大臣すら、基準額の問題については、来年度予算で検討しなければならない問題だと言っているのに、自治大臣が、基準額が必ずしも実情に合わなくても、自治体消防であるからやむを得ないというような——これは、もし間違っていたら訂正しますけれども、私が聞いておったところでは、それでいいような発言をしておるのです。これは、私は、実例をたくさん持ってまいりました。はしご車、化学車、救助工作車、消防ポンプ車、救急車についての、現実事業費と基準額という数字を持ってまいったわけでありますが、たとえば、先ほどもあげられておりましたけれども、救急車のごときは、事業費の実際は三百二十万で、補助基準額は百九十八万である。それから、先ほど御指摘のあったはしご車などというものは、これは、つくっているメーカーがわずか二社しかないんですね。ですから、競争して安くするという可能性は、寡占体制で、ほとんどないのでありますから、それも、現実に、事業費と基準額の差というものは相当あるわけでございます。化学車にいたっても、現実に九百十六万かかるのが、基準額で五百十九万である。救助工作車は、八百三十二万に対して、基準額が四百五十万。消防ポンプ車は、六百万もかかるのにかかわらず、二百七十九万の基準額である。これは、実際に東京消防庁で私が調べてきた数字でありますから、間違いないと思いますけれども、こういう点、補助金の基準額というものについては、是正を各省に対して要求しているのが自治省であり、かつ、先ほど大臣お話しにあったように、財政専門家消防庁長官を迎えたわけですから、この機会に、大いにみずからそれを直していただいて、各省の範としていただきたいというふうに思うのですが、この点いかがですか。
  103. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほど大臣が御答弁を申し上げました気持ちは、いわゆる義務負担というものと、奨励的な補助というものとの区分の上に立って答弁をされたのでございまして、いわゆる超過負担というものではないのではないかという趣旨のことを述べられたように私は伺っておったわけでございます。私は、その点はそのとおりだろうと思うわけでございますが、ただ、奨励的な補助でございましても、その補助基準額というものがあまりにも現実ばなれしたものであってはならない。これはもう当然でございまして、お断わりするまでもないことでございますが、現実に、四十三年度におきましても、あるいは四十七年度におきましても——四十七年度でございますと、はしごつき消防ポンプ自動車で二〇%、こういった補助基準額の改正をやっておるわけでございます。今年度におきましても、防火水槽につきまして三三・三%という基準額の改定をやっておるところでございまして、この補助基準額の見直しということについては、私どもも、明年度以降、できるだけ実勢価格というものに近づけるための努力はいたす、その前提で予算要求もいたしておるところでございまして、これにつきましては、私どもの今後の努力いかんということになるわけでございまして、御趣旨の点を尊重いたしまして、実現のために努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  104. 山田芳治

    山田(芳)委員 辻課長に、若干こまかい点を伺いますが、補助率、補助のワク拡大について、移動防火水槽車、防火水槽の用地買収費、小型動力ポンプの積載車の購入に対して、そういうものを補助対象にする御意思はございませんか。
  105. 辻誠二

    ○辻説明員 ただいまおっしゃいました費目の中で、来年度予算で大蔵省との折衝になるわけでございますけれども、私のほうでやりたいと思っておりますのは小型動力ポンプつき積載車ですが、これは、従来から補助の対象にしております。地方団体の要望がありますのは、小型動力ポンプつき積載車ではなくて、積載車だけをひとつ対象にしてくれないか、切り離した形で対象にしてくれないかという要望があるわけでございます。これにつきましては、実際の運用の中でそういう形をとれるようにという折衝をしたいと思います。  それから、用地買収費の補助対象化という問題につきましては、現在の私のほうの全体の補助制度の実態等から見まして、いま、それは考えておりませんで、できましたら、従来ございます起債措置を続けたいというように考えております。  移動防火水槽車につきましては、タンク車のことを言っておられると思いますが、大型タンク車の問題につきましては、新しい補助対象として取り上げてもらうようにという意図で、大蔵に予算要求をしております。
  106. 山田芳治

    山田(芳)委員 補助率の引き上げは、三分の一を二分の一に引き上げるという考え方ですね。たとえば、科学分については、車については二分の一というのが実際あるわけですね。ですから、二分の一にするか、三分の一にするかは、もっぱら政策的判断というか、いま言った奨励的な面からの考え方によるのだろうと思うわけですが、二分の一にするものも逐次ふやしていくことが必要ではないか。特に、現在のように、非常に複雑かつ、いろいろな災害に対応した措置を消防でやっていかなければならぬ段階においては、この際、補助率をある程度アップしていくということが必要ではないかというふうに思うのですが、その点について、来年度はどう考えるか、お伺いをしたい。
  107. 辻誠二

    ○辻説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の中で、二分の一の補助率はすでにあるというようなお話しがちょっとあったと思いますけれども、現行の制度を御説明いたしますと、三分の一の補助率が原則でございまして、たとえば過疎地域関係でありますとか、離島振興とか、同和対策とか、そういうような他の特別法に基づきまして、三分の二の特例的な補助率が認められておる事業もございますけれども、一般的な消防施設の補助金の体系の中では、二分の一という補助率はないわけであります。  団体の要望といたしまして、科学分について、金額も大きくなり、整備の緊急性から言って、補助率を上げてほしいという要望がございますので、そういうことを踏まえまして、これは従来からでございますけれども、科学分について、三分の一の補助率を二分の一に上げてもらいたいという問題、それから、もう一つの問題といたしましては、人口急増地域対策というものがあるわけでございまして、これに対しても、過疎地域等の取り扱いと同じような形で、一挙に三分の二の特例的な補助率を創設してもらいたいというような二つの種類の補助率アップの要求を、現在大蔵省のほうに折衝中でございます。
  108. 山田芳治

    山田(芳)委員 それは、しっかりがんばっていただきたいと思います。  次は、消防業務というか、消防の執行体制強化の問題に入ってまいりたいと思います。  まず、第一に、先般、自治大臣というか、国家公安委員長は、警察官の週休二日制ということを明確に言われて、その努力をするということを言われた。警察についてはそういうことを明確に言われたわけでありますが、消防関係については言及をされておらないということは、これは、私は、大臣のときに質問しようと思ったのですが、時間がなかったので触れられなかったのでありますが、まことに遺憾だと思うのです。消防も、警察消防と昔から一体的に言われ、しかも、基準財政需要額や、府県や市町村予算では、昔から消防警察という費目で並べられている経緯があるわけでありますから、これはやはり同じように考えていくべきだというふうに思うわけであります。  そこで、私は、週休二日制をやる場合、一体どうなるかということを調べたのでありますが、現在、十万のいわゆる交付税上の標準団体においては七十七名というのが消防配置職員であります。それで、現在全国の勤務体制を見てみますと、東京都だけは三部制という形になっておりますが、ほかは全部隔日勤務、すなわち、二十四時間勤務をいたしまして、二十四時間休みということの繰り返しをやっているわけであります。しかし、週休二日制をとりますと、その移行のためには、いま東京都がやっているように、三交代制にしていけば、それに耐え得る人員であるならば、週休二日制に移った場合にさほど人数を要しないというふうな感じがするのであります。たとえば、百名でとってみますと、週休二日制で、しかも二十日間の年休をとった場合に、必要な人員は約百五十二名、約五割増しの人員を必要とするという形になります。そういう形の中で、隔日でなく、三交代制にすると、ややそれと同じような人員が必要であるということになるのでありますが、この週休二日制への移行に対する見通しと、それを見通すということであるとするならば、いま言った人員の増加をしていかなければならないというふうに考えるわけであります。  鎌田長官財政局長であったわけでありますが、警察官の週休二日制について、財政的にどうお考えになっておられるか。それと平仄を合わせて、消防職員の確保について、また、週休二日制への前向きな姿勢を含めた三交代制についていかにお考えになっているかをお伺いいたしたいと思います。
  109. 鎌田要人

    鎌田政府委員 週休二日制の問題でございますが、先般の人事院勧告にもございますように、昭和五十年を目途に、何らかの形で、週休二日制に国家公務員が移行するということになりますれば、当然、地方公務員も——その中でございますところの消防、警察といった、いま特殊な勤務形態をとっておるものも、同様の労働条件にしなければならないことは当然のところだと思うわけでございます。  そういうことで、私どもといたしましては、国、地方を通じまして、公務員全体の週休二日制移行の作業というものをにらみ合わせながら、消防職員につきましても、ほかの公務員が週休二日制に移行するときには、私どもも、絶対におくれることのないように移行する準備というものを整えてまいらなければならないだろうと思います。  それから、二部制、三部制の問題でございますが、これにつきましても、消防の場合、それぞれの市町村ごとに、勤務形態、あるいはそこにつとめておられますところの消防職員の実態等がございまして、たとえば農村地帯でございますと、現在東京消防庁でとっておりますような三部制の場合でございますと、御存じのとおり、勤務、それから非番、それから日勤、それから勤務、それから非番という形になるわけですけれども、そういう形よりも、一日おきに休みがあるわけでございますから、農繁期等は、むしろそのほうがいいといったような実情もあるようでございまして、自治体の実情によって、二部制から三部制への移行ということが、必ずしも全体一致ということですんなりいくかどうかということにつきましては、自治体における個体差というものがかなりあるようでございます。  ただ、全体といたしまして、私、まだ新米でございますけれども、消防職員の現在の勤務体制は、非常に長い拘束時間の中で働いていただいておるわけでありまして、この勤務条件というものは何とかして改善をはかってまいりたい。したがいまして、この拘束時間というものを短縮する方向で——これは三部制にすべて移行するのだという一本道ではございませんで、現在の体制の中での拘束時間の短縮といったことも含めまして、勤務条件の改善というものを考えてまいりたいと思っておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、かなり人をふやさなければならない。私どもの試算によりますと、いま先生が御指摘になりましたものよりは若干内輪の数字になっておりますけれども、それにいたしましても、相当の消防職員の増員ということになりますし、そのほかに、学校の先生、あるいは警察官、一般地方公務員等、かなりこれは地方財源全体に及ぶ問題ということになろうかと思いますので、その辺のところは、やはり横をにらみながら、円滑な実施ができるように、作業を怠りなく進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  110. 山田芳治

    山田(芳)委員 私の申し上げたのは、五十年に実施ならば、四十九年、来年あたりは——いま農村の例をあげられましたが、そういうところは別として、東京に次ぐ六大都市であるとか、その他都市的な傾向のところについて、三交代制を四十九年という時期にやっておかれたほうが、急激に五十年を目途にやるということははなはだむずかしいということもないではなかろうと思うので、その点は、来年度の交付税の算定その他について十分配慮していただきたいということを申し述べて、次に移ります。  予防人員の確保の問題でありますが、先ほども今井委員から話がありましたように、消防の職員は、常に各戸を回って点検をして歩くわけであります。標準団体における予防職員二名を確保されたということについては、前向きの姿勢として評価をするわけでありますが、これは非常に少ないというふうに思うので、この点をもっとふやしていただきたいというふうに思うのが一点。  それから、消防の人員が非常に不足をしているものですから、消防学校等に入学をしたり、訓練のために行くという人員が非常に不足をしているということを消防の諸君から私は聞いておるのでありますが、消防については、訓練というものが常に必要であるというふうに思うので、もう少しそういう点を含めた人員配置を交付税上すべきではないかというふうに思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  111. 鎌田要人

    鎌田政府委員 消防の業務の中で、特に、査察というものが重要なことは申すまでもないことでございますが、現在、予防査察という面の人員の確保は必ずしも十分ではございません。ことし表示公表制度等に踏み切ったこともございまして、標準団体で二名ふやしたということでございますけれども、これではなお足りないのでございまして、この面における充実というものは、四十九年度以降も、交付税の措置を通じて前向きで措置してまいりたい、これはお約束を申し上げたいと思うわけでございます。  それから、消防職員の教育訓練の問題でございますが、これは、御案内のとおり、初任教養等を中心にいたしまして、都道府県あるいは指定都市消防学校が行ない、それから消防学校におきまして、いわば上級あるいは団長、副団長といったところの教育訓練をやっているわけでございます。  御指摘のとおり、消防学校自身がもっとうんとやりたいという気持ちがあるわけでございますが、一つは、消防学校の人的な内容が不足でございまして、それから、地方において人がさけない、こういう両面の苦しみがあるようでございます。私ども、消防学校の教育内容の充実ということは、やはり明年度以降の予算措置で講じてまいりたい。  それから、地方の段階におきましては、現在、たとえば警察でございますと一年の教養期間、これは巡査見習生ということで、交付税上標準団体で六十名だったかと思いますが、そういうものを計上しておる。都道府県なり指定都市消防学校の教育の実態を見ておりますと、六カ月研修というものが比較的少なくて、三カ月研修が多いようでございまして、そういうことでございますれば、いまの巡査見習生式の交付税上の措置ができるかどうかといった点につきましても、できるだけ現実消防体制というものを維持しながら教育訓練をはかっていく、こういうことでの措置というものをもう少しきめこまかく考えてみたいというふうに考えておる次第でございます。
  112. 山田芳治

    山田(芳)委員 これは新長官の気魄のこもった答弁で、私も、ひとつ結果を見ながら、また来年質問をさせていただくということで、次に移りたいと思います。  今度は消防団員の問題でありますが、僻地では、御承知のように、消防団員の確保について非常に苦慮しております。特に、最近の農業政策の欠如の中で、働きに行かなければ飯が食えないというのがほとんどの農村の実態であります。したがって、農繁期には確かに米作等の農業労働に従事しますけれども、それ以外は、ほとんど町へ出てサラリーマン化をしておる。したがって、消防団員というものがほとんど得られない。定数条例があるにもかかわらず、それを全然確保できないという状態であります。しかも、名前だけは一応登録されているけれども、現実には、いま言ったように、町へ出て工場や職場で働いているというのが、僻地とまでいかないでも、いわゆる農村地帯の、いまの多くの市町村消防団員の実態であることはもう百も御承知だろうと思うのです。この点について、どういう措置を指導されておられるかということも聞きたいのですが、私は一つの提案を申し上げたい。それは、奥さんは残っているのですから、婦人消防団というようなものを自治省あたりにおいてももっと教育訓練をしながら、いざというときには役に立てる。そういうような婦人消防団は各地に相当あるようでありますけれども、こうものをもっと振興させていく。そういう指導をされることが必要ではないのだろうかと、私は、府県におった者として、自分でいつも考えておったのですが、長官、そういう点は、一つの発想の転換としていかがでしょうか。ちょっとお伺いしたいと思います。
  113. 鎌田要人

    鎌田政府委員 消防団員全体の確保という問題は、都市部は都市部なりに悩みがございますし、特に、過疎、辺地地域というものは、いま御指摘になりましたような状況がございまして、特に深刻でございます。  ただいま御指摘になりました婦人消防隊の育成ということにつきましては、これまでも努力をしてまいったところでございまして、現在は、御案内のとおり、ことしの八月末現在の日本消防協会の調査でございますが、全体で二千二百十九隊、五十八万千六百二十九人という婦人消防隊があるわけでございます。この中の八割ぐらいまではいわゆる予防運動を主にしておられまして、いわゆる火災現場における活動というものは五万八千人余り、あるいはまた、五十八万の中で、消防団員として任命しております者が二千五百人余り、こういう状況でございまして、なお、婦人消防隊の結成の促進ということ、それから、消防団員として現場活動にも従事していただくこと、こういった面での充実というものをはかってまいらなければならないというふうに考えておるわけでございまして、現在、この婦人消防隊につきましては、日本消防協会の補助金を通じまして被服の支給を行なっておるわけでございますけれども、もちろんこれだけでは足りませんで、やはり、もう少し教育訓練という面での充実をはかってまいる必要があろうかと思います。この点につきましても、引き続き私どもといたしましては努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  114. 山田芳治

    山田(芳)委員 それから、消防団が、御承知のように、日本消防協会の競技に参加をするので、各地で毎年訓練をするのですが、これが相当の費用がかかるのです。各市町村でも、自分のところば査閲を受けるんだということで訓練をやりますと、これは毎日のように訓練をする、相当の経費がかかるということをよく聞くのでありますが、こういう点は教養費を交付税の上でもっと拡充して、貧弱な市町村も喜んでそういう消防訓練をどんどん受けられるような、財政的な援助をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  次は、救急体制の問題ですが、先ほども三谷委員から話がありましたが、救急業務の実施町村において、実態を見てみますと、受け入れ医療機関というものが非常に不足をしておるものですから、ここは満員だとか、ここはないということで、あっちこっちへ回るというような実態があるので、これの医療機関の確保のために——いまは、一定の条件を備えていれば府県知事が指定するという形になっているわけですけれども、これはベッドの問題もあるでしょうし、それ以上に、医師と看護婦とを拘束しておかなければならないという問題がございます。とりわけ、日曜、祝日におけるそういう拘束の問題について、受け入れというか、財政的な援助が何らないという中でこういう救急業務が行なわれるということでありますから、医療機関の確保に非常に困難を来たしておるわけでございます。特に、日曜、祭日については問題がある。それが一つ。  第二点としては、救急医療機関は、外科のお医者さんが確保できるということだけでは、実態を見ていると、不十分であります。きのうも、私のところへ、お医者さんで病院を経営している前代議士の先生がおいでになって、いろいろ話をされておったのでありますが、自分のところに日曜、祭日に救急で実際に来る患者さんは、外科よりも、むしろ小児科が非常に多い、あるいは、子宮外妊娠というようなものが非常に多いということを言うておりましたが、外科だけではものが処理できないのじゃないか。これは消防の問題ではなくて、むしろ厚生省の問題であろうというように思います。厚生省の方にも来ていただいておると思いますので伺いたいが、この救急医療業務の医療機関の確保についての基本的な考え方と、その中において、日曜、祭日についてどう考えるかということと、そこで担当をしていただくお医者さんの診療科目ですね。これが、小児科や子宮外妊娠というようなものが非常に多いということで、その先生によりますと、小児科が約六割を占めておるぞというお話しがありましたが、こういう点についての対策について御答弁をいただきたいと思います。
  115. 金田一郎

    ○金田説明員 ただいま先生がおっしゃいました日曜、祭日の医師の確保の問題でございますが、これは、先生御指摘のとおり、ただいまのところ、日曜、祭日に医師が必ずしも確保されていないじゃないかと言われる点は、確かにあろうかと思われますが、私ども、このような状況にかんがみまして、明年度予算要求といたしましてただいま考えておりますのは、まず、最近、外科以外の内科系の救急患者が非常に多くなっておりますので、そこで、まず第一に、そのような患者に対しまして、各地区に、住民の身近なところに、内科系のいわば救急夜間診療所というようなものを設けまして、ここへまず患者さんを運んでいただく。ここには、医師会等の御協力も得まして、当番で、輪番制で、地区の先生方に来ていただく。ここでどうしても取り扱えない患者につきましては、救急医療センター等へ持ってきていただく。その場合も、内科系の先生が必ずしもいない場合がやはりございますので、そこで、ただいま申し上げました診療所と、それから二次の後方病院、いずれも、こういった内科系の先生方に対する医師手当を何とか補助するようにしたい。また、先ほど申し上げましたように、住民の身近なところにある診療所につきましては、設備の整備費につきましても、これを補助するようにしていきたい。このように考えまして、内科系のお医者さんの確保にも万全を期するようにしたいというように考えております。
  116. 山田芳治

    山田(芳)委員 非常にいい方向だと思いますので、大蔵省と十分折衝をして、確保するようにがんばっていただきたいと思います。  次に、道路公団関係でありますが、御承知のような、名神高速であるとか、中央高速であるとか、そういうような高速道路の中の救急の問題でありますが、これは国会においても、当該市町村に迷惑をかけないで、道路公団が自主救急体制をとっていくということを答弁されておるわけでありますけれども、現実には、インターチェンジのあるところが必ずしも大市町村ではない。非常に弱い市町村であるにもかかわらず、現実にそこで救急体制を組んでいく。たとえば、一台の救急車でいいものを、名神なり何なりが、インターチェンジがあるがゆえに、二台の救急車が必要である。しょっちゅうこの問題が起こっておって、しかも、道路公団では、経費を、当該市町村に負担をかけないということを言明しているにかかわらず、現実にかかっている実態が多々ある。これはいま例をあげませんけれども、私の伺っているところでも相当あるのでありますが、これについて、通過交通ですから、当該市町村の住民の問題ではなく、他の市町村の住民の問題を当該市町村の税で負担をしていくということは、合理的な面から言っても納得ができないわけでありますが、この点についての財政措置が一体どういうふうに考えられているか。建設省の担当の方が来ておられると思うので、お答えをいただきたいと思います。
  117. 金岡登

    ○金岡説明員 先生御指摘のように、高速度自動車国道におきましては、救急業務につきまして、消防法の定めるところによりまして、地元市町村が実施するということになっておりますけれども、交通安全基本計画におきまして、日本道路公団が自主救急業務を推進するということが定められております。その線に沿って、建設省も、この自主救急業務の推進をしてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。  費用の負担でございますけれども、市町村における救急業務の実施に要する費用につきましては、従来から、市町村に対する特別交付税等によりまして措置されてまいりましたけれども、今後もそれをお願いするとともに、日本道路公団におきましては、インターチェンジの所在する町村に対しまして救急車を提供するというふうな措置を講じてまいりたいというふうに存じております。  なお、今後の費用の負担につきまして、財政措置についてはどうするかということにつきましては、関係機関とも十分協議いたしまして相談してまいりたいというふうに考えております。
  118. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は、特別交付税がそういうところに交付されておるということを聞いておりませんが、前の財政局長さん、そういうふうになっておりますかどうか、一ぺん確認の意味で……。
  119. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この問題については、手放しでそういうことを言われますと誤解を受けるわけでありますが、これは、私、財政局長のときの理解におきましては、いまの道路公団設置者として、当然、自主救急ということがまず先に出ていくということでございます。ただ、この自主救急の具体的な進め方について、私の理解しておりますところでは、話が関係者間でなかなかはかばかしくつかないという状況がございまして、四十七年度の特別交付税におきましては、特に東北縦貫道等の緊急の問題があったものですから、これは、まさに、当面早急に自主救急の措置というものが明確になるということを前提にしての、全く暫定的な措置として特交で見た。これは事実でございます。ただ、その気持ちは、この高速道路における救急体制というものを早く明確にされまして、その措置が明確にされるまでのいわばつなぎということで私は理解しておったところでございまして、そういった意味からも、いま建設省のほうからもお話しがございましたが、話し合いを早くつけて、そして市町村の——もちろん、市町村といえども、最終的に住民の安全保護という問題があるわけでございますから、その間の振り分けというものをはっきりさせるということが必要ではないかというふうに思っているわけでございまして、これは、私どもも、早急に積極的にそういう面で話をつけてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  120. 山田芳治

    山田(芳)委員 では、早急に話をつけてもらいたいが、特に、インターチェンジのあるところ、必ずしも富裕な団体であるとは限らず、弱小な市町村が多いわけでありますので、この点は、明年度以降、市町村のいろいろの苦情にならないように十分対処していただきたいと思います。  次に、危険物の対策強化について質問をいたしたいと思うのでありますが、これは、先ほどからもずいぶん話がありました。先日も、徳山における火災、大分における火災等の報告もあったのでありますけれども、石油コンビナートの地域とか、あるいは、最近は、石油類の輸送のタンカーというものが非常に大規模化し、大型化しているということであります。したがって、これは、通過をしていくところの市町村あるいはコンビナート所在の市町村が、必ずしも十分それにこたえて防災対策ができるというふうになっていないのであります。先日も話を聞いておったわけでありますが、大規模に開発されるところの、たとえば大分であってもそうでありますし、あるいは水島でもそうでありますけれども、府県や市町村がその工業団地をつくるために投資をしたものが、税としてどのくらい返るかというと、市町村においては一割、府県においては三分の一くらいしか返ってこないというのが、投資と、それのはね返りの税との関係だということが説明をされておりました。私も、その点まだ詳細に調査しておりませんけれども、これは、財政局長さんであった鎌田長官あたりは詳しく知っておられると思いますが、そういうふうに、工業団地を誘致したからといって、必ずしも、それが直ちに税にはね返っておらない。国は、投資額の大体五倍くらいはね返るということになっておるわけでありますから、当該市町村にそういったコンビナート地帯ができたからといって、税ですべてができるという形にはなっておらないのであります。したがって、これに対応するには、何といっても、企業責任というものをもっと明確にしていかなければいけない。確かに、自主防災を一応はやっておられるようでありますけれども、まだまだ不十分だというふうに私どもは考えておるわけであります。したがって、そういう石油コンビナートの地帯においては、そこに立地した企業側が十分自分のところの防災体制というものを考えていく、地域市町村はそれを応援するという程度にすべきであろうと思うし、また、石油類の輸送のタンカー等については、これは、大型化し、大規模化していくわけでありますが、やはり、それ自身がみずからもっと防災を心がけるようにしていっていただかないと、プロパンガスが破裂をするというような事故も多々あるようでありますけれども、そういう点について、消防庁長官としてどういうふうにお考えか。この際、そういう科学技術の問題過密化した都市環境の中での危険物の運搬による火災及び人命の危険に対する考え方というものについてお伺いをしたいと思います。
  121. 鎌田要人

    鎌田政府委員 石油コンビナート地帯におきまする災害の発生ということにつきましては、私どもも、非常に強い関心と監視の目を光らせておるところでございますが、何と申しましても、このコンビナート等におきまする災害の防止というものにつきましての、基本的なと申しますか、一次的な責任というものは当然企業にあるわけでございまして、そういう観点から、私どものほうの行政指導といたしましても、たとえば、企業間における防災連絡協議会というものをつくらせまして、企業責任というものを明確にしていく、また、そういう中で、危険物施設についての予防規定をもうけさせる、あるいは、火災の発生の防除あるいは初期消火ということのために自衛消防力というものを備えつけさせるということで、責任の喚起、それから、それに基づく事前事後の体制の確立ということに強い指導を行なっているわけでございます。  ただ、先般も一、二の事例を御報告申し上げましたように、なお、企業の体制において不備なところがございますので、この点につきましては、今後ともやかましく指導をしてまいりたい。コンビナートの災害というものは不測の事態を生ずるわけでございますし、地元の消防力だけでは対応できない面もあるわけでございますし、一歩間違いますと貴重な人命を多数失うということもございますので、この点につきましては、あくまでも企業の責任というものを明確化する方向でなお指導強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  122. 山田芳治

    山田(芳)委員 最後の質問でありますが、これはさっき三谷委員からもお話しがあったのですが、消防の設備その他の基準と、実際上の交付税との積み上げ計算との間にギャップがあるということは、これは事実であろうと思うのです。その点は相当強く言われておったのですが、答弁が必ずしも明確でなかったと思うので、その点のギャップをどうするのかという点について、もう一度お伺いをしたいと思います。
  123. 鎌田要人

    鎌田政府委員 消防力の基準それ自身につきましては、私どもは、やはり、あるべき望ましい最低限の基準ということで、かつ、時勢の進展に伴いまする見直しというものを常時やってまいらなければならない。  それと現実消防施設との関連でございますが、これにつきましては、御案内のとおり、基準財政需要で見込みます場合は、先ほど申しました標準団体におきまして、消防自動車六台、あるいは救急自動車二台、こういうものにつきまして、いわば償却方式で見ておるわけでございますが、その基礎というものは、できるだけ消防力基準というものに近づけてまいる方式へいかなければならないわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、現実の事態が、遺憾ながら、現行の基準に対しまして六割程度ということでございますので、これを早急に整備していくにいたしましても、かなりの金額というものがやはり必要になる。財源が必要になる。そういった点もにらみ合わせながら、私どもといたしましては、交付税の算定を通じまして、適正な財源措置ができるように努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  124. 山田芳治

    山田(芳)委員 有能なる財政局長であった新長官でありますから、そういう点は、新しい松浦財政局長とよく相談の上、この基準に近づけるように、来年度以降一そう努力をしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。
  125. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 三谷秀治君。
  126. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの質疑の中で、超過負担の問題がまた出てきたのであります。先ほど、大臣が、消防には超過負担がないと言ったので、それについて反論しておいて、それは解決したと思っておったのですが、また、いまおっしゃった。消防に超過負担がないという根拠はどこにあるのですか。もしも、それを固執されるのであれば、お尋ねしなければならないと思います。
  127. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっと、釈迦に説法みたいな話で恐縮でございますけれども、私どもがいわゆる超過負担ということで考えておりますものは、御案内のとおり、国が、地方団体施策で、いわゆる義務的な負担——非常に大さっぱな表現でございますが、義務的な負担ということで、国と地方とが責任を分かち合う。たとえば保育所の問題でございますとか、義務教育施設でございますとか、こういったものにつきまして、国が当然負担すべきものを、単価あるいは事業量といったもので出し惜しみをしておる、それが結局超過負担、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。この消防施設に対する補助、施設補助というものは、基本的には、消防というものは市町村の仕事であり、それに伴う財源というものは、本来、地方税あるいは交付税といったような一般財源中の自主財源をもって行なわれるべきものである。それに対しまして、消防力の強化ということにつきましては、事が人命の安全、財産の保全ということにつながるわけでございますので、国としても、これに対して助成をし、強化をはかっていく、促進をする。こういった意味のいわゆる奨励的補助金で——こういう補助金は、いわゆる義務的補助金、これを負担金と申しておりますが、それと範疇を異にする奨励的補助金の範囲に入るものではないだろうか、したがって、当然国がこれだけのものを出さなければ、その分は超過負担になるという、私どもがいわゆる義務的な負担金についてとっておるものとはややニュアンスが違うのじゃないだろうか、こういう考え方で申し上げておるわけでございます。
  128. 三谷秀治

    ○三谷委員 法律解釈をニュアンスで言っちゃだめですよ。法律というものはそんなもんじゃない。消防施設強化促進法という法律があって、そこにおいて補助の率を規定しているんでしょう。そうしますと、その法で規定しました率あるいは金額を出さないために、地方自治体にかける負担というものが超過負担である。消防だけが自治体消防だというような論理も成り立ちません。保育所、幼稚園についても、本来言えば自治体固有の事業なんです。しかし、いまの地方財政の現状から見まして、地方自治体の自主的な運営ということが著しくむずかしくなってきましたために補助制度をとっているわけなんです。消防にしても一緒なんです。そうすれば、法律で規定をしました率や金額を出さないために出てくる地方の負担というものが、おしなべて超過負担である。私どもそう理解しているが、そこは間違っておるでしょうか。
  129. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまニュアンスということを申し上げましたが、ニュアンスではございませんで、地方財政法で私どもの理解をいたしております補助負担金というものの中で、いわゆる負担金ではない、補助金である、こういうことでございます。  消防施設強化促進法第四条の規定も、これを受けまして、「前条の規定により国が行う補助は、予算の範囲内で、基準額の三分の一以内とする。」という書き方になっておるわけでございまして、これは、私どもの理解といたしましては、やはり、地方団体が積極的に消防施設の強化をはかっていく、そのためには、自主財源で当然まかなっていかれるものであるけれども、国がその方向に地方団体指導し、仕向けていく、こういうことのために補助金を出す、こういうふうに理解すべきものだということが前提になっておるわけでございます。
  130. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま、負担金と補助金とあって、負担金のほうは一そう義務的な要素が強いんだとおっしゃいましたですね。たとえば、保育所の国庫支出金は負担金なんでしょう。ですから、当然積み上げ計算すべきものでしょうが、それをしないで、一保育所当たり三百五十万だとか、五百万だとか、こういう固定補助をやっているんですね。それは、いまのおっしゃる点からしますと、一体どういうことになるんですか。  それから、もう一つ。これは補助金には間違いないですけれども、補助金でありましても、率をきめておって、しかも、その率を適用してお金を出すようになっているわけなんですね。ですから、それは、明らかに、法律の規定に基づいて三分の一補助をおやりになっている。ただ、基準がでたらめなんですよ。この基準は一体どこから生まれたかということなんです。  たとえば、これはたいへんな状態になっておりますが、三千四十四万円、屈折はしご、八十メートルのものです。これは大阪市の例です。これの補助基準単価が二千百万円になっておりますね。この二千百万という単価はどこから出てきましたのか。  それから、これも大阪市の例ですけれども、はしご車、これは四十一メートルものですと、三千七百三十九万円、三十一メートルものですと、二千四百三十九万円なんですけれども、これはいずれも二千百万円が基準額になっておる。長かろうが、短かろうが、二千百万円だ。こういう基準額は一体どこから生まれましたのか。  それらの説明を聞きましてから、またもとの問題に返っていきましょう。
  131. 鎌田要人

    鎌田政府委員 基準額につきましては、昭和二十九年の総理府告示の「国が行う補助の対象となる消防施設の基準額」は、これは、その後もちろんほとんど各年に改正をいたしておるわけでございますが、それで、たとえば、消防ポンプ自動車A2級でございますと、ジーゼルエンジンで、工率九十六キロワットクラスで三百四十八万、あるいは、はしご付消防ポンプ自動車でございますというと、三十メートルグラスで二千百万、二十四メートルグラスで千七百八十二万というふうに規定をいたしておるわけでありまして、これに基づいておるわけでございます。それの算定の根拠につきましては、これは事務的にその積算の基礎がございますので、説明をさせたいと思います。
  132. 三谷秀治

    ○三谷委員 その基準額の算定の基礎ですね。そんなものがあるのですか。要するに、この法律というものは、実際にその器材を購入する費用に対して何分の一かを——大体三分の一でありますけれども、持つというたてまえのものじゃないのですか。かってにあなたのほうが基準をきめるんだ、つまり、器材の値をきめてしまうんだという、その根拠はどこから出ているんですか。
  133. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま仰せになりましたように、実績補助という考え方は当然とっておらないわけでございまして、一応、施行工程のもとにおける標準的な価格というもので、一律の基準をもとにして補助金を出しておる。その辺のところが、義務的な負担というものと性格を異にするという、一つの御理解をいただけるもとになるのではないかと私は思うわけでございますが、そういう実績補助というものではないわけでございます。
  134. 三谷秀治

    ○三谷委員 この器材につきましては、消防施設強化促進法にそういう規定をつくっているわけですか。そういう基準価格ですかね。政府がかってにきめるんだというふうなことになっていますか。いろいろとあなたがいまおっしゃいますように、三分の一以内であるから——四分の一であったとか、五分の一であったとか、それは規定からいって解釈のしかたがあると考えられますけれども、実際に購入すべき器材の価格を、とても買えない価格をきめて、その三分の一だというふうな欺瞞的な処置というものが規定の中ではっきり定められておるのですか。
  135. 鎌田要人

    鎌田政府委員 消防施設強化促進法第四条の二項によりまして、——まず、一項は、先ほど読み上げた「基準額の三分の一以内」ということでございまして、「前項の基準額は、消防施設の種類及び規格ごとに、自治大臣が定める。」ということになっておりまして、その自治大臣が定めておりますのが、先ほど申しました「国が行う補助の対象となる消防施設の基準額」という告示でございます。
  136. 三谷秀治

    ○三谷委員 なるほど、いまそれを聞きますと、「自治大臣が定める」となっていますけれども、「自治大臣が定める」というのは、そういう実際を無視したきめ方をしてもいいんだ、架空の数字を持ち込んできて、それでやってもいいんだというふうに理解されていますか。そうじゃないでしょう。
  137. 鎌田要人

    鎌田政府委員 もちろん、その点は、私ども繰り返し申し上げておるつもりでございまして、この基準額というものが実勢というものと乖離する、乖離したままで、それでいいんだという、こういう横着な気持ちでいるわけじゃ毛頭ないわけでございまして、そういうことで、現実に、最近におきましても、ことしは防火水槽の、あるいは、四十何年でございますか、消防ポンプ自動車の基準額の改正を行なっておるわけであります。四十七年に化学消防ポンプ自動車二〇・四%、はしご付消防ポンプ自動車二〇%四十八年に防火水槽三三・三%ということで、基準額の増額改定というものは行なってきているわけであります。
  138. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは、いま説明されなくても、ちゃんと承知しております。承知しておりますが、なおこれが実勢に合わないというところを問題にしているわけなんですよ。いまあなたがおっしゃいました自治大臣がきめるということは、要するに、手続上の問題ですよ。主たる規定の精神というのは手続の問題であって、自治大臣がかってに実勢に合わない基準額をどんどんきめてよろしいんだというふうな、とんでもない内容のものじゃないということですよ。そんな内容のものでありますならば、そんな法律なんというものは、法律としての体をなしませんよ。それだったら、自治大臣は、法律なしで、おれが法律だということになってしまう。そんなものじゃない。  そこで、実際に合わない、とんでもない価格をきめている。なるほど若干の手直しが年々なされている。その手直しをしたことが一つの口実になっているようでありますけれども、手直しをしたところで、それが全然実勢に及ばないという事態になれば一体どうするかということなんですよ。実際価格に合わせるということは、どうして、いつおやりになるのかということなんですよ。それをやらない限りは、自治体が超過負担だと主張する金額が年々生まれてくる。これが自治体財政を圧迫する。そこで、基準力に合った消防体制がとれないという一つの原因になってきている。そうと違いますでしょうか。
  139. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この辺のところに、いわゆる負担金と補助金のむずかしさがあるわけでありますが、私ども、これはあくまで奨励的な補助金だということを割り切っておるわけでございますけれども、だからといって、基準額というものを一ぺんきめたら、実勢と乖離しても知らぬ顔と、こういうことは毛頭申し上げておるつもりはないわけでございまして、基準額の是正というものは当然やるべきだというふうに考えておるわけです。でありますから、来年度におきましても、私ども、基準額の引き上げというものはどうしてもやってまいりたいという決意でおるわけでございます。ただ、これも百も御存じのところと思うわけでございますが、現実のいわゆる実勢価格というものになりますと、艤装におきまして、かなり、それぞれの団体の需要に応じた継ぎ足し工事というものをやっておられる。よく私とももそういう話を聞くのでございますが、消防自動車にいろいろな模様をつけましたり、いろいろな飾りをつけられるが、こういったもの等は補助の対象にしておらない。そういったものに伴う経費というものもかなり多いというふうに私は承知いたしておるわけでございます。
  140. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは、枝葉の問題と基本の問題とを混同されてはいかぬ。総設備費につきまして若干金がかかっている、出している、これは承知しております。しかし、そのことで、三千七百万円もするものを二千百万円の基準額という矛盾が解決するものではありません。ですから、多少の価格差が現実に生じるということはあり得ますけれども、一千六百万もの差が出てきているという、この事態を、若干の総設備費の問題などとすりかえてごまかすべきものじゃありません。そういうことは私ども納得できないわけです。  それで、さっき、負担金と補助金の問題をおっしゃいましたから、保育所の負担金はどうなのかというお尋ねをいたしました。国がとっている処置はどうなんだ、これは負担金だから、積み上げ計算をして、きっちり計算をしているのかといいますと、そうじゃないことは御承知のとおりです。負担金においてしかり。補助金だからとおっしゃいますけれども、負担金においてそういう処置をとっている。補助金だからそうだという判断には立ちがたい要素があるわけなんです。  そこで、補助金にしましても、何年のいつか、そういうふうな規定を設けておりますのは、当然、実勢を基礎に置いて考えたものであって、その実勢を自由自在に大臣が動かせるという性質のものじゃないということなんですね。ここであなたにはっきりしておいてもらいたいのだが、三分の一は守っていくんだ、だけれども、基礎になります実勢というものについては、大臣がかってにきめ得るものだというものじゃないということですね。この点は、そのように私は考えますけれども、そうと違いますか。
  141. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いわゆる負担金にかかる超過負担、これは、むしろ、私どもが積極的に是正をはかっておる、この努力というものを評価していただきたいという気持ちがしておるわけでございますが、補助金の問題になりますと、そこのところが、先ほどニュアンスが若干違うと申し上げたわけでございますが、この基準額の問題につきましても、やはり、実勢単価とは何ぞやという問題があると私は思うわけであります。これは、もちろん、資材にいたしましても、労務費にいたしましても、かなり地域差というものがございます。そういう地域差というものを、すべてそれぞれの地域の実情に応じた実勢価格だということになりますと、これはとても統一的な補助金を配るということはできないわけでございますので、そこにどうしても標準的な基準単価というものはつくらざるを得ない。したがいまして、その基準単価というものと、いわゆる実勢単価、これはこまかく議論をいたしますと、ただいま私が申し上げたような点があるわけでございますが、世間一般のいわゆる通り相場というものを一応頭に置きまして、それとの乖離というものはできるだけないことが望ましい。そのためにわれわれも努力をしておるわけでございます。これからもそれをやろう、こう言っておるわけでございますので、その点は御了承いただきたいと思う次第でございます。
  142. 三谷秀治

    ○三谷委員 どうも、質問に対して的確にお答えになっていないようです。たとえば、賃金や資材に地域差があるとおっしゃっていますね。それは、確かに地域差はあるでしょう。だから、通り相場というものがあるんだ。それは確かにある。その通り相場を十分に尊重してもらうということを言っているのです。ですから、たとえば一千万円するものに、地域によって十万、二十万と差がある。これはあり得ることなんです。しかし、一千万円するものを三百万円しか見ないというふうなことは、これは通り相場を無視したやり方なんですね。そういうやり方になっているのが問題ではないかと申し上げておるわけなんです。実際の基準額がそうなんです。  それで、おっしゃいますように、これは私が調べました市町村だが、かなりの数がありますけれども、種類によりまして、その購入費に若干の差があるのです。それは若干の差でありまして、ごく付随的な差額にすぎない。根本的に違うなんというものではないのですよ。これは通り相場なんですが、その通り相場に合っていないというところに問題があるわけなんですよ。これをどうされますかと言うのです。
  143. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまお答え申し上げたのでありますが、その通り相場というものと基準額というものとの乖離というものはできるだけ詰めていく、こういう努力をするということを申し上げておるわけであります。
  144. 三谷秀治

    ○三谷委員 できるだけするんじゃだめですよ。できなければできない、こうなっちゃうのです。もし、あなた方がいまおっしゃっていました総設備費などを、自治体がこれに含めたりしてごまかすとおっしゃるならば、あなた方のほうで器材のあっせんをされたらどうですか。そうすればごまかしはできないでしょう。そういう意味で、自治体が何かごまかしをするというふうな前提に立って補助金などを考えますと、これは、まともな補助制度はとれませんわ。しかし、それをやる懸念かあるならば、あなた方のほうで——これは消防の器材関係ですから、当然、数も知れているでしょう。調査もそうむずかしくない。それを調べて、そしてあっせんをするというふうな処置でもおとりになれば、これは解決もつくでしょう。そういう努力もおやりになっていないわけなんでしょう。ですから、できるだけやるというのではなしに、実勢との差はなくしてもらわぬと困ります。そういうたてまえになっているのですからね。  それから、負担金につきましては、積極的にこの是正をはかっておるとおっしゃっておりますが、しかし、現実には、負担金が固定補助金になってしまっておる。そういう実例があるわけです。これは、いまの政府地方財政政策に根本があるわけであって、いま、あなたは、消防庁長官におなりになったけれども、もともとは財政局長だから、よく御承知のはずなんです。そういう中でこういう問題が発生しておりますから、あなたがおっしゃいますように、単純な解釈では本質が明らかになるないということを私は考えておるわけです。それで、いま言いました実勢価格と基準額の差によりまして、膨大な、余分な負担が地方にかかっておる。これを超過負担と呼んでおります。私どもも超過負担だと思っております。これは、何と申しましても、なくしてもらわないといけません。  それで、先ほど、ことしの大蔵省に対する予算要求について自治大臣が少しおっしゃっておりましたけれども、この予算要求につきまして、この超過負担の問題ですね。国庫支出金の問題といいましょうか、これをどうするのか、どういう改善の積み上げ計算をしておるのか、交付税につきましてはどのように改善しようとしておるのか、これをお聞きしたい。
  145. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ことばにこだわるようでございますが、消防施設の補助金というものについて、私どもは、超過負担という観念は持っておらないわけでありまして、これは、事柄を振り返って、別な問題に置くようでございますけれども、本来全部自己負担金でやる、自己財源でやる、それに対して奨励的な補助がついておるのだ、こういうふうに御理解いただきたい。それだからといって、基準額の是正をわれわれが怠るということじゃ毛頭ない。このところを御理解いただきたいと思う次第でございます。  それから、第二の基準額の是正の問題でございますが、これは、明年度予算要求の問題でございますから、国全体の予算規模とも関連もございましょうし、今後の予算獲得の過程において変動があるわけでございますが、私どもといたしましては、たとえば消防ポンプ自動車といったものにつきまして、三〇%の単価アップということで要求を出しておる、こういうことでございまして、是正に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  146. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたは、基準額が実勢に合っていないということをお認めになりますか、なりませんか。これを認めれば、超過負担はあり得るということになってくる。当然、法律のたてまえからいきまして、購入費の三分の一ですから、その率が補償されなければ、不足分を地方自治体に転嫁するわけですから、超過負担になります。それで、あなたのほうで、地方によって若干差はあっても、実勢に合ったものだという立場にお立ちになっておるとすれば、これは超過負担はなくなってくる。その実勢と基準額との関係をどう理解されておるのか。何でしたら、数字を、具体的な事実に基づいて説明してほしい。
  147. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまの基準額と実勢との乖離の問題でございますが、事務的に聞いてみますと、基準額で実施をしておる自治体もあるようでございます。したがいまして、私ども、現在の基準額というものが、全体的に、実勢単価というものからそう逸脱しておるとは必ずしも思わないわけでございますけれども、しかしながら、現実に、こういうように資材、労務費が値上がりをしておる状況のもとでございますから、先ほど申しましたように、明年度予算要求におきましては、三割の基準額のアップというものを内容とした要求をいたしておる、こういうことでございます。
  148. 三谷秀治

    ○三谷委員 また、質問の主点をそらしてお答えになっていますね。  そうしすと、いまのお答えの中で言われましたことですけれども、この、政府の、消防施設整備補助金基準額ですね。これはもちろん、膨大なものですから、全部については私は調べておりませんが、この中でたとえばはしご車、消防車——まあ、ポンプ車ですね。水槽付ポンプ車、化学車あるいは屈折はしご車、防火水槽、短波無線などにつきまして、主たるものにつきまして、この基準で十分に間に合っている実際の例、これをちょっとお聞きしておきたい。どこでこの価格で購入ができたのか、どの会社から購入ができたのか、これを説明してほしいと思います。
  149. 辻誠二

    ○辻説明員 私のほうからお答えいたします。  いまあげられました項目の全部についてお答えする資料を持ち合わせておりませんし、また、個々に、具体的に、どこの会社からそれを購入したかとか、どういう請負会社でやったかというようなことについては、現在資料はございませんけれども、具体的に、たとえば、小型動力ポンプのB3級、これにつきましては、現在、基準額は三十万ということになっておりますが、この三十万という経費の中で、団体として実施しましたのは千三百六十二台のうちの百二十九台、約一割でございます。で、一〇%の範囲内でやったところも合わせますと二割になる。その地域別にはかなりばらつきがございまして、どこの地方とか、どこの県とかいうことで統一されておりません。そういうようなことで、いま申し上げたのは一つの例でございますけれども、たとえば、防火水槽にいたしましても、約一七%程度は現在の基準額でできている。平均的には、実勢単価が、現実予算単価よりも実施単価のほうが高いということはありますけれども、その基準単価の中でやっている団体も、一〇%から二〇%程度、四十七年度の全国的な実施の中ではある。それが、しかも、地方的なばらつきの中で実施されているというところがございまして、先ほどから問題になっております奨励的な補助金という形の中で基準額を定める場合には、まあ、一つの限界と申しますか、そういう問題があるわけでございます。
  150. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはまたあとで資料をちょうだいすればよろしいけれども、そういう例外的な事例があれば、もう少し調べて、たとえば、どこのポンプ会社のポンプはこうなっておるんだとか、それに比べて、他の、この実施額ではできないという自治体におけるポンプの購入はこうだとか、そういう少し詳しい具体的な調査でも行なって、そういう不合理が少しでも改善できるという処置をとるべきじゃないですか。  それから、もう一つですけれども、私は、いまおっしゃいました説明をそのまま信用することはできません。同じ機能を持っておって、同じ装備のものが、それほど値が違うわけはない。そうしますと、そこには、何らかの原因があるに違いない。その原因はどこにあるのか、こういう点をもう少し究明されなければ、説明に信憑性がなくなりますよ。  それから、先ほどから例を申し上げましたけれども、特に大きな超過負担を必要としているこの種のものにつきましては、いまおっしゃいますように、これで十分やっていけるということなんでしょうか。いまの説明がはたしてほんとうなのか。それなら、もう少し具体的なデータが出そうなものだ。それから、もしも、そういうところが若干あったとしましても、ポンプは別としまして、水槽などにつきましては、これは地域によって差がある。これは間違いないと思いますけれども、それにしましても、やはり、特殊と一般とを混同しちゃだめだということです。全体的には、消防の超過負担ということが非常にやかましく言われている。これは一般的な傾向だ。その中で、若干の特殊的な状況があるとしても、それで一般とすりかえてはだめだということですよ。だから、そういう説明でものごとを片づけようとしたのではだめだ。もう少し全体の趨勢に基づいて問題を取り上げてほしいと思います。  そこで、問題は、あと説明があれば、また聞かしてもらってよろしいけれども、いずれにしましても、金額の高いものほど基準価格と実勢との差が大きいわけです。また、金額の高いものほど超過負担が出る率が高いわけですから、ここのところに注目してもらって、個々の改善をやってもらわなければいけません。明年度三〇%改定するとおっしゃいますが、三〇%改定しましても、現行実勢に及びませんよ。いま、御承知のように、物価の上昇機運によりまして、この種の資材も、価格が騰貴しつつあることは疑いの余地がありませんけれども、昨年、実績の実勢価格に及ばない改定をやって、本年度、物価騰貴の中で、はたして実勢に近づけたということが言い得るでしょうか、どうでしょうか。
  151. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、実勢単価というものに、非常に個体差があるということ、それから、消防庁で基準といたしております規格外のものというものがやはり入っておること、そういうものも含めての実勢価格、こういうことになりますと、そこのより分けが必要だ、こういうことであろうかと思います。  ただ、私が先ほどから繰り返し申し上げておりますように、この補助というものはあくまでも奨励的補助金であるから、いわゆる超過負担という問題ではない。しかしながら、少なくとも、補助金ということで出す以上は、この基準額を上げていくという努力はしなければならないわけでありますので、そういう観点から三〇%の単価の引き上げというものを考えておるわけであります。それで、先ほどおっしゃいましたような、いわば精算補助みたいなところまでいくかということになりますと、これは、率直に申しまして、無理であろうという感じが私はいたすわけでございまして、そういう補助基準額については、来年三〇%の引き上げを努力目標としてやる、さらにまた、その次の年度において引き上げをはかっていく、こういうことで、絶えず連続してやっていかなければならない問題であろうというふうに考えておるわけであります。  これは、一つには、御案内のとおり、たとえばことしの国の予算要求は二五%の制約を受けておりますが、そういう要求のワクの中での操作という問題もあるわけでございまして、そういう中で最善の努力をしておるという努力はくみ取っていただけるのじゃないかというふうに思う次第であります。
  152. 三谷秀治

    ○三谷委員 二五%制約を受けておるというのは、われわれは、何も制約を受けておりはしません。われわれは、制約そのものに対して問題にしておるわけであって、その二五%の制約を基本にしてものを言われると、われわれは、政府のきめたことに対して、批判もできなければ、意見も述べられない。全く議会の権能を無視することになってしまいますから、そういうお答えをなすっちゃいけません。  それで、いまおっしゃいましたのですけれども、補助金でも、超過負担が存在するのですよ。たとえば、建築関係予算にしましても、学校関係予算にしましても、補助金でありますけれども、超過負担というものは計算されているのです。いま、超過負担解消の問題が大きな課題になってきておりますのは、負担金だけじゃないのです。負担金だけの解消をするんだ、補助金はそうじゃないんだ、そんなことには一つもなっておりませんですよ。これにしましても、奨励的なものでありましても、法律で規定をして、そしてその何割ということを定めている限りは、たてまえは、実勢価格を基準にして、その何割を出すのだ、これが法律の定めじゃおまへんか。そうしますと、それに合わない基準というものは、当然超過負担の根拠になり得るものであって、奨励的なものだから超過負担はないというものじゃないですよ。それが奨励的であろうと、義務的であろうと、法律で規定をしました限り、それは、規定した範囲におきましては強制力を持っている。義務的な責任が生じてきているわけだ。そうしますと、そのことが実行されなければ、それは当然超過負担である。法律をつくります精神というものが奨励的なものであろうと、義務的なものであろうと、それは別であって、できました法律というものが規制しておりますものは、当然、これは責任を持たなくちゃならぬものであって、そこから出てくる不足は超過負担だ、これは当然のことではありませんか。法律というものは、成立をしましたとたんに独自の人格を持って動いて行くものであって、つくりましたときの精神がどうであろうと、そのような規定ができました限りは、その規定を守っていくということは原則ですよ。
  153. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは補助負担金の基本論になるわけでございますが、御案内のとおり、地方財政法で私どもが負担金と理解いたしておりますものは、地方財政法の十条から十条の三までの規定にございますもので、国がこれこれの経費を負担する、ということを一義的に書き込んでおるわけであります。十六条におきましては、国は云々の場合には、「当該地方公共団体に対して、補助金を交付することができる。」ということで、明らかに、負担金と補助金というものは、制度的に別のものとして割り切っておるわけでございます。私どもが、超過負担の解消ということで、ここ何年来精力的に各省のしりをたたき、大蔵省にも強く要望して助成を迫っておりますものは、この負担金で、国が法令の規定によって一時的に負担をしなければならないものについて出ししぶる。それによって地方財政に負担を与えておる。少なくとも、私どもは、それを超過負担という理解のもとに是正を迫っておるわけでございまして、この補助金の場合におきましては、そういう意味での超過負担という理解をいたしておらないわけでございます。  ただ、何べんも申し上げますように、この補助金の基準額というものにつきましては、できるだけ実勢に合わしていくということが望ましいことはやはり当然でございますから、私どもといたしましては、その面の努力をいささかも惜しむものではない、積極的にやってまいりたい、こういうことでございます。
  154. 三谷秀治

    ○三谷委員 これを繰り返して言いますと時間を食いますから、少し次に進みますが、補助金を交付することができるという精神でやりましても、つくりました補助金の制度が、率を規定し、そして、その二とが法定されました限りにおきましては、それを実行するという義務が生ずるのは当然であって、実行しないために生まれてくる損失というものは、当然、自治体に対する余分な負担になってくる。これは、論議のたてまえがそうなってくるわけであって、地方団体の超過負担だと主張するのは当然のことだと私は思います。しかし、これをいま繰り返して言いますと、ほかの質問がだめになりますから、なお、この問題は残しておきまして、時間を見てこの問題をやっていきたいと思います。  もう一つは、交付税ですね。この交付税は、人口を基準にして算出いたしますために、火災災害の発生源であります化学工場だとか貯蔵タンクなどの設備と、これに伴います新しい消防力の需要に対する対策がない、あるいは弱い。これについてはどうお考えですか。
  155. 松浦功

    ○松浦政府委員 先生よく御承知のように、交付税の算定には、一定の技術的な限界がございます。したがって、標準団体というものを想定いたしまして、いまのようなやり方、あるいは、あと、何か特殊な事情がございますれば、特別交付税という制度がございます。それらも合わせて適切な運用をしていくということで今後も参りたいと思います。
  156. 三谷秀治

    ○三谷委員 最近、御承知のように、化学工場の火災などが増加しまして、たいへんな被害を及ぼしております。その化学工場をかかえております自治体消防ですが、これが通り一ぺんの計算より交付税が受けられませんために、消防力が危険度に対応するものになっていない。これに対しては、何らかの特殊な措置が必要だというふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
  157. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほども申し上げましたように、そういった要素を的確に客観的につかまえて交付税に算入することが、技術的に非常に困難でございます。したがって、地方財政全般の問題として、この問題は取り扱っていかなければならないと思います。
  158. 三谷秀治

    ○三谷委員 具体的にはどうするわけですか。
  159. 松浦功

    ○松浦政府委員 大きな化学工場がございましても、自衛消防ということが本来あるはずのものでございます。あるいは、周辺からの応援というようなこともあろうかと思います。そういったことによって、地方公共団体現実に多額の支出をしたという場合には、これは、特別交付税という制度がございます。それらをもって、全般的には、当該団体地方財政状況を勘案しながら合理的な措置を考えていく、こういうことじゃないかと思います。
  160. 三谷秀治

    ○三谷委員 今日まで、そういう観点に立つ特別交付税を支給された実例がありますか。
  161. 松浦功

    ○松浦政府委員 これまでにも、大火災等については、非常にたくさんあるようでございます。
  162. 三谷秀治

    ○三谷委員 大火災というのは何ですか。火災に対する特別交付なんですか。消防体制に対する特別交付じゃないのですか。
  163. 松浦功

    ○松浦政府委員 消防の自動車に対する特別交付税という考え方はないかと思いますが、昼夜ぶっ通しで職員が働く、そのため超過勤務手当が非常にたくさんになる、そういうような財政需要は、いままでも見ておるわけであります。
  164. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、十万キロリットルのタンク火災の消火には、二万キロリットルの化学消化剤が要るというんですね。この費用が四百万円だと言っております。川崎市では、十三万キロリットルを備蓄しているというのです。これで二千六百万円の予算が必要だ。化学消防艇が三十トンで三千万円、化学装甲車が一台三千万円、そういう余分な消防器材の整備というものが必要になってきて、そこに予算を食っていくという実情になっております。こういう事態に対しては、何らか、補助制度はないのですか。あるいは、従来おとりになった例はないのですか。
  165. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまの化学コンビナート地帯におきまして、たとえば、いま御指摘になりました消火艇といったようなものなり、あるいは特殊な高発泡車、こういったものにつきましては、御案内のとおり、ただいま議論になりました消防施設の整備費の補助対象として取り上げて、補助をしておる。それから、コンビナート地帯におきます防災資器材につきましては、都道府県に対しまして三分の一の助成をいたしておる。こういうことで、まず、消防補助金のサイドで見ておるわけでございます。交付税のそれに対応する措置ということにつきましては、先ほど財政局長からお答え申し上げましたような交付税、基準財政需要額の算定の技術的な面から見ておりませんけれども、これにつきましては、たとえばそういうことでございますね。あと消防に直に働くわけではございませんけれども、いろいろな態容補正その他の補正による財源付与ということもあるわけでございまして、また、そういう団体でございますれば、当然、先ほど申し上げました企業責任という観点から、第一次的なコンビナートの防災体制、発火いたしました場合の責任というものは企業に負わしておるわけでございまして、企業自身の自衛消防力というものとあわせて補完をしてまいる、こういうことになろうかと思います。
  166. 三谷秀治

    ○三谷委員 この、石油コンビナート地帯の防災対策ですね。これについては、各県五百万円ですか、補助金をお出しになっている。しかも、これは七カ所ですね。三千五百万円お出しになっている。しかし、特に防災対策を必要とするコンビナートは七カ所じゃないですね。もっと膨大な数にのほっている。五十一カ所ですか、重要なところだけで二十何カ所ある。そのうち七カ所の府県にだけ五百万出ているということになっていると私は承知している。そのような対策でこれはいいんでしょうか。
  167. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま申しましたように、第一次的には、やはり、企業それ自身が、自分の始末は自分でつけるということを基本に置いておるわけでございますので、当然、企業自身がこの資機材の用意というものはしておる、また、しなければならない、こういうことでございまして、それを補完する意味で府県に助成をいたしておるわけでございます。  その助成につきましては、ただいま御指摘のように七県、一県当たり五百万という助成でございますが、これも、明年度以降対象の県をふやし、また、単価も実情に応じて引き上げていく、こういうことを努力いたしたいと思っております。
  168. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは、どれくらいふやされるのですか。どれくらいの範囲になるのですか。それから、企業自体の責任だとおっしゃっておりますが、確かに、そういう要素はあるのですよ。しかし、その企業に責任を持たすための法的な規制力というふうなものが、どの程度あるのですか。消防庁なり、あるいは自治体消防は、この企業に対して、そういう強制規制ができるのかどうか。できなければ、それは単なる精神的な願望にすぎないものであって、それがやられておれば、たとえば住友化学のような事故が起きるわけはないわけなんですよ。  それから、もう一つ、石油コンビナートの火災件数が増加しておりますが、これは、エチレンだとか粗製メタノールだとかが関係した火災が多くなっているのですね。そこで、出光石油の徳山工場もエチレンに関係しておるようでありますけれども、消防法でチェックできる危険物の中にこれは入っておりますか。今日の消防法によりますと、常温において液状であるものに限られておるわけでありまして、気体などにつきましては、消防法で規定する危険物になっていない。そういう状態のように私は理解しておりますけれども、その点はどうでしょう。
  169. 鎌田要人

    鎌田政府委員 前段の自衛消防組織の問題でございますが、これは、消防法第十四条の三で、御案内のとおり、義務規定になっておるわけでございまして、この規定によって企業に履行を迫るという法的担保があるわけでございます。  それから、あとのほうの御質問につきましては、事務的に御答弁をさせていただきます。
  170. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 住友化学の、例の物品については、危険物であるかどうかというところは、まだはっきりしておりませんが、消防法に基づく危険物とは、先生御承知のとおり、引火性のものにつきましては、液状のものが主であります。  それから、先ほどの問題にちょっと関連いたしますけれども、石油コンビナート地帯というのは、危険物施設が群をなしていろいろ所在しております。そして、先ほど長官から答弁申し上げましたように、自衛消防隊がお互いに協力してその防災に当たるということを指導いたしております。したがいまして、そういう大きな地帯をかかえ込む都道府県に対して、国から防災資金なりを補助を出すという制度で取り組んでおるわけでございます。
  171. 三谷秀治

    ○三谷委員 共同して当たることはけっこうなんです。それについてとやかく言ってはおりませんけれども、私が問題にしていますのは、そういう危険地帯ができまして、それに対応する消防力を強化する必要があり、その強化する場合におきまして、集団としてやろうと、あるいは個別にやろうと、いずれにしても、それに対応する消防力の強化という問題が日程にのぼらざるを得ないという考え方なんですよ。火災が起きましたときに、相互に協力し合うというのは当然のことでありまして、ことさらそれをここでとやかく言う性質のものではないというふうに私は思っておるわけです。  そこで、義務規定があるから、企業に対して一定の消防体制の実行を迫り得るとおっしゃっておりますけれども、企業の消防体制というものが、はたして、そういう十分な指導や監督下に置かれておって、その体制が万全なものかどうか。しかも大阪などで調べてみますと、それを十分に調査をする人員が足りない、消防職員が足りないというふうな事態もあるわけであって、その点に一つ問題があるんじゃないか。  もう一つは、高圧ガスの取り締まりは通産省の管轄だ、あるいは、ボイラーは、労働安全衛生法で、労働省だ、そして、消防法でチェックできるのは、常温で液状なものだけなんだと、そういうように、防災体制というものがばらばらになってしまっておる。しかも、責任は、事故が起これば消防にかかってくるというふうな事態に対して、改善をする必要はないのかどうか、お尋ねしたいと思う。
  172. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 コンビナート地帯を中心といたしまして、化学施設については、その物品が危険物として消防法の対象であろと、あるいは、高圧ガスとして通産省の所管のものであろうと、消防といたしましては、出火、延焼、あるいは中毒等の災害等を考慮いたしまして、消防法に基づく査察権によって調査し、その善処方について、関係省庁とよく連絡をとっている次第でございます。今後も、さらに、そういう点についての強化に尽くしていきたいと思います。
  173. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなた方の答弁を聞いておりますと、まことに希望的なお答えになっているのですね。こういう危険防止、あるいは防災対策といいますか、そういう事項に対する監督官庁が分かれておって、一元的な体制が取り得ないということが防災体制上の大きな障害になっているということは、こと新しく問題にしているのじゃなしに、従来から言われているわけですから、これを防災体制強化の上から一体どうするかということについて、もう少し積極的に検討される必要があるんじゃないかということを私は申し上げておるわけなんです。  それで、さっきあなたがおっしゃいましたコンビナートの火災などについては、企業におきまして共同するとおっしゃいますけれども、化学車さえ置いてない地域が十一地帯あると聞いておりますが、そういう状態におきまして、はたして、防災体制というものが強化されておると言えるのかという疑点を持つものです。  それから、消防法によります危険物の規制に関する政令でありますけれども、これが実情に合っていないじゃないかということを私は感じておりますが、どうでしょうか。たとえば、石油タンクの保安距離が、三メートルとか五メートルだとかいう距離ですね。それから、工場と人家の距離の制根というのが十メートル以上、病院との距離の制根が三十メートルあればいいんだというような政令になっておるようでありますけれども、こういう基準をもってしまして、最近のあの危険な化学性火災に対処し得るかどうか、これについてもお尋ねしたいと思います。
  174. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 危険物の規制に関する政令において、タンクの周囲に保育すべき空地及び病院、住居等に対してとるべき保有距離の基準がございますけれども、御指摘のとおり、最近の巨大化の施設に対しましては非常に不十分でございますので、さらに広い空地距離をとるべく、関係省庁連絡をしながら、現在作業を進めつつある段階でございます。
  175. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、早うせぬといけません。工場が建ってしまえば、工場はどきはしませんから、人家がどかなければならなくなってくる。本末転倒になってしまう。これは、皆さんよく御研究されていると思いますけれども、住友化学の大分製造所の火災では、毒ガスが五百メートル離れたところにあふれてきたというんですね。そうしますと、病院まで三十メートル、人家まで十メートルなんて、そんな空地なんというものではだめだ。これは全然問題にもなりはせぬ。それを早くやっていくということがやはり必要なことであって、これは、いつやるめどでやっていらっしゃいますか。
  176. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 通産省と、現在、コンビナート施設についての総点検をやっておりまして、具体的には、その作業の進捗は、その結果を待っていろいろ研究していく予定でございます。いまのところは、はっきりしたことは答えられませんが、できるだけ早急に具体案を練りたい、こういう考えでございます。
  177. 三谷秀治

    ○三谷委員 めどをつけてやらないとあきまへんぜ。できるだけ、できるだけと、いつまでもそういうばく然とした答弁をなさっておりますけれども、長官、この問題は重要だから、いつまでにやるつもりですというような、もう少し歯切れのいい答弁を二つや三つしたらどうですか。
  178. 鎌田要人

    鎌田政府委員 歯切れのいい答弁をしたいところでございますが、わが国の行政、縦割り行政の弊というものがある程度あるわけでございまして、われわれがやろうと思っても、役所組織の中でなかなか動けないという面もあることは事実だろうと思います。何よりも、申しわけないことでございますが、私、まだ、新米ほやほやでございますので、早急に問題の所在を把握いたしまして、繰り返しになりますけれども、早急にめどをつけるような努力をいたしたいと思う次第でございます。
  179. 三谷秀治

    ○三谷委員 それから、さっきの府県に対する補助金とか、地域を広げるという問題については、どの範囲のものか、まだお答えになっていないでしょう。
  180. 辻誠二

    ○辻説明員 来年度予算要求といたしましては、七カ所を予定しております。実は、四十八年度も七カ所でございますけれども、四十七年度に五カ所であったものを、二カ所ふやしまして、七カ所にいたしました。来年度は、数としては同じでございますけれども、早急に必要な全都道府県に配るようにしたいということでございます。(三谷委員「金額は」と呼ぶ)  単価は、今年度五百万を七百万ということで、二百万の単価アップを要求しております。
  181. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、消防庁調査では、石油コンビナート地帯が、全国で、二十七府県、五十一地帯となっていますね。おもなものが二十五地帯、そのうち、整備目標に達しているものが七地帯、その整備目標というのが、いまおっしゃいました五百万ですか、そういうことなんですね。だから、この整備目標に達したということ自体が、内容としてはまことに空疎なものであって、整備目標に達したという性質のものではないわけです。しかも、七カ所にすぎない、明年も七カ所、まことにこれはゆったりとした行政をおやりになっておりますけれども、こういう被害というものは、待ってはくれませんですよ。体制は迅速にとるということをやっていかなければだめです。地震の問題なども、盛んに最近の世上の話題になっておりますが、こういう場所におきましても、特別な対策強化する必要がある。七カ所くらいのが増加で満足すべきものでしょうか。七カ所は、要求が七カ所ですか。大蔵省が出してきましたのが七カ所ですか。
  182. 辻誠二

    ○辻説明員 要求が七カ所でございます。
  183. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでは話になりませんよ。削られたら、また四つか五つになってしまう。もう少し積極的にこういう問題については取り上げていくという態度が要りはしませんか。
  184. 鎌田要人

    鎌田政府委員 七カ所の要求は、四十八年度に、五カ所から七カ所にふえております。私、ちょっと先ほど聞き違えをしておりまして、七カ所をさらにまた七カ所ふやすんだということで、胸を張って実は申し上げたわけでございますが、そうじゃございませんで、四十八年度七カ所というものをそのまま踏襲をして要求をしておるようでございます。したがいまして、明年度の問題といたしましては、七カ所は確保できるわけでございますが、もちろん、それだけでは足りないということでございまして、四十九年度以降におきまして、飛躍的に増加要求をしてまいりたいというように考えている次第であります。
  185. 三谷秀治

    ○三谷委員 これも、先のことを希望的におっしゃっている程度であって、いま当面の問題としましては、なかなか首肯できるお答えじゃありません。防災対策について、消防庁そのもののがもう少し積極性を持つということが必要だと私は思います。そのことを指摘しておきます。  最後にお尋ねしたいのは、自主消防団ですね。この自主的消防団が大きな役割りをになっておりますが、これまた、たいへんな障害に直面しております。この自主的消防団に対する交付税の助成の単価の基準は、どのように扱われておりますのか。具体的なものを説明してほしいと思っております。
  186. 松浦功

    ○松浦政府委員 交付税につきましては、非常勤の団員の方々に対しまして、報酬あるいは出勤手当、それから、団運営の需用費そういったものを中心に算入をしておる次第でございます。
  187. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう少し具体的に説明してくれたらどうですか。私の調べておりますものを見ますと、消防団員の一年間の手当が六千円となっているのですね。これの真偽のほどをお尋ねしたい。それから、出勤手当が一回千三百五十円になっておりますが、これはどうなのか。もしも、この数字が事実でありますと、月五百円ですね。月五百円をもってしまして、消防団員の慢性的欠員状況が解決するのでしょうか。このことをお尋ねしたいと思うのです。
  188. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま御指摘の、団員年間六千円、出勤手当千三百五十円は、まさにそのとおりでございます。本年度の交付税におきましては、標準団体におきまして、報酬三百六十三万、旅費四百七十九万、需用費四百四十一万、備品購入費四百二十一万、負担金補助交付金百九十一万、合計いたしまして千八百九十七万、これを標準団体に算入いたしております。  ただいま御指摘の年間六千円、月にすれば五百円じゃないか、これで団員が確保できるかということでございますが、こういうことを申し上げるといかがかと思いますが、もともと、義勇消防という形で、自分の住んでおる当該地域をみずからの手で守ろうという奉仕的なお気持ちを持った方々から成り立っておるわけでございますので、もちろん、報酬は高いほどよく、それに越したことはございませんけれども、これまでの経過から見て、非常に大きな財政需要にもなりますし、一気には引き上げかねておる状況でございます。年々消防庁連絡をとりながら引き上げつつございますけれども、これが現実の収入という形で考えられるということは、団員の性格からいたしまして、私どもとしては、将来ともそういう考え方はとるべきではないという気持ちを持っております。
  189. 三谷秀治

    ○三谷委員 性格論をいまやろうとは思いませんけれども、要するに、一定の時間を費やしました費用弁償ですね。そういうふうなものとして考えていけばいいと思うのですよ。その観点からしましても、これは少し法外だ。まあ、これは自主的消防団員ですけれども、常備消防におきましても、そういう実例はあるのですよ。たとえば交付税の基準になります出勤手当ですか、運転手で二百円と違いますか。それから、はしご隊二百円、あの危険な作業をしているはしご、これが二百円、一般職員で百四十円、コカコーラ二本ほど飲んだらしまいになってしまう。これは常備の場合ですが、つまり、同じ取り扱いがなされておる、冷遇されておるということを私は指摘したいと思うのです。ですから、消防団員が足りませんでしょう。東京都でも足りません。東京都でも、九百三十八町会ですか、団員がいないというのですね。それから、施設の老朽化という問題もあります。二十年以前のものがまだある。ポンプ置き場もなくなってくる。昔みたいな牧歌的な時代と違いますから、いま、土地一坪が何十万というときに、消防器材置き場にしたところで、これはもう、昔のように簡単に提供する者もなければ、手にも入らない、そういう状態になってきている。それで、地震などで交通が閉塞しまして、火災現場、災害現場に消防車が到着しない場合は、自主的に地域で消火作業に当たるとされておるわけであります。こういう重要な任務を持っておりますけれども、いまのような扱い、あるいはいまのような状態では、初期消火や住民指導も満足にできないことになりやせぬかということを私は懸命するものです。消防庁の目標を聞きますと、震災時、火災発生後十分以内に各分団から二台以上のポンプが現場に到着して初期消火を行なうことができる人員や施設、あるいは装備の保有が必要なんだということですけれども、いまのような財政措置でこれが実現できるかどうか、この点をお尋ねしたいと思う。
  190. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまの消防団の処遇の点につきましては、私は、基本的には、先ほど財政局長が答えましたように、やはり、ボランティアといいますか、その地域奉仕というような貴重な考え方に基づいて行動していただいておるわけでございますから、たとえば、退職時におきまする団員の報賞あるいは災害等の報賞というものを中心にした処遇の改善というものをはかってまいりたいというふうに考えておるわけであります。  それから、消防職員の各特殊勤務手当等でございますが、これにつきましては、たとえば警察の特殊勤務手当その他の特殊勤務手当等の考慮もはかりながら、毎年交付税の算定を引き上げてきておるわけでありまして、特に、四十八年度は、基準財政需要の積算におきまして、かなり大幅な引き上げを行なったところでございます。もちろん、これについても、引き続いて引き上げを行なってまいらなければならないというように考えておるわけであります。  非常災害発生時、大震災発生時におきまする措置といたしましては、やはり、消防隊というものの活動が非常に阻害されるので、そこで、私どもといたしましては、消防組織を母体としながらの、それよりもっと広い範囲での市民消火隊というものの活動にどうしても期待をせざるを得ない。そういった面から、例の簡易動力ポンプといったものの助成をはかっておるところでございます。  全体といたしまして、消防財政というのは、基本的には、交付税なり、あるいは起債なり、あるいは税なり、こういう一般財源でまかなうことを基底にいたしまして、それに奨励的な補助というものを加えていく、こういう仕組みでございますので、全体の財源の拡充をはかってまいるということが地方財政全体に通ずる基本的な問題であろうと思いますが、そういうものとの一環として消防財政の充実というものは引き続いてはかってまいらなければならないと考えておるわけでございまして、せっかくその点につきましては努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  191. 三谷秀治

    ○三谷委員 いずれにしましても、これは地域奉仕的な性格の存在なんだとおっしゃいますけれども、まあ、いまの時代というものが昔とは変わってきたということなんですよ。ですから、そういうものをいつまでも期待をかけていくということでは、実態に合わなくなってくる。それが消防団員不足という現実になって出てきているのだということだと思います。特に、近郊農村の宅地化が進みまして、昔の部落意識というものが変化しつつあります。部落共同体的な意識が崩壊しつつあるんです。だから、同じ村内でも、新しくできました団地などにつきましては、旧村の消防団は責任持ちません、持てません、こういう事態がしばしば起きてきている。こういう状態などを考えてみますと、もちろん、常備消防強化という問題が当然問題になってきますけれども、しかし、自主的な消防団に対しても、もっと国の積極策を強めていくということが必要だと思います。  それから、東大阪市私どもの住んでおるところ——大阪府全体がそうですけれども、純農村地帯ではありませんので、だから、昔ながらの農村とは、自主消防団の実態について若干差があるかもわかりませんが、都市近郊における自主消防団の実態しか私どもよくわかりませんから、そのことはあらかじめ断わっておきますが、たとえば、ポンプなどにしましても、部落の共有財産を処分して、そうして、その際に、一部を拠出して買い込むという程度の状態なんですね。ですから、古いポンプがずいぶんたくさんある。ポンコツですね。修理も十分にできていない。予算がないからできない。消火作業をしますヘルメットだとか、かっぱだとか、長ぐつも、数が足りない。結局、これは個人負担になってしまう。月五百円ちょうだいします中からそれをまかなわざるを得ないというふうな実態になっているわけです。  もう一つは、この災害出動によりまして、けがをしますでしょう。これに対する扱いがたいへん悪い。治療費は全額出してくれますが、休業補償はどうなっておりますか。何か、基準がありますか。この間、東大阪市で、けがをして十四日休んだ人がおりますが、休業補償が一万六千円でしたよ。これでは、自主的な消防団がほんとうに活動できるもんじゃありません。こういう問題についての御方針をお聞きしたいと思う。
  192. 辻誠二

    ○辻説明員 ただいまの、消防団員が公務災害にあわれた場合の補償の関係でございますけれども、法律に根拠がありまして、市町村が公務災害について補償しなければならないということになっております。それに基づきまして、国のほうで政令で基準をきめておりますけれども、その中に、その補償の一つとしまして、先ほどお述べになりました休業補償という項目がございまして、休業補償をしております。全体的な取り扱いは、一般の地方公務員、つまり、常勤の公務員に行なわれておるものと同じようなことでございます。  その、補償をする場合の、いわゆる補償基礎額でございますけれども、補償基礎額は、一応、国家公務員の公安職の一定の職、まあ、警察官のある一定勤続年数の職に該当するものとして、それの三十分の一、つまり、一日分という計算にしまして、一日の基礎額をきめておりまして、したがいまして、国家公務員のベースアップがあるたびに毎年度改定されております。  以上でございます。
  193. 三谷秀治

    ○三谷委員 市町村が補償しなければならないとなっておるとしますと、その市町村財政需要に対しては、国としての格別な助成策はないのですか。
  194. 辻誠二

    ○辻説明員 現在の制度といたしまして、市町村に補償の責任があるわけでございますけれども、それを全国ベースで補償責任を共済する機関としまして、消防団員等公務災害補償等共済基金という法律に基づきます機関がございます。若干の例外はありますけれども、各市町村で補償契約をその共済基金と結んでおりまして、これも政令で基準がきまっておりますけれども、毎年一定額の掛け金を団員の人数当たりで納めておりまして、それによりまして全国的に共済されておりますので、いま言われたように臨時的に多額の災害補償が生じましても、市町村に対して、その年度不当な負担がかからないようになっております。  ちなみに、その掛け金につきましては、普通交付税の算定の中に計上してございまして、そういう形の財源措置をしております。
  195. 三谷秀治

    ○三谷委員 交付税の中にどういう形で算定されておりますか。
  196. 松浦功

    ○松浦政府委員 消防団員等公務災害補償責任共済基金負担金ということで、これは向こうで定まっておる金額のようでございますが、人口一人当たり一円四十八銭、標準団体が十万人でございますから、十四万八千円。団員一人当たり八百円、五百六十三人分として四十五万円、これだけのものを交付税の中に算入しております。これを基金に納めていただければ、基金で定められたものは、基金が——全体、厚い薄いがございますし、ないところもございましょうが、そういうところで回転ができるという形になっております。
  197. 三谷秀治

    ○三谷委員 その共済制度というのは、傷害の場合だけですか。疾病の場合はどうですか。
  198. 辻誠二

    ○辻説明員 通常言われている公務災害、すべてについてでございます。
  199. 三谷秀治

    ○三谷委員 それで、それだけの補助金を出しておりまして、実際に地方自治体が負担している掛け金はどれぐらいになるのですか。それに対する国の補助金の比率はどれぐらいになっておりますか。
  200. 辻誠二

    ○辻説明員 いまおっしゃいますところの、全国的に、市町村が、毎年度、総額どのくらいの掛け金を共済基金に納めているかという点につきましては、ちょっと資料がございません。  それで、補助金ということをちょっと言われましたけれども、これは、市町村が全国的に寄り合って共済するという考え方に立っておりますので、この公務災害については、国の補助金という制度はございません。それで、結局、交付税措置という形で算入しているということでございます。
  201. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま、その交付税が、この制度について、自治体が負担します中でどれくらいの比率を占めているのかお尋ねしたわけですけれども、わかりませんか。
  202. 松浦功

    ○松浦政府委員 標準団体の計算でございますが、人口は、標準団体はまさに十万でございますから、こちらできめておる徴収金額が一人一円四十八銭でございましたら、交付税で一円四十八銭見れば、これは完全に入っているわけでございます。ところが、団員一人当たり八百円というのがこちらの規定のようでございますけれども、交付税上は五百六十三人という想定をいたしております。それが、現実団体伺いますと、若干のズレが出てくるかと思います。ですから、たてまえとしては、一〇〇%交付税で入れておる、こういうふうに御理解いただいてけっこうです。
  203. 三谷秀治

    ○三谷委員 この点につきましては、こういう実例がありまして、不足が出ておる。その不足の原因がどこにあるのか、私のほうで十分調査ができておりませんで、まだ分明しませんのでお尋ねしたわけですけれども、非常に少ないのですよね。十四日で一万六千といいますと、休業補償としてはたいへん安いわけですが、これはどこに原因があるのか。いまおっしゃいます説明によりますと、公務員並みということですが、それならもっとあるわけなんです。これはもっとよく調べまして、責任の所在を明確にしていきたいと思います。  時間が過ぎてしまいまして、まことにすみません。これで終わっておきます。
  204. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十六分散会