○吉田
委員 時間がございませんから、一点だけ伺いたいと思います。
今度の問題を通じて、
新聞の論調を承りますと、
警察の権威が問われていると私は思います。このいう記事がございます。これは八月二十四日の朝日の「天声人語」ですが、「「日韓の
警察は身内同士」という意識が、
警察では強いそうだ。」「そうした体質が、意識的にか無意識的にか、第一線の
捜査にまで及んでいるのだろう。この腐敗菌は、かなり奥深いところに巣くっている。」云々と書いてございます。それから、八月十九日の、これは
東京タイムズだと思いますが、その「東タイ日記」の中に、「諜報機関とおぼしきA国人と大使館員が
東京で
情報交換するといった事例を
日本の外事
警察はかなり掌握しているといわれる。」と書いてあり、そのほかに、外事
警察が二百人もおるということを書いております。そして、
事件が起こって十五日間かかって初めて車の手配がされたというのは、能率を誇る
警視庁として、これは一体どうしてだろうということが言われている。
この問題を本
会議で取り上げて
質問することについてちゅうちょをせられたり、あるいは、総理が、「
韓国のことばかり書かないで、もっと内政問題を取り上げたらどうか」と言ったというようなところに、本心があらわれているのではないかと私は思ったりするのです。個人的に、江崎氏が、
金大中氏の再来訪を求めたり、あるいはこういうやり方についての要望をせられておる言動を拝見をいたしますと、個人としては見解をちゃんとお持ちだと思うのですけれ
ども、
日本の方針、あるいは、特に、
日本の政府も、それから
警察も問われているのだと思いますが、きょう、
韓国からの通報、あるいは
金大中氏の発言に
関連をして、車のこと、あるいは船のこと、あるいは畑中氏のこと、その他を尋ねても、一向はっきりいたしません。今日に至るまで、能率的な
警察が、あるいは二百人以上を持つ外事
警察の陣容を誇っておられる
警察が、何ら見るべきものはございません。時間があったら楢崎発言に
関連をする写真の問題等についても、調べて回答するということでしたから、回答願いたいと思いましたが、さっき局長から多少話がございましたが、十分なことはございませんでした。
そこで、ひとつ、事例をあげて申し上げますが、社会党が
調査をいたしましたところによると、ことしの三月、
東京の中野区に住んでおられた沢本三次さんが、
韓国中央情報部と見られる男に連れ去られて、金浦空港で逮捕されて、反共法、国家保安法によって無期懲役を受けた。これは
日本の
国籍を持っておられるし、帰化されたことは明らかであります。あるいは、六月には、北大理学部の助手をしていた金喆佑という人だと思いますが、地質
調査中に
韓国陸軍保安司全部に逮捕された。これは兄弟とも逮捕をされております。
日本の国家公務員が
韓国政府に逮捕されて、そして処罰がされ、あるいは極刑に処せられる心配があるのに、
日本政府としては何にもなさらない、あるいは
日本の
警察も何にもなさらないという点は、たいへん私
どもをして疑わしめます。そのほかに、七月には、神戸市の葺合区の夏谷さんがスパイ容疑でソウルで逮捕された。あるいは、
東京教育大出身のソウル大学院生でありますところの、
日本名福田何がし兄弟が無期懲役に処せられた。
こういうことで、
日本における
韓国人の、あるいは朝鮮の諸君の安全も保障されていない。あるいは、
日本の主権を侵して拉致された
金大中氏についても、何らこれに対する
捜査も進まなければ、取り返すこともできない。西独のような、経済援助を打ち切っても取り返すという態度もございませんだけに、取り返しができないという事態に対して、
警察の権威が問われておる事態について、どう考えられますか、事例は少のうございますけれ
ども、簡単に
答弁を願いたいと思います。