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佐藤(敬)委員 いま建設大臣がおいでになりましたので、非常にお忙しいようなので、一番先に、はしょりまして、あと先になりますが、建設大臣に御
質問いたしたいと思います。
この前、
地方行政委員会で私は二回ばかり
質問いたしましたが、例の池袋の前に、東京拘置所のあと地が約二万坪ございます。東京都が金がなくて買えないというので、株式会社新都市開発センターというのにこれを移譲しまして、そこが、いま、日本で一番高い地上六十階、それに四十階、その他合わせまして膨大な面積の巨大開発をしようとしております。これが実際に構想が始まったのがいまから十年くらい前なんです。ところが、実際の公共用の用に供するのがことしの四月一日から、地上三階の公共用ビルが公共用に供するということになっておりますが、実際にはまだ何もできていない。さら地になっております。それを、今度は、
昭和五十三年の四月まで延期をいたしております。この延期した事実についてすこぶる疑問がありますので、これはあとで大蔵省のほうにお
伺いしたいと思いますけれ
ども、これを建てるにあたって、いまから十年くらい前の開発の
考え方と、現在、十年たった今日の
考え方とは、世の中の
考え方が非常に変わってきたと思うのです。昔といいますか、新宿の副都心の開発をしたころは、開発は非常にいいものだと
考えられておりましたが、しかし、いまは、ああいう巨大開発をしますと、いろいろな問題が起きてきております。これは最近の新聞等に毎日のごとく出ております。
一つは、水飢饉の問題です。この建物ができますと、もちろん日本一高いビルですから、新聞によりますと、浦和市の人口ぐらいの人々が一日にここに出入りすると書いてあります。水を約九千トンから一万トン使う。この水の問題が東京都では深刻な問題であります。付近の人は、このビルに水をとられると、自分のうちに水が来ないのではないかと心配しております。これは専用パイプをつけるからいいとは言っておりますが、もとの水が非常に不足していることは大臣の御承知のとおりであります。
さらに問題なのは、この間東京都の下水道局から首都整備局に対しまして、このままでは下水道がパンクするという厳重な申し入れをしております。例の神田川で、下水道がオーバーフローして、神田川の汚水で、東京都の下水道局長が美濃部さんから処罰を受けるという記事が出ております。
これは七月十六日の読売の記事ですけれ
ども、東京拘置所あとに建てるところの巨大開発の問題を一番多く取り上げております。ちょっと読んでみますと、こういうふうな「汚水戦争の“戦場”となりそうなのは、千代田、中央、港の都心三区や、新宿、渋谷、豊島の副都心区とその
周辺」というふうに書かれてありますし、さらに、一番頭をかかえているのは「池袋駅東口で進められている東京拘置所跡の再開発
計画(最高部分六十階建て、延べ五十八万二千平方メートル)」というふうに書かれてあります。そして、最後に「特に東京拘置所跡の再開発
計画の場合など、二本の幹線や途中のポンプ場、さらには三河島処理場の改修まで必要になりそう。」というふうに書いてあります。これはちょっとやそっとではできないたいへんな問題でございます。
さらに、ごみの問題があります。東京都がいまごみで困っているのは御承知のとおりであります。特に、豊島区は、処理場は
一つもなくて、中継してこれをつなごうという
計画しかありません。これができますと、一日に大体四十トンぐらいのごみが出てくる。これの処理が何のめ
どもついておりません。
さらに、最近、小坂経済企画庁長官が出しております電力の消費の問題、これも各所でいま非常に問題になっております。特に、小坂さんは、高層ビルのエレベーターに特別消費税をかけようじゃないかと言っていますが、こういうふうに、電力の問題が非常に大きな問題になっておる。あるいはまた、あそこに六十階、四十階というような大きなビルがどんどん建っていくと、風が少し強くなるとジェット風が出てきて、風害の問題が、局所に非常に大きな害を及ぼすのではないかというふうに言われております。
さらに、最近非常に問題になり、この間も
地方行政委員会に総理大臣が来て演説しておりましたけれ
ども、災害問題がある。あの豊島区というところはほとんど公園がございませんが、ここも二万坪のうち二千坪を公園にするだけで、あとはほとんど全部巨大開発で建物が建つのです。そうしますと、災害の問題を一体どういうふうに
考えるか。特に、最近の学説では、カリフォルニアの太平洋岸の海岸が隆起してきて、その隆起したものが太平洋の岩盤を日本のほうに押しのけて、太平洋海溝から日本列島の下に太平洋の岩盤が入ってくる、そのために、摩擦地点の海岸線が下に陥没していく、それがある
程度になればはね上がって、また隆起して、そのとき大地震になる、こういうことがほとんど定説になっております。特に、房総がそのまつ正面になっておる。静岡県では本気になって訓練までしておる。こういう時期です。
私は、この建物は日本で一番高いから、倒れるとは思いませんけれ
ども、火災が起こったり、内部の倒壊があったり、いろいろな災害が何かしら起こってくるということはまず覚悟しておかなければいけないと思います。総理大臣は盛んに災害対策、災害対策と強調しておりましたが、この建物に何十万という人口が一日に集まって、もし災害が起きたらたいへんなことになります。そういうときに、その逃げ場所
一つないという状態がこの開発の中にあると私は思います。
それで、もうすでにこれは新都市開発センターというものに売り渡されて、この間ようやく建築確認をとりまして、これから着工するというのです。しかし、いままで十年間延びてきた理由というものは、いま申し述べたようなもろもろの問題が解決できないから地元の反対があったり、東京都の水道や、下水や、いろいろな問題が解決できないからいままで延びてきたのである。ところが、この間再契約して、五年延長して、
昭和五十三年までにこれをつくるというふうになっていますけれ
ども、基礎条件であるところの、いままで申し上げました問題が
一つも解決されていない。どういう理由で五十三年までこれを延長したのか。五十三年というのは、この問題が全部解決される時点であるのか。そういう点はよくわかりませんけれ
ども、私は大臣にお聞きしたいのですが、十年前の日本人の
考え方と現在の日本人の
考え方とは非常に大きく変わってきている。幸いにして、あそこはまだ何も着工していない。一番先に申し述べましたけれ
ども、私は、東京都にあれをやるべきだと思う。しかしながら、東京都に交渉したところが、金がないというので東京都が断わったから、やむを得ず株式会社新都市開発センターにやったということです。しかし、金は幾ばくでもない。五十数億なんです。しかも、その建物を建てて建築交換をしていますが、価格が六億何ぼ足りないので、あと残った六億を現金で国がこの開発センターから取っている。たった六億の金を分割して入れさせている。それくらいの親切心があったなら、東京都に土地を払い下げて、分割でもらうとか、起債の金をつけてやるとか何かすれば、必ず東京都が獲得することができたと私は思う。それをあえてこういうところにやって、そうして、いまはどうですか。片方では公有地拡大法というもので、たった二千坪の土地を届けなければ売らせないという私有権の制限までして公有地を獲得しようとしている。片方では、こういう二万坪という、都心のどまん中にある大事な土地を営利会社にやっているのです。これは明らかに営利会社で、第三セクターでも何でもないのです。三菱土地が
中心になってこれはやっている会社なんだ。これになぜやったかという理由としてはこう言っています。まず、バスのターミナルということが一番。バスのターミナルは公共事業だから、公共事業をやる会社にこれをやったのだという理由ですけれ
ども、私は、これは公共事業でも何でもないと思う。ここには、バスターミナルと、それから千七百台の駐車場をこの建物の下につくる
計画があるのですが、ところが、これは公共施設じゃないと私は思う。これだけの巨大な建物を建てれば、千七百台の駐車場やバスのターミナルをつくっただけでも交通が非常に混乱することは目に見えている。六十階に上がるためには、歩いて上がれませんから、エレベーターをつけなければなりません。エレベーターは公共施設じゃなくて、建物の付属施設なんです。そういう意味で、駐車場なんというものは、完全なる付帯設備だ。これがなければ、こんな建物はできるはずはないのです。こういうふうに非常に大きな混乱を、これをもし強行するならば巻き起こすと私は思うのです。
大体、開発というものは何であるかということを
考えてみますと、開発というものは、無秩序にでたらめに広がっているものに秩序を与えようというのが開発で、これには御異存ないと私は思います。この池袋の副都心の
計画をいま強行すれば、かっこうはよくなりますよ。しかし、基礎条件、環境整備がますます大混乱におちいるのです。これは何も秩序を確立するのじゃなくて、新たなる混乱を巻き起こすだけなんです。そこで、本来こういうものは東京都にやって公園にすべきじゃないか。大体世界で一番公園緑地の足りないのは日本なんだから、せっかくこういう密集地帯にこれだけの二万坪という空地があったのだから、これを公園にすべきじゃないかと思います。しかし、こういう状態になってきました。さっきも申し上げましたとおり、幸いにしてまだ何にも手をつけておりません。私の
考えでは、この基礎条件というのは、三年や五年あったって、下水道だけ見たって解決されるとは思われない。このまま強行すればたいへんな混乱を巻き起こし、東京都の下水道がパンクする危険性がある。一番ひどいところは豊島区なんです。これから見ますと、むしろ、この
計画というものをここで取りやめて、もう一ぺん国が買い上げて、そうしてあそこを公園につくりかえるべきだと私は思います。大臣は御承知かどうかわかりませんけれ
ども、豊島区のあの東京拘置所の
周辺では、まだまだ国有地があるのです。というのは、そのすぐ向かいに約一万坪ぐらいの造幣局の敷地がありますが、あれは、おそらく刑務所にくっついた建物なんですね。そして、そのはす向かいのところに法務省の官舎がございますが、これは約三千坪か四千坪くらいある。その向こうのほうにはまだ大蔵省の土地がある。あれを全部やりますと、五万坪ぐらいの広大な土地が公有地として残るのです。そして、非常に困ることは、高速道路のすぐそばのところに、たいへんなスラム街がある。ものすごい密集したスラム街がある。むしろ、あれを改造することこそあそこの都市開発だというふうに私は思うのです。これだけの空地があるのだから、この空地を足がかりにしてあれを開発していくべきで、こういうふうにこの巨大開発の池袋副都心の
計画を練り直してやるべきじゃないかと思います。
あとで大蔵省の方にも
質問したいと思いますけれ
ども、もしこれを大臣がやるならば、これは、いまの都市政策で云々されている自民党の大ヒットになると私は思うのですよ。これも大臣にはあとで私はお
伺いしたいと思っていますが、例の筑波大学設置に伴うあと地は、公園緑地にすべきだ、開発はしないということを言っておられたり、あるいは、私のほうでこの間大臣に御
質問申し上げましたように、高速道路が町のどまん中を通ってはいかぬから、山のほうへ上げるということを、私の
質問にも、それから参議院で、沢田参議院議員の
質問にも答えておられるようで、非常に柔軟に対処しておられるので私は非常に尊敬していますが、もしこれをほんとうにやる御意思があるならば、十分やれると私は思うのです。もう一ぺん国で買い取って、そしてここをもう一ぺん公園として再開発すべきじゃないか、こういう意見を大臣に申し上げたいと思います。特に、最近は、
大阪の堺のところで買い戻している実例があるのです。日本経済新聞ですけれ
ども、一ぺんコンビナートとして土地を売りました。ところが、
公害の問題で、どうしても付近の
公害の問題が解決できない。解決しなければとてもだめだからといって、それをもう一ぺん買い戻すという動きが出ているのです。私は、
公害とこの問題は同じだと思う。こういうことで地元に大きな影響を与え、しかも、この問題が環境の点において大きな混乱を巻き起こすとするならば、これをもう一ぺん買い取って、もう一ぺん白紙に戻して開発に乗り出すべきじゃないかというふうに
考えます。
時間がないようなので、続けざまに全部御
質問いたしますから、一ぺんにお答えください。
この間の読売新聞を拝見しますと、例の筑波の学園都市ができますと、東京教育大学が全部向こうへ移ることになります。それに対しまして、非常にこれは大臣をほめておりまして、「建設省、気前いい
答弁」というふうに出ておりまして、これを都が扱って緑地にしなさいというふうなことを言っておられました。これはほんとうだと思いますけれ
ども、その点、ほんとうであるかということと、もう
一つは、この筑波学園都市ができますと、東京教育大学だけではなくて、まだ、ほかに、農林省や、通産省や、運輸省、建設省などの研究設備が向こうへみんな移ります。この面積のほうがまだ膨大なのです。この土地に対しましても、大臣は、やはり、教育大のあと地と同じような
考えを持っておられるのか。これらの点をお
伺いいたしたいと思います。