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小山(省)
委員 私は、
日本社会党を代表いたしまして、本
宅地化促進臨時措置法案に対して、
反対の立場で討論を行ないます。
期間は非常に短かったわけでありますが、十日、十二日、十三日と三日間にわたって、各党から、慎重な集中的な論議が行なわれたわけでございますけれ
ども、この
法律案が、国民の
住宅事情や、あるいは
土地問題に対するところの大きな不満、あるいは要望、あるいはまた、明るい
都市づくりをしていきたいという国民の願いにこたえるものではないということが、自治省やあるいは
建設省の答弁の中からはっきりいたしてまいったと思うのであります。馬を水ぎわに連れていくことはできるわけでありますけれ
ども、馬の
意思が水を飲みたくなければ水を飲ませることはできないわけでございまして、いわゆる
宅地並み課税という形で、むちを与えて
あめを出したところで、しゃぶる
意思がなければ、これはしゃぶる
あめにはならぬわけであります。私は、この
法律案が、
あめの効用を果たすものではないというふうに考えるわけであります。先ほど来、
総理の
出席を求めて、
総理からは、国総法が通ればすべて解決をするような話がありましたけれ
ども、田中
総理イコール
法律ではないと思うのであります。そういう
意味で、私は、この
宅地化促進臨時
措置法は、真の
意味での現状の中における期待にこたえてはいない、このように考えるわけであります。
要約いたしまして、五つの点から私は討論を行なってまいりたいと思います。
まず、第一は、
土地政策と
住宅政策に関してであります。論議の中で集中的にかわされましたように、現在における
土地問題は、まさに緊急な深刻な課題であります。この問題を解決していかない限り、私
ども庶民からはマイホームの夢は遠のき、さらにまた、非常に遠距離通勤を余儀なくされている多数の勤労者がおるわけでありますが、現在の中で、何としても
土地を沈静させて、庶民が
土地を得やすくなるような、そしてまた、
住宅問題が解決するような手だてを
政府は講じてまいらなければならぬと思うのであります。特に、
土地騰貴の主要な要因というのは、何と言っても、大
企業の
土地の買い占め、いわゆる
土地を投機
対象にしたということだと思うのでありますが、特に、
首都圏の中だけでも、大手二十社が所有しておる
土地が二万ヘクタールにも及んでいるという現実は、何としてもこれを解決をしていかなければならぬというふうに思うところであります。そういう
意味で、私は、何としても、この大
企業が買い占めておる、占有しておる
土地を、この取得
価格プラス管理
価格というふうな形で放出をさせて、
土地問題に対する解決をはかるべきだというふうに考えています。
この
法律案の
審議に先立って、私
どもは、公有地の拡大の
法律案を
審議いたしたわけでございますけれ
ども、少なくとも、
土地問題の解決については、何と言っても、
地方公共団体が
土地問題に対する権限を強めていかなければならぬわけでありまして、この
法律案の中でも、さらに公有地拡大
法案を強化するような観点から、
地方自治体に権限を与えるというふうな形をとってまいらなければならぬというふうに思っております。
さらに、また、
住宅問題でありますけれ
ども、
住宅の困窮者が非常に多い。そういう中で、この
法律案で約四十六万戸の
住宅が供給できるだろうという答弁を
住宅局のほうではいたしておるわけでありますが、私は、そういう形にはならぬというふうに考えています。何としても、大量の低家賃の
公営住宅を
建設するという方向が、いま国民の期待にこたえるところの唯一の方法でありますし、そして、また、この
法律によって、いわゆる四階以上の
中高層の
住宅を
建てても、家賃が三万一千円以上というふうな形になっては、これは
住宅を求めている国民の要望に沿うものではありません。そういう
意味で、私は、何としても、現在
住宅公団がかかえておる八千七百ヘクタール、二十四万戸分も持っておるというふうな状態、こういう状態を促進をすることがむしろ先決であろうというふうに考えるわけであります。
特に、そういう
意味では、A、
B農地ではなくして、むしろ
C農地等に対する
住宅政策の観点からの
計画を進めて、そこのところに
公共施設等を集中的に投資をする、こういうような形で進めてまいらなければならぬというふうに私は考えるわけであります。
第二点としては、いわゆる
都市計画といいますか、町づくりの観点からでございますが、
都市計画や町づくりには、先ほど詩の話が出ましたけれ
ども、
都市計画というのは哲学がなければならぬというふうに私は思うのであります。しかしながら、このような形で
市街化区域内におけるところの
農地を
宅地化していくという形は、町づくりにとってはマイナスであるばかりであって、プラスにはならぬと思うわけであります。そういう
意味で、いわゆる哲学を持った町、いわゆるほんとうの
意味での住みつきたくなるような
都市計画を進めていかなければならぬというふうに思っております。そういうふうな要請にこたえる
意味でもありましょうけれ
ども、
都市計画法の改正で生産緑地をつくっていくという方向が出されておるやさきだけに、私は、このような
法律案を進めることはいかがかと思うわけであります。
当然、
都市、
市街化区域の中における緑地や空間というものがあってこそ、息のつける、住みつきたいような町づくりができるわけでございますので、このような状態で行なっていくならば、むしろ新しいスプロール化をつくってまいって、そして、最後の、再
開発という点が出てくる。このように考えるわけでありまして、
都市計画上からも、町づくりの上からも、この
法案には賛意を表することができないわけであります。
あと一つは、税の問題であります。この
あめ法案が、いわゆる
固定資産税の引き上げ、
宅地並み課税、こういうような形の中から出てきたわけでありますけれ
ども、衣川のたては、年を経て、糸の古さでほころびたわけでありますが、私は、
宅地並み課税というものはほころびたと思うのであります。これは時を得ず、人の心をくまなかったがゆえに、
宅地並み課税はすでにほころび始めたというふうに私は考えております。
まず、
一つは、やはり、生産緑地制度というものを
都市計画法の中でやっていくという観点が
一つでありますし、当然、そういう形でいかなければならぬし、そうなった場合には、
市街化区域内の
農地というものを当然
宅地並み課税からはずしていくべきであるし、まず、その点からほころびておりますし、すでに、
自民党の党内においても、この間うち
指摘をいたしましたように、
固定資産税の引き下げであるとか、あるいは
宅地並み課税は失敗であったというような論が言われておるわけでありますし、そういう点が第二点。
第三点としては、これらの
宅地並み課税の適用を受ける団体のうち九団体が、少なくとも、緑地保全というふうな名目で補助金等を交付をいたしておるわけであります。このことは、少なくとも自治体の場で、あるいは国民の場で、
宅地並み課税というものが批准を受けなかったということになるわけでありますから、そういう観点からしても、
固定資産税の引き上げあるいは
宅地並み課税というものがいかに悪法であり、いかに間違っているかということ、現実に住民の声を吸い上げている自治体の場ではそのような感じ方で受けとめられている。こういうような観点から、本臨時
措置法案には私は
反対であります。むしろ、
宅地並み課税というものは、次の
国会では廃止をしていくべきだというように私は考えるわけであります。
あと一点は、
都市計画農業、
都市近郊
農業の観点からでありますが、これは
質疑の段階を通じても明らかなように、いわゆる
市街化区域内の
農地は、動物性たん白質の供給源であるとか、あるいは新鮮な野菜の供給源であるというふうな役割りを大きく持っておるわけでございまして、そういう
意味で、
都市近郊
農業という観点からも、現在ある生産緑地をつぶしていくようなこの
法律案については、私は
反対であります。
第五番目は、
地方自治体の財政の面からでありますが、特に、この
法律の中では、
質問等を通じても、自治体に
財源上の迷惑はかけないで
区画整理事業等を実施するというように言われておりますけれ
ども、現在すでに
大都市近郊の自治体では、
住宅公団が
住宅をつくっては困る、これ以上の
人口の
流入をやめてもらわなければ困るというふうな状態が出ておるわけであります。
人口増に伴うところの
公共施設の
整備であるとか、関連
公共施設等に対しての非常に多額の金が自治体を苦しめておるわけであります。そういう状態でありますだけに、このような形で、
開発といいますか、
宅地化を促進をしていくことが、むしろ、自治体に対する手だてはやるのだと言うけれ
ども、超過支出や、自治体に対するところのいわゆる
財源面からの圧迫がより強化をされてまいるわけでございまして、自治体をほんとうに尊重するならば、このような形で進めていくのは誤りだというふうに私は考えておるわけであります。
総じて、この法のねらいと
目的とするところについて、与党、野党を通ずる
質問の中で、期待のできるような答弁が自治省あるいは
建設省を通じて少しもなされなかったというふうに本
法案の
審議を通じて私は感じておるわけであります。ですから、そういう
意味で、この
法律案が成立をいたしましても、通過をいたしても、この法のねらった期待というものにこたえ得るものにはならない、このような観点から、私は、むしろ、この
法律案は撤回をすべきものであると、このように考えるわけであります。
以上、簡単でありますけれ
ども、五点にわたっての
反対の立場を表明しての討論を終わります。(拍手)