○辻
政府委員 お答えを申し上げます。
第一点は共済
年金の水準の問題でございます。御
指摘のように、今回、
厚生年金につきまして大幅な改正を予定しておりまして、被保険者期間二十年以上の者の受ける
標準的な
年金額を五万円、これは国会の御修正で五万円を若干上回る額になると思いますが、ということも
考えて、予定をいたしておるのは、そのとおりでございます。そういう
事情も
考えまして、今回、共済
年金につきましては、例のないような大幅なアップでございますが、二三・四%という改善を、御提案を申し上げている次第でございます。
ただ、御
承知のように、
厚生年金と共済
年金、いろいろ制度的な差異があるわけでございますが、基礎となります給与のとり方につきまして、共済
年金のほうは
退職前三年の給与を基準としており、
厚生年金のほうは、被保険者期間の全体の
平均標準報酬をとることをたてまえにしているというようなこともございますし、
年金を受けます
年齢が、
厚生年金のほうは六十歳でございますが、共済
年金のほうは五十五歳というふうな差もございます。そういう差を全部総合いたしまして、
給付水準を計算をいたしてみますと、今回の
厚生年金の改正額におきましても、共済を一〇〇といたしますと、
厚生年金の水準は七割弱というような計算になってまいるわけでございまして、共済
年金の水準のほうがまだ上回っておるということが言えるかと思うのでございます。
それから、もう
一つは、よく御存じのように、
厚生年金は二分の一相当が定額分でございまして、二分の一が報酬比例分でございます。ただ、この報酬比例分の出し方も、ただいま申し上げましたように、全期間の
平均標準報酬ということに相なっております。したがいまして、
厚生年金につきましては、定額分の
引き上げでございますとか、あるいは
標準報酬の見直しでございますとか、そういう制度的な改善をいたしませんと
年金額の
引き上げにならないという点がございますが、共済
年金の場合には俸給比例でございますから、ベースアップがございますれば自動的に
年金額も改善されるというような点もあるわけでございます。
ただ、御
指摘のような問題は確かにあるわけでございまして、
給付水準をどうするかということにつきましては、たまたま私
どもの所管いたしております
国家公務員共済組合の
年金の財政再計算期が来年度であるということになっておりますので、
国家公務員共済組合の審議会の小
委員会を設けまして、そういう問題につきましても検討いたしておるところでございます。また、別途総理府に置かれております公的
年金制度調整連絡
会議等にはかりまして、今後そういう問題につきまして検討してまいりたいと
考えております。当然、その過程におきまして、
自治省ともよく調整をいたしまして、
地方公務員共済組合との関連も考慮しながら検討してまいりたい、かように
考えておる次第でございます。
第二点は、スライドについてのお尋ねであったわけでございますが、私
どもも、共済
年金の実質価値の維持ということにつきましては従来から
努力をしておるところでございまして、それぞれの
共済組合法にございます調整規定の趣旨に沿いまして、例年
年金額の改定をお願いしておる。今回も、先ほど申し上げました大幅な改善を御提案申し上げておる次第でございます。四十八年度におきましてそのような大幅な改善をお願いいたしておりますのは、
厚生年金等、他の公的
年金につきまして大幅な改善が行なわれること等も考慮いたしまして、
恩給にならって処置をするという
考え方でございます。したがいまして、二三・四%の計算はすでに御説明申し上げておると思いますけれ
ども、四十六年度と四十七年度におきます
公務員の給与改善率を基準としておるわけでございますが、これは、いわゆる賃金の自動スライド制をとったという
考えではないわけでございます。賃金の自動スライド制につきましては、なおいろいろと御議論のあるところでございますし、何よりも、
社会保険の根幹でございます
厚生年金につきまして、今回、賃金でなくて、物価の自動スライド制を導入しておるということとの関連もございます。また、財源負担との関係もございます。いろいろと問題があるわけでございます。したがいまして、この問題につきましても、引き続き、関係の審議会なり、公的
年金制度調整連絡
会議等にはかりまして、今後の問題として検討させていただきたい、かように
考えておるところでございます。
それから、従来の改定方式に関連をいたしまして、格差是正と申しますか、積み残しと申しますか、その点につきまして御
指摘があったわけでございますが、ただいま申し上げましたように、従来から
年金の実質的価値の維持については
努力をしてまいってきたところでございますが、過去の
年金改定方式は、やはり、そのときどきの
事情のもとにおいては妥当なものであったというふうに
考えておるわけでございます。
なお、
年金の改定率と給与改善率を比べてどうか、格差があるじゃないかという御
指摘も確かにあるわけでございまして、三十四年以来の両者の改善率を比較してみますと、一四%あるいは一三%
程度の開きがあるのは事実でございますが、今回、別途高齢者等につきまして四号俸
引き上げというような
措置も御提案申し上げておるところでございまして、この分が約一四%
程度の改善にも相なるわけでございます。
年金額の改定につきましては、これまた、今後も、
恩給でございますとか、他の公的
年金制度、教職
公務員給与との均衡等も十分
考えまして、慎重に検討いたしてまいりたい、かように
考えておるところでございます。
第四番目は、基礎給与につきましての御
指摘でございます。確かに、現在の共済
年金制度におきまして、
国家公務員共済と
地方公務員共済は
退職前三年間の
平均を目標とする、公共企業体共済におきましては最終の俸給をとっておるということは事実でございます。ただ、最終俸給とすることにつきましては、なおいろいろな点から検討を必要とするというように
考えております。
第一点は、よく御
承知のように、
社会保険の根幹でございます
厚生年金保険の
年金額の算定の基礎は、先ほ
ども触れましたように、全期間の
平均標準報酬でございますので、その点の関連もあるわけでございます。第二点は、
社会保険でございますから、私保険とはもちろん違うわけでございますけれ
ども、やはり、ある
程度の拠出と給付との対応と申しますか、そういうものが必要ではなかろうかと思うわけでございます。拠出のほうは、
公務員になりましてから
退職いたすまででございます。その全期間にわたって
掛け金を払い込むのでございますが、それに対しまして、給付が、最終の俸給だけできめてよいものだろうか、そういう問題につきましては、保険の公平性の観点からなお御議論のあるところだろうというふうに思っております。
それから、公共企業体との関係につきましては、すでに御
承知のように、別途
退職手当法のほうで、公共企業体職員の場合には九七%、
国家公務員の三%減というようなことで調整をとっていることもございます。なおそのほか、俸給表の
構成でございますとか、昇給昇格の運用等の問題もあるわけでございます。私
どもも、もちろん、同じ
共済制度の中で
年金額算定の基礎が異なっておることは必ずしも好ましいとは
考えておりません。ただ、いま申し上げましたような、他の
年金制度との均衡とか、
社会保険のたてまえとか、
退職手当制度の関連でございますとか、あるいは運用上の問題に対する配慮でございますとか、また、財源への影響でございますとか、いろいろの問題がございますので、なかなかこれは簡単な問題でないことだけは御了承いただきたいと思います。なお、この問題につきましても、関係審議会、調整連絡
会議等にもはかりまして、今後とも慎重に検討さしていただきたいというふうに
考えている次第でございます。
それから、最後に、公費負担についてのお尋ねであったわけでございますが、
地方公務員共済組合につきましては、公費を
地方公共団体が負担しているという点が第一点であろうかと思いますが、これは、先ほどの御質疑の中でもお話しがございましたように、交付税の算定の基礎に織り込んでいるという点もございますし、
地方公共団体はもちろんそういう
意味で公経済の主体たる地位にあるわけでございますので、そういう観点から、従来から、国庫負担でなくて、公経済の主体たる
地方公共団体が負担するということになっているわけでございます。
それから、負担の率でございますけれ
ども、
厚生年金につきましては二〇%、
国家公務員共済、
地方公務員共済につきましては一五%ということになっているのは御
指摘のとおりでございます。ただ、これは、先ほど申し上げましたように、
厚生年金と共済
年金との水準の差がございますので、全体として共済
年金のほうが水準が高くなっております。したがいまして、同じ国庫負担率、あるいは公経済の主体たる負担率ということにいたしますとかえって不均衡を生ずるという面もございますので、ただいまのような二〇%と一五%という率に相なっている次第でございます。