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吉田委員 国総法の宣伝を承ろうというのじゃなくて、日本列島改造論については、その果たした前段的な役割り等もあって、その反省の上にこの問題を論じようじゃないかと冒頭に申し上げたわけでありますが、それらの点については、大いに足らぬのではないか。
それから、さっきの
佐藤君が取り上げました拘置所の
あと地の問題についても、要するに、私有制あるいは利用についても、いわばもうけることが何が悪いかということが考えられるものですから、従来の資本主義の弊害がこのインフレ下において端的に利用されるところに問題があるでしょう。あるいは投機だとか、あるいは投機の結果の値上がりだとか。ですから、国土総合
開発にいたしましても、あるいは日本列島改造にいたしましても、それがもうける手段になるというところに問題があろうかと思うのです。そういう点から言いますと、産業成長政策については、産業界自身あるいは経済界自身も反省があるところですからそれはおそらく江崎自治大臣もあるだろうと私は前提をしながらお尋ねをしておるところです。ですから、この私有制、あるいは端的にあらわれておりますのは投機性、そういう面は大衆のためにということでためられて、あるいは反省されて、社会化なりあるいは大衆のために利用し得るような方向に、基礎的には、基本精神としては向かうべきではなかろうか。その具体的な方法として市町村が取得をする、それも大衆のためになる
計画のもとに進められる、こういうことを進めたらどうか。
〔
委員長退席、中村(弘)
委員長代理着席〕
それにはその利用
計画の総合性、長期性というものを保障すべきではなかろうか、こういうお尋ねをしておるのです。
基本的な違いがありますから、形だけでなしに、具体的な例をあげましょう。
もう十年近くなりますけれ
ども、ロンドンのニュータウンをつくっているのを見ました。これはロンドン市がやっておられるんだと思うのでありますが、国も援助をされたでしょうけれ
ども、主としてロンドン市でしょう。あそこでは緑地あるいは運動場等もちゃんととって、公共用地をとって、そして快適な住宅がつくられる。その住宅に支障のない
範囲内で、公害のない軽工業等が、印刷工場とか、機械工業とかいうものが立地を
計画されておる。ところが、日本の場合には、
都市計画の場合に、初めに工場ができ、それから工場に便利な店ができ、あるいは通勤に便利な住宅ができるというのが従来の日本の
都市づくり。その根本的な違いを
都市問題については考えらるべきではないか。私は、シベリアでも、イルクーツクの新しい町づくりを見てきました。あるいは中国もたびたび見てきたのでありますが、これは社会主義の国ですから、基本的に違います。違いますが、
土地が大衆のために利用されており、そして人間中心に行なわれているという点については、たいへん参考になり、勉強になりました。したがって、この
都市計画あるいは
土地問題についての第一義的な要素は何かということが、従来おやりになってきたこと、あるいは日本列島改造その他についても反省が足らぬと私は申し上げておるのですが、それを長く申し上げて争うつもりはございません。しかし、少なくとも、ロンドンでやられた手法、あるいは新しいシベリアのまん中でつくられている人間中心の
都市づくり、あるいは公共性という点くらいはわれわれは学んで実現をし得るのではなかろうか、こう申し上げておるわけであります。具体的な点はあとで伺います。
それで、
土地の問題についていま同僚議員からも
質問が集中されましたのは、最近大企業によって買いだめられた
土地がどの程度であるかということも問題になりますが、買いだめられた
土地、それから基地、それから、私は
東京都内で見ますと、皇室の
土地等もやっぱり実際問題として客観的には検討の時期に来ていると思います。それから国有地にいたしましても、低利用の
土地等を大衆のために利用し得る具体的な方策を考えるべきだと思うのですが、買いだめられた
土地の問題についてはだいぶ論議されましたし、私自身もあとでこまかい具体案をもってお尋ねをいたしたいと思いますが、
宮内庁次長が来ていただいておりますから、早目にお尋ねをいたします。
かつて加納さんだったかと思いますが、宮城開放論を言われたことがございます。その後、
東京都下の交通
事情やあるいは
土地の問題がこれだけ問題になりましても、そういうお話はございませんが、ここでいわば
東京都にいたしましても、買いだめられた
土地は数万ヘクタールということだと思います。それから、その他の低利用の
土地を含めましても数十万坪、あるいはこれは三分の一になりますけれ
ども、百数十万平米ということになりましょう。皇居と、それから東宮御所とを合わせましても、百六十万平米ですから、坪数にいたしますと、五十万坪前後だろうと思います。交通
一つとってみましても、地下鉄は下を通る
計画があるようであります。赤坂離宮はバッキンガム宮殿をまねてといいますか、参考にして建てられたと聞きます。それから、ロンドンで見ましてもハイドパークは、あれは昔は皇居の一部でした。それが開放されたと伺っております。それから、ベルギーに行った機会がございますが、ベルギーの皇族のお住まいといえ
ども日本ほどはないと思います。これはパスカルの原理ではございませんけれ
ども、必要以上に不必要な
土地、
建物を持つ。あるいは裁判官が法服を着るのは、これは威厳をつけるための云々ということで、私は、合理性のない
たくさんの
土地をお持ちになるということはパスカルのいわば権威づけということにしかならぬのではなかろうかと思う。そういう意味では、加納さんの宮城開放論ではございませんが、関係者で、いまの現状の中でお考え直しになるようなことはございませんか、承りたい。