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1973-07-03 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月三日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 高鳥  修君 理事 中村 弘海君   理事 中山 利生君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 山本弥之助君 理事 吉田 法晴君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    古屋  亨君       前田治一郎君    保岡 興治君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       山田 芳治君    多田 光雄君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         宮内庁次長   瓜生 順良君         大蔵政務次官  山本 幸雄君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省都市局参         事官      大塩洋一郎君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  奈良 義説君         経済企画庁物価         局物価政策課長 垣水 孝一君         法務大臣官房営         繕課長     水原 敏博君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 勝川 欣哉君         建設省計画局宅         地部宅地政策課         長       川上 幸郎君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 七月二日  地方公営交通事業再建に関する請願外一件(稲  葉誠一紹介)(第七九三二号)  同外一件(山崎始男紹介)(第七九三三号)  同外一件(山田耻目君紹介)(第七九三四号)  同外一件(山本政弘紹介)(第七九三五号)  同外一件(米内山義一郎紹介)(第七九三六  号)  同外一件(吉田法晴紹介)(第七九三七号)  同外一件(稲葉誠一紹介)(第八〇二六号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第八〇二七号)  同(板川正吾紹介)(第八〇八一号)  同外一件(米田東吾紹介)(第八〇八二号)  聴力言語障害者自動車運転免許に関する請願  (岩垂寿喜男紹介)(第七九三八号)  同(上村千一郎紹介)(第七九三九号)  同(小川省吾紹介)(第七九四〇号)  同(小濱新次紹介)(第七九四一号)  同(佐藤敬治紹介)(第七九四二号)  同(林百郎君紹介)(第七九四三号)  同(山田芳治紹介)(第七九四四号)  同(山本弥之助紹介)(第七九四五号)  同(吉田法晴紹介)(第七九四六号)  同(折小野良一紹介)(第八〇二八号)  同(片岡清一紹介)(第八〇二九号)  同(加藤紘一紹介)(第八〇八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公有地拡大推進に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇一号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる公有地拡大推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤敬治君。
  3. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 法務省の方にお伺いしますが、この間の質問で保留された点の御答弁をお願いいたします。
  4. 水原敏博

    水原説明員 東京拘置所移転につきましては、第五十一回国会におきまして議決されました昭和四十一年度国庫債務負担行為に基づきまして、国有財産の売り払い及び購入契約を締結いたしまして、それを実施してきたところでございますけれども、その契約には多摩刑務所設置するというのが一項目がございました。ところが、その設置予定地住民から反対がございましたために、第六十一回の国会におきまして債務負担行為内容変更が生じましたために、六十一回の国会におきまして議決されました昭和四十四年度の国庫債務負担行為に基づきまして、下野刑務所、現在の黒羽刑務所でございますけれども、そこに変更する契約を締結しております。それらの締結による売り払いと購入につきましては、昭和四十六年の四月七日付をもって全部の決裁を完了したわけでございます。  ところで、前回先生からの御質問にございましたが、この東京拘置所あと地、これの指定用途に供すべき時期、これが四十八年四月一日までに指定用途に供しなければならないとあったにもかかわらず、それをさらに五年間延ばした根拠いかんということであったかと存じております。これは、当初、法務省関東財務局及び株式会社新都市開発センター、この三者の間で、本件東京拘置所あと地と、それからそれを財源といたしまして取得する各建物との交換契約を結びました際の契約書の十七条に、「開発センター東京拘置所あと地を四十八年四月一日までに指定用途に供しなければならない。」と規定されておりますが、十八条の二項に、「前項に定める期間中に、不可抗力その他真にやむを得ない事由により一定期間売払物件指定用途に供することができなくなった場合には、当該一定期間だけ、前項に定める期間延長するものとする。」という条項がございます。この条項に基づきまして期間延長を認めることになったわけでございます。
  5. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 もう一ぺん重ねてお伺いしますが、確かに、その十八条で、ありますか。
  6. 水原敏博

    水原説明員 十八条の二項に、「延長するものとする」という規定がございます。ただ、手続は、二十条に規定されております指定用途等変更に関する規定で行なったわけでございます。
  7. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それはちょっと違うと思うのですよ。十八条と二十条は別々の条項ですよ。十八条は、売り払い期間をある時期、たとえばターミナルに使っているのをある期間、建築するからちょっと土地を貸してくれとか、そうして一年間たとえば使われなくなった場合には一年間先に延ばすという条項なんです。二十条のいまあなたの言ったところに該当しているのは、第十七条に定める指定期日変更、ここしかないのです。これとこれとは別の問題ですよ。
  8. 勝川欣哉

    勝川説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、十七条の指定期日変更は、第二十条で行なったわけでございます。
  9. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そこでお伺いいたしますけれども、十七条に定める指定期間変更、これが事業施行期間を見てみますと、昭和四十一年十月の二十七日、これから四十八年の三月三十一日までの間に用途指定開始しなければいけないというふうになっておるのです。それが、今度は、五十三年の三月三十一日まで、まる五年延びました。この五年も長い間延ばすという根拠はいろいろなことがあるでしょうけれども、しかし、五年というのは非常識に長いと思うのです。普通延長するのは一年とか、半年とか、せいぜいそのくらいのものが常識なんです。ところが、四十一年十月二十七日から四十八年三月三十一日までですから実質的に六年しかないのです。それを今度は五十三年三月三十一日、満五年延ばすというのは、いままでの倍近くも延ばすことになるのです。一年を二年にしたのと違って、六年を十年にしたのですよ。こんなにでたらめな延ばし方はないと私は思うのです。  大蔵省の方にお聞きしますが、国有財産法の二十九条によるところのおたくのほうの指導要領というのですか、通達というのですか、こういうものを見ますと、延期は一年以内しか認めない、そして、再延期原則として認めない、こういうふうに書いてあるのです。ところが、これは三者協定だからおたくが一枚加わっているわけですが、これを五年という長い、ほとんど非常識と思われるくらい長くした。これを許したというのは、どういう意味ですか。
  10. 勝川欣哉

    勝川説明員 ただいま二つの問題があると思うのです。最初の五年をさらに五年延ばしたのはどういうことかということは、先生承知と思いますが、最初、四十二年二月二十七日に新都市開発センター契約を結びました際には、当時都市計画決定がされて高速道路第五号線西巣鴨公共駐車場及び西巣鴨バスターミナル等用途に供する用途指定につきましては、都市計画事業竣工予定日が当時は昭和四十八年三月三十一日をもって終了するということになっておりましたので、それを指定期日としたわけであります。しかしながら、この事業は、池袋都心開発事業というのは非常に大規模な都市開発事業で、地元住民との調整に手間どりまして、その結果、現下都市事情に即した内容都市計画変更されることになりまして、東京都において、四十七年十一月二十七日付で一部都市計画変更を行ないまして、ことしの三月三十一日付の告示で、都市計画事業施行期間を五十三年三月三十一日まで、つまり、事業施行期間を当初よりも五年間延ばすという決定を行なったわけでありまして、当初その事業の完成を目途とした時点に合わした用途指定期間でありましたので、今回も、用途指定期間を、その都市計画事業に即して延ばした次第であります。  第二点の、先生の申しておられます点でありますが、これにつきましては、本件は、いわゆる建築交換ということでありまして、購入及び取得を実質的に交換と同じやり方でやるということでありまして、わがほうでは「建築交換実施要領」というもので通達を出しております。それに基づきますと、用途指定等の具体的な取り扱いにつきましては、一般の「国有財産交換する場合の取り扱いについて」という通達によるということになっております。その一般交換通達によりますと、確かに、先生のおっしゃるとおり、指定期日延期原則として一年をこえない範囲でやることになっておりますが、ただ、その第五に「特例処理」という条項がありまして、「理財局長が特に認める場合には、その定めるところにより処理するものとする」という条項がございます。今回は、こういうふうな都市計画事業変更に基づく用途指定変更でありますので、理財局長に上申いたしまして、やむを得ない事情と認めまして、例外的に五年期間延長をした次第であります。
  11. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 法務省課長さんにお伺いしますけれども、きのうちょっとお伺いしたわけですが、これを五年延期したというのは、東京都の都市計画審議会がこれから五年かかるのだというので、いまもお話しがありましたが、それで五年延長したのだという話しですが、私はこう思うのですよ。たとえば、都市計画審議会に何もやっていない問題を持っていって、建物を持っていって、これは何年かかるかと聞けば、都市計画審議会は、こういう契約だとか、そういうものに全然関係ありませんから、これは五年かかりそうだとか、そういうふうに言うと思うのです。ところが、これは、都市計画審議会に持ち込んだ、そのときから始まった問題じゃないのです。十年近くも前から始まっている問題なんですよ。それが、いま、延長する一つ理由として、都市計画審議会が五年かかると言ったから五年延長しますと言う。これじゃ、先に、昭和四十八年三月三十一日までにこれはできますという、そういうずさんな計画をきめた責任は一体だれがとるのですか。問題はいま始まった問題じゃないのですから、何かしら一つの見通しがなければ、四十八年三月三十一日と、五、六年もの、こういう長い間の延長はないのです。いろいろなことを言うでしょう。地元からの問題もあった、入る人の文句もあった、いろいろなことを言われるでしょう。そういうことを全部見越して一応の計画を立てていると思うのですね。ところが、その前のものは全然問題にならない。ただ、いま建っていない、これからやれば五年かかるのだ、だから延ばすのだ、これだけではあまりにもずさん過ぎると私は思う。むしろ、そういうずさんな計画を押えるために一年以上の延長を認めませんよということでこういうものが出ていると思うのです。これは両方から御意見を伺いたい。
  12. 水原敏博

    水原説明員 延長を承認するかどうかにつきましては、これは先生承知のとおり、財務局長の権限でございまして、財務局長と新都市開発センターとの間の協議できめることになっております。しかしながら、これは法務省も本契約に関係がございますので、その間のいきさつについて私の知っているところを述べて説明にかえさしていただきたいと思います。  四十一年に事業計画決定がなされまして、現実にこの東京拘置所が取り払われ、移転いたしましたのが四十六年の三月の末でございます。それから、それだけ延びた理由につきましては、東京拘置所移転予定をいたしておりました小菅刑務所、その小菅刑務所移転先でございました青梅の多摩刑務所——仮称で言いますならば多摩刑務所、この多摩刑務所設置がたいへんおくれまして、ついにそこの設置ができずに黒羽のほうに移ったといういきさつもございまして、そういうわけで土地利用そのもの開始時期がたいへんおくれました。これが第一原因でございます。  法務省といたしましては、四十六年の三月末に東京拘置所小菅に移りましたので、四月七日付でセンターあて指定用途事業供用開始時期の厳守について要望いたしております。間違いなく四十八年の四月一日までに事業ができるようにひとつ促進してほしいという要望をいたしております。続きまして八月三十一日にも同様の要望をし、十一月十八日にも、それから四十七年五月十八日にも同様趣旨要望をいたしてきたわけでございます。すでにもう契約用途指定開始時期が四十八年四月一日になっておりましたので、再三にわたって、そのように期日を厳守するように申し入れてまいりましたけれども地域開発に関連いたしまして、防災、公害、それから交通事情等のいろいろな難問が発生いたしました。それに対処いたしますとともに、先ほど先生からも御指摘がございましたけれども地元住民との間の話し合いを円満に進めながらやっていかないと、これだけの大事業を遂行することができません。それらの地元住民との調和、話し合い、これらに相当の日時を要したもののようでございます。そういう事情でございまして、法務省といたしましては、当初から、四十八年四月一日にはぜひ指定用途に供するように再三にわたる要求をいたしましたけれども、いま申したようなやむを得ない事情センター側にあり、また、社会事情変化が生じたためにやむを得ず延長を承認されたものだと考えられるわけでございます。
  13. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いま理財局の方が言われたのも、それから法務省課長さんが言われたのも特殊事情特殊事情というのは、要するに、地元の納得がなかなか得られないし、入る人のいろいろな問題もあるし、そういう周囲の環境の問題もあるし、そういう問題が片づかないからということがいわゆる特殊事情だと思うのです。そこを私は言うのです。ところが、特殊事情はないと私は思う。というのは、問題は幾らでもありますよ。どんな仕事だって問題のない仕事というものはないのです。これが昭和四十一年十月二十七日。さら地になったのは四十六年ですけれども地元とのいろいろな折衝を始めたり、設計を始めたり、いろいろな準備を始めたりする期間が十分にあるのです。いま工事にかかっているとかなんとかいうならいいのです。全然、着工も何もしていない。たださら地になっているだけである。五年、六年という長い期間がありながら、いまだに土台にも着工できない。これは特殊事情としては私は認められないのです。特殊事情なんかじゃないのです。五年ですよ。このいまの変化の激しい時代に、五年も、六年も、長い時間たって、何らの着工ができないで、何が特殊事情だ。もう五年ですよ。また五年も認めるという、こんなでたらめなやり方というものはあるものじゃない。片方においては一年しか認めないという通達を出しておきながら、こういうのは特殊事情だと言う。一年を一年延ばすなら私はいいと思いますが、五年も六年もたって、あそこをまた五年も延ばす。この間に地元の人とも折衝をし、せめて、骨ができたけれどもまだ外装ができていないからちょっと待ってくれというならいいのですが、そうじゃない。ただの一つもできていない。私はきのう雨降りの中を見てきました。全然何もできていない。こういうでたらめなことは特殊事情として認められると思いますか。
  14. 勝川欣哉

    勝川説明員 確かに、普通の工場とか庁舎を建設する場合には障害は少ないので、工事とか予算とかの若干のズレがありましても一年以内で当然カバーすべきであるという観点から延長を一年としぼっているわけでありますが、先ほど申しましたように、都市計画事業計画決定が行なわれたのはことしの三月でありまして、東京都の審議会高速道路の出入り口をどうするとか、地上をどうするとか、そういう制限というものをどう考えるべきかというようなことは、新都市開発センターいかんともなりがたい要素であると思うのです。ただ、先生のおっしゃるように、漫然と月日がたっておるのは好ましくありませんから、私どもといたしましても、新都市開発センターのほうに先生の御趣旨をよく伝えて、今後の事業の促進をはかるように十分注意いたします。
  15. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 都市局長さんは来ておられますね。ちょっとお伺いしますが、これは非常に大きな問題だと思うのですよ。いま、いろいろな都市計画だとか、そういうものがまだできていないから延びてしまったと言われますけれども、この問題にはたいへん大きな問題を含んでいると思うのです。というのは、当時、これをつくるときは、都市開発だとか、そういうようなもので確かによかったのかもしれませんけれども、いまじゃだいぶ事情が変わっているのです。水の問題が、東京都がいま大問題になっている。これ以上水源がないのです。土地住民の方々は、あそこに全部水を引っぱっていかれるとおれたちの水道が出ないのじゃないかという心配をしている。水の問題はどうなっておるのですか。
  16. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 水の問題につきましては、私ども聞いている範囲では、まず、節水型の機器を使うようにしろ、それから、給水を飲用水雑用水の二系統にすべきだ、こういうことを都側から申し入れまして、センターのほうもそれを受け入れて実施する、こういうことで話がついていると聞いております。
  17. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私の聞いているところでは、水の問題は何も解決していないんです。都のほうとどういうような結論が出ているのか、わかったらひとつ教えていただきたい。私の聞いているところでは、全然まだ都のほうと話し合いはついていないんです。これは、一ぺん使った水をもう一ぺん新しくつくり直してまた使うという循環式をやるというのはたいへんな金がかかるんですよ。それに対する話も何もついていない。  もう一つお伺いしますが、ごみはどうなりますか。豊島区はごみ処理場がないんですよ、ただ中継基地を持つだけで。これは、一日に大体四十トンぐらいのごみが出てくるんです。このごみの問題が大問題になっている。このごみの問題をどういうふうにするのか、これの解決はついていますか。
  18. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 ごみにつきましては、あそこの現地では焼却するというわけにいきませんので、圧縮処理をいたしましてトラックで運ぶ、その場合には一日トラック十台ぐらいで足りるだろう、こういう計画のようでございます。
  19. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 圧縮処理すると何%縮まるのかわかりませんけれども、持っていった先がやはりたいへんだと思うんですよ。  もう一つ聞きますが、下水はどうなりますか。あれはもう一番頭にあげているのが下水なんですよ。全然もう一ぺんつくり直さなければいけないというような話も聞いておりますが、下水の問題の処理の方法はきまっていますか。
  20. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 下水道は、東京全域について非常に不足しておりまして、今後急速に下水道の新設あるいは拡充というものをやらなければなりません。私どもは、下水道整備につきましては、現行の五カ年計画では足りないということで、明年を期してさらに大幅な拡大を行なって、国庫補助とともに、地方でも総力をあげて下水道整備というものに取り組んでいこうということでございまして、このところに特有の問題とは受けとめていないわけでございます。
  21. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 もう一つお聞きしますが、あそこのところには、ターミナルに入るように大きなランプがついていますね。あれはいつできたものですか。
  22. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 あのランプの一部は四十四年の十二月に完成しておりますが、この拘置所あとのところに池袋ランプというものをおろしまして、この事業計画の一部になっておりますバスターミナルに接続するとともに、下におりまして、一般街路にも接続する、こういう、あの地区における非常に重要なランプになります。と申しますのは、首都高速の、あの路線の、あの付近のランプは、護国寺と北池袋、その二つしかございませんで、その間にございませんので、池袋駅周辺に対するサービスランプとしてどうしても必要だというわけであります。なお、この事業高速道路本線部分を横断しましてこの地区内に乗り入れる必要がありますので、その横断部分本線同時施工が必要だということで、同時施工いたしまして、先行的に四十四年に完成している、こういう次第でございます。
  23. 上村千一郎

    上村委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  24. 上村千一郎

    上村委員長 速記を始めて。
  25. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それでは、最後に一つ言わしていただきます。  いまいろいろ話されましたが、特殊事情という問題が、建設省都市局長さんがお話しになりましたように、まだ何もきまっていないんです。しかも、これがたいへんな問題なんです。あれがそのまま実行されるならば、まず、第一に出てくるのが水の問題。この問題が何も地元との話がついていないし、解決もついていない。もっと大きいのは下水道です。いま都市局長さんが言われたのを見ても、何らの対策も講じられていない。あそこにあれができれば、大体一日二十万人の人間が出入りする。その人が飲む水、それから下水ごみ、それからもう一つは、自動車駐車場だけで千七百台あそこへ駐車する予定。そのほかにバスが入ってくる。あそこを見ますと、昼間でものろのろ運転している。こういうたいへんな交通渋滞の問題、排気ガスの問題、こういうものが出てくると思います。何のためにいまさらあそこに、こういうような、どう考えてみてもデメリットしかないようなものを強行しなければいけないのか。しかも、こういうふうな長い年月をかけてずるずるとどこまでもやってくる。これは、五年たったってそのままで、解決するというめどは幸いにして何も立っていないのです。ほんとうに白紙のままですよ。あれをもう一ぺんもとに戻して、どういうふうに直すかということを、都市計画審議会なり、あるいは地元の人なり、いろいろな人とはかって、ほんとうにあれはどうなれば一番生きてくるかということをもう一ぺん考えるべきだと私は思う。いいことは一つもないと思いますよ。むしろ、あれを公園にするとか何にするとかして、そうしてそれを中心にして再開発をはかるべきじゃないか。ああいうふうな膨大な六十階も七十階もあるような建物をすぐに建てるべきでないと私は思う。さっきから言うように、幸いにしてまださら地だから、これをもう一ぺん戻して、もう一ぺんあれの利用価値というものを考えるべきだ。私は、ここで一番先にそう思ったのです。というのは、法律までつくって、二千坪ぐらいの小さなものまでも届け出させて、それを強制買い上げしなければいけないと一方で国がやっているとき、一方でああいう貴重な二万坪という土地——これは東京都がやるのじゃないのです。新都市開発センター、これは株式会社ですよ。第三セクターでもないのですよ。ほんとうの株式会社ですよ。しかも、あるところに言わせると、土地の、ある不動産が非常に力を入れているといううわさまでありますよ。いろいろなうわさを立てられて、そして、都市のこれからの運営上大問題のあるような六十階、七十階というようなビルをどんどん建てて、あそこに人口を集中してますます過密の都市をつくるようなことをしなくてもいいのじゃないかと思います。だから、願わくんば、もう一ぺん再検討されて、あれを白紙に返して、衆知を集めて、ほんとう東京都のためにどういうふうにすればいいのかということを検討していただきたい。  これをお願いして終わります。
  26. 上村千一郎

  27. 吉田法晴

    吉田委員 公有地拡大問題に関連をして、土地問題について、不勉強でございますが、私見を述べながら政府の方針を承りたいと思うわけです。  初めの総論の部分は、主として江崎大臣に伺いたいと思います。  土地が投機の対象になった。そして、べらぼうな値上がりをしておりますが、物価の高騰に対しては、これを抑制をする、あるいはことしの後半には値下がりをするのではなかろうかという所見も田中総理は述べられましたけれども、しかし、土地の問題に関して言えば、一ぺん上がった土地はなかなか下がる見込みはないというのが現状だろうと思います。政府は政府なりに努力をしておられることはわかりますが、やはり、根本問題になってきているのではないかということを考えるのです。土地は代替性がありませんからよけい問題になるわけでありますが、インフレ下においてまたさらにインフレ必至、より以上のインフレが進むのではないかと思われるだけに、貨幣に対する信頼が薄くなっておるから、換物、特に換物の中でも永久性といいますか、保証のあります土地に集中をする。その中に、これは私ども各議員が質問をいたしておりますけれども、日本列島改造論も大きな一因をなしておると思います。しかし先般来の大臣の答弁を聞いておりましても、田中内閣の有力な閣僚の一人であるかもしれませんが事態に対する認識が少し甘いと思うのです。あるいは反省が足らぬように私は思うんですよ。これは反省が実際上必要になっていることはお認めいただけると思う。この土地投機の弊害を直すにはどうすればよかろうかということについては、自治大臣も、あるいは建設省も、あるいは政府全体がお考えになっておると思うところであります。私は、土地の所有権というものは、資本主義のもとにおいて、所有権の中心的な存在、あるいは憲法二十九条でいう財産権の尤なるものだと思うのです。憲法二十九条にうたわれております財産権と、その財産権が従わなければならない公共の福祉という問題を、実はここで根本的に見直さなければならぬ。従来のこの私有制というもの、その私有制が投機にも利用された、その私有制を大きく転換をしなければならぬのではなかろうかということを感ずるのでありますが、その私有制よりも、土地の持っております公共性のほうが本質的に確認をされ、見直されなければならぬという段階に到達しておるのではなかろうか、そこにしか解決の方法はないのではなかろうかと考えますが江崎大臣の御所見を承りたいと思います。
  28. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 土地自体が投機対象になることは、これはたいへんけしからぬことだというふうに私も痛感をいたしております。そこで、今度は私権ぎりぎりぐらいいろいろな制限を加えたわけです。それは、土地の利用計画を策定するとともに、土地税制を非常に強化いたしました。また、一方、土地の取引につきましては、届け出、勧告の制度、これを設けております。また、必要のある地域については土地取引の許可制をとる等、いろいろな規制措置をとっております。だから、計画を立て、税制をこれにきびしく課する形に改めしかも、取引上の規制措置をやる、これはずいぶん努力をしておるわけであります。したがって、先年来投機対象として土地の思惑買いが続いておったわけでありまするが、この国総法を含めた土地の総合施策が表にあらわれるに従いまして、だんだんと、投機対象としての土地というものはある程度鎮静したものというふうに考えております。また、宅地供給のための、いま御審議をいただいておりまする公社等——これは宅地はかりじゃありません。公有地を含めてですが、公社等については土地買い入れの金融はいたしておりまするが、民間の土地を買い入れる資金については非常にきびしい措置をとっております。したがいまして、投機の対象としての土地というものはおおむね鎮静しつつあるというふうに私どもは認識をいたしております。
  29. 吉田法晴

    吉田委員 土地の価格あるいは投機的な傾向については、大局的に見ると鎮静化しつつあるのではないかということを言われました。それから、そのことを総理は、暦年の——暦年か暦年度か知りませんけれども、後半には物価は安定していくのではなかろうかということを言われました。しかし、実際には、なかなか現実はそうではないのであります。たとえば、昨年からことしにかけての一二%の卸売り物価の値上がりというものが小売り物価にあらわれてくるということは大方の認めるところです。それから、土地の問題についても、この数年来の傾向を見ると——公示価格の一覧表も実はここに持っているのですが、二十年ほど前は、東京都内の環状線の中でも坪一万円という土地が例外的にはありました。いまでは一けたの土地なんというものは東京都下にはありません二けたか、あるいは三けた、ひどいのは四けたにもなっておることは御承知のところであります。それでは、そういうものが、十年前のような、インフレがまだひどくならぬ前、あるいはひどい投機がなかった以前に返るかというと、なかなかむずかしいとは思うのです。見通しの点をここで争おうとは思っておりませんけれども、大臣は、いま、規制なり許可制なりで縛って、いわば一つの基準に従って誘導しようという考えだということを言われたのでありますが、基本的には、いまさっき佐藤君が取り上げましたようなことも、これはやはり私有制の矛盾で、土地を手に入れればそれを使うのは、どのように利用しても制限がない。そこに問題があると思うのです。したがって土地の持っております私有制よりも、公共の福祉ということばで言われておりますが、公共性を、法のたてまえ、制度のたてまえ上から言ってもっと明らかにすべきではなかろうか。これは、私ども社会主義政党ですから、国有化を主張すべきところでありますけれども、それをいまここで争おうとは思っておりません。ただ、共通して言えることは、国民大衆のため、あるいは人民大衆のために役立つように、その保有制あるいは利用面が規制さるべきではないかと考えるのでありますが、それは、少なくとも、この法律を論議する際に、いわば公有化という点では政府も私どもも一致し得るのではないか。市町村ができるだけ土地を取得して公共用地に使う、あるいは住宅用地に使う。そうするとこれは、東京都なら東京都という、いわば自治体におけるところの、利用し得る、あるいは公有化し得る土地の広さにもよろうかと思います。そこで、公有化という点について、この法も予定しておるところであるし、あるいは、自治大臣なり政府関係者もそれに御異議がないとするならば、いまのように単年度の利用計画だけを考えるということではほんとうの公有化ではないしあるいは社会化の方向にはいかぬのではないか。少なくとも、総合的に、あるいは長期にわたっての土地利用計画というものがつくられなければならぬという点は、これは江崎大臣といえども、あるいは関係各省庁の代表といえども認め得るのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  30. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 社会党が土地の国有化推進論ですか、これはちょっと、私も寡聞にしてそういうことは承知していなかったのですが、そうだとすれば、私ども、やはり、その御意見には反対である。やはり、私有権を認める。しかし、土地というものは、公共性の強い、いろいろな規制を受ける財産であるというふうに理解をいたしております。したがいまして、公共優先ということは今後も貫かれなければなりません。今度の国総法をはじめとする関連土地政策法案については、これは十分規制をし、また、計画等も、何も単年度と言わず、長期の計画に立って立案され、これが推進されるように配慮をいたしておる次第であります。したがって、今後も、公共優先というときに政府が動き出しますと、現実の話としては、政府はけしかぬといってこの反対運動が起こる。これがどうかすると政治闘争につながる。全くおっしゃるとおり、道路の拡幅にいたしましても、公共用地の獲得の場合、反対の運動というものがなくて、あああれは当然公共優先だということで、これが政治介入の対象にならなければ、行政府としてはもっと楽をするだろうと思います。ぜひそういう形で今後推進されることが願わしい。私もそう思っており、その点は全く同感でございます。
  31. 吉田法晴

    吉田委員 この法律に関連をして、社会化あるいは公有化という点においては、まあ御異議がないのではなかろうかと前段に申し上げたのだが、国が土地を取得しようとすると、その使用目的等もあって、反対が政治的にも行なわれたりするといういまのお話しでありましたが、それは、ほんとうに国民大衆のためにその土地の取得がなされるかどうかということに関連をすると私は思うのです。言われましたように、私自身も経験をしたことがありますが、その当時、全国に十のB52原爆搭載機の発着できる基地をつくろうとしているのに対して私どもは反対をいたしました。そして東京都下に原爆搭載機の基地をつくらせるべきではないということで、われわれは砂川の闘争に関与したことがありましたが、それは、その目的がやはり国民的に反対をされたからであります。そこのところをいま言うておるわけではありませんが、少なくとも、取得し、利用されようとする土地が人民大衆のために役立つということが前提になると私としては思うのであります。ですから、市町村民のために自治体が、あるいは国で言えば主権者である国民のために利用されるという計画があり、そして、そのために、この場合には市町村が中心になりますけれども、公有化をしたものについては、短期的な利用計画ではなくて、長期的な利用計画が立てられるべきではないかということをお尋ねしたのです。それは、二、三年前にも何カ年計画とかが立てられたと伺っておりますが、公園だとか、道路だとか、あるいは森林だとか、最近は自然公園も入ってまいりますが、緑地あるいは水源林、あるいは涵養林を含めまして、総合的な土地の利用計画というものがそれぞれの自治体で立てられて、それに従って、大衆のために土地が使われ、そのために市町村が保有し得るようにという方向をきめられるならば、大臣が心配をされたところ——あるいは、私どももかつては反対をしたこともございますが、自治体中心に長期計画を立てて、その裏づけをしていくということならば、共通的な面が得られるのではなかろうか、こういうことを申し上げて、その土地利用計画の総合性あるいは長期性を保障すべきではないかということをお尋ねしたわけです。
  32. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 おっしゃるとおりのことを国総法は企図しておるわけです。したがって、早くこれを通していただきたいということになるわけでこれが通りますと、いまおっしゃるようなことが全部網羅されて、非常にスムーズになるというふうに思います。
  33. 吉田法晴

    吉田委員 国総法の宣伝を承ろうというのじゃなくて、日本列島改造論については、その果たした前段的な役割り等もあって、その反省の上にこの問題を論じようじゃないかと冒頭に申し上げたわけでありますが、それらの点については、大いに足らぬのではないか。  それから、さっきの佐藤君が取り上げました拘置所のあと地の問題についても、要するに、私有制あるいは利用についても、いわばもうけることが何が悪いかということが考えられるものですから、従来の資本主義の弊害がこのインフレ下において端的に利用されるところに問題があるでしょう。あるいは投機だとか、あるいは投機の結果の値上がりだとか。ですから、国土総合開発にいたしましても、あるいは日本列島改造にいたしましても、それがもうける手段になるというところに問題があろうかと思うのです。そういう点から言いますと、産業成長政策については、産業界自身あるいは経済界自身も反省があるところですからそれはおそらく江崎自治大臣もあるだろうと私は前提をしながらお尋ねをしておるところです。ですから、この私有制、あるいは端的にあらわれておりますのは投機性、そういう面は大衆のためにということでためられて、あるいは反省されて、社会化なりあるいは大衆のために利用し得るような方向に、基礎的には、基本精神としては向かうべきではなかろうか。その具体的な方法として市町村が取得をする、それも大衆のためになる計画のもとに進められる、こういうことを進めたらどうか。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕 それにはその利用計画の総合性、長期性というものを保障すべきではなかろうか、こういうお尋ねをしておるのです。  基本的な違いがありますから、形だけでなしに、具体的な例をあげましょう。  もう十年近くなりますけれども、ロンドンのニュータウンをつくっているのを見ました。これはロンドン市がやっておられるんだと思うのでありますが、国も援助をされたでしょうけれども、主としてロンドン市でしょう。あそこでは緑地あるいは運動場等もちゃんととって、公共用地をとって、そして快適な住宅がつくられる。その住宅に支障のない範囲内で、公害のない軽工業等が、印刷工場とか、機械工業とかいうものが立地を計画されておる。ところが、日本の場合には、都市計画の場合に、初めに工場ができ、それから工場に便利な店ができ、あるいは通勤に便利な住宅ができるというのが従来の日本の都市づくり。その根本的な違いを都市問題については考えらるべきではないか。私は、シベリアでも、イルクーツクの新しい町づくりを見てきました。あるいは中国もたびたび見てきたのでありますが、これは社会主義の国ですから、基本的に違います。違いますが、土地が大衆のために利用されており、そして人間中心に行なわれているという点については、たいへん参考になり、勉強になりました。したがって、この都市計画あるいは土地問題についての第一義的な要素は何かということが、従来おやりになってきたこと、あるいは日本列島改造その他についても反省が足らぬと私は申し上げておるのですが、それを長く申し上げて争うつもりはございません。しかし、少なくとも、ロンドンでやられた手法、あるいは新しいシベリアのまん中でつくられている人間中心の都市づくり、あるいは公共性という点くらいはわれわれは学んで実現をし得るのではなかろうか、こう申し上げておるわけであります。具体的な点はあとで伺います。  それで、土地の問題についていま同僚議員からも質問が集中されましたのは、最近大企業によって買いだめられた土地がどの程度であるかということも問題になりますが、買いだめられた土地、それから基地、それから、私は東京都内で見ますと、皇室の土地等もやっぱり実際問題として客観的には検討の時期に来ていると思います。それから国有地にいたしましても、低利用の土地等を大衆のために利用し得る具体的な方策を考えるべきだと思うのですが、買いだめられた土地の問題についてはだいぶ論議されましたし、私自身もあとでこまかい具体案をもってお尋ねをいたしたいと思いますが、宮内庁次長が来ていただいておりますから、早目にお尋ねをいたします。  かつて加納さんだったかと思いますが、宮城開放論を言われたことがございます。その後、東京都下の交通事情やあるいは土地の問題がこれだけ問題になりましても、そういうお話はございませんが、ここでいわば東京都にいたしましても、買いだめられた土地は数万ヘクタールということだと思います。それから、その他の低利用の土地を含めましても数十万坪、あるいはこれは三分の一になりますけれども、百数十万平米ということになりましょう。皇居と、それから東宮御所とを合わせましても、百六十万平米ですから、坪数にいたしますと、五十万坪前後だろうと思います。交通一つとってみましても、地下鉄は下を通る計画があるようであります。赤坂離宮はバッキンガム宮殿をまねてといいますか、参考にして建てられたと聞きます。それから、ロンドンで見ましてもハイドパークは、あれは昔は皇居の一部でした。それが開放されたと伺っております。それから、ベルギーに行った機会がございますが、ベルギーの皇族のお住まいといえども日本ほどはないと思います。これはパスカルの原理ではございませんけれども、必要以上に不必要な土地建物を持つ。あるいは裁判官が法服を着るのは、これは威厳をつけるための云々ということで、私は、合理性のないたくさんの土地をお持ちになるということはパスカルのいわば権威づけということにしかならぬのではなかろうかと思う。そういう意味では、加納さんの宮城開放論ではございませんが、関係者で、いまの現状の中でお考え直しになるようなことはございませんか、承りたい。
  34. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇居、赤坂御用地の関係のお尋ねでありますが、この皇居の関係では、昭和三十四年に皇居造営審議会が開かれまして、いろいろ審議された際に、このうちの一部分の東側地区の庭園部分を一般に公開したらどうかという御答申がございました。その御答申を受けまして、東側のほうの地区の庭園部分、これは東御苑と申しておりますが、面積で六万坪余り、これは月曜、金曜日は休みにしておりますが、その他は自由にお入りになれるように、時間の制限はございますけれども、いたしておるわけでございます。  なお、赤坂御用地のほうの関係は、東宮御所、秩父宮邸、三笠官邸がその中にあるわけでございますが、なお、春と秋の園遊会も開かれておる庭園がございます。その庭園につきましては、特にいまのところ、公開をするということは、具体的には準備をいたしておるわけではございません。これは研究問題かと思っております。もしやろうとすれば、それに伴ういろいろな参観人の休憩所だとか、そういうものを設けなければいけませんし、また、人員も相当ふやさなければいかぬという点もございますし、一般要望がいままでそれほど強くなかったものですからそのままになっておりますが、研究問題としたいと思っております。
  35. 吉田法晴

    吉田委員 いまの答弁の中にありました東側地区は、いまの答弁で言いますと、月、金を除いて自由にしているというお話しでありますが、あそこの中を通っております道路は開放されておりません。いつも思うことですが、歩いて通ったこともございませんけれども、人間が歩いて通れば通れぬこともないかと思いますけれども、少なくとも車は通っておりません。また、通ることも許されておらぬ。瓜生さんは車で宮城の中にお入りになっておられるだけで、おそらく、あそこの周辺をお回りになったことはあまりないかもしれぬと思いますが、あの周辺を回りますのに、祝田橋のきわのごときは、二回、三回と信号を待たないで通れることはめったにございません。あるいは乾門の北のほうは、私は参議院会館におったときによく散歩をいたしましたが、もう散歩道ではなくなりました。あそこでもしばしばつかえておる。いまの東側地区を開放したと言われますが、正直なところ、自由に使われているわけではございません。それからまた、交通に使われていないことも事実です。あの広大な土地、北側には武蔵野の面影が残っておると言われますが、おそらく利用されないで、やぶでしょう。その証拠には、あそこにはキジがすんでおる。あそこで産まれたキジが堀を越して、こっち側の堤防のところに遊びにきている。ああいうところは公園でけっこうです。しかし、いわばわずかな土地を求めて、あるいは道路用地を求めてこれだけみんなが苦労しているときに、利用されない土地の開放については、賢明な宮内庁の皆さんならばお考えになるだろう。私は検討さるべきだと思うのですが、これは要望にとどめておきます。  東京都下で、あるいは全国的に言って、土地問題について、宅地について言えば、百坪とか五十坪とかいうのはもう宅地ではない。二十五坪とか三十坪とか、三DKの家が建てられればという土地を求めてみな苦労している。それから交通問題についても、全面的に渋滞をしておるときに、イギリスの例、あるいはベルギーの例を考えてみても、これはやはり再検討を願うべき問題だと私は思います。それだけに御検討を願うことをお願いして質問を終わりますけれども、御所見を承ることができれば最後に……。
  36. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この皇居のキジなどがおりますのは吹上御苑の部分でありますが、これは陛下が御生活をなさっております場所であります。これはそう荒れているわけではございませんが、武蔵野のおもかげが残っております。そこを陛下がよく御散歩になっておるわけでございます。これはやはり陛下の御健康上も——まあ、いまの陛下の御立場で、自由に町中を御散歩にもなりにくいものですから、そうしたところで御健康保持をされるということも必要であろうとわれわれは考えておるわけであります。いまの御意見の点もなお含んで、将来の問題として研究させていただきます。
  37. 吉田法晴

    吉田委員 建設省にお尋ねをいたしますが、いま買いだめられた土地については、社会党は、首都圏等一都三県の東京、神奈川、埼玉、千葉で、三井不動産や土地会社あるいは運輸会社等が買い占めた土地についての数字を持っております。あるいは、そのほかに国有地、自治体等で低利用の土地を合わせますと五万ヘクタールくらいになるという数字も持っておりますし、建設省でお調べになった数字も承っておりますが、いま問題になっております大会社あるいは商社等で買い占められておる土地について、概数でけっこうでありますが、総数を承りたいと思います。
  38. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 建設省では、昨年東京証券取引所一部、二部上場の会社を対象にしましてアンケート調査を行なったわけですが、それによりますと、四十一年から四十六年に至る六年間で取得した土地で、現に保有している土地の面積が、全国では四万一千ヘクタール、一都三県、東京都ほか三県の区域で申しますと六千六百ヘクタールということになっております。
  39. 吉田法晴

    吉田委員 時間もございませんから数字をあげてやるのはやめますが、方々で調べられたものを私があわせて考えますと、買いだめられた土地は二、三万からあるいは数万。ですから、十万にならぬ土地だと考えていいと思います。それから、そのほかに、建設省で首都圏の五十キロ圏内で開発適地として考えられるものは二、三十万ヘクタール。これはそれぞれ調べられたところも違っていろいろございますが、とにかく、買い占められた土地が数万ヘクタール、あるいは、その他の利用し得る土地と言いましてもおそらく数十万ヘクタール、こういうことになろうかと思うのですが、時間がありませんから具体的な方法について申し上げますが、建設省なりあるいは自治省で、道路その他公共用地を除きまして、宅地として提供をする場合に、どのくらいの広さとどのくらいの区画を予想して考えられようとしておりますか。そこのところをお尋ねいたしたいと思います。
  40. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 通常住宅市街地を建設する場合に、根幹的な公共施設とか、学校、幼稚園等の公益施設とか、そういう施設もかなり要るわけでございまして、そのほか地先の区画街路なども要りますから、ネットの純宅地としては、相当グロスの面積から控除しなければならないわけでありますが、建設省が住宅建設の第二期五カ年計画で採用しております平均の規模は、一宅地でミディアムグロス、つまり、区画街路等を含めたネットよりは若干多いものでありますが、これで約百八十平米程度を想定しているわけでございます。
  41. 吉田法晴

    吉田委員 時間がありませんから、節約する意味で多少これを申し上げますが、この買いだめられた土地、それから道路技術屋がひとしく指摘しておりますように、基地——まあ、沖繩の基地は整理するということですが、全国的にも整理されるでありましょう。私が数字を伺いますところによりますと、米軍基地で五万ヘクタール、自衛隊基地で九万四千ヘクタール、合わせて十五万ヘクタールということですが、これは全国的数字なのか、あるいは少し数字が少ないような気がしますが、とにかく基地。それから国有地にいたしましても、利用度の低いもの、低利用土地等が問題になると思います。それから皇室の土地については、いまお聞きのとおり東京、主として東京でありますけれども、十五万平米というのはやはり貴重な土地であり、その利用方法を含んで総合的に考えらるべきものだと思うのですが、総合性には異議がないと思いますが、問題は、これは、私のささやかな経験もあわせて申し上げますと、市町村で相当の土地を取得して、それもできるだけ安く取得することが望ましいですけれども、取得価格にどの程度のあれを見たらいいか。まあ、共通しておるところは、取得価格に若干の利子を加える程度でということになろうかと思いますけれども、できるだけたくさんの土地を取得するには、財政的な裏づけが必要であります。金の裏づけが必要であります。自分のささやかな市長の経験によると、歳計現金を三億、五億と、これは無利子で貸してやって取得をすることによっても、取得価格に実際の造成費を加えた程度で済みます。それも相当の広さになりますと、一般の地価を押えるのにたいへん役立ちます。そうすると、これは東京や大都市の場合と、いま百八十平米とも言われましたが、地方都市との場合には若干の広さの違いがありましょう。その土地を提供するにも、市町村が取得をする金が必要であります。いまのように、地方財政の中でも、わずかに起債あるいは一部縁故債で見るといっても、いまの全国的なこの土地の騰貴を押えることはできないと思います。江崎自治大臣は、土地の騰貴を押えていたと言っておられますけれども地方に参りますと、この間まで何百円かであったもの、あるいは千円でも手に入ったものが、すでにもう万単位の数字になっております。これは土地の公示価格を見ればわかることです。したがって、いわば全国の土地の何割かは取得をしなければ、その土地の騰貴を押えることは実際にはできないことだと思うのです。そうしますと、各自治体が、先行取得にしてもあるいは供給公社で買い上げるにいたしましても、相当の広さを買い上げぬことには困難だと思うのですが、それには少なくとも財政投融資なりあるいは起債のワク等にいたしましても、何兆円あるいは何十兆円という金を全国的には裏づけをしなければ、土地の価格を押えて公有化することはむずかしいと思うのであります。これらの点についてどういうぐあいに考えられますか、承りたいと思います。
  42. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 この公有地拡大のために資金量を確保しろ、これはもうおっしゃるとおりだと思います。公営企業金融公庫が、昨年の十億円からこの調達のために七十億円ぐらいになった程度では、私どもも十分だとは思っておりません。ただ公社というものは、市中金融にもたよれるわけであります。まあ、縁故債ということばで表現しておりまするが、そこに公社のうまみもあるわけでありまするから、今後ともこの金融がスムーズにいきまするように、これは政府資金も用意いたしまするし、また、公有地拡大のためならば市中金融も円滑に行なわれるように、これは十分関係省庁と打ち合わせの上で配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 吉田法晴

    吉田委員 縁故債のことを言われましたけれども、これは先ほどちょっと調査室等から承りましたけれども、そのくらいの金で土地の価格を押えるほどには役立ちません。そしてまた、もし縁故債を利用するとするならば、その利子の補給を相当しなければ−したがって、その土地の価格を押える程度の公有地拡大するには、先ほど申し上げましたように、いまの財政投融資数兆円では役立たないで、おそらく何十兆円という金が要ると思います。  それからもう一つ、都会の中で言いますと、宅地というか、住宅を安く提供するには——香港では土地はやはり足りません。幸いに下が岩盤なものですから、何階以上の建物しか建てられぬということで家賃を安くしておるようでございますが、国民大衆が、勤労者も含めまして家を取得し得るといえば、さっき建設省からは、土地について広さ百八十平米というお話しがございましたが、土地の広さも問題でしょう。価格も問題です。土地で言いますと、これはいわば二、三万円というのが限度でしょう。それから、分譲住宅を手に入れるにいたしましても、頭金が百万円、総額で五、六百万円というところが大衆の手の届くところだと思うのです。そうすると、こういう土地の取得についても財政的な裏づけもしなければなりませんが、いわば社会化のためのそういう規制の具体策、これは法律を要するほどの問題だと私は思うのですが、時間がございませんから、詳細を申し上げて、一つ一つ積み重ねるわけにいきませんけれども、いま考えられておるような、土地を使って何をしてもいいということでは、さっきの佐藤君の例等を見ましても、やはりいかぬ。これは資本主義についての、土地を利用してもうけてもいいという、その根本問題が一つ。それから、それぞれの広さと価格と、そして、それを大衆に提供し得るほどの公有地を云々ということになりますと、やはりこまかい施策が必要であります。そしてまた、それの裏づけが必要だということを考えるのですが、最後に大臣と、それから関係省の責任者からひとつ御所見を承って終わります。
  44. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 冒頭に申し上げましたように、私どもも、土地が投機の対象にならないように、あらゆる総合施策を配慮して実施に移す。それが国総法をはじめとする今度の一連の土地対策法案でございます。したがって、いま、公有地確保がスムーズに、しかも大量の土地地方の手に入るようにする。これはおっしゃるとおりだと思います。これらの裏づけについては、今後も十分努力を続けてまいりたいと思います。
  45. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 土地対策につきましては、いろいろ総合的な施策を講じつつあるわけでございますが、なお、この公有地拡大法の改正を機にそれが実現いたしますならば、地方における資金の確保その他のあらゆる手を講じまして、土地の公的保有を拡大し、もって地価対策に貢献できる程度にまで拡大してまいりたい、このように考えております。
  46. 中村弘海

    ○中村(弘)委員長代理 山本弥之助君。
  47. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大蔵省の政務次官がお見えになっておりますので、政務次官に先にお尋ねいたしたいと思います。  この法律案におきまして、四条で、売買をする際に届け出をしなければならないという制度になっており、自発的に公共団体に買い取りの申し出をするということが五条にございますが、この場合の税の取り扱いにつきまして、四条の届け出の場合は、昨年は三百万円、ことしは上がりまして五百万円になったと思うのです。それから申し出の場合は、全然税の特別控除がないわけであります。この問題につきまして、区別をする必要はないのではないかという質問が、本委員会におきまして、片岡委員やあるいは小川委員等からあったわけであります。大蔵省の第二課長さんの御答弁ですと、税の理論上から言って区別をせざるを得ないという答弁がなされたのでございます。公共団体に売却をする所有者といたしましては、その土地が公共団体のどういう用途に使用されるかということについては当然区別すべきではない、公共団体に提供して、公共団体の用に供せられるという場合につきましては、その税の特別措置については差別すべきではないという考え方をすべきではないか、かように考えますが、政務次官、どういうふうにお考えになりますか。
  48. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいまお話しがございましたように、公有地拡大推進法の四条と五条、四条の場合は届け出、五条の場合は希望の申し出、そういう形になっております。四条の場合は一応届け出の義務がございまして、届け出た場合に、それに対して地方公共団体が先買い権がある一そういう仕組みになっておるわけであります。これに対しまして、御承知のように、租税特別措置法の中で、四条の場合につきましてはそういう届け出義務を持たせて、それを地方公共団体が先買い権で買ってしまうという、一つ土地所有権に対する制限といいますか、少なくとも一つ土地に対する所有権の制限といったような形のものである。したがいまして、それに対して租税の上においても優遇措置をいたしまして、特別の控除をする、こういうたてまえになっております。  五条の場合は、土地の所有者が任意に公共団体に買い取りの希望を申し出る。それに対して、公共団体が必要とあらばその土地を買う。その場合においては、相手方である買い取ろうというほうの主体は地方公共団体ではあるけれども、しかしながら、一応は任意の契約、一方の申し出、一方の承諾、そういう任意の契約によって売買が成立するものであるというたてまえから考えて、その間にはそういう土地の所有権についての何らかの制限というものは原則として伴わない。こういう考え方から、四条の場合と五条の場合は、租税特別措置法上のいわゆる優遇措置を異にしておる、そういう考え方であるわけであります。  いまお話しのごとく、税の一つのたてまえ、理論と言うと少し大げさかもしれませんが、税のたてまえとしては、そういうことでこれを区別して、今日のこういう制度の仕組みになっておる、こういうわけであります。
  49. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいまの政務次官の答弁は、先般来の課長の答弁と同じなんですね。問題は、四条の場合は、ある意味におきましては、土地所有者に対しての公共団体の公有地を確保するという必要——ことに昨年は、大手の買い占め等によりまして土地が高騰するという情勢の中から、公有地の確保が困難であるという趣旨からこの法律が制定されたわけなんですね。そして、四条の場合は、公共団体の立場から、公有地土地を確保することが必要であるというたてまえ上、いわば公共団体の立場についての先買い権、強制買い上げ権というような強いものではありませんが、一応チェックするという先買い権を認めたわけなんです。しかし、そういう体制の中で、五条の場合は、むしろ住民の側からの、公有地の不足を公共団体が確保するためについてのいわば買い取り請求権という、住民側の権利を認めたという条文だと私は了承しているわけですね。  その背景には、土地の暴騰によって公有地の確保は至難になっておるというところから、こういう法律が出てきたわけなんですね。ところが、住民側のほうでは、たまたまこれは学校の用地だ、これは学校の用地ではない、その他の公有地だということによりまして、税の取り扱いが違うことになるわけですね。しかし、公有地になるということについては、公有地に提供するという考え方に立っては、土地所有者の立場は変わりないわけなんですね。ですから、土地高騰によって土地の確保が至難であるという背景からいくと、公有地に確保するのだという法の制定の趣旨から言っても、それが公共団体の都合によって、使われる用途によって、税が、あるいは本年度は二千万円、ある場合には全然控除されないというようなことは私は不当だと思いますね。したがって、いまのこういった情勢から言いますと、税の理論もありましょう。無理やりに取り上げる場合には、特別控除額を高くする。どこかに売りたいので、だれにでも売れるのだけれども、公共団体に買ってもらいたいということは、土地所有者に苦痛を与えていないので、特別控除をする必要はない。しかし、ある意味においては、公有地の確保について協力する地域住民については税の恩典がない。これはいろいろありましょうが、どうしてもそこで生計を営まなければならぬので、強制的に買い上げるという場合と、協力してもいいが、できるだけ必要な価格、これは人間でありますので、できるだけ高い価格で買ってもらいたいという権利を極度に主張する者については税の恩典がかかる。これは、私は、法律の制定の背景から言いますとおかしいんじゃないかと思う。ですから、公有地を確保しなければならぬために法律をつくらなければならぬということであれば、これはむしろ公有地の買い取りについて、住民の側から言えば、買い取り請求権というような権利に対しても税の恩典では区別すべきではない。このことで、今後の公有地を確保するについてのこの法律が生きてくるわけですね。実際はこれは協議がととのわなければ公有地は確保できないのですね。ただ、ある程度まで、どういう状況になっておるかという一つの情報が公共団体にわかることにはなりますが、そういうことから言いましても、むしろ買い取り請求を主張する住民の権利を認め、それに対しては、公有地になることによって公共事業推進される、あるいは必要な公有地が公共団体としては確保できるというたてまえから言いますと、土地の確保が至難であるという現情勢下においては、これは最大限の控除をすべきである、かように私は考えるわけですが、政務次官からもう一度そういう法制定の背景というものについての御答弁をいただきたいと思います。
  50. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 この制度の税法上のたてまえは、いまも御理解いただいておるようでありますけれども、一方は、強い、弱いの差はありますけれども、あるいは弱いかもしれませんけれども、何がしかの強制力を加えて公共団体が土地の取得をするという場合、一方の場合は任意の契約によって、所有者の任意の申し込みによってやるという場合。したがいまして、この特別控除のあるなしの分かれ目は、一方は強制力を何らか伴うかどうかということでありまして、売り先が、新たに取得する者が地方公共団体であるからという、その買い主のほうに着目してできておる制度ではない。この租税特別措置法の特別控除制度は、この例のみならず、ほかにも例が具体的な制度としてあるわけでありますが、それらもおおむねそういう税のたてまえでできておるものであります。したがいまして、そういう税の一つの理論といいますか、たてまえといいますか、そういうものを貫いていくとすれば、いまの現行制度にならざるを得ない、こういうわけであります。  いま仰せられましたのは、確かに、現状から着目をいたしますれば、社会資本の充実の上において土地の取得というものは非常にむずかしいことだ、だから、そういうものをなるべく容易にするように今度の法律もできておるのであろう、そういう趣旨によれば、土地の公有ということを推進する意味においてはおっしゃるような制度も確かに一つの手段、手法ではあろうと思いますけれども、一方、税のたてまえ、理論から言いますとそういうことであるので、現行制度はそういうことにならざるを得ない、こういうことでございます
  51. 山本弥之助

    山本(弥)委員 政務次官、私は税の理論を聞いているわけじゃないのです。租税特別措置法の考え方は、原則として政策減税が多いですね。いままでは、産業優先の場合は、企業が資本の集積、そして国際競争力を持たせるというような考え方から、社会政策的な減税もありますけれども、主として産業優先の政策減税が特別措置法なんですね。この考え方も、これは特別措置の中にあるわけなんですね。いま必要なのは何かということなんですね。地価の高騰によりまして必要な公共用地あるいは公有地が確保できない、そのために法律をつくったんですね。その場合に、提供する住民の側から言えばいろいろな繁雑な手続をし、あるいは、その使われる公共団体の用途によって区別されるということは、地域住民土地を公共団体に提供する側からいくと、その区別というものはないんですね。そうすると、学校用地なら売りますよ、他の用地なら売りませんよ、というようなことも出てくるわけですね。しかも、五条の届け出、申し出なんということは意味がなくなりますね。これは当然、架空の相手を見つけまして、そして届け出をすればいいわけなんで、わざわざこういう条文は必要ないのですね。自発的に申し出る人に対しても制度を設けよう、こういうことなんですね。そうしますと、地方公共団体が何に使おうが、それは、地域住民の側、土地所有者の側からいくと、ほとんど区別すべき性質のものじゃないんですね。そう思います。そのことを政務次官に御了承願いたいのですが、政治的背景をと言えば、いま税の理論がどうのこうのと言って——租税特別措置を全部廃止せいと言っているんですけれども、これも大きく転換しなければいかぬのじゃないでしょうか。そして、大蔵大臣もこれは転換するということは言明してますね。所得税の減税等も、今度は社会党の主張のように、標準世帯の場合は百五十万円まで非課税にすると課税最低限を高めるということを言っておられますけれども、私ども質問しました場合は、とりあえず特別措置を廃止することを先行させるんだ、そのあとで課税最低限度の引き上げをやる、こういうようなことを答弁されたことがありますが、いま特別措置で活用すべきものは何が必要かということで判断することによりまして、私は、ほんとうに政治が生きてくるんじゃないかと思います。そのことを大蔵省の政務次官、御配慮願いたいと思うのですが、御答弁をいただきます前に、自治大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  52. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 公有地拡大を促進しようというならば、これはやはり祖先伝来の土地を公のために買ってもらおう——土地の公示価格というものがありましても、多少は高く売れないものでもないでしょう。現実に需要と供給の商品と考えた場合には、ですね。ですから、それを公示価格で買わなければならぬという原則に立つ公の機関に土地を売り渡すという場合には、税金を考慮する、これは当然なことだと私は思うのです。大蔵省側としては、これはやはりいま答えられるような答えしか——他の税全般の均衡の問題もありまするし、いまここでそう歯切れのいいことは言えないでしょう。しかし、国総法をはじめとして、この土地政策を推進していく段階には、私は、いま山本さんが指摘されるような形で事を処理しませんと、言うべくして、実際公有地拡大はなかなか思うように推進できないというふうに思います。したがって、担当大臣としては、原則論としては大蔵省としての立場はわかりますが、これはやはり租税特別措置法の趣旨に基づいて、大蔵省側にも同意を得るように、なお努力を続けてまいりたいというふうに考えます。
  53. 山本弥之助

    山本(弥)委員 自治大臣から非常に理解のある御答弁をいただいたのですが、第十五次地方制度調査会の中には、行政のベテランも、あるいは地方税制のベテランも、あるいは国税に関しまして十分知識のある委員も出ておられますね。その地方制度調査会におきましても、届け出、申し出を問わず、これの特別控除については最大限度の配慮をすべきである。これはその前年の十二月の答申では、考慮すべきであるということになっているのですが、翌年一月の答申の際は、これを区別しないで最大限度配慮せいというふうな答申もなされておるのですね。これは、私は、いまの公有地拡大推進法というような法の精神から言っても当然考えなければならぬ問題だと思います。大臣のおとりなしもあるし、大蔵政務次官としても、真意を答弁願うということを期待することもちょっと無理だという感じもいたします。  ただ、大蔵省としては、そういった租税特別措置法の該当する事項についてどういう配慮をするか。私は、理論がなければいけないと思いますし理論も必要だと思いますが、しかし、行政の運用上いま何をやるべきか、租税特別措置ではどういう配慮でこれを変えていかなければならぬかということを真剣に検討することを願いたいと思います。検討を願うことのお約束はできましょうか。
  54. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 先ほど来申し上げておりまするように、税というものは、一つは不公平感をもたらすようなものでは非常に困る。税の重圧感というものは、やはり不公平感から来ることが非常に大きい。でありますから、やはり、一つの筋道は立てておかなければならぬ。そのときどきの行政の必要には対応はしながらも、やはり、ある程度筋は立てておかないと、税の根本というものはくずれてしまう。これが不公平感につながる。ですから、あまりそのときそのときの思いつきだけでは税をいじるものではなかろう、私はこう思います。しかし、もちろん社会情勢が進んで変わってくる。それぞれの行政的必要性というものもどんどん出てくるわけでありますから、それには対応はしていかなければなりません。したがいまして、いまおっしゃるような優遇措置を四条、五条両方ともやるということになりますと、これはいろいろな波及的な問題もまた起こってくるわけであります。たとえば、公共団体ではない私法人が、いろいろな学校とかあるいは社会施設をする、病院をするというときには一体どうしてくれるんだというようなことも、均衡の問題としていろいろ起こってくるわけであります。そういう問題も考え合わせて、将来の問題として、ただいまお話しのように、租税特別措置法も本年は相当洗い直す、こういう計画でおりますので、その際もよく御趣旨を体して、ただいまは自治大臣のおとりなしもあることでありますから、検討をいたしたい、こう思います。
  55. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いよいよ検討を願いますので、これ以上申し上げませんが、政務次官、十分お考えを願いたいと思います。政務次官の所属される自民党も、税というものは時代の流れに相応して変動する、しかし軽々に変動すべきではないと言いますけれども、思いつきの税制はたくさんありますね。私は一々ここで指摘いたしません。しかし、非常に思いつきの税金を思いつきのまま実行されていますね。この点は、私、くぎをさしておきます。したがって、こういう法の精神に必要な問題は十分御検討願いたいと考えております。  そこで、昨年の公有地拡大推進法に私どもが賛成いたしました際は、実際は、土地の値上がりが急激に上昇するという機運でありました。この法案の制定について、一部の不動産業者から大きく反対の声が出てくるというような情勢であったわけであります。それを心配いたしまして、私ども早く審議をしたわけであります。しかし、現実にこの法律を施行いたします際に、新しい制度でありますので、相当の法律の周知をはかるということで、六カ月をこえない範囲内という附則で施行期日がきまったわけであります。そこで、十二月の一日から施行ということになったわけであります。しかし、現実には土地の買い占めが行なわれて、土地の高騰を促したというのは、この法律が公布になりました六月から十二月までの間にものすごい勢いで土地の買い占めが行なわれたわけですね。いわば必要なときにこの法律が効果を発揮しないで、ある程度まで土地の動き、あるいは単なる実需ではなくて仮需要としての土地の動きというものが出てまいったわけでございまして、いわばこれが施行になりましたときには、ほんとうのねらいというものが相当減殺されたように私は思うのですね。今回の改正によりまして、市街化区域から都市計画区域に拡大され、その面積もおそらく七倍くらいになったと思うのであります。この施行もやはり公社関係を除きまして六カ月をこえない範囲にということで、これも年末になることが予想されますね。しかし、昨年の施行で大体これは届け出の場合は県知事でありまして、県知事が都市計画区域の町村に周知徹底をはかるということは昨年より容易だと思うのです。できるだけ早く施行すべきではないか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
  56. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 今回増す地域は七倍にも広がるということと、それから、都道府県の事務執行体制、その他周知措置等考えますと、一応前回同様六カ月以内という期限で施行を予定しているわけでございますが、おっしゃるとおりの御趣旨もありますし、全く新しい制度というわけではないわけでありまして、その点、受け入れ側にも準備が楽かと思いますから、できるだけ早く施行するようにつとめたいと思います。
  57. 山本弥之助

    山本(弥)委員 できるだけ早く施行いたしまして、実効があがるあがらぬはともかくといたしまして、一応網をかぶせるという体制をとっていただきたいということを強く要望をいたしておきます。  そこで、私が昨年主張いたしましたとおり、この通知期間も、あるいは協議期間も、昨年より一週間延ばしたわけでありますが、おそらく、この通知期間は、区域が拡大されたことによって、三週間である程度まで機能するのではないかと私は思うのですが、協議期間の場合は、一週間でなくて、もう少し長くすべきではないかという感じがいたします。それは、申し出の場合は別でありますが、届け出をいたしまして協議が成立する件数これは非常に少ないですね。各県別に見ますと、ゼロのところもあります。そこで、これの協議の成立しないというのは、おそらく価格の問題だと思うのですよ。価格の問題につきましては、私は先ほど、現行制度では税の配慮がどこまで効果があるかはともかくといたしまして、極力協議が成立するように税の配慮をすべきではないかという考えで申し上げたわけでありますが、それにいたしましても、できるだけ協議が成立して買い取るということがこの法の精神なわけでありますので協議期間ももう少し長くすることが必要ではないか。  それから、もう一つは、一年経過いたしますと——一年を経過するまではだれに売ろうと自由なわけですね。それで、ほんとうに第三者を見つけて、予定価格で届け出をする。価格が同じで、あれば相手に対する義理立てといいますか、そういうことがない限りは公共団体に売ってもいいわけなんですが、この協議が整っていないということによりますと、他の理由もあるのではないか、一応自由に売買する権利を確保するという考え方もあるのではないかということが予想されるのです。そこで、その後の推移を見るという意味におきましても、直ちに公共団体以外のものに、届け出た場合の相手方に売ったのか、価格がどうであったのかという情報を把握する意味におきましても、一年以内にそういう届け出の相手方、予定価格で売却したかどうかという、その契約が成立したと同時に、売りましたよという届け出といいますか、報告書をとる必要があるのじゃないか、かように考えますが、その二点につきましてお答え願いたいと思います。
  58. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 まず、このたびの改正で、通知期間、協議期間をそれぞれ一週間づつ延長して三週間にいたしました。これは先生のかねての御主張でございまして、実施してみて、やはりその点に問題があるということに気づきましたことと、今回地域がかなり拡大しますので、その辺も含め、なお、国総法による届け出制度、この期限の六週間とも整合させたほうが合理的であろうということも兼ねまして、三週間、三週間といたしたわけでございます。協議期間は、買い取るほうの側から見ればもっと長いほうがいいということもおっしゃるとおりでございますが、やはり、民間の取引を押えておくという期間としては一応三週間程度あればあらかたの協議のこなしはできるのではないだろうか。また、実際を見ますと、協議期間の三週間が過ぎましても、かなり煮詰まった協議に入っている案件につきましては引き続き協議が進んでいる。必ずしも三週間にこだわらずに、売り主のほうでも公共団体と話し合いを継続している例もございますので、一応法律で規制する期間としては当面三週間ということで実施してみたい。  次に、譲渡の届け出あるいは申し出をしまして不成立になった後は、一年間届け出義務を免除しております。一年間程度は、この不成立になった事情——つまり、公共団体側に買い取る希望がないとか、あるいはその他の買い取りの協議が成立しなかったいろいろな原因、それは一年程度ではそう変わらないのではないかということから、一方では届け出義務ということの、あまりにも短期間に繰り返すということの不合理さも打開したいということで、一年間だけは自由に届け出なしに売買できるということにいたしております。その間の実際に売り渡された場合の相手方とか、譲渡価格というものを報告させることにつきましては、必ずしもその必要性というものがないのではないか。いろいろそれを受け付ける、あるいは調査する手間もありますし、大部分の場合は、届け出の場合であれば、その当初の相手方に売られているはずでありますし、譲渡価格についてもその価格で売られていると思われますので、あらためて猶予期間中の売買について一々報告させるということは、必ずしもその必要はないのではないかと思うわけでございます。
  59. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間の関係で深く論議をいたしませんが、この法律趣旨は、正常化しない限りは、仮需要というのがなくならない限りは、なかなか実効があがらない、一応の土地の動きが情報としてキャッチできるということではなかろうかと私は思うのです。その意味から言いましても、ともかく、協議が整わないときにも、その後の動きを把握するという意味でも、これは手数は要らぬと思うのです。簡単に、価格はどうだ、相手に売りましたという様式さえきめておれば、この土地がこういうところに売られているのだということがよくわかるわけですね。それは不当の実需であるか、ほんとうに住宅を必要とする人に売られたのか、あるいは仮需要のほうに売られたのかということがわかるわけでありまして、その後の地方公共団体の行政上の手を打つ点から言っても私は参考になると思います。これは御検討おき願いたいと思います。  それから、次に、この基準となるべき公示価格の問題ですが、この問題は、私ども、公示価格があと追いの価格であると言うのですが、いわば売買実例その他によりまして公示価格を決定しておるわけでありまして、建設省も御承知のとおり、これを見ますと、四十六年は、前年度に比較いたしまして一六・五%、それから四十七年度は、前年度に比較いたしまして一二・四%の上昇率、ところが、四十八年度の公表せられました一月一日の額は三〇・九%、地域によりましては倍以上になったということですね。これは明らかに仮需要によって正常な価格というものが不当につり上げられた実例によって、標準となるべき公示価格が——これは非常に異常ですね。物価全体がこのごろはそうですが、政府は五・五%に押えるというのが、もう一〇%こえているし、物価対策は非常にむずかしい問題になり、また、緊急に手を打たなければならない重要課題になっているわけであります。それにしても、地価の場合一六%、一二%の推移は、それでなくとも高い推移ですね。これは、過去十年の物価の上昇を平均六%といたしましても非常に高い推移です。このときの物価の水準というものはこんなに高くありません。六%かそこらですね。そのときに、四十八年度が三〇・九%という、いわゆる公認された売買基準価格ですね。これは非常に不当な価格だと思うのです。異常な情勢における価格、私は、これは公示価格の役割りを果たしていくのかどうか疑問を感ずるわけですね。したがって、公示価格について検討し直す必要があるのではないかということを、時間がございませんので申し上げたいと思うのです。  それから、もう一つは、ことしは一万四千くらいの地点で調査されるわけですね。ところが、固定資産税の評価額の標準地点は二十六万三千地点ということになっていると思うのでありますが、将来公示価格の地点も拡大されると思うのですけれども、固定資産税の評価額に比較いたしましても、なかなかこれくらいまでになるのは容易ではありませんでしょうし、区域が拡大されました都市計画区域につきましては、市街化区域以上に投機的な売買が行なわれておるとすれば、それらを基準にきめられる公示価格、これはやはり正常な価格とはどうしても考えられぬのじゃないか。この点はやはり検討しなければならぬ。これは、税制調査会あたりで、固定資産税評価額と地価公示価格とは極力一致すべきであるという答申もなされておりますように、この点につきましては、私は、固定資産税の評価額、地価公示価格を含めまして、今後評価の方法について検討すべき問題だと思うのでありますが、どうでございましょうか。
  60. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 公示価格はあと追い的であるとおっしゃいました。まあ、そのとおりでありまして、というのも、自由な取引が行なわれる場合の、通常成立すると認められる価格というものが公示価格でありまして、周辺地価が実際に上がればそれに追随するというのがこの公示価格であります。そういうことによって収用の場合の価格の基準にもでき、公共用地として買収する場合の基準にもできる、あるいは不動産鑑定士の鑑定評価につきましても拘束力を持たせ得るというわけでありまして、この公有地拡大法でもそれを引っぱっているわけでございまして、これが何らかの政策意図で、近地の地価とは違う、押えられた価格ということになりますと、それをもって買うという立場の公的機関というものは、いよいよ土地を買えなくなるということもあります。また、そういう価格で土地収用ができるかという問題もありまして、現行法制のようないろいろな公的取引に拘束力を持たしている制度のもとでは、むしろそういう政策的配慮を加えないということが必要じゃないかと思います。  まあ、公示価格自体、いろいろな期待を持って登場したわけですけれども、実際にこれにからんだいろいろな制度が伴いませんと、これ自体ではいかにも地価の値上がりを公表するような結果のみが目立っております。その点は十分反省しなければなりませんが、だからといって、公示価格そのものを適正地価と切り離して設定するということにはあまりにも問題があるのではないか、こう考えます。なお、公示地点が漸次拡大計画を立てておりますが、ほんとうにこれを全国の各宅地に用いるためには、たとえば固定資産税の標準地点のごとく、全国何十万という地点を公示しなければ、なかなか実際に役立つとは思えないわけであります。その辺につきましては、今後関係省庁とも連絡し、おそらくは、国の機関である中央だけの土地鑑定委員会だけでこの何十万という地点の網羅はとてもできないと思いますので、まあ、そういうことになりますれば、地方公共団体にもそういった鑑定委員会のごときものを設けていただいて、そういうお力をかりて、全国的な、かなり密度の濃い地点を公示していく、こういうことにせざるを得ないと考えております。
  61. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間がございませんので、この点も論議する余裕はないと思うのですけれども、金をかけてそういった急上昇する公示価格を設定していくということ自体、私は、まさに意味をなさなくなってくると思うのですね。これは地価も含めまして土地対策をもう一度、今年度税制を含めまして総合対策がとられたということになっておりますけれども、さらに吟味しなければならぬ公示価格がそういうふうにあと追いで、幾ら上がろうとも、三〇%、四〇%平均になろうが、ある地点においては倍になり三倍になろうが、それを公認していくという考え方、これは固定資産税にも響いてまいりますし、国民生活を無視したようなことになりますので、公示価格の再検討を含めまして、土地対策、地価対策全般をどういたしますか、憲法に違反しない範囲内でどうすべきかという総合的な対策をもう一度考究しなければならぬという感じが私はします。いろいろ一連の対策によりまして安定するのかどうかは、これは推移を見なければいかぬことは当然であります。しかし、それらのことを考えながら、建設省としては十分配慮すべきではないかということを申し上げておきます。  どうも五分超過して、林委員におこられるわけでありますが、二点ほど簡単に聞きたいと思いますが、実績から言いますと、私はちょっと少ないような感じがするわけであります。これで公有地拡大推進法の趣旨に合致するかどうか。五カ月の実績なので、今後一年を見なければいかぬと思うのでありますが、それにいたしましても、大体これは金額にいたしまして百三十億くらいだと思います。ことしは公営企業金融公庫の予定資金は七十億見ておると聞いておるのですが、この制度の活用とともに、これは昨年も申し上げたのでありますが、住宅公社については住宅金融公庫がありあるいは、地方道路公社は有料道路が主でありますので、ある程度高い金利というとあれですけれども、資金を確保できるという手は打てると思うのであります。公有地というのはある期間持たなければならぬ。したがいまして、金利の点も配慮し、良質の資金を公営企業金融公庫で確保する——どうも、公営企業金融公庫に何でもかでも持っていっているのですが、自治省の所管でありますために、どうも他の金融公庫、大蔵省所管の金融公庫に比べますとまま子扱いをされておるような印象を持つのですが、今後公営企業金融公庫が重要な役割りをしながら、公営企業をはじめといたしまして、いわゆる将来の土地開発公社の活用をはかるという意味から言いますと、もっと資金を配慮すべきではないか、かように考えるのでありますが、この点自治大臣の特段の御配慮をお願いしたい。  それから、もう一点申し上げますが、土地開発公社が地方公共団体の委託によりまして付帯事項ができることになったのです。これは全額出資であるわけでありますが、いままで、公益法人とかあるいは会社組織によりますこれに類似の団体を切りかえるということ、これは地方公共団体の自主性に待たざるを得ないのですけれども、公社がこれほどやれるということになりますと、九百近い任意団体といいますか、そういう団体はある程度公法人に切りかえていくという指導がなさるべきではないかと思います。私は、できるだけ地方自治体の自主性を尊重したいと思いますが、しかし、野方図に地方公共団体のやるべき仕事を公法人以外の団体をつくってどんどん推進していくということは、どうも弊害が出てくるおそれがありますので、この辺の考え方と、この二点ちょっとお聞かせ願いたい。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 資金量を確保する点につきましては、今後十分配慮してまいりたいと思います。決して今日で十分などとはゆめゆめ思っておりません。  それから、地方公共団体がこういう公法人をつくることによって、市町村自体の仕事と公法人との区別がつかなくなる。これは困りますですね。その点については、もとより議会側の制約もあるわけでありまするが、やはり、十分けじめが立つようにこれはよく配慮してまいる予定であります。
  63. 上村千一郎

    上村委員長 林百郎君。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣にお尋ねしますが、公有地拡大法、それからその中核をなす土地開発公社、この運用について大臣はしばしばここで、国総法をお通しくださればそういう問題は解決する、国総法をお通しくださればそういう問題は解決するということで、国総法がだいぶ引用されたのですけれども、一体、国総法と、この公有地拡大の法案と、それから土地開発公社と、これをどういう関連づけでお考えになっているのでしょうか。大臣の御所見を承りたい。
  65. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 直接的関係はありませんが、地方公共団体が予定される土地を確保するということは、国土全体の発展と改造の上から大きく作用するものというふうに思います。  詳しい話は長くなりまするから、以上簡単に……。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 国土総合開発計画、それから都道府県総合開発計画とが国総法では策定されるわけですけれども、これが土地開発公社にどういう作用を及ぼしてくるというようにお考えになるのでしょうか。たとえば北海道の例を見ますと、北海道の土地開発公社が北海道第三期総合開発計画土地取得の面を大きく引き受けているわけです。こうなりますと、これは苫小牧東部工業基地開発ですけれども、列島改造に基づく経済の高度成長政策、そのためのいま行き詰まった状態にある土地関係を政府なりに改善しようとしているという、政府の考えている土地開発事業、あるいはネットワークを設定するとかというような問題、いわゆる列島改造、あるいは経済の高度成長政策と結びついた列島改造、これの下請的な仕事をする、そのことのために、将来、その役割を果たさせるということをお考えになっているのではないでしょうか。
  67. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 そういう考えはございません。はっきり申し上げますと国土総合開発、いわゆる国総法、それから北海道の場合は、それと切り離して、私が兼務いたしておりまする北海道開発庁で開発の基本計画を立てて、これを推進しているわけです。そこで、北海道は、御承知のように、国土の二〇%、非常に広大なものを持っている。人口はわずかに五%。そこで、過密、過疎の問題をはじめ、国土全体を均衡のある発展をはかっていこう、これは政府の意向であります。この政府の計画、意向に基づいて、北海道庁としてこれに合致するものは当然相当あるわけですね。そうなれば、そこで、国の計画に、道庁側としては、道自体の利益にも裨益するところが多いから協力をしようということになる。そこで初めて、道側のたとえば国の計画に対する土地の取得協力であるとか、あるいは工場誘致の協力体制とか、いろいろな具体的な問題が出てくるわけでありまして、本来、国と地方というものは一体であるべきであります。古いことばで言うならば、唇歯輔車の関係にあるということも言えましょう。したがいまして、そういうたてまえから申しましても、双方が利用し合うという形で、一致する点が大いにあることが望ましい。しかし、押しつけるものではない。このあたりは明確に区別をしておく必要があるというふうに考えます。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 押しつけるものではないというお話しがあったわけですが、私たちが心配しているのは、列島改造に基づく国総法の開発計画、それの大きな足に、この法案並びにこの法案に基づく土地開発公社が将来作用するのではないかということで、そうすれば、自治体自体の持っている自主性に基づく地域住民のための土地開発あるいは公有地の取得ということが犠牲になる可能性があると思うわけなんです。  そこで、それでは国と地方自治体というものは全く一体だ、お互いに相互で援助し合うのだというお話しがあったわけなんですけれども、この十七条の二項の二号の「国、地方公共団体その他公共団体の委託に基づき、」云々ということがあるわけですね。この国の委託に基づくというのは、何かチェックなり制限があるのですか。国の委託に基づいたものについては、地方公共団体の委託と同様に、土地開発公社は土地の取得のあっせん、調査、測量等をしなければならないのでしょうか。この点、国の委託というものについての一定の規制なり、あるいは地方自治体の本来の自主性とそぐわない場合の調整というものはどういうことになるのでしょうか。
  69. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 十七条の二項の本文に書いてございますように、「業務の遂行に支障のない範囲内において、」「業務を行なうことができる。」ということで、やるかやらないかは、公社の自主性にまかしております。なお、これを行ないます場合は当然、定款の中で国の委託を受けて事業を行なう旨を明記して、議会の承認を得る必要がございます。それからまた、毎年の予算、事業計画、資金計画地方公共団体の長の承認にかからしめておりますので、予算を伴うような性質のものであるならば、そこで当然チェックができます。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この二項の二号に関連してお聞きしますが、「土地の取得のあっせん」ということがありますが、この「あっせん」というのは取得も含めているのですか。それとも、いわゆるあっせんという、そのことばだけの意味ですか。
  71. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 ここで言っておりますのは、いわゆるあっせんだけでございます。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言ういわゆるあっせんということの意味を聞いているわけです。
  73. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 取得を含まないという意味です。この条文では含みません。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、同じく十七条二項の一号で、今度、土地の取得ばかりでなくて、上物の整備、あるいはそれに付帯する業務を拡大しましたが、これはどういう理由から広げたんですか。
  75. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 特に、住宅団地の造成みたいな場合に該当するかと思いますけれども、一団の土地を公社が買い入れまして、整地をいたしまして、そこに団地づくりをやるわけでありますけれども、それに関連いたしまして、街路の造成でございますとか、街路をつくる場合に一緒に下水道、上水道の管を埋めるとかいうようなことは一度にやったほうが経済効率的にもいいというようなことで現実の問題といたしまして、現在各県に置かれております財団法人としての開発公社ではこれを行なっておったわけでございます。昨年この法律ができまして、土地開発公社ができました際には、とりあえず土地の取得、造成、これが急務であるということで、それに限っておったわけでございますけれども、現実の地方団体が、先ほど申しましたように、そういったものも含めた公社をつくっておるということ、そうして、われわれといたしましては、できるだけそういうものも切りかえさせたほうがベターである。そしてまた、こういう上物につきましても、公共団体の監視が十分行き届くものであるならばやらせるほうがやはりいいのではないかというようなことで、業務に支障のない範囲内において、そして地方公共団体の委託ということでしぼりまして、地方公共団体の目が行き届くようにした上で、この業務を行なわせるというふうに踏み切ったわけでございます。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣に伺います。先ほどの北海道の点について、あなたも北海道の行政の責任者ですからお聞きしますが、北海道の土地開発公社の事業実績を見ますと、たとえば千歳空港用地、高速自動車道用地というようなものの取得も、この土地開発公社の事業実績の中にあるわけですね。こういうものは、われわれの考えている地域住民の利益のための土地の取得、そうして、それに対する住宅なり、あるいは保育所なり、あるいは学校の建設というものとおよそ離れたもので、しかも、このために、一億の出資にかかわらず、百二十三億の予算が四十七年度は組まれてあるわけなんですけれども、道議会でもこれは非常に論議がされまして、反対の意見も強く出ているわけですが、こうなると、これはもう地方自治体の住民の利益というよりは、中央の開発事業で、要するに、あなたの言う、将来の国総法の国土総合開発計画になると思いますけれども、こういうものの下請的な仕事をこれが将来になうようなことになるというようなことは、これは北海道土地開発公社の例を見てもわかると思うのです。そういうことになりますと、本来地域住民の利益のために考えられておった土地開発公社、それから公有地拡大が、実は国の大きな開発計画の下請になってしまうということが、北海道の土地開発公社、それから、いま行なわれておる北海道の苫小牧東部の工業基地開発の実情を見ましても出てくるんじゃないでしょうか。そこで、いま言った国の委託という問題も出てくるし、あるいは、上物の設営もできるというような土地開発公社の機能の拡大もそこから出てくる、こういうように考えられないでしょうか。
  77. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 そういうわけではございません特に、北海道を想定して法文改正をしたということは、もう全然……(林(百)委員「北海道だけとは言いませんけれども……」と呼ぶ)ええ、そういうことはございません。さっき近藤君がお答えしたのが正確な御答弁であります。  そこで、たとえば千歳空港の土地取得などを北海道の開発公社に委託するのは行き過ぎではないかという話ですが、北海道は、さっきも申し上げましたように、ちょっと本土とは土地観が違いますね。ですから、もともと軍事的な用に供する空港と、旅客を中心とする空港とは区別することになっております。したがって、いまからその用地を確保しようということになれば、北海道の所有者、これはいわゆる道民の場合が多いわけですが、この所有者と道庁との関係は、同じ売買契約を結ぶにいたしましても、親近感が違います。また、実情の把握の濃度においても、これはたいへんな違いがあります。したがって、これは、地方において、国の要請に基づく国道のバイパス用地を買い取る場合、あるいは高速道路用地を買い取る場合、同じように地方公共団体が委託、いわゆる取得のあっせんをしておるわけですね。これがやはりいわゆる地域住民と密着しておる、土地の所有者と密着しておる、それが無理のない形で土地を取得する結果にもつながろう、こういうことで、北海道開発公社にそういった土地のあっせん等を願っておるわけでありまして、おそらく、この東京都周辺等々の値段に比すれば、北海道の土地がどんなに値上がりしたかといっても、まだまだたいしたことはございますまい。そうすると、金額的に言うならば、この首都圏、近畿圏といったような大都市圏で公共用地の取得あっせんをする場合、金額的にはそんなに大きな違いはないのではないか。土地の量そのものは大きいかと思いますけれども、よその県とたいへん違ったことを北海道の開発公社がしておるというふうには私ども思っておりません。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 近藤審議官にお聞きしますが、あなたは先ほど、こういう国の委託に基づく土地開発公社の計画は議会でチェックされると言いましたけれども、これは、計画は議会へ報告をする、それから、決算関係の財務諸表も長に届け出る、あるいは議会に届け出るということだけで、土地開発公社の計画自体を議会でチェックするという機能はないんじゃないですか。それは間接的には、その内容は議会に報告されますから、審議はされますけれども、議会の議決は要しないんじゃないですか。
  79. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 そういうことを行なう旨を定款できめますると、定款について議会の議決が要るということを申し上げたのであって、毎年度については地方公共団体の長の責任ということを申し上げたつもりでございます。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから、たとえば長が、国の国総法開発計画、要するに国総法に基づいて大きな計画をおろしてくる。しかし、地域住民としては、もっと切実な地域住民の便益をはかってもらいたいという要望がある。そういう場合、土地開発公社が、国のほうのそういう委託事務というか、国のほうの列島改造計画に基づいて大きな仕事をやっていくという場合に、議会がその年の計画をチェックするということはできないのじゃないですか。報告をして、議会で審議がある。あるいは政治的な責任が発生するかどうかという問題だけで、議会でチェックしてしまうということはできないのじゃないですか。
  81. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 おっしゃるとおり、議会には報告するだけでございますので、チェックする権限はございません。ただ、私たち、地方公共団体の長というのが住民から遊離して、国のほうばかり向いて仕事をしておるとは全然考えておりません。むしろ、地域住民の意向というものを十分しんしゃくし、それを代弁する形でこういったものを引き受けるか引き受けないかということをきめるだろうと思います。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 まあ、地方自治体の首長にもよりけりで、民主的な首長ならあなたのような場合もあるだろうし、あまりに自民党べったりのような首長だとすれば、地域住民の利益が犠牲になるということも考えられるということで私は質問をしているわけです。ことに、北海道の場合は、北海道の知事のこの方針について議会で非常に批判があるものですから、いま、批判と議事録に載っているだけで、その修正権もチェック機能もないものですから、それで聞いているわけなのですが、理論的には、私もあなたの言うとおりだと思います。思いますけれども、問題は首長の性格にもよる、こういうように思うわけです。  それからもう一つ、私のほうの多田委員質問に対する大臣の答弁の中で気になることがあるわけなんですけれども、自治体が公有地を取得した場合、これを第三セクターなり法人に売ることは自由だという答弁があるわけなんですけれども、これは、そういうふうにあなたはお考えになっているのですか。
  83. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 事務的な問題でございますので、こちらからお答えいたしますけれども、そういう場合もございます。たとえば、公社は、みずから住宅用地の造成事業その他土地の造成にかかる公営企業に相当するもので、政令で定めるものを行なうことができます。この政令で定めるものといいますのは、工業団地でございますとか、流通団地あるいは埋め立て事業、そういうものが現在の公営企業金融公庫の融資事業となっておりまして、公社の業務範囲に含まれております。しだがいまして、そういう場合には、第三セクターあるいは民間にその土地を公社が売る場合があり得ます。ただ、この場合、公社の性格というものが「目的」にも書いてございますように、地方公共団体にかわって仕事を行なうということでございますので、その処分等にあたりましては、十分地方公共団体と協議いたしまして、協議がととのった上で売却を行なうようにというような旨を、大臣の依命通牒でもって地方団体を指導しているところでございます。
  84. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ちょっと補足いたしますと、それは北海道における苫小牧東部開発、これに道庁が取得した土地を売り渡す、こういうことはあるわけでございます。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、あるわけだと簡単に割り切っておりますが、問題は、その第三セクターがどういう仕事をやっているか、あるいは、その売り渡しの対象になる民間企業がどういう仕事をやっているかということによっては、せっかく公有地として自治体が獲得したものが、性格上公有地として利用されなくて、土地の保有あるいは投機待ちの民間企業の保有というものにいかないという保障がないわけでしょう。それは十分相談はすると言いますけれども、しかし、いい値段で売って、その金で何かしよう、つまり、土地開発公社のほうが他のほうへ投資をしようというような場合には、いい値で買うところへ売ろうということもあり得るわけですから、せっかく公有地として獲得したものは、やはり、一定の制限で、そういう民間の企業だとか、あるいは非常に民間資本の性格の強い第三セクターへ売ることについてはチェックをしなければ、公有地拡大で、地方自治体が公有地として拡大したものの意義が非常に薄らいでくる。場合によってはわれわれの憂えるような結果をもたらすこともあるように考えられるので、大臣のその答弁は軽々に聞きのがすわけにいかないと思って質問しているわけです。
  86. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、私、はっきりそのために補足したわけですが、苫小牧東部開発などというものは公的性格の非常に強いものです。開発庁自体も介入いたしておりますというわけですから、いわゆる地域開発ということで、だれが見ても納得のいく——これはやはり地方公共団体がバックにあるわけですから、当然、妥当性がなければ、営利業者に公有地として確保したものを売り渡すということはあり得ぬと思います。それは区別さるべきです。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 あり得ないと言いますが、それはどこでどういうようにチェックするのですか。あり得ないと言ったって、あり得ることもあるんじゃないですか。そういうことはできないということはないんですよ。
  88. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 先生の御指摘のような事態が起こらないように、特に、この公有地拡大推進法が成立いたしました際、大臣の依命通達をもちまして、都道府県知事に対し、土地開発公社が地域の開発整備をはかるために工業用地造成事業、宅地造成事業等を行なう場合の土地の処分にあたっては、地方公共団体と十分協議の上行なうものとするといったような趣旨の旨を通達しております。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 依命通達は初めて知ったのですけれども、依命通達程度でははたしてそれが作用するかどうかということの保障にはならないと私は思いますので、その点は十分考慮して、立法的な措置にするなり、あるいは政令で明確にするなりということが必要だと思います。  この問題だけですと時間が経過しますので……。この公有地拡大法の法案で、各委員の審議の中で問題になりました協議がととのわない理由、そして、取得した土地の面積が非常に狭いという理由の中にあるのは、これが結局先買い権とは言いますけれども、協議権なんですね。私のほうの土地の政策から言うと、やはり自治体に形成権的な買い取り権を与えるべきだというのが私のほうの党の政策にはあるわけなんですね。もちろん、それは無償じゃございません。買い取ったときの値段に、その土地を保有するための金利程度のものを加えて、決して損をしてまでとは言いませんけれども、しかし、土地というものは本来公共的なものですから、投機的にもうける必要はない。そういう形成権的な意思表示によって自治体の所有に移転するというところまで入っていかないと、今日のこの土地の異常な事態をほんとうに地域住民の利益のために解決をするというところまで進めないと思うわけなんですが、残された時間がわずかですので、いずれまた機会を見てその点はゆっくり聞きたいと思います。  まず、お尋ねしますが、日本の全国の国土の中で、宅地相当の土地で、いま企業が買い占めている、あるいは私有地になっている土地の総面積はどのくらいあるのですか。これは建設省にお尋ねします。
  90. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 建設省で、昨年、東京証券取引所の一部、二部上場の全会社を対象として調査いたしたところによりますと、四十一年度から四十六年に至る六年間で取得した土地で、四十七年三月現在保有している土地の面積は四万一千三百ヘクタールということでございました。そのうち、事業用の資産を除きました、いわゆる宅地造成等に充てられるたなおろし資産というものは一万五千四百ヘクタールということになっております。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも正確にはわからないのですが、私の質問したのは、宅地として利用できる条件のもとで企業が買い占めている土地の総面積は幾らかということを聞いているわけなんです。私のほうの調査によりますと、全国で八万七千ヘクタールの土地が住宅として適当な土地として買い占められている。それを一戸百八十三平方メートルで割れば、約四百七十五万戸分の住宅が建ち得る。ところが、これが大体買い占められて、大部分は値上がりを待っているということなんですが、私のほうの調査による宅地の買い占めが八万七千、建設省のほうの調査ですと、正確に言うと、むずかしいたなおろしとかなんとかは別にして、現実にいま宅地に利用できる条件のもとで、しかも、企業なり、個人の買い占めている土地というのはどのくらいあるのですか。
  92. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほど申しました調査はアンケート調査で、回収率も五七%とわりあい低いわけでありまして、宅地として適当な土地ということになりますと、たとえば市街化区域内の土地ということになろうかと思いますが、その中でも、こまかいとおっしゃいましたが、事業用資産としては……。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 市街化区域ばかりでなくていいですよ。都市計画区域並びにそれ以外の土地でもいいですよ。市街化区域なんというのはごく狭いから。
  94. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほど四万一千三百ヘクタールと申しましたが、市街化区域にありますのは七千三百ヘクタール、市街化調整区域が七千百ヘクタール、その他の都市計画区域内が五千ヘクタール、都市計画区域外が一万二千八百ヘクタールということでありまして、私どもは、市街化調整区域というのは、少なくとも当面市街化を抑制する区域でありますから、住宅地として適当とは思いません。  また、事業用資産として持っている土地が非常に多いわけですが、これにつきましては、それぞれの事業用として、いわゆる宅地造成をして分譲をするという目的でない、そういう固有の目的で取得し、保有しているわけでありますから、これも住宅用地に転換するということは不適だと見ますと、やはり、市街化区域の中で、あるいは線引きしない都市計画区域の中の一部について、その中でたなおろし資産として持っている土地というものが、おっしゃる、その適地ではないかと考えます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、それはあなたがそう考えているので、私の聞いているのは、都市計画区域以外で宅地にしようと思えばできるという可能性のある土地が幾ら買い占められているかということを聞いているのですが、もしそれがわからなければわからないで、都市計画区域内だけで、たなおろし資産が全部で一万幾らですか。
  96. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 ただいま、たなおろし資産で、市街化区域が二千七百……。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 それはもう聞いた。都市計画区域の中で幾らかと聞いておるのです。それは出ておるのでしょう。
  98. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 約一万ヘクタールでございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 建設省にお聞きしますが、一万ヘクタールというのは、基準住宅は何戸建てられますか。百八十三平方メートルですかな。
  100. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 百八十三平方メートルというのは、これはグロスの数字ではありませんのでこれをグロスに換算すれば二百六、七十平米かと思います。それで割りますと三十五万戸分ぐらいでございます。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは念のために聞きますが、これは経済企画庁にお尋ねしますが、いまの建設省の言う地価でなくてもいいんですが、最近の地価の値上がりは大体どういう趨勢になっておるのでしょうか。これは私のほうの調査で、日本不動産研究所——これは公明党の小川君もこの数字を使ったと思いますが、昭和三十年を一〇〇とすると、昭和四十八年は約二四〇〇という市街地の価格指数の例がございますが、どういうような値上がりの状態でしょうか。
  102. 垣水孝一

    垣水説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、日本不動産研究所の調べによりますと、三十年の三月を一〇〇として、住宅地で二四五三という指数でございます。さらに四十三年から五年間という数字をとってみますと、約二・三倍でございます。それで、その中身を住宅地、工業用地、商業用地別に申しますと、これは不動産研究所の指数を私どものほうで計算したものでございますが、住宅地が五年間で二・六倍、工業地が二・二倍、商業地が二二倍でございます。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 それだけの物価の値上がり以上になっているものが他にもあるわけですか。諸物価の中で土地の値上がりというのはどの程度の位置を占めているのですか。
  104. 垣水孝一

    垣水説明員 実は、土地の値段というものを物価と言っていいかどうかでございますが、消費者物価指数全般を見ますと、四十五年を一〇〇といたしますと、四十七年が一一〇・九、すなわち一〇・九%、四十三年を一〇〇といたしますと、一二五・七、すなわち二五・七%の値上がりでございます。個々のものについては、いま申し上げる数字を持っておりません。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 これはどこの管轄になりますか、四月発表の公示価格、先ほど山本委員もたしかこの数値について御質問なさったと思いますが、全国平均で、過去一年で三〇・九%、東京圏三四%——木造住宅建設費、日本不動産研究所の発表で、昨年の九月から今年の六月末で二四・一%、公示価格が対前年度比三〇・九%、三四%というような値上がりをした例が過去にありますか。一年にこれだけ公示価格が上がったという例がありますか。
  106. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 地価公示は四十五年から始めまして現在に至っておりますが、過去においてはそのようなことはございません。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 参考までにお聞きします。四十五年に始めたと言うが、四十五年は対前年度比どのくらいだったのですか。
  108. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 四十五年から始めています一から、対前年度比が出るのは四十六年からになります。四十六年が一六・五%、四十七年が一二・四%でございます。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。大臣、異常な高騰だということはおわかりでしょうね。これはあなたの内閣の責任なんですから、人ごとじゃないんだ。よく聞いておいてください。大臣への質問はもう少し材料を集めてから聞きたいと思うのです。  防衛施設庁にお聞きしますが、関東計画ども大体進んできたのですけれども、アメリカの基地あるいは自衛隊の基地等で、基地から解放される土地は大体どのくらいと見ておりますか。
  110. 奈良義説

    ○奈良説明員 一月二十三日の安保協議委員会で当面の米軍の施設の統合問題についておおよその線が打ち出されました。その中で、特に、関東地方の空軍施設を横田に集約するという計画が一番最初に打ち出されております。それによりますと横田に施設を集中することによって六施設、それぞれ全部または一部を返還する、その見返りに横田に施設を集中するという計画になっているわけでございます。それによって返還されてくる予定のものが約二千二百十三万平方メートル、これは関東地方の空軍施設集約計画に関連しての予定の数字でございます。このうち、六月になりましてから、すでに立川飛行場の一部が約四十八万平方キロメートル返っております。それから、三月に水戸の対地射爆場が千百四十八万平方メートルございますが、これが返っております。やはり、六月に、ジョンソン飛行場の大部分、百六十四万平方メートルが返っております。やはりこの地区でございますが、キャンプ朝霞の南部地区、これが百十六万平方メートル返っております。これが関東地方の空軍施設の集約計画に関連したものでございます。  そのほか、やはり安保協議委員会決定したものとしては、沖繩の那覇空港が嘉手納等にそれぞれ代替施設を提供することによって、数年じゅうに返ってくるだろうと思います。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 それは面積にしてどのくらいですか。
  112. 奈良義説

    ○奈良説明員 那覇は二つ施設がございまして、一つは那覇海軍航空施設というのがございます。それが八十三万六千平方メートルでございます。それから、もう一つは那覇空軍海軍補助施設というのがございます。たいへん名前がまぎらわしいのでございますが、先ほどのは那覇海軍空軍施設、それから、いまのは那覇空軍海軍補助施設、この補助施設のほうは三百五十八万三千平方メートルでございます。  それから、神奈川県に施設が幾つかございますが、あそこのうちのキャンプ渕野辺というのがございます。これは今年度中に代替施設を一部完成することによって今年度中に返ってくる、こういう予定になっております。  それから、ただいま日米間でお話しし、かつ地元地区とも相談しているものに、横浜に住宅施設がございます。これを横須賀の海軍施設の中に移転することによってこの住宅地帯をきれいにしよう、こういう話し合いをいたしております。  大体以上のものがすべてでございます。ごく最近でございますが、沖繩で八施設の一部または全部の返還が決定いたしておりまして、そのうち六施設が三十日に返ってくるわけでございます。以上でございます。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、いまの沖繩の分も含めて、返還予定される基地の総面積というのは幾らになりますか。最初の二百十三万平方メートルに、さらに相当加わるわけですね。どうなりますか。
  114. 奈良義説

    ○奈良説明員 関東空軍施設の全部が約二千二百万平方メートルでございます。それから、那覇が三百八十五万、それに三十何万が加わりますから、約四百万、総計二千六百万平方メートルぐらいになるかと思いますが、これはおもなものだけ申し上げましたので、まだ数字としてたいへん不正確で、集計してございませんので、申しわけございません。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 念のためにお聞きしますが、建設省で、二千六百万平方メートルに、基準家屋は何戸建てられますか。大体でいいです。
  116. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 約十万戸でございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ時間が来るので、残念ですけれども……。大臣、もう少し詳しく聞きたいのですけれども、そこで、まず第一に、地価がかつてない高騰を示しておる、公示価格を見ましても。この土地に単なる先買いの協議権だけでいいかどうか。共産党の主張するような、一定の価格で形成的な買い取りの請求権を自治体に与えるということが必要ではないか。その場合に、地価の凍結だとか、あるいは不動産企業の土地売買への規制だとか、これは国総法の中にも、何に使うかという基本的な方向は違うにしても、若干この芽は出てきておりますけれども、こういうものを民主的にわれわれは考えております。やはり最後には共産党の政策の、適正な価格で買い取る形成的な買い取り権というものを与えなければ根本的な解決ができないじゃないか。協議権だけでは、もうこの委員会でも論議されておりますように、いまの土地のこの異常な状態を正常に戻すわけにはとてもいかない。共産党では第二次土地改革——封建時代の地主、小作の関係が改善されたのが第一次土地改革ですが、第二次土地改革としては、やはり、大企業やこういう買い占められている土地を——たとえば、東京都と付近の三県だけでも、私たちの調査では、約二万ヘクタールの土地が買い占められている。ゴルフ場だけでも一万七千六百二十二ヘクタールの土地が買い占められている。基地だけでも八千七百五十三ヘクタールがあるという中で、そして、この大企業が大きなインフレに基づく金融によって買い占めて、土地の値上がりをやっているという状態の中で、買い取りの協議権だけでは問題は解決できないじゃないか。思い切った土地改革ですね。いま庶民の要求している、安い家賃の公営住宅を建てる敷地、あるいは保育所、あるいは学校の敷地として、人口急増地帯で土地を取得するには、協議権だけでは全く不十分ではないかというように考えるのですが、その点を大臣はどうお考えになりますか。
  118. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これで十分公有地が確保できるとは思いませんが、相当推進されるであろうというふうにわれわれも考えておるわけであります。  いまお話しにありましたような基地は、日本の国防上有効な役割りを果たしておりますし、民間の買い占めと言いまするが、これとても、これが優良な民間の住宅デベロッパーというようなかっこうで宅地開発をしてくれるということであるならば、一がいに何も国だけの力でこの住宅不足を全部補おうといっても無理が伴います。やはり、民間のエネルギーを応用することも、私どもの立場としてはぜひ必要だ。ただ、それが不当に利潤を確保し過ぎるというようなことがあってはならぬということは考えておりまするが、どうも、多少見解を異にするところも多いようでございます。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 多少どころか、非常に見解が異なるのです。たとえば土地の買い占めと言いましても、最近、共同通信の調査でも、土地買い占めの上位五社の数字が出ております。一位が西武グループで一万一千九百ヘクタール、これはおそらく百十万くらいの人が住めるんじゃないかと思うんですがね。第二位が東急グループの九千八百ヘクタール、三位が三菱グループの八千九百ヘクタール、四位が三井グループの八千六百ヘクタール、五位が名鉄グループの五千八百ヘクタールなど、もう五千以上、西武に至っては一万一千という土地を買い占めているのですから、これを単なる国総法によっても、最後は協議権ですから、これは形成的な所有権移転の買い取り請求までいっておりませんから、第二次土地改革を必要とするいまの時代では、政府のそういうなまぬるい政策では、この大企業の買い占めている土地を開放するということは不可能ではないか。したがって、土地の上昇は一そう続く。買い占めの悪条件は一そう続く。庶民の住宅問題の解決は困難ではないか。どうしても共産党の言うように——これは決してただでよこせと言うわけじゃありません。しかし、たとえば一つの西武グループが一万一千九百ヘクタールなんて、百万人くらいの人の住める土地を買い占めているというようなことを単なる協議権だけで解決すると考えても、それは無理だと思うんですよ。それはできないと思うんですね。このことが一つ。  それから、お答えができなかった、さっき私が言った基地というのは、基地がいまどの程度返還されるということを聞いたわけでしょう。この基地は当然、民間に売られたり、あるいは商社に買い取られたらいけないので、これをどのように公有地として折衝するか、この基本的な構想をお聞かせ願いたいと思います。
  120. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 それはよくわかりました。それは、国防上必要があれば、自衛隊が使う部門もありましょう。しかし、また、民間の要請にこたえて、これは地方公共団体を含めて有効に利用するべく、地方公共団体に払い下げるという方途もありましょう。もちろん、私は、これは有効に利用されなければならぬというふうに思っております。かりそめにも民間会社の営利の対象になるようなことは絶対ないように、十分配慮してまいりたいというふうに思います。(林(百)委員「それから大資本グループの買い取りは」と呼ぶ)  そのグループの問題は、大企業すべて悪なりという、そういう定義は成り立ちません。したがって、優良なデベロッパーが民間の資金にものをいわせて、庶民のためにも役立つ住宅建設をしておる例もたくさんあり、現にそういう住宅建設はなされておるわけですから、そういう形でぜひ進められることが望ましいと思います。しかし、また近く、思惑を対象として土地を確保したものについては、これは容赦なく税制上の措置をしたことは御存じのとおりであります。相当税金をこれからはいただきます。それから、どこがどう買い占めをしておるか、林さんのほうの調査も相当なされておるようでありますが、具体的に個々別々になるというと詳しいものはないと思う。(林(百)委員「いや、共同通信の調査を私は言ったのです」と呼ぶ)共同通信といえども、これは必ずしも正確なものとは思えない。それは今度、いよいよ特別土地保有税がかかることになりますと、土地の所有者で、しかもこれを思惑対象にして確保したなんということは各市町村で全部的確にわかるわけですよ。その段階でどうするかというのは、まあ見ておってください。これからひとつ政府が……。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 これで私は結論にしますが、自治大臣は、大独占必ずしも悪ならずと言うが、私はいまの大独占は非常に悪をしていると思うのですよ。だから、大企業自体だって企業に対して倫理性を持たなければならないと大企業自身が言っているのに、自治大臣がここで何も弁護する必要はないんじゃないですか。  そこで、私は申し上げますが、土地保有税とか土地取得税、あの程度のものは売買価格に転嫁されますよ。まあ見ていてごらんなさいな、私の言うことがそのとおりになるか、あなたの言うことがそのとおりになるか。したがって、共産党の政策である地価の凍結、そして、強制的な買い取り請求権、これがなければ第二次土地改革は絶対できない。それから、憲法に違反する自衛隊に、せっかくアメリカが返してきた土地がまた使われるということは、共産党としては承服できません。これはあくまで公共の用に供する土地として使わなければならないと思います。住宅問題も、あなたは、民間が住宅を建てて売っているじゃないかと言うが、民間が建てて売っている住宅というのはたとえば三DKでも、一千万とか二千万というようなことなんです。日本の国では、庶民が望んでいる公的な住宅というのは、全建設住宅の一〇%なんです。ところが、イギリスは五一・九%、フランスは三四・六%なんです。自治大臣ともあろうものが、こういう公共的な住宅を、イギリスやフランスに負けないようにもっともっと建設するのだと言わずに、民間が建てて売っているじゃありませんかなどという答弁をなさるということは、これは大企業を弁護している以外の何ものでもない。まあ結果を見ていらっしゃい。私の言うことがそのとおりになるか、あなたの言うことがそのとおりになるか、これは歴史が判断すると思いますから。  これをもって私の質問は終わります。
  122. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはちょっと重要ですから、簡単にお答えしておきますが、私の言うのは、優良デベロッパーとして民間に歓迎される住宅建設がなされておる例もたくさんあるということであります。それは建てたやさきから、行列をして買い取り人がそこへ集まるという例が現実に……(林(百)委員「高いんだな、それが」と呼ぶ)だから美濃部都知事なども、住宅難を解消するために、二万戸の割り当てが二千戸しか消化できないなどということにならないように、これはやはりもっと懸命に努力をしてもらいたい。これは念のために申し上げておきます。
  123. 上村千一郎

    上村委員長 以上で、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  124. 上村千一郎

    上村委員長 これより本案に対する討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  125. 上村千一郎

    上村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  126. 上村千一郎

    上村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、中山利生君、山本弥之助君、小濱新次君、折小野良一君から四派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨説明を求めます。中山利生君。
  127. 中山利生

    ○中山(利)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、公有地拡大推進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    公有地拡大推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、公有地拡大を積極的に推進するため、とくに次の諸点について遺憾なきを期すべきである。  一、地方公共団体および土地開発公社が積極的に公有地の先行取得を行ないうるようにするため、公営企業金融公庫の貸付枠の拡大をはじめとして、十分な資金の確保に努めること。  二、公有地拡大をより一層推進するため、地方公共団体等に土地を譲渡した者にかかる譲渡所得税について、すべて、土地収用の場合に準ずる軽減措置を検討すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  128. 上村千一郎

    上村委員長 以上で、趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  129. 上村千一郎

    上村委員長 起立総員。よって、中山利生君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。江崎自治大臣。
  130. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、善処してまいることにいたします。     —————————————
  131. 上村千一郎

    上村委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 上村千一郎

    上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  133. 上村千一郎

    上村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕