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片岡委員 届け出によりますところの
土地先買いの場合には、公示価格を規準としてその価格を決定するということになっておりますが、実際は、そういう場合、すでに第三者との話し合いが進んでおるという
段階において問題になりますので、これは、もし公示価格を
公共団体等が最後までがんばれば
協議が整わないということになる。そういう結果、お互いにせり合いを始めて
土地の価格がだんだん上がっていくということになると思います。すなわち、地主側にしてみれば、法定の譲渡制限期間を粘り通したら今度自由販売の形になるということになりますので、結局は価格がだんだんとつり上がっていくということになると思うのでありますが、ここにたいへんな問題があると私は思うのです。
そこで、この
当事者の
売買価格がだれが見ても適正価格であるという場合には問題はございませんのですが、不当な価格であります場合に、私は、問題になると思います。それを何としても適正価格で買い取るという強制買い上げの
措置が講ぜられるべきでないかと思うのでありますが、これについて、御存じのように、フランスにおいては長期整理
区域という
ものがあって、これは指定
区域の地価を一年前の価格で固定をいたしまして、収用または
先買いの際に建築物物価指数で補正した方法をとって適正価格にする、こういうふうになっておるようでありますし、また、西ドイツにおいても、鑑定
委員会で定めた正常価格で
先買いを行なうというふうになっておるのでございます。
わが国は、これらの諸国に比べてみまして、
土地は非常に少ない。そういう
関係から、地価がだんだん高騰する。
需要が多いのに供給が少ない。こういう
関係から、当然地価が上がっていくということになると思います。
昭和四十六年の五月には、時の根本建設
大臣が、地価抑制のための根本構想という
ものをお持ちになっておられて発表されたということがありますが、これによりますと、
知事は一定期間内に緊急
宅地化すべき
区域を指定して適正価格で強制買収できるという
制度を提唱されたということであります。
わが国の憲法は、御承知のように、二十九条一項では、財産権の不可侵という
ものを非常にやかましくうたっております。しかしながら、第三項で、「私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」とうたつておりますし、また、第二項では、「財産権の内容は、公共の
福祉に適合するやうに、
法律でこれを定める。」ということを明定しておるのであります。いまさら言うまでもなく、
土地は再生産されません。限られた
国民の資産であります。その意味において、日本のように狭い
土地にたくさんの人口がおるというような
状況を
考えてみましたときに、私権を尊重するということと公共の利益という
ものをどういうふうに見ていくかという場合に、今日においては、やはり、公益優先というような新しい
一つの価値観に基づいていろいろな発想がなされていかなければならぬ
ものだと私は思うのでございます。先ほどの、特に、
届け出の
土地に対してなかなか
協議がまとまらないというようなことも、この価格形式の
段階においていろいろ問題があるからだというふうに私は思うのでございまして、こういう機会に思い切った
土地に対する公益優先の
考え方を盛り込んだやり方を、したがって、
協議が整わないというときにはやはり適正価格で強制買収するというような
制度を
考えていかなければなかなか問題は解決しないのじゃないかと私は思うのでございますが、この点、
大臣のお
考えを伺いたいと思います。