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1973-06-19 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十九日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君    理事 吉田 法晴君 理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       前田治一郎君    保岡 興治君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       佐野  進君    山田 芳治君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         警察庁交通局長 片岡  誠君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君         運輸大臣官房政         策計画官    福田  稔君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省自動車局         業務部長    高橋 寿夫君         建設省都市局街         路課長     中野 三男君         建設省道路局次         長       中村  清君         建設省道路局路         政課長     新野喜一郎君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   土井たか子君     佐野  進君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     土井たか子君     ————————————— 六月十八日  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願(阿部助哉君紹介)(第七二三二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  地方公営交通事業経営健全化促進に関す  る法律案内閣提出第五四号)  地方公営交通事業経営健全化促進に関す  る法律案山口鶴男君外十九名提出衆法第一  六号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案及び山口鶴男君外十九名提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小濱新次君。
  3. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案について、自治大臣外建設運輸自治警察の各関係者に数点御質問をいたします。  昭和四十一年度から財政立て直しをはかってきたにもかかわらず、逆に赤字がふえ、公営交通事業の深刻な経営危機に直面をしている、こういう現状であります。  御存じのように、四十六年度末の公営交通事業における累積赤字は千九百二十九億円、そのうち千七百五十九億円が大都市交通事業に集中をしております。不良債務は千二百九十二億円にものぼり、再建債償還元金、第一次再建債でたな上げ分の未償還分の百八十九億円を含めると、実に千四百八十一億円になっております。この赤字及び不良債務料金収入の一・七六%を占めている。こういう記録が載っております。このように、公営交通事業経営のみならず、地方財政全体に深刻な影響を与えておるわけであります。そこで、政府は、交通財政に破綻に近い悩みを与え、抜本的対策を怠ってきた、七年間も、ということになりますが、その責任はまことに重大と言わなければなりません。  そこで、合理化がスムーズに運ばなかった理由を政府はどのように受けとめておられるのか。この問題については、三つの問題点があるということで、大臣からの御答弁がございました。その原因追及という問題はもうすでに伺っております。また、非常に涙ぐましい努力企業が続けてまいったわけですが、それはまたあとで、申し上げますが、そういう立場からも、あたたかい、思いやりある、責任を反省した御答弁というものがここでなければならぬのではないかと考えておるわけです。これは基本的な問題ですが、大臣の、主務大臣としての責任ある御答弁最初に伺っておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  4. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私どもは、第一次再建計画場面を十分考慮しながら、今度の新たな再建計画と取り組んでおります。それには、再建債利子について、そのほとんどの額を国が補給をする。残余の利子あるいはその元金償還は来年度から始まるわけでありまするが、それを地方公共団体一般会計が受け持つ。これについては、先ごろ来、国も何らかの措置をすべきではないかという説が強く御質問にあらわれております。本来、国民の税金でありまするから、元本にまで助成をするということは、元本助成をすれば必ず再建が可能である、こういうふうに再建が達成されるという責任ある答弁——答弁といいまするか、地方公共団体側の保証がされなければ、軽々に元本にまで助成を及ぼすということはなかなか至難なことであるというふうに考えます。  しかし、利子を全部めんどうを見るからといって、元本償還がいよいよ四十九年度から始まりますれば、地方公共団体としては相当な負担になるというふうに考えております。したがいまして、いま、小濱さんが、政府としてのあたたかい施策はあるかというふうにおっしゃるならば、まあ、これは、ただいまから来年度への問題ということで、元本等一般会計償還を見ていきます分について、政府としてどうするか。これは、ひとつ実情に触れながら、実情を調査して、そういう面においても十分検討を重ねまして、できるだけこの再建がスムーズにいくように最善の努力をはかってまいりたいというふうに考えております。
  5. 小濱新次

    ○小濱委員 第一次の再建対策が、見通しが甘かったのではないかというふうにも現時点ではうなずけるわけでありますが、いまから見れば、もっとあたたかい善処がなされるべきであったと思いましたので、大臣の誠意ある御答弁を求めたわけでございますが、ただいまお話しがございましたので、これからの強い要望を申し上げまして、この問題については質疑を終わります。  次に、党の立場から、若干法案内容についてお話しを承っていきたいと思います。  最初に、法律第四条に、この経営再建には、議会の議決を経て、その旨を自治大臣に申し出て、そして交通事業再建計画を定めるというふうにありますが、「政令で定める日まで」とは、いつまでに申し出るのか。これは鎌田財政局長にお答え願いたいと思います。
  6. 鎌田要人

    鎌田政府委員 「政令で定める日」ということで、私ども、現在、昭和四十八年十二月三十一日ということを考えておる次第でございます。
  7. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに、これは、第四条三項と、第八条にも関連しておりますが、一般会計負担分で、  「十五年度以内に経営健全性を確立する」としておりますが、参考人意見ですと、横浜市の場合、赤字が、四十七年度末の百三十六億円が、最終的には利子を含めて二百十数億円という説明がございました。国の負担分は、利子だけの、いわゆる四分の一のワクだけでございまして、地方一般会計は、元金利子の一部とで四分の三を負担することになると説明がございまして、一般会計負担を、交付税都市新税などを創設するなどの真剣かつあたたかい——ここでもあたたかいということばが出てまいりましたが、財政措置をとる必要があるのではないか。何らかの方法で、この四分の三という負担の重荷というものを軽減してやる必要があるのではないか。そういう点で、ひとつ御意見を伺っておきたいと思います。これも局長からでけっこうであります。
  8. 鎌田要人

    鎌田政府委員 大体、再建団体元本部分と、それから国の利子補給割合——団体によって若干の増加がございますが、大ざっぱに申しまして、大体、地方一般会計負担分が、全体を十といたしまして六ないし七、それから、国の利子補給にかかわりまする分が大体三ないし四、こういう関係に相なりはしないかと思います。その場合におきまする一般会計負担は、非常に冷静な見方からいたしましすと、当該地方団体責任負担において交通事業を維持経営いたしておるわけでございますから、それの一般会計でこれを負担をする。それに対する財源措置は必要ないではないかという、こういう意見もございます。ただ、私どもとしては、今日大都市の置かれております財政事情といったものから見まして、全体的に、大都市に対する税源その他の一般財源の付与ということをどうしても講じなければならない、そういう段階に立ち至っておると思うわけでございます。当面、私どもといたしましては、事務所・事業所課税、あるいは法人課税充実、あるいは道路目的充実といった、いわゆる大都市税源確保ということを、明年度を目途として、どうしても実現いたしたい、そういったものの一環において、一般会計の体質を強化してまいることによって、企業会計に対する財政支出がやりやすいように運んでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、そういう措置等も含めまして、一般会計財源の増強ということを考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  9. 小濱新次

    ○小濱委員 参考人にここで御意見を伺ったおりに、いまの数字の御意見が出たわけでございまして、鎌田局長の三ないし四という数字とは少し隔たりがあるわけであります。そういう点がどうも不明確であり、地元としては、不安を抱いて、頭をかかえているという、そういう問題があるわけですね。加えて、将来においては、物価高という問題、あるいはまたベースアップという問題等々が生じてまいりまして、不安が極に達しているというような、そういう考え方のようにわれわれは受けとめたわけでございます。したがって、その将来のことを含めて、地元としては、再びこういうように合理化をされて頭を悩ますようなことのないように、いまから対処していかなければならないということで、真剣にこの問題と取り組んでいるわけでございますから、そういう点での将来の見通し等も含めてこれは考えてやらなければならぬのではないかと考えているわけでありますが、いま一度局長から御答弁を願います。
  10. 鎌田要人

    鎌田政府委員 交通事業自体といたしましては、御案内のとおり、地方債務につきましては、これは完全に当該企業外で始末をつけるということでございますから、非常に身軽な姿勢であしたから出ていけるということになっておるわけでございます。したがいまして、交通事業自身といたしましては、これからの赤字の発生というものをどのようにして防いでまいるかということに相なるわけでございましょうし、これにつきましては、やはり、企業環境改善というものを——これは、当然、当該自治体だけの力で及ぶわけではございませんし、運輸建設あるいは警察といった関係各省庁の御協力もいただきながら交通環境整備をはかってまいる。企業内部におきましては、料金の適正化なり、あるいは企業経営努力なり、こういうものもいままで以上にやっていただかなければならないというふうに考える次第でございまして、この場合におきまする一般会計負担の点につきましては、先ほど申し上げました大都市財源充実ということを通じまして、私どもといたしましては、支障なく運営ができるように、責任を持って努力を、私ども自身としても行なってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣に伺いたいわけですが、四十七年度末、横浜の場合、百三十六億の赤字でございますが、これが最終的には二百十数億という数字になるわけであります。この中で、国は四分の一強といいますか、地元は四分の三弱といいますか、こういう数字になるのだということなんですが、いまの局長の示された数字とは若干違うわけですね。こういう点で、これからの財政措置については、いままでの御答弁で言うと、四十九年度からだから、何らかの方法で間に合うように処置をしたいという御答弁もあったわけでございますが、深刻に訴えておった問題だけに、これは全体の要望ということで、大臣としても銘記していただかなければならない問題ですし、特に善処方をお願いしなくちゃならぬ問題でございますので、この点についての大臣のお考えも伺っておきたいと思います。
  12. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは企業でありまする以上、もとより、当事者側における全力をあげての企業努力前提にならなければなりません。幾ら努力しても実はペイしないのだというのが今日の地方公共団体の言い分でありまして、これはわからぬわけではありませんが、やはり、今後も、適正な料金水準確保してもらうとか、あるいは路線を再編合理化するとか、あるいは人件費が、これはだんだん年とともに増高し、企業に占める人件費割合というものが非常に大きいだけに、これらの合理化等についても努力してもらう。そして、さて、この再建をどうするかという場面でございます。したがって、私どものほうとしては、そういう努力は求める。したがって、再建債利子のほとんどは国がめんどうを見ます。しかし、四十九年から始まる元利の分についてどうなるのか、特に、元本償還が始まりました場合、これは地方公共団体だけにまかせるのは酷ではないか、これは小濱さんの御主張なわけですし、地方公共団体要望しておりますが、それらについては、いま冒頭に申し上げましたような企業努力がどの程度に、また、どういう形でなされておるかというあたり自治省としては十分見きわめまして、その上で、しかるべき都市に新たな財源を供与するか、あるいは何らかの措置元本についてもとるか、今後慎重にこれは検討をするわけでありまするが、先ほど来御熱心な御質問でございまするので、できるだけの配慮をして、ただ前向きに検討しますとか、何か考えますということだけでなしに、この元本分についても、これは今後の問題として、自治省側では真剣、に十分に取り組んでまいりたいというふうに申し上げておるようなわけでございます。
  13. 小濱新次

    ○小濱委員 なお、いまの問題に関連をして重ねて御質問をしていきたいわけですけれども、この第五条「交通事業再建計画承認等」の「自治大臣承認を得なければならない」ということは、ここで合格するということになるわけでございます。   〔委員長退席小山(省)委員長代理着席〕 この再建計画は、企業合理化の余地がないことについては、大阪、京都横浜の各代表の方のここでの意見の開陳からも、あるいは現地に伺っての御意見の中からもいろいろと申されましたけれども、拾ってみまするというと、ほとんど何も残されていないので一全体的に削減をはかる以外に方策はないという一つの御意見が出てまいりました。また、たいへんにむずかしい問題ですという一言だけで、あとが続かなかった御意見の方もございました。さらに、もう一滴の血も出ませんよと、すなおな御意見の方もございました。合理化対策と、ことばでは簡単でございますが、その衝に当たってみた場合には、これはなかなか至難な対策であります。この点については、大臣横浜へ行かれまして、その企業努力についてはみごとだといっておほめになっておられた記事が載っておりましたが、ほんとうにたいへんな努力があったわけです。  これから少しその実例をお話しをしてみたいと思いますが、横浜の場合、四十年の十二月現在で赤字借り入れ金が六十億円になっておる。それで、四十一年の二月に、横浜市では、再建五カ年計画というものを立てました。自分の力で再建しようというふうに決意をしたわけでございました。このとき法案が成立したわけです。路面廃止、人員の整理バス事業ワンマン化事業計画を立てましたが、これを中止して、法律上の再建計画に入っていった。先に立てた五カ年計画を踏襲して進めていきましたけれども、三十五年には職員約百名を移職整理などをいたしました。また、定年五十八歳を、五十五歳以上の人は勧奨退職を願ったわけであります。当時としては大きくこれは報道されるというようなことで、「涙をのんで大なたをふるった」という見出しの記事でございました。それで、四十八年までに路面電車廃止という目標を立てまして、四十六年度にこれを完了したわけであります。不用財産としては、営業所の敷地、職員住宅用地その他がございました。横浜市として、合理化の例として最も大きな点は、四千三百人の従業員中千二百名を整理したことでありました。ほとんど路面電車運転手及び車掌などでありますが、こういう人たちは、各区役所、清掃局建設局など、一般関係のほうに引き取ってもらったわけであります。財産処分は、土地としては二万七千四百坪がございました。バスワンマン化女子車掌整理せざるを得なくなっていったわけですが、千台の車のうち、ワンマン化率は九八%だということになっております。トロリーバス廃止などで、特に忘れることができない問題は、この第一次の再建計画が発表された当時、横浜局長はたいへん悩みを抱いて苦しんでおったという話を伺っておったのですが、この法改正の直後に、この局長が自殺をしたのですね。その原因は不明になっておりますが、合理化対策で悩んで行き詰まったといううわさがあるわけでございます。合理化対策には、私どももちょうど横浜の市会におりまして、その折に当たっておったわけです。私もその当時、交通特別対策委員会委員長をしておりまして、それは、直接にわれわれが声を聞いて努力をして、徹夜で交渉しながらその問題解決に当たっていったわけですが、横浜では、そういう合理化対策を、六回ですか、続けてやってきたわけです。承ったところでは、京都では五回であるというふうに伺いました。  こういうことで、合理化対策ということばは簡単だけれども、そこにはなみなみならないそういう経過がございまして、それで、この問題について、今回第二次の再建計画が発表されたわけでございますから、将来のことを誤ってはならないという非常な決意にわれわれは立っておるわけでございまして、政府は、合理化改善を進めるについて、将来計画の具体的な方策をやはりお聞かせいただかなければならぬというふうに考えますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  14. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまお示しになりました横浜は、まさに、第一次再建計画を推進するにあたって、その整備合理化は順調に行なわれた、この努力は多としなければならぬというふうに私は考えます。ただ、問題なのは、今後の問題として、先ほども申し上げましたように、まず適正な料金確保、それから路線再編合理化——合理化といいますと、何となく人でも整理するようなほうにだけ、ややもすればとられがちで、誤解を招くわけでありますが、私はそういうことを言っておるわけではございません。やはり、路線を再編成したり、合理化するということは当然あるわけですから、そういうことをわれわれは期待するわけです。人件費等々をどう縮減していくか、そこらあたりにも整備合理化ということばが当てはまるというわけでございます。したがって、横浜のように順調に整備合理化を進められたところに向けて、なお、さかさに振っても血も出ないような、いまのお話しにもあったようなものを強要して合理化を迫るとか、そういうことはないわけでございます。  ただ、全国広い範囲の地方公共団体の中には、合理化の進まないところ、整備関係のまことにまずい都市がないわけではございません。これは一々指摘できるわけでありますが、そういう都市に向かって整備合理化を言うわけでございまして、もう理想的に進んだところにそれ以上のものを求めようということを考えたり、何となく政府が力をもって干渉するというような形にはならないようにしていきたいというふうに思います。
  15. 小濱新次

    ○小濱委員 交通事業再建計画承認ということで、自治大臣承認を得なければならないわけですが、はたして、十二月三十一日までに出される再建計画——私が案ずることは、全体的に削減をはかる以外に方策はありませんということば、それから、たいへんにむずかしい問題ですと言って、あとが続かなかったことば、そういうことばから、承認を受けられるような内容再建計画がはたして出てくるであろうかどうかということを私は心配するわけです。そういうことですから、先ほど大臣企業努力ということを言われましたけれども、その点について、いま申し上げましたように、各企業体がどのくらい努力をしてきたかわからないという経過がございますので、この承認問題については、内容の御検討には、それなりのお心づもりをもってどうか今後対処をしていただきたい。心からそういうふうにお願いする次第でございます。  さらにお伺いしたいことは、第七条の再建債利子補給、七分一厘の上限を設けてございますが、現実には、金融情勢が、公定歩合の引き上げ等で先の見通しがたいへんむずかしくなってきた。これは論議の的でございます。しかし、やはり、党の立場から伺っておかなければならぬことは、この上限を定めてあることは現実に沿わないというふうに私ども考えるわけでございます。その例として、公募地方債は、すでに応募者利回りで七分二厘九毛になっているという事例がございます。この上限の七分一厘を引き上げるか、あるいはまた撤廃するか、条文の修正をするか等の問題があろうかと思いますが、この点についてのお考えをやはり大臣から伺っておきたい、こういうふうに思います。
  16. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は、非常に重要な問題だと思います。予算編成をいたします時点では、公募地方債利率が六分八厘、それから、公営企業金融公庫基準利率が七・一%というようなことから七・一%を上限に置いたわけでありますが、その後、景気対策等々から高金利政策をとらなければならぬことになりました。これは非常に矛盾があるじゃないかという、御指摘の点はそのとおりだと思います。ただ、問題なのは、これは一つ上限を示したわけで、過去の例から申しますと三分八厘である。最低の場合は一分一厘六毛に利子補給はとどまっておりました。それから言うと、七分一厘というものは相当な額になるから、それもいいではないかというわけですが、その利子のほとんどまたは全部を国側で見るのだという前提に立ちますと、これは、やはり、小濱さんが指摘される点は非常に重要だというふうに私どもも気がついております。ただ、問題なのは、ここへ来て、景気の過熱を防ぎ、設備投資を押えるという意味から高金利政策に転じてきたわけでありますが、御承知のように、この金利についても、四・四半期にさてどうするかというわけですから、来年の一月からの問題として、そのときの金利事情がどうなるであろうか、まだまだ高金利政策がその時点でも続くのか、いや、また、もっともっと金利を上げなければならぬという実情になるのか、このあたりが非常に微妙なところでございまして、その状況等も勘案して、これは今後の問題ということで検討いたしたいというふうに思います。
  17. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、これは、建設省中村道路局次長に、合理化対策一環として伺っておきたいのですが、横浜市では、明治三十七年に電車営業というものを開始いたしました。当時は、民有地や農地を買収し、また、埋め立てをして軌道ができました。いまの国鉄並み軌道敷というものを使っていたという感じがあるわけですが、この横浜保土ガ谷線というのは大正四年、それから、羽衣町線と磯子線は明治四十年に軌道条例を適用されて、さらに、神奈川線は、軌道法により、昭和四年に適用された。その他、適用された路線はいろいろとたくさんございますが、東京都及び大阪市でも同じ適用を受けているわけでございます。御存じのように、この軌道は専用と併用とに分かれておりますが、併用というのは、道路が先にあって、あと軌道ができたもの、それから、専用というのはもともと軌道のみで、現在でも交通局の独自の財政として残っているもの、こういう形になっているわけです。この軌道敷に占有地のある都市横浜だけではないわけです。ここに記録を持っておりますが、東京都、大阪市などにもたくさんこういう土地があるわけです。それぞれの道路管理者に、この土地を買い取ってもらいたい旨の申し入れを行なってきたわけですけれども、県と市のほうの道路はほぼ解決がついている。ただ、最後に残ったのは、国道は建設省所管なので、買い取ってくれるように陳情はしてまいりましたけれども、どうもそれはだめだということで、長い間その問題がそのまま保留されて、解決ができないでおる。なぜだめなのか、法的な根拠は何なのか、建設省のほうから御説明を願いたいと思います。
  18. 中村清

    中村(清)説明員 いまお話しがございましたように、軌道につきましては、軌道法で敷設いたしましたものと、それから軌道条例によって敷設いたしましたものと、二種類あるわけでございます。軌道法は大正十年にできましたから、それ以前のものは、明治二十三年の軌道条例によって敷設された、こういう関係になるわけでございます。ところで、軌道条例のほうを見てみますと、三条でございますけれども、これは内務大臣の特許を得て敷設される、そして「在来ノ道路ヲ取拡メ又ハ更正シタル部分及新設シタル軌道敷ハ倶ニ道路敷ニ編入ス」ということになっております。なお、これを受けまして、軌道条例取扱方心得というものがございまして、これによりますと、「特許ヲ受ケタル者ニ於テ拡築シタル道路及改築シタル橋梁ハ竣功ト同時二無償ニテ国又ハ公共団体ノ有二帰ス」という立て方になっておりまして、したがいまして、この軌道条例に基づいて敷設されました軌道は竣工と同時に道路敷になり、国または公共団体の所有に帰しておる、こういう関係でございますから、あらためて買収する必要はない、かように私ども考えておる次第でございます。  なお、軌道法でございますけれども軌道法について一言申し上げますと、軌道法第九条によりますと、「道路管理者道路ノ新設又ハ改築ノ為必要アリト認ムルトキハ軌道経営者ノ新設シタル軌道敷地ヲ無償ニテ道路敷地ト為スコトヲ得」という規定がございます。これを受けて、実際九条の条文を発動する際にどういう手続をとるかということは政令で書かれておりますけれども、いずれにしろ、その手続をとったものにつきましては道路敷ということになるわけでございます。  一方、道路法のたてまえによりますと、道路管理者が、道路敷地部分について、すべて所有権を取得しなければいけないというたてまえには必ずしもなっておりません。ただ、その部分を道路敷地として使用し得る法律上の権限を持っていればいい。通常の形態では、その権限は、所有権の取得ということでなされましょうけれども、あるいは地上権の設定とか、あるいは所有者の承諾を得て使わせていただくといった関係もございまして、そういう関係もございまして、軌道法によって敷設されたものにつきましても、私どもとしては買収の必要はない、かように考えております。
  19. 小濱新次

    ○小濱委員 これは自治大臣に聞いていただきたいのですが、明治、大正にいろいろと法律ができましたが、いまのこの法律をちょっと見ますと、軌道法では、「軌道経営者ノ新設シタル軌道敷地ヲ無償ニテ道路敷地ト為スコトヲ得」とか、それから軌道条例取扱方心得というものがございますが、これによりますと、非常に企業を圧迫するような文章が多くなっている。いまの、建設省の中村道路局次長からお話しがございましたけれども、このことによって、明治の初めから、農地を、あるいはまた民有地を、買収し、埋め立てをして、軌道というものを敷設をしてきた。そして、電車が走っていった。それがだんだん拡幅され、そして、この法律によって、指定されて、市道、県道あるいは国道となって、いまのような形になってきているわけですね。ところが、県と市のほうは、どこへ伺いましても、もう解決ができましたと言う。そういう話があるわけですけれども、国の場合には、未解決のまま、いまなお東京都のほうに交通局の財産として残っているというふしぎな姿があるわけです。  この内容につきまして、私のほうの調べですと、東京都は国道に三千八百坪、大阪市では三万二千六百三十坪、横浜市では千六百三十九坪。これが、横浜で言うならば、国道一号線であるとか、十六号線であるとか、もう超一流のそういう国道の上に交通局の軌道敷の占有地が残っているわけです。明治以来、この問題の解決がつかないでいる。そして、公図の写しあるいは謄本の写し、内訳表などを持参いたしまして、建設省にこの買い取り方を陳情を続けているというお話しもございました。自治省側といたしましても働きかけを約束をしているという話しも聞いておりますが、交通管理者といたしましては、この土地をいつまでかかえていても何の得にもならない、再建計画ということで、もう何も対象物がないということになって、ここに一つ残っている問題がこの土地問題。登記簿台帳にあるこの土地を、財産が残っているということで、この問題に着目するのはあたりまえのことであろう、こういうように思いますが、何とか国に買い取ってもらって整理をしたいという強い要望があるわけですね。  こういうことですから、自治省はこの要望を受けて建設省に働きかけをしたことがあるのかどうか、これは局長からお伺いしたいと思いますし、こういう問題の解決に今後どういう考え方で臨まれようとするのか、これは自治大臣からお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  20. 森岡敞

    ○森岡政府委員 お話しの道路の上に軌道敷がありますケースは、一番多いのが大阪、次いで東京、横浜でございますが、現在調べましたところでは、全体で大阪市が百二十万平米、横浜市が〇・五万平米というふうなことになっております。  そこで、これらの軌道敷の中で、市が管理しております市道部分につきましては、借り上げ料を払いましたり、あるいは買い入れましたりという形で交通財産の処理をして、交通に金を入れておるわけでございます。私ども再建計画の策定にあたりましては、それを適当なものとして考えて処理してまいっておるわけでございます。ただ、お話しのように、国道部分につきましては、先ほど道路局次長がお答え申し上げましたように、軌道法なり軌道条例というふうな法令のたてまえから申しまして、建設省としては、交通に予算を出すということになかなか踏み切れないというのが実態のようでございます。私どもも、何度か大都市要望を受けまして、建設省に折衝いたしました。しかし、御承知のように、民営鉄道の中で道路敷を使っておるものがかなりある。そういうふうな関連もございまして、なかなか建設省としては踏み切れないというのがいままでの経緯でございます。  なお、私どもといたしましては、引き続き相談をしてまいりたいと思いますけれども、現時点ではなかなか困難な問題ではないか、かように考えております。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ただいま詳しくお答えしたとおりでございまして、この問題は、やはり、過去の歴史を無視して処置するというわけにもまいりませんので、いまお答えした程度にとどまるわけでございますが、こういう問題は、関係各省と十分話し合いの上で解決をするということが望ましいと思います。
  22. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、建設省の法体系はわかるわけでございますが、ただ、この際、この登記簿の整理というものが、再建計画の中においても当然行なわれていかなくてはならない問題であると考えるわけです。  いろいろといま森岡審議官が御答弁なさいましたけれども、その私鉄の軌道敷という問題との関連性があるというならば、もうすでに軌道敷のなくなっている地域もあるということですから、そういう、すでにもう軌道敷のなくなっている国道の上にある土地についてはどういうふうに考えているのか。やはり、何としてもこの際、登記簿のきれいな整理をやるべきだと私は考えるわけですが、自治大臣の御答弁は、関係各省とよく話し合い、検討をするということでございましたけれども、いま始まった問題じゃございませんので、もう少し見通しの明るい、積極的なといいますか、真剣なといいますか、そういう結論が出てこなければならないであろうと考えているわけです。  この問題については、建設省は、いままでの御答弁どおり、何らもうしんしゃくの余地がないんだというようにお考えなのか。この要望にこたえて今後どういう方策を示していこうとされるのか。私も、建設大臣に申し入れをして、この問題の解決に努力をするように強く要望をしておるわけです。きょうはその回答も持ってきてくれるように特にお願いをしておいたわけですが、そういう点を含めて、建設省からの御答弁をお願いしたいと思います。
  23. 中村清

    中村(清)説明員 いまお話しの件につきましては、自治省の森岡審議官がお答えしましたように、私ども自治省から申し入れを受けておりますが、何せ、先ほど申し上げましたように、軌道条例から始まる、ずいぶん昔からの歴史的な所産もいろいろございまして、一朝一夕にはちょっと片がつかない問題ではないかと考えております。これは法制上の問題もいろいろございまして、私がいますぐ、ここで、それをこういうふうに改めますということを責任を持ってお答えする立場ではございませんけれども自治省からの申し入れの御趣旨もございますし、法制上の問題があるかと存じますけれども、今後の問題として検討いたしたいと思っております。
  24. 小濱新次

    ○小濱委員 買い取りが法制上の問題でむずかしいというのならば、補助とか、いろいろな方策があろうかと思いますよ。相手は、もう企業危機と言われている交通局が相手なんですから、一滴の血ももう出ませんとか、何も策がございませんとか、あとは全体的に削減をする以外に方法はないんですとか、そういう悲痛な声を聞いているわけですから、建設省も、これは十分検討しますとか、今後の問題ですとか、そういうことじゃなくて——これが逆な立場ならいいですよ。ところが、国が、登記簿謄本に、台帳にあるその土地を、法をたてにとって、そのままいまなお明治以来使っているということになるわけです。ですから、それはもう少し誠意のある御答弁があってしかるべきではないのかというように私は考えるわけで、それ以上の御答弁を求めたいと思うわけですけれども、いかがですか。
  25. 中村清

    中村(清)説明員 先ほど、市道なり都道府県道については大体買収は済んでおるというお話しでございますが、私ども、これは、すべてのケースを調べたわけではございません。ただ、二、三のケースを調べてみますと、交通事業に対する再建助成資金というふうな形でお金が出されておるというふうなケースもあるやに聞いております。問題は、そうなりますと、いわゆる道路法のたてまえの中で処理できる問題であるかどうか、その辺は非常に微妙な問題になってまいります。道路事業も決して余裕のある財源でやっておるわけじゃございません。数限られた財源の中でやりくりしながら仕事をしておるという関係でございますから、いまお話しがございましたようなことで、かりに再建助成資金というふうな形で金が出ないかというお話しであれば、これは非常にむずかしい問題であると思います。
  26. 江崎真澄

    江崎国務大臣 小濱さん、どうでございますかね。さっきもお答えを申し上げたわけですが、法の規制があるものですから、拙速で結論を出そうということになりますと、それは無償でもらったようなものだと言えば、いや、無償でなくても、事実上そういうように支障がないから、何も、買わなくてもほっておけばいいじゃないかという議論になってしまって、法的に見ても、どうもこれはぐあいが悪いのですね。軌道敷を道路敷地にというのは、第九条に、「道路管理者道路ノ新設又ハ改築ノ為必要アリト認ムルトキハ軌道経営者ノ新設シタル軌道敷地ヲ無償ニテ道路敷地ト為スコトヲ得」とある。それは御承知のとおり。こういうふうにはっきりきめられておるとなかなかむずかしい。だから、建設側から言えば、当然国が収納したものだということでしょうが、そこをどう処理するかについては、もうちょっと時間をかしてください。関係各省庁で相談をするという意味は、なかなか前進しませんが、そうかといって、そのままにしておくのもどうかと思いますから、これはせっかくの御提議ですから、十分ひとつ私どものほうでも検討したいと思うのです。
  27. 小濱新次

    ○小濱委員 せっかくの大臣の御答弁でございますから、御協力をお願いしたいと思います。  建設省に伺いたいのですが、先ほど森岡審議官が、私鉄との関係があるとおっしゃいました。この軌道敷のなくなった土地については、私鉄との関係は切れるわけですね。その土地に対してもいまのような御意見でありますか。
  28. 中村清

    中村(清)説明員 過去の実例を調べてみますと、すべていま申し上げたような原則で処理しております。
  29. 小濱新次

    ○小濱委員 これは大臣、聞いていただきたいのですが、どうしても政府が買い取ってくれなければ、道路上に幕でも張って、駐車場にでもするかというような、当事者にすれば深刻な声も出てくるわけです。そういうわけで、この問題については、再建計画一環でございますので、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  そこで、建設省にもう一点伺いたいことは、きのうもちょっとお知らせしたわけですが、企業と切り離して、北海道にも、国道及び道庁の道路に、未処理の土地がたくさんあるということが調査室の調べでわかった。北海道の未処理の土地というのは、昔、開拓者が、土地を提供して道路をつくってもらった、それがそのまま今日において国道となり、道道となっているわけですね。その後二代目、三代目と代がわりがあったわけで、いまになってみると、その国道の上に自分の所有地があるわけですから、これは魅力になる。そういう点で、地価高騰でたいへんな財産となるので、いま、二代目、三代目という人たちが動きを起こしているという話を伺いました。沖繩でも、軍の強制徴収ということで取られた土地は、この間ほぼ解決したと伺いました。北海道にもこういう土地がある。これも未処理になっている。軌道敷ばかりじゃありませんよ。こういう点で、建設省は、こういう問題の解決にほんとうに誠意をもって当たっているのかどうか疑わざるを得ないわけですが、こういう問題も早急に解決すべきだと思いますよ。これは公営交通とは違いますけれども、北海道の未処理土地についてはどういうお考えを持っておりますか。
  30. 中村清

    中村(清)説明員 未処理とおっしゃる意味が、未登記であるというふうなことであると考えてみますと、一般的には、道路をつくります場合には、先ほどもお答えいたしましたように、道路管理者が、道路区域となる土地を使用する法律上の権限と申しますか、それを取得しなければいけない。必ずしも所有権は取得する必要はないということでございます。ただ、一般的には、所有権を取得する、あるいは地上権を設定いたしますとか、あるいは土地を賃借りいたしますとか、場合によれば、その土地を使ってよろしいという使用承諾を得る。そういうかっこうで土地を使いまして道路にしておるという関係になるわけでございますが、いま申し上げましたように、所有権を取得しておる、あるいは寄付を受けたという土地は、これは国、要するに道路管理者の所有に帰しておるわけでございますから、たまたま法律上の手続が、すなわち登記がおくれておるというだけであります。そういうものにつきましては、実情をよく調査いたしまして、もし登記がおくれておるというようなことでいまのような御指摘を受けるといたしますと、すみやかにその手続を進めたいと考えております。  なお、手続をとっていない、法律上の原因がなくして土地を使っておる、こういうことは万々ないと思いますけれども、もしそういうところがあれば、早急に正当な手続を進めたいと思っております。
  31. 小濱新次

    ○小濱委員 所有権の問題については、法制上差しつかえないんだということですけれども、これは悪い例ですが、その土地を持っている人が倒産をして、そうして貧乏のどん底に落ちていったというような人があったといたします。   〔小山(省)委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕 その場合に、いまのようなことですげない扱いを受けるということについては、相手が国ですから、国は国の立場で、もう少しこれは配慮すべきであると私は考えますが、同じような例でございますので、公営企業の場合も、もういま危機に瀕しているのだから、何とか国の立場でこれは配慮すべきではないかというふうに考えるわけです。きょうはどうも大臣からの御答弁がないようでございますが、これはやむを得ません。これからまたその交渉は続けていきたいと思いますが、ひとつ、建設大臣ともよくお話しを願って、この問題の解決については、中村道路局次長さんからも善処を特にお願いしたいと思いますし、自治大臣からも、こういう機会でございますので、ぜひひとつ解決に御努力を賜わりたい、こういうふうに思います。
  32. 江崎真澄

    江崎国務大臣 承知しました。
  33. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、地下鉄に入りますが、この間も、参考人の教授から、いろいろ外国の例が述べられましたけれども、外国主要都市の地下鉄の建設費の調達財源は、この一覧を見てみますると、ロンドンでは、国が七五%、国庫借り入れ金が二五%、パリでは、連邦政府五〇%、大パリ圏というのが五〇%、シカゴでは、連邦政府六八・二%、シカゴ市債で三一・八%、ニューヨークでは、ニューヨーク州債が四六・二%、ニューヨーク市債が一五・四%、連邦助成が三八・四%、カナダのモントリオールでは、市債が六六・六%で、周辺二十都市で三三・四%、大阪では、政府地方団体助成として、これは一〇%の出資がございますから、合わせて四八%、企業負担が五二%、こういうふうになっているわけですね。こういう点から、これは大いに参考にしなければならないデータだなというふうに私は感じました。  そこで、地下鉄の建設計画は、各都市にだいぶ要望もあり、進捗を見ているようでございますけれども、将来計画は何キロにあるのか。これは運輸省ですか、建設省ですか、建設省ですね。何キロにあるのか。研究会等は一括補助と言っておりますが、これを補助率六六%で、六年分割にされたわけですが、これはどちらが有利なのか。分割でもやっていけると考えているのかどうかという問題、あるいは、今回の財政措置充実ではたしてやっていけるのかどうかですね。いろいろ問題点があるわけでございますので、これは関係者と、自治大臣からもあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
  34. 森岡敞

    ○森岡政府委員 現在地下鉄を営業しております都市は、東京都横浜市、名古屋市、大阪市及び札幌市の五都市でございます。このほかに、京都市、神戸市で地下鉄建設が進められております。さらに、これ以外にも建設計画検討しておる都市はございます。  現在までの免許路線は四百一・八キロメートルでございます。その内訳は、公営が二百六十一・六キロメートル、東京の営団が百四十・二キロメートルになっております。免許路線の中ですでに営業しております路線は二百六十一・六キロメートルございます。工事中の路線が百十二・七キロメートルございます。このほかに、都市交通審議会の建設予定路線といたしまして、昭和六十年までの建設予定路線がございます。  ところで、いま御指摘の、地下鉄建設に対します助成の外国の例などを見ましてのお話しでございますが、確かに、諸外国の例は、かなり手厚いもの、あるいは若干それまでに至らないものというものがございますが、総体で見ますると、建設費に対する補助はだんだんと手厚くなってまいっております。ただ、ここで問題になりますのは、パリにしても、ロンドンにいたしましても、ニューヨークにいたしましても、わが国の都市のように、一挙にここ数年の間に網の目のように地下鉄を掘っておるという状態ではございませんで、すでに五十年なり百年前にある程度のマップができまして、いま、それをさらに補完するものとして、縦断あるいは横断の大きな地下鉄路線建設しておる。中には、非常なハイスピードの高速鉄道がある。こういうふうな状態でございますので、わが国のように、大都市の都心部で非常にたくさんの地下鉄を掘っておるというふうな実態では必ずしもございません。そういう意味合いでは、財政援助のやり方もかなり思い切ったものがやれるという状態にあるのではないかという感じもいたしておるわけでございます。  それから、一括方式と分割方式の問題でございますが、要するに、地下鉄の経営収支を、三十年とかあるいは三十五年とかいうふうに非常に長い期間で見まして、それで全体のバランスを大事に考えるのか、あるいは、建設当初、たとえば六年とか十年間の経営収支に重点を置くのか、そこによりまして分割方式と一括方式との差が出てまいると思います。  率直に申しまして、一括方式でありますと、今回の建設工事は五割強の補助でございます。五割強の補助で、あと地方債ということに相なります。そうなりますと、六年か十年くらいの期間をとってみますと、全体の資金収支がたいへん悪くならざるを得ない。しかし、分割方式でやりますと、補助金が、今回の場合六年分割でございますけれども、六年間にわたって交付されてまいります。建設につきまして、一般地方債を全額見ることになりますので、六年ないし十年くらいの資金収支というものは、一括補助の場合に比べますと、非常にいい資金収支になるわけであります。問題はそれ以降のことでございますけれども、それにつきましては、乗客もふえてまいりますし、また、料金につきましても、実情に応じて改定も加えていくという要素もございますので、私どもの現段階の考え方では、六年分割方式によりまして、十年くらいまでの資金収支を思い切って改善する、それ以降については、経営改善全般を行ないまして経営収支の均衡をはかっていくということができる、かように考えておるわけでございます。
  35. 小濱新次

    ○小濱委員 将来の地下鉄の建設計画、これの重要なことはわかるわけですけれども、外国の例も私はあげまして、また、御答弁もいただきましたが、地理条件も、また、企画の内容も違うか知りませんけれども、やはり、わが国はわが国なりの将来計画というものを立てていかなければならないであろうというふうに考えるわけです。いろいろと評論家の話を伺いますと、諸外国では、地下鉄、バスなどの交通機関を公的機関が統合して経営をしている例が非常に多いというのですね。したがって、わが国の都市交通の特徴は、民営と公営とが競合しているという形になっているわけです。今後のあり方として、あくまでも公営と民営というものの二本立てでいくのか、また、その配分はどういうふうに考えているのか、あるいはまた、統合した一元的な企業形態というものを考えておられるのか。これは将来計画でございますけれども、これも森岡審議官でよろしいですか、これは運輸省ですか。
  36. 佐藤久衛

    佐藤説明員 ただいま御指摘のように、諸外国におきまして、公共交通機関が一元化されているというケースが多いことは御指摘のとおりでございます。しかし、この点は、諸外国では、すべての交通機関が赤字になりまして、経営が成り立たなくなって、その結果といたしまして、一元化という形で統合された、こういう経緯があるようでございます。まだ、わが国では、御承知のように、全体のこういった公共的な交通機関というものが赤字になっておるというわけではございませんので、したがいまして、もちろん、一元化に伴うメリットというような面があることも否定できないのでございますけれども、ただ一企業規模というふうなものがあまりにも巨大化いたしますと、逆に、巨大化に伴うデメリットというふうな面も出てくる点も否定ができないわけでございます。現在の段階においては、むしろ、各企業がいろいろ競争しておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、それぞれの企業の持っておりますバイタリティーとか、あるいはまた能率的な経営努力というふうなものを活用いたしまして、そして、都市交通というものの機能を整備いたしてまいりたい、かように存じておるわけでございます。と同時に、ただ、先ほど言いましたように、一元化に基づきますところのメリット、特に、利用者に対するサービス上のメリットという点があることは否定できないわけでございますので、私どもといたしましては、そういう点で、各交通企業を通じまして、運行計画を調整いたさせましたり、あるいはまた、連絡運輸とか運賃調整というふうな面を通じまして利用者に対するサービスの増進をはかってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  37. 小濱新次

    ○小濱委員 公営交通が、今度はこういう形で法案の審議が行なわれているわけです。したがって、財政的な破綻とも言われているわけです。将来計画を誤ってはならないという立場から、地下鉄建設の問題についてお伺いしたわけですけれども、基本的な抜本策というものの御構想がどうもまだはっきりしていないように聞き取れるわけでございますが、地下鉄建設については、要望もございますし、これからどんどんと建設をしていかなければなりませんので、そういう立場からも、今後の問題として、特にぜひとも御配慮を願うように運輸省にもお願いをしておきたいと思います。  さらに、行政路線について少しお尋ねをしていきたいのですが、採算がとれないからといって、これはやめるわけにもいかない。これは、先ほどお話しがありましたとおり、住民にとっては唯一の足であるからであります。今回の予算に、基準が不明確だからという理由で認められなかった点があるわけですけれどもバスの補助は、再建団体だけが認められたわけですね。この点については、参考人からも強い要望が示されておりました。そういうことから、将来は、行政路線全体にバス補助というものは考えるべきではないかというふうに考えるわけでございますが、これは局長から御答弁をいただきたいと思います。
  38. 鎌田要人

    鎌田政府委員 行政路線の問題は、再々この席でも御答弁申し上げておるわけでございますが、確かに、概念としてはわかるわけでございますし、たとえば過疎地域を運行しておるものとか、あるいは、陸の孤島とも言うべき住宅団地ができて、そこと駅を結ぶ交通手段がほかになく、しかも、ピーク時と非ピーク時の間の乗客の需要というものに非常に格差があるものとか、こういった非常にティピカルなものについては把握ができるわけでありますけれども、それ以上にさらにこまかい分析ということになりますと、率直に申しまして、四十八年度の再建対策一環といたします公営交通事業の予算の要求までに、私ども、自信を持ってこれだというように実はつくり上げられなかった。これはまことに私どもの不敏のせいでございますけれども、はなはだむずかしい。この点は御了解を賜われるのではないかと思います。  そこで、いわば、この再建団体につきまして、再建の基盤が確立するまでの期間、これを大体五年間と見まして、これにつきまして、行政路線に対する正面からのお答えではないわけでございまして、いわば、わき口からの答えということになるわけでありますけれども、特に、中小都市におきまする交通事業に対するてこ入れということに重点を置きましてのバス車両購入費補助、私ども、率直に申しまして、かなりこれは異例の措置であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、これを一般化するということになりますと、やはり、そこに、先ほど申しました行政路線の客観的な認定基準の明確化という点から申しまして、まだ少し熟さないものがあるというふうに考える次第でございまして、先ほど申しました、いわば典型的なといいますか、ティピカルな行政路線考えるべきもの、たとえば過疎地域のバスでございますとか、あるいは新住宅団地の形成に伴いまするバス事業であるとか、こういったものにつきましては、別途運輸省に、過疎地域でございますと、これまで予算が計上されておるところでございます。あるいはまた、新住宅団地の場合でございますと、本年度から予算の計上を見たわけでございまして、これをむしろ拡充拡大をはかっていくということによってこの問題は措置してまいる。行政路線正面の問題といたしましては、私どももうしばらく時間をかしていただきまして、引き続き検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  39. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに、バスの定間隔運行という問題については、総理府の調査によりますと、バスに対する不満のトップは、何といっても、車と車との間隔が長いということ。この間の佐藤参考人の御意見の中にも、時間のロスということで、バスの一定間隔を保つようにどうか御努力をお願いしたいということでございました。このバスの定間隔運行ということについては、いろいろといま研究の段階にあるようですが、これも、思い切った措置を講じていきませんと、なかなか実現がむずかしかろうというふうに思うわけです。いろいろ私鉄の問題もあるでしょう。あるいは、電波などの通信網の設備ということもあるでしょうが、これをどういうふうに取り入れ、どういうふうに定間隔を保っていこうとされるのか、この問題についてもあわせて御意見を伺いたいと思います。
  40. 森岡敞

    ○森岡政府委員 バスが定時性を持ちまして、乗客に信頼をされ、需要が高まっていくこと、これが今後のバス事業健全化をはかる基本的な問題だと思います。  それを確保するためにどのような手だてがあるかということでございますが、何と申しましても、都市交通環境整備するという一語に尽きると思います。具体的な問題といたしましては、たとえば、先般来いろいろ御議論のございますように、第一に、優先レーンとか専用レーンという形での、バスの優先通行を確保する仕組みを確立するということであろうと思います。もちろん、そのためには道路の整備も必要でございますので、それらの措置をあわせて推進してまいらなければならないと思います。それから、第二は、バスの輸送区間の短絡化と申しますか、そういうことが必要ではないかと考えるわけであります。あまり長大になりますと、これはどうしてもだんごになってしまうということになります。また、乗客の利便から申しましても、長大であることが必ずしも便利ではないわけであります。そこで、短絡化を推進していくということになりますと、やはり、バスターミナルというものをできるだけ機動的に配置をいたしまして、バスが機動的に動けるような施設をつくっていかなければならない、かように思うわけでございます。その他、バスベイでございますとか、そういう付属施設も思い切って整備をしていく必要があろうかと思います。  それらの措置を講じまして、バスの定時性を回復するための都市交通環境整備をはかっていくということが必要であろうと思っております。
  41. 小濱新次

    ○小濱委員 走りたくても走れないといういまの現状から、いろいろな悩みが次から次と生まれてくるわけですから、これは抜本的に対策を講じていかなければならぬというふうに考えられるわけでございますが、ひとつ、一そうの御努力をお願いしたいと思います。  次に、路面電車ですが、いま、残すべきであるという声が起こっております。京都においても五二%残るということですし、東京でも一部残ります。そこで、この路面電車の問題ですが、いろいろ全国に例がございますけれども、この間、アサヒグラフを見たところが、「ただいま黒字のチンチン電車」という見出しで、長崎の市電が健在であるということが出ておりました。「路面電車廃止——この抗しがたい時流にさからって、雄々しく生き続けているのが、長崎の「市電」である。路面電車は公営の都市が多いが、ここは私営。しかも、なんとこの「市電」会社は、ここ数年の営業成績は上向きなのである。」という内容になっております。これは長崎の電気軌道株式会社でございます。この長崎には、県営のバスもあるそうであります。それから、鹿児島にもいい例があるとも聞きました。ごたぶんに漏れず、この長崎の私営の市電会社も、原爆、敗戦で全滅しているわけですね。そして、再建されたわけです。それで、たいへんな赤字を背負ったわけですけれどもバスか市電かという二者択一の前に立たされて、最終的に市電一本化に踏み切って再建計画を立て、これが成功した、こういう記事内容になっております。そして、ことしの決算期において、四億円の赤字をすべて解消ができたというふうに書いてございます。人口四十三万余の長崎市で、「朝夕のラッシュには、県営など二社のバスは数珠つなぎ。だが、一方の「市電」は大正四年、会社発足以来の「軌道敷内の車の通行禁止」で現在も軌道内はがらあき。市電は車をしり目に平均時速十七キロでスイスイと走っている。安全でもある。三十円でどこまでも、という安さ、市民に人気のある秘密である。」と書いてあります。そして、この週刊誌の最後に「よそでは路面をめくりよるが、長崎は伸ばしよる」ということばが出ておりました。(「長崎弁かね」と呼ぶ者あり)だと思いますが、経営内容を伺いますと、やはり、いろいろと一生懸命に企業努力をして黒字財政にしているということで、そういう内容がございます。  そこで、この第二次再建で、大都市と中小都市に分けて、どのように取り扱っていこうとするのか、この路面電車を残すべきであるという声に対して、その方針を聞かしていただきたいと思うわけですが、これはやはり森岡審議官からお願いしたいと思います。
  42. 森岡敞

    ○森岡政府委員 都市交通の機関といたしましてのバス路面電車の比較の問題でございますが、お話しの中にもありましたように、大都市と中小都市とではかなり様相が違うのではないかと思います。結局、都市の構造なり、都市の形態なりによりまして、路面電車の果たす機能なり、メリットというものが違う要素があると思うのでございます。一般的に申しまして、大都市では、交通混雑の状況を考えますと、路面電車は走行に弾力性がもうございません。また、いわゆる制動距離と申しまして、とまるのに急にとまれないということで、どうしても定時性を確保しにくいし、表定速度も落ちてまいる。さらに、乗降所に渡ります場合に、歩道上から乗客が乗降所まで道路を横切って渡っていかなければならないという問題もあり、安全上の問題もあるわけでございます。そういうようなことから、大都市におきましては、路面電車は、基幹的交通としての機能は失っていっておるというのが実態ではなかろうかと思います。  中小都市の場合に、いま御指摘のような長崎市などにおきまして、なお、相当の機能を果たしておる面があろうかと思います。ただ、その場合には、お話しの中にもございましたように、路面軌道敷への乗用車の乗り入れ禁止でありますとか、そういう措置が講じられませんと、これもやはりだんだんと大都市に似たような状態になってくるのではなかろうか、かように思います。  それから、もう一つは、どういたしましても、バスのワンマンカーに比べますと、人件費が割り高になるわけでございます。私、伺いましたところでは、長崎の市電の場合には、非常に節約をした人件費の形をとっておる。何か、パートの運転手を雇っておるというふうな話も聞いたわけでございます。しかし、そんなふうなことになりますと、これは、安全という面でやや問題が出てくるのではないかという気もいたします。  いずれにいたしましても、この路面電車の場合に、都市の形態によりまして、中小都市ではなお交通機能を果たしていく面もあろうかと思います。それぞれの都市の構造なり、形態に応じまして、第二次再建に際しましては、適切な指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣に御意見を伺っておきたいのですが、この路面電車の存続という問題について、やはり、政府は、本格的な都市計画の上に立って考えてやる必要があろうかと思います。そういう点で御意見を伺っておきたいと思います。
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 路面電車の効用については、これは、いま審議官がお答えしたとおりだと思います。相当詳細に申し上げましたあの説明で尽きると思いますが、大量輸送機関としてこれが果たす機能というものは、やはり無視できません。したがって、その都市実情に応じて、残すものは残すとか、効率のあがっておるところは生かしておくことは、これはやはり考えていいことだというふうに思います。そういう方向で検討してまいります。指導してまいります。
  45. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに、車両購入費補助について伺っていきたいのですが、四十八年度から、再建団体バス購入費の一部を五年間に限り補助されるということで、八百十両分ですか、その二分の一、十四億円が計上されました。その内容再建団体で配分されることになりましたが、質問が三つございます。その第一は、再建団体に限らず、全部に拡充すべきであるということ、これが一点でございます。二点は、五年ということにとらわれず、再建期間中とすべきではないのかということ、これが二点。第三点は、六百台の頭打ちは、大都市交通の経営改善のためにやめるべきと思いますが、検討する用意があるかどうかということ。この三つについてお答えをいただきたいと思いますが、これは局長からお答え願います。
  46. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、バス車両購入費の助成は、まことに異例の措置として私ども考えておるわけでございます。異例と申しますのは、再建団体再建基盤が確立するまでの期間に限って、これを特例として認めるという、こういう発想に出ておるわけでございまして、これをすべての団体に及ぼすということについては考えておらないところでございます。  それから、五年間をもっと延ばすべきではないかという点につきましても、ただいま申し上げましたように、再建計画の進行にあたりまして、大体五年程度で経営の基盤を確立させたい、こういうことに資するためということでございまして、五年間という期間を限ったわけでございます。  大都市の問題でございますが、大都市につきましては、大都市いずれも地下鉄を建設いたしておるわけでございまして、この建設費につきまして、従来の補助率をさらに高める、あるいは、四十六年度以前の地方発行債の利子につきましてのいわゆる孫利子補給を拡充するということで、大都市に対します全体といたしましての交通助成というものは、かなり大幅な拡充を見ておるわけでございます。それと、中小都市に対する助成ということになりますと、そこにおのずから格差がつくのはいたし方がないという意味で、大都市についての頭打ちの制度を設けたわけでございまして、これを同様な扱いにするということになりますと、やはり、中小都市との間の格差という点からいかがであろうかというふうに考える次第でございます。
  47. 小濱新次

    ○小濱委員 今回の第二次再建計画で、企業が一人歩きをできるというふうになるとは、私どもにはどうしても考えられないわけです。そういう立場から、いまのような、こういう問題点検討する用意の必要性というものが当然考えられるし、そうなければならないというふうに思いまして、お伺いをするわけでございますが、やむを得ません。これからの問題として御努力をお願いしたいと思います。  次に、都市モノレールの整備促進についてお尋ねをしていきたいと思いますが、モノレール整備促進法第四条には、国は必要な財政上の措置を講じなければならないとしてありますが、国の補助の基準が明らかにされていないわけです。そこで、国の財政補助の基準を設定すべきであるということ、また、自治省もモノレール建設に関して積極的に指導すべきであるということ、こういう問題です。建設省側の進捗状況も、どうもまだ消極に過ぎるのではないかというふうに理解されます。前にも伺ったのですが、調査費の問題あるいはその他の問題について、私はとうとう数字をいただけなかったわけですが、こういう点について、これは建設省から先に伺いましょうか。
  48. 中村清

    中村(清)説明員 いま、モノレールの補助の問題についてお尋ねがございましたが、私どもでは、今年度は補助を二つ出しております。一つは、モノレールを都市に設置する場合、下の道路を広げるとか、いろいろの問題がございますから、そういう街路問題の検討と、それから、モノレールを都市計画決定をする際に、必要な資料の収集に関する調査費ということで、金額を申し上げますと、総事業費五千百万、これは三分の一補助でございますから、国庫補助は千七百万。対象になります調査個所は、那覇、静岡、清水、岐阜、北九州の五市でございます。いま一つは、モノレールの敷設に伴う技術基準の策定のための調査費ということで、約百二十七万、これは、中身は、道路の幅員とか、あるいは支柱の位置とか、あるいは駅舎の位置をどういうふうにするかといった調査でございます。  以上でございます。
  49. 小濱新次

    ○小濱委員 運輸省、御答弁はございませんか。
  50. 中村四郎

    中村(四)説明員 都市モノレールにつきましては、私どもといたしましては、大都市交通機関におきます根幹交通機関としての地下高速鉄道の補完機関という考え方で、いわば、地下鉄とバス輸送の中間的な、中量輸送機関として考えておるわけでございます。また、地方中小都市等におきましては、これは基幹的な交通機関として、バス輸送と組み合わせて、当該都市の交通体系を確立してまいりたい。大体、そのような考え方を基本にいたしまして、先ほど先生の申されました都市モノレールの整備促進に関する法律第四条の規定に基づきまして、現在、モノレールにつきましては、湘南モノレールと——これは懸垂式てございますが、それからまた、跨座式の東京モノレールの二種類しかございません。これらの実績等を分析いたしまして、これを基礎としながら、現在、数都市でモノレールの計画を練っておりますので、これらの状況を調査いたしまして、その結果に基づいて、標準的な試算を行ないつつ、モノレール建設費補助の問題を取り扱ってまいりたい、かように考えて作業を進めておる段階でございます。
  51. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣にお尋ねをしておきたいのですが、モノレール建設には、いろいろな建設上の特典があるわけです。そういう点で、将来の都市交通におけるモノレールの位置というものを明確にしていかなくちゃならない。いまからこれは進めていかなければならない。この都市計画にモノレールの交通網というものを線引きをしたり、あるいは組み込んだりして、そういう位置づけというものを明確にしていかなければならない。いまから建設省も積極的にやるということですが、自治省としても、公営交通の立場からも、この問題については真剣に取り組んでいかなければならない問題として、自治大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  52. 江崎真澄

    江崎国務大臣 近代的な交通機関として、特に、都市交通のうち、中都市などにおいては、このモノレールの効用というものは非常に顕著なものが一あろうというふうに私は考えます。したがいまして、大都市では地下鉄、中ぐらいの都市では、このモノレール計画というものをもっと実際に組み入れていく必要があるというふうに思います。交通関係機関というものが、いままではあとから追っかけるという形でありましたが、いま小濱さんがお示しのように、都市計画にこれを組み入れること、これは非常に貴重な御提案だと思います。関係省庁にもこのことを私からもよく要請しまして、相当予算もつけて、もっと具体的に検討をしてもらう、そういう雰囲気をぜひつくりたいと思っております。  現在は、御承知のように、羽田へ行っておるモノレール以外は、姫路等々においても、これは観光が主目的というようなモノレールでありますが、通勤機関としてのモノレールが真剣に考えられる時期が来ておるというふうに思います。
  53. 小濱新次

    ○小濱委員 この点も御努力をお願いしたいと思います。  これは御提案でございますが、ぜひ御検討願いたいことは、この交通の総合調整機関を設置することについてですが、交通の安全と円滑な交通の管理は、これは警察になりますね。それから、道路整備建設、車両の安全性については運輸になりますね。運転者管理、これは欠陥者運転ということにもなろうかと思いますが、この問題については警察。こういう問題等から、交通の総合調整機関というものの設置の必要性が生まれてきていると思います。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 全都道府県、全地域をカバーする対策の必要性というものが出てきたと思います。わが国には総合的な交通政策がないように言われておるわけですが、今日の赤字を招いた大きな原因一つにも、都市の交通渋滞というものが顕著に出ておるわけです。総合的な交通体系が検討されていかなくちゃならないという立場から、この交通の総合調整機関の設置ということが当然取り上げられていかなければならないというふうに考えておりますが、そういう点での御意見を、これは鎌田局長から伺います。
  54. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおり、必要があろうと思います。私ども、公営交通の、特に、今般の財政経営再建という観点からいたしました場合に、先ほど申し上げましたように、既往の赤字につきましては、これは完全に地方債で消す。非常に身軽な姿勢であしたから出ていけるわけでありますが、その場合におきまして、再び赤字の累増を来たさないこと。そのためには、何と申しましても、交通環境整備ということが大前提でないと、とうてい明るい展望を持つことができないと私ども考えている次第でございます。  そういう意味合いにおきまして、まず、第一段階といたしましては、関係省庁と御相談をいたしまして、それぞれの公営交通の場におきまして、それぞれの関係省庁の出先機関と事実上の協議の場を持っていただく、こういうことをぜひ進めたい。そういう事実上の協議の場におきまして、公営交通、あるいは公営交通だけにとどまらない問題もあるわけでございますが、具体的な問題を出し合って、それの具体的な解決を迅速にはかっていく、こういう連絡協調の場をぜひ設けたい。そういうものを受けまして、この中央レベルにおきまして、やはり、そういう場をまたつくる。こういうことをさっそく検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  55. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣にお尋ねしたいのですが、各省にわたる意思の疎通ということが大切であろうというふうに、交通対策の面から考えられます。現在、総理府の中に交通安全対策室が設けられておりまして、そのことはよく承知をしておりますが、これからまた五年、十年、二十年と経過をしてまいりましたときに、交通という問題がどういう姿になっていくのか、いろいろな立場から考えておりますし、あとでまた申し上げてみたいと思いますが、りつ然とするような結果に数字上からはなっているわけでございます。そういう点で、総合的にとらまえてこの調整をする機関の設置というものが必要になってくるわけです。いま、局長からは、積極的にという御意見がございましたが、これも、大臣からもかたい御決意のほどを伺っておきたい、こういうふうに考えます。
  56. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これも、交通安全対策という面から言いますると、「総理府に、附属機関として、中央交通安全対策会議を置く。」ということで、法律にもすでにいろいろきめられておるわけでありまするが、実は、関係省庁が非常に多岐にわたるわけですね。そして、それぞれの言いたいことを言いまして、率直なところ、なかなか話がまとまらない。これが非能率な原因ですね。そして、政党内閣といいましても、閣僚はしょっちゅうかわる、政務次官もかわる。したがって、これはというものの解決がなかなかできない。たとえば今度でも、問題になっています地方料金改定について、届け出制にするか、あるいは許可制にするかなんという問題でも、なかなかむずかしい。これは、理論を言えば、理屈はいろいろつくのですよ。しかし、そういうふうで、一つのことをやろうと思うと何とむずかしいことかということをしみじみ思うわけです。そんなことではいいわけはありません。だから、これは私ども努力をし、また、関係省庁の責任者も十分その気になって、問題をすみやかに解決するということを重点に置いて——ぜひ、すみやかに問題か解決されるような方向で私どもも全力をあげてまいりたいと思いますので、こういう点にはぜひ御協力を願います。
  57. 小濱新次

    ○小濱委員 率直な御意見を聞かしていただいたわけですが、この問題一つにしても、その解決が、生命の尊厳という立場から、どれほど命が守られているかわからないという結果に発展していくわけですし、この総合調整機関の設置ができていけば、事故だってきっと半減するだろう、あるいはそれ以上に減っていくであろうという考え方にもなるわけですから、この問題についてはぜひ御努力をお願いしたいと思います。  そこで、最後になりましたが、この交通事故対策ですね。警察の統計によりますと、負傷者は、四十五年度九十八万一千九十六人、四十六年度は九一十四万九千六百八十四人、四十七年度は、八十八万九千百九十八人と、若干減りました。それから、死者は、四十五年度は一万六千七百六十五人、四十六年度は一万六千二百七十八人、四十七年度は一万五千九百十八人、これも若干減りました。いい傾向です。厚生省の交通事故表によると若干違いがあるようです。これはよくわかりました。運輸省の自動車に対する統計を見てみますと、四十七年十二月末の車の台数は二千三百三十七万二千三百八十二台。これで見ますと、約四人に一台の割合になっている。ところが、四十六年度からのこの増加台数を調べてみたところが、一年間で二百五十万台ふえている。この伸び率からいきますと、今後、十年後には五千万台近くになってまいりまして、二人に一台くらいの台数になってまいりますので、これは一大事だというふうに考えられるわけでございます。  そこで、自治大臣は、過日、横浜での記者会見で、大都市での自転車利用を促進する構想というものを発表されました。しかし、また、この自転車による事故の負傷者及び死者は非常に多いのですね。昨年、全国で、自転車事故で死んだ方が千七百四十九人、負傷者は約八万三千人、その三〇%が子供であるという統計になっております。これは、交通対策の根本に解れる問題として考えなければならないわけでございますけれども、この自転車の構想については、いろいろ御構想があろうかと思います。県単独でやるのか、あるいは建設省が県に補助をするのか、いろいろ対策があろうかと思いますが、現在では、国の直轄でやるということは計画にないようであります。  そういう点で、自転車利用者の安全対策及び構想実現のための具体的な方策というものが生命に関係する大きな問題になってまいりますので、この点の自治大臣の御構想、決意というものが示されていかなければならない問題であると思います。いまの御構想というものについては、いろいろと述べられておりまして、これといった方向づけが示されていないように私は伺っているわけですが、この点、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  58. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、ここでも何べんも御答弁しましたから、経緯等は省略いたしますが、要するに、これは、その後、私ども警察庁のほうから、特に建設省、運輸省、自治省というところへ呼びかけをいたしました。それから、総理府などにも相談をしまして、自転車に関する限り、これらの省庁の深い理解と協力を得ておるわけであります。しかし、これも、口で言っているくらいではなかなか能率があがりませんので、間もなく、一ぺん閣議で問題にして、総理などにも協力を得て、内閣としてやる。そして、こういうものはよほど蛮勇をふるいませんと、一方を立てれば一方が立たずということになりますが、横浜市が、もし、そういう場合にしっかりやるというなら、実験都市になってもいいと言っております。あるいは、岡山等でもそういう意向があります。その他、各都市から激励の連絡なども来ております。要するに、たとえば、バスの専用レーンを設けるということだって非常にむずかしいわけですが、通勤時ということに重点を置けば、相当思い切ったことができるのじゃないか。通勤時に、マイカーで、一人一人あの大きなスペースをとる自動車に乗って通ってくるということが、非能率で、恥ずかしくて、ぐあいが悪いという環境にならないと、これはとまりませんね。ですから、思い切ってバスと自転車で、時間帯を切って、まずこの時間からこの時間までは自転車ということにして、そしてバス——バスは、おのずとスピード制限もありましょう。そういう場合には、マイカーなどについても、相当思い切ったスピード制限をやる。たとえば十五キロとか、十キロとか。そうでなかったらバスに乗りなさいということで、みんながその気になって行政指導していけば、そう困難な問題じゃないのじゃないか。マイカーに乗ってきた連中はずらっと行列して、マイカーはそっちの狭いところを通っていけ、こっちのほうは自転車がすいすいと行く、バスがすいすいと行く。実際そうならぬものですかね。これは、話だと調子いいでしょう。ところが、それには非常な蛮勇をふるわなければならぬのですね。しかし、これは、内閣ぐるみでその気になったら、そう不可能じゃないということを、ここにいま専門の交通局長もおって言ってくれるわけで、これはひとつ協力してくださいよ。イデオロギーを越えた話ですからね。ですから、私どももできるだけ前進をさせたいと思いますので、ぜひ御理解を得たいものだと思っております。
  59. 小濱新次

    ○小濱委員 アイデアとしてはたいへんけっこうであります。賛成でありますが、現状では、自転車通勤でも、おとなでも命がけという状態になっている。私の家にも自転車が二台あるのですが、私も乗りますが、私のような大きなからだの者が乗っても、別に自転車はつぶれません。藤沢あたりは、これから土曜、日曜なんかは車に乗れないのです。歩くか自転車しかない。こういうことですから、ほんとうに自転車を優先させる交通対策というものを進めようとするのであれば、これは思い切った発想転換というものが必要になってくるわけですね。  いま、大臣のかたい決意をお示し願ったわけですが、これは命とも関係ありますし、交通渋滞とも関係あります。いま爆発的な人気を起こしているのは自転車ブームなんです。こういうことですから、これもひとつ御配慮を願わなくちゃなりません。ところが、各県の熱の入れ方も一つ問題になっていますね。それで、自治省側としても、これにはいろいろとまた物入りが多くなりますので、起債のことであるとか、そういう助成措置というものを考えていかなくちゃならないであろうという問題あるいはまた、各県がばらばら行政では途中で消えてしまうという悩みが出てくるわけです。この前発表になりましたのは、千葉県から和歌山までの自転車道建設ということでございましたが、あれから数年たっているわけですけれども、ここまで進んだという話はまだ聞いておりません。ばらばら行政であってはならないが、そういうことで、これは、自治省がまた間に入っていろいろと御努力を願わなくてはならないわけですが、この問題については、これは大きな交通行政の問題点であろうと思いますが、交通局長も相当のお考えをお持ちになっていると伺っておりますので、最後に片岡交通局長からお答えをいただきたいと思います。
  60. 片岡誠

    片岡政府委員 いま御質問の点でございますが、私ども、いままでも、大都市あるいは中小都市を含めまして、都市交通の場合の通勤、通学問題として考えました場合に、渋滞あるいは大気汚染の問題、その他安全の問題を含めまして、何とかしてマイカーの通勤、通学を抑制していくという方向の行政指導をしてまいっております。しかし、いたずらにマイカーを抑制するだけでは、現に交通需要があるわけでございますので、その交通需要をマイカーから転換さす受け皿が必要であろう。その受け皿として、一つは、長距離につきましては、鉄軌道あるいはバスの問題だと思います。そのバスにつきましては、優先通行帯あるいは専用通行帯だけではなくして、たとえば信号機の改良をはかって、バスだけは優先通行できるような仕組みも考えていくということを含めて、バスの優先通行を考えていく。それから短距離につきましては、もうすでに御承知のように、自転車通勤、通学が相当ございます。それが、先生御指摘のように、非常に危険な状態で、混合交通で行なわれておるというところに問題があろうかと思います。したがいまして、短距離は自転車通勤、通学というのは奨励すべきだと思いますが、それには、安全を確保するということが大前提だと思います。そういう意味で、公安委員会のできます措置としては、歩道に自転車を上げていく、あるいは車道に自転車の専用の通行帯を設けていくという措置もできます。しかし、より根本的には、道路管理者が自転車の専用道をつくっていくということが根本であろうと思います。そういう根本策も含めまして、いま、建設省あるいは自治省、それから運輸省その他総理府と、事務的に行政ベースにのっけられるような努力をしておるのが現状でございます。  ただ、自転車通勤の場合に途中がぽつんぽつんと切れておりますとどうもぐあいが悪うございますので、少なくとも連続して通勤、通学ができるような仕組みと同時に、自転車の置き場が問題だと思います。そういうことも含めまして、政府間の、先ほどお話しがございましたセクショナリズムにとらわれないで、何とか協力して行政ベースにのっけていくという方向で現在いたしておりますので、御支援をいただきたいと思います。
  61. 小濱新次

    ○小濱委員 これは、レジャー用の自転車道と、それから通勤、通学用の都心部の自転車専用道という問題とを含めて当然御検討願わなくてはならないわけですが、一そう御努力をお願いしたいと思います。  結論として、大臣に一点だけお尋ねしたいのですが、道路問題と、それからもう一つは、車の生産と販売の抑制という問題、それから都市交通規制との関係、この三つの関係を並行して行なおうとしていかなければならない。こういう問題から、これは大きな問題として政府の決断が迫られているわけですけれども、この点についてのお考え、手の打ち方を、最後に大臣から結論としてお伺いしておきたいと思います。
  62. 江崎真澄

    江崎国務大臣 車がふえ過ぎて、四人に一台。求める側から言いますというと、まだ四人に一台だから、一人に一台でもいいじゃないかという議論もあろうかと思います。そして、あなたは乗っていいが、あなたは乗ってはいけないという区別は、これはできませんね。特に、最近の、いわゆる使用後のセコハンものの自動車が手軽に買えるというようなことになってまいりますと、いままででも、自動車台数の制限ということが言われて久しいものがありますが、実現できなかったのは、根本的にはそういうことだったと思うのです。制限のしようがないということですね。そこでこんなに多くなってしまった。これが交通事故にもつながる。公害問題にもつながる。だとすれば、一昨日ですか、アメリカでも、ロサンゼルス、サンフランシスコ等、思い切って自動車を追放してしまおうなどというような、これは試案でしょうが、意見が日本の新聞にも報ぜられておりましたが、したがって、自動車の使用を禁止することはできませんが、自動車にしんぼうをしてもらう、こういう時間帯があっていいと私は思うのです。それじゃ、婦人が買いものに行ったり何かに自転車が使えないじゃないかということ、それはあると思うのです。たださえ狭い道路ですから、この間うちからいろいろ考えておるのですが、事実上、自転車専用道を設けるということはそう簡単じゃないと思う。それからまた、歩道に乗り上げるといっても、その歩道自体が、日本全体の道路事情を総括してながめてみて、決して満足な歩道ではない。そうなりますと、ラッシュ時のいわゆる通勤帯におけるマイカーを含む自動車制限を思い切ってやるということによって、通勤に自転車を使ったり、それからまた、あえて専用レーンと言わなくても、バスに優先権を認めるということになれば、バスに乗る人も相当多くなるのじゃなかろうかという感じが私はするわけであります。それから、あるいはラッシュにおきましては、自転車はすいすいとどんな細い道でも行けるのですから、路地裏などの狭い道は全部自動車を禁止してしまう。そして、そこに自動車がある人が持って出ようというときには、十キロくらいのスピード制限をして、自転車とあまり変わらないようなスピードで幹線道路まで出るというようなことにすれば、自転車は、あとはすいすいと、ミズスマシのように、間を縫って、路地を縫って目的地へ行く。幹線道路に出たときには、歩道などをどう利用するかというようなくふうだってあるじゃないか。あとは、要するに、基点とおぼしきところに、錠前ぐらいかかる自転車置き場をつくる。これも、自動車置き場を膨大な経費を使ってつくる思いからすればわけないことです。したがって、これは、全国にすぐというわけにもいきますまいが、まず、モデル地域、実験都市というようなもので手をあげていただいて、そこで一つずつ解決していく。これは時代の要請ですから、その公共団体の首長がその気になってくだされば、必ず成功すると思うのですよ。それには、関係省庁もその気になってやり、そのモデル地域の自転車置き場等には、自治省側も何がしかの交付税なり何なりで措置をするというようなことになれば、必ずしも議論倒れにはならないのじゃないかというふうに私には思えるわけでございます。  いまお示しの点などについては、今後も十分考慮しながら、おっしゃる意味にこたえられるような安全な交通、そしてもっと能率的な交通、そういうものを考えなければならぬと思います。そのことは、すでに、オランダにおいても、デンマークにおいても、われわれ日本より人口がはるかに少ないから国民所得は高いにもかかわらず、通勤、通学というものがほとんど自転車で行なわれておるということを考えまするときに、やはり、日本としても見習うべき重要な参考であるというふうに考えております。よろしく御協力願います。
  63. 小濱新次

    ○小濱委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  64. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————    午後二時二十五分開議
  65. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐野進君。
  66. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案について、大臣並びに各省の担当者に質問をいたしたいと思います。  まず、最初に、大臣に御質問をいたすわけでありますが、すでに、本委員会で、この法律案につきまして多くの方々から詳細な質問が行なわれております。私も、速記録等を読ませていただきながら、本委員会における審議の状況を把握しておる立場に立ちまして、きわめて問題点をしぼりながら、核心にできるだけ触れる形の中で質問を申し上げてまいりたいと思います。したがって、大臣並びに局長も、ひとつ具体的な御答弁をお願いしたいと思います。  まず、具体的な問題の内容に入る間に、総括的な面で大臣の御見解を伺っておきたいと思うわけですが、その第一は、本法律案内容が、地方公営交通事業経営健全化促進するための法律案であるということで表題が出されておるわけでありますが、私は、この法律案内容全体を読ませていただいて、さらにまた質疑内容を聞かせていただいて、この法律案地方公営交通事業経営健全化がはたしてはかれるかどうかということに対してはいささか疑問を有せざるを得ないわけであります。と申し上げますことは、第一次再建案が、当局発表のとおり、いわゆる失敗に帰したと言っても言い過ぎではない形の中で、第二次の今回の法律案が提案されておるわけでありますが、第一次案におけるところの経験に照らして、この法律案をもってして、経営健全化がはたして促進されるかどうかということについて、明確なる見通しがこの中においては示されていないと言っても言い過ぎではないと考えるわけであります。たとえば、具体的に申し上げますならば、第三条において、「国は、地方公共団体経営する交通事業経営健全化が円滑に推進されるように配慮するものとする。」と示されておるわけでありますが、「配慮」とは一体何ぞや。いわゆる考えることである、考えることとはどういうことだ、やってもやらなくても適当にやればいいのだ、ということにもなりかねない内容を持つわけであります。したがって、国の責任という形について、「配慮」という表現ではなくて、いま少しく明確なる表現をもってこの法律案が提案されたならば、きわめて好ましい結果が出たのではないかと私は考えるわけですが、いわゆる大きな背骨が、この法律案においては一本抜けている。しかも、この法律案の背骨が抜けた背景の中で、私の仄聞するところによれば、自治省当局は積極的なる考え方を持ってこの法律案の原案を作成したかに言われておるわけでありますが、それが、各省折衝、政府決定の間においてこのような表現に落ちついたと言われておるのであります。とすると、閣議決定の際に、その席上に出ておった自治大臣は、みずからの自治省におけるところの一つの見解を推進すべき立場にありながら、中間的に妥協して、ぼやかした形の中で本問題を処理しようとした、きわめて弱腰の態度であったと考えるわけでありますが、そういうことについて、冒頭に自治大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  67. 江崎真澄

    江崎国務大臣 今度の再建方途につきましては、自治省としては、もう、できるだけの配慮をしておるわけであります。「配慮」というのは幅広い意味を持つわけでありますが、国として配慮をするというからには、そこに、助成方途なり、再建方途なりに、金額的にも相当な助成方途をとったり、責任ある態度で臨んでおるわけであります。したがって、御承知のように、再建債利子については、そのほとんど全部に近いものを国が補給する。利子の残余及び再建債元金償還については、それぞれの当該地方公共団体一般会計からこれを出す。過去の累積不良債務による経営の重圧を除去する。そしてまた、一方では、午前中問題になりましたように、新しいバスの購入費の国庫補助制度というものを設けた。そして、経営基盤を健全ならしめることに積極的に協力する。また、国や地方の公共団体が協力して、路面交通機関が十分その機能を発揮できるように、都市交通の環境整備のためにあらゆる施策を着実に進めていく。なるほど問題は簡単じゃないと思います。しかし、企業と名がつく以上は、それぞれの責任者にもやはり努力をしてもらわなければなりません。運賃は適正であるかどうか、路線は着実に整備合理化されておるかどうか、あるいは、人件費の増高が非常な問題を惹起しておるおりから、この妥当性は確保されておるかどうか、こういった努力をしていただく上に立って、国としてはあとう限りの配慮をして、公営企業、わけても交通機関が健全に今後育っていくようにということを将来に向かって考えながら協力体制をとっておるというのが今日の政府立場でございます。
  68. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣説明は、速記録等を通じ、その他の機会にも聞かしていただいておりますので、私は、大臣が無関心だとか、あるいはきわめて冷淡だとかと決して言っているのではないのであります。きわめて好意的に配慮しながら取り組んでいるということについては敬意を表するものであります。しかし、その敬意を表するということばの裏に、私は、不満であるということを隠しているということを明らかにせざるを得ないのであります。したがって、たとえば第三条の条項の中での「配慮する」ということについて、その責任を明記する形の中で、これこれこういうことを自治省としてはやるのであるから、地方公共団体も、それぞれの責任において、それぞれの再建に関して明らかに処置すべきであるということで、いわゆる責任区分ということについて国の責任が明確にされるならば、この法律案というものについて、非常に大きないい背骨が入ったのではないか。これが表現によれば、どのようにもとれる「配慮」という形の中において示されておることについて、この法律案そのものについての脆弱性というか、何か、きわめて弱い感じがある。しかも、この問題については、自治省の事務当局は比較的積極的に取り組んでおるけれども政府全体という形においてはきわめて弱腰であるとすると、大臣は、その面について、弱腰を代表する面で自治省事務当局を抑圧したのではないかということがまた逆説的には考えられるわけでありますから、個々の質問に入る前に大臣決意を私は聞いておいて、そうじゃないんだ、おれは閣議でけんかしてでも地方公営企業を健全にするためにがんばるんだということをはっきり言ってもらえば、たいへん気持ちよく次の質問に入れるわけであります。
  69. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この責任の所在でございますけれども、これはやはり地方公営企業で、国営企業じゃないのです。ですから、責任の第一義的な意味は、これはやはり地方の公営企業経営者が持ってもらう、地方の公共団体が持ってもらう、これは大事なことだと思うのです。それじゃ政府責任を持たないのかというと、そういうわけじゃございません。政府も、当然、この赤字のよって来たる原因がいかにも不可避な原因もあるということを認めております。そこで格段の配意をするわけでありまして、やはり、地方公営企業という以上は、その責任の所在は地方公企体にあるというふうに言わざるを得ません。しかし、そうかといって、何も国は無責任にすべてを公営企業体に押しつけるというものではないのであって、現在は、もとより、あとう限りの助成方途をとったり、協力体制に出ておるわけであります。したがって、今後といえども地方責任をもって強力に整備合理化を進めたり、運賃の適正化をはかったりということをしていただくからには、国としてまた格段の配意をすることは当然必要である、こういうふうに考えておりまして、決して、自治省側と私との間にみぞがあるものではありません。むしろ、一体になって今後の方途に熱意を傾けたいというふうに考えております。
  70. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、次に進みます。  いわゆる国の行政の中で、自治省地方交通公営企業に対する態度というものについて、いま、大臣の見解が明らかにされたわけです。この大臣の見解を基礎にいたしましても、いまの答弁の中で、「格段の配意をする」というように「格段」という字が一つ入ったわけですが、これがもう少し明確になれば、なお私は質問がしやすいわけです。これはあとで、わが党の理事の先生方から、それぞれまた御主張があろうと思いますから、その点についての追及はやめたいと思うのでありますが、ただ、この中で私が感じますことは、いわゆる政府関係機関の中におきましても、自治省が当面この問題に対して責任を負うということの意味は、地方公営交通事業といえども、それぞれの都市において大きな格差が存在する。しかも、格差が存在するという表現の中で、具体的には、小都市における小さな公営企業から、大都市における大きな公営企業という形の中においての厳然たる区分がこれまた存在をしているわけであります。したがって、これらに対する措置を一律の考え方の中において律して処置するということはなかなかむずかしいわけであります。たとえば、一地方都市と東京、大阪のような大都市とを同じような条件の中で律して処置をしようとすれば、そこに無理が出てくることは当然だと思うのであります。しかし、無理は出てきますけれども、公営企業全体の置かれている立場は、先ほど大臣が言われたとおり、背景にある諸条件の中でいずれも経営が困難になりつつあり、あるいは、もうなって、どうにもならないところへ来ていることはいなめない事実であります。したがって、なりつつある、または、なってどうにもならないということが、国がその対策を立てない形の中において放置されるならば、当然、それらの企業地方公共団体としては維持することが不可能になり、それぞれの機関を利用する人たちに対してその利用を与えることができなくなる。こういうふうな形になっていくわけでございますから、これは一地方都市の問題ではない。国がその責任を持って、交通行政機関の立場に立って、しかも、地方公営企業に対する責任官庁としての立場に立って、自治省がいまそれぞれの積極的な取り組みをしてくることは当然だと思うのであります。しかも、その内容は、第一次の中において、すべてと言っていいほど、政府自治省の方針に基づいて企業努力を続けてきていながら、第二次再建案をいま審議しなければならないという状況の中においては、これはもはや政府にその責任があるとかないとか言ってみても、政府は、その最高の立場に立ち、指導力と財政力をもって一般住民の足を守るというところに当然政策の重点を指向していかなければならないということは、いまさら私が大臣に申し上げるまでもないと思うのであります。  そこで、私が、第二段階の質問として大臣に御答弁をお願いしたいことは、いわゆるそれぞれの考え方に基づいて、自治省がいわゆる行政の最高責任者として対策を立てても、先ほど、午前中の討議の際においてもいろいろありましたけれども、各官庁にわたるところの横の連絡の中で、それぞれの問題に障害を来たす場合が多いわけであります。たとえば財政援助計画の中におきましても、いわゆる六百九十五億円の問題に関しましても、これは財政局長でもけっこうでございますが、当面、特別交付金なり、あるいは政府財源なりにおいてこれを措置しようということが、利子補給という形の中においてこの法案として提案された、こういうような経過があるわけであります。今日の地方財政の現状の中において、利子補給というものは当面を糊塗することであって、結果的にそれがまた地方財政そのものにはね返ってくることはもう明らかに予測されるわけであります。したがって、そういう面については、六百九十五億をはじめとする一連のそれぞれの財源については、当初、いわゆる特別交付金なり交付金という形の中において処置しようとした、そのことがどうしてできなかったのか。どうしてできなかったということについて、もうわかり切っていると言われればそれまでだけれども、これを今後どうするのか、今後の努力の中において、これをそういう措置について当然行なわれなければならないと思うのでありますが、当面、今回は、予算措置関係上やむを得ぬこととして、将来はどうするのかということを、具体的な御説明を財政局長から伺っておきたいと思います。
  71. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公営交通事業の第一次的な責任というのは、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、当該地方団体にあることは、これは明白な事実でございます。そこで、私どもといたしましては、この第一次財政再建の回顧と反省の上に立ちまして、今回の再建案におきまして、少くとも、既往の赤字債にからまる負担分当該企業外でまかないをつけるということにいたしました。その場合に、結局、国と地方財政負担の持ち方ということに相なるわけでございますが、御案内のとおり、利子相当分につきましては、ほとんどあるいは全部と言っていいくらいのものを国が持つ。元本については、やはりこれは企業経営の第一次的責任を負うべき当該地方団体一般会計で負うという考え方に立つことが考え方の筋道としては妥当ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。ただ、再々御指摘がございますように、現在、これらの団体の一般的な財政状況は非常に窮迫をいたしておるわけでございますので、これについて、その財源措置という問題は当然考えなければならない。その場合におきまして、この分としてこれだけのものを与えるという二とではなしに、やはり、大都市財源強化という問題の一環として、大都市財源の力をつけてやる。その中からこういう問題にも金が回っていく、あるいは住宅問題にも回っていく、あるいは、その他の生活福祉関係にも回っていく、こういう構成をとるべきではなかろうかという考え方に立っておるわけでございまして、明年度以降におきまして、大都市税源充実をはじめといたしまして、大都市財源の拡充をはかってまいりたい、これが広い意味で、回り回って公営交通に対する財政負担というもののささえにもなるというふうに考えておる次第でございます。
  72. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、次に進みたいと思います。  そういうように回り回った形の中において、いまこの公営企業財政に対しても、やはり地方財政の中において回っていくんだという、非常に回りくどい形でありますね。しかし、それが政府の方針の中でどうにも処置できないということであると説明されるなら、これまた別でございますが、しかし、自治省当局としての考え方の中で、何とかこの公営企業健全化するためにもこれをひとつ措置していかなければならない、特定の財源の中において措置していかなければならない、こういうような考え方もいまの答弁の中にも伺い得られるわけでございますので、財政局長は、この面について一段と積極的なる配慮をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思うわけでございます。  そこで、私は、こまかな問題に入る前に、もう一つ具体的な原則的な問題について質問をしてみたいと思うわけでありますが、第一次再建案、第二次再建案を通して一貫して言えることは、財源その他の形になりますると、大臣も、財政局長も、いまのように、地方公共団体なり管理者なりの企業努力経営努力ということに対して強く要求をするわけであります。地方は、それと関連いたしまして、それぞれの公共団体は議会を有しておりまして、議会が、それぞれの法律の定めるところにより、それぞれ提案された事項について審議をいたすわけであります。しかも、その審議をいたす原案につきましては、自治省の指導が行き渡っているわけであります。行き渡っていて、指導をされて、そして、管理者が原案をつくり、地方公共団体がそれを審査し、それを地方議会に提案し、議会が審議をし、その原案が決定します。さらに、それに対して、これを承認を与える、承認を得ないときは云々という、いわゆる制限条項が付せられているわけであります。このことは、自治省地方公共団体に対して、その自助努力と申しましょうか、みずからの力によって再建をはかりなさい、足らざる部面は私たちもできる限り応援しましょうという形とは相反する見解のように考えられるわけであります。それであるならばわれわれはあなた方の努力に対して指導しましょう、しかし、その指導に基づいて、管理者の意見に基づいて地方公共団体の長が議会に提出し、議会が議決をしたならば、そのことについては率直に認めて、さらに積極的に推進させてやりましょう、これでこそ初めて法律の精神が生きてくるのではないか。あくまでも監督権は持つ、金のさいふは縛る、指導はする、がんじがらめにやっておいて、そして、おまえたちはやれるだけやれというんじゃ、まるっきり小じゅうとの嫁いじめというか、しゅうとの嫁いじめというか、何かわけのわからないような意地の悪い再建策になってくるんじゃないか。こんなようなことを考えるわけですが、どうせ指導するなら、もっとおおらかな気持ちで指導したらどうですか、大臣
  73. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは決してしゅうとの嫁いじめということではないわけで、再建をはかるわけですから、その再建方途について、責任の衝にある自治省が関与することは、これはもう当然の、むしろ責任であるというふうに私ども考えるわけなんです。いま言われるように、確かに、地方の自主性に基づいて、それぞれの議決機関を経て再建計画が作成される。それに意見を言うのはけしからぬじゃないかということですが、それはけしからぬことはないのです。それはどういうことかというと、国民の税金を、いわゆる不良債といいますか、その再建債のほとんどの利子分に充てる、あるいは一般会計から出していくということになれば、これは四十九年度からの問題でありまするが、やはり、都市財源充実ということを広い意味で考えていかなければならぬ。また、個々別々に、その努力に応じて、何がしかの対策自治省としては考えなければならぬでしょう。すべてこれは国民の税金であります。そういうことになると、この再建計画が合理的なものであるのかどうか、これを検討することは責任の上から言って当然ではないか。比喩としてはまことに下世話な比喩になるかもしれませんが、たとえば、銀行は利子補給してくれませんね。金を貸してくれるだけです。その銀行でも、会社の再建ということになれば、審査部というものがあって、当然厳密に審査して、それについて意見を差し加えるということをする。これは、貸すだけの業務を行なう銀行にしてそうです。今度は国が利息を補給しょう、いや、元金についてももっと何とか考えようというのが皆さんからの強い御要望であります。こういった問題等についても、いずれ何らかの措置考えていかなければならぬでしょう。ということになれば、これは、再建計画について意見を言うということは必要であるという見解に立っております。
  74. 佐野進

    佐野(進)委員 ですから、私の言っていることはこういうことなんです。第五条の中で、「赤字路面交通事業経営する地方公共団体の長が当該事業の管理者の作成する資料に基づいて作成し、」云々と書いてありますね。国の予算を審議する際あるいはその他の経過の中で、自治省は、当該地方公共団体に対して、あるいは地方公共団体全部をまとめる協会に対して、当然一定の指導をするわけですね。その指導の拡大の中で、ことしはこれこれこういうことをしなさい、あるいはこれこれをしなさいという一定のワクが当然きめられていると思うのです。そのきめられたワクの中で定められた計画であるならば、それは当然もう一回審査する必要はないだろうということなんです。もう一回審査して承認を与える必要はないだろう。だから、そういう消極的な意味においてそれを理解するならいいのでありますが、積極的な意味において理解された場合、料金の決定の問題等もありまするが、これは時間が長くなりますので省略いたしますけれども、いずれにせよ、その精神においては、地方公共団体の事前指導ということに重点を置いて、地方公共団体ないし議会のその誠意と熱意を積極的に取り上げて運営していただきたい、こういうことを、これは要望でありますが、私は申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的な問題に入りたいと思いますが、まず第一に、この再建案の第四条につきましては、「再建計画の策定」という形の中で——これはいままでずっと審議されておりますから、あまり長く御答弁を求めようとは思いませんが、具体的にひとつ言っていただきたいと思うのでありまするけれども、第三項第一号に「経営再建の基本方針」、第二号に「経営改善及び合理化に関する措置の大綱」ということが書かれてあるわけですね。したがって、私どもいつもかちんとくるのは、この「合理化に関する措置の大綱」なんですね。これは、先ほど来の大臣の御答弁あるいはその他をもってしても、十分その意味が通っておると思うので、いまさら私がここで申し上げるまでもないのですが、第一次再建案の実施の経過の中で、企業におけるところの合理化努力というものは、きわめてきびしい情勢の中で行なわれているわけです。私も、選挙区である東京都に住んでおる者でありまするから、東京都の交通行政というものについては深く研究をしておる者の一人として思うことは、交通局が今日まで果たしてきた企業努力というものは並々ならぬものがあると思うのであります。先ほど大臣答弁の中におきましても、合理化というものをそういうぐあいにあんまり神経使うなというような表現がございましたが、そういうような言い方であるならば、この合理化ということばをさいて、もっと具体的に、全企業の管理者も、そこの従業者も、一致して盛り上がった気力の中でこれら再建に立ち上がるという方向においての道を示されることが、今日の段階においてはより賢明じゃないかというように感ずるわけであります。ところが、合理化というと、あなたがどう説明されようとも、いままで受けてきたイメージというものが、すぐに一定の悪い方向の中で解釈されるわけです。  したがって、先ほど答弁をされておりましたけれども、この際、一度、大臣の本来の考え方を明確にお示しを願いたいと思います。
  75. 江崎真澄

    江崎国務大臣 合理化ということばのイメージが悪い。これは感じ方の問題ですからね。佐野さんのおっしゃる意味が、たとえば労使間の整理問題であるとか、そういうことにつながるものであるとすれば、これはわれわれも注意しなければならぬと思うのです。それは感じ方の問題ですからね。しかし、ここでいっておる「改善及び合理化に関する措置」ということは、基本方針の一つとして、収益の増加をはかり、経費の節減をはかるための改善、いわゆる経営改善合理化、こういうことばで使いますね。あるいはバス路線改善合理化、これはもう一体のものとして使うわけですから、私どもとしては、そういう労使関係のものではない。労使関係の問題は、これは労使が双方において十分話し合いが行なわれる。そしてまた、そこに待遇改善とかいろいろ伴う場合は、議会の議決を要することです。そういうことについて、それ以上自治省がああせいこうせいというような介入をするつもりは毛頭ございません。したがって、イメージとしての合理化ということば考えろとおっしゃるならば、これは、あなたの御意見として私ども承るにやぶさかではございません。しかし、私どもが言っておる改善及び合理化措置というものは、いま申し上げたような意味であるということをはっきり申し上げておきます。
  76. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、これも若干不満でありますが、次へ進みたいと思います。  あとは具体的な問題になってまいりますので、ひとつ具体的に、各局長並びに関係省から来ておられる方々に御答弁願いたい。ただ、ときどき大臣に対する質問もあります。  まず、第一に、この「合理化」ということは、経営合理化という一つの意味であって、労使間におけるところの問題、その他地方議会において議決された事項に対してきびしい条件をつけるものではない、こういうことを前提にされておるわけでありますが、そういう形の中でこれから再建をいろいろはかるわけでありますけれども、一番問題になるのは、何としても路面交通事業赤字。まあ、地下鉄建設は別途の意味を持つわけでございまして、路面交通の面に重点を当ててまいりますと、路面交通問題は、渋滞その他の悪条件が最大の赤字原因になっていると思うのであります。したがって、これらの条件を除去すること、それに対して積極的に対策を立てること、これが当面する再建策に対しての一番大きな課題であろうと思うのであります。そこで、先ほど来の御質問等もありますし、いままでの実情等もございますけれども、この路面交通条件の緩和をはかるための強力な総合対策委員会あるいは審議会、これはもうどうしてもつくらなければならない。いわゆるこの審議会ないし委員会等において決定されたことは、各省庁はこれに無条件で従うというような強力な指導機関、自治大臣が長になるのか、あるいは内閣総理大臣が長になるのか、まあ、内閣総理大臣はならないでしょうけれども、言うなれば、それほど強い統制力のある強力な審議機関をつくること以外にこれらの一連の環境条件を打開する道はないと思うわけであります。いかに企業努力、自助努力、財政補給する云々ということでやったとしても、それは無原則に財政補給をすれば一番いいでありましょうが、いまの実情からはできないわけでございますので、それらのことについては、いわゆる強力な指導力、行政的な指導力を発揮する機関が必要だと思うのであります。そういうような強力な審議会ないし委員会を設置するお気持ちが大臣はあるか、ないか。いや、あるかないかじゃなくて、ぜひ設置していただきたいという願いを込めて御質問いたしたいと思います。
  77. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は、いまおっしゃるような機関の設置というものは、つくってもいいものだと思います。ただ、現実には、地方において、それぞれ関係各省の出先機関で話し合いをして、たとえばこういう御質問には警察庁あるいは運輸省、建設省等いろいろなところが来てお答えするというふうに、地方で言いますと、陸運局、地方建設局、国鉄管理局それから都道府県知事、あるいはそこの公安委員会、市町村長、民営鉄道の事業者——民営鉄道も関係しますね。こういった人たち現実にはもう協議をしておるわけです。したがって、今後そういう協議の場を新しく設けるかどうか、そういう点につきましては、御意見を体しながら十分検討してみたいと思いますが、ただ、現実には、まあ支障なく処理をされておる。新たに、たとえば交通規制をどうするとか、バスの専用レーンをどうするというような問題になってまいりますと、これは自治省ども緊密に関係を持ち、警察庁も緊密に連絡をとってやるわけでありますが、そういうことには私も旺盛に熱意を燃やして、できるだけ地元の期待にこたえるように今後とも措置したいというふうに思います。
  78. 佐野進

    佐野(進)委員 私の申し上げたいことはこういうことなんです。つまり、いま既存のそれぞれの対策委員会なり、協議会なりというものが、きわめて弱い条件の中に存在しているから、こういう条件の中で地方公営企業再建させ発展させていくためには、もう少し強い指導力を持ったものでなければならないのではないか、したがって、そういう指導力を持ったもので、法律をつくるなり、改正するなり、そういうような形の中で、たとえば各省庁が、それぞれの委員会においてきまったことは無条件でそれを実施する、予算もつくる、こういう形のものにならなければ、連絡調整機関ではもう処理できないところに来ているんじゃないか、したがって、自治大臣は、そういう面に決意を持って取り組んでもらいたい、こういう要望を申し上げておるわけです。もう一度お答えいただきたい。
  79. 江崎真澄

    江崎国務大臣 交通安全対策のために、総理府が各関係省庁をまとめまして交通安全対策会議を持っておるように、こういう公営企業が今後円滑に運営される意味で、いろいろな関係の問題がすみやかに、しかもスムーズに処理されるように話し合う機関を持ったらどうか、こういう意味ですね。私、御意見としてはごもっともだと思います。ただ、そういうものを持ってまた事が煩瑣になるということでは困りますが、あなたの御意見を体しながら、十分ひとつ検討してみます。
  80. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、煩瑣なものをつくってくれというのではなくて、指導力のあるものをつくってくれ、出た結論が必ず実行されるものをつくってもらいたい、それが今日の課題だ、こういうことを申し上げております。  それでは、次に進みたいと思います。  警察庁の方が来ておられるのでお聞きしますが、そういうような形の中で、私ども公営交通事業の現況を見る場合に、先ほども議論されておりましたが、結局、路面交通の渋滞が今日の赤字の最大の原因一つになっている。最大の原因はそれだけ申し上げて、あとは申し上げませんが、それが現在最大の原因一つになっておるということを強く感ずるわけです。しかも、無制限にふえるマイカーが、いかに道路を拡張しても、その拡幅され、あるいは拡張された道路を結局占有する。そういう形の中において、大衆輸送機関である交通機関を渋滞せしめている。その結果、大衆輸送機関を軽視して、またそのマイカーにたよる。この悪循環の中に今日の赤字が累積する一つの大きな条件があるわけです。近時、政府は、それに対しても積極的な取り組みを示されているように私ども聞いておるわけですが、それらについて、特に警察庁当局が、マイカーの無制限の増加を許している。車庫を設置しなさい、車庫がなければだめですよと言いながら、これは、単なる車庫がありますという届けを出すだけでそれを認めておる。いわゆるしり抜けの取り締まりの形の中で路面交通を渋滞させているという面が多々見られるわけです。それらについて、簡単でけっこうですから、警察庁当局の決意と、いままでの取り組みについて御説明願いたい。
  81. 片岡誠

    片岡政府委員 確かに、御指摘のとおり、地方公営企業、特に、路線バスの場合に、交通の混雑が表定速度を非常におそくしたり、あるいは定時運行を妨げておるという事実は、私ども全く同感でございます。したがいまして、私どもとしましては、何とか路線バスの定時定速運転がはかられるように、できるだけ路線バスの優先通行をはかる施策を強力に進めてまいりたい、かように考えております。  それとうらはらの問題ではございますが、やはり、一方ではマイカーの抑制を、それなりにやってまいりたい。現在やっておりますのは、一つは、いま御指摘のありました保管場所法の問題であります。ごく最近政令改正をいたしまして、適用区域をほとんど全国に広げまして、現在ざる法とも言われております保管場所法をざる法でなくすような方向の改正を検討中でございます。それから、マイカーが出かけた先の、通勤先で路上に違法駐車をしているというような場合も多うございますので、都心部の駐車禁止を全面的に強力に進めてまいる。そういうマイカー抑制の間接手段をとりながら、一方、バスが優先通行できるような方法考える。これは、抽象的に申しましてもなかなかむずかしゅうございます。したがって、先ほどお話しがありましたように、各都市で具体的に関係者が集まって、どのようにすればバスの優先通行ができるか、一番どこに問題があるかということを、具体的な計画を詰めていくという方向で指導いたしております。
  82. 佐野進

    佐野(進)委員 私も毎日東京の町を歩いているわけですけれどもバス優先レーンあるいは専用レーンは、近ごろだいぶ引かれました。これは、私は、多年にわたって主張してきた者の一人として、たいへん心から喜んでおるわけです。しかし、これまた形式的に流れるきらいがある。実際は、優先レーンを多くの車がつながって走っているという例を多く見かけるわけです。これは行政指導だと思うわけですが、書かれたものが何ら守られないものならば、単に精神的に満足を与えた、喜んだということにすぎないわけです。これは要望でございますが、優先レーンあるいは専用レーンが守られる形の中で輸送増強がはかられるように、積極的な措置を、前の問題と関連して強く要望をしておきたいと思います。  さて、交通の問題で、路面交通の渋滞を解消する中で交通効率をあげ、大衆輸送機関としての面目をはかる中で経営健全化をはかっていくわけでありますが、その中においても一番問題になるのは、何といっても地下鉄の問題だと思うのです。地下鉄の建設費が今日多額なものになり、その建設に各都市とも非常に大きな苦労をしておることについては、もう申し上げる必要もないし、いろいろ論ぜられております。私は、その点についてはきょうは省略をいたしまして、具体的な問題について二、三、地下鉄問題に関連して、自治省運輸省に質問をしてみたいと思うわけでございます。  まず、第一に、東京都における地下鉄を初めとする交通の一元化、これはもう地下鉄もそうですし、路面もそうですが、ともかく、いろいろな会社の車が乗り入れる。あるいは国鉄も含めて、多年にわたって論ぜられておるわけでありますけれども、この一元化について、自治省運輸省とは、いまどのような方向において努力をされておるかということについて、原則的な面としてお伺いをしたいと思います。
  83. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生の御指摘の点につきまして、まず具体的な点を御説明申し上げたいと思います。  首都圏の場合は、鉄道関係では、御承知のように、国鉄、民営鉄道、営団地下鉄、都営地下鉄、こういうふうにございます。それからバスにつきましては、御承知のように、民営バスと都営バスというふうな形でそれぞれの分野を受け持ちまして、庶民に交通サービスを提供しておるわけでございます。四十五年の輸送実績で見てまいりますと、これは年度でございますが、首都圏内で百二十億人ほどの利用客がございます。そのうち、公営につきましては九億七千五百万、約八・二%というふうな状況でございます。しかも、公営バス路線につきましては、五〇%近くが民営バス路線が競合しておるというような実情でございます。したがいまして、こういうような実情の上に立ちまして先生の御質問にお答え申し上げたいと存ずる次第でございますが、確かに、一元的な経営というふうなことを考えてみたらどうかというような御意見のあることは事実でございます。しかしながら、あまりにも企業が巨大な規模になってまいりますと、一面メリットもございますけれども、また、他面、非常なデメリットも出てまいります。と同時に、先ほど申し上げましたように、現在、民営、公営、国鉄といったような形で経営されておりますものにつきまして、これを一元化するということになってまいりますと、どうしても、統合の過程におきまして、経営の能率の悪い企業というふうなものが一つのベースになっていろいろな経営の形態がきめられていく、こういうふうな面もあるかと存じます。こういうことになってまいりますと、どうしても運賃の問題にこれがはね返ってくるというふうな点があろうかと思います。と同時に、一つのまたメリットもございます。これは、資金調達というふうな力が非常に強くなるという点があるわけでございますが、先生も御承知のように、現在の都市交通、特に地下鉄でございますけれども、これについては、交通施設の設備の不足というふうなものが実は痛感されておるわけでございまして、在来営団だけが持っておりましたものにつきまして、三十年に入りましてから、都営という形で、営団と都とあわせまして投資の力をつけようではないか、投資額をふやそうではないか、こういう形で進んでまいっておるわけでございますし、また、現在の民営の鉄道、バス等におきましても、それぞれ相当の企業規模を持っております。したがいまして、投資の問題につきましては、どうしても一元化しなければならぬというふうなことではなくて、やはり、それぞれの企業に応じまして相当投資をできる能力を持っておりますので、それぞれの企業のバイタリティーといいますか、それぞれの企業の力に応じまして投資をしていったらいいではないか、こういうふうに感ずる次第でございます。  もちろん、一元化に基づきますところの利用者に対するサービスの改善というふうな問題点があることも、これも一つのメリットとして考えられますけれども、これにつきましては、いま申し上げましたように、それぞれの企業の持っておる効率的な経営というふうなものを前提といたしまして、たとえば運賃の調整の問題だとか、相互乗り入れの問題だとかいうふうなものを通じまして、利用者に対する利便を改善してまいりたい、実はこのような基本的な考え方を持っておる次第でございます。
  84. 佐野進

    佐野(進)委員 時間があまりございませんので、私の質問も簡単にいたしますから、答弁もできるだけひとつ要点を示して答弁していただきたいと思います。  そこで、私は、交通の一元化の問題については時代の趨勢である、特に、東京のような大都市におけるところの繁雑な交通機関の存在は、公営企業健全化だけでなく、都市交通行政の繁雑化を招くのみで効率が少ない、こう思いますので、運輸省も、今日の時代の進歩に目を正しく向ける形の中で、積極的に前向きで検討を続けてもらいたい。過去の現状の中にのみ埋没することでなくして、将来の展望の中で勇断をふるって取り組んでもらいたい。このことは運輸大臣等にも強く要望したいと思いますが、きょうは意見だけにしておきたしと思います。  そこで、自治大臣に御質問いたすわけでございますが、これに関連いたしまして、地方公営企業法第四十二条に地方公共企業体に関する条項がございます。したがって、いま、交通の一元化の問題は非常に大きな課題としてクローズアップされてきて、それを解決しなければならない時期に来ていると思うのでございますが、自治省が今日まで取り組んだ経過の中で、この企業体の構想はどのようなものか、簡略でよろしゅうございますから、お示しを願いたいと思います。
  85. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方公共企業体考え方は、御案内のとおり、昭和四十一年の公営企業法の改正の際にこれを入れましたのは、実は、将来大都市地域における交通一元化という問題が日程にのぼるであろうということで、その場合の交通一元化のいわば母体と申しますか、こういうものになり得るという構想を秘めて規定を設けたわけでございますが、先ほど運輸省からも御答弁がございましたけれども現実問題といたしまして、これははなはだ困難でございます。過去の沿革がございます。あるいはまた、利害関係がございます。したがいまして、この公共企業体の法制化「別に法律で定めるところにより」ということになっておりますけれども、この法制化の作業は遅々として進んでおらない。私ども考えておりますのは、国鉄式のいわゆるローカル・パブリック・コーポレーションというものを考えておりまして、当該自治体から独立をした公法人というもので、そこに交通を一元化する、こういう構想のもとにこの考え方は立っておる、こういうことでございます。
  86. 佐野進

    佐野(進)委員 そこでいまの構想、考え方についてはわかりましたが、これはまだもっとわれわれも研究しなければならぬ課題でございますが、しかし、いずれにせよ一元化の方向に大きく、地方公営企業法の中にもその条文は明記されておりますので一ひとつ前進していただきたいと思います。  そこで、運輸省にお伺いいたしますが、現在、東京を中心とする首都圏には、陸上交通事業調整法という法律がありまして、そのもとにいろいろな行政が行なわれてきておるわけでございますが、この法律の現在の位置づけ、意義、あるいは廃止されているのかどうか、私もちょっと不勉強でわかりませんが、そういうふうな点も含めてお聞きをしておきたいと思うのであります。  それに関連いたしまして、現在、地下鉄の区域は、特に東京の地下鉄の区域は、主として、都市交通審議会の十五号答申に示されておるように、いわゆる三十キロ圏を中心にしてこの原案ができているわけでございますが、今日の状況の中においては、もはや、首都圏交通は三十キロ圏内のみにおいてはとどまらない情勢下にあるわけでございます。五十キロ圏が、もはや通勤圏として固定された考え方になっているわけであります。この考え方に基づいて、十五号答申を修正する形の中において、首都圏交通行政は大きく発展していくではないかと思うし、そういう道が開けていると思うのであります。私は、これについて、ぜひ五十キロ圏まで広げるべきだと考えるのでありますが、運輸省当局はどう考えておるか、この際、簡単でよろしゅうございますから、御答弁願います。
  87. 佐藤久衛

    佐藤説明員 御指摘の陸上交通事業調整法につきましては、これは戦時中に主としてその機能を発揮した法律でございますが、昭和二十五年に、この法律に書いてございます交通事業調整審議会というものが実は廃止になっておる次第でございます。この法律に基づきますところの国の調整機能というものは、必ずこの審議会にかけなければいかぬという形になっておるたてまえ上、この審議会が廃止になっております現在におきましては、現実には、この法律そのものは機能を停止しておる、こういう実情でございます。  それから、次に、地下鉄網の整備でございますが、確かに、御指摘のように、どんどん東京の周辺にいろいろな都市が発展してまいりますし、そこにまた大きな交通需要が出てまいっております。したがいまして、何も、三十キロ圏という形で限定しているわけではございませんので、今後とも、運輸省の中に運輸政策審議会の地方関係の交通部会がございますので、そこに諮問いたしまして、その交通圏というふうなものをどうするかということを検討してまいる所存でございますし、また、現実にそれぞれの関係の府県までいろいろ延伸するというふうな計画もあるわけでございます。
  88. 佐野進

    佐野(進)委員 調整法という法律がやはり存在しているわけですね。審議会がないからだめだ、そういうような形の中において私は質問を申し上げておるわけですが、時間がございませんので、その真意を理解の上、運輸行政が積極的に取り組んでもらいたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、時間がなくなってまいりますので、その他幾つかの問題点について質問したいと思いますが、これは簡単にお答えをしていただければけっこうだと思うのです。  モノレールの問題については先ほどから議論がございましたが、私は、この点だけを質問したいと思います。一つは、公共団体が中心となってこの建設を行なうべきではないかということと、この建線に際しては、地下鉄と同じように、やはり、国の補助、あるいは地方公共団体がそれに対して積極的に取り組んでいくべきではないかと考えますが、この点について御答弁をお願いします。
  89. 中村四郎

    中村(四)説明員 お答え申し上げます。  モノレールにつきましても、いろいろ性格がございますが、御質問の趣旨を都市交通用のモノレールというふうに限定して考えますと、これにつきましては、地域の実情なり、あるいは利用者の利便、既設交通機関との関係、あるいは運営の効率性、いろいろな諸点を勘案しなければならないと思いますが、都市モノレールにつきましては、都市計画との関係、あるいは市街地再開発なり、街路事業との関係、こういう点が強うございますので、これらを勘案し、あるいは資金調達能力等を考えてまいりますと、民営でこういうことをやるということは非常に困難を伴うと思います。したがいまして、公営なり、あるいは公的色彩のある事業体ということに比重がかかることになろうかと思います。  それから、補助の問題でございますが、これは、都市モノレールの整備促進に関する法律四条というのが、先刻御承知のように、ございます。これを受けまして、都市交通におきますモノレールについて、大都市の地下鉄等を補完する意味合いにおいて、あるいは、地方の中枢都市の基幹交通機関としてモノレールというものを考えてまいります場合に、現在、既存の実績というものは二社ほどしかございませんが、これらの内容を分析しながら、現在、北九州その他でモノレール計画を持っておりますので、この内容を詳細に調査して、先生いまお話しのように、地下鉄その他の都市交通に対する助成制度を勘案して補助を検討してまいりたい、こういう姿勢でございます。
  90. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、大臣質問を開始したいと思います。  私は、先ほど大臣から、経営改善及び合理化に関する面について答弁を再三にわたっていただいたわけであります。それに関連して御質問を申し上げるわけでございますが、再建交通事業職員関係する問題であります。  先ほど言ったとおり、労働協約に基づく団体交渉に基づいて決定され、地方議会が議決されたことに対しては、当然それを尊重する、こういうような御見解が示されたわけでありまするが、そうなりますと、いわゆる再建事業の交通事業に関する職員の給与が一般職員の給与と同様の取り扱いを受ける、このように解釈してよろしいのではないかと思いますが、それでいいかどうか、大臣の御答弁をお願いします。
  91. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、さきにもお答え申し上げましたように、国家公務員、地方公務員の給与ベースがきまれば、もとより、公営企業職員もそれに準じて待遇改善が行なわれることが望ましいと思います。これが理想的であります。  ただ、問題なのは、企業の実態が非常に悪いということですね。そうなりますと、当然、同じような職種の給与ベースというものが参考にはなりまするが、そうかといって、企業の実態を無視して、どんなに赤字があっても、同じような公務員と同じベースで進めなければならぬということは非常に困難があるわけです。しかも、それが地方の公営企業である。責任者はそれぞれの地方自治体の長が当たっておるわけでございます。したがって、やはり、その事情を考慮しないわけにはまいらない。この辺、どうも御満足のいく答弁になりませんが、理想としては、筋としては一体であるべきでありまするが、やはり、企業の実態は考慮に入れなければならぬのではないかというふうに考えます。
  92. 佐野進

    佐野(進)委員 財政局長企業の実態を考慮に入れなければならぬ、ここにもう一つことばのむずかしい意味があると思うのです。大臣はそうたいして気にはしないで企業の実態ということを言っておるわけですが、再建団体に指定され、再建努力を行なう、地方議会の議決を得た、労働協約に基づくいわゆる一定の条件の結論を得た。それがきまった場合、それがいいとか悪いとか、企業経営内容によって差をつけるということは、この法律の精神の中には存在していないと私は思うのです。存在しているとすれば、先ほど言った「経営改善及び合理化に関する措置の大綱」という形の中において——大臣答弁には出てこなかったと思う。いわゆる独算制の問題がいま議論されておりまするが、独算制の問題については後ほど触れなければならぬことになっておるわけでございまするけれども、いずれにせよ、今日の状況の中において、路面交通あるいは地下鉄事業の中において困難な仕事をなしている人たち、いわゆる早朝、深夜にわたる仕事をなしている人たちが、一般企業人たちに比較して、企業内容が悪いから、それに差がつけられるのは当然だという考え方は、あまりにも時代錯誤的な考え方ではないか。それは再建案に通じない。企業努力を追求する形の中において、その職員も給与が少なくていいのだということになれば、どこまでいいのかということになってくる。そこで、労働協約に基づく一定の条件がきまった場合、締結された事項に対しては、政府もそれを認めるということでなければ、企業意欲が高揚して完全なる運営ができるというわけにいかないわけでございます。そのことはあなたもよく知っていると思うのであります。そういうことを私は聞いておる。いまの大臣ことばは、単なる一般的な説明にしかすぎないわけです。私はもっと突っ込んだ答弁をいただきたいと思います。
  93. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公営企業職員の給与につきましては、一般職の国家公務員の給与の場合と、給与決定の基準、法律上の表現が違っていることは御案内のとおりでございます。御案内のとおり、地方公営企業法第三十八条第三項におきましては、もろもろ書いてございますが、そこに、「当該地方公営企業経営の状況その他の事情を考慮して定めなければならない。」ということがございますので、これは、理屈から申しますと、いま大臣からお答えがございましたように、企業経営の状況というものによりまして、具体的に定められる給与のレベルというものが違ってくる。これは法律が許容しておるところだと考えざるを得ないと私は思うわけでございます。  ただ、冷たい法律上の理屈はそうでございますけれども先ほど大臣からもお答えがございましたように、一般職の給与が上がっていく、物価が上がってまいるわけでございますから、その中で、公営企業職員だけは、おまえさん、企業の成績が悪いからだめよ、ということは、現実問題として、生きておる人間でございますから、なかなか……。したがいまして、その給与というものは、一般職の職員の給与が上がるときには公営企業職員の給与も同じように上がっていくということが望ましい。これは、私どもも血の通った人間でございますから、その点は私どももそのとおりだと思うわけでございます。  ただ、この公営企業法三十八条の規定、あるいは厳然たる公営企業経営の実態からいたしまして、そういう給与改定をやられる場合には、企業の実態に即して、たとえば料金の適正化をタイムリーにはかっていただくとか、あるいは、企業内部努力によりまして給与改定財源を生み出してい(とか、こういう、)とが当然並行してございませんと、給与の改定は、現実問題として行ないがたいのではないだろうか。これまでも、そういう姿勢で、私ども、当該企業の実態に即しながら、適切な措置を講じてきたつもりでおるわけでございまして、ただ、無条件に、一般職の給与の改定が行なわれたから、当然公営企業職員についても右へならえだというのには、ちょっとそこに前提を二、三置かなければそうは言えないのではないだろうか、こういうことでございます。
  94. 佐野進

    佐野(進)委員 したがって、三十八条の条項その他がありますから、公営企業法をいま改正しろと言ってもなかなかできないわけでありますけれども、当然これは改正しなければならぬ時期が来るだろう、来るべきものだと確信をしているわけでございます。  大臣、いま質問しているように、財政局長も、役人だけれども、血の通ったあたたかい答弁をしているわけです。あなたは政治家であり、大臣なんだから、もっとあたたかい、人情味があふれるような答弁をしなければならぬ立場にある。したがって、私は、この面について、いわゆる独算制のワク内においてものを判断するからそういうことが出てくると思うのです。もちろん、独算制というものが今日もはや現状に即さない状況になりつつあるということは、この前の参考人意見その他、いろいろな形の中における表現等でも、あるいは答申等の中でも出ているわけです。私もいろいろ資料を持ってきておりますけれども、これは申し上げている時間的余裕がなくなってしまいましたけれども、それがあるわけです。それでは独算制のワクの中で、いわゆる政府が、地方公共団体が、どの程度の補助をすることによって、どの程度企業者の企業努力と相まって健全な運営をなしていくかという、政治的な判断になってきていると思うわけです。あなた方が幾ら独算制を堅持するのだと言っていても、現実にいまこの法律案を審議し、提案するという形の中においては、そういうような形になってきているわけです。だから、私がいまここで独算制を打破しろと言っても、あなた方は、よろしゅうございます、打破しましょうなんて言えないので、それを百も承知で、独算制というものに立っての地方公営企業というものの運営が、いかに今日の——いわゆる私がいままで質問してきた条項ですね。それらの条項が一つ一つ解決されていくならば、独算制もあるいは可能であるかもしれない。たとえば、インフレがおさまった、物価が安定したというように、いろいろな形のものがおさまればそれはいいわけでございますが、それができないわけであります。そうすれば、独算制というものの判断、考え方、これをなくしてもらいたいと私は強く要求するわけですが、それができないとしても、弾力的な解釈に基づいてこの運営に当たっていくのだという、そのくらいのことは、いまの財政局長だってあの程度の答弁をしているのだから、大臣、できないわけはないでしょう。どうですか。
  95. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は、企業というものをもうちょっと幅広く考えてみたいのです。いま、再建はできないという、むしろ不可能視したような形に立ってこの待遇問題が議せられる。そうじゃなくて、これはひとつここで再度再建計画を立てて、政府もこれだけのことをしようというならば、特にまた、四十九年以降の措置についても、これはまた実際問題としては相当考えなければならぬ場面にいくのじゃないかと思うのです。しかし、そのままじんぜんと企業が行っていいのかということです。そこで、交通規制の問題だとか、自転車の通勤、通学なんというようなことは、一方ではバス利用ということも考えながら、そこに自転車問題も出てきておるわけですね。そこで、企業が一転して、いわゆるラッシュにおける好ましい交通機関ということに大変貌をしてくれば、一般職と同じことにしてということで、あまりこれは詰めないほうか——もし、利潤か上がり、企業として一般会計に黒字を出していくようなことにでもなれば、待遇はもっともっと改善されるわけですから、やはり、そういう弾力性を持たせて考えたらいいと思うのです。そこで労使双方が話し合ってきめるということにもなっておるわけですから、どうしてもいけぬ場合には、それはまたそこで相談の余地を残しておくということであって、何が何でもぜひ詰めなければならぬものでもない。むしろ、経営整備及び合理化というところへと、ただことばだけでなしに、これはほんとうに超党派で、この経営をどうするかを考える。これは深刻な問題でありまするし、同時に、交通難緩和ということにもなるわけですから、お互いが努力をすれば、もう一ぺん自転車が見直されるように、バスというようなものが見直される時期が来ると思いますよ。バスの購入費の半額は見よう、不良債の利子はほとんど見よう、これでやれないというのだったら、これはどこかにやはり欠陥もあるわけですから、なおひとつ御協力を得て努力をしていきたいと思っておりまするので、そこらは少し弾力的に幅を残しておいたらどうかと思います。
  96. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、まだ幾つもありますが、時間が来ましたので、最後の質問をいたしたいと思います。  なお、建設省の関係の人をお呼びしたのですけれども、モノレールの質問が少し短かったために、お待たせして質問できなかったことについておわび申し上げたいと思うのです。  そこで、私、いまの大臣答弁に関連して、こういうことができないものかと思うのです。いま、大臣が、よくなったらうんと出すと言ったが、そんなことは、いままでの歴史の中でもないのですよ。大体、よくなろうが、ならなかろうが、現業の職員ですから、一般職よりよくなったということはない。ただ、作業給その他で、いわゆる早朝、深夜という形の中で若干の潤いを得られる場合がありますけれども、本給そのものはいつも低く位置づけられているわけですね。それで、黒字どころか、赤字になればさらに給料を低くするというようなことになる。これは最も困難な条件の中で働いておられるわけでしょう。バスで、一人でワンマンカーに乗って、何十人、何百人というような人の命を運んでいるわけですから、たいへんな仕事です。しかも、自分たちのなまけることによって起こる原因ではなくして、周囲における諸条件の中で起きてきた条件ですから、これはもう一つ大臣がよく現況を見られて、あたたかい措置をとられるように、いま、大臣もそうおっしゃったのですから、強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、最後に、独算制の問題に関連して私は伺っておきたいのですが、いわゆる交通事業については、幾ら努力をどうしようと、こうしようと、これでできないことはもうおわかりだと思うのです。第一次再建がうまくいかなかったわけですから、いまのこの法律案内容では、よほど世の中の状況が変換されざる限り、いまの政治情勢、経済情勢が続く限り、私は、相当不可能だと判断せざるを得ない。この程度のことではだめだと思うわけです。したがって、この程度のことでも、もしやられ得る大きな柱がどこにあるのかといえば、独算制に対する考え方をこの際大きく転換することが必要だ。国の配慮、政治の責任とともに、制度面の独算制のワクをどの程度はずすかということが大きな問題点だと思うのです。そうして国民の足を守らなければならない、利用者のために、政府地方公共団体はその責任を果たしていかなければならぬ、こう思うわけです。  そこで私は質問を申し上げるわけですが、交通事業においては、企業収支を最終の基準とする独算制の推持、これはもうどだい無理になってきておるわけです。これはあなたがどう説明しようと、無理になってきておるわけです。独算制でやるといっても、先ほども財政局長が、それは人間でございますからといったようなうまい答弁をしているわけですから、そういうような形の中においては、もはや、この際、この制度について根本的なメスを入れて考えていかれることが必要である。その場合に、政府としては、先ほど大臣答弁されている立場もあるでしょうから、施設だとか設備は公共財としてこれを見る、運営に要する費用は料金収入の形の中で見るというような形をとれば——料金を無制限に上げるわけにいかないでしょう。幾らあれだからといって、料金を上げていくということにはいかないわけでしょう。そういう意味において、そういうような考え方をとられれば、一つの前進であり、進歩であり、地方公営企業の健全なる発展に相当大きく役立っていくし、しかも、物価政策その他に対して非常に大きな役割りを果たすと思うのでありますが、この御見解をひとつお聞きしておきたいと思います。
  97. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、日本じゅうの全都市が、バス業務にしろ、何にしろ、やっておるわけじゃないんですね。ですから、やはりある程度は利用者が負担をしてくれるということでないと、公平の原則から言って、これは問題があると思うのです。すべて国が負担をするということは、まあ、ことばは簡単ですが、やはり、国民の税金ですからね。そこで、もっと整備合理化をする余地はないのか。それはさっき私が申し上げましたように、専用バスレーンをしっかり確保するとか、バスがもっと利用される体制をつくるとか、これはやはり私は朝晩のラッシュの問題だと思うのです。それに蛮勇をふるってみる。日本じゅうがあしたからやるなんといったって、これは言うべくしてできませんね。そこでモデル都市の問題が出てくると私は思うのです。そういうところで思い切った施策をやってみて、なるほどということになれば、全国に行き渡るのではないか、そこで失敗をすれば、どこがネックであるかということを一つずつチェックするという形で、やはり、一年くらいこの実験都市においてやってみる、そうして、公営企業の、企業体責任者がそれを実際に見たり、議論をしたりして、この改善策を考える、こういうことが根本じゃないかと思うのです。いまのように、道をどんなに広げても車がふえて追いつかない、いや、車を規制しろ——これは午前中にも議論が出ましたが、車を持つことを規制するなんということはできるものじゃありません。そうだとすれば、時間帯で、スペースの大きい、いわゆる車体の大きい自動車で通うことはやめてもらいたい。大きいものであるならばバス、そうでなければ自転車というようなことを思い切ってやれないものかどうか。これはやはり思いつきでやれることではありませんので、交通安全対策の小委言会がこの地行委員会にもあるそうでございまするから、委員長委員の皆さん方のお取り計らいで、こういった問題の小委員会くらいは場合によったら今後も発足させていただいて、国会とわれわれ行政府地方公共団体の有志が衆知を集めて、蛮勇ということばは悪いですが、思い切った措置に出る。これは実行ができるかどうか存じませんが、ロサンゼルス、サンフランシスコから自動車を締め出そうなんというようなあの発言は、自動車で通勤、通学をやりましょうなんという発言とはけた違いに問題を惹起するような発言ですね。そういうことが車の一番発達したアメリカで言われる時代ですから、思い切ってこれはこの公営企業を成り立つようにすると同時に、そういった面、特に公害の問題なども規制するというようなことで広く考えてみたらどうかと思います。  独算制の問題については、御質問でありまするが、これはもうしばらくこの推移を見る。独算制は、事実上、われわれのほうでも何から何までと言っているわけじゃないので、ある程度これは見るところは見る、利子補給する、あるいは、新しいバスの購入費の半額を見る等いろいろやっているわけですから、地下鉄などとは違って、そんなに設備費に多額の経費を要するという性格のものではありませんので、もう少し合理化方途をお互いに研究、努力してみるということで進めてまいりたいと思います。御協力願います。
  98. 佐野進

    佐野(進)委員 要望だけ申し上げて質問を終わります。  時間が超過してたいへん申しわけございませんでしたが、私は、独算制の問題をはじめ、都市交通行政に対して、自治省が、冒頭に申し上げましたとおり、積極的に取り組む中で解決しようとしている努力に対しては敬意を表しております。ただ、冒頭に申し上げたとおり、まだそれでは不足だ。勇気と決断とを持って取り組まなければならない。申し上げたいことは山ほどあるわけですが、そういう面について強く質問を続けたわけであります。今後とも、都市交通行政の健全なる発展のために格段の努力要望いたしまして、質問を終わります。
  99. 上村千一郎

    ○上村委員長 佐藤敬治君。
  100. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いま、私のほうの佐野委員からいろいろ詳しく御質問申し上げましたし、いままでの議論の中でも非常に詳しい質問がたくさん出ました。   〔委員長退席中村(弘)委員長代理着席〕 私は、なるべく重複を避けて、提案をまじえて御質問をいたしたいと思います。  いま佐野委員が最後に質問したのは、独算制の問題でございます。この問題について、これはちょっと重複しますが、少し御質問を申し上げたいと思いますが、第一にお伺いしたいのは、この公営企業の交通の議論の中で、どこに原因があってこういうふうに公営交通の財政が悪化したかということが盛んに議論されましたが、私、いろいろと調べてみたり、議論を聞いておりまして、企業内のいろいろな合理化やその他の努力が行なわれたにもかかわらず、こういうふうに財政の悪化を見たということは、その主たる原因企業外にあると断定せざるを得ないと考えますけれども、この点については、大臣はどういうふうにお考えですか。
  101. 江崎真澄

    江崎国務大臣 確かに、私、企業外要因というものが作用しておるというふうに思います。これは否定できません。なればこそ、政府としても、その利息のほとんどを見たり、バスの購入費の半額を助成しようとか、いろいろ苦慮しておるわけであります。そうかといって、それでは、合理化整備をする余地がないかというと、必ずしもそうでもない。この間も内政記者クラブの方と話をしておりましたら、いや、都営のバスは見送ってでも、やはり民営に乗りたくなりますよ、サービスが違いますよ、ということを言うておる人がありました。これは、やはり、平素利用しておる人の実感だと思うのですね。だから、そういう点から言っても、なお改善の余地はある、なお努力をしてみたいものだというふうに思います。
  102. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 一般的にまだ改善の余地がある、余地があると言われますけれども、確かに改善の余地のある団体もあると私は思うのですよ。ところが、あちこちで調べてみたり、あるいはこの間の参考人お話しを聞いてみましても、もうこれ以上ほとんど合理化する余地もないし、どうにもならない、ぎりぎり一ぱいのところまでいってなおかつ赤字になってしようがないというところがたくさんあるのです。これと悪いところと一緒にして考えられても私は困ると思うのです。よくてもなぜ赤字なのか、このことをやはりよく考えてみなければいかぬと思いますね。
  103. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ですから、さっき佐野さんの御質問にもお答えしたように、これは並みたいていのことをやっておったのではやはりだめだと私も思います。この間、私、横浜市に参りましたが、横浜の場合、第一次再建計画のときにずいぶん合理化をやっておられるのですね。これは実際よくわかりました。かせいでもかせいでもなお貧乏する。何か歌にあるみたいで、いかにもこれは残念なことです。そうだとすれば、やはり抜本的に対策を立てなければならぬ。その抜本的とは何ぞやというと、これはどうも交通規制の問題じゃないだろうか。というのは、いまのバス専用レーンといったって、六車線ならばバス専用レーンを認めることができるが、四車線、いわゆる片側二車線なら、優先道路を認める程度だ。そんな道路がそれでは一体どれだけ整備されておるかというと、微々たるものですね。そうだとすれば、マイカーは第二、第三に考えて、バスを優先させ、いわゆる小型交通機関を優先させて考えるという、頭の切りかえを一ぺんやってみることはできないだろうかというのが自転車構想になって、飛鳥田さんと合意をしたわけですが、これは、ほんとうにお互いになお政治の面で解決することがあると私は思うのです。だから、そういう面を、小委員会もありますので、また今後私お願いしたいと思っておりますが、小委員会などでお取り上げいただいて、抜本的に対策を立てるということにすれば、よほどの整備及び合理化ができるというふうに思います。
  104. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、赤字になっている主たる原因は現在の自動車ラッシュにある、簡単に言いますとこういうことですね。決して企業内の努力を怠っておるわけではない、企業外の自動車ラッシュが現在の赤字を引きお越しておる。こういうことですね。
  105. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そう簡単にきめつけられても困るのですね。佐藤さん、それも大きな原因です。しかし、そのほかには、いまの料金の適正化の問題とか、バス路線整備合理化の問題とか、いろいろあるわけですね。人件費の問題はワンマンバスにして解決をしたとか、なおこれらについても今後配慮をするとか、原因は多岐にわたりますが、その中の大きな要因としてさっきの交通問題がある、こういうふうに申し上げたわけでございまして、これは御理解願いたいと思います。
  106. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、先ほどからいろいろ聞いておりますと、最大の原因は、やはり、いま話に出ました自動車ラッシュにあると思うのですよ。それから、企業内にしいて赤字原因があるとすれば、さっきから財政局長なんかが盛んに言っておりますが、料金を適正化しないからだ、給料を上げるときに料金を上げないから赤字になるのだということですが、企業内の責任はこういうことがほとんど全部だと思う。いま話されておることを聞いておりますとね。私はこういうふうに考えるのですよ。これからの問題といままでの問題と、やはり切り離して考えなければいけないのです。というのは、いま大臣なり局長なりが言われるように、確かに、第一次財政再建が失敗した中にはそういう問題がいろいろあるでしょう。あるいは、再建債を起こす前から尾を引いた問題がいろいろある。こういう問題がからんできて第一次再建が失敗したと言えないこともないと思うのです。しかし、第一次再建がいままで経過してきた中で、ほとんど合理化というものが死んでしまっておる。企業内のいろいろな赤字要因というものはほとんど排除されてしまっておるのです。だから、第二次の、これから将来の再建は、ほとんど企業外の要因によって赤字が出てくるというふうな感じがするのですが、どうですか。
  107. 鎌田要人

    鎌田政府委員 やはり、私ども、公平に見まして、企業外の要因と、企業内の要因と、これは両方あると思います。企業外の要因もあるわけでございますが、企業内の要因も、何としてもこれは無視できない。それは、具体的に申し上げますと、料金の問題、これは再建期間中に一回しかやっておらない、そういう問題もございますし、また、その水準等の問題につきましても、私どもの判断するところでは不十分なものがある。あるいはまた、経営内部の合理化の問題にいたしましても、たとえば、再建計画の変更にあたりまして、職員の給与体系というものについて改善を約束しておられて、それが再三約束されておられても実行に移されておらない、こういう面もあろうかと思います。あるいはまた、総体的に余剰人員をかかえておるというところもございます。あるいは、毎々申し上げておりますところの路線の再編、合理化が、政治的な情勢等がございましてなかなかむずかしいということはわかりますけれども、そういう面での努力不足というものもある。これは、私は、やはり両々相まって今日の窮状を来たしておるのだというふうに、公平に見て判断すべきではないだろうかと思います。   〔中村(弘)委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席
  108. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、こういうふうに考えるのです。公営企業というものは、言うまでもないことですが、文字どおり公共的な側面と、一方においては企業的な側面と、二つ持っていると思うのです。しかし、どっちに私どもは重みを置かなければならぬかというと、これは公共的なものに置かなければならぬと思う。そうでなければ、みな民営に移してしまったほうが一番いいのです。こんなに苦労してやる必要はない。どこまでも、最終的には、公営企業というものは公共的側面を努力していかなければいけないと思うのです。ところが、いま鎌田さんがおっしゃったように、企業内部合理化をどんどん進めていけ、企業体系も押えろ、余剰人員ももっと押えろ、こういうふうにどんどんやっていけば、だんだん公共的な側面が失われていって、企業的な側面だけがどんどん浮かび上がってくると思うのです。しかも、こういうような企業外要因によって財政が圧迫されて、赤字になってきているときに、外部的な要因を排除しないで、このままで赤字だから赤字だからといって、いま局長の言われるように、どんどん推し進めていきますと、公共性が完全に失われてしまう。これは、単なるバスだとか、こういう問題だけじゃなくて、この間も私は質問しましたが、病院の問題でも同じなのです。どこまでも赤字をやめるやめると言っては、開業医と同じようになってしまう。そうすると、公的病院なんかやめて、開業医にまかせたらいいのです。どこまでも、最後のねらいは公共的なものである。これを浮かび上がらせるような施策をいろいろやらなければ、存在価値も何もないと私は思う。そういう意味から、さっき大臣が言われたように、自動車ラッシュを除くということ、これは非常に大切なことだけれども、ただ、これも大臣が言われておりますが、一朝一夕にこれを全部取り除くというわけにはいかないと私は思うのです。しかし、それだからといって、いま言いましたように、どこまでも独立採算をどんどん進めていけば、公共性というものは失われていく。だから、これは今度は提案になりますが、同じ独立採算でも、やめろとは私は言いませんけれども、いろいろ独立採算に種類をつけたらどうか。というのは、公営交通の一番弱いところは、二部料金制をとれないことです。ガスや電気、水道と同じようには基本料金を取れないことですよ。だから、この弱さをカバーするために、こういうものを何か仕分けして、たとえば第一種、第二種公営企業というふうに分ければ——いま、自治省のほうでは、公営企業というものは独立採算制をやめろと言うと非常に抵抗を感ずるでしょう。だから、その名前を残しておいて、名称を第一種第二種として、こういう住民の生活に直接非常に関係があり、しかも非常に苦しいものは、たとえば第一種公営企業として特別にめんどうを見てやるというようなことでもしてめんどうを見てやりませんと、だんだん民間バスと同じようになってしまう。民間バスにみななってしまったら、これは困るでしょう。さっきもどなたか質問したように、これは独占すればとんでもないことになってしまう。これは、やはり、どこまでも公営企業としてのバスは残しておかなければならぬと思うのですが、どうですか、そういう提案に対してひとつ御意見を……。
  109. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公営企業のいわゆる公共性、これは、地方団体が、最終的には国民の税金というものを原資にして成り立っておる団体が経営する事業でございますから、公共性というものは、私は、基本的な要請であろうと思うわけでございます。ただ、そのことと企業性ないし経済性と言われるものとは両立し得る。両立させるべきものだ。と申しますのは、やはり、公共性の名のもとにおいて非効率的な経営というものが行なわれることは許されないことでございまして、そういった意味での経営合理化の徹底、効率化の徹底ということは当然やっていただかなければいけない。病院あるいは水道等の例がございましたが、たとえば病院でございますれば、高度医療とか特殊医療といったものでございますと、民間にまかせるわけにいかないし、また、やっていけない。交通でもそうでございまして、地下鉄の、これだけばく大な資本投資を伴うものを民間にやらせるわけにいかない。そういうものは、やはり、当然公共団体が引き受けてやる。それに対しましては、御案内のとおり、別途財政措置が行なわれておるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、また、今後の再建企業でも、既往の赤字は全部たな上げする、そのかわり償還はよそで見る、あるいは、バスの新規購入費について公費補助を入れる。こういった点を考えていただきますと、私どもは、やはり、独立採算の鉄則のもとで、現実に適応するような、いわば柔軟な姿勢をとっておるということは御理解いただけるのではないかというふうに思う次第でございます。
  110. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうかたく考えなくてもいいと思うのですよ。現実にもう独立採算じゃないのです。ただ、独立採算という名前に非常に固執しておられる。だから、あまり固執しておられるから、独立採算を二つに分けて、一種、二種と分けたらどうかと提案したのです。もう現実に独立採算じゃないのですよ。この間の参考人の公述で、中西先生が、たとえば世界的な趨勢として、基礎構造費は国や自治体で見ろ、運営費を料金で見ろと言われていますが、これなんかも一つの世界的な趨勢になっているわけです。ほとんど世界じゅうそういうふうな方法でやっているわけです。いま、鎌田局長は、独算のワクをはずすと、野方図に非効率な運用をして、でたらめになる、だから、独算のたがをかけておかなければいかぬのだと言いますが、運営費というところで料金を取って、ここで十分たががかけられると私は思うのですよ。何もかも全部たがをかけてしまわないで、一部は、こういうところでは独立採算を抜かして、運営費のほうに独立採算の負担をかけるとか——もう十年一日同じような方法でやっていかないで、こういうどたんばに来て何か転換しなければいかぬときに、こういうふうな転換をする方法考えられませんか。いつまでたってもたがをはめられたように苦しんでおったのでは、抜け道がないじゃないですか。
  111. 鎌田要人

    鎌田政府委員 やはり、これは、公営企業が提供するサービスなり財貨の性質というものから判断しなければならないだろうと思います。道路とか警察、消防といったものと交通サービスといったものとには、おのずから本質的な相違があるのではないかというふうに考えるわけでございまして、やはり、税金をもって充てるか、あるいは受益者負担と申しますか、利用者負担というものをもって充てることが適当か、そこの判断の問題が基本に横たわっておるのではないかという感じがするわけでございまして、そういうものについては、税金をつぎ込むことには、おのずから客観的に国民が合意するような限度というものがあるのではないか、たとえば地下鉄のごとく、あるいは今度の再建のごとく、という感じがするわけでございます。
  112. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そういうことを言いますと、この前に私のほうの山田委員質問したように、住宅なり、ああいうものも同じなんですよ。同じように税金をつぎ込んで、だれかが入っているけれども、独立採算じゃないのです。そういう理論でやると、そういうものも全部独立採算にしてやらなければいかぬのです。特定の人が特定の利益を受けているのですよ。私は、何も、この問題だけが独立採算でどこまでもがんばっていかなければいけないということはないと思うのです。それにどこまでもくっついていけば、どこまでも公営企業赤字の問題は離れないのです。大臣の言われるように、どこかでもう一ぺん転換をする必要があるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  113. 鎌田要人

    鎌田政府委員 住宅の問題をお取り上げになったわけでございますが、公営住宅の場合には、安い家賃で住宅を供給するという社会政策的な配慮があり、公営交通の場合でございますと、たとえば一先ほど数字でおあげになりましたように、首都圏の場合でございますれば、公営交通のシェアというのは、旅客輸送人員では八%だ、そのほかに民間企業あり、あるいは国、公団あり、営団ありということでございまして、やはり、八%のシェアを持っている公営企業だけは無条件に税金をつぎ込んでいいのだということにはならないのじゃないだろうかというふうに考える次第でございます。
  114. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 どうもその理論がよくわからないのですよ。住宅に入っているのは、何も、公営住宅にだけ人が入っているのじゃないのですよ。一般の人がやっているものもあれば、マンションに入っている人もある。いろいろな人がいるのですよ。その理屈と同じじゃないですか。民営があるからこれができないという、そういう理屈は成り立たないと私は思うのです。
  115. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公営住宅の場合でございますと、これは住民に最低限度の住宅需要というものを満たすという政策的な配慮のもとでやっておるわけでございまして、これはこれとして、これを企業採算的にやるということについてはおのずから制約があるのだろうと私は思います。したがいまして、公営住宅の場合を見ますれば、御案内のとおり、所得制限というものをかけておるというところにもその辺の事情が明らかであろうかと思うわけでございまして、交通事業の場合とはおのずから違うという気がするわけでございます。
  116. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いつまでやってもこれは水かけ論で、しようがないのですけれども、ただ、一言、最後に、この問題でお話し申し上げておきたいのですけれども、この交通問題だけじゃないのですよ。あらゆる公営企業が全部赤字でやっているのです。黒字のものは一つもないのです。黒字なのは、ほんとうに特殊なもので、珍しい。これは、黒字になれば新聞に出てくるのです。新聞に出てくるというのは、珍しいから出てくるのです。普通だったら記事にならないですよ。だから、あなた方が言われるように、いつも独算だ独算だと言ってやっていても、この問題の解決にはならぬと私は思う。どこかで一ぺん独算のワクをはずしてものを考えてみるということが必要だと私は思います。これは最後にして、あとはこの問題で議論してもしようがないからやめます。  それから、さっき大臣お話しになりました自動車の問題ですが、さっき公明党の小濱委員質問した自転車の問題ですね。大臣は非常にハッスルして、すばらしい、いいことをたくさん言っていました。ところがこの新聞を見ますと、あなたの部下やあなたの同僚の省の中にはとんでもないことを言っている人がいるのですよ。これは六月十七日の朝日新聞です。これは見ておられるかもしれませんが、最大の問題はいまはもう自動車の問題ですよ。自動車ラッシュの問題が何とか解決できなければ、この公営交通の問題も、公害も何も解決できないということは周知の事実だ。大臣はっきりそう言っておられるでしょう。そういうふうに頭を転換しなければこの問題は解決できないのですね。ところが、この自転車の問題についてこういうふうに書いてあるのです。「こんどの「銀輪通勤構想」にもなお問題は多い。」と書いてありまして、「手取り早く構想を実現できそうな都市の主要幹線を朝夕一、二時間交通規制することについて、建設省道路局の浅井企画課長は「自動車道のネットワークは経済活動を支えるものであり、これを切ってまで実施するのはヒステリックだ」」と言っているのですよ。あなた、ヒステリックだと言われているのですよ。どうですか。せっかくこんないい案を立てて、みんなこれはすばらしい、ぜひやってくれと言って、与野党を問わずあなたを盛んに激励しているのに、そのときに、同じ政府の役人が、実力大臣であるあなたのことをヒステリックだと言っているのですよ。これは冗談じゃないですよ。こんな頭があるから、いつまでたっても自動車の規制ができないのですよ。さらに、こういうことが書いてありますよ。「警察庁の片岡交通局長も「結局、規制は路地を主体にし、路地と路地をつなぐ自転車ルートづくりになろう」という。」さっき、大臣は、自動車は路地を通って、自転車はすいすいと大通りを通ると言った。一江崎国務大臣「自転車が路地を通るのです。そうじゃない。逆です。」と呼ぶ)じゃ、私の聞き違いかもしれない。とにかく、何かこれはいままでの転換ができないと、こんな官僚の頭の状態ではこの問題は解決できないのです。そう思いませんか。
  117. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、私、非常にむずかしい問題だと思うのですよ。それで、これを実行しようということになれば、いろいろな見方があるのですから、あれから新聞の投書欄なども、秘書官が気をつけて、注意しておってくれますが、やはり、賛否両論に分かれておる。まあ、賛成のほうが多いですけれどもね。ですから、あまりそれを一々気にとめてヒステリックにこっちがなっちゃいかぬので、やはり、これは発想の転換ですから、皆さんのような、大所、高所に立ってものを判断する方の理解を深めながら発想の大転換をするということでないと、これはなかなかできることじゃないですね。それで、私も、もちろん簡単な問題じゃないと思います。ですから、これをにわかに全国に、などということを言わないで、まあ、とりあえず地方公共団体責任者が共鳴してくれるところから実験都市というような形でやっていくことが望ましい。そして、そこでいろいろな問題が出てくるのです。これを解決するということじゃないかと思うのですがね。ですから、これは、委員会においても、小委員会でこの問題と取り組んでいただけると、もっともっと権威も出てきますし、おもしろい発想も出てくると思いますので、今後ともぜひよろしく御協力を願いたいと思います。
  118. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この交通規制の問題ですけれども、これはけさの読売新聞の宮城版ですが、私、偶然けさ仙台から汽車に乗ってまいりまして新聞を買って読んだら、こういうことが書いてあるのです。この間私ども委員長さんなんかと一緒に仙台に調査に参りましたね。そのときに、十五日から交通規制をやると言っていました。そのやった一つの結果というか、状況ですが、この状況の中で、この総合交通規制をやったら国道四号線がえらい渋滞したと書いてある。これは写真なんかもついていますが、もう、バスが二時間もおくれて、全然動かないので、サラリーマンはみんな上着をかついで歩いたと書いてあります。その一つの状態がこういうことなんですね。一番先に時間をきめて、先にマイカーが行って、そのあとに、今度は規制されたあとバスが入っていく。そうすると、それですいすい行けそうなものだけれども、わきから、規制した道路の間からどんどんマイカーが入ってくる。バスの中にどんどんあんこみたいにマイカーが入ってくるので渋滞してしまった。今度は、時間がほどけると、うしろからどんどんマイカーが入ってくる。前のマイカーが進まないうちにうしろのマイカーがわきから入ってくるので、やらないよりまだ悪いと書いてある。これは仙台で十五日からやった状態を新聞に書いてある。私は思うのですが、これは、ちょっとやそっとの専用レーンとか、そういうもので規制しても何にも役に立たないと思うのです。この間大阪に私ども調査に行ってきましたが、たとえば、大阪にある専用レーンというのは、あの大きなところで、二・四キロしかないのです。優先レーンというのは一一・六キロありますが、この優先レーンというものは、全然ものの役に立たないのです。何にもならない。交通規制があるのは、優先レーンが二・四キロしかない。あのくらいやったって、前後が詰まっているから何の役にも立たない。ただやっているというだけの話なんですね。  私は、これは警察庁の方にお願いしたいのですが、こういうのをもっと大規模に指導か何かしてやれないか。中途半端にこま切れにやったって何の役にも立たないと思うのですよ。地元の方々と相談して、組織的に、もっと大規模にこれをやれないか。こういうことはできないのですか。
  119. 片岡誠

    片岡政府委員 私は、各都市の道路交通の状況なり、それから、そこのバスの運行の実態なりによって相当状況が違うと思います。仙台は相当総合的な計画を立てて、前向きによくやっていると思います。ただ、ある程度、初めは、試行錯誤はやむを得ない。おそらく、初めに出た混雑は必ず補正をして、よりよきものにしていくだろうと思っております。仙台の実験は非常に期待をして見守っているわけであります。  大阪は、御承知のように、ああいう土地柄でございますので、なかなか優先レーンというものは守りにくい土地柄だと思います。したがって、おそらく、専用レーンにしないとなかなか守れないだろうと思います。ただ、大阪の場合には、まだ煮詰まっていない面がいろいろあるので、私どもは、現に東京でやっているように——東京が一番やっておりますが、大阪でも、名古屋でも、バスの優先通行をはかれるいろいろな手法があると思います。それを、単に専用レーンの長さだけで見るのではなくて、現実に定時定速運転ができるような方向をとるように強力に指導いたしております。もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  120. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 先ほど大臣お話しを聞いておりますと、車を持つことは制限できない、車を、こっちの人に持たし、こっちの人に持つなということはできない、だから、そういう車の制限はできないと言っておりましたが、それはそうかもしれないのですよ。だけれども、いまのままで車がどんどん進んでいけばたいへんなことになると思うのですよ。どこかで何かしらの形で、所有に対しては制限できなくても、製造に対しては規制ができると思いますが、どうですか。
  121. 片岡誠

    片岡政府委員 むしろ、製造のほうの制限のほうが困難だと思います。と申しますと、自由化の時代ですから、輸入が自由に入ってくるということで、国産の企業の被害において外国の企業を奨励するということになろうと思います。したがいまして、考えるべき筋合いは、一つは保有の抑制、それからもう一つは、非常に混雑をしたり、大気汚染のひどいところの使用の抑制、この二つであろうと思います。私ども、いま、保有の抑制について、関係省庁と一緒にやっておりますのは、一つは、朝もお話しに出ておりましたが、保管場所の確保に関する、いわゆる車庫規制法を、ざる法でなくして、したがって、車庫を持つ人でないと車を持てないということ、これをもう少しきびしくやっていくことが一つだと思います。それから、もう一つは、駐車規制をきびしていく。考え方、発想の転換をいたしまして、道路というのは走る空間である、駐車をする空間ではない、いわんや、車庫のための空間ではないという方向に現在行政を進めています。そういうことで、間接的ではございますけれども、相当保有の抑制がはかられてきておるのじゃないか。問題は、その混雑主体の使用の制限をどうするか、これが非常に技術的にも問題が多くて困難な問題でございますが、現在、関係省庁とも連絡をとりながら、幾らかの試案的な検討を進めておるのが現状でございます。
  122. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 しかし、車の製造を禁止することが困難だ、不可能だということになれば、一体これはどうなりますか。日本列島改造論になると、十年ばかりたてば、いまの二千万台の車が四千万台になるといっていますよ。この車が四千万台、倍になったら、これはたいへんだと思うのですよ。そのほかに、外国から、アメリカからどんどん入ってくる、中古車がどんどん入ってくる、そうなったら、日本の国は車で埋まってしまうじゃないですか。しかも、それが出す排気ガスがたいへんだと思うのです。四千万台になれば、赤ん坊も老人も、二人に一人ずつ車を持つわけですね。この状態をちょっと想像してみましても、車をつくるのを禁止するのは困難だなんて言っていられないと思うのですが、どうですか。
  123. 片岡誠

    片岡政府委員 現在でも、車が一番たくさん持たれているのが、愛知だとか、群馬だとかいった県が一番保有率が高うございます。これはもうマイカーを二世帯に一台持ってしまっている。東京はさほど持っておりません。また、東京では、マイカー族といっても、ほとんどウィークデーには使わなくて、土曜、日曜のレジャー用に使っているということですが、おそらく、今後GNPが伸びて所得がふえれば、若い人はやはり車を買いたい欲望をなかなか押え切れないのじゃないのか。しかし、おそらく通勤には使わないで、土曜、日曜、あるいは週休二日制になれば、金曜日ごろから使っていくといったような、欧州に見られるような、そういうパターンの車の使用というものが考えられていくのじゃないか。しかし、それでも車は多くなります。私も、何らかの手段で車の増加を抑制したいという気持ちは全く同一なんでございますが、これは、しかし、朝来大臣もおっしゃられたように、あなたはいいけれども、そっちの人はいけないという、そういうけじめがなかなかつけにくい問題ではなかろうか。したがって、世界各国も、車の直接的な保有制限というのはなかなかやりがたく、また、やっていないのが現状ではないかと思います。ただ、バスについて何か実験しているようでございます。車の保有量をもうこれ以上ふやさないという計画を何か進めておるようでございますが、これなどが一つ参考になるのではないかと思います。
  124. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、やはりたいへんだと思うのですよ。たとえば、いまから五年前ですか、三年前ですか、あの光化学スモッグが起きましたね。何が起きたかわからなかったが、よく調べてみたら、ロサンゼルスと同じような現象だというので、光化学スモッグという名前がつきました。それから幾らもたちませんが、いまじゃ、東京都内だけじゃなくて、もう首都圏みんな、天気がよくなれば必ず光化学スモッグの警報が出ますよ。光化学スモッグがもう定着しているのですよ。いまでもそうですよ。この自動車が倍になってごらんなさい。雨が降っても光化学スモッグ、夜も光化学スモッグになるかもしれない。あなたは、愛知県には車はたくさんあるが、東京には多くないと言うけれども、そんなことでどんどん多くなったら、日本国じゅうが平等に車が多くなってきますよ。確かに、保有を禁止することはできないかもしれません。これだって、やればできないことはないと思うけれども、しかし、製造を禁止するということはできると思うのですよ。これこそ発想の転換ですよ。あなたの言われるように蛮勇をふるってやればこれはできないことはないと思うのです。人間の精神の問題ですよ。どうですか。
  125. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、ここで議論をすることが適当かどうか存じませんが、なかなかこれはむずかしい問題だと思うのです。私は、片岡交通局長が答えたのに全く同感なんですが、車の製造を規制するということより、都市が車を一定の時間規制してボイコットする、車を拒否する、これは行政的にできますね。それから、もう一つは、お互い同士のモラルの問題というか、通勤には使わないとか、たしなみの問題として考えていく。また、そういうふうに考える時期が来たのじゃないでしょうか。いわゆるコペンハーゲンのごとく、あるいは北欧諸国の首都のそれぞれのごとく、車は持っておるが、通勤などには使わない。しかし、さっきのお話しにありましたように、経済活動まで否定するのかということなどもあり、これはたいへんな問題ですね。ですから、私は、一定の時間を限ったらいいと思うのです。経済活動に支障がないようにするという行き方もあるんじゃなかろうかと考えて、そこに、思いつきでないところの、一つのくふうを積み上げていく。賛否両論があっていいと思うのです。それだけのことをやろうと思うのですから、当然、反対論の相当な主張が出てきていいと思うのです。そういう反対論も踏まえながら、何か一つ成案を得てみたらどうか。こういうのは理想じゃだめなんですね。思い切ってやってみようという人が出てくるときに初めて可能になるわけですから、そういう意味で、今後の問題として、ぜひこれは佐藤さんも御検討をいただくということでお願いしたいと思います。
  126. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そこで、理想ではなくてできることだと思うのですが、この間かち盛んに言われておりましたが、たとえば、ラッシュのときに都心には車を入れないというようなことはできますか。
  127. 片岡誠

    片岡政府委員 問題は、最低の負担でほんとうに効率のある規制がどこまでできるかという問題だろうと思います。それから、この車は入っていいが、この車は入ってはいけないというけじめをどこに置くかという問題、その二つが大きな問題だろうと思います。二、三年前に運輸省が混雑税的な発想を発表したこともございます。それから、警察が直接マイカーを規制したらどうかという提案も東京都からあったのも事実でございます。しかし、みなそれが提案にとどまっているのは、いろいろまだ詰めるべき問題をかかえているんだろうと思います。そういうことで、関係省庁で、そういう面も含めて、現在いろいろ検討はいたしております。
  128. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 アメリカの話をさっき大臣がしておりましたが、ロサンゼルスに行けばこじきも車を持っている。こじきも車を持たなければ商売にならぬというくらい、自動車がなければ動けない。ロサンゼルスでも、いま話があったように、車を追い出そうということを計画している時代なんですよ。一つの平地面積あたりにすると、日本のほうがアメリカよりもずっと混雑していると思うのですよ。そうすれば、日本でも、いま片岡さんが言われたようななまぬるい方法じゃなくて、もっと真剣に早急にやれるように考えなければいかぬ時期だと思いますよ。いまはただやっているけれども、なかなかむずかしい問題ですなどと言っている時期ではないと思うのですよ。いい方法考え出して、強力にこれを実施することを考えなければたいへんなことになると思うのですよ。どうですか、これは、一生懸命考えて、早急に実施するような意思はありませんか。
  129. 片岡誠

    片岡政府委員 たとえば東京の場合に、具体的に、単に通勤のためだけにマイカーを使っている人というのは案外少のうございます。これは、都心部の全面駐車禁止で相当影響を受けまして、かなり減ってまいっております。実際は、単に通勤するだけじゃなくて、通勤先から業務用交通として使っているという人が、数がずっと多うございます。そうすると、交通需要はあるわけですから、これを禁止すれば、じゃその人たちは何に乗るか、地下鉄に乗るのか、バスに乗るのか、そこの受けざらの問題も十分考えないと、いたずらに庶民いじめの行政になってしまうのではないかという、その辺を私は一番心配しているわけです。
  130. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 交通が、バスがすいすい通れるようになれば、輸送力がうんと増しますよ。速度が三倍になれば、輸送力が三倍になるのです。だから、個々のマイカーなり、そういうものを規制すれば、バスの輸送力はうんとふえますよ。いま言われたようなことは大阪でも調べてきているのです。会社が車を買う、そうすると、店員に車を通勤用に貸してやるんです。店員は、自分のベットタウン、つまり、ドーナツの外へ持っていって、道路上へ放置しておいて、また次の朝に乗ってくる。会社は車庫も何もつくらなくていいから、うんともうかる一あれだけの大企業が一ぱいありますから、ものすごい。それがみんなドーナツを破って入ってくる。これが非常に大きなラッシュの問題だと思うのですよ。こういうものを規制する方法は何か考えたことはありませんか。
  131. 片岡誠

    片岡政府委員 たとえば、それが車庫飛ばしであるとすれば、社員に持って帰らせているところ、そこの保管場所法の適用をきびしくやっていけば、やはり、路上にも違法駐車をしておくことはできなくなる。私どもは、からめ手からその政策を一つとっております。  それから、先ほど申しましたことをちょっとふえんいたしますが、現に、運輸省に提案し、東京都の交通局にも提案を私どもいたしておりますのは、たとえば霞が関の官庁街なり、あるいは日本橋、丸の内へかけて、その辺に循環のマイクロバスなり、循環バスができないものだろうかということです。現にこれはございませんが、そうすれば、役所関係あるいは国会に私どもが参るような場合でも、あるいは商社の人が大蔵省に行く場合でも、そのバスを利用できるのではないか、受けざらをそこにつくってくれないか、それができれば、私どもバスの優先レーンをつくります、専用レーンをつくりますと、そういうことまで私どもは具体的に提案をいたしております。東京都の交通局長も、それの検討を現在してくれているということでございますが、そういう受けざらの情勢とマイカーの抑制とが並行して進むことを私は期待しておるわけであります。
  132. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 さっきから申し上げておりますように、私は、事は非常に急を要すると思うのですよ。ただ考えているだけじゃだめです。発想の転換だ、転換だと、てんかん病みみたいに転換だけしゃべっても、実行しなければ何もならぬ。実行しなければならぬ時期だと思うのですよ。だから、いつも同じ答弁ばかりしないで、大至急関係のところと協議することは協議して、できることは実施してもらいたいということを強く要望しておきます。  それで、大臣もさっき言っておられましたが、たとえば規制の問題ですね。どこかに一つ、テストというか、モデルの都市なり何なりをつくって、そうして、よければそれを全部に広げていくというようなことを言っておりましたね。   〔中山(利一委員長代理退席、委員長着席〕  これは一つの提案ですけれどもあと一カ月ありますが、いろいろもまれて疲れてきたころ、二十日ごろでもいいですから、いまの都内へのマイカーなり一切の自動車の乗り入れをぴたっととめて、そうして通勤者をどんどん楽に運べるような、何と申しますか、いま歩行者天国をやっていますが、あれと同じような通勤者天国みたいなものを一月に一ぺんやるというような、そういうようなことをテスト的にやってみたらどうですか。歩行者天国などといって、短いところをただ歩かしてもしかたがないので、通勤者天国をつくって、ほんとうにすらっとつとめ先まで自宅から通してみせるというようなことを、思い切って、テストのモデルとしてどこかでやってみたらどうですか。これは一つの提案です。
  133. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いや、たいへんおもしろいアイデアだと思います。これは、東西南北四つくらい、まずとりあえずルートをきめて、そうして、その路線だけは、通勤者天国というか、路線バスがすいすい動く。いいじゃないですか。これはひとつ十分検討して、話だけにしないで、ほんとうに実行に移しましょう。いいお話だと思います。
  134. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 どうかひとつ、それを考えてください。  終わります。
  135. 上村千一郎

    ○上村委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  136. 上村千一郎

    ○上村委員長 では、速記を始めてください。  折小野良一君。
  137. 折小野良一

    ○折小野委員 再建の問題に関連をいたしまして、まず、基本的に二、三お尋ねいたしたいと思います。  現実再建をやる方法といたしまして、いろいろあろうかと思いますが、今回は、特別の立法をもって再建促進したいということでございます。それから、旧再建につきましては、地方公営企業法の関係でおやりになる。それから、またもう一つ方法といたしましては、予算的に助成その他をいたしまして、そして、それに行政指導を加える、こういうような再建方法もあろうかと思っております。そういうようないろいろな方法の中で、今回、健全化促進に関する法律というもので再建をやろう、こういうふうにしておられるわけなんですが、それぞれの再建方法についての考え方、あるいはその効果、そういうものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  138. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま御指摘になりましたように、再建のやり方はいろいろあるわけでございますが、私ども考えましたのは、現行の公営企業再建法の再建方式というものによらないで、単行法による。しかも、その場合におきまして、路面交通だけを切り離して、地下鉄は再建の対象にのせない、こういうことにつきましては、それなりの理由がございます。現行法の改正方式によりませんでしたのは、現行法の再建方式によりますところの国の財政援助方式、これより格段の前進した内容があるということがございます。それから、地下鉄につきましては、現在再建の対象とするのには、建設途上でございますし、地下鉄の場合でございますれば、最低二十年以上の長期的な期間で採算をとるということがございますので、そういった面で、今次の再建の対象には取り上げなかったということでございまして、現在の御提案申し上げておりますところの再建方式というものが最も効果的ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  139. 折小野良一

    ○折小野委員 地下鉄は、新しく建設の途上にありますので再建の対象にしなかったということはわかります。バスその他の路面交通につきましては、現在より強力な再建方策を進めていく。その趣旨から考えてみました場合に、今回御提案になっておりますとの法律において、いわゆるその目標といたしております再建は、どういう状態に持っていくことを再建というふうにお考えになっておるか。すなわち、再建のめどについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  140. 鎌田要人

    鎌田政府委員 再建でございますから、究極的なねらいといたしましては、路面交通事業経営の基盤というものを確立をする、こういうことでございます。そのための手段といたしましていろいろの措置考えておるわけでございますが、当面具体的な目標といたしましては、少なくとも、この再建期間中に、既往の赤字不良債務、これを全部企業外で消しますけれども、その後の時点におきます赤字というものにつきましては、これを発生をしない、あるいは発生をいたしましても、その再建期間の全体を通じて不良債務というものをゼロにする、こういうことが目標でございます。
  141. 折小野良一

    ○折小野委員 わかりました。そういうような目標でこの法律ができておるということになりますと、前回の旧再建の失敗から考えてのことでございますが、その目標を達成させるために、いまこの法律案に盛られております具体的な再建方策、たとえば再建債を発行するとか、あるいはそれに対して利子補給するとか、こういうような方策でそのめどが達成できない、不可能であるというような状態が出ました場合におきましては、具体的な再建債をさらに検討し直して、そして、あくまでも十五年間たったら一人立ちできるような状態に持っていく、こういう目標でございますね。
  142. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そのとおりでございます。
  143. 折小野良一

    ○折小野委員 わかりました。そういうようなことでございますなら、今後いろいろな問題が出てまいりましても、その際に、それぞれの時期において必要な施策を講じていただけるものだ、こういうふうに確信をいたしますので、その点はひとつよろしくお願いをいたします。  ところで、今日の地方公営交通がかかえておる問題の中にいろいろな問題がございます。たとえば行政路線というような問題がいろいろあるわけなんでございますが、これは、基本的には、運輸省のほうでいろいろと路線の認可というようなことがございましょう。大体、民営に許可しておいでになる路線は採算路線である、それから公営のほうは不採算路線現実に非常に多い、こういうようなことになっておりますが、この路線の認可関係につきまして、民間と公営についてどういう基準をもってやっておられますのか。そういう基準がございましたら、あるいはその方針というものがございましたら、ひとつお知らせをいただきたい。
  144. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生の御質問は、民営と公営とにつきまして、路線の認可等につきまして、何か区別したような基準でも持っておるかという御趣旨てございますか。——その点につきましては、特に、公営であるから、あるいはまた民営であるからということで、路線の認可につきまして区別をしておるという事実はございません。
  145. 折小野良一

    ○折小野委員 といたしますと、現実に民営のほうから申請してくる路線が採算がとれる路線であり、公営のほうから申請してきておる路線現実に不採算路線であるのだと、こういうようなことでございますね。
  146. 佐藤久衛

    佐藤説明員 行政路線の問題に関連いたしまして、いまいろいろ行政路線についてのお考えというふうなものは差異があろうかと思いますけれども、たとえば、前に大臣から、あるいは自治省のほうから御答弁申し上げたかと思いますけれども大都市近郊の団地バスのようなもの、これは新規の路線免許であるわけでございます。これは、開設当初におきましては、団地の開設というものは、逐次入居者がふえてくるという形でございますので、当初の段階ではどうしても不採算ということが生ずるわけでございます。こういうものにつきましては、採算面がどうのこうのというよりは、やはり、団地に住んでおられる住民の方の交通サービスを確保するんだという考え方から、これは公営であろうと、あるいはまた民営であろうと、同じような考え方でいろいろな助成をする、あるいはまた開発者に対して経済的な協力をしてもらう、こういうような考え方で来ております。  それから過疎バス、俗に言う地方閑散路線でございますが、これにつきましては、実は、新規の免許申請というものはございませんわけでございます。したがいまして、民営、公営というふうなことにつきましての、特に新規路線免許という事例はございません。
  147. 折小野良一

    ○折小野委員 バス事業は、各地におきましていろいろな事情がございます。ですから、一がいには言えないだろうと思います。その地域で民営だけだ、あるいは公営だけだということになりますなら、新しいバス路線の開設というのは、ほとんどその企業が持つのだということにならざるを得ませんが、ただ、東京のような民営と公営とが競合しておる地域におきましては、全体的にどの路線が民営であり、どの路線が公営であるということにいろいろと経営上の問題も関連をしてまいるわけであります。現実には、公営関係バス路線におきましては、ほとんどが不採算路線になっておるということが現実なわけなんです。こういう面につきまして、運輸省としては、それぞれの地域の路面交通体系というものから考えて、行政指導と申しますか、そういうことが行なわれますかどうか。たとえばいま具体的にお話しになったように、ある団地ができる、そこに通勤用のバスを入れなければならないといった場合に、それは不採算路線であるから公営企業にというふうにお考えになるのか。あるいは、現在は不採算路線であっても一将来は採算路線になり得る、また、その他のいろいろな情勢を考えると、それはやはり、ある一つの民営の企業がやることが合理的であると、こういうふうにお考えになって、その民営企業におすすめになるというような指導が行なわれますかどうか。そういう点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  148. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生の御引用なさいましたところの、新しく開発される団地バス等につきましては、実際的な問題としましては、団地の開発者というふうなものが、公的な機関によって行なわれたというふうな場合が相当多いわけでございます。したがいまして、公営バスというふうなものの手によってその路線が開設される場合というものも相当あるんじゃないかと思いますが、私どもとしましては、公営のみならず、かりにそれが、たとえば近隣の鉄道の駅までの路線を民間の業者が持っておるという場合には、それがある一定の期間不採算路線であるというふうな事情がありましても、やはり、民営に対しても、そういう経営といいますか、それが不採算路線であってもこれを経営するというふうな指導もいたしておるわけでございます。したがいまして、その場所のいろいろな具体的な事情によりまして、あるいは公営において負担していただいたらどうだろうかとか、あるいは民営がもっと路線の増強をしてこういうふうな改善をしてほしいとか、こういうふうな指導をしております。
  149. 折小野良一

    ○折小野委員 それぞれの地域の交通体系につきましては、いろいろお考えになっておられることだと思います。しかし、そういう中におきまして、現実に、特に大都市におきまして、民営の交通事業がある程度もうかっておるにかかわらず——もちろん、もうかるにつきましても、もうかるだけのいろいろな対策も講じられておるだろうと思いますし、そしてまた、そういう大都市におきまして、地方公営交通が非常な赤字に悩まされておるというような現実があるわけであります。交通体系というものは、ただ単に企業経営の黒字か赤字かということだけで判断するわけにはまいりませんですが、しかし、現在の実態から見ますと、これは何とか改善を要するのじゃなかろうか。こういうような事態に来ておりますことは間違いのない事実であろうと思います。  そこで、運輸省といたしましては、たとえば東京であるとか、あるいは大阪であるとか、そういう大都市路面交通の問題につきましては、これを何らかの意味において改善していくというような方策考えられていいんではなかろうかというふうに考えますが、具体的にそういう面の検討がございますかどうか、お伺いいたします。
  150. 佐藤久衛

    佐藤説明員 大都市におきますところの交通サービスの改善等につきましては、先ほどから大臣あるいは警察庁のほうからいろいろ御説明申し上げておりますけれども、まず、第一には、現在の公営交通といいますか、大量公共交通機関のサービスがいろいろな問題に逢着いたしております大きな原因は、いわゆるモータリゼーションの急激な進展に伴いまして、いわゆる外的環境というふうなものが、こういった公共交通機関にとって非常に不利な点がある、こういう点が第一点でございます。したがいまして、この問題につきましては、先ほど警察から御説明がございましたように、バスの優先レーンの問題とか、あるいはまた、場合によりましてはいろいろ交通規制等をいたしまして、そういうバスを中心といたしますところの交通サービスの改善をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  第二の問題といたしましては、やはり、高速鉄道を中心といたしますところのネットワークを形成する必要があるということから、東京、名古屋、あるいはまた大阪といった地区につきまして、それぞれの地下鉄網の建設計画というようなものを持っておるわけでございまして、これにつきましても、前から御説明申し上げてございますように、国及び地方公共団体のほうからの補助を手厚くいたしまして、そういったネットワークを形成することによって大都市交通の改善の一助ともいたしたい。  第三の問題といたしまして、モノレール等につきましてのいろいろな御提案もございましたように、新しい交通機関等によりまして、それぞれの地域の実情に応じました交通サービスというふうなものを親身に提供する必要がある、こういうふうな方向で検討しておるわけでございます。
  151. 折小野良一

    ○折小野委員 いまお話しがございましたようないろいろな問題について、特に、都市交通についての改善あるいは検討がなされる。これは、今日きわめて必要なことであろうと思います。そして、そういう中におきまして、地方公営交通の赤字、これもまた一つの大きな問題になってまいっておるわけであります。過去におきます再建が失敗した原因の中に、その一番大きいものは、ただいまおっしゃったモータリゼーションという問題があるということでございますが、一つは、料金合理化と申しますか、端的に言えば運賃の値上げ、こういうような場合のいろいろな手続が非常に繁雑である、そしてそれが決定されるまでに非常に時間を要する、したがって、再建をやるにつきましても時を失する、そういうようなことが再建を阻害した一つ原因であるということがそれぞれの公営企業関係者からも言われておるわけでございます。その手続は運輸省の手続だけじゃなかろうと思いますけれども運輸省の手続もそのうちの一つであろうと思うのでございますが、各地方公営企業におきましては、料金決定等につきましては、それぞれの議会等におきまして非常に慎重な検討がなされるというのが普通の状態でございます。その上にさらに国のほうの手続の関係で引っぱられる、それによって時期を失する、こういうようなことがあるわけでございます。こういう面について、運輸省として、改善方法というものをお考えになっておりますかどうか。地方団体の端的な要望は、いわゆる届け出制にしてくれということなんです。ということは、その手続を簡素化してくれ、早くきめてくれということなんですが、そういう点についての運輸省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  152. 佐藤久衛

    佐藤説明員 まず、料金の改定の問題につきましてでございますが、これは、大都市地方都市の場合とで手続が異っておるわけでございます。御承知のように、物価関係閣僚協議会がございまして、この料金改定につきましては、重大なものはそこに付議されて、政府の物価政策上の観点からいろいろな調整が行なわれるということになっておりますけれども地方バス事業等につきましては、できるだけその手続を簡略化いたしまして、政府部内の事務的レベルにおいて、協議等の方法によりまして、迅速に処理するというふうにいたしておる次第でございます。しかしながら、東京をはじめといたします六大都市等におきますところの公営交通企業料金等につきましては、その及ぼす影響というふうなものが、物価政策上の観点だけでなく、先ほども御説明申し上げたことでございますけれども、ほかの交通事業との交通輸送調整といいますか、そういうふうな面もいろいろございますので、現在は、閣僚協のベースまで上げた形において審議をするというふうな手続をとっておる次第でございますけれども、先生御指摘のように、その企業に対する及ぼす影響というふうなものを考えますときには、われわれも極力この手続を迅速化しなければならない、こういうふうな形で現実に処理してまいっておりますし、今後ともその方針でおるわけでございます。  ただ、料金を届け出制にしたらどうかということでございますが、これは、先ほど言いましたように、民営の交通機関との料金の調整の問題というふうなこともいろいろございますし、単にそれが料金水準が違うというだけでなく、それは、交通といいますか、輸送の調整の機能を実は料金制度というものが持っておるわけでございます。したがいまして、料金の面だけでこれを判断するわけにはいかぬということが第一点。第二点といたしましては、御承知のように、これらの公営企業に対していろいろ国の助成が行なわれているわけでございます。したがいまして、そういった財政的な助成というふうなもののからみ合いにおいて、届け出制というふうなものに一挙に踏み切ることはいかがなものであろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  153. 折小野良一

    ○折小野委員 運輸省の関係だけじゃなかろうと思うのですけれども、一応お尋ねいたしますが、それぞれの地方の公営交通の事業主体から認可の申請がありまして、それが認可される、それまでの時間は現実には一体どれくらいかかっているのでしょうか。これは運輸省だけじゃありませんよね。その他いろいろな関係、いまおっしゃった経済企画庁とか何とかの関係もありますでしょうが、現実に運賃値上げができるまでの時間ですね。
  154. 佐藤久衛

    佐藤説明員 それぞれの事業の申請した時点において違うわけでございますけれども、いわゆる純然たる新規というふうな場合でも、極力三カ月以内くらいに認可をしておるというのが実情でございます。たとえば、ほかの大都市周辺の地域におきまして新規に認可を申請してきたというふうな場合、その中心となる大都市においては、一つ料金水準というふうなものが改定されまして認可されておるというふうな場合は比較的早く手続が進められておる、こういうような実情でございます。
  155. 折小野良一

    ○折小野委員 これは必ずしも一様じゃなかろうと思います。いろいろなそのときの情勢もありますでしょうし、あるいはまた、その地域の特殊性とか、いろいろな面もあろうかと思います。しかし、私どもが聞いておりますところでは、三カ月以内くらいのものじゃ決してなくて、半年も、それ以上も認可されないというように聞いておるわけです。ですからこそ、例の旧再建が失敗したのは、手続が非常に繁雑であって時間がかかる、そのために再建の時期を失した、こういうことが一つの大きな原因としてあげられておるわけなんです。ですから、こういう点については、決して三カ月くらいなことじゃなかろうと思いますよ。もちろん、それは運輸省だけのことじゃないと思いますよ。ほかの関係のところもございますでしょうし、再建団体ですから、自治省関係のものもありますでしょう。あるいは、その時期によりましては、物価関係の問題もいろいろとあろうと思います。そういう面は、現実には、いまおっしゃるように、三カ月以内で認可しておるというようなことじゃないと思いますが、どうなんですか。
  156. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生御指摘のように、過去において、おっしゃられるような点があったことは決して否定はいたしません。ただ、その理由といたしますのが、やはり、企業者のほうにおきまして適宜適切な時期においてやっていただくということを前提といたしまして、それに基づきまして私どもがいろいろな審査をいたします。その上、さらに関係各省と協議をいたしまして、国の物価政策上等々の観点からの検討もいたします。こういうふうなことによりましておくれるという事例があったことは否定できないわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、この料金の決定手続等につきまして、極力迅速に処理するという方針でただいまの段階では進めておるわけでございます。
  157. 折小野良一

    ○折小野委員 極力早くやっていただくことを望んでおりますのは当事者なんです。しかし、現実には、今日までなかなかそうもやってもらえなかったというようなことでございます。  そこで、これも過去のことなんですが、地元から出てまいりましたその申請に対しまして、その料金はいけない、あるいはこうしなさいというふうに直すことを要求される、こういうようなことは現実にございましたでしょうか。
  158. 佐藤久衛

    佐藤説明員 バス事業等につきましては、先生御承知のとおり、一つ経営上の指標というふうなものがございまして、それによりましていろいろな料金改定等の指導もいたしておるわけでございます。したがいまして、それに基づいて申請書が出されてくるというふうな場合には、私どものほうも、極力審査事務等も簡素化してきておるという実情でございます。ただ、大都市等の公営企業から出されました料金の申請に対しまして、申請とおりの料金への値上げの時期——一定の時期以降から申請どおりにしたらいかが、それまでの間はこの程度に修正したらいかがというふうな形で指導したケースはございます。
  159. 折小野良一

    ○折小野委員 いまお話しを聞きましたところによりましても、それぞれの事業主体からはいろいろと手続もとり、慎重に検討もして、また、いろいろな実態、特に国のほうで考えておられる指標等に合致するように申請が出されておるんだと思います。そういう面から考えますと、いろいろと行政指導を加味されるということはけっこうだと思いますが、特にいまのような制度でなくても、もっと簡単にして、届け出制にするということも決してできないことではないんじゃなかろうかというふうに私は考えるわけなんです。いろいろ問題がありましたら、そういう問題について、直接具体的に行政指導をやられたらけっこうなわけでして、認可制度にぜひしておかなければならないというような、それほどの理由はないように私は考えるわけです。むしろ、事務を簡素化する、早急に事を処理する、そして、再建が必要ならば、一刻も早く再建を急がせる、そういうことのほうが先なように考えられます。届け出制にする、その他事務を簡素化する、迅速に事を処理できるような体制を整える、そういう面についてひとつ十分に御検討をいただきたいと思いますが、一応の御見解を承ります。
  160. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先ほどから申し上げておりますように、私どもも、料金の認可等につきましては、極力事務手続を簡素化し、かつ、迅速に処理するという方針で参っておるわけでございますが、いま先生が御指摘の、届け出制というような問題につきましては、それぞれの企業の体質といいますか、企業の規模等に差異があるわけでございます。したがいまして、その構成します料金の原価というふうなものもいろいろ差等がございますし、また、先ほど言いましたように、ほかの近隣のいろいろな交通機関、あるいは競合するバス路線等の調整というふうな問題があるわけでございます。そういうふうな問題を、届け出制というふうな形で、はたして完全に調整することができるかどうかという問題点もございますので、先生御指摘の点も一理あると存じますけれども、われわれのほうでも、その問題は相当慎重に検討しなければならぬ問題だと、かように考えておるわけでございます。
  161. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいま運輸省からいろいろお話しがございました。しかし、現実には、それぞれの地域におきましても、それぞれの機関を通じて十分検討もされ、また、慎重に考慮も払われた上で申請がなされておるわけでございます。そうしてまた、過去の経験その他、いろいろな基準とか指標とかいうものもあるでございましょうし、そういうものを整えるということによりまして、これを認可制度にしておかなければならないという基本的な理由は必ずしもないように私は考えるわけでございます。  そういう点につきましては、ただ単に運輸省だけの問題ではございませんので、ひとつ、自治大臣が中心になっていただきまして、関係各省の調整をはかっていただく。特に、それぞれの企業立場になっていただきまして、特に、せっかく再建をしようという団体におきましては、その再建の支障になるるようなことが起こらないように、御尽力をお願いいたしたい、かように考えます。ひとつ、よろしくお願いいたします。
  162. 江崎真澄

    江崎国務大臣 運輸省側からだんだんの答弁もありましたので、私、繰り返しませんが、いまの先生の御意見は、法策定のときにも、各省庁間で意見が分かれた点でございます。最近に至りましても、総理大臣ども地方議会やいろいろな機関を通じてきめてきたものは、簡素化の意味から言っても届け出制にしたらいいではないかという意見を持っておられます。現に私にもそういうことを言っておられました。ただ、問題なのは、運輸省側からもああいう答弁がありましたように、この際、公営交通の料金だけが届け出制でいいか、民営その他とのバランス上の問題はいいか、経済全体の問題はいいかというようなことでこうなったわけでありまするが、早く認許可がおりるように事務手続をもっと簡素化し、スピーディーにやれ、こういう御趣旨に承ります。したがって、その実があがるように、ひとつ、関係省庁と緊密に連絡をしまして十分話し合いをいたしてまいりたいと思います。  そのほか、料金ばかりではなくて、路線の休廃止の問題その新設、運行系統の変更、運行回数、停留所の設置、道路使用の問題、いろいろございますね。そういうような面で、地方に委譲していいもの、また、届け出制にしていいもの、こういうものについては、やはり各省庁間で話し合いをいたしまして、料金はだめでも、せめて、そういった関連の問題については、ある程度権限委譲をするというような方向で検討してまいりたいと思います。
  163. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣も、企業努力ということを盛んにおっしゃっております。企業努力は大いにやらなければなりませんが、ひとつ、政府のほうもそういう面で御努力をお願いいたしたいと思います。  ところで、もう一つの問題といたしまして交通環境というものが問題になってまいっております。先ほど来いろいろとお話しがございまして、聞かせていただいておりますのですが、この前、横浜の助役さんのお話でしたか、現在のところ、横浜市におきましてバスの専用レーンをお願いしておる、横浜におきましては、片側二車線以上というような基準でございますか、そういうような基準で認めていただいた、しかし、実際は非常にこんでおる、したがって、片側二車線ない道路においてこそ専用レーンその他がほしいんだ、こういうような御意見がございました。そういう面につきましては、現地においてもいろいろ検討されておることだろうと思いますし、また、現地の実情もいろいろあることだと思いますが、警察庁としてはどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いします。
  164. 片岡誠

    片岡政府委員 優先レーンあるいは専用レーンと申しますときは、片側二車線以上あって、その二つのうち一つバスの優先または専用とする、こういう仕組みでございます。したがいまして、片側一車線という場合には、優先レーン、専用レーンという概念に入るのではなくして、かりに、そこのバスの優先通行を考えるとすれば、バス以外の車の通行どめという交通規制をせざるを得ないと思います。現に、そういうことをしておる場所がある程度ございます。たとえば、市川の団地から駅までの間だとか、八王子あるいは立川といったところて、郊外駅へ来る——距離は短うございますけれども、市川の場合で約二キロばかり、朝の七時から九時までの間はバス以外は通さない、こういう規制をしております。それが非常に有効に働いておるようであります。しかし、距離が長くなりますといろいろ問題が出てまいります。市川や八王子あるいは立川をやるときも、地元警察が非常に苦心をしております。つまり、そこを禁止しましたら、よそへ行って、裏通りへ入っていって、裏通りの交通が危険になっていってもだめだ。したがいまして、そこをバス以外通行どめにする場合には、ほかの道路のほうも全部規制をかけていく、そして、できれば、迂回路をほかの車のためにとっていくというような、非常に広範な調査と規制を前提として、そして、そこをバス以外は通さない、こういう交通規制になっております。そういう、バス以外は通さないというのが非常に有効な場所については、そういう方策をとるように指導しておりますけれども、いろいろこれはよほど調査をしてやらないと、一般的にすべてそうするというのにはまだ問題を持っておるのではないか、かように考えております。
  165. 折小野良一

    ○折小野委員 いま申し上げましたような点は、やはり、現地でいろいろと御協議いただくことが大切なことじゃなかろうかと思います。  同じその問題でございますが、私ども京都に参りまして、実際にバスに乗せてもらって見たのでございますが、そのときに、あそこの西のほうの、いわゆる堀川通りを通ったが、あの通りは非常に広いのです。この広い通りにバスの専用レーンをお願いしておるが、なかなか認めてもらえません、どうしてか理由は全然わからないのだ、しかし認めてもらえません、こういうような話が現地でございました。現地で聞けばよかったのですが、現地で、警察とか交通関係の人に聞く時間的余裕がございませんでした。それも、やはり、向こうのいろいろな事情もあろうかと思いますが、その点については、警察庁としては何かつかんでおいでになりますか。
  166. 片岡誠

    片岡政府委員 京都府警で一番心配しておりますのは、堀川通りに並行して、西のほうに烏丸の通りがあります。烏丸の通りに地下鉄の工事をことしから始めるということになっておるようでございます。したがって、その地下鉄の工事をやって、あそこのほうが交通が制限されてきた場合に、堀川通りに直ちに影響が出てくるんではなかろうか、その辺ももう少し見通しをつけて規制をしていかないと、せっかくやったけれどもうまくいかないということになってはいかがであろうかということで、いま検討を続けておる、このような情勢でございます。
  167. 折小野良一

    ○折小野委員 そういうような理由でありますならば、現地でいろいろお話しいただければ、関係者も理解をするであろうと思います。そういう点の意思の疎通が十分でないように考えられます。地方公営交通そのもの、どちらに理由があるかは、あるいは原因があるかは別といたしまして、そういう面については積極的に御協力をお願いいたしたい、かように考えるわけでございます。  ところで、京都なんですが、これも見さしていただいて、いろいろ話が出たのですが、あそこでは、五二%ですが、まだ路面電車が残っております。これから地下鉄が入り、その他いろいろな合理化が進むことによりまして路面電車廃止していこう、こういうことになっておりますが、ただ、あそこの場合は、古都であるという理由も一つはございますが、そればかりでなくて、町の形態からいたしまして、路面電車の循環線と申しますか、いわゆるこちらで言う環状線、そういうものを一つ残しておきたい、こういうような希望があるんですが、運輸省として、交通体系を考えた場合に、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  168. 佐藤久衛

    佐藤説明員 都市交通の問題につきましては、先ほどからもお話しが出ておりますけれども、やはり、大量交通機関でございますところのバス、あるいはまた地下鉄というふうなものを中心といたしまして、それに補完的な機能といたしましての、たとえば新しいモノレール等の交通機関というふうなものを考えておる次第でございます。  なお、先生御指摘のように、路面交通の中における電車等をどういうふうに考えていくか、これは一がいには言えないかとは存じますけれども政府部内で策定いたしました総合交通体系に関する基本方針といたしましては、その使命の終わった路面電車等につきましては、これを撤去いたしましてバスにかえていくということが一応うたわれておるような次第でございます。
  169. 折小野良一

    ○折小野委員 これは京都の特殊事情だろうと思いますが、御存じのように、東京におきましては、山の手線、環状線があります。大阪も環状線があります。これはもちろん国鉄がやっております。ところが、京都はああいう都市形態をなしておるわけです。もちろん、合理化という面からいきまして、現在路面電車廃止しようというふうにいたしておりますし、現実に相当程度廃止されておるわけです。しかし、京都のあの都市の形態からいたしまして、あそこの路面電車の環状線、あれだけは残していったほうがいいんじゃなかろうかという考え方があるわけであります。私どもも、東京の環状線、大阪の環状線を考えた場合に、やはり、交通体系という面から見ても、あれはいいんじゃなかろうかという感じがいたします。これが一つです。  それから、もう一つは、京都は御存じのようにいわゆる古都ですから、できるだけ古いものを残していきたい、あるいは、周囲の美観をできるだけそこなわないように考慮いたしたい、そういう面からいたしますと、あれを高速道路にするとか、あるいはモノレールにするとかということがはたして京都に適するかどうか、こういう問題もあるわけなのであります。(江崎国務大臣「賛成だな」と呼ぶ)そういう面の御検討といいますか、そういうものがございますか。
  170. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生御指摘の諸問題等につきましては、私どもとしまして、具体的にそのほうが好ましいというふうに申し上げる資料を持ち合わせないわけでございますけれども、一般的に申し上げますならば、先ほどお話しのように、京都というところが非常に古い都であり、そういう都市め美観の問題というようなこととか、さらに、京都と申しましても相当大規模な交通需要がございまして、いろいろ道路混雑等も起こっておるわけでございまして、したがいまして、その道路交通、都市交通をどのように円滑に運営するかということの、いわゆる交通規制等の問題とか、あるいはまた、いまの問題と関連いたしまして、新しい交通機関としての地下鉄構想というふうなものも一部考えがあるようでございますけれども、それとの関連とか、さらにまた、これも公営交通企業でございますので、企業体経営上の諸問題というふうな諸問題等をからみ合わせました上で検討さるべきものかと思います。したがいまして、残念でございますけれども京都の場合に、その路面電車を温存すべきかどうかということにつきましては、具体的にちょっとお答えいたしかねるような次第でございます。
  171. 折小野良一

    ○折小野委員 まあ、それぞれの地域におきまして、それぞれの特色があるのでございますから、それは具体的にその問題について御検討いただかなければ、一般的にどうこうということはいけないと思います。  大臣、賛成だというふうにおっしゃっておりましたが、これはここの問題とちょっと離れますが、しかし、こういうものを考えますときに、ただ単に健全化合理化だけですべてが解決する問題じゃないんじゃないかと思います。ただいま申し上げました京都の例なんかも、交通体系という面からもそういう考え方もあっていいと思っておりますし、また、こういうモータリゼーションの世の中にのんびりしたチンチン電車が走っておるということも、あるいは、古都である京都にはふさわしいあり方かもしれません。そういうような面からいたしますと、やはり、いろいろな面から問題は考えていくべきであって、ただ単に合理化という面からだけ割り切っていくべきじゃないんじゃないかというような点も考えます。そういうような面につきましては、今後の再建計画の中におきましても十分御配慮をお願いいたしたいと思うのでございますが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  172. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、さっきから承っておりまして、私も京都の地理は相当承知しておるつもりでありますが、やはり、残ることが望ましいと思います。したがって、それは京都市側のものの考え方が中心になって今度の再建計画が提示されるわけでございますから、京都側がそういう希望を持っておられるのに、自治省が過剰な介入をして、それを撤去するだのどうだの、そういう誤った指導はいたさないように十分気をつけてまいりたいと思います。
  173. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは、次に、この再建に関しまして、今日までの自治省のいろいろな御答弁の中で、事業所税という話がいろいろと出てまいっております。都市財源という面につきましていろいろと要望も出ておりますし、また、御検討もなさっておることだというふうに考えておりますが、今後新しくこの再建計画を進めていく上におきまして、それぞれの都市一般財源からの投入というものも相当出てまいるわけでございます。したがって、それぞれの都市の今後の財政需要という面から考えまして、やはり、ある程度の財源対策というものは考えていかなければならない事態になってまいっておるというふうに考えるわけでございますが、いままで自治省のほうでいろいろおっしゃっていただいておりますこの事業所税、これは、具体的に来年なら来年から直ちに起こしてやっていこうという確たる御方針があってのことでございますか。この点をお伺いしたいと思います。
  174. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題は、昨年からでも実施したかったわけでありますが、課税対象をどうするか等々の問題で一年見送りになったわけでございますが、御承知のように、政府の税調もすでに作業を始めております。私ども政府与党における税調でもこの問題は話が出ております。特に、これは、政府税調の側において事務所・事務所税を設定をすることが望ましいという意見が出ておるわけでございますから、これらの意見を十分徴しまして、きょうは税務局長は来ておりませんが、来年度から実行するというつもりで現在検討いたしております。よく税調と緊密に連携したいと思います。
  175. 折小野良一

    ○折小野委員 少しその内容についてお伺いをしておきます。  もちろん、まだ未確定な問題だと思います。この事務所・事業所税を創設するということになりました場合に、それぞれの都市交通の再建問題に対するそれぞれの都市一般財源からの投入、それをこの新しい税においてまかなえるというふうにお考えになっておられるのか、どの程度のものを予定して検討しようというのか、その点、はっきりした点はおわかりにならないと思いますが、大体の予定でお話しをいただけたらと思います。
  176. 鎌田要人

    鎌田政府委員 都市整備税の考え方といたしましては、四十八年度に向けまして私ども検討いたしましたときの考え方といたしましては、いわゆる事務所・事業所税をいわば発展させた考え方でございまして、一定の都市を限定いたしまして、大体大都市あるいはその周辺の都市、こういうところを考えておったわけでございますが、そういうところに立地いたしておりますところの一定規模以上の法人の事務所・事業所を客体といたしまして、そこで雇用されておりますところの職員の給与額、それから事務所・事業所の固定資産の価額、それから法人所得、こういった三つのものを課税標準として組み合わせていく、こういうことで考えておったわけでございます。  ただ、実は、私どものこの税の構想は、いわゆる国土改造のための財源というものとのからみという面がございましたために、国土改造の構想というものが具体的にならない前に税の構想だけが先に走るというのはいかがなものであろうかということでさたやみになったというのが、四十八年度に向けての私どもの作業の決着でございました。  四十九年度におきまして、この法人に対して負担を求める、その場合に、この都市整備税という形で持ってまいるというのが一つ考え方としてあると思います。もう一つといたしましては、法人税に対する増徴とあわせまして、地方税である法人税割りの増徴をはかってまいる、この考え方が一つあろうかと思います。それから、御案内の固定資産税の法人に対する課税の強化、これが行なわれておるわけでございます。そのほかに、第七次道路整備五カ年計画というものとのからみにおきまして、市町村の道路目的税源というものをどうしても拡充をしてまいりたいということを私ども考えておるわけでございます。そういった一連の措置が講ぜられますならば、このいわゆる大都市問題、こういったものに投入し得る財源というものがかなり大幅な増加を見る。その中で、道路はもちろんでございますけれども大都市の再開発なり、あるいはこういった交通財源というものがおのずから生み出されてまいるのではないだろうかというふうに考える次第でございます。これは、ただいま大臣からも申し上げましたように、当面、政府税調等におきまして、あるいは地方制度調査会におきまして御審議を願いまして、この実現の運びに持ってまいりたい、こういうふうに省内で考えておるところでございます。
  177. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは、終わります。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  178. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、おはかりいたします。  両案審査のため、去る六月十一日及び十三日に、京都府及び宮城県に委員を派遣いたしましたが、派遣委員よりそれぞれ報告書が委員長の手元に提出されております。本報告書を会議録に参照掲載をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 上村千一郎

    ○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は第三十一号末尾に掲載〕      ————◇—————
  180. 上村千一郎

    ○上村委員長 連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  現在社会労働委員会において審査中の厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及び国民年金等の積立金の運用に関する法律案について、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 上村千一郎

    ○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、開会日時は公報をもってお知らせいたしますが、一応明二十日の予定でありますので、念のため申し添えておきます。      ————◇—————
  182. 上村千一郎

    ○上村委員長 参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  警察に関する件調査のため、委員会参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 上村千一郎

    ○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 上村千一郎

    ○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次回は、来たる二十一日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十分散会