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1973-06-15 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十五日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 高鳥  修君 理事 中村 弘海君   理事 中山 利生君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 山本弥之助君 理事 吉田 法晴君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       保岡 興治君    岩垂寿喜男君       佐藤 敬治君    山口 鶴男君       山田 芳治君    多田 光雄君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   江崎 真澄君  出席政府委員         警察庁長官   高橋 幹夫君         警察庁長官官房         長       丸山  昮君         警察庁刑事局長 田村 宣明君         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         警察庁交通局長 片岡  誠君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         外務政務次官  水野  清君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         警察庁長官官房         総務課長    吉田 六郎君         警察庁警務局参         事官      大塚 惟謙君         警察庁警備局参         事官      中島 二郎君         警察庁警備局公         安第二課長   中村 安雄君         文部省初等中等         教育局審議官  諸澤 正道君         農林省構造改善         局農政部農政課         長       関谷 俊作君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十五日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     山口 鶴男君   土井たか子君     渡辺 惣蔵君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     小川 省吾君   渡辺 惣蔵君     土井たか子君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  警察に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案及び山口鶴男君外十九名提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案審査参考に資するため、去る六月十一日に第一班を京都府に、十三日に第二班を宮城県に、それぞれ委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めます。第一班、三ツ林弥太郎君。
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員 第一班は、京都市について、去る十一日に日帰り現地調査を行ないましたので、その結果を便宜私から御報告いたします。  今回の調査目的は、目下当委員会審査中の内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案と、社会党提出にかかる同名法律案審査参考にするためであります。  調査項目の第一は、京都市の経営する交通事業について、財政再建の経緯、経営上の問題点地下鉄建設計画法律案に対する意見及び要望等であり、第二は、京都市の経営するその他の公営企業について、事業の種類、経営上の問題点要望等であります。  派遣委員は、中村弘海理事山本弥之助理事、林百郎理事、小濱新次委員折小野良一委員と私、三ツ林の六名でありますが、愛野興一郎委員島田安夫委員山田芳治委員の三名が現地参加いたしました。また、調査室からは島村調査員太田調査員が同行しました。  次に、調査の概要を申し上げますと、十一日の正午過ぎから約二時間半にわたり、京都会館において、船橋市長岡本助役大橋交通事業管理者小倉上下水道事業管理者並川理財局長等から、公営企業概況公営交通事業経営現状及び問題点、並びに要望事項等について説明聴取した後、各委員から熱心に質疑が行なわれました。  その後、引き続いて京都交通労働組合福井委員長から、法律案に対する組合側見解及び意見の陳述を聴取した後、各委員から質疑を行ないました。  さらに、午後三時半ごろから約一時間にわたり、マイクロバスを利用して京都市内路面交通実情を視察して、今回の調査を終了し、帰任いたしました。  なお、今回の調査結果の詳細につきましては、別途報告書委員長まで提出いたしますので、会議録に掲載していただきまして、ごらん願うことにいたしたいと思いますが、次に、そのうちのおもな要望事項について申し上げます。  まず、市当局者からは、今回の内閣提出法律案は、国の財政措置について一応の前進を見ており、一日も早く成立するよう非常な期待を持っていると述べておりました。また、同時に、六大都市を中心に、従来からの要望事項として、(一)新財政再建債元金償還金についても国の補助対象とされたい。(二)新財政再建計画に基づく一般会計負担については、全額財政需要額に算入されたい。(三)新財政再建計画は、人件費の上昇及び料金改定などを見込める制度とされたい。また、経済情勢の変動、企業環境の変化などによりやむなく生ずる収支不足額については、国において財政措置を講ぜられたい。四行政路線及び団地路線に対する補助制度を確立されたい。また、車両購入費補助については、路面電車にも適用し、かつ、車庫、営業所等施設補助対象とされたい。(五)交通事業間接受益者に対する受益者負担金の徴収の方策について法制化されたい。(六)運賃の社会政策的割引きに伴う減収分に対し財政措置を講ぜられたい。(七)都心部への諸車乗り入れ規制バス専用優先レーンの設置など、交通規制を推進されたい。(八)公営交通事業料金届け出制とし、許認可権限も大幅に自治体の長に委譲されたい。  次に、組合側代表からは、今回の法律案は若干の前進が見られるが、基本的には、第一次再建方式の踏襲であり、合理化面の強化がなされるとして反対であるとの見解の表明がありました。  また、(一)都市交通地方公共団体行政の一環として対処されたい。(二)企業を取り巻く環境悪化等外的要因に対する対策を強化されたい。(三)国の責任を明確にするとともに、国は、再建債全額負担されたい。四市電、市バス行政路線に対する補助は、地方団体と国が折半負担とされたい。(五)市電存置のため、国は強力な援助措置を講ぜられたい。(六)交通職員の賃金、労働条件について差別をしないようにされたい。(七)公営交通職員団体交渉権協定権を尊重されたい等の要望がなされました。  以上をもちまして第一班の報告を終わります。
  4. 上村千一郎

    上村委員長 次に、第二班、高鳥修君。
  5. 高鳥修

    高鳥委員 委員派遣の第二班は宮城仙台市について調査を行ないましたので、便宜、私からその結果を御報告申し上げます。  このたびの委員派遣は、第一班の報告でも述べられておりますように、現在当委員会に付託されております内閣提出地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案並び社会党提出にかかる同名法律案審査参考に資することを目的とするものであります。  調査項目は、第一に、仙台市の経営する公営企業概況、第二に、仙台市の経営する交通事業についてであります。  派遣委員は、上村千一郎委員長に、吉田法晴理事佐藤敬治委員に私の四名でありますが、そのほか、今井勇委員現地参加され、調査に協力されました。なお、調査室からは、崎川謙三主任調査員及び白石善信調査員が同行いたしました。  調査は、六月十三日、日帰りで行なわれ、島野武仙台市長外関係当局から詳細な説明聴取した後、現地調査を行なったのであります。  すなわち、同日正午仙台市をたずね、まず、島野仙台市長から、仙台市の経営する公営企業の全般について説明聴取いたしました。次いで、櫻田交通事業管理者から、交通事業について、第一に、事業概況、第二に、経営の現況、第三に、経営悪化要因、第四に、これまで行なってきた経営健全化方策、第五に、経営上の問題点と今後の課題、第六に、地下鉄建設計画、第七に、ただいま審査中の公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する意見並びに要望事項聴取した後、直ちに委員との間に熱心な質疑応答がかわされました。  次いで、水道事業について、佐々木水道事業管理者から、水道事業沿革、第四次拡張事業概況水道事業問題点水道事業に対する要望事項を、また、熊谷ガス事業管理者からは、ガス事業について、事業概況、その経営状況問題点及び要望事項を、さらに、鈴木衛生局長からは、病院事業について、その沿革業務内容及び経営状況問題点並び要望事項聴取したのであります。  なお、小岩第一助役からは、数年を出でずして人口百万人の都市圏に成長することが予想される仙台都市圏交通現状から、高速性のある大量輸送機関としての地下鉄建設必要性が強調されました。  仙台当局からの説明聴取を終えた後、派遣委員一行は仙台交通労組高橋執行委員長から、仙台市の交通事業並びに現在審査中の地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する意見要望聴取し、次いで記者会見を行ないました。  記者会見終了後、直ちに現地視察に出かけ、まず、仙台交通局川内営業所において、ラッシュ時間帯外バス遊休状況調査し、次いで、地下鉄建設予定路線区間並びに仙台駅前周辺のラッシュ時の交通状況を視察し、午後九時帰京したような次第であります。  これらの調査内容の詳細につきましては、時間の関係もありますので省略させていただき、委員長のお手元に提出いたしました報告書を、委員長において会議録に掲載されるようお取り計らいを願い、それによって御一覧いただくことといたしたいと存じますが、この際、法案審査参考に資する意味において、仙台当局から特に善処を要望された公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する意見並びに要望事項を要約いたしますと、次のとおりであります。  すなわち、その一は、この法律による再建計画指定を受けた場合、過去の不良債務は解消できるにしても、今後の事業経営収支均衡を維持することは、企業内外の諸情勢から見て全く見通しの立たない現状にかんがみ、地方公営企業法第十七条の二の「経費の負担の原則」の適用を拡大されたいこと。その二は、宅地開発業者など、公営交通事業により間接的に利益を受ける、いわゆる間接受益者負担制度化をはかられたいこと。その三は、本再建計画指定を受けた場合、一般会計から補助することとなる元金償還額に対し、地方交付税上の措置など、政府の特段の援助策を講じられたいこと。その四は、再建計画執行にあたり、職員労働条件給与等の処遇につき、職員勤労意欲を低下させることのないよう配慮されたいこと。その五は、法案第十条の「関係行政機関の長等に対する措置の申出」の規定が死文化することのないよう、交通施設整備道路使用適正化など交通環境整備措置の徹底をはかられたいこと。その六は、再建計画変更手続簡素化をはかられたいこと。その七は、バス購入補助は、公営交通事業経営事情の実態にかんがみ、五年間に限定せず、再建期間中とされたいこと。などの七点であります。  以上をもちまして、第二班の報告を終わります。
  6. 上村千一郎

    上村委員長 これにて、派遣委員からの報告聴取は終了いたしました。      ――――◇―――――
  7. 上村千一郎

    上村委員長 警察に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まず、警察お尋ねをしたいと思うのですが、連合赤軍等に象徴される極左活動が目立った時期もございましたが、最近は、右翼暴力団、過激な右翼活動が非常に顕著になっている季節に入ったのではないか、かように私は思います。極左季節から極右季節、こういうふうに言えるのではないかと思います。その理由はいろいろありますが、一つは、やはり、日中国交回復に象徴されるように、わが国社会主義国との友好親善を深めるという問題に対して極右の諸君が反対をする、過激な行動に出る、こういう傾向が一つは目立っていると思います。北朝鮮が最近WHOにも加盟をいたしましたが、このような新しい情勢に対してもまた右翼が騒動していると思います。特に、最近、中国の蓼承志一行の訪日団日本に参りました。この警備につきましては、警察当局も非常な苦労をされたことは私どもも高く評価したいと思いますが、このような動きに対しても、右翼蠢動というものはきわめて顕著であったと思います。さらに、これに関連をして、いま国会出入国法案が問題になっているわけでありますが、これと合わせるごとく、国士舘大学生によるところの朝鮮高校生に対する暴行の問題も起きております。特に、国士舘大学が実践倫理というようなものを教育一つ方針に掲げて右翼教育をやっているということについてはきわめて遺憾だと思いますが、このような動き一つのあらわれだと思います。また、最近、天皇制とのかかわりにおきまして、国会で幾つかの問題が論議をされました。増原発言、あるいは中曽根発言をめぐるこの問題であります。このような中で、右翼は、大体わが国教育皇国史観を教えないのはけしからぬと、このようなことを主張いたしております。しかし、現在の憲法教育基本法から言いましても、皇国史観などを教えることは全く違憲であります。したがいまして、全国の教師を結集してできております日本教職員組合も、民主教育あるいは平和教育をスローガンに掲げまして、皇国史観を子供に教えることについては、これをきびしく拒否いたしていることは当然と言わなければなりません。しかるに、皇国史観を教えないという理由をもって、毎年の日教組大会に対して右翼攻撃を加える、このようなことがずっと行なわれてきたわけでありますが、特に、本年になりまして、この日教組大会開催に対する右翼攻撃というものは従来以上に顕著であると思いますが、このように最近右翼が特に活発な行動を展開している、暴行行為等も頻発をしているという状況警察としてはどのように把握をしておりますか。最初に、事務当局でけっこうでありますから、状況についてひとつ御報告をいただきたいと思います。
  9. 中村安雄

    中村説明員 お説のように、最近、右翼活動は、日中国交正常化問題、あるいは総選挙での共産党の議席増、あるいは地方選挙での革新候補者当選等に刺激されまして、このままでは日本は確実に崩壊するなどと主張いたしまして、いわゆる昭和維新早期実現を主張する者が多くなってまいっております。特に、日中国交正常化問題に関しましては、中国による日本国革命工作である、あるいは、台湾の放棄は国際信義に反する等等反対をいたしまして、昨年末から関係先に対する抗議活動を行ない、その過程で不法事犯も発生しております。また、領土問題にも強い関心を持ちまして、北方領土返還を主張して抗議要請活動を行なっております。さらに、数年来の極左暴力集団の暴走に対しまして、日本の秩序を紊乱し、国民生活の根底をゆるがすものであると、対決の姿勢を示しております。  そのほか、御指摘のように、右翼は、毎年各地で開催される日教組大会に対して抗議活動を行なっておりますが、本年は、会場問題等に関しまして、従来以上に事前の活動が目立っておるというふうに見ておりまして、これに対しまして、警察としては、視察取り締まり活動を強化している実情でございます。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 さらに具体的にお尋ねしたいと思うのです。  右翼団体の数及び人員、その中でも、特に、行動右翼と言われる団体の数及び人員はどの程度ですか。
  11. 中村安雄

    中村説明員 いわゆる右翼と呼ばれるものは、その目的や性格、運動方針等が非常に多岐にわたっておりますので、団体の数や構成員を明確に算出するということがたいへん困難であると考えておりますが、一応右翼的な主張を掲げておりますものは全国で約十二万人というふうに見ております。このうち、比較的組織が整っているもの約四十団体、現実に右翼運動を行なっている者約二万一千名、そのように見ております。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、さらにお尋ねをしたいと思いますが、最近、日教組大会会場をめぐりまして、当初、日教組は、伊東市に会場の提供を求めまして、一応の内諾を得たわけでありますが、これが新聞に発表されますや、直ちに右翼行動対象となり、脅迫その他の行為が相次ぎました。このようなために、ついに伊東市は日教組大会会場返上日教組に申し出たのであります。日教組としましては極力説得につとめましたけれども、困難ということで、次いで、群馬県の水上町に対しまして協力を要請し、当時、水上町は、このような右翼蠢動によって伊東市が日教組大会返上したという事実を十分承知をしており、そういう中で、私どもはお客さんを決して拒みません、どうぞいらっしゃってくださいと、胸をたたいて、町当局観光協会責任者と町議会の責任者等が承諾の意思を表明され、日教組が正式に中央執行委員会あるいは全国代表者会議会場決定をいたします際に、その当日、二回も電話で確認をとりましたところ、けっこうだということで、三十六万数千円の会場費も予納いたしまして、契約を正式にかわしたにもかかわらず、これまた、新聞に発表されまするや、右翼脅迫あるいはアジ宣伝等が相次ぎまして、ついに、水上町当局もこれを返上する意思日教組に申し出ました。これに対しまして、日教組も極力その説得につとめたわけでありますが、そうそう水上に固執することもいかがかということもございまして、今度は群馬県の県民会館県所有の建物でありますが、この借用方を県に申し入れまして、これまた、新聞にこれが報道されますると、右翼が大挙して前橋に参りまして、六月の八日、九日等は、群馬県の県庁の知事室のいわば玄関ともいうべき秘書室右翼の手に占拠されるという事態が起きたのであります。  そのほか、前橋市内における右翼行動にも目の余るものがあったわけでありますが、このような相次ぐ右翼行動は、一体、具体的にどのような団体が何名程度行動したか、警察も詳細このことについては調査していると思いますが、まず、事務的にひとつ御報告をいただきたいと思います。
  13. 中村安雄

    中村説明員 お説のように、伊東市、水上町、それから前橋市に対して、右翼の者が大会返上するように要請抗議等を行なっているわけでありますが、まず、伊東市につきましては、大会開催返上を決定したのが三月十六日と承知しておりまして、それまでは右翼抗議要請活動というものはございませんでした。ただ、返上を決定された後に、四回、三十六名の右翼現地におもむいて、街頭宣伝活動あるいは当局に対する激励活動等を行なっております。  続きまして、水上町についてでございますが、これは大会返上することを決定するまでの間、日にちにいたしまして、四月二十三日から五月十五日までと、それから、返上を決定したあとの間につきまして分けて数字を申し述べたいと思いますが、まず、大会返上を決定するまでの間、五月十五日までの間でございますが、この間、現地におもむいて大会を引き受けないようということを要請いたしましたものは二件、五名でございます。そのほか、電話要請したものが三件、二名、それから電報要請したものが一件、一名、それからビラ張りを行なったものが一件、百五十名でございます。さらに、水上町が大会返上を決定した後におきまして抗議した、あるいは激励したというものが約千件弱あると聞いておりますが、この中で、右翼のものと見られるものは、現地におもむいたものが二十七件、百八十四名、電話をいたしましたのが四件、四名、電報を打ったものが一件、二名、それからはがきその他の文書を出したものが十四件、ビラ配布が一万五千枚というふうに見ております。  それから、前橋につきましては、現在までのところ八団体、延べ百名の右翼現地に行っておる、そのように見ておるのでございます。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 前橋に八団体、百名の右翼が行った。八団体の名前をあげてください。
  15. 中村安雄

  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そのあとは……。
  17. 中村安雄

    中村説明員 菊水国防隊、大日本殉皇会でございます。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 勝共連合は行っておりませんか。
  19. 中村安雄

    中村説明員 勝共連合につきましては、右翼の解釈が非常にあいまいでございますが、私どもは、日本右翼というのは、一応、日本の歴史、風土というものを尊重する、いわゆる天皇制というものを支持するというものを中心にして右翼の概念をとらえているわけでございまして、勝共連合はそういう意味右翼の範疇に入りませんが、反共団体として見ております。勝共連合現地に行っております。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、私は大臣お尋ねしたいと思うのです。  憲法二十一条に「集會結社及び言論出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と規定しております。憲法第三章の「国民権利及び義務」につきましては、各種の国民権利義務規定されております。この中に、私は、書き方が二とおりあると思うのです。一つは、公共福祉に反しない限りこの自由を認めるという形の書き方であります。いま一つは、公共福祉に反しない限り云々という、カッコ書きを書きませんで、ずばり「これを保障する」という規定のしかたをしているものと、二つあると思います。有名な憲法二十五条の、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する」については、公共福祉云々などというものはございません。これと並んで、憲法二十一条も、いわゆる公共福祉云々というカッコ書きのない、すばり権利を保障するという書き方をやっている。このことは大臣もよく御承知だろうと思うのです。そういう意味で、国民集会結社言論出版その他の表現の自由は、国として最大限にその自由を保障しなければならぬものだ、かように考えて差しつかえないと私は思います。現に、この右翼団体行動、また、国際的な反共団体である国際勝共連合といったような団体蠢動によって、憲法の自由が脅かされている。現に、集会の自由というものは保障されないという事態が起きているわけでありますが、これに対して、警察としてはどのようなお考えを持っておりますか。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 憲法二十一条に示しまする要旨は、もとより十分保障されなければならぬというふうに考えております。したがいまして、今日まで、それが左翼であると右翼であるとにかかわらず、かりそめにも、暴力等をもってしてこの二十一条の精神を侵そうというような行動に出るものについては、十分取り締まりを展開してまいったところでございます。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この自由を保障するために、警察としては全力をあげて対処してきた、こういうお話しでありますが、実は、五月の十六日だったと記憶をいたしますが、水上町で再度大会返上動きがあるということが報ぜられまして、社会党国会対策委員会中央執行委員会で、憲法二十一条の自由が脅かされている、きわめて重大な事態であるという認識のもとに論議をいたしました。直ちに、石橋書記長と私と、それから小林武参議院議員の三名が、江崎国家公安委員長並び高橋警察庁長官のもとに参りまして、このような事態はきわめて遺憾である、憲法二十一条の自由はあくまでもこれを保障すべきである、したがって、警察としては、右翼のこのような行動に対して断固取り締まりを行なうべきだ、日教組大会開催等の場合におきましては、完全に治安を保持するように断固たる取り締まりを行なうようにということを強く要請をいたしたのであります。その後、総評の大木事務局長と私、あるいは日教組の槇枝委員長、あるいは中小路書記長等がそれぞれ、国家公安委員長、あるいは警察庁長官、あるいは次長等に面会をいたしまして、同様趣旨の申し入れを行ないました。特に、具体的には、従来右翼の取り締まりについて非常に甘い傾向があったのではないか、大会中断固たる治安保持のための措置をとるということばかりではなくて、右翼行動することによって日教組大会会場返上という動きが出ていているのだから、事前に十分な警備体制をとる必要があるのではないか、右翼暴力取り締まり本部をすみやかに設置すべきであるということを強く要請をしてまいったのであります。事前の取り締まりがより完全になされておれば水上町の大会返上などはなかったはずだ、一たん胸をたたいて受けたのですから、会場費も三十六万数千円を受け取ったのですから、その後の右翼蠢動に対して断固たる措置をとっていれば返上というような事態は起きなかったはずだ、このように私は思うのです。前橋についても同様だと思うのです。県が日教組とのあっせんに入った、あるいは、県民会館の使用について話し合いが行なわれている、こういう報道が新聞に出ますと、直ちに知事室の前の秘書課が占拠されるというような事態が起きているわけでありますが、このような事態に対して適切な措置をとっていれば、この県民会館の問題についても十分な解決ができたはずではないかと私は思うのです。これに対して事前の取り締まりというものがきわめて不足であった、不適切であったと、いままでの結果を見て、かように言わざるを得ないと私は思うのですが、との点いかがでありますか。
  23. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まさに、山口委員をはじめ関係者から、厳重に事前の取り締まりをするようにという申し入れを私どもは受けました。少なくとも、警察としては、法に照らして取り締まりをする最高の限界までは努力をしてまいったつもりであります。しかも、私自身は政治家でありまするので、現地において日教組大会が開かれたとしても、警備警察側において十分保証すると、ここまでは、責任の所在を明確にする意味で、むろんはっきり言えるわけでありまするから、関係者に、警察当局からも、無益の不安に動揺しないようにということで、いま申し上げたような説明等もいたしたところであります。貸してやれとか、貸さないようにとか、それは私どもの権限外でありまするが、どんな事態が起こるにしろ、日教組大会が開催されるにあたっては、警察側としては、最高の責任を持つことについての表現を率直にしたわけでございます。しかし、地元側は、その私どもの決意の表明だけでは日教組側に対して貸すことを応じなかったという経過をたどっておるわけでありますが、今後といえども、いかなる場所で日教組大会が行なわれましょうとも、不法行為の未然防止と早期鎮圧にあたって、暴力的な行為によって、そのおどしによって集会の自由が侵害されるというようなことがかりそめにもないように十分留意して対処したい、こういうふうに考えております。
  24. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣におことばを返すようですが、憲法二十一条の自由が侵害されないように対処するつもりだと言うんですが、現に、憲法二十一条の自由が侵害されたという事実が出ているじゃありませんか。問題は、この日教組大会が開催されるときに、警察が、地域住民に対して不当な危害が加わえられないように断固たる措置をとるということ、それはわかるわけですが、問題は、会場を貸しましょうということが意思表示され、新聞に発表されると、脅迫電話が行く、電報が行く、あるいはビラが張られる、あるいは、そういう団体の諸君が町役場あるいは県庁に押しかけてまいりまして、群馬県庁の場合は、秘書課が占拠される、そういう事態がずっと続くわけですね。そういう脅迫がありますから、一たん快く貸したものを、結局、心ならずも返上せざるを得ないということがいままでの経過だろうと思うのですね。私は、現在の警職法の規定その他から言って、警察の事前の措置におのずから一定の限界があることは十分承知しています。承知していますけれども、しかし、たとえばビラ等についても、不当な、名誉を棄損するようなビラが張られれば、本人の申告があったら直ちにこれを撤去するとか、あるいは、電話による脅迫その他についても、これは追跡することも可能なんですから、直ちに適切な措置をとるとか、いろいろな方法があろうと思うのですね。現在の法体系、現在の機構の中でも手段はあるはずだ。あとで、林さんが、日本共産党の県委員会右翼に襲撃された問題をきっと問題にされると思いますが、これについても、この中へ入って、一一〇番に電話したけれどもなかなか来ない。ところが、警察が来たから逃げていくのを平気で見ている、あわてて追っかけて三名を逮捕した、こういうような全く間の抜けたことを、実は、現地でもいたしておるわけでありまして、問題は、そういった脅迫行為があった場合には、現在の法体系のもとで取り得る最大限の措置をとるということについて欠けるところ大いにあり、そう疑わざるを得ないと私は思うのです。そういうことがなぜきちっと行なわれていないのか、この点お尋ねしたいのです。
  25. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在の警職法による限界ぎりぎりのところで取り締まっておるというふうに私ども報告を受けておるわけです。一々の事件、事犯につきましては、担当者から申し上げさせますが、なかなかこれは取り締まりしにくい面もあります。たとえば、向こう側の委員会の部屋で審議しておりますときに、「現内閣は退陣しろ」などということを大きなスピーカーで荒っぽく流していく。あれは何ともならぬのです。本来なら、審議に差しつかえるわけですから、直ちにあれを逮捕できそうなものですが、どうもこれがやりにくい。何も弱い面を私は言うわけではありませんが、そういうことで、右によらず、左によらず、気勢を張る行為、許された範囲内でデモ行為をしてくる際には、これはどうも検挙したりすることができないという髀肉の嘆をかこつわけであります。しかし、かりそめにも違法ビラが張られたり、また、共産党の事務所に侵入したりということになれば、これは厳重に取り締まらなければならぬわけでありまするから、直ちにこれを逮捕したというわけでございまして、その間の解釈や見方の相違等については直接担当者からお答えをさせたいと思います。
  26. 中島二郎

    ○中島説明員 ビラの点につきましては、水上町や観光協会日教組大会返上を決定いたしました五月十五日までの間には、百五十枚のビラが全愛会議の名儀で張られております。その後、決定以後におきましては、約一万五千枚のビラが配布ないし貼付されております。ただいま御説明いたしましたように、これらのうち三件のビラにつきまして、五月二十八日に日教組、六月一日に社会党のほうから、名誉棄損、誣告罪で告訴されております。この件につきましては、目下鋭意調査中でございます。そのほかのビラにつきましては、県本部からの報告によりますと、違法にわたるものは発生していないという報告を受けております。  それから、右翼等の一部が県庁内にすわり込んでおって、事務の妨害をしておったのではないかという話でございますが、お尋ねの件が六月七日の事案でございますとすれば、右翼の者が初め十一名、途中で四名が加わりまして、合計十五名の者が、午前十一時三十五分ごろから午後二時近くまで、県庁の秘書課の応接室で秘書課長と面接し、さらに、午後二時四十五分から五分間くらい、県知事の応接室で県知事と面会しておったのでございますが、その間違法状態はなかったという報告を受けておりますし、県側から面会を拒否するとか、あるいは退去を要求するとかいうふうな動きも一ないという報告を受けております。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そう言っていますけれども、現に、県の首脳部は、脅迫電話その他があるということで、警備の者が官舎に数名泊まり込んでいるというような状況であります。そういう事態がそのまま放置されているということはきわめて問題だと思います。しかし、私は、時間がありませんので、この警察の問題につきまして、こまかい点はこれ以上この場ではお尋ねするのは控えたいと思います。  ただ、最後に、国家公安委員長にお尋ねをしておきたいのですが、現にこういう形で憲法二十一条の自由が侵害されている。二十一条の自由が右翼のそういった脅迫によって侵されているという事実は明白です。これについて、もちろん極左云々というお話もありましょうが、それは当然ですが、やはり、憲法の自由の侵害というものは許さないということが必要だと思うわけでありますが、現に侵害の事実があったことに対して、警察当局としての責任はどのようにお感じになっておるのか。将来にわたってこうするということではなしに、現に侵害の事実があったこと、これに対する責任は一体どうお考えでありますか。
  28. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど来申し上げましたように、取り締まりの限界ぎりぎりまではやっておるつもりでございます。しかも、問題がこういうふうに発展をし、一転、二転、三転というわけで、前橋の公会堂ですか、そういうところまで来て、またこれが難航をしているという事実は新聞等にも大きく報道されておりますし、私どもも、事の次第は真剣に受けとめております。こういう形があることは決して望ましいことではありません。したがって、ぎりぎり取り締まりを展開しておるわけでございまするが、また、地元側に対しても、さっき申し上げましたように、警察責任を持つから、ひとつ過剰な心配はしないようにという呼びかけもしたわけでございます。そこでなおノーということになりますると、これはそれぞれの団体、旅館の団体なり、あるいは地方公共団体なりの判断にゆだねなければならぬわけでございまして、心配するな、責任は持つと、ここまではもちろん責任の衝にある警察庁としては申しますが、あとの問題につきましては、これはやはり当事者の判断にまたざるを得ないというふうに思います。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点はまた保留をいたしておきましょう。先に進みます。  幸いに、国家公安委員長は自治大臣でもありますので、県民会館ということになれば、これは地方自治法の規定、それからさらに、これを貸すか貸さぬかという判断をいたしまするのは群馬県という地方公共団体でありますから、地方公共団体に対する指導の責任をお持ちの自治大臣という立場で、次いで県民会館の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  いま、国家公安委員長である大臣は、要するに、警察としてはよけいな心配は要らぬ、あくまでも警備には万全を期するのだということを徹底して、会場を持っている団体とか、あるいは旅館とか、そういう団体が正当な判断をするようにするのが警察の任務だと言われたわけです。特に、群馬県という地方公共団体は、警察がそういう断固たる方針を出している以上は、よけいな心配をしないで正常な判断をする責任が当然あるだろうと私は思うのです。ところが、県民会館の使用に関して、群馬県が、六月十二日に、群馬県民会館館長名で、日教組の代理人である群馬県教組の委員長に文書を出しました。県民会館使用に関する条件というものであります。これを見ますと、全く非常識であります。大臣は御存じだと思いますけれども、地方自治法の二百四十四条によれば、「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」となっています。さらに、「普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」となっています。ところが、十二日にはこのような過酷な条件を出している。しかも、あとで申し上げますが、この法律に基づいて、県が、県民会館の使用管理条例をつくっています。条件を付する場合は貸しますというたてまえに条例はなっている。ところが、この回答は、条件が満されなければ貸しませんという、全く不当な、条例にも反する条件でありますが、それはさておきまして、十二日にこういう過酷な条件を出したのに、勝共連合が六月十一日に、県民会館の使用の申請をいたしました。この十一日という日は、群馬県の県民会館の管理のための理事会がございまして、理事長は群馬県知事です。九日と十一日、二日間にわたって、日教組に貸す場合の条件について慎重審議をしておったときなんです。その同じときに日教組は、――日教組はいわば被害者ですよ。右翼が暴れるから日教組大会は開けぬ。暴れるのは右翼です。右翼団体がずっと八団体行きましたが、国際勝共連合が十一日に県民会館の使用申請を行ないました。同じような条件がつくと思いましたら、全く条件なしで、直ちに許可がございまして、六月十三日には、「六・一三、日教組大会阻止県民集会」というのが県民会館で堂々と開かれているじゃありませんか。まさにこれは差別的取り扱い以外の何ものでもないと言わざるを得ないと思います。県のとった態度は、明らかに地方自治法二百四十四条違反であると断ぜざるを得ないと思いますが、いかがですか。
  30. 江崎真澄

    江崎国務大臣 公の施設というものは、すべての住民に平等に使用をさせる、正当な理由がない限り、その利用を拒否しないということは、地方自治法の定めるところでは当然であるというふうに私ども考えております。まあ、右翼のいやがらせがだんだん誇大に伝えられるというようなところからああいう条件を付したわけでありましょうが、あの条件内容等を私ども見まして、ある程度の条件をつけることは、これは管理者側として当然あることでありまするが、相当きびしい条件を付しておるもののようでありまして、その点は、私も、いささか行き過ぎがあるのではないかというふうに考えます。  それから、いまの勝共連合の点につきましては、行政局長から現地に問い合わせまして、詳しい調査をしておるようでございますから、行政局長から具体的には申し上げますが、私ども報告がありました段階では、勝共連合は、もう従来何べんも何べんも使っておる。しかも、大会場ではなくて、中二階か何かの小会場会議室であったというふうに聞いております。それから、さっきも警察側が申し上げましたように、出しておるスローガンは、ちょっとこの場面をエキサイトさせるスローガンで問題だと思いますが、勝共連合そのものは反共団体で、いわゆる宗教的な団体が背景にあるものだという理解で従来は貸しておったもののようでございます。詳しくは行政局長からお答えいたさせます。
  31. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 実は、勝共連合について、さらにこれ以上詳しい情報をつかんでいるわけではございませんで、警察のほうからは、その右翼とは別のワクとしておるということは聞いておりますし、従来そういう実績があるということも、大臣がお話ししたとおりあったわけでございますが、私のほうが県から聞いたところによりますと、県自身の意図としては、思想、信条とか、大会の性質とか、右翼とか、左翼とかいうことで差別するということは毛頭なかったのだということを聞いております。それで、県民会館を使うことによって、地元に不安があるかないかということをあくまでも基準にして、不安があるものについては、必要最小限不安がないようなふうにいろいろお話し合いを申し上げ、御了承いただける条件を付するということはありましたけれども勝共連合のことについてはそういう点はなかったので、差別するという意思、あるいは不当に使用を拒絶するという意思は毛頭なかったというふうに説明を県からは聞いておる、こういうところでございます。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 常識的におかしいじゃないですか。日教組大会はきびしい条件が付されている。日教組大会阻止県民大会はすらっと条件なしで貸されている。しかも、日教組のほうは、いわば暴力によって不安を与えられるほうですよ。不安を与えられるほうにはきびしい条件がついて、与えるほうには何の条件もなし、そんなことは、私は、常識では通らぬと思う。明らかに差別扱いじゃありませんか。それだけはっきりしてください。
  33. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 差別するという意識を持ってやったのではないという県の説明を私は信用したいと思います。  いま先生がおっしゃいますように、日教組のほうはまさに被害者でございまして、日教組大会を妨害しようとする行動はいままでもあったし、したがって、日教組大会は地元の住民に不安を呼び起こすことになる。ところが、勝共連合のほうに対しては、逆の面から妨害する行為はもちろんないわけでございまして、住民に不安を与えない。ですから、それによってそういう条件が必要と考え、あるいは、そういう条件で貸したということであったと思います。その県の気持ちを私は信用したいと思います。差別しようという意思は県にはなかったと思います。(山口(鶴)委員「だから、自治省としての見解を聞いているのですよ」と呼ぶ)  私のほうといたしましては、憲法にあり、かつ、自治法に規定のある不当な使用の拒否あるいは差別的取り扱いを禁止するという条項に従ってその営造物の管理をしてもらうべきものと考えております。しかし、一方には、営造物を使用することによる地元へのいろいろな影響ということ、地元の保安ということも営造物の管理者は常に考えなければならないわけでございまして、その範囲で、いろいろな点で条件を付するということは県の条例にもありますので、必要な場合には最小限の条件を付することがあっても差しつかえないのじゃないか。現在の条件がその最小限であったかどうかということ、あるいはこの条件を付するに際して、突如として急に出したか、あるいは事前の話し合いで、ひとつこのぐらいのことは見ていただきたいという話し合いがあったか、そこは、その経緯によっても違うと思います。少なくとも、差別するという意識でやったものではないと考えております。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省は、地方自治法の解釈については自治体を指導する責任があるのですからね。県のことを私は聞いておるわけではない。県のことは、大臣、あらためてまた理事会でわが党からも要求いたしまして、当該の群馬県知事を当委員会参考人として招致いたしまして、県としての見解は承る機会をつくりたいと思います。これは、委員長にもあとでお取り計らいをいただきたいと思いますが、いまは、自治省としての見解を聞いているのですが、明らかに差別的ではありませんか。さっき言ったような事例を合わせて見れば、そうでしょう。それはお認めになるでしょう。
  35. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 一方の会合にはたいへんむずかしい条件がついており、一方には無条件で貸した、そういう意味での不均衡というものは明らかにあったと思います。ただ、この条件が、営造物を管理するにあたっての必要最小限度の条件であったかどうかということ、その内容についてはなお議論があるのではないかと思いますし、また、私のほうは法の解釈を指導する責任がございますが、その常々の指導に従ってといいますか、現在の群馬県が、その意味で、法律に非常に違反した行為をやったとは実は思いたくないと思っております。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 営造物の管理については、次にお尋ねしましょう。  この法律については、自治省はいろいろな行政実例、行政解釈を出しておられますね。公の施設の利用については、暴力団排除の趣旨に沿うために、次のような条例をつくってもよろしいということで、「集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行なうおそれがある組織」については貸さぬことができることになっています。美空ひばりの問題などは、まさにこれを適用されて行なわれたよい例だろうと私は思います。日教組大会は、たとえば嬉野大会、秋田大会と、連続して右翼暴力の手によって不法行為が行なわれてきたわけです。そういう歴史があるわけです。とすれば、当然、そういう日教組大会阻止のために活動してきた団体というのは、この行政実例でいう貸さない団体に当たるのじゃありませんか。そっちのほうには貸して、被害を受けているほうに貸さないということは、まさにこれは問題じゃありませんか。いかがですか。  それから、時間がありませんから、いま一つ私はお尋ねをいたしますが、この条件の中には次のようなことがあるわけです。周辺の七つの自治会の同意を全部持ってきなさい、それから、前橋市、群馬大学の学長の同意書を持ってきなさい、学校、幼稚園、保育所の同意書を持ってきなさいという、こういうもので、大臣の言うようにきわめて行き過ぎの条件です。いま一つの問題は、日教組大会の開催中、事故防止に最大限の努力を警察はやると言っているのですが、それに対して群馬県知事は信用していないのです。「妨害行為に関連して、県民会館又は付近住民等に損害を生じた時は、加害者が特定され、且つその者に賠償する能力があり、速やかに損害が補償されると見込まれる場合を除き、加害者の如何に拘らず、その損害を補填」しろというのがこの条件になっているのですよ。これは全くめちゃくちゃじゃありませんか。これは第一、警察の指導を全く信用していないあらわれだと思うのです。国家公安委員長たる江崎大臣が、警備には万全を期すると言っておる。これを信用すれば、こんなばかな条件が出てくるはずはありません。また、さらに、この行政実例によると、「公の施設の設置及び管理に関する条例中に次のような規定を設けることは、国家賠償法第二条第一項に違反し、無効であると解する」となっております。それは一体どういう内容かといえば、「施設の使用により使用者または第三者に生じた損害は、その原因をとわずすべて使用者がその責に任ずる。」だから、損害が第三者にあった場合に、使用者がその責任に任じなさいという条例をつくったり、そういう指導をすることは国家賠償法に違反するですということをはっきり行政実例に書いてあるじゃありませんか。まさに、この問題は、自治省の行政実例にずばり違反をする不当、無効な条件だと言わざるを得ないと思いますが、いかがですか。
  37. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは非常に重要な点ですから、私から申し上げておきますが、いま御指摘になったような条件書を私も読みまして、これは、一般的に考えますと不適当と考えられる事項があるわけですね。そこで、一体どういうことだ、そこらあたりは行政局長や関係者においてよく調べなさいということで命令したわけです。私は直接会ったわけではありませんが、そこで返って来た回答は、いや、かってに県側がこれをつけたわけじゃありませんよ、実は、日教組の代表者がやってこられたので、そこで、県としては、公共施設に不測の被害が起こったり何かしては困るから、ついては、これこれこういうような、いま読み上げられたような、こんなことをひとつお考えいただきませんと困ります、いや、それはよく心得ましたというような話し合いにあったものを成文化したものです。したがって、一方的にこれを県側としてやったものじゃありませんから、という報告があった。その合意がなされて、そしてこれになったが、この文章だけから見ますると、私は決して適当だとは思いません。ですから、なぜかと素朴に疑問を差しはさんだことは先ほど申し上げたとおりです。そうすると、いまお答えしたような返事が返ってきた。なぜそういう話し合いをなされたのか。しかも、日教組側においても、県側の報告によると、わかったということであったからこういう条件にしたのだということで、ここらあたりはたいへん重要なところですから、念のために申し上げておきます。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いろいろ不測の事態があった場合には日教組さんも考えてくれ、考えましょうというような話があったことは事実でしょう。しかし、このような県の条例は日教組としても知っているわけです。法律も知っている。それから、行政実例も知っているわけですよ。そういう中で、この文章のようなものが出てくるとは思わないのが常識だと思う。条件を付する場合には、県の条例では許可します、ついては条件を付することができる、こうなっておるわけです。ところが、今度の出てきたやつは、条件が満たされて、全部同意書なり何なりができて、それからでなければ貸しませんということなんですよ。これは条例にも違反する条件だと私は思います。  それから、いま言ったような話し合いがあるということは、大臣、常識でしょう。それは迷惑をかけた場合にある程度考えましょうというのは、これは常識だと私は思うのです。私は、日教組というのは、そういう非常識な団体だとは思いません。だから、常識的な答えをしたんだろうと思いますが、この行政実例に反するようなものをずばり書いてくるなんということを予想することが第一おかしいと思うのですね。そこには、この条件の問題があるだろうと私は思うのです。特に、私がこの際強調したいのは、私は天下りに反対なんということを委員会で強調したことはありません。そういう議論をされる方もありますが、しかし、私は、府県が法律をきちっと守るためには、自治省で養成した有能な役人の方を地方の副知事に出すとか、あるいは部長に出すとかいたしますことは、ある程度けっこうだと思うのです。それは、なぜ私がそう思うかといえば、法律や条例にたがわない適正な指導がその地方自治体で行なわれるということを私は期待するからにほかならぬ。それで、群馬県は、知事も古屋亨さんと同期の内務官僚です。副知事は鎌田さんと同期の内務官僚です。それから、県民会館を所管している群馬県の県民生活部長が、自治省の交付税課長さんと同期の自治省官僚です。これは内務官僚とは言いませんが、そういう方が行っているわけですよ。そういう方が行っていれば、当然、地方自治法やこの条例に違反する行政などが行なわれるはずはないと私は確信しておるのですが、しかるに、何たることですか。担当の部長が自治省から行っていながら、こういう条例や法律に違反をする差別的な行為が行なわれ、それから、大臣も言うように、確かに行き過ぎの条件だという条件が付されたということについて、私はきわめて重大だと思うのです。違法な条件というものは無効です。違法というふうに自治省が言い切るかどうかわかりませんが、言い切れるならば、これは無効だということを宣言してください。また、違法だとは言い切れぬにしても、条件がきびし過ぎる、不当である、差別的取り扱いのおそれがあるということは林さんもお認めになったわけです。ただ、管理上云々ということは言いましたが、この差別取り扱いはすべきではない、今度の場合は不均衡があるということはやはりお認めになっているわけですから、とすれば、自治省は、このような不当な条件については、撤回するなり、改めろうという指導をすることが当然だと私は思うのです。しかも、江崎さんは国家公安委員長です。国家公安委員長が、断固として対処をする、住民には不安を与えない、こういうことを明確にしておられる。当然、群馬県というような地方公共団体は、その警察の断固たる意向というものを受けて、よけいな不安を住民に与えるとか、行き過ぎたつまらぬ条件を出すなんということはすべきではないと私は思う。私は、そういう警察を所管する国家公安委員長としての大臣の立場からも、群馬県の態度に対しては十分な指導をしていただかなければならぬと思うのです。この点の答弁を明確にしていただきたいと思うのです。  なお、この問題は、当該群馬県知事、水上町長、伊東市長等の扱いの問題にもなりますから、これは、先ほど来申し上げましたように、委員長に善処をいただきまして、参考人として来ていただきまして、憲法の自由が侵されるという、きわめて重大な問題なんですから、十分御論議をいただきたいということをお願いしておきます。
  39. 江崎真澄

    江崎国務大臣 警察側としましては、先ほど来申し上げておりまするように、不測の事態に備えて万全の措置をとります。御心配のないように、住民が脅かされないように責任を持って対処します。このお答えに尽きると思います。  それから、自治省に関係のあるそれぞれの県の職員の問題につきましては、今後誤りのないように、本庁の側においても十分指導してまいりたいというふうに考えます。  ただ、本問題につきましては、さっきも申し上げたように、山口さんの理解されておるところと、われわれ自治省に副知事以下が参りまして報告をしたところとでは多少違っておるようです。それは、損害が起きたら賠償してくれという程度のものではなくて、ここに掲げられておるような、一般的に常識的に言えば相当きびしいと思われる条件について合意を見た、そこで、それじゃお貸しするということなら、この間のお話し合いの線に沿って、こういうことでお願いしますよといって出したものである、こういうわけでございます。そこらあたりに多少食い違いがあるわけでございます。  そこで、法は当然守るように指導するのが自治省自体の責任でありまするが、こういう貸すとか貸さぬとかいう具体的な問題になってまいりますと、これはやはり、地方公共団体、いわゆるこの場合で言いますると、県知事の判断にゆだねなければならぬ。それをしも、これはけしからぬから貸してやれという権限は私ども自治省にはないというわけでございます。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 だから、貸すなとか貸すとか言っているのじゃないのですよ。この条件が地方自治法二百四十四条に、あるいはこれに基づいてできている群馬県の管理条例というものに――貸す場合は貸します、条件を付せというのがこの条例なんですよ。そういうたてまえとか、あるいは、差別的な扱いを禁止したこの法律あるいは行政実例というものにこの条件が反しているのじゃないかと言っているのです。だから、この条件はやはり再検討すべきであるというぐらいは言っても、何もおかしくはないと私は思うのです。だから、貸すとか貸すなということを言うのじゃなくて、この条件について指導する考えがあるかと言っているのです。  最後に一言つけ加えますが、前橋市議会は、全会一致で、県が他に責任を転嫁することは不届きであるという意味で、県が他に責任を転嫁することなく、知事が全責任をもって日教組大会が開かれるようにすべきであるとの意見書をきょう満場一致できめたそうです。だから、県がやるべきものを、市長の同意書を持ってこいとか、市内の町内会の同意書を持ってこいということに対して、基礎的自治体である前橋市が反対するのはあたりまえだと思うのです。だから、全会一致で、県が責任を転嫁してけしからぬ、県が責任をもって日教組大会が開かれるようにすべきだという意見書を出すことは当然だと思うのです。これは決定されたそうです。こういう地域住民の意向というものを考えて、大臣、ひとつはっきりした答弁をしていただきたいと思うのです。
  41. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど来私はお答えしたつもりでありまするが、一般的に考えるならば、不適当と思われるような条件が課せられておる。そこで、自治省としても、指導の責任にある立場としまして、その実情を聞いた。そうすると、あなたの御質問されるようなニュアンスと、それからまた、そうでない、要するに、この条件はすべて合意でございますといったような返事が返ってきたわけですね。したがいまして、おっしゃる点につきましては、なお、県知事ないし副知事等々責任者と、行政局において十分真相を確かめたいと思いますから、もうしばらく時間をおかし願います。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 警察庁長官のほうだけ質問を保留して、終わっておきます。
  43. 上村千一郎

  44. 吉田法晴

    吉田委員 警察、公安委員長、文部省、それから外務省にお尋ねいたしますが、答弁は、時間が限られておりますから、なるべく簡単明瞭にお願いします。  第一点は、六月の十一日、新宿駅で、国士舘大学の学生によって、朝鮮人高、中学校の学生が暴行を受け、中には、意識不明、脳内出血の疑いがあるという被害者が出ております。午後三時には、新宿署員が、駅西口派出所前を通った国士舘大学の学生から木刀二本を取り上げております。したがって、これは排除されたくらいですから、予知をされたと思われます。また、木刀を持った学生が、きょうは乱闘事件があるということを聞いて持ってきたということですから、新聞の解説によると、これが予想されたと報ぜられております。  この相次いで起こっております暴力事件、最も計画的でひどいこの事件について、警察当局はどういう予防措置を講ぜられたか。あるいは、脳内出血の疑いがあり、意識不明になった被害者までも出したということでありますが、これの加害者に対してどういう処置がとられたか。簡単明瞭に承りたいと思います。
  45. 綾田文義

    ○綾田政府委員 十一日の夕方ごろ、木刀を持った学生を三人、二人は駅の前、一人は百貨店の中でございますが、現行犯で逮捕いたしまして送致をいたしております。  それから、新宿駅の事件の被害の状況でございますが、現在警察に出されておりますのは、略して朝鮮高校と申しますが、朝鮮高校は四名、一名は三週間の負傷、あと二週間の負傷が一名、十日間の負傷が二名、そのほかに一名負傷者があるようでございますが、まだ被害届けは出されておりません。それから、国士舘側では、二名とも十日間の被害を受けております。  捜査の状況でございますが、現在、この被害を受けた国士舘の高校生から事情を聴取いたしておりますが、朝鮮高校のほうは署のほうに出頭を話してございますが、まだ出てまいっておりませんので、これから事情を聴取するということになると思います。
  46. 吉田法晴

    吉田委員 予防措置についてはどういう措置が講ぜられたかということを伺いましたが、それには答弁が落ちております。
  47. 綾田文義

    ○綾田政府委員 警察といたしましても、治安といいますか、高校生のそういう問題は非常に重大でございますので、当日から、警視庁では、約五百名の警察官を――昨年の発生を見てみますと、一番多いのは主として登校時、その次が下校時でございまして、登下校時を中心に、各ターミナルの駅、特に、登下校する場所について警察官を配置いたしまして、事前警戒に当たっております。神奈川県警におきましても、機動隊三十名と、警察署からその時間帯に現場に警察官を派遣して、事故防止に万全を期しております。
  48. 吉田法晴

    吉田委員 万全を期しておられたということだけれども、それを防止することができなかった。そして、いま警察庁のほうから認められたところによりましても、三週間以上のけがをした人が一人、二週間以上が一人、十日以上が二人、意識不明あるいは脳内出血の疑いのある被害者が出たという話であります。これに対する措置は取り調べ中ということでありますが、過去一年の間に、同様な事件が、毎日新聞によりますと五百余回、また、朝日新聞の報ずるところによれば、警視庁が調べて認知をしたものだけでも百四十二件。私が関係者から書類をいただいたものの中で、重傷を拾い上げてみましたら、一昨年の二月一日、巣鴨駅前の事件で二週間、それから、四月二十五日に、東武線梅田駅で三週間のけが、五月七日は、江戸川区役所横で、これも重傷、五月十一日が新宿の脳内出血、それから、七月十九日に新宿の喫茶店の中で二週間以上の傷害を受けた。計算をしてみますと、過去一年の間に、数回、あるいは十日間とか一週間とかいいますと、何十回となくこれは重傷を負っております。これは診断書等もございますけれども、詳細に検討いたしておりませんが、警視庁が認めたところによっても百数十件というものが出ているということであります。  これらの点について、どういうぐあいに把握しておられるか、あるいはこれに対する対策、あるいは警察措置はどうなっているかということについて承りたい。
  49. 綾田文義

    ○綾田政府委員 まず、件数でございますが、警察におきまして把握した事件は、昭和四十六年が百二十六件、四十七年が百四十二件、本年に入りましてから五十六件というふうな数字になっております。  この内容は、朝鮮高校側が被害を受けた事件もございますし、日本の高校生が被害を受けた事件もございますし、両者が、共同暴力といいますか、それでやったというようなことでございまして、事態の内容は、共同暴行の場合には、両者が十名ないし二十名で出会いがしらにやるというケースが多いようでございます。それから、個人、一対一と申しますか、そういうふうな一対一で加害をしたというような事案も相当ございます。それからもう一つは、集団登下校をいたしておりまして、たまたまそこに反対の学生が一人、二人おったということで、その場合に、十名ないし十五名の学生が一、二名をとらえて加害をしたというふうな形態でございます。  警察といたしましては、先ほど五百名と申しましたけれども、特に、最近の状況で、これは強化をしたわけでございまして、四十六年ころから主要ターミナル駅には警官を派遣して、そうして現場の警戒に当たっておるわけでございます。これらの事件の補導の状況を見ましても、一一〇番によるもの、あるいは被害届けのあるもの、それから警察官が現認したというものも相当あるわけでございます。これは何と申しましても少年でございますので、警察は、少年の将来の健全育成という見地から、どこまでも事案の真相を究明して、そうして適正な措置をとるという方針で従来進んでおります。
  50. 吉田法晴

    吉田委員 六月十一日の事件は、最も典型的なといいますか、計画をされておったものであることは、木刀を持って集合した点等からも察知されるので、いま答弁がございましたような、双方に責任があるという問題ではなかろうと思って私は引き合いに出したわけでありますが、それは、自後、具体的にお尋ねをしてまいります。  それから、国士舘高校生と一部の不良学生、あるいは暴力学生と申しますか、それによって、「朝鮮高校をつぶす会」というものができておるという話でありますが、そういうことを御存じなのかどうか。それから、集団的な暴行事件を組織的、計画的に進められておると考えられておりますが、それについてどの程度理解し、把握しておられるか。聞くところによりますと、仙台、福岡等で、朝・日両国民の間を離間するために、また、朝鮮人学校を弾圧する口実をつくるために、悪質な暴力事件が組まれているということを聞くのでありますが、これらの点について御承知かどうか、承りたい。  それから、もう一つ、いまは相互に責任があるから云々ということで、十一日の事件に見られますような、国士舘大学の学生が計画をし、組織的に暴行をふるった点を糊塗されたようでありますが、国士舘大学なり高校の所在の沿線の住民が、この暴力事件に対して、あるいは市民の受ける暴力事件に対して、警察がたよりにならないと考えられたのか、「守る会」を組織して、自分で自分を守ろうとする動きがありますことは御承知のはずであります。いま言われますような、双方に責任があるということとか、警察がそれを防止するために暴力学生に対して補導をするということと史あるいは沿線市民の感情、利害を考えますと、特定の学校の――国士舘大学という名前が出ておりますから引き合いに出しますけれども、特定の学校の教育方針も関連があるのか。組織的な暴力事件が朝鮮人学生に対して行なわれておるという点はほぼ想像がつくわけでありますが、これらの事実と、それから計画、あるいはいままでの暴行等についてどのように考えられますか。これは大臣に聞きたいと思いますが、おられませんから、代理の方から御所見を受けてもよいと思います。
  51. 綾田文義

    ○綾田政府委員 第一点の「朝鮮高校をつぶす会」ということにつきましては、私、まだ、正式な報告は受けておりません。新聞等で聞いておりますが、いずれ警視庁のほうへも詳しく聞きたいと思っております。  第二点の、これは第三点の十一日の事件と関連いたしますが、組織的、計画的ではないかというお話しでございますが、一般的に申しまして、報復とか仕返しとか、そういうことがエスカレートしていって、現在は、国士舘と朝鮮高校との間が非常に鋭い対立感情になっておる、そういうことに端を発しているのじゃないかと思います。御承知のように、昨年、一昨年ころまでは、国士舘ではなくて、帝京高校と朝鮮高校との事件が非常に多かったわけでございますが、本年になってから、両者のスポーツの交歓とか、いろいろな教官の話し合いによって、最近では帝京高校との事件はほとんどないということでございます。  第三点の新宿の場合ですが、御承知のように、十一日には新宿の事件がありまして、十二日に高田馬場の駅の事件があったわけでございます。十一日には、私が申し上げましたように、やや偶発的な出会いがしらの事案でございましたけれども、十二日の高田馬場の駅の場合には、すでに木刀を持っておる学生を検挙いたしましたように、これは計画的であるというふうに考えております。高田馬場の駅の事件では、現場で国士舘大学の学生を八名検挙いたしまして、これは昨日身柄つきで送致いたしております。それから、あと四名の者は署に出頭してまいりまして、これは任意で現在捜査をいたしておりますが、これらの者の供述によりますと、昨日後輩がやられたので、その仕返しをやるために来たんだということを言っておりますので、これは、そういう動機で計画的にやったのではないかというふうに私は思っております。
  52. 吉田法晴

    吉田委員 これは国士舘大学の中の捜査もされたようですから、十一日、十二日の事件が、どっちに責任があると考えられておるかも大体想像がつくところでありますが、さらに、この種の事件に関連をして、警察で間違えて、加害者でなしに被害者を逮捕するような事件が起こっておる。それからまた、いわば関東大震災のときではありませんが、警察がこの種の事件を使嗾をしておるという感じを持つ事件がございますが、これらの点については御存じなのかどうか、これを承りたいところであります。  昨年の六月五日、総武線一帯の高等学校の学校当局に、朝高生が襲撃するというデマを流して世論の糾弾を受けたことは周知のとおりであります。これは初めてで、私どももびっくりしたのでありますが、六月十三日には、これは一部の高校当局にでございますけれども、名前が書いてございますから、必要ならば申し上げますけれども、数校に対して、朝高生が襲撃をするというデマを流した。これは警視庁の指示を受けた池袋、王子、八王子の警察から、管内の私立高校に対して、そういう情報といいますか、デマを流したということが報ぜられておる。あるいは、六月十二日には、八王子実践高校に朝高生が襲撃をするから警戒をせよというデマが流れて、八王子実践高校は、このために、午前中三時間で授業を打ち切って学生を帰したということであります。そういうように、いわば、この種の事件の背後にあって警察がそういうことをされている。あるいは、六月九日に、北千住警察署の制私服四十余名に、朝鮮高校の二年生金君あるいは李君が、日本人高校生に暴行を加えたということで、北千住の駅頭で不当に逮捕をされたが、そのときに、北千住署当局は、抗議の他の朝鮮高校の学生に対して、「こん棒でなぐられたいのか、文句を言うなら全員逮捕するぞ」と言っておどして、それから日本人学生に対して、警察で、「真実はどうあろうとも、首実験の際は、警察で引き合わされた朝鮮人学生になぐられたと言いなさい」と言ったと聞きます。それから、七月九日午後一時、王子警察署で、これは十條駅前の菓子屋の前でありますが、朝鮮高校の金明淑、韓栄姫という二人の娘さんに手錠をはめて逮捕をしたが、朝鮮の高校生が抗議をすると、警察官が、「つべこべ言うとおまえたちも公務執行妨害罪で逮捕するぞ」と言い、そして、この二人の女の学生に対して暴行をし、全治一週間の打撲傷を加えた。こう聞きますと、警察にも偏見があり、そして予断があって、そういうように情報を流したりしたのではないかと思うが、あるいは逮捕をしたときに暴行傷害を加えたり、首実験に呼ばれた学生に、「ほんとうはどうであろうとも、警察に引き合わされた、その朝鮮人学生になぐられたんだと証言をせよ」という指導をするに至っては、これは言語道断だと言わなければなりませんが、これらのことについて、これは公安委員長に問いただしたいところでありますけれども、おられませんから、かわりの方に一応承りたいと思います。
  53. 綾田文義

    ○綾田政府委員 先ほどのデマを流したということは、私も新聞承知をいたしておりますが、昨年の事故を見ますと、先ほど言いましたように百四十二件でございましたが、日本の高校側のほうは約四十校、大体各校一人でございますけれども、大体四十校くらいが被害者でございますけれども、そういうことを受けております。それから、警察と学校との、いわゆる連絡協議会というものがございまして、そういう連絡協議会を通して、学校の登下校を安全にするという趣旨から、これは朝鮮高校の生徒であろうと、日本の高校の生徒であろうと、どこまでもそういう安全を守るという立場から、警察がよく学校へ連絡するということは必要であろうかと私は思います。  第二点の、先生がおっしゃった、警察にそういう偏見があるのではないかというお話しでございますけれども、私も、詳細のそういう点についてははっきり聞いていないのでございますが、私は、そういうことは絶対にないというふうに考えております。警察はどこまでも厳正中正で、そうして、少年の将来を考えて個別指導をするということが本旨でございまして、この点では、部内においてもそういうことはないと私は考えております。
  54. 吉田法晴

    吉田委員 公安委員長がおられませんから、またあとお尋ねすることにしますけれども警察のほうで、朝鮮高校生が暴力をふるうのではないかという偏見あるいは誤解を持っておられるのではないかということについては、これは第三者でございますけれども新聞名は明らかに覚えておりませんけれども、こういう記事がございます。「“無法学生”に怒り」と書いてあって、その中に、東京品川の公務員の人の意見を書いておりますが、「国士舘高校生が朝鮮高校生を襲って制服をはぎとり、それを着て、暴れていたことがわかった」と書かれている。それから、東京の大崎署で、朝鮮語を使って万引きを働いていた三十三人の女子高校生の万引きグループを補導したところが、彼女たちの中には朝鮮人は一人もおらず、全員が日本の中流の家庭の子女であったが、この補導の過程から、非行少年の隠語集というものを警視庁少年一課で編集されたように、非行少年の中に、あるいは少女の中に、朝鮮語を使って万引きをしたりあるいは非行をしたりする者があるということは、警察自身で御存じだという話でありますけれども、前の話とあわせて、こういう事実が、朝鮮人暴行という、いわば誤解と口実になっておるのではなかろうかという感じがいたします。  それから、警察のことばによると、警察は中立だと言われますが、ことしの五月十八日に、越谷警察署長が警部補石井正三氏の名前で、島村平市郎越谷市長あてに、越谷市に登録のあるすべての外国人の登録原票を各一部送付願いたいという文書が出ているようでありますが、警察はどういうことでこの外国人登録証が全部必要なのでしょう。先ほど言われるように、警察自身に、民族的な偏見に基づくところの、暴力は双方に原因があるといったような誤解がなければ、十一日の事件について起こるはずがありませんけれども、その他の点については、いわば同罪のように言われますが、いま申し上げた最後の点は、これは事実であります。そのとおりに読み上げたわけでありますけれども、これについてどういう御意見がありますか、ひとつ承りたい。
  55. 中島二郎

    ○中島説明員 ただいま越谷の件についてお尋ねがございましたが、密入国事件の容疑がある事案がございまして、それに関連をいたしまして、捜査の必要上、外国人登録証の写しを要求したものであると聞いておりますが、いまお話しがありましたように、すべての、という点につきましては、県警に事情を聞きますと、しぼることがむずかしかったのでそうしたということでございますが、そういう点については、事案の性質をよく検討いたしまして、もう少ししぼった形で要求するのが適当ではなかったかと、かように考えております。
  56. 吉田法晴

    吉田委員 公安委員長が帰られましてから、その点はまたお尋ねすることにします。  文部省、外務省にも来ていただいておりますが、新聞のことばによりますと、これらの事件の基礎に、民族的なべっ視観念、あるいは差別観念、根強い偏見があるのではないかということが言われております。これはどの新聞にも書いてあることでありますし、それから外務大臣は、外務委員会で、外交的な問題でもあり云々という答弁をしておられます。外務大臣は、事の性格とその政治性についておわかりいただいていると思いますが、この国士舘大学等、いわば暴力学生等の教育方針にやはり問題があるのではないかというのは、新聞で、韓国の「アジア公論」の評を引いて、日本教育内容に対する鋭い批判があると書いてあるところから言っても、あるいは各新聞の論調や世論から見ても、私もそう思いますけれども、とにかく、民族差別、あるいは民族べっ視の観念が根強いものがあるのではないか。そうして、それに基づいて、この国士舘等の教育方針の中には、先ほど山口さんも触れられましたけれども皇国史観等の教育がなされている。そのことと、この民族べっ視の観念とが結びつきがあるのではなかろうか。だから、学校の教育方針についても問題があるのではなかろうかと思うのは、これは、常識の当然の方向だと思うのであります。文部省としては、これについてどう考えておられますか。あるいは、引き続いて起こってまいりますこれらの事件についてどう対処をしようとしておられるか。お尋ねいたします。
  57. 水野清

    ○水野政府委員 ただいま、吉田法晴先生から、民族的差別意識のあらわれではないかという御質問でございますが、外務省の立場で申し上げますと、この事件は在日外国人に関する問題で、基本的には国内の治安上の問題でございます。ですから、外務省として取り扱う問題ではないというふうに思っております。  それから、かりに外務省がどう思うかということをしいて申し上げるならば、かりそめにも民族的な差別意識があってはならないと思いますし、また、そういうことではないのではなかろうかというふうに理解をしております。  外務大臣が外交上の問題だというふうに答弁をされたと言っておられますが、私どものほうでは、そういう外交上の問題ではないというふうに理解をしております。
  58. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 文部省でございますけれども、ただいまお話しがございましたように、文部省におきましては、国士舘高校の分については、これは都の学事部が直接所管することになりますので、都を通じて事情を詳細聞きますとともに、指導しておるわけでございますし、また、大学につきましては、直接関係者を呼んで話を聞いておりますが、学校教育法に定める学校で、先生御指摘のように、民族的な偏見を持つとかべっ視するとかいうことはおよそあり得べからざることであり、また、学校当局としても、そういうことは絶対に教育していないということでございますので、なおその趣旨を十分徹底してほしいというふうに要請をしておる、こういうことでございます。
  59. 吉田法晴

    吉田委員 外務省のほうはちょっとあとでまたお尋ねをいたしますが、学校に関連をいたしますから文部省にお尋ねをいたしますが、この国士舘等、暴力学生を出しております日本の学校の教育方針、これは直接的には都の学事部だと言われますけれども教育方針から言いますと、教育基本法その他から言いまして、私が心配をいたしますような、あるいは新聞紙上で言われますような、差別観念、根強い偏見というようなものがあるべきではございませんけれども、それではなぜ、こういう問題について、いわゆる加害者に回っております学校にそういう点が特に多いか。これは被害を受けました朝鮮高校の校長さん、父兄等がきのう行かれたようですが、新聞の論調にも書いてありますように、学校との間に交流をしながら、それらの点については正しい認識を持つようにすべきだと考えるのでありますが、一つは、あの文部省が出しました外国人学校法、これは審議未了になりまして、まだ成立をしておりませんけれども関係者に言わせますと――私も多分にそういうことがあると思いますが、最近の日韓条約、あるいは、これはいま法務省から出されておりますけれども、出入国法、それから教育で言いますと外国人学校法、これらの根底にありますものが学生に影響をしてはいないか。特に、国士舘等の右翼的な教育方針とこれらのものが結びついてはいないか。  そこで、皆さんにお尋ねをしたいのですが、外国人の民族教育をする権利というものは、これは日本人が外国において日本語の教育をしますのと同じように、教育機関を持っておりますように、国際的に認められておる権利だと私は思います。したがって、法の問題もございます。いまかかっております法案につきましては、ここで論議をすべきではございませんけれども、外務省の考えられますように、平和的な南北統一の話し合いも進み、あるいは、WHOや議員連盟に加盟した朝鮮民主主義人民共和国との関係は、将来にわたっては考えられなければならぬところです。その辺も含めまして、外務大臣は、外交的な問題の関連もあると言われたのだと私は思います。したがって、朝鮮公民に対する民族的な教育権利があると主張されますことについて、文部省として、あるいは外務省として、どういうように考えられますか、答弁してください。
  60. 水野清

    ○水野政府委員 重ねてのお話しでございますけれども、外務大臣が申した点は、しいて言えば、これは外国人に関連しているという点で外務省としても関心は持っている、しかし、基本的には国内治安上の問題だと考えている、と、こういう趣旨で申し上げたことでございます。
  61. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 外国人学校の問題につきましては、実は、私、所管ではございませんのでこまかいお話しはできませんけれども、およそ日本におります外国人が、その子弟を教育するということは、権利と申しますか、それは当然のことでございますが、ただ、そのような教育をする場合に、それを日本の国内法で、いうところの学校教育法の学校として認めるかどうかということは、またおのずから別な問題であろう。そういう意味では、日本人で、海外に行っております東南アジア等の諸国でも、日本人学校と俗称される学校はございますけれども、いずれもその国の正規の学校ということにはなっていないということであります。
  62. 吉田法晴

    吉田委員 問題は、世界人権宣言なり、国際法的な権利としてお尋ねをしたわけでありますが、外務政務次官は逃げられた。私は外務大臣を呼んでお尋ねをしなければなりませんが、外務大臣が答弁をされた、新聞に報ぜられました記録をいま手元でちょっとさがしかねておりますので、正確にお伝えができませんから、これは他日に譲ります。  公安委員長が戻られました。国務大臣として御出席をいただいておりますのでもう一度承りたいと思いますが、六月の十一日に新宿駅、それから高田馬場駅の事件は十二日と訂正をされましたが、十一日の午後三時ごろ、木刀を持った国士舘大学の学生が三人派出所の前を通っておって補導を受けたということですが、そのことばのように、きょうは乱闘事件があるというので木刀を二本持ってきておったというのですから、これは計画的だと私は思う。そして、中には、意識不明、脳内出血の疑いがあるといわれるほどの者がおり、先ほど聞きますと、三週間のけがをした人が一人、あるいは二週間以上のけがをした人が一人、十日以上は二名と、相当の重傷を負っております。ですから、この事件は計画された事件で、しかも、そのけがをした者はたいへんな被害を受けている。重傷を負っておるわけでありますが、これについてどう処置をされましたかと言いましたらば、捜査をしているということでありますが、同様な事件が昨年一年の間に百何十件と起こっております。先ほどお尋ねしたところでも、警察が認められたところで百数十件ということでありますから、同様な事件がもっと起こっておる。  ところが、警察のほうでは、双方に責任があるとか、あるいは学生同士のけんかだとか、あるいは双方からの仕返し云々という話がありますが、十一日、十二日の事件を見ましても、これは計画をされておる。それから、その前の関係について言いましても、警視庁から直接来ていないせいもあるかもしれませんけれども、「朝鮮高校をつぶす会」とか、あるいは全国的に組織的、計画的に暴力事件が計画をされている点等については、これは警視庁から報告を受けておりませんという逃げ方をしている。それから、実際に警察が学校に連絡をして、襲撃があるぞというデマを飛ばしたり、あるいは学校を休んで帰させるような通報をしたりしたということについては、その中にはお認めになった点もございますが、新聞紙上で読んだという話でございました。昨年六月五日、総武線一帯に朝高生の襲撃があるというデマを流して、世論の糾弾を受けたことは周知のとおりと新聞に書いてあるが、それは新聞で知ったという話である。それから、北千住警察署で日本人学生に抗議をした学生には、「こん棒でなぐられたいのか、文句を言うと全員逮捕するぞ」とおどかしたり、あるいは日本の学生に、「真実はどうあれ、首実検の際は、警察で引き合わされた朝鮮人学生になぐられたのだと言え」と言ったり、あるいは七月九日に、王子警察署では、抗議をする学生に、「つべこべ言うとおまえたちも公務執行妨害罪で逮捕するぞ」と言ったり、あるいは手錠をはめた二人の女学生に暴行を加えて全治一週間の打撲傷を加えたり、あるいは、国士舘高校生が朝鮮高校生の服をはぎ取って、これを着て乱暴を働いたとか、あるいは朝鮮語を使って万引きをしたりする不良男女学生があるとか、こういったことが誤解の理由になっているのかもしれませんけれども警察が、警察法に示すように中立でなしに、暴力学生を使嗾しているのではないかといったような事実がございますが、これらの点について、国家公安委員長としてどう考えられますかということをお尋ねをいたします。  それから、もう一つ、この底に民族差別の観念があるのではないかということを尋ねましたが、そういうことはあるはずはありませんと言われました。ずっといろいろな事情を調べて、あるいはこれは警察等についても直接聞かなければならないかもしれません。警察庁からお認めを願えなければ、当該警察署について調べるしかありませんけれども国家公安委員長としては、これらの事実についておそらく御存じじゃないと思います。御存じじゃないと思いますが、こういうことを基礎にお尋ねをすることについて、公安委員長としてはどう考え、あるいは、自治大臣として、その根を断つために、民族差別や偏見を――これは各新聞も書いてありますし、ないとは言わせませんが、これをなくすためにはどうすればいいか。新聞の論説でも、相互の交流に基づいて偏見を取り、正しい認識を持たすべきだということも言われておったりいたしますが、閣僚の一人として、どう考えられますか。
  63. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御質問の点は、きわめて重要であります。この種の対立抗争事件というものはしばしばあったことは御指摘のとおりです。  そこで、警察側としては、これは治安上からも、少年の非行防止の観点からも遺憾な問題であるというとらえ方で、事前の予防警戒体制をとるとか、学校当局に指導助言をするとかということで今日に至ったわけですが、また起こった。相次いで何べんも起こすことはまことに残念なことですが、御指摘のような民族対立の感情とか、あまりそういうふうにとることはどうであろうかと思います。これは、私も、実は、事の重大さについて、いろいろ関係者からも事情を徴しますると、過去には、国士舘とこの朝鮮人学校との対立もあったそうですが、もっと顕著なのは帝京高校、これと朝鮮人高校というのですか、この間の抗争が非常に顕著だったということで、自来、警察ども、学校当局双方に呼びかけて、野球の試合をやらせるとか、バレーボールとか、卓球とか、いろいろなことをやらせて、スポーツ交流をやらせたらだんだん減ってきた。これなどはたいへん成果をあげた一つの結果だというふうに思うわけでございます。  したがいまして、今後も、こういうことに対する取り締まりは、それこそ、まあ、若い者ですが、言うところの学生服を着た暴力団といったような形になることははなはだ好ましくありませんし、これは学校当局にも十分責任を持ってもらわなければならないと思いますが、やはり、願わくば、スポーツの交流その他、校友会活動の交流といったようなことで事を処置していくということが望ましいのではないかと私は思います。  新聞等で見ましても、これは民族の対抗に因を発するのだとは必ずしも書いておりません。そういうことにしてはならぬと言っておるように思います。私も、その辺は、そういう対抗に持っていってはならないと思っておりますし、むしろ、隣邦同士でお互いに仲よくしていこうというときに、こういうことで、それこそ、国際外交の上にも悪影響を及ぼすことがあってはならぬというふうに思います。特に、いまの、この、平和な豊かな文化国家を指向する日本においてこんなことが行なわれるということはきわめて残念です。  私なども、中学時代は、えてしてこういうことがあった。私なども、木刀を持って歩いたこともないわけではありませんが、そんなことが、こんな戦後の平和を指向する国柄においてあっちゃならぬ。これはやはり厳重に取り締まらなければならないということを私は思います。しかし、これはあくまで学校側の自覚にも待ちたいし、同時にまた、校友会活動等を通じて穏健妥当な方向におさめていきたいと考えます。しかし、今後かりそめにもこういった暴力行為が永続的にしばしば行なわれるというようなことになりますれば、もとより、これは厳重な取り調べをしなければなりません。また、同時に、こういったことが二度と起こらないようにしなければならない。ましてや、今度の事犯は、善良な市民まで巻き込んでおる、巻き添えを食った人があることなどなどを考えますると、いかにもこれは遺憾な事件だと思っております。十分責任をもって対処いたします。
  64. 吉田法晴

    吉田委員 江崎長官、民族間の友好と将来の共存のためにもたいへん誠意を披瀝した答弁を願えましたから、あと要望にとどめますけれども新聞で見ますと、朝鮮中高級学校の見解の中で、「毎年四、五月に集中的に起っているため、四月十五日の金日成・朝鮮民主主義人民共和国主席の誕生日、五月二十五日の朝鮮総連結成記念日に対するいやがらせとみている。さらに、これまでも出入国管理法案、外国人学校法案などの国会審議など、在日朝鮮人に関する政治問題があるたびに事件はふえており、今国会にも出入国管理法案が上程されているため、この法案可決への政治的圧力としての暴行関係者はみている。」と書いてあります。それから、あなたを除いて、いままで来ておりました警備局長や保安部長警察関係者は、関係はない云々というお話しでありますが、これは新聞での「“無法学生”に怒り」の中に、「根強い偏見」として、「一般論としては朝鮮人を差別すべきでないという日本人も、いざ、自分の問題となると偏見を持つ人が多い。」と書いてあります。それから、これは名前は書いてございませんけれども、品川の公務員の人が、「本質見つめて」という題のもとに、「四年前、板橋区内のある高校で講師をしていたころ、生徒が登下校のときに朝鮮高校生にやられると、とてもこわがっていた。ところが、調べてみたら、国士舘高校生が朝鮮高校生を襲って制服をはぎとり、それを着て、暴れていたことがわかった。国士舘高校では、こんなことを許しているのか。反民族感情をあおるやり方は、ナチスのユダヤ人狩りにもひとしい。」と書いてございます。  私は、これらの点が単なる心配であればいいと思うのでありますが、警察の態度を見ましても、いささか公正を失しておる。それからまた、先ほどありましたような事実が事実であるのかどうか、私もさらに調べたいと思いますが、またあらためて質問をすることにいたしまして、これは外務省あるいは文部省も来ていただいておりますけれども、文部省で言うと、教育のあり方、あるいは問題になっております学校の教育方針、あるいは外務省で言いますと、国の、一番近い両民族の友好と今後の永遠の平和のためにぜひ御努力願いたいところでありますが、双方の関係者からの発言は、これはそう否定はできまいと思います。重ねて、これらの指摘に対して、政府を代表して答弁を願いたいと思います。
  65. 江崎真澄

    江崎国務大臣 今後といえども、民族的差別によって取り締まりが手かげんをされたりなどということはあってはならぬと思います。これは非常に重要ですから私は申し上げておきますが、警察側としては、中正、公平ということにつきましては、絶えず事犯を公正に取り締まっていく態度でおります。世界的にも日本警察の公平性というものは認められておりまするから、誤解があってはなりませんから申し上げておきます。(吉田委員「具体的に指摘をしておりますから」と呼ぶ)具体的な問題については、当然十分調査をいたします。  それからまた、こういう暴力事犯は教育の場を背景にしておりますだけに、やはり、学校の関係者にこれはよほど注意をしていただかなければならぬ。まあ、これだけの大きな問題になれば、当然、学校当局者としても、それぞれ感ずるところあって、今後の教育方針にもいろいろ変更が加えられるだろうと思いますが、健全な学校の教育方針に待つ、これには私どももあらゆる助言と協力を惜しむものではございません。なお、念のために申し上げますが、警察がそういう思想的な動向等によって動くという、そんなことはないということは、たとえば、この間、国交回復されました中国の廖承志氏一行が来られたときに、どんなに中正、公平にその人たちの身辺を守ったか。これを見ていただけば、思想の違った隣国の朝鮮民主主義人民共和国の関係の人々に対して警察が差別などを行なわないということは明らかであります。むしろ、そういう誤解から今後の友好関係に支障を来たすようなことがあってはなりませんので、くどくなりましたが、重ねて念のため申し上げたわけでございます。御了承を願います。
  66. 上村千一郎

    上村委員長 この際、午後一時四十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十五分開議
  67. 上村千一郎

    上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  警察に関する件について質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  68. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 警察の機構は、他の行政機関とたいへん異なっております。警察法にも、厳正中正の立場で警察はすべてのことに対処しなければいけないという規定もございますし、また、江崎国家公安委員長も、大臣でありますが、国家公安委員会を主宰するということでございまして、直接指揮はすべて警察庁長官にゆだねられている。かつて、江崎国家公安委員長のような見識ある大臣がたまたま国家公安委員長についておりましたときに、ある事件に関して、私が直接出ていって指揮をとるというようなことを言って国家公安委員の人たちにたしなめられたというような例もあるわけでありまして、そういうことは江崎さんに限ってはないだろうと私は確信いたしております。したがって、国家公安委員長、大臣に聞くだけでは、現実の警察の問題については解決をしない、これは機構上当然のことだと思います。そういう立場から、午前中、江崎大臣にもお尋ねをいたしましたが、警察責任者という立場で高橋長官に一、二の問題をお尋ねしておきたいと思います。  こまかい点は一切省略をいたします。日教組大会開催の問題で、伊東市あるいは水上町、さらには、現在は、前橋県民会館をめぐっていろいろな事態が起こりました。要は、右翼日教組大会ボイコットを旗じるしにいたしまして、会場を貸すということをきめた自治体の長あるいは助役、あるいは旅館等の関係団体に対して脅迫をする、あるいはアジ演説をする、また、ビラを張る等、いろいろな形で行動をやってまいったわけであります。そういう中で、伊東市も日教組大会返上し、水上もまた返上する旨を意思表明いたしておるわけであります。そういう中で、前橋県民会館の問題につきましても、知事が、先ほど来議論をいたしましたが、自治大臣の口をかりましても、行き過ぎのある条件を出すというような事態になっているわけであります。  高橋長官は、かつて、社会党石橋書記長と私が参りました際にも、あるいは日教組委員長、書記長が参りました際にも、警備には万全を期します、住民に不安を与えることのないように万全な警備をいたしますということについては明確に言明されたのであります。ところが、今日までの経過を見ますと、伊東返上水上返上前橋も非常に困難な状態にあるということでございまして、この点は、高橋長官が言明されたにかかわらず、その言明が生かされていない。こういうことはきわめて遺憾に思います。もちろん、大会が開催されたときに警備の万全を期するというふうに言われるかもしれませんけれども、事前に右翼が妨害行為を行なうことによって、大会返上という事例がすでに出ているわけですから、とすれば、明らかに、憲法二十一条に言うところの言論集会出版その他の自由がすでに侵害をされている、こういうことだと思うのです。この点で、警察当局に、厳然たる警察当局がありながら、一部右翼の妨害行為によって憲法の自由が脅かされているというこの現実に対して率直な反省があってしかるべきではないかと私は思いますが、憲法の自由が侵されているという現在の事態に対してどのようなお考えがございますか、まず、お伺いしておきたいと思います。
  69. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 ただいま山口委員から、いろいろな現在の問題について御質問がありましたが、先ほど来申し上げたとおり、警察庁あるいは警察の考え方といたしましては、今度の問題について、社会不安のないように、あるいは警備体制を十分にするということにおいて、私どもはそういう基本的な方針にのっとったわけであります。したがいまして、現在において、私どもは、右翼に伴う妨害とか、あるいはそういうことについては、県警を中心にいたしましてそれに対応する対策を十分に講じておったものと確信をしておりますし、私はそういう指示をいたしたわけでございます。  いろいろな問題について派生をしているというようなことがありましたけれども、それぞれの事件については、それぞれ処理をいたしておるという状況でございます。したがいまして、非常な社会不安があるということはないと私は確信しておりますし、現在も、平穏な中で、いま申し上げたように、会場等の問題についてはそれぞれの担当者がお互いに交渉している。その交渉している全体の情勢においては、十二分な警察の体制について、あるいは警備情勢に対しましては、憲法あるいはその条章に従う私のやり方によってやっておるというのが現状でございます。
  70. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 十分手だてを講じてきたし、憲法の自由についても、警察としてなし得ることをやってきたということでありますが、現に、伊東返上し、水上返上する意向を表明したわけですね。前橋については、こまかいことは議論しませんが、とにかく、非常に非常識きわまる行き過ぎた条件を出しているということは、やはり、警察警備体制というものに不安があるからこそ、そういうまさに違法、不当な条件を県が出していると私は思うのですね。内容は議論しましたから、私はそのことは触れませんが、とにかく、地方自治法に違反し、自治省の行政解釈にも違反をするような、過酷な、行き過ぎの条件を出しているということは、県が警察警備体制というものに不安を持っている証拠だろうと思うのです。そういう意味で、今日までの事前の警備というものが万全を期したとは言えない。現に、二つも憲法の自由が脅かされる事例が出ているじゃないか。私は、この点についてはもっと深刻な反省があってしかるべきじゃないかと思うのです。もし、そういうことで、日教組のみならず、民主的な労働組合の大会が開催できぬという事態になったら、一体どうしますか。どういう責任をおとりになりますか。
  71. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 伊東市の問題あるいはいまの水上町の問題、あるいは今回の県民会館の問題につきましては、私ども警備体制については、いま申し上げたように万全の対策を講じております。したがいまして、それらの問題について、町の関係、あるいは旅館の関係等についていろいろなことを私ども聞きますけれども、正式な私どもの本部長あるいは警備部長等との交渉の過程においては、そういう面については安全であるという確信を持っておるわけでありますので、いま申し上げたように、県民会館の問題について非常な社会不安がある、あるいは警備体制がよくないということについては、いささか私としては申し上げなければならぬというふうに思うわけでございます。  したがいまして、それらの会館の問題、あるいは旅館の問題等については、いま申し上げたように、それぞれの日教組関係、あるいはそれに関係する関係の方々との交渉において、私ども十分な体制を講じておるものでありますので、それぞれの問題について私の責任であるというふうに思われてはいささか遺憾にたえない、こういうふうに思うわけでございます。私どもは十二分な体制を講じて、そういうことのないようにいたしておるということで、現在は、平穏な中で、会館の問題については、県の関係とか知事の関係と十二分な交渉をしておる、こういうふうに私は確信をしておる次第であります。
  72. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 長官は、六月十一日に開催された全国警察本部長会議におきまして、長官の訓示をされたようであります。新聞で拝見したわけでありますけれども、そこで、長官は、警察官の週休二日制を来年度より完全実施をしたいということ、あるいはセーフティーミニマムを設定するということで、新しい施策について提言をされました。  たとえば、蓼承志訪日団日本に参りましたが、そういう中で、警備のために第一線の警察官の諸君が非常に苦労をされたということについては、これは評価するに私はやぶさかではありません。また、警察官の中には、あるいは警察官がどろぼうに入ったとか、あるいはひき逃げをしたとかいうような遺憾な事例も新聞に報道されることが間々ございます。私の選挙区でも同じような事態が起きたことを承知をいたしております。いま、警察官の方々の苦労は多い。また、そういう中で警察官の質を向上させなければならない、優秀な人材を警察官に迎えねばならぬというときに、高橋長官が非常に苦労し、こういう提言をされたことはけっこうだと私は思います。また、私も、当地方行政委員会の中で、第一線で苦労している警察官の方は試験を受けるのにも非常に条件が不利だ、内勤の方は試験を通って警部補、警部あるいは警視というふうに昇進する道があるけれども、現実に犯人を追いかけている刑事の諸君、あるいは第一線で警備に当たっておる警察官の諸君という人たちは、試験上不利があって昇進できぬということではいかぬじゃないか、試験制度一本やりではなくて、そういう苦労をしている方々に対してもっと特進の道を開いたらどうだということを議論し、そういうことについて、ある程度前向きで対処をいただいておることも私は承知をいたしております。そういう意味で、この長官の提言はけっこうだと私は思いますが、それに対する真意をひとつお聞かせをいただきたいと思います。  そういう警察官の方々に報いることは、私どもも大いにしなければいかぬと思いますけれども、同時に、いま、高橋さんは、責任云々ということは心外だというようなことを言われたけれども、現に、伊東大会は不可能になったじゃありませんか。水上大会も不可能になったじゃありませんか。憲法規定も、先ほど来長官と議論したのですが、第三章に国民権利義務規定がございます。その中に、公共福祉の範囲内においてという限定のついている条項とついていない条項があることは、長官、御存じでしょう。この憲法二十一条は、そういうカッコ書きはついていないのです。あくまでも、国民のその自由というものは守られねばならぬ。ところが、一部右翼の暴力行為によって、あるいは右翼暴力団によって、歴代日教組大会に対して、いろいろな形でのさまざまの妨害行為をやった。そういう中で、いまや日教組大会の開催が不可能な状態になっているということについて、治安を預かる警察当局として、深刻な反省があってしかるべきだと私は思うのですよ。それは、警職法の範囲内において、予備検束はできぬとか、いろいろなことを言うのでしょう。それは私もよく承知をいたしておりますが、しかし、現在の警職法の範囲内において、また、現在の警察の機構において、そういう住民の不安その他の理由で労働組合の大会等の返上が起こっているということについては、やはり、警察として反省があってしかるべきだと私は思うのですすが、どうですか。現に、憲法の自由が侵害されているじゃありませんか。
  73. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 いまの問題につきましては、警察官についての勤務条件とか勤務時間等――あるいは警察官がたいへんよくやっておるということについては、たいへん私も感謝をいたしておる次第であります。  いまの問題に関連をして、いまの日教組の問題につきまして申し上げれば、私どもの直接の警察の体制として、警察の考え方として、いま申し上げたように、憲法あるいは法律の条章に基づく警察のあり方として、私どもは、今回の日教組あるいはそれらの問題に関連する問題に従事している次第でございます。したがって、結果的にはそういうような御批判があるかと思いますけれども、私どもとしましては、法律に基づき、あるいは警察の本来の趣旨に基づいて、たとえば右翼からのいろいろな妨害については、いま申し上げたように、十二分な体制を講じております。いろいろな批判があることは確かに私も承知をいたしておりますが、私としては、いま申し上げたような与えられた条件のもとにおいて、いわゆる人間の自由というものについては、あるいは集会の自由というようなものについては、十二分な私としての体制を講じている、こういうふうに思うわけでございます。
  74. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりたいと思いますが、先ほど来、日中国交回復、あるいはその他国際情勢の変化等によりまして、最近右翼活動が非常に活発化しているということについて指摘をし、具体的な団体活動状況についても報告を受けたのですが、要は、私は、このような右翼蠢動資金源を断つということが必要だと思うのですね。こういう会館の使用について、暴力集団に対しては会館を貸さぬということがあります。そういうものを使って、美空ひばりの公演等について、地方公共団体がそういった自治省の行政指導を忠実に守って対処をしたことがあるが、暴力団の資金源を断つという意味で、そういうことで一つのすぐれた成果をあげていることは私は承知をいたしておりますけれども、要は、最近の右翼蠢動には目に余るものがあると思いますので、資金源を断つ対策については警察はどのようにしてやっているかということです。  そして、最後に、現在のような状態で、警察としてはやれることはやったんだ、やったんだと言いながら、民主的な労働組合その他、そういう団体大会が現実に開けぬというような事態がどんどん起きた場合に、一体警察としてはどうするつもりですか。どう反省し、どう責任をとるつもりですか。それを伺って、私は質問を終わっておきたいと思います。
  75. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 ただいま御指摘のありました暴力団等につきましては、私も、長官指示に基づいて暴力団の絶滅を期していくということで努力をしておる次第であります。特に、その中においては、資金源を封圧するというようなことを基本的な一つの方向として、あらゆる対策を現在も講じておる次第であります。  そこで、右翼の問題につきましては、右翼というものについて、すべてが暴力団というふうにも言えませんし、また、合法的な右翼としてのやり方というものもあるわけでございます。もしも、その際において不法越軌なことがあれば、遠慮なく法律に基づいて検挙をし、あるいは逮捕をする、あるいは処理をするというのが私の基本的な考えでございます。したがいまして、もしもそういう暴力団的な行動があり、あるいはそういう点のものについてもしあるならば、暴力団対策として私どものやっているものについては、遠慮なく私として対策を講ずる、こういうふうに思っておる次第でございます。
  76. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一つ御答弁が足らなかったですな。
  77. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 何でございますか。
  78. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 民主的な労働組合等の団体が、結果的に次々大会の開催が不可能になる。憲法の自由が現実にどんどんと脅かされる。このまま放置すればそういうことが起き得る可能性がありますよ。だからこそ、私ども社会党はそれを重視して、石橋書記長並びに私どもがおたくのほうにもおじゃまをして、それに対して警告をしたつもりです。そのことに対して一体どうお考えなのかということを申し上げたつもりですが、お聞き取りになれなかったんだろうと思いますが……。
  79. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 いまの問題につきましては、私どもとしては、そういう社会不安があってはならないので、そういうものに対しては、私どもが申し上げたように、警察の基本的な方針として対策を講じ、そして、いわゆる集会の自由等については確保しなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。したがいまして、方針として私が考えているものについて、それぞれの具体的な問題についてはそれぞれの対策をして、あなたの言われるような十二分の体制を講ずるように私もしているつもりでございますので、重ねて私の考え方を申し上げた次第でございます。
  80. 上村千一郎

    上村委員長 次に、林百郎君。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 最近の右翼の暴力行為につきましては、すでに、これは警察行政の問題で終わるということでは済まない、政府の政治的な責任にまでこれは発展する可能性のある事態だというようにわれわれは考えているわけなんです。  一例を申しましても、たとえば、わが党の最高幹部である宮本幹部会委員長が、五月十三日に、熊本の空港で、右翼の、これはもう名うての「一人一殺」を唱えておる有働一文によって、さしみぼうちょうで二メートルの近くまで襲われて殺傷されようとした。さらには、日教組大会が、事もあろうに前橋市において――これは特に江崎さんに申し上げたいのですが、群馬県というのは、中曽根通産大臣、福田国務大臣と、二人も時の田中内閣の閣僚の出ている県です。その県都の前橋市で、労働組合の民主的な大会を持つことができないような状態になっているということは、これは田中内閣の責任じゃありませんか。そう思いませんか。しかも、内閣の支柱なわけでしょう、中曽根さんにしても、福田さんにしても。(「江崎さんもそうだぞ」と呼ぶ者あり)江崎さんも支柱の一人かもしれませんが、いまは群馬県のことですから。そういうことで、これは、およそ田中内閣の政治的な責任は重大だと思うのですね。そのことをよく考えていただきたいのです。世間ではどう見ているかということですね。大臣の二人も出ている県の県都で日教組大会が持てないなんという、そんな内閣が、口で幾ら治安の責任を持つとか、万全の措置をとるなんと言ったって、だれが信用できますか。  だから、川崎では、市民のほうでみずから、暴力から市民を守るのだというような、市民の自発的な組織までつくらざるを得ないような事態にまでなっている。これは国士舘大学の学生と朝鮮高等学校の学生との紛争から起きたわけですけれども、しかし、これが国士舘大学の学生の全部だとは言いません。もちろん全部じゃないでしょう。しかし、この一部の者の目に余る右翼的な暴力行動というのは、江崎さん、これは共産党の事務所にも押しかけているんですよ。これはあとで申し上げますが、川崎の地区委員会の事務所に二名、三名来ているのです。しかも、きょう私のほうで得た情報ですと、「暴力から市民を守る会」の副会長の松田三郎さんという方の宅へ、脅迫状が十四日に届けられている。それは、「すぐ、暴力から市民を守る会を解散しろ、解散しなければ殺す」と書いてあり、封筒の裏には「国士」という署名が書いてある。こういうことまでされているんですよ。市民が、警察だけではたよりにならないから、みずから、自分の手で暴力から市民の安全を守ろうとすれば、そこへまで、「解散しろ、解散しなければ殺すぞ」という脅迫状が来ているわけです。  さらに材料を申しますと、実は、昨日、やはり、私のほうの群馬の県委員会右翼から襲撃を受けておりますが、この十三日には、六月十一日の消し印で、県委員長の本庄晶あての手紙が来ています。差し出しは「東京都渋谷区千駄ケ谷四の二十六の七」となっておって、差し出し人の氏名は記載してない。わが党本部の住所を差し出し地として書いてあるわけなのですね。共産党の本部を差し出し地として書いてある。それで、差し出し人の名前は書いてない。それで、文章には、「国賊狂産党」として、共産の「共」は「狂」という字が書いてありますが、「国賊狂産党解体せよ。日本狂産党、おまえのあたまは狂っている。近い内におまえの首をとりにゆく。本庄晶よ、その「赤」い首をよくあらっておけ、いま流行のあいことば。本庄晶の首をとれ、狂産党がきえると平和がくる。本庄晶、三途の川であかをおとせ」と、こういう脅迫状が来ている。これを警察が知っているかどうか知りませんが、私は、こういうことがあるたびに警察に行って、こういう右翼動きがある、十分警戒をしろということは幾度か言っているはずです。だから、いまや、この地方行政委員会で、国家公安委員長や警察庁長官を呼んで、右翼の暴力行為についてわれわれが質問をしなければならないということは、その前に、市民にとっては、この右翼暴力団というものが非常に大きな脅威として襲いかかっておるのだからおそきに失するわけでありますけれども、われわれは当地行委員会でこの問題を取り上げているわけだが、その責任は、明らかに、政府の政策、あるいは政府右翼に対する態度というものにあるということをよく考えてもらいたいと思います。  高橋さんに率直にお聞きしますが、あなたのほうは右翼の幹部と行き来しているのでしょう。いずれ私のほうは証拠を出しますけれども、あなた方は右翼の幹部と食事をしたり、あるいは電話で連絡し合ったり、場合によってはおみやげをやったり、十分情報はとれているはずじゃありませんか。それなのにこういうことをするということは、あなた方は泳がしているということ以外の何ものでもないじゃないですか。右翼とそういう情報の交換を相当し合っているのでしょう。もし、あなたのきょうの返事いかんによっては、私のほうは動かしがたい証拠を出す用意をしています。
  82. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 右翼のあり方の問題について御質問がありましたけれども、私のほうは、情報活動の上において、いろいろな情報をとっていることはもちろん間違いありません。しかしながら、いま申されたような、泳がせるものであるとか、あるいは癒着しているとか、そういうことはございません。いま申し上げたように、警察としては、厳正公平なあり方として、情報に対応して、あるいは警察対策として、私どもとしていつも申し上げているようなことをやっているわけでございます。したがいまして、いま申されたような、われわれが泳がせるものであるとか、あるいは癒着であるとかということはございません。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた方は右翼の幹部と一緒に食事をしたり、電話で連絡をし合ったり、あるいは、きょうは御苦労だったといっておみやげをやったり、そして情報をとったり、交流をし合っている。そうして右翼がどんどん泳いでいるということについては、これは泳がせていると言うよりほかしかたがないじゃないですか。それをわれわれは泳がすと言うのですよ。  それでは、具体的に聞いていきましょう。たとえば、五月十三日の、うちの宮本委員長に対する襲撃ですが、これは有働一文、青年愛国党員ですね。二十三センチくらいのさしみぼうちょうを振りかざして襲いかかっておる。このことについて、あなた方は有働という男はもう知っていたのでしょう。だれか答えてください。
  84. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  有働というのは、これまでも逮捕された経歴を持っておりますし、有働という人物は知っております。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 その知っている男が、宮本さんの自動車の近くにいるというのに、そして、そこには、おそらく警察警備をしていたと思いますが、どうして何らの処置もしないのですか。二メートルも近くにさしみぼうちょうを持って押しかけるということを許しておくのですか。あらかじめ、おまえはきょうここにいるべきではないと言って、それを排除したらいいじゃないですか。右翼の暴力団として顔見知りの男がそこにいるのでしょう。それをあなた方も知っている。しかも、念のために言いますけれども、私のほうの熊本の県委員会では、十一日と十二日に警察のほうに行きまして、右翼暴力団の取り締まりを十分にするように、特に、熊本というところは、青年愛国党、日本同盟、大日本創世会というような右翼の本拠であるから、うちの委員長が来るについては十分取り締まりをするようにということを言っている。続いて、十二日には、右翼動きはどうか、党としても幹部の身を守らなければならないから、警察のほうで右翼動きをつかんでいるならば、念のためにそれを知らせてもらいたいということを言っているわけですね。ところが、あなたのほうは、特別な動きはないという回答をしているじゃありませんか。その有働という男をどうしてそこに置いておいたのですか。しかも、そこには、警察官がたくさんいたはずです。右翼の取り締まりの警察官もいたはずです。そして、警察が十分顔見知りの男です。それをどうしてそこにそのまま放置しておくのですか。
  86. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  当日は、そういうことで、熊本県警では、空港に二十二名の警察官を配置して警戒に当たっておった。そして、宮本委員長が到着する約一時間前に、有働がそこにいるということを発見いたしましたので、係官が職務質問して、おまえは何で来ているのだと聞いたところ、友人が飛行機で帰ってくる、それを迎えに来たのだということであったので、引き続いて同人を警戒し、いわゆるマークしながら本人を監視していたわけでございます。したがって、宮本委員長が自動車に乗ろうとしたところを、この本人が飛び出したので、それで、ばっとこれを取り押えようとしたわけでございますけれども、これを振り切って走り出したということであって、有働を発見しても、それを全く監視せずに放置したというわけではございません。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 友人が来るのを迎えに来ているのだと言った有働の言うことをそのまま信用して、そこにそのまま置くということはおかしいじゃないですか。常日ごろ「一人一殺」ということを主張している行動右翼の、警察がもう顔見知りの、名うての男がそこにいるのに、そして、共産党の最高幹部が飛行機でおりてくるというのに、私の友人がおりますからここにいるのですと言うことを、そのまま警察が信用して、そこに放置しておくということは、これは明らかに警察の手抜かりじゃありませんか。そう思いませんか。だれが考えたってそうですよ。それでは、友人というのはだれだ、だれが来るのだと念のために聞けばいい。そして、そのとき、からだにそういうさしみぼうちょうを持っているということは警察ではわからないのですか。
  88. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 友人といっても、同郷の友人であるという形で、本人の態度が非常に真摯であったのでそれを信用したわけですが、ただ、御承知のとおり、具体的な疑いのない人を、からだをさわってさしみぼうちょうを発見するというのは、これはちょっとできかねるので、本人を十分監視すればいい、こういうふうに警察官は判断したようでございます。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた方がそういう甘いことをおっしゃるなら、私は、それこそ泳がせていると言わざるを得ないと思います。しかし、そこから排除することはできるじゃないですか。とにかく、宮本委員長の乗る自動車もそばにあるわけなんですから、その近くに殺傷を信条としている右翼の男がいるのをそのままにしておくということはないでしょう。ともかく、ここから遠ざかっておれということは言えるでしょう。しかも、前科もある男ですからね。これはもう瞬時で殺傷されるところだったのですけれども、幸いにしてそれを免れることができたのですけれども、そのくらいの措置をしなかったら、万全な警戒体制とは言えないのではないでしょうか。  それで念のために聞きますが、その後有働はどういうような措置を受けているのですか。
  90. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 有働は、逮捕した後取り調べをしたわけでございますが、背後関係も追及するために、その次の日、青年愛国党の事務所及び被疑者の実家を捜索しております。それから、熊本東警察署に捜査本部を設けまして、さらに継続捜査中でございますが、これまでの状況では、犯行の二日前に、実家に帰ってくるということで、青年愛国党の事務所を出てしまっておるわけです。そして、熊本市内の旅館に宿泊をしておるわけです。その間、関係先等について、宮本委員長の空港の到着時間等を確認するなどして、市内の店でさしみぼうちょうを買っている、こういう事実が出ております。現在までのところ、被疑者の単独犯行というようにわれわれは考えておりますが、捜査の過程でそのように判断されるわけでございますが、なお、背後関係についても引き続き捜査中でございますが、本人の身柄は、すでに検察庁のほうに送られておるわけでございます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 有働の単独の行為だと言いますが、その晩に、宮本委員長の宿舎であるニュースカイホテルにも、日本生産党の七、八人のものが乱入をはかろうとしている。ニュースカイホテルは宿舎なんですが、それから、演説会場へも乱入しようとしている。こういう集団的な暴力行為があったんじゃないですか。これがどうして有働の個人的な意図だけだということが言えるのですか。
  92. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 演説会の開催の直前に、会場付近に右翼が十二、三名来たという事実はございますが、警戒中の警察官が規制をいたしております。いま、おっしゃった創世会の車もありましたので、これは違法駐車ということで退去させております。それから、宮本委員長の宿舎、ニュースカイホテルにも五、六人の者が来ましたので、これを規制排除いたしておるということは確かにございますが、現在までのところ、本人の取り調べからは、共犯者なり、これを使嗾した者というのは具体的に出てきておらない。しかし、引き続き捜査中でございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題については、わが党の最高幹部の生命に関する重大な問題でありますので、厳重な捜査を要求しておきます。  続いて、群馬委員会の襲撃と日教組大会の問題に移りたいと思いますが、先ほども社会党山口委員からも話がありましたが、江崎国家公安委員長も、警察庁長官も、万全の措置をとると言いながら、県民会館大ホールの使用について、「近隣自治会長(日吉町一、二、三丁目、住吉町二丁目、若宮町一、二丁目、城東町一丁目等)に対し、前橋市の協力を得て、大会の開催に反対しない旨の同意を得ること。」という条件が出ており、それから、その次には、「(1)防護施設の設置県民会館日教組警察等の意見を聞いて定める設計により、事故の防止と、会館施設等の保全に十分な防護柵、投石防止網等の工事を施行するものとし、これに要する経費は、日教組負担する。日教組は、館長の算定した概算額を予納し、大会終了後、精算するものとする。(2)損害の填補日教組大会開催期間中、事故の防止に最善の努力を傾注するものとするが、若し大会妨害行為に関連して、県民会館又は付近住民等に損害を生じた時は、加害者が特定され、且つその者に賠償する能力があり、速やかに損害が補償されると見込まれる場合を除き、加害者の如何に拘らず、その損害を補填するものとする。」となっているが、これは一体どういうことなんですか。日教組のほうが右翼の被害者になるというのでしょう。その被害者になる立場にあるものに、防護さくや投石防止網等の工事を施行する責任を負わせる、しかも、その予算をあらかじめ納めておけ、そして、もし大会の妨害行為等が起きて損害が発生した場合には、加害者に賠償能力がなければ、右翼に、暴力行為をした者に賠償の能力がなければ、被害者の日教組に補てんさせる、こんな契約が一体どこにありますか。こんなばかな、被害者のほうが暴力加害者に対する防禦施設の費用を出せ、もし被害を受けた場合は、被害者のほうが賠償の責任を負えという、そんな規定が民法のどこにありますか。被害者のほうが損害の賠償を支払わなければいけないなんて、こんなことを許していていいんですか。自治省、江崎国家公安委員長、どうですか。万全の策を講ずる、万全の策を講ずると言いながら、これじゃ、あんた方の言うことは全然信用していないということじゃないですか。だから、こんな条理に反することはすみやかに取り消させて、そして、少なくとも一つの県の県都である前橋で民主的な労働組合の大会が持てるような措置をとることが、治安の任に任ずる国家公安委員長、警察庁長官の責務じゃないですか。どう思いますか。
  94. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは午前中に何べんもお答えしたことの繰り返しになりますが、普通の会場を貸す場合の条件というものから考えますると、これは、私、適当じゃないと思うのです。私ども警察側としては、全責任を持ちます。これはいま長官も申しましたとおりで、責任を持つのです。ところが、右翼暴行といいまするか、日教組大会を想定しての妨害が誇大に宣伝されている。そして、それは、右翼と左翼の違いがありまするが、あの極左連中の、左翼の暴行というものは、とにかくたいへんなものがあったわけですね。したがって、そういう被害意識がだんだん善良な市民の間にあることは、これはいなめないと思うのです。しかし、かりそめにも、県が会場を貸す条件としての、普通の場合に提示する項目としては、ちょっとこれは適当じゃない。そこで、私も、ここに来ておりまする行政局長に命じまして、よく一ぺん事情を聞いてみたらどうだということで、副知事等が行政局長のところへ来て話しましたのには、一方的にこういう条件をつけたんじゃございません、実は、日教組の代表者が来られたときに、いまあなたが読み上げられたような話で、何かあったときに、こんなふうにもしてもらいたい、あんなふうにもしてもらいたい、実は県としては困るのだという話をしたら、いやそれはけっこうだ――けっこうだとは言わなかったかもしれないが、わかりましたかもしれないが、わかりましたというような話があって引き揚げていかれたから、それを明文化したものが実はこの文書でありますと、こういう答弁が返ってきたのです。だから、山口さんもさっき、それはけしからぬ、安全だというならば安全だということで、もうちょっと慫慂したらどうだとおっしゃったが、これは両方の言い分に食い違いがあるから、もう少し行政局長などの手元で詰めさせていただきますから、時間をかしていただきたい、こう言って別れたわけですが、貸す、貸さないということは、これは、やはり、施設を持っておる責任者と、これを借りたいという日教組の代表者と、当事者同士の間で話し合ってもらうことで、自治省が県知事に対して会場を貸してやれと言うことは、これは行き過ぎだと思うのです。ですから、警察側では、万全の措置を講じます、心配は要りません、こういうふうに申しておるわけです。したがって、また、自治省としても、そういう状況にあるということは、先方に対しても申すにやぶさかじゃありません。しかし、それをどう判断して、貸すか、貸さないかということについては、当事者がよくよく話し合って、納得ずくで解決をしていただくということが理想的であろうかというふうに思うわけであります。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 県民会館というのは、県が管理権を持っている会館でしょう。だから、それを貸せる、貸せないは県の方針によるわけですけれども、しかし、行政指導はできるわけですね。その場合に、県の県民会館を貸して損害が発生した場合に、加害者のほうに能力がなければ、加害者のいかんにかかわらず損害を補てんするとか、あるいは、事故防止のための防護さくや投石防止の網の工事の施行に要する費用をあらかじめ日教組に持たせる。いま日教組のほうが被害者になっているのに、その被害者側に、防護の施設の費用をあらかじめ納めろとか、損害が起きた場合には、加害者に能力がなければ被害者のほうで納めろとか、こんな条件を提示して会館の使用の許可条件にするなんということを、自治省として許していていいんですか。それは、結局、直接間接に右翼を擁護することになるんじゃないですか。これはどうしても知事を呼んで――林さん、これはどうしますか。話し合いと言いますけれども、こんなばかな、加害者が弁償の能力がない場合に被害者が弁償しなければならないなんという規定は、日本法律のどこにありますか。  それじゃ、もう一つ警察庁のほうに聞いておきますが、右翼が知事の秘書室に行ってすわり込んでいたという事実を知っていますか。この会館を日教組に貸すな、前橋日教組大会をさせるなといって、右翼秘書室へ行ってすわり込んだという事実を知っていますか。私のほうはそういう事実を知っていますが、警察のほうは知っていますか。そんな話し合いという問題じゃないんです。
  96. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かに、常識的に、貸す者と借りる者と、それから、貸して日教組大会が開かれた場合に、従来の秋田の大会とかその他の経緯からいきまして、いろいろな度合いでもございますけれども、地元にいろいろな波紋を起こしているという状況のもとにおいて考えますれば、そういう騒ぎが起こらないようにどれだけのものをするか、それから、もし起こった場合に、だれかが損害を受けたら、それをどれだけ償うかということについて、先生の御指摘になりましたような、被害者が払うなんというのはおかしいじゃないかという判断ももちろんございますけれども、そういう現実の事態を踏まえて、日教組と県の間で、こういう場合はどうしましょう、では、だれがどう責任を持ちましょうということで、いろいろと相談が進められました。前の秋田の場合も、そういう防護さくその他は、ある程度日教組が自主的におつくりになったようでございますけれども、その秋田も、水上の辺からわざわざ視察に行きまして、そういう状況を踏まえて、県と日教組の間で相談が進められたように聞いております。ですから、その条件は、私どもも初めは、いきなり聞きましたら、これはたいへんな条件だとびっくりしましたけれども、いま大臣から御説明がありましたように、そういう話を十分詰めた上で、県は、こういう条件が満たされれば貸す、日教組のほうでは、じゃ帰って相談するということで一たん別れた。そして、よく検討した結果、これは少しおかしいではないかというのがこの問題の発端だと思います。  条件の内容そのものを、それだけ見れば、おっしゃるとおり、常識的に言えばちょっときつ過ぎるというような話にもなっているようでございますけれども、一たんそこまで、平穏裏にといいますか、さしで話し合いをして詰めたものでございますので、両者が納得されるなら、あるいはそれも一つの方法かなと考えたわけでございます。
  97. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 それは六月七日のことじゃないかと思いますが、その際、右翼の者が、初め十一名、あとから四名加わって、計十五名が、午前十一時半ごろから午後の二時ごろまで、県庁の秘書課の応接室で秘書課長と面会をいたしておった。さらにその後、二時四十五分ごろからわずかの時間ですが、数分間知事室で知事と会ったという事実は承知いたしておりますが、その間、特に違法状態はなかったし、県側から、これを退去させろとか、面会を拒否するとか、そういう動きもなかったので、平穏な状態であるというふうにわれわれとしては判断をしておったわけです。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 十何名の右翼秘書室へ行き、さらに知事室へ行って知事と会っている、しかしそれは平穏だったなんて、治安の任に任ずる警察がそんなことを言うと、市民が聞いたら、おそらく驚きますよ。それは、内心は、非常な生命の危険と精神的な不安のもとに会ったことは間違いないのですよ。そんな右翼の十数名をすわり込ませるようなことを、県警本部のおひざ元でさせている。しかも、名うての右翼ですよ。ということは、この連中がその後何をしたかということをここでお話ししましょう。  その六月七日の一時に、愛国青年連盟の十三人が共産党の県委員会に来て、事務所の周辺を宣伝カーでどなり歩いて、事務所を囲んだ上、戸をたたいた。そして、三人が裏側の便所の窓ガラスをたたき割って乱入した。一人は玄関から入った。こういうようにして、共産党の事務所へ押しかけてきている。このことを、私のほうは、一時に、一一〇番で、いま右翼が来ているが、直ちに取り締まりをされたいという申し入れをしたけれども警察が来たのは一時三十分ということなんですね。しかも、問題は、これを逮捕する状態ですけれども、これを追っかけようとしない。警察は、警備隊がマイクロバスに乗ってきたのですけれども、この暴力団が逃げるのをそのまま見のがしていた。一向に追いかけようとしない。そこで、党の県委員会抗議をして、一人の党員が警察のマイクロバスに乗り込んで、そして、マイクロバスを指図して、あそこへ逃げていく、あの車の中にいるんだから、あれを逮捕しろと言って、警察がそれを追いかけていって、そのとき一人だけ逮捕した。要するに、裏の便所の戸を破って入ったのは三人、表のガラス戸を破って入ったのは一人ですけれども、一人だけ逮捕した。そこで、こちらのほうが警察に厳重な抗議をして、残りの二人も逮捕した。こういう状態なんですよ。  だから、十三人はこういうことをする連中です。これが知事の秘書室知事室へ平穏裏に入って話をしましたなんて、どこからあなたはそんな情報を得ておるのですか。それは、群馬の県警本部からそういうことを言ってきているのですか。それならば、今度は、群馬の県警本部長を呼びましょう。そんな右翼に対して、知事室秘書室右翼が十三人平穏に入っておりました、円満にお話をしました、そのあと共産党を襲撃して部屋の中に侵入しました、そんなばかな話が通りますか。これは名うての右翼じゃありませんか。どう思われます。
  99. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 右翼がそういう知事室のところですわり込み、脅迫的言辞を弄したとすれば、当然、県側から警察のほうに処置方要請があると思いますが、そういうことは一切なかったので、われわれとしては、特別なことがなかったというふうに判断せざるを得ないわけでございます。  それから、その後、日本共産党の県委員会へ彼らが押しかけたということですが……(「日共じゃない日本共産党だ」と呼ぶ者あり)日本共産党の県委員会へ押しかけたということですが、おっしゃるとおり、二〇番に連絡がありまして、最初十三時十二分、続いて十七分、次いで二十四分ということで連絡がございまして、県警としては、第一回の一一〇番で、直ちに、機動隊一個小隊を緊急出動させたわけでございますが、距離と道路の条件が悪かったのでやや時間を要しましたが、一時半には現地についておるわけでございます。しかし、事情がよくわからないものですので、共産党のほうからの事情を聴取しているうちに右翼の車が現場を離れたという状況で、直ちにこれを追尾し、結局、警察署にその車を連行したわけでございます。最初、確かに、路上で右翼の車をとめたとき、取り調べに応じたのは一名だけだったのは事実ですが、他の者は車の中にこもって錠をかけてしまったという状態だったので、取り調べできなかったので、やや手間どったのですが、結局、場所的、時間的にそういう路上では不都合であったので、所轄署長の指揮を受けて、全員を警察署に連行しまして、さっき言ったような形で処置をしたということでございます。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 それはどういう処置をしたのですか。
  101. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 これは、さっきお話しがあったように、住居侵入罪容疑で三名を逮捕いたしております。続いて、暴力行為等処罰に関する法律違反ということで日本共産党側から告訴がありましたので、六月八日から現在、関係者を引き続き取り調べ中でございます。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 続いて、翌六月八日の午前九時五十五分、皇国青年隊の四人が事務所の前に乗用車で乗りつけて、約十五分間怒号し、投石を企てた。これは党の抗議で引き揚げた。その際、こちらが写真をとろうとしたら、警察側が、挑発をするなと叫んで、写真をとらせなかった、こういう事実がある。したがって、いま言った次の日も来ている。こういう事実を知っていますか。
  103. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 はい。これは六月の九日だと思いますけれども、いずれにしろ、そういうような事実がある。しかし、それは別の団体であるというふうに承知いたしております。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 続いて、六月十四日に、午前十一時、右翼の者が二十名から三十名共産党の群馬委員会の事務所へ押しかけてきて、事務所のまわりの畑にまで入って暴言を吐き散らしていった、こういう事実を知っていますか。
  105. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 十四日の十一時五分ごろ、日本共産党の群馬委員会の事務所に、十八名の者が四台の車に乗っていって、そこで脅迫的言辞を吐いておるという事実はございます。それについては、四名を軽犯罪法違反の現行犯で検挙いたしております。さらに、暴力行為等に関して日本共産党のほうから告訴がありましたので、これも取り調べするつもりでございます。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 その際の暴言にこういう事実がある。十四日に右翼が二度襲撃してきているのですが、そして、その際に、皇国青年隊の一名が、「宮本委員長をこの前は殺しそこなったが、今度は必ず殺す。この次は野坂だ。」と言っているんですね。ところが、警察官が二十名そばにいるにもかかわらず、何の措置も講じなかった、こういう事実を知っていますか。あなた、これはもう右翼の野放しじゃないですか。七日に来て、九日に来て、十四日に来て、そして、「この前は宮本をやりそこなったが、今度はやる、この次は野坂を殺す」と言い、県委員長には、「おまえは三途の川で首を洗って待っていろ、」という脅迫状が来る。こういう中で日教組と県側が円満裏にこんな協定をし合ったなんということは考えられないですよ。こういうように右翼が全く放置されているというような事態のもとに、日教組としては、いつ被害を受けるかわからないというような不安にかられている。そういったときに、いま言ったような、こんな屈辱的な県民会館を借りる約束をし合うなんということば、江崎国家公安委員長の言うような、そんな甘い事態ではないということははっきり言えるのですね。十四日に、日本共産党の群馬委員会へ二十名近くの者が来て、それから、二度目には四名の者が十一時過ぎに来ておりますが、そのうちの一人が、いま私の言ったような、殺人の予告にもひとしい暴言をはいていったという事実は知っておりますか。
  107. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 そのような事実があったという形で、日本共産党のほうから警察のほうへいわば告訴があるわけでございますが、この事実について、そのようなことがあったかどうか、現在取り調べ中でございます。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 いずれにしても、そうすると七日、九日、十四日と、三回も右翼が共産党の事務所へ押しかけてきている。一度は、四名が県委員会の事務所の中に入り込んでいる。こういう事実は認められるわけですね。
  109. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 そういう中に入っているという事実、それから、四回にわたって日本共産党の事務所のところへ右翼のいろいろな団体が行ったという事実はおっしゃるとおりです。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 江崎さん、衆議院だけでも四十名の国会議員を持つ天下の公党の事務所まで、このように、七日といい、九日といい、十四日といい、五日とあげず右翼から襲撃されている。そういう状態を放置しておいていいのですか。何らの手も打てないのですか。しかも、あなた方は、先ほど高橋警察庁長官の言うように、情報をとるべく金を使っているはずでしょう。情報も得ているはずでしょう。それを何らの手も打てないのですか。しかも、あなたのほうの国務大臣が二人も出ている県の県都でこういうことが公然と行なわれているのですよ。どういう責任をお感じになるのですか。襲撃される共産党の立場に立ってお考え願いたいと思うのです。「この前は宮本をやりそこなったが、今度はやるぞ。次は野坂だ。」と言い、県委員長に対しては「首を洗って待っていろ」という脅迫状が舞い込んでくる。斬奸状といいますか、「三途の川で首のあかを落としておけ」という脅迫状が来る。こういうことをそのまま放置しておいていいのですか。日教組大会も開かれない。共産党の事務所はこのように襲撃されている。江崎さん、責任をお感じになりませんか。
  111. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、事のいきさつはきわめて重大だと思います。今後そういうことがないように万全の措置をとることは当然です。これは右翼と左翼の違いはありますが、自民党本部にも両三度ほど左翼の暴漢が踊り込んできた。そこで、自民党の本部自体も警備員を配置するというようなことを――現在では衛視を置くことにしましたが、それまでなかったわけですね。こんなことは全く困ったことだ。ですから、右、左にかかわらず、少なくとも、そういう挙に出る者に対しては厳重に措置していくということが大切だというふうに思います。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 右、左と、いかにも右も左も同罪みたいなことを言いますが、左にもいろいろあるわけなんですからね。革マルだとか、テロリストみたいなのがいる。そういうのはちゃんと区別して言わなければ非常に大きな誤解を受けますから、正確に言っていただきたいと思います。  いずれにしましても、こういう事態が起きていて、そして、日教組大会が開かれないという状態なんですね。そこで、私は、高橋長官にお聞きしますが、日教組大会の前というと、右翼蠢動しているわけですね。ここ五年間でもいいし、わかる範囲でいいですけれども日教組大会の前あるいは日教組大会に対して、右翼がどのような行動を起こしたか、それに対してどういう措置をしたか、ここで報告してください。
  113. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 具体的な問題ですので、私からお答えさせていただきます。  日教組大会を近い過去に振り返ってみますと、昭和四十三年には浦和で行なわれましたが、この際は、右翼は五十四団体、四百三十二名が参っておりまして、検挙件数は二十六件、三十一名の検挙者を見ております。四十四年は鳥取でございますが、この際の出動右翼は四十三団体、四百三十四名、検挙件数は八件、検挙者二十名ということでございます。四十五年には徳島市で開かれました。この際は、出動した右翼が四十七団体、四百六十五名、検挙件数三十件、検挙者五十五名。一昨年、四十六年が嬉野町ですが、この際は、四十八団体、四百六十六名が参りまして、検挙件数二十件、検挙した者は三十一名ということでございます。昨年が秋田市でございまして、この際来ました右翼と称するものは四十団体、二百八十二名、検挙件数は十四件で、検挙者が三十七名、こういうような数字になっております。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 その暴力を行使した者は、どういう罪でどういう刑がいま確定しているのですか。
  115. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 一々、これが何件、何名というのは表を持っておりませんが、内容は、道交法、軽犯罪法違反、公務執行妨害というような罪で検挙をいたしておるわけでございます。その結果がどうなったかということは、私どもまだ承知いたしておりません。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、委員長、これを資料として警察庁から出してください。これは、日教組に対する私たちの認識と、日教組大会を守るための大事な資料として参考に見たいと思いますから。  それから、私も山口委員と同じように、この問題については、群馬県知事、伊東市の市長、水上の町長に、当委員会に適当な方法で出てきていただいて、われわれの疑問とするところを明らかにするような措置をとっていただきたい。委員長、いずれ理事会で相談をしてやっていただきたいと思います。  そこで、警察庁にお尋ねしますが、あなた方は、日教組大会が持たれる前の右翼のそういう動向をキャッチしているでしょう。キャッチしていないはずはないですよ。そうしておきながら、そういう被害を日教組に与えるということはどういうことなんですか。全然つかめないままにそういうことが起きているというはずはないですよ。あなた方はつかんでいるはずですよ。だれでもいいから、答えてください。
  117. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 日教組の過去の大会については、先ほど申しましたように、たくさんのものが行っておりますが、それは、彼らが行くということは大体においてわかりますが、それがいわば一種の街頭宣伝活動であり、正当なそれぞれの主義主張をそこで発表するために行くという形で承知しておるわけでございまして、もしそれが違法行為等を犯せばこれを取り締まるぞということは十分彼らも承知しておるというふうに考えておりますので、違法行為をやるというような情報なり資料があらかじめわれわれにあれば、それは本人に警告するなり、あるいは共同謀議があれば、その場でしかるべき措置をとるということは当然われわれの責務であると考えます。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 それは非常に甘い考え方ですよ。現に、前科を持っていて、行動を起こす右翼ですよ。あなたの言うように、思想的に右翼の思想を持っているというのではなく、現に行動を起こす右翼で、しかも、それが警察と連絡をしているわけでしょう。もし、あなた方がわからないなんて言ったら、証拠を出しますよ。たとえば、六年前に青森で開かれたときがある。一九六七年、そのときは、右翼の連中が、青森に行きますと、ちゃんと警察に連絡しているのですよ。それをどんどんやっておるじゃありませんか。それはあなた方はつかんでおるじゃありませんか。しかも、それとは常に親しくしておって、それぞれ警察の重要なポストにいる連中が、一緒に食事をしてみたり、あるいは電話で連絡をとり合ってみたり、あるいは贈りものを――これは警察のほうが右翼に贈るのですよ。よく聞いてください。おみやげという名前で贈りものをやっておるじゃないですか。そんなことはあなた方のことば一つで――毎年毎年日教組大会には右翼の問題が起きるから、あなた方はここへは行かないほうがいい、行ってはならないということの指示ぐらい、あなた方は治安の必要上言うことができるわけじゃないですか。それはもう前科を持っておる連中ですからね。あなた方と連絡し合っておるのです。
  119. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 もちろん、行動右翼が妨害するというような形でいこうとする場合には、われわれとしても、そういうことがないように、あるいはそういうことをやらないようにというように、適切な形で指導なり勧告はする場合もございます。しかし、これを聞くか聞かないかは相手側の自由であるということになるわけでありますから、できる限りそういう形で、日教組大会を妨害するというようなことのないような、一種の行政的な指導はもちろんわれわれとしては常日ごろからやっております。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 江崎さんにお聞きしますが、あなたは、治安の最高の任にある国家公安委員長として、日教組の本年度の大会前橋で開かせるという腹は一体きまっているのですか。しかし、右翼のやることだからしようがないのだと――それは、あなたがそういうき然とした立場に立つか立たないかによって大きく違うところですよ。(「それは権限外だ」と呼ぶ者あり)そんなことはないですよ。幾らでもあなた方との間には連絡がとれておるのだから。いま言ったような警告を発するということもできますよ。何回言ったかわからぬが、幾度も言っておるのだけれども、国務大臣が二人も出ておる県の県都で労働組合の大会一つ開くことができないなんて、江崎さん、あなたは、口じゃいろいろとときには人を感心させるような答弁をなさいますけれども、しかし、あなたの国家公安委員長としての責務の果たし方については、私は重大な疑義を持たざるを得ないのですね。前橋日教組大会を持たせることができないようだったら、国家公安委員長としての責任を明らかにされたほうがいいですよ。あなた、そんなことができないのでしょうか。
  121. 江崎真澄

    江崎国務大臣 日教組大会がどんな場所で開催をされましても、警察庁長官以下及び私は、それに対しての不法行為は未然に防止する。早期鎮圧に当たって、いやしくも暴力によって集会の自由が侵されるような、そんなことは日本警察の権威にかけてもさせません。これは何べんも質問を受け、断言しておるわけですね。これは、口ではそう言っておるけれども、現に脅えておるじゃないかということは、従来の右翼とか、特に左翼の、あの過激派連中、ああいうものを持ち込まれたら困るといったような一つの被害感が国民にある。これは重大だと思うのです。ですから、そういうようなことなどが重なって、そういうことはなるべくないほうがいいと水上や何かが考えておる。そこで、私は、これは午前中も申し上げたのですが、社会党からの御要請もありましたが、警察側は責任を持ちますよ。御心配はかけないように責任をもって事に処しますということを、群馬警察本部のしかるべき者が水上のだれに言いましたか、私、いま、空で名前を覚えておりませんが、責任を持つということを所管の代表者に言うておるわけです。それでも、貸すか貸さぬかということになりますと、これはやはり当事者の判断にまつ以外に方法はない。いややりなさいと言う権限は自治省にも警察庁にもないということを申し上げなければならぬわけでございまして、何とかひとつ話し合いで事が進むことを私どもは希望するわけでございます。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 江崎さんがそうおっしゃるなら、県警本部長も当然その旨を受けていると思うのですよ。ところが、県警本部長のおひざ元の前橋市で、この右翼を防止するためのさくや、投石防止のための網の施工費用をあらかじめ日教組が納めろとか、あるいは、トラブルが起きた場合の被害は、加害者側、すなわち右翼側に能力がない場合は日教組が納めろとかいう条件を出しているが、あなたのほうの言うことがほんとうに信頼できることなら、万一不幸にして被害が起これば別として、貸すことについて、あらかじめこんな条件を出すはずはないじゃないですか。それは、あなた方が口で万全の策をとるとると言いながら、現実にそういう策をとっておらないからだ。現に、共産党の群馬委員会の事務所は三回も襲われているのですからね。だから、あなた方の口で言うことと、実際に取り締まりをし、治安を確保することと食い違っているじゃないですか。そういうことがないなら、知事が管理権を持っている県民会館を貸すについて、加害者が負うべき損害を被害者側が弁償しろなんという、まるで無条件降伏条項みたいなものを出して、これでなら使わしてやるなんということは、今度は、自治大臣の地方自治体に対する行政上の指導から言ってもやらすべきではない。これはもう本末転倒で、これではかえって右翼を庇護することにもなるし、励ますことにもなる。無理が通って道理が引っ込むことになるんだから、こういうことはすべきではないという指導をすべきじゃないですか。私はそう思いますがね。
  123. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これも繰り返しになって恐縮ですが、さっき申し上げましたように、行政局長も条件書を見て驚いたというか、私どもが見ても、これは一般の使用者に提示するものとしてはどうも不適当だなということで、そこで、県から責任者に来てもらって、行政局長が、一体どうしてこういうことになったんだという話をしたところが、いや、実は、どうでも貸してくれと言うからというので――それはおそらく談笑のうちでしょうが、ときには笑いをまじえながら、こうもしてもらわなければいかぬ、ああもしてもらわなければいかぬと言ったであろうと、これは想像ですわ。そういうことで、これはそういう間に言いました、いやそれじゃということで別れた、それをあらためて文章にしただけのものでございます、こういうように行政局長に報告をしたというのですね。しかし、これは、あの条件などを見れば、普通の場合から考えたらちょっと不適当だと私も思います。これは何べんも繰り返しております。しかし、談笑のうちにそういう話し合いをして、実はこういう文章にしましたということになりますと、これはどうもけしからぬとかどうとかいうことにならぬものですから、もう一ぺんよく調査をしたらどうだ、こう言っておるわけでございます。したがって、何とかひとつ話し合いということで、日教組側においてももう少し努力をされたい。われわれ警察のほうは、引き受けました、保障します、こう言っているのですからね。ここへ県知事を呼ぶとか、いろいろなことになると、ますますエキサイトして、双方対立してしまって、対決になってもまずいんじゃないかというふうに思えるのですがね。警察側としては、もうこれ以上の保障のしかたは――ことばの上でどういう表現をしたらいいかわからぬくらい太鼓判で保障しているのですし、また、自治省としては、実際に触れて事わけを聞いておるというわけでありますし、なお双方努力をされることが望ましいと申し上げるより、他に方法はないように思います。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 談笑の間に話し合いがついたと言うのですがね。林さん、契約書を持っているでしょう。群馬県民会館長が日教組委員長あてに出した一方的な文書でしょう。そんな、江崎さんの言うように、談笑の間に両方話し合って、よろしゅうございますといって判を押し合ったなんという文書じゃないでしょう。だから、私は……(「答弁をよく聞いておれば違うのですよ」と呼ぶ者あり)答弁を聞いていれば、談笑の間にそういう話ができたんだろうと言う。談笑の間に話ができたという証拠は何もないのですよ。これは館長が執行委員長あてに出した文書です。だから、江崎さんの言うことが事実かどうか。日教組は非常に大きな不満を持って、こういうように、治安が確保されず、民主的な労働組合の大会が開かれないような状態では、われわれはこれは治安の確保上重大な問題だと考えるから、民主的な諸団体と協力をしてこのような違法性を取り除くようにしたいといって、われわれの党へも申し込んできているわけです。おそらく、社会党さんにも行っていると思います。各労働組合にも行っていると思います。ですから、江崎さんのここの答弁と日教組側の言うこととは、まるで天地雲泥の差があるわけですよ。内容がそうでないということを一方の当事者が言っているわけです。そんなに重大な食い違いが国会で明らかにならないということはないわけなんだから、一方の当事者である知事と、それからもう一方の当事者である日教組執行委員長なり、書記長なり、交渉に当たった人に来てもらって、一体、江崎さんの言っていることが事実なのか、江崎さんが知っていながらうそを言っているのか、あるいは、下僚があなたに耳ざわりのいいことを言っていて、あなたが正確な事実を認識していないのか、地方行政委員会はそれを明らかにする責任がありますから、そういうような取り計らいを委員長理事会に相談してやっていただきたいと思うのです。  なお、談笑の間に話がついたようなことを言っていますが、この文書はそういう形式でもございませんし、日教組側が笑って喜んで受けたなんという、そんなものは何もありませんよ。
  125. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまの点ですが、私は、談笑の間という形容が当たるかどうかは知らぬがと、こう言っておる。とにかく、話し合いの中でそういう話が出たことは事実ですということを、副知事が来て行政局長に言うておるんですから、一ぺん聞いてみてください。これは私はうそを言っておるものじゃありませんから……。
  126. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 日教組のほうと群馬県のほうでいろいろ話し合いが持たれたのは五月の十八日からでございますけれども、最初の五月十八日、十九日、二十二日と、このあたりは、日教組側は、なお水上大会を開きたいということで、県にいろいろとあっせん依頼その他をなさり、県もまた、それに対して、水上のほうを二回、三回と呼び出して、どうだということであっせん行為をやっております。それで、水上がいよいよむずかしいということがはっきりしてきまして、六月一日以降は、県民会館を使わしてくれということで、県と日教組との話し合いになっております。  まず、六月一日には、日教組のほうは、そこにおいでになります山口先生、それから小川先生その他も御一緒においでになりまして、県知事とお会いになった。(山口(鶴)委員「いや、二人だけで会った。日教組と一緒じゃない」と呼ぶ)失礼いたしました。そのときに、知事は、本県開催は、実は、できるなら遠慮してほしいんだ、それから、県民会館は工事中なのでお貸しできない、という答えをしている。ところが、この御両氏から、工事中でもいいから、使用できる範囲で使用させてほしいという要請がさらにありまして、知事からよく検討してみるという答えがなされております。そして、そのあと調査の結果、全国大会予定の七月八日はすでに人に貸与済みで、九日は工事と館内点検で使用不能である、十日から十四日は全く不可能ではない模様だが、詳細は、設計、工程表が未完成であり、不明であるという旨が明らかになった。  それから、六月六日に、もう一度水上の三役を呼んで聞きましたところが、水上ではだめだということであります。そこで、午後、日教組の中小路書記長と山本総務局長、吉田県教組副委員長が来庁されましたので、これに、水上は全く見込みがない旨をさらに回答した。それに対して、日教組のほうから、群馬県内での会場のあっせんを期待する旨の要請があり、県としては、会場のあっせんはできない旨の回答をしている。  さらに、翌日の六月七日、中小路書記長、山本総務局長その他前の日と同じ方がもう一度県にお見えになって、これに対しては、副知事、商工労働部長ほか県の職員がお相手をした。そして、日教組のほうから、県民会館大ホールを貸してほしい旨の重ねての要請があった。(「そんなこまかいことは聞いていない」と呼ぶ者あり)はい。しかし、そこから先がちょっと重要なんでありますが、それに対して県のほうから、この段階で、しかも不安のある使用を認めるとすれば、相当むずかしい条件がつくものと思う、私見だが、工事期間との調整、それから周辺住民、特に使用承認済みの者等の同意、それから事故防止のための施設費の負担、損害があった場合の県、住民に対する損害の担保、それから水上町に対する制裁、温泉旅館ボイコットをしないこと、というような条件が出され、それに対して日教組側からは、水上町の制裁については、これはおかしい、筋がおかしいという異論が出まして、いろいろ相談をされた結果、このことは良識をもって処置することにした。それ以外の(イ)から(ハ)の条件に対して再び念を押したところ、格別の意見がない旨の回答があり、さらに、使用承認申請は八日に出すこと、使用承認の条件提示はなるべく早くすること、十六日までに決着をつけること等を話し合った。それで別れた。そういう経過をたどっております。  そして、六月十二日に、県民会館で、これは会館の管理を委託されておる財団法人でさらに理事会を開きまして、前にそういう話があった内容を文書にいたしました。その文書がいま先生の御提示の文書でございますが、これが県民会館の館長から日教組あての文書ということになっている次第でございます。  大体、そういう経過をたどって、こういう条件その他は話し合いの中に出てき、それを文書にして差し上げた、それに対しての日教組側は、本日夕刻までに承諾の旨を回答すると言明をしてお持ち帰りになって、検討され、その検討の結果、こめ条件は全く突然であり、過酷であるという御意見が多くて、撤回を要求することに御決定になった、こういう経過でございます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、私は結論だけ聞きます。  いずれ、これは委員長の計らいで、ぜひ両当事者を呼んでいただきたいと思いますが、県側の一方の意見だけが発表されておるわけであります。日教組側の意見も承らなければわかりません。大事なことを小さい声でもごもご言いますけれども、結局、日教組側では、この県民会館側が示した条件は過酷であり、とてものむわけにはいかないと、そういう回答だったんでしょう。承知できないということでしょう。
  128. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 最終的にはそうでございます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 最終的なことを聞いているのだ。だから、江崎さんの言うように、話し合いの間にいろいろなされた、その結果がまとまったなんというものではない。一方ではだめだと言っているのですからね。それはそれで、もう時間がありませんし、同じ右翼の問題がたくさんありますから、次の問題に移ります。  国士舘大学の問題を、ごく簡単に聞いておきたいと思います。  文部省にお聞きしますが、国士舘大学の「学生心得」の中には、「皇室を尊び、祖国を愛す」「万世一系の聖天子を戴き」と、それから、「毎月二十七日を国旗掲揚日と定める。この日は、維新の国士吉田松陰の処刑された日であると共に、日露戦争において我が連合艦隊が露国のパルテック艦隊を日本海において打ち破った日であり、本学体育学部、短大、工学部の開学の意義ある日である。当日は全員出席する。」というような要項があることを知っておりますか。
  130. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 恐縮ですが、いまの「学生心得」というのは、高等学校でございましょうか、大学でございましょうか。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 これは大学のほうだと思いますが、同大付属高校ですか、どちらかにありますか。大学か、高校か……。
  132. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 恐縮でございますが、私ども承知しておりません。あるかどうか、わかりません。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、国士舘大学のほうにも、あるいは同大付属高校の中にも、このような「学生心得」の内容があるかどうかは知らないと言うんですか。
  134. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 さようであります。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、こういう「学生心得」というものがあるかどうか、念のために調べて、それから当委員会提出するように、委員長、お取り計らいを願いたいと思います。そうしていただきたいと思います。  それから、もう一つ、国士舘大学の「実践倫理」というものがあって、そこに実践倫理委員というものがありますか。
  136. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 「実践倫理」という教科領域は、学習指導要領にはないわけでございますが、私ども聞いておりますのでは、ホームルーム活動あるいは社会科の授業において、「実践倫理」というようなことで、倫理的なことを取り扱っておるというふうに聞いておりますが、それ以上詳しいことは存じておりません。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 それなら、これも詳しく調べて出していただきたい。  念のために申しますと、私のほうの調べによりますと、この「実践倫理」の内容は、1は、岸信介、田中角榮、賀屋興宣氏らが委員になっておって、その人たちが入閣したときは、入閣祝賀会をやる。これには出席すること。2は、天長節、明治節、紀元節、犬法記念日の式典に参加すること。「憲法」を「犬法」と誹謗した祝典などを行なっておる。3には、週一回行なわれる訓話に参加すること。内容は反共、反民主主義の内容。4は、週番に立つこと。門前に十人ずつ立つこと。5は、掃除などをやること。こういうようなことが書いてある。それから、この実践倫理委員会の――あなたはしばしばこれをホームルームか何かの集まりだと言いますが、このテキストには、柴田徳次郎氏の書いたものがあって、その内容は、憲法否定、反共、排外主義、国粋主義、暴力謳歌の内容を持っている。こういうようにわれわれの調査ではなっておりますが、この「実践倫理」並びに実践倫理委員の内容と、「学生心得」をひとつ提示してもらいたいと思います。  それで、あと警察のほうにお聞きしますが、当委員会でも、国士舘大学の学生の、民族的なべつ視感に基づく朝鮮高校生との暴力関係というものは云々されたんですが、これが実は共産党の川崎地区委員会を襲撃している。こういう事実を警察で御承知ですか。
  138. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  五月十六日の事件だと思いますが、午前二時半ごろ、国士舘大学の学生五人が、川崎市の多摩区にある日本共産党川崎北部地区委員会事務所に侵入して、宿直室に就寝中の同委員会常任委員高橋さんを起こした上、うち一名が、白ざやの短刀をちらつかせながら、「天皇をどう思うか、日本共産党は中国の共産党やソ連のと同じなのか」ということを、約三十分くらい質問を強要した、こういう事案が十六日にありました。  それから、引き続いて、五月二十三日夜の十一時五十八分ころ、同じくその地区の委員会の事務所に学生五人が押しかけて、面会を求めようとしたが拒否された。これに立腹して、付近にあった棒切れや石ころを事務所の窓ガラスに向かって投げつけて、事務所の表の出入り口などの窓ガラス七枚などを破損して逃走したという事案があります。  これらの事案についての捜査状況でございますが、十七日に、日本共産党北部地区委員会から告訴がありまして、事件を認知した神奈川警察で被害者から事件の状況などを聴取した上、現場付近の聞き込み捜査を行なって、犯人割り出しにつとめておりましたところ、五月二十三日、また、同じような犯人と思われる学生による事務所に対する器物損壊事件が発生して、両事件を平行して捜査を進めた結果、被疑者を割り出すことに成功いたしまして、五月の二十四日以来現在までに学生六人を逮捕をいたしております。五月十六日の事件で五名、二十三日の事件で五名ですが、そのうち、両方の事件にダブっている者があるということで、実数は六人でございます。これが国士舘事件でございます。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、芸大の講師を襲って、なぐって、芸大の講師は目に傷害を受けまして、チェロがひけなくなって、自分としては何としてもこの犯人をさがさなければならないということを言っておられる。長沢正孝講師です。この加害者に対する捜査はいまどうなっていますか。被害者はついに失明寸前というような記事も新聞に載っておりますが、これはいまどうなっておりますか。
  140. 綾田文義

    ○綾田政府委員 これは警視庁の成城署管内の、六月二日午後五時五十分ごろの発生の事件でございまして、現在の捜査では、警視庁では、捜査一課から特別行動班一班を成城に派遣いたしまして、成城の暴力犯捜査係と共同捜査を現在実施をいたしております。また、同時に、この付近の駅にポスターなんかを張りまして、目撃者の協力を呼びかけておりますが、現在まだ犯人を割り出すというところまでは至っておりません。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 民族的なべつ視観あるいは反共的な思想的な動向、そういうものが教育中心にすわっているように思われます。そこからこういう国士舘大学の学生の暴行問題が起きてくると思いますが、文部省としては、教育基本法の、教育の不偏不党の立場から、こういう偏向教育に対しては何らかの措置を、教育基本法の精神に基づく教育をするようにという、こういう指導をする意思はありますか。どうですか。
  142. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 おっしゃるように、民族的なべつ視観念というようなものは、現在の日本憲法なり教育基本法の精神からいたしますれば、学校で教えるべきはずのものではないと思っております。したがいまして、かりにもそういうことがあってはならぬということで、国士舘付属高校のほうには、都の学事部を通じまして厳重に注意をしておるわけでございますが、都のほうの報告によりますと、高等学校のほうとしては決してそういう教育をしている事実はないというような返事をもらっておるのでございます。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 いずれ、委員長を通じて、理事の皆さんにお願いをして、取り寄せていただきたいと思います。国士舘大学の「学生心得」、それから「実践倫理」、こういうものを出していただけばわかってくると思いますから、それをぜひ取り寄せて、出していただくようにしてもらいたいと思います。  そこで、市民からの声ですが、これは四十六年あるいは四十七年でいいですが、国士舘大学の卒業生で、警察、自衛隊に応募した人員がどのくらいだかわかりますか。
  144. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 わかりません。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 警察のほうはどうですか。
  146. 丸山昴

    ○丸山政府委員 私のほうもわかりません。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 国士舘大学の卒業生が警察や自衛隊に応募する人員が多数ある、そういうところから、この大学生に対しては警察も手かげんしているのではないか、こういう市民からの率直な声があるので、念のために聞いたわけであります。これも資料として、警察のほうで、四十六年でもいいし、四十七年でもいいから、国士舘大学の卒業生で警察官に応募した者、あるいは自衛隊に応募した者がわかったら、その数を出していただきたいというように思います。これは文部省で調べるか、あるいは警察当局で調べて出していただきたいと思います。  それから、こういう事実も市民から出ておるわけですが、デモなどをやるときに、警察警備用のデモの先頭に立つ車に国士舘大学の学生を乗せてデモを誘導するような、そういうことを警察がして、デモの規制などに利用しているのではないかという声も、これは率直に市民から出ておりますので、私は国会で聞いているわけです。こういう疑いがかけられているわけです。疑いか、あるいは事実か知りません。そういうことに対して、警察側はどうですか。
  148. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 よく質問の御趣旨がわかりませんけれども、国士舘の大学の学生がデモの先頭に立って、車に乗ってデモを導くということでございますか。――そういう事実は聞いたことはございません。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 なお、これは、私のほうも調査をして、事実を確かめて質問をいたしたいと思います。いずれにしましても、以上私が質問をいたしましたように、右翼に対して目に余る事態が続々と発生して、民主的な政党の事務所が襲われ、あるいは党の幹部が襲撃をされ、殺傷の寸前にまで、危殆におとしいれられるような事態がある。あるいは、日教組というような民主的な労働組合の大会を持つこともできないような事態になっている。こういうことに対して、治安の任に任ずる最高の責任者である江崎自治大臣はどういう責任を感ぜられ、どういう改善の措置をとられるか。この点をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。これは重大な責任問題だと思います。単なる失言問題の責任というような軽いもんじゃない。実質的な責任は非常に重要だと思います。そういう意味で、この点について江崎自治大臣の所信を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 江崎真澄

    江崎国務大臣 少なくとも、右の圧力により、極左の圧力により、そのいかんにかかわらず、暴力的なことで会合、集会の自由が阻害されるというようなことがありとしたら、これはやはり、民主主義国家として、治安の根底をゆるがすもので、重大だと思います。警察側としては、もうすでに何べんも申し上げておりまするように、十分今日まで万全の措置をとってまいったわけであります。今度の場面を見ておりましても、むしろ、水上町の返上がきまってからのほうがよけい、右翼のいやがらせとも、激励とも、何ともつかぬような動きがあり、また、これを受け取る側からいたしますると、やはり、極左暴力、これが目に余るものがありました。学園等でも、まことに醜い争いが、現にいまでも続いておるところがありまするが、そういった風潮を忌む気風、これがあることが、日教組大会が開かれるにあたって、また何か衝突が起こるんじゃないか、右翼が来れば、今度はまた革マルとかなんとかいうふうなものが――日教組には関係がありませんが、そういうものがまた町へなだれ込んでくるんじゃないかということになるのではないか。何となくそういう一種の被害妄想的な風潮があるとすれば、これは非常に残念なことでございます。しかし、幸い、午前中も申し上げましたように、日本警察は、国際レベルから申しましても、世界的に認められた警察だ。私もそういうふうに認めております。したがいまして、今後ともそういう不安を極力国民の間から一掃できるような万全の措置をとってまいる、これが理想でなければならぬと思います。当面、今回の問題につきましては、責任を持って対処する。したがいまして、当事者同士はひとつよく話し合いをしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 では、これで質問を終わりますが、何か、私の質問に答えておらないし、それから、右翼の問題を質問しているのに、極左がときどき出てくる。もちろん、極左に対しては、われわれ日本共産党は革マルや中核派とは徹底的に戦っていますし、むしろ政府・自民党がこういう中核派や革マル派を泳がしているという立場で言っているわけですけれども、しかし、それはそれとして、きょうは右翼の問題を言っているわけなんですから、その問題に対して責任ある答弁を求めておるわけです。  それで、国家公安委員長は、話し合い話し合いと言うんですけれども、一人一殺主義という右翼、「首を洗って待っていろ」とか、あるいは「この次はだれだれだぞ」だとか、こういう連中とどういう話し合いをすると言うのですか。これは話し合いなんという当事者の問題ではないですよ。治安の任に任ずる国の警察あるいは国家公安委員長が、き然とした態度をとってそれを取り締まるかどうかという問題でしょう。これは話し合いの余地のある問題じゃないじゃないですか。
  152. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私が話し合いを慫慂したのは日教組会場問題で、いまあなたのおっしゃるような面につきましては、これは右と左にかかわらず厳重に取り締まらなければいけません。これはもう当然なことです。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 では、私の質問を終わります。
  154. 上村千一郎

    上村委員長 次に、小川新一郎君。
  155. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、午前中から引き続いておりますところの暴力問題に関連しまして、国士舘の問題はあとにいたしまして、最初に広域暴力団の問題をお尋ねしたいのでございますが、この広域暴力団の中で稲川会というのがございますが、この暴力団稲川会が、中学校、高等学校の生徒に対して、第二暴力団の養成をしているという事実を私は聞きましたが、これについて、神奈川県で起きた事件に対して警察庁はどのように認識し、掌握し、実態をつかんでおるか、まずそれからお尋ねします。
  156. 田村宣明

    ○田村政府委員 私、いまの件については、まだちょっと承知をいたしておりません。
  157. 小川新一郎

    小川(新)委員 あなたは、その事実を全然キャッチしていないんですか。
  158. 田村宣明

    ○田村政府委員 実は、けさからこちらの委員会に入っておりまして、あるいは担当官のほうには報告が来ておるのかもしれませんけれども、ちょっと私まだ聞いておりませんで、そういう次第でございます。
  159. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大きな問題ですね。中学生、高校生に対して、いま広域暴力団の取り締まり期間中に、稲川会が学園にまで手を伸ばしているということは重大問題じゃありませんか。この問題について、私はちゃんと質問通告をしているのですよ。なぜ調査してくださらないのですかね。いかぬじゃありませんか。
  160. 綾田文義

    ○綾田政府委員 けさの新聞に出ておりますが、暴力団員が、自分のアパートに出入する少年たちに対して盗みやおどしの実技指導をして、そうして新聞に出ておるところでは、組員だということで、被疑者三名でございますが、この被疑者を検挙いたしております。  なお、これの関係で補導された少年は、いろいろ中学がございますが、大体、ただいま参っておる報告によりますと、三十名近くの者がそれに関係したということでございます。
  161. 小川新一郎

    小川(新)委員 私がこの問題を知ったのは、けさの新聞で知ったわけでございます。その中で、書類送検をされているのが四十三名、稲川会の幹部がこの問題で警察へ連行されたのが三名。もっと詳しく新聞では記事が載っておりますけれども、これは、私は、現在の教育の問題としてあまりにも重大だと思う。いま国士舘の問題が出ておりますけれども、それとはまた異質の問題として、暴力予備軍、第二暴力団と呼ばれる非行中学生、非行高校生の問題が出てくる。これらの右翼とか、左翼とかを抜きにしたところの暴力団が、第二、第三の稲川会だとか、巽だとか、いろいろなやくざの連中にあこがれを持った青少年の、その精神がまだよく固まっていない中にこれが食い込んできて、こういった教育問題に大きな暗影を投げかけている事件に対し、私はこれは重大な問題だと思うのです。  私はこの問題について質問通告を出したのでございますが、まだよく状況をキャッチなさっておりませんけれども大臣、これはどういうことかと申しますと、「腕を磨けば組員だ」という大きな新聞の記事に出ておりますが、中学、高校生らにやくざが実技指導をしているのですね。これはとんでもないことじゃないですか。これは何の実技を教えるのですか。しかも、これらは教授と言われているのですよ。先生です。たいへんな教授があったもので、暴力の教授です。それで、その組員が横浜警察に逮捕されたわけでございますけれども、この問題を、私は、重大な問題として、いま本委員会に提起したいと思うのでございます。  そこで、きょうは教育関係の方も来ていらっしゃいますが、これはどういうふうにあなた方はお考えになっておられますか。この問題についてお伺いしたい。
  162. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 実は、私もけさの新聞で初めて知ったような次第でございまして、直ちに神奈川県の教育委員会に連絡しまして、横浜の市に、実態について、現時点でわかるところを連絡してもらったところでありますが、現在まで承知しておりますところでは、中学生あるいは高等学校の生徒が数名で幾つかのグループをつくって、それが  学校の講堂へ入って、講堂の器物をこわすとか、あるいはオートバイを窃盗して補導をされたというような事実もあるようでございますが、全般的には、まだ警察のほうでも調べておる途中のようでございまして、全貌を市のほうでつかんでおるという段階ではございません。  そこで、文部省といたしましては、一般的に、生徒の非行防止という点については、最近改正いたしました中学校の学習指導要領におきましても、特に、生徒同士、あるいは生徒と先生の人間関係を深めるということを重視いたしまして、十分に補導するようにということで、中学校あるいは高等学校の教師について、生徒指導の方法なり内容なりということについて集まっていただきまして講習をやるとか、あるいは、各種の非行防止のための資料を作成するとか、こういうことで、趣旨の徹底と非行防止をはかるべくつとめてまいっておったわけでございますが、遺憾なことに、いまのように、大都会になりますと、学校としても十分気をつけておるというふうに私どもは考えておりますけれども、実態は、校外へ出ますと、先生の補導の目がなかなか届かないところで、特に、卒業生の不良化した者とか、あるいはお話しにありましたように、まだ小さい子供でございますので、ややもすると暴力団等に誘惑されるというような実態があるようでございます。学校を通じて一そう非行防止のために最大限の努力をしたい、かように思っております。
  163. 小川新一郎

    小川(新)委員 警察庁長官、この事件は四月の十八日に発生しているのです。きょうは六月の十五日です。もう約二カ月もたっておる。国士舘の問題もそうですが、二カ月もたってから警察が腰をあげるというようなことでは、こういった大事な教育問題、青少年、特に学生、生徒のからむ問題についてはスローモーであると思うのですが、これは重大な問題ですから、十分慎重な調査もあったと思います。しかし、二カ月もたって、この問題をまだよくキャッチされていないということについては、はなはだ遺憾だと思っております。その点について、今後の方向なり現況についてどのように認識されておるのか、お尋ねしておきます。
  164. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 私のほうの暴力団の取り締まりということについては、いつも申し上げておるように、長官としては、一つの長官指示といいますか、私の責任においてやろうということで、今日まで、暴力団取り締まりということについては全力を傾注しておるわけでございます。特に、青少年に対する暴力団の関係というのは、いま御指摘にありましたように、そういう点について、暴力団になる可能性があるというので、私のほうでもできるだけの取り締まりをやっておるわけでございます。  ただいまの問題については、神奈川県のほうで、すでに各般の暴力団について取り締まりをやっておる状況でありますが、いまの問題についても、おそらくある程度の月数を予想をしていろいろな内偵をしておった、こういうふうに思います。しかしながら、いま申し上げたような点については、暴力団の取り締まりについては、さらに徹底したやり方をいたしたい、さらに、いまのような点について十分でない場合があるならば、一日も早く十分な対策を講ずるように、徹底した取り締まりをやるように、さらには、暴力団の本拠についてさらに絶滅をはかるというようなことについて努力をしていきたい、こういうふうに思います。
  165. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題については、後日、その結果について私はお尋ねいたしますが、大臣、こういうゆゆしい問題は、私ども父兄、子を持つ親としてもお互いに非常な関心事でございますので、大臣の御決意をお聞きしておきたいと思います。
  166. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ただいま長官から答弁がありましたように、全く私どもも同じように考えております。しかも、いま具体的な事例を引いての御質問でございますが、私も、新聞を見て、ほんとうに胸の痛む思いがいたしました。特に、こういう暴力団の問題というのは、全国警察本部長には、長官の話にありましたように、十分徹底した取り締まりをねばり強く行なうように指令されておるところであります。私も、国家公安委員長として、先般の警察本部長会議でも、この問題を取り上げて、十分取り締まるように要請したわけですが、これはただに警察機構だけではなかなか万全を期することができません。各関係省庁、それから民間の協力ということが望ましいわけですね。特に、今度のように、子供を相手にして、いわゆる暴力団の予備軍と称するものを――これによると「暴力団“養成塾”」とあるが、これはもってのほかだと思うのです。特に、こういった問題が今後絶滅できるように十分努力してまいりたいと思います。
  167. 小川新一郎

    小川(新)委員 その問題はそれで、大臣、よろしくお願いしたいと思います。  埼玉県北部の騎西町に端を発しました土地にからむところの汚職事件、これは非常に大きな勢いで拡大いたしまして、現在、三市、三町の市長、町長、議員、埼玉県議にまで飛び火いたしました。これは私の住んでおります埼玉県のことでございますので、あまり自慢にはならないし、また、国会でこういうことを俎上することはあまり好ましくないことではございますけれども、これは大事な問題なので、あえてお尋ねいたしますが、騎西町というのは、衆議院の選挙区で申しますと、埼玉四区になっておるところでございますが、この方面は、埼玉県内で非常に開発がおくれておるところで、純農村地域であります。その純農村地域にたびたびこのような汚職が発生し、そして、現在、加須、羽生、北川辺、大利根、岩槻という町や市に飛び火いたしまして、岩槻の市長はみずから数百万の金を伊藤忠からもらったとかもらわないとかいうことで、いま警察に留置されておりますが、この問題の全貌について、簡単でいいのでありますが、経緯をお尋ねしたいと思います。それが第一点。  第二点は、この事件はまだまだ他市に発展する要素を持っておるものかどうか、その点をお尋ねいたします。
  168. 田村宣明

    ○田村政府委員 お尋ねの件につきましては、騎西町と岩槻市と北川辺町の三つの事件になるかと思います。  まず、岩槻のほうから御説明を申し上げたいと思いますが、岩槻市長からの贈収賄事件でありますが、これは、岩槻市長と前市会議員が収賄者でございまして、贈賄者側は伊藤忠の取締役及び社員合計三名でございます。市長並びに議員は、岩槻市が所有いたしますところの、同市の黒谷、それから南下新井地区にございます約十万五千神方メートルの土地を、伊藤忠不動産株式会社に売却されるように尽力をしてもらいたいというふうな依頼を受けまして、指名競争入札に同社を参加させて落札せしめ、さらに、議会で売却の議案を提出して、可決、承認したわけでございます。その謝礼といたしまして、三百万円ほどを四月三十日に収受した。こういう事件でございまして、関係者を六月六日などに逮捕いたしまして、現在捜査継続中でございます。  今後の事件の見通しにつきましては、現在のところ、どの程度広がるかということにつきましては、一がいに見通して断定をすることはできませんけれども状況によりましては、あるいは若干、広がるかもしれない、こういうふうな状況でございます。  それから、北川辺町の件でございますが、これは、北川辺町の総務課長が収賄者で、贈賄者は「松橋組」という土木建築業者でございます。これは、同町の道路改良工事の随意契約業者の選定等につきまして、総務課長がその職務を所掌しておるのでございますが、これは、随意契約業者に松橋組を入れてもらったということの謝礼で十万円のわいろをもらっておるということでございます。この収賄者を六月四日に逮捕いたしまして、現在取り調べ中でございます。事件がさらに発展するかどうかということにつきましては、現在のところ、必ずしも明らかになる見通しというものはつけにくいかというふうに思います。  それから、騎西町でございますが、これは、農地の転用等をめぐる贈収賄事件でございまして、収賄者は騎西町長、農業委員会会長を兼ねております。それから、農業委員会の会長代理その他職員、事務局長、三名、贈賄者は「宏栄」という株式会社の代表取締役でございます。これは、都市計画法に基づく開発行為の許可申請書類の申達を町長として所掌しており、また、農業委員会の会長といたしましては、農地法に定める農地等の転用等に関して調査審議をし、申達するという職務を持っておるわけでございます。そのほかの農業委員会職員も、その会長のもとにおいてそれぞれの職務に従事しておるものでございますが、これは、四十五年の終わりごろから四十八年一月ごろまでの間に、いまの「宏栄」の代表取締役外二十数名から、農地転用許可申請に対する便宜供与の謝礼として、現金五百数十万円を収受したというものでございます。それで、これは、騎西町長を四月十七日、会長代理も同じく同日、事務局長は二十一日に逮捕をいたしまして、その他贈賄者側につきましても、四月十六日から五月十五日までに逮捕して、現在までにすでに九名が起訴されておるようでございますが、なお捜査は継続中である、こういうふうな状況でございます。
  169. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま長々と御説明をいただいたことを要約いたしますと、埼玉県の北川辺町、騎西町という、県の東のはずれの町から事件が起きて、イモづる式に広がっていったのですね。全部この事件は一連の事件で、別々じゃないのです。騎西町の事件から発端を起こして、岩槻の市長の逮捕までいった。それが三市三町にわたっている。六市町村と、公共団体にまで及んでいる。しかも、県の役人にまで及び、改良区の人たちにまで及んでいる。  どうしてこういう問題が起きたかということを、私はこれから一つずつ説明しながら質問をしてまいりますが、この土地問題の犯罪というのは、昭和四十四年の新都市計画法ができてから急速に問題が起きてきたことは御存じのとおりです。この間も申し上げておりますように、調整区域の中の土地を宅地に転用すること、ここから犯罪が起きてくる。この間私は、大臣に、調整区域の中の土地の取引についての取り締まりという問題についてお尋ねをいたしましたが、どういうものが違法行為に当たるかと申しますと、御存じのとおり、調整区域というのは、宅地の申請を行なう場合には、農地法の五条申請と、農地を農地として移譲する三条申請とがございますが、問題は、三条しかできない場合と、五条申請してできない場合とができてくる。それは、市街化調整区域の中でも、農用区分帯に載っている一種農地と二種農地、優良農業振興地域ですね。農業振興地域に指定された調整区域の土地というものは、同じ市街化調整区域の中でも安いのです。これは三条でしか取引ができませんからね。三条というのは、小川新一郎という男が百姓をやるために、農業経営をやるためにしか移譲ができない。小川新一郎が宅地に申請する場合には五条申請だ。ところが、優良農業地域の指定を受けているところでは、五条の申請はできません。そこで、どうしてこの問題が発生するかと申しますと、その土地の利用区分、ゾーニングを廃止する動きが出てくる。そこから贈賄が起きてくるわけですね。  それでは大臣お尋ねしますが、市街化調整区域の中の取引はどうやってやっているのですか。これは、大臣の知っている範囲でお答えいただきたい。
  170. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは自治大臣としてでしょうが、どうも実態をあまりよく知りませんが、調整区域の売買というものは簡単に名義が変わりませんから、おそらく、手付を打って、相手の名義で仮登記ぐらいしておくのじゃないかしらと思うわけですが、詳細に御存じのようでしたら、ひとつ、よく教わりたいと思います。
  171. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、私は残念に思うのですが、この間私がこの委員会で質問したら、大臣は、それはゆゆしい問題だと言って、あなたは、調整区域の不法取引についてはこれから厳重に取り締まると言っていた。大臣がどうやったらいいか教えてくださいなんて、あなた、私は困りますよ。
  172. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私がいま申し上げたような形で、実際不正は行なわれるわけでしょう。そういうことを申し上げたわけです。
  173. 小川新一郎

    小川(新)委員 じゃ、仮登記までは不正行為ですか。不正行為ではないのですか。
  174. 江崎真澄

    江崎国務大臣 仮登記、不正行為でしょうね。やはり仮登記までは――さて、どうかな。
  175. 関谷俊作

    ○関谷説明員 仮登記の問題でございますけれども、仮登記は、御承知のように、売買予約あるいは農地法の、いまお尋ねがございました農地法第五条の許可を条件とする売買契約に進みますと、所有権の移転請求権が発生します。その移転請求権を保全する登記がいわゆる仮登記でございます。そうしますと、農地法の関係からいたしますと、売買をして、所有権を完全に移転した、こういう状態で更正登記がかかりますので、農林省の解釈としましては、農地法の第五条という関係で申しますと、仮登記に付したというだけでは農地法違反にはならない、こう解釈しております。
  176. 小川新一郎

    小川(新)委員 私がこれから入るのは、宅建業者としての農地法の扱い方なんです。これは建設省に伺いますけれども、それでは、不動産業者が市街化調整区域の農業振興地域の取引をやった場合のことですけれども、「宅地建物取引業者は、その業務に関してなすべき宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならない。」というのが宅建業法第四十四条ですね。そして、たとえば民間の人が市街化調整区域の農業振興地域を買いたいといった場合、三十五条では、その内容を説明しなければならない。それでもなおかつ取引が行なわれたる場合には、これは違法行為になりますか、違法行為ではないのですか。
  177. 吉田公二

    吉田(公)説明員 ただいまの宅地建物取引業法のことは、直接私の所管ではございませんので、正確な有権解釈を申すわけにはまいらないかと思いますが、将来の開発行為を前提として、予約的な形において契約すること自体が直ちに違法になるということはないと思います。
  178. 小川新一郎

    小川(新)委員 それじゃ、たとえば、江崎さんは農家でもないし、農業を経営するという意思もないが、しかし、土地が安いからといって、江崎さんが振興地域の土地を買った場合、そこに不動産業者が売買の仲介をしたとすると、そのときに、江崎さんにはどういう手続上の売買が成立するかというと、江崎さんは、自分の登記もできない土地にお金を出しませんよ。わかりますね。そうすると、契約書は私文契約ですから、当然、私文書契約は効力を発揮しない。発揮しないために、公正証書を取りかわします。公正証書を取りかわして法務省に仮登記の申請をするのですが、農業振興地域だったら仮登記できないでしょう。それは不動産業者の第四十四条の、登記もしくは宅建業者として行なうべき行為に反しているじゃないですか。だから、ここから贈収賄が発生するのじゃないですか。北川辺町や、騎西町や、岩槻や、加須や、いまや三市三町で起きている問題は、すべてこの問題から発生した。仮登記というのは、御存じのとおりに、登記が保留されているのでしょう。たとえば、その法律上の手続によって、登記ができるまでの仮の登記をして江崎さんに土地をあなたが売る場合、仮登記というのは、次の登記の対象にできるようになったときには優先的にあなたの土地は登記をしますという、登記の順位をつけただけなんですよ。だから、仮登記で取引売買をするということは、宅建業者としては違法じゃないですか。これが一つ。  それから、市街化調整区域の問題です。振興地域においては仮登記さえできないじゃないですか。仮登記できますか。さっきの農業の考えで、できますか。
  179. 関谷俊作

    ○関谷説明員 いまお尋ねの農業振興地域とおっしゃいましたのは、おそらく、農用地区域といいまして、農地法の転用許可をしない地域のことだと思いますが、この地域におきましては、農地法の第五条の許可申請が出てまいりましても、許可ができません。その前の状態で売買契約をいたしまして、許可を条件とする売買契約をした状態で仮登記の申請をした場合には、これは、登記所のほうでは、実態としては受け付けております。と申しますのは、農地法の第五条の許可を受けて、ほんとうに所有権を移転する場合には、これは農地法の五条の許可を受けたという書面を添付いたしませんと登記所では受け付けません。したがいまして、登記できませんけれども、仮登記の場合は、登記所は現実には受け付けております。
  180. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、改良区はどうですか。
  181. 関谷俊作

    ○関谷説明員 土地改良区につきましては、農地法の中で、土地改良事業施設等に供する場合には農地法の第五条の許可を得るようになっておりますので、その関係では、登記所に参りますと、五条の許可の書面を要しないでも所有権移転の登記が受け付けられる、こういうことでございます。
  182. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、埼玉県で起きている問題は間違いですね。いいですか。農用地区分帯で、一種農地で農業改良地帯で――あなた、ここは、改良区は農業をやる地帯ですよ。たとえば区画整理と同じです。たんぼを整理して、区画して、これから農業をやっていこうというのに、何で五条申請で宅地の申請ができるのか。そんなばかな話はない。そんなことをしたら、日本の農業政策は全部でたらめになるじゃないか。仮登記――ここは農業地域ですよ。農業をやるのですよ。その地域に、五条申請で、農地を宅地として認める申請ができるんだったら、みんなやっちゃいますよ。できないから贈賄が起きているのじゃないですか。
  183. 関谷俊作

    ○関谷説明員 ちょっと御説明が不十分でございましたけれども、農地法の第五条のほんとうの所有権の移転の許可につきましては、これは、かりに許可申請がございましても不許可、農用地区域についてはそういうことになるわけでございます。いま受け付けると申しましたのは、当事者間で売買契約あるいは売買予約をしまして、その予約契約に基づいて所有権移転請求権が出てまいりまして、つまり、将来農地の所有権を移転するという一種の約束がそこにできまして、その約束をした地位を保全するために仮登記を、これは農地法の許可ではなくて、登記所のほうに持ってまいったときは、これは登記所は拒否する事由がないので受け付けておる、こういうことでございます。
  184. 小川新一郎

    小川(新)委員 ところが、農用地の、そういった改良地域の優良農地ですが、要するに、農業をこれから振興していこうという地域では、現実には、法務省は仮登記さえも受け付けてくれないのですよ。だから、公正証書だけを取りかわして契約金の授受が行なわれ、権利の移譲が行なわれているのです。  大臣、ここからが大臣がこの間言われた調整区域内の不法取引行為に入るのです。だから、仮登記をやって、農地を宅地として保留させておくことは違法行為なのかどうかということ、それが私の聞きたい第一点です。  その次は、仮登記をさせてもらえない、法務省はだめだと言っている、そういう地域では仮登記もだめですよ。五条ではだめですよ。要するに、けられている。だから、不動産業者は公正証書だけで取引をやっているのです。こういう地域については、これは調整区域内の違法取引行為として認めるのかどうか。  次には、なぜ五条に五条申請で農業振興地域を――私はそういうふうに言うのですが、農地を農地としてやっていかなければならないところで仮登記を出さなければならないのでしょうか。仮登記というものをやらせるから問題が発生してくるのであって、いま、各農業の出先機関で一番困っているのはその問題だというんですね。あなたの言うことも私はわかりますが、法務省と、農業政策の立場の農林省と、それから建設をやるところの建設省の立場と、これがごちゃごちゃになっちゃっているから、こういうふうに三市三町に及ぶところの土地の贈賄事件が発生しちゃったのです。大臣の通達がもう少し早ければ、こういった三市三町に及ぶところの埼玉県の汚職なんというものは出なかったのです。これは前から内蔵されていた問題ですが、私は大臣責任をとれというようなやぼなことは申しませんが、これは今後の問題として言いたいのです。  それでは、その市街化調整区域内の違法取引の行為とは、一体、具体的には何なのですか。どういうときをさすのですか。これを明確にしていただきたいのです。
  185. 関谷俊作

    ○関谷説明員 若干農林省の所管でない法律の適用問題もからまってまいりますので、都市計画法の開発許可の解釈でございますが、私どもの解釈しておりますところでは、都市計画法の市街化調整区域の中で規制されておるのは、この開発行為という、具体的には土地の区画形質変更行為でございますから、いまお尋ねのございましたような土地の取引そのものについては、市街化調整区域について、都市計画法に基づいて規制は行なわれていないと考えるわけでございます。  そこで、したがいまして、問題は農地法の問題だけになるわけですが、農地法の問題につきましては、いまお答えいたしましたとおり、これは調整区域に限りません。一般的に農地法の第五条の許可を要するというのは、売買行為によって所有権を移転しまして、したがいまして、いわゆる本登記まで移す行為につきまして許可を要しております。その前の段階の仮登記状態におきましては、このままでは農地法の第五条の許可を必要とする状態にまでまだなっておらない。いわば、売買に手をつけた着手行為の状態です。そういうことで、これは農業政策上望ましいかどうかという問題は別にいたしまして、法律の判断だけで申しますと、農地法違反の前の状態でございますので、これは直ちに法律違反というわけにはまいらない。そのことが政策的にいいかどうか、この問題はまた別でございますけれども法律解釈としてはそういうことになるわけでございます。
  186. 小川新一郎

    小川(新)委員 埼玉県知事は五年間の市街化調整区域の凍結を発表しましたね。これは自治大臣として大事な問題ですよ。あれは五年ずつ調整区域を見直すわけですからね。ところが、一番大きな問題で私がいつも思うことは、新国土総合開発計画、国総法ですね。それと新都計法とは矛盾を生じてくるのです。その問題が出てくる。田中さんの言うところの新国総で日本列島を改造しようとしますと、調整区域が全部からんでしまうのです。そうすると、埼玉県のように、人口をもうこれ以上吸収することが困難なような人口急増地帯では、こうした自治体の財源問題や、その他、水問題や資源問題や、いろいろな問題をからめて知事が判断するわけです。そうすると、五年で見直すこの調整区域を凍結したような県は、こうなってくると、じゃあ私はだまされたということになるでしょう。買った人は、仮登記されている人は、そこであせって、いろいろな贈賄、収賄の違法手続をとって、やみ行為によるところの行為が発生してくるのです。私が言っておるのは、本源的な問題をついているわけですね。だから、聞きたいことは、埼玉県のように、新国土総合開発計画の立場から違った地域開発の面から言ったら、新都計法の権限を与られているところの調整区域の凍結ということだって打ち出されてくるわけです。そうなった場合、大臣、それこそここでお互いの法律が激突しますよ。そういう立場に立って、私は、現在、調整区域内の取引が違法であるか違法でないかという大臣見解がはっきりしないから困っているわけです。はっきりしてもらわぬと、あれは、御承知のとおり、新聞に出ちゃったのですからね。だから、いまぼくのところに問い合わせが殺到しているわけです。自治体が凍結した場合には違法になっちゃうのか、それともこのままで――法的には何らないと言っていますけれども、農業振興地域で仮登記をして、宅地申請といったって、日本の農業がめちゃくちゃになっちゃうということは、いまことばを濁していますけれども、あの方は一番よく知っているのですよ。だけれども、いまの新都計法や新国土総合開発法の立場からいくと、開発の行為のほうからいくと押されていっちゃうから、いま日本の農業がデッドロックに乗り上げているんだから、そこで、調整区域内での宅地としての取引というものは、どこをさしたら違法なのかということが見解が分かれてきている。お願いします。
  187. 吉田公二

    吉田(公)説明員 都市計画法に基づきます都市計画が、全国総合開発計画のような上位計画に適合すべきものであるということは一つはっきりしていることでございますから、全国総合開発計画と都市計画というものが非常にそごするということは、たてまえ上おかしいわけでございます。ただ、しかし、市街化区域、調整区域をきめる際に、おおむね将来五年ないし十年ぐらいの市街化の趨勢というものを前提に置いて市街化区域をきめて、その段階では、市街化区域の公共投資を中心にやっていって市街地の整備をする、調整区域については市街化は抑制するということにして、大体五年ごとに見直しをしていこうということに都市計画法の体系がなっておりますので、五年たった段階で見直しをして、必要なところは全体の趨勢に合うように手直しをしていくということでございまして、五年たった場合に必ずどこも直すということには必ずしもつながってまいりません。それは全国総合開発法との関連から、その都市に課せられてきている形態というものに対応してその市街化区域の見直しを行なうということになるはずでございまして、一般論として、市街化調整区域でございますから、五年後の開発が全くないということも言えませんし、それは個別実態によっておのずから差があるんじゃないかと思うのでございます。
  188. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、この調整区域、市街化区域の線引きを手直しできるのは県知事の権限なんです。そうでしょう。だから、その知事が、自分の開発すべき行為の当該地域は調整区域としてまだ残しておかなければならぬと言えば、それは凍結することもできますわね。そうなってくると、その中で取引した問題が、さらに何年も何年も調整区域になれば、本登記はできないわけでしょう。仮登記のままでいくわけでしょう。それは違法行為じゃないかというのが私の見解ですが、どうなんですか。本登記されなかったら、仮登記では、いつまでたっても江崎さんのものになりませんよ。だから、契約上では、仮登記は半分しか金を払わない。公正証書を取りかわしたところで、三割しか払っていない。ところが、三割の公正証書でもって全額金を取っちゃっている。いまの場合は、それは権利の売買ができるからそういうことになる。だから、これは違法だろうとさっきから言っているのです。だから、振興地域とか、農用地区分のあるところとか、いま言った改良区なんというものは、絶対にそれは宅地になれないでしょう。考えたって、農地を改良して、そこを農地として指定しているじゃないですか。農林省では、何でそれを、仮登記をして、宅地の五条を申請する優先順位をつけなければならないか。そんなばかなことが行なわれているから、日本列島がごちゃごちゃになっちゃっているのです。こんなことは田中さんが悪いのです。
  189. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私も、国務大臣という立場から言うと、何でも知っておらなければならぬわけですが、ちょっと私は詳しい経緯を忘れてしまいまして、たいへん恐縮ですが、いま言われますように、線引きをするのは確かに県知事の権限ですね。しかし、これは、建設省が、新都市計画法に基づいて、線引きを十年も、あるいは、まだ無期限でしょうから、相当、永久に凍結するという宣言をした場合に、やはり、行政指導なり勧告なり、そういう形のものがあると思うのです。それは、さっき、五年とか十年とか、建設省の人が言っておりましたが、住宅地域としてだんだん連檐が増した地域、それに隣接する調整地域は、都市部においては三年ぐらいで見直すということが、あの当時審議の過程において言われておるはずですね。ですから、本来、埼玉県のようなドーナツ化現象で住宅地化が急速に進んだところは、県知事自体が受け入れを拒んで、かってに調整地域の見直しの凍結をすることが一体できるかどうか。それは、最低五年程度までは許されても、五年以上のところでは、やはり、当然見直しをするということだと思うのです。これは、建設大臣ででもおりますともう少しわかるのですが、あるいは都市計画局長ですかね、と思うのですが、そのあたりについて、仮登記の話は、いま農林省の課長から話が出たように、一応、名義書きかえのときの準備行為としての一段階で、取得の優先順位をつけるために仮登記をしておくのだということになれば、まあ、直接の取引ではない、これをもって取引完了というわけにはならぬわけですね。調整地域をかってに売買し、そして名義を変えれば、これは今度は警察のほうに違反行為ということで回ってくるわけだというふうに思います。
  190. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が再三聞いているのは、改良区の土地を、全然農業をする意思のない者が五条の申請をしても、法務省では、ほんとうに五条で仮登記してくれるのですか。
  191. 関谷俊作

    ○関谷説明員 仮登記につきましては、五条ということではないわけです。五条というのは農地法の関係でございますので、登記所に持っていくときには、当事者が、所有権の移転のこういう形の予約なり何なりをしたということで、保全するために登記を申請するということですから、農地法五条とは直接関係はないわけです。
  192. 小川新一郎

    小川(新)委員 できるのですね。
  193. 関谷俊作

    ○関谷説明員 はい。
  194. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、ここに問題が出てきましたよ。もう一ぺん言いますと、農業振興地域、要するに農業を振興しようとする調整区域です。調整区域にもいろいろあるのですが、さっきから何度も言うように、調整区域の中でも、農業を特にやっていかなければならぬと県や国が指定して、ここは改良もやりましたというところを、全然農業をする意思のない者が、土地が安いからといって、不動産屋を介入して買うわけですよ。買ったときには農業を永久にやっていくのだという地域を、全然農業をする意思のない者が何でおまえさんのところ売れるのだ、はずせれば必ずだいじょうぶなんだといって取引行為が行なわれる。  だから、さっきから言っているように、それは宅地建物取引業法の第四十四条違反に当たるんですよ。第一、登記をできないものを――こんなものは、全然、もう永久にできませんよ。たとえば調整区域をはずしたって、農業振興地域に指定して改良事業まで行なっているんですから、そこをただ調整区域だという説明だけで、不動産屋が本登記までできないところを売りつけているところがたくさんあるんです。まだ大臣はお調べになっていないからわからないかもしれませんが、仮登記を埼玉県でした件数というのは、どこで調べたらわかりますか。建設省ではつかんでいないでしょう。農林省はつかんでいますか。埼玉県なら埼玉県でいいですが、日本全国でもいいです。日本全国の調整区域の中で、仮登記でもってやった面積と件数、それらの事例がどれくらいあるかという調査はしていますか。
  195. 関谷俊作

    ○関谷説明員 仮登記自体のことになりますと、これは登記所に参りまして、仮登記の受付その他から全部拾わなければなりません。という関係で、実態を調べたいわけではございますけれども、なかなかこれはむずかしいということで、今年来、埼玉県でもやっていただいておりますけれども、たとえば農業会議でありますとか、県の企画部その他の関係しますところで、仮登記に限らず、一般に、取引といいますか、一種の予約的な取引も含めまして、その交渉なり何なりの状況はどうなっているかということを、いろいろお願いをして調査をしておりますし、農林省でも、ごく最近、そのための組織を、地方農政局と県を通じまして、いま整備をしておるような状況でございます。  その中で、埼玉県につきましては、先生も御承知と思いますが、農業会議等のいままでに調査した資料がわれわれの手元にも参っております。
  196. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは日本全国の農業地域を、仮登記という名によって、企業やいろいろなものが占領しているわけですよ。知らない間に、ふたをあけたら本登記ができるようになったら、全部宅地になっちゃいますよ。私が心配しているのはそこです。そうじゃないですか、建設省。ほんとうのことを言ったら、そういうことでしょう。あなたはそこでうなずいているが、そうでしょう。  いま、世界で、食糧の問題が大事な問題になっていることは、大臣もよく御存じのとおりです。人間五人で一年間に消費するのは一トンです。いま七億トンが必要だ。そうすると、地球は三十五億しか養えない。昭和七十年には七十億になると大騒ぎしている。三十五億、半分が飢えちゃう。アフリカのモーリタニアだとか、あの辺のサハラの西では全部飢えている。これは大干ばつと言っていますね。だけれども、食糧はもう万年的に――世界の人口が三十八億からと言っていますから、二億、三億は飢えているんです。日本は、その七〇%も輸入にたよっている。農業政策を論じても、大臣がいないからしかたがないがこんな議論をしたくないけれども、全くもって私は寒けがします。  農業調整区域のワクをはずして、全部仮登記されておって、優先順位が全部きまっている。大企業の伊藤忠が全部買い占めている。そこから犯罪が発覚する。これは氷山の一角です。ですから、さっきから何べんも言うように、これは贈賄、収賄という事件が出たから警察で手入れしたのであって、これは、私が言う成規の四十四条違反でやったら、全部引っかかってしまうと思うのですね。宅建業者が介入して、本登記ができない調整区域を凍結すると知事が言って、凍結したら、また五年、十年といっちゃいますよ。埼玉県知事が凍結したものを、まさか大臣がやめろなんということは言えない。自治権介入ですからね。これは重大問題だとさっきおっしゃいましたが、それとも、やめろと言いますか。
  197. 江崎真澄

    江崎国務大臣 やはり、これは、新都市計画法に基づいて正しい見直しをしていくことは必要でしょう。そして、三年、五年――五年が一期間と言っていましたが、都会地隣接の市町村においては、大体三年くらいで見直しをするというのが、あの当時の法案審議過程における大臣答弁であったというふうに、この点は私は記憶をいたしております。しかし、その受け入れ側が、もうこれ以上住宅はほしくないということで凍結をしていくということはありそうなことですね。  それから、食糧事情で、特に休耕政策なんかをやめるとか、今後の世界の食糧事情に対応して、日本も相当な備蓄をしようなんという政策変更がはっきり確定的に打ち出されるということになると、県においてこの見直しをしないということについてけしからぬという言い方はなかなかむずかしい。ただ、しかし、所有者の側から言いますと、やはり、都会地隣接市町村においては適度な見直しがなされることが必要だという一方の議論も出てくると私は思います。これは十分に検討しまして、もう一度よくお話しを承ってみたいと思います。
  198. 小川新一郎

    小川(新)委員 埼玉県の例だけを申し上げますと、昭和四十六年七月から昨年の十月までの一年四カ月の間で、県全体の一・九%に当たる七千九十三ヘクタールが仮登記で契約されております。全県土の調整区域の約二%が仮登記で、もう売買契約が済まされている。それが、調整区域がはずれると同時に本登記になるのです。本登記になったときには、江崎さんがお買いになった土地も、本登記ですから、初めて江崎真澄という土地の所有者として、国で権利が認められるわけです。登記簿上載るわけです。そういうように、買い占め工作は日本全国すべてで行なわれているのです。だから、私は、あなたに、この前、調整区域の中の取引というものはたいへんございますよと言ったら、違法の行為についてはきびしくやるとおっしゃいますけれども、内容をお聞きしたら、さらさらわからない。何がきびしい、何が違法なんだ、どういう点を取り締まるんだと聞いても――さらさらと言ったって、ほんとうのこと言うと、そうさらさらじゃ困るんです。国家公安委員長の立場もあるし、なかなかお忙しい、この間も防衛庁長官になられるといううわさが飛んだり、いろいろたいへんだったということは私も十分わかりますけれども、少なくとも、この国会で審議されて、あなたが御答弁になった問題については、きちっとしてもらわなければ私は困るんです。その点はまずはっきりしてもらわなければ困りますので、先ほどからの仮登記の問題と、それから公正証書で契約を結んでいる前提においての問題はどうなのかということですね。これは何度も何度も聞いておるわけです。
  199. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる意味がよくわかりました。私、初めちょっと意味を取り違えておりまして恐縮でしたが、要するに、いま農林省の課長からも申しましたように、仮登記までは違法ではない。この前提があるわけですね。したがって、その不法な名義書きかえがなされたり、調整地域に許可を得ないで住宅が建ったり、そういう事犯が起こりますと、これは警察の問題になって、取り締まり件数も年々相当あるわけなんです。具体的にそれが今度の六市町村の事犯ということになっておるわけでございまして、おっしゃるように、仮登記でそういうことを放置しておいていいのかどうかということをひっくるめまして、きょうの御提示を機としまして、関係省庁で、ひとつ十分検討いたしましょう。そういうことで御了解願いたいと思います。
  200. 吉田公二

    吉田(公)説明員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、仮登記それ自体が直ちに違法かどうかということには直接にはならないと思いますが、ただ、実態的に、先生が言われますように、農振地域であり、当分市街化区域になる可能性のないようなところを売買のあっせんを行なう、そういった場合に、虚偽の表示あるいは虚偽の説明等をしていく場合には、宅建業法上の問題となるケースもあり得るのじゃないかと思います。この点、私直接の担当でございませんが、省に持ち帰り、検討させたいと思います。
  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に前向きな御返答をいただきましたので、私は、この問題はもうこれで打ち切りますが、警察庁長官、埼玉県警の捜査二課が地検方式というやり方で今回やったということが報道されております。異例の捜査方法であると言われる地検方式で岩槻市役所と伊藤忠不動産を家宅捜索したと言われておりますが、この地検方式というのはどういう方式を言うのですか。
  202. 田村宣明

    ○田村政府委員 どのような字を書くのでしょうか。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 地検は、地方検察庁の地検です。地検方式。
  204. 田村宣明

    ○田村政府委員 ちょっと、どういう意味承知しておりませんが……。
  205. 小川新一郎

    小川(新)委員 これこそ、私もほんとうにわからないから聞いているのです。ほかは、多少のことはわかって質問しているが、これは全然わからないのですが、地検方式というのはきびしいらしいです。それがどういうふうに普通の捜査よりもきびしいのか。地方検察庁が取り調べる方法というのか、地検方式と言っているが、どうなのかわからないから聞いているのです。これこそほんとうの質問ですよ。全然わかりませんか。
  206. 田村宣明

    ○田村政府委員 ちょっと、承知しておりません。
  207. 小川新一郎

    小川(新)委員 わからないものは答えようがないからけっこうですけれども、研究しておいていただきたいのです。  次に、大臣、これは自治大臣の立場でお聞きするのですが御存じのとおり、三市三町の行政麻痺が起こっております。出直し選挙も二カ所、三カ所、それから県にも飛び火しております。こういうふうにいま埼玉県内の地方行政が麻痺しておりますが、これは知事の責任でございますし、知事の立場に立ってやるべき行為であって、大臣が介入せいというわけではございませんけれども、このように汚職事件が拡大して、三市三町にまで及んでしまいましたが、自治省としては、また、大臣としては、どのようなお考えでこれに処していかれるのでしょうか。これはへたな御答弁になると、あなたの責任問題になってしまうのですけれども、大事な問題ですから、よくお考えくださって……。
  208. 江崎真澄

    江崎国務大臣 事務的にいろいろな経緯もあるわけでしょうから……。あとから私がやります。
  209. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 市町村行政の綱紀粛正ということになると思います。綱紀粛正については、常常非常に気を配りまして、予算編成時期には統一通達を出します。また、こういう事件が起こったときには、個別にその市町村に対する指導をよくやるように、県知事、地方課を通じて指導することにしております。
  210. 江崎真澄

    江崎国務大臣 どうもまことに遺憾なことで、しかも、これが住宅不足から来る問題が原因であるというわけですが、それにしても、一県の中で六つの市町村が事実上行政麻痺を起こしておることは、まことに残念に思います。これはよく県知事とも協議をいたしまして、住民が迷惑をこうむらないように、できるだけすみやかに善処されるよう措置をしたいと思っております。
  211. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題は、日本列島改造問題が変なふうに誤解されたり、また、田中さんの真意がどうであるかわからないから、誤ってこういう問題になってきているのではないか。高度工業国家として、何でも都市に集中していく。そういう思想を、その地方行政体の長が誤解しているのかわかりませんが、また、指導されているほうが誤っているのかわかりませんが、いずれにしても、日本列島改造というのが原因になって、土地の高騰に火をつけ、いま言ったように、農業政策と都市政策と地方自治権というものがごしゃごしゃになってしまって犯罪が出てくるという問題になっておりますが、私は、はっきり言って、日本列島改造計画が間違っておると思うのです。これは、はっきり言って、農業政策無視です。農業振興地域で、農業改良事業をやるところに、仮登記をしてもいいということでばんばんこれはやられてしまう。ふたをあけたら、国家で金を投じて改良事業を行なったところが、いつの間にか第三者に仮登記されていたということになったら、もしそれができないなら犯罪じゃないですか。どっちにころんでもあげられる。それじゃたいへんだというのでそこをはずせば、ただでさえ少ない三十七万平方キロのわが国土の農業地域は荒廃に次ぐ荒廃になるという、日本列島そのものの本体に今度はひびが入ってくる問題だと思います。この点、大臣は、当該委員会においてこういう大事な問題を議論されているということを総理に御進言していただかなければならぬと思いますし、また、立場もございますけれども、これについてはどのようにお考えになっておりますか。
  212. 江崎真澄

    江崎国務大臣 小川さんの御指摘ですが、私は、これは、必ずしも日本列島改造論が出てからのひずみではないと思います。日本列島改造論は、時間もありませんからここで繰り返しませんが、田中さんの言う意味は、過密、過疎を排除して均斉のとれた日本列島というものをつくり上げていこうという着想ですね。たとえば、首都圏、中部圏、近畿圏の地域の五十キロ圏を見てみると、国土のわずか一%に三二%の人口が住んでおる、こういうアンバランスが公害問題を生んだり、住宅不足を生んだり、とかく人間の生活に悪い影響を与えておる、したがって、もっと利用のできる地域を求めようということなんです。幾ら日本が狭いからといっても、一%に三二%が住んでおるような、この状況をもたらした責任はどうだとおっしゃれば、これは長年の政府・与党である私ども責任がないとは言いませんが、そうかといって、とにかくこの経済繁栄がもたらされてきた。そこで、一つの反省ができ、ここでバランスのとれた列島、づくりをやろうというわけですから、田中総理の言う日本列島改造論が直ちに埼玉県のこの汚職を生む原因をなしておるというのは、少し牽強付会のそしりを免れないのではないかと思うわけです。  ただ、問題なのは、この過密現象と、それから都心に住居を持ち得ないで、だんだん通勤圏が広まっていったということ。それが東京都の隣接の埼玉県に特に顕著にあらわれた。このことは、私は率直に認めるわけでございます。したがいまして、いま、国総法をはじめ住宅政策等々を政府としてはあとう限りの努力をいたしておりますが、ただいま御提示のような問題は、やはり、これは深刻に受けとめまして――私が前回の委員会で申し上げたのは、違法行為については、警察庁はびしびしと取り締まっておる、年間に五百件ぐらいあったということを申し上げたはずでありますが、ところが、いま申し上げるところの、すれすれの、犯罪を構成するかしないかという見解の分かれるような点については詰めておりませんから、建設、農林、自治、それから警察庁がこれに参加して、明解な御答弁ができるようにしたい。また、これは農家にとりましても、住宅を求める人々にとっても重要な問題ですから、ひとつ十分話を詰めてみたいと思います。
  213. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題は、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  そこで、神奈川県とか千葉県も埼玉県と同じ立場に置かれている。首都圏地域の東京圏と俗に言われているところでございますが、千葉、神奈川には、こういう事例はいまのところ発生しておりませんか。
  214. 田村宣明

    ○田村政府委員 ただいまのところ、そういう報告は聞いておりません。
  215. 小川新一郎

    小川(新)委員 確かに、犯罪というものは、わからなければいつまでもあがらないし、罪を構成しませんが、大体同じ条件下にあって、そういう犯罪をかもし出すような土壌はあるわけです。千葉県と神奈川県にはなくて、埼玉県だけあるということはあり得ないのであって、これはたいへんな問題だと思うのですけれども、こういうまだ隠された土壌というものは、そういう問題が、都市政策とか日本列島の改造の中から出た犯罪でございますので、もっと根本問題にメスを入れない限りは、氷山の一角だけをとらまえるだけで猟師が山に入って山を見ずのたとえになってしまいますから、大臣、どうかひとつ十分に御決意をお願いしたいと私は思います。
  216. 江崎真澄

    江崎国務大臣 よくわかりました。いまおっしゃるように、同じような条件のある環境といいますか、土壌といいますか、そういう県が東京隣接にあるわけですから、これはさっきも申しましたように、十分横の連絡を密にして、関係省庁で詰めたいと思います。
  217. 上村千一郎

    上村委員長 小濱新次君。
  218. 小濱新次

    ○小濱委員 関連して御質問をしていきたいと思います。  私は、ことばじりをとらえて云々しようという気持ちは毛頭ございませんが、大きな問題でございますので、高橋警察庁長官にお答えをいただきたいと思います。  六月十二日付の朝日新聞の朝刊の一面のトップ記事によりますと、「警察庁の高橋長官は十一日の全国警察本部長会議で「週休二日制」を目標にした警察官の勤務制度の改善を指示をした。」という内容の記事がございます。「警官、週休二日制に来年度に全面実施」という大きな見出しでございました。それで、長官が具体的指示を示したと書いてあるわけですが、このことの根拠といいますか、あるいは、真偽のほどはどうかということをお尋ねをするわけでございます。長官から御答弁を願いたいと思います。
  219. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 六月十二日の、ただいま御指摘になった新聞報道でございますが、新聞報道を見まして、実は私も驚いたわけでございます。しかし、六月十一日の全国警察本部長会議の席上におきまして私の指示したことをこの機会に一応申し上げれば、いまおっしゃったような、報道された内容については御理解を得るのではないだろうかと思うわけでございます。したがいまして、六月十一日の全国警察本部長会議の席上におきまして私が申し上げたことをお聞きおき願いたいと思うわけでございます。  その中で、私は、近年の経済成長に伴う若年労働者の労働力不足を反映し、すぐれた人材を確保することがますます困難になることを述べ、さらに、職員に高いモラルを維持させるための人事管理の要諦として、人事管理の全般を通じて、職員の生きがいとやる気を助長するとともに、勤務制度や職場環境及び処遇の改善にも熱意を持って取り組み、警察の人づくりの基盤を確立されたいということを要望したのでございます。さらに、外勤警察の刷新改善につきまして、各種あります警察官の四割を占める外勤警察官の士気のいかんが警察全体の活力に大きくかかわることに思をいたし、三交代制の完全実施、拘束時間の短縮、複数駐在所制の実施など、勤務制度の改善につとめるとともに、施設の改善や装備の充実をはかるなど、外勤警察の近代化に意欲的に取り組まれたいと、こういうことを申し上げたのでございます。したがいまして、いま申し上げたような新聞報道のように、来年度から即座にやるというようなことを私は申し上げているのではございませんので、御了解を願いたいと思います。  ただし、もともと、週休二日制の問題につきましては、閣僚協議会等においても、前向きにといいますか、その問題についていろいろ論議をされているわけでございます。私も閣僚協議会の一、二の幹事をやっておることでございますので、いま申し上げたように、週休二日制の問題については私は関心を持っておるものでございますし、また、熱意を持っている次第でございます。  以上でございます。
  220. 小濱新次

    ○小濱委員 警察本部長会議における長官訓辞の中には、週休二日制という問題については触れていない、こういうふうに私は受け取ったわけでございますが、この問題は、いわゆる一流紙朝日新聞の一面トップにでかでかと出たわけですね。この影響というものは大きく、当日は、大蔵、それから人事院ですか、等に、たいへんな電話での照会があったそうであります。あるいはまた、警察庁にも、おたくでは単独で先にやるのかという電話がしきりにあったとも私は伺っているわけでございます。こういうことから、長官の写真入りで、しかも、たいへん確信のある、「来年度に全面実施」という大きな見出しですから、この影響はきわめてでかかったわけでございまして、この話を聞いて驚いたという長官のいまの御答弁でございましたけれども、こういういきさつを私もうかがいみたときにびっくりしたわけですが、私どもが当委員会の席上では何らまだ触れていない警察のこういう問題が、どうしてこういう大きな見出しで発表されたのだろうかというふうに感じました。疑義を持ちました。そういう点で、長官としてはどうお感じになられたのか、どう受けとめられたのか、御心境というか、それを率直にお答えをいただきたいと思います。
  221. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 御承知のとおり、新聞報道の内容につきましては、某記者の解説にもあったように、署名の入った記事でございますので、おそらく、新聞記者の報道としては、記者の考え方に基づきああいう結果が出た、こういうふうに存じておるのでございますが、しかし、私の申し上げたことはいま申し上げたようなことで、私の本部長会議における長官訓辞ということを申し上げたのであります。しかし、もとより、私は、週休二日制というものについて否定しているものではございません。いま申し上げたように、閣僚協議会におきましても週休二日制ということが問題になっておりまして、また、同時に、私のほうの給与制度研究会、民間の学識経験者及び現職の公務員十一名から構成されている研究会におきましては、設置以来数十回にわたっていろいろな制度をやっておるわけでございますが、その中につきましては、昨年九月から、週休二日制問題を視点に置いた警察官の勤務制度について研究をお願いしたいということを申し上げているものでございます。したがいまして、私は、週休二日制について、全然ないものであるということではございません。いま申し上げたように、週休二日制につきましては、いま申し上げたような給与制度研究会等においても、関係者もいろいろなことについて研究しているということを申し上げている次第でございます。
  222. 小濱新次

    ○小濱委員 私どもも、週休二日制については、決してこれは否定するものじゃございません。これには、やはり、それなりの行政上あるいは各省庁との関係性、それから国民生活に及ぼす影響ということも考えて慎重に検討し、取り扱っていかなければならない問題であるというふうに考えておりますので、そういう立場からお尋ねをしているわけでございます。  ただいまの長官の御答弁の中に給与制度研究会の例があげられましたが、この新聞によりますと、先月まで――先月というと五月ですが、八回の研究会を続けたと書いてあります。長官のただいまの御答弁では数十回というふうに言われましたが、「一応の結論を得て、」と書いてある。そして「青森、神奈川、愛知、長崎、宮崎の五県警で一部テストを行なった結果、実現に自信を持ったためで、来年度中には完全実施にまでもってゆく意向だが、」というふうに書いてある。この「一部テスト」という問題でございますけれども、五県警で初めてテストを行なった事実はどういうふうな内容であろうか、あるいは研究会からの報告あるいは答申はどういう内容であろうか、こういうふうに思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  223. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 ただいまの研究会のいままでのやっております内容につきましては、私のほうに専門家の大塚参事官がおりますので、大塚参事官から、いまの五県警のテストの問題等を含めて回答していきたい、こういうふうに考えております。
  224. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 お答え申し上げます。  先ほど長官が数十回と申し上げましたが、この給与制度研究会が置かれましたのは昭和四十四年六月でございます。そのときにおきましては、警察官の給与問題につきまして、当面急を要する事項につきまして一年ほど検討いたしました。十何回かの審議を経まして報告が出たわけでございます。それは、昭和四十五年の八月の人事院勧告の中に反映されて、給与改善がなされた、こういう形に相なっております。その後、また、今度は、警察官の公務災害補償制度につきまして諮問がなされまして、これも、一年ほどの、十回くらいの審議を経まして、昨年の通常国会におきまして御可決を見ました特別公務災害補償制度というものの創設を見たわけでございます。で、長官が申しましたように、昨年の九月、この週休二日制の問題につきまして、勤務制度をめぐっての検討が開始せられまして、これは、新聞を見ますと八回でございますが、五月の審議を入れますと九回という形に現在なっております。通算いたしますと数十回という形に相なりますので、御了承を賜わりたいと存じます。  それから、五県警の実施の問題でございますが、この件につきましては、昨年の秋の本部長会議におきまして、警務局長から、警察官の年次休暇というものの消化が非常に少のうございまして、御承知のように、二十日間の有給休暇が認められておるわけでございますが、非常に忙しいというような関係上から、全国平均ではほぼ八日くらいである、忙しいときの間を縫って、こういうものは何とかできるだけ消化をしていったほうがいいんではないか、いわゆる勤務時間の軽減をはかったほうがいいのではないか、こういうような指示をいたしました。これにつきまして、各県警がくふうをこらしまして、ただいま仰せになりましたような五県警等におきましても、たとえば長崎等の例をあげますると、二十日間全部を使うわけではございませんが、十日程度をその分に充てまして、一月に一日の年次休暇をとる、これを土曜日の半分を充てるとか、あるいは月曜日の一日を充てるどいうような形におきまして、年次休暇の消化をはかっておるというような試みがあるわけでございます。それで、土曜日が半日でございますと、合わせて土曜、日曜という形で、一カ月のうち一回ぐらい週休二日制が実現するという形になってくる場合がございます。そういう形で報道されたものと思うわけでございます。テストケースというわけではございませんが、いわゆる年次休暇の計画的消化という形で進められておるということでございます。  また、審議の状況でございますが、これにつきましては、ただいまのところ、いままでの九回の御審議の中におきまして、一応、警察官の勤務制度現状、外国の各国の状況、その他いろいろの委員さん方の御参考になりますような状況等を御説明申し上げまして、ただいまは、問題点等につきましての審議に入っておるという状況で、結論が出ているという次第ではございません。
  225. 小濱新次

    ○小濱委員 当然作業は続けている、進めている、こういうふうに理解してよろしいわけですね。  そこで、さらに長官にお尋ねしたいのですが、この解説記事の中に「六月二十四日の就任一周年を期して、できる範囲で事実上の週休二日制を推進してゆき、来年度には「完全実施」にもってゆく意向を明らかにした。」と書いてあります。しかし、こういうことが根拠なくして記事になるのであろうかと、こういうふうに考えるわけですが、この記事に対してはどのようにお感じになっておられますか。
  226. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 いまの新聞報道の内容でございますが、来年度には完全実施に持っていく意向を明らかにしたということでございますが、いま申し上げたような内容のことについて私は申し上げたのではございませんで、前向きで研究をして、さらに実現の方向に向かって努力をしていきたい――しかし、いま申し上げたように、全体の国の方向の問題もありますし、内閣あるいは総理府それぞれの関係のもとにおいていま申し上げたようなことをやるわけでございますので、この内容については正確ではないのではないか、こういうふうに考えております。
  227. 小濱新次

    ○小濱委員 このトップ記事はえらい反響を呼んでいるというふうに伺っております。私も、他の新聞を照合してみたのですが、どうも、朝日にのみ書いてあるような感じを受けました。そういう点で、労働界はもちろん、運輸、通信、医療、消防など、国民生活関係の深い公務員の勤務条件改善への影響はきわめて大きくあらわれているわけです。また、警察官の中には、あの記事を読んで非常に期待を持っておられる方が多い。いま複雑な勤務条件の中で、どのような形で週休二日制が実現できるのであろうかと、先ほどの説明のように、年二十日間の休暇ももう三分の一しかもらえないという現状から、これの実現ができたならばという期待が大きいわけですが、これがローカル紙等であるならばそれほど期待はしなかったわけですけれども、一流紙であるだけに反響がでかかったわけでございます。まあ、誤報と言われるならば、この影響の大なることを思って、何とかこれは長官の御答弁が必要になってくるのではないかと考えるわけです。また、同長官は驚かれたという御答弁でございましたから、その後どのように措置をされたのであろうかと、こういうふうに私どもはいろいろと考えるわけでございまして、その点の御答弁を長官からお願いしたいと思います。
  228. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 この報道の内容を見まして「具体的指示」という表現がされておりますが、こういう点については、私が具体的な指示をしたこともございません。しかし、いま申し上げたように、全体の問題として、本部長会議における長官の指示の趣旨に基づくものといたしましては、いま申し上げたようなものはございます。しかし、この内容をずっと見ますと、現在の警察官の勤務条件の問題、あるいは勤務時間の問題、そういう問題については、ある意味において正しくないものもありますし、それから、非常によくこの内容について書いてあるものもあると私は思うのでありますが、もし、そういう面で考えるならば、週休二日制というのはやはり前向きに考えるべきであるというふうに思っております。したがって、いま申し上げたような三交代の問題であるとか、あるいは勤務時間の短縮の問題であるとか、あるいは有給休暇二十日制を完全に実施する問題とか、そういう前提条件を全部いろいろと具体的に実現するというときには、おそらく週休二日制というものができ上がるのではないか、そういう基本的な条件がある程度でき上がったときにおいては、いま申し上げたような全面的な実施ということができるのではないか、と思います。しかし、いま申し上げたように、私の、長官の単独の考え方で全面実施をできることではございませんし、ここにおられる江崎国家公安委員長もおられるわけでありますので、そういう国家公安委員会の管理のもとに、なおかつ、いま申し上げたように、内閣あるいは総理府、閣僚協議会等において、そういうことについてでき上がるときにおいては、私どもは即時前向きでやるべきであるというふうに思っております。  しかし、いま申し上げたように、前提条件というものについて、まだ十分にできていないものがたくさんあるわけでありますので、その方面においては、週休二日制を実施する場合においては、いまの前提条件を、一つ一つの問題についてすみやかに解決をして、警察官の勤務条件、勤務時間というものについて合理的、能率的にやるということが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、いま申し上げたような具体的な指示であるとか、あるいはここに掲げているような「来年度に全面実施」ということについては、少し早過ぎるのではないだろうか。しかしながら、いま申し上げたように、前向きで努力をしていくというふうに考えておりますので、この報道というものが全部間違っているというようには私は思いませんし、その内容を考えてみると、警察官に対して非常に理解を持っておられるというふうに私は思いますので、その理解のもとに、これを具体的にいかにして実現していくかということについて努力をしたい、こういうふうに思うわけでございます。
  229. 小濱新次

    ○小濱委員 新聞の一面トップに「高橋長官は」と出ているわけですが、いろいろとお話しを伺いますと、その真偽が疑われるような、そういう内容になってまいりました。そういう点で、新聞社にはどう抗議をされたのか、どう訂正されたのか、あるいはまた、されなかったのか、このことについての最終的な措置はどういうふうに扱われたのか、御答弁をいただきたいと思います。
  230. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 この報道につきましてはいしま申し上げたように、具体的な署名による記者の意見でありますので、私どもが、その署名の内容についてとやかく申し上げることはないと思います。しかし、全体の感じから申し上げますと、確かに、いまの具体的な問題ではないけれども、少なくとも、警察官についてのいろいろな問題について提起をしてあるというふうに私は思いますので、これが全部間違っているからこれを取り消せとかというようなことは申し上げる必要はないと私は思います。
  231. 小濱新次

    ○小濱委員 長官にお尋ねしたいのですが、いろいろと御意見を伺って、その作業も進めているという感じを受けましたので、この週休二日制の問題の見通しとしては、来年度なのか、再来年度なのか、その目標のめどはどこに置いておられるのか等、抱負でもけっこうでありますが、ひとつお答えいただきたいと思います。
  232. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先ほど来申し上げたように、給与制度研究会というものを実現したわけでありますので、この給与制度研究会というものにつきましては、有識者の皆さん方、あるいは専門家の役人の皆さん方の御協力を得て、いまの給与制度研究会をやっておるわけであります。したがいまして、給与制度研究会につきましては、いま申し上げたように、勤務時間、勤務条件等全体の中において、週休二日制というものについて、さらに具体的な内容について研究をしたい、しかも、その問題について答申を得る時期があれば、答申を得ていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、給与制度研究会というものを重点に置いて考えていきたいというふうに思っております。  また、近く、私のほうの担当者をやって、欧州各国について、勤務条件、勤務時間等の問題を兼ねて、いまの週休二日制等の問題についても研究をさせたいというふうに思っておりますし、関係のほうの各省庁においても、そういうような問題について前向きでいろいろと研究中のように私は承っておりますので、いま申し上げたようなことにつきまして、前向きの考え方で進めたい、こういうふうに私は思っている次第でございます。
  233. 小濱新次

    ○小濱委員 記者の名前入りで、ニュース的なそういう報道ということで、これは私もたいへん関心をもって取り上げた次第でございますが、御答弁の内容から、内容がよくわかってまいりましたが、もう一つ、この記事の中にこういうことが出ておりました。「警察を内側からみると、人、車、予算などかなり放漫に運用されている面があるから、管理面から思いきって合理化することで週休二日制を実現することも、それほど困難とは思えない。」この放漫運用ということで、私もまた一つの疑義がわいてきたわけですけれども、こうした記事をお読みになられて、どのように受けとめられましたか。これも、専門語で言うとガセとかいうことばになるようでありますが、そういう考え方でこれは消してしまうのか、このことを大きく取り上げていくのか、あるいはまた、このことを通して、部内としては反省をしていこうとされるのか。ただ単なる記事としてではなく、やはり、原因なくして結果はない、何かあるに違いない、何かをつかんでいるに違いないということで、そういう立場から、これは長官としても、大いにここに視点を合わせて、いま一応この問題を取り上げてみる必要があるのじゃなかろうかとも私は考えました。そういう立場からお答えをいただきたいと思います。
  234. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 ただいま御指摘になりました、「人、車、予算など、かなり放漫に運用されている」というのは、これはおそらく、この鈴木卓郎記者の見解だと思います。私どもは、もちろん、人の問題あるいは車の問題等については、合理的にやらなければならないというふうに思っているわけであります。私ども、長官以下警察の担当者といたしましては、人の問題については、非常に不足をしているということにおいて、前々から申し上げているように、かなりの増員をお願いをしている次第でございます。車の問題につきましては、毎年の自動車等の増加につきまして、いろいろ予算を通じてお願いをしているわけであります。したがいまして、人、車等につきましては、現在の状況から言えば、私どもは十分な人、車を持っているわけではございませんし、また、同時に、予算の問題についても、毎年予算というものについてはいろいろお願いをしているわけでありますので、人、車、予算等の関係について、放漫であるということではなく、私どもとしては、少しでも合理的にしなければならないというふうに思っております。今後とも、人、車、予算などについては、放漫ではなく、私どものやっておりますことについては、正確に、しかも合理的にやっていきたい、こういうふうに思っているわけでございますので、いささか放漫に運用されているような面があるという御批判であるならば、私ども、その批判について、いろいろとそういう対策については考えていきたいと思いますが、現在においては、人、車、予算等については、十分な予算ではないというふうに思っている次第でございます。
  235. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、江崎国家公安委員長にお尋ねをしたいと思います。  国家公務員の週休二日制の実現が行なわれるときには、警察官の場合は最も実現困難な職種とされているが、職員福祉という面から、警察だけが取り残されるということであっては決してならぬと思います。そのときに混乱することのないよう、着実に検討すべきであると私は考えるわけですが、最後に、国家公安委員長からこのことのお答えをいただいて、私は、質問を終わりたいと思います。
  236. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま御質問でおっしゃること、全く私も同感に思っております。先ほど来長官から詳細の答弁をいたしましたように、週休二日制は、これは、やはり、近く実現する心がまえで十分準備をすることが必要だと思います。私ども、週休二日に関する閣僚協議会におきましても、一番むずかしい関係省庁はどこだといいますると、この警察庁と、それから消防があります。これは私ども自治省に関係するわけです。それから、厚生省で病院関係、これは医師を含めまして、看護婦等の関連従業員の問題がございます。こういう面を円滑に、しかも人手を極端にふやさないでどう取りしきるか、簡単な問題ではないと思います。したがいまして、高橋長官も、熱意を燃やしてこの問題と十分取り組み、にわかにその場へきてそごを来たさないように、いまから準備をしておこうと言うのですし、私も、新聞に出ました直後に説明を聞きまして、もう全く同感、これは多少書き過ぎの面もあるということで了解をいたしたような次第でございます。したがって、今後、いま申しましたような線に沿って十分に努力をして、円滑にこの週休二日が行なわれるよう、民間企業等々のあり方とも十分にらみ合わせながら、今後慎重に検討してまいるつもりでございます。
  237. 小濱新次

    ○小濱委員 きょうは人事院からのお答えをいただけませんでしたけれども、将来、それを含めて計画を進められますように、心から御要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  238. 上村千一郎

    上村委員長 次回は、来たる十九日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十二分散会      ――――◇―――――