運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-05-31 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月三十一日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君    理事 吉田 法晴君 理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       渡辺 紘三君    小川 省吾君       佐藤 敬治君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    多田 光雄君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         社会保険庁年金         保険部長    八木 哲夫君         労働省職業安定         局長      道正 邦彦君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君         消防庁長官   宮澤  弘君  委員外出席者         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省環境衛生         局環境整備課長 折田 貞雄君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 岩佐キクイ君         運輸省自動車局         業務部自動車道         課長      長島  健君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     岩垂寿喜男君 同日  理事谷垣專一君及び土井たか子君同日理事辞任  につき、その補欠として高鳥修君及び吉田法晴  君が理事に当選した。     ――――――――――――― 五月十四日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案山口鶴男君外五名提出衆法第三六号) 同月二十八日  地方公営企業法の一部を改正する法律案山口  鶴男君外七名提出衆法第四二号) 同月十六日  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願竹本孫一紹介)(第四二六九号)  同(上原康助紹介)(第四三三六号)  同(高橋繁紹介)(第四三三七号)  同(細谷治嘉紹介)(第四三三八号)  同(馬場昇紹介)(第四三三九号)  自治体病院財政援助に関する請願坂村吉正  君紹介)(第四三四〇号)  固定資産税免税点引上げ等に関する請願(北  側義一紹介)(第四三四一号) 同月十七日  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願三宅正一紹介)(第四四八〇号)  同(安宅常彦紹介)(第四五九五号)  同(折小野良一紹介)(第四五九六号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四五九七号)  同(森井忠良紹介)(第四五九八号)  同(八木一男紹介)(第四五九九号)  同(米内山義一郎紹介)(第四六〇〇号)  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願池田禎治紹介)(第四五九三号)  同(受田新吉紹介)(第四五九四号)  市街化区域内農地課税等に関する請願石母  田達紹介)(第四六〇一号)  同(多田光雄紹介)(第四六〇二号)  同(津金佑近君紹介)(第四六〇三号)  同(中路雅弘紹介)(第四六〇四号)  同(林百郎君紹介)(第四六〇五号)  同(不破哲三紹介)(第四六〇六号)  同(増本一彦紹介)(第四六〇七号)  同(松本善明紹介)(第四六〇八号)  同(三谷秀治紹介)(第四六〇九号)  同(米原昶紹介)(第四六一〇号) 同月二十一日  自治体病院財政再建に関する請願椎名悦三郎  君紹介)(第四七四四号)  市街化区域内農地課税等に関する請願(田中  美智子君紹介)(第四七四五号)  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願井上泉紹介)(第四七四六号)  同(木島喜兵衞紹介)(第四七四七号)  同(久保等紹介)(第四七四八号)  同(小林進紹介)(第四七四九号)  同外一件(長谷川正三紹介)(第四七五〇  号)  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願三原朝雄紹介)(第四八六八号)  固定資産税免税点引上げ等に関する請願(神  崎敏雄紹介)(第四八六九号) 同月二十四日  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願石田幸四郎紹介)(第五〇二一号)  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願瀬崎博義紹介)(第五〇二二号)  同(大橋敏雄紹介)(第五一七三号)  同(広瀬秀吉紹介)(第五一七四号)  特別区の区長公選制実現に関する請願(林百郎  君紹介)(第五〇二三号)  松江市立病院に対する財政援助等に関する請願  (林百郎君紹介)(第五〇二四号)  同(石母田達紹介)(第五一七一号)  同(浦井洋紹介)(第五一七二号) 同月二十五日  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願奥田敬和紹介)(第五三〇一号)  同(住栄作紹介)(第五三〇二号)  同(大柴滋夫紹介)(第五四三五号)  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願山原健二郎紹介)(第五四三六  号) 同月二十九日  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願兒玉末男紹介)(第五五七六号)  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願河野洋平紹介)(第五五七七号)  同(福田篤泰紹介)(第五七三二号)  地方公務員退職年金等増額に関する請願外四  件(小川省吾紹介)(第五七三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十八日  地方財政確立に関する陳情書外三件  (第三五九号)  特別区の区長公選制実現に関する陳情書  (第三六〇号)  人口急増市町村に対する財政措置強化に関する  陳情書(第三六一  号)  自治体病院財政援助に関する陳情書  (第三六二号)  地方公営企業財政確立に関する陳情書外一件  (第三六三  号)  地方事務官制度の廃止に関する陳情書外二件  (第三六四  号)  未成年者の酒・たばこ自動販売機による購入防  止に関する陳情書  (第三六五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四六号)      ――――◇―――――
  2. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 これより会議を開きます。  この際申し上げます。  委員長所用のため、指名により、私が委員長の職務を行ないます。  まず、理事辞任についておはかりいたします。  谷垣專一君及び土井たか子君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいま、谷垣專一君及び土井たか子君の理事辞任に伴い、理事が二名欠員になりましたので、その補欠選任を行なうのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは、委員長は、高鳥修君及び吉田法晴君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  6. 細谷治嘉

    細谷委員 去る十一日に、私が自治大臣に御質問申し上げまして、お答えをいただかないまま、今日までストップ状態になっていたわけです。それについて、ひとつ、大臣の基本的な考え方お答えいただきたい。
  7. 江崎真澄

    江崎国務大臣 実は、公職選挙法改正の問題をめぐりまして、たまたま十一日午後一時から、隣の委員会の部屋でございましたが、改正の意思ありやなしやというあたりから話が始まりまして、私の答弁原因になりまして、国会紛糾を来たし、審議ストップをいたしました。実は、先日も公選法特別委員会を開かれました席に出まして、その事態に立ち至ったことに対して遺憾の意を表したような次第であります。自来、地方行政委員会をはじめとする各委員会審議ストップされたことは、これまたきわめて残念なことでございました。何にいたしましても、選挙法の問題は重要でありまするが、その答弁をめぐって紛糾を来たしたということは、いかにも私責任を感じております。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣は忘れてしまったんですよ。私はそういう質問をしておるわけではないのです。私がこの席で、地方行財政についての基本的な問題をお聞きしたわけです。それについてお答えがないままストップになったわけですよ。
  9. 江崎真澄

    江崎国務大臣 どうも失礼をいたしました。何せ、長い国会の空白がありましたのと、私自身がその原因者の一人であるというようなことから、御質問の趣旨を取り違えまして、全くどうも恐縮でございました。あの際、非常に真剣な、きわめてまじめな御質問の途中で中断をいたしたことは、これまた残念であります。  要するに、あのときの記憶を呼び戻しますると、地方財政、また地方行政の両面を通じて、だんだん中央集権的な傾向が強まっておるのではないか、地方公共団体独立性自律性ということが言われながら逆行しておるではないか、自治大臣はこれをどう思うか、こういうお尋ねであったと思いますが、決して、私ども、中央集権的に事が運ばれておる、そういう様相を呈しておるとは思っておりません。もとより、明治の廃藩置県によりまして、現在のおよその県の形ができたわけでありまするが、自来もう百年になんなんといたします。しかも、地理的、時間的にも、日本列島そのものが非常に便利になり、言いかえれば、狭くなったという言い方もできるかと思います。そういう面から、この行政面におきましても、広域化を推進する方向が当然考えられてしかるべきでありますが、これももとより地方自主性が根本でありまして、これを無視して広域化が円滑に進められるものではありません。したがって、私どもは、あくまで地方自主性というものを尊重いたしまして、そして、地方自主的判断に基づく広域化という形で、行政面における連絡が緊密になり、しかも、いろいろな事業が関連して、それぞれの地域住民が裨益することができるようになっていくことが最も理想的であろうというふうに考えます。首長選挙などを通じまして、だんだん県のセクトが強くなっておるような傾向もいささかありますが、そのいい、悪いは別といたしまして、やはり、今後にかけて、その自主性を尊重して広域化を推進するという態度で自治省としては望んでまいりたいと思います。  また、財政面におきましては、地方財政が、地域における社会資本の投下のまだまだ貧弱な現状にかんがみまして、財源を充実して、健全な地方財政の体制がつくられることが望ましいというふうに考えておるものであります。もとより、国と地方財政の関連というものはきわめて緊密なものでありますので、十分きめこまかに双方の財政事情を配慮しながら、円滑な運営に資していきたいというふうに考えております。
  10. 細谷治嘉

    細谷委員 長々と御答弁いただいたのですけれども、私の質問を完全にお忘れになってしまったのですから、次の質疑を通じて、その辺の大臣の基本的な考えを次第に明らかにしていただきたいと思います。  具体的にお尋ねいたしますが、昨日の新聞によりますと、昭和四十八年度地方交付税の六月概算交付額が発表されております。四月の概算交付、六月の概算交付、いずれも、九百五十億円というのはワク外にはずしておりますね。そういうことでしょう。いかがですか。
  11. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そのとおりでございます。
  12. 細谷治嘉

    細谷委員 そういたしますと、地方交付税の四十八年度総額というのは、一体どういうことなんですか。九百五十億円は入っているのですか、入っていないのですか。
  13. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十八年度地方交付税の中には、当然九百五十億が入っておるわけでございます。ただ、地方交付税法が通りませんために九百五十億は配れない、こういう状態でございます。
  14. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、私は、法律の出し方について少し御質問をしておきたいわけですけれども昭和四十一年、これは交付税率が三二%になった年でありますけれども、この場合には、臨時地方特例交付金等々、あるいは借り入れ金等がありました。この場合には、正規の三税の三二%という分については地方交付税法の一部を改正する法律案、それから、臨時特例交付金等については昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案と、二本立てになっておりますね。それから、四十二年度も、昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律という形で、第一種交付金、第二種交付金とがありましたので、いわゆる地方交付税法の一部を改正する法律案ということになっておらないわけですよ。今度に限って九百五十億円というのは、概算交付とはワクをはずしてやっておるわけです。国税三税の三二%じゃないというのですよ。でありますから、交付税法がきめておる総額変更というのが起こっておるわけですね。この総額変更というのが起こっておる以上は、従来の例からいきますと、交付税法の一部を改正する法律案、それから交付税法に対する特例という二本立てで出すか、地方財政特別措置に関する法律案という形で出すかが従来の慣例だと思うのです。ところが、従来と全く同じ性格であるにかかわらず、今回は、特例法ではなくて、一本の交付税法の一部を改正する法律案として出しております。どうしてこういうふうに変わったのか、これをお聞きいたします。
  15. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のように、これまでの交付税法法形式の問題といたしましては、御案内のとおり、地方交付税法の一部改正法と臨特法、こういう二本立てで出したこともございます。あるいは地方財政臨時特例措置に関する法律という形で出したこともございます。あるいは交付税法の一部改正案という形で出したこともございます。大体、いままでの経過でございますと、ただいま御指摘になりましたように、臨時特例交付金といった式のものを出すときには、臨時特例法という形のもので出しておる、それから借り入れをする、あるいは、かつて減額繰り延べをやったことがございますが、そういう場合には、交付税法の一部を改正する法律という形でやっておる、こういうことでございます。  それから、御指摘になりました九百五十億円の点でございますが、これはどのような形をとりましても、九百五十億の予算措置は御承認いただいたわけでございますけれども、その九百五十億というものを今年度交付税の中に含めて出すという法律が通らない限りは出せない、こういう状態になっているわけでございまして、いまの法律形式の問題とは直接関係がないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 交付税は、従来は、おそくも四月の中旬くらいには済んでおりましたから、あまり問題がなかったわけですけれども、今度は、六月一日という時期を迎えて、二度目の概算交付段階に来ているわけですね。そこで、借り入れであろうと、特例交付金であろうと、いずれにいたしましても、従来は、本法と特例と、こういう形で来た。現実に九百五十億円というのは——四十八年度交付税総額でありますけれども、別扱いしているでしょう。今度のものは確かに借り入れ金だけであります。従来は、特例交付金とそれから借り入れ金というものがありましたけれども、これは従来の慣例——いまのことばだけでは納得できない。違法だと申し上げておるわけではないのですよ。これでいいかもしらぬけれども、どうして従来の慣例を破ったのか。いま実際のあなた方の取り扱いも、別ワクの問題として扱っているわけですから、この辺の法律の従来のやり方というのがオーソドックスではないかと私は思うのです。これであまり時間をとろうと思いませんが、大臣、どう思いますか。これはきちんとしなければ、そのときの都合で法律の出し方を変えていくことは好ましくないと思うのです。国会軽視とは申しませんが、問題があると私は思うのです。いかがですか。
  17. 鎌田要人

    鎌田政府委員 繰り返しのお答えになろうかと思いますが、従来の私ども考え方といたしましては、地方財政の面におきまして、いわゆる減額繰り延べ、あるいは交付税特会における借り入れ、こういういわば交付税の大きな意味での年度間の調整的なものにかかわりますものにつきましては交付税法の一部改正という形をとり、それから、臨時特例交付金といった特別の財源措置というものを国の一般会計から交付税に繰り入れるといった場合におきましては交付税臨時特例に関する法律、こういうことで処理をしてまいったわけでございますが、御指摘のように、必ずしもそこがすっきり理論的に割り切れておるということでもないというふうに思います。  ただ、考え方といたしましては、交付税法の一部改正という形でやるのが法律改正としては一番すなおな改正ではないだろうか。ただ、そこに単年度限りの臨時特例措置というものが入ってくるという場合におきましては、この特例法をつくることによって地方財政財源措置についての特別の措置というものを天下に宣明する。こういう考え方で、それぞれの法律改正形式を異にしてきたというふうに考えるわけでございますが、気持ちといたしましては、私ども、もう少しすっきりした形で、そういう御論議をいただかないような形で引き続き検討させていただきたいというふうに存じます。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 検討すると言うが、大臣、たいしたことないですよ。やはりきちんとしたほうがいいわけです。三二%の分と、法律に基づく分と、九百五十億円というものは別ワクで現に扱っているでしょう。概算交付ワク内に入れてないわけですから、従来の出し方をすることが正しいのではないかと思うのですが、どうですか。
  19. 江崎真澄

    江崎国務大臣 従来の経緯もありまするので政府委員から御答弁させておったわけでありますが、御指摘の点は十分検討の余地のある御指摘だと思いますので、今後の問題として十分検討いたしたいと思います。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣結論を出さぬですが、これであまり時間を食ってもなんですが、それのほうがきちんとすると思います。  そこでお尋ねいたしたいのですが、都道府県で出しております「都道府県展望」というので、大臣が長野の知事かだれかと予算編成の最中に対談をやっているのです。御記憾があると思うのですが、「都道府県展望」に出ておりますよ。それによりますと、暮れに予算編成にあたっての重要な柱として従来扱われておったし、四十八年度編成の際にも、この地方財政の問題というものは重要になっておったわけです。ところが、今度は、ふしぎに都市交通問題等があとに残りましたけれども地方財政の大ワクをきめる問題については、たしか、大蔵大臣と二回ちょこっと会合をやって結論を出した。そして、ある県知事との新年の対談では、大蔵大臣とやった交渉の結果を大臣は自画自賛しているのですよ。自画自賛するのに値しないと私は思うのです。「都道府県展望」というこの雑誌でも、何かだんだん大蔵に押されて、最後には一千億円何とか財源措置をしてほしいと言ったが、大蔵のほうは九百億円だと言った、最後にはまん中をとって九百五十億円となった、こう言っております。九百五十億円というのは、それまでの自治省の要求の数字からいきますと——鎌田さんも、この「展望」の中で、来年度地方財政についていろいろやっていますよ。そういうような数字を見てみますと、一千億円というのがどこから出たのか、唐突として出ている。そして、寄せて二で割る方式、そういうのをとっております。  しかも、九百五十億円を四十九年度で一ぺんに返済する。この一ぺんに返済するなんという例はありませんよ。借り入れした場合は、みんな幾つかに分割して払っている。国のほうに貸した場合は、国のほうも分割して払っているのですよ。ところが、この九百五十億円だけは、思い切りよく四十九年度交付税精算分でそれを払う。どうしてこういう結論を出したのですか。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは私もいま記憶をたどっておりますが、一千億というものが偶然出てきたわけじゃなくて、私が大蔵大臣と会ったのはなるほど二度ほどですが、しかし、有能な財政局長が、あらゆる機会を通じて、局ぐるみ大蔵省と長い折衝を続けて、そして、たしか千五十億という数字が出てまいりました。当初、大蔵省は、五百億ぐらいだ、資金運用部資金からの貸し出しはその程度だということを言っておったのを、だんだん積み上げてまいりまして、そして、大臣折衝というのは、御承知のとおり最終的な折衝でございますので、ああいう形でまとめたわけでありますが、これはひとつお認めを願いたいと思います。  四十九年度の場面で、一年で返すのはどういうことかということですが、これは四十七年度経済的な伸びが見込まれておりますので、大体その自然増でこの程度のものはカバーできる、私ども自治省においても十分見通しができるということで大蔵省側と合意した結果、そういう話し合いになったわけでございます。決して無理な形をとっておるものではないというふうに考えております。今日、金融引き締めに次ぐ金融引き締めという形で経済の過熱を防遏しておる状況をごらんになっていただけば、昨年からことしにかけまして、円はフロートしておるというものの、これは世界的なインフレが背景になっておりますから、ここで経済議論をしている時間もありませんが、やはり危険な面もないわけではありませんが、経済界は上向きである、実勢は相当伸びておるという状況でございますので、まあ、そんなに無理なくこれは四十七年度自然増でカバーできる、決算時において返済ができるというふうに考えておる次第でございます。  その経緯につきましては、財政局長から詳しくお答えさせます。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、いまの段階で、四十九年度には幾ら返済することになりますか。
  23. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十九年度は、四十六年度以降の特会借り入れ分返済既計画分が二百億ございまして、それにいまの九百五十億が加わりますから、千百五十億返済する、こういうことになります。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 四十七年度国税三税は幾ら伸びましたか。
  25. 鎌田要人

    鎌田政府委員 国税当局数字はまだ私ども手に入れておらないわけでございますが、三月末の国税収納実績が四千六百五十億。これは国税三税でございます。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 三月末現在で国税三税が四千六百四十九億九千万。これはきっちりと発表されておりますね。それの三二%といいますと、千二十八億ですよ。交付税は三二%だから……。
  27. 鎌田要人

    鎌田政府委員 千四百……。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 千四百になる。おれの計算違いだった。  そうしますと、幸いに四十七年度決算がかなり大きく伸びた。国税全体として六千億伸びたといわれているのですね。三税が四千六百数十億伸びた。それで、三二%加えますと、来年の返済分をカバーできますけれども、従来の慣例を破って、どうしてまたこういう約束をしたのですか。九百五十億借りるのならば、何年計画かで、長期的な見通しを踏まえて考えるべきですよ。これは大蔵省にみごとに、いや、来年は九百五十億ちょろり出てくるから、それで返せばいいじゃないかということでごまかされたんじゃないですか。これはいまからでもおそくないですよ。年次計画返済すべきですよ。いかがですか。
  29. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御承知のように、四十六年度において特例措置をとりまして、これを年次計画で返しております。地方の財政におきまして年々こういう形が続くことは、地方の財政の健全性ということから言いましても、望ましいことではございません。したがいまして、十分返せるゆとりのあるものは返していくというたてまえが正しいわけでございまして、幸い、自然増分でカバーできるということが当時の段階でもほぼ見通されておりましたので、こういうことにしたわけです。さりかは、もしまた、景気の大変動等によりまして地方財政が事実上困窮するというような場面においては、いつでも機宜の措置がとれるように、返せる場合は返しておくということを履行することにおいて、今後に資するという意味も含めてああいうことにきめたわけでございます。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 大体、これは、千百五十億を返すなんという前例がないです。今後、現状で見通されるのでも、多いときで大体五百数十億ですよ。でありますから、返せるときは返すということは私は否定いたしませんけれども、こういう前例のないようなものを、たまたま伸びるからこれは一ぺんで返すということはよろしくないと思うのです。というのは、これから議論していきますけれども、四十八年度交付税そのものがもはや破綻しておると私は見ているのですよ。こういう観点からこういう措置を講じたことは、自画自賛どころの話じゃなくて、全く大蔵省の一方的な地方財政対策になった、自治省みずからの地方財政対策ではない、こういうふうに申し上げざるを得ないと思うのですよ。しかし、この答弁は要りません。  そこで、私は、交付税全体計画を中心として議論をいたしたいわけでありますけれども財政局長、基準財政収入額というのは、地方財政計画に見積もられたいわゆる地方税収の見通し、見込み、こういうものに対して、都道府県の場合、市町村の場合は一体どういう割合になっていますか。地方財政計画で見込まれておる地方税収見込み額と、あなたのほうで見積もっておられる基準財政収入額とは、どういう割合になっていますか。
  31. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方財政計画と、交付税に見込んでおりますところの基準財政収入額との関係は、先生御案内のとおり、この財政計画で見込んでおりますものの税でございますと、府県が八〇%、市町村の場合が七五%の率、あるいは譲与税の場合でございますと全額、こういうことで基準財政収入を積み上げておる、こういうことでございます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 それは法律で、都道府県の場合は八〇、市町村は七五ということになっておるわけだが、実際にはどうなっているかということです。私が試算いたしますと、大体、都道府県の場合の基準財政収入額というのは、普通税が圧倒的に多いわけだ。譲与税等は一〇〇に見ますけれども、九〇%ぐらいが、圧倒的に普通税ですよ。見ますと、大体において都道府県八三%、市町村で七七・五ぐらいになっていますよ。八〇と八三というのはずいぶん違いますね。ずいぶんきびしい基準財政収入額の見込みをしているのじゃないですか。意味がわかりますか。
  33. 鎌田要人

    鎌田政府委員 基準財政収入ではじきますのは、財政計画数字もとにしてはじきますので、ただいまの八三%なり七〇何%というのがちょっと理解がいたしかねるのでございますが……。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 たとえば、都道府県については普通税がありますね。その普通税から地方財政計画に織り込まれた税目ごとに拾っていって、あるものは八〇をかけ、あるものは一〇〇をかける。そういたしますと、地方税そっくりそのままの基準財政計画の基準財政収入額が出てくるでしょう。そういうものと交付税に織り込まれておる基準財政収入額とを比べてみますと、大体ぴしゃっと一致していないのですよ、本来ならば、八〇か、せいぜい譲与税等を加えて八一ぐらいになっていなければいかぬのが、八三だ。市町村の場合は七五になっていなければいかぬのが七七・五にもなっておるのですよ。これは基準財政収入額を過大に見積もっておる。過大に見積もっておるということは、申すまでもなく、差し引き勘定でありますから、交付税をしぼっておるということでしょう。そういう傾向が歴然としてあるがどうか、こういうことですよ。
  35. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっと先生、決算との比較ではないんでしょう。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 決算は、あとで言います。この次に……。
  37. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま、私どもの専門家の資料をここで見ておるわけでございますが、ただいま御指摘になりましたように、財政計画上の道府県税、市町村税、これを税目ごとに、県税の場合でございますと八割、あるいは市町村税の場合でございますと七五%なり、こういうもので基準財政収入をはじいて、それで交付税の計算をしておるという結果になっておるわけでございますが、いまの先生の御指摘の点は、どうしてそういう結果になりますか、後ほど資料を見せていただいて、突き合わさせていただきたいと思います。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、これは、四十八年度は明確じゃありませんから、四十七年度について計算したんです。計算すると、まさしく八〇であるべきものが八三になっているわけだな。七五であるべきものが七七・五近くになっているわけですよ。これは、基準財政収入額というものをきわめて現実に過大に見積もっておるという指摘ができると思うのですね。  いまおことばがありましたから、決算の問題についてちょっと申し上げますが、四十六年度都道府県の税収決算額、それと基準財政収入額、これを見ますと、これも乖離があるのですよ、二・五%ぐらいの乖離があるのですよ。これはお認めになりますか。
  39. 鎌田要人

    鎌田政府委員 決算ベースでは、これは、いわゆる標準財政収入額との間に乖離が生じております。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 乖離が生じておる。乖離が生じておりますが、四十六年度を例にとりますと、その税収決算額と基準財政収入額、いわゆる決算額をそれぞれ法律に基づいて基準財政収入額に計入さるべき税目ごとにやってそれを積算いたした数字と、それから交付税に使っておる基準財政収入額との間に、四十六年度は、都道府県においては、基準財政収入額のほうが二・五%上回っておるのですよ。四十五年度は五%程度基準財政収入額が下回っております。上回っておるというのはどういうことですか。これは過大見積もりでしょう。行くべき交付税都道府県に行っていないということです。その分だけ、二・五%分だけはちょっきりそのまま交付税で切られるわけですね。そういうことでしょう。基準財政収入額では、私がさっき言ったように、交付税との間でかなりきびしい過大な基準財政収入額を見積もっておる。そういう結果として、税の決算額よりも上回った基準財政収入額を見込んでおる、その分だけ交付税を減らしておる、こういうかっこうが生まれております。大臣、これで交付税でございます、基準財政収入額と需要額との差額が調整率をかけて交付税になりますと言っておりながら、根っこのほうの基準財政収入額で過大に見積もって、それで実際の決算収入額よりも上回った収入額を見込まれては、数字の魔術で、これはたまったものじゃないですよ。どうですか。
  41. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほど御指摘になりました財政計画におきます税収、いわゆる標準財政収入と基準財政収入との間は、私ども、その間に、財政計画の税収を上回って基準財政収入で見ておるということは絶対にないと確信して申し上げられると思います。ただ、決算と基準財政収入額を標準財政収入に置き直しました額との間は、交付税の基準財政収入の見積もりの算定の時点等の制約、あるいはその後におきます経済情勢の推移等によりまして、これはどうしてもその間に乖離が出る。これは、交付税のいまの仕組みからいたしまして、どうしてもやむを得ないことである。したがいまして、ただいま先生が御指摘になりました四十六年度、これはまさに一番ひどかった年でございまして、四十六年度は、中途から景気が急速に下降をいたしまして、御案内のとおり、地方税で千三百三十四億の、財政計画に見込んだ数字から税収が落ち込みを生ずる。そこで、御案内のとおり、一千億の臨時特例債を出すといった緊急措置をやり——交付税も減りましたので、これについては、交付税を減らさないような、年度間におきます臨時特例措置をやったところでございます。したがいまして、四十六年度は、府県関係におきまして、法人関係税を中心に大きなマイナスを生じたわけでございますが、それでも、基準財政収入全体、標準財政収入全体といたしましては、五百億程度のやはり上回った数字になっておるわけでございます。  この法人関係税につきましては、結局、そういうことがあるものでございますから、翌々年度までにこれを精算をする、精算をして地方に返してやる、こういう仕組みに御案内のとおりなっておるわけでございまして、四十八年度中において、いままでのこの分の未精算額というものは全部精算をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、最初の問題については、あとで数字を突き合わせましょう。これは間違いなく過大に見積もっておる。  それから、決算についてはお認めになった。私は都道府県の例を申し上げたのであって、市町村は、四十六年度の場合でも、基準財政収入額のほうが、税収決算額に対して、税目ごとに基準財政収入額を計算いたしまして積算いたしました数字と比べますと、四、五%低いのです。その分については、負担力がない都道府県は、二・五高いのですから、もらうべき交付税をもらっていない。これは明らかです。そうして、いや、法人税がよけいになったから、ひとつ収入額を精算しますとかなんとか言って、おそらく、ことしも、その法人税の精算というのはもう二けたぐらいの多くのところをやっているわけですね。そういうことだけはひとつ指摘しておきたい。  今度は需要額、この需要額の計算と、地方財政計画における需要額の増額、いわゆる交付税の全体計画の中における需要額と、地方財政計画における需要額の増、これで見ますと、財政計画の中で、歳出の増減事由、その中における地方費の負担額、こういうものと需要額の積算の内訳とがどういう関係にあるか。これは明らかにあなたのほうで策定した地方財政計画です。これだけ要るわけでしょう。要るわけでありますから、交付税計算において需要額の中に計入しておかなければいかぬ。したがって、その関係が百対百ならいいのですよ。どういう関係にありますか。
  43. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方財政計画におきまする地方負担の増が、四十八年度におきましては約一兆八千九百億でございます。それに対しまして、地方債あるいは使用料、手数料、雑収入その他の特定財源、いわゆる交付税計算上算定外に置きまする特定財源、これが約三千七百億程度ございまして、差し引き一兆五千億というものが再生計画におきまする地方負担の増でございます。それに対しまして、交付税の全体計画の需要増として見ておりますものが一兆一千四百三十三億、差し引きいたしまして三千七百億程度の額が不足するわけでございますが、これにつきましては、御案内のとおり、留保財源、いわゆる税の二〇%なり二五%、そういったものでこれがカバーができる、こういうことで全体としての締めくくりをいたしておるわけでございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 説明はそれしかできないわけだ。諸収入もあるじゃないか。手数料なり、使用料もあるじゃないか。基準財政収入額と実際の税収との間には、二割ないし二五%あるじゃないか。それで全部まかなえる。自治大臣、一体どこに自主性がありますか。  そこで、私は、さらにお尋ねをいたしたい。四十八年度においてはいまおっしゃったようなことでありますが、基準財政需要額の増として一兆一千四百三十三億、実際の地方財政計画における必要額というのは一兆八千九百二十二億、その割合は六〇・五%ですよ。一兆八千九百二十二億円地方財政計画で要りますよと言いながら、交付税の需要額として見たものは一兆一千四百三十三億でありますから、六割強です。これしか見ていない。四割足らないのですよ。しかも、こういう推移を私は調べてみました。四十年度は、地方財政計画にある地方費の増額に対する需要額はどのくらい見ているかというと、七五・四%基準財政需要額として見ているのですよ。いいですか、大臣。四十二年度は七八%見ている。四十三年度は七四・五%、四十四年度は七三・六%、四十五年度は七〇%、この辺までは七割見ているわけだ。三割はどこかから持ってきなさいと言っているのですけれども、四十六年度は六八%、四十七年度は五一・二%。四十八年度は六〇・五ですから、四十七年度より若干いいのですが、四十七年度は半分しか見ていないのですよ。いいですか。四十八年度は自画自賛いたしましたけれども、六〇・五です。毎年毎年下がっているじゃないですか。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 四十年以降、以前七〇以上あったものが、昨年は五〇%、いまや六割しかないのですよ、基準財政需要額として、交付税の対象に計入してやろうというのは。あとの四割というのは使用料、手数料で埋めなさい、おまえのほうは二割とか二割五分、税の弾力的なものがあるじゃないか、それで埋めなさい、こういうかっこうですよ。これで地方団体はやっていけますか。どこに自主性が求められますか。これはいろいろな角度から議論されますけれども、この点一点を見ても、いよいよ地方財政というのは自主性が著しく後退しておるというふうに申し上げざるを得ないのですよ。どう思いますか。
  45. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この点は議論の存するととろだと思います。いまの交付税の仕組みというもので、先生御案内のとおり、いわば地方の自主的な財政運営の幅として、基準財政収入額の見方で七五%なり八〇%だけ見て、あとはいわゆる地方の自主的な財政運営の財源として残していく。あるいは、地方債というものをどういうふうにこの場合に考えていくか。ある程度生活関連社会資本の充実ということになりますと、地方債というものをふやしてまいらなければならない。そういうものとの全体のからみ合いになるわけでございまして、私ども考え方といたしましては、かつて基準財政需要額というものの算入率が高かったということは、この反面におきまして、たとえば税収の伸び、四十八年度でございますと、御案内のとおり、一兆一千八百億という、未曽有の、二七%の高い伸びというものがございますれば、当然、その二〇%なり二五%なりというものも大きくなる。こういうこととの関連においても考えなければならないのではないだろうかという気がするわけでございます。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたも認めざるを得なかったですね。基準財政需要額として取り入れる数字というのが、実際必要な地方財政計画に見込んでおる地方費に対する割合がどんどん低下していっておる。私は少し申し上げてみますと、四十八年度におきましては、給与関係費は九七%必要額だ。地方費と比べて九七%見ておる。一般行政費は六七%。投資的経費は幾らですか。四八・五ですよ。地方財政計画でこれだけ地方費は要りますよと言っているにかかわらず、投資的経費は四八・五%しか基準財政需要額の中に計入しておらない。いま地方債とおっしゃった。地方債は幾らかといいますと、わずかに五%です。たいへんな元利の償還が起こるわけです。それに対して、基準財政需要額ではわずかに五%しか必要額に対して計入していない。全体としては六〇・五。昨年あたりはそれは落としておりますから、投資的経費など二三・三%にしか当たってないのですよ。こういうかっこうで収入額は過大に見積もる。需要額のほうは押えに押える。実際の必要額の六割しか見込んでない。こういう形で、大臣交付税でございますと言えますか。問題がありますよ。この点から言っても、交付税制度は破綻しておると申さざるを得ないでしょう。地方財政計画はあなたのほうでつくりながら、交付税の全体計画ができながら、その中に一点の斉合性もない、こういうことですよ。これでは大臣、年頭のおみきの入ったときに自画自賛することはけっこうでありますけれども、こういう席では大いに反省していただかなければならないですよ。いかがですか。
  47. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほどから局長も御答弁申し上げておりますように、地方財政にしわ寄せのないように、無理のないように計算をしておるというわけでありますが、今後の問題として、やはり、御指摘の点はきわめて重要な点です。自治省としては、地方から見ますといささか査定がきびし過ぎるという声になりましょう。よく各省ともが大蔵省予算措置に対してある程度不満を残すように、どうしても、これはきめる者、きめられる者という立場の相違からいろいろありますが、いまだんだんの御指摘の点等については、今後地方財政に支障を来たさないよう十分ひとつ細密な検討を加えてまいりたいと思います。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 こういうことでは、だんだん地方財政が硬直化してしまう。こんなことでありますから、全国市長会等に行きますと、七五とか八〇なんというのは全部見てください、全部一〇〇%にしていただいてけっこうです。そのかわりちょっきりその差額をもらいましょう、こういう声が出ておりますよ。もともと都道府県で二割の弾力性を持たした。あるいは七五%。かつては市町村は七〇でしたけれども、七五になった。それはやはり税収等を中心とした自主財源というものにある程度弾力性を持たせなければいかぬ、こういう趣旨から出ておるものでしょう。それをどんどん食い荒らしておる、こういうことですよ。ひとつ御検討いただきたい。  そこで、角度を変えまして私はお尋ねしたいのです。地方財政計画がそういう状態でありますから、いわゆる地方交付税全体計画とは斉合性を持っておらぬものですから、どういうことが起こっているかといいますと、地方財政計画決算との間では著しい乖離が起こっております。この問題についても、私は、予算委員会等で、数回にわたって、地方財政計画というものが地方交付税法の中の条文に基づいて立てられる以上は、少なくとも、決算と比べてあんまり大きな乖離があることは問題があるのじゃないか、せめて一割以内ぐらいにとどめなければならぬのじゃないかということを主張いたしました。そういうことで、自治省は、国の一般会計予算のワクにとらわれて、新聞等で、地方財政が国の予算よりも大きくなった、裕福になったと書き立てられる心配があるのでしょう、実態よりもわざと地方財政計画の規模を落としてきた。ところが、四十六年度以降、そういう地方財政計画の規模を是正いたしましたから、四十六、四十七、四十八年と、国の一般会計予算よりも上回った地方財政計画の規模になっております。四十六年度はそういう反省の中から是正されたはずでありますけれども、残念なことには、歳入においても、歳出においても、二割以上の乖離が依然として起こっております。その乖離の一番大きいのは一体どこかといいますと、収入ではやはり地方債と、それから諸収入です。歳出のほうでは投資的経費、それから一般行政費、それから公債費。もう一つ、当然なこととして、後ほど申し上げますけれども地方財政計画において、人件費を何とでも切っていけ、そして給与関係費は極力減らせ、そして浮いた金を投資的経費、公共事業に回せという傾向がやはり歴然としてあらわれてきておるわけですね。そういうことでありますから、地方財政計画に計上した計画人員と実際の地方公務員の人員との間には非常に大きな乖離がありますが、その上に人事院勧告等による改定があるわけでありますから、決算と給与関係費との間に乖離が起こるのは当然なことであります。いま申し上げたようにある程度是正したはずでありますけれども、四十六年度においても依然として変わっておりません。たとえば歳出において、従来、四十年度以降二〇から二五ぐらいの間で乖離が起こっているわけです。これでは地方財政計画にならぬでしょう。交付税もとにもなっていない、地方団体の予算編成の指標にもならない、こういうことでは意味がないと思うのですよ。どういたしますか、これは。
  49. 鎌田要人

    鎌田政府委員 交付税地方財政計画の関係につきましては、これは、交付税の積算の基礎には地方財政計画は入っておる。先ほどいろいろ御指摘がございましたけれども地方債なりあるいは地方税の両財源、こういうもので、財政計画におきます地方負担というものは、交付税計算ではぴっちり合うようにわれわれつくっておるわけでございます。ただ、問題は、御指摘のとおり、決算との比較ということになりますと、地方財政計画は単年度主義であり、しかも当初であって、補正はやらない、あるいは、税の、たとえば超過課税等がございましても、あるいは、その後の景気の動向によりまする自然増収がございましても補正というものはやらない、こういうことの技術的な制約はあると思います。また、歳出の面におきましては、ただいま御指摘がございましたように、給与、これは要するに職員の員数と給与のレベル、これとの相乗になるわけでございますが、その両面におきまして、いわゆる理論計算をやっておる、こういうことの格差があるのだろうと思います。ただ、この間の格差につきましては、私ども機会あるごとに是正をはかってまいっておるところでございますし、特に、この問題の給与につきましては、五年おきに給与実態調査を行ないます。そのあとにおきまして、いわゆる規模是正というものを行なってきておるわけでございまして、乖離の点につきましては、先ほど申しました地方財政計画決算というものとのかかわり合いの上でどうしても免れない。それがずっと二割程度のものになっておる。四十六年度決算では一八・四%の乖離になっておるわけでございますけれども、どの程度までいわゆる規模是正というものが客観的に見て正しいことになるのか、その辺のところは非常に議論のあるところだろうと思います。財政計画の中身を詰めていくということについては、当然、私ども、毎年毎年努力をしなければならないところであるというように考えておる次第でございます。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 決算地方財政計画を比較していきますと、一般的に言えることは、給与関係費については、計画人員と実人員との間の非常な大きな乖離、これが決定的で、そして大きく狂ってくるのは、公共事業の中の投資的経費の中の補助事業というものが非常に大きく乖離してくる。そこで、一般財源がありませんからどういうことになりますかというと、まず、決算面を見ますと、地方財政計画で織り込んだ単独事業というものが削られていくのです。維持修繕費なんというのは、ここ数年、みんな地方財政計画で見込んでおる維持修繕費より必ず減らされている。例外としては、四十五年度地方財政計画を三・三%上回った狂いがありますけれども、あとは全部地方財政計画より、維持修繕費なんというのは、金がないから、翌年回し翌年回しというかっこうになるのです。そして、そういうものはあげていわゆる投資的経費の中の補助部分というものと、それから一般行政費の中の国庫負担を伴うものというものと、それから義務的である給与関係につぎ込まれておる。これが今日の地方財政の構造ですよ。これはお認めになりますか。これでいいのか。お認めになったら、これは問題だとお思いになるかどうか。
  51. 鎌田要人

    鎌田政府委員 歳出ベースで見ます場合に、この給与関係経費が非常に多い。これは、一つ、大きな原因は、給与改定を見込んでおりません。その分の差額というものが出てまいるわけでございますが、基本の人員なり、あるいは給与レベルというものにつきましては、これはやはり地方団体の現実というものに追随することにはある程度限度があると思います。と申しますのは、やはり、それぞれの地方団体によりまして、給与水準の高いところあり、低いところあり、あるいは人員の多いところあり、少ないところありでございますので、これはどうしても私どもといたしましては、計画人員と国家公務員に準ずる給与水準というもので計算を監督をしていかなければならない。人員の点につきましては、これは前回におきましても規模是正をやっておりますけれども、やはり、社会経済の変遷につれまして地方団体の仕事というものがふえておる。他方において不急不要のものは切ってもらわなければならないわけでございますが、そういうものを織り込みました規模是正というものは当然やらなければならないだろう。  それから、投資関係の経費でございますが、確かに補助事業がふえております。補助事業がふえておりますが、単独事業も、これも先生のところにも資料があると思いますけれども、補助事業が五千九百億ふえ、単独事業が二千四百億ふえておる。こういうことでございまして、単独事業をむやみにぶった切って補助事業のほうへ回しておるということではないんじゃないだろうか。年度中途で、特に四十六年度あたりでございますか、公共事業の大幅追加がございましたが、当然そういうものを受け入れていく、こういうことで財源が振りかわったという感はあると思いますけれども、それほど単独事業というものが圧縮をかけられているというふうには私ども理解しておらないところでございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 それはあなたが答弁したように、国が何も地方団体に追随する必要はないですよ。しかし、たとえば給与関係費というのは、三十年ごろから三十五年ぐらいまでは一貫して大体三九から四一ぐらいの間にあったわけですよ。三十五年以降、いわゆる高度経済成長政策が始まりましてから、地方財政計画における構成比というのは漸次下がってきたのです。一方、三十五年ぐらいから投資的経費というのが急激に上がりました。そうして四十八年度はどうなっているかといいますと、給与関係費は、過去には、高度経済成長政策が始まる前には四〇%ぐらいあった給与関係費というものが、二八%になりました。投資的経費は幾らかといいますと、三十五年以前には大体一八%から二二、三%、こういう程度であったわけでありますけれども、四十八年度は四一%、まさしく逆転しているでしょう。追随する必要はありません。追随する必要はありませんけれども、私は、年度を追うてちょっとプロットしてみたのですよ。著しい構造的な変化が——給与関係費が、まあ言ってみると削り取られて、そして、あげてその分は投資的経費に回されておる。それが高度経済成長政策以降こういう財政計画の構造になったということは、これはお認めいただいていいと思うのですよ。これは否定できないと思うのです。いかがですか、大臣
  53. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは生活関連、社会資本を中心にした投資がふえてきておることはもう事実でございます。ただ、これはまことに釈迦に説法みたいな話でおそれ入るわけでありますが、財政計画の規模自身が非常に大きくなる。分母が大きくなるわけでございますから、どうしても給与費の構成割合は落ちる。これは私は自然の成り行きだろうと思うわけでございますけれども、何も、特別にこの給与費に圧縮を加えて、その結果が構成比が落ちたということではないことは、これはもう先生おわかりになっていただけるところだろうと思います。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 それではお尋ねいたしますが、今度の地方財政計画では、例の五%削減問題というので、九千四百二十人減る、交付税では九千三百五十人、ほぼ同じものが削減される、こういうことであります。計画人員全体としては、四十八年度は百九十二万六千人ですね。この内訳を見ますと、まあ警察職員とか消防職員なんというのはぴしゃっと認めているのですよ。一般職の職員というのはたいへんな事務量がふえていっていますけれども、全然これはふえておりません。そこで、四十八年度というのは、おそらく、私は、地方公務員というのは二百三十万ぐらいおるのじゃないかと思うのです。しかも、四十年までは、五年ごとに調査した結果、計画人員の規模是正をしておりましたよ。四十年度以降は規模是正はしていないでしょう。でありますから、頭数。そのベースが国家公務員とは高低はあるでしょうが、その相乗であることは間違いありませんけれども、問題はやはり頭数です。頭数を地方財政計画に織り込んでおらない。四十年、四十一年ぐらいまでですか、規模是正をやった。五年ごとに御調査なさっているならば、適宜規模是正を行なうべきでしょう。いまどんどんどんどんふえていく委任事務、そういうものに応対するために臨時職員を雇ってやっておりますよ。いま一体どのぐらいの地方公務員がおるのか。この地方財政計画に計上されておる百九十二万六千人に対応する地方公務員の数は幾らなのか、そうして臨時職員がどのぐらいおるのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  55. 鎌田要人

    鎌田政府委員 その前に、給与実態調査に基づきますところの規模是正を四十年度以降はやっておらぬではないかというお話でございますが、四十五年度で四十三年度の給与実態調査に基づきまして規模是正をいたしております。是正人員二万五千八百六十一人。  それから、地方財政計画上の人員と実態との問題でございますが、これは四十七年の四月一日の給与実態調査、これは悉皆調査ではございませんけれども、普通会計相当の一般職の人員が百十九万六千人であります。それに対しまして、地方財政計画上の人員が九十二万六千人でございまして、その差が二十七万人ございますが、この中に補助職員あるいは委託職員あるいは交付金職員、こういった一般行政経費で計上しておりまする職員がおります。それから臨時職員が約二十一万人おります。いまのこの二十七万人の乖離の中で、臨時職員、そのほかに学校警備員、常備消防職員、団員、こういうものの二十一万人を差し引きますと六万人の乖離、こういうことになるわけであります。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 その乖離について、おやりになったらいかがですか。かつて、四十年か四十一年ぐらいに、悉皆調査の結果に基づいて十万人近い規模是正をしましたね。それだけでも計画決算との乖離というのは埋められるわけです。そういうことによって実態に即応する地方財政計画というのはできてくるわけでしょう。それはやはり是正すべきじゃないかと思うのです。これをほうっておいて、沖繩が返ってきたんで二万五千ぐらいの規模是正を行なったとか、いろいろなことは存じておりますけれども、どうしてここだけやらないのか。やらないということは、交付税といわゆる必要な地方費との間の乖離が拡大していくということになるわけですね。大臣、どうですか。おやりになったらどうですか。実態に即応するように——追随する必要はありませんよ。しかし、実態と二十七万とかなんとかいうばく大なかけ離れ、二十七万あるというのは、もうそっくりそのままそれが二割近い乖離を呼ぶということになるわけですね。いかがですか。
  57. 鎌田要人

    鎌田政府委員 臨時職員の問題につきましては、これは御案内のとおり、昭和三十三年から四十年までの間に国、地方を通じまして、いわゆる臨時職員の定数繰り入れという措置が行なわれました。実は、私どもといたしましては、こういう公務員法上問題のあるような雇用の形態というのはとってほしくない。そういう臨時職員というのは、したがいまして、定数繰り入れの措置が行なわれた後においてはあるべきはずのものじゃないという認識を持っておるわけでございます。その点を別にいたしまして、定数の規模是正、これにつきましては、ちょうど四十八年度、今年度が悉皆調査の年でございます。この結果の明らかになった時点におきまして規模是正の検討並びに努力をいたします。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 人件費を節約することはけっこうでありますけれども、実態に即応しないこういう見方、それから実態に即応しないような圧縮をいたしますと、いま全国でいろいろなことが起こっておるのですよ。自治省が指導いたしましても、市の仕事というのは何でも民間の請負に出しちゃえ、こういう形ですね。たとえば清掃の問題、屎尿の問題でも、業者と地方公共団体の当局との間にたいへんな問題が全国的に起こりつつあります。市当局のほうは素手でありますから、そういう問題が起こっております。こういう点は、給与関係費を削減して、そしてどう言おうと、結果としていま投資的経費への道を切り開いておる、こういうことだと私は思うのであります。いま財政によって地方公共団体はがんじがらめになっておるという実態でありますから、こういう点はひとつしっかりと御検討をいただきたいと思います。  これに関連して、私はきょう厚生省、労働省の方に来ていただいておるのですが、五月二十九日の新聞によりますと、附則八条のいわゆる地方事務官、これは昭和二十二年に戦前の法律から新しい地方自治法に移る際に、自治法の附則の八条で「当分の間」地方事務官を置くということになっております。いわゆる国費職員というものです。地方自治法施行規程にある職員、これが現実には安定所の職員、それから社会保険出張所の職員あるいは陸運局の職員、こういう形で、この法律も、原則としては、そういう国費職員というのは地方公務員であるべきである、当分の間国家公務員である地方事務官にする、こういうことで戦後「当分の間」が今日依然として続いておる。しかも、この問題については、政府みずからが、あるいは臨時行政調査会等の答申の中においても早く原則に立ち返るべきである、こういう指摘がなされ、常に、自治大臣は、早急に片づけますということを公式の席上で約束しておりました。ところが、五月二十八日に、事務次官会議で、厚生、運輸両省関係の地方事務官を合計二百五十七人増員することをきめて、六月一日から実施する、内訳は厚生省二百三人、運輸省五十四人、こういうことであります。これは大臣どう思いますか。原則に戻るんだと言いながら、毎年毎年ふえていっているでしょう。原則に戻るのではなくて、「当分の間」をもっともっと未来永劫に続けるおつもりですか。いかがですか。
  59. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題は、御指摘のように、増加を認めることにしたわけでございます。自治省としては、こういった地方事務官の定員を安易に増加させることにつきましては、いま御指摘のように、地方事務官制度の解決を将来にわたって困難にする原因をつくるといいますか、原因を増すことにもなるわけですね。したがって、私どもは、基本的には、この定員増加には賛成しがたいということでいろいろ折衝を重ねてまいったわけでございます。ところが、都道府県における健康保険法の施行事務あるいは自動車の検査登録の事務、これらが渋滞を来たしてどうにもならぬ、何とかひとつ自治省側においてもこれが了解を求めたいというようなことで、すでにそれらの予算措置もでき上がっておるということで、今後、行政改革の線に沿って、おっしゃるように、この問題をすみやかに解決するという前提をそれぞれ確認しまして、了承に踏み切ったという事態でございます。  このことにつきましては、私からも、また福田行政管理庁長官からも、閣議において、運輸、厚生両大臣にすみやかな解決を求めるという形で発言をし、考慮を促しておるような次第でございまするので、もうしばらく時間をおかし願いたいというように考えます。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 もうしばらくもうしばらくで、戦後、今日まで、二十何年続いてきたわけです。そして、現に増員がされておる。こういうことですね。しかも、社会保険なりあるいは安定所の職員というのは、陸運局とは違うのです。陸運局のほうは、知事の判こは要りますけれども、知事部局には組み入れておらない職員です。しかし、社会保険とか安定所の職員は、知事部局に組み入れられておるのですよ。そして、それは知事に人事権がないわけです。部長とか課長、これが人事権を持っているわけだ。これは全くおかしいです。しかもそれが「当分の間」ということで続いておる。ことばはなるべく早くということでありますけれども、なるべく早くが二十何年間繰り返されてきた。依然として増勢に向いているんですから、これは問題がありますよ。かつて、自治法施行規程というものは自治省の所管である、この問題について確約がない限りは自治省は政令を出しません、と、断固と言った大臣がおりますよ。あなた、そのぐらいの姿勢ないですか。
  61. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の意味は、私も十分理解しております。これは全く矛盾もはなはだしいわけで、私どもとしても、いまお答えしたように、賛成しがたいという方向を堅持して今日に至っておるわけです。まあ、本年は予算措置もした、しかも、仕事に渋滞を来たして何とも動きがつかないという両省の要請に基づいて、しかし、すみやかにこの根本的解決をはかるということを条件に政令の改正に応じたというわけでありますが、増員によってこの原因がだんだん大きくなるわけですから、おっしゃる御指摘は、私ども厳粛に受け取らなきゃならぬわけですね。それだけに、各省大臣、また事務当局等々と横の連絡を密にしまして、これは解消しなきゃいけません。こんなばかなことがいつまでも平然と継続されるということであってはなりません。そこで、四十九年度中に成案を得るようにということで大臣同士では話し合っておるわけですが、事務当局においてはなかなか簡単にはまいりませんというようなことで、運輸、厚生両省ははね返ってきておるようでございます。   〔委員長退席、三ツ林委員長 代理着席〕 しかし、これは行管長官ともよく打ち合わせまして、両省に十分検討するように申したいと思います。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 しかし、これはもう二十七、八年になるわけですから、地方自治法施行規程なんというのは、もう雲散霧消しなきゃならぬものですよ。当時その規程ができたときに八項目ぐらいあったものが、すでに五項目整理されて、三つだけが残って「当分の間」ということで依然として増勢を続けておるという、こんな不自然なものはありませんから、それは困難はありましょうが、困難というのは合理性はないのですよ。官僚のなわ張り争いからきておるわけですから、これはひとつ改めるように、早急に努力をしていただきたい、こう思います。  ところで、地方交付税法二十一条に基づいて「都等の特例」というのがあるわけでありますが、四十七年度交付税を見ますと、その都の特例によりまして、東京都の二十三区に行くべき交付税が当初算定においては四百七十一億円、再算定では四百三十六億円がカットされているわけですよ。  そこでお尋ねしたいんでありますが、「都等」とは、一体何なんですか。たとえば同じ指定都市で、大阪市という指定都市はたいへんな財政難にあっておりますよ。大阪府が財政が裕福だとは申し上げません。申し上げませんけれども、これは依然として不交付団体でありますから、日本の代表的都市であるところはもう不交付団体。そして、大阪府は全国の中ではわりあいに富裕団体、交付税法上そうなっております。ところが、東京都の場合は、二十三区は四百三十六億円の交付税をもらうはずなのに、これが二十一条という特例によってもらっていないわけですよ。今度通るか通らぬか知りませんが、自治法の一部改正という形で、区長公選の問題というのが、二十八年以来叫ばれておったのを復活するというのが自治省の考えでしょう。自治へ前向きに取り組んでおられるわけですね。どうしてこの特例はこういうことで——当時はいいですよ。戦後特例があったかもしれませんが、いまや状況は変わっておるのです。言ってみますと、シャウプ勧告のときには、国民の納める三割という地方税の中で、六割は市町村の税だった。県はそのとき四割だった。いまやどうかといいますと、税は、県が六割、市町村が四割という状態になったわけですよ。福祉へ行くといったって、地方財源はないわけです。行政権限もない、財源もないわけでありますから、これは、自治法の一部改正というのを出す以上は、この二十一条の特例というのを廃止なさるのが正しい方向だと思うのですが、いかがですか。
  63. 鎌田要人

    鎌田政府委員 都と特別区の関係でございますが、これは事務あるいは権能、それから税収、税の取り方、こういった面で、他の府県と市町村との関係とは非常に異なったところがある、これは御存じのとおりでございます。こういうことがございまして、事務の面におきましても、当然、市町村の事務でございますところの消防なり、あるいは下水なり、ゴミ処理、こういった仕事というものが都の仕事になっておる。反面、都と特別区の関係の特殊性からいたしまして、たとえば税源の配分におきましても、本来市町村税でございますところの法人税割りあるいは固定資産税、こういったものも都が取っておる。こういうことがございまして、他の自治体に見られない、行政権能上あるいは税源配分上の特殊な関係があるわけでございます。そういうことがございまして、交付税の算定におきましては、いわゆる都と特別区と合わせた一本算定ということを行なっておるわけでございまして、この関係は、今度の公選制の移行に伴いましても、なおやはり都の仕事として留保され、税源の配分ということについても、現状の姿を前提といたしておりますので、交付税の配分におきましても、現行の制度を変える必要を見なかったわけでございます。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで最後の点について申し上げるわけですが、大臣、いままで議論した点は、基準財政収入額は過大見積もりする、基準財政需要額については過小見積もりする、そして、制度の改正を行なっても、交付税率変更しようとしない、あるいは、独自の税財源についても具体的に前進しようとしない、こういう点を私はいままで指摘してまいったわけですね。  そこで、法の六条の三の二項ですが、この前この委員会大蔵大臣が来まして、なぜ交付税率の三二を変えなかったかとという質問に対して、大蔵大臣はこう言っておった。六条の三の二項の「引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なる」ということになっておりませんということですね。「引き続き」ということと、それから「合算額と著しく異なる」ということについて、著しく異なっておりません、引き続きでもありません、だから交付税率は三二で動かしません、こういうことを大蔵大臣は言っておりました。きわめて抽象的です。これは、この法律が、第六条の三の規定が昭和二十九年に設けられた際に、衆参両院で激論が戦わされているわけですよ。その辺の資料を私は持ってきておりますけれども、激論が戦わされている。その激論を踏まえて確認されたことも、いまや水泡に帰しておるのです。  そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、「引き続き」ということは、一体どういうことなんですか。「著しく異なる」ということはどういうことなんですか。それから、そういう場合には、地方行政にかかわる制度の改正ということは、一体どういうものが改正としてこの六条の三の二項に当てはまるのか、この辺をひとつはっきりしていただきたい。いかがですか。
  65. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この「引き続き」と「著しく」の解釈の問題でございますが、ただいま御指摘になりましたように、地方交付税法の一部改正が行なわれました昭和二十九年当時において、この点についても、国会での論議等もございます。その当時の国務大臣答弁といたしましては「引き続き」というのは二年程度だ、それから、この「著しく」というのは、この速記録によります限りは、「一割くらいのまあ大体財政計画に対して不足するという状態をまあ考えているわけであります。」と、こういうことでございますけれども、このあとで、百億程度という具体的な金額がまた出ております。それで、当時、この交付税法の一部改正のあとに出ました、私どもの先輩方が書かれました本では「引き続き」というのは二年程度、それから、「著しく」というのは百億程度、こういうことが具体的に書かれておるわけでございます。  そこで、現在の時点においての解釈ということになりましょうが、この「引き続き」というのは、ここに書いてございますように、やはり二年程度引き続くということになろうかと思います。それから、「著しく」の点につきましては、当時の百億、二十九年から今年の百億、これはもう貨幣価値においてもたいへんな相違があるわけでございます。あるいはまた、国務大臣答弁にございますような財源不足額が一割程度という、こういう解釈に立つということになりました場合に、やはり、この一割というものも、非常に荒らっぽい、乱暴な額でございます。したがいまして、具体的には、やはり毎年、当該年度におきます税収その他の一般財源の伸びぐあい、あるいは財政需要の増加状況、こういったものを見ながら定められていく、交付税率の引き上げというものは行なわれていく、こういうことでございまして、交付税発足以来の過去の歴史を見ましても、この二年を待たないで引き上げられた例もございます。あるいはまた、その率等につきましても、必ずしも一定の基準があって引き上げられてもいないようでございます。そういうところは、今後におきます地方財政状況等を総合勘案いたしまして、この交付税率の引き上げを必要とするときにおきましては、やはり果敢に引き上げを行なうべきであろうというふうに考える次第でございます。
  66. 細谷治嘉

    細谷委員 これは昭和二十九年五月四日の、当時の自治庁長官である塚田さんが答えている。参議院での議事録ですが、「「引き続き」というのは二年以上ずっとやはり赤字だと、それから又見通される三年以降も赤字だというときに大体「引き続き」、」と言っているのです。いま鎌田局長が言われることと大体同じですね。大体まあ二年続いた、そして三年も見通される、こういうことです。  私は、いままで議論した点で、つじつまを合わしておりますが、まあ、四十七年度はつじつまを合わせることもできなかったのですけれども交付税の全体計画の中でつじつまは合ったように見えますが、実際は無理につじつまを合わせておる、こういう実態でありますから、「引き続き」という事態はもう起こっておる、こう思うのです。それからもう一つ、「「著しく」というのは、一割くらいのまあ大体財政計画に対して不足するという状態」というのですが、これはちょっとおかしい。地方財政計画という意味だとしますと、少しことばがおかしいのであって、あとの議論を見ますと、交付税額についての一割というふうに理解せざるを得ないわけです。といたしますと、当時の交付税額から見ますと、大体百二十億円くらい、こういうのが塚田自治庁長官の当時の解釈ということになっております。ところが、四十年の一月に自治省交付税課長が「精解地方交付税」というりっぱな本を書いております。それによりますと、「著しく」というのは基準財政需要額を各地方団体ごとに計算して、それを積算した結果が、百億円以上の交付税総額と収入額との乖離が起こりますと、自動的に交付税の率を変えるか、地方制度の変更をする以外にない、これが法律の精神ですね。そうなってきますと、従来は、減税をやったということになりますと、その減税によって〇・幾らという交付税率を上げてきた。ところが、三二になりましたら、とたんに、四十二年以降今日まで、ずっと毎年のように多額の減税が行なわれておりますけれども、制度の改変もやらないし、交付税率変更も行なっておらぬ。まさしく「著しく」「引き続き」の状態というものは起こっていると思うのですね。ですから、大臣、ここで、「著しく」ということについて、具体的にはなにでしょうけれども鎌田さんの意見によりますと、「引き続き」というのは、二年続けば「引き続き」だ。「著しく」というのは、当時は百億円程度と言っておりましたけれども、物価等を考えますと、大体、ととしの九百五十億円なんて借りるときは、もはや「著しく」なっているんですよ。そう思いませんか。その辺、「著しく」ということをきちんとしておいていただきたい。どうですか。
  67. 江崎真澄

    江崎国務大臣 「引き続き」と「著しく」につきましては、鎌田財政局長答弁をされましたように私も思っております。ただ、私も政治家として、いま細谷さんが御質問なさる気持ちは十分そんたくできます。したがって、この「引き続き」と「著しく異なることとなった場合」という、この定義づけをいまここで変えるとか変えぬとかいう問題よりも、交付税率の問題を大蔵省と詰める場面に来ておるのではないかという感じがいたします。これは地方税、国税を含めての大問題でありますし、税制調査会等の意見ももとより徴さなければなりませんが、これは、地方行政委員会の皆さん方の御協力を得まして、地方財源を充実していくという面において、この税率を今後どうするかという点について、大蔵省と今後十分詰めてまいりたいというふうに考えます。  四十一年の改定以来、四十六年度の場合を除きましては、幸い、それぞれ順調な伸びを示しておりましたので、今日ここに至っておるわけでありますが、十分御趣旨を体して大蔵省側とは話し合いをしてみたいというふうに考えております。
  68. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、無制限に交付税率を上げるべきであるという考えは持っていないのです。これは自主財源ではありますけれども、三二ということについては、もっと実態に即して上げる必要がある。しかし、これを六〇%にも八〇%にもしろなんということを私は議論しておるわけではないのです。これは限界がありましょう。たとえば国税三税の半分くらいまでというのがあるでしょうけれども、まだ交付税率は上げてやらなければならぬと思います。しかし、それ以上に、交付税率というものと同時に、地方税そのものを増強してやらなければ、税の流れを変えていく、福祉重点の政治をやっていくということはできないと思うのです。  そういう点でひとつお尋ねしたいのですが、きょうの新聞によっても、来年度一兆二千億の減税を所得税を中心としてやるというのです。そして、その見返りに法人税を四〇%くらい上げるというのですね。その場合に遺憾に思うことは、国税として上げていってしまう、三六・七五というのを四〇にしてしまう、そうすると、地方も法人税割りがふえるからいいじゃないか、こういう議論だと思いますが、御承知のように、いま法人が納めている税金というものの七〇%は国に入ってくる。二四%は都道府県に入っていく。法人活動を行なっている都市ではわずかに六%しか入っておらない。こういう状況では公害対策も福祉対策もできない。そんな形でありますから、三千もある地方公共団体のうち、市町村はわずかに七十くらいしか不交付団体がない。これはまさしく特異ですよ。特異な七十という市町村であると思うのです。でありますから、法人税を上げなければなりませんが、その法人税については、法人税割りが自動的にふえるということじゃなくて、都市税源の重要な問題として、法人税を上げていく、その率の一定割合というのを市町村の税にすべきではないか、こういう点を御主張なさったらいかがか。そうすると、言ってみますと交付税財源調整という本旨に立ち返れる、いまのような財源付与を中心とした第二補助金的な性格を断ち切ることができる、こういうふうに私は思うのですが、これはどうですか。
  69. 江崎真澄

    江崎国務大臣 大幅減税の話は、私どもも望ましいことだと思っておりますが、まだ正規の機関できめたわけではございません。しかし、法人税の税率が諸外国に比して多少低い。これをある程度、減税に見合って、特に、サラリーマンの減税等の財源引き当てにも、ある程度法人税率というものを上げるべきではないか。日本の経済的な実勢も相当強くなってまいりましたし、企業自体の力もついてきたときでありますから、法人税の税率アップも考えていい。これは間違った議論ではないし、妥当な方向を示したものだというふうに私は思っております。したがって、今後これが正式に決定されます過程において、いま述べられました御意見は御意見として十分尊重しながら、私も対処してまいりたいというふうに考えております。
  70. 細谷治嘉

    細谷委員 いろいろ問題がありますけれども、もう一つ、ちょっと話が飛びますけれども、今度、人材確保という形で、一月から義務制の職員に一〇%を上げる。それからもう一つ、交付税の問題に関連するのですけれども、これは山田委員からも質問がありましたが、私学助成という形で、交付税が非常にひもつき配分になっている。それから、第二補助金的な性格になっている。こういう状況が強くなってきております。この原因は、地方財源そのものが枯渇しておるということから来ておると思うのです。したがって、今年から来年にかけまして、福祉重点という形で政治が進んでいく限りにおいては、交付税率も上げていく、税財源も強化していくということをぜひともやらなければ、福祉重点の政治なんというのは全く絵にかいたもちになってしまうと私は思うのです。そういう点で、自治省は最近たいへんお上品になりましたね。とにかく、かつては関東軍だなどと言われておったらしいですけれども、最近では、自治省も完全に政府の中に組み入れられてしまっておるでしょう。江崎さんになってから特に上品になっておるのじゃないかと思うのですがね。やはり、地方の行政、財政を守ってやらなければならないのが自治省の責務でありますから、そういう点でひとつがんばってもらわなければいかぬ。どろをかぶるぐらいの決意をしてもらわなければだめですよ。私はそう思います。この点を大臣に強く要望をして私は終わりたいと思うのですが、どうですか。
  71. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃるように、地方財政財源の充実の問題はきわめて重要な問題であります。選挙法の問題も今回はないことで、だいぶ時間的にゆとりもここのところできました。御承知のように、予算折衝の時期もすでに近づいております。したがいまして、皆さんの協力を得て、十分ひとつ努力をしたい。  なるほど、自治省が昔は関東軍式なものだと言われたわけですか。——そうですか。それはひとつ大いにそういうふうに部員を十分督励したいと思います。
  72. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 小濱新次君。
  73. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、主として超過負担について、自治大臣ほか関係者にお尋ねをしていきたいと思います。  地方財政を圧迫している超過負担は、国の補助単価と地方の実施単価の著しい違いとともに、基準となる数量及び対象範囲が実態と大きく食い違っていることが大きな原因になっていることはよく御存じのとおりであります。特に、人口急増市町村の財政負担は、いまや限界を越えております。住宅公団等の住宅建設を拒否している実態、さらには、児童の急増によって、運動場にもプレハブ校舎が急増され、運動会すらもできない実態を大臣は御存じであると思います。こういう内容になっております。当該市町村をこのような事態に追い込んだ責任、これはひとえに政府にあるとわれわれは考えておるわけでございますが、そういう立場から数点お伺いをしていきたいと思います。  最初に厚生省にお尋ねをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  保育所の設置については児童福祉法第五十二条。こまかくは申し上げませんが、管理運営については同法五十三条。ここで、その設置については精算額の二分の一になっておりますし、また、管理運営については精算額の十分の八と定められている。こういうふうになっておりますが、国の負担金は、国が地域の実態や地方公共団体の事情を十分に考慮することなく、いわば一方的に定められた算定基準、算定方法によって交付されている。こうした実情のために、保育所の設置及び管理に関して市町村が支弁した費用に対する割合では、法律または政令で定められた、当然国が負担すべき割合を著しく下回っており、その差に相当する額は市町村がすべて負担する結果となっておるわけであります。  この問題については、前々から議論になってきたところでありますし、また、分科会等でも取り上げられてまいった内容ですけれども、特に、最近、三大都市圏の周辺都市で非常に保育所の建設の要望が高くなってまいりました。そういう点でこの問題を取り上げたわけでございますが、実質二分の一になっていない。保育所の設置についてはそうなっております。そういう立場から、法律違反にならないかどうか。間違っていると私どもは考えるわけですし、また、そう確認すべきであると考えておるわけでございますが、この点について、一番関係の深い担当の岩佐さんのことですから、いろいろと御答弁は聞いておりますけれども、あらためてひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  74. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 保育所の整備の補助金につきましては、いま御指摘の問題は、私ども十分承知しているわけでございます。いま先生もおっしゃいましたように、非常に数多い要望がございまして、それに対応いたしますためには、どうしても数もたくさんつくらなければならないというような事情もございまして、その数を多くつくるということと、補助額を毎年上げてきておるわけでございますが、数と補助額のアップの両者に努力してまいっておるところでございます。現在は、御承知のように、保育所の定員規模によりまして幾つかの型に分けて、定型化した形でこれを定めておりまして、その国庫補助額は、定型化した形で計算いたしましたものの二分の一を乗じて算出をしておるわけでございます。  実情について申し上げますと、補助基本額につきましては、四十六年度でございますが、これは前年度補助額の五割から七割のアップ、四十七年度におきましては、約二倍の引き上げをはかったわけでございます。たとえば定員九十人といたしました場合に、四十七年度の補助額が二百五十万でございましたものを、五百四十万、アップ率は二一六%になるというくらいの努力は私たちもいたしたわけでございます。
  75. 小濱新次

    ○小濱委員 二分の一負担については、単価が低くとも、負担区分ということで違反ではない、そうは認めないということであるようでございますが、自治省のほうでは、交付税でもこの差額は見てもらっていない。そういう点で、地方自治体は、公立の保育所建設についてはいろいろと持ち出しが多いわけです。小さな市に行きましても、相当大きな市に行っても、公立の保育所はないとか、あっても一つとか二つとか、そういう都市が非常に多いのです。これはもうよく御存じのとおりだと思います。そういうことで、悪いほうでは典型的な見本だとも言われているようなこの保育所の扱いになっているわけです。  それで、先ほど申し上げましたように、いろいろといままでの経緯は私どもも調べてみたのですけれども、この辺でやはりこの問題を真剣に考えてあげなければならない。全然進んでいかないわけです。目立つ道路とか、下水道とか、住宅だとか、こういう問題はどんどん進んでいるわけですが、小さな自治体の内容を調べてみて、住民の声の一番多いのは保育所です。特に、この周辺は人口急増地域ですから、平均年齢が非常に若いわけです。私、三十五万ぐらいの都市で調べてみたのですが、大体平均二十七歳ぐらいの年齢になっています。そうしますと、入って二、三年たちますと子供さんがたくさん生まれてくるわけです。ですから、そういう人たちが今度は生活が苦しいものですから共かせぎに出たいが、保育所がない。それで非常にいろいろと悩み苦しんでいるという実態がある。そこで、私は、年をとれば保育所の問題は解決するのかと思っておったわけですけれども、実態を調べると、そうじゃないのですね。これはよく御存じのとおりだと思いますが、四、五年たつと出ていくのです。余裕ができて、持ち家対策が実現せられて行くのかどうかわかりませんけれども、出ていく。だんだん、入れかわり立ちかわりまた若い人が入ってくる。いつまでたっても公団の人たちはその年齢が若くなる一方で、ふえていかない。こういう実態が出ている。そこでひとつお考えいただきたい、こういうことなんですけれども、岩佐課長さんはその道の権威者だということで、私も、きょうは、課長さんに出てもらっては困る、局長か部長くらいの人に出てもらいたい、岩佐さんじゃどうもやりにくいからというふうに申し上げたわけですけれども、出てきたのは岩佐さんなんですね。どうも私もやりにくいのですけれども、そういう点でお答えいただきたいと思うのです。  そこで、課長さん、いろいろ先ほども大臣からお話があったように、八月を迎えます。予算編成期を迎えるわけです。この辺で私どもも大きくひとつ努力をしていきたいと考えているわけですが、四十八年度予算編成にあたっては、課長さんはどういう計画をお立てになったのか。それが厚生省を通り、大蔵省の承認というところまで行くわけですけれども、どの辺でどういうふうな切られ方をしていったのか、この点が一つ。それから、四十九年度についてはどういうお考え方をお持ちになっておられるのかということ。もう一点は、四十七都道府県別に、今後、五カ年計画といいますか、保育所の伸びを長期的にはどのように見ておられるのか。この辺からやっていかなければこの問題の解決はなかろうと思うわけですが、具体的な実施計画の策定ということでいろいろお聞きしたいと思いますので、たいへん長くなるかと思いますが、お答えいただきたいと思います。
  76. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまのお尋ねでございますが、先生もおっしゃいましたように、保育所の需要が増大しておりますことは私どももよく承知をいたしておるわけでございます。そこで、それに対応いたしますために、先ほども申し上げましたように、多少実態にそぐわないという面がございまして、それを何とか早く解消したいということで努力をしておるわけでございますが、なお、四十八年度の保育所の問題につきましては、ただいま実施計画を検討いたしておる段階でございます。  御承知のように、保育所の整備費につきましては、老人福祉施設であるとか、身体障害児施設であるとかというような、その他の社会福祉施設、児童福祉施設と一括いたしまして、保育所もその中に含めて計上をされておるわけでございますが、四十八年度の予算額は百八十三億になっておるわけでございます。その中で保育所にどのくらい見込んでいくかということは、現在省内で検討をいたしておるところでございまして、私どもも、この保育所の補助額につきましては、御指摘のような問題を早く解消しなければならないという考えを持っておりますので、大幅な増額をはかっていきたいというように考えておるわけでございます。  特に、人口急増地域の問題につきましてもお触れになったわけでございますが、この実施計画を進めてまいります段階で、そういう地域に対しましては優先的に配分をするというふうな考え方で進めてまいりたいと思っております。  それから、四十九年度の保育所の問題でございますけれども、これにつきましては、先生から御指摘をいただきましたような問題等を今後十分配慮させていただきたい、このように考えておるわけでございます。  それからなお、いまの保育所の整備計画の問題でございますが、保育所の現在の個所数並びに子供の数につきましては、四十七年の九月一日現在でございますが、全国に一万五千四百三十三カ所、定員といたしまして百三十五万六千人のものがつくられておるわけでございます。この保育所の整備計画につきましては、一応目標を昭和五十年に推計いたしますと、百六十二万五千人の、保育所に入所させなければならない児童がいるものというふうに推計をいたしておりまして、それを昭和四十六年度から五十年度までの五カ年間に整備をはかりたいということでございまして、その整備人員は、四十六年の計画策定の時点におきまして、その差は三十九万六千人でございます。したがいまして、約四十万人の乳幼児を収容いたしますためには、一年におおむね八万人くらいの入所のための保育所を増設をはかっていきたいというものでございます。  これの、四十六年度、四十七年度、四十八年度の三カ年で私どものほうで現在考えておりますところ、あるいは実績等を見てまいりますと、計画のおおむね六七%ということでございまして、残りのものにつきましては、四十九年度、五十年度の二カ年で達成できるという見込みで進めておるわけでございます。
  77. 小濱新次

    ○小濱委員 一つの保育所を建設するのに、土地取得については何ら補助がないわけですね。そこで、九十人収容できる一つのそういう保育所をつくるとすると、この付近の地域では、どうしても一億くらいは見ないというと建物まででき上がらない、こういう概算が出てきているわけです。一億という金になりますと、地元の負担額はたいへんな額になってくるわけです。おたくのほうの計算はどういうふうになるかわかりませんが、私のほうでやってみましたら、一割未満という補助額になっている。九割以上が地元負担というような形になって出てまいります。それでは公立の保育所はもうとうていできない、そういう見込みになってしまうかと思います。八万人収容ということになると、百人にしても八百カ所、これはたいへんな金額になるかと思いますが、その計画で、この周辺急増地域の保育所問題の解決ができるとお思いになっておられるか。この百八十三億をまた分割して、保育所に充ててもらう金が幾らになるかというと、見通しは非常に暗いように思えて、このままではどうも私どもも納得できないという感じを受けるわけですが、もう少し見通しについてお答えいただきたいと思います。
  78. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 保育所を建設いたしますための土地の取得は、確かに、おっしゃいますように、非常に高額な費用が必要であろうということは、私どももよくわかっておるわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、保育所の建設に伴います整備費のほうが、補助額の相当なアップをはかっていきたいということもございますために、現在は、建物を整備するための費用のほうに主力を注いでおるわけでございます。土地の問題につきましては、今後検討させていただきたい、このように考えております。  それからなお、百八十三億の配分の問題でございますけれども、これにつきましては、厚生省といたしましても、保育所を重点というふうに考えております面もございますので、なるべく補助額の大幅なアップをはかるように、また上司とも相談をいたしまして、なるべく早くに超過負担が解消されるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  79. 小濱新次

    ○小濱委員 課長さん、もう少し具体的にお聞きしたいんですがね。あなたが母子福祉課長として計画をお立てになったわけでしょう。それを出しますね。出す場合に、あなたの本年度のもの、新年度のものの内容を少しお話し願いたいと思うのですがね。それがどういう形で大蔵まで行って、どこでどう切られたか、その点もう少し説明してください。
  80. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまおっしゃいました問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、厚生省全体の社会福祉施設の整備を必要とするものを全部見込みまして、一括して大蔵省のほうに要求して、そして、それがかなり大幅に認めていただいているということで、四十八年度計画の実施につきましては、これからそれぞれの事情等を勘案しながらきめていきたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、具体的な補助額につきましては、前年度よりどのくらい上げるかということはまだちょっと申し上げかねますので、御了承賜わりたいと思います。
  81. 小濱新次

    ○小濱委員 課長さんはなかなか言いにくいかもしれませんけれども、保育所建設について一応案というものを出したわけでしょう。厚生省一括で大蔵に出したわけでしょう。こちらは、厚生省で一括されるところまでの経過を聞きたいわけですよ。ですから、あなたがどういう計画をお出しになられたか、それをお尋ねしたいわけですがね。どうでしょうか、お答えできましょうか。
  82. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまの問題につきましては、四十七年度でございますと、きまりました問題でございますから、申し上げることはできるのでございます。
  83. 小濱新次

    ○小濱委員 四十七年度はけっこうです。
  84. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただ、四十八年度はまだ固まっておりません段階でございますので、その点につきましては、私どもが目一ぱいの努力をするということで御了承賜わりたいということでございます。
  85. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。まあ、あなたが一生懸命努力をしておられることは、われわれわかっているわけですよ。  そこで、その過程で、この辺でばっさばっさと切られていくわけです。それで、結果的には自治体は持ち出しが多いんで、それで遠慮している、非常に超過負担を招いている、こういうことで、これは自治省の問題になってくるわけですが、自治省もしっかりしてもらわなければならぬと思いますが、そういう過程でどうして理解ができないのか、あなたの努力がどうして実っていかないのか、そういう点をこの席ではっきりときょうは御意見を伺おうと思っておったのですが、御事情があるようでございますから、そういうわけで、これは自治大臣にお尋ねしたいのです。  最終的には大蔵省の決定ということで予算規模がきまっていくわけですけれども、どこに問題があったのか。この際、この保育所建設の問題については、ほんとうにもう幼稚園なんかは要らないというのですね。幼稚園なんかは要らない。保育所をまずつくってくれという声は圧倒的に強い。これは、ここにおられる議員さん方もみんな、地元へ行けばそういう声があるだろうと思います。そういうことで、この問題については、自治省も洗い直すところまで決意を固めていかなければならないんじゃないかということで、超過負担ということ、自治体の財政圧迫ということ、非常に持ち出しが多いということ、もう七%ぐらいの補助率じゃどうにもならないということ、こういうことでお断わりを食っているわけですから、自治体に行って相談をするというと、こういう事情ですから、どうかひとつ国のほうでよろしく、こういうことになってはね返ってくるわけですね。自治大臣、この点についてはどういうふうにお考えをお持ちになっておられますか。
  86. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘のように、これはたいへん重要な問題ですね。特に、このごろは、婦人の働く場所ができてきたというだけに、この保育所の建設というものは非常に強く要請されております。問題なのは、過密過疎の問題とからみ合わせて、義務教育の施設自体が、従来は十分でなかった。国としては、やはり、これにまず全勢力を、全予算を投入して、まず、このすし詰め教室の解消をはかっていく、また、この助成率を上げていく、こういうことだったと思うのです。これが、保育所などに対して全く手が回りかねた、おくれた一つの大きな理由であろうと思います。  やはり、義務教育に進むだけの児童数にほぼ匹敵するだけの保育所が今後要請されてくるでしょうね。そういう点で、国全体の財政需要から言いましても、なかなか踏み切りがたかったという点は理解できるわけであります。しかし、福祉行政の充実とか、いろいろなことを政策的に掲げておるわけでありまするから、十分御趣旨の線に沿って努力をしてまいらなければならぬ。もとより、基準単価の問題、それこそ二五%が七%と言われる、御指摘のようなことがあってはならぬわけであります。したがって、先般の実態調査の結果に基づきましても、四十六年度の補助基本額に対して一六八%、いわゆる超過負担の解消措置をするというようなことで、私どもも、厚生省と一体になりまして鋭意努力はいたしております。これは過去の問題です。今後の建設需要にこたえるべく、十分ひとつ努力をしてまいりたい。
  87. 小濱新次

    ○小濱委員 やはり、補助率と基準額、これが非常に大きなじゃまをしているということでございまして、この点の算定基準がどうも理解できない。そういうことで、実際には補助率は七%で、九〇%以上が地元負担というような形になっていくわけです。この辺の問題をやはり煮詰めていただかなければ、この問題は——これはこの問題ばかりじゃございません。いまお話しがあったように、学校の問題にしても、超過負担すべてが問題になっているわけですから、この問題について、何とか引き上げられるような、そういう対策と自治省も真剣に取り組んでいただきたいというふうに私どもは考えておるわけです。それは要望でございます。  岩佐さんに最後にもう一つお尋ねしておきたいことは、保母さんの給与です。保母給与と管理費という問題についていろいろと問題になっておるわけですが、保母さんの給与については、十分の八という補助になっておって、国家公務員並みの単価になっているわけです。これが全国の平均単価で配られているという、ここに大都市と地方との大きな開きが出るわけですね。大都市ではいろいろ収入が多いものですから、そのほうに行ってしまって、そして、保母さんが来ない。そこで、手当の問題が出てくる。保育所では、事情はわかるのですけれども、どうも対策ができない、こういう悩みが起こっているわけですが、この問題についてはどういうふうにお考えになっておられますか。対策について何かあれば、ひとつお教え願いたいと思います。
  88. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 保育所の乳幼児の保育に当たります保母さんが、給与が低いために苦労をしているという問題でございますが、これにつきましては、そういう実態も従来ございましたので、毎年給与の引き上げをはかりまして、四十七年度をもちまして国家公務員ベースまでの引き上げをはかったところでございます。  なお、そのほかに、保母さんの、事務職とは違うというふうな点も加味いたしまして、特殊業務手当であるとか、もう一つの問題といたしましては、公立と民間との格差もあるというふうな実態もございますので、特に、民間の職員給与につきましては、公私格差の是正をはかる措置も講じておるところでございます。  これにつきましては、人件費の四・四%を四十七年度において実施をしてまいったところでございますけれども、四十八年度におきましては、さらに一・一%上のせをするようにいたしまして、早く公私格差の是正をはかりたいというふうに考えておるわけでございますが、私たちにとりましても、よい保育を実施するためには、どうしても中心になるものは保母さんでございますので、全体的に見まして、そういう点を十分配慮いたしまして、今後も保母さんの給与改善に努力をしてまいりたいと思っております。
  89. 小濱新次

    ○小濱委員 特に、先ほどお話しがございましたけれども、人口急増対策ということで、緊急度の高いものから優先してやるということですね。それもほんとうは具体的にお尋ねしたいわけですけれども、今後一そう御努力をお願いしたいと思います。また、予算編成期を迎えて、この保育所建設については、今度はもう大々的に取り上げてもらわなくちゃならないという各委員会の空気でもございます。私もずいぶん会議録を読んでみましたけれども、あなたのお答えが出ておりますし、それから、各委員の言わんとするところも同じようなところにあるようです。そういう点で、この問題についてはひとつしっかり決意を固めてやっていただきたい、こういうふうに思います。  また、自治省に対しても、いま自治大臣から御意見がございましたように、これは大事な問題ですから、強く要望をしておきたい、こういうふうに思います。  それから、学校建設の補助について、これも超過負担という問題について文部省にお尋ねしていきたいと思いますが、御存じであると思いますので、簡単に内容をお話しいたしますが、お答えいただきたいと思います。  新設校の建設に対しては、当該年度の必要面積以上建設した場合、そのこえた部分は国の補助対象にはならないことになっていますね。人口急増地域はすぐ校舎が必要になってくるわけです。説明は要らないかと思いますが、現行の学校補助は、母体校を基準として新築されていきます。新築が完成するまで一年くらいかかりますから、母体校は生徒数が一ぱいになってしまって、すぐにまた学校新築をしなければならないという実情になっておりまして、毎年、人口急増地域では建設に追われているわけです。ですから、そんなに追っかけられるような建築ではなくして、来年、再来年、二、三年先まで見通して建築をしてしまうとか、何か対策はないものかと私は思ったのですけれども、一年分しか見てもらえない、自治体としてはもう来年を見越して新築することは不可能だ、こういうことになっているので、問題が非常に多くなっているようでございます。  そこで、この場合、補助率は、四十七年度ではたしか二分の一でございましたね。これで計算すると、事業費に占める補助の割合は一一%くらいにしかならないという私どもの計算になります。四十八年度から三分の二に引き上げられましたが、三分の二になっても、全体の一四%にしかならないという学校建設の実態になってまいります。こうした根本的な制度の不備というものを是正していかない限り、自治体財政の健全化をはかることはできない。私のほうには、五年で人口倍という都市があるわけです。年々こういうことで追いかけられているという、その悩みが、まず、何といっても教育、学校建設だということなんですけれども、以上のような問題がございまして非常に悩んでおるわけです。この建設に見合った補助を出すべきであるとわれわれは考えておるわけですが、この点についてはもう議論の的になっているかと思いますが、この問題についても、非常に超過負担が多いということと、地元の持ち出しが多いということで、つくらないわけにはいかないし、つくるにはほかの事業を中止して投入しなければならぬということで、悩みに悩んでいるという問題なんですね。お答えをいただきたいと思います。
  90. 菅野誠

    ○菅野説明員 施設部長の菅野でございます。  いま御指摘の点、四点あったかと思います。いろいろ問題もあろうかと思いますが、簡単に要約的に申し上げたいと思います。  第一点は、うしろ向きになりはしないか、一年先ぐらいまで考えておったのでは建設しても間に合わないという御指摘、特に、分離の場合にはもっと前向きにすべきであろう、人口増加の著しいところでは特にそういう点が問題だという御指摘でございますが、この点に対しましては、四十七年から三年前向きに改正いたしております。したがいまして、従来の一年前向きを三年前向きにしたということによりまして、これも十分ではないかもしれませんが、前向きに検討いたしまして、四十七年から三年前向きになっておりますので、ある程度この面に対する是正がなされたというふうに考えておりますが、実行面におきましてなお十分研究いたしたいと考えております。  それから、第二点は、負担率のお話しでございましたが、これにつきましては、ただいま御説明、御案内いただきましたように、人口急増地域におきましては、この衆議院は通過させていただいておりますが、ただいま参議院で審議中の義務教育施設費国庫負担法の改正におきまして、今年度から三分の二に急増地域改正するという法律案を出しておるわけでございます。参議院で御検討中でございますが、このように前向きに負担率の点につきましては検討をいたしております。  なお、補足いたしますが、この点につきましては、実は、予算編成につきまして、先ほど自治大臣からお話しもございましたが、自治省側におきまして非常に強い応援をいただきまして、これが三分の二になったといういきさつもございまして、この席をかりまして自治省の方にも厚くお礼を申し上げます。  それから、第三、第四が関連いたすと思いますが、超過負担に関連する基準面積と単価の問題があると思います。第三点として、基準面積のことを申し上げたいと思いますが、これも従来やはり基準面積が少ないというお話しがございました。これについても、超過負担という、去年自治省及び大蔵省と一緒にやりました調査におきまして、基準面積と単価の両方の調査をいたしたわけでございますが、基準面積におきましても、この結果をもとにいたしまして、今度の法律改正案におきまして約二〇%の面積増をいたしたい、基準面積の増をしたいということで、これも今度の義務教育施設費国庫負担法との関連になるわけでございますが、現在参議院で審議中でございまして、この問題に対しましては、基準面積の改定によりまして、面積上の超過負担に対しては前向きに一歩前進するというふうに考えております。  それから、単価の問題につきましては、先ほど厚生省からお話しがありましたのと若干関連の部分もあるとは思いますが、ことしの予算単価の編成におきましては、御案内のように、通常の物価増に加えて、超過負担解消分の単価増もこれに加えてあるということによりまして、若干の前向きの単価是正がなされておるわけでございますが、なお、現実には、予想された建築単価よりも現実の建築単価が非常に大幅な上昇を来たしておるという問題があるわけでございまして、これにつきましては、この前のこの委員会でも御説明いたしたところでございますが、この問題は、実は、文部省というよりは、農林なり、商工なり、物価対策の問題とも関連いたすわけでございまして、基本的には物価を安定さしていただくことが問題なのでございますが、引き続いて、この点につきましては、関係各省、財政当局等も含めまして、前向きに検討していきたい、かように考えます。
  91. 小濱新次

    ○小濱委員 いまの前向きで検討するということ、これはもう大事なことなんですね。実際単価と補助単価との違いが非常に大きく自治体を圧迫しているわけですから、そういう点で、これは努力をしていただきたいと思います。  いま、四十七年から三年前向きにというお話しがございましたが、これは地方自治体で建築するのじゃなくして、学校建築公社か何かで建てかえ施工をした場合のみが三年前向き施工というのではないのですか。その学校建築公社が建てかえ施工をした場合には、三カ年だけ、必要な面積だけが補助対象になるという、そういう説明を私は受けておるわけですが、これは、全体的に四十七年度から三年前向きになったのならけっこうなんですが、その点もう一度御説明願いたいと思います。
  92. 菅野誠

    ○菅野説明員 集団住宅等の建設される場合におきまして、これは公団が実施する場合、公社が実施する場合だけでなくて、一般的に前向き三年となっております。
  93. 小濱新次

    ○小濱委員 学校建築の問題については、これは、地元としては、何よりも優先してやらなければならない事業です。いまお話し申し上げましたように、非常に流入人口が多いものですから、児童数がふえてまいります。そうして、いま私どもが歩いてみましても、校庭にプレハブの校舎がずっと建っているわけです。それがいつまでたってもとれないんですね。新校舎が建っていくからとれるのかと思うと、でき上がったときにはもう生徒が一ぱいということで、プレハブ校舎がどんどんふえていくという傾向にあるわけです。今回は、土地の問題も、三分の一補助になりましたから、いまお話しのあったように内容がだいぶアップされましたけれども、それではとうてい地元としてはまかない切れる内容じゃないわけです。特に私がその問題を取り上げましたのは、地元の実態はよくわかっているものですから、こまかいデータもここに持って来ているのですけれども、申し上げませんが、これからいま計画している学校全体を建てますと、その市のあき地は全部学校になってしまうというような、そういう内容になっているわけです。あき地を全部買収してしまわなければ予定の学校は建設できないという悩みがあるわけですね。では他の都市に学校を建設するということも将来は考えなくちゃならないことになるわけですが、こういうことから特にこの問題を取り上げたわけでございまして、どうかひとつ御配慮をいただきたいと思います。  次に、人口急増市の学校生徒の学年別人員数は低学年が圧倒的に多いという特徴、これはもうよく御存じだと思います。小学校で六年生が百人、一年生が二百人という学校が多いわけです。この学校では、たとえ社会増はなくとも、確実に毎年生徒数が増加し続けることになっているわけです。そのため、増築分について、現行法では、五月一日の生徒数を基準にして学級数を算定し、補助金をつけるようになっていますね。ここがやはり前から問題になってきたところ、論議になってきたところですが、この基礎によって定められて、そして認定を受け、建築にかかる、でき上がる、そのときにはもうすでに生徒は一ぱい、こういう形になるわけですね。人口急増市町村では、生徒数の増加が著しいために、教室の不足を補うために、いわゆる先ほどのプレハブを建てているわけですけれども、このプレハブ校舎が一向に減っていかないという悩みが出ているわけです。ですから、この問題についての御決意をぜひひとつよろしくお願いをしたいと思うわけですが、そういう点はどうでしょうか。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕  児童数の査定を、五月一日ということを、先行的に行なうべきだ、三年先を見越して建築を許可し、補助金を出すようにすべきだ、あと追い的な措置じゃなくして、先行的にせなければならぬ、これが結論でございまして、こういう方向で努力をすべきだと思うのです。これはもうすでにお考えになっておられるかと思いますけれども、あまりにも実態がひどいので、御意見を伺いたいと思うわけですけれどもお答え願いたいと思います。
  94. 菅野誠

    ○菅野説明員 ただいまお話しいたしました前向きの点でございますが、先ほど申し上げました三年前向きと関連するわけでございますけれども、従来は、やはり五月一日現在を原則として基礎にいたしましたために、いろいろな矛盾を生じたことは御指摘のとおりであります。  そこで、三年前向きの児童数算定にあたっては、卒業生と、それから新しく学齢児童の入学が出てくる。学年進行を計算しての三年前向きで執行上やっておりますから、従来前向きができなかった時代と比べまして、格段に前向きになってきているはずだと思うのでございますが、なお、プレハブ等につきましても、その人口急増の見込みを自治体で誤ることがありますと、どうしてもプレハブにならざるを得ないという部分もありますので、自治体のほうに、その人口の動態についての予測を誤らないような指導はさらに十分進めてまいりたいと思っております。  なお、つけ加えますと、昨年の補正予算におきまして、プレハブ校舎の解消という意味におきまして、補正予算でも相当の予算をいただきまして執行いたしましたので、従来よりはさらにこのプレハブの解消に役立ったのではないかと思ってはおりますが、引き続き、御趣旨に沿いまして努力いたしたいと考えております。
  95. 小濱新次

    ○小濱委員 学校用地の取得についても、ここまで来ましたけれども、私のほうの調べですと、一校で一年間に四百五十人も生徒がふえております。一校千人を適正規模とするならば、二年で一校必要になってくるわけですね。この、私の調べた市では、昭和六十年までには合計四十五校の学校建設をすることになるわけです。四十五校というと、市街地のほとんど全部のあき地を学校建設に充てなくちゃならないという実情で、これがいま地価は、どう見ても二十万前後という地価になっておりまして、もうとても買い切れない。こういうことで、との用地取得の問題についても真剣に考えてもらわなければならない。この間ようやく初めて三分の一の補助がついたということですけれども、それじゃもう実態は間に合わないわけです。市街地においては、マンションなどの営利企業が競っておりますので、どんどんどんどんと地主との交渉も進んでいってしまうが、学校のほうは、どうしても安くということで、値段の折衝がなかなかむずかしく、取得ができない。こういう点は非常に大きな悩みになっているわけです。  これもよく御存じだと思いますが、こういう困難解決のためにどういう考え方をお持ちになっておられるのか。用地取得について、将来計画お答え願いたいと思います。
  96. 菅野誠

    ○菅野説明員 用地取得につきましては、ただいまも御案内のように、二年前の四十六年度から新たな補助制度ができました。これにつきましても、自治省のほうからも応援いただいたわけでございますが、人口急増の市町村関係の方々のいろいろな御意見、運動等もございまして、四十六年度から、三分の一での補助制度の発足を見たわけでございますが、いまお話しのように、単価の問題でありますとか、全体事業量の問題もあると思います。  ただいまおっしゃいました市の内容等につきましても、横浜市の実態かと思いますが、関係の市の教育長並びに都道府県の施設担当部課ともよく相談いたしまして、引き続き検討して努力してまいりたいと考えております。
  97. 小濱新次

    ○小濱委員 財政局長にちょっとお尋ねしたいのですが、この土地取得の問題は、非常に膨大な持ち出しになってまいります。大体、坪数が多いものですから、また困難も伴っているわけです。こういう点では、財政の面からはどういうお考え方をお持ちになっておられるのか。自治省としての将来計画なり、構想なりをお聞かせを願っておきたいと思います。
  98. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおりの問題があろうと思います。現在、特に、人口急増市町村の場合の用地の確保の問題につきましては、私ども、ただいま文部省のほうでお答えになりました地方負担分につきまして起債をつける、それに対しまする元利償還の一定分を交付税で見る、こういう措置をとっておるわけでございますけれども、いかにいたしましても、用地の取得難、地価が高い、こういう問題がございますために、現実の自治体の実情を見ておりますと、団地という形でつくられる場合でございますれば、用地も、上ものも、いわゆる立てかえ取得、立てかえ施行という道があるわけでありますけれども、そういう一かたまりの団地ということでなしに、いわゆるスプロール的にごちゃごちゃできる、その結果生徒数がふえて学校をつくっていかなくてはならない、こういう場合には立てかえ施行の当てもない、こういう点があるわけでございまして、この点につきましては、私ども考え方といたしましては、例の公有地の拡大なり、あるいは公共用地の先行取得なり、こういうものをやっていただいて、それの将来におきまする地方負担というものにつきましては、一つは、やはり国庫補助の拡大という問題があろうと思います。それから、将来の交付税財源の増加の状況とも見合いまして、これが元利償還の一定部分というものを交付税の中に取り入れていく等、いろいろの知恵を出してまいらなければならないだろうと思うわけでございます。  ただ、基本的には、何と申しましても、やはり土地が得られない、たまたまあっても、手が出ないような高い値段である、こういうことでございまして、私どもといたしましても、これはやはり政府あるいは民間一体になっての土地対策というものの確立ということが、これはもう言い古されたことでございますが、一日も早く、一刻も早く確立されなければならない、それがすべての基本ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  99. 小濱新次

    ○小濱委員 超過負担の最たるものが、その周辺都市では学校ということになっているような実態ですので、ぜひひとつ御努力をお願いしたいと思います。  次に、東京都ばかりじゃございませんで、地方都市でも大きな政治課題となっている清掃事業の問題について少しお尋ねをしていきたいと思います。  これは厚生省にお尋ねいたしますが、清掃事業の責務の重大なことはよくおわかりになっていると思います。こまかくは申し上げませんが、この補助金も、定率であるために、大きな超過負担となって、地方財政を圧迫をしていることは当然であります。最近になって、環境衛生に関する重要性が特に認識をされたという感じを受けるわけです。東京都では、行政上の誤りということで、だいぶ知事が指摘されておるような点もあるようですが、ごみ焼却処理施設の国庫補助基本額も、トン当たり、四十七年二百四十万円、四十八年二百五十五万六千円となっているようです。起債の充当率も、四十六年度七〇%、四十七年度は七五%、四十八年度では、公害防止計画に基づくものは八〇%と引き上げられてきているようであります。しかし、実際に必要とする経費との差額はあまりにも大きいわけですね。そういう点で、国の積極的な財政援助の拡大というものをはかっていかなくてはならないというふうに考えるわけです。  そこで二、三お尋ねしたいと思いますが、一般廃棄物の処理施設に対する補助は、補助基本額に対し、ごみ処理施設が国は四分の一ですね。そうすると、地元は四分の三の持ち出し。屎尿処理施設は三分の一を示されておりますので、こういう点では非常に持ち出しが多いわけですね。この補助の引き上げという問題について、ごみはどのように考えておられるのか、屎尿のほうはどういう補助を考えておられるのか。とういう点を真剣に考えてあげなければ、この問題の解決はできないと思います。  特に、環境施設整備、埋め立て処分用地及び付帯設備等も補助対象範囲に入れるべきである。これには補助がないわけですね。対象になっていないわけですね。これがまた、地元としてはえらい持ち出しになっているわけです。少し調べてみると、なるほど、思い切ったその設備を建設することができない理由はここらにあるんだなという感じをわれわれは深くするわけですが、こういう点はどういうふうにお考えになっておられるか。
  100. 折田貞雄

    ○折田説明員 先生がただいま御指摘になられましたとおりでございますが、私どもといたしましては、御承知だと思いますが、四十七年度に、四十六年度に比べまして約三倍に、ごみのほうは高度化をするために引き上げて、実質六%前後でございましたのが、約一七%ですか、三倍に伸ばすことができたのでございますが、しかし、いま先生が御指摘になられましたように、機械そのものが年々高度化し、大きくなってくる、それから高くなってくるということがございます。そういう点等を考慮いたしまして、来年度の予算にも、さらに国庫補助の補助率のアップと、それから、いま先生がおっしゃいました対象も広げていきたいということで、現在いろいろ検討をしておるところでございます。
  101. 小濱新次

    ○小濱委員 ごみ処理施設が、国が四分の一ということは、あまりにも実態とは違いが大き過ぎるじゃないかと思いますが、この点一体どう考えているのか。それから、屎尿のほうはどういうふうに考えているのか。何かこれは考えていないわけはないですよ。四分の一国庫補助でしょう。それが、補助率と基本額もまた違うのですから、これは考えていないわけはないということと、それから、補助の対象にすべきであるということ、そういう問題について、そのお答えをひとついただきたいと思うのですがね。
  102. 折田貞雄

    ○折田説明員 いま申し上げましたとおり、急激に上げることはできないのでございますが、先ほど私が申し上げましたように、年々上げるようにはっとめておるわけでございます。  それから、御承知だと思いますけれども、公害防止計画に乗っている地域につきましては、四分の一が二分の一になりまして、倍になったわけでございますが、いま先生が御指摘になりました四分の一を、さらにほかの地域も上げたらどうだという点につきましては、いま、来年度の予算等、今後の予算につきまして、われわれとしては前向きに検討していきたい、そういうぐあいに考えております。  それから、屎尿につきましては三分の一でございますが、これもはたして三分の一でいいのかどうか。いまおっしゃられますように、環境問題も含めまして、もっとますます高度化すべき点もあるかと思いますので、内容を十分検討し、基本額がはたしてそれでいいかということについては現在検討しておる次第でございます。前向きに検討しまして、できるだけ上げるようにつとめたいというふうに考えております。
  103. 小濱新次

    ○小濱委員 国は四分の一補助になっていますね。ところが、都道府県別には、補助のないところもあるわけですね。四分の一、これの補助のない県もあるわけでしょう。こういう点で、四分の一国庫補助ということ、地先は四分の三持ち出し、しかも基本額が違うということで、えらい持ち出しになっている。県によっては、その四分の一ももらえないところもある。こういう内容について、何としてでも、ごみはこう、あるいは都道府県別にはこうというふうに、しっかりとした定めがあってしかるべきだと私どもは考えるわけです。そういう点で、あなたの言う前向きにということは私もよくわかるのですけれども、内容について、私も調べているわけですから、もう少し具体的にお答えをいただきたいと思いますよ。
  104. 折田貞雄

    ○折田説明員 いまの先生の国のほうは四分の一というのは、これは法令で規定されておりますので、四分の一以内ということでございますが、県のほうからのことでございますか。県のほうから出ていないということでございますか。——原則として、各施設には、われわれとしては、国庫補助のほうは出しておるつもりでございます。また、国の四分の一に足りない分を県で独自に出している県もございます。こういうことでございますが、それで出していない県があるということでございましょうか。まことに申しわけございませんけれども、いまの御質問がちょっと……。
  105. 小濱新次

    ○小濱委員 そこのところが私のほうも明確でないのですが、法律できまっているのですから、これは四分の一補助というのは当然出ていなくちゃならないわけですね。それが出ていない。そういう地域もあるということを私は一応記録にとどめてあるわけですけれども、いまのお話ですと、県の補助率もいろいろあるけれども、県によっては出していない。都道府県の中にそういうところもある。それも認めることができませんか。どうですかな。
  106. 折田貞雄

    ○折田説明員 それは、県独自で、いま先生の御指摘になった県ごとの事情によって、ある点においては、県でまた残りの分の一部を補助しているという県があるかと思うのです。国としましては、いま申し上げましたように、申請のあった分につきまして検討しまして、予算のワク内で、指定された範囲内で毎年予算を配賦しているというのが現状でございます。
  107. 小濱新次

    ○小濱委員 それでは、それはけっこうですが、私は、あなたの将来構想をひとつ伺っておきたいと思いますが、ゴミはどういうふうに補助をしようとするのか、屎尿のほうはどういうふうにしようとするのか、あるいはまた、その他補助対象になっていない環境施設整備、埋め立て処分用地及び付帯設備等に対する補助の問題についてはどういうふうにお考えになっておられるのか。あなたの御構想でけっこうです。
  108. 折田貞雄

    ○折田説明員 さっき申し上げましたように、できれば、いま先生が御指摘になられました点までも全部見ていけるような方向で進みたいというふうに考えましたが、これも段階があるかと思いますので、来年度どの範囲まで持っていくか、いまから省内で検討するところまで来ておりますが、私といたしましては、さっき申し上げましたように、まず国庫補助率をできるだけ上げたいということをいま考えております。
  109. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへん御無理な質問のようでございまして、申しわけないと思います。  次に、起債についても、起債対象額を引き上げる。この充当率は現行七五%ですね。これをやっぱり引き上げる必要がある。したがって、償還期限の延長という問題、あるいは利息の引き下げという問題、これを考えてやるべきではないのかというふうに考えるわけですね。とにかく、非常に持ち出しが多いので、こういう問題点を考えてやるところにやはり親切な行政があるということになるのであろうと思いますよ。こういう点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  110. 折田貞雄

    ○折田説明員 先ほどの保育所、あるいは学校と同じように、私どものほうでも、公共施設におきましては同じような悩みがあります。特に、ゴミの場合は、その最たるものかと思いますが、私どもといたしましては、起債も、現在、先生御指摘のように七五%でございますが、これもさらに八〇あるいは一〇〇というように、全額認められるように努力したいというふうに考えて、来年度の予算要求の交渉に当たりたいというふうに考えております。
  111. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点、補助基本額も、四十八年度トン当たり二百五十五万六千円となっておりますが、実際は六百万円、七百万円、あるいは八百万円必要としている。この際、実際の単価に見合う補助基本額の引き上げというものを行なうべきだとわれわれは思っております。これが解決できればこの清掃問題も解決していくわけですからね。で、東京都もこの問題では非常に悩んでおるようであります。問題は、単価が大きく違うことと、補助対象範囲が少ないことでしょう。この二つで自治体はダブルパンチを食っているわけですよ。この自治体の持ち出しというものを何とか少なくしてやるためには、いま申し上げたようなこういう内容というものを検討してもらわなければ、この問題解決ができないわけですね。いまの問題についてはどういうふうになるか、お答え願いたいと思います。
  112. 折田貞雄

    ○折田説明員 もう御指摘のとおりで、何も私どものほうから特別申し上げることはないかと思いますが、東京都につきましても、昨年におきましては、例年よりも十数倍の補助が行ったかと思いますが、今後、いま先生の御趣旨を十分体しまして、前向きに努力していきたい、そういうぐあいに考えております。
  113. 小濱新次

    ○小濱委員 最後自治大臣にお尋ねしておきたいと思いますが、こういう緊急を要するゴミ対策をやろうとするには、やはり、超過負担をなくし  ていくことの前提において行なっていかなければならないわけですね。で、自治省としても、これは思い切った構想というものが必要であろうし、また、いろいろ御努力を願っておるようですが、思い切った処置ということも必要であろう、こういうふうに考えるわけです。地方では、産業廃棄物処理公社なるものをつくりまして、県独自でいろいろと地域ごとに施設をつくってその処置をしているという、そういう動きをすでに起こしている県もあるわけです。ところが、あくまでも事業者の負担となっているので、国からの助成、援助というものがこれはないわけでして、自治体としても、これは非常に悩みの大きいところなんですね。こういう点で、これは真剣にお考えいただかなければならない問題だと思いますが、大臣からも一言お答えいただきたいと思います。
  114. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど来、住民の非常に切実な要望について、積極的な御質問で、敬意を払って傾聴をしておりました。だんだん予算の要求時期に入ってまいりますので、これは厚生省とも十分打ち合わせをしまして、できるだけ前進できるように、特に、福祉政策という以上、ゴミ処理であるとか、産業廃棄物の処理であるとか、こういうことができますように、なお十全の努力をしたいと思います。  産業廃棄物につきましては、これは何といっても原因者が負担をする、この原則は堅持しなければならぬというふうに思っております。しかし、各県が計画しておりますものについては、やはり、起債のワクを十分確保して、県などの要請にこたえられるように努力をしてまいりたいと思います。
  115. 小濱新次

    ○小濱委員 ちょうど消防庁長官がおいでになっておりますのでお尋ねしておきたいと思いますが、ここのところ、新宿あるいは沼津の事故がございまして、いろいろと火災のおそろしさというものを見せつけられたわけでございますが、はしご車の補助率と基準率のアップについて、これはどうしても長官の決断というものが必要になっている。いまはそういうときだと思います。  これについては、非常につくりたいが、持ち出しが多いのでできない。私、川崎市に行って聞いてみたのですが、川崎市ではものすごい優秀なはしご車をつくってみたい——そういうものも持っているようです。前にも一つつくったようですが、持ち出しが多いのでなかなかできない。東京都でも、最小限度八台要望して、六台認められたということですが、これがまた四分の一程度の補助にしかならない。四分の三は持ち出しということで、これもできない。こういうことで、どうしても国の補助率の三分の一というものを何とか変えていかなくてはならないし、基準率というものも、もう少し何とか検討していかなくてはならない。  大蔵大臣に先般ここでお伺いしたところが、補助の問題は大きな問題ですが、基準率の問題については、これはもう検討しなければならないなという発言がございましたが、この問題の解決が先決であろうと思うわけであります。これなくしては人命尊重ということにもならないでありましょう、生命、財産も守れないであろう、こういうように思うわけですが、このはしご車の補助率と基準率のアップについてはどういう考え方を持っておられるのか、伺いたいと思います。
  116. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 消防関係の補助金は、いわゆる奨励的補助でございまして、国と地方がお金を分け持つという、いわゆる義務的負担的なものでないことは御承知のとおりでございますけれども、御指摘のように、補助単価と実勢価格との間にかなりの差があるというのはそのとおりでございます。  これにつきましては、私どものほうも、昭和四十七年にはしご車等の補助率を二〇%引き上げまして、本年度は、補助単価と実勢価格が一番違っておりますのが防火水槽でございますので、防火水槽の単価を三〇%くらい引き上げたわけでございますが、なお、その間にかなりの相違がございます。  もっとも、消防施設、ことにポンプ自動車等につきましては、現地の消防機関が、時によりますと特殊な装備品をつけましたり、ことばは適当かどうかわかりませんが、多少趣向をこらすというような面もございます。その部分まで基準単価に織り込むということはできないわけでございますけれども、そもそも、あるべきというふうにはじいたものと実勢価格との間にかなりの差がありますことは問題でございます。  私ども、現在、詳細な調査をいたしておりますが、来年度の予算要求時期も迫っておりますので、来年度の消防の補助金についての予算要求に際しましては、ただいま御指摘の基準単価の引き上げということを一番重点的に考えていきたいと私は思っております。  自治省自身が超過負担の解消ということを言っておりまして、そのおひざ元でかなりの価格の差があるということは、私としても責任を感じているわけでございますので、基準単価の引き上げということをまず重点に掲げていきたいと思います。その次に、ただいま御指摘のように、はしご車等のいわゆる科学的な消防施設の補助率が現在三分の一でございますけれども、その補助率の引き上げということを考えていきたい、こういうふうに思っております。
  117. 小濱新次

    ○小濱委員 都市の大小を問わず、超過負担が大きいということで、補助率の引き上げは強い要望でございますので、この点はひとつお考えいただきたいと思います。  海上消防についても、この整備の率が非常に低くなっています。この点についても、何とか今後考えていかなくてはならないと思っておりますが、消防施設強化促進法第四条第一項の中に「国が行う補助は、予算の範囲内で、基準額の三分の一以内とする。」となっておるようですね。これが大きくじゃまをしているんだ、これがために充足率というものは満たされないんだという意見がございまして、この点について、やはり一考してもらう必要がある、こういうふうに聞いております。それから、第四条第二項に、「前項の基準額は、消防施設の種類及び規格ごとに、自治大臣が定める。」となっているんだそうですよ。やはり、自治大臣もここに責任が出てきている。この辺の法律が、いろいろと充足率を満たすことのできない大きな元凶になっているんだという話で、この辺で何とか努力していただければこの問題の解決はできるというふうにも一部言っている声があるわけなんです。この点については、長官のほうはどういうふうにお考えですか。
  118. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいま御指摘法律でございますが、趣旨は、いわゆる奨励的な補助であるという趣旨であろうと思います。私は、現在の国と地方との事務の配分その他のあり方から申しまして、消防施設というのは、やはり、国が金を出します場合も、奨励的補助というたてまえがしかるべきではなかろうかと思っております。したがいまして、なお、御指摘法律の規定等については検討を加えさせていただきたいと思いますけれども、問題は、財政当局の理解度をいかにして高めるかということで、それは、逆に申しますれば、私どもの説得力の問題にもなるわけでございます。  先ほども答弁申し上げましたように、特に、実勢価格と基準価格との間にかなりの相違があるということはたいへん不適当でございます。法案の検討もさせていただきますが、それとは別個に、来年の予算要求につきましては強い決意で臨みたいと思っております。
  119. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣からもひとつ……。
  120. 江崎真澄

    江崎国務大臣 大蔵省の査定が放慢であってはなりませんが、ことさらに実需要に沿わない査定であるというようなことが、これはいろいろな過去の例に見まして、現実なんですね。これが超過負担という形で、過去もうすでに二回にわたって調査をし、その補正をしてきたわけです。したがいまして、新年度予算編成にあたっては、これらの問題をただ事務レベルの折衝にまかせないで、政治的にこれだけ大きな問題になっているのですから、基準単価というものは適正でなければならぬという点を、十分に強く押してみたいと思います。むしろ、小濱さんのきょうの質問全体をまとめてこの一点に集約することができると思いますから、国庫補助率の基準単価の是正の問題に十分努力をいたしたいと思います。
  121. 小濱新次

    ○小濱委員 強く要望しておきたいと思います。  最後に、もう一点だけ簡単にお尋ねをしておきたいと思います。  建設省、おいでになっていましょうか。——大臣、これは経過ですが聞いていただきたいと思いますが、鎌倉にこの間選挙の応援に行きましたところが、大船から江の島に向けて、民間の京浜急行ですかの有料道路が通っておりますが、調べてみたところが、昭和五年五月に開設というふうに私のほうの記録ではなっております。ところが、この有料道路に、今度、三年ばかり前にモノレールができました。この有料道路が、その後も、住宅が密集しました平地の中に通っておるわけです。住民は利用させてもらってはおりますが、やはり、有料道路ということで、遠慮しながら、徴収人の顔色を見ながら通っている。車も通っておりまして、じょうずに、料金を払わないような方法でうまく逃げておるようです。平地ですから、少し手前に行ったら逃げられるわけです。そういうことがあって、地元としては、行政上非常にまずいのじゃなかろうか、これは無料開放にしてもらいたいがどうかという話が出てまいりました。私も調べてみたところが、京浜急行のほうでは、買ってくれということは六年も前から言い続けているのだということですが、買ってくれということなんですね。無償譲渡じゃないわけです。そこで、立ち消えになり、また燃えては消えて、大年たっている。こういう形になるわけですが、この全長は六・八キロですね。八万三千五百三十二平方メートル、坪数にして二万五千二百六十八・四八坪になっています。これの買収費用はどうするのかということになると、自治体としては、鎌倉市としては買いたいけれども、膨大な金が必要になりますので、買うことはできない。それで、住民の声はよくわかるけれども、そのまま六年間も放置されておったのだということなんですね。  私は、きょうは運輸省と建設省をお呼びしたわけですが、その当時の会社と契約する場合の契約内容、たとえば、投資額が回収された時点ではどういうふうにするのか。そういう申し合わせ事項があったかと思うわけです。きょうは無理だと思いますので、そういう報告書をあとで提出をして私のほうへ出していただきたいと思います。それをまた資料にしながら、私どもはこの問題を研究していきたいと思いますので、その点について何か御意見があれば、時間がありませんので、簡単にお答え願いたいと思います。
  122. 長島健

    ○長島説明員 ただいま先生の御指摘になりました京浜急行の経営によります一般自動車道のいきさつについて、簡単に御説明いたします。  これは、免許になりましたのが大正十五年の十二月でございまして、当時、太政官布告による賃取り道路として、地方長官がこれを免許したわけでございます。供用開始になりましたのは、私どもの調べによりますと、昭和六年の七月四日でありまして、自動車交通事業法による有料道路ということでやっているわけでございます。  それで、建設のいきさつ等について見ますと、当初、日本自動車道株式会社というものがございまして、これは菅原通濟さんのやっておられた会社だそうでございますが、その方が鎌倉山に別荘地等をつくるということで、当時、周辺には何も道路がなかったので、そういう道路を開設して、いわゆる一般自動車道として、有料道路をやろうと計画したわけであります。京浜急行は、供用開始の前に、この日本自動車道株式会社を合併いたしまして、現在に及んでいるわけでございます。  何ぶんにも古いいきさつでございまして、当時の用地買収等の契約とか、もしくはそれに伴う役所関係とのいわゆる覚え書きとか、そういうものにつきましては、現在はございません。したがいまして、先生が言われた契約等についてはございませんけれども、一般自動車道事業といたしましては、それは一種の事業でございまして、料金を徴収して、ずっと商売をやっているということで、いつになったらやめるというようなことは、おそらくその当時もきめてなかったのではないかと私ども推察しております。
  123. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、これは御一考願いたいのですが、先方では積極的にいま呼びかけをしてきております。住民本位に考えますと、私ども現地に行ってみますと、平地が有料道路になっていて、さくも何もないわけですからね。ところが、途中に徴収人のおじいさんが立っていまして、さっとつかまえては取り上げるという形です。いないことが多いわけですけれども、そういう形で、どうも不愉快なんですね。そういうことで、せっかく向こうから呼びかけがあったので、値段の件の打ち合わせ、取りきめをまずやれということで、市と向こうと打ち合わせをするようにいまなっております。八月ころまでには何とか結論を出したいということですが、全国的にもこういうケースはないわけだそうですね。懸垂式のモノレールが通っている。これがあぶない。ローリングをしながらずっと走っているわけです。その下を人が通っているわけですので、市も対策を講じなければならないかと思いますが、向こうから買ってもらいたいと言ってきている。県道にしてもらってもいいわけです。国道でもいいわけです。あるいはまた、財源措置ができれば、市に買ってあげてもいいわけであります。こういう点で、自治省としても、こういう自治体の悩み、苦しみごとがあるので、これは一考をしていただきたいという要望なんですが、時間もありませんので、一言よろしくお願いいたします。
  124. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私も、その道路の実情はよく知っております。ですから、いまお話を聞いておって、無理からぬ御質問であるというふうに思っております。ただ、民間会社と市側との話し合いでございますから、これの内容については私も全然知りませんので、自治省としても、関係省庁の協力を得て十分実情を把握をいたしまして、一体起債の措置でそれが可能なのか、あるいはどういうふうになるのか、結論を見出したいと思います。
  125. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんおそくなりましたが、以上で終わります。
  126. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十五分開議
  127. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。折小野良一君。
  128. 折小野良一

    ○折小野委員 交付税法につきまして、簡単に二、三の御質問を申し上げます。  かつて、自治省は、わが国の交付税制度は世界に冠たる制度であるというふうに自負しておいででありました。現在でもそういうふうにお考えになっておりますのかどうか、そしてまた、どういう理由でそういうふうにお考えになっているのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  129. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御案内のとおり、地方交付税制度の原型と申しますのは、昭和十年代初期に、町村財政調整交付金ということで発足をしてまいったわけでございまして、その当時におきましては、いわゆる財源調整機能というものに重点を置いての制度でございました。それが、その後、地方分子税あるいは配付税という経過をたどりながら、昭和二十五年のシャウプ勧告によりまして、地方財政平衡交付金ということになってまいったわけでございます。地方財政平衡交付金は、財源保障機能というものにむしろ重点を置いてつくられた制度だという理解をいたしておるわけでございます。  それで、現在におきまするこの社会経済もとにおきまして、地方団体の財政力に酷なるものがある。しかも、やらなければならない仕事、いわゆるナショナルミニマムあるいはシビルミニマム、こういったものにおきまして、全国的な均一性、画一性ということの要請もあるわけでございまして、一方におきまして財源を保障しながら、他方におきまして財源の均衡化をはかっていく。こういうことにおきましては、まず、第一に、この交付税にまさる制度というものは考えられないのではないだろうか、これが第一点でございます。  第二点は、その場合におきまして、この基準財政需要の算定におきましていろいろの御論議はございますけれども、行政の各項目ごとに、その行政と最も相関の高い指数、指標というものをとりながら、客観的な財政需要の積み上げというものを精緻に行なっておる。この点。また、財政収入の算定の面におきましては、地方団体の財政力の均衡化の実を失わないで、しかも、地方団体に、自主的な財源の運用ができる弾力性を持つ財政収入の算定をしておる。こういった面におきまして、まあ、私ども乏しい見聞でございますけれども、諸国においてはこのような交付税体系というものは持っておりません。そういう意味合いにおきまして、世界に冠たるということはちょっと自画自賛の観があろうと思いますが、やはり、たぐいまれなる一つの財政制度ではなかろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
  130. 折小野良一

    ○折小野委員 いま御答弁になりました交付税制度のいろいろな機能の中で、一つは、財政保障という面がございます。これは、それぞれの地方団体といたしましては、現在の情勢下におきまして、やはり、できるだけ国民の期待にこたえて多くの仕事をやっていきたい。ところが、それに対して十分な財源が付与されていない。これが一番の悩みであろうと思います。  したがって、国に対する要望といたしましても、財源をふやしてもらいたい、新しい税を何とかつくってもらいたい、あるいは交付税ももっともっとふやしてもらいたい、まあ、こういうような要望につながってまいっておるわけであります。ところが、そのせっかくの交付税も、地方が期待するほどには、この財源保障という機能をなかなか果たされていないんじゃなかろうかというように感じられます。  ことしの交付税におきましては、国のほうで所得税の減税がございました。減税になりますと、これは当然交付税に影響いたしますので、それの補てんを、というのは、当然の地方の要望でございます。本年度の減税額が三千百五十億。ですから、それの三二%をとってみますと、大体一千億これによって交付税が少なくなったということなんでございます。こういう点につきましては、すでに、地方制度調査会においても、あるいは地方財政審議会においても、また各地方団体からも、減税によって落ち込んだ部分は何とか補てんをさるべきである、あるいは、三二%の交付税率を上げることによってこういう面は補っていくべきである、こういうような意見がたくさん出されておるはずでございます。それにかかわらず、これが実現をできなかった。そのために、交付税といたしましても、昨年度の伸びを下回っておるというような情勢でございまして、本年度地方団体の財政運営についていろいろ苦慮されておるのが現実の姿であろうというふうに考えております。  こういう面についての経過と、今後に対する心がまえと申しますか、そういう点をまずお伺いをいたしておきたいと思います。
  131. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十八年度地方財政対策の基本的な考え方にも触れるわけでございますが、御案内のとおり、昭和四十七年度地方財政計画を立てます時点におきまする経済情勢、したがいまして、それに伴いまする地方税なり地方交付税等の一般財源の伸びというものは、まことに惨たんたるものがございました。四十六年度に比べまして、四十七年度は、税、交付税を合わせまして七千八百億程度しかふえない、伸び率にいたしまして、一般財源全体で一二・六%、税の伸びのときは七・七%である、こういう惨たんたる状態でございました。財源不足が、最終的には八千百億程度になったわけでございます。そこで、四十七年度におきましては、臨時特例交付金あるいは交付税特会借り入れ、こういった文字どおり臨時特例措置を講じますと同時に、地方債の増発を行なって、かろうじて地方財政の運営を保障したわけでございます。  ところが、昨年の一月から景気は回復に向かいまして、特に、後半から急速なテンポで回復に向かいました状況を反映いたしまして、地方税におきましても、あるいは交付税の基礎になりますところの国税三税におきましても、二七%の伸び、こういうことでございまして、地方税あるいは交付税といった一般財源の増加額あるいは増加率というものが、前年に比べまして二二・九%、一兆六千億という、非常に高い、大きい増加額になっておるわけでございます。それで、問題といたしましては、この地方税はそういうことで、前年に比べて二七%伸びる、一兆一千八百億も伸びる、こういう状況でございます。  他方、地方費ベースでの財政需要も一兆八千九百億伸びるという状態でございますが、問題は、交付税が、国税三税の伸びに対応した五千八百億という計算になったわけでございますが、五千八百億まるまる入りますれば、来年度は何らの財政措置を講じなくても地方財政はまかないがっく、こういう見通しになってまいったわけでございます。これは、財政対策を相談いたしておりまする過程でどんどん税収の見込みが大きくなってくる、こういう非常に異例な事態のもとでの財政対策でございました。  そこで、問題は、昨年の千五十億の臨時特例交付金、千六百億の交付税特別会計の借り入れ措置と合わせまして二千六百五十億ということで、俗なことばで申しますと、昨年の地方財政は竹馬をはいておった。その竹馬が四十八年度には切り落とされましてなくなる、そのことに伴う激変の緩和という措置を講ずれば足りるという認識に達したわけでございます。  そこで、その場合におきまして、その時点で、国税三税の四十七年度補正後の自然増収というのが、少なくとも三千億はかたいというのが見込まれる時点でございます。そうしますと、その三二%、九百六十億というものは、四十八年度以降地方財政に入ってまいるわけでございます。そこで、四十八年度にこの九百六十億というものが使えれば、財源措置を講じなくても足りる。ところが、国の会計制度上、その交付税精算分というのは、翌々年度、四十九年度にならないと入れられない。そこで、私ども、それを一年繰り上げまして、四十八年度交付税会計に繰り入れができないかということも相談をいたしたわけでございますし、いろいろ内部で検討もしたわけでございますが、他との関係があってどうしても無理であろう、そういうことであるならば、いまの自然増収を引き当てにした九百五十億を借りることにしまして、実質的には四十九年度に入るであろう交付税の精算増というものを一年繰り上げて使う、こういう財源措置をもって、かたがた、千三百六十億余りの地方債の増発、これをもって四十八年度地方財政のまかないがつく、こういう認識に立ちまして措置を講じた次第でございます。
  132. 折小野良一

    ○折小野委員 いま御答弁にありましたような、昨年からことしにかけての情勢というのは、大体各方面ともわかっておったことであろうと思います。ちょうど予算編成の時期になって、そういうような情勢がわかっておるにかかわらず、地方制度調査会にいたしましても、地方財政審議会にいたしましても、四十八年度地方財政対策という問題につきまして、所得税の減税に伴う地方交付税の減収相当額は地方交付税率の引き上げによって補てんをさるべきであるというような意見を出された。おそらく、予算編成の時期とこの答申がなされた時期とはほとんど一緒であったろうと思いますが、いまおっしゃるような情勢が予算編成の時期にわかっておったのでございますならば、これは、地方制度調査会あるいは地方財政審議会に対しましても当然御説明になるはずであったし、また、なってしかるべきであったし、そのような情勢を反映した答申がなさるべきであったろうと思うのでございます。  ところが、自治省が実際予算編成に対してとられた態度は、これらの諮問機関が答申された意見というものとはまっこうから違っておるということ。そこは、どういうような理由があってこういう結果になったのでございましょうか。
  133. 鎌田要人

    鎌田政府委員 率直に申しまして、地方制度調査会の答申の時点、十二月の早い時点であったと思いますが、その時点におきましては、明年度地方税の収入見込み額というのは、九千億前後のところで議論をいたしておる段階でございました。その予算が固まりましたのが年があけてからでございましたから、その間におきまして、この税収の伸びあるいは国税三税の伸び、こういったものについて数字がふえてまいった。こういう歴史的な経過がございます。  ただ、基本的には、国税三税の減税に伴いまする交付税の落ち込みというものにつきましては、年来、この場でも御論議がございますように、交付税というのは国税三税の一定割合であるけれども、それは地方団体固有の財源だということからいたしますれば、国の政策減税に伴う減収分というものについては、当然、交付税でその分はカバーするということでなければおかしい。私どもは、その主張というものは一方において持っておったわけでございます。  他方におきまして、そうなりますと、今度は逆に増税をする。増税になった場合に、交付税自然増分というものはそれじゃあきらめるかといった反面の論議もございますのと、何よりも、基本になりましたことは、やはり、平衡交付金から交付税制度に切りかわってまいりますときに、交付税率というものは、ある程度将来ふえても、あるいは何がしかの減があっても、むしろ交付税率としては安定をさしていくんだという議論もございました。そういうことと、先ほど申し上げました地方税、交付税自然増収というものとのからみ合いによりまして、九百五十億の借り入れ措置で四十八年度はまかないをつけるということに相なった次第でございます。
  134. 折小野良一

    ○折小野委員 いまおっしゃるような財源の調整という問題が、現実にはいろいろあろうかと考えております。しかし、地方自治体の現在の実態からいたしますと、財源は少しでもほしい、そしてまた、少しでも事業を行なっていかなければならない、いわば、財源としては多々ますます弁ずというような情勢の中にあるわけでございます。そういう情勢を考えてまいりますと、四十八年度に多少税収その他の財源が見込まれるといたしましても、確保できる財源はできるだけ確保していくという態度であってほしいと私どもは期待をいたします。  それに関連をいたしましてですが、交付税のもう一つの機能、すなわち財源調整の機能、これは各地方団体間の財源を調整するところに大きな意味があるのであって、国と地方との間の財源を調整するという意味では本来なかったのではないかというふうに私どもは考えます。ところが、最近の政府におきましては、この調整機能が、国と地方との財源の調整機能だ、したがって、いろいろな情勢によって毎年借り貸しが行なわれるのだというようなことになってしまっておるような感じがいたします。この前の大蔵大臣が見えての質問のときに、どなたかの質問に対して、大蔵大臣からもそういうような御答弁があったように聞いたわけでございますが、本来、交付税財源調整機能というのは、各自治体間の財源を調整するんだ、したがって、国と地方との間の財源調整というのは事実上あったにいたしましても、それが交付税制度の本来の意味ではないんだ、こういうふうに私どもは考えるのでございますが、自治省としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  135. 鎌田要人

    鎌田政府委員 おっしゃるとおりだと思います。交付税の、申しております財源調整機能というのは、あくまでも、財政力を異にする団体間の調整機能でございます。  交付税の特別会計におきます国との貸し借りということにつきましては、これはいろいろの御論議があるところでございますが、この貸し借りの問題というのは、国との財源調整ということではございませんで、しいて解すならば、交付税全体といたしまして、むしろ年度間の調整であります。ある程度交付税に余裕を生じた場合、かつ、国の財政が相対的に苦しい場合に、国に貸して、将来それを返してもらう、また、逆に反対の場合は、地方が国の資金運用部から金を借りる、こういうことで、しいて申せば年度間の調整ということでございまして、国と地方との間の財源調整ということは、毛頭私ども考えておらない次第でございます。
  136. 折小野良一

    ○折小野委員 それに関連をしてでございますが、この前大蔵大臣が見えたときにも、私、ちょっと御質問をいたしましたが、昨年沖繩が返還になりました。そういたしますと、地方団体全体の財源といたしましては、沖繩県あるいは沖繩の市町村に対する財源というのが当然必要になってくるわけであります。それに対しまして臨時措置が講じられておるわけでございますが、これは、やがて現在の交付税ワク内に全部入ってしまうことになってまいります。そうしますと、これはことばは悪いのですが、地方団体側の立場からいたしますと、それだけ取られてしまったら、それだけの財源が相対的に少なくなるんだという言い方も言えるわけでございます。沖繩返還後、いろいろと混乱した情勢にあるように私ども承知いたしておりますが、こういうような問題につきましては、やはり、国がそれだけのものを考えていくということでなければなるまいと考えます。  したがって、もう現在できておる法律でございますから、それをいまさらどうということにも直ちには参りませんでしょうが、なしくずしにしていってしまうというようなことでなしに、これは、やはり、将来ともそれだけの財源というものはふやしていくんだ、沖繩が返ってきたんだから、せめて交付税率を三二%を三三%にするのだという、それくらいの対策はあってよかったのではないかと考えるわけでございますが、これに対してはどういうふうにお考えでしょうか。
  137. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘になりますような考え方も、私ども主張いたした時点がございます。ある時点においてはそういうことも主張いたしておりました。この問題につきましては、先生も御案内のとおり、沖繩臨時国会におきましても、この二つの相反する意見というものが国会の場でも御論議になったように私は記憶いたしておるわけでございます。一方におきましては、全く別なものを、少なくとも一定期限は見てやるべきじゃないかという意見と、それに対しまして、それはひどいではないか、沖繩のほうも国税があり、いまある交付税というのは、みんな四十六県の分だけで、沖繩の分は一文もないから、その分は全然別にしろ、やはり、いまある既定の財源の中から沖繩にも交付税を回してやるべきではないかという意見と、こういう両方の意見があったように私は記憶いたしておるわけでございます。政府部内においてもそういう議論のやりとりがありました。結論といたしましては、少なくとも、いままで、沖繩県の復帰ということが現実のものになるということを前提にしないでいまの交付税というのはきめられておるのだから、沖繩が入ってくることによる増加分というものは、少なくとも経過的に何らかの措置を講ずべきだということで、現在の仕組みになっておるわけでございます。  その当時におきます私ども考え方といたしましては、そういうことで交付税の原資もだんだんふえていく、そういう中で、経過的に漸減方式で沖繩臨時特別交付金も持ってまいりましたけれども、それが終わった時点において、沖繩も含めましての地方団体全体の財政需要というものをまかないきれないという場合におきましては、その時点において交付税率の問題というものも議論すべきではないかという感じを持っておる次第でございます。
  138. 折小野良一

    ○折小野委員 世界に冠たるわが国の交付税制度にも、いろいろと問題があるわけでございます。これがいつまでも世界に冠たる制度であることを私たちは望むわけでございます。  ところで、大臣ももちろん閣僚のお一人ではございますが、しかし、何といっても、地方団体の先頭に立って、地方団体の期待にこたえていただかなければならないお立場にある、私どもはそういうふうに考えております。国全体としてのいろいろな問題もございますが、しかし、その中において地方行政が伸びていくということ、地方自治が進んでいくというととは、いわゆる民主的な意味における国の発展に直接つながっていくものであると私どもは考えます。そういう意味におきまして、大臣は、先頭に立って地方自治を伸ばす、地方行政を進展させるということで御健闘をお願いいたしたいと考えますが、この点に対する大臣の御決意のほどをお伺いいたしておきたいと思います。
  139. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御質問の御趣旨、私も拝聴いたしておりまして、今後、特に、地方の財政需要が強く要請されることが簡単に想像できます。そういうときだけに、この地方財源をいかに充実させるか。とりあえず交付税率の問題がここで皆さんから御議論になるわけでございまして、これは午前中も申し上げましたように、今後、税制調査会等々の意見を参酌することはもちろんでありますが、大蔵当局とも十分話し合いをして、今後、地方財源に支障を来たさないように格段の努力を払ってまいりたいと思います。
  140. 折小野良一

    ○折小野委員 次に、今回の改正に関連をいたしまして、二、三の御質問をいたします。  今回、普通交付税の算定方法の改正が行なわれました。基準財政需要額の算定の基礎につきましていろいろと見方はあるわけでございますが、この算定の方法というのは、結局、一定の額を算出するための単なる基準にすぎないのか。あるいは、その基準が一定の行政水準を維持させるための行政指導的な意味を含んでおるのか。その辺、どの程度自治省としてはお考えになっておるのか、一応基本的にお考えをお伺いしておきたいと思います。
  141. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御案内のとおり、地方交付税法第一条におきまして、「地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政計画的な運営を保障する」という定めになっておるわけでございます。基準財政需要額の算定を行なうにあたりましては、そういう趣旨を体しまして、行政指導的な考え方もとに算定をいたしておるということでございます。
  142. 折小野良一

    ○折小野委員 それに関連をいたします二、三の具体的な問題をさらにお尋ねいたします。  今回の基準財政需要額の算定方法の改正の中で、特に、市町村道について増額をしたということを強調しておいでになりますが、これは市町村道だけではありません。下水道とか、清掃施設とか、公園とか、そういうようなものもございますが、その中に市町村道があるわけであります。もちろん、この市町村道は、道路橋りょう費という費目の中で算定をされるわけでございますが、これを昨年度の比較において見てみますと、経常経費におきまして、平米当たり、県が、昨年が七十円、それを九十二円に引き上げた。市町村は三十円、それを三十九円に引き上げた。投資的経費のほうにおきましては、県が、一メーター当たり千二百五十円を千七百五十円に、市町村は、一メーター当たり九十円を百三十五円に引き上げた。もちろん、市町村道であろうと、都道府県道であろうと、いずれにしても、今日整備が急がれておるわけでございます。しかし、この数字から見まして、市町村道を特に強調されておる理由というのはわからないのです。引き上げ率等からいきますと、やはり、県のほうがよけいに引き上げられておるんじゃなかろうかというふうに考えております。しかし、今日、もちろん県道も大切でございますが、市町村道に対する要望というものも非常に強いわけでございまして、すでに、自治省で発表しておいでになりますことしの「地方財政状況」の中におきましても、国道におきましては、改良率が七七・三%、舗装率が七八・六%と、非常に伸びてきた。それに対して、地方道は非常に伸びがおくれておる。しかし、県道は、その中においても、改良率が四二%、舗装率は三七・四%、まずまずの数字を示しておる。これに対して、市町村道は、改良率において一四・八%、舗装率に至っては七・五%、こういうふうな数字を示して、いろいろと説明がなされておるわけであります。  そういう面から見ましても、市町村道を早く整備しなければならない。しかも、従来、いわゆる産業道路の整備に片寄っておったこの行政というものを、福祉あるいは生活というものを重点にするという面からいきますと、いわゆる生活道路といわれる市町村道というものに対してもっともっと整備していかなければならない。これは当然なことだというふうに考えております。しかしながら、その当然なことが、今回のこの算定方法の改正においてあらわれてきていないんじゃないかというふうに考えますし、せっかくの御説明で市町村道を強調しておいでになりますが、その強調されたほどの増額というものはほとんどないというふうに言わざるを得ないんじゃないかと思うのでございますが、こういう点についてはどういうふうにお考えになっておられるわけでしょうか。
  143. 鎌田要人

    鎌田政府委員 市町村道の関係でございますが、先ほど仰せになりました市町村道の投資的経費、すなわち延長分につきまして、県と市町村との間に格差があるではないかということでございますが、正確に申し上げますと、市町村道の投資分、すなわち延長分の単位費用の増加率は二二・七%、府県道分のほうが四〇%でございます。これは、道府県分につきましては、四十七年度、例の財政危機の関係もございまして、道府県及び指定都市といった財政力の強いところにおきましては、投資的経費につきまして地方債に振りかえることをいたしましたために、四十七年度、道府県分の道路延長にかかりまする単位費用というのは据え置いたわけでございます。したがいまして、この四〇%余りの数字と申しますのは、本来なら、四十六年から四十七年に一ぺん上がり、四十七年から四十八年に上がるべき分の、いわば二年分がここに入っておる。市町村道のほうはそういう措置をとりませんでしたために、前年とほぼ同程度の伸びになっております。前年が二二・二%、四十八年度が二二・七%、こういうことでございまして、まさに、府県分につきまして、四十七年度、本来単位費用を上げるべきところを上げないで、その分を起債に振りかえた、その分の、一年休みました分がここに出てきておるというふうに御理解をいただきたいのでございます。  それから、維持修繕の関係でございますが、これは面積分の単位費用の引き上げ率が一四・七%ということでございますが、毎年市町村道の改良、拡幅というものが進んでまいっておりまして、基礎になりますところの数値がふえてまいっております。したがいまして、基準財政需要額としての伸びは約一九%、一八・七%程度のもの、額にいたしまして千百五十九億が千三百七十六億、二百十七億円の増加になっておるわけでございまして、これをもって、市町村道の維持修繕のための必要な財政措置は講じたつもりでおります。
  144. 折小野良一

    ○折小野委員 一応それぞれの地方道の整備を進めていくということはけっこうでございます。それで、四十七年の三月末の舗装率あるいは改良率、私がさっき申し上げましたものは、自治省で発行されております「地方財政状況」にある数字でございますが、これがことし一年でどの程度伸び、どの程度これを伸ばしていこうという予定  でございますか。もちろん、これはこれだけでなしに、公共事業その他が入ってくることは当然でございますが、それの総合でけっこうでございます。
  145. 鎌田要人

    鎌田政府委員 こまかい数字は、後ほど精査の上で補足をさしていただきたいと思いますが、大体、改良、舗装を含めまして、一ないし一・五%率が上がるというふうに想定をいたしております。
  146. 折小野良一

    ○折小野委員 従来の道路の整備率を見ましても、きわめて低い。パーセントで、遅々として進んでいないというのが現状でございます。本年度一年でどれだけ上がっていくかということにつきましても、いま御答弁にありますような程度数字しか上がってまいっておりません。こういう点から見ますと、わが国の道路整備というのは、先進諸外国と比べましても非常に大きく差があるわけでありまして、よほど思い切った施策を講じていくことが必要であろうと思います。特に、生活道路と言われております市町村道におきましては、地域住民は毎日その道路を使い、毎日、その悪い道路によって悩まされておるというのが実情でございます。こういう点につきましては、もう少し比率を上げるような施策というものができないのでしょうか。
  147. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま、四十五年と四十六年度の改良率、舗装率の資料を私見ておりまして、御指摘のように、私ども力を注いでおるつもりでございますが、国道の改良率、舗装率というものに比べますと、都道府県道、市町村道という順番で、延長が長いという点もございますけれども、なかなか市町村道は進まないというのが実情でございます。もちろん、国民の生活に最も関係の深い生活道路でございますので、これにつきましては、四十九年度以降におきましても交付税等の措置を充実してまいらなければならないと思うわけでございますが、御案内のとおり、ちょうど第七次の道路整備五カ年計画の改定を見ておるわけでございまして、当然、国道の整備がある程度進んでまいりましたから、これからは地方道、特に市町村道に重点が移ってまいる。こういうことになりますと、私ども、やはり、市町村の道路目的財源の充実ということをどうしてもやらなければいけないというふうに考えておるわけでございまして、道路目的財源の充実にあわせまして、いま御注意いただきましたような交付税措置というものも万全の対策を講じてまいりたい、どうしても市町村道の道路目的財源の充実をはかりたい、これが第一の努力目標ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  148. 折小野良一

    ○折小野委員 こういうような実態を見ますと、私ども、とかくいろいろと勘ぐりたくなるわけなんであります。まず国道をやって、そして、市町村道は一番あと、まず産業道路をやって、生活道路はあとだ、まず経済の発展をやって、国民生活はそのあとだ、すべてがこういうような形になってまいっておるわけであります。そういう点については大きく考え方を転換していただきまして、住民の生活、あるいは、道路でございましたら生活道路である市町村道、こういう面にもっともっと力を入れていくような政策というものをぜひ実現していただきたいと私どもは強くお願いをいたします。  もちろん、ことしも、道路につきましては、その整備にいろいろと努力をしていただいておるわけでございますけれども、しかし、現在の状態は、工事資材が非常に不足を告げております。しかも、値上がり、労力の不足等いろいろな面から、現在、各地方団体では、工事をやろうと計画いたしましても入札もできないというような状態があちこちに非常にたくさん出ておるわけであります。せっかく予算はふえたといたしましても、現在の状態からいたしまして、またまた超過負担をやってでもそれをやっていくか、あるいは、事業そのものを縮小するか、そのいずれかしか方法はないわけでございます。  そういうような実態を考えてみますと、私どもが期待するような方向に公共事業全体がなかなか進んでまいりませんし、特に、国民が最も願っております道路の整備という面も、期待するほどにはなかなか進んでまいらないというような実態にあるわけであります。こういうような実態につきまして、四十八年度いろいろと御指導を願い、あるいは、国としてのいろいろな対策も講じていただかなければならないのじゃないかと思いますが、そういう点について、特に、現在自治省のほうでお考えになっておることがございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  149. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の、最近の資材の値上がりの問題は、全く異常なものがあります。したがいまして、私どもも、閣議において、もう三度このことを協議いたしまして、たとえば、急がないものはあと回しに、順送りにして、あるいは災害復旧とか、また、施設においても、緊急を要するものはいたし方ないといたしまして、そういう緊急を要するもの、どうしても早くつくらなければならぬもの等々においては、実勢単価を採用していくということで、関係各省庁ともども検討をいたしておるところであります。  したがって、今後、実勢単価を採用するというのがまず一点。それから、補助単価の改善に伴って、事業量を一体調整するのかどうなのかということ。これは縮小という意味も含めてですね。それから、どうしても所要のものだけは予定どおり工事を進めなければならぬということであるならば、補正を一体どうしていくのかというようなふうに、執行計画との関連を十分見きわめまして、現在慎重に対処をしておるというのが実情であります。また、関係各省庁には絶えず事務的にも注意喚起をいたしております。必要がありますれば、その模様等についても申し上げさせていただきたいと思います。
  150. 折小野良一

    ○折小野委員 当面、四十八年度の仕事を何とかやっていかなければならないということで苦慮しております地方団体が、どういうようなやり方でやっていったらいいのか。いろいろと政府においても対策を講じておいでになるということでございますが、簡単に言って、今後一そう超過負担がふえるであろう。しかし、それはやがて国が見てくれるのであるから、何とかやれるだけのものはやっていこうという態度でやっていくべきか。あるいは、やはり財政の均衡をはかるということも大切だ。そういう意味においては、非常に必要な、急ぐ仕事であるが、この際は、何とか事業を縮小して、財政的な破綻を来たさないようにしてやっていこう。そのどちらの態度をおすすめになりますか。
  151. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私ども、この点につきましては、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、せっかく年来の懸案でございました超過負担の解消に手をつけたところで、新たな超過負担というものが、それこそ大きな規模で出てまいるわけでございますので、これにつきましては、いち早く建設、文部、農林、運輸、関係各省に申し入れをいたしまして、この単価の是正ということについて責任をもって措置してもらいたい、それについてのとられた措置というものを理解し、回付をいただきたい、こういうことを申しますと同時に、先般、当委員会でも申し上げましたように、緊急にこの五月の十六日に地方課長、財政課長会議を持ちまして、この点についての実情の調査も行なったところでございます。その結果におきまして、ものによりまして、二割から三割程度の、やはり、現在の予算単価では執行ができない、こういったような達観の数字でございますが、そういう心証を得ておるところでございます。  かたがた、それぞれの各省におきましては、いまの公共事業につきましては、大臣から申しましたように、四十八年度の事業については、契約時点における実勢単価というものを用いる。公営住宅につきましても、近く関係省の間で結論を得て、地方に対して指示をされるようでございます。学校関係が、まだ現在調査をやっておられる段階でややおくれておりますけれども、これも近く大蔵との間の意見の調整をはかって、地方団体に対して指示をされるという段取りになっているわけでございまして、私どもも、その間の経過を見守りながら、地方団体がある程度しょい込みの形で事業だけをやってしまうということにならないようにしたい。これは一ぺん超過負担をやってしまいますというと、さかのぼってその分を国がめんどうを見るということは、これまでも例がございませんし、なかなか困難なところがございますので、やはり、事業の執行段階において、そういう超過負担というものを生ずることのないように、厳に配慮して指導してまいりたい。  その場合におきまして、この補助単価の引き上げということになりますと、既定の予算の範囲内におきましてやるということになりますれば、事業量の縮小という問題も出てまいります。事業量の縮小という形でいくのか、事業量を落とさないで、この補助単価も上げるということになりますれば、当然補正の措置ということにもなろうと思います。事業のそれぞれの実態に応じて、どの措置をとるか、これはまたそれぞれの所管省のお仕事でもあるわけでございますので、十分に連絡を密にいたしまして、誤りのないようにいたしたい。超過負担を新しく生ずることだけは何としても避けたいということを考えておる次第でございます。
  152. 折小野良一

    ○折小野委員 ただ単に工事費が上がっただけでも今日の混乱というものを来たしておるわけであります。従来から、地方団体のいろいろな困難の中で、これだけでなしに、そのもとになる用地の問題がまだあるわけです。ところが、この用地の問題につきましては、国のほうでもまだまだ十分な配慮がされておりません。しかも、今日、用地の値上がりは実に大きなものがございます。いろいろと支障を来たすような、困難を引き起こすような、そういう問題が、今日、地方自治に対して山積をしてまいっておるわけでございます。こういう点は、ただ単に地方行政だけの問題じゃございません。国自体の問題でもあるわけでございますが、こういう点について十分実効のある対策を講じていただいて、国にいたしましても、地方にいたしましても、少なくも、国民の生活を守るような仕事については、それが有効に行なわれるような適切の対策を、しかも緊急にやっていただくことを特に期待をいたしたいと考えます。  次に、今度の交付税の計算の中で、人員につきましていろいろと操作をされております。義務教育の職員が足りない。これに対して八千二十七人ふやす。あるいは、高校の職員を二千九百四十九人ふやす。警察官を四千五百人ふやす。消防職員を一千八百九十九名ふやす。その他、一般職員の中においても、公害その他緊急必要な職員の増加を認める。結局、増加が二万一千人、それに対しまして、一面、定員削減一万人、こういうような計算の基礎が出ておるようでございます。  ところで、この定員削減の一万人でございますが、これは、警察とか学校の先生などはどうしてもふやさなきゃならない。といたしますと、結局、この一万人というのは、一般職のほうから削っていかなきゃならないことになってくるわけでございますが、そういう点については、一般職のほうは、それだけ余剰の人員があるというふうにお考えになっておられるわけでございますか。
  153. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この職員の定数削減でございますが、これにつきましては、国の国家公務員におきます四十七、八、九の三カ年間におきます五%削減、これと軌を一にして行なっておるわけでございます。したがいまして、この四十八年度地方財政計画におきまして、都道府県の一般職員、警察事務職員、それから大学関係の職員、それから市町村の一般職員、こういうもので合計一万二十五人を見込んでおるわけでございます。この人員の縮減ということにつきましては、やはり、一方において公務能率を上げながら、国と両方軌を一にいたしまして定数の削減をはかっていく、こういう考え方に立つものでございます。  なお、地方公務員につきまして、昭和四十七年度の調査でございますけれども、いわゆる新陳代謝の状況を見てみました。総人員に対しましての退職者の比率。この退職者の中からは、企業職員なりあるいは教育公務員、警察官というものは除いてございますが、その退職者の比率を見ますと、四十七年度で四・二%でございます。単年度一・六七%の削減計画でございますので、新陳代謝の範囲の中で、この削減というものは無理なくできるのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  154. 折小野良一

    ○折小野委員 ふやすほうにつきましては、何千何百何十何人と、まことにはっきり出ておるのでございますが、減らすほうについては、おおむね五%削減の線で、ということでございます。私ども地方団体は、それぞれ公務能率を向上することによって、人員は少ないことが望ましい、そして、能率的であることが望ましいというふうに思います。こういうような点につきましては、もっともっと公務能率を上げるような具体的な方策というものを出す。あるいは、それは地方団体自体が考えるべき問題であるかもしれませんが、そういうものをもっとはっきり出して計画を立てるということが大切なことではなかろうかというふうに考えております。特に、それぞれの団体でそれぞれの理由というものもございますし、また、職員が携わっております業務の内容というものもあるわけでございます。こういう点につきましては、ただ単に国が五%やっているから地方も五%ということでなしに、もっとはっきりしためどをつける、あるいはつけさせる、こういうような方向での指導ということが必要なのでなかろうかというふうに考えるのでございますが、いかがでございますか。
  155. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっと私の答弁がまずかったのだろうと思いますが、この減員人員につきましても、五%という率ではございませんで、先ほどちょっとはしょって申し上げましたが、一万二十五人。一万二十五人の内訳はちゃんと示しておりまして、それを、標準団体におきます人員の計画人員におきまして、ふやすもの、減らすもの、こういうプラスマイナスを立てておるということでございまして、あいまいな示し方にはなっておらないということを、答弁がまずかったせいだと思いますが、はっきりさせていただきたいと思います。  それから、この考え方でございますが、時代の要請に応じまして、人間のふえるところもあれば、また、それほど人を必要としないといったものがあるのではないだろうか。現に、最近におきまして人をふやしておりますのは、やはり、公害関係でございますとか、あるいは環境衛生関係でございますとか、そういうところに重点を置いてふやしてきておる。他方におきまして、その場合に新しくふえるところもあれば、時代の要請というものにかんがみてだんだん減らしているところもある。そういうところにおいて、職員の、いわば定数のうまい転換というものを考えていただく、あるいは、機械化のきくものについては機械化というものも考えて、人手を省く省力ということもやってもらいたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  156. 折小野良一

    ○折小野委員 ふやすのは容易なんですけれども、減らすということはなかなか現実にはむずかしいことなんです。これは、ただ単に指導だけでできる問題でもございません。各地方団体がほんとうにその気になって取り組んでいかなければ容易なことではないと思います。それだけに、能率を高めるとか、あるいは最大の効果をおさめるための最低の人員というものを十分把握をしてやっていくということは、なかなか容易なことじゃございませんし、こういう点ははなばなしいことでは決してありませんが、これが特に大切なことだと私は思います。そういう面から、こういう点に対する指導と申しますか、あるいは助言と申しますか、そういうようなことが特に必要なことじゃなかろうかというふうに考えます。  やはり、同じ行政指導という面でございますが、今回の改正によりまして私学の助成を高めたというふうにおっしゃっておりますが、これは都道府県の場合は主として高校、それから、市町村の場合は、おそらく幼稚園が一番中心だというふうに考えるわけでございます。しかし、実際行なわれております実態は、それぞれの地域におきまして非常に差が大きいわけでございます。指導と申しましても、いろいろな程度があろうかと考えておりますが、しかし、特に、私学の場合におきましては、それをやらない場合においては、当然地方公共団体がやらなければならない。こういうような面もございますので、そういうような面からいたしますと、やはり、ある程度の水準は統一をすべきじゃなかろうかということも考えられるわけでございます。こういう点につきまして、現在の実態並びに今後の指導方針と申しますか、そういう点を御発表願いたいと思います。
  157. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私学の助成の問題でございますが、実は、たいへんむずかしい問題でございまして、大学の場合でございますと、国が補助金を設けまして助成をしておられる。高等学校以下の私学、これに対しまする助成は、いろいろな経過を経まして、結局、最後は、交付税でお願いしますということになって今日に至っておるわけでございます。  ただ、交付税は、御案内のとおり、当然のことでございますけれども、ひもをつけてはいけない金でございますので、これを強制的に、これだけのものを出せということはできません。算定の基礎におきまして、ことしでございますと、学校の先生に対する給与費の補助十分の三が十分の四に上がってまいりました。事務職員でございますと、これまでの四十分の一が十分の一に上がってまいりました。そういった点も合わせまして交付税の基準財政需要の積算の基礎といたしまして、小、中、高、盲、養護学校、これの児童生徒一人当たり二万一千円、幼稚園児でございますれば一人当たり九千円、こういうものを積算の基礎に入れるつもりでおります。都合三百九十億円というものを交付税の基準財政需要に見込むつもりでおるわけでございます。  現実の地方団体の実情は、総額におきましては私どもで調べたものがございますけれども、個々の団体ごとにどういう出し方になっておるかということまでのこまかい資料はここに持ってまいっておりませんが、それぞれの自治体におきまして積算の基礎に入っておる数字、また、積算の考え方というものはわかっておるわけでございますので、それを基礎にして助成をされることを期待せざるを得ない。こうして、これを出せということを申しますというと、交付税の本質に触れる問題でございますので、交付税措置によって私学の助成を講ずるということになりますと、現在のこれがもう限度かというふうに考える次第でございます。
  158. 折小野良一

    ○折小野委員 実際は、積算の基礎が、ある意味における行政指導的なものであるということは最初におっしゃったとおりでございます。ところが、地方団体に対しましては、そういう点は徹底しておりません。むしろ、ひもをつけられないと、これは地方団体の自由に使える金だという面が大きく受け取られておりまして、行政指導的なものはうしろに追いやられてしまう。それから、今度は、逆に、文部省から私学に対しましては、私学に対する助成は、従来十分の三であったのを十分の四にしましたよと、こういうふうに流される。そうすると相手方の私学のほうは、その行政指導的なものをむしろ補助金的な受け取り方をしてしまう。そういうことで、地方の住民側と自治体側との間の意思の疎通を欠き、そこに不信感が生まれてくる。こういうことが実態だと思います。ですから、各地方団体に対しましても、積算の基礎というものははっきり示して、一応こういう標準で出してある、そしてまた実態はどういうことだと、いろいろな資料を出すということは、これはたいへん大切なことだと思います。ひもをつけないということと、そういう面の資料を示して助言をするということとはおのずから違うわけでして、その辺は十分考えていただきたいと思います。また、自治省以外の各省庁が直接その関係の住民に対していろいろと指導される場合も、やはり、交付税の本来の性格というものもあわせて言っていただきませんと、その間に考え方のギャップが出てまいりまして、変な形になっていくということが間々ございます。こういう点は、ひとつお気をつけいただくようにお願いをいたしておきたい。  そこで、次には消防費でございますが、今回の改正で、新たに人口密度補正を適用して、過疎地域に対する基準財政需要額の算入を強化したというふうに御説明になっております。従来、消防、特に消防団ですが、これに対する財政的な面の配慮というものが非常に薄かったというふうに私どもも考えております。で、今日、なかなか団員の確保ということが困難な実態にございます。しかも、事は災害でございますので、いざそれが起こった場合には、直ちにこれに対応しなければならない。もちろん、今日、あちこちに常備消防がたくさんできてまいってきてはおりますが、しかし、水防であるとか、あるいは山火事であるとか、あるいは犯罪捜査協力であるとか、あるいは人命救助であるとか、こういうような面におきましては、やはり団員の数というのがものをいう場合があるわけでございます。そういう点からいたしまして、今回、これを基準財政需要額に算入することを強化していただいた。これはけっこうなことだと思いますが、その消防団員に対しまして、その消防団員の役目に応じて、どの程度の対策、あるいはどの程度の、端的に言えば報酬と申しますか、そういうものの基準をお考えになって改正をされたのか、お伺いいたします。
  159. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 消防団は、ただいまお示しのように、消防職員とともに、第一線の出動部隊の両翼をになっているわけでございますが、ただいまもお話しがございましたように、最近、消防団員の減少の傾向がございます。御参考までに申し上げますと、現在、全国で、消防団員が約百二十万人でございます。ここ数年は減少のカーブもだいぶゆるやかにはなってまいりましたけれども、ここ十年間に約三十万人消防団員が減少をいたしております。それに対しましても、ただいまもお話しがございましたが、消防の常備化も進んでおりまして、それでカバーできる面もございますけれども、やはり、常備消防、消防団、それが一体となりまして地域社会の安全を守るということが必要でございますので、消防団員の処遇の改善を中心にいたしました確保対策等、私どもも腐心をいたしているわけでございます。  消防団員の処遇につきましては、各種の表彰制度でございますとか、あるいは公務災害補償制度でございますとか、そういうような各種の制度の強化を逐次しておりますけれども、やはり、中心は、ただいま御指摘の報酬と出動手当の問題でございます。それにつきましては、今回、財政当局といろいろ相談をいたしまして、大体二割前後のアップをいたしました。たとえば、消防団員でございますと、四十七年に五千円でございましたものが、六千円というふうに報酬額を引き上げておるわけでございます。もちろん、消防団員が出動いたしますのは銭金でやっておるわけではございませんけれども、そうは申しましても、やはり、その時代時代に応じた報酬なり出動手当というものが必要であろうと思います。まだ、これでも必ずしも十分だとは申せませんけれども、今回、ただいま申しましたように、二割前後のアップをはかったわけでございます。  それから、一、二つけ加えさしていただきたいと思いますことは、これは折小野委員も十部御承知であろうと思いますが、交付税でこういうような措置をいたしましても、なお、現地では、交付税の需要で見ました基準だけ報酬なり出動手当をなかなか出してくれないという市町村もございます。これは、私どももせっかく指導をしておりますけれども、今後も、少なくとも交付税の水準ぐらいまではぜひ出してほしいということを強調してまいりたいと思います。  それから、報酬や出動手当を、ただいま申しましたように、交付税の水準ほど出していない、場所によりましては、むしろ支給をしていないというところもございます。それは、一つには、消防団のいろいろな諸会合がございますが、その運営の経費に報酬なり出動手当なりが回ってしまうという傾向があることも事実でございます。そこで、今回、これも財政当局と相談をいたしまして、これまで消防団の運営費と申しますのが、標準団体で九万円でございましたけれども、これを三十万円ということに引き上げをいたしまして、そういうような消防団の運営費に報酬や出動手当が回ることのないように配慮をいたした次第でございます。  いずれにいたしましても、消防団員の処遇の改善につきましては、今後も努力をいたしまして、第一線の地域社会を銭金でなく守ってくれる人たちでございますので、財政的な措置も十分していきたいと思っております。
  160. 折小野良一

    ○折小野委員 消防団員の処遇の問題ではいま長官の御答弁もございましたが、昔から義勇消防ということばがございます。銭金じゃないんだという考え方。しかし、もうそういう考え方ではおれないような時代に来ておるんじゃなかろうかと考えます。大体、従来、そういうような考え方で、団員の犠牲にすべてを頼むというような形で消防団の運営というものができてまいっております。しかし、今日におきましては、若い者の意識が違ってきておる。これはもう私から申し上げるまでもございません。しかも、それぞれの地域の職場におきまして、やはり、最小の人員しかかかえていない。消防といえども、何人かの人員がその中から突然出ていってしまいますと、機能がとまってしまうというような状況が現在の実態でございます。そういう面からいたしますと、いままでのような義勇消防、銭金ではないんだというようなことで、団員にその活動を期待するということはもうできなくなってきている。これはもう時代がそうなってきている。したがって、現在のそういう変わってきている時代に対応した対策というものをお互いに考えていかなければ、団員にいままでのような考え方で消防を期待するということはできないんじゃなかろうかというふうに実は感じつつあるわけであります。これは、私どもが接触いたしますのはほんの一部の者でございますが、そういう点について、全国的な動向というものも十分お考え合わせていただきまして、今後の対策というものを考えていただくことが大切じゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。  したがって、団員の処遇にいたしましても、五千円を六千円にしたからとか、あるいは二割、三割アップしたからということでは問題は絶対に解決しないというふうに考えます。ですから、そういう点は、いま私もここでどうすべきだということはなかなか言えませんから、報酬とか手当とかにいたしましても、少なくも、世間的な常識でありますところの、一日出ますと三千円やそこらは当然かかるのだというふうなことをお考えになって、消防の今後の問題の解決に当たっていただく、あるいは対策を講じていただくということが必要じゃないかと思います。長官のほうで、いろいろとそういう面についてお気づきになっている点、あるいは把握しておいでになる点、あるいは今後こうしようとお考えになっている点、こういうことがございましたら、お伺いいたしたいと思います。
  161. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまの問題は、私も、ただいまお示しの御意見と申しますか、お気待ちといささかも変わっておりません。確かに、銭金ではないというようないままでの考え方だけでは、もはや通っていかない世の中でございます。と申しまして、先ほどもちょっと触れましたように、それでは常備消防をしていけばそれでカバーできるのかと申しますと、絶対にカバーできない面がたくさんあるわけでございます。したがいまして、そういう善意の地域の人たちが十分活動をして、しかも、それに対して合理的な金銭的な報いも十分な基準でほしいというようなところまで持っていくことが一つであろうと思います。五千円を六千円に、二割ほど上げましたけれども、それは、ただいま折小野委員もおっしゃいましたように、あるいは私も申しましたが、いまの世間並みの合理的な金銭上の水準にははるかにまだ遠いと思います。私どもも、そういう財政的な措置につきましては、今後もさらに考えていきたいと思いますが、同時に、この問題は、財政的な問題を含めまして、またそれ以上の、地域社会の人が、自分たちの地域社会を自分たちで守るための仕組みなり組織なりというものを、今後どういうふうに考えていくのかという問題に大きく関連をいたしております。  私ども、ただいま内部で議論をいたしておりますので、また、おりに触れていろいろお教えを賜わりたいと思います。
  162. 折小野良一

    ○折小野委員 どうぞひとつよろしく御検討をいただきたいと思います。  ところで、地方団体がそれぞれ財産を持っております。これを火災保険に入れるのかどうかという点でございますが、私どもが承知しております範囲では、たとえば、国はたくさん財産を持っておられるけれども、火災保険には入れていない。というのは、全国にわたってあちこち散在をいたしておりますので、一ぺんに多くのものが焼けるというようなことはないので、火災保険に入れることが、むしろ計算から言えば損になるということで入れておられないというふうに考えます。ところが、地方になってまいりますと、その団体の規模も小さい。そうするとまた、その団体の持っております財産も、ある程度のところにその団体にとっては相当大きな比重のものが固まっておる。したがって、火災になっては困る。また、これは地域住民の大切な財産であるから、それを何とかして守らなければならないという意識、それからまた、それは常時住民に利用されておるので、それがなくなってしまいますと、住民サービスという面から言っても困る。もし焼けたりいたしましても、直ちにそのあとはそれをつくり直していかなければならない。そういうようなことで火災保険をかけておる。これは、小さい団体は火災保険をかけておるというのが実態だと思います。こういう面につきましては、かけるにしても、かけないにしても、はたしてどっちがいいのかというので、それぞれの団体は非常に悩んでおるわけでございます。こういう点について、何か合理的な基準みたいなものはないのでしょうか。
  163. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御承知と思いますけれども、自治法の規定に基づきまして、都道府県、市、町村、それぞれ三つの団体は、共有物件災害共済会という組織があり、これにおもな財産は相当たくさん加入していると思います。現在、県では、沖繩県のみがまだ未加入であって、四十六県は入っております。市も、六百三十市で十三市が未加入。町村は、町村の数で押えておりませんが、建物は、三千幾つの町村で二十五万件ございます。ですから、この面で、おっしゃるような心配はだいぶ充足されておる次第でございます。  したがって、これに入る以上に、さらに民間の保険会社に保険をかけるかどうか、これはまさにその団体のいろいろのお考え方によるわけでございますので、私たちのほうから、どのくらいの割合で入ったらよかろうとか、入らぬでもよかろうということは、実は言ったこともありませんし、指導もしておりません。それぞれの団体が自主的に御判断になって入っておられるものと思います。しかし、相当大きな部分が、この共済会でもって、その不安は救われておる、これが現状だと考えております。
  164. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに、一般的には、いまおっしゃるようなことが言えるわけでございます。災害復旧というものを何らかの形で保障されるということになりますならば、これは保険に入らぬでも現実にはいいわけであります。それからまた、保険も、今日では、掛け金といえども相当多額な金額になるわけですし、それをある程度の問積み立てておけば、それをもとにして、いわゆる自家保険というものもできるわけでございます。ただ、その間に災害にあわないという保証がないということ、その保証のない期間を、何とか現実に保障をするというような形ができますならば、私は、問題はおのずから解決するのじゃなかろうかと思います。この保険というのは、計算上の問題もいろいろございまして、考え方だけでどうすればいいということは言えないと思いますが、都道府県とか、あるいは市とか、町村とか、それぞれ、現在一つの保険をやっておる。そういうものをある程度統合して、そして何年間かそれで保障をする、あとは自家保険をやっていくというような形でやっていったほうが、財政的には非常に有利になるのじゃないかと実は考えるのですが、どんなものでしょうか。
  165. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘の点、十分に検討を要する問題だと考える次第でございます。  ただ、現在の共済会の制度が、そういう部分について相当安心を与えている。また、この共済会に掛け金をかけるわけでございますけれども、これ自体が、たとえば消防施設の起債その他、地方団体全体としての公益のために使われている。そういうことを考えれば、この掛け金自体は、むだの金では決してないというふうに考えられますので、地方団体全体が共同して、こういう安心料と同時に、その集まった金が消防施設の起債その他に有効に使われる、この形は、十分存在理由はあるというか、続けていってしかるべきものではないかと考えております。  なお、御指摘の点も勘案して、今後どうあるべきか、さらに検討を続けさせていただきたいと思います。
  166. 折小野良一

    ○折小野委員 質問を終わります。
  167. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、明六月一日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五分散会