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1973-02-23 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月二十三日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君   理事 中山 利生君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 山本弥之助君 理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    高鳥  修君       保岡 興治君    渡辺 紘三君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       佐藤 敬治君    山田 芳治君       吉田 法晴君    多田 光雄君       三谷 秀治君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     江崎 真澄君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       丸山  昂君         警察庁刑事局長 関根 廣文君         警察庁刑事局保         安部長     斎藤 一郎君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         文部省管理局助         成課長     西崎 清久君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 岩佐キクイ君         建設省住宅局住         宅建設課長   滝沢  慧君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川新一郎君。
  3. 小川新一郎

    小川(新)委員 最初に、今回この委員会にお世話になりますので、よろしくお願いしたいと思います。  私はまだふなれな点がございますので、いろいろと質問に手違いやまた間違ったことがございましたら、御注意いただきたいと思います。  地方行政について大臣にお尋ねするわけでございますが、私は、第七十一回特別国会地方行政委員会における自治大臣国家公安委員長所信表明の中から一、二問お尋ねしたいと思います。  一ページの中ごろに、大臣は「国と地方とが同一基調のもとに、福祉優先立場に立脚して、地域社会における生活産業基盤調整、整備する等、臨機適切に事態に対処していくことが必要であると考えます。」と述べておられますが、「国と地方とが同一基調のもとに、」ということは、いまの地方自治体というものは、たいへん複雑多岐にわたりまして、住民運動や、また知事市長さんの中にも、革新系知事市長さんもたくさん出現しておりますが、そういう中に立って、七〇年代の地方自治というものは、非常に多角的かつ複雑な様相を呈してきておりますが、そういう政党イデオロギーを越えた、大臣と違った立場に立った自治を担当する首長さんたちの御意見、またそういったイデオロギーというものが、当然この地方行財政の中にもあらわれてくることは必然であります。そういう立場に立って、あなたが自民党一つイデオロギー、理念そういうものをお持ちになった立場に立って、大臣という立場に立って、「国と地方とが同一基調のもとに、」ということは、国が地方のそういった問題に合わせるのか、地方が国に合わせていくのか。たとえば公害問題に一例をあげますと、国の法律よりも東京都の条例が非常にきびしい。これは憲法の問題とか法律の問題で、国会予算委員会においても問題になりました。排出基準やその他の問題で、国の定めた基準よりも、地方の定めた条例やそういった法令によって処していくほうがきびしいという立場に立ったとき、あなたは、国と地方とが同一基調のもとに住民福祉生命、健康を守るために、あえてそういう立場に立脚していくのかどうか。まず、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  4. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要な点をついておられると思います。もともと、国の政治も、地方政治も、本来これは国民のため、地域住民ということばを使ってもよろしゅうございまするが、住民のためのものでなければならぬと思うのであります。したがいまして、住民が何を求めておるか、これが先決だと思います。したがいまして、国と地方とが同一基調に立って政治を推進するということは、国は国民支持を得た政府であり、地方は、いま御指摘のように、ときにイデオロギーの違う首長もあるわけですが、それは、住民自分たち首長として最も適任者であるという形で求めた首長でありまする以上、やはりこれは同じ一つのウエートを持っておる、大きいか小さいかではあるが、住民感情からいえば、同じような信頼のもとに選ばれた首長である、こういうことが言えると思います。いま、東京都の例として、たとえば公害基準が違うではないかということは間々あろうかと思います。これは、事務的に調整を要するものは事務的に調整をいたしまするし、また、政治的に配慮しなければならぬものは、やはり私どもがその方向を地方に求める。これはあくまで、押しつけるという形でなくて、地元住民に信頼された首長話し合い解決をしていくということで、ほぼ従来は目的を達してまいりましたし、合意を見るものは合意を見たわけであります。したがいまして、今後、多党化に伴いましてますますそういう現象は多くなると思いまするが、これは双方が住民のためによかれかしと思って行なうことでありまするから、話し合いをすれば一致点を見出すことはさして困難でない。やはりそれぞれ、住民のために、国民のためにと思いながらの話し合いでありまするから、誠意と時間をかけて話し合うことによって食い違いは調整をしていく、こういうつもりでおるわけでございます。
  5. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、立川基地の乗り入れとか、自衛隊の問題、こういう問題になりますと、確かにイデオロギーが全く違ってくる。防衛論争にまで発展してくる。そういうように、いま地方自治体が基地問題という問題をかかえたときに、地域住民が、ここに自衛隊が乗り込んできてもらっては困るということで、そういう請願や住民運動をして、そこの市長態度が表明されているときに、あえて夜間に乗り込んでみたり、そういうことは全く同一基調じゃないじゃないですか。こういう問題が出てくるがゆえに、私はあえてこの問題をいま取り上げたのでございますが、これは、国家公安委員長であり、自治大臣であるという立場に立って、地方自治体との間の板ばさみになって御苦慮なさるのじゃないかと思うのであえて私は聞いておりますが、こういった基地問題や、もっと大きな大所高所に立った国際問題や、日本防衛、外交、安保というような問題が地方自治体にからんでくるような問題になったときに、あなたのおっしゃっている、国と地方とが同一基調のもとにはたしてできるのだろうかという危惧感を持っておりますが、いかがでありますか。
  6. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これまた具体的な事例をあげて、非常に重要な点を御指摘になったわけでございます。もとより、地方政策と、それから国策遂行と、これが食い違う場合は当然あるわけであります。私、さっきも申し上げましたように、そういう場合にはやはり話し合いが大事だと思います。そういうことで何べんも話し合いの呼びかけを、あの場合でも、防衛庁長官及び関係者がいたしてまいったわけでありまするが、なかなか理解が得られなかった。しかし、時間の関係もありましょうからくどくどしい話は差し控えますが、結局、結論として、国策遂行してしまったという、そこに一つのギャップが市長及び住民感情との間にできたわけであります。私どもたまたまこの問題には関係しておったわけでありまするが、いっときは合意があったわけですね。地元の市議会からはよろしいという主張が出、それからまた、その後いろいろな条件が出て、話し合いが続けられて、いわば、条件闘争ではありませんが、条件提示のもとに、暗黙に駐留を認めるというような話し合い、そういうものも現実に行なわれたわけです。最後になって話し合いができなかった。そればかりか、市長のまわりにもいろいろな圧力団体等が取り巻いて、その自由を拘束するというような場面もまさにあったと思います。今日なお、そういう傾向が別な問題で続いておることは御承知のとおりでございます。それで、やはり話し合いが何といっても大事だということは、私、どんな場合でもこれは共通する点であろうというふうに思っております。そうかといって、じんぜん国策遂行が妨げられていいというものではありません。それじゃ、その話し合いを打ち切って国策遂行するのか。そういうわけにもいかないので、話し合いというものは、たとえば立川という御指定でありましたが、これも今後も続けていく。そして、地元住民の要請に国が極力こたえて、エキサイトした場面をできるだけ緩和するような最大努力をする。こういう心がまえが必要ではなかろうかというふうに思っております。
  7. 小川新一郎

    小川(新)委員 日本列島の問題にしてもそうですが、田中内閣は、パーセント支持率といって、二百数十議席、三百議席の上に国民の信託があるといっても、日本列島すべてを国民白紙委任をしたわけじゃないんですね。大臣のここにあらわれた「国と地方とが同一基調のもとに」、ということばは、一見しますと、まことに大臣は謙虚なように見えますが、私は、ここに重大な問題がからんでいるということをあえて指摘しているわけです。そして、そういった問題を「福祉優先立場に立脚して」、ということばで飾っておりますが、田中内閣姿勢というものが、高度経済成長産業優先企業第一主義ということで、日本列島の改造問題一つ取り上げても、われわれ野党はこれを福祉優先に切りかえろと言っています。これはすべての政治姿勢というものが違っている。そういうところに立っての同一基調ということでありますので、大臣は非常に御苦労なさるんではなかろうかという立場に立って、私はあえて指摘しているわけです。そういう話し合いという民主主義のルールに従ってこれからもやられるということであるならば、あえてこの問題は、これ以上言いませんが、御配慮していただかなければならぬ問題であります。  その次に大事なことは、「地域社会における生活産業基盤調整」ということばです。これは公害基本法第一条に「前項に規定する生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにするものとする。」ということばがあって、これは前公害国会で削除いたしましたが、そうしますと、「地域社会における生活産業基盤調整」というのは、ここで言っている「経済の健全な発展との調和」をはかるようにするという、あの公害基本法第一条の文句と全く似ているように思うのです。ただ「調整」と「調和」ということばの違いはあっても、「国と地方とが同一基調のもとに、」とする自由民主党の考え方である産業優先企業第一主義では、今回の公害問題にしても、土地問題にしても、すべての問題の基調となる問題が解決されないわけで、こういうところに、産業優先姿勢というものが打ち出されてきているということは、私は危惧を感ずるのですが、いかがですか。
  8. 江崎真澄

    江崎国務大臣 自民党及びその政府主張は、企業優先ではなくて、人間優先でございます。この点はひとつ念のために申し上げておきます。  日本経済を復興させてまいりまする段階において、経済発展のひずみとして公害問題等があらわれましたことは、御指摘のように、いかにも私どもも残念に思っております。これは捨ておけぬ大問題でありまするので、そこで、人間優先というたてまえから、お互いの生活環境がよくなるように、工業を再配置するとか、公害規制をきびしくするとかいう形で、その都市形態あるいは過密形態というものを調整していこうという意欲を示したものというふうにお受け取りを願いたいと思います。
  9. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、東京都の例をまた一つあげますが、田中さんは土地問題で、土地高度利用ということを言っております。そして、低層建築違反令という法律もつくろうと言っております。これは田中さんが記者会見のときにはっきり言っております。これは総理がいないからここで言うわけにいきませんが、東京のように平均一・七階ないし一・九階、二階であるものは、算術的な計算ですが、二十階にすれば、地価家賃に反映する価格は二十分の一になる、これは自由私有という考え方をみなごちゃごちゃにしているからこうなるんだといって、高度利用をはかると言っております。最近の東京都の考え方は逆ですね。御存じのとおわ、一種から三種までのきびしい都市計画高度利用制限を四月に打ち出すといっております。それは、一番ひどいところでは面積の二倍しか認めない。一種住宅専用地域高度制限地域においては、まるっきり反対のことを地方自治体が言い出してきた。それはなぜかというと、憲法基本の人権の問題である日照権の問題がいま多発してきたから、高層建築制限を行なうということを打ち出してきている。こういう中にあって、あなたは自治大臣として、また、田中内閣の閣僚の一人として、日本列島の重大な問題を担当する大臣として、地域社会の問題を担当する大臣として、こういう正反対な意見が出てきたという問題についてはどう対処していくのですか。これもまた、これでは、先ほど言った国と地方とが同一基調ということにはならぬ。
  10. 江崎真澄

    江崎国務大臣 田中総理主張は、私は、一つ見解を申し述べたものだ、総理としての一つ意見を申し述べたものだというふうに思っております。  この問題はいろいろな考え方がありまして、高層化して、高度利用して空閑地をつくり、小公園をつくったり、いろいろな施設をつくったり、住民福祉のための施設をつくる。これはやはり一つ考え方ですが、そうなるとまた、過密地帯調整して地方に工場を分散したり、事務所をつくらしたり、あるいは副都心、副々都心というようなものをつくって、バランスをとっていこうというものをこわすことになるのじゃないか、むしろ、過度に昼間の人口集中を好んで求めることになるのじゃないかと、当時、直ちにそういう反論があったことも私承知をいたしております。したがいまして、自民党としても、内閣としても、まだこれは正式の政策ということで決定をしておるわけではありません。したがって、美濃部知事一つ意見も、日照権というものを中心にそのあたりに出てきておりますが、フランスなどでは、私聞きまするところによると、日の当たらない側を住宅としては好む。事務所としても、直射日光がささない部屋を好む。そのほうが家賃がいささか高い。それはどういうことかというと、空調施設が完備しておるためと、そして照明も完備しておるというようなことでしょうが、要するに、時間によって明暗がきわ立つ部屋よりも、朝から夜まで一定の温度で、一定照明がなされる部屋のほうが好まれる。こういう傾向もあるということを聞いております。  したがいまして、これはいろいろな見方、見ようがあるわけですけれども政治家というのは、いろいろなアイデアやいろいろな政策についての試論を打ち出すことはいいと思います。そして、それが検討をされて、最後政策として決定をしておる。そこに、ほんとう住民が望み、国民が望む施策としてまとまってまいるわけでありまして、まあ、現時点で最終的にきめた政策ではありませんので、あくまで試論というふうに受け取っていただきたいと思います。  なお、いろいろ御卓見等があれば私も承りまして、そして、この田中構想なるものにいろいろ批判を加えたり、また、いいものはいいものとして認めるなりということで結論的なものを見出したい、こう考えます。
  11. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま大臣のおことばでございますが、一国の総理大臣記者会見というものは、そんな軽々なものではないのですね。これは各社のマスコミを前にして、施政方針を述べているわけです。でありますから、日本列島改造土地の発表があった時点において、地価が数倍に上がったことはお認めではありませんか。たとえば、志布志湾の開発むつ小川原開発、周防灘、またいろいろな地点を明かして、二十五万都市はここにする、あそこにするということを言ったために、先行投資がぐんぐん上がって、商社、法人の土地買い占めがいま問題になって、いま新しい法律規制しようとするところまで来たのではないですか。私は、大臣のおことばではございますが、いささかふに落ちません。  そこで政務次官にお尋ねいたしたいのですが、この考え方について私はまだ政務次官とは議論をしておりませんが、東京都の美濃部さんが、この四月からの高層建築制限令を打ち出している。これに対して、政務次官としての御見解を聞きたい。
  12. 武藤嘉文

    武藤政府委員 小川先生にお答えいたします。  私は政務次官でございまして、自治省の中で、大臣のもとに、いろいろ国政がうまくいくようにやらなければならない立場にございますから、大臣と私とが意見が全く違うということは、これはあり得ないことだと私は思います。  ただ、いま御指摘の点の日照権の問題では、いまフランスのお話が大臣からございましたけれども、確かにいろいろケースはあると思うのです。たとえばいま大臣のおっしゃるように、そういう日が当たらない所でもよろしいという人もあるでしょうし、あるいは、どうしても日が当たらなければ困るという人もあるでしょうし、あるいは、実際に日が当たる当たらないに関係のない場所も、私は、東京都の中にたくさんあると思います。ですから、東京都あるいは大都市日照権というものがあるから高層建築はいけないと、全部一がいに画一的には言えないんじゃないか。だから、その辺は、基準というものをきめる場合には、いま美濃部さんのおっしゃっているような形できめてしまうのがいいのか、あるいは逆に高層建築というものを非常に進めるのがいいのか、これはそれぞれの立場で、両方とも考え方は決して間違ってはいないと私は思うのです。そういう基準をきめたり、政令をきめたり、あるいは法律をきめていくときに、いろいろそういうことをよく調整をしながらこれからやっていこうというのがいま大臣のおっしゃった御意図じゃないかと思いますから、私もそういうことでやっていきたいと思っております。
  13. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと補足しましょうか。政務次官がいま言いましたように、結局これは平行線じゃないと私は思うのです。要するに、住宅地域には日照権、これはフランスの例を申し上げましたけれども、やっぱり日照権というものは尊重していいと私は思うのです。ですから、住宅地域には日照権を尊重しよう、これは、美濃部さんの主張も、やはり一つ主張としてりっぱなものだというふうに私は思います。ただ、市街地開発の、たとえばここから見渡せるような丸の内地域といったような地帯は極力高層建築にする。これは、田中総理記者会見意見もやはり卓見であるというふうに私は思います。そうして、そこに小公園を設けたり、また、昼間散策の場所を設けたり、ちょっとした簡単なスポーツくらいできるような小グラウンドなどを設ける。だから、市街地開発地域には、超高層にして極力緑のある空閑地を、そして住宅地には日照権を尊重して建物の制限をと、こう調整をすれば、まことに理想的な東京都に近づくわけですから、そういうふうにひとつやっていきたいと思います。
  14. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は建設委員会におりましたから、大臣のそのことばにはごまかされません。なぜかといったら、市街地開発法をここで議論すると、大臣の言っていることとは全然違うのです。市街地開発法というのは二つあって、住宅地域だって再開発はするのです。住宅街区、不良街区の造成法を廃止して、そして市街地開発法なるものができた。こんなところを幾ら再開発したって住宅問題の解決になりはしないのです。そうでしょう。この辺に住宅が来るんですか。ここに来るのは商業地域です。建築基準法ゾーニング御存じのとおり九種類あります。住宅地域一種、二種とあります。商業地域、準工業地域と分かれております。そのほかの再開発をやるのは、いま美濃部さんが言っているのは、住宅専用二種の地域において高層建築ができることは日照の問題ができるから、一種から三種の高層建築制限令を設けると言っているのです。私は、何もこんなところに住宅を建てろと言っているのではないのです。でありますから、田中さんの言っている山手線を見まして、平均一・九階、一・七階だという大ざっぱな議論からさらに進んで私が言いたいのは、こういった美濃部さんのきめこまかい住宅地域の、憲法基本であるところの、人間最大の要求である健康と生命を守る太陽の問題を大臣はどうとらまえているかということを、国の同一基調地方の同一基調という点に合わせて私はお尋ねしているのであって、再開発が云々じゃないのです。四月に美濃部さんはせっぱ詰まってこの問題を出すと言われていますから、副大臣の資格である政務次官の御意見大臣の御意見とが食い違ったら、これは大事な問題だからお聞きしたのです。おわかりになると思います。  そこで、これは専門家の方にお尋ねしますが、局長さんにお聞きしたいのですが、この問題は許可する考えがあるのかないのか。いまここでこまかい都市問題を議論してみてもしようがないのですが、こういった大事な問題にどういう態度で国としては臨むのか。もしも局長さんができなければ、大臣でけっこうですし、どなたでもけっこうでございますからお答えいただきたい。
  15. 江崎真澄

    江崎国務大臣 許可ということになりますと、御承知のように、建設省許可という形になると思います。したがいまして、いま私も申し上げておりまするように、住宅地域住宅地域として日照権を尊重する、それから、オフィス街オフィス街商店街商店街、それぞれ特質に合うような形で再開発をしていく、建築制限をする、こういうことが妥当だと思います。したがいまして、これは建設省だけにまかせる問題でもありませんし、自治省としても当然関連もあるわけですから、よく関係省庁話し合いをしまして、御趣旨の点がよく調整されるように今後も努力をしてまいりたいと思います。
  16. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題はこの程度にとどめておきます。これは非常に大事な問題で、ほんとう総理にお聞きして、総理大都市対策住宅問題、土地ゾーニング土地利用規制、また国土総合開発立場から聞かねばならぬ問題でございますが、大臣の御見解で非常に前向きにお取り組みくださることがわかりましたので、私は、この問題をあえてこれ以上追及いたしませんが、ひとつ十分御検討いただきたいと思います。  それから、最近起きております物価の問題でちょっとお尋ねいたしますが、土地は、御存じのとおり、日本列島改造計画ができてから二・数倍の値上がりで、六百七十何社の東京一部に上場されている会社が日本国土の一%も買い占めているという実態が、公明党や、また社会党さんその他の各政党や各団体等々から、銀行関係筋からもいろいろと警告が発せられております。それは大臣もお認めになると思うのですが、最近の物価問題で関心の多いこの土地や株、また、この間問題になりました大豆、木材などのほか、いま一番関心を払われているのは米の問題でございますが、米は国民基幹食糧であり、基幹物価の最たるものであります。この米が、万が一大豆のように買い占められたり、いろいろな問題が出てきますと、国民に重大な不安を巻き起こします。これは御存じのとおり、食管会計が改められて、一部自主流通米という機構の中で自由販売が認められてきた。全面的にこの食管会計法が撤廃されたわけではありませんが、そういう大事な問題の中で、まず、米の買い占めについて、最近問題が起きておりますモチ米。これは最近高度な値上がりをしております。また、政府は、輸入をしてこれを乗り切ると言われております。こういった問題がまず出ておりますが、大臣の御所見をまず聞いておきたいと思います。
  17. 江崎真澄

    江崎国務大臣 最近過剰流動性が非常に旺盛になりまして、これは大手商社とも限りませんが、日本の商社と称するものが、しにせ、新興を含めて非常に資金量を持つようになったわけでございます。多額の資金量を持っておる。そういうことから、何でも投機の対象になるならば買いあさるという傾向があることは、いかにもこれは憂慮にたえません。たまたま今朝の閣議においてもこれが問題になったのですが、これは厳重に措置しなければならぬのじゃないか。一番住宅の不足しておるときに木材が高騰する。土地は御指摘のとおり。その木材の次には大豆。そして、主食は、八〇%までは確実に農林省において確保しておるわけですね。ちゃんと食管法によって手持ち米があるわけでございまして、これに不安はごうまつもございません。これは農林大臣もはっきり申しておるところでありまするが、御指摘のモチ米が暴騰した。これは六十キロ、一俵というのですか、一俵一万一千円のものが、一万五千円出しても実際に入手できないというような形が一カ月ほど前顕著でありました。年末には一万三千五百円程度。これはやはりなおざりにできない問題だ。当然行政指導していただいて、そういうものが売り惜しみがあったり、また投機対象としての買いあさりがあったりということは厳に慎んでもらわなければならぬ。これは普通の商品と違います。たとえば油絵が値上がりした。日本画が値上がりした。これは一部の金持ち階級の趣味の上の問題ですから、これは幾ら値上がりをしようと、こういうことに政治が介入する必要はないと思いますが、かりそめにも国民の重要な生活必需物資、わけても米などというようなものが、買いだめがあったり、売り惜しみがあったり、また投機的な大手買いがあったりというようなことがあるならばゆゆしい問題であるということに着目をいたしまして——現在は、食管法はありまするが、物統令は、御承知のとおり米に適用されておりません。しかし、いろいろな情勢、うわさ等も入ってまいります。いわゆる無許可の業者が検査をしていない米を買いあさって歩く。これは必ずしも大手とは申しませんが、商社の手先的な形として行なっておるという情報がひんぴんと入ってまいります。そればかりか、特に関東地方などでは、非常に消費の多いあられといいますか、米菓の原料が底をついて、中小企業者は、それこそ、円の切り上げだ、ドルの切り下げだというような国際的な問題とは何らのかかわり合いもなく店を締めなければならぬ。こういう話も伝わってまいります。あるいは、もち米を材料にする大福屋さんといったような、日本人の庶民にはきわめてなつかしい菓子屋も閉店をしなければならぬ。そうでなければ、極端な値上げをしなければならぬ。アズキも高い、もち米も高いということになり、これは五割も、倍以上も上げなければならぬという情勢がありましたけれども、本来こういう問題は、通産省あるいは経企庁、もち米などは農林省、これが強力に行政指導を発揮されてしかるべきものと思っております。  しかし、警察側としても、食管法は厳に存在するのですから、先ほど触れましたような無許可の業者が、無検査の米を商社の手先になって買いあさるというようなことがかりそめにもありとしたら、これは大問題であるから、前は、物統令がありまするころは、警察にもその道のべテランが多数存在したわけでありまするが、今日この時代になりまするというと、米の問題というものはいささか専門的要素が多くなりまして、にわかに取り調べるといっても、これはわかりません。そこで、そういう実態に基づいて、どういうふうになっておるのか、十分調査するようにということを警察庁に私は命令をしたわけであります。現在、その流れがどうなっておるか、また、思惑買い、売り惜しみといった実情が事実どうなっておるかというようなことについて調査をしておるという段階でありまして、いまのお尋ねの点においてお答えできるものは、率直にその経過と現状を申し上げたわけであります。
  18. 小川新一郎

    小川(新)委員 国家公安委員長立場警察庁に指示を与えた、ひんぴんとしたそういうまぎらわしいうわさが入ってくる、情報が入ってくるということですが、そのうわさないし情報というのは、いまこの委員会では発表できませんか。
  19. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在実態の把握に努力しておるということでありまして、いまこういう事件があったりあれがあったりというような、一々についての御報告の具体的なものは私はまだ持っておりません。報告を受けておりませんが、まあ、昨年一年だけでも、食管法に基づく違反事件ということで百三十九件、百五十名を検挙いたしておるわけでありまして、これは、ずっと大体この程度の取り締まりは続いておるわけであります。  最近の具体的な事例をもし御必要であれば、そういうものについては申し上げられますが、御指摘の、商社が買い占めに動いておるということの実態については、いま実態把握を鋭意努力中という段階でございます。
  20. 小川新一郎

    小川(新)委員 江崎国家公安委員長立場で、二月十三日の閣議後の記者会見で、実態調査と警告をすると言っていますが、実態調査はいつ警察庁に指示したのか。それから、警告というのは、国家公安委員会を招集して、その結果に基づいて、国家公安委員長立場で何らかのかっこうで警告を発する。これは自由資本経済の中での重大なる国家権力の介入にとられる場合もあり得る。しかし、国民の重大な生活問題、また生命、財産に関連したときには、災害等が起きたときまたはこういった不穏な空気が起きたときには、国家公安委員長は、国家公安委員会を招集することができる。当然なことであります。まして、米の不安がある。いまのあなたの答弁では、もう、そういった事実を踏まえた上で警察当局に調査を指示したということでございますので、これはたいへんな問題でございますので、いつ、どういうかっこうで、どの産地の警察調査依頼をしたのか、また、実態把握の成果はいつあがってくるのか、この点についてお願いいたします。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 記者会見をいたしまするほぼ十日ぐらい前でしょうか、そういういろいろな情報が乱れ飛びますし、たとえば予算委員会においては、社会党の……どなたでしたか、社会党の方からも、そういった問題についての御指摘もありましたが、もとよりこれは、第一義的には行政指導でいくべきものです。しかし、主食の買いあさり——いかに無検査米とはいいながら、無検査米というのはやみ米ということですから、これを買いあさる。実情は、これを買うことによって、農協その他の農業団体等と将来の顔つなぎをしておいて、いろいろな高度な製品、カラーテレビでも何でもよろしゅうございますが、そういうものを売り込もうというギブ・アンド・テークの方式に基づく顧客の開桁というような意味もあるというふうに聞いておりますが、しかし、やみ米を無許可の者が買いあさるとか、また、ダミー、トンネル会社というようなものがあるということは、これはなおざりにできぬわけです。  しかし、いまにわかに取り締まるといいましても、先ほども触れましたように、米が物統令からはずれておりますと、やはり、その道のべテランというものがもうおりません。そこで、こういうものについて食糧庁、関係省庁と連絡をしながら十分調査をするように、実態を把握しておくように——大事に至ってからそれを研究するということでは及びませんので、大事に至る前に、まあ、もち米の高騰という程度のところで、警察として必要がある場合にはいつでも取り締まりに臨むことができるように準備をしなさいということを、官房長、関係局長等に申したということでありまして、いまにわかに国家公安委員会を開くとか、全国の警察本部長会議を開いて取り締まりに出るとかという大事にはまだ至っていないわけであります。したがいまして、ころばぬ先のつえと申しまするか、このねらいが国民の主食というあたりに移ってきたということは、これはうわさだけでも容易ならぬことでありますから、そこで、私ども、よく関係省庁と連絡をとって実態を把握しておくようにということで、まだ、その次の段階の命令は出していないというのが実情であります。  それから、さっき私ちょっとど忘れをしておりましたが、予算委員会の米の買い占め等についての発言は、社会党の中澤議員でございました。したがいまして、そういう議員の発言、それから巷間のうわさ、またいろいろな情報等々をもとにして、警察部内に注意喚起をした、こういうふうに受け取っていただきたい。
  22. 小川新一郎

    小川(新)委員 警察関係の方来ておられますか。公安委員長からそういう指示を受けたわけですが、実態はどうなんですか。
  23. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいま公安委員長からお答えがございましたように、この問題が論ぜられるようになってから、私、直接ではありませんが、私の上司を経て、委員長がそういう調査をするようにという御意向であることをまず聞きました。私のほうで、先ほど来お話があったように、最近はこういう関係の専門の人間が数少ないのでございまして、やはり事米の問題となれば、食糧庁がいまのところ担当行政官庁として一番詳しゅうございますので、さっそく食糧庁に事情を聞きました。これはたびたび聞いております。それから、役所だけではもう一つ突っ込んだ事情がわからないからということで、そういうことに詳しい方にも一部聞いてみております。その結果、かいつまんで申し上げますと、先ほど大臣もお話しになったように、米の場合、主食とそれから酒米と、お菓子の製造に使うもち米がございますが、もち米の需給がたいへん逼迫しておって、そしてこれについて、一部思惑的な売買が行なわれておる疑いがあるというように、要約すると申し上げることができるのでございます。そうして、先ほどお話しのように、食管法違反については従前とも私ども検挙しておりますが、もち米については、何のたれ兵衛がどういう人かということを明らかにして、それに該当するような違反があるかどうかということを調査しておりますが、具体的に申し上げるというようなものはございません。そういうことでございます。
  24. 小川新一郎

    小川(新)委員 おかしいじゃないですか。一年間に百五十何件も摘発があった。物価統制令をはずしたら、何で一体それを取り締まるのか。そういう点で、私、疑問がある。山形で起きた事件はどうなんですか。そういう事件だって、あなた、発表しようとしないじゃないですか。  それから、これはまとめて大臣に聞きますが、大臣立場に立ってでなくて、公安委員長立場で、食糧管理法第十三条に定める立ち入り調査権というものを発動できますが、これは何も公安委員長がどうのこうのという大げさなものではありません。現在あるところの食管法第十三条で立ち入り調査権が発動できる。あなたが一番はっきり疑問に思っていらっしゃる、うわさがあるところへ立ち入り調査ができるのです。これをやるお考えがありますか。
  25. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま申し上げましたように、実態把握をしておる最中であります。必要があればこれは立ち入り調査をしなければならぬと思いますが、現在は実態把握の最中、こういうわけです。そこで、でき得べくんば、農林省、あるいは商社の監督という立場であるならば通産省、通産大臣、こういうところで注意喚起をしてもらいたい、これは、私、閣議でも発言をしたわけです。通産大臣の話によりますると、やはり企業局長等々を通じてそれぞれ——これは米に限りませんで、生活必需物資とおぼしいものを買いだめしておる、思惑投機で買っておるというようなうわさないし傾向のあるようなところには厳重に注意をしておる、こういう報告を聞いております。したがいまして、でき得べくんばそういう形で事が処していかれることが望ましいわけです。ところが、たとえば最近の商品取引市場のように、閣議で田中総理が市場閉鎖もあり得ると言うと、商品価格が暴落をする。あくる日、どうもそのきめ手がなさそうだぞと言うと、また暴騰をする。これなどははなはだ遺憾なことでありまして、そういうことが繰り返し繰り返し行なわれるということであるならば、警察が手を入れる。これはもう最後場面だと思います。これは国民的不安があってはいけませんので、念のために申しておきますが、主食の八〇%はしっかり管理して、手持ち米を持っておるわけですから、主食に関しては何ら心配はない。その前の段階のもち米であるというところですね。しかし、もち米といっても、これを放置しますと、だんだん主食米にまでエスカレートする。いわば、米は二兆円商品であるなどと軽々にささやかれる時代でありまするだけに、いまから大事に備えて準備をする。これはやはり警察当局としては当然な責務であるというふうに私は考えておりますが、いま直ちに立ち入り調査までするということは考えておりません。
  26. 小川新一郎

    小川(新)委員 米とか野菜とかという農作物は天候に非常に支配されます。かつての例を見ても、豊作が続いてきたから来年も豊作だという保証は何らないわけです。昭和四十八年度産米をつくるにあたって、大不作に見舞われないという保証はないわけです。そのときに投機的な問題が起きるという危惧があなたにもおありだろうと思うから、私はあえて言っているのですが、現実の問題で、先ほど警察関係の方が、取り締まり件数が百数十件あったと言われた。これは一体何で取り締まってきたのか。道路公団法の取り締まりか何かで、物資を大量に輸送してつかまったのか。それとも食管会計法違反でつかまったのか。物価統制令違反なのか。いずれにしても、警察が年間百五十何件も違反摘発をやっている。こういう中でこの米の問題が起きておるので、いま大臣は、食糧管理法第十三条のあれは、いますぐにはやらないけれども調査の対象とはするということはお認めになっておりますから、私はその問題について再度お尋ねいたします。
  27. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 お答えいたします。  過去において、このお米の問題については、大臣からもお答えがあったように、たとえば資格のないものが未検査米を買ったりすると——それぞれ条文がいろいろございますけれども、食管法によって、一口に申し上げると、通常の手続を経ないで売買をした、あるいはちゃんとした検査をしておらないものを売り買いをしたというようなことが違反の対象になっておりまして、それには罰則がかかっております。したがって、物統令の価格の統制はございませんけれども、ルート違反の処罰がございます。こういうものについて、要するに食管会計の大もとを乱すような悪質な事犯、大口のブローカーが、山形の場合なんかも百四十以上、二千トンばかり、政府のいわゆる還流米——一ぺん政府で買い上げて小売り店へ行ったものを、もう一ぺん買い戻したというケースでございますが、そういうものを検挙しまして、食管法違反で立件しておるというのが、四十七年は百五十人ございます。毎年百件前後上がり下がりがございますが、そういうことをやっております。  先ほど来お答えしておるのは、大手商社がスペキュレーションとして、投機の対象として買い占めておるものがあるかどうかということが昨今の議論でございますが、遺憾ながら、そういうものについてまだ私どもの実態把握が行き届いておらないということをお答えしておるので、従前とも食管法違反があればやっておる。  それから、スペキュレーションは取り締まりの対象として、どうも物統令その他の適用がにわかに考えられないようでございますから、もし、事米に関する限り、大口買い占めがあって、無資格でルート違反の買い占めがあれば、やはり食管法違反が成り立つであろうというのが私どもの考えでございます。
  28. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、もっと大きな穴があるのです。そんな無資格業者の買い占めなんということを私は言っているんじゃないのです。資格のある業者が、知事許可を得て、大手業者の代行、ダミーとして買っておるじゃないですか。これはどうするのですか。これは摘発の対象にならないですよ。私はこれを一番心配しているから、大臣に何度も追及しておるわけです。大手商社が、県知事の認可を受けた集荷業者に買い付け代行の形で合法的に買い占めをさせたときには、どうやってこの米の問題を解決するのですか。だから、いまもち米が不足しておるんじゃないですか。その摘発が警察にできていないから、江崎国家公安委員長は心配なされて警告を発する、実態の調査を行なう、こういう段階に入ったんだから、私は、知事許可の問題では、食管法第十三条、これは何でもないですから適用して、合法的に商売のできる業者の買い占めの実態をすぐに調査をしてもらうことを大臣に要求いたします。
  29. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは非常に重要な問題だと思います。確かに、大手商社がその手持ちの資金量にものをいわせて、まず、酒米の代行買い付けを許可を受けておる商社との間に話し合ってやるとか、あるいは大手商社そのものがトンネル的な子会社を持っておるといういろいろな情報もありまするので、いま御指摘の点等については、的確にこれは調査をしてまいりたいと思います。  ただ問題なのは、少なくとも大手と名がつくしにせ商社は、もうかれば何でもいいというものじゃないと思うのです。これはやはり、それぞれの商社の道義心に立ち返って自粛をしてもらう。特に、通産省などからもきびしく警告を発してもらう。それから、立ち入り調査の問題は、これは農林省において立ち入り調査をし、そこに不法があればわれわれのほうが動く。こういう順序になってくると思うのでありまするが、たとえば大手商社等でも、今度決算が出ますね。決算表をめぐって国税庁が調査をする。一体何を売買対象にして、これだけの利潤をあげたか。これは合法的ですから、いろいろやり方はあろうかと思うのです。関係各省庁が横の連絡を緊密にしまして、かりそめにも国民生活必需物資を思惑の対象にする、スペキュレーションの対象にするなどということが絶滅されるような方途は講じていかなければならぬと思います。
  30. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたから、私これでやめますが、これは非常に重大な問題でありまして、商行為の不法介入という問題も出てまいりますので、これは大臣として軽々に処断ができないと思いますが、ただ、大臣がいまおっしゃった、大手商社が自分たちのプライドにかけて、そういう悪質なもうけはしないなんという見解は、そういうことを言われると、私、いささか反論したくなってしまうのです。それでは、あえて名前を言ってもいいです。たとえば西武にしたって、東急にしたって、また三井、三菱にしたって、日本土地買い占め十大ランクに出ているのは、全部東京の取引相場の一部に上場されている会社じゃありませんか。まして生糸も、今月、二月十七日の神戸、横浜両取引所の相場が史上初めて一万円台に乗せたほか、毛糸相場も二千八百六十四円、昨年二月に比べて二・五倍になる異常高騰を記録しております。いまの場合、生産国において、一部日本商社が、名前を言ってもよろしいですが、現地で買い占めて投機筋を刺激して、商品相場をつり上げて、現地から国際的にも日本商社に非難が殺到している。また、タイ国においては、日本の商品に対する不買同盟さえ起きております。こういうことがいろいろと報道され、あなたの耳にもいろいろなニュースが入っているから、警告も発する、先ほど言った調査を依頼するということになっておりますので、私は、いまの大臣のおことばは取り消していただかなければ承服できないのです。
  31. 江崎真澄

    江崎国務大臣 大手商社というものの自覚にまっている。これを期待するのは、日本の商人道というものには、明治以来、士魂商才といいまして、伝統があるのですよ。いま士魂商才はいずこに行ったか、まことに慨嘆にたえないわけでございまして、私は、この日本人すべてが、戦争に負けたからといって、日本人の美しい民族の魂まで失ったか、これを慨嘆しながら申し上げたわけでございまして、少なくとも大手と名のつく上場会社は、士魂商才の親戚ぐらいではあってもらいたい、こう思います。
  32. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、最後に申し上げますが、医者の医術は仁術であると言われていたのに、いまや算術であると言われている。これは議論すれば際限のないことですが、資本主義のひずみがいま出ております。この問題に対して、政府自民党はその体質の改善に懸命であることも私はわかりますが、そんな士魂商才などという明治以来のことばが通用するほど甘い社会じゃないことは、大臣が一番よく知っておられます。でありますから、私はあえてこの問題を提起しましたが、いまわが党が調査している米の実態調査がはっきりすれば、また次の委員会で、今度はその実態を明快に発表しながらお聞きすることができますが、残念ながら、その実態が、私どものほうでもまだよく調査ができておりませんし、軽々なことは私も申しませんが、きょうは前向きかつ慎重な大臣の答弁をいただきましたし、私もきょうは時間が許された範囲内でございますので、聞きたいことは、財政法等いろいろたくさんありますが、今回はこれで取り下げておきますが、どうかひとつ、これは士魂商才などというなまやさしい現代社会の実相でないということを大臣がよく御認識なされていただきたい。そしてまた、民主主義のルールに従って、当然許さるべきことと許されてならないこととございますから、その辺のところを混同して申しているのではございませんので、よく質問者の意図も御理解いただいて、私は、大臣に警告を発して質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  33. 江崎真澄

    江崎国務大臣 よくわかりました。
  34. 上村千一郎

    ○上村委員長 折小野良一君。
  35. 折小野良一

    ○折小野委員 自治大臣に御質問いたします。  大臣所信表明について、主として二、三の問題を御質問をいたしたいと思っております。  この所信表明の中で、過密過疎の問題について、これを同時に解消し、というふうに大臣は述べられております。過密過疎の同時解消という問題は、おそらくは、田中総理日本列島改造論から出てきておることばだろうというふうに考えるわけでございますが、自治大臣という立場におきまして、この問題をどういうふうに御認識になっておるのか。大臣の御見解をまずお伺いをいたしたいと思います。
  36. 江崎真澄

    江崎国務大臣 過密過疎の問題を同時解決をする。口で申しますることはきわめて簡単でありまするが、これは、国及び地方公共団体一体になりまして、百年の計というような心持ちで努力を傾注しなければならぬ大問題であろうというふうに考えます。現在の人口と産業大都市への流れを変えていく、これが第一だと思います。そして、国土の全域にわたって均衡のとれた発展をはかる必要があります。このためには、まず第一に大都市の再開発、二番目には、生活環境施設を中心とする、いわゆる社会資本の投資の拡大、三番目には、教育、文化施設の整備を進める、特に、交通、通信の全面的なネットワークの整備、工業の全国的な再配置、こういった問題をてこにして、現在地方の中核となる都市を中心として形成されておりまする広域社会生活圏の整備を積極的に進める。話は簡単でありまするが、これはなかなか容易ならぬことだと思います。  これらの施策は、冒頭申し上げましたように、やはり着実に地方中央一体になって進めていくことが大事でありまして、地方を健全な形で発展さしていく、育成していく。自治省としては、これが過密過疎の問題を解決する一番の早道であろうというふうに考えております。したがいまして、当面の問題としては、過疎地域あるいは人口急増の地域等につきましては、行政上、財政上特別の措置を講じていく。これが本年の予算化にも見られておるわけでありまするが、そういった協力体制を十分とり、指導してまいりたいと思っております。
  37. 折小野良一

    ○折小野委員 過密地域におきましていろいろな問題がある。これを解決していかなければならぬ。過疎地域においてもいろいろな問題がある。これも解消していかなければならない。こういう点からいきますと、大臣のお話はわかるのでございます。しかし、現在、過密過疎という問題が起こりましてすでに十数年を経過をいたしております。しかもなお今日、いわゆる端的な現象としての人口の流れ、これは変わっていないのでありまして、過密過疎というのはますます深刻になっていきつつある。こういうような情勢でございますので、過密地域に対する対策あるいは過疎地域に対する対策、それ以外に、いわゆる過密と過疎を解消するための根本的な対策、こういうものがやはり基本的になければならないのじゃないかというふうに考えるわけですが、大臣、いかがお考えですか。
  38. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まきにそのとおりでありまして、その一々の施策についていま申し上げたわけであります。  それからまた、いろいろ議論はありましても、やはり大きくは、田中首相が申しておりまするように、日本列島を改造する、東京、大阪、名古屋という、旧来から三大都市といわれたその五十キロ圏、わずか国土の一%の地域に三千三百万人という三二%の人口が集中しておる、そこの中に工業生産設備が七五%も存在をする、こういう過密が今日の過疎を生むことにもなったわけでございますから、工業再配置の問題、それから狭い国土を広くどう利用していくかということ、これがやはり日本列島改造というキャッチフレーズになってあらわれたわけでありまするが、こういう問題を、住民感情を十分参酌しながらきめこまかに推進していくことが今後のこの問題解決の要諦であろうかというふうに考えております。
  39. 折小野良一

    ○折小野委員 過密過疎の問題は、今日まですでに長い間の問題でございます。そして、そのための対策というものもいろいろととられてまいりました。さっきも申し上げましたように、しかしその効果は今日までほとんどあがっていないということでございます。こういうような点からいたしますと、やはりこれを解消するためのいわば抜本的な対策、こういうものにもっともっと力を入れていく、こういうことがなければ今日の過密過疎の問題の根本的な解決にはならないんじゃないかというふうに考えます。過密地域、たとえばこの東京、これは過密で非常に困っておる。ですから、これに対するいろいろな対策を講じていく。これはそのことについては大切なことだというふうに考えます。しかし、それによって大都市が、過密地域が、より住環境がよくなっていくということになりますと、それなら、基本的に過密過疎の問題は解決できるのかということになってまいります。ですから、この解消というのをどういう形にいま求めておるのかということが一番問題だと思いますが、いま、人口の流動化が起こって、過密過疎の問題がいろいろ出てくるようになった。前の状態に返すのが過密過疎の解消なのか、あるいは、もっと違った立場において過密過疎の根本的な解消というのがはかれるのか、その辺をはっきりさしておくということはやはり必要なことではなかろうかと思いますが大臣、いかがお考えですか。
  40. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点、全く同感であります。したがいまして、地方にお互い住まいまして、ある程度生活環境が満足できる、何も大都会に集中しなくても働く場所もある、そういった中核都市の建設というようなことなどを含めまして、やはりバランスのとれたものに国土全体をしていく。これは、私が冒頭に申し上げましたように、口で申しましても、言うことは簡単ですが、国と地方とが一体になってやらなければ全く達成することのできない大問題だと思います。十分熱意を燃やして、それの実現に努力したいと考えます。
  41. 折小野良一

    ○折小野委員 過密過疎の問題もいろいろと変わってまいっております。確かに、大臣のおっしゃるように、地方中核都市のてこ入れ等も一つの方策でございましょう。そしてまた、過去におきましては、新産都市とか、そういうものに力を入れるということによって地方拠点都市をつくる、こういうようなこともなされてまいっておる。そして、それが全部むだであったとは私は考えておりません。  しかしながら、そういう流れの中で現在起こっておりますことは、今度はもう一つ違った形の過密過疎というものが出てまいっておるということであります。私の郷里は宮崎県なんですが、宮崎県は大体が過疎の県でございますが、最近人口の減少が少し鈍化してきたといわれております。といいますことは、過密過疎の解消がある程度軌道に乗ってきた、効果をあげてきたというふうにも言えるのでございますが、しかし、実態を見てみますと、同じ県内におきまして、大臣のさっきおっしゃった中核都市、そういうような都市の人口はある程度ふえておりますが、その他の農山村地帯の人口は急減をしておるという実態があらわれておるわけでございます。したがって、宮崎県の実態からいたしますと、全体的な人口は多少ふえてきた、しかし、その中でほんとうにふえているのは二、三の都市でございます。あと数十市町村というのは軒並みに減ってきておる。しかも、その減り方が、奥地の山村地帯になりますと非常に急激な減り方を示してきておる。こういうような実態でございます。  こういうような実態を十分考えて、きめのこまかい施策を講じていくということが非常に大切なことだというふうに考えるわけでして、そういう点から、特に抜本的な対策は何か。ここにもいろいろと対策は述べられておりますし、私どもある程度承知はいたしておりますが、ほんとうに抜本的な対策は何なのかという面からいたしますと、政府の施策の中にもこれぞというものが見えないというふうに感ずるわけでございますが、そういう点、大臣としてはどういうふうに今後お考えか、また施策を講じていこうというふうにされておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  42. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お話しのように、きわめて重要な問題でありまするので、私どももきめこまかく施策をすると同時に、思い切って助成の方途を講したり、奨励をするものはするということで、予算的な裏づけもして、地方の希望にこたえるということも大切なことだと思います。  いま宮崎の実例を承ることができましたが、実は、私も、先般、名古屋大学のある教授といろいろ話し合いをしてみましたところが、その人がたまたま就職担当の教授であったわけですが、従来は東京及び大阪といったようなところの一流商社の本社に受験する者が非常に多かった。ところが、最近は、これは顕著な傾向だということを強調しながら申しておりましたのには、名古屋の商社につとめたい、それであまり転々しない会社が望ましいという希望が非常に強くなったと申しております。私、これは重要な話だと思いましたので、突っ込んで聞いてみたのですが、地方の大学においては、東京に職を求めるということよりも、家から通える職場を求める、この傾向が大学新卒者の中にはおしなべて多いということを確認したわけでございます。それで、文部大臣にも、もう少し統計的にデータとして聞くことはできないかということを、この間私はお願いしておいたところでありまするが、これなども、先ほど折小野委員指摘されました宮崎の現実にやや似通った一つ傾向ではないかと思い、喜ばしい傾向のように思っておるわけですが、十分注視をして、そういう形が理想的に行なわれ、また、そういう希望を持った者たちが失望をしないように対処していくということが私ども自治省としての役割りじゃないかというように考えておる次第でございます。
  43. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣所信表明の中に、過疎地域に対する対策といたしまして、過疎地域対策緊急措置法の趣旨にのっとっていろいろな措置を講じていこうということばがありますが、これは非常にけっこうなことでございます。しかし、これは立法の当初から考えられておったことでございますが、過疎地域のいわゆる対症療法でございます。これだけで根本的な対策というものができるはずのものではないわけでございます。したがって、根本的には、ここにも掲げられております「実効ある施策」というものがほんとうに行なわれまして、そして、ほんとうの意味の過疎地域の抜本的な振興を推進する、こういうことが必要かというふうに考えます。そういう点で、私はこう考えます。最近の都市は、ただ人口の大きい小さいの差はありましても、ほとんど同じような町になってしまったんではないか。そうなりますと、多くの人は、結局、人口の多いところのほうがいい、多いことはいいことだというような形で、人口の多いところにさらに集中をいたします。昔は、むしろ各都市にそれぞれの特色を持っておりました。ところが、最近は、そういう特色というものがなくなりました。東京に銀座があれば、どこの地方都市にも銀座があるというような形でございます。そしてまた、現在、大学と申しますと、各県に国立大学がありまして、いわゆる駅弁大学というような名前で呼ばれるような大学がございます。したがって、今後の都市づくりという面において最も大切なことは、それぞれの地域の特色を生かすということ、そういう面に施策の重点を置いていくということがきわめて大切なことじゃないか。ところが、今日までの施策は、見ておりますと、むしろその特色をなくするような方向にしか施策が進められていっていない、こういうふうに感ずるわけでございます。こういうような点について、大臣の、今後の各地方自治体を御指導になる立場からのお考えをひとつ聞きたいと思います。
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘のように、全く特色がなくなるということはいかにも残念なことだと思います。山梨県へ行っても、みやげものは同じものしか売ってない。山梨県へ行って、旅館の夕食にはさしみが出る。こういうところにあらわれておるように、地方の特色というものも全く最近失われております。それが郷土愛というものが薄れることにもつながっておるというふうに私は思います。御指摘の点はきわめて重要であります。  過疎地域についてのいろいろな対策は、折小野議員御承知のとおり、いろいろ処置をしておりますが、今後も、過疎地域の自主財源というものが何とかしてもたらされるような方途を講ずると同時に、地方交付税等においてもきめこまかにめんどうを見まして、そして、この過疎地域が成り立っていくと同時に、そこに美しいそこの特色、なつかしまれる、親しまれる特色というものが残るように、十分努力をしてまいりたいと思います。
  45. 折小野良一

    ○折小野委員 これは過疎地域に限らないわけでございますが、いろいろな施策が講ぜられておることはたいへんけっこうなことでございます。しかし、その施策のやり方が、いろいろな立場で、こういうものをやったらこういうような補助金をいたしますよ、こういう形でやられるわけでございます。そうしますと、地元としましては、それに乗るために、特別地元で希望しなくとも、あるいはそれが地元で有効な働きがあるとは考えられなくとも、その仕事をやっていって補助金をもらう、そういうような形で、金の使われ方も地域の実態に即しないし、また実効もあがらない、そういうような形でいろいろな施策が行なわれている。こういう面が非常に多い気がいたします。したがって、過疎地域に対する対策におきましても、むしろ、それぞれの地域に即した発展策というものがほんとうに一生懸命にやれるような十分なバックアップをしてやる、そのためには、向こうからの計画を聞いてやる、そして、必要な事業については十分な資金を与えて、そういうようなことによって、それぞれの地域ほんとうに立ち上がれるような対策を進めていく、そういうことが非常に大切なことじゃなかろうかと思います。政府のいろいろな施策も、決して悪いとは申すわけじゃございませんが、あまりにも中央の立場地方を縛りつけて、そのワク内でしか認めてやらない。こういうような形のやり方が自主的な発展というものを阻害をしていく、そしてまたそれが、全国に同じような市町村というものをつくっていくような原因になっておる、こういうふうに考えるわけでございます。これは自治省だけの関係じゃございませんが、自治大臣が、そういう立場において各省のいろいろな施策を御調整をいただけるとたいへんありがたいことだと思います。
  46. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘のように、この過疎地域の要望というものは多岐にわたりまするが、道路、交通、施設、特に道路、それから小中学校の統合、医療施設、上水道、福祉施設、こういったものが当面非常に強く要請されておるわけでありまするが、財政事情が悪くてどうにもならない。全く同情すべきものが多うございます。そこで、ことしは相当これに予算措置はしたわけでございまして、たとえば小中学校の校舎あるいは屋内運動場、保育所の新築とか、改築にかかわる国庫の負担率を引き上げたわけでございます。これも過疎地域に対する一つの理解を示したというふうに受け取っていただきたいものだと思います。それから、都道府県による基幹道路の代行整備がなされております。それから、過疎債、辺地債の充当、元利償還金を基準財政需要額へ算入するという措置もとっておりまするが、特に、先ほど申し上げましたように、地方交付税の配分などを通じまして、こういった入り用の財源が十分補てんされまするように、将来とも国庫補助金の増額について一そう留意をしまして、それぞれ地方の特色が美しく残されていくということに配慮したいと思います。
  47. 折小野良一

    ○折小野委員 ひとつ、そういう面はよろしくお願いいたします。  ただ、さっき私が申し上げました「実効ある施策」というのは、現実にはこういうような問題なんであります。過疎地域におきまして、たくさんの人が都会へ出てまいります。その中には、もう永久に都会に出ていってしまう、家も屋敷も引き払って出ていくという者もございますが、また同時に、いわゆる出かせぎというものもあるわけでございます。出かせぎに行く人たち考え方、これはもうきわめて単純なんです。過疎地域においていろいろな仕事があったにしましても、一日にせいぜい二千円か三千円台、ところが、都会に行ったら、それが五千円、六千円取れる、だからどうしたって都会へ行ってかせいでこなければ何ともならないんだ、こういうことでございます。やはりこういうところに一番根本的な問題があるわけでございまして、そういうような面の施策というものがたいへん大切なことになってまいります。これは自治省だけでできる問題ではもちろんございませんが、そういう意味における抜本的な施策をあわせ考えながら、対症的な問題もいろいろやっていかなければならない。私はこういうふうに考えるわけでございます。  ところで、次に、土地問題についてちょっとお伺いをいたします。  大臣所信表明の中で、「土地の先買い制度の拡充及び地方開発公社の活用について検討を加えております」というようなことがございます。地方開発公社は、当初、自治体におきまして自主的にできてまいったものでございまして、それができた当初は、自治省といたしましては、土地開発公社なんというのはあまり望ましいものではない、むしろこれを押える、このような意向が強かったというふうに考えております。今日、地方開発公社の活用ということを自治省のほうで積極的にお考えになっておるという点につきまして、これに対する評価をどういうふうにお変えになったか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  48. 江崎真澄

    江崎国務大臣 土地開発公社につきましては、公共用地の先行取得ということを中心に進めてまいったわけでありますが、特に今回、この住宅不足をどう解消するかという点に焦点を当てまして、それぞれの市町村——東京都下の場合は、首長にそれぞれものを申しましても事実上買い付けが困難であるという脾肉の嘆をかこつわけでありますが、他の府県におきましては、まだまだ市町村の公社が買い付けをする余地があるのじゃないか。そこで、同じ公共用地と申しましても、先ごろ自治省が、ぜひ開発公社を設立し、これが推進をされたいという指令を出したわけでありますが、その中心は宅地で、その宅地の不足の実情に一番詳しいのは市町村なわけでありますから、とりあえず、まずその市町村がそれぞれ必要に応じて宅地に網をかぶせてしまう、買い付けをする、その買い付けについてはできるだけ資金のめんどうも見ましょう、こういう態度で臨んでおるわけでありまして、土地開発公社等は今後とも発展をしていくことを非常に強く望んでおるわけであります。  もとより、自治省がこれを軽んじたということは私聞いておりませんが、今後ともそういうことのないように、むしろ土地開発公社を発足させるように、また発足しておるところは充実強化をするように、こういう期待で地方に指図をしておるような次第でございます。
  49. 折小野良一

    ○折小野委員 土地問題に関連いたしまして、従来、自治省のほうで土地基金制度というものをつくって、たしか三カ年だったと思いますが、実施されました。しかし、それはその後やめられたのですが、これをおやめになった理由、あるいは、三カ年間土地基金制度というものをやってきた功罪、そういうものについておわかりの点をお知らせいただきたいと思います。
  50. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 土地開発基金につきましては、昭和四十六年度まで、御案内のとおり、普通交付税の算定におきまして、基準財政需要額に積み込んでまいりました。四十五年度が都道府県、大都市、それから四十六年度が市町村にもっぱら重点を置いてまいりまして、現在までの時点におきまして、土地開発基金を積み立てておりますのは、県が、東京、神奈川を除きまして四十四道府県でございまして、四十七年五月一日現在で大体千百三十二億円積み上がっております。また、市町村は二千三百五十団体でございまして、千五百三十九億円積み上がっておるわけでございます。合計で二千六百七十一億円ということでございますが、四十七年度、四十八年度これを積み立てるのを停止いたしております。やめたわけじゃございませんで、実は停止をいたしておるわけでございます。  その停止をした理由といたしましては、ほかでもございませんが、四十七年度当初一兆円、最終的には八千億という巨額な財源不足を生ずる。こういう事態のもとでございまして、普通交付税の配分上、基準財政需要額に従来どおりの開発基金を積み込む余裕というものは全くない。同様な事態が実は四十八年度でもあるわけでございますが、他方におきまして、土地開発基金は二千六百七十一億円まで積み上がってきておりまして、これが運用の状況を見ておりますと、土地買いに直接出ておるというより、土地開発公社等の貸し付け金というものに回っておる、こういう面もございます。他方におきまして土地先行取得債、こういった起債ワクの拡大等もございますので、土地開発基金の積み立て並びに運用の現状からいたしまして、かたがた地方財政の苦しいときでもございますので、この積み立てを停止いたしておるということでございまして、将来財源に余裕を生じた段階におきましては、またその運用の状況によりまして積み増しを考えてまいりたい、こういうことでございます。
  51. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、今日、土地対策というのは非常に重要な時期になってまいっております。したがって、政府といたしましてもいろいろな方策を講ぜられておるわけでございまして、大臣所信表明の中にも大きくこれをうたっております。この中で、特に本年度固定資産税に関連をいたしまして、税の面からの土地対策というのがいろいろとられてまいっておるわけでございます。  こういう問題に関連をいたしまして考えますのに、従来は、税をゆるやかにして、できるだけ土地の供給を促進させようという政策でございました。ところが、今回は、税をきつくして出させよう、いわゆるいぶり出しですか、そういうような考え方に変わってまいっております。はたしてどちらの政策がいいのか、あるいは、いずれの政策をとるにいたしましても、土地政策上有効な政策というものはどういうふうになければならないか、こういう問題は非常にむずかしい問題だというふうに考えます。私は、税制だけの土地対策というものは決して成功しない、前回、税をゆるめることによってやった方法もいろいろと問題が出てきた、今回、税をきびしくすることによって対策を講じようとするが、これもまた必ず失敗するであろう、こういうふうに考えます。  この点から、税法だけでなしに、ほかの対策と関連させてやっていく。こういう点について大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  52. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まさにそのとおりでございまして、前回は、税法を緩和することによって住宅地の供給が簡単にできるかということでああいう措置をとったわけでありますが、これが投機対象になり、思惑の対象になるというようなことになって、今度は、土地の譲渡税と特別土地保有税を組み合わせることによって投機を抑制し、また土地の供給を容易ならしめようという形で、新たに方向転換をしたというのが実情であります。税金だけで土地政策を論ずるのはもとより不備があると私どもも痛感いたしております。  そこで、当面の施策としていろいろ検討をいたしておるわけでありますが、先ごろ各関係省庁の間で検討をいたしました、いわゆる地価対策閣僚協議会等々を踏まえ、事務当局の協議という形になってあらわれましたのが、都道府県ごとに土地利用の基本計画をまずつくってもらうということ。それから二番目には、一定規模以上の土地取引には届け出制の義務をつけていく。三番目には、それが不適当と思われる場合には中止勧告ができるようにする。それからまた、開発の直接行為に対しましてもいろいろ指導監督をしてその規制を強めていくというようなことが考えられておるわけであります。これなどを実行しましても、それじゃ必ずしも期待に沿えるかというと、なかなかむずかしい点が多かろうと思いますが、まあ、一歩でも二歩でも前進をさせていく。小田原評定に終わらせないように一つずつ対処していくという形で、いま政府として、これは関係各省庁が連絡を密にしまして全力をあげておるというのが実情でございます。
  53. 折小野良一

    ○折小野委員 この点につきましては、できるだけ早い機会にいろいろの対策を講じていただいて、今日の土地政策というものを十分に効果あらしめていただくということは非常に大切なことだと思います。  そこで大臣、この所信表明の中でもおっしゃっておるのですが、「土地の先買い制度の拡充」ということでございます。こういうものをもっともっと大幅にやっていくということになりますならば、ある程度の問題の解決というものはできていくんじゃなかろうかということを私は感ずるわけでございます。たとえば、農地の宅地並み課税の問題が今度の国会で論議の一つの的になるであろうと考えますが、それをやったにいたしましても、大都会の中における農地がはたして今後どういうふうに利用されるのか、あるいはどういうふうな取引の中に動いていくのか、こういうような面につきましては、なかなか問題があると私どもは考えております。したがって、これだけで問題の解決はとうていできないわけでございまして、もし、そのような農地を全部地方公共団体が先買いをするということにいたしまして、そして、地方公共団体の計画によってそれぞれの土地の利用を考えていくというようなことがもしできますならば、これは土地対策におきまして一つの大きな前進じゃなかろうかというふうに考えます。私の経験からいたしますと、たとえばスウェーデンのストックホルムにおきましては、約八〇%の土地が公有地であるということでございまして、これによりまして、都市計画あるいは地価の抑制が今日自由に行なわれ、またそういうような問題が今日起こり得ないというような実態を私ども聞いておるわけでございますが、そういう面からいたしましても、この土地の先買い制度をもっともっと拡充をいたしまして、そうしてその効果をあげていくということはなかなか一朝一夕にできる問題ではないとしても、非常に大切な方向ではないのかというふうに考えております。こういうような面につきまして、自治省として御検討になる御意思はありますかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  54. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要な要素を含んでおります。先ほども申し上げましたように、土地開発公社を地方公共団体で設立するように引き続き強く指導しておるのも、土地先買いのための機関を早く設けるように、こういうわけであります。したがいまして、先行取得債を充実する、それから公営企業金融公庫の融資ワクを拡大する、これはもうもとより措置しなければならぬ大事な問題だと思います。ところが、口で言いましても、実際地方債のワクはきめておりまするので、地方は縁故債にたよらざるを得ぬと思います。農協資金を使おうと思えば、御承知のように、金利がこれはまた並みはずれて高うございます。そこで、いま御指摘の面で考えられますのは、こういう土地の先買いのために地方の公社が先行取得をする、この場面で利子の補給はできないものか、縁故債を求めたものについては何とかして利子の補給を考えるべきであるということで、目下大蔵大臣とこれは強く折衝をしておるような段階でございます。
  55. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、土地対策につきましては、当面緊急の課題でもございますし、実効ある政策が行なわれることを心から期待をいたします。  次いで、広域市町村圏の問題が大臣所信表明の中に出てまいるわけでございますが、現在の情勢からいたしまして、広域市町村圏の機能というものをもっと有機的なものにして、その成果をあげたいという御趣旨はわかるのでございますが、いずれにいたしましても、その効果を最も大きく発揮できるようにするために、すなわち地域の一体化をはかるということになってまいりますと、これは必然的に合併ということを目標にしなければならないというふうに考えております。自治省におきましても、ある時期においては合併を推進する、ある時期におきましては別にそれを推進しない、と、いろいろな段階が今日まであったわけでございますが、将来再び市町村の合併を推進しようというようなお考えが自治省のほうでありますかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  56. 江崎真澄

    江崎国務大臣 社会、経済事情の著しい変貌に伴いまして、地方公共団体の要請も多岐にわたるわけでございます。これを一々解決していきます上には、やはり、一市一町では事を処理し得ないという問題が非常に多いわけでございまして、これは地方の自発的な発意に基づいて広域市町村圏の問題が持ち上がってきたことは御存じのとおりであります。ところが、いま御指摘になりますように、次の市町村合併、大都市というようなものを気がまえておるのではないかという疑問が先回の国会でも出てまいりまして、法案は足踏みをしたというような実情についても、私報告を受けております。そこで、仕事を第一に処理していく、いろいろな共通の問題を解決するということで目的が達成されるならば、地域住民やその市町村長をはじめ、議会が好まない合併などというものは現実にできるものでありませんが、そういう杞憂といいますか、そういうことが心配される形であってはならない。あくまで地方の市町村の施設の共同利用、共同建設という目的が達成されることを第一義として処理していく。あとの心配の点は、反対という形であらわれてくるものがあるならば、そういうことは一切ないということをはっきり言明して、むしろ地域の期待にこたえるべきではないかというふうに私就任以来指図をしておるような次第でございます。
  57. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣、少し誤解しておられるようですが、私は、別に合併反対じゃありません。それぞれの地域の実態に応じて、合併をすべきところは合併を進めるべきだと思います。そしてまた、合併をすべきでない無理な市町村の連合と申しますか、そういうものはまたそれぞれの地域地方自治の本旨というものに反している、こういうふうに考えます。したがってこういう問題につきましては、やはりそれぞれの地域の自主性というものを尊重してやっていくべきであると考えますし、したがって、自治省が一律に合併をしなさい、あるいは広域市町村圏をぜひつくりなさい、こういうようなことでいろいろな施策をあまりに強制するということはいかがかというふうに考えます。こういうものの運営につきましては、できるだけ地域の実態に即し、そしてまた地域住民の意思を尊重してやっていくということが最も必要なことではなかろうか、こういうふうに思いますので申し上げたわけでございます。
  58. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その点は全く同感であります。  それから、私が先ほど申し上げましたのは、この広域市町村圏をめぐって市町村合併を自治省が策するのではないかという議論が出たことによって、そういう意思はありませんということを強調しながら申し上げたわけであります。もとより、地元住民が合併を促進したいという意思がある場合に、これを妨げるなどということはあり得るものでもありませんし、地元住民の意思を尊重して合併をするにしろしないにしろ、地方公共団体が健全に育っていくことが私どもとしては望ましいわけでございます。いま御指摘のように、自発的に広域市町村圏を望んで、そして共通の施設ができ、住民の諸設備が完備して満足する状況がもたらされる、こういうことを望むわけでございます。  それから、第二の市町村合併を策しておるかどうかという点については、第二の市町村合併を、自治省として、計画的にいま直ちに実行しようというものは持ち合わせておりません。
  59. 折小野良一

    ○折小野委員 もう時間がまいりましたので、最後一つだけお伺いをしてやめます。  自治法によりまして、それぞれの地方の議会は意見書を出すことができるということになっております。現実の問題として、意見書が出てくるのは、多く、政府に対してこういうようなことをやってもらいたいとかというような形で意見書を出されるわけでございますが、現実にこの制度の運用はほとんど実効をあげていない。そしてまた、地方団体自身も意見書を議決して政府に送ったといったって、また例のとおりに、出しっぱなしであと何も連絡もなければやってくれるものでもないというような気持ちがびまんをしております。せっかくある制度でございますから、もっともっとこういうものは大切にしく政府のほうでも親切にこれに対して回答をするとか、あるいは施策を講ずるとか、そういうものがなければいけないんじゃないかというふうに考えますが、こういう点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  60. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点、きわめて重要な問題だと思います。意見書は、自治省の運営の面において——いまも私に行政局長がささやきに参りましたのは、十分参酌いたしておりますということを言いに来たわけでございますが、私、率直に申し上げますと、実は私も、自治大臣に新任して間がないわけでありまするが、この意見書であるとか、あるいは野党からの御要請であるとか、そういうものは極力目を通すようにしておるわけですが、そういうことで、いまわれわれと違った立場の方々が何を一番考えておられるのか、それから地方の市町村は何を意図し、何を要望しておるのかということがごく端的に要領よくまとめてありまするし、特に、市町村の意見書などには、私はわざわざこれはぼくに見せろということで、秘書官にも命令しまして、一々目を通しておるわけでございますが、それは私自身にも、私の不勉強にもよりましょうが、非常に役に立つというふうに思っておりまするので、今後とも、そういったものが、ただ風が通り抜けるというような、いまお話しにありましたような軽いものにならないように、参考になって、それが事実地方自治行政の上に生きる、中央に対する一つの強い要請があるという形に反映することを、これは努力してまいりたいと思います。  私、率直に言って同感でございます。これはよく生かして、要請にこたえたいと思います。
  61. 折小野良一

    ○折小野委員 自治大臣の勉強になるだけでは困るのですが、意見書というものを通じまして、地方自治体がどういうふうに考えているか、あるいはどういう問題でいま悩んでいるか、そういう面を的確に受け取っていただきまして、これに対する適切な施策を講じていただくことをお願いいたします。  時間も参りましたので、これで終わります。
  62. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後再開いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後二時五十七分開議
  63. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。山本弥之助君。
  64. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 昨日林委員から、ほとんど一時間にわたりまして熱心に質問があったわけでありますが、私もまず、変動相場制移行に伴いまして、さきに閣議決定になりました地方財政計画、これにどういうふうな影響があるかということについてお聞きしたいと思います。  すでに、府県にいたしましても、市町村にいたしましても、本年度の予算編成を終わったところもありましょうし、また、これから編成にかかるところもあろうかと思うわけであります。大体、財政計画を基準といたしまして、それぞれ編成をほとんど終わるのではないか、かように思うわけであります。それで、こういう変動制移行、これは実質的には早晩固定相場になろうと思うのでありますが、実は切り上げになることはもう必至なわけなんですが、そういう為替相場の変動制移行による影響ということは、おそらく、過般閣議決定になっております財政計画には盛り込んでいないのではないか、かように考えますので、この影響並びに対策といいますか、これは十分な御答弁をいただけなかったのですけれども大臣のお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
  65. 江崎真澄

    江崎国務大臣 国内経済の影響につきましては、ないといえば、これは間違いになると私は思います。あるものと考えなければなりません。あるという前提に立ちますから、昨日林委員の御質問にもお答えいたしましたように、国税庁とも相談をいたしまして、中小企業の事業税、法人住民税、これらの延納の場合も想定をして、その対処方について通達を出したわけであります。あるいはまた、仮決算といいますが、中間決算をして、先行きの見通しを提示して相談に乗るという措置をとりあえずとったわけでございます。しかし、現在の地方財政計画に、今日ただいまの段階でどういう形になって影響があらわれるか、こうお尋ねになられますとすれば、私どもとしては、非常に見通しがむずかしゅうございますと、こう答えざるを得ないわけでございます。  このフロート制がいつまで続きまするか、私も首相に直接聞いたわけではございませんが、四月以降ぐらいになるのではないかという見通しをきのうテレビか何かで首相が語ったという記事を見たわけですが、そういう場面でありまするだけに、経済全体に及ぼす影響というものを的確に把握することはきわめて困難なように思います。したがって、税収の見積もり、それから、これが地方財政で、特に歳入減という形でどの程度のものに直ちになるのか、いささかこの見通しに困難を感ずるわけでありまするが、しかし、冒頭に申し上げましたように、そういう通達もいたしました。繊維地帯であるとか、陶器の地帯であるとか、あるいはケミカルシューズをつくっておる地帯であるとか、クリスマス用の玩具とか、また大企業の下請け企業とか、こういった中小企業の面には、もう現にとりあえず影響があらわれておるところもあるわけでございます。そういったものがどういう形で反応してくるか、これはなかなかむずかしいし、また、重要な問題だと思います。ただ、これは、きのう私は率直に林委員にもお答えをしたわけでありまするが、経済の実勢が前回とはもう全然違っておる。やはり相当根強い好況性、上向きの傾向にあるという前提。それから、ドル・ショックに始まりました課徴金の賦課という、あの場面での中小企業をはじめ輸出産業のショックというものは、これはまさに青天のへきれきといいますか、日本人のほうが、国際通貨市場において、まだ独立した権威のある円という形で認識していなかった。そういう場面でありましただけに非常な混乱があったわけでございますが、今度の場合は、前の経過もあり、ちょっと私どもも予測を見誤ったわけでありまするが、夏以降においては、どうもこれは円の切り上げは不可避であろうという予想に立っておったというようなことなどから申しまして、この影響がはたして日本経済全体にどういう反応を示すであろうか、これは私問題の存するところだと思っております。この被害のあるところの落ち込み部分については、きのうも申し上げましたように、日本経済の実勢力からいいまして、相当吸い込みも可能ではなかろうか。まあ、これがほのかな期待などにならないように、十分そういう期待は持つものの、国の経済事情、財政事情などもよく注視いたしまして、地方財政に誤りなきを期するようにしていきたい、こんなふうに考えております。
  66. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 財政局長にお伺いいたしますが、ただいま大臣の御答弁にありましたように、いわゆる輸出産業を中心とする中小企業を持っておるところに対して、金融面、税制面あるいはその他の対策をとりあえず通達されたということは、私は適切な措置であるというふうに考えます。ただ、予算編成に関連いたしまして、一応の目安というものの通達がいつもなされておるものと思うのでありますが、この変動相場制移行に伴いまして、財政局長としては、府県、市町村に対しまして、今度の四十八年度の予算編成が終わっておったところは、これの執行面の問題になってくると思いますけれども、それらについてどういう指導なり通達を出されたのですか。
  67. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 御案内のとおり、現在、各県二月定例県会で、来年度予算の審議をそれぞれの県議会でやられるわけでございますが、それぞれの県の予算の編成の過程におきまして、私どものところへ問い合わせもございました。ただいま大臣からお答え申し上げましたように、現時点におきまして、一体いつ現在の変動相場制が固定レートになるのか、それに伴いまして、景気の先行き、あるいはそれが税収にどのような影響を及ぼすのか、率直に申しまして、全く仮定に立っての議論しかできない。そういう状況でございますので、私ども考え方といたしましては、現在の段階におきましては、財政計画で示しておる考え方を変える必要はないというふうに考えております。  また、現実の問題といたしまして、明年度の予算が成立いたしまして、地方交付税が通りましたならば、さっそく明年度の普通交付税の配分になるわけでございます。この普通交付税の配分におきましても、基準財政収入の算定にあたりましては、現在の財政計画で用いておりまする伸び率というものを用いて算定をするわけでございます。したがいまして、私は、当面のところは、現在の財政計画あるいはそれに盛られた考え方で、それぞれの地方団体は対処していただく。その過程におきまして、変動相場制が固定相場制に切りかわる。経済に対する影響、私ども、先ほど大臣がお答え申しましたように、現在の景気の基調と申しますか、実勢から申しますと、ある程度吸収はできるのではないだろうかという感じがいたしますが、不幸にいたしまして、財政計画で見積もりました税収を割り込む、あるいは交付税に対しまして落ち込みを生ずる、こういう場合におきましては、当然国の予算においても同様の事態を生ずるわけでございますので、その時点におきまして、四十六年度等の先例を参考にしながら適切な措置をとってまいりたい、こういうつもりでおるわけでございます。
  68. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いずれ大臣には、予算委員会の一般質問でまた同じようなことを御質問申し上げることになろうかと思うのでありますけれども、府県、市町村、いわゆる地方公共団体は、大臣所信表明にもございますとおり、国と地方が同一基調だということで運営をする。その地方公共団体も国内における自治体でありますので、当然国と協力して予算の運営に当たる、あるいは地方自治体の運営に当たるということは、これはある程度当然なことであり、かつやむを得ないことだと私は思っております。しかし、大きく国の方針が流動しており、不当に地域住民生活を破壊するような国政の運営がされるということになりますと、身近な地方自治体の側からこれに抵抗する姿勢が出てまいることは当然であります。したがって、自治省は、過去、ある意味において、根本的な地方自治体のあり方の見直しということも考えながら、国に先立って、福祉優先ということについては十分配慮をしてきた。十分とは言いませんが、ある程度までの配慮をしてまいったとは思うのであります。しかし、それは常に動揺をしているのですね。かつての健全財政から景気調整地方自治体の運営になってまいりましたときは、交付税の問題にいたしましても、起債の運営にいたしましても、かつては起債を抑制された。地方公共団体はかってな起債をしてはいけない。これはいずれまた御質問申し上げる機会もあろうかと思いますが、だから、起債は当分の間というのは許可制になっているわけですね。しかし、ある時点に国の財政に歩調を合わせるために、今度は起債をやったらどうかということを慫慂するというような財政運営にもなっているわけですね。いわば迷っているわけですね。しかし、今度は明らかに国民のコンセンサスになっていると思うのであります。もう国も福祉優先型の方向にいかなければならぬ。地方公共団体は当然それに重点を指向して運営しなければならないということになっているわけですね。しかし、本年度の予算を見ますと、福祉優先といいましても、総予算に占める比率というのは〇・何%ふえたにすぎないわけなんですね。経済成長と福祉優先とはどう調節をとろうかといってまだ迷っているわけなんですね。私は、このことが、日本の国際社会における経済運営も動揺し、外圧によって動かされるという原因にもなっていると思うのです。しかし、私は、福祉優先に徹した地方自治体の運営に地方自治体の側からもう変えていかなければならないという感じがしております。今日福祉優先が国の側において取り上げられたのも、これは地方団体の抵抗があるわけです。児童手当の問題にいたしましても、老人医療の問題にいたしましても、年金にしてもそうであります。また、私どもの岩手県は、県や市町村は全国でも財政の低いところでありますが、しかし、乳児の死亡率が全国で第一位だとか第二位だとかいう状態は、これは県民としては忍びないことでありますので、すでに、全国に先がけて、昭和三十八年から、国民健康保険だけは、生後一年は医療費を無料にするという英断をやってきているわけですね。これは確かに、県民の強い要望にこたえる自治体のあり方だと私は思っています。  そこで、情勢が変わらなければいいと思うのですが、しかし、今後の見通しは、公共事業をふやして景気を上げるというふうなことに変わっていくのか、あるいは、それはさておいて、どう財政が変わろうとも、少なくとも福祉に重点を置いて、生活環境の整備に地方自治体は全力を尽くすのだということに自治大臣は腹をきめておられるのか。変わらなければいいんですね。財政計画の内容につきましては、いずれ交付税やその他で私どもは論議をしたいと思います。一応これを前提に置きまして、あるいは税収が落ち込むとなれば、これは地方税にも交付税にも影響するわけですね。それを落ち込ませないようにするためには、景気を浮揚するような国の予算、あるいは補正予算ということになるのですか、そういう場合にも、地方公共団体はあくまで福祉を重点に置いてやるのかということになりますと、税収や交付税の補てんをどうやられるのか。足らぬ分は起債を増額すればいいんだというような安易な考え方ならば、あるいは生活関連以外の公共事業を切っても福祉だけは確保するんだ、何かそういう見通しが私は必要だと思う。そうしなければ、本年はせっかく福祉重点のあり方を堅持していこうというのに、その姿勢がくずれることになると思う。その辺の大臣の御所信をお伺いしたいと思う。
  69. 江崎真澄

    江崎国務大臣 国と地方が一体となって福祉政策を進めることはきわめて望ましいわけです。ただ、国としては、きのうの林議員でしたかの質問にも財政局長が答えておりましたように、全体に均てんさせるというようなことから必ずしも、局地的な福祉政策を全般として取り上げることができない。これは経費もかさみますし、まあ、あり得ることだと思います。しかし、地方公共団体において、そういう福祉の問題が、財政事情の許す範囲内において積極的に取り上げられていくということは、これはやはり時流を見きわめたもので、けっこうなことだと私は思います。  そこで、いまお話しのように、今後一体、財政措置として福祉優先を貫けるかどうか、この点でありまするが、総理も、第二次田中内閣が発足いたしましてから、もうこれからは福祉優先政治をやるんだということを繰り返し申しております。まあ、優先というからには、文字どおりこれは優先させなければ意味がないわけですし、少なくとも、内閣としての強い政策として打ち出しましたものを、まさか、ただ財政事情ということだけによって看板をおろすなどということは、これはできることでもありませんし、そうあってはならぬと思います。したがいまして、私自身も、福祉優先を文字どおり実行に移してまいるつもりであります。  いままで、公共事業を中心とする起債について、多少自治省側においても指導方針にゆれがあった。これはやはり国全体の経済政策にも影響されるわけでございまして、過去のように手持ちの外貨も少ないという場合には緊縮政策をとり、金融を引き締めて、そして外貨をかせぐ。今日のように、逆に外貨の手持ちが多くなるというたてまえになってまいりますれば、金融をゆるめて消費を盛んにするという政策をとる。特に、四十六年のショック以来、景気浮揚という面で、社会資本の充実は他の先進国に比べてまだまだ見劣りがする状況でありまするので、これも充実していく。  もとよりこれは大切だと思いますが、おっしゃるように、生活関連の環境整備等々の公共事業以外の公共事業をやめても福祉を優先させるか、非常に話を詰めての御質問でありますが……(山本(弥)委員「いや、生活関連事業を含めてです」と呼ぶ)含めて、それはやはり推進していいと思いますが、これはやはり当然福祉優先という形で努力をしてまいります。また、ことばだけでなしに、これは現実にひとつ推進してまいるつもりでおりまするから、御協力を願います。
  70. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 かりに、減収があるという場合にはどうされますか。財政局長さん、地方税の減収あるいは交付税の減収という場合ですね。
  71. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 たいへんむずかしい問題でございます。今後の経済の推移にかかわる問題でございますが、年度中途におきまして、交付税なり税収に落ち込みを生じました場合におきましては、やはり、一つ考え方といたしましては、交付税の総額というのは、これは減らせないだろうと思います。これに対応する措置をどのような形で講ずるか、いわゆる臨時特例交付金的な形で補てんをするか、あるいは交付税特別借り入れ方式で処置をするかという問題が一つあろうかと思います。それから、税収の落ち込みということに対応しますと、やはり年度中途におきまして税制改正を行ないまして、この減収を補てんするために負担を増加する、これは現実問題としてできないことでございますので、そうなりますれば、やはり地方債を発行いたしまして、そして、本来一般財源をもって充てておりました事業の財源と振りかえる、こういうことで年度中途の危急の状態というものはしのいでいかざるを得ないのではないだろうかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、これはまだこれから先の推移を見なければならない問題でございますし、国の財政の状況、地方の財政の状況、両方勘案いたしまして、私どもといたしましては、地方団体が支障なく財政運営ができるということ、これはもう絶対の要請として措置をしてまいりたいというように考えております。
  72. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 仮定の議論でございますので、これ以上私は議論をしないことにいたしますが、本年度の交付税にいたしましても、従来の惰性によりまして、交付税特別会計で九百五十億を借り入れるというやり方をとっています。また、昨年、一昨年の地方財政が非常に危機に直面いたしました際も、これは対策を講じてもらったわけですね。しかし、あのときは八千億、当初のときは五千億でしたか、いずれにいたしましても、四十七年度は八千億見当だったと思います。この八割は交付税の借り入れと起債に充当されているわけですね。私は、団体によりましては、起債の余力のある府県もあり、また市町村もあると思います。しかし、三千幾つの公共団体の中には、非常にまちまちであって、必ずしも全般を起債に振り向けていくということはできないと思っております。もしそういう事態に追い込まれました際は、起債にいたしましても、政府資金の充当あるいは交付税にいたしましても、一般会計から繰り入れるというような仕事は、公共団体は七割もやっているわけです。そして、優先順位をきめまして、景気回復のために、生活関連以外の公共事業をやって景気の浮揚をはかる。その見返りを、有力な市町村、府県は起債によるというようなことのないように、自治大臣は、大蔵省との折衝におきまして、強い態度で当たっていただきたいということを要望しておくにとどめます。  なお、私、先ほどちょっと触れたのでありますけれども、変動しておる過程において、地方自治体は一貫して福祉だとか生活関連のおくれで——経済社会基本計画というのができましたね。これでも、見通しからいいますと、五年たっても西欧の水準には遠く及ばないのですね。そういうことをある程度まで推進するという場合には、私は、地方公共団体はよっぽど腹をきめてかからなければならぬと思うのです。そのためには、かねてから言っております地方財政をどうするかということを、自治大臣は真剣に考えてもらわなければならぬと思うのですね。毎年度毎年度、そのときの成り行きで、一般会計から繰り入れるとか、あるいは本来特別会計——利子は助かるわけですね。交付税の特別会計で金を借りますと、利子は国が持ちますから、無利子の金を地方公共団体に流していただくわけですけれども、それにしても、いろいろなその場限りの財政措置で糊塗をしてきておる。もうそういう時代ではないのではないか。経済社会基本計画をまじめに守り、地方公共団体も、その地域住民の要望をになって、住民運動やら市民運動にこたえながら、それ以上に福祉社会を実現するというためには、こうあるべきだという地方財政計画というものの見通しをどうしても立てなければならぬ。これはもう直ちに自治省において検討を始めるべきだと私は思うのでありますが、そういうことをおやりくださいますか。
  73. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点、いかにもごもっともでございますし、地方の自主財源を強化しなければならぬということは、地方制度調査会の答申にも出ておるわけです。しからば、何で具体的に強化するかという点になりますと、これについてはまだ明らかに答えておりません。昨日来、あるいは予算委員会でも地方交付税率の引き上げの問題が出ております。この問題等も非常に重要な問題でありますし、われわれのほうとしては、少しでも多いほうがいいわけでありますが、これは社会経済の今後の推移を十分見守りまして、同時に、税制調査会とか、いまの地方制度調査会とか、こういったところの、穏健妥当なといいますか、中正な意見等々を背景にいたしまして、十分御指摘の点等が充足されますように努力をしてまいりたいと思います。
  74. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、昨年本会議地方交付税財政計画についての質問をいたしたわけですが、そのときの佐藤総理大臣の答弁も、いずれ、税制調査会だとかあるいは地方制度調査会の諮問による答申を待ってやるという答弁しかいただけなかったのですね。自治大臣も大体そういった意味の答弁だったと思うのです。これでは、このごろの税制調査会にしても、地方制度調査会にしても——いずれ地方制度調査会のほうは基本的簡題にすぐお入りになると思いますけれども、予算編成期における当面の問題の答申がなされているだけなんですね。佐藤総理の時代に、将来どうあるべきかということで、国と地方との財源配分だとか、あるいは行政事務の配分だとか、そういった問題につきまして、これは過去何回も答申がされておるのですね。しかし、一つも実行していないですね。行政管理庁の行政監理委員会ですか、あの答申なんかも一つも実行されていない。どの大臣のときでしたか、たしか一度熱心にアンケートをとって実行に着手されましたが、これも実行に移されていない。まあ、恒久的な諮問も私はいいと思うのですが、これは自治省自体が、大臣の決意によって熱心に進める覚悟が必要なんですね。それでないと、地方制度調査会にも反映しないのです。ですから、大臣の決意をお聞きしているのですが、事務的には、財政局長のところ、あるいは行政局長のところその他で、内部的に真剣に取り上げるべきだと私は思うのです。
  75. 江崎真澄

    江崎国務大臣 たいへん御激励をいただきまして感謝にたえませんが、地方交付税率を改定いたしました四十一年以来、この地方税の収入、地方交付税の伸び、こういったものは二〇%以上ずつ伸びてきておるものですから、そこでどうやらつじつまが合っておるということで今日に至っておるわけでありまするが、御指摘のように、今後社会資本の充実、福祉優先の施策、こういったことを着々実行に移してまいりまする上からは、やはりこれは根本的に考えてみる必要があると思います。これはひとつぜひ強い決意で今後に期したいというふうに考えます。
  76. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いま問題は土地政策でありますけれども、これもいずれまたの機会に譲ることにいたしまして、府県、市町村で、自治省でも研究されたことがあったように思うのでありますが、土地利用計画ですね。これは新しい総合開発土地利用計画が立たなければ土地規制ができない、地価の抑制ができないという順序になるわけですが、土地利用計画というのは非常にいろいろあるわけですね。地域開発はあるわけですよ。あるいは新都市計画法による土地利用の一応の区分等もあるわけですが、全土にわたる土地利用計画というのは非常にむずかしい問題である。これは従来、相当調査をして、その上に立っての土地利用計画だとか、あるいは農業だとか、工業だとか、あるいは人口の動態だとか、すべての問題がきまらないとできなかったことで、利用計画を立てられたからといって、いまの田中総理の言うとおり、産業と人口が直ちに分散するものでもないし、これはむずかしい問題だと思うのですけれども、この指導は各省、ことに自治省を離れてもいろいろ行なわれると思うのであります。  いずれこの問題も論議することがあろうかと思いますが、十分地方自治体の意思を尊重しながら、ほんとうにあるべき福祉社会が実現するような利用計画——ことに、農業というものは見直さなければならなくなったと思うのであります。あるいは林業もそうでありますし、環境保全もそうだろうと思います。その環境保全は水に関係し、あるいは観光にも関係してくると思うのでありまして、これが一つ狂うと、やはり公害という問題を伴ってくる。それらのことを考えますと、私は、この土地利用計画は容易ならぬ問題だと考えております。しかし、どちらにいたしましても、いまの地価の上昇はほんとうに実は困っているわけなんですね。これは公害対策と同じように、ある程度まで各知事や市町村の英断によりまして、条例で——これは憲法との関連もありますし、私権との関連もありましょうけれども、思い切ってやるべきじゃないか。少なくとも、売り手のほうの側の届け出制といいますか、これは早急に条例できめて手を打つ、そして強力に買うことをいろいろな面からチェックしていく。いま金融で一応やっていますけれども、これをあまりどうのこうのと言わぬで、あるいは行政訴訟になっても、地方公共団体が創意くふうをこらして、条例でその地価の騰貴を押える手を打つ。これはどちらのほうから押えたほうがいいかという問題もありましょうが、むしろ大手の一定面積以上の買い手のほうに、そういう売買契約をする場合に、その許可がなければ買えぬのだ、売るほうよりも買い手のほうをまず押えるのだというような条例を英断的につくるべきじゃないかというふうな感じが私はいたしますが、これは自治省のほうで、何か、そういった地方公共団体の創意によって、いま頭を悩まして、いろんな運動で手を打とうとしておるようですね。岡山県ではすでに、開発規制するというような観点から、全域に押えるような条例を制定するというような動きも出ているようであります。もしこういうものについてのお考えがありましたら、それをお聞きしておきまして、ほかの問題に移りたいと思います。
  77. 江崎真澄

    江崎国務大臣 土地政策につきましては、今度の土地の特別保有税と取引高による譲渡税、これと相まって土地投機を押えよう、また土地供給をすみやかにしよう、こういうわけですが、私は、総理がしばしば本会議等でも申しておりますように、大体これで土地投機の妙味というものはある程度押え得たのではないかと思う。従来の譲渡税に加うるのに、この取引高の二〇%をかけてまいりまして、大体七〇%近くなる。これは地方税を含めてですね。そうすると、おそらく自己資金、手持ち資金でやるわけじゃありませんから、融資を受けておるとすると、金利が一〇%、そして事務費が少なくとも一〇%かかりませんでも、まあ大会社なら一〇%もとよりかかるわけですが、ただ、右から左へ動かすていの中小業者という場合を考えましても、人件費一〇%程度はかかるのじゃないか。そうすると、手に残る利潤幅というものはごくわずかなものになるわけです。これはざっと勘定しましてもそういう計算が成り立ちますので、今度のこの税制によって投機抑制はできたのではなかろうかというふうに考えております。  しかし、冒頭御指摘になりました土地の利用計画、これは非常に重要な問題でありまして、今度の国土総合開発法案にこれを規定づけるわけであります。そして、土地の譲渡に際しても、府県知事に届け出をするということになりまして、その届け出に基づいて、適当でないと府県知事認めるときには中止勧告ができるという形になって、前向きな要素を盛り込んで、いまこの法案を整備いたしております。いずれ御審議の場に出てくるわけでありますが、こういうようなかっこうで、土地というものについては極力衆知を集めて対策をとるという形でおりますので、いまの御意見などは十分承りまして、またこういう法案が出ましたときにも慎重に御審議を賜わりたいものだと思います。
  78. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大臣、間に合わぬのですね。もうどんどん買い占めが進むのですね。法案が整備されるころには、ほとんど目ぼしいものは買い占められておる。昨年、公有地拡大推進法の審議のときにも、私どもいろいろな考えを申し上げたが、それがやはり当たったと思うのです。あれは効果がありませんね。いずれ適当な時期に、どのくらい効果があがったかということをお聞きしたいと思うのでありますが、相談しても、相手は売らないのですね。そういう事態です。あれはむしろ、総理日本列島改造論と一緒に、悪いときにつくった法律で、土地買い占めを促進をした法律だったという感さえ深くしているのであります。あれはもう、ほとんど先買い権も行使できないというくらい効果があがらぬということですね。これはいずれ議論をする機会があろうと思います。  最後に、自治大臣としてのお尋ねは、私はこれは触れたくないのですが、例の住民登録保留の問題なんですね。これは解決の方向に向かっていると思います。もう解決したのだろうと思うのですが、ただ、副産物が出てまいりましたね。職権乱用として検察庁が動いていますね。これは自治大臣と違って、国家公安委員長としては、そういうことを希望しておられるのですか。
  79. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ああいうトラブルが起きましたことは、いかにも私どもも残念に思っております。ただ、問題なのは、あそこで混同されましたこと。要するに、自衛隊反対というイデオロギーの問題、それから安保を破棄すべきであるという、これも政治主張の問題ですが、時間をとりますから、それはやめましょう。  そこで、そういうことで、民主政治というのは手間ひまのかかるものですが、やはり国会なり政治の場なりで解決をしていく。それから、住民基本台帳の登録というものは、これはもうおわかりのように、人の基本に関する、人権に関することでありますから、何か、これを拒否している……。
  80. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大臣、御答弁の途中ですけれども、私は、ただ、ああいうように検察庁が職権乱用として動いておるということに対して、国家公安委員長としてどうお考えになるかを聞いているのです。できるだけ円満におさまるべきものか。本会議だとか予算委員会の総括質問の経過を聞きましても、自民党の中にはなかなか強硬論者がおるようですが、そのことだけを御答弁願えればけっこうです。
  81. 江崎真澄

    江崎国務大臣 よくわかりました。まあ、のみならず、問題は解決の方向に向かっておるので、自治大臣としてやれやれと思っているわけですから多くを申し上げませんが、ああいう事態は遺憾なことでありましたが、ただ、いま御指摘の問題は、検察が動いておるというのじゃなくて、あれは、さる有志弁護士数人が職権乱用ということで告発をして、その告発に基づいて検察が動いておるというふうに、これは私も調べたわけじゃなくて、新聞で見ておるわけでありますが、やはりあの問題が問題でありましただけに、いろいろそういう告発なども出てきたものと思いますが、これはまた別途法の判断によって決着がつくものと思うわけでございます。別に、国家公安委員長としてそういうことを好んで見ておるということは全然ございません。関係ございませんから御了承願います。
  82. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 国家公安委員長としても、あるいは自治大臣としても、ああいうことはあと味の悪いことですね。そのことは、問題が解決つけば、できるだけそういった問題にいろいろな問題が波及しないということを希望してもらいたいと思うのです。私は立川の事情は知りませんが、那覇市は私も何回も参りましたが、あれは町づくりができませんね。そのことは住民の強い要望なんですね。それは政治的な問題がからんでいるにしても、住民が平和な市を建設しようというときに、住民はすみに追い込まれて、道路もなければ、タクシーもろくろく通れない、バスも走らないというような状況では、今後どういう町を那覇市は建設していくかということは、市長としての大きな悩みですね。私が最近、一月の末ですか、行ったときには、平良市長も非常にものわかりのいい話をしておられましたが、それは市長の大きな悩みなんですね。つまり、住民に密着すればするほど市長としての悩みは大きい。国の大きな政治、これも平和憲法国民に定着しておりますけれども防衛力をどうするかということはまだ国民に定着していないのですね。これは今後の問題だと思います。やはり国論は大きく分かれているわけですね。そういう中で、その地域の市民の生活をどう守っていくかということは、市長としては重大な問題なんですね。ですから、非常にものわかりのいい経過で対処しようとしているわけですね。これは防衛庁長官でなくて、自治大臣として、その理解がなければ今後の自治行政は推進できない。それでなければ、国益という名において、軍事優先というのが先行するおそれがある。私の県で、全日空に自衛隊の飛行機が衝突いたしまして墜落した事故もあった。あれもわかっていたことなんですね。ですからいま裁判になっているわけですけれども、そのことが私は大事だと考えておるということを申し上げておきたいと思います。  次に、公安委員長として御質問いたしたいと思いますが、先ほど安心したのですけれども、エコノミストの二月二十七日に、米の買い占めをやっている商社に対して、警察庁は、去る十三日、各警察本部へ実態調査を指令したという記事が出ているのですが、これはどうですか。真実ですか。
  83. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういう事実はございません。午前中、小川委員とのやりとりもお聞きいただいておったわけでありまするが、ただ、そうかといって、この国民の主食が、何でももうかればいいというわけで投機の対象になるというようなことがあってはならぬ。しかも、これは、物統令こそありませんが、やはり国民の重要な食糧であるということで、食管法はいまだにあるわけです。もっとも食管法は……。
  84. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 自治大臣、恐縮でございますが、私、あと十分くらいで三点御質問を申し上げたいと思いますので、結論だけを言ってください。
  85. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それでは、そういう事実はございません。
  86. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それで私安心いたしました。こういう実態調査は、捜査の段階の捜査技術上の指令といいますか、あるいは勧告といったものはいいと思うのですが、経済調査まで警察が乗り出すということは不適当である。昔の経済警察、あるいは、警察警察の本務を離れて一般行政に協力したという苦い経験は生かさなければならぬ。私は、あくまで必要な担当省でこういう調査をやるべきだと思う。しかし、このことは非常に反省されるのです。土地、株の投機に、あるいは貴金属買いに、あるいは米の買い占めにもこういう大きな商社が乗り出しているという風評が立つということは、庶民はどうにもならぬから、ギャンブルにうさを晴らすとか、あるいは宝くじに向かうとか、まじめに働く者の国民性ということに非常に大きな影響を与えている。大臣所信表明の中に、大体犯罪件数は横ばいをしておるが、殺人その他いろいろな特殊な犯罪がふえているということを言っておられますが、こういった米の買い占めまで乗り出しているということに対しましては、警察は、捜査事案の内容の分析によりまして、どういうふうな犯罪傾向が——社会情勢は犯罪に反映するものですから、そのことをある程度まで把握せられまして、それを閣議その他で、国務大臣として、担当者のほうに十分反映して、政治を誤らないようにするということが確かに必要になってくるんじゃないか、私はこう思います。  そこで、詳しく申し上げる時間がないですが、端的に今度は自治大臣にお聞きするのですが、私は、そのためには政治家が率先して身を持する必要があると思う。きょうも決算の本会議の質問がありましたが、やはり、政治資金規正法は自治大臣の所管だものですから、これはいろんな事情がありましても、とりあえず総理の答弁したようなことの事情はさておいて、こういうものを直ちに自治大臣総理に勧告せられて制定する必要があるんじゃないでしょうか。今度の国会あたりに直ちに提案するだけの元気を持つ必要、それこそ勇断が必要じゃないか、決断が必要ではないか、こう思いますが、いかがですか。
  87. 江崎真澄

    江崎国務大臣 時間がないようですから簡単に私答弁いたしますが、この問題は三べんも流れておるという過去の経緯があります。いまは時間もありませんので、ここでくどくどしい話は控えますが、私、自治大臣として、選挙法の改正をやろうというなら、定数、制度、そして政治資金、あわせて十分検討をしてまいりたいと思います。
  88. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、今回、警察警察官、それから警察職員が四千七百名増員になるわけですね。これに関連いたしまして、過去にもちょっと質問したことがあるのですが、これは警察法の施行令で、各府県の定員、総員も同じでありますが、きめまして、それに基づいて条例できめるわけなんですね。  そこで私がお聞きしたいのは、四千五百人の増員。まあ、二百人ふやしまして、国と府県との負担はどのぐらいになるか、事務的にお聞かせ願いたいと思います。
  89. 丸山昂

    ○丸山政府委員 まず国のほうでございますが、大体、拳銃の購入等がおもな中身でございます。(山本(弥)委員「総額でけっこうです」と呼ぶ)総額が一億八千九百万でございます。  それから、地方の負担のほうは人件費が主でございますが、補助金の対応額を含めまして四十七億一千五百万でございます。
  90. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この地方負担の人件費が大部分なんですね、国の経費というよりも。その地方負担の財源は、私は、交付団体は交付税で大部分考えられると思うのでありますが、問題は不交付団体だと思うのであります。そういたしますと、この交付税にいたしましても、いま、地方財政計画によりますと、二万一千の増員のうちで警察職員が四千七百人、また消防職員等を加えますと相当な人数になり、そして三千数百人が一般のいわゆる福祉関係の職員の増員なんですね。教員はやむを得ないとしても、大部分が警察官の増員というのは、相当な比率になっていますね。しかも、行政整理をする職員がまた一万人近くあるという、苦しい人員の上からの合理化をはからなければならないという財政なんですね。こういう体制で、私は相当の増員だと思うのでありますが、今後これは何カ年計画でおやりになるのですか。過般の警視庁と東京都の話し合いでは、東京都は不交付団体ですから、人件費は自まかないになるわけですね。ですから、いろいろ福祉を推進していく上の人件費とのにらみ合わせということは、私は、都としては当然のことだと思うのであります。  そこで、地方とのそういった配慮はどういうふうになっておるんですか。政令を改正しますと、条例は政令に従って、裁量の余地なくきめるわけですね。ただ、東京都だけが警視総監と話し合われてきめた。それが今度政令にはね返って、政令定員となって、条例ということになるのか。そういうふうに条例が拘束されるという、これは基準ですから減員してもいいわけだと私は思うのですが、それならば、事前に各警察本部とよく話し合って、その結果が警察庁のほうにはね返って、そして事前の了解のもとに予算がつき、そしてそれが政令になり、条例のときには、もう問題なく条例が制定されるという段取りになるのか。どういうことなんでしょうか。
  91. 丸山昂

    ○丸山政府委員 実務的に申し上げますと、ただいま先生御指摘のように、警察庁で全体の増員計画をまとめ上げます際に、各府県の公安委員会あるいは府県の本部長から知事部局に、その県としての増員の要求案というものをお示しいたします。それに基づきまして、県当局といろいろ折衝の末、最終的に、県では、財政事情その他を勘案して、大体増員のワクはこのぐらいの数字を妥当とするという御意見を、府県本部長を通じて私どもが報告を受けるわけでございます。その積み上げが全体の増員要求案という形で出ますので、したがいまして、こちらで政令の基準の内定数というものを——実は、各府県が二月の県会で四十八年度の当初予算を組む必要がございますので、内定数というのをお示しをしておりますが、その段階では県当局の十分御了解を得ておるという状況でございます。
  92. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いずれそのうちまた詳しくお聞かせ願おうと思いますが、結局、府県の財政当局の十分な理解のもとにこれは積み上げていっているということなんですね。  最後の一点は、岩手県で、未成年者がモデルガンで婦女子をおどして、言うことを聞かないものだから相当の重傷を負わせたという事件が発生したのですが、警察本部長にはお会いしませんでしたが、相当重要視しておる。私ども、一昨年、銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正を行ないまして、モデルガンにつきましては改正をいたしたわけです。所持を禁止したわけなんですね。ところが、この事件で、いろいろ資料をいただいたのですが、暴力団が相当これを活用しておる、あるいは改造しておる、それから一般人もこれをやっておるということで、大臣所信表明の中でも、この問題につきましては、規制を強化したいということを言っておられるのですが、最近、たまたま日経の、きのうでしたか、夕刊を見ますと、パキスタン人三人がインドの高等弁務官事務所に押し入ったという事件がありまして、殺傷したという事件があるのです。その事件の際に使った拳銃が、日本製のモデルガンだということで、イギリスの国会で、日本製モデルガンの輸入を禁止するよう提案して多数の賛成を得たというふうな記事が載っておるのですね。私は、これは重要な問題だと思うのですが、これを審議いたしました際に、輸出業者だけは除外しているものですから、輸出ができるわけなんですね。それで、外国では拳銃は自由に買えるのだ、だから、モデルガンのごときは、本物の拳銃が買えるようなところには輸出してもいいのだという答弁を後藤田さんはなすっているわけです。それはともかくとして、イギリスの国会で、日本の拳銃、日本から行く商品がいろいろ問題になっているようでありますが、こういうことは、私どもとしては、日本商品に対する信頼を非常に失うような結果にもなると思うわけです。それで、規制をやはり強化する方法を考えていかなければならぬと思うのでありますが、関係機関と協力してこれの規制の強化をはかりたいと考えているという、この大臣所信表明が行なわれておるわけですが、これはどういうふうな強化をお考えになっておるか。その点だけお聞かせを願えれば質問を終わりたいと思います。  製造業者等に対しましても、そういうものを自粛させ、改造のできないようなものをつくらせ、そして、輸出を自粛させ、実は、モデルガンというのはほんとうのおもちゃで、おとなのおもちゃにはならないのだというようにするように配慮をすべきじゃないか、かように考えますが、この辺の御所見をお伺いしたいと思います。
  93. 江崎真澄

    江崎国務大臣 全く同感でございます。したがいまして、通産省なり、しかるべき関係者から製造業者に対して注意喚起をする、そういう形に持っていきたいと思います。しかも、昨年だけでも前年の約二倍に当たる、モデルガンの改造されたものを五百十六丁、これだけ警察庁で押収しておるわけです。こういう傾向に見ましても、御趣旨の線が通るように協力したいと思います。
  94. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま大臣からお答えがございましたが、新聞で出ましたロンドンの事件について補足的に申し上げたいと思いますが、新聞で報道されたのは、ただいま御質問があったように、日本製のモデルガンだということになっておりますが、きょうの朝日の青鉛筆欄なんかによりますと、あれは日本製ではなかったんだということが書いてございます。そこで、私ども、いま、はたして日本製であったかどうかということを正式に一ぺん確認してみたいものだと思っておりますが、大体いままで入っておる報告では、日本製ではないもようであるという——多少ぼやけておりますので、まだ断定はしておりませんが、それにしても、先ほど御指摘の輸出の問題がありますので、前の改正のときにたいへんいろいろ議論があったやに承っておりますので、いまの点について、私ども、問題点だというぐあいに理解して、いろいろな状況をよく検討してみたいというふうに思っております。当時、先ほどお話があったように、警察庁の担当者が答えた事情も一応事情としてございますから、なかなか、取り締まりの観点からだけというわけにすぐにいくかどうかということを思っておりますが、問題ではあると思っております。
  95. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 その問題は、悪用されないような、改造のできないような改正は考えておられますか。
  96. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 この前の改正で、一応模造拳銃というものを規定したのでございますが、先生よく御承知だからこまかいことを省略したいと思うのですが、行政指導でまだやる余地がいろいろある。黄色だとはいいながら、いかにも金色のようなものを塗ったり、金も、こがね色でなくて、だんだんシルバー色になると金属製のように見えるといったような問題については、行政指導をやってまいりたい。  それから、そういうことをする者を、取り締まりの観点から、所持違反の幇助みたいなことで取り締まりを一体できないだろうかというような余地、それから、広島なんかでやっておるのですが、モデルガンはもう廃棄する運動をやろうということで、どんどん警察へ持ってきておりますが、そういう一般の世論を背景にした運動を推進するといったようなことで、現行法のもとでも大いに強化する余地があるかと思っておりますから、検討いたしたいと思います。
  97. 上村千一郎

    ○上村委員長 三谷秀治君。
  98. 三谷秀治

    ○三谷委員 幾つかの問題についてお尋ねをします。  質疑を承っておりますと、たてまえと実態が違うということをしみじみ感じるわけです。政府はいつもたてまえをおっしゃっております。ですから、政府のたてまえでいきますと、超過負担なんてものは、もう四十四年から四十五年で第一次解消している。四十七年度に再調査をしまして、四十八年、四十九年でさらに解消するというたてまえになっております。そして福祉の優先だ。これはたてまえだ。しかし、実態は全くそうではないわけなんです。地方自治体に多少とも関係しております者は、いかに政府がたてまえとは違った欺瞞的な処置をとっておるか、だれもが知っております。  そこで私は、大阪府下の実態に基づいて幾つかの質問をさしてもらいますが、大阪府下といいますのは、私の調査した範囲がそうであるわけでありまして、これは全国の自治体において普遍性を持っております。共通性を持っております。そういう観点で理解を願いたいと思います。  一つは、全国知事会の調査によりますと、四十五年度における超過負担は二千億に達しておる。こういう発表をしております。昨年五月から七月にかけまして政府が行ないました超過負担実態調べによりますと、四十六年度で五百六億円の超過負担が明らかになったというわけです。これとて膨大な数字ではありますけれども、二千億をこす知事会の調査と比較しますと四分の一にすぎません。このように計数がまるきり食い違っておりますのはどこに原因があるのか、これをまずお聞きしたいと思います。
  99. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 全国知事会の調査と、昨年の、私どもなりあるいは大蔵その他関係各省の実態調査とが違っておるということについては、そのとおりでございます。  これの理由といたしましては、この全国知事会の調査をされましたのは、事務費、人件費等もひっくるめまして対象範囲が——政府の共同実態調査におきましては、公立文教施設でございますとか、保育所でございますとか、公営住宅でございますとか、あるいは高校産振教育施設でございますとか、住宅地区改良事業でございますとか、そういう、超過負担が大きいとせられておりますところの六つの施設の建設事業に限定をいたして調査をいたしました。知事会の場合には、ただいま申しました事務費、人件費等も含めました実態調査になっておる。対象項目の範囲が違うわけでございます。  もう一つは、この知事会の調査は、府県段階はある程度悉皆調査になっておるわけでございますが、市町村は抜き取りの調査になっております。そこで、私どものほうで、この知事会の調査の中で、先般私どもが実態調査を行ないましたものと同じ項目をとりまして、それでこの調査を比較をしてみますというと、知事会の調査で、これは事業費ベースでございますが——事業費ベースと申しますのは、国庫補助と地方負担、これを合わせたものでございますが、知事会の調査では九百九十七億、それに対応いたしまして、私ども調査結果によりますと千六十九億、こういうことでございまして、両者の間の格差といいますか、開差というのは縮まってきておる、こういうことでございます。
  100. 三谷秀治

    ○三谷委員 縮まっておりますけれども、明らかに差があるわけです。それは地方公共団体が実際に負担しているわけなんです。その負担している部分は、超過負担として認めないわけですか。
  101. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 私が縮まっておると申しましたのは、実は、単にこの数字の比較をすると、わがほうの調査のほうが数字が多いのです。ただ、これは、知事会のほうは四十五年の実施結果に基づくものでございます。私どものほうは四十六年でございますので、その間のそこまで比較ができませんので、そこで、いまの縮まっておるという表現を申し上げたわけでございますが、私どもこれを見ておりまして、そう大差はないのではないかと申し上げたほうが正確かもしれません。
  102. 三谷秀治

    ○三谷委員 五百六億と一千億前後ですから、明らかに差があるわけでしょう。
  103. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 そこで、いま私念を押して申し上げたのですが、五百六億と申しますのは国費ベースです。でありますから、いまの知事会の九百九十七億を国費ベースに直しますと四百六十一億になるのです。でありますから、数字の単なる比較としては五百六億のほうが大きい。ただ、一方は四十五年で、一方は四十六年でありますから、その正確な入り組みの調査ができませんので、そこで大差がない、こう申し上げたわけでございます。五百六億と比較されるべきものは四百六十一億であります。
  104. 三谷秀治

    ○三谷委員 四百六十一億というのは人件費を引いたものなんですね。人件費というのは、これは対象にならぬものですか。  それと、もう一つは、政府の計数というのは、地方公共団体の実支出額と非常に差があるわけなんです。無視しているわけなんですよ。  たとえば、ここに資料が出ております。政府が発表されました超過負担調べがここにありますけれども、たとえば保育所の整備事業費を見ますと、十七億の国庫支出額に対して六十一億の実支出になっております。四十四億の超過負担ですが、そのうち九一%、単独分として切り捨てになっております。これが切り捨てられた根拠はどこにあるのか、お尋ねしたい。
  105. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この実態調査につきましては、先ほど申しましたように、自治、大蔵、それから関係各省で調査をいたしたわけでございまして、その詳細な内容につきましては、私ども直接所管をしておるわけでございませんので、関係各省のほうからお答えいただいたほうが正確かと思いますが、私が聞いておりますところでは、この国庫補助対象の外に、当該地方団体でのたとえば補助対象といたしましてはこの程度のもの。一番いい例が学校の場合のようでございますが、たとえば、窓ワクを鉄のサッシを使うか、アルミのサッシを使うかということで、そこの見方が違う。あるいは、校舎の床の仕上げにおきまして、私も技術的なことはよくわかりませんけれども、一番粗末なものでいいという場合と、それから、それにもう一つ仕上げをやるという場合、こういう場合との見方におきまして、これはまあ超過負担というものでいつも議論があるのですが、結局最小限度これだけやればいいんだという見方なのか、やはり時代がこれだけ全体がよくなってきているんだから、もう少しいい施設のものでつくらなければ父兄が承知しない、こういったようなことがございまして、そういう施工の差というものがあるようであります。質の差というもの。これを、ことばがあまり適当でないかもしれませんが、私なりの表現をさしていただければ、いわゆるデラジクス分、こういうものが結局単独事業として集計をされておる。こういうふうに私理解をいたしております。
  106. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは数量差の問題なんですよ。数量差だけ。あるいは対象差であるわけなんです。それだけで九一%もの切り捨てが出るわけはないのですよ。いましばしばおっしゃいますけれども、ぜいたく部分があるとおっしゃっている。いま赤字で悩んでいる地方自治体がそれだけぜいたくなものをつくるというような余裕はありはしません。ただ、あなた方は実態を明確にしないままで、ぜいたく部分だとか、これは対象外だとか、こんなことをおっしゃっている。  ここにいま厚生省が見えているわけですが、厚生省の方、御説明いただきましょうか。
  107. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいま自治省のほうでお答えをいただいたわけでございますけれども、やはり、交付基準で定めておりますものよりも上回っておりますものにつきまして差が出たものが九一%になっておるということでございまして、多少交付基準を上回っているものにつきまして、その差はこのように除外したということでございます。
  108. 三谷秀治

    ○三谷委員 そういうお答えでは納得できませんですよ。そうしますと、九%よりは対象にならぬわけなんですか。九一%は全部除外されてしまう。そういう取り扱いがあっていいもんですか。しかも、いまの御説明によりますと、ぜいたく部分とおっしゃっていますが、自治省が出しました資料によりますと、単独分となっているんですね。ここのいきさつはどうなっているわけですか。
  109. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 保育所でございますが、保育所は、二五九%の中で九一%が単独分であって、一六八%が改善分である、こういうことになっておるわけでございまして、一〇〇%の中の九一%というわけではございません。  それから、単独分という分類をいたしておりますのは、ただいま先生の御指摘になりましたように、量の差もございましょうし、質の差もある。先ほど私一、二の例で申し上げました、そういう補助基準を越えました質の差というもの。それから量の差ももちろん御指摘のとおりございます。そういうものはいわば補助外である、こういう意味で単独という分類をいたしておる、こういうことでございます。
  110. 三谷秀治

    ○三谷委員 そのお答えもごまかしなんです。なるほど、おっしゃいますように、九一%というのは、二五九%中の九一%でありますから、それはそのとおりでありますけれども、たとえば大阪の実例を見ますと、おととし建てました保育所というのは六十三カ所だったわけなんですが、その六十三カ所のうち五カ所だけ補助対象として補助金をお出しになっておる。つまり、これから先がぜいたく部分だから、そこを削ったものが集約されて、そしてこれが九一%。そういうわけじゃないのです。頭から、この分とこの分は認める、この分は認めない——大部分認めていないわけです。六十三中五十八認めていないわけです。そういう点からいきますと、さっきのあなた方の説明は指向性がないのです。
  111. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいま大阪の事例をおあげになりまして、六十三カ所中五カ所だけが補助の対象になっておるというお話でございますが、従前から、保育所につきましては、各地方自治体におきまして非常にいろいろな要望も高いというところから、保育所を急に増設しなければならないというようなことがございまして、確かに補助の対象としたものと、それから補助は全然いたしておりませんけれども地方自治体でどうしても建てなければならないという、いわゆる単独で建てるものもあるわけでございます。そこで、それらのものも含んだ計算になっております。
  112. 三谷秀治

    ○三谷委員 単独で建てますのは、住民要求が非常にきびしくて、建てなくてはならぬから建てていくわけですね。そして、児童福祉法や地財法によりますと、地方団体のこの種の事業につきましては、国が負担義務を持つようになっております。その義務をお果たしになりませんのはどういうわけですか。
  113. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 児童福祉法によりますと、保育所を含めまして、児童福祉施設の設置につきましては、そのすべてについて市町村の法律上の義務とされているものではないわけでございます。そういう点もございまして、国としてどうしてもこれは必要だというようなものにつきまして補助をいたしておるわけでございます。そういうところの数の違いが出たわけでございます。
  114. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは法律のどの条項になっておりますか、国に義務がないということは。
  115. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 児童福祉法の第三十五条第三項の規定をごらんいただきますと、必ずしも設置しなければならないという義務を課しているものでもなく、市町村が自己の意思に基づきまして設置するという、いわゆる任意設置という形になっておるわけでございます。その点をいま申し上げたわけでございます。
  116. 三谷秀治

    ○三谷委員 三十五条はそんなことになっておりやしません。これは国がつくる児童福祉施設の問題だとか、あるいは命令の定めるところによってつくる児童福祉施設の問題だとか、そういうことを規定しておるのであって、補助の問題を規定しておりますのは五十二条なんでしょう。五十二条をごらんになりましたか。
  117. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 いまの五十二条につきましては、市町村が設置いたします場合に、これに対しまして県が設置する必要があるということになり、国も設置する必要があるという、三者の必要だという考え方が一致いたしましたときに、それに対しまして国も補助をするという形で五十二条におきます負担義務が出てくるわけでございます。  三十五条の三項につきましては、市町村は児童福祉施設を任意に設置するという形になっておるわけでございまして、義務で設置しなければならないというものは、たとえば、少年非行化の問題で教護院という施設がございますけれども、そういうふうなものにつきましては、必ずつくらなければならないという義務を、これは都道府県知事に課しておるわけでございます。したがいまして、地方自治体の市町村が保育所をつくるという場合には、必ずつくらなければならないという必置の義務は課しておらないというふうに考えておるわけでございます。
  118. 三谷秀治

    ○三谷委員 五十二条につきましては、これは地方自治体の支弁する費用に対しては、政令の定めるところにより国が負担をするということをきめておりますね。そして、これは国の任意に基づくものではないのですね。これは明らかに、地方自治体が行なうこの種の事業に対しては、一定の割合——二分の一とか、三分の一とかなっておりますけれども、で、国が負担金を出すということになっておりますね。
  119. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまも申し上げましたように、市町村、都道府県及び国の三者が費用を負担すべき場合であるというように意思の一致を見ましたときに、補助額を負担するというふうな負担義務が発生するものだというふうに解釈をいたしておるわけでございます。
  120. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは行政解釈されてはだめですよ。そして、あなた方が、国と府県と市ですか、三者がもしも合意をしたときとおっしゃっておりますけれども、市や府は合意しておるわけなんですね。国が合意しないのはなぜかということなんです。国が合意しなくて国庫負担を出さない、それが九一%に達しておるというわけなんですね。二五九のうち九一%ですね。なぜその分は国としては認めることができないのか、お尋ねしたい。
  121. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまの御意見でございますけれども、市町村も、県も、保育所が必要であるということで意思が一致しておる。そこで、国としてはどうかということでございますが、国といたしましては、社会保障関係の諸施策全般とのバランスを見ましたり、あるいはさらに児童福祉施策の全体のバランスを考慮いたしまして、その対象となる児童福祉施設というものを限定していかなければならないというふうな考え方もあるわけでございまして、そのことは必ずしも児童福祉法違反にはならないのではないか、義務負担ということに対する違反にはならないのではないかというふうに解釈をいたしております。
  122. 三谷秀治

    ○三谷委員 義務負担の問題は、先ほどあなたの法律解釈というものを聞きましたので、それにつきましては、後刻私どものほうでさらに詳細調べて、その問題は別にやっていきたいと思います。  その義務負担の問題を別としましても、いま、保育所に対する行政需要というものは非常にふえてきておるわけですよ。だから、市町村が建てていく。府県がこれを補助する。国がこれを補助しないのはなぜか。福祉行政なんとおっしゃっていますけれども、ここら辺が一番原点になるべき性質のものじゃないのですか。
  123. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまの御指摘でございますが、厚生省といたしましても、保育所の要望が高いという背景を認識いたしまして、その数を増設することにつきましては努力をいたしてまいっておるところでございますし、今後もさらに充実をはかりたいというふうに考えております。
  124. 三谷秀治

    ○三谷委員 そういう一般的なお答えをしょっちゅうなさっている。そこで、具体的に質問しているわけですけれども、たとえば、この実態調べによりますと、保育所施設整備事業の改善分というのが一六八%になっておりますね。一六八%といいますと、具体的には幾らになるわけですか。
  125. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 四十六年度の国庫補助額につきましては二十八億でございまして、これが全体に対しましての一六八%という考え方でございます。
  126. 三谷秀治

    ○三谷委員 そんな何百億なんて説明してもらっても、私ども視覚的にわかりませんわ。つまり、四十六年度で、一カ所に対して、百二十人以上の規模ですと三百万円、百二十人以下ですと二百五十万円、これが国の補助金なんです。その一六八%といいますと、どうなるのですか。もしも、二百五十万円の一六八%ですと四百二十万円の補助金になるわけですか。  ついでにみな言っておきますが、一緒に答えてください。そして四百二十万円といいますと、これは半額補助というたてまえになっておりますから、一保育所が八百四十万円で建つ、そういう計算になってくるわけなんですけれども、そういう計算がどこから出てくるわけですか。  それから、もしも、この二百五十万円の一六八%というのが今度の改善措置でありますならば、四十七年度における実際のいまの補助額よりも減額になりますけれども、そこら辺は一体どういう計算になるわけですか。
  127. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 ただいまの御指摘でございますが、保育所をつくります場合に、地方の要望等もございまして、増設を急がなければならないという事情もございまして、国庫補助額を、定員を、大体規模をきめまして、定形化した形で、それに対しまして助成をはかっているわけでございます。しかし、この国庫補助額が御指摘のように少ないという問題もございまして、鋭意その改善をはかっておるところでございますが、たとえば、九十人の定員といたしました場合に、昭和四十六年度におきましては、基準額を五百万といたしまして、その二分の一の二百五十万円。しかし、これからは、いろいろ私どものほうでもその補助額の改善をはからなければならぬということを考えておりまして、四十七年度におきましては、これを補助額五百四十万円、基本額を一千八十万というように改善をはかっておるところであります。これがいま御指摘のようなパーセントになるわけでございます。
  128. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこで、ことしの二月の二日に発表されました四十六年度の超過負担調べというのは、四十六年現在における調査なんですよ。そして、これはことしの二月にお出しになりましたものであって、四十八年度において改正しようというのが一六八%の改善処置になっているわけですよ。いまおっしゃいました四十七年度というのは、これはすでに予算の編成の終わったものであって、実態調べの結果改正をするという性質のものではないのですよ。ところが、実態調べの結果改善されようとするのが一六八%である。そうしますと二百五十万円の場合ですと、四百二十万なんです。ところが、四十七年度におきましては、すでに五百四十万円に改正になっているわけですね。そうすると、四十八年度におきましては、四十七年度を下回る補助金になってくるのか、そういうお尋ねをしているわけです。
  129. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 四十八年度におきましては、ただいまお答え申し上げました方針に従いまして、今後実施計画の策定をいたすわけでございますが、その中で補助額の改善をはかっていきたいということでございまして、四十七年度を相当上回るようにいたしまして、超過負担の解消と、それから増設の整備をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  130. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたがどんなにお考えになっておりましても、出ております資料はそうなっちゃおりません。出ております資料は、保育所施設整備事業につきましては、四十六年の調査を基礎にしまして、一六八%の改善処置をとるんだ、こうおっしゃっておるわけなんです。そうしますと、四十六年度というのは、いまおっしゃいましたように、九十人ですと二百五十万なんです。その一六八%といいますと、四百二十万になるわけなんです。そうでしょう。ところが、四十七年度におきましてすでに五百四十万になっているわけなんでしょう。そうしますと、一体、この改善処置というものは四十七年度より後退するのかどうかということをお尋ねしているわけです。
  131. 岩佐キクイ

    ○岩佐説明員 四十七年度を大幅に上回るように改善されるよう努力をいたしてまいりたいと思います。
  132. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたは努力するとおっしゃいますけれども、ここに出ております政府の方針によりますと、一六八%の改善をするんだということになっているのですよ。ですから、あなたの主観でなしに、心情でなしに、こういう具体的な資料に基づいて私どもはこれを理解しておりますけれども、ここら辺の問題はどうなるのですか。  それからもう一つは、たとえばこれが四百二十万になったとしまして、保育所一カ所建設費八百四十万円なんですよ。そんなものでいま保育所は建つわけはないのです。全然こんなものでは保育所なんかできっこないわけです。そこら辺は一体どうお考えになっておるのか。二分の一補助とおっしゃっているのですね。  もう一つは、保育所の整備費というのは負担金なんでしょう。補助金じゃない、負担金なんです。負担金でありますならば、積算基礎が要りますよ。積み上げをしない負担金というものがありますか。ところが、あなたのほうでは、積み上げ計算をしないで、一カ所二百五十万だとか三百万だということを言っている。こんなことは、地方自治体におります方は実に歯ぎしりしてくやしがっているのです。これを一体どう考えているのですか。  大臣、該博な知識をあまり披露してもらうと時間がなくなってしまうから……。
  133. 江崎真澄

    江崎国務大臣 やはり、直接国庫負担の事業という対象になっていない向きもありましょうが、いま御指摘のように、このままでは困ります。ただ、しかし、これを全部充足させるということになりますと、全国の要望はものすごいもので、特に保育所の建設という問題は、これは義務教育で進学する児童相当分をもつくらなければならぬという実情にあるわけでございまして、全く歯ぎしりをするような場面だと思いますが、そうかといって、これはなおざりにできませんので、十分今後努力をしてまいりたいと思います。  それから、超過負担の問題については、事務、いわゆる人件費等々を含め、他の事業も含めまして、今後関係各省庁とよく検討をしてまいるつもりでおります。  だんだんの御質問の点については、そのとおりだと思っておりまするので、努力します。
  134. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、ここへ出ております資料なんというものは、これは一体何ですか。こんなものをまじめに見て考えていったんじゃさっぱりじゃないですか。もう少し正確なものを出してもらいませんと困る。この資料に基づいてお尋ねしているわけなんですよ。  それで、私申し上げておきますけれども、四十七年度におきまして、大阪府ではずいぶん保育所を建てました。建てませんと住民承知しません。たとえば一つの例を引きますと、大阪府の守口市では金田保育所というのをつくりました。これは九十人の規模ですけれども、三千四百十五万円ついたんです。坪当たりが五万四千三百七十九円です。これに対して五百四十万の補助金をお出しになって、半額補助だとおっしゃっておる。こんなことは人をばかにしておりますね。これは五〇%補助どころじゃない。一五・八%の負担率なんですよ。負担金がこんなことでいいわけがない。大臣が是正するとおっしゃっていますから繰り返して言いませんけれども、実は、これは矛盾の集積になっているんです。これは至急に直していただきたいと思います。大臣、負担金ですから積み上げ計算しなければいけません。握りなんて負担金がありますか。補助金ならまた話は違うけれども、負担金です。積算計算には、こんなことなんというものは、これはもう近代国家におきまして存在すべからぬことなんです。これは是正されますか。
  135. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは全般論として申し上げるわけでありますが、超過負担の問題は、やはり地方公共団体に非常なお荷物になっておりますので、この解消については熱意をもって努力してまいりたいと思っております。
  136. 三谷秀治

    ○三谷委員 熱意で努力じゃいけません。あとでまた聞きます。  もう一つ、小学校の新築事業費についても同じことなんですよ。たとえば、四十七年に施工しました堺市の高倉小学校というのがあります。これは平米当たり建築単価は、鉄筋B地区ですから三万七千四百円であります。二千五百平米ですから、九千三百五十万円の建築費、こういう計算になっている。そこで、この二分の一補助ですから、四千六百七十五万円の国庫補助金が出たわけです。しかし、実際には平米当たり五万四千四百六十二円ついているんです。総計が一億三千六百五十三万円なんです。ですから、実質補助率というものが三四%にすぎぬわけなんです。一六%が超過負担になっておる。ことしこの超過負担調べによりますと、補助率を改定する、四万一千百七十七円程度にするというんですね。そこに改定しましても、なお一万三千二百八十五円足りません。ことし改定されましても、去年の事業価格に足りないわけなんです。そうしますと、物価の値上げの分など一体どうなっていくんですか。個々の計算のしかたは一体どうなっているか、お尋ねしたい。
  137. 西崎清久

    ○西崎説明員 文部省関係で主管しておりますので、私のほうから御説明申し上げます。  まず、先生のお手元へ自治省のほうから資料が参っておると思いますが、公立文教施設整備事業につきまして、ちょっとこの資料の御説明を先にやらせていただきたいと思います。
  138. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間がないから、それはいいです。
  139. 西崎清久

    ○西崎説明員 それでは、四十六年度の実績に基づきまして、超過負担調査の結果、単価については六・七%の改定をやりまして、それから、基準面積につきましては二〇%の改定をやろうとしております。いま先生のお尋ねの単価の点でございますが、結局四万二千五百円ということに思いますが、この四万二千五百円につきましては、A、B、C、Dという地域差単価を設ける予定にいたしております。この地域差単価は、実はまだセットいたしておりません。これから大蔵省とセットするつもりでおります。  具体的なお話で、大阪の高倉小学校でございますか、非常に単価が高くついておるということにつきましての事情はいろいろあろうかと思いますが、私どもとしましては、先ほど財政局長からお話がありましたように、サッシは鉄からアルミにするとか、床はモルタルからアスファルトタイルにしますとか、便所等の腰壁につきましてはタイル張りにするとか、天井も石こうボードを吸音ボードにする、いろいろな意味での仕様の改善をはかりまして、現在はその仕様を越えて地方でおやりになっているので、単価が高くついておるという面があるわけでございます。その面は、先ほど財政局長がおっしゃった面は決して数量差ではございませんで、単価でございます。その点などを加味しまして、いろいろと改善をはかるべく努力をしておるわけでありますので、個々具体的にとりますと、先生おっしゃいますように、地域差単価に比べまして非常に高いケースも出てまいろうかと思いますが、その事情を個々にとらえますとそういうケースもあろうかと思いますが、全体の改善された仕様については、ある程度リーズナブルな線が出るのではないかと考えておる次第でございます。
  140. 三谷秀治

    ○三谷委員 この小学校の新築事業費の超過負担というものが各府県で大きな額になっているのです。あなた方がどこでそろばんをはじいて、たとえば三万七千四百円というものをはじき出すのか知りませんけれども、どういう根拠によったものですか。たとえば国の建設事業などにつきましても、こういう単価でやっているのですか。どうですか。不当なものだということは、あなた方が強弁されても意味ない。これはどこの自治体でも口をそろえて言っていることです。つまり、実際の単価を出していない。値切り倒しているわけだ。だから、超過負担がどんどん出てくるわけだ。  それからもう一つ、小学校の問題につきましてお尋ねしますけれども、もう一つの問題点というのは、四月一日に子供が入学をするでしょう。その生徒を収容するための新しい増築費の補助金は、五月一日の現状で認定するわけなんですね。そうしますと、四月に入学する子供の入れものはどうするかという問題が起きてくるわけであります。そうすると、やむを得ずプレハブ校舎をつくって、そこに仮収容する。本建築にしますと補助対象にしないでしょう。だからプレハブ校舎をつくっていくわけです。そうしますと、プレハブをせっかくつくりましたのをすぐにこわすのはもったいない、地方自治体の財源は非常に窮迫しておるから、結局プレハブ校舎がどんどんふえていく、こういう結果になっていく。なぜこういう不合理なことをおやりになるのか、これを私はお聞きしたいと思う。これは、小学校の新築事業費なんというものは、適齢児童をあらかじめつかめるわけなんです。二年も三年も前から捕捉できるわけなんです。そうすると、三年程度の先行計画をもって補助制度を実施しなければ、これはまともな事業ができるわけがない。なぜそんなことになっているのか、これをお尋ねしたい。
  141. 西崎清久

    ○西崎説明員 先生がおっしゃるとおりのことでございまして、実は、昨年の義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正法によりまして、児童生徒を三年前向きで把握をするという制度を実際に動かしております。四十七年度の小中学校の新築補助事業からは集団住宅の開設が明白に認められるという場合、三百戸以上の集団住宅がある場合には非常に児童生徒がふえるわけであります。そういうものについては三年前向きに児童生徒を把握して、事前に建築資格を計算いたしまして、補助ができるようにいたしております。ただ、プレハブが非常に多かったのは、実は基準面積の関係が非常に影響が多うございまして、保有があるといたしますと、生徒がふえましても、基準面積が低いために建築資格が出ないというところがプレハブが多い一因であったわけであります。その点は今度二〇%の改正をやることになりましたので、その点につきましても、プレハブ解消についてはかなり促進されるというふうに私どもも思っておるわけであります。  以上でございます。
  142. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいましたように、三百戸以上の集団住宅の建設などの場合におきましては、先行建設を認めるということなんでしょう。非常にその制限があるわけなんです。しかし、いまこういう三百戸以上の集団住宅の建設がなくても、大阪などの過密地域におきましてはどんどん子供がふえておるわけなんです。その子供がふえておるところにおきまして、五月一日にならなければこれを認証しないというわけですから、しかも、実際に補助金が来ますのはずっとあとになって来るわけですから、どうしても仮収容が必要になってくる。これがプレハブの原因になっているわけです。これは全面的にそういう先行制度をお認めになったわけですか。そうじゃないでしょう。
  143. 西崎清久

    ○西崎説明員 三年前向き制度につきましては、昨年から実施しておりますのは集団住宅の三百戸でございます。今年度は、政令の問題といたしまして、学年進行による児童生徒の増を何とか計数的に的確に把握して、これによる前向き整備をできるようにできないだろうかということを、いま私どもとしては検討いたしております。  この学年進行というのはどういう意味かと申しますと、いま先生がおっしゃいましたように、自然流入等で、若い夫婦で構成されている地域が多い。どんどん子供が生まれるわけで、ゼロ歳から五歳までは大体住民台帳で見当がつきますので、そういうふうな的確に把握できる数字についてはどうだろうか、あるいは過去に団地ができておる、そこで子供が生まれて、ある程度数がはっきりしておるというふうなものについては、集団住宅でなくても、先行前向き整備のカテゴリーとして取り扱うことができるのではないだろうか、そういうふうな問題を、統計的な把握の問題として、慎重にいま検討いたしております。これがすぐどの程度実現できるかについては、若干時日をかしていただきたいと思っておりますが、先生のおっしゃるようなことを込めまして、現在私どもは検討しておるということをお話し申し上げたいと思います。
  144. 三谷秀治

    ○三谷委員 検討して改善してもらえばそれでいいわけです。いまの御答弁によりますと、検討して改善するというふうにとれましたので、これはこれでおきますけれども、ただ、単価の問題につきましては、あなたがおっしゃるようなことでは地方自治体の実情とは合っておりません。それは、あなた方がものごとを観念的にすりかえるときに言われることばであって、実際の自治体におきましては、そんな状態じゃないのです。全然これは足りやしません。  それから、公営住宅についても聞いておきたいのですけれども、これも超過負担が膨大なものになっております。大阪府で四十七年に建築しました一種高層住宅基本単価が、平米当たり四万九千四百四円になっておる。五十七平米ですから、一戸当たり二百八十一万六千円が補助基準額なんです。しかし、実際には、平米当たりの実施単価は五万九千十八円なんです。一戸当たりの建築費が三百三十六万四千円なんです。そうしますと、二戸当たり五十四万八千円の差額が出るわけです。これに建築戸数を乗じましたものが超過負担になっている。膨大なものです。四十七年だけで、大阪府だけで四十一億六千八百十一万円に及んでいる。これは最低二分の一補助でありますから、そうでなくちゃいけませんが、実際には四一%補助にとどまっております。これは一体どういうことなのか、お尋ねしたいと思います。
  145. 滝沢慧

    ○滝沢説明員 お答えいたします。  公営住宅の超過負担にもいろいろ原因がございますが、先生の御質問のような場合、高層住宅の例をおあげになって御質問かと思いますが、一番大きな原因は、公営住宅の標準の床面積、これは建設省が定めておりますけれども、一戸当たり何平米というわけで、これは必ずしも広くはないわけでございまして、実際におつくりになる場合には、事業主体によっては、せっかくだというので、もう少し広く、国の基準よりは大きくなる。その差がやはり大きな超過負担の原因になっておるわけでございます。  それで、来年度の予算におきましては、たとえば高層住宅につきましては、これは一番坪数の増加が認められたのでございますけれども、四平米増。四十七年度は、四十六年度に比べますと三平来の増でございましたが、四十八年度はさらに四平米の増ということでございまして、現在では、たとえば、第一種の公営住宅につきましては六十一平米、これは約十八坪でございます。
  146. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは必要ない。いま数量の問題を言っているのではない。国の基準も五十七平米、大阪府の建築も五十七平米なんです。問題は、単価の問題です。単価が何でこれだけ違うか。あなた方は何でそういう実施できない単価を基本額としておきめになるのかということなんです。こんな値段でできたら、あなた一ぺん来てやってごらんなさい。できるかどうか。できっこない。できっこない額を基本額としてきめて、それを基本にして半額補助、三分の一補助だと言っている。実際は一五%から二〇%の補助になってしまっているわけです。そういう状態をなぜ改善しないかということなんです。  もう一つ聞きますが、ことしの平米当たり単価は五万一千六百五十円に手直しするというのですが、それを手直ししましても足りませんですよ。これは昨年度において五万九千十八円ついたわけだから。四十八年度におきまして、これを超過負担調べに基づきまして改善をして五万一千六百五十円にしましても、なお昨年の額に達しません。しかも、いま建築資材がどんどん騰貴している。そういう中で一体どうするかという問題なんです。しかも、いま、きょうの決算の本会議におきましても明らかになったように、住宅建設費などが不執行になってぎょうさん残っている。執行できないような額をきめて押しつけるものだから、執行ができない。土地の問題はありますよ。土地の問題はありますけれども土地だけじゃない。建物につきましても、まともな基本額を出していないということだ。これは一体どう是正するかということをお尋ねしたい。
  147. 滝沢慧

    ○滝沢説明員 われわれの調査として持っておりますのは四十六年度の全国調査で、この表につきましては、先生のお手元にあるかと思いますが、これに基づきまして、物価の値上がりは別としまして、純粋な平米単価については八%——超過負担は一八%であったのでありますが、八%を是正する。これは四十八年度と四十九年度の二カ年間にわたって直そうということで決定したわけでございます。これでは、たとえば一年間で直さなかったということについて不十分だと思いますけれども、なお、来年につきましても、さらに実態を調査しまして、適切なものにきめたいと思っております。
  148. 三谷秀治

    ○三谷委員 七%ぐらいの補助額をふやしたところで、いまの物価の問題などから見ますと、これは焼け石に水なんです。あなた、地方政治の実態を御承知になっているのか。七%や八%ふやしたところで、この矛盾は解決しやしません。しかも、自治省は、この改善計画によりまして、四十八年、四十九年で超過負担はなくなりますということを言っている。まことに天下太平です。そんな実態じゃありません。  時間がなくなってくるので、少しかけ足で申し上げておきますけれども、養護老人ホームにしてもそうなんです。去年大阪府が建てました松風荘というのがありますが、あなた方の建築補助の基本額は平米当たり四万九百八十円だった。ところが、これは平米当たり八万四千七百五十四円ついている。しかも、これは単価差だけでなしに、数量差もある。数量は、千五百八十平米だけを国は補助対象として認めた。実際は二千二百八十一平米なんです。だから、これは、単価の面におきましても、数量の面におきましても大きく削ってしまっている。ですから、これはたてまえからいきますと国の補助率は半額になっているが、実際は一六%にすぎない。こういうことがまかり通っているということなんです。これは一体このままほうっておいていいのでしょうか。  それから、起債についても同じですよ。大阪府の羽曳野の病院ですけれども基本額を平米当たり五万四千百三十三円と算定された。これが実際は十万三百七十二円の実施額なんです。ですから、これは九億の起債を認めまして、七割の起債の充当率だ、こう言うのですが、実際は三四%の充当率なんです。国の事業でも、こんな単価でできますか。できるところがあったら、例をあげて説明してごらんなさい。  それから国民年金事務費も不当な超過負担が押しつけられている。これは富田林の例ですけれども、一〇〇%の国庫補助になっているが、実際は六二%にとどまっている。これは、被保険者一人当たりの補助単価が四百四十五円でしょう。被保険者一万五百二十四人にこれを乗じた額、それと、もう一つは印紙手数料ですね。これを合わせたものが補助額になっている。これで一〇〇%補助と言っている。しかし、実施額は九百六十二万二千円かかっている。こういう状態です。ですから、一人当たり四百四十五円という数字はどこから出してきたのか。これを基本額にする根拠は何なのか。これを一ぺんお尋ねしたい。——時間がないから、個々については、一つずつ返事をいただきません。まともな返事をできるわけがないのだ。初めからわかっている。  そこで、大臣に申し上げておきたいけれども、保健所の問題です。保健所の職員費も同じことなんです。大阪府下で、二十一保健所で見ますと、三四%補助のたてまえですけれど、実際は二〇%になっている。これは人件費を、一人年百十六万六百七十一円を算定しているのです。医者がおりますから、人件費が高いわけなんです。ですから、実際におきましては、医者を含みますから、一人当たり年百六十五万千二百三十一円つくわけです。それに対して百十六万六百七十一円という人件費、年一人当たり単価をきめているわけです。それで五百三十八人分と限定しているわけなんです。そこで、これはたいへんな超過負担になっている。ですから、これもやはり改善しなくてはだめなんですね。特に、保育所の問題なんか深刻なんですね。食品監視員なんというものも数が足りない。一つの保健所に一人か二人しかおりません。食品衛生の問題が非常に深刻になっておりますが、手が足りないから、実際は検査に行きようがない。また、訪問保健婦ですが、一人で人口二万人を担当している。二万人も担当して、どうして一つずつたずねていって仕事ができますか。できるわけがない。ところが、人員を制限する、予算を削る、こんな状態になっている。これは明らかに保健所法を無視していますよ。  そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、こういう実例をたくさんあげましたが、時間がないので、もう交付税の問題は触れませんけれども、交付税も一緒なんですよ。そこで、このようにしまして、国庫補助事業全般にわたりまして、実情を無視した予算措置がとられている。これは、地方自治体理事者が口をきわめて非難しております。これを一体どうされるかという問題。そこで、あなたは善処するとか研究するとかおっしゃいますが、善処や研究の問題と違います。これは地財法の二条に明らかに違反しているのです。あるいは地財法十八条に違反しているのです。これは御承知でしょう。ですから、法律違反のことをやりながら、あなた方は恩恵でも施しているようなつもりなんです。適当に研究し、そうして改正する、こうおっしゃっている。そんなことじゃない。法律に違反した措置をとっているわけだから、すみやかにこの問題につきましては解決する必要があるわけなんですけれども、いまの実情をいろいろお話ししましたけれども、これをお聞きになりまして、大臣の決意のほどをお聞きしたい。
  149. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一々実情についての御説明をよく承りました。私も長い問代議士をしておりまして、地方公共団体とは密接なつながりを持っておりますから、切実な感じでそういう問題をながめております。  それから、いままでの地方行政委員会予算委員会等でも、この問題は、そういう事例をあげて強く迫られたわけであります。ただ、従来は、戦争後何にもないところから始めましたので、多少基準単価は少なくても、地方も苦しんでも、お互いに苦しみ合うということで、いろいろな施設をつくることを急いだ時代でありました。しかし、いまやそういう時代ではなくなったわけですから、一々御指摘の点が充足されるように、そういうことが、本年度六種目に限りましても、実情を調査して、そうして超過負担の分を解消しようという努力になってあらわれたわけであります。これで決して十分とは思っておりません。だから、事務費等の、また事業内容も拡大をして、そうして実情をつぶさに調査して、超過負担解消の方向を進めていく。これは、いまは私は大臣政府立場におりますが、やはり同じ議員として、お互いの共通の問題としてとらえてきた問題ですから、十分努力したいと思っております。これはおざなりで申し上げておるのじゃございません。
  150. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、いま、地方行政の問題では、いろいろなバラ色の展望などを持つより前に、いま地方自治体が最も頭を痛めているこの問題を、まず解決をしてもらい、それからいろいろ議論をしてもらいましょう。そのことが一番必要だと思っております。  そこで、私は、政府みずからが法律を無視した処置を長年にわたってとってきておるという事実、これを幾つか例をあげて申し上げました。すみやかな是正を要求します。  そうして、もう一つは、交付税率の引き上げをすみやかにやるということ、それから、国庫支出金の算定基準を抜本的に改善するということ、それから、地方債利子の引き下げと補給をやってもらうということ、これをやってもらう。それから、公共事業に伴います地方負担分の補てん措置ですね、裏負担に対する補てんをやってもらいたい。これはいま地方自治体におきましては非常に痛切に要求しております。このことを要求しまして、これで終わります。
  151. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、来たる二十七日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会