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1973-07-18 第71回国会 衆議院 大蔵委員会財政制度に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十八年二月九日(金曜日)委員 会において、設置することに決した。  二月十六日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。      大西 正男君     大村 襄治君      木村武千代君     小泉純一郎君      塩谷 一夫君     地崎宇三郎君      中川 一郎君     山中 貞則君      阿部 助哉君     高沢 寅男君      塚田 庄平君     小林 政子君      伏木 和雄君     内海  清君  二月十六日  木村武千代君が委員長指名で、小委員長に選  任された。     ————————————— 昭和四十八年七月十八日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席小委員    小委員長 木村武千代君       小泉純一郎君    塩谷 一夫君       地崎宇三郎君    阿部 助哉君       塚田 庄平君    東中 光雄君       広沢 直樹君    内海  清君  出席政府委員         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省理財局次         長       後藤 達太君  小委員外出席者         大蔵委員長   鴨田 宗一君         大 蔵 委 員 武藤 山治君         大 蔵 委 員 堀  昌雄君         大蔵大臣官房審         議官      田辺 博通君         大蔵省主税局総         務課長     渡辺 喜一君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 七月十八日  小委員小林政子君二月二十三日委員辞任につ  き、その補欠として東中光雄君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員大西正男君二月二十八日委員辞任につ  き、その補欠として大西正男君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員塩谷一夫君三月一日委員辞任につき、そ  の補欠として塩谷一夫君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  小委員伏木和雄君及び内海清君三月九日委員辞  任につき、その補欠として広沢直樹君及び内海  清君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員小泉純一郎君三月二十六日委員辞任につ  き、その補欠として小泉純一郎君が委員長の指  名で小委員に選任された。 同日  小委員地崎宇三郎君三月二十九日委員辞任につ  き、その補欠として地崎宇三郎君が委員長の指  名で小委員に選任された。 同日  小委員中川一郎君三月三十日委員辞任につき、  その補欠として中川一郎君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員山中貞則君五月三十日委員辞任につき、  その補欠として渡海元三郎君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員高沢寅男君六月二十七日委員辞任につ  き、その補欠として高沢寅男君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員塚田庄平君同月十七日委員辞任につき、  その補欠として塚田庄平君が委員長指名で小  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  財政制度に関する件      ————◇—————
  2. 木村武千代

    木村委員長 これより財政制度に関する小委員会開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  先般、各位の御推挙によりまして、私が当財政制度に関する小委員会の小委員長に就任いたしました。内外経済情勢多端のおり、財政運営の適正なあり方に思いをいたし、その職責を痛感するものであります。何とぞ各位の御協力を賜わりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  財政制度に関する件について調査を進めます。  まず、昭和四十八年度予算実施状況について、政府より説明を求めます。長岡主計局次長
  3. 長岡實

    長岡政府委員 昭和四十八年度予算執行状況につきまして、特に公共事業等につきまして施行時期の調整をいたすことになったわけでございますので、その点について予算成立後今日に至るまでの経緯等説明申し上げたいと存じます。昭和四十八年度予算は、御承知のような去る四月十一日に成立をいたしたわけでございますが、当時のわが国の経済情勢は、木材繊維等物資について国際的なインフレ傾向影響もございまして、輸入物資等値上がりが非常に顕著であった、あるいは地価の高騰も非常に顕著であったというようなことから、物価問題も相当深刻な様相になっておりまして、予算成立を待たずして四月二日には御承知のように公定歩合引き上げ中心とする金融引き締め政策が打ち出されたわけでございますが、財政の面におきましても、そのような経済情勢推移にかんがみまして、その弾力的な執行につとめる必要があると考えまして、一般会計特別会計政府関係機関等を通じまして、公共投資関係事業につきまして、災害の復旧とかあるいは生活環境施設の整備、積雪寒冷地帯関係公共事業といったような、事業緊要度について勘案しなければならないものについては必ずしも時期の調整をそれほどやらないというようなアクセントはつけながら、全体といたしまして各種の資材の価格及び需要状況動向等に留意いたしまして、年度内のこれらの事業施行時期について所要の調整をはかる方針政府はきめたわけでございます。これは四月十二日に財政弾力的執行についてということで閣議の御了解が行なわれております。  この方針に基づきまして、私ども大蔵省といたしましても、関係各省協議を行ないまして、まず本年度上半期における公共事業等施行見込み契約進捗率で申しまして、全体として五九・六%にまで押えることにいたしました。これを五月八日の閣議報告をいたしております。  その後物価動向等を見ますと、総需要調整必要性が一段と高まりまして、いま申し上げたような措置をさらに強化する必要性があるのではないかと考えられるに至りましたので、公共事業等のうち、先ほど申し上げました緊要度の高い事業を除きました、いわば一般的事業と申しますか、一般事業にかかる分の上半期契約進捗率を五〇%以下の水準にまで押えたということで、各省協議をいたしまして四九・三%の水準にまで押える、これと先ほど申しました緊要度の高い事業とあわせまして、全体としては五五・八%にまで押えられるというようなことになったわけでございます。先ほどの、全体の五九・六%をさらに下回る五五・八%にまで押える、これが七月三日に、政府といたしましては、この趣旨を閣議報告をいたしておるわけでございます。  現在は、関係各省におきまして、いま申し上げました線に沿ってその執行を行なっているところでございますが、これは四十七年度の実績の水準と比較いたしてみますと、契約額では約一兆一千五百億円以上のものが抑制されるということになるわけでございます。  ちなみに、上半期契約割合を申し上げますと、昨年は公共事業をむしろ景気対策として促進をした年でございますので、先ほど申し上げました五五・八%に当たる率は、昨年度は七三・九%でございます。それから最近数年間のうち、促進もあるいは実施時期の延期も、両方何もいたしませんでした四十五年度あるいは四十三年度数字は六五・八%、六五・三%となっておりますので、景気対策として何ら施行時期の調整をいたしませんでした年に比べましても、約一割方押えるという結果になったわけでございます。  こういうような公共事業実施期調整措置と、それから四月二日の公定歩合引き上げ以降、数次にわたって打ち出されました金融政策上の諸措置等と相まって、所期の効果があらわれるものと期待をいたしておる次第でございます。  以上をもちまして、御説明を終わらせていただきます。
  4. 木村武千代

    木村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。塚田庄平君。
  5. 塚田庄平

    塚田委員 ただいま公共事業事業執行見込みについての説明がありましたが、私ども社会党は、本年度予算審議にあたっては、最近の経済情勢にかんがみて、この予算についてはすでに五・五%の物価値上がりというものを見込みながら作成されておるが、現状ではとうていこれではおさまらぬ、おそらく倍以上の物価値上がりがあるのじゃないかということで、むしろこの予算公共事業中心インフレ刺激予算だということで、審議の過程においても、予算の修正、すでに提出された予算であるが、政府は自発的にこれを修正すべきだ、こういうことで予算委員会等で繰り返し主張した経緯があります。私どものこの主張は不幸にしてまさに図に当たったといいますか、そのものずばりで、現在の状況では経済企画庁の見通しを倍上回って物価が上がっておる、こういう情勢が出てきております。  そういう中で、おそらく政府もいま非常にあわを食って財政面あるいは金融面からの引き締め政策を強行しておる、こういう印象をいなめないのですが、さて、いま説明されたことばじりをつかむわけじゃありませんが、公共事業執行について調整をするというその調整というのは、このように理解していいかどうかです。それは、とにかく上期についてはいまの経済情勢を勘案しながら一応公共事業執行を抑制するけれども、抑制した分は年度内消化する、あくまでも調整、やりくりであって、年度内消化する、こういう決意だと受け取っていいかどうか。
  6. 長岡實

    長岡政府委員 現段階におきましては、お説のとおりでございます。
  7. 塚田庄平

    塚田委員 そこで長岡さん、いまの答弁ですけれども、つまり上期で抑制されたものはその分だけ下期でふくれるということを現段階では考えておる、こう受け取っていいわけてすね。全体を執行するのですから、上期で縮小したら下期へそれがふくれなければつじつまが合わないわけですね。そう理解していいですね。
  8. 長岡實

    長岡政府委員 現在の私どもの考え方といたしましては、あくまでも公共事業につきまして国会で御審議をいただきました四十八年度予算に盛られた内容は、やはり基本的には国民の福祉につながる事業であるという角度から、ぜひ実施いたしたいと考えておりますが、ただ予算成立後のいろいろの情勢から申しまして、現在、従来と同じようなテンポで事業実施いたしますのは、資材等の、ことにセメント木材等建設事業関係のございます資材需給状況等から考えまして、必ずしも適切ではないということで、上半期契約割合を押えたわけでございますけれども、最初に申し上げましたように、年度全体を通じては現在予算予定されただけの事業消化いたしたいと考えておりますので、結果的には上半期施行の時期をずらされたものが下半期消化されるということになろうかと存じます。
  9. 塚田庄平

    塚田委員 そういう予定景気抑制というか、総需要を抑制していくということはできるかどうかということなんです。つまり、年度内に全体予算消化される。いま公共事業は縮めるけれども下半期ではふくれる。つまり、事業執行する者の立場に立てば、いまは事業はないけれども、縮小されておるけれども、いずれは下半期になればふくれるのだ、仕事はふえるのだ、公共事業は伸びるのだ、例年よりむしろ伸びるのだこういう予定に立つわけですね。これは肯定しますね。  そうしますと、こういう事態が起きないですか。とにかくいまは景気が抑制され、総需要は抑制されておる。いまのうちにセメントを買おうじゃないか、いまのうちに鋼材を買おう、こうなりますよ。いずれは秋口になれば事業がふえてくるのですから、需要がふえればこれは総需要はどんどん伸びてくる、物価が上がる、こういうことを執行者あるいは商社は見越しますから、そうなると、いまのうちにむしろこの措置によって買い占めを促進するという見通しに立ち得ないものか、私はそういう危険が十分あると思うのですよ。どうでしょう。
  10. 長岡實

    長岡政府委員 私ども公共事業関係の経費の上半期契約割合をある程度時期的に調整するという結論を出しましたときには、非常にこまかい数字の裏づけはないのでございますけれども建設資材のうちの一番のネックになっておりましたセメント等につきましては、通産省からも四十八年度セメント生産計画等も聞きまして、たまたま塚田委員も御承知のように四十八年度の当初、ことに第一・四半期ごろは、四十七年度相当大型補正を組んだわけでございまして、この大型補正に盛り込まれました公共事業繰り越し事業実施等と重なったために一時的に非常にセメント需給が逼迫したというようなことに着目いたしまして、年度間全体を通じましてはただいま御指摘になりましたように上半期に手当てをして買い占めておかないと、下半期に予想される事業実施消化できないというようなことにはならないのではないか。とにかく、この上半期の当面のセメント需要をある程度下半期に追い込むことによりまして、年度間を通じてはバランスがとれるのではないか、かように判断をいたした次第でございます。
  11. 塚田庄平

    塚田委員 三十分しか与えられておりませんので深く議論する時間的な余裕がないので残念なんですが、私ども見通しとしてはこの財政的な措置、つまり公共事業調整といっておりますけれども執行繰り延べですね、まあ期間内の繰り延べは決して総需要抑制効果はあらわし得ない、むしろいま言ったような観点から下期には逆の効果が出てくるのじゃないかということを私は懸念しておりますし、おそらくそうなるだろうと思っております。物価状況もいまの趨勢からいいますと下期に好転するというような見通し等は私どもには立ち得ないわけですよ。  そういう面で今度の措置というのはいたずらに、公共事業を実際施行する地方自治団体等に対して混乱を与えるといいますか、せっかくの執行計画を途中で、港湾にしても河川にしてもあるいは道路にしてもとにかく縮小していくということで当初計画が狂う、事業執行がうまくいかぬという事態が出てくるだけで、大もとのねらいというものはおそらく達成されないのじゃないか、こう思います。  そこで、この現在のような状況あるいはいま私が言ったような状況が出た場合には、下期に上期の削減分、それを上積みして執行するというかたくなな態度でおるのかどうか。場合によっては年度繰り越しなんということも考えておるのじゃないかというような気もするのですが、どうでしょうか、率直に。
  12. 長岡實

    長岡政府委員 私どもといたしましては、現在の公共事業実施繰り延べ以外に、先ほど来申し上げました金融政策等効果も次第に浸透いたしまして、建設資材労務等需要は、これは必ずしも官需と申しますか、いわゆる国や地方公共団体需要ばかりでなく民需相当強いものでございますから、そういう面までひっくるめまして下期には効果があらわれてくるであろうと期待いたしておりますので、現段階でただいま御指摘のように、一部の繰り延べも考えなければならないのではないかという点について、私ども事務当局からお答えを申し上げるのはいささかどうであろうかと考えておるわけでございますけれども、ただ一般的に申せますことは、かりに塚田委員の御指摘のような事態になって、それでもなおかつ現実を無視して無理な事業消化をはかるかということになりますと、その点につきましては私どもは弾力的に対処していかなければならないであろう。よく現実を見まして、そのときそのときの状況によりまして、いまここでこれだけの規模の事業消化するというのは避けたほうがいいという判断になりましたときには、その時点において弾力的な態度をとるべきであろう、かように考えます。
  13. 塚田庄平

    塚田委員 実はこういう議論は、ここよりもむしろ予算委員会を早急に開いて、予算委員会の中で将来の見通し等について大蔵大臣あるいは田中総理から表明があって、予算委員会の中で議論し合うのが適当だと思うのです。残念ながら与党のほうはなかなか予算委員会を開こうとしないので、ここでやるのですけれども、そこでそういう場合、明許繰り越しをする場合には、これは当然法の規定によって国会審議を経、議決を得るわけですね。
  14. 長岡實

    長岡政府委員 明許繰り越しにつきましては、公共事業等につきましては、その事業の性格上、この年度内にできないものについて翌年度に繰り越すことができるという財政法規定に基づきまして、国会の御議決もいただいておりますので、かりに今後の事業推移に基づいて明許繰り越しが行なわれる場合に、その時点においてあらためて国会議決をちょうだいするということにはならないのではないか、かように考えます。
  15. 塚田庄平

    塚田委員 私はそういう形式でこの問題を処理していくのはけしからぬと思うのですよ。あれだけの議論があった十四兆の予算が、政府見通しの誤りでといいますか、狂いで執行できない。予算というのはこれは議会議決なんですよね。その議決どおり執行できない。しかもそれはやむを得ざる事故じゃなくて、あくまでもこれは政府政策にかかわる要因からこういう事態が生じておるということになれば、私は議会民主主義立場からいって当然これは議会議決を、削減しなければならなかったら予算削減議決をとる、これが民主主義のたてまえだと思う。すでに明許繰り越し議決を総括的に得ておるから、この問題についてわざわざやる必要はないのだということは、これは国民というものを対象にした場合にとるべき態度ではないと思うのです。どうですか。
  16. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 先ほど来のお話、まことにごもっともに伺うわけですが、公共事業をやっていきまする場合に、総需要抑制という見地からいえば、どうしてもこの際は繰り延べをしたい、こういうわけであります。同時に金融的な措置、つまりいままでの景気抑制のパターンによる措置というものはすべてやる、こういう姿勢でおりまして、そうしたものの全体的な効果が終局するところ物価の面であらわれてくるであろう、それには若干のタイムラグが必要である。だからある程度の時間的経過をすれば、それらは必ずその効果をあらわしてくるという見通しで、実は政府はいま懸命に諸施策を実施に移しておるわけでございます。  そういう立場から申しますれば、ただいま次長が御答弁しましたように、現段階ではこういうような繰り延べをいたします、しかし全体の総需要というもの、これは民需も大いにございますから、特に新しい生産をふやすとか、そういう方向はとらないわけでありますから、民需相当抑制されるであろうと思います。またいまセメントその他の資材お話がありましたが、資材もそうしたいまおっしゃったようなもの、あるいは労務というたものも相当現状においては急迫を告げておるということでございます。したがいまして、いまの政府がいろいろやっております政策手段というものが必ず下半期に効力をあらわしてくる、その段階においては今日この繰り延べをいたしておりますものも現段階ではいま仰せのようなことも確かに私はあると思いますが、オーバーキルを心配されるというそういう声も一部にはあるわけでございますので、それらはもう少し時間がたってみないとわからないという面も確かにございますが、見通しとしてはそういう見通しのもとに政府政策をいま実施中、こういうわけでございます。  したがいまして、下半期相当公共事業がふえるということ、それがはたして実施できるか、あるいはそれが全体の経済にどういう影響を及ぼしてくるかというような点につきましては、もう少し私は時間をちょうだいしなければわからないという点もある。しかし、政府としてはどこまでもそういう効果をつけるようにいま政策をとっておる、こういうことでございます。
  17. 塚田庄平

    塚田委員 いまいろいろな御答弁をいただいたが、政府見通しなり予算に関しての計画、どんどん狂ってきているのですよね。もう物価値上がりなんか倍以上、私の言うのは、これはそういう事態になったら率直に国会に相談しなさいというのですよ。つまり、国会にかけなさいというのです。そして公正な議決を経て執行しなさい。堂々と執行しなさい。  こういう方法をやると、必ず下期にしわ寄せされることは明らかなんです。むしろ思惑をかき立てる結果になるのではないか。下期には必ず公共事業がふえる、そうなればいまのうちに買っておけ。大体物価値上がりの現象というのは、いま言われたセメントとか木材あるいは鋼材、こういうのが主犯だということはだれの目にも明らかでしょう。それを主体とする公共事業がこういう状態になっているのですから、これは当然議会民主主義の原則にのっとって、こういう事態ですから与党の力で何とか、政府見通しを立てて何とかといったってもう一々狂ってるのですからね。そういうことを強く私は希望いたします。  時間がございませんのでもう一つだけ。  大蔵省はこの制度と一緒に大蔵省短期証券市中公募というのを進めてきました。六月、七月、八月と予定されておりますこの公募状況は、六月はすでに終わったのですが、予定通りいっていますか。
  18. 後藤達太

    後藤政府委員 短期証券公募を個人の消化まで含めまして始めましたのは六月の十八日でございます。私どもの当初の予定では毎週月水金と三日発行いたしておりますが、そのときの現在ある短期証券償還高に応じまして発行いたしております。したがいまして、六月中の発行総額で六千五百億ほどでございます。これは二カ月で期限が参りますので、全部期限が来てまた発行するということに相なります。そのうち公募消化されましたものが六百五十億でございます。これは私ども当初予定しておりました額を若干上回るほぼ予定どおりの額でございます。七月に入りましてほぼ同じようなペースで消化が行なわれておる状況でございます。
  19. 塚田庄平

    塚田委員 七月、八月は大体どのくらいの予定ですか。
  20. 後藤達太

    後藤政府委員 七月は、ただいままで応募申し込み状況を見ますと、七月が千四百億ほどの応募申し込みがある見込みでございます。六月はちょうど半月分でございましたので六百五十億、その倍強という状況でございます。  八月のほうはまだわかりません状況でございます。これは、わかりませんと申しますのは、大体申し込みが今週分を先週の末に申し込んでくるという一週間ごとの申し込みという状況になりますので、ただいまの七月の分も終わりまで含めますと見通しが入っております。そういう状況に相なっております。
  21. 木村武千代

    木村委員長 関連質問を許します。阿部哉君
  22. 阿部助哉

    阿部(助)小委員 さっき次官が答弁なさったのですけれども政府のほうは財政民主主義というのをどうお考えになっているのです。この予算は当初から予算委員会で、物価値上がりはもっと激しいのじゃないか、そうすればこの予算はずさんではないかという指摘を受けながら皆さんのほうは強行してきたわけです。しかもいま国会開会中なんですよ。皆さん、一ぺん予算をきめてしまえば、あとはどんぶり勘定で適当に縮めたり、繰り越しをやってみたり、繰り延べをやってみたり、自由かってなんだということには財政法はなっていないと思う。しかもいま国会開会中なんです。その中でもう予算執行が、そのままきめられた予算のとおりできない。  大体こんな物価が上がるというのは、町村だってみんな困っていますよね。市民会館を一つつくるのに三億の予算を組んでみた。いま四億になったけれども、だれも業者は受け手がない。五億になるのか、五億五千万になるのかわからないというぐらい各自治体でもこの物価値上がりで、計画したものがその計画どおりやれないのですよ。その責任政府にある。しかも財政は、物価の問題で、物価がこうだから、過熱するから、こう逃げられるけれども物価の問題だって政府責任がある。  しかも予算国会であれだけ大臣を並べて、予算委員会、最重要な委員会として予算委員会審議をした、それがもう国会の終わらないうちに、何か予定どおりに進まないとすれば、国会開会中なんです、もう一ぺん国会で、予算委員会へかけ直して、かくかくの事態だからこうしたいということをやるのが私は財政民主主義、これは当然のことだと思うのです。それを皆さんで、一ぺん予算はきまっちまったんだからあとはどんぶり勘定で自由自在なんだということにはならぬのですよ。それは国会軽視ですよ。  その点は財政民主主義という立場でもう一ぺん皆さんのお考えをただしておきたい。そうでないと、財政はもうめちゃくちゃになりますよ。これをまかせておいたら、皆さんのいまのような形でおいたら、ファッショ的な財政だと言われても、そういう方向に行かないという保証は何もないのです。そういう点で、私は財政民主主義立場でいまの塚田委員の質問、基本的な態度をひとつ答弁を願っておきたい。
  23. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 法律的にはいま次長が、明許繰り越し予算の中で御議決をいただいておりますから、その根拠に基づいて、具体的の事項については政府におまかせをいただいてやらしていただいておる、こういう御答弁を申し上げたわけであります。確かにおっしゃるように現在国内的な要因のみならず、国際的ないろいろな要因も大いに加わりまして物価が高騰を見ておる現状におきましては、この公共事業実施は、単価を見る場合に、具体的にはやはり引き上げていかなければ実施できないという状況でございます。年度が始まりましてから三カ月ばかりたっておりますが、まだ今後年度を通じまして先ほど来申し上げるような政府のいろいろな施策が必ず効を奏してくるであろうという、政府はそういう施策をやっておるつもりでございます。したがいまして、国際的な要因もございますけれども、もう少し下半期になればいまの様子は鎮静してくるものと、こう考えるのでありまして、いろいろいまお話しいただいたのは、一つは、それは法的な点については、財政法のたてまえではお認めをいただいておるわけでありますが、政治的ないろいろな観点からいたしますれば、おのずとそういう問題についても、政府としては十二分に責任を果たす体制をとっていかなければならないであろう、こう考えておるわけでございます。
  24. 阿部助哉

    阿部(助)小委員 そうしますと、初めからこの予算はずさんであった、見通しが狂っておった、こういうことをお認めなんですか。
  25. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 この予算は、御承知のように、成長率はたしか一〇・七%、それから物価は五・五%という、そういう一つの経済見通しの上につくられたものでございます。したがいまして、そういう観点に立ってできておるわけでございまして、これを年度を通じてはそういうところにおさまるように、いま政府は懸命に努力中である、こういうことでございます。
  26. 阿部助哉

    阿部(助)小委員 どうもその辺でごまかしてもらっちゃ困るのでして、物価が五・五%でおさまるなんという見通しを立てるのは、政務次官だけじゃないですか。皆さん、それで五・五%でほんとうにおさまるのですか。おさまらなかったときの責任がとれるのですか。もう一ぺん答弁してください、どなたでもいいですから。おさまるわけないじゃないですか、そんなもの。
  27. 田辺博通

    ○田辺説明員 経済見通しは、政府といたしまして、企画庁が中心になりまして、昨年暮れあたりから一応の見通しを立てまして、また、それと同時に、政務次官から答弁されましたように、財政のほうの規模等をその全体の斉合性を考えまして、ことしの予算で申しますと、政府関係の支出につきましては、全体のバランスをくずしてない、全体の伸び率と比べまして財政の刺激性というものはそう大きくない、こういう判断でやっておるわけでございます。  その後、御承知のように、非常に景気が上向きまして、また、物価も予想せざる方向へと進んでまいっておるのは事実でございますが、しかし、この物価が、たとえば消費者物価が五・五%が年度内の上昇率がこれでおさまるかどうかということにつきましては、私ども非常にむずかしい問題になりつつある、こういうぐあいに考えておりますが、しかし、今後の調整策の効果がどのようにあらわれてくるかということをわれわれは期待しつつ、また、さらに弾力的な措置を講じてまいりたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  28. 阿部助哉

    阿部(助)小委員 皆さんはそんないいかげんなことをおっしゃるけれども国民皆さん見通しを立てたこれで生活の設計をしておるのですよ。そういうものに対する責任感が一つもいまの政府にないということなんです。希望的数字じゃ困るのですよ。国民はこれでみんな生活設計を立てなければいかぬ。それに対して、もう五・五%になる可能性なんてあるのですか。  私は物価の問題をいま論じようと思っていない。それは私は私なりの考え方はありますが、それは別の機会にやりますが、いま私が言っているのは、塚田委員の質問に関連して、この財政がいまのような形でやられたのでは、財政民主主義の原則からはずれていく。しかもいま国会開会中なんです。予算成立してから三カ月もたたないうちに、もう計画どおりの予算執行ができないというようなずさんな予算だったらば、皆さん見通しは明らかに間違いだった。間違いだったら間違いでしようがない。いま国会開会中なんだから、予算委員会を開いて、予算委員会でもう一ぺんこれを審議して、そこで理解を求めて出発するのが私は当然のことだと思う。  いま国会開会中なんですよ。この国会できめて、その国会が終わらないうちに、皆さんもういろいろと計画の変更をせにゃいかぬということになれば、これは国会無視だと思うのだ。一番問題なのは、これはどだい初めから予算がずさんだったということなんです。しかし皆さんそれで精一ぱいやったというならば、間違いだったらば、情勢が違ってきたんだからこうだということでもって、国会予算委員会を開いて、あの予算委員会でもう一ぺん審議をするということでなければ、これはもう、一ぺんきめてしまったから皆さんふところの中に入れて、自由自在ということになったら、どうしようもないじゃないですか。国会無視じゃないですか。財政民主主義というのはみんな吹っ飛ばしてしまうということになるじゃないですか。私はその一点だけいま聞いているのです。  だから、皆さんがいろいろな理屈を述べるから、じゃ、この予算は初めからずさんで間違いだった、間違いだったら間違いだったと言いなさい、間違いでなかったら間違いでなかったと言いなさい。私は、五・五%の物価なんというのは、最終的に五・五%でおさまるなんてはずはここまでくれば絶対にあり得ないと思うのです。それは常識ですよ。それをいまいろいろやれば、当初の予想どおり五・五%になるのではないかという希望を持っておるなんていう意見をいま白々しくここで述べられたって、みんなその点では専門家ですよ、そんな国会をばかにしたような答弁をされたのじゃ私は承知ができない。そういうふざけた答弁はしてもらいたくない。  もっと正直に国民の前に——国民だぞそれによって生活設計をしておるのだから、それに責任を持つ立場で、物価はこうなりそうだ、そのためにこうやっておきめようとするが、大体こうだという見通しを立てるのは政府責任ですよ。しかもいま繰り返すように、皆さん見通しの五・五%ではおさまるはずがないところへきておるじゃないですか。それをまた五・五%でおさまるようにここで答弁をされるならば、私はあえて責任をとってもらわにゃいかぬ。それが五・五%にとどまらなくてそれ以上になったときにあなたは責任をとりますか。そのくらいの、腹を切るくらいの覚悟で国会答弁してもらわなければ、そんなふざけた答弁ならこれは許されないと思うのですよ。もう一ぺん答弁してください。
  29. 田辺博通

    ○田辺説明員 ことばが足りなかったかもしれませんが、五・五%という年度間の物価の上昇率は、その後の思わざる状況等によりまして非常に困難な状態になっている。しかし、これでおさまるかあるいはもうとうていおさまらないかということを、いまここで断言するか、そこは非常にむずかしいところでございまして、実際の見通しとしても、今後の情勢というものをほんとうに心配しつつ政策を進めていかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
  30. 阿部助哉

    阿部(助)小委員 だめですよ、そんなのは。五・五%でおさまるという期待を皆さん持っておるのですか。もう昨年の同月比でいってこれだけ上がっている。げたはこれだけある。もう上がっておるげたはこれだけあるのですよ。それで五・五%といったら、物価を下げていかにゃならぬのですよ。いまそんなことが可能だという見通しは立つのですか。私はいまここに何も数字を持ってきておりませんから具体的な数字はあげませんけれども、もうすでにそれだけげたがあるのですよ。そのげたをそのまま伸ばしていったところで五・五%を上回るでしょう。そうしたらいまよりも物価を下げていかなければならぬ。これで皆さんの言う五・五%になりっこないじゃないですか。そんなものは常識ですよ。その常識ですら、この国会でわれわれをちょろまかそうというみたいな答弁をされたんじゃ、われわれは審議する気力も何もなくなってしまう。  私は国会を何と考えておるのかと言いたい。そうなると、私は皆さん国会に対する態度そのものに対して追及せざるを得ないことになる。私はもっとすなおに、人間間違うこともあります、見通しの狂うこともありますよ。あったらあったでいいからそれをすなおに出して、お互いに議論する中で、より国民に真実を伝え、国民の生活設計の立つような道を探求していくというのが、こうやって委員会を開いている理由だと私は思う。それを全然足でけ飛ばすような形で答弁をされるということに対しては、私は国会を侮辱するとすら感ずるのです。そういうふざけた答弁ではなしに、私はもう少しすなおな答弁で、それで間違えたら間違えたでもう一ぺん委員会にかけるなり、予算委員会審議するなりという態度こそが私は民主的な態度だと思うのです。  私のことばが荒っぽくて申しわけないけれども、私はそういう答弁を聞くと、これは腹が立ってしょうがないのです。これは議会民主主義だとか、財政民主主義だという立場に立ったら、皆さんもう少しこれは紳士的な態度で、フランクな態度で論議してもらわなければ困ると思うのですが、どうですか。これは事務当局じゃなしに、やはり大臣か次官でないと、これは私は政治的な答弁だと思いますので、お願いしたいと思います。
  31. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 確かにいま五・五%におさまるかどうかというのは相当むずかしいということはおっしゃるとおりだと思います。しかし、ただ政府としましては今後物価政策というものを、物価というものを今後の政策中心に置いて、物価をどうしたら安定せしむることができるかという方向でいろいろな政策をやっておるわけでございます。したがいまして、三カ月ほどたっておりますけれども、今後の政府の努力によって極力ひとつ物価を下げていく、こういうことにいま懸命になっておる最中でございまして、そういう意味では下半期に大いに政府としては物価の安定を期待する、こういうことでございます。決していまのままで物価がいくということには政府としては考えておりませんで、できるだけこれをいろいろな政策、ありとあらゆる政策を尽くしてひとつやろう、こういう努力中だということをひとつ御認識をいただきたいと思います。
  32. 阿部助哉

    阿部(助)小委員 私、時間がないですから、この問題はやめますけれども、私は物価の問題へはずれたから、ちょっとおかしいんですが、私は財政民主主義という立場でつくった予算がまだ三カ月もたつかたたぬかのうちにいろいろ変えなければいかぬというようなことになったら、少なくとも国会がまだ開会中なんだ、この国会できめた予算なんだ、そうしたら、この国会へ、予算委員会へもう一ぺんかけるくらいの、皆さん国会を尊重する立場でものを考えてくれないと、一ぺんきめたんだから、どんぶり勘定でおれの金だ、自由自在なんだというわがままな姿勢は許されないということを言ったのであって、そして物価問題が派生したのですが、私はいまの政府態度そのものに不信感を持たざるを得ないということだけで、まあ物価問題はいずれ別の機会に私またやりますけれども、いまの事務当局の答弁のように、明らかにだれが見たって政府の努力は、主観的な努力はわかります、幾ら努力してみたって、いまの物価情勢の中で五・五%になるはずがないですよ。そうしたら、それを前提にしてもう一ぺん国会を通して国民にある程度見通しをちゃんとするのがほんとうであって、なりもしない話を、五・五%になるみたいな話をやられても困るということだけ私はくぎをさして、私、関連ですから、時間もないそうですから終わります。
  33. 塚田庄平

    塚田委員 じゃあ私ももう時間がありませんから、財政民主主義ということをいま阿部委員から話がありましたが、これは次官でも次長でもけっこうです。先ほどから政府はあらかじめ議決を経ていると、これを繰り越す場合、明許で繰り越せる。だけれども、よくひとつ法律を読んでください。それは明許繰り越しというのは、こういう事態でかってに繰り越せるということを予想した規定じゃないということですよ。おわかりですか。これはその性質上繰り越さなければならぬというもの、これには該当しないと思う。事後に起きた特殊な事情、そういうことによって繰り越していくということについては、だからあらかじめ国会議決が得られるような規定になっているのです。  だから、今回の場合のように政策的に延ばさなければならぬという場合には、あるいは政策的に場合によっては延ばすということは、年度を限って見れば削減することですから、そういった場合にはこれは明らかに予算削減の問題として取り上げる、つまり議会議決を得る、こういう態度財政民主主義のたてまえだと思うのですよ。繰り越し明許を悪用してはならぬと思うのですよ。むしろこれを狭く解釈するところに財政民主主義の本筋があるのですよ。私はそのことをぜひやってもらいたい、やるべきだ、こう思います。最後に御答弁願います。
  34. 長岡實

    長岡政府委員 財政民主主義の問題につきましては、国会で御承認をいただきました予算を忠実に執行していくのが政府の責務であろうと存じます。私どもとしましては、いかにして御議決をいただいた予算に忠実に予算執行していくかということに苦慮しておるわけでございまして、公共事業施行時期の調整等につきましても、でき得る限り現在四十八年度を通じてこれだけの社会資本の整備をいたします、生活環境施設の整備をいたしますということを国会で御説明申し上げて、承認をいただきました予算の内容をできるだけ適正に執行していくためには、現在無理をして従来どおりのテンポで上半期契約をするよりは、若干繰り延べと申しますか、施行時期の調整をしたほうが適切であろうかという判断で懸命な努力をいたしておるつもりでございます。  なお、塚田委員の御質問の繰り越し明許の問題でございますが、私ども繰り越し明許国会の御議決をいただいておりますから幾ら繰り越しをしてもいいのだというような安易な態度予算執行をいたすつもりはございません。  ただ、財政法の非常に法律の形式的な解釈かもしれませんが、財政法では十四条の三に繰り越し明許費として国会議決を受けるべき経費の範囲が書いてございます。これはこの経費の性質をあげているわけでございます。こういう性質のものについて繰り越し明許を受けることができる、そういうように繰り越し明許議決を受けました経費について一体いかなる場合に繰り越しをすることができるのだろうかという問題につきましては、むしろ財政法の十四条の三よりは四十三条の三に「各省各庁の長は、繰越明許費の金額について、予算執行上やむを得ない事由がある場合においては、事項ごとに、その事由及び金額を明らかにし、大蔵大臣の承認を経て、その承認があった金額の範囲内において、翌年度にわたって支出すべき債務を負担することができる。」という規定があるわけでございます。  問題は、この予算執行上やむを得ない事由に該当するかどうかという点はまだ議論が存するところであろうかと存じますけれども、私ども現在まだ四十八年度公共事業予算繰り延べると申しますか、繰り越しをするという結論を出しておりませんので、この際、ここでその議論を申し上げることがどうかと存じますけれども、法律の解釈としては四十三条の三によるべきではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  35. 塚田庄平

    塚田委員 そういう強弁をすると、私ども黙っておれないのです。なぜ十四条の三を——これは繰り越し明許の許される場合の基本的な精神なんですよ。なぜそれを避けて通るのです。なぜ四十三条の三にいくのですか。むしろ十四条の三というものをやっぱり踏んまえて繰り越しを考えるというのがたてまえじゃないですか。そういう大蔵大臣の認可を経てということだけに走る。そこに財政民主主義があぶないじゃないかという議論のあれがあるのですよ。なぜ十四条の三を避けて通るのですか。  その精神というのは、簡単にはできないぞ、その性質上繰り越されなければならぬもの、あるいは事後において起きた特殊な事情によって繰り越しをやる、あくまでもこれは制限規定なんですよ、いま言ったとおり、予算年度内議決されたことをそっくり執行しなければならぬというのがたてまえなんですよ。それに対する例外規定でしょう、明許というのは。なぜ一体十四条の三を避けて通るのですか。その精神を踏んまえなければだめだというのが、財政民主主義の主張なんですよ。
  36. 長岡實

    長岡政府委員 御説明が足りなかったかもしれませんが、私ども公共事業等予算につきましては、財政法の十四条の三に基づきまして、歳出予算の経費のうち、その性質上支出を年度内に終わらない見込みのあるものについて、あらかじめ国会議決を経て、翌年度繰り越して使用することができるという、第十四条の三には該当するわけでございます。したがって、公共事業につきましては、その性質上あらかじめ国会議決を経て繰り越し明許費になっておるわけでございます。なっておるから、いかなる場合にも政府のほうでそれをたてにとって繰り越してもいいのだというような安易な財政執行を許さぬという趣旨の御質問と心得ましたので、それについては財政法では四十三条の三がございますということを申し上げたわけでございまして、十四条の三を決して避けて通ったつもりはございません。
  37. 塚田庄平

    塚田委員 いまちまたでは、端的に言いますれば、政府部内であっても、あるいは銀行筋、特に日銀関係でも、大蔵省規定の最大限といいますか一番リミットのそこを利用して権限を発揮していく、こういうことについての反発が残念ながら世間では多いのです。皆さんの前でこういうことを言うのは非常に言いづらいのですけれども、だからこそ私はこういう大蔵省の無制限な権限、たとえば予定された経済安定法案なんというのはその最たるものですよ。そういったものに対する一般の反発にこたえる意味においても、ささいなことでもきちっと国会議決を得る、こういう態度で終始しなければ、大蔵省というのは政府部内でも指弾の的になっていると思うのです。そういう意味から言っても、心がまえをきちっとしてもらいたい。こういう希望を申し述べまして、質問を終わります。
  38. 木村武千代

  39. 東中光雄

    東中委員 時間があまりございませんので、私は個別の問題でお聞きしたいと思うのでありますが、いま地方自治体の水道建設事業、上水道の建設事業が特に都市の集中の中で非常に深刻な状態になっております。そういう中で、最初にお聞きしておきたいのですが、水道建設事業に対する国庫補助ですね、これは本年度昭和四十八年度どのくらいあって、総事業費との関係からいうと何%ぐらいになっておるか。まずそこをお聞きしたい。
  40. 長岡實

    長岡政府委員 昭和四十八年度の水道事業に対します予算は、国の予算が二百三十九億六千九百万円でございまして、これは前年度四十七年度当初予算に対しまして一・七倍、相当重点的に増額をいたしております。この二百三十九億六千九百万円の国費予算の積算の基礎と申しますか、その内容といたしましては、先行投資として行なわれます水道の水源開発事業に対しましては、国が三分の一の補助をいたします。それから市町村単位あるいは専用水道として経営されてまいりました水道事業の合理化に資するものとして、広域化の事業を行なうものに対しまして、四分の一の国庫補助を行なっております。こういう計算のもとに、ただいま申し上げました金額の予算を計上しておる次第でございます。
  41. 東中光雄

    東中委員 約二百四十億でありますが、これは水資源開発公団への補助を含んでいるわけですから、いわゆる水道の建設費用補助金、これは全国で百十六億くらいではないかというように思うのですが、いかがですか。
  42. 長岡實

    長岡政府委員 ただいま申し上げました二百三十九億の中には水資源公団の関係予算が二十一億九千七百万入っております。東中委員のおっしゃいました百十数億というのは、私が申し上げましたもののうちのいわゆる広域化をはかる、水道広域化施設整備費という項目の予算が百十五億五千九百万に相なっております。
  43. 東中光雄

    東中委員 そうすると、そのほかは何ですか。
  44. 長岡實

    長岡政府委員 先ほど申し上げました広域化以外に、先行投資として行なわれます水源の開発と申しますか、国が三分の一補助をいたします分が、三十五億八千六百万円・水資源公団に対する先ほど申し上げました二十一億九千七百万円もいわゆる水源開発のための経費でございますので、これを合わせますと、水源開発の関係が五十七億八千三百万円。それから先ほど申し上げました広域化が百十五億。これ以外に、沖繩関係で同じように水道水源施設の整備あるいは広域化等に六十一億六千七百万円の予算が計上されております。
  45. 東中光雄

    東中委員 いま大都市における水道事業の赤字は非常に深刻なものになっておるわけですが、工業用水の場合は二〇%ないし二五%の国庫補助に全体としてなっているわけですが、上水道の場合は事業全体の事業費との関係でいえば、そのパーセンテージはきわめて低い。昭和四十七年までは〇・八%くらいであったかと思うのですが、今年度で幾らくらいですか。
  46. 長岡實

    長岡政府委員 上水道の総事業費の中で国庫補助金の占める割合は、御指摘のとおり約五%程度でございます。
  47. 東中光雄

    東中委員 それは水資源開発公団への補助を含んでおるわけですから、さらにうんと低くなるわけですが、大阪の府営水道の場合の例でありますが、第六次拡張計画がいま実施されておるわけですけれども、その総額は五百五十億円でありますが、大阪府の資料で建設事業資金内訳と企業債の種別内訳というのがありますが、これによりますと、国庫補助は九・二%の五十億八千万円、府費が二%の十億七千四百万円、企業債が四百八十八億四千六百万円で、実に八八・八%になっている。結局借金政策といいますか、企業債でやっておるので、その利子でどうにもならない事態になってきているということが言えるわけです。  大阪府の府営水道の事業財政収支計画表を見ますと、四十八年から五十一年までの計画で、給水収益等が二百八十九億余円、企業債費が二百九十八億円になる。いわば借入金の返済と利子返済でこれが収益をオーバーしているという事態になっているわけですが、こういう事態について、これは元利返済だけで追われてしまうどころでなくて、一そう赤字がふえてくるという事態でありますが、こういうのに対してどういうふうな対策措置を考えられておるのかお聞きしたい。
  48. 長岡實

    長岡政府委員 大阪府の広域水道の内容について私まだ詳しく勉強いたしておりませんが、一般論としてお答え申し上げますと、公共事業に対する国の補助のあり方というものにつきましては、これは多分に沿革的なものがございまして、いろいろの角度から検討された結果の積み上げが現在の国庫補助体系をなしておるわけでございますけれども、一つの考え方といたしましては、受益の範囲が非常に広いものと狭いものとに分けて、広いものについては国庫補助を厚くする。狭いものはできるだけ地元でやってもらう。それから受益者が特定するか不特定の受益者であるかということで、不特定の受益者のものにつきましては、これは受益者負担的な考え方が導入しがたいということから国庫補助を手厚くし、受益者が特定しやすいものについてはできるだけ受益者負担でまかなっていくといったような考え方が一つあるわけでございます。  東中委員承知のように、水道事業につきましてはよく工業用水との比較が行なわれるわけでございますけれども、工業用水の補助金の沿革は、これは地盤沈下を防ぐために深井戸を掘ることを禁止するということの代償として補助制度が生まれたわけでございまして、水道事業につきましては四十一年度までは国の補助対象の事業ではなかったわけでございます。いわばガスや電気と同じような扱いと申しましてはいささか言い過ぎかもしれませんが、そういうような角度で公共事業的な政府の諸事業の中では位置づけられておったわけでございますが、その後先ほども指摘もございました大都市等において非常に集中的に水の需要が発生しておる、しかも水源が求めにくいといったようなことから、昭和四十二年度に新たに先ほど申し上げましたような水源開発事業であるとか広域事業といったようなものに対する国庫補助の道が開かれたわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、一応現在は現在のその国庫補助のあり方で、水道に対しては一つの考え方の上にこういう国庫補助制度ができ上がっておるというふうに考えておる次第でございます。
  49. 東中光雄

    東中委員 ただ、その現在のままでいくと、この大阪の例でいいますと、第六次拡張計画の企業債発行額と元利償還額との関係を見てみますと、企業債の発行額が非常に高くなる。拡張を余儀なくされているわけですから、そういう中で、昭和四十九年になりますと、元金償還並びに企業債の利息及び取り扱い諸費と給水収益との対比ですが、支払いのほうが一〇二・九%になる。この第六次計画の一番最後、五十一年になりますと、それが一一四・七%になるわけです。結局、収益費のうちの八〇%までが事業拡大のための起債の利息になってしまう。正確にいいますと、七九・一%ですが、約八〇%までが利息払い、銀行に払う金を水道料金で一般生活用水料金としてほとんどが吸い上げられてしまう、こういう結果になるわけです。  生活用水というのは欠くことのできぬものでありますから、こういう事態のまま推移していくということはこれは許されぬのじゃないか。経過はあるでしょうけれども、経過は経過であって、実際に生活用水がこういう状態でいっておる。そういう財政状態をそのままで置いておくということはゆゆしい問題になるのじゃないか、こう思うのですが、厚生省はこれの対処を検討されているのかどうか。
  50. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  ただいま先生のほうから第六次拡張事業の件についてお話がございましたけれども、御承知のように、大阪府営水道は府内の大阪市を除いた大部分の市町村、三十五市町村にわたります水道用水の供給事業を行なっております。当然ではございますけれども、最近の水の需要の増大に伴いまして、戦後拡張事業が引き続き行なわれてきておるわけでございまして、いま行なっております第六次拡張事業も、先ほどお話ございましたけれども、総事業費約五百五十億で昭和五十年を目途としてやっておる事業でございます。  水道事業そのものは、もちろん公共性を確保するという非常に重要な見地から行なわれるわけでございますが、他方、地方公営企業といたしまして、企業の健全な運営をはかっていくということがたてまえになっておるわけでございます。このように拡張事業が引き続いて行なわれますと、当然資金、建設費も増高いたしますし、コストの上昇がございますので、ある程度の料金の改定等も考えていかなければならないというように思うのでございますけれども、先ほどお話ございましたように、昭和四十二年度以降は特に水道の広域化事業につきましてはかなりの先行投資的な部分もありますし、さらにはまたコストの急上昇する面があるという角度から、そういう事業に対しましては国庫補助制度をとったわけでございます。  第六次拡張事業計画いたします際におきましても、大阪府のほうといたしましては、こういうただいま先生お話ございましたようなコスト上昇の観点もございますので、国庫補助等の要請もございますし、私どもも毎年度全国的に広域化のための助成の措置、国庫補助制度を大幅な率で伸ばしてまいったわけでございますけれども、まだ必ずしも十分な点はないかと思います。  私どもはそれらの点につきまして、引き続きそういう財政措置等につきまして十分努力いたしてまいりたいと思いますけれども、同時にやはり諸物価、工事費あるいは人件費、その他経費面等のコストもアップしてまいりますので、これらを勘案いたしまして、企業そのものが健全な運営をされますように、今後とも府とも十分協議いたしまして進めていきたいというふうに考えております。
  51. 東中光雄

    東中委員 水道事業の広域化、そういう意味での建設事業の拡大、これがいま私が申し上げたような元利償還でどんどん食っていくという原因なのですけれども、なぜそういう水道の拡大をやらなければいかぬようになってきたのか、これはどういうふうにお考えになっているかですね。原因をはっきりさして、そしてそれに対応する拡大事業の資金繰りの問題をどうするかということになってくると思うのですが、厚生省、どういうふうにお考えになっていますか。
  52. 国川建二

    ○国川説明員 一言で申しまして、水道の需要の増加が非常に著しいということでございます。需要の増加と申しますのは、水道の場合には、人口の集中あるいは生活水準の上昇その他都市化、そういったもろもろのものもございますけれども、大まかに分けまして、全国的に見ますと水道用水のうちの約六割から七割程度がいわゆる生活用水といいますか、狭い意味での生活用水、家庭用水というようなものに使われておるわけでございまして、残りがビルその他官公庁、学校、病院その他さまざまな用途に水が使われておるわけでございます。したがいまして、都市によりまして実態がいろいろございますが、たとえば東京で申しますと、東京都の水道の場合、約六割がいわゆる家庭用水、その残りが事業用水というようになっております。家庭用水につきましても、やはり最近の傾向といたしましては、まあ世帯の細分化と申しますか、そういうことが進むにつれまして、家庭用水の一人当たりの水の使用量と申しますのも、昭和三十三年と昭和四十六年を比較いたしますと約二倍くらいになっておる、そういうような増加もございます。もちろんそれのみならず、都市化に伴いました建物の高度化というようなことで、いわゆる都市用水といわれるようなものもかなり激増しておるわけでございます。  まあそういったものが傾向といたしまして、全国的に見まして水道用水は毎年約一割弱くらい需要量が年々ふえてきている。そういうことに対応いたしまして、それに必要な施設整備をするために水道の拡張工事、そういったものが生じてきておるというように考えております。
  53. 東中光雄

    東中委員 昭和三十一年の大阪の府民一人当たり一日の最大使用量は二百五十リットルくらいというふうに計算をしているわけですが、五十年では五百リットルになるという計算をしています。ところがこれは一人当たりのことになるわけですが、大企業が集中していくというような中で、たとえば新日鉄が堺臨海工業地帯で、一月の平均使用量が四万八千五百トン、日立造船が堺で月平均四万五千五百トン、あるいは朝日ビールの工場が月平均二万トン、けたはずれに使うわけですね。個々の従業員が家庭用水で使うのみでなくて、こういう大企業あるいは料亭なんかもずいぶん使っています。  こういういわば都市への高度成長政策に基づく集中ですね、そういう中で水の、工業用水ではないですけれども上水道の使用量が圧倒的にふえてくる。しかもそれに対応するような拡張工事をやるということで、元利償還だけで収益の八〇%近くにもなる、こういう事態ですね。だから、いわばそういう高度成長政策に対応して、必然的にそうならざるを得ないような方向へ持っていって、しかもそれは全部起債でやる。利子払いで銀行に金を払うために今度は国民の料金値上げ、生活用水の値上げにまで、まあいま、そういう方向も考えてもらわないと困るということでありますけれども、水道料金の生活用水の値上げに持っていくということは、これは全くおかしいのではないか。  ですから、国庫補助を思い切ってふやす、あるいは長期低利の融資を考えるというふうな体制を当然とるべきである、こう思うのですが、その点は、これは政務次官にお聞きしたらいいですか、どうでしょう。
  54. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 全体の水の量の確保というのがいま非常に大切な、緊急やらなければならないことになっているわけです。近畿地方における水資源の確保についても、先般琵琶湖の水資源を確保して秒四十トンという水を取る、こういうことを法律でいろいろ助成の方法をきめてやったわけでありますが、どう勘定してみても近畿地方における水の量の不足というのはおおうべくもないことであって、特に工業用水については政府としましても、同じ水を繰り返し使うという方法も考えられます。あるいは工業用水の供給限度というものも相当慎重に考えてやらなければならない問題である。  何といいましても第一は上水道といいますか、市民の使用する水を何とか確保するという方向で考えていかなければならぬわけでございます。いまそういう水の絶対量の確保という問題のために、いろいろ水資源開発ということもやってきておるわけですが、いまのお話は、大いにいま申し上げたような方向に沿って財政としても考慮をすべきであろうというお話でございます。私は大筋としてはそういう方向で考えていかなければならないものであろうと思いますが、具体的な問題になりますれば、いろいろ先ほど来次長の申しまするように沿革もございますし、また考えていかなければならない問題もいろいろあるようでございますので、なるべくいまお話のような御趣旨を体して十二分に検討をしていきたい、こう思っているわけであります。
  55. 東中光雄

    東中委員 工業用水は地下水のくみ上げを規制したというような経過もあって補助するということでありますけれども、地下水のくみ上げを営利目的に使用する。水のくみ上げをやることによって一般に大きな害を与えてくるからそれを規制する。それはいわば公害ですから当然のことなんで、だから公害を規制したからそれには援助をするというのは、これはむしろ産業には援助したということになっても、合理的な理由があまりないのではないか。むしろ生活用水ですね、特に一般市民の生活用水あるいは浴場、理容、美容あるいはクリーニング、大衆食堂、こういったところの市民生活に欠くことのできぬ水ですね、これは、水といえば昔から湯水のごとく使うということばがあるぐらいに、これぐらいは自由に使えるということだったはずなんですけれども、ところがいまはどんどん工場へ持っていく。水資源の問題自体、これは一つの重要問題でありますけれども、私がいま申し上げたいのは、それを起債でやっていくということでは、結局大阪府の場合を見ても大会社への利子払いにほとんど料金が吸われていっているという形になって、こんな不合理なことをおいておくわけにはいかぬではないか、こう思うわけであります。  それで、料金値上げについていえば、ことし大阪の府の場合でいえば三一・三%の料金値上げを府側が提案をしましたけれども、これは自民党も含めて全会一致反対をして否決をしているわけですね。そういう公共料金の値上げをやるという、しかもその金が利子払いに充てられるというような不合理なことではこれはだめなんで、いま政務次官も言われましたけれども、これは国庫の補助をふやす、そして低利長期の融資にする、そういう方向を打ち出さない限り、都市の、大阪でも神奈川でもそうでありますが、水問題というのは深刻なことになってくる、こういう事態であります。ぜひそういう方向でひとつ検討をやって早急にやってもらいたい、こう思うのですが、最後のお考えをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  56. 長岡實

    長岡政府委員 基本的にはただいま政務次官がお答えになったような考え方で私どもも努力をいたしてまいりたいと思います。ただ、公共事業の補助率につきましては、先ほど来申し上げましたように、いろいろの考え方で一つの体系が成り立っておりますので、これを手直しするということはなかなか簡単ではございません。水道に関する国庫補助額そのものを、他の事業に比べて非常に重点を置いて、今後もふやしていくというような点については、私どもも最大限の努力をいたすつもりでおりますし、また企業債の金利そのものの負担軽減、たとえばでき得る限り政府資金を投入することによって金利負担を軽減していくというようなことにつきましても、これは大蔵省だけの問題ではございませんので、関係各省相寄りまして、われわれとしてもできるだけ真剣に検討を進めていきたい、かように考えております。
  57. 木村武千代

    木村委員長 関連質問を許します。武藤山治君。
  58. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの水道の補助金の問題ですが、私は補助対象に改善すべき点があるのじゃないかと思うのですよ。いま補助金をおろす場合にどういう対象に、たとえば配管の場合だったら何インチ以上だとか、そういう補助対象の中身をちょっと明らかにしてください。
  59. 国川建二

    ○国川説明員 お尋ねの点は、水道広域化事業だと思います。水道の補助制度の中には簡易水道の補助制度というのがございますけれども、これは別にいたしまして、広域水道についてでございますが、いわゆる広域水道と申しますと、多数の市町村にまたがりまして、一体的に広域的に水道が運営されるような施設でございます。しかし、その施設のすべてというわけにはもちろんまいりませんし、全体には及んでおりませんで、基幹的な施設に限られております。たてまえといたしましては、たとえばパイプ等につきましては一応四百ミリ以上の程度を補助事業として考えております。その他、広域水道の規模もいろいろございますので、私どもといたしましては、広域行政と申しますか、できるだけ全体として広域的にいけるように、事業計画等につきましても指導しておるところでございます。
  60. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 補助の対象が四百ミリといったら、かなり大きいものだな。ところが、実際にその水道工事をやる市当局となると、配管の小さい部分の金額が非常に大きくなるわけですね。方々で枝管をつくるのに、それが全然対象になっていないわけですよ。そこに非常な不満があるわけです。したがって、いまの四百ミリという対象をもっと小さい単位までおろしていかないことには、いま言った起債で、全体の工事費総額が非常に上がるものですから、借金の返済に振り回されることになる。  したがって、大蔵省としては一応補助対象四百ミリというのはそろそろ検討し直す必要がある。というのは、政府は、市街化区域をつくって、そこに水道がいくように、あるいは下水も整備するようにと一方で指導をして、とにかく生活環境の改善だといっておきながら、依然として四百ミリ以下は対象にならぬという。いまの水道補助金の場合など、四十二年からもう五年間を経過するのですから、そろそろこの辺で再検討の必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  61. 国川建二

    ○国川説明員 四百ミリまでと申しますけれども、大体におきまして、広域水道を採択しております事業の規模は、一応目標といたしまして、複数の市町村にまたがる、できるだけ大きなものにいたしたいということで、その事業になりましたならば、水源は別でございますけれども、取水場から、導水施設、浄水施設、送水施設まで入るわけでございます。四百ミリ以下と申しますと、もちろん非常に規模の小さい水道ですと、全体の事業量の三割だとかあるいはそれ以上にいく場合もあろうかと思いますけれども、広域水道の場合ですと、事業全体のウエートからいきますとかなり小さいんじゃないかというような感じがいたしております。  たとえば大阪府営水道などで申しますと、送水施設としては四百ミリ以下はないというように考えております。
  62. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 ここでひとつ大蔵省に資料要求をしておきますが、補助金の一覧表をつくってもらって、補助率がどうなっているか、それから補助総額がどうなっているかを資料にまとめて、次の小委員会までに提出を願いたいと思います。補助金全体を一応洗ってみようと思いますので、補助率と補助総額、それをひとつ表にして出してくれませんか。
  63. 長岡實

    長岡政府委員 ただいまの御要求は、公共事業関係に限らず、すべての国の補助金ということですか。
  64. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 すべてというとたいへんならば、公共事業だけでもいいから、とりあえず補助率と補助金額を全部出してください。それを見てから、もし必要ならばほかのものも要求するから、とりあえず公共事業だけのものを出してください。
  65. 長岡實

    長岡政府委員 提出いたします。
  66. 木村武千代

  67. 広沢直樹

    広沢委員 きょうは大蔵委員会の視察が予定されておりますし、時間がありませんので、二、三点基本的な考え方をただしておきたいと思います。  御存じのように、最近の異常な物価値上がりにつきましては、国民が非常に深刻な打撃を受けておりますし、おそらくここで答弁されておる皆さんも、一国民としてはその影響を愛けて、この問題については同じく深刻な問題と考えられておると思うのですが、そのためにいま、景気を何とか押えなければならぬ、いわゆる総需要の抑制ということで、金融引き締め、またいま数々問題になっておりました公共事業など、こういう景気の一つの大きな柱になる問題についてどうするかということが論議せられておるわけです。  金融問題は明日の金融証券小委員会で話すとしても、その一つの大きな柱である公共事業繰り延べの問題について、いま当局が考えておる点というのは、一応上半期契約下半期に繰り越すのだ、そういうことで何とか鎮静するのじゃないかという考え方に立っているのでしょうけれども、はたしてそのようになっていくのかどういということが一つの大きな問題だと思うのです。もしもそうならなかった場合においては、やはりこれは年度内でのやりくりじゃなくて、次年度に大きく繰り越していかなければならないのじゃないだろうか、こういうふうにも考えられるわけです。先ほどの次官の答弁でも、下半期のほうにいって物価が何とか安定するように期待し、努力をしているということですが、それはあくまでも期待でありまして、いまの情勢から考えていきますと、背景にはいろいろな問題がありますけれども、なかなかそういう状況は見えていない。  そうなった場合に、いまここに資料としてあがっております前回の見込みから四・五%ぐらい上半期契約を減らしたぐらいでそういうような状況が生まれてくると判断されているのかどうか、もしもそうでなかった場合においては、これは次年度繰り越しということも当然考えておるのかどうか、その点、まず最初に伺っておきます。
  68. 長岡實

    長岡政府委員 最初に私から御説明申し上げましたように、私どもといたしましても、今回の公共事業施行時期の調整だけで、たとえば物価が鎮静するとか景気の過熱が防止できるというふうには考えておりません。財政、金融を通じましてあらゆる施策を講じて、できるだけの努力をすべきときだと考えまして、財政の面では、本日御説明申し上げましたような措置をいまとっておる段階でございます。したがいまして、これだけで一体景気は鎮静するのかという御質問に対しましては、率直に申し上げてこれだけではなかなかむずかしい。  ただ、公共投資と申しますか建設関係需要は、全体といたしましては官需より民需のほうが多いわけでございまして、民需のほうは主として金融政策を通じて引き締め効果の浸透をねらっておるわけでございますけれども財政も当然それなりの努力をしなければならないということで、いまやっておるような次第でございます。先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、現段階ではまだ公共事業の四十八年度予算そのものを繰り越しをするという考えは持っておりません。何とか現在の上半期施行時期の調整効果が出てきて、また金融政策効果も浸透してきて、国会で御議決をいただきました予算執行が行なえるような状態に持っていきたいというふうに考えておりますので、いまの段階では、今回の上半期契約施行時期の調整を通じまして、四十八年度公共事業予算繰り延べる、繰り越すという結論を持っておるわけではございません。
  69. 広沢直樹

    広沢委員 仮定の問題をお話ししてもなかなか答弁しにくいだろうと思うのですけれども、しいしながらいまの情勢から考えてみまして、そういうような下半期においても、やはりこれが極端に物価の鎮静という問題も出てくる問題じゃないのですね。ですから、そういう時期においては、いま申し上げましたように、景気対策においては金融と同時に財政のあり方というものが今日大きな問題で、昔のように金融を、総需要を引き締めるという金融対策だけで、ある程度その景気の大勢が変わってくるという時期でもありませんし、それだけに財政規模というものも非常に大きくなってきているわけですから、その運用いかんが非常に大きな影響を与えることは、これはいなめない事実でございます。  そうなりますと、将来下半期においてもそういう状況があるならば、そういう対策も考え得ることなのか、それとも一ぺん提出したこの予算につきましては、あくまでもそれはやっていかなければならない、物価の問題については金融対策にほとんどのウエートを置いてやっていく以外にないと考えているのか。  いままでのパターンは、あくまでも財政は、やりくりはいろいろ年度内でつけているようですけれども、やはり一たん出したものについては、そういうことはもうできないんだという考え方に立っていくならば、当然下半期にいって景気がどうこうあろうとも、これはいたしかたがないということになるのかもしれませんし、その点の考え方を伺っておきませんと、財政だ、金融だとなすくり合いしておったって、このような景気の問題というものは解決するわけではない。  なかんずく、いまの物価の問題というものが、先ほどの次官のお答えのように、いまの政策の最重点でこれを考えていかなければならない段階に来ているわけでありますから、その点をもう一ぺん念を押して伺っておきたいのです。
  70. 長岡實

    長岡政府委員 たいへんお答えがむずかしい御質問なんでございますが、先ほど私、塚田委員の御質問に対してもお答えいたしましたように、現在の段階におきましてその繰り延べを考えておらぬということは申し上げたとおりでございます。  ただ、仮定の問題として、今後も政府全体の努力あるいは民間の、いろいろのその政策の浸透等にもかかわらず、現在のような状態が続いても、なおかつあくまで予算執行するつもりかという御質問、仮定の御質問に対しましては、私どもは、そうかたくなな態度をとることがはたして国会議決をいただいた予算執行に忠実なるゆえんであるかどうかという点は、そのときそのときの情勢を見て弾力的に判断していかなければならぬのじゃないか、かように考えております。  現在の段階では、何とかそういうことがないように努力をいたしたいということをいろいろ考えておりますし、また国会予算委員会等で御説明申し上げましたように、今回の施行時期の調整の対象になっております事業の中には、国民の福祉に直結いたします社会資本の整備がたくさん入っておるわけでございますので、何とかそれを執行したいという気持ちで現在は一ぱいでございます。
  71. 広沢直樹

    広沢委員 その意味はわかります。大蔵大臣も大蔵委員会で、特に今回の物価の問題とそれからいわゆる需要の非常に多い、過去の経済成長のひずみとしいいますか、それによってそれを是正して、福祉へ変えていかなければならないという体制の需要拡大の中で、これをいたずらに押えるということは私も、そういう生活環境の整備から考えれば賛成できないわけですけれども、しかしながら、総体的な抑制をしなければならない段階では、これはある程度その中を、よく内容を吟味して、そしてこれは是正していかなければならないかと思うのです。  そこで、先ほどもお話ありましたけれども、基本的な問題に一、二点触れておきたいのですが、当初予算規模、いわゆる財政規模ですね、その年度年度の。それに一つの問題があるのじゃないかと思うのです。御存じのように、当初政府は、経済見通しというのを立てて、それに対応して、幾ら財政需要が多いからといっても、それに対応した対策は立てていかなければならないわけですね。ところが、政府の当初経済見通しというのは、これは完全に狂っていることは、だれが見ても否定できないと思うのです。まあこれは経済企画庁に聞くのが至当だろうと思いますが、それに基づいて財政当局として予算を編成するわけでありますから、その経済見通しはもう変更せざるを得ない、こういうお考えになっているのかどうか、財政当局としてのお考えをちょっとお伺いしたいのです。
  72. 田辺博通

    ○田辺説明員 御承知のとおり、経済見通し経済企画庁がつくっておるわけでございますが、それにわれわれが参画しておるわけでございますが、この見通しを現在の段階で、年度全体の見通し年度を通じての見通しを改定せざるを得ないかどうかということにつきましては、企画庁の問題でございますが、現段階ではおそらく、そういうことに決意を固めておるわけではなかろう、こう考えております。  と申しますのは、いろいろお話をしておりますと、やはり今後の財政金融政策によるところの総需要調整というもののきき方、これにある程度の希望というか期待があるものでございますから、総体的な経済の成長率というものについては、当初の見通しに何とか近ずけることが、いまの段階では可能ではないか、こういうぐあいに考えているように思います。
  73. 広沢直樹

    広沢委員 これは予算委員会のときにも問題になりまして、その当時、もう最初からその経済見通しは狂っているのじゃないかと指摘されておったわけですが、今日の状況を見まして、これは先ほどあった卸売り物価指数の問題にしても、消費者物価にしてもあるいはGNPにしても、これが狂ってきていることは明らかなんですね。何とかその線に近づけたいというのは、それは計画ですから当然な話でありますけれども、しかしもうこの段階では、いまも話がありましたように、それは努力目標ではあるけれども現実的には非常にむずかしい状況になっているのじゃないか。  ですから、それに基づいて予算を編成するというのが予算編成方針ですから、したがってその経済見通しが狂ってくれば、それに対しての財政当局としての予算の立て方というか、考え方も修正していかなければいけないのは当然です。  ですから、おそらくこれから——これは一ぺん立てた経済見通しを変えないということはないので、毎年毎年途中で経済見通し調整をやるわけですね。修正するわけです。それに基づいてやはり予算のあり方についてもこれは考えていかなければならないのじゃないか、こう思うわけですが、その点はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  74. 田辺博通

    ○田辺説明員 おっしゃるとおり、予算の編成のバックといたしまして経済見通しというものがあるわけでございますが、経済見通しをかりに、たとえば需要項目のあり方が変わってくるとかそういう計数がかりに変えられた場合に、直ちに財政の、いまの予算の中身について変更をしなければならぬということには必ずしもならないと思います。全体の経済運営の方針といたしまして、大まかなバックとして経済見通しがあるわけでございますので、また予算予算としてのそれぞれの需要と申しますか、歳出につきましてはいろいろな需要がありまして、それに応じてやっておるわけでございますから、何と申しますか、経済見通しをかりに改定すれば同時に予算も変えていかなければいかぬというぐあいに、直ちにはまいらないと思います。
  75. 広沢直樹

    広沢委員 当然いま最大の問題になっているのは、景気対策の上から総需要抑制ということでしょう。その他個人消費支出とかいろいろな問題もありますけれども、柱になっているのは、金融政策をどうするかという問題と、やはり財政の問題ですね。これをどうするかということで調整の柱になってきているわけでありますから、当然その経済見通しが狂ってしまえばそれにつけてやはり当初立てた財政規模ですか予算規模というものが、これがその中の骨子であるいま問題になっております公共事業にしても、一番これは景気関係がある問題でありますから、それにしても何か対策を講じないで、一応立てたものは変えないのだという方針であれば、これは議論だけあって現実に即さない問題になってくるのじゃないか。  そういうようなやり方が先ほどからありました財政民主主義の問題にも触れてくるわけでありまして、やはりこれは個々に弾力的に考えていかなければ、金融対策とこの財政の問題というものはポリシーミックスといわれておりますけれども、一体になって真剣になって考えていかなければ、今日の景気という問題に対応することにならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。金融当局も申しておりますように、これからまだ引き締めは強化しなければならないということは、これははっきり見通しを立てて言っているわけでありましょう。そういうことになれば、いま言うような問題は当然考えていかなければならぬ。  ですから、何もいま、予算は通ってしまって執行中でありますから、しかしこれは補正ということもありますし、そこで率直にやはり財政当局として真剣にこういった景気対策の一環に大きなウエートを持っている立場からは考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。いままでのパターンは絶えずそういうことは理論の上ではいわれながら、結局は金融対策だけで何とかするというようなやり方をやってきているように思うわけです。  ですから、この際は、やはりほんとうにこの物価問題というものが国民に深刻な打撃を与えているのだ、政府も全力をあげて物価の上昇を抑制し安定させなければならぬということであれば、これは財政当局としても積極的な姿勢を示していかなければならないのじゃないか、こういうふうに私たちは主張するわけですが、その点もう少し前向きにいろいろ検討していく必要があるのじゃないかと思いますので、あとからお答えいただきたいと思うのです。  質問の時間がありませんので、それからもう一つ。そういうことになってまいりますと、公共事業も、いまやはり福祉関連の生活環境整備にウエートが置かれておりますから、これも内容を十分検討していかなければならないのじゃないか。いまここに資料をいただいている中に、災害復旧あるいは生活環境整備、これについては前回の見込み上半期契約見込みとはほとんど変わらないという姿勢をとっておりますけれども一般事業といわゆる生活関連の事業といいますか、これとはなかなか線を引きにくい問題でして、これはいま道路を直すにしてもすべてが生活関連になっているわけでありますから、その点の振り分けというものをどう考えていくのか。ですからいま不自由であろうとも、来年度にしても、やむを得ないものというものについてはもう少し厳密に振り分けてみる必要があるのじゃないか。そこで、いまここにいただいておりますこの資料についてもう少し具体的な内容の資料を出していただければと、こう思うわけでありますが、その点についてもお答えいただきたいと思います。  それから第三点に、最後に、いま確かに物価関係で、長岡さんも申しておりましたように、土木建築関係では民需のほうが非常に多いわけですね。ところが実態というのはどうなっているかというと、異常な値上がりでなかなか契約がしがたい。うっかり契約すると、毎月毎月このような異常な物価値上がりではかえって損をするのじゃないかというような非常な戸惑いがあるわけです。したがって、公共事業においても物価影響を受けないわけはないのでありまして、それをあくまでもいままでの事業費として組まれた範囲内でものを考えるということになれば、地方団体のどこかにしわ寄せが入ってくるわけでありますが、そういう事業規模と、それに対して組まれた予算、いまの物価関係、こういうものの取り合わせをどういうふうに考えていくか。  このような異常な値上がりであれば、場合によってはこの事業費の修正をしなければならないのじゃないか。それから上半期契約を押えるといいますが、現実的にいまいうような民需事業はなかなか契約がしがたいという戸惑いとうものがありますが、公共事業関係においてはいかような状況になっているのか、その点をひとつお答えいただきたいと思います。
  76. 長岡實

    長岡政府委員 生活環境施設でございますが、御指摘のように道路その他につきましても国民の福祉につながる事業はたくさん入っておるわけでございますけれども、一応私ども上半期契約施行時期を調整しないグループにあげました中に入っております生活環境施設と申しますのは、公共事業予算を整理いたします際に生活環境施設整備という項目でつくっております下水道、環境衛生施設、公園といったようなきわめて直接的な生活環境施設に限定いたしております。これにつきましては、施行時期の調整をいたさないで当初予定どおり事業を進めていくという考え方でやっておりますが、ただそれ以外の諸事業につきましても、私どもといたしましては関係各省実施のしかたについてはきめこまかく相談をいたしまして、なるべくいわゆる国民の生活環境、国民の福祉につながるようなものについて優先的に実施していくようにという配慮はいたさなければならない、かように考えております。  それから、いまの契約状況でございますが、私どもが聞いておりますところでは、やはり地方の小規模な事業等につきましては、業者が資材の手当てがつきにくいといったようなことで、必ずしも従来に比べまして円滑に契約が進んでおるわけではございませんので、そういう意味におきましても、ある程度私ども予定しております施行時期の調整というのが、非常に無理をして押えるということでなく、これはもちろん押えてもらうわけでありますけれども、ある程度現実の面からいきましても上半期においては受け入れられるのではないか、かように考えております。  特に具体的に申し上げますと、公共事業資材の中でセメントが非常に逼迫いたしましたのは、中国地方を中心といたします災害復旧のようなこまかい事業が昨年度の災害のために集中した地域から始まったわけでございまして、そういうように地域的にもいろいろばらつきがあるようでございますけれども、そういう点で若干いま申し上げたような契約を押えぎみにしておるということは、実施をしております業者等の立場からいたしましても受け入れられておるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  77. 広沢直樹

    広沢委員 それでは時間がありませんからこれで最後にしますが、最後に、山本政務次官にお答えいただきたいのですが、いま私が申し上げましたように、やはり当初の経済見通しに基づいて予算規模というものをきめる。ですから、やはり一たんきまったものはなかなか、それは需要に応じてきめていくという関係がありまして簡単に切れないことはわかるのですよ。そしてまたいまの関係から見ると、すべてが福祉体制、生活環境整備というふうにウエートが置かれている関係でそうなっているわけですね。しかしこういうふうな景気対策関係になりますと、いわゆるジレンマということになってきて、当初からトリレンマだの何だの言われておりましたけれども、やはり当初の財政規模というものを景気の対策においてどの辺に置くのかということが非常に問題になってくるし、その見通しが今日のように狂ってきた場合においては、当然これは補正の時期において補正していく、そして予算の修正もやっていくというふうな積極的な運用を財政当局が示されない限り、これは幾ら景気対策の中から、あるいは物価の問題の中から、金融だのあるいは財政だのフィスカルポリシーで何とかやっていくのだというような議論を繰り返したって、なかなか現実効果のあるものは出てくるものではない。財政当局のいままでのパターンをもう一歩踏み越えて、ほんとうに現状の状態を認識した上での財政運用のあり方というものを検討してみる必要があるのじゃないか、こう思うわけで、その点強く要望しながら、お答えをいただいて終わりにしたいと思います。
  78. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 確かにおっしゃるように、景気全体の上において財政が果たす、財政影響を持っておる力といいますか限界といいますか、そういうものは相当なものであろうと思います。したがいまして、金融その他の政策とあわせて財政を運用していかなければならぬことはもちろんでございます。  いまおっしゃるように、一つの経済見通しに立って財政規模を考えて予算を組んでおるわけでございますが、何せことしの場合はまだ三カ月ばかりたったところでありますし、また今日の経済は非常に目まぐるしく変化をいたします。従来の経済のオーソドックスな常識では律し切れないような動き方の非常に激しと時代を迎えておるわけでありまして、そういう意味でいま政府は全力をあけて——この見通しは、現在の段階をもってすれば非常にこれが達成はむずかしいであろう、こう考えられるわけでありまして、確かにそういう面も私は否定はできないと思いますけれども、目まぐるしく変わっていく国の内外の情勢に即応して、できるだけいま政府物価の安定ということを一つの枢軸にして、いろいろなポリシーミックスをしながらやって、当初立てた目標に近づけるように懸命の努力中であるということでございます。  もしそれお話のごとく、この見通しが大きく違ってくるというような事態になれば、私はある程度財政の面におきましても弾力的な考え方をする必要もあろうと思います。しかしそれはまだ仮定の、全くの仮定の問題でありまして、政府はそういうことではなくて、当初立てた政府の目標が達成できるように懸命にいま努力をしておる、またその努力を必ず実らせる、こういうことで推進をしている最中であるということをひとつお認めいただきたい、こう思うわけであります。
  79. 木村武千代

    木村委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。
  80. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのことに関連してですけれども、その名目成長率を幾らにしたいとかなんとかいうのは、これはまだ先のあることですけれども物価だけはすでに既成事実として、昨年度年度末で卸売り物価は七%もふえた、それから消費者物価は五%ふえているのですね。だからもう見通しどおりいかないことは数字的に間違いないのです。  そこで二点だけちょっと要望しておかなければならないのですけれども、私はこの間大蔵委員会で、今度の予算決定以後における自然増収、大体一兆四千億程度になるだろうという問題を提起したわけですが、これは主税局の総務課長がおられますから、ひとつ資料で出してほしいのですが、かりに一〇%消費者物価が上がった場合に、名目成長率からくるところの要するに増税分ですね、給与所得者に対する増税分、だから調整しなければならぬ部分というのは一体どうなるのか。一三%になったら一体どうなるのか。試算をして一ぺんひとつ出していただきたい。所得税について出していただきたい。それが一つ。  それからもう一つは、これだけ物価が上がると、たいへん困るのは生活保護、それから失対の労働者、こういう人たちは、物価上昇は前年比一〇%といいますけれども、低所得のところの食料費その他衣類、こういうものがいま非常に上がっているわけですから、その生活保護世帯及び失対労働者等の低所得者層に対して、当然何らかの補正措置を講じないことには、私はことしの非常な物価の上昇というものが低所得層に与える影響を無視するわけにいかないだろうと思うのですね。  財源は、いま申し上げたように、それが一兆四千億になるか一兆二千億になるかは別にして、一兆円をこえる自然増収があることは間違いない。だからそういう情勢では、当然これは早急な見直しを考えていく必要があるのではないか。少なくとも政府がことしの生活保護基準なり失対労務者に対する賃金を考えたのは、これはいまの物価上昇という前提、ここで考えているわけですから、物価上昇が大きくなれば、一番影響を受けるところには、当然補正予算等を含めて財政上考慮を払う必要がある。  こういう点を、もう御答弁は要りません。十分ひとつ配慮をして、少なくとも臨時国会等が行なわれるときには、これらについてはひとつ見直しをした補正予算を組んでいただきたいというふうに考えますので、その点をひとつ十分配慮をして、今後の作業に反映させてもらいたいということを要望しておきます。  資料はひとつお願いをしておきます。
  81. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 一〇%、一三%の場合の所要調整減税領ということでしょうか。
  82. 堀昌雄

    ○堀委員 そういうことです。
  83. 木村武千代

    木村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会