○平林
委員 私は、たとえば立場をかえて、いま手形の問題を、たてまえは現金決済にしなさい、そして乱発を押えるようにしなさいという指導をやるべきだと思うのですが、その場合に大きな
企業は検収の期間というのを長くする。さっきお話がありましたが、二六・四という
数字を
吉田銀行局長申された。これを長くするということになっては何もならぬじゃないかという議論はあると思います。しかしそれは
中小企業振興法という法律があるわけですから、そういうふうにして手形の期間を長くしないで、それでまた押えれば検収期間を長くするというようなやり方をとらせないような国としての法律的措置を加えることによって解決できるのではないだろうか、こう思うのです。
それから、現状として一番困っているのはせっかく手形をもらってもこれを割り引いてもらえない、さっきお話がございましたように、三割は割ってもらえない、高利貸しに行く、高利貸しは高い、そこで結局行き詰まって、仕事はあるのだけれ
ども経理上まずくいって倒産する、こういうことになるわけであります。そこで私は、いま、約手の使用を制限をするようというなことについても検討すべきだということを申し上げましたが、そこまで行かないまでも、もう
一つやり方があると思うのです。たとえば、大きな
企業が振り出す約束手形ですね、それを利息を込めてやってくれればいいのですよ。一千万円の仕事をしたならば、それに相当する利息を込めて手形を払ってくれれば、これは公正な取引ということになる。ところがそうでないというと、結局さっきの相当の金額を
中小企業が負担しなければならないことになる。割ってもらえない。そこで私は大きな
企業というのはみんな系列の
金融機関を持っているのですから、
中小企業はなかなか信用がないからワクをもらえないわけです。しかし大
企業は系列の
金融機関を持っているわけですから、そこの
金融機関で割ってやる、自分のワクで割ってやる、そして現金決済にしていくという指導をやれば、この約手に対する批判というものは幾分満足してもらえるのじゃないか、こういうことも私はこれから、愛知さんが
インフレを退治するためにかなりみなにしんぼうしてもらわなければならないというならば、こういう行政指導もやはりやらなければいかぬのじゃないだろうか、こう思うのでございます。これも私の
一つの提案でございます。
それからもう
一つは、私はこの約束手形の問題についてほんとうに取り組むという気持ちがあるならば、すべて約束手形の発行については、日本銀行とかあるいは日本銀行が指定する
金融機関とかで一括して取り扱うことにする、そうして手形を発行したいという
企業はそこで印紙代、いまの印紙代よりもっとうんと上げるんですが、そこで利息に相当するものを納めるという形にして約束手形は統一的にやっていく。そうすれば
大蔵大臣も、
金融引き締めをやったけれ
ども、こっちの信用膨張でしり抜けになるというようことを
数字をもって把握できるわけです、
金融機関が
報告する義務をつくらせれば。
金融は
引き締めたけれ
ども、
企業の信用がふくらんで結局
インフレの
抑制の
効果が出なかったということを、この
数字を把握することによって、必要な手を打っていける。
印紙代あるいはそういうときに必要な経費というものは振り出した人に負担してもらう。
中小企業が負担していたものを振り出した人が負担をするという形にすれば約手の乱発というものは少なくなってくる、こういうような
政策を私は用意すべきじゃないか。そして
大蔵大臣もかなり強い決意でもってそういう手当てをしながら
中小企業を守っていくということをぜひひとつ
考えてもらいたいということなんであります。
私は、最近いろいろな事情を調べますと、大
企業は約束手形を乱用し過ぎていると思うのです。たとえばこういうことがあるのです。一億円の土地を買う。そのときに現金では三千万円しか払わない。七千万円は手形で出しておく。しかもそれは長期間の一年で出しておく。そして一年間の手形が切れる前にそれをまた転売してしまう。そうすると一億円の土地は一億五千万円で売れる。こうして不当な利益を得ておるというのを私は幾つも知っているのですよ。つまり、これは手形という商法で規定されているところのいわゆる商行為を離れて手形の乱用ですね。ここまでいまきておる。
そこで、この手形の問題については
金融引き締めのことにも関連をするし、
わが国の
経済の中における
中小企業と大
企業の
関係にも問題があるし、そして手形を乱用することによってますます不当な利益を得ておる大きな
企業の横暴に対してはこの機会にチェックする。幸いにまだいま時間がありますから、この問題を政府は真剣に検討してメスを入れていただきたい。これをやってくれれば、私はさっき
大蔵大臣が来られる前にやぶ医者がへぼ将棋をさしているのと同じだというのはちょっと訂正させてもらいたい、こう思っております。
最後に、私は
考え方を申し上げましたので、
大蔵大臣のもうちょっと進んだ御見解を承って終わりたいと思います。