○愛知国務大臣 第一の問題は、
国際通貨の問題ですが、これは二つに分けてお答えしたいと思いますが、全体の
国際通貨の再建具体策がどういうふうになるだろうかということについて、これは世界全体の問題ですから、その見通しの確たることをまだ申し上げ得る
段階ではございませんで、今月三十、三十一日と二十カ国蔵相
会議が開かれることに確定いたしましたから、まずそこでさらに三月以降のいろいろの
状況を踏まえて、何とか具体策が前進できるようにできるだけの努力を私もやりたいと思っております。そしてかねてから定まっております日程の九月のIMF総会のときには、さらにそれに上積みした何らかの具体的な合意ができるように最善の努力を払いたい。
中身はどうかということですが、中身につきましては、固定相場
制度というものが一番望ましい、その
目的のために国際的に合意を得なければならぬ数点がまだ残っていると思いますが、それらの点を、現在蔵相代理
会議が行なわれておりますから、それらの
状況も見まして、まず今月末できるだけ前向きに対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
二つに分けてと申しますのは、
一つは、
日本自体の立場でございますが、ヨーロッパには金相場の変動あるいはドイツのマルクの
切り上げ等々、ヨーロッパにはいろいろの嵐がこの間も吹きましたけれ
ども、幸いにほんの数時間といっていいくらい多少の何か動きが東京市場にもございましたけれ
ども、やはり
日本の現在の、特に一番大きな貿易の収支
関係の見通しなどから申し上げましても、すぐ平静に戻りまして、現在お話しのような相場で安定をしておる。そして一方におきまして、アメリカの連銀がスワップの
拡大に同意をしたということは
一つの前進であろうと思います。
国際通貨問題解決のある種のアメリカの前進ではないかと思いますけれ
ども、
日本としてもスワップ協定については、十億
ドルを二十億
ドルに増加することになりました。これも
一つの安定要素であります。
政府としては、今日以降におきましても、
ドルの買いささえ、
ドル買いの介入ということは考えておりません。その必要もないし、適当でないと思いますから、
ドル買いをやるというようなことは考えておりません。
しかし、ともかくも通貨の安定のためにスワップが
拡大されたということは、これはプラスなのでありまして、まあ
日本としては、一方において
国際通貨のリフォームについて、何とかこれは世界全体のために
調整可能ではあるが固定為替相場に復帰をするということを念願として、具体的な数件の問題を克服していくということの努力を大々的に展開しながら、幸いに現在においては
日本としては安定している。したがって、一面大努力をすると同時に、それとの関連もございますけれ
ども、現在の変動為替相場というものがある程度続きましてもだいじょうぶであるという
認識を同時に持っておるわけでございます。
それから、第二は
税制の問題でございますが、これもこういう機会でございますから率直に申し上げるわけでございますが、一部には、こういう
状況下であるから年度中にも
税制の改正に取り組め、こういう御主張を承っておるわけでございますけれ
ども、私といたしましては、現状のようなときには理論的にいえばむしろ増税をすべきときである。考え方としては、
物価対策、
インフレ対策に全力を注いで正常な
状態をつくり出す。そして来年の四月以降においては、かねがねのわれわれの願望であります勤労大衆に対する所得税の減税をぜひ実行いたしたい。
この考え方は、私はよくその御批評を受けるわけですけれ
ども、真剣に考えて、その何兆円の減税というような看板で鬼面人を驚かすようなことよりは、内容的に現実に目標を置いて作業をすべきものであると思いますので、大蔵省として言明いたしておりますのは、所得税については、夫婦子供二人の標準家庭においての課税最低限は何としても百五十万円以上に
引き上げる、給与所得控除等にもいろいろくふうをこらしてみたい、何としても百五十万円以上に最低限度を持っていきたい。これを
一つの柱として、現にもう作業の方向に向いております。これは他の税源その他との
関係で、総体がどういうふうな姿に税収入がなりますかはこれからの作業次第。いやそれよりももっと大事なことは、来年度の
財政需要をどのくらいに見るか。
先ほど来非常に御指摘がございますが、むしろ
財政はしぼめろという御意見も一方においては非常に多いようでございますけれ
ども、福祉国家に転回した今日においては、福祉
関係予算だけでも当然増は相当ございます。これは長時間にわたって御論議をいただきましたけれ
ども、たとえば年金のスライド制
一つをとってみましても、あるいはその他の
社会保障
関係をとってみましてもまあ簡単に御想像もつくと思いますけれ
ども、
財政需要は非常に多いわけであります。
四十九年度の予算の規模をどの程度にするかということについてもいろいろと現に勉強を始めているわけでございますけれ
ども、そこで一面において
社会的感覚や現在の
経済状況から見ましても、法人税はどうしても税率は四〇%に上げる。それから特別措置は
ほんとうに徹底して洗い直しをするということと、それからただいまお話がございましたが、ガソリン税その他の問題では、一面においてやはり道路その他の長期計画がございますが、その特定財源として予定されている各税目の伸び等を勘考いたしまして、これをどういうふうにやってまいったらいいか、これはやはりまた
物価問題等との
関係もあるわけでありますから、それらをかみ合わせて来年度は相当な
税制改正をやりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
何兆円の規模でどうというところまでは、これはそういったいろいろの
状況を組み合わせてまいりませんとわかりませんが、ただ所得税だけについていえば、最低百五十万円までに底上げができれば相当の数字になるということは容易に御想像願えるところである。これは都議選目当てとかなんとかではなくて真剣に、しかしその真剣さというものは、都議選を通じても多くの都民の方にも私は御理解をいただきつつあると思いますけれ
ども、あくまで真剣にわれわれとしては四つに取り組んでおるところでございます。