○広沢
委員 近代化とかそういう抽象的な
ことばだけではなくて、やはりこれは今回の値上げを見ましても、
旅客は一応黒字である、そして貨物のほうは
御存じのように大きな赤字を出している。しかし、
運賃の
改定をする場合においては、
旅客も貨物も両方
改定をしているわけですね。そこにいろいろな矛盾があるし、議論もあっただろうと思うのですけれ
ども、要するにやはり貨物は大きな赤字を出してきているという、これはいろいろな背景は別として、独立採算制をとっている
国鉄としての営業面だけを見た場合、現実の問題としては、いわゆる自動車、トラック輸送、陸上輸送、海上輸送という
関係と
国鉄の貨物輸送という
関係のこれが、昔と違ってバランスが変わってきたというところに大きな赤字をつくっている原因があるのじゃないか。これは営業面だけから私はいま申し上げているわけですよ、ほかにいろいろありますけれ
どもね。
ですから、そこに対する
区分というものをはっきりしていかなきゃならないときが来ているのではないか。ただ中長距離輸送あるいは大都市を中心とした輸送、あるいはそういう近代化をはかっていくとかいう抽象的な問題じゃなくて、それは
日本だけじゃなくてほかの国でもやはり同じようにそういうふうなバランスの問題で非常に問題が起きているわけですね。そうして具体的な対策を立てていかなければ、この問題というのは解決しない。
したがって、ずっと営業的な赤字が続くということは、また自然的にそれを
国民の負担でカバーしなければならぬ。受益者負担といいますか、そういろ形にしわ寄せしてきている。それが
運賃値上げという形で毎回出していかなければならない、こういう問題もあると思いますね。そういう点を十分検討していくべき必要があるのではないか。
私、総合交通体系という、四十六年十二月ですか、出されたものを読んでみましたけれ
ども、確かにいままで論議されたことは集約されておりますが、具体的に
区分がどうなって整理されてこうなっていくのだということが明確にとれないわけです。ですから、その点はどういうふうに具体的に考えているのか。抽象論法のときは過ぎて、いま日々十億円も赤字を出しているというたいへんな
国鉄の財政の中で、どう体制を立て直していくのかということが一番問題じゃないかと思うのですね。ですから、その点をもう一回具体的に貨物
関係に関してお答えいただきたいと思います。
それから、ちょうど大蔵
大臣も御出席でありますので、問題は、いまそれだけの大きな借金をかかえ、あるいは累積の赤字が積み重なっていって、たいへんな破綻状態になっている財政問題に対して、現在のところは独立採算制というたてまえから、いわゆる利子を補給していくとか、それを主体にしたような対策しか立てられていないわけですね。これに対してもやはり財政当局としてもう少し具体的な
考え方を持つべきじゃないだろうかと思うのです。
これは後にも私、ちょっと触れようと思っているわけですけれ
ども、いわゆる政策的に割引をしている問題に対しては、直接これは助成という形で出費をすべきじゃないかという問題もありましょうし、その他いわゆる道路だとかあるいは港湾だとかというふうに、国自体は道路の整備を行なう、あるいは地方自治体において整備を行なう、その上に立っていわゆる民間の営利として行なっている輸送、そういう問題と、
国鉄のようにすべて、土地の買収からすべてをまかなっていかなければならない、そういう中での独立採算制を考えている分野とすれば、これはもう必然的に土台から狂ってきていると思うのですね。そこにやはり国としても、
国民の足としての
立場から国が相当手を入れていかなければ、この
国鉄の赤字というものは解消しないのじゃないか。
ということは、結局これは、いつも問題になっておりますように、
国民の大きな負担となっている。もちろん税金でありますから、
国民の間接負担になることはわかり切っている話でありますけれ
ども、その分野の区割りというか体制がはっきりしていないように思うのです。これはいま
一つ例をあげましたけれ
ども、諸外国においてはいわゆる政策的な割引について当然国が負担をしているということもあるわけですが、わが国においてはそれをやっていない、こういう問題もありますね。
そこで、いま基本的な問題をお
伺いしたものですから、財政当局として今後どういうふうにこの
国鉄の、いま重大な危機といわれる大幅な赤字をかかえて苦しんでいる
国鉄の再建に対して取り組んでいくのか、その面について大蔵
大臣からお
伺いをしたいと思うわけです。