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1973-07-10 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君    理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君    理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君    理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君       宇野 宗佑君    越智 通雄君       大西 正男君    金子 一平君       木野 晴夫君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       塩谷 一夫君    地崎宇三郎君       渡海元三郎君    中川 一郎君       野田  毅君    萩原 幸雄君       浜田 幸一君    坊  秀男君       村岡 兼造君    毛利 松平君       佐藤 観樹君    塚田 庄平君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    山田 耻目君       増本 一彦君    広沢 直樹君       内海  清君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省主計局次         長       田中  敬君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     宇都宮 寛君         日本国有鉄道旅         客局長     柳井乃武夫君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 七月五日  辞任         補欠選任   津金 佑近君     諫山  博君 同日  辞任         補欠選任   諫山  博君     津金 佑近君 同月十日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     浜田 幸一君   津金 佑近君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     塩谷 一夫君   米原  昶君     津金 佑近君     ————————————— 七月九日  身体障害者及び老齢者利子所得に対する非課  税措置に関する請願(福田篤泰君紹介)(第八一  三九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通行税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二一号)      ————◇—————
  2. 木村武千代

    ○木村(武千代委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、その指名により私が委員長の職務を行ないます。  通行税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田耻目君
  3. 山田耻目

    山田(耻)委員 通行税改正が出ておるわけですが、この問題につきましては、毎回提案されるたびに大体の質疑の焦点というのが似通っておるわけですが、今回の場合も三条の改正ということでございまして、これそのものにはさして質疑という内容のものは多くありません。この通行税内容を簡単にお聞きして、税制立場からどうなのかという観点から少しお伺いをしてみたいと思います。  今回の通行税改正要点になっておりますのは、いわゆるB寝台電車寝台値上がり分がありますが、これは運賃改正が通ったという前提に立っての法改正ですけれども、この法改正を行なうことによって実際の徴収措置政令によって行なう、こういうことになっておるわけです。これらについての政府側の所信についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  4. 高木文雄

    高木(文)政府委員 今回御審議をお願いしております通行税法の一部改正法律案内容は二点ございますが、そのうちの一点は、全く形式的な一種の条文整理でございます。  もう一点のほうは、ただいまお触れになりましたように、現在御審議中の運賃法改正が成立をいたしました場合に、現在予定しております料金値上げの影響で、今日まで課税対象外になっておりますB寝台下段でございますが、これが現在千六百円でございますが、これが千九百円に上がることを一応予定されております関係で、現行法のままでは課税になるという関係にございます。  そこで、実態は変わっておらないわけでございますから、今後もこれを課税しないようにしよう。ただし、現行では御存じのように一人一回につき千六百円という非課税限度金額で表示されておりますが、それを政令にゆだねていただいて、政令できめさせていただきたい。政令中身としては、現時点におきましては千九百円というのがB寝台下段料金というふうに予定されておりますので、政令では非課税の範囲を、千九百円以下のものは課税いたしませんという書き方にいたしたいというような考え方でございます。  要点はそういうことでございますが、特に従来金額表示をしておりましたものを政令で定めさせていただくということにつきましては、大体B寝台料金については通行税対象にしなくてよかろうという考え方定着をしてまいりましたし、それから寝台料金の大体の水準も、A寝台とのバランス等定着してまいりましたので、この際、通常お客さんが通常に利用される寝台に関連するものについては非課税にいたしましょうということを法律でおきめいただきまして、その金額表示政令におまかせいただくというふうに形式を変えさせていただきたいと思う次第でございます。
  5. 山田耻目

    山田(耻)委員 通行税徴収をする対象というのは、国鉄A寝台とかグリーン券だけでなくて、ほかにもあると思うのですが、大体項目別にどういうものが通行税対象になっておるのか、それらを少し話していただきたいと思います。
  6. 高木文雄

    高木(文)政府委員 まず第一に、国鉄でございますが、国鉄はただいまおっしゃいますようにグリーン車利用料金、それと寝台車のうらのいわゆるA寝台、従来一等寝台といっておりましたものの利用料金、これが第一のグループでございます。  それから、第二のグループ私鉄でございますが、これは現在は非常に例外的になっておりまして、国鉄相互乗り入れをやっております区間のグリーン車、その利用料金ということでございまして、現実には伊豆の三島−修善寺間と伊東−下田間、これだけが対象になっておりますが、そういう私鉄国鉄相互乗り入れの場合の私鉄グリーン車利用料金、これが第二グループでございます。  それから、第三のグループ航空機でございます。国内の航空機旅客運賃につきましては、すべての場合に通行税対象になっております。  第四のグループ汽船でございますが、船につきましては、簡単に申しますと、特別船室利用料金特等とか一等とか二等とか三等に普通いろいろ分かれておりますが、その場合の特別船室利用料金特等運賃、これだけに限って対象になっております。  この考え方は、一般お客さんが通常乗るものについては通行税対象にしない。一つの車がつながっております、あるいは船にいろいろ船室区分がございます、同一の車なり同一の船なりに乗りますが、その中で特別に何か設備がよろしいということで特別な料金を課しているものだけ課そうという思想に何回かの改正の結果なってまいりまして、やや一般の方よりはぜいたくといいますか、そういうものに課するという考え方。ただ、航空機だけについては、航空機自体がまだ通常の普通の方が普通に利用されるというところまではいかないだろうということから、航空機については全面的に課税するという思想になっておるわけであります。
  7. 山田耻目

    山田(耻)委員 大体四グループに分かれておりますが、これらの通行税というのは、国鉄の場合は運賃改正が通過をしたという前提に立って、どれぐらいの税収が予定されておるのか、そこらあたりについてグループ別にひとつお話しを願いたいと思います。
  8. 高木文雄

    高木(文)政府委員 四十八年度の通行税歳入見積もり額は、総額が百九十一億でございます。百九十一億のうち、国鉄関係が二十八億、航空機が百六十三億ということでありまして、汽船及び先ほどの私鉄につきましては、億の単位に至らないという関係になっております。
  9. 山田耻目

    山田(耻)委員 国の徴収する税としてはそう巨大な額ではございませんが、しかし対象が明確でありますし、これらの通行税が特に政令によって定められていく、こういうことが額のいかんにかかわらず、税制の面から見る法律主義法定主義の面から、やはりきわめて特異な税の徴収決定のしかたかと見られるわけですけれども、これらについてはやはり原則的には税の法定主義立場から見れば正しくない、こういう議論が過去において毎回なされているわけです。  これらについては、依然としてその徴収のしかた、決定のしかたについて、いわゆる検討なり改正というものが何ら企てられておらないのでありますが、ここらあたりについての考えはいかがなものでございましょうか。
  10. 高木文雄

    高木(文)政府委員 前回と申しますか昨年の春の国会におきましていろいろ御審議をいただきました際にも、その点は委員各位からかなり詳細な御質問があり、政府側としてそれにお答えしてまいったわけでございますが、いま政令にゆだねることにさせていただきたいといっておりますのは、寝台料金のうち課税になるものと課税にならないものの境目をどこに引くか、いわば非課税限度をどこに置くかというそのきめ方の問題でございまして、おっしゃるとおりそれを現行法のように法律で定めるというのも一つ方法であり、それが長い間今日までとりきたった行き方でございます。ただ、考えてみますと、どういうものに課税になるかということは、御存じのように法律上かなり詳細に明確に規定されているわけでありまして、ただ一点いまの非課税課税寝台料金のどういうものを課税対象にするかということを金額表示であらわしてきたというのがこれまでのやり方でございますが、今回お願いをいたしておりますのはむしろその趣旨法律に明確にする。「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金」であるものであるよということをまず明確にしていただきまして、それをあと金額表示政令に定めさせていただくということでございますので、私どもといたしましては、租税法定主義のたてまえからいきましてもはっきりこの非課税精神法律上明示していただくということになりますから、決して白紙委任ではない。つまり明確に趣旨をあらわした意味での政府への委任でございますので、租税法定主義精神からいってもよろしいのではないかというふうに考えるわけでございます。  それと第二には、従来A寝台B寝台制度というのは前回料金改定のときに確立したわけでございまして、それまでは一等寝台、二等寝台というふうに分かれておりましたし、しかもそれがまたいろいろと寝台設備のよしあしによりましてランクがついておりました。それで、必ずしも一等寝台と二等寝台とでそう大きな格差がない。一等寝台のうちの比較的安いものと二等寝台のほうの比較的高いものとがかなり接近をしておるというような事情もございましたものですから、そういうことのためになかなか区分がつけがたかったわけでございます。  ところが、四十四年の料金改定以来A寝台B寝台では料金格差がたいへんはっきりしてまいりました。その四十四年にとられました料金のあり方、それは今回の国鉄運賃改定あたりましても踏襲されるということになってまいりましたので、A寝台とは大体こういう概念のものであり料金もこんなものだ、B寝台はこういうものだということがほぼ定着をしてまいったということがいえると思いますので、先ほどちょっと申しましたように、今回お願いしております「一般乗客通常利用スル寝台」ということばつまりB寝台であるということがいえると思います。  そういうことで、そういう表現方法もできると思われますので、こういうふうな改定はむしろ場合によりましたならば、四十六年度の料金改定に伴います通行税法改正のときにお願いしておけばあるいはよかったのかもしれないのでございますけれども、その後の定着状況を見まして今回ぜひそうさせていただきたいということに踏み切っておるわけでございまして、前国会で慎重にいろいろ御議論いただきまして御批判もいただきましたが、今回なおその点ももう一ぺん検討いたしましたけれども政令委任させていただくということで法律的にも問題がないし、また内容的にも私どもとしては妥当であろうと確信をいたして、前回と同じ形式改正案審議をお願いするということにしておる次第でございます。
  11. 山田耻目

    山田(耻)委員 いまのA寝台というのは昔の一等寝台なんですね。一等運賃とか二等運賃というのがなくなりまして、運賃は一本になり、それにかわってグリーン券というものが生まれた。これは運賃法に定めた運賃ではなくて、運輸大臣認可できめていく料金の中に入るのがグリーン料金、それと寝台料金もそうですが、おしなべてこれらは概念からいけば過去の一等運賃という概念、そして一等寝台という概念に入るものだと私は思っておるのです。  そこで、いま高木局長のおっしゃいましたB寝台、これを千六百円から千九百円にするために今回の法改正を求めるのだ、その金額については政令で定めるのだ、しかもB寝台関係一般大衆が使う寝台であるし、それは固定化してきている、だからこれは非課税にするのだ。この考え方、一応私はそれをまあまあ——A寝台B寝台グリーン券あるいは一般の二等座席というものを考えますと、かなりの設備の違いがありますから、その違いによって片側非課税であり、片側課税対象である、それが大衆一般的に利用するものと特別な階層人たちが利用するものと一応区別をする前提に立って課税対象非課税対象ということに分けておられるように見られるわけです。  私が申し上げた質問と若干話が前後しておるのですが、私はこうした税というものを取り立てるときには税の原則である法定主義、この部面から見れば、政令にゆだねるということは原則として歯どめがない、そういう立場をおとりになることは税の法定主義立場から問題があるのじゃないか、この問題について私はお聞きしたわけですが、いまのように、大衆的なものは非課税、特殊的なものは課税、それを過去の経緯から見たら、一等に該当する料金なり寝台券、二等に該当する寝台券、こういうふうに区分されて、大衆的なものが定着してきた、こういうふうな判断にお立ちになっているわけです。  そこで、いまの税の法定主義の問題について、後ほど審議過程からもっと明確な御返事をいただきたいと思うわけですが、私はいま直接お答えございました旧来の二等運賃なり二等寝台なり、いまのB寝台ですが、こういうものとグリーン券A寝台というものの境目が、過去の一等、二等なんですけれども、二等のほうは非常に大衆的に利用度というものが固定化してきているので非課税とする、そういうことになりましたら、むしろその制度をそのまま受けて、グリーン券なりA寝台に関しては課税をする、その他に対しては課税しない、こういうことに法律をきめておけば、別に金額中身によって政令にゆだねなくても済むじゃないか、こういうことになっていくような気がするのですが、なぜ千六百円、千九百円という、運賃改定のたびに生ずる金額によって通行税というものを政令にゆだねていくのか。そうじゃなくて、制度的にこの種の問題は、特殊階級人たちが乗るのだからこの部分については通行税課税をする、こちらの部分については非課税とする、こういうふうに明確に区分けをしておけば、私は、いま二番目の問題になりますような政令にゆだねるということにならなくて済むじゃないか、なぜそういうことをなさっているのかということをお伺いしているわけです。
  12. 高木文雄

    高木(文)政府委員 気持ちとしては山田委員がおっしゃるとおりでございまして、私どもとしても、もう少しうまい表現方法があればそういう形をとってよろしいのではないかということを研究いたしたわけでございますが、ただいまお触れになりましたように、B寝台料金は、国鉄総裁がみずから定めて運輸大臣認可を受ければ随時変更される、こういう形式になっておりますものですから、何らかの形式B寝台料金というような形で法律の上で表現をいたしますと、具体的に総裁がおきめになるとそれで自動的に動いていくというかっこうになります。先ほど定着をしたということを申しましたけれども、これは社会通念としてのA寝台B寝台という概念定着をしたということでございまして、A、Bの区分というのは少なくとも法律上の用語にはなっていないということでございますために、通行税法のほうに何々法の何条によるどういうものというふうに引用するのは技術的に非常にむずかしいということになりまして、お気持ちのとおりを表現する一つのテクニックとしてやむを得ずこういう形になったのでございます。  その結果として、国鉄のほうの寝台料金改定に伴って当方でそのつど関連政令を直さなければならぬというのは、ある意味においてはわずらわしいことでもございますし、ある意味においては法の精神から離れていくので、法の精神からいえば、ずばりB寝台はこれこれでございますよというふうな規定のしかたができればそのほうが望ましいと思います。私どもそれを研究いたしました。研究いたしましたが、どうもいまの法律上の用語になっていないということから、引用に非常にうまい技術が見つかりませんためにこういうことになったわけでございまして、御趣旨は私どももそのつもりでおりますし、今後の運用もそのつもりでいたしますが、どうも御質問のとおりに規定するという行き方は技術的に直にはできないということであるということで御了承を願いたいと思うわけでございます。
  13. 山田耻目

    山田(耻)委員 法律として表現をする中身との関係表現のしょうがなかなかうまくできないのでこういう措置にした、こういうことなんですけれども通行税にいたしましても、法人税所得税にいたしましても、物品税にしても、税というのはそのさじのかげんいかんによっては国民は非常に迷惑を受けるわけです。だから税というのは公平でなければならぬ、だからこそ税というのは法定主義中心でなければならぬ、国際的にも日本の場合でもそれが一つ原則になっておるのだと私は思うのです。だから、いまのようななかなか適切な表現ができないとか、あるいはそれがゆえに国鉄総裁にきめてもらってそれを大臣認可して政令化していく、こういうふうな簡便な措置をおとりになっているということは、税のたてまえから見たら適当だというふうには思えないわけです。  これらについては、大蔵省なりあるいは関係省庁とこれからも十分協議願って、税に対する深い認識と、そして徴収されていく税そのものに対する信頼感といいますかそれが公平であるということの前提に立って、そういう一つ観念国民に呼び起こしてあげることがこの時代には最も適切な徴税の立場に立つ側の配慮であろう、こういう気がいたしておるわけです。これらについては、十分ひとつ関係国鉄なり省庁と御検討いただかなくちゃならないという気がいたしております。  それから、多少お話しことばで引っかかってくるわけですが、私はもう鉄道とか私鉄だとか船だとか、こういうものの乗客に対する通行税というのは廃止をしていったらどうなのか、こういう感じが強く持たれるわけです。それは、お話の中にございました、たとえばB寝台大衆利用のものとして社会通念上かなり固定化してきておる、しかしA寝台なりグリーン券というのは大衆利用でないという観念社会通念上立つわけでしょう。  ところが、私もしょっちゅう出歩いておりますからいろいろ乗りものに乗るわけですけれども、たとえば国鉄グリーン券、昔の一等車、このグリーン券で乗る車の設備は、一般大衆が乗る二等座席といいますか、こういうものと比べて快適な要素を国鉄の場合持っておるということは言えるかと思います。どこがどう違うかといえば、ボタンを押せばうしろ座席が倒れる、スプリングが多少いいのかどうか私は専門家でないからわかりませんが、その程度の違いです。それから座席の色が、最近は青いのが赤くなっているという違いくらいです。ところが東京から大阪に行くいわゆる東名バス、あるいは京阪神で乗るパス、ここらあたりバスは全部鉄道の車両と同じでうしろに倒れるし、夏は冷房で冬は暖房、そして前の座席と本人の座席との座席間距離も、国鉄のいまのグリーン車座席間距離と変わらず全く同じように設備がされております。だから、快適さだとか特殊な階層の人が乗るとか、こういうものはその設備の上から見たら何ら原理的に差別はないわけです。  このように見てまいりますと、一つの企業が経営政策一等なり二等という席を設けておるが、これは昔はそうじやなかったと私は思うのですけれども、最近は一等、二等を問わず非常に大衆化している。だから、お年寄りが乗る場合とか、あるいは子連れの人が乗る場合とか、病人が乗る場合とか、あるいは非常に急ぐとか、あるいは二等座席があいてないので一等座席に乗るとかいうことで、どちらかといえば安いほうがいいから二等座席を求めるけれども、それは何も二等に乗るのが大衆一等に乗るのが特殊階層でという感じでなく、旅客緊急度、必要度というものによってその席を求めるということなんです。  だから、ここにおっしゃっているような大衆度とか特殊階層度とかという差別をつけずにながめていくのが妥当なのではあるまいか。設備の上から見ましても、比較してもっともとうなずける設備であれば別ですけれども、あるいは飛行機のようにたいへん速度が速いとか、そのことによって受ける経済的メリットがあるとかというふうなものではなくて、同じ時間に立って同じ時間に着く、速度も同じ、中の設備国鉄グリーン車設備と自動車の設備、あるいは私鉄の上野から日光に行く車の設備一つも違ってはいない。それでいて、なぜ大衆特殊階層と分けられるのか、私はここに、通行税に対する基本的な観念、取らなければならぬ立場に立って示した条件というものが今日現状にそぐわないという気がしてならないのですけれどもそこらあたりはいかがなものでございましょうか。なぜそのようにして取っておるのか。
  14. 高木文雄

    高木(文)政府委員 御存じのとおり、通行税は沿革的には戦争中から財源調達の目的でスタートいたしました当時から戦後に至りますまで、かなり広範に一般的に輸送サービスというものに対する課税という形で今日まで至ったわけでございます。その時点におきましては、別に大衆とかあるいはぜいたくとかいう概念によって区分するという考え方をとっていなかったわけでございまして、戦後、戦前にスタートいたしましたもろもろの間接税を漸次縮小整理をいたします過程におきまして、一般に使われるものについてはこれを縮小整理をしていく、何らかの意味において、物品税等につきましても、奢侈品であるとかぜいたく品であるとかいうものについてなお残存させるということで今日まで至った。  大体その考え方にならいまして、通行税につきましても、同じ時間に同じ地域に到達し得るサービスでありますけれども、先生はほとんど違わないとおっしゃいますが、やはり一台に乗り得る人員が違う。つまり一人の占有し得るスペースに若干の差がございますし、それからそのことを端的に料金に反映さしておるわけでございまして、高い料金を支払い得るということは、税の立場から申しますと、そこに担税力を推定していいのではないかという理屈になるわけでございます。  私どもは、おっしゃるように、同じ時間に到達できるのだから、飛行機はともかくとして、鉄道であればそう差がないではないかという御指摘は一つの見方だと思いますけれども、一方において、何らかの差があればこそ料金に差があり、そしてその料金に差があるにかかわらず利用者があるということでございますので、同じ時間に到達し得るのに高い料金を払うということから、そこに何らかの意味におきまして、利用者に担税力を推測していいのではないかと考えておるわけでございます。基本的に、通行税が全般的にどうあるべきかという御議論も当然ございましょうと思いますが、私どもは、なお当分の間このようなサービス課税を残してまいりたいと思っております。  そういう見地からいたしますと、たとえば料理等飲食税、料理や飲食についての税金について免税点があるのとやや同じような思想で、一定の金額以上のものについてだけ対象とさしていただく。そのきめ方を、料金に差等があるものについてだけ対象にさしていただくということで組み立てておるわけでございます。確かに、通行税についての全般的課税から一部課税に移りました段階から、通行税の性格というのは観念が変わってきたと思うのでございますが、そういう経緯を背景といたしまして、現時点におきましては、そういう意味での料金差による担税力推定ということに根拠を置いているわけでございます。
  15. 山田耻目

    山田(耻)委員 戦時中の戦時特別立法としてつくったものであることはおっしゃるとおりですが、その一つのなごりとして、このほか物品税その他一部残っておりますけれども、私は、現在の税の徴収実情から見て、この種の徴税を行なう必要があるのだろうか。それは自然増が四十八年度は昨年度に比べて二〇%以上こえるであろうというのが間違わない予測のようですけれども、これだけ国民大衆から税金を徴収していく、そうしてそれが自然増として税の取り過ぎがそこまで出る。しかもその一つの要素の中には、これが大衆の乗りもので、これから先は担税能力のある特殊の人の乗りものでというふうなことで区分けをしてまで戦時特別立法のなごりをとどめて税金を取っていかなければならぬというふうな意味があるだろうか。  しかもその内容を見てみますと、私が申しましたように、国鉄一等座席というものと、たとえば上野−日光間のあの座席というものを見ましても、あるいは東京から大阪に行く自動車の座席を見ましても、確かにその設備といい、その座席の快適度といい、何ら違いはしない。にもかかわらず、国鉄一等座席に乗ったならば一〇%の税金を取るのですよ。私は、課税というものの原理原則がここではだいぶんゆがんできておるように思うわけですよ。  いま高木さんのおっしゃいました普通座席料金一等座席料金が違う、倍近い料金を払うのだからこれには担税力があると見て、やはりそのなごりをそこに及ぼしていっておるのだ、こういうおっしゃり方です。国鉄運賃法というのは、税金とは無関係に定められていくわけです。だから運賃法第一条は、運賃は原価を償うものとなっているわけです。この国鉄運賃法によって定められた運賃と担税の度合いとは異なっておるし、全然質が違うし、しかもこの運賃法によって定められた国鉄運賃というのは全部通し運賃で、一等運賃もなければ二等運賃もありません。あとは国鉄総裁グリーン料金寝台料金というものをきめて運輸大臣に出して、そうして認可を受けて定めたのが料金です。だから私は、その料金を払ってでもグリーン券を買い、あるいはA寝台に乗っていくというお客さんは担税能力があるのだ、ところが中身はそうじゃないのですと言っているんです。  二等車に乗っている人はみんな貧乏人で、一等車に乗っている人はみんなお金持ちである、こういう区分けをなさるところに今日の国鉄利用者の中身御存じないというのですよ。グリーン券を買いA寝台に乗っている人たちは、お年寄りを旅させる人、さいふの中身は貧しくてもグリーン券を買って、A寝台に乗せて旅をさせてあげよう、そういう層が片側にあるし、片側には貧しくても、病人だからというのでそれに乗せるグループがあるし、あるいは子供連れだからといって乗せるグループがあるし、あるいは普通の座席が手に入らぬために、そのあいている席としてグリーン券を買うという層もあるし、担税能力とは無関係です。ただ国鉄の場合には、運賃法に定める運賃は通し運賃、一本運賃であるけれども、若干の設備、若干の快適度が違うからグリーン券というものを料金として出し、寝台券をAとBに分けて寝台料金の間に格差をつけておる、これだれの違いなんです。  だから私は、いま高木さんのおっしゃったような立場、ここに通行税一〇%をかける担税能力がある、大衆階層じゃない特殊階層だからと見られて、そういう見方から担税能力があるという判断をなさったというならば、私は若干違うと言っているのです。  私は、きのう鳥取県からずっと汽車でこちらに帰ってきました。大阪までまつかぜ一号で来て、大阪から新幹線に乗りました。ところが、この九号車、十号車がグリーン券の席です。九号車が三分の一くらいの旅客です。大阪十五時四十分の発ですけれども、十号車のほうは一名しか乗ってない。私はなぜこういう俗にいう一等旅客グリーン券の所持者の旅客が減ってきたのか、専務を呼んで聞いてみました。いつもこういう状態かと言ったら、まあこの季節が、ちょっとこの時間帯を含めて少ないのです、しかし総体的に大阪−東京間は減っております、こういう話がございました。  高木さんに私はお尋ねするわけですけれども、羽田−大阪間の飛行機の料金と東京−大阪間の新幹線のグリーン券を買っての料金とほとんど同じであるということは御存じのとおりです。お客さんというのは金のあるなしにかかわらず、同一目的に向かって進むときに、一刻も早く着いて、そこで与えられた仕事を終わって早く帰ってくるということが経済的利益を持っておるということはだれでも知っています。国鉄は、その意味では飛行機にまさる速度を持っておりません。  私はさっき通行税の全般の収入の比較をお尋ねいたしました。国鉄の場合は昭和四十八年度で二十八億、飛行機の場合は百六十三億、これを昭和四十二年、昭和四十三年に対比してみますと、国鉄の場合は昭和四十三年度三十五億でございますから、二五%の通行税減です。通行税減ということは、旅客が減っておるということなんです。飛行機のほうは昭和四十二年度を一〇〇といたしまして、四八〇%増です。これは旅客がふえておるということを意味しております。同じ乗りものに乗って、国鉄の場合の運賃政策から見て、東京−大阪間は飛行機と同じ額を、国鉄が先にきめたのか飛行機が先にきめたのか私は知りませんけれども、大体国鉄の場合は運賃が二千二百三十円、特急が千九百円、グリーン料金が二千円、こういう金額で飛行機とあまり大差がない。利用者というのは同じ料金で早く着くメリットがあるとなれば、そっちに流れていくのは、これは経済の常識です。あなたがおっしゃいました運賃の違いは階層利用度の違いで担税力があるという原理には当てはまらないのです。それで同じように一〇%の通行税をかけておる。当然イコールフッティングの原理がここに働いてくるわけです。いまの国鉄とかあるいは汽船だとか私鉄だとか、こういうものの最近の通行税の激減は、その旅客の減少を意味している。  こういう立場に立って見るならば、運賃決定というものと、今日設備がなおあって、それが稼動しておるからその設備に対して料金をとるということを含めて、前者は国会で後者は運輸大臣認可で、こういう運賃料金は区別をされておりますけれども、そのことに階層別な利用度の開きというものは当てはまらない。そうしてそれはさっき言ったように、一等お客さんの中にも担税能力のない人たちもたくさん乗っておる。だから階層別に区分けをするということは当てはまらないと私は言っておる。しかも片一方で同じように一〇%の通行税を取る。いまの速度の違い、設備の違い、そういうものをおしなべてかけていく通行税徴収のしかたにも問題があろう。  だから、鉄道なり船なりあるいは私鉄なりというものは通行税徴収をおやめになったらどうなんだ。全般的にはあなたはやめる気はないとおっしゃいますので、いまのように非常に利用の流れあるいは変化、こうしたものをながめていくならば、この三グループについてはおやめになったらどうなのか、それを私はお尋ねをしているわけです。ひとつお答えをいただきたいと思います。
  16. 高木文雄

    高木(文)政府委員 基本的には通行税というものを存続すべきや廃止すべきやという問題があろうかと存じます。また、ただいま御提示がございましたように、最近利用度が非常に多い航空機等についてだけ通行税を残して、他は一切やめてはどうかという御意見もあろうかと存じます。この問題は、基本的には間接税全体のあり方の問題に関連してまいることでございまして、入場税、物品税通行税等の歳入金額としてはさしたるものでないものにつきましてはむしろこの際整理の方向で考えてはどうかという御意見がいろいろあることはよく承知をいたしております。  しかしながら、間接税、なかんずく消費税におきまして最近最も問題になっておりますことは、消費の態様が物品を求めるという角度から漸次サービスを求めるという角度に移りつつある。余暇利用等の形態を見ましても、だんだんいろいろな形でのサービスをいわばレジャーとして求めるということが盛んになってきております。そこで消費税のあり方といたしまして、むしろサービス課税ということについて今後何らかの考え方を立てていかなければならないという背景がございますので、いささかかたくなにも思われるかもしれませんが、通行税を現段階で縮小、整理の方向で考えるということについては私どもはちゅうちょをいたすわけでございます。  それを前提にいたしました場合に、私は、先ほど料金の額によりまして、料金の高いほうの設備を利用されるという意味で、グリーン車なりあるいはA寝台については担税力ありと推定してもよろしいのではないかと申し上げましたが、そのことは、具体的にその利用される方自身の個別事情から見まして、中にはお年寄りの場合もありましょうし、お子さんの場合もありましょうし、必ずしもすべての場合に担税力ありということを推定することについては無理があることも事実でございますが、大数観察といたしましては、やはり高い料金を払われるということはそこに相当担税力ありと推定することは間違いないのではないかと思うわけでございます。  ただしかし、これは非常に問題がございまして、先ほど来ちょっとお触れになりましたように、私鉄におきましても料金差があるのがありまして、たとえば何とかカーというようなことで特別な設備をいたしまして、スピードも速くて便利である、かつ快適である、主として実際問題としては観光等の場所と都会との間の往復に使われておるという種類の私鉄の車がいろいろございます。そういうものについて現在現実的には通行税課税対象になっておりません。それはなぜかと申しますと、実はそれが施設利用料なのかスピードが速いことに伴う特別料金なのかというあたりに問題がございまして、いろいろ議論があるところでございますが、現段階では課税になっておりません。また、バス等におきましても最近非常に豪華なバスが出てまいりましたが、そういうものについても現在のところは課税対象になっておりません。  そこらに非常に問題がございますので、ただいまるる御指摘のございましたように、国鉄グリーン車あるいはA寝台について、なぜそこだけがいわばねらい撃ちのような形にならなければならないのだろうかということについては、御指摘のような問題があることはよく承知をいたしております。確かにそこには問題があろうかと思います。並びの問題としていろいろバランス上いかがなものであろうか、むしろ他に課税すべきものがあるのではないだろうかという見方、あるいは国鉄だけがそういうことになっているのはおかしいではないかという見方があろうかと思います。思いますので、私どもといたしましては、平素も若干研究をいたしておりますし、今後も研究はいたしてまいりたいと思いますが、現段階といたしましては、消費税全体についてのそういう考え方から現体制を維持さしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。御意見は、ひとついろいろな角度からよく検討いたしてみたいと思います。
  17. 山田耻目

    山田(耻)委員 私が申し上げたことは理解できる、国鉄一等私鉄の何とかカーとおっしゃいますが、確かにロマンスカーとかいろいろございます。自動車とか、ほんとうに設備は、国鉄が最近新しい一等車をつくっているかどうか私知りませんけれども、ほうぼう飛び歩いていますと、これでも一等車かと思うようなのがあるんですよ。そんなのから比較いたしましたら、私鉄の二等車のほうが、バスのほうがはるかに設備としてりっぱなんです。だけれども国鉄は一割の通行税を払わなければならぬ。国鉄に乗る人だけが担税力があるわけじゃない。  だから担税力という立場から見ますと、これはあなたがおっしゃる大数観察の中から見たら、国鉄一等に乗る人は担税力のある人が多い、おまえが言ったような年寄りとか子供とか病人とか、座席がなくてしかたなしにそっちに乗ったとか、こういう客ばかりじゃないということを申されておりますが、私はやはりきのう帰ってくるときの話をしたのですけれども、担税能力のある人たちというのは、ほとんど飛行機に流れていっているというのです。  飛行機は、昭和四十二年−昭和四十八年、この六年間で約五倍飛行機の通行税がふえてきておる。それは旅客がふえてきたからです。これは国鉄運賃と変わりがないからふえているのですよ。そっちに流れていく。それはどちらかというと、担税能力のある人たちです。国鉄一等車を利用している人たちというのは、それは担税能力のある人たちは乗らないとは言いませんよ。言わないけれども、多くの人たちはお年寄りだとか、子供だとか、あるいは新婚の人たちだとか、乗ってみたらわかるでしょう。どういうお客さんか私はきょろきょろ見るわけですよ。ほとんど季節になれば新婚のお客さんあるいはお年寄り、病人、子供連れの人、こういう人たち旅客が多く占めているし、そういう旅客が乗らないときには、きのうみたいに十号車にはたった一人しか乗っていない、こういう事態が起きるわけです。  だから私は、担税能力云々、乗る人の階層別云々という前提で、いま国鉄一等、二等というものをながめて、それをもってすべてをきめる、そこに乗った人は全部一〇%の税金を取るぞ、こういうものの考え方は歴史的に見てももうおかしいし、今日の実際の税制という立場から見てもおかしいし、おっしゃっている担税力、二等以下は大衆の乗りものであるという見方、こういうものとの間には私はかなりの相違があるように思えてなりませんから、ひとつおやめになったらどうかということを申し上げたわけです。まあ御検討いただくというのですけれども、この一等利用客というものは、特に鉄道の場合はこれからはたいへん変わり方が激しくなっていく。それは航空機の発達に伴ってますます激しくなるというふうに記憶にとどめて、私は絶対この通行税はやめていただきたいと思います。  かりにいま東京−大阪間にいたしましても、東京−岡山間にいたしましても、間もなく新幹線がずっと広がっていきます。私は、この一〇%の通行税を廃止する、そういたしますと、料金は一割をちょっとこえるほど安くなってくるわけです。そういたしますと、国鉄運賃をきめていく国会の仕事、あるいは飛行機なりその他と競争していく乗りものの運賃決定のそれぞれの事情を加味した原則の中には、やはり相違点が出てくる。  先だってもこの委員会で、財政投融資のときにいろいろお話したのですけれども国鉄の場合は、新幹線にいたしましても既存の線路にいたしましても、みな国鉄の金で買っていく、金がないときは国から金を借りて、高い金利を払って、そして土地を買って線路を敷き、その管理も国鉄の職員がする。飛行場の場合は、すべての飛行場は国や地方公共団体で買うて与える、そこに飛行機会社というものが飛行機を乗り入れて、着陸料というものを払って運賃をきめていく。ここに私は、国鉄運賃法第一条二項にいう「原価を償うもの」という立場から見るならば、飛行機運賃も原価を償うものという立場で見るならば、出発点にたいへん違いがあると思う。ここに国鉄運賃というものが高くなり、元手のかからなかった船とか飛行機運賃というものは安くなる。しかもお客の競争という立場に立てば、東京−大阪間というものは国鉄運賃とできるだけ同じように飛行機運賃を定めていけば、飛行機のお客はふえてくる、これは常識なんです。計量モデルの中でも明確に数字が示されておりますが、当然のことです。  だから私は、いまのような立場から見ていくならば、この通行税というものは運賃法と無関係料金決定の要素を持っているのですから、私はこの料金決定という立場で見るならば、いまの通行税というものは特に国鉄なり船なりあるいは私鉄というものにはかけてはならぬ悪税である、こういうふうにながめていくことが、私は徴税の立場から当然じゃないだろうか、こういう気がするわけですが、もう一度高木さんいかがでございますか。
  18. 高木文雄

    高木(文)政府委員 料金の問題に関しましては、これはいろいろ御議論があろうかと思います。同時に最近、御承知のように国鉄の新線建設等につきましては、財政負担の立場において漸次高めていくということが行なわれておりますし、それから航空機に関しましては、空港等の施設の利用料金の負担を漸次高めていくということも行なわれておるわけでございまして、御指摘の点はまさにわれわれといたしましても常に税制だけでなくて、全般として注意をいたしておるところでございます。  それが不十分だ、あるいは端的に通行税をやめたらどうかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたような理由で通行税という制度に相当の意味があるものというふうに考えておりますので、料金との関連におきましては、むしろ他の交通手段についての料金のきめ方なり負担の定め方なりあるいは設備についての国の財政あるいは融資という面からの助成のしかたなりということをもって、漸次時代とともにやり方をかえていくべきだとは思いますが、直ちに通行税をやめるということについては、通行税の持ちます税の中におきます意味から申しまして、にわかに賛成をいたしがたいという状況にあるわけでございます。
  19. 山田耻目

    山田(耻)委員 通行税というものが税制の中に持つ意味から見てもやめられぬというのが私はよくわからぬのですけれども、私は戦時特別立法としてあった時代は何かの名目をつけて国民から、利用者から税を取り立ててやっていこうとする調達費税制というもの、それはそれなりに一つの事情があり、歴史的な背景もあったわけですから、それは私は触れません。しかし、いまの時代の徴税という立場から見て言うならば、国鉄通行税、特に私鉄、船の通行税というものは、私は徴税の中からも全く無意味であるという立場を申しておるのです。徴税の歴史から見て、あるいは税全般から見て、通行税だけはやめるということはならぬというあなたの立場には私は同意をしがたいわけです。  だけれども、いまの徴税対象という一つ立場が、担税能力があるとか特殊階級の人が乗るところだとか特にサービスがいいとか、こういう立場から徴税をなさるというのなら私はナンセンスだと言うのです。まず特殊階級だけが乗るところじゃない、特に一般人たちが乗る、特殊階層は飛行機へ逃げていると言うのです。通行税の過去六年間の徴税、利用人員、こういうものから見たって明確に言えるじゃないですか。特殊階級人たちは飛行機に逃げておる。サービスはどうか。サービスといえば、国鉄一等車両と私鉄の車両とバスの車両を比べなさいと私は言っておるのです。むしろ最近できるバスなり私鉄のロマンスカーの車両のほうがりっぱですよ。ここには税金をかけない。サービスなんて比較にならないです。何が比較になるのか。いままで取っておったからついでに取っちゃおう、こういうことにしかなっておらぬじゃないか。だから、私はこういう通行税はおやめになることがいいだろうと思う。  ただ一つ大衆と違って特殊階層という見方をするんだったら、その利用の目的の中に一つのメリットを求めるべきである。あの飛行機利用客の中で、年寄りだから、子供だから、病人だからということで飛行機に乗る人は少ない。そうじゃなくて、早く行って商談をまとめて、そしてうちの会社の利益をますますふやしたいという立場人たちとかである。いま羽田発七時四十八分の鹿児島行きの飛行機をごらんなさい。いつ見たってほとんど超満員でしょう。それはちゃんと業者が自分たちのお得意の人たちを招待する飛行機になっている。赤坂へ招いて一ぱい飲んでどんちゃん騒ぎをするよりか経費も安くつく。鹿児島に行って四時間船に乗って沖に出て魚をとって、そして夕方には東京に帰れるのが七時四十八分の利用客の実態の中身です。ほとんどそうですよ。  そういう人たち特殊階層として通行税課税対象になるなら私は何も言わない。しかし国鉄一等旅客は、サービスの面においても設備の面においてもいまのバスなり私鉄のロマンスカーとどこが違うか。むしろ以下だ。それでいて乗る人たちも、お年寄りとか病人とか一生に一度の結婚式で新婚旅行に出る人だとか、こういう人たちがほとんどじゃないですか。そういう人たちがないときには、きのうみたいに十号車にたった一人しか乗っていないという状態で輸送しておる。  私は、高木さんの言っておられるようなそういう三つ四つの条件から考えてみるならば、当然徴税の立場から公平を欠く。公平を欠いておるから、もうぼつぼつ鉄道なり船なり私鉄なりというものは税の廃止に向かって検討しましょう、こういう話なら私はいただけるのですよ。ところがこれが税のたてまえの中から、通行税の経緯の中から見てやめることにはなりません、いろいろな比較の検討はしてみたいと思うということでは私は十分いただけないのですけれども、そこはいかがですか。私が言うことに無理があるならおっしゃっていただきたい。
  20. 高木文雄

    高木(文)政府委員 現在いろいろサービス課税のあり方をあらためて洗い直さなければならない段階に来ておることは御存じのとおりでございます。現在のところは料理飲食税それから娯楽施設利用税、それと入場税、通行税というものだけがサービスのうちで課税対象になっているものでございます。これがいずれも沿革的なものでございますだけに、ただいま御指摘のようにいろいろと御批判を受ける点が多いわけでございまして、一般的にサービスに対する課税についていかにあるべきかということを研究しなければならない、それが差し迫った問題であるということになっておるわけでございます。  その中で、通行税の中におきましてどうあるべきかということもまさに御指摘のとおりでございまして、国鉄グリーン車その他よりもさらに豪華な輸送手段がございまして、その利用者も常識的に考えまして担税力が相当あると推定されるという方が利用者であるという施設が最近ふえてまいっておる状態も事実でございます。そこで、そういうものについて今度は通行税の中におきますバランスの問題につきましてあらためて検討を要することでございまして、今回たまたま国鉄料金改定に関連いたしましてのみの改正の御審議をお願いいたしましたので、そういう御指摘を受けているわけでございますが、私どもといたしましてはサービス課税全般また通行税課税対象相互間、これのバランスの問題をぜひ検討課題として取り上げたいと思っております。  ただその場合に、ただいまその検討の結果どういう方向になりますかわかりませんが、それが十分つきません現段階で、山田委員御指摘のように、国鉄についてのグリーン料金なりあるいは寝台料金なりについての課税を取りやめるということについては、一方においてそういう検討ができておりませんこととの関連もございまして、この際としては御容赦願いたい、こういうふうに思うわけでございます。
  21. 山田耻目

    山田(耻)委員 いろいろとサービスの度合いなりあるいは全般の消費税なりそうしたもの等検討しながら、特にこの通行税については廃止ということばはお使いになりませんけれども、検討して担税能力の移行等も考えながらやる、私は、きょうはそれ以上いい答えを引き出すことはできないと思いますが、これはやはり廃止もあり得るという前提に立っての検討であるということくらいは高木局長としても腹におさめておられるものと私は思いますよ。——うなずかれるところを見るとそうだと思いますが、ひとつそのように御配慮いただきたいと思うのです。  特に、最近の税に関する国民の関心というものが非常に高いわけですね。私、落選しておりました過去三年間、国鉄で切符を買うわけですけれども、切符には税込みという表示だけなんですね、グリーン券にしても、寝台券にしても。一体この運賃の中に何ぼ税金が入っておるのかと言うて、出札口で係に聞きましてもわかりませんよ。私は、通行税自体というものがいまの時世にきわめて不適当であると同時に、その徴税のやり方、納税者に対する理解を高める上からもきわめて不親切である。これではいけないと思うのです。  だから私は、乗車券に税込みという表現だけでなくて、一〇%税込み、こういう一〇%という三文字を入れること、これは簡単な、発想としてもきわめて幼稚なものの言い方ですけれども、そのことが税を納める人たちに対する当然の親切だと思うのですよ。鉄道部長、旅客局長お見えになっておるようでございますので、乗車券を印刷されるときにそういう改正をなさる用意があるのかどうか、お聞かせ願えればと思います。
  22. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 ただいま御指摘がありました、券面にただ「税共」とだけ書いてある、これは税金を払う方々に対して不親切じゃないか、こういう御指摘をいただいて恐縮でございます。先生御高承のように、乗車券類の規格につきましては、沿革的に駅の窓口の設備関係、それからお客さまの携行をなさる御便宜等を勘案いたしまして、なるべく小さな、コンパクトなものになってきておるわけでございますが、一方乗車券類の券面に表示しております事項につきましてはいろいろと定めがございまして、通用期間、通用区間それから運賃の額それから発行の日付、あるいはまた寝台券にありましては乗車列車の発車時刻、寝台番号というようなものを書かなければならないということでございます。一方また私どものほうの列車乗務員のほうにおきましては、昔からいろいろ券面に証明を書きます関係上券面にできるだけ余白をつくるように、こういう部内的な希望も非常に多いわけでございます。  そういうようなことから、従来は沿革的にできるだけ字数を少なくするというようなことで、「税共」という表示にいたしまして、そこに税金の額を書くということでございますとよろしいのでございますが、そこまでは至りませずに、やむを得ずに省略して今日まできておるわけでございます。  ただいまの先生の御指摘は、せめてそこのところは「税共」のところに一割とか一〇%とか、何かそこをもうちょっと考えようがあるじゃないか、こういう御指摘をいただいたわけでございますが、現在手持ちの乗車券類も相当ございます。いま急に直ちに切りかえ、こういうこともなかなかむずかしいかと思うのでございますが、その辺先生の御趣旨を体しまして、お客さまに対する案内の充実方、表示方について検討してまいりたいと思います。
  23. 山田耻目

    山田(耻)委員 お客さんは神さまという話がありますけれども、やはり旅客に疑念を持たれる、あるいはいろいろそのことによって窓口でトラブルが起こるということは、私はないとは思いますけれども、やはり明確にしてあげることが、いわゆる金を取るほうの側ですから、ひとつ配慮していただきたいと思うし、この税金は国鉄の収入になるわけじゃないのですから、それに関する費用は高木さんのほうからどしどし取ってもらって、政府の代行をするわけですから、そういうふうにひとつ御配慮をいただきたいと思うのです。  私はアメリカとか欧州を国会へ出ますまでよく旅をしておったのですけれども、アメリカあたりへ行きますと、どんな品物にもちゃんと価格とその価格の中身の州税と合衆国税と二通りに分けて、どんな小さなものでも金額が表示してある。これは税金を取られる側、物品税を取られる側の国民に疑惑を持たれないように、非常に親切にしております。しかも合衆国税と州税と二通りに分けて明記をしておる。私は、国鉄寝台券などを見て「税共」、それで日本国民は黙っておるのですけれども、税金というのはお上が取られるので、納税と徴兵検査とは国民の二大義務だ、泣こうが騒ごうがどうしようもないものだ、こういう観念の中に日本国民は育てられてきておる。そういう育ってきておる中にそういう表示が生まれたり、かけるべきでない通行税をかけなければならないようないまの徴税制度になっている。しかも法定主義をゆがめてまでそういう形になっている。  だから、これらはきょうは通行税の問題だけで申し上げたわけですが、高木さんのほうでは廃止を含めて検討するとおっしゃるし、国鉄さんのほうも、きょうは通行税国鉄だけでございましたので特に国鉄さんのほうに申し上げるわけですが、「税共」という表示だけでは税金を取り立てる国民に向かって不親切である、利用者に向かって不親切である。そういうことから、一〇%ということに入れてもらうか一割ということに入れてもらうか、わずか二字ないし三字の小さい文字ですから、寝台券などの余白をたいへん縮めるということにもならないと思いますし、そこらあたりについて御検討いただいて、少しでも旅客に不満なり不安を持たれないような、そういう措置をしていただきたいと思うわけです。  非常に長くなりましたが、以上で私の質問を終わりたいと思います。どうもたいへんありがとうございました。
  24. 木村武千代

    ○木村(武千代委員長代理 武藤山治君。
  25. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 通行税法審議あたりまして一、二点お尋ねをしておきたいと思います。政務次官、現在先進国で通行税課税している国はどういう状況になっていますか、ちょっと明らかにしてください。
  26. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 先進国のとらえ方、いろいろありますが、欧米ということで、アメリカは国内の航空旅客運賃に対して八%の通行税、そのほかに出国税というものを、国外への航空旅客に対して三ドルの定額税をとっておる。それからイギリスは通行税課税されておりません。それから西ドイツは——ヨーロッパの税制は、付加価値税としてすべての交通機関の運賃収入に対して一一%の税率で課税をしておる。それからフランスも、同じく付加価値税としてすべての交通機関の運賃収入に対して一七・六%の税率で課税をしておるというのが、現在調査の内容結果であります。
  27. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それ以外の先進国は課税してないのですか。たとえばイタリア、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、カナダ、こういう国はどうなんですか。都合のいい、課税をしている国だけをピックアップしておるのじゃないのかな。
  28. 高木文雄

    高木(文)政府委員 付加価値税のある国では、イギリスのように交通というものを課税対象としていない国と、西ドイツ、フランスのように課税対象としている国とに分かれております。いま御指摘になりました各国がどちらに属しているか、ちょっといま手元に正確な資料を持ち合わせておりません。調べましてすぐ御提出いたします。
  29. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 政務次官、通行税というのはどうしても取らなければならぬという積極的な理由は何ですか。
  30. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 通行税も、先ほど来お答えをしておりまするように、一種の消費税の体系の中で、その消費の過程において担税力があると認められた場合にそれに対して課税をする、こういう考え方のものであろうと思います。したがって、先ほど来お答えをいたしましたように、料理飲食税あるいは娯楽施設の利用税あるいは入場税といったようなものと一つグループをなしておる、こういうことでございます。
  31. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 通行税が娯楽や飲食と同列に考えるべき性質のものであるかどうか、これはなかなか議論のあるところだと思うのですね。どうしても急用で、特急でグリーン車で関西まで行かなければならぬ、二等で普通車でがたがた行ったのでは時間的に間に合わぬ、冷房もないし暑くてかなわぬ、そういう用件で特急に乗り、グリーン車に乗る、普通車が満員でグリーン車でなければ間に合わぬ、そういうような事態だってかなりあるわけですね。そういうような、時間を短縮するといういまのスピード時代、科学の時代、たいへん忙しい商売の時代、こういうときに、そういう時間を短縮するために乗る乗りもので税金を取るというこの感覚、どうも理解できないのですね。  まさに今日は航空機の時代にもなる、特急の時代にもなる、新幹線はどんどん大衆化されている時代ですね。こういう時代に、娯楽施設利用税や料理飲食税のような感覚で、担税力があるからぶっかけるんだ、こういう感覚で相変わらず日清戦争か日露戦争当時できた税法、一たん大正十五年にやめて、支那事変が始まってまた課税をしたという、その課税の起源から見ても、いまの時代にもう通行税はそぐわない、国民の見る目、感情から見てそぐわない、こういう気がするのですが、やはり担税力があるのだ、グリーン車に乗るのはぜいたくなんだ、こういう感覚ですか、政務次官。
  32. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 確かに世の中がだんだん変わっていく、輸送機関というものもだんだんよくなっていく、高度化していく、その高度化したものがもう普通の状態になっていく、そういう状態も確かにあると思います。しかし、通行税を課しておる現在は、通常の場合よりもやや高い水準の消費、こういう形のものに対して、その背後には担税力ありと推定して課税しておる。したがって、先ほど来山田委員との応酬もございましたが、要するに税を課するという場合には、普通の大衆の方々が御利用なさるという、そういう程度の輸送機関の利用のしかたにはもちろんその課税がないわけであって、それよりも少し程度の高いサービスというものに対して課税をする、こういうように、そこのところのいままでの考え方の残りといいますか、そういうものはあるかもしれませんが、そういうサービスの実態を着目すれば、何がしかの差がやはりあるのではないだろうか、こう思うわけであります。
  33. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 航空機や特急に乗るのはもう大衆じゃないのですか。ぼくらの判断ではもう新幹線なんというのは庶民が、大衆がまさに大半を占める利用をしていると思うのですね。だから、大衆一般の生活水準の低い人と生活水準の高い人なんという区分けはつかぬのじゃないですか、いまの利用者の内容というのは。どうですか、やはりそういう大衆と、何ですか、あと上は私にもよくわからない、その上のランクは何というのか知らぬけれども、有産階級ですか、いまそんなものはあるのですか。
  34. 高木文雄

    高木(文)政府委員 サービス課税はすべてのサービス課税について共通的なものでございますが、たとえば物品税でございますと、一つの品物を幾つも買う必要があるということはないわけでございます。自動車にしましても何年かに一台買うという形になります。ところが、サービスというのは一年の間に何回も重複して享受するというかっこうになるわけでございます。そこでいろいろの娯楽施設利用税あるいは料理飲食税につきましても、通行税等につきましても、通勤とか、それから必要最小限度の通行のためのものについては課税をしない。それをのけますと、何らかの意味において利用度の多い方に多くの税を求めることになりますから、その意味におきましてやはり相当担税力のある方でないと、そのつどそのつどグリーン車を利用するということになかなかいかないということから、担税力の推定が可能になってくるという関係にあるわけであります。  そのことは必ずしもいわゆる所得階層別にどうこうということではなくて、所得階層の高い方が必ずそういうものを利用される、所得階層の低い方が利用されないということではございませんので、何回かの利用を通じてそういうことが大量的に把握されるということから、累進的形態をとらなくても、累積的形態をとることによってある程度担税力に応じた課税ができるという形になっているのじゃないかというふうに思います。いまどういう階層とおっしゃいましたが、それは何か所得階層的に見まして、要するに財産があるとか、所得が大きいという意味でそういう方に特に求めるというかっこうには、間接的でございますからなっていないわけでございます。
  35. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これはないはずだというのは、さっき政務次官は大衆ということばを使って、大衆がふだん使うものはと言うから私は質問したので、主税局長は大体いまの通行税、局長として答弁するのも、なるほどと国民に納得せしむるような積極的理由を開陳することが苦しいようですね。だからもう通行税なんというのは全廃すべきなのじゃないでしょうか。そういう時代がやってきた。まさに乗りものもスピード化され、デラックス化され、冷房なんというのもぜいたくじゃなくなってきているのですからね、冷房車なんというのはあたりまえになってきているので、個人の家庭でもエアコンを入れ、冷房を入れている、そういう時代なんですから、少し頭の切りかえをしないと、自民党政府の徴税のしかたは一そう差別と不公平を拡大する、そういう印象をぬぐい去れない、私はそんな感じがしてならぬのであります。これはもうやめるという方向で前向きにひとつ検討すべきだと思うのですが、そこらは主税局長として事務当局はどうお考えですか。
  36. 高木文雄

    高木(文)政府委員 非常に歯切れの悪いお答えになっておりますのは、やはりサービス課税に対する私どもの研究が不十分だからではないかと思います。かねがね消費の形態に対応した課税のあり方いかんという問題がございました。いずれも現在のわが国の消費税体系は戦争のときに生まれたものを手直し手直しを繰り返して今日まできておりますので、体系的にはかなりバランスを欠いたものになっておるものでございまして、そういう意味からいいますと、現行制度そのものについて相当根本的に検討する必要がございますし、現在課税対象となっていないものでございましても、相当程度検討に値するものがあると思います。現状は必ずしも体系的に整備されておらないということのためにお答えが明快を欠くということは御指摘のとおりでございます。  しかしながらどの程度直接税を重視すべきか、どの程度間接税、なかんずく消費税を重視すべきかということは、各方面の方がいろいろなお立場でいろいろな御見解がおありだろうと思いますが、私どもはやはり所得課税だけでは完全にはうまくバランスがとれないという感じを、制度論あるいは理論的ということを離れまして、執行の実態等との関連から見ましても、やはり直接税だけでやっていくということは無理ではないか、やはりある種の消費に着目をしてそこに課税をする、課税対象とすることが、適当に組み合わせられることがあってもいいのではないか。その場合に、その消費の形態の中でサービスの享受というものは相当現在は手抜かりになっておりますけれども、それを基本的に考えてもよろしいのではないかというふうに考えております。  問題はサービス課税全体の中におきます通行税の位置づけがはっきりしないということにあるのであろうと思いますので、先ほど山田委員の御質問にもお答えいたしましたが、なおよくそのあたりを検討して将来に備えたいと考えます。
  37. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 将来というのは、いつごろの将来をさした気持ちですか。
  38. 高木文雄

    高木(文)政府委員 これはいろいろ先般来、入場税につきましても物品税につきましても御批判をいただいておりますので、検討はすぐ始めなければならぬと思いますが、長年こういうことになっておりますということは、やはりそれなりに問題はむずかしいことを意味しておりますので、非常に早い時期にということには間に合うかどうか、まだそこまでは申し上げられるほどの用意ができておりません。
  39. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは、来年度の税制についての税調への諮問の中には入らぬ、こう理解してよろしいのか。
  40. 高木文雄

    高木(文)政府委員 しかしいまの段階で、来年度の税制改正について、この消費税の問題をどの程度議論していただくか、まだ私自身腹がまえをきめておりませんけれども、たとえば先般来物品税等の御議論の際にも、一部の非常に高級消費財等について放置しておいていいかどうかというような御批判もありましたし、最近やや下火にはなってきておりますけれども、書画骨とうあるいは宝石類等の百貨店におきます売り上げがたいへん伸びておるというような事態もございますので、そこらについて場合によりましてはかなり早い時期、来年度の税制改正も含めましてそういうものも考えなければならぬかと思っておりますが、その際、サービス課税についてまでそういうところまで議論の対象になし得るかどうかは、まだ私どもとしていま何とも申し上げられない、まだ私自身の気持ちがそこまできまっていないということであります。
  41. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この際入場税についても、大蔵大臣は早急に検討して、ギャンブル税の方向だけ残すという検討をしたいと新聞には出ているわけですね。それにあわせて通行税の問題も税制調査会で真剣にひとつ検討してもらう、こういう方向で諮問をしてもらいたいと思うけれども、政務次官どうですか、御見解は。
  42. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 来年度の税制につきましては、いまいろいろ検討しなければならぬ問題が非常にたくさんあると思うのです。その中へ入れてできるだけひとつお話しのように検討してもらいたい、こういうふうに考えます。
  43. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 明年度税制改正の中に一応諮問をしてみようという政務次官の前向きの答えがありましたので、この点は先へ進めます。  国鉄さん、私しろうとで、あまり関西のほうへ新幹線に乗って行ったことがないのでありますが、東京駅から大阪まで新幹線に乗った場合、ひかりで普通ならば税金は一銭もかからないのか、グリーン車に乗った場合には幾らかかるのか、具体的な金額でちょっと教えてくれませんか。
  44. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 東京から新大阪まで新幹線で参りましたときに、普通車でおいでになりますと四千百三十円でございます。それからグリーン車でおいでになりますと、これはグリーン料金を加えまして六千百三十円、こういうことになっております。この六千百三十円のうちに通行税は百九十円含まれているわけでございます。
  45. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それで国鉄の四十七年度それから四十八年度予算で、一年間の税収は幾らになりますか。
  46. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 私どものほうは税を納めるほうの側でございますが、いま手元に四十六年度の通行税の私どものほうの側の支払い実績というのがございますが、二十三億ということになっております。
  47. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それはわかっておるのです。聞いておるのは四十七年、四十八年の見込み。わからなければ主税局……。
  48. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 見込みでよろしゅうございますか。——見込みでは、大体私どものほうの支払いベースで申しますと、二十五、六億になるかと思います。
  49. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それは四十八年ですか。
  50. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 四十八年は、これは運賃改定前の姿で二十七億円程度と考えております。
  51. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから主税局、電車というのが四十五年四億、四十六年四億。四十七、八年は電車はどうなんですか。しかもこれは全部民間の電車のことをさしておるのだと思うのです。私鉄関係ですね。それはどういうことになりますか。
  52. 高木文雄

    高木(文)政府委員 私鉄は四億でなしに四百万でございます。それで四十七年、四十八年もほとんど変わらない程度のものであろうかと思います。
  53. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私鉄の場合はどういう課税方法になっているのですか。幾ら以上で、どういうことになっているのですか。
  54. 高木文雄

    高木(文)政府委員 先ほどもちょっと申しましたが、わずか二カ所でございまして、三島と修善寺の間と伊東と下田の間、伊豆急と伊豆箱根鉄道グリーン料金についてだけ課税になっております。  これはどういうわけかと申しますと、東京から修善寺なり下田なりに国鉄が行っております。そこでグリーン車が下田なり修善寺まで走っております。それとの相互乗り入れ関係がございまして、伊豆急なり伊豆箱根鉄道が三島なり伊東まで来ておりますので、その分のグリーン料金についてだけ現在課税になっておるわけでございます。ほかには現在のところ私鉄グリーン料金制度をとっているところはないわけでございます。
  55. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 このグリーン料金は、幾ら以上ですか。幾ら以上のグリーン料金に対して課税されて、免税点がどうなっているのですか。
  56. 高木文雄

    高木(文)政府委員 手元の資料でたぶん間違っていないと思いますが、伊東−下田間は運賃が四百二十円、グリーン料金が二百二十円、この二百二十円について一割かかるわけであります。  それから伊豆箱根の三島−修善寺間は運賃が百五十円でグリーン料金が九十円ということで、この九十円について一割かかっております。
  57. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 政務次官、三島から修善寺まで百五十円プラス九十円、伊東から下田まで四百二十円プラス二百二十円、これはどうですか、ぜいたくな乗りものですか。大衆じゃなくて大衆の上の層の乗る料金だと思いますか。これはさっきの続きだ。一つ飛んだけれども、結論を出すために。
  58. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 ぜいたくかどうかということよりも、結局国鉄グリーン車通行税がかかっているということのその延長線にある問題だと思うのですね。ですから、それは国鉄の問題から論じないと、これはぜいたくとかどうとかということは、これだけの金額だけでは何とも言いようがないということだと思うのです。
  59. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 だから、国鉄に対しても、こういう税金をかけるのは不当だ、もう庶民大衆が日常茶飯に使っている料金なんだ、だからやめなさいよというのがこっちの言いたいところなんです。先ほどあなたは、通行税を残しておくのは、大衆が、多くの者が使うものは非課税で、それ以上の担税力のある上のほうのランクが課税されるのだということだから、反論としていまこれを出してみたわけです。こういうことから見ると、これはやはり通行税というのはほんとうにもうあれですね、どうしてもすぐ全廃できないなら、今度はこの課税対象金額についてやはり早急に再検討して、大幅に落とさなければいかぬですね。税収全体で百九十一億円、これが来年から直ちに半分ぐらいになるように落とすべきですね。二百二十円、九十円に対して税金を一〇%かけるなんというのはまさに大衆課税の最たるものだ。人間尊重じゃないですよ。これはもうやめるべきです。  それから、飛行機の場合ですね、この場合も今日はかなり大衆化されてきていますが、どういう課税基準になっていますか。課税標準はどういうぐあいになっていますか。
  60. 高木文雄

    高木(文)政府委員 飛行機については運賃全額について一割の課税でございます。
  61. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それは幾ら以上でも全部ですか。国内でも国外でも何でもかまわず一〇%ですか。
  62. 高木文雄

    高木(文)政府委員 国外は全く非課税でございますが、国内はどのような場合でも全部課税でございます。
  63. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国外は非課税にして国内は課税するというのは、どういうバランスからそういう論理になったのですか。
  64. 高木文雄

    高木(文)政府委員 国外は国際的にどこの国も課税しないことになっておりまして、日本へいろいろな飛行機が乗り入れておりますし、その部分だけ課税するわけにもまいらぬということであろうかと思います。ただし、アメリカにおきましては、別途のたてまえから、出国一回につき定額課税ということをやっておりますが、そういうことをやっている国とやっていない国とあるようでございます。一般的には、国際航空については非課税というのが一般的でございます。
  65. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 担税力の論理からいくと、国内の飛行機に乗る人の担税力と国外に旅行する人の担税力では、たいへん担税力の点では違いますね。だから、担税力論で全部押し切るということは少々無理がありますね。高木さんいかがですか。
  66. 高木文雄

    高木(文)政府委員 いろいろ税の問題につきましては、国際関係の問題についてはすべての場合に担税力論でなかなか解決がつかないわけでございます。国際航空の非課税の慣行というものも、その一つのあらわれかと思っております。
  67. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国鉄としてはこういう通行税というものはもうおやめになってもらいたい。実際にこんなものはわずかの収入だし、やめてもらって、かえって料金がその分だけ減るほうがいい。率直に言わしてもらうならば、国鉄もそういう感じじゃないのでしょうか。どうでしょうか。
  68. 住田正二

    ○住田政府委員 通行税の問題につきましては、十数年来大蔵省に対しまして廃止していただけないかということをお願いいたしておったわけでございます。その理由といたしましては、先ほど話がございましたように通行税の歴史であるとか、あるいは国際的に見ても通行税を取っておるケースは非常に少ないということ以外に、まあ運輸省といたしましては、人間あるいは貨物の移動というものは現在の高度化された人間社会の基本的な行為であって、そういう行為について税金をかけるということは好ましくないのではないかというようなことで、十数年来お願いいたしておったわけでございます。  最近はあまりお願いしてないのですが、これは一つは、国鉄通行税に関しまして、四十四年の改正で実質的に大幅に通行税が減っているということ、その他いろいろな理由があるわけでございますが、現在のところはあまりお願いしてないという現状でございます。しかし、基本的にはこういうものは廃止していただけるのであれば廃止していただきたいという考えを持っておるわけでございます。
  69. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国鉄は赤字で、大蔵省からたいへん援助してもらわなければならぬということで小さくなっていて、最近はあまり廃止を要求できないという心理的な気持ちはわかりますけれども、しかし、やはり従来の国際的なそういうものから比較してみてもやめるべきだ、こういう理の通るものはやはり勇気をもって、今後も廃止の方向に庶民大衆のために大いにひとつ主張を貫いてもらいたい。また、高木さんは話のわかる人ですから、要求をどんどんすれば、なるほどこれは道理にかなわぬとこう思えば、おそらく真剣に取り組むと思いますから、ひとつ運輸省も、しばらく運動をやめていたというお答えでありますから、また復活して大いに国民の意見を主張し続けてもらいたい。要望いたしておきます。  それから、これは国鉄の問題で、通行税に直接のかかわり合いはございませんが、かつて政府自民党は、ローカル線を思い切って廃止をするのだ、そして審議会の議を経て、地方の自治体、地方住民はたいへんな心配をし、陳情運動等大騒ぎをやったわけでありますが、ローカル線廃止について、田中内閣誕生以来政策が転換をされたやに承っているわけでありますが、ローカル線についての国鉄当局の取り扱い方針、いかなる転換をしたのか、その辺をひとつ明らかにしていただきたい。
  70. 住田正二

    ○住田政府委員 昨年国会にお出しいたしました国鉄財政再建では、地方ローカル線につきましては道路輸送に切りかえたほうが国民経済的に見て適当である、しかもその地方ローカル線と並行に道路が走っていて、その道路が整備されているというような路線につきましては、特に積雪地帯で冬季の間バスが通えないというところは除きまして、約三千四百キロ程度でございますが、運輸大臣が閑散線と認定いたしまして、五年間に廃止するという方針をとったわけでございます。本年度現在で国会に提出いたしております再建案においても、基本的な考え方は変わっていないわけでございます。やはりすでに鉄道としての特殊性を失ってしまって、国民経済的に見ても明らかに自動車輸送に切りかえたほうが有利であるという路線については、やはり廃止するのが妥当であるという考え方には変わりはないわけでございますけれども、昨年と違いまして、昨年は一方的に運輸大臣が閑散線と認定しまして、反対のありました地元と十分話し合いをしないで、一方的に廃止に踏み切ったわけでございますけれども、今回は地元と十分話し合いまして、地元の同意を得て廃止をするということで、その方法論を変えているわけでございます。  まあ、基本的な考え方はいま申し上げたように変わっておりませんけれども、やはり地元との話し合いというものはなかなかむずかしいということで、結果的には昨年の考え方とかなり変わってくるのではないかというように考えます。
  71. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 自動車輸送に切りかえが可能である、したがってこのローカル線は廃止したほうがいい、こういま考えられる路線はどことどことどこがあるのですか。
  72. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げました三千四百キロというのが、一応、個別に検討いたしまして、自動車輸送のほうに切りかえたほうが有利であるという判断をいたしているわけでございます。しかし、個々の路線につきますと、その後地域開発でいろいろ情景が変わってきているというようなことで、再検討の余地があるかと思いますけれども、一応、各路線につきまして、自動車輸送と鉄道輸送と国民経済的に見てどららが有利であるかという検討をいたした結果、三千四百キロという数字が出てきたわけでございます。
  73. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういう具体的な路線が本年度四十八年度、さらに四十九年度で現実に廃止可能だという地元と話し合いがつきそうな路線、これはどことどこがあるのですか。
  74. 住田正二

    ○住田政府委員 具体的な路線はいま国鉄のほうで現地と話をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、昨年の再建計画では三千四百キロというものを予定いたしておったのでございますが、今回の再建計画では毎年三十キロ程度ということで大幅に減っているわけでございます。
  75. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 毎年三十キロ程度。現実にことし、来年で廃止になりそうなのはどこですか。
  76. 住田正二

    ○住田政府委員 現在具体的にどの路線を廃止するということまでいってないと思います。地元の了解を取りつけた路線があるということはまだ聞いておりません。ただ、話といたしましては、路線を廃止して道路をつくったほうがいいんじゃないかということで検討を進めている路線もあるように聞いております。
  77. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 政務次官、御承知のように、いま車がどんどんふえて、やがて二十一世紀の初頭には世界人類の人口は倍になる。特に日本列島のような狭いところに住むわれわれは、われわれの孫の時代にはたいへんな事態がくるだろう。おそらく車よりは汽車のほうが輸送手段としてより効率的であり、大衆から便利な乗りものだということで期待されるだろう。十年先、十五年先、おそらくそういう時代がくると思うのですね。車がいなかでも道びっしりで、やはり汽車が一番いいぞという時代がくる。そういう時代も見通して田中総理は今回のような転換をいたしたのか、一体政務次官のお考えはどうですか。
  78. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 おっしゃるようにモータリゼーションというものは進んできたけれども、しかし日本のような狭い国土の中で、また道路建設のテンポもそうすばらしく早いというほどでもない。大量輸送機関というものの重要性は、私は、今後はむしろ大きくなっていくこと、お説のとおりだと思います。そういう観点で、大量輸送機関を将来とも重視していく、特に過疎地域という問題もございますから、そういう問題も含めて再検討、見直しをする段階になっておると、こう理解しております。
  79. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 個別問題になって恐縮ですが、私の選挙区に真岡線というのがあるのでございますが、これを廃止するというのでたいへんな騒ぎが起こったのですが、現在真岡線の廃止の是非については運輸省はどのようにお考えになっておりますか。
  80. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的には地元の方とお話し合いがつけば廃止するという方針に変わりはないわけでございますが、しかし、真岡線につきましては、地元のほうの開発計画も進んでおられるということもありまして、現在地元との話し合いはいたしておりません。
  81. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 安心をいたしました。話し合いをしていないということは、存置される可能性大であるという受けとめ方を私いたします。そういう受けとめ方をしてよろしゅうございますか。
  82. 住田正二

    ○住田政府委員 地元と話し合いをいたすわけでございまして、地元の方が将来の地域開発上どうしても真岡線の廃止に反対であるということであれば、廃止することは困難であるというように考えております。
  83. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その場合、運輸省が認定しておる地元という範疇は一体どういうものなのか。地元という概念、これは非常にむずかしいですよ。一体地元とは何をさすのか。沿線の地方自治体をさすのか、駅所在地の市町村長並びに市町村議会をさすのか。それともそういうところの商業団体や商工会議所や農協とかそういう団体をさすのか。運輸省がいう地元とは一体何をさしているのでしょうか。
  84. 住田正二

    ○住田政府委員 ただいま申し上げました地元の意味でございますが、私どもといたしましては、真岡線には幾つかの駅がございます。駅には駅勢圏といいますか、その駅を利用する住民の方々がおられるわけでございますが、その住民の方々を統括しておられる地元の市町村及び上部団体である栃木県というものが地元の範囲に入る、こういうふうに考えております。
  85. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 わかりました。地元の市町村はじめ住民がこぞって真岡線撤去については強い反対だ、こういう意向が非常に強いわけでありますから、ひとつ運輸当局もしかと頭にとどめて善処をされんことを心から期待をいたしたいと思います。  次に、やはり真岡線の関連でありますが、戦争中真岡線を延長して日立につながる路線をつくろう。そして茨城県を通って常陸大宮、さらに日立市に通ずる鉄道にすれば真岡線は非常に効率がよくなる、戦時中の物資輸送上これは必要だということで国鉄は用地を買収したはずであります。買収してありますね、それちょっと明らかにしてください。
  86. 住田正二

    ○住田政府委員 いま先生のお話がございました用地は国鉄が買収いたしまして、一部茨城県に売却いたしております。詳しく申し上げますと、栃木県の茂木と茨城県の常陸大宮とを結ぶ鉄道路線用地といたしまして延長十二・三キロ、約十八万三千平方メートルを国鉄は持っているわけでございますが、このうち茨城県側の三・三キロ、約四万六千平方メートルの部分は、茨城県知事の御要望によりまして道路用として四十六年度に払い下げをいたしております。栃木県側につきましてはまだそういう申し出がございませんので、払い下げをいたしておりませんが、もし申し出があれば話し合いをさしていただくことになると思います。
  87. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これは払い下げをしてしまうということは、将来の展望の中に、真岡線を太平洋海岸までつないでいって、海産物を内陸地帯へ運送できるというような大きな構想というものはもうすでに消えうせた、こう理解するのが正しいのですか。もう全く、真岡線を延長して茨城県側から海へ出られるような戦争中の計画は、もう一回考え直す、そういう事態はあり得ない、こういうことですか。国鉄はもう払い下げしてしまって道路にしてしまうと、こういう方針なんですか。
  88. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げました茨城県側に払い下げましたのは、地元を代表する知事が道路として利用したい。おそらく茨城県としては将来計画をお考えになりまして、鉄道を敷設するよりも道路として利用したほうがいいのではないかということで払い下げの申し出があったわけでございますので、地元の御要望としても、地元の計画としても鉄道よりも道路のほうがよいという御判断であろうかと思います。鉄道用地を払い下げいたしましても鉄道敷設法の予定線としては残っているわけでございます。将来絶対に敷設しない、建設しないというわけではございませんけれども、やはり地元の御要望として、あるいは地元の計画として将来は鉄道よりも道路のほうがよいという御判断をしておられるとわれわれは考えております。
  89. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 予定線として図面上残しておくといういまの答弁ですね。予定線にきまったのは大正末期ですか、昭和の初めですか。それはわかりますか。
  90. 住田正二

    ○住田政府委員 大正のころだと思います。
  91. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 たぶん大正十四、五年にこの開発をやろうということで、昭和になって、今度は戦時中工事が始まって、全部トンネルもつくり、線路を敷設すればすぐ汽車が走るようになっておるわけですね。もったいない話なんです。これを運輸当局は、県なり市町村から払い下げ申請があれば栃木県の部分も払い下げしてしまうのですか。
  92. 住田正二

    ○住田政府委員 地方ローカル線の今後の扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、道路輸送に切りかえたほうが国民経済的に有利であるというものについてはやはり道路輸送に切りかえるという方針をとっているわけでございまして、現在建設中のものにつきましても、あるいはすでに土地を買収いたしましたものにつきましても、地元との話し合いで、道路輸送に切りかえたほうが有利である、地元のほうも道路輸送としてその用地を利用したいというものにつきましては、鉄道輸送ではなくて道路輸送のほうに切りかえていくという方向で処理をいたしておるわけでございます。
  93. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 もったいない話だと思うのですよ。戦争中あれだけの買収をやり、ちゃんと石垣を組んで、ほんとうに軌道を敷きさえすれば走れるようになっているわけですね。それを戦争で中断をしたまま放置してある。でき得るならば、これはやはり生かして日立に通ずる鉄道を敷く。将来、宇都宮から茂木に通ずるちょっとの距離を新たに鉄道をつくれば、宇都宮から日立まで直線で行けるのですね。そうすると、いまの北関東縦貫自動車道をつくるのもけっこうな話かもしらぬけれども、それよりも、いまもう敷地を買ってあるのですから、これを払い下げしてしまわないで生かして海に通ずるようにしたほうが、効率的にも、将来の百年の大計を考えたときにも、これを払い下げするというのは考えものだと思うのです。  もう一回念を押して尋ねておきますが、将来鉄道を向こうへ延ばすなんという計画は運輸省自体ではないのですか。
  94. 住田正二

    ○住田政府委員 現在、鉄道建設公団におきまして、いわゆるAB線の工事をやっておるわけでございます。これは、鉄道敷設法に規定されております予定線のうち、調査をし工事をする線をきめまして工事をやっておるわけでございますが、現在予定線でまだ完成してない線路というのは非常にたくさんあるわけでございます。したがいまして、予定線全部を建設するということは財政的にも非常に困難な問題でございまして、地元の判断といたしましては、何十年という時間をかけて鉄道を敷くことを待つか、あるいはすぐ道路に切りかえて自動車輸送で利用するか、そこら辺は地元の判断の問題であろうかと思いますが、おそらくこの例につきましては、茨城県側といたしましては道路として利用したほうが有利であるということで払い下げの要望があったものと考えております。
  95. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 茨城県側に払い下げたのは、単価はキロどのぐらいで払い下げているのですか。
  96. 住田正二

    ○住田政府委員 平米四百円でございます。
  97. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、十二・三キロという栃木県側は平米にすると何平米ですか。さっき冒頭に答えたのだけれども、記録しておかなかったのです。
  98. 住田正二

    ○住田政府委員 栃木県側の用地は十三万七千平方メートルになっております。
  99. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、これは各該当町村が道路に払い下げてもらいたいという場合、町村でも払い下げするのですか、少なくとも県でなければ払い下げしないのですか、それはどうですか。
  100. 住田正二

    ○住田政府委員 県でも市でも、地元の要望によりまして払い下げいたします。
  101. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 町村の場合、財政力が非常に貧弱で払い下げできない。その場合は、ずっと先の将来鉄道を敷設するという場合には返還をするということで、無償で道路として貸与する、こういうことはいかがですか。
  102. 住田正二

    ○住田政府委員 この栃木県側に残っております鉄道用地を払い下げる場合にどの程度の価格で払い下げるか、あるいは無償もしくは非常に安い価格で貸し付けることができるかどうか、今後検討する必要があろうかと思いますけれども、これまで撤去いたしましたローカル線のあとの敷地の払い下げにつきましては、地元の財政状況を見て、地元が受け入れやすいような条件で払い下げている例がかなりあると思います。
  103. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あとで少し検討してもらって、私個人でけっこうですから、栃木県側を払い下げする場合、町の場合は非常に貧弱ですから、ごく安値で払い下げをする場合はこの程度だ、そこのところをひとつ町長と相談をしたいと思いますので、その資料を私のところに提出を願いたい。いかがですか。
  104. 住田正二

    ○住田政府委員 検討いたします。
  105. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これで最後にいたしますが、私の判断は、あれを払い下げしたり貸与してしまうよりは、やはり行きどまりの真岡線というものを将来さらに延長して日立港につなげ、そして日立の海産物が内陸方面、栃木、群馬に太平洋から直接つながるというような構想を生かすべきだ、こう私は考える。しかし運輸当局は、それほどの財政余力がないからということで敷設は考えないというのでありますが、もう一回水戸管理局、さらに国鉄等に地域開発の状況というものを十分聞きただして、運輸省としてできることなら運輸審議会にかけて戦争中のこの計画を生かそう、そういう方向にひとつ姿勢を持っていってもらいたい。これは要望でありますが、その点も両々ひとつ検討してもらいたい。どうしてもこれはだめだということになれば、それこそ宝の持ちぐされで寝かせておくのはもったいないですから、町当局に早々に交渉に入るように話を進めたい、かように私は考えますので、その点もせっかく努力を願いたいと思いますが、いかがですか。
  106. 住田正二

    ○住田政府委員 地元の開発計画につきましては、今後いろいろ調査いたしまして検討いたしますが、一般論で申し上げますと、やはりああいう地方ローカル線は旅客を中心に考える必要があるのではないかと思います。太平洋側から貨物を運ぶということになりますと、距離的に見ても現在の貨物輸送の分野ではやはり自動車輸送に依存したほうがいいのではないか。運賃の面でもあるいは時間の面でも、自動車輸送のほうが有利ではないかと考えられるわけでございます。したがって、貨物輸送を前提に真岡線を常陸大宮のほうに延ばすということは考えられないのではないかと思います。旅客輸送の面で真岡線を向こうに延ばす必要があるかどうか、現在の利用状況ではあまり意味がないのではないかというように考えておりますが、しかし地元にいろいろ開発計画もあるようでございますので、検討いたしたいと思います。
  107. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 委員長、大蔵大臣を十二時半に入れるという約束はどうなったのですか。理事会でそういう約束をしておったのはどうしたのですか。
  108. 木村武千代

    ○木村(武千代委員長代理 参議院が終わらないのです。
  109. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 終わらないなら終わらないで通告してもらわないと、私は十二時半という信頼できる理事との約束でありますから、大臣が入るのを待ちながら質問していたのに、いつになっても入ってこない。信義を守らぬといかぬです。
  110. 木村武千代

    ○木村(武千代委員長代理 わかりました。参議院がやっておりますので、それでこれはやむを得ざるものでございますので、午後、大臣に対する質疑がありましたら続行していただきます。
  111. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いいんですけれども、そういうときは即刻連絡をしてほしい。  最後に政務次官、大臣のかわりに副大臣として、先ほどの通行税質疑応答を通じて、税調に諮問をし、すみやかに次の国会にはまたここで答弁がきちっとできるような、政務次官としてひとつ十分御努力を願いたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  112. 木村武千代

    ○木村(武千代委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時五十四分開議
  113. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。増本一彦君。
  114. 増本一彦

    ○増本委員 先ほど若干通行税の法案で、いままで千六百円と金額がきめられていたのに、今回は命令で定めるものを除くというぐあいに、いわば政令委任をするようになった経過について御説明があったと思うのですが、ちょっとその点をもう一度私にも説明していただきたいと思います。
  115. 高木文雄

    高木(文)政府委員 最近におきましては、通行税は、国鉄の場合には全面的に課税になるということではなくて、ごく一部だけ課税をする、その場合に、グリーン料金とそれから寝台の一部ということになっておるわけでございますが、寝台の一部というのは、具体的には、いわゆるB寝台課税をいたしません、A寝台課税をいたしますということになっているわけでございます。それを法律の上でどういうふうにあらわすかということでございますが、従来の定め方では、B寝台のうち、これまたB寝台の中でもいろいろ種類がございます。上段とか中、下段とかによって料金が違います。いろいろ種類がございますが、そのB寝台のうちの一番金額の多いものが千六百円でございましたから、千六百円までは課税いたしませんというふうに法律で定めていただいておったわけでございます。今回はそれを法律の上で千六百円という金額非課税の線を定めるのではなしに、「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金トシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」というふうにきめさせていただいたわけでございます。  御指摘のように、そのことは、具体的には政令金額できめられることになりますけれども、しかし、それは決していわば法律から政令に向かって白紙で委任をしていただくという形の委任立法を規定するものではございませんので、この文言に明らかでございますように「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金」ということで趣旨を明らかにし、その範囲内で、そのときそのときのB寝台料金を基準としてきめさせていただきたいというふうにするわけでございまして、その意味において、一般的な政令委任ということではなくて、限定つきの委任であるということがいえると思うわけでございます。その場合に、どうして従来どおり千六百円というふうに規定してはいけないのかということでありますならば、それは一種の法律技術の問題であろうかと思います。従来どおり金額できめる方法もあろうかと思います。しかし、四十四年の料金改定以来、A寝台というものとB寝台というものの概念が大体はっきりしてまいりましたし、社会通念としても大体固定してまいりましたし、かつA寝台の一番安いものとB寝台の一番高いものとの金額格差、これは明らかに差がついてまいりましたことを考えますならば、この現状を踏まえて考えますならば、料金改定のつど法律でおきめいただかなくても、政令におまかせいただく、ただしその趣旨はそこに明快に書いていただくということでよろしいのではないかというふうに判断をいたしたわけでございます。  なお、最近の料金のきめ方におきましては、寝台料金国鉄運賃法で、法律で定められているわけではございませんで、国鉄総裁がみずからきめまして、運輸大臣認可を受ければそれによってきめられるということになっております。そっちの料金のほうのきめ方がそうなっておりますこととも関連いたしまして、にもかかわりませず、その非課税限度あたりますところのラインをそのつど法律でおきめ願うというのも、料金のほうのきめ方と、税のほうのきめ方とのバランスから言いましても、若干いかがであろうか。ただし、料金の場合と税の場合とは違いますから、一方は国鉄自身がきめることができるということになっておりましても、片一方が法律であるということは、一向にかまわないわけでございますが、そういう実態を見ましても、やはりそのあたり政令できめさせていただいてもいいのではないかというふうに考えた次第でございます。
  116. 増本一彦

    ○増本委員 今度の改正案では、局長はB寝台なんだというように言っても、B寝台だということが一見して法律でわかるというものではないわけですね。  それから、一体この限度額が幾らなのかということ自身も、法律で一見してわからぬということなんですが、これがB寝台だということは、第三条そのものから一体どうしてそういう解釈が出てくるのでしょうか、ちょっとそこがわからないのですね。
  117. 高木文雄

    高木(文)政府委員 現在の国鉄制度を頭に置きますと、寝台料金A寝台B寝台の二種類でございます。そのことをひとつ頭に置いていただいて、「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金」といえばB寝台だというふうにいえるのではないか。全体の中でA寝台の売り上げとB寝台の売り上げを考えますと、金額で申しますとB寝台が八二%、人数で申しますとB寝台が九三%というのが四十六年度の実績でございますから、その金額の面でのウエート、料金の面でのウエートを見ていただきますならば「一般乗客通常利用スル寝台」というのはBだというふうに見ていただけるのではないか。  もっと直に、法律の上でB寝台という用語を使ってあらわしてはどうかという御質問が午前中もございましたが、この点はでき得るならば私どももそういたしたいというふうに思ったわけでございますけれどもA寝台B寝台というのは一般に広く使われておりますが、法律上の用語でございませんために、通行税法に引用するのにぐあいが悪いということでやむを得ず、B寝台という気持ちではございますが、B寝台という用語を使わずに「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金」こういうように表現したわけでございます。
  118. 増本一彦

    ○増本委員 旧法の場合は、旧法というと何ですが、現行法の場合は、これは「一人一回ニ付千六百円ヲ超ユルモノニ限ル」ということで、結局課税対象からいっても、法律の定める条件としてはきわめて明確であったと思います。ところが、それがきわめて一般条項になってしまったということになると、「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金トシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク」というぐあいに、ここでは法律の定める条件としてはきわめてあいまい不明確にかえってなっているのではないか。そう考えると、憲法八十四条の租税法律主義の上からいっても、しかく明確だというぐあいにはいかないのではないか、こういう疑義があるのですが、その点について即法律的に、即憲法的に、大蔵省の御見解を伺いたいと思います。
  119. 高木文雄

    高木(文)政府委員 千六百円とか、今後の料金改定を見込みましたことを織り込んで考えますならば千九百円とかということで表現する方法一つあると思います。これは従来の方式であると思います。それからもう一つ金額で表示しないで、どういうもの、今回の例で申しますと「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金」ということで表現をする方法もあると思います。  そのいずれの方法をとるにいたしましても、それはどちらがより明快であるかということは、それはいろいろ御意見があろうかと思いますけれども、憲法的といいますか、法律的に申しますならば、表現の違いはありますけれども、どちらかといえば、たてのどららの面からものを言いあらわすかということではないかと思います。  千六百円といえば非常に明快であるかというと必ずしもそうはいえないのであって、千六百円であるということだけは明快でありますけれども、千六百円ということばからは、直ちに今度はA寝台B寝台かというととは出てこないわけでございまして、現在の時点ではそうなっているということでございますけれども、その千六百円という数字から直ちにB寝台ということは出てこないわけでございます。  今回の表現は、金額のほうはちょっとぼけてまいりますけれども一般乗客通常利用する寝台にかかる料金だという精神といいますか、ここからは非課税でよろしいよという精神はより明快になると思います。  法律的にはいずれの点に重点を置くか、ずばり結論だけを申すか精神を書くかという点は違いがあると思いますけれども、いずれをとりましても、法律的にはいわゆる租税法律主義に反するとかなんとかいうことではないと確信をいたしております。
  120. 増本一彦

    ○増本委員 一番明快なのは通行税法を廃止することだと思うのですね。もしそれがだめでもB寝台料金ということでやるのが次善の策で、三番目が現行法で、四番目は結局これだけではますますわからなくなって、どこが、何円が課税最低限なのかということ自身は一そう法律では不明確になってきたというように私はいわざるを得ないと思うのです、これは法律技術上の問題ですけれども。しかし、政令委任課税対象ないし範囲を委任していくというような立法技術は、これは私は大いに警戒しなければいかぬというように思います。  通行税そのものの問題は、結局寝台料金国鉄運賃の値上げと連動して値上がりが行なわれるということが前提になって出てきている問題ですが、そこでこの寝台料金運輸大臣認可事項で、国鉄当局がいわばかってにきめられる。だからそのたびにこの税法を改正するということだとめんどうなので、認可に連動させて政令金額をいろいろ政府部内できめかえていくという考え方であれば、これはやはり寝台料金の値上げの可否そのものをこの通行税法審議する際に関連させて審議していくという点から、国会がその機会を奪われていくという点で、国会軽視につながっていくというように思いますし、もう一つは結局国鉄運賃値上げないし寝台料金の値上げというものが不動のものであって、その値上げ分だけ国鉄は収入として得たい、だからそれ以上の、税金として本来国に納付しなくちゃならない分が差し引かれるのは因るということで、結局こういう減税的な措置をとってくるのだ、こういう意味から見ますと、この通行税という法案は、国民の負担を軽減するというよりも、国鉄がまるまる値上げ分はがっちりと押えていくというところにむしろ意味があって、国民サービスというのはいわば口実みたいなものではないかというような気もいたします。  それで、ちょっと質問をさせてもらいますけれども、いま新幹線の東京−大阪間のグリーン料金はたしか二千円だと思いますけれども、これは税込みですね。通行税分は幾らになっているわけですか。
  121. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 百九十円でございます。
  122. 増本一彦

    ○増本委員 ちょっと国鉄伺いたいのですが、千九百円に今度B寝台をしようというお考えのようですけれども、もしこれで通行税が現在のまま法の改正が行なわれないということになると、これは二千九十円に寝台料金をして、百九十円分の税額は国民に負担させるということになるのですか。それとも税込みで千九百円ということにするのでしょうか。ちょっと仮定上の質問で申しわけないですが……。
  123. 住田正二

    ○住田政府委員 ただいまの寝台料金だけの値上げが行なわれて通行税法改正ができなかった場合どうなるかという御質問ですけれども、その場合には、いまお示しのように二千九十円の金額を利用者からいただくということになるわけでございます。
  124. 増本一彦

    ○増本委員 結局値上げ分三百円はまるまる収入として確保したい、こういうことですね。
  125. 住田正二

    ○住田政府委員 寝台料金を千六百円から千九百円に値上げするわけでございますから、国鉄の収入は千九百円、本来ならば通行税法でこの改正ができますと通行税を払わなくていいわけでございますけれども通行税法改正ができないときにはさらに百九十円を利用者負担にする。したがってこの法律改正ができれば百九十円減税されるということになると思います。
  126. 増本一彦

    ○増本委員 ですから、値上げ分三百円はまるまる無きずでポケットへ入れたい、こういうことでしょう。千六百円が千九百円に値上げをする、この分は国鉄としてちゃんと持っていきたいということでしょう。
  127. 住田正二

    ○住田政府委員 値上げというのは千六百円を千九百円に値上げするということであって、その結果三百円の増収がはかられるということで、税金とは関係ない問題だと思います。
  128. 増本一彦

    ○増本委員 だから、三百円の増収分は、それは国鉄としてはきちっと確保しておきたいと、こういうことになるわけでしょう。そういうことじゃないですか。だってそれで余分に百九十円税金は国民に負担してもらって、値上げ分の増収三百円は、値上げ分としてこれは国鉄のポケットへ入れたいと、こういうことでしょう。千九百円というのは税込みの金額じゃないということですよね、値上げになる千九百円というのは。
  129. 住田正二

    ○住田政府委員 今回の改正では、B寝台を千六百円から千九百円にするという改正でありますので、その改正どおり行なわれれば国鉄には当然千九百円の収入があるわけでございます。その場合に通行税分を国鉄が負担するというような筋合いのものではないわけでございまして、別問題であると思います。
  130. 増本一彦

    ○増本委員 ですから、国鉄のほうは結局ちゃんと増収ははかり、そしてそれに応じて法律で一割の税金がきめられている、その分まで国民に負担をかけるということはいかぬので、通行税分だけ減税にしよう、こういうことになりますよね。
  131. 高木文雄

    高木(文)政府委員 それはむしろ今度は税金のほうの話でございまして、現行法で千六百円以下は非課税だときまっておりますけれども、千六百円を一円でもこえれば課税だということになっておりますから、それはまさに租税法定主義の問題で、やはりそうなっております以上は、私のほうは私のほうでまた税金をいただかねばならぬと、こういうことになりますので、それではまずいから減税をさしていただきたい、改正をさしていただきたいという趣旨でございます。  料金料金としておきめになるわけで、その料金のうち、ある部分のものは別途の見地から税金として納めていただくということでございますので、そこはやはり今度は税法の面の問題ではないか。それでは非常にまずいというか不都合でございますから、この際改正をさせていただきたい。しかし、それをお許し願わなければやはりそうならざるを得ないということになろうかと思います。
  132. 増本一彦

    ○増本委員 ところで、いまたいへん首都圏の鉄道交通がおしなべて混雑の状態にあるわけですね。昨年の三月一日に都市交通審議会の答申が出ましたけれども、こういう答申を含めて、東京とその周辺の鉄道交通網の整備、増強の計画というものは具体的にどうなっているのでしょうか。所轄の方おりましたら御説明していただきたい。
  133. 原田昇左右

    ○原田政府委員 御承知のように、東京首都交通圏と申しますのは、大体東京駅から半径約五十キロの圏内でございますが、そこに大体現在人口二千百万人ぐらいが住んでおるわけでございます。そこでいま先生御指摘の三月に答申をいただきました首都交通圏におきます将来の高速鉄道網の整備計画でございますが、私どもは首都交通圏において将来大量の人間をさばき、しかもできるだけ安全で公害の少ない交通体系としては高速鉄道網によるしかないということでございまして、将来の人口は大体二千九百万人くらい六十年で予想されるわけでございますので、それに対応する交通網の整備計画を立てていただいたわけでございます。  大体概略申し上げますと、現在周辺部から都心部に向かいます路線の数は、都の区部を横切る断面で見ますと、大体二十二本くらい、二十二複線あるわけです。これを将来十二本くらいふやしまして、三十四複線を目標に整備していこうというのがこの計画の骨子でございます。都心部では地下鉄を中心にいたしまして、地下鉄網を整備してそれを私鉄に連結する、そしてその連結をいたしまする私鉄は一複線でございますが、これを二複線、複々線にして連結しようということ、それから国鉄については、たとえば東海道線のように横須賀線と重なるところは三複線にしよう、こういうような計画が骨子になっておりまして、現在大体交通網の整備で徐々に混雑度は緩和されてきておりますが、まだ依然として二〇〇%をオーバーしておりますが、これをこういった交通網の整備によりまして、六十年時点で一六〇から一七 ○くらいまで緩和していこう、つまりラッシュ一時間の混雑度でございますが、その場合、立っていて雑誌、新聞が読める程度にしたい、こういうことが目標でございます。
  134. 増本一彦

    ○増本委員 そういう計画について、具体的な年次計画を立てて、そしてそれを実現していく、こういうような手だてはおとりになっているのですか。
  135. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまの六十年のビジョンに対しまして具体的に年次計画といたしましては、国鉄につきましては、現在御審議に願っております再建十カ年計画があります。それから地下鉄については、経済社会基本計画の線に沿いまして五カ年計画、それから私鉄については、これは私企業ベースでございますので、必ずしもかっちりした計画にはなりませんけれども私鉄整備五カ年計画というものがございまして、それぞれ整備を進めているということにいたしておりますが、なお最近の宅地開発の状況あるいは混雑度合いの変化、都市の構造の変化等に対応いたしまして、そのつど見直しをして優先順位あるいは投資の順位等について十分弾力的に配慮していきたい、こう考えております。
  136. 増本一彦

    ○増本委員 計画はできても、しかし実際にはなかなか進まぬという問題もあるし、それからもうすでに数十年と言うと大げさですけれども、相当前に鉄道敷設の認可とか許可をとっていながら依然として土地の買い占めだけやって、宅地造成はやるけれども、しかし線路はなかなか敷かない、こういう私鉄もあるわけですね。  ですから、毎年毎年必ずどこからどこまでの区間は延長するとか、敷設をするとか、あるいはこれからこれまでの区間については三年なら三年で必ずやり切るというような具体的な計画と、それを強力に推し進める、こういう体制が一つは必要ではないかというように考えるのですが、その点については運輸省ではどうお考えなんでしょうか。
  137. 原田昇左右

    ○原田政府委員 まことにごもっともな御見解でございますが、何せ線路を敷くにいたしましても、地下鉄を掘るにいたしましても、用地の買収の問題、あるいは道路計画との関連の問題、それから地域住民との調整の問題がございます。さらに最近でございますと、私鉄については特にそうでございますが、その投資採算がなかなか用地の値上がりで立たないという問題もございますので、この点についてはむしろ助成策の強化ということで対処していけるわけでございますが、初めに申し上げました二、三の点については、基本的には三年度に区切ってやろうとしてもなかなか鉄道建設担当者の力だけでは解決できない問題もございます。あるいは都市計画と一体でやらなければならぬ。  したがって、都市計画事業のほうがなかなか進まない、都市計画の決定が進まないというような問題もございますので、お説はごもっともでございまして、私どももできるだけ計画的に整備を進めるようにあらゆる措置を講じてまいりたいと存じておりますが、事情によってはなかなか簡単にいかないという点もひとつ御了解願いたいと思います。
  138. 増本一彦

    ○増本委員 もちろん地域住民の納得の上に立って計画がきめられ、そしてそれが行なわれるということはこれは大前提ですけれども、しかし一方で、これが都心からさらに郊外へ延びていく路線で、すでに昭和十年代に鉄道敷設の許可なり認可をとっていながら、今日に至るもやっていないというような計画路線というのもあるのじゃないでしょうか。  たとえば京浜急行ですね。これが三浦三崎まで鉄道を敷設するということは、あれはたしか昭和十三年ころだったと思うのですが、ようやく三浦海岸まで来て、まだ三浦三崎まで行っていない。しかし、その付近の土地は相当に買い占めをして、いま用地取得が困難だと言うけれども私鉄がむしろ土地を買い占め地価をつり上げて、そしてそういう不動産投資には膨大なお金を使うけれども鉄道の敷設にはなかなかそれを使わない。そういう関係はむしろ首都圏の鉄道を整備していくという上でも、私鉄がまるきり敷設の資金がないというような事態ではないというように思うのですが、そういう点ではどういうようにお考えになり、おやりになろうとしているのでしょうか。
  139. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいま免許があったかどうかという事実関係につきまして、民営鉄道部の監理課長が参っておりますので、担当課長でございますから、かわってお答えいたさせます。
  140. 宇都宮寛

    ○宇都宮説明員 先生のいまの御指摘の件は、三浦海岸から油壷へ参ります四・二キロばかりの路線のことであろうと思いますけれども、これは現在京浜急行におきましてすぐにでも着工いたしたいということでやっておりますけれども、一部路線の区間に用地買収の点で困難な問題がございます。その点さえ片づけばすぐに着工いたしたいということで鋭意作業を進めているところでございます。
  141. 増本一彦

    ○増本委員 三崎まで行く部分はないのですか。たしか三崎まで行くのがあるはずですよ。油壷まで行くのは自分のところのやっている油壷のマリンタワーだか、マリンランドだか、そういうところへ行くものでして、それはすぐにでもやりたいのでしょうけれども、そうじゃなくて、三浦三崎のほうへ、城ケ島のほうに向かっていく路線、これはむしろ地元の人たちは要望しているのじゃないでしょうか。
  142. 宇都宮寛

    ○宇都宮説明員 先生のおっしゃるのは、たしか逗子海岸から飯森のほうへ抜ける路線かと思いますけれども、これは先般、去年の九月でございますか、起業廃止の申請がございまして、廃止の許可をいたしております。そのほかには先生御指摘のような路線の免許は京浜急行にはございません。
  143. 増本一彦

    ○増本委員 それはもののたとえとして。しかし、一方で私鉄が膨大な資金を土地の買い占めに使う。たとえば小田急でも、東急でも非常にこんでいる。だから、複々線にしてほしいという付近住民の声があっても、それに対しては金がない、こういう返事をする。こういう関係をどういうようにして鉄道の敷設に向けさせていくかという問題も非常に大事な問題だと思うのですが、そういう点ではどのように政府としてお考えになっているのか、そのことをひとつお伺いしたいのです。
  144. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいま御指摘のございました私鉄の輸送力増強問題、特に複々線の問題、あるいは団地開発と足の問題ということになろうかと思いますが、複々線化して輸送力を増強するには既成市街地の用地を買収したりするためにばく大な投資がかかるわけでございます。  そこで、最近の輸送需要が非常にふえてまいりまして、これを解決しないとどうしようもないという事態になってまいりましたので、私どもは昨年から鉄道建設公団をしてこの複々線工事あるいは団地との連絡線といったものをつくらせまして、これをつまり低利の資金でつくって私鉄に譲渡するという形を制度として出発さしたわけでございます。なお、それによって都心部の地下鉄との連結工事もできますし、相互乗り入れ工事もできるということをねらっておるわけでございます。
  145. 増本一彦

    ○増本委員 お見えですのでちょっとお伺いしたいのですが、いまたとえば都営地下鉄とかあるいは横浜市でも地下鉄を進めているわけですが、こういう地方自治体で公営の鉄道を敷設するということになると非常にお金がかかる。そこで当然地方債などの起債にたよらざるを得ないのですが、その一方でこういう大都市にはたくさんの大企業が集中をしている。そこに従業員がたくさんおって、その人たちがこういう公営の交通機関を使って通勤をしている。そういう点から見ても、企業の側からしてもこの交通、足の確保ということについてやはり責任もあるし、またそれだけの手だてもとらなければならぬ、こういう必要性もある。なおかつ、今日のように手元流動性とかあるいは過剰流動性というような問題が問題になっていることでもありますので、若干所管が違うと思いますけれども、こういう大企業に対して鉄道敷設、特に公営の自治体の地下鉄などの工事費等について、地方債の引き受けを義務づけるというようなことも必要ではないかというように考えますが、資金を確保するという上で大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
  146. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 正確な計数等についてはただいま持ち合わせておりませんけれども、まず第一に、地方公共団体等の計画をしあるいは運営をする公企業体としての地下鉄等の建設あるいは運営等につきましては、国の財政といたしましても一定の基準において助成をしておりますことは御承知のとおりでございます。そしてこういったような点につきましては、現に勤労大衆等の通勤の便宜等から考えて、今後ともできるだけの応援をしたいものであると考えております。同時に、従来の経験からいたしますと、こうした公共企業体の運営する地下鉄等の運営については、経常費と申しますか、運転費と申しますか、そういう点についてなかなか経理上困難であるという点も非常に関心を深くしておる点でございまして、それらの改善策については、今後とも関係者の間で改善策を十分考究していかなければならないと思っております。これが一つ。  それから第二の財源の問題として、地方債の起債等については、最近ではたとえば縁故債の応募というようなものが非常にふえてきております。まず第一に大蔵省として心がけておりますのは、そういったようなものに対する消化を、関係金融機関等に対して十分計画的に、これは従来ともすればなかなかうまくいかなかったところでございますが、地方公共団体等の財政需要やあるいはそれに対する資金の調達の面からしても地方債の計画等がより的確に掌握されて、そして地方の金融情勢とにらみ合わせて望ましいものについては消化を促進するということに対して、金融機関側にもできるだけの協力を求めるということで、いわば行政指導の面で今後も十分くふうを払っていきたい、こう考えております。  ただ、大企業等について、特にこうした地方債の消化について割り当てるとかあるいは一定の基準で半強制的に持たせるというところまでは実はただいままでは考えておりませんでしたけれども、そういったような御意見や御提案等に対しましては、謙虚にひとつ検討してまいりたいと思います。
  147. 増本一彦

    ○増本委員 最後になりますけれども、いま東京の環状線のぐるりを大体東西南北四つに分けて、各私鉄のいわばなわ張りみたいなぐあいになっている。これは何か法的な根拠があるのでしょうか。
  148. 住田正二

    ○住田政府委員 現在東京周辺の私鉄が重点的に営業をやっているという地域がございますけれども、その地域が私鉄のなわ張りであるというようには考えておらないわけでございます。
  149. 増本一彦

    ○増本委員 これは全く法律的な根拠はないのですか。このようになった経過はどうだったのでしょうか。
  150. 原田昇左右

    ○原田政府委員 御質問趣旨は、陸上交通事業調整法というものがございまして、これは昭和十三年に制定されたものでございます。これについてのお尋ねであろうかと思いますが、本法の目的は、旅客の利便を増進することあるいは事業経営の合理化をはかり、むだを排除すること等によりまして、交通事業の分野調整をするということにねらいがあったわけであります。これは東京のほか富山等において本法の調整が行なわれたわけでございます。その後本法は、昭和二十五年に、この法律の規定を運用するために手続上必要な陸上交通事業調整審議会というものがございますが、その審議会が廃止されたために、そのとき以来法律としての機能を停止しているわけでございます。現に、たとえば東京都営地下鉄の路線は、環状線の外へ出て私鉄相互乗り入れを行なっているわけでございまして、本法の機能はわれわれとしては停止しておると考えております。
  151. 増本一彦

    ○増本委員 昔は、昭和十三年以降陸上交通事業調整法があって、これによっていわば四つのグループぐらいにそれぞれの占守地域がきまった、それが現在は機能を停止していて、法律上の問題はもう全くない、こういうことなんですか。
  152. 原田昇左右

    ○原田政府委員 そのとおりでございます。
  153. 増本一彦

    ○増本委員 それなら、この法律は支那事変の戦時特別立法みたいなものですね。この法律が今日も依然として廃止されないままで残っているというのは、何か政府として特別の考えでもあるのでしょうか。
  154. 原田昇左右

    ○原田政府委員 別に特別の意図はございません。
  155. 増本一彦

    ○増本委員 こういう戦前からの亡霊は、私は廃止すべきだと思いますが、いかがですか。
  156. 原田昇左右

    ○原田政府委員 廃止いたします場合にも特別の手続が要るわけでございますし、また今後大都市周辺の交通事情の変貌に対応して同法を再び活用すべきかどうかということについてもにわかに判断をしかねる次第でございますから、同法の廃止を特別に立法して廃止するかどうかという点については、今後慎重に検討すべきであろうと考えます。
  157. 増本一彦

    ○増本委員 これは機能を停止しているからあれですけれども、この法律を新たに今度また使ってやるべきかどうかというのは、これは手続の上からいったって何からいったって非常に問題ですよ。いまの憲法のたてまえからいっても、これで全部企業をコントロールして統合したり委託管理してやっていけるかといったら、これはおそらく企業だって、こんな法律は憲法違反だと、相当な紛争の種になる法律ですよ。こういう法律がそのまま残っているから、何かそれぞれの巨大なる私鉄が依然として政治的にはこういうもので擁護をされているというような、そういう効果だけを生み出すというようなことにもなると思うのです。こんな法律はもうとっくに廃止をすべきであると思うのですが、もう一度伺いましょう。それで私の質問を終わります。
  158. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど御説明がありましたように、昭和二十五年に交通調整審議会の整理が行なわれたわけでございます。このときには、審議会の整理ということを重点に法律を整理したものでありますので、法律が残ってしまったという結果になったわけであります。実際問題といたしまして、この法律を活用してどうこうというような情勢ではございませんし、いずれ機会があれば整理の方向で検討することに相なるかと思います。
  159. 増本一彦

    ○増本委員 では、終わります。
  160. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 次に、広沢君。
  161. 広沢直樹

    ○広沢委員 今回の通行税法の一部改正については、今国会でも最大の焦点になりました国鉄運賃改正あるいは財政の再建計画、こういうものに深く関連をいたしておりますので、その根本について深く突っ込んでここで話す余裕もありませんし、所管委員会で論議が重ねられておりますので、多少関連して、財政の当局である大蔵大臣も出席でありますから・若干その問題に触れてお伺いしておきたいと思います。  と申しますのは、今度の国鉄運賃の値上げについては、やはりその基本的な原因となっているものは、交通の体系がいままでと体制が変わってきたということにあると思います。さきに国鉄のほうから出していただいたその赤字の内容につきましても、旅客運賃については一応黒である、貨物については一応赤字が出てきている、その赤字の累積、そういうものが基本的な問題になってきておりますし、その後いろいろな財政問題ともからみ合って非常に借金が多いということも一つの問題でありましょうし、いろいろ問題があるわけですけれども、やはり基本的な問題は、この時代の変化に応じて総合的な交通体系というかそれに対する政策というものが具体的になされていないのじゃないか、そしてその中における国鉄の位置づけというものがどういうふうになっているのか、これも明確さを欠いているのではないだろうかと思われるわけです。  旅客運賃の黒字になっているということについてはいろいろ論議もありましょうが、例をあげていけば、たとえばいまのモータリゼーションの時代になったとしても、バスとかいろいろな交通機関が短距離の輸送をやっているわけでして、長距離はやはり旅客国鉄に大きく依存している。貨物については、これは道路もよくなりすべての交通体系が変わってきておりますので、トラック輸送なんかは中長距離輸送が盛んになってきている。こういう面で、国鉄の貨物におけるシェアの相当低下ということが問題になっておりますね。  ですから問題は、そういう総合的な体制というものを立てていかないことには、これは赤字というものは解消しないのじゃないか。そして十年間の再建計画等見ましても、これは客貨あわせて何回も運賃の値上げをしていかなきゃならない、それに応じてペーパープランでは十年後、五十七年ですか、一応単年度黒字になるという計算をしているようでありますけれども、以前に立てられた計画の上においてもそういうプランが立てられたけれども、現実には運賃の値上げがあってもそのような体制がとれていないということがあります。  そこでお伺いしたいことは、総合の交通体系における政策の中で、いわゆる国鉄の位置づけというものはどういうふうになっているのか、まずこれを国鉄当局にお伺いしておきたいと思います。
  162. 住田正二

    ○住田政府委員 将来のわが国の総合交通体系の中において、国鉄がどのような地位を占めるかということにつきましては、運輸省にあります運輸政策審議会の答申におきまして、国鉄の位置づけがなされておりますし、また政府の総合交通体系においても国鉄の位置づけがされておるわけでございますが、それによりますと、国鉄は都市間の旅客輸送、それから大都市の通勤輸送、それから中長距離の貨物輸送をやるということになっているわけでございます。  いまお話がありましたように、この十数年来国鉄の地位というものが非常に低下いたしておるわけでございますが、その大きな原因は、かつて国鉄は独占的な地位を占めていたわけでございます。その独占的な地位が道路における自動車輸送あるいは航空あるいは海運という、他の交通輸送機関との競争に敗れて、旅客においても貨物においても大きくシェアが低下してしまったわけでございます。  それから昭和四十四年に第一回目のといいますか、現行国鉄財政再建計画をつくって現在に至っているわけでございますが、それが破綻に瀕してきていることも御指摘のとおりでございます。その原因というのは、一つはやはりいま申し上げました他の交通輸送機関との競争に負けて、当初予定しておった旅客、貨物の輸送の伸びが確保できなかった。そのために収入が伸びていないということと、そのほか人件費等の経費が非常に大きくなった、当初の見積もりよりも非常に大きくなったということが、財政再建計画がつまずいた理由ではないかと思います。  しかし、先ほど申し上げました総合交通体系における国鉄の役割りというものは、今後の国民生活あるいは国民経済の基盤的な役割りを国鉄は果たすということが期待されているわけでございますので、このまま放置することはできないということで、今回の再建計画におきましては十兆五千億という投資によりまして、国鉄の体質を近代化するということを考えているわけでございます。  この中身は、新幹線輸送であるとかあるいは複線電化であるとかあるいは都市の通勤対策であるとかいろいろ使われておりますが、特に貨物につきましては一兆七千五百億という大きな投資をいたしまして、貨物の輸送力を増強することをねらっているわけでございます。  貨物につきましては、先ほどお話がございました、旅客は黒字で貨物は赤字であるというお話がございましたが、それは確かに事実でございます。しかしその理由といたしましては、これまで国鉄の営業政策が旅客中心主義で行なわれているということで、たとえばダイヤを編成いたしましても、いい時間帯は全部旅客を通す、貨物はその間を縫って通すとかあるいは急行や特急のために貨物は待っているというふうなこと、それからたとえば災害が起きましても、災害の復旧の際には旅客を優先にして貨物はあと回しにするというような旅客中心主義、優先主義ということによって、そのしわが貨物に寄っているということも大きな原因であります。  したがって、今後新幹線を整備いたしますと、在来線のほうがあいてまいりますので、今後は在来線を中心に、在来線では貨物を中心にダイヤが組めるという状態が、数年先に新幹線ができました暁におきましてはそういう時代がやってくるということで、貨物の増強ということが可能になるわけでございます。先ほど申しました一兆七千五百億の投資によりまして、ターミナルを整備するとか、あるいは貨車を整備するということで国鉄の貨物輸送の近代化をはかって、貨物部門の黒字への転換をはかるということが今回の再建計画では重要なポイントになっているわけでございます。
  163. 広沢直樹

    ○広沢委員 近代化とかそういう抽象的なことばだけではなくて、やはりこれは今回の値上げを見ましても、旅客は一応黒字である、そして貨物のほうは御存じのように大きな赤字を出している。しかし、運賃改定をする場合においては、旅客も貨物も両方改定をしているわけですね。そこにいろいろな矛盾があるし、議論もあっただろうと思うのですけれども、要するにやはり貨物は大きな赤字を出してきているという、これはいろいろな背景は別として、独立採算制をとっている国鉄としての営業面だけを見た場合、現実の問題としては、いわゆる自動車、トラック輸送、陸上輸送、海上輸送という関係国鉄の貨物輸送という関係のこれが、昔と違ってバランスが変わってきたというところに大きな赤字をつくっている原因があるのじゃないか。これは営業面だけから私はいま申し上げているわけですよ、ほかにいろいろありますけれどもね。  ですから、そこに対する区分というものをはっきりしていかなきゃならないときが来ているのではないか。ただ中長距離輸送あるいは大都市を中心とした輸送、あるいはそういう近代化をはかっていくとかいう抽象的な問題じゃなくて、それは日本だけじゃなくてほかの国でもやはり同じようにそういうふうなバランスの問題で非常に問題が起きているわけですね。そうして具体的な対策を立てていかなければ、この問題というのは解決しない。  したがって、ずっと営業的な赤字が続くということは、また自然的にそれを国民の負担でカバーしなければならぬ。受益者負担といいますか、そういろ形にしわ寄せしてきている。それが運賃値上げという形で毎回出していかなければならない、こういう問題もあると思いますね。そういう点を十分検討していくべき必要があるのではないか。  私、総合交通体系という、四十六年十二月ですか、出されたものを読んでみましたけれども、確かにいままで論議されたことは集約されておりますが、具体的に区分がどうなって整理されてこうなっていくのだということが明確にとれないわけです。ですから、その点はどういうふうに具体的に考えているのか。抽象論法のときは過ぎて、いま日々十億円も赤字を出しているというたいへんな国鉄の財政の中で、どう体制を立て直していくのかということが一番問題じゃないかと思うのですね。ですから、その点をもう一回具体的に貨物関係に関してお答えいただきたいと思います。  それから、ちょうど大蔵大臣も御出席でありますので、問題は、いまそれだけの大きな借金をかかえ、あるいは累積の赤字が積み重なっていって、たいへんな破綻状態になっている財政問題に対して、現在のところは独立採算制というたてまえから、いわゆる利子を補給していくとか、それを主体にしたような対策しか立てられていないわけですね。これに対してもやはり財政当局としてもう少し具体的な考え方を持つべきじゃないだろうかと思うのです。  これは後にも私、ちょっと触れようと思っているわけですけれども、いわゆる政策的に割引をしている問題に対しては、直接これは助成という形で出費をすべきじゃないかという問題もありましょうし、その他いわゆる道路だとかあるいは港湾だとかというふうに、国自体は道路の整備を行なう、あるいは地方自治体において整備を行なう、その上に立っていわゆる民間の営利として行なっている輸送、そういう問題と、国鉄のようにすべて、土地の買収からすべてをまかなっていかなければならない、そういう中での独立採算制を考えている分野とすれば、これはもう必然的に土台から狂ってきていると思うのですね。そこにやはり国としても、国民の足としての立場から国が相当手を入れていかなければ、この国鉄の赤字というものは解消しないのじゃないか。  ということは、結局これは、いつも問題になっておりますように、国民の大きな負担となっている。もちろん税金でありますから、国民の間接負担になることはわかり切っている話でありますけれども、その分野の区割りというか体制がはっきりしていないように思うのです。これはいま一つ例をあげましたけれども、諸外国においてはいわゆる政策的な割引について当然国が負担をしているということもあるわけですが、わが国においてはそれをやっていない、こういう問題もありますね。  そこで、いま基本的な問題をお伺いしたものですから、財政当局として今後どういうふうにこの国鉄の、いま重大な危機といわれる大幅な赤字をかかえて苦しんでいる国鉄の再建に対して取り組んでいくのか、その面について大蔵大臣からお伺いをしたいと思うわけです。
  164. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 国鉄は、いまも担当の者から答弁がありましたように、やはり一番基本的な問題は、従来は——従来といいますか、要するにこの独占的な交通体系の中で地位を確立しておりましたが、これが、一口に言えばモータリゼーションという新しい時代の流れの中でその基本的な立場を喪失したということに一つの問題があると思い・ます。これが大きな問題であります。  しかし、一方においては、やはり国有鉄道に対する要請が国民的に非常に強い。そこで在来線とか赤字線とかいう問題が常につきまとってくるわけでございますけれども、いわゆる国有鉄道というものの性格や使命からいってそういうこともになっていかなければならない、これが今日の大問題の背景になっているところではないかと思います。  したがって、財政当局としても、独立採算制でぜひやっていただきたい、しかしこういうふうな情勢の変化によって非常な赤字がたまってきているというところにその状態を直視いたしまして、かすに相当のやはり年月をもってしていただかなければならない。十年というところを期間にして、十年たったならば単年度は黒字になるし、それからその後の経営においては、そのときにもまだ累積しておる赤字が残るわけでありますけれども、これはその後の黒字で解消ができるというところに目安を置きまして、かつやはり国鉄としてになわなければならない新たなる工事その他も負担しながら、一面で経済上の赤を少なくしていくということで、いまさら申し上げるまでもございませんが、昨年もずいぶん知恵をしぼり、また関係法律案が不幸にして成立いたしませんでしたので、四十八年度においては、あらためて昨年末から本年の初めにかけまして非常な検討を細部にわたって十二分にいたしまして、今日つくっておりますような再建案ができたわけでございます。  ですから、本来の国鉄立場からいえば、たとえば経常的な赤字の問題もあれば、それから再建のための財政負担もあれば、いろいろの問題がございますけれども、そして本来、国としてはやるべきでないと言うと少しことばが過ぎますけれども、そこまで踏み込まなくともという考え方も実はないわけではなかったわけでありますけれども、そこに踏み込みまして、政府出資もやる、再建債の協力もする、孫利子の補給もやる、あるいは工事費に対する援助もする、まあ各方面から対策を講じて、これまたいまさら申し上げるまでもございませんが、十年間に一般会計の負担が三兆六千億円、財投が九兆三千億円、これは単純に合計するわけにはまいりませんけれども、十二兆九千億ということになるわけでございます。ここまで踏み切れば、そして一方で運賃の値上げは利用者として御負担を願うわけでございますけれども、四回にわたって値上げをして、全部で四兆九千億になりますか、収入をはかることにする。これは単年度で、四十八年度でいえば一般会計の負担は千七百億、財投が六千六百七十六億、運賃の増収が千八百五十五億、これがいわゆる三方一両損と申しますか、そういう考え方で——もちろん利用者と国民は一体なんでありますから、そこに三方一両損のことを持ち出すのはいささかいかがかと思いますが、一般国民国鉄を直接利用しない人も相当あるわけでございますから、あえて三方損と言わしていただけば、国民全体も負担をうんとやる、それから国鉄の再建の努力もうんとやっていただく、そして足らず前は運賃の増徴によってやる。それでこういうことをやって、それをひたむきに続けていって、なおかつまる十年間はかかる。十年たってこれだけを忍耐強くつないでいけば、十年後には再建がりっぱにでき上がる。こういう考え方でおりますので、財政当局といたしましては、今回のこの再建案というものがあらゆる面から見て知恵をしぼった結果、これが現在考え得る最善の再建策である、どういうふうに考えております。  これはことしの一月以来あらゆる機会に申し上げておりますことを繰り返したにすぎませんけれども、やはりわれわれとしては、この半年間さらにまたもとに戻っていろいろの御質疑や御批判をいただきながら振り返って考えてみましても、やはりことしの一月につくりました再建案というものが最善の案であるという確信を政府としては現在も持っている次第でございます。
  165. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、四十七年度の財政の助成を見ましても、工事の補助金、いわゆる利差補給というのですか、あるいはいまおっしゃっておられた再建債の利子の補給、孫利子の問題もそれに含まれておりますけれども、それから合理化促進特別交付金、こういった問題、そういうふうな間接的な助成という形をとっておるのであって、あくまでも基本的に、先ほど言ったような政策的な割引だとか、そういうものに対する具体的な助成というものは取り上げられていないわけですね。  それからもう一つは、先ほど言ったように、基本的には道路の問題だとかあるいは港湾の整備は、ほかの運輸機関においてはそれを利用した上の営業計画を立てておるわけですけれども、その基盤をつくることまで一応国鉄は全部やっているということ。ですから事業計画の中でも、土地の買収で八〇%、九〇%はその経費に食われているという現状から考えていっても、これでは幾ら利子補給をやったりあるいは借金を減らせといってみても、これは十年計画の中にも借金が十倍になるだろうということさえいわれておるわけですから、なかなか解決しない問題があるのじゃないかと思うのですね。その点を十分配慮していく必要があるのじゃないかと思うのです。  それから、今回のいわゆる通行税は四十八年度で百九十一億と、先ほどこういうふうにいわれておりましたが、その中で国鉄はどれだけ税を納めていることになるか。これについては、先ほど鉄道部長ですか旅客局長ですかのお答えの中で、四十八年度は二十八億ぐらいを見込んでおるというお話でありましたね。そういうことになりますと、大体電車とか汽車の分はどういうふうになっているのでしょうか。私のいただいている資料の中では、四十六年までは国鉄、電車、汽車、航空機と分かれているのですが、その関係はどうなりますか。
  166. 高木文雄

    高木(文)政府委員 百九十一億の中で国鉄が二十八億と、航空機が百六十三億でございまして、汽船私鉄は一億に満たないということでございます。
  167. 広沢直樹

    ○広沢委員 その二十八億でありますけれども、いまこういう問題をかかえておるような国鉄の側に立ってものを言えば、先ほども鉄道部長からちょっとお話がございましたけれども、要するに目的的に取ってそして国鉄の何らかの具体的な問題に考えていくのならいいですけれども一般財源として二十八億もこういう赤字で云々している、中で取っていくのはどういうものだろうかと思うのです。そうでなければ私も、基本的には先ほどから御意見がありますように、国鉄関係あるいは汽船とか電車の通行税というものはこの際廃止すればいいのではないかという意見なんです。その点を、わざわざそういうところから税金を取って一般財源として充当しなければならない。これは単なる担税力がある云々という問題も理論的にはあるでしょうけれども、それだけで徴税というものを考えるのではなくて、やはり客観的な情勢も全部含めて徴税というものは考えていかなければならないと思うのですが、その点についていかがですか。
  168. 高木文雄

    高木(文)政府委員 この通行税を目的税にするかどうかということでございますが、これは時代とともに通行税の中のウエートは移ってきております。現在の国鉄の状況からいえば、おっしゃるようなことも一つ考え方であろうかと思いますが、通行税全体として考えますならば、大部分がむしろ航空機の問題でございますので、航空機航空機の問題として、別途空港整備その他にいろいろ一般会計からの支出等が行なわれているわけでございまして、現在では通行税の税額とそれから国鉄その他交通機関全体に出されております支出額とは、けた違いにバランスしていないわけでございますので、現在これを、通行税を目的税とするということは実質的にはあまり意味がないのではないか。これを持ってきませず、現在はこの額よりもはるかに多い額が歳出として使われておるということを前提にして考えますならば、いまこれを特に目的税とする意味はあまりないのではないかというのが私ども考え方でございます。
  169. 広沢直樹

    ○広沢委員 通行税は私もあとからいろいろ申し上げたいと思うのですが、一応廃止すればいいと私は主張しているわけですけれども、ただ現状そのままおくとするならば、国鉄の場合においてこういうような非常に財政的に行き詰まりを来たしている段階において、その中からまたそれだけの徴税をするというよりも、それを何らかそういうものに加えて活用していくというふうに考えていくべきじゃないのだろうか、こう思うわけです。一般財源としてそれを考えていくのではなくてです。ですから目的税にせよという意味じゃないのですよ。  現状、いまこういうふうな体制にあるから、それはそういうふうに考えていくべきじゃないのだろうかというわけでありまして、全体の中でいま言うように国鉄の占める通行税の割合というのは非常に小さいわけでありますから、これについても基本的な考え方の上に立って、通行税というのはこの際廃止すればいいんじゃないかと思っているのですが、その点いかがですか。
  170. 高木文雄

    高木(文)政府委員 ちょっと御趣旨がよくわかりませんが、現在の国鉄の収入は大体一兆五千億くらいでございます。一方通行税は二十八億でございます。それから政府の助成は千七百億でございますので、そういう数字を比較してみますと、私はこれをそういうふうに充てるということの意味はあまりなさぬのではないかというふうに考えます。
  171. 広沢直樹

    ○広沢委員 今度の通行税法改正で、B寝台については「一般乗客通常利用スル寝台ニ係ル料金」これは非課税ということを前提にして考えるということでありますが、その「一般乗客通常利用スル寝台」こういう定義がいま適当であるかどうかという問題なんです。  そこで、A寝台グリーン料金にいま課税されているわけですね。その利用状況というものはどういうふうになっているか、ひとつお示しいただきたいのです。
  172. 高木文雄

    高木(文)政府委員 A寝台の現在の収入見込み額は、改定前で四十八億と見込まれております。B寝台のほうが二百七十三億と見込まれております。したがって、全体の中におきますところのA寝台金額ウエートは一七・六%でございます。それから利用人員で見ますと、これは四十六年度の実績でございますが、A寝台が百十二万人でございます。B寝台は千六百十四万八千人でございます。合わしたものが千七百二十六万八千人でございます。したがって、A寝台の利用率ウエートは人数割りでは六・五%でございます。
  173. 広沢直樹

    ○広沢委員 それは金額的、員数的でありますけれどもB寝台の数といいますか、それとA寝台というものは同じウエートであるわけじゃないので、B寝台というのは非常に数も多いだろうと思うのです。それから利用度も多いだろうと思うのです。したがって、A寝台がここにたとえば百あるとしたら、実際にそのA寝台がフルに使われているかどうかという利用状況はどうなっているのか、お伺いしているのです。
  174. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 まず最初のお尋ねの数でございますが、客車のA寝台は三千六百セットございまして、それに対しまして客車のBのほうが四万七千七百セット、それからそのほかに電車のBが九千二百セットございます。大体AとBの割合はそのような感じであろうかと思われます。  それから次のお尋ねの寝台の利用率でございますが、A寝台のほうが平均九二%の利用効率でございまして、B寝台が大体平均九一%の利用効率になっております。
  175. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこでいまいうB寝台については、いわゆる昔の二等寝台、それについては非課税にする。それからA寝台についてはこれは通行税課税対象にする。それからグリーンについても午前中いろいろ論議がございましたが、その論議を通じて私も質問をしておった趣旨には賛成しているのですが、結局、区別というのはどこで考えるか。いまこの通行税法の沿革から見ますと、出てきたときは特別税として考えられたのだけれども、その後においてはいわゆる担税力に応じて課税するのだという考え方にいまは立っているわけですね。しかしながら、いまのこの利用状況から考えてみましても、担税力というよりも、このように非常にいま旅客が多くなってきている、混雑をしている、それに対応するだけの交通機関の体制が十分とれていない体制においては、これは目的にありますようにいわゆる旅客の必要に基づいて行なわれているのであって、グリーンに乗りたいと思って行かなくても、満員であればグリーンに乗ってしまう、あるいは長距離の旅行をする場合において、B寝台が一ぱいであれば当然A寝台も使うという、そのような状況です。いわゆる奢侈的というか、豪華というか、そういうよろな感じではなくていまや一般に利用されている。ここの趣旨にあります、一般乗客通常利用する形に現状はなっていないのではないか。  理論やペーパーの上ではそういうふうに区別はできるかもしれませんが、具体的にこの実態を見ましたら、そういうことがはっきりしているんです。むしろ長距離の場合はそういうグリーンのほうが一ぱいであって、なかなかグリーン券が取れないという状況さえ私たちは自分で体験しているわけですけれども、そういうことから考えてみますと、そういう一般乗客通常利用する寝台というB寝台だけについて指定するという考え方、あるいはその通行税考え方においても、そういう担税力がある、ないということだけを基準にして考える時点ではもうないのではないか、こういうふうに考えるわけですが、その点、いかがですか。
  176. 高木文雄

    高木(文)政府委員 今朝来の御質問でもそういう御意見がございましたが、私どもは、百人のうち九十三・五人までの方が利用しておられる、これが「一般乗客通常利用スル」という状態である。またグリーンにつきましては、乗客人員のうち一・二%がグリーンに乗っておられるということから、グリーンに乗っておられない方をさして「一般乗客通常利用スル」こういうふうに概念しておるわけでございます。  あるいは今朝来御指摘のように、若干このことば表現が不十分であるかもしれません。寝台については、直にB寝台というふうな表現ができればあるいはもっと明確であったかとも思われますが、その点は午前中御質問にお答え申し上げましたように、B寝台という制度法律的に用語になっておりませんためにやむを得ずちょっと遠回しの表現になった次第でございまして、趣旨はそういう趣旨であるということで御了解いただきたいと思います。
  177. 広沢直樹

    ○広沢委員 やはり初めの通行税課税目的というものが、特別な何かを目標にした、前の戦争時代の戦費調達という形ではなくて、今日の担税力に着目した課税になってきている。ということは、結局その中に二段階のものの考え方があって、担税力のあるものとないものという考え方ですが、交通機関を利用している場合は、いまのA寝台B寝台につきましてA寝台が九二%、B寝台が九一%。九〇%といえば、これは大体満ぱいで利用しているということをいえると思うのですね。そういうふうに、あるいはグリーンの状況を見ましても前のとおりですが、それを見ましても、やはりいまは担税力があるとかないとかというだけで区別できるような今日の利用状況じゃないと思うのです。  ですから、そういう面に関してはやはりもう一ペん通行税のあり方というものを考えていかなければいけないんじゃないかと思うのですが、先ほどもそういうことについてはいろいろお話がありましたけれども、これはやはり個々に単に交通機関の高い水準を利用するものについては、これは当然担税力があるという着目だというのですが、私は、これはもう実態に即応してきていない。飛行機でも同じことです。飛行機も、いまは羽田にしても伊丹にしても、国際空港としてはもういまは過密的になってきている。国内の利用状況も非常に上がっているわけですね。ですから、そういう関係から見ても、これも、飛行機に乗るといえば、何かいままでだったらたいしたことみたいに考えられていた時代もありましたけれども、いまじゃどなたでもビジネス的に飛行機を利用するという段階が来ているわけですね。  ですから、これはそういうふうな旅客の必要に応じて考えていくべきものじゃないか。これは一般的に通常利用するという考え方で今後の通行税法のあり方というものを検討すべき必要があるのじゃないかと思うのですが、もう一度それに対するお答えをいただきたい。
  178. 高木文雄

    高木(文)政府委員 やはり基本は、輸送サービスというものを課税対象に一部でも持ち込むことの可否ということからきておると思います。今朝来申しておりますように、最近の消費の実態から申しますならば、やはり物品の購入ということだけでなしに、サービスの享受ということについても課税対象として大いに考えてよろしいのではないかというのが私ども考え方でございます。その場合に、輸送サービスというものをどうとらえていくかということになりますと、一般輸送サービス課税対象とするのはこれはやはりおかしいのでございまして、この面におきまして料金の高い車と料金の安い車が一つの編成列車で走っているときに、料金の高い車のほうを利用されている事実と、それから料金の低いほうの輸送サービスを享受している事実と比較しますならば、やはりそこには何らかの差があるということは十分認め得るのではないかというふうに考えられるわけでございます。  基本は、消費課税のあり方の問題、それからサービス課税のあり方の問題との関連で最終的には判断されるべきものではないかと思っておりますけれども現行通行税法のたてまえは、サービス全般に課税するということでなしに、もっぱらある種の高級消費と認められるという事実に着目しているということであるわけでございまして、その点は今朝来の御批判のようないろいろな見方もございますので、先ほどお答え申し上げましたように、なおこれからよく検討さしていただきたいというふうに考えます。
  179. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは最後に大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、一応この税金の問題につきましては、いま負担の軽減ということを国民は多く望んでおるわけでして、主張しているわけです。したがって、所得税とか住民税だとか、これはいま軽減の方向で絶えず問題になっているわけでありますけれども、そのほかにいろいろな形で国民生活においては税金を納めることになっているわけですね。ものを食べてもそうですし、いまみたいに動いても税金がかかってまいりますし、ものを買っても税金がかかってくる。とにかく基本的に国民の義務として税金を納める。日本国民として納めなければならない。あたりまえの話です。  しかし、そのほかに、われわれの生活を取り巻いているあらゆる問題がそういう形で出てきているわけでして、物品税についても、先日も物品税法の改正のときにいろいろ話があって、やはり現在の状況から非課税にしていく分、あるいはもっともっと免税点を上げていく分とか、いろいろ検討はなされているわけでありますが、この通行税法についてもいままでのように単なるB寝台通常というものをB寝台というふうに考えて、現状はもう全然そうではなくなってきているということにもやはり着目して、一ぺんこういうような税金関係というものについてもう少し具体的に洗い直し、検討してみる必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、大蔵大臣の御意見をお伺いしまして終わりにいたします。
  180. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 今後の税制については、なるべく所得税というようなものは思い切って減税したい、それから法人税というようなものについては相当の重課をしたいということを根幹にして考えてまいりたいと思いますが、同時に、財政需要は年を追うごとに非常に大きくなりますし、税の体系として直接税、間接税をどういう位置づけをするかということもまた非常に大きな問題であると思います。したがって、間接税の問題については主税局長がしばしばお答えをいたしておりますように、物品税というものももちろん、それから消費、一般サービスというようなものについても、これはある程度の税源として十分培養していかなければならぬ問題である。私は従来、これを大切に育て上げていくべきものである、こう申しておりますが、そういう意味合いでございます。  しかし、それらを通じまして不公平感ということをできるだけなくしていこうということを一つの中心の考え方として貫いてまいりたい、こういうような考え方でございますから、それらの各税目につきましても、一般的な国民大衆的な面においてはできるだけこれを少なくするということがやはり不公平感ということからいっても必要なことじゃないか、そういう考え方で、現にもう作業を始めつつありますが、税制調査会等を中心にいたしまして今後の税制というものを思い切って改善してまいりたい、かように存じます。
  181. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  182. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直らに採決に入ります。  通行税法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  183. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  185. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 次回は、来たる十三日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会