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大倉政府委員 大臣から
お答えいただきます前に、いわゆる技術的な点をまず
お答えさしていただきますが、御
質問にございました三十万円と申しますのは、まさしく源泉徴収をしないでよろしいという限度としていま設定いたしております。ということは、三十万円をこえれば必ず源泉徴収があるということではございません。三十万円をこえた方には扶養控除等申告書をお出し願うように個別に通知をしていただいておりまして、扶養控除等申告書が返ってまいりますれば課税対象限度内の場合には、もちろん源泉徴収はいたさないわけでございます。したがいまして、現実に源泉徴収が起こっておりますのは、扶養控除等申告書心をお出しになっていない方、おそらくは実態といたしましてはほかに主たる収入をお持ちでございまして、その
年金がいわば従たる収入になっておるという方の
ケースではなかろうかと思います。その場合には、従たる給与としての源泉徴収はかなり一律的に行なっておりますので、年末調整なり申告で返ってきたりあるいは差し引いたりということは、いまの
制度ではどうしてもある程度は避けられないかということだろうと思います。
もう
一つ、
年金全体としての課税方式というのは、かねてからいろいろと
検討をされてまいってきておるのでございますが、御高承のとおり、現在は、簡単に申し上げますと、いわゆる
公的年金につきましてはこれを給与とみなして課税をする、その他の私的
年金につきましては雑所得といたしまして、自己
負担分を控除した残額を課税するという
仕組みをとっております。これをいつまで続けるかという、またそれでよいかという問題が
一つと、もう
一つ、
公的年金についてはいっそ非課税にしたらどうかという御
意見があることも
承知いたしております。ただ、今回四十八年度の
改正といたしましては、ただいま御
質問にございましたように、六十五歳以上の方のお受け取りになる
公的年金につきまして、いわば五万円
年金時代というものに対応しての六十万円特別控除というものを御提案申し上げ、無事成立したわけでございますが、これを
青天井にしていいかどうかということにつきましては、ことしの
改正案を論議いたします段階でやはりかなり
議論がございました。
現実に
恩給、
共済組合系統ではかなり多額の
年金が存在しておることが
一つ。もう
一つは、やはり
議論になりまして恐縮でございますが、ある程度長い視野でものを
考えました場合に、将来
年金受給者でありました者とそれをささえる中壮年層という者とがどう分かれていくのか、
年金受給者すべて非課税ということでうまくいくのかどうかという点まで踏まえました上で、なお
長期的な
検討を必要とするのではないか。ことしといたしましては、くどくて恐縮でございますが、いわゆる五万円
年金分は非課税になるようにということが
現状ではよいのではなかろうかという
考え方で案を作成したという経緯がございます。