○荒木(宏)
委員 私は、
日本共産党・革新共同を代表して、原案に反対する立場から討論をいたします。
まず第一は、この
一括返済の使途並びに目的についてであります。
ガリオアについて申しますと、すでにこの支払い金については
交換公文で東アジアの経済開発など、その使途が確認されておるのであります。
政府答弁によりますと、これはひもつき
返済ではないから、個別に特定して吟味することはできない。しかし、全体として米国の海外援助に組み入れられるべきことは前記
交換公文の趣旨からも明らかであります。
そこで、米国の対外援助の内容を見ますと、七三会計年度に比し七四会計年度は、軍事援助と防衛支持としての経済金融援助は増加し、他方対外経費としての食糧援助などはかえって減少しているのであります。
この
アメリカの対外援助政策は、軍事面においてはベトナム、東南アジアをはじめ海外軍事侵略行動や軍事基地網の設置となり、その誤りはすでにベトナム、ラオス
協定により明らかであります。また経済面においては、多国籍企業をはじめ海外経済進出となり、ウイリアムズ
委員会など
アメリカ関係機関もみずから認めておりますように、これまた国際通貨危機の大きな原因としてその矛盾もまた明らかになっております。
そこへ
一括返済するわけですから、その中に組み込まれることになり、とうてい賛成することはできないのであります。しかも
政府の趣旨説明によりますと、今回の
措置は、国際通貨
情勢などに照らして繰り上げ
返済するとのことですが、このような節度なき
アメリカに無批判に追随する政治姿勢のあらわれであり、国民の要望に反して国際通貨危機を解決するものであって、反対であります。
第二に、手続上の問題でありますが、
昭和三十八年
ガリオア返済協定が国会で
審議されましたとき、わが党の須藤議員の質問に答えて外務
大臣は、この
返済金については
アメリカ側からの使途
計画の提示を受け、協議する旨明確に答弁しています。この点に関して、昨日政務次官に質問いたしましたところ、前記
大臣答弁に沿う趣旨の協議は全くなかったということが明らかになりました。これは国民を欺くものともいうべく、この状態のままでわが党は
一括返済を認めることはできないのであります。
第三は、財源についてであります。前記国会で
返済金の財源について、それは二重払いになるのではないかとの疑問に対して、
政府は開銀の納付金、回収金利子のみでまかない、
一般会計にはどんな
意味でも迷惑をかけないという旨のことを断言しています。しかるに今回の
返済計画によりますと、開銀の納付金は
見返り資金に見合う率の八七・七%をこえて
全額計上されています。しかも
昭和二十八年から三十六年までの開銀の運用益が約千四百億円、
昭和三十六年から同四十七年までの運用益、回収金等と
返済実積の差額
残高が、
ガリオア関係では約二十五億円、
余農関係で約三百二十億円、それだけの
金額があるにもかかわらず、それらは主として大企業向けに運用され、直ちに回収困難もしくは適策でないとの理由で運用部
資金から借入することは、結局国民が預けた金に手をつけることであり、前記
協定時のたてまえに照らしても認めがたいのであります。
以上、
ガリオア関係を中心に今回の
一括返済に反対する旨申し述べましたが、そもそも
債務自体を見ても、それは国民の利益に反するものであることをこの際想起する必要があります。余
農債務はこの買い付け自体、
アメリカの
農産物輸入による
日本農業の破壊への道を開いたものであります。また
ガリオアは当時占領目的のために放出されたものであり、
アメリカでは家畜の飼料とされた脱脂粉乳や雑穀まで含まれており、本来
債務性は帯有しないものであり、全くその
金額計算も明確でなかったのでありまして、阿波丸
関係の
請求権をはじめ、戦争による国民のはかり知れない被害を
考えますと、
債務とすべきものでないことは今日ますます明らかであります。これらの基本的
観点に立ち、また今次国際通貨危機のよって生まれた原因をあわせ
考えまして、今次
返済措置に前記問題点を照らして反対である旨討論をいたします。