○阿部(助)委員 私の言い方が少し荒っぽいものだからあれですが、何がしかの
見通しがぴしゃっといくというふうには私も
考えませんけれ
ども、それにしても皆さんのほうももう少し
国会の場で真剣に論議をしないと、いままでいろいろな人がここで質問されたけれ
ども、そのつど二年たたぬとわからぬのだ、こういうふうにおっしゃる。そうすると先の論議が
一つもわからない。二年たってみてから論議するより手がない。私はそうではないと思う。いまの国際
関係の
変化の速度というものは、私は非常に早いと思うんですよ。そうすると
日本の、皆さんの三次にわたる
円対策がはたしてよかったのかどうなのか、この点も私はたいへん疑問を持つわけです。私はやはり
日本のこの
円対策、なぜ一体こうやって
ドルがたまるのかという点に、もう少し皆さん率直なメスを入れない限り解決をしないんじゃないか。
私は、それは一番あれなのは、やはり労働者の低賃金、社会保障の貧弱さ、そういうものに全然メスを入れないで、いろいろな財政あるいは
金融、税制、こういうもので
輸出競争力をつけるということで、これは皆さん全力をあげてきた。私は、この
委員会に入っていま七年目でありますけれ
ども、私が入ってきた当時から皆さんの
大蔵省の方々のおっしゃるのは、国際
競争力の強化のためということ一点ばりで最近までやってきたわけですよ。国際
競争力をつけるために皆さんあらゆる努力をしてきた。そうして労働者はどうかといえば、きょうストに入っておるように、社会保障の点はこれはさっぱり進んでいないわけです。皆さん、
日本の労働分配率を
外国と比べてどうお
考えになっているんです、たいへんこれは低いんですよね。こういう問題を直さないと、私はどうにもならないんじゃないか。
日本の労働分配率と
外国の比較を、皆さんだっておわかりになっているんだろうけれ
ども、ちょっと述べてみる。
これは生産性本部の書類ですけれ
ども、六九年のあれですけれ
ども、
日本は三二・二%、
アメリカ、が四六・五%、イギリスが五〇・三%、どこと比べてみたって
日本が低いわけです。そうして社会保障の給付の割合を調べてみますと、人口一人当たりの社会保障の給付額、これはいろいろなものが入っておるわけです。
日本が二万九千百円ですね。
アメリカが十一万二千九百六十八円、スウェーデンは十九万五千五百二十五円、もうこれはけた違いなんです。
生産性の問題、これを見れば
日本の生産性は悪くない。そこへ賃金はたいへんに低い、そうして社会保障はさっぱりしない、その上に財政、
金融、税制、あらゆるものをここへ
援助を与えて、そうして大企業の
援助をしてきたわけです。当然
日本の大企業の製品は、
外国の製品に比べて安いのはあたりまえの話なんです。安いから売れるということになる。だから
ドルがたまる、たまり過ぎる。一番のもとを皆さんほっておいて、いや、
アメリカが
ドル少なくなった、
日本がたまったからこれを急いで返してやるんだ、三次にわたる
円対策、どれを見ても甘い。こんなもので、はたして
円対策になるのかどうかということをたしか私指摘したことがありますけれ
ども、私はこんなものでそれほどの
効果はあげ得ないと思うのです。そしてこの次に来るのが私はおそろしい。この
ドルを第二
外為だ何だで使わなければいかぬ。使っていくときにどうかといえば、いわゆる私たちのことばでいえば、非常な荒っぽい帝国主義的な
経済進出を迫られるところにはまるのは、これは当然のことなんです。
そういう点
考えて、もう少しこの
円対策、抜本的なものを
考えないと、こういうびほう策だけやってみても、たまった
ドルはなるほど持っておるのは
政府が持っておるとか大資本が持っておるかもわからぬけれ
ども、ためたのは何といったって労働者の血と汗の結晶ですから、これは同時に国民のものだと私は思う。それがまたつまらないところへ使われていくという循環をしていくわけですから、この問題は、これは局長にお願いをしてもしようがないのだけれ
ども、私はどうもこの問題は
大臣でないと質問をする勇気が出てこないのですけれ
ども、どうもその辺で、私は
政府の
円対策というものにたいへんな不満があるわけです。ちっとも抜本的なものを
考えないで、小手先のことにこれは過ぎてきたのではないだろうか。いまの
国内の問題、国際問題、そのしわ寄せがみんなここへきておるのじゃないか。そうしてこれは、今度急いで返すのだなんという
程度では、私はどうも
円対策の一環でございますなんて言われてみたって納得ができないのですが、どうでございます。