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佐藤(観)
委員 まず法制局に反論いたしますけれ
ども、先ほど私が読み上げましたのは、
課税物件は確かに
物品税法の第一条に書いてあります。しかし
課税の根拠というのは書いてないのですね。先ほど私が読み上げました判例、
昭和三十七年五月二十三日東京地裁の判例は、
課税の種類、
課税の根拠ですよね。これが問題なんですよ、
物品税法というのは。しかも、いま実体も非常に問題なんです。これは他の方々もこれから論議されるでしょうけれ
ども、この根拠が問題なんです。
物品税法というのは何に一体課せられるか、どうして課せられるかということが問題なんですよ。
課税の根拠というのが出てない。あなたがいま言われたのは、第一条
課税物件、それは確かに
法律の別表に書いてあります。きわめて不十分なものであります。法制局は政令に委任することを
法律が認めていると言われるけれ
ども、私はその
範囲というのはあくまで限られたものでなければいかぬ。
これは
昭和三十六年一月三十一日の東京高裁の判例でありますけれ
ども、ちょっとダブりますけれ
ども重要なことですからもう一度読んでみますと、「憲法八十四条が租税
法律主義を宣明し、その趣旨が単に租税の根拠を
法律で定めるというだけでなく、
納税義務者、
課税物件、
課税標準、
税率等
課税の要件は総べて
法律で定めなければならないという原則を示すものであることは明らかである。しかし、
法律の
規定をもつてこれ等
課税要件の一切を明瞭にすることは困難であって、
法律の
規定だけでは、
納税義務者としも具体的に
納税の義務があるかどうか明瞭でなく、また
課税権者としても
納税義務者、
課税物件、
課税標準等について疑義が生じないとも限らない。従つて、
法律の定めるところを敷えんし、補完し又はその解釈を政令その他命令をもつて明らかにすることは、憲法八十四条に違反するものではないと解するを相当とする。」
〔大村
委員長代理退席、
委員長着席〕
いいですか。ここに書いてあるように、政令というのはあくまで
法律の定めるところをふえんし補充するものの
範囲内で行なわれるべきものだ。そういうふうにこの判例というのは出されているのであって、
課税されるかされないかというのが、政令の別表の一番下の欄に非
課税品目が書いてあるということは、これは私は政令の許される
範囲の
法律の解釈をふえんする——
課税されるかされないかとい番重要なポイントをこの政令がきめている。あるいは具体的に言えば、
物品税法の別表を補充するものどころか、
課税するかしないかという
基本的な問題まで施行令、政令に委任をしている事実だと思うのであります。そうじゃないですか。施行令、政令の別表を見なければ、現実には
国民の側からするならば、この物件が
課税されるのかされないのかわからない。
法律だけではわからないわけでしょう。税法で一番大事な、
課税されるのがどこか、
課税される物件はどこか、この額のものなら
課税されるのかされないのかという免税額まで政令がきめている。これでは
国民の側から見れば、自分の買ったものが、はたして
課税されるのかされないのかということはわからないじゃないですか。
これは私は、いま数々読み上げました裁判所の判例、これから見ても現在の
物品税法の、法の組み立て自体は形式的にはその他のものは政令に委任するとか、あるいは抽象的なことは書いてありますけれ
ども、
物品というきわめて具体的なものを必要とするこの
法律のたてまえからいうならば、
物品税法のたてまえ、いまの法の立て方というのは、憲法に定める、憲法が要求する租税法定主義を逸脱している法の立て方だと私は思うわけであります。政令、省令というものは、私はいま申しましたように、
法律の定めることをふえんし補充する、それ以外のものであってはならないと思うのですね。いまの政令の別表というのは、確かに項目だけは
物品税法の項目と一緒でありますけれ
ども、一番下の非
課税品目については、これはそこから抜けるもの、もう種類は一緒ですけれ
ども、私は抜けるものだと思うのですよ。
たとえば、いいですか、
物品税法で、簡単にするために電気スタンドを例にあげてみましょう。電気スタンドは、
物品税法ではこういうふうに書いてある。懸垂式の多燈型照明器具及び電気スタンド、これには二〇%の税金を課するということになっている。いいですか、こういうことになっているわけですよ、
物品税法では。そうするとじゃどんな——いま申しました懸垂式の多燈型照明器具及び電気スタンド、電気スタンドと
一般に呼ぶものはどんなものでも買えば税金がかかる。
法律はそうなっているでしょう。電気スタンドを買えば二〇%、あなたはおそらく、政令でそうじゃない分もあるのだというふうに
法律でなっていると言われるかもしれないけれ
ども、私はそこまで委任しているものと思わない。電気スタンドを買えば、だれでも二〇%の税が課せられるものだとなっている。ところが現実には、施行令を見ますと、電気スタンドの分類がたくさん分かれて、二つ非
課税品目というのがある。しかも
免税点が、これは二千四百円ですか、二千四百円以下のものならば
課税されない。
免税点を二千四百円にするか、三千円にするか、五千円にするか、これは現実にはいま政令に委任しているわけでしょう。
ですから、確かに
法律では政令に委任すると書いてあります。しかし、そこまで政令というものが権限を持っていいものかどうなのか。
国民の側から見るならば、自分の買ったものは
課税されるかされないかは
政府の
法律によらなければわからないということでしょう。あなた方の立場から言うならば、法制局の立場から言うならば、確かに
法律では政令に委任すると書いてある。私は形式的には合憲だと言うのですよ。しかし、本来の租税法定主義の
考え方からするならば、
免税点もそれから非
課税品目も
物品税法の別表に書くべきではないか。それが数々の私が読み上げました判例からいっても租税法定主義のほんとうの
考え方ではないか。実際の
国民の側から見れば、政令によらなければわからないですよね、
課税されるか、されないか。これは私は冒頭申し上げましたように、憲法違反である、憲法八十四条または三十条の
考え方から逸脱をしている法のつくり方である、ころ思うわけでありますが、いかがですか。