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1973-04-12 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十二日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君    理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君    理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君    理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君       宇野 宗佑君    越智 通雄君       大西 正男君    金子 一平君       木野 晴夫君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       塩谷 一夫君    地崎宇三郎君       中川 一郎君    萩原 幸雄君       坊  秀男君    村岡 兼造君       毛利 松平君    山中 貞則君       佐藤 観樹君    高沢 寅男君       塚田 庄平君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    村山 喜一君       増本 一彦君    広沢 直樹君       伏木 和雄君    内海  清君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         内閣法利局第三         部長      茂串  俊君         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君         大蔵省主税局長 高木 文雄君  委員外出席者         国税庁間税部長 守屋九二夫君         文部省社会教育         局審議官    説田 三郎君         文化庁文化部文         化普及課長   塩津 有彦君         文化庁文化部芸         術課長     橋本  眞君         通商産業省企業         局商務第二課長 荒尾 保一君         通商産業省企業         局企業調査課長 黒田 明雄君         通商産業省繊維         雑貨局雑貨第一         課長      本多 秀久君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 四月十二日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     地崎宇三郎君     ————————————— 四月七日  音楽舞踊演劇等入場税撤廃に関する請願  外五件(中路雅弘紹介)(第二二五三号)  同外二件(野間友一紹介)(第二二五四号)  同(近江巳記夫紹介)(第二三〇一号)  同(寺前巖紹介)(第二三〇二号)  同(野間友一紹介)(第二三〇三号)  同外二件(中路雅弘紹介)(第二三〇四号)  同(田中美智子紹介)(第二四一一号)  同外二件(中路雅弘紹介)(第二四一二号)  付加価値税新設反対等に関する請願外四件  (小川新一郎紹介)(第二二五五号)  同外一件(岡本富夫紹介)(第二二五六号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二二五七号)  同外一件(近江巳記夫紹介)(第二三〇七号)  同外二件(小濱新次紹介)(第二三〇八号)  同(北側義一紹介)(第二三〇九号)  同(鈴切康雄紹介)(第二四一三号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二四一四号)  所得税等課税最低限度額引上げに関する請願  (小川新一郎紹介)(第二二五八号)  同(近江巳記夫紹介)(第二三一二号)  同(北側義一紹介)(第二三一三号)  同(岡本富夫紹介)(第二四一〇号)  子供劇場入場税免除に関する請願近江巳記  夫君紹介)(第二三〇〇号)  付加価値税新設反対に関する請願佐藤敬治  君紹介)(第二三〇五号)  同(塚田庄平紹介)(第二三〇六号)  北九州市山田弾薬庫跡地平和利用に関する請  願(三浦久紹介)(第二三一〇号)  個人事業主報酬制度創設に関する請願近江巳  記夫君紹介)(第二三一四号)  同(岡本富夫紹介)(第二四〇九号) 同月十日  付加価値税新設反対等に関する請願外一件  (大野潔紹介)(第二四九三号)  同(神埼敏雄紹介)(第二四九四号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二四九五号)  同外一件(竹入義勝君紹介)(第二四九六号)  同(正森成二君紹介)(第二四九七号)  同(三谷秀治紹介)(第二五六九号)  同外二件(北側義一紹介)(第二六五二号)  音楽舞踊演劇等入場税撤廃に関する請願  外一件(中路雅弘紹介)(第二四九八号)  同(浦井洋紹介)(第二六五三号)  同(田中昭二紹介)(第二六五四号)  同(松尾信人紹介)(第二六五五号)  付加価値税新設反対に関する請願栗田翠君  紹介)(第二五六八号)  同(加藤清政紹介)(第二六五一号)  子供劇場入場税免除に関する請願柴田睦夫  君紹介)(第二五七〇号)  個人事業主報酬制度創設に関する請願金子  みつ君紹介)(第二六五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  入場税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三七号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  入場税法の一部を改正する法律案及び物品税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。     —————————————  入場税法の一部を改正する法律案  物品税法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより両案について、政府より提案理由説明を求めます。山本政務次官
  4. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいま議題となりました入場税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  初めに、入場税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  政府は、今次の税制改正一環として、最近における入場税負担の現状に顧み、その負担軽減をはかるため、入場税減税を行なうほか、所要規定整備を行なうこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  まず、映画演劇等一般興行場への入場について、入場料金一定金額以下の場合の税率を引き下げることとしております。  すなわち、現行入場税税率は、催しものの種類や入場料金の高低にかかわらず、一律一〇%となっておりますが、映画については一人一回の入場料金が千円以下、演劇、演芸、音楽、スポーツ及び見せものについては一人一回の入場料金が二千円以下の場合の税率を五%に引き下げることとしております。  次に、入場税非課税範囲について、その拡大を行なうこととしております。  すなわち、国が企画して行なう一定催しものについては、国の芸術、文化行政一環として行なわれるものであることを考慮して入場税を課さないこととするとともに、教員の引率により団体で興行場入場する場合に入場税を課さないこととされている生徒、児童等範囲に、学校の教育に準ずる教育を行なう施設の児童等を加えることとしております。  以上のほか、興行場経営者事務負担軽減するため、入場税控除及び特別入場券の検印の制度合理化する等所要規定整備を行なうこととしております。  次に、物品税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  政府は、今次の税制改正一環として、最近における消費実態課税物品取引状況等に即応するよう物品税負担軽減合理化をはかるとともに、納税手続を簡素化する等所要規定整備を行なうこととし、ここに物品税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、税率引き下げ等につきましては、製造課税で四〇%の税率が適用されている大型モーターボート等税率を三〇%に、小売り課税で二〇%の税率が適用されている貴石貴金属製品等税率を一五%に、それぞれ引き下げることといたしております。  これにより、物品税最高税率は、四〇%から三〇%に下がり、税率構造は、四〇%から五%までの六段階が三〇%から五%までの五段階に簡素化されることとなります。  また、ストーブ、レンジ、電気掃除機等につきましては、それらが手軽な家庭生活用品として広く使用されている実情にもかんがみ、その税率現行の二〇%から一五%に引き下げることとする等の改正を行なうこととしております。  第二に、尺八、固型ラムネ粉末ジュース包丁研摩機電気マッチ、パイプ、きせる、デッキゴルフ用具及びマッチ等につきまして、課税廃止を行なうことといたしております。  第三に、現行課税物品との負担の権衡をはかるという観点から、セパレート型ルームクーラー電波調理器磁気音声再生機用レコードキャンピングカー及び貴金属メダル等に対しまして、新規課税を行なうことといたしております。  なお、新規課税にあたっては、必要に応じ暫定的に税率軽減することにより、負担の激変を緩和することとしております。  第四に、販売業者証明書制度創設、二以上の製造場を有する者に対する戻し入れ控除等合理化一定小規模納税者に対する納税申告書提出期限の特例、未納税輸出免税等手続簡素化等所要規定整備を行なうことといたしております。  以上、物品税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  5. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉純一郎君。
  6. 小泉純一郎

    小泉委員 ただいま政務次官から提案理由また説明を伺いましたけれども、今回の物品税法改正にあたって特に配慮を加えた点はどこか、そしてまた新規課税課税廃止検討するにあたって現行消費税制度矛盾を感じなかったか、満足すべきものと政務次官は思っておられるか、もし思っていないならば、どのような点に矛盾あるいは疑問を感じたか、政務次官として、率直な御意見を簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  7. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 今回の物品税改正につきましては、いろいろ現在の経済実態に沿って考え方があるわけでありますけれども、少なくとも物品税につきましては、昭和四十一年度の改正以来基本的な見直しが行なわれておりませんので……(私語する者あり)
  8. 鴨田宗一

    鴨田委員長 静粛にお願いします。
  9. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 最近における消費構造変化や商品の多様化に即応していないという面も出てきておりますので、このたび税率あるいは免税点あるいは課税範囲等見直しを行なうことといたしたものでございます。  今回の改正におきましては、最近における消費動向というものを見ながら課税物品間の税率調整をはかることを考えましたとともに、従来この奢侈品を重課していくという考え方につきましても、最近の国民生活の実相に照らしまして逐次緩和をするという方向で対処してまいりました。また、最近のこの物価あるいは賃金の上昇あるいは原材料の値上がりというようなものも考えまして、免税点を引き上げるべきものについて考慮をいたしました。また、一部の物品に対しまする課税廃止あるいは新規物品に対する課税を行なう、こういうことにいたしたわけでございます。  そこで、いろいろいま物品税をはじめとする間接税のあり方についてお考えもあるように思うのでありますけれども物品税という、非常にこまかいそれぞれの具体的な個々の物品に対する税でありまして、国民生活実態あるいは経済動向というものを常ににらみながらそれに対応していかなければならぬということでありますので、今回の改正は、できるだけそういう動き方、動向に沿うべく、できるだけの考え物品税法改正としてはしたつもりであります。
  10. 小泉純一郎

    小泉委員 大体、減税法案でありますけれども、いままで貴石というのは奢侈品というか、ぜいたく品の最たるものと考えられております。今回もこれが減税されるわけですけれども、私は、そういう宝石自体は、たとえば十万円の宝石、それが十二万円だったら買わない、あるいは十五万円だったら買わない、八万円だったら買う、そういうようなものじゃないと思うのですよね。税金は安ければ安いほどいいというのはだれでも思うのでしょうけれども、やはり将来、財源調達とか、直接税から間接税への負担が増すという長期的な方向から考えても、貴石減税の分を、むしろほかのより生活に密着した物品に対して課税廃止なり減税したほうがいいと思うのですよ。今回は六段階から五段階になっていますが、そういうときになって、大蔵省当局は何か税率調整にこだわっているんじゃないか、そういうような点が少し感じられるのですけれども政務次官あるいは大倉審議官なりの御意見はどうでしょうか。
  11. 大倉眞隆

    大倉政府委員 小泉委員指摘のように、最高税率をこの際引き下げるのが妥当かどうかという点につきましては、かなりの御議論をいただいておったわけでございます。ただ御質問の中にございましたように、やはり今回の改正一つの柱といたしまして、税率構造を簡素化いたしたいという考え方一つありまして、これにかなり引っぱられたということもおっしゃるとおりだと思います。その税率構造を簡素化いたしたいと考えました基本は、税制調査会長期答申にもございますように、やはり一般的に消費が非常に多様化して、また平準化してきておる。したがって、まあ基礎的な税率を二〇%あるいは一五%という段階でそういうところに求めるといたしましても、便益性の高いものあるいは奢侈性のものについて、加重税率を三割、四割という二段階に置いておくという必然性が薄れつつあるのではないかという考え方基本になっておると思います。したがいまして、現在三〇%税率物品というものは実はほとんどございません。したがって、加重税率製造四割、小売り二割から、製造三割、小売り一割五分という段階に統合してしまうというのが今回の改正考え方基本になっておるわけでございます。  もう一つ率直に申し上げますと、御記憶のとおり、昨年国際経済関係調整のために、大型自動車物品税税率を二割に引き下げるということを御提案申し上げました。いろいろな経緯で結局廃案になりまして、本年あらためて租税特別措置法として御提案申し上げたわけでございますが、この問題が、最高税率考え方について一つ起爆剤になったということは、これは否定し得ない経緯であろうかと考えます。
  12. 小泉純一郎

    小泉委員 いままで物品税というのは、高級品とか奢侈品なんかのそういう消費の背後には担税力があるのだという、そういう観点から課されてきたと思うのですけれども、いま御指摘のように、非常に時代が変わるにつれて、国民消費の形態なり嗜好もどんどん変わってきておると思うのです。どれが高級品か、どれがぜいたく品か、それは人によって非常に違ってくると思うのです。いわゆる客観的な基準を設けることはきわめて困難な時代ですね。いまの個別消費税みたいな間接税そのものについて、近い将来思い切ってこの税体系全体を洗い直してみようというようなことを、大蔵省考えていないのでしょうか、あるいはそういうことを大臣承知なしに、あるいは与党の承知なしに、独自で大蔵省独自の望ましい方向であるというのを検討すること自体自由な空気かどうか、あるいはできるのかどうかということをお伺いしてまいりたいと思います。
  13. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいま御指摘の点は、ここ数年来、税制基本的に考える場所といたしましての税制調査会長期答申というのが、大体三年に一度出されております。その長期答申の中には、ただいま小泉委員の御指摘になりましたような考え方がかなりはっきり出ておるのではないかと思います。お許しを得て引用させていただきますと、四十六年八月、これが一番新しい長期答申でございますが、その中で、「個別消費税課税対象税率構造時代変化に伴う国民消費多様化高級化に順応できない場合には、必ずしも消費に示される担税力に応じて負担を求めることができるとはいい難いであろう。むしろ、国民消費構造が急激に変化し、かつ複雑化しているような場合には、一般消費税の方が消費の態様に応じて負担を求めることができるという面をもつていることも否定できないところであろう。」ということが述べられておりまして、検討方向といたしまして、長期的な問題ではありながら、やはり一般消費税導入の可否ということが、今後の間接税考える場合に、非常に基本的な大きな問題の一つであるということは示唆されておると思います。  ただ、それが具体化しておるかということになりますと、これはまだ具体的な案として考えるという段階までには至っておりません。具体案考え方向としては累積税方式、単段階税方式付加価値税方式というものをいろいろ準備しておられまして、将来導入考えるとすれば、EC型の付加価値税一般消費税としては中心になるであろうということも述べられております。ただ、御存じのとおり非常に大型の税でございますし、関係する部面もきわめて複雑でございますので、いま私どもがやっておりますことは、一番大きな問題は、やはり中小企業がこういう新しい税をどう受けとめていかれるかということになろうかと思いますので、たとえば租税研究会の主催で中小企業をおもにした視察団が出ておられます。いま現に付加価値税を行なっておるヨーロッパの大陸諸国で、付加価値税というものが実際どう動いておるか、中小企業問題というのがどう解決されておるかということを調べておられます。また税制調査会としても学者の方々にお願いいたしまして、同様の趣旨で研究のために視察団を派遣していただいております。関西方面の財界でも、ことしは二回にわたってそういうグループを派遣されることを考えておられるようであります。  そういうふうに非常に大きな税であり、影響が大きいために、じみにどういう問題があるのか、それを日本にうまく適用するとすればどういうさばき方に違いがあるのかということをまず勉強しておいて、やはりその導入の場合には、税制調査会答申が言っておりますように、将来非常に巨額の社会福祉のために財源需要が新たに起こった場合、あるいは所得税で非常に大型減税をする必然性が出てきたという場合に、この税が問題になるであろうということを言われております。私どものいまやっておりますことは、研究の第一段階で事実関係の分析を始めておるということを申し上げることができるかと思います。
  14. 小泉純一郎

    小泉委員 いま審議官お話を伺いましたが、税体系税制そのものに対しては税制調査会なりあるいは民間の識者に依頼して調査検討をしているということですけれども大蔵省自体として、大臣に進言したり、こういう税体系に改めるべきだ、あるいは税制という理想的な方向というか抜本的な改正方向はどういうのがいいという進言というのは、大蔵省の中の雰囲気としていままできわめて自由なのか、あるいはむしろ大臣の指示によってしかあまり積極的な検討ができないのか、そこのところを率直にお聞かせ願いたいと思います。
  15. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 これはたいへんに日本税制にとって画期的な大きな問題で、これがいろいろ課題といいますか問題点としてのぼってきましたのは、一つは、いま日本税構造の中で間接税比重が下がってきた、三十年過ぎぐらいのころにはほぼ対々であったものが、今日では直間比率は二対一ぐらいに下がってきた、しかしながら税収という面から見れば間接税にも適当な位置を占めさせなければならない、何もその直間比率というものがどうなければならないということは私はないと思います。これが絶対にいい比率であるという比率も私はどう考えてみても出そうにもないと思うのですが、しかしいずれにせよ間接税比重がだんだんに下がってきたということは、一方において所得税というものが非常にたくさんの納税人員になってきた、こういうこともありまして、そういうことをこれから一体どう考えていくのかという、こういう問題が一つ。  それからもう一つは、先ほど来のお話のように、これから日本福祉国家に進んでいかなければならない、福祉国家に進んでいくについてはそれだけの財源が要る、その財源調達は一体どうするのだ。一方には直接税は、先般来のお話のように、所得税はある程度減税方向に向かわなければならぬ、法人税はやはり上げなければならぬということはわかるのですけれども、じゃあ、それによってどれくらい税収がふえるか、得られるかということになってくると、これまた私はなかなかそう大きい期待はできないかもしれない、そうしたらどう考えていくんだという問題にぶち当たって、いま欧州でほとんどの国が採用しておる、一般消費税の中で一番いいとされておるEC型の付加価値税というものが話題にのぼってきた。これは四十五年ごろからだんだん民間でもあるいは政党の間でも研究が進んできたと私は思います。しかし大蔵省では、内部的には、今後の日本税制にある程度の長期ビジョンを立て、これを計画的に取り入れなければならないというところまではまだいっていないように私は承知しております。したがって、先ほど来審議官が申しまするように、中では、日本のいまのような個別消費税というものではなくて、やはり一般消費税考えたほうが消費税としては利点が多い、長所が多い、こういう考え方の上に立ってそういう研究というか勉強をひとつ大いにしよう、こういうことでありまして、政府として機関的に一つ意思決定をして、それによってこれを勉強しなさい、研究しなさいというところまではまだいっておらない、こう考えておるわけであります。
  16. 小泉純一郎

    小泉委員 付加価値税の話が出ましたが、総理付加価値税導入する考えはないとたびたび言っておられますし、野党もかなり前から付加価値税導入に強力に反対して、請願なりあるいは陳情なりをしているようであります。  そこで、いま付加価値税導入した場合、最も大きな影響を及ぼすというか、最も大きな障害は何ですか。
  17. 大倉眞隆

    大倉政府委員 簡単に申し上げれば二つであろうと思います。  第一は、中小企業一般消費税というものをはたして制度が期待しているようにうまく消費者に転嫁できるかどうか。結局中小企業者負担になってしまいはしないか。その問題につきましては、戦後ございました取引高税というものが必ずしもうまくいかなくて廃止された、その記憶がまだかなり強く残っておりまして、ああいうことになるんでは困るという問題が一つあります。これは先ほど申し上げましたように、フランスをはじめとするいま現にこの税を持っているところ、またイギリスのようにこの四月から導入しようとしておるところ、それがこの問題をどうさばいていくかということが一つの非常に大きな問題であります。  もう一つは、こういう一般消費税というものをもし導入いたしますと、導入の時点におきましては消費者の購入する物資の価格が上がらざるを得ません、そういうことを予定した税でありますから。したがって、物価に対する影響というものを非常に慎重に考えなくてはいけない。この委員会田中総理大臣が御答弁になりましたとき私もここで伺っておりましたが、その点を非常に強調しておられたように思います。いまのような物価の動きのときに付加価値税考えませんということを非常にはっきり申されております。これが第二番目のポイントであろう。  これにつきましては、ほかの国の経験を見ましても、非常にゆとりのある準備期間をおきましてPRをいたしまして、便乗値上げということがないように非常な努力を重ねているようでございます。
  18. 小泉純一郎

    小泉委員 最終的に消費者負担がかかる。しかし税収の面から考えれば、いま個人の消費支出が約五十兆円ですね。ですから、たとえば一〇%ぐらいの付加価値税率にしても五兆円ぐらいですか、税収がある。生活必需品を除いてもかなりの財源調達方法には変わりはない。これからは、直接税の負担感はサラリーマンなんかにも非常に多いし、これは減税していかなくてはならない方向だ。必然的に間接税なりそのほうへの比重が大きくなっていく。一方社会保障もどんどん充実していかなくてはならぬ。国民というのは税金は安ければ安いほどいい。物品税にしたって、個別のものに対して減税すべき理由をつけようと思えば、もっともらしい理由はどんなものだってつくと思うのです。消費税というのは逆進的といわれますけれども、私自身の考えでは、生活に直結する基礎的必需品を課税対象から除外すれば、それ以外のものは消費者の選択によって購入されるものでありますから、個別消費税にせよ一般消費税にせよ、それほど逆進性というものを問題にする必要はないと思います。要はそういう税金をいかに国民のために使うか、それが大事だと思うんですけれども、いままでの予算編成なりあるいは自民党の政策決定段階を見ているところでは、まだ一年生で未熟ではありますけれども税収はこれだけだからこれをあっちに移したり、この配分の中で適当なつじつまというか、何かちびちびやっているような気がするんですね。  そこで、これからの社会保障の充実、福祉国家の道へ進むためにも思い切って所得税減税もしなくちゃいけない、課税最低限の大幅な引き上げもしなくちゃいけない、また生活環境の整備もしなくちゃいけないということで、財政需要が激増する状態であります。そういうところから考えて、これからこういうところに使うんだから税収をどこに求めなきゃいけないんだという——まず財源があって税金を配分するんじゃなくて、いま国民の欲しているものはこういうものだ、ここにはこれだけの税金が要るんだ、そのためにどこに税金をかけたらいいかというような積極的な姿勢が自民党なりあるいは政府なりにほしいと私は思うのです。私はもちろん自民党員ですけれども、一昨日の本会議で社会党の山田委員法人税、また租税特別措置で演説されまして、社会党員ですけれどもかなりみごとな、また非常に説得力のある傾聴すべき面が多々あったと思います。これからの日本はどういう方向で進むべきか、私は新しい財政で思い切った福祉財政に転換し得るような税制改革をしていかなくてはならないと思います。そういう面で自民党も反省しなくてはならないと思うのです。  それから付加価値税について、これから必要であるならば国民に納得と理解を得るようなPRと準備を積極的にしていただきたい。私も自民党の中で、これから福祉財政、また福祉国家への道へ向かうについてはまずこういうことをしなければならないのだ、この財源を得るために一般消費税なり付加価値税について考え直さなければならない、そういうようなことを税制調査会なりでしていかなくてはならないと思いますが、そういう方向でこれからの日本税体系というものを基本的に改める時期がいま来ていると思います。社会党が常に安保反対とかそういうことをいっていますけれども、こういうものをおろしてほんとうに内政の面、税制の面を逐次突いてきたら、自民党が過半数を割るのは時間の問題だと思うのです。ですから、自民党は、野党の意見にも傾聴するところはありますから、内政面についても積極的に前向きに検討していただいて、ほんとうの福祉国家にふさわしいような税制に改めていくようにお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  19. 鴨田宗一

    鴨田委員長 佐藤観樹君。
  20. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まず、入場税について質問をしたいと思います。  委員長あるいは政府与党のほうでは、入場税法あるいは物品税法の成立をたいへん急がれているようでありますけれども、いま政府がやっていることを見ますと、もうすでに入場税改正案は通った、こういう趣旨の書類が私の手元に届いているわけであります。  またあとでこまかくお伺いしますけれども、こういう文章です。「入場税軽減効果の消費者還元について(協力要請)」とあるわけですが、「政府におきましては、国民に健全な余暇サービスをより安く提供することを目的として、昭和四十八年度税制改正に際し、映画演劇、演芸、音楽、スポーツおよび見せ物について入場税率の引下げを検討しておりましたが、本年一月十九日、四十八年度税制改正一環として下記のとおり、入場税の引下げを図ることが閣議決定されました。」ここまではいいのですが、「つきましては、関係業界におかれましても今回の軽減措置の趣旨に沿って、新年度の料金決定、消費者サービスの向上などに当たられ、入場税軽減効果を消費者に還元されることを要請いたします。なお、今回の軽減措置に対する貴業界の対応策について至急ご検討のうえ、二月二十日までに当局あてご報告下さい。」ということで、入場税軽減の率が下に記してあるわけでありますけれども、いま私が読みました点、そのまま受け取りますと、「閣議決定されました。つきましては、関係業界におかれましても今回の軽減措置の趣旨に沿って、」料金あるいは消費者サービスにつとめてもらいたい、こういう文書が私の手元に届いているわけであります。通産省、これはおたくのほうですね。
  21. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がお読み上げいただきましたとおりの文章、私ども関係団体のほうへ出しておるわけでございます。この趣旨は、ただいま先生がお読みいただきましたとおり、政府改正原案が閣議決定された。ただその際に、料金等の決定が新年度を境にして改定されるケースが多いわけでございます。そういたしますと、この法案成立前に一度引き上げが行なわれるという可能性もございますので、事前にこの法案が——もちろんこの法案は今国会で可決成立をいただきましたあとで施行されるわけでございますが、その前に入場料金等が引き上げられることがあっては、そのあとの問題を起こしますので、むしろ事前からこういう要請をいたしたという次第でございます。
  22. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 行政的な措置として、いわゆる閣議で決定されたものが、少なくも法律改正をしなければできない行政事実について、国会を法案が通る前に行政的な指導をなさる。しかもこの文章によれば、もうすでにこれは閣議決定されたから、いまお話をお聞きしますと、新年度四月一日から料金が変えられるので——のですね、ので、この入場税軽減の効果が行き渡るような料金決定をしてもらいたいということ。こういう、法案の改正がなされなければできない入場税、これが国会の審議もまだ行なわれていない段階で、その関係業界にこのような通達がなされるということになりますと、しかもこれは、この文章そのまま読めば、「入場税の引下げを図ることが閣議決定されました。」これは間違いないわけですね、閣議決定されたことは。「つきましては、関係業界におかれましても」ここは私は一つステップが飛んじゃっているんじゃないかと思うのです。  たとえばその文章にするにしても、国会通過の暁には貴業界におかれましても今回の軽減措置の趣旨に沿って新年度料金、消費者サービスの向上などに当たられますようにという、やはりその段階で国会の議決を経るという一項目がない限り、これは法律改正も何も必要ないじゃないか。私はたいへん国会を軽視した、直接の委員会である大蔵委員会を軽視した文章であると思うのですけれども、これはちょっと法制局にお伺いをしたいのでありますけれども、いやしくも法案を改正しなければ発効しない、こういった入場税軽減、それを行政当局が国会の審議にものぼっていない段階で、このような通達を出すということは、これはどういうことなんですか。
  23. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいまお読み上げになりました文章につきましては、私はまだ全く見ておりませんので、どういう観点から出されたということは承知いたしてないわけでありますけれども、ただいま通産省のほうからお答えになった内容を拝聴いたしますると、もしかりに入場税法案が国会で議決され、施行される暁におきましては税率その他の変更があるわけでございますから、そこでその点につきましてはあらかじめ準備段階におきまして業界のほうにそういった協力要請をするという趣旨の文章であるというふうに拝聴したわけでございます。そういう意味からしますと、確かに文面そのものにつきましてはあるいは問題があろうかと思うのでございますけれども、この言わんとする趣旨につきましては、それはやはり適正なものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  24. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ですから、いま法制局が見解を示されたように、これはもちろん通った暁にはということですね。ところがこの文面を見ましたら「閣議決定されました。つきましては、関係業界におかれましても」ということで、もう法律改正されよう、いま自民党が過半数をとっていますから、おそらく通るでしょうけれども、これはまだわからぬのです。わからぬ段階で「閣議決定されました。つきましては、関係業界におかれましても」という行政指導をなさるということは、ここで文章が少し足りないのではないか。国会審議と申しますか、国会通過の暁にはそういうような軽減措置がされますように、ひとつ準備をお願いを——準備というか、準備というとまたひとついろいろ問題があるかとも思いますけれども、要請をいたしたい、こういう文章にならなければ、私は国会を軽視したことになるのじゃないかと思うのですが、通産省の考えはいかがですか。
  25. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 先生からただいま御指摘をいただきましたように、確かに文言といたしましては先生おっしゃるように不足の点があったかと思います。趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、閣議決定の後さらに国会で可決をいただきましたあとその効果が消費者に還元されるようにということを言いたいということでございまして、決して閣議決定が行なわれたからこの法案がすぐそのまま成立するであろうというふうなことをあらかじめ考えて、そういうことでこの文書を出したわけではないわけでございますが、文章として確かに足りなかった点があろうかと思います。ただ実際にこれを各団体にお見せしました段階では、そういう趣旨は口頭では申し上げておるわけでございますが、確かに文章では足りなかった点があると思います。
  26. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は別にこの問題について深追いをするつもりはないのでありますけれども、ひとつ今後は——私はこの問題、入場税法物品税法研究していきますと、きわめて行政当局が先行しているという問題についてきょう一日やりたいものですから、その中で冒頭に、これについても私は、文章の問題でありますけれども、この文章そのまま日本人が読めば、これは国会で税法を改正しなくたってできることのように読めるわけです。そういった意味で、こまかい問題かもしれませんけれども、ひとつ今後出されるときには文章を気をつけていただきたい。国会の通過の暁にはという文章を入れていただきたい。  確認をしておきたいのでありますけれども、これは参議院の予算委員会でも健康保険料の問題でわが党の田中寿美子議員が質問したわけでありますけれども、国税庁にお伺いしたいのでありますけれども、まさか、まだ、きょう四月十二日の段階でこの入場税法が通ってないわけでありますけれども入場税軽減をされたという形で行政措置がされているということはないんでしょうね。参議院で問題になりましたのは、健康保険料の場合にはもうすでに一月から安い率で徴収が行なわれるようになっていたわけですね。それは事実上戻しているようでありますけれども、まさかこの入場税に関しては、そんなことはないんでしょうね。
  27. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 税法はまだ審議中でございますので、税法の改正案の内容等につきましては、施行後手を打つということでは間に合わないというようなこともありますので、従来の例にならいまして、内容については主税局なり税務署のほうにこういう法案が審議中であるという連絡はしておりますが、業界に対しましては、具体的な接触はやっておりません。
  28. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで本論に入りますけれども、主税局にお伺いをしたいのでありますが、一昨年だったと思いますけれども免税点が三十円から百円に上げられた。そのときも論議をしたのでありますけれども、百円というのはいかにも低いではないか。私も、当時百円以下の映画館をあげてもらったことがあります。確かに名前はあがりますけれども、それはきわめて少ないものです。そういった意味で、免税点がまず問題があるのではないか、低過ぎるのではないかということを論議をしたわけでありますけれども、今回は全然免税点はいじってないわけでありますね。物品税についてもそうでありますけれども消費税の場合には、免税点というのは非常に大きな法律上のウェートがあるわけであります。今回その免税点を全然いじらなかったというのは一体どういう考えなのか。
  29. 大倉眞隆

    大倉政府委員 四十六年度の改正に対しまして、免税点をめぐって非常に御議論が多かったということは私も承知いたしております。今回の改正に際しましても、やはりその問題も議論いたしておりますが、当時の御議論の過程でも、考え方として申し上げておるようでありますけれども入場税免税点というものは、基本的には、仮設の催しものでございますとかいうような非常に零細な催しものにつきまして、一種の少額不追求と申しますか、そのような角度から設けられておるという考え方一つございまして、依然として非常に強く残っておるわけでございます。当時の御議論の過程でも、免税点を上げることについていろいろと議論があった。また、免税点にもしそういう問題があるとすれば、せめて税率をいじったらどうかという御意見もかなり多くの委員から出されておったように記憶いたしておりますが、今回の改正は、それらの御意見をすべてあわせました上で、免税点については、いま私、御説明申し上げたような思想をそのままとりながら、しかし、入場税負担軽減ということで、税率を、実質的にほぼ全部の入場税につきまして半減するということでいま御提案申し上げておる次第でございます。
  30. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 話の前提の前に、いまの平均入場料ですね、映画から演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せもの、いわゆる課税される物件の課税される範囲入場料金、これはどのくらいになっているとお考えになっていますか。
  31. 大倉眞隆

    大倉政府委員 一番新しい数字が四十六年度分でございますが、それで見ますと、映画につきましては三百七十五円、演劇につきまして九百八円、演芸が六百八十一円、音楽六百五十一円、スポーツ七百五十一円、見せもの二百六十五円、演劇等を加重平均いたしまして六百八十七円、その他のもので、競馬、競輪等を加重平均いたしますと百三十円、全催しもので四百七円、こうなるようでございます。
  32. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま答弁されましたように、どこの分野の平均をとってみても、平均入場料金というのはみんな百円以上ですね。ですから、この入場税というのはほとんどのところにかかるということになるわけです。映画館あるいは劇場、こういったものの数、これの何%が一体百円以下のものというのがあるのですか。
  33. 大倉眞隆

    大倉政府委員 お答え申し上げます前に、先ほどお答えいたしました平均は、免税点以下の料金を入れない課税分の料金の平均でございます。  それから、百円以下のものがどういうものがあるか、ちょっと館数が把握できないので申しわけございませんが、例示として幾つかのものは拾ってございます。  申し上げますと、映画につきましては、銀座のガスホールで行ないました試写会、こういう例があります。それから音楽につきましては、朝日講堂、日刊工業ホール、日比谷公会堂などで百円あるいは九十九円という料金の催しものがかなりの数ある。スポーツでは、たとえば大相撲の一般席は、おとな百円、子供五十円である。プロ野球は、子供が内野で百円、外野で五十円である。見せものには、小型の見せもので百円以下のものがかなり多数あるように承知いたしております。
  34. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、ないとは言いませんよ。百円以下のものがないとは言いませんけれども、問題なのは、この百円という免税点がはたして生きているのかどうなのか、それによって入場税というものの性格がずいぶん変わってくると思うのです。私のお伺いしたいのは、百円以下の劇場なり映画館というものはないとは申しませんけれども、それでは全国の映画館なり劇場の中で、一体何%がはたして百円以下のものがあったのか。館数でわからないというならば、それでは課税される人員と申しますか、百円以下のところに入る人々といわゆる課税対象になる劇場なり映画館に入る人々の数、この比率というものはありますか。
  35. 大倉眞隆

    大倉政府委員 免税点引き上げで百円になりましたのが四十六年四月一日でございますが、それ以前の一年間とそれ以後の一年間の課税入場人員というのを比較してみます。これを見ますと、人数としてはかなり大きな人数が非課税のほうに落ちた。これはもっとも映画のように入場人員そのものが減ったという要素もあるかと思いますので、詳細ちょっとわかりませんが、それもある程度反映しておると考えていいようでございます。いま申し上げました前の一年間、つまり三十円時代の一年間は、映画で申し上げますと二億四千万人の課税入場人員、それから以後の一年間では二億八百万人が課税入場人員、したがいまして、課税人員としては四千万人減っておるわけでございます。  なまものにつきまして申し上げますと、全体といたしまして課税された入場人員は、前の三十円時代の一年間で九千五百万人でございました。百円になりましたあとの課税人員は、一年間で七千五百万人でございまして、差し引き二千万人が課税対象外と申しますか、課税人員として減ったという数字が出ております。
  36. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その場合には、いま大倉さんも言われましたように、入場する人数自体が減ったということも考えられるわけですね。これはきわめて不正確な数字だと私は思うのです。つまり、課税される映画館なり劇場に入った人数と課税されない映画館なり劇場に入った人数ということではこれはないのですね。確かに三十円が百円になったがために、若干それによって課税される入場人員というのは減ったかもしれませんけれども、その数字だけではなくして、映画自体の動員力が減ったということもあるんじゃないですか。この数字では、一体現状でいま何%ぐらいがこの免税点が生きて課税されないのか、そういう数字にはならぬと思うのです。どうですか。
  37. 大倉眞隆

    大倉政府委員 いま申し上げました数字だけでは、おっしゃいますように、傾向としての映画入場人員の減少というものは必ずしもよくつかみ切れないということは申せましょう。その意味で、これまた一種のサイドチェックでございますが、たとえば映画につきましては、百円時代に入ってから一番新しい数字までの間に、そもそも課税人員が幾ら減ったか、それが一般的な映画入場人員の減少をあらわすということで考えますと、前年比で八六・二%、つまり一四%減っておるという数字がございます。これに対しまして、先ほどの、私が最初に申し上げました課税入場人員の三十円時代対百円時代の対比率は八三・七%でございますので、したがってその八六%と八三%というものをそのままぶつけていいかどうか、なお問題はあろうとは思いますけれども、少なくとも一般的な減少傾向に比べて課税人員の減り方がより大きい。その部分が免税点の引き上げ効果であるという考え方は申せるかと思います。  この点をなまものについて見ますともっとはっきりしようかと思うわけでございまして、なまものの百円になりましてからあとの入場人員の率は一〇二・六%というふうにむしろふえておる。その中で三十円時代と百円時代の対比は七八・七ということになる。ということは、やはりある意味でその差に相当する部分が減税効果による課税人員の減、そのように考えてもいいのではないかと思います。
  38. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 どうも茶の木畑に入っちゃったようですが、いま大倉さんそういう数字をあげられるが、理解できないのですね。なまものを百円以下でやっているところなんていうのは、よほど浅草のどこかをさがしてみないと、これはないと思いますよ。いいですか、あなた、いま新宿の末広亭だっておとな七百円、子供五百円ですよ。音楽を百円以下で聞ける、入場できるところがあるとは私思えない。スポーツも、大相撲のあの遠いところで見る、オペラグラスで見なければ相撲が見えないくらいな遠いところで子供が百円ですね。百円以下でなまものを見られるところがあると思っているのですか。ないですよ。いま絶対といっていいと私は思います。これはもう常識では私は考えられないと思いますが、映画館ならまだあると思います、先ほどあげられたように。あると思いますが、その数は非常に少ないと思うのですよ。  いま私がここでどうしても問題にしていかなければならぬのは、なぜ免税点を全然いじらなかったかというのは、先ほど大倉さんの話では少額不追求なんだということなんですね。こういう御答弁が出たわけでありますけれども、一体入場税というのは何のために、どういう根拠に基づいて、どういう行為に対して——行為というのは課税される映画館なり劇場なりに入るという要件で課税されるわけでありますけれども、どういった目的に対して入場税というのはそもそもかけられるものなんですか。
  39. 大倉眞隆

    大倉政府委員 入場税基本的な思想をお尋ねになっておると思うのでありますが、これは一種の補完的な流通税であると私ども考えております。直接に所得に対して課税をする、あるいは物の消費に対して課税をするというものと対比いたしまして、サービスの消費に対して課税をするための流通税である。課税対象となります行為は、佐藤委員がただいまおっしゃいましたとおり、特定の場所への入場という行為をとらえる。その背後にあります考え方は、こういう特定の場所への入場で、入場料金を払って入場する。そのことによって映画演劇音楽、見せものというようなものを見てあるいは聞いて楽しむ。楽しむために料金を払うということの背後に、補完的な、担税力を推定して課税をする、それが入場税の性格である、かように考えております。
  40. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 税金を取る以上は、その背後に担税力考えなければいかぬわけですね。そして大体この一年間の入場人員を見ても、映画演劇、競馬等みな合計しても入場人員合計が三十三億五千四百六十万人、これは競馬なんかも全部含めてでありますけれども、個々に当たれば、ほとんどの人が映画なり演劇なり競馬なり大体一回は入っている。その担税力でありますけれども、こういった広い方々が利用する映画演劇、こういった娯楽に対してこの考え方というのは、おそらく入場税について語られた初めてではないかと私は思うのですが、補完的流通税だと言われる。この考え方というのは、私はおそらく流通税について初めてではないかと思うのでありますけれども、こういった幅広い大衆が楽しむ娯楽に対して流通税を課す。流通税という考え方が正しいかどうかは別としまして、いま大倉さんの言では流通税を課す。しかも、そうなりますと、免税点というのは全く少額不追求だけで、むしろ入場税というのはやはり物品税の系列であって、特に高いもの、ほかよりも、奢侈品ということばは使いませんけれども、他の人よりも多くあるいは高いものを享楽、楽しむ、これについても私は問題あると思うのですけれども、そういうものについて税金を納めていただく。その背後にある担税力は、たとえば免税点を千円にすれば、千円以上の入場料を払っても見に行ける、そういった背後にある担税力を期待するというのならわかります。ところが、免税点百円で、そしてその背後にある担税力を期待をするというのは、きわめて大衆に対して大きな課税、幅広い課税になっているんではないかと思うのですね。  いま私が皆さん方に数字をあげていただいて、一体免税点はどれだけ生きているかということについてお伺いをしたわけでありますけれども、それについても十分な数字が出てとないわけであります。こういった幅広く、しかも大衆が多く使う劇場なり映画演劇、これについて課税をするというのははたしていかがなるものか、こう疑問にならざるを得ないのでありますけれども、主税当局としての考えはいかがですか。
  41. 大倉眞隆

    大倉政府委員 お答えします前に一つおわびしなければなりませんことは、先ほど私は不用意に流通税と申し上げました。これは消費税で、補完的な意味での消費税、サービス商品についての消費税、そう申し上げるべきだったと思います。その点は訂正させていただきたいと思います。  こういうサービスの商品に対して、その背後にある補完的な担税力を推定するという考え方に立ちました場合に、担税力ありという限度がどこであるかというのが、先ほど佐藤委員の御指摘なり御質問であろうと思うのでありますが、一般的にはこの種の税につきましては、平均的消費までは取らないという考え方は必ずしもなじまないと私は思います、率直に考えまして。やはりそういう消費行為の背後にそのまま担税力の存在を推定する。したがって、そこにどの程度の負担を求めたらよろしいかという負担率の問題は当然ございましょうけれども、サービス消費が漸次、総額としても一人当たりとしてもふえていく過程において、それに応じて平均的に免税すべき範囲を広げていかなくてはならないというふうには私は必ずしも思っておりません。その意味で、先ほど申し上げましたように、入場税というサービス消費課税において設けられております免税点というものは、これはやはり少額不追求という思想で考えるほうがすなおであろうというのが私の考え方でございまして、先ほどもそういうことを申し上げたわけでございます。三十円というものがかなり長く据え置かれておったという背後にも、やはりそういう考え方があったのだ、そのように私は理解いたしております。
  42. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は二年前に入場税について質問をしたのでありますけれども、平均的消費、これが免税点である、私はそういうふうに理解しておりましたし、少なくも二年前の大蔵委員会の論議でも、この免税点というものが、平均的消費というものとはなじまないんだ、少額不追求の考え方なんだという答弁は、二年前の議事録をひっくり返して見てもおそらく出てこないと私は思うのです。やはり免税点を設ける以上は、平均的な消費以上の消費をできる方については税金を課して、そしてそこから税金をいただきましょう、これは一つの論理立てだと私は思うのですね。平均的な消費以下の人まで税金を課する。私はこの面では、いまの答弁を聞けば聞くほどますますはっきりと、この入場税というのは大衆に課せられた全く大衆課税であるということは、もう論駁の余地がないと思うのですが、それはいいですね。
  43. 大倉眞隆

    大倉政府委員 いままでの制度あるいは今回改正をお願いしております制度のもとで、かなり多数の方々が入場税負担していただいておる、その意味で、大衆もまた入場税負担しているではないかという御指摘であるといたしますれば、それはそのとおりであると申し上げる以外にないかと思います。
  44. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、私もいままでちょっと気がつかなかったのですけれども、先ほど私はちょっと例を申し上げましたけれども、現状の免税点では子供まで税金がかかるのですね、これは当然。たとえば丸の内ピカデリー、これは洋画のロードショーですと、おとな八百円、子供は五百円です。ですから、当然子供にも税金がかかりますね。有楽シネマ、おとな四百円、子供二百五十円、豊島文芸座、おとな四百円、子供二百円。ですから、いまの免税点では子供まで税金がかかるわけですね。そうしていままでの大蔵省の論議でいえば、その背後にある担税力に期待をするんだ。子供というのは担税力あるのですか。
  45. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは議論になって恐縮でございますが、子供さんの入場料金をどなたが負担しておられるか、負担しておられる方に担税力を推定しておるということだと思います。
  46. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そう言うならば、おそらく子供さんは親御さんから小づかいをもらって——親御さんと行く場合もあるでしょう、その場合にはおそらく親御さんが払うでしょう。あるいは一人で入られる場合には小づかいの中から入場料を払うわけですね。日本国家というのは、国家という言い方はいけないので、日本国というのは、子供の小づかいからまで税金を巻き上げなければいけないほど、それほど財源はないのですか。私はこれは問題だと思いますよ。あとからまだ、文化国家日本がはたしてこんなことでいいのかということも論議いたしますけれども、いいですか、常識的に考えて、親御さんと行く場合には、確かに親御さんが払われるでしょう。その場合には親御さんの担税力に期待をするという論理立てになるのでしょうけれども、しかし法律的に課税されておるのはあくまでも子供ですよ。子供料金に課税をされておるのでありますから、法律的にはあくまでも子供に課税される、子供の担税力に期待をするということになる。一人で行かれる場合には小づかいをもらって行かれる。それでも免税点百円ということでは、お子さんの入場料金にもほとんど税金がかけられるということになる。  所得税の場合にも未成年者の税金をまけようではないかということで、この大蔵委員会でも論議をしたわけでありますけれども消費税の悪い点は、だれでもかれでも利用する人にはかかる。これが収入が百億あろうと、年間百万円であろうとも、たばこには同じ税金がかかる。これが消費税矛盾でありますけれども免税点百円では、いま私が申しましたように、お子さんの小づかいから払う入場料まで税金がかけられる。こんなことでいいんですか。
  47. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これまた議論になりまして恐縮でございますが、やはりその物品なりサービスの消費という行為をとらえて、その行為の背後に担税力を推定するという場合には、行為者がだれであるかという人的な区分を設けることは非常にむずかしい。また、むしろそれになじまない。したがって、それは消費税というものはそもそも課税すべきでないという割り切り方をする以外には、この問題は解決の道がほとんどないのではなかろうかというように私は考えます。やはりそれは所得課税のほうが応能負担の原則としてより望ましいという点は、しばしば御指摘がございまして、それは理論的にそのとおりであろうと思いますけれども、やはり所得課税を補完するものとしての消費税なり流通税なり——入場税が流通税と申しておるのではございませんで、別の意味の流通税なり、そういうものを複数税制度として持っております場合に、またそのほうが望ましいという税制を持っております場合に、消費税の中に、おっしゃるように行為者の年齢とかあるいは行為者のほかの意味での区分というものを持ち込んでくるということは、必ずしも消費税というものになじまないのではなかろうかと私は考えております。
  48. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その解決策というのは、私はそんなことないと思いますよ。いま論議しているように、私がたびたび言っているように、たとえば免税点を上げれば、少なくとも子供については、これは正確には分類できませんけれども、子供料金については税金を課さないことはできるわけですね。先ほどあげた以外でも、浅草国際劇場は子供六百円。たとえばせめて免税点を千円にすれば、子供の入場料金に税金がかかるということはなくなるわけです。私は、だから、大倉さんの言われることについては、その解決策については、何も消費税全般が一切がっさいだめだと言っているのじゃない。その面ではたとえば免税点を上げることによっても私はできると思うのです。  山本政務次官、どうですか。いままで私が大きな声で論議をしましたように、子供の小づかいから払う入場料金まで税金を取っている。これが少なくとも文化国家日本、文化国家なのかどうなのかわかりませんけれども、いやしくも文化国家日本といわれる税制の中で、子供の小づかいから払う入場料からまでとにかく税金を取らなければいけないほど、はたして日本財源というのはないのかどうなのか、しかもまた、そういうことが政治として現実に許されることなのかどうなのか、どうお考えになります。
  49. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 この消費税というのは、やはり一つの財貨が移転をしていくという過程、それからサービスを受けるという過程、それをつかまえてやるのであって、先ほど来当局からお答えしておりまするように、そういう一つの具体的な事象、行為をとらまえてそれに課税をするという性格なものでありますから、その行為がおとなであろうと子供であろうと、それを区別する、差異をつけるというのは私はあまり適当ではないであろう。各国の入場税というようなものはどういうふうにやっておるのか、私も存じませんけれども、おとなには同じものについても免税しない、子供には免税する、こういう取り扱いを別にするというのはあまり聞いたことがないわけでありまして、子供が行くにしましても、やはりそれは子供が所得があるというのなら格別、所得はおそらくないのでありますから、だれかがその料金を支出をしておるはずであります。その料金を支出をしておる者は、やはりそれだけの担税力を推定されるということになるのだと思うのです。幾ら高い料金であろうと、子供が窓口へ持ってきて子供のです、こう言ったらとたんに免税になるというのも、これは入場税の性格からいっていかがなものであろうか、こう思うわけであります。  お話のように常識といいましては失礼でありますけれども、そういう考え方からすれば、入場税は何と言いますか、全体として税収もそれほどたいした金額ではありません。ことに今回これで一〇%を五%に引き下げすることによって、ほとんど半分に近い税収に下がっておるのでありまして、そういうことからすると、だんだんに考えていかなければならぬ税であることは、私も間違いないと思いますけれども、現状においては、一つの税としての筋道といいますか、一つのいままでのいろいろやってきた沿革を考えて、今日のこの入場税というものの組み立てができておる。特にことしは、そういう免税点もさることながら税率をとにかく下げよう、こういうことで相当政府としてはこれは思い切って下げたつもりなのでありまして、その辺のところで、政府としては入場税については相当ことしは努力をした、こう思っておるわけであります。
  50. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そういった官僚的答弁なら、いま御説明はきわめて苦しいと思うのでありますけれども、私は常識的に考えてみて、払うのは確かに親かもしれない、あるいは親からもらったお小づかいかもしれない、しかし、その子供が映画なり演劇を見に行くと、その子供のもらった小づかいからも税金を取る。皆さん方はこれは間接税だ、消費税だからしょうがないと言われる。しかし私は、それは一つの手段として、免税点を上げれば、子供料金だけは課税をしないということ、抜くことも現実にはできるではないか。そんなに子供の小づかいからも税金を取らなければいけないほど、日本の現在の財政の財源というのはないのか。  いまも山本政務次官が言われましたように、今度の税収でこれは二けたになります。私があとでお聞きしようと思ったのでありますけれども一つの税目で二けたの収入というのは、おそらく有価証券取引税、それとトランプ類税、それと今度の入場税、この三つになるのではないか。その意味で、私はたびたび前から申し上げましたように大衆課税である。あるいはいま福祉国家だといい、福祉国家を目ざしているというときに、大衆の娯楽である映画演劇——ギャンブルはちょっと私たちは考え方が違いますけれども映画演劇、演芸、音楽、こういったものに税金を課す必要はないのじゃないか。しかもそれだけの手間をかけても税収が二けたの億である、三けたを割った、こういったところでは、もう要らないのじゃないか、こう考えるわけでありますけれども、その論議をする前に、いまのような子供の小づかいからも税金を巻き上げているようなシステム、それは私は一に免税点が低過ぎることにあると思うのです。  免税点というのは、私は物品税のときも問題になると思いますけれども、平均的な消費より上の人のその背後にある担税力を期待する。そしてそれに課税をするというのならわかりますけれども、平均的消費、もうほとんどの人が使う映画演劇に税金を課するというのは納得がいかない。この免税点というものが平均的消費というものとなじまないで、少額不追求の考え方であるというのは、おそらく大倉さんが言われたのが初めてではないかと私は思います。やはり免税点というのは、ある額よりも多くの便益なり、奢侈なり趣味性を帯びたものを使用し消費する場合に、それならそれだけのことが行なえる方についての担税力について税金を課する、これが免税点という考え方だと私は思うのですね。そういった意味で、もし大臣に質問する機会があればまた質問したいと思うのでありますけれども、子供の小づかいからまでも税金を取っていく、これについてはどうにも納得がいきません。これだけ申し上げて次にいきます。  この入場税というのは負担をしているのは消費者、つまり入場する人でありますから、この入場税軽減というのは当然国民に還元をされなければいけないと思いますけれども、まず主税当局として、その考え方はいかがでございますか。
  51. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私どもといたしましても、できるだけそういう結果が生まれるように業界の協力を得たいと考えております。先ほど冒頭に佐藤委員が問題とされました通産省が関係業界の協力を要請しておるというのも、表現の問題は別といたしまして、趣旨はまさしくおっしゃったような、この法案が通りましたあと減税が実施になりました場合の減税の効果は、本来私どもが期待しております消費者のほうに還元されるようにという願いを込めて、関係業界に協力を要請しておる、こういうことでございます。
  52. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 物品税あるいはこの入場税にしても消費者負担するものでありますから、当然これが安くなったことによる効果というのは、消費する、入場する人にいかなければいけないと思うのでございますが、通産省にお伺いをいたしますけれども、この入場税軽減によって、はたして入場料金は下がるものだろうか。たとえば千円の劇場については、いままで一〇%でありますから百円税金が課せられたのでありますけれども、これが今度の法案が通れば五十円になるわけでありますね。そうなった場合、その五十円というのははたして国民に還元をされるのだろうか、どうだろうかということをお伺いしたい。
  53. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 先ほど先生から御指摘がございました文書でもって関係団体に要請をいたしたのでございますが、御質問がございました特に映画あるいは映画関係の劇場で申し上げますと、これにつきましては回答を得ておりまして、この法律改正が行なわれて、それが施行されました暁におきましては、入場税軽減額の一部を入場料金の引き下げに充てる。さらにその他につきましては出しものといいますか、そこで提供される観客へのサービスの向上に充てる。その比率は大体半分半分ぐらいにしたいという回答を得ておる次第でございます。
  54. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 サービスの向上ということばはたいへん聞きいいことばでありますけれども、どうもその辺のところ、タクシーの値上げのときも、絶えずサービスの向上という前提がついて値上げが許可されるのでありますけれども、実際にはこれがそちらに振り向けられるということはどうも信じられない気がするわけであります。私もよく大蔵委員会で質問して感ずるのでありますけれども、たとえば関税にしても、あれも最終的には消費者負担しておりますけれども、関税の軽減の効果というものはほとんどその途中の流通過程に吸収をされてしまう。  私は一時こういう提案をしたことがあります。もし関税がたとえば一品目で五円なり十円なり下がるのだったら、それをそのまま直に販売価格に表示をする、そういったことが必要なのではないかということを申し上げたことがありますけれども、この入場料にしても、入場税が安くなっても現実には入場料金が下がらない。これは一体どういうところに原因があるのか。もちろん一般的に消費物価が上がっている、従業員の給与も上げなければいかぬ、こういうこともありましょうけれども入場税を下げた、下げたといってもあまりたいした額ではありませんけれども、下げた。これが直、国民の恩恵となっていかないというのは、一体どういうところに原因があると通産省はお考えになっていますか。
  55. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 ただいま先生の御質問の中にもあったわけでございますが、やはり最近の映画館、劇場等を見てみますと、観客数はあまり伸びていないわけでございます。その中で、人件費その他の諸経費の上昇がある。そういたしますと、過去の例を見てみましても、毎年入場料金が引き上げられるという傾向にあったわけでございます。その引き上げを押える、引き上げをしない、そのほかに入場税減税相当額全額を入場料金から低減させるということがなかなか困難な事情にある。やはりそこら辺の経費の高騰と申しますか、そこら辺が一番大きな原因ではないかと考えております。
  56. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その次に、私もさっきちょっと触れたのでありますけれども、今度の入場税軽減によって税収額は幾らになるのですか。
  57. 大倉眞隆

    大倉政府委員 昭和四十八年度の入場税税収見込み額が、今回の改正をいたしません場合の見込みといたしまして百四十九億円と見込んでおります。そのうちで、今回の改正案で税率軽減の対象にならない部分は非常にわずかでございまして、約十三億円と見込んでおります。したがいまして、百四十九億から十三億を引きました百三十六億円の部分につきましては、これは半分に減るわけでございまして、その意味での平年度減収額が六十八億円と見込んでおるわけでございます。
  58. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 今度の改正によれば、百億を割る、つまり三けたを割るわけでありますけれども、いま一税目で三けたを割っている税目というのは、何と何がありますか。それは幾らですか。
  59. 大倉眞隆

    大倉政府委員 トランプ類税の七億、取引所税が六十八億、とん税が六十五億、そういうことでございます。
  60. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま言われたトランプ類税、これはこれなりに一つ理由があると思うのですね。それから取引所税、これは使う方が非常に限られた方だと思いますね。とん税についても、これは特殊な関税との関係がありますからそうだと思うのですね。ところが、私が先ほど申し上げましたように、今度の入場税というのは、きわめて払う人が大衆であり、しかも億台の三けたを割った。こういう状況の中で、あえてどうしてもこの入場税大蔵省として残しておかなければならない、どうしてもだめなんだ、これはどうしても廃止するわけにいかないんだという積極的な理由は、一体何なんですか。
  61. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは先ほど来の御質問に対するお答えで何度か申し上げましたように、やはりサービスに対する課税、サービスに対する消費税というものといたしまして入場税を残しておきたいという考え方を、率直に申し上げて私どもは持っておるわけでございます。同時にまた、それは地方税におきまする娯楽施設利用税などとのバランスの問題もあろうかと思います。私どもやはり思い切って税額を半分にしたために二けたになりましたけれども、一生懸命やって二けたになって、今度は、それはやめてしまえと言われますと、ちょっと立つ瀬がないわけでありまして、やはりサービス消費に対するこの税は残しておきたいというのが私どもの率直な気持ちでございます。
  62. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 どうも私は、国民のほとんどが使う映画館なり劇場なり、しかも今後は社会福祉国家を目ざす、この娯楽というものは大きな部分を占めるわけですね。そういう方向に向いているときに、消費税として残しておきたい、この考え方がどうもよくわからないわけであります。  ただ、いままでのずっと経緯がありますから、免税点三十円をやっと三・三倍の百円にしたという経緯もあり、それからいまの一〇%の税率を五%にしたという何事もずっと経緯がありますから、おそらくその経緯というものを尊重されて、このままでいきますと、来年はこれは五がゼロになる、こうなるんじゃないか。私たちは、本年からやめてもいいという考え方でありますけれども、それはそれでわかりました。——わかりましたというのは、了解をいたしましたという意味ではなくて、これはまあこのままやってもいつまでたってもすれ違いになりますから、このことについてはとにかく大蔵省考え方を理解したということであります。  その次に、この法自身の改正の中身の問題でありますけれども、今度の中に「国が企画して行なう催物」というのがありますけれども、これは一体どういうものをさすのですか。
  63. 大倉眞隆

    大倉政府委員 今回予定いたしておりますのは、芸術祭におきます国の主催公演、それから移動芸術祭の公演、これを企画をいたしたいと考えております。
  64. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その芸術祭については、協賛公演とか参加公演、これは非課税にならぬということですね。
  65. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そのように考えております。
  66. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 文化庁にお伺いをしたいのでありますけれども、芸術祭というのは、ざっと言って、中身はどういうことをやっていらっしゃいますか。
  67. 塩津有彦

    ○塩津説明員 芸術祭は、毎年十月から十一月半ばにかけまして、音楽演劇等の公演、映画等をやっておるわけでございますが、中身は大体三つございます。国みずからが実施する音楽舞踊等の公演を主催公演、それから国の芸術祭の企画に協賛をして民間団体が実施するというものを協賛公演と称しておるわけであります。それから芸術祭に参加して優秀なものは文部大臣から賞をもらいますというふうな種類のものを参加公演と称しまして、大体その三つに分けまして一カ月半にわたって毎年行なっているものでございます。
  68. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 これも論じていると長くなるからやめますけれども、私はいま申しましたように、入場税というようなものはなくすべきであるという考え方でありますけれども、ただ、いま現状において、今度の改正案の中で非常に警戒をするのは、国が主催をする芸術祭あるいは国が企画する芸術祭、こういうものについては軽減措置をするということは、きわめて芸術とか文化とかこういったものに対して、国が非常に指導性を持つというか、規格品化するというか、そういったことについて非常に私は警戒心を持つわけであります。  このことは、話をしていると長くなるからやめますけれども、ただ、私はこれでもおかしいと思うのは、文化庁にお伺いしますけれども、移動芸術祭の場合、地方を回る場合には、入場料金を安くしているものがありますね、これはどういう趣旨で安くしていますか。
  69. 塩津有彦

    ○塩津説明員 現在、音楽とか舞踊とか演劇の公演は、非常に公演しにくいものでございまして、東京でも赤字の場合が多いのでございます。まして地方公演の場合は、旅費、滞在費等がよけいかかるものでございますから、勢い地方においてすぐれたそういったものの公演が行なわれるということは少なくなるわけでございます。したがいまして、国では予算を使いまして、そういったものを地方において鑑賞機会をふやすという趣旨で、移動芸術祭を四十六年から始めているわけでございますが、やはり地方の方は、そういったものになじまない方が勢い多い現状にございます。できるだけ低料金にいたしまして、民間の数少ない地方公演を圧迫しない程度に低料金にいたしまして、鑑賞をすすめるように、こういうような観点でございます。
  70. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その場合の低料金というのは幾らですか。
  71. 塩津有彦

    ○塩津説明員 大体五百円程度を平均的に考えております。
  72. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、主税局にお伺いをしたいのでありますけれども、いま文化庁からお話がありましたように、なるべくたくさんの人に見てもらいたい、こういった趣旨で、わざわざ五百円という他の入場料金よりも安い入場料金にしているわけですね。それについても税金がかかるわけですね。——これは取り消します。これはいいです。次に移ります。  もう一つ児童等という文面がありますね。第九条の二項で、児童等というところが拡大をされるわけでありますけれども、学校教育法以外のものというのは具体的に何をさしているのですか。
  73. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの御質問のいわゆる引率入場の場合の非課税につきましては、現行法は学校教育法上の学校の児童、生徒に限っておるわけでございます。したがいまして、学校教育法上の学校と申しますと、小学校、中学校、幼稚園ということになるわけでございますが、現実に私どもが今回改正をお願いいたしまして、それを学校教育法上の学校以上に広げたいと考えておりますのは、具体的に申し上げますと、保育所、教護院を考えております。これは、やはり保育所と幼稚園につきましては、もう考え方につきまして、いろいろ専門家の間では御議論があるようでございますけれども入場税法のほうの考え方といたしましては、やはり保育所は幼稚園の園児と同じような年齢の子供さんを預って、またある程度事実上は教育もしておられるというふうなこと、それとのバランスで考える。また、教護院と申しますのは、これは実際終日教育を行なっておるようでございまするので、これも考えてみたい、そういう趣旨で改正案を御審議いただくわけでございます。
  74. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 次に、文部省にお伺いをしたいのでありますけれども、青少年芸術劇場、高校生を対象にやっておると思うのでありますけれども、これは幾らぐらいの費用で、入場料は現実にはどのくらいになっていますか。
  75. 説田三郎

    ○説田説明員 本件に関しましては、文化庁が所管いたしておりますので、ちょっと私いま詳細な資料を持ち合わせておりません。
  76. 大倉眞隆

    大倉政府委員 詳細は文化庁から御説明すべきだと思いますが、私どものほうで聞いておりますのでは、青少年にすぐれた音楽演劇等を鑑賞させるための青少年芸術劇場というのを実施しておる、これは無料入場だというふうに承知いたしております。
  77. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間もかかりましたので、最後に、社会教育と現在の入場税課税の問題についてお伺いをしたいと思うのでありますが、これは昨年の六月八日の参議院の大蔵委員会でも問題になり、佐藤首相自身も、質問に対して十分答えているというか、どうも現実的内容はよくわかってないようなんでありますけれども、ただここで討議するだけではだめだ、「これは十分——この場限りで聞き流して調査する、こういうわけではございません。誠意をもって調査をいたしますから、どうぞその意味に御理解をいただきたいと思います。」ということで答弁をしているわけでありますけれども、いま全国に五十七都市六万人の会員数を有するという子ども劇場というのができているわけであります。これについて、ここでは大体子供が二百円、おとな三百円、会費を取りまして、二カ月に一ぺんあるいは三カ月に一ぺん劇団を呼んで、親子で子供向けの劇を見る、あるいは時にはレクリェーションをする、こういったことをやっているわけでありますけれども、この課税の問題がいま大きな問題になっているわけであります。  まず、文部省にお伺いをしたいのでありますけれども、こういった行為というのは、文部省あるいは学校教育法でいうところの社会教育、こういった範疇に入らないものなのか、どうなのか、これについてまずお伺いをしたいと思います。
  78. 説田三郎

    ○説田説明員 先生がただいま御指摘になりました件でございますが、社会教育法の第十条によりますと、「この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするもの」となっておりまして、いまの子ども劇場の場合につきましても、規約等から判断いたしますと、この法律にいっておりますところの社会教育関係団体に該当する、かように考えております。
  79. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、学校教育法の基本から申しますれば、学校教育というものと社会教育というもの、これは対等にして、教育の二つの大きな柱である、こういうことになっておるのじゃないですか。ぼくはあまり教育のほうは詳しくないものですからよくわからないのでありますけれども教育基本法について私はそういうふうに理解しているのでありますけれども、いかがでしょうか。
  80. 説田三郎

    ○説田説明員 その点は先生のおっしゃるとおりと思います。
  81. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、大蔵省にお伺いをしたいのでありますけれども、たとえば福岡の子ども劇場の場合には、福岡市から、いま文部省から御説明がございましたように、社会教育団体として四十七年度には市から二十万の補助金が出ているわけです。こういった明らかに社会教育を行なうこの会に対して、これも同じく現状では入場税が、他の常設館並みに課せられているわけであります。これ、間違いありませんね。
  82. 大倉眞隆

    大倉政府委員 間違いございません。
  83. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこでまず私は、形態の問題からお伺いしますけれども、常設館で、つまりちゃんと定まったところで映画なり演劇をやるという場合の課税と、いま私がちょっと子ども劇場について御説明を申し上げましたけれども、子ども劇場のようにおかあさんとお子さんが月々会費を出して、そして三カ月に一ぺんあるいは二カ月に一ぺん演劇団を呼んで親子で見る、あるいは時にはレクリエーションもやる、あるいは会の機関誌を発行する、こういったものと、さっき申しましたような常設館で映画演劇をやるというものと、私は課税も当然違うのではないか。つまり会費を取ってやる場合には、そのほかの、会の機関誌を発行することもあるしレクリエーション等もやることもあるし、そういった内容も含まれておりますから、映画演劇を見るというだけではないと思うのです。その辺の差を具体的に課税の場合にはどういうふうになさっているのですか。
  84. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 先生いま御質問の福岡の子ども劇場につきましては、昨年来いま御指摘のような問題がございまして、子ども劇場でやる一般の児童劇とかそういう催しもののほかに、入場税課税対象として予定しておりません運動会であるとかピクニックだとかの行事もやっているということでございますので、そういう課税対象にならない分につきましては、会費の中からその分を除きまして、入場税課税を行なうということにいたしております。まあそのためには子ども劇場の側にも御協力をいただいて、帳簿を見せていただく必要もございますので、そういうことで話を進めて現在に至っていることを御報告いたしたいと思います。
  85. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確認をしておきますけれども、それではいわゆる会をやる中で、映画演劇等を見る部分とレクリエーションをやる部分、あるいは機関誌の発行等をやる部分、それに関連をする電話代とか交通費とかそういったものを除いた部分について、つまり映画演劇等を観賞する部分についてのみ入場税が課せられる、こういう考え方でよろしゅうございますか。
  86. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 その辺は、実際具体的な状況を伺いながら、特に共通経費等につきましては、その配分等について無理のないようにやっていくというのが実情でございます。
  87. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いままでの国税庁の態度としては、いわゆる例会と申しますか、子ども劇場映画演劇等、おもに演劇でありますけれども、観賞する例会、これが主であって、サークル活動、いま申しましたレクリエーションとか、あるいはそのための機関誌を発行するとか、そういったものは従である、付随的なものである、こういうことで一括、根っこから会費に対して課税をされてきたわけであります。  ところが、いまの見解では、その従の部分、つまりサークル活動と申しますか、レクリエーション活動と申しますか、その部分には課税をしない。それは親子で演劇を見るという例会、これのレクリエーションとか機関誌発行は付随的な行為ではない、別個の行為である、会費というものはその両方を成り立たせるためにあるものである、こういうふうに理解が変わったと考えてよろしゅうございますか。
  88. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 理解が変わったということではございませんで、子ども劇場の実態が、明らかに演劇等をやる場合以外に、運動会とか、先ほど申しましたような入場税課税対象外の行事をやっているという事実をとらまえまして、その分に課税をするというのは、入場税法考えているところでもないし、その辺を実情をよく見て分離していこうということでやったわけでございまして、まあ従来付随費を、機関誌の発行等を入場税の対象に見た場合と、事実関係の認識が違ってくるといえば違ってきたと申せるかと思います。
  89. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 なぜ私はそのことをしつこくお伺いするかと申しますと、いま、まあ国税庁なら御存じだと思いますけれども、じゃどこまでが完全に入場税を課せられる部分であり——入場税を課することがいいか悪いか、またこれは文部省も入れてお伺いするわけでありますけれども、どこまでが入場税を課する部分であり、どこまでがそれ以外の部分であるということを決定するにやはり帳簿を出さなければ、ある程度どのくらいお金が、費用がかかっているかということがはっきりしないことには、課税ができませんですね。いままでそのことがずいぶんごたごたしたように私は聞いております。  その問題以前に、過去五年間にわたっては根っこから、つまり他の運動会なりレクリエーション部分についても課税がされていたんじゃないですか。つまり会費全部、入場税課税されていたんじゃないですか。もしされていたとするならば、そのいまの見解からするならば、その課税して取った部分についてはどうなさるのですか。
  90. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 その辺につきましては、子ども劇場側の実情を聞きながら現在までやってきております。先生御指摘のように、そういうものを黙って全部課税しているというふうには考えておりません。
  91. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いままで自主申告でよかったものが、過去五年間百五十万近く更正決定がなされたというふうに聞いておりますけれども——これは福岡の場合に限ってであります、いま話しているのは。でありますけれども、そういうことはなかったわけですね。更正決定で過去五年間の入場税分を取ったということはなかったわけですね。
  92. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 子ども劇場につきまして具体的にどこの子ども劇場がどういう状況で、更正決定をどうやったという資料は国税庁にございませんのでわかりませんが、一般入場税調査といたしまして、子ども劇場に対して更正決定をやっているという事実はあろうかと思います。
  93. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、いま私がたびたびお伺いしましたように、つまり入場税を課さない部分、これについても税金を取られたということですね、更正決定をされたということは。いままで自主申告で、この部分については税務署と何度か子ども劇場の方々が話をして、この部分については、映画演劇等を親子で観賞するのに必要な部分、これについては入場税を課する。これがいいか悪いか、またあとでするにしても、他の部分、つまりレクリエーションとかあるいは機関誌の発行とか、そういったものについて税金を課さないという見解なんでしょう、国税庁は。そういうふうにいま言われたんでしょうね。で、ここで言う更正決定というのは、いままではそういうことを自主的に、映画演劇を観賞する部分についてだけ税金を納めていた。ところが突如、福岡の子ども劇場の場合についても更正決定が来て、過去五年間について会費まるごと分、税金を払ってもらいたい。それが全部で百五十万。お子さんたちが二百円、親御さんが三百円出して会をつくってやっていることですから、百五十万というのはたいへんな額になるわけですね。更正決定がされたというのは、会費まるまる課税をされたということになるんじゃないですか。
  94. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 福岡の子ども劇場につきましては、ただいま申し上げましたような話し合いが行なわれておりますのでそういうことはございませんし、他の子ども劇場につきましても帳簿を見せていただいて課税を適正にやっていくという方針でやっております。
  95. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それではもう一度だけ確認をしておきますけれども、子ども劇場の活動というのは、いまの現行の税法からいけば、映画演劇等、つまり入場税法の対象になる部分についてのものについては入場税課税をされ、会費の中でも、そのほかの用途に使われた、たとえば運動会をやる、ハイキングをやる、あるいはそれに伴う電話代とかあるいは交通費がかかるわけでありますけれども、そういったものについては入場税はかからない、そういう考え方に国税庁は立っているということは確認してよろしいですね。
  96. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 先ほどから申し上げておりますように、入場税課税の対象にならない活動、たとえば遠足とかピクニックとか運動会とか、そういうための経費につきましては、その分の会費については課税をしないということでございます。ただ、具体的には共通の経費になっている部分が多うございますので、その辺につきましては、帳簿を見せていただいて御納得をいただいた上で税金を納めていただくということでまいっております。
  97. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いままではあくまで例会が主であり、他の活動は例会の付随的な行為であるということで国税庁が立っていたものでありますから、帳簿を見せるといっても、そういった一面的な考え方で判断を下されたのでは、一体幾らかかったか、税務署の課税の根拠固めにその証拠が使われるということをおそれて、国税庁と子ども劇場とが帳簿を見せろ、見せないでごたごたをしたと私は聞いておるわけです。そういった意味で、国税庁がそういうふうな立場に考え方に立ってもらえるならば、私は今度は子ども劇場のほうも、これだけはレクリエーションの部分ですとはっきりすべきである、こう考えるわけであります。それは現行税法上の問題でありますけれども、私はこういった親が自主的に映画演劇等を子供たちに見せる、こういった社会教育、先ほども文部省から言われましたように、明らかに社会教育を行なっている団体にまで入場税法が適用されることがはたしていかがなるものかという根本問題を考えるわけであります。  もう一度文部省にお伺いいたしますけれども教育基本法の第七条で、こういったような社会教育団体というものは国や地方自治体が助成をしなければいけない、助成をする義務があるというふうに第七条に書かれていると私は思うのでありますけれども、学校教育と同様、社会教育というものもきわめて重要なものであって、これは国や地方自治体が助成をしなければいけない、こういうものなんじゃないですか。
  98. 説田三郎

    ○説田説明員 ただいま先生御指摘の助成をしなければいけないという御意見、文部省といたしましては、現在社会教育団体に対しまして、全体で全国的な組織を持って活動をしておるものに対しまして、三十九団体程度に対し補助金を交付いたしておるわけでございますが、この奨励援助と申します中にはそういうふうな助成を講ずる、要するに補助金を出して奨励するものもあれば、それから団体の活動を一そう活発にしていくというような意味の指導助言といいますか、そういうふうなこともございますし、広い意味で奨励援助ということばが使われておるわけでございます。
  99. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは国も当然そういう義務を負うわけですね。
  100. 説田三郎

    ○説田説明員 そのとおりでございます。
  101. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで主税局にお伺いをしたいのでありますけれども、文部省からお話がありましたように、まず教育基本法において、教育というのは学校教育と社会教育がある。双方同じ比重で、二つの柱で立っているわけですね。教育基本法の第七条においては、国や地方自治体がどんな形であるにせよ奨励をしなければいけないというか、奨励するように教育基本法でなっているわけです。いいですか、社会教育について国や地方自治体はいろいろな形で助成をしなければいけないということになっているわけであります。ところが現行では、いま国税庁からお話をお聞きしましたように、こういった自主的に社会教育を行なっている、しかもこれはたとえば福岡に限れば福岡市の助成金を受けている、冒頭に私が文部省からお伺いしましたように、社会教育団体として社会教育法のたてまえにのっとって行動しているこの団体に対して入場税法が適用される、これは国が行なわなければいけない助成あるいは奨励、こういったものと相反するのではないですか。
  102. 大倉眞隆

    大倉政府委員 最初に申し上げましたような入場税の性格から申しまして、ただいまおっしゃいますような社会教育団体が主催者であるという理由入場税を非課税としない、そのことが社会教育団体を助成しあるいは奨励すべきであるとする政策に背馳すると、そのようには私ども考えておりません。しかしその問題は、いままでも何度も御議論いただいておりまして、前内閣総理大臣もこの問題は十分検討してみたいと答弁しておられる経緯もございまして、私どもとしていろいろな角度から十分に勉強はいたしてみたつもりでございます。  ただ結論的に申し上げますと、主催者の側から考えてみましても、また催しものの側から考えてみましても、なかなか一律的に御要望のあるような制度がつくりにくいということでございます。  まず主催者の側から申し上げますと、社会教育関係団体の主催興行はすべて非課税とするという考え方が御要望の中に含まれておるわけでございますが、これらの団体は、御承知のとおり学校教育の場合と違いまして、その設立がきわめて簡単でございます。したがいまして、極端に申せば同好有意の士が集まって社会教育団体をつくるということは可能でございます。税制の立場から申しますと、演劇映画などを鑑賞することを目的として社会教育団体をつくり、そのメンバーになれば入場税はかからない、そういうメンバーにならない人は入場税がかかるということでは、やはり課税上のバランスということから見てとうてい踏み切れないという難点がございます。  催しものの側からどうであろうかということも勉強いたしたわけでございますが、社会教育的価値の高い催しものという判断が、いかにいたしましても客観的なものとしてとらえにくい。これは佐藤委員承知のように、芸術的価値の高い催しものとそれ以外のものと区分しよう、現にそういう法制を持っておりまして、その法制の施行が非常な混乱を伴いトラブルを伴ったという経験を持っておるものでありますから、催しものの側からいたしましても社会教育的価値が高いという判断基準を税制に取り入れるということはほとんど不可能に近い。  いままでの検討の結果では両面から見まして、やはり一律的に社会教育的見地という面に着目した非課税という制度は、租税の制度に取り入れることが困難であるということになっておるわけでございます。
  103. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は実際上の法の不備としては、私の考えからいけば九条の二項に学校教育だけは考え方として入っておるけれども社会教育は入ってない。いまの大倉さんの主税局側の考え方としては、そうしますと社会教育団体というのは幾らでも税をのがれるためにできるではないかということのようでありますけれども、もう一度文部省にお伺いいたしますが、社会教育関係団体、この定義はわかるわけでありますけれども、この認定と申しますか、これはいまどういうふうになっていますでしょうか。
  104. 説田三郎

    ○説田説明員 具体的にこれが社会教育関係団体であるというような手続をとって認定するということは行なっておりませんけれども、この定義に該当するという意味では、要するに法律に書いてありますように、公の支配に属しない団体であるということが一つありますので、これはことばをかえれば国なり地方公共団体機関がこれに対して決定的な支配力を持たない団体、こういう意味になると思います。  それから第二点としましては、社会教育に関する事業を主たる目的とする団体、そういう事業を行なうのが主たる目的である、こういうことになっておりますから、その団体の定款なり寄付行為その他規約等に掲げられております目的とか、実際にやっております事業内容、収支予算、こういうようなもの等、全体を勘案いたしまして、社会教育法の十条の趣旨に合うものは社会教育関係団体というふうに認められる、こういうことでございまして、補助金を出す場合につきましても、こういうような見地から出しておるわけでございます。
  105. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 主税局、どうですか。それは確かに、いままで課税問題がこういうふうに問題になってきませんでしたからあれですけれども、私は、社会教育というものは、国なり地方自治体が一つの認定をするというような形になることは、きわめてその行動力に束縛を持ちますから、必ずしもいいとは思いませんけれども課税範囲からいけば、課税の側からいけば、ある程度それがぴちっとした、ある一定の要件を備えているものでないといかぬと思うのです。それは事実だと思うのですね。  そういった意味から考えますならば、いま文部省からお話がありましたように、社会教育関係団体という、一つ認定のワクを設けて、これはおそらく現実には、法律を設けて、そして税務署長がそれを認定する、そのものについては非課税にするということになろうかと思いますけれども、そういったものをつくって、そして社会教育関係団体が行なうものについても、第九条の第二項の中に入れて入場税を非課税にする、こういうことを考えるべきであると私は思うのであります。  私は、単に福岡の子ども劇場の例だけあげましたけれども佐藤前首相が言っておりますことは、私はこれをふえんをしますれば、何も福岡の子ども劇場だけが非課税になる問題じゃないわけですね。これが社会教育団体、しかも、それがあやふやな、ただ税金をのがれるというための社会教育関係団体ということではこれはいけません、明らかにその行動、その活動が社会教育団体として認められるものでなければいけないと思いますけれども、そういった規範をつくって、そして非課税団体とすべきである。それは教育基本法のたてまえからいっても、学校教育だけは非課税としてありますけれども社会教育については非課税となっていない、これは大きな矛盾があるし、それから、先ほど私が例にあげましたように、こういった二百円、三百円と会費を使って親子が自主的にやっているものについても、このお子さんたちにも税金が課せられ、税金が取られていくというこの現実というのは、私はぬぐうべくもないと思うのであります。そういった意味で、これはひとつ考える必要があるんじゃないかと思いますけれども、御見解いかがですか。
  106. 大倉眞隆

    大倉政府委員 一般的にその社会教育団体主催であれば、これを入場税課税対象からはずすという点につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、社会教育団体が、こういう入場税課税対象になるような行為を社会教育として取り上げて、団体を組織して、そのメンバーとして映画音楽その他を鑑賞すれば、それは、一般に常設の場所に入場して鑑賞するのに比べて、入場税が安くなるということになりますが、そのことが一体、税法を執行してまいります上に課税の不公平を害しないで済むかどうかという問題として先ほど申し上げたつもりでございます。したがいまして、片方では公の支配に属しない、片方では支配に属する、そのすべての制度を総合いたしました上で、なお特定の社会教育団体というものを選別し得るかどうか、そういう問題としてやはり相当困難がある。  ただ、佐藤委員もっぱら第九条のほうで御指摘になってはおられますけれども、第八条の免税興行の主催者としては社会教育団体は取り上げておるわけでございます。免税興行の条件に合致いたします場合には、社会教育団体が主催する興行も免税となる。その点は御承知の上での御質問だと思いますけれども、それらを考え合わせまして、いまの入場税制度の中ではこの辺が限界ではなかろうかという気がいたすわけでございます。
  107. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 第八条との関連についてももう少しお伺いしたいのでありますけれども、だいぶ時間が来てしまいましたので、この点についてはまた後日やる機会もあると思いますので、物品税のほうに入らしていただきたいと思います。  まず、物品税についてお伺いをしたいのでありますが、その物品税改正の中身に入る前に、私は調べれば調べるほど、現行物品税法の体系自体には、租税法定主義を逸脱した、憲法違法ではないかという疑いが——疑いというのはたいへん小さな字なんでありますが、私は憲法学者でもないし法律学者でもありませんので、疑いという文字をつけるわけでありますけれども、たいへん憲法違反の法律構成ではないかということをつくづく感ずるわけであります。もっとも、法体系は形式的には、その他の部分は政令に委任をするという条項がありますから、法体系自体は、それを受けているものは幾らでもあります。あるけれども、これがはたして憲法が要求する租税法定主義というものと合うのだろうかということをつくづく感ずるわけであります。  物品税法において、免税点あるいは控除率あるいは施行令に述べられている別表第一のうちの非課税品目、こういったものを法律でなく政令、省令に委任をしているというのは、これは私は租税法定主義から逸脱していると考えますけれども、まず、法制局の見解をお伺いしたいと思います。
  108. 茂串俊

    ○茂串政府委員 租税法律主義の原則から申しますと、租税の賦課徴収に関する基本的な事項はこれはすべて法律規定すべきであるということは当然であろうかと思います。しかしながら、この原則のもとにおきましても、賦課徴収の細目にわたる事項、技術的、専門的な事項あるいは機動性をもって弾力的に運用することが必要な事項、こういったものにつきましては、政令以下の命令に委任することが許されるというふうに解されておりまして、各税法もそのような態度で立案され、また制定されておるわけでございます。  このような観点から、物品税法体系を見てみますと、物品税課税物品は、御案内のとおり入場税その他の消費税課税物件に比しまして、きわめて多種多様でございます。またその生産、取引あるいは消費の態様は、そのときどきの経済情勢に応じまして常に変化をいたしておるのでございます。特に最近におきますところの技術水準の向上は目ざましいものがございまして、新しいアイデアを加えた新規の規格、構造等を持った物品もいろいろと出てまいっておるわけでございます。これが原材料等の値上がりに伴う課税物品の価格の上昇とかあるいは国民所得水準の向上に伴う消費動向変化というものと相まちまして、法律上、課税物品範囲に属するもののうちにも、その規格等の面あるいは価格等の面で、国民経済的な見地から機動的に課税上の調整を加える必要が生ずるケースが当然に予想されるわけでございます。  このような物品税の特殊性を踏まえまして、昭和三十七年に国会で議決をいただきました現行物品税法におきましても、その第九条におきましてその調整の基準を明らかにした上で政令に委任をしておるのでございまして、このような見地からすれば、いわゆる免税点を政令に委任するということは、もとより租税法律主義に違反するものではないというふうに考えておる次第であります。
  109. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いいですか、物品税法の場合には免税点がきまらなければ、その物品課税されるのか課税されないのかということが現実にはきまらないわけですね。免税点以下のものは課税されないし、免税点以上のものは課税されるわけですね。その免税点というのはだれがいじるかというと、政府が政令でもっていじるわけです。しかも、法律規定する品目のうち、ある特殊な性状のものについては非課税になるわけですね。これはどこでいじるかというと、これは政令でいじるわけですね。そういうことから言いますと、課税になるのかならないのか、あるいは同じ課税品目の中でも、免税点によっては課税になるのか非課税になるのか、これが変わってくるわけですね。私は、これは憲法八十四条に書いてある「あらたに租税を課し、又は現行の租税を變更するには、法律又は法律の定める條件によることを必要とする。」この租税を課するか課さないかというその基準が免税点であり、あるいは政令の一番下の欄の非課税品目であるということになりますと、これは国民の側から見ますならば、憲法が求めている租税法定主義から逸脱をするものだと私は思うのです。  たとえばそういった判例というのは幾らでも出ているわけです。昭和三十年三月二十三日の大法廷の判例「民主政治の下では、国民は国会におけるその代表者を通じて自ら国費を負担することが根本原則であって、国民はその総意を反映する租税立法に基づいて自主的に納税の義務を負うものである反面、あらたに租税を課し又は現行の租税を変更するには法律又は法律の定める条件によることが必要であり、従って日本国憲法の下では租税を創設し、改廃するのはもとより、納税義務者、課税標準、徴税の手続はすべて法律に基づいて定められなければならないと同時に、法律に基づいて定めるところに委せられているものと解すべきである。」この中で重要なのは納税義務者、これははっきりしていますね。課税標準、これが法律じゃ私はきめられてないと思う。原則では法律ではきめられておりますけれども免税点いかんによっては、税率も、あるいは課税されるのか課税されないのかもきめられてない。  昭和三十七年二月二十一日大法廷の判例「憲法三十条及び八十四条の規定は、担税者の範囲、担税の対象、担税率等を定めるにつき法律によることを必要としただけでなく、租税徴収の方法をも法律によることを要するものとした趣旨であると解すべきである。」これと同様の判例は昭和三十七年二月二十八日にも大法廷で出されているわけでありますけれども、担税者の範囲、これも、いまの物品税法のたてまえからいいますならば、これは免税点にもよりますし、政令の別表の下の非課税品目にも、担税者の範囲というのはそこによらなければ、つまり政令によらなければきまりてこないわけですね。法律じゃないんですよ、あくまで。担税の対象にしてもそうです。担税物件については、あくまでいま申しましたように省令に現実には委任されている。つまり個々の物品を当たってみないと、はたしてこれが課税されるか課税されないかわからない。それは、法律ではなくて政令、省令に委任をされているわけです。  こういった面から考えるならば、私は、過去の大法廷の判例から申しましても、この物品税法というのは、法体系自体が、確かに通則が書いてあって、その他のものは政令によると書いてありますけれども、そのたてまえ、形式は確かに法律を受けているようで租税法定主義になっているようでありますけれども、しかし私は国民の側から見れば、憲法八十四条の精神からいえば、これは決して租税法定主義を正しく理解した法をつくっていると私は判断しがたいと思うのでありますが、重ねて法制局の見解をお伺いしたいと思います。
  110. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答えいたしますが、先ほど一般論で申し上げましたように、物品税課税物品につきましては、いろいろと多種多様な性格のものが対象になっておるわけでございまして、しかもその技術水準の向上等と相まちまして、いわゆる法律で掲名されておる物品につきましても、いわゆる新規物品と申しますか、新しい規格なりあるいは銘柄のものが続出するといったような可能性もあり、また現にそういったものが出ておるわけでございまして、そういった新しい事態に対処しまして、どういうふうに一体課税するかという問題につきましては、これは非常にむずかしい問題がございます。  確かに物品税法の全文改正のときにもいろいろ議論をしたわけでありますけれども、そういった物品税法課税品目の特殊性からいたしますと、これは何でも委任するということになりますと法律に違反することは明らかでありますけれども、先ほど言いましたように、第九条でその非課税あるいは免税点の原則、これを基本的な事柄として掲げました上で政令に委任しているわけでありまして、先生のおっしゃるいわゆる政令委任のしかたはどうかという問題もあろうかと思いますし、それはまた一つ考え方であると思いますけれども現行の体系そのものといたしましては、われわれといたしましてはあえて租税法定主義に違反するというふうに考えていない次第であります。
  111. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま法制局があげられた、物品税法自体が、技術水準の向上によって物品がいろいろ変わる、あるいは非常に多種多様である、あるいは時代の要請にこたえて弾力的に運用しなければいけない、こういったことのようでありますけれども、このことについてはさらに私はもう少しお伺いするにしても、東京地裁、昭和三十七年五月二十三日の判例「憲法八十四条に規定する租税法律主義は、課税要件を法定することにより行政庁の恣意的な徴税を排除し、」現実には物品税法の施行令の別表によって課税されるもの課税されないもの、あるいはその免税点によって課税されるもの課税されないものが現実にはきめられるわけですね。私はこの判例のいうところの行政庁、つまり大蔵省あるいは内閣の恣意的——これがおそらく、恣意的というんじゃなく、第九条に通則が出ていると言われることになると思いますけれども、しかし免税点の変更というのは、一体どういったものに対して何を基準に免税点を変更しているかというのが何も法律はないわけですね。その面においては、免税点課税されるもの課税されないものがきまる、この物品税法考え方からするならば、私は、この判例にいうところの「行政庁の恣意的な徴税」これに私は現実には当該してくると思うのです。  あとからお聞きしますけれども免税点が上下すれば、それによって、同じ物品でも課税されるものと課税されないものが出てくるわけですね。その免税点は一体どの法律によるかと言ったら、これは何もないわけですね。そういうことになるならば、免税点というものが課税されるか課税されないかの生死の境目を決する大きなターニングポイントということばが当たるか当たらないかわかりませんけれども、なっておると思うのであります。  さらに続けます。いま申しました東京地裁の昭和三十七年五月二十三日の判例でありますが、いま申しましたように、課税物品を法定することにより「行政庁の恣意的な徴税を排除し、国民の財産的権利が侵害されないようにするためのものである。すなわち、これにより法律に根拠のない慣習法や命令による租税の賦課は許されないし、租税の種類、課税の根拠、納税義務者、課税標準、税率等の課税要件に関する規定その他租税債務の変更消滅に関する実体規定のみならず、納税の時期、方式等に関する手続規定についても、正当な立法手続を経た法律の定めを要するものと解するのが相当である。従って租税法律主義の原則から課税要件はできるだけ詳細かつ網羅的に規定せられると共に、その内容の明確化が要請されるものである。」同様の判例が東京地裁の判例にも出ているわけであります。  課税の根拠、これも私は物品税法というのはきわめてあいまいであると思うのですね。別表に掲げてあるものは課税するということですね。じゃ、どういうものを課税するか、これはまたきわめて問題なんで、いま日常必要なものについてまで課税されているということについては、あとからまた問題にしますけれども、この課税の根拠というのはきわめてあいまいですね、いまの物品税法というのは。しかも最後に私がゆっくり読みましたように、「租税法律主義の原則から課税要件はできるだけ詳細かつ網羅的に規定せられると共に、その内容の明確化が要請されるものである。」これは私の個人的見解を述べているのじゃないですよ。東京地裁の判例なんですよ。先ほど法制局の見解では、非常に物品の数が多くなる——確かに多くなります。技術水準の向上によって非常に物品が多くなっているわけでありますが、なぜ本法に、いわゆる物品税法の別表に、施行令、つまり政令の別表、これを掲げてはいけないのか。単に数が大きくなる、法律の数が、ページが大きくなる、このためにだけ、憲法で定めている、憲法の求めている租税法定主義思想というものを破っているのか。あるいは世の中の変わり方が早いから、物品がどんどん変わるから、そんな法律にしていては国会に間に合わなくなる——じゃ、お伺いいたしますけれども、たしかに世の中の変わり方が早いのでありますけれども、いいですか、物品税免税点改正というのは、昭和四十一年から今日まで七年間基本的に行なわれてこなかったわけですよ。池田内閣の所得倍増政策以来目まぐるしい社会の変転があったけれども免税点というのは、基本的には変えられてこなかった。じゃ一年間に免税点を二回も三回も変えなければいけないものは、はたしてどんなものがあるだろうか。そういうことから考えるならば、たとえそういうものによって税金がのがれられたにしても、私はそれはたいへん数が少ないものであろうと思う。憲法の租税法定主義を破りてまで調整をしなければいけないというようなものはないと思うのです。  そういうことからいいますと、私はいまの法制局の見解、これはどうにも納得がいかないわけであります。私の個人的見解じゃなくて、これは裁判所の判例をもとに私は述べているのです。物品税法は、そういった面で、私はきわめて租税法定主義を逸脱をした法体系になっていると思うのでありますけれども、法制局の見解、それから過去一年間、二回も三回も免税点なり、あるいは課税物件の対象、つまり政令の別表の非課税品目、そういったものを変えなければいけない、そんな事態が起こったことがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  112. 茂串俊

    ○茂串政府委員 あとの問題につきましては、主税局のほうからお答えいただくことにいたしまして、初めの問題についてお答えいたします。  先ほど物品税法で根拠がはっきりしないじゃないかというお話がございましたが、先ほどもちょっと触れましたが、まず第一条に課税物件の規定がございまして、この法律により物品税を課するのは、別表に定める物品に限るといっております。別表をごらんいただきますと、そこにかなり詳細にその課税物品の掲示がなされておるわけでございます。  それからまた、九条のほうの非課税関係の政令につきましても、いわば国民経済的な配慮から、「同種物品に係る価格体系のうちに占める位置が低いこと」とか、あるいはその機能、構造等から見て、それが一般消費者生活とか、産業経済に及ぼす影響等を考慮して、物品税を課さないことが適当であると認められるものとして政令で定めるものについては、課さないということで、その委任の根拠を明確にした上で、政令で定めるべきことを法律が命じておるわけでございます。  そういうことで、その他いろいろ規定はございますけれども、まあただいま問題になっている点の骨子だけ申し上げますとそういうことでございまして、一応それについてこういったような御制定いただいた物品税法規定に即しまして、そうして行政府がその法規範に従いながらその趣旨をくんで、適時に機動的に、課税物品につきまして課税上の調整を政令で行なうということは、あえて課税法定主義に違反するものではないというように考えております。
  113. 大倉眞隆

    大倉政府委員 制度といたしましての租税法定主義の問題は、ただいま法制局第三部長からお答え申し上げたとおりであろうと私ども考えておるわけでございます。     〔委員長退席、大村委員長代理着席〕  ただ、説明の中に、機動的な改変が行なわれ得る制度というものがこの政令の背後にある、それならば四十一年からいままでに機動的にやったか、こういうことになりますと、現実にはいままで直しておりませんので、そういうふうに動いておらなかったことは事実であると申さざるを得ません。ただそれは、全然動かすつもりがなかったとまで申し上げるのはやや言い過ぎでもあるわけでございまして、状況に応じて免税点改正を一部の物品について必要であると考えたケースがあるわけでございますが、その場合に一部の物品のみをいじると他の物品とのバランスがくずれやしないかとか、いろいろむずかしい問題が出てまいりまして、結局まあその際は見送りになったということが現状でございます。  また、たとえば昨年、年度内においても免税点を一律に引き上げるということをやったらどうかという御意見が一部にあった、それをある程度実行に移そうかということでかなり御論議いただいた、当委員会でもその御論議が出ておったと私ども承知しておりますが、これもまた、いずれ近く税制改正をするならばその機会に全体のバランスをとるべきではないかという御主張もあり、いろいろな経緯を踏まえて、従来四十一年以来現実には政令改正による免税点の変更はされておらない。  しかし、それではそもそも機動性というものを尊重しなくていいかというと、それはそうではないのだと思っておりまして、やはりそういうことをいたしましては——複雑な経済情勢に応じて適宜適切な調整を要する場合には、法律に明らかに根拠を置いて委任されておる政令のもとで弾力的な調整を行なえる制度として残しておいていただきたい。またそれは、再々法制局から答弁がありましたように、そのことが租税法定主義に違反するものではないというふうに私ども考えます。
  114. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まず法制局に反論いたしますけれども、先ほど私が読み上げましたのは、課税物件は確かに物品税法の第一条に書いてあります。しかし課税の根拠というのは書いてないのですね。先ほど私が読み上げました判例、昭和三十七年五月二十三日東京地裁の判例は、課税の種類、課税の根拠ですよね。これが問題なんですよ、物品税法というのは。しかも、いま実体も非常に問題なんです。これは他の方々もこれから論議されるでしょうけれども、この根拠が問題なんです。物品税法というのは何に一体課せられるか、どうして課せられるかということが問題なんですよ。課税の根拠というのが出てない。あなたがいま言われたのは、第一条課税物件、それは確かに法律の別表に書いてあります。きわめて不十分なものであります。法制局は政令に委任することを法律が認めていると言われるけれども、私はその範囲というのはあくまで限られたものでなければいかぬ。  これは昭和三十六年一月三十一日の東京高裁の判例でありますけれども、ちょっとダブりますけれども重要なことですからもう一度読んでみますと、「憲法八十四条が租税法律主義を宣明し、その趣旨が単に租税の根拠を法律で定めるというだけでなく、納税義務者、課税物件、課税標準、税率課税の要件は総べて法律で定めなければならないという原則を示すものであることは明らかである。しかし、法律規定をもつてこれ等課税要件の一切を明瞭にすることは困難であって、法律規定だけでは、納税義務者としも具体的に納税の義務があるかどうか明瞭でなく、また課税権者としても納税義務者、課税物件、課税標準等について疑義が生じないとも限らない。従つて、法律の定めるところを敷えんし、補完し又はその解釈を政令その他命令をもつて明らかにすることは、憲法八十四条に違反するものではないと解するを相当とする。」     〔大村委員長代理退席、委員長着席〕  いいですか。ここに書いてあるように、政令というのはあくまで法律の定めるところをふえんし補充するものの範囲内で行なわれるべきものだ。そういうふうにこの判例というのは出されているのであって、課税されるかされないかというのが、政令の別表の一番下の欄に非課税品目が書いてあるということは、これは私は政令の許される範囲法律の解釈をふえんする——課税されるかされないかとい番重要なポイントをこの政令がきめている。あるいは具体的に言えば、物品税法の別表を補充するものどころか、課税するかしないかという基本的な問題まで施行令、政令に委任をしている事実だと思うのであります。そうじゃないですか。施行令、政令の別表を見なければ、現実には国民の側からするならば、この物件が課税されるのかされないのかわからない。法律だけではわからないわけでしょう。税法で一番大事な、課税されるのがどこか、課税される物件はどこか、この額のものなら課税されるのかされないのかという免税額まで政令がきめている。これでは国民の側から見れば、自分の買ったものが、はたして課税されるのかされないのかということはわからないじゃないですか。  これは私は、いま数々読み上げました裁判所の判例、これから見ても現在の物品税法の、法の組み立て自体は形式的にはその他のものは政令に委任するとか、あるいは抽象的なことは書いてありますけれども物品というきわめて具体的なものを必要とするこの法律のたてまえからいうならば、物品税法のたてまえ、いまの法の立て方というのは、憲法に定める、憲法が要求する租税法定主義を逸脱している法の立て方だと私は思うわけであります。政令、省令というものは、私はいま申しましたように、法律の定めることをふえんし補充する、それ以外のものであってはならないと思うのですね。いまの政令の別表というのは、確かに項目だけは物品税法の項目と一緒でありますけれども、一番下の非課税品目については、これはそこから抜けるもの、もう種類は一緒ですけれども、私は抜けるものだと思うのですよ。  たとえば、いいですか、物品税法で、簡単にするために電気スタンドを例にあげてみましょう。電気スタンドは、物品税法ではこういうふうに書いてある。懸垂式の多燈型照明器具及び電気スタンド、これには二〇%の税金を課するということになっている。いいですか、こういうことになっているわけですよ、物品税法では。そうするとじゃどんな——いま申しました懸垂式の多燈型照明器具及び電気スタンド、電気スタンドと一般に呼ぶものはどんなものでも買えば税金がかかる。法律はそうなっているでしょう。電気スタンドを買えば二〇%、あなたはおそらく、政令でそうじゃない分もあるのだというふうに法律でなっていると言われるかもしれないけれども、私はそこまで委任しているものと思わない。電気スタンドを買えば、だれでも二〇%の税が課せられるものだとなっている。ところが現実には、施行令を見ますと、電気スタンドの分類がたくさん分かれて、二つ非課税品目というのがある。しかも免税点が、これは二千四百円ですか、二千四百円以下のものならば課税されない。免税点を二千四百円にするか、三千円にするか、五千円にするか、これは現実にはいま政令に委任しているわけでしょう。  ですから、確かに法律では政令に委任すると書いてあります。しかし、そこまで政令というものが権限を持っていいものかどうなのか。国民の側から見るならば、自分の買ったものは課税されるかされないかは政府法律によらなければわからないということでしょう。あなた方の立場から言うならば、法制局の立場から言うならば、確かに法律では政令に委任すると書いてある。私は形式的には合憲だと言うのですよ。しかし、本来の租税法定主義の考え方からするならば、免税点もそれから非課税品目も物品税法の別表に書くべきではないか。それが数々の私が読み上げました判例からいっても租税法定主義のほんとうの考え方ではないか。実際の国民の側から見れば、政令によらなければわからないですよね、課税されるか、されないか。これは私は冒頭申し上げましたように、憲法違反である、憲法八十四条または三十条の考え方から逸脱をしている法のつくり方である、ころ思うわけでありますが、いかがですか。
  115. 茂串俊

    ○茂串政府委員 再度の御質問でございますのでお答え申し上げますが、先ほどの第一の問題の課税の根拠の問題でございますが、先ほどもちょっと触れましたが、さらに詳しく申し上げますと、物品税法の第一章の総則に課税物品規定が置かれ、三条に納税義務者の規定が置かれております。また課税標準、税率につきましては同法の第二章に詳しい規定が置かれておるわけでありまして、いわば基本的な事項はすべて法律に盛られておるわけでございます。  ただ、いま問題になっております九条の問題でございますが、これにつきましては、先ほども読み上げましたような規定でございまして、いずれにしてもその比較的値段の安いもの、あるいはまた特殊な機能、構造等を持っているもの、これは物品税の本来の性格なりあるいは沿革から見ますると課税するのに適当でないという判断がまず第一にあるわけでございますが、そういったものを今度多種多様にわたる物品につきまして、それじゃどういうものが一体安いものといえるか、あるいはまたどういうものが性状、構造が特殊であるといえるか、こういった点をいわば補充する意味からしまして、政令のほうでその具体的な、かつ個別の物品につきましてその実態を明らかにしておるわけでございます。その委任のしかたの問題の適否につきましては、いろいろとまた御見解の相違はあろうかと思いますけれども現行物品税法規定が、だからといって租税法律主義に反するということはこれはいえないというふうにわれわれは理解しておるのでございます。
  116. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まあこの場で法制局とその点について論議をしていっても時間がかかるだけでありますけれども、いま読み上げました、たとえば非課税品目を、安いものあるいは特殊な性状を持ったものを非課税品目とすると書いてありますけれども、現実にはそうなっていない。それはまあ具体的にはあとであげますけれども、それは政令に委任されてしまっているものですから、きわめて私は政府の恣意的に行なわれていると思うのです。  それともう一つ、先ほど大倉さんから話をお聞きしたわけでありますが、確かに私が再三申し上げますように、技術水準は向上しておりますから新しい型のものがどんどんできる。それによって非課税品目ができる。  いいですか、たとえば金の大判小判、これもずいぶん課税されませんでした。今度は入ります。確かにそういった面では世の中の変わり方が激しいですから新しい種類のものがどんどんできる。そうしますと物品税法の網にかからないものが出てくる。しかしじゃそれを、物品税法にしても毎年毎年国会が行なわれるわけでありますから、そんなにあわてて一年間二回も三回も免税点を変えたり、施行令のいわゆる別表の非課税品目を新たに追加しなければいかぬ、つまり政令に委任をしなければいけないほど、それほど新しいものというのがどんどんできているんだろうか、現実には。また、だからこういう品目が一つ一つあるからといって、租税法定主義を破ってまで、私はあえてそう言うわけでありますが、破ってまでそれを政令に委任をして、そして税を徴収しなければいけない、それほどの大きな額になるものだろうか。しかも一年ずつに毎年国会へ出してくれれば、これは審議できるわけですね。  ですから弾力的事項が必要である、あるいは技術水準が向上しているから必要であると言われるかもしれないけれども、現実にはそんなに一年間に二回も三回も免税点を変えたり別表の非課税品目のところの表現をいじったりするようなものは私はないと思う。たとえばそれが一件、二件あったとしても、それは私は、大前提である憲法八十四条あるいは三十条の租税法定主義を現状のように破ってまで弾力的運用というものがはたして必要であるか。弾力的にしなければ税が半分かからなくなるとか、そんなことならば、それは弾力的運用というものは必要でありましょうけれども、年に免税点を二回も三回も変えるものというのはおそらく現実にいってないだろうし、あったとしても、それによって百億も二百億も免税になってしまうというようなものというのは、現実には考えられないと私は思うのですね。  そういうことからいいますならば、毎年毎年、政令の別表を法律の中に入れて、そしてこれを国会に上程する、法律としてこれを定める、これをやって、一体どういう支障が起こるだろうか。私はその点が理解できないわけです。電気スタンドの例をあげましたけれども、現実には確かに憲法の九条と同じように、物品税法における九条も問題だと思うのであります。その他政令に委任するといって、きわめて抽象的に白紙委任しているような部分もある。物品税法でありますから、きわめて個々のものを書かないと正しい徴税にならないわけでありますね。そういうことからいって、こんなに目まぐるしく変わる世の中でありますけれども物品税法の施行令の別表というものを物品税法の別表にして、一体どういう支障が起こるか。また、することが、私は、租税法定主義の正しい延長であり、それが抽象的に租税法定主義を言っているのではなくして、数々読み上げました判例からいっても正しいことではないかと思うわけでありますけれども大蔵省考え方はいかがですか。
  117. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの御指摘の中でひとつ、政令を変えないと課税の網から漏れてしまうということでたいへんだというような御趣旨のお話がございましたが、別表品目の中に入っておりません新しい品目は、政令改正では課税はできません。これは法律の別表の規定そのものを書きかえていただく、あるいは新しい品目を追加するということでないと、できないわけであります。租税法定主義に反しておらないと私ども考えております基本的な姿勢といたしましては、物品税法の別表を見ていただければ、法律の別表でとにかく課税対象になり得る品目というものは法律をもって規定されている。そうなると、品目の中で、九条に書いてございますような条件のもとで、特殊な規格、性状あるいは価格ということで課税からはずれていくものが政令に委任されておる。非課税になる場合が委任されているということでございますので、新規課税をするときに政令で自由自在にできる、品目として新しい品目を自由自在に課税できるということにはなっておりません。  また、九条に基づきますような性状、規格によります非課税あるいは価格によります非課税、これを政令に委任していただいておるということの理由は、再々法制局及び私どもから申し上げておるとおりでございまして、やはりそういう機動性というものを制度として持たしておいていただきたい。もちろん、この条文の中でどの程度委任すべきかというものは、これは基本的には国会で御論議をいただいておきめいただくことでございます。したがって、それ以上、私としてどうしてもここまではいいとかいけないとかいう立場にはございません。ございませんけれども、私どもが御提案いたしております前提としての考え方は、いま申し上げたとおりでございます。
  118. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 機動性を持たしておいてほしいというけれども、私が再三申し上げますように、そんなに新品目というのは出てこないじゃないかということがまず一つの問題であります。  それからもう一つ、施行令の別表の第二、これは控除率がきめてあります。この控除率を受けて、第何条だったか、課税がされるわけでありますけれども、この控除率にしても、たとえば電気ストーブの控除率を三八%にするか三九にするか四〇にするか、この基準というのは何もないわけですね。これは政令に委任されているわけでしょう。ですから、この控除率をどういうふうにいじるかというのは、皆さん方が恣意的にできるわけですよ。違いますか。
  119. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの御指摘は、施行令の別表第二、私ども一定率と申しておりますものでありますが、それについてのお尋ねだと思います。これは根拠は法律の第十三条にございます。十三条で、政令で定めるところにより計算する根拠というものは、法律規定されておるわけでございます。お許しを得まして読み上げてみますと、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十四条……
  120. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 法律があるからいいです。
  121. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そういうことで、どういう計算をするのだという計算の方式は、法律にきめられておるわけであります。それを現実の取引に際しましての費用を十分調査いたしまして、調査の結果として妥当なものを具体的な数字として政令で定める。その政令は、場合に応じまして年度中に変えている例もございます。それから、今回のように新規課税する物品につきましては、今後の動き方につきましては詳細調査いたしました上で、一定率を政令で規定すべき物品が出てまいることも予想いたしております。
  122. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間がたいへんたっているのであわてて質問をしますけれども法律をいじらなくても、政令を直して新規課税するということはできますね。
  123. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点、私、先ほどお答えしましたときに、新しい品目についてと申し上げたのはそういう意味でございまして、現在課税品目になっております中で、政令で規格として非課税になっているものが、実情に沿わなくなって、政令上の規格規定を直す、その結果として新たに非課税になるものがあり、その品目の中で課税に取り込まれるものがある。それは、その意味では、御指摘のように、政令改正によって、従来課税されていなかったものが、今後は課税されるものになるということはございますが、それはあくまでも法律別表に書いてございます品目のワクの中でございまして、法律をはみ出して新しい課税をするということはできません。
  124. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かにその面では法律のワクは出てないけれども、私が先ほど電気スタンドを読み上げましたように、電気スタンドのいろいろな種類があるわけですね。その種類については政令になるわけです。ですから、その一種類のものを課税する場合には、法律をいじらなくても、政令をいじれば新しい品目について課税をすることがあり得るわけです。——新しい品目じゃなくて、いままで非課税にしていたものを、政令を直すことによって新規課税をするということがあるわけですね。
  125. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、法律論といたしましては佐藤先生おっしゃるとおりでございまして、法律において、電気スタンドは物品税課税対象にしていいという御判断を立法府からいただいて、別表は書いてあるわけでございます。その電気スタンドの中で、どういう特殊な形のものを課税にするか、非課税にするかということが政令に委任されている。したがいまして、規格非課税改正した結果として、従来非課税であったものが課税になるということはあり得る。また、今回の改正でも幾つかの品目についてはそういうことを予定いたしております。法律論としては、おっしゃるとおりでございます。
  126. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それが私はおかしいというのです。確かに物品税法の別表には、マッチまで入れて十八品目書いてありますけれども、この中にはいろいろな種類のものがあるわけです。それは政令の別表に書いてあるわけです。そして物品税法の別表に書いてあるもののどういうものを非課税にするかということは、法律の第九条を受けていると言われるけれども、現実には結局政令の別表まで見ないことには、課税されるかされないか、わからないわけです。ですから、法律をいじらなくても政令で課税になるものというのはあり得ることになるわけですね。  もう時間がありませんから最後に——最後にというのは、租税法定主義に違反していないかどうかということの問題についての最後にお伺いをしたいのでありますけれども、これは昭和四十一年当大蔵委員会で三月の二十三日、当時主税局長は塩崎さん、大蔵大臣が福田さんでありますけれども、堀委員、武藤委員と、判例までは使っておりませんけれども、租税法定主義について、いま私があげましたように、法律をいじらなくても政令で新規に非課税品目からはずせば課税になるという場合をあげて、これは明らかに租税法定主義を逸脱をしているではないかというような、同じような論議を別の角度から別の手法を使ってやっているわけであります。それについてちょっと読んでみますと、塩崎さんが、「確かに、私は、堀委員のおっしゃるように、物品税は、法律規定すべき事項、政令で規定すべき事項について、その限界について問題があると思います。そして、多分に、これまでの沿革に支配された税法であることは、先ほど申し上げたとおりであります。しかし、法規的には、先ほど申し上げましたように、現在の通則におきまして、この表における用語の定義、その一から四まで、これは広範なところでございますが、規定の適用に関し「必要な事項は、政令で定める。」というふうに、非常に広範な政令でございますので、そんなようなことで法律的には説明できるのではないか、私はかように考えております。」それを受けて福田大蔵大臣は、「私は、いまの法律関係、これは勉強しておりませんので、初めて聞くわけなんです。しかし、いまの説明のように、法的には間違っておらぬ、こういうことのようです。しかし、それが法として妥当性がある法であるかどうか、この問題は、なお検討してみたい、かように思います。」と、昭和四十一年に福田大蔵大臣が答弁をしているわけでありますけれども、一体大蔵省として、この物品税法のいまの税法の組み立て、特に免税点という、課税されるかされないかという業者にとってもあるいは国民の側から見ても生殺与奪の権を持っているような免税点というものが、政令に委任をされているという現在の法体系というものが、はたして憲法に定める租税法定主義に逸脱をしていないという考えなのか、あるいはいまの税体系というもの、これは税制調査会にはおそらくいかぬでしょうけれども、何かいま物品税法の法体系を変更するために研究する用意があるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  127. 大倉眞隆

    大倉政府委員 再度のお答えでございますので繰り返しになりまして恐縮でございますが、私どもといたしましては、法制局の意見を十分聞きました上で、現行の体系が租税法定主義に矛盾するとは考えておりませんけれども、再三御指摘をいただいた問題でございますから、今後なおその範囲につきまして勉強いたしていきたいと思います。
  128. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、この物品税法を調べていったら、かつて習ったことのあるマグナカルタを思い出したわけでありますけれども、一二一五年、英国王ジョンが諸侯六十八人ですか、から迫られた六十三条のマグナカルタ、大憲章、これには、みだりに課税をしないこと、ここからそもそも英国憲法が始まり、いまの議会が始まっているわけでありますね。日本の議会制度というものは英国に始まっているわけでありますから、その部分が多分に多いわけであります。  そういう面から見ますと、そもそも課税されるかされないかということから発して、いまの英国議会というもの、英国憲法というものができておることを思い起こしたわけでありますけれども、そういった面で国民の側から見て、自分の買ったものがはたして課税をされるのかされないのかということが法律でなく政令に多分に委任をしておるところが多いといういまの物品税法の法体系というものは、私はきわめて大きな問題を含んでいるのではないかということをつくづく感じたわけであります。  個々の問題につきましては、さらに残りに質問させていただきたいと思います。
  129. 鴨田宗一

    鴨田委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時、休憩いたします。     午後一時三十五分休憩      ————◇—————     午後三時五十一分開議
  130. 大村襄治

    ○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村山喜一君。
  131. 村山喜一

    村山(喜)委員 まず、今度の物品税法改正の中で、改正の目的というのは、整理をしたら幾つに分かれるわけですか。消費の平準化とか、あるいはアメリカのほうからの大型車の物品税等に対する減税要求にこたえるとかなんとかいうような問題等も入っているようでありますが、今回の法案の要旨、何をねらっているのかということについて、これは軽減をすることになったわけですから、それだけ大衆の消費生活を豊かにするためにやったのだということになるだろうと思いますが、私がそのことをあえて尋ねたいのは、最近における原材料の物価の異常な上昇というものによって、これだけの減税の措置を講じても、あまり消費者にはメリットはないのではないかと思われるような状態になっておるように受け取りますので、減税幅としてはなるほど出してありますようなことでしょうけれども、そのねらいというものは、どこに主眼を置いてやられたのかということをまず説明を願いたいと思います。
  132. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 物品税は、御案内のように、最近では昭和三十四年、三十七年、四十一年というぐあいに、大体三年ないし四年で改正が行なわれてまいりました。かねがね私どもも四十五年なり六年なりにおいてでき得れば物品税改正をさしていただきたいというふうに思っておったわけでございますが、いろいろな悪条件が重なりまして、ついに今日まで延びてしまったわけでございまして、やはり経済社会の情勢の変化に応じて、三年なり四年なりに一回ぐらいは、事態に応じて改正していくべきものであるというのが基本考えでございます。  したがいまして、今回の見直しも、そういう意味では、一般的に社会経済変化に対応して直すということでございます。たまたま国際経済調整上の措置ということで、昨年は一般改正はいたしませんで、自動車の物品税だけについて直してはどうかという案を御提案申し上げたわけでございますが、その際において、やはり一般的な物品税改正を早くやれという御意思もいろいろな形で表明されたわけでございます。  今回の改正内容は、主として一部品目の整理、それから新しい動向に対応いたしますところの新規物品課税対象への取り上げということを通じて、要するに課税対象の整理ということが一つでございます。  第二点は、税率構造を変えるということでございまして、従来、御存じのように四〇%から五%までの六段階税率になっておりますが、奢侈品とかぜいたく品とか申しましても、だんだん国民生活も豊かになってきたということもございますので、上のほうの税率をやめていってはどうかということで、最高税率を三〇%にする、これを小売りに置きかえますと一五%にするということで、わずか一段階ではございますが、六段階から五段階にするということが二番目の問題でございます。  三番目は、法律には直接関係ございませんが、課税対象なり税率なりをいろいろ総合的に洗い直しをいたしますことと関連をいたしまして、免税点を直させていただく。これは御存じのように政令事項ではございますが、実体的には法律事項とかなり密接に関係をいたしておりますので、法律改正の機会にこれを直させていただく、これが第三点でございます。  以上三点が主要な点でございますが、ただいまお触れになりました最近の物価動向との関係はどうかという点でございますが、四十一年から今日までの物価の情勢は、税率なり免税点なりを考えますときに、十分配意いたしたつもりでございますが、ここ一、二カ月の間にわたりますところの物価動向については、これらの案を用意いたしましたのが一月段階でございます関係もございまして、十分のみ込み切れていないという部分も一部にはあるかもしれないということは、若干懸念しておりますが、しかし、長期的に考えますならば、物価もそう異常な状態がいつまでも続くものではないと思われますので、ある意味でこれでバランスがとれているのではないかというふうに考えております。  なお、手直しをいたしますについては、やはりいろいろ問題もございますので、総体としては減税考えておるわけでございまして、税制改正なかりせばの税収税制改正後の税収とは、四十八年度において約三百億の減税を見込んでおるということでございます。
  133. 村山喜一

    村山(喜)委員 今度、別表に掲げてありますが、前は書だなと本箱との区分がありまして、書だなは課税をし、本箱は非課税ということになっていましたね。今回はそれをその他のたんす、たな物類ということにして、本箱も課税の対象にするということになっておりますね。その点はいかがですか。
  134. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 ただいま御指摘のたんすとたな物類のところは、たな物類とたんすとで免税点が異なるということがございまして、たな物類であれば一個または一組が三万円までは免税である、それからたんすであれば四万円までは免税であるというようなことになっておりましたものですから、本箱、本だなのたぐいにつきまして、これは本箱なりや本だななりやという問題がいろいろございまして、各方面に御迷惑をかける実態になっておったわけでございます。どうもそれはいろいろな面でぐあいが悪いので、たな物とたんすとを一つの扱いにすることにいたしました。従来免税点三万円のものにつきましても、免税点四万円のものにつきましても、一緒にして免税点を六万円にいたすということによって、たんすと概念するか、たな物類と概念するかによって扱いが異なることがないように統一したことでございます。
  135. 村山喜一

    村山(喜)委員 統一、それはどういうような条文になるのですか。物品税法の施行令の別表の十三号の下段のほうに掲げてあります「書だな」というものを削るわけですか。削って新たに政令事項を改正をしようというわけですか。とするならば、それは免税点改正案の中には出てきていますが、政令案の改正の要綱には出ておりませんね。どこに出ておりますか。
  136. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 たんすというものとたな物というものをこの定義の欄から落とすということではなくて、現行免税点の衣服用たんすは四万円、それから茶だんすは三万円、たな物類は三万円となっておりますものを、免税点の欄だけをすべてについて一個または一組につき六万円というふうに改めることを予定しておるわけでございまして、定義の欄は現在の「たんす類とは、」云々、「たな物類とは」、云々と書いてございますが、これは別に改めないつもりでおります。
  137. 村山喜一

    村山(喜)委員 非課税物品のところを削るんでしょうと私は言っているのですよ。定義のところを削れというようなことをあなたに質問しているわけじゃないのです。
  138. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 非課税物品の欄は直さないつもりでおります。免税点のところだけ直すつもりでおります。
  139. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、(一)のロ、「書だな(金属製のものに限る。)」これは非課税だ。これは残るわけですか。
  140. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。残ります。非課税という形のままにしておくということでございます。
  141. 村山喜一

    村山(喜)委員 今度たな物類の三万円というのを六万円に課税最低限の額を引き上げるわけですね。そして書だなはその他のたんす類及びたな物類の中に含まれるのだから、その他のたんす、たな物類として一括そこは規定をするのだということに、その政令事項はなるわけでしょう。いままでは書だなには課税されていなかったわけですから、その書だなはそれでもなおそこに残さなければならないというのはどういうふうな理由ですか。
  142. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 書だなの中にはいわゆる事務用の書だながたくさんございます。事務室で使うとか図書館で使うとか、そういう書だながありまして、そういう書だなは現在ではほとんど金属製のものになっておりますから、そういう金属製のものについては製造価格が六万円以上であってもやはり今後とも非課税であってよろしいのではないかという趣旨で、事務用のものに、それを別の表現で金属製ということで表現をいたしまして、六万円以上でありましても今後とも引き続き非課税にしていきたいということでございますから、そういう私どもの気持ちでございますから、この非課税の欄は全然動かさない、手を触れない、こういう気持ちでおります。
  143. 村山喜一

    村山(喜)委員 私はそこで、一体いまデパートあたりで売られている物品がどのような価格で販売をされているのかということをきのう調べに行ってきたんです。そうして調べに参りましたら、どうも、今度衣服用たんす四万円の分が六万円に引き上げられるわけですが、それはなるほど製造段階課税をされますから、小売り段階課税をされるわけでありませんので、それを引き直して計算をしてみなければなりませんが、その出されている価格を見てみますと、ほとんど課税最低限度額以上のものが陳列をされている。こういうような程度ではほとんど救済ができないのではないかという印象を受けました。  そこで一体、この金額をきめられるときに、これなら国民の標準的な所得階層が求める生活必需品については課税の対象にならないから、これについては最低限度でカバーをしてやろうという趣旨のものが、今日の価格の中ではそれが十分に生かされていないのではないかという印象を受けたのですが、これは一体どういう形でこの六万円なり、あるいはベッド類等については六万五千円という価格を決定されたものなのか、その算出の根拠というものを説明願いたいのです。
  144. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 今回の免税点の是正につきましては、大体免税点の上げ幅を四種類のものに分けて考えております。  比較的大量生産でございまして、別の表現をとりますと大企業製品でございまして、この六年間に合理化等を通じてほとんど価格が動いていないというものもございます。そういうものについてはこの際はあまり免税点を直す必要がないのではないかということで、大体一割から二割の間でその程度にしか免税点を直さない。  それから第二のグループは、これはいわば標準的なものでございますが、物価も上がっておりますし、それから賃金も上がっております。しかもそれが大部分のものが中小企業の製品であるというような場合には、合理化というようなことがなかなかできませんからして、賃金の上昇率を合理化によってのみ込むことができませんものが多いわけでございますから、この種のものについては二割から四割くらい上げる、それが第二のグループでございます。  それから第三のグループは、材料費が最近非常に上がったもの、あるいは付加価値が大きいといいますか、労働を投入しなければならないもの、いわば手間のかかるもの、機械でできないもの、そういう性格のものにつきましては、四十一年当時と今日とでは賃金水準がたいへん変わっておりまして、御存じのように四十一年の経済と四十六年の経済を比べますと、材料費の値上がりよりは賃金の値上がりのほうが非常に大きいわけでありますので、こういう付加価値の大きいものにつきましては、もっと上げ幅を大きくしようということで、若干、こういうばらばらになっておりますが、四〇%ないし一〇〇%というくらいの感じで、ものによっていろいろ実情を調べたりいたしながら上げております。  それから第四のクラスは、これは全然別の角度でやったものがございます。それはそれぞれの品目ごとにそれぞれの事情に応じて特別に考えたものがございます。その典型的な例としては、カバンであるとかハンドバッグであるとかいうものがございますが、こういうものについてはきわめて零細な業者が扱っておるものでございますし、皮革の原材料費が非常に上がっておりますということも考えまして、これはいわば普通の、先ほどあげました三つの基準とは別のものということで、大幅に上げております。  ただいま御指摘のベッドとかたんすとかいうグループは、大体第三のグループのほうの、比較的上げ幅の小さいほうでありまして、考え方といたしましては、ベッドにつきましてもたんすにつきましても五割ということにしましたような気持ちでございます。たんすについては四万円を六万円とし、ダブルベッドについて四万三千円を六万五千円とし、シングルベッドは三万円を四万五千円とするというのは、五割上げるという、こういう思想でございます。その間におきまして、先ほど御指摘のような、たなものとたんすとの問題というのがありましたが、たなものにつきましては、たんすと一緒にしてしまったということから、結果的に三万円から六万円に、倍に上がった、こういうかっこうになっております。  それで、いまの四つの段階に分けるのに、どの品物をどのように当てはめをするかということは、これは原則的には材料費、労賃、そういうものの組成割合であるとか、あるいはどの程度の小規模の方が扱っておられるかとか——小規模ということは、すなわち企業合理化の可能性が小さいということを意味いたしますから、そういう意味でそういう方々が扱っておられるかということを、各業界等から事情を伺いまして、それを突き合わして個別に当たっていった、こういうことでございます。
  145. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が尋ねているのにお答えをいただいていないのが一つあるのであります。それは、店頭に並べられている品物がほとんど課税物件としてしか見られないようなものしかないじゃないか。だから、これだけ引き上げても、デパートあたりで売られているものは、庶民にとっては手に入らない。課税されるものしか手に入らないじゃないかという実情にあるのではないか。どこでこの価格の正当性をおきめになったのかどうかということを聞いているのです。それは、「私たちの税金」というので、国税庁が出された本があります。本の中に、物品税というのは、物品消費に示される担税力に応じて課税されているんだ、こういうふうに書いてありますから、標準的な家具等については課税の対象にしないという考え方であるべきだと私は思うので、そのことを聞いているわけです。
  146. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 率直に申しまして、私どももデパート等に行って品物を見ますと、いま村山先生がおっしゃったような感じがしないでもないわけでございます。たんすが六万円になりました場合にどの程度免税になるかということでございますが、私どもの見ておりますところでは、製造段階で六万円のたんすというのは、デパートはちょっと別でございますが、通常の小売りでございますと、十万円ぐらいの品物になるのではなかろうかというふうに思っております。ところが、いま御指摘のように、デパート等では、その十万円のような品物はほとんど売っていないということでございますから、そういう意味では、まだ十分な水準でないということがいえるのではないかとも思われますけれども、実はこの種の品物については統計が十分整備されておりません。  したがって、どのくらいの商品が出ておって、どの程度のものが課税になっておるかということについて十分資料がございません。課税統計はありますけれども、その課税統計は、非課税物件は課税統計上載ってまいりませんものですから、十分資料がございません。けれども、その方面の所管でございます通産省等に伺いますと、四十六年から四十七年当時の現状におきましても、いわゆるたんすについては、現在課税になっているものが大体四ないし五%であろう、九五%までが課税になっておらぬというのが、全体の関係業界の、協会とかいうところあたりからのお話を聞いたりしての感覚のようでございます。     〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 それはやはり、デパート等では、ある意味からいいますとかなり高級なものが扱われておりますし、全国的にたんすが、それぞれのたんす専門店等でございました場合には、やはり百貨店等の場合とは価格水準がやや違うようでありまして、まあ新しく家庭を築くときに最低限度のたんすを買おう、最低限度といいますか、そういう趣旨であれば、まあまあ十万円であれば何とかいけるというような感じを、私どもはいろいろ話を聞いて持っておるわけでございまして、一面において、御指摘のような面もございますが、通常のたんす専門店等のことを頭に置けば、まずまず十万円であまりぜいたくでないものということでがまんしていただければ、だいじょうぶだという水準であるというふうに考えております。
  147. 村山喜一

    村山(喜)委員 いなかのほうはそうだろうと思うのですよ。私は、三越の日本橋の店で調べてみたら、衣装だんすがチーク材を使ったんだと書いてありますが、三十一万五千円、それから洋服だんす二十五万五千円、整理だんすが二十四万円。係に聞いてみたのです。それは物品税が、三十一万五千円の場合に幾ら入っているかと聞いてみたら、物品税は蔵出しの段階で三万円かかっているでしょう。その税抜きで幾らぐらいで買っているのかと聞いてみたら、十五万円だというのですね。だから、税まで入れたら十八万円。それが三十一万五千円で売られているわけです。まあそういうような形になっている。これはあとは、税金を納めたら、小売り段階で幾らで売ろうが、それは相対取引ですから、それで買えば幾ら高く売ってもいいわけです。そういう形になっている。  それから、キリ製品がありましたので聞いてみたら、四十九万五千円というのが掲げてあるわけです。これは別表一の下欄に掲げていますように、キリ製品については非課税だというふうになっておりますね。そこでキリ製品というのは一体どういうようなものかということを聞いてみたら、キリの材料を五割以上使っておればこれはキリ製品なんです、こういうふうに言っているわけですね。じゃ、担税力がある者に対し物品税というものはかけるということになれば、四十九万五千円というキリの製品の衣装だんす、それが買える人には税金はかからない、そして三十一万五千円の人には三万円の税金を取り立てる、こういうことになるわけですね。それは担税力の上から見て公平ではないのじゃないか。こういうような点をなぜ非課税にしたのか。  これはいろいろ歴史的ななにがあるだろうと思うのですが、こういうようなものも、担税力という点から目をつけるならば、私はやはり高いものを買える人にはよけいな税金を納めてもらって、標準以下の人からは税金を取らないというたてまえのほうが物品税の中でも通らなければこれはおかしなことになる、こういうように考えるわけですが、その点はいかがですか。
  148. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 物品税にはいろいろぐあいの悪い点と申しますか、困った問題が内在をしておるわけでございます。その中の一つとして、いわゆる零細企業製品といいますか、中小企業製品といいますか、そういうものについて、物品税課税に非常になじまないものがいろいろあるわけでございます。その典型的なものが、よく御批判を受けておりますところの高級織物でございます。高級織物等は、でき上がった品物は一つの品物でございますが、糸の段階から、織りの段階から、染めの段階から、あるいはしぼりだとか、いろいろな段階を通じて実に大ぜいの人の手に渡って最後にお店に並ぶような状態になるということで、どの段階でどういうふうにとらまえたらよろしいかという問題があって、現在は先生よく御承知のとおり、これは非課税になっておるわけでございまして、あの高級繊維の問題に典型的にあらわれますように、その産業の特殊なでき上がり工程との関連において、どうも物品税課税にふさわしくないものが、最終価格としては相当高いものでありながら今日物品税の対象になっていないという現象が出てきておるわけでございまして、これは過去におきましてもいろいろ各品目ごとにそれぞれのいわば歴史があって今日に至っておるわけでございます。その部類の一つに、ただいま御指摘のキリ製のもの、それからウルシ塗りのものについてそういう経過があったわけでございまして、今日もそれを踏襲しておるわけでございます。  御存じのように、キリ製のたんすは通常のたんすのように同じ削りをいたしますにも特殊なかんなで特殊な技巧を使って特殊な経験の人でなければできないというようなことがあり、ウルシにつきましてもいろいろそういう特殊技術があるようでございまして、そういう意味で、材料が高いわけじゃなくて、特殊の技術を労力をいとわずに積み重ねてきているところにそういう品物ができるようでございまして、そういう経過に着目して、そのように特殊な、何と言いますか職人かたぎの方が、伝統的な技術を縦横に駆使してつくり上げたものまで物品税の対象にすることはどうかというところから始まって、キリ製品、ウルシ塗りというようなものについては課税対象にしないという経過を経ているわけでございます。  次に問題になりますのは、その場合に、キリのたんすなどキリ製品は課税対象から除外するということになりますと、どのようなものをキリ製品というのか、何%以上材料にキリを使ったものでなければいけないというふうにするか。たとえば三方ギリだとか四方ギリだとかいろいろ議論が展開されました結果、いまのところは総材料中キリの占める割合が五割以上のものということになっておりますから、本来のものとややはずれたもの、完全な意味における伝統芸術品とは言い切れないものまで現在そうなっておりますが、これは本来の趣旨とはまた違うので、現行税務執行の都合上、五割というところから切ったということでありまして、村山委員指摘のようなアンバランスのおかしさというものがあることは事実でございます。これは現行物品税法の、また個別物品税という形式をとる限りにおいては、どうしても避けられない宿命的なものではないかと私どもはそう思っております。
  149. 村山喜一

    村山(喜)委員 ついでに本だなをさがしてみたんです。そうしたらりっぱなナラ材を使いましてつくられたのが二十三万五千円という品物が並んでいる。これは大量生産ができない。だから伝統的な技術を持ったそういう職人がつくっている。だからこういうようなものは私はあっていいと思っているんです。ただし、それはさきのキリだんすと同じように高い物品税を課するべきなんです。そして標準以下の家具については課税をしないという原則を、そしてそういうような特殊な技能、技術というものを受け継いだ高額のものは、それは高額所得者が買ったときには担税力に応じて物品税を納めてもらう、そういうような形に割り切らなければ、その伝統的な技術を受け継いだものだからそれは非課税にするのだという筋は通らぬと思うのです。  それは当時そういうような運動が起こって、一つ物品について、政治家の力の強い人が、これは非課税にしろということでそういうような実現がされたというふうに私たちは聞いております。そういうようなのは、国民の公平な見地から見た場合にはやはりおかしいのではないか。そうでないと特定の業界に、与党の政治家と言えば語弊がございますが、実力を持っているのは与党の諸君ですから、それがついて、そして物品ごとに特異な形態の税体系が生まれるということになると、そこには産業界と癒着をしていく政治の姿が生まれるわけです。そういうようなのが税法の中でたくさん出てきたら、税法自体が死んでしまう、そういうふうに私は思わざるを得ないわけです。その点は山本政務次官いかがお考えですか。大臣答弁のところだけれども政務次官の所見をお伺いしたいと思います。
  150. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 こういう物品税にはそれぞれ沿革といいますか、できたときの経緯がいろいろあって、いまでもまだそれを踏襲しているという面が残っておることは御指摘のとおりだと思います。しかし、一面において伝統的な技術保存ということも確かにこれは必要なことなんで、そういう面はひとつ大いに見ながら、いまおっしゃるような新しい物品税というものが国民生活の実相に合うようにしていくべきものであることは私も否定できないと思います。私も詳しいことを存じませんので、たいへん大まかな話で恐縮でありますけれども、そういう感じを持っておるわけであります。
  151. 村山喜一

    村山(喜)委員 決断と実行とか、流れを変えようとか、やはり発想のしかたをもうお変えにならなければおかしいですよ。たとえば化粧品であれば三百円以上のものは課税の対象にするのでしょう、三百円までは非課税だけれども。総ギリだんすのように五十万円の品物について——それは総ギリだんすじゃないですよ。見てみたらキリを半分しか使っていないですよ。キリ製品の衣装だんすとは思われないという専門家の意見もあります。そういうようなものについては、これは担税力のある人が買うわけなのに、それは非課税にして、そして女の人たちが化粧をするのに四百円ぐらいの化粧品を買ったらそれには物品税がかかる、こういうようなことになるわけでしょう。だから、そういうような物品税法というのは間違っているんじゃありませんかと言っているわけです。これは今後お直しになる意思はなんですか。再検討される意思はございませんか。
  152. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 現行物品税に限らず、個別消費税にはどうもそういうのがつきまとう傾向があるわけでございまして、諸外国で個別消費税がなくなってきました過程におきまして、たとえば一般取引税なり付加価値税なりが発生しました過程におきまして、あたかも税収目的でそういう制度ができてきたような点がわが国の場合には非常に強調されておりますけれども、私どもの勉強も足りなかった面もございますが、その後いろいろ調べてみますと、やはり個別物品税の方式というものはなかなかうまくいかない、結局それを手直しをするということとの関連において一般消費税に刻々とかわっていったという歴史があるわけでございます。  そこまでいきませんでも、現行のような個別物品税方式というのについては、なお問題があるわけでございまして、たとえば付加価値税の中においてあります中小企業対策の減免税の制度というような企業別減免税制度をこういう間接税にも導入をしてくる、個別物品税のままでも導入してくるというような方法があり得ないだろうかというようなことも、今後の検討課題としてはやっていかなければならぬ問題であるというふうに思うわけでございます。ほかにもいろいろ問題がございますが、ただいま御指摘のそういう特殊な手間の非常にかかりますものについて、そして一人なり二人なりのきわめて小規模な企業において行なわれておりますものについて、むしろ高級品が生まれてくる場合がございますので、そういうものについての今後のあり方については、現行のような免税点引き上げではなしに、別の方式で何か解決する方法はないかということは、御指摘もございますし、各方面からもいわれておりますので、今後検討してまいらねばならぬというふうに考えるわけでございます。
  153. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵大臣お見えでございますので質問をいたしますが、いま物品税審議をやっておりまして、私、きのう三越に行きまして調べてきたのです。そうしたらキリ製の衣装たんすがありまして、それは四十九万五千円という正札がついておった。そこでこれは現在非課税措置がとられておりまして、キリ製のものは物品税はかからないことになっております。ところが、きょう資料をいただいたのを見ますと、化粧品の場合にはいままで二百円であったものを今度は三百円に免税点を引き上げます、課税最低限度額を引き上げますということですね。そうすると、かりに五百円の化粧品を使った場合には、その分については課税されるということになるわけです。だから、片一方においては担税力に応じて物品税というのはかけるんだということがこの大蔵省の本の中にも書いてあるわけです。そうすると、総キリのたんすを買うような購買力のある人には、やはり物品税を相当に出してもらって、そして五百円の化粧品しか買えないような女の方には税金をかけないというのがほんとうの考え方ではなかろうかと私は思うわけですよ。しかしそうはなっていないわけです。  ですから、そういうようなのを大蔵大臣としては、いままであるものを積み上げた形で、たとえば家具類の場合等が、衣装たんすが四万円までは非課税であった、今度は五〇%上げて六万円までは課税をしないというふうに措置をするんだから、これはたいへんな善政だというふうに言われるだろうと思うけれども、そういうような発想のしかたでなしに、もう一回全体を見直してみる必要があるのではないか。そうでないと、私たちは、業界べったりの、そういうような特殊な利益と非常に密着した政治のゆがんだ姿が物品税法の中にあるではありませんかということを国民説明をして回らなければならぬと思うのですよ。そのことを大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、お答え願いたいと思う。
  154. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 たんすの総ギリのものについては、前回もこの委員会で御論議をいただいたところですが、これは御承知のように零細な業界といいますか、これがキリのたんすについて特殊の技術というか、そろいうことでやっておって、なかなか徴税的にも捕捉しがたい、それから古来の特殊の技術を温存したいというようなそういう観点に立って考えてきたところであって、特に地域的な政治的な要請というようなことに配慮を加えてこういうかっこうになっているのではないというふうに私どもとしては考えているわけでございます。そういう観点から、特に今回におきましても従来の考え方を変える必要はない、こういうふうに考えてまいったわけでございます。いろいろ御論議のあることは承知いたしておりますが、そういう経過であり、沿革であったということは御理解をいただけるところかと思っております。
  155. 村山喜一

    村山(喜)委員 やはり発想の転換は愛知大蔵大臣もおできにならないようです。そういうようなのはもう触れないほうがいいという気持ちのようです。それはキリのたんすをつくっている人の場合も、それから伝統的な技術を受け継いだ職人さんが零細な規模の中でつくっている場合も同じようなことがいえるわけですよ。ですから、特定の物品だけは免税にしてやるんだ。それは伝統的な技術を残すという意味からはうなずけないわけです。私は伝統的な技術は残さなければならぬと思います。その場合にはそれだけ手が要るし、そういうような職人の人が何十年も腕をみがいた人がつくるわけですから、そういう物品は高くていいと思います。高くていいけれども、それには物品税というものは課するべきだ。大体五十万円近い家具が、これは税金はかけませんよというような顔をして陳列をされておりますよ。片方においては三百円でも四百円でも課税をするんですよというそういうやり方というのはおかしいじゃありませんか。やはり伝統技術云々というのはちゃんとそれを購買していくだけの能力のある人たちが負担をしていくべきなんです。こういう基本的な考え方に立たなければおかしいわけですよ。それでもやはりさいぜんのような答弁を繰り返されますか。もう一回お伺いしておきます。
  156. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題はたんすに限らず織物等にもあるわけでございまして、結局個別的な物品税制度というものを考える場合におきましては、やはりこういう点を相当考慮の要素の中にいれる必要があるのではないだろうか。ですから、たとえば将来一般的な消費税というようなものでカバーするということになりますと、また考え方が違ってくるかと思いますが、個別的な物品を対象にして物品税ということになりますと、やはり発想の転換ができないといっておしかりを受けるかと思いますけれども、この物品税という性格から申しますと、そういう考慮が相当に働いてしかるべきではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  157. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、国民が日常的に使うようなものには課税をしないという原則を物品税ではきちっとしておくべきだということを私は言うわけですよ。日常的な製品にまで課税をするという態度があるから問題を大きくいわざるを得ないわけです。そういうようなのがなお直らない形の中で今回も提案をされておりますから、私のほうから意見を申し上げたわけです。  そこで前、大蔵省で活躍をしておられた塩崎潤さんの「物品税改正案はどのようにしてでき上がったか」という記事を私は見てみました。これは非常に努力をされたようでございます。しかしその中で、零細企業の製品等に対する課税は、問屋などから買いたたかれて転嫁ができずに直接税になってしまっている、そういう形にとらえておいでになるようであります。そうするならばこれを撤廃するのが正しいんだという基本的なお考えのようであります。しかし、業界のほうが今度は課税最低限度を引き上げるということで運動をしてきたので、それにこたえて自分は努力をして実現をしてあげたんだと書いてあります。まあ努力をしていただいたことは業界のために非常にけっこうでございます。  しかしいま製造課税ですね。そうすると、蔵出しのときに課税をされる。実際はそれを受けて店頭で売る場合には、幾らそれを四割でも五割でもかけて売ってもいいわけです。そのときには税は対象になりません。それで私も実際その価格を調べてみましたときに、衣装たんすの三十一万五千円というのがありましたから、これは蔵出しの税抜きでは幾ら程度で手に入れたかと聞いてみたら、十五万円だというのです。税金が幾らかかっているかといえば、まあ大体三万円です。あとは小売り店ですか、そこの販売のマージンになりますと、こういうようなことですね。  ですから、一体物品税というのは製造段階でかけるべきなのかあるいは小売り段階でかけるべきなのか、これは品物によって違うわけでしょうが、そういうふうに転嫁されて零細な企業者がたたかれる、こういう状態になっておるようであるならば、力のあるところに課税をするというのが原則ではなかろうか、私はそう考えるのですが、そういうような状態だということを大臣もお考えになっていらっしゃるわけでしょうか。とするならば、その税金のかけ方についても検討されるべきだと思いますが、それらについての御意見をお聞かせをいただきたい。
  158. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 製造段階での課税がよろしいか、小売り段階課税がよろしいかということは各品目ごとに違うと、ただいま御質問の間でおっしゃいましたが、まさにそのとおりでございます。ただいま御指摘のように、たんす等につきましては、メーカー自身が経済的にも他の面からいってもそう強くない。だから、小売り段階課税にしてはどうかという議論も起こる余地があるわけでございますが、物品ごとにいろいろ事情は違いますけれども、どちらかといいますと、日本経済の場合には小売り屋さんというのは、デパートその他を別にしますと、そう強い、力があるということは一般的にはいえないわけでございまして、むしろメーカーさんのほうが小売り屋さんよりはいろんな意味において力があるといいますか、体制が強いというのが一般的ではないかというふうに思います。今後とも各物品について、小売り段階での課税がよろしいのか、製造段階での課税がよろしいのかということは、各物品ごとの流通ないし取引の状態に応じて検討しなければならないわけでございますが、段階を変えるということは、過去において宝石等において経験がございますように、どの段階での課税がよろしいかというのは客観的にいえることのほかに、現在ある秩序を変えていくことになるということは、かなりむずかしい問題でございますので、今回も頭の中では、そういう問題が物品税改正に関連してあるなということは承知しておりましたが、ある具体的な商品について、製造段階から小売り段階課税を変えるということになりますと、それ自体なかなかたいへんなトラブルが起きますので、そこまでは踏み込めなかったということでございまして、しかし、そうは申しましても、今後とも各業界といいますか、商品の流通形態に応じて検討はいたしてまいらなければならないと思っております。
  159. 村山喜一

    村山(喜)委員 主税局長のほうが答弁されましたので、大臣はもういいです。  次の問題に移ります。それは、通産省にお尋ねしますが、最近、原材料の値上がり、私の地元からも陳情書が来ておりますが、ベニヤの家具等をつくります材料が、昨年、一枚について百八十円のものが、現在では四百五十円ぐらいにまで値上がりになっている。そして外国から、特に台湾、韓国から、争って四千万枚ぐらい輸入をしている。そういうようなかっこうの中で、四百二十円ぐらいで問屋が受け取っておるようだということであります。  このように値上がりしていく結果として、結局、製品の価格の上にそれがはねかえってくる、こういうことにならざるを得ないと思いますが、一体どういうふうな形でこの資材の値上がりに対応して、あなた方は指導していらっしゃるのか。この値上がり操作によって二百七十社の合板メーカーと商社は一挙に黒字に転じて、そして福岡県の大川市の家具製造業者あたりは、半分は生産を中止せざるを得ないような状態になっているという問題が出てきております。それに対してどのような対策をおとりになっていらっしゃるのか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  160. 本多秀久

    ○本多説明員 ただいま御指摘の家具の材料、特にベニヤ、合板の問題でございますが、実は合板の直接の所管は林野庁と申しますか農林省でございますが、私ども、家具を見ております関係で、林野庁担当部局に、合板の価格の高騰防止に対しましていろいろ意見は申し上げ、価格の引き下げの方向へ実はお願いしてきているわけであります。それで幸いここ半月ぐらい若干下向きの傾向に向かっておりまして、家具用の合板と申しますのは二・七ミリの薄い合板でございますが、最近は四、五十円ぐらい下がってきておりまして、おそらく一枚三百六十円ないし三百八十円ぐらいで家具の業界のメーカーの方々が入手されておられると思います。  それと、私ども農林省とも話し合いいたしました結果、合板のメーカーと、これは合板のメーカー団体がございますが、合板のメーカーと家具の業界とが地区別に話し合いをいたしまして、一部の量につきましては、問屋を通さないで合板メーカーから直接家具のメーカーが合板を入手する。一定の価格をきめまして、二カ月ぐらいの範囲で価格を値ぎめいたしまして、合板のそういった形での玉の確保、あるいは価格を一般価格よりはかなり安い値段で各メーカーが合板を入手できるような体制につきましても行政指導いたしてまいっておりまして、現に関信越地区ではそういった形での直接買い付け方式がとられて、しかも若干の効果があったのではないか、かように考えております。
  161. 村山喜一

    村山(喜)委員 去年の安い段階では一枚が百八十円、それが二月の高い段階では四百五十円、そしていま幾らか下がって三百五十円から八十円、そういうような価格形成ですね。そうなると、それは製品価格にはね返らざるを得ないわけです。ですから、結局、製品をただ値上げするのではなくて、それにはまた付加価値をつけて、デザイン等を幾らかよくして、そして値上げをせざるを得ないという形にならざるを得ない。だから、物品税課税最低限の額を引き上げても、実際にはまたそれが大衆課税にならざるを得ないというかっこうになっている。そういうようなことになりますので、この点については今後の物価政策の問題として、大臣も御留意をいただいておきたいと思います。  最後に主税局長にお尋ねしておきますが、最近は、住宅というのが一つの産業として、組み立て方式の住宅構法の変化というものが生まれてきて、そこには取りつけのたんすであるとか、あるいはつりだなであるとか、あるいは住宅その他のユニット家具類であるとか、こういうようなものが一緒に住宅の側から中にセットされる。それは非課税ですよ。それとの関係をどういうふうにお考えになっているのか。今後やはりそういうような形に変わってくるだろうと私たちは思うのですが、家具というのは動かすことができる生活道具をいうんだというふうに聞いたりしますが、そういうような固定したものは家具とはいえないのかどうか、その定義の問題も含めてお答えを願っておきたい。
  162. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 この問題もまた物品税につきまとう非常にぐあいの悪い点でございます。物品というからには、単体で、一つのものとして意味をなすものでなければならないわけでございまして、材料を持ち込んで、家の中で大工さんがセットをしたという場合には、これはどの段階でもちょっと物品と呼ぶにふさわしい状態ができないで、完成品になってしまうということでございまして、たとえばそういう家具のほかにも、いろいろ暖冷房関係なんかにつきましても、建物と一緒にパイプを通し、でき上がって完成品へつくり上げてしまう、建物の一部をなしてしまう、ことばの概念では施設とも呼ぶべきもの、そういうものはどうもいまの物品税体系には入ってこれないような関係に立つわけでございます。これは先ほどの総ギリたんすの問題と同じように、現在の物品税の持ちますいわば宿命的なウイークポイントでございまして、これを改めなければならぬというようなことを積み重ねていきますと、何か個別消費税ではない形のものを、補完的にでもせよあるいは一般的にでもせよ、それはまた別の問題としまして、何か入れてこないと、たまたま物品と呼ばれるものは課税になるし、施設とも呼ぶべきものは課税にならぬという結果になりますので、そこはいろいろ形態といいますか、そういう製品といいますか、工程といいますか、そういうものの変わりぐあいに応じて、今後とも長期課題として私ども勉強しなければならぬというふうに思っております。
  163. 村山喜一

    村山(喜)委員 最後にお尋ねしますが、物品税法改正の結果、三百七億が減免をされる、こういうことでございます。この実施が、参議院まで通りまして施行されるということになると、現行の法案では四月一日実施ということになっておりますが、これをさかのぼるということの考え方については、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。第一種の小売り段階におけるものは、やはりその日その日で販売をされるわけですから、さかのぼってやるだけの措置はできないと思います。しかし第二種のものについては、これは製造過程での課税ですから、翌月の五日までにそれらの書類についての申告措置をすればよろしいということなっているわけですから、きちっと記帳の上において整理をしていくならば、本月中にこれが実施をされるということになるならば、さかのぼってその恩恵の措置を与えるということは可能ではないかと私考えるのですが、そういうような考え方をお持ちであるのかどうか、最後に承りまして質問を終わりたいと思います。
  164. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 その点は、何とかうまい方法はないかということを私どもも一応検討はいたしてみました。現在、製造課税であるから、そして移出段階での課税であるから、一ぺんその製造場から外へ出た以上は何ともならぬというふうに窮屈に解釈しないで、何とかうまい方法はないかということを一応は検討してみましたけれども、個別個別にいろいろ問題がございまして、うまくいかない。それがたとえばあとで物品税が下がれば中には安くして売るというものもあるわけでございますが、そういうふうに税を返すということと、末端の価格が下がるということとうまくつながらないというような問題がありまして、せっかく還付をいたしましても、末端の価格が下がらないというようなことでは何にもならないことになりますというようなことがございまして、研究はしてみましたけれども、どうもうまくいきませんので、私どもの気持ちでは、今回の場合も、これを成立さしていただきましたならば、なるべく早く施行に移さなければならぬというふうに考えてはおりますが、戻すというところまではどうもうまくいかないというのが、現時点での検討の結果でございます。
  165. 村山喜一

    村山(喜)委員 その点については十分検討をして善処を——そういうような、申告税ですから、蔵出し税であっても措置がとれるのではなかろうかと私は思うのです。材料費も上がっている段階でもありますし、そして物価が上昇をしている過程ですから、できるだけそういうような期待にこたえるような措置をおとりになるほうがいい政治ではなかろうかと思います。  さっき佐藤君の論議の中で、私気がついたのですが、第九条の非課税措置のところで、政令の八条で物品税の措置がとられて、非課税と最低限度額の措置がとられておりますが、これについても、どうもほかの法令との関係から見まして、非課税というのは、物品については課税をしないという、特定の物資をあげて措置をしているものが、ほかの法律には普通の形態としては出ているようです。課税最低限度額はまた別個に免税点として措置をするというふうな形で整理をされるのが、法律的には正しいのではないかと思うのですが、その点については、法制局がお見えになっておりますので、どうも法文のスタイルからいいましておかしいのではないか。非課税のところで、非課税物品課税最低限度額も一緒くたにして規定しているところに、物品税法第九条のそういうような混乱があるのではないかというようなことを感じましたので、答弁ができるものであれば、法制局から答弁をしていただいて、私の質問を終わります。
  166. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答えをいたします。  物品税法第九条は、御指摘のとおり、価格の面と特殊な性能、構造等を持ったいわゆる機能面に着目した面と、両方一緒くたにして非課税規定を置いているわけでございますが、たとえば入場税の場合でございますと、免税興行といったような規定がございます。ただ、その場合には、免税の場合と非課税の場合とは法律的にも効果が違うわけでございまして、物品税の場合には、こういった免税という方式を、他の規定にはございますけれども、ただいま御指摘の点に関する限りにおきましては、いずれも非課税ということになっておるわけでございまして、そういう意味で、この第九条にまとめて書いてあるわけでございます。  ただ、その点につきまして、九条をたとえば分割して分けたらどうかというような御意見もあろうかと思うのでございまして、その点につきましては、政令に委任するしかたの問題ともからみまして、いろいろからめての問題もあろうかと思うのでございますが、さしあたり、現行法の九条の規定が、この面からいって非常に問題があるというふうに私どもとしては考えていない次第でございます。
  167. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  168. 鴨田宗一

    鴨田委員長 荒木君。
  169. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 私は、まず入場税についてお尋ねをしたいと思いますが、御承知のように、入場税撤廃を求める声が非常に強くなってまいりました。この委員会でも、再三入場税は撤廃すべきであるということが論議されたことは御承知のとおりでございます。これは考えてみますのに、文化、芸術に対する助成の必要、これを求める声がだんだん強くなってきたということと、それから文化を運動として起こしていく、こういった運動が近年非常に盛んになってまいりました。こういったことから撤廃を求める声が非常に盛り上がってきておる、こう思うのでありますが、今回の改正案を見ますと、税率には部分的に考慮されたあとが見えるのですけれども、やはり依然として入場税は存続されておる。いろいろ伺いますと、中には筋論というふうな話もありまして、その点でたいへん残念に思っておるのですが、全体の政策としまして、文化、芸術に対する助成の必要ということは、これはもう間々論議されましたとおり、どんどん強化していかなければならない。そのことと入場税税制との間で、なおいまのような改正案に見られる限りでは矛盾が起こってきておるのではないか。そこでそういったことを少し指摘をいたしまして、なお御意見を伺いたいと思うのであります。  まず、この前提としまして初めに文化庁に伺いたいと思うのですが、お見えになっていますか。——映画演劇、演芸、芸能、こういったことについての助成の基本的な方針といいますか、大まかな方向をまず初めに伺っておきたいと思います。
  170. 橋本眞

    ○橋本説明員 お答えいたします。  文化庁で芸術団体の助成それから四十七年度から優秀映画のための奨励金というふうな制度を設けておりますが、これはどういう方針でといういまの御質問でございますが、優秀な舞台芸術なり、あるいは映画芸術なりを作製していただく、あるいはそういった振興をはかる、そういった方向で各芸術団体の実績なり、それからまた事業内容なりというふうなものを勘案しながら助成を行なっております。  以上でございます。
  171. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 いま映画に限ってお聞きをしたのですが、本年からそういうふうな形で助成が始められた、こういうことで、それはそれでけっこうなことだと思うのでありますが、その助成を受けた映画の上映、そこへの入場ということについてもこれはやはり入場税の対象になっておる、こういうふうに思うのでありますが、これは政府委員のほうではいかがでありますか。
  172. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 原則として課税になっております。
  173. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 一方では助成をするということで国が税金の中から金を出し、そしてそれを育てる。一方ではそれを鑑賞するということで入場する人たちから入場税を徴収し、主催者から納税義務者として入場税を取りたてる。これはそのものずばり全く重なり合うわけではございませんけれども方向としましては必ずしも同じ方向を目ざしておるとはいえない。制度の趣旨が違うという点や、それからいろんな付随的な事情はありましょうけれども、しかし助成しそれを奨励するという限りでは、税制上も当然そのことが配慮されるべきである、こういうふうに思うのですが、この点は政府委員の方いかがでありますか。
  174. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 事の性質によっていろいろ違ってくると思います。おっしゃるように、片っ方において歳出において助成をするという場合には、それに対応して税も特別扱いをするということがあってよろしいのではないかと思います。しかし、すべての場合そうだというわけにはまいらないわけでございまして、一方においては助成をしながら、片っ方においてはやっぱり税を納めていただくというやり方をしている場合も、むしろこのほうが多いぐらいではないかというふうに思います。間接税の体系の場合には、たとえばピアノ等の物品税について特に特殊用途免税ということをやっておる場合もございますけれども間接税一般的性格からいって、こういうものを免税にするとか、こういうものは非課税にするとかいうことでやってまいりますと、非常に複雑な仕組みになってまいりますし、それから免税というのは、また、どこで線を切ったらいいのかということでいろいろごたごたしたことが次々と限りなく広がってまいりますものですから、間接税の体系におきましても、免税をあまり広げるということは好ましくないと考えるわけでありまして、その意味において、現在の段階では特にこれは助成、奨励をすべきものであるからというだけの理由で直ちに免税というわけにはいたしてないわけでございます。  御存じのように、昨年でございましたか、伝統的な歌舞伎等の脚本を使い、そして人間国宝の方が出演されるものについては一部課税をしないということが、長いここの委員会における御審議の末生まれてきております。そういうこともやっておりますから、本筋として絶対それはいけないとかなんとかということを申すわけではございませんが、そういうふうにいたしますと、かなり事態が複雑になりますので、よほど特殊な場合、特例の場合にだけに限らしていただきたいというのが私どもの現在の考え方でございます。
  175. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 これは主税当局の複雑な事務手続の煩瑣なところに根本の問題があるのではなくて、やはり国全体として文化を助成しそれを発展させる、こういったところに斉合性が求められなくてはならぬ、こういうふろに考えるわけであります。  そこで、この問題はずいぶんと経過もございますし、この委員会での論議もあるわけですが、いまのお話のように、委員会審議の中で、人間国宝の場合でありますとか国立劇場の場合でありますとか、ごく部分的に認められて事態が進んできたわけですね。そこで、今回は「国」ということになっておるわけですが、たとえばいま自治体がいろいろとこういった芸能について助成をしています。私ども調査によりますと、全国で約二百二十件の芸能についての保存指定があって、地方自治体がこれを助成している。また私の選挙区の大阪では、文部省とそれから大阪府、市、NHKが一緒になりまして文楽協会に助成をしておる。こういうような公的な団体あるいは地方公共団体がいろいろ検討の上、これは保存助成すべきである、こういって補助金を出し奨励をしておる。そういった芸能、芸術に対して関係者はいろいろと、少しでも多くの方に見ていただきたい、料金も配慮をしたい、中身もよくしたい、こういって努力をしておるわけでありますが、そこへ入場税が入って料金がそれだけ高くなる。これは、そういう関係者の努力といま主税当局がおっしゃった事務上のいろいろな手続の問題とどちらをとるべきか。これはひとつ大臣に両方をあわせた政策の問題として御意見を伺いたい。
  176. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 その前にちょっと、何か私どもが税の仕事の便宜からそれをきらっているように思われますといけませんので、その点だけ若干説明をさしていただきたいと思います。  先般の伝統的芸能、たとえば歌舞伎なら歌舞伎につきましてどういうものを非課税にしようかということをきめますにつきまして、大体方針としてこういうものは非課税にすべきであるということを当委員会等で御論議をいただきましてからそれを決定いたしますまでに約一年近い月日を要しております。なぜそんなに月日を要するかと申しますと、やはりどういう脚本がよろしいとか、その脚本にしましても、いつどの時期までに、たとえば明治の時代、大正の時代昭和時代、どこまでに書かれたものでどういうものを伝統的と見るべきかというような議論が果てしなくいろいろございまして、とうとう一年近くの日時を要してしまったわけでございます。これにつきましては、私どものほうだけではなくて、それなりに芸能家なり演芸家なりの間でもいろいろどこで線を引くべきかということをきめるのに時間がかかったわけでございます。この一事をもって御理解いただきたいと思いますのは、何か特別なものを特別扱いをするということになりますと、さてそれはどうすべきかということは決して私どもだけじゃなくて、そのことに御関係のある文化のフィールドの方々の間でとくと御議論いただかなければならぬ。向こうが軽減されるならこっちも軽減されてしかるべきということもいろいろあるわけでございまして、そういう意味で、どうもあまりその種のものを多々置くことはどうであろうかということを申し上げているわけでございまして、一ぺんこういうものは非課税ときまりますれば、税務のほうの手続が非常にわずらわしいからそれでいやがっておるのだというふうなことではないのでありまして、実はその線を引くところまでがすでにたいへんな問題であるということだけちょっとつけ加えさしていただきます。
  177. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 荒木さんのお話も私は傾聴すべき御意見だと思うのですけれども、これは推し進めていきますと、そもそも入場税というものは存在価値を求められるべきかどうかというところにまでいく問題かとも思いますけれども、税のほうから申しますと、やはりこれは性質としては通行税とかあるいは地方税にあります料飲税だとかいうものと同じ性格のものではないかと思います。したがって、入場税というものを全廃するということは私はいかがかと思います。  そこで、それなら文化、芸術の尊重ということと、入場税の対象とするところをどこへ線を引くか、どこに斉合性を求めるかということに帰着する。これは御承知のように、過去においても、たとえば美術展というようなものに入場税をかけるのがいいか悪いか、あるいは音楽会というものについては純音楽としからざるものを区別するのがいいかどうか、いろいろ経過があったわけでございますが、結局現状のところは現在のような姿になっておるわけでございますから、いろいろの論議の末、一応これがコンセンサスではないかと思います。同時に文化、芸術の尊重ということからいって劇団等の補助、助成ということを歳出の面でやっておりますけれども、これは劇団とか、よき芸術をよりよく育て上げるということと、これは鑑賞し楽しむという観衆の立場と、これはまたかわった立場で考えてみなければならないということもあわせ考えるべきではないだろうか。  結局いろいろの点を勘考して、両方の考え方の接点がいろいろの方の御意見によって現状のようなものができ上がっている。今後もいろいろまたよい考え方があったら双方から詰めていくべきものではないか、こういうふうに考えます。
  178. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 いま大臣は、この考え方を突き詰めていけば入場税そのものがなくなるのではないかとおっしゃったのですが、私はまことにそのとおりじゃないかと思うのですよ。といいますのは、なるほど物品税とかそのほかの税との対比の問題はありますけれども、これはいわば、一つは事実を離れた理屈としての筋論でありまして、政策として見ますと、たとえばどういう物品に税をかけるか、あるいはどういう通行、流通形態に税をかけるか、あるいはどういう学術、芸術、文化に税をかけるか、これはやはり社会の発展段階によっておのずから政策的にも異なってくる。だとすれば、いまの日本ではもはや文化、芸術には税をかけるべきではない、かけるのがもう不適当だ、斉合性を問題にしなければならぬ、つまりその線引きをいろいろ苦労しなければならぬというほどに文化がどんどん進んできて、それを無理に税をかけようとするところに線引きの無理が出てくるまでに発展してきた、こういうふうに見ることもできるんじゃないかと思うのですよ。  現に今度国の段階で非課税ということが出ておりますけれども、それだと、地方自治体もそこでいろいろ御相談になってひとつやろうということなら、これは国税のほうでもお認めになってしかるべきじゃないか。またあの九条の規定できまっておる以外にも、文化財保護法の施行二十周年記念のときでありましたか、全国民族芸能大会というのが開かれて、そこでひとつこれは保存しようということで指定物件がきまりました。こういったようなさまざまな取り組み、催しが各地で行なわれた。だとすれば、線引きの問題は税制当局だけがお考えになるべきことではなくて、むしろその手を離れて、専門家のいろいろな組織がありますから、そこでこれは発展さすべきものだということになれば、思い切って入場税はその部分だけ廃止する。それがずっと広がってくれば、入場税というものは自然の流れに従えば、時の流れに従ってなくなるものだ、こういうふうに考えてもよろしいのじゃないか、こう思うわけであります。  いま大臣がお答えになったところを重ねてお伺いするようでありますけれども、そういう文化の発展の流れ、その方向で、もはや入場税というものはいまの意味からなくなるべき段階、あるいはそういうことを目ざすべき段階に来ているのではないかというふうに思うわけでありますが、この点はいかがでありましょうか。
  179. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 どうも先回りして申し上げたようなきらいがあるのですけれども入場税というものの全廃ということになりますと、これはいろいろ議論の存するところと思いますけれども、同種のサービスといいますか、それに対する、入場に対する課税ということになるわけであって、これは先ほど申しましたけれども、通行税であるとか地方税の娯楽税、飲食税というようなものと同種類のもので、そうしてこれは一応財政当局の立場からいえば、実は今後来年度あるいはそれ以降の税制考える場合に、たとえば直接税、間接税比率をどう考えるべきであるかというようなことも非常に考えておるわけですが、間接税を多くするとしても、その体系的な考え方が非常にむずかしいわけでございます。私は直接税というものをできるだけ減らしていって間接税比率をもっと多くしていいんじゃないかと思うのですけれども、しからばどういうものが選択できるかというようなことも考えあわせてみますと、従来からなじんできた入場税というようなものはやはり税源としては大切なものではないだろうか。  しかし、そこまでが財政的な観点であって、美術とかあるいは芸術とか文芸とかいうものは大切にしなければならないという観点でその対象からはずすか、あるいは税率をどうするか、あるいは免税点をどうするかということを検討することによって接触点を解決していくよりほかに、やはり現実の問題としては方法がないんじゃないだろうかというふうに考えるわけで、入場税というものを税体系からはずしてしまうということはいかがかと思う次第でございます。
  180. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 私もこの内容、中身をなくして、結論だけ全廃論を申し上げておるわけではありません。この点は御理解いただいていると思いますが、いまの大臣お話を伺っておりますと、どうも直間比率のほうがお考えの先に立っていて、これをある程度確保しなければならない、そのためにはせっかくいままで続いてきたこれをはずすのはいかがかというお考えの筋のように伺ったのですが、しかし入場税というものを考える場合にどうしてもはずせないのは、一つ物価対策の面ですね。これは政策の全体の斉合性の面でもお考えいただかなければならぬと思いますが、同時に文化を育てるということを先ほど来繰り返していっておりますけれども、この面も欠かせぬ大事な点だと思うのです。当局の先ほどの説明によりますと、主として線引きがむずかしい、これが一つ出ております。しかしこれは事務的には解決できる問題じゃないかと思うのですよ。  そこで関連して、文化庁にもう一言伺っておきたいのですけれども民間にたくさん団体がありますね。たとえば先ほどちょっと申しました文楽協会でありますとか、また義太夫協会とかあるいは落語協会とか、いろいろそういう自主的な団体があり、また業界の組織もある。そういうところで自主的に審査会をつくりあるいは公共団体も加わって、これは育成、助成すべきものであるということがいろいろな奨励や助成の措置としてやられておると思うのですが、そういったことによってこれはもっと押し出すべきものだ、これはさほどでもない、線引きは、これは煮詰めれば可能だと思うのですが、いかがでしょうか。実際問題として、都道府県、市町村だとかの地方公共団体、それから関係団体でどんどんやられておると思いますけれども、この点はいかがですか。
  181. 橋本眞

    ○橋本説明員 お答えいたします。  私どものほうで、先ほどちょっと御答弁で申し上げましたが、芸術団体の補助金というものがございます。この補助金の制度は、各公演団体が行ないますところの公演の事業を対象にして行なっております。いま関係者の集まりで云々とおっしゃいましたような事柄について、ちょっと私よく理解いたしかねますのでお答えできませんが、そういう意味で各芸術団体が行ないますところの公演が、年間でどういった種目、どういう事業をやるというふうなことをとらえて私どものほうでは助成をいたしております。いわゆる人間国宝とかそういうふうなものが別にございますけれども、それは私どものほうの担当ではございませんで、ちょっとお答えいたしかねますが、私どものほうでやっておりますところの助成は、そういった観点からの助成でございます。
  182. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 あまり全体のことについてはよくつかんでおられないようにもお伺いしましたのですけれども、たとえば映画について言いますと、御承知のようにライプチヒの記録映画祭、ここで審査員の特別賞だとかあるいは国際連盟賞だとか、こういったことが授賞措置としてやられておりますし、また外国映画の輸入配給協会では、優秀外国映画の特別賞というものを出して、いろいろ奨励、助成をしておるわけですけれども、先ほど大臣が御答弁になりました税制上の配慮以外に、この種の問題についてはこういう観点やこのような態度をもっと大幅に取り入れていくべきである、入場税税制上こういうふうに思いますが、この点についての御答弁が先ほどいただけませんでしたので、税制上の御答弁はもうよくわかりましたけれども、ここのところにひとつ焦点をしぼって重ねてもう一度伺いたいと思います。
  183. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほどもちょっと言及いたしましたが、昭和三十七年でございますかの改正のときに、展覧会は非課税にしたわけでございますね。それから音楽についてはだいぶ問題があったけれども、結局純音楽一般音楽とは区別ができないということで一律に課税することになった。これは積極的な面と消極的な面がございますけれども、とにかくそういう点に着目して、入場税について調節をしていこうという配慮は三十七年のときにもございましたし、また今回の場合でも税率やそういう点についてもくふうをし、あるいはまたちょっと別の観点ですけれども、これも先年来当委員会で論議せられたことですが、たとえば小学校の児童などを引率した先生が映画の鑑賞をするというような場合には非課税にする。その先生の範囲を拡張するというようなことをくふうしたり、いろいろの面でこの両方からくる接点を探究して考えると、片一方からいえば不十分であるということは私はよくわかりますけれども、とにかくそこの接点をさがして入場税のほうでもくふうをするという配慮は、財政当局として従来もしてきたはずである、こういうふうに私は考えております。     〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
  184. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 念押しになりますが、たとえば地方公共団体が企て、これが助成しておる催し、これはいかがです。
  185. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それもお話の筋はわかるのですけれども、一言にして言えば、第三者的、客観的にどれが芸術の香りが高いものであるかというように基準を判定してくださる組織があれば、入場税のほうでは考慮する余地があると私は思いますが、ばらばらで——ばらばらというのは失礼かもしれませんけれども、地方のいろいろの催しものについて、権威のある組織における一定の判定基準がないと、いますぐに非課税範囲を拡大するということは、率直に申し上げまして無理だと思います。
  186. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 思い切って福祉に転化するということを再々口にしておられるのですけれどもり地方公共団体のこの種の計画は、やはりそれぞれの地域に見合った、その地域に即した形の文化芸術、それの助成ということになりますから、かえって全国一律というわけにはまいらぬ面が多々あろうかと思うのです。ですから、そういう意味合いで地方自治、その地方の自主性を尊重される意味で、住民の代表によって選出された機関がこれはよろしい、こう言っている分については、国のほうも積極的に、このくらいは前向きで御検討になりませんと、十年来この方検討しているとおっしゃるのですけれども、あまりにもスピードがおそ過ぎるし、国民の大きな要望に沿いかねるというふうに思いますので、この点はひとつ今後重ねて検討を進められることを強く要求しておきたいと思います。  税制の問題とあわせて、将来だけじゃなく現在の税制の上でも文化運動が大きく盛り上がってきておりまして、たとえば他の議員からもお尋ねがありましたが、子ども劇場やまたいわゆる労音の問題とか、これはたとえを出したわけですけれども、さまざまな自主的な音楽芸術運動、鑑賞も含めてでありますが、これについての現在の税制での取り扱い、こういったことを中心にお尋ねしたいと思いますけれども、初めに法制局に伺いますが、権利能力なき社団あるいは組合契約、こういったことで興行場の使用権あるいはその対価の支払い義務、これは一体帰属するところはだれであるか、その点について御意見を伺いたいと思います。
  187. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答えいたします。  人格なき社団がいわば社会的な一つの実在といたしまして、一定の興行を主催するといったようなことでございましたら、やはりその帰属するところは現にやっておる当該人格なき社団に帰属するというふうに考えられます。
  188. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 しかし、社団は法人格がないのですから、法律的には総有関係になるのじゃありませんか。
  189. 茂串俊

    ○茂串政府委員 法律的には総有関係になるかと思います。
  190. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 権利義務が総有関係になるということになりますと、納税義務も総有関係になるように思いますが、この点はいかがでしょうか。
  191. 茂串俊

    ○茂串政府委員 人格なき社団に対しまして納税義務ありやなしやという問題であろうかと思うのでございますが、人格なき社団も社会現象として社会生活上の一つの単位として実在しているわけでございまして、いわば社団法人に準じた地位を有するわけでございますので、このような実体に対しまして公法上あるいは租税政策上どのような取り扱いをするかということは、まさに立法政策の問題でございまして、立法政策によって課税すべきかどうかということがきまることになろうかと思います。
  192. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 それでは、立法政策上所得税法や法人税法、これで能力なき社団に課税するということが明文できまっておるようでありますが、入場税法ではそういう趣旨の規定が明文化されておらないように思いますが、この違いは一体どういうふうなことになりましょうか。
  193. 茂串俊

    ○茂串政府委員 一言で申しますると、いわゆる人税と物税の差であろうかと思います。すなわち、直接税の場合におきましては、人格なき社団のその収益に対しまして課税する場合に、これを法人とみなして法人税課税するかあるいは個人を見て所得税課税するか、これによりまして納税義務の範囲が相当大幅に違うわけでございます。そこでどうしても立法の面でこの点を明らかにする必要があるわけでございまして、現行の税法におきましては、御承知のとおり法人とみなしまして法人税を課するたてまえになっておるわけでございます。  ところが、物税でございますところの、たとえば入場税の場合でございますると、これは直接税と違いまして、納税義務者であるところの興行場等の経営者であるとかあるいは主催者がどのような性格のものであるかということは本来関係がないわけでございます。そこで、これにつきましては特に規定を設けていないわけでございます。
  194. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 それはここに規定がないことを法律的に形式を整えるための論議だというふうに私どもは聞かざるを得ませんが、物税の場合には納税義務が主体によっては変わらない、こういうお話ですけれども、しかしはっきりと、社団の場合には法人格がないということで納税義務が総有関係になる。だとすれば、その場合にもなおかつ独立の法主体として納税義務を負うかどうかは、これはやはり議論のあるところではないでしょうか。  ですから、そういった議論のあるところを、いま言われた税の性質ということで解釈をして結果をもたらすということについては、租税明定主義、法律主義の上からもたいへんに問題である、かように思いますから、この点は文化運動というふうな、子ども劇場や労音という運動の内容や性質、助成ということも含めて扱われなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。法律上こういう疑義があって、そしてなおかつ解釈でもって課税に踏み切る、これは租税法律主義のたてまえからいいますとその趣旨には沿わないやり方だ、こういうふうに思われますが、大臣のお考えはいかがですか。
  195. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 人格なき社団が納税義務者たり得るかいなかということについては、判例におきましても納税義務者であるということになっているように私は承知しておりましたけれども、こまかい点については、私も法律的な見解を承知いたしませんから、主税局長から補足して答弁いたさせます。
  196. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 御案内のとおり、人格なき社団については入場税納税義務があるかどうかということについては、非常に法律的に議論のあるところであることは承知をいたしております。これはむしろ解釈の問題でございますので、主税局の問題でもございますが、どちらかというと国税庁の問題として今日まで推移してきたわけでございます。これについては私どもといいますか、国税庁サイドでは終始納税義務ありという見解をとり、一部の納税者からは納税義務なしということで争いがございまして、少なくとも先ほどちょっとお触れになりました労音に関する限りは、現在の段階では、四十二年でございましたか以来の裁判所の判定では、人格なき社団に納税義務を負わせることは租税法上差しつかえないんだという判定になっておりますので、私どもとしてはその線に沿って現在でも課税実務を進めているところでございまして、法律的には確かに御指摘のようにいろいろむずかしい問題があると思います。先ほどのような直接税と間接税の違いの問題もありますし、いろいろむずかしい問題もあると思いますが、少なとも現在の段階は、裁判所においてそういう判定をしてもらっておりますので、それでわれわれの仕事は進めているということでございます。
  197. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 局長、納税義務があるかないかということは、国民がそれを見て、そしてこれはやっぱり納税をしなければならぬのだというふうにはっきりわかるというのが租税法律主義の精神の一つであろうかと思うのですが、やれ物税はこうであるとか人税はどうであるとか、そういった特別の専門的な理論をいろいろと申し述べなければ結論が出ない、あるいはまた裁判にまでかけていろいろなところで争うて長年月をかけなければ結論が明確にならない、これでは、まことに租税法律主義という点からいえば問題が残ろうかと思うのです。  そこで、こういったことについてはむしろはっきり立法的に問題の残らないような形で処理をするべきではないか。法律の解釈の論議はどうでありましょうとも、そうすることがやはり納税者がだれであるかということを論議の余地なく明らかにする、法律でもって明確にするという趣旨に沿うゆえんではないかと思うのでありますが、そういう点から考えてどういうふうに思われますか。
  198. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 現行入場税法では、御案内のように、第三条に「興行場等の経営者又は主催者」この主催者ということばがありまして、「又は主催者は、興行場等への入場者から領収する入場料金について、入場税を納める義務がある。」と書いてあるわけでございます。  問題は、この主催者というのは個人、法人に限るのか、人格なき社団を含むのか、どういう問題として訴訟でも争われたわけでございます。私どもは、この「主催者」という表現をとっております以上は、先ほど物税とかなんとかいう御説明もいたしましたが、個人とか法人だとかいうことでなしに、「主催者は、」こういうことになっておりますから、それが人格なき社団であってもここにいう主催者に入るのではないか。たとえば学校の中で学生さんの間でサークルならサークルがあっていろいろやられる。そのサークルが年に何回か集まって音楽会をやるとかいろいろ催しをするというときにも、その学生さんの集団は、それを主催する以上は主催者であるという考え方をとって今日まで長い間来ているわけでございます。  この表現が「主催者」という表現では不十分だとおっしゃるかもしれません。労音の訴訟はそういうことで、主催者というのは何だというところから起こった、こういうことでございます。私どもは「主催者は、」という表現はかなり明確な表現であって、租税法定主義という点からいっても、ただいま御批判がありましたような意味で問題があるというふうには理解をしていないわけでございます。
  199. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 局長は明確だ、こうおっしゃるのですけれども、しかし主催というふうな社会的行為についてはいろいろな形がありまして、たとえば多少言えば、民法上の組合のような契約の形で行なわれることもありますし、それから実行委員会というような形で寄り寄りやられることもありますし、あるいはいまお話しのサークルという形でやられることもあります。そうすると、その場合に一体だれが主催者の範囲に入るのか。これは個人もしくは法人ということになっておりますと、もう問題はしかく簡単でありますけれども、いまのような局長の説明のような場合でありますと、むしろ逆に、一体どこが納税義務かということでさらに問題が起こるわけなんです。そういう社会の実生活、つまり主催者がさまざまな形であらわれてくるということを考えればなおのこと、人格を負う場合に限るのか、あるいはそれ以外にもさまざまな法律形態を含むのかということを明確にしておく必要がある。  ですから、この点については御意見はもうすでに伺いましたから、いまなおこの問題が続き、これからもまだまださまざまな形で起こっていく、そういったことを処理するためにも、再検討をされることを強く求めておきたいと思います。  入場税については撤廃と、それからいまの「主催」の問題の取り扱い、このことに限って伺ったわけで、あと時間の関係がありますから、物品税のほうを少し伺いたいと思います。  この問題については、現在はほんとうに物価対策という点を重視されなければならぬと思います。これは大臣も同じ御意見だろうと思いますけれども、ところがいまの物品税法によりますと、第一条で「別表に掲げる物品には、この法律により、物品税を課する。」こういうことになっておりまして、その別表に掲げられたさまざまな品目、これがそのつど出たり減ったりしておるわけですが、ここに明確な基準といいますか一つのルールといいますか考え方といいますか、これがはっきりされておらないために絶えず斉合性といいますかほかとのバランスの問題が起こっておるように思います。そこで、現在の課税物件の選定についての基準といいますか目安といいますか、その選定のされ方についての大筋を伺いたいと思います。
  200. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 御存じのように、物品税は戦争中に新たに設けられました税でございまして、きわめて沿革的なものでございます。どういうものに課税をするかという考え方については、なるほど御指摘のようにたてまえを条文上明らかにいたしておりませんで、別表物品ということで、いわゆる個別に特に掲名をいたしましたものだけについて課税をするということだけが明示されておるわけでございますが、その立法の経緯なり今日までの経過からいたしますならば、一種の奢侈品課税あるいは消費抑制という感じで最初スタートしたわけでございます。まあよくいわれます戦争中のぜいたくは敵だというような、ああいう感じもありました。そういう意味で、抑制税的な意味も含め、そして奢侈品課税ということで担税力があるということであったわけでございます。  ところが、それを戦後新しく物品税として組みかえてまいりました過程におきましては、生活につながるようなものについてはなるべく課税をしないという方向で、漸次非課税物品といいますか掲名物品からはずしていったという過程があるわけでございまして、また品物としては掲げてあるけれども一般的にいわばぜいたくといえないもの、奢侈品といえないものははずそうということで免税点が設けられてきたということでございます。  そういう意味でありますが、たとえばかつてはいわばぜいたく品でありましたものでも、現在においてあまりぜいたく品であるとか奢侈品であるとかというようにいえないものについてもなお今日課税対象となっておりますが、それはたとえば私どものことばで言えば、しばしば便益品という用語を使っておりますが、便益的なものあるいは娯楽的なものというものについては、いわゆる一般的な意味において奢侈とかぜいたくとかということにつながらないものであっても今日一部課税対象としておるわけでございます。それはたいへん歯切れの悪い説明でございまして、こういうものが物品税課税対象になるんだということを一つの思想としてなかなか御説明しにくいのは、そういう過去におきますところの過程から出てきておるということを御理解をいただきたいというふうに思います。
  201. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 それは局長、こういうことじゃないでしょうか。経過としては戦争中のああいう奢侈品、ぜいたくは敵だというところから始まったものの、しかしやはり生活必需品といいますか実用品については課税してもらっては困る、また課税する筋道ではないという要求がだんだん強くなってきた。ところが、一方課税当局のほうではやはりさまざまな政策的な配慮から、直間比率の問題とかあるいは財源確保の点から別個の要請が入ってくるために斉合性がとれなくて、何か歯切れの悪い、いまお認めになったような結果になっておるように私は思うのです。  そこで、これは大臣にお尋ねしたいのですけれども、いま何よりも必要だといわれておる物価の安定ですね、それと非常に密接な関係のある物品税、この物品税の中で、生活必需品といいますか、そういった実用品には物価対策の面からも物品税を課さないようにしよう、こういうふうな原則をはっきり打ち出されるべきではないか。いま便益性というふうなことばをおっしゃったのですけれども、そういうふうなことでもって商品がずっと大衆化したところに税源を見つけるべきではない、こういうふうに思うのでありますが、これはいかがでありましょうか。
  202. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 言わんとされているところのお気持ちはよく理解できると思いますが、沿革的なところはともかくといたしまして、生活必需品にはなるべくかけたくない。ところが、生活必需品の範囲とは一体何であるか。その中には、卑近な例を申しますと、電気洗たく機はそこに入るだろうかどうだろうかというようなところで、やはり先ほどの問題と同様な、その接点をどこに求めるかということで、そこにはやはり税収入がほしいという感じもどうしてもそこに入ってくる、それが物品税というものの税としての現状における性格である、こう、もう率直にいわざるを得ないと思います。  問題は生活必需品の定義あるいは範囲がどうであるか、要するに便益というものの内容をどう解すべきであるか、生活程度がどんどん高くなってまいりますと、便益品というものの範囲も高まってまいりますから、そういう点から申しますと、いまお述べになりましたようなお気持ちからいえば、物品税というものはもうだれが見てもぜいたく品だ、奢侈品だというものに限定すべきではないかというお気持ちであろうかと思いますけれども、それが本筋かと思いますけれども、なかなかそうはまいらないという現実も御理解をいただきたいと思います。
  203. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 ずいぶん大臣から正直なと申し上げましょうか、そういう意味のお答えがあったと思うのですが、むしろこれはやはり考え方の問題でありまして、財源も一方ではほしいとこうおっしゃるのですが、それこそ租税特別措置その他のああいうところでばっさり財源を確保されて、こういった生活関連の物品税については思い切って一歩も二歩も前へ進まれるべきだ。いまやはり同じように線引きの問題が出てまいりましたのですが、たとえば経済企画庁の調査局の本年一月の調査によりますと、いま大臣がおっしゃった電気洗たく機、これは九七・二%の普及率だ、こう出ておりますし、電気掃除機は八四・二%、しかも年間所得が百五十万円前後の世帯で八割、九割の非常に高い普及率になっておるわけですね。ですから常識的に考えても、こういったほとんどの家庭で使っておる、しかも特別に細工をこらした、むしろ趣味、ぜいたくといえるような品物でないようなものについては、これはやはり物品税はもう課税すべきではない、こういう方向に思い切って進めるべきではないか。たとえば現在の物品について見ますと、コーヒーは課税になっておるけれども紅茶は課税になっていない。これは飲料のほうでございます。あるいはまた書画骨とうは非課税だが、一方テレビは課税になっております。こういったような、それこそ斉合性を欠くような結果が出てきておると思うのです。  ですから、ことにいま物価の点でのお答えがなかったのでたいへん残念なんですけれども国民の大きな要望であり、政府としてもその必要性は認めて、絶えず話に出ておるわけですから、その意味からも、生活必需品、実用品非課税ということをこの際思い切って一歩も二歩も出されて、その方向で斉合性を解決されるべきだ。今度の改正案に出ておりますけれども、壁かけの照明器具の場合とそれから上からぶら下げる場合のこの斉合性を、物品税をかける方向で解決していく。かける方向で足並みをそろえるのも一つの解決方法でしょう。しかし、生活必需品にはかけないという方向で解決するのも、これも一つの解決の方法です。なればこそ、こういった生活必需品には物品税をかけない、物価対策の上からも、これをいま打ち出されるべきだ、こう思うのでございますが、重ねて御意見をお伺いしたい。
  204. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 物価の問題については、やはり生活必需品の物価を下げるということが最重要な問題であると考えますけれども、現在のところは、この物品税の対象になっているというものももちろん必要でございましょうけれども、もっと生活に密着したような、たとえば食料品等につきまして全力をあげて立ち向かっていくということが一般消費生活の上では一番肝要なことである、これに全力を傾倒していく、こういうふうな考え方でございまして、その物価対策が物品税の対象になっているようなものにも及んで、価格が下がるあるいは上がり方が少なくなるようになるということはもちろん必要でございますけれども、現在のところは、これも率直に申しまして、もっと生活に密着したものの値段を下げるということにまず全力をあげるべきものである、こう考えております。
  205. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 これは大いにやっていただかなければいけませんし、そのことは強く主張しておるわけでございますが、いま物品税法改正案の審議でございますから、これに限って申し上げておるのですけれども、これすらおやりにならないようでは、物価全体の問題もいかがであろうかということも含めて申し上げておるのです。  たとえば、いまちょっとお話し申し上げた、電気スタンドが基本税率で二〇%、これは控除は別にございますけれども。それから貴石が今度は一五%ですか、これも考えようによっては、生活必需品非課税という考えからいえば逆ではないか。生活必需品の範囲については、これはいろいろ議論もありましょう。ありましょうけれども、しかし少なくとも、電気スタンドを使っておる人たちと、それから貴石といったものを持っておる人の範囲生活関連の程度は、もう常識的にいっても違うと思うのですね。その税率が逆になっているというふうなことだとか、あるいは、いわゆる免税点の引き上げが若干ありましたけれども、しかし、たとえばストーブについて申しますと、今度政令で出しておられるのが、三千円から三千三百円になっております。しかし一般小売り価格は、この委員会に出された間接税についての調査資料によりますと四千八百円、ストーブもそうならラジオもそう、スタンドもそうであるが、全部一般小売り価格よりも今度の改正免税点は低くなっておるのですね。  この数値のとり方はいろいろありましょうけれども、しかし私が特に申し上げたいのは、財源の確保だとかあるいは従来の経過でありますとか、いろいろありましょうけれども生活品非課税の原則ということ、これが一つと、それから、それはそれとしても、しかし少なくとも逆になっているような現象ですね、逆進現象。いま二つ申し上げましたが、税率での逆、それから免税点での、なかなか一般小売り価格に及ばないといったこと、こういったようにことについては、これは解決なさるという方向でなければ物価問題にむしろ逆行する、そういうそしりを免れぬだろう、こう思います。これはいかがでありますか。
  206. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 宝石の問題につきましては、おっしゃるとおり従来は小売り段階で二〇%の課税でございましたのを、今回小売り段階で一五%にしたわけでございます。小売り段階課税と卸売り段階課税との関係では、大体小売り価格が卸売り価格の倍になりますから、小売り価格で一五%ということは、卸売り価格換算でございますと三〇になるわけでございます。今回の物品税改正の全体の流れの一つといたしまして、確かに、奢侈品高級品というようなものでございましても、漸次国民生活内容が豊かになってきたということとの関連上、また、先ほども村山委員にお答えいたしましたように、昨年の国際環境の変化に伴いますところの輸入自動車の物品税の改定の問題とも関連いたしまして、国内の物品税の体系を整備すべきだということの御指摘があったこととの関連上、まあ四割税率というのは現状からいうと少し高いのではないかということから、四割税率というものを一切やめまして全部三割にしたということから、小売りを一割五分にしたわけでございます。  それから、免税点の問題は、ただいま貴石免税点とストーブの免税点の比較の問題がございましたけれども貴石免税点の額は、たとえば結婚の場合の指輪の交換に使われるようなもののうちで、きわめてどうも、ぜいたくとは言いがたいもの程度までは免税にしたらどうかという考え方が前からございまして、その線に沿っていっているわけでございます。ですから、税率の問題は別にして、免税点の問題で相互に比較をされましたけれども、ストーブはストーブなりに、まあぜいたくとはいえない、いわば最小限度のものは免税にした。貴石と申しましても、いま言ったようなきわめてささやかなものであれば、貴石といっても免税にしてもいいんじゃないかということで考えておるわけでございますので、免税点の絶対額を相互に比較されますといまの御指摘のようなことになりますが、意味はそういうことできめられておるわけでございます。
  207. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 時間が来たようですので、最後にお尋ねしておきたいと思います。いま局長が言われましたが、つまり貴石のほうは手当てをしておるけれども、電気スタンドはそのままじゃないか、これでは生活関連のほうに力を入れるという方向には沿ってない、こういう趣旨から私は申し上げたのでありまして、税率の比較ももちろんありますけれども改正案の方向といいますか、考え方基本的な方向、それを問題にしておるわけでありますので、その基本的な方向について一番当初に生活品非課税ということを申し上げたのですが、大臣は、その考え方は理解はできる、しかしいろいろな事情があってと、こういうふうな御答弁のようでありました。私は、大蔵省当局といいますか、そこのほうの考え方と、いま大臣の述べられたのと、必ずしも一致しないかに思われる点がありますので、重ねて、質問と要望を最後に申し上げておきたいのです。  昨年の六月一日付で、大蔵省のほうから、物品税基本的な問題、物品税改正問題についてということで、基本的なあり方を述べておられるわけですが、それによりますと、直間比率を保っていくために、むしろ物品税課税対象は広げていくのだ、消費多様化、大量化といいますか、そういうことで酒もたばこもずっと下がっておるから、そういう点からいえば、物品税課税対象はむしろ広げていかなければならぬ、課税廃止したものも含めてもう一ぺん見直しをする、こういったように読める文章があります。これはいまこんなに物価問題がいろいろ論議されておりますときに、いろいろ事情がありましてということを越えて、さらに広げていくということについては、これはもうたいへんな問題だというふうに思います。  そこで大臣に、物価という点から考えて、物品税については、やはりほかの大局的な物価政策はもちろんですけれども、しかしこの分野でも物価問題というものはやはり通していく、その方向で解決していくということで、一番初めに伺った答弁と、いま私が申し上げた大蔵省当局考え方との、物価ということに関しての方向での統一ですね。そういった方向でのお考えをひとつしっかりとお聞きしたい、こういうふうに思います。
  208. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 二つの面からお話ししたいと思うのですけれども、やはり物品税というものは、できるだけいわゆる生活必需品的でないものに対象を向けて考えるべきものである、これが一つであると思います。そこで、たとえば相当の高級品といったようなもの、あるいは嗜好的なものというようなものについて、これは国民大衆の生活やあるいは物価問題とはあまり関係がない、あるいは少なくとも非常に薄い、そういうものに対して相当の税率でかけて税収が確保できるということになれば、これは社会的な公平感からいっても、私は一つのよい選択ではないであろうか、こう考えるわけでございます。  それからもう一つの角度は、私はいまここで直間の比率等については、これから相当の時間をかけていただいて、税調その他とも十分御相談をして、よりよき税制考えたいと思っているわけでございますけれども、あるいは間接税比率を上げたほうがよりよき税制であり、国民的な理解を得られるというようなことであれば、これも取り上げていきたい。そういう点から見ますと、間接税というものについてはどういう具体的な選択があるかということも、私は積極的に考えていきたいと思っている一つのテーマでございます。  ですから、前段で申し上げましたように、物品税というものについては主として高級なものを対象にする。それから後段に申しましたのは、もっと広い意味でございますけれども間接税をもう少し重視するとすればどういう選択があるであろうか、こういう点についてもあわせてこれから一生懸命によりよき案というものを考えていきたい、こういうふうに思っております。
  209. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 いまのその方向については、とりわけ物価を下げる、ことに生活関連の物品については非課税方向で政策を進められる、また入場税についてはそういう方向とあわせて文化を助成する、これが国民の強い要望だということを申し上げて、私の質問を終わります。
  210. 大村襄治

    ○大村委員長代理 広沢直樹君。
  211. 広沢直樹

    ○広沢委員 まず、物品税のほうからお聞きしたいと思います。  いまもお話がありましたが、物品税の沿革といいますか、これは昭和十二年以来今日に至るまでいろいろ変わってきているわけです。しかしながら、その変わっている中で、やはり最初は戦費調達的なもの、あるいはぜいたくは抑制しようという面での消費の抑制、そういう意味合いであった。それからまたいわゆる奢侈品あるいは高級品、趣味、娯楽、嗜好品、こういったものに対して一応考えられてきたわけです。さらにいま便益的なものというふうに変わってきているわけですね。このようにずっと課税の状況というのが変わってきているわけでありますけれども、いままでの推移から考えまして、だんだんに間接税を増徴していくような方向でこれは考えられてきているのじゃないか、こういうふうに受け取られるわけです。その点、いまもいろいろお話があったことをあとからお伺いしようと思っているのですが、まずその点についてはどういう考え方でおられるのか、聞いておきたい。
  212. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 間接税の中で非常に伝統的で歴史のありますのは酒、ただこの税金でございます。その後各国等を通じて見ましても、一種の売り上げ税的なものが生まれたりいろいろしてきたわけでございますが、わが国の場合には、二年間ごく短期的に取引高税の経験がないわけではございませんが、これはごく例外的でございまして、一般的にはいま御指摘のように、戦前に始まりました物品税が今日まで続いておるわけでございまして、現在間接税の中では酒、たばこ、それから目的税的なものでございます揮発油に対する税金ということで、物品税というもののウエートが非常に高いわけでございます。  直接税がいいか間接税がいいかについてはいろいろ御議論がございましょうけれども、直接税につきましては所得の多寡に応じて課税されるということでございますが、間接税はその品物を選択することができるという意味において、つまり消費をしなければ課税をされないという意味において、間接税には間接税なりの、特に消費税には消費税なりのよい点があるわけでございまして、その意味で物品税は税の中においてやはりかなり重視すべきものである、過去においての歴史の経過はともかくといたしまして、私どもはかなり重視すべきものであるというふうに考えておりますし、諸外国の実例等を見ましても、最初消費税が行なわれましたのは、どこの国でも戦争その他非常に緊張の事態で財源が必要だという場合に初めて起こされているようでございますが、その後やはりこういういろいろなことで形を変えながら続いておるという状況でございますので、私どももこの物品税については、現在の形ははなはだ個別物品税形式でいろいろ矛盾がございまして、直さなければならぬ点がいろいろとございますけれども基本的にはこれをだんだんいい方向に直していって、そして間接税の中の一つの形態として続けていくべきものであるという考え方を持っております。
  213. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、今回の改正を見ますと、三つの特徴があると思うのです。一つは総体的に税率を引き下げた、もう一つは税の公平負担の上から新規課税をしたということ、もう一つ物価、賃金等の傾向から見て、いわゆる免税点を引き上げた、大体この三つが特徴になっているわけでございますけれども、総体的な税率を引き下げる場合において、いまお話があったように、いわゆる消費が平準化してきたということで、奢侈品あるいは高級的なもの、これに対して課税した考え方というものを緩和していこうという考え方になってきているのじゃないかと思うのですね。そこで、確かに生活は向上はしてきているわけですね。しかし、生活は向上してきて、それぞれいままでのような極端な開きというものはない、ぜいたく品だというふうに指摘せられるものは、だんだん消費が平準化していくに従ってその差というものはなくなってくるであろうけれども、それだけ生活のレベルが上がった中にも、奢侈品あるいは嗜好品、そういう区別はちゃんとあるわけですね。  ですから、基本的な考え方としては、いわゆる奢侈品には重く、そして生活必需品には非課税方向で、そういう観点に立って、物品税改正検討する場合、一品一品洗い直す場合においてもそういう考え方を持っておやりになっておられるのか、今後もまたそういう考え方でおやりになるつもりがあるのか、これをお伺いしたいのです。
  214. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 方向としては、生活必需品あるいは必需品的なものにはなるべくかけないか軽減していくという方向であろうと思いますし、それから現在は考えられないようなぜいたく品奢侈品というものも今後どんどん出てくるかもしれませんから、そういうものについては相当の物品税というものを考えてしかるべきではないだろうか、こういうふうに考えます。それらについてよい案があればぜひ積極的に取り入れてまいりたい、こういうふうな考え方でございます。これは入場税についても同様だと思うのですけれども、このごろでは一万円とかあるいは三万円というようなこともわれわれも新聞などで見て驚くような状況でございますが、こうやって世の中が変わってまいりますれば、おのずからこうした間接税の持っていき方についても新しい選択の知恵を出すべきではないか、こういうふうに考えております。
  215. 広沢直樹

    ○広沢委員 昨年の当委員会におけるこの問題についての論議の中を一応いろいろ読み返してみました。やはりその当時においても、奢侈品あるいは高級品には重くして、生活必需品には非課税、こういういわゆる生活必需品には全く課税の余地がない、しかしいまも大臣が答弁されましたように、どこまでが生活必需品であるかという範囲、接点の問題は非常にむずかしい問題があろうかと思うのです。しかしながら、一つの例をとらえていきますと、生活保護世帯についても、最近においてはある程度、文化的という憲法の保障がありますから、いろいろ白黒のテレビだとかそういった面は拡大して、暖房器具についてもそうですが、そういう見方をしてきているわけですね。ただ食べるだけというのではないわけですね。ですから、必然的に貧富の差があっても総体的に生活のレベルというものが上がってきているわけですから、生活必需品という考え方に立った場合においては、この物品税免税点を上げたりする場合においてはもう一ぺん検討すべきじゃないかと思うのです。  そこで、いまちょっと指摘がありましたとおり、経済企画庁で出しておりますいわゆる主要耐久消費財の普及状況ですね、これによりますと、電気器具とか、あるいは中でも白黒テレビなんかもう部品をつくらない、これからだんだんなくなっていくことになる、カラーテレビにかわっていくのではないかと思いますが、いわゆるテレビなんかの普及率を見ましてもほとんどの家庭にある、一台じゃなくて、二台もあるというような状況になってきているわけですね、ですから、これは教養的娯楽といえばそれに入るかもしれませんが、こういう教養的な面から考えると、これは必需的なものです。テレビがあるのとないのとでは子弟の教育についてもいろいろな面についても影響が出てくるわけでありますから、こういった問題は、いまこれについては物品税がかかっておるわけでありますが、そういうふうに、いま一つの例をとらえて申し上げましたけれども、扇風機にしましてもあるいは洗たく機にしましても、やはり生活必需品的なものの普及率というのは一応八〇%以上に達して、普及は一巡したということになっているのですね。  ですから、それだけレベルが上がった中で、生活必需品とは何かということで、いまの基本的な考え方が、先ほどお答えいただいたようにあるのであれば、ここに課税のあり方というものをもう一ぺん考え直す必要があるのではないか、われわれは生活必需品には課税すべきではないという考え方を持っております。それはもちろん物価関係からも考えていかなければならぬ問題だと思いますが、その基本的な問題については、いま言ったようなレベル、昔ではこういったものは特定の人が持っておったものが、いまの普及率から見ますと、ほとんど行き渡っているというような状況でありますので、それは今日の文化生活の上においては必要であるから行き渡ってきているというふうな解釈もできるわけでありまして、その点はいかが考えていらっしゃいましょうか。
  216. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは文化の進歩、経済の発展の度合いによって流動的に考えなければならないのではないか、原則的にはそう考えます。それから、たとえばテレビにいたしましても、いまお話がございましたように、もうある種の方々からいえば、一台というようなことではなくて何台も持っておられる、そういう場合に、一台は人間の生活として必需品といえましょうけれども、二台目、あるいは四台目ということになれば、これは率直にいって物品税の対象に考えてもいいのではないかと思います。しかし、同じテレビであるのにそういう区別ができるかどうかというようなこともなかなかむずかしい問題だと思いますし、あるいは時計にいたしましても、いま予想もできないような高級品がどんどんつくられている、そうすると、日常生活に欠くべからざるような時計は物品税の対象にしたくありませんけれども、そういうたいへんな高級品についてはこれを対象として当然考えてしかるべきじゃないか、非常に多様性、複雑性があるし、そこに先ほど申しましたように、よい建設的な知恵が出れば何でも吸収してこれを物品税の中に当てはめていくということが必要ではないであろうか、こんなふうに考えるわけであります。
  217. 広沢直樹

    ○広沢委員 一つ一つ品名をとらえてやっておりますと、時間がないのですが、いまもお話があったけれども、たとえば腕時計なんかにしましても、いわゆる免税点が現在三千五百円で七千四百円ですね。七千四百円の腕時計というのは一体どんなものであろうか、これは普通品として買いに行ってもこんな安いなにはないわけでして、腕時計がなくても足りるではないかといったらそれまでかもしれませんが、やはり必需的なものには間違いないのでありまして、そういう面から、いま申し上げたとおり、一つ一つ洗い直してまいりますと、当然これはまだまだ検討して、先ほど申し上げたとおり、根底はいわゆる生活必需品には課税するという方向ではないという前提に立っての話ですよ、当然それはレベルが上がったのだから、そういうものじゃなくて、物品には低率でもいいからかけていこうというお考えならば、これまた話は変わってくるのでしょうけれども、あくまでもそういうふうな基本の上に立って考えているわけでありますから、ですから、いま言うように、これはまだまだ洗い直す必要があるのではないか、こういうふうに指摘申し上げたわけです。  それでは、今回の税率の引き下げの問題でありますが、総体的な税率の引き下げをやっておりますけれども物品税を引き下げただけは消費者に還元すべきではないか、それだけ物価を安くしろという意味です。そうなければならないと思うわけでありますけれども、今回の引き下げによる効果をどういうふうに判断しておられるのか。通産省の方がいらっしゃっていると思いますが、ひとつその点をお聞かせください。
  218. 黒田明雄

    ○黒田説明員 物品税軽減効果をできるだけ消費者価格に反映させるために、通産省では二月八日に、関係業界団体に対しまして、その傘下にある関係業者が物品税率が引き下げられた場合にその軽減効果を販売価格に反映するように、販売価格を引き下げるようにということを周知徹底させるよう関係局長名で通達を出して要請いたしております。
  219. 広沢直樹

    ○広沢委員 通達を出した、一応その方向はわかるのですけれども、それでは具体的に四十一年を一つ例にとりましても、実際にどれだけ効果があったかといいますと、具体的効果は総体的に含まれて出てきておりますから、製造段階課税される、あるいは小売り段階というのもありまして、小売り段階の分については多少見えるかもしれませんが、その他についてはわからないんじゃないかと思うのですね。その点をどういうふうに追跡されて、これだけの物品税の引き下げで、価格にこれだけの影響を及ぼしてきているというふうに具体的に把握されているのか。通達を出しただけじゃちょっと理解できないのですけれどもね。その点、具体的にはどういうふうにやっておられるのですか。
  220. 黒田明雄

    ○黒田説明員 今回考えられております物品税の引き下げ分につきましては、御指摘のように通達だけではその効果が把握できませんので、物品税の引き下げが行なわれました段階で実情把握を行なうよう準備いたしております。
  221. 広沢直樹

    ○広沢委員 実情把握をするというのですけれども物品税の引き下げは四月一日からという予定でありましたが、それが少し時限がずれている関係で、私はいろいろの方面から意見を聞いたわけです。いわゆる店頭の価格表示のあり方が、準備しておったのがどうも狂ってしまうとか、いろいろな意見は聞いたわけでありますけれども、やはり物品税がこれだけ総体的に引き下げになったということになれば、国民がそれが物価の引き下げになったという影響をある程度受けなければ、また国民が感じるようなことでなければこれは何にもならないと思うのですね。どこに吸収されてしまったかわからぬというのではどうも納得がいかないわけですね。  そこで、いま具体的にと申し上げたのは、その調査の結果を一品一品出してくるのはたいへんなことだと思うのですね。ですから、一品一品についていっているわけですから、店頭なら店頭にこれだけの物品税の引き下げがあった、これだけ下がるという表示をさすなり、下げましたという表示をさすとか何らかの方法を具体的に打たなければいけないんじゃないか。それがいま言うように、内容的に把握しにくいものだから無理だということであるならば、通達一本やりで物価影響したんだということは言えないんじゃないかということに逆になってまいります。その点、具体的にはいかがですか。
  222. 黒田明雄

    ○黒田説明員 前回通貨調整がございました場合にも、通達を出す一方、あとでフォローアップ調査をいたしておりまして、その効果を測定しておるわけでございます。  今回の物品税の引き下げにつきましても、御指摘のように個々の品目を一々私どもの手で調査して回るというのは非常に困難でございますが、それぞれ業界の実情に即しまして、どういうふうにしていくかということを各業界団体を指導してまいっておりまして、その業界団体を通じて対応措置の実施の時点で把握することにしているわけです。
  223. 広沢直樹

    ○広沢委員 それで大蔵大臣、アメリカあたりは商品価格と税を分けて、いわゆる商品価格プラスタックスということで、プラスして総体の商品の価格が幾らと、こういうように店頭表示が出ているわけです。こういうようなことを行なえばよくわかってくると思うのですが、ほとんどの消費者の方は、たとえばたばこを一つとらえていっても、これは税金が幾らあると考えて買っている人はないのであって、税金は高過ぎるんじゃないかと思って買っている人はほんとうに少ないだろうと思います。ほとんど商品の価格はこんなものだと思っているので、その中で税率をかりに今回のように引き下げたとしても、その効果というものがどれだけ商品の上にあらわされてくるかというのは非常にむずかしい問題です。いま言うような形にしていけば、商品は資材やいろいろなものの値上がりでこれだけ上がりました、総体的な値段は変わらなかった、あるいは中には上がったものが出てくるかもわからないけれども、これだけという効果的なものははっきりと国民もわかるんではないか。この対象品目が大別して六十九品目ですね。間接税ですべての商品に消費税がかかっているというならむずかしい話かもしれませんが、そういった考え方ではいけないものだろうか。これは通産省かどっちかと思いますけれども、税のいま言うような方式というものは考えられぬものかどうか。
  224. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 商品の価格表示にあたって、物品税部分を明示すべきやいなやという論議は、しばしば各方面から御提案がある御議論でございます。現行物品税法におきましても、分けて表示することが望ましいんだということが、一種の訓示規定でございますけれども定められておりますし、ただいま御指摘のように、アメリカのように、州税等につきましてそれを明確に表示をしておるという例もあるわけでございます。ところが、この物品税の表示問題につきましては、現在そういう訓示規定はございますけれども、現実にはなかなか励行されておらない。その励行されておらない点につきましては、業界の取引実態との関連でなかなかうまくいってないということでございます。  しからば、せっかく物品税現行法上訓示規定があるわけでございますから、もう少し何らかの方法で各業界その他にお願いをして表示を励行するような方向にさらに強めて持っていくかどうかという問題があるわけでございますが、これはせっかくの訓示規定がありましても現実にそれが励行されないということについては、やはりそれなりの理由があるようでございますし、どうも長い長い取引慣行との関連で、それがうまく成熟していかないという実態にあるわけでございます。たとえば消費者サイドからいいますと、やはり物品税の部分が明確になっていたほうがいいということになりましょうけれども、一方におきまして商取引慣行のサイドから申しますと、全部の品目に物品税がかかっておるわけでございませんものですから、物品税がかかっている品目についてだけ非常に強くそれを求める、あるいは強制するというかっこうになってまいりますと、今度はまた物品税それ自体の拒絶反応的なものが強く出てくるということもありまして、しばしば各方面からいまのような御意見、御指摘がありながら今日まで経過をしておる次第でございます。  この点は、こういう改正の機会だけでなくて、本来的になおいろいろ検討すべき問題だとは思っておりますが、なかなかにわかにどこに落ちつけたらいいかということを思いあぐんでおるところでございます。
  225. 広沢直樹

    ○広沢委員 いまのお答えでははっきりわかりませんけれども、とにかく、いまそれだけの物品税に対する非常な国民的な感情も起こってこようかといいますか、私はむしろ起こってきてあたりまえだと思うのですよ。そうでしょう。ところが、いま言うように、生活必需品にはかけない、そして奢侈的あるいは高級的なものにはある程度考えるという基本に立っていまの物品税考えられているならば、当然国民にそれを理解させていくような方法をとるのが一番大事なことではないかと思うのですね。いまおっしゃったことはさかさまじゃないかと思うのですよ。大臣、いま私は具体的な意見としても申し上げたのですが、将来の方向として、いま言うような観点から考えていけば当然考え得る問題ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  226. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御意見でございますけれども物品税は全部の商品というわけではございません。ですから、一般消費税とか付加価値税ということになりますとそこは割り切れると思いますが、いま主税局長からるる御説明いたしましたようなこともございまして、物品税について分離表示ということは実際問題としてむずかしいのじゃないかと思います。  それから外国の例でも、一般的な付加価値税の場合はともかくとして、物品税的なものを分離して表示しているというものはヨーロッパの例でもないのじゃないかと思うのです。それからアメリカの例でいえば、州法によるこうした種類の、小売りの売り上げ税が一般にかかるものについては表示されておりますけれども、しからざるものは表示されていないと聞いておりますから、やはり特定の物品にだけ、課税されているものについては分離して表示することは無理ではないかと思います。
  227. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは通産省の方もいらっしゃいますので、一応今回の新規課税の分がありますね。これは税の公平の立場で、類似的なものでそういうふうになっているのですが、これについても、これが課税されるからということで引き上げられるというのは問題だと思うし、それから今度引き下げられた問題についても、物品税がそれの分だけ何するのですから、私、先ほど意見も加えて申し上げたとおり、通達だけではなくて、当然そのものを一つ一つ追跡調査していく。たとえば自動車も今回一〇%下がるということになれば、あういうものは具体的にどれだけの効果があるのかということについては調査可能であります。ですから、そういう面について、いま物価の引き下げという立場から考えてみましても、これに対しては当然鋭意努力すべきじゃないかと思いますので、意見も含めて要望しておきます。  それからもう一点、これはこの法律が通れば一応問題はないのでありますけれども、いままでの過程で、政令にまかせられている中で少し不合理があるのじゃないかと思うものがあるのです。具体的な例を一つ申し上げますと、今度新たに非課税とする品目の中に自動販売用の湯わかし器がございますね。これは、いままでは一応課税の対象であったわけです。ただ、これは大きさとか容量によって非課税範囲は設けておったようであります。ところが同じく冷水器については、やはり営業用のものであるということの立場から非課税措置がとられているわけです。今回はそういったことにお気づきになって、いわゆる容量ではなくて、実際の形態として自動販売用であればやはり非課税にすべきじゃないかということで、今度はこれが非課税の対象になってきたのじゃないかと思いますが、これは法律でやるのだったらなかなかできないのでしょうけれども、政令で考えていくのだったら、同じ製品に対するこういった矛盾というものはやはり是正すべきじゃなかったのでしょうか。この点どうでしょうか。今後のこともありますので、政令部分も非常に多いわけでありますから、この点についてどういういきさつでどうなったのか、簡単に御説明いただきたいのです。
  228. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 政令でできますことにつきましては、当然臨機応変にやるために政令でおまかせいただいておるという形でございますので、それにもかかわらずなぜ早く処理をしなかったか、二年ないし三年前にやろうと思えばできたじゃないかという御指摘かと思いますが、その点については、実はたてまえ論と実際論との間に非常にギャップがあって恐縮なんでございますが、物品税については類似的な性格のものとの競争関係がいろいろございますので、たてまえとしては臨機応変にやるために政令におまかせいただいておるものの、今度は一たん政令を直すということになりますと、各種物品について各方面からいろいろの御要請が一斉に出てまいるということがございまして、よく一波万波を呼ぶという表現で言っておりますが、一斉に出てまいるということがございまして、現実問題として、ある部分だけを取り上げてそこだけを手直しするということがなかなかむずかしいという関係になっておるわけでございます。  しかし今後の問題といたしましては、そこの法律で定めてあることと政令で定めてあることの意味を考えますならば、経済社会の状態の変化、その品物がどういうふうに使われてくるかという使われ方等の変化に応じて臨機応変に処理するのが原則であるというふうに考えますし、なるべくそのように弾力的な扱いをしなければならぬものと思います。
  229. 広沢直樹

    ○広沢委員 いま指摘いたしたわけでありますけれども、だから政令にまかしてやっていくということで、こういった不平等も出てくるわけですね。あるいは午前中もいろいろ論議がありましたように、免税点の問題にせよ課税対象の物件の問題にせよ、やはりこれは法律できちっときめるべきものではないだろうか。その手直し程度のものについては、いま言うような政令で手直しをする。類似的なものはどうだということがわからないためにこういうふうに非常な矛盾が起きて、その期間に大きな差異を起こしながらいろいろな不満が問題になってきて、それからやるというようなことでは非常に問題があろうかと思うのですね。政令にまかした以上は法律上の問題の中では取り上げませんので、こういう矛盾があっては困ると思うのですよ。  まだあとありますが、時間の関係で、本日はこれで終わります。
  230. 大村襄治

    ○大村委員長代理 次回は、明十三日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会      ————◇—————