○増本
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、
政府提案にかかる
法人税法の一部を改正する
法律案について賛成、野党三党、社会党、公明党、民社党提案にかかる
法人税法及び
租税特別措置法の各一部修正案についても賛成、そして
法人税法の経過
措置にかかる
部分の自民党の
法人税法一部修正案について賛成し、
租税特別措置法の
政府提出の一部改正案及び自由民主党
提出にかかる
租税特別措置法の一部修正案について、いずれも反対の
立場に立ち、討論をしたいと
考えます。
今回の
政府提案にかかります
法人税法の一部改正案の改正点は、第一に、同族会社の
留保所得に対する特別課税の定額
部分を三百五十万円から五百万円に引き上げるというものであります。わが党は、かねてから同族会社の
留保所得に対する特別課税は撤廃すべきであると主張してまいりました。しかし今回の
政府提案にかかるこの
部分は、三百五十万円を五百万に引き上げるという、わが党の主張から見れば不徹底な面を残していますが、
中小企業等についてはこれが一定の改良になることは疑いをいれません。しかしながら現在、ブリヂストンやサントリーなど大
企業が依然として同族会社の形態をとっていることに対しては、
政府はしかるべき
措置をとらなければならないと
考えるものであります。
政府提案の第二点、割賦金契約の場合の、特に役務提供についての
所得計算の点につきましては、この改正点の
措置が、
企業会計
原則に沿った処理でありますことと、今日割賦契約の役務提供については広範な、勤労者もそれを
利用していること等の現実を
考えますと、これも改良の点として評価すべきものであると
考えます。
また、社会党、公明党、民社党の提案にかかる
法人税法及び
租税特別措置法の各一部修正案について
考えますと、今日株式会社や金融機関などが六〇%をこえる株を保有していること等を
考えれば、受け取り
配当の益金不算入の
規定を依然として存置しておくことは全く合理的な理由がありません。そしてまた、提案理由にもありますように、擬制説ではなくて実在説をとってその課税の適正をはかることは当然であります。この点で、わが党もこの提案に積極的に賛成するものであります。
また、わが党は、今日の事態を
考えますと、大
企業、大
法人に対しては特に
税率を引き上げて過剰流動資金を吸い上げ、そしてそれを
国民生活の福祉を増進させるためにその財源とすることを強力に主張してまいりました。今回の修正案が、この点から見て、
税率を四〇%に引き上げるとともに、
中小企業に対しては各
税率を五%引き下げるというわが党の要求と主張にも沿うものであります。
また、
租税特別措置法の一部修正案について見ましても、交際費に対して厳格な課税をすることはいまや
国民の世論であること等を
考えれば、このような修正案は積極的に評価すべきであります。
また、
法人税法についての自由民主党の一部修正案は、施行期日とその
適用の期日を今日の
段階で修正しようとするものであって、この点は当然の
措置であるといわなくてはなりません。
さて、
租税特別措置法の
政府提出にかかる一部改正案については、その改正点は主として三つの点に分けることができると
考えます。
その第一は、みなし
法人制度であります。この
制度は、実は中小零細業者が自分の働きの
所得のうちで動労
所得に該当する
部分と資産
所得に該当する
部分に現実に分けられるところから、この
所得の性格に応じて給与
所得としての
所得計算と給与
所得控除を認めると同時に、事業
所得についてそれと合わせて課税をすることによって、実質的にも減税の
利益を受けることを要求してきたものであります。ところが、この切実な中小零細業者の要求をゆがめて、みなし
法人との課税のバランスをはかろうという、全く中小零細業者の要求をゆがめた
制度としている点に第一の問題があります。
それと同時に、白色申告者と青色申告者とを差別し、しかも過大報酬の否認などに見られるように、税務署長の権限を一そう強化することによって、今日の税務行政のもとで中小零細業者を金縛りにしてしまうものであるといわなくてはなりません。本
委員会での質疑においても明らかなように、このみなし
法人制度を選択した中小業者が青色申告そのものを否認されたときには、ばく大な税金を払わなければならず、それに対する救済
措置が全くないという点、しかもまた、地方税との関連の
措置が何も
規定されていないなど、この
制度そのものがきわめて大きな問題をはらんでいる
制度であることがまことに具体的に明らかになったといわなくてはなりません。したがってこの
制度は、中小零細業者の要求に反しているばかりか、中小零細業者の要求そのものをゆがめたものとして批判しなければならない点であると
考えます。
第二の土地税制については、これも本
委員会においての質疑の中で明らかになりましたように、
一つは、民間デベロッパーや宅地供給業者に対して、二七%から四七%という一般
法人の平均
利益率から見ても、大幅な利潤を適正
利益として保証し、これに対しては何らの税金をかけないという点が、まず第一点
指摘されます。
さらに、鳴りもの入りで宣伝しても、今回の税制が四十四年のあの税制と同じように、勤労者に対して安くて手軽に住宅を供給するものではない点、しかもまた、民間デベロッパーや第三セクターのために土地を提供する不動
産業者などに不当に
利益を与える点など、きわめて大きな問題があるといわざるを得ません。
第三点の、大
企業に対する特権的
減免措置が依然として解消されていない点は、きわめて重大な問題であるといわなくてはなりません。
政府の今回の提案の、たとえば無公害設備に対する
償却制度を見ましても、口ではPPP方式を採用するなどと言いながら、現実には、公害をまき散らしてきた大
企業に対してこの面でも特権的な減税
措置を与えるものであります。しかも今日、
国民が、大
企業に対して特権的な
減免をしているこの事実に対してきびしい批判をしているときに、これをまともに正面から受け入れてそれにこたえる
措置をとっていない点が、きびしく
指摘されなければならないと
考えます。
政府の
提出された
資料に基づいて私
どもで
計算をした場合でも、十億円以上の資本の
法人だけで、何と五千五百八十九億円もの税金を
昭和四十五年だけでまけてやっているという事実が、この
租税特別措置がいかに大
企業奉仕の
制度であるかということを雄弁に物語っているといわなくてはなりません。
以上の点を勘案して、わが党は、
租税特別措置法の
政府提案にかかる一部改正案と、そして自由民主党の同法の修正案に対して反対の態度をとるものであります。
以上で討論を終わります。(拍手)