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高木(文)
政府委員 貯金問題については、実にいろいろな問題がございます。それで、御
指摘のような問題点も相当あるわけでございます。ただ、御
指摘のような、現在の非課税貯蓄の適用を受けておられる方が総合
所得になったら一体どういうことになるか、現行の
所得階層別に非課税貯蓄の口数、
金額を調べるということは、これは突合がちょっとできませんのでやりようがないということになっておるわけでございます。ただ、私
どもの経験では、中にはいろいろな調査事案を通じてこの
制度がうまくいっていないという場合をしばしば見出すわけでございます。
そこで、当面私
どもの最大のやるべき
仕事として考えておりますのは、これはむしろ国税庁の執行と
関係があるわけでございますが、非課税貯蓄が本来あるべき姿のとおり行なわれているかどうかということがまず問題でございまして、
御存じのように、百五十万円まで非課税ということになっておりますが、この百五十万円というのは、何カ所かの銀行に預けましても、全部を通じて百五十万円でなければならぬ、多種類多店舗で百五十万円ということになっておるわけですが、Aの銀行の窓口にお客さんが預けに来られたときに、あなたはほかの銀行に預けておられますかということを聞くわけでございますけれ
ども、その方が、いや、私はほかに預けていないと言えば、銀行としても調査のしようがないということで、百五十万円の
制度を残すかやめるかという問題の前に、むしろ現行の百五十万円の
制度を乱用されてはいないか、本来百五十万しかだめなはずのところを、事実を偽わって、他の銀行と二カ所で、たとえば三百万円まで別の名前で
預金を持って非課税になっているものがありはしないかというような問題があります。それをなくしますためには非課税貯蓄の名寄せということが必要なわけでございますが、何ぶんにも
先ほども申しましたように六千四百万件ありますから、六千四百万件の名寄せということは現行上実際問題としてはほとんど不可能に近いので、
現実にはある程度のサンプル的突合しかやっていない
現状でございます。
そこで、そういう
制度自体、多種類多店舗で百五十万円までということ自体が
現実的でないから、何らかそこを自動的に歯どめがきくように、一種の名寄せが自動的に行なわれるような方法がないかというようなことが当面課題になっておるわけでありまして、今回、先般御審議が終わりましたが、
所得税法の九条一項一号で郵便貯金について一部
改正をしていただきましたが、その
改正もこれに関連のある問題でございます。私
どもといたしましては、そこにあらわれておりますように、まず現行非課税貯蓄
制度が
制度の予定したとおり正しく運用されるように、何か
合理的に
制度の
仕組みを組み立てていく必要があるということで、郵便貯金を除いて六千四百万という件数は、人口の数等から見ても、件数としても若干多いようにも思われますし、そこを銀行局とも相談をし、銀行協会等銀行の連絡指導に当たっておられる機関とも相談をして、漸次この非課税
制度自体を正しい運用に持っていかなければならぬというように思っておるわけでございます。それを一挙に廃止するということも
一つの
考え方ではございましょうが、それはまさに長い歴史を持っておるわけでございますし、それから零細な方もたくさんあるわけでございますから、一部に高額
所得者がこの
制度を利用し、かつ場合によって必ずしも正しくない利用のしかたが行なわれておる心配があるからといって、
制度のほうをやめてしまうというわけにもまいらないというのが私
どもの
考え方でございまして、これはかねがねやってきておりますが、今後とも何とかこの
制度がいまのようなことよりももう少し正しく運用されるように、主として国税庁を中心にして努力を重ねてまいりたいと思います。