○橋口(收)
政府委員 政務
次官からお答えがあると思いますが、その前にちょっと補足して申し上げたいと思います。
高沢先生の御主張は、端的に申しますと、非常にことばは悪いのでおしかりを受けるかもしれませんが、
資金運用部資金というものの存在それ自体の基本に触れる御発言であろうと思います。財政制度審議会で二年間
議論いたしまして、専門家の方々にお集まりいただいて二年間なかなか結論が出なかったというところも、実は、
資金運用部資金というものを金融的資金と考えるか財政的資金の配分という性格を持つものと考えるかという認識の相違に発するのでございまして、これは本来金融的資金の管理であり運用であるということであれば、そういう考え方を強調される専門家の方は、これは本来国権の最高機関の審判を受けるべき性質ではないという強い御意見でございます。それに対しまして、今日の
資金運用部資金の額なり経済に占める重要性から見まして、やはり財政的資金の配分、逆に申しますと、実物経済に着目してみますと、今度の法案の第一条に出ております資源配分的な機能を持つ、資源配分的な性格を持つ資金については、国権の最高機関としての
国会の御意思を確認するということが必要であろう。非常にことばは悪いのですけれ
ども、それが譲り得る最大限度じゃないかというのが財政制度審議会の御意見の大勢であったのでございます。これは審議会の答申の中にも明らかに出ておりますけれ
ども、五年以上の長期の運用、財政投融資の運用は御承知のように二十五年以上というものが大体全体の四割くらいを占めておりまして、実際財投機関に対して五年の融資を行なっておりますのは、
国民金融公庫とかあるいは商工中金というような比較的短い融資をいたしております金融機関に限られておりまして、住宅にしましても鉄道にしましても、そういうものは二十五年とか三十年という非常に長い運用をいたしておるわけであります。したがいまして、西欧的な常識から申しましても、
長期運用ということになれば当然二十年くらいということでありますし、日本におきましても国債は常に十年ということになっております。したがって、
資金運用部資金の長期の運用ということであれば、より長い二十年とか、場合によっては十年というような、そういう長いものだけを
国会議決の対象にするのは適当であるし、それ以上に拡大するのは適当でないという御意見であったのでございますが、いままで財投計画には五年以上のものを全部計上しておりますし、中小三機関分は五年という融資で実際に運用が可能でございますから、そういう点から申しまして、五年以上のものについては一切
国会に提出をする。ことに財投計画以外の国債の
長期運用、金融債の
長期運用、それから簡保資金につきましては電力債の
長期運用、これも
国会の議決の対象にするということにいたしておるのでございます。
したがって、五年未満の短期の運用を、そのときの金融
情勢なりあるいは債券の事情によって機動的に運用することが
要請されるような
事項、またそれはそういう形で運用いたしませんと、日々歳々入ってまいります資金は全部利息がついておるわけでございますから、遊ばせることは許されないわけでございます。したがって、そのときそのときの
情勢に応じて機動的に運用するということが
要請されますし、また運用対象というものが法律できめられておりまして、先ほ
ども申しましたように、ほしいままの運用というのは一切できない。それから、これだけ大きな
政府資金が一挙に金融
市場に出動するということになりますと、金融
市場に大きな
影響を及ぼしますので、直接マーケットに出ることは一切やっておりません。これは中央銀行が管理をいたしまして、中央銀行の判断で、金融政策との斉合性を保ちながら運用しておりまして、そういう短期の、一年以内とかあるいは三年程度の金融につきまして、一切計数をもって
事項別に
国会の議決を仰ぐというような姿にするということは、実務上も不可能でございますし、また本来の性格から見て適当でないというのが財政制度審議会の答申でございます。したがいまして、長期の運用、五年以上の長期の運用につきましては、可能な限り、本来の有価
証券に対する投資としての性格を持つ金融債とか、あるいは電力債についてまで
国会に提出して議決をちょうだいする、こういうことにいたしておりますので、五年を切る短期の運用については、一切
国会の議決の対象にするということはやはり適当ではないというふうに考えられておるわけでございます。