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1973-04-09 第71回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月九日(月曜日)     午後一時四分開議  出席委員    委員長 田代 文久君    理事 田中 六助君 理事 山崎平八郎君    理事 多賀谷真稔君 理事 渡辺 惣蔵君    理事 多田 光雄君       阿部 喜元君    荒木萬壽夫君      小此木彦三郎君    三枝 三郎君       塚田 庄平君    瀬野栄次郎君       松尾 信人君    稲富 稜人君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         通商産業省公害         保安局長    青木 慎三君         通商産業省鉱山         石炭局長    外山  弘君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 佐伯 博蔵君         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君  委員外出席者         参  考  人         (日本石炭協会         会長)     貝島 弘人君         参  考  人         (石炭技術研究         所所長)    八谷 芳裕君         参  考  人         (全国鉱業市町         村連合会会長) 坂田九十百君         参  考  人         (日本炭鉱労働         組合中央執行委         員長)     里谷 和夫君         参  考  人         (全国石炭鉱業         労働組合中央執         行委員長)   道下 一治君         参  考  人         (全国炭鉱職員         労働組合協議会         議長)     木崎 順二君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君    小此木彦三郎君   篠田 弘作君     阿部 喜元君 同日  辞任         補欠選任   阿部 喜元君     篠田 弘作君  小此木彦三郎君     愛野興一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する  法律案内閣提出第六三号)      ————◇—————
  2. 田代文久

    田代委員長 これより会議を開きます。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本日は、本案につきまして、参考人として御意見をお述べいただくため、日本石炭協会会長貝島弘人君、石炭技術研究所所長谷芳裕君、全国鉱業市町村連合会会長坂田九十百君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長里谷和夫君、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員長道下一治君及び全国炭鉱職員労働組合協議会議長木崎順二君の御出席をいただいております。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人方々には、本案につきまして、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、はなはだかってではございますが、時間等の都合もございますので、御意見開陳の時間は、お一人十五分程度お願いいたしたいと存じます。  議事の順序につきましては、まず、参考人各位から御意見をお述べいただいた後、委員各位から参考人の御意見に対して質疑をいただきたいと存じます。  まず、貝島参考人お願いいたします。貝島参考人
  3. 貝島弘人

    貝島参考人 日本石炭協会会長をいたしております貝島弘人でございます。  石炭対策につきましては、かねてから本委員会の諸先生には格別の御配慮をいただいておりますが、本日はまた、お忙しい日程をさき、石炭業界立場から発言する機会を与えてくださいました御好意に対しまして、心から厚くお礼を申し上げます。  御高承のとおり、急激に進行しつつありますエネルギ革命下にあって、石炭業界といたしましては、昭和三十四年のトン当たり千二百円引きという大幅な炭価引き下げ措置をとって需要業界要請にこたえましたことをはじめとし、スクラップ・アンド・ビルドというきわめてきびしい画期的な合理化政策の中で、総力をあげて経営健全化努力を傾注してまいりましたが、その間政府におかれては、第一次から第四次に至る数次の石炭政策によって、石炭産業再建育成のため手厚い保護助成を講じられるとともに、鉄鋼、電力等大口需要者からは、政策需要の名のもとに大量の引き取り及び炭価値上げについての御協力をいただきましたことは、まことにありがたく存じておる次男でございます。  しかしながら、これらの事情背景としながらも、石炭産業における経理状態はいささかも好転せず、収支の悪化は続き、資金繰りに至っては、市中金融はほとんど絶望的ともいうべき窮迫状態におちいってまいりました。さらに、最近に至りましては、公害問題の深刻化に伴い、その規制の強化、地域住民抵抗等から、需要構造においてはきわめて困難な情勢変化が起こりつつありまして、石炭産業窮迫化に追い打ちをかけておる現状でございます。  かかる事態に対処するため、政府におかれましては、昨年六月二十九日、石炭鉱業審議会における長期石炭政策についての答申を受け、さらに七月四日の閣議決定により、いわゆる第五次石炭政策を策定、これが実施に必要な予算案及び法律改正案を今国会に提出、現に諸先生方の御審議をわずらわしておるわけでございますが、答申作成にあたっては私ども審議会委員として合意いたしたものでございますので、一日も早く審議を尽くされ、第五次政策がすみやかにスタートできるようにお願いいたしたいのでございます。  もちろん私ども石炭業界といたしましては、いわゆる政策実施待ちということで浜手傍観しているものではなく、経営合理化については、労使の話し合いによって絶えず努力を怠らず、保安確保を前提としつつ、供給安定化につとめますとともに、市場条件に即応した生産体制確立をはかっております。一例を申し上げますと、高硫黄炭需要確保いたしますために、三井アルミ大牟田発電所におきましては、十数億円の巨費を投じまして、排煙脱硫装置を完成し、現に一〇〇%に近い公害防除効果をあげているがごときでございます。  しかしながら、石炭産業の実態としましては、地下童業資源量業に宿命的につきまといます自然条件悪化、特に深部移行に伴う悪化、あるいは労働者確保に必要な労務費上昇、物価の値上がり等から、今後とも生産原価増大は必至でありますし、需要確保にますます困難の度を加えるものと予想されますので、石炭産業みずからの企業努力によるほか、政府におけるきめのこまかい行政指導大口需要側の御協力が、従前にも増して必要となってくるものと思うものでございます。  したがいまして、当面石炭産業が、第五次石炭政策下において課せられました企業責任を果たしていくためには、すでに申し上げましたことの繰り返しになりますが、まず第一に需要確保、第二に資金調達の困難を打開していただくことが、喫緊の課題となっておりますので、諸先生方の一そうの御援助お願いいたす次第でございます。  最後に、最近に至り、ほとんど全世界的にエネルギー危機が唱道されてまいりましたが、アメリカ、西欧、中近東諸国におけるエネルギー需給構造の著しい変化は、必要エネルギーの大部分を輸入に依存せざるを得ないわが国エネルギー事情に大きな影響をもたらすことは当然でございます。その意味においては、それらの国々と同様に、有力な地下資源としての国内炭をいま一度見直さねばならない時期が差し迫っているものと存じます。政府をはじめ関係諸団体においては、このために昨今しばしば調査団海外に派遣し、海外エネルギー事情調査、検討を進め、対応策を模索しつつ危機に備えんとしておりますことは、まことにけっこうなことだと存じますが、それにも増して肝要なことは、国内資源開発利用だと存じます。石炭の場合、今日必要を生じたからといって明日直ちに生産できるものではなく、それには数年の日子と多額の設備投資、さらに高度の技術を必要とすることを十分御理解くださり、第五次政策に示されました最低二千万トンを下らぬ出炭規模程度はこれを維持しなければ、必ずや将来に大きな悔いを残すことと確信いたしますので、この体制堅持のためには、官民をあげて全力を結集すべきものと存じます。  以上、簡単でございますが、協会長といたしましては、傘下各企業が、国の助成保護にこたえるとともに、需要側に御迷惑をかけないよう最大限努力を続ける決意を持っておりますことを披瀝いたしまして、陳述を終わりたいと存じますが、ことば足らざる点あるいは詳しく数字をもって御説明すべき事項等につきましては、御質問をいただきました際に申し述べたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  4. 田代文久

  5. 八谷芳裕

    八谷参考人 私は、石炭技術研究所所長八谷でございます。  この委員会におきまして所見を申し述べる機会を与えられましたことを、たいへんに光栄に存じております。  まず、技研創立以来努力してまいりました研究開発概要を申し上げまして、炭鉱技術の将来について、そのあとで所見を申し上げたいと存じます。  第一に、技研概要でございますが、昭和三十五年に大手炭鉱会社の賛同を得まして、財団法人として設立、本年でちょうど十四年目になります。  設立目的は、石炭業界総力を結集して、新技術開発普及につとめ、生産性向上による原価低減石炭需要維持拡大をはかることにあります。また、近年著しく問題化してまいりました坑内水洗炭廃水清澄化技術や、石炭消費に伴います大気汚染防止等公害対策技術確立も重要な目的となります。  事業規模を資金的に申し上げますと、大手炭鉱会社から年間約二億五千万ないし三億の会費拠出を受けております。これに対しまして、政府補助金が一億ないし一億二千万程度各種委託調査費等を合計いたしまして、年間の総事業費は、昭和四十八年度で約四億強と見込んでおる次第でございます。  第二番目に、技研事業でございますが、第一点は、採掘作業合理化機械化近代化、第二点としまして、加工利用技術開発による需要維持拡大でございます。それから次に、公害対策技術開発普及、こういうふうに大きく分けることができますが、何といたしましても、企業経営改善効果を発揮するものとして、第一点の採炭技術や掘進の機械化その他生産技術水準向上設備近代化重点として行なわれてまいりました。  例をあげますと、機械化採炭の基幹となる自走支保開発、さらに高性能ドラムカッターの試作など、高性能機械化切り羽の造成でございます。昭和四十七年十二月の実績によりますと、大手炭鉱の全出炭量のうち、自走支保切り羽の割合は四四%を占めております。これに、自走支保は用いておりませんが、機械化している切り羽の二六%を合わせますと、約七〇%が機械化されている状況でございます。  その一人一日当たり出炭能率平均で申し上げますと、自走支保切り羽は二十三・四トンに達しておりまして、一般払いの七・八トンに対しまして約三倍の高能率を示しております。  このように機械化が急速に発展普及し、生産性向上いたしましたことは、業界、特に現場第一線方々の非常な御努力によるものでありますが、われわれ技研もその成果に大いに貢献しているものと自負いたしております。  また、この近代化された大型機械化採炭技術は、カナダ、オーストラリアその他の諸外国に進出して大いに役立ち得るものと確信いたしております。  また、創立以来、水力採炭水力輸送等炭鉱水力化方式開発にも努力してまいりました。  この研究は、北海道の三井砂川炭鉱で開花いたしました。さらに、三井鉱山は、カナダバルマー炭鉱に対しまして、水力採炭についての技術輸出をし、非常に大きな効果をおさめているようでございます。  また、保安技術分野でも、昭和四十二年度以降、保安専用機器開発費補助金交付を受けて、機器メーカー各種保安機器開発を共同で行なっております。  第二の柱といたしまして、石炭加工利用分野があります。新規需要を開拓するには、石炭業界みずから利用技術開発努力する必要があると考えまして、昭和三十六年以来、国内炭活用による製鉄用コークス製造研究に取り組んでまいりました。  技研開発いたしました予熱乾燥炭装入法は、現在世界的に広く利用されておりますコークス製造法を改良して、コークス炉生産性向上するとともに、一般炭使用範囲拡大するものでございます。  その後、さらに将来のコークス用炭需要増大に対処して、配合炭種最大限に拡張するため、成型コークス製造法開発昭和四十四年度から着手いたしております。  幸いにも、新日鉄室蘭製鉄所の御協力をいただきましたので、同所構内に一時間二トン規模試験設備を建設いたしまして研究を進めてまいり、現在その製品の高炉装試験を行なうべく準備中でございます。  このほか、従来取り扱いや運搬がめんどうなことから市場性が劣っていました微粉炭の有効利用法として、その特性を利用いたしまして、最近各方面で重要問題となってまいりました下廃水処理を行なう研究も進めてまいっております。  この研究につきましては、その技術的データも相当蓄積されましたので、本年度からは都市下水のみならず産業廃水にまで範囲を広げ、公害対策技術一つとして石炭利用分野拡大をはかりたいと考えております。  さて、皆さま御承知のように、最近欧米各国、特にアメリカにおいて、石炭の再認識が強く叫ばれ、数年中には石炭ガス化による合成天然ガス大量供給企業化されると報じられております。  アメリカでは、くしくも当石炭技研創立と同じ昭和三十五年に、内務省に石炭研究局が創設されました。アメリカ長期エネルギー需要予測の中に、必然的に石炭エネルギー活用をはからざるを得ないものとの見通しから、石炭液化ガス化研究開発が進められてまいりました。この研究成果がようやく実りだしたことと、最近における石油天然ガス供給不足状況、価格の上昇が一致いたしまして、石炭ガス化開発促進がやかましく論じられるようになったものと考えられます。  もちろん、アメリカその他とわが国とは、資源事情経済情勢は著しく異なっておりますが、内外石炭を原料として大量のクリーンエネルギー製造供給することの必要性は、将来当然わが国でも予測し、その対策を立てておくことが重要だと考えております。  したがいまして、当技研では、石炭ガス化液化等技術情報最大限に収集しまして、これを評価して将来に備えるよう心がけていく所存でございます。  以上、簡単に技研の行なっております研究開発状況並びにそれを中心とした石炭技術の動向について、その概要を申し上げました。  技研といたしましては、微力ではございますが、現在炭鉱が置かれておりますきびしい事情に対処するため、生産性向上原価低減に役立つ生産技術研究開発を強力に推進するとともに、石炭需要確保のための新しい加工利用技術開発にも努力いたす覚悟でございますので、皆さまの一そうの御理解、御援助を賜わりますようお願い申し上げます。  最後に、石炭産業関係する技術者としての立場から所見を申し述べることをお許し願いたいと思います。  最近、エネルギー危機ということが叫ばれてまいりました。これは、現在利用されている資源は有限であるからであろうと存じます。特に最も広範囲かつ大量に使用されている石油資源は、その消費量並び消費増加傾向からすると、三十年程度で枯渇するであろうとも言われています。こういう見地から、比較的埋蔵量の多い石炭資源見直し論が出てまいったものと思っております。私も、きっと近い将来、石炭資源が貴重な存在として認識されるときが内外ともに来ると確信しております。  しかし、国内石炭産業状況は、閉山が続出いたしておりまして、私どもの同僚である炭鉱技術者は次々と転職してまいっております。一たび技術開発研究が中絶いたしますと、たとえ石炭資源が見直されたといたしましても、その時期には石炭を効率的に掘り出す技術はきわめて貧弱なものになっているという憂いさえあるわけでございます。  地下深いところで、ガス、水あるいは自然発火盤圧等と戦って石炭を採掘する技術は、一朝一夕で実るものではございません。炭層賦存条件のそれぞれ違った多くの炭鉱が存在してこそ、技術は次々と受け継がれまして発展していくものであろうと思います。  どうか、石炭産業を安定的に維持して、石炭採掘技術の火をともし続け得られますよう、今後とも格段の御支援をお願いいたします。  ありがとうございました。
  6. 田代文久

  7. 坂田九十百

    坂田参考人 ただいま御指名をいただきました全国鉱業市町村連合会会長田川市長坂田でございます。  私はいま、歯の治療中でございまして、抜歯いたしておりますから、発言が明確でないので、お聞き取りにくいところがあろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。  本日は、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、産炭地市町村を代表いたし、意見を申し述べる機会を与えていただきましたことをまことに光栄に存ずる次第でございます。  ただいまの改正法案は、昨年六月の第五次石炭政策についての石炭鉱業審議会答申に基づき、管理委員会設置を主体とする法律改正と存ぜられまして、審議会委員立場からも、政府御当局の御配慮に対し深甚なる敬意を表するものでございます。  しかしながら、本改正法案を一読する限りにおきましては、答申による管理委員会設置の趣旨が十分生かされておるかどうか、いささかの疑点を感ずるものがあります。  答申には「(イ)石炭鉱業合理化事業団に国の各種助成を原則として移管し、これらの各種助成の一元的な運営を可能ならしめるとともに、(ロ)これを背景として、上記の業界内需給調整委員会および炭鉱の自主的な活動に対する適切な助言指導を行なう機構として、」とありますが、本改正法案によりますと、管理委員会権限として、事業団予算、決算、事業計画及び各種助成交付貸付計画等事業団の中枢ともいうべき事項の議決を行なうことになっておりますが、これは答申の(イ)の部分法制化と考えられますが、管理委員会の使命ともいうべき(ロ)の部分、すなわち需給調整及び炭鉱に対する適切な助言指導については、法的裏づけが明確でないように思われるのであります。この部分行政指導と申しますか、運用の面で補充されることと推定されますが、事業団理事長権限内での内部活動にとどまるものとすれば、管理委員会設置の意義はきわめて希薄になるものと思われるのであります。  審議会の意図するところは、たとえば、個々の炭鉱に対して経営分析を行ない、適切な助言を与える、あるいは関係方面石炭専焼火力発電所建設等についての提言をするというような、石炭についての需要供給に関する対外的な積極的活動が可能な管理体制を期待したのではなかったでしょうか。  私ども産炭地市町村といたしましても、かつては六百有余の炭鉱が現在わずか五十余山に激減した国内エネルギー資源を、いかにしても確保し、ひいては、当該市町村振興と申しますより、地域崩壊を防止できるような強力な制度としての管理委員会を希望しておるのであります。  さらにまた、管理委員会任務が、事業団内部事業計画予算審議等重点が置かれた場合には、非常に危惧される重要な問題点が残されるのであります。  御高承のとおり、石炭対策石炭鉱業対策鉱害対策産炭地域振興対策労働対策の四本の柱から成り立っております。管理委員会任務交付金貸し付け金等事業団予算重点が指向された場合、必然的に石炭鉱業対策予算拡充にとらわれ、現行石炭対策特別会計における四本柱のバランスがくずれる可能性が憂慮されるのであります。  昭和四十八年度の石炭石油対策特別会計予算概要を見てみますと、石炭鉱業合理化対策費が六百二十三億円で総額の五七%、鉱害対策費が百七十億で約二八%、労働対策費が百九億円で約一〇%、産炭地域振興対策費がわずかに八十二億円、七%にすぎません。全国産炭地市町村は、必死の努力にもかかわらず、いまだに困窮の域を脱し切れずにおります。昭和三十五年の財政力指数が六二・四%と、全国平均をやや上回っておりましたが、十年後の昭和四十六年度においては、全国平均六〇に対して産炭地市町村平均三二と、激減いたしております。人並みどころか半人前という状態で、ますます貧困の度を加えておる状況であります。  産炭地域振興対策費、特に産炭地振興臨時交付金などは、実に窮乏市町村財政への慈雨であります。これが大幅に増額されるような法改正こそ望ましいのであります。  産炭地域振興事業団改組に次ぐ改組で、いまや産炭地振興の名称さえ消え去ろうといたしております。関係市町村住民の不安、動揺もあり、せめて関係予算拡充が極力望まれておる現状であります。  また、炭鉱離職者失業者、ことに中高年齢層失業者が集中いたしております産炭地市町村は、その労働対策費が非常識と思えるほどの予算単価の圧縮によって、億単位の超過負担を余儀なくされており、このまま推移すれば関係市町村は自治体の性格を失うような状況にあって、当該予算の増額は切実な問題となっております。  鉱害対策費につきましても、国土の保全、民生安定上不可欠の予算でありまして、もし石炭対策特別会計予算配分現状よりさらに圧縮されるようなことになりますと、これは重大な事態を生ずることともなりかねない状況にあります。  私どもといたしましては、管理委員会は、あくまでも石炭鉱業の安定のため、需要拡大安定供給をはかる強力な対外活動の機関たらしめたいと念願するものであります。  審議会答申には、昭和五十年度において二千万トンを上回る生産量を推定いたしておりますが、昭和四十六年度三千百七十万トン、四十七年度の生産ベースは二千五百五十万トンベースと落ちておるというきびしい現状を踏まえて、管理委員会設置が真に石炭対策全般に寄与されるよう御配慮の上、すみやかに決議されますよう諸先生方の特段なる御高配をお願い申し上げまして、私の公述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  8. 田代文久

  9. 里谷和夫

    里谷参考人 私は、日本炭鉱労働組合中央執行委員長をしております里谷和夫であります。  私ども石炭産業に従事をし、地下で働いている者といたしまして、いま当委員会で議論されている諸先生方の御努力に対して敬意を表するものでございます。  御案内のとおり、三月二十七日、田代先生をはじめといたしまして、本委員会に参加をしていただいています各先生方に、五点にわたる要請書提出いたしまして、本委員会で議論されている議論が、私ども労働者が要望している内容を一つでも実現をしていただくために、お願いを続けてまいっておるのでありますけれども、今後とも石炭産業安定のために御論議をいただくことをお願いをいたすものでございます。  私ども立場を第一に申し上げておきたいと思いますが、昨年の第四次政策を見直すにあたりまして、体制委員会設置をされ、鉱業審議会総会にはかりまして第五次答申ができたのでありますが、昨年の六月十四日に、当時の田中通産大臣から、私ども石炭五次政策を作成するにあたっての大臣メモの回答をいただいたのでございます。引き続きまして六月二十九日に、石炭鉱業審議会総会が開催をされまして第五次答申の決定を見たのでありますが、私どもは、六月十四日の大臣メモの回答からいたしましても五次答申の内容は不十分であるという意味で、この五次答申審議の際、各位にはほんとうに失礼の段もあったのでございますけれども、生きるか死ぬかという現状の労働者の立場から、審議会から退席をするという行動をとったのであります。その後私どもは約十カ月、この五次答申の内容をどうしても変更していただきたい、そういう前提で運動を続けてまいっています。  以下、簡単に項目を申し述べたいと思います。  まず第一は、昭和五十一年度二千万トン以上の需要確保に当たるという大臣回答があるのでありますが、需要の面で申し上げてまいりますと、一般炭でありますが、すでに本年の四月の段階で、三池炭鉱、太平洋炭鉱、幌内炭鉱一般炭の貯炭は三百万トンを上回る実情になっているのであります。したがいまして、五十一年度二千万トン以上の需要供給のバランスを明確にするという体制でございますけれども、当面このバランスは今年度じゆうにおいてたいへんなアンバランスを生ずるのではないかと私どもは思っています。そういう面で、私どもは、石炭専焼の火力発電所を設置する、こういうことでお願いを申し上げたいと思うのであります。  私ども、これらの体制の中でいま一番議論をしていますのは、日本のエネルギー体制の問題についてであります。昨年イギリスの政府がとった石炭の補助政策、あるいはいまアメリカにおいて提示をされようとしておりますエネルギー対策の問題について、わが国エネルギー政策は門外ではないと思うのであります。  したがって、この需要供給のバランスは、二千万トンの議論になっていますけれども、この議論を発展をさせてまいりますと、一般炭の輸入が考えられ、あるいは原料炭が五千万トンに及ぶ輸入である、こういう実情等を判断をしてまいりますと、わが国の唯一の資源である石炭が、二千万トン以上体制ということが現状において崩壊をされるという点からまいりますと、何としても政策的にこれらの具体化をはかる必要があるのではないのか、こういう意見を持っているのであります。  二番目に、生産体制でありますが、私どもいろいろ政府あるいは企業と協議をいたしておりますが、本年の三月三十一日付をもちまして、企業のほうから四十八年度生産体制の計画について提示を求めてまいりました。その集計によりますと、二千六十八万六千二百トンという計画の提示があるのであります。これは炭労に参加をする企業だけでありますので、これ以外の企業がございますから、これらの四十七年度実績見込み等判断いたしますと、このほかに二百二十万トン程度の出炭があると推察をいたします。こうなってまいりますと、本年度の出炭計画は二千五百万トンでございますけれども、すでに四十八年度の生産計画を見ましても、二千二百万トン体制というのはどうしても出てくるのではなかろうかと思います。  このことは、私ども本年に当たりましてから、相も変わりませず閉山の提案を受けておりまして、本年では赤間炭鉱の閉山、三美炭鉱の閉山、これを余儀なくされているのであります。そういう実情から判断をいたしますと、この五次政策の精神である五十一年度二千百万トンを維持するという体制については、すでに今年において崩壊をしているのではないのか、こういうように思うのであります。  そういう面で、唯一の資源である石炭確保する、資源確保するという前提に立って政策を打ち出していただきたいと思いますし、採炭をするにあたりましての近代機械化の問題について、十二分に御判断を願いたいと思うのでございます。  これらの計画について一番問題になりますのは、資金化の問題が出てまいりまして、今度の五次答申では運転資金を付するということに相なっていますけれども、私どもの判断では、この運転資金は再建資金を含む内容に改革をする、こういうことができないものか、こういうように思うのであります。したがって閉山が提起をされてまいりました場合、私ども技術的に見まして、あるいは資源的に見まして、あるいは当面議論をされています経済性の問題等も含めて議論をしてまいりますが、どうしても現行の炭鉱を守るとすれば再建資金の計画は必要である、このように、十二年間石炭政策の中で私どもがいろいろ政府企業と話しをしてきた結論として、この再建資金の方途について意見を持っているものでございます。  三番目でありますが、労働者の確保の問題であります。  今回の答申では、一般炭並びに原料炭の値上げによって得る資金については、労働条件の福祉向上の資とするということで答申がございます。ところが、私どもいまいろいろ検討をいたしているのでありますが、企業が通産省に提示をする生産計画あるいは資金計画等を推測するにあたりまして、この労働条件の問題について、いろいろ調査をしたのでありますが、ヒヤリングの段階で出される賃金アップは、一二%という数字が盛り込まれているやに聞いております。昨年度は二百四十六円というアップでありまして、今年度一二%になりますと、七千円から、七千円出てもわずかの金額であるという状況になっています。  確かに答申では、労働条件改善に資する原資にはなっていますけれども、このことでは、現状の物価高で、食糧費を含めまして一万四千五百円程度の物価上昇があるという判断をいたしていますが、私どもの労働条件の低下の問題について一考をしていただかなければなりませんし、もう一つは、いまや炭鉱労働者の定着性という問題もございますけれども、きわめて労働年齢が高うございまして、どうしてもいまの石炭産業維持するには、この労働者を確保すると同時に、新しい人員を坑内に導入しなければならぬと思うのであります。しかしいま申し上げましたような労働条件ではたいへんな条件になると思います。私どもが描いている計画のように、若い労働人口が炭鉱に来る、このことが一〇〇%ゼロに近いのではないかと思っていますので、答申にありますように、労働条件改善に資する項目について、より一そうの御協力を賜わりたいと思うのであります。  最後に、私どもは、保安を守る体制の問題について申し上げてまいりたいと思うのでありますが、先ほど坂田市長からも申されましたように、炭鉱の数も減りましたし、労働者の数も非常に減ってまいりました。しかしながら、炭鉱における災害というのは、その率は実は下回っておらないのであります。四十六年度の実績では、一年間百三名という死亡でありましたし、四十七年度の実績でまいりますと、実績ということばはまことに申しわけないのでありますが、死傷者の実数を申し上げますと、百十四名というような坑内の保安状況でございます。したがって、私ども保安を守る体制について、国の完全管理の中で体制を補強をする、こういうことで御配慮をいただきたいと思うのであります。  最後に付言をいたしまして、産炭地救済問題、管理委員会の問題について触れたいのでありますが、私ども産炭地がいまたいへんな疲弊をしていることについては、みずからも認めています。たとえば昨年の閉山のときに、美唄炭鉱のときには、通産大臣は、必ず企業誘致の昨年の九月の実現をはかるという約束をしていただきましたが、現状では、確かに企業誘致が皆無ということでありませんが、その産炭地を守るに足るだけの企業が導入をされていません。  もう一つの半面を申し上げますと、相次ぐ閉山でございまして、産炭地に居つきませんから、他地方に他出をするのであります。その場合に他出をした際の条件がございまして、住宅条件あるいは賃金条件もございますので、まことに信じられない実勢ではございますが、調査をいたしましたら、三笠、歌志内、赤平、この周辺で六百数十名の一人住まいの老人が、端的に言いますと迎えにくるのを待ちながら、あるいは生活費を送ってくれるのを待ちながら、産炭地で生活をしているという現状であります。当然これらの施策については各自治体が行なってはいますけれども、満足のいくものではございません。私ども指導の欠陥を率直に認めますけれども、産炭地の救済の問題について、こういう一面があることも御了承をいただいて、より手厚い方策を出していただきたいと思うのであります。  管理委員会の問題については、答申にございますが、私も体制委員会の一員といたしまして、この管理委員会というのは、前提は、企業が私企業のバイタリティーをいかに生かすか、こういう前提で議論をされたものであります。当時の判断からいきますと、企業側も、私企業の体制ではやっていけないということを明確にし、体制を変革をするということで、体制委員会にその態度を表明したのでありますが、これは、企業間が調整委員会その他をつくって、私企業体制でがんばりなさい、というのが議論であり、それの上積みとして管理委員会設置をする、こういう議論の結果が答申に盛られたのだと思いますけれども、この提示をされている法案その他からまいりますと、運営細則その他の問題についてもいまだ不明確でありますし、私どもは、これらの管理委員会設置をされるのであれば、労働者の代表がどうして入らないのだろうか、こういう面についての要望も持っている次第であります。石炭の体制そのものが私企業でこれからも存置されるということについて、私どもは反対ではありますが、もしこの体制でやるということになりますと、管理委員会の運営については十二分な責任がある体制をとっていただきたい、こういう考え方を持っているのであります。  若干の時間のオーバーをいたしましたが、簡潔に、ただいま議論をされている法律の内容について、日本炭鉱労働組合意見を申し上げます。
  10. 田代文久

  11. 道下一治

    道下参考人 御紹介をいただきました全炭鉱委員長道下でございます。  石炭問題につきましては、いろいろと御苦労をおかけいたしておりまして、感謝申し上げたいと思います。新しく始まります石炭対策の問題で意見を述べよ、こういうことでございますので、過去の体制委員会の中でいろいろ論じてまいりました論議の過程を振り返りながら、私の意見なりあるいは御要請を申し上げたい、このように思っております。  御承知のとおりに、石炭対策、これのいわゆる答申が出ましたのは、昭和三十七年であったというふうに私は考えております。いわゆる三十七年度を出発点にいたしまして、昭和四十四年度の第四次まで、四回いままで石炭に対するいろいろな対策を講じてもらって、現在まで推移をいたしました。  過去のおもな対策をいま振り返ってみますと、昭和四十二年度でございますけれども、第三次答申だったと思います。このとき、大体大きな柱としては、一千億の肩がわりをお願いを申し上げました。あわせてまた、四十四年度の第四次政策、これについては、いわゆる第二次肩がわり八百五十億、それから特閉制度、いわゆる特別閉山交付金制度、こういうものの創設あるいはまた安定補給金の拡充、こういうようなもの、いろいろな、年を経るごとに手厚い一つ保護対策が持たれてまいりましたけれども、結果的にはまた手直しをする、言うなれば二年ごと、大体石炭対策というものがいろいろいままで御迷惑をかけてまいりました。いわゆる新しい対策が四十八年度から発足をいたしますが、この時点で私どもの、いま石炭産業の足元を見ますと、ちょうど十年を経過したわけでございます。当時、三十七年でございますけれども、この当時のいわゆる炭鉱数というのは、私は四百十八鉱あったと思います。それから、年間の出炭トン数では大体五千三百万トン程度が出炭をされておった。炭鉱の労務者数では、十八万程度のいわゆる従業員がおったと私は思います。それが、ちょうどいま十年を経過いたしまして、四百幾らの炭鉱がございましたのが、現在は、先ほども参考人意見を述べておりましたけれども全国で五十鉱でございます。出炭にして約二千四百五十万トン、労働者の数約三万人若干でございます。このように十年間の間にほんとうになだれ的な現象で陥没をいたしました。  もちろん、このように落ち込んでまいりましたいわゆる原因というものには、私は、政策の不備ばかりでない問題があったと思います。正直に申し上げて、経営者の経営努力の不足あるいはまた労働組合の、われわれの企業努力の不足、こういうものが私はあったと思います。しかしながら、やはりほんとうの意味の原因というものは、どうしても、いわゆる石炭を取り巻く情勢に、それを先取りするような政策がなかったのではないか。それとあわせて、具体的ないわゆる打っていく政策対策というものが、どうしてもそういう考えであと追いになっていった、こういうものが、今日、大きく石炭産業が落ち込んでまいりました原因ではないか、このように私なりに実は判断をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういうように転落を続けてまいりました石炭産業に対して、われわれもほんとうにこれより以上の石炭産業の陥没は困る、何とかしてどこかで歯どめをしてもらいたい、こういう気持ちで、実は正直なところ、今年度から始まりますところの新対策につきましては、私も体制委員会審議のメンバーとして参加をいたしましていろいろと意見を申し上げたわけでございます。  いわゆる体制委員会の中で論議されましたおもな要点等について、われわれは振り返ってみたいわけでございますけれども、どこで石炭産業の陥没にいわゆる歯どめをするかという、まず位置づけの問題が大きな論議の内容でございました。  あわせてまた、その次には、そういう位置づけの上に立って、たとえばその位置づけの内容のものをどのようにして維持していくかという助成対策の問題、こういうものが第二点の大きな問題だったと私は思います。  それから第三点目の問題は、その助成をどのようにして効果をあげるようないわゆる対策にしていくか、言うなれば体制の論議であったと私は考えておるわけでございます。  そういう点を考えてみまして、いろいろ論議をいたしまして、ようやく昨年の六月でございますけれども、五次答申としてほんとうの意味の日の目を実は見たわけでございます。  そこで私は、体制委員会の中で論議をし、かつまた、そういうものが新しく石炭対策予算として、あるいはまた法律案として、成案として、本日以降皆さん方に、実はわれわれの意見を聞いていただいて、御審議を願うわけでございますけれども、私は、いま全体的ないわゆる五次答申、こういうものの評価をいたしたいと思いますが、従来のいわゆる四次まで打ち出してまいりました政策から振り返って考えてみて、新しい政策等が打ち出されておることにつきましては、私は評価をしたい、率直にそのように実は考えておるわけでございます。  まず、そのような実際の評価ということを別にして、全体的な評価は別ですけれども、おもな、体制委員会の中で論議をされましたいわゆる位置づけの問題、あるいは具体的な助成策の問題、あるいはまた体制論議の問題、こういうものについて、私の意見を二、三点申し上げてみたいというように考えております。  まず第一点の位置づけの問題でございます。  これは昨年の三月三十一日の総会でございますけれども、この時点で、これは石炭を掘るわれわれの立場、それからまた掘った炭を使う者の立場、いろいろと利害が相反しましたので、非常に論議がむずかしい問題でございました。結果的には、昭和五十年度で二千万トンを下らない、こういう線で一応決議をされたわけでございます。少なくとも私ども立場からまいりますと、これ以上の閉山は困る。したがって、少なくとも二千四百万トンから二千五百万トン、この程度で何とか歯どめをしてもらいたい、こういうのが私どもの正直な気持ちでございました。しかしこれは、われわれの主張は主張として、結果的には通らなかったわけでございますが、少なくとも私は、決議をされました昭和五十年度における二千万トン、この出炭については何としても確保できるようないわゆる補強対策、こういうものをぜひやってもらいたい、このように実は考えております。  しかし、現実の問題として、いま昭和五十年度ではたして二千万トンの炭が確保できるんだろうか、こういうような素朴な疑問を私は持っております。と申し上げますのが、今年度、四十八年度の出炭予定は大体二千四百五十万トンであったというように私は考えます。昭和五十年までにはあと二年ございます。大体、いままでの閉山の実績からまいりますと、本年度閉山規模予定としては大体三百万トンが予定をされておるようであります。いわゆる昭和四十八年度で三百万トンを閉山いたしますと、二千万トンを若干上回る程度で四十九年度が発足する、こういうような状況判断ができます。しかし、いままでの閉山の実績で、たとえば予定をされましたその閉山規模で閉山をしたという実績はほとんどないと私は思います。いつの場合も一応上回っておるのではないか、こういう心配が実はあるわけです。そういう意味で、私ども素朴な気持ちとして、はたしてああいう決議をやったけれども、ほんとうに昭和五十年度で二千万トンが確実に確保できるのか、こういう心配が実はあるということを申し上げましたが、この点については、後ほど一点の問題として御要請を申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。  次に、具体的な助成対策の問題につきましては、これは特に従来ありました助成の大きな柱でありました安定補給金の問題についての増額を主張いたしましたが、結果的にはこれは格差配分という問題で、二千万トンに追っついた時点で検討しよう、こういう結論になって、残念でございますけれども、現行の安定補給金について増額という線は出ることができませんでした。しかしながら、そのほかのたとえば掘進の助成金あるいは保安の補助金、こういうもの等につきましては、従来のいわゆる補助制度よりも相当伸びてまいりましたので、この点については私は率直に助成額の増加ということで評価をしたいと思います。  次に、体制委員会、いわゆる体制の問題でございます。これは御承知のように、四次答申実施する段階でいろいろと論議がございました。いろいろなケースの論議があったわけでございますが、長所があり、短所があり、結論が出るに至らず今日まで及んでおった問題でございます。いわゆる管理委員会ということで今回発足をするようになりました。しかし、私ども体制委員会の中では、少なくとも管理委員会というものが発足するならば、いわゆる指導助言、こういうような任務ではなくて、むしろいわゆる行政の権限を持ったもっと強力な、端的にいえば力のある委員会の構成にしてもらえぬか、委員会の性格にしてもらえぬか、こういう論議を実はいたしましたが、結果的にはその任務として、今後の石炭の各企業ごとにおける指導助言、こういうものを主体にした任務ということに形がなりました。  管理委員会の問題につきましては、具体的には、いまから実際の業務を実は開始をするわけでございますので、われわれは実際のところ、ほんとうにわれわれが考えておるような強力なそういう力はないにいたしましても、個々の炭鉱についてのいわゆる指導なり助言なり、こういうものをひとつ強力にやっていただきたい、こういう気持ちは実は持っておりますけれども、実際の運営上半分期待があり、半分不安がある、こういう気持ちがあることを私は正直に申し上げておきたい、このように考えておるわけでございます。  それから、いま一点は、業界内に設けられます需給調整委員会の問題でございます。この問題につきましては、もちろんこれの設けられた趣旨というのは、私は石炭産業自体の、いわゆる石炭業界自体の姿勢を強く求める意味で、需給調整委員会をつくった、そういう意味で私は理解はいたしております。しかしながら、いわゆる業界内部で需給のコントロールをやることになると思いますので、いいかえれば、各山ごとの閉山につながる問題まで論及しなければならぬ、こういうようなことに私は結果的にはなってくるというふうに考えておりますので、少なくとも業界の中でつくる需給調整委員会というのは、実際には、その任務遂行というのはなかなか困難ではないのだろうか、こういうような意見を持っておることを申し上げておきたいというふうに考えております。  以上三点程度、私の主要な意見として実は申し上げました。この際、私は二点程度要請を申し上げて、私の意見を終わりたいというように考えておるわけでございます。  まず第一点は、私は、先ほどほんとうに二千万トンが確保できるのか不安がある、こういうことを正直に申し上げました。それは、今後石炭産業の、端的にいえば生殺与奪と申しましょうか、そういうような権限を持つというまでにはいきませんでしょうけれども、少なくとも二千万トンを守るために、一つのポイントとなって核となって、管理委員会活動というものを私は大いに期待したいと思います。そういう意味で本委員会におきましても、管理委員会の今後の活動について、十分二千万トンが確保できるような対策なりそういう内容のものをひとつ御検討をいただいて、最終的には二千万トン落ち込みがないような強力な対策をお打ち立て願いたい、こういう点を強く要請を申し上げたい、このように実は考えておるわけでございます。  それから第二点の問題は、これはことしから発足します五次対策、これは昭和五十年度で二千万トン、こういうものを確保することについて一応決議もされ、あわせてまた、昭和五十年度までは千七百三十六万トンという政策需要確保が実はできたという形になっております。そういう意味で、私は、昭和五十年度までは一応心配はないという見方はしております。数字的には見方はしておりますけれども、問題は、私は昭和五十一年度以降の石炭需要確保が問題だと思います。  先ほども炭労の里谷委員長のほうから、すでに一般炭三百万トン程度のいわゆる貯炭がある、確かにこれも問題であります。少なくとも、原料炭の山がほとんど残ってまいりました。したがって、どうしても一般のいわゆる随伴一般炭が出てまいります。それの消費の道を考えなければ、必然的に私はだいじょうぶであろうと思われる原料炭の山も、閉山のうき目にあうことは明らかだというように考えております。したがって五十毎度の問題は、一応数字的にはだいじょうぶという判断に立って、少なくとも五十一年度以降の需要確保の問題について、私は具体的な確保の道を講じてもらいたい。  この問題につきましては、具体的に申しますならば、石炭の火力発電所の建設でございます。すでに北海道あるいは九州等にそういう候補地がのぼり、建設できるやに私どもは聞いております。しかしながら、やはり五十一年度から操業を始めるとすれば、少なくとも四十八年度から具体的な予算の裏づけというものがあって着工していかなければ、時期的に間に合わないんじゃないか、私はこういう気持ちがいたします。したがって、どうしても二千万トンを確保し、あるいは五十一年度以降も最低二千万トン以上確保できるように、労働組合自体も私は努力をしたいと考えます。  そういう意味で、今後の需要確保の問題として、石炭の火力発電所の建設、北海道、九州、これについてはぜひ五十一年度から操業できますように、切にお願いを申し上げたいというように考えておるわけでございます。  炭鉱の数も、先刻申しますとおりに少なくなってまいりました。全国で五十でございます。したがって、われわれが期待と不安があると申し上げましたが、管理委員会の今後の指導につきましても、数の少ない五十の炭鉱でございますので、少なくとも私は一つ一つ炭鉱を取り上げて指導ができると思います。そういう意味で、最後でございますけれども、どうか昭和五十年度まで二千万トン確保できる具体的な対策お願いすると同時に、私どもも今後それが確保できる最大の努力をすることをお誓いを申し上げまして、はなはだ失礼なことも申し上げたと思いますが、私の意見を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  12. 田代文久

  13. 木崎順二

    木崎参考人 日ごろ委員長はじめ諸先生方には、石炭のことにつきましていろいろ御配慮をいただいておりますが、全国炭鉱に働く職員を代表いたしまして、この機会をおかりいたしましてお礼申し上げますとともに、貴重な時間をさいていだだきまして意見を開陳する機会を与えていただきましたことにつきまして感謝申し上げます。  ただいままで、いろいろな参考人の方が、いろいろな意見の開陳がございましたけれども、私は、これらの参考人意見となるべく重複しないように気をつけながら、若干の意見と御要請を申し上げたい、そのように思います。  まず第一番目に、私たちがいわゆる石炭政策というものを考える場合に、その根本問題といたしましては、いわゆる国のエネルギー政策、この中に占める石炭政策というものはいかにあるべきかというようなことをまず根幹として考えるわけであります。この点に関しましては、貝島参考人から、世界的なエネルギー事情変化、その観点からの国内炭の価値の見直しという側面、それから八谷参考人からは、技術の温存という側面から、二千万トンを下らないという石炭の位置づけにつきましてはぜひ確保していただきたいという意見の開陳がありました。私もこれには全く同意見でございまして、私の場合は、加えて、いわゆる地域対策ということを考えているわけであります。よく地域対策ということで産炭地振興とか離職者対策とか、いろいろございますけれども、地域対策の最たるものは、やはり閉山をこれ以上しないということではなかろうかというふうに考えます。  以上三点の観点から、二千万トンを下らないというこの位置づけにつきましては、これ以上もう閉山はしないのだ、させないのだということで、強力に政策拡大について諸先生方お願い申し上げる次第でございます。  次に、今回の法律改正に関してでございますけれども、先ほど来、管理委員会権限につきまして、また権能と申しますか、そういうものにつきまして、いろいろ意見がございました。坂田参考人から、いわゆる答申では、国の各種助成を原則として合理化事業団に移管し、助成の一元的な運営を可能ならしめ、というこの項目につきましては、なるほど法律改正案の中には盛られている。しかし、この背景のもとに業界需給委員会、それから個別炭鉱の自主的な活動に対する適切な助成指導を行なう機関としてのこの管理委員会というものについては、法的な裏づけがないというお話がございました。私も全く法律のしろうとでございますから、文字どおり法律面にこの面がうたわれていないということにつきましては不安を感じますけれども法律技術上の問題として法律にうたうことができないのであれば、運営面でこれを一〇〇%、いわゆる答申の精神を一〇〇%生かしていただくようにしていただきたい、そのようにお願い申し上げます。  加えて、この管理委員会設置されました大きな柱は、何といたしましても、五十年度を基準年度といたしまして二千万トンを下らないという石炭政策をきめこまかく実施していくための一つの手段として管理委員会が生まれたわけでありますから、答申にはないことでございますけれども、やはりこの第五次政策が発足し、実施されている過程の中で、第五次政策のワクをはみ出た問題が出た場合に、すみやかに政策の手直しをする必要があろうかと思いますし、その際に、やはり現実の炭鉱状態をよく把握しているのは何といっても石炭部であり、この管理委員会のメンバーであろうと思います。したがいまして、政策の変更につきまして、適切な進言をし、適切な意見を述べる機能といいますか、そういうものをこの管理委員会に付与していただきたい。それがまた法律的にできなければ、これはたとえ話でございますけれども管理委員会のメンバーが、たとえば石炭鉱業審議会委員になるとかそういうような便法もあろうかと思います。  次に、運転資金の貸し付けでございますけれども法律改正案では、経営を改善するために特に必要と認められる場合、それから答申では、「特定の限定された範囲の運転資金については、新たに一定の厳正な条件の下に」というふうにうたわれております。もっとも、国の資金が企業の運転資金に回るということは異例中の異例でございまして、そのためには、必要と認められるとか、それから厳正な条件のもとにというようなきびしい制限のつくことはうなずけることでございますけれども、何といいましても、資金というものは、諸先生方には釈迦に説法でございますけれども、人間でたとえるならば、これは血液でございまして、輸血がおくれましては、せっかく血液を準備しても何にもならないということがございますので、この点運用に遺憾なきを期していただきたい、そのようにお願いいたします。  それから次に、この法律改正とはダイレクトに関係ございませんけれども答申との関係で、個別的な問題で三点ほど御要請申し上げたい、そのように考えます。  まず坑道補助金でございますけれども、これは先生方御存じのように、一定の限度額を設けまして、それの何十%について補助金を出す、こういうことになるわけでありますけれども、これの限度額と実際にかかる工事費とは開きがございます。もっとも、企業が幾らかかったから、全部はいそうですかといってストレートに認めるというわけにはまいりませんから、限度額を設けるという必要は私も認めます。しかし、その限度額が適正でないために、実は七〇%を補助しているのだといいながら、実際にやってみたところが実際の工事費の六五%であった、六〇%であったということになりかねませんので、この点、限度額の適正化ということについては、きめこまかな詰めをしていただきたいと思います。  なお将来にわたってはこの補助率のアップをお願いしたいと思います。  それから次に、安定補給金に関してでございますけれども、この安定補給金、四十八年度はアップになっておらぬようでありますけれども、将来はやはり単価アップとの関連やまた企業の収支の関係、そういうふうなものから、この安定補給金のアップについては機動的にすみやかに実施していただきたい、そのように考えます。  なお、この安定補給金につきましては、今回中小で第三次の肩がわりを受けますと、第一次、第二次の肩がわりを受けなかった中小につきましては、ストレートに二百円ダウンいたします。このことは、肩がわりを受けても安定補給金が二百円ダウンするということは、直接的に運転資金に詰まっていくということになりますので、この点について御配慮願いたいと思います。  それから最後に、火力発電所の設置につきましては、これは道下参考人意見と同じでありまして、五十一年以降運転開始できるように特段の御配慮お願いしたいと思います。  以上簡単でございますが、私の意見といたします。終わります。
  14. 田代文久

    田代委員長 これにて参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 田代文久

    田代委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中六助君。
  16. 田中六助

    田中(六)委員 私は一点だけ各参考人にお聞きしたいと思います。  先ほどから六名の参考人、非常にお忙しい中をわれわれのために国会に出席していただきまして、まことにありがとうございます。  今回の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正法案の中で、管理委員会というものが設けられまして、かなりの強力な力を持っておるわけでございます。しかしながら、各参考人のお話を聞いておりますと、エネルギー資源確保しておかなければ、特に二千万トンを下らざる線で石炭を五十年まで確保しておかなければ大きな後悔をする、しかも里谷道下参考人意見によりますと、二千万トンを下らざるということもすでに現実に崩壊しておる、さらに、その目的年次には二千万トンを下らない線で確保することは困難であろうということがいますでに明らかにされておるわけでございます。これは私は、その他保安確保、鉱害問題、産炭地振興事業、そういうあらゆる面から石炭にまつわることを考えますと、やはり体制というものに頭が行かざるを得ませんし、これはやはり私企業の限界が来ているのじゃないか。私企業の内包する矛盾があらゆる角度からあらわれている。国あるいは国民の要望するエネルギー資源確保のトン数、これを維持しなければいけない。これ以上閉山させてはいけないという至上命題があるにもかかわらず、私企業ということで、閉山する場合はどうにもしようない。しかも、すでに閉山の準備をしておる会社もあるわけで、私どもが見ましても、この五十年、五十一年を目安に二百万トンを下らない線ではたして確保できるだろうかという大きな疑問を持つわけです。  したがって、私は自由民主党に籍を置いております。われわれも、政策の変更、つまり石炭だけは、エネルギーという大きな観点から、それからそれにまつわる諸問題から考えまして、国営、国管にせざるを得ないんじゃないか。今回の管理委員会の力はあくまで私企業の前提に立った管理委員会でございますが、私企業じゃなくしなくてはいかぬのじゃないかという気持ちがするわけでございますが、各員に、それぞれ国営、国管に石炭はする時期になっておるのじゃないかということを私は感ずるわけでございますが、五次答申がすでに出ておるさなかにこういう質問をすることはどうかと思いますが、過去十年間五回の答申が全然変わらない方向で、同じ流れできておるということに疑問を持つわけでございますので、その点、各員に私の質問をぶつけて、御回答願いたいと思います。
  17. 田代文久

    田代委員長 簡潔にお願いいたします。
  18. 貝島弘人

    貝島参考人 ただいまの田中先生の御質問にお答え申し上げます。  私どもは、この第五次答申審議過程におきまして、管理会社的な考え方にすでに賛成しております。そのような立場の中でいろいろ御議論をいただいて、今次の、いま現在ではそこまでいくのは無理であろう、したがって管理委員会、さらには需給調整委員会という形でやりなさいという御答申でございますので、私どももこの法律ができました上は、その線に沿って最大限努力をいたしたい、かように考えております。  八谷参考人 私も貝島参考人の言われたのと同じような意見になるわけでございますが、ただいま先生のお尋ねのように、直ちに国営あるいは国管という問題よりも、答申にも盛られましたように、管理委員会、これをいかにスムーズにかつ目的のとおりに運営するかというようなことでやっていくべきであろう、かように考える次第でございます。
  19. 坂田九十百

    坂田参考人 私も石炭鉱業審議会の末席を汚しておりますし、また通産大臣に答申いたしました体制委員会の一員として、いろいろな石炭対策審議に加わっておるわけでございますが、すでに第一次、第二次、第三次、大体二千五百五十億程度の肩がわりもされておりますし、その他安定補給金あるいは坑道掘進補助金あるいは設備近代化資金、いろいろな資金が流れておりまして、そうした助成措置がなされながらも、まだ炭鉱経営が続けていけないという状態、これは、やはりただいま田中先生のおっしゃるような姿にならざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えております。  それから、これは御質問がないようでございまするけれども石炭政策といたしまして、これはただ石炭確保という面でなくて、石炭確保するにはそれによって生ずるところのもろもろの問題、たとえば鉱害復旧の問題、労働対策の問題、産炭地振興の問題、こういうものを忘れた石炭政・策はないと思う。現在九州だけで三千万トンの合理化閉山がなされております。したがいまして、これの鉱害はばく大なものがあるわけなんです。そこで、臨時石炭鉱害復旧法、要するに臨鉱法を先生方の御尽力によりまして十カ年延長していただきました。今年の四十八年度の予算が、さっき申しましたように百七十億。そこで、いまの全国鉱害量を十カ年に割りますと、大体百七十億程度でいいかもしれませんけれども法律で十カ年延長したから十カ年で鉱害復旧をやればよろしいということにはならない。石炭を採掘したあとのさびれております地域の振興をはかるには、どうしてもあの鉱害を復旧しなければ産炭地の振興もできません。したがって十カ年法律が延長されようとも、これを五カ年に短縮して復旧するあるいは三カ年で復旧するというような前向きの姿勢でやってもらいたい。ところがいまのような制度では、私は鉱害復旧はなかなか遅々として進まないと思う。現在の現行法から申しますると、これは企業が鉱害を起こす、起こした企業が復旧するというのがたてまえになっておる。ところが企業がやれないという状態。したがって国は法律までつくってこの鉱害復旧をやろうとされておるわけなんです。  いま鉱害にいたしましても、無資力鉱害と有資力鉱害と二つあります。無資力鉱害は鉱害事業団が主体となってやっておりますが、有資力はそれぞれの企業が国の補助をもらって復旧をいたしておる。こういうところに問題があると思う。鉱害復旧事業団というものは全国統一した鉱害事業団があるわけなんです。私は有資力とか無資力とかではなくして、国土の保全、民生の安定の立場から鉱害復旧をするとするならば、石炭は国家管理にして、そして国の責任においてすべてをやっていく。そしてその復旧は事業団にやらしめる。こういうような措置をとられることを希望いたします。  そういう面から申しますと、私はやはり国有、国管にもう移行すべき時期が来ているのではないか、こういうふうに、私は企業の側でもございませんし、労働者の側でもございません、自治体の立場から申しますと、企業には非常に冷たいような言い方になるかもしれませんけれども、私はもうその時期が近づいておるのではなかろうか、こういうふうに考えるのでございます。  石炭というものを出せばあとはどうでもいいというようなことではいけないわけでございまして、やはり石炭が、合理化によって閉山された地域がどんな苦しみをやっているかということを先生方に十分知っていただきたいと思う。  たとえば炭住の問題。全国で八万三千戸の炭住がございます。これが、われわれは新しい特別の立法をやっていただきたいということを陳情いたしておりますけれども一つ法律をつくるということは非常に困難でございまして、なかなかこれが問題になりません。けれども、この八万三千戸の全国の炭住に、閉山地域に、依然として滞留しておる労働者の子弟は、環境の悪いところで育ち、環境の悪いところで教育を受けております関係上、どうしても青少年の不良化というものが著しいものがあるわけでございます。閉山いたしまして十年いたしますと、人間の住むような炭住ではない。釜ケ崎がどうだとか山谷がどうだとかいいますけれども、そんなものじゃないのです。たとえば三井鉱山にいたしましても、非常に炭住が新しい。これも閉山いたしましてもう十年になる。あと五年もいたしますともう人の住まうようなところではないわけなんです。こういうところに住まわして、今後国家を背負う青少年を育てろといわれましても、これは困難です。したがって、こういう面からも、かろうじていまやっております炭住改良法に基づきまして、年間に千戸か千五百戸をやっておりますけれども全国の八万五千の炭住を改良するにはとうてい時間的に間に合わない。したがって、やはり石炭を国家の管理のもとにやるようになりますれば、こういう問題をむしろ国としては強く取り上げていただかなければならぬのではなかろうか、こういう面から、私は国営、国管を希望するものでございます。
  20. 里谷和夫

    里谷参考人 私ども三十七年に石炭政策ということで運動を起こしました趣旨のものは、私企業体制では日本の石炭産業の安定を実現することは不可能だろう、こういう意味で、政策による石炭産業の安定をこの十二年来運動を続けてまいりました。したがって、簡単に申し上げますと、いま行なわれている政策は御指摘のように縮小、撤退の政策ではないかと思っています。ですから、先ほど数字を申し上げましたが、二千六十八万トンということで炭労内部の数字を見ましたが、私どももこのことを判断いたしますと、これから閉山をしなければならぬ山があることについても十分に認められるわけであります。しかし、増産体制に入れるのか、安定対策に入っていけるのかということになりますと、その具体策はないのであります。したがって、国有化を指向するというのは、資源を温存をし、それを開発するという意味からいっても、そういう体制が正しいのではないのか、こういうように思っています。  一つの例でありますが、いま火力発電所の問題についていろいろ議論をされていますが、私どもが専門家の方々からあるいは業者の方々から言われていますのは、たとえば石炭火力をつくっても安定供給がされるのか、こういうように言われています。したがって、水力発電所を設置した場合は十五年から十六年の安定を供給するんだぞ、こういうように言われますが、十六年間安定供給をする体制にいまあるだろうか、こういうように判断をいたしますと、私は、いまの私企業体制では十六年間安定供給をする企業はないと思います。そういう面から申し上げましても、私ども資源を十二分に活用をする、しかも縮小、撤退から安定と増産への道をたどるとすれば、体制変革よりない、こういうように信じているものであります。
  21. 道下一治

    道下参考人 お答えをいたします。  私は、究極の問題として国家管理いわゆる国営、国管、これについては否定をするものではございません。しかしながら、私は、まずそういうような入れものの問題ではないんではないか、こう思います。私、先ほど二千万トン確保ができるのかどうか不安がある、こう申し上げました。それは、現実にいわゆる弱っている炭鉱についてどういうように補強をしていくかという道を講じてもらいたいために私は申し上げたわけです。したがって、二千万トン確保するために国家管理にしたほうが、やはり私企業体制よりも金が出しやすい、補強がしやすい、こういう絶対的な保証があれば問題は別であります。私は、究極いわゆる国家管理について否定はいたしませんけれども、問題は入れものの論議ではなくて、よしんば国家管理になりましても、どうしても採算の合わない炭鉱については、いかに国家管理とはいえ、やはり閉山という問題は出てくるのではないか、このように思います。したがって、私は、そういう意味で入れものの論議ではなくて、今後そういう出炭を確保するためにどのような補強対策をやるか、いわゆる政策に問題がかかっているんじゃないか、このように実は考えているわけでございます。したがって、究極の問題として私は否定はいたしませんが、現在の体制の中で最終的に出炭が確保できる政策拡充お願いをしていくならば、私は入れものよりもそのほうが優先をするんではないか、このように考えます。
  22. 木崎順二

    木崎参考人 お答えいたします。  私も、いわゆる国家管理といいますか、国営といいますか、そのような体制につきましては否定はいたしません。実は炭職協といたしまして、第五次政策が論議されている過程の中では、現在の合理化事業団改組いたしまして、炭鉱管理事業団というようなものをつくってやってもらいたいという主張をしてまいりましたけれども、これは、事実上もう国有であり国管であるというそれの変型でございまして、その意味からも否定する何ものもございません。  ただ、ここで申し上げておきたいのは、その場合に、やはり生産点におきまして創意とくふうが減殺されないような方策というものが強力に対策としてなければならない。その上での国有であり国管であるというものでなければ、金のむだ使いになるであろうというふうに考えます。
  23. 田中六助

    田中(六)委員 ありがとうございました。
  24. 田代文久

    田代委員長 次に、多賀谷真稔君。
  25. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 各参考人にお尋ねいたしますが、二千万トン確保ということと、さらに管理体制の強化というお話が各参考人からありました。そして皆さんが期待をされておる管理体制の強化と、今度法律改正としております管理委員会権限というのがどうも常識的に合わないのじゃないかという御疑問がありました。私どもも、条文を読んでみますと、なかなかこれ一致していないのじゃないか。  そこでまず、審議会の代表じゃないのでなかなか聞きにくいのですけれども答申の前文と、そして具体的に提起されておる事業団内に管理委員会を設けるというのが、大体そこが合っていないのじゃないかという感じがするのですよ。その事業団の中に管理委員会を設けて、事業団のワクの範囲内でやらそうというところに、若干そこに無理があるのじゃないか。法律の中はよろしいのですが、事業団の内部に管理委員会を設けるというその仕組みが大体前段の期待と合っていないのじゃないかという感じを一つ持ちます。そこで、いま貝島参考人は、管理会社という考え方は一応第五次答申の前段で打ち出したというお話であります。管理会社的なという、われわれが従来ドイツあたりで勉強したものの考え方と、また、この管理委員会とは非常に差があるという感じを持つわけです。  そこで具体的にお尋ねしますが、お話のように二千万トン確保というのは、これは需要業界の問題は別として、供給側だけの意見を聞いておったのじゃできないのじゃないか、こういうように思います。Aという会社は自分の企業の採算上から見ればこれは切り捨てたい。しかし、Bという会社から見るとそれ以下の炭鉱維持していきたい。そうすると、管理委員会としてはそれを調整をしなければならぬ問題が出てくる。その調整をするには、それだけの権限を与えなければできないのじゃないか。ですから、結局Aというのは少しぜいたくだ、いわば二千万トンを割るからそれはひとつ閉山をがまんしてください。しかしBがやろうとする炭鉱というのは、どう見ても採算に合わぬからひとつおやめなさい。これだけの権限を与えないとこれは可能でない、こういう感じを持つわけですね。はたして法律がそこまでいっておるかどうかに私はかなり疑問を持つわけですが、おそらく二千万トンをぜひ確保する、しかも業界として供給体制をどうしても確立したいという気持ちがあるならば、そのポイントのところをどういうようにお考えであるか、この法律の条文でそれがやっていけるとお考えであるかどうか、これをちょっとお聞かせ願いたい。
  26. 貝島弘人

    貝島参考人 お答えいたします。  私ども立法の技術士のことはよくわかりませんが、要は五十年度に二千万トン以上という目標をにらみながら、しかも私企業の中で、資金の効率をよくし、需要にマッチした供給確保していく、そのためにこういうしかけといいますか、管理委員会需給調整委員会、この二本立てでやっていけということになったものと思いますので、法律ができました上は、管理委員会の構成あるいはお考え等に沿いまして、われわれもそれに協力し、それに沿う意味で協力してやっていきたい、かように考えております。
  27. 里谷和夫

    里谷参考人 私どもの考え方を述べたいと思います。  いま先生から御指摘がありましたように、ここの委員会の場所は場所といたしまして、私どもはこの答申が出される段階の体制委員会あるいは審議会でしか議論をしていませんから、そういう議論がどうしても前提に立つわけでありますが、私は、管理委員会というのは、今度の法律を見ましたが、少なくとも体制委員会で具体的に協議をした面、たとえば生産量をいかに確保するのか、あるいはその石炭をどのように販売をするのか、あるいは炭鉱そのものを維持するための経理的な手当てはどうするのか、こういう問題が体制委員会では少なくとも議論をされたと思うわけであります。そこで前提になりましたのは、この企業の中における需給調整委員会は、いま指摘をした三点の問題について十二分な協議を行ないなさい。それだけでは力不足だから、管理委員会設置をして強力な助言指導その他を行なうであろう、こういうことで私ども体制委員会あるいは審議会の中では議論をしているわけなんです。  そういう点から判断をいたしますと、まことに失礼な言い方になるかと思いますけれども、四名の中立委員だけで、いまの石炭産業の安定をはかるという意味でどれほどの効果があるの、だろうか、このことが第一に出ます。  それからもう一つは、三月の二十八日に、石炭協会とこの面の議論の詰め方をしているのでありますが、石炭協会そのものの中で需給調整委員会をつくらなければならないのでありますが、私どもが納得のいくような調整委員会ができているとは思っていません。きわめて抽象的な問題しかないわけであります。そうなってまいりますと、前段で申し上げましたように、企業需給調整委員会をやって石炭産業の安定をはからなければならない責任があるにもかかわらず、管理委員会に一切の問題が吸い上げられる、そういうことになりはしないか、こういうように思っていますから、私ども政府の、通産省の石炭局にも申し上げているのでありますが、この管理委員会は、私どもが陳情やお願いに行くようなそういう管理委員会では困る。どうしてもこの条文の判断からいけば、そういう意味が生かされていないのではないのか、このように判断をしているのであります。したがって、私どもが申し上げていますのは、体制委員会あるいは審議会で議論をしたそういう素材を軸にして申し上げておりますし、現状の体制をどのように安定をさせるかということに重点がございますので、管理委員会の問題については、率直に申し上げまして不安が先に立つ、こういう意味で先ほど意見を申し上げた次第であります。  それから、二千万トン体制をどういうようにするかという問題でありますが、私どもいまいろいろ各方面と議論をしているのですが、企業から閉山を提起をされた場合に、それを防いだことがないではないか、したがって、体制を確立するとは言いながら、組合のほうもささえるものがないのではないか、こういうように実は批判を受けているのであります。まさに十二年間石炭の戦いの中で、閉山を阻止したことはないのでありますが、私どもそれらのネックを判断をしてまいりますと、一番大きな問題は、資源の枯渇と保安不良である場合は閉山を認めるという方針は立てていますけれども、実際に議論をしてまいりますと、そこの炭鉱石炭はあるが、それを坑外に出す場合に、ほんとうに世論の支持を受けるような経済ベースになるのだろうか、こういうことで、安定供給の問題あるいは価格の問題におきまして輸入炭にたたかれたり、その他の現状があると思うわけであります。したがってこの体制問題は、資源、生産、技術、経理、これらの問題で私は徹底的な議論のできる体制があることが望ましい、こういうように思っています。
  28. 道下一治

    道下参考人 お答えをいたします。  先生御指摘の、いわゆる管理委員会等の問題についての疑問の点につきましては、私も同感でございます。と申し上げますのは、体制委員会の中でも、先ほど意見の中で述べましたけれども、言うなれば合理化事業団というそういうワクの中ではなくて、独立のいわゆる機関をつくってほしい。それとあわせてまた、いわゆるそのつくられる機関というのは、少なくとも指導助言ということではなくて、行政の権限を持ったいわゆる機関にやってほしい。行政権限を持ったということは、端的に申し上げますと、たとえば二千万トンなら二千万トンを確保する場合について、あるいは各企業いろいろと経理内容についても格差がございましょう。楽なところもあれば非常に苦しいところもあります。したがって、そういうものが全体的にコントロールをされて、苦しいところにはたくさん——たくさんという表現はまずうございますが、できるだけ手厚い補助、楽なときにはお互いに助け合ってやれるようないわゆる行政の権限を持って、全体的にささえられるようないわゆる機関として独立の機関がほしい、こういうことを実は申し上げてきたわけでございます。  したがって、結果的には指導助言ということのみで管理委員会のいわゆる任務という形になりましたが、こういう点については、先刻申し上げますとおりに、今後運営される実際の問題ですから、やってもらいたいという期待と、はたしてやれるんだろうかという不安、こういうものがあることを率直に申し上げたいと思います。
  29. 木崎順二

    木崎参考人 お答えいたします。  先生の御質問は、いわゆる二千万トンを下らない、いわゆる二千万トンを確保してくれという大目的といいますか命題と、いわゆる管理委員会がそれを果たし得るかという問題だろうと思います。  このことにつきましては、私も体制委員会の一メンバーといたしまして、この答申の討議の中で私が述べました意見を申し上げれば、私がどう考えておるかということがわかると思いますので申し上げますが、まず、業界が自主的に設ける需給調整委員会でございますが、もちろん業界としてもつくる以上は、いま貝島参考人も言っておられますとおりに、いわゆる自主的にいろいろな作業をされると思います。しかし、最終的には、意見のととのわないことにつきまして、はたして管理委員会が適切な助言指導ができるだろうか。それからまた、個別炭鉱対策につきまして適切な助言指導が強力にできるだろうかという問題につきましては、法律には何らうたわれておりません。答申にはございますけれども……。法律にないのでこれはできるかという問題につきましては、何といいましても管理委員会がいろいろな助成につきまして権限を持っておりますから、間接的ではありますけれども、実際問題としては相当できるだろうと私は思います。ただ閉山のジャッジまでできるかということになりますと、これははなはだ疑問であろう。いわゆる地域に及ぼす影響や労働者に及ぼす影響を考えますと、管理委員会といえども、そもそも閉山のジャッジをせいというふうに法律に書いてないわけでありますから、したがいましてなかなか問題があろうか、そのように考えます。  それから、私といたしましては、いわゆる掘った炭が売れなければ何にもならない。ところが現在は買い手市場でございますから、幾ら業界が一体となって特に大口需要家と折衝してみても、話が折り合わない場合が出てくるんじゃないのか。したがって、そういう場合には、いわゆる強力な第三者的な機関が仲介に入ってまとめてやるということが必要なんじゃないかということを、いわゆる体制委員会の中で私申し上げたわけでありますけれども、その機能をたとえば管理委員会に求めるといたしましても、これはいわゆる事業団の中の機関でございますから、それほど強力なものにはならないだろう、そのように私は考えます。  それから、先ほども要請申し上げましたとおりに、何といいましても、政策というものは、やってみてますければ機動的に前向きにどんどん変えていく。二千万トンを保持するという目的のために変えていくということが必要でありますけれども、それをどんどん変えていくということについて、その口火をだれが切るのか、だれに機動的に進言するのかということについて、その機能を管理委員会に持たせたらどうか。これは先ほど要請申し上げましたが、そういうことも体制委員会の中で申し上げました。ところが、これも法律には何もうたわれておりませんし、まして答申にもうたわれておりません。この面からいきましても、私は、管理委員会が二千万トンを確実に維持していくために強力に働き得るというふうには考えておりません。ただ、いままでの第四次政策の中でいわゆる体制問題らしきものが取り上げられなかったにかかわらず、この答申ではこれだけ管理委員会というものが取り上げられたということは、私は、不満足であっても大きな前進ではなかろうかという意味において賛成いたしました。  なお付言いたしますと、先ほど道下参考人の話にもありましたように、要は入れものでなくて財源だということを言いましたけれども、私も全く同一意見でありまして、いわゆる国が石炭政策に向けてどれだけの金を支出し得るのかということと、各炭鉱における収支がどうなるのかという調和の点に最大の問題があると思います。
  30. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 管理委員会が積極的に閉山をジャッジするというのはあるいはむずかしいかもしれない。しかし、管理委員会はかなり財源を持っておかなければ、調整をするとか助言をするといったってできない。ですから、いまかなりできるんではないかと期待をされるならば、それは再建資金になる。あとはできない。ですからかなり財源的な権限を伴わなければ、これは言ってみたところで何にもならぬ。そこで安定補給金の例の格差の問題ですね。これは、やはりいまの時期に発動しておかなければ、二千万トンの水準に落ちついた時点に発動したってそれはもう切れることはわかっている。ですから、これもいまのときにやはり動くような仕組みにしておかないとむずかしい。そういうものを両々相まって何らか提言をする、助言をする、そういう方式が必要ではないか。これはひとつ貝島さんからお聞かせ願いたい。はたして二千万トンの水準に落ちついた時点でいいのかということですね。  それから、需要の問題ですけれどもエネルギー源の不足ということが言われながら、公害問題が起こっている。これは技研にお尋ねいたしたいのですが、要するに九州でいうと、サルファの多い石炭をどうするかという一点に尽きますね。ですから、先ほど三井アルミの話がありましたけれども、はたしていわゆる排煙脱硫装置というものはおっしゃるように一〇〇%くらいいけるようになっているのか、これをひとつお聞かせ願いたい。  それから坂田参考人に、離職者対策の場合の市町村の超過負掛はどのくらいになっておるか。  以上三人の方にお伺いいたしたい。
  31. 貝島弘人

    貝島参考人 お答えいたします。  安定補給金の格差配分ということにつきましては、私ども石炭協会といたしましては、審議の過程においてお願いいたしました。しかしながら、ともかく二千万トンになった時点で考えようということで答申ができたわけでございます。全体として私どもはこの答申に賛成をいたしておりますので、現在のところでは、ともかく早くこの法律を発足していただきたい。生きるか死ぬかの境目でございますので、その上ですみやかに格差配分についても御審議お願いしたい、かように考えております。
  32. 八谷芳裕

    八谷参考人 ただいま、特に九州炭につきましては、仰せのとおり非常に硫黄分の多いほうの炭鉱のほうがより採掘条件がいいということで残っておるわけでございまして、おっしゃるように硫黄分の処理につきましては非常に重大問題でございます。ただ、私ども技研といたしましては、この問題に直接いままで研究体制をしいていなかったために、お話の三井アルミにつきましても十分の調査をいたしておりませんが、非常に画期的なものとして、海外からも陸続としてこの見学にも見えているようでございます。ただ数字的に一〇〇%かどうかというのは、私ももう少し推移を見てからでないと、十分な調査をやっていない段階ではお答えできかねると存じます。
  33. 坂田九十百

    坂田参考人 過去、市町村ごとに出しておりますけれども、トータルは出ておりませんが、四十七年度で千三百七十八万八千円。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは事業量はどのくらいですか。
  35. 坂田九十百

    坂田参考人 事業量は緊就、開就全部含めて。
  36. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ありがとうございました。
  37. 田代文久

    田代委員長 次に、塚田庄平君。
  38. 塚田庄平

    ○塚田委員 これは全参考人に簡単でいいのですが、お答えいただきたい。協会長はひとつ詳しく御答弁願いたいと思います。  それぞれ先ほどの意見開陳の中で、石炭はいま見直されなければならぬ、つまり国際的な燃料エネルギー状況悪化といいますか、非常に不足を来たしておる情勢の中で、固有燃料である石炭というものは、日本にとってはたいへんな資源である、こういうお話がありましたが、資料によりますと、現在日本の石油の総エネルギーに占める位置というのは七三・五%、これは世界ではイタリアに次いでたいへん石油依存度が高い。その石油も九九・七%、まさに一〇〇%近くは外国からの輸入に依存しておる。現状はそうだということです。  そこで、一体政府は将来に対してどういう考え方を持っておるのかということを、政府の出した資料によって検討を進めてまいりますと、私どもにとってはこれでは第五次の対策が樹立されたとしても、将来たいへん心配だという面が数字の上で明らかになっておるわけです。それは、石油需給見通しというのは将来昭和六十年くらいまでは大体上がったり下がったり横ばいです。しかし、原子力が圧倒的に上昇カーブをたどってまいります。これはおそらく二十五倍くらいの比率で六十年度は出てくるということで計算をされております。  さて、私ども当面心配な石炭はどうかといいますと、昭和六十年度では四十五年度の二〇・七%から一六・七%に激減する、こういう見通しが、実は通産省の資料の中ではっきりしておるわけなんですが、これでは、二千万トンということを一応決定しても、これは全くカッコの中にある二千万トン、こう言わざるを得ないと思うのですが、こういう政府の計画について、先ほどからもうすでに私企業の限界に来ている、ほんとうに石炭を守るなら、国が、保安はもちろんのこと、生産の面についても、あるいはその需給関係についても、責任を持ってやらなければならぬというふうな強力な発言があったように聞いておりますが、どうも裏づけが薄いようです。こういう資料、これは通産省の資料ですから間違いないでしょうが、についてのお考えをそれぞれお伺いしたいと思います。
  39. 貝島弘人

    貝島参考人 お答えいたします。  なるほど現状並びに将来、六十年ごろを展望いたしますと、日本のエネルギー需要の中に占める石炭の割合というのは非常に少ない。いまもおっしゃいましたように、カッコの中かどうかしりませんが、極論いたしましてネグレクティフルである。そんなことでいいのかというお話でございますが、そんなことではいけないのだと私は考えます。  さて、いけないのならどうするかということでございますが、少なくとも現在置かれておる、われわれがかくあるべしというような、大きなことは望み得ないぐらいに疲弊しておりますので、そういうことも踏まえて、とりあえず五十年度に二千万トンを維持するようにいたしたい。ことにこれからエネルギー庁も発足いたしまして、その中でほんとうに日本の必要とするエネルギーを将来どうするのだということも御議論されるでございましょうし、その中から私どもに新たなる使命が生まれてくることと期待しております。
  40. 八谷芳裕

    八谷参考人 石炭の位置づけと申しますか、私は、長いこと一石炭だけに関係しました者としては、二千万トンを下らないどころではなくて、もっと強力に進めていきたいということを考えるわけでございますけれども、要は、経理問題あるいは公害問題からこのような状態になってきているわけでございますが、こういう問題を解決していくならば、まだまだ国内炭にも、これは少し古い調査でございますけれども、まだ埋蔵量を持っているわけでございますから、こういうものを大いに開発する方向で将来も検討していく。ただ、ただいまの既存炭鉱でさえも、ただいま申しますような経理のもとで、直ちに新しい炭鉱に取り組むというわけにはいきませんけれども、少なくともまず二千万トンを下らないところを確保しておく。先ほどの供述の中でも、技術者がだんだん減っていくということを私は申し上げましたが、ある程度炭鉱数がなければ、どういうものを開発するにしても、自然にいどむ技術者というものがとだえてしまう。これは長い経験が必要であろう。そういう観点から、ぜひ少なくとも二千万トン程度維持していくという方向で、強力に進めていただきたいと思います。
  41. 坂田九十百

    坂田参考人 先ほど申しましたように、二千万トンを下回らないとか、あるいは上回るとかという意見がずいぶんかわされましたけれども、私どもは上回るということで答申をいたしております。現在の時点で上回るような状態であるのかどうなのか、これは、私ども市町村側としてはこの研究を十分いたしておりませんので、その内容について別に申し上げるものを持たないわけでございます。
  42. 里谷和夫

    里谷参考人 考え方を申し述べます。  いまの五次答申をつくるにあたりまして、四次答申の中でこの議論を始めたわけでありますが、私どもが主張してまいりましたのは、通産省の資料に基づいて申し上げてまいりたいと思いますが、四次政策ができ上がりました昭和四十四年、四十五年の石炭の位置づけは、三千五百万トンを保持するという政策であったと思います。ところが現実には、その初年度は八百万トン、四十五年度が八百万トン、四十六年度が六百万トンということに実は相なっているわけであります。したがって、石炭対策を見直すという意味で体制委員会その他の議論が始まったんではないかと思っております。  したがって位置づけの問題については、このいままでの政策の中で起きているスクラップの現状から判断をして、今度の五次政策で二千万トン程度、これが当初の案でありました。この追及をしますと、程度というのは千八百万トン、こういう答弁がありました。したがって、二千万トンを下回らないという答申になったわけでありますが、もう少し具体的に申し上げますと、私どもが昨年の六月十四日、通産大臣からいただきました発言メモでは、「二千万トン以上の需要確保するため万全の措置を講ずる。」こういうふうに明らかになっているわけであります。以上のトン数は何かということでいろいろ私ども政府とも話し合いをしているのでありますが、個々の数字がさだかでない、こういう問題があるのであります。したがうて、この二千万トン以上のアルファについては申し上げる素材はありませんが、何とかして昨年の段階では、二千七百万トン体制を保持するということで、二千万トン以上の体制が保持できるんだ、こういうのが私どもの基本的な意見であります。その場合に「対策期間中に、需要の減退などの不測の事態が生ずるおそれがある場合は、審議会にはかり、速やかにその対策を講ずる。」こういうことになっているのでございまして、そういう面で私どもは、この二千万トン体制をどう守るかということについて、広い意味の議論を起こしてもらわなければならないと思っています。  そこで、大臣メモの二つ目にありますのは、答申は五十一年度でありますけれども、「五十二年度以降の政策については、昭和五十年度末を目途に策定する。」こういうようになっていますが、たとえば、四次の初年度から起きたようなスクラップは、五次が策定されても起き得るだろうという前提に立っていますから、私どもは、いま五次答申に基づいての法律論議をしていただいておるのでありますが、六次政策が直ちに来るのではないのか、こういうように思っています。  もう一つはスクラップの方向でありますが、大臣メモによりますと、「社会的摩擦を極力回避するため、期間中はできるだけなだらかな方式をとる」、こういうことになっていますが、先ほど初めに申し上げましたように、すでに炭労関係で二千百万トンを割るというような計画になりますと、企業政府行政指導のマッチというのはどういうことになるのだろう、こういう心配が出てくるわけであります。したがって端的にいま申し上げますと、五次政策の精神で二千万トンが維持できなければ、六次の対策を直ちにしてもらわなければならぬ、こういう考え方を持っています。  しかしながら、いま先生から指摘をされるように、エネルギーの中に占める石炭の位置づけが今後減少をするという段階になってまいりますと、産業を保持するかしないか、炭鉱労働者として、その身分についてきめようではないか、こういう考え方を持っていますが、当面のところ、何としても答申にある、あるいは大臣メモにあります二千万トン以上体制をどのように具体化をするのか、ここに全力をあげているんだということを申し上げておきたいと思います。
  43. 道下一治

    道下参考人 お答えいたします。  私どもは現実に石炭産業に籍を置いて働いておるものでございますから、自分が働いておる産業が陥没をしてしまうということについては、どうしても私どもは納得ができないわけです。したがって、できるだけ掘った炭が使えるような、あるいは使ってもらえるようなそういう対策を講じてもらって、少なくとも将来は二千万トンを土台にして増産をして、石炭が使えるような体制をわれわれは期待したいわけであります。しかしながら、将来の問題は別にいたしまして、当面、昭和五十一年度二千万トン、これを絶対下回らないような努力こそまず大事ではないか、私はこのように考えております。
  44. 木崎順二

    木崎参考人 お答えいたします。  先ほど来、私も、二千万トン、二千万トンというふうに言っておりますけれども、これは、いままでの石炭の歴史からいって、現在の時点では二千万トンぜひ保持したいという願いを言っているわけでありまして、二千万トンそれ自体がいいというふうにあきらめているわけではございません。  ところで、先生の御質問でありますけれども、これからどんどん伸びていく日本経済の中で、エネルギーの使用量がふえ、したがって原子力の比重が高まり、輸入炭を含めた炭の相対的なパーセンテージが、絶対量は別といたしまして下がるということは、私はやむを得ないことだろうと思っております。しかし、いわゆるローマクラブの見解や最近のイギリスの動き、アメリカの動き、そういうようなものを見ますると、日本でただ一つ地下資源である石炭というものが、将来いかに貴重なものであるかということは明らかなところであろうと思います。そういう観点からいたしますと、現在の石炭政策、特に五次石炭政策が満足のいく姿勢であるかどうかということにつきましては多少疑念がございます。ただ、今回の五次石炭政策というものは、利害の相反する者がかんかんがくがくやってようやっときめた石炭政策でございます。そういう意味合いからいきまして、関係者の努力協力、それから政策の、量は別として、目新しい質、そういうようなものを考えますと、それなりに評価いたしますけれども、将来の日本のエネルギー政策の中における石炭政策がこれでいいのかということになりますと、私は疑問がございます。
  45. 塚田庄平

    ○塚田委員 時間もございませんので、少し具体的なことに入りたいと思まいす。  貝島さんと技研所長にお伺いしたいと思います。  石炭が伸びていかない、あるいは残念ながら閉山がもう現実に起きておるという理由は幾つか考えられますが、その幾つかを整理していきますとどれははずれるのもあるかと思いますけれども、まず第一に坑内保安の問題が大きいと思います。つまり、他の職場と違って、毎日毎日、生命の危険というか、そういう危険をおかしながら仕事をしていく、そういう状態に対する忌避という情勢が一つあると思います。もう一つは、やはり需給関係だと思うのです。石炭需給関係が少なくとも生産者の思うようにはなっていない、こういう事態ですね。それからもう一つは、先ほど所長の言った公害問題が、石炭を使用する面においてもどうしても付随してくるということです。こういった幾つかの問題があると思うのです。  そこで、まず保安の問題ですが、この前砂川で、まだ原因ははっきりいたしませんが、とにかく落盤、崩落という、炭鉱にしては全く初歩的な事故が起きて、とうとい命が失われたのですが、技研所長として、あの事態をどう受けとめるか、現地に調査に行った結果についてどういう感想を持っておられるか、これはまだ結論は出ておりませんし、しかも災害のことですから、たいへんだと思いますが、そういう点、ひとつ御所見を承りたいと思います。  時間もないので、少しまとめて伺いたいと思います。  それから、石炭協会の会長にお伺いしたいのですが、炭鉱の労働者は、他の一般産業に比べて特に最近賃金格差が非常に大きくなってきておる。これは統計上からいってもいなめない事実だと思います。坑内が悪い、あるいは生活環境が悪い、と同時に、直接的には、賃金がどうもおれのむすこよりは悪い、あるいはおれの兄貴、弟よりは悪い、こういう事態が出てきておると思うのです。これからは、日本経済全体がそうですが、労働力対策、つまり労働力をどう確保していくかということが日本経済の大きな課題になってくると思うのです。中でもそういう悪条件下にある炭鉱の労働力をどうするのかということは、保安あるいは鉱害、脱硫装置の完成等と相まって、いやむしろそれ以上に非常に大きな問題になってくると思うのです。そのためには、やはりいい環境と生産現場と賃金、これを確保しなければならぬ。そういうさなかに、先ほど炭労の委員長のほうから、今度この法案が通って、いよいよこれに基づいたいろいろな助成措置が行なわれるのですが、それについての生産計画あるいは融資計画等を見ると、炭鉱の労働者は一二%程度四十八年度は賃金を上げる、この一二%という数字がもしほんとうであれば、これは労働力確保にはとても及びもない数字だと思うので、この点ひとつ、経営者の代表として貝島さんの御感想を聞きたい。  それからもう一つ、公害の問題について、これは技研の所長に聞きたいと思うのです。先ほどちょっと参考人の愚見として出たのは、LNGつまり天然ガスの問題ですが、これはもう日本でも便っているのですね。東京ガスがおそらく使っておるんじゃないか。残念ながら、これは石炭天然ガスにかえて使うんじゃなくて、外国から輸入して使っております。聞くところによると、その輸入事情もだんだん逼迫してきておる。アメリカあたりはどんどん、石油がこういう事情ですから、外に出さないで自国内で消費する体制というものを強化しておりますから、その需給関係がおそらく東京電力あたりではたいへんだと思うのです。この研究は相当前から行なわれていたものと思うのですが、現在の段階は一体どうなのか。脱硫のためにはもう天然ガス以外ないんじゃないか、つまり石炭ガスにかえるという技術こそ、おそらくこれから技研に課せられた最大の課題だと私は思うのです。それにしても、先ほど予算を見たら、会社側から何ぼあるいは国から何ぼと、合わせて五億足らずでしょう。そんな予算ではとてもこの問題と取り組むことはできないんじゃないか、私はこう思うのですよ。これはあとで、むしろ通産大臣に聞かなければならぬところですが、そういうみみっちい予算の中で、国際的なこういう大きな研究を完成するということはほとんど不可能だと思うのですが、これについての所長の御見解を承りたいのであります。  以上です。
  46. 八谷芳裕

    八谷参考人 お答えいたします。  私に対しての御質問は、第一点は砂川の災害問題であったと思います。私ども技研といたしましては、この災害問題に対しては、直接これを調査するとかあるいは事情を聴取するという立場にないわけでございまして、新聞紙上等で知る程度でございます。ただ、先ほど公述いたしました中で、水力採炭の問題は砂川で開花したというようなことも申しましたが、これがこういう問題に関係しているのかいないのかということは全然わかっておりませんけれども、こういう問題につきましてもう少し原因が究明された暁には、私どもとしてもやるべき問題が出てくるんじゃないだろうか。やるべき問題と申しますと何か非常に先走るようでございますが、その原因なり対策なりというのを通産省あるいは炭鉱側で立てられたあとになるかと思いますけれども、私どもで、この時点でこの災害問題に対して、特に砂川と限定された問題に対して意見を申し述べることは差し控えたいと思います。御了承をお願いしたいと思います。  それから次に、公害問題でございますが、先ほども口述の中でガス化の問題については触れた次第でございます。  ただいまも、技研の小さな四、五億程度予算で大いにやるべきガス化がはたしてやれるか、こういう御質問なり激励のおことばだったと感じているわけでございますが、ただアメリカと日本というのは石炭事情等も非常に違っておりまして、たとえて申しますならば、採掘費、いわゆる石炭の採掘コストが日本に比べて格段に安いようでございます。また天然ガスのパイプライン等も張りめぐらされている。日本はこういう問題を克服して初めてガス化効果があがってくるわけでございますが、大きな流れといたしましては、どうしても無公害のクリーンエネルギーというものを、日本自体のその原料となる石炭を国内あるいは海外いずれからどの程度仰ぐかということは、その時点でいろいろ問題がありましょうけれども、私どもとしては、できるだけ国内炭を加味しながらこのガス化の問題に突き進んでいかなければならない、これは大きな流れでございますが、そういうふうな認識のもとに、本年度からまず海外の情報を詳しく収集して、これをよくかみしめて評価しておく。そして私ども技研としては、この中でどういう問題に取り組むべきか、こういうことを二段がまえとして考えていきたい、かように考えております。  もちろん実験とかそういう問題になってきますと、相当な予算が必要でございまして、それはまた実験に移る段階でいろいろ考慮すべきだと思いますが、まずさしあたりは情報を詳しく収集し、的確に把握しておいて、将来に十分備えていく、こういう考えでございます。何か情報を集めるというと、非常にゆっくりした態勢のようにお思いかと思いますけれども、まず海外の情勢あるいはこれに対する考え方を詳細知ることが、研究体制への一番近道ではないか、かように思っております。  それから、予算の問題についても、御質問なり非常に御激励のおことばもございましたが、私どもとしましては、国の補助金も受けております。しかし基盤となります予算は大手八社からの会費で仰いでいるわけでございます。特にこういうガス化の問題のような長期の研究ということになりますと、この基盤をいかに安定していくかということが私は一番問題じゃないかと思います。予算自体は、単年度主義で組みかえるにしましても、五年あるいは十年と——アメリカでも石炭研究局ができましてもう十三年になるわけでございます。そういう長い間の研究に取り組むということになりますと、まず国の研究所ではございませんので、大手八社をいかに安定さしていただくかということが、私どもは一番痛切なしかも大切な問題だと認識いたしております。
  47. 貝島弘人

    貝島参考人 お答えいたします。  先ほど、将来炭鉱経営については労働力の確保が大事であろう、労働力の確保には労働環境の整備、保安、さらには賃金が問題であろう、このような御意見でございましたが、私も同感でございます。私どもは環境の整備につとめ、保安は、これはほんとうに企業の死命を制するものでございますから、一生懸命及ばずながらやっておるつもりでございます。  さらに賃金でございますが、賃金はいろいろ形態がございまして、基本給、請負給、さらには坑内夫、坑外夫、いろいろございまして、ストレートに他産業と比較はできかねるとは思いますが、正直に申しまして、他産業に比べてたいへんよい給与であるとは私申し上げられません。  一二%のお話でございますが、これは各企業が毎年所属労働組合と交渉いたしましてきめることでございまして、私の口からこういうふうに計算したからこうするんだということは申し上げません。どういうところから出てきた一二%か存じませんが、それは単なる計算だろう、かように考えております。  以上です。
  48. 塚田庄平

    ○塚田委員 私の希望は、いま会長から話があったとおり、他の産業と比べて決していいとは言えない、この点は会長自体もお認めになっておられることなので、第五次の出発にあたって、これは新しい出発だというつもりで、その辺のことにつきましても、今後労働組合との折衝の中で妥当な数字で当たることが、私は結果として二千万トン以上確保の線からいってもいいのじゃないか、これは私見でございますが、そう考えております。  最後に、いまのLNGの問題ですね。これはこれから長くかかってやるんだということで、たいへん私ものんきだと思いますよ。もうこれだけ国際的な大きな問題になっておるときに、日本だけが、しかも外国のエネルギーに依存するといっておる国が、固有の石炭の無公害開発についてまだこれからだなんというのはちょっとお粗末過ぎると思うのです。予算関係等もあろうかと思います。大いに私ども政府を鞭撻して、その辺の拡充をはかっていきたいと思います。  それにしても、いまさしあたりの問題として、どの町村からも例の石炭専焼火力発電の問題が出てきておるのですが、これは電力会社とのいろいろな折衝があろうかと思いますが、一体何が隘路なのか。国としてもできればやりたいという気持ちがあるのじゃないかと思うのですよ、その点のポイントはここなんだ、これさえ解決すれば、内陸についても揚げ地についても火力発電はできるのだという核心に触れた意見をひとついただきたいと思うのです。  技術的な面について所長わかりますか。——そうですか。それではひとつ貝島さんから…。
  49. 貝島弘人

    貝島参考人 火力発電所の問題についてお答えいたします。  今後十年間に六千五百万キロワット程度の発電所の建設が必要だと伺っております。私どもはこの大きな発電灰の建設の中で、できるだけ多くの石炭を使っていただきたいということだけでございます。立地につきましては、これはむしろ電力会社さんのほうでお考えいただくことでございまして、私どもは極端に言えばどこでもけっこうでございます。それに合わすようにやっていきたい、かように考えております。
  50. 塚田庄平

    ○塚田委員 時間もありませんので、この程度にいたします。
  51. 坂田九十百

    坂田参考人 先ほど多賀谷先生から質問のございました超過負担の問題、数字が違っておりますので、訂正させていただきます。  昭和四十七年度の決算見込み額で、超過負担が、産炭地開発就労事業で七億五千七百十四万四千円、それから緊急就労対策事業で十億七千八百十三万三千円、合計いたしまして十八億三千五百二十七万七千円、こういうことになっております。  この事業をやっておりますのは全国で四十八カ市町村でございます。たいへん大きな超過負担で悩んでおるのでございます。  それから本日は、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、参考人として陳述申し上げたわけですが、その中で私の発言中に、鉱害の問題、産炭地振興の問題あるいは労働対策の問題に触れましたが、これは皆さまから考えられますと、関係もないことを何で言うのかというようにとられる向きがあったかもしれませんけれども管理委員会の性格によって大きくそうした石炭政策全体の中に影響があるということを痛感いたしましたので、私、陳述申し上げた次第でございますので、御了解いただきたいと思います。
  52. 田代文久

    田代委員長 引き続き質疑を続けます。多田光雄君。
  53. 多田光雄

    ○多田委員 時間もあまりありませんし、かなり重複していますので、各参考人の方に二、三点ずつ伺いたいと思います。  最初に貝島さんに伺いたいのですが、貝島さんも石炭をやっておられたということを聞いているのですが、石炭産業の発展というものには熱意を持っておられると思うのですが、日本の石炭産業がここまで落ち込んできた政策的な問題点をどういうふうにお考えになるか。簡潔でよろしゅうございますが、これが一つです。  それから二番目は、実は私、いままで石炭審議会の中身をあまり知らなかったのですが、貝島さんから、管理委員会の問題を契機にして、管理会社的なものもあるというお話が出たわけです。私も今度の法案を見ていて、これはどうもくさいなというふうに感じていたところなんです。  そこで伺いたいのは、その御意見貝島さん個人の御意見なのか、それとも石炭経営者全体の御意見なのか、これはたいへん失礼な質問かもわかりませんけれども、伺いたい。  いま一つ、それに関連して、管理委員会に移行した場合に、日本の国民やいまここで論議されている石炭産業の発展、増産というものが確保できるのかどうなのか。これは何年かあとの見通しの問題なんですが、これは個人的な御意見でよろしいです。  それから大きな三番目として、非常に保安問題が大きな社会的な関心を引いているのですが、先ほど貝島さんがおっしゃった管理会社にするというような傾向の中で、企業家がほんとうに企業に責任を持ち、保安に責任を持っていけるかどうか。つまり、そういう責任を貫徹され得ると確信されるのかどうなのか、その問題ですね。  もう一つあります。賃金問題ですが、先ほど高いとはいえないと言われましたけれども、資料を見ますと、毎年のアップは最低です。私の最低というのは、一番低いということです。最近二、三年確かに鉄鋼が低いように思いますけれども、アップが非常に低い。私は低いと思うのですが、どうお考えになるか。  その五点を、簡単でよろしゅうございますから……。
  54. 貝島弘人

    貝島参考人 お答えいたします。  石炭が今日のような状態になったについては、政策的にどういう欠陥があったのかという御質問でございます。はなはだお答えしにくい問題で弱りますが、一番大きな問題は、非常に石炭の崩壊が早かった。その裏には、需要の減退が非常に早かった。それに政策が追いつけなかった。先ほど労働組合のほうからもお話がございましたが、後手、後手じゃないのかということでございますが、一つはそれが大きなマイナス面であったろうと思います。  第二は、管理会社というような話が出たが、それは個人の意見か、全体の意見か、こういうことであります。これは、私どもこの第五次答申のときの審議会の中で主張いたしました大手各社の意見の総合でございます。  それから、管理会社のもとで増産ができるかどうかということでありますが、これは管理委員会というものがまだ現実にできておりませんので、できました上で、私ども需給調整委員会というものをつくりまして、相協力して目的に沿うように最大限努力をいたしたいと考えております。  次に、保安問題について、ちょっとはっきりしないのでありますが、現在の形態で保安確保ができるのかという意味でございますか。
  55. 多田光雄

    ○多田委員 つまり、将来管理会社になるのだ、国も買い上げだ、こういうことになりますと、人間の心理として、やはり増産あるいはほんとうに労働者の保安を守っていくということが、ややもすれば軽視されがちなんですが、そういうことを伺いたい。ごく常識的なことです。
  56. 貝島弘人

    貝島参考人 全く御杞憂でございます。私どもは日々保安に万全を尽くしております。  第四番の賃金の問題でございますが、先生の御意見は、低いと思うがどうかということでございますが、私は、たいへんよいとは考えません、かようにお答えいたします。
  57. 多田光雄

    ○多田委員 それでは、次に技研の所長さんにお伺いしたいと思うのです。  たいへん御苦労なさっているようなんですが、技研予算は単年度予算になっておりますね。それで、研究を続けていく上で、政府に対して特にどういうことを御期待あるいはお望みになるのか、ひとつそれを伺いたいと思います。  二番目は、石炭の多角的な利用について、経営者なり政府のほうから積極的に、こういうものを開発してもらいたい、研究してもらいたい、あるいはこうすれば応用のために援助するというような、多角的利用についての積極的な提言があったのかどうなのかということです。
  58. 八谷芳裕

    八谷参考人 予算に対する問題で政府に何か要望することはないかということでございます。ただいまも申し上げましたように、政府の相当多額な補助金で技研研究をやっているわけでございまして、この点はむしろ政府に対する感謝をいたしておるわけでございます。  ただ、政府に対する要望といいましても、先ほども申しましたように、あくまでこれは現形態では補助金でございますので、まず私どもの所属いたしております会員各大手会社の基盤がしっかりしていくということが問題でございまして、これは技研としましては間接的なものになるかと思います。しかしこちらのほうがしっかりされないと、長期にわたる研究というものはどうしても取り組みにくいということでございます。補助金だけの問題でいきますと、できるだけ補助率の問題だ、補助額の問題だというようなことになろうかと思いますけれども、私はあくまで基盤をしっかり造成させておくということが最大の問題であろうと思います。  二番目といたしまして、石炭の多角的な研究の取り組み方において、政府なり経営者のほうからどういう提言があったか。これは私どもの組織を申し上げないとおわかりにくいと思いますが、私どものところでは、理事長はただいままで御発言願っています貝島石炭協会長理事長でございまして、業界技研でございます。したがいまして、大手八社の中から運営委員会というものに出ていただいて、この運営委員会の検討の結果で、もちろん私ども意見は申し上げております。こういう、まことに密接不離の姿で研究を進めているわけでございまして、これは提言どころではございません。もう私どものやっていること、そのまま大手会社の意向だということを申し上げてよろしいかと思います。また、組織自体も、協会長理事長でございます。私は副理事長を所長のほかに兼ねておるわけでございますが、あくまでそういう形態でございます。また政府の提言、これも十分に運営委員会の意向を反映いたしまして、政府ともよく私どものやりたいことを御相談申し上げております。また、補助金というようなことになって運営をしてまいりますと、どうしても政府のほうには、密接な、私どものやりたい意向を十分に申し上げるということが必要なわけでございまして、またある場合には、石炭の利用問題等につきましても、業界と同じように政府からもいろいろ示唆される点があるわけでございます。研究所といたしましては、経営者、政府の十分な御指導のもとにやっておるつもりでございます。
  59. 多田光雄

    ○多田委員 次に、坂田さんにちょっとお伺いします。  超過負担については先ほど伺いましたが、今度の水俣裁判の経験をみましても、鉱害なりこのボタ山の処理、この最大の責任者は私はやはり企業だと思うのです。つまり自分のたれたそういうものは自分で処置するということだろうと思うのですが、坂田さん、そういう点で企業に何を望まれるか、特に自治体の責任者の方として。これが一つです。  二番目は、産炭地にいろいろ企業を誘致されたいという努力をして、私、北海道のものですが、あまり成果があがってないのです。何が最大のネックなのか、障害なのか。その二つを伺いたいと思います。
  60. 坂田九十百

    坂田参考人 私ども産炭地の市町村といたしましては、やはり石炭産業にかわる産業を誘致したい、こういうことで懸命に努力もし、また関係官庁あるいは国会の先生方お願いをいたしておりますけれども、何がネックになっておるかと言われましても、これはなかなか私どもとして回答はできかねます。けれども、それぞれ九州地方におきましては、事業団等の御努力によりまして、かなりの数の企業が進出いたしております。けれども、やはり水資源がないということと団地がないということ、そういうことで、きわめて水を使わない企業、来ているのは大体中小企業程度であって、大型の企業の誘致ができない、そういうところに産炭地の振興が非常におくれているのではないか。一番原因は、私どもが東京あるいは大阪方面から企業の誘致をする場合、現地を見ていただきますると、非常に大きな鉱害によって水たまりができておる。こういうところに企業が来ても機械のセンターが狂ってだめだということで、現実に断わられた事例がたくさんあるわけでございます。九州の場合はそうしたものがやはり企業の進出を非常に阻害しているというように考えます。  それから、北海道の場合はやはり地理的に非常に不便であります。九州よりもさらに産炭地振興の問題は深刻ではなかろうかと考えております。したがって、北海道は北海道特有の考え方で企業誘致をする必要があるのではなかろうかと考えております。九州といいましても、特に福岡周辺は、福岡は発展いたしまするから、かなり産炭地もよくなっておりまするけれども、筑豊地帯は全く鉱害の原因と、水資源のないということ、団地のないということ、この三つが企業誘致の一番隘路になっておるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  それから、いま来ている企業は主として女子の方が大部分でございます。八〇%が女子でやっております。したがって、男子はほとんど県外に就職いたしております。これはもう将来大きな社会問題化するのではなかろうか。中学校を出、あるいは高等学校を出まして、そうした企業に働いている。結婚期が来ましても結婚する相手がおらないという状態、これは将来非常に大きな問題になってくるおそれがあるということで、今後私どもが誘致いたしまするのは男子雇用型の工場、こういうものをぜひひとつお骨折りいただきたいと思うわけでございます。日本列島改造論とか、あるいは国土総合開発庁とかという役所もできるそうでございまするので、そうしたお役所のお力によって、産炭地に中核企業を導入していただくようお願い申し上げたいと存じておる次第でございます。
  61. 多田光雄

    ○多田委員 先ほども一つ言いましたボ夕山と鉱害について、会社に対してどういうことを御希望になるか、政府に対してはいろいろ話は出ていますが。
  62. 坂田九十百

    坂田参考人 鉱害復旧の問題は、先ほどちょっと触れましたように、有資力と無資力とになっております。したがって、双方の承諾がなければ鉱害復旧はできません。有資力の場合は被害者と加害者との双方の同意が要るようであります。それがどちらかの都合によって鉱害復旧ができないという、これが一つ大きなおくれる原因にもなっておろうかと思います。  それから、鉱害復旧をするに当たっては、有資力の場合は、農地の復旧の場合は一五%でございますけれども、家屋等の場合は五〇%の負担が有資力にかかるわけであります。その納付金を納めて鉱害復旧をすることになりまするから、なかなか企業の資金繰りの関係上、同意をしないというものも出てくるわけであります。したがって私は、やはり国が法律をつくって復旧をしようという、そこまで積極的に助成の措置がとられるならば、もう一歩進んで、そうして有資力とか無資力とかなくして、全部国土保全あるいは民生安定という立場から、納付金等を免除して、そうして国の機関である鉱害復旧事業団等に復旧をせしめるということになりますると、鉱害復旧はスムーズに進むのではなかろうか。  納付金を取りましても、年間二、三十億程度と思います。そうなりますると、いまのように手厚い措置をしながらも、なお炭鉱企業経営はできないという状態、その経営のできないような状態炭鉱に二、三十億の負担を取って、それがために鉱害復旧がおくれている。したがって、産炭地振興がおくれる。地域の市町村は大きな財政的苦労をしておる。こういうようなものを一度に解消するのには、やはりもう一歩鉱害復旧については国の責任において復旧するような措置を講じていただきたい。  それからボタ山の問題は、九州だけで約八百のボタ山があります。これが昨年の七月の豪雨によりまして大きな被害を起こしております。そこで私どもは、このボタ山についても臨鉱法の対象にしてもらいたいという要求をただいま続けておるわけでございます。けれども、このボタ山を処理するということになりますと、大体二兆とか三兆とかかかるようでございます。現在の陥没している鉱害復旧ですらいまから十年かかろうとするときに、ボタ山まで臨鉱法に加えるということになってくると、これはたいへんな問題だというように通産当局では言われておるのでございますが、地域の住民といたしましては、やはりボタ山も鉱害である、出たものも鉱害である、へこんだものも鉱害である、だからやはりこの臨鉱法においてやってもらいたいという素朴な考え方を持っております。したがって、ボタ山の問題につきましては、企業に対しまして要求いたしておりますけれども、すでに炭鉱は閉山して撤収したあとで、ボタ山の処理までなかなか企業も手が回らない、こういう状態であろうかと思います。
  63. 多田光雄

    ○多田委員 炭労の里谷さんに二、三点。  組合の文書を見ますと、閉山についてもっと早く連絡してもらうとか、閉山の問題について十分話し合う機会をほしいというようないろいろな御意見があったようですが、通産省に対して、閉山の問題に対してどういうことを積極的に御期待になるか、これからもあると思いますが、それが一点です。  それから二点目。賃金というのは、本来労使の交渉その他で基本的にきまるものだというふうに私は思うのですが、先ほど一二%の云々というお話がございましたね。これは政府として、もしそういうことがあれば尋常じゃないことであって、その点について、できればもう少し詳しくお話しをいただきたい。  それから、炭労さん側は、先般保安の点検月間を設けられて、そして千四十五項目の保安法規無視と思われる問題を集約されているのですが、これに対して、組合が企業に要求して、企業はどういう態度をとったか、改善されたのか、まだたくさん残っているのか、その辺ですね。  それから最後に、保安について。この保安の監督当局に何をお望みになるのか、これをひとつ伺わせていただきたいと思います。  簡単でよろしいですから。
  64. 里谷和夫

    里谷参考人 閉山についての考え方でありますが、先ほど申し上げましたが、私どもたくさんの閉山をしてまいっていますが、事前に閉山を予測する、そういうのは現実的に実はないわけです。いろいろのうわさは出てまいりますけれども、把握について非常におくれておった面について、私ども運動的に自己批判をしているところであります。  そこで、昨年の五次答申が出ましてから問題にしましたのは、生産量の問題について、あるいは機械化の問題について、あるいは資金の問題等について、組合が攻撃をかけられる前に、いわゆる閉山を提案される前に閉山を押し戻す必要があるだろう、こういう観点に立ちまして、先ほど申し上げましたが、会社から長期生産計画を引き出す、こういう戦いを実はしているわけであります。そこで、先ほど申し上げましたように、一応の会社からの提案がございましたので、この数字に基づいて通産省と、この数値がほんとうに正しいのかどうなのか、あるいは今後いろいろの計画がございますから、そういう計画が実現できるのかどうなのか、この面の追及をしてまいりたい、追及というより話し合いをしてまいりたいと思っております。その差が出てまいりますから、そういう現実の差の問題について、提起をした会社側と詰めていく、こういう方向をとってまいりたい、こういうように思っております。  次に、賃金の問題でありますが、通産省の指示等もありまして、各会社は昭和五十一年度までの長期計画を通産省に提起をしなさい、こういう指示に基づいて各社は作業をしているようであります。その会社が役所に提示をする資料を仄聞をいたしますと、賃金アップが一二%という予算化をしている、こういうことで先ほど申し上げたのであります。私どもの賃金の問題は、確かにいろいろ指摘を受けるのでありますが、非常に低賃金にあるものですから、ありとあらゆる人の力をかりて賃金の低条件を改善をしたいと思ってがんばっているのですが、最近の三十七年以降の政策の中で運営をされている石炭企業から判断をいたしますと、当時は、審議会でも具体的な数字は出しませんでしたが、会社の経営そのものから判断をすれば、賃金のアップはこの程度がよかろうということで、法制化されたといいますか、政策を受けている賃金という名目で政策的なワクがかけられるのでありますが、これが発足当時は七%ということでございました。確かに労使の力関係でありますから、その力関係で七%を破る戦いを毎年毎年行なってまいりましたが、昭和四十三年に七%の壁をどうしても破らなければならぬということで、いろいろ政府その他とも話し合いをいたしまして、中労委の裁定を仰ぐというような事情がございました。そのときの賃金のアップが一三%ということで、一三%の賃金が引き上げられたという現状があります。ところが、今年は昭和四十八年度でありますが、四十六年度から労使間で賃金をきめろといういろいろの問題もございまして、私ども努力をしているのでありますが、いまの趨勢からいきますと、ここ二年間の実勢を見ますと、せっかく一三%まで引き上げてまいったのでありますが、一三%を割る賃金である、こういうもので、私ども、非常に石炭産業そのものが政策で縛られているという意味で、政策賃金の縛られたワクをどういうように打破するのかという意味では、当然当委員会でも、先ほど申し上げたように、現状置かれている点から判断をして、この壁を破るのにお力添えをいただきたいものであるという発言になったのであります。  三番目の保安月間の問題でありますが、非常に災害が多いものでありますから、組合は月一回全役員が坑内に入坑いたしまして、保安の欠点個所を指摘をいたします。これは一週間以内に会社に要求を突きつけて改善に努力をするのでありますけれども、非常に予算の面で、あるいは新規の機械を購入するというような意味で、あるいは人員が不足をしていますから、どうしても人員の差し繰りで作業が進まない、こういう個所も出てまいります。これはやはり保安に影響を与えることは事実でありますし、その山の坑内骨格構造の最大欠点である、こういうところが結果的には残るわけであります。残りますので、私どもは、組合的に発言をさしていただきますと、三カ月ぐらい保安点検をしまして、どうしても解決のできない点は、山元闘争といいまして、そういう大きい問題を集約をして会社に要求を突きつけ解決をする、そういう方向をとっているのであります。  四番目の保安監督に何を望むかということでありますが、私どもが国家の直接管理にしていただきたいと言うのは、企業の実情によって保安のサボがあるのであります。したがって、企業と癒着しない、完全な政府の見方によって保安は厳守をする、保安に妥協はない、そういう強硬な、強力な体制のほうが必要である、こういう意味で、ここ二十年来私ども保安監督については要求を下げていませんし、またかと言われておるかもしれませんけれども、そういう企業と関連のない、あるいは企業に命令権を持つもの、こういうようなことで監督行政をしていただきたい、こういう考え方を常に主張してまいっておるのであります。
  65. 多田光雄

    ○多田委員 終わります。
  66. 田代文久

    田代委員長 松尾信人君。
  67. 松尾信人

    ○松尾委員 ちょうど時間がもう予定の時間一ぱいになりまして、それで皆さまに聞く余裕がほとんどないのでありますけれども、まず炭労の皆さま方等からの二千万トンの確保の問題ですね。これは当然のことといたしまして、われわれがこの法案の審議を通じ、また法案の審議が終わりましょうとも、これは力強く推進していきたい。これはこちらのほうの決意発表であります。なお、二千万トンにのぼる日本の石炭業界というものにしていきたい、これをしっかり論議を尽くしていきたい、このように思う次第であります。  それから保安の問題で、先ごろ砂川のほうで事故がございましたね。そのときも、私も現地に参りましたし、いろいろ実情も聞きましたが、きょうお話が出なかったのでありますけれども、災害事故の場合の補償の問題であります。これは何としても、現状では、金額等は申しませんけれども、少ない。また、プラスアルファが出ましても非常にこれは少ない。人命というものは、これは金にかえることはできません。しかし、一たんやはり事故が起こりますれば、そこには補償の問題というものをきちっと解決していく必要があろう。他の交通事故その他のいろいろな災害の事故とにらみ合わせまして、やはりこれは適正に、特に炭鉱労務者の方々につきましては、ふだんの労働状況等から推しましても、しっかりこれはやっていくべきであろう、こう思うのでありますが、これはひとつそのような方向で今後進まれるかどうか。石炭協会会長貝島さんの御決意、これを聞いておきたいと思うのです。  それから二番目の点は、要するに石炭の公害の問題です。いろいろ出てまいりまして、これを解決するということがやはり石炭の将来というものをやはりいい方向にきめていくという大きなきめ手であります。技研の所長も大いに苦労しておるところであります。排煙脱硫の点は聞きました。先ほどお話がありました。それから石炭ガス化の問題も出ました。その点はもう重複いたしますのであえて聞きませんけれども、窒素酸化物、これに対して現在技研としてはどのようになっておるか、これを一点聞きたい、このように思います。  以上で私の質問は終わるわけでありますが、ひとつまず会長のほうからお答え願いたい。貝島参考人 お答えいたします。  労働災害の防止につきましては、私ども先ほども申し上げましたように、私ども自身死活の問題でございますので、日夜心を砕いておるわけで、今後ともますます気をつけてやっていきたいと存じます。  その場合の補償の問題でございますが、これは各企業ごとに取りきめがございまして、その線に沿って補償をしておるわけでございますが、仰せのように近時ほかの事故の場合の補償がたいへん高くなっている。それと比べて見劣りがするじゃないかというお話でございますが、さように私も存じます。今後とも私ども努力いたしまして、そういう場合の補償はできるだけの補償をいたしたい、かように考えております。  終わります。
  68. 八谷芳裕

    八谷参考人 NOxの問題でございますが、これは私ども特に石炭研究所としましては重大な関心を持つわけでございますが、研究所の長い歴史の中でこういう燃焼関係にあまり取り組んでいなかったわけでございまして、また、非常に広範囲にわたる研究を要するというようなことで、この二月から特別の嘱託を置きまして、また、現研究員にこれを応援させまして、この問題の問題点等をいま追及しておるわけでございます。そういう結果で、また技研として何らかの研究に向かうべきかどうかという問題がはっきりしたら、またその方向に対処していきたいと存ずる次第でございます。
  69. 田代文久

    田代委員長 最後に、稲富稜人君
  70. 稲富稜人

    ○稲富委員 いよいよ最後でありまして、もう時間がありません。すでに大臣もお見えになりましたので、先刻委員からいろいろ御質問いたしましたことに重複しない点だけを、まとめまして一つずつにしてお尋ねしたいと思います。  実は、今回の事業団等の法の改正は、合理化事業団の運営の一そうの円滑化、強化をはかる観点から、事業団管理委員会設置する。この管理委員会設置に対しましては、先刻から参考人の話を承っておりますと、非常に期待をされている方、あまり期待をされておられない方があるのであります。  私、ここでお尋ねいたしたいと思いますことは、この事業団の業務運営の円滑化、強化をはかるために、法律の中に、管理委員会をこの際設置する、こういう法の改正があるわけでございますから、いままでの石炭鉱業合理化事業団の運営等に対して足らざるところがあったのであるか、皆さん方この運営に実際当たっていらっしゃるから、その点をひとつこの際、率直に承りたいと思うのであります。  さらにまた、この事業団の運営は、期待するところによりますと、将来非常な重大な問題があります。そうしますと、この管理委員の人の問題なんかは、非常に今後の運営に影響あると思う。単なるおざなりの委員では困るという問題になってくると思いますので、この委員の選定等に対しましても、おのおの関係者の方々の希望等もあるかと思います。この点もひとつこの機会に、参考までに、これは皆さん方全部から承りたいと思います。  それからさらにいま一つ、これは貝島参考人にお尋ねしたいことでございますが、先刻御説明なさった中に、今日非常に急務は、需要の問題とそれから金融の問題が、要するに資金の調達が非常に急務だ、こういうことをおっしゃっておったのであります。今回の改正によりますと、経営改良資金の貸し付けというものが行なわれることになっておるのでありますが、これは先刻からもどなたかの御意見がありましたように、「事業経営を改善するために特に必要と認められる場合に」行なうと、こういうことになっております。それは管理委員会等でいろいろ検討されるかと思いますが、そうなりますと、これは経営者側のほうにもおのずから期間の問題であるとか、やはり融資に対する条件等の希望があると思うのであります。あるいはこれの使途に対して、こういうことに対する希望等がありましたら、この機会にひとつ承っておきたいと思うのであります。  さらに最後に、これは坂田参考人にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、今回の法の改正というものは、先刻出されました石炭鉱業審議会答申に基づいて法の改正が行なわれるというのが主体でございます。ところが、答申によりますと、これは先刻あなたからも御意見がありましたように、閉山産炭地振興対策等というものは強く要望されております。それでおそらくあなたのおっしゃることは、この際こういうような石炭合理化としての法の改正をやるとするならば、石炭合理化対策の一端としては産炭地対策というのがあるじゃないか、なぜこういうものを強力に進めないか、もしも法的にこれが進められないとするならば、この管理委員会がその点までもなし得るような権限を持たせるような方向へいかなくてはいけないのではないか、こういうのが産炭地としてのあなたの希望じゃないか、こう私は考えるわけでございまして、この点だけを一応まとめましてお尋ねいたしましたので、御答弁願いたいと思います。
  71. 貝島弘人

    貝島参考人 お答え申し上げます。  管理委員会ができたが、従来事業団の運営について足らざるところがあったのか、こういう御質問でございますが、私、従来の合理化事業団の運営について特に足らざるところがあったとは感じておりません。今回新たに管理委員会を設けられようとしておりますのは、合理化事業団の、私、立法のことはよくわかりませんが、中に管理委員会というのをつくる。また合理化事業団任務も、従来の姿勢よりも自前といいますか、積極的になる。その運営をしやすくするために、一つ管理委員会をつくるんだ、もう一つ業界指導していくんだ、この二つのためにつくるんだと思いますので、これからは新しい事業団の運営姿勢として私は期待しております。  管理委員会の人事について希望があるかということでございますが、私は、片寄らない、ほんとうに日本の石炭の将来を考えていただける方ならばどなたであってもいい、ということは、変な言い方でございますが、特別の希望はございません。  金融の問題でございますが、先ほどからもいろいろ私からもお話し申し上げ、他の方からもお話がございましたが、いまや全く市中の金融から見放されておる石炭業界といたしましては、この経営改善資金に期待するところがはなはだ大きいのでございます。そこでいま一応考えられておると伝えられますところによりますと、はなはだ制限的かつ短期のものであるというように私はおそれておるのでございますが、私どもはこの経営上、運転資金というのは、何がどうなったから要るというものではなくて、常にいろいろな形で必要があり、また返してまた借りるというのが実態でございまして、先ほども血液のようなものだというお話がございましたが、まさにそのとおりだと存じます。したがいまして、経営改善資金の運用につきまして、石炭鉱業の安定操業をはかるために、貸し付け事由もできるだけ幅広く、また貸し付け期間もできるだけ長くするように御配慮願いたい、かように考えております。  なお、これはとかく忘れられがちなんでございますが、実は四十七年度にたいへんに市中の御協力を得て融資をしていただいて、四十八年度に返済が来る、こういうようなものも相当ございます。それらについても、これはだめだということをおっしゃらないで、いわゆる運転資金だという意味で特にお考えをいただきたい、かように存じております。  終わります。
  72. 坂田九十百

    坂田参考人 私は、管理委員会設置に賛成をいたしておりますが、この管理委員会の性格によりまして石炭対策全般の均衡を失するということにならないようにお願いしたいという発言を先ほどしたわけでございます。ただいまは開発就労事業あるいは緊急対策事業等の超過負担の数字を見ていただけばわかりますように、現在でも大きな超過負担で悩んでおる産炭地の市町村でございます。したがって二千万トンを下らない石炭鉱業の安定はもちろん私ども切望いたしております。希望いたしておりますけれども、これに重点が置かれて、産炭地振興労働対策や鉱害復旧が圧縮されるようなことになればたいへんである、こういう意見を申し上げたのでございます。
  73. 田代文久

    田代委員長 組合関係参考人の方で、いまの御質問の中で何か発言したいという御希望があればどうぞ。——別にないですか。  これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  どうぞ御退席をお願いいたします。     —————————————
  74. 田代文久

    田代委員長 引き続き本案に対する質疑を続行いたします。松尾信人君。
  75. 松尾信人

    ○松尾委員 法案の審議に入りまして、質疑をいたすわけでありますけれども、まず大臣は、私が局長その他に質問をまじえながら大臣に聞いていきますので、その点あらかじめ御了承願います。  最初に、閉山の事情等について聞いてまいりたいのでございますけれども、現在まで閉山してきた山もたくさんございます。そしてその合計トン量は五千四百万トンに達する。先ほどの参考人のお話では、九州だけで約三千万トンにのぼる、このようなお話であります。それで局長に聞くわけでありますけれども、この閉山炭鉱の理由ですね。どういうことで閉山に至ったのか。それは炭量の枯渇または経営の資金的な行き詰まり、赤字の増大とかというような問題があろうかと思いますけれども、おわかりであれば、過去の閉山に伴うその理由ですね、それが大体どういう趨勢であるかということをまず御説明願いたい。   〔委員長退席、多田委員長代理着席〕
  76. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 お答えいたします。  過去に閉山をしました理由でございますが、正確な資料を持っておりませんので、概略でございますが、ほとんど大部分がいわゆる経済的炭量の枯渇ということでございます。いわゆる絶対的炭量は、閉山いたしますところも相当あるわけでございますけれども、そのときどきの炭価等に見合いまして、相当多額でなければ掘れないという意味の経済炭量の枯渇が大部分でございます。それから一部事故等がございまして、大事なところを自然発火等のために密閉せざるを得ない、したがって、あと残ったところではもう掘れないというふうなケースも若干あったように思いますが、私の記憶では大部分が経済炭量の枯渇ということでございます。
  77. 松尾信人

    ○松尾委員 四十八年度においてもやはり閉山の見込みがありますね。これは大体どのくらいに達するか。それからどういうためにそうなるのだ。この御説明を願いたい。
  78. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 予算といたしましては、三百万トン分の閉山の予算を国会のほうにお願いをしておる次第でございます。閉山の場合は、なかなか予想がつきかねますので、正確に三百万トンかどうかわかりませんが、実は昭和四十七年度に閉山が決定をしたと申しますか、労使ともに、もうこれは経済的炭量の枯渇がほとんどでございますということで、閉山資金の交付は四十八年度に出すというものが相当ございます。それらを含めまして、三百万トン分の予算を計上しておる次第でございます。   〔多田委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣、お聞き及びのとおり、経済炭量の枯渇、これが非常に大きな原因であるという答弁でありますけれども、経済炭量というのも、いろいろその山々によって、事情はあろうと思います。ちょっとまた論点は変わりますけれども、たとえば経済炭量がだんだん枯渇していく、それで新鉱をどうしても炭鉱としては切り開いていかなければなりません。長崎県の高島炭鉱でも、この新鉱の開発にうんといま力を入れておりまして、飛島というところに新鉱の開発中でございます。これは非常に有望な炭層に着炭したのでございますけれども、非常にこの炭層の事情が悪いのですね。複雑な地形である、地層が悪い、このようなことでありまして、巨額な金をそこに入れていく。いまやっておりますけれども、資金がつかない。そうしますと、せっかく今後もう何十年間というそこの炭量が一応見つかったわけでありますけれども、価格、資金的な問題、そういうところで新鉱の開発ができるかできないか。途中でこれが行き詰まる。資金的な行き詰まりになりますと、結局経済炭量の枯渇による閉山ということで、長崎県における一番大きな炭鉱もやがて閉山に追い込まれていく危険があるわけであります。それで、現在のこの高島炭鉱の新鉱の開発なんかは、どうなっていますか。
  80. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 高島炭鉱の場合は、実は従来、深いところ、地表下八百メートルぐらいなところを採掘いたしておったわけでございますが、今度、新しく比較的浅いところ、いわゆる先生のおっしゃられました飛島区域のほうを開発しようということで、そちらのほうに昭和四十四年から開発に着手をいたしておりまして、総投資額は大体三百億円ぐらい予定をいたしております。これは開発工事が大部分終わりまして、四十七年度までに、補助金とか融資等、合わせまして約十九億円の財政援助をいたしたわけでございます。そういうことでございますので、今後、だいぶでき上がりかけておりますが、有望な地域でございますので、補助金とか融資等を制度の範囲内で出しまして、これの育成につとめてまいりたいと思っております。
  81. 松尾信人

    ○松尾委員 じゃ、この炭鉱に一応話を限りますけれども、これは開発まで政府がめんどうを見ていく、このような姿勢で貫く考えですか。
  82. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 そのような方向でやってまいりたいと思っております。
  83. 松尾信人

    ○松尾委員 いままで論議されましたとおり、このようにして、資金的な行き詰まりで途中でもう放棄するというようなケースがいままでの閉山の中にはあったろう。ぼくは相当あったのじゃないか、このように思います。でありますから、この新鉱開発の問題でございますけれども、これはある程度以上は、企業が独力でやっていく限界を越える場合があります。政府としても、そういう場合にどこまでやっていくかという問題でありますけれども、閉山ということは、過去において五千四百万トンの石炭が、もう日本から減ったわけであります。今後とも三百万トンが見込まれておる。もうじり貧という、このような傾向を、どうしても新鉱の開発で、これは当然として防いでいかなくちゃなりません。ですから、いま当局からの話がありましたけれども、大臣として、このような新鉱開発についての今後の心がまえ、もう一つそこで助成していけばできるものを、うんとやっていけるか。問題は、新鉱開発に対する国の考え方というものを大臣から聞いておきたい。
  84. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 有望な新鉱につきましては、国家は補助金あるいは融資等、法の許す範囲内の最大の援助を与えまして、出炭というところへ早くこぎつけるように努力したいと思います。
  85. 松尾信人

    ○松尾委員 じゃ、以上で閉山問題を終わります。しっかりひとつ、過去における閉山による炭量の激減、それは何としても食いとめて、そして新しく石炭を掘り出すという面は、今後の一つ政策課題として十分御検討を願いたい、このように思う次第であります。  それから次は、大臣のエネルギー白書の問題でございます。田中構想、総理大臣の田中さんの考え、これは六十年代に一兆ドルの経済発展を目ざす、それは鉄鋼が現在の二倍、石油が四倍、工業用水等でまた四倍というような大きな需要増開拓というものが当然予想されておるわけでありますけれども石油の今後の輸入問題は、エネルギーに限っての話でありますけれども、これは当然いまのような安い値段で入ってくることはありません。これは大臣の答弁であります。それも必至であります。そして石油につきますれば、特に九九%を輸入に仰ぐわが国でございますから、今後ともに、根本的にエネルギー資源政策というものを見直し、確立していかなければできません。そういう前提から、石炭が、現在こそ第一次エネルギー資源の中で占める割合は減ってきております。過去十年前二八・何%の比率が現在六・三%というぐあいに減ってきております。しかし、そういういろいろの関連、石油の今後の問題、それから石油の輸入の困難性、価格の高騰、そういうことから、この石炭の位置づけというものをもう一回ここではっきり大臣から聞いておきたい、また構想を聞いておきたい、このように思います。
  86. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 前回の委員会で申し上げましたように、日本のエネルギー需給を考えますと、かなりタイトになってくるように考えられます。そういう観点から、国内資源である石炭というものに対する再評価が生まれてくることを、私はある意味において希求しているところであります。とりあえずは、第五次答申を守って、あれを最低限実現をして、そして、まあ野球で言えば、この回を守り抜いて、そして次の新しいエネルギー需給関係に、石炭関係が再び再評価されて、出直すチャンスをうかがえたら、そういう希望を持って政策を進めていきたい、そう考えておるわけでございます。  エネルギー白書をつくりますときに、一体石炭がどういう地位を占めるか、これは非常に重要な認識の問題でございますけれども、そういう前途に対する考え方を持って私はエネルギー白書というものを書くときに、心がまえとして持っていたい、そういう希望を持っておるわけであります。
  87. 松尾信人

    ○松尾委員 特に石油でありますけれども、今後六十年代までに四倍の輸入増を見込む、この点についての大臣の見解はいかがですか、見通しは。
  88. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 昭和六十年に大体七億トン前後ということが総合エネルギー調査会の答申答申されておりますが、見通しはまだ的確にわからないと思います。六十年といいますと、まだ十二年くらい先でございますから、どの程度変化がそれまでに経済に与えられるか、日本の経済の伸びは、まあ五年ぐらいならある程度ラフな見通しもできるかもしれませが、十年以上になるととてもむずかしいと思います。したがいまして、何億トンというような数字は全く腰だめな、ラフな数字であって、科学的に推定されて根拠のあるということは、ちょっとむずかしいのではないかと思います。大体の予想とか目の子算用という意味においては、心がまえをつくる意味において必要だと思いますけれども、経済計画立論の筋としては、まだ具体性のない数字である、そう考えます。  しかし、いずれにせよ、相当量のものが必要になってくることは考えられますので、それらの見通しも、エネルギー白書をつくるときにもう一回通産省で試算をしてみまして、五年後、十年後、それ以後、時間がたてばかなりラフなものになると思いますけれども、やってみたい、そう考えます。
  89. 松尾信人

    ○松尾委員 幾ら使うかという問題はいろいろの角度から検討もされましょう。そうでなくて、四倍なら四倍というような一応の数字が出ておりますけれども、それをかりに必要数量という前提のもとに、現在の状況、またやがて変わっていくOPEC、その他のありさま、また今後三年で枯渇するであろうといわれる石油資源、そういう資源に対する国際的な管理の考え方等から、日本の期待するような輸入量というものが、あらゆる諸情勢から困難になっていくのじゃないか、これを聞いておるわけであります。そこに重点を置いて聞いておるわけであります。いかがですか。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 伝えられるような七億トンというものを輸入するとすると、これを輸送する船あるいは水陸連絡設備石油基地、そういういろいろな問題で、非常に多くの問題点が出てくると思うのです。はたしてそれだけの膨大なものをかけてそれだけのものを輸入することが、経済社会にとってプラスであるかどうかという点も、再検討すべき要素であるとも私は考えます。
  91. 松尾信人

    ○松尾委員 はっきりしないのでありますけれども、プラスマイナスよりも、現実に困難であろう、外国からの輸入が困難であろうということをいま聞いておるわけです。ですから、他方、チュメニ油田だとかいろいろ開発輸入の問題等が起こっておりますけれども、これはまた長い将来のことであります。来年、再来年と伸びていくこの石油需要、そこに政府の考え方がはっきり確定されませんと、やはり現在のように何か資源を日本があさる、資源の買い付けを一生懸命やっている、国際的な協調の観念もないとかいろいろな問題が、公害その他もあわせまして出てくるであろう。ですから、そういう前提から輸入は思ったとおりできないのじゃないか、こういうことを心配しながら、私は聞いておるわけであります。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 七億トンという数字になりますと、現在の時点に立ってみますと、かなり多くの困難が伴うように思います。
  93. 松尾信人

    ○松尾委員 次は、三月七日の石炭対策特別委員会におきまして、石炭というものを必要最小限のものは国内でみずから確保する。その具体的な数字といたしまして五十年度に年二千万トン、それを下らざる数量、このようなお答えがあるわけであります。この将来の石炭、そのような需給一つのかぎを握っておりますのは、公害問題だと思います。また、コストの問題でもありましょう。ですから、公害問題に一応しぼりまして聞くわけでありますけれども、燃焼時の粉じん、亜硫酸ガスの問題、NOx——窒素酸化物の問題、このような公害の問題でありますけれども政府としていま言ったような公害に対してどのように対処し、いままでのところでどのようにお答えが出ておるのか、この点を聞きたいと思います。
  94. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 公害問題でございますが、先生がおっしゃられましたように、まず石炭を火力発電等に使います場合でございますが、大気汚染防止法によりまして、硫黄酸化物につきましてはいわゆるK値規制がございます。ばいじんにつきましては、いわゆる濃度規制、ノーマル立米当たりのグラム数でございます。それから粉じんにつきましては、施設の構造等の基準が設定されるようなことになっておるわけであります。  まず最初に、硫黄酸化物につきましては、現在大部分のところでやっておりますのは、煙突を高くする、いわゆる高煙突化でございます。これで、若干問題のあるようなところ、あるいはなお一そうよくしたいというようなところは、一部低硫黄の油を混焼する等の方法によってK値規制が守られておるわけでございます。それから、ばいじん関係につきましては、高性能の集じん機、これは機械式、電気式とございますが、それらを設置いたしまして現在の基準には適合するような形になっております。  ただ今後の問題といたしましては、もっと規制が強化されるというふうな問題がございます。先ほど申しましたような低硫黄の重油の混焼等では十分でないということが考えられますので、いろいろな方法で検討いたしておるわけでございます。研究的には、国の試験所あるいは大型プロジェクトによる試験等々もございますが、石炭関係で実際的に排煙脱硫をやっておりますのが、三井アルミ工業株式会社が三池工場に自家用石炭専焼火力をつくったわけでございます。そこにはアメリカのケミコ社の技術を持ってまいりまして、湿式排煙脱硫装置をつけまして、実際規模で操業をいたしておるわけでございます。実際規模の操業でございますので、現在のところ、その大牟田地区のK値よりも低い数値、硫黄分二%の相当高い硫黄分の石炭を使っておりますけれども、いい成果が得られておるわけであります。これなんかは若干長期に見なければなりませんですから、一〇〇%といえるかどうかわかりませんが、相当ないい成績を得られておるというふうな状況でございます。したがいまして、通産省といたしましても工業再配置・産炭地域振興公団から、あるいは日本開発銀行から設備資金の融資をいたしまして、積極的にこれを支援してまいった次第でございます。今後もこのような方向で、あるいは試験研究により、あるいは実際規模のものに対するいろいろな援助等々で、積極的に公害防止のほうを進めてまいりたいと思います。
  95. 松尾信人

    ○松尾委員 いま大牟田の三井アルミ排煙脱硫装置の話が出ました。これは非常に成功であったというお答えであります。そうすると、これもよければいいように各電力会社にやはり設置させていかなければなりませんですけれども、現在各電力会社の排煙脱硫の装置の状況、これはいかがですか。なお現状として相当不満足であります。であれば、三池アルミのよい例をとって指導していくべきじゃなかろうか、こう思うわけでありますが、まず普及の状態、各電力会社におけるほんとうの排煙脱硫の問題、それはどのくらい普及しているのか、今後どうしていくか、この問題についてお答え願いたい。
  96. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 先ほどもお答えしましたように、石炭火力発電所がいろいろなところにございますわけですが、それらのところにつきましては、高硫黄の石炭だけをたいておるわけではございませんで、低硫黄の石炭との混焼により、あるいは高煙突化等々で、現在は各地区のK値規制のうちで操業いたしておる。私が直接担当ではございませんので資料を持っておりませんけれども、ケミコのような排煙脱硫じゃなくて、高煙突化とそれから低硫黄石炭との混焼というようなことで実施をいたしております。  三池の場合は、三池の高硫黄の二%の硫黄のものだけを使ってやっております。高硫黄排煙脱硫装置をつけておる次第でございます。
  97. 松尾信人

    ○松尾委員 いま二回にわたって高い煙突をつくってやっているというお話ですけれども、これでは問題は拡散するだけである。そういうものを何か科学的に操作をして、そして公害が広域な地域にまき散らされないようにしていくのがほんとうの排煙脱硫である、こう思うわけですよ。ぼくはナンセンスだ、こう思うのですね。煙突をずっと何メートル幾ら、こうやっていますけれども、電力会社にわれわれ行きますと、このくらいちゃんと高くしておりますと言いますけれども、それでは何にも実害は防げない、むしろ多くの地域にまき散らすだけの結果になる。アルミの点がよければ、やはり少々金は要ろうとも、ほんとうの科学技術の処理による排煙脱硫を目ざしていくべきじゃないか、これが一点ですね。  それから、先ほど私の質問の中で、窒素酸化物の除去の技術的な問題、これは先ほど技研のほうにもお話を私聞いたわけでありますけれども、全くできていない。やがてこれは環境基準というのを設けなければいけない、このように思うのです。ですから、これは環境庁の関係もありますけれども、やはり真剣に取り組んでいかなければ相ならぬ。排煙脱硫でもそのくらいの政府の考え方でありますから、いつまでたっても電力会社に公害問題がつきまとっておる。それから、新しい現在やっていない窒素酸化物の除去の問題もいまから研究しようというような段階では、電力会社をつくろうとすればするほど地域における反対というものが猛烈に起こってきて、煙突なんかではこれは解決できないことになって、ひいてはこの石炭企業にもやはりそれがイメージダウンとなり、出炭も減って閉山につながる、このように思うのです。もう一回窒素酸化物も含めて今後の公害対策を明確に答えていただきたい。
  98. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 窒素酸化物の御質問に対しましてお答えを落としまして申しわけございませんでした。  窒素酸化物につきましては、先生先ほどお話ございましたように、環境庁を中心にして規制値を幾らにするかということを御検討されておるように聞いております。その数字によっていろいろ変わるのではなかろうかと思いますが、NOx窒素酸化物を相当大幅に減らす技術がなかなか、日本だけでございませんで、世界的にも見つからない、いろいろな検討をしている最中だというふうに思います。一つの方法といたしましたら、二段燃焼方式にする等々の方法が世界各国で検討されておるように聞いております。われわれも大いに検討しなければならない問題だというふうに存じます。
  99. 松尾信人

    ○松尾委員 非常に不満足でありますけれども、次に参りましょう。  石炭需要確保という面から、石炭専焼、もっぱら石炭をたく火力発電所、こういうようなものが政府としても取り上げられておるわけでありますけれども、なかなか需要確保ができない。一つの例でありますけれども、火力発電所、そこで地元住民と協定を結ぶ、これは公害防止の関係でありますけれども、そういうところで非常に困難な問題等がある。ですから、だんだん石炭の使用量を減らすというふうなことが起こっておるわけであります。それでこの二千万トンの需要確保、きょうは参考人から非常にたくさんの希望、絶対これは二千万トンを確保してもらわなくては困る、どのようにして確保していくのかというような意見の陳述がありまして、われわれも二千万トンはどのようにしても確保しなければ相ならない、こう思うわけであります。一応の政府の二千万トンに対する需要の計画は出ておりますけれども、この石炭需給の見通しについてと、二千万トンの点につきましても、もう少し政府のほんとうにそれを実現するという前提のもとにおけるこの二千万トンの需要確保という面の説明を承りたい。
  100. 外山弘

    ○外山政府委員 将来の需要確保ということが、今回の答申の中で最も議論の集中したところでございましたし、また事実今回の答申の中心的な柱であると思います。ただ、わが国石炭自然条件、あるいはコスト上競合エネルギーである石油、開灘炭というものに比べまして経済的な差異といったようなもの、あるいは先ほど御指摘のような公害防止に対する社会的な要請、いろいろなことを考えますと、ただこのまま放置すればなかなか二千万トンの確保がむずかしい。審議会における審議におきましても、初めは需要業界の見通しを積み上げますと、五十年度で千五百万トン程度需要見込みがあったわけでございまして、私どもといたしましても、せめてこれは二千万トンを割らないという意味で、二千万トンを下らない水準ということに非常に重要性を置いて議論もし、関係者の同意も得た、こういうふうな経緯がございます。私どもといたしましては、この五十年度二千万トンを下らない需要確保ということにやはり最大限努力を傾けるということでございますが、このような、二千万トンという数字自身がそういうふうな経緯と関係者間の慎重な検討の結果きめられたということもございまして、つまり需要業界も参加した審議会の中できまったということも含めまして、これは確保できるというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  101. 松尾信人

    ○松尾委員 これは確保できるという考え方ということよりも、確保してもらわぬと困るんですね。その意味においてこれはうんとひとつ努力を積み重ねていただきたい。  その需要確保一つの問題としまして、この石炭を専焼する火力発電所の問題が起こるわけであります。これは九電の唐津発電所でありますけれども、そのような石炭需要確保のたてまえで建設された。しかし、でき上がったときには地元の炭鉱が閉山しておった。こういうことで、結局石炭を使うわけにいかないというので、これが切りかわってしまったという実例がありますが、これもやはり片一方が需要を伸ばそうとせっかくやってみながらも、やはり基本的な閉山に伴う対策というものがはっきりしませんもので、片一方でどんどんつぶれていく。聞いてみれば、それは経済的な炭量の減少であるというようなお答えがはね返ってくるわけでありますけれども、それでは相ならぬ、こう思うわけです。ですから、今後この石炭専焼の火力発電所、そういうときに、まあ北海道のほうは何か一般炭供給は絶対間違いがないというようなことでありますけれども、九州のほうでは、片一方では石炭をもっと使いましょうと言いながらも、片一方では閉山でもう石炭はない、こういうことではどうしようもないと思うわけでありますが、今後のこのような面における考え方、安定供給の考え方はどうですか。
  102. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほども御指摘がございましたように、需要確保と申しましても、確かに新しい需要も含めて確保対策を講じていくことが一つの長期的な意味での確保策になると思います。  それから、同時にいま御指摘のそういった面で大事な産炭地火力でございますが、これは逆にまた公害の問題あるいは供給の安定の問題、そういう点から見て、いままでも問題がございましたし、今後もそれの建設を進めようといたしますと、そういう点についての確保策ということが常に問題になるわけでございます。しかしいま御指摘のように、長期的に見まして、産炭地火力というのはできるだけこれを合理的な範囲で進めていきたい、それによりましてやはり需要確保ということに対する重要な部分を形成してまいりたい、こう考えて、私どもとしては、今後できる限りこれの促進方につとめてまいりたい、こう考えている次第であります。
  103. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣に聞くわけでありますけれども、いまのお話のとおりに、石炭専焼の火力発電所が必要である、大いに推進していきたいというお答えであります。具体的になりますと、このような石炭専焼の火力発電所、これを北海道と九州に設けたいというような政府の考えがあるかと聞いておりますけれども、これは推進していただきたい。このように思うものですが、いかがでしょうか。
  104. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この点は、第五次答申でも触れているところでありまして、政府も推進してまいるつもりでございます。
  105. 松尾信人

    ○松尾委員 長崎県におきましてもいま三つの炭鉱、もう閉山後三つの炭鉱になりまして、それぞれが苦労しておるわけでございます。そういう意味におきまして、ここ毎年県自体が需要家のほうへ参りまして、その需要確保に一生懸命努力しております。でありますから、その大きな一つの課題としまして、石炭専焼火力発電所というものを設置していただきたい、長崎のほうに誘致したい、このような希望がございます。これはいろいろ問題点もありますけれども、一応、石炭対策からは必要であると思うのでありますけれども、なお、場所をどこにきめなさい、こういうことはいまから先のことでありましょうから、ひとつ頭の中にそれを入れて、九州に石炭の専焼火力発電所をつくるときには、やはり現在の山のあらゆる状態を勘案して、そうして一生懸命になってそういうところに努力しておるその県の心も十分くんでもらいたい、このことをここで私は申し上げておきますけれども、お考えはいかがでしょうか。
  106. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 関係者の御苦労もよく察知いたしまして、なるたけ早い機会石炭火力を推進していくようにいたしたいと思います。
  107. 松尾信人

    ○松尾委員 その場合に、やはり何といいましても電力会社といたしましては、その安定供給ができるかどうかという問題が一つ。唐津の例ですね。そういうことでは困る。それからやはり石油との発電コストの問題がございます。石油、これは単価も私のほうではわかっておりますけれども、何といっても値段が高い。今後ともに石油も高くなっていきますけれども石炭も高くなっていく。この格差は減りそうもないのでありますけれども、そういう面における国の一つ助成策、それからやはり何といっても火力発電所における公害技術を完備して、地域住民に与える公害の影響というものをなくしていくという方向が大事だと思いますけれども、大臣いかがですか。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石炭火力を推進する上の問題は、やはりサイト、地点を選択することと、それに相伴うて公害を除去するということが二つの大きな命題になっておるわけであります。
  109. 松尾信人

    ○松尾委員 でありますので、大いに考えてしっかりやっていきたい、こういうことになるわけでしょう。  それからまた、これは話が変わりますけれども、通歴省のほうでは、工場適地の調査をやっておるわけであります。それで、事業団が三十八年度より土地の造成をしておる、工場誘致に取り組んでおるわけでありますけれども、この四十六年末八十二の団地が造成されておる。これは事実かどうか。その中で三十二の団地が、企業誘致ができないでそのままになっておる。これが事実かどうか。そうしますと、通産省としてはもっと工場誘致という問題を積極的に取り上げてやっていくべきじゃないか、こう思うのでありますけれども、あわせていかがですか。
  110. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 四十六年末で、できました工場団地は八十六でございますが、大部分のところは企業が、あるいは四十六年末にはそうでございませんでしたかもしれませんが、現在では進出をいたしております。進出してないのが先生おっしゃられた三十二、そんなことはなくて、正確な数字がございませんでまことに申しわけございませんが、もっと工場は進出していると私は思います。  工場誘致につきましては、まず先生おっしゃいましたように、団地をつくりまして、その団地に工場誘致をすべくいろいろやっておるわけでございますが、まず低利の融資をいたしまして、あるいは特定の場合には出資をいたすということで、企業誘致につとめておるわけでございます。それから工場の機械等の貸与というふうな制度もいたしておりまして、それらを合わせまして工場誘致の促進をはかっておるような次第でございます。そのほかに商工会議所等を通じまして、企業誘致のPRと申しますか、そういうこともいたしまして、積極的に工場誘致につとめてまいりたいと思っております。過去にもそのようにいたしたわけでございますが、今後もより強力にそのような方向で努力してまいりたいと思います。
  111. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほどの参考人のお話では、そのようにして企業誘致に政府もつとめてくれておる、しかし何といっても中小企業中心でございまして、閉山炭鉱に見合うそういう企業がなかなか現実には誘致できない。でありますから、やはり労務者は他に行くし、地域というものがだんだん弱まっていく。何とかして政府に、せっかくのことでありますから、閉山に見合うそういうものをがっちりつくってもらいたいということであります。また、思い切った施策というものは、工業再配置のときにも、そのような過疎というものをなくしていこう、また産炭地のためにも特にうんと力を入れていこうというお話でありますけれども、今後の企業誘致の方向、こういうものをひとつはっきり聞いておきたい。
  112. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 先ほど企業誘致のことで若干落としましたが、先ほど参考人のお話の中にもあったと思いますが、団地だけではなかなか——問題は工業用水道の確保が大事でございますので、そのような場合、水道を建設いたします場合には高率の補助をいたしております。それから税制面でございますが、固定資産税とかあるいは不動産取得税、事業税等地方税の減免もいたしております。それから特別償却等の税制上の優遇措置等もやりまして、産炭地への企業の誘致をはかっておるわけでございます。  いま御質問がありましたように、どういたしましても産炭地に企業を誘致いたします場合に、過去におきましては小型のものあるいは女子雇用型と申しますか、比較的小さい企業が最初には来たわけでございます。私たちといたしましては、いわゆる大きな中核企業を誘致したいのでございますけれども、選択しておりますとおくれるというようなこともございまして、最初にはあまり規模の大きくない企業が来たのは事実でございますが、今後は極力野子雇用型の中核企業の誘致につとめてまいりたいというふうに思っております。現在でも鉄の関係とかあるいは造船所というふうな企業もぼつぼつ出てまいりました。今後とも中核企業の誘致につとめてまいりたいと考えております。
  113. 松尾信人

    ○松尾委員 今回の事業団の問題でありますけれども、どうも政府審議会、それから管理委員会事業団、これの関連、政府はどんなことをやる、審議会はどのようなことをやる。それから管理委員会というものは、先ほどのお話のとおりに指導助言、そういう関係管理委員会というものをしっかり強化していく必要があろうというのが大体の参考人意見でもありました。でありますから、やはりそういうものは次に聞くといたしましても、政府それから審議会管理委員会、専業団、これのおのおのの権限といいますか、仕事の内容、そういうところを御説明願いたい。
  114. 外山弘

    ○外山政府委員 石炭政策そのものの企画、立案及びそれらに基づく施策の実施の基本、これが政府の仕事でございますし、その政府がそういう仕事を進めるにあたりまして、石炭鉱業審議会意見を聞くということでございます。それらを具体的に実施する段階が事業団の仕事になるわけでございまして、これは従来と変わりまして、一そう、今度の答申にあたりましては、補助事業助成事業政府からむしろ事業団に移管するというふうな強化をしておりますが、もう一つ組織上の強化をしているわけでございます。それが管理委員会でございまして、つまり、具体的に実施する段階におきまして、石炭鉱業の実情に最も合致した形で助成の運営が行なわれることが必要である、そういう認識に立ちまして、管理委員会にそうした面での重要な役割りを期待する、こういうかっこうになるかと思います。
  115. 松尾信人

    ○松尾委員 現場の実情を今後よく掌握して指導助言をしていくのが管理委員会。そうしますと、この管理委員会権限の問題でありますけれども、これは法的にはいま与えられていない、しかし、通産省の考え方、そういうものによって相当これは政策に近い部門まで取り上げていけるのではないか、そのようにしてもらいたいというような意向がありましたね。でありますから、やはり、行き詰まってくる炭鉱、その炭鉱につきまして早期に手を打っていこう、このような手がいいというようないろいろな対策を立てていく、その打開策を立てていく、そしてそれを、審議会というのはまた限られた一つの機関でありまして、常時発動しておりません、でありますから、常時動くこの管理委員会というものをもう少し政府政策立案の手足として、常時炭鉱の実情を知らせてもらい、そして常時炭鉱の再建打開策というものを知らせてもらい、そういうものを政府が常に反映していくという、つながった一体となった運営が要望されていると思うのです。そういう面における政府の今後の考え方、管理委員会というものをほんとうに政策実現の自分の手足として使っていくのかどうか、ある程度の行政事務の移管等でそれで終わりとするのかどうか、いかがですか。
  116. 外山弘

    ○外山政府委員 私どもといたしましては、事業団が現実の業務を運営する、つまり政策実施を担当するにあたりまして、今回の答申の趣旨にもございましたように、事業団の一組織でございます管理委員会が、これの関係の適切な助言指導を行なうということを期待しているわけでございます。つまり、いま御指摘のような具体的な問題についても、賢明な助言指導がある、これを期待するわけでございますが、同時に、事実上の問題として、その前段階として、いろいろな広範な政策面における御意見といったものも、当然具体的な事例に基づいた上でのいろいろな御意見があり得ると思います。それは事実上の問題として私どもも十分参考にする場合があるかと思います。
  117. 松尾信人

    ○松尾委員 要するに、閉山というものをお互いになくしていこう、そのためには、一番炭鉱の実情を知る事業団、なお管理委員会、これを政府が自分の手足のように使っていく、そしてそこに早く手を打っていくという政策上の立場からも、また臨機、緊急的な救済の面においても、時期を失しないことが一番大事であろう、このように思います。でありますから、その点をうまく結び合わせて、政府とそういう機関との一元的な運営、これをしっかりやっていただきたいと思うのであります。  最後に、これは大臣に聞くわけであります。先ほど技研の所長も話しておりましたが、この技研予算年間四億円、その内訳は大事八社から二億五千万から三億のお金をもらっておる、政府年間一億から一億二千万ぐらいである、このようなお話であります。そのようなあり方というものは反管すべきではないかということが一点。特にまた、石炭ガス化が非常に重大な問題となっておりまするし、これは国が一つの公審防除の基本的な対策として真剣に取り組んでいかなければならぬのじゃないか。これはうんと助成して思い切った金を使っていかなければ相ならぬと思います。それから窒素酸化物の公害除去の問題におきましても、いまやっと始めていこうという段階であります。こういう問題をきちっと、基本的に解決いたしませんと、二千万トンの確保だとかなんとか言いましても、くずれていくのは、こういう面からくずれていくんじゃないか、このように思いますが、一応技研予算の問題から、また技研のいまから先やっていかなくちゃいけない新しい技術開発の面からも、大臣はこのようなことをどのようにいま考えていらっしゃるか、どのようにしていこうという考えであるか、これを聞いておきたいと思います。
  118. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公害の防除関係技術開発は、当面非常に重要なポイントでございまして、通産省としても、いままでかなり力を入れてきているところでございますが、しかし、御指摘のとおりまだまだ不十分な点がございまして、今後とも、この開発関係研究を促進するために大いに力を入れたいと思います。
  119. 松尾信人

    ○松尾委員 力を入れられるのは当然でありますけれども、なおなお、このガス化の問題、これは大きな国家的な事業でございます。特に燃料を担当する大臣、いまから新たにエネルギー白書を出そうとする大臣におかれましては、これははっきりとまとめておいて、日本の国策をリードしていかなくちゃいけない立場であります。そういう立場から、これには思い切った、国の施策として、予算等をうんと入れなくては相ならぬ、こう思うわけです。そういう前提のもとに、だれにこれをやらしていくかといえば、やはり技研その他でしっかりやっていくことが一つの方法であろう。そうしますと、現在の四億とかなんとかいうような、おまけに民間資金がその中に大部分を占めておるというような状態では、これは政府の公害防除の真剣な取り組み方、石炭というものを二千万トンどうしても確保するんだというような考え方が、いかにも貧弱である。そういうところから、現実には石炭鉱業というものが閉山に追い込まれていく方向に向いていくのであろう。このように思いますから、もう一問、その点はっきりと言うてもらいたい。特にガス化の問題等、重大な問題でございます。
  120. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ガス化の問題は、私が聞きましたところでは、炭層の構造等からしまして、アメリカ等の場合に比べて、日本の場合には非常に問題点が多いということを聞いております。しかしながら、やはり公害防除という大きな使命を考えてみますと、ガス化の問題も不問にしておくことは適当でないと思いますから、この問題についても、先進国の研究の動向等も勘案しながら、わが国においても推進していきたいと思います。
  121. 松尾信人

    ○松尾委員 以上で終わります。
  122. 田代文久

  123. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がおそくなりましたので、かいつまんで、なるたけ短い時間で解決するようにいたして、二、三お尋ねしたいと思います。  まず、これは大臣にお尋ねするのでありますが、今回の石炭鉱業合理化臨時措置法の改正案の問題点は、合理化基本計画の目標年度の変更、すなわち、現行の昭和四十八年度から昭和五十一年度に改めたことであります。この変更の意味するものは、単に三カ年間の延長だということでなくて、昨年六月のこの石炭審議会答申にあります、石炭をめぐって提起されている困難な諸問題は、今日すでに構造的かつ本質的に長期的な性質を帯びるに至っている、この際必要なことは、石炭対策もある程度長期にわたってこれを推進するという政策態度であろう、すなわち、昭和五十二年度以降、すなわち変更年度以降についても、所要の石炭対策が引き続き策定、推進されることが妥当と考える、こういう答申が出ておりますので、この答申に基づいて今回の改正がなされるものであるように考えております。よって、基本計画に基づく石炭対策は五十二年度以降も延長が妥当である、こういうことの認識の上に立って第三条は改正されるものである、それで、時期が来たらまた延長される、こういうことに理解していいのじゃなかろうか、こう思うのでございますが、大臣、基本的な問題でありますので、これに対するお答えをひとつ願いたいと思うのであります。
  124. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その後も引き続いて石炭対策を講ずる必要があるという意味は、やはり第五次答申答申した精神というものが基本的にあると思います。私らは、引き続いて何らかの石炭対策を計画的に講じていく必要がある、そう考えております。
  125. 稲富稜人

    ○稲富委員 石炭対策の策定にあたって一番の問題点は、総合エネルギー政策の中でわが国の国内石炭をいかに位置づけるか、ここに問題があると私は思うのであります。現在、世界的に見て、特にわが国においてもエネルギー資源石炭から石油に完全に移行しております。次の資源としては原子力、その次の主要な資源としては太陽熱の大規模利用である、こういうようなことが予想されておるということを私たちは聞き及んでおります。こういうような石炭石油、原子力、太陽熱という、このエネルギー資源の系列の中心であります石油資源を申し上げますと、いまや石油は世界的に不足とかあるいは石油危機が問題となっております。ところが、私たちがいろいろ聞くところによりますと、世界の石油資源というものは、まだ潜在的にはかなり豊富にあるのじゃないかという説もあります。すなわち、共産圏を除く世界の採取できる石油埋蔵量というものは約五千億トンであって、いまの消費増加率を見ていても、二十年以上の可採量が確実にある、こういうことを私たちは聞いております。こういう点から私たちが見ますと、今日の石油の、いわゆるエネルギー危機というものは、こういうような資源が枯渇しているという危機ではなくして、当面、世界市場において供給の不安定要因が非常にあるのじゃないか、こういうことがうかがわれ、こういう点から実に石油危機だということが言われていると思うのでございますが、こういうようなことに対して大臣はどうお考えになっておるか、この点に対する目測といいますか、考え方を承りたいと思うのであります。
  126. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 埋蔵あるいは可採量というものについては非常に技術的な要素も多く、いまここで断言するわけにはまいりませんが、最近の問題点は、消費量が非常に急増してきた、そして消費する国が、偏した先進工業国の数カ国に集中している、そういうことが、この問題点をかなり先鋭化してきたのではないか、そう思います。
  127. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点は私もそう考えるので、御承知のとおり、アメリカのごときも、アメリカエネルギー危機の問題というのは、米国では消費が予想以上に伸びておるということでございます。これに供給が追いつけなかったというので、この石油危機アメリカを襲うてきておる。すなわち石油政策に対する計画性が不足しておった、こういうことが言われておるのでございます。実はアメリカにおきましても、そういう点から、アメリカ政府石油政策の手直しをねらって、エネルギー源に対する教書も、二月か三月ごろに発表するんだと言いながらも、今日まだ発表していないようでございます。これはやはりその影響力というものは非常に大きいということをアメリカでも察知しておるから、なかなか簡単にこれを発表できないようなことになっているんじゃないか、こういうようにわれわれは考えるわけでございますが、こういうような米国の動向、また将来アメリカの原油の輸入先が、中近東、アフリカ、東南アジア、こういうような点で、日本や西欧と競合するということも考えられると思うのであります。こういうことになった場合、わが国の輸入量と輸入価格というもの、双方に大きな影響を来たすであろうということが思われるわけでございますので、こういうことに対する見通しというものをもうそろそろ立てておかなければいけないと思いますが、これに対する見通しというものはどういうように国としては立てておられるか、この点承りたいと思います。
  128. 外山弘

    ○外山政府委員 アメリカ石油輸入量の見通しにつきましては、昨年末、全米石油審議会というのが発表しておりまして、明確な見通しとしてはなかなかむずかしいようでございますが、傾向としては、当然のことながら輸入依存度が大幅にふえる。それからもう一つは、中近東等で当然それを求めていかなければならないと予想されているわけであります。わが国は現在、御承知のように必要原油量の八割以上を中近東に依存しております。したがいまして、アメリカと競合することになるわけでございますが、私どもとしましては、今後とも供給者あるいは供給地域といったものの分散化が必要だと思っております。また、産油国それからメージャーズあるいは消費国等との国際的な協力のもとに開発を進めることも非常に大事だと思っております。これらによりまして、多元的なソースから多様な方法で量的な確保を何とか可能にしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  なお、ただいま御指摘のように、石油の価格につきましては、そういった石油需給逼迫化傾向、それからもう一つは産油国の台頭、その二つの要素から見ましても、すでに御承知のようないろいろな協定が出ておりまして、値上がり傾向が示されておりますが、今後ともこの傾向は続くのではないかというふうに考える次第でございます。
  129. 稲富稜人

    ○稲富委員 そこで大臣、ひとつここに大臣の幅の広いところで将来考えていただきたいと思うのですけれども、これほど世界じゅうでエネルギー資源が問題になっております。起こってくるものはエネルギー資源の配分というのが国際的な問題として将来起こってくると思うのであります。そうすると、国際的な一つの配分機構というものが当然できて、ここが基本的な配分計画をやるというような、国際的なそういう機関というものが将来当然要求されるようなことになるのではないかと思うのでございますが、こういうことに対してはどうお考えであるか、承りたい。
  130. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 世界の石油需給につきましては、一九八〇年から八五年ごろを見通した場合は、物理的なマクロバランス面で供給が不足するとは考えられておりません。しかし、世界の石油情勢は、少数の特定国、サウジアラビア、イラン等の増産いかんが世界の石油需給に大きな影響を及ぼすということ、大幅な増産を可能にするためには巨額の探鉱開発投資資金が必要であること、アメリカ石油輸入量を増大させ、わが国や西欧諸国が主として依存している中東の石油市場に新たに参入してくること、等の需給面における不安定要因が存在をしております。したがって、このような不安定要因の影響を極力少なくし、世界の石油供給の円滑さを確保することは重要でありまして、わが国としても大消費国としての立場をよく認識し、今後引き続いて産業経済の一そうの省エネルギー化につとめるとともに、石油の国際的安定需給をはかるため、産油国、メージャーズ、消費国等の幅広い国際的協調を強化していく必要があると思います。しかし、国際管理機構をすぐつくるということは、非常にまだ問題点も多うございまして、当面現実性はないと思いますけれども、将来の課題として、関係国の協調のうちにそういう方向に進めていくことが適当ではないかと考えます。
  131. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、そういうような時代に到達するまでに、いろいろ御承知の問題があるわけなのであります。それで、そういう点から、要するに現在の石油時代というものをどう切り抜けていくかということに、また非常に大きな問題があると思うのでございますが、その次に来るものは、さっき言ったように原子エネルギーというものである。原子エネルギー開発はすでにある程度までその緒についているということを聞くのでございますが、これに対する状態はどういう事情に置かれておるのか、この機会に承りたいと思います。
  132. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子エネルギーの問題は、当面はいわゆる高速増殖炉の開発にかかってきておりまして、その次の大きな到達目標が核融合にあるということは御承知のとおりでございます。高速増殖炉の将来性及び開発可能性につきましては、相当程度各国の努力が成功しておりまして、日本におきましても、大洗の原子力研究所の工学センターにおいて、いまもうすでに実験炉は完成されようとしております。これが完成しましたら、次に原型炉、原型炉ができて、今度は実証炉をつくる、そういう段階に進むということで、わが国も西欧諸国と肩を並べて、いまほとんど同列くらいに進んでおります。しかし日本の場合、問題はやはり燃料資源の獲得にございます。当面の問題としてはやはり濃縮ウランの獲得。濃縮ウランの製造ということが、アメリカにおいて自分の国の需給調整するにはいいけれども、外国にまで供給するという点が、十年後くらいには可能性が少なくなってくる状態であります。そういう点で、国際協力によってそういう濃縮ウランを供給する機構を創設するという問題もここに出てきております。これが高速増殖炉の前に出てくる当面の課題、それを解決して、現在の濃縮ウラン系統のBあるいはP系統の発電炉を増強しながら次の高速増殖炉に到達していく、そういう段階で日本も進んでいるし、外国も進んでいるというのが現実の問題でございます。しかし長期計画を考えてみましても、六十年に大体六千万キロワットくらいを日本の原子力発電は望んでおるわけでございまして、そのときにおけるエネルギー総量に対する原子力発電の貢献度というものを見ますと、たしか、私の記憶ではそれほどたいした比率ではない。そういう点からすると、原子力に過大の期待をいま持つことはまだ危険である、そういうように思っております。
  133. 稲富稜人

    ○稲富委員 非常に質問が飛躍しまして、原子力エネルギーまでいったのでありますが、要するにいま大臣結論として申されたように、われわれは非常に期待はしておるけれども、やはり現時点においては石油、これもなかなか国際的な状態でいかない、そうすると、やはり石炭に対して当分の間われわれは全力を尽くしていかなければならない、こういうことに結論として当然到達をするわけであります。そういう点から、今後の石炭対策に対しては、政府はぜひそういう方向でやっていただきたいということを特にこの際申し上げるわけでありますが、時間がありませんので次に入ります。  そう大きな問題ではありませんが、今回政府は通産省設置法の改正案を提案されております。資源エネルギー庁の新設を提案されているのでございますが、この際、国内のエネルギー源をいかにして確保するかということに対して、この機会にひとつ詳細に承っておきたいと思うのでございます。
  134. 外山弘

    ○外山政府委員 現在の鉱山石炭局の所管範囲でも、かなりの国内資源を担当しているわけでございます。非鉄金属資源あるいは石油につきましても、国内資源がまだあるわけでございますし、安定供給源としてこれらの開発にいろいろな助成措置を講ずるということを従来からやっているわけでございます。特に非鉄のような問題は、状況変化の中でいろいろ問題はございますけれども、一定量の確保ということに努力をしているところでございます。  おそらく先生の御質問は、もっと広範な、総合的なエネルギー資源というものを考えられないのか、こういうことだろうと思います。たとえば石炭ガス化にしても、それが新しいエネルギーとして飛躍的な期待がされる技術的な基礎があるんではないか、あるいは一説によりますと、地質学者の推定では、地熱にかなり大きな量が期待できるというような話もございます。それからウランの問題にしましても、ウラン鉱石の面だけ私どもは所管しているわけでございますが、これとても将来の問題があるわけでございます。今後資源エネルギー庁が、いま想定されております範囲では、そういった資源について非鉄金属を含めましてエネルギー資源を全部所管いたしまして、そして総合的な対策を講じていく。特に需給対策を総合的にすること、同時にまた確保策についてもいろいろ総合的な知恵をしぼっていく、こういうことが期待されるわけでございますが、私のいまの知識よりもまだもっと大きな面でいろいろな総合性がとられるだろうというふうに期待しているわけでございます。
  135. 稲富稜人

    ○稲富委員 私がこれをお尋ねいたしますゆえんのものは、せっかく今回設置法を改正して資源エネルギー庁をつくられるのだから、よほど豊富な計画とまたその期待がある、かように私たちは想定いたしますので、その点からお尋ねをしたわけでございますので、いま局長の話がありましたように、もっと総合的なエネルギー対策というものを打ち立てていただきたいということを、私は特にこの際強く要望をしておきたいと思うのであります。  最後になりますが、お尋ねしたいことは、今回事業団の運営の中に管理委員会設置されております。きょう参考人を呼びましたときの話でも、この管理委員会設置に対しましてはいろいろ期待もあるようでございますが、ただ私たちがここで申し上げることは、この管理委員会任務というものが非常に大きいということであります。非常に大きいのでございますから、これに対してはよほど運営をよくやらなければ、また逆な結果もあるということになる。  それで、管理委員会設置する理由等はいろいろもうわかっておりますので繰り返しません。ただ問題は、これは先刻参考人に聞いたときに、大臣もそこで聞いていらっしゃいましたけれども、いかなる人選をするかということによって、この管理委員会の運営というものに非常に大きな影響をすると思うのであります。そういう意味から、委員会委員の人選に対してどういうことを想定していらっしゃるか、この点をひとつ承りたいと思うのであります。
  136. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 超党派の合意によりまして、管理委員会というものが事業団設置されまして、この管理委員会に期待されるところは非常に重要でございます。したがいまして、この人選というものは管理委員会の運命を支配するようなことであり、管理委員会が今後日本の石炭政策実施について非常に大きな仕事をしなければならぬという点からしますと、非常に大事な人事であると思います。そういう認識に立ちまして、公正な、そしてまた日本のエネルギー政策に熱意を持っておる適当な人材を簡抜して、ぜひなっていただきたいと思います。
  137. 稲富稜人

    ○稲富委員 その人選を誤ることによってせっかくの管理委員会がその目的を達せられないことがないように、ひとつ十分に配慮をしてやっていただきたいということを、私、この際特に強く要望をしたいと思うのであります。  さらに、この事業団の運営の問題でございますが、業務の中の福利厚生施設をやることになっておって、これに対して融資をすることになっているのでございますが、この貸し付け額というものはどういうことを想定していらっしゃるか。さらにまた融資条件等はどういうことを考えていらっしゃるか。これについて承りたいと思うわけであります。
  138. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 福利厚生施設に対します貸し付け額は、一応四十八年度八億円程度を予定いたしております。これは、福利厚生施設も重要でございますので、現在、同じ合理化事業団でありますが、近代化資金の中の住宅資金融資ということでやっておりますが、四十七年度は約四億円でございますので、本年度四十八年度は四十七毎度の大体倍ぐらいを予定いたしております。  それから条件でございますが、近代化資金と同じようにいたしたいと思いまして、設備にかかる近代化資金と同じような形で無利子にいたしたいと思います。それから期間は据え置き期間を含めまして八年間の償還、融資率は原則として七〇%程度ということで、大体生産設備と同じようにいたしたいと思っております。
  139. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらに経営改善資金の融資の問題でございますが、これには、経営改善資金の融資については「事業経営を改善するために特に必要と認められる場合に限り、行なう」とされております。この融資基準ワクはどういうことを考えていらっしゃるか、これを承りたいと思います。
  140. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 融資基準につきましては、業務方法書で定めることにいたしておりますけれども、融資をいたしますのは、いま検討いたしておりますのは、一時的に不況等で引き取りが少ない、したがって貯炭がふえたというふうな場合とか、あるいは先年ございました海員スト等で需給が狂っておるというふうな場合、あるいは天候のほうで申しますと、自然条件が悪くなって一時的に出炭が悪くなったというふうな場合、それから、こういうことがあっては困りますけれども、大きな災害等があって資金が不足したというふうな場合でございます。それからまた、若干経常的でございますが、賞与を払わなきゃならない月でその調達がなかなか困難だというふうな場合にも出せるような形にいたしたいと思っております。  それから条件でございますが、一応経営改善資金のほうはコスト的メリットというよりも資金調達のメリットをねらっておりますので、有利子にいたしたいと思っておりますが、これもまた市中銀行の金融事情等とも関連いたしますけれども、一応六分五厘ぐらいを考えております。  それから融資の期間でございますが、これもあまり固定化しまして回らないと意味がございませんので、一応私たちは六カ月ぐらいというふうに考えております。
  141. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは、きょう参考人から話を聞きましたときも、融資期間というのがどうも短いようにわれわれ聞いておるのだがというふうに参考人も言っておったのでありますが、せっかく融資をされても、今日、炭鉱のいわゆる石炭危機経営の上において、六カ月ぐらいの融資ではたして回収できるかという問題、これでは仏つくって魂入れずということになるのじゃないかと思うのです。やはり融資する以上は、それが十分活用できるような融資が親切というものだと私は思うのです。それからこれに対して融資をしても、事業面に対してまでお役所式の干渉をあまりやられたのでは、これはよくあるんですが、役所から金を出すとこまかいところまで干渉される。その点もその特異性というものを生かしたような運営ができるような、こういう親切な融資が必要ではないか。特に六カ月なんというような融資で、現在の石炭生産の状態からいってそんな短期間に、はたして回収ができるかと私は思うのですがね。この点どうでございますか。
  142. 佐伯博蔵

    ○佐伯政府委員 運転資金はもともと市中銀行から現在でも炭鉱はお借りになっておられる。今後もお借りになると思います。これは、それの補完的と申しますか、答申にもございましたように、特殊な場合にお貸しする制度というようなことで、ある程度の制限と申したらことばがよろしゅうございませんけれども、先ほど申しましたようなときにお貸しするというふうにいたしたいと思います。それから期間につきましても、まだ現在われわれ事務当局で検討しておる最中でございまして、法律を通していただいた後に早急に詰めていきたいと思っておりますけれども、あまり長くて資金が回転しないと意味がございませんので、現在のところでは六カ月程度と考えております。なお十分検討いたしたいと思います。
  143. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは大臣、聞かれたように、やはりせっかく貸す以上は、生きてそれは活用されなければならない。こういう点を十分考えて、事務的での解釈ではなくて、やはり石炭産業をどう伸ばすか、どう維持するか、ここに基本的な考え方を持って融資というものは考えなければいけないと思いますので、この点ひとつ大臣としても、十分この問題は責任を持って検討していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  144. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 よく検討してみます。
  145. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは時間がありませんので、私の質問はこれで終わります。
  146. 田代文久

    田代委員長 次回は来たる十二日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十一分散会