○
道下参考人 御紹介をいただきました全
炭鉱の
委員長の
道下でございます。
石炭問題につきましては、いろいろと御苦労をおかけいたしておりまして、感謝申し上げたいと思います。新しく始まります
石炭対策の問題で
意見を述べよ、こういうことでございますので、過去の
体制委員会の中でいろいろ論じてまいりました論議の過程を振り返りながら、私の
意見なりあるいは御
要請を申し上げたい、このように思っております。
御承知のとおりに、
石炭対策、これのいわゆる
答申が出ましたのは、
昭和三十七年であったというふうに私は考えております。いわゆる三十七年度を出発点にいたしまして、
昭和四十四年度の第四次まで、四回いままで
石炭に対するいろいろな
対策を講じてもらって、現在まで推移をいたしました。
過去のおもな
対策をいま振り返ってみますと、
昭和四十二年度でございますけれ
ども、第三次
答申だったと思います。このとき、大体大きな柱としては、一千億の肩がわりを
お願いを申し上げました。あわせてまた、四十四年度の第四次
政策、これについては、いわゆる第二次肩がわり八百五十億、それから特閉制度、いわゆる特別閉山
交付金制度、こういうものの創設あるいはまた安定補給金の
拡充、こういうようなもの、いろいろな、年を経るごとに手厚い
一つの
保護対策が持たれてまいりましたけれ
ども、結果的にはまた手直しをする、言うなれば二年ごと、大体
石炭の
対策というものがいろいろいままで御迷惑をかけてまいりました。いわゆる新しい
対策が四十八年度から発足をいたしますが、この時点で私
どもの、いま
石炭産業の足元を見ますと、ちょうど十年を経過したわけでございます。当時、三十七年でございますけれ
ども、この当時のいわゆる
炭鉱数というのは、私は四百十八鉱あったと思います。それから、
年間の出炭トン数では大体五千三百万トン
程度が出炭をされておった。
炭鉱の労務者数では、十八万
程度のいわゆる従業員がおったと私は思います。それが、ちょうどいま十年を経過いたしまして、四百幾らの
炭鉱がございましたのが、現在は、先ほ
ども参考人が
意見を述べておりましたけれ
ども、
全国で五十鉱でございます。出炭にして約二千四百五十万トン、労働者の数約三万人若干でございます。このように十
年間の間にほんとうになだれ的な現象で陥没をいたしました。
もちろん、このように落ち込んでまいりましたいわゆる原因というものには、私は、
政策の不備ばかりでない問題があったと思います。正直に申し上げて、
経営者の
経営努力の不足あるいはまた労働組合の、われわれの
企業努力の不足、こういうものが私はあったと思います。しかしながら、やはりほんとうの意味の原因というものは、どうしても、いわゆる
石炭を取り巻く情勢に、それを先取りするような
政策がなかったのではないか。それとあわせて、具体的ないわゆる打っていく
政策、
対策というものが、どうしてもそういう考えであと追いになっていった、こういうものが、今日、大きく
石炭産業が落ち込んでまいりました原因ではないか、このように私なりに実は判断をいたしておるわけでございます。
いずれにいたしましても、そういうように転落を続けてまいりました
石炭産業に対して、われわれもほんとうにこれより以上の
石炭産業の陥没は困る、何とかしてどこかで歯どめをしてもらいたい、こういう気持ちで、実は正直なところ、今年度から始まりますところの新
対策につきましては、私も
体制委員会の
審議のメンバーとして参加をいたしましていろいろと
意見を申し上げたわけでございます。
いわゆる
体制委員会の中で論議されましたおもな要点等について、われわれは振り返ってみたいわけでございますけれ
ども、どこで
石炭産業の陥没にいわゆる歯どめをするかという、まず位置づけの問題が大きな論議の内容でございました。
あわせてまた、その次には、そういう位置づけの上に立って、たとえばその位置づけの内容のものをどのようにして
維持していくかという
助成対策の問題、こういうものが第二点の大きな問題だったと私は思います。
それから第三点目の問題は、その
助成をどのようにして
効果をあげるようないわゆる
対策にしていくか、言うなれば体制の論議であったと私は考えておるわけでございます。
そういう点を考えてみまして、いろいろ論議をいたしまして、ようやく昨年の六月でございますけれ
ども、五次
答申としてほんとうの意味の日の目を実は見たわけでございます。
そこで私は、
体制委員会の中で論議をし、かつまた、そういうものが新しく
石炭の
対策の
予算として、あるいはまた
法律案として、成案として、本日以降皆さん方に、実はわれわれの
意見を聞いていただいて、御
審議を願うわけでございますけれ
ども、私は、いま全体的ないわゆる五次
答申、こういうものの評価をいたしたいと思いますが、従来のいわゆる四次まで打ち出してまいりました
政策から振り返って考えてみて、新しい
政策等が打ち出されておることにつきましては、私は評価をしたい、率直にそのように実は考えておるわけでございます。
まず、そのような実際の評価ということを別にして、全体的な評価は別ですけれ
ども、おもな、
体制委員会の中で論議をされましたいわゆる位置づけの問題、あるいは具体的な
助成策の問題、あるいはまた体制論議の問題、こういうものについて、私の
意見を二、三点申し上げてみたいというように考えております。
まず第一点の位置づけの問題でございます。
これは昨年の三月三十一日の
総会でございますけれ
ども、この時点で、これは
石炭を掘るわれわれの
立場、それからまた掘った炭を使う者の
立場、いろいろと利害が相反しましたので、非常に論議がむずかしい問題でございました。結果的には、
昭和五十年度で二千万トンを下らない、こういう線で一応決議をされたわけでございます。少なくとも私
どもの
立場からまいりますと、これ以上の閉山は困る。したがって、少なくとも二千四百万トンから二千五百万トン、この
程度で何とか歯どめをしてもらいたい、こういうのが私
どもの正直な気持ちでございました。しかしこれは、われわれの主張は主張として、結果的には通らなかったわけでございますが、少なくとも私は、決議をされました
昭和五十年度における二千万トン、この出炭については何としても
確保できるようないわゆる補強
対策、こういうものをぜひやってもらいたい、このように実は考えております。
しかし、現実の問題として、いま
昭和五十年度ではたして二千万トンの炭が
確保できるんだろうか、こういうような素朴な疑問を私は持っております。と申し上げますのが、今年度、四十八年度の出炭予定は大体二千四百五十万トンであったというように私は考えます。
昭和五十年までにはあと二年ございます。大体、いままでの閉山の実績からまいりますと、本年度閉山
規模予定としては大体三百万トンが予定をされておるようであります。いわゆる
昭和四十八年度で三百万トンを閉山いたしますと、二千万トンを若干上回る
程度で四十九年度が発足する、こういうような
状況判断ができます。しかし、いままでの閉山の実績で、たとえば予定をされましたその閉山
規模で閉山をしたという実績はほとんどないと私は思います。いつの場合も一応上回っておるのではないか、こういう心配が実はあるわけです。そういう意味で、私
ども素朴な気持ちとして、はたしてああいう決議をやったけれ
ども、ほんとうに
昭和五十年度で二千万トンが確実に
確保できるのか、こういう心配が実はあるということを申し上げましたが、この点については、後ほど一点の問題として御
要請を申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。
次に、具体的な
助成対策の問題につきましては、これは特に従来ありました
助成の大きな柱でありました安定補給金の問題についての増額を主張いたしましたが、結果的にはこれは格差配分という問題で、二千万トンに追っついた時点で検討しよう、こういう結論になって、残念でございますけれ
ども、現行の安定補給金について増額という線は出ることができませんでした。しかしながら、そのほかのたとえば掘進の
助成金あるいは
保安の補助金、こういうもの等につきましては、従来のいわゆる補助制度よりも相当伸びてまいりましたので、この点については私は率直に
助成額の増加ということで評価をしたいと思います。
次に、
体制委員会、いわゆる体制の問題でございます。これは御承知のように、四次
答申を
実施する段階でいろいろと論議がございました。いろいろなケースの論議があったわけでございますが、長所があり、短所があり、結論が出るに至らず今日まで及んでおった問題でございます。いわゆる
管理委員会ということで今回発足をするようになりました。しかし、私
どもは
体制委員会の中では、少なくとも
管理委員会というものが発足するならば、いわゆる
指導、
助言、こういうような
任務ではなくて、むしろいわゆる行政の
権限を持ったもっと強力な、端的にいえば力のある
委員会の構成にしてもらえぬか、
委員会の性格にしてもらえぬか、こういう論議を実はいたしましたが、結果的にはその
任務として、今後の
石炭の各
企業ごとにおける
指導と
助言、こういうものを主体にした
任務ということに形がなりました。
管理委員会の問題につきましては、具体的には、いまから実際の業務を実は開始をするわけでございますので、われわれは実際のところ、ほんとうにわれわれが考えておるような強力なそういう力はないにいたしましても、個々の
炭鉱についてのいわゆる
指導なり
助言なり、こういうものをひとつ強力にやっていただきたい、こういう気持ちは実は持っておりますけれ
ども、実際の運営上半分期待があり、半分不安がある、こういう気持ちがあることを私は正直に申し上げておきたい、このように考えておるわけでございます。
それから、いま一点は、
業界内に設けられます
需給調整委員会の問題でございます。この問題につきましては、もちろんこれの設けられた趣旨というのは、私は
石炭産業自体の、いわゆる
石炭業界自体の姿勢を強く求める意味で、
需給調整委員会をつくった、そういう意味で私は理解はいたしております。しかしながら、いわゆる
業界内部で
需給のコントロールをやることになると思いますので、いいかえれば、各山ごとの閉山につながる問題まで論及しなければならぬ、こういうようなことに私は結果的にはなってくるというふうに考えておりますので、少なくとも
業界の中でつくる
需給調整委員会というのは、実際には、その
任務遂行というのはなかなか困難ではないのだろうか、こういうような
意見を持っておることを申し上げておきたいというふうに考えております。
以上三点
程度、私の主要な
意見として実は申し上げました。この際、私は二点
程度御
要請を申し上げて、私の
意見を終わりたいというように考えておるわけでございます。
まず第一点は、私は、先ほどほんとうに二千万トンが
確保できるのか不安がある、こういうことを正直に申し上げました。それは、今後
石炭産業の、端的にいえば生殺与奪と申しましょうか、そういうような
権限を持つというまでにはいきませんでしょうけれ
ども、少なくとも二千万トンを守るために、
一つのポイントとなって核となって、
管理委員会の
活動というものを私は大いに期待したいと思います。そういう意味で本
委員会におきましても、
管理委員会の今後の
活動について、十分二千万トンが
確保できるような
対策なりそういう内容のものをひとつ御検討をいただいて、最終的には二千万トン落ち込みがないような強力な
対策をお打ち立て願いたい、こういう点を強く
要請を申し上げたい、このように実は考えておるわけでございます。
それから第二点の問題は、これはことしから発足します五次
対策、これは
昭和五十年度で二千万トン、こういうものを
確保することについて一応決議もされ、あわせてまた、
昭和五十年度までは千七百三十六万トンという
政策需要の
確保が実はできたという形になっております。そういう意味で、私は、
昭和五十年度までは一応心配はないという見方はしております。数字的には見方はしておりますけれ
ども、問題は、私は
昭和五十一年度以降の
石炭の
需要確保が問題だと思います。
先ほ
ども炭労の
里谷委員長のほうから、すでに
一般炭三百万トン
程度のいわゆる貯炭がある、確かにこれも問題であります。少なくとも、原料炭の山がほとんど残ってまいりました。したがって、どうしても一般のいわゆる随伴
一般炭が出てまいります。それの
消費の道を考えなければ、必然的に私はだいじょうぶであろうと思われる原料炭の山も、閉山のうき目にあうことは明らかだというように考えております。したがって五十毎度の問題は、一応数字的にはだいじょうぶという判断に立って、少なくとも五十一年度以降の
需要の
確保の問題について、私は具体的な
確保の道を講じてもらいたい。
この問題につきましては、具体的に申しますならば、
石炭の火力発電所の建設でございます。すでに北海道あるいは九州等にそういう候補地がのぼり、建設できるやに私
どもは聞いております。しかしながら、やはり五十一年度から操業を始めるとすれば、少なくとも四十八年度から具体的な
予算の裏づけというものがあって着工していかなければ、時期的に間に合わないんじゃないか、私はこういう気持ちがいたします。したがって、どうしても二千万トンを
確保し、あるいは五十一年度以降も最低二千万トン以上
確保できるように、労働組合自体も私は
努力をしたいと考えます。
そういう意味で、今後の
需要確保の問題として、
石炭の火力発電所の建設、北海道、九州、これについてはぜひ五十一年度から操業できますように、切に
お願いを申し上げたいというように考えておるわけでございます。
炭鉱の数も、先刻申しますとおりに少なくなってまいりました。
全国で五十でございます。したがって、われわれが期待と不安があると申し上げましたが、
管理委員会の今後の
指導につきましても、数の少ない五十の
炭鉱でございますので、少なくとも私は
一つ一つの
炭鉱を取り上げて
指導ができると思います。そういう意味で、
最後でございますけれ
ども、どうか
昭和五十年度まで二千万トン
確保できる具体的な
対策を
お願いすると同時に、私
どもも今後それが
確保できる最大の
努力をすることをお誓いを申し上げまして、はなはだ失礼なことも申し上げたと思いますが、私の
意見を終わりたいと思います。ありがとうございました。