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1973-09-21 第71回国会 衆議院 商工委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月二十一日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 浦野 幸男君   理事 稻村左近四郎君 理事 田中 六助君    理事 羽田野忠文君 理事 山田 久就君    理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稲村 利幸君       越智 伊平君    木部 佳昭君       塩崎  潤君    島村 一郎君       田中 榮一君    八田 貞義君       加藤 清政君    上坂  昇君       佐野  進君    細谷 治嘉君       渡辺 三郎君    野間 友一君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         通商産業政務次         官       塩川正十郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         労働省労政局長 道正 邦彦君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 新谷 鐵郎君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     高橋  清君         資源エネルギー         庁公益事業部水         力課長     吉田 方明君         建設省河川局水         政課長     佐藤 毅三君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 九月十八日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     枝村 要作君 同日  辞任         補欠選任   枝村 要作君     藤田 高敏君 同月二十日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     玉置 一徳君 同月二十一日  辞任         補欠選任   岡田 哲児君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     岡田 哲児君     ――――――――――――― 九月十八日  電設資材確保に関する請願草野一郎平君紹  介)(第一〇四三三号)  同(古川喜一紹介)(第一〇四三四号)  同(赤澤正道紹介)(第一〇四四九号)  同(越智伊平紹介)(第一〇四五〇号)  同(白浜仁吉紹介)(第一〇四七五号)  同(三池信紹介)(第一〇四九一号)  同(村岡兼造君紹介)(第一〇四九二号)  同(小宮武喜紹介)(第一〇五〇九号)  同(三谷秀治紹介)(第一〇五一〇号)  同(越智伊平紹介)(第一〇五二九号)  同(松岡松平紹介)(第一〇五三〇号)  同(小林進紹介)(第一〇五八五号)  同(竹中修一紹介)(第一〇六〇二号)  同(羽生田進紹介)(第一〇六〇三号)  同(土井たか子紹介)(第一〇六二一号)  石油パイプライン事業用施設保安規制に関す  る請願土井たか子紹介)(第一〇五四八号)  同(木原実紹介)(第一〇六二〇号) 同月十九日  電設資材確保に関する請願塩谷一夫紹介)  (第一〇六四六号)  同(木島喜兵衞紹介)(第一〇六八〇号)  同(小山省二紹介)(第一〇六八一号)  同(平田藤吉紹介)(第一〇七一五号)  石油パイプライン事業用施設保安規制に関す  る請願柴田睦夫紹介)(第一〇六四七号) 同月二十日  ガス事業液化石油ガス販売事業との間の調整  に関する請願唐沢俊二郎紹介)(第一〇八三  一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十日  関西電力株式会社電気料金等の値上げに関す  る陳情書(第七四四  号)  電気工事業危機突破に関する陳情書  (第七六八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  公益事業に関する件      ――――◇―――――
  2. 浦野幸男

    浦野委員長 これより会議を開きます。  開会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。  内閣提出発電用施設周辺地域整備法案  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  公益事業に関する件  鉱工業に関する件  商業に関する件  通商に関する件  中小企業に関する件  特許に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件  鉱業と一般公益との調整に関する件 以上、各案件につきまして、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浦野幸男

    浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 浦野幸男

    浦野委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件及び公益事業に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 最近水銀問題が大きな問題になっておりまして、通産省では、苛性ソーダ製法を現在圧倒的な比重を占めております水銀法から隔膜法転換をしていく、こういう御方針のようでございますけれども、その内容についてひとつ基本的な方針を示していただきたいと思います。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省におきましては、水銀等汚染対策推進会議における五十年九月を目途に極力隔膜法への転換をはかる旨の決定を受け、これまで関係企業に対し、隔膜法への転換を強力に指導してまいりました。  その場合の転換原則としては、水銀使用管理状況設備老朽度などをおもな指標としましたが、こうした指導に基づいて提出された各社計画を再度調整し、他方ソーダ業界及び関連業界混乱が生じないよう、秩序ある転換推進する必要性も踏まえ、どの程度最大限転換が可能か等を慎重に検討しましたところ、五十年九月までには三分の二の転換が大体可能である旨の心証を得た次第であります。  なお、水銀汚染問題の重大性にかんがみ、原則として、五十二年度末までには全面転換を行なわせる方針であります。  具体的に転換目標を達成するにあたりては、雇用問題のほか、需要産業との問題、資金調達問題等、多くの問題が生ずることが考えられるため、これらの諸問題について十分配慮を加える必要があります。このため、広く各方面の専門家学識経験者等により構成されたソーダ工業製法転換推進対策委員会を新たに設け、ここで幅広い観点からの検討を加えることにより、客観的に妥当な計画を策定することといたしております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 いま大臣から転換方針を示されたわけでありますが、新聞の報ずるところによりますと、十七日にソーダ工業製法転換推進対策委員会というものの初会合を開きまして、そしていま大臣お示しの二つ原則に基づいて推進をする、こういうことでございますが、専門委員会を発足さして、十二月中旬までに転換スケジュール細目決定する、こういうふうにいわれておりますが、そのとおりでございますか。
  8. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 ソーダ工業製法転換推進のための対策委員会の第一回の会合を九月十七日に開きまして、その後、引き続いてこの問題を精力的に検討をいたしまして、十二月の半ばぐらいまでには具体的な施策も詰めていきたい、かように考えておるわけでございます。  検討の中身といたしましては、転換のために非常に多額な資金を必要とするわけでございますが、この資金調達についてどうするかという問題、それから転換に伴いまして、労働問題あるいは隔膜法を使いますとボイラー設置が必要でございますので、ボイラー設置に伴いましてNoxあるいはSOxの問題も出てまいりますので、地元との関係調整をどうするか。それからさらに、転換がきわめて短期間の間に集中的に行なわれますので、このために需要業界混乱が生じないかどうか。そこら辺の問題につきましても十分検討いたしまして、バランスのとれた対策を講じていく必要があるということで、この推進対策委員会でいろいろむずかしい問題を検討していただく、かように考えておるわけでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 そこでお尋ねしたいのでありますけれども、五十年の九月までに約三分の二程度隔膜法に変えていく、五十二年度末に全設備隔膜法への転換を完了する、こういうことでありますが、その間は、水銀が逃げないように、具体的にクローズドシステムなどを推進なさるのですか。その点はいかがですか。
  10. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 転換は五十年九月までに大体三分の二を完了していただきまして、その後、残余のものにつきましては、五十二年度末までに完了していただくということで指導をいたしておるわけでございますが、その間、排出される水銀につきましては、クローズドシステム化をできるだけ早く完成いたしまして、工場内の水銀とまじった水が環境に排出されないように措置をする必要があるわけでございます。  現在ソーダ工業が存立しております地域二つに分けまして、これは環境庁あるいは水産庁等とも御協議の上でございますが、問題の九水域というのがあるわけでございますが、この九水域につきましては、できるだけ早くクローズドシステム化を完了していく必要があるということで、この九月末までには全部クローズドシステム化に移行することになっております。残余地域工場につきましては、本年の末までに完了するということで進んでおる状態でございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 参考のためにお導ねしておきますが、この全面転換を終えるためにおおよそ二千億円の資金が必要だ、同時に、外国技術を導入する、こういうことが必要になってくるかと思います。外国技術を導入するということになりますと、どういう技術を導入するか、きょうは時間がありませんから詳しく聞きませんけれども、この技術導入料というのはどのくらいになりますか。大体全面的な転換にどの程度の費用が必要なのか、お答えいただきたいと思います。
  12. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 外国技術導入をする必要があるわけでございまして、現在、世界的に技術が進んでおるのは四社ございますが、この四社から、各社がそれぞれ最も適当と思われる技術を導入することになると思いますが、ただいま御質問の技術導入料につきましては、いま数字につきまして、私ども手元にございませんので、これは後ほど調べまして御連絡したいと思います。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、いま通産省転換の対象にしておる工場、いわゆる水銀法を使っておるソーダ会社というのは三十六社四十九工場あると承っておりますが、そのとおりですか。
  14. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 そのとおりでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 三十六社四十九工場ということでありますから、一つ会社で幾つかの工場を持っておるということになります。たとえば東亜合成が四工場住友化学が三工場、三井東圧が二工場、旭硝子が三工場大阪曹達が三工場日曹二工場関東電化が二工場鉄興社が二工場合計八社で二十一工場、こういうことになっておるようでありますが、そのとおりでありますか。
  16. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 いま御指摘会社名前はそのとおりでございますが、ただ、いまおあげになりました数は、全部合わせますと八社ではなくて、十社になるかと思います。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 八社じゃないですか。
  18. 高橋清

    高橋説明員 お答え申し上げます。  苛性ソーダ会社につきましては、先生指摘のように、三十六社四十九工場でございますが、この三十六社のほかに実は一社ございまして、これが全く隔膜法しか設備を持っておらない会社でございまして、その会社を入れると三十七社でございます。なお、三十六社のうち、水銀法工場は四十九工場ございますが、この三十六社のうち、さらに隔膜法設備をあわせ持っておる企業もございます。その工場数は八工場でございます。そういった点を整理いたしますと、ただいま先生指摘企業に加えまして、南海化学昭和電工、この二社がさらに加わりまして、その南海化学が二工場ございます。また、昭和電工が三工場ございます。そうしますと、企業数といたしましては、先生の御指摘にさらに二社が加わりまして十社ということに相なる次第でございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、私がお尋ねいたしたい点は、全国に、一つ会社で多いところは四つ、あるいは二つ等、十社になんなんとする会社が分散して工場を持っておるわけであります。せんだっての新聞に、会社名前は申し上げませんけれども、この複数工場を持っておる会社転換を機に集中生産をやりたい、こういうことが具体化しつつあるようであります。これについて通産省御存じかどうか、お伺いいたします。
  20. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 一社で数工場持っておりますソーダ会社が、いま御指摘のように、その生産集中のための計画検討中であるという話は聞いております。ただ、それが最終的に決定したというふうにはまだ聞いておらない状態でございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 最終的にはきまっておらぬ、こういうお答えでありますけれども新聞報道によりますと、冒頭お尋ねいたしましたように、十二月中には転換への細目スケジュールをきめるということでありますし、この新聞記事に対して、その会社の担当の役員はやはり具体的にそういう集中生産への方向を認めておるわけですね。でありますから、日程からいきましても、通産省はその集中生産への転換にあたっての計画等もかなり御存じじゃないですか。いかがですか。
  22. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 会社が現在検討中の計画については、私ども承知いたしております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっと、もう一度。
  24. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 会社が現在検討いたしております計画につきましては、私ども内容について説明を受けております。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 会社名前を申し上げませんけれども、これは新聞報道でありますから、それをもとにして御質問するわけでありますが、ある会社四つ工場全国に持っております。その四つ工場を二カ所に集中する、こういう案が新聞報道されております。これは御存じですか。
  26. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 承知いたしております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 承知しておる、こういうことですね。その隔膜法への転換計画、いわゆる第一期、五十年九月までの分でありますけれども、そういうふうな四カ所を二カ所に集中生産をする、こういうことになりますと、その会社計画を見ますと、四十八年度の能力に年率大体六・五%程度の伸びを加えまして五十一年度の生産能力を設定いたします。そうしてその三分の二を隔膜法転換をする。その内容を見ますと、集中生産をいたしますと、年間数億円の運賃等メリットが出てくる、こういう内容であるようであります。  その内容をさらに突っ込んでいきますと、あげてこれが労務費節減、いわゆる人員の削減、こういうことに尽きるわけですね。これは御存じですか。
  28. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 転換計画については聞いておりますけれども、それが具体的に企業経営にどういうメリットを生ずるかという点につきましては、まだそこまで詰めた話は私ども聞いていないわけでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 新聞によりますと、きわめて具体的に書かれてあるわけですよ。新聞はお読みになったと思います。  もうちょっと申し上げましょう。大体三分の二を五十年九月までに転換するといたしまして、月産一万七千トン程度苛性ソーダをつくる、こういうことになります。この一万七千トンを四つ工場ではなくて二工場に、一つ工場で一万トン程度一つ工場で七千トン程度合計一万七千トン、こういうことでありますね。そういたしますと、大体において三百人くらいの余剰人員が生じてくるわけですね。その分の労務費というのは節減で、大体において運賃等メリットを帳消しして年間かなり労務費節減ということで、そういう形で集中生産が進められようとしておる、こういうふうに受け取れるわけであります。  労働省にお尋ねするのですが、こういうことを御存じでしょうか。というのは、アンモニア大型化、千トンブラントということを通産省推進いたしました。この際、企業合理化という形で労働者に非常に大きなしわ寄せがされた。これはもうすでに御承知のとおりであります。通産省が努力されたことを認めます。しかし、そういう形になっております。こういうことについて労働省御存じですか。
  30. 道正邦彦

    道正政府委員 お答え申し上げます。  隔膜方式への切りかえに伴います合理化計画通産省に提出されているということは存じております。また、計画内容の細部につきましては、まだ十分な打ち合わせをいたしておりませんが、いずれにいたしましても、合理化推進にあたりまして労使話し合いが行なわれ、労使の協力によってのみ合理化も円滑に行なわれることは論をまたないと存じます。労働省といたしましては、合理化推進に伴います労働者生活に与える影響、これにつきましては十分な関心を持つべきでありますし、労働者生活に激変を与えるようなことを極力避け、労使話し合いにより円滑に行なわれるように今後とも通産省とよく連絡いたしまして努力をしたいと思います。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっと話を変えまして、大体隔膜法水銀法では電力の原単位はどういうふうに違いますか。
  32. 高橋清

    高橋説明員 お答え申し上げます。  苛性ソーダ一トンつくるに必要な電力といたしましては、水銀法では三千二百キロワットアワーでございまして、他方隔膜法につきましては二千八百キロワットでございます。水銀法に比べまして、隔膜法製法のほうはアマルガムの製造工程が省略されますので、その分だけ使用電力が減るわけでございますが、他方先生御案内のように、隔膜法になりますと、できました薄い苛性ソーダを煮詰める必要がございますので、蒸気が必要でございます。このために必要といたします蒸気量としましては四トン追加されます。したがいまして、いま御説明申し上げました消費電力蒸気換算いたしまして、さらに隔膜法に必要な追加蒸気量を加えますと、結論といたしましては、水銀法といたしましては、苛性ソーダ一トンつくるに、蒸気量といたしましてはほぼ二十四・六トン、隔膜法につきましては二十五・五トン、こういったような計算になる次第であります。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 隔膜法でやりますと苛性ソーダ一トン当たり四トン程度蒸気が必要だ、こういうことですね。その四トンというのは、電力換算いたしますと幾らになりますか。
  34. 高橋清

    高橋説明員 お答え申し上げます。  蒸気電力換算でございますが、いろいろ計数がございますが、平均いたしますと蒸気一トン当たり約百三十キロワットアワー必要でございます。平均いたしまして四トンということに相なりますので、百三十の四倍のほぼ五百キロワットアワー消費電力隔膜法の場合には追加されます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 そういたしますと、電力そのものとしては、トン当たり隔膜法では二千八百キロワット時、水銀法では三千二百キロワット時、一方隔膜法では蒸気が必要でありますので四トン必要だ。そうしますと大体五百二十キロワット時くらいの電力換算になりますね。そういたしますと、隔膜法のほうが全体としては電力がよけい要る、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  36. 高橋清

    高橋説明員 そのとおりでございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 この工場集中生産ということは、新聞等報道されておる限りにおいて、たとえばその工場は、その会社発祥地というのが何々県のどこそこにある、こういうことですね。その発祥地というのがいまソーダ工業をやっているわけでありますけれども、その発祥地は全部隔膜法集中生産の際にやめちゃって、そして日本過密地帯といわれるところで集中生産を行なおうという内容になっているわけですよ。いなかのほうにあるその会社発祥の地の生産を全部やめちゃって、そこから三百人程度過剰人員が生まれるわけでありますけれども日本の三大都市圏のところで集中生産をしよう、こういう内容のようであります。集中生産をするわけでありますから、そこに発電所をつくる。その発電所電力が主ではなしに蒸気が必要なのでありますから、蒸気をつくるための発電施設を設けなければならぬ。こういうことになりますとコストが増すということばかりで、現実に発電所ができるわけでありますから、酸化窒素もふえるでありましょうし、亜硫酸ガスもふえるでありましょうし、汚染というものがいよいよ集中をしてくる、こういうふうに思います。具体的などこからどこへ集中するということは申し上げておりませんけれども大臣、こういう集中のしかたというのは政府方針からいってもおかしいのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 転換の際にどういう方向工場を新設するというようなことは、まだ具体的に確定した計画はできてないように私聞いております。いろいろ各社は模索しておると聞いておりますが、必ずしもそういうところに集中するというところまでまだいっていないのではないかと思います。具体的には局長をして答弁させます。
  39. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 会社当局としては、最終決定をいたしておるわけではないと思いますが、ただ、会社内部でいろいろ検討をいたしておることは事実でございまして、検討段階説明は事務的に私ども説明がなされておるわけでございますが、それによりますと、一部には従来の地域から過密化された地域工場を持っていきたいという計画も含まれておるように聞いておるわけでございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 過密化されたところに生産集中しよう、こういうのが含まれておる、そして私が申し上げましたように、その会社発祥の地というところの労働者が過剰になってくる、これも含まれておる、間違いないですね。
  41. 飯塚史郎

    飯塚政府委員 会社ソーダ工業以外にもほかの分野でも事業を行なっておるようでございますが、会社全体としてどういうふうに工場を、他の生産を持っていくかということは、現在検討中のようでございますが、かりにソーダ工業を全部過密化された地域に持っていって、その結果、従来の工場におきます生産が全体としまして落ちるということになりますと、御指摘のように労働問題その他の問題も起こるかと思いますが、そこは会社が、いわば総合化学工業的な立場であります場合には、過密地域生産しておりましたものの一部をソーダ工業転換する工場のほうに回すということも可能かと思いますが、いずれにいたしましても、まだ会社としても最終的に決定をいたしておるわけではないようでございますが、そういう多角的な方策もあわせ検討しているように聞いておる次第でございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど申し上げましたように、全国四つ工場というものを二カ所に集める。そして集中生産分散生産とをやった場合にどうなるかというコスト計算までしているわけですよ。その集中生産メリットというのは何かといいますと、一年間にその会社の場合に大体六億程度メリットが生まれてくるだろう、こういう数字ですよ。その六億というのは何かといいますと、労務費全部ですね。こういうことです。アンモニア大型化という場合にも、簡単にあなたは労働者を首切るわけじゃない、配置転換するのだ、こういうことをおっしゃいますけれども配置転換というのはたいへんな労働条件の変化です。そしてその会社発祥の地でありますから、これはもう言ってみれば親子代々そこに居住して、そして工場につとめておる労働者だ、こういうことなんですね。そうなってまいりますと、なま首は切らぬ、ただ配置転換だ、こういうことでは済まされませんし、また、私が申し上げましたように、あえて過密地帯集中生産するということは、政府方針そのものにも反するんじゃないか、何のために工場再配置というようなことを通産省推進しているのか、こういう疑念が強くわくわけですよ。  そこで通産大臣、ひとつ時間もありませんからお尋ねするわけですが、こういう計画については通産省としてはやはり手直しをさせる、そして労働者労働条件を守っていく、また、環境の整備、公害対策、こういうことを推進していく、こういうことで進めていただかなければならぬと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省が団体交渉の中に立ち入るということは差し控えなければなりませんが、労使協調のもとに円満にそういう転換が行なわれるように、通産省としても関心を持ちまして会社側に対してもそういう意向を私たちは伝えることはけっこうであると思います。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 労働省にお尋ねしますが、通産大臣は、労使の交渉、こういうことが大前提だということであります。これはいま労使交渉ばかりでなくて、住民運動という関連も出てまいりますので、労働省としては正常な団体交渉で話をきめていく、こういうことを指導なさるわけでありましょうけれども、ひとつこういう問題については、労働サイドという点からきびしく問題を見詰めていただきたいと思うのでありますが、いかがですか。
  45. 道正邦彦

    道正政府委員 基本的には、先ほど通産大臣からお答えがございましたとおりでございますが、御指摘のように、労働省といたしましては労働者生活を守るという立場がございますので、通産省と十分連絡をとりつつ、業界とも連絡をとり、要するに合理化計画その他が労使話し合いにより、労使の協力のもとに円滑に行なわれますように十分配慮してまいりたいというふうに考えます。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、最後に通産大臣にお尋ねしたいのですけれども水銀をとにかく環境に排出しないようにという形で、水銀法から隔膜法に全面的に転換する、これはたいへんけっこうであります。ぜひそうしていただきたいわけでありますけれども、実は水銀というのはソーダ工業ばかりでございませんで、いまありませんけれども、水俣病のようなアセトアルデヒドをつくる際の触媒として、あるいは塩ビをつくる際の触媒として、あるいはその他の化学反応をやるための触媒としてあまた使われておるわけであります。そこで水銀問題全体、たとえばいま問題になっているのは水俣病等のああいうプロセス、いまのソーダ工業におけるプロセスが問題になっておりまして、その他の問題はあまり問題になっていない。たとえば生産をだんだん縮小されておるでありましょうけれども、エチレンから昇汞を触媒として塩ビをつくる場合には相当量の水銀が自然界に放出されておるわけですね。その他の触媒もあります。そういう問題、水銀問題全体としてどういう基本的な態度で今後公害防除という形で進んでいくのか、この基本的な態度をお尋ねしておきたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 水銀が使用される場合には、触媒ないし媒体として使用される場合と、あるいは情勢によって媒体以外の原料として使われる、そういう場合があるかもしれません。媒体として使われるという場合にはクローズドシステムあるいは隔膜法転換というようなやり方によりまして、いまソーダ工業の場合は懸命に努力しておるところでございますが、そういうような方向にやはりクローズド化していく。外に排出させない、そういうようなやり方が賢明であり、また終局的には水銀を使わないというやり方のほうがさらに望ましきやり方ではないか。それから原料として使うという場合には、今度PCBや何かの場合にも規制するように化学物質の規制に関する法律を制定いたしましたが、ああいう法律を援用いたしまして、それに該当するものはその法律によって、処置していきたい、そう思います。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 時間が過ぎましたが、大臣クローズドシステムということで逃げますけれども、たとえばソーダ工業あるいは塩ビにおける塩化水銀等の触媒、あるいは硫酸水銀のアセトアルデヒドはやっておりませんけれども、そういう問題については、いま言ったように水銀法から隔膜法転換するということで、その他の問題について、たとえばけさのテレビでもマーキュロクローム、こういうものも大体生産をストップしてきましたね。それほどきびしいものがあるわけでありまして、クローズドシステムということで逃げられますと——技術的にはそういう問題がクローズドシステムでならないものが逆に多いわけです。たとえば、化学反応をやっていく場合に、いま申し上げたようなもの以外に、ここのところへひとつ希望の位置で化学反応を起こさせよう、こういう場合に水銀を使う、そういうことになりますと簡単にクローズドシステムにはやり得ないようなものがある。そういうもので長い間に自然界に水銀が放出されていっているという例があるのです。でありますから、簡単にできないものはクローズドシステムだ、こういう簡単なことでなくて、真剣に技術的な問題をもひとつ検討をしていただいて、そしてソーダ工業の全面的転換ということに踏み切ったわけでありますから、ほかの場合の水銀についてもそういう基本的な態度で臨んでいただきたい、これを要望したいと思うのでありますが、それでよろしいでしょうか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨はよくわかりますから、よく検討いたしまして公害防除の点から見ましても徹底するようにいたしたいと思います。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  51. 浦野幸男

    浦野委員長 野間友一君。
  52. 野間友一

    ○野間委員 私は通産省でいま進めておりますところの広域多目的連続揚水発電所計画、これについてお聞きするわけですけれども、まず現在調査を幾つか行なっておりますけれども、具体的にどこを対象に行なわれておるか、これについて予算は四十八年度はどういうふうについておるか、四十九年度はこの予算をどうされるのか、まずこのあたりから聞きたいと思います。
  53. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お答えをいたします。  私ども計画をいたしております連続多目的ダム計画は、計画中のものが三つございます。     〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕 一つは会津計画、他の一つは上越計画、三番目が紀伊計画、三つの計画を持っておるところでございます。  四十八年度予算についてのお尋ねでございますが、三番目に申し上げました紀伊計画につきまして六百万円、それから四十九年度予算につきましては三千万円を予定をいたしております。
  54. 野間友一

    ○野間委員 紀伊計画の出力はどのくらいを予定しておるのか。同じように上越、会津についてもお聞かせ願いたいと思います。
  55. 岸田文武

    ○岸田政府委員 紀伊計画内容は、これから調査をして具体化を進めるわけでございますが、私どもがいま念頭に置いておりますあらましの計画を前提といたしますと、十三カ所のダム、このうち既設が一カ所含まれますが、この十三カ所のダムを通じまして七つの発電所を用意をし、これによって出力の合計三百五十三万三千キロワット、以上のようなことを計画いたしております。
  56. 野間友一

    ○野間委員 上越、会津についても同じようにお聞きしておるわけです。
  57. 岸田文武

    ○岸田政府委員 会津計画につきましては二つ発電所を予定いたしまして、両方の出力合計が百八十四万キロワット、それから上越計画につきましては合計をいたしまして四百五十五万四千キロワット、以上の計画でございます。
  58. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ紀伊計画について具体的にお聞きするわけですけれども、まずこの計画の規模、あるいは着手の予定、それから目的、それから予算、費用ですね、これらについて詳細な御説明を願いたいと思います。
  59. 岸田文武

    ○岸田政府委員 まずこの連続多目的計画自体のねらいから御説明をさしていただきたいと思います。  御承知のとおり、水力の発電につきましては、当初は自然の川の流れを利用して発電をするというところからスタートいたしましたが、それでは水資源の有効利用の面からもったいないではないかということで、ダムを建設をし、そしてより多くの電力の需要に供するようにしようという段階がございました。ところが、さらにさかのぼってみますと、ダムでためても一回利用すればそれでおしまいというのはもったいないではないかということから揚水式発電という方式が近年起こってまいったわけでございます。  揚水式発電と申しますのは、発電所の上と下にそれぞれ貯水池を設けまして、下の貯水池から夜間の余剰電力を利用して上の貯水池にあげる、そして昼間非常に電力の需要が多い時間にそれを流して水力発電をし、その電気を活用するという考え方でございます。  御承知のとおり、最近建設される水力発電所はほとんどこの揚水発電所の方式になっておるわけでございます。私どもはさらにその考え方を進めまして、幾つかの揚水発電所をグループとして建設をするという考え方をとりまして、広い地域における水資源を総合的に活用するということが一番大事なことであり、これからの方向ではないかという考え方で計画を組んだわけでございます。  具体的に紀伊計画について構想を御説明いたしますと、御承知のとおり、紀伊半島は東南部の部分に大台ケ原を含む非常に雨量の多い地域がございます。それに比して、同じ紀伊半島でも西部、北部、これらの地域については、水の資源の確保ということが大きな課題になっております。これらのことを頭に置きまして計画を組んだわけでございますが、その内容といしましては、紀伊半島島の南端にございます新宮川、この河口から非常に近いところにまず最初のダムを建設する。ほうっておけば新宮川へ流れてしまう水をまずそこのダムでためまして、これを揚水発電で上のほうへあげていくという計画がまずスタートになるわけでございます。以降幾つかのダムをつくり、そしてその間に揚水発電所をつなぎ合わせていくことによって、北のほうは一応有田川ぐらいのところまで連係をする、この間おそらく六十キロ余りになろうかと思いますが、これによりまして水資源が非常に有効に利用でき、また夏の電力ピークのときに有効な電力を活用できる、これによって全体の水資源が非常に有効に利用できるのではないか、こういった計画でございます。
  60. 野間友一

    ○野間委員 ダムの数ですが、先ほどの話によりますと既設が一、これは二川ダムだと思いますが、これを含めて十三ということですが、それぞれのダムの広さ、面積なり容量なりでけっこうです。  それから二点目は、どのくらいの予算、費用を見込んでおられるのか。  それから三点といたしまして、具体的にこれが発電をして、そして各実需者のところに渡るわけですけれども、具体的な計画からいわゆる実需者の手元に渡るまでの経路ですね、端的に申し上げますと、だれが一体業を起こして、具体的には私企業としては関西電力等々、電力会社があると思いますけれども、これらの関係をどのように考えておるのか、そういう構想についてお聞かせ願いたいと思います。
  61. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ダムのそれぞれの湛水面積を御報告いたしますと、檜杖ダム二・八平方キロメートル、高田ダム六・六平方キロメートル、和田川二・九平方キロメートル、大塔川一・四平方キロ、尾和田一・三、広見川五・六、丹生二・四、日高川一・五、既設の二川が〇・九、その間に調整用の小さいダム、それから揚水の上池がはさまれておりまして、それらが四つございますが、まだこれは湛水面積が確定いたしておりません。いずれにいたしましても、この湛水面積は一応の試算でございますことをお含みおきいただきたいと思います。  これを実現する場合にどういう事業主体を考えているか、具体的な工事量はどのくらいになるかということでございますが、私どもは、この調査通産省が主体となって現在進めておる最中でございまして、大体三カ年計画を予定をしておるわけでございます。初年度、すなわち今年度は計画の基本構想を練るという段階と考えまして、これに必要な水の資料の収集整理あるいは計画調査、さらに地形図の作成また地質の概査、以上のようなことを第一年度の計画として考えておるところでございます。それから第二年度に入りまして、第一年度に調査しましたことを受けて、さらにこまかい地形図の作成、地質調査を進めていき、第三年度にそれらの結果を解析し、まとめていくという段取りを考えているところでございます。したがいまして、工事の全体的な内容、工事量等々は、これらの調査の結果を待って初めて明らかにされるというふうに考えておりますし、また、工事の主体についても、いまのところは特にどこが行なうというようなことは計画の中に考えておりません。
  62. 野間友一

    ○野間委員 ちょっと無責任だと思いますが、その構想をいま現に立てて、予算までつけてやっておるわけですね。ですから、通産省がそういう構想を立てて、具体的にこれが特に電力会社との関係でどうなるのかということについてまだ構想がないとおっしゃるのですか、もう一度確認を求めたいと思います。  それから着手の予定、完工の日時については、大体いつごろ着手していつごろ完了するのか、これはまだ答弁が抜けております。
  63. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほど申し上げましたように、連続多目的ダムというのは、いまの水資源の状況を振り返りまして、これから水力発電のあり方としてどういうことが必要かということを考えました末に、一つのアイデアとして浮かび出たものでございまして、私どももやはり基礎的な勉強の段階にあるというのが正直なところでございます。したがいまして、いまの段階からどこの電力会社が行なうというようなことを予定する段階では正直のところございません。むしろこの三年間の勉強を一つの試金石といたしまして、この計画がうまく成功いたしましたならばさらに広い応用を考えよう、こういった気持ちでいまおるところでございます。
  64. 野間友一

    ○野間委員 どうも答えが抜けるのですが、いつごろかかっていつごろ完成するかということについてどういう構想を持っておるかということです。  それから、いまお答えがありましたけれども、具体的に言いますと、たとえば電源開発がダムを設置して、それから電力を関西電力等に売るとか、あるいはチャーターするとか、幾つかその態様があると思うのですが、具体的にどのような構想を持っておるのか、全然その構想もないとおっしゃるのか、もう一ぺんお答え願いたいと思います。
  65. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまの段階では、そこまで固まった構想はございません。
  66. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、いつごろかかっていつごろできるかという具体的な構想については、まだ立ててないということですか。
  67. 岸田文武

    ○岸田政府委員 さようでございます。
  68. 野間友一

    ○野間委員 この計画の目的については、通産省から取り寄せた資料によりますと、水資源それから発電、大体二つの大きな目的が掲げてありますけれども、そのことをここで確認したいと思いますが、それでよろしいわけですか。
  69. 岸田文武

    ○岸田政府委員 目的としては仰せのとおりかと考えております。
  70. 野間友一

    ○野間委員 それからこの計画について、いまのお話によりますと、三カ年かかって具体的な基本構想あるいは地形図の作成等々をやって検討する、こういう話でありますけれども、このダムないし発電の総工費については、これはヒヤリングの段階では三千億円から四千億円、こういうふうに一応お聞きしておるわけですが、この点についていかがですか。
  71. 岸田文武

    ○岸田政府委員 紀州計画自体の工事費概算は、先ほど申し上げましたとおり、まだ固まっている段階ではございませんが、いま少し調査が先行しております会津計画なり上越計画なりの数字をもとにしてある程度概算しろということでございましたら、大体お示しの数字に近くなるのではないかと思います。
  72. 野間友一

    ○野間委員 これはまたあとでも聞きますけれども、このダムによって地形が大幅に変わり、また水没する水田とか住家、こういうものが出てくるわけですが、いまお聞きした各ダムの水没面積、これらを地図の上で地形的に具体的に特定してお示しをしていただきたい。これは早急にやってひとつ私の手元に資料としてお寄せいただけるかどうか、これをまずお聞きしたいと思います。
  73. 岸田文武

    ○岸田政府委員 あらましの計画でよろしゅうございますれば、そのようにいたします。
  74. 野間友一

    ○野間委員 この計画の規模の大きさ、これは電力の関係で見てみたいと思います。先ほど話がありましたけれども発電所が七つ、出力は約三百五十万キロワットアワー、これだけの能力を持つ、こういうものを構想されておるわけですが、水力発電所について現在わが国で大体どの程度の出力を持っておるのか。これはお聞きしますと、たとえば梓の場合には、これは東電ですか、六十二万キロワット、それから喜撰山の場合には四十六万六千キロワット、こういうようなことも聞いておるのですが、できればこの場で、大きいものから大体五つ六つあげますと、どういうところで、出力がどのくらいあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  75. 吉田方明

    ○吉田説明員 お答えします。  現在でき上がりました水力発電所は、わが国ではおおよそ二千万キロワットでございます。それから、年々新しいのができておりまして、かなり最近新しいのができ上がりつつございますが、昨年度時点までにおきましてでき上がりました大きな発電所を上から五つほど申し上げますと、信濃川にございます東京電力の安曇発電所というのが、先ほど先生がおっしゃいましたように六十二万三千キロワットでございます。それから続いて淀川水系喜撰山、関西電力発電所でございますが、四十六万六千キロでございます。それから第三番目が阿賀野川水系、電源開発会社の田子倉でございまして、三十八万キロでございます。四番目が奥只見、同じく阿賀野川にございます電源開発の発電所でございまして、三十六万キロでございます。五番目が天竜川にございます電源開発会社の佐久間発電所でございます。以上、上から五つでございます。
  76. 野間友一

    ○野間委員 いま発電所の数をお聞きしなかったわけですが、これは単体というか、一基でこれだけの出力を持つのか、あるいはこれは揚水発電所との関係がどうなるのでしょうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。     〔稻村(佐)委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕
  77. 吉田方明

    ○吉田説明員 水力発電所の中にございます発電機そのものは三台とか四台とかいろいろございます。単体としては、一番大きいのが、現在建設中のものでは三十万キロワット程度でございますが、いま申しましたものは一つ発電所の中での出力でございまして、数台の発電機の総合出力でございます。それから、いま上から五つあげましたうち、上の二つはいわゆる揚水発電所でございます。
  78. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと紀伊計画の出力ですが、非常に規模の大きいものですね。いまお聞きしましたように、揚水の既設の最高が安曇の六十二万キロワットアワー、今度は三百五十万キロワットアワーということですから、非常に大規模な画期的なものだ、こう考えざるを得ないと思いますね。しかも、七つなんですけれども、これは平均しますと一つで約五十万キロワットアワーです。いまお話にありましたように、既設のもので単体の最大が三十万キロワットアワーということですから、これまたとてつもない大きな出力を持つ発電設備ではないか。つまり日本の最大級の発電所が七つも和歌山の大塔山系に並ぶ、こういうことになるわけですね。  こうなりますと、これはしろうと目から見ましても、たとえば自然の破壊——ダムをつくりまして水没させるわけですね。さらに山林を伐採して、自然の地形を一気に変えてしまう。また水系を大幅に変えていく。しかもこれらは地域の住民の生活環境の破壊につながる。住民にとってみれば非常に大きな打撃と申しますか、非常に大きな関心を持たざるを得ない計画ではないか、こういうように思うわけですけれども、一体このような計画あるいは構想は、いつごろからどういう観点から着手したのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  79. 岸田文武

    ○岸田政府委員 冒頭申し上げましたように、この連続ダム揚水発電計画自体は、これからの日本の水資源の状況あるいは電力資源の状況を見通してみますと幾多の問題をかかえており、これについて何か有効な対策はないかということから議論の末生まれたものでございます。先ほど申しましたように、三つの計画がスタートいたしましたのは、四十五年に会津計画を議論したというのがスタートでございます。当時は、何か外国にいろいろ前例でもないかというようなことも調べてみたようでございますが、これほどまとまった計画の先例はございません。むしろ日本で、日本の置かれた環境を背景にして独自に生み出されたものでございます。先ほどのお話の中で、非常に規模が大きいという御指摘がございました。これはいまさら申し上げるまでもないわけでございますが、これからの電力事情を考え、家庭生活に必要な電力あるいは産業活動に必要な電力を考えてみますと、やはり年間千二百万キロワットから千六百万キロワットくらいの建設が必要でございます。こういった計画を立ててはおりますものの、現実に各地で立地難の問題が起こっておりますことは御承知のとおりでございます。ただ、この連続多目的揚水ダムは、水力を利用するということから公害の問題には直接関係なく、しかも先ほど申し上げましたような非常に大きい発電量を生み出すことができるという意味で、私どもも注目をいたしておるわけでございます。ただし、お話のございましたように、水没に関連する諸問題であるとか自然環境破壊の問題、これらにつきましては十分私どもも注意をして計画を進めたいと思っております。
  80. 野間友一

    ○野間委員 その紀伊計画によってつくり出される電力は、地形的に申し上げましておそらく京阪神の工業地帯に送られるのではないかというふうに考えるわけですが、この点についてひとつ答弁を求めるのと、それから、これだけの電力を送電することになりますと、これは既設のものでなくて新たな送電の設備をしなければならぬと思うのです。具体的にそのような経路、ルートについてどこを構想されておるのか、お答え願いたいと思うのです。
  81. 岸田文武

    ○岸田政府委員 現在置かれております送電系統を頭に置いてみますと、やはりこれで発電された電力の需要先としましては、主として阪神地区それから中部電力管下——先ほど阪神地区と申しましたが、阪神地区を中心とした一帯、それから中部電力、名古屋を中心とした一帯ということになろうかと思います。
  82. 野間友一

    ○野間委員 主として阪神、こういうお話でありますけれども、この計画は昭和六十年以降のものというふうに通産省からお聞きをしておるわけですが、そうすると、こういう大規模な発電所群をつくることによって特に阪神に電力を送るということになりますと、さらにいまの京阪神の工業地帯、これをますます工業基地化して、さらに、いまですら住みにくいと申しますか、公害が発生し、また密集したこの地域に工業地帯をつくることによって、さらにこの都市問題を深刻にしていくということにならざるを得ないんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、この点どうなんですか。この具体的な計画が、いま申し上げたように京阪神の工業地帯をさらにふくれ上がらすということを意味するように思うのですけれども、そういうことを前提に考えておるんじゃないかということなんです。
  83. 岸田文武

    ○岸田政府委員 おことばではございますが、最近の電力需要の内容を見てみますと、産業用と家庭用と伸び率ではほぼ拮抗し、特に関西地方では家庭用の伸び率のほうが高うございます。私どもはいまの電力の需給状況を勘案をして、やはり国民生活を安定させ、産業活動を維持するという見地から、広く電力の供給を確保するということを使命と心得ておりますので、いま特定の分野に特定のサービスをするというような考え方でやっておるわけではございません。
  84. 野間友一

    ○野間委員 ついでにお聞きしておきますが、この和歌山では、いま御承知のように、関西電力の海南火力発電所、これは二百十万キロワットアワー、さらにいま御承知のとおり、具体的には御坊市という中南に都市がありますが、ここで同じ関西電力が名田というところで火力発電所計画をしておる。それから紀南のほうに行きますと、勝浦というところに、これは原子力発電所ですか、これが具体的にいま動き始めておるということは御存じのとおりだと思いますが、こういう新設する御坊の火力発電所あるいは那智勝浦の原子力発電所、これらを前提にさらにまたこのような揚水発電所、こういうものをつくろうということになるわけですか。こういうことになりますと、和歌山は、いまでさえ北部臨海工業地帯を見てみますと、住友の鉄鋼、それから石油基地、電力基地、もう鉄と石油と電力の町と化してしまっておるわけですね。そこへさらにこのようないまだかつてない、日本での最大規模の揚水発電所を持ってくる。そしていま申し上げたように、さらに新しく御坊と勝浦に発電所設置される。これは一体どういうことになるのか。和歌山県民が非常に不安な面持ちでこの計画を受け取っておるわけですけれども、ここでお聞きしたいのは、いま申し上げたように、新しくつくられる御坊と勝浦の原子力ないしは火力発電所、こういうものを前提とした上で、さらにこのような発電所計画を考えられておるのか、この点です。
  85. 岸田文武

    ○岸田政府委員 関西地方は、御承知のとおり、ことしの夏の需要期におきまして電力の不足が非常に問題になった地域でございます。八月九日、十日、十一日、この三日間は予備力ゼロでようやくしのぎ、それを保つために他地域からのかなりの融通を実施し、大口需要家に対して約百六十万キロワットくらいの節電要請をして切り抜けたという状況でございます。明年は若干発電所が運転開始に移りますけれども他方でやはり需要も伸びるかと思っておりまして、ここ数年の電力需給ということについては、私どもとしても特に注意をし、何とか安定供給をはかるべく努力を続けたいと思っておるところでございます。  先ほど幾つかの立地地点のお話がございました。これはそれぞれこれからいろいろ具体的な検討が行なわれることであろうかと思っておりますが、私どもは、先ほど申しましたように、水力資源というのは、いままでとかく火力中心であったのに対しまして、もう一度いろいろ見直しをしてみる必要があるというふうに考えまして、この計画に取り組んでおるわけでございます。特に連続揚水発電の計画は、先ほど申しましたように、紀伊計画について申しますと、新宮川の川口でほうっておけば海へ流れてしまう水を生かして使うということからスタートしておるわけでございまして、その意味でも私どもは注目していい計画ではないかと思っておるところでございます。
  86. 野間友一

    ○野間委員 質問の中でお聞きしましたように、御坊とそれから勝浦の発電所、火力と原子力ですね、こういうものを前提とし、さらにその上に、こういう構想を立てておるのかどうか、この点です。
  87. 岸田文武

    ○岸田政府委員 特に両者を関係をつけて考えておるわけではございません。
  88. 野間友一

    ○野間委員 水の問題についていま話が出ましたので、続いてお聞きしますけれども、紀伊計画に含まれておる河川のそれぞれの水量、これについて私のほうで把握しておりますのは新宮川、これは六十二億トン、それから日置川十一・六億トン、日高川が十六・四億トン、有田川が十二億トン、こういうふうに聞いておるわけですが、これはそのとおりかどうかということの確認と、それから通産省からもらった、これは簡単な図面ですが、これによりますと、いま指摘したそれぞれの川の上流において、それぞれつながってダムがつくられるわけですが、有田川と紀ノ川、この間には一たん線を引いて消してあるわけです。まだ残っているのです。これを通産省に聞きますと、有田川と紀ノ川を結ぶ計画もあるのだ、こういうふうに聞いておりますが、この点についてさらに確認を求めたいと思います。
  89. 吉田方明

    ○吉田説明員 まず、先生がおっしゃいました各河川の流量でございますが、私のほうから御連絡しましたとおり、それはそれぞれの河川の全流量でございます。したがいまして、それぞれの計画地点の流量ではございませんで、河川の全流量でございますので、新宮川につきましては、桧杖地点といいますのが河口近くでございますので、ほぼ同じ水量が計画地点に流れますが、そのほかの日置川、日高川、有田川についてはそれよりきわめて小さい数字になります。たとえて申しますと、日置川については、十一・六億トンというのは日置川の全流量でございまして、ダム地点の中に含まれる流量というのは、年間七千万トン程度でございます。それから日高川につきましては、十六・四億トンが全流量でございますが、ダム地点の中へ流れてくる年間総流量は三億六千万トンほどでございます。それから有田川につきましては、十二億トン流れておりますが、現在ある二川ダムのところに流れております年間流量はおよそその半分の六億トン程度でございます。  それから、先生のところの図面では、紀ノ川と結んであるが、それがなくなっている、結んだ形跡があるという御指摘かと思いますが、この計画はまだ構想の段階でございますので、いろいろな案がございまして、当初、紀ノ川のほうが非常に水が少ないということもございましたので、紀ノ川と結べばより水の合理化ができるのではないかという点で、計画の段階では紀ノ川と結ぶという計画もあったわけでございます。しかし、現在では、主として発電を中心として計画検討しておりますので、紀ノ川と結ぶのは、要請があった段階でそれが可能であるということで、今回、先生に提出した図面の中には、紀ノ川と結ぶ計画は、将来そういうことも起こり得るということだけであって、現在の計画ではむしろ取り上げないほうがいいのじゃないかということで、われわれとしてはそれを取り上げない案を検討しておりますので、それを出したわけでございます。
  90. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、有田川を紀ノ川と結ぶことは可能である、しかも、これは要請があれば、その時点で考えたい、こういうことですね。そうしますと、この和歌山じゅうの大塔山系を頂点とするそれぞれの水系、いま、新宮とか日置、日高、それぞれのすべての川を上流において一本化して、極端に言いますと、この水を全部紀ノ川まで送り込み、そして和歌山の北部臨海工業地帯あるいは京阪神工業地帯に工業用水として送る、こういうことも可能になるわけですね。どうですか。
  91. 吉田方明

    ○吉田説明員 おっしゃるとおり可能でございます。
  92. 野間友一

    ○野間委員 その点について確認をしたわけですが、大体このような計画によって発電するわけですが、この発電によって水量がどの程度減るのかということについて試算されているかどうか。     〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕 何か三億トンないしは四億トン確保しなければならぬ、こういうふうに聞いておるわけですが、これはこのとおりお聞きしていいわけですか。
  93. 吉田方明

    ○吉田説明員 この計画についてはまだ構想段階でございまして、本年度から調査を開始する予定でございます。したがいまして、こまかい数字、特に水の資料というものは、マクロではとらえておりますが、それをどういう計画でどの程度生み出すかというふうなことについては、今後の試算にまつという段階でございまして、その数字はまだつかんでおりません。
  94. 野間友一

    ○野間委員 しかし、通産省からお聞きしたところによると、三ないしは四億トンということのようですが、これはもう一度確認を求めたいと思います。  それからもう一つは、もしそうだとしますと、このいわゆる水をほかに移すということになるわけですが、それが具体的にその地域の流域にどのような変更あるいは影響を与えるのか、これは考えたことがあるのかないのか。
  95. 吉田方明

    ○吉田説明員 まず第一に、三億トンという数字でございますが、(野間委員「三ないし四億トンだ」と呼ぶ)三ないし四億トン、そう申し上げましたのは、実は目の子の概算でございまして、ほかの上越というような計画から類推いたしまして、およそその程度は下流に迷惑をかけずに生み出すことが可能なものであろう、場合によってはこれがかなりふえたり減ったりする可能性はあるわけでございます。しかし、おおよそのめどとしてはその程度のオーダーのものを生み出すことが可能ではないかというふうに現在考えているわけでございます。
  96. 野間友一

    ○野間委員 具体的に、たとえばかんがい用水の問題とかあるいは鉄砲水の問題とか、それから新宮川には上流のほうにいわゆる瀞八丁があって、いまプロペラ船が観光用にずっと運航しておるわけですが、こういうものに、この水量の減量あるいはいまの自然破壊、ダムの建設によって非常に大きな被害、影響を与えるのではないかというふうにわれわれは考えておるわけですが、具体的にこのような点についての配慮あるいは手だて、こういうものを考えておるのかどうか、そういうものを考えた上でこのような規模の発電計画を立てられたのかどうか、この点を伺いたい。
  97. 吉田方明

    ○吉田説明員 まず、お尋ねの瀞八丁に対する影響でございますが、御承知のように、新宮川は北山川筋と十津川筋がございますが、今回の計画は瀞八丁のほうの北山川筋のほうには何ら影響がない計画でございまして、そちらのほうには全く影響がございません。それから新宮川全体といたしましては十津川筋のほうには若干の影響が生じます。したがいまして、これについては下流に支障のないようにということで計画を立て、かつ水収支の計算等はそれに従って行なう予定でございます。  それからまた、ダムの建設に伴う環境問題につきましては、これは世界的にもいろいろ問題がございまして、今年度も世界の大ダム会議におきまして、ダム建設と環境問題というのを大きく取り上げてテーマにいたしまして、世界じゅうの技術者が集まっていろいろ議論しております。こういう世界各国で行なわれておりますダム建設に伴う環境対策というものをわれわれとしては大いに参考にいたしまして、そういった各国でとられている対策というものを念頭に置きまして、今後計画を立てるにあたってそういったものを十分配慮して織り込んでいきたいというふうに考えております。
  98. 野間友一

    ○野間委員 私が指摘したいのは、電力が足りない、だから起こさなければならぬ、そういう事情は確かに一方ではあると思うのです。同時に、発電所設置、とりわけこのような大規模な水力発電所設置によって自然の状況がころっと変わってしまう、この水系についてもこれは根本的に変わってしまう、そういう点から考えて、着想、発想の基礎において電力が必要だからということでなくて、この地域の住民とかあるいは自然、こういうものについてどのような影響があるのかないのかということから逆に発電のことについて検討していくというような発想ですね、それがやはり必要なんじゃないかというふうに思うわけです。いままでお聞きしておりますと、あたかも、くつに合わせて足をつくるというのですか、何か逆の発想のように思うわけですが、このような膨大な水を使って発電していくということについて、一体これが具体的にどのような影響を与えるのか、そういう点について詰めて検討した上で構想を立てたのかどうか、もう一度お尋ねいたしたいと思います。
  99. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私どものこの計画も、詰めて申しますといわば地域のためにやっておるというつもりで考えております。お示しのような自然環境への影響等につきましては、計画が具体化するごとに私どもも十分吟味をし、遺憾のないようにいたしたいと思います。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
  100. 野間友一

    ○野間委員 いま地域のためにという話がありましたけれども、具体的にどのように地域に利益をもたらすのか、お答え願いたいと思います。
  101. 岸田文武

    ○岸田政府委員 広い地域の中で、雨量の多いところ、少ないところ、それぞれの違いをこういった計画によって調整をし、長期間にわたって安定した水資源が確保できるということが基本でございまして、それによりまして発電あるいは水利等の面で地元に貢献できるのではないかと思っております。
  102. 野間友一

    ○野間委員 それはおかしいですね。あなたはいま地域のためにとおっしゃったけれども、水量の多いところと少ないところを平準化して云々と言われましたけれども、結局先ほどの話によりましてすでにおわかりのように、電力を起こして工業地帯に送っていく。同時に水資源ですね。これも上流の水系を変えて、そしてこれを和歌山の北部ないしは京阪神に送っていくということなんで、いま現に中南ないしは紀南で水資源はちっとも不足してないわけです。しかもこれは必要なんです。これらを全部吸い上げて、逆に大都市に送り込むという計画じゃないのですか。このことは具体的にどうやって地域の利益になるわけですか。そうじゃないわけでしょう。これは大企業の利益にはなり得ても、自然が破壊され、水没され、水の流れを全部変えてしまわれてどうやって地域の住民の利益になるわけですか。
  103. 岸田文武

    ○岸田政府委員 水資源の面から申しますと、いわば自然に流れ去ってしまうものをもう一度活用できるということが考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、単にこれを水資源対策というだけではなくて、もし可能であれば、道路計画なり、観光計画なり、あるいは奥地の山村の振興計画等々と結びついた、もっと広いプランと連携できたらという気持ちを内々で持っておるところでございます。
  104. 野間友一

    ○野間委員 じゃ、具体的にいまないのですか。どうなんですか。
  105. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これから勉強いたす段階でございます。
  106. 野間友一

    ○野間委員 そうでしょう。ですから、くつに合わせて足をつくるたぐいだと私は申し上げておるわけです。まず資源を確保電力確保するといまあなたは口では言われましたけれども、それについては全く考えてないわけですね。  時間がないので次に進みます。  建設省にちょっとお伺いしたいわけですけれども、建設省の出した広域利水調査第二次報告書というものによりますと、昭和六十年における水需要図というものが添付されてありますが、この中で新宮川の開発余力、これを五・四八億トン、こういうふうにしておりますが、これはこのとおり間違いないのかどうか。こうだといたしますと、通産省のいまの構想によりますと、三ないし四億トンの水を使うということになりますと、ほとんど一ぱい水を使ってしまうのじゃないかというふうに考えられるわけですが、この点について、建設省はこの計画を知っておるかどうか、具体的にどのような話し合いがなされたかということも含めてお答え願いたいと思います。
  107. 佐藤毅三

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  先般発表いたしました広域利水第二次調査報告書の添付図でございますが、これによりますと、新宮川においては五・八三億トンの開発水量というふうになってございます。この数字は昭和六十年を目標といたしまして、昭和六十年までの間におきまして開発が可能な水量、これは技術上の見地、治水上の見地あるいは環境保全の見地その他から考えまして昭和六十年までに開発することが可能であるという水量を掲げたものでございます。  それから、先ほど来お伺いしております紀伊計画につきましては、これはまだ現在通産省の独自の構想でございまして、私どもといたしましては承知いたしておりません。
  108. 野間友一

    ○野間委員 通産省どうですか。こんな大事な問題について建設省にまだ全然相談もしていないということですね。水資源の確保と言われますけれども、具体的に、いま和歌山の水資源の状態はどうなっておるかということを抜きにして計画を立てることはできないと私は思うのですよ。いまの建設省の話にありますように、全くこれについてまだ打ち合わせ、相談もなされておらない。これは私は片手落ちだと思うのです。この点についてどのよう思うのか、お聞きしたいと思うのです。  それからもう一つ建設省にお伺いしたいのは、昭和四十五年に新宮川を一級河川に指定したわけですが、その際、建設大臣からの同意を求める、そういう要請に対して、和歌山県知事が、それに同意はするけれどもということで条件をつけておるわけですね。その条件によりますと、たとえば「新宮川水系において、流域変更をなし、他水系に分水を行なうことは、本県の了解なくしては行なわないようにされたい。」、それから「工事実施基本計画策定の際、維持用水等の決定に当たっては、新宮川水系の観光、舟航等特異な点を十分考慮され、これらに支障のない水量を確保するとともに、将来の地元上工水計画に必要な流量は優先的に確保するよう配慮されたい。」、あるいは「上流ダム等の放流管理等を十分に行ない下流住民に不安を与えないよう配慮されたい。」、ほかにもありますけれども、こういう要請をつけて一級河川の指定に同意しておるわけですけれども、こういう点からしても、いまの通産省の紀伊計画は、いま申し上げた県知事のこういう強い要請と非常に矛盾する事態が生ずると思うのですが、この点について、いまの時点で、建設省はどのように考えておられるか、お答え願いたい。
  109. 岸田文武

    ○岸田政府委員 冒頭申し上げましたように、これから調査に入る段階でございます。関係各省及び和歌山県等と十分調整をいたしたいと思います。
  110. 佐藤毅三

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、新宮川を一級水系に指定いたしますときに、和歌山県知事からの意見書には、先ほどお話しのような要望がついております。私どもといたしましては、今後の行政運営にあたりましては、この和歌山県知事の要望事項につきましては十分配慮していきたいというふうに考えております。
  111. 野間友一

    ○野間委員 具体的に、では通産省、もうあまり時間がありませんけれども、これは県の強い要請なんですが、とりもなおさず県民の要請であるわけです。これに矛盾するような計画はするべきでないと思いますけれども、どうですか。矛盾するようならこういう計画はしない、こういうように思いますが、どうですか。
  112. 吉田方明

    ○吉田説明員 今回の紀伊計画はまだ構想で、これから調査を進め、いろいろ現地事情等を調べ、県の要望等を取り入れて、計画にあたってはそういうものを取り込んだ修正等を行なっていくつもりでございます。したがいまして、まだそういう具体的な問題というところの調整まで進んでいない段階でございます。
  113. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので環境庁に一点お聞きしておきますが、この計画地域の中で吉野熊野国立公園、吉熊国立公園と申しますが、それから高野竜神国定公園、これにかかるところがあるわけですね。たとえば檜杖ダム、これは国立公園の特別地域に全部かかる。それから日高川の貯水池、ダム、これの終端付近の水面、これが高野竜神国定公園にかかるわけですけれども、このいわゆる自然公園法の特別地域に該当する地域になりますと、変更については環境庁長官の許可が必要だということになるわけです。特に和歌山県の紀南においては観光県というふうにいわれておりますし、また観光県として何としてもこれから発展させなければならぬ、こういう強い県民の要請がありまして、鋭意努力はしておりますけれども、このような特別地域がダムによって破壊されるというふうになるわけですが、この点について環境庁は、通産省からどういう要請なり相談を持ちかけられておるか、あるいは環境庁は、これに対してどのような見解を持っておるのか、いまの時点でお答え願いたいと思います。
  114. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 先ほど来通産省から再三お答えのとおり、まだ構想の段階で調査中ということでございまして、私どものほうは、自然公園法に基きます協議その他は一切いままでは伺っておりません。紀伊半島の御指摘のような地域につきましては、特に自然環境が豊富に保全されておるところでございますので、今後調査段階におきまして、あるいは計画段階におきまして、十分な環境アセスメントを実施していただきまして、周辺の自然環境に重大な影響を及ぼすおそれがないということが明らかでなければ実施していただきたくないというふうに考えております。
  115. 野間友一

    ○野間委員 最後に大臣にお聞きするわけですが、いまいろいろ聞いてきたわけですけれども電力あるいは水資源、これについては具体的にかなりの構想を持って四十八年度からもうすでに予算をつけて調査に入っておる、こういう現状であります。とりわけ先ほどから話しておりますように、三百五十万キロワットアワーというような、非常に水力としては画期的な出力を持つわけですね。和歌山の北部から紀南にかけて鉄と石油と電力ということで、和歌山県民はほんとうに心の中から怒りを持ってこのような構想を見ておるわけです。そこで、このような電力とかあるいは水資源についてはいろいろと具体的な構想が持たれておりますけれども、先ほどからの答弁を聞いておりましても、住民の生活とかあるいは自然環境がどうなるかということについて全くいまのところ調査もしていないばかりか、そういう構想もない。地域の利益のためにという部長の話がありましたけれども、これについても具体的な構想、計画は全くいまの時点で出されていない。ですから、いまの時点であるのは、電力をつくって送る、水を確保して工業用水を送るということくらいではなかろうかと思うのです。こうなりますと、和歌山は自然に恵まれた大塔山系が全部破壊され、そしてここから出てくる水と電力は送られても、地元には何の利益も残らない、こういう実情にあるのじゃないかというふうに私たちは考えざるを得ないと思うのです。  そこで、このようなことを前提にいたしまして、地域の住民の反対運動がいま盛り上がっております。この前、新宮市議会の議長が私のところに参ったわけでありますけれども、このような地域の住民がいろいろとこれから具体的に検討し、討議し、そしてこれについての一定の見解を持って立ち上がると思うのですけれども地域の住民の声をどのように考えるのか、具体的に言いますと、地域の住民が反対すれば、こういう構想は考え直すのかどうか、この点についてひとつ答弁を求めておきたいと思います。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 水資源は日本にとっては非常に貴重な資源でございますから、これを効率的に使用するということを考えることは大切なことであると思います。また、日本のエネルギー状態を考えてみると、電力を獲得するということも、政府としては国民のためにまた努力していかなければならぬところであります。しかし一面、自然環境の保存ということも非常に大事なことである、住民に対する公害防止や環境保全ということも、今日政治の大きな課題になっているわけです。そういう間の調和を考えながら、政策を進めてまいらなければなりません。いまお話のありました問題はまだ構想の段階で、可能性ありやなしやということを構想として検討しようとしておるときでありまして、政府の部内においても、ほかの役所に相談をかける段階には至っていない問題でございます。もっといろいろ検討し、構想をめぐらすポイントもあると思いますが、いま申し上げました諸点は、特にわれわれが今後考えていかなければならぬ問題であると思います。いずれにしろ、地元の御意見というものは尊重さるべきであり、地元の御意見もよくお聞きして、特に県知事さんや県議会の御意向というものもよく消化した上で、われわれはこの問題を処理していきたいと考えております。
  117. 野間友一

    ○野間委員 これで質問を終わりますけれども、いずれにしても、非常に大きな問題をはらんだ計画である。したがって、きょうはまだ構想の段階でありますから、具体的な質問というところまでは行きませんけれども、構想が固まり、また発展するに従って、私どものほうでは具体的な事実を指摘して、これが地域住民、和歌山県民に不利益を与え、そして生活や自然環境の破壊、こういうことになりますれば、私どもはさらに通産省の姿勢を追及していくということをつけ加えまして、質問を終わりたいと思います。
  118. 田中六助

    田中(六)委員長代理 中村重光君。
  119. 中村重光

    ○中村(重)委員 三十分以内に質問を終わりたいと思いますから、簡潔にお尋ねをいたしますので、答弁もそういうことでお願いいたします。  通産大臣は、物価対策特別委員会に御出席になりまして、四国、関西電力、また大阪瓦斯の料金値上げの問題について質疑を受けられた際、原価主義のあり方について検討しなければならないと、電気事業法等の改正を示唆する答弁をしておられるようであります。次期の通常国会等において法改正に踏み切る決意をお持ちなのかどうか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  120. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従来料金制度を調査いたします調査会は、二年くらいかかっておるようであります。今回はできるだけ早くその期間を短縮して促進して結論を得たいと思っておりますが、通常国会に出すことはちょっと無理だろう、そう思います。
  121. 中村重光

    ○中村(重)委員 それに関連いたしましていろいろお尋ねしたいこともありますけれども、またの機会にいたしておきます。  飯塚基礎産業局長がお見えでございませんが、通産大臣が積極的に取り組んでいらっしゃるので十分おわかりであると思いますからお尋ねをいたしますが、御承知のように、平形電線の不足によりまして、第一回が五百五十万メートル、第二回の特配が千二百万メートルというようなことで緩和に取り組んでおられるようであります。正常な状態にこれが戻るのはいつごろになるお見通しなのか、おわかりでしたらお答えをいただきたい。——あとでけっこうです。局長に出席を求めたのがいまでございましたから、まだ間に合わないのはいたし方がない、こう思っております。  この前、質問の予告をいたしておりました例の屋内配線等の保安責任の問題なんです。これは大臣、非常に重要な問題であるわけでございますが、この屋内の配線についての保安責任というものを電気事業者から解除した理由は何なのか。この点がおわかりでしたら、長官からひとつお答えをいただきたいと思います。あるいは部長からでもけっこうでございます。
  122. 山形栄治

    ○山形政府委員 一般家庭の電気設備の保安の問題でございますけれども、いまお話しのとおり、旧法時代につきましては、これが電力会社の責任であったわけでございますけれども、一般的に施設の、民法上といいますか、責任の所在を明確にするということも含めまして、新法では、一応、一般家庭が所有権といいますか、所有の責任を負っているわけでございます。ただ、一般家庭でなかなか電気の知識も足りないという点もございますので、この点は従来から非常に気をつけておりまして、現行の体制では、電気事業法によりまして、電力会社が責任を持って技術基準に適合しているかどうかを調査いたしまして、もしこれがあぶないような場合には、それをすみやかに通知する義務が負わされております。また、電気工事士法という法律によりまして、電気工事をする人間の資格を明確にいたしまして、認定を行なっておるわけでございます。また、電気工事業の業務の適正化に関する法律ということで、その事業者の登録なり主任電気工事士の設置等の義務が課されておりますし、また、電気用品の問題につきましては、電気用品取締法で型式の認可等を行なっております。  いずれにいたしましても、現在、四法で一般家庭の電気設備の保安というものの万全を期しておるわけでございまして、旧法と新法との違いはございますけれども、むしろ旧法に比較しまして、新法では保安体制は完備しておるのではないかと考えておるわけでございます。
  123. 中村重光

    ○中村(重)委員 長官は、いまお答えの中には出ませんでしたが、保安協会はどのような保安検査をやっているか、また電気事業者に、電力会社に、保安についての検査義務が負わされているということでございましたが、どのような義務が負わされているのか。具体的にどのような検査をしているのかということについては、御存じでございましょうか。
  124. 岸田文武

    ○岸田政府委員 一般家庭の屋内配線の検査でございますが、これは新設の場合でございますと、電力会社が参りまして、絶縁抵抗を測定をし、また各部にわたって検査をするというやり方をやっております。他方、定期検査でございますが、これは毎年一回ということに予定をされておりますが、この場合には、絶縁抵抗とそれから主要部分の点検をするという形で進めておるわけでございます。
  125. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がありますから、私から申し上げましてお答えをいただきたいと思うのですが、電気事業者がこの保安責任を解除されたというのは、屋内の配電施設の大半が一般需要者、所有者のものになっているといったようなことから、電気事業者というのは所有者ではないのだというような点に名目を求めているようでございます。  そこで、先ほど長官からお答えになりましたように、配線をいたしますと、電気工事業者は電気事業者に報告しなければならない。いわゆる電力会社に対して報告をする。その報告が来ましたならば、電力会社の係員が行って検査をする。それから保安協会が自主保安体制に基づきまして定期検査等々を実は行なうというたてまえになっておるわけでございます。そこで、いま長官は、これでだいじょうぶなんだというお答えがあったわけですが、私は、この点に問題を感じておるわけです。だいじょうぶではないのだ。お答えの中にも出てまいりましたが、いま保安協会等がやっております検査は、絶縁測定だけをやっているということです。絶縁測定をやります際は、電灯を消さなければ検査はできない。具体的な問題でありますが、たとえば水商売のバーであるとかキャバレーであるとか、そういったところは住まいと店がほとんど別になっています。昼間は店を閉めている。夜に行って電気を消せといっても、商売をしているわけですから消すことはできません。絶縁測定というものはできない。できないのだけれども、測定をしたという届け出をしなければなりません。そこでどういう届け出をしておるのか、そこまではお調べになっていらっしゃらないと思う。私は調べています。調べていますが、きょうは、私は、この点に対しましては、具体的なことでたいへん時間も要りますから触れません。問題は、絶縁測定だけで十分な検査というものができるかどうか。また、ほんとうに責任をもってやってくれるだろうか。電力会社にいたしましても検査しなければならない義務はあるけれども、あるいは保安協会にいたしましても検査をしなければならない義務は課せられているが、検査の結果についての責任を負う必要はないということです。これは大臣、たいへん問題だと思うのです。この電気事業法が昭和三十九年に改正になった。その際に、屋内配線についての保安責任というものを——検査義務は負わされたけれども、その検査結果による保安責任というものから解除されたというところに実は問題がある。その責任は、だれがそれでは負わされているのか。これは所有者であり、占有者である。あるいは電気工事をした電気工事業者にその責任が負わされてきている。絶縁検査だけでは良、不良というものはよくわかりません。さあ地震が起こった、あるいはたいへん配線が古くなった、これは変えなければならない、そういう事態がありましても、絶縁検査でその実態をつかむことはできないのです。これは何とかしなければならない。やはり検査をする者に、その検査の結果によって責任を負わせる体制を整えていかなければならないのではないか。電気事業者は、屋内の保安検査義務だけであってその検査の結果に責任を負う必要がなくなったということは、私は、たいへんその経済負担というものは軽くなって助かっていると思う。しかし、大企業というものはそういう形で助かったけれども、需要者というもの、あるいは零細な中小電気工事業者というものは、そのために責任を負わされるという結果になってきたということは、何としてもこれは不合理な行き方ではないかと私は思うのです。したがいまして、この電気事業法というものをあらためてまた改正をいたしまして、電気事業者がその検査をやったんだけれども、検査の結果に対しても責任を負うというような形に変えていかなければならないのではないか。  いま一つ検討してみなければならないことは、電気工事業者が工事をして、検査は人がしておる。自分は検査をしてない。しかし、その検査の結果の良、不良にかかわらず、その責任を電気工事業者が負わなければならないのであるならば、むしろその検査を電気工事業者にも与えるという行き方をとったらいかがなものであろうか。やはりそういうものでなければ、私は正確な検査はできないのではないかという感じがいたします。どうしても法改正の検討をここでやる必要があるのではないかと思います。この点はいま申し上げたことで大臣は十分御理解いただいたと思いますので、大臣からひとつお答えをいただきたいと思います。
  126. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いろいろ実態に即した御議論、お考えを拝聴いたしまして、われわれも問題点があることはよくわかりました。法律改正を直ちにやるということは、いま無理のようでありますけれども、いまの実態に即しまして責任の分担あるいは両方の費用の負担の割合とかいう問題については、具体的に検討を進めてみたいと思います。
  127. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま私が提案をいたしましたことは、電気工事業者に対して迷惑であるかもしれません、検査の義務を負わなければならぬから。しかし、たとえばプロパン業者は、ガスの供給もいたしますが、同時に使用器具の検査の義務を負わされているわけです。そういうふうに電気の場合も同じようなことが必要になってくるのではないかという感じがするわけです。保安協会のあり方もやはり再検討する必要があります。絶縁検査ですから、何かがあがあ、電気を消してやりさえすればいいわけです。ところが、その検査をするときだけ異常がなかったようだけれども、あとで何かあったならば異常が起こる、そのことが火災に発展する。火事になった。何が原因であったか。これは電線から異常があったのだ。電気工事業者が責任を負わなければならぬ。ある意味では永久責任を負わされる。これは迷惑な話だと思うのですね。それで電気工事業者は、自分は責任はないということでがんばっていく。裁判まで発展する可能性がある。結局、力のない需要者あるいは電気工事業者が泣かなければならぬという結果が起こっておりますから、電気工事業者は迷惑をいたしましても、やはり責任を持って検査義務を持ってもらうというようなやり方等も、私はこの際考えていかなければならないのではないかという感じがいたします。保安協会のあり方、それから、初め配線についての検査義務を負うその電力会社が形式的な検査にならないように、やはり何らか責任を負ってもらうようなことも考えてみなければならない。  申し上げましたように、電気事業者にそれではどういう責任を持ってもらうことにするのか、ひとつ総合的にこれらの問題を検討していただきたいということを強く要請をいたしまして、きょうは大臣の予定の時間もあるようでございますから、あらためて検討の結果についてのお答えもいただきましょうし、それに基づいて私も質問をいたしたいということを留保いたしまして、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。
  128. 田中六助

    田中(六)委員長代理 次回は、来たる二十六日午前十時理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会