○野間
委員 まず最初に、
大臣お越しのようですから、金大中氏の事件について対韓援助の面から一点だけお尋ねを申し上げたいと思うのです。
御
承知のとおり、白昼公然と主権を侵して拉致し、これを韓国に連れ去る、こういうゆゆしい
事態が発生したわけですけれ
ども、私たち共産党の国
会議員団は、この二十一日に本件に関して
政府に対する申し入れをしております。この申し入れの中でわが党は、本件が国際謀略
機関の犯行であり、朴政権との関連についても否定することのできないものとなっておる、こういうふうに述べておりますけれ
ども、きのうの参議院の法務
委員会の中で、
田中法務
大臣がほぼこれを裏づけられるような発言をされたと思うのです。きょうの時事のファクスによりましても、「現在のところ確たる証拠を上げる段階に来ていないが、感触としては某国CIAの仕わざと思われる。」某国だというふうに言われておりますが、「つまり(事件を引き起こす)がいぜん性が高く、ありうると思われる。」これはきのうの参議院の法務
委員会での発言に関する釈明だと思います。それからもう
一つは、「金大中氏の自作自演だとは思わない。第六感から某国
政府機関たるCIA、秘密警察がやったと思う。そうでなければこういう芸当は出来ないと思っている。」こういう談話をきょう発表されております。
わが国の出入国管理を無視してなされましたこの野蛮な拉致事件、これは先ほど申し上げましたように、
わが国の主権の重大な侵害である。ところが、
政府の今日までの本件に対する姿勢を見てみました場合に、これはマスコミもかなり書いておりますけれ
ども、真剣に日本の主権を擁護する、こういうものとは私は言えないと思うのです。非常に腰が弱い、こういうふうに私は考えるわけです。それは私たち申し入れ書に具体例をあげておりますけれ
ども、この段階に至ってすら、閣僚
会議について中止ではなしに延期する。しかも、この延期の内容についても、予定されたものを延期するだけであって近い将来開かれるという含みの延期であるというふうにも私は聞き取っておるわけでありますけれ
ども、非常に態度があいまいじゃないか。このようなあいまいな
政府の態度は、御
承知の西ドイツでの一九六七年の同種の事件の場合、西ドイツは国交断絶をも考慮するという非常に強硬な態度をとったことは明らかでありますけれ
ども、この点からしても明らかに弱い、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。
私はここで多くは触れませんが、対韓
経済協力の点について若干申し上げたいわけです。この
田中内閣の対韓援助はどういう意味を持つのか。金大中氏がいみじくも言っておりますけれ
ども、朴政権はいま国民の支持によってではなく、アメリカの武器と日本の金によって立っている、こう述べておられるわけです。昨年もたしか一億七千万ドルという多額の援助がなされたわけでありますけれ
ども、こういう点から見ましても、金大中民の表現は誇張ではない、こういうふうに私は考えざるを得ないと思うのです。しかも
政府は、ことしの閣僚
会議で二億ドルの援助を与えようとしていた、こういうふうに聞いておるわけでありますけれ
ども、わが党が一貫して
指摘し、反対してまいりました反共独裁の朴政権の擁護をこのような重大な
事態になってもなお続けようとしている。非常に異様な執心というふうに言わざるを得ないと思うのです。
午前中の
大臣の発言にもありましたが、きょうの閣議で定期閣僚
会議を延期した、こういうようなことでありますけれ
ども、私は、はっきりとこれを中止すべきである、そういう方向で検討し、直ちにこういう
措置をとるべきだと思いますし、また予定されておりました二億ドルの援助を含めて一切の
経済協力を全面的にやはり停止すべきである、このように私は考えるわけです。このことがいわゆる韓国
政府に対して金大中氏ら三名の再来日を保証させること、それから日韓閣僚
会議を中止すること、これと並んで日本の国家主権を考える場合に大きな試金石になるというふうに私は考えるわけです。とりわけこのような対韓援助、これらの一切を停止すべきである、二億ドルの援助も含めて今後の問題としてこういう強い
措置をとるべきである、こういうふうに私は考えるわけですけれ
ども、この点について
大臣の御見解をお伺いしたいと思います。