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塩川政府委員 お答えいたします。
最初に、
中小企業省を設置するという
考え方ついて
政府部内でどういう
意見があるのかというお尋ねでございます。この件につきましては、牛生も御
指摘のとおり、長年にわたりまして
中小企業省を設置すべしということが国民の声として、また
政府の中にもそういう
意見が非常に強くございまして、それを受けまして、過日
田中総理が、こういう
中小企業省設置についてどういうふうに影響があるかという点を
検討してくれ、こういうことを言ったことは事実でございます。そこで、これはわが通産省におきましてもいま懸命に
検討しておる段階でございますが、これは若干私見をまぜて恐縮でございますけれ
ども、現在の段階におきましては、まず
中小企業行政というものは、横割りの行政になじむものであって縦割り行政になじむものではないという
考え方が実はございます。したがいまして、現在の
中小企業庁がやっておりますことは、その縦割り行政の中に埋没されておる
中小企業対策というものを全部横割りにかき集めてきて、そこに監督と命令権というものをもって
指導していくということをやっておるのであります。
そこで、まず
中小企業省を設置する前に、
中小企業行政に対してどこに権限を集約していくのがいいのかというこの
検討から始めなければならぬ、このように思っております。現在
中小企業庁が持っております権限というものは確かに十分なものではない、これをまず強化していくことから始めなければならぬということでございまして、そういう多角的な面から現在真剣に
検討いたしておる段階でございます。私
たちといたしましては、最近におきます
中小企業問題というものは単に
経済問題だけではなくして、国民の生活に密着した非常に重要な問題になってきておりますだけに、何とかして
中小企業行政の中に入れる権限の強化と機構の整備ということを
考えていきたい、このように思っております。
第二番目にお尋ねがございました今回の通商産業省の設置法
改正に伴っての機構改革についてでございますが、おっしゃるのは当然でございまして、私
たちも
中小企業庁はこれでいいのかということでございます。
そこで、今回の通商産業省の機構改革のねらっております点をまず最初にちょっと申し上げますと、いままでは、通商産業省は各産業ごとに編成されてきまして、そういう産業ごとの競争力強化、体質
改善、こういうものを
中心にやってまいりました。しかし、いまや日本の
経済というものはそれを必要とする段階ではなくして、もっと国民の生活の中における
経済というものを
考えなければならぬということになりまして、したがって、これからは国民のニードを
中心にした機構改革に変えるべきである、こういうふうになりました。それが二十年ぶりに機構改革をする一番大きいねらいの点でございます。
そういたしました場合に、
中小企業庁の
あり方ということでございますが、これは現在持っております機構でもって一応は
中小企業対策というものに対応できるではないかという
判断に立って、一方におきまして
中小企業省を設置しろというような
意見も出ておったことは事実であります。そういう点をいろいろかみ合わせまして、現在の
中小企業庁の機構は一応はこのまま置いて、その中で実際にやりにくいような点、不都合な点等があれば
改正していかなければならぬ、こういう
検討をする必要があるだろう、こういうふうに思っておるのであります。
最後にちょっと時間を二、三分いただきまして、
先生が先ほど来いろいろと熱心に御
質問いただきましたその中で、一番やはり釈然としない気持ちを持っておられる点があるだろうと思うのでございます。それは
中小企業の
範囲を
拡大するということに伴って、いまや
中小企業に対する
基本的な
考え方そのものを変えるべきではないだろうか、こういうことであろうと思います。それは
先生のお
ことばで言いますと、
前文と第一条をさわらずして
範囲だけを変えるということに対してどうも納得できないということであろうと思います。
中小企業基本法というのは、その
精神は根本においてはちっとも変わっておらない。
前文と第一条は、いわば
中小企業を日本の
経済の中において、あるいは日本の生活の中にいかに位置づけていくかということが
前文の中に書いてございまして、それを位置づけていくための
目標、
政策の
目的ではなくて、
目標をどうしていくかということが第一条に入れてあると思うのでございます。その位置づけと
目標というのは私はやはり変わっておらないように思うのであります。
ただ、今回
範囲の
改正をお願いいたしましたのは、先ほど来
長官が申しておりますように、
制定当時の
昭和三十八年から比べまして、
経済そのもののスケールが変わったことと、
中小企業自体の体質の中にすでに相当
充実した力が入ってまいりましたので、いままで育ってきた単位の大きさを変えるべきではないか、そういう気持ちで
範囲の
改定を出したようなことでございますので、その点はひとつ重々御理解いただきたいと思います。ついては、これによって起こってまいりますところの小規模事業
対策というものについては、ますますひとつ
重点を置いて
対策を講じなければならないことは当然でございまして、御
趣旨に沿いまして一そうの精励につとめてまいりたいと思う次第でございます。